JP2023014809A - 金属ナノ粒子担持ポリマー、組成物及び物品 - Google Patents

金属ナノ粒子担持ポリマー、組成物及び物品 Download PDF

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Abstract

【課題】有機溶媒に可溶な金属ナノ粒子担持ポリマーを提供する。【課題手段】金属ナノ粒子担持ポリマーであって、該ポリマーが、荷電性基を含む側鎖を有する非架橋有機ポリマー骨格と、金属ナノ粒子と、炭素数3以上の保護剤とを含み、金属ナノ粒子が、非架橋有機ポリマー骨格に担持されており、保護剤が、金属ナノ粒子に結合している、金属ナノ粒子担持ポリマー。【選択図】なし

Description

本開示は、金属ナノ粒子担持ポリマー、該ポリマーを含有する組成物、及び該組成物を含む物品に関する。
銀イオンに代表される金属イオンが抗菌性を有することは古くから知られている。最近では、抗ウイルス性を有する金属イオンも知られるようになった。類似の効果は、銀ナノ粒子及び白金ナノ粒子等の金属ナノ粒子においても報告されている。金属ナノ粒子を用いた、抗菌性及び/又は抗ウイルス性(以下「抗菌・抗ウイルス性」ともいう)を有する成分(以下「抗菌・抗ウイルス剤」ともいう)は、今後ますます増加すると予想されている。また、このような用途のほかにも、金属ナノ粒子は、種々の用途に使用できる。
金属ナノ粒子は、例えば、有機ポリマーに担持されている。特許文献1には、疎水性コアとスルホ基を含む親水性シェルとからなるポリエステル系ポリマー粒子に銀ナノ粒子を担持させた銀ナノ粒子担持ポリマーが開示されている。特許文献1には、該ポリマーの抗菌性については記載されていないが、コーティング適正に優れると記載されている。
特開2019-135294号公報
本開示者らの検討によれば、特許文献1の銀ナノ粒子担持ポリマーは、有機溶媒に不溶であることから、実際にはコーティングに適していないことがわかった。本開示は、有機溶媒に可溶な金属ナノ粒子担持ポリマーを提供することを課題とする。本開示は、該ポリマーを含有する組成物、及び該組成物を含む物品を提供することを課題とする。
本開示者らは上記課題を解決すべく検討した。その結果、本開示者らは、非架橋有機ポリマーに金属ナノ粒子を担持させた後、金属ナノ粒子に保護剤を結合させることにより、上記課題を解決できることを見出した。
本開示の金属ナノ粒子担持ポリマーは、荷電性基を含む側鎖を有する非架橋有機ポリマー骨格と、金属ナノ粒子と、炭素数3以上の保護剤とを含み、金属ナノ粒子が、非架橋有機ポリマー骨格に担持されており、保護剤が、金属ナノ粒子に結合している。
本開示の組成物は、上記金属ナノ粒子担持ポリマーを含有する。
本開示の物品は、上記組成物を含む。
本開示によれば、有機溶媒に可溶な金属ナノ粒子担持ポリマーを提供できる。また、本開示によれば、該ポリマーを含有する組成物、及び該組成物を含む物品を提供できる。
図1は、本開示の金属ナノ粒子担持ポリマーの一例を示す模式図である。 図2は、上記ポリマーの製造方法を示すフロー図である。 図3は、上記ポリマーの製造方法(前半)を示す模式図である。 図4は、上記ポリマーの製造方法(後半)を示す模式図である。
[金属ナノ粒子担持ポリマー]
本開示の金属ナノ粒子担持ポリマー(以下「本開示のポリマー」ともいう)は、荷電性基を含む側鎖を有する非架橋有機ポリマー骨格と、金属ナノ粒子と、炭素数3以上の保護剤とを含む。金属ナノ粒子は、非架橋有機ポリマー骨格に担持されている。保護剤は、金属ナノ粒子に結合している。このような構成により、本開示のポリマーの有機溶媒への溶解性が高くなり、また、他のポリマーとの混和性を向上できる。
<非架橋有機ポリマー骨格>
本開示のポリマーは、非架橋有機ポリマー骨格を含む。以下、分子としての非架橋有機ポリマーについて説明するときは、単に「非架橋ポリマー」と記載し、本開示のポリマーの構成要素として説明するときは、「非架橋ポリマー骨格」と記載する。
非架橋ポリマーは、金属ナノ粒子及び後述する金属錯イオンに対する担体として機能する。本開示において、非架橋ポリマーとは、3次元架橋構造を有さないポリマーを意味し、通常は、直鎖状ポリマー及び分岐鎖状ポリマー等の鎖状ポリマーである。非架橋ポリマーは、例えば、溶媒中で物理的又は化学的架橋構造を有さず、したがって、非架橋ポリマーは、水又は有機溶媒に可溶である。ここで「可溶」とは、例えば、0.5gのポリマーを100mLの溶媒に常温(25℃)で添加したときに、白濁、沈降又はゲル化しないことを意味する。非架橋ポリマー骨格を含む本開示のポリマーを用いることにより、透明な組成物を調製し、又は透明な膜を形成することができる。
非架橋ポリマーは、荷電性基を含む側鎖を有する。荷電性基は、水中で負又は正に帯電(イオン化)しうる基であり、例えばプロトン供与性基(ブレンステッド酸)またはプロトン受容性基(ブレンステッド塩基)である。これにより、後述する製造方法の工程(2)及び工程(3)での水中において非架橋ポリマーの分子鎖が負又は正に帯電し、非架橋ポリマーの分子鎖の絡み合いが静電反発によってほどけると同時に、荷電性基が水中に露出する。露出した荷電性基に、後述する金属ナノ粒子が結合している。
荷電性基としては、例えば、カルボキシ基及びスルホ基等のアニオン性基(水中で負に帯電しうる荷電性基)、並びにアミノ基等のカチオン性基(水中で正に帯電しうる荷電性基)が挙げられる。これらの中でも、カルボキシ基及びスルホ基等のアニオン性基が好ましく、カルボキシ基がより好ましい。なお、上記荷電性基は、負又は正に帯電(イオン化)した基を包含する。例えば荷電性基がカルボキシ基の場合は、該荷電性基は、カルボキシラートイオンを包含する。アニオン性基は、後述する製造方法の工程(2)及び工程(3)での水中で負に帯電(イオン化)することで、金属ナノ粒子と強く結合できる。
上記側鎖は、荷電性基そのものであってもよい。
非架橋ポリマーに含まれる荷電性基は、アニオン性基又はカチオン性基のいずれか一方のみであることが好ましい。例えば、カルボキシ基を含む側鎖を有する非架橋ポリマーの場合は、該非架橋ポリマーはアミノ基を含む側鎖を有さないことが好ましく、アミノ基を含む側鎖を有する非架橋ポリマーの場合は、該非架橋ポリマーはカルボキシ基を含む側鎖を有さないことが好ましい。
非架橋ポリマーにおける荷電性基の含有量は、好ましくは0.1mmol/g以上100mmol/g以下、より好ましくは0.5mmol/g以上50mmol/g以下、さらに好ましくは1mmol/g以上20mmol/g以下である。荷電性基の含有量が上記範囲にあると、非架橋ポリマーの分子鎖の絡み合いが水中において静電反発によって充分にほどけるとともに、非架橋ポリマーが金属ナノ粒子及び後述する金属錯イオンを荷電性基によって充分に保持できる。
荷電性基は、非架橋ポリマーの分子鎖全体にわたって均一に分布していることが好ましい。荷電性基を含む側鎖が分子鎖内に偏在すると、非架橋ポリマーの水に対する溶解性が低下したり、金属ナノ粒子の担持量が減少したりすることがある。
荷電性基を含む側鎖を有する非架橋ポリマーは、例えば、荷電性基を含むモノマーを単独重合又は共重合することによって得られる。荷電性基を含む側鎖を有する非架橋ポリマーとしては、例えば、荷電性基を含む繰り返し構成単位を有する、ビニル系重合体、多糖類及びタンパク質が挙げられる。これらの中でも、荷電性基を含む繰り返し構成単位を有するビニル系重合体が好ましい。
上記非架橋ポリマーにおいて、荷電性基を含む繰り返し構成単位の含有割合は、全繰り返し構成単位中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上である。本開示において、上記構成単位の含有割合は、NMRにより求めることができる。
荷電性基を含む繰り返し構成単位を有するビニル系重合体としては、例えば、荷電性基を含むエチレン性不飽和モノマーの単独又は共重合体、及び、荷電性基を含むエチレン性不飽和モノマーと、荷電性基を含まないエチレン性不飽和モノマーとの共重合体が挙げられる。
荷電性基を含むエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸及びシトラコン酸等の不飽和カルボン酸、並びに無水マレイン酸及び無水イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸の無水物などのカルボキシ基含有モノマー;ビニルスルホン酸及びp-スチレンスルホン酸等のスルホ基含有モノマーが挙げられる。
荷電性基を含まないエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン類、アルカン酸ビニルエステル、芳香族カルボン酸ビニルエステル及び(メタ)アクリレート類が挙げられる。
スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルエチルベンゼン及びビニルナフタレンが挙げられる。
アルカン酸ビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及び酪酸ビニルが挙げられる。
芳香族カルボン酸ビニルエステルとしては、例えば、安息香酸ビニルが挙げられる。
(メタ)アクリレート類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート及びイソプロピル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート及びメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の、脂環又は芳香環含有(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;並びにグリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
荷電性基を含むエチレン性不飽和モノマーと、荷電性基を含まないエチレン性不飽和モノマーとの共重合体において、荷電性基を含むエチレン性不飽和モノマーに由来する構成単位の含有割合は、全繰り返し構成単位中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上である。
荷電性基を含む繰り返し構成単位を有するビニル系重合体としては、具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸-マレイン酸共重合体、及び(メタ)アクリル酸-ビニルスルホン酸共重合体、並びにこれらの金属塩が挙げられる。金属塩としては、例えば、ナトリウム塩及びカリウム塩が挙げられる。これらの中でも、ポリ(メタ)アクリル酸及びその金属塩が好ましく、ポリアクリル酸及びその金属塩がより好ましい。
荷電性基を含む繰り返し構成単位を有する多糖類としては、例えば、カルボキシ基を含む繰り返し構成単位を有する多糖類が挙げられ、具体的には、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルデキストラン及びアルギン酸、並びにこれらの金属塩が挙げられる。金属塩としては、例えば、ナトリウム塩及びカリウム塩が挙げられる。
これらの中でも、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、及びこれらの金属塩が好ましく、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸及びアルギン酸ナトリウムがより好ましい。
タンパク質は、アミノ酸残基からなる繰り返し構成単位を有する。荷電性基を含む側鎖を有するアミノ酸としては、例えば、アスパラギン酸及びグルタミン酸等の酸性アミノ酸、並びにリシン等の塩基性アミノ酸が挙げられる。
荷電性基を含む側鎖を有するアミノ酸残基を有するタンパク質において、荷電性基を含む側鎖を有するアミノ酸残基の割合(個数基準)は、全アミノ酸残基中、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。
荷電性基を含む側鎖を有するアミノ酸残基を有するタンパク質としては、例えば、ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸等の酸性アミノ酸のタンパク質、並びにポリL-リシン等の塩基性アミノ酸のタンパク質が挙げられる。これらの中でも、ポリL-リシンが好ましい。
荷電性基を含む側鎖を有する非架橋ポリマーの中でも、ポリ(メタ)アクリル酸が好ましく、ポリアクリル酸がより好ましい。
荷電性基を含む側鎖を有する非架橋ポリマーとしては、市販品を用いてもよく、従来公知の方法によりモノマーを重合して合成してもよい。荷電性基を含まないモノマーを重合して荷電性基を有さない非架橋ポリマーを得た後、該ポリマーに荷電性基を導入してもよい。例えば、セルロースの構造中のヒドロキシ基の水素原子やヒドロキシメチル基の酸素原子に結合する水素原子の一部又は全部をカルボキシメチル基に置換することにより、カルボキシメチルセルロースが得られる。また、荷電性基を含む側鎖を有する非架橋ポリマーとしては、アルギン酸ナトリウムのように、天然物からの抽出品を用いてもよい。
非架橋ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000以上1,000,000以下、より好ましくは2,000以上100,000以下、さらに好ましくは5,000以上30,000以下である。Mwが上限値以下であると、非架橋ポリマーの溶媒中での凝集が抑制されるため好ましい。本開示において、Mwは、JIS K7252-1(2008)に準拠して、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求められる、ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<金属ナノ粒子>
本開示のポリマーは、上記非架橋ポリマー骨格に担持された金属ナノ粒子を含む。
金属ナノ粒子としては、例えば、貴金属元素から形成されたナノ粒子が挙げられ、具体的には、銀ナノ粒子、金ナノ粒子、白金ナノ粒子、パラジウムナノ粒子及びロジウムナノ粒子が挙げられ、銀ナノ粒子、金ナノ粒子及び白金ナノ粒子が好ましい。貴金属元素から形成されたナノ粒子は、空気中又は溶媒中で酸化されにくいことから好ましい。金属ナノ粒子の中でも、銀ナノ粒子は、高い抗菌・抗ウイルス性を有することから好ましい。本開示のポリマーは、抗菌・抗ウイルス剤及び抗菌・抗ウイルス加工製品などの用途に好適に使用できる。
本開示のポリマーは、金属ナノ粒子を1種又は2種以上含むことができる。
金属ナノ粒子の非架橋ポリマー骨格への担持形態は特に限定されない。金属ナノ粒子は、例えば、非架橋ポリマー骨格の主鎖又は側鎖に含まれる荷電性基に結合している。
本開示のポリマーにおいて、非架橋ポリマー骨格に担持された金属ナノ粒子のメジアン径(D50)は、好ましくは0.5nm以上100nm以下であり、より好ましくは50nm以下、30nm以下、20nm以下又は10nm以下であり、特に好ましくは5nm以下であり、より好ましくは1nm以上である。
D50は、動的光散乱法(DLS)による体積規準の粒度分布測定により得られる積算分布曲線の50%積算値を示すメジアン径(D50)である。DLSを用いれば、溶媒中の金属ナノ粒子の粒径を、非架橋ポリマーに担持された状態で測定できる。
本開示のポリマーにおける、保護剤が結合した金属ナノ粒子の含有率(担持率)は、好ましくは10質量%以上70質量%以下、より好ましくは15質量%以上65質量%以下である。含有率が10質量%以上であれば、金属ナノ粒子による効果(例えば抗菌・抗ウイルス性)が良好に発揮される。含有率が70質量%以下であれば、溶液中での金属ナノ粒子担持ポリマーの凝集が抑制され、したがって透明性に優れる組成物又は膜を得ることができる。
保護剤が結合した金属ナノ粒子の含有率は、以下の計算式を用いて算出される。
Figure 2023014809000001
上記式中、「金属ナノ粒子担持ポリマーの質量」は、得られた金属ナノ粒子担持ポリマーから溶媒を除去したときの固形分質量を表す。一方、「非架橋ポリマーの質量」は、後述する金属錯イオン担持工程で反応系に投入した非架橋ポリマーの質量を表す。
<保護剤>
本開示のポリマーは、上記金属ナノ粒子に結合した、炭素数3以上の保護剤を含む。金属ナノ粒子の表面が保護剤により疎水化されていることから、本開示のポリマーは、有機溶媒に対する溶解性に優れる。一実施形態において、金属ナノ粒子の表面に保護剤が結合している。
保護剤は、一実施形態において、疎水性基と、金属ナノ粒子に配位可能な官能基とを有する配位子である。この場合、保護剤の上記官能基が金属ナノ粒子に結合することにより、保護剤が金属ナノ粒子表面に導入される。
疎水性基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環含有炭化水素基及び芳香環含有炭化水素基などの炭化水素基、並びにアルコキシアルキル基が挙げられる。疎水性基の炭素数は、好ましくは3以上、より好ましくは3以上18以下、さらに好ましくは3以上10以下である。疎水性基の炭素数がこのような範囲であると、金属ナノ粒子が適度に疎水化される。したがって、得られるポリマーは、多種類の有機溶媒に可溶となる。
脂肪族炭化水素基としては、例えば、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ヘキサデシル基及びオクタデシル基等のアルキル基;オレイル基等のアルケニル基が挙げられる。脂環含有炭化水素基としては、例えば、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。芳香環含有炭化水素基としては、例えば、ベンジル基等のアラルキル基が挙げられる。アルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシプロピル基及びエトキシプロピル基が挙げられる。
金属ナノ粒子に配位可能な官能基としては、アミノ基が好ましい。
上記保護剤としては、炭素数3以上のアミン化合物が好ましい。炭素数3以上のアミン化合物としては、例えば、t-ブチルアミン、n-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン、n-ヘプチルアミン、n-オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ヘキサデシルアミン及びオクタデシルアミン等のアルキルアミン、オレイルアミン等のアルケニルアミンなどの脂肪族炭化水素基を有するアミン;シクロヘキシルアミン等のシクロアルキルアミンなどの、脂環含有炭化水素基を有するアミン;ベンジルアミン等のアラルキルアミンなどの、芳香環含有炭化水素基を有するアミン;3-メトキシプロピルアミン及び3-エトキシプロピルアミン等のアルコキシアルキルアミン;並びにジグリコールアミンが挙げられる。これらの中でも、多種類の有機溶媒に可溶なポリマーが得られるという観点から、t-ブチルアミン及び3-メトキシプロピルアミンが好ましい。
アミン化合物の分子量は、好ましくは400以下、より好ましくは300以下、さらに好ましくは200以下、よりさらに好ましくは150以下である。このような分子量であれば、アミン化合物が金属ナノ粒子に良好に結合できる。
上記保護剤としては、炭素数3以上の第一級アミンが好ましく、炭素数3以上18以下の第一級アミンがより好ましく、炭素数3以上10以下の第一級アミンがさらに好ましい。第一級アミンとしては、R-NH2で表されるアミン化合物が好ましい。式中のRは、炭素数3以上の上記疎水性基である。このような保護剤を用いることにより、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アルカン系溶媒及び芳香族系溶媒などの多種類の有機溶媒に可溶な金属ナノ粒子担持ポリマーが得られる。
保護剤が炭素数2以下の第一級アミンであると、金属ナノ粒子が親水性となる傾向にある。この場合、金属ナノ粒子担持ポリマーは、有機溶媒に可溶ではない傾向にある。保護剤が炭素数11以上の第一級アミンであると、金属ナノ粒子の疎水性が高過ぎることがある。この場合、金属ナノ粒子担持ポリマーは、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒及びエステル系溶媒に可溶ではないことがある。
本開示のポリマーにおける保護剤の含有量は、一実施形態において、金属ナノ粒子100質量部に対して、10質量部以上1000質量部以下でもよく、50質量部以上800質量部以下でもよく、100質量部以上500質量部以下でもよく、150質量部以上400質量以下でもよい。
図1に、本開示のポリマーの模式図を示す。図1は、非架橋ポリマーがポリアクリル酸であり、金属ナノ粒子が銀ナノ粒子であり、炭素数3以上の保護剤がt-ブチルアミンである例である。金属ナノ粒子担持ポリマー10は、荷電性基12を有する非架橋ポリマー骨格11と、非架橋ポリマー骨格11に担持された金属ナノ粒子13と、保護剤14とを含む。非架橋ポリマー骨格11の荷電性基12の一部は、金属ナノ粒子13に結合している。保護剤14は、金属ナノ粒子13の表面に結合している。
<金属ナノ粒子担持ポリマーの保存>
本開示の金属ナノ粒子担持ポリマーは、有機溶媒に溶解した状態で保存することが好ましい。すなわち、本開示のポリマーは、該ポリマーと有機溶媒とを含む溶液の状態で保存することが好ましい。金属ナノ粒子担持ポリマーを乾燥し、粉末にすると、有機溶媒への再溶解が難しい場合がある。
本開示のポリマーは、有機溶媒中での長期保存が可能である。
上記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール(IPA)、1-ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)及びシクロヘキサノン(アノン)等のケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(エチルセロソルブアセテート)及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のエステル系溶媒;n-ヘキサン及びシクロヘキサン等のアルカン系溶媒;ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族系溶媒;塩化メチレン及びクロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;アセトニトリル及びN,N-ジメチルホルムアミド等の含窒素溶媒;並びにジメチルスルホキシド等の含硫黄溶媒が挙げられる。
有機溶媒は、1種であってもよく、2種以上の混合溶媒であってもよい。
[金属ナノ粒子担持ポリマーの製造方法]
本開示の金属ナノ粒子担持ポリマーは、例えば、下記製造方法により製造できる。
本開示の金属ナノ粒子担持ポリマーの製造方法は、一実施形態において、
(1)荷電性基を含む側鎖を有する非架橋ポリマー、金属塩及び錯化剤を準備する工程
(以下「工程(1)」又は「準備工程」ともいう)と、
(2)非架橋ポリマー、金属塩及び錯化剤を水に溶解させて、非架橋ポリマーに金属錯イオンが担持された金属錯イオン担持ポリマーを得る工程(以下「工程(2)」又は「金属錯イオン担持工程」ともいう)と、
(3)金属錯イオン担持ポリマー中の金属錯イオンを還元して、非架橋ポリマーに担持された金属ナノ粒子を形成する工程(以下「工程(3)」又は「金属ナノ粒子形成工程」ともいう)と、
(4)非架橋ポリマーに担持された金属ナノ粒子上に保護剤を導入する工程
(以下「工程(4)」又は「保護剤導入工程」ともいう)と
含む(図2参照)。
上記製造方法は、一実施形態において、
(5)金属ナノ粒子担持ポリマーを回収する工程
(以下「工程(5)」又は「ポリマー回収工程」ともいう)
をさらに含む。
<工程(1)(準備工程)>
工程(1)は、荷電性基を含む側鎖を有する非架橋ポリマー、金属塩及び錯化剤を準備する工程である。非架橋ポリマーの詳細については上述したため、ここでは説明を省略する。金属塩及び錯化剤については、以下の工程(2)で説明する。
<工程(2)(金属錯イオン担持工程)>
工程(2)は、上記非架橋ポリマー、金属塩及び錯化剤を水に溶解させて、非架橋ポリマーに金属錯イオンが担持された金属錯イオン担持ポリマーを得る工程である。
金属塩と錯化剤とが水に溶解すると、通常、金属錯イオンが形成される。この系に上記非架橋ポリマーが共存すると、非架橋ポリマーに金属錯イオンが担持される。図3に、非架橋ポリマー11に金属錯イオン21が担持される工程の模式図を示す。錯化剤を用いて金属錯イオンを形成することにより、工程(3)において金属イオンの還元速度が適切に制御されて、金属ナノ粒子の粒径の増大を抑制できる。
金属塩は、水に溶解し、イオン化するものであれば特に限定されない。金属塩としては、上述した貴金属元素を含む塩が好ましく、例えば、硝酸銀及び硫酸銀等の銀塩、塩化金酸、塩化白金酸、塩化パラジウム及び塩化ロジウムが挙げられる。具体的には、硝酸銀(I)、テトラクロロ金(III)酸四水和物、ヘキサクロロ白金(IV)六水和物、塩化パラジウム(II)及び塩化ロジウム(III)三水和物が挙げられる。これらの中でも、銀塩が好ましく、硝酸銀がより好ましい。
錯化剤とは、金属イオンと錯体を形成可能な化合物を意味し、金属イオンに対する配位子である。錯化剤としては、例えば、金属イオンに配位可能な官能基を有する化合物が挙げられる。金属イオンに配位可能な官能基としては、例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、エーテル結合及びチオエーテル結合(スルフィド結合)が挙げられる。これらの官能基は、溶液中におけるポリマーの凝集が良好に抑制されるという観点から好ましい。
錯化剤中の、金属イオンに配位可能な官能基の数は、好ましくは2以上、より好ましくは2以上6以下、さらに好ましくは2以上4以下である。このような官能基数であれば、錯化剤が金属イオンに良好に配位できる。
錯化剤の分子量は、好ましくは400以下、より好ましくは300以下、さらに好ましくは200以下、よりさらに好ましくは150以下である。このような分子量であれば、錯化剤が金属イオンに良好に配位できるとともに、得られる金属錯イオンが非架橋ポリマーに良好に担持される。
錯化剤としては、例えば、2,2’-チオジエタノール、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジグリコールアミン及びジエタノールアミンが挙げられる。これらの錯化剤は、溶液中におけるポリマーの凝集が良好に抑制されるという観点から好ましい。
例えば、非架橋ポリマーとしてポリアクリル酸を用い、金属塩として硝酸銀を用い、錯化剤としてエチレンジアミン、チオジエタノール又はエタノールアミンを用いた場合について、非架橋ポリマー上に担持された金属錯イオンの状態の一例を以下に示す。
Figure 2023014809000002
例えば、錯化剤中の上記官能基とポリアクリル酸中のカルボキシラートイオンとが、銀イオンの両側からそれぞれ配位すると考えられる。すなわち、錯化剤によって配位された銀イオンからなる銀錯イオンが形成され、ポリアクリル酸中のカルボキシラートイオンが銀錯イオンに配位すると考えられる。このとき、上述したようにポリアクリル酸がカルボキシラートイオンの静電反発によりほぐれていると、銀錯イオンがポリアクリル酸中のカルボキシラートイオンに近接しやすくなることから、銀錯イオンの担持量が増加する。
工程(2)は、具体的には、荷電性基を含む側鎖を有する非架橋ポリマーの水溶液を調製する工程と、該水溶液に金属塩及び錯化剤を添加する工程とを含むことが好ましい。
まず、非架橋ポリマーを水に溶解させる。水溶液における非架橋ポリマーの濃度は、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、より好ましくは1質量%以上10質量%である。非架橋ポリマーの濃度が上限値以下であると、金属錯イオンの担持効率が良好である。非架橋ポリマーの濃度が下限値以上であると、製造効率が良好である。
非架橋ポリマーの水への溶解を促進するという観点から、必要に応じて水溶液を加熱してもよい。例えば、水溶液の液温が好ましくは50℃以上90℃以下、より好ましくは60℃以上85℃以下となるように加熱する。
非架橋ポリマーに含まれる荷電性基を水中で帯電させるために、必要に応じて非架橋ポリマーの水溶液に酸又は塩基を加えて、pHを調整してもよい。例えば、荷電性基がカルボキシ基の場合は、水溶液のpHを5以上9以下の範囲に調整すると、非架橋ポリマーが静電反発によりほぐれて、金属錯イオンの担持量が増加する傾向にある。また、pHを調整することにより、工程(3)での還元速度、よって金属ナノ粒子の形成速度を調整できる。pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び炭酸ナトリウム等の塩基;塩酸及び硝酸等の酸が挙げられる。
次に、非架橋ポリマーの水溶液に、金属塩と錯化剤とを添加する。該水溶液における金属塩と錯化剤との終濃度は、それぞれ独立に、好ましくは1mM以上1000mM以下、より好ましくは5mM以上700mM以下、さらに好ましくは10mM以上200mM以下である。
錯化剤の添加量は、金属塩の添加量の1倍モル以上100倍モル以下であることが好ましく、1倍モル以上50倍モル以下であることがより好ましく、1倍モル以上10倍モル以下であることがさらに好ましく、3倍モル以上5倍モル以下であることが特に好ましい。錯化剤の添加量が上限値以下であると、金属錯イオンの担持量が低下せず好ましい。錯化剤の添加量が下限値以上であると、金属塩の水への溶解性が高くなり好ましい。
非架橋ポリマーへの金属錯イオンの担持を促進するという観点から、必要に応じて水溶液を加熱してもよい。例えば、水溶液の液温が好ましくは50℃以上90℃以下、より好ましくは60℃以上80℃以下となるように加熱する。加熱した場合、金属錯イオンの担持は、通常は10分以内に完了する。
金属錯イオン担持ポリマーにおける金属錯イオンの含有率(担持率)は、好ましくは10質量%以上70質量%以下、より好ましくは15質量%以上65質量%以下である。含有率が10質量%以上であれば、後の工程において充分な量の金属ナノ粒子を形成できる。含有率が70質量%以下であれば、溶液中での金属錯イオン担持ポリマーの凝集が抑制され、透明性に優れる組成物又は膜が得られる。
金属錯イオンの含有率は、以下の計算式を用いて算出される。
Figure 2023014809000003
上記式中、「金属錯イオン担持ポリマーの質量」は、得られた金属錯イオン担持ポリマーから溶媒を除去したときの固形分質量を表す。一方、「非架橋ポリマーの質量」は、金属錯イオン担持工程で反応系に投入した非架橋ポリマーの質量を表す。
工程(2)で得られた金属錯イオン担持ポリマーの水溶液を、精製工程に供してもよい。精製工程により、未反応物及び不純物を除去できる。精製方法としては、例えば、透析法、及びゲルろ過クロマトグラフィー法が挙げられる。
<工程(3)(金属ナノ粒子形成工程)>
工程(3)は、金属錯イオン担持ポリマー中の金属錯イオンを還元して、非架橋ポリマーに担持された金属ナノ粒子を形成する工程である。本工程により、非架橋ポリマー骨格に金属ナノ粒子が担持された金属ナノ粒子担持ポリマーが得られる。工程(3)では、金属錯イオンを、非架橋ポリマーに担持されたままの状態で還元することにより、粒径の小さい金属ナノ粒子を形成できる。図3に、非架橋ポリマー11に担持された金属錯イオン21が、金属ナノ粒子13に還元される工程の模式図を示す。
金属錯イオンは、還元剤を用いても還元してもよく、還元剤を用いずに、超音波、光照射、γ線照射などの物理的作用で還元してもよく、還元剤及び物理的作用を併用して還元してもよい。
還元剤としては、還元性を有する公知の化合物を用いることができる。還元剤としては、例えば、グルコース、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、クエン酸、アスコルビン酸、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、エタノール、ポリオール、ホルムアルデヒド、タンニン酸及びジボランが挙げられる。
還元剤の添加量は、工程(2)で添加された金属塩1モルに対して、好ましくは0.1モル以上5モル以下、より好ましくは0.5モル以上3モル以下、さらに好ましくは0.8モル以上1.5モル以下である。還元剤は、工程(2)で添加された金属塩に対して等モル量添加することが特に好ましい。還元剤の添加量が上記範囲にあれば、金属イオンを還元して金属ナノ粒子を形成できるとともに、その粒径の増大を抑制できる。
工程(3)における反応温度及び反応時間は、使用される還元剤や、上述した物理的作用に合わせて設定することが好ましい。一実施形態において、工程(3)における反応温度は、例えば5℃以上90℃以下、好ましくは10℃以上85℃以下である。温和な条件で還元を行うと、金属ナノ粒子の粒径の増大を抑制できる。例えば、還元剤の還元力に応じて、還元時の反応温度及び反応時間などを適切に調整することにより、形成される金属ナノ粒子の粒径を制御できる。
工程(2)と工程(3)とを連続して行ってもよい。例えば、上記非架橋ポリマーの水溶液に、金属塩、錯化剤及び還元剤を添加して、非架橋ポリマーに金属錯イオンを担持させ、さらに該金属錯イオンを還元することにより、非架橋ポリマーに担持された金属ナノ粒子を形成してもよい。
工程(3)で得られた金属ナノ粒子担持ポリマーの水溶液を、精製工程に供してもよい。精製工程により、未反応物及び不純物を除去できる。精製方法としては、例えば、透析法、及びゲルろ過クロマトグラフィー法が挙げられる。
<工程(4)(保護剤導入工程)>
工程(4)は、非架橋ポリマーに担持された金属ナノ粒子上に保護剤を導入する工程である。一実施形態において、アルキルアミンのように疎水性の高い保護剤を、工程(3)で得られた金属ナノ粒子担持ポリマーの水溶液に添加する。これにより、金属ナノ粒子が疎水化され、水中に溶解している金属ナノ粒子担持ポリマーが析出する。例えば、図4(I)及び(II)のように、銀ナノ粒子の表面にn-オクチルアミンが結合する。
保護剤の詳細は、上述したとおりである。
例えば、炭素数6以上の疎水性基を有するアミン化合物のように、水とあまり混和しない保護剤を用いる場合は、金属ナノ粒子担持ポリマーの水溶液にアルコールを添加することが好ましい。このとき、水とアルコールとの混合比は、使用する保護剤が溶媒と自由に混和できるように調整する。アルコールとしては、例えば、メタノール及びエタノールが挙げられる。例えば、n-オクチルアミンは、水とメタノールとの等体積量の混合溶媒に良好に混和する。金属ナノ粒子担持ポリマーの終濃度は、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。金属ナノ粒子担持ポリマーの濃度が上限値以下であると、保護剤の結合効率が良好である。金属ナノ粒子担持ポリマーの濃度が下限値以上であると、製造効率が向上する。
炭素数6以上の疎水性基を有するアミン化合物としては、例えば、n-ヘキシルアミン、n-ヘプチルアミン、n-オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン及びベンジルアミンが挙げられる。これらの中でも、n-オクチルアミン及び2-エチルヘキシルアミンが好ましい。
次に、保護剤を上記ポリマーの上記水溶液(又は水/アルコール溶液)に添加する。保護剤の終濃度は、0.05M以上1M以下が好ましい。反応温度は20℃以上50℃以下が好ましく、反応時間は1分以上30分以下が好ましい。これにより、保護剤が金属ナノ粒子に結合する。
金属ナノ粒子に保護剤が結合すると、金属ナノ粒子担持ポリマーが析出し、エマルション(水分散体)が形成される。すなわち、金属ナノ粒子に保護剤が結合すると、金属ナノ粒子担持ポリマーの一部又は全部が溶媒(例えば、水、及び水とアルコールとの混合溶媒)に溶解できなくなり、微小液滴となって溶媒中に分散する。
一実施形態において、金属ナノ粒子担持ポリマーにおける金属ナノ粒子上に第1の保護剤を導入し、後述するポリマー回収工程等により該ポリマーを回収した後、該ポリマーの金属ナノ粒子に結合した第1の保護剤の少なくとも一部を第2の保護剤に置換してもよい。第2の保護剤は、第1の保護剤とは異なる。例えば、図4(II)及び(III)のように、銀ナノ粒子の表面に結合していたn-オクチルアミンがt-ブチルアミンへ置換される。なお、この置換は必須ではない。
このような置換工程を行う場合は、一実施形態において、第1の保護剤として、炭素数6以上の疎水性基を有するアミン化合物を用いる。このアミン化合物の具体例は、上述したとおりである。このアミン化合物としては、n-オクチルアミン及び2-エチルヘキシルアミンが特に好ましい。
一実施形態において、第2の保護剤が常温で液体である場合は、金属ナノ粒子に第1の保護剤が結合した金属ナノ粒子担持ポリマーを、第2の保護剤に溶解させる。該ポリマーを、第2の保護剤と適当な有機溶媒との混合液に溶解させてもよい。第2の保護剤と有機溶媒との混合比は、例えば10:90~90:10、又は30:70~70:30(体積比)である。一実施形態において、第2の保護剤が常温で固体である場合は、第2の保護剤を適当な有機溶媒に溶かして溶液を得て、該ポリマーを、該溶液に溶解させる。一実施形態において、該ポリマーの溶液に、第2の保護剤を添加する。第2の保護剤の具体例は、上述した保護剤の具体例と同様であり、有機溶媒の具体例は、上述したとおりである。
この際、第2の保護剤の終濃度は、1M以上10M以下が好ましい。反応温度は20℃以上50℃以下が好ましく、反応時間は1分以上30分以下が好ましい。この条件下では、保護剤の置換は速やかに行われる。工程(4)で得られた金属錯イオン担持ポリマーの溶液から、従来公知の方法により、金属錯イオン担持ポリマーを回収できる。
<工程(5)(ポリマー回収工程)>
工程(5)は、金属ナノ粒子担持ポリマーを回収する工程である。上記エマルション中の金属ナノ粒子担持ポリマーは、例えば、公知の方法で回収される。例えば、エマルションを静置することにより、上層の溶媒層と、下層の金属ナノ粒子担持ポリマー層との2層に分離できる。分離効率を高めるために、遠心分離又は電場分離を利用してもよい。例えば、上層の溶媒を除去した後に、下層の金属ナノ粒子担持ポリマーを適当な有機溶媒に溶解させて回収することが好ましい。必要に応じて超音波処理を行ってもよい。有機溶媒の具体例は、上述したとおりである。
ポリマーの回収は、一実施形態において、以下のような手順で実施される。上記エマルションを遠沈管に移し、遠心機を用いて遠心分離を行う。遠心加速度は1,000×g以上10,000×g以下が好ましく、遠心時間は1分以上30分以下が好ましい。次いで、上澄み液を除去し、遠沈管の底に残った金属ナノ粒子担持ポリマーをアルコール等の有機溶媒に溶解させる。必要に応じて、溶解処理時に超音波処理を行う。
[組成物]
本開示の組成物は、本開示の金属ナノ粒子担持ポリマーを1種又は2種以上含有する。本開示の組成物は、一実施形態において、抗菌・抗ウイルス性を有し、抗菌用及び抗ウイルス用の少なくともいずれか一方の用途に用いられることが好ましい。
本開示の組成物中の本開示のポリマーの含有割合は、組成物の用途に応じて任意に選択でき、一実施形態において0.01質量%以上70質量%以下、好ましくは0.1質量%以上50質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
本開示の組成物は、一実施形態において、有機溶媒を含有する。例えば、本開示のポリマーは、有機溶媒中に溶解している。有機溶媒としては、例えば、上述した具体例が挙げられる。
本開示の組成物中の有機溶媒の含有割合は、組成物の用途に応じて任意に選択でき、一実施形態において30質量%以上99.9質量%以下、好ましくは50質量%以上99.5質量%以下、より好ましくは60質量%以上99質量%以下である。
例えば、本開示の金属ナノ粒子担持ポリマーを、有機溶媒に溶解させることにより、本開示の組成物が得られる。本開示のポリマーを溶媒中に溶解させる方法としては、例えば、マグネチックスターラー、攪拌羽根付きモーター、ホモジナイザー又は超音波洗浄器を用いる方法が挙げられる。本開示の組成物は、一実施形態において、液状、ジェル状及びスプレー状などの形態で提供される。
本開示の組成物は、一実施形態において、本開示のポリマー以外の樹脂を1種又は2種以上含有する。例えば、本開示のポリマーは、上記樹脂と良好に混合できる。本開示のポリマーは、樹脂中での分散性に優れていることから、一実施形態において樹脂が透明性に優れる場合は、樹脂の透明性を維持できる。
樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及び環状ポリオレフィン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル;アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアリールフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、アセタール樹脂、セルロース樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂並びにシリコーン樹脂が挙げられる。
本開示のポリマーは、上記樹脂100質量部に対して、一実施形態において0.1質量部以上50質量部以下、好ましくは0.5質量部以上40質量部以下、より好ましくは1質量部以上30質量部以下の量で用いることができる。
本開示のポリマーと上記樹脂とは、例えば、ヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、タンブラー、ロール及びニーダ等の公知の混合装置を用いて混合することができる。
本開示の組成物は、一実施形態において、活性エネルギー線硬化性樹脂成分を1種又は2種以上含有する。例えば、本開示のポリマーは、上記活性エネルギー線硬化性樹脂成分と良好に混合できる。本開示のポリマーは、活性エネルギー線硬化性樹脂成分中での分散性に優れていることから、一実施形態において、活性エネルギー線硬化性樹脂成分の硬化物の透明性を維持できる。
活性エネルギー線硬化性樹脂成分は、活性エネルギー線の照射を受けて硬化する樹脂成分である。該樹脂成分は、モノマー、オリゴマー及びポリマーのいずれであってもよい。活性エネルギー線としては、例えば、紫外線(UV)、X線及びγ線等の電磁波;電子線(EB)、α線及びイオン線等の荷電粒子線が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂成分としては、光硬化性樹脂成分が好ましく、(メタ)アクリル系光硬化性樹脂成分がより好ましい。(メタ)アクリル系光硬化性樹脂成分としては、例えば、多官能性(メタ)アクリレート[例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの2個以上8個以下程度の重合性基を有する(メタ)アクリレートなど]、エポキシ(メタ)アクリレート[2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能性エポキシ(メタ)アクリレート]、ポリエステル(メタ)アクリレート[2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能性ポリエステル(メタ)アクリレート]、ウレタン(メタ)アクリレート[2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能性ウレタン(メタ)アクリレート]、シリコーン(メタ)アクリレート[2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能性シリコーン(メタ)アクリレート]、重合性基を有する(メタ)アクリル系重合体が挙げられる。
重合性基を有する(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル系重合体のカルボキシ基の一部に重合性不飽和基を導入したポリマー、例えば、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体のカルボキシ基の一部に、エポキシ基含有(メタ)アクリレートのエポキシ基を反応させて、側鎖に重合性基(光重合性不飽和基)を導入した(メタ)アクリル系重合体であってもよい。
本開示のポリマーは、上記活性エネルギー線硬化性樹脂成分100質量部に対して、一実施形態において0.1質量部以上50質量部以下、好ましくは0.5質量部以上40質量部以下、より好ましくは1質量部以上30質量部以下の量で用いることができる。
組成物が光硬化性樹脂成分を含有する場合は、組成物は、光照射によって硬化反応を開始しうる光重合開始剤を1種又は2種以上含有することが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、アルキルフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾイン系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物およびアミノベンゾフェノン系化合物が挙げられる。光重合開始剤の含有量は、光硬化性樹脂成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上15質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上10質量部以下である。
本開示のポリマーは、樹脂及び活性エネルギー線硬化性樹脂成分との混合性に優れ、また分散性に優れることから、本開示の組成物から形成される膜表面に、本開示のポリマーに含まれる金属ナノ粒子が充分な密度で存在できる。これにより、一実施形態において、即効力の高い抗菌・抗ウイルス性が得られる。
本開示の組成物は、必要に応じて、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸水及び第4級アンモニウム塩などの、他の抗菌・抗ウイルス成分を1種又は2種以上含有してもよい。本開示の組成物は、必要に応じて、分散安定剤、保湿剤、増粘剤、pH調整剤及び界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有してもよい。
本開示の組成物を用いて、ペレット、シート、フィルム、板、容器及びパイプ等の種々の成形体を形成することができる。本開示の組成物を、塗料及びコーティング剤のように、基材表面に塗布してもよい。
[物品]
本開示の物品は、本開示の組成物を含む。本開示の物品は、一実施形態において、該組成物から形成された構成部分が抗菌・抗ウイルス性を有する。したがって、本開示の物品は、抗菌用及び抗ウイルス用の少なくともいずれか一方の用途に用いられることが好ましい。
本開示の物品は、本開示の組成物を含んでいれば特に限定されない。上記物品は、本開示の組成物から形成されるか、或いは、本開示の組成物から形成された構成部分(例えば、表層、部材又は部品)を備える。一実施形態において、本開示の物品は、本開示の組成物から形成された層を備え、該層は、本開示の物品における表層の少なくとも一部を構成している。本開示の物品は、一実施形態において、抗菌・抗ウイルス性に優れることから、例えば、人が手に触れる物品として幅広く使用することができる。
本開示の組成物から形成された層の厚さは、一実施形態において0.05μm以上200μm以下、好ましくは0.1μm以上10μm以下、より好ましくは0.15μm以上5μm以下である。
本開示において、物品の抗菌性は、ISO 22196(JIS Z2801)に準拠して評価し、物品の抗ウイルス性は、ISO 21702に準拠して評価する。
本開示において、「抗菌性」とは、細菌及び真菌のいずれか一方又は双方を死滅又は損傷させる性質、或いは細菌及び真菌のいずれか一方又は双方の生育及び増殖を持続的に抑制する性質をいう。細菌としては、例えば、ブドウ球菌、大腸菌、サルモネラ菌、緑膿菌、コレラ菌、赤痢菌、炭疽菌、結核菌、ボツリヌス菌、破傷風菌及びレンサ球菌が挙げられる。真菌(又はカビ)としては、例えば、白癬菌、カンジダ及びアスペルギルスが挙げられる。
本開示において、「抗ウイルス性」とは、ウイルスのカプシド又はエンベロープを構成するタンパク質を変性させ、又は該タンパク質に損傷を与えることにより、ウイルスを不活性化させる性質をいう。ウイルスとしては、例えば、ノロウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス及びHIVが挙げられる。
上記物品としては、例えば、タッチパネル、フェイスシールド、手すり、ボタン、スイッチ及び窓などを保護するためのフィルム製品;靴下、肌着、タオル、カーテン及びカーペットなどの繊維製品;床材、壁紙、タイル及び塗装材などの建材;スポンジ、まな板、フィルム包材、ブラシ及び弁当箱などのキッチン用品;バスマット、トイレケース付きブラシ及びボトルなどのバス・トイレ用品;歯ブラシ、靴の中敷き、マスク及び抗菌スプレーなどの生活用品;ぬいぐるみ及び積み木などの玩具;洗濯機、掃除機及び冷蔵庫などの家電製品;ステアリング、シフトノブ、空気清浄機及び内装材などの自動車用部品が挙げられる。
本開示は、例えば以下の[1]~[12]に関する。
[1]金属ナノ粒子担持ポリマーであって、該ポリマーが、荷電性基を含む側鎖を有する非架橋有機ポリマー骨格と、金属ナノ粒子と、炭素数3以上の保護剤とを含み、金属ナノ粒子が、非架橋有機ポリマー骨格に担持されており、保護剤が、金属ナノ粒子に結合している、金属ナノ粒子担持ポリマー。
[2]保護剤が、炭素数3以上のアミン化合物である、上記[1]に記載の金属ナノ粒子担持ポリマー。
[3]アミン化合物が、炭素数3以上10以下の第一級アミンである、上記[2]に記載の金属ナノ粒子担持ポリマー。
[4]アミン化合物が、R-NH2で表されるアミン化合物(式中、Rは、炭素数3以上10以下の疎水性基であり、疎水性基は、脂肪族炭化水素基、脂環含有炭化水素基、芳香環含有炭化水素基、又はアルコキシアルキル基である)である、上記[2]又は[3]に記載の金属ナノ粒子担持ポリマー。
[5]保護剤が、t-ブチルアミン及び3-メトキシプロピルアミンから選択される少なくとも1種である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の金属ナノ粒子担持ポリマー。
[6]金属ナノ粒子が、荷電性基に結合している、上記[1]~[5]のいずれかに記載の金属ナノ粒子担持ポリマー。
[7]荷電性基が、カルボキシ基である、上記[1]~[6]のいずれかに記載の金属ナノ粒子担持ポリマー。
[8]金属ナノ粒子が、銀ナノ粒子、金ナノ粒子、白金ナノ粒子、パラジウムナノ粒子及びロジウムナノ粒子から選択される少なくとも1種である、上記[1]~[7]のいずれかに記載の金属ナノ粒子担持ポリマー。
[9]保護剤が結合した金属ナノ粒子の含有率が、10質量%以上70質量%以下である、上記[1]~[8]のいずれかに記載の金属ナノ粒子担持ポリマー。
[10]上記[1]~[9]のいずれかに記載の金属ナノ粒子担持ポリマーを含有する組成物。
[11]抗菌性及び/又は抗ウイルス性を有する、上記[10]に記載の組成物。
[12]上記[10]又は[11]に記載の組成物を含む物品。
以下、具体的な実施例を用いて本開示のポリマー等を説明する。
[実施例1]
0.6gのポリアクリル酸(重量平均分子量25,000、富士フィルム和光純薬)を30mLの水に溶解し、70℃になるまで加熱した。ここに1mLの2,2’-チオジエタノール、0.425gの硝酸銀、2.5mLの1Mグルコース水溶液、5mLの1M水酸化ナトリウム水溶液を添加した。これにより、淡い赤褐色の銀ナノ粒子担持ポリマー水溶液が得られた。
続けて、上記水溶液に、30mLのメタノールと1mLのn-オクチルアミン(第1の保護剤)とを添加した。これにより、銀ナノ粒子担持ポリマーのエマルションが得られた。エマルションを遠心分離してポリマーを沈降させ、上澄み液を廃棄した後、得られたポリマーを、濃度が5質量%となるようにメタノールとt-ブチルアミン(第2の保護剤)との1:1混合溶媒(体積比)に溶解させた。保護剤が結合した銀ナノ粒子の担持率は、52.1質量%であった。
得られた銀ナノ粒子担持ポリマー溶液を各種有機溶媒で希釈(10倍)したところ、ポリマーは、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒及び芳香族系溶媒に溶解した(表1)。
[実施例2~9及び参考例1~2]
第2の保護剤としてのt-ブチルアミンにかえて表1及び表2に記載の保護剤を用いたこと以外は実施例1と同様にして、銀ナノ粒子担持ポリマー溶液を得た。各種有機溶媒への溶解性評価の結果を表1及び表2に記載する。
表1及び表2の記号の意味は、以下のとおりである。
〇…溶解
△…僅かに白濁
×…白濁、沈降
Figure 2023014809000004
Figure 2023014809000005
10・・・金属ナノ粒子担持ポリマー
11・・・非架橋ポリマー(骨格)
12・・・荷電性基
13・・・金属ナノ粒子
14・・・保護剤
21・・・金属錯イオン

Claims (12)

  1. 金属ナノ粒子担持ポリマーであって、
    前記ポリマーが、
    荷電性基を含む側鎖を有する非架橋有機ポリマー骨格と、
    金属ナノ粒子と、
    炭素数3以上の保護剤と
    を含み、
    前記金属ナノ粒子が、前記非架橋有機ポリマー骨格に担持されており、
    前記保護剤が、前記金属ナノ粒子に結合している、
    金属ナノ粒子担持ポリマー。
  2. 前記保護剤が、炭素数3以上のアミン化合物である、請求項1に記載の金属ナノ粒子担持ポリマー。
  3. 前記アミン化合物が、炭素数3以上10以下の第一級アミンである、請求項2に記載の金属ナノ粒子担持ポリマー。
  4. 前記アミン化合物が、R-NH2で表されるアミン化合物(式中、Rは、炭素数3以上10以下の疎水性基であり、前記疎水性基は、脂肪族炭化水素基、脂環含有炭化水素基、芳香環含有炭化水素基、又はアルコキシアルキル基である)である、請求項2又は3に記載の金属ナノ粒子担持ポリマー。
  5. 前記保護剤が、t-ブチルアミン及び3-メトキシプロピルアミンから選択される少なくとも1種である、請求項1~4のいずれか一項に記載の金属ナノ粒子担持ポリマー。
  6. 前記金属ナノ粒子が、前記荷電性基に結合している、請求項1~5のいずれか一項に記載の金属ナノ粒子担持ポリマー。
  7. 前記荷電性基が、カルボキシ基である、請求項1~6のいずれか一項に記載の金属ナノ粒子担持ポリマー。
  8. 前記金属ナノ粒子が、銀ナノ粒子、金ナノ粒子、白金ナノ粒子、パラジウムナノ粒子及びロジウムナノ粒子から選択される少なくとも1種である、請求項1~7のいずれか一項に記載の金属ナノ粒子担持ポリマー。
  9. 前記保護剤が結合した前記金属ナノ粒子の含有率が、10質量%以上70質量%以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の金属ナノ粒子担持ポリマー。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の金属ナノ粒子担持ポリマーを含有する組成物。
  11. 抗菌性及び/又は抗ウイルス性を有する、請求項10に記載の組成物。
  12. 請求項10又は11に記載の組成物を含む物品。
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