JP2023014755A - 乾燥装置 - Google Patents

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Seiji Ishizu
智之 三平
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Abstract

【課題】搬送物の乾燥ムラを抑制可能な乾燥装置を提供する。【解決手段】内部に複数の搬送ローラを有した搬送路を備えた乾燥装置であって、搬送路に対向し、かつ、前記搬送路に沿って複数配置され、搬送路に対して熱風を供給する熱風供給部と、隣り合う熱風供給部間に配置され、熱風を搬送方向に沿って案内する整流板と、を備え、整流板は熱風を排気する熱風排気部を有しており、搬送路の搬送方向に直交する方向を幅方向としたとき、熱風排気部の形状は、幅方向の中央部における搬送方向の長さが幅方向の端部における搬送方向の長さよりも長い、乾燥装置である。【選択図】図3

Description

本願は乾燥装置に関する。
リチウムイオン電池や燃料電池等の電極の製造において、電極材料と溶剤とを混合したペーストを基材に塗工して乾燥させる工程が含まれる場合がある。このような乾燥を行う装置について、例えば特許文献1に開示されている。
特許文献1は、基材の上に形成された塗布膜の乾燥処理を行う乾燥装置であって、塗布膜の予熱を行う予熱部と、塗布膜を加熱して溶剤を蒸発させる乾燥部と、予熱部から乾燥部に向けて基材を搬送する搬送手段と、を備え、予熱部は、搬送手段によって基材が搬送される搬送経路の下側に設けられ、基材の下方より熱風を吹き付ける第1熱風噴出部と、搬送経路の上側に設けられ、気体が通過可能な通気部を備えた通気ボックスと、通気部に熱風を送給して通気ボックスを加熱する熱風送給手段と、を備え、乾燥部は、搬送経路の下側に設けられ、基材の下方より熱風を吹き付ける第2熱風噴出部と、搬送経路の上側に設けられ、基材の上方より熱風を吹き付ける第3熱風噴出部と、を備え、熱風送給手段から送給されて通気部を通過した熱風を第3熱風噴出部に導く導風部を備えるとともに、第3熱風噴出部は通気部から排出された熱風を基材に吹き付けることを特徴とする乾燥装置を開示している。また、特許文献1において、第3熱風噴出部は、搬送路と平行に設けられた整流板と、導出部から導かれた熱風を整流板の一部から基材に向けて噴出する噴出ヘッドとを備えており、隣り合う第3熱風噴出部の間に排気ボックスが設けられていることが開示されている。
特開2012-172960号公報
このように、特許文献1の技術は第3熱風噴出部から基材に向けて吹き付けられた熱風を整流板に沿って移動させ、排気ボックスから排気するものである。これにより、熱風を効率よく排気することができる。
しかしながら、隣り合う熱風供給部から供給される熱風は、熱風供給部間の所定の領域において干渉する場合がある。このような場合、搬送路の幅方向の端部は開放されているため、熱風は淀みなく流れるが、幅方向の中央部は熱風が淀み、周囲と比べて熱風の風速が小さくなる。熱風の風速が周囲に比べて小さくなると、その領域の乾燥効率が低下するため、搬送物に乾燥ムラが生じる虞がある。
そこで、本開示の主な目的は、搬送物の乾燥ムラを抑制可能な乾燥装置を提供することである。
本開示は、上記課題を解決するための一つの手段として、内部に複数の搬送ローラを有した搬送路を備えた乾燥装置であって、搬送路に対向し、かつ、前記搬送路に沿って複数配置され、搬送路に対して熱風を供給する熱風供給部と、隣り合う熱風供給部間に配置され、熱風を搬送方向に沿って案内する整流板と、を備え、整流板は熱風を排気する熱風排気部を有しており、搬送路の搬送方向に直交する方向を幅方向としたとき、熱風排気部の形状は、幅方向の中央部における搬送方向の長さが幅方向の端部における搬送方向の長さよりも長い、乾燥装置を提供する。
本開示の熱風排気部の形状は、幅方向の中央部における搬送方向の長さが幅方向の端部における搬送方向の長さよりも長いため、熱風の淀みが生じやすい幅方向の中央部の排気効率を向上することができる。従って、本開示によれば、熱風の干渉による淀みを抑制し、乾燥ムラを抑制することができる。
乾燥装置10の構成を概念的に表した図である。 乾燥装置10の構成を概念的に表した図である。 図1の一部を拡大した図である。 図2の一部を拡大した図である。 図1の一部を拡大した図である。 図2の一部を拡大した図である。 熱風供給部23の斜視図である。 整流板24に熱風排気部25を設けない場合の熱風の流れを示したものである。 熱風停滞領域Rを説明するためのシミュレーション結果の一例である。 整流板24に熱風排気部25を設けない場合の整流板24の模式図と搬送路における熱風の風速のシミュレーション結果である。 整流板24に矩形の熱風排気部25を設けた場合の整流板24の模式図と搬送路における熱風の風速のシミュレーション結果である。 整流板24に円弧状の熱風排気部25を設けた場合の整流板24の模式図と搬送路における熱風の風速のシミュレーション結果である。 図10、図11(C)、図12(B)のシミュレーション結果の幅方向の中央部(a)における風速、幅方向の端部(b)における風速をそれぞれグラフ化したものである。
1.乾燥装置の構成
図1、図2に本開示の1つ形態にかかる乾燥装置10の構造を模式的に表した。図1は搬送路の長手方向(搬送物Wが搬送される方向:搬送方向)に沿った方向における乾燥装置10の各構成部材の配置を表した図で、図2のI-I矢視断面図に相当する図である。図2は搬送路の幅方向(搬送方向に直交する方向)における乾燥装置10の各構成部材の配置を表した図で、図1のII-II矢視断面図に相当する図である。
本形態の乾燥装置10は、搬送ローラ22により搬送路を帯状の搬送物Wが搬送されつつ搬送物Wを乾燥させる装置である。搬送物Wの具体的な態様は特に限定されることはないが、電池の電極を挙げることができる。リチウムイオン二次電池用電極を搬送物Wの一例とすれば、後で説明する図3~図6に表れているように、帯状の金属箔W1の両面に塗工材W2を塗工したものである(ただし図3~図6ではまだ金属箔W1の一方の面に塗工材W2を積層した状態である。)。塗工材W2は、該塗工材W2を乾燥装置10で乾燥させることにより金属箔W1に結着されてできる活物質の層となる。
金属箔W1としては正極及び負極を構成する金属材料を挙げることができ、具体的には、アルミニウム、銅等を挙げることができる。
一方、塗工材W2としても正極及び負極を構成する材料を挙げることができるが、例えば、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、コバルト酸リチウム(LiCoO)等のリチウム複合酸化物などの正極活物質や、非晶質炭素、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、黒鉛等の炭素系物質などの負極活物質を挙げることができる。なお、正極及び負極には固体電解質や導電助剤、バインダ等の任意成分が含まれていてもよい。
図1、図2からわかるように乾燥装置10は、給気部11、乾燥部21、及び、排気部31を有して構成されている。以下に各構成について説明する。
1.1.給気部11
給気部11は乾燥部21に送風する部位であり、加熱部12、及び、送風部13を有している。
1.1a.加熱部12
加熱部12は取り入れた乾燥用気体を加熱して乾燥するために適する温度とする部位である。従って加熱部12は、外部からの乾燥用気体を取り入れる給気口12aを有し、乾燥用気体の温度を調整するヒータ等の加熱手段を具備している。
本形態では乾燥用気体として空気を用いる例を説明する。ただし、本開示で用いる乾燥用気体は空気に限定されることはない。例えば乾燥時に酸化が問題となるような場合には窒素やその他の不活性ガスを乾燥用気体としてもよい。
1.1b.送風部13
送風部13は加熱部12で加熱された空気を乾燥部21に送風する部位である。従って送風部13にはブロワ等の送風手段が配置されるとともに、乾燥部21に連通して送風手段からの空気が通る送風口13aが設けられている。
図1からわかるように本形態で送風部13は2つ設けられており搬送路の搬送方向の両端のそれぞれに配置され、搬送路の搬送方向で半分ずつ送風する役割を有している。
1.2.乾燥部21
乾燥部21は内部に複数の搬送ローラ22を有した搬送路を備えており、搬送物Wをその内側に導入して搬送路を搬送しつつ送風部13からの空気を搬送物Wに当てて搬送物Wを乾燥させる部位である。本形態の例では上記のように金属箔W1に積層された塗工材W2を乾燥させる。
本形態では図1からわかるように、搬送物Wが途中で向きを変えるように、鉛直方向に折り返して搬送される搬送路を構成するように配置され、本形態では折り返しが2回行われ、3段とされている。
乾燥部21は、搬送ローラ22、熱風供給部23、整流板24、熱風排気部25、及び、配管26を有している。
1.2a.搬送ローラ22
搬送ローラ22は、搬送物Wが搬送路を搬送されるように、搬送物Wに接触して回転するローラであり、乾燥部21の内側に搬送路に沿って所定の間隔で複数配置されている。搬送ローラ22及びその配置の具体的態様は特に限定されることはなく、公知の通りである。
図3には図1にIIIで示した部位の拡大図、図4には図2にIVで示した部位の拡大図、図5には図1にVで示した部位の拡大図、図6には図2にVIで示した部位の拡大図をそれぞれ表した。
本形態では上記のように3段となるように搬送路が設けられ、搬送物Wが向きを変えて折り返されるので、最も上となる1段目及び最も下となる3段目では図3、図4のように搬送ローラ22の上に金属箔W1が接触するように乗り、その上に塗工材W2が配置される。一方、2段目では図5、図6のように搬送ローラ22の下から金属箔W1が接触する
1.2b.熱風供給部23
熱風供給部23は、搬送路(搬送物W)に対向し、かつ、搬送路に沿って複数配置され、搬送物W(搬送路)に対して給気部11からの熱風を供給するノズルである。図7に熱風供給部23の外観斜視図を示した。図7は搬送路(搬送物W)に対向する側が見える視点による図である。図7では、整流板24を省略している。また、図3、図5には搬送路に沿った(搬送物Wの搬送方向に平行な方向に沿った)熱風供給部23の断面が表れている。
図7からわかるように熱風供給部23は直方体の箱状の部材であり、配管26から内側に導入した空気を吹き出す吹き出し口23aを有している。本形態で吹き出し口23aは搬送路の幅方向(搬送物Wの幅方向)に延びるスリットである。
また、本形態では図3、図5からわかるように吹き出し口23aは搬送方向上流側に傾くように搬送物Wに熱風が噴射される。これにより噴射された空気が搬送方向に対して対向流を形成して効率よい乾燥が可能となる。
また、本形態で熱風供給部23は、搬送路(搬送物W)を挟んで搬送ローラ22とは反対となる位置に配置されている。これによりノズル23からの熱風の噴射で搬送物Wを搬送ローラ22に押し当てて搬送物Wの搬送の姿勢維持、及び、搬送安定性を高めることができる。好ましくは、搬送ローラ22に対して熱風を噴射し、搬送物Wを搬送ローラ22に押し当てることである。
本形態では上記のように乾燥部21内で上下方向に3段となるように折り返して搬送物Wが搬送されるため、1段目と3段目では図3に示したように、熱風供給部23から下方に熱風を噴射して搬送物Wを搬送ローラ22に押し当てる。一方、2段目では図5に示したように、熱風供給部23から上方に熱風を噴射して搬送物Wを搬送ローラ22に押し当てる。
1.2c.整流板24
整流板24は、熱風を搬送方向に沿って案内する板状の部材である。整流板24は、隣り合う熱風供給部23間に亘り、搬送路に平行に配置されている。図3、図5に示した通り、整流板24は熱風供給部23の吹き出し口23aと同じ高さ位置に配置されている。整流板24を設けることにより、熱風供給部23から搬送物Wに供給された熱風を発散させることを抑制し、搬送方向に沿って案内することで、熱風を搬送物Wに接触させる時間を長くできるため、乾燥効率を向上させることができる。
しかしながら、図8(A)、(B)に示したように、整流板24に熱風排気部25が設けられていないと、隣り合う熱風供給部23から供給される熱風が熱風供給部23間で衝突、干渉し、熱風が停滞する領域(熱風停滞領域R)が発生し得る。熱風停滞領域Rの発生により、幅方向において熱風の風速に隔たりが生じ、乾燥ムラが生じる問題がある。また、図8(A)の場合(熱風を下方に向けて噴射する場合)、熱風停滞領域Rにおいて搬送物Wが大きく撓む問題がある。また、図8(B)の場合(熱風を上方に向けて噴射する場合)、熱風停滞領域Rにおいて搬送物Wの浮上量が小さくなる問題がある。本形態では、このような熱風停滞領域Rを抑制するために、整流板24に次のような熱風排気部25(切り欠き)を設けることとしている。
1.2d.熱風排気部25
熱風排気部25は整流板24に設けられた切り欠きであり、熱風を排気する役割を有する。図3、図5に示した通り、熱風供給部23から噴射された熱風は、搬送物Wに衝突した後、搬送路に沿って案内される。そして、整流版24に設けられた熱風排気部25から熱風が排出される。これにより、搬送物Wに衝突し、溶剤を含んだ熱風を効率よく排出することができるため、熱風停滞領域Rを抑制することができる。また、搬送物Wに対し乾燥した熱風を常に接触できるようになり、乾燥効率を向上することができる。さらに、搬送物Wの撓み及び浮上量の低下を抑制することができる。
熱風排気部25の形状は、幅方向の中央部における搬送方向の長さが幅方向の端部における搬送方向の長さよりも長いものである。言い換えると、熱風排気部25の形状は、幅方向の端部から中央部に向かって、搬送方向の長さが搬送方向の下流側に向かって長くなるものである。例えば、半円の円形状若しくは楕円形状等の円弧状又は三角形状等の多角形状が挙げられる。好ましくは、円弧状である。
上記したように、整流板24を設けることにより、熱風停滞領域Rが生じる場合がある。熱風停滞領域Rは搬送路の幅方向の中央部に発生しやすい。搬送路の幅方向の端部は開放されているため、熱風は淀みなく流れるためである。そこで、熱風排気部25の形状を幅方向の中央部が端部よりも長くなるように設定することにより、中央部に生じやすい熱風停滞領域Rを抑制し、搬送物Wの乾燥ムラを抑制するものである。
熱風排気部25の大きさは特に限定されず、熱風供給部23の吹き出し口23aの大きさや熱風供給部23から供給される熱風の風速に応じて適宜設定される。例えば、熱風排気部25の幅方向の中央部における搬送方向の長さを60mm以上210mm以下に設定してもよく、105mm以上210mm以下の範囲に設定してもよい。熱風排気部25の幅方向の長さは、搬送物Wの乾燥ムラを低減する観点から、搬送物Wの幅方向の長さの50%以上としてもよく、80%以上としてもよく、90%以上としてもよく、100%以上としてもよく、200%以下としてもよく、150%以下としてもよい。このとき、熱風排気部25の幅方向の中央部と、搬送物W(搬送路)の幅方向の中央部とが一致するように配置する。
熱風排気部25の位置は特に限定されない。熱風排気部25が整流板24のいずれの位置に設けられていても、熱風が熱風排気部25から排気されることで、熱風停滞領域Rが抑制されるためである。
熱風排気部25は、熱風排気部25の搬送方向下流側の外縁(例えば、幅方向の中央部における搬送方向下流側の端部)が熱風停滞領域Rの中心Pに接するように配置されていてもよい。あるいは、熱風排気部25の内部に熱風停滞領域Rの中心Pを含むように配置されていてもよい。熱風停滞領域Rの中心P付近は最も熱風が停滞している領域であるので、このような位置に熱風排気部25を配置することにより、熱風の排気を促進し、熱風停滞領域Rの発生を抑制することができる。
熱風排気部25は、上流側の熱風供給部23に隣接して配置されていてもよい。熱風供給部23は搬送方向の上流側に向かって熱風を供給しているため、隣接する熱風供給部23から供給される熱風が干渉して生じる熱風停滞領域Rは、上流側の熱風供給部23に近接する位置に発生しやすいからである。隣接する位置とは、例えば熱風供給部23の熱風供給部23の吹き出し口23aの下流側の端部から熱風排気部25の搬送方向の上流側の端部までの距離が50mm以下の範囲である。
ここで熱風停滞領域Rについてさらに説明する。「熱風停滞領域R」とは、上記に説明した通り、整流板24に熱風排気部25を設けない場合に発生し得る領域であり、周囲に比べて風速が低い領域である。このような領域は熱風供給部23から供給される熱風の風速に応じて適宜設定することができるが、例えば熱風の風速が5m/s以下の領域としてもよく、3m/s以下の領域としてもよく、2m/s以下の領域としてもよい。熱風停滞領域は、整流板24に熱風排気部25を設けない乾燥装置を用いて、隣接する熱風供給部間の領域の風速を実際に測定することや、シミュレーションによって計算することにより得ることができる。シミュレーションソフトは公知のものを使用できる。「熱風停滞領域Rの中心P」とは熱風停滞領域Rを円形に近似したときの中心である。
図9に、熱風停滞領域Rを説明するためのシミュレーション結果の一例を示した。
図9(A)は整流板24に熱風排気部25を設けない場合の搬送路における熱風の風速のシミュレーション結果である。後述の図10と同様のものである。図9(A)示した通り、搬送方向の上流側(左側)の熱風供給部23の近接する位置に熱風停滞領域Rが発生していることがわかる。図9(A)の点線は、熱風停滞領域Rを円形に近似した領域を示したものである。そして、当該円形領域の中心が熱風停滞領域Rの中心Pである。
図9(B)は、整流板24に円弧状の熱風排気部25を設けた場合の搬送路における熱風の風速のシミュレーション結果である。後述の図12(B)と同様のものである。図9(B)の点線は、熱風排気部25の外縁形状を投影している。熱風排気部25の搬送方向の長さXは105mmであり、幅方向の中央部における搬送方向の下流側の端部が頂点Pに接している。熱風排気部25の幅方向の長さYは210mmであり、搬送物Wの幅方向の長さ(吹き込み口23aの幅方向の長さ)と同じである。図9(B)に示した通り、熱風停滞領域Rが発生していないことがわかる。
熱風排気部25の効果について、図10~図13を用いてさらに説明する。
図10は整流板24に熱風排気部25を設けない場合の整流板24の模式図と搬送路における熱風の風速のシミュレーション結果である。このように整流板24に熱風排気部25を設けない場合、搬送方向の上流側(左側)の熱風供給部23の近接する位置であって、幅方向の中央部に熱風停滞領域Rが発生する。一方で、熱風停滞領域R以外の領域では、整流板24により熱風が整流され、整流板24を設けていないときよりも風速が増加している。このように、整流板24に熱風排気部25を設けない場合、熱風停滞領域が発生するため、搬送路の幅方向において風速の偏りが発生し、搬送物Wに乾燥ムラが生じることとなる。
図11は整流板24に矩形の熱風排気部25を設けた場合の整流板24の模式図と搬送路における熱風の風速のシミュレーション結果である。図11(A)は幅方向の長さが20mm、搬送方向の長さが100mmである熱風排気部25が設けられた整流板24の例である。図11(B)は幅方向の長さが20mm、搬送方向の長さが210mm(=吹き込み口23aの幅方向の長さ)である熱風排気部25が設けられた整流板24の例である。図11(C)は幅方向の長さが30mm、搬送方向の長さが210mm(=吹き込み口23aの幅方向の長さ)である熱風排気部25が設けられた整流板24の例である。
図11(A)より、図10の結果よりも熱風停滞領域Rが抑制されていた。このことから、整流板24に熱風排気部25を設けることにより熱風停滞領域Rを抑制できることが分かった。図11(A)、(B)より、熱風排気部25の幅方向の長さを長くしても、熱風停滞領域Rの状態にあまり変化がなかった。一方、図11(B)、(C)より、熱風停滞領域の搬送方向の長さを長くすることにより熱風停滞領域Rがさらに抑制されていた。図11(C)の通り、熱風停滞領域Rはほぼ消失していた。これは、熱風排気部25の搬送方向の長さを長くすることにより、熱風を排気可能な量が増加し、熱風停滞領域Rから熱風が排気されやすくなったためと考えられる。また、図11(C)は幅方向における風速の偏りが少なく、全体的な風速も高い状態であった。
図12は整流板24に円弧状の熱風排気部25を設けた場合の整流板24の模式図と搬送路における熱風の風速のシミュレーション結果である。図12(A)は幅方向の長さが60mm、搬送方向の長さが210mmである熱風排気部25が設けられた整流板24の例である。図12(B)は幅方向の長さが105mm(幅方向の中央部における搬送方向の下流側の端部が熱風停滞領域Rの中心Pに接する距離)、搬送方向の長さが210mm(=吹き込み口23aの幅方向の長さ)である熱風排気部25が設けられた整流板24の例である。図12(C)は幅方向の長さが210mm(熱風排気部25の内部に熱風停滞領域Rの中心Pが含まれる長さ)、搬送方向の長さが210mm(=吹き込み口23aの幅方向の長さ)である熱風排気部25が設けられた整流板24の例である。
図12(A)より、図10の結果よりも熱風停滞領域Rが抑制されていた。図12(B)より、熱風停滞領域Rが消失した。なお風速が遅い円弧状の領域が現れているが、これは熱風排気部25の外縁形状と一致しており、熱風停滞領域Rではない。また、図11(C)よりも幅方向における風速の偏りが少なく、全体的な風速も高い状態であった。図12(B)、(C)より、熱風排気部25の搬送方向の長さを長くしても、熱風停滞領域Rの状態にあまり変化がなかった。
図13(A)~(C)は図10、図11(C)、図12(B)のシミュレーション結果の幅方向の中央部(a)における風速、幅方向の端部(b)における風速をグラフ化したものである。中央部(a)及び端部(b)の間の長さは90mmである。またグラフ中の領域A、Bは、隣接する熱風供給部23間の範囲における中央部(a)、端部(b)の領域を示すものである。
図13(A)より、整流板24に熱風排気部25を設けない場合、熱風供給部23間において、幅方向において流れる熱風の風速の差が大きい。そのため、幅方向の端部に比べて中央部の乾きが遅くなり、搬送物Wに乾燥ムラが生じやすい。図13(B)より、整流板24に矩形の熱風排気部25を設けた場合、熱風供給部23間において、風速の差が図13(A)の結果に比べて小さくなっているが、若干端部側の風速が大きくなっている。この結果から、図13(B)の結果は、図13(A)に比べて乾燥ムラが抑制できているといえる。図13(C)より、整流板24に円弧状の熱風排気部25を設けた場合、熱風供給部23間において、風速の差がほとんどなくなっている。従って、図13(A)~(C)のうち、図13(C)の結果が最も乾燥ムラが小さくなっている。
以上の通り、整流板24に熱風排気部25を設けることにより、熱風停滞領域が抑制される。また、熱風排気部25の形状を円弧状にすることにより、矩形に比べて幅方向における熱風の風速の差が小さくなり、搬送物Wに乾燥ムラが生じ難くなる。
なお、本発明者は、特許文献1のように負圧をかけて熱風を排気する排気ボックスを設けたとき、搬送物Wが排気ノズルに吸い込まれ、塗工材に傷がつくことを確認している。本形態の熱風排気部25は単なる切り欠きであり、負圧をかけて熱風を排気するものではないため、搬送物Wが熱風排気部25に吸い込まれ、塗工材W2に傷がつくことはないと考えられる。少なくとも、本発明者らはそのような事象を確認していない。
1.2e.配管26
配管26は供給部11の送風部13に設けられた送風口13aと熱風供給部23とを連結して、供給部11から熱風供給部23に熱風を送る配管である。図1、図2では見易さのため配管26は点線で表している。
配管26の具体的態様は特に限定されることはなく公知の配管を用いることができる。
1.2f.乾燥部の態様
本形態は図1に表れているように、乾燥部21内で上下方向に3段となるように折り返す搬送路とされ、ここを搬送物Wが搬送される。本形態では図2に表れているように、搬送路の幅方向に第1及び第2の3段折り返しの搬送路が並べられている。第1の3段折り返し搬送路は金属箔W1の一方の面に配置された塗工材W2を乾燥する搬送路であり、第2の3段折り返し搬送路は金属箔W1の一方の面に塗工材W2が積層された搬送物の金属箔W1の他方の面に配置された塗工材W2を乾燥する搬送路である。従って、第1の3段折り返し搬送路を出た搬送物Wは第2の3段折り返し搬送路に入る前に反転及び塗工材の塗工が行われる。当該反転及び塗工は公知の装置及び方法により行われる。
これにより金属箔W1の両面に塗工材W2が積層された搬送物Wとなる。
第1の3段折り返し搬送路及び第2の3段折り返し搬送路の基本的考え方は同じであり上記の通りである。
1.3.排気部31
排気部31は乾燥部21からの排気を外部に排気する部位である。排気部31の具体的態様は特に限定されることはなく公知の態様を適用することができる。
2.乾燥用気体(熱風)の流れ
以上のような乾燥装置10は次のように作動する。給気部11の送風部13に設けられたブロアが作動して給気口12aから空気が流入する。給気口12aから流入した空気は加熱部12に加熱されて送風部13に入り送風口13aから流出し、乾燥部21の配管26に流入する。
一方、配管26により各熱風供給部23に熱風が配分されて各熱風供給部23から搬送物Wの塗工材W2に向けて熱風を噴射し、塗工材W2を乾燥する。上記したように本形態では、1段目と3段目では図3に示したように、熱風供給部23から下方に熱風を噴射して搬送物Wを搬送ローラ22に押し当てる。一方、2段目では図5に示したように、熱風供給部23から上方に熱風を噴射して搬送物Wを搬送ローラ22に押し当てる。これにより熱風供給部23からの熱風の噴射で搬送物Wを搬送ローラ22に押し当てて搬送物Wの搬送の姿勢維持、及び、搬送安定性を高めることができる。
熱風供給部23から噴射して搬送物Wを乾燥させた熱風は、図2~図6からわかるように、搬送物Wの幅方向(搬送路の幅方向)の両側及び整流板24の熱風排気部25から流れ出し、排気部31に向かって流れて排気部31に達し、排気される。
10 乾燥装置
11 給気部
12 加熱部
13 送風部
21 乾燥部
22 搬送ローラ
23 熱風供給部
24 整流板
25 熱風排気部
26 配管
31 排気部

Claims (1)

  1. 内部に複数の搬送ローラを有した搬送路を備えた乾燥装置であって、
    前記搬送路に対向し、かつ、前記搬送路に沿って複数配置され、前記搬送路に対して熱風を供給する熱風供給部と、
    隣り合う前記熱風供給部間に配置され、前記熱風を搬送方向に沿って案内する整流板と、
    を備え、
    前記整流板は熱風を排気する熱風排気部を有しており、
    前記搬送路の搬送方向に直交する方向を幅方向としたとき、前記熱風排気部の形状は、幅方向の中央部における搬送方向の長さが幅方向の端部における搬送方向の長さよりも長い、
    乾燥装置。
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