JP2023014456A - 反射防止ハードコートフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】外部光源の反射が少なく視認性が良好であると共に、撥水・撥油性が高いため汚れが付きにくく、また汚れが付いた場合でも繰り返しの拭き取りや硬い綿布等での拭き取りに対して傷が付きにくい、耐摩耗性に優れた反射防止ハードコートフィルムを提供する。【解決手段】 光透過性を有する基材フィルムにハードコート層、低屈折率層がこの順番で積層されており、前記低屈折率層がバインダー樹脂と、平均粒子径5~100nmの中空シリカ微粒子と、平均粒子径1~100nmのアルミナ微粒子と、表面調整剤と、を含み、前記バインダー樹脂がペンタエリスリトール又はトリメチロールプロパン由来のエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレートを含むことを特徴とする反射防止ハードコートフィルムである。【選択図】なし

Description

本発明は、外部光源の反射が少なく視認性が良好であると共に、防汚性及び耐摩耗性に優れる反射防止ハードコートフィルムに関する。
反射防止ハードコートフィルムは、蛍光灯などの外部光源の反射が少なく視認性が良好であるという特徴から、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどに代表される画像表示装置で広く使用されている。特に、タッチパネルなどのような画像表示面を指で触る場合は、油分や汚れなどの付着で視認性が低下するという問題があり、外部光源の反射率を低くすると共に防汚性が求められており、またタッチペンで入力するデバイスの場合は、より高い耐摩耗性や耐擦傷性が要求されるようになってきている。
反射防止ハードコートフィルムとしては、フィルム基材の表面にハードコート層を設け、その上層に低屈折率の反射防止層を配置する構成が良く知られているが、例えば拭き取り性に優れる防汚性の反射防止膜として、エチレン性不飽和基含有フッ素重合体とシロキサン骨格を有するシリコーン化合物と(メタ)アクリレート化合物を含有する組成物が提案されている(特許文献1)。しかしながら、この防止膜では、繰り返しの拭き取りや硬い綿布等での拭き取りに対しても傷が付きにくいという点では十分ではなかった。
一方、耐摩耗性に優れる反射率の低い樹脂組成物としては、シリコーングラフトアクリルポリマーとメタアクリロイル基を有する化合物と中空のコロイダルシリカを含有する組成物が提案されている(特許文献2)。しかしながら、この組成物を用いた硬化膜は、耐摩耗性には優れるものの、防汚性という点では十分とは言えなかった。そのため、外部光源の反射が少なく視認性に優れると共に、耐摩耗性及び防汚性が共に良好であるような反射防止フィルムとするには改善の余地があった。
特開2008-19402 特開2006-306950
本発明の課題は、外部光源の反射が少なく視認性が良好であると共に、撥水・撥油性が高いため汚れが付きにくく、また汚れが付いた場合でも繰り返しの拭き取りや硬い綿布等での拭き取りに対して傷が付きにくい、耐摩耗性に優れた反射防止ハードコートフィルムを提供することにある。
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、光透過性を有する基材フィルムにハードコート層、低屈折率層がこの順番で積層されており、前記低屈折率層がバインダー樹脂(A)と、一次平均粒子径5~100nmの中空シリカ微粒子(B)と、一次平均粒子径1~100nmのアルミナ微粒子(C)と、表面調整剤(D)と、を含み、前記(A)がペンタエリスリトール又はトリメチロールプロパン由来のエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート(a1)を含むことを特徴とする反射防止ハードコートフィルムを提供する。
請求項2の発明は、前記(A)における(a1)の配合比率が50重量%以上であることを特徴とし、請求項3の発明は、前記(C)の配合量が低屈折率層の固形物全量に対し2.0~15.0重量%であることする反射防止ハードコートフィルムを提供する。
請求項4の発明は、前記(D)が反応性官能基を有するフッ素系シリコーン化合物であることを特徴とする請求項1~3いずれか記載の反射防止ハードコートフィルムを提供する。
請求項5の発明は、前記ハードコート層が導電性を有することを特徴とする請求項1~4いずれか記載の反射防止ハードコートフィルムを提供する。
本発明のハードコートフィルムは、外部光源の反射が少なく視認性が良好であると共に、撥水・撥油性が高いため汚れが付きにくく、また汚れが付いた場合でも繰り返しの拭き取りや硬い綿布等での拭き取りに対して傷が付きにくい耐摩耗性に優れているため、画像表示装置用の反射防止フィルムとして有用である。
本発明の反射防止ハードコートフィルムは、ハードコート(以下HC)層を形成するためのHC樹脂組成物と、低屈折率層を形成するための低屈折率樹脂組成物の2種類を用いて製造される。低屈折率樹脂組成物はバインダー樹脂(A)と、中空シリカ微粒子(B)と、アルミナ微粒子(C)と、表面調整剤(D)を含む組成物である。なお、本明細書において(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートとの双方を包含する。
本発明で使用するバインダー樹脂(A)は、前記(B)と(C)を分散させ低屈折率層を形成する主要樹脂であり、ペンタエリスリトール又はトリメチロールプロパン由来のエチレンオキサイド(以下EOという)変性(メタ)アクリレート(a1)を少なくとも含む。(a1)はEO鎖を含むことで、酸素阻害により重合活性を失ったパーオキシラジカルから活性を持つラジカルを再生成するため、薄膜の場合でも硬化性を向上させることができるという特徴を有する。
前記(a1)としては、例えばEO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では、反応性が高い点から4官能以上が好ましく、下記式(1)で示されるEO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレートが特に好ましい。EO変性の重合数(n)としては3~10が好ましく、4~8が更に好ましく、4~5が特に好ましい。
Figure 2023014456000001
・・・・(1)
(式(1)のn=a+b+c+d≒5)
前記(A)としては、(a1)以外のバインダーを使用しても良い。(a1)以外で使用されるバインダー(A)としては、オリゴマーでは例えばEO変性ではないウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、アクリル系(メタ)アクリレート、ジエン系(メタ)アクリレート等が挙げられ、低分子量バインダーとしては脂肪族、脂環族、ポリエーテル骨格、水酸基及びアミノ基等の官能基を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
前記(A)における(a1)の比率としては、50重量%以上が好ましく、60重量%以上が更に好ましく、90重量%以上が特に好ましい。50重量%以上とすることで、薄膜においても酸素による重合阻害を低減できる効果が期待できる。
前記(A)の配合量は、樹脂組成物の固形分全量に対し10~40重量%が好ましく、12~35重量%が更に好ましく、15~30重量%が特に好ましい。10重量%以上とすることで十分な皮膜硬化性が確保でき、40重量%以下とすることで屈折率を十分低下させ、反射率を低くすることができる。
本発明で使用する中空シリカ微粒子(B)は、低屈折率層の屈折率を低下させる目的で配合する。(B)は低屈折率層の塗膜強度を保持しつつ、その屈折率を下げる機能を有し、内部に屈折率1の空気を含む空洞を有するシリカ粒子である。中実シリカ粒子の屈折率が1.45程度に対し、(B)の屈折率は内部の空洞の占有率が高くなるにつれて低下し、1.15~1.40程度である。
前記(B)の一次平均粒子径は5~100nmであり、20~80nmが好ましく、40~70nmが更に好ましい。この範囲とすることで、低屈折率層の透明性を損なうことなく、良好な分散性を得られる。特に40~70nmであれば、強度不足とならない外殻の厚みを確保しつつ、空洞の占有率を上げて屈折率を下げることができる。なお平均粒子径は、JISZ8825-1に準拠したレーザー回折・散乱法により測定したメジアン径(d=50)とする。
前記(B)の配合量は、樹脂組成物の固形分全量に対し40~70重量%が好ましく、45~65重量%が更に好ましい。40重量%以上とすることで屈折率を十分低くすことができ、70重量%以下とすることで十分な耐摩耗性を確保することができる。市販品としてはスルーリア4320(商品名:日揮触媒化成社製、固形分20.5%、一次平均粒子径60nm)が挙げられる。
本発明で使用するアルミナ微粒子(C)は、低屈折率層の硬度を上げて耐摩耗性を向上させる目的で配合する。(C)の一次平均粒子径は1~100nmであり、5~50nmが好ましく、10~30nmが更に好ましい。1nm以上とすることで耐摩耗性の向上が期待でき、100nm以下とすることでヘイズを高くすることなく十分な全光線透過率を確保することができる。
前記(C)の配合量は、樹脂組成物の固形分全量に対し2.0~15.0重量%が好ましく、3.0~12.0重量%が更に好ましく、4.0~10.0重量%が特に好ましい。3.0重量%以上とすることで十分な耐摩耗性を確保することができ、15.0重量%以下とすることで十分に反射率を低く保つことができる。市販品としてはALMIBK-M47(商品名:CIKナノテック社製、固形分15%、平均粒子径20nm)が挙げられる。
本発明で使用する表面調整剤(D)は、低屈折率層のスリップ性を向上させて耐摩耗性を向上させると共に、撥水撥由性を上げて防汚性を向上させる目的で配合する。例えばシリコーン系、フッ素系、アクリル系等が挙げられるが、硬化後の皮膜からブリード等により経時的に欠落することが無く効果を長期的に持続できる点で、バインダー樹脂と重合して硬化塗膜を形成できる反応性官能基を有することが好ましい。特にフッ素系シリコーン化合物が、低い表面自由エネルギーにより、塗工~乾燥後に塗膜表面に偏析しやすく、耐摩耗性及び防汚性を長期にわたり安定化させることができる点で好ましい。
前記(D)の配合量は、樹脂組成物の固形分全量に対し1~25重量%が好ましく、3~15重量%が更に好ましく、5~12重量%が特に好ましい。1重量%以上とすることで耐摩耗性と防汚性を向上させることが期待でき、25重量%以下とすることで十分な硬化性を確保することができる。市販品としてはX-71-1203M(商品名:信越化学工業社製、固形分20%、反応性官能基を有するフッ素系シリコーン化合物)が挙げられる。
本発明の低屈折率層の下層に位置するHC層を形成するためのHC樹脂組成物としては、バインダーとして多官能ウレタン(メタ)アクリレート(以下多官能ウレアク)を含むことが好ましい。
前記HC樹脂組成物に含むことが好ましい多官能ウレアクは、ウレタン結合に由来する水素結合の凝集力により優れた耐擦傷性を有する。例えばポリイソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応で得ることができる。使用するポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDI)、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、HDIイソシアヌレート体、IPDIイソシアヌレート体などがあり、これらを単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。これらの中では耐候性が高く黄変しにくい脂肪族及び脂環族のジイソシアネートが好ましく、特にそれらの中では延伸性が高いHDIが好ましい。
前記多官能ウレアクにおいて使用する水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば2官能ではトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートなどが、3官能以上ではジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートがある。これらの中では3官能で、硬化性の高いペンタエリスリトールトリアクリレート(以下PETA)が好ましい。
また前記HC層は導電性とすることで、反射防止フィルムに帯電防止特性を付与することができる。HC層を導電性とするには、例えばπ共役系高分子のような導電性高分子、4級アンモニウム塩含有化合物のような帯電防止剤、酸化錫インジウムやアンチモンドープ酸化錫のような導電性金属酸化物をHC樹脂に添加することで可能である。これらの中では透明性や分散性に優れる点でπ共役系導電性高分子を用いることが好ましい。
前記π共役系導電性高分子は、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば公知のものを使用することができる。例えば、ポリチオフェン系、ポリピロール系、ポリアニリン系、ポリフェニレン系、ポリアセチレン系、ポリフェニレンビニレン系、ポリアセン系、ポリチオフェンビニレン系類、及びこれらの共重合体が挙げられる。これらの中では、安定性や入手性が容易である点でポリチオフェン系化合物が好ましい。
前記ポリチオフェン化合物は、含硫黄複素環化合物であるチオフェンの重合体で、ドーピングにより共役n軌道に対して電子を付与または除去すると、導電性を持つようになる化合物である。特にポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)(以下PEDOT)は、ポリ(4‐スチレンスルホン酸塩)(以下PSS)との組合せにより導電性が向上すると共に、環境安定性が高く、また薄膜での光透過性が高い点で好ましい。
前記HC樹脂に含まれるポリチオフェン化合物の含有量としては、全固形分に対し0.3~5.0重量%が好ましく、0.5~3.0重量%が更に好ましく、0.8~2.0重量%が特に好ましい。0.3重量%以上とすることで、十分な導電性付与が可能となり、5.0重量%以下とすることでHC層の外観を良好に維持できる。
本発明のHC樹脂組成物及び低屈折率樹脂組成物には、紫外線照射による硬化性向上のため光重合開始剤を配合することが好ましい。光重合開始剤は、紫外線や電子線などの照射でラジカルを生じ、そのラジカルが重合反応のきっかけとなるもので、ベンジルケタール系、アセトフェノン系、フォスフィンオキサイド系等汎用の光重合開始剤が使用できる。重合開始剤の光吸収波長を任意に選択することによって、紫外線領域から可視光領域にいたる広い波長範囲にわたって硬化性を付与することができる。具体的にはベンジルケタール系として2.2-ジメトキシ-1.2-ジフェニルエタン-1-オンが、α-ヒドロキシアセトフェノン系として1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン及び1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オンが、α-アミノアセトフェノン系として2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オンが、アシルフォスフィンオキサイド系として2.4.6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド及びビス(2.4.6‐トリメチルベンゾイル)‐フェニルフォスフィンオキサイド等があり、単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
HC樹脂組成物の場合、光重合開始剤は黄変しにくいα-ヒドロキシアセトフェノン系を含むことが好ましく、市販品としてはOmnirad127、Omnirad184、Omnirad2959(商品名:IGM Resins社製)などが挙げられる。これらの中では、特に黄変が少なく耐擦傷性に優れるOmnirad2959が好ましい。光重合開始剤のHC樹脂組成物におけるラジカル重合性分100重量部に対する配合は1~15重量部が好ましく、2~10重量部が更に好ましい。
低屈折率樹脂組成物の場合、光重合開始剤はHC樹脂組成物の場合と同様にα-ヒドロキシアセトフェノン系を含むことが好ましく、特に酸素による重合阻害を受けにくい点でOmnirad127(2‐ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン)が好ましい。光重合開始剤の低屈折率樹脂組成物におけるラジカル重合性分100重量部に対する配合は1~10重量部が好ましく、2~8重量部が更に好ましい。
本発明の組成物には、性能を損なわない範囲で必要に応じて反応性希釈剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、密着促進剤、ブルーイング剤、消泡剤、増粘剤、沈澱防止剤、帯電防止剤、防曇剤、抗菌剤、有機微粒子等を添加してもよい。
HC樹脂組成物及び低屈折率樹脂組成物を塗工する際には、塗工特性を向上させるため溶剤にて希釈してもよい。希釈溶剤としては、例えばエタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール(以下IPA)、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン(以下MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、PGM,ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテ等のエーテル系溶媒等があげられ、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用できる。希釈する場合の固形分としては1~70%が例示されるが、特に指定は無く、塗工しやすい粘度となるように適宜設定可能である。
HC樹脂組成物が塗布される基材フィルムとしては、ポリエステルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルフォンフィルム、ナイロンフィルム、シクロオレフィンフィルム、アクリルフィルム、ポリイミドフィルム、ABSフィルム、ポリオレフィンフィルム、PVCフィルム、PVAフィルム等を挙げることができる。なかでも耐候性、加工性、寸法安定性などの点から二軸延伸処理されたポリエステルフィルムが好ましく用いられる。フィルムの厚みは概ね25μm~500μmであればよい。
前記基材フィルムは、HC樹脂組成物との密着性を向上させる目的で、プライマー処理やサンドブラスト法、溶剤処理法などによる表面の凹凸化処理、あるいはコロナ放電処理、クロム酸処理、オゾン・紫外線照射処理などの表面の酸化処理などの表面処理を施すことができる。
HC樹脂組成物及び低屈折率樹脂組成物を塗布する方法は、特に制限はなく、公知のスプレーコート、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート、ワイヤーバーなどの塗工法またはグラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成できる。
HC樹脂組成物の膜厚は乾燥時で1μm~10μmが例示できるが、これに限定されるものではない。ハードコート樹脂層上に塗布する低屈折率樹脂組成物の膜厚は乾燥時で50~200nmであることが好ましく、80~150nmであることが更に好ましい。低屈折率層の厚さがこの範囲であれば、反射率を十分低くすることが可能となる。
HC樹脂組成物及び低屈折率樹脂組成物を硬化させる際に用いる紫外線照射の光源としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LEDランプ、無電極紫外線ランプなどがあり、また照射する雰囲気は空気中でもよいし、窒素、アルゴンなどの不活性ガス中でもよい。また紫外線照射時にバックロールの加温や、IRヒーターなどにより塗膜を加熱することで、より硬化性を上げることができる。照射条件としては照射強度500mW/cm~3000mW/cm、露光量50~400mJ/cmが例示されるが、これに限定されるものではない。紫外線照射はフィルム成型後に行うが、成形前に低露光量(例えば15~30mJ/cm)によるセミキュアをしても良い。
HC樹脂層を導電化した場合の反射防止フィルムの表面抵抗率としては1×1012Ω/□以下が好ましく、1×1010Ω/□以下が更に好ましい。1×1012Ω/□以下とすることで、十分な帯電防止性能を確保することができる。
以下、本発明について実施例、比較例を挙げて詳細に説明するが、具体例を示すものであって、特にこれらに限定するものではない。なお表記が無い場合は、室温25℃、相対湿度65%の条件下で測定を行った。また配合量は重量部を示す。
HC樹脂組成物
バインダーとしてHDIとPETAを反応させた6官能のウレアクAを、光重合開始剤としてOmnirad2959(商品名:IGM Resins社製)を、表1記載の配合で用い、固形分が40%になるよう酢酸エチルとPGMを用いて希釈し、均一に溶解・分散するまで撹拌してHC樹脂組成物を得た。また導電性HC剤として、同じ構成のウレタンアクリレートに、PEDOT/PSSを全固形分の1%配合したZ-885-10ASL-2(商品名:アイカ工業社製、固形分30%)を用いた。
低屈折率樹脂組成物配合
前記(A)としてMiramerM4004(商品名:Miwon社製、4官能のEO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、n≒5)及びMiramer M3130(商品名:Miwon社製、3官能のEO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、n≒3)を、(B)としてスルーリア4320(商品名:日揮触媒化成社製、固形分20.5%、一次平均粒子径60nm、屈折率1.3)を、(C)としてM47(商品名:CIKナノテック社製、固形分15%、平均粒子径20nm、MIBK希釈)を、(D)としてX-71-1203M(商品名:信越化学工業社製、固形分20%、反応性官能基含有フッ素系シリコーン化合物)を、光重合開始剤としてOmnirad127(商品名:IGM Resins社製)を、バインダーとしてM460(商品名:社製、EO変性ジグリセリンテトラアクリレート)及びDPHA(商品名:日本化薬社製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)を表1記載の配合で用い、固形分が3%になるようIPAとPGMを用いて希釈(IPA:PGM=1:1)し、均一に溶解・分散するまで撹拌して低屈折率樹脂組成物を得た。
表1
Figure 2023014456000002
評価方法は以下の通りとした。
HC層の調製
HC樹脂組成物を用い、PETフィルムU403(商品名:東レ社製、厚み100μm、易接着層有)に乾燥膜厚で3μmとなるように塗布し、80℃で1分乾燥した。その後、アイグラフィックス社製の紫外線露光装置ECS-151Uを用い、100mW/cm,800mJ/cmの条件で硬化してHCフィルムを作成した。
反射防止フィルムの作成
上記で作成したハードコート層上に、低屈折率樹脂組成物を乾燥膜厚で100nmとなるように塗布し、80℃で1分乾燥した。その後、アイグラフィックス社製の紫外線露光装置ECS-151Uを用い、100mW/cm,800mJ/cm, 窒素雰囲気下の条件で硬化させ反射防止フィルムを形成した。
塗膜ヘイズ:上記反射防止フィルムを、東洋精機製作所社製のHaze-GARD2を用いJIS K7361-1に準拠して測定し、1.0%以下を〇、1.0%超を×とした。
最小反射率:上記反射防止フィルムを用い、塗工面とは反対面を紙やすりで擦り傷を付け、黒色顔料マーカーで塗りつぶし、更に黒色PETを貼り合せ反対面側の反射率を0%とする。その後HC面側を分光光度計にて300nm~780nmの範囲で1nm毎に反射率をプロットして最低の反射率を測定し、1.5%以下を〇、1.5%超を×とした。
耐摩耗性:スチールウール#0000の上に200g/cm2の荷重を載せて10往復させ、目視による観察で傷が付かない場合を○、わずかに傷が付く場合を△、多数の傷が付く場合を×とした。
水接触角:JIS R 3257:1999の静滴法に準じ、協和界面科学社製のDMs-400により、常態のサンプルを用い、室温で水を滴下し30秒静置後の接触角を測定し、115°以上を◎、105°以上115°未満を○、105°未満を×とした。
表面抵抗率:三菱ケミカルアナリック社製の高抵抗 抵抗率計ハイレスターUXMCP-HT800を用い、印加電圧100V,測定時間1分で測定した。なお表面抵抗率は実施例3及び実施例5のみで測定した。
評価結果
表2
Figure 2023014456000003
実施例は、ヘイズ、最小反射率、耐摩耗性、水接触角の全ての面で問題はなく良好であった。またHC層を導電化した実施例5は、表面抵抗率が1×1012Ω/□以下となり、十分な帯電防止性能を確保できていた。
一方、(C)が未配合の比較例1は耐摩耗性が劣り、水接触角が低く、(B)が未配合の比較例2は最小反射率が高く、水接触角も低かった。また(a1)が未配合の比較例3及び4は耐摩耗性が劣っており、いずれも本願発明に適さないものであった。

Claims (5)

  1. 光透過性を有する基材フィルムにハードコート層、低屈折率層がこの順番で積層されており、前記低屈折率層がバインダー樹脂(A)と、一次平均粒子径5~100nmの中空シリカ微粒子(B)と、一次平均粒子径1~100nmのアルミナ微粒子(C)と、表面調整剤(D)と、を含み、前記(A)がペンタエリスリトール又はトリメチロールプロパン由来のエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート(a1)を含むことを特徴とする反射防止ハードコートフィルム。
  2. 前記(A)における(a1)の配合比率が50重量%以上であることを特徴とする請求項1記載の反射防止ハードコートフィルム。
  3. 前記(C)の配合量が低屈折率層の固形物全量に対し2.0~15.0重量%であることを特徴とする請求項1又は2いずれか記載の反射防止ハードコートフィルム。
  4. 前記(D)が反応性官能基を有するフッ素系シリコーン化合物であることを特徴とする請求項1~3いずれか記載の反射防止ハードコートフィルム。
  5. 前記ハードコート層が導電性を有することを特徴とする請求項1~4いずれか記載の反射防止ハードコートフィルム。

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