JP2023012959A - 電気透析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】取得すべき成分と除去すべき成分の両方を含む水溶液から、効率よく前記取得すべき成分を分離し回収できる、電気透析方法を提供すること。【解決手段】本発明の電気透析方法では、正極と負極との間に、正極側から、正極室に続けて、第1の陽イオン交換膜、第一中間室、第2の陽イオン交換膜、濃縮室、第1の陰イオン交換膜、第二中間室、第2の陰イオン交換膜、脱塩室の順に4膜4室を一組とする複数組を配置し、続けて陽イオン交換膜、負極室を配置した電気透析槽を用い、第一中間室には前記水溶液を通過させ、濃縮室には濃縮液を循環させ、第二中間室には第一中間室を通過させた液を通過させ、脱塩室には第二中間室を通過させた液を通過させる。【選択図】図1

Description

本発明は、取得すべき成分と除去すべき成分の両方を含む水溶液から電気透析法にて前記取得すべき成分を分離取得する電気透析方法に関する。
天然ガス付随かん水からのヨウ素分離取得方法は、工業的に確立されている。令和3年段階で行われている主な方法としては、例えば、ブローイングアウト法やイオン交換樹脂法(例えば、特許文献1参照。)等が挙げられる。ヨウ素を含有する工業廃液からヨウ素を回収する方法としては、例えば、燃焼分解法、電気透析法等が実用化されている。いずれの方法でも、原料液としてヨウ素濃度が数%の濃縮液を作る。この濃縮液は、方法により、あるいは製造者により名称が異なり、例えば、吸収液、脱離液、濃縮液、粗HI水溶液等と称されるが、いずれもヨウ化物イオン濃度が1%以上の酸性水溶液である(本明細書においては、以下、吸収液と記す。)。吸収液は、晶析工程と言われる精製工程を経て金属ヨウ素(以下、単にヨウ素もしくは製品ヨウ素と記す。)として製品化される。
晶析工程では、吸収液に塩素ガスもしくは次亜塩素酸ナトリウム水溶液を添加して、ヨウ素の沈殿(以下、泥状ヨウ素と記す。)を発生させる。泥状ヨウ素は、液体サイクロン等を用いて、水溶液と分離され溶融缶に集められる。集められた泥状ヨウ素は、溶融缶中で、ヨウ素の融点である108℃以上、沸点である184℃以下の温度で加熱され、比重差から、残存する水分、ヨウ化物塩、塩酸、塩化物塩、硫酸、硫酸塩等の不純物と分離される。ヨウ素は、その後、溶融状態のまま溶融缶から取り出され、急冷し固化して製品とする。
一方、泥状ヨウ素と分離された水溶液(以下、晶析排水と記す。)中には、一般に、200mg/L以上1,500mg/L以下のヨウ素が残留している。晶析排水を気流中で噴霧することで、ヨウ素の形で存在するものは気流中に抽出回収されるが、大半は、ヨウ化物イオン(I)の形で残留する。晶析排水は、強酸性溶液であるため、ヨウ素酸イオン(IO )の形では残留しない。晶析排水中のヨウ素は、ヨウ素取得工程に戻され、回収される(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、ヨウ素取得工程が、ブローイングアウト法やイオン交換樹脂法を用いている場合、ヨウ素取得工程に戻したヨウ素の回収率は低い。図19に、ブローイングアウト法でのヨウ素回収状況を示す。横軸は、晶析排水添加後のかん水中のヨウ化物イオン濃度を示し、縦軸は、ヨウ素取得後のかん水(排かん水)中のヨウ素濃度を示す。
近似直線の傾きは、0.33であるので、晶析排水の添加で増加したヨウ素の回収率は、67%程度と推定される。しかしながら、相関係数が0.5しかなく、とても添加量に合わせて増収になっているとは言えない。ブローイングアウト法やイオン交換樹脂法では、ヨウ化物イオン等の被酸化物質量に合わせて、酸化剤の投入量を正確にコントロールしなければならない。一方、晶析排水は、ヨウ化物イオン濃度が常に変動している。そのため、ブローイングアウト法やイオン交換樹脂法のようなヨウ素取得工程に晶析排水を戻すことは、不合理なことである。
特に、ブローイングアウト法では、かん水に酸化剤を添加し遊離ヨウ素を生じさせる際に、適当量のヨウ素取得後のかん水(以下、排かん水と記す。)中に、塩素ガスや、高濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液を溶解し、塩素水を作ってから、かん水に投入する。塩素水製造時に排かん水中に残るヨウ化物イオンは、高濃度の酸化剤と接触するため、ほとんどがヨウ素酸にまで酸化される。つまり、塩素水製造時には、排かん水中に残るヨウ化物イオンの6倍当量の酸化剤が消費される。
かん水に晶析排水を添加した場合等、いずれかの理由でかん水中のヨウ化物イオン量が増加した場合、相当する分の酸化剤を増量しないと収量が上がらないだけでなく、塩素水の有効酸化剤濃度が低下し、さらに酸化剤不足になり、収量が下がり、排かん水中にヨウ化物イオンが増える。そして、塩素水中の有効酸化剤量はさらに不足する。この悪循環により、時間とともに収率が落ちていくことになる。
排かん水添加後のかん水中のヨウ化物イオン濃度を一定にし、それに合わせて酸化剤添加量をコントロールすればよいが、晶析排水中のヨウ化物イオン濃度は、変動が大きいため、添加後のかん水のヨウ化物イオン濃度を一定にすることは、困難である。
例えば、一日もしくは数時間分の晶析排水を集め、均一になるよう攪拌し、ヨウ素濃度を測定してからかん水に定量的に添加すれば、かん水中のヨウ化物イオン濃度を一定にすることができるため、酸化剤添加量の調整は可能であるが、設備規模が大きくなることと、測定及び調整にかかる労力が大きいため、この方法は困難である。
イオン交換樹脂法でも同様である。
燃焼回収法であれば、ヨウ素濃度の変化には対応できるが、晶析排水の場合、ヨウ素濃度が低く、燃料となる成分もないため、コストが高く、経済上成り立たない。
また、晶析排水を、晶析工程に直接戻すことは、体積的に合わない。また、逆浸透膜濃縮や蒸留等による単純な濃縮では、例えば、特許文献3に示されているように、晶析工程での製品中の不揮発分(不純物)の増加につながるため、困難である。
具体的に不揮発分増加につながる成分として、硫酸イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオンが挙げられる。これらの成分は、上記吸収液中に含まれる成分であるから、ヨウ化物イオンとのモル比で、上記吸収液中に含まれるモル比を超えない範囲であれば存在に問題はないと推定される。しかし、晶析排水中には、吸収液にくらべて高いモル比で存在する。そのため、晶析排水は、濃縮するだけでなく、不揮発分増加につながる成分の除去をしない限り、晶析工程に戻すことはできない。
電気透析法であれば、晶析排水中のヨウ化物イオン濃度の変動に対応することができる。
また、電気透析法であれば一価陰イオン選択透過膜、一価陽イオン選択透過膜等の特殊交換膜を使用することで、硫酸イオン、カルシウムイオン、鉄イオン等を減らすことができる。
ただし、硫酸イオンについては、一価陰イオン選択透過膜を用いただけでは不十分な除去しかできない。
電気透析法において、一般的に用いられている陰イオン交換膜と陽イオン交換膜を交互に配置した電気透析槽を用いた場合、脱塩室からのヨウ化物イオンの移動速度は、透析時間が経過するにつれて減少していく。ここで、脱塩室から濃縮室に移動するヨウ化物イオンの移動速度は、陰イオン交換膜を介して正極側に向かって電気的に移動する速度(濃縮室←脱塩室)に、濃度差を動力として陰イオン交換膜を介した拡散による移動速度(濃縮室→脱塩室)とを合わせたものである。さらに、2室電気透析法の場合濃縮室の正極側に陽イオン交換膜を介して脱塩室が位置するので、濃縮室から陽イオン交換膜をすり抜けて脱塩室に電気的に移動してくる速度(脱塩室←濃縮室)が加わる。
特に、透析運転が終盤になると、脱塩室と濃縮室との濃度差が大きくなり、それに伴って、拡散による濃縮室から脱塩室への移動や、陽イオン交換膜をすり抜けてもどってくる移動が多くなるため、全体(見かけ)の移動速度が落ちてくる。すなわち、一定量のヨウ化物イオンが確実に脱塩室液に残り、高い収率が望めない。言い換えると、収率が低下する。収率と濃縮倍率とのどちらかを犠牲にしなければならない。
このうち、ヨウ化物イオンの移動速度を低下させる負の要因である、陽イオン交換膜を介しての陰イオンの移動をより強く抑制するイオン交換膜について、日々検討が重ねられ、改善が進んでいることが、非特許文献1等で報告されている。しかしながら、十分に満足するものは得られていない。また、拡散による逆移動については、膜の特性が原因ではないので新膜の開発では解決できないと予想される。
以上のように、晶析排水からのヨウ化物イオンの分離濃縮に電気透析法を用いることは、合理的であると考えられるが、なお解決しなければならない問題が存在する。
特開昭48-018187号公報 特開平02-208201号公報 特開2009-173462号公報
日本海水学会誌第66巻第5号(2012)248-256「製塩用次世代イオン交換膜の研究開発」:吉川直人
本発明の目的は、取得すべき成分と除去すべき成分の両方を含む水溶液である原料液から、前記取得すべき成分を効率よく分離取得することができる、電気透析方法を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の電気透析方法は、取得すべき成分と除去すべき成分の両方を含む水溶液である原料液から電気透析法にて前記取得すべき成分を分離取得する電気透析方法であって、
正極と負極との間に、前記正極側から、正極室に続けて、
陽イオン交換膜である第1の陽イオン交換膜、第一中間室、陽イオン交換膜である第2の陽イオン交換膜、濃縮室、陰イオン交換膜である第1の陰イオン交換膜、第二中間室、陰イオン交換膜である第2の陰イオン交換膜、脱塩室の順に4膜4室を一組とする複数組を配置し、続けて陽イオン交換膜、負極室を配置した電気透析槽を用い、
前記第一中間室には前記原料液をワンパスもしくは循環で通過させ、前記濃縮室には濃縮液を循環で通過させ、前記第二中間室には前記第一中間室をワンパスもしくは循環で通過させた液をワンパスもしくは循環で通過させ、前記脱塩室には前記第二中間室をワンパスもしくは循環で通過させた液をワンパスもしくは循環で通過させる、方法である。
換言すると、本発明は、取得すべき成分と除去すべき成分の両方を含む水溶液を原料液とし、電気透析法によって、除去すべき成分を原料液中に残し、前記取得すべき成分を濃縮液中に分離し回収する方法である。
特に、正極と負極との間に、前記正極側から、正極室に続けて、陽イオン交換膜である第1の陽イオン交換膜、第一中間室、陽イオン交換膜である第2の陽イオン交換膜、濃縮室、陰イオン交換膜である第1の陰イオン交換膜、第二中間室、陰イオン交換膜である第2の陰イオン交換膜、脱塩室の順に4膜4室を一組とする複数組を配置し、続けて陽イオン交換膜、負極室を配置した電気透析槽を用い、前記第一中間室には前記原料液をワンパスもしくは循環で通過させ、前記濃縮室には濃縮液を循環で通過させ、前記第二中間室には前記第一中間室をワンパスもしくは循環で通過させた液をワンパスもしくは循環で通過させ、前記脱塩室には前記第二中間室をワンパスもしくは循環で通過させた液をワンパスもしくは循環で通過させることによって、原料液から、効率よく前記取得すべき成分を濃縮液中に分離し回収することができる。
本発明の態様の他の一つは、取得すべき成分と除去すべき成分の両方を含む水溶液である原料液から電気透析法にて前記取得すべき成分を分離取得する電気透析方法であって、
正極と負極との間に、前記正極側から、正極室に続けて、
陽イオン交換膜である第1の陽イオン交換膜、中間室、陽イオン交換膜である第2の陽イオン交換膜、濃縮室、陰イオン交換膜、脱塩室の順に3膜3室を一組とする複数組を配置し、続けて陽イオン交換膜、負極室を配置した電気透析槽を用い、
前記中間室には前記原料液をワンパスもしくは循環で通過させ、前記濃縮室には濃縮液を循環で通過させ、前記脱塩室には前記中間室をワンパスもしくは循環で通過させた液をワンパスもしくは循環で通過させる、方法である。
本発明の態様の他の一つは、取得すべき成分と除去すべき成分の両方を含む水溶液である原料液から電気透析法にて前記取得すべき成分を分離取得する電気透析方法であって、
正極と負極との間に、前記正極側から、正極室、陽イオン交換膜、脱塩室に続けて、
陽イオン交換膜、濃縮室、陰イオン交換膜である第1の陰イオン交換膜、中間室、陰イオン交換膜である第2の陰イオン交換膜、脱塩室の順に3膜3室を一組とする複数組を配置し、続けて陽イオン交換膜、負極室を配置した電気透析槽を用い、
前記中間室には前記原料液をワンパスもしくは循環で通過させ、前記濃縮室には濃縮液を循環で通過させ、前記脱塩室には前記中間室をワンパスもしくは循環で通過させた液をワンパスもしくは循環で通過させる、方法である。
また、本発明の電気透析方法では、前記陰イオン交換膜の一部もしくは全部が、一価陰イオン選択透過膜であり、
前記陽イオン交換膜の一部もしくは全部が、一価陽イオン選択透過膜である、ことが好ましい。
また、本発明の電気透析方法では、前記原料液はpH4.0以上に調整されたものである、ことが好ましい。
また、本発明の電気透析方法では、前記取得すべき成分がヨウ化物イオンである、ことが好ましい。
また、本発明の電気透析方法では、前記原料液中のヨウ化物イオン濃度が、1,500mg/L以下であり、塩化物イオン濃度が、3,000mg/L以上である、ことが好ましい。
また、本発明の電気透析方法では、前記原料液が、ヨウ素精製工程からの排水である、ことが好ましい。
本発明によれば、取得すべき成分と除去すべき成分の両方を含む水溶液である原料液から、効率よく前記取得すべき成分を分離し回収することができる、電気透析方法を提供することができる。特に、本発明によれば、前記ヨウ素精製工程で不揮発分増加の原因となる物質を低減したヨウ素濃縮液が得られ、前記ヨウ素精製工程に戻すことは容易である。
図1は、本発明の第1実施形態の電気透析方法において用いる電気透析槽を示す模式図である。 図2は、本発明の電気透析方法の一例の全体フローを示す図である。 図3は、原料液のpHとHSO との存在率の関係を示したグラフである。 図4は、本発明の第2実施形態の電気透析方法において用いる電気透析槽を示す模式図である。 図5は、本発明の第3実施形態の電気透析方法において用いる電気透析槽を示す模式図である。 図6は、実施例1において、濃縮室におけるイオン濃度の時間変化を示すグラフである。 図7は、実施例1において、脱塩室におけるイオンの残存率(%)の時間変化を示すグラフである。 図8は、実施例1において、第二中間室におけるイオンの残存率(%)の時間変化を示すグラフである。 図9は、実施例2において、濃縮室におけるイオン濃度の時間変化を示すグラフである。 図10は、実施例2において、脱塩室におけるイオンの残存率(%)の時間変化を示すグラフである。 図11は、実施例2において、第二中間室におけるイオンの残存率(%)の時間変化を示すグラフである。 図12は、実施例3において、濃縮室におけるイオン濃度の時間変化を示すグラフである。 図13は、実施例3において、脱塩室におけるイオンの残存率(%)の時間変化を示すグラフである。 図14は、実施例3において、第二中間室におけるイオンの残存率(%)の時間変化を示すグラフである。 図15は、比較例1において、濃縮室におけるイオン濃度の時間変化を示すグラフである。 図16は、比較例1において、脱塩室におけるイオンの残存率(%)の時間変化を示すグラフである。 図17は、比較例2において、濃縮室におけるイオン濃度の時間変化を示すグラフである。 図18は、比較例2において、脱塩室におけるイオンの残存率(%)の時間変化を示すグラフである。 図19は、ブローイングアウト法でのヨウ素回収状況を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[1]第1実施形態
まず、第1実施形態に係る本発明の電気透析方法について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の電気透析方法において用いる電気透析槽を示す模式図である。図2は、本発明の電気透析方法の一例の全体フローを示す図である。図3は、原料液のpHとHSO との存在率の関係を示したグラフである。
本実施形態に係る電気透析方法は、取得すべき成分と除去すべき成分の両方を含む水溶液である原料液21から電気透析法にて前記取得すべき成分を分離取得する電気透析方法であって、正極2と負極3との間に、正極側から、正極室10に続けて、陽イオン交換膜である第1の陽イオン交換膜5c、第一中間室12、陽イオン交換膜である第2の陽イオン交換膜6c、濃縮室13、陰イオン交換膜である第1の陰イオン交換膜7a、第二中間室14、陰イオン交換膜である第2の陰イオン交換膜8a、脱塩室15の順に4膜4室を一組とする複数組を配置し、続けて陽イオン交換膜9c、負極室16を配置した電気透析槽1を用いる。
図1に示す構成の電気透析槽1では、正極室10と第1の陽イオン交換膜5cとの間に、正極側から、陽イオン交換膜4c及び脱塩室11がさらに配置されている。
そして、本実施形態の電気透析方法は、第一中間室12には原料液21をワンパスもしくは循環で通過させ、濃縮室13には濃縮液23を循環で通過させ、第二中間室14には第一中間室12をワンパスもしくは循環で通過させた液である処理液22をワンパスもしくは循環で通過させ、脱塩室11及び脱塩室15には、第二中間室14をワンパスもしくは循環で通過させた液である処理液24をワンパスもしくは循環で通過させる。
これにより、取得すべき成分と除去すべき成分の両方を含む水溶液である原料液から、効率よく前記取得すべき成分を分離し回収することができる、電気透析方法を提供することができる。特に、本実施形態では、後に詳述する第2、第3実施形態に比べて、前記取得すべき成分の収率を特に優れたものとすることができる。
前記取得すべき成分は、特に限定されず、例えば、ヨウ化物イオン、臭化物イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、亜ヒ酸イオン、クロム酸イオン等が挙げられる。中でも、前記取得すべき成分は、ヨウ化物イオンであるのが好ましい。言い換えると、本発明の電気透析方法は、ヨウ化物イオンの分離方法であるのが好ましい。以下の説明では、前記取得すべき成分がヨウ化物イオンである場合について中心的に説明する。
本実施形態では、用いる電気透析槽1において、濃縮室13の正極側に第2の陽イオン交換膜6cを介して第一中間室(要取得イオン捕獲室であるヨウ化物イオン捕獲室)12を設け、第一中間室12に原料液21を通過させることで、濃縮室13から第2の陽イオン交換膜6cを介して漏れ出したヨウ化物イオンを原料液21中に回収することができる。
また、本実施形態では、濃縮室13の負極側において、脱塩室15との間に、第1の陰イオン交換膜7a及び第2の陰イオン交換膜8aで両側を仕切った第二中間室(前脱塩室)14を設け、第一中間室12を通過させた処理液22をワンパスもしくは循環で通過させる。
第二中間室14では、脱塩室15からのヨウ化物イオンの供給があるので、ヨウ化物イオン濃度は、大きく変動しない。透析終了時(ワンパス運転では透析槽出口近傍)においても少なくない濃度のヨウ化物イオンが残留する。このため、ヨウ化物イオンの逆移動、すなわち、濃度差を動力とする拡散の影響を受けにくい。言い換えると透析終了時まで第二中間室14に少なくないヨウ化物イオンを残留させることで、透析にかかる時間を短縮させ、高い濃縮倍率を得ることが可能となる。また、透析終了時に第二中間室14に残留するヨウ化物イオンは、次のバッチにおいて脱塩室15で第二中間室14に分離取得されるのでロスにならない。
また、第二中間室14のヨウ化物イオン濃度は、濃縮室13よりも著しく低いので、脱塩室15から第二中間室14へのヨウ化物イオンの移動も、濃度差による逆移動の影響を受けにくくなる。
このように、本実施形態の方法によれば、電気透析槽1に第一中間室12及び第二中間室14を設けることで、原料液21から効率よくヨウ化物イオンを濃縮液23中に分離し回収することができる。
なお、本明細書において、「効率がよい」とは、ヨウ素回収率が高く、ヨウ素濃縮倍率が高いことを意味するものとする。
特に、例えば、後述するように、ヨウ素精製工程からの排水(晶析排水)121のような、1,500mg/L以下という、他のヨウ素含有工業廃液に比べて低濃度かつヨウ化物イオン濃度の変動が大きい水溶液を原料液21として用いた場合であっても、ヨウ化物イオンを高収率で回収することができる。
また、本実施形態によれば、晶析工程に悪影響を与えない濃縮液23を製造することができ、晶析工程に戻すことが可能となる。
なお、本明細書において、「悪影響を与える」とは、晶析工程において製品ヨウ素115の品質を劣化させることを意味するものとする。
悪影響を与える成分としては、例えば、晶析排水121中に含まれる、鉄イオンやカルシウムイオン等の多価金属イオン、硫酸イオン等が挙げられる。
[1-1]電気透析槽について
電気透析装置104は、例えば、図1に示す構成の電気透析槽1を含む。
電気透析槽1では、両側に一対の電極が配置され、これら一対の電極のうちの一方が正極2(陽極)とされ、他方が負極3(陰極)とされる。
正極2を構成する材料としては、例えば、白金(Pt)、チタン(Ti)/白金、カーボン(C)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)/チタン、イリジウム(Ir)/チタン等が挙げられる。
負極3を構成する材料としては、例えば、鉄(Fe)、ニッケル、白金、チタン/白金、カーボン、ステンレス鋼としてのクロム(Cr)鋼等が挙げられる。
そして、これら正極2、負極3は、例えば、細長矩形平板状であるノベ板状やメッシュ状、格子状等の形状に形成されている。
電気透析槽1は、図示しない切欠部を有する平面視で矩形状の枠体としての室枠を備えている。
この室枠の長手方向に沿った両端部の内側に正極2、負極3が取り付けられ、この電気透析槽1の正極2の負極側に配置された陽イオン交換膜4cによって正極側の電極室(正極室)10が構成され、負極3の正極側に配置された陽イオン交換膜9cによって負極側の電極室(負極室)16が構成される。
これら正極室10と負極室16との間には、正極側から負極側へ向かって、陽イオン交換膜4c、第1の陽イオン交換膜5c、第2の陽イオン交換膜6c、第1の陰イオン交換膜7a、第2の陰イオン交換膜8a及び陽イオン交換膜9cが順次配置されている。そして、これらイオン交換膜によって、正極室10から負極室16へ向かって、脱塩室11、第一中間室12、濃縮室13、第二中間室14及び脱塩室15に仕切られている。
言い換えると、陽イオン交換膜4cと第1の陽イオン交換膜5cとで仕切られた室枠内が脱塩室11となる。第1の陽イオン交換膜5cと第2の陽イオン交換膜6cとで仕切られた室枠内が第一中間室12となる。第2の陽イオン交換膜6cと第1の陰イオン交換膜7aとで仕切られた室枠内が濃縮室13となる。第1の陰イオン交換膜7aと第2の陰イオン交換膜8aとで仕切られた室枠内が第二中間室14となる。そして、第2の陰イオン交換膜8aと陽イオン交換膜9cとで仕切られた室枠内が脱塩室15となる。
そして、第1の陽イオン交換膜5cから脱塩室15までの4室4膜、言い換えると、第1の陽イオン交換膜5c、第一中間室12、第2の陽イオン交換膜6c、濃縮室13、第1の陰イオン交換膜7a、第二中間室14、第2の陰イオン交換膜8a及び脱塩室15を1組として、数組から数百組程度(n組)が繰り返し配置される。繰り返し回数nとしては、特に限定されないが、例えば、4組以上1800組以下であることが好ましい。
各イオン交換膜は、張力を持たせるために、縦方向(図1中上下方向)及び横方向(図1中奥行方向)のそれぞれに沿って引っ張られて緊張された状態にて、両端が室枠の両側面に締め付け固定されている。
なお、以下の説明では、陽イオン交換膜4c、第1の陽イオン交換膜5c、第2の陽イオン交換膜6c及び陽イオン交換膜9cを総称して「陽イオン交換膜」と記す場合がある。
また、以下の説明では、第1の陰イオン交換膜7a及び第2の陰イオン交換膜8aを総称して「陰イオン交換膜」と記す場合がある。
また、以下の説明では、正極室10、脱塩室11、第一中間室12、濃縮室13、第二中間室14、脱塩室15及び負極室16を総称して「液室」と記す場合がある。
各イオン交換膜にてそれぞれ仕切られた各液室における室枠の内面には、この室枠の内部に連通した図示しない液供給口及び液排出口が設けられている。また、室枠内には、この室枠内の厚みを均一にする配流作用を有する図示しないスペーサが設けられている。
(陰イオン交換膜)
第1の陰イオン交換膜7a及び第2の陰イオン交換膜8aとしては、例えば、強塩基性スチレン-ジビニルベンゼン系均一陰イオン交換膜等が挙げられる。
これらの第1の陰イオン交換膜7a及び第2の陰イオン交換膜8aの一部もしくは全部が、一価陰イオン選択透過膜であることが好ましい。
本発明において得られるヨウ化物イオン濃縮液をヨウ素精製工程の原料液中に戻す場合、特許文献3に記されているように、ヨウ素精製工程原料液中の硫酸イオン濃度の上昇は、製品ヨウ素中の不揮発分を増加させる要因となるので、ヨウ化物イオン濃縮液中の硫酸イオン濃度は、一定以下にすることが好ましい。具体的には、もともと吸収液中には、硫酸イオン:ヨウ化物イオンモル比で0.5程度の硫酸イオンが含まれているので、ヨウ化物イオン濃縮液中の硫酸イオン量は、対ヨウ化物イオンモル比0.5以下にすることが好ましい。一方、晶析排水は、上記吸収液からヨウ化物イオンを分離した残りの液であるため、硫酸イオン:ヨウ化物イオンモル比は20以上と高い。
モル比0.5以下のヨウ化物イオン濃縮液を取得するためには、硫酸イオンを残し、ヨウ化物イオンを選択的に分離する必要がある。
そのため、上記陰イオン交換膜として、一価イオン選択性を持った一価陰イオン選択透過膜を用いることが好ましい。
これにより、硫酸イオンが濃縮液23中に移動するのを抑制し、晶析工程において得られる製品ヨウ素115の品質を向上させることができる。また、硫酸イオンの移動を抑制することで、ヨウ化物イオンの移動を速めることも期待される。
このような一価陰イオン選択透過膜としては、例えば、セレミオンASV膜(AGC株式会社製)、ネオセプタACS膜(株式会社アストム製)等が挙げられる。
(陽イオン交換膜)
陽イオン交換膜4c、第1の陽イオン交換膜5c、第2の陽イオン交換膜6c及び陽イオン交換膜9cとしては、例えば、強酸性スチレン-ジビニルベンゼン系均一陽イオン交換膜等が用いられる。
これらの陽イオン交換膜4c、第1の陽イオン交換膜5c、第2の陽イオン交換膜6c及び陽イオン交換膜9cの一部もしくは全部が、一価陽イオン選択透過膜であることが好ましい。
上記陽イオン交換膜として一価イオン選択性の無い陽イオン交換膜を用いた場合、鉄イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の多価イオンは、ナトリウムイオン等の一価イオンよりも優先的に濃縮液23中に移動する。吸収液111の製造時に用いる副原料や用水にこれらの成分が少量でも含まれていると、晶析排水121からのヨウ素回収のバッチを重ねるにつれて、これらの多価イオンの濃度が上昇し、やがて不揮発分(不純物)の増加等につながる可能性がある。
そのため、上記陽イオン交換膜として一価イオン選択性を持った一価陽イオン選択透過膜を用いることが好ましい。
これにより、晶析工程に悪影響を及ぼす物質、言い換えると、製品ヨウ素115中において不純物となる多価陽イオンが、濃縮液23中に移動するのをより効果的に抑制し、晶析工程において得られる製品ヨウ素115の品質をより向上することができる。
このような一価陽イオン選択透過膜としては、例えば、セレミオンCSO膜(AGC株式会社製)、及び、ネオセプタCIMS膜(株式会社アストム製)等が用いられる。
(脱塩室)
図1に示す構成の電気透析槽1では、正極室10の負極側に位置する室が脱塩室11である。
これは、正極室10の隣に位置する室である脱塩室11から、陽イオン交換膜4cを介して正極室10に移動してくる、ヨウ化物イオンをできるだけ少なくするためである。正極室10に移動したヨウ化物イオンは、ロスになるだけでなく、正極2(極室液を正極室10と負極室16との間で循環させる場合には、両極)の材質によっては、正極2を腐食させる可能性がある。あるいは、正極2で酸化されてIとなり、周囲を腐食させる可能性がある。
陽イオン交換膜4cを通過するヨウ化物イオンの移動速度は、ヨウ化物イオン濃度に比例するので、正極室10の隣に位置する室は、ヨウ化物イオン濃度が最も低い室であることが好ましい。ヨウ化物イオン濃度は、平均値では、低い順から、脱塩室11<第二中間室14<第一中間室12<<濃縮室13であり、ワンパス運転での入口濃度においては、脱塩室11<第一中間室12<第二中間室14<<濃縮室13である。正極室へのヨウ化物イオンの移動を最も少なくするためには、正極室10の隣に位置する室としては、ヨウ化物イオン濃度が最も低い脱塩室11が最も好ましいが、この位置ではヨウ化物イオンを取得できないので、効率が低下する。特にワンパスで運転する場合には、1室分そのままロスとなる。効率を落とさず正極室10への移動を少なくするためには、後でヨウ化物イオンを分離でき、かつ入口で第二中間室14よりもヨウ化物イオン濃度が低い第一中間室12が最も好ましく、濃縮室13が最も好ましくない。
正極室10の負極側に位置する室を脱塩室11とすることで、上記のような、陽イオン交換膜4cを介して正極室10へ移動してくる、ヨウ化物イオンによる影響を好適に抑えることができる。また、正極室10の負極側に位置する室を脱塩室11とすることで、効率を落とさず、正極室10へ移動してくる、ヨウ化物イオンによる影響を抑えることができる。
(第一中間室)
第一中間室12は、濃縮室13から第2の陽イオン交換膜6cを介して正極側に移動するヨウ化物イオンを、脱塩室11に到達する前に原料液21中に回収するために設置される室である。
これにより、原料液21から効率よくヨウ化物イオンを濃縮液23中に分離及び回収することができる。
(濃縮室)
濃縮室13は、濃縮液23を循環させることで、該濃縮液23中に、原料液21からヨウ化物イオンが分離及び濃縮される。
(第二中間室)
第二中間室14は、濃度差を動力として、濃縮室13から第1の陰イオン交換膜7aを介して負極側に移動するヨウ化物イオンを、脱塩室15に到達する前に回収するために設置される室である。
濃縮室の負極側に陰イオン交換膜を介して接する室のヨウ化物イオンの濃縮室への(見かけの)移動速度は、濃縮室のヨウ化物イオン濃度の影響を受ける。透析終盤(ワンパス運転では、出口付近)で、濃縮室と接する室のヨウ化物イオン濃度が低下し、両室の濃度差が大きくなると、ヨウ化物イオンの(見かけの)移動速度が遅くなり、やがて移動しなくなる。言い換えれば、濃縮室に接する室には、濃縮室のヨウ化物イオン濃度に比例して必ずヨウ化物イオンが残る。そのため濃縮室と接する室を脱塩室にした場合には、高い濃縮倍率と高い収率の両方を期待することはできない。
この問題を解決する方法として、脱塩室15の正極側に両側を一価陰イオン選択透過膜で仕切られた第二中間室14を設け、第二中間室14を通過させた液は脱塩室15を通過させる。透析終了時(ワンパス運転では出口)、第二中間室14にはヨウ化物イオンが残るが、脱塩室15で分離取得されるため、ロスにならない。第二中間室14にヨウ化物イオンを残すことで、濃縮室13のヨウ素濃度を高くする(濃縮倍率を上げる)ことが可能となる。
第二中間室14のヨウ化物イオン濃度は、第一中間室12で、濃縮室13から、第2の陽イオン交換膜6cを介してくるヨウ化物イオンを補足するため透析開始時(ワンパス運転では、入り口)では、原料液21よりも高いが、透析終了時には、原料液21よりも低くなる。いずれにせよ濃縮室13よりは著しく低い。そのため、脱塩室15からのヨウ化物イオンの(見かけの)移動速度は、第二中間室14を設けなかった場合に比べ大きくなる。そのため透析時間の短縮(ワンパス運転では原料液処理速度を上げること)ができる。また、透析終了時(ワンパス運転では出口)に脱塩室15に残るヨウ化物イオン濃度を下げることができる。このことで高い収率を確保することが可能となる。さらに、第二中間室14を通過した液は、原料液よりもヨウ化物イオン濃度が低いので、脱塩室15での分離も容易になり、これも収率向上につながる。
また、透析運転の終盤において、脱塩室中の一価陰イオン(ヨウ化物イオンと塩化物イオンの合計)の濃度が減少すると二価イオンである硫酸イオンの一価陰イオン選択透過膜を介しての、正極側への移動速度が上昇する。そのため一価陰イオン選択透過膜を用いただけでは、硫酸イオンの濃縮室13への移動を十分に防ぐことができない。
脱塩室15の正極側に両側を一価陰イオン選択透過膜で仕切られた第二中間室14を設け、第一中間室12を通過した処理液22を通過させた場合、第二中間室14では濃縮室13へ出ていくのとほぼ同量の一価陰イオンが脱塩室15から入ってくるので、透析終盤まで高い一価陰イオン濃度が保たれる。そのため透析終盤において、脱塩室15から硫酸イオンが多量に移動してきても、第二中間室14から濃縮室13への硫酸イオンの移動速度は上昇しない。言い換えれば透析終盤において、脱塩室15から濃縮室13に向かって多量に移動してくる硫酸イオンは、第二中間室14で補足される。
これにより、晶析工程に悪影響を及ぼす物質、言い換えると、製品ヨウ素115中において不揮発分増加の要因となる硫酸イオンが、濃縮液23中に移動するのを効果的に抑制し、晶析工程において得られる製品ヨウ素115の品質を向上することができる。
(脱塩室)
図1に示す構成の電気透析槽1において、負極室16の正極側に位置する室を脱塩室15としている。
これは、負極室16の隣にある室を、負極室16から陽イオン交換膜9cを介して移動する硫酸イオンの影響ができるだけ小さい室にするためである。負極室16から硫酸イオンが移動することによる影響が最も大きいのは濃縮室13であり、次が同等で第一中間室12及び第二中間室14である。硫酸イオンの脱塩室15への移動は、ほとんど影響を与えない。
負極室16の正極側に位置する室を脱塩室15とすることで、負極室16から陽イオン交換膜9cを介して移動する硫酸イオンによる影響を最小限に抑えることができる。
これら正極室10、脱塩室11、第一中間室12、濃縮室13、第二中間室14、脱塩室15及び負極室16には、それぞれ目的に応じた室液が、所定濃度及び所定液量に調製され、それぞれ個別に、ワンパスもしくは循環で通過される。
また、これら室液を供給させる図示しない外部タンクを設けて、これら室液を液室と外部タンクとの間でそれぞれを循環させてもよい。
[1-2]室液及び前処理について
(原料液)
原料液21には、ヨウ化物イオンを含む水溶液が用いられる。
ヨウ化物イオンを含む水溶液としては、例えば、ヨウ化ナトリウム水溶液が挙げられる。
原料液21は、例えば、ヨウ素精製工程からの排水(晶析排水)を用いることができる。
ヨウ素精製工程からの排水(晶析排水)はヨウ化物イオンを500~1,500mg/L含有し、天然ガス付随かん水に比べて高濃度に含むためヨウ素取得工程に戻されて含有するヨウ化物イオンを回収する。しかしながら、実用化されている天然ガス付随かん水からのヨウ素採取法であるブローイングアウト法や、イオン交換樹脂法では、酸化剤投入量の調整が難しく、ヨウ化物イオンを含めたかん水中の被酸化物質の濃度変化への対応は非常に難しい。一方晶析排水のヨウ化物イオン濃度は、一定ではなく、変動が大きい。晶析排水をかん水に混入させた場合、当然かん水中のヨウ化物イオンを含めた被酸化物質濃度の変動が大きくなる。上記2法では、この変動に対して追従するのは難しく、高い収率が見込めない。実際は、収率を度外視して強酸性の排水をかん水中に希釈して廃棄しているに過ぎない。
しかしながら、本発明の電気透析法は、ヨウ化物イオン濃度の変動が収率に影響しない方法なので、晶析排水からの分離取得方法としては本発明が好適である。
また、晶析排水を蒸留や、逆浸透圧法などで濃縮してからヨウ素精製工程に戻すことは、製品ヨウ素中の不揮発分増加の要因となる硫酸イオン等を多量に戻すことになるためできない。硫酸イオン等を除去したヨウ化物イオン濃縮液を得るためにも本発明が好適である。
以下の説明では、原料液21であるヨウ化物イオンを含む水溶液として、ヨウ素精製工程からの排水(晶析排水)121を用いた場合を主に説明する。
図2は、ヨウ素精製工程からの排水を原料液として用いた場合の、電気透析方法(ヨウ化物イオンの分離方法)の一例の全体フローを示す図である。
まず、吸収液(晶析工程の原料液)111は、ヨウ素精製装置101に搬送されてヨウ素精製工程が行われる。
ヨウ素精製装置101では、ヨウ素精製工程(晶析工程)により、吸収液111から製品ヨウ素115が得られる。ヨウ素精製装置101で製品ヨウ素115が取得された後に残る排水(晶析排水)121に所定の前処理を施し、本実施形態における原料液21として用いる。晶析排水121を再利用することで、貴重な資源を有効に活用できる。
なお、晶析排水121は、ヨウ素及びヨウ素化合物の少なくとも一方を使用した工程にて生成されたヨウ化物イオンを含む排水であれば、どのような製造工程で得られたものでもよく、ヨウ化物イオンの濃度、及びその他の不純物の種類や含有量等については、特に限定されるものではない。
また、晶析排水121には、例えば、ヨウ化物イオンとともに、硫酸イオン、塩化物イオン、鉄イオン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン等が含まれている。
前記前処理として、まず、ヨウ素精製装置101からの晶析排水121を、酸化還元電位調整槽102に搬送して、酸化還元電位(ORP)の調整を行う。
酸化還元電位調整槽102では、晶析排水121の酸化還元電位をモニターして上限値を設け、還元剤112を投入して、上限値以下になるように酸化還元電位を調整する。
還元剤112としては、酸性溶液中でヨウ素を還元できるものであれば、特に限定されることなく用いることができる。このような還元剤112としては、例えば、亜硫酸ガス、亜硫酸水素ナトリウム溶液、アスコルビン酸溶液等が挙げられる。経済的な観点からは、亜硫酸水素ナトリウム溶液が好ましい。
また、晶析排水121は、導電率をモニターし下限値を設け、下限値を超えたものを原料液21として使用することが好ましい。
これにより、電気透析によるヨウ化物イオンの分離が、より好適に行われる。
酸化還元電位調整槽102で酸化還元電位が調整された晶析排水(前処理液)122を、pH調整槽103に搬送して、pHの調整を行う。
pH調整槽103では、前処理液122にアルカリ成分113を添加して、前処理液122のpHを所定値に調整する。
アルカリ成分113としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
ここで、原料液21は、pH3.5以上に調整されたものであるのが好ましく、pH4.0以上に調整されたものであるのがより好ましい。
原料液21として晶析排水121を用いる場合、該晶析排水121は、pH1付近の強酸性であり、存在する硫酸のほとんどが、一価陰イオンである硫酸水素イオン(SO)で存在するため、一価陰イオン選択透過膜では、硫酸水素イオンの移動を制限することが難しく、原料液21中のヨウ化物イオンと十分に分離することができない。
理化学辞典第5版(長倉三郎 編,岩波書店,1998年)の硫酸の項では、HSO ⇔ H +HSO は完全であり、HSO ⇔ H +SO 2-のpK=1.99(25℃)とある。
ここから計算される、pHとHSO との存在率の関係は、以下に示す計算式で表される。
Figure 2023012959000002
上記式から、pHとHSO との存在率の関係をグラフ化したものを図3に示す。
図3から、原料液21のpHを3.5以上、好ましくは4.0以上に調整することで、HSO の存在率をより低くできることがわかる。言い換えると、原料液21のpHを所定値以上に調整することで、原料液21中の硫酸のほとんどを、一価陰イオンである硫酸水素イオンではなく、二価陰イオンである硫酸イオン(SO 2-)として存在させることができる。これにより、一価陰イオン選択透過膜により、原料液21中に硫酸を残し、ヨウ化物イオンをより好適に分離することができる。
pH調整槽103でpHが調整された前処理液123を、電気透析槽1を備えた電気透析装置104に搬送する。本実施形態では、例えば、これら一連の前処理が施された前処理液123を原料液21として、電気透析装置104を用いた電気透析により、ヨウ化物イオンの分離を行う。
原料液21は、ヨウ化物イオン濃度が1,500mg/L以下であり、塩化物イオン濃度が3,000mg/L以上であるのが好ましい。
原料液21中のヨウ化物イオン濃度及び塩化物イオン濃度を上記範囲とすることにより、ワンパス運転で効率よく処理することができ、硫酸イオンをより効率よく除去することができる。
原料液21中のヨウ化物イオン濃度は、2,000mg/L以下であるのがより好ましく、1,500mg/L以下であるのがさらに好ましい。
これにより、上述した効果をより顕著なものとすることができる。
また、原料液21中の塩化物イオン濃度は、50,000mg/L以下であるのがより好ましく、30,000mg/L以下であるのがさらに好ましい。また、原料液21中の塩化物イオン濃度は、3,000mg/L以上であるのが好ましい。
これにより、上述した効果をより顕著なものとすることができる。
(濃縮液)
濃縮液23の仕込みには、例えば、前バッチの濃縮液、食塩水、ヨウ化ナトリウム水溶液、中和及び希釈したヨウ素精製工程の原料液等の、導電性があり晶析工程に悪影響を及ぼさない、pH4.0以上の水溶液が用いられる。
(極室液)
極室液である正極液31及び負極液32には、例えば、硫酸ナトリウム水溶液等が用いられる。
[1-3]電気透析によるヨウ化物イオンの分離方法について
本実施形態のヨウ化物イオンの分離方法では、まず、電気透析槽1の正極室10に正極液31を供給し、負極室16に負極液32を供給する。また、第一中間室12には、原料液21をワンパスもしくは循環で供給し、濃縮室13には濃縮液23を供給する。また、第二中間室14には、第一中間室12を通過した処理液22をワンパスもしくは循環で供給し、脱塩室11及び脱塩室15には、第二中間室14を通過した処理液24をワンパスもしくは循環で供給する。
なお、極室液は、正極室10と負極室16との間を循環で供給してもよい。
なお、電気透析槽1の運転中は、各液室内の温度を、使用するイオン交換膜の耐熱温度以下に保つ。
そして、正極2(陽極)と負極3(陰極)との間に、膜メーカー指定の最高使用電圧以下で電流を供給する。
正極2と負極3との間に供給される電流の電圧は、特に限定されないが、例えば、原料液21(例えば、晶析排水121)の組成と目標組成、また、用いる電気透析槽1のサイズ(流路長)、室厚さ、流速等を考慮して個々に判断し、技術的及び経済的に有利な電圧を設定する。電圧を好ましい値に設定することで、陰イオン交換膜での選択性の高いヨウ化物イオンの移動率をさらに高めることができる。
なお、電気透析槽1の運転は、定電流運転であっても、定電圧運転であってもよい。
定電流運転であれば、室膜数の増減があっても1膜あたりにかかる電圧がほぼ等しくなるので試験研究には好適に対応することができる。一方、定電圧運転であれば、原料液中のイオン濃度が低下した時には低電流に、濃度が増加した時には、高電流になるので、濃度変化が激しい晶析排水を原料液として扱う場合に都合が良い。
正極2と負極3との間に、電流を供給すると、それぞれの室液中に含まれる陰イオンは、正極側に電気的にひきつけられ、陽イオンは、負極側に電気的にひきつけられる。
このとき、陰イオンは、陰イオン交換膜を通過して移動できるが、陽イオン交換膜を通過できない。同様に、陽イオンは、陽イオン交換膜を介して通過して移動できるが、陰イオン交換膜を通過できない。
なお、図1において、陰イオンに付した実線矢印は、陰イオン交換膜を介した各陰イオンの移動を示し、陰イオンに付した点線矢印は、各陰イオンの非主体的な移動を示す。陽イオンに付した実線矢印は、陽イオン交換膜を介しての各陽イオンの移動を示す。後傾する図4及び図5においても同様である。
したがって、第一中間室12に供給された原料液21中のナトリウムイオン(Na)は、第2の陽イオン交換膜6cを負極側に通過して濃縮室13に移動するが、さらに濃縮室13から第1の陰イオン交換膜7aを通過して第二中間室14へは移動できないため、濃縮室13の濃縮液23中に残留する。
一方、原料液21中のヨウ化物イオン(I)、硫酸イオン(SO 2-)及び塩化物イオン(Cl)等の陰イオンは、第2の陽イオン交換膜6cを透過できず、第一中間室12の原料液21中に残留する。
第一中間室12を通過した処理液22は、第二中間室14へと供給され、第二中間室14をワンパスもしくは循環で通過させる。
第二中間室14では、処理液22内のヨウ化物イオン及び塩化物イオン等の陰イオンは、第1の陰イオン交換膜7aを透過して濃縮室13に移動するが、さらに濃縮室13から第2の陽イオン交換膜6cを通過して第一中間室12へは移動できないため、濃縮室13の濃縮液23中に残留する。このとき、第1の陰イオン交換膜7aが一価陰イオン選択透過膜であるので、硫酸イオンは、第1の陰イオン交換膜7aを透過できずに処理液22中に残留する。
また、ナトリウムイオンは、第1の陰イオン交換膜7aを透過できずに処理液22中に残留する。
第二中間室14を通過した処理液24は、脱塩室11及び脱塩室15にそれぞれ供給され、脱塩室11及び脱塩室15をワンパスもしくは循環でそれぞれ通過させる。
脱塩室11では、処理液24内のナトリウムイオンは、第1の陽イオン交換膜5cを透過して第一中間室12に移動する。
脱塩室15では、処理液24内のヨウ化物イオン、塩化物イオン及び硫酸イオン等の陰イオンは、第2の陰イオン交換膜8aを透過して第二中間室14に移動する。
ここで、第二中間室14では、脱塩室15内の処理液24のヨウ化物イオン濃度が十分な間は、第二中間室14から濃縮室13に移動した分のヨウ化物イオンが、脱塩室15から移動してくるので、ヨウ化物イオン濃度は、大きく変動しない。このため、濃度差を動力とするヨウ化物イオンの逆移動の影響を受けにくい。また、第二中間室14のヨウ化物イオン濃度は、濃縮室13よりも低いので、脱塩室15から正極側へのヨウ化物イオンの移動も、濃度差による逆移動の影響を受けにくくなる。
透析終盤において、脱塩室15のヨウ化物イオンや、塩化物イオンがほとんどなくなると、脱塩室15にある硫酸イオンは、第二中間室14に大量に移動する。しかし、透析終盤においても、第二中間室14には、まだ十分な量の塩化物イオンや、ヨウ化物イオンが存在するため、硫酸イオンの大部分は、濃縮室13へは移動せず第二中間室14にとどまる。また、第二中間室14の通過後は、元の原料液21よりヨウ化物イオン濃度が低下するため、ヨウ化物イオン回収率が向上する利点もある。
脱塩室11及び脱塩室15を通過した処理液25は、図2中の透析排水116として排出される。
濃縮室13には、濃縮液23が循環供給される。
濃縮室13では、濃縮液23中のナトリウムイオンは、第1の陰イオン交換膜7aを透過できずに濃縮液23中に残留する。また、ヨウ化物イオン、硫酸イオン及び塩化物イオン等の陰イオンは、第2の陽イオン交換膜6cを透過できずに濃縮液23中に残留する。
一方で、上述したように、第一中間室12中のナトリウムイオンが、第2の陽イオン交換膜6cを負極側に通過して濃縮室13に移動してくる。また、第二中間室14内のヨウ化物イオン及び塩化物イオン等の陰イオンが、第1の陰イオン交換膜7aを透過して濃縮室13に移動してくる。このとき、第1の陰イオン交換膜7aが一価陰イオン選択透過膜であるので、第二中間室14内の硫酸イオンは第1の陰イオン交換膜7aを透過できない。
このため、濃縮室13内の濃縮液23中のナトリウムイオン、ヨウ化物イオン及び塩化物イオンの濃度が上昇、言い換えると、濃縮される。この後、この濃縮室13内のイオン濃度が上昇した処理液、すなわち、濃縮液23を濃縮室13から抜き出すことによって、ヨウ素を高濃度で回収することができる。
また、濃度差を動力とするヨウ化物イオンの逆移動、言い換えると、濃縮室13から第2の陽イオン交換膜6cを介してヨウ化物イオンが第一中間室12に漏れ出すが、第一中間室12に漏れ出したヨウ化物イオンは、原料液21中に回収される。
このように、本実施形態では、濃縮室13の正極側に第2の陽イオン交換膜6cを介して第一中間室12を設け、第一中間室12に原料液21を通過させることで、濃縮室13から第2の陽イオン交換膜6cを介して第一中間室12に逆移動してきたヨウ化物イオンを原料液21中に回収することができる。
原料液21中に回収されたヨウ化物イオンは、その後、上述したサイクルにより、第二中間室14から濃縮室13の濃縮液23中に分離される。
これにより、濃縮室13内の濃縮液23中にヨウ化物イオンをより高収率及びより高濃縮倍率で回収することができる。
濃縮液23は、運転時間の経過とともに体積が増していくので、増量分を分取し、晶析工程に戻される。
すなわち、図2に示したように、電気透析装置104における電気透析により得られた濃縮液23の一部の液114は、吸収液111に混合する等して、ヨウ素精製装置101に搬送され、晶析工程に再利用される。また、脱塩室11及び脱塩室15を通過した処理液25は、透析排水116として排出される。
なお、本実施形態の方法により製造される濃縮液23を、吸収液111に投入して再利用する場合、晶析工程に悪影響を与える成分の対ヨウ素比(モル比)を、元の吸収液111のレベルまで下げる必要がある。
具体的には、例えば、製造された濃縮液23における硫酸イオン:ヨウ化物イオン濃度比は、吸収液111と同等以下とすることが好ましく、鉄イオン:ヨウ化物イオン濃度比を吸収液111と同等以下とすることが好ましく、カルシウムイオン:ヨウ化物イオン濃度比を吸収液111と同等以下とすることが好ましい。
吸収液111及び製造された濃縮液23における上記成分の濃度及び濃度比は変動するため、上記イオン濃度比については特に限定されないが、例えば、得られた濃縮液23中における硫酸イオン:ヨウ化物イオン濃度のモル比(SO 2-/I)は、0.5以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましく、0.2以下であることがさらに好ましい。
このような濃縮液23を晶析工程に戻すことで、晶析工程に悪影響を与えず、優れた品質の製品ヨウ素115をより好適に得ることができる。
上述したような本実施形態の方法によれば、ヨウ化物イオンが高濃度で分離及び濃縮される一方で、晶析工程に悪影響を与える成分、例えば、硫酸イオンの移動が抑えられた濃縮液を得ることができる。
なお、本実施形態において、電気透析槽1のサイズが大きく、電気透析槽1内での滞留時間を十分に取れるのならば、濃縮室13、正極室10、及び負極室16以外の室、言い換えると、脱塩室11、第一中間室12、第二中間室14及び脱塩室15は、ワンパスで通過させることが効率的である。
また、本実施形態では、正極室10の負極側に位置する室を脱塩室11とした電気透析槽1を用いた場合を例に挙げて説明したが、正極室10の負極側に位置する室が第一中間室12であってもよい。上述したように、正極室10の負極側に位置する室を第一中間室12とすることで、効率の低下を抑えることができる。
[2]第2実施形態
次に、第2実施形態に係る本発明の電気透析方法(特に、ヨウ化物イオンの分離方法)について説明する。
図4は、第2実施形態に係る本発明の電気透析方法において用いる電気透析槽を示す模式図である。
以下、この図を参照して第2実施形態に係る本発明の電気透析方法について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態の電気透析方法は、取得すべき成分と除去すべき成分の両方を含む水溶液である原料液21から電気透析法にて前記取得すべき成分を分離取得する電気透析方法であって、正極2と負極3との間に、正極側から、正極室10に続けて、陽イオン交換膜である第1の陽イオン交換膜5c、中間室12’、陽イオン交換膜である第2の陽イオン交換膜6c、濃縮室13、陰イオン交換膜8s’及び脱塩室15の順に3膜3室を一組とする複数組を配置し、続けて陽イオン交換膜9c、負極室16を配置した電気透析槽1’を用いる。
そして、本実施形態の電気透析方法では、中間室12’には原料液21をワンパスもしくは循環で通過させ、濃縮室13には濃縮液23を循環で通過させ、脱塩室15には中間室12’をワンパスもしくは循環で通過させた液である処理液26をワンパスもしくは循環で通過させる。
本実施形態に係る電気透析方法で用いられる電気透析槽1’は、第1実施形態に係る電気透析槽1から、第二中間室14及び第二中間室14の正極側の第1の陰イオン交換膜7aを省略し、一組を3室3膜にしたものである。
このように、第1実施形態で説明した電気透析槽1から、第二中間室14を省いた場合であっても、前述した第1実施形態と同様に、取得すべき成分と除去すべき成分の両方を含む水溶液である原料液から、効率よく前記取得すべき成分を分離し回収することができる。
中間室12’に供給された原料液21中のナトリウムイオン(Na)は、第2の陽イオン交換膜6cを負極側に通過して濃縮室13に移動するが、さらに濃縮室13から陰イオン交換膜8s’を通過して脱塩室15へは移動できないため、濃縮室13の濃縮液23中に分離される。
一方、原料液21中のヨウ化物イオン(I)、硫酸イオン(SO 2-)及び塩化物イオン(Cl)等の陰イオンは、第2の陽イオン交換膜6cを透過できず、中間室12’の原料液21中に残留する。
中間室12’を通過した処理液26は、脱塩室15に供給され、脱塩室15をワンパスもしくは循環で通過させる。
脱塩室15では、処理液26内のヨウ化物イオン、塩化物イオン等の陰イオンは、陰イオン交換膜8s’を透過して濃縮室13に移動する。このとき、陰イオン交換膜8s’が一価陰イオン選択透過膜であるので、硫酸イオンは、陰イオン交換膜8s’を透過できずに処理液26中に残留する。
脱塩室15を通過した処理液27は、透析排水116として排出される。
濃縮室13には、濃縮液23が循環供給される。
濃縮室13では、濃縮液23中のナトリウムイオンは、陰イオン交換膜8s’を透過できずに濃縮液23中に残留する。また、ヨウ化物イオン、硫酸イオン及び塩化物イオン等の陰イオンは、第2の陽イオン交換膜6cを透過できずに濃縮液23中に残留する。
一方で、上述したように、中間室12’中のナトリウムイオンが、第2の陽イオン交換膜6cを負極側に通過して濃縮室13に移動してくる。
また、脱塩室15内のヨウ化物イオン及び塩化物イオン等の陰イオンが、陰イオン交換膜8s’を透過して濃縮室13に移動してくる。このとき、陰イオン交換膜8s’が一価陰イオン選択透過膜であるので、脱塩室15内の硫酸イオンは、陰イオン交換膜8s’を透過できない。
このため、濃縮室13内の濃縮液23中のナトリウムイオン、ヨウ化物イオン及び塩化物イオンの濃度が上昇、言い換えると、濃縮される。この後、この濃縮室13内のイオン濃度が上昇した処理液、すなわち、濃縮液23を濃縮室13から抜き出すことによって、ヨウ素を高濃度で回収することができる。
また、濃度差を動力とするヨウ化物イオンの逆移動、言い換えると、濃縮室13から第2の陽イオン交換膜6cを介してヨウ化物イオンが中間室12’に漏れ出すが、中間室12’に漏れ出したヨウ化物イオンは、原料液21中に回収される。
このように、本実施形態では、濃縮室13の正極側に第2の陽イオン交換膜6cを介して中間室12’を設け、中間室12’に原料液21を通過させることで、濃縮室13から第2の陽イオン交換膜6cを介して中間室12’に逆移動してきたヨウ化物イオンを原料液21中に回収することができる。
原料液21中に回収されたヨウ化物イオンは、その後、上述したサイクルにより、脱塩室15から濃縮室13の濃縮液23中に分離される。
これにより、濃縮室13内の濃縮液23中にヨウ化物イオンをより高収率及びより高濃縮倍率で回収することができる。
また、本実施形態に係る電気透析方法では、前述した第1実施形態に係る電気透析方法に比べて、電気透析槽1’の小型化、省電力化の観点で特に有利である。
また、第1実施形態に係る電気透析槽1では、正極室10の負極側に位置する室が、脱塩室11であったが、本実施形態の電気透析槽1’では、正極室10の負極側に位置する室を、中間室12’としている。
これにより、正極室10の隣に位置する室である中間室12’から、第1の陽イオン交換膜5cを介して正極室10に移動してくるヨウ化物イオンの量を好適に少なくすることができ、効率の低下を抑えることができる。
なお、図4に示す構成では、正極室の負極側に位置する室が中間室であるが、正極室の負極側に位置する室として、脱塩室を設けてもよい。
上述したように、正極室の負極側に位置する室を脱塩室とすることで、脱塩室から陽イオン交換膜を介して正極室に移動してくるヨウ化物イオンによる影響を好適に抑えることができる。
[3]第3実施形態
次に、第3実施形態に係る本発明の電気透析方法(特に、ヨウ化物イオンの分離方法)について説明する。
図5は、第3実施形態に係る本発明の電気透析方法において用いる電気透析槽を示す模式図である。
以下、この図を参照して第3実施形態に係る本発明の(特に、ヨウ化物イオンの分離方法)について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態の(特に、ヨウ化物イオンの分離方法)は、取得すべき成分と除去すべき成分の両方を含む水溶液である原料液21から電気透析法にて前記取得すべき成分を分離取得する電気透析方法であって、正極2と負極3との間に、正極側から、正極室10、陽イオン交換膜4c、脱塩室11に続けて、陽イオン交換膜6c’、濃縮室13、陰イオン交換膜である第1の陰イオン交換膜7a、中間室14’、陰イオン交換膜である第2の陰イオン交換膜8a及び脱塩室15の順に3膜3室を一組とする複数組を配置し、続けて陽イオン交換膜9c、負極室16を配置した電気透析槽1”を用いる。
そして、本実施形態の電気透析方法では、中間室14’には原料液21をワンパスもしくは循環で通過させ、濃縮室13には濃縮液23を循環で通過させ、脱塩室11及び脱塩室15には中間室14’をワンパスもしくは循環で通過させた液である処理液28をワンパスもしくは循環で通過させる。
本実施形態に係る電気透析方法で用いられる電気透析槽1”は、第1実施形態に係る電気透析槽1から、第一中間室12及び第一中間室12の正極側の第1の陽イオン交換膜5cを省略し、一組を3室3膜にしたものである。
このように、第1実施形態で説明した電気透析槽1から、第一中間室12を省いた場合であっても、前述した第1実施形態と同様に、取得すべき成分と除去すべき成分の両方を含む水溶液である原料液から、効率よく前記取得すべき成分を分離し回収することができる。
中間室14’に供給された原料液21中のヨウ化物イオン及び塩化物イオン等の陰イオンは、第1の陰イオン交換膜7aを透過して濃縮室13に移動するが、さらに濃縮室13から陽イオン交換膜6c’を通過して脱塩室11へは移動できないため、濃縮室13の濃縮液23中に残留する。このとき、第1の陰イオン交換膜7aが一価陰イオン選択透過膜であるので、硫酸イオンは、第1の陰イオン交換膜7aを透過できずに原料液21中に残留する。
また、ナトリウムイオンは、第1の陰イオン交換膜7aを透過できずに原料液21中に残留する。
中間室14’を通過した処理液28は、脱塩室11及び脱塩室15にそれぞれ供給され、脱塩室11及び脱塩室15をワンパスもしくは循環でそれぞれ通過させる。
脱塩室11では、処理液28内のナトリウムイオンは、陽イオン交換膜6c’を透過して濃縮室13に移動する。
脱塩室15では、処理液28内のヨウ化物イオン、塩化物イオン及び硫酸イオン等の陰イオンは、第2の陰イオン交換膜8aを透過して中間室14’に移動する。
ここで、中間室14’では、脱塩室15内の処理液28のヨウ化物イオン濃度が十分な間は、中間室14’から濃縮室13に移動した分のヨウ化物イオンが、脱塩室15から移動してくるので、ヨウ化物イオン濃度は、大きく変動しない。このため、濃度差を動力とするヨウ化物イオンの逆移動の影響を受けにくい。また、中間室14’のヨウ化物イオン濃度は、濃縮室13よりも低いので、脱塩室15から正極側へのヨウ化物イオンの移動も、濃度差による逆移動の影響を受けにくくなる。
中間室14’を設けることで、濃縮室13内の濃縮液23中においてヨウ化物イオンを高収率及び高濃縮倍率で回収することができる。
透析終盤において、脱塩室15のヨウ化物イオンや、塩化物イオンがほとんどなくなると、脱塩室15にある硫酸イオンは、中間室14’に大量に移動する。しかし、透析終盤においても、中間室14’には、まだ十分な量の塩化物イオンや、ヨウ化物イオンが存在するため、硫酸イオンの大部分は、濃縮室13へは移動せず中間室14’にとどまる。また、中間室14’の通過後は、元の原料液21よりヨウ化物イオン濃度が低下するため、ヨウ化物イオン回収率が向上する利点もある。
脱塩室11及び脱塩室15を通過した処理液29は、透析排水116として排出される。
濃縮室13には、濃縮液23が循環供給される。
濃縮室13では、濃縮液23中のナトリウムイオンは、第1の陰イオン交換膜7aを透過できずに濃縮液23中に残留する。また、ヨウ化物イオン、硫酸イオン及び塩化物イオン等の陰イオンは、陽イオン交換膜6c’を透過できずに濃縮液23中に残留する。
一方で、上述したように、中間室14’内のヨウ化物イオン及び塩化物イオン等の陰イオンが、第1の陰イオン交換膜7aを透過して濃縮室13に移動してくる。このとき、第1の陰イオン交換膜7aが一価陰イオン選択透過膜であるので、中間室14’内の硫酸イオンは第1の陰イオン交換膜7aを透過できない。
このため、濃縮室13内の濃縮液23中のナトリウムイオン、ヨウ化物イオン及び塩化物イオンの濃度が上昇、言い換えると、濃縮される。この後、この濃縮室13内のイオン濃度が上昇した処理液、すなわち、濃縮液23を濃縮室13から抜き出すことによって、ヨウ素を高濃度で回収することができる。
また、本実施形態に係る電気透析方法では、前述した第1実施形態に係る電気透析方法に比べて、電気透析槽1’の小型化、省電力化の観点で特に有利である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。例えば、本発明の趣旨に沿った範囲内で条件を変更したり、他の工程を加える等の改変を加えることは差し支えない。
最後に本発明の特徴について記す。
第一に、濃縮室に移動した取得目的とする陰イオンうち、わずかではあるが陽イオン交換膜を通過して脱塩室に戻る陰イオンがあることと、濃度差を動力として陰イオン交換膜を介して脱塩室に戻る陰イオンがあること。目的とする陰イオンの濃度が比較的低い場合でかつ高い収率を上げるためにはそれらの量が無視できないものであることに注目し、この問題を解決する方法であること。また、例えば、本発明においては、濃縮室から陽イオン交換膜を通過して出てくるヨウ化物イオンを第一中間室中に捕獲することで収率を上げる。また、濃縮室から陰イオン交換膜を介して逆移動してくるヨウ化物イオンを第二中間室で捕獲することで収率を上げかつ濃縮倍率を上げる。
第二に、本発明で用いる電気透析槽は、従来の電気透析槽のように陽イオン交換膜と陰イオン交換膜を交互に配置したものでないこと。本発明においては、陽陽陰陰の配置にすることによって発明の目的を達成している。
第三に、原料液を原料以外の目的で多重使用することである。例えば、本発明において、原料液は、まず初めに第一中間室に送られ、濃縮室から陽イオン交換膜を通過して出てくるヨウ化物イオンを捕獲するために使われる。次に第二中間室に送られ、濃縮室から陰イオン交換膜を介して逆移動してくるヨウ化物イオンを捕獲する。また第二中間室では、脱塩室の一価陰イオンが減少した時に一価陰イオン選択透過膜を介して濃縮室側に向かって多量に移動してくる硫酸イオンを捕獲するのに使われる。そして最後に脱塩室に送られ、原料として使われる。
以下、実施例を用いて本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
<電気透析槽の構成>
電気透析槽(旭化成株式会社製、G4型)を含む電気透析装置を用いて電気透析を行った。
電気透析槽の両側に一対の電極を配置し、一方の電極を正極(陽極)、他方の電極を負極(陰極)とした。これら正極と負極との間には、正極側から負極側へ向かって、陽イオン交換膜、第1の陽イオン交換膜、第2の陽イオン交換膜、第1の陰イオン交換膜、第2の陰イオン交換膜及び陽イオン交換膜を順次配置した。
陽イオン交換膜には、一価陽イオン選択透過膜であるセレミオンCSO(AGC株式会社製)を用いた。陰イオン交換膜には、一価陰イオン選択透過膜であるセレミオンASV-N(AGC株式会社製)を用いた。イオン交換膜の有効面積は、1枚当たり0.02mとした。
これらイオン交換膜によって電気透析槽は、正極側から負極側へ向かって、正極室、脱塩室、第一中間室、濃縮室、第二中間室、脱塩室及び負極室に仕切られ、第1の陽イオン交換膜、第一中間室、第2の陽イオン交換膜、濃縮室、第1の陰イオン交換膜、第二中間室、第2の陰イオン交換膜及び脱塩室までの4室4膜を1組として、4組を繰り返して配置した。
<仕込み液の調製>
以下のようにして、各室の仕込み液を調製した。
5%硫酸ナトリウム水溶液を調製し、これを正極及び負極の極室液とした。
ヨウ化ナトリウム6g、塩化ナトリウム89g及び硫酸ナトリウム108gを含む水溶液6,000mLを調製し、これを原料液とした。なお、原料液のpHは、7であった。
また、ヨウ化ナトリウム10,000mg/L水溶液を調製し、これを濃縮液とした。
仕込み液の調製には、すべて中性塩及び蒸留水を用いた。
各試薬としては、ヨウ化ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)、硫酸水素ナトリウム一水塩(富士フィルム和光純薬株式会社製)、無水硫酸ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)、75%硫酸(株式会社トーシン製)を用いた。
また、原料液の仕込みには、電気透析を用いて自己製造した稀ヨウ化水素酸を用いた。
<電気透析>
負極と正極との間に4.0A(電流密度2A/dm)の定電流を通電し、電極室(正極室及び負極室)には極室液2,000mLを0.2L/分でそれぞれ通液し、第一中間室には原料液6,000mLを、第二中間室には原料液6,000mLを、脱塩室には原料液6,000mLを0.2L/分で通液し、また、濃縮室には濃縮液500mLを0.2L/分で通液し、各室から出た液を循環させる運転を行った。
<イオン濃度分析>
運転を3.0時間行い、第一中間室、第二中間室、脱塩室及び濃縮室からの排出液を取得し、それぞれの取得液中の、ヨウ化物イオン(I)、硫酸イオン(SO 2-)及び塩化物イオン(Cl)についてイオン濃度を分析した。
なお、分析にあたっては、試料を純水で希釈し、イオンクロマトグラフ(メトローム社製「883プロフェッショナル」ケミカルイオンサプレッサー付き、炭酸ガスサプレッサー付き、Asap5カラム150mm、3.2mM NaCO 1.0mMNaHCO混合溶離液)を用いて測定した。
各室における仕込み液と取得液とについて、ヨウ化物イオン(I)、硫酸イオン(SO 2-)及び塩化物イオン(Cl)のイオン濃度を表1及び表2にそれぞれ示す。
また、第一中間室への仕込み液と、脱塩室からの取得液とにおけるイオン量から算出した収率を表3に示す。
また、濃縮室における上記各イオンのイオン濃度の時間変化を図6に示す。脱塩室における上記各イオンの残存率(%)の時間変化を図7に示し、第二中間室における上記各イオンの残存率(%)の時間変化を図8に示す。
Figure 2023012959000003
Figure 2023012959000004
Figure 2023012959000005
図6~図8及び表1~表3から、脱塩室及び第二中間室におけるヨウ化物イオン及び塩化物イオンの残存率が低下している一方で、濃縮室におけるヨウ化物イオン及び塩化物イオンのイオン濃度が増加していることから、ヨウ化物イオン及び塩化物イオンは、脱塩室から第二中間室に移動し、さらに第二中間室から濃縮室へ移動したことがわかる。
また、脱塩室における硫酸イオン残存率が低下し、第二中間室における硫酸イオン残存率が増加していることから、硫酸イオンは、脱塩室から第二中間室に移動したことがわかる。また、濃縮室における硫酸イオン濃度の増加が抑えられていることから、脱塩室から第二中間室に移動した硫酸イオンは、濃縮室にはほとんど移動せず、第二中間室にとどまっていることがわかる。
さらに第一中間室のヨウ化物イオン量が増加していることから、濃縮室から陽イオン交換膜を介して出てきたヨウ化物イオンが、第一中間室で補足されていることがわかる。
(実施例2)
<電気透析槽の構成>
実施例1で用いたのと同じ構成の電気透析槽を用いた。
<電気透析>
負極と正極との間に4.0A(電流密度2A/dm)の定電流を通電し、電極室(正極室及び負極室)には、実施例1と同様にして調製した極室液2,000mLを0.2L/分でそれぞれ通液し、第一中間室には、実施例1と同様にして調製した原料液6,000mLを、第二中間室には、実施例1における第一中間室の残液5,960mLを、脱塩室には、実施例1における第二中間室の残液5,930mLを0.2L/分で通液し、また、濃縮室には、実施例1で得た濃縮液750mLを0.2L/分で通液し、各室から出た液を循環させる運転を行った。
<イオン濃度分析>
運転を3.0時間行い、第一中間室、第二中間室、脱塩室及び濃縮室からの排出液を取得し、それぞれの取得液中の、ヨウ化物イオン(I)、硫酸イオン(SO 2-)及び塩化物イオン(Cl)について、実施例1と同様にしてイオン濃度を分析した。
各室における仕込み液と取得液とについて、ヨウ化物イオン(I)、硫酸イオン(SO 2-)及び塩化物イオン(Cl)のイオン濃度を表4及び表5にそれぞれ示す。
また、第一中間室への仕込み液と、脱塩室からの取得液とにおけるイオン量から算出した収率を表6に示す。
また、濃縮室における上記各イオンのイオン濃度の時間変化を図9に示す。脱塩室における上記各イオンの残存率(%)の時間変化を図10に示し、第二中間室における上記各イオンの残存率(%)の時間変化を図11に示す。
Figure 2023012959000006
Figure 2023012959000007
Figure 2023012959000008
図9~図11及び表4~表6から、実施例1と比べて、ヨウ化物イオンの収率が向上した。これは、脱塩室の仕込み液(実施例1における第二中間室の残液)中のヨウ化物イオン量が、実施例1における脱塩室への仕込み液(モデル晶析排水)に比べて少ないことの影響が大きいと考えらえる。
また、脱塩室中の硫酸イオンの移動開始時間、移動速度も、実施例1と比べて速くなった。これも、脱塩室の仕込み液中の塩化物イオンやヨウ化物イオンの割合が、実施例1よりも低いことに起因すると推定される。
しかしながら、脱塩室から正極側に移動した硫酸イオンは、第二中間室にとどまり、濃縮室まではほとんど移動していない。塩化物イオン及びヨウ化物イオンが第二中間室から濃縮室に移動しても、脱塩室から第二中間室に塩化物イオン及びヨウ化物イオンが新たに移動してくるため、第二中間室では、十分な量の塩化物イオンとヨウ化物イオンが残っており、硫酸イオンの移動が制限されたと考えられる。
(実施例3)
<電気透析槽の構成>
実施例1で用いたのと同じ構成の電気透析槽を用いた。
<電気透析>
負極と正極との間に4.0A(電流密度2A/dm)の定電流を通電し、電極室(正極室及び負極室)には、実施例1と同様にして調製した極室液2,000mLを0.2L/分でそれぞれ通液し、第一中間室には、実施例1と同様にして調製した原料液6,000mLを、第二中間室には、実施例2における第一中間室の残液5,820mLを、脱塩室には、実施例2における第二中間室の残液5,860mLを0.2L/分で通液し、また、濃縮室には、実施例2で得た濃縮液1,000mLを0.2L/分で通液し、各室から出た液を循環させる運転を行った。
<イオン濃度分析>
運転を3.0時間行い、第一中間室、第二中間室、脱塩室及び濃縮室からの排出液を取得し、それぞれの取得液中の、ヨウ化物イオン(I)、硫酸イオン(SO 2-)及び塩化物イオン(Cl)について、実施例1と同様にしてイオン濃度を分析した。
各室における仕込み液と取得液とについて、ヨウ化物イオン(I)、硫酸イオン(SO 2-)及び塩化物イオン(Cl)のイオン濃度を表7及び表8にそれぞれ示す。
また、第一中間室への仕込み液と、脱塩室からの取得液とにおけるイオン量から算出した収率を表9に示す。
また、濃縮室における上記各イオンのイオン濃度の時間変化を図12に示す。脱塩室における上記各イオンの残存率(%)の時間変化を図13に示し、第二中間室における上記各イオンの残存率(%)の時間変化を図14に示す。
Figure 2023012959000009
Figure 2023012959000010
Figure 2023012959000011
図12~図14及び表7~表9から、透析を繰り返しても、第二中間室には、まだ十分な量の塩化物イオンやヨウ化物イオンが存在するため、第二中間室から濃縮室への硫酸イオンの移動は、制限されていることがわかる。
最終的に取得された濃縮液の硫酸:ヨウ化物イオンモル比は、0.14であり、目標とする0.5を大きく下回った。また、第一中間室への仕込み液と、脱塩室からの取得液とにおけるヨウ化物イオン量から算出したヨウ素収率は、98%であった。
(比較例1)
<電気透析槽の構成>
以下のような構成の電気透析槽を作製した。
なお、電気透析槽の本体、陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜には、実施例1と同じものを用いた。
電気透析槽の両側に一対の電極を配置し、一方の電極を正極(陽極)、他方の電極を負極(陰極)とした。これら電極間には、正極側から負極側へ向かって、陽イオン交換膜、陽イオン交換膜、陰イオン交換膜及び陽イオン交換膜を順次配置した。
これらイオン交換膜によって電気透析槽は、正極側から負極側へ向かって、正極室、脱塩室、濃縮室、脱塩室、負極室に仕切られ、脱塩室、陽イオン交換膜、濃縮室及び陰イオン交換膜の2室2膜を1組として、4組を繰り返して配置した。
<仕込み液の調製>
以下のようにして、各室の仕込み液を調製した。
5%硫酸ナトリウム水溶液を調製し、これを正極及び負極の極室液とした。
また、ヨウ化ナトリウム790mg/L水溶液を調製し、これを濃縮液とした。
HI:4,000mg、HCl:53,000mg、NaHSO:100,000mgを含む水溶液6,000mLを調製し、これを脱塩室液とした。なお、脱塩室液のpHは、1であった。
<電気透析>
負極と正極との間に4.0A(電流密度2A/dm)の定電流を通電し、電極室(正極室及び負極室)には極室液2,000mLを0.2L/分でそれぞれ通液し、濃縮室には濃縮液500mLを0.2L/分で通液し、脱塩室には脱塩室液6,000mLを0.2L/分で通液し、また、各室から出た液を循環させる運転を行った。
<イオン濃度分析>
運転を5.5時間行い、脱塩室及び濃縮室からの排出液を取得し、それぞれの取得液中の、ヨウ化物イオン(I)、硫酸イオン(SO 2-)及び塩化物イオン(Cl)について、実施例1と同様にしてイオン濃度を分析した。
各室における仕込み液と取得液とについて、ヨウ化物イオン(I)、硫酸イオン(SO 2-)及び塩化物イオン(Cl)のイオン濃度を表10及び表11にそれぞれ示す。
また、電気透析前後での脱塩室でのイオン量から算出した脱塩室移動率を表12に示す。
また、濃縮室における上記各イオンのイオン濃度の時間変化を図15に示す。脱塩室における上記各イオンの残存率(%)の時間変化を図16に示す。
Figure 2023012959000012
Figure 2023012959000013
Figure 2023012959000014
図15、図16及び表10~表12から、脱塩室にヨウ化物イオンのおよそ20%が残った。また、硫酸イオンの移動速度が速く、硫酸イオン:ヨウ化物イオンモル比0.5以下の濃縮液は得られなかった。
(比較例2)
<電気透析槽の構成>
比較例1で用いたのと同じ構成の電気透析槽を用いた。
<仕込み液の調製>
また、以下のようにして、各室の仕込み液を調製した。
5%硫酸ナトリウム水溶液を調製し、これを正極及び負極の極室液とした。
また、ヨウ化ナトリウム10,000mg/L水溶液を調製し、これを濃縮液とした。
ヨウ化ナトリウム6g、塩化ナトリウム89g、硫酸ナトリウム108gを含む水溶液6,000mLを調製し、これを脱塩室液とした。脱塩室液のpHは、6.8であった。
<電気透析>
負極と正極との間に4.0A(電流密度2A/dm)の定電流を通電し、電極室(正極室及び負極室)には極室液2,000mLを0.2L/分でそれぞれ通液し、濃縮室には濃縮液500mLを0.2L/分で通液し、脱塩室には脱塩室液6,000mLを0.2L/分で通液し、また、各室から出た液を循環させる運転を行った。
<イオン濃度分析>
運転を4.5時間行い、脱塩室及び濃縮室からの排出液を取得し、それぞれの取得液中の、ヨウ化物イオン(I)、硫酸イオン(SO 2-)及び塩化物イオン(Cl)について、実施例1と同様にしてイオン濃度を分析した。
各室における仕込み液と取得液とについて、ヨウ化物イオン(I)、硫酸イオン(SO 2-)及び塩化物イオン(Cl)のイオン濃度を表13及び表14にそれぞれ示す。
また、電気透析前後での脱塩室のイオン量から算出した脱塩室移動率を表15に示す。
また、濃縮室における上記各イオンのイオン濃度の時間変化を図17に示す。脱塩室における上記各イオンの残存率(%)の時間変化を図18に示す。
Figure 2023012959000015
Figure 2023012959000016
Figure 2023012959000017
図17、図18及び表13~表15から、脱塩室でのイオンの移動は、実施例1とほぼ同様の動きを見せた。
原料液の液性を中性にしたところ、透析運転初期(運転時間1時間まで)では、硫酸イオンの移動速度は、低い値を示した。しかし、1時間を超えると、硫酸イオンの移動速度が急速に上昇した。
原料液の液性を中性にすることで、一価イオンである硫酸水素イオンの存在量を減らし、一価陰イオン選択透過膜により、硫酸イオンの移動を抑えることができたと考えられる。しかしながら、透析後半(1.5時間以降)になると、原料液の陰イオンに占める硫酸イオンの割合が高くなり、一価陰イオン選択透過膜を用いたにもかかわらず、硫酸イオンの移動を抑えられなかったと考えられる。
以上の結果から、第一中間室及び第二中間室を設けた実施例1~3では、中間室を設けなかった比較例1、2に比べて、硫酸イオンが脱塩室から濃縮室に移動するのを効果的に抑制することができ、濃縮室内の濃縮液中においてヨウ化物イオンを高収率及び高濃縮倍率で得ることができた。
本発明の電気透析方法は、取得すべき成分と除去すべき成分の両方を含む水溶液である原料液から電気透析法にて前記取得すべき成分を分離取得する電気透析方法であって、正極と負極との間に、前記正極側から、正極室に続けて、陽イオン交換膜である第1の陽イオン交換膜、第一中間室、陽イオン交換膜である第2の陽イオン交換膜、濃縮室、陰イオン交換膜である第1の陰イオン交換膜、第二中間室、陰イオン交換膜である第2の陰イオン交換膜、脱塩室の順に4膜4室を一組とする複数組を配置し、続けて陽イオン交換膜、負極室を配置した電気透析槽を用い、前記第一中間室には前記原料液をワンパスもしくは循環で通過させ、前記濃縮室には濃縮液を循環で通過させ、前記第二中間室には前記第一中間室をワンパスもしくは循環で通過させた液をワンパスもしくは循環で通過させ、前記脱塩室には前記第二中間室をワンパスもしくは循環で通過させた液をワンパスもしくは循環で通過させる、方法である。
また、本発明の電気透析方法の他の態様の一つは、取得すべき成分と除去すべき成分の両方を含む水溶液である原料液から電気透析法にて前記取得すべき成分を分離取得する電気透析方法であって、正極と負極との間に、前記正極側から、正極室に続けて、陽イオン交換膜である第1の陽イオン交換膜、中間室、陽イオン交換膜である第2の陽イオン交換膜、濃縮室、陰イオン交換膜、脱塩室の順に3膜3室を一組とする複数組を配置し、続けて陽イオン交換膜、負極室を配置した電気透析槽を用い、前記中間室には前記原料液をワンパスもしくは循環で通過させ、前記濃縮室には濃縮液を循環で通過させ、前記脱塩室には前記中間室をワンパスもしくは循環で通過させた液をワンパスもしくは循環で通過させる、方法である。
また、本発明の電気透析方法の他の態様の一つは、取得すべき成分と除去すべき成分の両方を含む水溶液である原料液から電気透析法にて前記取得すべき成分を分離取得する電気透析方法であって、正極と負極との間に、前記正極側から、正極室、陽イオン交換膜、脱塩室に続けて、陽イオン交換膜、濃縮室、陰イオン交換膜である第1の陰イオン交換膜、中間室、陰イオン交換膜である第2の陰イオン交換膜、脱塩室の順に3膜3室を一組とする複数組を配置し、続けて陽イオン交換膜、負極室を配置した電気透析槽を用い、前記中間室には前記原料液をワンパスもしくは循環で通過させ、前記濃縮室には濃縮液を循環で通過させ、前記脱塩室には前記中間室をワンパスもしくは循環で通過させた液をワンパスもしくは循環で通過させる、方法である。
本発明の電気透析方法によれば、取得すべき成分と除去すべき成分の両方を含む水溶液である原料液から、効率よく前記取得すべき成分を分離し回収することができる。特に、原料液として、低濃度かつヨウ化物イオン濃度の変動が大きい晶析排水を用いることで、貴重な資源を有効に活用できる。
したがって、本発明の電気透析方法は、産業上の利用可能性を有する。
例えば、本発明により分離取得されるヨウ化物イオンは、重要な産業製品であるヨウ素として精製される。
1、1’、1” 電気透析槽
2 正極
3 負極
4c 陽イオン交換膜
5c 第1の陽イオン交換膜
6c 第2の陽イオン交換膜
6c’ 陽イオン交換膜
7a 第1の陰イオン交換膜
8a 第2の陰イオン交換膜
8s’ 陰イオン交換膜
9c 陽イオン交換膜
10 正極室
11 脱塩室
12 第一中間室(ヨウ化物イオン捕獲室)
12’ 中間室
13 濃縮室
14 第二中間室(前脱塩室)
14’ 中間室
15 脱塩室
16 負極室
21 原料液
22 処理液
23 濃縮液
24 処理液
25 処理液
26 処理液
27 処理液
28 処理液
29 処理液
31 正極液
32 負極液
101 ヨウ素精製装置
102 酸化還元電位調整槽
103 pH調整槽
104 電気透析装置
111 吸収液
112 還元剤
113 アルカリ成分
114 濃縮液の一部の液
115 製品ヨウ素
116 透析排水
121 排水(晶析排水)
122 前処理液
123 前処理液

Claims (8)

  1. 取得すべき成分と除去すべき成分の両方を含む水溶液である原料液から電気透析法にて前記取得すべき成分を分離取得する電気透析方法であって、
    正極と負極との間に、前記正極側から、正極室に続けて、
    陽イオン交換膜である第1の陽イオン交換膜、第一中間室、陽イオン交換膜である第2の陽イオン交換膜、濃縮室、陰イオン交換膜である第1の陰イオン交換膜、第二中間室、陰イオン交換膜である第2の陰イオン交換膜、脱塩室の順に4膜4室を一組とする複数組を配置し、続けて陽イオン交換膜、負極室を配置した電気透析槽を用い、
    前記第一中間室には前記原料液をワンパスもしくは循環で通過させ、前記濃縮室には濃縮液を循環で通過させ、前記第二中間室には前記第一中間室をワンパスもしくは循環で通過させた液をワンパスもしくは循環で通過させ、前記脱塩室には前記第二中間室をワンパスもしくは循環で通過させた液をワンパスもしくは循環で通過させる、
    ことを特徴とする電気透析方法。
  2. 取得すべき成分と除去すべき成分の両方を含む水溶液である原料液から電気透析法にて前記取得すべき成分を分離取得する電気透析方法であって、
    正極と負極との間に、前記正極側から、正極室に続けて、
    陽イオン交換膜である第1の陽イオン交換膜、中間室、陽イオン交換膜である第2の陽イオン交換膜、濃縮室、陰イオン交換膜、脱塩室の順に3膜3室を一組とする複数組を配置し、続けて陽イオン交換膜、負極室を配置した電気透析槽を用い、
    前記中間室には前記原料液をワンパスもしくは循環で通過させ、前記濃縮室には濃縮液を循環で通過させ、前記脱塩室には前記中間室をワンパスもしくは循環で通過させた液をワンパスもしくは循環で通過させる、
    ことを特徴とする電気透析方法。
  3. 取得すべき成分と除去すべき成分の両方を含む水溶液である原料液から電気透析法にて前記取得すべき成分を分離取得する電気透析方法であって、
    正極と負極との間に、前記正極側から、正極室、陽イオン交換膜、脱塩室に続けて、
    陽イオン交換膜、濃縮室、陰イオン交換膜である第1の陰イオン交換膜、中間室、陰イオン交換膜である第2の陰イオン交換膜、脱塩室の順に3膜3室を一組とする複数組を配置し、続けて陽イオン交換膜、負極室を配置した電気透析槽を用い、
    前記中間室には前記原料液をワンパスもしくは循環で通過させ、前記濃縮室には濃縮液を循環で通過させ、前記脱塩室には前記中間室をワンパスもしくは循環で通過させた液をワンパスもしくは循環で通過させる、
    ことを特徴とする電気透析方法。
  4. 前記陰イオン交換膜の一部もしくは全部が、一価陰イオン選択透過膜であり、
    前記陽イオン交換膜の一部もしくは全部が、一価陽イオン選択透過膜である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の電気透析方法。
  5. 前記原料液はpH4.0以上に調整されたものである、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の電気透析方法。
  6. 前記取得すべき成分がヨウ化物イオンである、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の電気透析方法。
  7. 前記原料液中のヨウ化物イオン濃度が、1,500mg/L以下であり、塩化物イオン濃度が、3,000mg/L以上である、請求項6に記載の電気透析方法。
  8. 前記原料液が、ヨウ素精製工程からの排水である、請求項6または7に記載の電気透析方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7284356B1 (ja) * 2023-01-06 2023-05-30 株式会社 東邦アーステック 陰イオンの分離方法

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