JP2023012306A - 車両の走行支援システム - Google Patents

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Abstract

【課題】乗員の負担を減らしつつ、乗員が走行環境の変化によらずに希望している走行支援を享受し続けることができるようにする。【解決手段】走行支援システム10は、車両1の低速走行中に車両の複数の車輪9への駆動力または制動力の分配を調整する制駆動分配制御モードにより走行支援可能であるとともにオートクルーズ制御モードにより走行支援可能な走行支援制御部13と、乗員の操作部18と、操作部18において選択操作された走行支援の設定情報を走行支援制御部13へ出力する走行支援設定部23と、を有する。走行支援設定部23は、制駆動分配機能を選択する操作がなされた後においては、車両1の速度が、走行支援制御部13が制駆動分配機能による走行支援を自動解除する自動解除速度以上となりさらに自動解除速度より低い自動復帰速度以下になった場合には、自動的に制駆動分配機能の設定情報を走行支援制御部13へ出力する。【選択図】図10

Description

本発明は、車両の走行支援システムに関する。
特許文献1は、自動車の走行支援機能として、オートクルーズ走行支援機能を開示する。
特許文献2は、自動車の走行支援機能として、悪路走行支援機能を開示する。悪路走行支援機能では、自動車の複数の車輪への駆動力または制動力の分配を調整する制駆動支援を実行する。
特開2020-168915号公報 特開2016-013762号公報
ところで、従来のオートクルーズ走行支援機能は、低い速度ではその制御がキャンセルされるものであったが、近年は、0キロメール毎時となる速度を含む全車速対応のものへと進化してきている。この場合、オートクルーズ走行支援により走行可能な速度範囲が、悪路走行のための制駆動分配制御により走行可能な速度範囲と重なるようになってきている。これら複数の走行支援機能は、基本的に、同時に機能することが可能ではあるが、同時に機能してしまうと各々の制御において想定外の走行支援状態が生じ得る可能性が残る。
このため、総合的な安全性や安全性を優先しようとする場合、これらが同時に機能しないようにすることが一つの方向性になる。この場合、走行支援機能は、たとえば、制駆動分配機能を自動的にキャンセルできるようにしたり、制駆動分配機能による走行支援がキャンセルされる速度より高い速度域においてオートクルーズ走行支援を選択操作により設定できるようにしたり、することになる。
しかしながら、このようにたとえば所定の速度になることに基づいて制駆動分配機能を自動的にキャンセルしてしまうと、走行環境の変化に応じて適切な走行支援を受け続けようとするためには、乗員の操作負担が大きくなる可能性がある。走行環境が変わるたびに、ボタンを操作することは、乗員にとって負担である。たとえば、車両が、速度を落として走行する必要がある悪路と、高い速度で走行可能な舗装路とが断続的に繰り返している道路を走行している場合に、乗員は、舗装路を高速で走行する度に自動的に解除されてしまう制駆動分配制御モードの選択操作を、速度を落として悪路などを走行する度に操作部に対してする必要がある。
このように車両では、乗員の負担を減らしつつ、乗員が、走行環境の変化によらずに、希望している走行支援を享受し続けることができるようにすることが求められている。
本発明の一形態に係る車両の走行支援システムは、車両の走行を、低速走行中に前記車両の複数の車輪への駆動力の分配または制動力の分配を調整する制駆動分配制御モードにより走行支援可能であるとともに全車速対応のオートクルーズ制御モードにより走行支援可能な走行支援制御部と、前記車両の乗員が操作する操作部と、前記操作部において選択操作された走行支援の設定情報を前記走行支援制御部へ出力する走行支援設定部と、を有し、前記走行支援設定部は、前記操作部において前記制駆動分配機能を選択する操作がなされた後においては、前記車両の速度が、前記走行支援制御部が前記制駆動分配機能による走行支援を自動解除する自動解除速度以上となりさらに前記自動解除速度より低い自動復帰速度以下になった場合には、前記操作部における選択操作によらずに自動的に前記制駆動分配機能の設定情報を前記走行支援制御部へ出力する。
好適には、前記操作部において前記制駆動分配機能を選択する操作がなされた場合に、前記車両の速度が、前記走行支援制御部が前記制駆動分配機能による走行支援を解除する自動解除速度以上になった状態においても、前記制駆動分配機能の自動復帰情報を記録するメモリ、を有し、前記走行支援設定部は、前記車両の速度が自動解除速度以上になった後に前記自動復帰速度以下となる場合に前記メモリに前記制駆動分配機能の自動復帰情報が記録されているときには、前記操作部における選択操作によらずに自動的に前記制駆動分配機能の設定情報を前記走行支援制御部へ出力する、とよい。
好適には、前記走行支援設定部は、前記操作部において前記制駆動分配機能を選択する操作がなされた後に前記オートクルーズ機能を選択する操作がなされた場合、前記車両の速度が前記自動解除速度以上になった状態においても前記メモリに記録されている前記制駆動分配機能の自動復帰情報を、前記メモリから削除し、前記オートクルーズ機能の設定情報を前記走行支援制御部へ出力する、とよい。
好適には、前記走行支援設定部は、前記操作部において前記オートクルーズ機能を選択する操作がなされた後に前記車両の速度が低受付速度以下である状態で前記制駆動分配機能を選択する操作がなされた場合、前記オートクルーズ機能の解除情報を前記走行支援制御部へ出力し、前記制駆動分配機能の設定情報を前記走行支援制御部へ出力する、とよい。
本発明では、走行支援制御部は、乗員が操作部に対して制駆動分配機能の選択操作を1回するだけで、その後での走行速度の増減状態にかかわらず、自動復帰速度以下となる低速走行中においては制駆動分配機能による車両の走行支援を繰り返すことができる。
乗員は、車両の速度を落として悪路などを走行する度に、操作部に対して制駆動分配機能の選択操作をすることなく、車両の速度を落として悪路などを走行する度に、制駆動分配機能による走行支援を享受できる。たとえば、車両が、速度を落として走行する必要がある悪路と、高い速度で走行可能な舗装路とが断続的に繰り返している道路を走行している場合に、乗員は、舗装路を高速で走行する度に自動的に解除されてしまう制駆動分配機能の選択操作を、速度を落として悪路などを走行する度に操作部に対してする必要が無くなる。このように、本発明では、車両が舗装路の道路を走行している通常とは異なる特殊な走行環境を走行している場合であっても、乗員に対して過大な操作負荷をかけないようにすることができる。
本発明では、乗員の負担を減らしつつ、乗員が、走行環境の変化によらずに、希望している走行支援を享受し続けることができるようになる。
図1は、本発明の実施形態に係る走行支援システムが適用される自動車の説明図である。 図2は、図1の自動車において走行支援システムとして機能する制御系の説明図である。 図3は、図1の自動車において駆動系の制御を切り換える複数の駆動系制御モードの説明図である。 図4は、図1の自動車においてオートクルーズ制御モードの説明図である。 図5は、図2の自動車の走行支援設定装置による、複数の車輪への駆動力の分配および制動力の分配を調整するXモード設定制御のフローチャートである。 図6は、図2の自動車の走行支援設定装置による、Xモード自動解除制御のフローチャートである。 図7は、図2の自動車の走行支援設定装置による、Xモード自動復帰制御のフローチャートである。 図8は、図2の自動車の走行支援設定装置による、オートクルーズ制御設定制御のフローチャートである。 図9は、図2の自動車の走行支援設定装置による走行支援設定の一例の遷移図である。 図10は、図2の自動車における走行支援状態の変化例の説明図である。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る走行支援システムが適用される自動車1の説明図である。
図1には、自動車1の模式的な側面図が示されている。
自動車1は、車両の一例である。図1の自動車1は、車体2を有する。車体2には、車室3と、前後に分けられた複数の車輪9と、が設けられる。車室3には、自動車1に乗るドライバなどの乗員が着座する複数列のシート4が設けられる。車室3において前列のシート4の前となる前部には、自動車1の車体2の車幅方向へ延在するダッシュボード5が設けられる。ダッシュボード5についてのドライバが着座するシート4の前側の部分には、たとえば、ステアリングホイール6、メータパネル装置7、が設けられる。メータパネル装置7は、液晶デバイスを有し、走行する自動車1の現在の速度などを表示する。
ドライバは、自動車1の周囲やメータパネル装置7に表示される情報を確認しながら、ステアリングホイール6、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、各種の操作ボタンなどを操作して、自動車1の走行を操作する。
図2は、図1の自動車1において走行支援システムとして機能する制御系10の説明図である。
図2の制御系10は、走行支援設定装置11、センサ装置12、走行支援制御装置13、駆動制御装置14、制動制御装置15、操舵制御装置16、および、これらが接続される車内ネットワーク17、を有する。
車内ネットワーク17は、自動車1のためのたとえばCAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)に準拠した有線の通信ネットワークでよい。車内ネットワーク17は、LANなどの通信用ネットワークでも、これらを組み合わせたものであってもよい。車内ネットワーク17の一部には、無線方式の通信ネットワークが含まれてもよい。車内ネットワーク17に接続される各種の装置は、車内ネットワーク17を通じて、相互にデータを送受する。車内ネットワーク17において送受されるデータは、たとえば暗号化されて、送信元ID、送信先ID、を付加されたパケットデータとして、車内ネットワーク17を通じて送受されてよい。
センサ装置12には、自動車1に設けられる各種のセンサが接続される。図1には、センサ装置12に接続されるセンサの例として、速度センサ41、車外カメラ42、が示されている。速度センサ41は、自動車1の現在の速度を検出する。車外カメラ42は、自動車1の車体2の周囲、たとえば自動車1の前方を撮像する。センサ装置12は、接続されている各種のセンサの動作を制御し、各種のセンサから検出情報を得る。また、センサ装置12は、各種のセンサから検出情報に基づいて、付加情報を生成してよい。たとえばセンサ装置12は、車外カメラ42の撮像画像について車外物の推定処理を実行し、車外物についての相対的な方向および距離を含む情報を生成してよい。センサ装置12は、各種のセンサから取得する検出情報および生成情報を、車内ネットワーク17へ出力する。
駆動制御装置14には、自動車1を走行させるための動力源43、駆動力分配機構44、などが接続される。動力源43は、ガソリンやエタノールを燃焼する内燃機関、蓄電電力などを用いる電気モータ、水素を用いる動力源、または、これらを組み合わせたハイブリットの動力源、でよい。駆動力分配機構44は、動力源43により生成される駆動力を、自動車1の車輪9に伝達する。駆動力分配機構44は、いわゆるトランスミッション、シャフト、デフ、などを備えてよい。本実施形態の自動車1は、いわゆる4WD方式の駆動機構を有し、4つの車輪9のすべてが個別の駆動力により回転可能である。駆動力分配機構44は、設定とスリップなどの走行状況とに基づいて、この4つの車輪9の各々へ分配する駆動力を調整してよい。駆動制御装置14は、接続されている動力源43、駆動力分配機構44の動作を制御して、4つすべての車輪9に作用させる駆動力を個別に調整できる。駆動制御装置14は、基本的にアクセルペダルの操作量に応じて増減する駆動力を、4つの車輪9へのバランスを図って、4つの車輪9へ作用させてよい。
制動制御装置15には、自動車1を減速停止させるための制動力発生部材45、制動力分配機構46、などが接続される。制動力発生部材45は、たとえば油圧発生装置でよい。油圧発生装置は、動力源43が発生する駆動力の一部により、油圧を発生するものでよい。制動力分配機構46は、制動力発生部材45により生成される制動力を、自動車1の4つすべての車輪9に伝達する。制動力分配機構46は、油圧分配部材、複数の圧力調整弁、を備えてよい。制動力分配機構46は、設定とスリップなどの走行状況とに基づいて、4つの車輪9の各々に生じさせる制動力を調整してよい。制動制御装置15は、接続されている制動力発生部材45、制動力分配機構46の動作を制御して、4つすべての車輪9に生じさせる制動力を個別に調整できる。制動制御装置15は、基本的にブレーキペダルの操作量に応じて増減する制動力を、4つの車輪9へのバランスを調整して、4つの車輪9へ作用させてよい。
操舵制御装置16は、自動車1の進行方向を切り換えるための制御を実行する。操舵制御装置16は、基本的にステアリングホイール6の操舵量に応じて、自動車1の進行方向を切り換えるための制御量を増減してよい。操舵制御装置16は、前側の2つの車輪9の向きのみを制御しても、前側および後側の4つすべての車輪9の向きを制御してもよい。
走行支援制御装置13は、自動車1の走行支援を実行する。走行支援制御装置13は、ドライバの運転操作に基づいて、操作に係る操作量を調整する運転支援を実行するものでも、ドライバの運転操作の有無によらずに自律的に操作量を生成して運転支援を実行するものでも、よい。ドライバの運転操作が無い状態において、走行支援制御装置13が、自動車1の走行を制御するための駆動の操作量、制動の操作量、および、操舵の操作量を生成する場合、その運転支援は自動運転となり得る。運転支援を実行する走行支援制御装置13は、調整した操作量または生成した操作量を、駆動制御装置14、制動制御装置15、および操舵制御装置16へ出力する。走行支援制御装置13は、自動車1の走行を、たとえば低速走行中に自動車1の複数の車輪9への駆動力の分配または制動力の分配を調整する制駆動分配制御モードにより走行支援可能であるとともに、全車速対応のオートクルーズ制御モードにより走行支援可能である。
走行支援設定装置11は、走行支援制御装置13が実行する自動車1の走行支援を、走行支援制御装置13に設定する。
走行支援設定装置11は、タイマ21、入出力部22、CPU23、メモリ24、および、これらが接続されるシステムバス25、を有する。なお、上述した他の装置も基本的に、タイマ、入出力部、CPU、メモリ、および、これらが接続されるシステムバス、を有してよい。
また、走行支援設定装置11には、駆動切替ボタン31、オートクルーズ制御ボタン(ACCボタン)32、を有する操作部18が接続される。操作部18は、車内ネットワーク17に接続されてもよい。操作部18は、自動車1のドライバなどの乗員により操作される。操作部18は、たとえばシステムバス25に接続されて、駆動切替ボタン31の操作、オートクルーズ制御ボタン32の操作に基づいて、それらの選択操作情報を走行支援設定装置11のCPU23へ出力してよい。
タイマ21は、時刻、時間を計測する。
入出力部22は、車内ネットワーク17に接続される。入出力部22は、車内ネットワーク17を通じて、他の装置の入出力部22との間でデータを入出力する。
メモリ24は、CPU23が実行するプログラム、および各種のデータを記録する。メモリ24は、不揮発性メモリ、揮発性メモリ、またはこれらの組み合わせでよい。不揮発性メモリには、たとえば、EEPROMやSSDなどのデータ保持機能を備える半導体メモリ、ハードディスクドライブ、がある。揮発性メモリには、たとえばRAMなどの半導体メモリがある。
なお、メモリ24は、後述するように、制駆動分配機能を選択する操作がなされた場合に、自動車1の速度が、走行支援制御装置13が制駆動分配機能による走行支援を解除する自動解除速度以上になった状態においても、制駆動分配機能の自動復帰情報を記録してよい。
CPU23は、メモリ24に記録されているプログラムを読み込んで実行する。これにより、CPU23は、走行支援設定装置11の制御部として機能する。
走行支援設定装置11の制御部としてのCPU23は、操作部18から新たな選択操作情報が入力されると、操作部18において選択操作された走行支援の設定情報を、走行支援制御装置13へ出力して設定する。設定情報には、走行支援制御装置13において走行支援を有効に設定する設定情報と、走行支援制御装置13において実行されている走行支援を無効に設定する解除情報と、があってよい。
そして、このような走行支援設定装置11は、たとえば図1のメータパネル装置7として自動車1に設けられてよい。
図3は、図1の自動車1において駆動系の制御を切り換える複数の駆動系制御モードの説明図である。
図3には、走行支援制御装置13による駆動系の制御を切り換える3つの制駆動分配制御モードとして、Xモード、Iモード、Sモード、が示されている。なお、自動車1の走行支援状態には、Xモード、Iモード、およびSモードのいずれも設定されていない、複数の車輪9への駆動力の分配および制動力の分配を調整しない走行状態が含まれる。
Iモードは、通常走行モードであり、舗装路での通常走行に適するように駆動力の特性や制動力の特性を、通常走行に適したものとする。このようにIモードでは、駆動力を制御する。ただし、Iモードでは、複数の車輪9への駆動力の分配および制動力の分配を切り換えない。
Sモードは、スポーツ走行モードであり、舗装路でのスポーツ走行に適するように駆動力の特性や制動力の特性を、通常走行に適したものとする。このようにSモード駆動力を制御する。ただし、Sモードでは、複数の車輪9への駆動力の分配および制動力の分配を切り換えない。
Xモードは、悪路走行モードであり、複数の車輪9への駆動力の分配および制動力の分配を、舗装路ではない悪路や、濡れた舗装路、積雪や泥が被った舗装路に適するように調整する。このようにXモードでは、IモードまたはSモードと異なり、制駆動分配制御モードである。Xモードでは、走行支援制御装置13は、Iモードと比べて、たとえばスリップが大きい車輪9への駆動力を、スリップが小さい車輪9へ分配するように、複数の車輪9への駆動力の分配を調整する。また、走行支援制御装置13は、過大なスリップを生じないように、また、低速走行を維持するように、複数の車輪9への駆動力を調整する。また、走行支援制御装置13は、傾きが大きい傾斜面を下る場合には制動制御を実行して、車速を低く一定に保つように、複数の車輪9への制動力を調整する。走行支援制御装置13は、Xモードが設定されると、低速走行中において自動車1の複数の車輪9への駆動力の分配または制動力の分配を調整するように、自動車1の走行を支援する制御を実行することが可能になる。
図4は、図1の自動車1においてオートクルーズ制御モードの説明図である。
図4のオートクルーズ制御モードの制御は、たとえば、設定速度内での前車追従速度制御、レーンキープ制御、車線変更制御、により構成される。
前車追従速度制御では、走行支援制御装置13は、車外カメラ42の撮像画像に基づいて推定される前車との間に車速に応じた車間距離を維持するように、自動車1の車速の増減制御を実行する。自動車1の車速が設定速度に到達すると、走行支援制御装置13は、それ以上には加速させないように、自動車1の減速制御を実行する。
レーンキープ制御では、走行支援制御装置13は、車外カメラ42の撮像画像に基づいて推定される自車の走行レーンでの走行を維持するように、自動車1の操舵制御を実行する。走行支援制御装置13は、自動車1の操舵制御とともに、自動車1の車速の増減制御を併せて実行してもよい。
車線変更制御では、走行支援制御装置13は、車外カメラ42の撮像画像に基づいて推定される自車の隣接レーンへ車線変更するように、自動車1の走行を制御する。
走行支援制御装置13は、これらの走行支援制御を組み合わせた協働制御を実行することにより、基本的に自動車1が走行する車線を維持して前車に追従して走行するように制御できる。また、走行支援制御装置13は、車線変更が可能である場合には、自動車1が走行する車線を変更して、変更した車線において前車に追従して走行するように制御できる。
ところで、本実施形態のようなオートクルーズ制御では、基本的に車速についての制限がない。走行支援制御装置13は、0キロメール毎時となる速度を含む全車速において、オートクルーズ制御モードによる走行支援制御を実行することが可能である。
オートクルーズ走行支援により走行可能な速度範囲は、Xモードによる悪路走行のための制駆動支援により走行可能な速度範囲と重なる。
オートクルーズ制御と、Xモードによる悪路走行のための制駆動支援制御とは、基本的には、自動車1において同時に実行してもよい。しかしながら、これら複数の走行支援制御が同時に実行されてしまうと、各々の単独制御においては想定していない想定外の走行支援制御の状態が生じてしまう可能性が残る。現時点において自動車1の走行支援制御についての総合的な安全性や安全性を高めるためには、これら複数の走行支援制御が同時に実行されないようにすることが望まれる。
このため、走行支援設定装置11は、たとえば、制駆動支援機能による走行支援において車速が自動解除速度を超えると制駆動支援機能による走行支援を自動的にキャンセルするとともに、制駆動支援機能がキャンセルされる自動解除速度より高い速度域においてオートクルーズ走行支援を有効化するためのオートクルーズ制御ボタン32の操作を受け付けるようにしている。
また、走行支援設定装置11は、オートクルーズ走行支援が無効化されている状態において、制駆動支援を有効化するための駆動切替ボタン31の操作を受け付ける。
これにより、走行支援設定装置11は、走行支援制御装置13において制駆動分配制御モードとオートクルーズ制御モードとが同時に有効に設定されて実行されることがないようにできる。
しかしながら、このように制駆動分配制御モードとオートクルーズ制御モードとの中の一方が無効化されている状態においてのみ他方を有効化できるように各々を有効化するための操作の受付を制限すると、ドライバが運転支援を享受し続けて走行を維持しようとする場合での操作負担がとても大きくなる。
たとえば一方の走行支援制御を実行している状態において他方の走行支援制御を実行させようとする場合、ドライバは、使用中の一方の走行支援制御を無効化する操作をし、さらに新たに使用したい他方の走行支援制御を有効化する操作を行う必要がある。
この他にもたとえば、自動車1が速度を落として走行する必要がある悪路と高い速度で走行可能な舗装路とが断続的に繰り返される道路を走行している場合、ドライバは、舗装路を高速で走行する度に自動的に解除されてしまうXモード(制駆動支援制御)の選択操作を、速度を落として悪路などを走行しようとする度に繰り返して行う必要がある。
このように走行支援機能としてXモードといった制駆動支援機能とオートクルーズ走行支援機能を利用可能な自動車1では、走行環境が変化しても適切な走行支援を継続的に享受し続けようとする際の、ドライバの設定操作の負担を減らすことが求められる。
図5は、図2の自動車1の走行支援設定装置11による、複数の車輪9への駆動力の分配および制動力の分配を調整するXモード設定制御のフローチャートである。
走行支援設定装置11のCPU23は、図5の処理を繰り返し実行する。
ステップST1において、CPU23は、ドライバなど乗員による駆動切替ボタン31の選択操作があったか否かを判断する。駆動切替ボタン31は、たとえばXモード、Iモード、Sモード、または制駆動解除を択一的に選択するように操作可能なロータリ式ボタンでよい。CPU23は、操作部18から駆動切替ボタン31の選択操作情報が入力されると、駆動切替ボタン31の選択操作があったと判断し、処理をステップST2へ進める。操作部18から駆動切替ボタン31の選択操作情報が入力されていない場合、CPU23は、本処理を繰り返す。
ステップST2において、CPU23は、自動車1の車速が、Xモードを操作するための駆動切替ボタン31の選択操作を受け付け可能な低受付速度以下であるか否かを判断する。CPU23は、速度センサ41から、最新の車速を取得する。CPU23は、取得した最新の車速と、低受付速度とを比較する。低受付速度は、たとえばXモードによる走行域の上限速度と同じでよい。Xモードによる走行域の上限速度は、たとえば20km/h、30km/hでよい。これにより、CPU23は、走行支援設定装置11として、自動車1の速度が低受付速度以下である場合に、操作部18におけるXモードのための選択操作を受け付ける。自動車1の車速が低受付速度以下である場合、CPU23は、処理をステップST3へ進める。自動車1の車速が低受付速度以下でない場合、CPU23は、処理をステップST1へ戻す。
ステップST3において、CPU23は、操作部18における駆動切替ボタン31の設定操作が、Xモードを設定するための選択操作であるか否かを判断する。Xモードを設定するための選択操作である場合、CPU23は、処理をステップST4へ進める。Xモードを設定するための選択操作でない場合、たとえばXモード以外のモードを設定するための選択操作であってその新たなモードのためにXモードを解除する選択操作である場合、CPU23は、処理をステップST7へ進める。
ステップST4において、CPU23は、オートクルーズ制御の設定中であるか否かを判断する。CPU23は、メモリ24から、現在の設定状態の情報を取得してよい。オートクルーズ制御が設定中である場合、CPU23は、処理をステップST5へ進める。オートクルーズ制御の設定中でない場合、CPU23は、ステップST5の処理を飛ばして、処理をステップST6へ進める。
ステップST5において、CPU23は、オートクルーズ制御を解除する処理を実行する。CPU23は、オートクルーズ制御の解除情報を、走行支援制御装置13へ出力する。走行支援制御装置13は、オートクルーズ制御を終了する。
ステップST6において、CPU23は、Xモードを設定する処理を実行する。CPU23は、Xモードの設定情報を、走行支援制御装置13へ出力する。走行支援制御装置13は、Xモードによる制駆動支援制御を開始する。その後、CPU23は、本制御を終了する。
ステップST7において、CPU23は、Xモードの設定を解除する。CPU23は、Xモードの解除情報を、走行支援制御装置13へ出力する。走行支援制御装置13は、それまでに実行していたXモードによる制駆動支援制御を終了する。その後、CPU23は、本制御を終了する。
このようにCPU23は、自動車1の速度が低受付速度以下である場合に、駆動切替ボタン31の選択操作による制駆動分配機能の選択操作を受け付けることができる。
図6は、図2の自動車1の走行支援設定装置11による、Xモード自動解除制御のフローチャートである。
走行支援設定装置11のCPU23は、走行支援制御装置13によるXモードでの制駆動支援制御を自動的に解除するために、図6の処理を繰り返し実行する。
なお、CPU23は、図6と同様の処理により、Xモード以外の駆動系制御モード、たとえばIモードまたはSモードについても自動的に解除してもよい。
ステップST21において、CPU23は、自動車1の車速が、Xモードを解除する自動解除速度以上であるか否かを判断する。CPU23は、速度センサ41から、最新の車速を取得する。CPU23は、取得した最新の車速と、自動解除速度とを比較する。自動解除速度は、たとえばXモードによる走行域の上限速度でよい。Xモードによる走行域の上限速度は、たとえば20km/h、30km/hでよい。自動車1の車速が自動解除速度以上である場合、CPU23は、処理をステップST23へ進める。自動車1の車速が自動解除速度以上ではない場合、CPU23は、本処理を繰り返す。
ステップST22において、CPU23は、Xモードが設定中であるか否かを判断する。CPU23は、メモリ24から、走行支援制御装置13に最後に実行した走行支援の設定情報を取得し、Xモードが設定中であるか否かを判断してよい。Xモードが設定中である場合、CPU23は、処理をステップST23へ進める。Xモードが設定中でない場合、CPU23は、本制御を終了する。
ステップST23において、CPU23は、Xモードを解除する処理を実行する。CPU23は、Xモードの解除情報を、走行支援制御装置13へ出力する。走行支援制御装置13は、それまでに実行していたXモードによる制駆動支援制御を終了する。その後、CPU23は、処理をステップST24へ進める。
ステップST24において、CPU23は、自動解除したXモードについて、待機フラグを設定する。CPU23は、メモリ24に、Xモードの待機フラグをセットしてよい。待機フラグは、制駆動分配機能の自動復帰情報である。その後、CPU23は、本制御を終了する。
図7は、図2の自動車1の走行支援設定装置11による、Xモード自動復帰制御のフローチャートである。
走行支援設定装置11のCPU23は、Xモードでの制駆動支援制御を自動的に再設定して自動復帰させるために、図7の処理を繰り返し実行する。
なお、CPU23は、図7と同様の処理により、Xモード以外の自動的に解除した駆動系制御モード、たとえばIモードまたはSモードについても自動的に再設定して復帰させるようにしてもよい。
ステップST31において、CPU23は、自動車1の車速が、Xモードを再設定する自動復帰速度以下であるか否かを判断する。CPU23は、速度センサ41から、最新の車速を取得する。CPU23は、取得した最新の車速と、自動復帰速度とを比較する。自動復帰速度は、自動解除速度以下であればよく、たとえば自動解除速度と同様にXモードによる走行域の上限速度でよい。Xモードによる走行域の上限速度は、たとえば20km/h、30km/hでよい。自動車1の車速が自動復帰速度以下である場合、CPU23は、処理をステップST32へ進める。自動車1の車速が自動解除速度以下ではない場合、CPU23は、本処理を繰り返す。
ステップST32において、CPU23は、Xモードの待機フラグが設定中であるか否かを判断する。CPU23は、メモリ24から、Xモードの待機フラグを取得し、Xモードが待機中であるか否かを判断してよい。Xモードが待機中である場合、CPU23は、処理をステップST33へ進める。Xモードが待機中でない場合、CPU23は、本制御を終了する。
ステップST33において、CPU23は、Xモードを再設定する処理を実行する。CPU23は、Xモードの設定情報を、走行支援制御装置13へ出力する。走行支援制御装置13は、Xモードによる制駆動支援制御を開始する。その後、CPU23は、本制御を終了する。
このように走行支援設定装置11のCPU23は、走行支援設定装置11として、操作部18において制駆動分配制御モードとしてのXモードを選択する操作がなされた後においては、車速センサにより検出される自動車1の速度が、走行支援制御装置13がXモードによる走行支援を解除する自動解除速度以上になった後に自動復帰速度以下または自動解除速度以下になった場合には、操作部18における選択操作が無くとも新たにXモードの設定情報を走行支援制御装置13へ出力する。走行支援制御装置13は、車速が自動復帰速度以上または自動解除速度以上の速度から自動復帰速度以下または自動解除速度以下へ低下するたびに、解除されていたXモードが再設定されてXモードによる制駆動支援制御を実行できる。
また、メモリ24に、Xモードの待機フラグが記録されていない場合、CPU23は、Xモードの設定情報を走行支援制御装置13へ出力しない。走行支援制御装置13は、車速が自動復帰速度以下または自動解除速度以下へ低下しても、解除されていたXモードによる制駆動支援制御を実行しない。
図8は、図2の自動車1の走行支援設定装置11による、オートクルーズ制御設定制御(ACC設定制御)のフローチャートである。
走行支援設定装置11のCPU23は、走行支援制御装置13によるオートクルーズ制御を実行または停止させるために、図8の処理を繰り返し実行する。
ステップST41において、CPU23は、ドライバなど乗員によるオートクルーズ制御ボタン32の選択操作があったか否かを判断する。オートクルーズ制御ボタン32は、たとえば操作のたびに、オートクルーズ制御を有効と無効との間で切り替えるように操作可能なトグル式ボタンでよい。CPU23は、操作部18からオートクルーズ制御ボタン32の選択操作情報が入力されると、オートクルーズ制御ボタン32の選択操作があったと判断し、処理をステップST42へ進める。操作部18からオートクルーズ制御ボタン32の選択操作情報が入力されていない場合、CPU23は、本処理を繰り返す。
ステップST42において、CPU23は、オートクルーズ機能をオンにできる条件が成立しているか否かを判断する。たとえばXモードでの設定情報を走行支援制御装置13へ出力して自動車1がXモードの走行制御で走行している場合、基本的にはオートクルーズ機能をオンにできない。オートクルーズ機能をオンにできる条件が成立している場合、CPU23は、処理をステップST43へ進める。オートクルーズ機能をオンにできる条件が成立していない場合、CPU23は、処理をステップST41へ戻す。
ステップST43において、CPU23は、操作部18からのオートクルーズ制御ボタン32の選択操作が、オートクルーズ制御を設定するオン操作であるか否かを判断する。オートクルーズ制御ボタン32の選択操作情報が設定へ切り替えるものである場合、CPU23は、オートクルーズ制御ボタン32の選択操作がオートクルーズ制御を設定にするための操作であるとして、処理をステップST44へ進める。オートクルーズ制御ボタン32の選択操作情報が設定を解除するように切り替えるものである場合、CPU23は、オートクルーズ制御ボタン32の選択操作がオートクルーズ制御を解除にするための操作であるとして、処理をステップST47へ進める。
ステップST44において、CPU23は、Xモードの待機フラグが設定中であるか否かを判断する。CPU23は、メモリ24から、Xモードの待機フラグが設定中(セット)であるか否かを判断してよい。Xモードの待機フラグが設定中(セット)である場合、CPU23は、処理をステップST45へ進める。Xモードの待機フラグが設定中でない場合、CPU23は、処理をステップST46へ進める。
ステップST45において、CPU23は、Xモードの待機フラグの設定(セット)を解除する。CPU23は、メモリ24の待機フラグを、解除値で上書きしてよい。これにより、CPU23は、メモリ24に記録されている制駆動分配機能の自動復帰情報を、メモリ24から削除できる。
ステップST46において、CPU23は、オートクルーズ制御を設定する処理を実行する。CPU23は、オートクルーズ制御の設定情報を、走行支援制御装置13へ出力する。走行支援制御装置13は、オートクルーズ制御を開始する。その後、CPU23は、本制御を終了する。
ステップST47において、CPU23は、オートクルーズ制御を解除する処理を実行する。CPU23は、オートクルーズ制御の解除情報を、走行支援制御装置13へ出力する。走行支援制御装置13は、実行中のオートクルーズ制御を終了する。その後、CPU23は、本制御を終了する。
このように走行支援設定装置11のCPU23は、オートクルーズ機能をオンにできる条件が成立している場合に、操作部18におけるオートクルーズ制御の選択操作を受け付ける。
そして、操作部18において制駆動分配制御としてのXモードを選択する操作がなされた後にオートクルーズ制御を選択する操作がなされた場合、CPU23は、メモリ24に記録されているXモードの待機フラグを解除して、その後のXモードの自動復帰をキャンセルする。その上で、CPU23は、オートクルーズ制御の設定情報を走行支援制御装置13へ出力する。これにより、CPU23は、走行支援制御装置13において、制駆動分配制御モードと排他的にオートクルーズ制御を実行させる。
このようにXモードを選択する操作がなされた後にオートクルーズ制御を選択する操作がなされる場合、乗員は、今後の走行環境には悪路が存在しないと推定または判断している可能性が高い。走行支援制御装置13は、このような乗員の判断に対して良好に対応するように走行支援を継続して実行できる。走行支援制御装置13は、その後においてオートクルーズ制御の走行支援中に速度が低下しても、支援制御をオートクルーズ制御からXモードへ不用意に切り替えない。
図9は、図2の自動車1の走行支援設定装置11による走行支援設定の一例の遷移図である。
図9には、番号1から番号6までの6つの走行支援についての現状設定の例が横に並べられている。
第一の現状設定は、オートクルーズ制御モードがオフ、かつ、Xモードがオフ、である。そして、自動車1の速度は、低受付速度以下の低速である。
第二の現状設定は、オートクルーズ制御モードがオン、かつ、Xモードがオフ、である。そして、自動車1の速度は、低受付速度以下の低速である。
第三の現状設定は、オートクルーズ制御モードがオフ、かつ、Xモードがオン、である。そして、自動車1の速度は、低受付速度以下の低速である。
第四の現状設定は、オートクルーズ制御モードがオン、かつ、Xモードがオフ、である。そして、自動車1の速度は、高受付速度以上の高速である。高受付速度は、低受付速度より高い速度である。
第五の現状設定は、オートクルーズ制御モードがオフ、かつ、Xモードが待機状態(オフ)、である。そして、自動車1の速度は、高受付速度以上の高速である。
第六の現状設定は、オートクルーズ制御モードがオフ、かつ、Xモードがオフ、である。そして、自動車1の速度は、高受付速度以上の高速である。
このように走行支援設定装置11は、第一の現状設定から第六の現状設定の例にあるように、オートクルーズ制御モードと、Xモードとが、同時にオンとならないように設定を制御する。
また、図9の各行は、現状設定を変化させる操作または走行状態の変化の例である。
第一行では、自動車1の速度が、自動解除速度以上の高速へと変化する場合である。
この場合、第一の現状設定は、第六の設定状態へ変化する。加速により速度が増加しても、オートクルーズ制御モードはオフ(解除)に維持され、かつ、Xモードはオフに維持される。
第二の現状設定は、第四の設定状態へ変化する。加速により速度が増加しても、オートクルーズ制御モードはオン(設定)に維持され、かつ、Xモードはオフに維持される。
第三の現状設定は、第五の設定状態へ変化する。加速により速度が増加しても、オートクルーズ制御モードはオフに維持される。ただし、Xモードは、オンから待機状態(オフ)へ変化する。
このように、加速により自動車1の速度が高くなると、走行支援制御装置13によるXモードでの走行制御はオフになる。
なお、現状設定において既に高速である第四の現状設定から第六の現状設定では、各々の現状設定を維持する。
第二行では、自動車1の速度が、自動復帰速度以下の低速へと変化する場合である。
この場合、第四の現状設定は、第二の設定状態へ変化する。減速により速度が低下しても、オートクルーズ制御モードはオンに維持され、かつ、Xモードはオフに維持される。
第五の現状設定は、第三の設定状態へ変化する。減速により速度が低下しても、オートクルーズ制御モードはオフに維持され、かつ、Xモードは待機状態(オフ)からオンへ変化する。
第六の現状設定は、第一の設定状態へ変化する。減速により速度が低下しても、オートクルーズ制御モードはオフに維持され、かつ、Xモードはオフに維持される。
このように、減速により自動車1の速度が低くなると、それより前にXモードが待機状態(オフ)となっている場合には、Xモードがオン状態となる。
なお、現状設定において既に低速である第一の現状設定から第三の現状設定では、各々の現状設定を維持する。
第三行では、Xモードがオンとなるように駆動切替ボタン31が操作される場合である。
この場合、現状の速度が低いままである第一の現状設定および第二の現状設定は、第三の現状設定へ変化する。第三の現状設定は、第三の設定状態を維持する。
このように現状の速度が低受付速度以下において駆動切替ボタン31によりXモードがオン操作されると、オートクルーズ制御モードがオフとなり、Xモードがオンとなる。
なお、現状設定が高速である第四の現状設定から第六の現状設定では、Xモードのオン操作を無視して、各々の現状設定を維持する。
第四行では、オートクルーズ制御モードがオンとなるようにオートクルーズ制御ボタン32が操作される場合である。
この場合、現状の速度が高いままである第五の現状設定および第六の現状設定は、第四の現状設定へ変化する。第四の現状設定は、第四の設定状態を維持する。
このように現状の速度が高受付速度以上においてオートクルーズ制御ボタン32によりオートクルーズ制御モードがオン操作されると、Xモードの待機状態(オフ)が解除されて、オートクルーズ制御モードがオンとなる。
なお、現状設定が低速である第一の現状設定から第三の現状設定では、基本的にオートクルーズ制御モードのオン操作を無視して、各々の現状設定を維持してよい。
ただし、図9では、オートクルーズ制御モードがオフである第一の現状設定は、オートクルーズ制御モードがオンである第二の現状設定となる。この場合、オートクルーズ制御モードのオン操作により、オートクルーズ制御モードがオンとなる。
また、Xモードがオンである第三の現状設定は、オートクルーズ制御モードのオン操作を無視して、Xモードのオンを維持する。Xモードがすでに設定されている場合には、オートクルーズ制御モードのオン操作を無視して、Xモードのオンを維持する。
このように本実施形態においてCPU23は、基本的に、走行支援設定装置11として、自動車1の速度が低受付速度以下である場合に、操作部18におけるXモードの選択操作を受け付け、自動車1の速度が低受付速度より高い高受付速度以上である場合に、操作部18におけるオートクルーズ制御モードの選択操作を受け付ける。
図10は、図2の自動車1における走行支援状態の変化例の説明図である。
図10では、車速、選択操作、運転走行支援の内容を含む複数の走行支援状態が、上から下へ向けて時系列に並んでいる。
図10の上から一番目の第一走行支援状態において、自動車1は、速度0km/hで停車している。そして、運転走行支援の内容である、Xモードはオフ(解除)状態であり、オートクルーズ制御モードもオフ状態である。
その後、自動車1は走行を開始する。
第二走行支援状態において、自動車1は、速度15km/hで走行している。ドライバは、Xモードをオンにする選択操作を行う。これにより、Xモードはオフ状態からオン(設定)状態となり、オートクルーズ制御モードはオフ状態に維持される。
第三走行支援状態において、自動車1の速度は、40km/hに増加している。車速が高くなり、Xモードは、オン状態から自動復帰可能なオフ状態(待機状態)となる。オートクルーズ制御モードはオフに維持される。
第四走行支援状態において、自動車1の速度は、20km/hに減少している。車速が低くなり、Xモードは、ドライバの選択操作がないまま自動的に、再設定可能なオフ状態(待機状態)からオン状態となる。オートクルーズ制御モードはオフ状態に維持される。
第五走行支援状態において、自動車1の速度は、再び40km/hに増加している。車速が高くなり、Xモードは、オン状態から自動復帰可能なオフ状態(待機状態)となる。オートクルーズ制御モードはオフ状態に維持される。
第六走行支援状態において、自動車1の速度は、さらに80km/hに増加している。また、ドライバは、オートクルーズ走行支援をオンにする選択操作を行う。これにより、Xモードは、自動復帰がキャンセル(解除)されて、自動復帰可能なオフ状態(待機状態)から、単なるオフ状態となる。そして、オートクルーズ制御モードはオフ状態からオン状態となる。
第七走行支援状態において、自動車1の速度は、20km/hに減少している。車速が低くなっても、オートクルーズ制御モードはオン状態に維持される。Xモードは、自動復帰することなく、オフ状態に維持される。
第八走行支援状態において、自動車1の速度は、さらに15km/hに減少している。ドライバは、Xモードをオンにする選択操作を行う。これにより、オートクルーズ制御モードは、オン状態からオフ状態になってキャンセルされる。Xモードはオフ状態からオン状態となる。
このように操作部18においてXモードを選択する操作がなされ、さらにオートクルーズ制御モードを選択する操作がなされた後に、Xモードを選択する操作が再度なされた場合、CPU23は、走行支援設定装置11として図5の制御により、オートクルーズ制御モードの解除情報を走行支援制御装置13へ出力し、Xモードの設定情報を走行支援制御装置13へ出力できる。
以上のように、本実施形態では、走行支援制御装置13は、乗員が操作部18に対してXモード(制駆動分配機能)の選択操作を1回するだけで、その後での走行速度の増減状態にかかわらず、自動復帰速度以下となる低速走行中においてはXモードによる自動車1の走行支援を自動的に繰り返すことができる。
乗員は、自動車1の速度を落として悪路などを走行する度に、操作部18に対してXモードの選択操作を繰り返すことなく、Xモードによる走行支援を享受し続けることができる。たとえば、自動車1が、速度を落として走行する必要がある悪路と、高い速度で走行可能な舗装路とが断続的に繰り返している道路を走行している場合に、乗員は、舗装路を高速で走行する度に自動的に解除されてしまうXモードを、速度を落として悪路などを走行する度に操作部18に対して選択操作をする必要が無くなる。このように、本実施形態では、自動車1が舗装路の道路を走行し続けている通常のものとは異なる特殊な走行環境を走行している場合であっても、乗員に対して過大な操作負荷をかけないようにすることができる。
本発明では、乗員の負担を減らしつつ、乗員が、走行環境の変化によらずに、希望している走行支援を享受し続けることができるようになる。
このため、本実施形態では、たとえばXモード一時解除中のACCセット操作時には、ACC作動を優先させて、Xモードを車速が低下することにより自動復帰させないようにできる。
また、本実施形態では、車速低下中に再度XモードのON操作があれば、Xモード作動を優先させて、ACCをキャンセルできる。
以上の実施形態は、本発明に好適な実施形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
たとえば上述した実施形態では、自動車1の走行支援システムとしての制御系10において、走行支援設定装置11のCPU23が、図5から図8のすべての設定制御を実行している。
制御系10に設けられる他の装置12~16などは、走行支援設定装置11と同様に、車内ネットワークに接続される入出力部と、CPUと、を有する。これら他の装置12~16のCPUが、上述した走行支援設定装置11のCPU23の処理の一部またはすべてを実行してよい。複数のCPUが共働して、上述した走行支援設定装置11のCPU23の処理を分散して実行してよい。
上述した実施形態では、図3の複数の駆動系制御モードの中の、Xモードについてのみ、オートクルーズ制御モードとの排他的な設定、速度に応じたXモードの自動解除および自動復帰を実現している。
この他にもたとえば、図3のIモードまたはSモードにおいても、オートクルーズ制御モードとの排他的な設定、速度に応じたIモードまたはSモードの自動解除および自動復帰、を実現してもよい。特に、IモードまたはSモードが、図3の例とは異なり、複数の車輪9への駆動力の分配および制動力の分配を調整することを伴う制御モードである場合、オートクルーズ制御モードとの排他的な設定、速度に応じたIモードまたはSモードの自動解除および自動復帰、を実現するとよい。
1…自動車1(車両)、2…車体、3…車室、4…シート、5…ダッシュボード、6…ステアリングホイール、7…メータパネル装置、9…車輪、10…制御系(走行支援システム)、11…走行支援設定装置、12…センサ装置、13…走行支援制御装置、14…駆動制御装置、15…制動制御装置、16…操舵制御装置、17…車内ネットワーク、18…操作部、21…タイマ、22…入出力部、23…CPU、24…メモリ、25…システムバス、31…駆動切替ボタン、32…オートクルーズ制御ボタン、41…速度センサ、42…車外カメラ、43…動力源、44…駆動力分配機構、45…制動力発生部材、46…制動力分配機構


Claims (4)

  1. 車両の走行を、低速走行中に前記車両の複数の車輪への駆動力の分配または制動力の分配を調整する制駆動分配制御モードにより走行支援可能であるとともに全車速対応のオートクルーズ制御モードにより走行支援可能な走行支援制御部と、
    前記車両の乗員が操作する操作部と、
    前記操作部において選択操作された走行支援の設定情報を前記走行支援制御部へ出力する走行支援設定部と、
    を有し、
    前記走行支援設定部は、
    前記操作部において前記制駆動分配機能を選択する操作がなされた後においては、
    前記車両の速度が、前記走行支援制御部が前記制駆動分配機能による走行支援を自動解除する自動解除速度以上となりさらに前記自動解除速度より低い自動復帰速度以下になった場合には、前記操作部における選択操作によらずに自動的に前記制駆動分配機能の設定情報を前記走行支援制御部へ出力する、
    車両の走行支援システム。
  2. 前記操作部において前記制駆動分配機能を選択する操作がなされた場合に、前記車両の速度が、前記走行支援制御部が前記制駆動分配機能による走行支援を解除する自動解除速度以上になった状態においても、前記制駆動分配機能の自動復帰情報を記録するメモリ、を有し、
    前記走行支援設定部は、
    前記車両の速度が自動解除速度以上になった後に前記自動復帰速度以下となる場合に前記メモリに前記制駆動分配機能の自動復帰情報が記録されているときには、前記操作部における選択操作によらずに自動的に前記制駆動分配機能の設定情報を前記走行支援制御部へ出力する、
    請求項1記載の、車両の走行支援システム。
  3. 前記走行支援設定部は、
    前記操作部において前記制駆動分配機能を選択する操作がなされた後に前記オートクルーズ機能を選択する操作がなされた場合、
    前記車両の速度が前記自動解除速度以上になった状態においても前記メモリに記録されている前記制駆動分配機能の自動復帰情報を、前記メモリから削除し、
    前記オートクルーズ機能の設定情報を前記走行支援制御部へ出力する、
    請求項2記載の、車両の走行支援システム。
  4. 前記走行支援設定部は、
    前記操作部において前記オートクルーズ機能を選択する操作がなされた後に前記車両の速度が低受付速度以下である状態で前記制駆動分配機能を選択する操作がなされた場合、
    前記オートクルーズ機能の解除情報を前記走行支援制御部へ出力し、
    前記制駆動分配機能の設定情報を前記走行支援制御部へ出力する、
    請求項2または3記載の、車両の走行支援システム。
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