JP2023011601A - ミオスタチンに結合するフィブロネクチンベースの足場ドメインタンパク質の安定製剤 - Google Patents

ミオスタチンに結合するフィブロネクチンベースの足場ドメインタンパク質の安定製剤 Download PDF

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Abstract

【課題】ミオスタチンに結合する10Fn3ドメインを含む、筋肉消耗疾患および代謝障害を治療するための、皮下を含む様々な投与経路用安定液体製剤を提供する。【解決手段】(i)ミオスタチンに結合する10Fn3ドメインを含む少なくとも10mg/mLのポリペプチド;(ii)少なくとも5%の濃度の二糖;(iii)約20~約60mMの濃度のヒスチジン緩衝液;および(iv)薬学的に許容される水性担体を含み、製剤のpH範囲が約6.5~約7.8である、安定な医薬製剤を提供する。【選択図】なし

Description

この特許出願は、2017年5月3日に出願された米国仮特許出願第62/500,649号の利益を主張する。前述の仮出願の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、一般に、筋肉消耗疾患および代謝障害を治療するための治療用途で使用するための、凍結乾燥および液体製剤を含む、ミオスタチンに結合するフィブロネクチンベースの足場ドメインタンパク質を含む安定製剤に関する。
成長分化因子-8(GDF-8)としても知られるミオスタチンは、分泌型成長因子のトランスフォーミング成長因子-β(TGF-β)スーパーファミリーの一員である。ミオスタチンの発現は主に骨格筋と脂肪組織に限定されており、骨格筋の発達の負の調節因子であることが示されている(Lee LS、Immunol Endocr Metab Agents Med Chem. 2010;10:183-194)。遺伝的および薬理学的な両所見は、ミオスタチンがエネルギー代謝を調節していること、および、その阻害が肥満や糖尿病を含む代謝疾患の進行を大幅に減衰できることを示している。例えば、ミオスタチンヌルマウスは、同年齢の野生型マウスと比較した場合、体脂肪蓄積の減少を示す(McPherron&Lee、J. JCI 109:595,2002)。体脂肪のこの減少は、脂肪細胞の数およびサイズの減少の現れであり、脂肪生成ならびに筋形成におけるミオスタチンの重要な役割を暗示している。さらに、骨格筋量と筋力の増加は、体組成、エネルギー消費、グルコース恒常性およびインスリン要件にプラスの影響を与える代謝適応に関連している。
過去20年にわたり、組換えDNA技術により、かなりの数のタンパク質治療薬が発見された。例えば、インビトロおよびインビボでミオスタチン活性を効果的に阻害する抗ミオスタチンアドネクチンが記載されている(米国特許第8,933,199号;同第8,993,265号;同大8,853,154号;および同第9,493,546号)。これらの抗ミオスタチンアドネクチンは、筋肉消耗疾患、代謝障害および筋肉萎縮をもたらす状態を含む、ミオスタチン活性の阻害が有益である障害、疾患および状態の治療に有用である。
タンパク質薬物の最も従来的な送達経路は、他のほとんどの経路による生物学的利用能が乏しいこと、臨床投与中の制御が優れていること、および医薬品開発が速いことから、静脈内(IV)投与であった。筋肉消耗疾患や代謝障害など、頻繁かつ慢性的な投与を必要とする製品の場合、代替の皮下(SC)経路がより魅力的である。事前に充填した注射器および自動注入装置の技術と組み合わせると、SC送達により、家庭投与(home administration)および投与のコンプライアンスの改善が可能になる。
皮下送達を伴う治療では、少量(<1.5ml)で送達できるタンパク質製剤の開発が必要になることがよくある。凝集する傾向があるタンパク質の場合、安定した製剤を達成することは開発上の課題である。賦形剤の添加は凝集体の形成を防ぐことができるが、タンパク質の安定性を提供するために必要な賦形剤の数と濃度は、モル浸透圧濃度および/または粘度の増加につながり、皮下送達による少量の迅速な投与には適さない可能性がある。
タンパク質の溶解度を支配する原理は、小さな合成分子の場合よりも複雑であるため、タンパク質の溶解度の問題を克服するにはさまざまな戦略が必要である。操作上は、タンパク質の溶解度は、溶液が視覚的に透明なままである(すなわち、タンパク質の沈殿物、結晶、またはゲルを示さない)共溶質の存在下でのタンパク質の最大量によって説明できる。イオン強度、塩形態、pH、温度、および特定の賦形剤に対するタンパク質の溶解度の依存性は、Arakawaら、Theory of protein solubility, Methods of Enzymology, 114:49-77, 1985; Schein, Solubility as a function of protein structure and solvent components, BioTechnology 8(4):308-317, 1990; Jenkins, Three solutions of the protein solubility problem, Protein Science 7(2):376-382, 1998;その他により、バルク水表面張力および自己会合に対するタンパク質の水とイオンへの結合における変化によって機構的に説明されている。特定の賦形剤または塩へのタンパク質の結合は、タンパク質のコンホメーションの変化または自己相互作用に関与する特定のアミノ酸のマスキングを通じて、溶解性に影響する。タンパク質はまた、特定の塩、アミノ酸、および糖によって優先的に水和され(そしてよりコンパクトなコンホメーションとして安定化され)、溶解度が変化する。
二分子衝突を必要とする凝集は、タンパク質溶液での主要な分解経路であると予想される。凝集体形成に対する濃度の関係は、凝集体のサイズ並びに会合のメカニズムに依存する。タンパク質の凝集は、共有的会合(例えば、ジスルフィド結合)または非共有的会合(可逆的または不可逆的)という結果となる。非共有的会合による不可逆的な凝集は、一般にタンパク質の天然のコンホメーションを変化させる熱的、機械的、または化学的プロセスによって露出される疎水性領域を介して生じる。タンパク質の凝集は、タンパク質の活性、薬物動態、および例えば免疫原性により安全性に影響を与える可能性がある。
皮下送達に適した安定した製剤を得るためのタンパク質濃度および賦形剤の種類、数、および濃度の決定は、タンパク質のコンホメーションの不安定な性質や、それ自体と、表面と、および特定の溶質と相互作用する傾向があるため、経験的な課題のままである。例えば、野生型10Fn3は非常に安定で可溶性であるが、野生型の配列から4~31のオーダーの変異を含む10Fn3の標的結合変異体は、安定性および溶解性のばらつきが大きい。
従って、ミオスタチンを阻害するフィブロネクチンベースの分子を含む安定した医薬製剤は、筋肉量、筋力および/または代謝の増加から恩恵を受ける障害または状態(例えば、筋ジストロフィー、虚弱、廃用萎縮および悪液質)、筋肉消耗に関連する障害(例えば、腎疾患、心不全または心疾患、および肝疾患)、および代謝障害(例えば、II型糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満および変形性関節症)の治療および/または予防に必要である。
本発明は、ミオスタチン活性を阻害するある濃度のアドネクチン分子を含み、アドネクチン分子が安定で凝集体または粒子を形成しない医薬製剤を提供する。これらの製剤は、それを必要とする患者(例えば、筋肉消耗および代謝障害)の筋肉量、筋力および/または代謝を増加させるのに役立つ安全で便利な注射治療薬(例えば、週に1回、皮下)を表す。
一つの態様において、(i)ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含む少なくとも10mg/mLのポリペプチド;(ii)少なくとも5%の濃度の二糖;(iii)約20~約60mMの濃度のヒスチジン緩衝液;および(iv)薬学的に許容される水性担体を含み、pH範囲が約6.5~約7.8である安定な医薬製剤が提供される。
一実施形態では、製剤は、ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含むポリペプチドを含み、10Fn3ドメインのBC、DE、およびFGループの少なくとも1つのループはそれぞれ配列番号5、6および7の各BC、DE、およびFGループに対して0、1、2、または3個のアミノ酸置換を有する。一実施形態では、10Fn3ドメインのBC、DE、およびFGループの少なくとも1つは、それぞれ配列番号5、6および7のBC、DE、またはFGループからの1つのループに対して1つのアミノ酸置換を有する。一実施形態では、10Fn3ドメインは、それぞれ配列番号5、6および7の各BC、DE、またはFGループに対して1個のアミノ酸置換を有する。一実施形態では、10Fn3ドメインのBC、DE、およびFGループは、それぞれ配列番号5、6および7のアミノ酸配列を含む。
関連する実施形態では、10Fn3ドメインは、配列番号8、9または10の非BC、DE、およびFGループ領域と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む。別の関連する実施形態では、10Fn3ドメインは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。
特定の実施形態では、製剤中のポリペプチドはFc領域を含む。幾つかの実施形態では、FcはヒトIgGである。幾つかの実施形態では、FcはヒトIgG1である。特定の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号78または配列番号70と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む。一実施形態では、製剤中のポリペプチドは配列番号78を含む。一実施形態では、製剤中のポリペプチドは配列番号78からなる。特定の実施形態では、10Fn3ドメインを含むポリペプチドはダイマーである。
幾つかの実施形態では、ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含むポリペプチドの製剤中の濃度は、約10mg/mL~200mg/mLである。幾つかの実施形態では、製剤中のポリペプチド濃度は、約10mg/mL~約140mg/mL、または約10mg/mL~約85mg/mLである。他の実施形態では、製剤中のポリペプチドのタンパク質濃度は、約10.7mg/mL、21.4mg/mL、50mg/mLまたは71.4mg/mLである。
幾つかの実施形態では、二糖は、少なくとも5:1のタンパク質対糖の重量(w/w)比で存在する。幾つかの実施形態では、タンパク質:糖重量比は約5:1~10:1である。幾つかの実施形態では、タンパク質:糖比は約10:1である。幾つかの実施形態では、タンパク質:糖比は約6.75:1である。
幾つかの実施形態では、製剤は、約5%~約30%、約15%~約25%、または約20%~約25%の二糖を含む。幾つかの実施形態では、二糖の濃度は約150~約800mMまたは約300~約700mMである。幾つかの実施形態では、二糖の濃度は約600mMである。幾つかの実施形態では、二糖はトレハロースである。特定の実施形態では、二糖はトレハロース二水和物である。幾つかの実施形態では、二糖は、約600mMの濃度のトレハロース二水和物である。
幾つかの実施形態では、ヒスチジンは少なくとも20mMの濃度で製剤中に存在する。幾つかの実施形態では、ヒスチジンは約20mM~約40mMの濃度で存在する。幾つかの実施形態では、ヒスチジンは約20mMの濃度で存在する。幾つかの実施形態では、製剤中のヒスチジンの濃度は約25mMである。幾つかの実施形態では、ヒスチジンは約30mMの濃度で存在する。
幾つかの実施形態では、医薬製剤は、約0.01%~0.5%の濃度の界面活性剤をさらに含む。幾つかの実施形態では、界面活性剤はポリソルベートである。幾つかの実施形態では、界面活性剤はポリソルベート80である。一実施形態では、界面活性剤は0.02%PS80である。
幾つかの実施形態では、医薬製剤は、約0.01mM~0.1mMの濃度のキレート剤をさらに含む。許容できるキレート剤には、EDTA、DTPAおよびEGTAが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、キレート剤はDPTAである。一実施形態では、製剤は0.05mM DTPAを含む。
幾つかの実施形態では、製剤の粘度は約5~20cpsである。幾つかの実施形態では、製剤の粘度は約5~15cpsである。幾つかの実施形態では、製剤の粘度は約7~12cpsである。幾つかの実施形態では、製剤の粘度は約8cps未満である。
幾つかの実施形態では、医薬製剤は、約0.3mL~1mLの容積の単位剤形で提供される。幾つかの実施形態では、医薬製剤は、約0.3mL、0.4mL、0.5mL、0.6mL、0.7mL、0.8mL、0.9mLまたは1.0mLの容積の単位剤形で提供される。幾つかの実施形態では、製剤は0.7mLの単位剤形で提供される。
関連する実施形態では、単位剤形は5mg~200mgのタンパク質を含む。幾つかの実施形態では、単位投与量は、約5mg、7.5mg、10mg、15mg、20mg、35mg、45mg、50mg、90mgまたは180mgのタンパク質を含む。
幾つかの実施形態では、医薬製剤は、静脈内、筋肉内または皮下注射用に製剤される。
別の態様では、本発明は、上記の医薬製剤の有効量を投与することにより、対象のミオスタチン関連疾患または障害を減弱または阻害する方法を提供する。幾つかの実施形態では、ミオスタチン関連疾患または障害は、対象における筋肉の変性または消耗に関連している。幾つかの実施形態では、ミオスタチン関連疾患または障害は代謝障害である。
特定の実施形態では、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)、およびデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、並びに高齢者集団におけるサルコペニアやII型糖尿病などの高頻度状態を治療するために医薬製剤を用いる。特定の実施形態では、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を治療するために医薬製剤を用いる。
幾つかの実施形態では、対象はヒトである。特定の実施形態では、対象は21歳以下の小児患者である。特定の実施形態では、対象は、約6歳~12歳の小児患者である。
幾つかの実施形態では、ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含むポリペプチドは、約5mg~200mgの用量で投与される。幾つかの実施形態では、ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含むポリペプチドは、約5mg、7.5mg、10mg、15mg、20mg、35mg、45mg、50mg、90mgまたは180mgの用量で投与される。特定の実施形態において、ポリペプチドは、7.5、15、35、または50mgの用量で投与される。幾つかの実施形態では、製剤は毎週投与される。幾つかの実施形態では、対象は約45kg未満であり、約7.5mg~約35mgの用量を投与される。別の実施形態では、対象は約45kg超であり、約15mg~約50mgの用量を投与される。
関連する実施形態では、本発明は、上記の医薬製剤、および使用説明書を含むキットを提供する。
図1Aは、ミオスタチンに結合する二価ポリペプチドの構造を示す。図1Bは、二価分子の各ポリペプチドのアミノ酸配列を示し、Fc部分のアミノ酸配列は太字で、リンカーのアミノ酸は下線で、10Fn3ドメインのアミノ酸配列は斜体で示す。
図2は、糖濃度10%(左パネル)および20%(右パネル)で5℃にて長期間保存した製剤中の高分子種の割合を示すグラフである。
図3は、25℃にて糖類濃度10%で保存した(左上のパネル);25℃にて糖類濃度20%で保存した(右上のパネル);35℃にて糖類濃度10%で保存した(左下パネル);および35℃にて糖類濃度20%で保存した(右下のパネル)製剤中の高分子種の割合を示すグラフである。
図4は、様々な温度での様々な濃度のショ糖またはトレハロースを含む製剤の粘度を示すグラフである。
図5は、ショ糖またはトレハロースの存在下でpH6.5またはpH7.0で25℃および35℃で2週間保存した後の高分子種の割合を示すグラフである。
図6は、30mMヒスチジン、600mMトレハロース二水和物、0.05mM DTPA、0.02%PS80、pH7.1を含む製剤における粘度vsタンパク質濃度を示すグラフである。
I.定義
別に定義されない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の任意の方法および組成物を本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法および組成物を本明細書に記載する。
単数形の「a」、「an」、および「the」には、文脈からそうでないことが明確に示されていない限り、複数の参照が含まれる。
用語「約」は、特に所定の量または数に関して、プラスまたはマイナス10パーセント(±10%)以内(例えば、±5%)の偏差を包含することを意味する。
「安定な」製剤(formulation)または医薬品(drug product)は、その中の抗ミオスタチンアドネクチンが保存時にその物理的および化学的安定性および完全性を本質的に保持するものである。抗ミオスタチンアドネクチン分子製剤の安定性は、選択した期間の後、選択した温度で測定できる。例えば、凍結乾燥および保存後の凝集体形成の増加は、凍結乾燥抗ミオスタチンアドネクチン分子製剤の不安定性の指標である。凝集体の形成に加えて、貯蔵寿命中の元の透明度、色、および臭気の保持は、抗ミオスタチンアドネクチン分子溶液の安定性をモニターするために利用される指標である。HMW種はマルチマー(すなわち、テトラマー、ヘキサマーなど)であり、抗ミオスタチンアドネクチン分子のモノマーまたはダイマーよりも分子量が高い。典型的には、「安定な」医薬品は、製剤を2~8℃にて1年間保存したときに、高分子量種の割合(%HMW)の増加により測定される凝集の増加が約5%未満、好ましくは約3%未満であるものである。好ましくは、製造した医薬品は、約25%未満のHMW種、好ましくは約15%未満のHMW種、より好ましくは約10%未満のHMW種、最も好ましくは約5%未満のHMW種を含む。
医薬品、例えば抗ミオスタチンアドネクチンを含むタンパク質の「貯蔵寿命」は、分解が起こる前に製品が保存される時間の長さである。例えば、貯蔵寿命は、製品の0.1%、0.5%、1%、5%、または10%の分解時間として定義できる。
「凍結乾燥(lyophilized)」および「凍結乾燥(freeze-dried)」という用語は、本明細書で互換的に使用され、最初に凍結し、次に周囲圧力を下げて材料中の凍結水を昇華させることにより脱水される材料を指す。
「再構成された」製剤は、再構成された製剤に抗ミオスタチンアドネクチン分子が溶解するように、凍結乾燥製剤を水性担体に溶解することにより調製されたものである。再構成された製剤は、それを必要とする患者への静脈内投与(IV)または皮下(SC)投与に適している。
「等張性」製剤とは、ヒトの血液と本質的に同じモル浸透圧濃度を有する製剤である。等張製剤は一般に、約250~350mOsmol/Kg H2Oのモル浸透圧濃度を有する。「高張」という用語は、ヒトの血液の浸透圧を超える浸透圧を有する製剤を説明するために使用される。等張性は、例えば、蒸気圧または氷結型浸透圧計を使用して測定できる。
「緩衝剤」という用語は、水溶液に加えた場合に、酸またはアルカリを加えた際、または溶媒で希釈した際のpHの変動から溶液を保護することができる1つまたは複数の成分を指す。薬学的に許容される緩衝液には、ヒスチジン、TRISR(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、クエン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩などが含まれるが、これらに限定されない。
「pKa」という用語は、酸のイオン化(酸解離)定数(Ka)の負の対数(p)を指す。これは、緩衝液の酸と共役塩基の等しい濃度が存在するpH値(半分の酸分子がイオン化される)に等しくなる。緩衝剤のpが緩衝される溶液のpHと等しい場合、緩衝システムは最も効果的である。
「酸」は、水溶液中で水素イオンを生成する物質である。「薬学的に許容される酸」には、それらが製剤される濃度および様式で非毒性である無機酸および有機酸が含まれる。
「塩基」は、水溶液中でヒドロキシルイオンを生成する物質である。「薬学的に許容される塩基」には、それらが製剤される濃度および様式で非毒性である無機塩基および有機塩基が含まれる。
「防腐剤」は、細菌の作用を低下させる薬剤であり、本明細書の製剤に任意に添加することができる。防腐剤の添加は、例えば、複数回使用(複数回投与)製剤の製造を容易にし得る。可能な防腐剤の例には、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム(アルキル基が長鎖化合物である塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウムの混合物)、および塩化ベンゼトニウムが含まれる。他の種類の防腐剤には、フェノール、ブチルおよびベンジルアルコールなどの芳香族アルコール、メチルまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3ペンタノール、およびm-クレゾールが含まれる。
「界面活性剤」は、疎水性部分(例えば、アルキル鎖)と親水性部分(例えば、カルボキシル基やカルボキシレート基)の両方を含む表面活性分子である。本発明の製剤での使用に適した界面活性剤には、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20または80);ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188);ソルビタンエステルおよび誘導体;トリトン;ローレル硫酸ナトリウム;オクチルグリコシドナトリウム;ラウリル、ミリスチル、リノレイル、またはステアリルスルホベタジン;ラウリル、リノレイルまたはステアリルサルコシン;リノレイル、ミリスチル、またはセチルベタイン;ラウラミドプロピルコカミドプロピル、リノールアミドプロピル、ミリスタミドプロピル、パルミドプロピル、またはイソステアリンアミドプロピルベタイン(例えば、ラウロアミドプロピル);ミリスタミドプロピル、パルミドプロピル、またはイソステアリン酸アミドジメチルアミン;メチルココイルナトリウム、またはメチルオレイルタウリン酸二ナトリウム;およびMONAQUATTMシリーズ(Mona Industries, Inc., Paterson, N.J.)、ポリエチレングリコール、ポリプロピルグリコール、およびエチレンとプロピレングリコールのコポリマー(Pluronics、PF68など)が含まれるが、これらに限定されない。。
「原薬(drug substance)」は、最終医薬品の製剤化に利用される出発物質を指す。典型的な抗ミオスタチンアドネクチン原薬組成物は、10mg/mL~200mg/mLのタンパク質濃度、6.6~7.6のpH、および<5%の%HMW種を含む。
「製剤バルク溶液(formulated bulk solution)」は、凍結乾燥用のバイアルを充填する前の製剤化溶液、またはIVおよび/またはSC注射用の注射器を充填する前の製剤化溶液など、容器の充填前の最終製剤を指す。
「医薬品(drug product)」は、使用前に再構成できる容器に包装された最終製剤、例えば、凍結乾燥医薬品など;使用前にさらに希釈される最終製剤、例えば、液体医薬品など;またはそのまま使用される最終製剤、例えば、SC溶液医薬品などを指す。
本明細書で使用される「全長ミオスタチン」は、前記McPherronら(1997)に記載されている全長ポリペプチド配列、並びに対立遺伝子変異体および種間ホモログを含む関連する全長ポリペプチドを指す。「ミオスタチン」または「成熟ミオスタチン」という用語は、生物学的に活性な成熟ミオスタチンの断片、並びに対立遺伝子変異体、スプライス変異体、融合ペプチドおよびポリペプチドを含む関連ポリペプチドを指す。成熟C末端タンパク質は、ヒト、マウス、ニワトリ、ブタ、シチメンチョウ、およびラットを含む多くの種間で100%の配列同一性を持つことが報告されている(Leeら、PNAS 2001; 98:9306)。
ヒトプレプロミオスタチンの配列は以下のとおりである:
MQKLQLCVYIYLFMLIVAGPVDLNENSEQKENVEKEGLCNACTWRQNTKSSRIEAIKIQILSKLRLETAPNISKDVIRQLLPKAPPLRELIDQYDVQRDDSSDGSLEDDDYHATTETIITMPTESDFLMQVDGKPKCCFFKFSSKIQYNKVVKAQLWIYLRPVETPTTVFVQILRLIKPMKDGTRYTGIRSLKLDMNPGTGIWQSIDVKTVLQNWLKQPESNLGIEIKALDENGHDLAVTFPGPGEDGLNPFLEVKVTDTPKRSRRDFGLDCDEHSTESRCCRYPLTVDFEAFGWDWIIAPKRYKANYCSGECEFVFLQKYPHTHLVHQANPRGSAGPCCTPTKMSPINMLYFNGKEQIIYGKIPAMVVDRCGCS(配列番号1)
ヒトプロミオスタチンの配列は以下のとおりである:
NENSEQKENVEKEGLCNACTWRQNTKSSRIEAIKIQILSKLRLETAPNISKDVIRQLLPKAPPLRELIDQYDVQRDDSSDGSLEDDDYHATTETIITMPTESDFLMQVDGKPKCCFFKFSSKIQYNKVVKAQLWIYLRPVETPTTVFVQILRLIKPMKDGTRYTGIRSLKLDMNPGTGIWQSIDVKTVLQNWLKQPESNLGIEIKALDENGHDLAVTFPGPGEDGLNPFLEVKVTDTPKRSRRDFGLDCDEHSTESRCCRYPLTVDFEAFGWDWIIAPKRYKANYCSGECEFVFLQKYPHTHLVHQANPRGSAGPCCTPTKMSPINMLYFNGKEQIIYGKIPAMVVDRCGCS(配列番号2)
成熟ミオスタチンの配列(ヒト、ネズミ、ラット、ニワトリ、シチメンチョウ、イヌ、ウマ、およびブタで保存されている)は以下のとおりである:
DFGLDCDEHSTESRCCRYPLTVDFEAFGWDWIIAPKRYKANYCSGECEFVFLQKYPHTHLVHQANPRGSAGPCCTPTKMSPINMLYFNGKEQIIYGKIPAMVVDRCGCS(配列番号3)
本明細書で使用する「フィブロネクチンベースの足場(fibronectin based scaffold)」または「FBS」タンパク質または部分は、フィブロネクチンIII型(「Fn3」)リピートに基づくタンパク質または部分を指す。フィブロネクチンには18個のFn3リピートがあり、リピート間の配列相同性は低いものの、それらはすべて三次構造において高い類似性を共有している。概観には、Borkら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89(19):8990-8994(1992);Borkら、J. Mol. Biol., 242(4):309-320(1994);Campbellら、Structure, 2(5):333-337(1994);Harpezら、J. Mol. Biol., 238(4):528-539(1994)を参照。Fn3ドメインは小さく、モノマーで、可溶性で、安定している。それはジスルフィド結合を欠いているため、還元条件下で安定している。Fn3ドメインは、N末端からC末端へ順に、ベータまたはベータ様鎖、A;ループ、AB;ベータまたはベータ様鎖、B;ループ、BC;ベータまたはベータ様鎖、C;ループ、CD;ベータまたはベータ様鎖、D;ループ、DE;ベータまたはベータ様鎖、E;ループ、EF;ベータまたはベータ様鎖、F;ループ、FG;およびベータまたはベータ様鎖、G。7つの逆平行β鎖は、安定したコアを形成する2つのベータシートとして配置され、ベータまたはベータ様鎖を連結するループで構成される2つの「面」を形成する。ループAB、CD、およびEFは一方の面(「南極」)に配置され、ループBC、DE、およびFGは反対側の面(「北極」)に配置される。
アドネクチンは、10番目のヒトフィブロネクチンIII型ドメイン(10Fn3)に由来する、高親和性で特定の標的結合特性を持つ治療用FBSタンパク質のクラスである:
VSDVPRDLEVVAATPTSLLISWDAPAVTVRYYRITYGETGGNSPVQEFTVPGSKSTATISGLKPGVDYTITVYAVTGRGDSPASSKPISINYRT(配列番号4)(BC、DE、およびFGループには下線)
従って、本明細書で使用する「10Fn3ドメイン」または「10Fn3部分」または「10Fn3分子」は、野生型10Fn3およびその生物学的に活性な変異体、例えば標的タンパク質などの標的に特異的に結合する生物学的に活性な変異体を指す。
本明細書で使用される10Fn3ドメイン(または部分または分子)の「領域」は、ループ(AB、BC、CD、DE、EFおよびFG)、β鎖(A、B、C、D、E、FおよびG)、N末端(配列番号1のアミノ酸残基1~7に対応)、またはC末端(配列番号1のアミノ酸残基93~94に対応)を指す。
「足場領域(scaffold region)」は、ヒト10Fn3ドメインの非ループ領域を指す。足場領域には、A、B、C、D、E、FおよびGのβ鎖並びにN末端領域(配列番号1の残基1~7に対応するアミノ酸)およびC末端領域(配列番号1の残基93~94に対応するアミノ酸)が含まれる。
「抗ミオスタチンアドネクチン」という用語は、ミオスタチンに結合して拮抗するタンパク質分子を指し、ヒト野生型10Fn3ドメイン(配列番号1)に由来する少なくとも1つの10Fn3ドメインを含む。抗ミオスタチンアドネクチンは、追加のタンパク質ドメイン(例えば、Fcドメイン)をさらに含むことができ、ダイマー、テトラマーおよびヘキサマーなどのポリペプチドの多量体形態をも指す。
本明細書で使用される「ポリペプチド」は、長さ、翻訳後修飾、または機能に関係なく、2つまたはそれ以上のアミノ酸の任意の配列を指す。「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、本明細書では互換的に使用される。ポリペプチドには、天然アミノ酸および非天然アミノ酸、例えば、米国特許第6,559,126号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものが含まれ得る。ポリペプチドは、さまざまな標準的な化学的方法のいずれかで修飾することもできる(例えば、アミノ酸を保護基で修飾することができ;カルボキシ末端アミノ酸を末端アミド基にすることができ;アミノ末端残基を基で修飾して、例えば親油性を高めることができ;またはポリペプチドを化学的にグリコシル化するか、または他の修飾をして安定性または生体内半減期を増加させることができる)。ポリペプチド修飾は、環状化合物または他の分子などの別の構造のポリペプチドの付着を含むことができ、変更された配置(すなわち、RまたはS;またはLまたはD)の1つまたは複数のアミノ酸を含むポリペプチドを含むこともできる。本発明のペプチドは、ミオスタチンに結合するように修飾されたフィブロネクチンの第10のIII型ドメインに由来するタンパク質であり、本明細書では「抗ミオスタチンアドネクチン」または「ミオスタチンアドネクチン」と呼ばれる。
本明細書で使用される「ポリペプチド鎖」は、非共有相互作用またはジスルフィド結合ではなく、その各ドメインがペプチド結合によって他のドメインに結合しているポリペプチドを指す。
「単離された」ポリペプチドは、その自然環境の成分から同定および分離および/または回収されたものである。その自然環境の汚染成分は、ポリペプチドの診断用途または治療用途を妨げる材料であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性溶質が含まれる。好ましい実施形態において、ポリペプチドは、(1)ローリー法により決定されるポリペプチドの95重量%超、最も好ましくは99重量%超まで、(2)回転カップシーケネーター(a spinning cup sequenator)の使用によるN末端または内部アミノ酸配列の少なくとも残基を得るのに十分な程度まで、または(3)クーマシーブルーまたは、好ましくは銀染色を使用した還元または非還元条件下でのSDS-PAGEによる均一性まで精製される。ポリペプチドの自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、単離されたポリペプチドには、組換え細胞内のインサイツのポリペプチドが含まれる。しかしながら、通常、単離されたポリペプチドは、少なくとも1つの精製ステップにより調製される。
本明細書における「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、保存的置換を配列同一性の一部として考慮することなく、配列をアライメントさせ、必要に応じてギャップを導入して最大パーセント配列同一性を達成させた後、選択された配列内のアミノ酸残基と同一である候補配列内のアミノ酸残基の割合として定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定するためのアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、ALIGN-2またはMegalign(DNASTARTM)ソフトウェアなどの公的に利用可能なコンピューターソフトウェアを使用して、当業者の範囲内の様々な方法で達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するために必要なあらゆるアルゴリズムを含む、アライメントを測定するための適切なパラメーターを容易に決定することができる。例えば、所定のアミノ酸配列Bに対する所定のアミノ酸配列Aの%アミノ酸配列同一性(所定のアミノ酸配列Bに対する特定の%アミノ酸配列同一性を有するまたは含む所定のアミノ酸配列Aと表現することもできる)は、次のように計算される:分数X/Yの100倍(ここで、Xは、AとBのアラインメントの配列アラインメントプログラムALIGN-2において該プログラムによって同一の一致としてスコアされたアミノ酸残基の数であり、YはBのアミノ酸残基の総数である)。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、Bに対するAの%アミノ酸配列同一性は、Aに対するBの%アミノ酸配列同一性と等しくない。
本明細書で使用する「保存的置換」は、ペプチドの全体的なコンホメーションおよび機能を変更することなく、アミノ酸残基を別のものに置換することを意味し、同様の特性(例えば、極性、水素結合ポテンシャル、酸性、塩基性、形状、疎水性、芳香族性など)を有するアミノ酸によるアミノ酸の置換を含むがこれに限定されない。例示的な保存的置換には、Dayhoffら、Atlas of Protein Sequence and Structure, 5:345-352 (1978およびSupp.)で認められた点突然変異について定義された基準を満たすものが含まれる。保存的置換の例には、以下のグループ内の置換が含まれる:(a)バリン、グリシン;(b)グリシン、アラニン;(c)バリン、イソロイシン、ロイシン;(d)アスパラギン酸、グルタミン酸;(e)アスパラギン、グルタミン;(f)セリン、スレオニン;(g)リジン、アルギニン、メチオニン;および(h)フェニルアラニン、チロシン。「置換した」または「修飾した」により、本発明は、天然に存在するアミノ酸から変更または修飾されたアミノ酸を含む。そのようにして、本発明の文脈において、保存的置換は、類似の特性を有する別のアミノ酸での1つのアミノ酸の置換として当技術分野で認識されることを理解すべきである。
本明細書で使用される「アドネクチン結合部位」という用語は、特定のアドネクチンと相互作用または結合するタンパク質(例えばミオスタチン)の部位または部分を指す(例えば、エピトープが抗体によって認識されるように)。アドネクチン結合部位は、タンパク質の三次元フォールディングによって並置された連続アミノ酸または非連続アミノ酸から形成される。連続アミノ酸によって形成されるアドネクチン結合部位は、通常、変性溶媒にさらされても保持されるが、三次元フォールディングによって形成されるアドネクチン結合部位は、一般的に変性溶媒の処理によって失われる。
本明細書で互換的に使用される「特異的に結合する」、「特異的結合」、「選択的結合」、および「選択的に結合する」という用語は、ミオスタチンに対して親和性を示すが、スキャッチャード分析および/または競合結合アッセイ(例えば、競合ELISA、BIACOREアッセイ)などの(これに限定されるものではない)当技術分野で利用可能な技術により測定されるように、異なるポリペプチドには有意に結合しない(例えば、約10未満%)アドネクチンを指す。この用語は、例えば、本発明のアドネクチンの結合ドメインがミオスタチンに特異的である場合にも適用可能である。
本明細書で使用される「優先的に結合する」という用語は、スキャッチャード分析および/または競合結合アッセイ(例えば、競合ELISA、BIACOREアッセイ)などの(これに限定されるものではない)当技術分野で利用可能な技術により測定されるように、本発明のアドネクチンが、異なるポリペプチドに結合するよりも少なくとも約20%大きくミオスタチンに結合する状況を指す。
本明細書で使用される「交差反応性」という用語は、同一または非常に類似したアドネクチン結合部位を有する複数の異なるタンパク質に結合するアドネクチンを指す。
本明細書で使用される「KD」という用語は、表面プラズモン共鳴アッセイまたは細胞結合アッセイを用いて測定されるように、特定のアドネクチン-タンパク質(例えば、ミオスタチン)相互作用またはタンパク質(例えば、ミオスタチン)に対するアドネクチンの親和性の解離平衡定数を指す。本明細書で使用される「所望のKD」は、企図される目的に十分なアドネクチンのKDを指す。例えば、所望のKDは、インビトロアッセイ、例えば細胞ベースのルシフェラーゼアッセイにおいて機能的効果を誘発するのに必要なアドネクチンのKDDを指す。
本明細書で使用される「kass」という用語は、アドネクチンのアドネクチン/タンパク質複合体への会合の結合速度定数を指す。
本明細書で使用される「kdiss」という用語は、アドネクチン/タンパク質複合体からのアドネクチンの解離の解離速度定数を指す。
本明細書で使用する「IC50」という用語は、インビトロまたはインビボアッセイのいずれかで、最大阻害応答の50%のレベルまで、すなわち最大の抑制応答と未処理の応答の中間のレベルまで応答を阻害するアドネクチンの濃度を指す。
本明細書で使用される「ミオスタチン活性」という用語は、活性ミオスタチンタンパク質のActRIIbへの結合およびそれに続くAlk4またはAlk5の補充(recruitment)に関連する成長調節または形態形成活性の1つまたはそれ以上を指す。例えば、活性ミオスタチンは骨格筋量の負の調節因子である。活性ミオスタチンはまた、筋肉特異的酵素(例えば、クレアチンキナーゼ)の産生を調節し、筋芽細胞の増殖を刺激し、脂肪細胞への前脂肪細胞の分化を調節することができる。ミオスタチン活性は、本明細書に記載されているような当技術分野で認められている方法を使用して決定することができる。
「ミオスタチン活性を阻害する」または「ミオスタチン活性に拮抗する」または「ミオスタチンに拮抗する」という表現は、インビボまたはインビトロでミオスタチンの活性を中和または拮抗する本発明の抗ミオスタチンアドネクチンの能力を指すために互換的に使用される。本発明のアドネクチンの活性に関して本明細書で使用される「阻害する」または「中和する」という用語は、生物学的活性または特性、疾患または状態を含む(これらに限定されない)、抑制すべきものの例えば進行または重篤化を実質的に拮抗、禁止、防止、抑制、遅延、破壊、排除、停止、減少または逆転させる能力を意味する。阻害または中和は、好ましくは少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%またはそれ以上である。
例えば、医薬製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンは、脊椎動物の対象に通常見られる生物学的に活性なミオスタチンの循環レベルを低下させるか、ミオスタチンの循環レベルの上昇をもたらす障害を有する対象において生物学的に活性なミオスタチンの循環レベルを低下させる。ミオスタチン活性の低下は、本明細書に記載されるように、インビトロアッセイ、例えば、結合アッセイを使用して決定され得る。あるいは、ミオスタチン活性の低下は、体重の増加、筋肉量の増加、筋力の増加、脂肪に対する筋肉の比率の変化、無脂肪筋肉量の増加、筋肉細胞のサイズおよび/または数の増加、および/または体脂肪含有量の減少という結果になる。
「PK」という用語は「薬物動態」の頭字語であり、例として、対象による吸収、分布、代謝、および排泄を含む化合物の特性を包含する。本明細書で使用される「PK調節タンパク質」または「PK部分」は、生物学的に活性な分子と融合または一緒に投与されたときに、生物学的に活性な分子の薬物動態特性に影響を与えるタンパク質、ペプチド、または部分を指す。PK調節タンパク質またはPK部分の例には、PEG、ヒト血清アルブミン(HSA)結合剤(米国公開番号2005/0287153および2007/0003549、PCT公開番号WO2009/083804およびWO2009/133208に開示)、ヒト血清アルブミン、FcまたはFc断片およびその変異体、および糖(例えば、シアル酸)が含まれる。
アミノ酸配列または化合物の「半減期」は、一般に、例えば配列または化合物の分解および/または自然機構による配列または化合物のクリアランスまたは隔離のために、インビボでポリペプチドの血清濃度が50%減少するのにかかる時間として定義することができる。半減期は、薬物動態分析など、それ自体既知の任意の方法で決定できる。適切な技術は当業者には明らかであり、例えば一般に、本発明のアミノ酸配列または化合物の適切な用量を対象に適切に投与する工程;定期的に対象から血液試料その他の試料を収集する工程;前記血液試料中の本発明のアミノ酸配列または化合物のレベルまたは濃度を決定する工程;およびこうして得られたデータ(のプロット)から、本発明のアミノ酸配列または化合物のレベルまたは濃度が、投与時の初期レベルと比較して50%減少するまでの時間を計算する工程を含む。例えば、Kenneth, A.ら、Chemical Stability of Pharmaceuticals: A Handbook for PharmacistsおよびPetersら、Pharmacokinetic Analysis: A Practical Approach (1996) などの標準ハンドブックを参照。また、Gibaldi, M.ら、Pharmacokinetics, 2nd Rev. Edition, Marcel Dekker (1982)をも参照。
半減期は、t1/2-アルファ、t1/2-ベータ、HL_Lambda_z、曲線下面積(AUC)などのパラメーターを使用して表現できる。本明細書において「半減期の増加」とは、これらのパラメーターのいずれか1つ、これらのパラメーターのいずれか2つ、これらのパラメーターのいずれか3つ、またはこれらのパラメーターの4つすべての増加を指す。特に「半減期の増加」は、t1/2-アルファおよび/またはAUC、あるいはその両方の増加の有無にかかわらず、t1/2-ベータおよび/またはHL_Lambda_zの増加を指す。
「mpk」、「mg/kg」、または「kg per mg」という表記は、キログラムあたりのミリグラムを指す。すべての表記は、本開示を通して交換可能に使用される。
本明細書で互換的に使用される「個体」、「対象」、および「患者」の用語は、動物、好ましくはマウス、サル、ヒト、哺乳類の家畜(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ)、哺乳類のスポーツ動物(例えば、ウマ)、および哺乳類のペット(例えば、イヌやネコ)を含む(これらに限定されない)哺乳動物(非霊長類および霊長類を含む)種または鳥類種を指す。好ましくは、この用語はヒトを指す。この用語はまた、ニワトリや七面鳥を含む(これらに限定されない)鳥類種をも指す。特定の実施形態では、対象、好ましくは哺乳動物、好ましくはヒトは、ミオスタチンのレベルの低下またはミオスタチンの生物活性の低下から利益を受ける疾患または障害または状態をさらに特徴とする。別の実施形態において、対象、好ましくは哺乳動物、好ましくはヒトは、ミオスタチンのレベルの低下またはミオスタチンの生物活性の低下から利益を受ける障害、疾患または状態を発症するリスクがあることをさらに特徴とする。
「治療有効量」という用語は、対象に治療的利益を与えるのに必要な薬剤の少なくとも最小用量であるが毒性用量よりも少ない用量を指す。例えば、本発明の抗ミオスタチンアドネクチンの治療有効量は、哺乳動物、好ましくはヒトにおいて、以下のうちの1つまたはそれ以上をもたらす量である:筋肉量および/または筋肉の増加、体脂肪の減少、インスリン感受性の増加、またはミオスタチンの存在が望ましくない病理学的効果に寄与するかもしくはミオスタチンレベルの減少が有益な治療効果をもたらす状態の治療。
本明細書で使用される「虚弱な」または「虚弱」という用語は、脱力感、体重減少、運動性の低下、疲労、低活動レベル、持久力の低下、および感覚的手がかりに対する行動反応障害からの2つまたはそれ以上の症状によって特徴付けることのできる状態を指す。虚弱の1つの特徴は、「サルコペニア」、または加齢に伴う筋肉量の減少である。
本明細書で使用する「悪液質」という用語は、様々な疾患に起因する可能性のある筋肉消耗の加速および除脂肪体重の減少の状態を指す。
本発明の様々な態様を以下のサブセクションでさらに詳細に説明する。
II.ミオスタチン結合アドネクチン分子
本明細書で提供される製剤に使用できる抗ミオスタチンアドネクチン分子は、ヒトフィブロネクチンIII型ドメインの野生型第10モジュールに由来するFn3ドメイン(10Fn3)(配列番号1)を含む。
幾つかの実施形態では、医薬製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンは、それぞれ配列番号5、6および7に記載のBC、DE、およびFGループを含む。
幾つかの実施形態では、製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンは、それぞれ配列番号5、6および7に記載のBC、DE、およびFGループを含み、BCループは、例えば、抗ミオスタチンアドネクチンがミオスタチンへの結合を維持することを可能にする保存的アミノ酸置換などの1、2、または3個のアミノ酸置換を含む。
幾つかの実施形態では、製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンは、それぞれ配列番号5、6および7に記載のBC、DE、およびFGループを含み、10Fn3ドメインのBC、DE、およびFGループの少なくとも1つのループは、配列番号5、6および7のそれぞれのBC、DE、およびFGループに対して1つのアミノ酸置換を有する。
幾つかの実施形態では、製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンは、それぞれ配列番号5、6および7に記載のBC、DE、およびFGループを含み、10Fn3ドメインのBC、DE、およびFGループの1つのループは、配列番号5、6および7のそれぞれのBC、DE、およびFGループに対して1つのアミノ酸置換を有する。
幾つかの実施形態では、製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンは、それぞれ配列番号5、6および7に記載のBC、DE、およびFGループを含み、(i)BCループ(配列番号:5)の3位のセリンがA, C, D, F, H, I, K, L, N, Q, R, T, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(ii)BCループ(配列番号:5)の4位のロイシンがMまたはVから選択されるアミノ酸で置換されており;(iii)BCループ(配列番号:5)の5位のプロリンがA, C, D, E, I, K, L, M, N, Q, R, S, T, V,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(vi)BCループ(配列番号:5)の6位のヒスチジンがA, C, D, E, F, G, I, K, L, M, N, Q, R, S, T, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(vii)BCループ(配列番号:5)の7位のグルタミンがA, C, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, R, S, T, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(viii)BCループ(配列番号:5)の8位のグリシンがアミノ酸Sで置換されており;(ix)BCループ(配列番号:5)の9位のリジンがA, C, D, E, F, G, H, I, L, M, N, Q, R, S, T, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(x)BCループ(配列番号:5)の10位のアラニンがC, G, L, M, S,またはTよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;または(xi)BCループ(配列番号:5)の11位のアスパラギンがA, C, F, H, P, Q, R, S,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されている。
幾つかの実施形態では、製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンは、それぞれ配列番号5、6および7に記載のBC、DE、およびFGループを含み、(i)BCループ(配列番号:5)の3位のセリンがC, F, I, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(ii)BCループ(配列番号:6)の6位のヒスチジンがC, D, E, F, G, I, K, L, M, N, Q, R, S, T, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(iii)BCループ(配列番号:5)の9位のリジンがA, C, G, H, I, L, M, N, Q, R, S, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(iv)BCループ(配列番号:5)の10位のアラニンがG, L, M,またはSよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;または(v)BCループ(配列番号:5)の11位のアスパラギンがC, H, Q, S,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されている。
幾つかの実施形態では、製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンは、それぞれ配列番号5、6および7に記載のBC、DE、およびFGループを含み、(i)BCループ(配列番号:5)の3位のセリンがアミノ酸FまたはWで置換されており;(ii)BCループ(配列番号:5)の6位のヒスチジンがC, F, G, I, K, L, M, N, R, S, T, V, W,またはYよりなる群から
選択されるアミノ酸で置換されており;(iii)BCループ(配列番号:5)の7位のグルタミンがA, C, E, F, H, I, K, L, M, P, R, S, T, V,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(iii)BCループ(配列番号:5)の9位のリジンがA, C, H, L, M, N, R, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(iv)BCループ(配列番号:5)の10位のアラニンがアミノ酸GまたはLで置換されており;または(v) BCループ(配列番号:5)の11位のアスパラギンがアミノ酸HまたはQで置換されている。
幾つかの実施形態では、製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンは、それぞれ配列番号5、6および7に記載のBC、DE、およびFGループを含み、DEループ(配列番号:7)の5位のバリンがA, C, D, E, F, I, K, L, M, N, Q, S,またはTよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されている。幾つかの実施形態では、DEループ(配列番号:7)の5位のバリンはC, E, I, L, M, Q,またはTよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されている。幾つかの実施形態では、DEループ(配列番号:7)の5位のバリンはC, E, I, L,またはMよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されている。
幾つかの実施形態では、製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンは、それぞれ配列番号5、6および7に記載のBC、DE、およびFGループを含み、(i)FGループ(配列番号:7)の2位のバリンがA, C, F, I, L, M, Q, T, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(iii)FGループ(配列番号:7)の3位のトレオニンがA, C, F, G, H, I, K, L, M, N, Q, R, S, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(iv)FGループ(配列番号:7)の4位のアスパラギン酸がA, C, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(v)FGループ(配列番号:7)の5位のトレオニンがA, C, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, P, Q, R, S, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(vi)FGループ(配列番号:7)の6位のグリシンがA, C, D, E, F, H, I, K, L, M, N, Q, R, S, T, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(vii)FGループ(配列番号:7)の7位のチロシンがA, C, F, H, I, L, M, N, P, S, T, V,またはWよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(viii)FGループ(配列番号:7)の8位のロイシンがA, C, E, F, H, I, K, M, N, Q, R, S, T, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(ix)FGループ(配列番号:7)の9位のリジンがA, C, D, E, F, G, H, I, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(x)FGループ(配列番号:7)の10位のチロシンがアミノ酸FまたはWで置換されており;または(xi)FGループ(配列番号:7)の11位のリジンがA, C, D, E, F, G, H, I, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されている。
幾つかの実施形態では、製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンは、それぞれ配列番号5、6および7に記載のBC、DE、およびFGループを含み、(i)FGループ(配列番号:7)の2位のバリンがA, C, I, L,またはMよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(ii)FGループ(配列番号:7)の3位のトレオニンがC, F, H, I, L, M, Q, R, S, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(iii)FGループ(配列番号:7)の4位のアスパラギン酸がA, C, E, F, G, H, I, L, M, N, P, Q, S, T, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(iv)FGループ(配列番号:7)の5位のトレオニンがA, C, D, E, F, G, H, I, K, L, M, N, Q, R, S, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(v)FGループ(配列番号:7)の6位のグリシンがA, D, E, F, H, I, L, M, N, Q, S, T, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(vi)FGループ(配列番号:7)の7位のチロシンがC, F, I, L, M, P, T, V,またはWよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(vii)FGループ(配列番号:7)の8位のロイシンがC, F, H, I, K, M, N, Q, R, T, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(viii)FGループ(配列番号:7)の9位のリジンがA, C, E, F, G, I, L, M, N, P, Q, R, S, T, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(ix)FGループ(配列番号:7)の10位のチロシンがアミノ酸Wで置換されており;または(x)FGループ(配列番号:7)の11位のリジンがA, C, D, E, G, H, L, M, N, P, Q, R, S, T,またはVよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されている。
幾つかの実施形態では、製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンは、それぞれ配列番号5、6および7に記載のBC、DE、およびFGループを含み、(i)FGループ(配列番号:7)の2位のバリンがアミノ酸Iで置換されており;(ii)FGループ(配列番号:7)の3位のトレオニンがC, F, I, L, M, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(iii)FGループ(配列番号:7)の4位のアスパラギン酸がA, C, E, F, G, H, I, L, M, N, Q, S, T,またはVよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(iv)FGループ(配列番号:7)の5位のトレオニンがA, C, D, F, G, I, L, M, N, Q, S, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(v)FGループ(配列番号:7)の6位のグリシンがA, S, T,またはWよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(vi)FGループ(配列番号:7)の7位のチロシンがF, I, V,またはWよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(vii)FGループ(配列番号:7)の8位のロイシンがF, H, I, M, V, W,またはYよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;(viii)FGループ(配列番号:7)の9位のリジンがA, C, F, G, I, L, M, T, V,またはWよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されており;または(x)FGループ(配列番号:7)の11位のリジンがA, G, L, M, P, Q,またはRよりなる群から選択されるアミノ酸で置換されている。
特定の実施形態では、抗ミオスタチンアドネクチンは、配列番号8:
EVVAATPTSLLISWSLPHQGKANYYRITYGETGGNSPVQEFTVPGRGVTATISGLKPGVDYTITVYAVTVTDTGYLKYKPISINYRT (配列番号:8)
に示すアミノ酸配列と少なくとも90%, 95%, 96%, 97%, 98%, 99%または100%同一のアミノ酸配列を含む。
幾つかの実施形態では、製剤中のポリペプチドは、配列番号8、配列番号9または配列番号10の非BC、DE、およびFGループ領域と少なくとも90%、95%、98%、99%または100%同一のアミノ酸配列を含む、ミオスタチンに結合する10Fn3ドメインを含む。例えば、幾つかの実施形態では、10Fn3の非リガンド結合配列、すなわち「10Fn3足場」も、10Fn3がリガンド結合機能および/または構造安定性を保持するという条件で変更され得る。様々な変異体10Fn3足場が報告されている。幾つかの実施形態において、Asp7、Glu9、およびAsp23の1つまたはそれ以上は、例えば、負に荷電していないアミノ酸残基(例えば、Asn、Lysなど)などの別のアミノ酸で置換される。これらの変異体は、野生型と比較して、中性pHで変異体10Fn3のより高い安定性を促進する効果があると報告されている(例えば、PCT公開番号WO02/04523を参照)。有益または中立のいずれかである10Fn3足場の様々な追加の変化が開示されている。例えば、Batoriら、Protein Eng., 15(12):1015-1020 (December 2002);Koideら、Biochemistry, 40(34):10326-10333 (Aug. 28, 2001)を参照。
特定の実施形態では、製剤中のポリペプチドの10Fn3ドメインは、配列番号8、配列番号9または配列番号10を含む。一実施形態では、製剤中のポリペプチドの10Fn3ドメインは配列番号10を含む。
伸長配列(Extension Sequences):
特定の実施形態では、製剤中の抗ミオスタチンアドネクチン分子は、N末端伸長配列および/またはC末端伸長配列を含むように修飾される。例えば、MG配列を、配列番号4により定義される10Fn3のN末端に配置してよい。通常、Mは切断されて除かれ、N末端にGが残る。幾つかの実施形態では、抗ミオスタチンアドネクチンは、配列番号8のアミノ酸配列、および表1に示されるN末端伸長配列を含んでいてよい。さらに、M、GまたはMGを表1に示すN末端伸長のいずれかのN末端に配置してよい。幾つかの実施形態では、製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンは、配列番号4のT94に対応するスレオニンで切断され得る。あるいは、C末端延長を配列番号8のC末端残基の後に追加してよい。例示的なC末端伸長配列を表1に示す。
表1
Figure 2023011601000001
特定の実施形態では、C末端伸長配列(「テール」とも呼ばれる)は、EおよびD残基を含み、長さは8~50、10~30、10~20、5~10、および2~4アミノ酸であってよい。幾つかの実施形態では、テール配列はEDベースのリンカーを含み、その際、EDのタンデムリピートを含む。例示的な実施形態では、テール配列は、2~10、2~7、2~5、3~10、3~7、3~5、3、4または5個のEDリピートを含む。特定の実施形態では、EDに基づくテール配列は、例えば、EI、EID、ES、EC、EGS、およびEGCなどの追加のアミノ酸残基も含み得る。そのような配列は、部分的に、残基DおよびKが除去されたEIDKPSQ(配列番号20)などの既知のアドネクチンテール配列に基づいている。例示的な実施形態では、EDに基づくテールは、EDリピートの前にE、IまたはEI残基を含む。
抗ミオスタチンアドネクチン免疫グロブリンFc融合体:
一態様では、免疫グロブリンFcドメイン、またはその断片もしくは変異体に融合した抗ミオスタチンアドネクチンを含む製剤が提供される。本明細書で使用される場合、「機能的Fc領域」は、FcRnに結合する能力を保持するFcドメインまたはその断片である。幾つかの実施形態では、機能的Fc領域はFcRnに結合するが、エフェクター機能を持たない。Fc領域またはその断片がFcRnに結合する能力は、当技術分野で知られている標準的な結合アッセイによって決定することができる。他の実施形態では、Fc領域またはその断片はFcRnに結合し、天然Fc領域の少なくとも1つの「エフェクター機能」を有する。例示的な「エフェクター機能」には、C1q結合;補体依存性細胞毒性(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BCR)のダウンレギュレーションなどが含まれる。そのようなエフェクター機能は、一般に、Fc領域が結合ドメイン(例えば、抗ミオスタチンアドネクチン)に結合することを必要とし、そのような抗体エフェクター機能を評価するための当該技術分野で既知の様々なアッセイを使用して評価することができる。
「天然配列Fc領域」は、自然界に見られるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。「変異体Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾により天然配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、変異体Fc領域は、天然配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域と比較して、天然配列のFc領域または親ポリペプチドのFc領域における少なくとも1つのアミノ酸置換、例えば約1~約10個のアミノ酸置換、好ましくは約1~約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書の変異体Fc領域は、天然配列Fc領域および/または親ポリペプチドのFc領域と好ましくは少なくとも約80%の配列同一性、最も好ましくは少なくとも約90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも約95%の配列同一性を有する。
例示的な実施形態では、FcドメインはIgG1サブクラスに由来するが、他のサブクラス(例えば、IgG2、IgG3、およびIgG4)も使用してよい。以下に示すのは、ヒトIgG1免疫グロブリンFcドメインの配列である:
DKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK (配列番号39)
コアヒンジ配列には下線を付しており、CH2およびCH3領域は通常のテキストで示す。C末端リジンは任意であることを理解すべきである。
融合は、抗ミオスタチンアドネクチンをFc分子のいずれかの末端に付着させることにより、すなわち、Fc-抗ミオスタチンアドネクチンまたは抗ミオスタチンアドネクチン-Fcの配置に形成され得る。特定の実施形態では、Fcおよび抗ミオスタチンアドネクチンはリンカーを介して融合される。例示的なリンカー配列には、GAGGGGSG(配列番号40)、EPKSSD(配列番号41)、D,ESPKAQASSVPTAQPQAEGLA(配列番号42)、ELQLEESAAEAQDGELD(配列番号43)、GQPDEPGGS(配列番号44)、GGSGSGSGSGSGS(配列番号45)、ELQLEESAAEAQEGELE(配列番号46)、GSGSG(配列番号47)、GSGC(配列番号48)、AGGGGSG(配列番号49)、GSGS(配列番号50)、QPDEPGGS(配列番号51)、GSGSGS(配列番号52)、TVAAPS(配列番号53)、KAGGGGSG(配列番号54)、KGSGSGSGSGSGS(配列番号55)、KQPDEPGGS(配列番号56)、KELQLEESAAEAQDGELD(配列番号57)、KTVAAPS(配列番号58)、KAGGGGSGG(配列番号59)、KGSGSGSGSGSGSG(配列番号60)、KQPDEPGGSG(配列番号61)、KELQLEESAAEAQDGELDG(配列番号62)、KTVAAPSG(配列番号63)、AGGGGSGG(配列番号64)、AGGGGSG(配列番号65)、GSGSGSGSGSGSG(配列番号66)、QPDEPGGSG(配列番号67)、およびTVAAPSG(配列番号68)が含まれる。
幾つかの実施形態では、抗ミオスタチンアドネクチン融合体で使用されるFc領域は、Fc分子のヒンジ領域を含む。本明細書で使用される場合、「ヒンジ」領域は、IgG1Fc領域の配列番号39の位置1-16に及ぶコアヒンジ残基(DKTHTCPPCPAPELLG;配列番号69)を含む。
特定の実施形態では、製剤中の抗ミオスタチンアドネクチン-Fc融合体は、部分的に、ヒンジ領域内の配列番号39の位置6および9のシステイン残基のために、多量体構造(例えば、ダイマー)を採用する。他の実施形態では、本明細書で使用されるヒンジ領域は、配列番号39に示されるように、コアヒンジ配列に隣接するCH1およびCH2領域に由来する残基をさらに含み得る。さらに他の実施形態では、ヒンジ配列はGSTHTCPPCPAPELLG(配列番号70)である。
幾つかの実施形態では、ヒンジ配列は、望ましい薬物動態学的特性、生物物理学的特性、および/または生物学的特性を付与する置換を含み得る。幾つかの例示的なヒンジ配列には、EPKSSDKTHTCPPCPAPELLGGPS(配列番号71;下線はコアヒンジ領域)、EPKSSDKTHTCPPCPAPELLGGSS(配列番号 72;下線はコアヒンジ領域)、EPKSSGSTHTCPPCPAPELLGGSS(配列番号73;下線はコアヒンジ領域)、DKTHTCPPCPAPELLGGPS(配列番号74;下線はコアヒンジ領域)、およびDKTHTCPPCPAPELLGGSS(配列番号75;下線はコアヒンジ領域)が含まれる。一実施形態では、配列番号39の位置18の残基Pは、Fcエフェクター機能を除去するためにSで置換されている;この置換は、配列番号72、73または75のいずれか1つを有するヒンジで例示される。別の実施形態では、配列番号39の位置1~2の残基DKは、潜在的なクリップ部位(clip site)を除去するためにGSで置換されている;この置換は、配列番号73に例示されている。別の実施形態では、ヒトIgG1の重鎖定常領域(すなわち、ドメインCH1-CH3)に対応する配列番号76の103位のCが、軽鎖の非存在下での不適切なシステイン結合形成を防ぐためにSで置換されている;この置換は、配列番号71-73に例示されている。
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号76)
特定の実施形態において、抗ミオスタチンアドネクチン-Fc融合体は、以下の構成を有し得る:1)抗ミオスタチンアドネクチン-ヒンジ-Fcまたは2)ヒンジ-Fc-抗ミオスタチンアドネクチン。従って、本発明のいかなる抗ミオスタチンアドネクチンも、これらの構成によるヒンジ配列を含むFc領域に融合することができる。幾つかの実施形態では、リンカーを使用して抗ミオスタチンアドネクチンをヒンジ-Fc部分に結合することができ、例えば、例示的な融合タンパク質は、抗ミオスタチンアドネクチン-リンカー-ヒンジ-Fcまたはヒンジ-Fc-リンカー-抗ミオスタチンアドネクチンの構成を有し得る。さらに、融合ポリペプチドが産生されるシステムに応じて、リーダー配列が融合ポリペプチドのN末端に配置されてもよい。例えば、融合体が哺乳動物系で産生される場合、METTDLLLWVLLLWVPGSTG(配列番号77)などのリーダー配列を融合分子のN末端に追加してもよい。融合体が大腸菌で産生される場合、融合配列の前にメチオニンがあるであろう。
一実施形態では、製剤は、アミノ酸配列:
Figure 2023011601000002
を含むFc抗ミオスタチンアドネクチン構築物を含む。ヒンジ領域には下線を付してあり、リンカーは斜体で示され、リーダー配列は太字で示され、抗ミオスタチンアドネクチン配列は下線を付して斜体で示されている。
一実施形態では、製剤は、アミノ酸配列:
GVSDVPRDLEVVAATPTSLLISWSLPHQGKANYYRITYGETGGNSPVQEFTVPGRGVTATISGLKPGVDYTITVYAVTVTDTGYLKYKPISINYRTEIEPKSSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号79)
を含むFc抗ミオスタチンアドネクチン構築物を含む。
Fcドメインは、下記:
VFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSP(配列番号80)
のヒトIgG1CH2およびCH3領域およびヒンジ配列:DKTHTCPPCPAPELLG(配列番号69)を含む。
III.抗ミオスタチンアドネクチンを発現するための核酸分子およびベクター
抗ミオスタチンアドネクチンをコードする核酸は、化学的、酵素的、または組換えにより合成され得る。細胞内での発現を改善するためにコドン使用頻度を選択してもよい。そのようなコドン使用頻度は、選択した細胞型に依存するであろう。特別なコドン使用頻度パターンが、大腸菌その他の細菌、並びに哺乳動物細胞、植物細胞、酵母細胞および昆虫細胞用に開発されている。例えば、Mayfieldら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 100(2):438-442(Jan. 21, 2003);Sinclairら、Protein Expr. Purif., 26(1):96-105(Oct. 2002);Connell, N.D., Curr. Opin. Biotechnol., 12(5):446-449(Oct. 2001);Makridesら、Microbiol. Rev., 60(3):512-538(Sep. 1996);およびSharpら、Yeast, 7(7):657-678(Oct. 1991)を参照。
核酸操作の一般的な手法は、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)、またはAusubel, F.ら、Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing and Wiley-Interscience, New York (1987)および周期的更新(periodic updates)(参照のため本明細書に引用する)に記載されている。ポリペプチドをコードするDNAは、哺乳類、ウイルス、または昆虫の遺伝子に由来する適切な転写または翻訳調節要素に機能的に連結される。そのような調節要素には、転写プロモーター、転写を制御するための任意のオペレーター配列、適切なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、および転写および翻訳の終結を制御する配列が含まれる。複製起点によって通常付与される宿主内で複製する能力、および形質転換体の認識を容易にする選択遺伝子がさらに組み込まれる。
従って、製剤に使用される抗ミオスタチンアドネクチンは、直接組換えにより産生されるだけでなく、異種ポリペプチドとの融合ポリペプチドとして産生されてよく、これは好ましくはシグナル配列または成熟したタンパク質もしくはポリペプチドのN末端に特定の切断部位を有する他のポリペプチドである。選択する異種シグナル配列は、好ましくは、宿主細胞によって認識され処理される(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。哺乳動物系でのポリペプチドの産生のための例示的なN末端リーダー配列はMETDTLLLWVLLLWVPGSTG(配列番号81)であり、これは発現後に宿主細胞によって除去される。天然のシグナル配列を認識およびプロセスしない原核宿主細胞の場合、シグナル配列は、例えばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lpp、または熱安定性エンテロトキシンIIリーダーの群から選択された原核生物シグナル配列で置換される。酵母分泌のためには、天然のシグナル配列は、例えば、酵母インベルターゼリーダー、因子リーダー(サッカロミセスおよびクルイベロミセスアルファ因子リーダーを含む)、または酸性ホスファターゼリーダー、C. albicansグルコアミラーゼリーダー、またはPCT公開番号WO90/13646に記載のシグナルで置換されてよい。哺乳類細胞の発現では、哺乳類のシグナル配列並びにウイルス分泌リーダー、例えば、単純ヘルペスgDシグナルを利用できる。そのような前駆体領域のDNAは、タンパク質をコードするDNAに読み取り枠で連結されてよい。
発現ベクターおよびクローニングベクターの両方は、1つまたはそれ以上の選択した宿主細胞でベクターが複製するのを可能にする核酸配列を含む。一般に、クローニングベクターでは、この配列はベクターが宿主染色体DNAとは独立して複製することを可能にするものであり、複製起点または自律複製配列を含む。このような配列は、様々な細菌、酵母、およびウイルスでよく知られている。プラスミドpBR322の複製起点はほとんどのグラム陰性細菌に適しており、2ミクロンのプラスミド起点は酵母に適しており、様々なウイルス起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSVまたはBPV)は哺乳動物細胞のベクターのクローニングに有用である。一般に、哺乳動物発現ベクターには複製起点成分は必要ない(SV40起点は、通常、初期プロモーターを含むからということのみで使用する)。
発現ベクターおよびクローニングベクターは、選択可能マーカーとも呼ばれる選択遺伝子を含んでいてもよい。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質または他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、またはトラサイクリンに対する耐性を付与するタンパク質、(b)栄養要求性欠乏を補完するタンパク質、または(c)複雑な培地から入手できない重要な栄養素を供給するタンパク質(例えば、BacilliではD-アラニンラセマーゼをコードする遺伝子)をコードする。
酵母での使用に適した選択遺伝子は、酵母プラスミドYRp7に存在するtrp1遺伝子である(Stinchcombら、Nature、282:39(1979))。trp1遺伝子は、トリプトファンで増殖する能力を欠く酵母の変異株、例えば、ATCC R No. 44076またはPEP4-1など(Jones, Genetics, 85:12 (1977))の選択マーカーを提供する。酵母宿主細胞ゲノムにおけるtrp1病変の存在は、トリプトファンの非存在下での増殖による形質転換を検出するための有効な環境を提供する。同様に、Leu2欠損酵母株(ATCC R 20,622または38,626)は、Leu2遺伝子を持つ既知のプラスミドによって補完される。
発現ベクターおよびクローニングベクターは、通常、宿主生物によって認識され、本発明のタンパク質、例えばフィブロネクチンベースの足場タンパク質をコードする核酸に作動可能に連結されたプロモーターを含む。原核生物宿主での使用に適したプロモーターには、phoAプロモーター、β-ラクタマーゼおよびラクトースプロモーターシステム、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーターシステム、およびtanプロモーターなどのハイブリッドプロモーターが含まれる。しかしながら、他の既知の細菌プロモーターも適している。細菌系での使用のためのプロモーターはまた、本発明のタンパク質をコードするDNAに作動可能に連結されたシャイン・ダルガルノ(S.D.)配列を含む。
プロモーター配列は真核生物で知られている。事実上すべての真核生物遺伝子は、転写が開始される部位の約25~30塩基上流にATリッチ領域を有している。多くの遺伝子の転写開始から70~80塩基上流にある別の配列は、CNCAAT領域(Nは任意のヌクレオチド)である。殆どの真核生物遺伝子の3'末端には、コード配列の3'末端にポリAテールを付加するためのシグナルとなるAATAAA配列がある。これらの配列はすべて、真核生物の発現ベクターに適切に挿入される。
酵母宿主での使用に適したプロモーター配列の例には、3-ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の解糖系酵素、例えば、エノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびグルコキナーゼが含まれる。増殖条件によって制御される転写の追加の利点を有する誘導性プロモーターである他の酵母プロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロムC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、およびマルトースおよびガラクトースの利用に関与する酵素のプロモーター領域である。酵母発現での使用に適したベクターおよびプロモーターは、EP特許公開第73,657号およびPCT公開第WO2011/124718およびWO2012/059486にさらに記載されている。酵母エンハンサーも酵母プロモーターと共に有利に使用される。
哺乳類宿主細胞でのベクターからの転写は、例えば、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2など)、ウシパピローマウイルス、鳥肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスおよび最も好ましくはシミアンウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから得られるプロモーター、異種哺乳動物プロモーター、例えば、アクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーター、熱ショックプロモーターから得られるプロモーターによって制御できる(これらのプロモーターが宿主細胞系と適合性があることが条件)。
高等真核生物による本発明のタンパク質をコードするDNAの転写は、エンハンサー配列をベクターに挿入することによりしばしば増加する。現在、哺乳類の遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン、およびインスリン)から多くのエンハンサー配列が知られている。しかしながら、通常、真核細胞ウイルスのエンハンサーを使用する。例には、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(100-270bp)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーが含まれる。真核生物プロモーターの活性化のためのエンハンサー要素については、Yaniv、Nature、297:17-18(1982)をも参照。エンハンサーは、ペプチドをコードする配列の5'または3'の位置でベクターにスプライシングされてよいが、プロモーターから5'の部位に位置することが好ましい。
真核生物の宿主細胞(例えば、酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、または他の多細胞生物の有核細胞)で使用される発現ベクターにはまた、転写の終結とmRNAの安定化に必要な配列も含まれる。そのような配列は、真核生物またはウイルスのDNAまたはcDNAの5'および場合によっては3'非翻訳領域から一般に入手可能である。これらの領域は、本発明のタンパク質をコードするmRNAの非翻訳部分にポリアデニル化断片として転写されたヌクレオチドセグメントを含む。有用な転写終結成分の1つは、ウシ成長ホルモンのポリアデニル化領域である。WO94/11026およびそこに開示されている発現ベクターを参照。
組換えDNAはまた、タンパク質の精製に有用であり得る任意のタイプのタンパク質タグ配列を含むことができる。タンパク質タグの例には、ヒスチジンタグ、FLAGタグ、mycタグ、HAタグ、またはGSTタグが含まれるが、これらに限定されない。細菌、真菌、酵母、および哺乳動物の細胞宿主で使用するための適切なクローニングおよび発現ベクターは、Cloning Vectors: A Laboratory Manual, (Elsevier, New York (1985))に見出すことができ、その関連開示は参照により本明細書に組み込まれる。
発現構築物は、当業者に明らかなように、宿主細胞にとって適切な方法を使用して宿主細胞に導入される。核酸を宿主細胞に導入するための様々な方法が当技術分野で知られており、これにはエレクトロポレーション:塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストラン、またはその他の物質を使用したトランスフェクション;微粒子銃;リポフェクション;および感染(ベクターが感染因子である場合)が含まれるが、これらに限定されない。
適切な宿主細胞には、原核生物、酵母、哺乳動物細胞、または細菌細胞が含まれる。適切な細菌には、グラム陰性生物またはグラム陽性生物、例えば大腸菌またはバチルス属が含まれる。酵母、好ましくはS.セレビシエなどのサッカロミセス種由来の酵母も、ポリペプチドの産生に使用することができる。組換えタンパク質を発現させるために、様々な哺乳類または昆虫の細胞培養系も使用できる。昆虫細胞における異種タンパク質の産生のためのバキュロウイルス系は、Luckowら(Bio/Technology、6:47(1988))に概説されている。適切な哺乳類宿主細胞系の例には、内皮細胞、COS-7サル腎細胞、CV-1、L細胞、C127、3T3、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、ヒト胎児腎細胞、HeLa、293、293T、およびBHK細胞株が含まれる。精製ポリペプチドは、適切な宿主/ベクター系を培養して組換えタンパク質を発現させることにより調製される。多くの用途について、本明細書に開示する多くのポリペプチドの小さいサイズは、大腸菌での発現を発現のための好ましい方法とするであろう。ついで、タンパク質は培養培地または細胞抽出物から精製される。
IV.タンパク質産生
宿主細胞は、タンパク質産生のための本明細書に記載の発現ベクターまたはクローニングベクターで形質転換され、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、または所望の配列をコードする遺伝子の増幅のために適切に改変された従来の栄養培地で培養される。抗ミオスタチンアドネクチンを産生するために使用される宿主細胞は、様々な培地で培養され得る。Ham's F10(Sigma)、最小必須培地(MEM)(Sigma)、RPMI-1640(Sigma)、およびDulbecco's Modified Eagle's Medium((DMEM)、Sigma))などの市販の培地は、宿主細胞の培養に適している。さらに、Hamら、Meth. Enzymol., 58:44(1979)、Baritesら、Anal. Biochem., 102:255(1980)、米国特許第4,767,704号、同第4,657,866号、同第4,927,762号、同第4,560,655号、同第5,122,469号、同第6,048,728号、同第5,672,502号、または同第RE 30,985号に記載の培地の多くを、宿主細胞の培養培地として使用できる。これらの培地には、必要に応じて、ホルモンおよび/または他の成長因子(インスリン、トランスフェリン、または表皮成長因子など)、塩類(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、リン酸塩など)、緩衝液(HEPESなど)、ヌクレオチド(アデノシンやチミジンなど)、抗生物質(ゲンタマイシン薬など)、微量元素(通常、マイクロモル範囲の最終濃度で存在する無機化合物として定義)、およびグルコースまたは同等のエネルギー源を補充できる。他の必要な補助剤も、当業者に知られている適切な濃度で含まれてもよい。温度、pHなどの培養条件は、発現用に選択された宿主細胞で以前に使用された条件であり、当業者には明らかであろう。
本明細書に開示されるタンパク質は、細胞翻訳システムを使用して産生することもできる。このような目的のために、ポリペプチドをコードする核酸は、インビトロ転写でmRNAを生成し、利用した特定の無細胞系(哺乳動物細胞または酵母などの真核生物無細胞翻訳系または細菌などの原核生物無細胞翻訳系)でのmRNAの無細胞翻訳を可能にするために修飾される。
本発明のタンパク質はまた、化学合成(例えば、Solid Phase Peptide Synthesis、第2版、The Pierce Chemical Co.、Rockford、IL(1984)に記載されている方法)によっても産生され得る。タンパク質の修飾もまた、化学合成によって生成できる。
タンパク質は、タンパク質化学の分野で一般的に知られているタンパク質の単離/精製方法により精製することができる。非限定的な例には、抽出、再結晶、塩析(例えば、硫酸アンモニウムまたは硫酸ナトリウムによる)、遠心分離、透析、限外濾過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、ゲル濾過、ゲル浸透クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動、向流分布またはこれらの任意の組み合わせが含まれるがこれらに限定されない。精製後、濾過および透析を含む(これらに限られない)当技術分野で知られている様々な方法のいずれかによって、ポリペプチドを異なる緩衝液に交換および/または濃縮することができる。
精製されたポリペプチドは、好ましくは少なくとも85%純度、または好ましくは少なくとも95%純度、最も好ましくは少なくとも98%純度である。純度の正確な数値に関係なく、ポリペプチドは医薬品として使用するのに十分に純粋である。
抗ミオスタチンアドネクチン分子のモノマー、ダイマーおよびHMW種は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で分離できる。SECは、分子サイズに基づいて分子を分離する。分離は、分子がカラムの長さに沿って移動する際の分子の排除または含有の差により達成される。従って、分離能はカラムの長さの関数として増加する。抗ミオスタチンアドネクチン分子試料は、TSK Gel G3000SWxL(300mm.x7.8mm、5ミクロン)およびTSK Gel SWxL(40mmx6.0mm、7ミクロン)カラム(Tosoh Bioscience, Montgomery, Pa.)をタンデムで備えた2695 Alliance HPLC (Waters, Milford, Mass.)を使用して分離できる。注入量200μgの生の試料(neat samples)は、40mM NaH2PO4、60mM Na2HPO4、0.1M Na2SO4、pH6.8からなる移動相を使用し、流速0.5ml/分で分離される。Water's 2487 Dual Wavelength検出器を使用し、280nmの吸光度で試料をモニターする。このシステムを使用すると、HMW種の保持時間は16.0分±1.0分である。各ピークを、ピーク下面積で統合する。%HMW種は、HMWピーク面積を合計ピーク面積で除することにより計算する。
V.抗ミオスタチンアドネクチン活性の測定
本発明の抗ミオスタチンアドネクチンの標的分子(例えば、ミオスタチン)への結合は、平衡定数(例えば、解離、KD)に関して、および動態定数(例えば、オンレート定数、konおよびオフレート定数、koff)に関して評価できる。本明細書で提供される医薬製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンの結合活性を評価するための例示的なインビトロおよびインビボアッセイは以前に記載されており(例えば、米国特許第8,933,199号;同第8,993,265号;同第8,853,154号;および同第9,493,546号)、動的排除アッセイ(KinExA)(Blakeら、JBC1996;271:27677-85;Drakeら、Anal Biochem 2004;328:35-43)などの液相法、Biacoreシステムを備えた表面プラズモン共鳴(SPR)(ウプサラ、スウェーデン)(Welfordら、Opt.Quant.Elect 1991;23:1;MortonおよびMyszka、Methods in Enzymology1998;295:268)、均一時間分解蛍光(HTRF)アッセイ(Newtonら、J. Biomol Screen 2008;13:674-82;Patelら、Assay Drug Dev Technol 2008;6:55-68)、およびBiacore表面プラズモン共鳴システム(Biacore、Inc.)を使用したものを含むが、これらに限られない。上記のアッセイは例示であり、タンパク質間の結合親和性を決定するための当技術分野で知られている任意の方法(例えば、蛍光ベースの移動(fluorescence based-transfer;FRET)、酵素結合免疫吸着アッセイ、および競合結合アッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ))を使用して、本発明の抗ミオスタチンアドネクチンの結合親和性を評価することができることを理解すべきである。
抗ミオスタチンアドネクチンのミオスタチン活性に拮抗する能力は、様々なインビトロアッセイを使用して容易に決定できる。好ましくは、アッセイは、複数の候補アドネクチンを同時にスクリーニングすることを可能にするハイスループットアッセイである。幾つかの実施形態において、ミオスタチン活性に対する抗ミオスタチンアドネクチンのアンタゴニスト効果は、実施例3に記載されるように、細胞ベースのアクチビン応答要素(ARE)-ルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて決定することができる。特定の実施形態では、本発明の抗ミオスタチンアドネクチンは、混合物で細胞を刺激する前にミオスタチンを抗ミオスタチンアドネクチンと共インキュベートすると、対照に対してミオスタチン誘発ARE-ルシフェラーゼ活性を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%またはそれ以上低下させる。例示的な対照反応は、Morrisonら((Experimental Neurology 2009; 217:258-68)に記載されているように、ミオスタチン単独またはヒトアクチビンRIIB Fcキメラ(R&D Systems)またはActRIIb-Fcなどの過剰のベンチマークミオスタチン阻害剤とプレインキュベートした細胞の処理を含む。他の実施形態において、本発明の抗ミオスタチンアドネクチンは、実施例3に記載のように、500nM以下、400nM以下、300nM以下、200nM以下、100nM以下、50nM以下、10nM以下、5nM以下、1nM、0.5nM以下、0.4nM以下、0.3nM以下、0.2nM以下、または0.10nM以下のIC50でARE-ルシフェラーゼレポーター活性を阻害する。
他の実施形態では、ミオスタチン活性に対する抗ミオスタチンアドネクチンの拮抗作用は、米国特許第8,933,199号;同第8,993,265号;同第8,853,154号;および同第9,493,546号に記載されているように、ミオスタチン処理細胞におけるSMADリン酸化の程度を測定することにより決定できる。例示的な対照反応は、Morrisonら(Experimental Neurology 2009; 217:258-68)に記載されているように、ミオスタチン単独またはヒトアクチビンRIIB Fcキメラ(R&D Systems)またはActRIIb-Fcなどの過剰のベンチマークミオスタチン阻害剤とプレインキュベートした細胞の処理を含む。幾つかの実施形態では、本発明の抗ミオスタチンアドネクチンは、実施例5に記載されているように、12点または4点阻害応答(12-point or 4-point inhibition response)で、1nM以下、0.8nM以下、0.6nM以下、0.4nM以下、0.3nM以下、0.2nM以下または0.1nM以下のIC50でSMADリン酸化を阻害する。
さらに、運動ニューロン疾患を研究するために細胞、組織培養および組織学的方法を使用する幾つかのインビトロモデル系が知られている。例えば、グルタミン酸興奮毒性にさらされたラット脊髄器官型スライスは、運動ニューロンの変性を防ぐうえでの抗ミオスタチンアドネクチンの有効性を試験するためのモデル系として有用である。Corseら、Neurobiol.Dis.(1999)6:335 346。ALSの研究に使用するインビトロ系の議論については、例えば、Bar, P.R., Eur.J.Pharmacol.(2000)405:285 295;Silaniら、J.Neurol.(2000)247 Suppl 1:128 36;Martinら、Int.J.Mol.Med.(2000)5:3 13を参照。
本明細書に記載のアッセイは例示であり、ミオスタチン活性の読み出しとして役立つことができる当技術分野で知られている任意の方法が、本発明の抗ミオスタチンアドネクチンのミオスタチン拮抗作用の試験に使用するのに適していることを理解すべきである(例えば、SMAD標的遺伝子のmRNA(例えば、Smad 7;Ciarmelaら、Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism 2011;96;755-65)またはARE含有遺伝子のmRNAのリアルタイムRT-PCR)。
VI.製剤
皮下投与では、少量(<1.5mL)で目的のタンパク質濃度を送達する用量が望ましい。従って、本明細書で提供されるSC製剤は、水性担体中に、安定化レベルの二糖および緩衝剤と組み合わせて、少なくとも10mg/mLのタンパク質濃度の抗ミオスタチンアドネクチンを含む。幾つかの実施形態では、製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンのタンパク質濃度は、約10mg/mL~200mg/mLである。幾つかの実施形態では、製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンのタンパク質濃度は、約10mg/mL~140mg/mLである。
幾つかの実施形態では、製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンのタンパク質濃度は、少なくとも約10mg/mL、15mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、35mg/mL、40mg/mL、45mg/mL、50mg/mL、60mg/mL、65mg/mL、70mg/mL、75mg/mL、80mg/mL、85mg/mL、90mg/mL、95mg/mLまたはそれ以上である。特定の実施形態では、製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンのタンパク質濃度は、少なくとも約110mg/mL、115mg/mL、120mg/mL、125mg/mL、130mg/mL、135mg/mL、140mg/mLまたは145mg/mLである。特定の実施形態では、製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンのタンパク質濃度は10.7mg/mL、21.4mg/mL、50.0mg/mLまたは71.4mg/mLである。
製剤中の安定化糖は、少なくとも5:1の糖に対するタンパク質の重量(w / w)比の二糖である。幾つかの実施形態では、タンパク質:糖重量比は約5:1~10:1である。幾つかの実施形態では、タンパク質:糖比は約6:1、7:1、8:1、9:1または10:1である。幾つかの実施形態では、タンパク質:糖比は約6.75:1である。
幾つかの実施形態では、製剤は約5%~約30%の二糖を含む。幾つかの実施形態では、製剤は約10%~約28%の二糖を含む。幾つかの実施形態では、製剤は約15%~約25%の二糖を含む。幾つかの実施形態では、製剤は約20%~約25%の二糖を含む。幾つかの実施形態では、製剤は約18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%または約25%の二糖を含む。
幾つかの実施形態では、製剤中の糖の濃度は約150mM~約800mMである。幾つかの実施形態では、製剤中の糖の濃度は約300~約700mMである。他の実施形態では、製剤中の糖の濃度は約150mM、約200mM、約250mM、約300mM、約350mM、約400mM、約450mM、約500mM、約550mM、約575mM、約600、約625mM、約650mM、約675mMまたは約700mMである。
幾つかの実施形態では、二糖はトレハロースである。幾つかの実施形態では、製剤は約5~約30%のトレハロースを含む。幾つかの実施形態では、製剤は約10%~約28%のトレハロースを含む。幾つかの実施形態では、製剤は約15%~約25%のトレハロースを含む。幾つかの実施形態では、製剤は約20%~約25%のトレハロースを含む。幾つかの実施形態では、製剤は約18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%または約25%のトレハロースを含む。一実施形態では、製剤は22%のトレハロースを含む。別の実施形態では、製剤は23%のトレハロースを含む。
幾つかの実施形態では、二糖はトレハロース二水和物である。幾つかの実施形態では、製剤中のトレハロース二水和物の濃度は約150mM~約800mMである。幾つかの実施形態では、製剤中のトレハロース二水和物の濃度は約300~約700mMである。他の実施形態では、製剤中のトレハロース二水和物の濃度は、約150mM、約200mM、約250mM、約300mM、約350mM、約400mM、約450mM、約500mM、約550mM、約575mM、約600、約625mM、約650mM、約675mMまたは約700mMである。一実施形態では、製剤中のトレハロース二水和物の濃度は600nMである。
製剤中の安定化糖は、SC注射器を介した投与に望ましくないまたは不適切な粘度をもたらす可能性がある量以下の量で使用される。幾つかの実施形態では、製剤の粘度は約5~20cpsである。幾つかの実施形態では、製剤の粘度は約7~12cpsである。幾つかの実施形態では、粘度は約7~10cpsである。幾つかの実施形態では、製剤の粘度は8cps未満である。
製剤中の緩衝剤は少なくとも20mMの量で存在し、好ましくは約20mM~約40mMである。幾つかの態様において、緩衝剤は、約20mM、約25mM、約30mMまたは約35mMの濃度のヒスチジンである。一実施形態では、製剤は約30mMのヒスチジンを含む。
製剤のpHは約6.5~約7.8の範囲に維持される。特定の実施形態において、pHは、約6.6~7.6の範囲のpHに維持される。特定の実施形態では、製剤のpHは約6.8~7.4である。特定の実施形態では、製剤のpHは約7.0~7.3である。幾つかの実施形態では、製剤のpHは6.9、7.0、7.1、7.2または7.3である。幾つかの実施形態では、製剤のpHは約7.1である。
本明細書の製剤で使用される水性担体は、薬学的に許容され(ヒトへの投与に安全かつ非毒性)、液体製剤の調製に有用なものである。例示的な担体には、注射用滅菌水(SWFI)、注射用静菌水(BWFI)、pH緩衝液(リン酸緩衝食塩水など)、滅菌食塩水、リンゲル液またはデキストロース溶液が含まれる。
製剤は、目に見える微粒子の形成をさらに減らすために界面活性剤をさらに含んでもよい。好ましい界面活性剤には、約0.01%~0.5%の濃度のポロキサマーおよびポリソルベートが含まれる。幾つかの実施形態では、界面活性剤の濃度は約0.02%~約0.1%である。一実施形態では、界面活性剤はポロキサマー188である。幾つかの実施形態では、界面活性剤はポリソルベート20またはポリソルベート80である。一実施形態では、界面活性剤はポリソルベート80である。
製剤は、約0.01mM~約0.5mM、好ましくは約0.05mM~0.2mMの濃度のキレート剤をさらに含んでいてもよい。好ましいキレート剤には、DPTA、EDTAおよびEGTAが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、製剤中のキレート剤は、約0.05mMの濃度のDPTAである。
細菌作用を低減するために、本明細書の製剤に防腐剤を任意に添加してもよい。防腐剤の添加は、例えば、複数回使用(複数回投与)製剤の製造を容易にする。
幾つかの実施形態では、本明細書で提供される製剤は以下を含む:
(i)約10~140mg/mLの抗ミオスタチンアドネクチン;
(ii)約5~-25%のトレハロース二水和物;および
(iii)約20~30mMのヒスチジン、
ここで、製剤のpHは約6.8~7.3である。
幾つかの実施形態では、本明細書で提供される製剤は、本質的に以下からなる:
(i)約10~140mg/mLの抗ミオスタチンアドネクチン;
(ii)約5~25%のトレハロース二水和物;および
(iii)約20~30mMのヒスチジン、
ここで、製剤のpHは約6.8~7.3である。
特定の実施形態では、本明細書で提供される製剤は以下を含む:
(i)約10~140mg/mLの抗ミオスタチンアドネクチン;
(ii)約5~25%のトレハロース二水和物;
(iii)約20~30mMのヒスチジン;
(iv)約0.02~0.06mMのDTPA;および
(v)約0.01~0.05%のポリソルベート80
ここで、製剤のpHは約6.8~7.3である。
特定の実施形態では、本明細書で提供される製剤は、本質的に以下からなる:
(i)約10~140mg/mLの抗ミオスタチンアドネクチン;
(ii)約5~25%のトレハロース二水和物;
(iii)約20~30mMのヒスチジン;
(iv)約0.02~0.06mMのDTPA;および
(v)約0.01~0.05%のポリソルベート80
ここで、製剤のpHは約6.8~7.3である。
幾つかの実施形態では、製剤は以下を含む:
(i)約10~75mg/mLの抗ミオスタチンアドネクチン;
(ii)約600mMのトレハロース二水和物;および
(iii)25~30mMのヒスチジン、
ここで、製剤のpHは約7.0~7.3である。
幾つかの実施形態では、製剤は本質的に以下からなる:
(i)約10~75mg/mLの抗ミオスタチンアドネクチン;
(ii)約600mMのトレハロース二水和物;および
(iii)25~30mMのヒスチジン、
ここで、製剤のpHは約7.0~7.3である。
幾つかの実施形態では、製剤は以下を含む:
(i)約10~75mg/mLの抗ミオスタチンアドネクチン;
(ii)約600mMのトレハロース二水和物;
(iii)25~30mMのヒスチジン;
(iv)約0.02~0.06mMのDTPA;および
(v)約0.01~0.05%のポリソルベート80、
ここで、製剤のpHは約7.0~7.3である。
幾つかの実施形態では、製剤は本質的に以下からなる:
(i)約10~75mg/mLの抗ミオスタチンアドネクチン;
(ii)約600mMのトレハロース二水和物;
(iii)25~30mMのヒスチジン;
(iv)約0.02~0.06mMのDTPA;および
(v)約0.01~0.05%のポリソルベート80、
ここで、製剤のpHは約7.0~7.3である。
幾つかの実施形態では、製剤は以下を含む:
(i)約10~75mg/mLの抗ミオスタチンアドネクチン;
(ii)約600mMのトレハロース二水和物;
(iii)約30mMのヒスチジン;
(iv)約0.05mMのDTPA;および
(v)約0.02%のポリソルベート80、
ここで、製剤のpHは約7.1である。
幾つかの実施形態では、製剤は本質的に以下からなる:
(i)約10~75mg/mLの抗ミオスタチンアドネクチン;
(ii)約600mMのトレハロース二水和物;
(iii)約30mMのヒスチジン;
(iv)約0.05mMのDTPA;および
(v)約0.02%のポリソルベート80、
ここで、製剤のpHは約7.1である。
一実施形態では、製剤は以下を含むかまたは本質的に以下からなる:
(i)約10.7mg/mLの抗ミオスタチンアドネクチン;
(ii)約600mMのトレハロース二水和物;
(iii)約30mMのヒスチジン;
(iv)約0.05mMのDTPA;および
(v)約0.02%のポリソルベート80、
ここで、製剤のpHは約7.1である。
一実施形態では、製剤は以下を含むかまたは本質的に以下からなる:
(i)約21.4mg/mLの抗ミオスタチンアドネクチン;
(ii)約600mMのトレハロース二水和物;
(iii)約30mMのヒスチジン;
(iv)約0.05mMのDTPA;および
(v)約0.02%のポリソルベート80、
ここで、製剤のpHは約7.1である。
一実施形態では、製剤は以下を含むかまたは本質的に以下からなる:
(i)約50mg/mLの抗ミオスタチンアドネクチン;
(ii)約600mMのトレハロース二水和物;
(iii)約30mMのヒスチジン;
(iv)約0.05mMのDTPA;および
(v)約0.02%のポリソルベート80、
ここで、製剤のpHは約7.1である。
一実施形態では、製剤は以下を含むかまたは本質的に以下からなる:
(i)約71.4mg/mLの抗ミオスタチンアドネクチン;
(ii)約600mMのトレハロース二水和物;
(iii)約30mMのヒスチジン;
(iv)約0.05mMのDTPA;および
(v)約0.02%のポリソルベート80、
ここで、製剤のpHは約7.1である。
液体製剤の推奨保管条件は2~8℃で、推奨保管期間は少なくとも12か月である。
医薬組成物の貯蔵寿命の時間経過中の有効性と安全性を確保するため、組成物は安定性試験される。通常、安定性試験には、組成物の同一性、純度および効力に関する試験が含まれるが、これらに限定されない。安定性は、意図した保管温度と単一または複数の高温との両方でテストされる。純度試験には、SDS-PAGE、CE-SDS、等電点電気泳動、免疫電気泳動、ウエスタンブロット、逆相クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、イオン交換およびアフィニティークロマトグラフィーが含まれるが、これらに限定されない。その他の試験には、色や透明度などの視覚的外観、微粒子、pH、タンパク質濃度測定、水分および再構成時間が含まれるが、これらに限定されない。
安定性の時間経過中の特に純度および効力に関する分解プロファイルは、医薬品の組成および/または処方(formulation)に密接に関連している。特に、処方の適切な選択は、分解プロファイルを有意に変化させる。FBSに由来するタンパク質分子製品の典型的な分解プロファイルには、共有結合および非共有結合の高分子量凝集体、断片、脱アミド化および酸化生成物の形成が含まれる。特に、脱アミド化および酸化生成物および他の酸性種は、通常、安定性試験の時間経過中に発生する。幾つかの場合、酸性種は医薬組成物の許容可能な貯蔵寿命を制限する。例えば脱アミド化による酸性種の形成は、例えば、画像化された毛管等電点電気泳動(icIEF)によって試験することができる。他の場合には、高分子量凝集体の形成は、医薬組成物の許容可能な貯蔵寿命を制限する。凝集体の形成は、例えばSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)、DLS、MFI、SDS-PAGEまたはCE-SDSによって試験することができる。
例えば、薬学的に許容される安定性を有する抗ミオスタチンアドネクチン製剤は、約5±3℃または25±2℃の温度で少なくとも約3か月、好ましくは約6か月、およびより好ましくは約12ヶ月またはそれ以上、例えば18ヶ月またはそれ以上、例えば、少なくとも24または36ヶ月保存した場合に、SEC分析を使用して測定したときに凝集体の割合は約10%未満、好ましくは約5%未満、より好ましくは約2%未満である。さらにまたはあるいは、本発明の安定な抗ミオスタチンアドネクチン製剤は、約5±3℃または25±2℃の温度で少なくとも約3か月、好ましくは約6か月、およびより好ましくは約12ヶ月またはそれ以上保存した場合に、主要なアイソフォームの変化は、icIEF分析を使用して測定したときに、15%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは8%未満、最も好ましくは5%未満である。
本明細書で提供される実施例は、SC製剤中の抗ミオスタチンアドネクチン分子の安定性が、ショ糖の存在下よりもトレハロースの存在下で増強されることを実証するSC製剤の安定性研究を記載する。トレハロースによる安定化は、タンパク質:トレハロースの比が10:1未満でより良好であった。これらの研究に基づいて、トレハロースを、過度の高張性または粘性を伴うSC溶液をもたらすことなく最適な安定性をもたらす比率で安定剤として選択した。
また、pH7.0~7.1で緩衝剤としてヒスチジンを含む製剤は、25℃および37℃で保存後、リン酸緩衝液よりも優れた安定性(すなわち、より低い%HMW)を示した(データは示していない)。この観察は、ヒスチジンのpKa(pka=6.0)を考慮すると特に驚くべきものであり、抗ミオスタチンアドネクチンには固有の緩衝能力があるという予想外の知見に少なくとも部分的に基づいているようである。これにより、タンパク質の緩衝能力を活用して、製品の製造中および保存期間中に必要なpH安定性を達成しながら、緩衝液のpKaから離れた製剤の製造が可能になる。
VII.SC製剤の調製
SC製剤用に開発された製造プロセスには、通常、糖、キレート剤および界面活性剤との配合、その後の無菌ろ過およびバイアルまたは注射器への充填が含まれ、場合により、その前に透析ろ過(緩衝液交換)および限外ろ過ユニットを使用した原薬の濃縮を行う。タンパク質精製は、発酵バイオリアクターでの生産後の最初の段階である。タンパク質は複数のカラムおよびろ過ステップを使用して精製され、タンジェンシャルフローろ過(tangential flow filtration)を使用して製剤緩衝液に濃縮される。濃縮された原薬は、目標濃度の製剤緩衝液で希釈され、この溶液は滅菌ろ過され、患者が使用するための滅菌バイアル/注射器に充填される。当業者は、調製および注射中のバイアル、針、注射器のホールドアップを補償するために、容器をいっぱいにする必要があることを知っているであろう。例えば、5~10%の薬剤製品の超過分が液体製剤の各バイアルに導入され、引き出しの損失(withdrawal losses)を考慮し、製剤の必要な用量(ラベル表示)がバイアルから取り出せることを保証する。
ミオスタチンに結合する10Fn3ドメインを含むポリペプチド(本明細書では「抗ミオスタチンアドネクチン」とも呼ばれる)注射器を含む製剤用の単位剤形の調製には、組換え細胞株でのタンパク質産生、精製バイアル複数カラムステップ、タンジェンシャルフローろ過を使用した製剤緩衝液への濃縮および緩衝液交換が含まれる。タンジェンシャルフローろ過用の濃縮タンパク質は、製剤緩衝液での希釈により目的のタンパク質濃度までさらに処理し、希釈した製品は、ろ過後、1mL容注射器(例えば、インスリン注射器、ツベルクリン注射器、BioPak注射器、NeoPak注射器)に充填する。一実施形態では、注射器には、ついで、ウルトラセーフパッシブニードルガード(UltraSafe Passive needle guard)を装備させる。
製剤の単位剤形は、典型的に約0.3~1.5mLの製剤を含む。特定の実施形態では、単位剤形は、0.3、0.5、0.7、0.8、1.0、1.2、1.4または1.4mLの容量を含む。特定の実施形態では、単位剤形は、0.7mLの容量で提供される。幾つかの実施形態では、単位剤形は、ミオスタチンに結合する10Fn3ドメインを含むポリペプチドを5~100mg含む。幾つかの実施形態では、単位剤形は、7.5mg、15mg、35mgまたは50mgの抗ミオスタチンアドネクチンを含む。
幾つかの実施形態では、製剤は、本明細書に開示されるように製造され、-60℃にてバルクで、例えば、85~150mg/mLのポリペプチド濃度で12L FFTpバッグに保存される。幾つかの実施形態では、製剤は、85mg/mLのポリペプチド濃度で-60℃で保存される。ついで、バルク製剤を解凍し、単位剤形の調製のために適切なポリペプチド濃度に希釈する。幾つかの実施形態では、単位剤形中の製剤のポリペプチド濃度は約10mg/mL~約140mg/mLである。幾つかの実施形態では、単位剤形中の製剤のポリペプチド濃度は約10mg/mL~約75mg/mLである。特定の実施形態では、単位剤形中の製剤のポリペプチド濃度は10.7mg/mL、20.4mg/ml、50mg/mLまたは71.4mg/mLである。
VIII.投与
本発明の抗ミオスタチンアドネクチンを含む医薬製剤は、本明細書に記載の病状のリスクがあるかまたは病状を示す対象に投与することができる。本明細書で提供される製剤は、静脈内、腹腔内または皮下注射による末梢全身送達に特に有用である。好ましい実施形態では、製剤は皮下注射により送達される。
治療上有効な用量とは、投与される治療効果をもたらす用量を指す。治療用に使用される医薬組成物の有効量は、例えば、治療状況および目的に依存するであろう。したがって、治療のための適切な用量レベルは、送達される分子、結合剤分子が使用される適応症、投与経路、および患者のサイズ(体重、体表面または臓器の大きさ)および状態(年齢および全身の健康)に部分的に依存して変わることを当業者は理解するであろう。
正確な投与量は、治療を必要とする対象に関連する要因を考慮して決定され、標準的な技術を使用して確認することができる。投与量および投与は、十分なレベルの活性化合物を提供するため、または所望の効果を維持するために調整される。考慮される可能性のある要因には、疾患状態の重篤度、対象の全般的な健康状態、対象の年齢、体重および性別、投与の時間と頻度、薬物の組み合わせ、反応感度、および治療への反応が含まれる。
一般に、抗ミオスタチンアドネクチンは、約5~200mg、より好ましくは約5~50mgのおよそ毎週の投与量で皮下投与される。特定の実施形態では、抗ミオスタチンアドネクチン製剤は、7.5、15、35および50mgの週用量で皮下投与される。用量レベルは、患者の体重(weight band)とミオスタチンの予測される抑制に基づく。特定の実施形態において、体重が45kg未満の患者にはミオスタチンの70%抑制に相当する7.5mg用量が投与され、体重が45kgを超える患者には15mgが投与されて同じレベルのミオスタチン抑制が達成される。特定の実施形態では、体重が45kg未満の患者にはミオスタチンの90%抑制に対応する35mg用量が投与され、体重が45kgを超える患者には15mgが投与されて同じレベル(90%)のミオスタチン抑制が達成される。
投与頻度は、使用する製剤中の結合剤分子の薬物動態パラメーターに依存する。典型的に、組成物は、所望の効果を達成する投与量に達するまで投与される。したがって、組成物は、単回投与として、または経時的に(同じまたは異なる濃度/投与量で)複数回投与として投与することができる。適切な投与量のさらなる改良が日常的に行われる。適切な用量は、適切な用量応答データを使用して確認できる。例えば、抗ミオスタチンアドネクチンはより少ない頻度であってよい(例えば、隔週、または毎月)。さらに、当技術分野で知られているように、年齢並びに体重、一般的な健康、性別、食事、投与時間、薬物相互作用、および疾患の重篤度の調整が必要な場合があり、当業者による日常的な実験で確認することができる。抗ミオスタチンアドネクチンは、一度にまたは一連の治療にわたって患者に適切に投与される。
IX.キットおよび製造品
本発明の抗ミオスタチンアドネクチンは、キット、所定量の試薬と本発明の治療法または診断法で使用するための説明書との包装された組み合わせで提供することができる。
例えば、本発明の一実施形態では、上記の障害または状態の治療または予防に有用な材料を含む製造品(article of manufacture)が提供される。製造品は、容器とラベルを備えている。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、注射器、および試験管が含まれる。容器は、ガラス、プラスチックまたは金属などのさまざまな材料から形成されてよい。
容器は、本明細書で提供される液体製剤を保持する。容器上のまたは関連付けられたラベルは、保管および/または使用の指示を示していてよい。ラベルは、SC製剤が皮下投与に有用または意図されていることをさらに示し得る。製剤を保持する容器は、例えば皮下製剤の反復投与(例えば2~6回の投与)を可能にする複数回使用バイアルであってよい。あるいは、容器は、例えば、単位剤形の皮下製剤を含む事前充填注射器であってよい。
製造品は、希釈剤、フィルター、針、注射器、および使用説明書付きの添付文書を含む、商業的およびユーザーの観点から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。
X.使用方法
一実施形態では、本発明は、ミオスタチン関連疾患または障害、例えば筋肉消耗障害、筋萎縮、代謝障害、および骨変性障害の治療に有用な抗ミオスタチンアドネクチンの安定製剤を提供する。したがって、特定の実施形態では、本発明は、有効量のミオスタチン結合ポリペプチド、すなわち抗ミオスタチンアドネクチンを対象に投与することを含む、対象のミオスタチン関連疾患または障害を減弱または阻害する方法を提供する。幾つかの実施形態では、対象はヒトである。幾つかの実施形態では、抗ミオスタチンアドネクチンは、哺乳動物、特にヒトに薬学的に許容される。「薬学的に許容される」ポリペプチドとは、本質的にエンドトキシンを含まない、または非常に低いエンドトキシンレベルなど、重大な医学的悪影響なしに動物に投与されるポリペプチドを指す。
本発明の抗ミオスタチンアドネクチンは、筋肉消耗および/または筋萎縮に関連する筋肉障害、神経障害および代謝障害を治療するために使用することができる。例えば、インビボでのミオスタチンの過剰発現は、悪液質に特徴的な兆候と症状を誘発し、ミオスタチン結合剤はミオスタチンの筋肉消耗効果を部分的に解消することができる(Zimmersら、Science 2002; 296:1486-8)。AIDSの患者もまた、AIDSのない患者または体重減少を示さないAIDS患者と比較して、ミオスタチン免疫反応性物質の血清レベルの増加を示す(Gonzalez-Cadavidら、PNAS 1998; 95:14938-43)。また、ミオスタチンの心臓特異的除去は、心不全のマウスの骨格筋萎縮を軽減し、逆に、心臓におけるミオスタチンの特異的過剰発現は、筋肉の消耗を誘発するのに十分であることも観察されている(Breitbartら、AJP-Heart; 2011; 300: H1973-82)。対照的に、ミオスタチンノックアウトマウスは、野生型と比較して、筋肉量の増加と脂肪蓄積の年齢依存性の減少を示す(McPherronら、J. Clin. Invest. 2002; 109: 595-601)。
本発明の方法に従って治療することができる例示的な障害には、例えば、運動ニューロン疾患、神経筋障害および神経障害を含む筋障害および神経障害が含まれる。
例えば、抗ミオスタチンアドネクチンは、遺伝性筋障害および神経筋障害(例えば、筋ジストロフィー(Gonzalez-Kadavidら、PNAS、1998; 95: 14938-43)、運動ニューロン障害、先天性ミオパチー、炎症性筋障害および代謝性筋疾患)、並びに後天性ミオパシー(例えば、薬物誘発性ミオパシー、毒素誘発性ミオパシー、感染誘発性ミオパシー、腫瘍随伴性ミオパシーおよび重篤な疾患に関連する他のミオパシー)の治療に使用できる。
そのような障害には、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、進行性筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、デジェリン-ランドウージー型筋ジストロフィー、エルブ型筋ジストロフィー、エメリー・ドレフウス型筋ジストロフィー、肢帯筋ジストロフィー、眼咽頭型筋ジストロフィー(OPMD)、顔面・肩甲・上腕筋ジストロフィー、先天性筋ジストロフィー、乳児神経軸索性筋ジストロフィー、筋緊張性ジストロフィー(シュタイナート病)、遠位筋ジストロフィー、ネマリンミオパチー、家族性周期性筋萎縮、非異栄養性ミオトニー(nondystrophic myotonia)、周期性四肢麻痺(periodic paralysis)、脊髄性筋萎縮症、脊髄性筋萎縮症(SMA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、原発性側索硬化症(PLS)、進行性筋萎縮(PMA)、遠位ミオパチー、筋管/中心核ミオパチー、ネマリンミオパチー、ミニコア病、中核疾患、デミノパシー、封入体筋炎、皮膚筋炎、多発筋炎、ミトコンドリアミオパチー、先天性筋無力症候群、重症筋無力症、ポリオ後の筋機能障害、ステロイドミオパチー、アルコール性ミオパチー、周術期の筋萎縮およびICU神経筋障害が含まれるが、これらに限られない。
抗ミオスタチンアドネクチンで治療できる遺伝性および後天性の神経障害および神経根障害には、剛性脊椎症候群、筋肉眼脳疾患、遺伝性運動神経および感覚神経障害、カーコットマリーツース病、慢性炎症性神経障害、進行性肥大性ニューロパチー、黄斑性ニューロパシー、ループス、ギランバレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー、多発性硬化症、サルコイドーシス、糖尿病性ニューロパシー、アルコール性ニューロパシー、疾患関連ニューロパシー(例えば、HIV/AIDS、ライム病)、毒素関連ニューロパシー(例えば、重金属、化学療法)、圧迫性ニューロパシー(例えば、腫瘍、閉じ込めニューロパシー)、および障害または外傷に関連するニューロパシー(例えば、馬尾症候群、対麻痺、四肢麻痺)が含まれるが、これらに限られない。
幾つかの実施形態では、本発明の抗ミオスタチンアドネクチンは、筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー)、ALS、およびサルコペニアを治療するために用いることができる。
本発明の抗ミオスタチンアドネクチンで治療できる筋肉消耗に関連する追加の障害には、悪液質、消耗症候群、サルコペニア、うっ血性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症(肺悪液質)、心疾患または心不全(心臓悪液質)、癌、エイズによる消耗、腎不全による消耗、腎疾患、跛行、透析に伴う悪液質、尿毒症、関節リウマチ、筋肉損傷、外科手術、損傷した筋肉の修復、虚弱、廃用性萎縮、骨粗鬆症、変形性関節症、靭帯成長および修復が含まれる。
本発明の方法はまた、不使用により筋萎縮を患う対象の筋肉量を増加させるために使用することができる。廃用性萎縮は、長期の不動または不使用となる障害または状態を含む多くの原因から生じる。これには、長時間の安静、車椅子拘束、四肢の固定、機械的換気による横隔膜の除荷、固形臓器移植、関節置換、脳卒中、CNS損傷関連の弱さ、脊髄損傷、重度の火傷からの回復、座位の慢性血液透析、外傷後の回復、敗血症後の回復および微小重力への暴露(Powersら、Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol 2005; 288: R337-44)が含まれるが、これらに限られない。
また、加齢に伴う対筋肉脂肪比率の増加、および加齢に伴う筋萎縮はミオスタチンに関連しているようである。例えば、平均血清ミオスタチン免疫反応性タンパク質は、若い(19~35歳)、中年(36~75歳)、および高齢者(76~92歳)の男女のグループで年齢とともに増加したが、これらのグループでは、平均筋肉量と除脂肪量が年齢とともに減少した(Yarasheskiら、J Nutr Aging 6(5): 343-8(2002))。したがって、加齢による筋萎縮のある対象、および/または例えばサルコペニアによる虚弱な対象も、本発明の抗ミオスタチンアドネクチンによる治療から利益を得るであろう。
また、食用動物に抗ミオスタチンアドネクチンの有効量を投与することにより、食用動物の筋肉量を増加させる方法も考えられる。成熟したC末端ミオスタチンポリペプチドはすべての種で同一であるため、抗ミオスタチンアドネクチンは、例えば、ウシ、ニワトリ、七面鳥、ブタなど(これらに限られない)の農業上重要な種の筋肉量を効果的に増加させ、脂肪を減らすことが期待される。
筋肉消耗障害または筋萎縮の治療における抗ミオスタチンアドネクチンの有効性は、例えば、筋肉の重量または容積の増加、筋肉細胞数の増加(過形成)、筋細胞サイズの増加(肥大)および/または筋力の増加を測定するための1つまたは複数の方法によって決定することができる。例えば、本発明の抗ミオスタチンアドネクチンが筋肉の容積を増加させる効果は、下記の実施例で実証されている。「筋肉の重量の増加」を決定する方法は、当技術分野で周知である。例えば、筋肉含量は、水中重量測定(例えば、Bhasinら、New Eng。J. Med. (1996)335を参照: 1-7)および二重エネルギーX線吸収測定法(例えば、Bhasinら、Mol.Endocrinol. (1998)83: 3155-3162を参照)などの標準的な技術を使用して、本発明の抗ミオスタチンアドネクチンの投与の前後に測定することができる。筋肉サイズの増加は、少なくとも約5~10%、好ましくは少なくとも約10~20%以上の体重増加によって証明され得る。
代謝障害:
本発明の抗ミオスタチンアドネクチンはミオスタチン活性および/またはシグナル伝達を低下させるが、肥満、II型糖尿病、糖尿病関連障害、メタボリックシンドローム、および高血糖などの代謝障害の治療に有用である。
ミオスタチンは、II型糖尿病の病因に関与している。ミオスタチンは脂肪組織で発現し、ミオスタチン欠乏マウスは加齢とともに脂肪蓄積の減少を示す。さらに、グルコース負荷、脂肪蓄積、および総体重は、ミオスタチンを欠くアグーチ致死性の黄色および肥満(Lepob/ob)マウスで減少する(Yenら、FASEB J. 8: 479, 1994; McPherronら、2002)。US2011/0008375に開示されているように、ミオスタチンアンタゴニストは、老齢マウスモデルの対筋肉脂肪比を低下させ、骨格筋量および除脂肪体重を維持し、STZ誘発糖尿病マウスの腎肥大を減衰させることができる。
本明細書において「肥満」とは、健康に悪影響を与える可能性がある程度まで過剰な体脂肪が蓄積している状態である。一般に、30kg/m2以上のボディ・マス・インデックス(BMI)として定義され、25kg/m2以上のBMIで定義された過体重と区別される(例えば、世界保健機関(2000)(PDF)。テクニカルレポートシリーズ894:肥満:世界的な流行の予防と管理、ジュネーブ:世界保健機関を参照)。過剰な体重は、さまざまな疾患、特に心血管疾患、II型糖尿病、閉塞性睡眠時無呼吸、特定の種類の癌、および変形性関節症に関連している。
肥満の対象は、例えば、BMI(BMIは対象の体重を身長の2乗で割って計算される)、ウエスト周囲およびウエスト・ヒップ比(絶対ウエスト周囲(男性では>102cm、女性では>88cm)およびウエスト・ヒップ比(ウエスト周囲をヒップ周囲で割ったもの;男性では>0.9、女性では>0.85)(例えば、Yusuf Sら、(2004). Lancet 364: 937-52)、および/または体脂肪率(総体重の割合として表される総体脂肪:体脂肪25%以上の男性と体脂肪33%以上の女性は肥満である;体脂肪率は、次の式によってヒトのBMIから推定できる:体脂肪%=(1.2*BMI)+(0.23*年齢)-5.4-(10.8*性別)(式中、性別は女性の場合は0、男性の場合は1である)。体脂肪率測定技術には、例えば、コンピューター断層撮影(CTスキャン)、磁気共鳴画像(MRI)、およびデュアルエネルギーX線吸収法(DEXA)が含まれる。
「II型糖尿病」という用語は、身体のインスリンが効果的に機能しない場合に生じる慢性的な生涯にわたる疾患を指す。II型糖尿病の主な成分は「インスリン抵抗性」であり、膵臓で産生されたインスリンが脂肪や筋肉細胞と結合して内部のブドウ糖がエネルギーを産生することができず、高血糖症(高い血糖)を引き起こす。これを補うために、膵臓はより多くのインスリンを産生し、細胞はインスリンのこの溢れを感知してさらに抵抗性になり、結果として高グルコースレベルとしばしば高インスリンレベルの悪循環が生じる。
本明細書で使用される「糖尿病に関連する障害(disorders associated with diabetes)」または「糖尿病関連障害(diabetes associated disorders)」または「糖尿病関連障害(diabetes related disorders)」という語句は、糖尿病に一般的に関連(associated with)または関連(related to)する状態および他の疾患を指す。糖尿病に関連する障害の例には、例えば、高血糖、高インスリン血症、高脂血症、インスリン抵抗性、グルコース代謝障害、肥満、糖尿病性網膜症、黄斑変性、白内障、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、糖尿病性神経障害、勃起機能不全、月経前症候群、血管再狭窄、潰瘍性大腸炎、冠状動脈性心臓病、高血圧、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、皮膚および結合組織障害、足部潰瘍、代謝性アシドーシス、関節炎、および骨粗鬆症が含まれる。
代謝障害の治療における抗ミオスタチンアドネクチンの有効性は、例えば、インスリン感受性の増加、対象からの細胞によるグルコース取り込みの増加、血中グルコースレベルの減少および体脂肪の減少を測定する1つまたは複数の方法によって決定することができる。
例えば、II型糖尿病を患っている対象または糖尿病を発症するリスクがある対象では、HbA1cレベルをモニターすることができる。本明細書で使用される「ヘモグロビン1AC」または「HbA1c」という用語は、ヘモグロビンB鎖の非酵素的糖化の産物を指す。糖尿病患者のHbA1cレベルの望ましい目標範囲は、米国糖尿病協会(ADA)のガイドライン、つまり糖尿病の医療基準(Diabetes Care 2012; 35(Suppl 1): S511-563)から決定できる。現在のHbA1cの目標レベルは、一般に糖尿病患者で<7.0%であり、糖尿病を患っていないヒトのHbA1c値は、通常6%未満である。したがって、本発明の抗ミオスタチンアドネクチンの有効性は、対象のHBA1cレベルの観察された減少によって決定することができる。
本発明の方法はさらに、抗ミオスタチンアドネクチンの単独投与、または血糖コントロールのために(例えば、インスリン、GLP1)または当該分野で認識されている糖尿病関連合併症の治療のために当該分野で公知の他の薬剤と組み合わせた投与を含む。
実施形態:
1.(i)ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含む少なくとも10mg/mLのポリペプチド;
(ii)少なくとも5%の濃度の二糖;
(iii)約20~約60mMの濃度のヒスチジン緩衝液;および
(iv)薬学的に許容される水性担体
を含み、製剤のpH範囲が約6.5~約7.8である、安定な医薬製剤。
2.製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンのタンパク質濃度が約10mg/mL~200mg/mLである、実施形態1の製剤。
3.製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンのタンパク質濃度が約10mg/mL~150mg/mLである、実施形態1の製剤。
4.抗ミオスタチンアドネクチンのタンパク質濃度が約10mg/mL~85mg/mLである、実施形態1の製剤。
5.製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンのタンパク質濃度が、約10.7mg/mL、約21.4mg/mL、約50mg/mLおよび約71.4mg/mLからなる群から選択される、実施形態1の製剤。
6.二糖が、少なくとも5:1のタンパク質対糖の重量(w/w)比で存在する、先行する実施形態のいずれかの製剤。
7.タンパク質:二糖の重量比が約5:1~10:1である、先行する実施形態のいずれかの製剤。
8.タンパク質:二糖比が約10:1である、先行する実施形態のいずれかの製剤。
9.タンパク質:二糖比が約6.75:1である、先行する実施形態のいずれかの製剤。
10.製剤が約5%~約30%の二糖を含む、先行する実施形態のいずれかの製剤。
11.製剤が約15%~約25%の二糖を含む、先行する実施形態のいずれかの製剤。
12.製剤が約20%~約25%の二糖を含む、先行する実施形態のいずれかの製剤。
13.製剤が約18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%または約25%の二糖を含む、先行する実施形態のいずれかの製剤。
14.二糖の濃度が約150mM~約800mMである、先行する実施形態のいずれかの製剤。
15.製剤中の二糖の濃度が約300~約700mMである、先行する実施形態のいずれかの製剤。
16.二糖がトレハロースである、先行する実施形態のいずれかの製剤。
17.製剤が約5~約30%のトレハロースを含む、実施形態16の製剤。
18.製剤が約15%~約25%のトレハロースを含む、実施形態16または実施形態17の製剤。
19.製剤が約20%~約25%のトレハロースを含む、実施形態16~18のいずれか1つの製剤。
20.製剤が約18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%または約25%のトレハロースを含む、実施形態16~18のいずれか1つの製剤。
21.製剤が22%のトレハロースを含む、実施形態16の製剤。
22.製剤が23%のトレハロースを含む、実施形態16の製剤。
23.二糖がトレハロース二水和物である、先行する実施形態のいずれか1つの製剤。
24.製剤中のトレハロース二水和物の濃度が約150mM~約800mMである、実施形態23の製剤。
25.製剤中のトレハロース二水和物の濃度が約300~約700mMである、実施形態23または実施形態24の製剤。
26.製剤中のトレハロース二水和物の濃度が約150mM、約200mM、約250mM、約300mM、約350mM、約400mM、約450mM、約500mM、約550mM、約575mM、約600、約625mM、約650mM、約675mMまたは約700mMである、実施形態24の製剤。
27.製剤中のトレハロース二水和物の濃度が600nMである、実施形態24の製剤。
28.ヒスチジンが少なくとも20mMの濃度で存在する、先行する実施形態のいずれかの製剤。
29.ヒスチジンが約20mM~約40mMの濃度で存在する、先行する実施形態のいずれかの製剤。
30.ヒスチジンが約20mM、約25mM、約30mMまたは約35mMの濃度で存在する、実施形態29の製剤。
31.ヒスチジンが約20mMの濃度で存在する、実施形態29の製剤。
32.ヒスチジンが約25mMの濃度で存在する、実施形態29の製剤。
33.ヒスチジンが約30mMの濃度で存在する、実施形態29の製剤。
34.製剤の粘度が約5~20cpsである、先行する実施形態のいずれかの製剤。
35.製剤の粘度が約5~15cpsである、先行する実施形態のいずれかの製剤。
36.製剤の粘度が7~12cpsである、先行する実施形態のいずれかの製剤。
37.製剤の粘度が約8cps未満である、実施形態34の製剤。
38.pHが約6.6~7.6である、先行する実施形態のいずれかの製剤。
39.製剤のpHが約6.8~7.4である、実施形態38の製剤。
40.製剤のpHが約7.0~7.3である、実施形態38の製剤。
41.製剤のpHが約6.9、7.0、7.1、7.2または7.3である、実施形態38の製剤。
42.製剤のpHが約7.1である、実施形態38の製剤。
43.界面活性剤を約0.01%~0.5%の濃度で含む、先行する実施形態のいずれかの製剤。
44.界面活性剤の濃度が約0.02%~約0.1%である、実施形態43の製剤。
45.界面活性剤がポリソルベート20またはポリソルベート80である、実施形態43または44の製剤。
46.界面活性剤が0.02%の濃度のポリソルベート80である、実施形態43~45のいずれか1つの製剤。
47.キレート剤を含む前記実施形態のいずれかの製剤。
48.キレート剤の濃度が約0.01mM~約0.5mMである、実施形態47の製剤。
49.キレート剤の濃度が約0.05mM~0.2mMである、実施形態47の製剤。
50.キレート剤がDPTA、EDTAおよびEGTAからなる群より選択される、実施形態47~49のいずれか1つの製剤。
51.キレート剤がDPTAである、実施形態47~50のいずれか1つの製剤。
52.DPTAの濃度が約0.05mMである、実施形態51の製剤。
53.(i)ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含む約10~140mg/mLのポリペプチド;
(ii)約5~25%のトレハロース二水和物;
(iii)約20~30mMのヒスチジン;および
(iv)薬学的に許容される水性担体
を含み、製剤のpHが約6.8~7.3である安定な医薬製剤。
54.(i)ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含む約10~140mg/mLのポリペプチド;
(ii)約5~25%のトレハロース二水和物;
(iii)約20~30mMのヒスチジン;
(iv)約0.02~0.06mMのDTPA;
(v)約0.01~0.05%のポリソルベート80;および
(vi)薬学的に許容される水性担体
を含み、製剤のpHが約6.8~7.3である安定な医薬製剤。
55.(i)ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含む約10~140mg/mLのポリペプチド;
(ii)約600mMのトレハロース二水和物;
(iii)約25~30mMのヒスチジン;および
(iv)薬学的に許容される水性担体
を含み、製剤のpHが約7.0~7.3である安定な医薬製剤。
56.(i)ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含む約10~140mg/mLのポリペプチド;
(ii)約600mMのトレハロース二水和物;
(iii)25~30mMのヒスチジン;
(iv)約0.02~0.06mMのDTPA;
(v)約0.01~0.05%のポリソルベート80;および
(vi)薬学的に許容される水性担体
を含み、製剤のpHが約7.0~7.3である安定な医薬製剤。
57.(i)ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含む約10~75mg/mLのポリペプチド;
(ii)約5~25%のトレハロース二水和物;
(iii)約20~30mMのヒスチジン;および
(iv)薬学的に許容される水性担体
を含み、製剤のpHが約6.8~7.3である安定な医薬製剤。
58.(i)ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含む約10~75mg/mLのポリペプチド;
(ii)約5~25%のトレハロース二水和物;
(iii)約20~30mMのヒスチジン;
(iv)約0.02~0.06mMのDTPA;
(v)約0.01~0.05%のポリソルベート80;および
(vi)薬学的に許容される水性担体
を含み、製剤のpHが約6.8~7.3である安定な医薬製剤。
59.(i)ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含む約10~75mg/mLのポリペプチド;
(ii)約600mMのトレハロース二水和物;
(iii)約30mMのヒスチジン;
(iv)約0.05mMのDTPA;
(v)約0.02%のポリソルベート80;
(vi)薬学的に許容される水性担体
を含み、製剤のpHが約7.1である安定な医薬製剤。
60.約10~85mg/mg mLのポリペプチドを含む、実施形態53~57のいずれか1つの製剤。
61.約10.7mg/mL、約21.4mg/mL、約50mg/mL、または約71.4mg/mLのポリペプチドを含む、実施形態58~60のいずれか1つの製剤。
62.(i)ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含む約10~75mg/mLのポリペプチド;
(ii)約5~25%のトレハロース二水和物;
(iii)約20~30mMのヒスチジン;
(iv)約0.02~0.06mMのDTPA;
(v)約0.01~0.05%のポリソルベート80;および
(vi)薬学的に許容される水性担体
を含み、pHが約6.8~7.3である約1.0mL以下の製剤を含む単位剤型。
63.該製剤が
(i)ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含む約10~75mg/mLのポリペプチド;
(ii)約600mMのトレハロース二水和物;
(iii)約30mMのヒスチジン;
(iv)約0.05mMのDTPA;
(v)約0.02%のポリソルベート80;
(vi)薬学的に許容される水性担体
を含み、該製剤のpHが約7.1である、実施形態63の単位剤型。
64.10Fn3ドメインのBC、DE、およびFGループの少なくとも1つのループが、配列番号5、6および7のそれぞれのBC、DE、およびFGループに対して0、1、2、または3個のアミノ酸置換を有する、先行する実施形態のいずれか1つの製剤。
65. 10Fn3ドメインのBC、DE、およびFGループの少なくとも1つのループが、配列番号5、6および7のそれぞれのBC、DE、またはFGループに対して1個のアミノ酸置換を有する、先行する実施形態のいずれか1つの製剤。
66.10Fn3ドメインが、配列番号5、6および7のそれぞれのBC、DE、またはFGループに対して1個のアミノ酸置換を有する、先行する実施形態のいずれか1つの製剤。
67.10Fn3ドメインのBC、DE、およびFGループが、それぞれ配列番号5、6および7のアミノ酸配列を含む、実施形態1~65のいずれか1つの製剤。
68.10Fn3ドメインが、配列番号8、9、または10の非BC、DE、およびFGループ領域と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む、先行する実施形態のいずれか1つの製剤。
69.10Fn3ドメインが配列番号8のアミノ酸配列を含む、実施形態1~65のいずれか1つの製剤。
70.ポリペプチドがFcドメインを含む、先行する実施形態のいずれか1つの製剤。
71.製剤中のポリペプチドが、配列番号78と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のアミノ酸配列を含む、実施形態71の製剤。
72.製剤中のポリペプチドが配列番号78のアミノ酸配列を含む、実施形態71の製剤。
73.ポリペプチドがダイマーである、先行する実施形態のいずれかの製剤。
74.(i)配列番号78のアミノ酸を含む約10~75mg/mLのポリペプチド;
(ii)約5~25%のトレハロース二水和物;
(iii)約20~30mMのヒスチジン;および
(iv)薬学的に許容される水性担体
を含み、製剤のpHが約6.8~7.3である安定な医薬製剤。
75.さらに約0.02~0.06mMのDTPAを含む、実施形態75の製剤。
76.(i)配列番号78のアミノ酸を含む約10~75mg/mLのポリペプチド;
(ii)約600mMのトレハロース二水和物;
(iii)約25~30mMのヒスチジン;
(iv)約0.02~0.06mMのDTPA;
(v)約0.01~0.05%のポリソルベート80;および
(vi)薬学的に許容される水性担体
を含み、製剤のpHが約7.0~7.3である安定な医薬製剤。
77.(i)配列番号78のアミノ酸を含む約10~75mg/mLのポリペプチド;
(ii)約600mMのトレハロース二水和物;
(iii)約30mMのヒスチジン;
(iv)約0.05mMのDTPA;
(v)約0.02%のポリソルベート80;
(vi)薬学的に許容される水性担体
を含み、製剤のpHが約7.1である安定な医薬製剤。
78.製剤が約10.7mg/mL、約21.4mg/mL、約50mg/mLまたは約71.4mg/mLのポリペプチドを含む、実施形態77または実施形態78の製剤。
79.静脈内、筋肉内または皮下注射用に製剤化された先行する実施形態のいずれか1つの製剤。
80.皮下注射用の実施形態80の製剤。
81.約0.3mL~1mLの容積の単位剤形で提供される、先行する実施形態のいずれか1つの製剤。
82.単位剤形が約0.3mL、0.4mL、0.5mL、0.6mL、0.7mL、0.8mL、0.9mLまたは1.0mLの容積で提供される、実施形態82の製剤。
83.先行する実施形態のいずれか1つの医薬製剤の有効量を投与することを含む、対象におけるミオスタチン関連疾患または障害を減弱または阻害する方法。
84.ミオスタチン関連疾患または障害が、対象の筋肉の変性または消耗に関連している、実施形態84の方法。
85.ミオスタチン関連疾患または障害が代謝障害である、実施形態84の方法。
86.ミオスタチン関連疾患または障害が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)、脊髄性筋萎縮症およびデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)からなる群より選択される、実施形態84の方法。
87.ミオスタチン関連疾患または障害がサルコペニアまたはII型糖尿病である、実施形態84の方法。
88.ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含むポリペプチドが約5mg~200mgの用量で投与される、実施形態84~88のいずれか1つの方法。
89.ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含むポリペプチドが、約7.5、15、35、または50mgの用量で投与される、実施形態89の方法。
90.製剤が皮下投与される、実施形態84~90のいずれか1つの方法。
91.製剤が約5mg~約200mgの週用量で投与される、実施形態84~91のいずれか1つの方法。
92.製剤が約5mg~約50mgの週用量で投与される、実施形態84~92のいずれか1つの方法。
93.製剤が、約7.5mg、約15mg、約35mg、または約50mgの週用量で皮下投与される、実施形態84から93のいずれか1つの方法。
94.対象が21歳未満の小児患者である、実施形態84~94のいずれか1つの方法。
95.対象が約6~12歳の小児患者である、実施形態95の方法。
96.対象が約45kg未満であり、約7.5mg~約35mgの用量が投与される、実施形態84~96のいずれか1つの方法。
97.対象が約45kg超であり、約15mg~約50mgの用量が投与される、実施形態84~96のいずれか1つの方法。
参照のための引用:
本明細書に記載されている特許文献やウェブサイトを含むすべての文書および参考文献は、本明細書に全部または一部が書かれている場合と同程度に、参照により本明細書に個別に組み込まれる。
ここで、以下の実施例を参照することにより本発明を説明するが、これらは例示にすぎず、本発明を限定することを意図するものではない。本発明をその特定の実施形態を参照して詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更および修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。
A.抗ミオスタチンアドネクチンの発現および精製
不溶性および可溶性の抗ミオスタチンアドネクチンのクローニング、発現および精製方法は以前に記載されている(米国特許第8,933,199号;同第8,993,265号;同第8,853,154号;および同第9,493,546号)。簡単に説明すると、抗ミオスタチンアドネクチンをコードする核酸をpET9dベクターにクローニングし、大腸菌BL21DE3plysS菌体で発現させる。20mlの接種培養物(単一の平板コロニーから生成)を使用して、50μg/mlのカナマイシンおよび34μg/mlのクロラムフェニコールを含む1リットルのLB培地またはTB-Overnight Expression Media(自動誘導)に接種する。LB培地での培養物を、A600 0.6~1.0まで37℃でインキュベートし、1mMイソプロピル-α-チオガラクトシド(IPTG)で誘導し、30℃で4時間増殖させる。TB-Overnight Expression Mediaで増殖させた培養液を37℃で5時間インキュベートし、その時点で温度を18℃に下げて19時間増殖させる。培養物を、4℃にて約10,000gで30分間遠心分離することにより回収する。細胞ペレットを-80℃で凍結させた。解凍後、氷上でUltra-turraxホモジナイザー(IKAワークス)を使用して、細胞ペレットを25mlの溶解緩衝液(20mM NaH2PO4、0.5M NaCl、1xCompleteTM Protease Inhibitor Cocktail-EDTA free(Roche)、pH7.4)に再懸濁する。細胞溶解は、Model M-110S Microfluidizer(Microfluidics)を使用した高圧ホモジナイゼーション(±18,000psi)により達成される。
不溶性抗ミオスタチンアドネクチンの場合、4℃で>23,300gで30分間の遠心分離により不溶性画分を分離する。溶解物の遠心分離から回収された不溶性ペレットを、20mMリン酸ナトリウム/500mM NaCl、pH7.4で洗浄する。ペレットを、超音波処理しながら、20mMリン酸ナトリウム/500mM NaCl pH 7.4中の6M塩酸グアニジンに再溶解し、その後37℃で1~2時間インキュベートした。再可溶化したペレットを0.45μmフィルターでろ過し、20mMリン酸ナトリウム/500mM NaCl/6MグアニジンpH7.4緩衝液で平衡化したHistrapカラムにロードする。ロード後、同じ緩衝液でカラムをさらに25カラム容量洗浄する。結合タンパク質を、20mMリン酸ナトリウム/500mM NaCl/6Mグアニジン-HCl、pH7.4中の50mMイミダゾールで溶出した。精製タンパク質を、50mM酢酸ナトリウム/150mM NaCl、pH4.5またはPBS、pH7.2に対する透析によりリフォールディングする。
可溶性の抗ミオスタチンアドネクチンの場合、0.45μmフィルターを使用して上清を清澄化する。清澄化した溶解物を、20mMリン酸ナトリウム/500mM NaCl、pH7.4で事前に平衡化したHistrapカラム(GE)にロードする。次に、カラムを25カラム容量の同じ緩衝液で洗浄し、続いて20カラム容量の20mMリン酸ナトリウム/500mM NaCl/25mMイミダゾール、pH7.4、ついで35カラム容量の20mMリン酸ナトリウム/500mM NaCl/40mMイミダゾール、pH7.4で洗浄する。15カラム容量の20mMリン酸ナトリウム/500mM NaCl/500mMイミダゾール、pH7.4でタンパク質を溶出し、A280の吸光度に基づいて画分をプールし、1xPBSまたは50mM Tris、150mM NaCl、pH8.5または50mM NaOAc、150mM NaCl、pH4.5に対して透析する。沈殿物を0.22μmフィルターでろ過することにより除去する。
B.Fcフォーマットの抗ミオスタチンアドネクチンの発現および精製
DNA生成のため、選択された抗ミオスタチンアドネクチンをコードする核酸を、大腸菌Top10細胞が形質転換されたpDV-16プラスミドにクローニングした。pDV-16はpTT5の修正版(Yves Durocher、NRCカナダ)であり、ヒトIgG1-Fcコード配列が導入され、シグナル配列が先行し、Fcのいずれかの末端にアドネクチンコード配列を挿入できるように制限部位が含まれていた。100μg/mlのアンピシリンを含む1Lのルリアブロスを接種し、回転インキュベーターで225rpm、37℃で18時間インキュベートすることにより、形質転換細胞を拡張させた。細菌ペレットを、4℃で30分間、>10000gで遠心分離することにより回収した。製造業者のプロトコルに記載されているように、QIAGEN Plasmid Plus Mega Kit(QIAGEN)を使用して、精製プラスミドDNAを単離した。精製DNAは260nmの吸光度を使用して定量し、使用前に-80℃で凍結した。
HEK293-EBNA1(クローン6E)(Yves Durocher、NRCカナダ)細胞を、37℃、5%CO2にて10L GE Healthcare Waveバッグ中の2LのF17培地で2x106細胞/mlに拡張し、18rpmで8度の角度で振動させることにより混合した。
トランスフェクション用にDNAを以下のようにして調製した:F17培地を37℃に加温した。DNAおよびPEIトランスフェクション試薬を、滅菌されたバイオセーフティフードで解凍した。DNA(2.25mg)を滅菌ポリプロピレン培養フラスコに入れた100mlの加温したF17培地に加え、旋回により穏やかに混合した。別のフラスコで、6.75mgのPEI(1mg/ml)を100mlの予熱したF17培地と混合し、旋回により穏やかに混合した。DNAを含むフラスコにPEI溶液を添加することにより内容物を合わせ、旋回することにより穏やかに混合する前に、フラスコを5分間静置した。
DNA:PEI混合物を含むフラスコの内容物を、バイオセーフティフード内で室温にて15分間インキュベートした後、HEK293-6E細胞を含むウェーブバッグに加えた。トランスフェクションしたHEK293-6E細胞を含むバッグを37℃、5%CO2で24時間インキュベートし、18RPMで8度の角度で振動させて混合した。24時間後、F17培地に溶解した滅菌濾過20%トリプトンN1(カナダ、Organotechnie)100mlを培養液に無菌的に添加した。上記のようにさらに72時間インキュベートした後、細胞および培地を回収した。別法として、振盪フラスコでの一時的なHEK発現(2Lフラスコ中の0.5L培地)を1:2のDNA:PEI比で行うことができる。4℃にて30分間6000gで遠心分離することにより、細胞を馴化培地から分離した。馴化培地を保持し、0.2μMフィルターでろ過し、4℃で保存した。
馴化培地を、PBSで予め平衡化したGE MabSelect Sure樹脂を含む10mlクロマトグラフィーカラムに5ml/分の速度で適用した。ろ過した馴化培地をロードした後、室温で少なくとも100mlのPBSでカラムを洗浄した。精製生成物を、100mMグリシン/100mM NaCl、pH3.0を適用してカラムから溶出した。画分を、1/6容量の1M Tris pH8を含むチューブに回収するか、A280吸光度に従ってプールし、その後1M Tris pH8を100mM加えることにより、pHで中和した。プロテインA溶出後に高分子量種の含有量が5%を超える場合、PBS中のSuperdex200(26/60)カラム(GE Healthcare)で試料をさらに精製する。モノマーを含むSEC画分をプールし、濃縮する。得られたプロテインAまたはSECプールを4℃でPBSに対して徹底的に透析し、-80℃で凍結する前に0.22μmカットオフフィルターを使用して滅菌濾過した。
C.大量生産(Bulk Manufacturing):哺乳類の発現および一次回収:UCOE CHOシステム
ユビキタスクロマチンオープニングエレメント(UCOE)を含むpUCOEベクター[Milliporeの修正UCOEベクター]にクローニングされた抗ミオスタチンアドネクチン-Fc融合体をCHO-S細胞にトランスフェクションすることにより、哺乳類リサーチセルバンク(RCB)を作成した。RCBは、12.5μg/mLのピューロマイシンを含む選択培地(CD CHO培地(Invitrogen)中の0.04%(v/v)L-グルタミン(Invitrogen)および0.01%(v/v)HTサプリメント(Invitrogen))で細胞を拡張することによって確立された。低継代数の細胞を遠心分離により無菌的に分離し、バンキング培地(CD CHO培地(Invitrogen)中の0.04%(v/v)L-グルタミン(Invitrogen)、0.01%(v/v)HTサプリメント(Invitrogen)および7.5%(v/v)DMSO)に1x107細胞/mLの最終濃度まで再懸濁した。これらの細胞を、最初に-80℃の70%イソプロピルアルコール浴で一晩凍結し、翌日、長期保存のために液体窒素に移した。
単一のRCBバイアルを12.5μg/mLピューロマイシンを含む25mLの選択培地に解凍し、同培地で培養物を拡張することにより、細胞培養を開始した。細胞は、0.2x106細胞/mLに分割される前に、1-2x106細胞/mLの濃度に達した。通常、バイオリアクターに播種する2~4週間前に細胞を維持した。拡張培養物を最後に継代し、8Lの生産培地を含む15Lバイオリアクター(0.01%(v/v)HTサプリメント(Invitrogen)、0.04%(v/v)Glutamax(Gibco)、および0.005%(v/v)Pluronic F-68(Gibco)を含むInvitrogen CD CHO培地)は、0.2x106細胞/mLの最終密度で播種できた。バイオリアクター培養は、VCD(生細胞密度)、生存率、pH、およびグルコース濃度について毎日モニターした。バイオリアクター培養物は、3日目と6日目にフィード培地を10%の全量ボーラス添加にて供給された。培養物は7日目から9日目に生存率>70%で回収された。培養中、バイオリアクター培養は7.1のpH、37℃の温度、40%の%DO2、および100の定常RPMに制御した。
回収の日に、バイオリアクター培養物を深さ6.0/3.0μmのフィルターに直接通し、続いて滅菌バッグに滅菌0.8/0.2μmろ過した。清澄化した無菌培養物を2~8℃で一晩保存した。清澄化した培養物を、30,000kDaメンブレンを使用したフラットシートTFFで濃縮した。回収力価に応じて、およその濃度は6倍であった。次に、濃縮した上清を滅菌ろ過してPETGボトルに入れ、直接処理するかまたは-80℃で保存した。
D.抗ミオスタチン-アドネクチン-Fc融合体精製
回収した培養上清(そのままでまたは濃縮して)を、PBSで前もって平衡化したMabSelectプロテインAカラムにロードする。カラムを5CVの50mM Tris pH8.0、1M尿素、10%PGで洗浄する。アドネクチン-Fc融合体を100mMグリシンpH3.3で溶出し、1CVの200mM酢酸ナトリウムpH4.5を事前に充填した容器にピークを回収する。ピーク溶出は、A280の吸光度に基づく。
2Mクエン酸を加えてプロテインA溶出液をpH3.0に希釈し、ウイルス不活化のために室温で1時間放置する。次に、試料をpH4.5に達するまで200mMリン酸三ナトリウムで希釈する。必要に応じて溶液をさらに水で希釈して導電率を10ms/cm未満に下げる。
希釈したプロテインA溶出液を、ネガティブキャプチャーモードにて50mM酢酸ナトリウムpH4.5で調整されたTosoh Q 600C AR(Tosoh Bioscience)に通す。A280での吸光度に基づいてフロースルーピークを収集する。カラムを50mM酢酸ナトリウムで洗浄し、0.2N NaOHで除去する(stripped)。
30kD MWCO中空糸膜(GE)を利用したタンジェンシャルフローろ過(tangential flow filtration)を用い、保持液を非常に穏やかに混合してQ600CARフロースルーを調合する。アドネクチン-Fc融合物を5~8の透析容量(diavolumes)でヒスチジン(20~30mM)および二糖(300~600mM)pH7.1~7.8にダイアフィルトレーションし、ついで標的タンパク質濃度まで濃縮する。精製したアドネクチン-Fc融合体の大容量(Bulk volumes)を、85~140mg/mLの濃度で12L FFtpバッグに-60℃で保存する。ついで、精製したアドネクチン-Fc融合タンパク質を解凍し、分析のために所望のタンパク質濃度に希釈した。
本研究では、ショ糖またはトレハロース糖のいずれかを含む25mMヒスチジン緩衝液、pH6.9での抗ミオスタチンアドネクチンの%HMW形成および%LMW形成を研究した。
表1:抗ミオスタチンアドネクチン製剤(DP)の特性

Figure 2023011601000003
表2:材料

Figure 2023011601000004

表3:製剤

Figure 2023011601000005
Hを7.3に調節
A.試料の調製
135mg/mLのタンパク質濃度の抗ミオスタチンアドネクチンでは、ヒスチジン緩衝液での透析時に-0.4pH単位のpHシフトが見られた。この問題を回避し、中性付近のpHでの製剤の安定性を評価できるように、緩衝液のpHをpH7.3に調整して、得られたタンパク質溶液がpH6.9になるようにした。
表4:緩衝液の調製

Figure 2023011601000006
適切な量の固体を1600LのMilli-Q水に溶解した(表による)。6N HClを使用してpHをpH7.3に調整し、最終容量を2Lに調整した。溶液を0.22μmフィルターでろ過し、緩衝液で得られた最終pHを表5に示す。
表5:6N HClを使用して調整した前後の製剤のpH

Figure 2023011601000007
50mg/mLの抗ミオスタチンアドネクチンDPの40mLを、5℃での1サイクルを含む5サイクルの間、異なる製剤緩衝液に対して透析した。
表6:透析および濃縮後の濃度調整

Figure 2023011601000008
各条件について透析溶液を130~140mg/mLに濃縮し、試料5℃、25℃および35℃で保存した。
B.結果
時間ゼロ(T0)での製剤特性:
時間ゼロ(T0)で、各製剤の外観を、粒子形成について希釈されていない試料を視覚的に検査することにより評価した。視覚的な微粒子の存在を示す試料はなかった。
各製剤の未希釈試料を室温で平衡化し、機器のキャリブレーションと試料測定(キャリブレーションスロープ96.5%)のための製造元の指示に従って、Thermo Ross pHerpect pHプローブまたはOrion 3 Star(製造業者:Thermo Electron Corporation)を備えたThermo pHメーターを使用してpHを測定した。表7に示すように、製剤緩衝液のpH調整にもかかわらず、試料の最終pHはT0で未だ6.4~6.6であり、驚くべきことに、タンパク質が製剤で重要な緩衝作用を果たしていることを示していた。
表7:T0でのpH調整

Figure 2023011601000009
未希釈製剤の試料を室温で平衡化し、製造業者の指示に従ってSoloVPEを使用してタンパク質濃度測定を行った。すべての濃度は、135mg/mLの目標濃度の5%以内であった。結果を表8に示す。
表8:T0での濃度測定

Figure 2023011601000010
モル浸透圧濃度(Osmolalilty)測定を、各製剤の未希釈試料に対して、vaproベースの浸透圧計(製造業者:Wescor;モデル#5520)を使用して、製造業者の指示(試料容量10μL)に従って行った。追加の試料をそれぞれの緩衝液で最終濃度50mg/mLに希釈し、モル浸透圧濃度測定を繰り返した。結果を表9に示す。
表9:製剤緩衝液およびタンパク質試料のモル浸透圧濃度測定

Figure 2023011601000011
同じ濃度レベルのショ糖と比較して、トレハロースは最低のモル浸透圧濃度を示した。製剤緩衝液自体と比較して、50および135mg/mLの試料ではモル浸透圧濃度がわずかに増加し、モル浸透圧濃度に対するタンパク質の効果が示された。しかしながら、50mg/mL試料と135mg/mL試料の差はわずかであり、タンパク質濃度が製剤のモル浸透圧濃度に及ぼす影響は最小限であることが示唆された。
m-VROC粘度計(製造業者:Rheosense)(試料の量は500μL)を用い、25℃にてさまざまな流量(30~300μL/分)で粘度測定を行った。糖類濃度が10%の製剤は、対応する20%の製剤よりも粘度が低かった。各濃度での糖類を比較すると、トレハロースはショ糖よりも低い粘度を持つことが示された。結果を表10に示す。
表10:25℃での135mg/mLのタンパク質試料の粘度測定

Figure 2023011601000012
経時的な製剤安定性:
経時的な凝集体の形成を測定するために、5℃、25℃および35℃に保った試料のさまざまな時点でSE-HPLCを行った。20%の糖類を含む試料は、10%の対応物よりも低い%HMWを示し、製剤中の高い糖類含有量が抗ミオスタチンアドネクチンDPの安定性に有益であることを示していた。驚くべきことに、トレハロースを含む製剤は、特に高温(25℃および35℃)でショ糖と比較して抗ミオスタチンアドネクチンDPのさらに高い安定性を示した(図2および3)。
pHの影響:
pH6.5および7.0でショ糖またはトレハロースの存在下で80mg/mLの抗ミオスタチンアドネクチンを含む製剤の%HMWSを、25℃および35℃で2週間保存した後に調べた。図5に示すデータは、pH7.0の製剤が両方の温度でより安定であることを示している。
さらに、驚くべきことに、リン酸緩衝液を含む以前の製剤よりも、pH7.0でヒスチジン緩衝液が優れた安定化特性(より少ないHMWS)を示すことが観察された(データは示していない)。
キレート剤の添加の効果:
Fe2+の存在下および非存在下での製剤へのキレート剤添加の効果も調べた。データは、50μM DPTAの添加により、Feの存在下および非存在下で室温(光に曝される)および35℃にて(例えば、2.8%対3.6%、2.8%対3.3%)1か月で%HMWが>20%の減少を示して製剤がさらに安定化されることを示した。
この実施例では、実施例2からの抗ヒトミオスタチンアンタゴニストアドネクチン-Fc融合ダイマーを含む特定の製剤の粘度を、以下の表11および図4に示すようにセンチポアズで測定した(トレハロース(tre)およびショ糖(suc)を凡例に示す)。測定は、タンパク質濃度と溶液の温度の関数として行った。データは、二糖を高濃度(550mM)で含む製剤は、一般に、広範囲の抗ミオスタチンアドネクチン濃度での皮下使用に適した粘度を示すことを示している。データはまた、同じ温度とタンパク質濃度で、ショ糖を含む溶液の粘度と比較して、トレハロースを含む溶液の粘度が低いことも示している。
表11:

Figure 2023011601000013
この実施例では、実施例2で使用した抗ミオスタチン-Fc融合ダイマーを、pH7.1で30mMヒスチジン、600mMトレハロース、0.05mM DPTA、0.02%PS80中の様々なタンパク質濃度で製剤化した。
単位投与量を、10.7mg/mL、21.4mg/mL、50mg/mLおよび71.4mg/mLのタンパク質濃度で0.7mLの容量にて1mL容注射器で調製した(総製剤はそれぞれ7.5mg、15mg、35mgおよび50mg)。注射器をさまざまな保管条件下で水平に保管し、2週間および/または1か月でSE-HPLCで分析した。データを表12~15に示す(H=水平、RH=相対湿度、RL=部屋の明かり、E=露出、P=保護)。
表12:7.5mg/注射器、1mLタイプ1ガラス注射器の安定性データ

Figure 2023011601000014
表13:15.0mg/注射器、1mLタイプ1ガラス注射器の安定性データ

Figure 2023011601000015
表14:35.0mg/注射器、1mLタイプ1ガラス注射器の安定性データ

Figure 2023011601000016
表15:50.0mg/注射器、1mLタイプ1ガラス注射器の安定性データ

Figure 2023011601000017
この製剤の粘度も調べた。図6に示すデータは、すべての温度およびタンパク質濃度で、製剤の粘度が8cPs未満に留まったことを示している。
有利な粘度データに基づいて、単位剤形の製剤の動的力(dynamic forces)を測定した。5mg/mL、50mg/mLおよび75mg/mL単位用量(1.0mL容注射器で0.7/mLの容量;27G針)の120mm/分の速度での押し出し(滑走)力は2.528および2.704N;および450mm/分の速度で5.696~6.123Nであった。5℃で120mm/分の速度でのこれらの単位用量の流体力学的力は、0.922N~1.098Nで、450mm/分の速度では3.042~3.509Nであった。
結論:
これらの結果は、10%を超える二糖類の濃度の製剤が抗ミオスタチンアドネクチン分子の安定性に大きく貢献すると同時に、モル浸透圧濃度と粘度を維持し、迅速な皮下投与に適した小容量の単位剤形の生産を可能にすることを示している。
これらの結果はさらに、驚くべきことに、抗ミオスタチンアドネクチンの固有の緩衝能力により、緩衝液のpKaから大幅に離れてpH6.9~7.3のヒスチジン緩衝液での製剤化が可能になり、生理学的pHで安定な製剤を製造できることを示している。
これらの有利な特徴により、より高い温度、例えば、25℃を超える、30℃を超える、35℃を超える、または最高40℃で長期間安定な製剤が提供され、医療施設外での保管と投与が可能になる。この特性は、患者またはその介護者が医療施設に旅行する必要なく自宅で薬物を投与できるという点で特に有利である。
アミノ酸配列および核酸配列の要約:
ヒトプレプロミオスタチン:
MQKLQLCVYIYLFMLIVAGPVDLNENSEQKENVEKEGLCNACTWRQNTKSSRIEAIKIQILSKLRLETAPNISKDVIRQLLPKAPPLRELIDQYDVQRDDSSDGSLEDDDYHATTETIITMPTESDFLMQVDGKPKCCFFKFSSKIQYNKVVKAQLWIYLRPVETPTTVFVQILRLIKPMKDGTRYTGIRSLKLDMNPGTGIWQSIDVKTVLQNWLKQPESNLGIEIKALDENGHDLAVTFPGPGEDGLNPFLEVKVTDTPKRSRRDFGLDCDEHSTESRCCRYPLTVDFEAFGWDWIIAPKRYKANYCSGECEFVFLQKYPHTHLVHQANPRGSAGPCCTPTKMSPINMLYFNGKEQIIYGKIPAMVVDRCGCS(配列番号1)
ヒトプロミオスタチン:
NENSEQKENVEKEGLCNACTWRQNTKSSRIEAIKIQILSKLRLETAPNISKDVIRQLLPKAPPLRELIDQYDVQRDDSSDGSLEDDDYHATTETIITMPTESDFLMQVDGKPKCCFFKFSSKIQYNKVVKAQLWIYLRPVETPTTVFVQILRLIKPMKDGTRYTGIRSLKLDMNPGTGIWQSIDVKTVLQNWLKQPESNLGIEIKALDENGHDLAVTFPGPGEDGLNPFLEVKVTDTPKRSRRDFGLDCDEHSTESRCCRYPLTVDFEAFGWDWIIAPKRYKANYCSGECEFVFLQKYPHTHLVHQANPRGSAGPCCTPTKMSPINMLYFNGKEQIIYGKIPAMVVDRCGCS(配列番号2)
成熟ミオスタチン:
DFGLDCDEHSTESRCCRYPLTVDFEAFGWDWIIAPKRYKANYCSGECEFVFLQKYPHTHLVHQANPRGSAGPCCTPTKMSPINMLYFNGKEQIIYGKIPAMVVDRCGCS(配列番号3)
野生型ヒトフィブロネクチンIII型ドメイン(10Fn3)ドメイン:
VSDVPRDLEVVAATPTSLLISWDAPAVTVRYYRITYGETGGNSPVQEFTVPGSKSTATISGLKPGVDYTITVYAVTGRGDSPASSKPISINYRT(配列番号4)(BC、DE、およびFGループには下線を付してある)
抗ミオスタチンアドネクチンBCループ:
SWSLPHQGKAN(配列番号5)
抗ミオスタチンアドネクチンDEループ:
PGRGVT(配列番号6)
抗ミオスタチンアドネクチンFGループ:
TVTDTGYLKYKP(配列番号7)
抗ミオスタチンアドネクチンコア:
EVVAATPTSLLISWSLPHQGKANYYRITYGETGGNSPVQEFTVPGRGVTATISGLKPGVDYTITVYAVTVTDTGYLKYKPISINYRT(配列番号8)
N末端(AdNT1)(下線)およびHis6タグ付きのC末端(AdCT1)(イタリック)末端配列を持つ抗ミオスタチンアドネクチンコア:
Figure 2023011601000018
N末端伸長配列(GVSDVPRDL)が先行し、C末端テール(EI)が後続する抗ミオスタチンアドネクチンコア配列:
GVSDVPRDLEVVAATPTSLLISWSLPHQGKANYYRITYGETGGNSPVQEFTVPGRGVTATISGLKPGVDYTITVYAVTVTDTGYLKYKPISINYRTEI(配列番号10)
抗ミオスタチンアドネクチンFc-融合体:
DKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPELQLEESAAEAQEGELEGVSDVPRDLEVVAATPTSLLISWSLPHQGKANYYRITYGETGGNSPVQEFTVPGRGVTATISGLKPGVDYTITVYAVTVTDTGYLKYKPISINYRTEI(配列番号78)
TGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGCTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCCGAGCTGCAGCTGGAGGAAAGCGCCGCTGAGGCTCAGGAAGGAGAACTGGAAGGCGTGAGCGACGTGCCACGGGATCTAGAAGTGGTGGCTGCTACCCCCACAAGCTTGCTGATCAGCTGGTCTCTGCCGCACCAAGGTAAAGCCAATTATTACCGCATCACTTACGGCGAAACAGGAGGCAATAGCCCTGTCCAGGAGTTCACTGTGCCTGGTCGTGGTGTTACAGCTACCATCAGCGGCCTTAAACCTGGCGTTGATTATACCATCACTGTGTATGCTGTCACTGTTACTGATACAGGGTACCTCAAGTACAAACCAATTTCCATTAATTACCGGACCGAAATT(配列番号82)
抗ミオスタチンアドネクチンFc-融合体:
GVSDVPRDLEVVAATPTSLLISWSLPHQGKANYYRITYGETGGNSPVQEFTVPGRGVTATISGLKPGVDYTITVYAVTVTDTGYLKYKPISINYRTEIEPKSSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号79)
GGCGTGAGCGACGTGCCCCGGGATCTAGAAGTGGTGGCTGCTACCCCCACAAGCTTGCTGATCAGCTGGTCTCTGCCGCACCAAGGTAAAGCCAATTATTACCGCATCACTTACGGCGAAACAGGAGGCAATAGCCCTGTCCAGGAGTTCACTGTGCCTGGTCGTGGTGTTACAGCTACCATCAGCGGCCTTAAACCTGGCGTTGATTATACCATCACTGTGTATGCTGTCACTGTTACTGATACAGGGTACCTCAAGTACAAACCAATTTCCATTAATTACCGGACCGAAATTGAGCCTAAGAGCTCCGACAAAACCCACACATGCCCACCTTGTCCAGCCCCCGAACTGCTGGGCGGCCCTTCAGTCTTCCTCTTCCCCCCAAAACCCAAGGACACCCTCATGATCTCCCGGACCCCTGAGGTCACATGCGTGGTGGTGGACGTGAGCCACGAAGACCCTGAGGTCAAGTTCAACTGGTACGTGGACGGCGTGGAGGTGCATAATGCCAAGACAAAGCCGCGGGAGGAGCAGTACAACAGCACGTACCGTGTGGTCAGCGTCCTCACCGTCCTGCACCAGGACTGGCTGAATGGCAAGGAGTACAAGTGCAAGGTCTCCAACAAAGCCCTCCCAGCCCCCATCGAGAAAACCATCTCCAAAGCCAAAGGGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCCTGCCCCCATCCCGGGATGAGCTGACCAAGAACCAGGTCAGCCTGACCTGCCTGGTCAAAGGCTTCTATCCCAGCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGAGCAATGGGCAGCCGGAGAACAACTACAAGACCACGCCTCCCGTGTTGGACTCCGACGGCTCCTTCTTCCTCTACAGCAAGCTCACCGTGGACAAGAGCAGGTGGCAGCAGGGGAACGTCTTCTCATGCTCCGTGATGCATGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCCGGGAAA(配列番号83)

Claims (20)

  1. (i)ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含む少なくとも10mg/mLのポリペプチド;
    (ii)少なくとも5%の濃度の二糖;
    (iii)約20~約60mMの濃度のヒスチジン緩衝液;および
    (iv)薬学的に許容される水性担体
    を含み、製剤のpH範囲が約6.5~約7.8である、安定な医薬製剤。
  2. 製剤中の抗ミオスタチンアドネクチンのタンパク質濃度が約10mg/mL~200mg/mL、約10mg/mL~150mg/mL、または約10mg/mL~85mg/mLである、請求項1に記載の製剤。
  3. 二糖が、少なくとも5:1のタンパク質対糖の重量(w/w)比で存在する、請求項1または2のいずれかに記載の製剤。
  4. 製剤が約5%~約30%の二糖を含む、請求項1~3のいずれかに記載の製剤。
  5. 二糖の濃度が約150mM~約800mM、または約300~約700mMである、請求項1~4のいずれかに記載の製剤。
  6. 二糖がトレハロースであり、製剤が約5~約30%のトレハロース、約15%~約25%のトレハロース、または約20%~約25%のトレハロースを含む、請求項1~5のいずれかに記載の製剤。
  7. 二糖がトレハロース二水和物であり、製剤中のトレハロース二水和物の濃度が約150mM~約800mM、約300~約700mM、約150mM、約200mM、約250mM、約300mM、約350mM、約400mM、約450mM、約500mM、約550mM、約575mM、約600、約625mM、約650mM、約675mMまたは約700mMである、請求項1~6のいずれか1に記載の製剤。
  8. ヒスチジンが少なくとも20mMの濃度で存在する、請求項1~7のいずれかに記載の製剤。
  9. 製剤の粘度が約5~20cps、約5~15cps、または約7~12cpsである、請求項1~8のいずれかに記載の製剤。
  10. pHが約6.6~7.6、約6.8~7.4、または約7.0~7.3である、請求項1~9のいずれかに記載の製剤。
  11. 界面活性剤を約0.01%~0.5%の濃度で含む、請求項1~10のいずれかに記載の製剤。
  12. キレート剤を含み、キレート剤の濃度が約0.01mM~約0.5mMまたは約0.05mM~0.2mMであり、キレート剤がDPTA、EDTAおよびEGTAからなる群より選択される、請求項1~11のいずれかに記載の製剤。
  13. (a)ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含む約10~140mg/mLのポリペプチド;
    約5~25%のトレハロース二水和物;
    約20~30mMのヒスチジン;および
    薬学的に許容される水性担体
    を含み、製剤のpHが約6.8~7.3である;
    (b)ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含む約10~140mg/mLのポリペプチド;
    約5~25%のトレハロース二水和物;
    約20~30mMのヒスチジン;
    約0.02~0.06mMのDTPA;
    約0.01~0.05%のポリソルベート80;および
    薬学的に許容される水性担体
    を含み、製剤のpHが約6.8~7.3である;
    (c)ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含む約10~140mg/mLのポリペプチド;
    約600mMのトレハロース二水和物;
    25~30mMのヒスチジン;および
    薬学的に許容される水性担体
    を含み、製剤のpHが約7.0~7.3である;
    (d)ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含む約10~140mg/mLのポリペプチド;
    約600mMのトレハロース二水和物;
    25~30mMのヒスチジン;
    約0.02~0.06mMのDTPA;
    約0.01~0.05%のポリソルベート80;および
    薬学的に許容される水性担体
    を含み、製剤のpHが約7.0~7.3である;
    (e)ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含む約10~75mg/mLのポリペプチド;
    約5~25%のトレハロース二水和物;
    約20~30mMのヒスチジン;および
    薬学的に許容される水性担体
    を含み、製剤のpHが約6.8~7.3である;
    (f)ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含む約10~75mg/mLのポリペプチド;
    約5~25%のトレハロース二水和物;
    約20~30mMのヒスチジン;
    約0.02~0.06mMのDTPA;
    約0.01~0.05%のポリソルベート80;および
    薬学的に許容される水性担体
    を含み、製剤のpHが約6.8~7.3である;
    (g)ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含む約10~75mg/mLのポリペプチド;
    約600mMのトレハロース二水和物;
    約30mMのヒスチジン;
    約0.05mMのDTPA;
    約0.02%のポリソルベート80;
    薬学的に許容される水性担体
    を含み、製剤のpHが約7.1である
    安定な医薬製剤。
  14. (i)ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含む約10~75mg/mLのポリペプチド;
    (ii)約5~25%のトレハロース二水和物;
    (iii)約20~30mMのヒスチジン;
    (iv)約0.02~0.06mMのDTPA;
    (v)約0.01~0.05%のポリソルベート80;および
    (vi)薬学的に許容される水性担体
    を含み、pHが約6.8~7.3である約1.0mL以下の製剤を含む単位剤型。
  15. 10Fn3ドメインのBC、DE、およびFGループの少なくとも1つのループが、配列番号5、6および7のそれぞれのBC、DE、およびFGループに対して0、1、2、または3個のアミノ酸置換を有する、請求項1~14のいずれか1に記載の製剤。
  16. 10Fn3ドメインが配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項1~15のいずれか1に記載の製剤。
  17. 製剤中のポリペプチドが配列番号78のアミノ酸配列を含む、請求項1~16のいずれか1に記載の製剤。
  18. 請求項1~17のいずれか1に記載の医薬製剤の有効量を投与することを含む、対象におけるミオスタチン関連疾患または障害を減弱または阻害する方法であって、ミオスタチン関連疾患または障害が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)、脊髄性筋萎縮症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、サルコペニアまたはII型糖尿病である、方法。
  19. ミオスタチンに結合するフィブロネクチンIII型第10(10Fn3)ドメインを含むポリペプチドが約5mg~200mgの用量、約5mg~50mgの用量、約7.5mg、約15mg、約35mg、または約50mgの用量で投与される、請求項18に記載の方法。
  20. 対象が約45kg未満であり、約7.5mg~約35mgの用量が投与されるか、または対象が約45kg超であり、約15mg~約50mgの用量が投与される、請求項18または19に記載の方法。
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