JP2023011520A - 粉末の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、吸湿性が高く粉末化し難い物質(難粉末化物質)を噴霧乾燥する際に、歩留まりが高く、粒度分布幅が狭く、高湿度においても固結し難い粉末を得ることにある。【解決手段】本発明は、難粉末化物質およびヒドロキシプロピルセルロースを含有する原液を噴霧乾燥することを特徴とする粉末の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、吸湿性の高い物質(難粉末化物質)を噴霧乾燥して粉末を製造する方法に関する。
液状品の粉末化方法の1つとしてスプレードライヤーを使用した噴霧乾燥法が知られている。噴霧乾燥とは、高圧ノズルやディスクなどで微細化した液滴を熱風中に噴霧し、瞬時に溶媒を蒸発させて粉末を得る方法である。この方法は、粉ミルクやインスタントコーヒーなどの製造において汎用されている。しかしながら、噴霧乾燥において吸湿性の高い物質を含有する原料を製造する場合、噴霧乾燥設備への付着が多いこと(歩留まりの低下)、また製造した粉末が固結しやすい等の問題点があった。上記課題を解消する方法としてこれまで以下のような方法等が知られているが、十分な効果を得られていない。
例えば、粉体素材の溶液または懸濁液と乳化油脂の混合物である液体を噴霧乾燥し、粉体の飛散性、溶解性、流動性、噴流性、固結性等における問題点を解決する方法が提案されている(特許文献1)。この方法は、乳化油脂を使用するため、粉体素材本来の品質を損なう可能性があり、特に風味や溶解した時の液性に影響を与える懸念がある。
また、単糖類、二糖類、多糖類等を含有する含水原料にエタノールを添加して噴霧乾燥する方法が提案されている(特許文献2)。しかし、エタノールは有機溶媒であるため、安全上、取扱に注意しなければならないことや、密閉型の噴霧乾燥設備を採用し、窒素ガスを循環することで溶媒回収しなければならず、設備コストがかかるという問題がある。
難粉末化物質の1つである1,5-D-アンヒドロフルクトース(1,5-AFと略すことがある)に澱粉分解物が含有した溶液を噴霧乾燥する方法も提案されている(特許文献3)。この噴霧乾燥で得られる粉末の歩留まりは、湿度の影響を受け易く、また得られる粉末の粒度分布について改良の余地がある。
単糖類、二糖類などの難粉末化物質、高分子量薄膜形成性炭水化物、マルトデキストリンで構成されたものを噴霧乾燥することで安定的に固定風味剤(芳香剤含有噴霧乾燥生成物)を得る方法も提案されている(特許文献4)。この方法では、使用する高分子量薄膜形成性炭水化物の割合が多く、素材本来の品質(溶解性、風味等)を損なう可能性があり、しかも目的成分の割合が少なくなる。
特開2002-28467号公報 特開2009-207477号公報 特開2005-263770号公報 特表2003-514104号公報
そこで、本発明の目的は、吸湿性が高く粉末化し難い成分(難粉末化物質)を噴霧乾燥する際に、歩留まりが高く、粒度分布幅が狭く、高湿度環境においても固結し難い粉末を得ることにある。
本発明者は、難粉末化物質の噴霧乾燥において、粉末化助剤としてヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を用いると、湿度の影響を受け難く、歩留まりが高く、粒度分布が狭い粉末を得ることが出来ることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下の発明を包含する。
1. 難粉末化物質およびヒドロキシプロピルセルロースを含有する原液を噴霧乾燥することを特徴とする粉末の製造方法。
2. 前記難粉末化物質が、1,5-D-アンヒドロフルクトース、蜂蜜、醤油および味噌からなる群より選ばれる少なくとも一種である前項1記載の製造方法。
3. 前記原液が、澱粉分解物を含有する前項1または2に記載の製造方法。
4. 前記澱粉分解物が、マルトデキストリンである前項3に記載の製造方法。
5. 前記原液中のヒドロキシプロピルセルロースの含有量が、難粉末化物質1質量部に対して0.0005~0.05質量部である前項1~4の何れか一項に記載の製造方法。
6. 前記原液中の澱粉分解物の含有量が、難粉末化物質1質量部に対して0.1~9質量部である前項3~5の何れか一項に記載の製造方法。
7. 噴霧乾燥における熱風の温度が70~200℃である前項1~6の何れか一項に記載の製造方法。
8. 前記粉末は、平均粒子径が、10~70μmでCV値が0.45以下である前項1~7の何れか一項に記載の製造方法。
9. 前項1~8の何れか一項に記載の製造方法によって得られる粉末。
本発明によれば、高湿度の環境においても、噴霧乾燥設備への付着が少なく、高い歩留まりで粉末が得られる。また得られた粉末同士の固結が生じ難い。また本発明によれば、粒度分布が狭く、均一性に優れた粉末が得られる。また本発明によれば、高湿度の環境においても固結し難い粉末が得られる。
実施例および比較例における相対湿度と固形歩留まりとの関係を示す図である。 実施例および比較例で得られた粉末の粒度分布を示す図である。 各条件と固形歩留まりの関係を示す図である。 実施例および比較例で得られた粉末の粒度分布を示す図である。 各条件と固形歩留まりの関係を示す図である。 実施例および比較例で得られた粉末の粒度分布を示す図である。 各条件と固形歩留まりの関係を示す図である。
<難粉末化物質>
難粉末化物質は、単糖類、二糖類および三糖類からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。単糖類として、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)が挙げられる。二糖類として、ショ糖(スクロース)、麦芽糖(マルトース)、乳糖(ラクトース)が挙げられる。就中、単糖類が好ましい。
難粉末化物質として、1,5-D-アンヒドロフルクトースが挙げられる。またグルコース、フルクトースを主成分とする蜂蜜や、醤油、味噌などが挙げられる。
難粉末化物質は、同1質量部に対して、1.1質量部のマルトデキストリンを含んでいる場合においても吸引空気の相対湿度が50%以上の環境においては、固形歩留りが60%以下に低くなってしまう物質と言うことができる。
<ヒドロキシプロピルセルロース>
本発明では、粉末化助剤としてヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を用いる。ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)は、天然に広く存在するセルロース(パルプ)を原料とし、これを水酸化ナトリウムで処理した後、プロピレンオキサイド等のエーテル化剤と反応して得られる非イオン性のセルロースエーテルである。わが国では日本薬局方第二部に収載されており、錠剤・顆粒剤の滑沢剤、コーティング剤、崩壊剤、結合剤、シロップの懸濁・安定化剤、パップ剤の増粘剤、軟膏、ゼリー基剤等として使用されている。
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)の20℃、2%水溶液時の粘度は、好ましくは2.0~4,000mPa・s、より好ましくは2.0~10mPa・s、さらに好ましくは2.0~2.9mPa・sである。
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)の平均分子量は、好ましくは30,000~1,000,000、より好ましくは30,000~200,000、さらに好ましくは30,000~50,000である。
粘度が2.0~2.9mPa・sで、平均分子量が30,000~50,000のヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を用いると、CV値が小さく粒度分布の幅が狭い粉体が得られる。
<澱粉分解物>
澱粉分解物は、コーンスターチや馬鈴薯デンプンを原料とし、デンプンを化学的あるいは酵素的な方法により低分子化したものである。澱粉分解物として、デキストリン、マルトデキストリン、粉あめ等が挙げられる。澱粉分解物は、マルトデキストリンであることが好ましい。
低分子化の度合いによってグレード分けされており、その指標にデキストロース当量(DE)が用いられる。DEはデキストロース(ブドウ糖)の還元力を100とした場合の相対的な尺度であり、0に近いほどデンプンに近い特性、100に近づくほどデンプンの加水分解が進み平均分子量が小さくなり、ブドウ糖に似た特性となる。デキストリンはDEが10以下である。
10<DE<20の範囲はマルトデキストリン、DE>20を粉あめと呼ばれている。構造はデンプンと同じく、α-グルコースがグリコシド結合で重合したものである。
<原液>
前記原液中のヒドロキシプロピルセルロースの含有量は、難粉末化物質1質量部に対して、好ましくは0.0005~0.05質量部、より好ましくは0.001~0.01質量部、さらに好ましくは0.002~0.004質量部である。
原液中の澱粉分解物の含有量は、難粉末化物質1質量部に対して、好ましくは0.1~9質量部、より好ましくは0.2~4質量部、さらに好ましくは0.3~3質量部である。
原液は、難粉末化物質、ヒドロキシプロピルセルロース、必要に応じ澱粉分解物を水に溶解し調製することができる。原液中の固形分の含有量は、好ましくは20~60質量%、より好ましくは30~50質量%である。
<噴霧乾燥>
乾燥のために使用される噴霧乾燥機としては、ノズル型あるいは回転円盤型のような一般的に噴霧乾燥に使用される装置を用いることができる。
噴露乾燥機に吹き込む熱風の温度は、乾燥時に難粉末化物質が他の化合物に変換あるいは分解することや製品の着色等を考慮した場合、好ましくは70~200℃、より好ましくは110~160℃である。
<粉末>
本発明の方法により得られる粉末の平均粒子径は、好ましくは10~70μm、より好ましくは35~50μmである。
本発明の方法により得られる粉末は、CV値が、好ましくは0.45以下、より好ましくは0.42以下、更に好ましくは0.35以下である。CV値は標準偏差÷粒子径平均値×100より求められ、この値が低いほどシャープな粒度分布であることを意味する。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
<評価方法>
(歩留まり)
乾燥機内の温度や液の供給が安定したところ(約1時間後)から回収ポットを入れ替えて、一定時間あたりに回収された粉体重量を計量して歩留まり評価をした。歩留まりについては、粉体の含水率でも変動するため、真空炉乾燥機(75℃、5時間以上)を用いて含水率を測定し、固形分換算した歩留まり(固形歩留まり)を評価した。
固形歩留まり=回収された粉体中の固形分/供給原液中の固形分×100(%)
ここで、回収された粉体中の固形分の質量=回収された粉体の質量×(100-含水率(%))/100)
(粒度分布測定)
粒度分布はレーザー回析式粒度分布測定機(Mastersizer3000)を用いて測定し、D50(メディアン径)と粒子の均一性を示すCV値(相関係数)を比較した。CV値は標準偏差÷粒子径平均値×100より求められ、この値が低いほどシャープな粒度分布であることを意味する。
<実施例1-1>
(難粉末化物質)
難粉末化物質として、1,5-D-アンヒドロフルクトース(1,5-AF)を用いた。具体的には、1,5-D-アンヒドロフルクトース(1,5-AF)を35~42質量%、マルトデキストリンを38~42質量%含有する株式会社サナス製「アンヒドロース(登録商標)」を用いた。
(粉末化助剤)
粉末化助剤としてHPC-L(ヒドロキシプロピルセルロース、和光純薬、粘度2.0-2.9mPa・s、分子量40,000)を用いた。事前にHPC-Lを溶かした粉末化助剤溶液(濃度1質量%)を調製した。使用した粉末化助剤について表1にまとめる。
(原液の調製)
原液中のマルトデキストリンの質量部は、1質量部の1,5-AFに対し、1.1質量部である。原液中のHPC-Lの質量部は、1質量部の1,5-AFに対し、0.005質量部になるようにした。原液は、固形分の濃度が、40質量%になるように希釈水の量を調製した。固形分の濃度はアッベ屈折計にてBrixを測定し、その値を固形分濃度とした。
(噴霧乾燥)
大川原化工機(株)製の噴霧実験装置(L-8i型)を用いた。乾燥機に吸引される空気中の相対湿度を30~85(%)とした。空気中の相対湿度については、(株)吉野計測製のアスマン通風乾湿計(型式:Y-5001型)を用いて測定した。
原液は、32g/分にて乾燥機に供給した。乾燥機の熱風温度を135℃、ディスク回転数を15,000rpm、排風機出力を50Hzに調整し、噴霧乾燥した粉末の固形歩留まりを測定した。噴霧乾燥条件について表2に示す。乾燥機に吸引される空気の相対湿度と固形歩留まりの関係を図1に示す。
Figure 2023011520000002
Figure 2023011520000003
<実施例1-2~実施例1-16>
乾燥機に吸引される空気の相対湿度をそれぞれ表3に示すように変更した以外は実施例1と同じ条件で噴霧乾燥し、固形歩留まりを測定した。各条件における相対湿度と固形歩留まりの関係を図1に示す。
Figure 2023011520000004
<実施例2-1~実施例2-2>
粉末化助剤として、HPC-Lの代わりにHPC-H(ヒドロキシプロピルセルロース、和光純薬、粘度1,000-5,000mPa・s、分子量1,000,000)を用い、乾燥機に吸引される空気の相対湿度をそれぞれ表4に示すように変更した以外は実施例1と同じ方法で、噴霧乾燥し固形歩留まりを測定した。各条件における相対湿度と固形歩留まりの関係を図1に示す。
Figure 2023011520000005
<比較例1-1~比較例1-7>
粉末化助剤を用いず、乾燥機に吸引される空気の相対湿度をそれぞれ表5に示すように変更した以外は実施例1と同じ方法で、噴霧乾燥し固形歩留まりを測定した。各条件における相対湿度と固形歩留まりの関係を図1に示す。
Figure 2023011520000006
<比較例2-1~比較例2-9>
粉末化助剤として、HPC-Lの代わりにCMC(カルボキシメチルセルロース、(株)キミカ、グレード名:F-2、粘度150~350mPa・s、エーテル化度0.5~0.9)を用い、乾燥機に吸引される空気の相対湿度をそれぞれ表6に示すように変更した以外は実施例1と同じ方法で、噴霧乾燥し固形歩留まりを測定した。各条件における相対湿度と固形歩留まりの関係を図1に示す。
Figure 2023011520000007
(乾燥機に吸引される空気の相対湿度と固形歩留まりの関係)
粉末化助剤を使用していない比較例1-1~比較例1-7の結果を基準としたとき、粉末化助剤として、実施例1-1~実施例1-16のHPC-Lおよび実施例2-1~実施例2-2のHPC-Hを添加したものは、高湿度環境下でも安定的に粉末を得ることが出来た。
一方で、粉末化助剤としてCMCを添加した比較例2-1~比較例2-9では、相対湿度55%以下では歩留まりが高い状態であったが、相対湿度65%以上の高湿度になると急激に歩留まりが低下し、粉末化助剤を使用していないサンプルと同様の結果となった。
(粉体特性)
表7と図2に粒度分布の測定結果を示す。粉末化助剤を使用していない比較例1-4、粉末化助剤がCMCである比較例2-4に比べ、実施例1-10の粉末化助剤としてHPC-Lを添加したサンプルが最もCV値が小さくなっていた。噴霧乾燥中に吸湿、固結することなく、安定的に粉末化出来た結果だと推測する。
一方で、比較例1-4(粉末化助剤無)や比較例2-4(粉末化助剤がCMC)の粉体はCV値が高い傾向にあり、粉体同士が一部固結してダマになっているものが確認され、見かけ上のD50が大きくなっていた。
Figure 2023011520000008
(吸湿特性)
各サンプルを、種類の異なる飽和塩水溶液(KCO、Mg(NO)を各デシケータ内に入れて、所定の湿度の環境(43.3%RH、54.6%RH)を作った。そして、サンプルをガラスの秤量瓶内に入れ、蓋を開けた状態で30℃に設定した各湿度環境下で所定時間(0h~24h)サンプルを静置し、表面が固結しているか否かの状態を確認することで経時的な吸湿性を評価した。評価方法として、秤量瓶を逆さにして上下に振り、粉末が落ちれば「〇」、表面が固結して粉末が落ちなければ「×」とした。
表8に示すように、相対湿度43.2%環境下については、添加助剤を使用していない比較例1-4、粉末化助剤としてCMCを添加した比較例2-4ともに18hで表面が固結していたのに対し、粉末化助剤としてHPC-Lを添加した実施例1-10は24hで表面が固結していた。また、相対湿度51.3%環境下については、添加助剤を使用していない比較例1-4、粉末化助剤としてCMCを添加した比較例2-4ともに4hで表面が固結していたのに対し、粉末化助剤としてHPC-Lを添加した実施例1-10は18hで表面が固結していた。HPC添加で吸湿速度を抑えることが出来、耐吸湿性が向上していることを確認できた。
Figure 2023011520000009
<実施例3-1>
(難粉末化物質)
難粉末化物質として、蜂蜜を用いた。具体的には「熊手のはちみつ」の中国産純粋はちみつ(蜂蜜)を用いた。
(粉末化助剤)
粉末化助剤としてHPC-L(ヒドロキシプロピルセルロース、和光純薬、粘度2.0-2.9mPa・s、分子量40,000)を用いた。事前にHPC-Lを溶かした粉末化助剤溶液(濃度1質量%)を調製した。
(原液の調整)
1質量部の蜂蜜に対し、MD-200((株)サナス製のDE16~18のマルトデキストリン)を1.5質量部加えた。また、HPC-Lを1質量部の蜂蜜に対し、0.002質量部になるようにした。原液は、固形分の濃度が、40質量%になるように希釈水の量を調製した。固形分の濃度はアッベ屈折計にてBrixを測定し、その値を固形分濃度とした。
(噴霧乾燥)
大川原化工機(株)製の噴霧実験装置(L-8i型)を用いた。乾燥機に吸引される空気中の相対湿度を45~65(%)とした。空気中の相対湿度については、(株)チノー製の温湿度計(型式:HN-CFA3)を用いて測定した。
原液は、31g/分にて乾燥機に供給した。乾燥機の熱風温度を135℃、ディスク回転数を15,000rpm、排風機出力を50Hzに調整し、噴霧乾燥した粉末の固形歩留まりを測定した。噴霧乾燥条件を表9に示す。また、固形歩留まりの結果を図3に示す。
Figure 2023011520000010
<実施例3-1~3-6>
乾燥機に吸引される空気の相対湿度をそれぞれ表10に示すように変更した以外は表9に示す条件で噴霧乾燥し、固形歩留まりを測定した。各条件における固形歩留まりの結果を図3に示す。
Figure 2023011520000011
<実施例4-1~4-6>
デキストリンとして、MD-200の代わりにCD(グリコ栄養食品(株)製のDE3程度のクラスターデキストリン)を用いた。粉末化助剤として、HPC-Lを用い、乾燥機に吸引される空気の相対湿度をそれぞれ表11に示すように変更した以外は実施例3と同じ方法で、噴霧乾燥し固形歩留まりを測定した。各条件における固形歩留まりの結果を図3に示す。
Figure 2023011520000012
<比較例3-1~3-3>
MD-200のみ加え、粉末化助剤HPC-Lは用いず、乾燥機に吸引される空気の相対湿度をそれぞれ表12に示すように変更した以外は実施例3と同じ方法で、噴霧乾燥し固形歩留まりを測定した。各条件における固形歩留まりの結果を図3に示す。
Figure 2023011520000013
<比較例4-1~4-2>
CDのみ加え、粉末化助剤HPC-Lは用いず、乾燥機に吸引される空気の相対湿度をそれぞれ表13に示すように変更した以外は実施例4と同じ方法で、噴霧乾燥し固形歩留まりを測定した。各条件における固形歩留まりの結果を図3に示す。
Figure 2023011520000014
(各条件と固形歩留まりの関係)
粉末化助剤HPC-Lを使用していない比較例3-1~比較例3-3、並びに比較例4-1~比較例4-2の結果を比較すると、粉末化助剤HPC-Lを使用した実施例3-1~実施例3-6、並びに実施例4-1~実施例4-6の方が、安定的に高い歩留まりで粉末を得ることが出来た。
(粉体特性)
表14と図4に粒度分布の測定結果を示す。粉末化助剤HPC-Lを使用していない比較例3-3、並びに比較例4-1に比べ、実施例3-1、並びに実施例4-1の粉末化助剤としてHPC-Lを添加したサンプルはCV値が小さくなっていた。噴霧乾燥中に吸湿、固結することなく、安定的に粉末化出来た結果だと推測する。
一方で、比較例3-3、比較例4-1の粉体はCV値が高い傾向にあり、粉体同士が一部固結してダマになっているものが確認され、見かけ上のD50が大きくなっていた。
Figure 2023011520000015
(吸湿特性)
各サンプルを、種類の異なる飽和塩水溶液(MgCl、KCO)を各デシケータ内に入れて、所定の湿度の環境(33.0%RH、43.0%RH)を作った。そして、サンプルをガラスの秤量瓶内に入れ、蓋を開けた状態で30℃に設定した各湿度環境下で所定時間(0h~24h)サンプルを静置し、表面が固結しているか否かの状態を確認することで経時的な吸湿性を評価した。評価方法として、秤量瓶を逆さにして上下に振り、粉末が落ちれば「〇」、表面が固結して粉末が落ちなければ「×」とした。
表15に示すように、相対湿度33.0%環境下については、添加助剤HPC-Lを使用していない比較例3-3は4hで表面が固結していたのに対し、粉末化助剤としてHPC-Lを添加した実施例3-1は24hで表面が固結していた。また、相対湿度43.0%環境下については、添加助剤を使用していない比較例3-3は1hで、比較例4-1は24hで表面が固結していたのに対し、粉末化助剤としてHPC-Lを添加した実施例3-1は4hで、実施例4-1は48hで表面が固結していた。HPC添加で吸湿速度を抑えることが出来、耐吸湿性が向上していることを確認できた。
Figure 2023011520000016
<実施例5-1>
(難粉末化物質)
難粉末化物質として、醤油を用いた。具体的にはキッコーマン(株)のこいくちしょうゆ(本醸造)を用いた。
(粉末化助剤)
粉末化助剤としてHPC-L(ヒドロキシプロピルセルロース、和光純薬、粘度2.0-2.9mPa・s、分子量40,000)を用いた。事前にHPC-Lを溶かした粉末化助剤溶液(濃度1質量%)を調製した。
(原液の調整)
HPC-Lを1質量部の醤油に対し、0.005質量部になるようにした。原液は、固形分の濃度が、20質量%になるように希釈水の量を調製した。固形分の濃度はアッベ屈折計にてBrixを測定し、その値を固形分濃度とした。
(噴霧乾燥)
大川原化工機(株)製の噴霧実験装置(L-8i型)を用いた。乾燥機に吸引される空気中の相対湿度を20~70(%)とした。空気中の相対湿度については、(株)チノー製の温湿度計(型式:HN-CFA3)を用いて測定した。
原液は、30g/分にて乾燥機に供給した。乾燥機の熱風温度を135℃、ディスク回転数を15,000rpm、排風機出力を55Hzに調整し、噴霧乾燥した粉末の固形歩留まりを測定した。噴霧乾燥条件を表16に示す。また、固形歩留まりの結果を図5に示す。
Figure 2023011520000017
<実施例5-1~5-6>
乾燥機に吸引される空気の相対湿度をそれぞれ表17に示すように変更した以外は表16の条件で噴霧乾燥し、固形歩留まりを測定した。各条件における固形歩留まりの結果を図5に示す。
Figure 2023011520000018
<比較例5-1~5-8>
粉末化助剤HPC-Lは用いず、乾燥機に吸引される空気の相対湿度をそれぞれ表18に示すように変更した以外は実施例5と同じ方法で、噴霧乾燥し固形歩留まりを測定した。各条件における固形歩留まりの結果を図5に示す。
Figure 2023011520000019
(各条件と固形歩留まりの関係)
粉末化助剤HPC-Lを使用していない比較例5-1~比較例5-8の結果と比較すると粉末化助剤HPC-Lを使用した実施例5-1~実施例5-6では、湿度の影響を受けることなく安定的に高い歩留まりで粉末を得ることが出来た。
(粉体特性)
表19と図6に粒度分布の測定結果を示す。粉末化助剤HPC-Lを使用していない比較例5-1に比べ、実施例5-1の粉末化助剤としてHPC-Lを添加したサンプルはCV値が小さくなっていた。噴霧乾燥中に吸湿、固結することなく、安定的に粉末化出来た結果だと推測する。
一方で、比較例5-1の粉体はCV値が高い傾向にあり、粉体同士が一部固結してダマになっているものが確認され、見かけ上のD50が大きくなっていた。
Figure 2023011520000020
(吸湿特性)
各サンプルを、種類の異なる飽和塩水溶液(MgCl、KCO)を各デシケータ内に入れて、所定の湿度の環境(33.0%RH、43.0%RH)を作った。そして、サンプルをガラスの秤量瓶内に入れ、蓋を開けた状態で30℃に設定した各湿度環境下で所定時間(0h~24h)サンプルを静置し、表面が固結しているか否かの状態を確認することで経時的な吸湿性を評価した。評価方法として、秤量瓶を逆さにして上下に振り、粉末が落ちれば「〇」、表面が固結して粉末が落ちなければ「×」とした。
表20に示すように、相対湿度33.0%環境下については、添加助剤HPC-Lを使用していない比較例5-1は18hで表面が固結していたのに対し、粉末化助剤としてHPC-Lを添加した実施例5-1は22hで表面が固結していた。また、相対湿度43.0%環境下については、添加助剤を使用していない比較例5-1は8.5hで表面が固結していたのに対し、粉末化助剤としてHPC-Lを添加した実施例5-1は18hで表面が固結していた。HPC添加で吸湿速度を抑えることが出来、耐吸湿性が向上していることを確認できた。
Figure 2023011520000021
<実施例6-1>
(難粉末化物質)
難粉末化物質として、味噌を用いた。具体的には「マルコメ」の米みそ(白みそ)を用いた。
(粉末化助剤)
粉末化助剤としてHPC-L(ヒドロキシプロピルセルロース、和光純薬、粘度2.0-2.9mPa・s、分子量40,000)を用いた。事前にHPC-Lを溶かした粉末化助剤溶液(濃度1質量%)を調製した。
(原液の調整)
HPC-Lを1質量部の味噌に対し、0.010質量部になるようにした。原液の固形分濃度は、約25質量%になるように希釈水の量を調製した。実際の固形分濃度は、予め測定した味噌の水分値と加水量から算出した。
(味噌の水分測定)
試料約2gを恒量したアルミ皿に入れ、ヤマト科学(株)の角形真空低温乾燥器(DP300)を用いて70℃で5時間乾燥した後に測定した。
(噴霧乾燥)
大川原化工機(株)製の噴霧実験装置(L-8i型)を用いた。乾燥機に吸引される空気中の相対湿度を60~70(%)とした。空気中の相対湿度については、(株)チノー製の温湿度計(型式:HN-CFA3)を用いて測定した。
原液は、30g/分にて乾燥機に供給した。乾燥機の熱風温度を135℃、ディスク回転数を15,000rpm、排風機出力を55Hzに調整し、噴霧乾燥した粉末の固形歩留まりを測定した。噴霧乾燥条件を表21に示す。また、固形歩留まりの結果を図7に示す。
Figure 2023011520000022
<実施例6-1~6-4>
乾燥機に吸引される空気の相対湿度をそれぞれ表22に示すように変更した以外は表21の条件で噴霧乾燥し、固形歩留まりを測定した。各条件における固形歩留まりの結果を図7に示す。
Figure 2023011520000023
<比較例6-1~6-4>
粉末化助剤HPC-Lは用いず、乾燥機に吸引される空気の相対湿度をそれぞれ表23に示すように変更した以外は実施例6と同じ方法で、噴霧乾燥し固形歩留まりを測定した。各条件における固形歩留まりの結果を図7に示す。
Figure 2023011520000024

Claims (9)

  1. 難粉末化物質およびヒドロキシプロピルセルロースを含有する原液を噴霧乾燥することを特徴とする粉末の製造方法。
  2. 前記難粉末化物質が、1,5-D-アンヒドロフルクトース、蜂蜜、醤油および味噌からなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1記載の製造方法。
  3. 前記原液が、澱粉分解物を含有する請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記澱粉分解物が、マルトデキストリンである請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記原液中のヒドロキシプロピルセルロースの含有量が、難粉末化物質1質量部に対して0.0005~0.05質量部である請求項1~4の何れか一項に記載の製造方法。
  6. 前記原液中の澱粉分解物の含有量が、難粉末化物質1質量部に対して0.1~9質量部である請求項3~5の何れか一項に記載の製造方法。
  7. 噴霧乾燥における熱風の温度が70~200℃である請求項1~6の何れか一項に記載の製造方法。
  8. 前記粉末は、平均粒子径が、10~70μmでCV値が0.45以下である請求項1~7の何れか一項に記載の製造方法。
  9. 請求項1~8の何れか一項に記載の製造方法によって得られる粉末。
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