JP2023008940A - 食品用乳化剤、ドレッシング類及びドレッシング類の製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】卵などのアレルゲンを使用しない食品用乳化剤、これを使用したマヨネーズ様食品などのドレッシング類及び当該ドレッシング類の製造方法を提供する。【解決手段】食品用乳化剤がヤマノイモ科に属するイモ由来の粘質物を有効成分として含み、ドレッシング類が食品用乳化剤により乳化されてなる。【選択図】図8
Description
特許法第30条第2項適用申請有り (1)公開の事由 刊行物:一般社団法人日本家政学会中部支部 第65回(2021年度)大会 一般公開講演会・研究発表会 要旨集 発行日:令和3年9月4日
本発明は、ヤマノイモ科に属するイモ由来の粘質物を有効成分として含む食品用乳化剤、当該食品用乳化剤により乳化されたドレッシング類及びドレッシング類の製造法に関する。
ドレッシング類は、サラダをはじめ各種の料理に広く用いられる調味料であり、乳化を利用したドレッシング類の代表的なものとして、マヨネーズ等の半固体状ドレッシングや乳化液状ドレッシングが挙げられる。
例えば、マヨネーズは、通常食用油脂(植物性油脂)、卵黄(又は全卵)、食酢を主成分として、それに食酢以外の砂糖、食塩、および香辛料等の調味料が加えられた水中油型の乳化物である。マヨネーズにおける乳化は、卵黄中のリポ蛋白及びレシチンによるものである。
近年、健康志向の高まりによりコレステロールを含まない食品のニーズが高まっている。マヨネーズは原料に食用油脂や卵を使用するため、一般にコレステロールが高いとともに、卵アレルギーの人は食することができない。
そこで、卵の代わりに大豆蛋白等を用いたもの(特許文献1)や発酵乳を用いたもの(特許文献2)等が提案されている。
しかし、大豆や発酵乳は食物アレルギーを発症する場合がある。
そこで、本発明は、卵などのアレルゲンを使用しない食品用乳化剤、これを使用したマヨネーズ様食品などのドレッシング類及び当該ドレッシング類の製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明では、食品用乳化剤がヤマノイモ科に属するイモ由来の粘質物を有効成分として含む、という技術的手段を用いる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の食品用乳化剤において、前記イモがイチョウイモ群に属するイモ、または、自然薯である、という技術的手段を用いる。
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の食品用乳化剤において、前記粘質物が前記イモの摩砕物である、という技術的手段を用いる。
請求項4に記載の発明では、ドレッシング類が請求項1または請求項2に記載の食品用乳化剤により乳化されてなる、という技術的手段を用いる。
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載のドレッシング類において、前記ドレッシング類がマヨネーズ様の半固体状ドレッシングである、という技術的手段を用いる。
請求項6に記載の発明では、ドレッシング類の製造法であって、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の食品用乳化剤を使用する、という技術的手段を用いる。
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載のドレッシング類の製造法において、前記ドレッシング類がマヨネーズ様の半固体状ドレッシングである、という技術的手段を用いる。
ヤマノイモ科に属するイモ由来の粘質物を有効成分として含む食品用乳化剤は高い乳化性を示す。特にイチョウイモ群に属するイモ及び自然薯は、乳化安定性も高いので、好適に用いることができる。この食品用乳化剤を用いて、マヨネーズ様の半固体状ドレッシングを製造することができる。
本発明の食品用乳化剤は、ヤマノイモ科に属するイモ由来の粘質物を有効成分として含んでいる。
ヤマノイモ科に属するイモとしては、ナガイモ(ヤマノイモ属ナガイモ種ナガイモ群)、イチョウイモ(ヤマノイモ属ナガイモ種イチョウイモ群)、やまといも(ヤマノイモ属ナガイモ種イチョウイモ群)、ツクネイモ(ヤマノイモ属ナガイモ種ツクネイモ群)、伊勢芋(ヤマノイモ属ナガイモ種ツクネイモ群)、丹波芋(ヤマノイモ属ナガイモ種ツクネイモ群)、自然薯(ヤマノイモ属ヤマノイモ種)、アカヤマン(ヤマノイモ属ダイジョ種)などを挙げることができる。ここで、関東地域での「やまといも」は「イチョウイモ」を意味する。
ここで、イモ由来の粘質物とは、ヤマノイモ科植物の担根体に含まれる粘性多糖のことを言う。この粘性多糖が乳化性を発現すると考えられる。
イチョウイモ群に属するイモ、自然薯は、ヤマノイモ科に属するイモの中でも粘性多糖を多量に含むため、好適に用いることができる。
更に、イチョウイモ群に属するイモ、自然薯由来の粘質物を有効成分として含んでいる食品用乳化剤は、他のイモに由来する粘質物を有効成分として含んでいる食品用乳化剤に比べて、乳化状態を維持する乳化安定性が高いので、好適に用いることができる。
粘質物として、摩砕してとろろ状にしたもの、粉末化したもの、水溶液状にしたもの、等各種状態のものを使用することができるが、摩砕してとろろ状にしたものが、細胞膜が破れ有効成分をより多く添加することができ、好適である。
また、本発明は、上記食品用乳化剤により油脂を乳化してドレッシング類を製造することができる。特に、卵を用いずに低コレステロールのマヨネーズ様の半固体状ドレッシングを製造することができる。
ここで、日本農林規格(JAS)によれば、「半固体状ドレッシング」とは、食用植物油脂(香味食用油を除く。以下同じ。)及び食酢若しくはかんきつ類の果汁(以下この条において「必須原材料」という。)に食塩、砂糖類、香辛料等を加えて調製し、水中油滴型に乳化した半固体状の調味料であって、主としてサラダに使用するものをいう。
半固体状ドレッシングの代表的なものとして、マヨネーズが挙げられる。マヨネーズは、通常食用油脂(植物性油脂)、卵黄(又は全卵)、食酢を主成分として、それに食酢以外の砂糖、食塩、および香辛料等の調味料が加えられた水中油型の乳化物である。
本発明においてマヨネーズ様の半固体状ドレッシングとは、卵を使用しない点で日本農林規格(JAS)における「マヨネーズ」の規定の要件を充足していないが、食用油脂が均一に分散して、乳化状態が安定に維持されており、外観、食味等がマヨネーズに類似する半固体状ドレッシングをいう。
本発明の半固体状ドレッシング類の製造方法は、本発明の食品用乳化剤を用いる点以外は公知の製造方法を用いることができる。例えば、本発明のマヨネーズ様の半固体状ドレッシングは、食用油脂以外の原料に食品用乳化剤を添加してよく混合した後に、食用油脂を徐々に添加して乳化させることにより製造することができる。
本発明のマヨネーズ様の半固体状ドレッシングには、粘度を上げるために、各種澱粉類、ガム類を添加することもできる。
(実施形態の効果)
本発明の食品用乳化剤によれば、ヤマノイモ科に属するイモ由来の粘質物を有効成分として高い乳化性を示す乳化剤とすることができる。特にイチョウイモ群に属するイモ及び自然薯は、乳化安定性も高いので、好適に用いることができる。また、この食品用乳化剤を用いて、ドレッシング類を製造することができ、卵などのアレルゲンを用いずにマヨネーズ様の半固体状ドレッシングを製造することもできる。
本発明の食品用乳化剤によれば、ヤマノイモ科に属するイモ由来の粘質物を有効成分として高い乳化性を示す乳化剤とすることができる。特にイチョウイモ群に属するイモ及び自然薯は、乳化安定性も高いので、好適に用いることができる。また、この食品用乳化剤を用いて、ドレッシング類を製造することができ、卵などのアレルゲンを用いずにマヨネーズ様の半固体状ドレッシングを製造することもできる。
(実施例1)
以下に、本発明の実施例を示す。乳化剤成分を有する芋類として、自然薯、菊芋、長芋を用い、芋の中央部を試料として用いた。
以下に、本発明の実施例を示す。乳化剤成分を有する芋類として、自然薯、菊芋、長芋を用い、芋の中央部を試料として用いた。
(1)一般成分
常圧乾燥法により水分、ケルダール法でたんぱく質を調べた。結果を表1に示す。自然薯は他の芋類に比べ、有意(p<0.05)に水分量が少なかった。菊芋は他の芋類に比べ、有意(p<0.05)にたんぱく質量が多く含まれていた。
常圧乾燥法により水分、ケルダール法でたんぱく質を調べた。結果を表1に示す。自然薯は他の芋類に比べ、有意(p<0.05)に水分量が少なかった。菊芋は他の芋類に比べ、有意(p<0.05)にたんぱく質量が多く含まれていた。
(2)粘性
粘性芋類の特徴である粘性について、試料をすり鉢で25回攪拌し、粘度計(TV-20H)で測定を行い、ずり応力を求めた。結果を表2に示す。自然薯のずり応力は他の粘性芋類に比べ、有意(p<0.05)に大きいことから、自然薯は粘性が強いことが明らかになった。
粘性芋類の特徴である粘性について、試料をすり鉢で25回攪拌し、粘度計(TV-20H)で測定を行い、ずり応力を求めた。結果を表2に示す。自然薯のずり応力は他の粘性芋類に比べ、有意(p<0.05)に大きいことから、自然薯は粘性が強いことが明らかになった。
(3)調理加工特性:起泡性、乳化性
起泡性はエンゼルケーキを作成し、菜種法により膨化体積から求めた。エンゼルケーキは、試料120gをハンドミキサー(NHM-0200)で2分攪拌(250rpm)した後、小麦粉40gを加えてさらに2秒撹拌、再度に側面についた生地をゴムベラで中央によせ、さらに10秒撹拌したものを容積86.8cm3のプリン型に入れ超高速ガスオーブン(RINNAI CONVEC RANGE)で加熱(150℃ 30分)して作成した。
起泡性はエンゼルケーキを作成し、菜種法により膨化体積から求めた。エンゼルケーキは、試料120gをハンドミキサー(NHM-0200)で2分攪拌(250rpm)した後、小麦粉40gを加えてさらに2秒撹拌、再度に側面についた生地をゴムベラで中央によせ、さらに10秒撹拌したものを容積86.8cm3のプリン型に入れ超高速ガスオーブン(RINNAI CONVEC RANGE)で加熱(150℃ 30分)して作成した。
エンゼルケーキの膨張容積の結果を下表に示す。これより、自然薯で作成したエンゼルケーキの膨張容積は他の粘性芋類と水に比べて有意(p<0.05)に大きく、自然薯は起泡性が優れていることがわかった。これは粘性が強いこととのつながりが大きいことが要因と考えられる。
乳化性は試料(2.0g)、落花生油(3.0g)、酢(1.685g)を用いて作成したドレッシングを作成5分後に分光光度計(UV-1200)による濁度(波長 500nm)と、PCSCOPE(PCS-81X)で撮影した画像をAdobe photoshopにより解析し、分散油粒子の大きさをpixelで示した。濁度の値が大きく、分散油粒子の大きさが小さいものが乳化性に優れていることを示す。乳化安定性を調べるため作成60分後のドレッシングについても同様に測定を行い、5分後のデータと比較した。
ドレッシングの吸光度の値(濁度)を下表に示す。ドレッシング作成5分後、60分後の濁度、いずれも自然薯の値が大きかったことから自然薯は他の粘性芋類に比べて有意(p<0.05)に乳化性に優れていた。
ドレッシングの分散油粒子径及び顕微鏡で撮影したドレッシングの油粒子の様子を示す。ドレッシング作成5分後、60分後の分散油粒子は、いずれも自然薯が他の芋に比べて有意(p<0.05)に小さく、濁度の場合と同様に、自然薯は他の粘性芋類に比べて有意に乳化性に優れた芋であることが明らかになった。
(4)マヨネーズ様食品の作製
自然薯の乳化性を活かしたものとしてマヨネーズ様食品(以下、略して「マヨネーズ」という。)を作成した。マヨネーズは酢(3.75g),サラダ油(36g),塩(0.6g),卵黄(10g)で作成したものを対照(以下卵黄)とし、試料(以下自然薯)の添加量はこのマヨネーズの粘度(400Pa)と合わせ、60gとした。作成は、サラダ油を除く試料をハンドミキサーで6分攪拌(120rpm)し、1分攪拌ごとにサラダ油を3回に分けて(各12g)添加して作成した。これを用いて5分後と60分後の乳化性を調べた。
自然薯の乳化性を活かしたものとしてマヨネーズ様食品(以下、略して「マヨネーズ」という。)を作成した。マヨネーズは酢(3.75g),サラダ油(36g),塩(0.6g),卵黄(10g)で作成したものを対照(以下卵黄)とし、試料(以下自然薯)の添加量はこのマヨネーズの粘度(400Pa)と合わせ、60gとした。作成は、サラダ油を除く試料をハンドミキサーで6分攪拌(120rpm)し、1分攪拌ごとにサラダ油を3回に分けて(各12g)添加して作成した。これを用いて5分後と60分後の乳化性を調べた。
自然薯で作成したマヨネーズの乳化性を卵黄と比較した結果を下表に示す。卵黄で作成したマヨネーズは自然薯に比べて有意(p<0.05)に乳化性の指標である濁度は大きく、分散油粒子は小さかった。しかし、5分後と60分後の乳化性を比較したところ、卵黄の場合、濁度および分散粒子が5分後と60分後では60分後には有意(p<0.05)に乳化性が劣り、分散粒子が大きくなったが、自然薯の場合は作成60分後の分散油粒子の大きさは5分後のものと比べて有意差はなかった。また、分散粒子の大きさの変化率(乳化安定性)は自然薯の方が小さく、自然薯で作成したマヨネーズの方は乳化安定性に優れていることがわかった。
撹拌条件の影響を調べた。撹拌回転数の影響は撹拌時間9分の時の250rpm,300rpm、撹拌時間の影響は撹拌回転数250rpmの時の9分,18分で作成したマヨネーズの乳化性の比較から調べた。また、撹拌回転数300rpm、9分,18分,20分で作成したマヨネーズの乳化性を比較した。
撹拌時間9分の場合について、撹拌回転数250rpmと300rpmで作成したマヨネーズの濁度を表7、分散粒子の様子を図3に、撹拌時間18分の時の撹拌回転数250rpmと300rpmで作成したマヨネーズの濁度を表8に、分散粒子の様子を図4に示す。
これにより、撹拌回転数を増大させることにより乳化性が向上することが明らかとなった。
撹拌回転数250rpmの場合について、撹拌時間9分と18分で作成したマヨネーズの濁度を表9、分散粒子の様子を図5に、撹拌回転数300rpmの時の撹拌時間9分と18分で作成したマヨネーズの濁度を表10、分散粒子の様子を図6に示す。
これにより、撹拌時間を増大させることにより、乳化性は向上し、乳化安定性も上昇することが明らかとなった。
撹拌回転数を早くし、撹拌時間を長くすることで乳化性が向上することが明らかになったので、撹拌速度300rpmにおいて、撹拌時間9分,18分,20分の乳化性を調べた。マヨネーズの濁度を表11に、分散粒子の様子を図7に示す。撹拌速度300rpm、撹拌時間20分で作成したマヨネーズが最も乳化性が優れていた。
撹拌回転数が早く、撹拌時間が長いマヨネーズは乳化性が優れていることを明らかにしたので、自然薯を用い、撹拌回転数を10000rpmで20分撹拌して作成したマヨネーズの乳化性を卵黄で作成(撹拌回転数250rpm,撹拌時間9分、粘度400Pa)したマヨネーズと比較した。マヨネーズの濁度を表12に、分散粒子の様子を図8に示す。
これより、撹拌回転数を10000rpmで撹拌時間を20分にすることにより、濁度は大きく、分散粒子は小さくなり、卵黄で作成したマヨネーズに近いマヨネーズを自然薯で作成することができた。また、乳化性は、卵黄で作成したマヨネーズに比べると低かったが、乳化性の変化率は自然薯では8%、卵黄で作成したマヨネーズでは26%となり、自然薯で作成したマヨネーズは卵黄で作成したマヨネーズに比べて乳化安定性が優れていた。
以上より、下記の知見を得た。
自然薯は他の粘性芋類に比べ、有意(p<0.05)に水分量が少なく、粘性が強かった。また、自然薯は膨化体積が他の粘性芋類と水に比べて有意(p<0.05)に大きく、起泡性に優れていた。自然薯は他の粘性芋類に比べ、乳化性に優れていた。撹拌回転数を早くし、撹拌時間を長くすることで乳化性が向上した。自然薯で作成したマヨネーズは卵黄で作成したマヨネーズに比べて乳化安定性が優れていた。完成したものを1か月以上冷蔵保存しているが、エマルションを保っていた。
自然薯を乳化剤として用いたマヨネーズは、乳化性が高く油分の分離がなく、乳化安定性が良好なマヨネーズであった。自然薯の量を増やすことで、乳化性は増加すると考えられ、自然薯の量や製造条件を適宜設定することにより、「乳化性」と「おいしさ」のバランスが取れたからマヨネーズを製造することができる。また、淡泊な味で、見た目が白いので、他の野菜類を添加して味や見た目のバリエーションが期待できる。
(実施例2)
粘性芋類であるヤマノイモ科の乳化性を比較した。ナガイモ(ヤマノイモ属ナガイモ種ナガイモ群)、イチョウイモ(ヤマノイモ属ナガイモ種イチョウイモ群)、やまといも(ヤマノイモ属ナガイモ種イチョウイモ群)、ツクネイモ(ヤマノイモ属ナガイモ種ツクネイモ群)、伊勢芋(ヤマノイモ属ナガイモ種ツクネイモ群)、丹波芋(ヤマノイモ属ナガイモ種ツクネイモ群)、自然薯(ヤマノイモ属ヤマノイモ種)、アカヤマン(ヤマノイモ属ダイジョ種)の中央部を試料として用いた。ここで、やまといもは群馬県太田市から入手したもので、関東地域での「やまといも」は「イチョウイモ」を意味する。
粘性芋類であるヤマノイモ科の乳化性を比較した。ナガイモ(ヤマノイモ属ナガイモ種ナガイモ群)、イチョウイモ(ヤマノイモ属ナガイモ種イチョウイモ群)、やまといも(ヤマノイモ属ナガイモ種イチョウイモ群)、ツクネイモ(ヤマノイモ属ナガイモ種ツクネイモ群)、伊勢芋(ヤマノイモ属ナガイモ種ツクネイモ群)、丹波芋(ヤマノイモ属ナガイモ種ツクネイモ群)、自然薯(ヤマノイモ属ヤマノイモ種)、アカヤマン(ヤマノイモ属ダイジョ種)の中央部を試料として用いた。ここで、やまといもは群馬県太田市から入手したもので、関東地域での「やまといも」は「イチョウイモ」を意味する。
上記資料について乳化性及び乳化安定性を評価した。乳化性は、サラダ油を除く材料を、ホモゲナイザーにより10000rpmで6分攪拌し、1分攪拌ごとにサラダ油を3回に分けて(各2.4g)添加し、さらに撹拌を行い、撹拌時間を全行程30分とし、作成したドレッシングを試料として調べた。
ドレッシング作成後、5分後に分光光度計(UV-1200)による濁度(波長 500nm)と、PCSCOPE(PCS-81X)で撮影した画像の分散油粒子から調べた。濁度の値が大きく、分散油粒子の大きさが小さいものが乳化性に優れていることを示す。
乳化安定性は、5分後と60分後のドレッシングの乳化性から変化率を求め、値の小さいほど乳化安定性が優れていると判断した。
走査電子顕微鏡(SEM)により芋の組織観察を行い、でんぷん粒子の状態と乳化性の関係とを調べた。
乳化性について、表1に5分後のドレッシングの濁度と粒子径の測定結果を示す。ここで、値は5つの平均値±標準偏差、異なるアルファベットは、危険率5%で有意差があることを示す
これより、イチョウイモ群、自然薯、アカヤマンは乳化性が優れており、ナガイモは乳化性が劣っていることが明らかになった。
乳化安定性について、5分後と60分後の乳化性の変化を変化率として求めた濁度の結果を表14に、分散粒子の変化率を表15に示した。ここで、値は5つの平均値±標準偏差、異なるアルファベットは、危険率5%で有意差があることを示す。
これより、イチョウイモ群と自然薯は乳化性と同様に乳化安定性に優れていることが明らかになった。また、アカヤマンは乳化性には優れていたが、乳化安定性は劣っていた。
生のヤマノイモの組織構造からでんぷん粒子の状態を観察した結果を図6に示した。乳化特性が優れているイチョウイモ群はでんぷん粒子の数が多いのに対して、乳化特性が劣っているツクネイモ群では、でんぷん粒子の数が少なく、乳化特性は細胞内からのでんぷん粒子の流出と関係があると推定した。
以上まとめると表16のようになる。これより、今回調べたヤマノイモ科のヤマノイモの品種は、乳化特性によってナガイモ群、イチョウイモ群・自然薯、ツクネイモ群、アカヤマンに分類でき、品種により乳化性が異なることが明らかになり、イチョウイモ群と自然薯は乳化性及び乳化安定性に優れていることが確認された。
Claims (7)
- ヤマノイモ科に属するイモ由来の粘質物を有効成分として含むことを特徴とする食品用乳化剤。
- 前記イモがイチョウイモ群に属するイモ、または、自然薯であることを特徴とする請求項1に記載の食品用乳化剤。
- 前記粘質物が前記イモの摩砕物である請求項1または請求項2に記載の食品用乳化剤。
- 請求項1または請求項2に記載の食品用乳化剤により乳化されたことを特徴とするドレッシング類。
- 前記ドレッシング類がマヨネーズ様の半固体状ドレッシングであることを特徴とする請求項4に記載のドレッシング類。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の食品用乳化剤を使用することを特徴とするドレッシング類の製造法。
- 前記ドレッシング類がマヨネーズ様の半固体状ドレッシングであることを特徴とする請求項6に記載のドレッシング類の製造法。
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