JP2023008935A - マイクロカプセル水分散液 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期保管後においても、分散安定性に優れ、マイクロカプセルが良好な粒径を有し、かつ、粒径のばらつきが少なく、粒径の均一性に優れるマイクロカプセルの水分散液を提供する。【解決手段】下記の(A)成分及び(B)成分を含有する、マイクロカプセル水分散液である。(A)成分:無機物を構成成分として含むシェルと、該シェルの内部に1種以上の有機化合物を含むコアとを有するマイクロカプセル(B)成分:カチオン変性された分岐鎖構造を含む多糖類【選択図】なし

Description

本発明は、マイクロカプセル水分散液に関する。
化粧品、医薬品、一般家庭品、印刷等の広範な事業分野において、香料や生理活性剤物質を内包した様々なマイクロカプセルが開発され、利用されている。このようなマイクロカプセルの製造方法として、懸濁重合法、ミニエマルション重合法、乳化重合法、析出重合法、分散重合法、界面重縮合法、液中硬化法等の化学的方法;液中乾燥法、転相乳化法、コアセルベーション法等の物理化学的方法;スプレードライ法、ヘテロ凝集法等の機械的方法などが用いられている。前記マイクロカプセルの製造方法には、水性媒体中でマイクロカプセルが分散された水分散液として得る手法が多く、工業的観点では、濾過や乾燥等の単離操作を実施することなく、得られたマイクロカプセルの水分散液をそのまま用いることが望まれる。
そのため、これまでにマイクロカプセルの水分散液に関する様々な検討がなされてきた。
特許文献1では、流動性のある安定なシリカカプセル組成物として、シリカカプセル懸濁液及びアジュバントから構成され、該アジュバントとして、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体等のカチオン性ポリマーなどを用いることが記載されている。
特許文献2では、粘度調整剤によりマイクロカプセル組成物の分散安定性を高めることを目的として、水相中に分散されたマイクロカプセルと、粘度調整剤を含有するマイクロカプセル組成物が記載され、該粘度調整剤がアクリレート共重合体、カチオン性アクリルアミド共重合体、又は多糖類であることが記載されている。
特許文献3では、シリケートシェルを有するマイクロカプセルの水性懸濁液の安定性を向上させることを目的として、有機官能性シランをコロイド状シリケート封鎖剤として用いるシリケートシェルを有するマイクロカプセルの水性懸濁液が記載されている。
欧州特許出願公開第2862597号明細書 国際公開第2018/053356号 特表2012-501849号公報
ここで、マイクロカプセルの水分散液は、マイクロカプセルの水性媒体との比重差や、水性媒体の粘度、マイクロカプセルの粒径や形状に応じて、流動性が低下するといった問題がある。例えば、水性媒体に対してマイクロカプセルの比重が相対的に小さければ、経時的にクリーミングを起こして流動性を失い、また、マイクロカプセルの比重が相対的に大きければ、経時的に沈降して流動性を失う。
また、マイクロカプセルの水分散液は、マイクロカプセルを構成するシェルの表面、又は水性媒体に含まれる成分の物理的又は化学的変化によってゲル化や凝集体の形成が引き起こされ、水分散液の流動性を失うといった問題もある。
しかしながら、特許文献1~3の技術では、水分散液中でのマイクロカプセルの分散安定性が不十分であった。マイクロカプセルは広範な事業分野で使用されているにも関わらず、その水分散液としての取り扱い易さの観点から、十分に満足し得るものはない。そのため、長期間保管してもマイクロカプセルの凝集体の形成が抑制され、流動性の低下が抑制された、分散安定性に優れるマイクロカプセルの水分散液が求められている。
さらに、マイクロカプセルに内包した有機化合物の徐放性を制御する観点から、マイクロカプセルの水分散液の長期保管後においても、マイクロカプセルが良好な粒径を有し、かつ、マイクロカプセルの粒径のばらつきが少なく、粒径の均一性に優れるマイクロカプセルの水分散液が求められている。
本発明は、長期保管後においても、分散安定性に優れ、マイクロカプセルが良好な粒径を有し、かつ、粒径のばらつきが少なく、粒径の均一性に優れるマイクロカプセルの水分散液を提供することを課題とする。
本発明者らは、無機物を構成成分として含むシェルと、該シェルの内部に1種以上の有機化合物を含むコアとを有するマイクロカプセルの水分散液において、カチオン変性された分岐鎖構造を含む多糖類を含有することにより、上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、下記の(A)成分及び(B)成分を含有する、マイクロカプセル水分散液を提供する。
(A)成分:無機物を構成成分として含むシェルと、該シェルの内部に1種以上の有機化合物を含むコアとを有するマイクロカプセル
(B)成分:カチオン変性された分岐鎖構造を含む多糖類
本発明によれば、長期保管後においても、分散安定性に優れ、マイクロカプセルが良好な粒径を有し、かつ、粒径のばらつきが少なく、粒径の均一性に優れるマイクロカプセルの水分散液を提供することができる。
[マイクロカプセル水分散液]
本発明のマイクロカプセル水分散液(以下、単に「水分散液」ともいう)は、下記の(A)成分及び(B)成分を含有する。
(A)成分:無機物を構成成分として含むシェルと、該シェルの内部に1種以上の有機化合物を含むコアとを有するマイクロカプセル
(B)成分:カチオン変性された分岐鎖構造を含む多糖類
以下、本明細書において、長期保管後における、マイクロカプセルの粒径のばらつきが少ない、粒径の均一性を単に「粒径均一性」ともいう。
本発明において「カチオン変性された分岐鎖構造を含む多糖類」とは、カチオン変性された多糖類の構成成分のうち、少なくとも1つの構成成分がカチオン変性された分岐鎖構造を有する多糖類であることを意味する。
すなわち、本発明において「カチオン変性された分岐鎖構造を含む多糖類」とは、カチオン変性された分岐鎖構造を有する多糖類のみからなるもの、及びカチオン変性された分岐鎖構造を有する多糖類とカチオン変性された直鎖構造を有する多糖類とを含む混合物を含む概念である。
本発明において「カチオン変性された分岐鎖構造を有する多糖類」とは、1種以上の単糖が3個以上連結された多糖類の骨格にカチオン性基が導入された変性多糖類であって、該変性多糖類の構造が、隣接する単糖分子との結合部位を3個以上有する単糖分子を少なくとも1個有することにより分岐鎖構造であるものを意味する。
これに対して「カチオン変性された直鎖構造を有する多糖類」とは、1種以上の単糖が3個以上連結された多糖類の骨格にカチオン性基が導入された変性多糖類であって、該変性多糖類の構造が、1つの単糖分子内に、隣接する単糖分子との結合部位を2個有することにより直鎖構造であるものを意味する。
ここで、カチオン性基とは、カチオン基、又は、イオン化されてカチオン基になり得る基をいい、例えば、第4級アンモニウム基、又は、プロトンを付加することでカチオンとなり得る基を意味する。
本明細書において、「カチオン変性された分岐鎖構造を含む多糖類」を単に「カチオン化分岐多糖類」ともいう。
本発明のマイクロカプセル水分散液は、水性媒体中に(A)成分であるマイクロカプセルが分散されてなる。
本明細書において「水性媒体」とは、少なくとも水を含む液体であり、媒体中で水が最大割合を占めているものが好ましい。水性媒体が含み得る水以外の成分としては、炭素数1以上4以下の脂肪族アルコール;炭素数3以上8以下のケトン類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸メチル等のエステル類などが挙げられる。
水性媒体中の水の含有量は、マイクロカプセルの分散安定性を向上させる観点、及びマイクロカプセルの粒径を良好なものとし、粒径均一性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、そして、更に好ましくは100質量%である。水としては、イオン交換水、脱イオン水、又は蒸留水が好ましく用いられる。
なお、本発明において、「(A)成分及び(B)成分を含有する」とは、「(A)成分及び(B)成分を配合してなる」ことをも意味する。
本発明において、水分散液中の(A)成分であるマイクロカプセルはフロックを形成していてもよい。
本明細書における「フロック」とは、水分散液中で分散しているマイクロカプセルが、静置等により水分散液中で集合体を形成した状態を意味する。
本発明においては、水分散液中でマイクロカプセルがフロックを形成した後であっても、撹拌又は振とうにより再度水分散液中でマイクロカプセルが元の分散した状態とすることができる。当該観点から、本明細書における「フロック」は、可逆的な現象を意味する。これに対して、本明細書における「凝集」とは、水分散液中で分散しているマイクロカプセルが、静置等により水分散液中で凝集体を形成した状態を意味する。この凝集体は、撹拌又は振とうを行っても再度水分散液中でマイクロカプセルが元の分散した状態と戻ることができない。前記凝集体は、該凝集体に物理的な力を加えることにより凝集体の凝集を解きほぐす解砕により再分散することができる場合もあるが、撹拌又は振とうでは再分散できない状態を「凝集」とする。当該観点から、本明細書における「凝集」は、撹拌又は振とうという分散手段では非可逆的な現象を意味する。
本明細書において、マイクロカプセルを再分散する際の「撹拌」及び「振とう」とは、マイクロカプセルになるべく損傷の起こらないように水分散液に外部から物理的な力を与え、系内を均一な分散状態へ戻すための操作を意味する。
本発明の効果が得られる理由は定かではないが、次のように考えられる。
本発明において、カチオン変性された分岐鎖構造を含む多糖類(カチオン化分岐多糖類)は、複数のヒドロキシ基とカチオン性基とを有する。そのため、水分散液中で、前記カチオン化分岐多糖類のヒドロキシ基はマイクロカプセル表面に吸着しつつ、該カチオン化分岐多糖類のカチオン性基がマイクロカプセル表面の正電荷と静電的な反発により、該カチオン化分岐多糖類のポリマー鎖が水性媒体に広がり、マイクロカプセル間に立体的な反発力及び静電的な反発力が相乗的に作用してマイクロカプセルの凝集体の形成を抑制することができると考えられる。さらに、本発明において、カチオン化分岐多糖類は分岐鎖構造を有するため、1本のポリマー鎖が複数のマイクロカプセル表面に同時に吸着してマイクロカプセルを凝集させる現象、いわゆる架橋凝集が生じ難く、前述のマイクロカプセル間における立体的な反発力及び静電的な反発力がより効果的に作用してマイクロカプセルの凝集体の形成を抑制することができ、その結果、マイクロカプセルの分散安定性が向上し、マイクロカプセルの粒径を良好なものとし、粒径均一性が向上すると考えられる。
<(A)成分>
本発明のマイクロカプセル水分散液は、(A)成分として、無機物を構成成分として含むシェルと、該シェルの内部に1種以上の有機化合物を含むコアとを有するマイクロカプセルを含有する。
(A)成分のシェルを構成する前記無機物は、好ましくは金属元素又は半金属元素を含む金属酸化物であり、より好ましくは金属アルコキシド〔M(OR)x〕をシェル前駆体としたゾル-ゲル反応により形成されてなる無機重合体である。ここで、Mは金属又は半金属元素であり、Rは炭化水素基である。金属アルコキシドを構成する金属又は半金属元素としては、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛等が挙げられる。
前記無機物は、マイクロカプセルの分散安定性を向上させる観点、マイクロカプセルの粒径を良好なものとし、粒径均一性を向上させる観点、及び外部環境へ放出される際の環境負荷の低減の観点からは、更に好ましくはケイ素、アルミニウム、及びチタンから選ばれる1種以上の金属アルコキシドをシェル前駆体としたゾル-ゲル反応により形成されてなる無機重合体であり、より更に好ましくはアルコキシシランをシェル前駆体としたゾル-ゲル反応により形成されてなるシリカである。すなわち、(A)成分は、好ましくは、シリカを構成成分として含むシェルと、該シェルの内部に1種以上の有機化合物を含むコアとを有するマイクロカプセル(シリカマイクロカプセル)(以下、「シリカカプセル」ともいう)である。
前記アルコキシシランは、マイクロカプセルの分散安定性を向上させる観点、及びマイクロカプセルの粒径を良好なものとし、粒径均一性を向上させる観点から、好ましくはテトラアルコキシシランである。
前記テトラアルコキシシランとしては、前記と同様の観点から、好ましくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基を有するものであり、より好ましくはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びテトライソプロポキシシランから選ばれる1種以上であり、更に好ましくはテトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランから選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはテトラエトキシシランである。
(A)成分のコアに含まれる前記有機化合物は、好ましくは、香料;香料前駆体;油剤;酸化防止剤;抗菌剤;肥料;繊維、皮膚、及び毛髪等の表面変性剤;冷感剤;染料;色素;シリコーン;溶媒;及び油溶性ポリマーから選ばれる1種以上、より好ましくは、香料、香料前駆体、油剤、酸化防止剤、抗菌剤、肥料、表面変性剤、及び溶媒から選ばれる1種以上、更に好ましくは香料、香料前駆体、油剤、酸化防止剤、及び溶媒から選ばれる1種以上、より更に好ましくは香料、香料前駆体及び油剤から選ばれる1種以上、より更に好ましくは香料及び香料前駆体から選ばれる1種以上である。
前記有機化合物は、マイクロカプセルの用途に応じて適宜組み合わせることができる。
香料前駆体としては、水に反応して香料成分を放出する化合物、光に反応して香料成分を放出する化合物等が挙げられる。
水に反応して香料成分を放出する化合物としては、香料アルコール由来のアルコキシ成分を有するケイ酸エステル化合物、香料アルコール由来のアルコキシ成分を有する脂肪酸エステル化合物、香料アルデヒド又は香料ケトン由来のカルボニル成分とアルコール化合物の反応で得られるアセタール化合物又はヘミアセタール化合物、香料アルデヒド又は香料ケトン由来のカルボニル成分と1級アミン化合物との反応で得られるシッフ塩基化合物、香料アルデヒド又は香料ケトン由来のカルボニル成分とヒドラジン化合物との反応で得られるヘミアミナール化合物又はヒドラゾン化合物が挙げられる。
光に反応して香料成分を放出する化合物としては、香料アルコール由来のアルコキシ成分を有する2-ニトロベンジルエーテル化合物、香料アルデヒド又は香料ケトン由来のカルボニル成分を有するα-ケトエステル化合物、香料アルコール由来のアルコキシ成分を有するクマリン酸エステル化合物等が挙げられる。これらの香料前駆体は、例えばポリアクリル酸の一部のカルボキシ基と香料アルコールとの反応生成物等のポリマーとして用いてもよい。
前記有機化合物は、有機化合物の保持性の観点から、適度な疎水性を有することが好ましい。前記有機化合物の親水性又は疎水性を表す指標として、n-オクタノールと水との間の分配係数P(n-オクタノール/水)の常用対数「logP」の計算値であるcLogP値を用いることができる。cLogP値は、A.Leo Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol.4 C.Hansch, P.G.Sammens, J.B Taylor and C.A.Ramsden, Eds., P.295, Pergamon Press, 1990に記載の方法で計算した″LogP (cLogP)″であり、プログラムCLOGP v4.01により計算したcLogP値である。
前記有機化合物が複数の構成成分から構成される場合、該有機化合物のcLogP値は、各構成成分のcLogP値に各構成成分の体積比率を乗じ、それらの和とすることで求めることができる。
前記有機化合物のcLogP値は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上、より更に好ましくは4以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である。
前記シリカカプセルのシェルは、コアを包接し、シリカを構成成分として含み、好ましくは5nm以上20nm以下の平均厚さを有する。
前記シリカカプセルのシェルは、マイクロカプセルの分散安定性を向上させる観点、及び有機化合物の保持性の観点から、アルコキシシランの加水分解重縮合物であるシリカを構成成分として含む内殻と、該内殻の外側に更にアルコキシシランの加水分解重縮合物であるシリカを構成成分として含む外殻とを有する多層シェルであることが好ましい。かかるシリカカプセルの具体的な一例としては、例えば特開2015-128762号公報に記載のシリカカプセルが挙げられる。
前記シリカカプセルのシェルが内殻と外殻とを有する多層シェルである場合、内殻のシェルは、コアを包接し、シリカを構成成分として含み、好ましくは5nm以上20nm以下の平均厚さを有し、外殻は、内殻を包接し、シリカを構成成分として含み、好ましくは10nm以上100nm以下の平均厚さを有する。
シリカカプセルのシェルの平均厚さ、並びにシリカカプセルの内殻及び外殻の平均厚さは、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により測定することができる。具体的には、透過型電子顕微鏡観察下で、シェル又は内殻及び外殻の厚さを写真上で実測する。この操作を、視野を5回変えて行う。得られたデータからシェル又は内殻及び外殻の平均厚さの分布を求める。透過型電子顕微鏡の倍率の目安は1万倍以上10万倍以下であるが、シリカカプセルの大きさによって適宜調節される。ここで、透過型電子顕微鏡(TEM)として、例えば商品名「JEM-2100」(日本電子株式会社製)を用いることができる。
(A)成分は、適宜合成したものを用いることができる。
(A)成分がシリカカプセルである場合には、シリカカプセルは、例えば、好適な製造方法として下記の工程Iを含む方法により製造されたものが挙げられる。
工程I:カチオン性界面活性剤を含む水相成分と、有機化合物及びテトラアルコキシシランを含む油相成分とを乳化して得られる乳化液を、酸性条件下でゾル-ゲル反応に供し、コアと、シリカを構成成分とするシェルと、を有するシリカカプセルを形成し、該シリカカプセルを含む水分散体を得る工程
工程Iで用いるカチオン性界面活性剤は、アルキルアミン塩、アルキル第4級アンモニウム塩等が挙げられる。アルキルアミン塩及びアルキル第4級アンモニウム塩のアルキル基の炭素数は、好ましくは10以上22以下である。
工程Iにおいて水相成分中のカチオン性界面活性剤の含有量は、乳化滴の分散安定性の観点から、好ましくは0.05質量%以上10質量%以下である。
工程Iで用いるテトラアルコキシシランの量は、ゾル-ゲル反応を促進させ、十分に緻密なシェルを形成する観点から、工程Iで用いる有機化合物の量100質量部に対して、好ましくは10質量部以上であり、そして、過剰のテトラアルコキシシランが有機化合物中に残存することを抑制する観点から、好ましくは60質量部以下である。
工程Iで用いる乳化液の総量中の油相成分の量は、製造効率の観点から、好ましくは5質量%以上50質量%以下である。
前記乳化液の調製に用いられる撹拌手段は特に限定されないが、強い剪断力を有するホモジナイザー、高圧分散機、超音波分散機等を使用することができる。
水相成分及び油相成分の混合及び乳化時の温度は、製造安定性の観点から、好ましくは5℃以上50℃以下である。
撹拌手段の回転数等及び水相成分及び油相成分の混合及び乳化の時間は、乳化液の乳化滴のメジアン径D50が後述する範囲となるように適宜調整することが好ましい。
工程Iの乳化液における乳化滴のメジアン径D50は、シリカカプセル外環境に対する比表面積を少なくし、有機化合物の保持性を高める観点から、好ましくは0.1μm以上であり、そして、シリカカプセルの小粒径化の観点、及び、シリカカプセルの物理的強度の観点から、好ましくは50μm以下である。
乳化滴のメジアン径D50は、実施例に記載の方法により測定することができる。
工程Iにおけるゾル-ゲル反応の初期pHは、テトラアルコキシシランの加水分解反応と縮合反応のバランスを保つ観点、及び親水性の高いゾルの生成を抑制し、カプセル化の進行を促進する観点から、好ましくは3.0以上であり、そして、シリカシェルの形成と乳化滴の凝集の併発を抑制し、緻密なシェルを有するシリカカプセルを得る観点から、好ましくは4.5以下である。
前記有機化合物を含む油相成分の酸性、アルカリ性の強さに応じて、所望の初期pHに調整する観点から、乳化液のpHを、pH調整剤を用いて調整してもよい。
酸性のpH調整剤として、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸、酢酸、クエン酸等の有機酸、陽イオン交換樹脂等を水やエタノール等に加えた液などが挙げられ、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、及びクエン酸から選ばれる1種以上である。
アルカリ性のpH調整剤として、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタンなどが挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム、及び水酸化アンモニウムから選ばれる1種以上である。
前記乳化液のpHが所望の値以下となることもある。その場合には、上記のアルカリ性のpH調整剤を用いて調整することが好ましい。
工程Iにおけるゾル-ゲル反応の反応温度は、水相として含まれる水の融点以上、沸点以下であれば任意の値を選択することができるが、ゾル-ゲル反応における加水分解反応と縮合反応のバランスを制御し、緻密なシェルを形成する観点から、温度を一定範囲にするのが好ましい。該範囲としては、好ましくは5℃以上60℃以下、より好ましくは10℃以上50℃以下である。
工程Iにおけるゾル-ゲル反応の反応時間は、反応系内が所定の反応温度になったときを反応開始と規定した場合、好ましくは0.5時間以上50時間以下である。
また、シリカカプセルのシェルが前述の多層シェルである場合には、かかるシリカカプセルの具体的な一例としては、工程Iで得られるシリカカプセル(以下、シリカカプセル(1)という)を含む水分散体に更にシリカ前駆体としてテトラアルコキシシランを添加し、ゾル-ゲル反応を2段階で行うことにより形成されてなるシリカを構成成分として含むことが好ましい。すなわち、この場合のシリカカプセルは、下記の工程1及び工程2を含む方法により製造することが好ましい。
工程1:カチオン性界面活性剤を含む水相成分と、有機化合物及びテトラアルコキシシランを含む油相成分とを乳化して得られる乳化液を、酸性条件下でゾル-ゲル反応に供し、コアと、シリカを構成成分とする第一のシェルと、を有するシリカカプセル(1)を形成し、該シリカカプセル(1)を含む水分散体を得る工程
工程2:工程1で得られたシリカカプセル(1)を含む水分散体に、更にテトラアルコキシシランを添加してゾル-ゲル反応を行い、第一のシェルを包接する第二のシェルを有するシリカカプセルを形成する工程
なお、本明細書において、工程1及び工程2を行う場合において、「第一のシェルを包接する」とは、工程1で形成したシリカカプセル(1)の第一のシェルを包接することを意味し、シリカカプセル(1)を包接することをも含む。
工程2により、工程1で形成されたシリカカプセルに更にシェルが形成されることとなり、工程2で得られるシリカカプセルは、全体としてシェルの厚みが増大したシリカカプセルとなり、工程1で形成されたシェルを内殻とし、工程2で形成されたシェルを外殻とするシェルを有するシリカカプセルとなると考えられる。
工程1は、前述の工程Iと同様の操作を行うことができる。
工程2で用いるテトラアルコキシシランの量は、第一シェルを包接した第二シェルを形成する観点から、工程1で用いる有機化合物の量100質量部に対して、好ましくは7質量部以上であり、そして、水相に分散するシリカゾルの生成を抑制し、シリカカプセルの分散安定性を向上させる観点、及びマイクロカプセルの粒径を良好なものとし、粒径均一性を向上させる観点から、好ましくは200質量部以下である。
工程1及び工程2を含む場合の用いるテトラアルコキシシランの総量、すなわち工程1及び工程2で用いるテトラアルコキシシランの合計量は、工程1で用いる有機化合物の量100質量部に対して、好ましくは30質量部以上であり、そして、好ましくは250質量部以下である。
(A)成分のマイクロカプセルのメジアン径D50は、ストークス(Stokes)の式に基づき、マイクロカプセルの分散安定性を向上させる観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは75μm以下、更に好ましくは50μm以下、より更に好ましくは30μm以下、より更に好ましくは10μm以下である。そして、マイクロカプセルの比表面積を減少させ、有機化合物の保持性を向上させる観点、及びマイクロカプセルの粒径を良好なものとし、粒径均一性を向上させる観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.07μm以上、より更に好ましくは0.1μm以上、より更に好ましくは0.5μm以上、より更に好ましくは1μm以上である。(A)成分のメジアン径D50は実施例に記載の方法により測定することができる。
(A)成分と水性媒体との比重差は、マイクロカプセルの分散安定性を向上させて、マイクロカプセル水分散液の経時的な流動性の低下を抑制する観点、及びマイクロカプセルの粒径を良好なものとし、粒径均一性を向上させる観点から、好ましくは0.30未満、より好ましくは0.20未満、更に好ましくは0.15未満、より更に好ましくは0.10未満、より更に好ましくは0.05未満、より更に好ましくは0.01未満であり、より更に好ましくは比重差はないことが好ましい。
なお、(A)成分の比重は、該(A)成分を構成するシェルとコアの比重、及びシェルとコアの質量比によって決定される。
<(B)成分>
本発明のマイクロカプセル水分散液は、マイクロカプセルの分散安定性を向上させる観点、及びマイクロカプセルの粒径を良好なものとし、粒径均一性を向上させる観点から、(B)成分として、カチオン変性された分岐鎖構造を含む多糖類(カチオン化分岐多糖類)を含有する。(B)成分として、カチオン化分岐多糖類は、1種を単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
(B)成分のカチオン電荷密度は、マイクロカプセルの分散安定性を向上させる観点、及びマイクロカプセルの粒径を良好なものとし、粒径均一性を向上させる観点から、好ましくは0.3meq/g以上、より好ましくは0.5meq/g以上、更に好ましくは0.7meq/g以上であり、そして、好ましくは3.0meq/g以下、より好ましくは2.5meq/g以下であり、更に好ましくは2.0meq/g以下、より更に好ましくは1.7meq/g以下、より更に好ましくは1.5meq/g以下である。
本発明においてカチオン電荷密度は、下記式(1)により算出することができる。
カチオン電荷密度(meq/g)=窒素含有量(質量%)÷14×10 (1)
ここで、(B)成分中の窒素含有量は、ケルダール法によって測定することができる。
また、(B)成分としてカチオン化分岐多糖類を2種以上用いる場合、カチオン電荷密度は、それぞれのカチオン化分岐多糖類のカチオン電荷密度と配合量から加重平均して算出することにより求められる。
(B)成分のポリマー骨格は、好ましくは連結されたヘキソース残基を含む多糖類であって、該多糖類を構成するヘキソース残基の少なくとも1つが、隣接するヘキソース残基の結合部位として1,2結合、1,3結合、1,4結合、及び1,6結合から選ばれる3個以上の結合部位を有する多糖類であり、より好ましくは連結されたヘキソース残基を含む多糖類であって、該多糖類を構成するヘキソース残基の少なくとも1つが、隣接するヘキソース残基の結合部位として1,2結合、1,3結合、1,4結合、及び1,6結合から選ばれる3個の結合部位を有する多糖類であり、更に好ましくは1,4結合で連結したヘキソース残基を主鎖とし、該主鎖のヘキソース残基に1,6位結合により分岐したヘキソース残基の分岐鎖を有する多糖類である。
前記分岐鎖1本あたりのヘキソース残基数は、1個であってもよく、2個以上であってもよい。
(B)成分のポリマー骨格を構成する前記ヘキソースとしては、マンノース、ガラクトース、グルコース、及びキシロースから選ばれる1種以上が好ましく挙げられる。
(B)成分のポリマー骨格としては、例えば、β-1,4結合で連結したマンノース残基を主鎖とし、該主鎖のマンノース残基にα-1,6結合により分岐したガラクトース残基の分岐鎖を有する多糖類、及びα-1,4結合で連結したグルコース残基を主鎖とし、該主鎖のグルコース残基にα-1,6結合により分岐したグルコース残基の分岐鎖を有する多糖類から選ばれる1種以上が好ましく挙げられる。
なお、(B)成分が、カチオン変性された分岐鎖構造を有する多糖類とカチオン変性された直鎖構造を有する多糖類とを含む混合物である場合には、(B)成分の構成成分として含まれるカチオン変性された分岐鎖構造を有する多糖類が、前述のポリマー骨格を有するものであればよい。
(B)成分の具体例として、カチオン化グァーガム、カチオン化タラガム、カチオン化フェヌグリークガム、カチオン化ローカストビーンガム等のカチオン化ガラクトマンナン;カチオン化澱粉;タマリンドシードガムなどが挙げられる。
これらの中でも、(B)成分は、マイクロカプセルの分散安定性を向上させる観点、マイクロカプセルの粒径を良好なものとし、粒径均一性を向上させる観点、及び、少量でもマイクロカプセルの分散安定性を高めることができる観点から、好ましくはカチオン化ガラクトマンナン及びカチオン化澱粉から選ばれる1種以上であり、より好ましくはカチオン化ガラクトマンナンである。
カチオン化ガラクトマンナンは、マンノースを構成単位とする主鎖と、ガラクトースを構成単位とする側鎖とを有するガラクトマンナンに、第4級アンモニウム基を導入した変性多糖類である。ガラクトマンナンは、例えば、マメ科植物の種子の胚乳から得ることができる。
カチオン化ガラクトマンナンは、複数のヒドロキシ基及びカチオン性基を有し、かつ、分岐鎖構造を有するため、前述のマイクロカプセル間に立体的な反発力及び静電的な反発力がより効果的に作用してマイクロカプセルの凝集体の形成を抑制することができ、その結果、マイクロカプセルの分散安定性を向上させ、マイクロカプセルの粒径を良好なものとし、粒径均一性を向上させることができると考えられる。当該観点から、(B)成分は、更に好ましくはカチオン化グァーガム、カチオン化タラガム、カチオン化フェヌグリークガム、及びカチオン化ローカストビーンガムから選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはカチオン化グァーガム及びカチオン化タラガムから選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはカチオン化グァーガムであり、より更に好ましくは塩化O-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グァーガム(表示名称:グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)及び塩化O-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グァーガムのヒドロキシプロピル誘導体(表示名称:ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)から選ばれる1種以上である。
商業的に入手し得る(B)成分としては、Solvay社製のJaguarシリーズ、DSP五協フード&ケミカル社製のラボールガムシリーズ等のカチオン化グァーガム;東邦化学工業株式会社製の「カチナールCTR-100」等のカチオン化タラガム;東邦化学工業株式会社製の「カチナールCLB-100」等のカチオン化ローカストビーンガム;日澱化学株式会社製のEXCELLシリーズ等のカチオン化澱粉などが挙げられる。
本発明のマイクロカプセル水分散液は、必要に応じて、(A)成分及び(B)成分以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、pH調整剤、色素、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シェル表面変性剤、無機塩、増粘剤、沈着助剤、レオロジー調整剤等が挙げられる。
本発明のマイクロカプセル水分散液は、該水分散液を各種製剤に配合するために、必要に応じて、(A)成分及び(B)成分以外の、布地柔軟化剤、布地フレッシュニング剤、布地強化剤、酵素、ビルダー、毛髪コンディショニング剤、皮膚コンディショニング剤、香料、粘土、ゼオライト、シリコーン等を予め含有しておいてもよい。
(マイクロカプセル水分散液の製造)
本発明のマイクロカプセル水分散液の製造方法は特に限定されない。例えば、予め公知の方法により製造した(A)成分、(B)成分、及び必要に応じて前述の他の成分を、公知の撹拌装置等を用いて混合する工程を含む方法により製造できる。中でも、本発明のマイクロカプセル水分散液の製造方法は、製造容易性の観点から、好ましくは(A)成分を含む水分散体と、(B)成分と、必要に応じて前述の他の成分とを、を混合する工程を含む方法である。
(A)成分がシリカカプセルである場合には、本発明のマイクロカプセル水分散液の製造方法としては、(A)成分としてシリカカプセルを含む水分散体と、(B)成分と、必要に応じて前述の他の成分とを、混合する工程を含む方法が好ましい。シリカカプセルを含む水分散体は、前述の方法により得ることができる。
本発明において、製造容易性の観点から、(A)成分を含む水分散体と(B)成分との混合方法は特に制限はないが、(A)成分を含む水分散体に、(B)成分を添加して混合する工程を含むことが好ましい。
(B)成分は、配合容易性の観点から、水溶液として用いてもよい。また、(B)成分の水溶液は、(B)成分の水への溶解性に応じてpH調整し、水中に(B)成分を溶解させたものであってもよい。
(A)成分を含む水分散体、(B)成分、及び必要に応じて前述の他の成分の混合温度は、マイクロカプセルの分散安定性の観点からは、好ましくは15℃以上、より好ましくは20℃以上であり、そして、好ましくは35℃以下、より好ましくは30℃以下である。
また、各成分の混合は、公知の撹拌装置等を用いることができる。
(マイクロカプセル水分散液の組成)
本発明のマイクロカプセル水分散液中の(A)成分の含有量又は配合量は、水分散液を低粘度化し、取り扱い性を向上させる観点、マイクロカプセルの分散安定性を向上させる観点、及びマイクロカプセルの粒径を良好なものとし、粒径均一性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは25質量%以下であり、そして、水分散液を用いた液体組成物又は製品の調製を容易にする観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは18質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上である。
本発明のマイクロカプセル水分散液中の(B)成分の含有量又は配合量は、マイクロカプセルの分散安定性の観点、及びマイクロカプセルの粒径を良好なものとし、粒径均一性を向上させる観点から、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上、より更に好ましくは0.03質量%以上、より更に好ましくは0.05質量%以上であり、そして、水分散液中のマイクロカプセルの凝集体の形成を抑制し、マイクロカプセルの分散安定性を向上させる観点、マイクロカプセルの粒径を良好なものとし、粒径均一性を向上させる観点、及び水分散液を低粘度化し、取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.7質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以下、より更に好ましくは0.3質量%以下、より更に好ましくは0.2質量%以下、より更に好ましくは0.15質量%以下、より更に好ましくは0.13質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以下である。
本発明のマイクロカプセル水分散液中の(A)成分100質量部に対する(B)成分の含有量又は配合量は、マイクロカプセルの分散安定性の観点、及びマイクロカプセルの粒径を良好なものとし、粒径均一性を向上させる観点から、好ましくは0.03質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、更に好ましくは0.1質量部以上、より更に好ましくは0.15質量部以上、より更に好ましくは0.2質量部以上であり、そして、水分散液中のマイクロカプセルの凝集体の形成を抑制し、マイクロカプセルの分散安定性を向上させる観点、マイクロカプセルの粒径を良好なものとし、粒径均一性を向上させる観点、及び、水分散液を低粘度化し、取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは3質量部以下、より好ましくは2質量部以下、更に好ましくは1質量部以下、より更に好ましくは0.8質量部以下、より更に好ましくは0.6質量部以下である。
本発明のマイクロカプセル水分散液中の水の含有量又は配合量は、マイクロカプセルの分散安定性の観点、及びマイクロカプセルの粒径を良好なものとし、粒径均一性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは75質量%以上であり、そして、好ましくは97質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは90質量%以下、より更に好ましくは85質量%以下である。
本発明のマイクロカプセル水分散液の25℃における粘度は、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは3mPa・s以上、更に好ましくは5mPa・s以上、より更に好ましくは10mPa・s以上であり、そして、好ましくは4,000mPa・s以下、より好ましくは2,000mPa・s以下、更に好ましくは1,000mPa・s以下、より更に好ましくは500mPa・s以下、より更に好ましくは100mPa・s以下、より更に好ましくは50mPa・s以下、より更に好ましは30mPa・s以下、より更に好ましくは20mPa・s以下である。
本発明のマイクロカプセル水分散液の25℃における粘度は、実施例に記載のとおり、B型粘度計(モデル:TVB-10、東機産業株式会社製)を用いて、スピンドルはM3又はM4を使用し、回転速度は、60rpm又は6rpm、測定温度は25℃で測定することができる。
本発明のマイクロカプセル水分散液は、マイクロカプセルの分散安定性に優れ、マイクロカプセルの粒径が良好なものであり、粒径均一性に優れ、及び取り扱い性に優れることから、種々の用途に用いることができる。用途としては、例えば、乳液、化粧液、化粧水、美容液、クリーム、ジェル製剤、毛髪処理剤、医薬部外品等の香粧品;洗浄剤、柔軟剤、しわ防止スプレー等の繊維処理剤;紙おむつ等の衛生用品;芳香剤等の各種用途が挙げられ、これらの用途の製造に好適に用いることができる。
本発明のマイクロカプセル水分散液は、洗浄剤組成物、繊維処理剤組成物、香粧品組成物、芳香剤組成物、消臭剤組成物等の液体組成物に含有又は配合して用いることが好ましい。該組成物としては、好ましくは粉末洗浄剤組成物、液体洗浄剤組成物等の洗浄剤組成物;柔軟剤組成物等の繊維処理剤組成物などから選ばれる1種以上であり、より好ましくは繊維処理剤組成物であり、更に好ましくは柔軟剤組成物である。
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下のマイクロカプセル水分散液及び該マイクロカプセル水分散液の製造方法を開示する。
<1> 下記の(A)成分及び(B)成分を含有する、マイクロカプセル水分散液。
(A)成分:無機物を構成成分として含むシェルと、該シェルの内部に1種以上の有機化合物を含むコアとを有するマイクロカプセル
(B)成分:カチオン変性された分岐鎖構造を含む多糖類
<2> (B)成分のカチオン電荷密度が、好ましくは0.3meq/g以上、より好ましくは0.5meq/g以上、更に好ましくは0.7meq/g以上であり、そして、好ましくは3.0meq/g以下、より好ましくは2.5meq/g以下であり、更に好ましくは2.0meq/g以下、より更に好ましくは1.7meq/g以下、より更に好ましくは1.5meq/g以下である、前記<1>に記載のマイクロカプセル水分散液。
<3> (B)成分が、好ましくはカチオン化ガラクトマンナン及びカチオン化澱粉から選ばれる1種以上であり、より好ましくはカチオン化ガラクトマンナンであり、更に好ましくはカチオン化グァーガムであり、より更に好ましくは塩化O-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グァーガム(表示名称:グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)及び塩化O-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グァーガムのヒドロキシプロピル誘導体(表示名称:ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)から選ばれる1種以上である、前記<1>又は<2>に記載のマイクロカプセル水分散液。
<4> (A)成分のシェルを構成する前記無機物が、好ましくは金属元素又は半金属元素を含む金属酸化物であり、より好ましくは金属アルコキシド〔M(OR)x〕をシェル前駆体としたゾル-ゲル反応により形成されてなる無機重合体である、更に好ましくはケイ素、アルミニウム、及びチタンから選ばれる1種以上の金属アルコキシドをシェル前駆体としたゾル-ゲル反応により形成されてなる無機重合体であり、より更に好ましくはアルコキシシランをシェル前駆体としたゾル-ゲル反応により形成されてなるシリカである、前記<1>~<3>のいずれかに記載のマイクロカプセル水分散液。
<5> 前記アルコキシシランが、好ましくはテトラアルコキシシランである、前記<4>に記載のマイクロカプセル水分散液。
<6> (A)成分が、シリカを構成成分として含むシェルと、該シェルの内部に1種以上の有機化合物を含むコアとを有するマイクロカプセルである、前記<1>~<3>のいずれかに記載のマイクロカプセル水分散液。
<7> 前記シェルが、アルコキシシランの加水分解重縮合物であるシリカを構成成分として含む内殻と、該内殻の外側に更にアルコキシシランの加水分解重縮合物であるシリカを構成成分として含む外殻とを有する多層シェルである、前記<6>に記載のマイクロカプセル水分散液。
<8> 前記有機化合物が、好ましくは、香料;香料前駆体;油剤;酸化防止剤;抗菌剤;肥料;繊維、皮膚、及び毛髪等の表面変性剤;冷感剤;染料;色素;シリコーン;溶媒;及び油溶性ポリマーから選ばれる1種以上、より好ましくは、香料、香料前駆体、油剤、酸化防止剤、抗菌剤、肥料、表面変性剤、及び溶媒から選ばれる1種以上、更に好ましくは香料、香料前駆体、油剤、酸化防止剤、及び溶媒から選ばれる1種以上、より更に好ましくは香料、香料前駆体及び油剤から選ばれる1種以上、より更に好ましくは香料及び香料前駆体から選ばれる1種以上である、前記<1>~<7>のいずれかに記載のマイクロカプセル水分散液。
<9> 前記有機化合物のcLogP値が、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上、より更に好ましくは4以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である、前記<1>~<8>のいずれかに記載のマイクロカプセル水分散液。
<10> (A)成分のマイクロカプセルのメジアン径D50が、好ましくは100μm以下、より好ましくは75μm以下、更に好ましくは50μm以下、より更に好ましくは30μm以下、より更に好ましくは10μm以下であり、そして、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.07μm以上、より更に好ましくは0.1μm以上、より更に好ましくは0.5μm以上、より更に好ましくは1μm以上である、前記<1>~<9>のいずれかに記載のマイクロカプセル水分散液。
<11> 下記の(A)成分及び(B)成分を含有する、マイクロカプセル水分散液。
(A)成分:シリカを構成成分として含むシェルと、該シェルの内部に1種以上の有機化合物を含むコアとを有するマイクロカプセル
(B)成分:カチオン化ガラクトマンナン及びカチオン化澱粉から選ばれる1種以上
<12> (B)成分のカチオン電荷密度が、好ましくは0.3meq/g以上、より好ましくは0.5meq/g以上、更に好ましくは0.7meq/g以上であり、そして、好ましくは3.0meq/g以下、より好ましくは2.5meq/g以下であり、更に好ましくは2.0meq/g以下、より更に好ましくは1.7meq/g以下、より更に好ましくは1.5meq/g以下である、前記<11>に記載のマイクロカプセル水分散液。
<13> (B)成分が、好ましくはカチオン化ガラクトマンナンであり、より好ましくはカチオン化グァーガム、カチオン化タラガム、カチオン化フェヌグリークガム、及びカチオン化ローカストビーンガムから選ばれる1種以上であり、更に好ましくはカチオン化グァーガム及びカチオン化タラガムから選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはカチオン化グァーガムであり、より更に好ましくは塩化O-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グァーガム(表示名称:グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)及び塩化O-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グァーガムのヒドロキシプロピル誘導体(表示名称:ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)である、前記<11>又は<12>に記載のマイクロカプセル水分散液。
<14> マイクロカプセル水分散液中の(A)成分の含有量又は配合量が、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは25質量%以下であり、そして、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは18質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上である、前記<1>~<13>のいずれかに記載のマイクロカプセル水分散液。
<15> マイクロカプセル水分散液中の(B)成分の含有量又は配合量が、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上、より更に好ましくは0.03質量%以上、より更に好ましくは0.05質量%以上であり、そして、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.7質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以下、より更に好ましくは0.3質量%以下、より更に好ましくは0.2質量%以下、より更に好ましくは0.15質量%以下、より更に好ましくは0.13質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以下である、前記<1>~<14>のいずれかに記載のマイクロカプセル水分散液。
<16> マイクロカプセル水分散液中の(A)成分100質量部に対する(B)成分の含有量又は配合量が、好ましくは0.03質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、更に好ましくは0.1質量部以上、より更に好ましくは0.15質量部以上、より更に好ましくは0.2質量部以上であり、そして、好ましくは3質量部以下、より好ましくは2質量部以下、更に好ましくは1質量部以下、より更に好ましくは0.8質量部以下、より更に好ましくは0.6質量部以下である、前記<1>~<15>のいずれかに記載のマイクロカプセル水分散液。
<17> (A)成分を含む水分散体と、(B)成分と、を混合する工程を含む、前記<1>~<16>のいずれかに記載のマイクロカプセル水分散液の製造方法。
実施例及び比較例における各種測定は、以下の方法により行った。
〔メジアン径D50
乳化滴のメジアン径D50及びマイクロカプセルのメジアン径D50は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA-960」(商品名、株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。測定はフローセルを使用し、媒体は水、分散質の屈折率は1.45-0iに設定した。乳化液又はマイクロカプセルを含む水分散体をフローセルに添加し、透過率が90%付近を示した濃度で測定を実施し、体積基準でメジアン径D50を求めた。
<モデル香料>
マイクロカプセルに内包する有機化合物として、表1に示す組成を有するモデル香料A(体積平均cLogP:3.8、比重:0.88)を用いた。なお、前記モデル香料の体積平均cLogP値は、モデル香料に含まれる香料成分全成分のcLogP値にそれぞれモデル香料中における体積比率を乗じ、それらの和として算出した。
Figure 2023008935000001
((A)成分の合成)
合成例1
(工程1)
3.00gのコータミン60W(商品名、花王株式会社製、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、有効分30質量%)を747.00gのイオン交換水で希釈して水相成分を得た。この水相成分に、200.70gのモデル香料Aと50.08gのテトラエトキシシラン(以下、「TEOS」ともいう)を混合して調製した油相成分を加え、室温(約25℃)にて、で回転数8,500rpmで15分に設定したホモミキサー(HsiangTai社製、モデル:HM-310)を用いて15分間混合液を乳化し、乳化液を得た。この時の乳化滴のメジアン径D50は1.1μmであった。
次いで、得られた乳化液のpHを、1質量%硫酸水溶液を用いて3.8に調整した後、撹拌翼と冷却器を備えたセパラブルフラスコに移し、液温を30℃に保ちつつ、200rpmで24時間撹拌し、モデル香料Aからなるコアと第一シェルとを有するシリカカプセルを含む水分散体を得た。
(工程2)
次いで、工程1で得られた水分散体973.24gに対し、32.8gのTEOSを420分かけて滴下した。滴下後、更に17時間撹拌させて第一シェルを包接する第二シェルを形成し、アルコキシシランの加水分解重縮合物であるシリカを構成成分として含む内殻と、該内殻の外側に更にアルコキシシランの加水分解重縮合物であるシリカを構成成分として含む外殻とを有する多層シェルでモデル香料Aが内包されたシリカカプセル(A-1)を21.7質量%で含む水分散体を得た。シリカカプセル(A-1)のメジアン径D50は、2.2μmであった。なお、前記水分散体中のシリカカプセル(A-1)の含有量は、該シリカカプセル合成時の配合組成からの計算値である。
(マイクロカプセル水分散液の製造)
実施例1~2及び比較例1~3
水分散液中の(A)成分及び(B)成分がそれぞれ以下の表2に示す含有量となるように、合成例1で得られた(A)成分を含む水分散体と(B)成分の水溶液とを室温(約25℃)にて混合し、マイクロカプセル水分散液を調製した。
なお、(B)成分の水溶液は、必要に応じて(B)成分の粉体をイオン交換水を用いて所定の濃度となるように溶解したものを用いた。なお、実施例1~2においては、(B)成分の水溶液は、1質量%硫酸水溶液を用いてpH4~5に調整したものを用いた。
比較例1は、(B)成分を添加しないで、合成例1で得られたシリカカプセル(A-1)を含む水分散体をそのまま分散安定性の評価に用いた。
表2の実施例及び比較例で用いたカチオン化分岐多糖類及びポリマー分散剤を以下に示す。
ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド:Jaguar C-162(カチオン化グァーガム(塩化O-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グァーガムのヒドロキシプロピル誘導体)、カチオン電荷密度0.93meq/g、Solvay社製、外観:粉体)
グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド: Jaguar C-17K(カチオン化グァーガム(塩化O-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グァーガム)、カチオン電荷密度1.07~1.50meq/g、Solvay社製、外観:粉体)
ヒドロキシエチルセルロース:Natrosol 250HHR PC(Ashland社製、外観:粉体)
塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体:マーコート550(有効分9%)(日本ルーブリゾール株式会社製)
また、表2中の(A)成分の含有量は、合成例1で得られた(A)成分を含む水分散体の配合量及び該水分散体中の(A)成分の含有量、並びに(B)成分の水溶液の配合量及び該水溶液中の(B)成分の含有量からの算出値である。
〔マイクロカプセルの分散安定性の評価〕
実施例1~2及び比較例1~3で得られたマイクロカプセル水分散液を室温(約25℃)で静置保管し、該水分散液の流動性低下(ケーキング)及び凝集の有無を目視で観察することにより水分散液中のマイクロカプセルの分散安定性を評価した。表2中、「>X日」と記載した場合には、少なくともX日間は、マイクロカプセルの流動性低下及び凝集のいずれもが確認されなかったことを示し、「<X日」と記載した場合には、X日目でマイクロカプセルの流動性低下又は凝集が確認されたことを示す。
マイクロカプセルの流動性低下及び凝集のいずれもが確認されなかった日数が長いほど、水分散液中のマイクロカプセルの分散安定性に優れる。
また、実施例1~2については、白濁相が確認され、徐々に白濁相と透明相に分離したが、固化相は確認されず、保管後においても流動性が維持できていることを確認した。
実施例1~2の静置保管後のマイクロカプセル水分散液30mLをガラスバイアル(容量50mL)に封入し、マグネティックスターラーを用いて室温(25℃)にて約5分撹拌したところ、この白濁相は、該撹拌により元の分散状態に戻すことができ、該撹拌後の目視での観察により流動性の低下及び凝集も確認されなかった。また、実施例1~2の静置保管後のマイクロカプセル水分散液30mLをガラスバイアル(容量50mL)に封入し、手でおおよそ20回前後強く振とうすることで、この白濁相は元の分散状態に戻すことができ、該振とう後の目視での観察により流動性の低下及び凝集も確認されなかった。このことから、実施例1~2で得られたマイクロカプセル水分散液は、保管後においても撹拌又は振とうにより元の分散状態に戻すことができ、該撹拌又は該振とう後の目視での観察により流動性の低下及び凝集も確認されなかったことから、マイクロカプセルのフロックであると推察される。
Figure 2023008935000002
表2から、実施例のマイクロカプセル水分散液は、比較例のものと比べて、分散安定性に優れることが分かる。なお、比較例3は、カチオン性基を有する合成ポリマーを含有するが、良好な分散安定性が得られなかった。
したがって、本発明によれば、水分散液中のマイクロカプセルの分散安定性を向上させることができる。
(マイクロカプセル水分散液の製造)
実施例3~5及び比較例4
水分散液中の(A)成分及び(B)成分がそれぞれ以下の表3に示す含有量となるように、合成例1で得られた(A)成分を含む水分散体と(B)成分の水溶液とを室温(約25℃)にて混合し、マイクロカプセル水分散液を調製した。
なお、(B)成分の水溶液は、必要に応じて(B)成分の粉体をイオン交換水を用いて所定の濃度となるように溶解したものを用いた。なお、実施例3においては、(B)成分の水溶液は、1質量%硫酸水溶液を用いてpH4~5に調整したものを用いた。
表3の実施例3~5及び比較例4で用いたカチオン変性された多糖類を以下に示す。
ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド:Jaguar C-162(カチオン化グァーガム(塩化O-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グァーガムのヒドロキシプロピル誘導体)、カチオン電荷密度0.93meq/g、Solvay社製、外観:粉体)
カチオン化タラガム:カチナールCTR-100(東邦化学工業株式会社製、外観:粉体)
カチオン化澱粉:EXCELL DH(日澱化学株式会社製、外観:粉体)
カチオン化HEC:ポイズC-60H(ポリクオタニウム-10、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、カチオン電荷密度1.1~1.8meq/g、花王株式会社製、外観:粉体(有効分90%))
また、表3中の(A)成分の含有量は、合成例1で得られた(A)成分を含む水分散体の配合量及び該水分散体中の(A)成分の含有量、並びに(B)成分の水溶液の配合量及び該水溶液中の(B)成分の含有量からの算出値である。
〔マイクロカプセルの分散安定性の評価〕
実施例3~5及び比較例4で得られたマイクロカプセル水分散液を室温(約25℃)で静置保管し、該水分散液の流動性低下(ケーキング)及び凝集の有無を目視で観察することにより水分散液中のマイクロカプセルの分散安定性を評価した。表3中、「>X日」と記載した場合には、少なくともX日間は、マイクロカプセルの流動性低下及び凝集のいずれもが確認されなかったことを示し、「<X日」と記載した場合には、X日目でマイクロカプセルの流動性低下又は凝集が確認されたことを示す。
マイクロカプセルの流動性低下及び凝集のいずれもが確認されなかった日数が長いほど、水分散液中のマイクロカプセルの分散安定性に優れる。
〔マイクロカプセルの粒径均一性の評価〕
実施例2~5及び比較例4で得られたマイクロカプセル水分散液を室温(約25℃)で14日間静置保管した後、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA-960」(商品名、株式会社堀場製作所製)を用いて、前述のマイクロカプセルのメジアン径D50の測定と同様の方法にて、保管後の水分散液中に含まれるマイクロカプセルについて体積基準でメジアン径D50を求めた。結果を表3に示す。
また、変動係数CVは、保管後の水分散液中に含まれるマイクロカプセルについて前記レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて得られた体積基準の粒径分布における標準偏差及び平均値から、下記の式に従って算出した。結果を表3に示す。変動係数CVの値が小さいほど、粒径均一性に優れる。
変動係数CV(%)=(標準偏差/平均値)×100
〔保管後のマイクロカプセル水分散液の粘度〕
実施例2~5及び比較例4で得られたマイクロカプセル水分散液を室温(約25℃)で14日間静置保管した後、保管後のマイクロカプセル水分散液の25℃における粘度を、B型粘度計(モデル:TVB-10、東機産業株式会社製)を用いて、スピンドルはM3又はM4を使用し、回転速度は、60rpm又は6rpm、測定温度は25℃にて測定した。結果を表3に示す。
Figure 2023008935000003
表3から、実施例のマイクロカプセル水分散液は、分散安定性に優れ、保管後においてもマイクロカプセルの粒径及びマイクロカプセル水分散液の粘度は良好であることがわかる。また、実施例のマイクロカプセル水分散液は、比較例のものと比べて、変動係数CVの値が小さいことから、粒径のばらつきが少なく、粒径均一性に優れることが分かる。このことから、実施例のマイクロカプセル水分散液は、(B)成分として分岐鎖構造を含むカチオン化分岐多糖類を含有するため、架橋凝集が生じ難く、マイクロカプセルの凝集体の形成を抑制することができ、その結果、保管後においても、粒径均一性に優れると推察される。一方、比較例のマイクロカプセル水分散液に含まれるカチオン化多糖類の構造は直鎖構造であるため、架橋凝集が生じ易く、マイクロカプセルの凝集体の形成が抑制できず、粒径均一性に劣ると推察される。
したがって、本発明によれば、水分散液中のマイクロカプセルの分散安定性を向上させ、マイクロカプセルの粒径を良好なものとし、及び粒径均一性を向上させることができる。
本発明のマイクロカプセル水分散液は、マイクロカプセルの分散安定性が良好に維持された状態で保管することができ、さらに、長期保管後においても、マイクロカプセルが良好な粒径を有し、かつ、マイクロカプセルの粒径均一性に優れる。そのため、本発明のマイクロカプセル水分散液は、ランドリー製品、パーソナルケア製品、化粧品、家庭用液体製品等の各種製品への賦香をはじめとする各種機能性付与において、ゲル化や凝集体の形成による増粘等もなく取り扱いが容易であり、幅広く利用することができる。

Claims (10)

  1. 下記の(A)成分及び(B)成分を含有する、マイクロカプセル水分散液。
    (A)成分:無機物を構成成分として含むシェルと、該シェルの内部に1種以上の有機化合物を含むコアとを有するマイクロカプセル
    (B)成分:カチオン変性された分岐鎖構造を含む多糖類
  2. 前記(B)成分のカチオン電荷密度が、0.3meq/g以上3.0meq/g以下である、請求項1に記載のマイクロカプセル水分散液。
  3. 前記(B)成分が、カチオン化ガラクトマンナンである、請求項1又は2に記載のマイクロカプセル水分散液。
  4. 前記(B)成分が、カチオン化グァーガムである、請求項1~3のいずれかに記載のマイクロカプセル水分散液。
  5. マイクロカプセル水分散液中の前記(A)成分100質量部に対する前記(B)成分の含有量が、0.03質量部以上3質量部以下である、請求項1~4のいずれかに記載のマイクロカプセル水分散液。
  6. マイクロカプセル水分散液中の前記(A)成分の含有量が、5質量%以上50質量%以下である、請求項1~5のいずれかに記載のマイクロカプセル水分散液。
  7. 前記(A)成分が、シリカを構成成分として含むシェルと、該シェルの内部に1種以上の有機化合物を含むコアとを有するマイクロカプセルである、請求項1~6のいずれかに記載のマイクロカプセル水分散液。
  8. 前記(A)成分のマイクロカプセルのメジアン径D50が、0.1μm以上50μm以下である、請求項1~7のいずれかに記載のマイクロカプセル水分散液。
  9. 前記有機化合物が、香料、香料前駆体、油剤、酸化防止剤、及び溶媒から選ばれる1種以上である、請求項1~8のいずれかに記載のマイクロカプセル水分散液。
  10. (A)成分を含む水分散体と、(B)成分と、を混合する工程を含む、請求項1~9のいずれかに記載のマイクロカプセル水分散液の製造方法。
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