JP2023008165A - 意匠パネル、及びエレベータ装置 - Google Patents

意匠パネル、及びエレベータ装置 Download PDF

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Hiroyuki Kobayashi
哲也 谷上
Tetsuya Tanigami
雅徳 宮城
Masanori Miyagi
真剣 山本
Shinken Yamamoto
真琴 五味渕
Makoto Gomibuchi
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Abstract

【課題】部品が溶接で接合されていても意匠性を保つことができる意匠パネルと、この意匠パネルを備えるエレベータ装置を提供する。【解決手段】本発明による意匠パネル100は、ユーザに視認される第1面1aと第1面1aの裏面である第2面1bとを備えるパネル部材1と、パネル部材1の第2面1bに固定された補強部材2とを備える。補強部材2は、パネル部材1の第2面1bに溶接で接合されており、パネル部材1と接する面2aに凹部20を備える。凹部20は、補強部材2とパネル部材1とを接合して凹部20の一部を埋めている溶接部20aと、溶接部20aが存在しない空洞部20bとを備える。【選択図】図5A

Description

本発明は、エレベータ装置に用いられる意匠パネルと、エレベータ装置に関する。
従来、エレベータ装置に用いられる意匠パネル(例えば、乗り場の出入口ドア、かごドア、及びかご側板など)には、製造設備の自動化が容易であるため、補強部材等の固定部材と意匠パネルを接合するのに、両面テープまたは接着剤が用いられている。両面テープまたは接着剤を用いた接合には、意匠パネルと補強部材を低歪で接合でき、意匠パネルの意匠性を損なわないという利点がある。
また、近年では、かごの中から外が見えるために開放感がある点と、外部からかご内の様子が分かるので防犯上の効果が得られる点から、窓ガラス付きのドアパネルが普及している。窓ガラス付きのドアパネルは、窓ガラスを固定する部材が必要であるので、部品点数が増えて重量が増加する。
従来のエレベータ装置のドアパネルの例は、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されたドアパネルは、窓穴を有する本体パネルに接着剤を介して接着された窓ガラスと、本体パネルに窓穴を挟んで設けられた補強部材と、補強部材に設けられ、接着剤の剥離により窓ガラスがドアパネルから落下するのを防止するガラス押さえ部材を備える。
特開2020-193063号公報
従来のエレベータ装置のように、意匠パネルと補強部材の接合に両面テープまたは接着剤を用いると、意匠パネルは、意匠面に歪が発生せず、美観を容易に維持できて意匠性を保つことができる。しかし、両面テープまたは接着剤を用いた接合では、経年劣化により補強部材が剥離するという課題がある。従来の意匠パネルでは、補強部材が剥離して落下するのを防止する構造を備えるが、意匠パネルの部品点数が増えて重量が増加するという課題がある。窓ガラス付きのドアパネルでは部品点数がさらに増えるので、補強部材が強固に固定された意匠パネルが望まれている。
意匠パネルと補強部材などの部品を強固に接合するには、これらを溶接で接合するのが好ましい。しかし、意匠パネルと部品を溶接で接合すると、溶接により面歪が発生することがあるため、溶接強度と美観維持の両立が困難であり、意匠パネルの意匠性を保つことが難しい。
本発明は、部品が溶接で接合されていても意匠性を保つことができる意匠パネルと、この意匠パネルを備えるエレベータ装置を提供することを目的とする。
本発明による意匠パネルは、ユーザに視認される第1面と前記第1面の裏面である第2面とを備えるパネル部材と、前記パネル部材の前記第2面に固定された補強部材とを備える。前記補強部材は、前記パネル部材の前記第2面に溶接で接合されており、前記パネル部材と接する面に凹部を備える。前記凹部は、前記補強部材と前記パネル部材とを接合して前記凹部の一部を埋めている溶接部と、前記溶接部が存在しない空洞部とを備える。
本発明によるエレベータ装置は、昇降路と、前記昇降路を移動するかごと、前記かごの乗り場とを備え、前記乗り場のドアと前記かごとの少なくとも一方は、本発明による意匠パネルを備える。
本発明によると、部品が溶接で接合されていても意匠性を保つことができる意匠パネルと、この意匠パネルを備えるエレベータ装置を提供することができる。
本発明の実施例1による意匠パネル(出入口ドア)の外観図である。 エレベータ装置における、従来の出入口ドアの断面図である。 エレベータ装置における、実施例1による出入口ドアの断面図である。 実施例1による出入口ドアの上部の拡大図である。 実施例1による出入口ドアにおける窓用補強材の横断面を示す拡大図である。 窓用補強材の溶接部を示す図であり、窓用補強材の横断面を示す拡大図である。 本発明の実施例2による意匠パネル(かごの側板)の外観図である。 実施例2による側板の上部の拡大図である。 実施例2による側板における側板用補強材の横断面を示す拡大図である。 側板用補強材の溶接部を示す図であり、側板用補強材の横断面を示す拡大図である。 本発明の実施例によるエレベータ装置の構成を示す模式図であり、エレベータ装置の乗り場を示す図である。 本発明の実施例によるエレベータ装置の構成を示す模式図であり、エレベータ装置のかごを示す図である。
本発明による意匠パネルは、エレベータ装置に用いられ、例えば、乗り場または建物の出入口ドアや、かごのドア、側板、天井、及び床に用いることができる。意匠パネルにおいて、パネル部材は、例えば、めっき鋼板、塗装鋼板、またはステンレス鋼板で形成されており、補強部材は、例えば、めっき鋼板または塗装鋼板で形成されている。このため、従来の意匠パネルでは、補強部材を溶接でパネル部材に接合すると溶接により面歪が発生し、溶接強度と美観維持の両立が困難で意匠パネルの意匠性を保つことが難しい。本発明による意匠パネルは、補強部材などの部品が溶接で接合されており、部品が溶接で接合されていても意匠性を保つことができる。
本発明による意匠パネルは、主に以下の効果を有する。
(1)補強部材がパネル部材に溶接で接合されているので、補強部材を強固に固定でき、固定力の経年劣化がない。このため、補強部材の落下防止機構が不要であり、意匠パネルの部品数の削減と軽量化が可能である。
(2)補強部材がパネル部材に溶接で接合されているので、補強部材を意匠パネルにねじまたはリベットで締結する必要が無い。このため、意匠パネルの構造を単純化でき、意匠パネルを軽量化できる。
(3)補強部材がパネル部材に溶接で接合されているので、補強部材が意匠パネルの力の加わりやすい部分に接続されていない構成を備えることができる。このため、意匠パネルに力が加わっても補強部材の固定面にせん断応力が発生せず、補強部材の固定力を維持できる。
(4)補強部材がパネル部材と接する面に凹形状部を備えるので、溶接時に発生するガスを凹形状部で逃がして爆飛の発生を抑止し、溶接強度の低下を防止するとともに意匠パネルの意匠性を保つことができる。
(5)パネル部材がヘアライン仕上げで加工された意匠面を備える場合には、溶接方向がヘアライン方向に平行であると、溶接に伴う面歪の影響を抑制することができ、意匠パネルの意匠性の低下を防止できる。
以下、図面を参照して、本発明の実施例による意匠パネルとエレベータ装置を説明する。
初めに、本発明の実施例によるエレベータ装置を説明する。
図9Aと図9Bは、本発明の実施例によるエレベータ装置500の構成を示す模式図である。図9Aは、エレベータ装置500の乗り場530を示す図である。図9Bは、エレベータ装置500のかご520を示す図である。本発明の実施例によるエレベータ装置500は、建物540に設けられた昇降路510と、昇降路510を移動するかご520と、かご520に乗降する乗り場530を備える。
かご520は、ドア521と側板200と天井522と床523を備える。かご520の内部には、操作盤524が設けられる。かご520の内部にハンドレール525が設置されてもよい。かご520のドア521、側板200、天井522、及び床523の少なくとも1つは、本発明の実施例による意匠パネルで構成することができる。
エレベータ装置500の乗り場530は、建物540に設けられ、出入口ドア100と操作盤531を備える。出入口ドア100は、窓ガラス5を備えることができる。出入口ドア100は、本発明の実施例による意匠パネルで構成することができる。
すなわち、本発明の実施例によるエレベータ装置500では、乗り場530の出入口ドア100とかご520との少なくとも一方は、本発明の実施例による意匠パネルを備える。
以下に説明する本発明の実施例1では、エレベータ装置500の意匠パネルの一例として、エレベータ装置500の乗り場530の出入口ドア100について説明する。
図1は、本発明の実施例1による意匠パネルの外観図である。図1に示す意匠パネルは、エレベータ装置500の出入口ドア100であり、窓ガラス付きの出入口ドア100である。出入口ドア100は、エレベータ装置500の乗り場530に取りつけられたドアであり、ドアパネル1と、窓用補強材2と、窓枠3と、ガラス押え4と、窓ガラス5と、ドアシューブラケット6を備える。窓用補強材2と窓枠3とガラス押え4は、窓ガラス5をドアパネル1に固定する補強部材である。
ドアパネル1は、例えば長方形形状の板材を用いて構成されたパネル部材である。図1において、ドアパネル1の幅方向をx方向とし、ドアパネル1の長手方向をy方向とし、ドアパネル1に垂直な方向をz方向とする。エレベータ装置500に設置されているドアパネル1では、x方向が左右方向(出入口ドア100の開閉方向)であり、y方向が上下方向である。
ドアパネル1において、一方の面である第1面は、意匠を施した意匠面であり、他方の面である第2面には、補強部材である窓用補強材2と窓枠3とガラス押え4が設置されている。補強部材は、ドアパネル1の第2面に接して固定されている。図1において、意匠面(第1面)は、ドアパネル1のマイナスz方向の面であり、第2面は、意匠面の裏面であり、ドアパネル1のプラスz方向の面である。
ドアパネル1の意匠面は、ユーザに視認される面であり、建物540の内部との調和が重視される。このため、意匠面には、設置場所に合わせた様々な意匠を備えることが要求される。例えば、ドアパネル1は、めっき鋼板、塗装鋼板、またはステンレス鋼板で形成されており、ヘアライン仕上げ、エッチング仕上げ、または鏡面仕上げで加工された意匠面を備えるように構成することができる。
ドアパネル1は、長手方向(y方向)の端部と幅方向(x方向)の端部が、意匠面から意匠面の裏面の方向に向かってコの字状に折り曲げられている。
窓用補強材2は、ドアパネル1の長手方向(y方向)に延伸する。窓用補強材2は、必要な強度を維持できるように防腐機能を備える。窓用補強材2には、例えば、めっき鋼板や塗装鋼板を用いるのが好ましい。
窓ガラス5は、ドアパネル1の窓穴に設置される。ドアシューブラケット6は、ドアパネル1の下部に設けられ、出入口ドア100を移動させるドアシューを支持する。
図2は、エレベータ装置における、従来の出入口ドア101の断面図であり、ドアパネル1のzx面での断面(横断面)を示す図である。ドアパネル1の意匠面1aの裏面1bに、窓用補強材2と窓枠3とガラス押え4が設置されている。
窓用補強材2は、窓ガラス5のx方向(幅方向)を固定している。ガラス押え4は、窓ガラス5のz方向(意匠面1aに垂直な方向)を固定している。窓枠3は、窓ガラス5のy方向(紙面に垂直な方向)を固定している。
窓用補強材2は、ドアパネル1に両面テープまたは接着剤により固定されている。
窓枠3は、窓用補強材2にねじやリベットで締結されている。窓枠3は、さらに、ドアパネル1の意匠面1aから意匠面1aの裏面1bの方向に向かって折り曲げられている部分(折返し部)に、ねじやリベットで締結されている。窓枠3がドアパネル1にねじやリベットで固定されているのは、窓用補強材2が、両面テープまたは接着剤の経年劣化により、ドアパネル1から剥離するのを防止するためである。
ガラス押え4は、窓用補強材2にねじまたはリベットにより固定されている。
図3は、エレベータ装置500における、本実施例による出入口ドア100の断面図であり、ドアパネル1のzx面での断面(横断面)を示す図である。ドアパネル1の意匠面1aの裏面1bに、窓用補強材2と窓枠3とガラス押え4が設置されている。
窓用補強材2は、ドアパネル1にレーザ溶接により固定されている。窓用補強材2は、ドアパネル1の意匠面1aの裏面1bに溶接のみで固定されているのが好ましい。窓用補強材2がドアパネル1に溶接のみで固定されていると、窓用補強材2をドアパネル1にねじまたはリベットで締結する必要が無いので、ドアパネル1の構造を単純化でき、ドアパネル1を軽量化できる。
窓枠3は、窓用補強材2にレーザ溶接により固定されている。窓枠3は、窓用補強材2に溶接のみで固定されているのが好ましい。本実施例による出入口ドア100では、従来の出入口ドア101と異なり、窓枠3がドアパネル1に固定されていない。
ガラス押え4は、窓用補強材2にねじまたはリベットで締結されている。
本実施例による出入口ドア100では、窓用補強材2がドアパネル1に溶接により固定されているので、従来の出入口ドア101と比較して窓用補強材2がドアパネル1に強固に接合されており、経年劣化により窓用補強材2がドアパネル1から剥離することがない。このため、本実施例による出入口ドア100では、従来の出入口ドア101のように、窓用補強材2がドアパネル1から剥離するのを防止するために窓枠3がドアパネル1に締結されている必要がない。さらに、本実施例による出入口ドア100では、ガラス押え4と窓用補強材2との締結以外に、ねじやリベットが必要でない。このため、本実施例による出入口ドア100では、従来の出入口ドア101と比較して、材料の使用量や部品数を削減でき、軽量化が可能である。
また、本実施例による出入口ドア100では、窓枠3がドアパネル1に締結されていないので、窓枠3は、ドアパネル1の意匠面1aから意匠面1aの裏面1bの方向に向かって折り曲げられている部分(折返し部)に締結されていない。窓用補強材2も、窓枠3と同様に、ドアパネル1の折返し部に締結されていない。このため、例えば人や物がドアパネル1にぶつかって、ドアパネル1の折返し部に力が加わっても、窓用補強材2のドアパネル1に対する固定面にせん断応力が発生しないため、窓用補強材2のドアパネル1に対する固定力を維持できる。
図4は、本実施例による出入口ドア100の上部の拡大図である。出入口ドア100の溶接箇所には、溶接ビード10が形成されている。すなわち、窓用補強材2とドアパネル1との接合箇所と、窓枠3と窓用補強材2との接合箇所には、溶接ビード10が形成されている。溶接ビード10は、一方向に延伸する線状溶接部であり、図4ではドアパネル1の長手方向(y方向)に延伸している。
窓用補強材2とドアパネル1は、重ね溶接で互いに接合されている。窓枠3と窓用補強材2は、重ね溶接で互いに接合されている。さらに、ドアパネル1では、幅方向(x方向)の端部の折返し部と長手方向(y方向)の端部の折返し部が、それぞれ重ね溶接で接合されている。従来の出入口ドア101のドアパネル1では、幅方向の端部の折返し部と長手方向の端部の折返し部が、それぞれねじまたはリベットで締結されている。本実施例による出入口ドア100では、ドアパネル1のこれらの折返し部が溶接で固定されているので、部品数を削減でき、軽量化が可能である。
本実施例による出入口ドア100において、ドアパネル1がステンレス鋼板で構成されており、ヘアライン仕上げで加工された意匠面を備える場合には、窓用補強材2とドアパネル1との溶接箇所に形成された溶接ビード10は、延伸方向がヘアライン方向に平行な方向であるのが好ましい。図4に示す例では、ヘアライン方向がドアパネル1の長手方向(y方向)であり、溶接ビード10は、ドアパネル1のヘアライン方向だけに延伸している。溶接ビード10の延伸方向がヘアライン方向に平行であると、溶接により発生した面歪が目立たなくなるとともに、この面歪の影響を抑制することができて溶接痕や光沢むらの発生を抑制できるので、ドアパネル1の意匠性の低下を防止できる。
図5Aは、本実施例による出入口ドア100における窓用補強材2のzx面での断面(横断面)を示す拡大図である。窓用補強材2は、ドアパネル1の長手方向(y方向)に延伸し、z方向の一方の面でドアパネル1に接して固定されている。
窓用補強材2は、ドアパネル1と接する第1面2aと、第1面2aの裏面である第2面2bを備える。窓用補強材2は、第1面2aに凹形状部20を備え、第2面2bに凸形状部21を備える。凹形状部20は、第2面2bに向かって凹んでいる凹部である。凸形状部21は、第2面2bから突出する凸部である。凹形状部20は、窓用補強材2のドアパネル1との溶接箇所を含む位置に設けられる。凸形状部21は、窓用補強材2についての凹形状部20の反対側の位置に設けられる。
凹形状部20と凸形状部21は、溶接ビード10の延伸方向(y方向、すなわち窓用補強材2の長手方向)に連続して存在するのが好ましい。凹形状部20が溶接ビード10の延伸方向に連続して存在していると、求められている意匠性や必要な溶接強度に応じて、ドアパネル1と窓用補強材2とを連続的に溶接することも断続的に溶接することもでき、ドアパネル1の意匠性を保つことができる。
窓用補強材2は、ドアパネル1との接合面に凹形状部20を備え、凹形状部20でドアパネル1に溶接されている。すなわち、窓用補強材2のドアパネル1に溶接されている溶接部は、凹形状部20に含まれる。
ドアパネル1の窓用補強材2との接合面は、平面であるのが好ましいが、平面でなくてもよい。また、窓用補強材2のドアパネル1との接合面は、平面であるのが好ましいが、平面でなくてもよい。
図5Bは、窓用補強材2の溶接部を示す図であり、窓用補強材2のzx面での断面(横断面)を示す拡大図である。凹形状部20は、窓用補強材2が溶けて形成された溶接部20aと、溶接部20aが存在しない空洞部20bとを備える。溶接部20aは、窓用補強材2とドアパネル1とを溶接で接合し、凹形状部20の凹んでいる部分の一部を埋めている部分である。溶接部20aは、溶接ビード10(線状溶接部)である。凹形状部20の空洞部20bは、窓用補強材2とドアパネル1との間の隙間であり、以下に説明するように、溶接時に発生するガスを逃がして爆飛の発生を抑止し、溶接強度の低下を防止するとともにドアパネル1の意匠性を保つ。空洞部20bは、溶接時に発生するガスを効果的に逃がすことができるように、溶接部20aの延伸方向に直交する方向(すなわち、溶接ビード10の延伸方向に直交するx方向)において、溶接部20aの両側に存在するのが好ましい。
図5Aと図5Bに示すように、窓用補強材2は、第1面2aの凹形状部20以外の部分と、凹形状部20の溶接部20aとでドアパネル1に接するのが好ましい。すなわち、窓用補強材2は、ドアパネル1に向く第1面2aのうち空洞部20b以外の部分でドアパネル1に接し、空洞部20bではドアパネル1に接触せず、ドアパネル1との間に空洞部20bという隙間が存在するのが好ましい。
図5Bには、凹形状部20の凹み深さgと、凹形状部20と凸形状部21の幅wを示している。凹形状部20の凹み深さgは、凹形状部20のz方向の長さである。凹形状部20の幅wは、凹形状部20の幅方向(x方向)の長さである。凸形状部21の幅wは、凸形状部21の幅方向の長さである。凹形状部20の幅wと凸形状部21の幅wは、互いに等しい。
従来の出入口ドア101のドアパネル1では、窓用補強材2をドアパネル1に溶接すると、ドアパネル1の意匠性が低下する。これは、めっき鋼板や塗装鋼板が用いられた窓用補強材2を溶接すると、鋼板の表面のめっきが溶接時の入熱により蒸発してガス化し、めっきのガス化による急峻な体積膨張により、鋼板に欠損が生じて爆飛が発生することがあるからである。溶接時の欠損を補うためには入熱量を増加させる必要があるが、入熱量を増加させると意匠面に溶接による歪が生じ、意匠性が低下する。
本実施例による出入口ドア100では、窓用補強材2は、凹形状部20を備え、凹形状部20でドアパネル1に溶接されているので、ドアパネル1への溶接時に、めっきのガスを空洞部20bを通して溶接界面から逃がすことができ、入熱量を増加させずに爆飛の発生を抑止することができる。このため、本実施例による出入口ドア100では、ドアパネル1は、溶接で部品を接合しても意匠性を保つことができる。
凹形状部20の凹み深さgと凸形状部21の突出高さは、溶接ビード10の延伸方向(y方向)に沿って一定であるのが好ましい。凹形状部20は、例えば、窓用補強材2の一部を押し込むことで作成され、凸形状部21は、凹形状部20の作成時に、窓用補強材2について凹形状部20の反対側の位置に形成される。ドアパネル1の意匠性を保つためには、窓用補強材2のドアパネル1への溶接がきれいにできるように、凹形状部20の凹み深さgがy方向に沿って一定であるなど、きれいな形状の凹形状部20を作る必要がある。凹形状部20の凹み深さgがy方向に沿って一定であれば、凸形状部21の突出高さもy方向に沿って一定になる。
すなわち、凸形状部21の突出高さがy方向に沿って一定であれば、凹形状部20の凹み深さgもy方向に沿って一定であり、凹形状部20にy方向のうねりが発生することを抑制できる。凸形状部21の突出高さと凹形状部20の凹み深さgがy方向に沿って一定であると、窓用補強材2のドアパネル1への溶接時に、溶接を安定させて爆飛を防止できるとともに、溶接高さ(溶接部20aのドアパネル1に向かう高さ)を一定にでき、溶接品質のばらつきを低減することができてドアパネル1の意匠性を保つことができる。
凹形状部20は、窓用補強材2のドアパネル1との接合面に設けられているので、微細な溝であるのが好ましい。例えば、凹形状部20の凹み深さgは、窓用補強材2の厚さ(z方向の長さ)の3~7%であるのが好ましい。例えば、ドアパネル1が、厚さが1.5mmのステンレス鋼板で形成され、窓用補強材2が、厚さが1.6mmの亜鉛めっき鋼板で形成されているとすると、凹形状部20の深さgは、0.05~0.1mmとすることができる。また、凸形状部21の突出高さは、凹形状部20の深さgと同程度であり、凹形状部20と凸形状部21の幅wは、5~10mmとすることができる。
本発明の実施例2では、エレベータ装置500の意匠パネルの一例として、かご520の側板200について説明する。
図6は、本発明の実施例2による意匠パネルの外観図である。図6に示す意匠パネルは、エレベータ装置500のかご520の側板200であり、かご520の内部に取り付けられる意匠パネルである。側板200は、側板パネル7と、側板用補強材8とを備える。側板用補強材8は、側板パネル7を補強する補強部材である。
側板パネル7は、例えば長方形形状の板材を用いて構成されたパネル部材である。図6において、側板パネル7の幅方向をx方向とし、側板パネル7の長手方向をy方向とし、側板パネル7に垂直な方向をz方向とする。エレベータ装置500に設置されている側板パネル7では、x方向が左右方向であり、y方向が上下方向である。
側板パネル7において、一方の面である第1面は、意匠を施した意匠面であり、他方の面である第2面には、補強部材である側板用補強材8が設置されている。側板用補強材8は、側板パネル7の第2面に接して固定されている。図6において、意匠面(第1面)は、側板パネル7のマイナスz方向の面であり、第2面は、意匠面の裏面であり、側板パネル7のプラスz方向の面である。側板パネル7は、長手方向(y方向)の端部と幅方向(x方向)の端部が、意匠面から意匠面の裏面の方向に向かってコの字状に折り曲げられている。
側板用補強材8は、側板パネル7の長手方向(y方向)に延伸する。側板用補強材8は、幅方向(x方向)の中央部が側板パネル7から突出している形状を有する。
側板用補強材8は、側板パネル7に溶接のみで固定されている。このため、側板用補強材8を側板パネル7にねじまたはリベットで締結する必要が無いので、側板パネル7の構造を単純化でき、側板パネル7を軽量化できる。
図7は、本実施例による側板200の上部の拡大図である。側板200の溶接箇所には、溶接ビード10が形成されている。溶接ビード10は、線状溶接部であり、図7では側板パネル7の長手方向(y方向)に延伸している。
側板用補強材8と側板パネル7は、重ね溶接で互いに接合されている。側板パネル7がステンレス鋼板で構成されており、ヘアライン仕上げで加工された意匠面を備える場合には、側板用補強材8と側板パネル7との溶接箇所に形成された溶接ビード10は、延伸方向がヘアライン方向に平行な方向であるのが好ましい。図7に示す例では、ヘアライン方向が側板パネル7の長手方向(y方向)であり、溶接ビード10は、側板パネル7のヘアライン方向だけに延伸している。溶接ビード10の延伸方向がヘアライン方向に平行であると、溶接により発生した面歪が目立たなくなるとともに、この面歪の影響を抑制することができて溶接痕や光沢むらの発生を抑制できるので、側板パネル7の意匠性の低下を防止できる。
図8Aは、本実施例による側板200における側板用補強材8のzx面での断面(横断面)を示す拡大図である。側板用補強材8は、側板パネル7の長手方向(y方向)に延伸し、z方向の一方の面で側板パネル7に固定されている。側板用補強材8は、幅方向(x方向)の中央部が側板パネル7から突出している形状を有する。
側板用補強材8は、側板パネル7と接する第1面8aと、第1面8aの裏面である第2面8bを備える。側板用補強材8は、第1面8aに凹形状部20を備え、第2面8bに凸形状部21を備える。凹形状部20は、第2面8bに向かって凹んでいる凹部である。凸形状部21は、第2面8bから突出する凸部である。凹形状部20は、側板用補強材8の側板パネル7との溶接箇所を含む位置に設けられる。凸形状部21は、側板用補強材8についての凹形状部20の反対側の位置に設けられる。凹形状部20と凸形状部21は、溶接ビード10の延伸方向(y方向、すなわち側板用補強材8の長手方向)に連続して存在するのが好ましい。
側板用補強材8は、側板パネル7との接合面に凹形状部20を備え、凹形状部20で側板パネル7に溶接されている。すなわち、側板用補強材8の側板パネル7に溶接されている溶接部は、凹形状部20に含まれる。
図8Bは、側板用補強材8の溶接部を示す図であり、側板用補強材8のzx面での断面(横断面)を示す拡大図である。凹形状部20は、側板用補強材8が溶けて形成された溶接部20aと、溶接部20aが存在しない空洞部20bとを備える。溶接部20aは、側板用補強材8と側板パネル7とを溶接で接合し、凹形状部20の凹んでいる部分の一部を埋めている部分である。溶接部20aは、溶接ビード10(線状溶接部)である。凹形状部20の空洞部20bは、側板用補強材8と側板パネル7との間の隙間であり、実施例1で説明したように、溶接時に発生するガスを逃がして爆飛の発生を抑止し、溶接強度の低下を防止するとともに側板パネル7の意匠性を保つ。空洞部20bは、溶接時に発生するガスを効果的に逃がすことができるように、溶接部20aの延伸方向に直交する方向(すなわち、溶接ビード10の延伸方向に直交するx方向)において、溶接部20aの両側に存在するのが好ましい。
図8Aと図8Bに示すように、側板用補強材8は、第1面8aの凹形状部20以外の部分と、凹形状部20の溶接部20aとで側板パネル7に接するのが好ましい。すなわち、側板用補強材8は、側板パネル7に向く第1面8aのうち空洞部20b以外の部分で側板パネル7に接し、空洞部20bでは側板パネル7に接触せず、側板パネル7との間に空洞部20bという隙間が存在するのが好ましい。
図8Bには、実施例1で図5Bについて説明したように、凹形状部20の凹み深さgと、凹形状部20と凸形状部21の幅wを示している。
本実施例による側板200では、側板用補強材8は、凹形状部20を備え、凹形状部20で側板パネル7に溶接されているので、側板パネル7への溶接時に、めっきのガスを空洞部20bを通して溶接界面から逃がすことができ、入熱量を増加させずに爆飛の発生を抑止することができる。このため、本実施例による側板200では、側板パネル7は、溶接で部品を接合しても意匠性を保つことができる。
凹形状部20の凹み深さgと凸形状部21の突出高さは、溶接ビード10の延伸方向(y方向)に沿って一定であるのが好ましい。凹形状部20は、例えば、側板用補強材8の一部を押し込むことで作成され、凸形状部21は、凹形状部20の作成時に、側板用補強材8について凹形状部20の反対側の位置に形成される。
実施例1で説明したように、凸形状部21の突出高さがy方向に沿って一定であれば、凹形状部20の凹み深さgもy方向に沿って一定であり、側板用補強材8の側板パネル7への溶接時に、溶接を安定させて爆飛を防止できるとともに、溶接高さ(溶接部20aの側板パネル7に向かう高さ)を一定にでき、溶接品質のばらつきを低減することができて側板パネル7の意匠性を保つことができる。
凹形状部20は、側板用補強材8の側板パネル7との接合面に設けられているので、微細な溝であるのが好ましい。例えば、凹形状部20の凹み深さgは、側板用補強材8の厚さ(z方向の長さ)の3~7%であるのが好ましい。例えば、側板パネル7が、厚さが1.2mmのステンレス鋼板で形成され、側板用補強材8が、厚さが0.8mmの亜鉛めっき鋼板で形成されているとすると、凹形状部20の深さgは、0.03~0.05mmとすることができる。また、凸形状部21の突出高さは、凹形状部20の深さgと同程度であり、凹形状部20と凸形状部21の幅wは、5~10mmとすることができる。
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記の実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備える態様に限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、削除したり、他の構成を追加・置換したりすることが可能である。
1…ドアパネル、1a…意匠面、1b…意匠面の裏面、2…窓用補強材、2a…第1面、2b…第2面、3…窓枠、4…ガラス押え、5…窓ガラス、6…ドアシューブラケット、7…側板パネル、8…側板用補強材、8a…第1面、8b…第2面、10…溶接ビード、20…凹形状部、20a…溶接部、20b…空洞部、21…凸形状部、100…出入口ドア、101…従来の出入口ドア、200…側板、500…エレベータ装置、510…昇降路、520…かご、521…ドア、522…天井、523…床、524…操作盤、525…ハンドレール、530…乗り場、531…操作盤、540…建物。

Claims (7)

  1. ユーザに視認される第1面と前記第1面の裏面である第2面とを備えるパネル部材と、
    前記パネル部材の前記第2面に固定された補強部材と、
    を備え、
    前記補強部材は、前記パネル部材の前記第2面に溶接で接合されており、前記パネル部材と接する面に凹部を備え、
    前記凹部は、前記補強部材と前記パネル部材とを接合して前記凹部の一部を埋めている溶接部と、前記溶接部が存在しない空洞部とを備える、
    ことを特徴とする意匠パネル。
  2. 請求項1に記載の意匠パネルにおいて、
    前記溶接部は、一方向に延伸する線状溶接部であり、
    前記空洞部は、前記溶接部の延伸方向に直交する方向において、前記溶接部の両側に存在する意匠パネル。
  3. 請求項1に記載の意匠パネルにおいて、
    前記補強部材は、前記パネル部材の前記第2面に溶接のみで固定されている意匠パネル。
  4. 請求項1に記載の意匠パネルにおいて、
    前記溶接部は、一方向に延伸する線状溶接部であり、
    前記補強部材は、前記凹部が前記溶接部の延伸方向に連続して存在する意匠パネル。
  5. 請求項1に記載の意匠パネルにおいて、
    前記溶接部は、一方向に延伸する線状溶接部であり、
    前記補強部材は、前記パネル部材と接する面の裏面で前記凹部の反対側の位置に凸部を備え、
    前記凸部は、前記溶接部の延伸方向に連続して存在し、突出高さが一定である意匠パネル。
  6. 請求項1に記載の意匠パネルにおいて、
    前記パネル部材は、ヘアライン仕上げで加工された前記第1面を備え、
    前記溶接部は、前記パネル部材のヘアライン方向に延伸する線状溶接部である意匠パネル。
  7. 昇降路と、前記昇降路を移動するかごと、前記かごの乗り場とを備え、
    前記乗り場のドアと前記かごとの少なくとも一方は、請求項1から6のいずれか1項に記載の意匠パネルを備える、
    ことを特徴とするエレベータ装置。
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