JP2023007166A - 油脂含有物が外表面に固着している食品の製造方法 - Google Patents

油脂含有物が外表面に固着している食品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】油脂含有物が食品の外表面にしっかりと固着し、食品の搬送中に当該油脂含有物が移動したり、食品から剥落(分離)したりすることが抑えられた、高い搬送耐性を有する食品を製造し得る方法等の提供。【解決手段】特定の粘度とした油脂含有物を食品の外表面に付着させること、及び当該食品の外表面に付着させた油脂含有物を冷却して固化させることを含む、油脂含有物が外表面に固着している食品の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、油脂含有物が外表面に固着している食品の製造方法に関し、より詳細には、油脂含有物が外表面にしっかりと固着し、食品の搬送中に当該油脂含有物が移動したり、食品から剥落(分離)したりすることが抑えられた、高い搬送耐性を有する食品の製造方法に関する。また、本発明は、油脂含有物が外表面に固着している食品の搬送耐性の向上方法にも関する。
食品の外観は、その商品価値を決定づける重要な要素の一つである。電子レンジ等で温めるだけで手軽に美味しい料理を食べられる冷凍食品の需要は近年益々高まっているが、冷凍食品も喫食の際に好ましい外観を有していることが求められることは言うまでもない。しかし喫食の際に所定の外観を有するように冷凍食品を製造しても、製品が搬送される間に負荷、振動等が加わることによって、最終消費者が喫食する際に意図した所定の外観が得られなくなる場合がある。具体的には、冷凍食品の一つである冷凍ハンバーグを例に挙げると、冷凍ハンバーグの製造の際にその特定の部位にトッピングが施されていても、製品の搬送中に負荷、振動等が加わることによって、トッピングが当初意図していた部位から移動したり、剥落(分離)したりする場合があり、そのような冷凍ハンバーグは、最終消費者が喫食する際の外観が低下するという問題がある。また、当該トッピングがハンバーグの調味(味付け等)の目的で施されている場合には、当初意図していた部位から移動したり、剥落したりすると、ハンバーグの味も低下する場合がある。
上記の問題に対して、食品の包装の強度を高めて搬送耐性を向上することが考えられる。しかし、包装の強度を高めるとコストの増加につながること等から、食品自体の搬送耐性を向上する方法が求められている。
一方、食品の表面への塗布及びその後の加熱により食品にトッピングを形成するクリームソース類について、食品から剥がれにくいトッピングを形成できるように、クリームソース類の水相に特定の二種の増粘剤を含有させることが提案されている(特許文献1)。また、食品を電子レンジで加熱したときに加熱むらが生じないように、起泡したクリームを食品に付着させることが提案されている(特許文献2)。バター風調味料やバタークリームに対しても、品質(風味、口どけ、保型性等)を改善するために従来、種々の提案がなされている(特許文献3~7)。
特開2012-10616号公報 特開平10-327772号公報 特開2006-288314号公報 特開2019-187437号公報 特開2015-142568号公報 特開2015-100333号公報 国際公開第2012/121010号
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、油脂含有物が食品の外表面にしっかりと固着し、食品の搬送中に当該油脂含有物が移動したり、食品から剥落(分離)したりすることが抑えられた、高い搬送耐性を有する食品を製造し得る方法等を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決するべく鋭意検討した結果、油脂含有物を食品の外表面に付着させる際に油脂含有物を特定の粘度とすることによって、油脂含有物の食品との結着性を向上でき、油脂含有物が外表面にしっかりと固着している食品が得られることを見出した。また、当該食品の製造方法に好適に用いられる油脂含有物も見出された。本発明者らは、これらの知見に基づき更に研究を重ねることによって、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]2~100Pa・sの粘度とした油脂含有物を食品の外表面に付着させること、及び
当該食品の外表面に付着させた油脂含有物を冷却して固化させること
を含む、油脂含有物が外表面に固着している食品の製造方法。
[2]前記食品の外表面に付着させる前記油脂含有物の量が、前記食品100g当たり0.1~20gである、[1]記載の製造方法。
[3]前記油脂含有物が、固形脂及び液油を含有し、当該液油の含有量が、前記油脂含有物に対して5~65重量%である、[1]又は[2]記載の製造方法。
[4]前記固形脂の含有量が、前記油脂含有物に対して15~90重量%である、[3]記載の製造方法。
[5]前記油脂含有物が、水を含有し、当該水の含有量が、前記油脂含有物に対して60重量%以下である、[1]~[4]のいずれか一つに記載の製造方法。
[6]前記油脂含有物が、油中水型乳化物である、[1]~[5]のいずれか一つに記載の製造方法。
[7]前記食品の外表面に付着させるときの前記油脂含有物の温度が、5~30℃である、[1]~[6]のいずれか一つに記載の製造方法。
[8]前記油脂含有物が、増粘剤を前記油脂含有物に対して0.1~10重量%含有する、[1]~[7]のいずれか一つに記載の製造方法。
[9]前記増粘剤が、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ゼラチン及びキサンタンガムからなる群より選ばれる少なくとも一つを含む、[8]記載の製造方法。
[10]前記食品が、ハンバーグである、[1]~[9]のいずれか一つに記載の製造方法。
[11]前記食品が、冷凍食品である、[1]~[10]のいずれか一つに記載の製造方法。
[12]前記食品が、マイクロ波加熱調理用である、[1]~[11]のいずれか一つに記載の製造方法。
[13]2~100Pa・sの粘度とした油脂含有物を食品の外表面に付着させること、及び
当該食品の外表面に付着させた油脂含有物を冷却して固化させること
を含む、油脂含有物が外表面に固着している食品の搬送耐性の向上方法。
[14]前記食品の外表面に付着させる前記油脂含有物の量が、前記食品100g当たり0.1~20gである、[13]記載の向上方法。
[15]前記油脂含有物が、固形脂及び液油を含有し、当該液油の含有量が、前記油脂含有物に対して5~65重量%である、[13]又は[14]記載の向上方法。
[16]前記固形脂の含有量が、前記油脂含有物に対して15~90重量%である、[15]記載の向上方法。
[17]前記油脂含有物が、水を含有し、当該水の含有量が、前記油脂含有物に対して60重量%以下である、[13]~[16]のいずれか一つに記載の向上方法。
[18]前記油脂含有物が、油中水型乳化物である、[13]~[17]のいずれか一つに記載の向上方法。
[19]前記食品の外表面に付着させるときの前記油脂含有物の温度が、5~30℃である、[13]~[18]のいずれか一つに記載の向上方法。
[20]前記油脂含有物が、増粘剤を前記油脂含有物に対して0.1~10重量%含有する、[13]~[19]のいずれか一つに記載の向上方法。
[21]前記増粘剤が、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ゼラチン及びキサンタンガムからなる群より選ばれる少なくとも一つを含む、[20]記載の向上方法。
[22]前記食品が、ハンバーグである、[13]~[21]のいずれか一つに記載の向上方法。
[23]前記食品が、冷凍食品である、[13]~[22]のいずれか一つに記載の向上方法。
[24]前記食品が、マイクロ波加熱調理用である、[13]~[23]のいずれか一つに記載の向上方法。
本発明によれば、油脂含有物が食品の外表面にしっかりと固着し、食品の搬送中に当該油脂含有物が移動したり、食品から剥落(分離)したりすることが抑えられた、高い搬送耐性を有する食品の製造方法が提供される。
本発明は、油脂含有物が外表面に固着している食品の搬送耐性の向上方法も提供する。本発明の方法は、油脂含有物を食品の外表面にしっかりと固着し得、食品の搬送中に油脂含有物が移動したり、食品から剥落(分離)したりすることを抑え得る。
本発明の、油脂含有物が外表面に固着している食品の製造方法(本明細書中、「本発明の製造方法」と称する場合がある)は、油脂含有物を食品の外表面に付着させることを含み、その際に油脂含有物を特定の粘度とすることを特徴とする。油脂含有物を特定の粘度とすることにより、食品との結着性を向上し得る。
具体的には、食品の外表面に付着させるときの油脂含有物の粘度は、好ましくは2Pa・s以上であり、より好ましくは2.5Pa・s以上であり、特に好ましくは3Pa・s以上である。また、当該粘度は、好ましくは100Pa・s以下であり、より好ましくは80Pa・s以下であり、特に好ましくは60Pa・s以下である。例えば、当該粘度は、好ましくは2~100Pa・sであり、より好ましくは2.5~80Pa・sであり、特に好ましくは3~60Pa・sである。
本発明において油脂含有物の粘度は、No.4ローターを装着したC型回転式粘度計(東機産業株式会社製、型番TVC-7)を使用して60秒間回転した後の値(粘度)を読み取ることで測定される。
油脂含有物の粘度の調整は、例えば、油脂含有物の温度を調整すること等によって行い得る。一態様として、油脂含有物の粘度が、食品への付着前(例えば、保管時等)において前記の特定の粘度より高い(例えば、100Pa・sより高い等)場合は、当該油脂含有物を加熱することによって、特定の粘度に調整し得る。この場合、油脂含有物の加熱方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行い得る。油脂含有物の加熱温度は、通常30℃以下であり、好ましくは25℃以下であり、より好ましくは20℃以下であり、特に好ましくは15℃以下である。他の一態様として、油脂含有物の粘度が、食品への付着前(例えば、保管時等)において前記の特定の粘度未満(例えば、2Pa・s未満等)である場合は、当該油脂含有物を冷却することによって、特定の粘度に調整し得る。他の一態様として、油脂含有物が加熱されることなく(例えば、油脂含有物の保管温度で)前記の特定の粘度(例えば、2~100Pa・s等)である場合は、当該油脂含有物は調温(加熱、冷却)せずにそのまま食品へ付着させてよい。
本発明の製造方法において用いられる油脂含有物は、前記の特定の粘度に調整可能なものであれば特に制限されないが、食品を加熱調理(例、マイクロ波加熱調理等)した際に食品上で溶融してソース状になり得るものが好ましい。油脂含有物に含有され得る油脂の種類は、食品素材として用いられ得るもの(食用油脂)であれば特に制限されないが、例えば、キャノーラ油、菜種油、コーン油、大豆油、ごま油、米油、米糠油、米胚芽油、べに花油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ひまわり油、えごま油、アマニ油、オリーブ油、グレープシード油、綿実油等の食用植物油脂;牛脂、豚脂、鶏脂、乳脂、羊脂、鯨油等の食用動物油脂等が挙げられる。また、これらの油脂をエステル交換したエステル交換油や、これらの油脂に水素添加した硬化油等も用いることができる。油脂含有物に含有され得る油脂は、精製されたもの(例、サラダ油等)であってもよい。油脂含有物に含有され得る油脂として、バター(例、有塩バター、食塩不使用バター、発酵バター、バタークリーム等)、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングを用いてもよい。これらの油脂は、油脂含有物が食品への付着時に前記の特定の粘度を有し得るように、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いられ得る。
本発明の製造方法に用いられる油脂含有物における油脂の含有量は、油脂含有物の成形性の観点から、油脂含有物に対して、好ましくは40重量%以上であり、より好ましくは45重量%以上であり、更に好ましくは50重量%以上である。また、本発明の製造方法に用いられる油脂含有物は油脂のみからなるものであってよく、すなわち油脂の含有量は、油脂含有物に対して100重量%以下であってよいが、油脂含有物の粘度の調整しやすさの観点から、油脂含有物に対して、好ましくは95重量%以下である。例えば、油脂含有物における油脂の含有量は、油脂含有物に対して、好ましくは40~100重量%であり、より好ましくは45~95重量%であり、更に好ましくは50~95重量%である。
本発明の製造方法において用いられる油脂含有物は、一態様として、固形脂を含有するものであってよい。ここで「固形脂」とは、常温で流動性を有しない油脂をいい、詳細には融点が25℃以上である油脂をいう。本発明において油脂の融点は、上昇融点法によって測定される。固形脂としては、例えば、前述の食用植物油脂(例、キャノーラ油、菜種油、コーン油、大豆油、ごま油、米油、米糠油、米胚芽油、べに花油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ひまわり油、えごま油、アマニ油、オリーブ油、グレープシード油、綿実油等)の硬化油、カカオ脂、食用動物油脂(例、牛脂、豚脂、鶏脂、乳脂、羊脂、鯨油等)、バター、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング等が挙げられる。
油脂含有物が固形脂を含有する場合、その含有量は、油脂含有物の成形性の観点から、油脂含有物に対して、好ましくは15重量%以上であり、より好ましくは18重量%以上であり、特に好ましくは20重量%以上である。また、この場合、固形脂の含有量は、油脂含有物に対して100重量%以下であってよいが、油脂含有物の粘度の調整しやすさの観点から、油脂含有物に対して、好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは75重量%以下である。例えば、油脂含有物における固形脂の含有量は、油脂含有物に対して、好ましくは15~100重量%であり、より好ましくは18~90重量%であり、特に好ましくは20~75重量%である。
本発明の製造方法において用いられる油脂含有物は、一態様として、液油を含有するものであってよい。ここで「液油」とは、常温で流動性を有する油をいい、詳細には融点が25℃未満である油脂をいう。液油としては、例えば、前述の食用植物油脂(例、キャノーラ油、菜種油、コーン油、大豆油、ごま油、米油、米糠油、米胚芽油、べに花油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ひまわり油、えごま油、アマニ油、オリーブ油、グレープシード油、綿実油等)、これを精製したサラダ油等が挙げられる。
油脂含有物が液油を含有する場合、その含有量は、油脂含有物の粘度の調整しやすさの観点から、油脂含有物に対して、好ましくは5重量%以上であり、より好ましくは8重量%以上であり、特に好ましくは10重量%以上である。また、この場合、液油の含有量は、油脂含有物の成形性の観点から、油脂含有物に対して、好ましくは65重量%以下であり、より好ましくは60重量%以下であり、特に好ましくは55重量%以下である。例えば、油脂含有物における液油の含有量は、油脂含有物に対して、好ましくは5~65重量%であり、より好ましくは8~60重量%であり、特に好ましくは10~55重量%である。
本発明の製造方法において用いられる油脂含有物は、一態様として、固形脂及び液油の両方を含有するものであってよい。この場合、固形脂及び液油の含有量の重量比(固形脂:液油)は、油脂含有物の粘度の調整しやすさの観点から、好ましくは1:0.1~3であり、より好ましくは1:0.5~2.5であり、特に好ましくは1:1~2である。
本発明の製造方法において用いられる油脂含有物は、一態様として、油脂に加えて水を更に含有してよい。油脂含有物が水を含有する場合、本発明の製造方法によって得られる食品(油脂含有物が外表面に固着している食品)の加熱調理後における外観品位が、より好ましいものになり得る。例えば、油脂含有物が水を含有すると、油脂含有物が油脂のみからなる場合に比べて、本発明の製造方法によって得られる食品は加熱調理後にバター様の白っぽい痕跡が外表面に残りやすく、好ましい外観になり得る。油脂含有物に含有され得る水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の精製水、水道水等が挙げられるが、これらに制限されず、食品製造用水として適合するものを用い得る。
油脂含有物が水を含有する場合、その含有量は、油脂含有物の乳化性の観点から、油脂含有物に対して、好ましくは60重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下である。また、この場合、水の含有量は油脂含有物の粘度の調整しやすさの観点から、油脂含有物に対して、好ましくは5重量%以上であり、より好ましくは10重量%以上である。例えば、油脂含有物における水の含有量は、油脂含有物に対して、好ましくは5~60重量%であり、より好ましくは10~40重量%である。
本発明の製造方法において用いられる油脂含有物が、油脂に加えて水を更に含有する場合、当該油脂含有物は乳化されていてよく、油脂含有物は乳化されることによって品質が均一となり好ましい。本発明の製造方法において用いられる油脂含有物が乳化されている場合、当該油脂含有物は油中水型乳化物であることがより好ましい。ここで「油中水型乳化物」とは、油相(O)を外相(連続相)とし、水相(W)を内相(分散相)とする油中水型(W/O型)の乳化構造(油相中に水の液滴が均一に分散した乳化構造)を有する乳化物をいう。
本発明の製造方法において用いられる油脂含有物は、一態様として、固形脂、液油及び水を含有するものであってよい。油脂含有物は、固形脂、液油及び水を含有する場合、その保管に適した温度で前記の特定の粘度を有し得るものとなり、そのような油脂含有物は保管後、加熱することなくそのまま食品へ付着でき利便性が良い。
本発明の製造方法において用いられる油脂含有物は、本発明の目的を損なわない限り、油脂に加えて又は油脂及び水に加えて、それら以外の成分を更に含有してよい。例えば、油脂含有物は増粘剤を更に含有し得る。油脂含有物は、増粘剤を含有することによって保形性が向上し、食品の外表面に付着させた際、温度にかかわらず所望の形状を維持しやすくなり得る。
油脂含有物に含有され得る増粘剤としては、例えば、カラギーナン(例、κ-カラギーナン、ι-カラギーナン、λ-カラギーナン)、ガラクトマンナン(例、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム等)、ジェランガム、ゼラチン、キサンタンガム、サイリウムシードガム、スクシノグリカン、セルロース誘導体(例、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)、ペクチン(例、HM(ハイメトキシル)ペクチン、LM(ローメトキシル)ペクチン)、ファーセルラン、アラビアガム、トラガントガム、アルギン酸類(例、アルギン酸、アルギン酸塩、アルギン酸エステル等)、カードラン、プルラン、タマリンドシードガム、グルコマンナン等が挙げられる。中でも、カラギーナン、ガラクトマンナン(例、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム等)、ジェランガム、ゼラチン、キサンタンガムが好ましく、カラギーナン、ガラクトマンナン(例、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム等)、ジェランガム、ゼラチン、キサンタンガムが好ましく、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ゼラチン、キサンタンガムがより好ましく、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ゼラチンが特に好ましく、カラギーナンが最も好ましい。これらの増粘剤は、一種を単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
油脂含有物が増粘剤を含有する場合、その含有量は、十分な保形性向上効果を発揮する観点から、油脂含有物に対して、好ましくは0.1重量%以上であり、より好ましくは0.2重量%以上であり、特に好ましくは0.3重量%以上である。また、この場合、増粘剤の含有量は、十分な保形性向上効果を発揮する観点から、油脂含有物に対して、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは7重量%以下であり、特に好ましくは5重量%以下である。例えば、油脂含有物における増粘剤の含有量は、油脂含有物に対して、好ましくは0.1~10重量%であり、より好ましくは0.2~7重量%であり、特に好ましくは0.3~5重量%である。
本発明において用いられる増粘剤の製造方法は特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で製造されたものを用い得る。本発明は、市販の増粘剤を用いてもよい。
油脂含有物は、増粘剤の他に、例えば、乳化剤、保存料、pH調整剤、調味料類、香料、着色料等を、油脂に加えて又は油脂及び水に加えて更に含有してよい。これらの成分は、一種を単独で用いてよく、又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
油脂含有物の製造方法は特に制限されず、油脂含有物は自体公知の方法又はそれに準ずる方法で製造し得る。一態様として、油脂含有物が固形脂及び液油を含有するものである場合、当該油脂含有物は、例えば、固形脂及び液油を加熱して混合すること等によって製造し得る。他の一態様として、油脂含有物が、固形脂、液油及び水を含有する油中水型乳化物である場合、当該油脂含有物(油中水型乳化物)は、例えば、固形脂及び液油を加熱して混合し、得られた混合物をホモジナイザー等で撹拌しながら、水を少しずつ注加して乳化させること等によって製造し得る。
本発明の製造方法において、油脂含有物を付着させる食品の種類は、本発明の目的を損なわない限り特に制限されないが、例えば、ハンバーグ、コロッケ、フライ、グラタン、ドリア、ピザ、パン、ホットケーキ、菓子等が挙げられ、中でもハンバーグが好ましい。油脂含有物を付着させる食品の製造方法は特に制限されず、食品の種類等に応じて自体公知の方法又はそれに準ずる方法で製造してよい。
本発明の製造方法において、特定の粘度とした油脂含有物を食品の外表面に付着させる方法は、油脂含有物を所望の量で食品の外表面に付着させ得るものであれば特に制限されない。例えば、油脂含有物の食品への付着は、特定の粘度とした油脂含有物を食品の外表面にかけたり、塗布したりすることによって行い得る。また、油脂含有物の食品への付着は、例えば、容器に収容した油脂含有物を特定の粘度とした上で、当該容器から油脂含有物を食品の外表面に押し出すこと、射出すること、又は滴下すること等によっても行い得る。油脂含有物の食品への付着は手作業で行い得るが、食品製造に使用され得る機械、装置を用いて行ってもよく、工業的に好ましい。特定の粘度とした油脂含有物は食品の外表面の一部分に付着させてよく、又は食品の外表面の複数(2以上)の部分に付着させてもよい。
本発明の製造方法において、食品の外表面に付着させる油脂含有物(特定の粘度とした油脂含有物)の量は、食品の種類等に応じて適宜調整してよいが、食品100g当たり、好ましくは0.1~20gであり、より好ましくは0.3~18gである。食品の外表面に付着させる油脂含有物の量が当該範囲内であることにより、本発明の製造方法によって得られる食品(油脂含有物が外表面に固着している食品)は、加熱調理前及び加熱調理後のいずれにおいても好ましい外観となり得る。ここで「食品の外表面に付着させる油脂含有物の量」は、特定の粘度とした油脂含有物を食品の外表面の複数(2以上)の部分に付着させる場合、複数の部分の付着させる油脂含有物の合計量を意味する。
本発明の製造方法において、食品の外表面に付着させるときの油脂含有物の温度は、当該油脂含有物が前記の特定の粘度になればよく特に制限されないが、通常30℃以下であり、好ましくは25℃以下であり、より好ましくは20℃以下であり、特に好ましくは15℃以下である。また、食品の外表面に付着させるときの油脂含有物の温度は、通常5℃以上である。例えば、食品の外表面に付着させるときの油脂含有物の温度は、通常5~30℃であり、好ましくは5~25℃であり、より好ましくは5~20℃であり、特に好ましくは5~15℃である。
本発明の製造方法において、特定の粘度とした油脂含有物を付着させるときの食品は、油脂含有物より著しく高温であると、付着させた油脂含有物が溶融して外表面から流れ落ちることがあるため、特定の粘度とした油脂含有物を付着させるときの食品の温度は、付着させる油脂含有物の温度プラス5℃以下が好ましく、付着させる油脂含有物の温度よりも低いことがより好ましい。本発明の製造方法によって得られる食品が冷凍食品(後述)である場合、特定の粘度とした油脂含有物を付着させるときの食品は予め凍結されていてよい。
本発明の製造方法は、特定の粘度とした油脂含有物を食品の外表面に付着させることに加え、当該食品の外表面に付着させた油脂含有物を冷却して固化させることを更に含んでよい。特定の粘度とした油脂含有物は、食品への付着後に冷却されて固化することによって食品に固着し得る。
本発明の製造方法において、食品の外表面に付着させた油脂含有物の冷却方法は、当該油脂含有物の温度が低下して固化すれば特に制限されず、自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行い得る。本発明の製造方法によって得られる食品が冷凍食品(後述)である場合、油脂含有物を外表面に付着させた食品及び当該油脂含有物が凍結するように冷却してよい。また、本発明の製造方法によって得られる食品が冷凍食品である場合、上述の通り、特定の粘度とした油脂含有物を付着させるときの食品は予め凍結されていてよいが、そのような凍結状態の食品に付着させることによって油脂含有物を冷却し固化させてもよい。
本発明の製造方法は、特定の粘度とした油脂含有物を食品の外表面に付着させること、及び、当該食品の外表面に付着させた油脂含有物を冷却して固化させることに加え、これら以外の製造工程を食品の種類等に応じて、適宜含んでよい。例えば、本発明の製造方法は、特定の粘度とした油脂含有物を食品の外表面に付着させ、当該食品の外表面に付着させた油脂含有物を冷却して固化させた後、得られた食品(油脂含有物が外表面に固着している食品)を包装袋に収容すること等を含んでよい。本発明の製造方法によって得られる食品(油脂含有物が外表面に固着している食品)は、油脂含有物が食品の外表面にしっかりと固着しているため、包装袋が油脂含有物に接触することによって油脂含有物が移動したり、食品から剥落(分離)したりすることも抑えられ得る。
本発明の製造方法によって得られる食品(油脂含有物が外表面に固着している食品)は、一態様として、冷凍食品であってよい。
本発明の製造方法によって得られる食品(油脂含有物が外表面に固着している食品)は、加熱調理されることによって、外表面に固着している油脂含有物が溶融して喫食に適した状態(例、ソース状等)になり得る。本発明の製造方法によって得られる食品の加熱調理方法は特に制限されず、食品の種類等に応じて自体公知の方法又はそれに準ずる方法で行い得るが、例えば、マイクロ波加熱、湿式加熱(例、蒸し加熱等)、乾式加熱(例、焼き加熱、オーブン加熱等)等が挙げられ、好ましくは、マイクロ波加熱である。すなわち、本発明の製造方法によって得られる食品は、好ましくはマイクロ波加熱調理用である。
本発明の製造方法は、油脂含有物を食品の外表面に付着させる際に油脂含有物を特定の粘度とすることによって、油脂含有物の食品との結着性を向上し得えるため、当該油脂含有物を食品への付着後に冷却して固化させて得られる食品は、油脂含有物が外表面にしっかりと固着し、搬送中に油脂含有物が移動したり、食品から剥落(分離)したりすることが抑えられ、高い搬送耐性を有し得る。油脂含有物が外表面に固着している食品の搬送耐性の評価は、例えば、包装体に収容された食品を左右に複数回(例、5回)ゆすって90度傾けたときの、食品からの油脂含有物の移動・剥落の有無や程度を確認すること等によって行い得るが、当該方法に限定されない。
本発明は、特定の粘度とした油脂含有物を食品の外表面に付着させることを含む、油脂含有物が外表面に固着している食品の搬送耐性の向上方法(本明細書中、「本発明の向上方法」と称する場合がある)も提供する。本発明の向上方法は、特定の粘度とした油脂含有物を食品の外表面に付着させることに加え、当該食品の外表面に付着させた油脂含有物を冷却して固化させることを更に含んでよい。本発明の向上方法は、上述の本発明の製造方法と同様に行うことができ、好ましい態様も同様である。
本発明の向上方法によれば、油脂含有物を食品の外表面にしっかりと固着し得、食品の搬送中に油脂含有物が移動したり、食品から剥落(分離)したりすることを抑え得る。
以下の実施例において本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
尚、以下の実施例において用いられた原料は、特にことわりのない限り、いずれも食品用として市販されているものである。
<試験1>
(サンプル1の作製)
食塩不使用バター2.5gを10℃にした上で、冷凍ハンバーグ(凍結させたハンバーグ)140gの上方から見て中央部分に手で載せ、-30℃で急速凍結して、サンプル1の冷凍食品(凍結したバターが外表面に固着している冷凍ハンバーグ)を作製した。
(サンプル2の作製)
食塩不使用バター2.5gを20℃にした上で、冷凍ハンバーグ140gの上方から見て中央部分に射出して付着させ、-30℃で急速凍結して、サンプル2の冷凍食品(凍結したバターが外表面に固着している冷凍ハンバーグ)を作製した。
(サンプル3の作製)
下表1に示す割合で混合したサラダ油及び乳化剤をヘラで軽く撹拌しながら80℃まで加熱した後、70℃に冷まし、得られた混合物をホモジナイザー(IKA社製、製品名「ウルトラタラックス」)を使用して1200rpmで撹拌し、撹拌中に水を下表1に示す割合で少しずつ注加して乳化させ(撹拌時間:20分間)、油中水型乳化物を作製した(全量400mLスケール)。得られた油中水型乳化物2.5gを10℃にした上で、冷凍ハンバーグ140gの上方から見て中央部分に射出して付着させ、-30℃で急速凍結して、サンプル3の冷凍食品(凍結した油中水型乳化物が外表面に固着している冷凍ハンバーグ)を作製した。
(サンプル4~7の作製)
下表1に示す割合で混合したショートニング、サラダ油及び乳化剤をヘラで軽く撹拌しながら80℃まで加熱した後、70℃に冷まし、得られた混合物をホモジナイザー(IKA社製、製品名「ウルトラタラックス」)を使用して1200rpmで撹拌し、撹拌中に水を下表1に示す割合で少しずつ注加して乳化させ(撹拌時間:20分間)、油中水型乳化物を作製した(全量400mLスケール)。得られた油中水型乳化物2.5gを10℃にした上で、冷凍ハンバーグ140gの上方から見て中央部分に射出して付着させ、-30℃で急速凍結して、サンプル4~7の冷凍食品(凍結した油中水型乳化物が外表面に固着している冷凍ハンバーグ)をそれぞれ作製した。
(サンプル8の作製)
下表1に示す割合で混合したショートニング及び乳化剤をヘラで軽く撹拌しながら80℃まで加熱した後、70℃に冷まし、得られた混合物をホモジナイザー(IKA社製、製品名「ウルトラタラックス」)を使用して1200rpmで20分間撹拌し、撹拌中に水を下表1に示す割合で少しずつ注加して乳化させ、油中水型乳化物を作製した(全量400mLスケール)。得られた油中水型乳化物2.5gを10℃にした上で、冷凍ハンバーグ140gの上方から見て中央部分に手で載せ、-30℃で急速凍結して、サンプル8の冷凍食品(凍結した油中水型乳化物が外表面に固着している冷凍ハンバーグ)を作製した。
(サンプル9の作製)
ショートニングに代えて食塩不使用バターを使用したこと以外は、サンプル5と同様の手順で、サンプル9の冷凍食品(凍結した油中水型乳化物が外表面に固着している冷凍ハンバーグ)を作製した。
Figure 2023007166000001
(付着時の粘度の測定)
サンプル1~9の作製に使用したバター又は各油中水型乳化物について、冷凍ハンバーグに付着させる際の粘度を、No.4ローターを装着したC型回転式粘度計(東機産業株式会社製、型番TVC-7)を使用して測定した。粘度の測定は、60秒間回転した後の値(粘度)を読み取ることにより行った。
測定結果を下表2に示す。
(搬送耐性の評価)
サンプル1~9の冷凍食品をそれぞれフィルムパッケージ(包装袋)に収容した後、冷凍食品全体を左右に5回ゆすって90度傾け、各サンプルの油脂含有物(バター、油中水型乳化物)の状態を下記の基準に沿って評価した。
[搬送耐性の評価基準]
◎:油脂含有物が全く移動・剥落していない。ゆすったときに包装フィルムが油脂含有物に接触しても移動・剥落しない。
〇:油脂含有物がほとんど移動・剥落していないが、ゆすったときに包装フィルムが油脂含有物に接触すると移動・剥落することがある。
×:油脂含有物が移動・剥落している。
(凍結時の外観の評価)
サンプル1~9の冷凍食品の外観(上方から見た外観)の好ましさを、3名の専門パネルが合議により下記の基準に沿って評価した。
[凍結時の外観の好ましさの評価基準]
〇:トッピングとして好ましい量である(立体感があり、かつはっきりと認識できる)。
×:トッピングとして少なすぎて認識できないか、又は多すぎる量である。
(マイクロ波(MW)加熱調理後の外観の評価)
サンプル1~9の冷凍食品をマイクロ波加熱(500W、3分間)に供し、当該加熱調理後の外観の好ましさを、3名の専門パネルが合議により下記の基準に沿って評価した。
[マイクロ波加熱調理後の外観の好ましさの評価基準]
〇:溶融した油脂含有物が好ましい量である(はっきり認識できる)。
×:溶融した油脂含有物が好ましくない量である(油脂含有物の量が多すぎてハンバーグから流れ落ちているか、又は加熱調理後も油脂含有物が融け残りハンバーグの一部が見えない)。
評価結果を下表2に示す。
Figure 2023007166000002
表2に示されるように、9Pa・sの粘度としたバターを冷凍ハンバーグの外表面に付着させて製造されたサンプル2の冷凍食品(本発明の製造方法で得られた冷凍食品)は、200Pa・s以上の粘度であるバターを冷凍ハンバーグの外表面に付着させて製造されたサンプル1の冷凍食品に比べ、搬送耐性に優れるものであった。尚、サンプル1の製造においてバターを冷凍食品に射出せず手で載せているのは、10℃にしたバターは硬くて(粘度200Pa・s以上)射出できなかったことによる。
また、7.5~50Pa・sの粘度とした油中水型乳化物又は24Pa・sの粘度としたバターを冷凍ハンバーグの外表面に付着させて製造されたサンプル5~7、9の冷凍食品(本発明の製造方法で得られた冷凍食品)は、0.7Pa・s、1.2Pa・s又は200Pa・s以上の粘度とした油中水型乳化物を冷凍ハンバーグの外表面に付着させて製造されたサンプル3、4、8の冷凍食品に比べ、搬送耐性に優れるものであった。サンプル3、4の冷凍食品の製造に用いられた油中水型乳化物は、冷凍ハンバーグに付着させるときの粘度が低く(0.7Pa・s又は1.2Pa・s)、冷凍ハンバーグ上に留まることができずに一部が流れ落ちることがあり、搬送耐性のみならず、凍結時の外観についても好ましいものでなかった。また、サンプル8の製造においてバターを冷凍食品に射出せず手で載せているのは、用いた油中水型乳化物が硬くて(粘度200Pa・s以上)射出できなかったことによる。
これらの結果から、油脂含有物を食品の外表面に付着させる際に油脂含有物を特定の粘度とすることによって、油脂含有物の食品との結着性を向上でき、油脂含有物が外表面にしっかりと固着している食品が得られることが示唆された。
<試験2>
(サンプル10~12の作製)
下表3に示す割合で混合したショートニング、サラダ油及び乳化剤をヘラで軽く撹拌しながら80℃まで加熱した後、70℃に冷まし、得られた混合物をホモジナイザー(IKA社製、製品名「ウルトラタラックス」)を使用して1200rpmで撹拌し、撹拌中に水を下表3に示す割合で少しずつ注加して乳化させ(撹拌時間:20分間)、油中水型乳化物を作製した(全量400mLスケール)。得られた油中水型乳化物2.5gを10℃にした上で、冷凍ハンバーグ140gの上方から見て中央部分に射出して付着させ、-30℃で急速凍結して、サンプル10~12の冷凍食品(凍結した油中水型乳化物が外表面に固着している冷凍ハンバーグ)をそれぞれ作製した。
Figure 2023007166000003
(付着時の粘度の測定)
サンプル10~12の作製に使用した各油中水型乳化物について、冷凍ハンバーグに付着させる際の粘度を、No.4ローターを装着したC型回転式粘度計(東機産業株式会社製、型番TVC-7)を使用して試験1と同様に測定した。
測定結果を下表4に示す。
(搬送耐性、凍結時の外観、マイクロ波加熱調理後の外観の評価)
サンプル10~12の搬送耐性、凍結時の外観、マイクロ波加熱調理後の外観について、試験1と同様に評価を行った。
評価結果を下表4に示す。
Figure 2023007166000004
表4に示されるように、5.1~13.6Pa・sの粘度とした油中水型乳化物を冷凍ハンバーグの外表面に付着させて製造されたサンプル10~12の冷凍食品(本発明の製造方法で得られた冷凍食品)は、いずれも搬送耐性に優れるものであった。当該結果から、油脂含有物を食品の外表面に付着させる際に油脂含有物を特定の粘度とすることによって、油脂含有物の食品との結着性を向上でき、油脂含有物が外表面にしっかりと固着している食品が得られることが示唆された。
<試験3>
(油中水型乳化物の作製)
下表5に示す割合で混合したショートニング、サラダ油及び乳化剤をヘラで軽く撹拌しながら80℃まで加熱した後、70℃に冷まし、得られた混合物をホモジナイザー(IKA社製、製品名「ウルトラタラックス」)を使用して1200rpmで撹拌し、撹拌中に水を下表5に示す割合で少しずつ注加して乳化させ(撹拌時間:20分間)、油中水型乳化物を作製した(全量400mLスケール)。
Figure 2023007166000005
(サンプル13~17の作製)
上記で得られた油中水型乳化物を10℃にした上で、下表6に示す量で冷凍ハンバーグ140gの上方から見て中央部分に射出して付着させ、-30℃で急速凍結して、サンプル13~17の冷凍食品(凍結した油中水型乳化物が外表面に固着している冷凍ハンバーグ)をそれぞれ作製した。
(サンプル18、19の作製)
油中水型乳化物及び冷凍ハンバーグの量を下表6に示す量に変更したこと以外は、サンプル13と同様の手順で、サンプル18、19の冷凍食品(凍結した油中水型乳化物が外表面に固着している冷凍ハンバーグ)をそれぞれ作製した。
(付着時の粘度の測定)
サンプル13~19の作製に使用した油中水型乳化物について、冷凍ハンバーグに付着させる際の粘度を、No.4ローターを装着したC型回転式粘度計(東機産業株式会社製、型番TVC-7)を使用して試験1と同様に測定した。
測定結果を下表6に示す。
(搬送耐性、凍結時の外観、マイクロ波加熱調理後の外観の評価)
サンプル13~19の搬送耐性、凍結時の外観、マイクロ波加熱調理後の外観について、試験1と同様に評価を行った。
評価結果を下表6に示す。
Figure 2023007166000006
表6に示されるように、冷凍ハンバーグの外表面に付着させた油中水型乳化物の量が、冷凍ハンバーグ100g当たり0.36~17.9gであるサンプル14~16、18、19の冷凍食品は、凍結時の外観及びマイクロ波加熱調理後の外観のいずれも好ましいものであった。
当該結果から、食品の外表面に付着させる油脂含有物の量を調整することによって当該食品の外観を向上させ得ることが示唆された。
<試験4>
(サンプル20~22の作製)
下表7に示す割合でι-カラギーナン及び水を混合し、増粘剤水溶液を調製した。下表7に示す割合で混合したショートニング、サラダ油及び乳化剤をヘラで軽く撹拌しながら80℃まで加熱した後、70℃に冷まし、得られた混合物をホモジナイザー(IKA社製、製品名「ウルトラタラックス」)を使用して1200rpmで撹拌し、撹拌中に増粘剤水溶液を下表7に示す割合で少しずつ注加して乳化させ(撹拌時間:20分間)、油中水型乳化物を作製した(全量400mLスケール)。得られた油中水型乳化物2.5gを10℃にした上で、冷凍ハンバーグ140gの上方から見て中央部分に射出して付着させ、-30℃で急速凍結して、サンプル20~22の冷凍食品(凍結した油中水型乳化物が外表面に固着している冷凍ハンバーグ)をそれぞれ作製した。
(サンプル23~27の作製)
ι-カラギーナンに代えて下表7に示す各種増粘剤(グアーガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、ゼラチン、キサンタンガム)を使用したこと以外は、サンプル21と同様の手順で、サンプル23~27の冷凍食品(凍結した油中水型乳化物が外表面に固着している冷凍ハンバーグ)をそれぞれ作製した。
(付着時の粘度の測定)
サンプル20~27の作製に使用した油中水型乳化物について、冷凍ハンバーグに付着させる際の粘度を、No.4ローターを装着したC型回転式粘度計(東機産業株式会社製、型番TVC-7)を使用して試験1と同様に測定した。
測定結果を下表7に示す。
(搬送耐性の評価)
サンプル20~27の搬送耐性について、試験1と同様に評価を行った。
(保形性の評価)
サンプル20~27の作製に使用した油中水型乳化物について、冷凍ハンバーグに付着させた後の保形性を、増粘剤を含有しないサンプル5の油中水型乳化物と比べて、3名の専門パネルが合議により下記の基準に沿って評価した。
[保形性の評価基準]
◎:サンプル5の油中水型乳化物と比べて、保形性が顕著に向上している。
〇:サンプル5の油中水型乳化物と比べて、保形性が向上している。
×:サンプル5の油中水型乳化物と同程度の保形性。
評価結果を下表7に示す。
Figure 2023007166000007
表7に示されるように、4.4~9.83Pa・sの粘度とした油中水型乳化物を冷凍ハンバーグの外表面に付着させて製造されたサンプル20~27の冷凍食品(本発明の製造方法で得られた冷凍食品)は、いずれも搬送耐性に優れるものであった。当該結果から、油脂含有物を食品の外表面に付着させる際に油脂含有物を特定の粘度とすることによって、油脂含有物の食品との結着性を向上でき、油脂含有物が外表面にしっかりと固着している食品が得られることが示唆された。
また、サンプル20~27において用いられた油中水型乳化物は増粘剤を含有し、いずれも冷凍ハンバーグに付着させた後の保形性が、増粘剤を含有しない場合に比べて向上した。当該結果から、油脂含有物が増粘剤を含有することによって、当該油脂含有物を食品に付着させた後の保形性を向上させ得ることが示唆された。
本発明によれば、油脂含有物が食品の外表面にしっかりと固着し、食品の搬送中に当該油脂含有物が移動したり、食品から剥落(分離)したりすることが抑えられた、高い搬送耐性を有する食品の製造方法が提供される。
本発明は、油脂含有物が外表面に固着している食品の搬送耐性の向上方法も提供する。本発明の方法は、油脂含有物を食品の外表面にしっかりと固着し得、食品の搬送中に油脂含有物が移動したり、食品から剥落(分離)したりすることを抑え得る。

Claims (13)

  1. 2~100Pa・sの粘度とした油脂含有物を食品の外表面に付着させること、及び
    当該食品の外表面に付着させた油脂含有物を冷却して固化させること
    を含む、油脂含有物が外表面に固着している食品の製造方法。
  2. 前記食品の外表面に付着させる前記油脂含有物の量が、前記食品100g当たり0.1~20gである、請求項1記載の製造方法。
  3. 前記油脂含有物が、固形脂及び液油を含有し、当該液油の含有量が、前記油脂含有物に対して5~65重量%である、請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 前記固形脂の含有量が、前記油脂含有物に対して15~90重量%である、請求項3記載の製造方法。
  5. 前記油脂含有物が、水を含有し、当該水の含有量が、前記油脂含有物に対して60重量%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記油脂含有物が、油中水型乳化物である、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記食品の外表面に付着させるときの前記油脂含有物の温度が、5~30℃である、請求項1~6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記油脂含有物が、増粘剤を前記油脂含有物に対して0.1~10重量%含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 前記増粘剤が、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ゼラチン及びキサンタンガムからなる群より選ばれる少なくとも一つを含む、請求項8記載の製造方法。
  10. 前記食品が、ハンバーグである、請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 前記食品が、冷凍食品である、請求項1~10のいずれか一項に記載の製造方法。
  12. 前記食品が、マイクロ波加熱調理用である、請求項1~11のいずれか一項に記載の製造方法。
  13. 2~100Pa・sの粘度とした油脂含有物を食品の外表面に付着させること、及び
    当該食品の外表面に付着させた油脂含有物を冷却して固化させること
    を含む、油脂含有物が外表面に固着している食品の搬送耐性の向上方法。
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