JP2023006752A - 潤滑組成物、定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents

潤滑組成物、定着装置、及び画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2023006752A
JP2023006752A JP2021109504A JP2021109504A JP2023006752A JP 2023006752 A JP2023006752 A JP 2023006752A JP 2021109504 A JP2021109504 A JP 2021109504A JP 2021109504 A JP2021109504 A JP 2021109504A JP 2023006752 A JP2023006752 A JP 2023006752A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lubricating composition
lubricating
rotating body
composition according
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021109504A
Other languages
English (en)
Inventor
健司 大森
Kenji Omori
智丈 稲垣
Tomotake Inagaki
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fujifilm Business Innovation Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Business Innovation Corp filed Critical Fujifilm Business Innovation Corp
Priority to JP2021109504A priority Critical patent/JP2023006752A/ja
Publication of JP2023006752A publication Critical patent/JP2023006752A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Fixing For Electrophotography (AREA)
  • Lubricants (AREA)

Abstract

【課題】熱伝導率が高く、かつ摩擦性が低い潤滑組成物を提供すること。【解決手段】潤滑油と、複数の繊維状炭素が互いに絡み合ってなる集合体と、を含む潤滑組成物。【選択図】図2

Description

本発明は、潤滑組成物、定着装置、及び画像形成装置に関するものである。
熱伝導材料は、種々の分野で利用されている。
例えば、特許文献1には、「厚み10~35μmの金属製薄肉エンドレスベルトの外周面に離型性を有するコーティング層を有し、内周面には樹脂層を有することを特徴とする高剛性・高熱伝導性の定着用ベルト。」が開示されている。そして、特許文献1には、樹脂層に熱伝導材料を含有させることも開示されている。
また、特許文献2には、「耐熱樹脂と平均粒子径0.5~15μmで絶縁性の無機フィラーを含有する樹脂組成物で形成された内層、弗素樹脂と導電性フィラーを含有する樹脂組成物で形成された外層、及び内層と外層の両樹脂に接着性を有する樹脂と導電性フィラーを含有する樹脂組成物で形成された中間層の3層構造を有することを特徴とする定着用ベルト。」が開示されている。
また、特許文献3には、「熱伝導性無機粉末を含有してなるポリイミド樹脂製の管状内層と、フッ素樹脂製の管状外層とを備え、管状内層と管状外層の間に導電性接着層が形成された複合管状物であって、上記管状外層を構成するフッ素樹脂中に熱伝導性無機粉末が含有されていることを特徴とする複合管状物。」が開示されている。
また、特許文献4には、「イミド化促進剤を添加後加熱焼成して得られるポリイミド樹脂100重量部に対して無機フィラーを30~250重量部含有し、熱伝導率が0.30W/(m・K)以上であることを特徴とする、定着若しくは転写定着用ポリイミド成形物。」が開示されている。
特許文献1~4に記載のベルト等の内周面に摺動部を有する場合、潤滑油を利用することも知られている。
特開平6-222695号公報 特開平7-110632号公報 特開2000-147928号公報 特開2004-138655号公報
本発明の課題は、潤滑油と共に、熱伝導材料として互いに絡み合っていない繊維状炭素のみを含む潤滑組成物に比べ、熱伝導率が高く、かつ潤滑性も高い潤滑組成物を提供することである。
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。

<1>
潤滑油と、複数の繊維状炭素が互いに絡み合ってなる集合体と、を含む潤滑組成物。
<2>
前記繊維状炭素が、カーボンナノチューブである<1>に記載の潤滑組成物。
<3>
前記集合体の最大径が、5μm以上100μm以下である<1>又は<2>に記載の潤滑組成物。
<4>
前記集合体の最大径が、20μm以上80μm以下である<3>に記載の潤滑組成物。
<5>
前記集合体の、短軸Xに対する長軸Yの比(アスペクト比=長軸Y/短軸X)が、30以上200以下である<1>~<4>のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
<6>
前記集合体の含有量が、前記潤滑油に対して5質量%以上50質量%以下である<1>~<5>のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
<7>
前記集合体の含有量が、前記潤滑油に対して10質量%以上40質量%以下である<6>に記載の潤滑組成物。
<8>
前記潤滑油として、シリコーンオイル及びパーフロオロポリエーテルよりなる群から選択される少なくとも1種を含む<1>~<7>のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
<9>
前記シリコーンオイルが、アミノ変性シリコーンオイルである<8>に記載の潤滑組成物。
<10>
前記潤滑油として、パーフロオロポリエーテルを含む場合、さらにフッ素系界面活性剤を含む<8>又は<9>に記載の潤滑組成物。
<11>
第1回転体と、
前記第1回転体に接して配設される第2回転体と、
前記第2回転体の内面に配設され、前記第2回転体の内面から前記第2回転体を前記第1回転体へ押圧する押圧部材と、
前記第2回転体の内面と前記押圧部材との間に介在する摺動部材と、
前記第2回転体の内面と前記摺動部材との間に介在する、<1>~<10>のいずれか1項に記載の潤滑組成物と、
を備える定着装置。
<12>
像保持体と、
像保持体表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
現像剤を用いて前記潜像をトナー像に現像する現像装置と、
記録媒体に現像された前記トナー像を転写する転写装置と、
前記記録媒体上の前記トナー像を定着する、<11>に記載の定着装置と、
を備える画像形成装置。
<1>又は<2>に係る発明によれば、潤滑油と共に、熱伝導材料として互いに絡み合っていない繊維状炭素のみを含む潤滑組成物に比べ、熱伝導率が高く、かつ潤滑性も高い潤滑組成物が提供される。
<3>に係る発明によれば、集合体の最大径が、5μm未満又は100μm超えである場合に比べ、熱伝導率が高く、かつ潤滑性も高い潤滑組成物が提供される。
<4>に係る発明によれば、集合体の最大径が、20μm未満又は80μm超えである場合に比べ、熱伝導率が高く、かつ潤滑性も高い潤滑組成物が提供される。
<5>に係る発明によれば、集合体の、短軸Xに対する長軸Yの比(アスペクト比=長軸Y/短軸X)が、30未満である場合に比べ、熱伝導率が高く、かつ潤滑性も高い潤滑組成物が提供される。
<6>に係る発明によれば、集合体の含有量が潤滑油に対して5質量%未満又は50質量%超えである場合に比べ、熱伝導率が高く、かつ潤滑性も高い潤滑組成物が提供される。
<7>に係る発明によれば、集合体の含有量が潤滑油に対して10質量%未満又は40質量%超えである場合に比べ、熱伝導率が高く、かつ潤滑性も高い潤滑組成物が提供される。
<8>に係る発明によれば、潤滑油と共に、熱伝導材料として互いに絡み合っていない繊維状炭素のみを含む潤滑組成物に比べ、潤滑油として、シリコーンオイル及びパーフロオロポリエーテルよりなる群から選択される少なくとも1種を含み、熱伝導率が高く、かつ潤滑性も高い潤滑組成物が提供される。
<9>に係る発明によれば、シリコーンオイルがジメチルシリコーンオイルである場合に比べ、熱伝導率が高く、かつ潤滑性も高い潤滑組成物が提供される。
<10>に係る発明によれば、潤滑油として、パーフロオロポリエーテルを含むとき、さらにフッ素系界面活性剤を含まない場合に比べ、熱伝導率が高く、かつ潤滑性も高い潤滑組成物が提供される。
<11>に係る発明によれば、潤滑油と共に、熱伝導材料として互いに絡み合っていない繊維状炭素のみを含む潤滑組成物を適用した場合に比べ、画像濃度むらが抑制されると共に、記録媒体のしわも抑制される定着装置が提供される。
<12>に係る発明によれば、潤滑油と共に、熱伝導材料として互いに絡み合っていない繊維状炭素のみを含む潤滑組成物を適用した場合に比べ、画像濃度むらが抑制されると共に、記録媒体のしわも抑制される定着装置を備える画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。 本実施形態に係る定着装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。これらの説明および実施例は、実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。
組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
図面を参照しつつ、実施形態について説明する場合、実質的に同一の機能を有する部材には全図を通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
<潤滑組成物>
本実施形態に係る潤滑組成物は、潤滑油と、複数の繊維状炭素が互いに絡み合ってなる集合体(以下、「特定集合体」とも称する)と、を含む。
本実施形態に係る潤滑組成物は、上記構成により、熱伝導率が高く、かつ潤滑性も高い潤滑組成物となる。その理由は、次の通り、推測される。
潤滑組成物が潤滑油と共に、熱伝導材料として特定集合体を含むことで、潤滑組成物の熱伝導性が高くなりやすい。特定集合体は、繊維状炭素が絡み合った部分(即ち、繊維状炭素同士が接触している部分)を起点に放射状に熱を伝えられることから、互いに絡み合っていない繊維状炭素を含む場合と比較して、高い熱伝導が得られると考えられる。
また、特定集合体は、複数の繊維状炭素が互いに絡み合った集合体で、丸みを呈しているので、互いに絡み合っていない繊維状炭素を含む場合と比較して、摺動部での熱伝導材料に起因する摩擦抵抗上昇が抑制される。そのため、潤滑性が向上すると考えられる。
加えて、特定集合体は、複数の繊維状炭素が互いに絡み合った集合体であるため、内部に潤滑油が保持される。特定集合体の内部に保持された潤滑油は、圧力又は熱等により、染み出し易くなる。そのため、摺動部に潤滑油が介在し易くなり、潤滑性が向上すると考えられる。
以上のことから、本実施形態に係る潤滑組成物は、熱伝導率が高く、かつ潤滑性も高い潤滑組成物となると推測される。
特に、本実施形態に係る潤滑組成物は、熱伝導率が高く、温度の均一性が高く、局所的な温度上昇が生じ難い。また、例えば、摺動部に存在する潤滑組成物間で、温度差が生じた場合でも、摺動部に存在する潤滑組成物間で温度差が大きくなり難いことから、粘度差も大きくなり難い。それにより、潤滑油の粘度の不均一性に由来する摩擦抵抗の差の発生も低減される。
そのため、本実施形態に係る潤滑組成物を定着装置に適用すると、例えば、連続してトナー像を記録媒体に定着しても、記録媒体非通過部での潤滑組成物の温度上昇が生じ難い。記録媒体通過部と記録媒体非通過部との間で温度差が生じて、摩擦抵抗の差の発生が抑制される。その結果、連続してトナー像を記録媒体に定着したとき、摩擦抵抗の差に起因する記録媒体のしわも抑制される。また、連続してトナー像を記録媒体に定着した後、大きさ異なる記録媒体にトナー像を定着したとき、前回の定着における記録媒体通過部と記録媒体非通過部とで生じる摩擦抵抗の差に起因する記録媒体搬送性の悪化も抑制される。
加えて、特定集合体は、複数の繊維状炭素が互いに絡み合った集合体であるため、圧力により変形し易い。そのため、本実施形態に係る潤滑組成物を定着装置に適用すると、定着部において、熱伝導材料に起因する圧力むらの発生が抑制される。その結果、圧力むらに起因する画像の画像濃度むらの発生も抑制される。
なお、特定集合体は圧力により変形し易い性質を有するため、本実施形態に係る潤滑組成物は、熱伝導材料に起因する、摺動部を構成する部材の傷発生も抑制される。
ここで、「摺動部」とは、摺動部材(例えば、定着装置では、定着ベルト内周面に配置される摺動シート等)と被摺動部材(例えば、定着装置では定着ベルト等)が対面し、相対的に摺動する部位を意味する。
そして、本実施形態に係る潤滑組成物は、定着装置、滑り軸受け、転がり軸受等の摺動部に適用される。
以下、本実施形態に係る潤滑組成物の詳細について説明する。
(潤滑油)
潤滑油(つまり、基油)としては、グリース、シリコーンオイル(例えば、ジメチルシリコーンオイル、有機金属塩添加ジメチルシリコーンオイル、ヒンダードアミン添加ジメチルシリコーンオイル、有機金属塩及びヒンダードアミン添加ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、有機金属塩添加アミノ変性シリコーンオイル、ヒンダードアミン添加アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、シラノール変性シリコーンオイル、スルホン酸変性シリコーンオイル等)、フッ素オイル(例えば、フルオロシリコーンオイル、パーフルオロポリエーテルオイル等)が挙げられる。
これら中でも、耐熱性及び潤滑性の観点から、潤滑油としては、シリコーンオイル及びパーフロオロポリエーテルよりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
特に、シリコーンオイルとしては、アミノ変性シリコーンオイルが好ましい。アミノ変性されたシリコーンオイルは、繊維状炭素と馴染みが高くなり、潤滑油中での特定集合体の分散性が向上する。その結果、さらに、潤滑組成物の、熱伝導率が高くなり、かつ潤滑性も高くなる。
また、潤滑組成物がパーフロオロポリエーテルを含む場合、潤滑組成物は、さらにフッ素系界面活性剤を含むことが好ましい。潤滑組成物に、パーフロオロポリエーテルと共に、フッ素系界面活性剤を含むと、繊維状炭素と馴染みが高くなり、潤滑油中での特定集合体の分散性が向上する。その結果、さらに、潤滑組成物の、熱伝導率が高くなり、かつ潤滑性も高くなる。
ここで、フッ素系界面活性剤としては、フルオロアルキル又はフルオロアルキレン基を主鎖、側鎖及び末端の少なくとも部位に有する化合物が挙げられる。
フッ素系界面活性剤として具体的には、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド、パーフルオロアルキルアミン化合物、パーフルオロアルキルベタイン等の周知のフッ素系界面活性剤が挙げられる。
これらの中でも、熱伝導性及び潤滑性の観点から、フッ素界面活性剤としては、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルアミン化合物が好ましい。
フッ素系界面活性剤の含有量は、熱伝導性及び潤滑性の観点から、潤滑油に対して0.5質量%以上5質量%以下が好ましく、1質量%以上3質量%以下がより好ましく、1.5質量%以上2.5質量%以下がさらに好ましい。
(特定集合体)
特定集合体は、複数の繊維状炭素が互いに絡み合ってなる集合体(特定集合体)である。特定集合体は、熱伝導材料として用いられる。
特定集合体の最大径としては、5μm以上100μm以下であることが好ましく、20μm以上80μm以下がより好ましく、10μm以上50μm以下であることがさらに好ましく、15μm以上40μm以下であることが特に好ましい。
特定集合体の最大径を5μm以上とすることで、潤滑組成物の熱伝導率が向上し易くなる。
一方、特定集合体の最大径を100μm以下とすることで、大型化による特定集合体に起因する潤滑組成物の摩擦抵抗上昇が抑えられ、潤滑性が向上し易くなる。
特定集合体は、複数の繊維状炭素が互いに絡み合ってなる集合体であればよく、特に形状は問われない。特定集合体は、例えば、球状であってもよいし、楕円球状であってもよいし、不定形状であってもよい。
特定集合体の、短軸Xに対する長軸Yの比(アスペクト比、長軸Y/短軸X)は、30以上200以下であることが好ましく、40以上150以下であることがより好ましく、50以上100以下であることが更に好ましく、50以上80以下が特に好ましい。
特に、特定集合体の、短軸Xに対する長軸Yの比(アスペクト比、長軸Y/短軸X)を1/10以上とすることで、圧力による特定集合体の変形量が多くなり、内部に保持する潤滑油を染み出し易くなる。それより、摩耗性が低くなり易い。
・特定集合体の最大径、短軸X、及び長軸Yの測定
特定集合体の最大径、短軸X、及び長軸Yは、以下の方法で測定する。
測定対象の潤滑組成物を厚さ50μmで塗布する。得られた塗布物を電子顕微鏡で観察し、特定集合体の最も長い軸である長軸Yと、長軸Yと直交する方向において最も長い軸である短軸Xと、を計測する。特定集合体の計測サンプル数は10とし、10サンプル中の長軸Yの最大値を「特定集合体の最大径」とし、「短軸X」及び「長軸Y」はそれぞれ10サンプルの算術平均値とする。
特定集合体に含まれる繊維状炭素は、長さが、1μm以上100μm以下であることが好ましく、2μm以上80μm以下であることがより好ましく、3μm以上60μm以下であることが更に好ましい。
特定集合体に含まれる繊維状炭素は、直径が、20nm以上300nm以下であることが好ましく、25nm以上250nm以下であることがより好ましく、30nm以上200nm以下であることが更に好ましい。
特定集合体を構成する繊維状炭素の長さ及び直径は、以下の方法で測定する。
上述の「特定集合体の最大径、短軸X、及び長軸Yの測定」において観察した潤滑組成物の塗布物を電子顕微鏡で観察し、特定集合体を構成する繊維状炭素の長さ及び直径を計測する。特定集合体の測定サンプル数は10とし、1つの特定重合体につき2本の繊維状炭素について測定を行い、「特定集合体を構成する繊維状炭素の長さ」及び「特定集合体を構成する繊維状炭素の直径」はそれぞれ20点分(10サンプル×2本)の測定値の算術平均値とする。
特定集合体に含まれる繊維状炭素の数は、複数(即ち、2本以上)であればよく、特に限定はされない。
特定重合体に含まれる繊維状炭素は、入手容易性、熱伝導性等の観点から、カーボンナノチューブであることが好ましい。
特定集合体の含有量は、潤滑油に対して、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、7.5質量%以上45質量%以下であることが好ましく、10質量%以上40質量%以下であることが特に好ましい。
特定集合体の含有量を5質量%以上とすることで、特定集合体を含有することによる、潤滑組成物の熱伝導性が向上し易くなる。
一方、特定集合体の含有量を50質量%以下とすることで、潤滑油及び特定集合体の双方により摩耗性が低下し易くなる。
(その他添加剤)
本実施形態に係る潤滑組成物は、潤滑油及び特定集合体以外の、その他添加剤を含んでもよい。
その他添加剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子等のフッ素樹脂粒子;シリコーン粒子;酸化防止剤等の周知の添加剤が挙げられる。
(潤滑組成物の製造方法)
本実施形態に係る潤滑組成物は、例えば、次の通り製造される。なお、以下に説明する潤滑組成物の製造方法は、一例である。
まず、潤滑油と繊維状炭素とを混合し、繊維状炭素分散潤滑油を調製する。
得られた繊維状炭素分散潤滑油に対しては、高圧分散処理を施す。高圧分散処理を施すことにより、潤滑油中にて繊維状炭素がほぐれ個々に単離し、更に、潤滑油中の繊維状炭素の長さが調製される。
ここで、高圧分散処理の条件としては、繊維状炭素が個々に単離し、繊維状炭素の長さを目的の値に調整する条件であればよい。例えば、高圧分散処理としては、分散液の液温を25℃以上90℃以下とし、1MPa以上100MPa以下(好ましくは、3MPa以上80MPa以下)の圧力下で行うことが好ましい。
高圧分散処理は、高圧ホモジナイザー等が用いられる。
なお、潤滑油中の繊維状炭素の長さは、1μm以上100μm以下(好ましくは、3μm以上50μm以下)程度に調整されることが好ましい。
ここで、潤滑油中の繊維状炭素の長さは、光学顕微鏡又は電子顕微鏡での観察により測定しうる。
潤滑油中の繊維状炭素の長さにより特定集合体の最大径を制御することができ、具体的には、繊維状炭素が長いほど、最大径の大きな集合体を製造しうる傾向がある。
次に、繊維状炭素分散潤滑油を、プラネタリーミキサーにて撹拌することで、その系中で特定集合体を製造する。
繊維状炭素分散潤滑油をプラネタリーミキサーにより撹拌することで、繊維状炭素分散潤滑油中にて個々に単離していた繊維状炭素が、徐々に絡み合って塊状になり、特定集合体が製造される。
ここで、プラネタリーミキサーによる撹拌条件としては、目的とする最大径の特定集合体が得られる条件であればよい。
例えば、撹拌条件としては、繊維状炭素分散潤滑油の液温を25℃以上60℃以下とし、3分~90分間で行うことが好ましい。
撹拌条件により特定集合体の最大径を制御することができ、具体的には、プラネタリーミキサーによる撹拌時間が長いほど、最大径の大きな集合体を製造しうる傾向がある。
繊維状炭素分散潤滑油に含まれる繊維状炭素の全てが特定集合体となってもよく、特定集合体と共に、一部、特定集合体を形成していない繊維状炭素(即ち、互いに絡み合っていない繊維状炭素)が残っていてもよい。
以上のようにして、潤滑油と特定集合体とを含む潤滑組成物が得られる。
なお、プラネタリーミキサー回転数により、特定集合体の長軸Xに対する短軸Yの比(短軸Y/長軸X)を制御することができ、具体的には、プラネタリーミキサー回転数が多い方が小さい集合体を製造しうる傾向がある。
(潤滑組成物の特性)
本実施形態に係る潤滑組成物の熱伝導率は、0.1W/m・K以上30W/m・K以下であることが好ましく、1W/m・K以上20W/m・K以下であることがより好ましく、2W/m・K以上15W/m・K以下であることが更に好ましい。
潤滑組成物の熱伝導率は、以下のようにして測定する。
即ち、潤滑組成物の試料の厚み方向の熱拡散率から熱伝導率を求める。具体的には、試験片を、熱伝導率測定装置アイフェイズ・モバイル(株式会社アイフェイズ製)のプローブに載せた後、50gfの錘を置き、マニュアルモードで、1.41V、3Hz~100Hzを10分割、測定時間2秒の条件で、熱伝導率を3回測定する。3回の測定値の算術平均値を、潤滑組成物の熱伝導率とする。
(画像形成装置/定着装置)
本実施形態に係る画像形成装置は、
像保持体と、
像保持体表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
現像剤を用いて前記潜像をトナー像に現像する現像装置と、
記録媒体に現像された前記トナー像を転写する転写装置と、
前記記録媒体上の前記トナー像を定着する定着装置と、
を備える。
本実施形態に係る画像形成装置に備える定着装置は、
第1回転体と、
第1回転体に接して配設される第2回転体と、
第2回転体の内面に配設され、第2回転体の内面から第2回転体を第1回転体へ押圧する押圧部材と、
第2回転体の内面と前記押圧部材との間に介在する摺動部材と、
第2回転体の内面と前記摺動部材との間に介在する潤滑組成物と、
を備える。
そして、本実施形態に係る定着装置に備える潤滑組成物は、上記本実施形態に係る潤滑組成物が提供される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置及び定着装置の一例について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。図2は、本実施形態に係る定着装置の一例を示す概略図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図1に示すように、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4のプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10K(画像形成ユニットの一例)を備えている。これらのプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Kは、中間転写ベルト20の外周面に沿って互いに離間して並設されている。なお、これらプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して脱着可能となっている。
各プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Kの上方(図1中)には、中間転写体としての中間転写ベルト20がその外周面を各プロセスカートリッジに対して対向するように設けられている。中間転写ベルト20は、互いに離間して配置された駆動ローラ22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24に巻回されて張力を付与されつつ配設され、第1プロセスカートリッジ10Yから第4プロセスカートリッジ10Kに向う方向に無端走行されるようになっている。
なお、支持ローラ24は、不図示のバネ等の弾性部材により駆動ローラ22から離れる方向に押し付けされており、両者の間に巻回された中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の外周面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置20aが備えられている。
第1乃至第4プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10Kは、略同一の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1プロセスカートリッジ10Yについて代表して説明する。尚、第1プロセスカートリッジ10Yと同一の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した同一参照符号を付すことにより、第2乃至第4プロセスカートリッジ10M、10C、10Kの説明を省略する。
第1プロセスカートリッジ10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を所定の電位に帯電させる帯電ローラ(帯電装置の一例)2Y、現像剤に含む帯電したトナーを静電潜像に供給して静電潜像を現像する現像装置4Y、及び1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置6Yが順に配設されている。これらはハウジング11Y(筐体)内に一体的に構成されている。第1プロセスカートリッジ10M乃至10Yも同様に、各部材がハウジング11M乃至11Y(筐体)内に一体的に構成されている。
そして、第1プロセスカートリッジ10Yと共に、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ5Y(1次転写装置の一例)、及び帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電潜像を形成する露光装置3が配置され、画像形成部を構成している。
なお、帯電ローラ2Yと露光装置3とが潜像形成装置の一例に該当する。
なお、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
定着装置28は、図2に示すように、加熱ロール30(第1回転体の一例)及び加圧ベルト40(第2回転体の一例)が備えられており、加熱ロール30及び加圧ベルト40が対向して設けられている。加圧ベルト40は、その周内部に配置された押圧パッド50(押圧部材の一例)により加熱ロール30に押圧され、圧接して接触部が形成されつつ、ベルト走行ガイド52に沿ってガイドされ、加熱ロール30からの駆動力を受けることで従動する。なお、図中、Tはトナー像を示す。
加熱ロール30は、例えば、内部にハロゲンランプ等の加熱源31を有する金属製の中空芯金属コア30aに弾性体層30b及び離型層30cが順次形成されて構成されている。
金属コア30aは、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属製の円筒状体で構成される。弾性体層30bは、例えば、HTVシリコーンゴムやフッ素ゴム等(JIS-Aのゴム硬度45度程度、ゴム硬度は、Teclock社製のスプリングタイプのA型硬度計により、JIS K6301に準拠して、荷重1,000gfを付加して計測したもの)を2mm以上5mm以下程度の厚さで構成される。離型層30cは、例えば、フッ素ゴムやシリコーンゴム、フッ素樹脂等が20μm以上50μm以下の厚さで構成される。無論、これらに限られず、従来公知の材料により構成してもよい。
加熱ロール30は、定着ロールは図示しない駆動源によって速度を調整、例えば260mm/secの周速で回転駆動される。加熱ロール30の外径は一般に例えば25mm以上80mm以下程度である。
加熱ロール30の表面温度は、表面に接触する不図示の温度センサーで検出され、表面温度が例えば175℃となるように、不図示の制御回路によって制御される。
加圧ベルト40は、例えば、ポリイミド樹脂等の耐熱性樹脂を含んで構成される樹脂基材上に離型層を形成されて構成されている。樹脂基材及び離型層は、従来公知の材料により構成される。
押圧パッド50は、記録媒体Pの進行方向に沿って、異なる硬度の2つの押圧部51a、51bを有する。押圧パッド50における記録媒体P突入側の押圧部51aをゴム状弾性部材から構成させ、記録媒体P排出側の押圧部51bを金属等の硬い圧力付与部材から構成させ、接触領域の圧力を記録媒体P突入側より記録媒体P排出側が高くさせている。押圧部51a、51bは、ホルダ51cにより支持され、摺動シート60(摺動部材の一例)を介して加圧ベルト40内周面から加熱ロール30を押圧している。
そして、摺動シート60と加圧ベルト40の内周面との間には、潤滑組成物62を介在させている。なお、潤滑組成物62は、例えば、ベルト走行ガイド52の一部に設けられた潤滑組成物供給部材64により加圧ベルト40の内周面に供給され、摺動シート60と加圧ベルト40の内周面との間に介在される。
摺動シート60(摺動部材の一例)は、耐熱性樹脂で構成されたシートを適用することがよい。また、摺動シート60には、周知のその他添加剤が添加されていてもよい。
耐熱性樹脂としては、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルサホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、アラミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂等が挙げられるが、耐熱性及び摺動性の点からフッ素樹脂が好ましい。
フッ素樹脂は、電子線架橋が施されたフッ素樹脂も好適に挙げられ、具体的には、例えば、電子線架橋が施されたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好適に挙げられる。なお、非架橋のフッ素樹脂(例えば非架橋PTFE)に、電子線架橋が施されたフッ素樹脂(例えば、電子線架橋PTFE)を配合して用いてもよい。
なお、耐熱性樹脂とは、装置の昇温温度(例えば定着温度)に達しても、溶けたり分解したりしない樹脂である。
摺動シート60は、多孔質化されたもの(多数の細孔を有するもの)であってもよい。これにより潤滑組成物62の保持能が向上される。多孔質化させた摺動シート60は、例えば、耐熱性樹脂を発泡させて多孔質化したもの、耐熱性樹脂を一軸若しくは二軸方向に延伸して多孔質化したもの、又は焼結成型等が挙げられる。
また、多孔質化された摺動シート60を採用する場合、押圧パッド50側に潤滑組成物62の浸透を防止する潤滑組成物透過防止部材(シート部材)を摺動シート60と押圧パッド50との間に介在させることがよい。
潤滑組成物62の供給量は、摺動シート表面を覆うことが可能な量であればよい。余剰分は使用に伴い、機能上問題のない箇所に移動する(供給フェルトやガイド表面)為である。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の画像形成動作について説明する。なお、第1プロセスカートリッジ10Yにおいてイエロー画像を形成する動作を代表して、画像形成動作について説明する。
まず、画像形成動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が例えば-600V以上-800V以下程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、例えば導電性の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、例えば通常は高抵抗であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電潜像が感光体1Yの表面に形成される。
このようにして感光体1Y上に形成された静電潜像は、感光体1Yの走行に従って現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電潜像が、現像装置4Yによって可視像(トナー像)化される。
現像装置4Y内には、例えば、イエロートナー及びキャリアを含む現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有している。感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にのみイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が1次転写位置へ搬送される。
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向う静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1プロセスカートリッジ10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に定電流制御されている。
また、第2プロセスカートリッジ10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも同様に制御されている。
こうして、第1プロセスカートリッジ10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4プロセスカートリッジ10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が同様に重ねられて多重転写される。
第1乃至第4プロセスカートリッジを通して全ての色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写装置の一例例)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録媒体Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20との間に給紙され、2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と同極性の(-)極性であり、中間転写ベルト20から記録媒体Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録媒体P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、定電圧で制御されている。
なお、中間転写ベルト20、1次転写ローラ5Y及び2次転写ローラ26が転写装置の一例に該当する。
この後、記録媒体Pは定着装置28へ送り込まれ、矢印方向に回転駆動される加熱ロール30と、加圧ベルト40とが圧接し形成された接触領域に挿通される。この際、記録媒体Pの未定着のトナー像が形成された面と、加熱ロール30の表面とが、向き合うように記録媒体Pが挿通される。この接触領域を記録媒体Pが通過した際に、熱及び圧力が記録媒体Pに加えられることにより、未定着のトナー像が、記録媒体Pに定着される。定着後の記録媒体は接触領域を通過後、加熱ロール30から剥離され、定着装置28から排出される。
このようにして定着処理が成され、記録媒体P上へ永久定着される。カラー画像の定着が完了した記録媒体Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
以下に実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
<実施例1>
表1に示す潤滑油と、カーボンナノチューブ(昭和電工株式会社製)とを混合し、CNT分散潤滑油を得た。混合するカーボンナノチューブ量は、得られる特定集合体の含有量が表1に示す値となる量とした。
次に、CNT分散潤滑油に対して、高圧ホモジナイザー(三丸機械工業株式会社製、HC3)にて高圧分散処理(条件:50MPaで5回)を施した。
続いて、高圧分散処理後の分散液100質量部に対して、ポリアミック酸溶液(ユニチカ社製:TX-HMM(ポリイミドワニス)、固形分濃度:18質量%、溶媒:NMP)を530質量部添加して前駆体液を調製した。得られた前駆体液(液温30℃)をプラネタリーミキサー(株式会社愛工舎製作所社製、ACM-5LVT)にて、真空引きしながら、回転数として公転30rpm、自転60rpmで15分間攪拌した。
以上により、複数のカーボンナノチューブが互いに絡み合ってなる集合体(即ち、特定集合体)と潤滑油とを含む潤滑組成物を得た。
<実施例2~5>
プラネタリーミキサーの回転数及びプラネタリーミキサーによる撹拌時間を下記条件に変更した以外は、実施例1と同様に潤滑組成物を得た。
・実施例2:回転数(公転15rpm自転35rpm)、撹拌時間15分
・実施例3:回転数(公転20rpm自転40rpm)、撹拌時間15分
・実施例4:回転数(公転40rpm自転70rpm)、撹拌時間15分
・実施例5:回転数(公転50rpm自転100rpm)、撹拌時間15分
<実施例6~9>
表1に示すように、熱伝導材料(CNT集合体)の含有量を変更した以外は、実施例1と同様に潤滑組成物を得た。
<実施例10>
潤滑油を「ジメチルシリコーンオイル」に変更した以外は、実施例1と同様に潤滑組成物を得た。
<実施例11>
潤滑油を「パーフロオロポリエーテルオイル」に変更し、フッ素系界面活性剤を添加した以外は、実施例1と同様に潤滑組成物を得た。
<実施例12>
フッ素系界面活性剤を添加しない以外は、実施例11と同様に潤滑組成物を得た。
<比較例1~2>
表1に示す潤滑油と熱伝導性材料とを表1に示す配合量で混合して、潤滑組成物を得た。
<特性>
各例の潤滑組成物の下記特性について、既述の方法に従って測定した。
・熱伝導率
・複数のカーボンナノチューブが互いに絡み合ってなる集合体の、最大径、短軸X及び長軸Y
<評価>
各例の潤滑組成物を、摺動シートの摺動面に塗布し、潤滑組成物付き摺動シートを得た。
得られた潤滑組成物付き摺動シートを、富士フイルムビジネスイノベーション(株)製画像形成装置「Color1000 Press」の定着装置における摺動部に装着した。
得られた装置を評価機とし、次の評価を実施した。
(定着装置の駆動モータトルク測定)
A4紙に、ベタ画像を30万枚連続出力した後、定着装置の駆動モータトルクを次の通り測定した。
駆動モータトルクは、定着装置を駆動するDCモーターの電流値から算出して導出した。あらかじめ既知の駆動負荷に対する駆動モータの回転数と駆動力(トルク)の特性を計測しておき、実際の対象物の駆動モータ駆動電流から、駆動モータトルク(Nm)を算出した。
(用紙しわ)
A4紙に、ベタ画像を連続出力した。そして、用紙にしわが発生したときの、出力した用紙の累積枚数を基に下記評価基準にて評価を行った。
A:用紙の累積枚数が30万枚で用紙しわ未発生
B:用紙しわが発生したときの、用紙の累積枚数が20万枚以上30万枚未満
C:用紙しわが発生したときの、用紙の累積枚数が10万枚以上20万枚未満
D:用紙しわが発生したときの、用紙の累積枚数が5万枚以上10万枚未満
E:用紙しわが発生したときの、用紙の累積枚数が5万枚未満
(画像濃度むら)
A4紙に、ベタ画像を連続出力した。そして、ベタ画像に濃度むらが発生したときの、出力した用紙の累積枚数を基に下記評価基準にて評価を行った。
A:用紙の累積枚数が30万枚で画像濃度むら未発生
B:画像濃度むらが発生したときの、用紙の累積枚数が20万枚以上30万枚未満
C:画像濃度むらが発生したときの、用紙の累積枚数が10万枚以上20万枚未満
D:画像濃度むらが発生したときの、用紙の累積枚数が5万枚以上10万枚未満
E:画像濃度むらが発生したときの、用紙の累積枚数が5万枚未満
なお、表1に示す例で使用した材料又は略称の詳細は以下の通りである。
・アミノ変性シリコーンオイル:信越化学工業(株)社製「KF8009」
・ジメチルシリコーンオイル:信越化学工業(株)社製「KF96」
・パーフロオロポリエーテルオイル:(株)ダイキン工業社製「デムナム」
・フッ素系界面活性剤:(株)ダイキン工業社製「フッ素片側末端変性親和剤SA」
・CNT集合体:複数のカーボンナノチューブ(昭和電工株式会社製、直径0.4nm、長さ6μm)が互いに絡み合ってなる集合体
・CNT単体:(昭和電工株式会社製、直径0.4nm、長さ6μm)
・チタン酸カリウム:大塚化学社製「デントール」最大径=10μm
Figure 2023006752000002
上記結果から、実施例の潤滑組成物は、比較例の潤滑組成物に比べ、定着装置の駆動モータトルクが低く、用紙しわ及び画像濃度むらの発生も抑制されていることがわかる。
それにより、実施例の潤滑組成物は、比較例の潤滑組成物に比べ、熱伝導率が高く、かつ潤滑性も高いことがわかる。
1Y、1M、1C、1K 感光体
2Y、2M、2C、2K 帯電ローラ
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3 露光装置
4Y、4M、4C、4K 現像装置
5Y、5M、5C、5K 1次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置
10Y、10M、10C、10K プロセスカートリッジ
20 中間転写ベルト
20a 中間転写体クリーニング装置
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ
28 定着装置
30 加熱ロール
40 加圧ベルト
50 押圧パッド
52 ベルト走行ガイド
60 摺動シート
62 潤滑組成物
64 潤滑組成物供給部材
100 画像形成装置
P 記録媒体

Claims (12)

  1. 潤滑油と、複数の繊維状炭素が互いに絡み合ってなる集合体と、を含む潤滑組成物。
  2. 前記繊維状炭素が、カーボンナノチューブである請求項1に記載の潤滑組成物。
  3. 前記集合体の最大径が、5μm以上100μm以下である請求項1又は請求項2に記載の潤滑組成物。
  4. 前記集合体の最大径が、20μm以上80μm以下である請求項3に記載の潤滑組成物。
  5. 前記集合体の、短軸Xに対する長軸Yの比(アスペクト比=長軸Y/短軸X)が、30以上200以下である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
  6. 前記集合体の含有量が、前記潤滑油に対して5質量%以上50質量%以下である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
  7. 前記集合体の含有量が、前記潤滑油に対して10質量%以上40質量%以下である請求項6に記載の潤滑組成物。
  8. 前記潤滑油として、シリコーンオイル及びパーフロオロポリエーテルよりなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の潤滑組成物。
  9. 前記シリコーンオイルが、アミノ変性シリコーンオイルである請求項8に記載の潤滑組成物。
  10. 前記潤滑油として、パーフロオロポリエーテルを含む場合、さらにフッ素系界面活性剤を含む請求項8又は請求項9に記載の潤滑組成物。
  11. 第1回転体と、
    前記第1回転体に接して配設される第2回転体と、
    前記第2回転体の内面に配設され、前記第2回転体の内面から前記第2回転体を前記第1回転体へ押圧する押圧部材と、
    前記第2回転体の内面と前記押圧部材との間に介在する摺動部材と、
    前記第2回転体の内面と前記摺動部材との間に介在する、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の潤滑組成物と、
    を備える定着装置。
  12. 像保持体と、
    像保持体表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
    現像剤を用いて前記潜像をトナー像に現像する現像装置と、
    記録媒体に現像された前記トナー像を転写する転写装置と、
    前記記録媒体上の前記トナー像を定着する、請求項11に記載の定着装置と、
    を備える画像形成装置。
JP2021109504A 2021-06-30 2021-06-30 潤滑組成物、定着装置、及び画像形成装置 Pending JP2023006752A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021109504A JP2023006752A (ja) 2021-06-30 2021-06-30 潤滑組成物、定着装置、及び画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021109504A JP2023006752A (ja) 2021-06-30 2021-06-30 潤滑組成物、定着装置、及び画像形成装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023006752A true JP2023006752A (ja) 2023-01-18

Family

ID=85106903

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021109504A Pending JP2023006752A (ja) 2021-06-30 2021-06-30 潤滑組成物、定着装置、及び画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023006752A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8965261B2 (en) Image heating apparatus
US9152109B2 (en) Fixing member including elastic layer having heat diffusivity, fixer and image forming apparatus
JP2012198516A (ja) 像加熱装置、その像加熱装置に用いられるフィルム、及び、そのフィルムの最内層として用いる筒状の可撓性樹脂の製造方法
US8422922B2 (en) Tubular body, tubular body supporting apparatus, image fixing apparatus, and image forming apparatus
JP5761064B2 (ja) 定着装置用ローラ、定着装置、及び、画像形成装置
JP2013068724A (ja) 摺動シート、定着装置および画像形成装置
US20120076556A1 (en) Fixing device and image forming apparatus
JP2013061383A (ja) 管状部材、無端ベルト、定着装置および画像形成装置
JP7286340B2 (ja) 像加熱装置および画像形成装置
JP7263722B2 (ja) 定着ベルト、定着装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び定着ベルト用基材
JP2023006752A (ja) 潤滑組成物、定着装置、及び画像形成装置
JP5365249B2 (ja) 無端ベルト
JP5386907B2 (ja) 定着装置、及び画像形成装置
JP2020197670A (ja) 定着ベルト、定着装置および画像形成装置
JP2019158928A (ja) 定着ベルト部材、定着装置、及び、画像形成装置
US9417564B2 (en) Image forming apparatus having rollers, belt and a tension applying unit
JP7467245B2 (ja) 熱定着装置及び画像形成装置
US20230303944A1 (en) Grease composition, heating device, and electrophotographic image forming apparatus
JP2012068479A (ja) 定着部材、定着装置、および画像形成装置
JP2022029238A (ja) グリース組成物および加熱装置
JP2023143791A (ja) グリース組成物、加熱装置および電子写真画像形成装置
CN116804841A (zh) 润滑脂组合物、加热装置和电子照相图像形成设备
JP2023023968A (ja) 定着ベルト、定着装置及び画像形成装置
JP2008165018A (ja) 定着部材、画像定着装置、及び画像形成装置
JP2013200527A (ja) 定着部材、定着装置、および画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240226