JP2023006657A - 力学量測定装置 - Google Patents

力学量測定装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2023006657A
JP2023006657A JP2021109369A JP2021109369A JP2023006657A JP 2023006657 A JP2023006657 A JP 2023006657A JP 2021109369 A JP2021109369 A JP 2021109369A JP 2021109369 A JP2021109369 A JP 2021109369A JP 2023006657 A JP2023006657 A JP 2023006657A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
measuring device
quantity measuring
mechanical quantity
base plate
semiconductor chip
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021109369A
Other languages
English (en)
Inventor
宏明 四方
Hiroaki Yomo
健太郎 宮嶋
Kentaro Miyajima
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Glosel Co Ltd
Original Assignee
Glosel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Glosel Co Ltd filed Critical Glosel Co Ltd
Priority to JP2021109369A priority Critical patent/JP2023006657A/ja
Publication of JP2023006657A publication Critical patent/JP2023006657A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Measurement Of Length, Angles, Or The Like Using Electric Or Magnetic Means (AREA)
  • Die Bonding (AREA)

Abstract

【課題】力学量測定装置の性能を向上させる。【解決手段】力学量測定装置1は、歪検知回路が形成された半導体チップ2と、半導体チップ2を搭載する絶縁性のベース板3と、を備えている。半導体チップ2は、接合材5を介してベース板3に接合されており、接合材5は、好ましくは半田または金属ナノ粒子からなる。力学量測定装置1は、導電性の接合材8を用いて測定対象物7に取り付けられる。測定対象物7で生じた歪は、接合材8、ベース板3および接合材5を介して半導体チップ2に伝達される。【選択図】図3

Description

新規性喪失の例外適用申請有り
本発明は、力学量測定装置に関する。
特開2009-264976号公報(特許文献1)には、半導体歪センサーに関する技術が記載されており、歪センサーチップをベース板に搭載した半導体歪センサーが開示されている。
特開2012-47608号公報(特許文献2)には、ブリッジ回路を用いた力学量測定装置に関する技術が記載されている。
特開2009-264976号公報 特開2012-47608号公報
A.H.Chokshi,A.Rosen,J.Karch and H.Gleiter;Scripta METALLURGICA:Vol23,1989,pp.1679-1684
ベース板に歪センサーチップを搭載すると、半導体歪センサーを扱いやすくなる。しかしながら、金属からなるベース板に歪センサーチップを搭載した半導体歪センサーの場合には、半導体歪センサーの使用形態に制限が生じるなどして、半導体歪センサーの使い勝手が悪くなり、また、半導体歪センサーの性能が低下する虞がある。
例えば、金属からなるベース板に歪センサーチップを搭載した半導体歪センサーを、金属からなる測定対象物に取り付けた場合には、測定対象物とベース板とが導通してしまい、半導体歪センサーと測定対象物との間に電流が流れる虞があり、半導体歪センサーが、測定対象物からの電気的ノイズの影響を受けてしまう懸念がある。かといって、半導体歪センサーと測定対象物との間の導通と防ぐために、金属からなるベース板に歪センサーチップを搭載した半導体歪センサーを、絶縁性の接着剤を用いて測定対象物に取り付けた場合には、半田などの導電性の接合材を用いた場合に比べて、半導体歪センサーの性能が低下する虞がある。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
一実施の形態によれば、力学量測定装置は、歪検出部と、前記歪検出部を搭載する絶縁性の構造体と、を備える。
一実施の形態によれば、力学量測定装置の使い勝手がよくなる。また、力学量測定装置の性能を向上させることができる。
実施の形態1の力学量測定装置を示す平面図である。 実施の形態1の力学量測定装置を示す断面図である。 図1および図2の力学量測定装置を測定対象物に取り付けた状態を模式的に示す断面図である。 図1および図2の力学量測定装置で用いられている半導体チップの平面構成を示す説明図である。 検討例の学量測定装置を測定対象物に取り付けた状態を模式的に示す断面図である。 応力分布を解析した結果を示す説明図である。 実施の形態2の力学量測定装置を示す平面図である。 実施の形態2の力学量測定装置を示す断面図である。 ひずみ伝達率を解析した結果の一例を示したグラフである。 実施の形態3の力学量測定装置を示す平面図である。 実施の形態3の力学量測定装置を示す断面図である。 実施の形態4の力学量測定装置を示す平面図である。 実施の形態4の力学量測定装置を示す平面透視図である。 実施の形態3の力学量測定装置を示す断面図である。 実施の形態3の力学量測定装置を示す断面図である。 実施の形態3の力学量測定装置を示す断面図である。 実施の形態5の力学量測定装置を示す平面透視図である。 実施の形態5の力学量測定装置を示す断面図である。 実施の形態5の力学量測定装置を示す断面図である。 実施の形態6の力学量測定装置を示す平視図である。 実施の形態6の力学量測定装置を示す断面図である。 フレキシブル基板を取り付ける前の実施の形態6の力学量測定装置を示す平面図である。 フレキシブル基板を取り付ける前の実施の形態6の力学量測定装置を示す断面図である。
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
(実施の形態1)
<力学量測定装置の構成について>
本実施の形態の力学量測定装置1を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の力学量測定装置1を示す平面図(上面図)であり、図2は、本実施の形態の力学量測定装置1を示す断面図である。図1には、力学量測定装置1の上面側の平面図が示されており、図1のA1-A1線の位置での断面図が、図2にほぼ対応している。なお、図1および以降の各図に示されるX方向およびY方向は、互いに直交する方向である。また、X方向およびY方向は、ベース板3の上面に略平行な方向であり、従って、半導体チップ2の主面に略平行な方向でもある。
図1および図2に示されるように、本実施の形態の力学量測定装置1は、歪検出部としての半導体チップ(歪センサーチップ)2と、半導体チップ2を搭載(支持、固定)する構造体としてのベース板(構造体)3と、を有している。半導体チップ2は、ベース板3上に接合材5を介して搭載されている。
半導体チップ2は、歪検知回路(歪検出回路、歪センサ回路)が形成された半導体チップ、すなわち歪センサーチップである。半導体チップ2は、歪(ひずみ)を検出する機能を有しているため、歪検出部とみなすことができる。ベース板3は、半導体チップ2を搭載する絶縁性の構造体である。
具体的には、ベース板3は、絶縁材料からなるベース板(基板)であるが、ベース板3には、必要に応じて導体パターン(導体層、配線層)4が形成されている。導体パターン4を、ベース板3の構成要素の一部とみなすこともできる。すなわち、ベース板3は、主として絶縁材料からなるが、導体パターン4を含むこともできる。
図1および図2の場合は、導体パターン4として、導体パターン4a,4bがベース板3の上面に形成されている。このうち、導体パターン4aは、ベース板3の上面における半導体チップ2を搭載する領域に形成されている。また、導体パターン4bは、ベース板3の上面における半導体チップ2を搭載する領域の周囲に形成されている。ベース板3は、好ましくはセラミック(セラミック材料)からなる。このため、ベース板3は、好ましくはセラミック基板からなる。導体パターン4は、好ましくは金属材料からなり、例えばモリブデン(Mo)とタングステン(W)の合金膜などからなる。なお、ベース板3の上面は、半導体チップ2を搭載する側の主面に対応し、ベース板3の下面は、上面とは反対側の主面に対応している。
平面視において、半導体チップ2は、半導体チップ2の中心に対して点対称な平面形状を有しており、半導体チップ2の平面形状は、好ましくは正方形状(略正方形)である。また、平面視において、ベース板3は、ベース板3の中心に対して点対称な平面形状を有しており、ベース板3の平面形状は、好ましくは正方形状である。図1の場合は、半導体チップ2およびベース板3のそれぞれは、X方向に平行な辺とY方向に平行な辺とを有する正方形状を有している。
半導体チップ2は、ベース板3の上面の中央に搭載されていることが好ましく、平面視において、半導体チップ2の中心がベース板3の中心にほぼ一致するように半導体チップ2が配置されていれば、更に好ましい。また、半導体チップ2とベース板3とが正方形状の場合は、半導体チップ2の四辺がベース板3の四辺とそれぞれ平行となるように半導体チップ2が配置されていれば、より好ましく、図1にはこの場合が示されている。他の形態として、半導体チップ2の各辺がベース板3の各辺に対して45°傾斜するように、半導体チップ2を配置させる場合もあり得る。ここで、平面視とは、半導体チップ2の主面またはベース板3の上面に略平行な平面で見た場合に対応している。
半導体チップ2は、ベース板3の上面の導体パターン4a上に、接合材(接合層)5を介して接合されて固定されている。すなわち、半導体チップ2と導体パターン4aとの間には、接合材5が介在している。接合材5としては、絶縁性の接着剤を用いることもできるが、導電性の接合材がより好ましく、半田または金属ナノ粒子を好適に用いることができる。ここで、典型的には、平均粒径が1~数百nmの金属粒子からなる金属材料を金属ナノ粒子と呼ぶ。接合材5として金属ナノ粒子を用いる場合は、例えば銅ナノ粒子を好適に用いることができる。
導体パターン4aは、半導体チップ2をベース板3に接合材5で接合しやすくするために設けられている。導体パターン4aが無くとも、ベース板3の上面に直接的に半導体チップ2を接合材5で接合できるのであれば、ベース板3の上面に導体パターン4aを形成しなくともよい。しかしながら、接合材5として、絶縁性の接合材ではなく、導電性の接合材を用いる場合は、導体パターン4aが無いと、半導体チップ2を導電性の接合材5を介してベース板3に接合しにくい。このため、本実施の形態では、ベース板3の上面に導体パターン4aを形成しておき、その導体パターン4a上に導電性の接合材5を介して半導体チップ2を搭載している。これにより、半導体チップ2を導電性の接合材5を介して導体パターン4aに強固に接合し、半導体チップ2をベース板3に搭載して固定することができる。
導体パターン4bは、半導体チップ2の電極2aと電気的に接続するための電極(端子)であり、ベース板3の上面に複数形成されている。以下では、導体パターン4bを電極4bと称する場合がある。半導体チップ2は、複数の電極(パッド電極)2aを有しており、それら複数の電極2aは、半導体チップ2の主面(上面)に形成されている。半導体チップ2の複数の電極2aと、ベース板3の上面に形成された複数の電極4bとは、複数の導電性のワイヤ(ボンディングワイヤ)6を介して電気的に接続されている。ワイヤ6は、金属細線からなる。ワイヤ6の一方の端部が、半導体チップ2の電極2aと接続され、ワイヤ6の他方の端部が、ベース板3の上面に形成された電極4bと接続されている。
また、本実施の形態では、半導体チップ2の複数の電極2aと、ベース板3の上面に形成された複数の電極4bとを、複数のワイヤ6を介して電気的に接続しているが、他の形態として、ベース板3の上面に電極4bを形成しない場合もあり得る。その場合は、ベース板3にフレキシブル基板を接続し、そのフレキシブル基板の複数の電極と、半導体チップ2の複数の電極2aとを、複数のワイヤを介して電気的に接続すればよい。
図3は、力学量測定装置1を測定対象物7に取り付けた(貼り付けた)状態を模式的に示す断面図である。
図3に示されるように、力学量測定装置1を測定対象物7に取り付ける(貼り付ける)際は、力学量測定装置1のベース板3の下面が測定対象物7に接合材8を介して接合されて固定される。接合材8は、絶縁性の接着剤を用いることもできるが、より好ましくは導電性の接合材であり、半田などを好適に用いることができる。また、測定対象物7は、導電性を有していてもよく、例えば金属材料からなる。
ベース板3は、絶縁性のベース板であるため、測定対象物7が導電性材料(好ましくは金属材料)からなる場合に、接合材8として導電性の接合材(好ましくは半田)を用いても、測定対象物7とベース板3とが導通するのを回避でき、従って、測定対象物7と半導体チップ2とが導通するのを回避することができる。
また、接合材8によるベース板3と測定対象物7との接合を容易とするために、ベース板3の下面にも導体パターン(図示せず)を形成しておき、そのベース板3の下面の導体パターンと測定対象物7とを接合材8を介して接合することもできる。その場合、そのベース板3の下面の導体パターンは、ベース板3の上面の導体パターン4a,4bや半導体チップ2とは電気的に接続されていないことが好ましい。
力学量測定装置1を測定対象物7に取り付けた(貼り付けた)ことで、測定対象物7に発生した歪を、力学量測定装置1により検知することができる。すなわち、測定対象物7で発生した歪は、接合材8を介してベース板3に伝わり、更にベース板3から接合材5を介して半導体チップ2に伝わる。測定対象物7から接合材8、ベース板3および接合材5を介して半導体チップ2に伝達された歪は、半導体チップ2に形成されている歪検知回路で検知される。このため、接合材5は、半導体チップ2をベース板3に固定する役割だけでなく、ベース板3から半導体チップ2に歪を伝達する役割も有している。
ここでは、本実施の形態の力学量測定装置1を測定対象物7に取り付ける場合について図示および説明したが、後述の実施の形態2~6の力学量測定装置1a~1eを測定対象物7に取り付ける場合も同様である。
次に、力学量測定装置1の製造工程の一例について説明する。
力学量測定装置1を製造するには、まず、半導体チップ2とベース板3を用意する。それから、半導体チップ2を、接合材5を介してベース板3に搭載して接合する。それから、ワイヤボンディング工程を行って、半導体チップ2の複数の電極2aとベース板3の上面の複数の電極4bとを、複数のワイヤ6を介してそれぞれ電気的に接続する。その後、半導体チップ2を封止する封止樹脂(図示せず)を形成してもよい。
<半導体チップについて>
次に、半導体チップ2の構成例について、図4を参照して説明する。図4は、半導体チップ2の平面構成を示す説明図である。
半導体チップ2は、歪検知回路が形成された半導体チップ、すなわち歪センサーチップである。半導体チップ2を構成する半導体基板11は、例えばシリコン(具体的には単結晶シリコン基板)からなる。半導体基板11は、半導体チップ2の中心に対して点対称な平面形状を有しており、好ましくは正方形状の平面形状を有している。
図4に示されるように、半導体チップ2を構成する半導体基板11には、半導体チップ2の中心に対して点対称に配置された4つの拡散抵抗領域12a,12b,12c,12dが形成されている。これらの4つの拡散抵抗領域12a,12b,12c,12dは、歪を電気抵抗の変化として捉えるピエゾ抵抗素子として機能する。例えば、拡散抵抗領域12aと拡散抵抗領域12cは、Y方向の歪を電気抵抗の変化として捉えるピエゾ抵抗素子として機能し、また、拡散抵抗領域12bと拡散抵抗領域12dは、X方向の歪を電気抵抗の変化として捉えるピエゾ抵抗素子として機能する。このため、これらの4つの拡散抵抗領域12a,12b,12c,12dは、歪検知回路を構成する。
半導体チップ2に形成された歪検知回路においては、4つの拡散抵抗領域12a,12b,12c,12dがブリッジ回路を構成しており、4つの拡散抵抗領域12a,12b,12c,12dにおける電気抵抗の変化に基づいて、X方向に生じる歪とY方向に生じる歪との差分に対応する信号を出力するようになっている。例えば、半導体チップ2に形成されている歪検知回路は、X方向に生じる歪とY方向に生じる歪との差分に対応する電気抵抗の変化を電圧値として出力するように構成されている。このように、X方向に生じる歪とY方向に生じる歪との差分に対応する信号を出力する歪検知回路によれば、歪検知回路からの出力信号(出力電圧)が大きくなることから、歪の検出感度を向上することができる利点が得られる。
なお、回路構成的にX方向に生じる歪とY方向に生じる歪の差分を計測する構造ならば、必ずしも4つの拡散抵抗領域とは限らない。例えば、平行に配列してあるならば4つとは限らず、4つ以上であってもよい。すなわち、図4と等価の回路であれば、拡散抵抗領域の数は4つに限定されるものではない。
<主要な特徴と効果について>
本実施の形態の主要な特徴のうちの一つは、歪検知回路が形成された半導体チップ2(歪センサーチップ)を絶縁性のベース板3に搭載(実装)したことである。半導体チップ2をベース板3に搭載したことにより、力学量測定装置1を取り扱いやすくなる。例えば、上記図3のように、力学量測定装置1のベース板3を測定対象物7に接合することにより、測定対象物7で生じた歪を力学量測定装置1で検知することができる。
図5は、本発明者が検討した検討例の力学量測定装置101を測定対象物107に取り付けた状態を模式的に示す断面図であり、上記図3に相当するものである。図5に示される検討例の力学量測定装置101は、金属材料からなる導電性のベース板103と、ベース板103上に接合材105を介して搭載された半導体チップ102とを有している。半導体チップ102は、本実施の形態の半導体チップ102に相当するものであり、歪検知回路が形成された半導体チップ(歪センサーチップ)である。図5に示されるように、検討例の力学量測定装置101を測定対象物107に取り付ける際は、力学量測定装置101のベース板103の下面が測定対象物107に接合材108を介して接合されて固定される。
検討例の力学量測定装置101では、ベース板103は、導電性のベース板である。ベース板103が導電性のベース板の場合には、力学量測定装置101の使用形態によっては不具合が生じる虞があるため、力学量測定装置101の使用形態に制限が生じるなどして、力学量測定装置101の使い勝手が悪くなり、また、力学量測定装置101の性能が低下する虞がある。
例えば、測定対象物107が金属材料(導電材料)からなる場合には、ベース板103と測定対象物107とが導通してしまうことにより、力学量測定装置101と測定対象物107との間に電流が流れる虞があり、力学量測定装置101が、測定対象物107からの電気的ノイズの影響を受けることが懸念される。また、上記特許文献1(特開2009-264976号公報)では、歪センサーチップを搭載するベース板は、測定対象物と同じ材質、あるいは熱膨張係数が略一致する材質であることが好ましいと記載されており、それに従うと、測定対象物が金属材料の場合は、歪センサーチップを搭載するベース板も金属材料により構成されることになる。歪センサーチップ(半導体チップ102)を搭載するベース板103と、測定対象物107との両方が金属材料からなる場合には、上述のように、ベース板103と測定対象物107とが導通してしまうことにより、力学量測定装置101と測定対象物107との間に電流が流れる虞があり、力学量測定装置101が、測定対象物107からの電気的ノイズの影響を受けることが懸念される。これは、力学量測定装置101の性能を低下させる。
このため、金属材料からなるベース板103を金属材料からなる測定対象物107に接合する接合材108としては、絶縁性の接着剤を用いる必要がある。これにより、金属材料からなるベース板103と金属材料からなる測定対象物107とが導通するのを防ぐことができるため、力学量測定装置101と測定対象物107との間に電流が流れるのを防ぐことができ、力学量測定装置101が測定対象物107から電気的ノイズの影響を受けてしまうのを、抑制または防止することができる。
しかしながら、力学量測定装置101を測定対象物107に接合する接合材108として、絶縁性の接着剤は、半田などの導電性の接合材に比べると不利である。すなわち、接合材108として絶縁性の接着剤を用いた場合には、絶縁性の接着剤の接合強度、降伏応力、疲労強度および応力緩和特性に起因して、力学量測定装置101が計測できる歪範囲が制限されてしまう懸念がある。また、絶縁性の接着剤の弾性率や温度上昇に伴う軟化に起因して、力学量測定装置101の感度が低下する懸念がある。また、絶縁性の接着剤の疲労強度と応力緩和特性と耐環境性などに起因して、力学量測定装置101の長期的な信頼性が低下する懸念がある。これらの懸念は、力学量測定装置101の性能の低下につながるため、解消または改善することが望まれる。これらの懸念を解消または改善するためには、接合材108として、絶縁性の接着剤ではなく、半田などの導電性の接合材を使用できるようにすることが有効であるが、半田などの導電性の接合材を使用した場合には、上述のようにベース板103と測定対象物107との導通による不具合が懸念される。
そこで、本実施の形態では、歪検知回路が形成された半導体チップ2(歪センサーチップ)を絶縁性の構造体であるベース板3に搭載している。このため、力学量測定装置1を取り付ける測定対象物7が金属材料のような導電性材料からなる場合であっても、力学量測定装置1のベース板3は、金属体ではなく、絶縁性のベース板からなる。本実施の形態では、半導体チップ2を金属のベース板ではなく絶縁性のベース板3に搭載しているため、力学量測定装置1を測定対象物7に取り付けたときに、力学量測定装置1の半導体チップ2と測定対象物7との間に電流が流れるのを防止することができ、力学量測定装置1の半導体チップ2が、測定対象物7から電気的ノイズの影響を受けるのを抑制または防止することができる。これにより、力学量測定装置1の性能を向上させることができる。
また、本実施の形態では、半導体チップ2と測定対象物7とが導通するのを絶縁性のベース板3によって防ぐことができるため、力学量測定装置1を測定対象物7に取り付ける(貼り付ける)際に、ベース板3と測定対象物7とを接合する接合材8として、絶縁性の接着剤を用いることもできるし、また、半田などの導電性の接合材を用いることもできる。すなわち、測定対象物7が金属材料からなる場合に、ベース板3と測定対象物7とを接合する接合材8として、半田などの導電性の接合材を用いたとしても、力学量測定装置1の半導体チップ2と測定対象物7との間に電流が流れるのを防止することができ、力学量測定装置1の半導体チップ2が、測定対象物7から電気的ノイズの影響を受けてしまうのを抑制または防止することができる。そして、ベース板3と測定対象物7とを接合する接合材8として、半田などの導電性の接合材を用いることができることで、絶縁性の接着剤に限定される場合の上記懸念を解消または改善することができる。例えば、力学量測定装置1が計測できる歪範囲を拡大することができ、また、力学量測定装置1の感度を向上させることができる。また、力学量測定装置1の長期的な信頼性を向上させることができる。
このように、本実施の形態では、歪検知回路が形成された半導体チップ2(歪センサーチップ)を絶縁性の構造体であるベース板3に搭載したことで、力学量測定装置の使用形態に制限が生じにくくなり、力学量測定装置の使い勝手がよくなる。また、力学量測定装置の性能を向上させることができる。
本実施の形態では、絶縁性のベース板3を用いているが、絶縁性のベース板3の素材として、好ましくは絶縁性のセラミック材を用いている。すなわち、絶縁性のセラミック材からなるベース板3を用いることが好ましい。
ベース板3は、測定対象物7から半導体チップ2へ歪を伝達する役割も有しており、柔らかすぎると(従って弾性率が低すぎると)、測定対象物7から半導体チップ2へ歪が伝わりにくくなる。このため、ベース板3の弾性率は、測定対象物7と半導体チップ2との間で歪が伝わることが可能となるような値を有していることが求められる。この観点で、ベース板3の弾性率は、半導体チップ2の弾性率よりも高いことが好ましい。セラミック材は、弾性率が高い絶縁材料であるため、ベース板3の素材として好ましい。一例として、310GPa程度の弾性率を有するセラミック材をベース板3に用いることができる。
上述のように、本実施の形態においては、半導体チップ2をベース板3に接合するための接合材5としては、半田または金属ナノ粒子を好適に用いることができる。
接合材5として半田を用いる場合は、共晶点が275℃以上の高融点半田、例えば金スズ半田、を好適に用いることができる。接合材5として高融点半田を用いれば、力学量測定装置1を測定対象物7に半田などを用いて取り付ける際に、接合材5として用いた半田が溶融して不具合が生じるのを防ぎやすくなる。また、接合材5が導電性を有していれば、半導体チップ2で生じた熱をベース板3に伝導させやすくなるため、動作時の半導体チップ2の温度上昇を抑制しやすくなる。
金スズ半田は、凝固後の弾性率が69GPaで降伏応力が275MPaであり、これらの値は、一般の半導体チップの接合材料、例えば銀ペースト材などよりも高い。このため、接合材5がベース板3から半導体チップ2に歪を伝達する役割を有しているという観点では、接合材5として金スズ半田は適している。
しかしながら、接合材5として半田を用いる場合には、半導体チップ2をベース板3に接合する工程において、接合材5として用いた金属半田が溶融状態から凝固していく過程が発生する。この過程で生じる接合材5と半導体チップ2との熱変形量の差に起因する残留応力により、半導体チップ2に歪が発生し得る。半導体チップ2をベース板3に接合する工程で半導体チップ2に歪が生じることは、力学量測定装置1の初期測定値に影響を及ぼす虞があるため、できるだけ抑制することが望ましい。
なお、上記検討例の力学量測定装置101においては、ベース板103が金属材料からなるため、ベース板103と半導体チップ102との熱膨張係数の差が比較的大きい。このため、上記検討例の力学量測定装置101の場合は、接合材105として用いた金属半田が溶融状態から凝固していく過程で生じる接合材105と半導体チップ102との熱変形量の差がかなり大きくなり、残留応力かなり大きくなるため、半導体チップ2に生じる歪がかなり大きくなものとなる。
金属からなるベース板103を用いた検討例の力学量測定装置101に比べると、セラミック材のような絶縁材からなるベース板3を用いた力学量測定装置1の場合は、ベース板3と半導体チップ2との熱膨張係数の差は、比較的小さくなる。このため、検討例の力学量測定装置101に比べると、本実施の形態の力学量測定装置1の方が、半導体チップ2をベース板3に半田で接合する場合であっても、金属半田が溶融状態から凝固していく過程で生じる接合材5と半導体チップ2との熱変形量の差が小さくなり、半導体チップ2に生じる歪を抑制することができる。
しかしながら、セラミック材のような絶縁材からなるベース板3を用いたことにより、ベース板3と半導体チップ2との熱膨張係数の差を小さくすることができたとしても、接合材5として半田を用いた場合には、半田が溶融状態から凝固していく過程で生じる接合材5と半導体チップ2との熱変形量の差に起因する残留応力により、半導体チップ2に歪が発生することは避けられない。
そこで、本実施の形態では、半導体チップ2をベース板3に接合する接合材5としては、金属ナノ粒子を用いることがより好ましい。金属ナノ粒子としては、銅ナノ粒子が特に好適である。
金属ナノ粒子(好ましくは銅ナノ粒子)は、加熱をしなくても金属結合が進行し得るため、原料の段階では、金属ナノ粒子に安定化剤を混ぜて金属ナノ粒子を分散させることにより、金属結合を抑制している。安定化剤によって阻害されている金属ナノ粒子の金属結合は、金属ナノ粒子から安定化剤を加熱などの手法で除去すると進行し、金属ナノ粒子同士が結合し、また、金属ナノ粒子は他の金属とも結合されるようになる。このため、接合材5として金属ナノ粒子(好ましくは銅ナノ粒子)を用いた場合には、半導体チップ2をベース板3に接合する工程において、接合材5が溶融してから凝固するという過程は発生しないで済む。
すなわち、接合材5として半田を用いた場合には、半導体チップ2をベース板3に接合する工程において、半田を一旦溶融させてから凝固させるという過程を経る必要があるが、この過程は、半導体チップ2に歪を発生させる。しかしながら、接合材5として金属ナノ粒子(好ましくは銅ナノ粒子)を用いた場合には、半導体チップ2をベース板3に接合する工程において、安定化剤を除去するための加熱を行えば、接合材5を溶融させなくとも、金属ナノ粒子の金属結合が進行し、半導体チップ2をベース板3の上面の導体パターン4aに接合材5を介して的確に接合させることができる。このため、接合材5として金属ナノ粒子(好ましくは銅ナノ粒子)を用いた場合には、接合材5として半田を用いた場合に比べて、半導体チップ2をベース板3に接合する工程において、接合材5と半導体チップ2との熱変形量の差に起因して発生する残留応力が小さくなり、半導体チップ2に発生する歪が小さくなる。このため、接合材5として金属ナノ粒子(好ましくは銅ナノ粒子)を用いた場合には、半導体チップ2をベース板3に接合する工程で半導体チップ2に発生する歪を抑制することができ、その歪が力学量測定装置1の初期測定値に影響を及ぼすのを防ぐことができる。
接合材5として用いる金属ナノ粒子としては、銅ナノ粒子が好適であるが、銅ナノ粒子の平均粒径をΦ100nm以下とすることで、半導体チップ2の接合部に適した降伏応力を備えた金属接合が可能となる。
ここで、力学量測定装置1の接合材5に必要な降伏強度は、力学量測定装置1で計測したい歪量の範囲から接合材5に加わり得る応力を推定することによって、求めることができる。例えば、力学量測定装置1で計測する歪量の範囲を+1000μεとし、所定の物性値を用いてベース板3の上面とベース板3と接合材5の接合面とにおける応力分布(図6のB-B線の位置における応力分布)を解析した結果を図6に示す。図6のグラフからは、接合材5の端面(側端面)に応力が集中し、最大で400MPaの応力が作用しており、接合材5が400MPa以上の降伏強度を有していれば、降伏は発生しないことが分かる。
一方、接合材5に使用した銅ナノ粒子の降伏応力は、以下の数式1のホールペッチ式を用いて推定される。
σ=σ+k/√d ・・・(数式1)
ここで、σは銅ナノ粒子の降伏応力、σは単結晶の降伏応力、kは材料定数、dは平均粒径である。
また、降伏応力σは、降伏比を0.65としたとき以下の数式2から推定される。
σ=σ×0.65 ・・・(数式2)
ここで、σは、引張強度であり、以下の数式3から推定される。
σ=(2.5~3.0)×Hv ・・・(数式3)
ここで、銅の単結晶のビッカース硬さHvは、上記非特許文献1にある以下の数式4から推定することができる。
Hv=52+60/√d ・・・(数式4)
単結晶での降伏応力σは、上記数式2から、84.5~101.4MPa(2.5~3.0×52×0.65)となる。また、上記数式1で結晶粒界のすべり伝達の抵抗を示す材料定数k=60(Hv・√μm)を、上記数式2の硬さと応力の関係から引張強度σ=2.7×k×0.65(MPa・√μm)として換算すると、k=60(Hv・√μm)=105(MPa・√μm)=3330(MPa・√nm)となる。
σは、銅ナノ粒子の平均粒子径をΦ100nmとすると、上記数式1から、σ=(84.5~101.4)+(3330/√100)=417.5~434.4MPaとなる。この場合、接合材5として必要な降伏応力である400MPa以上を確保することができる。更に広い範囲の歪量を力学量測定装置1で計測したい場合は、更に平均粒径の小さい銅ナノ粒子を採用すればよい。
このように、接合材5として金属ナノ粒子を用いる場合には、使用する金属ナノ粒子の平均粒を小さくすることにより、接合材5の降伏強度を高めることができ、それによって、力学量測定装置1で計測できる歪量の範囲を広くすることができる。このため、接合材5として、銅ナノ粒子を用いる場合は、平均粒子径がΦ100nm以下の銅ナノ粒子を好適に用いることができる。
また、半導体チップ2は、互いに直交する2方向(X方向およびY方向)の歪量の差(差分)を検出(演算)して出力する機能を有している。このため、温度変化に起因してベース板3に熱変形が生じた場合に、ベース板3の熱変形の量がX方向とY方向とでほぼ等しければ、熱変形によって生じたベース板3の歪は、半導体チップ2に形成された歪検知回路の測定値に影響しなくなる。この観点で、ベース板3は、ベース板3の中心に対して点対称な平面形状を有していることが好ましい。そうすることにより、ベース板3の熱変形の量がX方向とY方向とでほぼ等しくなるため、熱変形によって生じたベース板3の歪が、力学量測定装置1の測定値に影響するのを抑制または防止することができる。このため、ベース板3の熱変形の影響を抑制または防止しながら、測定対象物7に生じた歪を力学量測定装置1で的確に検出することができる。
従って、ベース板3は、ベース板3の中心に対して点対称な平面形状を有していることが好ましく、この観点で、ベース板3の平面形状として、正方形状、円形状、正六角形状、正八角形状などを適用することができる。このうち、正方形状(略正方形)が、ベース板3の平面形状として最も好適である。これにより、力学量測定装置1を製造しやすくなり、また、力学量測定装置1を扱いやすくなる。
図1の場合は、半導体チップ2の平面形状は正方形状である。半導体チップ2の寸法例は、例えば2.5mm×2.5mm×0.13mm(幅×長さ×厚み)であり、ベース板3の寸法例は、例えば、幅と長さが半導体チップ2の3倍である7.5mm×7.5mm×0.2mm(幅×長さ×厚み)である。ベース板3が厚すぎると、測定対象物7から半導体チップ2へ歪が伝わりにくくなるため、ベース板3の厚みは、ある程度薄いことが好ましい。しかしながら、ベース板3が薄すぎると、力学量測定装置1を製造しにくくなる。このため、ここでは、ベース板3の厚みは、例えば0.2mm程度としている。
(実施の形態2)
図7は、本実施の形態2の力学量測定装置1を示す平面図(上面図)であり、図8は、本実施の形態2の力学量測定装置1を示す断面図であり、上記実施の形態1の上記図1および図2にそれぞれ対応するものである。図7のA2-A2線の位置での断面図が、図8にほぼ対応している。本実施の形態2の力学量測定装置1を、以下では、符号1aを付して力学量測定装置1aと称することとする。
本実施の形態2の力学量測定装置1aが、上記実施の形態1の力学量測定装置1と主として相違しているのは、ベース板3である。ここで、本実施の形態2のベース板3を、以下では符号3aを付して、ベース板3aと称することとする。
本実施の形態2のベース板3aは、平面形状については、上記実施の形態1のベース板3と基本的には同じである。しかしながら、上記実施の形態1のベース板3は、ほぼ均一な厚みを有していたのに対して、本実施の形態2のベース板3aは、外周部(フレーム部21)の厚みが、相対的に厚くなっている。
すなわち、本実施の形態2のベース板3aは、ベース板3aの外周にフレーム部(肉厚部、枠部)21を有している。フレーム部21は、ベース板3aにおいて厚みが厚くなった部分であり、別の見方をすると、ベース板3aの上面が突出した部分である。フレーム部21は、ベース板3aの外周に設けられているため、ベース板3aの外周部とみなすこともできる。
平面視において、フレーム部21は、ベース板3aの外周に設けられており、フレーム部21の厚みは、フレーム部21の内側におけるベース板3aの厚みよりも厚い。ベース板3aのうち、フレーム部21の内側の領域を、以下では、内側領域22と称することとする。内側領域22は、平面視においてフレーム部21に囲まれており、内側領域22の厚さは、フレーム部21の厚さよりも薄い。また、フレーム部21の上面の高さ位置は、内側領域22の上面の高さ位置よりも高く、フレーム部21は、内側領域の22の上面から突出している。ベース板3aの下面は、同一平面により形成されている。すなわち、フレーム部21の下面と、内側領域22の下面とは、同じ高さ位置にあり、同一平面を形成している。ベース板3aは、厚みが厚いところほど、剛性が高くなる。フレーム部21の厚みは内側領域22の厚みよりも厚いため、フレーム部21の剛性は、内側領域22の剛性よりも高い。
半導体チップ2は、ベース板3aの内側領域22に接合材5を介して搭載されている。具体的には、ベース板3aの内側領域22の上面に導体パターン4aが形成されており、その導体パターン4a上に、接合材5を介して半導体チップ2が接合されて固定されている。導体パターン4aは、形成されていることが好ましいが、不要な場合は省略することもできる。
図7の場合は、フレーム部21の幅は、ほぼ均一である。この場合、内側領域22の平面形状は、ベース板3aの平面形状とほぼ同じになり(但し平面寸法は小さい)、ベース板3aの平面形状が正方形状の場合は、内側領域22の平面形状も正方形状となる。また、図8の場合は、フレーム部21の内壁(内側側面、内周側面)33は、内側領域22の上面に対して略垂直である。他の形態として、フレーム部21の内壁33が、内側領域22の上面に対して傾斜している場合もあり得る。
本実施の形態2の力学量測定装置1aの他の構成は、上記実施の形態1の力学量測定装置1とほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
力学量測定装置を取り扱いしやすくするという観点では、半導体チップ2を搭載するベース板は、剛性が高いことが望ましい。しかしながら、上記実施の形態1の場合は、ベース板3の厚みは均一であるため、半導体チップ2を搭載するベース板3の全体の厚みを厚くしてしまうと、ベース板3全体の剛性は高くなるが、半導体チップ2の直下におけるベース板3の厚さも厚くなり、剛性も高くなるため、測定対象物7に生じた歪が、ベース板3を介して半導体チップ2に伝わりにくくなる。
それに対して、本実施の形態2では、ベース板3aは、外周に厚みが厚くなったフレーム部21を有しており、半導体チップ2は、フレーム部21に囲まれた厚みが薄い内側領域22に搭載している。これにより、ベース板3aの外周に厚みが厚いフレーム部21が存在することにより、ベース板3aの剛性が高くなることにより、力学量測定装置1aを取り扱いやすくなる。そして、フレーム部21よりも薄い内側領域22に半導体チップ2を搭載することにより、半導体チップ2の直下におけるベース板3aの厚み(内側領域22の厚みに対応)は薄くなり、剛性が低くなる。このため、力学量測定装置1aを測定対象物7に取り付けたときに、半導体チップ2と測定対象物7との間に位置する部分のベース板3aの厚み(内側領域22の厚みに対応)が薄くなり、剛性が低くなるため、測定対象物7に生じた歪がベース板3aを介して半導体チップ2に伝わりやすくなる。これにより、力学量測定装置1aの感度を向上することができ、測定対象物7に生じた歪を力学量測定装置1aで的確に検出することができる。
図9は、ベース板上に歪センサーチップ(半導体チップ2に対応)を搭載した力学量測定装置において、歪センサーチップの直下におけるベース板の厚さと、測定対象物からベース板を介して歪センサーチップへ歪が伝わるときのひずみ伝達率を解析した結果の一例を示したグラフである。図9からは、歪センサーチップを搭載するベース板の厚みを300μmよりも厚くすると、ベース板の厚みが厚くなるにしたがってひずみ伝達率は低下するが、ベース板の厚みを300μm以下とするとひずみ伝達率は80%以上となり、ベース板の厚みを300μmより更に薄くしても、ひずみ伝達率はそれ以上は上昇しないことが分かる。このため、半導体チップ2の直下におけるベース板3aの厚さ、すなわち内側領域22の厚さは、300μm程度以下とすることが好ましい。これにより、測定対象物7に生じた歪をベース板3aを介して半導体チップ2に効率的に伝達させることができるため、測定対象物7に生じた歪を力学量測定装置1aで的確に検出することができる。また、力学量測定装置の生産性や取扱いのしやすさも考慮すると、半導体チップ2の直下におけるベース板3aの厚さ、すなわち内側領域22の厚さは、100~300μm程度とすることが、より好ましい。
また、フレーム部21の上面の高さ位置が、ワイヤ6の最頂部の高さ位置よりも高くなるように、フレーム部21の厚さを設定することが、より好ましい。これにより、後述の封止部31を形成した場合に、ワイヤ6の最頂部も封止部31で確実に覆うことができるようになるため、封止部31からワイヤ6が露出するのを防ぎやすくなる。例えば、内側領域22の厚さが100μmで、半導体チップ2の厚さが100μmで、かつ、ワイヤ6の最頂部の高さ位置が、半導体チップ2の上面よりも40μm高い場合は、フレーム部21の厚さは、240μm以上とすることが好ましく、それにより、フレーム部21の上面の高さ位置が、ワイヤ6の最頂部の高さ位置よりも高くなる。ここで、ワイヤ6の最頂部とは、ワイヤ6においてZ方向の高さが最も高い部分に対応し、ループ状のワイヤ6の最頂部を指す。
(実施の形態3)
図10は、本実施の形態3の力学量測定装置1を示す平面図(上面図)であり、図11は、本実施の形態3の力学量測定装置1を示す断面図である。図10のA3-A3線の位置での断面図が、図11にほぼ対応している。図10において、封止部31を透視した場合は、上記図7と同様になる。本実施の形態3の力学量測定装置1を、以下では、符号1bを付して力学量測定装置1bと称することとする。
本実施の形態3の力学量測定装置1bが、上記実施の形態2の力学量測定装置1aと相違しているのは、ベース板3a上に半導体チップ2を覆うように、封止部(封止樹脂部)31を設けたことである。封止部31により、半導体チップ2および複数のワイヤ6が封止される。
封止部31は、樹脂材料からなる。封止部31の弾性率は、好ましくは、半導体チップ2の弾性率よりも低い。封止部31の弾性率は、例えば4~14GPa程度とすることができる。封止部31は、フレーム部21に囲まれた内側領域22の全体上に、半導体チップ2を覆うように形成されていることが好ましい。また、フレーム部21の内壁(内側側面、内周側面)33で囲まれたベース板3a上の空間(領域、キャビティ)32を、封止部31が満たしていることが好ましい。フレーム部21の内壁33で囲まれた空間32の平面形状および平面寸法は、内側領域22の平面形状および平面寸法と一致している。
封止部31の外周は、フレーム部21の内壁33に接するため、封止部31の平面形状は、フレーム部21の内壁33に沿った形状となり、従って、フレーム部21の内壁33で囲まれた空間32の平面形状と同様になる。図10の場合は、フレーム部21の幅は、場所によらずほぼ一定である。この場合、フレーム部21の内壁33で囲まれた空間32の平面形状は、ベース板3aの平面形状と基本的には同じであり、フレーム部21の内壁33で囲まれた空間32の平面寸法は、フレーム部21の幅の分だけ、ベース板3aの平面寸法よりも小さくなる。このため、ベース板3aの平面形状が、ベース板3aの中心に対して点対称な平面形状であれば、フレーム部21の内壁33で囲まれた空間32の平面形状および封止部31の平面形状も、ベース板3aの中心に対して(従って封止部31の中心に対して)点対称な平面形状とすることができる。また、ベース板3aの平面形状が正方形状であれば、フレーム部21の内壁33で囲まれた空間32の平面形状および封止部31の平面形状も、正方形状とすることができる。
封止部31を設けたこと以外は、本実施の形態3の力学量測定装置1bは、上記実施の形態2の力学量測定装置1aとほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
本実施の形態3では、封止部31を設けたことにより、半導体チップ2および複数のワイヤ6を保護することができる。このため、力学量測定装置1bを扱いやすくなり、また、力学量測定装置1bの信頼性を向上させることができる。
また、温度変化により封止部31が熱変形すると、半導体チップに応力を発生させることが懸念される。しかしながら、半導体チップ2は、互いに直交する2方向(X方向およびY方向)の歪量の差(差分)を検出(演算)して出力する機能を有しているため、温度変化に起因して封止部31に熱変形が生じた場合に、封止部31の熱変形の量がX方向とY方向とでほぼ等しければ、封止部31の熱変形は、半導体チップ2に形成された歪検知回路の測定値に影響しなくなる。この観点で、封止部31は、封止部31の中心に対して点対称な平面形状を有していることが好ましく、図10の場合は、封止部31の平面形状は正方形状である。これにより、封止部31の熱変形の量がX方向とY方向とでほぼ等しくなるため、封止部31の熱変形が、力学量測定装置1bの測定値に影響するのを抑制または防止することができる。このため、封止部31の熱変形の影響を抑制または防止しながら、測定対象物7に生じた歪を力学量測定装置1bで的確に検出することができる。
また、上記実施の形態1の力学量測定装置1において、ベース板3上に、半導体チップ2とワイヤ6とを封止する封止樹脂部(封止部31に相当するもの)を形成することもできる。
(実施の形態4)
図12は、本実施の形態4の力学量測定装置1を示す平面図(上面図)であり、図13は、本実施の形態4の力学量測定装置1を示す平面透視図であり、図14~図16は、本実施の形態4の力学量測定装置1を示す断面図である。図13では、封止部31を透視している。また、図13のA4-A4線の位置での断面図が、図14にほぼ対応し、図13のC4-C4線の位置での断面図が、図15にほぼ対応し、図13のD4-D4線の位置での断面図が、図16にほぼ対応している。本実施の形態4の力学量測定装置1を、以下では、符号1cを付して力学量測定装置1cと称することとする。
本実施の形態4の力学量測定装置1cが、上記実施の形態3の力学量測定装置1bと相違しているのは、主としてベース板3である。ここで、本実施の形態3のベース板3を、以下では符号3cを付して、ベース板3cと称することとする。
本実施の形態4のベース板3cが、上記実施の形態3のベース板3aと相違しているのは、以下の点である。
本実施の形態4では、ベース板3cの角部41近傍において、フレーム部21の内壁33は、角部41に近づくように(すなわちベース板3cの中心から遠ざかるように)後退している。言い換えると、ベース板3cの角部41近傍において、フレーム部21の内壁33は、外側(ベース板3cの中心から遠ざかる側)に後退している。
具体的には、ベース板3cの角部41近傍以外においては、フレーム部21の幅は、ほぼ均一であり、フレーム部21の内壁33は、ベース板3cの辺に沿って延在しているが、ベース板3cの角部41近傍においては、フレーム部21の内壁33を角部41に近づくように、すなわちベース板3cの中心から遠ざかるように、後退させている(湾曲させている)。図12および図13の場合は、ベース板3cの平面形状は正方形状であるため、4つの角部41のそれぞれの近傍において、フレーム部21の内壁33を角部41に近づくように、すなわちベース板3cの中心から遠ざかるように、後退させている(湾曲させている)。フレーム部21の内壁33を角部41に近づくように後退させた分、厚みが薄い内側領域22は、角部41に近づくように(すなわちベース板3cの中心から遠ざかるように)拡張している。図12および図13の場合は、フレーム部21の内壁33を角部41に近づくように後退させた領域42(以下、後退領域42と称する場合もある)は、円形状(略円形)の平面形状を有している。このため、ベース板3cの角部41近傍において、フレーム部21の内壁33は、直角の角を有さずに、曲面で構成される。なお、後退領域42は、内側領域22の一部になるので、内側領域22が拡張した領域とみなすこともできる。図13の場合は、正方形状の内側領域22の四隅を外側(ベース板3cの中心から遠ざかる側)に拡張して後退領域32としている。また、後退領域42は、円形状が好ましいが、円形状以外の形状、例えば四角形状(好適には長方形状または正方形状)などとすることもできる。
図12および図13の場合は、ベース板3cは、X方向に略平行な辺と、Y方向に略平行な辺とを有している。この場合、ベース板3cの角部41近傍において、フレーム部21の内壁33を角部41に近づくように後退させたことにより、フレーム部21のX方向に略平行な内壁33と、フレーム部21のY方向に略平行な内壁33とが、ベース板3cの角部近傍において直角に交わるのを防ぐことができる。
封止部31の外周は、フレーム部21の内壁33に接しており、封止部31は、フレーム部21の内壁33に沿うような平面形状を有している。このため、フレーム部21の内壁33を角部41に近づくように後退させた領域42にも、封止部31が配置(充填)される。
本実施の形態4の力学量測定装置1cの他の構成は、上記実施の形態3の力学量測定装置1bとほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
封止部31とベース板とは、線膨張係数が異なる。このため、温度変化が生じると、封止部31の収縮率とベース板の収縮率との差に起因して、封止部31とベース板との間に応力が発生する虞がある。上記実施の形態3(図7、図10、図11)の場合は、フレーム部21のX方向に略平行な内壁33と、フレーム部21のY方向に略平行な内壁33とが、ベース板3aの角部近傍において直角に交わり、そこで封止部31とベース板3aとの間で生じる応力が集中してしまう。このため、上記実施の形態3(図7、図10、図11)の場合は、力学量測定装置が繰返しの温度変化を受けると、フレーム部21の内壁33で囲まれた空間32の角部(別の見方をすると内側領域22の角部)において、封止部31が疲労による剥離を起こす可能性がある。
それに対して本実施の形態4(図12~図16)では、ベース板3cの角部41近傍において、フレーム部21の内壁33を、角部41に近づくように後退させているため、封止部31とベース板3aとの間で生じる応力が局所的に集中するのを抑制または緩和することができる。これにより、力学量測定装置が繰返しの温度変化を受けたときに、封止部31の剥離が生じにくくなる。
具体的には、フレーム部21のX方向に略平行な内壁33と、フレーム部21のY方向に略平行な内壁33とが、ベース板3cの角部近傍において直角に交わることを防ぐことができるため、ベース板3cの角部近傍において、封止部31とベース板3aとの間で生じる応力が局所的に集中するのを抑制または緩和することができる。また、ベース板3cの角部41近傍において、フレーム部21の内壁33は曲面で構成されるため、ベース板3cの角部近傍において、封止部31とベース板3cとの間で生じる応力が局所的に集中するのを抑制または緩和することができる。このため、力学量測定装置が繰返しの温度変化を受けたときに、封止部31の剥離が生じにくくなる。これにより、力学量測定装置の長期的な信頼性を向上させることができる。
また、後退領域42が無い場合に比べて、後退領域42を設けた場合は、後退領域42に封止部31が充填されることによるアンカー効果によっても、封止部31の剥離が生じにくくなる。
また、力学量測定装置は、歪を計測する目的で使用されるため、温度の変化だけではなく外力に起因して、封止部31とベース板との間で応力が生じる虞がある。本実施の形態4では、温度の変化だけではなく外力に起因して封止部31とベース板3cとの間で応力が生じる場合でも、応力が局所的に集中するのを抑制または緩和することができる。
(実施の形態5)
図17は、本実施の形態5の力学量測定装置1を示す平面透視図であり、図18および図19は、本実施の形態5の力学量測定装置1を示す断面図である。図17では、封止部31を透視している。また、図17のA5-A5線の位置での断面図は、上記図14と同様であり、図17のC5-C5線の位置での断面図が、図18にほぼ対応し、図17のD5-D5線の位置での断面図が、図19にほぼ対応している。本実施の形態5の力学量測定装置1を、以下では、符号1dを付して力学量測定装置1dと称することとする。
上記実施の形態4では、半導体チップ2の搭載領域とその周囲でベース板3cの剛性を低くするために、ベース板3cの内側領域22の厚さを薄く(好ましくは300μm以下)するとともに、ベース板3cの外周のフレーム部21の厚さを厚くしている。そして、ベース板3cの内側領域22上に搭載した半導体チップ2は、封止部31で覆っている。封止部31に対して、ベース板3cの厚さ方向に押し出されるような応力が加わった場合には、封止部31がベース板3cから剥離する可能性がある。
そこで、本実施の形態5では、上記後退領域42に、窪み部(凹部)51を設けている。窪み部51は、内側領域22の上面に対して局所的に窪んだ部分である。窪み部51は、ベース板3cの厚さ方向に窪んでいる。この窪み部51内に、封止部31の一部が侵入している。別の見方をすると、窪み部51内に封止部31の一部が充填されている。これにより、封止部31に対して、ベース板3cの厚さ方向に押し出されるような応力が加わった場合でも、アンカー効果(窪み部51に充填された封止部31によるアンカー効果)により、封止部31がベース板3cから剥離するのを抑制または防止することができる。従って、力学量測定装置の長期的な信頼性を更に向上させることができる。
本実施の形態5の力学量測定装置1dの他の構成は、上記実施の形態4の力学量測定装置1cとほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態6)
図20は、本実施の形態6の力学量測定装置1を示す平面図(上面図)であり、図21は、本実施の形態6の力学量測定装置1を示す断面図である。図20のA6-A6線の位置での断面図が、図21にほぼ対応している。図22は、フレキシブル基板61をベース板3eに取り付ける前の力学量測定装置1を示す平面透視図であり、図23は、フレキシブル基板61をベース板3eに取り付ける前の力学量測定装置1を示す断面図である。図22では、封止部31を透視している。また、図22のA7-A7線の位置での断面図が、図23にほぼ対応している。本実施の形態6の力学量測定装置1を、以下では、符号1eを付して力学量測定装置1eと称することとする。また、本実施の形態6のベース板3を、以下では符号3eを付して、ベース板3eと称することとする。
本実施の形態6の力学量測定装置1eにおいては、半導体チップ2から出力される電気信号を力学量測定装置1eの外部に取り出すために、ベース板3eにフレキシブル基板61を取付けている(接続している)。
本実施の形態6では、ベース板3eは、ベース板3eが有する導体パターン4の一部として、複数の電極4cを有している。電極4cは、半導体チップ2の複数の電極2aと電気的に接続されており、半導体チップ2の電極2aから出力された信号を、ベース板3eの電極4cから出力することができる。複数の電極4cは、好ましくは、フレーム部21の上面に形成されている。ベース板3eにおいて、フレーム部21の上面に形成された電極4cと、内側領域22の上面に形成された電極4bとは、ベース板3eの内部の配線4dを介して電気的に形成されている。例えば、ベース板3eを複数の絶縁層の積層体により構成し、絶縁層間の配線や、絶縁層に設けたビア内の配線(ビア配線)などにより、配線4dを形成することができる。半導体チップ2の電極2aは、ワイヤ6、ベース板3eの電極4bおよび配線4dを介して、ベース板3eの電極4cと電気的に接続されている。
ベース板3eの複数の電極4cは、フレキシブル基板61の複数の電極62と電気的に接続されている。例えば、ベース板3eの複数の電極4cと、フレキシブル基板61の複数の電極62とは、半田などの導電性の接合材63を介して接合され、それによって電気的に接続されている。電極4cは、フレーム部21の上面に形成されているため、フレキシブル基板61は、フレーム部21に接合されて固定される。
このため、フレキシブル基板61の電極62は、導電性の接合材63と、ベース板3eの電極4c、配線4dおよび電極4bと、ワイヤ6とを介して、半導体チップ2(の電極2a)と電気的に接続されている。従って、ベース板3eは、フレキシブル基板61の電極62を半導体チップ2(の電極2a)に電気的に接続するための配線4dを有している。
本実施の形態6の力学量測定装置1eの他の構成は、上記実施の形態3の力学量測定装置1bとほぼ同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。なお、ここでは、力学量測定装置1eの基本構造として、上記実施の形態3の力学量測定装置1bを適用した場合について図示および説明示しているが、力学量測定装置1eの基本構造として、上記実施の形態1~5の力学量測定装置1,1a,1b,1c,1dのいずれを適用することもできる。従って、本実施の形態6は、上記実施の形態1~5のいずれと組み合わせることもできる。また、本実施の形態6を上記実施の形態1と組み合わせる場合は、ベース板3はフレーム部21を有していないため、例えば、ベース板3の上面の端部付近に複数の電極4cを設けておき、その複数の電極4cとフレキシブル基板61の電極62とを導電性の接合材63を介して接合することができる。
本実施の形態6では、フレキシブル基板61を介して、半導体チップ2から出力される電気信号を力学量測定装置1eの外部に取り出すことができる。
また、本実施の形態6では、厚みが厚いことで剛性が高くなっているフレーム部21にフレキシブル基板61を接合して固定することにより、ベース板3eへのフレキシブル基板61の固定を安定させることができる。また、図20~図23の場合は、フレーム部21の四辺に電極4cを設けているため、フレーム部21の四辺にフレキシブル基板61が接合されて固定されることになり、それによっても、ベース板3eへのフレキシブル基板61の固定を安定させることができる。これにより、力学量測定装置1eの長期的な信頼性を向上させることができる。
また、フレーム部21は、半導体チップ2から離間し、かつ剛性が高いため、測定対象物7から半導体チップ2への歪の伝達に対するフレーム部21の寄与は小さく、ベース板3eにおいて、測定対象物7から半導体チップ2への歪の伝達は、ほとんど内側領域22が担っている。本実施の形態6では、測定対象物7から半導体チップ2への歪の伝達にほとんど寄与しないフレーム部21にフレキシブル基板61を固定しているため、フレーム部21へのフレキシブル基板61の接合が、力学量測定装置1eの測定値に影響を及ぼすのを抑制または防止することができる。
本実施の形態6とは異なり、半導体チップ2の電極2aとフレキシブル基板の電極とを、ワイヤを介して直接的に接続する場合もあり得る。しかしながら、その場合、接続関係の変更や半導体チップ2の機能の拡張などが生じた場合などに、ワイヤ接続の変更だけでは対応できず、フレキシブル基板の設計変更が必要になり、フレキシブル基板の構造が複雑になる。それに対して、本実施の形態6では、フレキシブル基板61の電極62をベース板3eの電極4cと接続し、ベース板3eの配線(導体パターン)とワイヤ6を経由して、半導体チップ2の電極2aに電気的に接続している。このため、接続関係の変更や半導体チップ2の機能の拡張などが生じた場合などでも、フレキシブル基板61を変更せずとも、ベース板3eの配線やワイヤ接続を変更することで対応することができるため、フレキシブル基板61の設計変更が不要となり、フレキシブル基板61を簡易な構造とすることができる。
また、本実施の形態6とは異なり、ベース板が導電性である場合には、ワイヤをベース板ではなく直接的にフレキシブル基板に接続する必要があるため、フレキシブル基板は、絶縁性の接着剤でベース板に接続する必要がある。フレキシブル基板を貼り付ける絶縁性の接着剤は、長期間の吸湿などで特性が変化する可能性があるため、ベース板とフレキシブル基板との接続部を樹脂(封止樹脂)で覆い、保護することが望ましい。しかしながら、ベース板とフレキシブル基板との接続部を覆う封止樹脂が熱変形すると、それが力学量測定装置の測定値に影響を及ぼす可能性がある。それに対して、本実施の形態6では、フレキシブル基板61を接続するための電極4cを厚いフレーム部21に設けて、半田などの長期的な信頼性が高い接合材を用いてフレキシブル基板61をフレーム部21に接合することができるため、フレキシブル基板61とベース板3eとの接続部を樹脂(封止樹脂)で覆わなくともよくなる。このため、フレキシブル基板61とベース板3eとの接続部を覆う樹脂の熱変形が力学量測定装置の測定値に影響することを、回避することができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、歪検出部として、歪検知回路を形成した半導体チップ2(歪センサーチップ)の代わりに、歪ゲージを用いることもでき、その場合、歪ゲージを絶縁性の構造体(ベース板3)上に搭載することができる。
1,1a,1b,1c,1d,1e 力学量測定装置
2 半導体チップ
2a 電極
3,3a,3c,3d ベース板
4,4a 導体パターン
4b 導体パターン(電極)
4c 電極
4d 配線
5 接合材
6 ワイヤ
7 測定対象物
8 接合材
11 半導体基板
12a,12b,12c,12d 拡散抵抗領域
21 フレーム部
22 内側領域
31 封止部
32 空間
33 内壁
41 角部
42 後退領域
51 窪み部
61 フレキシブル基板
62 電極
63 接合材
101 力学量測定装置
102 半導体チップ
103 ベース板
105 接合材
107 測定対象物
108 接合材

Claims (20)

  1. 歪検出部と、前記歪検出部を搭載する絶縁性の構造体と、を備える力学量測定装置。
  2. 請求項1記載の力学量測定装置において、
    前記歪検出部は、歪センサーチップまたは歪ゲージである、力学量測定装置。
  3. 請求項1記載の力学量測定装置において、
    前記歪検出部は、導電性の第1接合材を介して前記構造体に搭載されている、力学量測定装置。
  4. 請求項3記載の力学量測定装置において、
    前記第1接合材は、半田からなる、力学量測定装置。
  5. 請求項3記載の力学量測定装置において、
    前記第1接合材は、金属ナノ粒子からなる、力学量測定装置。
  6. 請求項5記載の力学量測定装置において、
    前記金属ナノ粒子は、銅ナノ粒子である、力学量測定装置。
  7. 請求項6記載の力学量測定装置において、
    前記銅ナノ粒子の平均粒径は、Φ100nm以下である、力学量測定装置。
  8. 請求項1記載の力学量測定装置において、
    前記歪検出部は、第1方向の第1歪と前記第1方向と直交する第2方向の第2歪との差分に対応する信号を出力する、力学量測定装置。
  9. 請求項1記載の力学量測定装置において、
    前記構造体は、前記構造体の中心に対して点対称な平面形状を有する、力学量測定装置。
  10. 請求項1記載の力学量測定装置において、
    前記構造体の平面形状は、正方形状である、力学量測定装置。
  11. 請求項1記載の力学量測定装置において、
    前記構造体の外周部は、前記構造体における前記外周部よりも内側の第1領域に比べて、剛性が高く、
    前記歪検出部は、前記第1領域に搭載されている、力学量測定装置。
  12. 請求項1記載の力学量測定装置において、
    前記構造体の外周部の厚さは、前記構造体における前記外周部よりも内側の第1領域の厚さよりも厚く、
    前記歪検出部は、前記第1領域に搭載されている、力学量測定装置。
  13. 請求項12記載の力学量測定装置において、
    前記歪検出部の直下における前記構造体の厚さは、300μm以下である、力学量測定装置。
  14. 請求項12記載の力学量測定装置において、
    前記第1領域上に形成され、前記歪検出部を封止する封止樹脂部を更に備える、力学量測定装置。
  15. 請求項14記載の力学量測定装置において、
    前記構造体の前記外周部の内壁を、前記構造体の角部の近傍において、前記角部に近づくように後退させている、力学量測定装置。
  16. 請求項15記載の力学量測定装置において、
    前記構造体における前記内壁を前記角部に近づくように後退させた領域は、円形状の平面形状を有している、力学量測定装置。
  17. 請求項16記載の力学量測定装置において、
    前記構造体における前記内壁を前記角部に近づくように後退させた領域に、窪み部が設けられており、
    前記封止樹脂部の一部が前記窪み部内に侵入している、力学量測定装置。
  18. 請求項12記載の力学量測定装置において、
    前記構造体の前記外周部に接合されたフレキシブル基板を更に備える、力学量測定装置。
  19. 請求項18記載の力学量測定装置において、
    前記構造体は、前記フレキシブル基板の電極を前記歪検出部に電気的に接続するための配線を有する、力学量測定装置。
  20. 請求項1記載の力学量測定装置において、
    前記構造体は、導電性の第2接合材を用いて、導電性の測定対象物に取り付けられる、力学量測定装置。
JP2021109369A 2021-06-30 2021-06-30 力学量測定装置 Pending JP2023006657A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021109369A JP2023006657A (ja) 2021-06-30 2021-06-30 力学量測定装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021109369A JP2023006657A (ja) 2021-06-30 2021-06-30 力学量測定装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023006657A true JP2023006657A (ja) 2023-01-18

Family

ID=85108260

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021109369A Pending JP2023006657A (ja) 2021-06-30 2021-06-30 力学量測定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023006657A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9476915B2 (en) Magnetic field current sensors
JP5779662B2 (ja) 力学量測定装置
US10490515B2 (en) Semiconductor substrate having stress-absorbing surface layer
JP6415148B2 (ja) 電流センサ
JP6250429B2 (ja) 半導体装置およびその製造方法
JP2022177252A (ja) 半導体装置
TW201225195A (en) Method of inspecting semiconductor device
CN209979104U (zh) 负荷传感器封装件、传感器系统以及负荷传感器
US20230395472A1 (en) Packages with multiple exposed pads
US9709377B2 (en) Strain sensor chip mounting structure, strain sensor chip and method of manufacturing a strain sensor chip mounting structure
US11322433B2 (en) Hall sensor packages
JP6234263B2 (ja) 電流センサ
JP2018046289A (ja) 半導体装置およびその製造方法
JP2023006657A (ja) 力学量測定装置
JP4038173B2 (ja) 電力用半導体装置
JP5894515B2 (ja) 半導体装置、寿命推定装置、寿命推定方法
JP6804646B2 (ja) 半導体モジュール
US10629556B2 (en) Composite bump, method for forming composite bump, and substrate
KR20130102405A (ko) 플립 칩 패키지 및 그의 제조 방법
JP6532726B2 (ja) 電子機器、異常判定方法、およびプログラム
JP2015094646A (ja) 力学量測定装置
JP6842236B2 (ja) 磁気センサモジュール
JP2004296906A (ja) 樹脂封止型半導体装置
CN117855153A (zh) 半导体器件
JP2018163908A (ja) 半導体装置

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20210707

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240612