JP2023006159A - 筋損傷回復促進剤、筋損傷に伴う炎症抑制剤及び筋損傷回復促進用経口組成物 - Google Patents

筋損傷回復促進剤、筋損傷に伴う炎症抑制剤及び筋損傷回復促進用経口組成物 Download PDF

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Yuri Hashimoto
知紀 安倍
Tomonori Abe
勝隆 大石
Katsutaka Oishi
昌樹 畠山
Masaki Hatakeyama
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Abstract

【課題】筋損傷後の炎症を早期に抑え、筋再生を促進することができる筋損傷回復促進剤、筋損傷に伴う炎症抑制剤及び筋損傷回復促進用経口組成物を提供する。【解決手段】筋損傷回復促進剤は、中鎖脂肪酸トリグリセリドを有効成分とする。【選択図】図2

Description

本発明は、筋損傷回復促進剤、筋損傷に伴う炎症抑制剤及び筋損傷回復促進用経口組成物に関する。
骨格筋は、打撲による外力、外科的手術及び運動等により損傷することがある。筋損傷は、筋節の損傷等の構造異常、細胞成分放出の誘発、筋組織に含まれるタンパク質の分解及び細胞透過性の増加、サイトカインの放出、並びに貪食細胞による浸潤を含む炎症プロセスを特徴とする。骨格筋の損傷後の炎症を経て、筋の周囲に存在するサテライト細胞とよばれる骨格筋幹細胞が活性化し、損傷から数週間で筋が再生する。
筋損傷への応急処置としては、RICE処置(安静;Rest、冷却;Icing、圧迫;Compression、挙上;Elevation)が推奨されている。応急処置後は、疼痛に対する対症的治療及びリハビリテーション等が行われている。しかしながら、RICE処置では筋損傷後の再生に長い時間を要するため、筋損傷患者の日常生活及びスポーツ活動への復帰が遅れてしまう。そのため、筋再生を促進する薬剤の開発が強く望まれている。
筋再生促進剤の有効成分として、特許文献1には、5-HT2B受容体アゴニスト活性を有する化合物が開示されている。特許文献2には、中鎖トリグリセリド等を含む有効量の組成物を対象に投与することを含む、炎症性疾患を治療する方法が開示されている。
特開2021-8409号公報 特表2018-518513号公報
筋損傷後の炎症を早期に抑えることができれば、筋損傷の回復又は筋再生が促進することが期待される。上記特許文献1では、5-HT2B受容体アゴニスト活性を有する化合物の筋損傷後の炎症への影響については検討されていない。上記特許文献2でも、中鎖トリグリセリド等を含む組成物の筋損傷後の炎症への有効性は検討されておらず、当該組成物が有効であると考えられる炎症性疾患に筋損傷に伴う炎症は含まれていない。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、筋損傷後の炎症を早期に抑え、筋再生を促進することができる筋損傷回復促進剤、筋損傷に伴う炎症抑制剤及び筋損傷回復促進用経口組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、中鎖脂肪酸トリグリセリドを主成分として含むケトン食を筋損傷モデルマウスに与えたところ、筋損傷後の炎症が早期に抑えられ、筋再生が促進されることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の第1の観点に係る筋損傷回復促進剤は、
中鎖脂肪酸トリグリセリドを有効成分とする。
上記本発明の第1の観点に係る筋損傷回復促進剤は、
タンパク質と、
糖質と、
をさらに含む、
こととしてもよい。
また、前記中鎖脂肪酸トリグリセリド、前記タンパク質及び前記糖質の合計質量に対する前記中鎖脂肪酸トリグリセリド、前記タンパク質及び前記糖質の質量の割合がそれぞれ40~75%、5~40%及び5~40%である、
こととしてもよい。
上記本発明の第1の観点に係る筋損傷回復促進剤は、
前記中鎖脂肪酸トリグリセリドを少なくとも一部とする脂質を含み、
前記糖質及び前記タンパク質の合計質量に対する前記脂質の割合で定義されるケトン比が0.7~4である、
こととしてもよい。
また、前記中鎖脂肪酸トリグリセリドが、ココナツオイルである、
こととしてもよい。
上記本発明の第1の観点に係る筋損傷回復促進剤は、
対象が覚醒している時間帯に前記対象に摂取される、
こととしてもよい。
本発明の第2の観点に係る筋損傷に伴う炎症抑制剤は、
中鎖脂肪酸トリグリセリドを有効成分とする。
本発明の第3の観点に係る筋損傷回復促進用経口組成物は、
中鎖脂肪酸トリグリセリドを有効成分とする。
本発明によれば、筋損傷後の炎症を早期に抑え、筋再生を促進することができる。
試験例1に係る普通食(A)又はケトン食(B)を与えた筋損傷モデル動物の筋損傷後12日目の筋組織切片の免疫蛍光染色画像を示す図である。 試験例1に係る筋損傷モデル動物の筋損傷後12日目の筋細胞の線維径(最小フェレ径)を示す図である。 試験例1に係る筋損傷モデル動物の筋損傷後のMyoD1遺伝子の相対的発現量を示す図である。 試験例1に係る筋損傷モデル動物の筋損傷後のTNFα遺伝子の相対的発現量を示す図である。 試験例1に係る筋損傷モデル動物の筋損傷後のCD11c遺伝子の相対的発現量を示す図である。 試験例1に係る筋損傷モデル動物の筋損傷後のNcf1遺伝子の相対的発現量を示す図である。 試験例2に係るマウスの血中ケトン体濃度の経時変化を示す図である。
本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は下記の実施の形態によって限定されるものではない。
本実施の形態に係る筋損傷回復促進剤は、中鎖脂肪酸トリグリセリド(以下、“MCT”ともいう)を有効成分とする。MCTは、炭素数が8から12の脂肪酸のグリセリントリエステルである。MCTは、炭素数8から12の脂肪酸トリグリセリドが大部分である混合物であってもよい。MCTを構成する全脂肪酸に対する炭素数8~12の脂肪酸の割合は、例えば60~100モル%、より好ましくは70~100モル%である。MCTを構成する脂肪酸が、炭素数8のカプリル酸及び炭素数10のカプリン酸を50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上含有するMCTがより好ましい。MCTは動植物からの抽出物であってもよい。好適には、MCTとしてココナツオイルを使用することができる。
脂肪酸の代謝産物であるケトン体は、グルコースに代わるエネルギー源となる。長鎖脂肪酸トリグリセライド由来の長鎖脂肪酸はカイロミクロンを経てリンパ管から大循環系に入り脂肪組織などに貯蔵され、グリコーゲン枯渇時等に分解され消費される。一方、中鎖脂肪酸はカイロミクロンを経ずに門脈に入り肝臓に運ばれ、速やかにエネルギー源となって代謝される。このため、中鎖脂肪酸は糖質摂取が少ない条件において、肝臓でケトン体を速やかに産生することができる。
好ましくは、本実施の形態に係る筋損傷回復促進剤は、タンパク質と、糖質と、をさらに含む。タンパク質は、特に制限されないが、例えば、コーングルテン、小麦グルテン、大豆タンパク質、小麦タンパク質、ホエイタンパク質、カゼイン、乳タンパク質、動物性タンパク質、卵白及び卵黄等である。
糖質は、例えば単糖類、二糖類及び多糖類等を含む。単糖類としては、グルコース、フルクトース及びガラクトース等が挙げられる。二糖類としては、マルトース、スクロース及びラクトース等が挙げられる。多糖類としては、アミロース、アミロペクチン、グリコーゲン及びデキストリン等が挙げられる。
本実施の形態に係る筋損傷回復促進剤がタンパク質及び糖質を含む場合、好ましくは、MCT、タンパク質及び糖質の合計質量Mに対するMCTの質量の割合は、例えば40~75質量%、より好ましくは42~75質量%、特に好ましくは45~75質量%である。合計質量Mに対するタンパク質の割合は、例えば、5~40質量%、好ましくは7~30質量%、特に好ましくは10~30質量%である。合計質量Mに対する糖質の割合は、例えば、5~40質量%、好ましくは7~30質量%、特に好ましくは10~20質量%である。合計質量Mに対する中鎖脂肪酸トリグリセリド、タンパク質及び糖質の質量の割合を上記の範囲とすることで、筋損傷後の筋再生を促進することができる。
本実施の形態に係る筋損傷回復促進剤はMCT以外の脂質を含んでもよい。脂質は、その少なくとも一部としてMCTを含む。すなわち、本明細書における“脂質”は、MCTのみであってもよいが、好ましくはMCTに加えてMCT以外の脂質を含む。MCT以外の脂質としては、例えば、ω3脂肪酸及びω6脂肪酸等の長鎖脂肪酸、ラード及び魚油等の動物性油脂、並びにパーム油、サフラワー油、大豆油、コーン油、ナタネ油及びヤシ油等の植物性油脂等が挙げられる。動物性油脂及び植物性油脂は、分別油、水素添加油及びエステル交換油等であってもよい。
好適には、糖質及びタンパク質の合計質量に対する脂質の割合で定義されるケトン比(脂質の質量/(糖質の質量+タンパク質の質量))が0.7~4、好ましくは0.7~2.9、より好ましくは0.8~2.5、特に好ましくは1.0~2.0又は1.0~1.5となるように各成分が配合される。例えば、MCTが40質量部、MCT以外の脂質が20質量部、糖質の質量とタンパク質の質量との合計質量が60質量部の場合のケトン比は1である。MCTが75質量部、MCT以外の脂質が25質量部、糖質の質量とタンパク質の質量との合計質量が25質量部の場合、ケトン比は4となる。
なお、上記の合計質量Mに対する糖質の割合、糖質の配合量及びケトン比の算出等では、上述の単糖類、二糖類及び多糖類のように、摂取されると数時間で代謝され、グルコース又はエネルギーを発生しうる糖類を“糖質”とする。したがって、ペクチン、βグルカン、フルクタン、イヌリン、アガロース、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、フコイダン、セルロース、キチン、キトサン及びエリスリトール等の食物繊維等は、炭水化物ではあるものの、速やかにグルコース又はエネルギーに代謝されない。このため、上記の合計質量Mに対する糖質の割合、糖質の配合量及びケトン比の算出では食物線維は“糖質”に含めないものとする。なお、食物繊維等が本実施の形態に係る筋損傷回復促進剤に配合されることは排除されない。
本実施の形態に係る筋損傷回復促進剤は、筋再生を促進する効果を損なわない範囲で、水、ビタミン類、ミネラル類、有機酸、有機塩基、果汁、フレーバー、機能性成分及び食品添加物等、食品に含まれる成分を含有してもよい。ビタミン類としては、ビタミンA、カロテン類、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD群、ビタミンE、ビタミンK群、ビタミンP、ビタミンQ、ナイアシン、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、イノシトール、コリン及び葉酸等が挙げられる。ミネラル類としては、例えば、カルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、銅、鉄、マンガン、亜鉛及びセレン等が挙げられる。有機酸としては、例えば、リンゴ酸、クエン酸、乳酸及び酒石酸等が挙げられる。機能性成分として、例えばオリゴ糖、グルコサミン、コラーゲン、セラミド、ローヤルゼリー及びポリフェノール等が挙げられる。筋損傷回復促進剤には、乳化剤、安定剤、増粘剤、ゲル化剤、甘味剤、酸味料、保存料、抗酸化剤、pH調整剤、着色剤及び香料等が配合されてもよい。
本実施の形態に係る筋損傷回復促進剤は、MCTに賦形剤を加えて粉末状、顆粒状、ペースト状又はその他に加工してもよい。賦形剤は、薬学的に許容されるものであれば特に限定されず、例えば、乳糖、白糖、D-マンニトール、D-ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、プルラン、軟質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、キシリトール、ソルビトール及びエリスリトール等である。
本実施の形態に係る筋損傷回復促進剤は、既知の方法で製造され、有効成分として0.01~99.5質量%、0.1~99質量%、1~80質量%、10~60質量%又は20~50質量%のMCTを含む。筋損傷回復促進剤の形態は特に制限されず、ペースト剤、ゲル状剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、錠剤、丸剤及びカプセル剤等であってもよい。
好ましくは、本実施の形態に係る筋損傷回復促進剤は、筋損傷を有する対象に、上記ケトン比が0.7~4、好ましくは0.7~2.9、より好ましくは0.8~2.5、特に好ましくは1.0~2.0又は1.0~1.5となるように投与される。筋損傷を有する対象が当該筋損傷回復促進剤以外の食物等を摂取する場合は、上記ケトン比になるように筋損傷回復促進剤の組成又は用量を調整すればよい。筋損傷回復促進剤が糖質及びタンパク質を含有しない場合、筋損傷を有する対象が摂取する食物に含まれる糖質及びタンパク質の質量に基づいて、ケトン比が、例えば0.7~4になるように筋損傷回復促進剤の用量を設定すればよい。
本実施の形態に係る筋損傷回復促進剤は、筋損傷を有する対象の1日の必要カロリーの50~100%となるように投与されることが好ましく、より好ましくは70~100%、特に好ましくは80~100%となるように投与される。これにより血中ケトン体濃度を向上させることで、筋損傷後の筋再生を促進することができる。
上記の筋損傷回復促進剤は経口投与されても、経管投与されてもよい。また、投与回数に制限はなく、筋損傷を有する対象の状態に応じて投与回数を適宜選択することができる。下記試験例2でケトン体の血中濃度の変化を検討したところ、筋損傷回復促進剤を摂取すると、ケトン体の血中濃度は、活動期に増加し、睡眠時間帯に低下することが判明した。したがって、好ましくは、筋損傷回復促進剤は対象が覚醒している時間帯、特には当該対象が覚醒して活動している時間帯に当該対象に摂取される。なお、筋損傷回復促進剤を摂取する対象は動物であれば特に限定されず、好ましくは哺乳動物、特に好ましくはヒトである。
なお、別の実施の形態では、上記筋損傷回復促進剤と、当該筋損傷回復促進剤の好ましい摂取時刻又は時間帯が記載された指示書と、を備える、筋損傷回復促進キットが提供される。当該指示書には、上記筋損傷回復促進剤を、覚醒している時間帯に摂取するのが好ましい旨が記載される。
下記試験例1に示すように、本実施の形態に係る筋損傷回復促進剤は、筋損傷後の炎症を早期に抑え、筋繊維径を増大、すなわち筋再生を促進することができる。当該筋損傷回復促進剤は任意の筋組織に対して有効であるが、好ましくは、骨格筋、平滑筋及び心筋の損傷に適用するのが好ましく、特には運動障害の生じやすい骨格筋の損傷に有効である。
また、筋損傷回復促進剤における脂質、糖質及びタンパク質に関して、ケトン比を0.7~4とすることで、筋損傷を有する対象におけるケトン体の血中濃度を高く維持することができる。これにより、筋損傷後の炎症を早期に抑えるとともに、筋衛星細胞の活性化を促進し、筋再生をさらに促進させることができる。
別の実施の形態では、上記筋損傷回復促進剤は、筋損傷に伴う炎症抑制剤としても使用できる。また、他の実施の形態では、上記筋損傷回復促進剤は、筋損傷回復促進用経口組成物としても使用できる。経口組成物としては、具体的には、サプリメント、食品組成物、飲食品、機能性食品及び食品添加剤が挙げられる。
サプリメントの形態は、特に制限されず、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、糖衣錠、フィイルム剤、トローチ剤、チュアブル剤、溶液、乳濁液及び懸濁液等の任意の形態でよい。サプリメントは、サプリメントとして通常使用される任意の成分を含んでもよい。
“機能性食品”とは、健康の維持の目的で摂取する食品又は飲料を意味し、保健機能食品である特定保健用食品、栄養機能食品、健康食品及び栄養補助食品等を含む。この中でも保健機能食品である特定保健用食品又は栄養機能食品が好ましい。なお、機能性食品として製品化する場合には、食品に用いられる様々な添加剤、具体的には、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、漂白剤、防菌防黴剤、酸味料、甘味料、調味料、乳化剤、強化剤、製造用剤及び香料等を筋損傷回復促進用経口組成物に添加してもよい。
機能性食品である食品及び飲料は特に限定されるものではない。機能性食品の形態は、例えば、栄養ドリンク、清涼飲料水、紅茶及び緑茶等の飲料;キャンデー、クッキー、錠菓、チューインガム及びゼリー等の菓子;麺、パン、米飯及びビスケット等の穀類加工品;ソーセージ、ハム及びかまぼこ等の練り製品;バター及びヨーグルト等の乳製品;並びに調味料等である。
また、上記筋損傷回復促進剤は、食品添加剤として食品に添加されてもよい。この場合、当該食品添加剤は、食品に添加しやすいように、ペースト剤、ゲル状剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、及び顆粒剤等であってもよい。
他の実施の形態では、MCTを患者に投与することにより筋損傷を治療する方法が提供される。また、別の実施の形態は、筋損傷を治療するためのMCTの使用である。他の実施の形態では、筋損傷回復促進剤としての使用のためのMCTが提供される。また、別の実施の形態は、筋損傷回復促進剤の製造のためのMCTの使用である。また、上記筋損傷回復促進剤は、筋再生促進剤として使用されてもよい。また、上記筋損傷回復促進剤は、経管栄養組成物、特に中心静脈から投与する中心静脈栄養用組成物として使用してもよい。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
試験例1
[筋損傷モデル動物]
6週齢のC57BL/6マウス(雄、日本エスエルシー社製)を取得し、9週齢時に実験に供した。購入後8週齢まで普通食(CE2)で馴化し、9週齢からマウスを2群に分け、ケトン食(MCT-KD)又は普通食(配合飼料AIN93M、リサーチダイエット社製、以降ノーマルダイエット;NDともいう)を与えながら、10週齢で筋損傷を惹起した。筋損傷を惹起では、イソフルラン麻酔下、両後肢の前脛骨筋に蛇毒カルジオトキシン(CTX)10μMを100μL投与した。CTX投与により筋損傷を発生させたモデル動物は、筋損傷からの筋再生に関する研究で広く用いられている。
MCT-KD及びNDの組成を表1に示す。MCT-KDは、ペースト飼料(リサーチダイエット社製)に、MCTパウダー(Quest Nutrition社製)を質量比で1.215倍、スクロース(リサーチダイエット社製)を0.0433倍、コーンスターチ(リサーチダイエット社製)を0.3466倍、カゼイン(オリエンタル酵母社製)を0.267倍混合し、ペレット化して調製した。
Figure 2023006159000002
MCT-KD及びNDにおけるエネルギー源の質量比、カロリー比及びケトン比をそれぞれ表2に示す。
Figure 2023006159000003
CTX投与後1日後、3日後、5日後、7日後及び12日後に解剖により前脛骨筋を採取し、遺伝子発現量の解析及び筋組織切片の作製に供した。
[筋組織切片の作製]
前脛骨筋の採取後直ちに、液体窒素で冷却したイソペンタンに浸して急速凍結した。クライオスタット(ライカバイオシステムズ社製)を用いて凍結筋組織を厚さ10μmに薄切し、スライドグラスに貼り付けた。
[筋組織切片の免疫蛍光染色]
筋組織切片を、室温下で30分間、十分に風乾させた。その後、筋組織切片を-20℃に冷却したアセトンに浸し、-20℃下で10分間処理して固定した。固定化切片を風乾し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄後、ブロッキング試薬(5%ウシ胎児血清,0.1%Triton/PBS)を滴下し、ブロッキング処理を20分間行った。
次に、ブロッキング試薬で500倍希釈した1次抗体(抗ラミニン抗体、ラビット宿主抗体(シグマアルドリッチ社製))を滴下し、室温で2時間反応させた。1次抗体が結合するラミニンはすべての筋細胞で発現するタンパク質であるので、本実験では、切片中の個々の筋細胞の面積を測定するために1次抗体を使用した。1次抗体と反応させた後の筋組織切片をPBSで洗浄後、ブロッキング試薬で500倍に希釈した2次抗体(Anti-rabbit IgG(H+L),F(ab’)2(Cell Signaling社製))を1時間反応させた。蛍光色素がコンジュゲートした抗ラット抗体である2次抗体が1次抗体に結合して、ラミニンを染色する。2次抗体との反応後、筋組織切片をPBSで洗浄し、筋細胞の中心核を染色するためにVECTASHIELD Hard・Set with DAPI(Vector社製)を用いて封入し、倒立顕微鏡BZ-X800(キーエンス社製)で蛍光を観察した。
[筋再生の評価]
蛍光の観察により取得した画像データに基づき筋再生を評価した。本試験では、中心核を持つ筋細胞(中心核を有する単一筋繊維)を再生筋の指標とした。画像データを画像解析ソフトFijiに取り込んだ後、中心核を持つ筋細胞を抽出した。抽出された個々の細胞の断面積を、ラミニン染色された細胞膜に基づいて測定した。面積の測定には、Fijiの組み込み解析プログラムであるAnalyze Particlesを使用した。測定結果を、最小フェレ(Feret)径で表した。
[遺伝子発現の評価]
解剖によりサンプリングした前脛骨筋から、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により遺伝子発現を評価した。凍結した前脛骨筋の筋を、マイクロスマッシュMS-100R(トミー精工社製)を用いて、RNAiso Plus(タカラバイオ社製)で破砕し、total RNAを抽出した。DNAを除去し、PrimeScriptTM RT Reagent Kit及びgDNA Eraser(タカラバイオ社製)をそれぞれ用いてcDNAを合成した。SYBR(商標) Premix Ex TaqTM II(タカラバイオ社製)、LightCyclerTM(Roche Diagnostics社製)及び各遺伝子に対するフォワードプライマーとリバースプライマーとを用いて、リアルタイムPCRを行った。リアルタイムPCRの増幅条件は、95℃で10秒間に続いて、95℃で5秒間、57℃で10秒間及び72℃で10秒間を1サイクルとしての45サイクルである。筋損傷実験におけるリアルタイムPCRの内部標準として一般的に用いられるCmas遺伝子の発現量で、すべての遺伝子の発現量を正規化した。
評価の対象とした遺伝子は、筋細胞分化のマスター遺伝子であるMyoD1遺伝子、炎症性サイトカインであるTNFα遺伝子、マクロファージ等のマーカーであるCD11c遺伝子及び好中球等のマーカーであるNcf1遺伝子である。Cmas遺伝子に対するフォワードプライマー及びリバースプライマーの塩基配列をそれぞれ配列番号1及び2に示す。MyoD1遺伝子に対するフォワードプライマー及びリバースプライマーの塩基配列をそれぞれ配列番号3及び4に示す。TNFα遺伝子に対するフォワードプライマー及びリバースプライマーの塩基配列をそれぞれ配列番号5及び6に示す。CD11c遺伝子に対するフォワードプライマー及びリバースプライマーの塩基配列をそれぞれ配列番号7及び8に示す。Ncf1遺伝子に対するフォワードプライマー及びリバースプライマーの塩基配列をそれぞれ配列番号9及び10に示す。
(結果)
図1(A)及び図1(B)は、それぞれND及びMCT-KDを与えたマウスの筋損傷後12日目の筋組織切片の免疫蛍光染色画像を示す。図2は図1に示す画像に基づいて測定した最小フェレ径を示す。なお、NDがn=3、MCT-KDがn=4である。MCT-KDはCTX投与により損傷した筋繊維径の増大、すなわち筋再生を促進することが示された(p=0.03)。
図3、図4、図5及び図6は、それぞれMyoD1遺伝子、TNFα遺伝子、CD11c遺伝子及びNcf1遺伝子の相対的発現量を示す。なお、図3~6においてNDがn=3、MCT-KDがn=4である。図3に示すように、MyoD1遺伝子の発現は、損傷後1日目においてNDよりもMCT-KDのほうが高かった。これは、MCT-KDが筋細胞分化を損傷後より早期から促進することを示している。
図4に示すように、MCT-KDによって、TNFα遺伝子の発現が低下していることから、損傷後の炎症が抑制されていることが示唆された。図5によれば、MCT-KDによってCD11c遺伝子の発現が低下していることから、損傷後の炎症が抑制されていることが示唆された。図6より、MCT-KDによって、Ncf1遺伝子の発現が低下していることから、損傷後の炎症が抑制されていることが示唆された。
以上のことから、MCT-KDにより、筋損傷後の炎症が早期に抑えられ、筋衛星細胞の活性化が促進され、筋繊維径が増大することがわかった。
試験例2
試験例1で示された筋損傷に対するMCT-KDの効果はケトン体を介すると考えられる。そこで、MCT-KDによるケトン体の血中濃度の変化について検討した。C57BL/6マウス(6週齢オス)に、MCT-KD又はNDを各群2週間給餌後(自由摂餌)、8週齢にてテールカット法により数滴の血液を採取した。プレシジョンエクシードを使用して6時間ごとに血中ケトン体濃度を測定した(MCT-KDがn=8、NDがn=8)。
(結果)
図7に示すように、ケトン体の血中濃度はMCT-KD摂取群において、活動期の初期にピークとなる顕著な日内リズムが観察された(p<0.05)。一方、MCT-KD摂取群のケトン体血中濃度は、睡眠時間帯においては対照群と同レベルにまで低下していることが分かった。このことは、1日の中で特定の時間帯にMCT-KDを摂取するだけで、十分な効果が期待できることを示している。
上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
本発明は、筋損傷の治療に好適である。

Claims (8)

  1. 中鎖脂肪酸トリグリセリドを有効成分とする、
    筋損傷回復促進剤。
  2. タンパク質と、
    糖質と、
    をさらに含む、請求項1に記載の筋損傷回復促進剤。
  3. 前記中鎖脂肪酸トリグリセリド、前記タンパク質及び前記糖質の合計質量に対する前記中鎖脂肪酸トリグリセリド、前記タンパク質及び前記糖質の質量の割合がそれぞれ40~75%、5~40%及び5~40%である、
    請求項2に記載の筋損傷回復促進剤。
  4. 前記中鎖脂肪酸トリグリセリドを少なくとも一部とする脂質を含み、
    前記糖質及び前記タンパク質の合計質量に対する前記脂質の割合で定義されるケトン比が0.7~4である、
    請求項2又は3に記載の筋損傷回復促進剤。
  5. 前記中鎖脂肪酸トリグリセリドが、ココナツオイルである、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の筋損傷回復促進剤。
  6. 対象が覚醒している時間帯に前記対象に摂取される、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の筋損傷回復促進剤。
  7. 中鎖脂肪酸トリグリセリドを有効成分とする、
    筋損傷に伴う炎症抑制剤。
  8. 中鎖脂肪酸トリグリセリドを有効成分とする、
    筋損傷回復促進用経口組成物。
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