JP2023006149A - スパッタ装置及び電子デバイスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スパッタリングを行う成膜装置において、ゲッタ材料を用いてチャンバ内部、特にターゲット近傍からガス分子をより効率的に取り除き、成膜の品質を向上させることが求められている。【解決手段】基板が収容されるチャンバと、前記チャンバの内部において前記基板の成膜対象面と対向するように配置されるターゲットと、前記チャンバの内部に設けられる非蒸発型ゲッタポンプと、を備えるスパッタ装置において、前記非蒸発型ゲッタポンプは、前記ターゲットに対し、スパッタリング時に前記ターゲットから前記ターゲットを構成する材料が放出される方向以外の方向に配置されることを特徴とするスパッタ装置。【選択図】図1

Description

本発明は、基板にスパッタリングによって成膜を行うスパッタ装置及び電子デバイスの製造方法に関する。
基板や基板上に形成された積層体等の成膜対象物に、金属や金属酸化物等の薄膜を形成する方法として、スパッタリングがある。スパッタリングにより成膜を行うスパッタ装置では、真空チャンバにスパッタリングガスを導入し、ターゲットにマイナス電圧を印加してグロー放電を発生させ、スパッタリングガスをイオン化し、高速でターゲットの表面に衝突させる。これにより、ターゲットの表面からターゲットを構成する材料がスパッタ粒子として叩き出され、これが成膜対象物に付着及び堆積して薄膜が形成される。スパッタリングガスとしてAr等の不活性ガスや、不活性ガスに加えてOやN等の反応性ガスを導入することにより、金属薄膜や酸化物や窒化物等の化合物薄膜を形成することができる。
真空チャンバの高真空を実現するための真空ポンプとして、非蒸発型ゲッタ(NEG(Non-Evaporable Getter))材料を使用したポンプがある。NEGは、Ti、Zr、V、Hf、Nb、Taやそれらの合金であり、真空中で加熱して活性化させると、蒸発を伴わずに反応性の高い清浄表面が生成し、H、HO、O等のガス分子を吸着することで排気作用を示す。
特許文献1には、真空チャンバ内において、成膜対象物である基板の近傍に、遮蔽板によって基板及びターゲットから隔てられた状態で、NEGポンプを配置したスパッタ装置が開示されている。特許文献2には、真空チャンバ内において、成膜対象物である基板の近傍に、基板に対してターゲットとは反対側に、NEGポンプを配置したスパッタ装置が開示されている。
特開平10-81952号公報 特開平8-203830号公報
スパッタリングを行う成膜装置において、ゲッタ材料を用いてチャンバ内部、特にターゲット近傍からガス分子をより効率的に取り除き、成膜の品質を向上させることが求められている。
さらには、スパッタリングにより金属電極の成膜を行って有機発光ダイオード(OLED(Organic Light-Emitting Diode))等の素子を作製した場合、特に基板のサイズが大きい場合に良好な素子特性が得られない場合があった。これは、サイズの大きな基板に対しスパッタリングを行う大型のスパッタ装置において、ターゲット近傍からガス分子をより効率的に取り除くことが従来技術では難しかったからである。本発明は、ターゲット近傍からガス分子をより効率的に取り除くことができ、良好な特性の素子を得ることができるスパッタ装置を提供することを目的とする。
本発明は、基板が収容されるチャンバと、
前記チャンバの内部において前記基板の成膜対象面と対向するように配置されるターゲットと、
前記チャンバの内部に設けられる非蒸発型ゲッタポンプと、
を備えるスパッタ装置において、
前記非蒸発型ゲッタポンプは、前記ターゲットに対し、スパッタリング時に前記ターゲットから前記ターゲットを構成する材料が放出される方向以外の方向に配置されることを特徴とするスパッタ装置である。
また、本発明は、基板が収容されるチャンバと、
前記チャンバの内部において前記基板の成膜対象面と対向するように配置される円筒形のターゲットと、
前記チャンバの内部に設けられる非蒸発型ゲッタポンプと、
前記ターゲットを回転させる回転手段と、を備えるスパッタ装置において、
前記ターゲットの回転軸に垂直の仮想面内で、前記ターゲットの回転中心と前記非蒸発型ゲッタポンプの位置とを結ぶ仮想線分は、前記ターゲットの回転中心を原点とする極座標で、前記ターゲットの回転軸を含み前記基板の成膜対象面に平行な仮想平面の位置を基準として前記成膜対象面に向かう方向を正として定義した角度で、45度から135度の範囲に含まれないことを特徴とするスパッタ装置である。
本発明によれば、スパッタリングを行う成膜装置において、ゲッタ材料を用いてチャンバ内部のターゲット近傍からガス分子をより効率的に取り除くことができる。また、本発明のスパッタ装置を用いて電極膜を形成することで、良好な特性の有機発光ダイオードを得ることができる。
実施例1のスパッタ装置の構成を示す模式図。 OLEDの一般的な構成を示す図。 NEGポンプの設置位置を説明する図。 実施例1の効果を説明する図。 実施例2のスパッタ装置の構成を示す模式図。 実施例3のスパッタ装置の構成を示す模式図。
以下に、本発明の実施例について詳細に説明する。ただし、以下の実施例は本発明の好ましい構成を例示的に示すものにすぎず、本発明の範囲をそれらの構成に限定されない。また、以下の説明における、装置のハードウェア構成及びソフトウェア構成、処理フロー、製造条件、寸法、材質、形状等は、特に記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。実施例には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一又は同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
<実施例1>
図1を参照して、実施例1のスパッタ装置1の基本的な構成について説明する。図1(A)はスパッタ装置1に備わる円筒形状のターゲット2の回転軸に平行な方向(Y方向とする)から見たスパッタ装置1の内部構成を模式的に示す図である。図1(B)はスパッタ装置1内を搬送される基板6の搬送方向Sに平行な方向(X方向とする)から見たスパッタ装置1の内部構成を模式的に示す図である。なお、鉛直方向をZ方向とする。図1(
C)はターゲット2の内部に設けられる磁石ユニット3の構成を模式的に示す図である。
本実施例に係るスパッタ装置1は、半導体デバイス、磁気デバイス、電子部品等の各種電子デバイスや、光学部品等の製造において基板(基板上に積層体が形成されているものも含む)上に薄膜を堆積形成するために用いられる。より具体的には、スパッタ装置1は、発光素子や光電変換素子、タッチパネル等の電子デバイスの製造において好ましく用いられる。中でも、本実施例に係るスパッタ装置1は、OLED等の有機発光素子や、有機薄膜太陽電池等の有機光電変換素子の製造において特に好ましく適用可能である。なお、本発明における電子デバイスは、発光素子を備えた表示装置(例えば有機EL(Electro-Luminescence)表示装置)や照明装置(例えば有機EL照明装置)、光電変換素子を備えたセンサ(例えば有機CMOSイメージセンサ)も含むものである。また、本実施例によるスパッタ装置1又は本発明の範囲内で本実施例のスパッタ装置1を変形したスパッタ装置を用いて基板に薄膜を形成する工程を有する電子デバイスの製造方法も本発明に含まれる。
図2は、OLEDの一般的な層構成を模式的に示している。OLEDは、基板に陽極、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極(上部電極)が積層された構成が一般的である。本実施例に係るスパッタ装置1は、有機膜上に、スパッタリングによって、電子注入層や上部電極に用いられる金属や金属酸化物等を成膜する際に好適に用いられる。また、有機膜上への成膜に限定されず、金属材料や酸化物材料等のスパッタで成膜可能な材料の組み合わせであれば、多様な面に成膜が可能である。
図1(A)に示すように、スパッタ装置1は、成膜対象物である基板6及びターゲット2が内部に配置されるチャンバ10と、を有している。スパッタ装置1では、ターゲット2は基板6に対し鉛直方向下方に配置され、基板6の成膜面が鉛直方向下方を向いた状態でデポアップによる成膜が行われる。なお、本発明はこれに限定されず、ターゲット2が基板6に対し鉛直方向上方に配置され、基板6の成膜面が鉛直方向上方を向いた状態でデポダウンによる成膜が行われる構成であってもよい。また、基板6が垂直に立てられ、基板6の成膜面が鉛直方向と平行な状態で成膜が行われる構成であってもよい。
回転カソードユニット8は、円筒形のターゲット2と、ターゲット2の内側の中空部に配置されターゲット2の外周に磁場を発生させる磁場発生部としての磁石ユニット3とを有する。ターゲット2の内側にはバッキングチューブ2aが設けられる。
ターゲット2は、スパッタリングによって基板6に成膜を行うための成膜材料により構成され、成膜材料の供給源として機能する。ここでは、OLEDの陽極及び有機発光層が既に形成されている基板にAg又はAg合金(例えばAg-Mg合金)の陰極(上部電極)をスパッタリングにより成膜する場合を例に説明する。したがってターゲット2を構成する成膜材料はAg又はAg合金を含んで構成される。なお、本発明のスパッタ装置はAg又はAg合金による上部電極の成膜に限定されず適用可能であり、ターゲット2の成膜材料としては、目的に応じて、Cu、Al、Ti、Mo、Cr、Ag、Au、Ni等の金属単体、あるいは、それらの金属元素を含む合金又は化合物を採用し得る。また、ターゲット2の成膜材料としては、ITO、IZO、IWO、AZO、GZO、IGZO等の透明導電酸化物も採用し得る。
ターゲット2における成膜材料が形成された層の内側に、別の材料からなるバッキングチューブ2aの層が形成されている。バッキングチューブ2aには、電源13が接続され、電源13からマイナスの電圧が印加されるカソードとして機能する。なお、電圧はターゲット2に直接印加してもよく、その場合バッキングチューブ2aを有しない構成としてもよい。電源13はターゲット2の材料に応じてDC電源、AC電源又は高周波電源が用
いられる。チャンバ10は接地されている。また、ターゲット2は円筒形のターゲットであるが、ここで言う「円筒形」は数学的に厳密な円筒形のみを意味するのではなく、母線が直線ではなく曲線であるものや、中心軸に垂直な断面が数学的に厳密な「円」ではないものも含む。すなわち、本発明におけるターゲット2は、中心軸を軸に回転可能な円筒状のものであればよい。
磁石ユニット3によって、ターゲット2の基板6と対向する表面側には磁場が形成される。磁石ユニット3は、図1(C)に示すように、ターゲット2の回転軸と平行方向に延びる中心磁石31と、中心磁石31とは異極の、中心磁石31を取り囲む周辺磁石32と、ヨーク板33とを備えている。周辺磁石32は、中心磁石31と平行に延びる一対の直線部32a及び32bと、当該直線部32a及び32bの両端を連結する転回部32c及び32dとによって構成されている。磁石ユニット3によって形成される磁場は、中心磁石31の磁極から、周辺磁石32の直線部32a及び32bへ向けてループ状に戻る磁力線を有している。これにより、ターゲット2の表面近傍には、ターゲット2の回転軸方向に延びたトロイダル型の磁場のトンネルが形成される。この磁場によって、電子が捕捉され、ターゲット2の表面近傍にプラズマを集中させ、スパッタリングの効率が高められている。この磁石ユニット3の磁場により、高密度のプラズマが形成され、スパッタ粒子が集中的に生じる領域をスパッタリング領域Aとする。
回転カソードユニット8は、チャンバ10に対して固定されている。ターゲット2は円筒の中心軸を中心に回転自在に支持される。具体的には、ターゲット2は、Y方向の端部をサポートブロック210及びエンドブロック220によって回転自在に支持されている。サポートブロック210及びエンドブロック220には、回転駆動装置であるターゲット駆動装置11からの駆動力をターゲット2に伝達する動力伝達機構が設けられる。ターゲット駆動装置11は、モータ等の駆動源を有し、動力伝達機構を介してターゲット2を回転駆動する。内部の磁石ユニット3は回転移動しない状態で支持される。すなわち、スパッタ装置1のターゲット駆動装置11は、磁石ユニット3を静止させたままターゲット2を回転させる駆動機構を有する。
基板6は、チャンバ10の側壁に設けられた一方のゲートバルブ17から搬入される。基板6は、搬送部材120によってチャンバ10内で水平方向(矢印Sで示す方向)に搬送されつつ、スパッタリングにより成膜が行われる。基板6の成膜対象面の全体に成膜が行われた後、基板6はチャンバ10の他方の側壁に設けられたゲートバルブ18から搬出される。
チャンバ10には、ガス導入手段16及び排気手段15が接続され、内部を所定の圧力に調節することができる構成となっている。チャンバ10の内部には、スパッタリングガス(アルゴン等の不活性ガスや酸素や窒素等の反応性ガス)が、ガス導入手段16により、チャンバ10に設けられた導入口41を通じて導入される。また、チャンバ10の内部からは、排気口5を通じて真空ポンプ等の排気手段15によって排気が行われる。これにより、チャンバ10の内部の圧力は所定の圧力に調節される。
ガス導入手段16は導入口41を有し、不図示のガスボンベ等の供給源と、供給源と導入口41を接続する配管系と、配管系に設けられる各種真空バルブ、マスフローコントローラ等から構成され、マスフローコントローラの流量制御弁によって、供給量を調節可能である。流量制御弁は、電磁弁等の電気的に制御可能な構成を有する。導入口41は、チャンバ10の垂直の側壁に配置される。なお、導入口41の設置位置は側壁に限定されず、底壁に設けられていてもよいし、天井壁に設けられていてもよい。また、配管がチャンバ10内に延びて、導入口がチャンバ10内に開口していてもよい。また、導入口41は複数設けられ、ターゲット2の回転軸方向に沿って配置される構成とすることもできる。
排気手段15は、真空ポンプと、真空ポンプと排気口54を接続する配管系と、を有し、配管系にはコンダクタンスバルブ等の電気的に制御可能な流量制御弁が設けられ、制御弁によって排気量を調節可能である。排気口5は、チャンバ10の底壁に設けられる。なお、排気口5の設置位置は、底壁に限定されず、垂直の側壁に設けられていてもよいし、天井壁に設けられていてもよい。また、配管がチャンバ10内に延びて、排気口5がチャンバ10内に開口していてもよい。
回転カソードユニット8の近傍には、非蒸発型ゲッタポンプ7(以下、NEGポンプという)が設けられる。NEGポンプ7は、H、HO、O、N、CO、CO等の化学的な活性種を吸着可能なNEG材料の焼結体を設置したステンレススチール製の構造体から構成され、NEG材料を活性化させるための電気抵抗ヒータを内蔵している。NEGポンプ7は、ターゲット2の回転軸方向(Y方向)に沿って配置される。NEGポンプ7のY方向の長さは、図1(B)に示すようにターゲット2のY方向の長さと略同じである。NEG材料(非蒸発型ゲッタ材料)は、Ti、Zr、V、Al、Ta、W、Mo、Hf、Nb、Fe又はこれらを主成分とする合金であり、ヒータによって約500℃に加熱することで活性化し、チャンバ10内のガス分子を化学吸着により除去する。NEGポンプ7はスパッタリングガスとして使用されるArやXe等の化学的な不活性種に対しては実質的に影響しない。上記を踏まえて、本明細書において「ガス分子」とは、特に言及しない限りにおいて、Arなどの不活性種を除いた、H、HO、O、N、CO、CO等の化学的に活性な分子のことを指すこととする。制御部14は、NEGポンプ7のヒータに対する通電を制御することで、NEGポンプ7の活性状態を制御し、NEGポンプ7による排気を制御する。なお、NEGポンプ7の構成や加熱方法及び加熱温度は一例であり、上記の例に限られない。例えば、NEG材料の形態は粉体又は圧縮してピル状としてもよいし、NEGポンプ7のY方向の長さはターゲット2のY方向の長さより短くてもよいし長くてもよい。また、複数の位置にNEGポンプを分割して配置してもよい。
図3はNEGポンプ7とターゲット2との位置関係を説明する概念図である。図3(A)は、円筒形のターゲット2を用いてターゲット2の上方に配置された基板6の鉛直方向下方の面にデポアップでスパッタリング成膜する場合のNEGポンプ7とターゲット2との位置関係を示す。NEGポンプ7は、ターゲット2の近傍において、ターゲット2に対し、スパッタリング時にターゲット2から放出物(スパッタ粒子)が放出される方向以外の方向に配置される。図3(A)に示すように、ターゲット2にマイナスの電圧を印加することにより生成したスパッタリングガスイオン(例えばAr)がターゲット2の表面に衝突すると、ターゲット2を構成する成膜材料の原子や分子がスパッタ粒子としてターゲット2から放出される。
スパッタリング時にターゲット2の表面からこれらの放出物(スパッタ粒子)が放出される場所および放出される方向は、磁石ユニット3によりターゲット2の表面近傍に形成される磁場により設定できる。図3(C)においては、斜視図として円筒ターゲットと、高密度なプラズマが生成されることでスパッタ粒子が放出される場所を記した。図3(C)に示すように、円筒表面のα及びβの角度方向にトラック状の形状を有して高密度なプラズマ領域が形成される。なお、角度α及びβは、ターゲット2の回転中心を原点とする極座標で、ターゲット2の回転軸を含み基板6の成膜対象面に平行な仮想平面の位置を基準として基板6の成膜対象面に向かう方向を正として定義した角度である。図3(A)において、角度α及びβは、おおよそ、ターゲット2の回転中心Oと中心磁石31及び周辺磁石32の間の位置とを通る線分D2、D3の位置により規定される。角度α及びβ方向のターゲット2の外周位置において多くのスパッタ粒子が放出される。また、角度α及びβの方向に多くのスパッタ粒子が放出される。本明細書では、角度α及びβで規定される範囲をスパッタリング領域と呼ぶ。
NEGポンプ7を配置する位置は、ターゲット2の回転軸に垂直の仮想面内で、ターゲット2の回転中心OとNEGポンプ7の位置とを結ぶ仮想線分(例えば、図3(A)の線分L1、L2、L3)が、角度αからβまでの範囲に対応する円弧Cと交わらないような位置とする。例えば、本実施例のように円弧Cが基板6と対向する方向である場合には、NEGポンプ7を円弧Cとは反対側の方向(ターゲット2の裏側)に配置することが挙げられる。このようなNEGポンプ7の配置は、ターゲット2の形状が円筒状であり、端部で支持された構造であるというロータリーカソードの特徴を生かした配置であり、近接した位置に設置できるという観点から好適な配置である。
円弧Cは、ターゲット2の回転軸に垂直の仮想面内で、基板6の成膜対象面に対向するターゲット2の表面における所定の領域に対応する。円弧Cに対応する所定の領域は、例えば、磁石ユニット3により形成される磁場の磁束分布に基づいて決まる角度α及びβまでの範囲として設定できる。他にも、磁場強度が一定以上の値を有したターゲット2の表面上の領域とすることができる。他にも、磁石ユニット3の磁石の配置や構造、スパッタ粒子が集中的に発生する位置、スパッタリング時にターゲット2表面からの放出物が放出される方向として一般的、統計的、経験的、実験的に観察される事象等に基づいて決めてもよい。
例えば、磁石ユニットの設計により、αは45度から80度までの範囲(βは100度から135度)とすることができる。本実施例1では、αは60度、βは120度である。また、αは45度、βは135度としてもよい。この場合、ターゲット2の回転軸に垂直の仮想面内で、ターゲット2の回転中心とNEGポンプ7の位置とを結ぶ仮想線分は、上記のように定義した極座標で角度45度から135度の範囲に含まれない。また、NEGポンプ7の位置は、例えば、NEGポンプ7の重心の位置とするが、これに限らない。
ここでは鉛直方向に対して、α方向とβ方向が対称となる構成としたが、必ずしも対称でなくともよい。すなわちスパッタリング領域A及び円弧Cを、鉛直上方方向から傾いた方向に配置としてもよい。例えば、スパッタリング領域が水平方向を向いた例として、αは330度、βは30度とする例が挙げられる。スパッタリング領域が斜め方向を向いた例として、αは15度、βは75度とする例が挙げられる。
図1(A)及び図1(B)では、NEGポンプ7はチャンバ10の底面に配置されているように記載しているが、上記の位置関係を満たす任意の位置に配置され得る。必要に応じて、チャンバ10の底面にNEGポンプ7を支持する支持体を設け、支持体上にNEGポンプ7を配置してもよい。NEGポンプ7とターゲット2との距離は、上記の位置関係を満たす範囲内で適宜決定されるが、ターゲット2表面から30cm以内の距離にNEGポンプ7を配置することが好ましい。NEGポンプをターゲットに近接して配置することで、ターゲットから放出されたガス分子を短時間で効率的に吸着することが可能となるため、ターゲット表面への吸着分子量を低減することができる。また、NEGポンプ7をターゲット2の表面から20cm以内の距離に配置することにより、装置を小型にすることができ、好ましい。
図3(B)は、円筒形のターゲット2を用いてターゲット2の下方に配置された基板6の鉛直方向上方の面にデポダウンでスパッタリング成膜する場合のNEGポンプ7とターゲット2との位置関係を示す。デポダウンの場合も、上述したデポアップの場合と同様の考え方で、角度α及びβを決めることができる。デポダウンの場合、極座標の角度の正の方向は、図3(B)に示すように、図3(A)に示すデポアップの場合とは逆向きになる。角度α及びβの範囲は、デポアップの場合と同様、αは45度から80度までの範囲、βは100度から135度までの範囲とすることができ、例えば、αは60度、βは12
0度とすることができる。
実施例1は円筒形のターゲット2を用いてスパッタリングを行うスパッタ装置に本発明を適用した例だが、本発明は平板状のターゲットを用いてスパッタリングを行うスパッタ装置に適用することも可能である。図3(D)は、平板状のターゲット2Xを用いてターゲット2Xの上方に配置された基板6の鉛直方向下方の面にデポアップでスパッタリング成膜する場合のNEGポンプ7とターゲット2Xとの位置関係を示す。この場合も、NEGポンプ7は、ターゲット2Xに対し、スパッタリング時にターゲット2Xからの放出物が放出される方向以外の方向に配置される。例えば、NEGポンプ7は、NEGポンプ7の最も基板6に近い面が、ターゲット2Xの基板6に対向する面を含む仮想平面Pに対して基板6とは反対側に位置するように配置される。
実施例1のスパッタ装置1においてスパッタリングによる成膜を行う際には、制御部14は、ターゲット駆動装置11を制御してターゲット2を矢印R方向に駆動回転させるとともに、電源13を制御してターゲット2にマイナスの電圧を印加する。磁石ユニット3は回転せず、常に、ターゲット2の基板6と対向する表面側に漏洩磁場を生成する。ターゲット2に電圧が印加されると、磁石ユニット3の生成する磁場が存在する領域が、プラズマが集中して生成されスパッタ粒子が発生するスパッタリング領域Aとなる。プラズマ中の陽イオン状態の不活性ガスイオンがターゲット2の表面に衝突し、叩き出されたターゲット2を構成する材料の原子や分子がターゲット2から放出される。ターゲット2から放出された成膜材料の粒子は、基板6の成膜対象面に付着し、堆積する。
このとき、ターゲット2の表面からはさらに、ターゲット中に含まれる酸素や水素などの不純物や、ターゲット表面に吸着したガス分子も放出される。すなわち、ターゲットを構成する材料がスパッタ粒子として放出されることに加えて、相当量のガス分子が放出される。本実施例においては、ターゲットの近傍に配置されたNEGポンプによって、これらのガス分子が効率的に排気(吸着)される。
本実施例において、回転カソードユニット8はチャンバ10に対して固定されているため、スパッタリング領域Aはチャンバ10に対して移動しない。また、磁石ユニット3はターゲット2とともに回転せずチャンバ10に対して相対移動しないため、スパッタリング領域Aと基板6の成膜対象面との対向角度は、成膜処理中、一定である。ここで、スパッタリング領域Aと基板6の成膜対象面との対向角度とは、例えば、ターゲット2の回転軸に垂直な仮想平面内で、ターゲット2の円筒表面のうちスパッタリング領域Aに対応する円弧の中心角を2等分する線分と基板6の成膜対象面を含む仮想面とのなす角度として定義する。
基板6が搬送部材120によって水平方向に移動することにより、スパッタリング領域Aと対向する基板6の成膜対象面の領域が水平方向に移動する。これにより、基板6の成膜対象面には、搬送方向Sの下流側端部から上流側端部に向かって順次、成膜が行われる。これにより、基板の表面全体にわたって均一にスパッタリング成膜が行われる。
ターゲット2の表面においてスパッタ粒子が放出される領域は、ターゲット2の回転に伴って周方向に移動する。したがって、ターゲット2の表面のある局所的な領域に着目すると、ターゲット2の回転速度によって決まる周期で、間欠的にスパッタリングされることになる。このようにターゲット2の表面が間欠的にスパッタリングされるスパッタ装置において、NEGポンプ7をターゲット2の近傍に配置することが、ターゲット2の近傍のガス分子低減に向けて有効である。スパッタリングされない時間帯(図4のNN期間)において、スパッタリング時(図4のSP期間)に放出されたガス分子をNEGポンプ7で吸着(排気)することができるため、ターゲット2の表面近傍のガス分子を低減するこ
とができるからである。この方式について、ロータリーカソードを用いた場合を例として、図4を用いて説明する。
図4(A)は、実施例1のスパッタ装置1においてスパッタリングによる成膜を行った場合のターゲット2表面の局所領域においてスパッタ粒子が放出される量の時間変化を示す概念図である。ターゲット2表面の局所領域は、円筒状のターゲット2の外周面上における特定の角度方向に対応した一部領域である。ターゲット2は、スパッタリング時には矢印R方向に回転する。一方で、スパッタリング領域Aの位置は変化しないため、ターゲット2表面の局所領域は、図4(A)に示すように、回転周期によって決まる時間間隔で間欠的にスパッタリングされる。スパッタリングされる期間をSP、スパッタリングされない期間をNNで示している。ターゲット2の表面がスパッタリングされると、スパッタ粒子のみならず、ターゲット2に含まれる酸素や水素などの不純物や、ターゲット2の表面に吸着したガス分子も放出される。すなわち、ターゲット2を構成する材料がスパッタ粒子として放出されることに加えて、相当量のガス分子が放出される。これらのガス分子やそのラジカルやイオンが、スパッタリングされたターゲット2の表面近傍に滞留する。
図4(B)は、ターゲット2表面の局所領域近傍における酸素や水などのガス分圧の時間変化を示す概念図である。グラフG1は実施例1のスパッタ装置1におけるガス分圧の変化を示し、グラフG2は、NEGポンプを用いなかった場合のガス分圧の変化を示す。グラフG2では、スパッタリングにより生じた局所領域近傍のガス分子を短時間で排気できないため、時間帯NNにおいてターゲット表面近傍において相当量のガス分圧が維持されてしまい、酸素や水分子がターゲット表面に吸着する。次に当該局所領域がスパッタリングされる時点(時間帯SP)で、これらの吸着分子が放出されることで、ガス分圧が上昇してしまう。これに伴い、ガス分子が不純物として形成中の膜に取り込まれてしまう。他にも、時間帯NNにおいて、ガス分子によりターゲットの表面が酸化されることでターゲット表面の清浄度が低下してしまう。これにより、ターゲットの表面の酸素が負イオンとして放出されて基板を照射し、基板の下地層である有機膜等にダメージを与える。このような現象に伴い、有機EL素子の上部電極形成に適用した場合においては、良好な素子特性が得られない場合がある。
一方で実施例1のスパッタ装置1においてスパッタリングによる成膜を行った場合、ターゲット2の近傍に配置されたNEGポンプ7によってターゲット2の近傍のガス分子が吸着されるため、グラフG1に示すように局所領域近傍のガス分圧を低減することができる。特に、時間帯SPにおいて放出されたターゲット2の近傍のガス分子がNEGポンプ7によって短時間で吸着されるため、スパッタリングされない時間帯NNにおいてターゲット2の表面に吸着する分子の量が抑制される。次に当該局所領域がスパッタリングされる時点(時間帯SP)において、ターゲット2の表面から放出されるガス分子の量が大幅に低減される。結果として、スパッタリング時のターゲット2の近傍のガス分圧を低く維持することができる。ターゲット2の近傍のガス分子が低減されることで、形成中の膜に混入する不純物量を低減することができる。さらには、ターゲット2の表面の酸化を抑制し、清浄度を保つことができる。ターゲット2の表面の酸化が抑制されるため、酸素負イオン生成に伴って生じる有機膜などの基板下地層へのダメージを抑制することができる。これらにより、有機EL素子の上部電極形成に適用した場合においては、良好な特性を有した素子を実現できる。
NEGポンプ7はスパッタリング時にターゲット2からの放出物が放出される方向以外の方向に配置される。スパッタリングによりターゲット2表面から叩き出された成膜材料によりNEGポンプ7が被覆されないため、長期にわたってNEGポンプ7を利用することができる。また、NEGポンプ7はターゲット2のスパッタリング領域以外の方向で、且つ、ターゲット2の近傍に配置されるため、ターゲット2の表面近傍のガス分子を確実
に吸着することができる。特に、ロータリーカソードにおいて、基板6と対向するスパッタリング領域とは反対側(円筒の裏側)にNEGポンプ7を配置することで、放出物(スパッタ粒子)の付着がないことに加えて、カソードの近傍への配置という要件を両立することができる。更には、ロータリーカソードの回転に伴ってターゲット2の表面が間欠的にスパッタリングされるという特徴を踏まえて、適切な位置にNEGポンプ7を配置することで、NN期間にガス分子がターゲット2に吸着する量を低減することができる。これにより、SP期間におけるガス分子の放出を低減し、スパッタリング時のターゲット2の表面およびその近傍における酸素や水などのガス分圧の低減を実現できる。また、スパッタ装置1には、ターゲット2とNEGポンプ7との間に、ターゲット2に対しNEGポンプ7を遮蔽する部材が設けられないため、より確実にガス分子を吸着することができる。また、NEGポンプ7はArなどの不活性ガス分子を吸着しないため、NEGポンプ7の設置がスパッタリングに影響することはない。
これにより、実施例1のスパッタ装置1によってOLED素子の電極膜を形成した場合には、良好な素子特性を有したデバイスを実現できる。大型基板用の成膜装置においてはチャンバ内での脱ガスによる影響が生じやすいが、本実施例の手法は、G4(680mm×880mm)以上の大型基板の成膜を行う場合にも適用可能である。OLEDの上部電極(陰極)としてAgやMgAg等のAg合金からなる成膜を行う場合には、チャンバ内の微小な圧力変動の影響を受ける場合があるが、本実施例の手法を用いることで安定した成膜を行うことができる。なお、本発明によるスパッタ装置を用いて作成される素子は、OLEDに限らない。また、OLEDを作成する場合の成膜層は上部電極に限らない。
<実施例2>
本発明の第2の実施例のスパッタ装置1Xについて図5を参照して説明する。実施例1と共通の構成については共通の符号を付し、詳細な説明を省略する。図5(A)はスパッタ装置1Xに備わる円筒形状のターゲット2の回転軸に平行な方向(Y方向とする)から見たスパッタ装置1Xの内部構成を模式的に示す図である。図5(B)はスパッタ装置1X内を移動する回転カソードユニット8Xの移動方向Tに平行な方向(X方向とする)から見たスパッタ装置1Xの内部構成を模式的に示す図である。
実施例1のスパッタ装置1は、チャンバ10に対して回転カソードユニット8が移動せず、基板6がチャンバ10に対して移動することによって、基板6の搬送方向下流側の端部から順次、基板6の成膜対象面に成膜が行われた。実施例2のスパッタ装置1Xは、チャンバ10に対して回転カソードユニット8Xが移動し、基板6はチャンバ10に対して移動せず、回転カソードユニット8Xの移動方向上流側の端部から順次、基板6の成膜対象面に成膜が行われる。また、実施例1のスパッタ装置1の回転カソードユニット8は、1組の円筒形状のターゲット2及び磁石ユニット3から構成されていたが、実施例2のスパッタ装置1Xの回転カソードユニット8Xは、2組の円筒形状のターゲット2L、2R及び磁石ユニット3L、3Rから構成されている。各組のターゲット及び磁石ユニットの構成は実施例1と同様であるが、ターゲット駆動装置11による回転方向は互いに逆方向である。ターゲット2Lは矢印L方向に回転し、ターゲット2Rは矢印L方向と逆向きの矢印R方向に回転する。
回転カソードユニット8Xは、移動台230と、ターゲット2L、2Rを回転自在に支持するサポートブロック210とエンドブロック220と、を有する。移動台230上で、ターゲット2L、2Rは回転カソードユニット8Xの移動方向T(X方向に平行)に並べて配置される。NEGポンプ7は移動台230上のターゲット2L、2Rの間に配置される。したがってNEGポンプ7はターゲット2L、2Rとともに移動する。移動台230には、ターゲット2L、2Rを取り囲むように配置された仕切部材260が設けられる。なお、図5(B)では、煩雑さを避けるため仕切部材260の記載は省略した。仕切部
材260は、基板6が配置される方向(鉛直上方向)に開口しており、ターゲット2L、2Rのスパッタリング領域AR、ALが基板6の成膜対象面に対向するのを妨げないようになっている。
移動台230は、リニアベアリング等の搬送ガイド240を介して一対の案内レール250に沿って水平方向に移動自在に支持されている。案内レール250はX方向に平行に設けられる。移動台230は、直線駆動装置12によって、X方向に直線駆動される。直線駆動装置12は、回転モータの回転運動を直線運動に変換するボールねじ等を用いたねじ送り機構、リニアモータ等、公知の種々の直線運動機構を用いることができる。したがって回転カソードユニット8XはXY平面内をX方向に移動し、ターゲット2L、2RはY方向に平行な回転軸周りに回転しながらXY平面内をX方向に移動する。
基板6は、チャンバ10内に搬入されると、回転カソードユニット8Xに対し鉛直方向上方でホルダ6aによって保持される。成膜処理中、基板6はチャンバ10に対して移動せず、回転カソードユニット8Xが水平方向(矢印Tで示す方向)に移動しつつ、スパッタリングにより成膜が行われる。基板6の成膜対象面の全体に成膜が行われた後、基板6はチャンバ10の他方の側壁に設けられたゲートバルブ18から搬出される。
実施例2のスパッタ装置1Xにおいてスパッタリングによる成膜を行う際には、制御部14は、ターゲット駆動装置11を制御してターゲット2L、2Rを矢印L、R方向に回転駆動するとともに、電源13を制御してターゲット2L、2Rにマイナスの電圧を印加する。磁石ユニット3は回転せず、常に、ターゲット2L、2Rの基板6と対向する表面側に漏洩磁場を生成する。スパッタリングによる成膜の態様は実施例1と同様である。
回転カソードユニット8Xは直線駆動装置12によってチャンバ10に対して矢印T方向に移動するため、スパッタリング領域AR、ALはチャンバ10に対して矢印T方向に移動する。また、磁石ユニット3R、3Lはターゲット2R、2Lとともに回転しないため、スパッタリング領域Aと基板6の成膜対象面との対向角度は、成膜処理中、一定である。成膜処理中、基板6はホルダ6aによって保持されてチャンバ10に対して移動しない。
回転カソードユニット8Xが直線駆動装置によって水平方向に移動することにより、ターゲット2L、2Rのスパッタリング領域AL、ARが、回転カソードユニット8Xの移動とともに、基板6の成膜対象面に沿ってチャンバ10に対して移動する。これにより、基板6の成膜対象面には、回転カソードユニット8Xの移動に伴って、回転カソードユニット8Xの移動方向Tの上流側端部から下流側端部に向かって順次、成膜が行われる。
実施例2のスパッタ装置1Xにおいてスパッタリングによる成膜を行った場合、ターゲット2L、2Rの間の、ターゲット2L、2Rの近傍の位置に配置されたNEGポンプ7によって、ターゲット2L、2R近傍のガス分子が吸着される。そのため、実施例1と同様に、ターゲット2L、2R表面近傍のガス分子は、大幅に低減される。したがって、基板6の成膜対象面における下地の有機材料に大きなダメージを与えることなく高純度の膜を成膜することができ、良好な素子特性のOLEDを作製することができる。
本実施例の装置においては、2つのターゲット2L、2Rの両方から放出されるガス分子に対して、NEGポンプが吸着作用を示しうるように、2つのターゲット2L、2Rの間にNEGポンプ7を配置している。少ない量のNEGポンプにもかかわらず、複数のターゲットに対して有効に排気作用を示す装置構成である。
円筒状のターゲット2L、2Rの外径は140mmであり、ターゲット2L、2Rの中
心間の距離は300mmである。ターゲット2L、2Rの中心とNEGポンプ7の間の距離は250mmである。このような配置とすることで、2つのターゲット2L、2Rに対して近接してNEGポンプ7を配置することが可能である。また、近接した配置により、装置の小型化、軽量化が可能である。
本実施例の装置においては、ターゲット2L、2RとNEGポンプ7が一緒に、チャンバ内を移動する。このような構成とすることで、ターゲットが移動するにもかかわらず、常にNEGポンプの排気作用がターゲット近傍のガス分子に対して機能しうる。これにより、ターゲットがチャンバ内を移動しても、ターゲット表面近傍の酸素などのガス分圧を低く維持することができる。
<実施例3>
本発明の第3の実施例のスパッタ装置1Yについて図6を参照して説明する。実施例1、2と共通の構成については共通の符号を付し、詳細な説明を省略する。図6はスパッタ装置1Yに備わる円筒形状のターゲット2L、2Rの回転軸に平行な方向(Y方向とする)から見たスパッタ装置1Yの内部構成を模式的に示す図である。
実施例3のスパッタ装置1Yでは、回転カソードユニット8Yはチャンバ10に対して移動せず、また、基板6はホルダ6aによって保持され、成膜処理中、チャンバ10に対して移動しない。回転カソードユニット8Yは、実施例2のスパッタ装置1Xの回転カソードユニット8Xと同様、2組の円筒形状のターゲット2L、2R及び磁石ユニット3L、3Rから構成され、ともにターゲット駆動装置11によって回転駆動される。
実施例1及び実施例2では磁石ユニット3、3L、3Rは回転せず、したがってチャンバ10に対して相対移動しない状態で支持されていたが、実施例3では磁石ユニット3L、3Rは揺動し、したがってチャンバ10に対して相対移動するように支持される。そのため、磁石ユニット3L、3Rの生成する磁場によってプラズマが集中して生成されスパッタ粒子が発生するスパッタリング領域は、磁石ユニット3L、3Rの揺動に合わせてスパッタリング領域Aとスパッタリング領域Bの間で揺動する。すなわち、スパッタリング領域と基板6の成膜対象面との対向角度は、成膜処理中、磁石ユニット3L、3Rの揺動に合わせて変化する。磁石ユニット3L、3Rの揺動する角度範囲は、静止状態で保持される基板6の成膜対象面の+X方向側の端部から-X方向側の端部までの範囲にわたって均一な膜が形成されるように、スパッタリング領域Aとスパッタリング領域Bの間に定められる。ターゲット2L、2RはX方向に並べて配置され、ターゲット2L、2Rそれぞれの近傍に別個にNEGポンプ7L、7Rが設けられる。NEGポンプは、スパッタリング領域Aとスパッタリング領域Bの間において放出されたスパッタ粒子がNEGポンプに付着しないように、ターゲット直下の位置に配されている。
基板6は、チャンバ10内に搬入されると、回転カソードユニット8Yに対し鉛直方向上方でホルダ6aによって保持される。成膜処理中、基板6はチャンバ10に対して移動せず、回転カソードユニット8Yの磁石ユニット3L、3Rが矢印Wで示すように揺動し、かつターゲット2が矢印R、Lで示すように回転しつつ、スパッタリングにより成膜が行われる。基板6の成膜対象面の全体に成膜が行われた後、基板6はチャンバ10の他方の側壁に設けられたゲートバルブ18から搬出される。
実施例3のスパッタ装置1Yにおいてスパッタリングによる成膜を行う際には、制御部14は、ターゲット駆動装置11を制御してターゲット2L、2Rを回転駆動し、磁石ユニット3L、3Rを揺動駆動するとともに、電源13を制御してターゲット2L、2Rにマイナスの電圧を印加する。磁石ユニット3は揺動し、ターゲット2L、2Rの基板6と対向する表面側に漏洩磁場を生成する。スパッタリングによる成膜の態様は実施例1と同
様である。
回転カソードユニット8Y及び基板6は、成膜処理中、チャンバ10に対して移動しない。磁石ユニット3R、3Lは揺動するため、スパッタリング領域と基板6の成膜対象面との対向角度は、成膜処理中、変化する。これにより、基板6の成膜対象面には、磁石ユニット3R、3Lの揺動に伴って、X方向の上流側端部と下流側端部との間で順次、成膜が行われる。
実施例3のスパッタ装置1Yにおいてスパッタリングによる成膜を行った場合、ターゲット2L、2Rのそれぞれの近傍の位置に配置されたNEGポンプ7L、7Rによって、ターゲット2L、2Rの近傍のガス分子が吸着される。そのため、実施例1及び実施例2と同様に、ターゲット2L、2R表面近傍のガス分子は、大幅に低減される。したがって、基板6の成膜対象面における下地の有機材料に大きなダメージを与えることなく高純度な膜を成膜することができ、良好な素子特性のOLEDを作製することができる。
本実施例では、ロータリーカソードの磁石ユニットを揺動させ、スパッタ粒子の放出方向を揺動させている。しかしながら、ロータリーカソードの基板と非対向側(裏側)にNEGポンプを配置することで、カソードの近傍であるにもかかわらずスパッタ粒子が付着しない位置にNEGポンプを配置することができている。これにより、成膜時に基板やターゲットを搬送する必要がなく、コンパクトな装置構成でありながら、ターゲット近傍のガス分子を低減することができる。
上記の実施例は本発明の一例を示したものであるが、本発明は上記の実施例の構成に限定されないし、その技術思想の範囲内で適切に変形してもよい。例えば、実施例1はチャンバ内に固定された回転カソードユニットに対して基板が移動する構成、実施例2はチャンバ内に固定された基板に対して回転カソードユニットが移動する構成、実施例3はチャンバ内に基板及び回転カソードユニットが固定され、スパッタリング領域を揺動させることで成膜対象領域全体をカバーする構成を例示したが、スパッタ装置の構成はこれに限らない。例えば、チャンバ内に基板及び回転カソードユニットが固定され、回転カソードユニットを構成するターゲットの数を増やすことで全体としてスパッタリング領域が成膜対象領域全体をカバーする構成や、チャンバ内に固定された回転カソードユニットに対して基板が水平面内で揺動する構成や、チャンバ内に固定された基板に対して回転カソードユニットが水平面内で揺動する構成としてもよい。実施例2及び3では2つのターゲットを有する回転カソードユニットを備えるスパッタ装置を例示したが、ターゲットの数は1つでもよいし、3つ以上でもよい。
1:スパッタ装置、2:ターゲット、6:基板、7:非蒸発型ゲッタポンプ、10:チャンバ

Claims (15)

  1. 基板が収容されるチャンバと、
    前記チャンバの内部において前記基板の成膜対象面と対向するように配置されるターゲットと、
    前記チャンバの内部に設けられる非蒸発型ゲッタポンプと、
    を備えるスパッタ装置において、
    前記非蒸発型ゲッタポンプは、前記ターゲットに対し、スパッタリング時に前記ターゲットから前記ターゲットを構成する材料が放出される方向以外の方向に配置されることを特徴とするスパッタ装置。
  2. 前記ターゲットは円筒形であり、
    前記ターゲットを回転させる回転手段をさらに備える請求項1に記載のスパッタ装置。
  3. 前記ターゲットの回転軸に垂直の仮想面内で、前記ターゲットの回転中心と前記非蒸発型ゲッタポンプの位置とを結ぶ仮想線分は、前記基板の成膜対象面に対向する前記ターゲットの表面におけるスパッタリング時にスパッタ粒子が集中的に生じる領域に対応する円弧と交わらない請求項2に記載のスパッタ装置。
  4. 前記ターゲットの回転軸に垂直の仮想面内で、前記ターゲットの回転中心と前記非蒸発型ゲッタポンプの位置とを結ぶ仮想線分は、前記ターゲットの回転中心を原点とする極座標で、前記ターゲットの回転軸を含み前記基板の成膜対象面に平行な仮想平面の位置を基準として前記成膜対象面に向かう方向を正として定義した角度で、45度から135度の範囲に含まれない請求項2に記載のスパッタ装置。
  5. 前記ターゲットの内側の中空部に配置され前記ターゲットの外周に磁場を発生させる磁場発生部をさらに備え、
    前記円弧は、前記ターゲットの表面近傍において、前記磁場発生部が形成する磁場によりスパッタリング時にプラズマが生成される位置に基づき決定される請求項3に記載のスパッタ装置。
  6. 前記ターゲットを複数、備え、
    前記非蒸発型ゲッタポンプは、複数の前記ターゲットの間に配置される請求項1~5のいずれか1項に記載のスパッタ装置。
  7. 前記ターゲットを前記チャンバに対して移動させる移動手段をさらに備え、
    前記非蒸発型ゲッタポンプは前記ターゲットとともに移動する請求項1に記載のスパッタ装置。
  8. 前記非蒸発型ゲッタポンプは、前記ターゲットから30cm以内の距離に配置される請求項1~7のいずれか1項に記載のスパッタ装置。
  9. 前記非蒸発型ゲッタポンプは、前記ターゲットから20cm以内の距離に配置される請求項1~7のいずれか1項に記載のスパッタ装置。
  10. 前記ターゲットは、Ag又はAg合金を含んで構成されることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のスパッタ装置。
  11. 前記スパッタ装置は、有機発光ダイオードの上部電極を成膜する請求項1~10のいずれか1項に記載のスパッタ装置。
  12. 前記スパッタ装置は、前記ターゲットに対し前記非蒸発型ゲッタポンプを遮蔽する部材を有しない請求項1~11のいずれか1項に記載のスパッタ装置。
  13. 前記非蒸発型ゲッタポンプを構成する非蒸発型ゲッタ材料は、Ti、Zr、V、Al、Ta、W、Mo、Hf、Nb、Fe又はこれらを主成分とする合金である請求項1~12のいずれか1項に記載のスパッタ装置。
  14. 基板が収容されるチャンバと、
    前記チャンバの内部において前記基板の成膜対象面と対向するように配置される円筒形のターゲットと、
    前記チャンバの内部に設けられる非蒸発型ゲッタポンプと、
    前記ターゲットを回転させる回転手段と、を備えるスパッタ装置において、
    前記ターゲットの回転軸に垂直の仮想面内で、前記ターゲットの回転中心と前記非蒸発型ゲッタポンプの位置とを結ぶ仮想線分は、前記ターゲットの回転中心を原点とする極座標で、前記ターゲットの回転軸を含み前記基板の成膜対象面に平行な仮想平面の位置を基準として前記成膜対象面に向かう方向を正として定義した角度で、45度から135度の範囲に含まれないことを特徴とするスパッタ装置。
  15. 請求項1~14のいずれか1項に記載のスパッタ装置を用いて基板に薄膜を形成する工程を有することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
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