JP2023005437A - 光学素子及びその製造方法並びに光アイソレータ、光伝送装置 - Google Patents

光学素子及びその製造方法並びに光アイソレータ、光伝送装置 Download PDF

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Yasunari Yamanobe
茂 森田
Shigeru Morita
伸朗 佐藤
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靖啓 吉田
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Abstract

【課題】光アイソレータに使用される積層型光学素子に高出力の光を通過させたとしても、積層型光学素子で使用される接着剤の変質による光学特性の劣化を抑制する。【解決手段】光アイソレータ10に使用される光学素子1は、磁界を作用させることで光の偏光方向を予め決められた角度だけ回転させるファラデー回転子2と、ファラデー回転子2の光軸方向両側に配置されて光を偏光案内し、ファラデー回転子2と協働して光の順方向への通過を許容し、光の逆方向への通過を阻止する偏光案内要素3(3a,3b)と、が少なくとも含まれる光学要素を有し、これらの光学要素を光軸方向に積層して光学要素積層体5を構成し、隣接する各光学要素を接合するように光学要素積層体5の光軸方向に沿う側面を有機系接着剤6で接着する。【選択図】図1

Description

本発明は、光アイソレータに使用される光学素子に係り、特に、高出力の光アイソレータを製造する上で有効な光学素子及びその製造方法並びに光学素子を用いた光アイソレータ、光伝送装置の改良に関する。
光通信システムでは、半導体レーザから発した光はレンズを介して光ファイバの端面に投影され伝送されるが、一部の光はレンズや光ファイバの端面で表面反射して半導体レーザまで戻り、ノイズとなってしまう。このノイズは半導体レーザの動作を不安定にするという悪影響を与える。そこで、この戻り光を除去するために光アイソレータが使用されている。
また、エルビウムドープファイバアンプ(EDFA)の励起光源であるポンプレーザでは、光源のパワーを安定化させると共に、強い戻り光で半導体レーザ素子が破損することを防ぐ必要もあり、光アイソレータが使用されている。
光アイソレータは、例えば二枚の偏光ガラス板(偏光子)との間にファラデー回転子を一体的に配設した構造をもつ光学素子を使用している。この場合、偏光子の偏光方向は相互に45度傾斜するように設定されている。これが磁界中に置かれると、ファラデー回転子の偏光面が回転するので、一方の偏光子、ファラデー回転子及び他方の偏光子を通過する光の特性が変化する。この特性を利用し、ファラデー回転子を磁気飽和させるための永久磁石がファラデー回転子の周囲に設けられ、ファラデー回転子の偏光面を45度回転させている。これにより、戻り光を遮断することが可能となる。
ところで、光源に半導体レーザを用いる光アイソレータでは、半導体レーザの高出力化に伴い、高密度の光パワーが光アイソレータに照射されると局所的に発熱しその機能を失うことがある。例えば、EDFAの励起光源であるポンプレーザに用いる光アイソレータでは、ガラス偏光子を用いて製造されるが、ガラス偏光子は、高密度の光パワーが照射されると、局所的に数100℃に達するような発熱が起こる。発熱がガラス偏光子のガラス転移点を超えるような場合、ガラス偏光子自体の機能を保持することができない。現在市販されている通信デバイス用のガラス偏光子はガラス転移温度が500℃程度である。このため、局所温度が500℃を超えるような条件では、上記光アイソレータは機能を失うこととなる。
局所温度が500℃以下であれば、耐熱性が問題となる次の部材は、偏光子の表面に付する反射防止膜(ARコート(anti-reflective coating))や偏光子を固定するために用いられている材料である。偏光子やファラデー回転子が光アイソレータに組み込まれる場合に適用される一般的なARコート材料の耐熱温度は、450℃程度である。
このような温度域で耐性が要求されるため、従前の光アイソレータにおいては、特許文献1,2に記載の手法が採用されていた。
特許文献1には、ファラデー回転素子、偏光子、検光子及びホルダから成り、ホルダが中心軸に貫通孔を有し同軸型の形状をなす第1の金属ホルダ及び第2の金属ホルダから成り、第1の金属ホルダと第2の金属ホルダを中心軸を一致させて組み合わせたときに生ずる空隙内の中心軸上にファラデー回転素子、偏光子及び磁石が配置され、検光子が第2の金属ホルダの外側の中心軸上に配置され、偏光子、ファラデー回転素子及び検光子がいずれも中央の円形部分を除く外周部分にメタライズされてそれぞれ第1の金属ホルダ、第2の金属ホルダにハンダ付けまたはろう付けにより接着固定され、第1の金属ホルダと第2の金属ホルダが溶接により接合されている光アイソレータが開示されている。
また、特許文献2には、光アイソレータを構成する各部品の接着固定において、偏光子、永久磁石、ファラデー回転子の夫々の接着面に、予めスパッタまたは蒸着により金属薄層を形成し、夫々の構成素子間の接着面は半田付けにより接着する態様が開示されている。
このように、特許文献1,2には、偏光子やファラデー回転子を夫々離した状態で配置し、かつ、偏光子やファラデー回転子の主面(光透過領域を除く)若しくは側面に金属皮膜を形成すると共に、金属薄層が形成された偏光子やファラデー回転子等の光学要素を、半田等を介して接合させたり、あるいは、半田等を介して金属ホルダに接合させて放熱機能を具備させる手法が開示されている。
一方、比較的出力の弱い通信用の光アイソレータにおいては、通信用半導体レーザが広く普及し、かつ、低価格化が要請される中、例えば特許文献3に記載されているように、良質な光学用接着剤の開発がなされ、近年においては、光学面に有機系の光学用接着剤を使用し、偏光子やファラデー回転子等の光学要素が積層された構造の光学素子が主流となっている。光学素子を金属ホルダに固定する場合も、前述した半田等に代って有機系接着剤が主流となっている。
また、特許文献4には、ファラデー回転素子と偏光子と検光子とからなる四角柱状の光学素子を、マグネットに設けられた断面がほぼ四角形の空孔に挿入し、光学素子の光軸に平行な4面と相対するマグネットの空孔の壁面とが形成する4つの空隙に接着剤を充填することによりマグネットと光学素子が固定される光アイソレータが開示されている。
特許第2995747号公報(実施例1,第1図) 特許第2841210号公報(実施例,第2図) 特許第4300790号公報(実施例,図1) 特開平6-265819号公報(実施例,図1)
比較的光パワーの弱い通信用の光アイソレータは、上述したように偏光子やファラデー回転子等の光学要素を積層させた構造が主流になっているが、近年、光アイソレータは、小型化が進み、レーザ光の集光による発熱点の加熱は、有機系光学用接着剤にとって非常に大きな負荷となっている。一般に使用される光パワーは数10mW以下である。これは有機系光学用接着剤の分解温度に依存するものである。ファラデー回転子や偏光子の耐パワー性は偏向光で700mW、無偏向光で300mW程度あり、小型化やコストダウンに寄与してきた有機系光学用接着剤が、ここでは逆に足枷になっている。つまり、光学面に有機系光学用接着剤がある構造では、ファラデー回転子と偏光子を貼り合わせる有機系光学用接着剤が局所的に熱せられた場合、有機系光学用接着剤が変質したり気泡を生ずることがあり、数100mWが限界である。数100mWを超える出力の大きな半導体レーザ等を用いる光アイソレータにおいては、依然として発熱の問題が存在し、特許文献1,2に示すような従前の手法、つまり、ファラデー回転子や偏光子に金属薄層を形成し、半田等を介して接合したり、半田等を介して金属ホルダに接合する手法で製造され、高コストでかつ小型化が進まない状況であった。
このため、光通信システム等で使用される高出力の半導体レーザ等に用いる光アイソレータにおいては、耐熱性を有し、小型化可能で、かつ、低コストで提供できる積層型の光学素子の出現が強く要望されている。
尚、特許文献4には、ファラデー回転子や偏光子等の光学要素を積層した光学素子とマグネットとの間に接着剤を充填する構造が開示されているが、この接着剤はマグネットに積層された光学素子を固定するためのものに過ぎず、光学素子を構成する各光学要素は有機系光学用接着剤で貼り合わせており、各光学要素を接合するために使用するものでないことを念のために申し添えておく。
本発明が解決しようとする技術的課題は、光アイソレータに使用される積層型光学素子に高出力の光を通過させたとしても、積層型光学素子で使用される接着剤の変質による光学特性の劣化を抑制することにある。
そこで、上述した技術的課題を解決するために、本発明者らは、高出力の半導体レーザ等の光が通過するエリア(光路)から有機系光学用接着剤を排除し、有機系光学用接着剤の変質による光学特性の劣化を無くすという観点から、本発明を案出するに至ったものである。
本発明の第1の技術的特徴は、光アイソレータに使用される光学素子であって、磁界を作用させることで光の偏光方向を予め決められた角度だけ回転させるファラデー回転子と、前記ファラデー回転子の光軸方向両側に配置されて光を偏光案内し、前記ファラデー回転子と協働して光の順方向への通過を許容し、光の逆方向への通過を阻止する偏光案内要素と、が少なくとも含まれる光学要素を有し、これらの光学要素を光軸方向に積層して光学要素積層体を構成し、隣接する各光学要素を接合するように前記光学要素積層体の光軸方向に沿う側面を有機系接着剤で接着することを特徴とする光学素子である。
本発明の第2の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた光学素子において、前記偏光案内要素は、偏光方向が予め決められた角度分だけ相互に異なる二枚の偏光子を含み、偏光依存型光アイソレータとして用いられる光学素子である。
本発明の第3の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた光学素子において、前記偏光案内要素は、光の順方向入射側及び光の順方向出射側に複屈折結晶を含み、偏光無依存型光アイソレータとして用いられる光学素子である。
本発明の第4の技術的特徴は、第1乃至第3の技術的特徴のいずれかを備えた光学素子において、前記有機系接着剤は前記光学要素積層体の光軸方向に沿う側面の角部を複数箇所接着することを特徴とする光学素子である。
本発明の第5の技術的特徴は、第4の技術的特徴を備えた光学素子において、前記光学要素積層体の光軸方向に沿う側面の角部は平面状又は曲面状の面取り部を有しており、当該面取り部に前記有機系接着剤が塗布されていることを特徴とする光学素子である。
本発明の第6の技術的特徴は、第4の技術的特徴を備えた光学素子において、
前記光学要素積層体の光軸方向に沿う側面の角部は曲面状の凹所を有しており、当該凹所に前記有機系接着剤が塗布されていることを特徴とする光学素子である。
本発明の第7の技術的特徴は、光アイソレータに使用される光学素子であって、磁界を作用させることで光の偏光方向を予め決められた角度だけ回転させるファラデー回転子と、前記ファラデー回転子の光軸方向両側に配置されて光を偏光案内し、前記ファラデー回転子と協働して光の順方向への通過を許容し、光の逆方向への通過を阻止する偏光案内要素と、が少なくとも含まれる光学要素を有し、これらの光学要素を光軸方向に積層して光学要素積層体を構成し、隣接する各光学要素を接合するように前記光学要素積層体の光軸方向に沿う側面を有機系接着剤で接着する光学素子を製造するに際し、前記光学要素積層体を構成するための各光学要素基材を予め決められた大きさで用意し、各光学要素基材を積層して光学要素積層基板を作製する作製工程と、前記作製工程にて作製された前記光学要素積層基板に対し、前記光学要素積層体の大きさに対応する切断予定箇所のうち予め決められた箇所を穿孔する穿孔工程と、前記穿孔工程にて前記光学要素積層基板に穿孔された孔に前記有機系接着剤を塗布する塗布工程と、前記塗布工程にて前記有機系接着剤が塗布された前記光学要素積層基板を、前記光学要素積層体となるように前記切断予定箇所に沿って切断する切断工程と、を備えたことを特徴とする光学素子の製造方法である。
本発明の第8の技術的特徴は、第7の技術的特徴を備えた光学素子の製造方法において、 前記穿孔工程は、前記光学要素積層基板に対し、前記切断予定箇所の交差部の全部若しくは一部を穿孔することを特徴とする光学素子の製造方法である。
本発明の第9の技術的特徴は、第1乃至第6の技術的特徴のいずれかを備えた光学素子と、前記光学素子の前記ファラデー回転子を飽和磁化させる磁石と、を備えたことを特徴とする光アイソレータである。
本発明の第10の技術的特徴は、第9の技術的特徴を備えた光アイソレータと、前記光アイソレータに対して光を入射する又は前記光アイソレータから出射された光を受け入れる光学部品と、を備えたことを特徴とする光伝送装置である。
本発明の第1の技術的特徴によれば、光アイソレータに使用される積層型光学素子に高出力の光を通過させたとしても、積層型光学素子で用いられる接着剤の変質による光学特性の劣化を抑制することができる。
本発明の第2の技術的特徴によれば、偏光依存型光アイソレータで使用される積層型光学素子に高出力の光を通過させたとしても、積層型光学素子で用いられる接着剤の変質による光学特性の劣化を抑制することができる。
本発明の第3の技術的特徴によれば、偏光無依存型光アイソレータで使用される積層型光学素子に高出力の光を通過させたとしても、積層型光学素子で用いられる接着剤の変質による光学特性の劣化を抑制することができる。
本発明の第4の技術的特徴によれば、有機系接着剤による接着箇所が一箇所である場合に比べて、光学要素積層体に対する接着強度を安定させることができ、更に、有機系接着剤の接着箇所を光学要素積層体の側面の角部以外とする場合に比べて、光学要素積層体の光軸中心からの距離を離すことができ、有機系接着剤への高出力な光による影響をより低減することができる。
本発明の第5の技術的特徴によれば、面取り部のない場合に比べて、有機系接着剤を安定的に保持することができる。
本発明の第6の技術的特徴によれば、穿孔処理等で有機系接着剤の接着箇所を簡単に確保でき、しかも、有機系接着剤を安定的に保持することができる。
本発明の第7の技術的特徴によれば、光アイソレータに使用される積層型光学素子に高出力の光を通過させたとしても、積層型光学素子で用いられる接着剤の変質による光学特性の劣化を抑制することが可能な光学素子の製造方法を提供することができる。更に、光学要素積層体を作製する工程で、有機系接着剤を容易に塗布することができる。
本発明の第8の技術的特徴によれば、光学要素積層体の光軸方向に沿う側面の角部を有機系接着剤の接着領域とした光学素子を簡単に製造することができる。
本発明の第9の技術的特徴によれば、光アイソレータに使用される積層型光学素子に高出力の光を通過させたとしても、積層型光学素子で用いられる接着剤の変質による光学特性の劣化を抑制することが可能な光アイソレータを構築することができる。また、高出力の半導体レーザ等に用いる光アイソレータにおいて、耐熱性を有し、小型化可能で、かつ、低コストの光アイソレータを提供できる。
本発明の第10の技術的特徴によれば、光アイソレータに使用される積層型光学素子に高出力の光を通過させたとしても、積層型光学素子で用いられる接着剤の変質による光学特性の劣化を抑制することが可能な光アイソレータを含む光伝送装置を構築することができる。また、光アイソレータにおいて、小型化が可能となり、それを用いた光伝送装置も小型化が可能となる。
(a)は本発明が適用された光学素子を用いた光アイソレータが組み込まれた光伝送装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。 (a)は実施の形態1に係る光アイソレータ内蔵の光伝送装置としての光レセプタクルの全体構成を示す説明図、(b)は光アイソレータに使用される光学素子の基本構成を示す説明図である。 (a)は図2(b)に示す光学素子のA方向から見た矢視図、(b)は図2(b)に示す光学素子のB方向から見た矢視図である。 (a)~(f)は実施の形態1に係る光学素子の製造方法の一例を示す説明図である。 (a)は円環状磁石内に光学素子を組み込む例を示す説明図、(b)は(a)中B-B線断面説明図である。 (a)は比較の形態1に係る光学素子を示す説明図、(b)は(a)中B-B線断面説明図である。 (a)は変形の形態1-1に係る光アイソレータで使用される光学素子の要部を示す説明図、(b)は変形の形態1-2に係る光アイソレータを示す説明図、(c)は変形の形態1-3に係る光アイソレータを示す説明図である。 (a)は実施の形態2に係る光アイソレータの要部を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。 実施の形態3に係る光アイソレータ内蔵の光伝送装置としての光レセプタクルの要部を示す説明図である。 (a)は実施の形態4に係る光アイソレータの要部を示す説明図、(b)は(a)に示す光アイソレータの変形例を示す説明図である。
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明が適用された光学素子を用いた光アイソレータが組み込まれた光伝送装置の実施の形態の概要を示す。
同図において、光伝送装置12は、光アイソレータ10と、光アイソレータ10に対して光を入射する光学部品13と、を備えたものである。
ここで、光アイソレータ10は、図1(a)に示すように、所定構造を有する光学素子1と、光学素子1の周囲に配置される磁場形成用の磁石11と、を備えている。また、光学部品13としては、入射用のものに限定されるものではなく、光アイソレータ10から出射された光を受け入れる光学部品13も広く含み、この種の光伝送装置の代表例としては光レセプタクルが挙げられる。
本実施の形態において、光アイソレータ10に使用される光学素子1の基本的構成は、磁界を作用させることで光の偏光方向を予め決められた角度だけ回転させるファラデー回転子2(FR:Faraday Rotatorの略)と、ファラデー回転子2の光軸方向両側に配置されて光を偏光案内し、ファラデー回転子2と協働して光の順方向への通過を許容し、光の逆方向への通過を阻止する偏光案内要素3(具体的には3a,3b)と、が少なくとも含まれる光学要素を有し、これらの光学要素を光軸方向に積層して光学要素積層体5を構成し、隣接する各光学要素を接合するように光学要素積層体5の光軸方向に沿う側面を有機系接着剤6で接着するものである。
このような技術的手段において、光アイソレータ10には偏光依存型、偏光無依存型があるが、本例の光学素子1はいずれにも適用可能である。また、光アイソレータ10の磁石11は、光学素子1に対して接触して配置されていてもよいし、非接触に配置されていてもよい。特に、磁石11に対して光学素子1を非接触に配置する態様では、光学素子1を小型化する上で、光学素子1と磁石11とを切り離して設計することが可能になり、小型化した光学素子1に対して必要な磁場を形成する磁石11を設置するようにすればよい。
また、ファラデー回転子2は一つに限られず、複数使用する態様も含まれる。
更に、偏光案内要素3(3a,3b)としては、偏光依存型光アイソレータ10に使用される光学素子1では偏光方向が予め決められた角度分異なる偏光子が用いられ、また、偏光無依存型光アイソレータ10に使用される光学素子1では光の順方向入射側に、順方向出射側に夫々複屈折結晶が用いられ、更に、入射光と出射光の偏光方向を調整するために、例えば入射側の複屈折結晶とファラデー回転子2との間に一枚の波長板を設置するようにしてもよい。
更にまた、本例の光学素子1としては、ファラデー回転子2と偏光案内要素3との間に反射防止膜を介在させたり、複数のファラデー回転子2間に放熱要素を介在させる等の変形の態様もあり得るので、光学要素については、ファラデー回転子2と偏光案内要素3とを少なくとも含む態様を広く含むものとする。
また、光学要素積層体5は代表的には略直方体形状を有しているが、有機系接着剤6による接着場所は光学要素積層体5の光軸方向に沿う側面であれば平面部でもよいし、角部でもよい。このような接着方式を採用すれば、各光学要素の光路面に有機系接着剤6が存在しないため、高出力の光が通過したとしても、有機系接着剤6が変質したり、気泡が発生したりする懸念がない。
更に、有機系接着剤6としては、耐熱性を有し、熱伝導性の良いものであればよく、接着剤の使用箇所が光路面ではないことから、透明性については要求されない。ここで、熱伝導性の良い有機系接着剤6としては、例えば有機系樹脂接着剤に、熱伝導性フィラー(例えば金属フィラー等)を含有したものが用いられる。例えば熱伝導率が0.6W/mK以上が好ましい。高出力の光が通過すると、光学素子1が発熱するが、熱伝導性の良好な有機系接着剤6を用いるようにすれば、発熱した熱を磁石11やホルダに拡散する上で有効である。
次に、本実施の形態に係る光学素子1の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
有機系接着剤6による接着手法の好ましい態様としては、図1(a)(b)に示すように、光学要素積層体5の光軸方向に沿う側面5aの角部5bを複数箇所接着する態様が挙げられる。本例は、接着箇所を複数とすることで、一箇所よりも接着強度が強くなる点で好ましく、更に、接着箇所を光学要素積層体5の側面5aの角部5bとすることで、角部5b以外の側面5aを接着箇所とする場合に比べて、光学要素積層体5の光軸中心から接着位置までの距離を離すことが可能になり、有機系接着剤6が高出力の光パワーの影響を受け難い点で好ましい。
また、有機系接着剤6による接着手法の別の好ましい態様としては、角部5bは平面状又は曲面状の面取り部を有しており、当該面取り部に有機系接着剤6が塗布されている態様が挙げられる。ここで、面取り部は有機系接着剤6を安定的に保持する面として有効である。
更に、有機系接着剤6による接着手法の他の好ましい態様としては、角部5bは曲面状の凹所を有しており、当該凹所に有機系接着剤6が塗布されている態様が挙げられる。ここで、凹所は穿孔処理等で容易に作成できるほか、有機系接着剤6を安定的に保持する受部として有効である。
また、光学素子1の製造方法の代表的態様としては、前述した光学素子1を製造するに際し、光学要素積層体5を構成するための各光学要素基材を予め決められた大きさで用意し、各光学要素基材を積層して光学要素積層基板を作製する作製工程と、作製工程にて作製された光学要素積層基板に対し、光学要素積層体5の大きさに対応する切断予定箇所のうち予め決められた箇所を穿孔する穿孔工程と、穿孔工程にて光学要素積層基板に穿孔された孔に有機系接着剤6を塗布する塗布工程と、塗布工程にて有機系接着剤6が塗布された光学要素積層基板を、光学要素積層体5となるように切断予定箇所に沿って切断する切断工程と、を備えたものが挙げられる。
ここで、作製工程は、各光学要素基材を積層するに当たって、位置を調整し仮止めするようにすればよい。また、穿孔工程は、レーザ加工機による切断でもよいし、マイクロドリル等の機械加工でもよい。この場合、光学要素積層体5の切断予定箇所のいずれかに穿孔するようにすればよい。更に、塗布工程については、穿孔工程で穿孔された孔に有機系接着剤6を塗布すればよい。孔に対する有機系接着剤6の塗布量は適宜選定して差し支えない。更にまた、切断工程についてはダイシング装置やレーザ切断装置等適宜選定して差し支えない。
また、光学素子1の製造方法の好ましい態様としては、穿孔工程は、光学要素積層基板に対し、切断予定箇所の交差部の全部若しくは一部を穿孔する態様が挙げられる。本例は、光学要素積層体5の光軸方向に沿う側面5aの角部5bを有機系接着剤6の接着領域とした光学素子1を製造する上で有効である。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
-光レセプタクルの全体構成-
図2(a)は実施の形態1に係る光伝送装置としての光レセプタクル20の基本構成を示す。
本例において、光レセプタクル20は、光ファイバ21を接続部品25を介して光アイソレータ10に接続したものであり、光アイソレータ10によって光ファイバ21からの光(本例ではレーザ光)を一方向だけ伝送し、反射して戻ってくる光成分が光ファイバ21側へ逆光するのを阻止するものである。
<接続部品>
ここで、接続部品25は、金属製(例えばステンレス製)のフェルール26の貫通孔27内に外被で保護された光ファイバ21を挿入装着し、このフェルール26の貫通孔27の出口側には段付き孔部28を形成すると共に、この段付き孔部28にはセラミックス製(例えばジルコニア製)の円筒状の小径フェルールからなるキャピラリ29を嵌め込んで保持し、更に、キャピラリ29の一端部をフェルール26の段付き孔部28から突出するように露呈させ、かつ、キャピラリ29の貫通孔30内には光ファイバ21の外被が取り除かれた光ファイバ素線部22を挿入保持するようにしたものである。尚、キャピラリ29の露呈部端面は光ファイバ素線部22の光軸方向に直交する面になっている。
<光アイソレータ>
光アイソレータ10は、図2(a)に示すように、光学素子1の周囲には円環状の磁石110(本例では永久磁石)を配置するようにしたものである。
-光学素子の構成例-
図2(b)は本実施の形態で用いられる光学素子1の一例を示す。
同図において、光学素子1は、偏光依存型光アイソレータ10で使用されるものであって、矩形状のファラデー回転子2と、ファラデー回転子2の光軸方向両側に配置される二枚の矩形状の偏光子40(具体的には40a,40b)とを含む光学要素からなっており、本例では、各光学要素が積層されて略直方体状の光学要素積層体5として構成されている。
本例において、ファラデー回転子2は例えば磁気光学結晶膜である磁性ガーネット結晶膜からなり、また、二枚の偏光子40(40a,40b)は本例では偏光ガラス板からなり、偏光方向が相互に予め決められた角度、例えば45°傾斜するように配置されている。そして、二枚の偏光子40(40a,40b)はファラデー回転子2を挟み込んだ状態で有機系接着剤6を介して積層されている。そして、光学素子1の周囲に配置された永久磁石110によりファラデー回転子2には磁場が作用し、ファラデー回転子2を通過する光を偏光させるようになっている。
このため、ファラデー回転子2の偏光面が回転するので、偏光子40a、ファラデー回転子2、偏光子40bを通過する順方向の光は通過するが、逆方向の戻り光は遮断されるという挙動を示す。
また、図3に示すように、偏光子40及びファラデー回転子2の各表面には、光学素子1を通過する光の反射損失を抑制する上で、反射防止膜50を施してもよい。反射防止膜50は、後述するように、偏光子40とファラデー回転子2の光路面に光学用接着剤を使用しないので、対接着剤用の反射防止膜と対空気用の反射防止膜とを別々に設ける必要がなく、対空気用の反射防止膜に統一することにより、光学素子1の生産性の向上も期待される。
本実施の形態において、光学要素積層体5は、偏光子40(40a,40b)、ファラデー回転子2の光路面ではなく、光学要素積層体5の光軸方向に沿う側面5aを有機系接着剤6により接着して固定されている。このため、偏光子40、ファラデー回転子2の光路面に有機系光学用接着剤が存在しないことにより、高パワーの半導体レーザ等に用いても、有機系光学用接着剤が変質したり気泡を生ずることがなく、光学特性を維持することが可能となる。
ここで、有機系接着剤6による接着手法の具体例について説明する。
本例において、光学要素積層体5に対する有機系接着剤6の接着箇所は、光学要素積層体5の角部5bが選定されており、この角部5bには光軸方向に沿って1/4円弧状の凹所60が形成され、この凹所60に有機系接着剤6が塗布される。この凹所60は複数の角部5bに設けることが好ましく、本例では、強度の点から4箇所全ての角部5bに設けられている。
また、凹所60の形状は、後述する光学素子1の製造方法に依存するもので、穿孔工程で開設された貫通孔の1/4円弧部を利用したものである。この点の詳細については後述する。
更に、本例では、凹所60に有機系接着剤6による接着層6aが形成され、隣接する偏光子40、ファラデー回転子2を夫々固定している。そして、本例の接着層6aは、図3(a)に示すように、有機系接着剤6の塗布量等により、凹所60の形状に沿う層状に形成されている。ここで、凹所60の形状に沿う層状にする時の接着層6aの厚みは、接着強度を有していれば特に限定はない。3μm以上が好ましく、10μm~30μmがより好ましい。偏光子40、ファラデー回転子2間の接着強度は、最終的に光アイソレータ10を製造する時に光学素子1と磁石11とを接着剤で固定するため、光アイソレータ10製造時に光学要素積層体5の剥離等が起きない程度の接着強度があればよく、接着層6aは凹所60の形状に沿う層状であっても十分である。
尚、有機系接着剤6による接着層6aの形状については、前述した層状に限られるものではなく、凹所60に塗布された有機系接着剤6で光学要素積層体5の角部5bの空所部分を埋め、図3(a)に示す正面形状が矩形形状になるようにしたものであってもよい。但し、接着層6aを凹所60の形状に沿う層状にするか、凹所60を埋めて光学要素積層体5と接着層6aとを含めて図3(a)に示す正面形状が矩形形状になるようにするかは、特に限定は無い。
また、有機系接着剤6は、光学要素積層体5の光軸方向に沿う側面5aに使用され、光路面には使用されない。このため、有機系接着剤6は、光学用の透明な接着剤である必要はなく、偏光子40やファラデー回転子2が発熱する熱を迅速に磁石11やホルダ等に拡散することが重要となり、熱伝導率が高い熱伝導性樹脂系接着剤が好ましい。
一般に、光学用の接着剤は、有機樹脂系接着剤で透明でありかつ耐熱性を有する必要がある。例えばエポキシ系接着剤は透明で耐熱性300℃を有する接着剤として使用できるが、これ以上の耐熱性を必要とする場合には使用できない。これに対し、熱伝導性樹脂系接着剤は、同様に有機樹脂系接着剤で、光路面に使用する必要はないので不透明でより熱伝導性を有するものを使用することが好ましく、熱伝導性フィラー、例えば金属フィラー等を含有し、熱伝導率は0.6W/mK以上であることが好ましい。
-光学素子の製造方法-
次に、本実施の形態に係る光学素子の製造方法を図4に基づいて説明する。
図4(a)は光学要素積層体5を構成するための各光学要素基材70を予め決められた大きさで用意する工程である。本例では、光学要素基材70としては、2枚の偏光子基材71(具体的には71a,71b)と、1枚のファラデー回転子基材72とが用意される。ここで、ファラデー回転子基材72は回転角が45度になるように厚みを調整しておく。また、偏光子基材71は、偏光方向がある一辺に対して水平な偏光方向をもつものを第1の偏光子基材71aとし、これに対して45度の勾配をもった偏光方向をもつものを第2の偏光子基材71bとし、それぞれ用意することが好ましい。尚、偏光子基材71には、その両面の光路面に対空気用の反射防止膜(図示せず)を形成してもよい。例えば空気の屈折率1.0に合わせ、反射率が0.25%以下となるように反射防止膜を形成するようにすればよい。また、ファラデー回転子基材72にも、同様に両面の光路面に対空気用の反射防止膜(図示せず)を施すようにしてもよい。
更に、偏光子基材71、ファラデー回転子基材72の大きさは、特に限定はないが、次工程にてそれぞれを積層するため偏光子基材71とファラデー回転子基材72の大きさは同一が好ましい。例えば11mm×11mmの矩形状基材とすることができる。
尚、偏光子基材71単体での偏光消光比は、50dB以上の値が好ましい。偏光消光比を50dB以上にすることで、光アイソレータ10として組み立てた場合に要求されるアイソレーションを実現することが可能となる。
次に、図4(b)は各光学要素基材70を積層する積層工程である。
この積層工程は、第1の偏光子基材71a(71)、ファラデー回転子基材72、第2の偏光子基材71b(71)の順で積層し、位置を調整し仮止めし、光学要素積層基板73とする工程である。ここで、仮止めは、偏光子基材71、ファラデー回転子基材72の光学要素積層体5として用いない部分に行う。例えば、偏光子基材71、ファラデー回転子基材72の外形の角部の4箇所に少々の接着剤を用いて接着してもよい。この接着剤に後工程に支障がない接着剤であれば特に限定はなく、後述の接着工程で使用する熱伝導性樹脂系接着剤(有機系接着剤6に相当)でもよい。
尚、図4(a)(b)は光学要素積層基板73を作製する作製工程を示す。
図4(c)は穿孔工程である。この穿孔工程は、光学要素積層基板73に対し、光学要素積層体5の大きさに対応する切断予定箇所のうち予め決められた箇所を穿孔し、貫通孔74を形成する工程である。本例では、穿孔位置は、後工程のダイシング工程で所定の大きさに切断して光学要素積層体5の角部5b(図3(a)参照)になるように設定されている。穿孔処理は、隣接する光学要素積層体5の角部5bと共用で行うことが好ましい。隣接する光学要素積層体5の角部5bと共用で行うことで穿孔処理の作業を低減することが可能である。穿孔の大きさは、後工程のダイシング工程の切断幅を踏まえ、光学要素積層体5の角部5bに形成される凹所60に合わせて設定される。更に、角部5bの凹所60の形状は、光学素子1の大きさ(光学要素積層体5の大きさに相当)、および、使用されるレーザの光路の有効面積(クリア・アパーチャ(CA))により決定される。
図3に示すように、光学素子1の大きさに対しクリア・アパーチャ(CA)にかからない範囲で角部を凹形状に設定することができる。例えば、光学素子1の大きさが□0.5mm、クリア・アパーチャ(CA)がφ0.4mmの場合は、凹所60(具体的には60a~60d)の半径は50μm、クリア・アパーチャ(CA)がφ0.3mmの場合は、凹所60の半径は0.1mm、クリア・アパーチャ(CA)がφ0.25mmの場合は、凹所60の半径は0.125mmとなる。また、切断幅は、切断方法にもよるが、0.05mm~0.2mmである。このため、光学素子1の大きさが□0.5mm、クリア・アパーチャ(CA)がφ0.4mm、切断幅が0.1mmの場合、穿孔径は、約φ0.2mmとなり、凹所60(60a~60d)の半径は、50μm程度となる。
穿孔方法は、特に限定はない。任意の穿孔器具80を用いて差し支えない。レーザ加工機による切断でもよい。または、マイクロドリル等機械加工でもよい。
図4(d)は、穿孔工程にて光学要素積層基板73に穿孔された貫通孔74に有機系接着剤6を塗布する塗布工程である。前述したように接着層6aは、熱伝導率が高い熱伝導性樹脂系接着剤を用いることが好ましい。本例では、接着剤塗布器具90は、例えば貫通孔74の孔周面に沿って有機系接着剤6を層状に塗布可能なものが採用されており、有機系接着剤6が貫通孔74の形状に沿うように塗布されるが、貫通孔74を有機系接着剤6で全て充填するようにしてもよい。貫通孔74に対する有機系接着剤6の塗布状態を調整するには、有機系接着剤6の塗布量等を調整するようにすればよい。また、硬化作業が必要な場合、所定の方法にて有機系接着剤6を硬化させるようにすればよい。例えば、熱硬化接着剤では80℃に加熱して接着剤を硬化させる等である。
尚、接着剤塗布器具90としては、例えば武蔵エンジニアリング社製のオートディスペンサが用いられる。
図4(e)はダイシング工程である。これは、塗布工程にて有機系接着剤6が塗布された光学要素積層基板73を、光学要素積層体5となるように切断予定箇所に沿って切断する切断工程である。これは、光学要素積層体5の角部5bが貫通孔74の一部となるように切断するものである。切断方法は特に限定はなく、任意の切断器具(図示せず)を用いて差し支えない。切断器具としては、ダイシング装置やレーザ切断装置等を使用することができる。
図4(f)は、前述したダイシング工程を経て得られる光学素子1(光学要素積層体5の角部5bを有機系接着剤6による接着層6aで接着した態様)を示す。
-光アイソレータの製造方法-
本例において、光アイソレータ10は、図5(a)(b)に示すように、円環状の磁石110(本例では永久磁石を使用)内に略直方体形状の光学素子1を搭載した円筒型光アイソレータであり、磁石110の中空部に面した内周面に光学素子1の光軸方向に沿う角部4箇所を接着剤100を介して接着固定したものである。
ここで、接着剤100としては熱伝導性接着剤を用いることが好ましく、光学素子1の偏光子40やファラデー回転子2で発生した熱を磁石110側に効率よく拡散することが可能である。また、接着剤100による磁石110への固定に伴って、光学素子1の偏光子40、ファラデー回転子2の接合が補強され、より接着強度が大きくなる。
また、本例では、光学素子1の光軸方向に沿う角部には1/4円弧状の凹所60が形成されており、当該凹所60の形状に沿って有機系接着剤6による接着層6aが形成されているため、光学素子1の各角部と円環状の磁石110の内周面とを接着剤100で接着固定するに当たり、光学素子1の各角部の接着面積を広く確保することができ、その分、磁石110に対する光学素子1の接着強度を増加させることが可能である。本例では、光学素子1の角部4箇所を全て接着固定するようにしているが、角部2箇所あるいは3箇所にしてもよい。
本実施の形態に係る光学素子の性能を評価する上で、比較の形態1に係る光学素子と対比する。
◎比較の形態1
図6(a)(b)は比較の形態1に係る光学素子1’の要部を示す。
同図において、光学素子1’は、実施の形態1と同様に、ファラデー回転子2と、ファラデー回転子2の光軸方向両側に配置される二枚の偏光子40(40a,40b)とを含み、これらの光学要素が積層されて略直方体形状の光学要素積層体5’として構成されている。このため、この光学素子1’が図示外の磁石による磁界中に置かれると、実施の形態1と同様に、ファラデー回転子2の偏光面が回転するので、偏光子40a、ファラデー回転子2、偏光子40bを通過する順方向の光は通過するが、逆方向の戻り光は遮断されるという挙動を示す。
しかしながら、光学要素積層体5’を構成する各光学要素は、偏光子40a(40)、ファラデー回転子2、偏光子40b(40)の順に積層され、偏光子40及びファラデー回転子2の光路面に光学用の接着剤6’を塗布し接着、固定されている。この光学用の接着剤6’は、偏光子40及びファラデー回転子2の光路面で接着するため、透明でかつ耐熱性が要求される。この種の光学用の接着剤6’としては、有機樹脂系の透明な接着剤、例えばエポキシ系接着剤が挙げられる。
また、偏光子40及びファラデー回転子2の各表面には、光学素子1’を通過する光の反射損失を抑制するために、反射防止膜50としてのARコート(anti-reflective coating)が施される。反射防止膜50は、光軸が通る偏光子40の外表面に対空気用の反射防止膜50aを備え、ファラデー回転子2と接着する面には、対接着剤用の反射防止膜50bを備えるのがよい。また、ファラデー回転子2の偏光子40と接着する面には対接着剤用の反射防止膜50bを備えるのがよい。
しかしながら、この種の光学素子1’を用いた光アイソレータに対して、高出力の半導体レーザ等に用いると、光学用の接着剤6’が局所的に熱せられ、接着剤6’が変質したり気泡を生ずることがあり、光学素子1’の光学特性を劣化させるという現象が見られる。
実施の形態1に係る光学素子1については、前述したものに限定されるものではなく、例えば以下に示す変形の形態1-1~1-3のように変更して使用しても差し支えない。
◎変形の形態1-1
実施の形態1では、図3(a)に示すように、光学要素積層体5の角部5bには断面円弧状の凹所60が形成され、当該凹所60が有機系接着剤6の接着箇所になっているが、例えば図7(a)に示すように、光学要素積層体5の角部5bに平面状の面取り部65を形成し、当該面取り部65を有機系接着剤6の接着箇所にしてもよいことは勿論である。尚、図7(a)中に仮想線で示すように、曲面状の面取り部66を用いてもよいことは勿論である。
このような面取り部65,66については、穿孔工程において、非円形状(矩形状又は変形矩形状)の貫通孔を、例えばレーザ加工機により加工位置を制御することで容易に開設することが可能である。
◎変形の形態1-2
図7(b)は実施の形態1に係る光学素子1を更に補強したものである。
同図において、光学素子1は、光学要素積層体5の光軸方向に沿う少なくとも一側面に補強板150を設置するようにしたものである。この補強板150の材質は、光学素子1の特性に支障がなければ特に限定されないが、偏光子40やファラデー回転子2と同様な切断条件で切断可能な材質のものを使用すれば、例えば光学要素積層基板73を製作する際に補強板150となる基材を付加するだけで、この種の光学素子1を得ることが可能である。
また、このような補強板150を備えた光学素子1にあっては、光学素子1の大きさが0.3mm×0.3mm等より小さい態様であっても、光学要素間の接合状態を補強することが可能である。
◎変形の形態1-3
本実施の形態では、光学素子1は二枚の偏光子40(40a,40b)間に一枚のファラデー回転子2を介在させる態様が採用されているが、これに限定されるものではなく、例えば図7(c)に示すように、第1の偏光子40a(40)、第1のファラデー回転子2a(2)、放熱用基板160、第2のファラデー回転子2b(2)、第2の偏光子40b(40)のように、五枚の光学要素を積層した光学要素積層体5としたものでもよい。この場合には、光学要素積層体5の光軸方向に沿う側面を有機系接着剤6による接着層6aで固定するようにすればよい。
◎実施の形態2
図8(a)(b)は実施の形態2に係る光アイソレータの要部を示す。
同図において、光アイソレータ10は、板状の磁石120(本例では永久磁石)に光学素子1を搭載した表面実装型光アイソレータを示す。
本例において、光学素子1は、実施の形態1と略同様な構成要素を備えているが、実施の形態1と異なる断面形状を有している。
本例では、光学素子1の製造方法が実施の形態1と異なる箇所がある。具体的には、光学素子1の製造工程のうち、有機系接着剤6の塗布工程において、穿孔処理で開設された光学要素積層基板73(図4参照)の貫通孔74を有機系接着剤6で全て充填するようにし、この状態で、ダイシング工程による穿孔処理を実施するようにしたものである。
この結果、本実施の形態では、光学要素積層体5と凹所60を埋めた有機系接着剤6による接着層6a(本例では凹所60上に盛られた断面扇状の接着剤充填部に相当)とを含め、図8(a)に示すように、光学素子1の形状が正面側から見て矩形形状になるように構成されている。
そして、本例では、光学素子1の光軸方向に沿う一側面に接着剤100が塗布され、板状の磁石120上に接着固定されている。特に、本例では、光学素子1の角部には、光学要素積層体5の各角部5bの凹所60には各光学要素を接合するために有機系接着剤6による接着層6aが設けられているが、当該接着層6aが光学素子1の角部を実質的に構成して光学素子1の断面形状が矩形状になっていることから、実施の形態1に示す光学素子1を使用する場合に比べて、実施の形態2に係る光学素子1と板状の磁石120との間の接着面積を広く確保することができ、その分、接着強度を増加させることができる。
◎実施の形態3
図9は実施の形態3に係る光伝送装置としての光レセプタクル20の要部を示す。
同図において、光レセプタクル20の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、キャピラリ29の露呈部端面は光ファイバ素線部22の光軸方向に直交する面に対して予め決められた角度θ(例えば0<θ≦8°)だけ傾斜した傾斜面31を有しており、光学素子1は、入射側に位置する偏光子40aが接続部品25の傾斜面31に図示外の接着剤を用いて直接的に貼り付けられている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については、同様な符号を付してその詳細な説明を省略する。
本例においては、光学素子1は、光進行方向に対してθだけ傾斜して配置されることから、傾斜しない場合に比べて、アイソレーション機能を確保しつつ反射戻り光の影響を抑えることが可能になる。
更に、本例では、光学素子1は、円環状の磁石110に直接的に固着されないので、光学素子1を製造する上で、磁石110の大きさ等の影響を受けずに、光学素子1の小型化を追求することが可能である。
尚、本例では、光学素子1は接続部品25に設置されているが、これに限られるものではなく、他部品との接続のためのホルダ(図示せず)を設置し、光学素子1、磁石110を夫々のホルダに設置するようにしてもよい。
◎実施の形態4
図10(a)は実施の形態4に係る光アイソレータの要部を示す。
同図において、光アイソレータ10は、実施の形態1~3に示す偏光依存型光アイソレータと異なり、偏光無依存型光アイソレータである。
偏光無依存型光アイソレータは、エルビウムドープファイバアンプ(EDFA)のような増幅器に使われる他に、半導体光増幅器用に求められることがある。この場合は、コスト的に一層安価なものが求められると同時に、実装密度の高い製品が必要となる。このような用途に有用な光アイソレータ10は、例えば以下のような光学素子1と、この周囲に配置される円環状の磁石110(本例では永久磁石)とを備えている。尚、光学素子1は実施の形態1のように、磁石110に設置されていてもよいし、あるいは、実施の形態3に示すように、磁石110以外の部材(例えば接続部品25)に設置するようにしてもよい。
本例において、光学素子1は、偏波無依存型光アイソレータに使用されるものであって、ファラデー回転子2と、このファラデー回転子2の光軸方向両側に配置される二つの複屈折結晶板130(130a,130b)と、ファラデー回転子2と出射側の複屈折結晶板130bとの間に配置される波長板140とを積層し、光学要素積層体5として構成したものである。
ここで、複屈折結晶板130(130a,130b)は例えばルチル(TiO2)結晶やYVO4結晶で構成され、ファラデー回転子2は実施の形態1と同様に、磁気光学結晶膜(例えば磁性ガーネット結晶膜)で構成される。
更に、入射光と出射光の偏光方向を調整するために、出射側の複屈折結晶板130bとファラデー回転子2の間に一枚の波長板140として1/2波長板が設置されている。尚、この波長板140の設置箇所については出射側の複屈折結晶板130bの手前であればよく、本例では、入射側の複屈折結晶板130a、ファラデー回転子2、波長板140及び出射側の複屈折結晶板130bの順に配置されているが、これに限られない。
そして、本例では、ファラデー回転子2、複屈折結晶板130(130a,130b)及び波長板140の各接合面には必要に応じて反射防止膜が形成されている。
そして、本例では、光学要素積層体5の光軸方向に沿う側面の例えば角部には有機系接着剤6による接着層6aが設けられ、光学要素積層体5の隣接する光学要素が接合されている。
本例において、光入射側に位置する複屈折結晶板130aに入射した光は偏光面が90度異なる常光線と異常光線とに分かれ、これらの偏光は、ファラデー回転子2で45度、波長板(本例では1/2波長板)140で45度、合わせて90度回転させられ、常光線は異常光線に、異常光線は常光線へと逆になって後段の複屈折結晶板130bに入射し、合波されて低損失で出射される。
一方、逆方向からの光については、順方向と同じく、光は、複屈折結晶板130bを通過するときに常光線と異常光線とに分かれて波長板140とファラデー回転子2とを通過する。しかし、順方向の場合とは異なり、偏光面は元の状態のままであるため、後段に位置する複屈折結晶板130aで合波されることなく進み、光ファイバ側に再入射される懸念はない。
尚、本実施の形態において、図10(b)に示すように、光学素子1について、光進行方向に対してθ(例えば0<θ≦8°)だけ傾斜して配置するようにすれば、傾斜しない場合に比べて、アイソレーション機能を確保しつつ反射戻り光の影響を抑えることが可能になる。
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
〔実施例1〕
実施例1は、実施の形態1に示す偏光依存型光アイソレータ(図3参照)を具現化したものである。
本例において、偏光子基材は、コーニング社製の大きさ11mm×11mm、厚み0.2mmで、一般に流通しているサイズとした。偏光方向は、ある一辺に対して水平な偏光方向をもつものを第1の偏光子基材とし、これに対して45度の勾配をもった偏光方向をもつものを第2の偏光子基材として使用した。
また、偏光子基材の両面に、空気の屈折率1.0に合わせた対空気用の反射防止膜を形成し、反射率は0.25%以下となるように調整した状態のものとした。偏光子基材単体での偏光消光比は、50dB以上の値を保持していることを確認した。
更に、ファラデー回転子基材はグラノプト社製を用いた。すなわち、波長1480nm、25℃において45度のファラデー回転角が得られる厚さ400μmの大面積ファラデー回転子を用い、その両面には、対空気用の反射防止膜を施した。
前述した偏光子基材及びファラデー回転子基材は、面積11mm×11mmのサイズに合わせて、図4に示した工程に従って、位置調整し、偏光子基材、ファラデー回転子基材の外形の角部の4箇所に少々の接着剤を用いて仮固定し光学要素積層基板を作製した。しかる後、加工用レーザ(波長1064nm、ビーム径50ミクロン)により、光学要素積層基板の所定の部位に所定の穿孔処理を施して貫通孔を形成し、貫通孔に熱伝導性樹脂接着剤を武蔵エンジニアリング社製のオートディスペンサにより塗布した。熱伝導性樹脂接着剤は、エポキシ系樹脂で熱伝導性フィラーを含有し、熱伝導率が0.9W/mKの接着剤を使用した。その後、80℃で硬化させた後に、ダイシング装置によって正面寸法が0.5mm×0.5mmサイズに切り出しを行い、光アイソレータ用の光学素子を作製した。この際に行った接着剤の塗布は、50ミクロン・セラミックチップを先端とするノズルを使用して、微細な塗布を行った。
次に、上記で作製した光学素子を使用して、図3に示すように円筒型光アイソレータを作製した。先ず、上記で作製した光学素子のファラデー回転子が飽和磁界になる外径がφ1.5mm、内径がφ0.9mm、長さ1.1mmの円筒型磁石を用意した。この磁石の中心付近に上記で作製した光学素子を熱伝導性樹脂系接着剤にて接着した。
接着剤は、エポキシ系樹脂で熱伝導性フィラーを含有し、熱伝導率が0.9W/mKの接着剤を使用した。また、接着剤は、図4に示すように、光学素子の4箇所の角部の凹所を中心に接着した。その後、80℃に加熱して接着剤を硬化させて磁石に固定し、円筒型光アイソレータを作製した。
次に、上記で作製した円筒型光アイソレータについて光学評価(入力光は偏向光である)を行った。
ここで、レーザの径(ビーム径)は、φ0.2mmとした。レーザの出力は、実施例1-1が300mW、実施例1-2が500mW、実施例1-3が700mWとした。その時の光学面の観察を行った。その結果を表1に示す。
〔実施例2〕
実施例2は、実施の形態2に係る光アイソレータ(図8参照)を具現化したものである。
実施例2では、光学要素積層基板の貫通孔に熱伝導性樹脂接着剤をオートディスペンサにより塗布する時、接着剤を貫通孔の全てに充填した。それ以外は、実施例1と同様にて光アイソレータ用の光学素子を作製した。また、作製した光学素子を使用して、図8に示すように表面実装型光アイソレータを作製した。まず、上記で作製した光学素子のファラデー回転子が飽和磁界になる大きさが1.3mm×1.8mm、厚さ1.0mmの平板状の磁石を用意した。この磁石の中心付近に実施例2で作製した光学素子を熱伝導性樹脂接着剤にて接着した。接着剤は、エポキシ系樹脂で熱伝導性フィラーを含有し、熱伝導率が0.9W/mKの接着剤を使用した。また、接着剤は、図8に示すように、光学素子の角部の凹所を含む一辺(一面)に接着した。その後、80℃に加熱して接着剤を硬化させて磁石に固定し、表面実装型光アイソレータを作製した。
次に、実施例2で作製した表面実装型光アイソレータについて光学評価を行った。
ここで、レーザの径(ビーム径)は、φ0.2mmとした。レーザの出力は、実施例2-1が300mW、実施例2-2が500mW、実施例2-3が700mWとした。その時の光学面の観察を行った。その結果を表1に示す。
〔実施例3〕
実施例3は、実施の形態4に係る光アイソレータ(図10(b)参照)を具現化したものである。
実施例3では、光学素子は、偏光子に替えて、ファラデー回転子の光入射側に無偏光状態の光が複数の偏光に分かれる第1の複屈折結晶板とファラデー回転子の光出射側に第2の複屈折結晶板とし、更に、第2の複屈折結晶板とファラデー回転子との間に波長板を介在させた構造とした。この光学素子を製造するに当たって、夫々必要な光学要素基材を積層した光学要素積層基板については、大きさを11mm×11mm、厚さを0.2mmとした。その他は、実施例1と略同様とし、偏波無依存型光アイソレータ用の光学素子を作製した。
また、実施例3で作製した光学素子を使用して実施例1と略同様に、円筒型光アイソレータを作製した。
また、実施例1と同様に、光学評価を行った。レーザの出力は、実施例3-1が500mWとした。
〔比較例1〕
比較例1は、比較の形態1に係る光アイソレータ(図6参照)を具現化したものである。
比較例1では、実施例1と同様に、二枚の偏光子基材、ファラデー回転子基材を用意し、偏光子基材の外側の面には、対空気用の反射防止膜を、接着剤面側には、対接着剤用の反射防止膜、ファラデー回転子基材の両面には、対接着剤用の反射防止膜をそれぞれ形成した。第1の偏光子基材、ファラデー回転子基材、第2の偏光子基材の順に、それらの光路面を光学系接着剤で接着し、光学要素積層基板を作製した。接着剤は、エポキシ系接着剤で透明で耐熱性300℃を有する接着剤を使用した。その後、80℃で硬化させた後に、ダイシング装置によって、光学要素積層基板を正面寸法が0.5mm×0.5mmサイズに切り出しを行い、光アイソレータ用の光学素子を作製した。
次に、上記で作製した光学素子を使用して、実施例1と同様に、円筒型光アイソレータを作製した。そして、比較例1で作製した表面実装型光アイソレータについても、実施例1と同様に光学評価を行った。レーザの出力は、比較例1-1が300mW、比較例1-2が500mW、比較例1-3が700mWとした。その時の光学面の観察を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2023005437000002
以下に表1の結果について説明する。
実施例1-1、1-2、1-3において、光学面の外観上の変化はなく良好であった。レーザの出力が700mWにおいても変化は生じていない。
また、実施例2-1、2-2、2-3において、光学面の外観上の変化はなく良好であった。レーザの出力が700mWにおいても変化は生じていない。
このように、表面実装型光アイソレータでも、実施例1と同様に、700mWでも外観上の変化は生じていない。
更に、実施例3-1において、光学面の外観上の変化はなく良好であった。
これに対し、比較例1-1、1-2、1-3によれば、500mW以上で光学面に欠陥が生じていた。実施例1による光アイソレータでは700mWでも外観上の変化は生じていない。これは、光学素子の光路面に発熱を受ける接着剤層がないために、偏光子、あるいは、ファラデー回転子の耐熱温度の限界まで利用できることを示している。また、光学素子表面で発生した熱が、直ちに光学素子の角部4箇所に設置された熱伝導エリアに逃げることができるため、長時間レーザを照射された場合であっても、熱の放散性がよく、発熱点での絶対温度が低下する効果も合わせて発現しているものと推測される。
本発明の光アイソレータに使用される光学素子は、有機系接着剤を使用する積層型光アイソレータでありながら、光路面の接着剤を除去し、発熱により接着剤が変質したり、発泡したりすることにより光学特性が劣化することを防止することが可能である。このため、本発明の光学素子を用いた光アイソレータは、高パワーの半導体レーザ等に用いることが可能で、耐熱性を有し、小型化可能で、かつ、低コストで提供することができる。
1 光学素子
2 ファラデー回転子
3(3a,3b) 偏光案内要素
5 光学要素積層体
5a 側面
5b 角部
5’ 光学要素積層
6 有機系接着剤
6’ 光学用接着剤
6a 接着層
10 光アイソレータ
11 磁石
12 光伝送装置
13 光学部品
Bm 光
20 光レセプタクル
21 光ファイバ
22 光ファイバ素線部
25 接続部品
26 フェルール
27 貫通孔
28 段付き孔部
29 キャピラリ
30 貫通孔
31 傾斜面
40(40a,40b) 偏光子
50(50a,50b) 反射防止膜
60(60a~60d) 凹所
65 面取り部
66 面取り部
70 光学要素基材
71(71a,71b) 偏光子基材
72 ファラデー回転子基材
73 光学要素積層基板
74 貫通孔
80 穿孔器具
90 接着剤塗布器具
100 接着剤
110 磁石
120 磁石
130(130a,130b) 複屈折結晶板
140 波長板
150 補強板
160 放熱用基板

Claims (10)

  1. 光アイソレータに使用される光学素子であって、
    磁界を作用させることで光の偏光方向を予め決められた角度だけ回転させるファラデー回転子と、前記ファラデー回転子の光軸方向両側に配置されて光を偏光案内し、前記ファラデー回転子と協働して光の順方向への通過を許容し、光の逆方向への通過を阻止する偏光案内要素と、が少なくとも含まれる光学要素を有し、
    これらの光学要素を光軸方向に積層して光学要素積層体を構成し、隣接する各光学要素を接合するように前記光学要素積層体の光軸方向に沿う側面を有機系接着剤で接着することを特徴とする光学素子。
  2. 請求項1に記載の光学素子において、
    前記偏光案内要素は、偏光方向が予め決められた角度分だけ相互に異なる二枚の偏光子を含み、偏光依存型光アイソレータとして用いられる光学素子。
  3. 請求項1に記載の光学素子において、
    前記偏光案内要素は、光の順方向入射側及び光の順方向出射側に複屈折結晶を含み、偏光無依存型光アイソレータとして用いられる光学素子。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の光学素子において、
    前記有機系接着剤は前記光学要素積層体の光軸方向に沿う側面の角部を複数箇所接着することを特徴とする光学素子。
  5. 請求項4に記載の光学素子において、
    前記光学要素積層体の光軸方向に沿う側面の角部は平面状又は曲面状の面取り部を有しており、当該面取り部に前記有機系接着剤が塗布されていることを特徴とする光学素子。
  6. 請求項4に記載の光学素子において、
    前記光学要素積層体の光軸方向に沿う側面の角部は曲面状の凹所を有しており、当該凹所に前記有機系接着剤が塗布されていることを特徴とする光学素子。
  7. 光アイソレータに使用される光学素子であって、
    磁界を作用させることで光の偏光方向を予め決められた角度だけ回転させるファラデー回転子と、前記ファラデー回転子の光軸方向両側に配置されて光を偏光案内し、前記ファラデー回転子と協働して光の順方向への通過を許容し、光の逆方向への通過を阻止する偏光案内要素と、が少なくとも含まれる光学要素を有し、これらの光学要素を光軸方向に積層して光学要素積層体を構成し、隣接する各光学要素を接合するように前記光学要素積層体の光軸方向に沿う側面を有機系接着剤で接着する光学素子を製造するに際し、
    前記光学要素積層体を構成するための各光学要素基材を予め決められた大きさで用意し、各光学要素基材を積層して光学要素積層基板を作製する作製工程と、
    前記作製工程にて作製された前記光学要素積層基板に対し、前記光学要素積層体の大きさに対応する切断予定箇所のうち予め決められた箇所を穿孔する穿孔工程と、
    前記穿孔工程にて前記光学要素積層基板に穿孔された孔に前記有機系接着剤を塗布する塗布工程と、
    前記塗布工程にて前記有機系接着剤が塗布された前記光学要素積層基板を、前記光学要素積層体となるように前記切断予定箇所に沿って切断する切断工程と、
    を備えたことを特徴とする光学素子の製造方法。
  8. 請求項7に記載の光学素子の製造方法において、
    前記穿孔工程は、前記光学要素積層基板に対し、前記切断予定箇所の交差部の全部若しくは一部を穿孔することを特徴とする光学素子の製造方法。
  9. 請求項1乃至6のいずれかに記載の光学素子と、
    前記光学素子の前記ファラデー回転子を飽和磁化させる磁石と、
    を備えたことを特徴とする光アイソレータ。
  10. 請求項9に記載の光アイソレータと、
    前記光アイソレータに対して光を入射する又は前記光アイソレータから出射された光を受け入れる光学部品と、
    を備えたことを特徴とする光伝送装置。
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