JP2023004723A - 電動ブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 安全性や操縦者のブレーキフィーリングを向上させた電動ブレーキ装置を提供する。【解決手段】 ブレーキロータと、摩擦材と、電動モータと、電動モータの回転運動を摩擦材の直進運動に変換する直動機構と、モータ角度推定手段と、ブレーキ力推定手段と、電動モータを制御する制御装置とを備え、前記制御装置が、ブレーキ解除状態において、前記モータ角度推定手段による推定モータ角度に基づいて前記直動機構におけるストローク位置を制御する位置制御機能と、ブレーキ状態において、前記摩擦材と前記ブレーキロータとの当接で発生する摩擦力による仕事量を推定する機能と、前記ブレーキ解除状態において摩擦力による前記仕事量と前記電動ブレーキ装置の前記経過時間に対する熱収縮特性等とに基づいて空隙拡大量を推定し、空隙拡大量を減殺させて空隙が縮小するようにストローク位置を突出させる機能とを有する電動ブレーキ装置。【選択図】図1A

Description

本発明は、電動のブレーキ装置に関する。
従来、電動ブレーキ装置において、以下の技術が提案されている。
(1)遊星ローラねじ構造を用いた電動式アクチュエータ(特許文献1)。
(2)位置制御と荷重制御を適用した電動ブレーキ制御装置(特許文献2)。
特開2006-194356号公報 特開2014-177205号公報
特許文献1に記載の、ブレーキペダルを踏み込むことで、遊星ローラねじ構造を用いた直動機構を介してモータの回転運動を直線運動に変換し、摩擦材(ブレーキパッド)をブレーキロータ(ブレーキディスク)に押圧接触させて制動力を発生させる電動ブレーキ装置において、例えば、電動ブレーキを搭載した車両の操縦者等にブレーキフィーリングの違和感を抱かせないために、ブレーキロータと摩擦材との押付力を操縦者の要求通りきめ細やかに制御することが求められる場合が多い。特に、一般公道の走行時に多用する比較的ブレーキ力の小さい常用ブレーキの領域において、操縦者はブレーキフィーリングに違和感を覚えやすい傾向にあるため、特に精密なブレーキ力制御が求められる場合がある。
また、例えばモータの回転角度から換算される直動機構のストローク量(摩擦材の移動量に相当)を用いて、ブレーキペダル操作の操作量に対して所定のストローク量とすることで電動ブレーキ装置のブレーキ力を制御する場合(この制御を位置制御とも呼ぶ)、車両にブレーキをかける際に発生するブレーキ摩擦熱によって膨張した摩擦材やブレーキロータ等が、ブレーキを解除した後の放熱により冷却されて収縮するなどの要因により、摩擦材とブレーキロータとの間の空隙が想定より拡大する場合がある(ストローク量誤差、摩擦材の位置(モータ角度)の誤差の発生)。そのような状態においては本来ブレーキ力が作用するべきブレーキペダル操作量の状態においてブレーキ力が発生せず、操縦者がブレーキフィーリングに違和感を覚える場合がある。
また、特許文献2において、例えばブレーキ力を推定するためのブレーキ力センサを設け、ブレーキをかける際はブレーキペダル操作の操作量に対して所定のブレーキ力センサ出力となるようブレーキ力制御(または荷重制御)を行い、ブレーキを解除する際は前記ブレーキ力センサ出力やモータ回転角から所定のパッドクリアランス(摩擦材とブレーキロータとの間の空隙)が設けられるようにモータ角度制御を行うことで電動ブレーキ装置を制御する手法(または位置制御)が開示されている。
しかしながら、車両にブレーキをかける際に発生するブレーキ摩擦熱によって膨張した摩擦材やブレーキロータ等がブレーキを解除した後の放熱により冷却されて収縮するなどの要因により摩擦材とブレーキロータとの空隙が想定より拡大する場合があり、そのような場合において、ブレーキ力制御を実行した際に実際にブレーキ力が発生するまでに想定以上に電動モータが加速したためブレーキ力に大きなオーバーシュートが発生する現象や(制動ショック現象)、ブレーキ力がしばらく発生せず大きな応答遅れが生じる現象、あるいはこれらの複合された現象が生じる場合がある。これらのうち何れの現象が発生するかは、ブレーキ指令値の大きさやブレーキコントローラのパラメータに依存するため、予め調整することが困難であり、また主に比較的小さなブレーキ操作を行った際に発生し易いことから、操縦者がブレーキフィーリングに違和感を覚えることや、意図しないブレーキ動作により安全性が低下する可能性がある。
本発明の目的は、上述の課題を解決すべく、安全性や操縦者のブレーキフィーリングを向上させた電動ブレーキ装置を提供することである。
本発明は、概して、ブレーキを解除した状態(ブレーキ解除状態)から所定のブレーキ力を発生する状態(ブレーキ状態)へと移行する際に、モータの回転角度(モータ角度)や推定されたブレーキ力(推定ブレーキ力)等から想定されたよりも大きな空隙(パッドクリアランス)が生じていることを判断した場合に、所定のブレーキ力を発生させてからブレーキを解除した後の、ブレーキを解除するまでのブレーキ摩擦によるエネルギーおよびブレーキ装置の冷却特性と熱収縮特性等から空隙拡大量を想定し、前記空隙拡大量の推定値を勘案して直動機構を突出させることを基本とする。
上記目的を達成するために、本発明にかかる電動ブレーキ装置は、
ブレーキロータと、前記ブレーキロータと当接してブレーキ力を発生させる摩擦材と、電動モータと、前記電動モータの回転運動を前記摩擦材の直進運動に変換する直動機構と、前記電動モータの回転角度を推定するモータ角度推定手段と、前記ブレーキロータと摩擦材との当接により発生する前記ブレーキ力を推定するブレーキ力推定手段と、前記電動モータを制御する制御装置と、を備えた電動ブレーキ装置において、
前記制御装置が、
少なくとも前記摩擦材と前記ブレーキロータとが、該両者の間の空隙が所定量となるように離反されたブレーキ解除状態において、前記モータ角度推定手段による推定モータ角度に基づいて前記直動機構におけるストローク位置を制御する位置制御機能と、
前記摩擦材と前記ブレーキロータとが当接したブレーキ状態において、少なくとも、前記ブレーキ力推定手段段による推定ブレーキ力と、前記ブレーキロータの運動状態とから前記摩擦材と前記ブレーキロータとの当接で発生する摩擦力による仕事量を推定する機能と、
前記ブレーキ解除状態から前記ブレーキ状態に移行し、再びブレーキ解除状態となるまでの前記摩擦力による仕事量を記憶する機能と、
前記ブレーキ解除状態において、少なくとも、記憶されたブレーキ解除状態となるまでの摩擦力による前記仕事量と、前記ブレーキ解除状態の経過時間と、前記電動ブレーキ装置の前記経過時間に対する熱収縮特性と、に基づいて前記空隙の拡大量である空隙拡大量を推定し、推定された前記空隙拡大量を減殺させて前記空隙が縮小するように、前記直動機構のストローク位置を突出させる方向へ所定量だけ移動させる空隙調整機能と、を有する。
本発明にかかる電動ブレーキ装置の上記構成によると、前記制御装置が、上記の位置制御機能、摩擦力による仕事量を推定する機能、および空隙調整機能を有することで、ブレーキを解除した際の、前記摩擦材と前記ブレーキロータとの間の空隙(パッドクリアランス)が想定よりも大きくなっていた場合、ブレーキ装置の熱収縮量等に基づいて、想定よりも大きくなっている分を減算して、前記直動機構で変換された直進運動により前記摩擦材を突出させて空隙量を調整することで、ブレーキをかける指令に対してブレーキ力がなかなか発生しない場合や、反対にモータが高速に動作しすぎて制動ショックが発生することを防止し、安全性や操縦者のブレーキフィーリングを向上することができる。
前記制御装置が、前記ブレーキロータの回転速度を推定する機能を有し、
推定された前記空隙拡大量の推定値が、記憶されたブレーキ解除状態となるまでの摩擦力による仕事量と、前記ブレーキ解除状態の経過時間とを座標とした、予め設定された電動ブレーキ装置の熱収縮特性に基づく少なくとも二次元の表を参照して取得される値であり、
前記制御装置が、さらに、前記ブレーキロータの回転速度に基づいて、前記表を参照した前記座標である参照座標として用いる経過時間を、実際の経過時間よりも多い時間になるよう調整する機能を備えてもよい。
前記電動ブレーキ装置が、走行する車両に搭載されるブレーキ装置であり、
前記制御装置が、前記車両の走行速度を取得する機能を有し、
推定された前記空隙拡大量の推定値が、記憶されたブレーキ解除状態となるまでの摩擦力による仕事量と、前記ブレーキ解除状態の経過時間とを座標とした、予め設定された電動ブレーキ装置の熱収縮特性に基づく少なくとも二次元の表を参照して取得される値であり、
前記制御装置が、さらに、前記車両の走行速度に基づいて、前記表を参照した前記座標である参照座標として用いる経過時間を、実際の経過時間よりも多い時間になるよう調整する機能を備えてもよい。
上記の2つの段落に記載した各構成により、例えば、車両において、ブレーキロータの回転は車速と同期するため、ブレーキロータが高速に回転するほど車両が高速に移動して強制対流により冷却されやすくなるため、その放熱性の向上が数式上は時間経過に置き換えられることから(例えば、所定の物体の放熱量が二倍になった際の冷却特性は、大気への放熱と比較して熱の移動の速い物体内部での温度分布の影響を無視できるものとすれば、凡そ二倍の時間が経過した冷却特性に概ね等しい)、座標として参照する時間を補正することで、より正確に熱収縮による空隙拡大量の推定が可能となる。また、例えば、移動しない固定のブレーキロータであるエレベータのブレーキやフライホイールなどにおいても、回転により空気が撹拌されて放熱量が増加する場合があるため、車両より影響度合いは少ないものの、空隙拡大量の推定精度向上が見込める。
前記制御装置が、
前記ブレーキロータの回転が停止するか、または前記ブレーキ解除状態となった場合において、記憶されたブレーキ解除状態となるまでの摩擦力による前記仕事量をゼロになるまで時間とともに減少させる機能を有し、
記憶されたブレーキ解除状態となるまでの摩擦力による前記仕事量がゼロになるまでに再度ブレーキ状態となった際には、記憶されたブレーキ解除状態となるまでの摩擦力による前記仕事量にさらに加算するように仕事量を演算する機能を有してもよい。
これにより、比較的短時間の間に繰り返しブレーキがかけられた際には定常の温度まで放熱する前に再度加熱されるため、より正確な推定が可能となる。
前記制御装置は、記憶されたブレーキ解除状態となるまでの摩擦力による前記仕事量が所定値よりも大きい場合は、前記空隙調整機能を実行し、前記所定値よりも大きくない場合は、前記空隙調整機能を実行しなくてもよい。これにより、推定の誤差等により不必要に空隙を縮小してブレーキの引き摺りなどが発生する可能性を低減できる。
本発明にかかる電動ブレーキ装置によれば、安全性や操縦者のブレーキフィーリングを向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る電動ブレーキ装置を含めた構成を示す概略ブロック図である。 上記電動ブレーキ装置を含めた構成を示す別の概略ブロック図である。 ブレーキ解除時間と空隙拡大量との相関の一例を示す図である。 ブレーキ解除時間と空隙拡大量との相関の他例を示す図である。 上記電動ブレーキ装置の空隙調整器の一例の動作を示すフロー図である。 上記空隙調整器の他例の動作を示すフロー図である。 上記電動ブレーキ装置の動作例を示す波形図である。
図1Aに、少なくとも、電動モータ210を制御する制御装置(以後、電動ブレーキ制御装置とも呼ぶ)100と、電動モータ210の回転運動を摩擦材220の直進運動に変換する直動機構240を用いた電動式の(ブレーキ)アクチュエータ200と、からなる電動ブレーキ装置1の構成を示す。なお、電動ブレーキ装置1は、さらに電源装置PWと、ブレーキペダル等のブレーキ指示手段300と、後述の車両運動制御装置400とを備えてもよい。ブレーキペダル300は例えばペダルストローク量のような単一の情報を出力する。電動ブレーキ装置1は、本実施形態では走行する車両に搭載される制動装置の例で説明を行うが、その他、例えば昇降装置や発電装置、フライホイールなどのエネルギー蓄積装置を停止するためのブレーキ装置として、本実施形態の構成を適用することもできる。
<<ブレーキアクチュエータ200構成>>
ブレーキアクチュエータ200は、不図示の車輪と一体で回転するブレーキロータ230と、ブレーキロータ230と当接してブレーキ力を発生させる摩擦材220と、電動モータ210と、直動機構240と、モータ角度(具体的にはモータロータの回転角度)を検出する角度センサ250と、ブレーキ荷重を検出する荷重センサ260と、ブレーキロータ230の回転角度または上記車輪の回転数に相当しうる回転数を検出するブレーキロータ回転センサ270と、から構成される。なお、必要に応じて電動モータ210の回転速度を減速させる減速機等が設けられてもよい。電動モータ210は、例えば永久磁石同期電動機であり、これにより構成すると省スペースで高効率かつ高トルクとなり好適と考えられる。なお、電動モータ210は他に、例えばブラシを用いたDCモータや、永久磁石を用いないリラクタンスモータ、あるいは誘導モータ等を適用することもできる。また、電動モータ210は、回転径方向に磁極を有するラジアルギャップモータであってもよく、回転軸方向に磁極を有するアキシャルギャップモータであってもよい。
直動機構240は、遊星ローラねじ、ボールねじ等の各種ねじ機構や、ボールランプ機構、電動モータ210の回転運動を摩擦材220の直進運動に変換可能な各種機構等で構成される。角度センサ250は、例えばレゾルバや磁気エンコーダ等であり、これらを用いると高精度かつ高信頼性であり好適と考えられる。なお、角度センサ250は、光学式エンコーダ等の各種センサを適用することもできる。もしくは他の構成として、角度センサ250を用いずに、例えば後述する電動ブレーキ制御装置100において電圧と電流との関係等からモータ角度を推定するような角度センサレス推定を適用することもできる。
荷重センサ260は、例えばアクチュエータ200が作用させる荷重に応じた歪や変形等を検出するセンサであり、これを用いると安価で高精度となり好適と考えられる。なお、荷重センサ260は、圧電素子等の感圧媒体を用いることもできる。あるいは、荷重センサ260には、ブレーキロータの制動トルクを検出するトルクセンサや、車両用電動ブレーキ装置の場合は車両の前後減速度を検出する加速度センサ等を用いてもよい。
ブレーキアクチュエータ200には、その他の図示外の要素として、サーミスタ等の温度センサなど、各種センサ類を要件に応じて別途設けても良い。また、ソレノイドやDCモータなどでアクチュエータの動作部分(動力伝達部)をロックする機構を設け、パーキングブレーキ付アクチュエータとすることもできる。
<<電動ブレーキ制御装置100の構成>>
電動ブレーキ制御装置100は、例えば、ブレーキ動作の演算、制御を行うブレーキ制御器BCと、モータの動作状態を演算し推定する運動状態推定器MEと、荷重センサ260の出力等からブレーキ力を推定し推定ブレーキ力を出力するブレーキ力推定器170と、所定のモータ出力を得るためにモータ電流を制御するモータ制御器MCと、モータに電力を供給するモータドライバMDと、モータ電流を検出する電流センサCSと、から構成される。さらに、電動ブレーキ制御装置100は、例えば、ブレーキロータ230の角速度を推定するブレーキロータ角速度推定器(ブレーキロータの回転速度を推定するブレーキロータ速度推定手段の一種)180と、摩擦材220とブレーキロータ230との間の空隙(パッドクリアランス)を調整する空隙調整器GAも含んで構成されうる。
運動状態推定器MEは、角度センサ250の出力が入力されて、少なくとも電動モータ210の回転子(ロータ)の回転角度を推定(推定モータ角度を算出)する角度推定部(モータ角度推定手段)150と、該ロータの回転角速度を推定(推定角速度を算出)する角速度推定部160と、を備える。あるいは、運動状態推定器MEには、例えば電動モータ210の角加速度等の所定微積分値を推定する機能や、さらに外乱を推定する機能等が設けられても良い。また、運動状態推定器MEは、例えば電流制御に用いる電気角位相や角度制御に用いる角度センサのオーバーラップおよびアンダーラップを補正した総回転角度等の制御構成に基づいて、必要な物理量を適宜求める機能を有する。その他、電動モータ210の角度(回転角度)や角速度(回転角速度)は、前記電動モータ210の回転子に代えて、例えば減速機を有する場合に減速比に基づいて求めた該減速機の所定部位の角度等や、ねじ機構の等価リード等に基づいて求めた位置や速度であっても良い。前記物理量の推定は、例えば状態推定オブザーバ等の構成を用いても良く、微分や慣性方程式に基づく逆算等の直接的な演算であっても良い。
電流センサCSは、例えば通電経路に設けたシャント抵抗の両端の電圧を検出して増幅するアンプを含むセンサや、通電経路周囲の磁束等を検出する非接触式センサ等を用いることができる。あるいは、電流センサCSは、例えばモータドライバMDを構成する素子等の端子間電圧等を検出する構成としても良い。また、電流センサCSは、電動モータ210の相間に設けても良く、低電位側ないし高電位側に1つあるいは複数設けても良い。もしくは、電流センサを設けずに、インダクタンスや抵抗値等のモータ特性等に基づいてフィードフォワード制御を行うこともできる。
ブレーキ制御器BCは、推定ブレーキ力や推定モータ角度等の入力を受けて、ブレーキペダル300や車両運動制御装置400等からの所定の指令入力(指令信号)に対して、ブレーキアクチュエータ200が望ましく追従動作するための操作量を求め、モータ駆動信号に変換する機能を有する。ブレーキ制御器BCは、主に、直動機構240の直線運動を行う構成部品の所謂ロッドの移動位置(ストローク位置またはストローク量)を制御する機能(この機能は内部の位置制御部110で実行される)と、摩擦材220とブレーキロータ230との当接によって発生するブレーキ力を制御するための機能(ブレーキ力制御機能)と、これらを切替える機能(切替機能)と、を備える。これらを備えることにより、高精度なブレーキ制御が実現できて望ましい。
位置制御部110は、例えばねじ機構を用いた場合の等価リードや、減速機を設けた場合の減速比等、ブレーキアクチュエータ200の各種緒言に基づいてモータ回転量またはモータ角度から換算される直動機構240のストローク量(またはストローク位置)を制御するようにモータの駆動量を決定する機能を有する。なお、図示外のストロークセンサ等を別途設け、該センサからの信号を所定の目標値にフィードバック制御する機能であっても良い。位置制御部110は、例えばブレーキを解除する際に摩擦材220とブレーキロータ230とが極力当接しないように離反して、これらの間に所定量の空隙が存在し得るストローク量とする場合に(ブレーキ解除状態)、機能を発揮する。前記所定の空隙となりうるストローク量は、例えば所定の推定ブレーキ力となるモータ角度(角度推定部(モータ角度推定手段)150による推定モータ角度)から所定量だけモータを回転させた位置、あるいは推定ブレーキ力がモータ角度(推定モータ角度)の推移に対して変化しなくなってから(または、変化量が小さくなってから)所定量だけモータを回転させた位置として設定することができる。位置制御部110は、その他、例えば、ブレーキ力を検出する荷重センサ260やトルクセンサ等で検出が困難となりうる極めて軽微なブレーキ力をコントロールするために、摩擦材220とブレーキロータ230との間の空隙がゼロ近傍または(演算上、制御上の)ゼロより小さいマイナスの値となるストローク状態にするよう機能させてもよい。
上記ブレーキ力制御機能は、摩擦材220とブレーキロータ230とを当接させたブレーキ状態でのブレーキ力が所望の目標値に追従するように制御するべく、(モータ角度等のモータを駆動する量である)モータ駆動量を決定する機能を有する。例えば、摩擦材220とブレーキロータ230との押付力は荷重センサ260で検出され、荷重センサ260の出力からブレーキ力推定器170で推定される隋定ブレーキ力に基づいて、ブレーキ力制御機能が機能する。なお、ブレーキロータ230の制動トルクを検出するトルクセンサ等を用いてブレーキ力制御とすることもできる。
上記切替機能は、主に前述の搭載車両の状況等に応じて、ブレーキ制御器BCの制御内容を、前述の位置制御部110の機能と、ブレーキ力制御機能とで切り替える機能を有する。例えば、切替機能は、ブレーキ解除状態からブレーキ状態へと移行する際に、摩擦材220とブレーキロータ230が当接し得る位置状態までは位置制御部110を機能させ、推定ブレーキ力から摩擦材220がブレーキロータ230に当接したことが判断された場合にはブレーキ力制御機能を機能させるように制御の切替を行うことができる。また、この切替機能は、ブレーキ状態からブレーキ解除状態とする際、推定ブレーキ力から摩擦材220がブレーキロータ230と当接していることが判断された状態ではブレーキ力制御機能を機能させ、推定ブレーキ力から摩擦材220がブレーキロータ230と離反したことが判断された後は摩擦材220とブレーキロータ230との間に所望の空隙が設けられるよう位置制御110部を機能させるよう、制御切替を行うことができる。
モータ制御器MCは、ブレーキ制御器BCで求められたモータ駆動信号に含まれるモータ駆動量が所望量となるよう、モータ電流を制御する機能を有する。モータ制御器MCは、所定のモータ角速度の状態で所望のトルクを得るために最適な電流条件をあらかじめLUT(Look Up Table)等に記憶させておき、前記モータ電流を現在のモータ角速度から目標電流値を決定して所望の電流値となるように、制御する機能とすると安価に高精度な制御が行えて好適と考えられる。なお、モータ制御器MCは、モータの出力を導出する電流や電圧の関係式などを演算し駆動条件をリアルタイムで求める機能とすることもできる。
モータドライバMDは、例えばFET(Field Effect Transistor)等のスイッチング素子を用いてブリッジ回路等で構成され、所定のデューティ比によりモータ印加電圧を決定するPWM(Pulse Width Modulation)制御を行う構成とされており、こうすると安価で高性能となり好適と考えられる。あるいは、モータドライバMDは、変圧回路等が設けられ、PAM(Pulse Amplitude Modulation)制御を行う構成とすることもできる。
ブレーキロータ角速度推定器180は、ブレーキロータ230の回転を検出するブレーキロータ回転センサ270の出力から、ブレーキロータの回転角速度を推定する機能を有する。ブレーキロータ回転センサ270には、例えばABS(Anti-lock Brake System)センサに代表される、ブレーキロータと同期回転する部品に複数個の磁極を設け、単位回転あたりに複数のパルス(回転パルス)を出力するセンサを用いることができる。前記回転パルスのパルス幅、もしくは単位時間当たりのパルス数から、ブレーキロータ230の角速度を推定することができ、どちらを使用するかは要件や状況に基づいて適宜決めることができる。
空隙調整器GAは、摩擦材220とブレーキロータ230の当接で発生する摩擦力による仕事量を推定するブレーキ仕事量推定部120と、ブレーキが解除されてから(ブレーキ解除状態となってから)の経過時間を計測するブレーキ解除時間計測部130と、ブレーキ解除中に摩擦材220とブレーキロータ230との間の空隙が拡大した量(具体的には、想定よりも拡大している空隙の量)を推定する空隙拡大量演算部140と、を備える。本実施形態では、空隙が想定よりも異なっている場合、ブレーキ装置の熱収縮量等に基づいて、想定よりも異なっている分を加算または減算して、直動機構240で変換された直進運動により摩擦材220を突出させて空隙量を調整する。具体的には、後述のように、空隙が想定よりも拡大している場合に、目標ストローク量または現在のストローク量を変更し、想定よりも拡大している分を相殺し得るように空隙量を調整する。
ブレーキ仕事量推定部120は、摩擦材220とブレーキロータ230とが当接する(より具体的には、摩擦材220とブレーキロータ230とが所定の押圧力で当接する)ブレーキ状態において、前記推定ブレーキ力と、ブレーキロータ230の運動状態とから、電動ブレーキ装置1が摩擦材220とブレーキロータ230との当接で発生する前記摩擦力の仕事量を推定する機能を有する。このブレーキロータ230の運動状態とは、ブレーキロータの回転速度ないし回転速度に換算し得る回転角度変化や回転角加速度、あるいはブレーキロータの回転と同期し得る前記ブレーキロータを有する車両の車体速度等のことである。
前記仕事量は、例えばブレーキロータ230に対して作用するブレーキトルクτblと、ブレーキロータの回転角速度ωbrとから、演算式(W = ∫{τbl × ωbr}dt)により導出しても良い。但し、演算式はこの限りではなく、上記と等価となりうる演算式であれば設計者の都合等により適宜定められるものとする。また、ブレーキ状態中であってもブレーキロータ230やブレーキアクチュエータ200から放熱されることを考慮し、上式に加えて所定の放熱量を単位時間ごとに減算するよう計算することもできる。なお、ブレーキ仕事量推定部120は、前記ブレーキ解除状態から前記ブレーキ状態に移行し、再びブレーキ解除状態となるまでの前記摩擦力による仕事量を記憶する機能(後述)を有していてもよい。
ブレーキ解除時間計測部130は、摩擦材220とブレーキロータ230とが所定の空隙を以て離反した状態(ブレーキ解除状態)となってからの経過時間を計測する機能を有する。
空隙拡大量演算部140は、前記ブレーキ解除状態において、少なくとも、ブレーキ解除状態の経過時間(具体的には、ブレーキ解除状態となってからの経過時間)と、ブレーキ解除状態となるまでの摩擦力による記憶された前記仕事量(以下、ブレーキ仕事量とも称する)と、に基づいて、ブレーキ装置が放熱することによって摩擦材220とブレーキロータ230との前記空隙が拡大する量(以下、空隙拡大量とも称する)を推定する機能を有する。なお、更に電動ブレーキ装置1の上記経過時間に対する熱収縮特性にも基づいて空隙拡大量を推定してもよい。
熱収縮特性は、電動ブレーキ装置1の各構成部品の熱容量や熱伝達特性と、空気中への放熱係数と、から演算式を用いて各構成部品の温度を推定することで、前記温度から熱収縮量を導出される特性も含まれるが、該推定のための演算式が複雑かつ誤差要因を多分に内包するため、例えば予めブレーキ動作で所定の仕事量を発生させた後の時間経過による空隙の推移を解析ないし実測により求め、前記結果に基づいてブレーキ仕事量と経過時間を参照座標とするLUT(Look Up Table)等から求める構成とすると、簡素な演算とできて好適と考えられる。これにより、推定された前記空隙拡大量の推定値が、記憶されたブレーキ解除状態となるまでの摩擦力による仕事量と、前記ブレーキ解除状態の経過時間とを座標とした、予め設定された電動ブレーキ装置の熱収縮特性に基づく少なくとも二次元の表を参照して取得される値となり、さらに、前記ブレーキロータ回転速度に基づいて、前記表を参照した前記座標である参照座標として用いる経過時間を、実際の経過時間よりも多い時間になるよう調整できる。なお、前記表は、例えば外気温などのブレーキ放熱に影響する他のパラメータを座標に加えた三次元以上の表として構成することもできる。
空隙拡大量演算部140は、さらに、推定された前記空隙拡大量を減殺させて前記空隙が縮小するように、前記直動機構のストローク位置を所定量突出させる機能(以下、空隙調整機能とも称する)を有する。これにより、空隙調整器GAは、ブレーキ解除状態における空隙拡大量から、空隙の拡大を抑止するよう直動機構をストロークさせる調整用の指令値をブレーキ制御器BCへと送信しうる。
<<その他>>
電源装置PWは、例えば自動車用電動ブレーキ装置においては、低電圧バッテリや、高電圧バッテリおよびそれを降圧する降圧コンバータ等、もしくは、高容量のキャパシタ等を用いることができ、或いはこれらを並列使用して冗長化しても良い。また、図示外の要素として、モータドライバや前述のソレノイド用ドライバには直接この電源装置PWから電力を供給し、各制御装置における演算器等には該制御装置内で小型の降圧コンバータを適用する構成が好ましい。または、モータドライバおよびソレノイド用ドライバの何れかまたは両方には昇圧コンバータを介した電力を供給し、演算器等には直接この電源装置PWから電力を供給する構成としても良い。ブレーキ指令手段として、ブレーキペダル300に代えてボリューム、ジョイスティック、スイッチ等の操縦者が操作可能な各種操縦手段を用いても良い。
車両運動制御装置400は、車両の衝突を防止するまたは衝突時の衝撃を軽減する自動ブレーキ機能部410、車両が横滑り状態となった際に少なくともブレーキによる車両スピン等を防止するための横滑り防止機能部420、ブレーキにより車輪がロックし車両挙動が不安定になることを防止するためのアンチスキッド制御部430、等を備える。車両運動制御装置400は、例えば図示外の重力センサ、対物センサ、GPS(Global Positioning System)等の各車載センサ類の情報を統合し、前記の各機能に必要な演算を行う統合制御装置であっても良い。これら車両運動制御装置400で決定されたブレーキ操作量も、前記指令信号を介して目標ブレーキ力として電動ブレーキ制御装置に伝達される。
以上の電動ブレーキ制御装置100における制御器等の各種演算機能は、例えば、プログラムで動作するプロセッサを有するマイコン、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の演算器やハードウエアにより構成されると、安価で高性能となり好適と考えられる。その他、同図に示す機能ブロックはあくまで記述の便宜上設けたものであり、ハードウェアないしソフトウェアによる構成の種別や機能のパーティション等を制約するものではない。また、ソフトウェアやハードウェアの具体的構成は、同図に示す機能に支障がない範囲で任意に構成し得るものとし、必要に応じて同図に示す各ブロックの機能を統合ないし分割しても良い。あるいは、同図の機能に支障がない範囲で図示外要素を加えることも可能であり、例えば各種機能やセンサ類が故障した場合のセーフティメカニズム等をシステム要件に基づいて適宜加えることが好ましい。
図1Bは、図1Aとは異なり、車両運動制御装置400に代えて、同装置に類似する車両運動推定手段400’を電動ブレーキ装置1が備え、車両運動推定手段400’から車速並びにブレーキ仕事量が電動ブレーキ制御装置100に送信される例である。車両運動推定手段400’は、上記の自動ブレーキ機能部410、横滑り防止機能部420、アンチスキッド制御部430、等を備え、さらに、図1Aの例に示す空隙調整器GAのブレーキ仕事量推定部120が内包される。これにより、例えば所定の車重の車両が減速した際の運動エネルギーの変化などからブレーキ仕事量を推定するブレーキ仕事量推定部の機能を有することが可能となる。なお、車両運動推定手段400’には、ブレーキロータ回転センサ270の出力信号が入力され、電動ブレーキ制御装置100は、図1Aの例に示すブレーキロータ角速度推定器180を有していない。ブレーキロータ角速度推定器の機能は、車両運動推定手段400’に内包されている。
図2Aは、ブレーキの仕事量W1, W2, W3の各状況における、ブレーキ解除時間と空隙拡大量との相関の例を示す(W1<W2<W3)。ブレーキ仕事量が大きいほどブレーキ装置の発熱量が大きく、よって空隙拡大量が大きくなり、ブレーキ解除後の時間経過とともに生じる熱収縮量も大きくなる傾向を示す。これに対し、図2Bは、所定のブレーキ仕事量(一定値)でブレーキ動作をした後、ブレーキロータを角速度ω1, ω2, ω3で車両を走行させた各状況における、ブレーキ解除時間と空隙拡大量との相関の例を示す(ω1<ω2<ω3)。ブレーキロータ速度は、車両が安定的に走行している場合においては車両速度と概ね等価であり、ブレーキロータ速度が大きいほどブレーキ装置は急速に冷却されるため、ブレーキ解除後の経過時間に対する熱収縮量が早く増加する傾向(全体としての立ち上がりが急峻となる傾向)を示す。なお、ブレーキ仕事量が一定値の場合とは、摩擦材220による制動による温度上昇度が同じであることを示し、最終的に十分に冷却された際には同じ空隙拡大量となる。
図3Aは、図1Aの空隙調整器GAの動作フローの例を示す。起動後のS.1で、電動ブレーキ装置1がブレーキ中(ブレーキ状態)か否かを判断し、ブレーキ中であった場合は、S.2で、時刻(k-1)におけるブレーキ仕事量W(k-1)および現在のブレーキ仕事量Pを用いて時刻kにおけるブレーキ仕事量W(k)の計算を行い(累積仕事量の算出)、S.3で計算した仕事量W(k)の保存を実行する。ブレーキ仕事量W(k)は、車両の運動エネルギーが減少した分の仕事量に等価となる仕事量として計算でき、例えば「ブレーキ押付力×単位時間当たりの摩擦材とブレーキロータの摺動距離」で計算することができる。なお、摺動距離は予め設定されたブレーキ有効径、ブレーキロータ速度、およびブレーキ時間から求めることができる。あるいは、該仕事量は、車両に搭載された複数のブレーキ装置の状態や車両の運動状態を把握できる構成とした場合には、車両減速度、車重、および各ブレーキ装置の制動力配分比率から各ブレーキ装置の仕事量を求めても良い。その他、例えば車両の空気抵抗をあらかじめ導出しておき、空気抵抗による仕事量を含まないよう補正する機能を設けても良く、あるいは傾斜角センサを設けて車両の位置エネルギーの変化を含まないよう補正する機能を設けても良い。
また、上記S.1でブレーキ中ではないと判断された場合(ブレーキ解除状態との判断の場合)は、S.4でブレーキ解除直後か否かを判断する。ブレーキ解除直後と判断された場合は、ブレーキ中に発生した仕事量W(k)を変数Wstに保存してから(S.5)、該仕事量W(k)をクリアする(S.6)。次に、時刻kにおける実際の経過時間Δtを参照して、時刻kにおけるブレーキ解除時間TREL(k)を計測し(S.7)、ブレーキが解除されるまでの仕事量Wstおよびブレーキが解除されてからの経過時間TREL(k)から、予め与えられた所定の相間関数h(w, t)により空隙拡大量Δxを計算する(S.8)。空隙拡大量Δxに応じて空隙を縮小させるよう直動機構の作動量Δx’を決定する(S.9)。
本実施形態では、Δx’ = α・Δxとしている。このとき、補正係数αについて、Δx = Δx’ となるようα=1としてもよいが、推定誤差により本来の空隙拡大量よりも大きく直動機構を動作させた場合、摩擦材220とブレーキロータ230との空隙量が十分でなくなり、引き摺りトルクにより燃費・電費が悪化する問題が生じる場合があるため、前記誤差をあらかじめ加味して直動機構が動作しすぎないような係数(α<1)を適用することが望ましいと考えられる。また、前記補正係数αは、例えばΔxが所定より小さい場合はα=0とし空隙縮小を行わないようにしても良く、また記憶されたブレーキ解除状態となるまでの摩擦力による前記仕事量が所定値よりも大きくない場合は、α=0とし、前記空隙調整機能を実行しないようにしても良く、その場合は前記推定誤差によって空隙が不十分となってしまうリスクをより確実に回避することができる。
図3Bは、図3Aにおける動作フローの一部に、ブレーキ中に発生した仕事量W(k)を、ブレーキ解除直後(図3AのS.4)にクリア(図3AのS.6)せずに、ゼロになるまで時間とともに減少させる処理と、またブレーキロータ速度に応じて熱収縮量Δxが早く増加する処理とを加えた例を示す。以下では、図3Aに追加したフローを中心に説明し、図3Aと同様のフローの説明を省略する。S.4でブレーキ解除直後ではないと判断された場合は、ブレーキ中に発生した仕事量W(k)を変数Wstに保存するが(S.5)、図3AのS.6のような仕事量W(k)のクリアを行わない。そこで次に、ブレーキロータ速度ωbrを取得し(S.15)、該仕事量W(k)を、ブレーキロータ速度に応じた値となる予め設定された所定の関数f(ω)により得られた値で減少させる(S.16)。なお、 仕事量W(k)はゼロを下限値とし、負の値はとらない。 図3AのS.6のように仕事量W(k)をクリアするのではなく、S.16において時間とともに仕事量W(k)を減少させることで、例えば比較的短時間のうちにブレーキが再度動作した場合など、ブレーキ装置が十分に冷却される前にさらにブレーキにより仕事量が発生した状況において、熱収縮による空隙拡大量をより正確に推定することができる。なお、前記仕事量がゼロになるまでに再度ブレーキ状態となった際には、前記仕事量にさらに加算するように仕事量を演算する機能を有している(S.1 ⇒ S.2 ⇒ S.3)。上記の仕事量W(k)の減算の後、ブレーキ解除時間TERLを計測する(S.17)。このとき、図3AのS.7とは異なって、ブレーキ解除時間TERLを演算する際、時刻kにおける実際の経過時間Δtに対してブレーキロータ角速度に応じた、予め設定された所定の補正関数g(ω)により得られた補正係数を適用することで、等価的にブレーキロータが高速であるほど、換言すれば、車両が高速に走行しているほど、ブレーキ装置が早く冷却される状況を空隙拡大量の推定に反映することができる。すなわち、補正関数g(ω)は、ωbrが大きくなると取得される補正係数も大きくなるよう設定された相関関数であり、予め車両速度とブレーキ装置の冷却速度を解析や実測等で求めて設定することができる。なお、本図に示すブレーキロータ速度ωbrに代えて、推定車速を適用しても良い。
図4は、比較的仕事量の大きなブレーキ動作を行った後、しばらく時間が経過した後に再度ブレーキを動作させた場合の動作例の模式図を示す。同図(a)は、本実施形態の構成を適用した場合の動作例を示す。ブレーキが解除されてから(時刻t1)、図4A、4B等のフローを使用して熱収縮による空隙拡大量を推定した結果に応じて、空隙量を補正するべく、縮小方向へ電動モータ210を回転させることで(同図中の区間T)、再度ブレーキを動作させた際に(時刻t2)、大きな応答遅れなくブレーキ荷重を行うことができる(時刻t3)。
一方、同図(b)は、従来技術等の本実施形態の構成を適用しない場合の動作例を示す。同図(b)の場合には、ブレーキが解除(時刻t1)されてからの熱収縮により、摩擦材220とブレーキロータ230との間の空隙が想定よりも拡大しているにも関わらず、空隙量を補正するための電動モータ210の回転を行わないため、再度ブレーキを動作させた際に(時刻t2)、ブレーキ荷重の応答遅れが発生している(時刻t5)。すなわち、同図では、t3<t5となっている。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 電動ブレーキ装置
100 電動ブレーキ制御装置(制御装置)
110 位置制御部
120 ブレーキ力仕事量推定部
130 ブレーキ解除時間計測部
140 空隙拡大量演算部
150 角度推定部(モータ角度推定手段)
170 ブレーキ力推定器(ブレーキ力推定手段)
180 ブレーキロータ角速度推定器
210 電動モータ
220 摩擦材
230 ブレーキロータ
240 直動機構
270 ブレーキロータ回転センサ
300 ブレーキペダル(ブレーキ指令手段)
HD ECU(上位デバイス)
ST 記憶部

Claims (5)

  1. ブレーキロータと、前記ブレーキロータと当接してブレーキ力を発生させる摩擦材と、電動モータと、前記電動モータの回転運動を前記摩擦材の直進運動に変換する直動機構と、前記電動モータの回転角度を推定するモータ角度推定手段と、前記ブレーキロータと摩擦材との当接により発生する前記ブレーキ力を推定するブレーキ力推定手段と、前記電動モータを制御する制御装置と、を備えた電動ブレーキ装置において、
    前記制御装置が、
    少なくとも前記摩擦材と前記ブレーキロータとが、該両者の間の空隙が所定量となるように離反されたブレーキ解除状態において、前記モータ角度推定手段による推定モータ角度に基づいて前記直動機構におけるストローク位置を制御する位置制御機能と、
    前記摩擦材と前記ブレーキロータとが当接したブレーキ状態において、少なくとも、前記ブレーキ力推定手段段による推定ブレーキ力と、前記ブレーキロータの運動状態とから、前記摩擦材と前記ブレーキロータとの当接で発生する摩擦力による仕事量を推定する機能と、
    前記ブレーキ解除状態から前記ブレーキ状態に移行し、再びブレーキ解除状態となるまでの前記摩擦力による仕事量を記憶する機能と、
    前記ブレーキ解除状態において、少なくとも、記憶されたブレーキ解除状態となるまでの摩擦力による前記仕事量と、前記ブレーキ解除状態の経過時間と、前記電動ブレーキ装置の前記経過時間に対する熱収縮特性と、に基づいて前記空隙の拡大量である空隙拡大量を推定し、推定された前記空隙拡大量を減殺させて前記空隙が縮小するように、前記直動機構のストローク位置を突出させる方向へ所定量だけ移動させる空隙調整機能と、を有する、
    電動ブレーキ装置。
  2. 請求項1に記載の電動ブレーキ装置において、
    前記制御装置が、前記ブレーキロータの回転速度を推定する機能を有し、
    推定された前記空隙拡大量の推定値が、記憶されたブレーキ解除状態となるまでの摩擦力による仕事量と、前記ブレーキ解除状態の経過時間とを座標とした、予め設定された電動ブレーキ装置の熱収縮特性に基づく少なくとも二次元の表を参照して取得される値であり、
    前記制御装置が、さらに、前記ブレーキロータの回転速度に基づいて、前記表を参照した前記座標である参照座標として用いる経過時間を、実際の経過時間よりも多い時間になるよう調整する機能を備える、
    電動ブレーキ装置。
  3. 請求項1に記載の電動ブレーキ装置において、
    前記電動ブレーキ装置が、走行する車両に搭載されるブレーキ装置であり、
    前記制御装置が、前記車両の走行速度を取得する機能を有し、
    推定された前記空隙拡大量の推定値が、記憶されたブレーキ解除状態となるまでの摩擦力による仕事量と、前記ブレーキ解除状態の経過時間とを座標とした、予め設定された電動ブレーキ装置の熱収縮特性に基づく少なくとも二次元の表を参照して取得される値であり、
    前記制御装置が、さらに、前記車両の走行速度に基づいて、前記表を参照した前記座標である参照座標として用いる経過時間を、実際の経過時間よりも多い時間になるよう調整する機能を備える、
    電動ブレーキ装置。
  4. 請求項1~3の何れか一項に記載の電動ブレーキ装置において、
    前記制御装置が、
    前記ブレーキロータの回転が停止するか、または前記ブレーキ解除状態となった場合において、記憶されたブレーキ解除状態となるまでの摩擦力による前記仕事量をゼロになるまで時間とともに減少させる機能を有し、
    記憶されたブレーキ解除状態となるまでの摩擦力による前記仕事量がゼロになるまでに再度ブレーキ状態となった際には、記憶されたブレーキ解除状態となるまでの摩擦力による前記仕事量にさらに加算するように仕事量を演算する機能を有する、
    電動ブレーキ装置。
  5. 請求項1~4の何れか一項に記載の電動ブレーキ装置において、
    前記制御装置は、記憶されたブレーキ解除状態となるまでの摩擦力による前記仕事量が所定値よりも大きい場合は、前記空隙調整機能を実行し、前記所定値よりも大きくない場合は、前記空隙調整機能を実行しない、
    電動ブレーキ装置。
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