JP2023003936A - ケガキ治具及びケガキ線の刻印方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献1には、被溶接配管の端部からケガキ線の位置までの距離を、複数の距離で変更しながら設定し、被溶接配管の外周面における所望の位置でケガキ線を刻印できることが記載されている。
また、特許文献1には、被溶接配管に対するケガキ手段としてケガキ針を用いることが記載されている。
上記により、特許文献1によれば、被溶接配管の外周面に、容易且つ正確にケガキ線を刻印することができ、さらに、簡便な構造とされた配管用のケガキ用治具を提供できるとされている。
また、特許文献1に記載のケガキ用治具は、ケガキ針を用いて被溶接配管の外周面を引っ掻くものであるため、ケガキ針と被溶接配管の外周面との間の滑りが良好とはならないことから、使い勝手が劣っているという問題があった。
本発明によれば、ケガキ手段として平面視円板状の丸刃を用いることで、この丸刃の刃部と管状体の外周面との間が線接触となり、管状体の外周面に対する押圧力が均一且つ緩やかに分散される。これにより、先の尖ったケガキ針等を用いた場合に比べて、ケガキ線の溝が浅く形成されるのに伴い、丸刃が摩耗するのを抑制できる。
また、平面視円板状の丸刃を用いることで、管状体の外周面に対する丸刃の姿勢や追従性が安定する。これにより、管状体の外周面に刻印されるケガキ線の位置もぶれることなく安定するとともに、ケガキ治具の使い勝手も向上する。
従って、管状体の外周面に容易且つ正確にケガキ線を刻印することができるとともに、耐久性及び使い勝手に優れたケガキ治具を提供することが可能となる。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするため、便宜上、特徴となる部分を拡大あるいは簡略化して示している場合がある。また、以下の説明において例示される材料等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
以下に、本発明の第1実施形態であるケガキ治具及びそれを用いたケガキ線の刻印方法について、図1A及び図1B~図3A及び図3Bを参照しながら詳細に説明する。
図1Aは、本実施形態のケガキ治具1を、配管(管状体)Pがセットされる表面2a側からみた概略斜視図であり、図1Bは、図1Aに示したケガキ治具1を背面2b側からみた概略斜視図である。また、図2Aは、図1A及び図1Bに示したケガキ治具1に備えられる丸刃3を拡大して示す側面図であり、図2Bは、図2Aに示した丸刃3の斜視図である。
また、図3Aは、本実施形態のケガキ治具1の表面2a側に配管Pをセットして配管Pの外周面P1にケガキ線Kを刻印する手順を示す平面図であり、図3Bは、その側面図である。
図1A及び図1Bに示すように、本実施形態のケガキ治具1は、配管(管状体)Pの外周面P1と接触するケガキ手段である丸刃3を有し、図3A及び図3B中に示した配管Pの外周面P1にケガキ線Kを刻印するものである。
そして、図2A及び図2Bに示すように、丸刃3は、外周端が刃部31とされた平面視円板状であり、この丸刃3の刃部31が配管Pの外周面P1と接触することにより、外周面P1を周回するようにケガキ線Kを刻印する構成とされている(図3A及び図3Bも参照)。
また、図示例のケガキ治具1は、丸刃3と平行な軸線Jで配置されたローラ4を備える。このローラ4は、配管Pの内周面P2と接触しながら配管Pと同期回転することにより、一対の丸刃3a,3bとローラ4との3点支持で配管Pを保持するように構成される。
そして、上記の各構成要素は、ケガキ治具1の筐体として機能するベース2に組み付けられている。
また、ベース2には、詳細を後述するローラ4を可動に取り付けるためのスリット孔22が形成されている。図示例においては、スリット孔22は、ベース2の下面2d側に寄った位置で縦長状に形成されているとともに、平面視で概略中央に配置されている。
また、ベース2の平面視形状としては、特に限定されず、ケガキ治具1の使用者が把持しやすい形状、例えば、図示例のような角部がR状とされた矩形状の他、丸形形状等を採用することも可能である。
また、ベース2の平面視寸法、及び、厚み寸法としても、特に限定されず、筐体としての強度確保等も考慮しながら、上記同様、ケガキ治具1の使用者が把持しやすい寸法とされていればよい。
具体的には、図示例においては、一対の丸刃3a,3bは、それぞれ、丸刃3の刃部31を露出させるための円弧状の切り欠き部35aが形成された、鞘状のカバー35内に収容されている。そして、カバー35内にそれぞれ収容された丸刃3は、ベース2の表面2aとの間にスペーサ36を介した状態で、ボルト37によってベース2に取り付けられている。このとき、2本のボルト37のねじ切り部分は、ベース2に一対で設けられたボルト孔21,21に螺入される。
ハイス鋼(High-Speed Steel)は、超速度鋼とも呼ばれ、一般的な工具用鋼における高温下での耐軟化性の低さを補い、より高速での金属材料の切削が可能になるものなので、丸刃3の材料に採用した場合には、より容易且つ正確なケガキ線の刻印が可能となる。
また、超硬材は、所謂超硬合金であり、炭化タングステンやコバルト、ニッケルなどを焼結して製造されることから、セラミックスに近い性質も有するため、上記のハイス鋼のような鉄鋼系素材とは性質が大きく異なるが、上記同様、丸刃3の材料に採用することで、より容易且つ正確なケガキ線の刻印が可能となる。
なお、一対で設けられたカバー35における円弧状の切り欠き部35aは、ケガキ治具1に配管Pをセットしたときに、丸刃3における配管Pの外周面P1と接触する位置と対応するように配置されていることが、配管Pとカバー35とが干渉することを避ける観点から好ましい。
一方、本実施形態のケガキ治具1においては、カバー35を省略した構成を採用することも可能であり、図3A及び図3Bに示す例では、カバー35を省略している。
本実施形態のケガキ治具1は、上記のスペーサ36を備え、それぞれ長さの異なるスペーサ36に適宜変更することにより、一対の丸刃3a,3bの軸線J方向における位置、即ち、一対の丸刃3a,3bのベース2の表面2aからの距離を変更することが可能になる。これにより、配管Pの外周面P1に刻印されるケガキ線Kの、配管Pの一端P3からの距離を調整することが可能になる。
また、図示例のローラ4は、軸線J方向において複数のローラ4A,4B,4Cが接続されてなる概略円筒形に構成されており、図示略の貫通孔が軸線上に設けられている。
また、ローラ4の材質としても特に限定されず、例えば、外周部が金属からなるものを用いることができるが、外周が樹脂のものを用いることが、配管Pの内周面P2に傷がつくのを防止できる観点から好ましい。
また、平面視円板状の丸刃3を用いることで、配管Pの外周面P1に対する丸刃3の姿勢や追従性が安定するので、配管Pの外周面P1に刻印されるケガキ線Kの位置もぶれることなく安定するとともに、ケガキ治具1の使い勝手も向上する。
また、丸刃3を用いた場合、外周端である刃部31のどの位置においてもケガキ線Kを刻印することが可能なため、長期的に使用できるというメリットもある。
上記のように、一対の丸刃3a,3bが回転自在であることにより、配管Pの外周面P1に刻印されるケガキ線Kを、一対の丸刃3a,3bが無回転である場合に比べて深い溝として形成されるので、ケガキ線Kを深く形成したい場合に有効である。
一方、丸刃3の耐久性や寿命等を考慮し、配管Pの外周面P1に刻印されるケガキ線Kをできるだけ浅く形成したい場合には、上記のように一対の丸刃3a,3bを無回転で固定すればよい。
このような構成とした場合には、一対の丸刃3a,3bのうち、回転自在とされた一方の丸刃3aが、配管Pの外周面P1に対して比較的深めの溝からなるケガキ線Kを刻印するように作用する一方、無回転で固定された他方の丸刃3bが、配管Pの外周面P1に対して比較的浅めの溝からなるケガキ線Kを刻印するように作用する。これにより、配管Pの外周面P1に刻印されるケガキ線Kを、最適な深さの溝となるように調整しながら形成することが可能になる。
本実施形態のケガキ線の刻印方法について、主に図3A及び図3Bを参照しながら説明する(図1A及び図1B、並びに、図2A及び図2Bも適宜参照)。
本実施形態のケガキ線の刻印方法は、上述した本実施形態のケガキ治具1を用いて配管Pの外周面P1にケガキ線Kを刻印する方法である。
なお、図3A及び図3Bに示す例においては、説明の都合上、図1A及び図1B中に示した、丸刃3(3a,3b)を覆うカバー35を外した状態としている。
このとき、配管Pを構成する円筒壁の一部を、一対の丸刃3a,3bとローラ4との間に配置するとともに、配管Pの一端P3がベース2の表面2aに当接するようにセットする。
以上のような手順により、配管Pの外周面P1における所望の位置にケガキ線Kを刻印することができる。
以下に、本発明の第2実施形態であるケガキ治具の構成について、主に図4A及び図4Bを参照して詳細に説明する。
なお、以下に示す本実施形態のケガキ治具1Aの説明においては、図1A及び図1B~図3A及び図3Bに示した第1実施形態のケガキ治具1と同じ構成については、同じ符号を付与し、同じ図面を参照する場合があるとともに、その詳細な説明を省略する場合がある。
また、図5及び図6は、ぞれぞれ、本実施形態のケガキ治具1Aの変形例を示す概略斜視図である。
一方、本実施形態のケガキ治具1Aは、ローラ4の位置決めが、ベース2Aの溝部24に挿入されたスライド部43を、位置調整ボルト44のねじ切り部分の螺入によってスライド移動させることで行う点で、第1実施形態のケガキ治具1とは異なる。
さらに、本実施形態のケガキ治具1Aは、上記のスライド部43及び位置調整ボルト44を備えていることに伴い、ベース2Aの背面2bから突出するボルト支持部23が設けられているとともに、背面2bに、スリット孔22と連通して設けられるスライド溝24が配置されている点でも、第1実施形態のケガキ治具1とは異なる。
また、ボルト支持部23には、その厚み方向で貫通した位置調整ボルト孔23aが設けられており、この位置調整ボルト孔23aは、位置調整ボルト44のねじ切り部分を螺入することが可能なねじ孔とされている。
スライド部43には、ローラ4とは反対側に位置する端部近傍に、上述した位置調整ボルト44のねじ切り部分が螺入されるボルト孔43aが設けられている。
以下に、本発明の第3実施形態であるケガキ治具の構成について、主に図7を参照して詳細に説明する。
なお、以下に示す本実施形態のケガキ治具1Bの説明においても、図1A及び図1B~図3A及び図3Bに示した第1実施形態のケガキ治具1や、図4A及び図4Bに示した第2実施形態のケガキ治具1Aと同じ構成については、同じ符号を付与し、同じ図面を参照する場合があるとともに、その詳細な説明を省略する場合がある。
一方、本実施形態のケガキ治具1Bは、丸刃3がベース2Bの1箇所にのみ取り付けられ、一つの丸刃3とローラ4との2点支持で配管Pを保持する点で、第1実施形態のケガキ治具1及び第2実施形態のケガキ治具1Aとは異なる。
また、ベース2Bに形成されたスリット孔22に沿ってローラ4をスライド移動させ、ローラ4を配管Pの内周面P2に接触させるとともに、丸刃3を配管Pの外周面P1に接触させることで、これら丸刃3とローラ4とで配管Pを保持できる。
即ち、丸刃3の刃部31と配管Pの外周面P1との間が線接触となり、配管Pの外周面P1に対する押圧力が均一且つ緩やかに分散される作用が得られる。これにより、先の尖ったケガキ針等を用いた場合に比べて、ケガキ線の溝が浅く形成されるのに伴い、丸刃3が摩耗するのを抑制できる効果が得られる。
また、平面視円板状の丸刃3を用いることで、配管Pの外周面P1に対する丸刃3の姿勢や追従性が安定する作用が得られる。これにより、配管Pの外周面P1に刻印されるケガキ線Kの位置もぶれることなく安定するとともに、ケガキ治具1Bの使い勝手も向上する。
一方、本実施形態のような、丸刃3を1箇所にのみ備えた構成を採用した場合でも、上述したような、丸刃3が摩耗するのを抑制できる効果や、配管Pの外周面P1に刻印されるケガキ線Kの位置が安定するとともに、ケガキ治具の使い勝手が向上する効果が得られる。
従って、例えば、使用者が把持しやすくなること等を目的として、ケガキ治具をより小型化する場合には、本実施形態のような、配管Pを2点支持で保持する構成を採用することができる。
以下に、本発明の第4実施形態であるケガキ治具の構成について、主に図8を参照して詳細に説明する。
なお、以下に示す本実施形態のケガキ治具1Cの説明においても、図1A及び図1B~図3A及び図3Bに示した第1実施形態のケガキ治具1や、図4A及び図4Bに示した第2実施形態のケガキ治具1A等と同じ構成については、同じ符号を付与し、同じ図面を参照する場合があるとともに、その詳細な説明を省略する場合がある。
なお、図8に示す例においては、説明の都合上、図1A及び図1B中に示したような、丸刃3(3a,3b)を覆うカバー35を外した状態としている。
一方、本実施形態のケガキ治具1Cは、ローラ4として、回転自在とされた一対のローラ4a,4bを備え、一方のローラ4aが、配管Pの外周面P1と接触しながら配管Pと同期回転し、他方のローラ4bが、配管Pの内周面P2と接触しながら配管Pと同期回転することにより、一対のローラ4a,4bと丸刃3との3点支持で配管Pを保持する点で、図4A及び図4Bに示した第2実施形態のケガキ治具1Aとは異なる。即ち、本実施形態のケガキ治具1Cは、第2実施形態のケガキ治具1Aに対し、一対の丸刃3a,3bのうちの丸刃3bをローラ4aに置き換えた点で、図4A及び図4Bに示した第2実施形態のケガキ治具1Aとは異なる。
一方、他方のローラ4bは、第2実施形態のケガキ治具1Aと同様、スライド部43にボルト41で固定されており、位置調整ボルト44を適宜回転させて、スライド部43をスライド溝24に沿った位置に移動させることで、任意の位置に移動・固定可能な構成とされている。
以上、実施形態により、本発明に係るケガキ治具、及び、それを用いたケガキ線の刻印方法の一例を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記の実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
以上説明したように、本実施形態のケガキ治具1(1A,1B,1C)によれば、ケガキ手段として平面視円板状の丸刃3を用いることで、この丸刃3の刃部31と配管Pの外周面P1との間が線接触となり、配管Pの外周面P1に対する押圧力が均一且つ緩やかに分散される。これにより、先の尖ったケガキ針等を用いた場合に比べて、ケガキ線Kの溝が浅く形成されるのに伴い、丸刃3が摩耗するのを抑制できる。
また、平面視円板状の丸刃3を用いることで、配管Pの外周面P1に対する丸刃3の姿勢や追従性が安定する。これにより、配管Pの外周面P1に刻印されるケガキ線Kの位置もぶれることなく安定するとともに、ケガキ治具1(1A,1B,1C)の使い勝手も向上する。
従って、配管Pの外周面P1に容易且つ正確にケガキ線Kを刻印することができるとともに、耐久性及び使い勝手に優れたケガキ治具1(1A,1B,1C)を提供することが可能となる。
2,2A,2B…ベース
2a…表面
2b…背面
2c…上面
2d…下面
2e…側面
21…ボルト孔
22…スリット孔
23…ボルト支持部
23a…位置調整ボルト孔
24…スライド溝
3…丸刃(ケガキ手段)
3a,3b…一対の丸刃(丸刃;ケガキ手段)
31…刃部
32…基部
33…貫通部
35…カバー
35a…切り欠き部
36…スペーサ
37…ボルト
4…ローラ
4A,4B,4C…複数のローラ(ローラ)
4a,4b…一対のローラ(ローラ)
41…ボルト
42…ナット
43…スライド部
43a…ボルト孔
44…位置調整ボルト
51,52,53…補強板
P…配管(管状体)
P1…外周面
P2…内周面
P3…一端
K…ケガキ線
Claims (7)
- 管状体の外周面と接触するケガキ手段を有し、前記管状体の外周面にケガキ線を刻印するケガキ治具であって、
前記ケガキ手段は、外周端が刃部とされた平面視円板状の丸刃からなり、該丸刃の刃部が前記管状体の外周面と接触することにより、前記外周面を周回するように前記ケガキ線を刻印することを特徴とするケガキ治具。 - 前記丸刃が一対で設けられ、且つ、該一対の丸刃が各々平行な軸線で配置されていることを特徴とする請求項1に記載のケガキ治具。
- 前記丸刃と平行な軸線で配置されるとともに、回転自在とされたローラを備え、
前記ローラは、前記管状体の内周面と接触しながら前記管状体と同期回転することにより、前記一対の丸刃と前記ローラとの3点支持で前記管状体を保持することを特徴とする請求項2に記載のケガキ治具。 - 前記丸刃と平行な軸線で配置されるとともに、回転自在とされた一対のローラを備え、
前記一対のローラは、一方の前記ローラが、前記管状体の外周面と接触しながら前記管状体と同期回転し、他方のローラが、前記管状体の内周面と接触しながら前記管状体と同期回転することにより、前記一対のローラと前記丸刃との3点支持で前記管状体を保持することを特徴とする請求項1に記載のケガキ治具。 - 前記丸刃が回転自在とされており、前記丸刃が前記管状体の外周面と接触しながら前記管状体と同期回転することにより、前記管状体の外周面に前記ケガキ線を刻印することを特徴とする請求項1~請求項4の何れか一項に記載のケガキ治具。
- さらに、前記丸刃の前記軸線方向における位置を変更することにより、前記管状体の外周面に刻印される前記ケガキ線の、前記管状体の一端からの距離を調整するスペーサを備えることを特徴とする請求項1~請求項5の何れか一項に記載のケガキ治具。
- 請求項1~請求項6の何れか一項に記載のケガキ治具を用い、管状体の外周面にケガキ線を刻印することを特徴とするケガキ線の刻印方法。
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