JP2023003140A - 表面材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プリント柄と凹凸が同調していることが明確に感じ取れるため、意匠性と触感に優れる内装材を提供可能な表面材およびその製造方法を提供する。【解決手段】布帛1における少なくとも一方の主面上に、部分的にアクリル系樹脂の層2が存在しており、前記アクリル系樹脂の層が存在している箇所Aの厚さが、前記アクリル系樹脂の層が存在していない箇所Bの厚さよりも薄くなっている表面材である。【選択図】図1

Description

本発明は、各種内装材を調製可能な表面材、特に、天井、ドアーサイド、ピラーガーニッシュ、リヤパッケージなどの車両用内装材を調製可能な表面材、および、その製造方法に関する。
従来から、表面材を加熱成形するなどして各種内装材を調製することが行われている。特に、意匠性に優れる内装材を提供できるよう、主面上にプリント液を部分的に付与して、部分的なプリント柄を備える表面材を製造することが検討されている。また、近年では、加えて触感に優れる内装材も求められている。このような要望を満たすため、主面上におけるプリント液を付与した箇所の厚さが、プリント液を付与していない箇所の厚さよりも薄い表面材が検討されている。当該構成を有する表面材を用いることで、プリント柄と凹凸が同調しており、意匠性と触感に優れる内装材を実現できる。
上述のような意匠性と触感に優れる内装材を実現可能な表面材の製造方法として、例えば、特開2002-227073号公報(特許文献1)には、軟化温度が100℃~130℃のポリウレタン樹脂を含有するプリント液を布帛の主面上へ部分的に付与することで、一方の主面上に部分的にポリウレタン樹脂層が存在している箇所を形成(捺染)し、その後、当該ポリウレタン樹脂の軟化温度以上に加熱すると共に圧力を作用させる方法が開示されている。このような、従来技術にかかる表面材の製造方法によって、ポリウレタン樹脂層が存在している捺染部の厚さを非捺染部の厚さよりも薄くして、凹部を形成できる。
なお、特許文献1には、プリント液に含有される樹脂としてアクリル系樹脂(軟化温度が150℃~200℃程度)を採用した場合、非捺染部が平坦化してしまうという問題が生じることが開示されている。具体例として特許文献1の比較例には、主面上に軟化温度が160℃のアクリル系樹脂を含有するプリント液を部分的に付与することで、一方の主面上に部分的にアクリル系樹脂の層が存在している箇所を形成し、その後、加熱温度175℃、圧力5kgf/cmの熱ローラへ供してなる表面材が開示されている。しかし、このようにして製造した表面材は特許文献1の表1中にまとめられている通り、アクリル系樹脂を含有するプリント液を付与した捺染部と、非捺染部とを比べたところ、その厚みが変わらなかったという結果が開示されている。
以上の開示からも分かるように、特許文献1が開示する発明は、アクリル系樹脂を含有する樹脂層が存在している箇所の厚さを、前記樹脂の層が存在していない箇所の厚さよりも薄くすることを課題とした発明ではない。
特開2002-227073号公報(特許請求の範囲、0004、0010、0014、0015~0026、表1など)
本願出願人は、意匠性と触感に優れる内装材を実現可能な表面材を提供するため、特許文献1が開示するような従来技術にかかる、表面材の製造方法について検討した。検討の結果、布帛の主面におけるアクリル系樹脂を含有するプリント液を付与した箇所の厚さが薄くならないという、問題の発生を確認した。その結果、アクリル系樹脂を含んだプリント柄と凹凸が同調していることが明確に感じ取れないものとなり、意匠性と触感に優れる内装材を提供できないものであった。
本発明では、アクリル系樹脂を含んだプリント柄と凹凸が同調していることが明確に感じ取れるため、意匠性と触感に優れる内装材を提供可能な表面材を提供することを目的とする。
第一の本発明は「布帛における少なくとも一方の主面上に、部分的にアクリル系樹脂の層が存在している箇所を有する、表面材であって、前記アクリル系樹脂の層が存在している箇所の厚さが、前記アクリル系樹脂の層が存在していない箇所の厚さよりも薄い、表面材。」である。
第二の本発明は「(1)布帛を用意する工程、
(2)樹脂とその溶媒あるいは分散媒とを含んだプリント液を用意する工程、
(3)前記布帛における少なくとも一方の主面上へ前記プリント液を部分的に付与する工程、
(4)前記プリント液を部分的に付与した布帛を挟み込み加熱する、加熱ローラAと加熱ローラBを用意する工程、
(5)前記加熱ローラAの加熱温度を、JIS K0129「熱分析通則」記載の熱機械分析(TMA、測定開始温度:30℃(10℃/min昇温)、TMA装置の引張プローブによる試験片の縦方向へ作用させる荷重:5g、治具間距離:10mm)により測定される、前記樹脂で構成された試験片(縦:15mm、横:5mm、厚さ:500μm)における熱膨張に伴う変位量が560μmとなる温度よりも高い温度に調整し、前記加熱ローラBの加熱温度を前記加熱ローラAの加熱温度未満に調整する工程、
(6)加熱温度を調整した前記加熱ローラAを、前記布帛における前記プリント液を付与した側の主面と反対側の主面に接触させると共に、加熱温度を調整した前記加熱ローラBを、前記布帛における前記プリント液を付与した側の主面に接触させる工程、
を備える、
前記プリント液を付与した箇所の厚さが、前記プリント液を付与していない箇所の厚さよりも薄い、表面材の製造方法。」である。
本願出願人は検討を続けた結果、「布帛における少なくとも一方の主面上に、部分的にアクリル系樹脂の層が存在している箇所を有する、表面材」において、前記アクリル系樹脂の層が存在している箇所の厚さが、前記アクリル系樹脂の層が存在していない箇所の厚さよりも薄いことで、プリント柄と凹凸が同調していることが明確に感じ取れるため、意匠性と触感に優れる内装材を提供可能な表面材を提供するに至った。
また、本発明にかかる表面材の製造方法では、プリント液を部分的に付与した布帛を挟み込み加熱する方法として、一対の加熱ローラ(加熱ローラAと加熱ローラB)を用いるが、
・加熱ローラAの加熱温度を、JIS K0129「熱分析通則」記載の熱機械分析(TMA、測定開始温度:30℃(10℃/min昇温)、TMA装置の引張プローブによる試験片の縦方向へ作用させる荷重:5g、治具間距離:10mm)により測定される、前記樹脂で構成された試験片(縦:15mm、横:5mm、厚さ:500μm)における熱膨張に伴う変位量が560μmとなる温度よりも高い温度に調整すること、
・加熱ローラBの加熱温度を、加熱ローラAの加熱温度未満となるように調整すること、
・加熱温度を調整した加熱ローラAを、布帛におけるプリント液を付与した側の主面と反対側の主面に接触させると共に、加熱温度を調整した加熱ローラBを、布帛におけるプリント液を付与した側の主面に接触させること、
を特徴としている。
発明にかかる表面材の製造方法によって、アクリル系樹脂を含んでいるプリント液を付与した場合であっても、前記プリント液を付与した箇所の厚さを、前記プリント液を付与していない箇所の厚さよりも薄くできる。そのため、発明にかかる表面材の製造方法によって、本願発明の請求項1に係る構成を備えた表面材を実現できる。
本発明にかかる表面材の断面を示した、模式図である。 実施例1で調製した表面材における、アクリル系樹脂を含有するプリント液を付与した側の主面を写した、光学顕微鏡写真である。 比較例1で調製した表面材における、アクリル系樹脂を含有するプリント液を付与した側の主面を写した、光学顕微鏡写真である。
本発明では、例えば以下の構成など、各種構成を適宜選択できる。なお、本発明で説明する各種測定は特に記載や規定のない限り、常圧のもと25℃温度条件下で測定を行った。そして、本発明で説明する各種測定結果は特に記載や規定のない限り、求める値よりも一桁小さな値まで測定で求め、当該値を四捨五入することで求める値を算出した。具体例として、小数第一位までが求める値である場合、測定によって小数第二位まで値を求め、得られた小数第二位の値を四捨五入することで小数第一位までの値を算出し、この値を求める値とした。また、本発明で例示する各上限値および各下限値は、任意に組み合わせることができる。
本発明にかかる表面材について、その断面を示した模式図である図1を用いて説明する。図1では、布帛(1)における少なくとも一方の主面上(図1における、紙面上の上方向側に存在する主面)に、アクリル系樹脂を有する樹脂の層(2)が部分的に存在している箇所(A、以降、箇所(A)と省略することがある)と、前記樹脂の層が存在していない箇所(B、以降、箇所(B)と省略することがある)とを備えた表面材(10)を図示している。
ここでいう、アクリル系樹脂を有する樹脂の層(2、以降、樹脂の層と省略することがある)とは、表面材(10)の主面上の一部を被覆するようにして存在しており、箇所(B)に存在しているよりも質量多く存在している、アクリル系樹脂を含有する樹脂の層を指すものである。そのため、箇所(A)に存在するアクリル系樹脂の質量は、箇所(B)に存在する当該アクリル系樹脂の質量よりも多いものとなる。なお、樹脂の層(2)は、表面材(10)の主面上の一部を被覆するようにして存在することに加え、前記主面から表面材(10)の内部に向かい存在していてもよい。このような本発明にかかる樹脂の層(2)は、布帛(1)の主面へアクリル系樹脂を含んだプリント液を部分的に付与することで形成できる。
更に、本発明にかかる表面材(10)において箇所(A)の厚さは、表面材(10)と同じ厚さとなり得る箇所(B)の厚さよりも薄い。なお、本発明において箇所(A)および箇所(B)の厚さは、以下の方法で求めることができる。
(厚さの求め方)
(1)表面材(10)から試料(形状:正方形あるいは長方形)を採取する。
(2)表面材(10)をなす布帛(1)が備えるバインダ(布帛(1)の主面全面に存在している)の種類や分布状態など、試料に含まれる樹脂の種類や分布状態を確認する。確認を行うため、アクリル系樹脂を染色可能な染色液(例えば、カヤステインQ(日本化薬(株)製)など)による染色などの分析手段を採用できる。
(3)前記試料が、樹脂の層(2)が部分的に存在している主面を有するか判断する。具体的には、染色液により濃く染色されたアクリル系樹脂の存在している箇所が試料の主面上に部分的に存在している場合、試料は樹脂の層(2)が部分的に存在している主面を有するものである。
(4)前記試料が、樹脂の層(2)が部分的に存在している主面を有している場合、当該主面における樹脂の層(2)が存在している箇所を箇所(A)とし、当該主面における樹脂の層(2)が存在していない箇所を箇所(B)とする。
(5)一つの箇所(A)の中央を通過するようにして、試料を一方の主面からもう一方の主面に向かい切断する。
(6)切断した試料の断面と垂直をなす方向から、当該断面全てを確認できるよう、切断面の光学顕微鏡写真あるいは電子顕微鏡写真(以降、併せて顕微鏡写真と称する)を撮影する。なお、必要に応じて、切断面の顕微鏡写真を複数枚撮影し、撮影された複数枚の顕微鏡写真をつなぎ合わせて、切断面の顕微鏡写真を調製してもよい。
(7)撮影した顕微鏡写真上に、試料における一方の主面と垂直を成すと共に、当該一方の主面ともう一方の主面を結ぶ線分を複数本作図する。そして、箇所(A)を通過していない線分のうち、最も長い線分の長さを箇所(B)の厚さとする。
(8)顕微鏡写真上に、前記最も長い線分と平行を成す線分であって、試料における一方の主面ともう一方の主面を結ぶと共に箇所(A)の中央を通過する線分を、顕微鏡写真上に写る各箇所(A)に作図し、作図された各線分のうち最も短い線分の長さを箇所(A)の厚さとする。
なお、箇所(B)の厚さに占める、箇所(B)の厚さと箇所(A)の厚さの差の百分率(単位:%、以降、凹み百分率と称することがある)は適宜調整できるが、プリント柄と凹凸が同調していることが明確に感じ取れ、意匠性と触感に優れる内装材を提供可能な表面材(10)を提供できるよう、凹み百分率の値は17%よりも大きいのが好ましく、19%以上であるのが好ましい。
本発明にかかる表面材(10)を主として構成する布帛(1)の種類は適宜選択できる。具体的には、繊維ウェブや不織布あるいは織物や編物などであることができる。特に、柔軟であることによって箇所(A)の厚さが箇所(B)の厚さよりも薄い表面材(10)を実現し易いことから、全ての構成繊維がランダムに絡合してなる繊維ウェブあるいは不織布からなる表面材(10)であるのがより好ましい。
布帛(1)の構成繊維は、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をニトリル基またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)、スチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエーテル系樹脂(例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、二トリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)など、公知の樹脂を用いて構成できる。
なお、これらの樹脂は、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、また樹脂がブロック共重合体やランダム共重合体でも構わず、また樹脂の立体構造や結晶性の有無がいかなるものでも、特に限定されるものではない。更には、多成分の樹脂を混ぜ合わせたものでも良い。
なお、後述する表面材(10)の製造方法へ供した際に、表面材(10)が意図せず変形するのを防止できるよう、上述した樹脂のうち、後述する加熱ローラAの加熱温度よりも高い軟化温度を有する樹脂(一例としてポリエステル系樹脂)繊維を構成繊維に含む布帛(1)を採用するのが好ましく、布帛(1)の構成繊維は当該繊維のみであるのが好ましい。
また、表面材(10)に難燃性が求められるなどの場合、布帛(1)の構成繊維は難燃性の樹脂を含むことができる。このような難燃性の樹脂として、例えば、モダアクリル樹脂、ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ノボロイド樹脂、ポリクラール樹脂、リン化合物を共重合したポリエステル樹脂、ハロゲン含有モノマーを共重合したアクリル樹脂、アラミド樹脂、ハロゲン系やリン系又は金属化合物系の難燃剤を練り込んだ樹脂などを挙げることができる。また、顔料を練り込み調製された繊維や、染色された繊維などの原着繊維であってもよい。また、バインダ等を用いることで難燃剤を担持してもよい。
構成繊維は、一種類の樹脂から構成されてなるものでも、複数種類の樹脂から構成されてなるものでも構わない。複数種類の樹脂から構成されてなる繊維として、一般的に複合繊維と称される、例えば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、オレンジ型、バイメタル型などの態様であることができる。
布帛(1)が構成繊維として熱融着性繊維を含んでいる場合には、繊維同士を熱融着することによって、布帛(1)に強度と形態安定性を付与できる。このような熱融着性繊維は、全融着型の熱融着性繊維であっても良いし、上述した複合繊維のような態様の一部融着型の熱融着性繊維であっても良い。熱融着性繊維において熱融着性を発揮する成分(樹脂)として、例えば、低融点ポリオレフィン系樹脂や低融点ポリエステル系樹脂を含む熱融着性繊維などを適宜選択して使用することができる。
布帛が捲縮性繊維を含んでいる場合には、伸縮性が増して金型への追従性に優れると共に、触感に優れた表面材(10)を提供できる。このような捲縮性繊維として、例えば、潜在捲縮性繊維の捲縮を発現した捲縮性繊維やクリンプを有する繊維などを使用することができる。
これらの構成繊維は、略円形の繊維や楕円形の繊維以外にも異形断面繊維を含んでいてもよい。なお、異形断面繊維として、中空形状、三角形形状などの多角形形状、Y字形状などのアルファベット文字型形状、不定形形状、多葉形状、アスタリスク形状などの記号型形状、あるいはこれらの形状が複数結合した形状などの繊維断面を有する繊維であってもよい。
構成繊維の繊度は特に限定するものではないが、意匠性と触感に優れる内装材を実現可能な表面材(10)を提供できるように、0.1~50dtexであるのが好ましく、0.5~30dtexであるのがより好ましく、1.0~10dtexであるのがより好ましい。
また、構成繊維の繊維長も特に限定するものではないが、意匠性と触感に優れる内装材を実現可能な表面材(10)を提供できるように、繊維長が20mm以上であるのが好ましく、25mm以上であるのがより好ましく、30mm以上であるのが更に好ましい。他方、繊維長が110mmを超えると、布帛(1)の調製時に繊維塊が形成される傾向があり、意匠性と触感に優れる内装材を実現可能な表面材(10)を提供し難くなるおそれがあることから、110mm以下であるのが好ましく、60mm以下であるのがより好ましい。なお、「繊維長」は、JIS L1015(2010)、8.4.1c)直接法(C法)に則って測定した値をいう。
構成繊維は、例えば、溶融紡糸法、乾式紡糸法、湿式紡糸法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法など)、複合繊維から一種類以上の樹脂成分を除去することで繊維径が細い繊維を抽出する方法、繊維を叩解して分割された繊維を得る方法など公知の方法により得ることができる。
布帛(1)が繊維ウェブや不織布である場合、例えば、上述の繊維をカード装置やエアレイ装置などに供することで繊維を絡み合わせる乾式法、繊維を溶媒に分散させシート状に抄き繊維を絡み合わせる湿式法、直接紡糸法(メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法、紡糸原液と気体流を平行に吐出して紡糸する方法(例えば、特開2009-287138号公報に開示の方法)など)を用いて繊維の紡糸を行うと共にこれを捕集する方法、などによって調製できる。
調製した繊維ウェブの構成繊維を絡合および/または一体化させて不織布を調製できる。構成繊維同士を絡合および/または一体化させる方法として、例えば、ニードルや水流によって絡合する方法、繊維ウェブを加熱処理へ供するなどしてバインダあるいは接着繊維によって構成繊維同士を接着一体化あるいは溶融一体化させる方法などを挙げることができる。
加熱処理の方法は適宜選択できるが、例えば、ローラにより加熱または加熱加圧する方法、オーブンドライヤー、遠赤外線ヒーター、乾熱乾燥機、熱風乾燥機などの加熱機へ供し加熱する方法、無圧下で赤外線を照射して含まれている樹脂を加熱する方法などを用いることができる。
布帛(1)を構成する繊維同士を接着するため、バインダを用いても良い。使用可能なバインダの種類は適宜選択するが、例えば、ポリオレフィン(変性ポリオレフィンなど)、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体などのエチレン-アクリレート共重合体、各種ゴムおよびその誘導体(スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)など)、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、エポキシ樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF-HFP)、アクリル系樹脂(アクリル酸エステル樹脂、アクリロニトリルスチレン共重合体樹脂など)、ポリウレタン樹脂などを使用できる。
また、バインダは上述した樹脂以外にも、例えば、難燃剤、香料、顔料、抗菌剤、抗黴材、光触媒粒子、乳化剤、分散剤、界面活性剤、増粘剤などの添加剤を含有していてもよい。
布帛(1)に含まれるバインダの目付は適宜選択するが、バインダ量が多いほど本発明において求める表面材(10)を提供できる傾向がある。そのため、布帛(1)が備えるバインダの目付は、5g/m以上であるのが好ましく、10g/m以下であるのが好ましく、20g/m以下であるのが好ましい。
なお、布帛(1)の構成繊維同士が効率よく一体化されているよう、バインダは布帛(1)の全体にわたり均一的に分布して存在しているのが好ましい。このようなバインダの分布態様を有してなる布帛(1)は、例えば、繊維ウェブなど布帛(1)をなす材料をバインダ液中に浸漬することで調製できる。
布帛(1)が織物や編物である場合、上述のようにして調製した繊維を織るあるいは編むことで、織物や編物を調製できる。
なお、繊維ウェブ以外にも不織布あるいは織物や編物など布帛を、上述した構成繊維同士を絡合および/または一体化させる方法へ供しても良い。
布帛(1)の、例えば、厚さ、目付などの諸構成は、特に限定されるべきものではなく適宜調整する。布帛(1)の厚さは、0.5~5mmであることができ、1~3mmであることができ、1.1~1.9mmであることができる。なお、本発明において布帛(1)や後述する表面材(10)の厚さとは、測定対象物の主面間へ20g/cm圧縮荷重をかけた時の主面間の長さをいう。
また、布帛(1)の目付は、例えば、50~500g/mであることができ、80~300g/mであることができ、100~250g/mであることができる。なお、本発明において目付とは測定対象物の最も広い面積を有する面(主面)における1mあたりの質量をいう。
本発明にかかる樹脂の層(2)を構成するアクリル系樹脂の種類は適宜選択できるが、具体例として、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂などを採用できる。
なお、本発明にかかる樹脂の層(2)は、アクリル系樹脂に加え他の樹脂(布帛(1)の構成繊維を構成可能であるとして挙げた樹脂など)を含んでいても良い。しかし、意図した態様の表面材(10)を実現できるよう、表面材(10)が有する樹脂の層(2)は、アクリル系樹脂のみで構成されていのが好ましい。
表面材(10)が備える樹脂の層(2)の目付は適宜選択するが、例えば、2~50g/mであることができ、5~30g/mであることができる。また、樹脂の層(2)は、例えば、難燃剤、香料、顔料、抗菌剤、抗黴材、光触媒、乳化剤、分散剤、界面活性剤、増粘剤などの添加剤を含有していてもよい。
表面材(10)の主面上に箇所(A)が存在している態様は、意図する通りの意匠性と触感に優れる内装材を実現可能な表面材(10)を提供できるよう、適宜調整できる。例えば、平行線や格子状などのパターンを有する柄、ドット状のパターンを有する柄、キリン・ヒョウ・シマウマ柄など不定形状のプリント柄をなす態様で、箇所(A)が存在していることができる。プリント柄一つあたりの大きさは適宜調整でき、4~900mmであることができる。
表面材(10)の一方の主面に占める箇所(A)の面積の百分率は、0%よりも多く100%未満である限り、意匠性と触感に優れる内装材を実現可能な表面材(10)を提供できるよう、適宜調整できる。具体的には、20~90%であることができ、30~80%であることができ、40~70%であることができ、50~60%であることができる。
なお、当該百分率は、以下の方法で算出できる。
(1)表面材(10)が備える布帛(1)における箇所(A、プリント柄)が存在している側の主面を20倍に拡大した顕微鏡写真を、当該主面の異なる場所ごとに撮影して、合計10枚の顕微鏡写真を用意する。なお、当該顕微鏡写真中に当該主面が、長辺15.2mm、短辺11.1mmの長方形以上の大きさで写るよう調整する。
(2)各顕微鏡写真に写る当該主面上に、長方形(長辺15.2mm、短辺11.1mm)を作図する。
(3)当該長方形に囲まれた部分に存在している箇所(A、プリント柄)の合計面積(以降、合計面積と称する)を、各々の顕微鏡写真ごとに算出する。
(4)各々の顕微鏡写真ごとに算出した合計面積の平均値を、以下の計算式へ代入して百分率を算出する。
表面材の一方の主面に占める箇所(A)の面積の百分率=100×(合計面積の平均値/168.72)
表面材(10)の、例えば、厚さ、目付などの諸構成は、特に限定されるべきものではなく適宜調整する。表面材(10)の厚さは、0.5~5mmであることができ、1~3mmであることができ、1.1~1.9mmであることができる。表面材(10)の目付は、例えば、50~500g/mであることができ、80~300g/mであることができ、100~250g/mであることができる。
表面材(10)に、別の多孔体、フィルム、発泡体などの構成部材を積層してもよい。これらの構成部材は表面材(10)における、プリントが存在している側の主面とは異なる主面側に積層して設けるのが好ましい。
表面材(10)は内装材を調製するためそのまま熱成形工程へ供することができるが、用途や使用態様に合わせて形状を打ち抜くなどして加工する工程や、リライアントプレス処理などの厚さや表面の平滑性といった諸物性を調整する工程などの、各種二次工程へ供してから熱成形工程へ供してもよい。
次に、本発明にかかる表面材の製造方法について説明する。なお、上述の表面材(10)について説明した項目と構成を同じくする点については説明を省略する。
本発明にかかる表面材の製造方法は、一例として、
(1)布帛を用意する工程、
(2)樹脂とその溶媒あるいは分散媒とを含んだプリント液を用意する工程、
(3)前記布帛における少なくとも一方の主面上へ前記プリント液を部分的に付与する工程、
(4)前記プリント液を部分的に付与した布帛を挟み込み加熱する、加熱ローラAと加熱ローラBを用意する工程、
(5)前記加熱ローラAの加熱温度を、JIS K0129「熱分析通則」記載の熱機械分析(TMA、測定開始温度:30℃(10℃/min昇温)、TMA装置の引張プローブによる試験片の縦方向へ作用させる荷重:5g、治具間距離:10mm)により測定される、前記樹脂で構成された試験片(縦:15mm、横:5mm、厚さ:500μm)における熱膨張に伴う変位量が560μmとなる温度よりも高い温度に調整し、前記加熱ローラBの加熱温度を前記加熱ローラAの加熱温度未満に調整する工程、
(6)加熱温度を調整した前記加熱ローラAを、前記布帛における前記プリント液を付与した側の主面と反対側の主面に接触させると共に、加熱温度を調整した前記加熱ローラBを、前記布帛における前記プリント液を付与した側の主面に接触させる工程、
を備える、
前記プリント液を付与した箇所の厚さが、前記プリント液を付与していない箇所の厚さよりも薄い、表面材の製造方法を挙げることができる。そして、本製造方法によって本願発明の請求項1に記載する構成の表面材(10)を製造できる。
工程1について説明する。布帛として、例えば、繊維ウェブや不織布、あるいは、織物や編み物などを用意する。なお、布帛における構成繊維の繊度や繊維長、布帛の厚さや目付は上述した数値のものを採用することができる。
工程2について説明する。樹脂の種類はバインダとして使用可能であると挙げた樹脂を採用できる。なお、樹脂として、アクリル系樹脂、あるいは、アクリル系樹脂と他の樹脂を採用することによって、本願発明の請求項1に記載する構成の表面材(10)を製造できる。
溶媒あるいは分散媒の種類は適宜選択できるが、布帛の一方の主面上へ好適にプリント液を付与できるよう、プリントを構成可能な樹脂が溶解する溶媒を採用する、あるいは、プリントを構成可能な樹脂が溶解せず分散可能な分散媒を採用するのが好ましい。
また、プリント液には樹脂以外にも、例えば、粒子(中実粒子や中空粒子)、難燃剤、香料、顔料、抗菌剤、抗黴材、光触媒、乳化剤、分散剤、界面活性剤、増粘剤などの添加剤を溶解あるいは分散させ、含有させてもよい。特に、プリント液が顔料を含んでいると、意匠性に優れる表面材(10)を提供でき好ましい。
工程3について説明する。布帛の一方の主面上に、プリント液を付与する方法は適宜選択できるが、布帛の一方の主面にプリント液をそのまま、あるいは泡立てた状態で、スプレーやグラビアローラなどを用いて布帛の主面に部分的にプリント液を付与し、柄を形成するようにプリントする方法や捺染して付与する方法などを選択できる。なお、一種類のプリント液を付与する以外にも、複数種類のプリント液を付与しても良い。また、複数種類のプリント液を付与する場合には、各プリント液の付与態様(含有されている粒子の組成、柄、プリント液の組成)は異なっていても良い。このようにしてプリント液を付与した部分が、表面材(10)における樹脂の層(2)が存在する箇所(A)となる。
なお、工程3と工程4の間に、プリント液に含まれる溶媒あるいは分散媒を除去してもよい。当該除去方法として、ドライヤーなど加熱装置へ供する方法を採用できる。本工程によって、少なくとも一方の主面上に部分的に樹脂層が存在している箇所を有する布帛を調製でき、当該布帛を以降の工程へ供してもよい。
工程4について説明する。プリント液を付与した箇所の厚さが、前記プリント液を付与していない箇所の厚さよりも薄い表面材(10)を実現できるのであれば、加熱ローラAと加熱ローラBの素材や種類あるいはローラの大きさなどの諸構成、あるいは、ローラの回転速度などは適宜調整できる。具体例として、プリント液を部分的に付与した布帛を搬送可能な金属ローラを採用できる。なお、加熱ローラAと加熱ローラBのクリアランスは、プリント液を部分的に付与した布帛を挟み込み加熱できるよう、0より長く布帛の厚さ以下の長さであるように調整するのが好ましい。なお加熱ローラAおよび/または加熱ローラBがゴムローラなどの弾性を有する加熱ローラである場合、クリアランスは0であってもよい。
工程5について説明する。加熱ローラAの加熱温度は、JIS K0129「熱分析通則」記載の熱機械分析(TMA、測定開始温度:30℃(10℃/min昇温)、TMA装置の引張プローブによる試験片の縦方向へ作用させる荷重:5g、治具間距離:10mm)により測定される、前記樹脂で構成された試験片(縦:15mm、横:5mm、厚さ:500μm)における熱膨張に伴う変位量が560μmとなる温度よりも高い温度に調整されるものである。なお、ここでいう熱膨張に伴う変位量とは、試験片を上述した試験方法へ供した際の試験片における縦方向の変化量を意味する。
加熱ローラAの加熱温度は、上述のように樹脂の種類によって適宜調整されるものであるが、樹脂として160℃よりも高い軟化温度を有する樹脂(例えば、アクリル系樹脂)を採用した場合、加熱温度は160℃よりも高いことができ、169℃以上であることができ、170℃以上であることができ、180℃以上であることができる。同様に上限温度も適宜選択できるものであるが、加熱温度を余りに高くすると製造コストがかさむという副次的な問題が発生する恐れがあることから、上限温度は250℃以下であるのが現実的であり、250℃よりも低いのが現実的である。
加熱ローラBの加熱温度は、加熱ローラAの加熱温度よりも低い温度となるように適宜調整されるものである。加熱ローラBの加熱温度は、上述のように加熱ローラAの加熱温度(換言すれば、樹脂の種類)によって適宜調整されるものであるが、樹脂として160℃よりも高い軟化温度を有する樹脂(例えば、アクリル系樹脂)を採用した場合、加熱温度は160℃以下であることができ、140℃以下であることができ、120℃以下であることができ、100℃以下であることができ、80℃以下であることができ、60℃以下であることができる。同様に下限温度も適宜選択できるものであるが、0℃以上であるのが現実的であり、室温以上であるのが現実的である。
工程6について説明する。本発明では、加熱温度を調整した加熱ローラAを、布帛におけるプリント液を付与した側の主面と反対側の主面に接触させると共に、加熱温度を調整した加熱ローラBを、前記布帛における前記プリント液を付与した側の主面に接触させ、前記布帛を加熱処理することを特徴とする。
このとき加熱ローラAと加熱ローラBによって、前記布帛の厚さ方向へ圧力を作用させても、ただ主面に接触させるのみとして実質的に前記布帛の厚さ方向へ圧力を作用させなくても良い。また、加熱ローラAと加熱ローラBのクリアランスを調整することによって、加熱通に前記布帛の厚さ方向へ作用する圧力を調整できる。
なお、本工程においてプリント液に含まれている溶媒あるいは分散媒を除去する、樹脂を架橋させる、布帛の構成繊維同士を接着する(溶融したバインダで接着する、あるいは、構成繊維に含まれる熱可塑性成分を溶融させ接着する)などしても良い。
そして、加熱した後の布帛を放冷あるいは冷却することで、本願発明の請求項1に記載する構成の表面材(10)など、プリント液を付与した箇所の厚さがプリント液を付与していない箇所の厚さよりも薄い表面材を製造できる。
本願出願人は、本発明にかかる表面材の製造方法において、
・加熱ローラAの加熱温度を、JIS K0129「熱分析通則」記載の熱機械分析(TMA、測定開始温度:30℃(10℃/min昇温)、TMA装置の引張プローブによる試験片の縦方向へ作用させる荷重:5g、治具間距離:10mm)により測定される、前記樹脂で構成された試験片(縦:15mm、横:5mm、厚さ:500μm)における熱膨張に伴う変位量が560μmとなる温度よりも高い温度に調整するという構成、
・加熱ローラBの加熱温度を、加熱ローラAの加熱温度未満となるように調整するという構成、
・加熱温度を調整した加熱ローラAを、布帛におけるプリント液を付与した側の主面と反対側の主面に接触させると共に、加熱温度を調整した加熱ローラBを、布帛におけるプリント液を付与した側の主面に接触させるという構成、
を満足するときに、本願発明の請求項1に記載する構成の表面材(10)を実現できることを見出した。
そのため、発明にかかる表面材(10)の製造方法によって、例えプリント液に含まれる樹脂としてアクリル系樹脂を採用した場合であっても、プリント柄と凹凸が同調していることが明確に感じ取れ、意匠性と触感に優れる内装材を実現可能な表面材(10)を製造できる。
上述の表面材(10)の製造方法では、更に別の多孔体、フィルム、発泡体などの構成部材を積層する工程、用途や使用態様に合わせて形状を打ち抜くなどして加工する工程などの、各種二次工程を備えた表面材(10)の製造方法であってもよい。なお、これらの構成部材は表面材(10)における、プリント側の主面とは異なる主面側に積層して備えることができる。また、用途や使用態様に合わせて形状を打ち抜くなどして加工する工程や、リライアントプレス処理などの厚さや表面の平滑性といった諸物性を調整する工程などの、各種二次工程へ供してから熱成形工程へ供してもよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、調製した表面材について、プリント柄と凹凸が同調していることが明確に感じ取られる表面材であったか否かは、以下の方法へ供することで判断した。
(プリント柄と凹凸が同調していることが明確に感じ取れる表面材であったか否かの判断方法)
表面材における、プリント液を付与した側の主面を目視で確認すると共に、当該主面を指の腹で触り、プリント柄と凹凸が同調していることが明確に感じ取れるものであるか否かを判断した。
そして、プリント柄と凹凸が同調していることが明確に感じ取れるものであると感じられた表面材を「〇〇」と評価した。また、「〇〇」と評価された表面材よりは劣るもののプリント柄と凹凸が同調していることが明確に感じ取れるものであると感じられた表面材を「〇」と評価した。
一方、プリント柄と凹凸が同調していることが明確に感じ取れないと感じられた表面材を「×」と評価した。また、「×」と評価された表面材よりも更にプリント柄と凹凸が同調していることが感じ取れないと感じられた表面材を「××」と評価した。
(布帛の用意)
原着ポリエステル繊維(繊度:3dtex、繊維長:51mm)100%をカード機へ供することで開繊して繊維ウェブを形成した。次いで、繊維ウェブの片面からニードルパンチ処理を施して、ニードルパンチウェブを調製した。
そして、ニードルパンチウェブのニードリングを施した面とは反対の面から、以下に記載の割合で配合したバインダ液を泡立てた状態で塗布し、ロール間(ギャップ間隔:0.25mm)へ供した。このようにして、ニードルパンチウェブの全体にわたり、バインダ液が均一に行き渡るようにした。
(バインダ液)
・アクリル酸エステル樹脂Aのエマルジョン(固形分質量:50質量%):14.2質量部
・増粘剤:0.2質量部
・界面活性剤:1.0質量部
・25%アンモニア水:0.1質量部
・水:84.5質量部
その後、温度160℃のキャンドライヤーで乾燥することで、バインダ接着不織布(目付:192g/m、うちアクリル酸エステル樹脂Aの目付:10g/m)を調製した。このようにして調製したバインダ接着不織布では、バインダ接着不織布の全体にわたり、アクリル酸エステル樹脂Aが均一的に分布して存在していた。
(プリント液の用意)
以下に記載の割合で配合した、プリント液を用意した。なお、アクリル酸エステル樹脂Aとアクリル酸エステル樹脂Bは異なる種類のアクリル系樹脂であった。
・アクリル酸エステル樹脂Bのエマルジョン(固形分質量:50質量%):15質量部
・増粘剤A(固形分質量:1.5質量%):24質量部
・増粘剤B(固形分質量:28質量%):1質量部
・消泡剤(固形分質量:40質量%):0.4質量部
・顔料(固形分質量:0.5質量%):1質量部
・25%アンモニア水:1質量部
・水:57.6質量部
なお、アクリル酸エステル樹脂Bで構成された試験片(縦:15mm、横:5mm、厚さ:500μm)を、本発明にかかるJIS K0129「熱分析通則」記載の熱機械分析(TMA、測定開始温度:30℃(10℃/min昇温)、TMA装置の引張プローブによる試験片の縦方向へ作用させる荷重:5g、治具間距離:10mm)開示の試験へ供した結果、試験片における熱膨張に伴う変位量が560μmとなる温度は160℃であった。そのため、換言すれば、160℃よりも高い温度のときに、アクリル酸エステル樹脂Bで構成された試験片の変位量は560μmよりも大きくなるものであった。具体的には、165℃で変位量は585μm、169℃で変位量は603μm、170℃で変位量は611μm、180℃で変位量は662μmであった。
また、160℃以下の温度のときに、アクリル酸エステル樹脂Bで構成された試験片の変位量は560μm以下になるものであった。具体的には、150℃で変位量は512μm、140℃で変位量は467μmであった。
(布帛へのプリント液の付与方法)
不定形状のプリント柄であるキリン模様がプリントされるように、バインダ接着不織布における一方の主面へプリント液を部分的に付与した。なお、バインダ接着不織布におけるプリント液を付与した側の主面の面積に占める、プリント液を付与した部分の面積の百分率(%)は45%であった。
(加熱ローラAおよび加熱ローラBの用意)
対象物を加熱可能な一対の加熱ローラ(加熱ローラAおよび加熱ローラB:共に金属製)を用意した。なお、両加熱ローラの線圧は3.2N/cm、クリアランスは0.5mmとなるように調整した。
(実施例1)
加熱ローラAの加熱温度を170℃に調整し、加熱ローラBの加熱温度を60℃に調整した。
その後、加熱ローラAをバインダ接着不織布におけるプリント液を付与した側の主面と反対側の主面に接触させると共に、加熱ローラBを布帛におけるプリント液を付与した側の主面と接触させて、表面材を調製した。なお、本工程によって、プリント液に含まれる溶媒あるいは分散媒は除去されるものであった。
このようにして調製された表面材(目付:200g/m、うちアクリル酸エステル樹脂Bの目付:8g/m)を調製した。なお、このようにして調製した表面材における、プリント液を付与した側の主面の光学顕微鏡写真を撮影し、図2に図示した。
(実施例2~4、比較例1~9)
加熱ローラAの加熱温度と加熱ローラBの加熱温度を、各々、表1~表2に記載の温度に調整した。
その後、加熱ローラAをバインダ接着不織布におけるプリント液を付与した側の主面と反対側の主面に接触させると共に、加熱ローラBを布帛におけるプリント液を付与した側の主面と接触させて、表面材を調製した。なお、本工程によって、プリント液に含まれる溶媒あるいは分散媒は除去されるものであった。
このようにして調製された表面材(目付:200g/m、うちアクリル酸エステル樹脂Bの目付:8g/m)を調製した。なお、比較例1で調製した表面材における、プリント液を付与した側の主面の光学顕微鏡写真を撮影し、図3に図示した。
実施例および比較例で調製した各表面材の諸物性を、表1と表2にまとめた。なお、(プリント柄と凹凸が同調していることが明確に感じ取れる表面材であったか否かの判断方法)で下した評価結果は、表中の「プリント柄と凹凸の同調程度」欄に記載した。また、比較例4~9については、評価結果がいずれも「××」であったことから、他の諸物性について測定しなかった。当該測定しなかった項目については、表中に「-」印を記載した。
Figure 2023003140000002
Figure 2023003140000003
(実施例5)
目付が少ないニードルパンチウェブを用いて、バインダ接着不織布(主面全体に均一にアクリル酸エステル樹脂Aが存在している、目付:182g/m、うちアクリル酸エステル樹脂Aの目付:10g/m)を調製した。
このようにして調製したバインダ接着不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、表面材(目付:190g/m、うちアクリル酸エステル樹脂Bの目付:8g/m)を調製した。
実施例5で調製した表面材の諸物性を、表3にまとめた。なお、参考として実施例1で調製した表面材の諸物性も表中に併記した。
Figure 2023003140000004
実施例で製造した表面材を評価した結果から、「布帛における少なくとも一方の主面上に、部分的に樹脂の層が存在している箇所を有する、表面材」において、樹脂の層がアクリル系樹脂からなる場合であっても、前記樹脂の層が存在していない箇所の厚さよりも薄いことで、プリント柄と凹凸が同調していることが明確に感じ取れるものであると感じられる表面材を提供できることが判明した。
本発明により、各種内装材を調製可能な表面材を提供できる。特に、車両の天井、ピラーガーニッシュ、ドア、インストルメントパネル、ステアリングホイール、シフトレバー、コンソールボックス、トノカバー、ラゲッジフロア、ラゲッジサイドなどの内装材を調製できる、表面材を提供できる。
1:布帛
2:アクリル系樹脂を有する樹脂の層
A:アクリル系樹脂を有する樹脂の層が部分的に存在している箇所
B:アクリル系樹脂を有する樹脂の層が存在していない箇所
10:表面材

Claims (2)

  1. 布帛における少なくとも一方の主面上に、部分的にアクリル系樹脂の層が存在している箇所を有する、表面材であって、
    前記アクリル系樹脂の層が存在している箇所の厚さが、前記アクリル系樹脂の層が存在していない箇所の厚さよりも薄い、
    表面材。
  2. (1)布帛を用意する工程、
    (2)樹脂とその溶媒あるいは分散媒とを含んだプリント液を用意する工程、
    (3)前記布帛における少なくとも一方の主面上へ前記プリント液を部分的に付与する工程、
    (4)前記プリント液を部分的に付与した布帛を挟み込み加熱する、加熱ローラAと加熱ローラBを用意する工程、
    (5)前記加熱ローラAの加熱温度を、JIS K0129「熱分析通則」記載の熱機械分析(TMA、測定開始温度:30℃(10℃/min昇温)、TMA装置の引張プローブによる試験片の縦方向へ作用させる荷重:5g、治具間距離:10mm)により測定される、前記樹脂で構成された試験片(縦:15mm、横:5mm、厚さ:500μm)における熱膨張に伴う変位量が560μmとなる温度よりも高い温度に調整し、前記加熱ローラBの加熱温度を前記加熱ローラAの加熱温度未満に調整する工程、
    (6)加熱温度を調整した前記加熱ローラAを、前記布帛における前記プリント液を付与した側の主面と反対側の主面に接触させると共に、加熱温度を調整した前記加熱ローラBを、前記布帛における前記プリント液を付与した側の主面に接触させる工程、
    を備える、
    前記プリント液を付与した箇所の厚さが、前記プリント液を付与していない箇所の厚さよりも薄い、表面材の製造方法。
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