JP2023002107A - 接合装置及び接合方法 - Google Patents

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誉也 宮本
Takaya MIYAMOTO
紘次朗 山口
Kojiro Yamaguchi
幹文 森脇
Mikifumi Moriwaki
友之 岩本
Tomoyuki Iwamoto
正規 中井
Masanori Nakai
直樹 氏平
Naoki Ujihira
博紀 佐藤
Hiroki Sato
英仁 福
Hidehito Fuku
雄大 小畠
Yudai Kobatake
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Abstract

【課題】熱硬化性接着剤からの脱気を促進し、短い加熱時間で接合部の機械的強度を確保できる接合装置及び接合方法を提供する。【解決手段】複数の被接合部材101,102の積層方向一方側に配置された第1電極11と、積層方向一方側に配置された第2電極12と、積層方向他方側に配置され、被接合部材102の表面に当接する受け部材30と、を備え、受け部材は、第1電極および第2電極間に通電された際に、当接する被接合部材102に対して、面方向に温度分布を生じさせるように構成された温度分布形成部30aを有し、第1電極および第2電極を接合対象物の近傍に加圧当接させた状態で、複数の被接合部材の積層方向一方側から両電極間に通電し、複数の被接合部材の積層方向一方側から他方側、かつ、第1電極および第2電極の当接部分に対応する熱硬化性接着剤103の電極対応部から端部へ向かって、熱硬化性接着剤を順次熱硬化させる。【選択図】図1

Description

本発明は、接合装置及び接合方法に関する。
自動車のボディ製造工程等において、熱硬化性接着剤を用いて互いに重ね合わせられた被接合部材を接合する場合、塗装乾燥工程における塗装乾燥炉を用いたワークの加熱乾燥時に、併せて熱硬化性接着剤を硬化させることが行われている。
しかしながら、熱硬化性接着剤の硬化に塗装乾燥炉を用いると、工程間搬送時のワーク変形等により熱硬化性接着剤の塗布状態が変化するため、接合品質を保証することが困難であるという問題があり、そのため、塗装乾燥炉を用いた硬化では、強度、剛性、減衰等の接着剤による品質の保証が困難である。
特開2000-151102号公報 特開2020-050827号公報
従来、このようなワークの変形を防止するため、ヘムスポットと呼ばれるスポット溶接が行われていたが、部品に求められる外観品質のため、適用できなくなっている。
熱硬化性樹脂を硬化させて部材間を接合する方法としては、例えば、パルスヒーターによって加熱硬化させる方法や、ローラ型の電極によって通電加熱して加熱硬化させる方法が提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。これらの方法を用いれば、被接合部材間の熱硬化性樹脂を、短時間で硬化させて接合することが可能である。
しかしながら、被接合部材間の熱硬化性樹脂を瞬時に硬化させると、樹脂中に発生する反応ガスの脱気が十分に行えず、樹脂が気泡を含んだ状態で硬化してしまうため、接合部において機械的強度を低下させてしまうおそれがある。また、電極による加圧は、被接合部材間を加圧した状態で接着剤を硬化させるため、気泡が残りやすいことが懸念される。
本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、熱硬化性接着剤からの脱気を促進し、短い加熱時間であっても接合部の機械的強度を確保できる接合装置及び接合方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の第1の技術に係る接合装置は、積層された複数の被接合部材の間に熱硬化性接着剤を塗布した接合対象物を通電加熱することにより、該複数の被接合部材を互いに接合する装置であって、前記複数の被接合部材の積層方向一方側に配置された第1電極と、前記複数の被接合部材の積層方向一方側または他方側に配置された第2電極と、前記複数の被接合部材の積層方向他方側に配置され、該被接合部材の表面に当接する受け部材と、を備え、前記受け部材は、前記第1電極および前記第2電極間に通電された際に、当接する前記被接合部材に対して、該被接合部材の面方向に温度分布を生じさせるように構成された温度分布形成部を有し、前記第1電極および前記第2電極を前記接合対象物の近傍に加圧当接させた状態で、前記複数の被接合部材の積層方向一方側から両電極間に通電し、該複数の被接合部材の積層方向一方側から他方側へ向かって、かつ、前記第1電極および前記第2電極の当接部分に対応する前記熱硬化性接着剤の電極対応部から端部へ向かって、該熱硬化性接着剤を順次熱硬化させて、前記接合対象物の接合を行うことを特徴とする。
本技術によれば、受け部材が他方側の被接合部材に温度分布を生じさせることにより、熱硬化性接着剤は被接合部材の面方向において硬化速度が不均一となる。これにより、熱硬化性接着剤が、電極の当接部分に対応する熱硬化性接着剤の電極対応部から端部へ向かって順次熱硬化する。熱硬化性接着剤の硬化速度に分布が生じ、少なくとも熱硬化性接着剤の端部側が内側よりも遅延して硬化するため、熱硬化性接着剤中に硬化速度の遅い部分が生じる。熱硬化性接着剤の加熱によって発生する反応ガスは、この熱硬化性接着剤中の硬化速度の遅い部分を脱気経路として、外部へ排出される。そのため、接合部となる硬化後の熱硬化性接着剤中には気泡が残りにくく、機械的強度を確保することができる。
第2の技術は、第1の技術において、前記温度分布形成部は、前記被接合部材の表面に当接する凹凸面であることを特徴とする。
本技術によれば、凹凸面によって被接合部材に温度分布を生じさせ、熱硬化性接着剤の硬化速度を制御して脱気を促進することで、簡易な構成によって、より好適に本技術を実施することが可能となる。
第3の技術は、第1の技術において、前記被接合部材の表面に当接する略平坦面であり、熱伝導率の異なる複数の材料からなることを特徴とする。
本技術によれば、材料の熱伝導率の違いから被接合部材に温度分布を生じさせ、熱硬化性接着剤の硬化速度を制御することで、被接合部材への当接面を略平坦面として、より好適に本技術を実施することが可能となる。
第4の技術は、第2または第3の技術において、前記第1電極および前記第2電極は、両電極間へ断続的に通電可能に構成されていることを特徴とする。
本技術によれば、他方側の被接合部材に生じる温度分布をより顕著なものとし、熱硬化性接着剤の脱気を促進させることが可能となる。
第5の技術に係る接合方法は、積層された複数の被接合部材の間に熱硬化性接着剤を塗布した接合対象物を通電加熱することにより、該複数の被接合部材を互いに接合する方法であって、前記複数の被接合部材の積層方向一方側に配置された第1電極と、前記複数の被接合部材の積層方向一方側または他方側に配置された第2電極と、前記複数の被接合部材の積層方向他方側に配置され、該被接合部材の表面に当接する受け部材と、を備え、前記受け部材は、前記第1電極および前記第2電極間に通電された際に、当接する前記被接合部材に対して、該被接合部材の面方向に温度分布を生じさせるように構成された温度分布形成部を有し、前記第1電極および前記第2電極を前記接合対象物の近傍に加圧当接させた状態で、前記複数の被接合部材の積層方向一方側から両電極間に通電し、該複数の被接合部材の積層方向一方側から他方側へ向かって、かつ、前記第1電極および前記第2電極の当接部分に対応する前記熱硬化性接着剤の電極対応部から端部へ向かって、該熱硬化性接着剤を順次熱硬化させて、前記接合対象物の接合を行うことを特徴とする。
本技術によれば、受け部材が他方側の被接合部材に温度分布を生じさせることにより、熱硬化性接着剤は被接合部材の面方向において硬化速度が不均一となり、電極の当接部分に対応する熱硬化性接着剤の電極対応部から端部へ向かって、熱硬化性接着剤が順次熱硬化する。熱硬化性接着剤の硬化速度に分布が生じ、少なくとも熱硬化性接着剤の端部が内側よりも遅延して硬化するため、熱硬化性接着剤中の硬化速度の遅い部分が脱気通路となり、熱硬化性接着剤の加熱によって発生する反応ガスが外部へ排出される。そのため、接合部となる硬化後の熱硬化性接着剤中には気泡が残りにくく、機械的強度を確保することができる。
第6の技術は、第5の技術において、前記温度分布形成部は、前記被接合部材の表面に当接する凹凸面であることを特徴とする。
本技術によれば、凹凸面によって被接合部材に温度分布を生じさせ、熱硬化性接着剤の硬化速度を制御して脱気を促進することで、簡易な構成によって、より好適に本技術を実施することが可能となる。
第7の技術は、第5の技術において、前記温度分布形成部は、前記被接合部材の表面に当接する略平坦面であり、熱伝導率の異なる複数の材料からなることを特徴とする。
本技術によれば、熱伝導率の異なる材料の組み合わせから被接合部材に温度分布を生じさせ、熱硬化性接着剤の硬化速度を制御することで、被接合部材への当接面を略平坦面として、より好適に本技術を実施することが可能となる。
第8の技術は、第6または第7の技術において、前記第1電極および前記第2電極間へ断続的に通電することを特徴とする。
本技術によれば、他方側の被接合部材に生じる温度分布をより顕著なものとし、熱硬化性接着剤の脱気を促進させることが可能となる。
第9の技術は、第5から第8の技術のいずれか1つにおいて、前記複数の被接合部材の積層方向の一方側において、前記第1電極と該被接合部材との間に、積層方向一方側に配置された該被接合部材の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有し、少なくとも前記熱硬化性接着剤が塗布された範囲と略同じ範囲に広がる被加熱板を介在させた状態で通電加熱を行うことを特徴とする。
本技術によれば、被接合部材の積層方向一方側からの熱をより確実に熱硬化性接着剤の塗布範囲全体へ伝えることが可能となる。
第10の技術は、第5から第9の技術のいずれか1つにおいて、前記積層された複数の被接合部材は、それぞれ互いに熱伝導率の異なる材料からなり、該複数の被接合部材のうち熱伝導率の高い前記被接合部材を、該複数の被接合部材の積層方向の一方側に配置することを特徴とする。
本技術によれば、汎用性の高い様々な接合対象物に対しても、被接合部材の積層方向一方側からの熱を確実に熱硬化性接着剤へ伝えることが可能となり、本技術が好適に実施可能となる。
第11の技術は、第10の技術において、前記複数の被接合部材の積層方向一方側の該被接合部材は、金属製であり、前記複数の被接合部材の積層方向他方側の該被接合部材は、樹脂製であることを特徴とする。
本技術によれば、被接合部材の積層方向一方側からの熱をより確実に熱硬化性接着剤へ伝えることが可能となり、本技術がより好適に実施される。
以上述べたように、本開示によると、受け部材によって他方側の被接合部材に温度分布を生じさせることにより、熱硬化性接着剤は被接合部材の面方向において硬化速度が不均一となる。熱硬化性接着剤中の硬化速度の遅い部分が脱気通路となって、熱硬化性接着剤の加熱によって発生する反応ガスが外部へ排出されるため、硬化後の熱硬化性接着剤中に気泡が残りにくく、通電加熱による短時間の加熱硬化であっても、接合部の機械的強度を確保することができる。
本発明の実施形態1に係る接合装置の構成を示す断面模式図である。 図1の要部拡大図である。 熱硬化性接着剤の温度分布を示す平面模式図である。 各施工条件における加熱時間と温度変化を示すグラフである。 実施例2に係る接合部を示す画像である。 比較例2に係る接合部を示す画像である。 実施例2に係る接合部の温度分布を示す画像とグラフである。 実施例3及び比較例3に係る試験片に対して行った引張り強度試験の説明図である。せん断強度試験を示す説明図である。 実施例3及び比較例3に係る試験片の荷重変位曲線を示すグラフである。 本発明の実施形態2に係る接合装置の構成を示す断面模式図である。 本発明の実施形態3に係る接合装置の構成を示す断面模式図である。
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
<実施形態1>
図1に、本発明の実施形態に係る接合装置の構成を示す模式的な断面図を示す。本実施形態に係る接合装置1は、積層された複数の被接合部材101,102の間に熱硬化性接着剤103を塗布した接合対象物100を通電加熱によって接合することにより、複数の被接合部材101,102を互いに接合する装置である。
実施形態1において、接合対象物100は、第1電極11および第2電極21と、支持部材50の間に挟み込まれ、支持部材50と接合対象物100との間には受け部材30が配置されている。接合装置1は、第1電極11および第2電極21を、支持部材50とともに、少なくとも接合対象物100および受け部材30を挟み込んだ状態で加圧当接させ、接合対象物100の積層方向一方側から両電極11,21間に通電することで熱硬化性接着剤103を熱硬化させて、被接合部材101,102を互いに接合する。
なお説明の便宜上、図面において、第1電極、第2電極、受け部材および接合対象物を含む要部以外の機械的構造は図示を省略している。接合装置1は、図1に示す以外にも多くの構成要素、例えば、第1電極および第2電極に接続される電源や駆動機構等を備えるが、これらについて図示及びその詳細な説明を省略する。
また、本明細書において便宜的に、要部における方向を以下のとおりとすることがある。すなわち、図1に示すように、被接合部材101,102が積層された方向(積層方向)を上下方向と呼び、上下方向に垂直な方向であって、被接合部材101,102の面方向となる方向を左右方向と呼ぶことがある。
<接合対象物>
接合対象物100は、上下に積層された複数の被接合部材101,102の間に熱硬化性接着剤103が塗布されてなる。接合対象物100の積層方向一方側から両電極間に通電されると、熱硬化性接着剤103が熱硬化し、熱硬化性接着剤103が塗布された範囲が接合部となって被接合部材101,102が接合される。
被接合部材101,102は、被接合箇所が板状の部材であって、材質は限定されないが、例えば、アルミニウム、鋼、鉄及びこれらの合金等の金属製の部材や、カーボン繊維強化複合金属材料製の部材等である。これらの部材は、具体的には例えば、フロントパネル、フロアパネル、リアパネル、サイドシル、トンネルレイン、クロスメンバ、フレーム、アウターパネル等の自動車用の車両部品や、航空機、電車等その他の車両部品、建材、工業製品等において互いに接合され得る部材である。
被接合部材101,102は、それぞれ互いに熱伝導率の異なる材料からなるものであってもよい。その場合、複数の被接合部材のうち、熱伝導率のより高い被接合部材を、接合対象物100の上側に配置することが好ましい。例えば、上側が金属製の被接合部材101であり、下側が樹脂製の被接合部材102である。
熱硬化性接着剤103としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を主成分とする一液加熱硬化型接着剤や、炭素繊維に熱可塑性樹脂を含浸させた繊維強化複合材料等が挙げられる。熱硬化性接着剤103の硬化条件は特に限定されるものではなく、熱硬化性接着剤103の種類に応じて適宜決定される。
<電極>
図1に示すように、実施形態1の第1電極11および第2電極21は、いずれも接合対象物100の上側(積層方向一方側)に配置され、接合対象物100へ向かって上下移動可能に構成されている。第1電極11および第2電極21は、接合対象物100の上方近傍に加圧当接させた状態で、接合対象物100の積層方向一方側から両電極11,21間に通電可能である。
具体的に、本実施形態において電極は、略円柱状の第1電極11と、第1電極11の外周に、第1電極11から面方向に間隔をあけて形成された第2電極21とから構成されている。第1電極11および第2電極21は、下端部が下方に向かって凸となる曲面に形成されており、例えば、スポット溶接に用いられる一般的な電極を用いることが可能である。ただし、電極の形状はこれに限定されるものではなく、第1電極および第2電極として、例えば分離電極のような電極を用いることも可能である。
<支持部材>
第1電極11および第2電極21が、いずれも接合対象物100の上側(積層方向一方側)に配置される実施形態では、支持部材50が、接合対象物100の下側(積層方向他方側)に配置される。支持部材50は、接合対象物100へ向かって上下移動可能であり、接合対象物100の下方近傍に当接して、第1電極11および第2電極21とともに接合対象物100を加圧可能に構成されている。支持部材50の形状は特に限定されるものではないが、本実施形態において支持部材50は、上端部が略平坦面に形成されている。支持部材50は、接合装置1に必須の構成要素ではない。例えば、第2電極が接合対象物100の下側に配置される他の実施形態では、第2電極が接合対象物の下側から加圧可能であるため、支持部材50を必要としない。
<被加熱板>
接合対象物100の上側において、第1電極11および第2電極21と被接合部材101との間には、被加熱板40を配置してもよい。被加熱板40は、例えば金属製の薄板であり、少なくとも熱硬化性接着剤103が塗布された範囲と略同じ範囲に広がるように配置される。被加熱板40は、複数積層して用いてもよい。
このような被加熱板40を、第1電極11および第2電極21と被接合部材101との間に介在させることで、第1電極11および第2電極21を、被接合部材101の表面に直接当接させることなく両電極11,21間に通電加熱させることが可能となるため、接合対象物100の外観不良を防ぐことができる。また、被加熱板40を、積層方向一方側の被接合部材101の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料からなるものとすれば、通電加熱により発生する抵抗熱をより確実に熱硬化性接着剤103の塗布範囲全体へ伝えることが可能となる。
<受け部材>
受け部材30は、接合対象物100の下側(積層方向他方側)に配置され、下側の被接合部材102の表面(下面)に当接する。本実施形態では、受け部材30は、支持部材50と接合対象物100との間に配置されている。受け部材30は、第1電極11および第2電極21間に通電された際に、当接する被接合部材102に対して、被接合部材102の面方向に温度分布を生じさせるように構成された温度分布形成部30aを有する。
図2に示すように、本実施形態において温度分布形成部30aは、受け部材30の上面に形成された凹凸面である。この温度分布形成部30aは、被接合部材102の下面に当接し、被接合部材102の面方向に凹凸による温度分布を生じさせるため、上から下へ伝わる熱Hに分布が生じ、熱硬化性接着剤103の硬化速度に分布を生じさせることが可能となる。
本実施形態のように、第1電極11および第2電極21が、いずれも接合対象物100の積層方向一方側に配置されている場合は、受け部材30に絶縁材料を用いることが可能であり、例えば、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維等からなる耐熱性の織布を用いることができる。本実施形態では、アルミナ繊維の織布(ニチアス社製、ルビロン(登録商標))を用いる。このような織布を受け部材30とすれば、織り目が凹凸面となり、簡易な構成で被接合部材102の面方向に温度分布を生じさせることができる。
熱硬化性接着剤103の塗布範囲の平面視略中央部を、電極11,21の当接部分に対応する電極対応部103aとする。図2および図3に示すように、第1電極11および第2電極21を、接合対象物100の近傍に加圧当接させた状態で、接合対象物100の上方から両電極11,21間に通電すると、上方から下方へ向かって積層方向に、かつ、電極対応部103aから端部103bへ向かって面方向に熱Hが広がり、熱硬化性接着剤103は上部から下部、かつ、内部から端部へ順次熱硬化される。その際、熱硬化性接着剤103の下部において、面方向に温度分布形成部30aによる硬化速度の分布が生じ、硬化の早い部分103Aと硬化の遅い部分103Bが生じる。熱硬化性接着剤103の熱硬化の際に生じる反応ガスGは、硬化の遅い部分103Bにおける未硬化の熱硬化性接着剤103を脱気通路として外部へ排出されるため、熱硬化性接着剤103内に残りにくい。
なお、受け部材30に織布を用いる場合、受け部材30が破れて損傷することを防ぐために、受け部材30と支持部材50との間に当て板41を配置してもよい。当て板41は、例えば、金属製の薄板である。
<施工条件>
本実施形態の接合装置は、施工条件によって、脱気の効果をさらに促進することが可能となる。図4に加熱時間と温度変化の関係を示すグラフを示す。図4のグラフの縦軸は接合対象物100の温度変化を示す。
施工条件1は、従来の施工条件であり、塗装乾燥炉内で加熱した場合の加熱時間と接合対象物100の温度変化を示している。加熱条件は、例えば、170℃,20minである。徐々に昇温して熱硬化性接着剤103の硬化温度へ達するため、熱硬化性接着剤103中に反応ガスが残り難いが、ズレや歪みが生じやすい。
施工条件2は、本実施形態の施工条件である。受け部材30による温度分布の形成に加え、施工条件2のように、第1電極11および第2電極21間へ断続的に通電させることにより、施工条件1よりも短時間で施工可能、かつ、熱硬化性接着剤103からの脱気を促す効果がより確実に得られる。施工条件2は、熱硬化性接着剤103を短時間で熱硬化させるが、断続的な通電により、熱硬化性接着剤103の硬化温度へ達する前に接合対象物100の温度を昇降させるため、被接合部材102の温度分布を促すとともに、熱硬化性接着剤103からの脱気を促すことができる。施工条件は熱硬化性接着剤103や接合対象物100の種類に応じて適宜決定されるが、本実施形態における施工条件2は、1200msec周期のパルス通電であって、7.5kA×200msecの通電およびクールタイム1000msecを40回繰り返す。
<検証実験>
施工条件1と2について、接合対象物100として自動車のドア部材を用い、施工条件と位置精度に関する検証を行った。比較例1および実施例1の組立工程および塗装乾燥工程における施工条件を表1に示す。
比較例1は、組立工程における熱硬化性接着剤103の硬化を行わず、熱硬化性接着剤103の硬化を全て塗装乾燥工程にて行うものとし、塗装乾燥炉内において施工条件1の加熱処理を行った。
実施例1は、組立工程において、スポット的に熱硬化性接着剤103を硬化させておき、さらに塗装乾燥工程において塗装乾燥炉内で加熱処理して全体を硬化させるものとした。具体的には、組立工程において、熱硬化性接着剤103を硬化させる際、本実施形態の接合装置1を用い、第1電極11および第2電極21間へ断続的に通電させることにより、施工条件2の加熱処理を行った。その後、塗装乾燥工程において、塗装乾燥炉内で施工条件1の加熱処理をして全体を硬化させた。
塗装乾燥工程の前後において、比較例1および実施例1のドア部材の変形を比較したところ、比較例1では変形が生じていたが、実施例1ではほとんど変形が生じず位置精度が高いことが確認された。
Figure 2023002107000002
次に、受け部材30による熱硬化性接着剤103中の脱気の効果を検証した。同じ接合対象物100に対して、受け部材30としてアルミナ繊維の織布を用いた実施例2と、受け部材として平坦なセラミックスシートを用いた比較例2とを用いた。実施例2および比較例2は、それぞれ本実施形態の接合装置1を用い、第1電極11および第2電極21間へ断続的に通電させることにより、施工条件2にて通電加熱した。硬化後の熱硬化性接着剤103(接合部)の断面を観察したところ、実施例2では、図5に示す画像のように、気泡はほとんど見られなかったが、比較例2では、図6に示す画像のように、気泡が界面に集積していた。
次に、受け部材30によって被接合部材102の面方向に温度分布が生じることを確認した。図7は、実施例2において、施工条件2の施工直後の接合対象物100をサーモグラフィによって平面視した画像と、その画像中の枠で囲まれた部分の温度を示す温度分布グラフである。図7に示すように、受け部材30が配置された範囲において、温度分布グラフが波状となっており、接合部において温度分布が生じていることが確認された。
次に、接合部の機械的強度を確認するため、図8に示す試験片を用意し、実施形態の接合装置1を用い、施工条件2を用いた方法により通電加熱した実施例3と、上記施工条件1を用いて塗装乾燥炉内で加熱した比較例3の、接合部の引張り強度を測定した。具体的には、試験片として、長さ100mm、幅30mm、厚さ0.7mmの2枚の被接合部材101,102を、端部が長さ方向に30mm重なり合うように配置し、その重なり部分に熱硬化性接着剤103を塗布したものを用いた。この試験片を、施工条件1および施工条件2にてそれぞれ施工を行い、接合させたものについて引張り強度を測定した。試験条件は、試験速度30cm/min、チャック間距離90mmである。引張強度試験の結果を図9に示す。接合装置1による通電により短時間で加熱を行った実施例3と、塗装乾燥炉内で長時間加熱した比較例3とでは、ほぼ同等の機械的強度を有することが確認された。
<作用効果>
本実施形態に係る接合装置および接合方法によれば、受け部材30が他方側の被接合部材102に温度分布を生じさせる。これにより、熱硬化性接着剤103は被接合部材101,102の面方向において硬化速度が不均一となり、電極11,21の当接部分に対応する熱硬化性接着剤103の電極対応部103aから端部へ向かって、熱硬化性接着剤103が順次熱硬化する。硬化速度に分布が生じ、少なくとも熱硬化性接着剤103の端部が内側よりも遅延して硬化するため、熱硬化性接着剤103中の硬化速度の遅い部分が脱気通路となり、熱硬化性接着剤103の加熱によって発生する反応ガスGが外部へ排出される。そのため、接合部となる硬化後の熱硬化性接着剤103中に気泡が残りにくく、機械的強度を確保することができる。このように、通電加熱による短時間の加熱硬化であっても、接合部の機械的強度を確保することが可能である。
<実施形態2>
実施形態2に係る接合装置1は、第1電極および第2電極の構成が実施形態1と異なる。すなわち、図10に示すように、第1電極12および第2電極22は、接合対象物100の上側(積層方向一方側)において、面方向に間隔をあけて隣り合う位置に配置されてもよい。実施形態2のように、例えば接合対象物100の左側から右側へ通電されても実施形態1と同様の効果が得られる。実施形態2においても、第1電極12および第2電極22を接合対象物100の近傍に加圧当接させた状態で、複数の被接合部材の積層方向一方側から両電極12,22間に通電すると、実施形態1と同様に複数の被接合部材の積層方向一方側から他方側へ向かって、かつ、第1電極12および第2電極22の当接部分に対応する熱硬化性接着剤103の電極対応部から端部へ向かって、熱硬化性接着剤103を順次熱硬化させることが可能であり、接合対象物100の積層方向他方側に配置された受け部材30によって、熱硬化性接着剤103の加熱によって発生する反応ガスが外部へ排出されやすい。
<実施形態3>
実施形態3に係る接合装置1は、第2電極の構成が上記実施形態と異なる。すなわち、図11に示すように、第1電極13は接合対象物100の上側(積層方向一方側)に配置され、第2電極23は、接合対象物100の下側(積層方向他方側)に配置されてもよい。実施形態3では、第1電極13および第2電極23が、接合対象物100および受け部材31を積層方向に挟み込んで加圧するため、接合対象物100の下側に支持部材50を必要としない。また、このような構成の場合、第1電極13から第2電極23へ向かって接合対象物100の積層方向に通電されるように、受け部材31に導体を用いる。実施形態3においても、第1電極13および第2電極23を接合対象物100の近傍に加圧当接させた状態で、複数の被接合部材の積層方向一方側から両電極13,23間に通電すると、実施形態1と同様に、複数の被接合部材の積層方向一方側から他方側へ向かって、かつ、第1電極13および第2電極23の当接部分に対応する熱硬化性接着剤103の電極対応部から端部へ向かって、熱硬化性接着剤103を順次熱硬化させることが可能である。実施形態3においても、上記実施形態と同様に、接合対象物100の積層方向他方側に配置された受け部材31によって、熱硬化性接着剤103の加熱によって発生する反応ガスが外部へ排出されやすい。
<他の実施形態>
実施形態1において、受け部材30の温度分布形成部30aとして凹凸面を有するアルミナ繊維の織布を用いたが、温度分布形成部の構成はこの限りではない。例えば、温度分布形成部は、被接合部材の表面に当接する略平坦面であり、熱伝導率の異なる複数の材料からなるものであってもよい。また、例えば、受け部材は水冷によって温度分布を生じさせる構成としてもよい。
本開示の接合装置及び接合方法は、熱硬化性接着剤からの脱気を促進し、短い加熱時間であっても機械的強度に優れた接合部とする接合装置及び接合方法として産業上有用である。
1 接合装置
11,12,13 第1電極
21,22,23 第2電極
30,31 受け部材
30a 温度分布形成部
40 被加熱板
50 支持部材
100 接合対象物
101 被接合部材
102 被接合部材
103 熱硬化性接着剤
103a 電極対応部
103b 端部
H 熱
G 反応ガス

Claims (11)

  1. 積層された複数の被接合部材の間に熱硬化性接着剤を塗布した接合対象物を通電加熱することにより、該複数の被接合部材を互いに接合する装置であって、
    前記複数の被接合部材の積層方向一方側に配置された第1電極と、
    前記複数の被接合部材の積層方向一方側または他方側に配置された第2電極と、
    前記複数の被接合部材の積層方向他方側に配置され、該被接合部材の表面に当接する受け部材と、を備え、
    前記受け部材は、前記第1電極および前記第2電極間に通電された際に、当接する前記被接合部材に対して、該被接合部材の面方向に温度分布を生じさせるように構成された温度分布形成部を有し、
    前記第1電極および前記第2電極を前記接合対象物の近傍に加圧当接させた状態で、前記複数の被接合部材の積層方向一方側から両電極間に通電し、該複数の被接合部材の積層方向一方側から他方側へ向かって、かつ、前記第1電極および前記第2電極の当接部分に対応する前記熱硬化性接着剤の電極対応部から端部へ向かって、該熱硬化性接着剤を順次熱硬化させて、前記接合対象物の接合を行うことを特徴とする接合装置。
  2. 請求項1において、
    前記温度分布形成部は、前記被接合部材の表面に当接する凹凸面であることを特徴とする接合装置。
  3. 請求項1において、
    前記温度分布形成部は、前記被接合部材の表面に当接する略平坦面であり、熱伝導率の異なる複数の材料からなることを特徴とする接合装置。
  4. 請求項2または3において、
    前記第1電極および前記第2電極は、両電極間へ断続的に通電可能に構成されていることを特徴とする接合装置。
  5. 積層された複数の被接合部材の間に熱硬化性接着剤を塗布した接合対象物を通電加熱することにより、該複数の被接合部材を互いに接合する方法であって、
    前記複数の被接合部材の積層方向一方側に配置された第1電極と、
    前記複数の被接合部材の積層方向一方側または他方側に配置された第2電極と、
    前記複数の被接合部材の積層方向他方側に配置され、該被接合部材の表面に当接する受け部材と、を備え、
    前記受け部材は、前記第1電極および前記第2電極間に通電された際に、当接する前記被接合部材に対して、該被接合部材の面方向に温度分布を生じさせるように構成された温度分布形成部を有し、
    前記第1電極および前記第2電極を前記接合対象物の近傍に加圧当接させた状態で、前記複数の被接合部材の積層方向一方側から両電極間に通電し、該複数の被接合部材の積層方向一方側から他方側へ向かって、かつ、前記第1電極および前記第2電極の当接部分に対応する前記熱硬化性接着剤の電極対応部から端部へ向かって、該熱硬化性接着剤を順次熱硬化させて、前記接合対象物の接合を行うことを特徴とする接合方法。
  6. 請求項5において、
    前記温度分布形成部は、前記被接合部材の表面に当接する凹凸面であることを特徴とする接合方法。
  7. 請求項5において、
    前記温度分布形成部は、前記被接合部材の表面に当接する略平坦面であり、熱伝導率の異なる複数の材料からなることを特徴とする接合方法。
  8. 請求項6または7において、
    前記第1電極および前記第2電極間へ断続的に通電することを特徴とする接合方法。
  9. 請求項5から8のいずれか1項において、
    前記複数の被接合部材の積層方向の一方側において、前記第1電極と該被接合部材との間に、積層方向一方側に配置された該被接合部材の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有し、少なくとも前記熱硬化性接着剤が塗布された範囲と略同じ範囲に広がる被加熱板を介在させた状態で通電加熱を行うことを特徴とする接合方法。
  10. 請求項5から9のいずれか1項において、
    前記積層された複数の被接合部材は、それぞれ互いに熱伝導率の異なる材料からなり、該複数の被接合部材のうち熱伝導率の高い前記被接合部材を、該複数の被接合部材の積層方向の一方側に配置することを特徴とする接合方法。
  11. 請求項10において、
    前記複数の被接合部材の積層方向一方側の該被接合部材は、金属製であり、
    前記複数の被接合部材の積層方向他方側の該被接合部材は、樹脂製であることを特徴とする接合方法。
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