JP2022552260A - 眼治療のための組成物および方法 - Google Patents
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Abstract
マトリクスメタロプロテイナーゼ3(MMP-3)の発現のための組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)粒子の単位用量が提供される。さらに、組換えMMP-3の単位用量が提供される。また、例えば、対象の角膜内皮の形質導入、対象の眼の眼圧の低減、対象の眼圧上昇の治療および/または予防、ならびに対象の緑内障の治療および/または予防における、その使用方法も提供される。対象には霊長類が含まれる。【選択図】図1
Description
本開示は、治療遺伝子の送達のためのアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの使用を含む、眼治療に関する。
関連出願への相互参照
本出願は、2019年10月8日に出願された米国仮特許出願第62/912,427号の優先権を主張するものであり、その開示は、すべての目的に対しその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本出願は、2019年10月8日に出願された米国仮特許出願第62/912,427号の優先権を主張するものであり、その開示は、すべての目的に対しその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
配列表の組み込み
本明細書とともに電子的に提出されたテキストファイルの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。配列表のコンピュータ可読形式コピー(ファイル名:EXHA_004_01WO_SeqList_ST25.txt、記録日2020年10月7日、ファイルサイズ50kb)。
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眼圧(IOP)は、毛様体突起による房水(AH)の産生と、線維柱帯網(TM)およびシュレム管(SC)を含む従来の流出経路を通した房水の流出に対する流体力学的抵抗との間のバランスの結果として維持される。IOP上昇は、AH流出に対する耐性の増加によって引き起こされる可能性があり、開放隅角緑内障の主要なリスク因子である。マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、細胞外マトリクスをリモデリングする能力において従来の房水流出の恒常性維持に寄与し、これは房水流出抵抗およびIOPに直接影響を与える。ヒト緑内障性AHでは、同年齢の正常圧の対照AHと比較して、MMP-3活性の低下が観察された。緑内障性AHでの治療は、対照AHと比較した場合、または外因性MMP-3で治療を補充した場合、SC内皮およびTM細胞単層の経内皮抵抗を有意に増加させ、単層の透過性を減少させた。
IOP上昇のための遺伝子療法または組換えタンパク質ベースの治療についての改善された組成物および方法に対する満たされていない必要性が、依然として存在する。本開示は、この必要性に対処し、解決するための新規の組成物および方法を提供する。
一態様では、眼治療のための組成物および方法が提供される。一態様では、組成物は、特定の眼疾患を治療するために使用することができる。一部の態様では、組成物は、MMP-3の核酸配列およびタンパク質配列を含む。
一部の態様では、本開示は、複数の血清型9の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV9)粒子を含む単位用量を提供し、ここで、複数のrAAV9粒子の各rAAV9が非複製であり、複数のrAAV9粒子の各rAAV9が、(a)5’逆位末端リピート(ITR)をコードする配列、(b)プロモーターをコードする配列、(c)ヒトマトリクスメタロプロテイナーゼ3(hMMP-3)をコードする配列;(d)ポリアデニル化(ポリA)シグナルをコードする配列、および(e)3’ITRをコードする配列、を5’から3’に向かって含むポリヌクレオチドを含み、単位用量が、rAAV9粒子の1×1010ベクターゲノム(vg)~5×1012vg(終点を含む)を含む。
一部の実施形態では、単位用量は、(i)無菌であり、(ii)薬学的に許容可能な担体を含む。一部の実施形態では、複数のrAAV9粒子の各rAAV9は、一本鎖AAV(ssAAV)ベクターである。一部の実施形態では、複数のrAAV9粒子の各rAAV9は、自己相補的AAV(scAAV)ベクターである。一部の実施形態では、プロモーターはCMVプロモーターを含み、CMVプロモーターをコードする配列は、配列番号6、配列番号7、もしくは配列番号19の配列、または、それに対する80%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を任意選択的に有するその機能的変異体を含むかまたはそれからなる。一部の実施形態では、ヒトMMP-3をコードする配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号10、もしくは配列番号22のMMP-3アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、または、それに対する80%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を任意選択的に有するその機能的変異体を含むかまたはそれからなる。一部の実施形態では、MMP-3アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、野生型ヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、MMP-3をコードする配列は、配列番号9、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、もしくは配列番号27のヌクレオチド配列を含むかもしくはそれからなる、またはそれに対する少なくとも80%、90%、95%、97%、99%の配列同一性を共有する。一部の実施形態では、5’ITRをコードする配列は、血清型2のAAV(AAV2)の5’ITR配列から誘導される。一部の実施形態では、5’ITRをコードする配列は、AAV2の5’ITRの配列と同一の配列を含む。一部の実施形態では、5’ITRをコードする配列は、配列番号5、配列番号14、または配列番号15のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。一部の実施形態では、3’ITRをコードする配列は、AAV2の3’ITR配列から誘導される。一部の実施形態では、3’ITRをコードする配列は、AAV2の3’ITRの配列と同一の配列を含む。一部の実施形態では、3’ITRをコードする配列は、配列番号12、または配列番号16~18のうちのいずれか一つのヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。一部の実施形態では、ポリAシグナルをコードする配列は、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリA配列を含む。一部の実施形態では、hGHポリAシグナルをコードする配列は、配列番号11のヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、コザック配列をさらに含む。一部の実施形態では、コザック配列は、CGCCACCATG(配列番号21)のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、(配列番号:ベクター(VECTOR))の配列を含むかまたはそれからなる。一部の実施形態では、rAAV9粒子は、AAV血清型9(AAV9)Capタンパク質から単離または誘導されたウイルスCapタンパク質を含む。一部の態様では、本開示は、組換えマトリクスメタロプロテイナーゼ3(MMP-3)タンパク質を含む単位用量を提供し、単位用量は、1ミリリットル当たり1ミリグラム(mg/mL)~500mg/mL(終点を含む)の組換えMMP-3タンパク質、または0.1ナノグラム(ng)~10ng(終点を含む)の組換えMMP-3タンパク質を含む。一部の実施形態では、単位用量は、約10ng/mLの組換えMMP-3タンパク質を含む。一部の実施形態では、組換えMMP-3タンパク質は、ヒトMMP-3タンパク質である。一部の実施形態では、組換えMMP-3タンパク質は、配列番号1、配列番号2、配列番号10、もしくは配列番号22の配列を含むかもしくはそれからなるポリペプチド配列、または、それに対する80%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を任意選択的に有するその機能的変異体もしくは機能的断片を有する。
一部の態様では、本開示は、対象の角膜内皮を形質導入する方法であって、本明細書に記載の単位用量の有効量を投与することを含み、対象は霊長類である、方法を提供する。一部の実施形態では、単位用量の有効量を投与することが、0.01ng/mL~約10ng/mL(終点を含む)、0.01ng/mL~約500ng/mL(終点を含む)、または0.01ng/mL~約1000ng/mL(終点を含む)の測定濃度の、対象の眼の房水におけるMMP-3の発現をもたらす。一部の実施形態では、測定濃度は、1ng/mL以上である。一部の実施形態では、測定濃度は、10ng/mL以下である。一部の実施形態では、測定濃度は、1~10ng/mL(終点を含む)である。一部の実施形態では、測定濃度は、少なくとも1~3ng/mL(終点を含む)である。一部の実施形態では、MMP-3の発現は、少なくとも21日間、42日間、56日間、または66日間維持される。一部の実施形態では、MMP-3の発現は、少なくとも90日間維持される。一部の実施形態では、房水中におけるMMP-3の発現は、ウェスタンブロットまたはELISAによって測定される。一部の実施形態では、本方法は、房水流出能を少なくとも25%、または少なくとも30%増加させる。一部の実施形態では、房水流出能の増加は、投与工程の約66日以内に生じる。一部の実施形態では、角膜厚は、投与工程前の対象における角膜厚と比べて、および/または対照単位用量を投与された対象における角膜厚と比べて変化しないままである。一部の実施形態では、本方法は、炎症反応を引き起こさない。一部の実施形態では、本方法は、対象の血清中のMMP-3のベースラインレベルを超えて上昇しないMMP-3の血清レベルをもたらす。一部の実施形態では、投与工程は、対象の少なくとも一方の眼への単位用量の前房内注射を含む。
一部の態様では、本開示は、対象の少なくとも一方の眼の眼圧(IOP)を低減する方法であって、本明細書に記載の単位用量の有効量を投与することを含み、対象は霊長類である、方法を提供する。一部の実施形態では、単位用量の有効量を投与することが、0.01ng/mL~約10ng/mL(終点を含む)の測定濃度の、対象の眼の房水におけるMMP-3の発現をもたらす。一部の実施形態では、測定濃度は、1ng/mL以上である。一部の実施形態では、測定濃度は、10ng/mL以下である。一部の実施形態では、測定濃度は、1~10ng/mL(終点を含む)である。一部の実施形態では、測定濃度は、少なくとも1~3ng/mL(終点を含む)である。一部の実施形態では、MMP-3の発現は、少なくとも21日間、42日間、56日間、または66日間維持される。一部の実施形態では、MMP-3の発現は、少なくとも90日間維持される。一部の実施形態では、MMP-3の発現は、ウェスタンブロットまたはELISAによって測定される。一部の実施形態では、本方法は、房水流出能を少なくとも25%、または少なくとも30%増加させる。一部の実施形態では、本方法は、眼圧(IOP)を低減する。一部の実施形態では、角膜厚は、投与工程前の対象における角膜厚と比べて、および/または対照単位用量を投与された対象における角膜厚と比べて変化しないままである。一部の実施形態では、本方法は、炎症反応を引き起こさない。一部の実施形態では、本方法は、対象の血清中のMMP-3のベースラインレベルを超えて上昇しないMMP-3の血清レベルをもたらす。一部の実施形態では、投与工程は、対象の少なくとも一方の眼の角膜への単位用量の注射を含む。一部の実施形態では、投与工程は、対象の少なくとも一方の眼の側頭角膜(temporal cornea)への単位用量の注射を含む。一部の実施形態では、投与工程は、対象の少なくとも一方の眼への単位用量の前房内注射を含む。
一部の態様では、本開示は、対象におけるIOP上昇および/または緑内障を治療および/または予防する方法であって、本明細書に記載の単位用量の有効量を投与することを含み、対象は霊長類である、方法を提供する。
一部の態様では、本開示は、対象の角膜内皮を形質導入する方法であって、複数の血清型9の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV9)粒子を含む単位用量の有効量を対象に投与することを含み、対象は霊長類であり、複数のrAAV9粒子の各rAAV9が非複製であり、複数のrAAV9粒子の各rAAV9が一本鎖AAV(ssAAV)であり、複数のrAAV9粒子の各rAAV9が、(a)5’逆位末端リピート(ITR)をコードする配列、(b)プロモーターをコードする配列、(c)マトリクスメタロプロテイナーゼ3(MMP-3)をコードする配列、(d)ポリアデニル化(ポリA)シグナルをコードする配列、および(e)3’ITRをコードする配列、を5’から3’に向かって含むポリヌクレオチドを含み、単位用量は、(i)1×1010のベクターゲノム(vg)~5×1012vgと(終点を含む)のrAAV9粒子、または(ii)1ミリリットル(mL)当たり約1×1011のベクターゲノム(vg)~1×1014vg/mLのrAAV9粒子、を含み;単位用量の有効量を投与することが、0.01ng/mL~約10ng/mL(終点を含む)の測定濃度の、対象の眼の房水におけるMMP-3の発現をもたらす、方法を提供する。一部の実施形態では、MMP-3をコードする配列は、配列番号9、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、もしくは配列番号27のヌクレオチド配列を含むかもしくはそれからなる、またはそれに対する少なくとも80%、90%、95%、97%、99%の配列同一性を共有する。
一部の態様では、本開示は、対象の角膜内皮を形質導入する方法であって、複数の血清型9の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV9)粒子を含む単位用量の有効量を対象に投与することを含み、ここで対象は霊長類であり、複数のrAAV9粒子の各rAAV9が非複製であり、複数のrAAV9粒子の各rAAV9が一本鎖AAV(ssAAV)であり、複数のrAAV9粒子の各rAAV9が、(a)5’逆位末端リピート(ITR)をコードする配列、(b)プロモーターをコードする配列、(c)導入遺伝子をコードする配列;(d)ポリアデニル化(ポリA)シグナルをコードする配列、(e)3’ITRをコードする配列、を5’から3’に向かって含むポリヌクレオチドを含む、方法を提供する。
一部の態様では、本開示は、任意選択的にプロモーターに作動可能に連結された、ヒトマトリクスメタロプロテイナーゼ3(hMMP-3)またはその機能的変異体をコードする導入遺伝子を含む発現カセットを含む遺伝子療法ベクターであって、導入遺伝子が、ヒト宿主細胞における発現のために最適化されている、遺伝子療法ベクターを提供する。一部の実施形態では、ヒト宿主細胞はヒト角膜内皮細胞である。一部の実施形態では、導入遺伝子は、配列番号23~27から選択される配列と、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも97%の同一性、または少なくとも99%の同一性、を共有する。一部の実施形態では、導入遺伝子は、配列番号23~27から選択される配列を含む。一部の実施形態では、導入遺伝子は、配列番号23と少なくとも95%の同一性を共有するか、または配列番号23と同一である。一部の実施形態では、導入遺伝子は、配列番号24と少なくとも95%の同一性を共有するか、または配列番号24と同一である。一部の実施形態では、導入遺伝子は、配列番号25と少なくとも95%の同一性を共有するか、または配列番号25と同一である。一部の実施形態では、導入遺伝子は、配列番号26と少なくとも95%の同一性を共有するか、または配列番号26と同一である。一部の実施形態では、導入遺伝子は、配列番号27と少なくとも95%の同一性を共有するか、または配列番号27と同一である。一部の実施形態では、ベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。一部の実施形態では、AAVベクターはAAV9ベクターである。一部の実施形態では、AAVベクターは一本鎖AAV(ssAAV)ベクターである。一部の実施形態では、AAVベクターは、自己相補的AAV(ssAAV)ベクターである。
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載される遺伝子療法ベクターを含む医薬組成物を提供する。
一部の態様では、本開示は、それを必要とする対象におけるIOP上昇および/または緑内障を治療および/または予防する方法であって、有効量の記載の遺伝子療法ベクター、または記載の医薬組成物を対象に投与することを含み、対象は霊長類である、方法を提供する。
一部の態様では、本開示は、ヒトマトリクスメタロプロテイナーゼ3(hMMP-3)またはその機能的変異体をコードする導入遺伝子を含むポリヌクレオチドであって、導入遺伝子が、ヒト宿主細胞における発現のために最適化されている、ポリヌクレオチドを提供する。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、導入遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターを含む。一部の実施形態では、ヒト宿主細胞はヒト角膜内皮細胞である。一部の実施形態では、導入遺伝子は、配列番号23~27から選択される配列と、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも97%の同一性、または少なくとも99%の同一性、を共有する。一部の実施形態では、導入遺伝子は、配列番号23~27から選択される配列を含む。一部の実施形態では、導入遺伝子は、配列番号23と少なくとも95%の同一性を共有するか、または配列番号23と同一である。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、導入遺伝子に隣接するアデノ随伴ウイルス(AAV)末端リピート(ITR)を含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは単離ポリヌクレオチドである。
一部の実施形態では、導入遺伝子は、配列番号24と少なくとも95%の同一性を共有するか、または配列番号24と同一である。一部の実施形態では、導入遺伝子は、配列番号25と少なくとも95%の同一性を共有するか、または配列番号25と同一である。一部の実施形態では、導入遺伝子は、配列番号26と少なくとも95%の同一性を共有するか、または配列番号26と同一である。一部の実施形態では、導入遺伝子は、配列番号27と少なくとも95%の同一性を共有するか、または配列番号27と同一である。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、導入遺伝子に隣接するアデノ随伴ウイルス(AAV)末端リピート(ITR)を含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは単離ポリヌクレオチドである。
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載されるポリヌクレオチドを含む単離細胞を提供する。
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載のポリヌクレオチドを含む医薬組成物を提供する。
本発明のさらなる態様および実施形態は、以下の詳細な説明によって提供される。
配列リスト
配列番号: 説明
1 完全長ヒトMMP-3アミノ酸配列
2 組換えヒトMMP-3アミノ酸配列(プロペプチドドメインの欠如)
3 完全長ベクター(骨格を含まない)
4 発現カセット(ITRを含まない)
5 AAV2 ITR 1-130 130bp
6 CMVエンハンサー210-513 304bp
7 CMVプロモーター514-716 203bp
8 ヒトベータグロビンイントロン 809-1301 493bp
9 ヒトMMP3 1332-2765 1434bp(ヌクレオチド)
10 ヒトMMP3 1332-2765 1434bp(アミノ酸)
11 hGHポリ(A)シグナル 2847-3323 477bp
12 AAV2 ITR(逆位) 3363-3503 141bp
13 AAV9キャプシド配列
14 5’ITR
15 5’ITR
16 3’ITR
17 3’ITR
18 3’ITR
19 CMVエンハンサー/プロモーター
20 hGHポリA
21 コザック
22 完全長ヒトMMP-3アミノ酸配列(シグナル配列なし)
23 MMP3 Opt 1
24 MMP3 Opt 2
25 MMP3 Opt 3
26 天然MMP3 CpG枯渇
27 MMP3 Opt3 CpG枯渇
配列番号: 説明
1 完全長ヒトMMP-3アミノ酸配列
2 組換えヒトMMP-3アミノ酸配列(プロペプチドドメインの欠如)
3 完全長ベクター(骨格を含まない)
4 発現カセット(ITRを含まない)
5 AAV2 ITR 1-130 130bp
6 CMVエンハンサー210-513 304bp
7 CMVプロモーター514-716 203bp
8 ヒトベータグロビンイントロン 809-1301 493bp
9 ヒトMMP3 1332-2765 1434bp(ヌクレオチド)
10 ヒトMMP3 1332-2765 1434bp(アミノ酸)
11 hGHポリ(A)シグナル 2847-3323 477bp
12 AAV2 ITR(逆位) 3363-3503 141bp
13 AAV9キャプシド配列
14 5’ITR
15 5’ITR
16 3’ITR
17 3’ITR
18 3’ITR
19 CMVエンハンサー/プロモーター
20 hGHポリA
21 コザック
22 完全長ヒトMMP-3アミノ酸配列(シグナル配列なし)
23 MMP3 Opt 1
24 MMP3 Opt 2
25 MMP3 Opt 3
26 天然MMP3 CpG枯渇
27 MMP3 Opt3 CpG枯渇
詳細な説明
本開示は、概して、霊長類対象(例えば、サル、類人猿およびヒト)における眼病態の治療での、組換えタンパク質および遺伝子療法ベクター、特にアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの治療使用、ならびに、眼への、AAVベクターを使用することによる、または組換えタンパク質、例えば、組換えヒトMMP-3(rhMMP-3)の注射を指向させることによる、プロテイナーゼ、および限定はしないが、マトリクスメタロプロテイナーゼ3(MMP-3)などの、マトリクスメタロプロテイナーゼを含む遺伝子の治療送達に関する。本明細書では、対象の眼の房水流出能を増加しながら、および/または対象の眼の眼圧を低減しながら、対象の角膜内皮を含む眼の前房に構造を効果的に形質導入する、AAVベクターが開示される。AAVベクターの単位用量が、対象における眼圧上昇の低減および/または予防に効果的であると判定される濃度でさらに本明細書に開示される。rhMMP-3の単位用量が、対象における眼圧上昇の低減および/または予防に効果的であると判定される濃度でさらに本明細書に開示される。一部の実施形態では、対象は霊長類である。
本開示は、概して、霊長類対象(例えば、サル、類人猿およびヒト)における眼病態の治療での、組換えタンパク質および遺伝子療法ベクター、特にアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの治療使用、ならびに、眼への、AAVベクターを使用することによる、または組換えタンパク質、例えば、組換えヒトMMP-3(rhMMP-3)の注射を指向させることによる、プロテイナーゼ、および限定はしないが、マトリクスメタロプロテイナーゼ3(MMP-3)などの、マトリクスメタロプロテイナーゼを含む遺伝子の治療送達に関する。本明細書では、対象の眼の房水流出能を増加しながら、および/または対象の眼の眼圧を低減しながら、対象の角膜内皮を含む眼の前房に構造を効果的に形質導入する、AAVベクターが開示される。AAVベクターの単位用量が、対象における眼圧上昇の低減および/または予防に効果的であると判定される濃度でさらに本明細書に開示される。rhMMP-3の単位用量が、対象における眼圧上昇の低減および/または予防に効果的であると判定される濃度でさらに本明細書に開示される。一部の実施形態では、対象は霊長類である。
野生型マウスへのCMV駆動型マウスMMP-3遺伝子(AAV-muMMP-3)を含有するAAV-2/9の前房内接種は、角膜内皮の効率的な形質導入と、muMMP-3の水性濃度および活性の増加をもたらした。O’Callaghan et al.Hum.Mol.Genet.26:1230-1246(2017)。しかしながら、霊長類に対する効果的な投与戦略の決定は、マウスと霊長類との間のMMP-3配列の差異、マウスと霊長類との間のサイズ差、および角膜内皮の生理学と細胞生物学との差異により妨げられる。霊長類の角膜上皮を形質導入する過去の努力は、導入遺伝子発現が70日以内に消失し、炎症が起こることを示してきた。Buie et al.Investigative Ophthalmology & Visual Science 51:236-48(2010)。過去の努力は、組換えタンパク質(rhMMP-3)またはhMMP-3遺伝子をコードする遺伝子療法ベクターのいずれかとして、ヒトMMP-3(本明細書ではhMMP-3または代替的にhuMMP-3と呼称される)の前房内送達(すなわち、目の前房への送達)を特徴付けなかった。
単位用量
複数の組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)粒子の単位用量および組換えヒトマトリクスメタロプロテイナーゼ3(rhMMP-3)タンパク質の単位用量が本明細書に提供される。本明細書で使用される場合、「単位用量」は、単回投与で対象に投与される治療用組成物の量を指す。単回投与は、1回の注射、または、例えば、1時間、2時間、12時間、もしくは24時間などの所定の時間内の複数回の注射で投与され得る。
複数の組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)粒子の単位用量および組換えヒトマトリクスメタロプロテイナーゼ3(rhMMP-3)タンパク質の単位用量が本明細書に提供される。本明細書で使用される場合、「単位用量」は、単回投与で対象に投与される治療用組成物の量を指す。単回投与は、1回の注射、または、例えば、1時間、2時間、12時間、もしくは24時間などの所定の時間内の複数回の注射で投与され得る。
単位用量は、治療用組成物(例えば、AAV粒子または組み換えタンパク質)の量、濃度、および/または体積によって定義され得る。AAVについては、ゲノム粒子(gp)、DNase耐性粒子(DRP)、またはベクターゲノム(vg)の観点から量が表され得る。本明細書で使用される場合、「ベクターゲノム」は、参照標準に対する定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)滴定によって決定される粒子の数を指す。DNAseを用いてキャプシド形成されていないDNAを除去し、次いで、インキュベーションプロテイナーゼKによってウイルスタンパク質を分解する。サンプルは希釈され、2X TAQMAN Universal Master Mix、ウイルス粒子のポリヌクレオチド(例えば、MMP-3をコードするポリヌクレオチド)を標的化する20X TAQMAN遺伝子発現アッセイプローブ、およびRNaseフリー水を含むマスターミックスを使用して四重で実施される。サンプルは、既知の濃度の標準曲線および参照標準と比較される。qPCR反応は、事前の10分間のポリメラーゼ活性化工程で、STEPONEPLUS(アプライドバイオシステムズ(登録商標))機器上で40サイクルの変性およびアニーリングで実施される。データは機器上で分析される。ウイルスゲノムの一部またはすべてを含有するプラスミドDNAを、参照標準として使用してもよい。例えば、EGFPをコードする配列を含むポリヌクレオチドを含むAAV粒子の参照標準として、pcDNA3-EGFPを使用してもよい。MMP-3をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含むAAV粒子については、AAV粒子を生成するために使用されるプラスミドを、qPCRによってAAV粒子の力価を決定するための参照標準として使用してもよい。qPCR用のプライマーは、参照標準およびウイルスゲノムの両方を増幅するように選択される。
AAV粒子の濃度を力価として表してもよく、それは、体積で割った量、例えば、1ミリリットル当たりのベクターゲノム(vg/mL)、gp/mL、およびDRP/mLである。一部の実施形態では、単位用量は、1ミリリットル当たり1×109ベクターゲノム(vg/mL)~5×1013vg/mL(終点を含む)のrAAV9粒子の濃度を含む。一部の実施形態では、単位用量は、1×109vg/mL~2.5×109vg/mL、2.5×109vg/mL~5×109vg/mL、5×109vg/mL~7.5×109vg/mL、7.5×109vg/mL~1×1010vg/mL、1×1010vg/mL~2.5×1010vg/mL、2.5×1010vg/mL~5×1010vg/mL、5×1010vg/mL~7.5×1010vg/mL、7.5×1010vg/mL~1×1011vg/mL、1×1011vg/mL~2.5×1011vg/mL、2.5×1011vg/mL~5×1011vg/mL、5×1011vg/mL~7.5×1011vg/mL、7.5×1011vg/mL~1×1012vg/mL、1×1012vg/mL~2.5×1012vg/mL、2.5×1012vg/mL~5×1012vg/mL、5×1012vg/mL~7.5×1012vg/mL、7.5×1012vg/mL~1×1013vg/mL、1×1013vg/mL~2.5×1013vg/mL、または2.5×1013vg/mL~5×1013vg/mLの、rAAV9粒子の濃度を含む。
一部の実施形態では、単位用量は、約1×109vg/mL、約2.5×109vg/mL、約5×109vg/mL、約7.5×109vg/mL、約1×1010vg/mL、約2.5×1010vg/mL、約5×1010vg/mL、約7.5×1010vg/mL、約1×1011vg/mL、約2.5×1011vg/mL、約5×1011vg/mL、約7.5×1011vg/mL、約1×1012vg/mL、約2.5×1012vg/mL、約5×1012vg/mL、約7.5×1012vg/mL、約1×1013vg/mL、約2.5×1013vg/mL、または約5×1013vg/mLの、rAAV9粒子の濃度を含む。
一部の実施形態では、単位用量は、1×107ベクターゲノム(vg)~5×1012vg(終点を含む)のrAAV9粒子を含む。一部の実施形態では、単位用量は、1×107vg~2.5×107vg、2.5×107vg~5×107vg、5×107vg~7.5×107vg、7.5×107vg~1×108vg、1×108vg~2.5×108vg、2.5×108vg~5×108vg、5×108vg~7.5×108vg、7.5×108vg~1×109vg、1×109vg~2.5×109vg、2.5×109vg~5×109vg、5×109vg~7.5×109vg、7.5×109vg~1×1010vg、1×1010vg~2.5×1010vg、2.5×1010vg~5×1010vg、5×1010vg~7.5×1010vg、7.5×1010vg~1×1011vg、1×1011vg~2.5×1011vg、2.5×1011vg~5×1011vg、5×1011vg~7.5×1011vg、7.5×1011vg~1×1012vg、1×1012vg~2.5×1012vg、または2.5×1012vg~5×1012vg、のrAAV9粒子を含む。
一部の実施形態では、単位用量は、約1×107vg、約2.5×107vg、約5×107vg、約7.5×107vg、約1×108vg、約2.5×108vg、約5×108vg、約7.5×108vg、約1×109vg、約2.5×109vg、約5×109vg、約7.5×109vg、約1×1010vg、約2.5×1010vg、約5×1010vg、約7.5×1010vg、約1×1011vg、約2.5×1011vg、約5×1011vg、約7.5×1011vg、約1×1012vg、約2.5×1012vg、または約5×1012vg、のrAAV9粒子を含む。
一部の実施形態では、単位用量は、1ミリリットル当たり1×109ベクターゲノム(vg/mL)~5×1013vg/mL(終点を含む)のrAAV粒子の濃度を含む。一部の実施形態では、単位用量は、1×109vg/mL~2.5×109vg/mL、2.5×109vg/mL~5×109vg/mL、5×109vg/mL~7.5×109vg/mL、7.5×109vg/mL~1×1010vg/mL、1×1010vg/mL~2.5×1010vg/mL、2.5×1010vg/mL~5×1010vg/mL、5×1010vg/mL~7.5×1010vg/mL、7.5×1010vg/mL~1×1011vg/mL、1×1011vg/mL~2.5×1011vg/mL、2.5×1011vg/mL~5×1011vg/mL、5×1011vg/mL~7.5×1011vg/mL、7.5×1011vg/mL~1×1012vg/mL、1×1012vg/mL~2.5×1012vg/mL、2.5×1012vg/mL~5×1012vg/mL、5×1012vg/mL~7.5×1012vg/mL、7.5×1012vg/mL~1×1013vg/mL、1×1013vg/mL~2.5×1013vg/mL、または2.5×1013vg/mL~5×1013vg/mLの、rAAV粒子の濃度を含む。
一部の実施形態では、単位用量は、約1×109vg/mL、約2.5×109vg/mL、約5×109vg/mL、約7.5×109vg/mL、約1×1010vg/m、約2.5×1010vg/mL、約5×1010vg/mL、約7.5×1010vg/mL、約1×1011vg/mL、約2.5×1011vg/mL、約5×1011vg/mL、約7.5×1011vg/mL、約1×1012vg/mL、約2.5×1012vg/mL、約5×1012vg/mL、約7.5×1012vg/mL、約1×1013vg/mL、約2.5×1013vg/mL、または約5×1013vg/mLの、rAAV粒子の濃度を含む。
一部の実施形態では、単位用量は、1×107ベクターゲノム(vg)~5×1012vg(終点を含む)のrAAV粒子を含む。一部の実施形態では、単位用量は、1×107vg~2.5×107vg、2.5×107vg~5×107vg、5×107vg~7.5×107vg、7.5×107vg~1×108vg、1×108vg~2.5×108vg、2.5×108vg~5×108vg、5×108vg~7.5×108vg、7.5×108vg~1×109vg、1×109vg~2.5×109vg、2.5×109vg~5×109vg、5×109vg~7.5×109vg、7.5×109vg~1×1010vg、1×1010vg~2.5×1010vg、2.5×1010vg~5×1010vg、5×1010vg~7.5×1010vg、7.5×1010vg~1×1011vg、1×1011vg~2.5×1011vg、2.5×1011vg~5×1011vg、5×1011vg~7.5×1011vg、7.5×1011vg~1×1012vg、1×1012vg~2.5×1012vg、または2.5×1012vg~5×1012vg、のrAAV粒子を含む。
一部の実施形態では、単位用量は、約1×107vg、約2.5×107vg、約5×107vg、約7.5×107vg、約1×108vg、約2.5×108vg、約5×108vg、約7.5×108vg、約1×109vg、約2.5×109vg、約5×109vg、約7.5×109vg、約1×1010vg、約2.5×1010vg、約5×1010vg、約7.5×1010vg、約1×1011vg、約2.5×1011vg、約5×1011vg、約7.5×1011vg、約1×1012vg、約2.5×1012vg、または約5×1012vg、のrAAV粒子を含む。
一部の実施形態では、単位用量は、10μl~200μl、または20μl~100μlの体積を含む。一部の実施形態では、単位用量は、約50μl、約60μl、約70μl、約80μl、約90μl、または約100μlである。
ベクターおよびAAV
用語「ベクター」は、その最も一般的な意味において本明細書で使用され、任意の核酸の媒介ビヒクルを含み、この媒介ビヒクルは、例えば、当該核酸を原核細胞および/または真核細胞に導入すること、ならびに適切な場合には、ゲノム内に統合することを可能にする。ベクターは、細胞内で複製および/または発現されてもよい。ベクターは、プラスミド、ファージミド、バクテリオファージ、およびウイルスゲノムを含む。
用語「ベクター」は、その最も一般的な意味において本明細書で使用され、任意の核酸の媒介ビヒクルを含み、この媒介ビヒクルは、例えば、当該核酸を原核細胞および/または真核細胞に導入すること、ならびに適切な場合には、ゲノム内に統合することを可能にする。ベクターは、細胞内で複製および/または発現されてもよい。ベクターは、プラスミド、ファージミド、バクテリオファージ、およびウイルスゲノムを含む。
AAVに適用されるように、「ベクター」とは、ウイルスDNAゲノムをコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドと、ウイルスDNAゲノムをキャプシドおよび他の補助タンパク質を含む組換えAAV粒子にパッキングすることによって産生されるウイルス粒子との両方を指す。
本明細書で使用される場合、用語「AAV」は、アデノ随伴ウイルスまたはその組換えベクターの略語である。アデノ随伴ウイルスは、共感染ヘルパーウイルスによって特定の機能が提供される細胞でのみ増殖する一本鎖DNAパルボウイルスである。AAVの一般的な情報およびレビューは、例えば、Carter,Handbook of Parvoviruses,1:169-228(1989)、およびBerns,Virology,1743-1764(1990)に見出され得る。
本明細書で使用される場合、「AAVベクター」または「rAAVベクター」は、AAV末端リピート配列(ITR)に隣接する一つ以上の対象のポリヌクレオチド(または導入遺伝子)を含む組換えベクターを指す。かかるAAVベクターは、RepおよびCap遺伝子産物をコードする、および発現するベクターでトランスフェクトされている宿主細胞中に存在するとき、複製され、感染性ウイルス粒子にパッケージングされ得る。
本明細書で使用される場合、「AAVビリオン」または「AAVウイルス粒子」または「AAVベクター粒子」は、少なくとも一つのAAVキャプシドタンパク質およびカプセル封入ポリヌクレオチドAAVベクターから構成されるウイルス粒子を指す。本明細書で使用される場合、粒子が、異種ポリヌクレオチド(すなわち、哺乳動物細胞に送達される導入遺伝子などの野生型AAVゲノム以外のポリヌクレオチド)を含む場合、通常、これは、「AAVベクター粒子」または単に「AAVベクター」と呼ばれる。したがって、AAVベクター粒子の産生は、AAVベクター粒子内に含有されるベクターゲノムを有するAAVベクターの産生を必然的に含む。
アデノ随伴ウイルス(AAV)は複製欠損パルボウイルスであり、その一本鎖DNAゲノムは約4.7kbの長さであり、二つの145ヌクレオチド逆位末端リピート(ITR)を含む。AAVには複数の既知の変異体があり、抗原エピトープによって分類されると血清型と呼ばれることもある。AAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列が既知である。例えばAAV-1の完全ゲノムは、GenBank登録番号NC_002077に提供され、AAV-2の完全ゲノムは、GenBank登録番号NC_001401、およびSrivastava et al.,J.Virol.,45:555-564(1983)に提供され、AAV-3の完全ゲノムは、GenBank登録番号NC_1829に提供され、AAV-4の完全ゲノムは、GenBank登録番号NC_001829に提供され、AAV-5ゲノムは、GenBank登録番号AF085716に提供され、AAV-6の完全ゲノムは、GenBank登録番号NC_00 1862に提供され、AAV-7およびAAV-8ゲノムの少なくとも一部は、それぞれGenBank登録番号AX753246およびAX753249に提供され、AAV-9ゲノムは、Gao et al.,J.Virol.,78:6381-6388(2004)に提供され、AAV-10ゲノムは、Mol.Ther.,13(1):67-76(2006)に提供され、およびAAV-11ゲノムは、Virology,330(2):375-383(2004)に提供される。AAV rh.74ゲノムの配列は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,434,928号に提供されている。AAV.Anc80、AAV.Anc80L65およびそれらの誘導体を含む祖先AAVの配列は、WO2015054653A2、およびWang et al.Single stranded adeno-associated virus achieves efficient gene transfer to anterior segment in the mouse eye.PLoS One.12(8):e0182473(2017)に記載されている。ウイルスDNA複製、キャプシド形成/パッケージング、および宿主細胞染色体組込みを指示するcis作用配列は、AAV ITR内に含まれる。三つのAAVプロモーター(それらの相対的マップ位置についてp5、p19、およびp40と命名)は、rep遺伝子およびcap遺伝子をコードする二つのAAV内部オープンリーディングフレームの発現を駆動する。二つのrepプロモーター(p5およびp9)は、(ヌクレオチド2107および2227で)単一AAVイントロンの差次的スプライシングと組み合わさり、rep遺伝子から四つのrepタンパク質(rep78、rep68、rep52、およびrep40)の産生をもたらす。Repタンパク質は、最終的にウイルスゲノムの複製の原因となる複数の酵素特性を有する。cap遺伝子は、p40プロモーターから発現し、三つのキャプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3をコードする。選択的スプライシングおよび非コンセンサス翻訳開始部位は、三つの関連するキャプシドタンパク質の産生の原因となる。単一のコンセンサスポリアデニル化部位は、AAVゲノムのマップ位置95に位置する。AAVのライフサイクルおよび遺伝学は、Muzyczka et al.,Current Topics in Microbiology and Immunology,158:97-129 (1992)で概説されている。
AAVは、例えば遺伝子療法において、外来性DNAを細胞に送達するためのベクターとして魅力的な、独自の特徴を有している。培養中の細胞のAAV感染は非細胞変性であり、ヒトおよび他の動物の自然感染はサイレントであり無症候性である。さらに、AAVは多くの哺乳動物細胞に感染し、多くの異なる組織をインビボで標的化する可能性を許容する。さらに、AAVは分裂細胞と非分裂細胞とをゆっくりと形質導入し、転写的に活性な核エピソーム(染色体外エレメント)として、これらの細胞の寿命の間、本質的に持続することができる。AAVプロウイルスゲノムは、プラスミド内にクローン化DNAとして挿入され、これにより組換えゲノムの構築が実行可能となる。さらに、AAV複製およびゲノムのキャプシド形成を指示するシグナルは、AAVゲノムのITR内に含まれるため、ゲノムの内部約4.3kb(複製および構造キャプシドタンパク質をコードする、rep-cap)の一部またはすべては、外来性DNAで置換されてもよい。AAVベクターを生成するために、repタンパク質およびcapタンパク質をトランスで提供してもよい。AAVの別の重要な特徴は、AAVが極めて安定し、強力なウイルスであることである。アデノウイルスを不活化するのに使用される条件(56℃~65℃で数時間)に容易に耐え、AAVの低温保存の重要性を低くする。AAVはさらに、凍結乾燥されてもよい。最後に、AAV感染細胞は重複感染に耐性でない。
一部の事例では、本開示のAAVベクターおよび粒子は、ポリヌクレオチド配列を霊長類の角膜内皮に送達するために使用される。本開示のAAVベクターおよび粒子を使用して送達され得るポリヌクレオチド配列には、タンパク質コード遺伝子およびRNAコード遺伝子が含まれる。一部の実施形態では、AAVベクターのポリヌクレオチドは、遺伝子編集系の一つ以上の(またはすべての)構成要素をコードする。本開示はさらに、マルチベクター系を提供する。一部の実施形態では、ベクター系は、約4.5kBより大きい遺伝子が、細胞内相同組換えにより結合されて単一のコードポリヌクレオチドを形成する二つのベクターに提供される、分割ベクター系である。本開示は、マトリクスメタロプロテイナーゼの送達のためのみの発明に限定されるものとして読み取られるべきではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
AAV9
本明細書で使用される場合、血清型9の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV9)粒子は、野生型AAV9のキャプシドタンパク質に対する少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を共有し、AAV9の一つ以上の機能的特性を保持するキャプシドタンパク質を有する遺伝子操作AAV粒子を指す。例示的なAAV9キャプシド配列は、US7,906,111およびUS9,737,618に提供されている。一部の実施形態では、rAAV9粒子は、配列番号13のアミノ酸1~736、138~736、または203~736に対する少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を共有するキャプシドタンパク質を含む。
本明細書で使用される場合、血清型9の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV9)粒子は、野生型AAV9のキャプシドタンパク質に対する少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を共有し、AAV9の一つ以上の機能的特性を保持するキャプシドタンパク質を有する遺伝子操作AAV粒子を指す。例示的なAAV9キャプシド配列は、US7,906,111およびUS9,737,618に提供されている。一部の実施形態では、rAAV9粒子は、配列番号13のアミノ酸1~736、138~736、または203~736に対する少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を共有するキャプシドタンパク質を含む。
一部の事例では、rAAVベクターは、血清型AAV1、AAV2、AAV3b、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、またはLK03、Anc80L65のベクターである。Anc80L65は、Sharma et al.Transduction efficiency of AAV 2/6,2/8 and 2/9 vectors for delivering genes in human corneal fibroblasts.PLoS ONE 12(8):e0182473 (2017)に記載されている。LK03は、Lisowski et al.,Selection and evaluation of clinically relevant AAV variants in a xenograft liver model,Nature.2014 February 20; 506(7488):382-386に記載されている。
シュードタイプ化したrAAVの産生は、例えば、WO2001/083692に開示されている。キャプシド変異を有するrAAVなどの他の種類のrAAV変異体もまた、企図されている。例えば、Marsic et al.,Mol.Ther.,22(11):1900-1909 (2014)を参照されたい。一部の事例では、rAAVベクターは血清型AAV9のベクターである。一部の実施形態では、当該rAAVベクターは、血清型AAV9のベクターであり、一本鎖ゲノムを含む。かかるAAVは、「一本鎖AAV」または「ssAAV」と称される。一部の実施形態では、当該rAAVベクターは、血清型AAV9のベクターであり、自己相補的ゲノムを含む。かかるAAVは、「自己相補的AAV」または「scAAV」と称される。本発明者らは、一部の事例では、ssAAVが、scAAVより高い効率で、霊長類の角膜内皮を形質導入することを、予期せず判定した。
一部の実施形態では、各rAAV9粒子は、AAV血清型9(AAV9)Capタンパク質から単離または誘導されたウイルスCapタンパク質を含む。
ポリヌクレオチド
本開示のAAV粒子は、少なくとも一つのポリヌクレオチドまたは正確に一つのポリヌクレオチドを含む。本開示のポリヌクレオチドは、(a)5’逆位末端リピート(ITR)をコードする配列、(b)プロモーターをコードする配列、(c)導入遺伝子をコードする配列、(d)ポリアデニル化(ポリA)シグナルをコードする配列、(e)3’ITRをコードする配列、を5’から3’に向かって含む。
本開示のAAV粒子は、少なくとも一つのポリヌクレオチドまたは正確に一つのポリヌクレオチドを含む。本開示のポリヌクレオチドは、(a)5’逆位末端リピート(ITR)をコードする配列、(b)プロモーターをコードする配列、(c)導入遺伝子をコードする配列、(d)ポリアデニル化(ポリA)シグナルをコードする配列、(e)3’ITRをコードする配列、を5’から3’に向かって含む。
逆位末端リピート
本明細書で使用される場合、「逆末端リピート配列」または「ITR」は、AAVゲノムの末端における類似の自己アニーリングセグメントを指す。プラスミドの観点では、ITRは、転写されてAAVゲノムを形成するDNAセグメントに隣接する。本開示のITRは、野生型AAV ITR、またはAAVベクターのITRとして機能する合成配列を含む、任意のAAV ITRを含む。一部の実施形態では、rAAVベクターは、AAV2のITR配列を含む。一部の実施形態では、rAAVベクターはAAV2ゲノムを含み、その結果、rAAVベクターはAAV-2/9ベクター、AAV-2/6ベクター、またはAAV-2/8ベクターである。ゲノムと血清型との他の組み合わせは、本開示によって企図され、これには、限定されるものではないが、Sharm et al.Transduction efficiency of AAV 2/6,2/8 and 2/9 vectors for delivering genes in human corneal fibroblasts.Brain Res Bull.81:273-78 (2010)に記載されたものが含まれる。
本明細書で使用される場合、「逆末端リピート配列」または「ITR」は、AAVゲノムの末端における類似の自己アニーリングセグメントを指す。プラスミドの観点では、ITRは、転写されてAAVゲノムを形成するDNAセグメントに隣接する。本開示のITRは、野生型AAV ITR、またはAAVベクターのITRとして機能する合成配列を含む、任意のAAV ITRを含む。一部の実施形態では、rAAVベクターは、AAV2のITR配列を含む。一部の実施形態では、rAAVベクターはAAV2ゲノムを含み、その結果、rAAVベクターはAAV-2/9ベクター、AAV-2/6ベクター、またはAAV-2/8ベクターである。ゲノムと血清型との他の組み合わせは、本開示によって企図され、これには、限定されるものではないが、Sharm et al.Transduction efficiency of AAV 2/6,2/8 and 2/9 vectors for delivering genes in human corneal fibroblasts.Brain Res Bull.81:273-78 (2010)に記載されたものが含まれる。
一部の実施形態では、5’ITRをコードする配列は、血清型2のAAV(AAV2)の5’ITR配列から誘導される。一部の実施形態では、5’ITRをコードする配列は、AAV2の5’ITRの配列と同一の配列を含む。一部の実施形態では、ITRは、ITRとして機能する異種または合成ITRである。一部の実施形態では、5’ITRをコードする配列は、配列番号5、配列番号14、または配列番号15のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
一部の実施形態では、3’ITRをコードする配列は、AAV2の3’ITR配列から誘導される。一部の実施形態では、3’ITRをコードする配列は、AAV2の3’ITRの配列と同一の配列を含む。一部の実施形態では、ITRは、ITRとして機能する異種または合成ITRである。一部の実施形態では、3’ITRをコードする配列は、配列番号12、または配列番号16~18のうちのいずれか一つのヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
プロモーター
一部の実施形態では、AAV粒子のポリヌクレオチドは、プロモーター、すなわち、少なくとも一つのプロモーターを含んでもよい。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは二つのプロモーターを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは一つのプロモーターを含む。一部の実施形態では、各プロモーターは独立して、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、CAGプロモーター、SV40プロモーター、SV40/CD43プロモーター、およびMNDプロモーターからなる群から選択される。CAGプロモーターは、CMVエンハンサー、ならびにニワトリベータアクチンプロモーターおよびウサギベータグロビン遺伝子の部分からなるプロモーター配列である。SV40/CD43プロモーターは、SV40プロモーターおよびCD43プロモーターの部分を含むプロモーター配列である。MNDプロモーターは、骨髄増殖性肉腫ウイルスエンハンサーを有する改変MoMuLV LTRのU3領域を含有する合成プロモーターである。他のプロモーター配列は、本開示のAAV粒子と適合性がある。一部の実施形態では、プロモーターはユビキタスプロモーターである。一部の実施形態では、プロモーターは、内皮細胞(EC)特異的プロモーターなどの組織特異的プロモーターである。
一部の実施形態では、AAV粒子のポリヌクレオチドは、プロモーター、すなわち、少なくとも一つのプロモーターを含んでもよい。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは二つのプロモーターを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは一つのプロモーターを含む。一部の実施形態では、各プロモーターは独立して、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、CAGプロモーター、SV40プロモーター、SV40/CD43プロモーター、およびMNDプロモーターからなる群から選択される。CAGプロモーターは、CMVエンハンサー、ならびにニワトリベータアクチンプロモーターおよびウサギベータグロビン遺伝子の部分からなるプロモーター配列である。SV40/CD43プロモーターは、SV40プロモーターおよびCD43プロモーターの部分を含むプロモーター配列である。MNDプロモーターは、骨髄増殖性肉腫ウイルスエンハンサーを有する改変MoMuLV LTRのU3領域を含有する合成プロモーターである。他のプロモーター配列は、本開示のAAV粒子と適合性がある。一部の実施形態では、プロモーターはユビキタスプロモーターである。一部の実施形態では、プロモーターは、内皮細胞(EC)特異的プロモーターなどの組織特異的プロモーターである。
一部の実施形態では、プロモーターは誘導性プロモーターである。誘導性プロモーターに作動可能に連結されたポリヌクレオチド配列は、薬剤の添加もしくは蓄積に応答して、または薬剤の除去、分解、もしくは希釈に応答して、ポリヌクレオチド配列を転写的に発現させるか、または転写的に発現させないように構成されてもよい。薬剤は薬物(drug)であってもよい。薬剤は、テトラサイクリンまたはその誘導体の一つであってもよく、これには限定されないが、ドキシサイクリンが含まれる。一部の事例では、誘導性プロモーターは、tet-onプロモーター、tet-offプロモーター、化学的に調節されたプロモーター、物理的に調節されたプロモーター(すなわち、光の存在または不在、若しくは低温または高温に応答するプロモーター)である。この誘導性プロモーターのリストは非限定的である。
一部の実施形態では、プロモーターはCMVエンハンサー/プロモーターを含む。一部の実施形態では、CMVプロモーターをコードする配列は、配列番号19の配列またはそれに対する80%、90%、95%、または99%の配列同一性を任意選択的に有するその機能的変異体を含むかまたはそれからなる。
一部の実施形態では、プロモーターはCMVエンハンサーを含む。一部の実施形態では、CMVプロモーターはCMVエンハンサーを含む。一部の実施形態では、CMVエンハンサーをコードする配列は、配列番号6の配列またはそれに対する80%、90%、95%、または99%の配列同一性を任意選択的に有するその機能的変異体を含むかまたはそれからなる。
一部の実施形態では、プロモーターはCMVプロモーターを含む。一部の実施形態では、CMVプロモーターは、配列番号7の配列またはそれに対する80%、90%、95%、または99%の配列同一性を任意選択的に有するその機能的変異体を含むかまたはそれからなる。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドはプロモーターを欠く。一部の実施形態では、ウイルスゲノムからのRNAの発現は、5’ITRによって駆動されてもよい。一部の実施形態では、ウイルスゲノムからのタンパク質の発現は、内部リボソーム侵入部位(IRES)によって駆動されてもよい。
導入遺伝子
本明細書で使用される場合、用語「導入遺伝子」は、プロモーターに作動可能に連結された任意の遺伝要素を指す。導入遺伝子には、タンパク質コード配列、RNAコード配列(例えば、マイクロRNA、gRNA、またはsgRNA)、および遺伝子編集系(例えば、CRISPR/Cas系など)が含まれる。一部の実施形態では、導入遺伝子は、表1に列挙されたプロテイナーゼのいずれかをコードする配列を含む。一部の実施形態では、導入遺伝子は、表1に列挙されたプロテイナーゼのいずれかをコードする配列、もしくはその機能的変異体、またはそれに対する80%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有する機能的変異体を含むかまたはそれからなる。
(表1)
本明細書で使用される場合、用語「導入遺伝子」は、プロモーターに作動可能に連結された任意の遺伝要素を指す。導入遺伝子には、タンパク質コード配列、RNAコード配列(例えば、マイクロRNA、gRNA、またはsgRNA)、および遺伝子編集系(例えば、CRISPR/Cas系など)が含まれる。一部の実施形態では、導入遺伝子は、表1に列挙されたプロテイナーゼのいずれかをコードする配列を含む。一部の実施形態では、導入遺伝子は、表1に列挙されたプロテイナーゼのいずれかをコードする配列、もしくはその機能的変異体、またはそれに対する80%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有する機能的変異体を含むかまたはそれからなる。
(表1)
一部の実施形態では、導入遺伝子は、マトリクスメタロプロテイナーゼ3(MMP-3)をコードする配列を含む。
一部の実施形態では、本開示は、複数の血清型9の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV9)粒子を含む単位用量を提供し、ここで、複数のrAAV9粒子の各rAAV9が非複製であり、複数のrAAV9粒子の各rAAV9が、(a)5’逆位末端リピート(ITR)をコードする配列、(b)プロモーターをコードする配列、(c)マトリクスメタロプロテイナーゼ3(MMP-3)をコードする配列;(d)ポリアデニル化(ポリA)シグナルをコードする配列、および(e)3’ITRをコードする配列、を5’から3’に向かって含むポリヌクレオチドを含む。
一部の実施形態では、MMP-3をコードする配列は、配列番号1もしくは配列番号22のMMP-3アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、または、それに対する80%、90%、95%、または99%の配列同一性を任意選択的に有するその機能的変異体もしくは機能的断片を含むかまたはそれからなる。一部の実施形態では、MMP-3アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、野生型ヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、MMP-3をコードする配列は、配列番号9のヌクレオチド配列またはそれに対する80%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含むかまたはそれからなる。
一部の実施形態では、MMP-3をコードする配列はコドン最適化されている。一部の実施形態では、MMP-3をコードする配列は、配列番号23のヌクレオチド配列またはそれに対する80%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含むかまたはそれからなる。一部の実施形態では、MMP-3をコードする配列は、配列番号24のヌクレオチド配列またはそれに対する80%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含むかまたはそれからなる。一部の実施形態では、MMP-3をコードする配列は、配列番号25のヌクレオチド配列またはそれに対する80%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含むかまたはそれからなる。
一部の実施形態では、MMP-3をコードする配列は、CpG枯渇している。一部の実施形態では、MMP-3をコードする配列は、配列番号26のヌクレオチド配列またはそれに対する80%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含むかまたはそれからなる。一部の実施形態では、MMP-3をコードする配列は、配列番号27のヌクレオチド配列またはそれに対する80%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含むかまたはそれからなる。
その他のベクター要素
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、ポリアデニル化(ポリA)シグナルをコードする配列を含む。一部の実施形態では、ポリAシグナルは、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリA配列を含む。一部の実施形態では、hGHポリA配列は、配列番号11もしくは配列番号20、またはそれに対する80%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、ポリAシグナルは、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリAシグナルまたはウサギβ-グロビンポリAシグナルを含む。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、ポリアデニル化(ポリA)シグナルをコードする配列を含む。一部の実施形態では、ポリAシグナルは、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリA配列を含む。一部の実施形態では、hGHポリA配列は、配列番号11もしくは配列番号20、またはそれに対する80%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、ポリAシグナルは、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリAシグナルまたはウサギβ-グロビンポリAシグナルを含む。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、イントロン、例えば、配列番号8またはそれに対する80%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有する配列などのヒトβ-グロビンイントロンを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、コザック配列、例えば配列番号21を含む。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号3もしくは配列番号4の配列、またはそれに対する80%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含むかまたはそれからなる。
医薬組成物
一部の実施形態では、単位用量は無菌である。一部の実施形態では、薬学的に許容可能な担体を含む。適切な担体としては、限定されないが、生理食塩水、100~200mM塩化ナトリウムを含む生理食塩水、150塩化ナトリウムを含む生理食塩水、ポリオールを含有する生理食塩水(5%スクロースなど)、およびこれに類するものが挙げられる。一部の実施形態では、担体はポロクサマー188またはプルロニックF-68を含むがこれに限定されないポロクサマーを含む。ポロクサマーの適切な濃度は、0.0001%~0.01%、またはおよそ0.001%を含む。
一部の実施形態では、単位用量は無菌である。一部の実施形態では、薬学的に許容可能な担体を含む。適切な担体としては、限定されないが、生理食塩水、100~200mM塩化ナトリウムを含む生理食塩水、150塩化ナトリウムを含む生理食塩水、ポリオールを含有する生理食塩水(5%スクロースなど)、およびこれに類するものが挙げられる。一部の実施形態では、担体はポロクサマー188またはプルロニックF-68を含むがこれに限定されないポロクサマーを含む。ポロクサマーの適切な濃度は、0.0001%~0.01%、またはおよそ0.001%を含む。
注射の目的のために、無菌水溶液など、様々な溶液を用いることができる。かかる水溶液は、所望により緩衝されてもよく、液体希釈剤は、生理食塩水またはグルコースで最初に等張にされる。遊離酸としてのrAAVの溶液(DNAは酸性リン酸基を含有する)または薬理学的に許容可能な塩は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と好適に混合された水中で調製することができる。rAAVの分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびその混合物、ならびに油中で調製されてもよい。保存および使用の通常の条件下で、これらの調製物は、微生物の成長を防止するための防腐剤を含有する。この関連で、用いられる無菌水性媒体はすべて、当業者に既知の標準技術によって容易に取得可能である。
注射可能な使用に適した医薬品形態には、無菌水溶液または分散液、および無菌注射溶液または分散液の即時調製のための無菌粉末が含まれる。すべての場合において、形態は、滅菌されなければならず、容易な注射針通過能力(syringeability)が存在する程度まで流動的でなければならない。製造および保管の条件下で安定であり、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、その好適な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合に必要な粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射可能な組成物の長期間の吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらされ得る。
無菌注射溶液は、上記で列挙された様々な他の成分とともに、適切な溶媒中に必要な量のrAAVを組み込み、必要に応じて、その後に濾過滅菌することにより調製される。一般に、分散液は、滅菌された活性成分を、塩基性分散媒体および上記で列挙されたものから必要とされる他の成分を含有する無菌ビヒクル中に組み込むことによって調製される。無菌注射溶液の調製のための無菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分の粉末と任意の追加の所望の成分とを、以前に滅菌濾過されたそれの溶液からもたらす、真空乾燥および凍結乾燥技術である。
組換えタンパク質
別の態様では、本開示は、組換えマトリクスメタロプロテイナーゼ3(MMP-3)タンパク質を含む単位用量を提供する。一部の実施形態では、単位用量は、0.1ナノグラム(ng)~10ng、または0.5ng~5ng、1ng~2ng、3ng~4ng、5ng~6ng、7ng~8ng、または9ng~10ng(終点を含む)を含む。一部の実施形態では、単位用量は、0.1ng以上、1ng以上、または10ng以上である。別の態様では、単位用量は、10~200μlの体積、または20~100μlの体積で提供される。
別の態様では、本開示は、組換えマトリクスメタロプロテイナーゼ3(MMP-3)タンパク質を含む単位用量を提供する。一部の実施形態では、単位用量は、0.1ナノグラム(ng)~10ng、または0.5ng~5ng、1ng~2ng、3ng~4ng、5ng~6ng、7ng~8ng、または9ng~10ng(終点を含む)を含む。一部の実施形態では、単位用量は、0.1ng以上、1ng以上、または10ng以上である。別の態様では、単位用量は、10~200μlの体積、または20~100μlの体積で提供される。
一部の実施形態では、医薬用量は、1ミリリットル当たり1ミリグラム(mg/ml)~500mg/mL、例えば5mg/mL~200mg/ml、10mg/mL~100mg/ml、または20mg/mL~80mg/mlの組換えMMP-3タンパク質の濃度を含む。
一部の実施形態では、単位用量は、1ミリリットル当たり1ミリグラム(mg/mL)~100mg/mL(終点を含む)の組換えMMP-3タンパク質を含む。一部の実施形態では、単位用量は、1mg/mL~5mg/mL、5mg/mL~10mg/mL、15mg/mL~20mg/mL、20mg/mL~25mg/mL、25mg/mL~30mg/mL、30mg/mL~35mg/mL、35mg/mL~40mg/mL、40mg/mL~45mg/mL、または45mg/mL~50mg/mLを含む。一部の実施形態では、単位用量は、50mg/mL~55mg/mL、55mg/mL~60mg/mL、65mg/mL~70mg/mL、70mg/mL~75mg/mL、75mg/mL~80mg/mL、80mg/mL~85mg/mL、85mg/mL~90mg/mL、90mg/mL~95mg/mL、または95mg/mL~100mg/mLを含む。
一部の実施形態では、単位用量は、約1mg/mL、約5mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約30mg/mL、約35mg/mL、約40mg/mL、または約45mg/mLを含む。一部の実施形態では、単位用量は、約50mg/mL、約55mg/mL、約65mg/mL、約70mg/mL、約75mg/mL、約80mg/mL、約85mg/mL、約90mg/mL、約95mg/mL、または約100mg/mLを含む。一部の実施形態では、単位用量は、約10mg/mLの組換えMMP-3タンパク質を含む。
一部の実施形態では、組換えMMP-3タンパク質は、ヒトMMP-3タンパク質である。一部の実施形態では、組換えMMP-3タンパク質は、配列番号1、配列番号2、配列番号10、もしくは配列番号22の配列を含むかもしくはそれからなるポリペプチド配列、または、それに対する80%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を任意選択的に有するその機能的変異体もしくは機能的断片を有する。
方法
別の態様では、本開示は、対象の角膜内皮を形質導入する方法を提供する。方法は、本明細書に記載の単位用量の有効量を投与することを含む。一部の実施形態では、対象は霊長類(例えば、サル、類人猿、またはヒト)である。対象は、オスまたはメスであってもよい。対象は、若年または成体であってもよい。一部の実施形態では、対象は、IOP上昇に罹患するか、またはそのリスクがある。一部の実施形態では、対象は、原発先天緑内障、若年性原発性開放隅角緑内障、MYOC緑内障などの先天性障害のために、IOP上昇に罹患するか、またはそのリスクがある。一部の実施形態では、対象は、高齢のためにIOP上昇に罹患するか、またはそのリスクがある。一部の実施形態では、対象は、緑内障にまだ進行していないIOP上昇を有する。一部の事例では、対象はIOP上昇および緑内障を有する。一部の事例では、対象はIOP上昇を伴わない緑内障を有する。
別の態様では、本開示は、対象の角膜内皮を形質導入する方法を提供する。方法は、本明細書に記載の単位用量の有効量を投与することを含む。一部の実施形態では、対象は霊長類(例えば、サル、類人猿、またはヒト)である。対象は、オスまたはメスであってもよい。対象は、若年または成体であってもよい。一部の実施形態では、対象は、IOP上昇に罹患するか、またはそのリスクがある。一部の実施形態では、対象は、原発先天緑内障、若年性原発性開放隅角緑内障、MYOC緑内障などの先天性障害のために、IOP上昇に罹患するか、またはそのリスクがある。一部の実施形態では、対象は、高齢のためにIOP上昇に罹患するか、またはそのリスクがある。一部の実施形態では、対象は、緑内障にまだ進行していないIOP上昇を有する。一部の事例では、対象はIOP上昇および緑内障を有する。一部の事例では、対象はIOP上昇を伴わない緑内障を有する。
組成物の有効用量の投与は、限定されるものではないが、前房内接種、硝子体内接種、網膜下接種、脈絡膜上腔接種、カナロプラスティ、または強膜上静脈を介する送達を含む、当技術分野で標準である経路による場合がある。一実施形態では、有効用量は、前房内に送達される。
本明細書で使用される場合、用語「必要とする患者」または「必要とする対象」は、マトリクスメタロプロテイナーゼをコードする核酸配列を含むrAAV、または本明細書に提供されるこのようなrAAVを含む組成物を用いた治療または改善に適している疾患、障害、または状態の、リスクがある、またはそれに罹患している患者または対象を指す。必要とする患者または対象は、例えば、高眼圧症および/または緑内障などのマトリクスメタロプロテイナーゼの機能不全に関連する疾患と診断された患者または対象であってもよい。対象は、マトリクスメタロプロテイナーゼ遺伝子またはタンパク質に突然変異または機能不全を有し得る。本明細書では、「対象」と「患者」とが互換的に使用される。
本明細書に記載される方法によって治療される対象は、哺乳動物であってもよい。一部の事例では、対象は、ヒト、非ヒト霊長類、ブタ、ウマ、ウシ、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス、またはラットである。対象は、ヒトのメスまたはヒトのオスであってもよい。対象は、若年発症型緑内障、早期発症型成人緑内障、または加齢性緑内障を含む年齢の範囲であり得る。したがって、本開示は、若年発症型緑内障を患う対象、早期発症型成人緑内障を患う対象、または加齢性緑内障を患う対象に、rAAVベクター開示のいずれかを投与することを企図する。
併用療法もまた、本発明によって企図される。本明細書で使用される場合、併用とは、同時治療または連続治療を含む。本発明の方法の、標準的な医学的治療(例えば、コルチコステロイドまたは局所的減圧薬)との併用が、新規の療法との併用と同様に、具体的に企図される。一部の事例では、対象は、本明細書に記載されるrAAVの投与に対する免疫反応を防止または低減するためにステロイドで治療され得る。特定の事例では、対象は、本明細書に記載のrAAVの投与の前、最中、または後に、プロスタグランジン類似体、ベータブロッカー、および/またはROCK阻害剤などの、局所的減圧薬を受けてもよい。特定の事例では、対象は、眼の瞳孔を拡張させることができる薬剤(例えば、トロピカミドおよび/またはフェニレフリン)を投与されてもよい。特定の事例では、対象は、角膜脱水を防ぐために、回復中に保湿ゲルを受けてもよい。一部の実施形態では、プロスタグランジン類似体は、ラタナプロストまたはビマトプロストである。一部の実施形態では、ベータブロッカーはチモロールである。一部の実施形態では、ROCK阻害剤はRhopressaである。
一部の実施形態では、角膜内皮の形質導入は、角膜内皮細胞の少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%の形質導入をもたらす。言い換えれば、形質導入効率は、場合により、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、またはそれ以上であり得る。本明細書で使用される場合、「形質導入効率」は、ポリヌクレオチドを細胞(例えば、角膜内皮細胞)内に送達するベクター(例えば、AAVベクターまたはAAV粒子)の能力を指す。形質導入効率は、蛍光マーカー(例えば、GFPまたはeGFP)をコードするAAV粒子を使用するなど、インビボで判定され得る。形質導入効率は、同組織の免疫組織化学分析によっても判定され得る。例えば、治療された対象からの角膜サンプルの切片は、抗MMP3抗体を使用して染色されてもよい。形質導入効率は、概して、標的ポリヌクレオチドを受ける標的細胞の分数またはパーセンテージとして記載される。角膜内皮の場合、標的細胞は形態学的に識別され得る。角膜内皮細胞の形態学的識別は、顕微鏡を使用して行われてもよい。
形質導入効率は、限定されるものではないが、カラーおよび蛍光前眼部撮影、光干渉断層撮影、および免疫組織化学検査を含む、当技術分野で既知の様々な方法を使用して、インビボで評価され得る。カラーおよび蛍光前眼部撮影は、例えば、キヤノン6Dデジタル撮像ハードウェアおよびFUNDUS PHOTO NEW VISION眼科撮像ソフトウェアを備えたTopcon TRC50EX網膜カメラを使用して実施され得る。カラー写真の例示的な設定には、1/25秒のシャッター速度(Tv)、400のISO、およびフラッシュ18が含まれる。エキサイタおよびバリアフィルタが係合された単色およびカラー蛍光画像の例示的設定は、480nmエキサイタ、525nmバリアフィルタ、フラッシュ設定200、Tv 1/5秒、ISO 3200およびFlash300である。
前眼部OCTは、アイトラッキングおよびHEYEX画像取り込み解析ソフトウェアを備えた Heidelberg Spectralis OCT HRAまたはOCT Plusを使用して実施され得る。SPECTRALISの自己蛍光機能を使用して、前房におけるGFP発現の画像を取得してもよい。
免疫組織化学検査は、様々な既知の方法を使用して実施されてもよい。トランスフェクション効率は、共焦点顕微鏡下でマーカータンパク質(例えば、GFP)または治療用タンパク質(例えば、MMP-3)に対して陽性である細胞を計数することによって判定され得る。
形質導入効率はまた、MMP-3などの分泌タンパク質の濃度を測定することによってインビボで評価されてもよい。まず、房水および/または硝子体液などの眼液は、対象から回収され、評価まで凍結などの適切な条件下で保存される。次に、眼液は、例えば、ELISAアッセイまたはウェスタンブロットを使用して、存在する分泌タンパク質の量を測定するためにアッセイされる。存在する分泌タンパク質の量は、ELISAアッセイで得られたシグナルを、既知のタンパク質標準のシグナルを測定する標準曲線と比較することによって定量化される。
一部の実施形態では、本開示の方法は、rAAV9粒子を含む単位用量を投与することを含み、単位用量中の複数のrAAV9粒子の各rAAV9は、一本鎖AAV(ssAAV)である。
一部の実施形態では、10μl~200μlの体積が、眼の前房内に注入される。一部の実施形態では、これは、20μl~100μlの体積である。より具体的には、注入する体積は、約50μl、約60μl、約70μl、約80μl、約90μl、または約100μlとすることができる。一部の実施形態では、注射針を使用して注入する前に、ある体積の房水を最初に対象の眼から除去する。水性の除去は、水性タップ(aqueous tap)または穿刺と呼ばれることがある。
一部の実施形態では、本開示は、対象の角膜内皮を形質導入する方法であって、複数の血清型9の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV9)粒子を含む単位用量の有効量を投与することを含み、ここで対象は霊長類であり、複数のrAAV9粒子の各rAAV9が非複製であり、複数のrAAV9粒子の各rAAV9が一本鎖AAV(ssAAV)であり、複数のrAAV9粒子の各rAAV9が、(a)5’逆位末端リピート(ITR)をコードする配列、(b)プロモーター(例えば、CMVプロモーター)をコードする配列、(c)マトリクスメタロプロテイナーゼ3(MMP-3)をコードする配列;(d)ポリアデニル化(ポリA)シグナルをコードする配列、(e)3’ITRをコードする配列、を5’から3’に向かって含むポリヌクレオチドを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、単位用量は、(i)1×107ベクターゲノム(vg)~5×1012vg(終点を含む)のrAAV9粒子、または(ii)1ミリリットル(mL)当たり約1×109ベクターゲノム(vg)~5×1013vg/mLのrAAV9粒子、を含む。
あるいは、または形質導入のアッセイの他の方法に加えて、角膜内皮の形質導入は、発現される外因性タンパク質の濃度を測定することによって評価されてもよい。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、0.01ng/mL~約10ng/mL(終点を含む)の測定濃度の、対象の眼の房水(AH)におけるMMP-3の発現を生じる。
一部の実施形態では、AH中のMMP-3の濃度は、約0.01ng/mL~約0.1ng/mL、約0.1ng/mL~約1ng/mL、約1ng/mL~約2ng/mL、約2ng/mL~約4ng/mL、約4ng/mL~約6ng/mL、約6ng/mL~約8ng/mL、約6ng/mL~約10ng/mL、または約10ng/mL~約50ng/mLであるか、またはそれを超える。
一部の実施形態では、AH中のMMP-3の濃度は、約0.01ng/mL、約0.1ng/mL、約1ng/mL、約2ng/mL、約4ng/mL、約6ng/mL、約6ng/mL、約10ng/mL、または約50ng/mL以上である。一部の実施形態では、AH中のMMP-3の濃度は、1ng/mLよりも大きい。一部の実施形態では、濃度は、1ng/mL~10ng/mLの範囲内である。
AH中のMMP-3(または別の外因性タンパク質)の濃度を、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)またはウェスタンブロットによって測定してもよい。AH中の濃度を測定するのに有用なMMP-3に対する抗体には、PROTEINTECH(17873-1-AP)、ABCAM(ab53015)、およびR&D SYSTEMS(DMP300)から入手可能なものが含まれる。
一部の実施形態では、AH中のMMP-3の測定濃度は、1ng/mL以上である。一部の実施形態では、AH中のMMP-3の測定濃度は、10ng/mL以下である。一部の実施形態では、AH中のMMP-3の測定濃度は、1~10ng/mL(終点を含む)である。一部の実施形態では、AH中のMMP-3の測定濃度は、少なくとも1~3ng/mL(終点を含む)である。一部の実施形態では、MMP-3の濃度は、放射標識されたMMP-3を使用して測定される。
一部の実施形態では、本開示のAAV粒子および方法は、MMP-3(または別の導入遺伝子)の持続される発現または長期の発現をもたらした。一部の実施形態では、MMP-3の発現は、少なくとも21日間、42日間、56日間、または66日間維持される。一部の実施形態では、MMP-3の発現の発現は、少なくとも90日間維持される。一部の実施形態では、導入遺伝子および/または外因性タンパク質の発現は、少なくとも21日間、42日間、56日間、または66日間維持される。一部の実施形態では、導入遺伝子および/または外因性タンパク質の発現は、少なくとも90日間維持される。
本開示はさらに、インビトロアッセイ系における遺伝子療法ベクターの有効性と安全性の評価に関する。本開示は、マトリクスメタロプロテイナーゼ3(MMP-3)をコードするポリヌクレオチド配列を含む組換えAAV(rAAV)ベクターを提供する。このrAAVベクターまたは他の治療用タンパク質に導入遺伝子を送達するベクターを使用して、眼にrAAVを投与することによって、緑内障などの視覚状態を治療することができる。一部の事例では、治療は眼圧を低下させることを目指し、より低い眼圧を達成する一手段は、MMP-3などの治療用タンパク質によって細胞外マトリクスをリモデリングまたは分解することによる。効果は、眼の線維柱帯網の細胞外マトリクスの浸透性を測定することによって、またはインビボアッセイでrAAVの効果を測定することによって評価することができる。本発明により開示される適切なインビトロアッセイには、ヒト緑内障、原発性開放隅角緑内障(POAG)、または房水(AH)中で培養された対照(白内障)のいずれかに由来するヒトシュレム管(SC)内皮細胞(SCEC)単層の使用が含まれる。次いで、蛍光結合染料に対する経内皮電気抵抗(TEER)および浸透性を、比較のためにrAAVベクターで形質導入された細胞、または形質導入されていない細胞で測定することができる。他のアッセイでは、ECMタンパク質を染色し、免疫蛍光法によって観察することができる。これらおよび他のインビトロアッセイは、以下のようにより詳細に記述される。
rAAVベクターをヒト線維柱帯網(HTM)単層に接触させることにより、かかる単層を介したトレーサー分子流束の速度を、当該rAAVと接触しないHTM単層を介したトレーサー分子流束に対して約5、6、7、8、9、10、11、12、13、または15%超増加させ得る。本明細書で使用される場合、用語「トレーサー分子流束」または「トレーサー流束」は、例えば、Dawson et al.Tracer flux ratios:a phenomenological approach.J Membr Biol.31:351-58(1997)に記載されるような、上皮膜にわたるトレーサー分子の流れを指す。任意選択で、トレーサーは、フルオレセインイソチオシアネート(FITC-デキストラン)にコンジュゲートされたデキストランであってもよい。事例によっては、当該rAAVベクターをヒト線維柱帯網(HTM)単層に接触させることにより、当該単層の経内皮電気抵抗(TEER)が、当該rAAVに接触されない単層のTEERよりも、1cm2当たり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15オーム超、1cm2当たり約15オーム超、または1cm2当たり約20オーム超減少する。TEERを判定する方法は、Srinivasan et al.TEER measurement techniques for in vitro barrier model systems.J Lab Autom.20:107-26(2015)に記載されている。
対象の眼において、インビボで、rAAVを眼に投与することは、一部の事例では、線維柱帯網の細胞外マトリクスの浸透性を増加させ、当該眼の流出抵抗を減少させ、および/または眼圧(IOP)を低減させ得る。眼の流出抵抗および眼圧の測定は、この詳細な説明に続く実施例、および例えば、Sherwood at al.(2016)Measurement of Outflow Facility Using iPerfusion.PLoS One,11,e0150694に記載されている。本開示の方法は、一部の事例では、処置された眼の房水流出能を少なくとも25%または少なくとも30%増加させる。
本明細書で使用される場合、「房水流出能」は、関連する圧力に対する流出速度の比率を指し、流体力学的抵抗の逆数である。房水流出能を測定するために一般的に使用されるアプローチは、以下に従う、インビボ灌流中に眼に出入りする流れの質量保存に基づく:
これは、修正されたゴールドマン(Goldmann)方程式として知られている。QinはAH分泌の速度であり、Qは灌流装置から眼内への流量であり、Q0は圧力非依存性流出である。Pは眼圧であり、Peは上強膜血管(その中へAHが排出する)の圧力である。この形態では、Cは、通例の流出と、非通例の流出およびAH分泌の任意の圧力依存性構成要素との両方を含む、総房水流出能である(仮性房水流出率(pseudofacility))。本明細書では、簡略化のため、Cを示すために「能」という用語を使用する。能を計算するために、Q0およびQin、PeおよびC自体は、多くの場合、圧力非依存であるとみなされる(それによって、暗黙のうちに、線形のQ-P関係を仮定する)。
これらの仮定の下で、PおよびQの二つの測定値は、ゆえに、2ステップの灌流プロトコルに従って能を推定するのに十分である:
式中、下付き文字IおよびIIは、二つの異なる圧力における測定値を示し、Clinは、線形Q-P応答の仮定に基づく、圧力非依存性能である。あるいは、除核された眼の場合、QinおよびPeはゼロであり、それゆえ、Eq 1は、下記のようになる:
より堅牢な方法を提供するために、複数の(2~10)点を測定し、べき乗則モデルをQ-P関係に適合させて、房水流出能の圧力依存性を捕捉することが可能である。
式中、Prは、除核マウス眼において8mmHgであると定義される基準圧力であり、ここでCrは能である。べき指数βは、流れと圧力との関係の非線形性を特徴づけ、流出経路を通る流れと圧力との関係に影響を及ぼす非線形性の組合わされたソースの指標として解釈することができる。霊長類のインビボ灌流のさらなる精密化には、時間および圧力依存性応答を考慮するために、各サイクルの前および後に自発的IOP読取りを伴う三つのステッピングサイクルの導入が含まれる。
組成物が投与される対象または哺乳動物の眼圧(IOP)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10mmHg超減少し得る。流出速度は、0.1~0.5μL/分/mmHg増加し得る。流出速度は、0.1、0.2、0.3、0.4、または0.5μL/分/mmHg超増加し得る。流出速度は、1、2、3、4、5、10、または15μL/分/mmHg超、または20%、30%、40%、または50%超増加し得る。対象または哺乳動物の線維柱帯網における光学的空隙の長さは、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50%超増加し得る。一般に、rAAVベクターは、それらが接触する細胞の形質導入を引き起こす。形質導入細胞は、角膜内皮の細胞、ならびに他の眼細胞であってもよい。投与後、房水中におけるMMP-3濃度は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、または0.6ng/ml、または例えば特に約1ng/ml以上の増加など、その間の任意の値だけ増加し得る。一部の実施形態では、MMP-3濃度は、約0.1~約10ng/mlであってもよい。一部の実施形態では、MMP-3濃度は、約1~約10ng/mlであってもよい。一部の実施形態では、MMP-3濃度は、約1~約5ng/mlであってもよい。一部の実施形態では、MMP-3濃度は、約1~約2ng/mlであってもよい。一部の実施形態では、前述の眼の房水中のMMP-3活性は、約1、2、3、4、5、または6、mU以上、または例えば特に約5.34mU以上など、その間の任意の値だけ増加する。治療後、前述の哺乳動物の角膜厚に変化がないことがさらに開示される。一部の実施形態では、IOPの低減および/または房水流出能の増加は、投与工程の約30日、約40日、約50日、約60日、約70日、または約80日以内に起こる。一部の実施形態では、IOPの低減および/または房水流出能の増加は、投与工程の約66日以内に起こる。
一部の実施形態では、角膜厚は、投与工程前の対象における角膜厚と比べて、および/または対照単位用量を投与された対象における角膜厚と比べて変化しないままである。本明細書で使用される場合、「角膜厚」は、角膜上皮の外側境界と角膜内皮との間の距離を指す。角膜厚は、角膜パキメトリーによって判定され得る。角膜パキメトリーは、例えば、ACCUTOME ACCUPACH 5超音波パキメーターまたは同等のものを使用して実施され得る。平均パキメトリー値は、通常、各眼における一連の連続する四つ以上の測定から、ミクロン単位で、得られる。
あるいは、またはパキメトリーに加えて、角膜厚は、スペキュラーマイクロスコピーによって評価されてもよい。スペキュラーマイクロスコピーは、例えば、TOMEY EM-3000スペキュラーマイクロスコープ等を用いて実施されてもよい。また角膜内皮の完全性を評価するために、スペキュラーマイクロスコピーを使用してもよい。
一部の実施形態では、本開示の方法は、炎症反応を引き起こさないか、または臨床的に有意でない炎症反応を引き起こす。角膜の炎症を評価する方法は、スリットランプ検査を含む。前房細胞、房水フレア、および他の眼所見は、判定されたスコアの個々の構成要素の総和から導出された、改変ハケット-マクドナルドスコアリングシステムおよび複合臨床スコアを使用して等級分けされてもよい。McDonald,T.O.、およびShadduck,J.A.Eye irritation.Advances in Modern Toxicology.139-191(1977)。Hackett,R.B.、およびMcDonald,T.O.Assessing ocular irritation.Dermatotoxicology.5th ed.557-567(1996)を参照されたい。スリットランプ検査および眼底検査は、試験経過中(すなわち、少なくとも90日間)、眼内炎症の証拠を示さない。
一部の実施形態では、本方法は、対象の血清中のMMP-3のベースラインレベルを超えて上昇しないMMP-3の血清レベルをもたらす。血清MMP3が上昇しないことは、眼から出て循環に入る非結合型MMP3がないことを実証する。これは、オフターゲット効果の可能性を低減すると考えられる。
別の態様では、本開示は、対象の少なくとも一方の眼の眼圧(IOP)を低減する方法であって、任意の本開示の単位用量の有効量を投与することを含む。一部の実施形態では、対象は哺乳動物である。別の実施形態では、対象は霊長類である。
別の態様では、本開示は、それを必要とする対象におけるIOP上昇および/または緑内障を治療および/または予防する方法であって、任意の本開示の単位用量の有効量を投与することを含む。一部の実施形態では、対象は哺乳動物である。他の実施形態では、対象は霊長類である。
本開示の方法のいずれかにおいて、改善、減少、増加、および/または予防は、治療を受けない対照である対象を参照して、または対照である眼を参照して、判定され得る。例えば、治療は一方の眼に行われ、および反対側の眼は対照として使用されてもよい。あるいは、または追加的に、改善、減少、増加、および/または他の変化は、ベースライン測定値に関連して判定され得る。本明細書で使用される場合、「ベースライン」は、単位用量の投与前に測定された測定値、またはいくつかの測定値の平均を指す。
これらの実施形態および他の実施形態は、以下の実施例を参照してさらに理解され得る。
実施例1:組換えヒトMMP-3
本実施例は、アフリカミドリザルの、房水流出に対する組換えヒトMMP3(rhMMP3)の前房内送達の効果、および線維柱帯網とシュレム管の形態学を特徴解析する。実施例は、MMP-3を使用した霊長類における増加する房水流出能を示す。平均増加は約30%であり、一部の対象は、少なくとも50%、80%、100%、150%、200%、またはそれ以上の流出の増加を呈した。実施例はさらに、rhMMP3が、房水流出動態および眼圧に対する用量依存性効果を有することを実証する。
本実施例は、アフリカミドリザルの、房水流出に対する組換えヒトMMP3(rhMMP3)の前房内送達の効果、および線維柱帯網とシュレム管の形態学を特徴解析する。実施例は、MMP-3を使用した霊長類における増加する房水流出能を示す。平均増加は約30%であり、一部の対象は、少なくとも50%、80%、100%、150%、200%、またはそれ以上の流出の増加を呈した。実施例はさらに、rhMMP3が、房水流出動態および眼圧に対する用量依存性効果を有することを実証する。
プロペプチドドメイン(配列番号2)を欠く組換えヒトMMP-3(rhMMP3)を、細菌細胞内に発現させ、標準的な方法を使用して精製した。原発性開放隅角緑内障(POAG)におけるIOP上昇の主な原因は、流出抵抗の増加であると考えられる。Rocha-Sousa et al.ISRN Ophthalmol 2013:261386 (2013)。さらに、ラタノプロストおよびrhopressaの降圧薬は、流出を増加させ、IOPを減少させることが知られている。顕著なことに、眼圧(IOP)上昇の低減または防止と相関することが知られている房水流出能の増加が、眼の房水中のMMP-3の濃度が1ミリリットル当たり約1ナノグラム(ng/mL)を超えると達成されることを、本実施例は確立している。これは、IOP上昇および/または緑内障を治療または予防するよう設計された任意の治療の治療有効性に対する重要な相関を確立する。
各サル(n=17)は、10ng/mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で製剤化された0.2mL~2mLのrhMMP3の濃度で、前房内注入を受けた。rhMMP3は、能力測定前、1時間の「プレコンディショニング」のために、自然発生的(または安静時の)IOPより5mmHg高い圧力で、眼に注入された。対側対照にビヒクルを注入し、この1時間のプレコンディショニング段階の後に房水流出能を判定した。
指定された時点(1時間のプレコンディショニングの前および後)で、3ゲージ針を有する0.3mlシリンジを使用して、両方の眼から100μlの房水を無菌的に収集し、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)による分析まで-70℃で保存した。サンプルを、R&D SYSTEMS Human Total MMP-3 Quantikine ELISA Kitの標準プロトコルに従って、二重に実施した。
図1に示すように、組換えヒトMMP3を、インビボで霊長類の前房内に注入した。自然眼圧より5mmHg高い圧力での1時間の注入は、房水中0~4ng/ml(またはより具体的には、0.5~3.9ng/ml)の濃度の範囲をもたらした。
房水流出能は、インビボで霊長類の眼における流出測定を可能にする、改変iPerfusionシステム(Sherwood et al.(2016)Measurement of Outflow Facility Using iPerfusion.PLoS One、11、e0150694)を使用して、測定された。
図2Aに示すように、対照および処置の各対の間の能力差異を、rhMMP3の送達用量にマッピングした。rhMMP3は、霊長類においてインビボで、房水流出能を30%増加させる(P=0.017、N=17)。データ点は、対照眼と処置された対側眼との間の能力の差異のパーセンテージを表す。暗い影になった領域は、白色平均線の95%信頼区間範囲を表す。エラーバーは、95%信頼区間および2標準偏差を表す。
図2Bは、送達されたrhMMP3の量が、眼の間の房水流出能の差と相関していたことを示す。平均して、処置された眼は0.13μl/分/mmHgの増加を示し、これはrhMMP3濃度によって変化する。房水中のMMP-3の濃度は、処置された眼および対照眼についての房水流出能の相対的差異に対してプロットされ、用量反応曲線がもたらされた。観察された用量反応は統計的に有意であった(R2=0.51;p=0.0075)。平均して、処置された眼は0.13μl/分/mmHgの増加を示し、これはrhMMP3の濃度に従って変化する。
実施例2:アデノ随伴ウイルス(AAV)
本実施例は、CMVプロモーター(AAV9-CMV-eGFP)から強化緑色蛍光タンパク質を発現するAAV9ベクターを使用した、霊長類の角膜内皮の形質導入を示す。実施例は、角膜内皮の形質導入が、5×1011vgと同じ低さのAAV用量で達成され得ることを示す。実施例はさらに、自己相補的AAVベクター(scAAV9-EGFP)と比較して、一本鎖AAVベクター(ssAAV9-EGFP)を使用した、霊長類の角膜内皮の予想外に優れた形質導入を実証する。
本実施例は、CMVプロモーター(AAV9-CMV-eGFP)から強化緑色蛍光タンパク質を発現するAAV9ベクターを使用した、霊長類の角膜内皮の形質導入を示す。実施例は、角膜内皮の形質導入が、5×1011vgと同じ低さのAAV用量で達成され得ることを示す。実施例はさらに、自己相補的AAVベクター(scAAV9-EGFP)と比較して、一本鎖AAVベクター(ssAAV9-EGFP)を使用した、霊長類の角膜内皮の予想外に優れた形質導入を実証する。
各試験ベクター(scAAV9-EGFPまたはssAAV9-EGFP)から生成されたAAV粒子、ならびに対照ベクターを含む単位用量を、それぞれ、1ミリリットル当たり3.3×1013ベクターゲノム(vg/mL)および1×1013vg/mLで調製した。DNaseおよびプロテイナーゼKとのインキュベーション後、qPCRを使用して力価を測定した。サンプルは希釈され、2X TAQMAN Universal Master Mix、GFPまたはMMP-3遺伝子を標的とする20X TAQMAN 遺伝子発現アッセイプローブ、およびRNaseフリー水を含むマスターミックスを使用して四重で実行される。サンプルは、既知の濃度の標準曲線および参照標準と比較される。qPCR反応は、事前の10分間のポリメラーゼ活性化工程と共に、STEPONEPLUS(アプライドバイオシステムズ(登録商標))機器上での40サイクルの変性およびアニーリングで実施される。データはqPCR機器上で分析される。対照には0.9%の生理食塩水ビヒクルが含まれた。
正常スリットランプ検査および眼底検査、カラー眼底写真(CFP)、および光干渉断層撮影(OCT)を有するアフリカミドリサルを試験に選択した。麻酔下、すべての手技:ケタミン(8mg/kg)およびキシラジン(1.6mg/kg)の筋肉内投与、ならびに10%フェニルエプリン(phenyleprhine)の局所投与を伴う瞳孔拡張を実施した。各対象は両眼に処置を受けた(OD=右眼、OS=左眼)。50μLの体積を、前房内注射により投与し、各対象のODにおいて、5×1010 1.65×1012ベクターゲノム(vg)のscAAV9、および各対象のOSにおいて、5×1011vgのssAAV9の送達用量を得た。注射を容易にするために眼に開眼器を配置し、続いてプロパラカイン塩酸塩0.5%、次いで5%のベタジン溶液を滴加し、滅菌生理食塩水ですすいだ。両眼(OU)に、前房内注射を行った。注射は、0.3mLシリンジに接続された31ゲージの0.5インチ長針を使用して行った。針は、眼内構造物を乱すことなく、角膜縁からおよそ2mm前方の側頭角膜を通して導入された。両方の前房内注射に続いて、局所用三重抗生物質ネオマイシン、ポリミキシン、バシトラシン眼軟膏(または同等のもの)が投与された。
図3A~3Cは、AAV9による霊長類角膜形質導入の結果を示す。図3Aに示すように、自己相補的AAV9(scAAV9-EGFP)の前房内注射により処置された霊長類の角膜内皮における蛍光eGFPマーカーの発現は、このアッセイの感受性レベルで陰性対照と区別できなかった。図3Bに示すように、一本鎖AAV9(ssAAV9-EGFP)を前房内注射した対象からの角膜内皮は、レポーター遺伝子eGFPの発現を示した。発現は角膜内皮に限定された。図3Cは、ssAAV9-eGFPを注射した眼からのZスタックの3Dレンダリングを示す(図3Bのように)。このレンダリングは、角膜内皮層における大部分の細胞におけるGFPの核周囲発現を示す。
角膜内皮における蛍光レポーターの発現は、少なくとも90日間継続した。単位用量の前房内注射後90日超経過した試験の終了時に、対象霊長類の眼の前房切片の免疫組織化学検査によってGFPシグナルが観察された。
実施例3:アデノ随伴ウイルス(AAV)
実施例1は、マトリクスメタロプロテイナーゼ3(MMP-3)の臨床的に有効な発現のための標的範囲を確立した。範囲は、1ミリリットル当たり少なくとも約少なくとも約1ナノグラム(ng/mL)、または約1ng/mL~約10ng/mL、または約1ng/mL~約3ng/mLである。実施例2の結果により、一本鎖AAVを選択した。
実施例1は、マトリクスメタロプロテイナーゼ3(MMP-3)の臨床的に有効な発現のための標的範囲を確立した。範囲は、1ミリリットル当たり少なくとも約少なくとも約1ナノグラム(ng/mL)、または約1ng/mL~約10ng/mL、または約1ng/mL~約3ng/mLである。実施例2の結果により、一本鎖AAVを選択した。
A.房水中の標的濃度範囲でのMMP-3の発現
パートAは、AAV9ベクターを使用した霊長類の角膜内皮の形質導入が、マトリクスメタロプロテイナーゼ3(MMP-3)の発現、およびこのような治療に関連するレベル、すなわち、少なくとも1ミリリットル当たり約1ナノグラム(ng/mL)、をもたらすことを示す。CMVプロモーター(AAV9-CMV-MMP3)からのMMP-3を発現する一本鎖AAV9ベクターを、GFP対照(AAV9-CMV-eGFP)と比較した。処置の割り当てを表4に示す。
パートAは、AAV9ベクターを使用した霊長類の角膜内皮の形質導入が、マトリクスメタロプロテイナーゼ3(MMP-3)の発現、およびこのような治療に関連するレベル、すなわち、少なくとも1ミリリットル当たり約1ナノグラム(ng/mL)、をもたらすことを示す。CMVプロモーター(AAV9-CMV-MMP3)からのMMP-3を発現する一本鎖AAV9ベクターを、GFP対照(AAV9-CMV-eGFP)と比較した。処置の割り当てを表4に示す。
撮像:カラーおよび蛍光前眼部撮影は、キヤノン6Dデジタル撮像ハードウェアおよびNew Vision 眼底画像解析システムソフトウェアを備えたTopcon TRC-50EX網膜カメラを使用して実施され得る。カラー写真には、シャッター速度(Tv)1/25秒、ISO 400およびFlash 18を使用した。単色およびカラー蛍光画像は、係合されたエキサイタおよびバリアフィルタ(480nmエキサイタ/525nmバリアフィルタ)、フラッシュ設定200、Tv 1/5秒、ISO 3200およびFlash300で取得された。蛍光画像が収集され、GFPベクターを受ける陰性対照眼としての役目を果たした。
光干渉断層撮影:前眼部OCTは、アイトラッキングおよびHEYEX画像取り込み分析ソフトウェアを備えた Heidelberg SPECTRALIS OCT HRAまたはOCT Plusを使用してOUで実施された。OCT測定時に、SPECTRALISの自己蛍光機能を使用して、前房におけるGFP発現の画像を得た。
B.MMP-3を用いたAAVベースの遺伝子療法後の霊長類におけるMMP-3の発現
パートBは、>1ng/mLでのMMP-3の発現を示し、これは少なくとも66日間維持される。図4に示すように、MMP3を発現するAAV9(AAV9-CMV-MMP3)での前房内注射は、選択された時点にわたって、ELISAにより判定された約1ng/ml~2ng/mlの範囲の眼の房水中濃度をもたらした(上段線)。一つの対象は、3~4ng/mlの範囲の濃度を有した。MMP-3の濃度を評価した時点は、注射後21、42、56、および66日目であった。時点は、3週間、7週間、8週間、または9~10週間目、または1か月または2か月目に相当する。AAV9-CMV-EGFPを注射した眼の房水中におけるMMP-3の発現は増加しなかった(下段線)。
パートBは、>1ng/mLでのMMP-3の発現を示し、これは少なくとも66日間維持される。図4に示すように、MMP3を発現するAAV9(AAV9-CMV-MMP3)での前房内注射は、選択された時点にわたって、ELISAにより判定された約1ng/ml~2ng/mlの範囲の眼の房水中濃度をもたらした(上段線)。一つの対象は、3~4ng/mlの範囲の濃度を有した。MMP-3の濃度を評価した時点は、注射後21、42、56、および66日目であった。時点は、3週間、7週間、8週間、または9~10週間目、または1か月または2か月目に相当する。AAV9-CMV-EGFPを注射した眼の房水中におけるMMP-3の発現は増加しなかった(下段線)。
AAV9-CMV-MMP3で処置された対象におけるMMP-3の発現は、最終時点で平均1.6ng/mlであった。これは、各時点で<1ng/mlの濃度のままであったビヒクル対照(AAV9-eGFP)と比較して、有意な増加であった。個々の対象は、最終時点で3~4ng/mlのMMP-3の発現を達成した。
C.MMP-3を用いたAAVベースの遺伝子療法を使用した霊長類におけるIOPの低減
パートCは、MMP-3を用いたAAVベースの遺伝子療法を使用した霊長類におけるIOPの低減を示す。パートCはさらに、AAVベースの遺伝子療法によって引き起こされるMMP-3の発現と眼圧(IOP)への影響との間の用量反応関係を示す。
パートCは、MMP-3を用いたAAVベースの遺伝子療法を使用した霊長類におけるIOPの低減を示す。パートCはさらに、AAVベースの遺伝子療法によって引き起こされるMMP-3の発現と眼圧(IOP)への影響との間の用量反応関係を示す。
指定された時点で、サルを仰臥位に置いた後、鎮静後10分以内に眼圧(IOP)をOUで測定した。IOP測定は、イヌ(d)キャリブレーション設定に設定されたTONOVET眼圧計を用いて実施された。各検査時点で各眼から三つの測定値が取られ、平均IOPが定義された。
図5A~5Bは、眼圧(IOP)に対するAAV-MMP3の治療効果を示す。図5Aは、mmHgとして測定された平均IOP±SEM(平均の標準誤差)を示す。測定は、21、42、56、66、91、122、150、および178日目(第3、6、8、9~10、13、17~18、21~22、および25~26週目に相当し、1、2、3、4、5、および6ヵ月目に相当する)に行われた。AAV9-CMV-MMP3で処置したサルのIOP測定は、投与後即時の低減を超えて安定しており、約56日目から約150日目までIOPの低減が観察された。図5Bは、処置の投与後66日目に測定された房水中のMMP3レベルの増加を伴うIOPの低減を示す。
図5Aに示すように、投与直後に予想される低減とは別に、AAV9-CMV-MMP3で処置した眼において、評価された時点でIOPは安定したままであった。平均して、処置された眼は、AAV-MMP3の注射後の実験の全過程で、一貫してIOPの低減を示す。図5Bに示すように、房水中のMMP3レベルと、ベースラインからのIOPの変化との比較により、MMP3レベルの増加を伴うIOPの低減が明らかになった。
D.MMP-3を用いたAAVベースの遺伝子療法は角膜厚に影響を与えない
パートDは、MMP-3を用いたAAVベースの治療が角膜厚に影響を与えないことを実証する。角膜厚は、安全性試験の過程全体を通じて、パキメトリーおよびスペキュラーマイクロスコピーにより測定された。角膜厚の測定値は安定しており、正常範囲内であり、明らかにAAV-MMP3に関連した変化はなかった。
パートDは、MMP-3を用いたAAVベースの治療が角膜厚に影響を与えないことを実証する。角膜厚は、安全性試験の過程全体を通じて、パキメトリーおよびスペキュラーマイクロスコピーにより測定された。角膜厚の測定値は安定しており、正常範囲内であり、明らかにAAV-MMP3に関連した変化はなかった。
スペキュラーマイクロスコピー:指定された時点で、角膜内皮の完全性を評価するために、TOMEY EM-3000スペキュラーマイクロスコープを用いてスペキュラーマイクロスコピーを実施した。分析した内皮細胞の数、細胞密度、平均、標準偏差、変動係数(CV)および細胞寸法の範囲を定量化した。
パキメトリー:角膜パキメトリーは、ACCUTOME ACCUPACH 5超音波パキメーターを使用して、指定された時点で実施された。平均パキメトリー値は、各眼における一連の連続する四つの測定から、ミクロン単位で、得られた。
図6A~6Bは、角膜厚の測定値がAAV-MMP3に応答して変化しなかったことを示す。図6Aに示すように、AAV-MMP3に応答して選択された時点での、霊長類に対するパキメトリーによる角膜厚の平均測定値の代表値は、経時的な有意な変化を示さなかった。図6Bに示すように、スペキュラーマイクロスコピーで測定される平均角膜厚の代表値もまた、試験の全過程で安定した値を示し、AAV-MMP3に関連する厚さの差異は観察されない。
E.MMP-3を用いたAAVベースの遺伝子療法は炎症を引き起こさない
パートEは、MMP-3を用いたAAVベースの治療が炎症反応をもたらさない、または炎症反応が最小限であることを実証する。指定された時点で、スリットランプ検査を両眼(OU)で行った。前房細胞、房水フレア、および他の眼所見は、判定されたスコアの個々の構成要素の総和から導出された、改変ハケット-マクドナルドスコアリングシステムおよび複合臨床スコアを使用して等級分けされた。スリットランプ検査および眼底検査は、試験経過中(すなわち、少なくとも90日間)、眼内炎症の証拠を示さない。一部の動物では、最小限の炎症反応が観察された。
パートEは、MMP-3を用いたAAVベースの治療が炎症反応をもたらさない、または炎症反応が最小限であることを実証する。指定された時点で、スリットランプ検査を両眼(OU)で行った。前房細胞、房水フレア、および他の眼所見は、判定されたスコアの個々の構成要素の総和から導出された、改変ハケット-マクドナルドスコアリングシステムおよび複合臨床スコアを使用して等級分けされた。スリットランプ検査および眼底検査は、試験経過中(すなわち、少なくとも90日間)、眼内炎症の証拠を示さない。一部の動物では、最小限の炎症反応が観察された。
F.AAVベースの遺伝子療法はMMP-3の血清濃度を上昇させない
パートFは、MMP-3を用いたAAVベースの治療がベースラインに対してMMP-3の血清レベルの増加を引き起こさないことを示す。血液(5mL)を、前房内注射後の指定された放血時点(phlebotomy time points)で、遠心分離管(血餅活性化剤(clot activator)を含まない)中で室温で1時間インキュベーションすることによる血清調製のために収集し、凝固させ、その後4℃で3000rpmで10分間遠心分離した。総MMP3濃度を測定するためにELISAを実施した。AAV-MMP3を注射された霊長類において、いずれの時点でも、注射前のベースラインと比較して有意な上昇は認められなかった。図7に示すように、ELISAによって判定された血清中のMMP3レベル(ng/mL)は、ベースラインに対して有意に上昇しなかった(下段線)。また、レベルは、ビヒクル対照で観察されたものよりも大きくはなかった(上段線)。
パートFは、MMP-3を用いたAAVベースの治療がベースラインに対してMMP-3の血清レベルの増加を引き起こさないことを示す。血液(5mL)を、前房内注射後の指定された放血時点(phlebotomy time points)で、遠心分離管(血餅活性化剤(clot activator)を含まない)中で室温で1時間インキュベーションすることによる血清調製のために収集し、凝固させ、その後4℃で3000rpmで10分間遠心分離した。総MMP3濃度を測定するためにELISAを実施した。AAV-MMP3を注射された霊長類において、いずれの時点でも、注射前のベースラインと比較して有意な上昇は認められなかった。図7に示すように、ELISAによって判定された血清中のMMP3レベル(ng/mL)は、ベースラインに対して有意に上昇しなかった(下段線)。また、レベルは、ビヒクル対照で観察されたものよりも大きくはなかった(上段線)。
実施例4:ステロイド緑内障のマウスモデルにおいて、AAV9発現MMP3は、IOPを低減させ、房水流出能を増加させる
AAV9発現MMP3は、高眼圧症のグルココルチコイドモデルにおいてIOPを低減させる
野生型マウスに、MMP3をコードするテトラサイクリン誘導性AAV(AAV-iMMP-3)、または対照として、GFPをコードするテトラサイクリン誘導性AAV(AAV-iGFP)を前房内注射した。AAV注射の2週間後、マウスに、グルココルチコイドデキサメタゾンを充填した浸透圧ミニポンプを皮下移植した。マウスの対照サブセットに、ビヒクル対照であるシクロデキストリンを分泌するポンプを移植した。デキサメタゾン処置された動物では、図8Aに見られるように、移植後4週間にわたり高圧を発症した。眼圧は、シクロデキストリン対照処置動物において安定であった(図8B)。
AAV9発現MMP3は、高眼圧症のグルココルチコイドモデルにおいてIOPを低減させる
野生型マウスに、MMP3をコードするテトラサイクリン誘導性AAV(AAV-iMMP-3)、または対照として、GFPをコードするテトラサイクリン誘導性AAV(AAV-iGFP)を前房内注射した。AAV注射の2週間後、マウスに、グルココルチコイドデキサメタゾンを充填した浸透圧ミニポンプを皮下移植した。マウスの対照サブセットに、ビヒクル対照であるシクロデキストリンを分泌するポンプを移植した。デキサメタゾン処置された動物では、図8Aに見られるように、移植後4週間にわたり高圧を発症した。眼圧は、シクロデキストリン対照処置動物において安定であった(図8B)。
移植の2週間後、ドキシサイクリン(テトラサイクリン類似体)を眼に1日2回局所適用し、AAVの転写を誘導した。ドキシサイクリンの添加時点以後(DEX第2週)、AAV-MMP3処置した眼のIOPは、高圧の動物では安定的であるようである(図8A、下段線)、しかしAAV-iGFP動物では、上昇が続いた(図8A、上段線)。
ベースラインから最終時点までのIOPの変化を比較する場合、AAV-iMMP3処置した眼は、AAV-iGFP対照と比較して、IOPが有意に低減した(合計6週間、図9A)。また、対側の眼の間でのみ最終時点を比較した場合でも、高圧の動物におけるAAV-iMMP3処置した眼でIOPは有意に低減する(図9C)。正常圧の対照マウスでは有意な変化は観察されない、図9Bおよび図9D)。統計は、スチューデントのt検定を用いて実施した。デキサメタゾン処置マウスについてN=14。シクロデキストリン処置マウスについてはN=10。
AAV9発現MMP3は、高眼圧症のグルココルチコイドモデルにおいて房水流出能を増加させる
デキサメタゾン誘発性高眼圧のマウス(図10A)、および正常圧のマウス(図10B)の両方において、房水流出能は、対側対照と比較して、AAV-MMP3処置した眼でおよそ50%増加する。高圧動物では、房水流出能の平均増加は45%[18、78](平均パーセンテージ、[下側の信頼区間、上側の信頼区間])、P=0.0049、N=8であった。正常圧の動物対照では、房水流出能の平均増加は59%[26、100]、P=0.002、N=8であった。
デキサメタゾン誘発性高眼圧のマウス(図10A)、および正常圧のマウス(図10B)の両方において、房水流出能は、対側対照と比較して、AAV-MMP3処置した眼でおよそ50%増加する。高圧動物では、房水流出能の平均増加は45%[18、78](平均パーセンテージ、[下側の信頼区間、上側の信頼区間])、P=0.0049、N=8であった。正常圧の動物対照では、房水流出能の平均増加は59%[26、100]、P=0.002、N=8であった。
AAV-MMP3は、グルココルチコイド誘発性高眼圧症のマウスモデルにおいて、従来の流出組織で細胞外分解を誘導する。
シュレム管の内皮下領域について、電子顕微鏡法を用いて処置された眼と対照眼の両方での細胞外マトリクス(ECM)物質の不在を定量化した(図11)。処置された眼は、眼の全周のこの領域において、視覚的空隙を有意により多量に有した。
シュレム管の内皮下領域について、電子顕微鏡法を用いて処置された眼と対照眼の両方での細胞外マトリクス(ECM)物質の不在を定量化した(図11)。処置された眼は、眼の全周のこの領域において、視覚的空隙を有意により多量に有した。
実施例5:先天性緑内障のマウスモデルにおいて、AAV9発現MMP3は、IOPを低減させ、房水流出能を増加させる
AAV9発現MMP3は、緑内障の遺伝モデルにおいてIOPを低下させる
野生型マウス(図中MYOC(-))およびヒト突然変異ミオシリンY437H導入遺伝子(図中MYOC(+))陽性マウスに、一方の眼にAAV-iMMP3を注射し、対側対照としてAAV-iGFPを注射した。2週間後、発現は、ドキシサイクリン点眼薬の1日2回投与を介して誘発された。図12Aは、高圧MYOC(+)動物において、AAV-iMMP3処置した眼が、試験過程にわたってIOPの低減を呈することを示す。実験の過程にわたりAAV-iMMP-3およびAAV-iGFPで対側性に処置された眼のIOPの中央値の変化は、MYOC(+)群(図13A)およびMYOC(-)群(図13B)についてドット箱ひげ図で表される。最終IOPの測定値が、それぞれMYOC(+)群およびMYOC(-)群に対応して、(図13C)および(図13D)に表される。対側性眼の間の最終IOP測定値の差は、MYOC(+)動物(1.7±0.1mmHg、p=0.0003、n=16、図6C)では有意であったが、MYOC(-)動物では有意ではなかった(0.1±0.2mmHg、p=0.48、n=12、図6D)。
AAV9発現MMP3は、緑内障の遺伝モデルにおいてIOPを低下させる
野生型マウス(図中MYOC(-))およびヒト突然変異ミオシリンY437H導入遺伝子(図中MYOC(+))陽性マウスに、一方の眼にAAV-iMMP3を注射し、対側対照としてAAV-iGFPを注射した。2週間後、発現は、ドキシサイクリン点眼薬の1日2回投与を介して誘発された。図12Aは、高圧MYOC(+)動物において、AAV-iMMP3処置した眼が、試験過程にわたってIOPの低減を呈することを示す。実験の過程にわたりAAV-iMMP-3およびAAV-iGFPで対側性に処置された眼のIOPの中央値の変化は、MYOC(+)群(図13A)およびMYOC(-)群(図13B)についてドット箱ひげ図で表される。最終IOPの測定値が、それぞれMYOC(+)群およびMYOC(-)群に対応して、(図13C)および(図13D)に表される。対側性眼の間の最終IOP測定値の差は、MYOC(+)動物(1.7±0.1mmHg、p=0.0003、n=16、図6C)では有意であったが、MYOC(-)動物では有意ではなかった(0.1±0.2mmHg、p=0.48、n=12、図6D)。
緑内障の遺伝モデルにおいて、AAV9発現MMP3は房水流出能を増加させる
MYOCY437Hマウス(図14A)では、房水流出能は、平均49%増加する、P=0.0115、N=9。正常圧の同腹仔対照では(図14B)、房水流出能の平均増加は88%、P=0.0001、N=8であった。
MYOCY437Hマウス(図14A)では、房水流出能は、平均49%増加する、P=0.0115、N=9。正常圧の同腹仔対照では(図14B)、房水流出能の平均増加は88%、P=0.0001、N=8であった。
実施例6:コドン最適化MMP3配列の開発および特徴解析
コドン最適化配列の開発
MMP3配列(配列番号9)のコドン最適化を、ヒトコドン使用のための配列を最適化するためのアルゴリズムを使用して実施した。天然MMP3配列およびコドン最適化配列の一つであるMMP Opt 3も、CpG枯渇のために改変した(表5および表6)。表5は、天然MMP3配列に対する各最適化配列の配列類似性を示す。コドン最適化配列のパーセント同一性およびGC含量は両方とも、天然MMP3配列と有意に異なっていた。図22A~22Cは、天然配列および最適化配列のアライメントを示す。本明細書に記載される実施例に提供される方法および分析を使用して、任意の最適化配列を試験し、特徴解析する。
(表5)コドン最適化MMP3配列と天然配列との比較。
コドン最適化配列の開発
MMP3配列(配列番号9)のコドン最適化を、ヒトコドン使用のための配列を最適化するためのアルゴリズムを使用して実施した。天然MMP3配列およびコドン最適化配列の一つであるMMP Opt 3も、CpG枯渇のために改変した(表5および表6)。表5は、天然MMP3配列に対する各最適化配列の配列類似性を示す。コドン最適化配列のパーセント同一性およびGC含量は両方とも、天然MMP3配列と有意に異なっていた。図22A~22Cは、天然配列および最適化配列のアライメントを示す。本明細書に記載される実施例に提供される方法および分析を使用して、任意の最適化配列を試験し、特徴解析する。
(表5)コドン最適化MMP3配列と天然配列との比較。
インビトロでのコドン最適化配列の発現
特徴解析のために、MMP3 Opt 1(配列番号23)、MMP3 Opt 2(配列番号24)、およびMMP3 Opt 3(配列番号25)の三つの最適化配列を選択した。コドン最適化配列を作製し、AAV発現カセット内にサブクローニングした。コドン最適化配列を含有するプラスミドを、トランスフェクトしやすく広く使用されているヒト細胞株の代表例であるHEK293細胞に、および、意図された標的細胞型の代表例であるHCEC(ヒト角膜内皮細胞)に、トランスフェクトした。どちらの場合も、リポフェクタミン3000トランスフェクション試薬を使用して細胞を48時間トランスフェクトした。次いで、タンパク質を、培養培地上清から、および細胞溶解物から採取した。ヒトMMP3(R&Dシステム、DMP300)用のELISAを実施して、各サンプルのMMP3濃度を判定した。BCAアッセイを実施して、総タンパク質濃度を判定した。ELISAデータをBCAデータに正規化し、総タンパク質1μg当たりのngでMMP3の量を生成した。
特徴解析のために、MMP3 Opt 1(配列番号23)、MMP3 Opt 2(配列番号24)、およびMMP3 Opt 3(配列番号25)の三つの最適化配列を選択した。コドン最適化配列を作製し、AAV発現カセット内にサブクローニングした。コドン最適化配列を含有するプラスミドを、トランスフェクトしやすく広く使用されているヒト細胞株の代表例であるHEK293細胞に、および、意図された標的細胞型の代表例であるHCEC(ヒト角膜内皮細胞)に、トランスフェクトした。どちらの場合も、リポフェクタミン3000トランスフェクション試薬を使用して細胞を48時間トランスフェクトした。次いで、タンパク質を、培養培地上清から、および細胞溶解物から採取した。ヒトMMP3(R&Dシステム、DMP300)用のELISAを実施して、各サンプルのMMP3濃度を判定した。BCAアッセイを実施して、総タンパク質濃度を判定した。ELISAデータをBCAデータに正規化し、総タンパク質1μg当たりのngでMMP3の量を生成した。
コドン最適化MMP3配列の発現を、HEK細胞株およびHCEC細胞株で特徴解析した。HEK細胞にトランスフェクトされた最適化構築物は、この細胞型に対する培地および細胞溶解物の両方で、MMP3発現にほとんど変化を示さなかった(図15)。対照的に、HCEC細胞におけるMMP3発現は、MMP3をコードする異なる配列間の発現に明確な差異を示した(図16)。HCEC細胞にトランスフェクトされた最適化構築物の分析は、天然MMP3コード配列と比較して、細胞溶解物および培地上清の両方におけるMMP3タンパク質産生の有意な増加を示す。最適化配列間のタンパク質産生の差異は、MMP3 Opt 3配列が最高レベルのタンパク質産生をもたらし、MMP3 Opt 2およびMMP3 Opt 1が後に続くことを示している(図16)。これらの結果は、関連する細胞型において、コドン最適化配列が、天然配列と比較して、より大きなMMP3タンパク質産生をもたらすことを示唆している。
HEK293細胞およびHCEC細胞において、MMP3をコードする天然配列およびコドン最適化配列について観察された発現傾向の比較は、ヒト細胞株間で発現が予測できないことを示す。HEK293細胞では、天然配列とコドン最適化配列の間、およびコドン最適化配列間の発現のばらつきは非常に少なかった。予想外のことに、コドン最適化配列はすべて、天然配列よりも高いレベルで発現され、HCEC細胞のコドン最適化配列間では発現に差異があった。この結果は、改善された発現は、MMP3コード配列のコドン最適化の明白な結果ではない、ということを示す。
コドン最適化MMP3配列のAAV9ウイルスベクター送達
最も効率的なコドン最適化配列、MMP3 Opt 3、または天然MMP3配列のいずれかを含有するAAV9ウイルスベクターを作製した。ベクターを、1×105のMOI(感染多重度)でHCEC細胞に形質導入した。培地上清を、トランスフェクションの48時間後に採取した。ELISA、ウェスタンブロット、およびFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)活性アッセイをこれらのサンプルに対して実施し、タンパク質発現およびプロテアーゼ活性を特徴解析した。
最も効率的なコドン最適化配列、MMP3 Opt 3、または天然MMP3配列のいずれかを含有するAAV9ウイルスベクターを作製した。ベクターを、1×105のMOI(感染多重度)でHCEC細胞に形質導入した。培地上清を、トランスフェクションの48時間後に採取した。ELISA、ウェスタンブロット、およびFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)活性アッセイをこれらのサンプルに対して実施し、タンパク質発現およびプロテアーゼ活性を特徴解析した。
AAV9ウイルスベクターにより送達されるコドン最適化MMP3配列の発現
MMP3発現を、AAV9ベクターで形質導入されたHCEC細胞で評価した。MMP3発現は、MMP3 Opt 3構築物を使用した場合、対照および天然MMP3配列を含有する構築物と比較して、培地において有意に増加した(P=<0.0001、N=16 MMP3 Opt 3、N=15天然、対でないt検定)(図17)。さらに、利用可能な場合、MMP3レベルをさらに、総タンパク質濃度に対して正規化正規化した。(P=<0.0001、N=8)(図18)。ウェスタンブロット分析を使用して、AAV9ベクターによって形質導入されたHCEC細胞中のコドン最適化配列および天然配列から培地中に分泌されたMMP3を測定した。天然または最適化されたMMP3を発現するAAV9で処理されたHCEC細胞培養物からの培地を、MMP3(Abcam、#ab52915)に対して免疫ブロットした(図19)。結果は、最適化構築物で処理された細胞を含有するレーンにおいて、pro-MMP3バンドと活性MMP3バンドの両方の強度がより強いことを示す。ポンソーはローディングコントロールとして提示される。
MMP3発現を、AAV9ベクターで形質導入されたHCEC細胞で評価した。MMP3発現は、MMP3 Opt 3構築物を使用した場合、対照および天然MMP3配列を含有する構築物と比較して、培地において有意に増加した(P=<0.0001、N=16 MMP3 Opt 3、N=15天然、対でないt検定)(図17)。さらに、利用可能な場合、MMP3レベルをさらに、総タンパク質濃度に対して正規化正規化した。(P=<0.0001、N=8)(図18)。ウェスタンブロット分析を使用して、AAV9ベクターによって形質導入されたHCEC細胞中のコドン最適化配列および天然配列から培地中に分泌されたMMP3を測定した。天然または最適化されたMMP3を発現するAAV9で処理されたHCEC細胞培養物からの培地を、MMP3(Abcam、#ab52915)に対して免疫ブロットした(図19)。結果は、最適化構築物で処理された細胞を含有するレーンにおいて、pro-MMP3バンドと活性MMP3バンドの両方の強度がより強いことを示す。ポンソーはローディングコントロールとして提示される。
AAV9ウイルスベクターによって送達されるコドン最適化MMP3配列のプロテアーゼ活性
AA9ベクターによって形質導入された細胞から採取された培地におけるMMP3プロテアーゼ活性。(図20)。発現されたMMP3のプロテアーゼ活性を、MMP3活性アッセイFRETキット(Abcam、#ab118972)を使用して評価した。MMP3活性は、最適化構築物を使用して有意に増加した。(P<0.0001、N=8)。活性は、mU/mlで定量化され、ここで、製造業者のプロトコルに従って、室温で1分当たり1.0μmolのクエンチされていないMcaを生成する酵素の量として、1ユニットが定義される。
AA9ベクターによって形質導入された細胞から採取された培地におけるMMP3プロテアーゼ活性。(図20)。発現されたMMP3のプロテアーゼ活性を、MMP3活性アッセイFRETキット(Abcam、#ab118972)を使用して評価した。MMP3活性は、最適化構築物を使用して有意に増加した。(P<0.0001、N=8)。活性は、mU/mlで定量化され、ここで、製造業者のプロトコルに従って、室温で1分当たり1.0μmolのクエンチされていないMcaを生成する酵素の量として、1ユニットが定義される。
実施例7:ヒトの眼における房水流出能に対するMMP3の効果
マウスおよび非ヒト霊長類データを拡張するために、ヒトの眼に対する組換えヒトMMP3の有効性を判定した。死後、眼は二等分され、前房はiPerfusionシステムに取り付けられた。MMP3は、安定した流量が達成された後、数日間にわたって濃度を増加して、眼内に灌流された。対側眼にビヒクルを使用し、ペア観察を可能にした。5ng/mlの濃度を分析のために選択した。この濃度では、5ng/mlの灌流液を交換を介して前房に導入した1時間後、MMP3は、対照と比較して平均で56%、房水流出能を増加させた、P=0.1399、N=3ペア(図21A~21B)。これらの結果は、特に1~10ng/mlの用量を達成するように組換えタンパク質または遺伝子療法ベクターの用量が選択される場合に、緑内障患者の眼における組換えMMP3への曝露が、房水流出能を増加させ、眼圧を低減させ得ることを示唆する。
マウスおよび非ヒト霊長類データを拡張するために、ヒトの眼に対する組換えヒトMMP3の有効性を判定した。死後、眼は二等分され、前房はiPerfusionシステムに取り付けられた。MMP3は、安定した流量が達成された後、数日間にわたって濃度を増加して、眼内に灌流された。対側眼にビヒクルを使用し、ペア観察を可能にした。5ng/mlの濃度を分析のために選択した。この濃度では、5ng/mlの灌流液を交換を介して前房に導入した1時間後、MMP3は、対照と比較して平均で56%、房水流出能を増加させた、P=0.1399、N=3ペア(図21A~21B)。これらの結果は、特に1~10ng/mlの用量を達成するように組換えタンパク質または遺伝子療法ベクターの用量が選択される場合に、緑内障患者の眼における組換えMMP3への曝露が、房水流出能を増加させ、眼圧を低減させ得ることを示唆する。
本明細書に記載されるすべての刊行物および特許は、個々の刊行物または特許が、参照により組み込まれることを具体的かつ個別に示したかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾がある場合、本明細書の任意の定義を含む本出願が優先する。しかしながら、本明細書に引用される任意の参照、記事、刊行物、特許、特許公開、および特許出願の言及は、有効な先行技術を構成する、または世界の任意の国で共通の一般知識の部分を形成するという承認やいかなる形態の提案ではなく、そのようにとらえられるべきではない。
本明細書の記載では、別段の示唆がない限り、任意の濃度範囲、パーセンテージ範囲、比範囲、または整数範囲は、列挙された範囲内の任意の整数の値、および適切な場合にはその分数(例えば、整数の10分の1および100分の1など)を含むと理解されるべきである。用語「約」は、数字または数詞の直前にあるとき、当該数字または数詞がプラスまたはマイナス10%の範囲であることを意味する。本明細書で使用されるとき、用語「a」および「an」は、別段の示唆がない限り、列挙された構成要素のうちの「一つ以上」を指すことが理解されるべきである。選択肢の使用(例えば、「または」)は、選択肢の一方、両方、または任意の組み合わせのいずれかを意味すると理解されるべきである。用語「および/または」は、選択肢の一方または両方を意味すると理解されるべきである。本明細書で使用される場合、用語「含む(include)」および「含む(comprise)」は同義で使用される。
本明細書で使用される節の見出しは、組織化のみを目的としており、記載される主題を制限するものとして解釈されるべきではない。
例示的実施形態が図示および説明されているが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることが理解されよう。
Claims (90)
- 複数の血清型9の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV9)粒子を含む単位用量であって、
前記複数のrAAV9粒子の各rAAV9が、非複製であり、
前記複数のrAAV9粒子の各rAAV9が、
(a)5’逆位末端リピート(ITR)をコードする配列、
(b)プロモーターをコードする配列、
(c)ヒトマトリクスメタロプロテイナーゼ3(hMMP-3)をコードする配列、
(d)ポリアデニル化(ポリA)シグナルをコードする配列、および
(e)3’ITRをコードする配列
を5’から3’に向かって含むポリヌクレオチドを含み、
前記単位用量が、1×1010ベクターゲノム(vg)~5×1012vg(終点を含む)のrAAV9粒子を含む、
単位用量。 - (i)無菌であり、(ii)薬学的に許容可能な担体を含む、請求項1に記載の単位用量。
- 前記複数のrAAV9粒子の各rAAV9が、一本鎖AAV(ssAAV)ベクターである、請求項1または請求項2に記載の単位用量。
- 前記複数のrAAV9粒子の各rAAV9が、自己相補的AAV(scAAV)ベクターである、請求項1または請求項2に記載の単位用量。
- 前記プロモーターがCMVプロモーターを含み、前記CMVプロモーターをコードする前記配列が、
配列番号6、配列番号7、もしくは配列番号19の配列、または
それに対する80%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を任意選択的に有する、その機能的変異体
を含むかまたはそれからなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の単位用量。 - 前記ヒトMMP-3をコードする配列が、
配列番号1、配列番号2、配列番号10、もしくは配列番号22のMMP-3アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、または
それに対する80%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を任意選択的に有するその機能的変異体
を含むかまたはそれからなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の単位用量。 - 前記MMP-3アミノ酸配列をコードする前記ヌクレオチド配列が、野生型ヌクレオチド配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の単位用量。
- 前記MMP-3をコードする配列が、
配列番号9、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、もしくは配列番号27のヌクレオチド配列を含むかもしくはそれからなる、または
それに対する少なくとも80%、90%、95%、97%、99%の配列同一性を共有する、
請求項7に記載の単位用量。 - 前記5’ITRをコードする配列が、血清型2のAAV(AAV2)の5’ITR配列から誘導される、請求項1~8のいずれか一項に記載の単位用量。
- 前記5’ITRをコードする配列が、AAV2の5’ITRの配列と同一である配列を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の単位用量。
- 前記5’ITRをコードする配列が、配列番号5、配列番号14、または配列番号15のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる、請求項1~10のいずれか一項に記載の単位用量。
- 前記3’ITRをコードする配列が、AAV2の3’ITR配列から誘導される、請求項1~11のいずれか一項に記載の単位用量。
- 前記3’ITRをコードする配列が、AAV2の3’ITRの配列と同一である配列を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の単位用量。
- 前記3’ITRをコードする配列が、配列番号12、または配列番号16~18のいずれか一つのヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる、請求項1~13のいずれか一項に記載の単位用量。
- 前記ポリAシグナルをコードする配列が、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリA配列を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の単位用量。
- 前記hGH ポリAシグナルをコードする配列が、配列番号11のヌクレオチド配列を含む、請求項15に記載の単位用量。
- 前記ポリヌクレオチドが、コザック配列をさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の単位用量。
- 前記コザック配列が、CGCCACCATG(配列番号21)のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる、請求項17に記載の単位用量。
- 前記ポリヌクレオチドが、配列番号3、または配列番号4の配列を含むかまたはそれからなる、請求項1~18のいずれか一項に記載の単位用量。
- 前記rAAV9粒子の各々が、AAV血清型9(AAV9)キャップタンパク質から単離または誘導されたウイルスCapタンパク質を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の単位用量。
- 組換えマトリクスメタロプロテイナーゼ3(MMP-3)タンパク質を含む単位用量であって、
1ミリリットル当たり1ミリグラム(mg/mL)~500mg/mL(終点を含む)の前記組換えMMP-3タンパク質、または、0.1ナノグラム(ng)~10ng(終点を含む)の前記組換えMMP-3タンパク質
を含む、前記単位用量。 - 約0.01~約10ng/mLの前記組換えMMP-3タンパク質を含む、請求項21に記載の単位用量。
- 前記組換えMMP-3タンパク質がヒトMMP-3タンパク質である、請求項21または請求項22に記載の単位用量。
- 前記組換えMMP-3タンパク質が、
配列番号1、配列番2、配列番号10、もしくは配列番号22の配列を含むかもしくはそれからなるポリペプチド配列、または
それに対する80%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を任意選択的に有するその機能的変異体もしくは機能的断片
を有する、請求項21~23のいずれか一項に記載の単位用量。 - 対象の角膜内皮を形質導入する方法であって、請求項1~24のいずれか一項に記載の単位用量の有効量を投与することを含み、前記対象が霊長類である、前記方法。
- 前記単位用量中の前記複数のrAAV9粒子の各rAAV9が、一本鎖AAV(ssAAV)である、請求項25に記載の方法。
- 前記単位用量の前記有効量を投与することが、0.01ng/mL~約10ng/mL(終点を含む)、0.01ng/mL~約500ng/mL(終点を含む)、または0.01ng/mL~約1000ng/mL(終点を含む)の測定濃度の、前記対象の眼の房水におけるMMP-3の発現をもたらす、請求項25または請求項26に記載の方法。
- 前記測定濃度が、1ng/mL以上である、請求項25~27のいずれか一項に記載の方法。
- 前記測定濃度が、10ng/mL以下である、請求項25~28のいずれか一項に記載の方法。
- 前記測定濃度が、1~10ng/mL(終点を含む)である、請求項25~29のいずれか一項に記載の方法。
- 前記測定濃度が、少なくとも1~3ng/mL(終点を含む)である、請求項28に記載の方法。
- 前記MMP-3の発現が、少なくとも21日間、42日間、56日間、または66日間維持される、請求項25~31のいずれか一項に記載の方法。
- 前記MMP-3の発現が、少なくとも90日間維持される、請求項25~31のいずれか一項に記載の方法。
- 房水中の前記MMP-3の発現が、ウェスタンブロットまたはELISAによって測定される、請求項25~31のいずれか一項に記載の方法。
- 房水流出能を少なくとも25%または少なくとも30%増加させる、請求項25~34のいずれか一項に記載の方法。
- 前記房水流出能の増加が、前記投与工程の約66日以内に発生する、請求項35に記載の方法。
- 角膜厚が、前記投与工程前の前記対象における角膜厚と比べて、および/または対照単位用量を投与された対象における角膜厚と比べて、変化しないままである、請求項25~36のいずれか一項に記載の方法。
- 炎症反応を引き起こさない、請求項25~37のいずれか一項に記載の方法。
- 前記対象の血清中のMMP-3のベースラインレベルを超えて上昇しないMMP-3の血清レベルをもたらす、請求項25~38のいずれか一項に記載の方法。
- 前記投与工程が、前記対象の少なくとも一方の眼への前記単位用量の前房内注射を含む、請求項25~39のいずれか一項に記載の方法。
- 対象の少なくとも一方の眼の眼圧(IOP)を低減する方法であって、請求項1~24のいずれか一項に記載の単位用量の有効量を投与することを含み、前記対象が霊長類である、前記方法。
- 前記単位用量の前記有効量を投与することが、0.01ng/mL~約10ng/mL(終点を含む)の測定濃度の、前記対象の眼の房水におけるMMP-3の発現をもたらす、請求項41に記載の方法。
- 前記測定濃度が、1ng/mL以上である、請求項42に記載の方法。
- 前記測定濃度が、10ng/mL以下である、請求項42または請求項43に記載の方法。
- 前記測定濃度が、1~10ng/mL(終点を含む)である、請求項42~44のいずれか一項に記載の方法。
- 前記測定濃度が、少なくとも1~3ng/mL(終点を含む)である、請求項42~44のいずれか一項に記載の方法。
- 前記MMP-3の発現が、少なくとも21日間、42日間、56日間、または66日間維持される、請求項42~46のいずれか一項に記載の方法。
- 前記MMP-3の発現が、少なくとも90日間維持される、請求項42~47のいずれか一項に記載の方法。
- 前記MMP-3の発現が、ウェスタンブロットまたはELISAによって測定される、請求項42~48のいずれか一項に記載の方法。
- 房水流出能を少なくとも25%または少なくとも30%増加させる、請求項42~49のいずれか一項に記載の方法。
- 眼圧(IOP)を低減させる、請求項42~50のいずれか一項に記載の方法。
- 角膜厚が、前記投与工程前の前記対象における角膜厚と比べて、および/または対照単位用量を投与された対象における角膜厚と比べて、変化しないままである、請求項42~51のいずれか一項に記載の方法。
- 炎症反応を引き起こさない、請求項42~52のいずれか一項に記載の方法。
- 前記対象の血清中のMMP-3のベースラインレベルを超えて上昇しないMMP-3の血清レベルをもたらす、請求項42~53のいずれか一項に記載の方法。
- 前記投与工程が、前記対象の少なくとも一方の眼の角膜への前記単位用量の注射を含む、請求項42~54のいずれか一項に記載の方法。
- 前記投与工程が、前記対象の少なくとも一方の眼の側頭角膜への前記単位用量の注射を含む、請求項42~55のいずれか一項に記載の方法。
- 前記投与工程が、前記対象の少なくとも一方の眼への前記単位用量の前房内注射を含む、請求項42~56のいずれか一項に記載の方法。
- それを必要とする対象におけるIOP上昇および/または緑内障を治療および/または予防する方法であって、前記対象に請求項1~24のいずれか一項に記載の単位用量の有効量を投与することを含み、前記対象が霊長類である、前記方法。
- 対象の角膜内皮を形質導入する方法であって、複数の血清型9の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV9)粒子を含む単位用量の有効量を前記対象に投与することを含み、
前記対象が霊長類であり、
前記複数のrAAV9粒子の各rAAV9が、非複製であり、
前記複数のrAAV9粒子の各rAAV9が、一本鎖AAV(ssAAV)であり、
前記複数のrAAV9粒子の各rAAV9が、
(a)5’逆位末端リピート(ITR)をコードする配列、
(b)プロモーターをコードする配列、
(c)マトリクスメタロプロテイナーゼ3(MMP-3)をコードする配列、
(d)ポリアデニル化(ポリA)シグナルをコードする配列、および
(e)3’ITRをコードする配列
を5’から3’に向かって含むポリヌクレオチドを含み、
前記単位用量が、
(i)1×1010ベクターゲノム(vg)~5×1012vg(終点を含む)のrAAV9粒子、または
(ii)1ミリリットル(mL)当たり約1×1011ベクターゲノム(vg)~1×1014vg/mL のrAAV9粒子
を含み、ならびに
前記単位用量の前記有効量を投与することが、0.01ng/mL~約10ng/mL(終点を含む)の測定濃度の、前記対象の眼の房水におけるMMP-3の発現をもたらす、
前記方法。 - 前記MMP-3をコードする配列が、
配列番号9、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、もしくは配列番号27のヌクレオチド配列を含むかもしくはそれからなる、または
それに対する少なくとも80%、90%、95%、97%、99%の配列同一性を共有する、
請求項59に記載の方法。 - 対象の角膜内皮を形質導入する方法であって、複数の血清型9の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV9)粒子を含む単位用量の有効量を前記対象に投与することを含み、
前記対象が霊長類であり、
前記複数のrAAV9粒子の各rAAV9が、非複製であり、
前記複数のrAAV9粒子の各rAAV9が、一本鎖AAV(ssAAV)であり、
前記複数のrAAV9粒子の各rAAV9が、
(a)5’逆位末端リピート(ITR)をコードする配列、
(b)プロモーターをコードする配列、
(c)導入遺伝子をコードする配列、
(d)ポリアデニル化(ポリA)シグナルをコードする配列、
(e)3’ITRをコードする配列
を5’から3’に向かって含むポリヌクレオチドを含む、
前記方法。 - 任意選択的にプロモーターに作動可能に連結された、ヒトマトリクスメタロプロテイナーゼ3(hMMP-3)またはその機能的変異体をコードする導入遺伝子を含む発現カセットを含む遺伝子療法ベクターであって、前記導入遺伝子が、ヒト宿主細胞における発現のために最適化されている、遺伝子療法ベクター。
- 前記ヒト宿主細胞が、ヒト角膜内皮細胞である、請求項62に記載の遺伝子療法ベクター。
- 前記導入遺伝子が、配列番号23~27から選択される配列に対する少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも97%の同一性、または少なくとも99%の同一性を共有する、請求項62または請求項63に記載の遺伝子療法ベクター。
- 前記導入遺伝子が、配列番号23~27から選択される配列を含む、請求項64に記載の遺伝子療法ベクター。
- 前記導入遺伝子が、配列番号23に対する少なくとも95%の同一性を共有するか、または配列番号23と同一である、請求項65に記載の遺伝子療法ベクター。
- 前記導入遺伝子が、配列番号24に対する少なくとも95%の同一性を共有するか、または配列番号24と同一である、請求項65に記載の遺伝子療法ベクター。
- 前記導入遺伝子が、配列番号25に対する少なくとも95%の同一性を共有するか、または配列番号25と同一である、請求項65に記載の遺伝子療法ベクター。
- 前記導入遺伝子が、配列番号26に対する少なくとも95%の同一性を共有するか、または配列番号26と同一である、請求項65に記載の遺伝子療法ベクター。
- 前記導入遺伝子が、配列番号27に対する少なくとも95%の同一性を共有するか、または配列番号27と同一である、請求項65に記載の遺伝子療法ベクター。
- 前記ベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである、請求項63~70のいずれか一項に記載の遺伝子療法ベクター。
- 前記AAVベクターがAAV9ベクターである、請求項71に記載の遺伝子療法ベクター。
- 前記AAVベクターが一本鎖AAV(ssAAV)ベクターである、請求項71または請求項72に記載の遺伝子療法ベクター。
- 前記AAVベクターが、自己相補的AAV(ssAAV)ベクターである、請求項71または請求項72に記載の遺伝子療法ベクター。
- 請求項62~74のいずれか一項に記載の遺伝子療法ベクターを含む、医薬組成物。
- それを必要とする対象におけるIOP上昇および/または緑内障を治療および/または予防する方法であって、前記対象に、請求項62~74のいずれか一項に記載の遺伝子療法ベクター、または請求項75に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含み、
前記対象が霊長類である、
前記方法。 - ヒトマトリクスメタロプロテイナーゼ3(hMMP-3)またはその機能的変異体をコードする導入遺伝子を含む、ポリヌクレオチドであって、前記導入遺伝子が、ヒト宿主細胞における発現のために最適化されている、ポリヌクレオチド。
- 前記導入遺伝子に作動可能に連結されたプロモーターを含む、請求項77に記載のポリヌクレオチド。
- 前記ヒト宿主細胞が、ヒト角膜内皮細胞である、請求項77または請求項78に記載のポリヌクレオチド。
- 前記導入遺伝子が、配列番号23~27から選択される配列に対する少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性、少なくとも97%の同一性、または少なくとも99%の同一性を共有する、請求項77~79のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
- 前記導入遺伝子が、配列番号23~27から選択される配列を含む、請求項80に記載のポリヌクレオチド。
- 前記導入遺伝子が、配列番号23に対する少なくとも95%の同一性を共有するか、または配列番号23と同一である、請求項81に記載のポリヌクレオチド。
- 前記導入遺伝子が、配列番号24に対する少なくとも95%の同一性を共有するか、または配列番号24と同一である、請求項81に記載のポリヌクレオチド。
- 前記導入遺伝子が、配列番号25に対する少なくとも95%の同一性を共有するか、または配列番号25と同一である、請求項81に記載のポリヌクレオチド。
- 前記導入遺伝子が、配列番号26に対する少なくとも95%の同一性を共有するか、または配列番号26と同一である、請求項81に記載のポリヌクレオチド。
- 前記導入遺伝子が、配列番号27に対する少なくとも95%の同一性を共有するか、または配列番号27と同一である、請求項81に記載のポリヌクレオチド。
- 前記導入遺伝子に隣接するアデノ随伴ウイルス(AAV)末端リピート(ITR)を含む、請求項77~86のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
- 単離ポリヌクレオチドである、請求項77~87のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
- 請求項77~88のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む、単離細胞。
- 請求項77~88のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む、医薬組成物。
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