JP2022551494A - マンガン含有配位錯体の水性製剤の製造方法、製剤および処置方法 - Google Patents

マンガン含有配位錯体の水性製剤の製造方法、製剤および処置方法 Download PDF

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Abstract

水溶液中での塩化物アニオン源とマンガン含有配位錯体源を配合することと同時にまたはそれに続いて、水溶液にジアニオン源を提供して水性製剤を形成させることによる、マンガン含有配位錯体の水性製剤の製造のための方法が提供される。

Description

本出願は、2019年10月10日に出願された米国仮出願番号第62/913,704号の優先権を主張するものであり、その全体を参照することにより本明細書に包含させる。
本発明は、一般に、マンガン含有配位錯体、例えば、マンガン含有ペンタアザ大環状環錯体の水性製剤の製造方法ならびにそれを用いた製剤および処置方法に関する。
マンガン含有配位錯体の水性製剤は、疾患状態の処置のための非経腸薬物製剤としての使用を含む多様な種々の使用のために製造され得る。非経腸製剤は典型的に、生理学的に許容されるpH、実質的に製剤を分解することなく非経腸投与される化合物の溶解度を維持する能力および許容可能な等張性などの、投与に適切であるための特定の性質を有することが必要である。非経腸投与のための水性製剤はまた、一般に、無菌でなければならず、好ましくは視覚的に認識できる粒子を含まず、かつ視認閾を下回る大きさの限られた量の粒子を含まなければならない。
処置のために投与され得る水性製剤中のマンガン含有配位錯体の例は、ヒト疾患の多くの動物および細胞モデルならびにヒト患者を苦しめる状態の処置において有効であることが示された式Aに対応する大環状環系を有する、マンガン含有ペンタアザ大環状環錯体を含む。
Figure 2022551494000002
例えば、大腸炎の齧歯類モデルにおいて、このような化合物の一つであるGC4403は、大腸炎の実験モデルに供したラットの結腸の損傷を有意に減少させたことが報告されている(Cuzzocrea et al., Europ. J. Pharmacol., 432, 79-89 (2001)を参照)。
Figure 2022551494000003
GC4403はまた、臨床的に関連する放射線誘発急性口腔粘膜炎のハムスターモデル(Murphy et al., Clin. Can. Res., 14(13), 4292 (2008))および成体マウスへの致死的全身照射(Thompson et al., Free Radical Res., 44(5), 529-40 (2010))の両方において生じる放射線損傷を減少させることが報告されている。同様に、別のこのような化合物であるGC4419は、ラットモデルのVEGFr阻害剤誘発肺疾患を低減することが示されている(Tuder, et al., Am. J. Respir. Cell Mol. Biol., 29, 88-97 (2003))。さらに、別のこのような化合物であるGC4401は、敗血症性ショック(S. Cuzzocrea, et.al., Crit. Care Med., 32(1), 157 (2004))および膵炎(S. Cuzzocrea, et.al., Shock, 22(3), 254-61 (2004))の動物モデルにおいて保護的効果を提供することが示されている。
Figure 2022551494000004
これらの化合物のあるものは、インビボで強力な抗炎症活性を有し、かつ酸化的損傷を予防することもまた、示されている。例えば、GC4403は、ラットの炎症モデルにおいて炎症を阻害し(Salvemini, et.al., Science, 286, 304 (1999))、コラーゲン誘発関節炎のラットモデルにおいて関節疾患を予防する(Salvemini et al., Arthritis & Rheumatism, 44(12), 2009-2021 (2001))ことが報告されている。これらの化合物のさらに他のものであるMdPAMおよびMnBAMは、結腸組織傷害および結腸組織への好中球蓄積の阻害においてインビボ活性を示す(Weiss et al., The Journal of Biological Chemistry, 271(42), 26149-26156 (1996))。さらに、これらの化合物は、ラット足カラギーナン痛覚過敏モデルにおける鎮痛活性を有し、炎症および浮腫を軽減することが報告されており、これについては、例えば、米国特許番号第6,180,620号を参照のこと。
このクラスの化合物はまた、ヒト対象における疾患の予防および治療において安全かつ有効であることが示されている。例えば、GC4419は、化学放射線療法を受けている頭頸部癌患者の口腔粘膜炎を軽減することが示されている(Anderson, C., Phase 1 Trial of Superoxide Dismutase (SOD) Mimetic GC4419 to Reduce Chemoradiotherapy (CRT)-Induced Mucositis (OM) in Patients (pts) with Mouth or Oropharyngeal Carcinoma (OCC), Oral Mucositis Research Workshop, MASCC/ISOO Annual Meeting on Supportive Care in Cancer, Copenhagen, Denmark (June 25, 2015); Anderson, C., Phase 1b/2a Trial of Superoxide Dismutase Mimetic GC4419 to Reduce Chemoradiotherapy-Induced Oral Mucositis in Patients with Oral Cavity or Oropharyngeal Carcinoma, Int. J. of Radiation Oncol. Biol. Phys., Vol. 100, No. 2, pages 427-435 (2018))。
さらに、このクラスに対応する遷移金属含有ペンタアザ大環状環錯体は、多様な癌の処置において有効性を示している。例えば、このクラスに対応するある化合物は、結腸直腸癌および肺癌(非小細胞性肺癌)の処置においてなど、癌治療を増強するパクリタキセルおよびゲムシタビンなどの薬剤との組合せで適用されている(例えば、米国特許第9,198,893号を参照)。上記の4403化合物もまた、Meth A紡錘細胞扁平癌およびRENCA腎臓癌のインビボモデルにおいて処置のために使用され(Samlowski et al., Nature Medicine, 9(6), 750-755 (2003)、紡錘細胞扁平癌転移における処置のためにもまた、使用されている(Samlowski et al., Madame Curie Bioscience Database (Internet), 230-249 (2006))。上記の4419化合物はまた、インビボモデルにおける処置を増強するために、癌治療と組み合わせて、例えば、シスプラチンの投与および放射線を含む治療と組み合わせて使用されている(Sishc et al., poster for Radiation Research Society (2015))。
従って、疾患状態を処置するための、マンガン含有ペンタアザ大環状環錯体の非経腸投与用の製剤を含むマンガン含有配位錯体の水性製剤のための、改良された製造方法に対する必要性が存在する。製剤の許容される安定性、等張性、pHおよび他の特性を維持しながら、このような製剤を用いた非経腸投与および/または他の処置を提供するための、改善されたマンガン含有配位錯体に対する必要性もまた、存在する。
従って、簡潔には、本発明の態様は、マンガン含有配位錯体、塩化物アニオンおよびジアニオンを含むマンガン含有配位錯体の水性製剤の製造方法であって、水溶液中でマンガン含有配位錯体源を塩化物アニオン源と配合し、水溶液中で塩化物アニオン源およびマンガン含有配位錯体源と配合することと同時にまたはそれに続いて、ジアニオン源を水溶液に提供し、水性製剤を形成させることを含む、方法に関する。特定の実施態様によれば、マンガン含有配位錯体源は、非配位状態の、またはマンガン含有配位錯体の1以上のリガンド以外の1以上のリガンドに配位した1以上のマンガン、例えば、マンガン含有配位錯体の合成に由来する不純物として残存する錯体形成していないマンガンを含むマンガン含有成分を含み得る。特定の実施態様によれば、マンガン含有配位錯体と配合される塩化物アニオン源の量は、水性製剤中のジアニオン濃度を上回る水性製剤中の塩化物イオン濃度を提供するために十分である。
本発明の態様はさらに、本明細書に記載のマンガン含有配位錯体の水性製剤を含む緩衝化された溶液を非経腸投与することを含む、患者における状態の処置方法に関する。
本発明の態様はさらに、(i)1mg/mL~50mg/mLの濃度のマンガン含有ペンタアザ大環状環錯体;(ii)130mM~160mMの濃度の塩化ナトリウム;および(iii)水溶液を7~10の範囲のpHに緩衝化するために十分な濃度のビカーボネート塩を含む緩衝化剤を含む緩衝液化水溶液を含む、マンガン含有ペンタアザ大環状環錯体の非経腸投与のための緩衝化された製剤に関する。緩衝化された製剤の保存安定性は、緩衝化された製剤の製造後9か月間、目視検査によりマンガンを含有する沈殿物が検出されないようなものである。
本発明の態様の他の目的および特徴を以降に記載する。
水性製剤の形成後1日の、ICP-MSによるマンガンの測定結果を示す。
図1の結果のグラフ表示を示す。
水性製剤の形成後6日の、ICP-MSによるマンガンの測定結果を示す。
図3の結果のグラフ表示を示す。
(水中に載置された)平面偏光(左下)および交差極間(右上)で見えた、9か月間の貯蔵後に水性製剤中で形成されたMnCO結晶の写真を示す。
(A)図5のMnCO結晶から収集したラマンスペクトル、ならびに(B)菱マンガン鉱のライブラリ基準スペクトル、(C)MnOのサンプルから収集されたラマンスペクトルおよび(D)黒マンガン鉱、Mnのライブラリ基準スペクトルと比較したラマンスペクトルを示す。
略語と定義
本発明をより詳細に定義し、本発明の実施における当業者の指針とするために、以下の定義および方法を提供する。特に記載しない限り、用語は、当業者による従来の使用法に従って理解すべきである。
「アシル」とは、Rが本明細書に定義するアルキル、ハロアルキル、場合により置換されているアリール、または場合により置換されているヘテロアリールである-COR部分、例えば、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイルなどを意味する。
「アシルオキシ」とは、Rが本明細書に定義するアルキル、ハロアルキル、場合により置換されているアリール、または場合により置換されているヘテロアリールである-OCOR部分、例えば、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイルなどを意味する。
「アルコキシ」とは、Rが上記で定義するアルキルである-OR部分、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシまたは2-プロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシまたはtert-ブトキシなどを意味する。
「アルキル」とは、1~6個の炭素原子などの直鎖飽和一価炭化水素部分、または3~6個の炭素原子などの分枝飽和一価炭化水素部分、例えばメチル、エチル、プロピル、2-プロピル、ブチル(すべての異性体を含む)、ペンチル(すべての異性体を含む)などのC-Cアルキル基を意味する。
さらに、特に断らない限り、本明細書で使用される用語「アルキル」は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含むことを意図し、後者は、炭化水素骨格の1個以上の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルキル部分をいう。実際には、特に断らない限り、本明細書中に列挙するすべての基は、置換および非置換の両方の選択肢を含むことを意図する。
用語「Cx-y」は、例えば、アルキルおよびアラルキルなどの化学的部分と組み合わせて使用されるとき、鎖中にx~y個の炭素を含む基を含むことを意味する。例えば、用語Cx-yアルキルとは、鎖中にx~y個の炭素を含む、直鎖アルキル基および分枝鎖アルキル基を含む置換または非置換飽和炭化水素基をいう。
「アルキレン」とは、特に断らない限り、1~6個の炭素原子などの直鎖飽和二価炭化水素部分、または3~6個の炭素原子などの分枝飽和二価炭化水素部分、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、1-メチルプロピレン、2-メチルプロピレン、ブチレン、ペンチレンなどを意味する。
「アルケニル」とは、2~6個の炭素原子などの直鎖不飽和一価炭化水素部分、または3~6個の炭素原子などの分枝飽和一価炭化水素部分、例えば、エテニル(ビニル)、プロペニル、2-プロペニル、ブテニル(すべての異性体を含む)、ペンテニル(すべての異性体を含む)などを意味する。
「アルカリール」とは、1以上の水素原子をアルキル基で置換することにより、アリール部分から誘導される一価部分を意味する。
「アルケニルシクロアルケニル」とは、1以上の水素原子をシクロアルケニル基で置換することにより、アルケニル部分から誘導される一価部分を意味する。
「アルケニルシクロアルキル」とは、1以上の水素原子をアルケニル基で置換することにより、シクロアルキル部分から誘導される一価部分を意味する。
「アルキルシクロアルケニル」とは、1以上の水素原子をアルキル基で置換することにより、シクロアルケニル部分から誘導される一価部分を意味する。
「アルキルシクロアルキル」とは、1以上の水素原子をアルキル基で置換することにより、シクロアルキル部分から誘導される一価部分を意味する。
「アルキニル」とは、不飽和一価炭化水素部分、2~6個の炭素原子などの直鎖不飽和一価炭化水素部分、または2~6個の炭素原子などの分枝飽和一価炭化水素部分、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、ヘキシニルなどを意味する。
「アルコキシ」とは、1以上の水素原子をヒドロキシ基で置換することにより、アルキル部分から誘導される一価部分を意味する。
「アミノ」とは、RおよびRが独立して、水素、アルキルまたはアリールである-NR基を意味する。
「アラルキル」とは、1以上の水素原子をアリール基で置換することにより、アルキル部分から誘導される一価部分を意味する。
「アリール」とは、6~10個の環原子の一価の単環式または二環式芳香族炭化水素部分、例えば、フェニルまたはナフチルを意味する。
「環」とは、3~10個の炭素原子の炭素環式飽和一価炭化水素部分を意味する。
「シクロアルキル」とは、3~10個の炭素原子の環状飽和一価炭化水素部分、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルなどを意味する。
「シクロアルキルアルキル」とは、1以上の水素原子をシクロアルキル基、例えば、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルエチルまたはシクロヘキシルエチルなどで置換することにより、アルキル部分から誘導される一価部分を意味する。
「シクロアルキルシクロアルキル」とは、1以上の水素原子をシクロアルキル基で置換することにより、シクロアルキル部分から誘導される一価部分を意味する。
「シクロアルケニル」とは、3~10個の炭素原子の環状一不飽和一価炭化水素部分、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニルまたはシクロヘキセニルなどを意味する。
「シクロアルケニルアルキル」とは、1以上の水素原子をシクロアルケニル基、例えば、シクロプロペニルメチル、シクロブテニルメチル、シクロペンテニルエチル、またはシクロヘキセニルエチルなどで置換することにより、アルキル部分から誘導される一価部分を意味する。
「エーテル」とは、1以上の水素原子をアルコキシ基で置換することにより、アルキル部分から誘導される一価部分を意味する。
「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、好ましくは、フルオロまたはクロロを意味する。
「ヘテロ環」または「ヘテロシクリル」とは、1個または2個の環原子がN、OまたはS(O)から選択されるヘテロ原子である4~8個の環原子の飽和または不飽和の一価単環式基を意味し、ここで、nは0~2の整数であり、残りの環原子はCである。ヘテロシクリル環は、アリール環およびヘテロアリール環が単環式であるならば、本明細書において定義される(1つの)アリール環またはヘテロアリール環に任意に縮合される。単環式アリールまたはヘテロアリール環に縮合したヘテロシクリル環はまた、本願において「二環式ヘテロシクリル」環として言及される。さらに、ヘテロシクリル環における1個または2個の環炭素原子は、-CO-基で場合により置換され得る。より具体的には、用語ヘテロシクリルは、限定されないが、ピロリジノ、ピペリジノ、ホモピペリジノ、2-オキソピロリジニル、2-オキソピペリジニル、モルホリノ、ピペラジノ、テトラヒドロピラニル、チオモルホリノなどを含む。ヘテロシクリル環が不飽和であるとき、環が芳香族でないならば、それは1個または2個の二重結合を含み得るが、当該環は芳香族ではない。ヘテロシクリル基が飽和環であり、上記のようにアリール環またはヘテロアリール環に縮合していないとき、本明細書において、それは飽和単環式ヘテロシクリルとも称される。
「ヘテロアリール」とは、1以上の、好ましくは1個、2個または3個の環原子がN、O、またはSから選択されるヘテロ原子であり、残りの原子は炭素である5~10個の環原子の一価単環式または二環式芳香族部分を意味する。代表的な例は、限定されないが、ピロリル、ピラゾリル、チエニル、チアゾリル、イミダゾリル、フラニル、インドリル、イソインドリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、テトラゾリルなどを含む。
「ニトロ」とは、-NOを意味する。
「有機硫黄」とは、Rが水素、アルキルまたはアリールである一価部分-SR基を意味する。
「置換アルキル」、「置換環」、「置換フェニル」、「置換アリール」、「置換ヘテロ環」および「置換窒素ヘテロ環」とは、場合により、1個、2個または3個の置換基、例えば、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルまたは有機硫黄から独立して選択される置換基で置換されていてよい、アルキル、環、アリール、フェニル、ヘテロ環または含窒素ヘテロ環をそれぞれ意味する。一般に、用語「置換された」は、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、ハロゲン、アルコールおよび/またはアミンのいずれか1以上で置換された基を含む。
「チオエーテル」とは、1以上の水素原子をRがアルキルである-SR基で置換することにより、アルキル部分から誘導される一価部分を意味する。
本明細書において使用されるとおり、(i)本明細書および図面で化合物401、4401またはGC4401と称される化合物は同一の化合物への言及であり、(ii)本明細書および図面で化合物403、4403またはGC4403と称される化合物は、同一の化合物への言及であり、(iii)本明細書および図面で化合物419、4419またはGC4419と称される化合物は同一の化合物への言及であり、(iv)本明細書および図面で化合物444、4444またはGC4444と称される化合物は同一の化合物への言及である。
さらに、処置方法における用語「本質的にから成る」の使用は、当該方法が実質的に、特許請求の範囲で具体的に引用される活性剤以外の別の治療および/または別の活性剤を処置を提供するために十分な量および/または条件下で提供することを含まないことを意味する。同様に、処置のためのキットへの言及における用語「本質的にから成る」の使用は、当該キットが実質的に、特許請求の範囲で具体的に引用される活性剤以外の別の治療および/または別の活性剤を処置を提供するために十分な量および/または条件下で提供することを含まないことを意味する。
発明の詳細な説明
ある態様において、本発明の態様は、マンガン含有配位錯体の水性製剤、例えば、マンガン含有ペンタアザ大環状環錯体の非経腸投与のための水性製剤の製造方法に関する。具体的には、製造方法の態様を注意深く制御することにより、このような製剤の安定性は向上することが、予期せず発見された。任意の特定の理論に縛られないが、製造中の重要な点で製剤溶液中で適切な保護アニオンを提供することにより、製剤におけるマンガンを含有する沈殿の形成が最小化され得て、この沈殿は、そうしなければ非経腸投与に不適切なまたは望ましくない製剤を与え得る。さらに、製造方法がマンガン含有ペンタアザ大環状環錯体の非経腸投与を意図する水性製剤について本明細書で記載されるとき、本発明の態様は、非経腸投与以外の領域におけるそれらの水性製剤の使用にもまた、同様の原理が適用されると考えられるため、それらに限定されない。
特定の実施態様によれば、非経腸投与のために使用される水性製剤は、マンガン含有配位錯体を塩化ナトリウムのような塩および重炭酸ナトリウムのような緩衝化剤または他の緩衝化剤と配合することにより形成され得て、投与のために生理学的に適合する水溶液を提供し得る。しかしながら、溶液中のマンガン含有配位錯体は特定の状況で望まない沈殿を形成し得ることが予期せず発見された。具体的には、いかなる特定の理論にも縛られないが、溶液がこのような沈殿の形成を阻害するための十分な保護アニオンを提供しない場合、望まない沈殿は、マンガン含有配位錯体の不純物として痕跡量で存在する「遊離の」マンガンまたは他のマンガン含有不純物(以下に詳細に記載される)から形成され得ると考えられる。従って、製造中の重要な時点で保護アニオンを提供することにより、望まない沈殿の形成が阻害され得て、さらに予防され得て、非経腸投与に適切な十分に安定な組成物を提供し得る。
ある態様によれば、マンガン含有配位錯体を含む水溶液に塩化物アニオン、例えば、水溶液中のクロライド含有塩の溶解により形成される塩化物アニオンを提供することにより、水性製剤における望まない沈殿の形成が阻害され得ることが、予期せず発見された。具体的には、いかなる理論にも限定されないが、塩化物アニオンは、マンガン含有配位錯体の不純物として痕跡量で存在し得る任意の「遊離の」マンガンまたは他のマンガン含有不純物に対して保護的効果を提供し得て、それにより、このような「遊離の」マンガンと溶液に添加され得、そのため望まない沈殿を形成しやすくなる他のアニオンとの相互作用を阻害し得ると考えられる。再び特定の理論に縛られないが、「遊離の」マンガンまたは他のマンガン化合物との望まない沈殿を形成し得るアニオンは、塩化物アニオンの単一の負電荷とは対照的なジアニオン、または換言すると、2つの負電荷を各々有するアニオンであり得ると考えられる。特定の態様によれば、ジアニオン源の添加前またはそれと同時にマンガン含有配位錯体源を含む水溶液に塩化物アニオン源を提供することにより、望まない沈殿の形成が阻害され得て、さらには実質的に予防され得る。すなわち、ジアニオンが水性製剤に添加される場合、特定の実施態様において、それらは理想的には、「遊離の」マンガンまたは他のマンガン含有不純物がジアニオンとの相互作用から実質的に保護され得て、それにより沈殿の形成が減少および/または排除され得るように、保護性塩化物アニオンが水性製剤に添加されるのと同時に、またはその後に添加されることが発見された。
従って、特定の実施態様において、ビカーボネートアニオンが水溶液に提供される場合、マンガン含有配位錯体を含む水溶液へのビカーボネートの添加前にまたはそれと同時に塩化物アニオン源を添加することにより、望まない沈殿の形成が阻害され得て、さらには予防され得ることが予期せず発見された。ビカーボネートアニオンは水性製剤に提供され得て、例えば、製剤の非経腸投与に適切な水性製剤の生理学的pHを維持する緩衝系を提供する。しかしながら、ビカーボネートアニオンはジアニオンカーボネート(CO 2-)と化学平衡の状態にあり、このジアニオンは、いかなる理論にも限定されないが、水溶液中の「遊離の」マンガンおよび/または他のマンガン含有不純物と不必要に反応すると考えられ、さらに、このようなマンガンとの沈殿(すなわち、炭酸マンガン(MnCO)の沈殿)を経時的に形成することが予期せず発見された。驚くべきことに、塩化物アニオン源をジアニオン源(例えば、ビカーボネート)の前にまたはそれと同時に提供することにより、望まない沈殿の形成が阻害され、水性製剤は非経腸投与に適切な安定な状態で維持されることが発見された。対照的に、ジアニオン源(例えば、ビカーボネート)が塩化物アニオン源の前に提供された場合、マンガン含有配位錯体の水性製剤は、望まない沈殿を形成することが予期せず観測された。
塩化物アニオンの非存在下でのマンガン含有配位錯体を含む水溶液へのビカーボネートの添加により引き起こされる沈殿の形成は、水性製剤の形成に続いて沈殿が直ちに視覚的に観察されず、代わりに、本明細書の実施例でさらに詳細に記載されるとおり、水性製剤の製造後に相当な期間が経過した後、例えば、9か月後にのみ、視認可能なレベルの沈殿形成が観察され得るので、さらに驚くべきことである。従って、ジアニオン源(例えば、ビカーボネート)の前またなそれと同時の塩化物アニオン源の添加は、「遊離の」マンガンおよび/または他のマンガン含有不純物とジアニオンの相互作用により引き起こされる沈殿形成を阻害または予防し、沈殿を実質的に含まず、そのため非経腸投与に適切な水溶液を提供するために重要であることが予期せず発見された。
いかなる理論にも限定されないが、特定の実施態様において、+2の電荷(Mn2+)(またはそれを超える)を有する「遊離の」マンガンまたは他のマンガン含有不純物がジアニオンを有する溶液中で提供され、かついずれの塩化物アニオンも伴わないならば、マンガン種は、ジアニオン(-2)(例えば、カーボネートアニオンCO 2-)に結合し、望まない沈殿を形成するために利用可能な十分な結合部位(+2)を有すると仮定される。さらに、再びいかなる理論にも限定されないが、-1の電荷を有する十分な量の塩化物アニオンが「遊離の」マンガンとともに溶液中で提供される場合、マンガン含有種および塩化物イオンは合わせてMnClおよびMnCl(ならびにMn3+およびより高い酸化状態の類似の種)を溶液中で平衡状態で形成し得るか、または換言すると、平衡状態の溶液は、沈殿形成が低減され、さらには排除されるように、中性であるか、または-1の電荷を有し、それによりジアニオンへの結合に利用可能なMn2+の数を減少させるマンガン含有種の量を有する。従って、ジアニオン、例えばカーボネートアニオンの添加前またはそれと同時に十分な量で提供されるとき、塩化物アニオンは保護的効果を提供し得る。
従って、本発明の態様において、マンガン含有配位錯体、塩化物アニオンおよびジアニオンを含む、マンガン含有配位錯体の水性製剤の製造方法が提供される。方法は一般に、水溶液中でマンガン含有配位錯体源と塩化物アニオン源を配合することを含む。方法は、塩化物アニオン源とマンガン含有配位錯体源を配合することと同時にまたはその後に、水溶液にジアニオン源を提供し、水性製剤を提供することをさらに含む。すなわち、ある実施態様によれば、ジアニオン源は、塩化物アニオン源とマンガン含有配位錯体源を配合した後またはそれと同時にのみ、マンガン含有配位錯体源と配合される。特定の態様において、塩化物アニオン源はこのように、ジアニオンとマンガン含有配位錯体源に痕跡量で存在する「遊離の」マンガンまたは他のマンガン含有不純物の相互作用により引き起こされる沈殿の形成を阻害する保護的効果を提供し得る。
ある態様において、マンガン含有配位錯体源は、大環状リガンドに配位したマンガンを含む。例えば、ある実施態様によれば、マンガン含有配位錯体源は、他の可能な大環状配位子の中で、ペンタアザ大環状リガンド、テトラアザ大環状リガンド、ポルフィリン大環状リガンド、フタロシアニン大環状リガンドおよびクラウンエーテル大環状リガンドから成る群から選択されるいずれか一つを含み得る。さらに、特定の実施態様によれば、マンガン含有配位錯体は、1以上のリガンドの窒素原子を介して1以上の一座配位または多座配位リガンドに配位したマンガンを含む。さらに、特定の実施態様において、マンガン含有配位錯体は+2または+3酸化状態のマンガン(Mn(II)またはMn(III))を含み、特定の実施態様によれば、マンガン含有配位錯体は、+2酸化状態のマンガン(Mn(II))を含む。特定の実施態様において、本明細書において以下にさらに記載するとおり、マンガン含有配位錯体は、マンガン含有ペンタアザ大環状環錯体、例えば、本明細書において以下にさらに記載するもののいずれかを含み、とりわけ、例えば、本明細書においてGC4419、GC4403、GC4711およびGC4702と称される大環状環錯体を含む。ある態様において、水性製剤は、少なくとも1mg/mL、少なくとも3mg/mL、少なくとも5mg/mL、少なくとも9mg/mL、少なくとも15mg/mL、少なくとも18mg/mL、および/または少なくとも20mg/mLであるが、一般的には100mg/mL以下、例えば、75mg/mL以下、50mg/mL以下、30mg/mL以下、20mg/mL以下および/または10mg/mL以下の濃度のマンガン含有配位錯体、例えば、ペンタアザ大環状環錯体を含む。例えば、ペンタアザ大環状環錯体のようなマンガン含有配位錯体の濃度は、1mg/mL~50mg/mLの範囲、例えば、5mg/mL~15mg/mLの範囲、およびさらに3mg/mL~10mg/mLの範囲であり得る。例えば、水性製剤は、少なくとも10mg、少なくとも25mg、少なくとも30mg、少なくとも50mg、少なくとも65mg、少なくとも70mg、少なくとも75mg、少なくとも80mg、少なくとも85mg、少なくとも90mg、少なくとも95mg、少なくとも100mg、少なくとも105mg、少なくとも110mg、少なくとも115mgおよび/または少なくとも120mgであるが、一般的には500mg以下の量のペンタアザ大環状環錯体(例えば、GC4419)を含む。
ある態様において、マンガン含有配位錯体源は、非配位状態(すなわち、いずれのリガンドにも配位していない「遊離の」Mn金属)、またはマンガン含有配位錯体の1以上のリガンド以外の1以上のリガンドに配位した1以上のMn(II)を含むMn(II)含有成分をさらに含む。例えば、Mn(II)含有成分はMnClを含み得るか、または特定の場合において、マンガン含有配位錯体以外のものである他の形態のMn(II)を含み得る。いかなる理論にも縛られないが、本明細書に記載されるとおり、Mn(II)含有成分は、製造過程が本明細書に記載の実施態様により制御されない場合、沈殿の形成に寄与し得ると考えられる。さらに、特定の場合において、このようなMn(II)含有成分はマンガン含有配位錯体自体の製造および/または合成中に生じ得て、マンガン含有配位錯体源に比較的無害な不純物または副生成物として存在し得る。ある態様において、マンガン含有配位錯体源は、Mn(II)含有成分、例えば「遊離の」または配位していないMn(II)を、Mn(II)含有成分とマンガン含有配位錯体の重量比で、少なくとも1:100,000、例えば、少なくとも1:50,000、およびさらには少なくとも1:15,000であり、1:100以下、例えば、1:1,000以下、1:5,000以下、および/またはさらには1:8,000以下で含む。例えば、マンガン含有配位錯体源中のMn(II)含有成分とマンガン含有配位錯体の重量比は、1:100,000~1:100の範囲、および/または1:75,000~1:1,000の範囲、および/または1:50,000~1:5,000の範囲、および/または1:15,000~1:8,000の範囲であり得る。さらに別の例として、ペンタアザ大環状環錯体の単回用量の非経腸投与のように、水性製剤がマンガン含有配位錯体の単回用量を提供するように製造される場合、Mn(II)含有成分(例えば、「遊離の」Mn)は少なくとも1マイクログラム、例えば、少なくとも10マイクログラム、例えば、少なくとも50マイクログラム、およびさらには少なくとも100マイクログラムであり得るが、典型的には、約2000マイクログラム未満、例えば、1000マイクログラム未満、およびさらには850マイクログラム未満のMn(II)含有成分であり得る。
ある実施態様によれば、塩化物アニオン源は、水溶液で塩化物アニオンを形成できる塩を含む。例えば、塩化物アニオン源は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムから成る群から選択される少なくとも一つを含み得る。ある態様において、例えば、水性製剤が非経腸投与における使用のために意図される場合、塩化物アニオン源は、生理学的条件に適合する濃度および/または量で提供され得る。例えば、塩化物アニオン源(例えば、塩化ナトリウム)は、少なくとも100mM、例えば、少なくとも110mM、少なくとも115mM、少なくとも120mM、少なくとも130mM、少なくとも145mMおよび/または少なくとも150mMの水性製剤中の塩化物アニオン濃度を提供するために十分な量で添加され得る。例えば、塩化物アニオン源は、1000mM以下、200mM以下、180mM以下、175mM以下、160mM以下および/または155mM以下の水性製剤中の塩化物アニオン濃度を提供するために十分な量で提供され得る。例えば、塩化物アニオン源(例えば、塩化ナトリウム)は、100mM~200mMの範囲、例えば、130mM~160mMの範囲および/または145mM~158mMの範囲、例えば、約154mMである水性製剤中の塩化物アニオン濃度を提供する量で提供され得る。
ある実施態様によれば、ジアニオン源は、ビカーボネート塩(例えば、重炭酸ナトリウム(NaHCO))およびホスフェート塩(例えば、リン酸ナトリウム)から成る群から選択される少なくとも一つを含む。ある態様において、ジアニオン源は、少なくとも0.1mM、例えば、少なくとも0.25mM、少なくとも1mM、および/または少なくとも2.5mM、かつ26mM以下のジアニオンのジアニオン(例えば、CO 2-)濃度、例えば、15mM以下、10mM以下、および/または5mM以下、例えば、0.1mM~15mMの範囲、およびさらには1mM~10mMの範囲のジアニオン濃度範囲を提供するために十分な濃度で提供される。例として、ビカーボネート塩がジアニオン源として提供される場合、水性製剤に提供されるビカーボネート塩の濃度は、少なくとも5mM、例えば、少なくとも10mM、少なくとも15mM、少なくとも20mM、および/または少なくとも25mMおよび50mM以下、例えば、40mM以下、35mM以下、および/または30mM以下であり得る。例えば、水性製剤に提供されるビカーボネート塩の濃度は、5mM~50mMの範囲、例えば、15mM~40mM、およびさらには約20mM~30mMであり得る。
さらに別の実施態様において、1以上の緩衝剤を含む緩衝系が水性製剤に提供され得る。本明細書の特定の態様によれば、ジアニオン自体は、例えば、ビカーボネート緩衝系および/またはホスフェート緩衝系のような緩衝系の一部であり得て、ともに緩衝系を形成するその共役酸および/または共役塩基と共同して水性製剤のpHを緩衝する緩衝化剤を含み得る。特定の実施態様において、緩衝系は、ジアニオン源として作用し、かつ所定のpHまで水性製剤を緩衝化するために十分な濃度で提供される緩衝化剤を含む。ある態様において、緩衝系は、生理学的に許容されるpH、例えば、7~10の範囲内のpH、およびさらには7.5~9の範囲内のpHまで水性製剤を緩衝化するために提供される。例えば、特定の実施態様において、緩衝化剤は、ジアニオン源として作用し、所定のpHに水性製剤を緩衝化し得て、それにより、そのpHでの緩衝化に合致する水性製剤中のジアニオン濃度を提供し得る。ある例において、緩衝化剤が重炭酸ナトリウムである場合、ある量の重炭酸ナトリウムは、約26mMの製剤に添加される重炭酸ナトリウムの濃度で、水溶液を約8.3のpHに緩衝化するために添加され得る。
さらに、特定の実施態様によれば、水性製剤に提供される塩化物アニオン源の量は、水性製剤中の塩化物アニオン濃度が水性製剤中のジアニオン濃度を上回るような量である。すなわち、いかなる特定の理論にも縛られないが、塩化物アニオン源は、塩化物アニオン濃度が水性製剤中のジアニオンを上回るような十分な量で提供され得て、これは特定の例において、「遊離の」Mnまたは他の関連するMn(II)含有成分をジアニオンから保護するための保護的効果を提供し、それにより、ジアニオンとの相互作用により別途形成し得る沈殿の形成を阻害および/または予防すると考えられている。ある態様において、塩化物アニオン源の量およびジアニオン源の量は、水性製剤中の塩化物アニオン濃度が製剤中のジアニオン濃度が、塩化物アニオンとジアニオンのmol/Lの濃度比で、水性製剤中で、少なくとも10:1、少なくとも100:1、少なくとも250:1、少なくとも500:1、少なくとも750:1、少なくとも1000:1、少なくとも5000:1、および/または少なくとも10,000:1で上回るような、相対量で提供される。
ある実施態様によれば、ジアニオン源は、塩化物アニオン源と同時にマンガン含有配位錯体源と配合するために、水溶液に提供され得る。例えば、ある態様において、塩化物アニオン源(例えば、塩化ナトリウム)およびジアニオン源(例えば、ビカーボネート)がともに配合される、水溶液を形成し得る。その後、水溶液は、例えば、塩化物アニオンおよびジアニオンを含む水溶液を別のマンガン含有配位錯体の水溶液と配合することにより、または他の方法で塩化物アニオンおよびジアニオンを含む水溶液にマンガン含有配位錯体を添加することにより(例えば、塩化物アニオンおよびジアニオンを含む水溶液にマンガン含有配位錯体源を溶解することにより)、マンガン含有配位錯体源と配合され得る。例えば、ある態様において、マンガン含有配位錯体の水溶液は、マンガン含有配位錯体源を水に溶解し、場合によりpHを調整することにより形成される。別の水溶液は、塩化物アニオン源およびジアニオン源を、例えば、最終水性製剤において所定の濃度の塩化物アニオンおよびジアニオン(例えば、過剰の塩化物イオン濃度)を提供するために十分な量で配合することにより製造される。その後、塩化物アニオンおよびジアニオンの水溶液のマンガン含有配位錯体の水溶液に添加され、マンガン含有配位錯体、塩化物アニオンおよびジアニオンを含み、製剤中のジアニオン濃度を上回る濃度で存在する塩化物アニオンを有する水性製剤を形成する。さらに別の実施態様において、塩化物アニオン源およびジアニオン源を含む水溶液は、例えば、最終水性製剤(例えば、最終水性製剤中のジアニオン濃度を上回る塩化物アニオン濃度を有する)において所定の塩化物アニオンおよびジアニオン濃度を提供するのに十分な量で調製される。その後、マンガン含有配位錯体源は、水溶液に直接的に添加および/または溶解され、最終水性製剤を提供し得る。
さらに別の実施態様によれば、ジアニオン源は塩化物アニオン源をマンガン含有配位錯体源と水溶液中で配合した後に添加される。例えば、マンガン含有配位錯体の水溶液は、マンガン含有配位錯体源を水中で溶解し、pHを調整することにより形成され得る。塩化物アニオン源は、例えば、塩化物アニオン源(例えば、クロライド含有塩)を水溶液に直接的に添加し、そこで塩化物アニオン源を溶解することにより、および/またはそこで溶解した塩化物アニオン源を有する別の水溶液を提供し、その後、別の水溶液をマンガン含有配位錯体を含む水溶液と配合することにより、マンガン含有配位錯体を含む水溶液に添加され得る。さらに別の例として、塩化物アニオン源が水溶液に溶解され得て、マンガン含有配位錯体源がそこに直接的に添加され得て、そこでマンガン含有配位錯体を溶解し得る。塩化物アニオンおよびマンガン含有配位錯体を含む水溶液が形成されると、例えば、ジアニオン源が、例えば、ジアニオン源を含む別の水溶液を塩化物アニオンおよびマンガン含有配位錯体を含む水溶液に添加することにより、またはジアニオン源を塩化物アニオンおよびマンガン含有配位錯体を含む水溶液に直接的に(例えば、塩形態で)添加することにより、そこへ添加され得る。上記の同時添加と同様に、提供される塩化物アニオン源およびジアニオン源の量は、最終水性製剤において塩化物アニオン濃度がジアニオン濃度を上回るような量である。
本明細書に記載の実施態様によれば、ジアニオン源は、塩化物アニオンをマンガン含有配位錯体と配合するのと同時にまたはその後に添加される。ある態様において、ジアニオン源の実質的に全量が、塩化物アニオンの非存在下でジアニオンがマンガン含有配位体と配合されるないように、塩化物アニオンをマンガン含有配位錯体と配合するのと同時にまたはその後に添加される。例えば、水性製剤を形成するために添加されるジアニオン源の少なくとも75mol%、少なくとも85mol%、少なくとも90mol%、少なくとも95mol%、少なくとも98mol%、少なくとも99mol%および/または全モル量が、塩化物アニオンをマンガン含有配位錯体と配合するのと同時にまたはその後に添加される。ある実施態様によれば、マンガン含有配位錯体を含む水溶液中に過剰量の塩化物アニオンが既に存在するか、または同時に添加されない限り、マンガン含有配位錯体と配合されるジアニオン源の量は存在しない。さらに、特定の実施態様によれば、ジアニオン源は、水溶液中で塩化物アニオンをマンガン含有配位錯体と配合した後に提供され、ジアニオン源(例えば、ビカーボネート塩)が水溶液中でマンガン含有配位錯体を塩化物アニオン源と配合した、少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも30分、および/または少なくとも1時間後に、そこに添加され得る。
本明細書に記載の態様による製造方法のある実施態様において、注射目的に適切なろ過した脱イオン水のpHを、NaOHを用いて約7.5のpHとする。マンガン含有配位錯体、例えば、本明細書に記載のGC4419に対応するペンタアザ大環状環錯体または他のペンタアザ大環状環錯体が9mg/mLの量で水に添加され、その水溶液を形成する。塩化ナトリウム塩を水溶液に添加し、0.9重量%の溶液を提供する。塩化ナトリウム塩の添加後、重炭酸ナトリウムを26mMの量の重炭酸ナトリウム塩で水溶液に添加し、溶液を緩衝化する。本明細書の実施例でさらに記載されるとおり、得られた水性製剤は、良好な安定性および保存期間を有し、約5~8℃の温度で維持することを含む適切な保存条件下で、9か月後に視認可能な沈殿を形成しない。
特定の実施態様によれば、患者における状態の処置方法において、水性製剤が使用され得る。例えば、水性製剤は、マンガン含有配位錯体の水性製剤を含む緩衝化された溶液の非経腸投与のために使用され得る。ある例において、水性製剤は、マンガン含有配位錯体を静脈内投与するために使用され得る。水性製剤を用いたさらなる処置方法ならびにそれを用いて処置できる疾患状態および状態が、下記でさらに詳細に記載される。
さらなる実施態様によれば、本発明の態様は、水性製剤を含む緩衝化された製剤、例えば、マンガン含有ペンタアザ大環状環錯体の緩衝化された製剤に関する。緩衝化された製剤は、例えば、本明細書に記載のいずれかの製造実施態様により製造された水性製剤を含み得る。ある実施態様によれば、緩衝化された水溶液は、(i)2mM~100mMの濃度のペンタアザ大環状環錯体、(ii)130mM~160mMの濃度の塩化ナトリウム、お水溶液をpH7~10の範囲に緩衝化するために十分な濃度、例えば、20mM~30mMの、重炭酸ナトリウムを含む緩衝化剤を含み得る。例えば、ある実施態様によれば、緩衝化された水溶液は、ペンタアザ大環状環錯体を少なくとも2mM、少なくとも6mM、少なくとも18mM、少なくとも20mM、および/または少なくとも40mMであるが、100mM未満の濃度で含み得る。
例えば、ある実施態様によれば、緩衝化された水溶液は、少なくとも1mg/mL、少なくとも3mg/mL、少なくとも5mg/mL、少なくとも9mg/mL、少なくとも15mg/mL、少なくとも18mg/mL、および/または少なくとも20mg/mLであるが、一般的に100mg/mL以下、例えば、75mg/mL以下、50mg/mL以下、30mg/mL以下、20mg/mL以下および/または10mg/mL以下の濃度でペンタアザ大環状環錯体を含み得る。例えば、ペンタアザ大環状環錯体の濃度は、1mg/mL~50mg/mLの範囲、例えば、5mg/mL~15mg/mLの範囲、およびさらには3mg/mL~10mg/mLの範囲であり得る。例えば、水性製剤は、少なくとも10mg、少なくとも25mg、少なくとも30mg、少なくとも50mg、少なくとも65mg、少なくとも70mg、少なくとも75mg、少なくとも80mg、少なくとも85mg、少なくとも90mg、少なくとも95mg、少なくとも100mg、少なくとも105mg、少なくとも110mg、少なくとも115mg、および/または少なくとも120mgであるが、一般に500mg以下の量で、ペンタアザ大環状環錯体(例えば、GC4419)を含み得る。
本明細書に記載のとおり(例えば、塩化ナトリウムをペンタアザ大環状環錯体と配合することと同時にまたはその後に重炭酸ナトリウムを配合することにより)製造されるとき、緩衝化された製剤は、良好な保存安定性を示し得る。例えば、ある態様において、緩衝化された製剤の保存安定性は、緩衝化された製剤の製造後9か月間、マンガンを含有する沈殿が視覚的検出により認識できないようなものである。さらに別の実施態様において、保存安定性は、緩衝化された製剤の形成の1日後および/または6日後、マンガンを含有する沈殿が視覚的検出により認識できないような緩衝化された製剤のものである。視覚的検出は、溶液中で形成されたかどうかを確認するための緩衝化された溶液の外観検査を含み得る。さらなる実施態様において、緩衝化された製剤は、本明細書に記載のいずれかの方法により製造され得る。
さらに別の例として、ICP-MS(誘導結合プラズマ-質量分析)保存安定性アッセイは、緩衝化された製剤中で経時的に生成するマンガンを含有する沈殿の量を決定するために実施され得る。ある実施態様によれば、ICP-MS保存安定性アッセイは、緩衝化された製剤を0.45マイクロメートルフィルターでろ過すること、pH8.0の水でろ物を洗浄すること、ろ物を硝酸で溶解させること、誘導結合マススペクトロメトリー(ICP-MS)を実施し、任意の沈殿のマンガン含量を検出することを含み得る。本明細書の実施態様によれば、少なくとも1日後、少なくとも6日後および/または少なくとも9か月後にICP-MS保存安定性アッセイにより測定されるマンガン量は1500ppm未満、および/または、さらには1200ppm未満である。
水性製剤の成分のさらなる記載およびそれへの任意の添加剤ならびにそれを用いた処置方法を含む、水性製剤のさらなる詳細および/または実施態様が下記に提供される。
マンガン含有ペンタアザ大環状環錯体
ある態様において、ペンタアザ大環状環錯体は、式(I)の錯体に対応する。
Figure 2022551494000005
〔式中、
MはMn2+またはMn3+であり;
、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’およびR10は独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクリル、アミノ酸側鎖部分であるか、または-OR11、-NR1112、-COR11、-CO11、-CONR1112、-SR11、-SOR11、-SO11、-SONR1112、-N(OR11)(R12)、-P(O)(OR11)(OR12)、-P(O)(OR11)(R12)および-OP(O)(OR11)(OR12)から成る群から選択される部分であり、ここで前記R11およびR12は独立して、水素またはアルキルであり;
Uは、大環状環の隣接する炭素原子と一体となって、3~20個の環炭素原子を有する縮合置換もしくは非置換、飽和、一部飽和もしくは不飽和環またはヘテロ環を形成し;
Vは、大環状環の隣接する炭素原子と一体となって、3~20個の環炭素原子を有する縮合置換もしくは非置換、飽和、一部飽和もしくは不飽和環またはヘテロ環を形成し;
Wは、それが結合する大環状環の窒素および大環状環の炭素原子と一体となって、2~20個の環炭素原子を有する芳香族もしくは脂環式、置換もしくは非置換、飽和、一部飽和または不飽和含窒素縮合ヘテロ環を形成するが、但し、Wが縮合芳香族ヘテロ環であるとき、ヘテロ環および大環状環の両方の一部である窒素に結合した水素ならびにヘテロ環および大環状環の両方の一部である炭素原子に結合したRおよびR10は存在せず;
XおよびYは、リガンドもしくはリガンド系に配位する任意の一座配位もしくは多座配位に由来する適切なリガンドまたはその対応するアニオンを表し;
Zは対イオンであり;
nは0~3の整数であり;
破線は大環状環の窒素原子と遷移金属、マンガンの間の配位結合を表す〕
式(I)のペンタアザ大環状環錯体に関して上記のとおり、MはMn2+またはMn3+である。ペンタアザ大環状環錯体が式(I)に対応する特定の実施態様において、MはMn2+である。ペンタアザ大環状環錯体が式(I)に対応する別の特定の実施態様において、MはMn3+である。
、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’およびR10の1以上がヒドロカルビルである実施態様において、例えば、適切なヒドロカルビル部分は、限定されないが、アルケニル、アルケニルシクロアルケニル、アルケニルシクロアルキル、アルキル、アルキルシクロアルケニル、アルキルシクロアルキル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルケニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルシクロアルキル、シクロアルケニルアルキルおよびアラルキルを含む。ある態様において、R、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’およびR10は独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクリルである。より好ましくは、本実施態様において、R、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’およびR10は独立して、水素または低級アルキル(例えば、C-Cアルキル、より典型的には、C-Cアルキル)である。従って、例えば、R、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’およびR10は、独立して、水素、メチル、エチル、プロピルまたはブチル(直鎖、分枝または環状)であり得る。ある好ましい実施態様において、R、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’およびR10は独立して、水素またはメチルである。
ペンタアザ大環状環錯体が式(I)に対応する、ある好ましい実施態様において、R、R、R’、R、R、R、R’、R、R、R、R’およびR10は、各々水素であり、RおよびR’の一方は水素であり、RおよびR’の他方はメチルである。本実施態様において、例えば、R、R、R’、R、R、R、R’、R、R、R、R、R’およびR10は各々水素であり得て、R’はメチルである。あるいは、例えば、R、R、R’、R、R、R、R’、R’、R、R、R、R’およびR10は、各々水素であり得て、Rはメチルである。ペンタアザ大環状環錯体が式(I)に対応する別の好ましい実施態様において、R、R、R、R、R’、R’、R、RおよびR10は、各々水素であり、RおよびR’の一方は水素であり、RおよびR’の他方はメチルであり、RおよびR’の一方は水素であり、RおよびR’の他方はメチルである。本実施態様において、例えば、R、R’、R、R、R、R’、R、R、RおよびR10は各々水素であり得て、RおよびR’はメチルである。あるいは、例えば、R、R、R、R、R、R’、R、R、R’およびR10は各々水素であり得て、R’およびRはメチルである。ペンタアザ大環状環錯体が式(I)に対応する別の実施態様において、R、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’およびR10は、各々水素である。
特定の実施態様において、UおよびV部分は独立して、3~20個の環炭素原子、より好ましくは4~10個の環炭素原子を有する置換または非置換縮合シクロアルキル部分である。特定の実施態様において、UおよびV部分は各々、trans-シクロヘキサニル縮合環である。
特定の実施態様において、W部分は置換または非置換縮合ヘテロ芳香族部分である。特定の実施態様において、W部分は置換または非置換縮合ピリジノ部分である。Wが置換縮合ピリジノ部分である場合、例えば、W部分は典型的には、ヘテロ環の窒素原子のパラ位に位置する環炭素原子で、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビル部分(例えば、アルキル、置換アルキル)で置換される。ある好ましい実施態様において、W部分は非置換縮合ピリジノ部分である。
上記のとおり、XおよびYは、リガンドもしくはリガンド系に配位する任意の一座配位もしくは多座配位に由来する適切なリガンドまたはその対応するアニオン(例えば、安息香酸またはベンゾエートアニオン、フェノールまたはフェノキシドアニオン、アルコールまたはアルコキシドアニオン)を表す。例えば、XおよびYは、他の可能なものの中でも、ハロ、オキソ、アクオ、ヒドロキソ、アルコール、フェノール、二酸素、ペルオキソ、ヒドロペルオキソ、アルキルペルオキソ、アリールペルオキソ、アンモニア、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアリールアミノ、アミンオキシド、ヒドラジン、アルキルヒドラジン、アリールヒドラジン、一酸化窒素、シアニド、シアネート、チオシアネート、イソシアネート、イソチオシアネート、アルキルニトリル、アリールニトリル、アルキルイソニトリル、アリールイソニトリル、ニトレート、ニトライト、アジド、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルアリールスルホキシド、アルキルスルフェン酸、アリールスルフェン酸、アルキルスルフィン酸、アリールスルフィン酸、アルキルチオールカルボン酸、アリールチオールカルボン酸、アルキルチオールチオカルボン酸、アリールチオールチオカルボン酸、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、尿素、アルキル尿素、アリール尿素、アルキルアリール尿素、チオ尿素、アルキルチオ尿素、アリールチオ尿素、アルキルアリールチオ尿素、スルフェート、スルファイト、ビスルフェート、ビスルファイト、チオスルフェート、チオスルファイト、ヒドロスルファイト、アルキルホスフィン、アリールホスフィン、アルキルホスフィンオキシド、アリールホスフィンオキシド、アルキルアリールホスフィンオキシド、アルキルホスフィンスルフィド、アリールホスフィンスルフィド、アルキルアリールホスフィンスルフィド、アルキルホスホン酸、アリールホスホン酸、アルキルホスフィン酸、アリールホスフィン酸、アルキル亜ホスフィン酸、アリール亜ホスフィン酸、ホスフェート、チオホスフェート、ホスファイト、ピロホスファイト、トリホスフェート、水素ホスフェート、二水素ホスフェート、アルキルグアニジノ、アリールグアニジノ、アルキルアリールグアニジノ、アルキルカルバメート、アリールカルバメート、アルキルアリールカルバメート、アルキルチオカルバメート、アリールチオカルバメート、アルキルアリールチオカルバメート、アルキルジチオカルバメート、アリールジチオカルバメート、アルキルアリールジチオカルバメート、ビカーボネート、カーボネート、ペルクロラート、クロラート、クロライト、ハイポクロライト、ペルブロメート、ブロメート、ブロマイト、ハイポブロマイト、テトラハロマンガネート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ハイポホスファイト、アイオダート、ペルアイオダート、メタボレート、テトラアリールボレート、テトラアルキルボレート、タートレート、サリチレート、スクシネート、シトレート、アスコルベート、サッカリネート、アミノ酸、ヒドロキサム酸、チオトシレートおよびイオン交換樹脂のアニオンまたはその対応するアニオンから成る群から選択され得る。ある態様において、存在するならば、XおよびYは独立して、ハロ、ニトレートおよびビカーボネートリガンドから成る群から選択される。例えば、本実施態様において、存在するならば、XおよびYは、ハロリガンド、例えば、クロロリガンドである。
さらに、ある実施態様において、XおよびYは-O-C(O)-Xに対応し、ここで各Xは-C(X)(X)(X)であり、各Xは独立して、置換または非置換フェニルまたは-C(-X)(-X)(-X)であり;
各Xは独立して、置換または非置換フェニル、メチル、エチルまたはプロピルであり;
各Xは独立して、水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、プロピル、アミノ、-XC(=O)R13であり、ここで前記XはNHまたはOであり、前記R13はC-C18アルキル、置換または非置換アリールまたはC-C18アラルキルであるか、または-OR14であり、ここで前記R14はC-C18アルキル、置換または非置換アリールまたはC-C18アラルキルであるか、またはXと一体となって(=O)であり;
各Xは独立して、水素であるか、またはXと一体となって(=O)である。
さらに別の実施態様において、XおよびYは独立して、リガンドおよびリガンド系に配位する任意の一座配位および多座配位に由来する荷電中和アニオンならびにその対応するアニオンから成る群から選択され;またはXおよびYは独立して、R、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’およびR10の1以上に結合する。
式(I)に対応するペンタアザ大環状環錯体において、Zは対イオン(例えば、荷電中和アニオン)であり、nは0~3の整数である。一般に、ZはXおよびYに関して引用される部分の対イオンに対応し得る。
組み合わせて、特定の好ましい実施態様の中には、式(I)に対応するペンタアザ大環状環錯体であって、
MはMn2+またはMn3+であり;
、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’およびR10は独立して、水素または低級アルキルであり;
UおよびVは各々、trans-シクロヘキサニル縮合環であり;
Wは置換または非置換縮合ピリジノ部分であり;
XおよびYはリガンドであり;
Zは、存在するならば、荷電中和アニオンである、
ペンタアザ大環状環錯体が存在する。
より好ましくは、これらの実施態様において、MはMn2+であり;R、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’およびR10は独立して、水素またはメチルであり;UおよびVは各々、trans-シクロヘキサニル縮合環であり;Wは非置換縮合ピリジノ部分であり;XおよびYは独立して、ハロリガンド(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード)である。Zは、存在するならば、ハライドアニオン(例えば、フルオライド、クロライド、ブロマイド、アイオダイド)であり得る。
さらに別の実施態様において、ペンタアザ大環状環錯体は、下記の式(II):
Figure 2022551494000006
〔式中、
XおよびYは、リガンドもしくはリガンド系に配位する任意の一座配位もしくは多座配位に由来する適切なリガンドまたはその対応するアニオンを表し;
、R、RおよびRは独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクリル、アミノ酸側鎖部分または-OR11、-NR1112、-COR11、-CO11、-CONR1112、-SR11、-SOR11、-SO11、-SONR1112、-N(OR11)(R12)、-P(O)(OR11)(OR12)、-P(O)(OR11)(R12)および-OP(O)(OR11)(OR12)から成る群から選択される部分であり、ここで前記R11およびR12は独立して、水素またはアルキルである〕
により表される。
さらに、ある態様において、ペンタアザ大環状環錯体は、式(III)または式(IV):
Figure 2022551494000007
〔式中、
XおよびYは、リガンドもしくはリガンド系に配位する任意の一座配位もしくは多座配位に由来する適切なリガンドまたはその対応するアニオンを表し;
、R、RおよびRは独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクリル、アミノ酸側鎖部分または-OR11、-NR1112、-COR11、-CO11、-CONR1112、-SR11、-SOR11、-SO11、-SONR1112、-N(OR11)(R12)、-P(O)(OR11)(OR12)、-P(O)(OR11)(R12)および-OP(O)(OR11)(OR12)から選択される部分であり、ここで前記R11およびR12は独立して、水素またはアルキルである〕
により表される。
さらに別の実施態様において、ペンタアザ大環状環錯体は、式(V)~(XVI)から成る群から選択される式により表される化合物である:
Figure 2022551494000008
Figure 2022551494000009
Figure 2022551494000010
ある態様において、本明細書に記載のいずれかの式におけるXおよびYは独立して、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードアニオンから成る群から選択される。さらに別の実施態様において、本明細書に記載のいずれかの式におけるXおよびYは独立して、アルキルカルボキシレート、アリールカルボキシレートおよびアリールアルキルカルボキシレートから成る群から選択される。さらに別の実施態様において、本明細書に記載のいずれかの式におけるXおよびYは独立して、アミノ酸である。
ある態様において、ペンタアザ大環状環錯体は、下記の式(IA):
Figure 2022551494000011
〔式中、
MはMn2+またはMn3+であり;
1A、R1B、R、R、R4A、R4B、R、R、R7A、R7B、R、R、R10A、およびR10Bは独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクリル、アミノ酸側鎖部分、または-OR11、-NR1112、-COR11、-CO11、-C(=O)NR1112、-SR11、-SOR11、-SO11、-SONR1112、-N(OR11)(R12)、-P(=O)(OR11)(OR12)、-P(=O)(OR11)(R12)および-OP(=O)(OR11)(OR12)から成る群から独立して選択される部分であり、ここで前記R11およびR12は独立して、水素またはアルキルであり;
Uは、大環状環の隣接する炭素原子と一体となって、3~20個の環炭素原子を有する縮合置換または非置換、飽和、一部飽和もしくは不飽和環またはヘテロ環を形成し;
Vは、大環状環の隣接する炭素原子と一体となって、3~20個の環炭素原子を有する縮合置換または非置換、飽和、一部飽和もしくは不飽和環またはヘテロ環を形成し;
Wは、それが結合する大環状環の窒素および大環状環の炭素原子と一体となって、2~20個の環炭素原子を有する芳香族または脂環式、置換または非置換、飽和、一部飽和または不飽和含窒素縮合ヘテロ環を形成するが、但し、Wが縮合芳香族ヘテロ環であるとき、ヘテロ環および大環状環の両方の一部である窒素に結合した水素ならびにヘテロ環および大環状環の両方の一部である炭素原子に結合したRおよびR10は存在せず;ここで
各Xは独立して、置換もしくは非置換フェニルまたは-C(-X)(-X)(-X)であり;
各Xは独立して、置換もしくは非置換フェニルまたはアルキルであり;
各Xは独立して、水素、ヒドロキシル、アルキル、アミノ、-XC(=O)R13であり、ここで前記Xは、NHまたはOであり、R13はC-C18アルキル、置換もしくは非置換アリールまたはC-C18アラルキルまたは-OR14であり、ここで前記R14はC-C18アルキル、置換もしくは非置換アリールまたはC-C18アラルキル、であるか、またはXと一体となって(=O)であり;
各Xは独立して、水素であるか、Xと一体となって(=O)であり;
遷移金属Mと大環状窒素原子の間の結合および遷移金属Mと軸リガンドの酸素原子リガンド-OC(=O)Xの間の結合は配位共有結合である〕
を有する。
ある態様において、式(IA)およびそれに含まれる群の中で、ある群の化合物において、Xは-C(-X)(-X)(-X)であり、各X、XおよびXの組み合わせは、次の表に示す組合せのいずれかに対応する:
Figure 2022551494000012

さらに、式(IA)およびそれに含まれる群の中で、ある群の化合物において、XはC(-X)(-X)(-X)であり、Xは-XC(=O)R13であり、X、XおよびXの組み合わせは次の表に示すいずれかの組み合わせを含むものである:
Figure 2022551494000013


ここで、R13はC-C18アルキル、置換もしくは非置換アリールまたはC-C18アラルキルまたは-OR14であり、ここで前記R14はC-C18アルキル、置換もしくは非置換アリールまたはC-C18アラルキルである。
ある態様において、式(IA)に対応するペンタアザ大環状環錯体は、錯体式(IE)の一つである、例えば、式(IER1)、式(IES1)、式(IER2)、式(IES2)、式(IER3)または式(IES3)に対応する。
Figure 2022551494000014
〔式中、
MはMn2+またはMn3+であり;
各Xは独立して、置換もしくは非置換フェニルまたは-C(X)(X)(X)であり;
各Xは独立して、置換もしくは非置換フェニル、メチル、エチル、またはプロピルであり;
各Xは独立して、水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、プロピル、アミノであるか、またはXと一体となって=Oであり;
各Xは独立して、水素であるか、またはXと一体となって=Oであり;
マンガンと大環状窒素原子の間の結合およびマンガンと軸リガンドの酸素原子リガンド-OC(O)Xの結合は配位共有結合である〕
ある態様において、各Xは-C(X)(X)(X)であり、各-C(X)(X)(X)は、上記式(IA)についての表中に見られる組み合わせ1~9のいずれかに対応する。
さらに別の実施態様において、式(I)のペンタアザ大環状環錯体におけるXおよびYは、式(IA)または式(IE)におけるリガンドに対応する。例えば、式(I)の錯体におけるXおよびYは、-O-C(O)-Xに対応し得て、ここで前記Xは上記式(IA)および式(IE)の錯体について定義されるとおりである。
ある態様において、式(I)に対応するペンタアザ大環状環錯体(例えば、式(I)または式(II)~(XIV)、式(IA)および式(IE)に対応する式(I)の下位群のいずれか)は、次の構造のいずれかを含み得る。
Figure 2022551494000015
Figure 2022551494000016
Figure 2022551494000017
Figure 2022551494000018
Figure 2022551494000019
ある態様において、本明細書に記載の方法および組成物における使用のためのペンタアザ大環状環錯体は、式(2)、式(3)、式(4)、式(5)、式(6)および式(7)に対応するペンタアザ大環状環錯体を含む。
Figure 2022551494000020
式中、式(2)、式(3)、式(4)、式(5)、式(6)および式(7)の各々におけるXおよびYは独立して、リガンドである。例えば、ある実施態様によれば、本明細書に記載のおよび組成物において使用するためのペンタアザ大環状環錯体は、式(2)、式(3)、式(4)、式(5)、式(6)および式(7)に対応するペンタアザ大環状環錯体を含み、これらの式の各々におけるXおよびYはハロ、例えばクロロである。あるいは、XおよびYはクロロ以外のリガンド、例えば、上記のいずれかのリガンドである。
別の実施態様において、ペンタアザ大環状環錯体は式(6)または式(7)に対応する。
Figure 2022551494000021
ここに記載の6(例えば、Riley, D.P., Schall, O.F., 2007, Advances in Inorganic Chemistry, 59: 233-263に記載のジクロロ錯体形態)および7(例えば、7のジクロロ錯体形態)の化学構造は、それらが鏡像キラリティーを有することを除き、同一である;すなわち、エナンチオマー構造は重ね合わせることができない。
例えば、ペンタアザ大環状環錯体は、少なくとも下記錯体の一つに対応し得る。
Figure 2022551494000022
さらに別の実施態様において、ペンタアザ大環状環錯体は、下記錯体の少なくとも一つおよび/またはそのエナンチオマーに対応し得る。
Figure 2022551494000023
ある態様において、ペンタアザ大環状環錯体のエナンチオマー純度は、95%超、より好ましくは98%超、より好ましくは99%超、および最も好ましくは99.5%超である。本明細書で使用される用語「エナンチオマー純度」とは、示された化合物およびその総量の割合として示される、示された絶対立体化学を有する化合物の量をいう。ある態様において、ペンタアザ大環状環錯体のジアステレオマー純度は、98%超、より好ましくは99%超、および最も好ましくは99.5%超である。本明細書で使用される用語「ジアステレオマー純度」とは、示された化合物およびそのジアステレオマーの総量の割合として表される、示された絶対立体化学を有する化合物の量をいう。ジアステレオマーおよびエナンチオマー純度を決定する方法は、当分野で既知である。ジアステレオマー純度は、化合物とそのジアステレオマーを定量的に区別できる任意の分析方法、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により決定され得る。同様に、エナンチオマー純度は、化合物およびそのエナンチオマーを定量的に区別できる任意の分析方法により決定され得る。適切なエナンチオマー純度を決定する適切な分析方法の例は、限定されないが、偏光計を用いた平面偏光の旋光性およびキラルカラム充填物質を用いたHPLCを含む。
ある態様において、治療有効量のペンタアザ大環状環錯体は、患者に投与されるとき、少なくとも0.1μMのピーク血漿濃度を提供するために十分な量であり得る。例えば、ある態様において、ペンタアザ大環状環錯体は、患者に投与されるとき、少なくとも0.1μMのピーク血漿濃度を提供するために十分な量で投与され得る。さらに別の実施態様において、ペンタアザ大環状環錯体は、患者に投与されるとき、少なくとも10μMのピーク血漿濃度を提供するために十分な量で投与され得る。一般的に、ペンタアザ大環状環錯体は、患者に投与されるとき、40μMを超えるピーク血漿濃度を提供し得る量で投与されない。例えば、ペンタアザ大環状環錯体は、患者において0.1μM~40μMの範囲のピーク血漿濃度を提供するために十分な量で投与され得る。別の例として、ペンタアザ大環状環錯体は、患者において0.5μM~20μMの範囲のピーク血漿濃度を提供するために十分な量で投与され得る。別の例として、ペンタアザ大環状環錯体は、患者において1μM~10μMの範囲のピーク血漿濃度を提供するために十分な量で投与され得る。
さらに別の実施態様において、患者のkg体重あたり投与されるペンタアザ大環状環錯体の用量は、少なくとも0.1mg/kg、例えば、少なくとも0.2mg/kgであり得る。例えば、患者のkg体重あたり投与されるペンタアザ大環状環錯体の用量は、少なくとも0.5mg/kgであり得る。別の例として、患者のkg体重あたり投与されるペンタアザ大環状環錯体の用量は、少なくとも1mg/kgであり得る。別の例において、患者のkg体重あたり投与されるペンタアザ大環状化合物の用量は、少なくとも2mg/kg、例えば、少なくとも3mg/kg、およびさらには少なくとも約15mg/kg、例えば、少なくとも24mg/kgおよびさらには少なくとも40mg/kgであり得る。一般的に、患者のkg体重あたり投与されるペンタアザ大環状化合物の用量は、1000mg/kgを超えない。例えば、患者のkg体重あたり投与されるペンタアザ大環状化合物の用量は、0.1~1000mg/kg、例えば、0.2mg/kg~40mg/kg、例えば、0.2mg/kg~24mg/kg、およびさらには0.2mg/kg~10mg/kgの範囲であり得る。別の例として、患者のkg体重あたり投与されるペンタアザ大環状環錯体の用量は、1mg/kg~1000mg/kg、例えば、3mg/kg~1000mg/kg、およびさらには5mg/kg~1000mg/kg、例えば、10mg/kg~1000mg/kgの範囲であり得る。別の例として、kg体重あたり投与されるペンタアザ大環状環錯体の用量は、2mg/kg~15mg/kgの範囲であり得る。別の例として、kg体重あたり投与されるペンタアザ大環状環錯体の用量は、3mg/kg~10mg/kgの範囲であり得る。別の例として、患者のkg体重あたり投与されるペンタアザ大環状化合物の用量は、0.5~5mg/kgの範囲内であり得る。さらなる例として、患者のkg体重あたり投与されるペンタアザ大環状化合物の用量は、1~5mg/kgの範囲であり得る。
ある態様において、ペンタアザ大環状環錯体の用量は、少なくとも15mg、少なくとも30mg、少なくとも50mg、少なくとも75mg、少なくとも90mg、少なくとも100mgおよび/または少なくとも112mgであり得る。ペンタアザ大環状環錯体の用量はまた、15分、30分、45分、60分の注入期間および/またはそれより長い注入期間での投与速度のように、所定の注入期間にわたって投与され得る。ある実施態様によれば、GC4419のようなペンタアザ大環状環錯体は、少なくとも75mgおよび/または少なくとも90mgに相当する注入速度で1時間にわたって投与され得る。
ある態様において、上記の投与量および/または血漿濃度は、GC4419に対応するペンタアザ大環状環錯体について特に適切であるが、それらはまた、他のペンタアザ大環状環錯体にも適切である。さらに、当業者は、使用される特定の化合物の分子量および/または活性のような因子に基づいて、投与量および/または血漿濃度を調整する方法を認識し得る。例えば、GC4419の2倍の活性を有するペンタアザ大環状環錯体については、投与量および/または血漿濃度が半減され得るか、またはGC4419の分量より大きな分子量を有するペンタアザ大環状環錯体については、対応するより高い投与量が使用され得る。
ペンタアザ大環状環錯体の投与スケジュールは、意図される処置に応じて同様に選択され得る。例えば、ある態様において、適切な投与スケジュールは、処置中に少なくとも週1日、例えば、少なくとも週2日、3日、4日、5日、6日または7日(例えば、毎日)患者に投与することを含み得る。別の例として、ある態様において、投与は少なくとも1日1回(qd)、またはさらには少なくとも1日2回(bid)であり得る。
処置方法
本明細書に記載の口腔粘膜炎、癌または他の状態を含む状態の処置は治療的利益を達成することを含むが、治療剤はまた、予防利益を達成するためにも投与され得る。治療的利益とは一般に、処置される存在する障害の少なくとも一部の根絶または改善をいう。例えば、癌患者において、治療的利益は、存在する癌の(一部または完全な)消滅を含む。また、治療的利益は、患者がそれでもなお存在する障害に苦しむことがあるという事実にもかかわらず、改善が患者において観察されるように存在する障害に関連する生理学的症状の1以上の少なくとも一部もしくは完全な根絶または改善で達成される。予防利益のために、状態の診断が実施され得なかったとしても、本発明の方法が癌患者に対して実施され得るか、本発明の組成物が進行リスクがある患者またはこのような状態の生理学的症状の1以上が報告される患者に投与され得る。
一般に、状態または障害を有するか、有すると考えられる任意の対象は、本発明の組成物および方法を用いて処置され得る。本明細書に記載の方法により処置を受ける対象は哺乳動物対象、および典型的にはヒト患者である。本発明により処置され得る他の哺乳動物は、イヌおよびネコのようなコンパニオンアニマル、ウシ、ウマおよびブタのような家畜ならびにトリおよびより外的な動物(例えば、動物園または自然保護区で見られる動物)を含む。
本発明のある態様によれば、処置を必要とする対象に送達された癌処置(例えば、放射線療法または化学療法)から生じる組織損傷を処置するための方法が、ここに記載される。本発明の別の態様によれば、放射線への曝露から生じる組織損傷についてヒト患者を処置するための方法が、ここに記載される。このように、多様な実施態様において、例えば、多様な実施態様における放射線への曝露は、偶発的な放射線曝露、意図しない放射線曝露または意図的な放射線曝露であり得る。上記のとおり、本明細書に記載の組織損傷の処置は、発生または活性から生じるいずれかの組織損傷の阻害(すなわち、予防)および改善の両方を含み得る。一般に、方法は、治療有効量のペンタアザ大環状環錯体を対象に投与することを含む。ある好ましい実施態様において、錯体は式(GC4419)のジクロロであるが、本明細書に記載の他のペンタアザ大環状環錯体もまた、使用され得る。
本明細書に記載の方法による癌処置または他の放射線曝露から生じる組織損傷の処置は、治療有効量のペンタアザ大環状環錯体、例えば、限定されないが、GC4419の投与を含む。一般に、ある範囲の治療有効量は、例えば、選択される化合物およびその安全性および有効性、種類、位置および組織損傷の重篤度、その他の因子に依存して使用され得る。処置され得る組織損傷の例は、口腔粘膜炎および上部および下部消化管の粘膜内層に影響を及ぼす組織損傷を含む他の形態の組織損傷を含み得る。
別の実施態様において、製剤は、癌および/または腫瘍の処置のために使用され得る。癌および腫瘍は一般に、制御されない細胞増殖により典型的に特徴付けられる哺乳動物における生理学的状態を示し、これを記載する。本明細書に記載の医薬製剤により、乳房、心臓、肺、小腸、結腸、脾臓、腎臓、膀胱、頭頚部、卵巣、前立腺、脳、膵臓、皮膚、骨、骨髄、血液、胸腺、子宮、睾丸、子宮頸部および肝臓の腫瘍などの多様な腫瘍が処置され得る。
ある態様において、腫瘍または癌は、腺腫、血管肉腫、星状細胞腫、上皮癌、胚細胞腫、神経膠芽腫、神経膠腫、過誤腫、血管内皮腫、血管肉腫、血腫、肝芽腫、白血病、リンパ腫、髄芽腫、黒色腫、神経芽腫、骨肉腫、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫および奇形種から選択される。腫瘍は、末端黒子黒色腫、日光角化症、腺癌、腺様嚢胞癌、腺腫、腺肉腫、腺扁平上皮癌、星細胞系腫瘍、バルトリン腺癌、基底細胞癌、気管支腺癌、毛細管癌、カルチノイド、癌腫、癌肉腫、海綿状癌、胆管癌、軟骨肉腫、脈絡叢乳頭腫/癌、淡明細胞、嚢胞腺腫、卵黄嚢腫瘍、子宮内膜増殖症、子宮内膜間質肉腫、類子宮内膜腺癌、上衣腫瘍、類上皮細胞癌、ユーイング肉腫、線維層板状癌、限局性結節性過形成、ガストリノーマ、胚細胞腫瘍、神経膠芽腫、グルカゴノーマ、血管芽腫、血管内皮腫、血管腫、肝臓腺腫、肝臓腺腫症、肝細胞癌、インスリノーマ、上皮内腫瘍性病変、上皮内扁平上皮癌、浸潤扁平上皮癌、大細胞癌、平滑筋肉腫、悪性黒子黒色腫、悪性黒色腫、悪性中皮腫、髄芽腫、髄上皮腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、転移性癌、粘表皮癌、神経芽腫、神経上皮腺癌、小結節性黒色腫、燕麦細胞癌、乏突起膠腫、骨肉腫、膵癌、乳頭漿液性腺癌、松果体細胞癌、下垂体腫瘍、形質細胞腫、偽肉腫、肺芽細胞腫、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫、漿液性癌、小細胞癌、軟組織癌、ソマトスタチン産生腫瘍、扁平上皮癌、扁平上皮細胞癌、中皮下癌、表在拡大型黒色腫、未分化癌、ぶどう膜黒色腫、疣状癌、VIP産生腫瘍、高分化型癌およびウィルムス腫瘍から選択され得る。
このように、例えば、本発明は、限定されないが、次のもの:膀胱(加速性転移性膀胱癌を含む)、乳房、直腸(結腸直腸癌を含む)、腎臓、肝臓、肺(小細胞および非小細胞性肺癌および肺腺癌を含む)、卵巣、前立腺、精巣、泌尿生殖器管、リンパ系、直腸、喉頭、膵臓(外分泌膵臓癌を含む)、食道、胃、胆嚢、頸、甲状腺および皮膚(扁平上皮細胞癌を含む)の癌;白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫、組織球性リンパ腫およびバーキットリンパ腫を含むリンパ系造血性腫瘍;急性および慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、骨髄白血病および前骨髄球性白血病を含む骨髄系造血性腫瘍;星状細胞腫、神経芽腫、神経膠腫およびシュワン腫を含む中枢および末梢神経系の腫瘍;線維肉腫、横紋筋肉腫および骨肉腫を含む間葉系起始部の腫瘍;ならびに黒色腫、色素性乾皮症、ケラトアカントーマ、精上皮腫、甲状腺濾胞性癌および奇形がん腫を含む他の腫瘍を含む多様な癌の処置のための方法を提供する。
本明細書に記載の製剤および方法を用いて処置され得る特定の白血病は、限定されないが、急性非リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、非白血性白血病、白血球血性白血病、好塩基球性白血病、芽球性細胞白血病、ウシ白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚白血病、胎児性白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、ヘアリー細胞白血病、血芽球性(hemoblastic)白血病、血球芽球性白血病、組織球性白血病、幹細胞白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ性白血病、リンパ行性白血病、リンパ性白血病、リンパ肉腫細胞白血病、肥満細胞白血病、巨核球性白血病、微小骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄球性白血病、骨髄性顆粒球白血病、骨髄単球性白血病、ネゲリ白血病、形質細胞白血病、形質細胞性白血病、前骨髄球性白血病、リーダー細胞白血病、シリング白血病、幹細胞白血病、亜白血性白血病および未分化細胞白血病を含む。
リンパ腫もまた、本明細書に記載の製剤および方法を用いて処置され得る。リンパ腫は、一般に、主にリンパ組織に存在する細胞の腫瘍性形質転換である。リンパ腫は免疫系の腫瘍であり、一般に、T細胞関連疾患およびB細胞関連疾患の両方として存在する。リンパ腫の中には、2つの主な異なる群:非ホジキンリンパ腫(NHL)およびホジキン病が存在する。その中でも、骨髄、リンパ節、脾臓および循環細胞が含まれ得る。処置プロトコルは、患者から骨髄を取り出し、しばしば、腫瘍細胞型に存在する抗原に対する抗体を用いて、腫瘍細胞を除去し、その後保存することを含む。その後、患者に毒性用量の放射線または化学療法を与え、次いで、患者の造血系を再増殖させるためにパージされた骨髄を再注入する。
本明細書に記載の組合せ剤および方法を用いて処置され得る他の血液系腫瘍は、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性症候群(MPS)および骨髄腫、例えば、孤立性骨髄腫および多発性骨髄腫を含む。多発性骨髄腫(形質細胞骨髄腫とも称される)は骨格系に関与し、該系全体に散在する新生物形質細胞の多発性腫瘤により特徴付けられる。それはまた、リンパ節および他の部分、例えば皮膚に拡大し得る。孤立性骨髄腫は、多発性骨髄腫として同一の位置に生じる傾向がある孤立性病巣を含む。
ある態様において、本明細書に記載の方法および製剤は、乳癌、黒色腫、口腔扁平上皮細胞癌、非小細胞性肺癌を含む肺癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、前立腺癌、脳癌、紡錘細胞癌、尿路上皮癌、膀胱癌、結腸直腸癌、扁平上皮細胞癌のような頭頸部癌および膵臓癌のいずれかである癌を処置するために使用される。さらに別の実施態様において、本明細書に記載の方法および製剤は頭頸部癌および肺癌のいずれかである癌を処置するために使用される。
上記のとおり、本明細書に記載の方法により処置される疾患または状態は、ペンタアザ大環状環錯体を用いて処置可能であるいずれかの疾患または状態であり得る。ある態様において、例えば、疾患または状態は、癌、心血管障害、脳血管障害、皮膚障害、線維性障害、消化器障害、免疫学的障害、炎症性障害、代謝障害、神経学障害、眼障害、肺障害、感染性疾患およびその組合せから選択される。例として、使用は、炎症性および過増殖性皮膚疾患ならびに免疫学的介在性疾患の皮膚症状、例えば、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎およびさらなる湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、類天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、血管浮腫、脈管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、エリテマトーデス、面皰および円形脱毛症;多様な眼疾患(自己免疫性およびその他のもの)例えば、角結膜炎、春季結膜炎、ベーチェット病に関連するブドウ膜炎、角膜炎、ヘルペス性角膜炎、円錐角膜、角膜上皮ジストロフィー、角膜白斑および眼天疱瘡の処置を含む。さらに、喘息(例えば、気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息および塵埃喘息)、特に慢性または難治性喘息(例えば、遅発性喘息および気道過敏)を含む可逆性閉塞性気道疾患、気管支炎、アレルギー性鼻炎などは、本明細書に記載の方法により処置、予防および/または改善され得る。他の処置可能な疾患および状態は、胃潰瘍のような粘膜および血管の炎症、虚血性疾患により引き起こされる血管損傷および血栓症を含む。さらに、内膜平滑筋細胞過形成、再狭窄および血管閉塞のような過増殖性血管疾患は、特に生物学的または機械的に媒介される血管損傷の後に、本明細書に記載の化合物により処置され得る。
さらに他の処置可能な疾患および状態は、限定されないが、術後心筋梗塞のような心疾患、肺筋肉変化またはリモデリングおよび慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような肺疾患;虚血性腸疾患、炎症性腸疾患、壊死性腸炎、セリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病および潰瘍性大腸炎のような腸炎症/アレルギー;多発性筋炎、ギランバレー症候群、メニエール病、多発性神経炎(polyneuritis)、多発性神経炎(multiple neuritis)、単神経炎および神経根症のような神経疾患;敗血症性ショックおよびそれに関連する難治性低血圧;甲状腺機能亢進症およびバセドー病のような内分泌疾患;関節炎(例えば、リウマチ性関節炎、慢性進行性関節炎および変形性関節症)およびリウマチ性疾患;赤芽球癆、再生不良性貧血、再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、無顆粒球症、悪性貧血、巨赤芽球性貧血および赤血球形成不全のような血液疾患;骨粗鬆症のような骨疾患;サルコイドーシス、類繊維肺および特発性間質性肺炎のような呼吸器疾患;皮膚筋炎、尋常性白斑、尋常性魚鱗癬、光アレルギー感受性および皮膚T細胞性リンパ腫のような皮膚疾患;動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、大動脈炎症候群、結節性多発性動脈炎および心筋炎のような循環器疾患;強皮症、ウェゲナー肉芽腫およびシェーグレン症候群のようなコラーゲン疾患;脂肪過多;好酸球性筋膜炎;歯肉、歯周組織、歯槽骨および歯のセメント質の病変のような歯周病;糸球体腎炎のようなネフローゼ症候群;脱毛を阻止することによるもしくは発毛を提供することによるならびに/または発毛および育毛を促進することによる男性型脱毛症または老人性脱毛症;膿皮症およびセザリー症候群;アジソン疾患;保護、移植、臓器不全(単一または複数)または虚血性疾患(例えば、血栓症および心筋梗塞)により生じる器官(例えば、心臓、肝臓、腎臓および消化管)の虚血再灌流傷害のような活性酸素介在性疾患;パーキンソン病、神経遮断誘発性パーキンソニズムおよび遅発性ジスキネジアのような運動障害;内毒素ショック、偽膜性大腸炎および薬物または放射線により引き起こされる大腸炎のような腸疾患;虚血性急性腎不全および慢性腎不全のような腎疾患;肺酸素または薬物(例えば、パラコートおよびブレオマイシン)により引き起こされる中毒症、肺癌および肺気腫のような肺疾患、;眼疾患、例えば、、鉄沈着症、網膜炎、色素性痒疹、老年黄斑変性症、硝子体瘢痕および角膜アルカリ火傷;皮膚炎、例えば、多形性紅斑、線状IgA水疱性皮膚症皮膚炎およびセメント皮膚炎;ならびに他の疾患、例えば、歯肉炎、歯周炎、敗血症、膵炎、環境汚染(例えば、大気汚染)により引き起こされる疾患、加齢、発癌、癌転移および肝障害;ヒスタミンまたはロイコトリエン-C4放出により引き起こされる疾患;ベーチェット病、例えば、腸型、血管または神経ベーチェット病、および口腔、皮膚、眼、外陰、関節、精巣上体、肺、腎臓などに影響を与えるベーチェット病を含む。さらに、本発明の化合物は、肝疾患、例えば、免疫原性疾患(例えば、自己免疫性肝炎のような慢性自己免疫性肝疾患、原発性胆汁性肝硬変および硬化性胆管炎)、肝部分切除、急性肝壊死(例えば、毒素、ウイルス肝炎、ショックまたは無酸素により引き起こされる壊死)、Bウイルス肝炎、非A型/非B型肝炎、硬変(例えば、アルコール性硬変)、および肝不全、例えば、劇症肝不全、遅発性肝不全および「急性増悪」肝不全(慢性肝疾患が急性憎悪した肝不全)の処置および予防のための、ならびにインフルエンザまたはHIV感染の細菌またはウイルス感染の処置のために有用であり、さらに、化学療法の効果の増強のような有用な活性のため、サイトメガロウイルス感染、特にHCMV感染、抗炎症性活性、硬化性および線維性疾患、例えば、ネフローゼ、強皮症、線維症(例えば、特発性間質性肺炎、特発性肺線維症、特発性縦隔線維症、抗腫瘍療法に合併する線維症、放射線療法ならびに結核およびアスペルギルス症および他の真菌感染を含む慢性感染症を含む肺線維症(pulmonary fibrosis)および肺線維症(lung fibrosis))、動脈硬化症、うっ血性心不全、心室肥大、術後癒着および瘢痕化、卒中、心筋梗塞ならびに虚血および再潅流に関連する傷害に有用である。
医薬製剤
特定の実施態様によれば、水溶液は、非経腸経路(例えば、静脈内、動脈内、皮下、直腸、皮下、筋肉内、眼窩内、嚢内、髄腔内、腹腔内または胸骨内)により投与され得る。しかしながら、他の投与経路もまた、経口、局所(経鼻、経皮、眼内)、膀胱内、髄腔内、経腸、肺、リンパ内、腔内、膣、経尿道、皮内、耳、乳腺内、頬側、同所、気管内、病巣内、経皮、内視鏡、経粘膜、舌下および経腸投与により投与することが可能であり得る。
本発明の組成物と組み合わせて使用するための薬学的に許容される添加剤および/または賦形剤は当業者に既知であり、多くの因子:使用される特定の化合物および薬剤ならびにその(それらの)濃度、安定性および意図されるバイオアベイラビリティ;対象、その年齢、体格および一般的状態;ならびに投与経路に基づいて選択される。本明細書に記載の医薬組成物において使用するための薬学的に許容される添加剤は当業者に既知でありThe Chemotherapy Source Book (Williams & Wilkens Publishing)、The Handbook of Pharmaceutical Excipients, (American Pharmaceutical Association, Washington, D.C.およびThe Pharmaceutical Society of Great Britain, London, England, 1968), Modern Pharmaceutics, (G. Banker et al., eds., 3d ed.) (Marcel Dekker, Inc., New York, New York, 1995)、The Pharmacological Basis of Therapeutics, (Goodman & Gilman, McGraw Hill Publishing), Pharmaceutical Dosage Forms, (H. Lieberman et al., eds.) (Marcel Dekker, Inc., New York, New York, 1980)、Remington's Pharmaceutical Sciences (A. Gennaro, ed., 19th ed.) (Mack Publishing, Easton, PA, 1995)、The United States Pharmacopeia 24, The National Formulary 19, (National Publishing, Philadelphia, PA, 2000)およびA.J. Spiegel et al., Use of Nonaqueous Solvents in Parenteral Products, Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol. 52, No. 10, pp. 917-927 (1963)で確認される。
特定のペンタアザ大環状環錯体のための製剤は、例えば、米国特許番号第5,610,293号、第5,637,578号、第5,874,421号、第5,976,498号、第6,084,093号、第6,180,620号、第6,204,259号、第6,214,817号、第6,245,758号、第6,395,725号および第6,525,041号(これらの各々は、その全体の参照により本明細書に包含させる)に記載される。
ペンタアザ大環状化合物を含む上記医薬組成物はさらに、1以上のさらなる薬学的に活性な成分を含み得る。本発明の態様による組成物に含まれ得る適切な薬学的に活性な薬剤は、例えば、鎮吐剤、麻酔剤、降圧剤、抗不安剤、抗凝固剤、抗痙攣剤、血糖降下剤、うっ血除去剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、抗新生物、βブロッカー、抗炎症剤、抗精神病剤、向知性剤、コレステロール低下剤、抗肥満剤、自己免疫障害剤、抗無気力剤、抗細菌および抗真菌剤、睡眠剤、抗パーキンソン病剤、抗アルツハイマー病剤、抗生剤、抗うつ剤および抗ウイルス剤を含む。このような組み合わせの個々の成分は、医薬製剤と別々にまたは組み合わせて、逐次的または同時に投与され得る。
さらに別の実施態様において、状態を処置するための、ペンタアザ大環状環錯体を含むキットが提供され得る。例えば、キットは、水溶液中にペンタアザ大環状環錯体を含む製剤、例えば、ペンタアザ大環状環錯体の経口または注射製剤をその中に含む第一の容器(vessel)または容器(container)を含み得る。キットは、活性剤の投与、推奨される投与量、期間および投与レジメン、注意事項、可能性のある薬物-薬物相互作用の一覧についてのラベルまたは他の指示ならびに他の関連する指示、例えば、本明細書に記載のいずれかの治療レジメンに対応する治療レジメン(例えば、投与量、投与頻度など)を指示するラベルをさらに含み得る。
癌治療との併用処置
ある態様において、ペンタアザ大環状環錯体を含む水溶液は、治療的処置を提供するために、別の癌療法と組み合わせて投与され得る。例えば、ペンタアザ大環状環錯体は、放射線療法または化学療法レジメンの一部として投与され得る。
一般に、ペンタアザ大環状環錯体の投与の一時的な態様は、例えば、選択される特定の放射線療法の種類、性質および/または期間に依存し得る。他の事項は、処置される疾患または障害および疾患または障害の重篤度;使用される特定の化合物の活性;使用される特定の組成物;対象の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食事;投与時間、投与経路および使用される特定の化合物の排泄速度;処置期間;使用される特定の化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物などの因子を含み得る。例えば、化合物は、多様な実施態様において、放射線療法の投与前、投与中および/または投与後(例えば、複数回曝露および/もしくは用量を含む放射線療法への曝露前、曝露中もしくは曝露後ならびに/または複数回曝露および/もしくは用量を含む一連の放射線療法による治療前、治療中もしくは治療後)に投与され得る。別の例として、化合物は、多様な実施態様において、放射線曝露の前、曝露中および/または曝露後に投与され得る。所望ならば、有効量は、投与の目的のために複数の用量に分割され得て;その結果、単回用量組成物は、投与量を構成するためのこのような量またはその約数量を含み得る。
ある態様において、例えば、ペンタアザ大環状環錯体は、放射線曝露および/または化学療法用量の前にまたはそれと同時に患者に投与され得る。別の実施態様において、例えば、化合物は、放射線曝露および/または化学療法用量の後ではなく、前に患者に投与される。さらに別の実施態様において、ペンタアザ大環状環錯体は、放射線曝露および/または化学療法用量、例えば、一連の放射線処置における初期の放射線曝露前に、または放射線の複数線量または線量分割の一連の処置におけるある回についてもう1回の線量または線量分割の前に、少なくとも15分間、30分間、45分間、60分間、90分間、180分間、0.5日間、1日間、3日間、5日間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間またはそれより長期間、患者に投与される。さらに他の実施態様において、例えば、ペンタアザ大環状環錯体は、放射線曝露および/または化学療法用量の後に患者に投与され;したがって、例えば、化合物は、放射線曝露後に、最大で15分間、30分間、45分間、60分間、90分間、180分間、0.5日間、1日間、3日間、5日間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間またはそれより長期間投与され、これは放射線療法の複数回用量における線量または線量分割であり得るか、または放射線療法における単回または最終線量または線量分割であり得るか、または化学療法用量後のものであり得る。
ある態様において、一連の放射線療法は、数時間、数週間、数日およびさらには数か月のような所定の期間にわたって与えられる複数の放射線線量または線量分割を含み、複数の放射線線量または線量分割は同程度か、または変化する。すなわち、一連の放射線療法は、一連の複数回の放射線線量または線量分割の投与を含み得る。ある態様において、ペンタアザ大環状環錯体は、一連の1以上の放射線線量または線量分割の前、例えば、各放射線線量または線量分割の前、またはいくつかの放射線線量または線量分割の前に投与され得る。さらに、一連の放射線療法中のペンタアザ大環状環錯体の投与が、放射線療法の癌処置効果を増強するために選択され得る。ある態様において、ペンタアザ大環状環錯体は、各線量または線量分割の前または後に、所定の期間内、例えば上記の所定の期間内に投与され得る。別の実施態様において、ペンタアザ大環状環錯体は、線量または線量分割の前または後のみに、所定の期間内に投与される。
一連の治療の間に提供するための適切な全線量は、提供される処置、患者の身体的特徴および他の因子により決定され得て、提供される線量分割は、同様に決定され得る。ある態様において、患者に投与され得る放射線の線量分割は、少なくとも1.8Gy、例えば、少なくとも2Gy、およびさらには少なくとも3Gy、例えば、少なくとも5Gy、およびさらには少なくとも6Gyであり得る。さらに別の実施態様において、患者に投与される放射線の線量分割は、少なくとも10Gy、例えば、少なくとも12Gy、およびさらには少なくとも15Gy、例えば、少なくとも18Gy、およびさらには少なくとも20Gy、例えば、少なくとも24Gyであり得る。一般に、患者に投与される放射線の線量分割は、54Gyを超えない。一連の治療中に投与される総用量(すなわち、全線量分割の合計)は、少なくとも20Gy、少なくとも30Gy、少なくとも40Gy、少なくとも50Gy、少なくとも60Gy、および/または少なくとも70Gyであり得る。例えば、総用量は、50Gy~75Gyの範囲、例えば、60Gy~72Gyの範囲であり得る。さらに、ある態様において、対象に送達される線量分割とは、対照の特定の標的領域、例えば、腫瘍領域へ送達される量を示し得るが、他の腫瘍領域または周辺組織は、名目線量分割量により特定されるものより多いまたは少ない放射線に曝露され得ることに留意するべきである。
例えば、ある態様において、一連の治療中に提供される放射線の全線量は、低線量分割方式と比較して比較的少ないセッションにわたって投与される比較的高い線量分割を提供することを典型的に含む、寡分割照射放射線療法方式によって提供され得る。このような放射線療法の例は、限定されないが、典型的に頭蓋内および脊髄標的を標的とする単回分割処置をいう定位放射線手術(SRS)、ならびに典型的に頭蓋内および脊髄標的のような標的および肺、肝臓、頭頸部、膵臓および前立腺のような頭蓋外標的の複数分割処置をいう体幹部定位放射線治療(SBRT)を含み得る。例として、寡分割照射放射線療法方式のある実施態様において、一連の治療中に提供される放射線の全線量は、10分割未満、例えば、8分割未満、6分割未満、5分割未満、4分割未満、3分割未満、2分割未満に分割され得て、さらには1回の投与(単一の分割)のみで提供され得る。例えば、ある態様において、一連の治療中に提供される放射線の全線量は、1~10分割、例えば、1~6分割、およびさらには1~5分割、例えば、2~5分割またはさらには2~4分割に分割され得る。さらに別の例として、寡分割照射放射線療法方式は、一連の治療中に提供される放射線の全線量を、治療中に提供される全線量の少なくとも10%(1/10)、例えば、全線量の少なくとも12.5%(1/8)、全線量の少なくとも16%(約1/6)、全線量の少なくとも20%(1/5)、全線量の少なくとも25%(1/4)、全線量の少なくとも30%(1/3)、全線量の少なくとも50%である線量分割に分割することを含み得て、および/または全線量の少なくとも100%は単回投与(単一の分割)で投与され得る。例えば、ある態様において、一連の治療中に提供される放射線の全線量は、各分割において全線量の10%~100%、例えば、全線量の16%~100%、およびさらには全線量の20%~100%、例えば、全線量の20%~50%またはさらには全線量の25%~50%を提供する分割に分割され得る。例えば、線量分割サイズは、少なくとも5Gy、例えば、少なくとも6Gy、少なくとも8Gy、少なくとも10Gy、少なくとも12Gy、およびさらには少なくとも15Gy、例えば、少なくとも18Gy、およびさらには少なくとも20Gy、例えば、少なくとも24Gyであり得て、典型的には54Gyを超えず、例えば、40Gy未満およびさらには30Gy未満である。ある態様において、線量分割サイズは、5Gy~30Gy、例えば、6Gy~28Gy、およびさらには8Gy~25Gyの範囲であり得る。さらに、ある態様において、線量分割は、1日3回以下、およびさらには1日2回以下、例えば、1日1回以下で、連日もしくは非連日および/またはそのいくつかの組み合わせで投与され得て、数日および最大数週間、例えば、1~15日、1~12日、1~10日、1~5日、およびさらには1~3日の期間にわたって投与され得る。典型的に、全体の一連の治療を構成する線量分割は、20日以内、15日以内、10日以内、5日以内、およびさらには3日以内に投与される。
さらに別の例として、ある態様において、一連の治療中に提供される放射線の全線量は、例えば、寡分割照射方式と比較して比較的多いセッションにわたって投与される比較的低い線量分割を提供する放射線療法方式により提供され得る。このような低線量分割放射線療法の例は、限定されないが、投与された放射線を標的体積に適合させるための三次元原体照射(3D-CRT)を典型的に含む強度変調放射線治療(IMRT)および画像誘導放射線治療(IGRT)を含み得る。例として、このような放射線療法方式のある実施態様において、一連の治療中に提供される放射線の全線量は、少なくとも15分割、例えば、少なくとも18分割、少なくとも20分割、少なくとも22分割、少なくとも25分割、少なくとも28分割、少なくとも30分割、少なくとも32分割、少なくとも35分割、およびさらには少なくとも38分割に分割され得るが、分割の総数は、典型的には、50未満、例えば、45未満、およびさらには42未満である。例えば、ある態様において、一連の治療中に提供される放射線の全線量は、15~38分割、例えば、20~38分割、およびさらには20~35分割、例えば、25~35分割に分割され得る。さらに別の例として、放射線療法方式は、一連の治療中に提供される放射線の全線量を、一連の治療中に提供される全線量の7%(1/15)以下、例えば、全線量の6%(1/18)以下、全線量の5%(1/20)以下、全線量の4.5%(1/22)以下、全線量の4%(1/25)以下、全線量の3.6%(1/28)以下、全線量の3.3%(1/30)以下、全線量の3.1%(1/32)以下、全線量の2.8%(1/35)以下、およびさらには全線量の2.6%(1/38)以下である線量分割に分割することを含み得る。例えば、ある態様において、一連の治療中に提供される放射線の全線量は、各分割において全線量の2.5%~8%、例えば、全線量の2.8%~5%、およびさらには全線量の2.8%~4%を提供する分割に分割することを含み得る。例えば、線量分割サイズは、5Gy未満、例えば、4Gy未満、3.5Gy未満、3Gy未満、2.8Gy未満、およびさらには2.5Gy未満、例えば、2.3Gy未満、およびさらには2Gy未満、例えば、1.8Gy未満であり得て、典型的には、少なくとも0.5Gy、例えば、少なくとも1Gyおよびさらには少なくとも1.5Gyである。ある態様において、線量分割サイズは、1.5Gy~4.5Gy、例えば、1.8Gy~3Gy、およびさらには2Gy~2.5Gyの範囲で投与され得る。さらに、ある態様において、線量分割は、1日3回以下、およびさらには1日2回以下、例えば、1日1回以下で、連日もしくは非連日および/またはそのいくつかの組み合わせで(例えば、平日に連続して)投与され得て、いくつかの実施態様においては、数日~数週間、およびさらには数か月の期間にわたって、例えば、最大3週間、最大5週間、最大6週間、最大8週間およびさらには最大10週間の期間にわたって、例えば、3週間~10週間の範囲で、またはさらには5週間~8週間の範囲で投与され得る。例えば、全体の一連の治療を構成する線量分割は、12週間以内、例えば、10週間以内、およびさらには8週間以内に投与され得る。
さらに別の実施態様において、照射方式により提供される放射線の全線量は、上記のような比較的高い線量分割方式もしくは比較的低い線量分割方式または他の方式にかかわらず、癌の適切な処置を提供するために選択される。全線量はまた、他の因子とともに、投与される特定の線量分割分別により提供され得る。例えば、特定の実施態様において、比較的高い全線量は、比較的低い個々の線量分割として投与され得る。ある態様において、一連の処置にわたって提供される全線量(すなわち、投与される線量分割の合計)は、少なくとも50Gy、例えば、少なくとも55Gy、少なくとも58Gy、少なくとも60Gy、少なくとも65Gy、少なくとも68Gy、少なくとも70Gy、少なくとも72Gy、およびさらには少なくとも75Gyである。特定の実施態様において、全線量は、80Gyを超えない、例えば、78Gyを超えない、およびさらには75Gyを超えない。例えば、全線量は、50Gy~75Gy、例えば、55Gy~75Gy、およびさらには60Gy~70Gyの範囲である。
さらに別の実施態様において、ペンタアザ大環状環錯体は、例えば、白金系化学療法剤(例えば、シスプラチン)の投与を含む一連の治療の一部として投与され得る。化学療法において、化学療法剤は、癌細胞を死滅させるまたは癌細胞の増殖を制御するために患者に投与される。典型的な一連の化学療法は、1以上の化学療法剤の1以上の用量を含み、これは数日、数週間およびさらには数か月にわたって投与され得る。化学療法剤は、抗新生物アルキル化剤例えば、窒素マスタード(例えば、シクロホスファミド、クロラムブシル)、ニトロソウレア類(例えば、n-ニトロソ-n-メチル尿素、カルムスチン、セムスチン)、テトラジン(例えば、ダカルバジン、ミトゾリミド)、アジリジン(例えば、チオテパ、マイトマイシン);代謝拮抗剤、例えば、抗葉酸剤(例えば、メトトレキサートおよびペメトレキセド)、フルオロピリミジン(例えば、フルオロウラシル、カペシタビン)、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン)、デオキシヌクレオシドアナログ(例えば、シタラビン、ゲムシタビン、デシタビン)およびチオプリン(例えば、チオグアニン、メルカプトプリン);抗微小管剤、例えば、タキサン類(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル);トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシド、ドキソルビシン、ミトキサントロン、テニポシド);抗腫瘍抗生物質(例えば、ブレオマイシン、マイトマイシン);およびプラチン(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン)の少なくとも一つを含み得る。例えば、化学療法剤は、レチノイン酸、三酸化ヒ素、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、カルボプラチン、カペシタビン、シスプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エトポシド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イマチニブ、メクロレタミン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、テニポシド、チグアニン、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンおよびビノレルビンから成る群から選択され得る。多くの化学療法剤の投与が、"Physicians' Desk Reference" (PDR)、例えば、1996年版(Medical Economics Company, Montvale, N.J. 07645-1742, USA)に記載されている。
ある態様において、化学療法剤は、白金系抗癌剤、例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、ロバプラチン、ヘプタプラチン、ジシクロプラチン、リポプラチン、LA-12((OC-6-43)-ビス(アセタト)(1-アダマンチルアミン)アミンジクロロ白金(IV))、ホスファプラチン、フェナントリプラチン、ProLindac(AP5346)、トリプラチン テトラニトレート、ピコプラチン、サトラプラチン、ピリプラチンおよび/またはその薬学的に許容される塩から成る群から選択されるいずれかを含む。白金系抗癌剤の適切な用量の例は、10mg/m~200mg/m、例えば20mg/m~100mg/mの範囲であり得る。白金系抗癌剤の投与スケジュールは、意図される処置および提供される白金系抗癌剤に応じて同様に選択され得る。 例えば、ある態様において、適切な投与スケジュールは、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間もしくは1か月に1回または2回の投与頻度で患者に投与することを含み得る。
さらに別の実施態様によれば、処置方法は、ペンタアザ大環状環錯体と、免疫治療剤、例えば、免疫チェックポイント阻害剤、養子T細胞移入療法および/または癌ワクチンの併用療法を含み得て、これらは癌の処置のために投与され得て、かつ場合により、化学治療剤および/または放射線療法もまた含む一連の処置の一部として投与され得る。
以下の非限定的な実施例が、本発明の態様をさらに説明するために提供される。以下の実施例に開示する技術が、本発明者らが本発明の実施において十分に機能することを見出したアプローチを表しており、したがってその実施のための形態の例を構成するものと考慮され得ることが、当業者により理解されるべきである。しかしながら、当業者は、本発明に照らして、本発明の概念および範囲から逸脱することなく、開示された特定の実施形態において多くの変更を実施し得て、それでもなお同様のまたは類似の結果を得ることを理解すべきである。
水性製剤における沈殿形成に対する添加順の影響
実施例1
本実施例において、本明細書に開示されるGC4419の構造式に対応するマンガン含有配位錯体を塩化ナトリウムおよび重炭酸ナトリウム(緩衝化剤として)と配合し、これらの成分を異なる順序で添加することにより水性製剤を形成し、粒子(沈殿)がそこに形成されるかどうかを視覚的に観察するために製剤をモニタリングした。
具体的には、(1)7.4~7.8のpHに調整した水(WFI)に9mg/mLのGC4419を添加し、その後、(2)塩化ナトリウム(0.9% NaCl)を添加し、最後に、(3)重炭酸ナトリウム(26mM)を添加し、場合により、所望の濃度を得るために水を添加することにより、第一の製剤のセット(製剤A-1およびA-2)を調製した。7.4~7.8のpHに調整した水(WFI)に9mg/mLのGC4419を添加し、その後、(2)重炭酸ナトリウム(26mM)を添加し、最後に(3)塩化ナトリウム(0.9% NaCl)を添加し、場合により、所望の濃度を得るために水を添加することにより、第二の製剤のセット(製剤B-1およびB-2)を調整した。その後、A-1およびA-2と同様の方法で、製剤の第三の製剤のセット(製剤C-1、C-2およびC-3)を調整した。すなわち、「A」製剤および「C」製剤は、溶液に添加する塩化ナトリウムについての重炭酸ナトリウムの添加の順序において「B」製剤と相違する。下記の表1は、製剤の各々について観察された可視粒子(沈殿)についての結果を示す。また、米国薬局方総則<788>に記載のとおりアッセイされ、直径≧10μMおよび≧25μMの粒子数として報告される不可視粒子についての結果も示される。
Figure 2022551494000024

従って、上記から理解できるとおり、重炭酸ナトリウムの前に塩化ナトリウムを添加した「A」および「C」製剤は、9か月後および12か月後であっても視認可能な沈殿は観測されず、不可視粒子は極めて少数であった。しかしながら、添加の順序を逆にするだけで、塩化ナトリウムの前に重炭酸ナトリウムを添加した「B」製剤は、9か月後に観測可能な沈殿および多くの不可視粒子を、たとえこのような沈殿は製剤の製造直後(例えば、0か月時)には観測されなかったとしても、もたらした。
「B」製剤において9か月後に形成された沈殿を、偏光顕微鏡(PLM)、エネルギー分散型X線スペクトロメーター(EDS)を備えた電界放出形走査電子顕微鏡(FESEM)を用いた元素分析、電子線後方散乱回折(EBSD)、X線蛍光(XRF)およびラマン顕微分光法を含む、沈殿の化学組成および物理的特徴を決定するためにさらに分析した。顕微鏡による分析により、沈殿が菱マンガン鉱(炭酸マンガン、MnCO)と外観が一致する結晶を含むことを決定し、ラマン顕微分光法によるこれらの結晶の分析により、この同一性を確認した。図5は、「B」製剤から得られたMnCO結晶を示す写真であり、単純な偏光の中(左下)および交差した極性の間(右上)に現れる。図6は、菱マンガン鉱についての基準スペクトル(2番目のスペクトル-B)、MnOのサンプルから収集したラマンスペクトル(3番目のスペクトル-B)および黒マンガン鉱、Mnのライブラリ基準スペクトル(最下段のスペクトル-D)と比較した、「B」製剤から得られたMnCO結晶のマンスペクトル(最上段のスペクトル-A)を示す。
さらに、「A」および「C」製剤と同様の方法で製造されたが、(上記A-1、A-2、C-1、C-2およびC-3において9mg/mLではなく)3mg/mLおよび10mg/mLのGC4419の濃度である製剤もまた、その製造後9か月または12か月において、外観検査の際に沈殿を生じなかった。
実施例2
この例において、MnClを塩化ナトリウムおよび重炭酸ナトリウム(緩衝化剤として)と配合することにより、これらの成分の異なる順序での添加により水性製剤を形成し、時間の経過に伴う溶液からのマンガンの沈殿への添加順序の影響を評価した。
具体的には、(1)7.4~7.8のpHに調整した水(WFI)に0.026mM、0.26mM、2.6mMおよび26mM MnClを添加し、その後、(2)塩化ナトリウム(0.9% NaCl)を添加し、最後に(3)重炭酸ナトリウム(26mM)を添加することにより、第一の製剤のセット(製剤1-「順序、NaCl 1st」)を調製した。7.4~7.8のpHに調整した水(WFI)に0.026mM、0.26mM、2.6mMおよび26mM MnClを添加し、その後、(2)重炭酸ナトリウム(26mM)を添加し、最後に(3)塩化ナトリウム(0.9% NaCl)を添加することにより、第二の製剤のセット(製剤2-「順序、NaHCOst」)を調製した。7.4~7.8のpHに調整した水(WFI)に0.026mM、0.26mM、2.6mMおよび26mM MnClを添加し、その後、(2)重炭酸ナトリウム(26mM)および塩化ナトリウム(0.9% NaCl)を配合した溶液を添加することにより、第三の製剤のセット(製剤3-「ビークル」)を調製した。すなわち、製剤2は、重炭酸ナトリウムを製剤2において、塩化ナトリウムと同時に(製剤3)またはその後に(製剤1)添加するのとは異なり、塩化ナトリウムの前に添加する点において、製剤1および製剤3と相違する。
製剤(1)~(3)の製剤後1日および6日に生成するマンガン沈殿の量は、0.45マイクロメートルフィルターで製剤をろ過すること、pH8.0の水でフィルターを洗浄すること、フィルターを硝酸で溶解させること、およびあらゆる沈殿のマンガン含量を検出するために誘導結合マススペクトロメトリー(ICP-MS)を実施することを含む、ICP-MS保存安定性アッセイにより評価した。
図1~2について、製剤(1)~(3)の製造後1日の結果を見ることができる。具体的には、極めて低濃度のMnCl(0.026ppmまたは0.26mM MnCl)は、1日で極めて少ないまたは無視できる量のマンガン沈殿(2.20ppmまたは1ppmの検出されたMn)をもたらすが、2.6mMまたは26mM MnClを有する製剤(1)~(3)溶液は、水溶液成分の添加順に依存して顕著に異なる量の沈殿を提供したことが理解され得る。特に、製剤(1)および(3)は、1日で、2.6mM MnCl溶液については179.84ppmのMnおよび104.48ppmのMnを示し、26mM MnCl溶液については1179.05ppmのMnおよび974.93ppmのMnを示し、重炭酸ナトリウムを最初に添加した製剤(2)は、1日で、測定されたMnにおいて約177%の増加を示し、2.6mM MnCl溶液については319.14ppmのMnを示し、26mM MnCl溶液については2250ppmのMnを示した。これらの結果を図1にチャート形式で示し、図2にグラフで示す。
同様に、図3~4について、製剤(1)~(3)の製造後6日の結果を見ることができる。1日目のように、極めて低い濃度のMnCl(0.026ppmまたは0.26mM MnCl)は、1日で極めて少ないまたは無視できる量のマンガン沈殿(1ppmの検出されたMn)をもたらしたことが理解され得る。しかしながら、2.6mMまたは26mM MnClを有する製剤(1)~(3)溶液は、水溶液成分の添加順に依存して顕著に異なる量の沈殿を提供した。特に、製剤(1)および(3)は、6日で、2.6mM MnCl溶液について36.08ppmのMnおよび44.02ppmのMnを示し、26mM MnCl溶液について1162ppmのMnおよび926.31ppmのMnを示し、重炭酸ナトリウムを最初に添加した製剤(2)は、6日で、測定されたMnにおいて約750%の増加を示し2.6mM MnCl溶液について270.63ppmのMnを示し、および26mM MnCl溶液について2250ppmのMnを示した。これらの結果を図3にチャート形式で示し、図4にグラフで示す。
従って、結果は、塩化ナトリウムの添加前に重炭酸ナトリウムをMn含有成分に添加した場合、水性製剤中の比較的少量のMn含有成分が顕著な量の沈殿の形成をもたらし得ることを示す。すなわち、塩化ナトリウムは、重炭酸ナトリウムにより生じるジアニオンと比較して過剰の塩化物イオンを提供するように、Mn含有成分を有する溶液に重炭酸ナトリウムの前またはそれと同時に添加されるとき、沈殿の形成を低減するための保護的効果を提供する。

Claims (49)

  1. マンガン含有配位錯体、塩化物アニオンおよびジアニオンを含む、マンガン含有配位錯体の水性製剤の製造方法であって、前記方法が、
    マンガン含有配位錯体源を塩化物アニオン源と水溶液中で配合すること;および
    水溶液中の塩化物アニオン源およびマンガン含有配位錯体源の組み合せと同時にまたはそれに続けて、水溶液にジアニオン源を提供し、水性製剤を形成すること
    を含み、ここで、マンガン含有配位錯体と配合される塩化物アニオン源の量が、水性製剤中のジアニオン濃度を上回る水性製剤中の塩化物イオン濃度を提供するのに十分なものである、方法。
  2. マンガン含有配位錯体が大環状リガンドに配位したマンガンを含む、請求項1に記載の方法。
  3. マンガン含有配位錯体がペンタアザ大環状リガンド、テトラアザ大環状リガンド、ポルフィリン大環状リガンド、フタロシアニン大環状リガンドおよびクラウンエーテル大環状リガンドから成る群から選択されるいずれか一つを含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. マンガン含有配位錯体が1以上のリガンドの窒素原子を介して1以上の一座配位または多座配位リガンドに配位したマンガンを含む、請求子1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. マンガン含有配位錯体がMn(II)配位錯体を含む、請求子1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. マンガン含有配位錯体源が1以上の非配位状態のMn(II)を含むMn(II)含有成分をさらに含むか、またはマンガン含有配位錯体の1以上のリガンド以外である1以上のリガンドに配位している、請求子1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. Mn(II)含有成分が、マンガン含有配位錯体源中に1:100,000~1:100の範囲、および/または1:75,000~1:1,000の範囲、および/または1:50,000~1:5,000の範囲、および/または1:15,000~1:8,000の範囲であるMn(II)含有成分とマンガン含有配位錯体の重量比で存在する、請求項6に記載の方法。
  8. マンガン含有配位錯体が式(I)
    Figure 2022551494000025
    〔式中、
    MはMn2+またはMn3+であり;
    、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’およびR10は独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクリル、アミノ酸側鎖部分、または-OR11、-NR1112、-COR11、-CO11、-CONR1112、-SR11、-SOR11、-SO11、-SONR1112、-N(OR11)(R12)、-P(O)(OR11)(OR12)、-P(O)(OR11)(R12)および-OP(O)(OR11)(OR12)から成る群から選択される部分であり、ここで前記R11およびR12は独立して、水素またはアルキルであり;
    Uは、大環状環の隣接する炭素原子と一体となって、縮合置換または非置換、飽和、一部飽和または不飽和の、3~20個の環炭素原子を有する環またはヘテロ環を形成し;
    Vは、大環状環の隣接する炭素原子と一体となって、縮合置換または非置換、飽和、一部飽和または不飽和の、3~20個の環炭素原子を有する環またはヘテロ環を形成し;
    Wは、大環状環の窒素およびそれが結合する大環状環の炭素原子と一体となって、芳香族または脂環式、置換または非置換、飽和、一部飽和または不飽和の、2~20個の環炭素原子を有する含窒素縮合ヘテロ環を形成するが、但し、Wが縮合芳香族ヘテロ環であるとき、ヘテロ環および大環状環の両方の一部である窒素に結合した水素ならびにヘテロ環および大環状環の両方の一部である炭素原子に結合したRおよびR10は存在せず;
    XおよびYは、リガンドもしくはリガンド系に配位する任意の一座配位もしくは多座配位に由来する適切なリガンドまたはその対応するアニオンを表し;
    Zは対イオンであり;
    nは0~3の整数であり;
    破線は大環状環の窒素原子と遷移金属、マンガンの間の配位結合を表す〕
    の構造を有するペンタアザ大環状環錯体を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’およびR10が各々水素である、請求項8に記載の方法。
  10. Wが非置換ピリジン部分である、請求項8または9に記載の方法。
  11. UおよびVがtrans-シクロヘキサニル縮合環である、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. マンガン含有配位錯体が式(II):
    Figure 2022551494000026
    〔式中、
    XおよびYは、リガンドもしくはリガンド系に配位する任意の一座配位もしくは多座配位に由来する適切なリガンドまたはその対応するアニオンを表し;
    、R、RおよびRは独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクリル、アミノ酸側鎖部分、または-OR11、-NR1112、-COR11、-CO11、-CONR1112、-SR11、-SOR11、-SO11、-SONR1112、-N(OR11)(R12)、-P(O)(OR11)(OR12)、-P(O)(OR11)(R12)および-OP(O)(OR11)(OR12)から成る群から選択される部分であり、ここで前記R11およびR12は独立して、水素またはアルキルである〕
    の構造を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. マンガン含有配位錯体が式(III)または式(IV):
    Figure 2022551494000027
    〔式中、
    XおよびYは、リガンドもしくはリガンド系に配位する任意の一座配位もしくは多座配位に由来する適切なリガンドまたはその対応するアニオンを表し;
    、R、RおよびRは独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクリル、アミノ酸側鎖部分、または-OR11、-NR1112、-COR11、-CO11、-CONR1112、-SR11、-SOR11、-SO11、-SONR1112、-N(OR11)(R12)、-P(O)(OR11)(OR12)、-P(O)(OR11)(R12)および-OP(O)(OR11)(OR12)から成る群から選択される部分であり、ここで前記R11およびR12は独立して、水素またはアルキルである〕
    により表されるものである、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. マンガン含有配位錯体が式(V)~(XVI):
    Figure 2022551494000028
    Figure 2022551494000029
    から成る群から選択される式により表されるものである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法
  15. XおよびYが独立して、ハライド、オキソ、アクオ、ヒドロキソ、アルコール、フェノール、二酸素、ペルオキソ、ヒドロペルオキソ、アルキルペルオキソ、アリールペルオキソ、アンモニア、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、ヘテロシクロアリールアミノ、アミンオキシド、ヒドラジン、アルキルヒドラジン、アリールヒドラジン、一酸化窒素、シアニド、シアネート、チオシアネート、イソシアネート、イソチオシアネート、アルキルニトリル、アリールニトリル、アルキルイソニトリル、アリールイソニトリル、ニトレート、ニトライト、アジド、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルアリールスルホキシド、アルキルスルフェン酸、アリールスルフェン酸、アルキルスルフィン酸、アリールスルフィン酸、アルキルチオールカルボン酸、アリールチオールカルボン酸、アルキルチオールチオカルボン酸、アリールチオールチオカルボン酸、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、尿素、アルキル尿素、アリール尿素、アルキルアリール尿素、チオ尿素、アルキルチオ尿素、アリールチオ尿素、アルキルアリールチオ尿素、スルフェート、スルファイト、ビスルフェート、ビスルファイト、チオスルフェート、チオスルファイト、ヒドロスルファイト、アルキルホスフィン、アリールホスフィン、アルキルホスフィンオキシド、アリールホスフィンオキシド、アルキルアリールホスフィンオキシド、アルキルホスフィンスルフィド、アリールホスフィンスルフィド、アルキルアリールホスフィンスルフィド、アルキルホスホン酸、アリールホスホン酸、アルキルホスフィン酸、アリールホスフィン酸、アルキル亜ホスフィン酸、アリール亜ホスフィン酸、ホスフェート、チオホスフェート、ホスファイト、ピロホスファイト、トリホスフェート、水素ホスフェート、二水素ホスフェート、アルキルグアニジノ、アリールグアニジノ、アルキルアリールグアニジノ、アルキルカルバメート、アリールカルバメート、アルキルアリールカルバメート、アルキルチオカルバメート、アリールチオカルバメート、アルキルアリールチオカルバメート、アルキルジチオカルバメート、アリールジチオカルバメート、アルキルアリールジチオカルバメート、ビカーボネート、カーボネート、ペルクロラート、クロラート、クロライト、ハイポクロライト、ペルブロメート、ブロメート、ブロマイト、ハイポブロマイト、テトラハロマンガネート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ハイポホスファイト、アイオダート、ペルアイオダート、メタボレート、テトラアリールボレート、テトラアルキルボレート、タートレート、サリチレート、スクシネート、シトレート、アスコルベート、サッカリネート、アミノ酸、ヒドロキサム酸、チオトシレートおよびイオン交換樹脂のアニオンまたはその対応するアニオンから成る群の置換または非置換部分から選択され;
    または、XおよびYは-O-C(O)-Xに対応し、ここで各Xは-C(X)(X)(X)であり、
    各Xは独立して、置換または非置換フェニルまたは-C(-X)(-X)(-X)であり;
    各Xは独立して、置換または非置換フェニル、メチル、エチルまたはプロピル;
    各Xは独立して、水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、プロピル、アミノ、-XC(=O)R13であり、ここで前記XはNHまたはOであり、前記R13はC-C18アルキル、置換または非置換アリールまたはC-C18アラルキルであるか、または-OR14であり、ここで前記R14はC-C18アルキル、置換または非置換アリールまたはC-C18アラルキルであるか、またはXと一体で(=O)であり;
    各Xは独立して、水素であるか、またはX一体で(=O)であり;
    または、XおよびYは独立して、リガンドおよびリガンド系に配位する任意の一座配位もしくは多座配位に由来する荷電中和アニオンまたはその対応するアニオンから成る群から選択される;
    または、XおよびYは独立して、R、R、R’、R、R、R、R’、R、R’、R、R、R、R’、およびR10の1以上に結合する、
    ものである、請求項8~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. XおよびYが独立して、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードアニオンから成る群から選択される、請求項8~14のいずれか一項に記載の方法。
  17. XおよびYが独立して、アルキルカルボキシレート、アリールカルボキシレートおよびアリールアルキルカルボキシレートから成る群から選択される、請求項8~15のいずれか一項に記載の方法。
  18. XおよびYが独立して、アミノ酸である、請求項8~15のいずれか一項に記載の方法。
  19. マンガン含有配位錯体が式:
    Figure 2022551494000030
    により表される化合物である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
  20. マンガン含有配位錯体が式:
    Figure 2022551494000031
    により表される化合物である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
  21. マンガン含有配位錯体が式:
    Figure 2022551494000032
    により表される化合物である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
  22. マンガン含有配位錯体が式:
    Figure 2022551494000033
    により表される化合物である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
  23. マンガン含有配位錯体が式:
    Figure 2022551494000034
    により表される化合物である、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
  24. マンガン含有配位錯体が式:
    Figure 2022551494000035
    により表されるものである、請求項1~15および17~18のいずれか一項に記載の方法。
  25. マンガン含有配位錯体が式:
    Figure 2022551494000036
    により表されるものである、請求項1~15および17のいずれか一項に記載の方法。
  26. マンガン含有配位錯体が式:
    Figure 2022551494000037
    により表されるものである、請求項1~15および17のいずれか一項に記載の方法。
  27. 塩化物アニオン源が、水溶液中で塩化物アニオンを形成することができる塩を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 塩化物アニオン源が塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムから成る群から選択される少なくとも一つを含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 少なくとも100mM、少なくとも110mM、少なくとも115mM、少なくとも120mM、少なくとも130mM、少なくとも145mMおよび/または少なくとも150mM、かつ1000mM以下、200mM以下、180mM以下、175mM以下、160mM以下および/または155mM以下の水性製剤中の塩化物アニオン濃度を提供するのに十分な量の塩化物アニオン源を添加することを含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
  30. ジアニオン源がビカーボネート塩および/またはホスフェート塩を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 少なくとも0.1mM、少なくとも0.25mM、少なくとも1mM、および/または少なくとも2.5mM、かつ26mM以下、15mM以下、および/または10mM以下の水性製剤中のジアニオン濃度を提供するのに十分な量のジアニオン源を添加することを含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
  32. ジアニオン源が、7~10のpHの範囲内および/または7.5~9のpHの範囲内でのpH範囲に対して十分な量で添加することである、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 水性製剤中の塩化物アニオン濃度が、塩化物アニオンとジアニオンの、少なくとも10:1、少なくとも100:1、少なくとも250:1、少なくとも500:1、少なくとも750:1、少なくとも1000:1、少なくとも5000:1、および/または少なくとも10,000:1のmol/Lにおける濃度比で製剤中のジアニオン濃度を上回る、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 水性製剤を形成するために添加されたジアニオン源の少なくとも75mol%、少なくとも85mol%、少なくとも90mol%、少なくとも95mol%、少なくとも98mol%、少なくとも99mol%および/または全モル量が、塩化物アニオン源とマンガン含有配位錯体を配合することと同時にまたは続けて添加されるものである、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
  35. ジアニオン源をマンガン含有配位錯体と配合した後にマンガン含有配位錯体および塩化物アニオン源を配合する、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
  36. マンガン含有配位錯体を塩化物アニオン源と水溶液中で配合した後、塩化物アニオンおよびマンガン含有配位錯体を少なくとも30秒間、少なくとも1分間、少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも30分間、および/または少なくとも1時間含む水溶液にジアニオン源を添加する、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 水溶液を少なくとも8のpHに調整した後、そこへマンガン含有配位錯体および塩化物アニオン源を配合することをさらに含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 水性製剤がマンガン含有配位錯体の非経腸投与のための緩衝化された製剤を含み、前記緩衝化された製剤が生理学的レベルの塩化ナトリウムを有するものである、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
  39. 水性製剤中のマンガン含有配位錯体濃度が、少なくとも2mM、少なくとも6mM、少なくとも18mM、少なくとも20mMおよび/または少なくとも40mMである、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 請求項1~39のいずれか一項に記載の方法により製造されるマンガン含有配位錯体を含む水性製剤。
  41. 請求項1~40のいずれか一項に記載のマンガン含有配位錯体の水性製剤を含む緩衝液化された溶液を非経腸投与することを含む、患者の状態の処置方法。
  42. マンガン含有配位錯体を含む緩衝化された溶液を静脈内投与することを含む、請求項41に記載の処置方法。
  43. 癌、心血管障害、脳血管障害、皮膚障害、線維性障害、消化器障害、免疫学的障害、炎症性障害、代謝障害、神経障害、眼障害、肺障害、感染性疾患およびその組合せから成る群から選択されるいずれかを処置するためのマンガン含有配位錯体を含む緩衝化された溶液を非経腸投与することを含む、請求項41および42のいずれか一項に記載の処置方法。
  44. 癌および/または放射線誘発性組織傷害を処置するためのマンガン含有配位錯体を含む緩衝化された溶液を非経腸投与することを含む請求項41~43のいずれか一項に記載の処置方法。
  45. マンガン含有ペンタアザ大環状環錯体の非経腸投与のための、緩衝化された製剤であって、前記緩衝化された製剤が、
    (i)1mg/mL~50mg/mLの濃度のマンガン含有ペンタアザ大環状環錯体;(ii)130mM~160mMの濃度の塩化ナトリウム;および(iii)7~10の範囲のpHに緩衝化するために十分な濃度でビカーボネート塩を含む緩衝化剤
    を含み、ここで、前記緩衝化された製剤の保存安定性が、緩衝化された製剤の製造後9か月間、視覚的検出により測定してもマンガンを含有する沈殿が検出されないようなものである、緩衝化された製剤。
  46. 緩衝化された製剤の視覚的検出保存安定性が、緩衝化された製剤の形成後1日間および/または6か月間、視覚的検出により測定してもマンガンを含有する沈殿が検出されないようなものである、請求項45に記載の緩衝化された製剤。
  47. ICP-MS保存安定性アッセイが、緩衝化された製剤を0.45マイクロメートルフィルターでろ過すること、pH 8.0の水でろ物を洗浄すること、ろ物を硝酸で溶解させること、および誘導結合マススペクトロメトリー(ICP-MS)を実施し、任意の沈殿のマンガン含量を検出することを含み、かつ少なくとも1日後、少なくとも6日後、および/または少なくとも9か月後のICP-MS保存安定性アッセイにより測定されたマンガンの量が1500ppm未満および/または1200ppm未満である、請求項45または46に記載の緩衝化された製剤。
  48. ビカーボネート塩を20mM~30mMの濃度で含む、請求項45~47のいずれか一項に記載の緩衝化された製剤。
  49. 請求項1~39のいずれか一項に記載の方法により形成される、請求項45~48のいずれか一項に記載の緩衝化された製剤。
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