JP2022545831A - 4,4’-ジクロロジフェニルスルホンを製造するための方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、4,4’-ジクロロジフェニルスルホンを製造するための方法であって、(I)チオニルクロリド、クロロベンゼン及びアルミニウムクロリドを反応させ、中間反応生成物及び塩化水素を形成する工程;(II)水性の塩酸及び中間反応生成物を混合し、4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドを含む有機相及び水性相を得る工程;(III)有機相を4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドの飽和点未満の温度に冷却し、懸濁物を得る工程;(IV)懸濁物の固-液分離を行い、結晶化した4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシド及び母液を得る工程、(V)結晶化した4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドを、カルボン酸で洗浄し、カルボン酸-ウェット4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドを得る工程、(VI)洗浄した4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシド及び酸化剤を、溶媒としてのカルボン酸中で反応させて、4,4’-ジクロロジフェニルスルホン及びカルボン酸を含む反応混合物を得る工程、(VII)4,4’-ジクロロジフェニルスルホン及びカルボン酸を含む反応混合物を、粗生成物としての残留モイスチャーを含む4,4’-ジクロロジフェニルスルホン及びカルボン酸を含む液相に分離する工程、を含む方法に関するものである。

Description

本発明は、1,1’-スルホニルビス(4-クロロベンゼン)又はビス(4-クロロフェニル)スルホンとも称される4,4’-ジクロロジフェニルスルホンを製造するための方法に関する。
4,4’-ジクロロジフェニルスルホン(以降、DCDPSとする)は例えば、ポリマー、例えばポリアリレン(エーテル)スルホン、例えばポリエーテルスルホン、又はポリスルホンを製造するためのモノマーとして、又は調剤、染料及び殺虫剤の中間物として使用される。
DCDPSは例えば、4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシド(以降、DCDPSOとする)の酸化によって製造され、ここで4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドは、触媒、例えばアルミニウムクロリドの存在下に、チオニルクロリド及び出発材料(starting material)としてのクロロベンンゼンのFriedel-Craft反応によって得らえるものである。
第1の工程でDCDPSOが得られ、これが第2の工程で、過酸化水素及び酢酸の存在下にDCDPSに酸化されるという2段階工程が、例えば特許文献1(CN-A 108047101)、特許文献2(CN-A102351758)、特許文献3(CN-B104402780)、特許文献4(CN-A104557626)、及び特許文献5(SU-A765262)に開示されている。
第1の工程で、Friedel-Crafts反応においてクロロベンゼン及びチオニルクロリドを反応させて4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドを得、及び第2の工程で、過酸化水素を酸化剤として使用し、及びジクロロメタン又はジクロロプロパンを溶媒として使用することによってDCDPSを得るための更なる方法が、特許文献6(CN-A102351756)及び特許文献7(CN-A102351757)に開示されている。。
特許文献8(WO-A 2018/007481)には、それぞれのスルホキシドを、少なくとも1種の過酸化物の存在下に酸化することによって、有機スルホンを製造する方法が開示されている。 ここで反応は、溶媒としてのカルボン酸中で行われ、カルボン酸は、40℃で液体であり、及び40℃及び大気圧において水と混和性である。
硫黄を含有するジアリール化合物を製造するための一般的な方法が例えば、非特許文献1(Sun, X. et al, Journal of Chemical Research 2013、736~744頁)、非特許文献2(Sun, X. et al, Phosphorus, Sulfur, and Silicon, 2010, Vol. 185、2535~2542頁)及び非特許文献3(Sun, X. et al., 2017, Vol. 192, No. 3, 376~380頁)に開示されている。
CN-A 108047101 CN-A102351758 CN-B104402780 CN-A104557626 SU-A765262 CN-A102351756 CN-A102351757 WO-A 2018/007481 Sun, X. et al, Journal of Chemical Research 2013、736~744頁 Sun, X. et al, Phosphorus, Sulfur, and Silicon, 2010, Vol. 185、2535~2542頁 Sun, X. et al., 2017, Vol. 192, No. 3, 376~380頁
本発明の目的は、DCDPSを不純物の量を減らして製造する、信頼の有る及びエネルギー効率の良い方法を提供することにある。
この目的は、4,4’-ジクロロジフェニルスルホンを製造するための方法であって、
(I)チオニルクロリド、クロロベンゼン及びアルミニウムクロリドを、1:(6~9):(1~1.5)のチオニルクロリド:クロロベンゼン:アルミニウムクロリドのモル割合で、0~20℃未満の温度で反応させ、中間反応生成物及び塩化水素を形成する工程;
(II)水性の塩酸及び中間反応生成物を、70~110℃の温度で混合し、4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドを含む有機相及び水性相を得る工程;
(III)4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドを含む有機相を4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドの飽和点未満の温度に冷却し、結晶化した4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドを含む懸濁物を得る工程;
(IV)懸濁物の固-液分離を行い、結晶化した4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドを含む、残留モイスチャーを含む固体4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシド及び溶媒、及び第1の母液を得る工程、
(V)残留モイスチャーを含む固体4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドを、カルボン酸で洗浄し、カルボン酸-ウェット4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドを得る工程、
(VI)カルボン酸-ウェット4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシド及び酸化剤を、溶媒としてのカルボン酸中で反応させて、4,4’-ジクロロジフェニルスルホン及びカルボン酸を含む反応混合物を得る工程、
(VII)4,4’-ジクロロジフェニルスルホン及びカルボン酸を含む反応混合物を、粗生成物としての残留モイスチャーを含む4,4’-ジクロロジフェニルスルホン、及びカルボン酸を含む液相に分離する工程、
(VIII)任意に、残留モイスチャーを含む4,4’-ジクロロジフェニルスルホンをワークアップ処理する工程、
を含む方法によって達成された。
この方法に含まれる手順(I)~(VII)のそれぞれは、それ自体、追加的な工程手段を含んでいても良いと理解される。
この方法により、異性体の含有量が、ジクロロジフェニルスルフォキシドの全ての異性体の合計量に基づいて、0.5質量%である4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドが初めて製造される。このことは、不純物の量が少量でしかない4,4’-ジクロロジフェニルスルホンが得られるという長所を有している。
残留モイスチャーを含む固体DCDPSOが、触媒として使用されるアルミニウムクロリドを基本的に有していないことが、本方法の更なる長所である。ここで「基本的に有しない(essentially free)」は、検知可能であれば、本方法から得られた製品中のアルミニウムクロリドは、微量でしかなく、好ましくはアルミニウムクロリドの量は、0~100ppmであり、特に50ppm未満である。従って、最終的に製造されたDCDPSもアルミニウムクロリドを基本的に有していない。
この技術分野の当業者は、以下に与えられる時間、期間の如何なる表示も、取り扱われる材料の量等のパラメーターに依存しても良いことを理解する。
ここで、「不活性気体(inert gas)」は、非酸化性気体を意味し、及び好ましくは窒素、二酸化炭素、希ガス、例えばアルゴン又はこれらの気体の任意の混合物を意味する。特に好ましくは、不活性気体は窒素である。
「飽和点(saturation point)」は、DCDPSO又はDCDPSを含む溶液の、DCDPSO又はDCDPSが結晶化を開始する温度を意味する。この温度は溶液中のDCDPSO又はDCDPSの濃度に依存する。DCDPSO又はDCDPSの濃度が低い程、結晶化を開始する温度は低くなる。
以下に記載する各工程は、装置の寸法及び加えられる化合物の化合物の量に依存して、1つの装置内でのみ行われても良く、又は1つを超える数の装置内で行われても良い。1つを超える数の装置が工程段階に使用される場合、装置は同時に運転されることが可能であり、又は特にバッチ形式で運転される工程では、異なる時間で運転されることが可能である。所定の手順、例えば洗浄又は結晶化は、1サイクル又は複数サイクルで行うことが可能である。通常、本方法を全部、又は部分的に連続的に、又はバッチ形式で行うことが可能である。DCDPSOを得るために、反応(I)で、チオニルクロリドクロロベンゼン及びアルミニウムクロリドが、1:(6~9):(1~1.5)、好ましくは1:(7~9):(1~1.2)、特に1:(7~8):(1~1.1)のチオニルクロリドクロロベンゼン:クロロベンゼン:アルミウムクロリドのモル割合で反応器内に供給される。
反応器は、反応器に供給された成分を混合し、及び反応させることができる如何なる反応器でも可能である。適切な反応器は例えば、攪拌タンク反応器、又はジェットループ反応器である。好ましくは、反応はバッチ方式で行われる。
チオニルクロリド、クロロベンゼン、及びアルミニウムクロリドは、同時に又は連続して加えることが可能である。反応の実施が容易である(特に、バッチ方式の反応で)という理由で、好ましくはアルミニウムクロリド及びクロロベンゼンが反応器に最初に供給され、そして次にチオニルクロリドが、アルミニウムクロリド及びクロロベンゼンに加えられる。この場合、アルミニウムクロリド及びクロロベンゼンは、同時に加えることが可能であり、又は他のものの後に加えることが可能である。しかしながら、各場合において、チオニルクロリドを加える前に、アルミニウムクロリド及びクロロベンゼンを混合することが好ましい。特に好ましくは、アルミニウムクロリド及びクロロベンゼンが最初に反応器に供給され、そしてチオニルクロリドが、アルミニウムクロリド及びクロロベンゼンに加えられる。反応の間、塩化水素(HCl)が、典型的にはガス状の形態で形成され、これは反応器から少なくとも部分的に取り出される。チオニルクロリドを加えるための体積流量は、熱放散及び反応器からの取出しの流量に依存する。
反応器に過剰に加えられ、及び従って化学反応の間、部分的にのみ変換されるクロロベンゼンは、反応生成物のための溶媒としても作用する。溶媒が使用される工程(I)~(IV)では、溶媒は好ましくはクロロベンゼンである。本発明における反応条件のために、この技術分野の当業者は、「クロロベンゼン」という用語は、少量の不純物を含んでも良いモノクロロベンゼンを意味すると理解する。
チオニルクロリド及びクロロベンゼンは、アルミニウムクロリドの存在下に反応し、ここで中間反応生成物及び塩化水素が形成される。中間反応生成物は、4,4’-ジクロロジフェニルスルホキシド-AlCl付加化合物を含む。アルミニウムクロリドは、以下の化学反応式(1)によって概略的に表すことが可能である:
Figure 2022545831000001
反応(I)は、0℃~20℃未満、好ましくは3~15℃、特に5~12℃の温度で行われる。
反応期間は通常、使用する反応物の量に依存し、及び反応物の量が増すに従い長くなる。アルミニウムクロリド及びクロロベンゼンの混合物へのチオニルクロリドの添加が完了した後、反応は好ましくは10~120分間続けられ、より好ましくはチオニルクロリドの全量が反応器に供給された後、20~50分間続けられる。
反応で製造された塩化水素(HCl)は典型的には、ガス状であり、及び少なくとも部分的に反応器から除去される。ガス状の状態で他の用途に供することが可能であるので、好ましくは、反応から除去された塩化水素は水と混合され、塩酸水溶液が製造される。
反応の後、中間反応生成物が塩酸水溶液と混合される。エネルギー効率及び製造効率及び持続可能性の理由で、特に好ましくは、塩酸水溶液は、反応(I)から除去された塩化水素から製造される。中間反応生成物を塩酸水溶液と混合することにより、中間反応生成物の加水分解を起こすことが可能である。DCDPSOを含む有機相が得られる。DCDPSOを含むこの有機相は、アルミニウムクロリドをも含み、これは典型的には水和した状態で、通常AlCl・6HOとして表される。加水分解は、反応式(2)によって概略的に表されることが可能である:
Figure 2022545831000002
加水分解が行われる温度は通常、70~110℃、好ましくは80~100℃、特に80~90℃である。加水分解用の全ての成分を加えた後の、加水分解の反応時間は好ましくは、30~120分、より好ましくは30~60分である。この反応時間は通常、DCDPSOを得るための中間反応生成物の加水分解にとって十分である。加水分解が終了した後、混合物は、AlClを含む水性相及び過剰のクロロベンゼン中に溶解したDCDPSOを含む有機相に分離する。
水性の塩酸(塩酸水溶液)は、任意の濃度を有していても良い。しかしながら、3質量%を超える塩酸の濃度は、アルミニウムクロリドの溶解度を改良する。好ましくは、加水分解に使用される水性塩酸は、3~12質量%、より好ましくは6~12質量%、特に10~12質量%の濃度を有する。上記の及び下記の質量%での塩酸の全ての濃度は、水性塩酸中の塩化水素及び水の合計量に基づいている。より高い濃度、特に10~12質量%のものの平均では、水性相の密度が増し、及び従って水性相が下部相を形成し、この一方で、上部相がDCDPSOを含む有機相である。以降、該有機相を「DCDPSO含有有機相」とも記載する。このことは、DCDPSO含有有機相を得るのに、水性相のより容易な脱水を許容する。更に、より高い濃度は、アルミニウムクロリドを除去するための水の量を少量にする。水性塩酸のより高い濃度は更に、より迅速な相分離をもたらす。
(II)で使用される水性塩酸の量は好ましくは、アルミニウムクロリドが沈澱せず、及び更に2相の液相が形成される量であり、ここで上記2相の液相について、下部相は水性相であり、及びDCDPSO含有有機相が上部相である。この構成を達成するために、反応混合物に加えられる水性塩酸の量は好ましくは、加水分解の後、水性相のDCDPSO含有有機相に対する質量割合が、0.6~1.5kg/kg、より好ましくは0.7~1.0kg/kg、特に0.8~1.0kg/kgになる量である。水性塩酸のより少ない量は、アルミニウムクロリドの沈澱をもたらす結果になり得る。特に、水性塩酸のより高い濃度では、沈澱を回避するために、より多くの量が必要になる。従って、水性塩酸の濃度は好ましくは、12質量%未満に維持される。
反応及び加水分解が同一の反応器内で行われる場合、反応が完了した後、及び中間反応生成物が加水分解の温度にまで加熱された後に、水性塩酸が反応器内に供給される。水性塩酸の流量は好ましくは、反応器を適度化(tempering)することによって、加水分解の温度が、加水分解用の特定の範囲に保持され得るように設定される。反応及び加水分解が異なる反応器内で行われる場合、最初に水性塩酸を第2の反応器内に供給し、及び中間反応生成物を水性塩酸に加えることが好ましい。この場合、中間反応生成物を第2の反応器内に加える流量は、第2の反応器内の温度が、第2の反応器を適度化することによって加水分解用の特定の温度限界内に保持されるような流量である。
水性の塩酸及びアルミニウムクロリドの残りをDCDPSO含有有機相から除去するために、(II)で得られたDCDPSO含有有機相は好ましくは、分離され、及び(III)で冷却する前に抽出液で洗浄される。加水分解に続く相分離は、加水分解が行われた反応器と同一の反応器内で行われることが可能であり、又は相分離用の別の容器内で行われることが可能である。アルミニウムクロリドを除するための、より高い濃度、例えば10~12質量%を有する水性塩酸の使用は、DCDPSO含有有機相の洗浄を、加水分解と同じ装置内で行うことが可能であるという有利な点を有している。
DCDPSO含有有機相の洗浄のために使用される抽出液は好ましくは、水である。特に好ましくは、DCDPSO含有有機相の洗浄のために使用される水は、洗浄の後に分離され、及び(I)で得られた塩化水素と混合され、水性塩酸が得られる。
洗浄は好ましくは、70~110℃の温度、より好ましくは80~100℃、特に80~90℃の温度で行われる。特に好ましくは洗浄は、加水分解と同じ又は基本的に同じ温度で行われる。
通常、水であることが好ましい抽出液の量は、DCDPSO含有有機相から全て、又は基本的に全てのアルミニウムクロリドを除去するのに十分なものである。洗浄用に使用される水の量は、水性相のDCDPSO含有有機相に対する質量割合について、好ましくは0.3~1.2kg/kg、より好ましくは0.4~0.9kg/kg、特に0.5~0.8kg/kgの質量割合が得られるように選択される。持続性及び大量の排水流の回避の観点で、洗浄工程で可能な限り少量の水を使用することが好ましい。洗浄工程からの水性相の全てが、加水分解に必要とされる濃度で水性塩酸を生成するのに使用可能になる量で、水を使用することが特に好ましい。この目的のために、洗浄に使用される水が分離され、及び塩化水素と混合されて水性塩酸が得られる。
予め定められた洗浄期間の後、混合が停止され、混合物が水性相及び有機相に分離される。有機相は、溶媒としての過剰のクロロベンゼン中に溶解したDCDPSOを含む。
DCDPSO含有有機相からDCDPSOを分離するために、DCDPSO含有有機相は(III)において、飽和点未満の温度にまで冷却され、結晶化したDCDPSOを含む懸濁物が得られる(以降、「DCDPSO含有懸濁物」とも称される)。
DCDPSOを結晶化させるための冷却(III)は、如何なる結晶化装置内又はDCDPSO含有有機相を冷却する如何なる他の装置内、例えば冷却可能の表面を有する装置、例えば冷却ジャケット、冷却コイル、又は冷却バッフル、例えば所謂「パワーバッフル」付の容器又はタンク等内ででも行うことが可能である。
沈澱及び冷却表面上への付着を回避するために、冷却は好ましくは、気密に閉じられた容器内で、
(III.a)気密構造を有する容器内の圧力を低減する工程、
(III.b)溶媒を蒸発させる工程、
(III.c)蒸発した溶媒を冷却によって凝縮する工程、
(III.d)凝縮した溶媒を、気密構造を有する容器内に戻す工程、
を含む手順によって行われる。
冷却された表面を有していない気密に閉じられた容器を使用することが好ましく、これにより結晶化したDCDPSOの固体表面層の形成が低減され又は回避される。
DCDPSOを結晶化させるために、結晶核を提供することが必要である。結晶核を提供するために、DCDPSO含有有機相に加えられる、乾燥した結晶を使用することが可能であり、又は結晶核として粒子状のDCDPSOを含む懸濁物を加えることが可能である。乾燥した結晶が使用され、しかし結晶が大きすぎる場合、結晶を結晶核として使用可能な、より小さい粒子に粉砕することが可能である。更に、DCDPSO含有有機相に超音波を与えることによって、必要な結晶核を提供することも可能である。好ましくは、結晶核は、初期化工程でインサイチュ(その場)で生成される。初期化工程は好ましくは、工程(III.a)で減圧を設定する前に、以下の工程を含む:
-DCDPSO含有有機相の沸点が80~95℃になるように、気密に閉じられた容器内の圧力を減圧する工程;
-固体の初期形成が起こるまで、溶媒を蒸発させる工程;
-容器内の圧力を昇圧し、及び容器中のDCDPSO含有有機相を、85~100℃の温度に加熱する工程。
DCDPSO含有有機相の沸点が80~95℃、好ましくは83~92℃になるように、容器内の圧力を減圧することにより、続く溶媒の蒸発が飽和溶液及びDCDPSOの沈澱をもたらす。続く気密に閉じられた容器中の圧力の昇圧及びDCDPSO含有有機相の85~100℃への加熱によって、固体化したDCDPSOが部分的に再度溶解を開始する。このことは、結晶核の数を少なくするもので、これによりより大きなサイズを有する、より少ない量の結晶を製造可能とする。
初期化工程で結晶核を生成するためには、固体の初期形成が起きるまで溶媒を蒸発させるだけで良い。蒸発した溶媒を冷却によって全体的に凝縮し、及び凝縮した溶媒の全てを気密に閉じられた容器に戻すことも可能である。後者は、気密に閉じられた容器中の液体が冷却され、及び固体を形成するという効果を有する。蒸発され及び凝縮された溶媒の一部が気密な容器に戻される、両アプローチの混合物も実行可能である。
工程(III.a)における圧力は、気密に閉じられた容器内の温度が0~45℃、より好ましくは10~35℃、特に20~30℃に達するまで減圧される。これらの予め定義された温度で、気密に閉じられた容器内の圧力は、典型的には20~350ミリバール(abs)、好ましくは20~200ミリバール(abs)、特に20~100ミリバール(abs)である。予め定義された温度値に到達した後、減圧が停止され、そして次に気密に閉じられた容器が、環境気圧に達するまで通気される。気密に閉じられた容器中の温度プロフィールは好ましくは、DCDPSO含有有機相が絶えず過飽和になるように選択される。
DCDPSOの溶解度を低減し、及び従って固体化したDCDPSOの収率を増すために、飽和点をシフトさせる必要が有る。このことは、一定温度で、例えば溶媒を蒸発させることによって溶媒の量を連続的に低減させることにより、又はDCDPSO含有有機相を一定の濃度で冷却することによって可能である。溶媒の量の低減は、所定の臨界濃度に達した場合には、非常に粘性のある懸濁物をもたらすので、蒸発及び続く温度低下によって溶媒の量を部分的に低減することによって、固体化したDCDPSOの収率を増すことが好ましい。DCDPSO含有有機相中のDCDPSOの溶解度を低減し、及び結晶化を改良するために、少なくとも1種のドローイングアウト剤(drowning-our agent)、例えば少なくとも1種のプロトン性溶媒、例えば水アルコール、及び/又は酸、特にカルボン酸、又は少なくとも1種の非極性溶媒、例えば直鎖状及び/又は環式アルカンを追加的に加えることが可能である。処理の容易性の観点から、水、メタノール、エタノール、酢酸、及び/又はギ酸が好ましいドローイングアウト剤であり、特に水、及び/又はメタノールが好ましいドローイングアウト剤である。
環境気圧に到達した後、冷却によって気密に閉じられた容器内に形成されたDCDPSO含有懸濁物が取り出され、及び固-液分離工程(IV)に供給される。
結晶化は好ましくは、結晶化の最後の工程におけるDCDPSO含有懸濁物中の固体含有量が、DCDPSO含有懸濁物の質量に基づいて、5~50質量%、より好ましくは5~40質量%、特に20~40質量になるまで継続される。
冷却及び結晶化は連続的に又はバッチ式に行うことが可能であるが、しかしながら冷却及び結晶化はバッチ式に行うことが好ましい。バッチ式の冷却及び結晶化は、操作枠及び結晶化条件の面で、より高い順応性を許容し、及び工程条件での変形に対して、より堅固である。
冷却及び結晶化が、連続的に又はバッチ式で行うことが好ましいか否かとは無関係に、固体-液体分離工程(IV)は、連続的にでも、又はバッチ式にでも行うことが可能であり、連続的に行うことが好ましい。
固-液分離工程(IV)は例えば、ろ過、遠心分離、又は沈澱を含む。好ましくは、固体-液体分離工程はろ過である。固体-液体分離工程(IV)では、第1の母液が固体DCDPSOから除去され、及び残りのモイスチャー(残留モイスチャー)を含むDCDPSO(以降、「湿ったDCDPSO」とも称する)が得られる。固体-液体分離がろ過である場合、湿ったDCDPSOは、「DCDPSOフィルターケーキ」と称される。
固体-液体分離は好ましくは、大気温度又は大気温度未満の温度で行われ、大気温度であることが好ましい。
固体-液体分離工程(IV)を行うために、この技術分野の当業者にとって公知の如何なる固体-液体分離装置をも使用可能である。
冷却によって、DCDPSOの大部分が結晶化するが、しかしながらDCDPSOの相当量が溶媒中に溶解してなお残留しており、この理由で、固体-液体分離装置から取り出された第1の母液が好ましくは、濃縮され、及び濃縮された第1の母液の少なくとも一部が、冷却工程(III)に再循環される。第1の母液の濃縮は好ましくは、蒸留又は蒸発によって行われ、蒸発であることが好ましい。第1の母液の濃縮、及び第1の母液を冷却工程(III)に再循環させることにより、製造損失を最小限に低減することが可能である。
第1の母液を濃縮するための蒸留又は蒸発は、環境気圧でであっても、又は減圧下であってでも行うことが可能であるが、好ましくは20~800ミリバール(abs)、好ましくは50~500ミリバール(abs)の範囲、特に100~350ミリバール(abs)の範囲で行われる。
蒸発又は蒸留は好ましくは、DCDPSOの濃度が、濃縮された第1の母液の合計量に対して、6~60質量%、好ましくは10~50質量%、特に15~40質量%になるまで行われる。DCDPSOの濃度が6質量%未満である場合には、クロロベンゼンの損失が多くなり過ぎ、及びDCDPSOの濃度が60質量%を超える場合、蒸発装置及び/又は蒸留装置内の結晶化が制御不可能になる危険性がある。
濃縮された第1の母液の少なくとも一部は好ましくは、冷却工程(III)に再循環される。高沸点の副生成物及び汚染物質の過剰な蓄積を回避するために、濃縮された第1の母液の一部を冷却工程(III)に再循環させ、及び、濃縮された第1の母液の残りの部分を工程(工程系)から取り出すことが好ましい。
再循環された濃縮された第1の母液は好ましくは、新規のDCDPSO含有有機相と混合され、及び冷却工程(III)に供給される。DCDPSO含有有機相の、濃縮された第1の母液に対する割合は、60:1~6:1、好ましくは15:1~7:1、特に10:1~7:1である。冷却工程(III)に再循環される、濃縮された第1の母液の量は好ましくは、全体として冷却工程(III)に供給されるDCDPSOの異性体の量、特に2,4-ジクロロフェニルスルホキシドの量が、冷却工程(III)に供給される液体の合計量に基づいて、0~40質量%、及び特に10~30質量%になるように、設定される。この範囲における異性体の量は、DCDPSOから製造されるDCDPSOの品質に否定的な影響を与えない。
第1の母液の少なくとも一部を濃縮及び再循環させることによって、DCDPSOの収率を通常、相当に増すことができ、この増加は例えば、約10%以下、少なくとも約8又は9%が可能である。このことで、結晶化をただの1工程のみで行うことが可能になる。
固-液分離の後、得られる湿ったDCDPSOは好ましくは、洗浄液、好ましくは溶媒で洗浄される。湿ったDCDPSOを溶媒で洗浄することによって、結晶化したDCDPSOの表面に付着した不純物を除去することが可能である。湿ったDCDPSOの洗浄のための溶媒の使用は、結晶化したDCDPSOの表面に付着した不純物を除去できるという長所を有するが、この理由は、DCDPSOが溶解を開始し、及び従って、表面に付着した不純物が解放されて除去可能になるからである。
使用する溶媒の量を低減するために好ましくは、溶媒の少なくとも一部が、湿ったDCDPSOの洗浄に使用された後に浄化され、及び再循環される。溶媒の浄化は、この技術分野の当業者にとって公知の、それぞれの方法によって行うことが可能である。特に適切なものは、溶媒から不純物を除去するための蒸留法又は蒸発法である。
このようにして浄化された溶媒は例えば、湿ったDCDPSOを洗浄するために再使用することが可能である。この替わりに、浄化した溶媒の少なくとも一部を反応(I)に再循環することも可能である。
洗浄するために、DCDPSOフィルターケーキが洗浄液、好ましくは水と接触される。
湿ったDCDPSOの洗浄は好ましくは、環境温度で行われる。湿ったDCDPSOを、環境温度とは異なる温度、例えば環境温度を超える温度で洗浄することも可能である。DCDPSOが溶媒中に溶解することを回避するために、洗浄温度を、溶媒中のDCDPSOの溶解度が非常に低くなる、好ましくはDCDPSO及び溶媒の合計に基づいて、溶解度が0~5質量%になる温度に保持することが好ましい。
DCDPSを製造するために、このようにして製造したDCDPSOを使用するために、溶媒、特にクロロベンゼンを除去する必要がある。この理由はDCDPSO中のクロロベンゼンは、DCDPSの形成の間、有害な副生成物をもたらすからである。溶媒を除去するために、工程(V)で、湿ったDCDPSOがカルボン酸で洗浄される。好ましくは、カルボン酸を使用した洗浄は、湿ったDCDPSO中の溶媒の量が、洗浄後の湿ったDCDPSOの合計量に基づいて1.5質量%未満になるまで継続される。
1.5質量%未満、特に1質量%未満の溶媒の量、特にクロロベンゼンの量は、DCDPSO及びカルボン酸を含む、得られた組成物(以降、「カルボン酸ウエットDCDPSO」とも称する)を、そのものとして、又はこれから分離されたDCDPSOを、4,4-ジクロロジフェニルスルホンを、爆発性の気相又は液相を生成することなく製造するために使用することを可能にする。更に、このような少量の溶媒は、有害な副生成物の形成を、本発明に従い処理されたDCDPSOの酸化によって製造された4,4-ジクロロジフェニルスルホンの更なる使用に有害な影響を有することの無い範囲にまで低減する。
湿ったDCDPSOの洗浄は、残留モイスチャーを含んだ化合物を洗浄可能とする、如何なる装置中ででも行うことが可能である。洗浄に使用可能な装置は例えば、攪拌タンク、又はろ過装置である。ろ過装置が洗浄に使用される場合、湿ったDCDPSOを洗浄するためのカルボン酸の量は好ましくは、湿ったDCDPSOの合計質量の少なくとも0.15倍、より好ましくは湿ったDCDPSOの合計質量の少なくとも0.2倍、特に湿ったDCDPSOの合計質量の少なくとも0.5倍である。ろ過装置が湿ったDCDPSOの洗浄に使用される場合、DCDPSOを洗浄するためのカルボン酸の最大量は、好ましくは湿ったDCDPSOの合計質量の3倍、好ましくは湿ったDCDPSOの合計質量の2倍、特に湿ったDCDPSOの合計質量の1.5倍である。洗浄に攪拌タンクが使用される場合、洗浄用のカルボン酸の量は、湿ったDCDPSOの合計質量の好ましくは0.5~3倍、より好ましくは湿ったDCDPSOの合計質量の1~2倍、特に湿ったDCDPSOの合計質量の1~1.5倍である。
洗浄工程(V)が攪拌タンク内で行われる場合、固体-液体分離は、湿ったDCDPSOの洗浄後に行うことが可能である。固体-液体分離のめに、この技術分野の当業者にとって公知の如何なる操作も使用可能である。適切な固体-液体分離操作は例えば、ろ過又は遠心分離である。固体-液体分離がろ過である場合、如何なるろ過装置も使用可能である。
洗浄工程(V)によって、湿ったDCDPSO中で溶媒がカルボン酸に置き換えられる。カルボン酸-湿ったDCDPSOは、DCDPSO、カルボン酸及び溶媒の残りを含み、該溶媒の残りの量は、カルボン酸-湿ったDCDPSOの合計量に基づいて、好ましくは1.5質量%未満、より好ましくはカルボン酸-湿ったDCDPSOの合計量に基づいて、1.2質量%未満、特にカルボン酸-湿ったDCDPSOの合計量に基づいて、1質量%未満である。カルボン酸-湿ったDCDPSO中のカルボン酸の量は、カルボン酸-湿ったDCDPSOの合計量に基づいて、好ましくは6~30質量%の範囲、より好ましくはカルボン酸-湿ったDCDPSOの合計量に基づいて、9~25質量%の範囲、特にカルボン酸-湿ったDCDPSOの合計量に基づいて、9~15質量%の範囲である。上述の質量%は、ろ過装置内でろ過が行われた後のカルボン酸-湿ったDCDPSOについてであり、又は洗浄が攪拌タンク内で行われる場合には、洗浄が続く固体-液体分離の後のものについてである。
洗浄工程(V)の間、溶媒及びカルボン酸を含む液体混合物が得られ、及び洗浄装置から取り出される。カルボン酸及び溶媒の廃棄量を低減するために、カルボン酸及び溶媒を含む液体混合物を、実質的に溶媒を含む第1の流れ及び実質的にカルボン酸を含む第2の流れに分離することが好ましい。このことは、第1及び第2の流れを再循環させることを可能とし、又はカルボン酸又は溶媒を使用する異なる工程に使用することを可能とする。ここで「実質的に溶媒を含む」は、第1の流れが、それぞれ第1の流れの合計量に基づいて、好ましくは少なくとも95質量%の溶媒、より好ましくは少なくとも98質量%の溶媒、特に少なくとも99質量%の溶媒を含むことを意味する。第2の流れは好ましくは、それぞれ第2の流れの合計量に基づいて、少なくとも80質量%のカルボン酸、より好ましくは少なくとも85質量%のカルボン酸、特に少なくとも88質量%のカルボン酸を含む。第1の流れ中の溶媒の量と比較して、第2の流れ中のカルボン酸の量が低い理由は、液体混合物がなお、相当な量のDCDPSOを含んでいるからである。この量は、第1の流れの合計量に基づいて、例えば約10質量%であることが可能である。DCDPSOは、溶媒と比較して高沸点物であるので、DCDPSOも、第2の流れに集まる。
実質的にカルボン酸を含む第2の流れを、湿ったDCDPSOの洗浄工程(V)に再循環させることが特に好ましい。実質的に溶媒を含む第1の流れは好ましくは、反応(I)に再循環される。
液体混合物の、第1及び第2の流れへの分離は例えば、蒸留又は蒸発によってなすことが可能である。蒸発又は蒸留は通常、環境気圧未満の圧力、好ましくは20~700ミリバール(abs)、より好ましくは50~500ミリバール(abs)、特に70~200ミリバール(abs)の範囲で行われる。蒸発又は蒸留は典型的には、液体混合物中の溶媒の沸点を超える温度、好ましくは130~200℃の温度、より好ましくは140~180℃の温度、特に蒸留カラムの底部で150~170℃の範囲の温度で行われる。
湿ったDCDPSOの洗浄用に使用されるカルボン酸は、ただ1種ののみのカルボン酸であることが可能であり、又は少なくとも2種の異なるカルボン酸の混合物であることが可能である。好ましくは、カルボン酸は、少なくとも1種の脂肪族カルボン酸である。この少なくとも1種の脂肪族カルボン酸は、少なくとも1種の直鎖状又は少なくとも1種の分岐脂肪族カルボン酸であっても良く、又はこれは1種以上の直鎖状及び1種以上の分岐脂肪族カルボン酸の混合物であっても良い。好ましくは、脂肪族カルボン酸は、脂肪族C~C10カルボン酸、特にC~Cカルボン酸であり、ここで特に好ましくは、少なくとも1種のカルボン酸が脂肪族モノカルボン酸である。従って、少なくとも1種のカルボン酸は、ヘキサン酸、へプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、マタハデカン酸、又は上述した酸の1種以上の混合物であっても良い。例えば、少なくとも1種のカルボン酸は、n-ヘキサン酸、2-メチル-ペンタン酸、3-メチル-ペンタン酸、4-メチル-ペンタン酸、n-へプタン酸、2-メチル-ヘキサン酸、3-メチル-ヘキサン酸、4-メチル-ヘキサン酸、5-メチル-ヘキサン酸、2-エチル-ペンタン酸、3-エチル-ペンタン酸、n-オクタン酸、2-メチル-ヘプタン酸、3-メチル-ヘプタン酸、4-メチル-ヘプタン酸、5-メチル-ヘプタン酸、6-メチル-ヘプタン酸、2-エチル-ヘキサン酸、4-エチル-ヘキサン酸、2-プロピル-ペンタン酸、2,5-ジメチルヘキサン酸、5,5-ジメチル-ヘキサン酸、n-ノナン酸、2-エチル-ヘプタン酸、n-デカン酸、2-エチル-オクタン酸、3-エチル-オクタン酸、3-エチル-オクタン酸であっても良い。カルボン酸も、上述した酸の異なる構造的異性体の混合物であっても良い。例えば、少なくとも1種カルボン酸は、3,3,5-トリメチル-ヘキサン酸、2,5,5-トリメチル-ヘキサン酸及び7-メチル-オクタン酸の混合物を含むイソノナン酸、又は7,7-ジメチルオクタン酸、2,2,3,5-テトラメチル-ヘキサン酸、2,4-ジメチル-2-イソプロピルペンタン酸、及び2,5-ジメチル-2-エチルヘキサン酸の混合物を含むネオデカン酸であっても良い。特に好ましくは、カルボン酸は、n-ヘキサン酸、又はn-ヘプタン酸である。
溶媒をカルボン酸によって置き換えた後、得られたカルボン酸-ウェットDCDPSOが反応工程(VI)で使用され、DCDPS及びカルボン酸を含む反応混合物が得られる。
溶媒としてのカルボン酸中でのDCDPSO及び酸化剤の反応工程(VI)は原則として、WO-A2018/007481からこの技術分野の当業者にとって公知の態様で操作することが可能である。
DCDPSOを使用してDCDPSを製造するための反応工程(VI)で通常、DCDPSO及びカルボン酸を、DCDPSOのカルボン酸に対する割合が1:2~1:6の範囲、より好ましくは1:2~1:4の範囲、特に1:2.5~1:3.5の範囲で含む溶媒が使用されることが好ましい。この割合を達成するために、追加的なカルボン酸をカルボン酸-ウエットDCDPSOに加えることが可能である。DCDPSOのカルボン酸に対するこのような割合によって、DCDPSOの酸化によって製造されるDCDPSの溶解度が、酸化反応の温度、及び結晶化DCDPSを得るための続く結晶化工程の温度で、最適化される。このような割合は特に、反応における十分な熱放散を可能にし、及び結晶化によって得られた、母液中のDCDPSの量を可能な限り低くすることを可能にする。
更に、カルボン酸中にDCDPSOを含む溶液と酸化剤を反応させ、DCDPS及びカルボン酸を含む反応混合物を得ることによって、DCDPを製造することを上記反応が含み、及び反応混合物中の水の濃度が5質量%未満に維持されることが好ましい。水の濃度を5質量%未満に維持するために、直鎖状C~C10カルボン酸を使用することが可能であり、このことは有害性が僅かであり、及び生物分解性が良好である点で特に好ましい。直鎖状C~C10カルボン酸を使用することの他の長所は、直鎖状C~C10カルボン酸は、低温での水からの良好な分離性を示すことであり、このことは、生成物にダメージを与えることなく直鎖状C~C10カルボン酸を分離可能とし、及び更に直鎖状C~C10カルボン酸を溶媒として、酸化工程に再循環させることを可能にする。
反応を行うために、溶液は好ましくは反応器内に与えられる。この反応器は、反応器内に供給された成分の混合と反応を可能にする如何なる反応器であっても良い。適切な反応器は例えば、攪拌タンク反応器、又は強制循環を備えた反応器、特に外部循環及び循環液を供給するノズルを備えた反応器である。工程の安定性及び工程の信頼性の理由で、反応器が軸方向運搬攪拌器を備えた攪拌タンクであることが好ましい。
反応器内の温度を制御するために、熱交換器、例えばダブルジャケット又は加熱コイルを備えた反応器を使用することが好ましい。このことは、反応の間の追加的な加熱及び熱放散を可能にし、及び温度を一定に保つか、又は反応が行われる予め定義された温度範囲内に維持する。好ましくは反応温度は、70~110℃の範囲に維持され、より好ましくは80~110℃、特に85~95℃、例えば86、87、88、89、90、91、92、93、94℃に維持される。
DCDPSを得るために、にDCDPSO及びカルボン酸を含む溶液が、酸化剤によって酸化される。従って、酸化剤は好ましくは、反応混合物を得るために、溶液内に加えられる。反応混合物から、残留モイスチャーを含んだDCDPSを得ることが可能である。
DCDPSを得るためのDCDPSOの酸化に使用される酸化剤は好ましくは、少なくとも1種の過酸化物である。好ましくは、反応工程(VI)は、1種又は2種の過酸(peracid)、特に1種の過酸の存在下に行われる。この少なくとも1種の過酸は、直鎖状又は分岐C~C10過酸であっても良く、これらは置換されていなくても良く、又は例えば直鎖状又は分岐C~Cアルキル又はハロゲン、例えばフッ素で置換されていても良い。これらの例は、過酢酸、過ギ酸、過プロピオン酸、過カプロン酸又は過トリフルオロ酢酸である。特に好ましくは、少なくとも1種の過酸は、C~C10過酸、例えば2-エチルヘキサン過酸である。少なくとも1種の過酸が、水溶性である場合には、少なくとも1種の過酸を水溶液として加えることが有利である。更に、少なくとも1種の過酸が水に十分に溶解しない場合、少なくとも1種の過酸は、それぞれのカルボン酸に溶解されることが有利である。最も好ましくは、少なくとも1種の過酸は、インサイチュ(その場)で生成される直線状又は分岐C~C10過酸である。特に、少なくとも1種の過酸は、DCDPSOの洗浄に使用され、及び上記に詳述したカルボン酸に対応する、少なくとも1種のカルボン酸から、インサイチュで生成される。
特に好ましくは、過酸は、ハロゲン過酸化物(H)を酸化剤として使用することによって、インサイチュで生成される。加えられたHの少なくとも一部は、カルボン酸と反応して過酸を形成する。Hは好ましくは、水溶液として加えられ、これは例えばそれぞれ水溶液の合計量に基づいて、1~90質量%、例えば20、30、40、50、60、70又は80質量%溶液、好ましくは30~85質量%溶液、特に50~85質量%溶液である。Hの高度に濃縮された水溶液の使用、特に水溶液の合計量に基づいて、70~85質量%、例えば70質量%の溶液の使用は、反応時間の短縮をもたらして良い。これは少なくとも1種のカルボン酸の再循環を容易化しても良い。
特に好ましくは、少なくとも1種の過酸は、インサイチュで生成された直鎖状のC又はC過酸である。追加的に反応時間を短縮するために、及び反応混合物にただ少量の水を加えるために、C~C10カルボン酸が、n-ヘキサン酸又はn-ヘプタン酸であり、及び過酸化水素が10~85質量%溶液であることが特に好ましい。
酸化剤の蓄積を回避し、及びDCDPSOの持続的な酸化を達成するために、酸化剤を、供給速度を制御して、例えば、1モルのDCDPSOにつき、及び1分間につき、0.002~0.01モルの供給速度で連続的に加えることが好ましい。より好ましくは、酸化剤は、1モルのDCDPSOにつき、及び1分間につき、0.003~0.008モルの供給速度、特に1モルのDCDPSOにつき、及び1分間につき、0.004~0.007モルの供給速度で加えられる。
酸化剤が少なくとも2工程で供給される場合、好ましくは、酸化剤は2工程で加えられ、ここで酸化剤の添加工程(VI.b)は以下の工程を含む:
(VI.b.1)第1の工程で、DCDPSO1モルにつき、0.9~1.05モルの酸化剤を加え、70~110℃の温度で、好ましくは1.5~5時間の期間、溶液中に均一に分散させる工程;
(VI.b.2)第1の工程が完了した後、反応混合物を、第1の工程の温度で、酸化剤を加えること無しに、5~30分、かき混ぜる工程;
(VI.b.3)第2の工程で、DCDPSO1モルにつき、0.05~0.2モルの酸化剤を、80~110℃の温度で、好ましくは40分未満の期間、反応混合物に加える工程;
(VI.b.4)第2の工程が完了した後、第2の工程の温度で、好ましくは10~30分、酸化剤を加えること無く反応混合物をかき混ぜる工程;
(VI.b.5)反応混合物を、95~110℃の温度に加熱し、及びこの温度を好ましくは、10~90分保持し、DCDPSを含む反応混合物を得る工程。
DCDPSOをDCDPSに変換するために、DCDPSOの酸化が少なくとも2工程で行われる場合、DCDPSOは、酸化剤を第1及び第2の工程で、DCDPSO及びカルボン酸を含む溶液に加えることによって酸化される。
本願において「均一に分散」は、酸化剤が一転の供給速度で連続的に、又は周期的に供給速度を変えて加えられることが可能であることを意味する。連続的に周期的に供給速度を変えることに加え、周期的に供給速度を変化させることは、周期的な供給速度を不連続的に変化させることも含み、これは例えば、酸化剤が定義された時間にわたり加えられ、次に酸化剤が定義された時間にわたり加えられないような供給速度であって、この添加と不添加が、第1の工程用の酸化剤の完全な量が加えられるまで繰り返される態様である。酸化剤が加えられる期間は好ましくは1.5~5時間、より好ましくは2から4時間、特に2.5~3.5時間である。このような期間にわたり、酸化剤を均一に分散させて添加剤を加えることにより、爆発性の混合物をもたらし得る、酸化剤が反応混合物内に蓄積することが回避される。追加的に、このような期間にわたり酸化剤を加えることによって、工程は容易な態様でスケールアップすることが可能になる。この理由は、この構成は、スケールアップされた工程でも、工程から熱を放熱することを可能とするからである。一方、このような量によって、過酸化水素の分解が回避され、及び従って、工程に使用される過酸化水素の量を最小限にすることが可能である。
第1の工程(VI.b.1)が行われる温度は、70~110℃、好ましくは85~100℃、特に90~95℃である。この温度範囲で、高い反応速度が、カルボン酸中のDCDPSOの高い溶解度で達成可能になる。このことは、カルボン酸の量を最小限にし、及びこれにより、制御された反応が達成可能になる。
工程(VI.b.1)で酸化剤の添加が完了した後、反応混合物は第1の温度で、好ましくは5~30分、酸化剤を加えることなく攪拌される(VI.b.2)。酸化剤を添加が完了した後に反応混合物をかき混ぜることによって、酸化剤及び未だ反応していないDCDPSOが接触し、反応を継続させ、DCDPSを形成し、反応混合物中に不純物として残っているDCDPSOの量が低減する。
反応混合物中のDCDPSOの量を更に低減させるために、酸化剤を加えることなくかき混ぜを完了した後、DCDPSO1モル当たり0.05~0.2モルの酸化剤、好ましくはDCDPSO1モル当たり0.06~0.15モルの酸化剤、特にDCDPSO1モル当たり0.08~0.1モルの酸化剤が第2の工程(VI.b.3)で反応混合物に加えられる。
第2の工程(VI.b.3)で、酸化剤は好ましくは、1~40分の期間、より好ましくは5~25分の期間、特に8~15分の期間、加えられる。第2の工程での酸化剤の添加は、第1の工程のものと同様にして行っても良い。更に、第2の工程の全酸化剤を、一度に加えることも可能である。
第2の工程(VI.b.3)の温度は、80~110℃、より好ましくは85~100℃、特に93~98℃である。第2の工程での温度が、第1の工程での温度よりも、3~10℃高いことが更に好ましい。より好ましくは、第2の工程での温度は、第1の工程での温度よりも4~8℃高く、特に好ましくは、第2の工程での温度は、第1の工程での温度よりも5~7℃高い。第2の工程でのより高い温度によって、より高い反応速度を達成することが可能である。
第2の工程で酸化剤を添加した後、反応混合物は、第2の工程での温度でかき混ぜられ、このかき混ぜは、DCDPSを形成するDCDPSOの酸化反応を継続させるために、工程(VI.b.4)で好ましくは10~20分行われる。
酸化反応を完了させるために、酸化剤を加えることなく、第2の工程の温度でかき混ぜを行った後、反応混合物は工程(VI.b.5)で、95~110℃の温度、好ましくは95~105℃、特に98~103℃の温度に加熱され、及びこの温度が好ましくは、10~90分、より好ましくは10~60分、特に10~30分保持される。
酸化工程で、特にHを酸化剤として使用した場合、水が形成される。更に、水が酸化剤と一緒に加えられても良い。好ましくは、反応混合物中の水の含有量は、5質量%未満、より好ましくは3質量%未満、特に2質量%未満に保持される。濃度が70~85質量%の過酸化水素水溶液を使用することによって、酸化反応の間の水の濃度は、低く保持される。酸化反応の間の反応混合物中の水の濃度を、濃度が70~85質量%の過酸化水素水溶液を使用して水を除去することなく、5質量%未満に保持することさえ可能であって良い。
追加的に、又はこの替わりに、反応混合物中の水の濃度を5質量%未満に保持するために、工程から水を除去することが必要であっても良い。工程から水を除去するために、例えば反応混合物から水をストリップすることが可能である。ここでストリッピングは好ましくは、不活性ガスをストリッピング媒体として使用して行われる。濃度が70~85質量%の過酸化水素水溶液を使用した場合で、反応混合物中に残っている水の濃度が5質量%未満である場合、追加的に水をストリップする必要は無い。しかしながら、この場合であっても、この濃度を更に低減するために、水をストリップすることが可能である。
水をストリッピングするために使用される不活性ガスの量は、好ましくは0~2Nm/h/kg、より好ましくは0.2~1.5Nm/h/kg、特に0.3~1Nm/h/kgである。Nm/h/kgでのガス速度は、DIN1343、January 1990に従い、相対的ガス流として測定可能である。不活性ガスを使用した水のストリッピングは、全工程の間行っても良く、又は工程の少なくとも一部分の間に行っても良く、この部分の間、水のストリッピングは中断されて良く、及び酸化剤が加えられるモードとは独立していて良い。特に好ましくは、水は、不活性ガスを反応混合物中に連続的に泡立たせることによってストリップされる。
DCDPSOの異なる変換速度を回避するために、反応混合物を均質にすることが好ましい。工程の安定性と工程の信頼性の理由で従って、軸方向運搬撹拌器を備えた攪拌タンク反応器を使用することが好ましい。酸化反応を支援するために、追加的に、少なくとも1種の酸性触媒を反応混合物中に加えることが更に有利である。ここで、追加的な酸は、溶媒として作用するカルボン酸ではない酸である。追加的な酸は、無機酸又は有機酸であっても良く、追加的な酸は好ましくは、少なくとも1種の強酸である。好ましくは強酸はpK値が、水中で-9~3、例えば-7~3である。より好ましくは、少なくとも1種の強酸は、負のpK値、例えば水中で-9~-1又は-7~-1の値を有する。
少なくとも1種の強酸である無機酸の例は、硝酸、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、及び/又は硫酸である。特に好ましくは、1種の強酸、特に硫酸が使用される。少なくとも1種の強無機酸を水溶液として使用することが可能である一方で、好ましくは、少なくとも1種の無機酸が揃えて(neat)使用される。適切な強有機酸は例えば、有機硫酸であり、ここで、少なくとも1種の脂肪族、又は少なくとも1種の芳香族スルホン酸、又はこれらの混合物が使用されることが可能である。少なくとも1種の強有機酸の例は、パラ-トルエン-スルホン酸、メタンスルホン酸、又はトリフルオロメタンスルホン酸である。特に好ましくは、強酸は、メタンスルホン酸である。少なくとも1種の無機強酸、又は少なくとも1種の有機強酸の使用の他に、少なくとも1種の無機強酸及び少なくとも1種の有機強酸の混合物を酸性触媒として使用することも可能である。このような混合物は例えば、硫酸及びメタンスルホン酸を含んでも良い。
酸性触媒は好ましくは、触媒量で加えられる。従って、使用される酸性触媒の量は、DCDPSO1モルにつき、0.1~0.3モルであっても良く、より好ましくはDCDPSO1モルにつき、0.15~0.25モルであって良い。しかしながら、好ましくは酸性触媒は、DCDPSO1モルにつき0.1モル未満の量、例えばDCDPSO1モルにつき0.001~0.08モル、例えばDCDPSO1モルにつき0.001~0.03モルの量で使用される。特に好ましくは、酸性触媒は、DCDPSO1モルにつき0.005~0.01モルの量で使用される。
酸化反応は、大気圧又は大気圧未満又は大気圧を超える圧力で、例えば10~900ミリバール(abc)で行うことが可能である。好ましくは、酸化反応は、200~800ミリバール(abc)、特に350~700ミリバール(abc)、例えば400、500又は600ミリバール(abc)の圧力で行われる。驚くべきことに、減圧は、DCDPSの合計変換を増加させることが可能であり、及び従って、生成物中の残留DCDPSの非常に少ない量を達成可能であるという追加的な長所を有する。
酸化反応は、環境雰囲気又は不活性雰囲気下に行うことが可能である。不活性雰囲気下に酸化反応が行われる場合、DCDPSO及びカルボン酸を供給する前に、反応器を不活性ガスでパージすることが好ましい。不活性雰囲気下に酸化反応が行われ、及び酸化反応の間に形成された水が、不活性ガスでストリップされる場合、不活性雰囲気を提供するために使用される不活性ガスと、水をストリップするために使用される不活性ガスが同じであることが更に好ましい。酸化反応における成分の分圧、特に水の分圧が低減されることが、不活性ガスを使用することの更なる長所である。
DCDPSを製品として得るために、工程(VII)で、反応混合物は残りの水分を含むDCDPS(以降、「湿ったDCDPS」とも称する)及びカルボン酸を含む液相に分離される。
湿ったDCDPSが、DCDPSを使用する工程に否定的な影響を有さないならば、湿ったDCDPSは工程から粗製生成物として取り出され得る。しかしながら、湿ったDCDPSを更に処理することが好ましい。
分離は、公知の如何なる方法によってでも行うことが可能であり、例えば、蒸留により、又は冷却して懸濁物を形成し、及び次に懸濁物の固-液分離を行うことにより行うことが可能である。特に好ましくは、反応混合物は、冷却及び次の固-分離によって分離される。
好ましくは、反応混合物を湿ったDCDPSとカルボン酸を含む液相に分離するために、反応混合物は、DCDPSの飽和点未満の温度に冷却され、結晶化DCDPS及び液相を含む懸濁物が得られる。懸濁物は、固-液分離によって湿ったDCDPSと第2の母液に分離される。ここで、固-液分離は、適切な任意の分離手段、例えばろ過又は遠心分離によって行うことが可能である。
DCDPSを結晶化するための冷却は、如何なる結晶化装置、又は有機混合物の冷却を可能とする如何なる他の装置、例えば冷却可能表面を備えた装置、例えば冷却ジャケット、冷却コイル、所謂「パワーバッフル」のような冷却バッフルを備えた容器又はタンク内で行うことが可能である。
冷却表面上への沈澱又は付着を回避するために、特に好ましくは、工程(VII)における反応混合物の分離は、
(VII.a)気密に閉鎖された容器中で、反応混合物を水と混合し、液体混合物を得る工程、
(VII.b)
(i)気密に閉鎖された容器中の圧力を、水が蒸発を開始する圧力にまで減圧する工程、
(ii)蒸発した水を、冷却することによって凝縮する工程、
(iii)凝縮した水を、気密に閉鎖された容器中の液体混合物内に混合する工程、
によって、工程(VII.a)で得られた液体混合物を、4,4’-ジクロロジフェニルスルホンの飽和点未満の温度に冷却して、結晶化した4,4’-ジクロロジフェニルスルホンを含む懸濁物を得る工程、
(VII.c)懸濁物の固-液分離を行い、湿ったDCDPS及びカルボン酸を含む液相を得る工程、
を含む。
この方法は、DCDPSを含む反応混合物を、冷却表面を使用することなく冷却することを可能にする。この点に関し、上記冷却表面上には、特に冷却工程の開始時に、結晶化したDCDPSが蓄積し、及び固相を形成するものである。このことは、冷却孔工程の効率を高めるものである。かくして、この固層を除去する労力を省くことが可能にする。
冷却が工程(VII.b)に従って行われる場合、固-液分離に処理される懸濁物は、結晶化したDCDPS及びカルボン酸に加え、追加的に水を含む。
特に、1バールにおける沸点が150℃を超えるカルボン酸が溶媒として使用された場合、減圧して溶媒を蒸発させることによる冷却、蒸発した溶媒の冷却による凝縮、及び凝縮した溶媒を気密な容器に戻すことが、必要とされる低い圧力を達成するために、高いエネルギー消費を必要とする。反応混合物を水と混合し、及び蒸発させ、凝縮し、及び凝縮した水を再循環させることで、多大なエネルギー消費を要することになる、溶媒を高温で蒸発させることなく、又は圧力を非常に低い値にまで低下させることなく、冷却によって飽和点をシフトさせることが可能になる。従って、特にDCDPSの冷却器の交換は発生しない。驚くべきことに、水中への溶解度が低いカルボン酸が溶媒として使用された場合には、水を加えることによるDCDPSの冷却と結晶化、水を蒸発させる圧力の低下、冷却による水の凝縮(液化)及び凝縮した水の再循環及び反応混合物への混合をも行うことが可能になる。
DCDPSを結晶化させるために、結晶核を供給することが好ましい。結晶核は、DCDPOSOの結晶化について上述したものと同様にして供給することが可能である。好ましくは、結晶核は、初期化工程でインサイチュ(その場)で生成される。初期化工程は好ましくは、工程(i)で減圧する前に、以下の工程を含む:
-液体混合物中の水の沸点が80~95℃になるように、気密に閉じられた容器内の圧力を減圧する工程;
-固体の初期形成が起こるまで、溶媒を蒸発させる工程;
-容器内の圧力を昇圧し、及び気密に閉じられた容器内の液体混合物を、DCDPOSの飽和点より1~10℃低い温度にまで加熱する工程。
初期化工程で結晶核を生成するために、固体の初期形成が行われるまで、ただ水を蒸発させることのみで可能なものである。冷却により蒸発した水を全体的に凝縮し、そして凝縮した全ての水を気密に閉じられた容器内に戻すことも可能である。後者は、気密に閉じられた容器内の有機混合物が冷却され、及び固体が形成されるという効果を有してる。両方のアプローチの混合物で、蒸発し、及び凝縮した水の一部が気密に閉じられた容器内に戻されることも可能である。
好ましくは減圧(工程VII.b(i))は、温度制御されており、該温度制御では、5~25K/hの段階的な冷却プロフィールが形成され、持続的な過飽和に近づけて固体含有量を増し、及び従って、成長用の結晶表面を増すことが好ましい。
結晶化は好ましくは、結晶化の最終段階における懸濁物中の固体含有量が、懸濁物の質量に基づいて、5~50質量%、より好ましくは5~40質量%、特に20~40質量%になるまで継続される。
懸濁物中のこの固体含有量を達成するために、冷却によって得られた懸濁物が10~30℃、より好ましくは15~30℃、特に20~30℃の温度にまで冷却されるまで、工程(i)における圧力を減圧することが好ましい。
この温度が達成される圧力は、液体混合物中の水の量に依存する。好ましくは、液体混合物中に混合された水の量は、液体混合物中の水の量が、液体混合物の合計量に基づいて、10~60質量%になるものである。より好ましくは、液体混合物に混合された水の量は、液体混合物中の水の量が、液体混合物の合計量に基づいて、10~50質量%になるものであり、及び特に、液体混合物に混合された水の量は、液体混合物中の水の量が、液体混合物の合計量に基づいて、15~35質量%になるものである。
有機混合物の冷却を補助するために、気密に閉じられた容器に追加的な冷却用の冷却可能表面を備えることが更に可能である。冷却可能表面は例えば、冷却ジャケット、冷却コイル、又は所謂「パワーバッフル」のような冷却バッフルであることが可能である。驚くべきことに、液体混合物の温度が、20~60℃、より好ましくは20~50℃、特に20~40℃の温度にまで低下されるより前に、追加的な冷却が開始されない場合には、冷却可能表面への沈澱又は付着物形成は、回避する又は少なくとも相当に減少させることが可能である。
減圧による冷却及び結晶化の後、工程は完了し、及び好ましくは圧力は環境圧力に再度設定される。環境圧力に達した後、気密に閉じられた容器内の液体混合物を冷却することによって形成された懸濁物は、固-液分離工程(VII.c)に処理される。、固-液分離工程では、冷却によって形成された結晶化したDCDPSは、カルボン酸及び水から分離される。
固-液分離は例えば、ろ過、遠心分離、又は沈澱を含む。好ましくは固-液分離は、ろ過である。固-液分離で、カルボン酸及び水を含む第2の母液が固体DCDPSから除去され、そして湿ったDCDPSが生成物として得られる。固-液分離がろ過である場合、湿ったDCDPSは「DCDPSフィルターケーキ」と称される。
固-液分離は好ましくは、DCDPSO含有懸濁物の固-液分離と同様の態様で行われる。
湿ったDCDPSを浄化するために、湿ったDCDPSは好ましくは、第1の局面で水性塩基を使用して洗浄され、そして次に第2の局面で水を使用して洗浄される。洗浄により特に、カルボン酸の残り、及び更なる不純物、例えばDCDPSの製造工程の間に形成される望ましくない副生成物が除去される。
洗浄の後に強酸を水性塩基に加えることにより、カルボン酸が再使用可能になり、及び合計有機炭素(TOC)が低減するために、水性層は廃棄が容易になる。湿ったDCDPSを洗浄するために使用される水性塩基は、1種の水性塩基であることが可能であり、又は少なくとも2種の水性塩基の混合物であることが可能である。好ましくは、第1の局面で洗浄に使用される水性塩基は、水性アルカリ金属水酸化物、又は少なくとも1種の水性アルカリ金属水酸化物の混合物であり、水性アルカリ金属水酸化物は例えば、水性水酸化カリウム、又は水酸化ナトリウム、特に水酸化ナトリウムである。アルカリ金属水酸化物が水性塩基として使用される場合、水性アルカリ金属水酸化物は好ましくは水性アルカリ金属水酸化物の合計量に基づいて、好ましくは1~50質量%のアルカリ金属水酸化物を含み、より好ましくは水性アルカリ金属水酸化物の合計量に基づいて、1~20質量%のアルカリ金属水酸化物を含み、特に水性アルカリ金属水酸化物の合計量に基づいて、2~10質量%のアルカリ金属水酸化物を含む。この量は、湿ったDCDPSを適切に洗浄するのに十分なものである。
水性アルカリ金属水酸化物を使用することにより、カルボン酸のアニオンが、アルカリ金属水酸化物のアルカリ金属カチオンと反応し、有機塩及び水を形成するが、有機塩は水溶性である。従って、湿ったDCDPSの洗浄は、有機不純物を1質量%未満、好ましくは0.7質量%未満、特に0.5質量%未満含む生成物としてのDCDPSを達成可能とする。
有機不純物の含有量がこのように少量であるDCDPSを得るために、第1の局面の洗浄で使用される水性塩基、特にアルカリ金属水酸化物の量は、好ましくは乾燥DCDPS1kgにつき、0.5~10kg、より好ましくは乾燥DCDPS1kgにつき、1~6kg、特に乾燥DCDPS1kgにつき、2~5kgである。
水性塩基の水及び塩基のアニオンのカルボン酸との反応によって生成された水は通常、有機塩の全てを除去するためには十分ではないので、及び水性塩基の更なる部分が、湿ったDCDPS中に留まっていても良いので、湿ったDCDPSは、第2の局面で水を使用して洗浄されても良い。水で洗浄することにより、有機塩及び反応しなかった水性塩基の残りが除去される。除去は、湿ったDCDPSのpHを測定することによって監視することが可能である。生成物としての乾燥DCDPSを得るために、この技術分野の当業者にとって公知の乾燥工程によって、水は容易にDCDPSから除去可能である。この替わりに、続く工程段階で水を使用した洗浄の後に得られる、水で湿ったDCDPSを使用することも可能である。
第2の局面での水を使用した洗浄は、好ましくは2つの洗浄工程で行われる。この場合、第2の洗浄工程での洗浄用に、新たな(fresh)水を使用し、及び第2の洗浄工程で使用された水を第1の洗浄工程で使用することが、特に好ましい。このことは、洗浄に使用される水の量を、合計して低い量に維持することを可能にする。
湿ったDCDPSの洗浄は好ましくは、環境温度で行われる。湿ったDCDPSを、環境温度とは異なる温度、例えば環境温度を超える温度で洗浄することも可能である。
特に、湿ったDCDPSの洗浄用に使用された水性塩基は、カルボン酸又はカルボン酸の有機塩を含む。水と一緒に取り出され、及び浄化設備で浄化に処理され、及び該処理で完全に除去されるカルボン酸の量を低減するために、本発明に従い、洗浄に使用された後、水性塩基は強酸と混合される。強酸は好ましくは、強酸のアニオンから形成する第2の塩が、水中で良好な溶解性を有し、及びカルボン酸中では少ない溶解性を有するように選択される。ここで、「良好な溶解性」は、100gの溶媒につき、少なくとも20gが溶媒に溶解可能であり、及び「少ない溶解性」は、100gの溶媒につき、5g未満が溶媒に溶解可能であることを意味する。
第2の塩のカルボン酸中への少ない溶解度は、回収可能なカルボン酸が、カルボン酸の合計質量に基づいて、3質量ppm未満の不純物を含むという効果を有している。このことは更に、カルボン酸を、更なる浄化工程を使用することなく使用することを可能にする。
湿ったDCDPSの洗浄のために使用される水性塩基に依存して、強酸は好ましくは、硫酸又はスルホン酸、例えばパラトルエンスルホン酸、又はアルカンスルホン酸、例えばメタンスルホン酸である。水性塩基がアルカリ金属水酸化物である場合、強酸は、特に好ましくは、硫酸である。特に、強酸が反応で酸性触媒として使用される場合、水性塩基と混合してカルボン酸を除去するために使用される強酸と、酸性触媒として使用される酸は、同一であることが好ましい。
カルボン酸の再使用を可能とするために、カルボン酸は、水性相から分離される必要がある。このことは相分離によって行われることが好ましい。相分離によって分離されたカルボン酸は、それぞれのカルボン酸が使用される如何なる工程にでも使用可能である。しかしながら、カルボン酸を、DCDPSを製造するための工程に、例えば洗浄工程(V)で使用することにより、又は工程(VI)での溶媒として再循環させることが特に好ましい。相分離によって分離された後、カルボン酸が不純物を含む場合、カルボン酸を追加的な洗浄工程、例えば洗浄、又は高沸点不純物又は低沸点不純物を除去する蒸留に処理することが更に可能である。
強酸と混合された後、水性塩基中のカルボン酸の量が比較的少量であるために、第2の母液の少なくとも一部を、強酸と混合された水性塩基に加えることが可能であり、又は使用後の水性塩基を、第2の母液の少なくとも一部及び強酸と、相分離の前に混合することが可能である。このことは、相分離の効率の改良を可能とする。
特に、冷却及び結晶化が、気密に閉鎖された容器内で、水を加え及び圧力を減圧することによって行われる場合、第2の母液は追加的に水を含む。この場合で、カルボン酸の再使用を可能とするために、ろ過が相分離に使用される必要がある。この場合で、強酸及び第2の母液と混合される水性塩基の混合は、有機カルボン酸を水性相から分離するために、ただ相分離が行われる必要があるという追加的な長所を有する。
有機相及び水性相の量、及び相分離に使用される方法に依存して、混合物中の水性相の量を増すことが必要であっても良い。このことは例えば、水性相の少なくとも一部を、相分離装置及び混合装置を通して循環させることによって達成されても良い。
粒子の目詰まりを回避するために、ろ過の後に第2の母液を、フィルターの水性ベース出口をフラッシングするために使用することが可能である。
第2の母液、及び強酸と混合した後の水性相と混合する前又は後に、相分離装置への循環用に分岐した、水性相の一部を供給することの他に、水性相の一部を水性塩基と強酸の混合に再循環させることも可能である。
追加的に、又はこの替わりに、水性塩基で洗浄した後の第2の局面で洗浄に使用した水の少なくとも一部を再循環させることによって、水性相の量を増すことも可能である。この水の少なくとも一部を相分離に供給することによって、微量の有機不純物、特に水性塩基で洗浄後のDCDPS中になお含まれていても良いカルボン酸を取り戻すことが可能である。
この替わりに、第2の母液及び相分離で得らえれた有機相を混合することも可能である。この場合、混合の前に、第2の母液を相分離に処理して第2の母液から水を除去しても良いが、しかし、有機相と混合する前に、第2の母液を如何なる更なる工程にも処理することなく、第2の母液を有機相と混合することも可能である。
工程(VII)で反応混合物を分離することによって得られた、カルボン酸を含む液相を再使用可能とするために、液相は好ましくは、
-カルボン酸を含む液相の一部を蒸留する工程、
-カルボン酸を含む液相の少なくとも一部から、低沸点物をストリッピングする工程、
-浄化したカルボン酸を反応工程(VI)に再循環させる工程、
によって浄化される。
この工程は、反応用の溶媒として使用されたカルボン酸の大半の再使用を可能とし、及び従って除去され、処分されるべき副生成物の量を低減することを可能とする。
カルボン酸中に含まれる不純物の量が増加することを回避するために、反応混合物から分離されたカルボン酸を含む液相は、この浄化工程に処理される。浄化によって、不純物の多くの部分をカルボン酸から、及び従って工程から除去することが可能である。これにより、製造したDCDPSが、これらの不純物によって汚染されることが回避される。
2~25体積%のカルボン酸を含む液相を浄化するために、カルボン酸を含む液相が蒸留に処理される。蒸留によって、低沸点不純物及び高沸点不純物がカルボン酸を含む液相の、この部分から除去される。カルボン酸を含む液相から低沸点物を更に除去するために、この液相の少なくとも一部が、不活性ガスでストリップされる。これにより、液相全体のストリッピングの前又は後に、液相の一部の蒸留を行うことが可能になる。更に、液相を2つの部分に分け、及び一方の部分を蒸留に処理し、及び他方の部分をストリッピングに処理することが可能である。
相分離の前又は後に混合されることとは独立して、有機相と第1の母液の混合物、又はこの替わりに有機相混合物が、浄化されるカルボン酸含有液相である。
蒸留とは対照的に、ストリッピングによって、低沸点物の少量のものも除去可能である。このことは、それぞれ反応工程(VI)に再循環される、浄化されたカルボン酸の合計量に基づいて、1.5質量%未満、好ましくは1質量%未満、特に0.6質量%未満の水、及び1.5質量%未満、好ましくは1質量%未満、特に0.6質量%未満のモノクロロベンゼンを含む、浄化されたカルボン酸を達成可能とする。
カルボン酸を含む液相が全体としてストリッピングに処理されるか、又はカルボン酸を含む液相の一部のみがストリッピングに処理されるかとは独立して、ストリッピングは好ましくは、80~100℃、より好ましくは85~95℃、特に85~90℃の温度、及び0.1~0.7バール(abc)、より好ましくは0.2~0.4バール(abc)、特に0.25~0.35バール(abc)の圧力で行われる。
ストリッピング工程では、ストリッピングガスが、カルボン酸を含む液相を通して流れる。ストリッピングガスは、カルボン酸を含む液相中に含まれる成分に対して不活性であるように選択される。適切なストリッピングガスは好ましくは、不活性ガスである。
ストリッピングは、ストリッピングにとって適切であり、及びこの技術分野の当業者にとって公知の如何なる装置中でも行うことが可能である。
高沸点不純物及び低沸点不純物を、蓄積が発生しない量で除去するために、粗カルボン酸の一部のみが、蒸留に処理されなければならないことが示された。このことは、エネルギーが節約され、及びより小さい装置が蒸留用に使用可能であるという長所を有する。
カルボン酸を含む液相の全体がストリップされ、及び従って、得られた粗カルボン酸が第1及び第2のカルボン酸流に分けられる場合、蒸留に供給される第2のカルボン酸流は好ましくは、粗カルボン酸の2~25体積%を含む。より好ましくは、第2のカルボン酸流は、粗カルボン酸の5~20体積%、特に7~15体積%を含み、及び第1のカルボン酸流は、粗カルボン酸の残りである。
カルボン酸を含む液相が、第1の部分及び蒸留に処理される第2の部分に分離される場合、蒸留に供給される第2の部分は、カルボン酸を含む液相の、2~25体積%、より好ましくは5~20体積%、特に7~15体積%のカルボン酸含有液相を含み、及び第1の部分は、カルボン酸を含む液相の残りである。
第2のカルボン酸流又はカルボン酸を含む液相の第2の部分の蒸留は、蒸留を行うのに適切であり、及び高沸点物を含む流れ、及び低沸点物を含む流れ、及び高沸点物の沸点及び低沸点物の沸点の間の沸点を有する、少なくとも1種の成分を含む流れを取り出すことが可能な、如何なる装置内ででも行うことがっ可能である。
蒸留は好ましくは、低部温度が、130~250℃の範囲、より好ましくは150~220℃の範囲、特に190~215℃の範囲、頂部温度が、50~150℃の範囲、より好ましくは100~140℃の範囲、特に120~140℃の範囲で、及び圧力が、10ミリバール(abs)~400ミリバール(abs)の範囲、より好ましくは20ミリバール(abs)~300ミリバール(abs)の範囲、特に30ミリバール(abs)~250ミリバール(abs)の範囲で行われる。
側部流として蒸留カラムから取り出されるカルボン酸は、第1のカルボン酸流と混合され、及び反応工程(VI)又は洗浄工程(V)に再循環される。
反応温度を一定に保持し、及び更に反応器内反応に使用される成分の加熱を回避するために、好ましくは、浄化されたカルボン酸は、これが反応に再循環される前に、80℃の温度から100℃の温度に加減(temper)される。この温度は、反応が行われる温度に相当し、及び従って、反応を開始させる前に反応器中の大量の成分を加熱する必要は無い。
水性塩基で洗浄し、及び次に水で洗浄した後、このようにして得られた第1の浄化DCDPSはなお、カルボン酸、DCDPSO及び異性体の残りを含んでいても良い。これらの不純物を除去するために、第1の浄化DCDPSOを更なる浄化工程に処理することが好ましい。この替わりに、反応混合物を分離する工程(VII)で得られた湿ったDCDPSを、不純物を除去するための、続く浄化手順に処理することも可能である。しかしながら、続く洗浄手順を行う前に、湿ったDCDPSを水性塩基で洗浄し、及び次に、水で洗浄することが特に好ましい。
浄化のために、湿ったDCDPS又は第1の浄化DCDPSは、湿ったDCDPSが洗浄される場合には、以下によって更に処理される:
(A)湿ったDCDPS又は第1の浄化DCDPSを、DCDPSの溶解度が20℃で0.5~20%である有機溶媒中に溶解させ、溶液を得る工程、
(B)溶液を、DCDPSの飽和点未満の温度にまで冷却し、結晶化したDCDPSを含む懸濁物を得る工程、
(C)固-液分離を行い、浄化した残留モイスチャーを含むDCDPS及び第3の母液を得る工程、
(D)浄化した残留モイスチャーを含むDCDPSを、DCDPSの溶解度が20℃で0.5~20%である有機溶媒を使用して洗浄する工程、
(E)任意に、工程(B)~(D)を繰り返す工程、
(F)4,4’-ジクロロジフェニルスルホンを乾燥させる工程、
(G)任意に、第3の母液及び任意に4,4’-ジクロロジフェニルスルホンの溶解度が20℃で0.5~20%であり、蒸留による洗浄に使用された有機溶媒の少なくとも一部を仕上げ、及び好ましくは溶解させる工程(A)に再循環させる工程。
DCDPSの有機溶媒中の溶解度は、S=(mDCDPS/mSolv)・100[%]として定義され、ここで、mDCDPSはDCDPSのkgでの量であり、及びmSolvは溶媒のkgでの量である。
この洗浄工程によって、DCDPS中の不純物の量を更に低下させることが可能になり、及び乾燥したDCDPSに基づいて、0.3質量%未満の異性体、10ppm未満の4,4’-ジクロロジフェニルスルホキシド、特2ppm未満の4,4’-ジクロロジフェニルスルホキシド、及び200ppm未満、特に100ppm未満のカルボン酸を含むDCDPSを達成することが可能になる。
粗DCDPSは、残留モイスチャー、例えば反応を完了させた後のDCDPSの洗浄からの水、又は反応中の溶媒として使用されたカルボン酸を含んでいても良いものであるが、湿ったDCDPS又は第1の浄化したDCDPS(以降、粗DCDPSと記載)を浄化するために、最初に、この粗DCDPSが、20℃で0.5~20%のDCDPSの溶解度を有する有機溶媒(以降、有機溶媒と記載)と混合される。粗DCDPSを有機溶媒を混合することによって、懸濁物が形成され、及び粗DCDPSが溶解を開始する。粗DCDPSが水を含んでいないか、又は粗DCDPS中の水の含有量が1質量%未満である場合、懸濁物に水を加えることが好ましい。水が懸濁物に加えられる場合、有機溶媒と水を含む液体を使用するか、又は水を別個に加えることが好ましい。水は、有機溶媒と同時に、溶媒を加える前に、又は有機溶媒の添加を完了させた後に加えることが可能である。しかしながら、特に好ましくは、水を1~30質量%、より好ましくは2~25質量%、及び特に3~20質量%含む粗DCDPSが使用される。
粗DCDPSの有機溶媒中への溶解を補助するために、粗DCDPS及び有機溶媒を含む懸濁物が加熱される。好ましくは、懸濁物は90~120℃、特に100~110℃の温度に加熱される。懸濁物の加熱中に有機溶媒が蒸発すうることを回避するために、加熱は好ましくは、昇圧下に行われる。好ましくは、有機溶媒中の粗DCDPSの溶解を補助するために加熱を行う間、圧力は2~10バール(abs)、より好ましくは3~5バール(abs)、特に3.5~4.5バール(abs)に設定される。
有機溶媒中へのDCDPSの溶解を完了した後、このようにして製造された懸濁物は、DCDPSの飽和点未満の温度にまで冷却され、結晶化したDCDPSを含む懸濁物が得られる。懸濁物を冷却することで、DCDPSは再度結晶化を開始する。有機溶媒中でのこの新しい結晶化は、粗DCDPS中に含まれていても良い不純物が、有機溶媒中に溶解した状態で残り、及び冷却によって新たに形成された結晶は、より高い純度を有するという長所を有する。懸濁物を得るためにDCDPSを有機溶媒中に溶解することは、DCDPSの少なくとも90%が溶解した場合に完了する。特に好ましくは、有機溶媒中へのDCDPSの溶解は、全てのDCDPSが溶解した場合に完了する。
速過ぎる結晶成長により、有機溶媒中に溶解した不純物が新たに形成された結晶中に導入されることになるが、この速過ぎる結晶成長を回避するために、工程(B)中の溶液を多段階冷却速度で冷却することが好ましく、該多段階冷却速度は好ましくは、最初に3~15K/hを0.5~3時間、より好ましくは0.5~2時間、及び後に、予め設定された最終温度に到達するまで、10~40K/h、より好ましくは15~30K/hの冷却速度、特に18~25K/hの冷却速度である。好ましい多段階冷却の他に、最終温度に達するまで10~30K/hの冷却速度を有する1段階冷却も可能である。
溶液が冷却される温度が低い程、第3の母液中になお残っているDCDPSの量は少なくなる。この一方で、冷却に要する努力は、温度が低下するに従い増加する。従って、溶媒は好ましくは、固定(B)で、-10~25℃、より好ましくは0~20℃、特に3~12℃の温度に冷却される。このような範囲での冷却は、段階収率(stage yield)が、必要とされる努力について最適化されるという長所を有する。このことは、全工程の廃棄物流が最小化可能になるという、追加的な効果を有する。
DCDPSを結晶化させるための溶液の冷却は好ましくは、DCDPSOの結晶化について上述したものと同様のモードで行われ、及び好ましくは、
(B.i)溶液の圧力を有機溶媒が蒸発を開始する圧力にまで減圧する工程、
(B.ii)蒸発した有機溶媒を、冷却によって凝縮する工程、
(B.iii)凝縮した有機溶媒を溶液と混合し、懸濁物を得る工程、
を含む。
粗DCDPSが水を含む場合、この工程で気密に閉鎖された容器内で、有機溶媒の他に、水の一部も蒸発することを考慮しないことは不可能である。従って、「有機溶媒」という用語が、蒸発工程及び冷却工程(B)での凝縮工程の記載で使用される場合、この技術分野お当業者は、有機溶媒は水をも含むことを理解する。
工程(Bi)で、圧力を気密に閉鎖された容器内の温度が、10~25℃、特に0~20℃、特に3~12℃にまで達するまで減圧することが、特に好ましい。これらの予め設定された温度では、気密に閉鎖された容器内の圧力は、典型的には10~400ミリバール(abs)、好ましくは10~200ミリバール(abs)、特に30~80ミリバール(abs)である。予め設定された温度に到達した後、減圧が停止され、及び次に密に閉鎖された容器が、環境圧力に達するまで通気される。密に閉鎖された容器内の温度プロフィールは好ましくは、溶液が持続的な過飽和状態になるように選択される。
環境圧力に到達した後、冷却によって気密に閉鎖された容器内に形成された有機溶媒中に粒子状の4,4’-ジクロロジフェニルスルホンを含む懸濁物(以降、「懸濁物」と記載)が取り出され、及び固-液分離工程(C)に供給される。
結晶化は好ましくは、懸濁物中の固体含有量が、結晶化の最終工程で、懸濁物の質量に基づいて、5~50質量%、より好ましくは5~40質量%、特に15~40質量%になるまで継続される。
バッチ式の冷却及び結晶化は、操作ウィンドウ及び結晶化条件という点でより高い柔軟性を許容し、及び工程条件でのヴァリエーションに対してより強く、及び従って通常では好ましい。
固-液分離は例えば、ろ過、遠心分離、又は沈澱を含む。好ましくは、固-液分離はろ過である固-液分離では、第3の母液が固体DCDPSから除去され、及び残留する水分を含む浄化されたDCDPS(以降、「浄化された湿ったDCDPS」とも記載)が得られる。固-液分離がろ過である場合、浄化されや湿ったDCDPSは、「浄化されたフィルターケーキ」と称される。
連続的に行うか、又はバッチ式に行うかとは独立して、固-液分離は好ましくは環境温度又は未満の温度で行われ、好ましくは0~10℃の温度で行われる。
好ましい低温とは別に、固-液分離は好ましくは、DCDPSO含有懸濁物の固-液分離について上述した態様と同様にして行われる。
DCDPSを更に浄化し、及び結晶化したDCDPSの表面から不純物(不純物は、残留する有機溶媒、浄化された湿ったDCDPS中、及び非結晶のDCDPS中に存在しても良い)を除去するために、浄化された湿ったDCDPSが有機溶媒で洗浄され、ここで該有機溶媒はDCDPSの溶解度が20℃で0.5~20%であるものである(以降、有機溶媒とも称する)。
洗浄に使用される有機溶媒の量は好ましくは、不純物及び非結晶化DCDPSが、湿ったDCDPSから除去されるように選択される。好ましくは、洗浄に使用される有機溶媒の量は、湿ったDCDPS1kgにつき、0.3~3kgであり、より好ましくは湿ったDCDPS1kgにつき、0.5~2kg、特に湿ったDCDPS1kgにつき、0.8~1.5kgである。洗浄用の有機溶媒の量が少ないと、有機溶媒を再循環させ、及びこれを工程サイクルに再使用するための努力が少なくなるが、しかしながら、有機溶媒の量が少ないと、カルボン酸、及び残留する4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシド、及び4,4’-ジクロロジフェニルスルホンの異性体についての洗浄効果が低くなる。
洗浄の後、浄化されたフィルターケーキは除去され、及び乾燥されて乾燥したDCDPSが形成物として得られる。
浄化された湿ったDCDPSの洗浄は好ましくは、環境温度で運転される。浄化された湿ったDCDPSを、環境温度とは異なる温度、例えば環境温度を超える温度で洗浄することも可能である。
固-液分離で得られる第3の母液、及び洗浄に使用される有機溶媒は、非結晶化DCDPSをなお含んでいても良い。工程で浄化されたDCDPSの収率を増すために、及び処分される有機溶媒の量を低減するために、好ましくは、第3の母液の少なくとも一部、及び任意に洗浄に使用される有機溶媒の少なくとも一部が蒸留によってワークアップ処理される。
第3の母液の少なくとも一部、及び任意に洗浄に使用される有機溶媒の少なくとも一部のワークアップ処理により、有機溶媒中になお溶解しているDCDPSの少なくとも一部を高沸点物として取り出し、高沸点物の少なくとも一部を浄化工程(A)~(E)又は浄化工程の上流側の工程段階に再循環させ、DCDPSを生成物として得、及び収率を増すことが可能である。更に、蒸留で浄化され、及び低沸点物として得られる有機溶媒は、DCDPSの溶解用の有機溶媒として、又はDCDPSの洗浄用の有機溶媒として、洗浄工程に再循環させることが可能である。有機溶媒がDCDPSの洗浄用に使用される場合、これは予め規定された純度必要条件を満たす必要がある。洗浄に使用するために、有機溶媒は好ましくは、有機溶媒の合計質量に基づいて、0.05質量%未満の不純物、より好ましくは0.03質量%未満の不純物、特に0.015質量%未満の不純物を含む。
特に好ましくは、蒸留によってワークアップ処理される第3の母液及び任意に洗浄に使用される有機溶媒の量は、第3の母液及び洗浄に使用される有機溶媒の合計量に基づいて、50~100質量%、より好ましくは70~100質量%、特に90~100質量%である。
DCDPSを溶解するために使用される有機溶媒、及び湿ったDCDPSを洗浄するために使用される有機溶媒は好ましくは、沸点におけるDCDPSの溶解度が、100%以下であるように選択される。適切な有機溶媒は例えば、対称性又は非対称性、分岐又は直鎖状の、例えばジエチルエーテル、又はメチルtert-ブチルエーテル、又はベンゼン、低分子量カルボン酸、特にC~Cカルボン酸、又は低分子量アルコール、特にC~Cアルコールである。好ましくは、有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルtert-ブチルエーテル、酢酸、トルエン、酢酸エチル、又はモノクロロベンゼンである。特に好ましくは、有機溶媒は、C~Cアルコール、特にメタノール、エタノール、又はイソプロパノールである。有機溶媒として最も好ましくは、メタノールである。
DCDPSを溶解させるために、及び洗浄のために、異なる有機溶媒を使用可能である。しかしながら、溶液を得るために、及び浄化された湿ったDCDPSを洗浄するために、同じ有機溶媒を使用することが特に好ましい。
固-液分離及び洗浄の後に、DCDPSがなお非常に多くの不純物を含んでいる場合には、工程段階(A)~(D)を繰り返すことが可能である。
乾燥した生成物を達成するために、有機溶媒をなお含んでいるDCDPSの洗浄の後、これが乾燥される。乾燥は、粒子状の物質を乾燥させるために使用可能な如何なる乾燥機内であっても行うことが可能である。
乾燥は好ましくは、壁温度が105~140℃、より好ましくは110~135℃、特に120~135℃である接触乾燥機を使用して行われる。DCDPSをこのような温度で乾燥させることにより、DCDPSのカラリング(着色)が回避される。乾燥は好ましくは、90~600分、より好ましくは180~350分、特に200~300分継続される。
乾燥工程を補佐し、及び例えば酸化によって生成物が損傷することを回避するために、乾燥機内の乾燥は好ましくは、不活性雰囲気内で行われる。不活性雰囲気は、不活性ガスを乾燥機内に供給することによって達成させる。
乾燥の間、蒸発によってDCDPSから除去された有機溶媒を再使用可能とするために、蒸発した有機溶媒は、冷却によって凝縮される。乾燥機内に不活性ガスが供給される場合、通常、不活性ガス及び蒸発した有機溶媒が乾燥機から一緒に取り出される。この場合、凝縮器内で、凝縮した有機溶媒が不活性ガスから分離される。例えば有機溶媒は、溶液(A)を製造するために、又はDCDPSを洗浄(D)するために再使用することが可能である。
これらの条件でDCDPSを乾燥させることによって、有機溶媒の含有量が400ppm未満である最終生成物が達成可能である。
乾燥の後、更なる処理、例えば保管又は輸送用の大きな袋に詰め込むことを可能とするために、DCDPSは冷却することが可能である。乾燥したDCDPSのための適切な冷却器は、スクリュー冷却器、パドル冷却器、又は他のバルク冷却器又は流動床冷却器であることが可能である。
実施例1(4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドの製造)
5.5モルのアンモニウムクロリド、40モルのクロロベンゼンが、第1の反応器としての攪拌タンク反応器に供給された。5モルのチオニルクロリドが反応混合物中に160分で加えられた。第1の反応器内での反応は、10℃で行われた。反応で製造された塩化水素が工程から取り出された。チオニルクロリドの添加が完了した後、反応混合物が60℃にまで加熱された。
第1の反応器内での反応が完了した後、反応混合物が、第2の攪拌タンク反応器に供給されたが、これは濃度が11質量%の3400gの塩酸を含んでいた。第2の反応器が90℃の温度にまで加熱された。30分後、混合が停止され、及び混合物が水性相と有機相に分離された。
水性相が取り出され、そして有機相が90℃で攪拌されつつ、3000gの水で洗浄された。洗浄の後、攪拌を停止し、及び混合物を水性相と有機相に分離した。
水性相が除去され、及び有機相が蒸留に処理された。有機相からモノクロロベンゼンが蒸留されたが、これは約88℃で飽和に達するまで行われた(懸濁プローブを介して監視、蒸留条件:200ミリバール(abc))。有機相を、温度が30℃になるまで、減圧することによって冷却した。
冷却によって、結晶化したDCDPSOを含む懸濁物が得られた。次に懸濁物がろ過されて、結晶化したDCDPSOを含むフィルターケーキが得られ、これを550gのモノクロロベンゼンで洗浄した。
母液及び洗浄に使用したモノクロロベンゼンの組み合わせを蒸留に処理した。蒸留で、母液と洗浄ろ液の組合せの量が、25質量%に低減するまでモノクロロベンゼンが除去された。蒸留は、90℃の底部温度及び200ミリバールの(abc)で運転された。
蒸留したモノクロロベンゼンは次のバッチで出発材料として再使用された一方で、得られた底部生成物の80質量%が次のバッチの結晶化に移された。
モノクロロベンゼンで洗浄した後、このようにして得られた、結晶化DCDPSOを含むモノクロロベンゼンで濡れたフィルターケーキを、300gのn-ヘプタン酸で洗浄し、及びn-ヘプタン酸で濡れたDCDPSOをフィルターケーキとして得た。
ろ液を蒸留に処理し、モノクロロベンゼンの頂部留分、及びn-ヘプタン酸とDCDPSOを含む底部留分を生成した。底部留分を新鮮なn-ヘプタン酸でトップアップし、及び次のろ過に再使用した。ろ過は、140℃の底部温度及び100ミリバール(abc)で運転した。
定常状態での4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドの生産量は1232gで、これは91.3%の収率に相当する。
n-ヘプタン酸で濡れたDCDPSOは純度が89.7質量%であり、8.9質量%のn-ヘプタン酸、0.8質量%のモノクロロベンゼン、0.3質量%の4,4’-ジクロロジフェニルスルフィド、0.3質量%の2,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドを含んでいた。
実施例2(4,4’-ジクロロジフェニルスルホンの製造)
1113gの、n-ヘプタン酸で濡れた4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドを、2900gのn-ヘプタン酸中に溶解させ、及び90℃に加熱した。7.2gの硫酸をこの溶液に加えた。3時間と10分の期間に亘り、143ミリリットルのHを、一定の供給速度でこの溶液に加えた。反応の間、壁冷却によって容器内の温度を90℃に制御したが、反応器内の温度は97~99℃であると測定された。この工程が完了した後、反応器を97℃で15分間、攪拌した。次に、Hの第2の量7ミリリットルを、10分以内に加えた。H投与を完了した後、溶液の温度を100℃に昇温した。反応器を100℃の温度で20分、攪拌した。
DCDPS及びn-ヘプタン酸を含む、得られた反応混合物に、881gの水を97℃の温度で加えた。このようにして得られた混合物は、表1に示した冷却プロフィールに従って、減圧することによって冷却した。
Figure 2022545831000003
この工程によって、2480gのn-ヘプタン酸及びDCDPSを含む懸濁物が得られた。
次に懸濁物を環境温度でろ過し、約80質量%のDCDPS、16質量%のn-ヘプタン酸及び4質量%の水を含むフィルターケーキが得られた。ろ過工程でフィルターケーキを分離した母液は、約78質量%のn-ヘプタン酸、約20質量%の水、及び約2.5質量%のDCDPSを含んでいた。懸濁物をろ過するために、Sefar(登録商標)Tetex DLW17-80000-SK020Pharamaフィルター布で覆われたガラスヌッチェが使用された。ろ過のために、500ミリバールの絶対圧がガラスヌッチェの下側に設定された。ろ過の後、フィルターケーキを乾燥空気で30秒、処理した。
実施例3(水性塩基及び水を使用したDCDPSの洗浄)
次に実施例2で得られたフィルターケーキを、2kgの希釈NaOH5%で洗浄した。洗浄のために、750ミリバール(abs)の圧力がヌッチェのフィルター側に設定された。
希釈NaOHでの洗浄に次いで、1.5kgの水を使用した洗浄を行った。水を使用した洗浄のために、500ミリバール(abs)の圧力が、ヌッチェのフィルター側に設定された。次に、フィルターケーキを30秒、乾燥空気を使用して処理した。
洗浄及び空気での乾燥の後、フィルターケーキは約20質量%の水、及び0.24質量%のn-ヘプタン酸を含んでいた。フィルターケーキ質量は、1369gであった。
ろ過工程で得らえた母液を相分離に処理した。相分離によって、482gの水性相、及び2712gの有機相が得らえた。
実施例4 (DCDPSの浄化)
実施例3で得られた、115gの水を含み、及び約0.24%のn-ヘプタン酸及び約240ppmの4,4’-DCDPSの異性体を含む500.4gのフィルターケーキを、1385gのメタノール中に懸濁させた。この混合物を、閉じた容器内で100℃の温度にまで加熱した。温度を100℃で、2時間及び20分、保持した。次に、容器内の圧力を減圧し、及びメタノールが蒸発を開始した。メタノールの蒸発で、DCDPSが結晶化した。容器内の温度を、10℃の温度に達するまで、1時間につき10ケルビンの速度で直線的に下げた。この温度に到達した後、環境圧力(ambient pressure)に達するまで容器を通気した。このようにして得られたDCDPSとメタノールの混合物をフィルターヌッチェ内でろ過した。このろ過によって、613.5gの質量の濡れたフィルターケーキが得られた。この濡れたフィルターケーキを400gのメタノールを使用して洗浄した。その後、洗浄したフィルターケーキを、130℃の壁温度を有するRotavapor(登録商標)ロータリー蒸発器内で5時間、乾燥させた。このようにして得られた生成物は、以下の組成を有していた:
99.987%4,4’-DCDPS
120ppmメタノール
90ppmDCDPS-異性体
<20ppm残りのカルボン酸。
実施例5(DCDPSの製造で使用されや溶媒のワークアップ処理)
実施例3での母液の相分離によって得られた有機相を、269gの50%硫酸と混合した。この混合物を、実施例2でのろ過で得られた母液と混合した。この混合した母液を次に、2つの流れ分離した。一つの流れを蒸留に処理し、及び一つの流れをストリッピングに処理した。蒸留及びストリッピングの後、得られた浄化されたカルボン酸流を再度混合した。混合した母液は以下の組成を有していた:
0.715質量%のモノクロロベンゼン、0.02質量%のドデカン、0.003質量%のn-へプタン酸メチルエステル、0.026質量%のバレリアン酸、0.315質量%のn-ヘキサン酸、95.02質量%のn-へプタン酸及び3.5質量%の水。
蒸留
310gの混合した母液を10のトレイを有するバッチ蒸留塔に供給し、及び160℃の底部温度、及び135℃の頂部温度及び52ミリバール(abs)の圧力で約4.5時間、蒸留した。蒸留によって得らえたカルボン酸は、以下の組成を有していた:
0.014質量%のモノクロロベンゼン、0.002質量%のドデカン、0.0質量%のn-へプタン酸メチルエステル、0.005質量%のバレリアン酸、0.185質量%のn-ヘキサン酸、99.52質量%のn-へプタン酸。
ストリッピング
88℃の温度を有する2627gの混合した母液をバッファー容器内に提供し、及び66ミリリットル/分の速度でストリッピング塔中に連続的に供給した。
ストリッピング塔は、10のトレイを有し、及び粗カルボン酸を頂部において、ストリッピング塔内に供給し、及び1時間あたり150NLの窒素を、ストリッピングガスとして底部においてストリッピング塔内に供給した。ストリッピング塔内の圧力は、300ミリバールであった。
ストリッピングの後、カルボン酸を連続的にストリッピング塔から除去し、及びこれは以下の組成を有していた:
0.456質量%のモノクロロベンゼン、0.018質量%のドデカン、0.003質量%のn-へプタン酸メチルエステル、0.025質量%のバレリアン酸、0.333質量%のn-ヘキサン酸、95.36質量%のn-へプタン酸、及び0.42質量%の水。
浄化したカルボン酸(ストリッピング及び蒸留から統一)は、酸化反応に戻され、及び0.41質量%のモノクロロベンゼン、2.2質量%の4,4’-DCDPS、0.54%の2,4’-DCDPS、約600ppmのラクトン、4000ppmのn-ヘキサン酸、240ppmのバレリアン酸、100ppmのエステル、及び160ppmのドデカンを含んでいた。

Claims (15)

  1. 4,4’-ジクロロジフェニルスルホンを製造するための方法であって、
    (I)チオニルクロリド、クロロベンゼン及びアルミニウムクロリドを、1:(6~9):(1~1.5)のチオニルクロリド:クロロベンゼン:アルミニウムクロリドのモル割合で、0~20℃未満の温度で反応させ、中間反応生成物及び塩化水素を形成する工程;
    (II)水性の塩酸及び中間反応生成物を、70~110℃の温度で混合し、4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドを含む有機相及び水性相を得る工程;
    (III)4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドを含む有機相を4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドの飽和点未満の温度に冷却し、結晶化した4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドを含む懸濁物を得る工程;
    (IV)懸濁物の固-液分離を行い、結晶化した4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドを含む残留モイスチャーを含む固体4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシド及び溶媒、及び母液を得る工程、
    (V)残留モイスチャーを含む固体4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドを、カルボン酸で洗浄し、カルボン酸-ウェット4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドを得る工程、
    (VI)カルボン酸-ウェット4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシド及び酸化剤を、溶媒としてのカルボン酸中で反応させて、4,4’-ジクロロジフェニルスルホン及びカルボン酸を含む反応混合物を得る工程、
    (VII)4,4’-ジクロロジフェニルスルホン及びカルボン酸を含む反応混合物を、粗生成物としての残留モイスチャーを含む4,4’-ジクロロジフェニルスルホン及びカルボン酸を含む液相に分離する工程、
    (VIII)任意に、残留モイスチャーを含む4,4’-ジクロロジフェニルスルホンをワークアップ処理する工程、
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 工程(VII)における反応混合物の分離が、
    (VII.a)気密に閉鎖された容器中で、反応混合物を水と混合し、液体混合物を得る工程であって、好ましくは工程(VII.a)での反応混合物に混合された水の量が、液体混合物の合計量に基づいて10~60質量%の範囲である工程、
    (VII.b)
    (i)気密に閉鎖された容器中の圧力を、水が蒸発を開始する圧力にまで減圧する工程、
    (ii)蒸発した水を、冷却することによって凝縮する工程、
    (iii)凝縮した水を、気密に閉鎖された容器中の液体混合物内に混合する工程、
    によって、工程(VII.a)で得られた液体混合物を、4,4’-ジクロロジフェニルスルホンの飽和点未満の温度に冷却して、結晶化した4,4’-ジクロロジフェニルスルホンを含む懸濁物を得る工程、
    (VII.c)懸濁物の固-液分離を行い、残留モイスチャーを含む4,4’-ジクロロジフェニルスルホン及びカルボン酸を含む液相を得る工程、
    を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(i)で、懸濁物が10~30℃の温度に冷却されるまで、圧力が減圧されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. 工程(VIII)で、残留モイスチャーを含む4,4’-ジクロロジフェニルスルホンが、水性塩基を使用して洗浄され、及び次に水を使用して洗浄され、第1の浄化した4,4’-ジクロロジフェニルスルホンが得られることを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の方法。
  5. 洗浄のために使用された後の水性塩基が強酸と混合され、及び水性相及びカルボン酸を含む有機層が得られる相分離が行われ、好ましくは強酸は、硫酸又はアルカンスルホン酸であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  6. カルボン酸が、少なくとも1種の脂肪族C~C10カルボン酸、好ましくはn-ヘキサン酸、n-ヘプタン酸、又はこれらの混合物であることを特徴とする、請求項1~5の何れか1項に記載の方法。
  7. 工程(III)での4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドを含む有機相の冷却が、気密に閉鎖された容器中で、
    (III.a)気密に閉鎖された容器中で減圧する工程、
    (III.b)溶媒を蒸発させる工程、
    (III.c)蒸発した溶媒を冷却によって凝縮させる工程、
    (III.d)凝縮した溶媒を気密に閉鎖された容器内に戻す工程、
    によって行われることを特徴とする、請求項1~6の何れか1項に記載の方法。
  8. 残留モイスチャーを含む4,4’-ジクロロジフェニルスルホンが洗浄される場合、残留モイスチャーを含む4,4’-ジクロロジフェニルスルホン又は第1の浄化した4,4’-ジクロロジフェニルスルホンが、更に、
    (A)残留モイスチャーを含む4,4’-ジクロロジフェニルスルホン又は第1の浄化した4,4’-ジクロロジフェニルスルホンを、4,4’-ジクロロジフェニルスルホンの溶解度が20℃で0.5~20%である有機溶媒中に溶解させ、溶液を得る工程、
    (B)溶液を、4,4’-ジクロロジフェニルスルホンの飽和点未満の温度にまで冷却し、結晶化した4,4’-ジクロロジフェニルスルホンを含む懸濁物を得る工程、
    (C)固-液分離を行い、残留モイスチャーを含む4,4’-ジクロロジフェニルスルホン及び母液を得る工程、
    (D)残留モイスチャーを含む4,4’-ジクロロジフェニルスルホンを、4,4’-ジクロロジフェニルスルホンの溶解度が20℃で0.5~20%である有機溶媒を使用して洗浄する工程、
    (E)任意に、工程(B)~(D)を繰り返す工程、
    (F)4,4’-ジクロロジフェニルスルホンを乾燥させる工程、
    (G)任意に、母液及び任意に4,4’-ジクロロジフェニルスルホンの溶解度が20℃で0.5~20%であり、蒸留による洗浄に使用された有機溶媒の少なくとも一部をワークアップ処理し、及び好ましくは溶解させる工程(A)に再循環させる工程、
    によって処理されることを特徴とする、請求項1~7の何れか1項に記載の方法。
  9. 工程(VII)で得られたカルボン酸を含む液相が、
    -カルボン酸を含む液相の一部を蒸留する工程、
    -カルボン酸を含む液相の少なくとも一部から、低沸点物をストリッピングする工程、
    -浄化したカルボン酸を反応工程(VI)に再循環させる工程、
    によって浄化されることを特徴とする、請求項1~8の何れか1項に記載の方法。
  10. 工程(IV)で得られた残留モイスチャーを含む固体4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドが、溶媒で洗浄され、好ましくは残留モイスチャーを含む4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドを洗浄するために使用された後に、前記溶媒の少なくとも一部が浄化され、及び次に再循環されることを特徴とする、請求項1~9の何れか1項に記載の方法。
  11. 工程(IV)で得られた母液が濃縮され、及び濃縮された母液の少なくとも一部が、4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドを含む有機相を冷却する工程(III)に再循環されることを特徴とする、請求項1~10何れか1項に記載の方法。
  12. 反応工程(VI)におけるカルボン酸の量が、4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドのカルボン酸に対する質量割合が、少なくとも1:2である量であることを特徴とする、請求項1~11何れか1項に記載の方法。
  13. 酸化剤が過酸化物であることを特徴とする、請求項1~12何れか1項に記載の方法。
  14. クロロベンゼン及びカルボン酸を含む液体混合物が、洗浄工程(V)から取り出され、及びクロロベンゼン及びカルボン酸を含む前記液体混合物が、実質的にクロロベンゼンを含む第1の流れ、及び実質的にカルボン酸を含む液相に分離され、及び好ましくは、前記液相は、洗浄工程(V)に再循環され、及び前記第1の流れは、反応工程(I)に再循環されることを特徴とする、請求項1~13何れか1項に記載の方法。
  15. 工程(II)で得られた4,4’-ジクロロジフェニルスルフォキシドを含む有機相が分離され、及び工程(III)での冷却の前に、70~110℃の温度で、水を使用して洗浄されることを特徴とする、請求項1~14何れか1項に記載の方法。
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