JP2022545784A - ジューシーなスポンジ食品製品 - Google Patents

ジューシーなスポンジ食品製品 Download PDF

Info

Publication number
JP2022545784A
JP2022545784A JP2022510845A JP2022510845A JP2022545784A JP 2022545784 A JP2022545784 A JP 2022545784A JP 2022510845 A JP2022510845 A JP 2022510845A JP 2022510845 A JP2022510845 A JP 2022510845A JP 2022545784 A JP2022545784 A JP 2022545784A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
formulation
oil
protein
porous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022510845A
Other languages
English (en)
Inventor
マーティン エルヴィン レッサー,
マーティン ミシェル,
エーリッヒ ジョセフ ウィンダブ,
ソクラテス フォスキーニ,
ジュディス ウェマー,
ロレダーナ マラフロンテ,
Original Assignee
ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー filed Critical ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
Publication of JP2022545784A publication Critical patent/JP2022545784A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23JPROTEIN COMPOSITIONS FOR FOODSTUFFS; WORKING-UP PROTEINS FOR FOODSTUFFS; PHOSPHATIDE COMPOSITIONS FOR FOODSTUFFS
    • A23J3/00Working-up of proteins for foodstuffs
    • A23J3/04Animal proteins
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23JPROTEIN COMPOSITIONS FOR FOODSTUFFS; WORKING-UP PROTEINS FOR FOODSTUFFS; PHOSPHATIDE COMPOSITIONS FOR FOODSTUFFS
    • A23J3/00Working-up of proteins for foodstuffs
    • A23J3/04Animal proteins
    • A23J3/08Dairy proteins
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23JPROTEIN COMPOSITIONS FOR FOODSTUFFS; WORKING-UP PROTEINS FOR FOODSTUFFS; PHOSPHATIDE COMPOSITIONS FOR FOODSTUFFS
    • A23J3/00Working-up of proteins for foodstuffs
    • A23J3/14Vegetable proteins
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23JPROTEIN COMPOSITIONS FOR FOODSTUFFS; WORKING-UP PROTEINS FOR FOODSTUFFS; PHOSPHATIDE COMPOSITIONS FOR FOODSTUFFS
    • A23J3/00Working-up of proteins for foodstuffs
    • A23J3/14Vegetable proteins
    • A23J3/16Vegetable proteins from soybean
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23JPROTEIN COMPOSITIONS FOR FOODSTUFFS; WORKING-UP PROTEINS FOR FOODSTUFFS; PHOSPHATIDE COMPOSITIONS FOR FOODSTUFFS
    • A23J3/00Working-up of proteins for foodstuffs
    • A23J3/22Working-up of proteins for foodstuffs by texturising
    • A23J3/26Working-up of proteins for foodstuffs by texturising using extrusion or expansion
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
    • A23L2/00Non-alcoholic beverages; Dry compositions or concentrates therefor; Their preparation
    • A23L2/02Non-alcoholic beverages; Dry compositions or concentrates therefor; Their preparation containing fruit or vegetable juices
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
    • A23L7/00Cereal-derived products; Malt products; Preparation or treatment thereof
    • A23L7/10Cereal-derived products
    • A23L7/109Types of pasta, e.g. macaroni or noodles
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23PSHAPING OR WORKING OF FOODSTUFFS, NOT FULLY COVERED BY A SINGLE OTHER SUBCLASS
    • A23P30/00Shaping or working of foodstuffs characterised by the process or apparatus
    • A23P30/10Moulding
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23PSHAPING OR WORKING OF FOODSTUFFS, NOT FULLY COVERED BY A SINGLE OTHER SUBCLASS
    • A23P30/00Shaping or working of foodstuffs characterised by the process or apparatus
    • A23P30/40Foaming or whipping
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23VINDEXING SCHEME RELATING TO FOODS, FOODSTUFFS OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES AND LACTIC OR PROPIONIC ACID BACTERIA USED IN FOODSTUFFS OR FOOD PREPARATION
    • A23V2002/00Food compositions, function of food ingredients or processes for food or foodstuffs

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Nutrition Science (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • General Preparation And Processing Of Foods (AREA)
  • Bakery Products And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
  • Jellies, Jams, And Syrups (AREA)
  • Noodles (AREA)

Abstract

本発明は、水及び油を吸収することができる、多孔質食用処方物の製造方法に関する。また、当該処方物の調製方法及び食品におけるその使用も提供される。【選択図】 なし

Description

[背景技術]
多くの果物及び野菜は、ジューシーであることに加えて歯応えがある。これらの物理特性は、野菜及び果物の組織の大部分が多面体の柔細胞で構成されており、薄い細胞壁が中葉によって一緒に保持されていることによるものである(Niklas、1992)。それらの構造は密に詰まっており、液体の充填された独立気泡構造と見なすことができる。組織の機械特性は、細胞壁及び中葉の仕組み、並びに植物細胞の膨圧と呼ばれる内圧に応じたものである。そのため、噛んでいる間に応力が加えられることで、液体の充填された膜を取り囲む細胞壁には脆性破壊が生じる。この破壊は、例えば、新鮮なニンジン組織で見ることができる。破壊によりサイトゾルが放出され、これがジューシーさの知覚につながる。調理、熟成、又は酵素分解により、ペクチン質の中葉の安定性が低下し、構造の軟化につながる。このためサイトゾルは、噛んでからそれ以上放出されない。これは含水量とは無関係に、汁気がない、又は「パサパサしている」という知覚につながる(Lillford、2011)。
つまり、ジューシーさは、咀嚼中に放出される液体の量に関する。これはまた、唾液の分泌にも関係すると考えられる。これは、水様の液体を保持する能力、及び応力限界を超えると液体を即時に放出する能力とされる。したがって、ジューシーであるという知覚が得られる新しい製品の創出は、食品産業及び消費者のいずれにも非常に望ましい。
[発明の概要]
本発明は、全般に、水及び油を吸収することができる多孔質食用処方物の製造方法に関するものであり、当該方法は、
タンパク質分散液を水で調製する工程と、
タンパク質分散液中にガスを分散させて、発泡体構造を形成する工程と、
任意に、発泡体構造を成型又は成形する工程と、
発泡体構造を膨張させる工程と、
体積加熱する工程と、
任意に乾燥させる工程と、
任意に断片に切断する工程と、を含む。
本発明は更に、好ましくは本明細書に記載の方法によって得られる、タンパク質を含む多孔質食用処方物に関する。
本発明は更に、食品製品における、本明細書に記載の多孔質食用処方物の使用に関する。
[発明が解決しようとする課題]
本発明は、水及び油を吸収することができる多孔質食用処方物の製造方法に関するものであり、当該方法は、
5~60重量%のタンパク質の水性液体中分散液、好ましくは水中分散液を調製する工程と、
タンパク質分散液中にガスを分散させて、発泡体構造を形成する工程と、
任意に、発泡体構造を成型又は成形する工程と、
発泡体構造を膨張させる工程と、
体積加熱により水分蒸発及びタンパク質変性を誘導する工程と、
任意に乾燥させる工程と、
任意に断片に切断する工程と、を含み、
体積加熱及び/又は乾燥は、電磁波の適用を含む。
いくつかの実施形態では、10~50重量%のタンパク質分散液が水性液で調製され、好ましくは、15~45重量%のタンパク質分散液が水性液体で調製される。
いくつかの実施形態では、水性液体は、水である。
いくつかの実施形態では、タンパク質分散液は、球状タンパク質分散液である。
いくつかの実施形態では、タンパク質分散液は、均質な分散液である。
いくつかの実施形態では、タンパク質分散液は、非植物性タンパク質分散液、例えば、ホエイタンパク質単離物分散液である。いくつかの実施形態では、25~45重量%のホエイタンパク質単離物分散液が水で調製され、好ましくは30~40重量%のホエイタンパク質単離物分散液が水で調製される。
いくつかの実施形態では、タンパク質分散液は、植物タンパク質、例えば、エンドウ豆タンパク質、ソラマメタンパク質、キャノーラタンパク質、及び大豆タンパク質のものであり、好ましくはエンドウマメタンパク質のものである。いくつかの実施形態では、10~20重量%のエンドウマメタンパク質単離物分散液が水で調製される。
いくつかの実施形態では、タンパク質分散液は、繊維、例えば、柑橘類繊維、フィブリル化セルロース、及び/又はペクチンを更に含む。
いくつかの実施形態では、タンパク質分散液は、可塑剤(plasticiser)、例えば、糖及び/又はヒドロコロイドを更に含む。
いくつかの実施形態では、タンパク質分散液は、デンプンを実質的に含まない。
いくつかの実施形態では、タンパク質分散液は、油を実質的に含まない。
いくつかの実施形態では、ガスは、機械的デバイスの使用によりタンパク質分散液中に分散されて、発泡体構造を形成する、例えば、回転膜発泡デバイス(rotating membrane foaming)により発泡体構造を形成する。あるいは、機械的デバイスは、Kitchen Aidの製品であってもよい。
いくつかの実施形態では、湿潤発泡体構造は、10~90体積%、好ましくは40~80体積%、最も好ましくは60~75体積%のガス体積分率を有する。
いくつかの実施形態では、気泡サイズは、特に発泡後、ただし加熱及び乾燥前に測定されたとき、100μm未満、好ましくは70μm未満のD50を有する。
いくつかの実施形態では、発泡体構造は、タンパク質変性温度より高く向上される。
いくつかの実施形態では、体積加熱により、発泡体構造のコアと表面層との間の(T中心-T表面)/T中心として定義される相対温度勾配が、-0.1~0.3、好ましくは-0.1~0.2、より好ましくは-0.1~0.1になる。
いくつかの実施形態では、発泡体構造の温度は、加熱中のタンパク質の変性温度よりも高い平均温度を有する。
いくつかの実施形態では、電磁波は、マイクロ波加熱により、最も好ましくは、対流加熱を重ね合わせたマイクロ波加熱により適用される。
いくつかの実施形態では、10~800mbar、好ましくは50~500mbar、より好ましくは100~300mbarの真空が、乾燥前及び/又は乾燥中に適用される。
いくつかの実施形態では、当該食用処方物は、最大500μm、好ましくは最大200μmの平均孔径を有する複数の開放細孔(open pores)を有する。
本発明は更に、水及び油を吸収することができ、かつタンパク質を含む、本明細書に記載の方法によって得られる多孔質食用処方物に関する。
いくつかの実施形態では、食用処方物は、タンパク質を含み、他の固形物質を実質的に含まない。
本発明は更に、水及び油を吸収することができ、10~50重量%のタンパク質を含む、多孔質食用処方物に関するものであり、食用処方物は、60重量%未満の含水量を有し、10~95体積%、好ましくは65~95体積%、より好ましくは80~95体積%の多孔率を有する。
いくつかの実施形態では、当該処方物は、崩壊せずに10重量%以下の程度まで水及び油を吸収することができる。
いくつかの実施形態では、当該処方物は、溶解せずに10重量%以下の程度まで水及び油を吸収することができる。言い換えれば、処方物の10%未満が溶解するか、又は液相に移動(migrates)する。
いくつかの実施形態では、処方物の水分含有量は、20重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満である。
いくつかの実施形態では、当該処方物は、柑橘類繊維及び/又は多糖類を更に含む。
いくつかの実施形態では、当該処方物は、水及び油を実質的に同じ速度で吸収することが可能であり、好ましくは、当該速度は、1mm/秒より速い。
いくつかの実施形態では、当該処方物は、水及び油を実質的に同じ速度で吸収することが可能であり、好ましくは、当該速度は、最大5mm/秒である。
いくつかの実施形態では、吸収された水及び油は、圧縮又は吸引によって除去され得る、及び同じ食用処方物に再吸収され得る。
いくつかの実施形態では、当該処方物は、構造を崩壊させずに最大2.2mm/秒、好ましくは最大5mm/sの速度で、0~100℃の水を吸収することが可能である。
いくつかの実施形態では、当該処方物は、0~100℃の温度の水を吸収することが可能であり、追加の構造膨潤効果により細孔容積の最大140%、好ましくは最大160%に水が充填される。
いくつかの実施形態では、当該処方物は、処方物を崩壊させずに最大1.5mm/秒、好ましくは最大5mm/sの速度で、0~200℃の油を吸収することが可能である。
いくつかの実施形態では、当該処方物は、0~200℃の温度の油を吸収することが可能であり、細孔容積の最大90%、好ましくは細孔容積の最大95%、最も好ましくは細孔容積の最大100%に油が充填される。
いくつかの実施形態では、当該処方物は、水の吸収後に弾性変形可能及び/又は塑性変形可能であり、油の吸収後に実質的に乾燥状態で脆い。
本発明は更に、食品製品、例えばパスタにおける、本明細書に記載の多孔質食用処方物の使用に関する。
本発明は更に、本明細書に記載の多孔質食用処方物を含む、食品製品に関する。
(A)熱風のみ(100℃、3時間)で乾燥させたホエイタンパク質単離物発泡体、(B)50W/60℃にて制御されたマイクロ波熱風乾燥で3時間乾燥させたホエイタンパク質単離物スポンジ構造物、及び(C)100W/60℃にて制御されたマイクロ波熱風乾燥で2時間乾燥させたホエイタンパク質単離物スポンジ構造物、の写真である。 異なる加熱条件での加熱/乾燥時間に対し、発泡体構造内部の相対温度勾配を示す。 (A)熱風のみ(100℃、3時間)で乾燥させたホエイタンパク質単離物発泡体、(B)制御されたマイクロ波熱風乾燥(50W/60℃、3時間)で乾燥させたホエイタンパク質単離物スポンジ構造物、の走査型電子顕微鏡画像である。 水中にホエイタンパク質単離物を含むスポンジ断片(食品着色剤で着色)を示す。水はスポンジ構造に吸収されている。 94体積%の多孔率を有する試料に、MilliQ水又はシリコン油を吸収させた後の、食用処方物の液体吸収能(灰色三角形)及び充填された細孔容積(黒四角)の分率を示す。 手で圧縮し、水に再浸漬した後のホエイタンパク質スポンジ構造物への吸水を示す。 水を充填したホエイタンパク質スポンジ及びシリコン油を充填したホエイタンパク質スポンジの、0.02mm/秒の圧縮速度での圧縮試験(食感分析器)を示す。 50W/60℃で乾燥させた乾燥状態で、オリーブ油を充填した、ホエイタンパク質単離物を示す。 飲料(ミルクコーヒー)に浸漬した乾燥ホエイタンパク質スポンジを充填したイタリアンビスケットを示す。飲料は、スポンジ製のコアに吸収されている。 ホエイタンパク質単離物スポンジを充填し、パスタ部を調理するため沸騰水に入れた、カネロニパスタを示す。スポンジフィリングは崩壊せずに水を吸収し、ジューシーになると共に柔らかくなる。 アガー(左)を添加した熱いクランベリー果汁に浸したホエイタンパク質スポンジ、及び冷却後のゼリー充填スポンジ(右)を示す。 クランベリーゼリーと、ゼリー充填スポンジとを比較した、0.5mm/秒の速度での貫入又は圧縮における応力-歪み曲線を示す。スポンジ構造の支持により、剛性の大幅な増加が起きる。
[発明を実施するための形態]
定義
以下の定義は、本明細書全体を通して使用される技術的特徴について提供される。
「スポンジ様」は、多孔質構造への液体の受動的又は能動的吸収を可能にする、5~95体積%の多孔率及び最大100%の開放細孔又は細孔チャネル構造を有する、多孔質構造を意味する。
「ジューシーさ」は、例えば、新鮮な果物及び野菜(水放出)又は肉(水及び油の放出)を食べる際に知覚される官能特性を示し、咀嚼中に放出される液体の量、このジュースを放出する力、一口噛んだときに及び経時的に放出されるジュースの量、ジュースの稠度、及び液体と固体との間のコントラストを説明するものである。したがって、ジューシーさは、食品が液体を保持すること、並びに咀嚼中などの圧縮又は破断時に液体を放出することができること、を必要とする。
「加熱により誘導される膨脹」は、エアレーションした製品の細孔容積が、加熱及び蒸気圧発生時に25%超、好ましくは50%超増加すること、を意味する。
「加熱によるタンパク質の変性」は、加熱によって誘導される、タンパク質構造のアンフォールディング又は解離と、その後の再会合及び/又は凝集を意味する。未処理の状態から変性状態への転移は、水素結合の切断、イオン相互作用、及びジスルフィド架橋の開裂による、タンパク質の二次構造及び三次構造の変化に伴うものである。
「体積加熱」は、例えば、構造体に浸透して放熱をもたらすマイクロ波などの電磁波を適用することにより、構造体又は製品の体積全体(中心から表面まで)を加熱することを意味する。これは、表面が加熱された後、表面から中心へと熱が伝達される、対流又は伝導による加熱とは対照的である。
「電磁波」又は「放射線」は、空間を通って伝播し、電磁放射エネルギーを伝える、電磁場の波を意味する。これには、電波、マイクロ波、赤外線、可視光、紫外線、X線、及びガンマ線を含む。
「温度勾配」又は「相対温度勾配」は、断面の幾何学的中心(半径方向)と表面層の温度との温度差を中心温度で割ったもの(温度勾配=(T中心-T表面)/T中心)を意味する。この勾配は、光ファイバ温度センサによって、成形又は成型された発泡体構造の最大半分の半径において、幾何学的中心と表面層との温度を測定することによって評価することができる。
「崩壊」は、例えば、食用処方物に水又は油が充填され次いで圧搾された後、あるいは、食用処方物が水若しくは油中に収容され又は食用処方物が水若しくは油と接触した後に、2つ以上の断片に分解することを意味する。
「タンパク質」は、アミノ酸残基の1つ以上の長鎖を含む植物性及び/又は動物性の生体高分子を意味する。タンパク質は、典型的には、ペプチド結合によって連結された50個以上のアミノ酸残基を含むポリマーである。タンパク質は、胃及び腸で塩酸及び内生酵素によって消化される。タンパク質は、人体にとっての必須栄養素であり、肉、乳、卵、マメ科植物、種子、並びに米又はオート麦のような複数種の穀物に大量に含有されている。本発明のタンパク質の例は、ホエイタンパク質、卵白タンパク質、エンドウマメタンパク質、及び大豆タンパク質である。
「繊維(又は食物繊維)」は、ヒトの小腸内の内生酵素によっては加水分解されない、10個以上のモノマー単位を有する炭水化物ポリマーを意味する。食物繊維の溶解度は、多糖類の規則正しい形態及び無秩序の形態に関する相対的安定性によって決定される。結晶配列で一緒に整合する分子は、溶液状態よりも固体状態でエネルギー的に安定である可能性が高い。したがって、直鎖多糖類、すなわちセルロースは不溶性(非可溶性)である一方で、分枝多糖類、又はペクチン若しくは変性セルロースなどの側鎖を有する多糖類はより可溶性である。したがって、「不溶性繊維」は、水への溶解度が低い、又はない繊維を意味する。しかし、不溶性繊維は、生成/抽出プロセスによる可溶性繊維の残留物を含有し得る。「可溶性繊維」は、ペクチンなどの高い溶解度を有する食物繊維を意味する。本発明の繊維の例は、セルロース繊維、例えば、柑橘類繊維、ヘミセルロース、ペクチン、β-グルカン、ゴム糊、及びガムなどの非デンプン性植物多糖類である。
「デンプン」は、グリコシド結合によってつながった多数のグルコース単位を有するポリマー炭水化物を意味する。デンプンは、α1,4結合でつながったグルコースモノマーを含む多糖類である。最も単純な形態のデンプンは、直鎖アミロースポリマーであり、アミロペクチンは、分枝形態である。デンプンは、ヒトの小腸で内生酵素によって加水分解される。デンプンは、ヒトの食事における最も一般的な炭水化物であり、ジャガイモ、小麦、トウモロコシ、米、及びキャッサバのような主食に多量に含有されている。
食用油脂は、動物又は植物に由来する脂質材料である。物理的には、油(例えば、ヒマワリ、キャノーラ)は室温で液体であり、脂肪(例えば、ラード)は固体である。化学的には、脂肪及び油は両方ともトリグリセリドを含む。これらは本質的に水に不溶性である。
糖は、甘味のある可溶性炭水化物の総称である。異なる原料に由来する様々な種類の糖がある。単純な糖は、単糖と呼ばれ、これには、グルコース(デキストロースとも呼ばれる)、フルクトース、及びガラクトースが挙げられる。「砂糖」又は「グラニュー糖」は、スクロース、すなわちグルコースとフルクトースとの二糖を指す。スクロースは体内でフルクトースとグルコースとに加水分解される。本明細書で使用される糖の例は、スクロース、フルクトース、グルコースである。
ベジタリアン用食用処方物又はベジタリアン用食品製品は、卵製品及び乳製品を除いて、いかなる動物製品も含まない。
組成が重量%を単位として本明細書に記載される場合、これは、別途記載のない限り、乾燥基準での原材料混合物を意味する。
「多孔率」は、多孔質食用処方物の体積全体における細孔容積の分率を意味し、細孔容積は全ての細孔の累積容積を意味する。
「脆い」は、弾性変形限度を超えると塑性変形せず破壊されることを意味する。
多孔質固体の弾性塑性変形すなわち弾塑性変形は、構造物の弾性変形と、続く塑性降伏とを意味し、構造物の脆性破砕とは対照的である。変形のうちの弾性部分は、典型的には可逆的なものであり、一方、塑性部分は、典型的には不可逆的なものである。
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「を含む(comprised of)」は、「含む(including)」又は「含む(includes)」又は「含有する(containing)」又は「含有する(contains)」と同義であり、他を包含し得るもの、すなわちオープンエンドであり、かつ追加の、列挙されていない構成、要素、又は工程を除外しない。用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「を含む(comprised of)」はまた、用語「を含む(consisting of)」を含む。
本明細書で使用するとき、用語「約」は、およそ、ほぼ、概ね、又はその付近、を意味する。用語「約」が数値又は範囲と共に使用される場合、その値又は範囲は、記載された数値(複数可)の上方及び下方の境界を拡大することによって、その値又は範囲を修正する。概して、「約」という用語は、本明細書中、言及した値の上下10%に数値を修正するのに使用される。
「実質的に含まない」は、例えば、糖又は脂肪を「を実質的に含まない」におけるように、脂肪又は糖の量が、5重量%未満、好ましくは4重量%未満、好ましくは3重量%未満、好ましくは2重量%未満、好ましくは1重量%未満であること、又は更には全く存在しないこと(0重量%)を意味する。
「実質的に乾燥している」は、含水量が10重量%未満になる程度までの乾燥を意味する。
「油及び水の吸収中の実質的に同じ速度」とは、水及び油が多孔質食用処方物に対して同じ湿潤性を示し得ないこと、あるいは空気に対して同じ表面張力を示し得ないことを考慮して、同じ液体粘度にて速度の相対差が200%以下であることを意味する。
多孔質食用処方物の製造方法
処方物は、高度に濃縮されたタンパク質分散液を発泡させ、続いてマイクロ波対流乾燥させることによって製造することができる。発泡工程は、タンパク質分散液の粘度に応じて、押出発泡、膜発泡、又は他の発泡技術によって実施され得る。得られた発泡体構造を、任意に成形又は成型し、続いて、電磁加熱例えばマイクロ波と、熱風とを重ね合わせて制御される体積加熱によって、加熱し及び任意に乾燥させる。マイクロ波によって生じさせるものなどの体積加熱は、発泡体の気泡において急速な蒸気発生及び蓄積をもたらし、発泡体構造を膨張させる。したがって、膨脹は、例えばマイクロ波加熱による、体積加熱によって実施することができる。膨張はまた、真空の適用によっても実施することができる。同時に、加熱は、気泡界面及び発泡体ラメラにおいてタンパク質を速く変性させる。制御されたマイクロ波出力の投入及び熱風温度により、構造物全体の温度分布を均一にすることが可能になる。これにより、均一な膨張、変性、並びに材料の水分の表面及び周囲への連続的な移動、ひいては後の外皮(クラスト)形成につながる。発泡体の気泡は、構造物全体においてそれらが合体し、連続チャネルを形成する程度まで膨張する。得られた開放多孔質かつ剛性の乾燥構造物は、本質的に両親媒性のタンパク質の親水性部分と疎水性部分との両方のアクセス可能性によって示されるものと同程度まで水及び/又は油を吸着する。赤外線加熱及びオーム抵抗加熱などの体積加熱を可能にする、他の加熱方法を使用することができる。
多孔質食用処方物
本発明の食用乾燥発泡体スポンジ材料は、液相(水相又は油相)との接触時に液体を取り込むこと、並びに咀嚼中になされるように応力を加えられたとき又は吸引されたときに前記液体を再び放出すること、ができる。液体の放出により、咀嚼中に、材料の歯応えには影響せずにジューシーな知覚が生じる。乾燥スポンジとしても示される乾燥発泡体は、ホエイタンパク質単離物などの、熱処理時に変性する球状タンパク質から作製される。他の球状タンパク質も使用することができる。乾燥スポンジは、スポンジ構造を崩壊させずに液体を吸着するものであり、それゆえに液体を取り込んで放出することが可能な乾燥発泡材料として適用することで、ジューシーな知覚を得ることができる。
スポンジ材料は、水相と油相との両方を吸収することができる。スポンジの食感は、追加の繊維を添加することによって調節することができる。
食品製品
ジューシーな材料は、ジューシーさを組み込むために、又は咀嚼時に液体を開放するように、食品に適用することができる。この食品としては、摂取前に液体(例えば、乳、コーヒー、ジュース、水)に浸漬され得る、ビスケット、朝食用シリアル又はスナック製品のフィリングが挙げられる。ヨーグルト、飲料、又はスープに使用するための果物様断片又は野菜様断片などの、より高い機械的安定性を有するゼリー構造物を作製するために、フィリングには、高粘性液体又はゼリー化液体を充填することができ、かつ微量栄養素のような天然量又は添加量の機能性食品成分を含有させ得る。ジューシーな材料は、歯応えのある材料と組み合わせることができる。スポンジ構造は、即席麺、パスタの即席フィリング、スナック、団子、又はペットフードなどの、水との接触時に柔らかくなる、即席製品として適用することができる。
[実施例]
実施例1
ホエイタンパク質スポンジの製造及び熱風乾燥のみの場合との比較
約40重量%のホエイタンパク質単離物を水道水に分散させ、一晩水和した。回転膜発泡デバイスでタンパク質分散液中に窒素を分散させることによって、分散液を発泡させた。得られたタンパク質発泡体は、ガス体積分率が70体積%であり、かつ数加重平均気泡サイズがd50,0=54μmであり、SPAN(=(x90,0-x10,0)/x50,0)によって規定される気泡サイズ分布幅が1.28であった。
約24mLの発泡体を、直径27.5mm及び高さ86mmの円筒状透明ポリプロピレン成形型に充填した。試料(1試行あたり4つの試料)を、100Wのマイクロ波電力及び60℃の熱風温度で2時間、又は50Wのマイクロ波電力及び60℃の熱風温度で3時間乾燥させた。図1(B)及び図1(C)に示す、直径20mm及び高さ70~85mmの得られた乾燥発泡体を成形型から取り外し、例えば断片に切断することによって、更に加工することができる。比較のために、図1(A)には、マイクロ波を重ね合わせずに熱風(対流)のみにより100℃の温度で3時間乾燥させた同じ発泡体を示す。この発泡体には不均一なしわがあり、より暗い外側外皮を備えた部分的に収縮した構造を有している。
加熱及び乾燥中に、発泡体構造の半径方向の中心及び表面層における温度を測定することにより、加熱及び乾燥プロセス中の均一な相対温度勾配の重要性が示された。図2は、幾何学的半径方向中心と表面層との間の温度差を中心温度で割ったもの[=(T中心-T表面)/T中心]として規定される、円筒状発泡体製品の断面にわたる相対温度勾配を示す。熱風乾燥のみでは非常に負の相対温度勾配がもたらされ、表面が中心部よりもはるかに速く熱くなることが表される。対照的に、マイクロ波の重ね合わせにより、コアのわずかに速い加熱又は発泡体構造全体にわたる均等な加熱がもたらされた。これにより、乾燥中の均等な膨張、タンパク質の変性、及び水の移動がもたらされ、ひいては蒸発により誘発される不均等な収縮を最小限に抑え、均質な多孔質構造物を作製することが可能になる。
図3に示される同じ試料(A)及び試料(B)の走査型電子顕微鏡画像により、熱風(対流)のみで乾燥(A)させたときの、より高密度の外皮及びシート様構造、並びにマイクロ波及び熱風で乾燥(B)させたときの、開放細孔表面、及び複数の球状細孔を有する細孔構造、が明らかになる。前記複数の球状細孔は、加熱及び乾燥プロセス全体を通して保持された発泡体気泡である。
実施例2
食用処方物のスポンジ様の液体吸収
図4に示す、実施例1における試料(C)(100W/60℃)の高さ20mm、密度0.09g/cmのスポンジ断片は、水(食品着色剤で着色)中、試料1g当たり、15gの水(η=1mPas、ρ=1.0g/cm)、及び9gの低粘度シリコン油(η=3mPas、ρ=0.9g/cm)を、水については約2.2mm/秒の速度、及び油については約1.5mm/秒で吸収した。
ホエイタンパク質単離物の固体密度を1.4g/cmと仮定すると、0.09g/cmの乾燥多孔質構造物の密度は、94体積%の多孔率に相当する。したがって、測定された油吸収能では、乾燥多孔質構造物における細孔容積の94%に油が充填されていることになる。対照的に、水は、細孔容積の140%を超えて充填され(図5参照)、食用処方物が水の吸収時に膨潤することが表された。
このスポンジは、当該ホエイタンパク質スポンジ構造物への水の吸収時には柔らかくなる一方で、油の吸収時には脆く剛性のままである。図6は、水を充填したホエイタンパク質スポンジ及び油を充填したホエイタンパク質スポンジの、0.02mm/秒の圧縮速度での圧縮における機械的特性を示す。
水の吸収時にスポンジが柔らかくなるのに伴い、水を、例えば手で押し出すことができ、及びスポンジには再充填することができる。図7に示すように、吸収される水の重量は、50回の圧縮及び再吸収サイクルにわたって15%以下減少した。
油を充填されたスポンジは、脆い構造に起因して圧縮及び再充填することができない。しかしながら、油は、例えば真空による、吸引によって除去することができる。あるいはスポンジは水の吸収によって柔らかくなり得るものであり、続いて水が絞り出され、このスポンジは油に浸漬され、油を吸収する。したがって、スポンジ構造は柔軟で弾性があり、吸収された油は手で絞り出すことができる。
実施例3
ホエイタンパク質スポンジの油吸収
実施例1に記載されるように、発泡体を製造及び成形した。発泡体を50Wのマイクロ波及び60℃の熱空気で3時間乾燥させ、成形型から外し、断片に切断した。図8に示すように、得られたスポンジをオリーブ油に浸漬した。このスポンジは、液体を即時に吸収し、剛性で脆いままであった。
実施例4
ビスケット中のホエイタンパク質スポンジ及び卵白タンパク質スポンジ
実施例1に記載されるように発泡体を製造した。ホエイタンパク質発泡体を市販のイタリアンビスケット(「カンノーリ」)に充填し、100W及び60℃のオーブンで20分乾燥させた。出来上がった製品は、図9に示すように、飲料、例えば、ジュース、コーヒー、乳に浸漬することができる。コア内のスポンジ材料は液体を吸収し、一方、外側部分には歯応えが残っている。同じ手順を、同じ固体濃度及びガス体積分率で卵白タンパク質発泡体に適用することができる。
実施例5
パスタ中のホエイタンパク質スポンジ
実施例1に記載されるように、発泡体を製造した。ホエイタンパク質発泡体を市販の乾燥カネロニパスタに充填し、100W及び60℃のオーブンで1.5時間乾燥させた。乾燥タンパク質充填物を有するカネロニは、パスタを柔らかくするために沸騰水中で調理することができる(図10を参照)。フィリングは溶解も崩壊もしないが、水を吸収し、ジューシーなタンパク質フィリングを有するアルデンテのカネロニが得られる。
実施例6
大豆タンパク質スポンジの製造
約18重量%の大豆タンパク質単離物を水道水に分散させ、一晩水和させ、約20体積%のガス体積分率に達するよう、厨房の機械(Kitchen Aid)で発泡させ、発泡体を大さじ2杯分ずつTeflonプレート上に分配し、50W及び60℃で1時間乾燥させた。得られた剛性のスポンジ構造は、崩壊せずに水を吸収し、水を充填したときには柔らかくなった。
実施例7
即席麺としての大豆タンパク質スポンジ
実施例6に記載の大豆タンパク質発泡体を、氷冷バッグで直径3~5mmの複数本の細いひもに成型し、オーブン内のトレイの下に追加の水浴を置いて50W/60℃で30分間乾燥させた。得られた乾燥多孔質の麺様生成物は水に浸漬することができ、水を吸収して、熱を加えなくとも即時に柔らかくなる。この生成物は、大豆タンパク質のみで構成されている。
実施例8
エンドウマメタンパク質スポンジの製造
約18重量%のエンドウマメタンパク質単離物を水道水に分散させ、一晩水和させ、約20体積%のガス体積分率に達するよう、厨房の機械(Kitchen Aid)で発泡させ、発泡体を大さじ2杯分ずつTeflonプレート上に分配し、50W及び60℃で1時間乾燥させた。得られた剛性で歯応えのあるスポンジ構造は、崩壊せずに水をゆっくり吸収し、水を充填したときには柔らかくなった。油に浸漬する場合、スポンジはゆっくり油を吸収し、その歯応えを維持する。このエンドウマメタンパク質スポンジの断片を更に加工してもよく、例えば、タンパク質ベースのクルトンに切断することができる。
実施例9
柑橘類繊維で補強されたホエイタンパク質スポンジ
約40重量%のホエイタンパク質単離物及び5重量%の柑橘類繊維を水道水に分散させ、一晩水和した。40体積%のガス体積分率に達するよう、分散体を厨房の機械(Kitchen Aid)で発泡させた。約24mLの発泡体を、直径27.5mm及び高さ86mmの円筒状透明ポリプロピレン成形型に充填した。試料を、100Wのマイクロ波電力及び60℃の熱風温度で2時間乾燥させた。得られた乾燥スポンジは、水と油のいずれをも吸収し、純粋なホエイタンパク質スポンジと比較してより剛性でより強い。
実施例10
ゼリー状果汁を充填したホエイタンパク質スポンジ
200mLのクランベリー果汁を0.7gのアガーアガー粉末と混合し、加熱して1分間沸騰させた。実施例2に記載のとおりに製造したホエイタンパク質スポンジを、熱いままのクランベリー果汁とアガーアガーとの混合物に浸漬した。果汁はすぐにスポンジ構造物に吸収された(図11)。充填したスポンジを4℃で4時間冷却することにより、クランベリー果汁とアガーアガーとの混合物をゲル化させた。
比較のために、同じ濃度のアガーアガー粉末を用い、プラスチックビーカー内で成形し冷却することによって、クランベリー果汁ゼリーを製造した。クランベリー果汁ゼリーは、成形型がないと非自立であった。
ゼリー充填スポンジ及び純粋ゼリーの剛性を、図12に示すように、それぞれ圧縮及び貫入による食感分析によって、0.5mm/秒の速度で比較した。スポンジ構造は、ゼリー充填スポンジの10重量%未満(クランベリー果汁ゼリーが90重量%超)を構成するが、ヤング率、すなわち剛性の尺度は、純粋なゼリーと比較して約35Pa~1500Pa増加する。ヤング率を、6~8%の歪みにおける線形域における勾配として測定した。応力-歪み曲線の初期部分(歪み=0~5%)は、試料のわずかに不均質な表面によるテーリングを示す。ゼリー充填スポンジは、果物断片と同等の食感を有する。スポンジ内部でのゲル化度を適切に合わせることにより、ジューシーさの程度を調整することができる。
実施例11
成形型なしでのスポンジ粒子の製造
40重量%のホエイタンパク質単離物を水道水に分散させ、一晩水和した。厨房用泡立て器(Kitchen Aid)で発泡させて、約65体積%のガス体積分率を得た。発泡体の直径5~10mmの液滴をTeflonプレート上に堆積させ、湿度をより高くするため500mLの水を入れた追加のビーカーをオーブンのキャビティに入れて、150W及び60℃で30分間乾燥させた。得られた剛性のスポンジ断片は、崩壊せずに水を吸収し、水を充填したときには柔らかくなった。スポンジ構造は、油と接触すると崩壊せずに油を吸収したが、脆いままであった。
実施例12
成形型におけるスポンジ球の製造
実施例11に記載されるように、発泡体を調製した。発泡体を直径約15~30mmのプラリネの成形型に移し、湿度をより高くするため500mLの水を入れた追加のビーカーをオーブンのキャビティに入れて、150W及び60℃で30分間乾燥させた。得られた剛性のスポンジ構造の球は、崩壊せずに水を吸収し、水を充填したときには柔らかくなった。実施例2に記載されるように、スポンジ構造は、油と接触すると崩壊せずに油を吸収したが、脆いままであった。
実施例13
後乾燥なしでのスポンジの製造
実施例11に記載されるように、発泡体を調製した。発泡体を実施例1と同様にシリンダーに移し、100W及び60℃で15分間乾燥させた。得られた多孔質処方物は、約50%の水分含有量を有し、崩壊せずに水及び油を吸収した。液体吸収能は、水に関しては試料1g当たり約6gであり、油に関しては試料1g当たり3gであった。

Claims (18)

  1. 水及び油を吸収することができる多孔質食用処方物の製造方法であって、
    a.5~60重量%のタンパク質の水性液体中分散液、好ましくは水中分散液を調製する工程と、
    b.前記タンパク質分散液中にガスを分散させて、発泡体構造を形成する工程と、
    c.任意に、前記発泡体構造を成型又は成形する工程と、
    d.前記発泡体構造を膨張させる工程と、
    e.体積加熱により水分蒸発及びタンパク質変性を誘導する工程と、
    f.任意に乾燥させる工程と、
    g.任意に断片に切断する工程と、を含み、
    体積加熱及び/又は乾燥が、電磁波の適用を含む、方法。
  2. 10~50重量%のタンパク質分散液が、水性液体で、好ましくは水で調製される、請求項1に記載の方法。
  3. ガスが、機械的デバイスの使用により前記タンパク質分散液中に分散されて、発泡体構造を形成し、前記機械的デバイスは、発泡体構造を形成するための回転膜発泡デバイスである、請求項1及び2に記載の方法。
  4. 前記湿潤発泡体構造が、10~90体積%のガス体積分率を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記電磁波が、マイクロ波加熱により、最も好ましくは、対流加熱を重ね合わせたマイクロ波加熱により適用される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記発泡体構造のコアと表面層との間の相対温度勾配が、-0.1~0.3、好ましくは-0.1~0.1であり、前記発泡体構造の平均温度は、加熱中の前記タンパク質の変性温度より高い、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 100~300mbarの真空が、乾燥前及び/又は乾燥中に適用される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記食用処方物が、最大500μm、好ましくは最大200μmの平均孔径を有する複数の開放細孔を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の方法によって得られた、タンパク質を含む多孔質食用処方物。
  10. 水及び油を吸収することができ、タンパク質を含む、多孔質食用処方物であって、前記食用処方物が、10重量%未満の含水量を有し、10~95体積%の多孔率を有し、前記処方物は、崩壊及び/又は溶解せずに10重量%以下の程度まで水及び油を吸収することができる、多孔質食用処方物。
  11. 前記処方物が、柑橘類繊維及び/又は多糖類を更に含む、請求項10に記載の多孔質食用処方物。
  12. 前記処方物が、水及び油を実質的に同じ速度、好ましくは最大5mm/秒で吸収することが可能であり、前記吸収された水及び油は、圧縮又は吸引によって除去され得、同じ前記処方物に再吸収され得る、請求項10及び11に記載の多孔質食用処方物。
  13. 前記処方物が、追加の構造膨潤効果により細孔容積の最大140%、好ましくは最大160%に水が充填される程度にまで、0~100℃の温度の水を吸収することが可能である、請求項10~12のいずれか一項に記載の多孔質食用処方物。
  14. 前記処方物が、細孔容積の最大90%、好ましくは細孔容積の最大95%、最も好ましくは細孔容積の最大100%に油が充填される程度まで、0~200℃の温度の油を吸収することが可能である、請求項10~13のいずれか一項に記載の多孔質食用処方物。
  15. 前記処方物が、水の吸収後において弾性変形可能及び/又は塑性変形可能であり、実質的に乾燥状態において及び油の吸収後において脆い、請求項10~14のいずれか一項に記載の多孔質食用処方物。
  16. 前記食用処方物が、脂肪を含まない、請求項10~15のいずれか一項に記載の多孔質食用処方物。
  17. 食品製品、例えばパスタにおける、請求項9~16のいずれか一項に記載の多孔質食用処方物の使用。
  18. 請求項9~16に記載の多孔質食用処方物を含む、食品製品。
JP2022510845A 2019-08-30 2020-08-28 ジューシーなスポンジ食品製品 Pending JP2022545784A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP19194739 2019-08-30
EP19194739.9 2019-08-30
PCT/EP2020/074089 WO2021038047A1 (en) 2019-08-30 2020-08-28 Juicy sponge food product

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022545784A true JP2022545784A (ja) 2022-10-31

Family

ID=67875233

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022510845A Pending JP2022545784A (ja) 2019-08-30 2020-08-28 ジューシーなスポンジ食品製品

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20220312796A1 (ja)
EP (1) EP4021204A1 (ja)
JP (1) JP2022545784A (ja)
CN (1) CN114340400A (ja)
WO (1) WO2021038047A1 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE19701944C1 (de) * 1997-01-21 1998-06-10 Cpc Maizena Gmbh Suppeneinlage, Verfahren zu ihrer Herstellung und Extrusionsdüse zur Durchführung des Verfahrens
DE602004020905D1 (de) * 2004-12-13 2009-06-10 Friesland Brands Bv Lebensmittelschaum, stabilisiert durch kleine, feste Partikel
FR3031276B1 (fr) * 2015-01-06 2020-12-25 Desjardins Lavisse Isabelle Produit alimentaire et/ou alicament de type genoise et son procede d'obtention a partir de denrees alimentaires.
EP3634136A1 (en) * 2017-06-07 2020-04-15 Société des Produits Nestlé S.A. Beverage powder comprising porous particles and partially aggregated protein

Also Published As

Publication number Publication date
WO2021038047A1 (en) 2021-03-04
CN114340400A (zh) 2022-04-12
US20220312796A1 (en) 2022-10-06
EP4021204A1 (en) 2022-07-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Himashree et al. Food thickening agents: Sources, chemistry, properties and applications-A review
Manzocco et al. Aerogels as porous structures for food applications: Smart ingredients and novel packaging materials
CN112930118A (zh) 用于制备基于植物的产品的方法
Wu et al. Characterization of oat (Avena nuda L.) β-glucan cryogelation process by low-field NMR
JP7340018B2 (ja) 高吸収性材料及びそれを調製する方法
JPH09502861A (ja) 超低水活性を有する熱安定性食用組成物
Larrea-Wachtendorff et al. Starch-based hydrogels produced by high-pressure processing (HPP): Effect of the starch source and processing time
Chen et al. Formation and performance of high acyl gellan hydrogel affected by the addition of physical-chemical treated insoluble soybean fiber
US20160058045A1 (en) Method of Loading Flavor into an Aerogel and Flavor Impregnated Aerogel Based on Food Grade Materials
Dhua et al. Aerogel: Functional emerging material for potential application in food: A review
Wu et al. Structural, rheological, and gelling characteristics of starch‐based materials in context to 3D food printing applications in precision nutrition
CN104640604A (zh) 高孔隙度纤维素海绵
Kavya et al. Edible oleogels based on high molecular weight oleogelators and its prospects in food applications
Ozilgen et al. Functional biopolymers in food manufacturing
JP3798889B2 (ja) 乾燥粒状物及び加工食品
JP2022545784A (ja) ジューシーなスポンジ食品製品
US20220279801A1 (en) Crunchy snack food product
Karim et al. A review on the hydration properties of dietary fibers derived from food waste and their interactions with other ingredients: Opportunities and challenges for their application in the food industry
JP6596262B2 (ja) 揚げ菓子
WO2021158910A1 (en) Superabsorbent material and methods of making the same
Wedamulla et al. Combined effect of heating temperature and content of pectin on the textural properties, rheology, and 3D printability of potato starch gel
US20220298322A1 (en) Method of making a porous sponge-like formulation, a porous sponge-like formulation, use of porous sponge-like formulation and a product comprising the foamed sponge-like formulation
JP3668707B2 (ja) 成型米飯及びその製造方法
Borompichaichartkul et al. Applications of Konjac Glucomannan in Food and Medicine
CN116508958A (zh) 一种改性竹笋膳食纤维提高虾糜凝胶特性的方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220221

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230719