JP2022545625A - 非天然アミノ酸の部位特異的組込みのためのアミノアシルtrnaシンテターゼおよび細胞株 - Google Patents
非天然アミノ酸の部位特異的組込みのためのアミノアシルtrnaシンテターゼおよび細胞株 Download PDFInfo
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Abstract
本発明は一般的に、遺伝子工学で作り変えられたtRNA、遺伝子工学で作り変えられたアミノアシルtRNAシンテターゼ、非天然アミノ酸、およびそれらを含む細胞、ならびに非天然アミノ酸のタンパク質への組み込みにおけるそれらの使用に関する。
Description
関連出願に対する他所参照
本願は、2019年8月8日に出願された米国仮特許出願第62/884,454号、2019年8月8日に出願された同62/884,465号および2019年11月18日に出願された同62/936,860号の利益およびそれらに対する優先権を主張し、それらのそれぞれは、全ての目的でそれらの全体において参照により本明細書に援用される。
本願は、2019年8月8日に出願された米国仮特許出願第62/884,454号、2019年8月8日に出願された同62/884,465号および2019年11月18日に出願された同62/936,860号の利益およびそれらに対する優先権を主張し、それらのそれぞれは、全ての目的でそれらの全体において参照により本明細書に援用される。
発明の分野
本発明は一般的に、遺伝子工学で作り変えられたtRNA、遺伝子工学で作り変えられたアミノアシルtRNAシンテターゼ、非天然アミノ酸およびそれらを含む細胞ならびに非天然アミノ酸のタンパク質への組み込みにおけるそれらの使用に関する。
本発明は一般的に、遺伝子工学で作り変えられたtRNA、遺伝子工学で作り変えられたアミノアシルtRNAシンテターゼ、非天然アミノ酸およびそれらを含む細胞ならびに非天然アミノ酸のタンパク質への組み込みにおけるそれらの使用に関する。
背景
天然には、タンパク質は、転写および翻訳として公知のプロセスを介して細胞内で産生される。転写の間に、目的のタンパク質を集合的にコードする一連のコドンを含む遺伝子は、メッセンジャーRNA(mRNA)に転写される。翻訳の間に、リボソームは、mRNAに取り付いてそれに沿って移動し、特定のアミノ酸を、コドンに対応する位置でmRNAから合成(翻訳)されるポリペプチド鎖に組み込んで、タンパク質を産生する。翻訳の間に、トランスファーRNA(tRNA)に連結する特異的な天然に存在するアミノ酸は、リボソームに進入する。アンチコドン配列を含むtRNAは、タンパク質が合成される間、mRNA中のそれらのそれぞれのコドン配列にハイブリダイズし、それらが保有するアミノ酸を、適切な位置で、発生しようとするタンパク質鎖に移す。
天然には、タンパク質は、転写および翻訳として公知のプロセスを介して細胞内で産生される。転写の間に、目的のタンパク質を集合的にコードする一連のコドンを含む遺伝子は、メッセンジャーRNA(mRNA)に転写される。翻訳の間に、リボソームは、mRNAに取り付いてそれに沿って移動し、特定のアミノ酸を、コドンに対応する位置でmRNAから合成(翻訳)されるポリペプチド鎖に組み込んで、タンパク質を産生する。翻訳の間に、トランスファーRNA(tRNA)に連結する特異的な天然に存在するアミノ酸は、リボソームに進入する。アンチコドン配列を含むtRNAは、タンパク質が合成される間、mRNA中のそれらのそれぞれのコドン配列にハイブリダイズし、それらが保有するアミノ酸を、適切な位置で、発生しようとするタンパク質鎖に移す。
過去数十年間にわたり、部位特異的に改変されたタンパク質、例えば哺乳動物タンパク質の均質な調製物を、例えば治療および診断などの種々の適用における使用のために、商業的な規模の量で産生するための大きな努力がなされてきた。さらに、これらの改変された哺乳動物タンパク質は、哺乳動物細胞中で天然に産生される天然のタンパク質と同様の様式で、適切に折り畳まれて十分に活性な形態でより容易に産生され得および/または翻訳後に改変され得るので、該タンパク質を、真核細胞(例えば哺乳動物細胞)内で産生するための努力がなされてきた。
部位特異的な改変を含むタンパク質を産生するための1つのアプローチは、1つ以上の非天然アミノ酸(UAA)の、目的のタンパク質への部位特異的な組込みを含む。UAAをインビボでタンパク質に部位特異的に組み込む能力は、タンパク質機能を増大させるためまたは自然では見られない新しい化学的官能基を導入するための有力なツールになっている。この技術に必要とされる中心的な要素としては:遺伝子工学で作り変えられたtRNA、tRNAにUAAを負荷する遺伝子工学で作り変えられたアミノアシルtRNAシンテターゼ(aaRS)、およびタンパク質が合成されている際にUAAのタンパク質への組み込みを方向づける特有のコドン、例えば終止コドンが挙げられる。
このアプローチの中心は、遺伝子工学で作り変えられたtRNA/aaRS対の使用であり、ここでaaRSは、発現宿主細胞中に通常存在するtRNAおよびアミノ酸と交差反応することなく、tRNAに目的のUAAを負荷する。これは、発現宿主細胞として生命の異なる界(domain)における生物に由来する遺伝子工学で作り変えられたtRNA/aaRS対を、遺伝子工学で作り変えられたtRNA/aaRS対(例えば遺伝子工学で作り変えられた細菌性tRNA/aaRS対)と発現宿主細胞(例えば哺乳動物細胞)中に自然にみられるtRNA/aaRS対の間の直交性(orthogonality)を最大にするように使用することにより達成された。aaRSを介してUAAを負荷される遺伝子工学で作り変えられたtRNAは、発現されるタンパク質をコードするmRNA中に存在する特有のコドン、例えば未成熟終止コドン(UAG、UGA、UAA)に結合またはハイブリダイズする。例えば、リボソームを介してタンパク質が合成される間UAAのタンパク質への組み込みを容易にするように、発現宿主細胞由来の内因性tRNAおよび内因性aaRSならびに該宿主細胞に導入された遺伝子工学で作り変えられた直交tRNAおよび直交aaRSを使用したタンパク質の合成を示す図1を参照。今日までに、特定の天然に存在するアミノ酸について種々の直交tRNA/aaRS対が作製されている(例えば米国特許公開US2017/0349891およびZheng et al. (2018) BIOCHEM. 57:441-445参照)。該アプローチは、バイオコンジュゲーションハンドル(bioconjugation handle)および光活性化性架橋剤などの部位特異的改変を含むタンパク質の発現を容易にし、治療剤(例えば抗体薬物コンジュゲート(ADC)、二重特異的抗体(例えば二重特異的モノクローナル抗体)、ナノボディ、ケモカイン、ワクチン、凝固因子、ホルモンおよび酵素)として使用され得る。
遺伝子工学で作り変えられたtRNA/aaRS対を発現宿主細胞に導入するために一過的なトランスフェクション技術が使用されているが、タンパク質を再現可能に延長された期間、高い力価で発現できないことは、このアプローチを、商業規模のタンパク質系生成物の信頼性のある製造には適切でないものにしていた。今日までなされた努力にかかわらず、必要とされる遺伝子的構成要素の一過的な送達の制限に取り組み、目的のタンパク質を高い力価で延長された期間発現させるように最適化された発現系を作製する、哺乳動物の細胞系発現プラットフォームについての必要性が残る。
発明の概要
本開示は、一般的に、タンパク質が合成されている際に、目的のタンパク質へのUAAの組み込みのために直交tRNA/アミノアシルtRNAシンテターゼ対が使用される分野に関する。本開示は、タンパク質への非天然アミノ酸の組み込みに使用するためのtRNA、アミノアシルtRNAシンテターゼおよび/または非天然アミノ酸の最適化、ならびに非天然アミノ酸を有するタンパク質の商業規模の産生のための、ゲノムまたは分子生物工学を介した発現プラットフォーム(細胞株)の構築および最適化に関する。
本開示は、一般的に、タンパク質が合成されている際に、目的のタンパク質へのUAAの組み込みのために直交tRNA/アミノアシルtRNAシンテターゼ対が使用される分野に関する。本開示は、タンパク質への非天然アミノ酸の組み込みに使用するためのtRNA、アミノアシルtRNAシンテターゼおよび/または非天然アミノ酸の最適化、ならびに非天然アミノ酸を有するタンパク質の商業規模の産生のための、ゲノムまたは分子生物工学を介した発現プラットフォーム(細胞株)の構築および最適化に関する。
一局面において、本発明は、タンパク質への組み込みのために、tRNAに非天然アミノ酸を負荷し得る原核生物ロイシルtRNAシンテターゼムテインを提供する。tRNAシンテターゼムテインは、配列番号:1のアミノ酸配列、ならびに(i)His537に対応する位置での少なくとも1つの置換(例えば疎水性アミノ酸での置換)、(ii)E20V、E20M、L41V、L41A、Y499H、Y499A、Y527I、Y527V、Y527Gおよびそれらの任意の組合せから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換、(iii)E20KおよびL41Sならびにそれらの任意の組合せから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換ならびにM40I、T252A、Y499IおよびY527Aならびにそれらの任意の組合せから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換、または(iv)(i)、(ii)および(iii)の2つ以上の組合せ、例えば(i)および(ii)、(i)および(iii)、(ii)および(iii)、ならびに(i)、(ii)および(iii)を含む。
ある態様において、tRNAシンテターゼムテインは、E20K、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527AもしくはH537Gまたはそれらの任意の組合せを含み得る(例えばtRNAシンテターゼムテインはE20K、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527AおよびH537Gを含み得る)。
ある態様において、ロイシルtRNAシンテターゼムテインは、20位に、GluまたはLys以外のアミノ酸での置換、例えば疎水性アミノ酸(例えばLeu、ValまたはMet)での置換を含む。例えば、tRNAシンテターゼムテインは、E20M、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527AおよびH537G;またはE20V、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527AおよびH537Gを含み得る。
ある態様において、ロイシルtRNAシンテターゼムテインは、41位に、LeuまたはSer以外のアミノ酸での置換、例えばLeu以外の疎水性アミノ酸(例えばGly、Ala、ValまたはMet)での置換を含む。例えば、tRNAシンテターゼムテインは、E20K、M40I、L41V、T252A、Y499I、Y527AおよびH537G;またはE20K、M40I、L41A、T252A、Y499I、Y527AおよびH537Gを含み得る。ある態様において、tRNAシンテターゼムテインはL41Vを含む。
ある態様において、ロイシルtRNAシンテターゼムテインは、499位に、Tyr、IleまたはSer以外のアミノ酸での置換、例えば小疎水性アミノ酸(例えばGly、AlaまたはVal)での置換を含む。例えば、tRNAシンテターゼムテインは、E20K、M40I、L41S、T252A、Y499A、Y527AおよびH537Gを含み得る。ある態様において、tRNAシンテターゼムテインは、499位に、正に荷電したアミノ酸(例えばLys、ArgまたはHis)での置換を含む。例えば、tRNAシンテターゼムテインは、E20K、M40I、L41S、T252A、Y499H、Y527AおよびH537Gを含み得る。
ある態様において、tRNAシンテターゼムテインは、527位に、AlaまたはLeu以外の疎水性アミノ酸(例えばIleまたはVal)での置換を含む。例えば、tRNAシンテターゼムテインは:E20K、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527IおよびH537G;E20K、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527VおよびH537G;またはE20K、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527GおよびH537Gを含み得る。
ある態様において、ロイシルtRNAシンテターゼムテインは、配列番号:2~13のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
別の局面において、本発明は、前述のtRNAシンテターゼムテインのいずれかをコードする核酸を提供する。
別の局面において、本発明は、前述の核酸のいずれかを含むトランスファーベクターを提供する。ある態様において、トランスファーベクターは、細胞に核酸を導入し得る。ある態様において、トランスファーベクター(またはトランスファーベクター由来の核酸)は、細胞のゲノムに安定であり得る。ある態様において、トランスファーベクター(またはトランスファーベクター由来の核酸)は、細胞のゲノムに組み込まれることなく、細胞内で安定に維持され得る。
別の局面において、本発明は、前述のtRNAシンテターゼムテインのいずれかを含む遺伝子工学で作り変えられた細胞を提供する。
別の局面において、本発明は、前述の核酸のいずれかを含む遺伝子工学で作り変えられた細胞を提供し、例えばここで核酸は、細胞のゲノムに安定に組み込まれるかおよび/または核酸は、細胞内で発現されて、対応するtRNAシンテターゼムテインを産生し得る。
別の局面において、本発明は、前述のトランスファーベクターのいずれかを含む遺伝子工学で作り変えられた細胞を提供する。ある態様において、トランスファーベクター(またはトランスファーベクター由来の核酸)は細胞のゲノムに安定に組み込まれる。ある態様において、トランスファーベクター(またはトランスファーベクター由来の核酸)は、細胞のゲノムに組み込まれないが、細胞内で安定に維持される。
前述の遺伝子工学で作り変えられた細胞のいずれかのある態様において、細胞はさらに、非天然アミノ酸を、細胞内での発現を経験するタンパク質に組み込み得るサプレッサロイシルtRNAを含む。例えば、サプレッサロイシルtRNAは、配列番号:16~42のいずれか1つから選択され得る。ある態様において、サプレッサロイシルtRNAをコードする核酸は、細胞のゲノムに安定に組み込まれ、例えば核酸は、細胞内で発現されて、対応するサプレッサtRNAを産生し得る。
前述の遺伝子工学で作り変えられた細胞のいずれかのある態様において、非天然アミノ酸は、ロイシンアナログ、例えばアルキン、アジド、シクロプロペン、アルケン、ケトン、アルデヒド、ジアジリン、テトラジンまたは任意の他の官能基を含む直鎖化ハロゲン化アルキルおよび直鎖化脂肪族鎖から選択されるロイシンアナログである。
前述の遺伝子工学で作り変えられた細胞のいずれかのある態様において、タンパク質は、未成熟終止コドンを含む核酸配列から発現され、例えばtRNAシンテターゼムテインは、サプレッサロイシルtRNAに、未成熟終止コドンに対応する位置でタンパク質に組み込まれる非天然アミノ酸を負荷し得る。ある態様において、サプレッサtRNAは、未成熟終止コドンにハイブリダイズし、非天然アミノが未成熟終止コドンに対応する位置でタンパク質に組み込まれることを可能にするアンチコドン配列を含む。
前述の遺伝子工学で作り変えられた細胞のいずれかのある態様において、細胞内で発現されるタンパク質は、抗体(またはその断片)、二重特異性抗体、ナノボディ、アフィボディ(affibody)、ウイルスタンパク質、ケモカイン、抗原、血液凝固因子、ホルモン、成長因子、酵素または任意の他のポリペプチドもしくはタンパク質である。
前述の遺伝子工学で作り変えられた細胞のいずれかのある態様において、細胞は原核細胞(例えば細菌細胞)または真核細胞(例えば哺乳動物細胞)である。
別の局面において、本発明は、非天然アミノ酸を含むタンパク質を発現する方法を提供する。該方法は、前述の遺伝子工学で作り変えられた細胞のいずれかを、非天然アミノ酸の、細胞内で発現されるタンパク質への組み込みを可能にする条件下で培養または増殖する工程を含む。ある態様において、タンパク質は、少なくとも5、10、15、20、25、30または35日間発現される。ある態様において、タンパク質は、標的タンパク質の最初の発現後、少なくとも5、10、15、20、25、30または35日間(例えば連続で)発現される。
本発明のこれらおよび他の局面および特徴は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲に記載される。
図面の説明
本発明は、以下の図面を参照してより完全に理解され得る。
図1は、非天然アミノ酸(UAA)を使用した遺伝コード拡張の概略的概観を示す。
図2A~2Cは、変異体ロイシルtRNAシンテターゼについての例示的な基質であるUAAのサブセットを示す。
図2A~2Cは、変異体ロイシルtRNAシンテターゼについての例示的な基質であるUAAのサブセットを示す。
図3は、変異体トリプトファニルtRNAシンテターゼについての例示的な基質であるUAAのサブセットを示す。
図4は、UAA組込みについてのレポーターとして蛍光活性を使用した、ロイシルtRNAシンテターゼムテイン活性アッセイの結果を示す。ロイシルtRNAシンテターゼ変異を図4Aに示し、終止コドン抑制およびUAA組込みを示す定量された蛍光を図4Bに示し、代表的な蛍光画像を図4Cに示す。
図4は、UAA組込みについてのレポーターとして蛍光活性を使用した、ロイシルtRNAシンテターゼムテイン活性アッセイの結果を示す。ロイシルtRNAシンテターゼ変異を図4Aに示し、終止コドン抑制およびUAA組込みを示す定量された蛍光を図4Bに示し、代表的な蛍光画像を図4Cに示す。
図4は、UAA組込みについてのレポーターとして蛍光活性を使用した、ロイシルtRNAシンテターゼムテイン活性アッセイの結果を示す。ロイシルtRNAシンテターゼ変異を図4Aに示し、終止コドン抑制およびUAA組込みを示す定量された蛍光を図4Bに示し、代表的な蛍光画像を図4Cに示す。
図5は、示されるロイシルtRNAシンテターゼムテインの多特異性(すなわち異なる非天然アミノ酸を組み込む、単一シンテターゼの能力)を示す。図5Aは、実施例1に記載される多特異性アッセイに使用されるUAAを示し、図5Bは、多特異性を示す蛍光画像を示す。
図5は、示されるロイシルtRNAシンテターゼムテインの多特異性(すなわち異なる非天然アミノ酸を組み込む、単一シンテターゼの能力)を示す。図5Aは、実施例1に記載される多特異性アッセイに使用されるUAAを示し、図5Bは、多特異性を示す蛍光画像を示す。
図6は、安定な細胞株の作製の例示的なワークフローを示す。図6Aは、例示的な安定細胞株作製プロセスの工程を示すフローチャートであり、図6Bは、安定トランスフェクション、二重蛍光レポーターでの特徴付けおよび組込みからクローン性単離までのプロセスを示す概略図である。
図7は、トランスフェクションおよび抗生物質選択後の安定なロイシルサプレッサ細胞株の蛍光細胞分析分離(FACS)プール分析およびクローン性単離を示す。45°の軸への集団シフトは、条件付GFPシグナルおよびUAA組込みの変化を示す。図7A~7Cは対照についての結果を示し、図7D~7Eはlipofectamine (LF)系トランスフェクションにより得られた安定な細胞株についての結果を示し、図7F~7Hはnucleofection (NF)系トランスフェクションにより得られた安定な細胞株についての結果を示す。クローン性集団を図7Iにおいて同定する。ピューロマイシン(Puro)濃度を示す。
図7は、トランスフェクションおよび抗生物質選択後の安定なロイシルサプレッサ細胞株の蛍光細胞分析分離(FACS)プール分析およびクローン性単離を示す。45°の軸への集団シフトは、条件付GFPシグナルおよびUAA組込みの変化を示す。図7A~7Cは対照についての結果を示し、図7D~7Eはlipofectamine (LF)系トランスフェクションにより得られた安定な細胞株についての結果を示し、図7F~7Hはnucleofection (NF)系トランスフェクションにより得られた安定な細胞株についての結果を示す。クローン性集団を図7Iにおいて同定する。ピューロマイシン(Puro)濃度を示す。
図7は、トランスフェクションおよび抗生物質選択後の安定なロイシルサプレッサ細胞株の蛍光細胞分析分離(FACS)プール分析およびクローン性単離を示す。45°の軸への集団シフトは、条件付GFPシグナルおよびUAA組込みの変化を示す。図7A~7Cは対照についての結果を示し、図7D~7Eはlipofectamine (LF)系トランスフェクションにより得られた安定な細胞株についての結果を示し、図7F~7Hはnucleofection (NF)系トランスフェクションにより得られた安定な細胞株についての結果を示す。クローン性集団を図7Iにおいて同定する。ピューロマイシン(Puro)濃度を示す。
図7は、トランスフェクションおよび抗生物質選択後の安定なロイシルサプレッサ細胞株の蛍光細胞分析分離(FACS)プール分析およびクローン性単離を示す。45°の軸への集団シフトは、条件付GFPシグナルおよびUAA組込みの変化を示す。図7A~7Cは対照についての結果を示し、図7D~7Eはlipofectamine (LF)系トランスフェクションにより得られた安定な細胞株についての結果を示し、図7F~7Hはnucleofection (NF)系トランスフェクションにより得られた安定な細胞株についての結果を示す。クローン性集団を図7Iにおいて同定する。ピューロマイシン(Puro)濃度を示す。
図7は、トランスフェクションおよび抗生物質選択後の安定なロイシルサプレッサ細胞株の蛍光細胞分析分離(FACS)プール分析およびクローン性単離を示す。45°の軸への集団シフトは、条件付GFPシグナルおよびUAA組込みの変化を示す。図7A~7Cは対照についての結果を示し、図7D~7Eはlipofectamine (LF)系トランスフェクションにより得られた安定な細胞株についての結果を示し、図7F~7Hはnucleofection (NF)系トランスフェクションにより得られた安定な細胞株についての結果を示す。クローン性集団を図7Iにおいて同定する。ピューロマイシン(Puro)濃度を示す。
図8Aおよび図8Bは、条件付mCherry-GFP*レポーターを用いた蛍光顕微鏡による細胞分類後の2~4週間の増殖の間の、クローン性単離物の再特徴付けを示す。画像の2列目に示されるように、GFP蛍光は、UAAの成功裡の組み込みを示す。
図9A~9Lは、mCherry-GFP*レポーターを用いた細胞分類後の2~4週間の増殖の間のクローン性単離物の再特徴付けを示すFACSヒストグラムを示す。図9A~9Jは、種々のクローン集団のFACSプロットである。図9Kは、トランスファーベクターを用いた一過的トランスフェクション対照であり、図9LはFACSからのサンプルゲートを示す。
図9A~9Lは、mCherry-GFP*レポーターを用いた細胞分類後の2~4週間の増殖の間のクローン性単離物の再特徴付けを示すFACSヒストグラムを示す。図9A~9Jは、種々のクローン集団のFACSプロットである。図9Kは、トランスファーベクターを用いた一過的トランスフェクション対照であり、図9LはFACSからのサンプルゲートを示す。
図9A~9Lは、mCherry-GFP*レポーターを用いた細胞分類後の2~4週間の増殖の間のクローン性単離物の再特徴付けを示すFACSヒストグラムを示す。図9A~9Jは、種々のクローン集団のFACSプロットである。図9Kは、トランスファーベクターを用いた一過的トランスフェクション対照であり、図9LはFACSからのサンプルゲートを示す。
図10は、示される細胞株におけるクローン性抑制効率およびタンパク質発現の比較である。図10Aは、クローン性の株にわたり条件付二重レポーターを用いた平均mCherryおよびGFP蛍光を示し、図10Bは、クローン性の株にわたり条件付二重レポーターを用いた平均mCherryおよびGFP蛍光の比を示し、図10Cは、クローン性の株にわたり条件付二重レポーターを用いたパーセンテージmCherry陽性細胞およびGFP陽性細胞の比を示す。
図10は、示される細胞株におけるクローン性抑制効率およびタンパク質発現の比較である。図10Aは、クローン性の株にわたり条件付二重レポーターを用いた平均mCherryおよびGFP蛍光を示し、図10Bは、クローン性の株にわたり条件付二重レポーターを用いた平均mCherryおよびGFP蛍光の比を示し、図10Cは、クローン性の株にわたり条件付二重レポーターを用いたパーセンテージmCherry陽性細胞およびGFP陽性細胞の比を示す。
図11は、抑制活性の読出しとしてGFPタンパク質産生を使用した、例示的なロイシル安定細胞株の生産性を示すSDS-PAGEクマシーゲルである。
図12は、読出しとして条件付二重レポーターを用いた、「野生型」ロイシルtRNAアンバーサプレッサまたはh1ロイシルtRNAアンバーサプレッサのいずれかによる、同じ選択条件下で作製された安定細胞株プールのFACS比較である。図12A~12Bは蛍光対照であり、図12C~12Dは、「野生型」ロイシルtRNAを使用した結果およびh1ロイシルtRNAを使用した結果のそれぞれを示す。図12Eは、それぞれの標的ゲートP5およびP6において同定された、選択されたクローンの数を示す。
図12は、読出しとして条件付二重レポーターを用いた、「野生型」ロイシルtRNAアンバーサプレッサまたはh1ロイシルtRNAアンバーサプレッサのいずれかによる、同じ選択条件下で作製された安定細胞株プールのFACS比較である。図12A~12Bは蛍光対照であり、図12C~12Dは、「野生型」ロイシルtRNAを使用した結果およびh1ロイシルtRNAを使用した結果のそれぞれを示す。図12Eは、それぞれの標的ゲートP5およびP6において同定された、選択されたクローンの数を示す。
図13は、トランスフェクションおよび抗生物質選択後の安定なトリプトファンサプレッサ細胞株のFACSプール分析およびクローン性単離である。図13A~13Bは蛍光対照を示し、図13C~13Dは、トリプトファンシンテターゼクローン性単離物のピューロマイシン選択についての2つの異なる条件を示す。
図13は、トランスフェクションおよび抗生物質選択後の安定なトリプトファンサプレッサ細胞株のFACSプール分析およびクローン性単離である。図13A~13Bは蛍光対照を示し、図13C~13Dは、トリプトファンシンテターゼクローン性単離物のピューロマイシン選択についての2つの異なる条件を示す。
図14Aは、UAA C5AzMe、LCAおよびAzWを示す。図14Bは、C5Azについての合成経路を示す。図14Cは、5-AzWについての合成経路を示す。図14D~Fは、LCAについての合成経路を示す。
図14Aは、UAA C5AzMe、LCAおよびAzWを示す。図14Bは、C5Azについての合成経路を示す。図14Cは、5-AzWについての合成経路を示す。図14D~Fは、LCAについての合成経路を示す。
図14Aは、UAA C5AzMe、LCAおよびAzWを示す。図14Bは、C5Azについての合成経路を示す。図14Cは、5-AzWについての合成経路を示す。図14D~Fは、LCAについての合成経路を示す。
図14Aは、UAA C5AzMe、LCAおよびAzWを示す。図14Bは、C5Azについての合成経路を示す。図14Cは、5-AzWについての合成経路を示す。図14D~Fは、LCAについての合成経路を示す。
図14Aは、UAA C5AzMe、LCAおよびAzWを示す。図14Bは、C5Azについての合成経路を示す。図14Cは、5-AzWについての合成経路を示す。図14D~Fは、LCAについての合成経路を示す。
本発明は、以下の図面を参照してより完全に理解され得る。
詳細な説明
本開示は一般的に、直交tRNA/アミノアシルtRNAシンテターゼ対を、目的のタンパク質への非天然アミノ酸の組み込みに使用する分野に関する。本開示は、遺伝子工学で作り変えられた直交tRNA、遺伝子工学で作り変えられたアミノアシルtRNAシンテターゼおよび/またはタンパク質への非天然アミノ酸の組み込みにおける使用のための非天然アミノ酸の最適化、ならびに非天然アミノ酸を有するタンパク質の商業規模の産生のためのゲノムまたは分子生物工学を介した発現プラットフォーム(細胞株)の構築および最適化に関する。
本開示は一般的に、直交tRNA/アミノアシルtRNAシンテターゼ対を、目的のタンパク質への非天然アミノ酸の組み込みに使用する分野に関する。本開示は、遺伝子工学で作り変えられた直交tRNA、遺伝子工学で作り変えられたアミノアシルtRNAシンテターゼおよび/またはタンパク質への非天然アミノ酸の組み込みにおける使用のための非天然アミノ酸の最適化、ならびに非天然アミノ酸を有するタンパク質の商業規模の産生のためのゲノムまたは分子生物工学を介した発現プラットフォーム(細胞株)の構築および最適化に関する。
本明細書で使用する場合、用語「直交(orthogonal)」は、目的の発現系(例えば内因性細胞性翻訳系)により、効率が低減されて使用される分子(例えば直交tRNAまたは直交アミノアシルtRNAシンテターゼ)をいう。例えば、目的の翻訳系における直交tRNAは、内因性アミノアシルtRNAシンテターゼによる内因性tRNAのアミノアシル化と比較した場合、効率が低減されるかまたは0ですらある目的の翻訳系の任意の内因性アミノアシルtRNAシンテターゼによりアミノアシル化される。別の例において、直交アミノアシルtRNAシンテターゼは、内因性アミノアシルtRNAシンテターゼによる内因性tRNAのアミノアシル化と比較した場合、効率が低減されるかまたは0ですらある目的の翻訳系において任意の内因性tRNAをアミノアシル化する。
本発明の種々の特徴および局面を以下により詳細に議論する。
I. アミノアシルtRNAシンテターゼ
本発明は、タンパク質への組み込みのためにtRNAに非天然アミノ酸を負荷し得る遺伝子工学で作り変えられたアミノアシルtRNAシンテターゼ(またはaaRS)に関する。本明細書で使用する場合、用語「アミノアシルtRNAシンテターゼ」は、タンパク質への組み込みのためにtRNAにアミノ酸(例えば非天然アミノ酸)を負荷するかまたは負荷し得る任意の酵素またはその機能的断片をいう。本明細書で使用する場合、アミノアシルtRNAシンテターゼの用語「機能的断片」は、対応する全長tRNAシンテターゼ(例えば天然に存在するtRNAシンテターゼ)の酵素活性の例えば少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%を保持する全長アミノアシルtRNAシンテターゼの断片をいう。アミノアシルtRNAシンテターゼ酵素活性は、当該技術分野で公知の任意の方法によりアッセイされ得る。例えば、インビトロアミノアシル化アッセイは、Hoben et al. (1985) METHODS ENZYMOL. 113:55-59および米国特許出願公開第2003/0228593号に記載され、細胞系アミノアシル化アッセイは、米国特許出願公開第2003/0082575号および同2005/0009049号に記載される。ある態様において、機能的断片は、全長tRNAシンテターゼ(例えば天然に存在するアミノアシルtRNAシンテターゼ)中に存在する少なくとも100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750または800の連続したアミノ酸を含む。
本発明は、タンパク質への組み込みのためにtRNAに非天然アミノ酸を負荷し得る遺伝子工学で作り変えられたアミノアシルtRNAシンテターゼ(またはaaRS)に関する。本明細書で使用する場合、用語「アミノアシルtRNAシンテターゼ」は、タンパク質への組み込みのためにtRNAにアミノ酸(例えば非天然アミノ酸)を負荷するかまたは負荷し得る任意の酵素またはその機能的断片をいう。本明細書で使用する場合、アミノアシルtRNAシンテターゼの用語「機能的断片」は、対応する全長tRNAシンテターゼ(例えば天然に存在するtRNAシンテターゼ)の酵素活性の例えば少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%を保持する全長アミノアシルtRNAシンテターゼの断片をいう。アミノアシルtRNAシンテターゼ酵素活性は、当該技術分野で公知の任意の方法によりアッセイされ得る。例えば、インビトロアミノアシル化アッセイは、Hoben et al. (1985) METHODS ENZYMOL. 113:55-59および米国特許出願公開第2003/0228593号に記載され、細胞系アミノアシル化アッセイは、米国特許出願公開第2003/0082575号および同2005/0009049号に記載される。ある態様において、機能的断片は、全長tRNAシンテターゼ(例えば天然に存在するアミノアシルtRNAシンテターゼ)中に存在する少なくとも100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750または800の連続したアミノ酸を含む。
用語アミノアシルtRNAシンテターゼは、野生型アミノアシルtRNAシンテターゼ配列に対して1つ以上の変異(例えばアミノ酸置換、欠失または挿入)を有するバリアント(すなわちムテイン)を含む。ある態様において、アミノアシルtRNAシンテターゼムテインは、単一の変異(例えば本明細書において企図される変異)または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15もしくは15より多くの変異(例えば本明細書において企図される変異)の組合せを含み得るか、それからなり得るかまたは本質的にそれからなり得る。アミノアシルtRNAシンテターゼムテインは、1~15、1~10、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~15、2~10、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~15、3~10、3~7、3~6、3~5、または4~10、4~7、4~6、4~5、5~10、5~7、5~6、6~10、6~7、7~10、7~8、または8~10の変異(例えば本明細書において企図される変異)を含み得るか、それからなり得るかまたは本質的にそれからなり得ることが企図される。
アミノアシルtRNAシンテターゼムテインは、野生型配列または本明細書に開示される配列に対して保存性の置換を含み得る。本明細書で使用する場合、用語「保存性の置換」は、構造的に同様のアミノ酸での置換をいう。例えば、保存性の置換は以下の群:SerおよびCys;Leu、IleおよびVal;GluおよびAsp;LysおよびArg;Phe、TyrおよびTrp;ならびにGln、Asn、Glu、AspおよびHisにあるものを含み得る。保存性の置換はまた、BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)アルゴリズム、BLOSUM置換マトリックス(例えばBLOSUM 62マトリックス)またはPAM置換:pマトリックス(例えばPAM 250マトリックス)により画定され得る。
ある態様において、アミノアシルtRNAシンテターゼムテインの基質特異性は、対応する(または鋳型)野生型アミノアシルtRNAシンテターゼに対して、一般的な20アミノ酸のいずれかでなく所望の非天然アミノ酸だけが基質tRNAに負荷されるように変化される。
アミノアシルtRNAシンテターゼは、細菌性供給源、例えば大腸菌、サーマス・サーモフィルスまたはバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermphilus)に由来し得る。アミノアシルtRNAシンテターゼはまた、古細菌供給源、例えばメタノサルシナ科またはデスルフィトバクテリウム(Desulfitobacterium)ファミリー、メタノサルシナ・バーケリ(M. barkeri)(Mb)、メタノメチロフィルス・アルブス(M. alvus)(Ma)、メタノサルシナ・マゼイ(M. mazei)(Mm)またはデスルフィトバクテリウム・ハフニセンス(D. hafnisense)(Dh)ファミリーのいずれか、メタノバクテリウム・サーモオートトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)、ハロフェラックス・ボルカニ(Haloferax volcanii)、ハロバクテリウム(Halobacterium)種NRC-1またはアルカエオグロブス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)に由来し得る。他の態様において、真核生物供給源、例えば植物、藻類、原生生物、真菌、酵母または動物(例えば哺乳動物、昆虫、節足動物等)も使用され得る。本明細書で使用する場合、用語「誘導体(derivative)」または「に由来する」は、特定の分子もしくは生物から単離されるかまたは特定の分子もしくは生物由来の情報を使用して作製される構成要素をいう。本明細書で使用する場合、用語「アナログ」は、(構造および/または機能に関して)参照構成要素(例えば野生型tRNA、野生型tRNAシンテターゼまたは天然アミノ酸)に由来するかまたは類似する構成要素(例えばtRNA、tRNAシンテターゼまたは非天然アミノ酸)をいう。ある態様において、誘導体またはアナログは、参照または元の(originator)構成要素(例えば野生型構成要素)として、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%またはそれ以上の所定の活性を有する。
アミノアシルtRNAシンテターゼは、基質tRNAをインビトロまたはインビボでアミノアシル化し得、ポリペプチドもしくはタンパク質として、またはアミノアシルtRNAシンテターゼをコードするポリヌクレオチドとして翻訳系(例えばインビトロ翻訳系または細胞)に提供され得ることが企図される。
ある態様において、アミノアシルtRNAシンテターゼは大腸菌ロイシルtRNAシンテターゼに由来し、例えばアミノアシルtRNAシンテターゼは、天然に存在するロイシンアミノ酸に対して、優先的に大腸菌ロイシルtRNA(またはそのバリアント)をロイシンアナログでアミノアシル化する。
例えば、アミノアシルtRNAシンテターゼは、配列番号:1、または配列番号:1に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。ある態様において、アミノアシルtRNAシンテターゼは、配列番号:1あるいは以下の変異:(i)配列番号:1の2位に対応する位置でのグルタミン残基の置換、例えばグルタミン酸(Q2E)での置換;(ii)配列番号:1の20位に対応する位置でのグルタミン酸残基の置換、例えばリジン(E20K)、メチオニン(E20M)もしくはバリン(E20V)での置換;(iii)配列番号:1の40位に対応する位置でのメチオニン残基の置換、例えばイソロイシン(M40I)もしくはバリン(M40V)での置換;(iv)配列番号:1の41位に対応する位置でのロイシン残基の置換、例えばセリン(L41S)、バリン(L41V)もしくはアラニン(L41A)での置換;(v)配列番号:1の252位に対応する位置でのトレオニン残基の置換、例えばアラニン(T252A)もしくはアルギニン(T252R)での置換;(vi)配列番号:1の499位に対応する位置でのチロシン残基の置換、例えばイソロイシン(Y499I)、セリン(Y499S)、アラニン(Y499A)もしくはヒスチジン(Y499H)での置換;(vii)配列番号:1の527位に対応する位置でのチロシン残基の置換、例えばアラニン(Y527A)、ロイシン(Y527L)、イソロイシン(Y527I)、バリン(Y527V)もしくはグリシン(Y527G)での置換;または(viii)配列番号:1の537位に対応する位置でのヒスチジン残基の置換、例えばグリシン(H537G)での置換、または前述の任意の組合せの1、2、3、4、5もしくはそれ以上を有するその機能的断片もしくはバリアントを含む。
ある態様において、アミノアシルtRNAシンテターゼは、(i)配列番号:1のHis537に対応する位置での少なくとも1つの置換(例えば疎水性アミノ酸での置換)、(ii)E20V、E20M、L41V、L41A、Y499H、Y499A、Y527I、Y527V、Y527Gおよびそれらの任意の組合せから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換、(iii)E20KおよびL41Sならびにそれらの任意の組合せから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換、ならびにM40I、T252A、Y499IおよびY527Aならびにそれらの任意の組合せから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換、または(iv)(i)、(ii)および(iii)の2つ以上の組合せ、例えば(i)と(ii)、(i)と(iii)、(ii)と(iii)および(i)と(ii)と(iii)を含む。
ある態様において、アミノアシルtRNAシンテターゼは、配列番号:1の20位に対応する位置でのグルタミン酸残基の置換、例えばGluまたはLys以外のアミノ酸での置換、例えば疎水性アミノ酸(例えばLeu、ValまたはMet)での置換を含む。ある態様において、アミノアシルtRNAシンテターゼは、配列番号:1の41位に対応する位置でのロイシン残基の置換、例えばLeuまたはSer以外のアミノ酸での置換、例えばLeu以外の疎水性アミノ酸(例えばGly、Ala、ValまたはMet)での置換を含む。ある態様において、アミノアシルtRNAシンテターゼは、配列番号:1の499位に対応する位置でのチロシン残基の置換、例えば小疎水性アミノ酸(例えばGly、AlaまたはVal)での置換、または正に荷電したアミノ酸(例えばLys、ArgまたはHis)での置換を含む。ある態様において、アミノアシルtRNAシンテターゼは、配列番号:1の527位に対応する位置でのチロシン残基の置換、例えばAlaまたはLeu以外の疎水性アミノ酸(例えばGly、Ile、MetまたはVal)での置換を含む。ある態様において、tRNAシンテターゼムテインはL41Vを含む。
ある態様において、アミノアシルtRNAシンテターゼは:(i)Q2E、E20K、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527AおよびH537G;(ii)Q2E、E20K、M40V、L41S、T252R、Y499S、Y527LおよびH537G;(iii)Q2E、M40I、T252A、Y499I、Y527AおよびH537G;(iv)Q2E、E20M、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527AおよびH537G;(v)Q2E、E20V、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527AおよびH537G;(vi)Q2E、E20K、M40I、L41V、T252A、Y499I、Y527AおよびH537G;(vii)Q2E、E20K、M40I、L41A、T252A、Y499I、Y527AおよびH537G;(viii)Q2E、E20K、M40I、L41S、T252A、Y499A、Y527AおよびH537G;(ix)Q2E、E20K、M40I、L41S、T252A、Y499H、Y527AおよびH537G;(x)Q2E、E20K、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527IおよびH537G;(xi)Q2E、E20K、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527VおよびH537G;(xii)Q2E、E20K、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527GおよびH537G;(xiii)E20K、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527AおよびH537G;(xiv)E20M、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527AおよびH537G;(xv)E20V、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527AおよびH537G;(xvi)E20K、M40I、L41V、T252A、Y499I、Y527AおよびH537G;(vii)E20K、M40I、L41A、T252A、Y499I、Y527AおよびH537G;(xviii)E20K、M40I、L41S、T252A、Y499A、Y527AおよびH537G;(xix)E20K、M40I、L41S、T252A、Y499H、Y527AおよびH537G;(xx)E20K、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527IおよびH537G;(xxi)E20K、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527VおよびH537G;ならびに(xxii)E20K、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527GおよびH537Gから選択される変異の組合せを含む。
ある態様において、アミノアシルtRNAシンテターゼは、配列番号:2~13のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号:2~13のいずれか1つに対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
ある態様において、tRNAシンテターゼムテインは、配列番号:14のアミノ酸配列を含み、ここでX2はQまたはEであり、X20はE、K、VまたはMであり、X40はM、IまたはVであり、X41はL、S、VまたはAであり、X252はT、AまたはRであり、X499はY、A、I、HまたはSであり、X527はY、A、I、LまたはVであり、X537はHまたはGであり、tRNAシンテターゼムテインは、配列番号:1に対して少なくとも1つの変異(例えば2、3、4、5、6、7、8、9またはそれ以上の変異)を含む。ある態様において、tRNAシンテターゼムテインは、配列番号:15のアミノ酸配列を含み、ここでX20はK、VまたはMであり、X41はS、VまたはAであり、X499はA、IまたはHであり、X527はA、IまたはVであり、tRNAシンテターゼムテインは配列番号:1に対して少なくとも1つの変異を含む。
ある態様において、アミノアシルtRNAシンテターゼは、大腸菌トリプトファニルtRNAシンテターゼに由来し、例えばアミノアシルtRNAシンテターゼは、天然に存在するトリプトファンアミノ酸に対してトリプロファンアナログを有する大腸菌トリプトファニルtRNA(またはそのバリアント)を優先的にアミノアシル化する。
例えば、アミノアシルtRNAシンテターゼは、配列番号:43または配列番号:43に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み得る。ある態様において、アミノアシルtRNAシンテターゼは、配列番号:43またはその機能的断片もしくはバリアントを含むが、以下の変異:(i)配列番号:43の8位に対応する位置でのセリン残基の置換、例えばアラニン(S8A)での置換;(ii)配列番号:43の144位に対応する位置でのバリン残基の置換、例えばセリン(V144S)、グリシン(V144G)もしくはアラニン(V144A)での置換;(iii)配列番号:43の146位に対応する位置でのバリン残基の置換、例えばアラニン(V146A)、イソロイシン(V146I)もしくはシステイン(V146C)での置換の1つ以上を有する。ある態様において、アミノアシルtRNAシンテターゼは:(i)S8A、V144SおよびV146A、(ii)S8A、V144GおよびV146I、(iii)S8A、V144AおよびV146A、ならびに(iv)S8A、V144GおよびV146Cから選択される変異の組合せを含む。
ある態様において、アミノアシルtRNAシンテターゼは、配列番号:44~47のいずれか1つのアミノ酸配列または配列番号:44~47のいずれか1つに対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
配列同一性は、当業者の技術の範囲内にある種々の方法で、例えば公的に利用可能なコンピューターソフトウェア、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign (DNASTAR)ソフトウェアを使用して決定され得る。プログラムblastp、blastn、blastx、tblastnおよびtblastxにより使用されるアルゴリズムを使用したBLAST (Basic Local Alignment Search Tool)分析(Karlin et al., (1990) PROC. NATL. ACAD. SCI. USA 87:2264-2268; Altschul, (1993) J. MOL. EVOL. 36, 290-300; Altschul et al., (1997) NUCLEIC ACIDS RES. 25:3389-3402、本明細書において参照により援用される)は、配列類似性の検索のために調整される。配列データベースの検索における基本的な問題の議論については、本明細書において参照により十分に援用されるAltschul et al., (1994) NATURE GENETICS 6:119-129参照。当業者は、比較される配列の全長にわたり最大の整列(alignment)を達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、整列を測定するための適切なパラメーターを決定し得る。ヒストグラム、ディスクリプション、アラインメント、エクスペクト(すなわちデータベース配列に対する適合を報告するための統計的有意さ閾値)、カットオフ、マトリックスおよびフィルターについての検索パラメーターは、デフォルト設定にある。blastp、blastx、tblastnおよびtblastxにより使用されるデフォルトスコアリングマトリックスは、BLOSUM62マトリックスである(Henikoff et al., (1992) PROC. NATL. ACAD. SCI. USA 89:10915-10919、本明細書において参照により十分に援用される)。4つのblastnパラメーターは以下の通りに調整され得る:Q=10(ギャップ生成ペナルティー);R=10(ギャップ伸長ペナルティー(gap extension penalty));wink=1(クエリに沿ってwink.sup.thの位置毎にワードヒットを生じる);およびgapw=16(ギャップのあるアラインメントが生成されるウィンドウ幅を設定する)。同等のblastpパラメーター設定は、Q=9;R=2;wink=1;およびgapw=32であり得る。検索はまた、NCBI (National Center for Biotechnology Information) BLAST Advanced Optionパラメーターを使用して実施され得る(例えば:-G、オープンギャップについてのコスト[整数]:デフォルト=ヌクレオチドについて5/タンパク質について11;-E、伸長ギャップについてのコスト[整数]:デフォルト=ヌクレオチドについて2/タンパク質について1;-q、ヌクレオチドミスマッチについてのペナルティー[整数]:デフォルト=-3;-r、ヌクレオチド適合についての報酬(reward)[整数]:デフォルト=1;-e、予測値[実数]:デフォルト=10;-W、ワードサイズ[整数]:デフォルト=ヌクレオチドについて11/megablastについて28/タンパク質について3;-y、ビットでのblast伸長についてのドロップオフ(X):デフォルト=blastnについて20/その他について7;-X、ギャップのあるアラインメントについてのXドロップオフ値(ビット(in bit)):デフォルト=全てのプログラムについて15であるがblastnには適用可能ではない;および-Z、ギャップのあるアラインメントについての最終Xドロップオフ値(ビット):blastnについて50、その他について25)。ペアワイズタンパク質アラインメントについてのClustalWも使用され得る(デフォルトパラメータは、例えばBlosum62マトリックスおよびギャップオープンペナルティー(Gap Opening Penalty)=10およびギャップ伸長ペナルティー=0.1を含み得る)。GCGパッケージバージョン10.0において利用可能な配列間の最適合比較はDNAパラメーターGAP=50(ギャップ生成ペナルティー)およびLEN=3(ギャップ伸長ペナルティー)を使用する。最適合タンパク質比較における同等の設定はGAP=8およびLEN=2である。
タンパク質、例えばアミノアシルtRNAシンテターゼを作製するための方法は当該技術分野で公知である。例えば、目的のタンパク質をコードするDNA分子は、化学的にまたは組み換えDNA方法論により合成され得る。目的のタンパク質をコードする得られたDNA分子を、他の適切なヌクレオチド配列、例えば発現制御配列などに連結して、所望のタンパク質をコードする従来の遺伝子発現構築物(すなわち発現ベクター)を作製し得る。所定の遺伝子構築物の作製は、当該技術分野の常套的な技術の範囲内である。
所望のタンパク質(例えばアミノアシルtRNAシンテターゼ)をコードする核酸を、発現ベクターに組み込み(連結し)得、これを従来のトランスフェクションまたは形質転換技術により宿主細胞に導入し得る。例示的な宿主細胞は、大腸菌細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胚性腎臓293(HEK 293)細胞、HeLa細胞、新生児ハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えばHep G2)および骨髄腫細胞である。形質転換された宿主細胞は、宿主細胞が所望のタンパク質を発現することを可能にする条件下で増殖され得る。
特定の発現および精製条件は、使用する発現系に応じて変化する。例えば、遺伝子が大腸菌において発現される場合、該遺伝子は最初に、適切な細菌性プロモーター、例えばTrpまたはTacおよび原核生物シグナル配列の下流に遺伝子工学で作り変えられた遺伝子を配置することにより発現ベクター内にクローニングされる。発現されたタンパク質は分泌され得る。発現されたタンパク質は、屈折体(refractile)または封入体内に蓄積し得、フレンチプレスまたは超音波処置による細胞の破壊後に回収され得る。次いで屈折体を可溶化して、当該技術分野で公知の方法により、タンパク質を再折り畳みし得るかおよび/または切断し得る。
遺伝子工学で作り変えられた遺伝子が真核生物宿主細胞、例えばCHO細胞中で発現される場合、該遺伝子は最初に、適切な真核生物プロモーター、分泌シグナル、ポリA配列および終止コドンを含む発現ベクターに挿入される。任意に、ベクターまたは遺伝子構築物はエンハンサーおよびイントロンを含み得る。遺伝子構築物は、従来技術を使用して真核生物宿主細胞に導入され得る。
目的のタンパク質(例えばアミノアシルtRNAシンテターゼ)は、かかるタンパク質をコードする発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞を、タンパク質の発現を可能にする条件下で増殖(培養)することにより作製され得る。発現後、当該技術分野で公知の技術、例えばグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)またはヒスチジンタグなどの親和性タグを用いてタンパク質を回収および精製または単離し得る。
アミノアシルtRNAシンテターゼを作製するためおよびシンテターゼの基質特異性を変更するためのさらなる方法は、米国特許出願公開第2003/0108885号および同2005/0009049号、Hamano-Takaku et al. (2000) JOURNAL OF BIOL. CHEM. 275(51):40324-40328、Kiga et al. (2002) PROC. NATL. ACAD. SCI. USA 99(15): 9715-9723ならびにFrancklyn et al. (2002) RNA, 8:1363-1372に見られ得る。
本発明はまた、本明細書に開示されるアミノアシルtRNAシンテターゼをコードする核酸を包含する。例えば、本明細書に開示されるロイシルtRNAシンテターゼムテインをコードするヌクレオチド配列は配列番号:55~66に示される。したがって、本発明は、配列番号:55~66のいずれか1つのヌクレオチド配列、または配列番号:55~66のいずれか1つに対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。本発明はまた、配列番号:55~66のいずれか1つにコードされるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列または配列番号:55~66のいずれか1つにコードされるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。
II. tRNA
本発明は、非天然アミノ酸のタンパク質への組み込みを媒介するトランスファーRNA(tRNA)に関する。
本発明は、非天然アミノ酸のタンパク質への組み込みを媒介するトランスファーRNA(tRNA)に関する。
タンパク質合成の間に、tRNA分子は、成長中のタンパク質(ポリペプチド)鎖への組み込みのためにリボソームにアミノ酸を送達する。tRNAは典型的に、約70~100ヌクレオチド長である。活性なtRNAは、その合成の間にtRNAに転写され得るかまたは転写後プロセッシングの間に後で付加され得る3'CCA配列を含む。アミノアシル化の間、所定のtRNA分子に結合されるアミノ酸は、3'末端リボースの2'または3'ヒドロキシル基に共有結合されて、アミノアシルtRNA(aa-tRNA)を形成する。アミノ酸は、2'ヒドロキシル基から3'ヒドロキシル基へとおよびその逆に自発的に移動し得るが、リボソームで3'-OH位置から成長中のタンパク質鎖に組み込まれることが理解される。折り畳まれたaa-tRNA分子の他の末端でのループは、アンチコドンとして公知の3塩基の配列を含む。このアンチコドン配列がリボソーム結合mRNA中の相補的な3塩基コドン配列にハイブリダイズするかまたは塩基対形成する場合、aa-tRNAは、リボソームに結合し、そのアミノ酸は、リボソームにより合成されているポリペプチド鎖に組み込まれる。特定のコドンと塩基対形成する全てのtRNAは単一の特定のアミノ酸によりアミノアシル化されるので、遺伝コードの翻訳は、tRNAによりもたらされる。mRNA中の61の非終止コドンのそれぞれは、その同起源aa-tRNAの結合および単一の特定のアミノ酸の、リボソームにより合成されている成長中のポリペプチド鎖への付加を方向づける。用語「同起源(cognate)」は、一緒になって機能する構成要素、例えばtRNAおよびアミノアシルtRNAシンテターゼをいう。
サプレッサtRNAは、所定の翻訳系におけるmRNAの読み取りを変更する改変されたtRNAである。例えば、サプレッサtRNAは、終止コドン、4塩基コドンまたはまれなコドンなどのコドンを読み得る。サプレッサにおける該用語の使用は、特定の情況下で、改変されたtRNAが、mRNA中のコドンの典型的な表現型効果を「抑制する」という事実に基づく。サプレッサtRNAは典型的に、コドン特異性を変えるかまたはいくつかの位置で、tRNAのアミノアシル化同一性を変更する力のいずれかをするアンチコドンにおける変異(改変)を含む。用語「抑制活性」は、tRNA、例えばサプレッサtRNAが、目的の系において内因性の翻訳機構により読まれないコドン(例えば未成熟終止コドン)を読む能力をいう。
ある態様において、tRNA(例えばサプレッサtRNA)は、改変されたアンチコドン領域を含み、該改変されたアンチコドンは、対応する天然に存在するアンチコドンとは異なるコドンとハイブリダイズする。
ある態様において、tRNAは、UAG(すなわち「アンバー」終止コドン)、UGA(すなわち「オパール」終止コドン)およびUAA(すなわち「オーカー」終止コドン)から選択されるコドンにハイブリダイズするアンチコドンを含む。
ある態様において、tRNAは、非標準コドン、例えば4-または5ヌクレオチドコドンにハイブリダイズするアンチコドンを含む。4塩基コドンの例としては、AGGA、CUAG、UAGAおよびCCCUが挙げられる。5塩基コドンの例としては、AGGAC、CCCCU、CCCUC、CUAGA、CUACUおよびUAGGCが挙げられる。非標準コドン、例えば4-または5ヌクレオチドコドンにハイブリダイズするアンチコドンを含むtRNAおよびかかるtRNAを使用して非天然アミノ酸をタンパク質に組み込む方法は、例えばMoore et al. (2000) J. MOL. BIOL. 298:195;Hohsaka et al. (1999) J. AM. CHEM. SOC. 121:12194;Anderson et al. (2002) CHEMISTRY AND BIOLOGY 9:237-244;Magliery (2001) J. MOL. BIOL. 307: 755-769;およびPCT公開番号WO2005/007870に記載される。
本明細書で使用する場合、用語「tRNA」は、参照(例えば野生型)tRNA配列に対して1つ以上の変異(例えばヌクレオチド置換、欠失または挿入)を有するバリアントを含む。ある態様において、tRNAは、単一の変異(例えば本明細書において企図される変異)または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15もしくは15より多くの変異(例えば本明細書において企図される変異)の組合せを含み得るか、それからなり得るかまたは本質的にそれからなり得る。tRNAは、1~15、1~10、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~15、2~10、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~15、3~10、3~7、3~6、3~5または3~4の変異(例えば本明細書において企図される変異)を含み得るか、それからなり得るかまたは本質的にそれからなり得ることが企図される。
ある態様において、バリアントサプレッサtRNAは、対応の野生型サプレッサtRNA(この文脈において、野生型サプレッサtRNAは、抑制活性を付与するアンチコドン領域に対する任意の改変を別にして野生型tRNA分子に対応するサプレッサtRNAをいう)に対して、非天然アミノ酸(例えば本明細書において企図される非天然アミノ酸)を哺乳動物タンパク質に組み込むための増加された活性を有する。バリアントサプレッサtRNAの活性は、野生型サプレッサtRNAに対して、例えば約2.5~約200倍、約2.5~約150倍、約2.5~約100倍 約2.5~約80倍、約2.5~約60倍、約2.5~約40倍、約2.5~約20倍、約2.5~約10倍、約2.5~約5倍、約5~約200倍、約5~約150倍、約5~約100倍、約5~約80倍、約5~約60倍、約5~約40倍、約5~約20倍、約5~約10倍、約10~約200倍、約10~約150倍、約10~約100倍、約10~約80倍、約10~約60倍、約10~約40倍、約10~約20倍、約20~約200倍、約20~約150倍、約20~約100倍、約20~約80倍、約20~約60倍、約20~約40倍、約40~約200倍、約40~約150倍、約40~約100倍、約40~約80倍、約40~約60倍、約60~約200倍、約60~約150倍、約60~約100倍、約60~約80倍、約80~約200倍、約80~約150倍、約80~約100倍、約100~約200倍、約100~約150倍または約150~約200倍だけ増加され得る。
tRNAは、インビトロまたはインビボにおいて機能し得、成熟tRNA(例えばアミノアシル化tRNA)として、またはtRNAをコードするポリヌクレオチドとして、翻訳系(例えばインビトロ翻訳系または細胞)に提供され得ることが企図される。
tRNAは、細菌性供給源、例えば大腸菌、サーマス・サーモフィルスまたはバチルス・ステアロサーモフィルスに由来し得る。tRNAはまた、古細菌供給源、例えばメタノサルシナ科またはデスルフィトバクテリウムファミリー、メタノサルシナ・バーケリ(Mb)、メタノメチロフィルス・アルブス(Ma)、メタノサルシナ・マゼイ(Mm)もしくはデスルフィトバクテリウム・ハフニセンス(Dh)ファミリーのいずれか、メタノバクテリウム・サーモオートトロフィカム、ハロフェラックス・ボルカニ、ハロバクテリウム種NRC-1、またはアルカエオグロブス・フルギダスに由来し得る。他の態様において、真核生物供給源、例えば植物、藻類、原生生物、真菌、酵母または動物(例えば哺乳動物、昆虫、節足動物等)も使用され得る。
ある態様において、tRNAは大腸菌ロイシルtRNAに由来し、例えば大腸菌ロイシルtRNAシンテターゼに由来するアミノアシルtRNAシンテターゼ、例えば本明細書において企図されるアミノアシルtRNAシンテターゼにより、天然に存在するロイシンアミノ酸に対して、ロイシンアナログで優先的に負荷される。
例えば、tRNAは、配列番号:16~42のいずれか1つのヌクレオチド配列または配列番号:16~42のいずれか1つに対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み得るか、本質的にそれからなり得るかまたはそれからなり得る。
ある態様において、tRNAは、大腸菌トリプトファニルtRNAに由来し、例えば大腸菌トリプトファニルtRNAシンテターゼに由来するアミノアシルtRNAシンテターゼ、例えば本明細書において企図されるアミノアシルtRNAシンテターゼにより、天然に存在するトリプトファンアミノ酸に対して、トリプトファンアナログで優先的に負荷される。
例えば、tRNAは、配列番号:49~53のいずれか1つのヌクレオチド配列または配列番号:49~53のいずれか1つに対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み得るか、本質的にそれからなり得るかまたはそれからなり得る。
本説明を通して、tRNAが1つ以上のチミン(T)を含むヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなるそれぞれの例において、tRNAはまた、1つ以上のチミン(T)の代わりにウラシル(U)または全てのチミン(T)の代わりにウラシル(U)を含む同じヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなることが企図されることが理解される。同様に、tRNAが1つ以上のウラシル(U)を含むヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなるそれぞれの例において、tRNAはまた、1つ以上のウラシル(U)の代わりにチミン(T)または全てのウラシル(U)の代わりにチミン(T)を含むヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれからなるかまたはそれからなることが企図される。また、塩基に対するさらなる改変が存在し得る。
組換えtRNAを作製するための方法は、米国特許出願公開第2003/0108885号および同2005/0009049号、Forster et al. (2003) PROC. NATL. ACAD. SCI. USA 100(11):6353-6357ならびにFeng et al. (2003), PROC. NATL. ACAD. SCI. USA 100(10): 5676-5681に記載される。
tRNAは、酵素的または化学的方法などの任意の方法により、所望の非天然アミノ酸(UAA)でアミノアシル化(すなわち負荷)され得る。
tRNAを負荷し得る酵素分子としては、アミノアシルtRNAシンテターゼ、例えば本明細書に開示されるアミノアシルtRNAシンテターゼが挙げられる。tRNAを負荷し得るさらなる酵素分子としては、例えばIllangakekare et al. (1995) SCIENCE 267:643-647, Lohse et al. (1996) NATURE 381:442-444, Murakami et al. (2003) CHEMISTRY AND BIOLOGY 10:1077-1084、米国特許出願公開第2003/0228593号に記載されるようなリボザイムが挙げられる。
化学的アミノアシル化法としては、Hecht (1992) ACC. CHEM. RES. 25:545、Heckler et al. (1988) BIOCHEM. 1988, 27:7254、Hecht et al. (1978) J. BIOL. CHEM. 253:4517、Cornish et al. (1995) ANGEW. CHEM. INT. ED. ENGL. 34:621、Robertson et al. (1991) J. AM. CHEM. SOC. 113:2722、Noren et al. (1989) SCIENCE 244:182、Bain et al. (1989) J. AM. CHEM. SOC. 111:8013、Bain et al. (1992) NATURE 356:537、Gallivan et al. (1997) CHEM. BIOL. 4:740、Turcatti et al. (1996) J. BIOL. CHEM. 271:19991、Nowak et al. (1995) SCIENCE 268:439、Saks et al. (1996) J. BIOL. CHEM. 271:23169およびHohsaka et al. (1999) J. AM. CHEM. SOC. 121:34に記載されるものが挙げられる。
III. 非天然アミノ酸(UAA)
本発明は、非天然アミノ酸(UAA)およびそれらのタンパク質への組み込みに関する。
本発明は、非天然アミノ酸(UAA)およびそれらのタンパク質への組み込みに関する。
本明細書で使用する場合、非天然アミノ酸は、以下の20種類の遺伝子的にコードされるαアミノ酸:アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン以外の任意のアミノ酸、改変されたアミノ酸またはアミノ酸アナログをいう。20種類の天然アミノ酸の構造について、例えばBiochemistry by L. Stryer, 3rd ed. 1988, Freeman and Company, New York参照。用語非天然アミノ酸はまた、天然アミノ酸の改変(例えば翻訳後改変)により生じるが、それ自体は、翻訳複合体により成長中のポリペプチド鎖に天然では組込まれないアミノ酸を含む。
非天然アミノ酸は典型的に、側鎖の構造のみにおいて天然アミノ酸と異なるので、非天然アミノ酸は、例えばそれらが天然に存在するタンパク質中で形成される同じ様式で、他のアミノ酸とアミド結合を形成し得る。しかしながら、非天然アミノ酸は、それらと天然アミノ酸を区別する側鎖基を有する。例えば、側鎖は、アルキル-、アリール-、アシル-、ケト-、アジド-、ヒドロキシル-、ヒドラジン、シアノ-、ハロ-、ヒドラジド、アルケニル、アルキル、エーテル、チオール、セレノ-、スルホニル-、ボレート、ボロネート、ホスホ、ホスホノ、ホスフィン、複素環式、エノン、イミン、アルデヒド、エステル、チオ酸、ヒドロキシルアミン、アミン等、またはそれらの任意の組合せを含み得る。他の天然に存在しないアミノ酸としては、限定されないが、光活性化性架橋剤を含むアミノ酸、スピン標識アミノ酸、蛍光アミノ酸、金属結合アミノ酸、金属含有アミノ酸、放射性アミノ酸、新規の官能基を有するアミノ酸、他の分子と共有的または非共有的に相互作用するアミノ酸、光ケージ化(photocaged)および/または光異性化性(photoisomerizable)アミノ酸、ビオチンまたはビオチンアナログを含むアミノ酸、グリコシル化アミノ酸、例えば糖置換セリン、他の炭水化物改変アミノ酸、ケト含有アミノ酸、ポリエチレングリコールまたはポリエーテルを含むアミノ酸、重原子置換アミノ酸、化学切断性および/または光切断性のアミノ酸、限定されないが約5炭素より多くまたは約10炭素より多くを含む、限定されないがポリエーテルまたは長鎖炭化水素などの天然アミノ酸と比較して伸長された側鎖を有するアミノ酸、炭素連結糖含有アミノ酸、レドックス活性アミノ酸、アミノチオ酸含有アミノ酸、および1つ以上の毒性部分を含むアミノ酸が挙げられる。
新規の側鎖を含む非天然アミノ酸に加えて、非天然アミノ酸は任意に改変された骨格構造も含む。
多くの非天然アミノ酸は、天然アミノ酸、例えばチロシン、グルタミン、フェニルアラニン等に基づく。チロシンアナログとしては、パラ置換チロシン、オルト置換チロシンおよびメタ置換チロシンが挙げられ、ここで置換されたチロシンは、ケト基(限定されないがアセチル基を含む)、ベンゾイル基、アミノ基、ヒドラジン、ヒドロキシアミン、チオール基、カルボキシ基、イソプロピル基、メチル基、C6-C20直鎖または分岐鎖炭化水素、飽和または不飽和炭化水素、O-メチル基、ポリエーテル基、ニトロ基等を含む。また、複数置換されたアリール環も企図される。グルタミンアナログとしては、限定されないがα-ヒドロキシ誘導体、γ-置換誘導体、環状誘導体およびアミド置換グルタミン誘導体が挙げられる。例示的なフェニルアラニンアナログとしては、限定されないがパラ置換フェニルアラニン、オルト置換フェニルアラニンおよびメタ置換フェニルアラニンが挙げられ、ここで置換基は、ヒドロキシ基、メトキシ基、メチル基、アリル基、アルデヒド、アジド、ヨード、ブロモ、ケト基(限定されないがアセチル基を含む)等を含む。非天然アミノ酸の具体例としては、限定されないが、p-アセチル-L-フェニルアラニン、p-プロパルギル-フェニルアラニン、O-メチル-L-チロシン、L-3-(2-ナフチル)アラニン、3-メチル-フェニルアラニン、O-4-アリル-L-チロシン、4-プロピル-L-チロシン、トリ-O-アセチル-GlcNAcβ-セリン、L-ドパ、フッ化フェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニン、p-アジド-L-フェニルアラニン、p-アシル-L-フェニルアラニン、p-ベンゾイル-L-フェニルアラニン、L-ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、p-ヨード-フェニルアラニン、p-ブロモフェニルアラニン、p-アミノ-L-フェニルアラニン、イソプロピル-L-フェニルアラニンおよびp-プロパルギルオキシ-フェニルアラニン等が挙げられる。
種々の非天然アミノ酸の構造の例は、米国特許出願公開第2003/0082575号および同2003/0108885号、PCT公開番号WO 2002/085923、ならびにKiick et al. (2002) PROC. NATL. ACAD. SCI. USA 99:19-24に提供される。
ポリペプチド中の非天然アミノ酸は、限定されないが標識、色素、ポリマー、水溶性ポリマー、ポリエチレングリコールの誘導体、光活性化性架橋剤、放射性核種、細胞傷害性化合物、薬物、親和性標識、光親和性標識、反応性化合物、樹脂、第2のタンパク質もしくはポリペプチドもしくはポリペプチドアナログ、抗体もしくは抗体断片、金属キレート剤、補因子、脂肪酸、炭水化物、ポリヌクレオチド、DNA、RNA、アンチセンスポリヌクレオチド、糖類、水溶性デンドリマー、シクロデキストリン、阻害性リボ核酸、生体材料、ナノ粒子、スピンラベル(spin label)、フルオロフォア、金属含有部分、放射性部分、新規の官能基、他の分子と共有的または非共有的に相互作用する基、光ケージ化部分、化学線(actinic radiation)励起性部分、光異性化性部分、ビオチン、ビオチンの誘導体、ビオチンアナログ、重原子を組み込む部分、化学切断性の基、光切断性の基、伸張された側鎖、炭素結合糖、レドックス活性剤、アミノチオ酸、毒性部分、同位体的に標識された部分、生物物理学的プローブ、燐光性の基、化学発光性の基、電子高密度基、磁性の基、インターカレーション基、発色団、エネルギー転移剤、生物学的に活性な薬剤、検出可能標識、小分子、量子ドット、ナノトランスミッター、免疫調節分子、または前述の任意の組合せなどの別の分子をポリペプチドに結合させるために使用され得る。
任意の適切な非天然アミノ酸は、目的のタンパク質への組み込みのために本明細書に記載される方法により使用され得る。
非天然アミノ酸はロイシンアナログであり得る。本発明は、図2Aに示されるロイシンアナログまたはロイシンアナログを含む組成物を提供する。例えば、図2Aの式Aは、n単位(0~20単位)の長さの炭素含有鎖を含む側鎖を含むアミノ酸アナログを示す。O、S、CH2またはNHは位置Xに存在し、n単位(0~20単位)の長さの別の炭素含有鎖が続き得る。官能基Yは、第2の炭素含有鎖の末端炭素に結合される(例えば図2Aに示される官能基1~12、式中Rは第2の炭素含有側鎖の末端炭素原子への結合を示す)。一例において、これらの官能基は、任意の従順な(amenable)リガンドの、部位特異的なUAA組込みに従順な任意の目的のタンパク質へのバイオコンジュゲーションのために使用され得る。図2Aの式Bは、第2の炭素含有鎖または第1の炭素含有鎖のそれぞれに結合されるZ-Y2またはZ-Y3のいずれかとして示される側鎖を含む同様のアミノ酸アナログを示す。Zは、(CH2)n単位を含む炭素鎖を示し、式中nは0~20の任意の整数である。Y2またはY3は独立して、Y1のものと同じまたは異なる基であり得る。本発明はまた、図2Bに示されるロイシンアナログ(LCA、LKETまたはACA)または図2Bに示されるロイシンアナログを含む組成物を提供する。さらなる例示的なロイシンアナログとしては、官能基、例えばアルキン、アジド、シクロプロペン、アルケン、ケトン、アルデヒド、ジアジリンまたはテトラジン官能基を含む直鎖化ハロゲン化アルキルおよび直鎖化脂肪族鎖、ならびに図2Cに示される構造1~6から選択されるものが挙げられる。しかしながら、図2A~2Cに示される任意のアミノ酸の第1の炭素に結合するアミノ基およびカルボキシル基の両方は、ロイシンアナログがタンパク質またはポリペプチド鎖に組み込まれる場合に、ペプチド結合の一部を構成することが企図される。
ある態様において、非天然アミノ酸はトリプトファンアナログ(本明細書において誘導体とも称される)である。例示的なトリプトファンアナログとしては、5-アジドトリプトファン、5-プロパルギルオキシトリプトファン、5-アミノトリプトファン、5-メトキシトリプトファン、5-O-アリルトリプトファンまたは5-ブロモトリプトファンが挙げられる。さらなる例示的なトリプトファンアナログを図3に示す。しかしながら、図3のトリプトファンアナログの第1の炭素に結合するアミノ基およびカルボキシル基の両方は、トリプトファンアナログがタンパク質またはポリペプチド鎖に組み込まれる場合に、ペプチド結合の一部を構成することが企図される。
また、図14Aに記載される、C5AzMe(ロイシルアナログ)、LCA(ロイシルアナログ)およびAzW(トリプトファンアナログ)と称されるUAAが、本発明の実施に使用され得る。
C5AzMe(図14Bに示される化合物5)は、図14Bに概略を示される合成と同様の様式で調製され得る。化合物5は、例えば化合物4の脱保護により供給され得る。化合物4の脱保護は、保護基(例えばBoc)の除去を含む。脱保護の条件は、限定されないがDCM中のHClを含み得る。化合物4は、例えば適切な求核試薬(例えばN3
-)に暴露される場合に化合物3の求核性置換により作製され得る。求核性置換のための例示的な条件は、限定されないが80℃でDMF中のNaN3を含む。化合物3は、例えば化合物1の化合物2への求核性付加により調製され得る。求核性付加の例示的な条件は、限定されないが0℃~RTのK2CO3を含む。さらに、所望の場合、化合物5のエステルは、UAAのカルボン酸形態を作製するための緩やかな水性塩基性条件への暴露により除去され得る。
AzW(図14Cに示される化合物15)は、図14Cに概略を示される合成と同様の様式で調製され得る。化合物15は、例えば塩基性条件下でその塩酸塩14から調製され得る。例示的な塩基性条件は、限定されないがTHF中のKOtBuを含む。塩酸塩14は、例えば化合物13の鹸化、その後の脱保護により調製され得る。鹸化および保護基(例えばBoc)の脱保護の条件は当業者に公知である。例えば、鹸化はMeOH中の1M NaOHを使用して達成され得る。ある態様において、脱保護の条件は、限定されないがHCl(aq.)を含む。化合物13は、例えば化合物12と適切なアジド供給源の金属媒介カップリングにより合成され得る。化合物13は、例えばMeOH中のNaN3、Cu(OAc)2を使用して化合物12から作製され得る。化合物12は、例えば化合物11の金属触媒ボロン素化(boronation)により化合物11から調製され得る。金属触媒ボロン素化の例示的な条件は、限定されないが1,4ジオキサン中のB2pin2、PdCl2・dppfおよびKOAcを含む。化合物11は、例えば適切な保護基(例えばBoc)を使用した化合物10の保護により調製され得る。化合物10の保護は、CH2Cl2中のBoc2O、Et3NおよびDMAPを使用して達成され得る。化合物10は、例えばAcOH中のZnを使用して、例えばオキシムの還元に適切な条件下で化合物9から合成され得る。化合物9は、例えばインドール8の化合物7への求核性付加により合成され得る。化合物8の化合物7へのナルコレプシー性(narcoleptic)付加は、CH2Cl2中のNa2CO3の存在下で起こり得る。化合物7は、例えば化合物6を、メタノール中の塩酸ヒドロキシルアミンに暴露することにより調製され得る。
LCA(図14Fに示される化合物21)は、図14Fに概略を示される合成と同様の様式で調製され得る。化合物21は、例えば化合物20の適切な酸、例えば限定されないがジオキサン中の4M HClへの暴露により化合物20から調製され得る。化合物20は、イミン19の加水分解により作製され得る。イミン19の加水分解は、例えばTHF中の1M HCl (aq.)を使用して達成され得る。化合物19は、例えば適切な求核性試薬(例えばN3
-)に暴露される場合に、化合物18の求核性置換により作製され得る。求核性置換の例示的な条件は、限定されないがDMF中のNaN3を含む。化合物18は、化合物16のエノラートの化合物17への求核性付加により調製され得る。化合物16および17からの化合物の合成を達成するための適切な条件は、限定されないがDCM中の硫酸水素テトラブチルアンモニウム(TBAHS)および10% NaOHを含む。LCAの合成のためのさらなる方法を図14Dおよび14Eに示す。
多くの非天然アミノ酸は、例えばSigma-Aldrich (St. Louis, Mo., USA)、Novabiochem (Darmstadt, Germany)またはPeptech (Burlington, Mass., USA)から市販される。市販されないものは、当業者に公知の標準的な方法を使用して合成され得る。有機合成技術について、例えばOrganic Chemistry by Fessendon and Fessendon, (1982, Second Edition, Willard Grant Press, Boston Mass.);Advanced Organic Chemistry by March (Third Edition, 1985, Wiley and Sons, New York);およびAdvanced Organic Chemistry by Carey and Sundberg (Third Edition, Parts A and B, 1990, Plenum Press, New York)参照。非天然アミノ酸の合成を記載するさらなる例示的な公開は、PCT公開番号WO2002/085923、米国特許出願公開第2004/0198637号、Matsoukas et al. (1995) J. MED. CHEM. 38:4660-4669、King et al. (1949) J. CHEM. SOC. 3315-3319、Friedman et al. (1959) J. AM. CHEM. SOC. 81:3750-3752、Craig et al. (1988) J. ORG. CHEM. 53:1167-1170、Azoulay et al. (1991) EUR. J. MED. CHEM. 26:201-5、Koskinen et al. (1989) J. ORG. CHEM. 54:1859-1866、Christie et al. (1985) J. ORG. CHEM. 50:1239-1246、Barton et al. (1987) TETRAHEDRON 43:4297-4308、およびSubasinghe et al. (1992) J. MED. CHEM. 35:4602-7に見られる。
IV. ベクター
tRNA、アミノアシルtRNAシンテターゼまたは任意の他の目的の分子は、該分子をコードする遺伝子を適切な発現ベクターに組み込むことにより、目的の細胞中で発現され得る。本明細書で使用する場合、「発現ベクター」は、発現されるヌクレオチド配列に操作的に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターをいう。発現ベクターは、発現のための十分なシス作用因子を含み;発現のための他の因子は、宿主細胞によりまたはインビトロ発現系において供給され得る。
tRNA、アミノアシルtRNAシンテターゼまたは任意の他の目的の分子は、該分子をコードする遺伝子を適切な発現ベクターに組み込むことにより、目的の細胞中で発現され得る。本明細書で使用する場合、「発現ベクター」は、発現されるヌクレオチド配列に操作的に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターをいう。発現ベクターは、発現のための十分なシス作用因子を含み;発現のための他の因子は、宿主細胞によりまたはインビトロ発現系において供給され得る。
tRNA、アミノアシルtRNAシンテターゼまたは任意の他の目的の分子は、該分子をコードする遺伝子を適切なトランスファーベクターに組み込むことにより、目的の細胞に導入され得る。用語「トランスファーベクター」は、ポリヌクレオチドを細胞の内部に送達するために使用され得る組換えポリヌクレオチドを含むベクターをいう。ベクターは発現ベクターおよびトランスファーベクターの両方であり得ることが理解される。
ベクター(例えば発現ベクターまたはトランスファーベクター)としては、当該技術分野で公知の全てのもの、例えば目的の組換えポリヌクレオチドを組み込むコスミド、プラスミド(例えばネイキッドであるかまたはリポソームに含まれる)、レトロトランスポゾン(例えばpiggyback、sleeping beauty)およびウイルス(例えばレンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)が挙げられる。
典型的なベクターは、転写および翻訳終結因子、転写および翻訳開始配列、ならびに特定の標的核酸の発現の制御に有用なプロモーターを含む。ベクターは任意に、少なくとも1つの独立した終結因子配列を含む一般的な発現カセット、真核生物もしくは原核生物または両方においてカセットの複製を可能にする配列(限定されないがシャトルベクターを含む)ならびに原核生物系および真核生物系の両方についての選択マーカーを含む。
ある態様において、ベクターは、サプレッサtRNAおよび/またはtRNAシンテターゼをコードするヌクレオチド配列に操作可能に連結される制御配列またはプロモーターを含む。用語「操作可能に連結される」は、機能的関係にあるポリヌクレオチド因子の連結をいう。核酸配列は、別の核酸配列と機能的関係に配置される場合に「操作可能に連結される」。例えば、プロモーターまたはエンハンサーは、遺伝子の転写に影響する場合に遺伝子に操作可能に連結される。操作可能に連結されるヌクレオチド配列は、典型的に連続である。しかしながら、エンハンサーは、プロモーターから数キロベース離れて、イントロン配列が変動性の長さであり得る場合に、一般的に機能するので、いくつかのポリヌクレオチド因子は操作可能に連結され得るが、直接隣り合わず、異なる対立遺伝子または染色体からトランスに機能しさえし得る。
使用され得る例示的なプロモーターとしては、限定されないがレトロウイルスLTR、SV40プロモーター、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、U6プロモーター、EF1αプロモーター、CAGプロモーター、H1プロモーター、UbiCプロモーター、PGKプロモーター、7SKプロモーター、pol IIプロモーター、pol IIIプロモーターまたは任意の他のプロモーター(例えば限定されないがヒストン、pol IIIおよびβ-アクチンプロモーターを含む真核生物細胞性プロモーターなどの細胞性プロモーター)が挙げられる。使用され得る他のウイルス性プロモーターとしては、限定されないがアデノウイルスプロモーター、TKプロモーターおよびB19パルボウイルスプロモーターが挙げられる。適切なプロモーターの選択は、本明細書に含まれる教示から当業者に明らかである。ある態様において、ベクターは、CMVもしくはEF1αプロモーターに操作可能に連結されるアミノアシル(aminacyl)tRNAシンテターゼをコードするヌクレオチド配列および/またはU6もしくはH1プロモーターに操作可能に連結されるサプレッサtRNAをコードするヌクレオチド配列を含む。
ある態様において、ベクターはウイルスベクターである。用語「ウイルス」は、タンパク質合成またはエネルギー生成の機構を有さない細胞内絶対寄生体をいうように本明細書において使用される。例示的なウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクター(例えばレンチウイルスベクター)、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、エプスタイン-バーウイルス(EBV)ベクター、ポリオーマウイルスベクター(例えばサル空胞形成ウイルス40(SV40)ベクター)、ポックスウイルスベクターおよびシュードタイプウイルスベクターが挙げられる。
ウイルスは、RNAウイルス(RNAで構成されるゲノムを有する)またはDNAウイルス(DNAで構成されるゲノムを有する)であり得る。ある態様において、ウイルスベクターはDNAウイルスベクターである。例示的なDNAウイルスとしては、パルボウイルス(例えばアデノ随伴ウイルス)、アデノウイルス、アスファウイルス(asfarviruses)、ヘルペスウイルス(例えば単純ヘルペスウイルス1および2(HSV-1およびHSV-2)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV))、パピローマウイルス(例えばHPV)、ポリオーマウイルス(例えばサル空胞形成ウイルス40(SV40))およびポックスウイルス(例えばワクシニアウイルス、牛痘ウイルス、痘瘡ウイルス、鶏痘ウイルス、羊痘(sheeppox)ウイルス、粘液腫ウイルス)が挙げられる。ある態様において、ウイルスベクターはRNAウイルスベクターである。例示的なRNAウイルスとしては、ブンヤウイルス(例えばハンタウイルス)、コロナウイルス、フラビウイルス(例えば黄熱ウイルス、西ナイルウイルス、デング熱ウイルス)、肝炎ウイルス(例えばA型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス)、インフルエンザウイルス(例えばインフルエンザウイルスA型、インフルエンザウイルスB型、インフルエンザウイルスC型)、麻疹虫ウイルス、ムンプスウイルス、ノロウイルス(例えばノーウォークウイルス)、ポリオウイルス、呼吸器合胞体(respiratory syncytial)ウイルス(RSV)、レトロウイルス(例えばヒト免疫不全ウイルス-1(HIV-1))およびトロウイルスが挙げられる。
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター
ある態様において、ベクターはアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。AAVは、ディペンドパルボウイルス(Dependoparvovirus)属、パルボウイルス科の小さな、エンベロープを有さない正二十面体ウイルスである。AAVは、約4.7kbの一本鎖直鎖化DNAゲノムを有する。AAVは、いくつかの組織型の分裂している細胞および静止細胞の両方に感染し得、異なるAAV血清型は異なる組織向性を示す。
ある態様において、ベクターはアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターである。AAVは、ディペンドパルボウイルス(Dependoparvovirus)属、パルボウイルス科の小さな、エンベロープを有さない正二十面体ウイルスである。AAVは、約4.7kbの一本鎖直鎖化DNAゲノムを有する。AAVは、いくつかの組織型の分裂している細胞および静止細胞の両方に感染し得、異なるAAV血清型は異なる組織向性を示す。
AAVは、血清型AAV-1~AAV-12、および非ヒト霊長類由来の100を超える血清型を含む多くの血清学的に識別可能な型を含む(例えばSrivastava (2008) J. CELL BIOCHEM., 105(1): 17-24およびGao et al. (2004) J. VIROL., 78(12), 6381-6388参照)。本発明において使用されるAAVベクターの血清型は、送達の効率、組織向性および免疫原性に基づいて当業者により選択され得る。例えばAAV-1、AAV-2、AAV-4、AAV-5、AAV-8およびAAV-9は中枢神経系への送達のために使用され得;AAV-1、AAV-8およびAAV-9は心臓への送達のために使用され得;AAV-2は腎臓への送達のために使用され得;AAV-7、AAV-8およびAAV-9は肝臓への送達のために使用され得;AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-9は肺への送達のために使用され得、AAV-8は膵臓への送達のために使用され得、AAV-2、AAV-5およびAAV-8は光受容細胞への送達のために使用され得;AAV-1、AAV-2、AAV-4、AAV-5およびAAV-8は網膜色素上皮への送達のために使用され得;AAV-1、AAV-6、AAV-7、AAV-8およびAAV-9は骨格筋への送達のために使用され得る。ある態様において、AAVカプシドタンパク質は、米国特許第7,198,951号に開示される配列、例えば限定されないがAAV-9(米国特許第7,198,951号の配列番号:1~3)、AAV-2(米国特許第7,198,951号の配列番号:4)、AAV-1(米国特許第7,198,951号の配列番号:5)、AAV-3(米国特許第7,198,951号の配列番号:6)およびAAV-8(米国特許第7,198,951号の配列番号:7)を含む。アカゲザル(rhesus monkey)から同定されたAAV血清型、例えばrh.8、rh.10、rh.39、rh.43およびrh.74も本発明において企図される。天然のAAV血清型に加えて、送達の効率、組織向性および免疫原性を向上するために改変されたAAVカプシドが開発されている。例示的な天然および改変されたAAVカプシドは、米国特許第7,906,111号、同9,493,788号および同7,198,951号ならびにPCT公開番号WO2017189964A2に開示される。
野生型AAVゲノムは、2つの145ヌクレオチド逆末端反復配列(inverted terminal repeat)(ITR)を含み、これはAAV複製、ゲノムのカプシド封入(genome encapsidation)および組込みを方向づけるシグナル配列を含む。ITRに加えて、3つのAAVプロモーター、p5、p19およびp40は、repおよびcap遺伝子をコードする2つのオープンリーディングフレームの発現を駆動する。単一のAAVイントロンの差異的なスプライシングと協力する2つのrepプロモーターは、rep遺伝子からの4つのrepタンパク質(Rep 78、Rep 68、Rep 52およびRep 40)の産生を生じる。Repタンパク質はゲノム複製の原因である。Cap遺伝子は、p40プロモーターから発現され、cap遺伝子のスプライシングバリアントである3つのカプシドタンパク質(VP1、VP2およびVP3)をコードする。これらのタンパク質は、AAV粒子のカプシドを形成する。
複製、カプシド封入および組込みのためのシス作用シグナルはITRに含まれるので、4.3kb内部ゲノムのいくつかまたは全ては、外来DNA、例えば目的の外因性遺伝子についての発現カセットに置き換えられ得る。したがって、ある態様において、AAVベクターは、5'ITRおよび3'ITRに隣り合う外因性遺伝子についての発現カセットを含むゲノムを含む。ITRは、カプシドまたはその誘導体と同じ血清型に由来し得る。代替的に、ITRは、カプシドとは異なる血清型のものであり得、それによりシュードタイプ分類されたAAVを生じる。ある態様において、ITRはAAV-2に由来する。ある態様において、ITRはAAV-5に由来する。少なくとも1つのITRは、末端分解部位(terminal resolution site)を変異させるかまたは欠失して、それにより自己相補性AAVベクターの産生を可能にするように改変され得る。
repおよびcapタンパク質は、AAVベクターを産生するためにトランスで、例えばプラスミド上で提供され得る。AAV複製を許容する宿主細胞株は、repおよびcap遺伝子、ITRに隣り合う発現カセットならびにヘルパーウイルスにより提供されるヘルパー機能、例えばアデノウイルス遺伝子E1a、E1b55K、E2a、E4orf6およびVAを発現しなければならない(Weitzman et al., Adeno-associated virus biology. Adeno-Associated Virus: Methods and Protocols, pp. 1-23, 2011)。AAVベクターを作製および精製するための方法は詳細に記載されている(例えばMueller et al., (2012) CURRENT PROTOCOLS IN MICROBIOLOGY, 14D.1.1-14D.1.21, Production and Discovery of Novel Recombinant Adeno-Associated Viral Vectors参照)。HEK293細胞、COS細胞、HeLa細胞、BHK細胞、Vero細胞および昆虫細胞などの多くの細胞型が、AAVベクターを作製するのに適する(例えば米国特許第6,156,303号、同5,387,484号、同5,741,683号、同5,691,176号、同5,688,676号および同8,163,543号、米国特許公開第20020081721号ならびにPCT公開番号WO00/47757、WO00/24916およびWO96/17947参照)。AAVベクターは典型的に、ITRに隣り合う発現カセットを含む1つのプラスミドおよびさらなるAAVおよびヘルパーウイルス遺伝子を提供する1つ以上のさらなるプラスミドによりこれらの細胞型において作製される。
本発明において任意の血清型のAAVが使用され得る。同様に、任意のアデノウイルス型が使用され得、当業者は、それらの所望の組換えAAVベクター(rAAV)の作製に適したAAVおよびアデノウイルス型を同定し得ることが企図される。AAV粒子は、例えばアフィニティクロマトグラフィー、イオジキサノール(iodixonal)勾配またはCsCl勾配により精製され得る。
AAVベクターは、4.7kbのサイズであるかまたは5.2kbほど大きいかもしくは3.0kbほど小さい特大のゲノムを含む4.7kbより大きいかもしくはより小さい一本鎖ゲノムを有し得る。したがって、AAVベクターから発現される目的の外因性遺伝子が小さい場合、AAVゲノムはスタッファー配列を含み得る。さらに、ベクターゲノムは、実質的に自己相補的であり得、それにより細胞内での迅速な発現を可能にする。ある態様において、自己相補的AAVベクターのゲノムは5'から3'に:5'ITR;目的の遺伝子のコーディング配列に操作可能に連結されるプロモーターおよび/またはエンハンサーを含む第1の核酸配列;機能的末端分解部位を有さない改変されたITR;第1の核酸配列に対して相補的であるかもしくは実質的に相補的である第2の核酸配列;ならびに3'ITRを含む。全ての型のゲノムを含むAAVベクターは、本発明の方法における使用に適切である。
AAVベクターの非限定的な例としては、pAAV-MCS (Agilent Technologies)、pAAVK-EF1α-MCS (System Bio カタログ番号AAV502A-1)、pAAVK-EF1α-MCS1-CMV-MCS2 (System Bio カタログ番号AAV503A-1)、pAAV-ZsGreen1 (Clontech カタログ番号6231)、pAAV-MCS2 (Addgene プラスミド番号46954)、AAV-Stuffer (Addgene プラスミド番号106248)、pAAVscCBPIGpluc (Addgene プラスミド番号35645)、AAVS1_Puro_PGK1_3xFLAG_Twin_Strep (Addgene プラスミド番号68375)、pAAV-RAM-d2TTA::TRE-MCS-WPRE-pA (Addgene プラスミド番号63931)、pAAV-UbC (Addgene プラスミド番号62806)、pAAVS1-P-MCS (Addgene プラスミド番号80488)、pAAV-Gateway (Addgene プラスミド番号32671)、pAAV-Puro_siKD (Addgene プラスミド番号86695)、pAAVS1-Nst-MCS (Addgene プラスミド番号80487)、pAAVS1-Nst-CAG-DEST (Addgene プラスミド番号80489)、pAAVS1-P-CAG-DEST (Addgene プラスミド番号80490)、pAAVf-EnhCB-lacZnls (Addgene プラスミド番号35642)およびpAAVS1-shRNA (Addgene プラスミド番号82697)が挙げられる。これらのベクターは、治療用途に適切であるように改変され得る。例えば、目的の外因性遺伝子は、マルチクローニングサイトに挿入され得、選択マーカー(例えばpuroまたは蛍光タンパク質をコードする遺伝子)は欠失され得るかまたは別の(同じまたは異なる)目的の外因性遺伝子に置き換えられ得る。AAVベクターのさらなる例は、米国特許第5,871,982号、第6,270,996号、第7,238,526号、第6,943,019号、第6,953,690号、第9,150,882号および第8,298,818号、米国特許公開第2009/0087413号ならびにPCT公開番号WO2017075335A1、WO2017075338A2およびWO2017201258A1に開示される。
レンチウイルスベクター
ある態様において、ウイルスベクターはレトロウイルスベクターであり得る。レトロウイルスベクターの例としては、モロニーマウス白血病ウイルスベクター、脾臓壊死ウイルスベクターならびにラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫(harvey sarcoma)ウイルス、トリ白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルスおよび乳癌ウイルスなどのレトロウイルス由来のベクターが挙げられる。レトロウイルスベクターは、真核細胞へのレトロウイルス媒介遺伝子転移を媒介するための薬剤として有用である。
ある態様において、ウイルスベクターはレトロウイルスベクターであり得る。レトロウイルスベクターの例としては、モロニーマウス白血病ウイルスベクター、脾臓壊死ウイルスベクターならびにラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫(harvey sarcoma)ウイルス、トリ白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルスおよび乳癌ウイルスなどのレトロウイルス由来のベクターが挙げられる。レトロウイルスベクターは、真核細胞へのレトロウイルス媒介遺伝子転移を媒介するための薬剤として有用である。
ある態様において、レトロウイルスベクターはレンチウイルスベクターである。例示的なレンチウイルスベクターとしては、ヒト免疫不全ウイルス-1(HIV-1)、ヒト免疫不全ウイルス-2(HIV-2)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、ジェンブラナ病(Jembrana Disease)ウイルス(JDV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)およびヤギ関節炎脳炎(caprine arthritis encephalitis)ウイルス(CAEV)由来のベクターが挙げられる。
レトロウイルスベクターは典型的に、ウイルスの構造遺伝子をコードする配列の大部分が欠失され、目的の遺伝子(1つまたは複数)で置き換えられるように構築される。しばしば、構造遺伝子(すなわちgag、polおよびenv)は、当該技術分野において公知の遺伝子工学技術を使用して、レトロウイルス骨格から除去される。したがって、最小のレトロウイルスベクターは、5'から3'に:5'長い末端反復(LTR)、パッケージングシグナル、任意の外因性プロモーターおよび/またはエンハンサー、目的の外因性遺伝子ならびに3'LTRを含む。外因性プロモーターが提供されない場合、遺伝子発現は、弱いプロモーターであり、発現を活性化するためにTatの存在を必要とする5'LTRに駆動される。レンチウイルスの製造のために構造遺伝子は別のベクター内に提供され得、作製されたビリオンを欠損にする。具体的に、レンチウイルスに関して、パッケージング系は、Gag、Pol、RevおよびTat遺伝子をコードする単一のパッケージングベクターならびにエンベロープタンパク質Env(通常その広い感染性のためにVSV-G)をコードする第3の別のベクターを含み得る。パッケージング系の安全性を向上するために、パッケージングベクターは分割され得、1つのベクターからRevを発現し、別のベクターからGagおよびPolを発現する。Tatも、キメラ5'LTRを含むレトロウイルスベクターを使用してパッケージング系から排除され得、ここで5'LTRのU3領域は、異種の制御因子に置き換えられる。
遺伝子は、いくつかの一般的な方法においてプロウイルス骨格に組み込まれ得る。最も簡単な構築は、レトロウイルスの構造遺伝子が、LTR内のウイルス性調節配列の制御下で転写される単一の遺伝子に置き換えられるものである。1つより多くの遺伝子を標的細胞に導入し得るレトロウイルスベクターも構築されている。通常、かかるベクターにおいて、1つの遺伝子はウイルスLTRの調節性制御下にあり、第2の遺伝子は、スプライシングされたメッセージ発現される(off a spliced message)か、またはそれ自体の内部プロモーターの制御下にあるかのいずれかである。
したがって、新しい遺伝子(1つまたは複数)は、ビリオンRNAの転写およびポリアデニル化のそれぞれを促進するように働く5'および3'LTRに隣り合う。用語「長い末端反復」または「LTR」は、レトロウイルスDNAの末端に配置される塩基対のドメインをいい、それらの天然の配列の情況において、直接の反復であり、U3、RおよびU5領域を含む。LTRは一般的に、レトロウイルス遺伝子の発現(例えば遺伝子転写物の促進、開始およびポリアデニル化)およびウイルス複製に重要な機能を提供する。LTRは、転写制御因子、ポリアデニル化シグナルならびにウイルスゲノムの複製および組込みに必要な配列を含む多くの制御シグナルを含む。U3領域はエンハンサーおよびプロモーターの因子を含む。U5領域は、プライマー結合部位とR領域の間の配列であり、ポリアデニル化配列を含む。R(反復)領域は、U3およびU5領域に隣り合う。ある態様において、R領域は、トランス活性化因子(tat)遺伝子因子と相互作用してウイルス複製を高めるトランス活性化応答(TAR)遺伝子因子を含む。この因子は、5'LTRのU3領域が異種のプロモーターで置き換えられる態様においては必要とされない。
ある態様において、レトロウイルスベクターは改変された5'LTRおよび/または3'LTRを含む。3'LTRの改変はしばしば、ウイルスを複製欠損にすることによりレンチウイルスまたはレトロウイルス系の安全性を向上するようになされる。特定の態様において、レトロウイルスベクターは自己不活性化(self-inactivating)(SIN)ベクターである。本明細書で使用する場合、SINレトロウイルスベクターは、3'LTR U3領域が、ウイルス複製の第1ラウンドを超えるウイルス転写を防ぐように(例えば欠失または置換により)改変された複製欠損レトロウイルスベクターをいう。これは、3'LTR U3領域が、ウイルス複製の間に5'LTR U3領域についての鋳型として使用されて、そのためにU3エンハンサー-プロモーターなしでウイルス転写産物が作製され得ないためである。さらなる態様において、3'LTRは、U5領域が例えば理想的なポリアデニル化配列で置き換えられるように改変される。3'LTR、5'LTRまたは3'および5'LTRの両方に対する改変などのLTRに対する改変も本発明に含まれることが注意されるべきである。
ある態様において、5'LTRのU3領域は、ウイルス粒子の産生の間にウイルスゲノムの転写を駆動するように異種のプロモーターで置き換えられる。使用され得る異種のプロモーターの例としては、例えばウイルス性シミアンウイルス40(SV40)(例えば初期または後期)、サイトメガロウイルス(CMV)(例えば極初期)、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)および単純ヘルペスウイルス(HSV)(チミジンキナーゼ)プロモーターが挙げられる。典型的なプロモーターは、Tat非依存的様式で高レベルの転写を駆動し得る。この置き換えは、ウイルス産生系中に完全なU3配列がないので、組み換えが複製コンピテントウイルスを生成する可能性を低減する。
隣接する5'LTRは、ゲノムの逆転写(tRNAプライマー結合部位)およびウイルスRNAの粒子内への効率的なパッケージング(Psi部位)に必要な配列である。本明細書で使用する場合、用語「パッケージングシグナル」または「パッケージング配列」は、ウイルス粒子形成の間のレトロウイルスRNA鎖のカプシド封入に必要とされるレトロウイルスゲノム内に配置される配列をいう(例えばClever et al., 1995 J. VIROLOGY, 69(4):2101-09参照)。パッケージングシグナルは、ウイルスゲノムのカプシド封入に必要とされる最少パッケージングシグナルであり得る(プサイ[Ψ]配列とも称される)。
ある態様において、レトロウイルスベクター(例えばレンチウイルスベクター)はさらに、フラップ(FLAP)を含む。本明細書で使用する場合、用語「フラップ」は、その配列がレトロウイルス、例えばHIV-1またはHIV-2のセントラルポリプリントラクト(central polypurine tract)およびセントラル終結配列(central termination sequence)(cPPTおよびCTS)を含む核酸をいう。適切なフラップ因子は、米国特許第6,682,907号およびZennou et al. (2000) CELL, 101:173に記載される。逆転写の間に、cPPTでのプラス鎖DNAのセントラル開始(central initiation)およびCTSでのセントラル終結(central termination)は、三本鎖DNA構造:セントラルDNAフラップの形成をもたらす。何らかの理論に拘束されることを望まないが、DNAフラップは、レンチウイルスゲノム核輸入(import)のシス活性決定因子として働き得および/またはウイルスの力価を増加し得る。特定の態様において、レトロウイルスベクター骨格は、ベクター内の目的の異種遺伝子の上流または下流に1つ以上のフラップ因子を含む。例えば特定の態様において、トランスファープラスミドは、フラップ因子を含む。一態様において、本発明のベクターは、HIV-1から単離されたフラップ因子を含む。
ある態様において、レトロウイルスベクター(例えばレンチウイルスベクター)はさらに、輸出因子(export element)を含む。一態様において、レトロウイルスベクターは1つ以上の輸出因子を含む。用語「輸出因子」は、細胞の核から細胞質へのRNA転写産物の輸送を制御するシス作用転写後制御因子をいう。RNA輸出因子の例としては、限定されないがヒト免疫不全ウイルス(HIV)RRE(例えばCullen et al., (1991) J. VIROL. 65: 1053;およびCullen et al., (1991) CELL 58: 423参照)およびB型肝炎ウイルス転写後制御因子(HPRE)が挙げられる。一般的に、RNA輸出因子は、遺伝子の3'UTR内に配置され、1つまたは複数のコピーとして挿入され得る。
ある態様において、レトロウイルスベクター(例えばレンチウイルスベクター)はさらに、転写後制御因子を含む。種々の転写後制御因子、例えばウッドチャック肝炎(woodchuck hepatitis)ウイルス転写後制御因子(WPRE;Zufferey et al., (1999) J. VIROL. 73:2886参照);B型肝炎ウイルス中に存在する転写後制御因子(HPRE)(Huang et al., MOL. CELL. BIOL., 5:3864)等は、異種核酸の発現を増加し得る(Liu et al., (1995), GENES DEV., 9:1766)。転写後制御因子は一般的に、異種核酸配列の3'末端に位置する。この構成は、その5'部分が異種核酸コーディング配列を含み、その3'部分が転写後制御因子配列を含むmRNA転写産物の合成をもたらす。ある態様において、本発明のベクターは、いくつかの例においてWPREまたはHPREなどの転写後制御因子は細胞性形質転換のリスクを増加しおよび/または実質的にもしくは有意にmRNA転写産物の量を増加もしくはmRNA安定性を増加しないので、WPREまたはHPREなどの転写後制御因子を欠くかまたは含まない。そのため、ある態様において、本発明のベクターは、追加された安全性処置としてWPREまたはHPREを欠くかまたは含まない。
異種核酸転写産物の効率的な終結およびポリアデニル化を方向づける因子は、異種遺伝子発現を増加する。転写終結シグナルは、一般的にポリアデニル化シグナルの下流に見られる。したがって、ある態様において、レトロウイルスベクター(例えばレンチウイルスベクター)はさらに、ポリアデニル化シグナルを含む。用語「ポリアデニル化シグナル」または「ポリアデニル化配列」は、本明細書で使用する場合、生じようとしているRNA転写産物の終結およびポリアデニル化の両方をRNAポリメラーゼHにより方向づけるDNA配列を示す。ポリアデニル化シグナルを欠く転写産物が不安定で、迅速に分解されるので、組み換え転写産物の効率的なポリアデニル化は望ましい。本発明のベクターにおいて使用され得るポリアデニル化シグナルの例示的な例としては、理想的なポリアデニル化配列(例えばAATAAA、ATTAAA AGTAAA)、ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列(BGHpA)、ウサギβ-グロビンポリアデニル化配列(rβgpA)または当該技術分野において公知の別の適切な異種もしくは内因性のポリアデニル化配列が挙げられる。
ある態様において、レトロウイルスベクターはさらに、インスレーター因子(insulator element)を含む。インスレーター因子は、レトロウイルス発現配列、例えば治療用遺伝子を、ゲノムDNA中に存在するシス作用因子により媒介され得、転移された配列の脱制御された発現をもたらし得る組み込み部位の効果(すなわち位置効果;例えばBurgess-Beusse et al., (2002) PROC. NATL. ACAD. SCI., USA, 99:16433;およびZhan et al., 2001, HUM. GENET., 109:471参照)から保護することに寄与し得る。ある態様において、レトロウイルスベクターは、1つもしくは両方のLTRまたは細胞のゲノムに組み込まれるベクターの領域の他の場所にインスレーター因子を含む。本発明における使用のための適切なインスレーターとしては、限定されないがニワトリβ-グロビンインスレーター(Chung et al., (1993). CELL 74:505;Chung et al., (1997) PROC. NATL. ACAD. SCI., USA 94:575;およびBell et al., 1999. CELL 98:387参照)が挙げられる。インスレーター因子の例としては、限定されないがニワトリHS4などのβ-グロビン座由来のインスレーターが挙げられる。
レンチウイルスベクターの非限定的な例としては、pLVX-EF1alpha-AcGFP1-C1 (Clontechカタログ番号631984)、pLVX-EF1alpha-IRES-mCherry (Clontechカタログ番号631987)、pLVX-Puro (Clontechカタログ番号632159)、pLVX-IRES-Puro (Clontechカタログ番号632186)、pLenti6/V5-DESTTM (Thermo Fisher)、pLenti6.2/V5-DESTTM (Thermo Fisher)、pLKO.1 (プラスミド番号10878、Addgene)、pLKO.3G (プラスミド番号14748、Addgene)、pSico (プラスミド番号11578、Addgene)、pLJM1-EGFP (プラスミド番号19319、Addgene)、FUGW (プラスミド番号14883、Addgene)、pLVTHM (プラスミド番号12247、Addgene)、pLVUT-tTR-KRAB (プラスミド番号11651、Addgene)、pLL3.7 (プラスミド番号11795、Addgene)、pLB (プラスミド番号11619、Addgene)、pWPXL (プラスミド番号12257、Addgene)、pWPI (プラスミド番号12254、Addgene)、EF.CMV.RFP (プラスミド番号17619、Addgene)、pLenti CMV Puro DEST (プラスミド番号17452、Addgene)、pLenti-puro (プラスミド番号39481、Addgene)、pULTRA (プラスミド番号24129、Addgene)、pLX301 (プラスミド番号25895、Addgene)、pHIV-EGFP (プラスミド番号21373、Addgene)、pLV-mCherry (プラスミド番号36084、Addgene)、pLionII (プラスミド番号1730、Addgene)、pInducer10-mir-RUP-PheS (プラスミド番号44011、Addgene)が挙げられる。これらのベクターは、治療用途に適切であるように改変され得る。例えば、選択マーカー(例えばpuro、EGFPまたはmCherry)は、欠失され得るかまたは第2の目的の外因性遺伝子で置き換えられ得る。レンチウイルスベクターのさらなる例は、米国特許第7,629,153号、第7,198,950号、第8,329,462号、第6,863,884号、第6,682,907号、第7,745,179号、第7,250,299号、第5,994,136号、第6,287,814号、第6,013,516号、第6,797,512号、第6,544,771号、第5,834,256号、第6,958,226号、第6,207,455号、第6,531,123号および第6,352,694号ならびにPCT公開番号WO2017/091786に開示される。
アデノウイルスベクター
ある態様において、ウイルスベクターはアデノウイルスベクターであり得る。アデノウイルスは、ヌクレオカプシドおよび二本鎖直鎖化DNAゲノムで構成される、中程度のサイズ(90~100nm)のエンベロープを有さない(ネイキッド)、二十面体ウイルスである。用語「アデノウイルス」は、限定されないがヒト、ウシ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ブタ、マウスおよびサルのアデノウイルス亜属を含むアデノウイルス属の任意のウイルスをいう。典型的に、アデノウイルスベクターは、アデノウイルスへの天然にない核酸配列の挿入、例えば遺伝子転移に適応させるように、アデノウイルスのアデノウイルスゲノムに1つ以上の変異(例えば欠失、挿入または置換)を、導入することにより作製される。
ある態様において、ウイルスベクターはアデノウイルスベクターであり得る。アデノウイルスは、ヌクレオカプシドおよび二本鎖直鎖化DNAゲノムで構成される、中程度のサイズ(90~100nm)のエンベロープを有さない(ネイキッド)、二十面体ウイルスである。用語「アデノウイルス」は、限定されないがヒト、ウシ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ブタ、マウスおよびサルのアデノウイルス亜属を含むアデノウイルス属の任意のウイルスをいう。典型的に、アデノウイルスベクターは、アデノウイルスへの天然にない核酸配列の挿入、例えば遺伝子転移に適応させるように、アデノウイルスのアデノウイルスゲノムに1つ以上の変異(例えば欠失、挿入または置換)を、導入することにより作製される。
ヒトアデノウイルスは、アデノウイルスベクターのためのアデノウイルスゲノムの供給源として使用され得る。例えば、アデノウイルスは、サブグループA(例えば血清型12、18および31)、サブグループB(例えば血清型3、7、11、14、16、21、34、35および50)、サブグループC(例えば血清型1、2、5および6)、サブグループD(例えば血清型8、9、10、13、15、17、19、20、22~30、32、33、36~39および42~48)、サブグループE(例えば血清型4)、サブグループF(例えば血清型40および41)、未分類サブグループ(例えば血清型49および51)または任意の他のアデノウイルス血清群または血清型のものであり得る。アデノウイルス血清型1~51は、American Type Culture Collection (ATCC, Manassas, Virginia)から入手可能である。非グループCアデノウイルスベクター、非グループCアデノウイルスベクターを作製する方法および非グループCアデノウイルスベクターを使用する方法は、例えば米国特許第5,801,030号、同5,837,511号および同5,849,561号ならびにPCT公開番号WO1997/012986およびWO1998/053087に開示される。
非ヒトアデノウイルス(例えば類人猿、サル、トリ、イヌ、ヒツジまたはウシのアデノウイルス)は、アデノウイルスベクターを作製するために(すなわちアデノウイルスベクターのためのアデノウイルスゲノムの供給源として)使用され得る。例えば、アデノウイルスベクターは、新世界猿および旧世界猿の両方などのサルアデノウイルスに基づき得る(例えばVirus Taxonomy: VHIth Report of the International Committee on Taxonomy of Viruses (2005)参照)。霊長類に感染するアデノウイルスの系統発生分析は、例えばRoy et al. (2009) PLOS PATHOG. 5(7):e1000503に開示される。ゴリラアデノウイルスは、アデノウイルスベクターのためのアデノウイルスゲノムの供給源として使用され得る。ゴリラアデノウイルスおよびアデノウイルスベクターは、例えばPCT公開番号WO2013/052799、WO2013/052811およびWO2013/052832に記載される。アデノウイルスベクターはまたサブタイプの組合せを含み得、それにより「キメラ」アデノウイルスベクターであり得る。
アデノウイルスベクターは、複製コンピテント、条件付きで複製コンピテントまたは複製欠損であり得る。複製コンピテントアデノウイルスベクターは、典型的な宿主細胞、すなわち典型的にアデノウイルスにより感染され得る細胞内で複製し得る。条件付で複製するアデノウイルスベクターは、予め決定された条件下で複製するように遺伝子工学で作り変えられたアデノウイルスベクターである。例えば、複製に必須な遺伝子機能、例えばアデノウイルス初期領域にコードされる遺伝子機能は、誘導性、抑制性または組織特異的転写制御配列、例えばプロモーターに操作可能に連結され得る。条件付で複製するアデノウイルスベクターは、さらに米国特許第5,998,205号に記載される。複製欠損アデノウイルスベクターは、例えば1つ以上の複製に必須な遺伝子機能または領域における欠失の結果、複製に必要な1つ以上の遺伝子機能またはアデノウイルスゲノムの領域の相補を必要とするアデノウイルスベクターであるので、該アデノウイルスベクターは典型的な宿主細胞、特にアデノウイルスベクターにより感染されるヒトにおけるものにおいて複製しない。
好ましくは、アデノウイルスベクターは複製欠損であるので、複製欠損アデノウイルスベクターは、増殖のために(例えばアデノウイルスベクター粒子を形成するために)アデノウイルスゲノムの1つ以上の領域の少なくとも1つの複製に必須の遺伝子機能の相補を必要とする。アデノウイルスベクターは、アデノウイルスゲノムの初期領域(すなわちE1~E4領域)のみ、アデノウイルスゲノムの後期領域(すなわちL1~L5領域)のみ、アデノウイルスゲノムの初期および後期領域の両方または全てのアデノウイルス遺伝子(すなわち高容量アデノベクター(HC-Ad))の1つ以上の複製に必須の遺伝子機能において欠損であり得る。例えばMorsy et al. (1998) PROC. NATL. ACAD. SCI. USA 95: 965-976、Chen et al. (1997) PROC. NATL. ACAD. SCI. USA 94: 1645-1650およびKochanek et al. (1999) HUM. GENE THER. 10(15):2451-9参照。複製欠損アデノウイルスベクターの例は、米国特許第5,837,511号、同5,851,806号、同5,994,106号、同6,127,175号、同6,482,616号および同7,195,896号ならびにPCT公開番号WO1994/028152、WO1995/002697、WO1995/016772、WO1995/034671、WO1996/022378、WO1997/012986、WO1997/021826およびWO2003/022311に開示される。
本発明の複製欠損アデノウイルスベクターは、複製欠損アデノウイルスベクター中に存在しない遺伝子機能を提供する相補細胞株において作製され得るが、高力価のウイルスベクターストックを作製するために、適切なレベルでのウイルス増殖を必要とし得る。かかる相補細胞株は公知であり、限定されないが293細胞(例えばGraham et al. (1977) J. GEN. VIROL. 36: 59-72に記載される)、PER.C6細胞(例えばPCT公開番号WO1997/000326および米国特許第5,994,128号および同6,033,908号に記載される)および293-ORF6細胞(例えばPCT公開番号WO1995/034671およびBrough et al. (1997) J. VIROL. 71: 9206-9213に記載される)が挙げられる。本発明の複製欠損アデノウイルスベクターを作製するための他の適切な相補細胞株は、その発現が宿主細胞におけるウイルス増殖を阻害するトランスジーンをコードするアデノウイルスベクターを増殖させるために作製された相補細胞を含む(例えば米国特許公開第2008/0233650参照)。さらなる適切な相補細胞は、例えば米国特許第6,677,156号および同6,682,929号ならびにPCT公開番号WO2003/020879に記載される。アデノウイルスベクター含有組成物のための製剤化はさらに、例えば米国特許第6,225,289号および同6,514,943号ならびにPCT公開番号WO2000/034444に記載される。
さらなる例示的なアデノウイルスベクターおよび/またはアデノウイルスベクターを作製または増殖する方法は、米国特許第5,559,099号、同5,837,511号、同5,846,782号、同5,851,806号、同5,994,106号、同5,994,128号、同5,965,541号、同5,981,225号、同6,040,174号、同6,020,191号、同6,083,716号、同6,113,913号、同6,303,362号、同7,067,310号および同9,073,980に記載される。
市販のアデノウイルスベクター系としては、Thermo Fisher Scientificから入手可能なViraPowerTMアデノウイルス発現系、Agilent Technologiesから入手可能なAdEasyTMアデノウイルスベクター系およびTakara Bio USA, Inc.から入手可能なAdeno-XTM発現系3が挙げられる。
V. 宿主細胞および細胞株
本明細書に開示されるtRNA、アミノアシルtRNAシンテターゼ、非天然アミノ酸、核酸および/またはベクターを含む宿主細胞または細胞株(例えば原核または真核の宿主細胞または細胞株)も本発明に包含される。遺伝子工学で作り変えられたtRNAおよびアミノアシルtRNAシンテターゼをコードする核酸は、発現宿主細胞(例えばプラスミドまたはウイルス粒子)内で自律的に複製するベクターとしてまたは発現宿主細胞、例えば哺乳動物宿主細胞のゲノム内で安定な組込まれた因子もしくは安定な組込まれた因子のシリーズを介してのいずれかで、発現宿主細胞内で発現され得る。
本明細書に開示されるtRNA、アミノアシルtRNAシンテターゼ、非天然アミノ酸、核酸および/またはベクターを含む宿主細胞または細胞株(例えば原核または真核の宿主細胞または細胞株)も本発明に包含される。遺伝子工学で作り変えられたtRNAおよびアミノアシルtRNAシンテターゼをコードする核酸は、発現宿主細胞(例えばプラスミドまたはウイルス粒子)内で自律的に複製するベクターとしてまたは発現宿主細胞、例えば哺乳動物宿主細胞のゲノム内で安定な組込まれた因子もしくは安定な組込まれた因子のシリーズを介してのいずれかで、発現宿主細胞内で発現され得る。
宿主細胞は、例えば本明細書に開示される核酸またはベクターを使用して、遺伝子工学で作り変えられる(例えば限定されないが形質転換される、形質導入されるまたはトランスフェクトされる)。例えばある態様において、1つ以上のベクターは、直交tRNA、直交アミノアシルtRNAシンテターゼおよび任意に1つ以上のUAAの封入により改変されるタンパク質についてのコーディング領域を含み、これは所望の宿主細胞または細胞株において機能的である遺伝子発現制御因子に操作可能に連結される。例えば、tRNAシンテターゼおよびtRNAおよび任意の選択可能マーカー(例えば抗生物質耐性遺伝子、例えばピューロマイシン耐性カセット)をコードする遺伝子は、トランスファーベクター(例えばトランスフェクションの前に直鎖化化され得るプラスミド)に組み込まれ得、ここで例えば、tRNAシンテターゼをコードする遺伝子は、ポリメラーゼIIプロモーター(例えばCMV、EF1α、UbiCまたはPGK、例えばCMVまたはEF1α)の制御下にあり得、tRNAをコードする遺伝子は、ポリメラーゼIIIプロモーター(例えばU6、7SKまたはH1、例えばU6)の制御下にあり得る。ベクターは、エレクトロポーレーションまたはウイルスベクターによる感染などの標準的な方法により細胞および/または微生物にトランスフェクトされ、クローンは、選択可能マーカーの発現を介して(例えば抗生物質耐性により)選択され得る。
例示的な原核生物宿主細胞または細胞株としては、細菌、例えば大腸菌、サーマス・サーモフィルス、バチルス・ステアロサーモフィルス、シュードモナス・フルオレセンス、緑膿菌およびシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)に由来する細胞が挙げられる。例示的な真核宿主細胞または細胞株としては、植物(例えば単子葉または双子葉などの複雑な植物)、藻類、原生生物、真菌、酵母(サッカロミセス・セレビシエなど)または動物(例えば哺乳動物、昆虫、節足動物等)に由来する細胞が挙げられる。さらなる例示的な宿主細胞または細胞株としては、HEK293、HEK293T、Expi293、CHO、CHOK1、Sf9、Sf21、HeLa、U20S、A549、HT1080、CAD、P19、NIH 3T3、L929、N2a、MCF-7、Y79、SO-RB50、HepG2、DUKX-X11、J558L、BHK、COS、Vero、NS0またはESCが挙げられる。宿主細胞または細胞株は、個別のコロニー、単離された集団(モノクローナル)または細胞の異種混合物を含み得ることが理解される。
企図される細胞または細胞株は、例えば任意に細胞のゲノム内に安定に維持される直交tRNA/アミノアシルtRNAシンテターゼ対の1つまたは複数のコピー、または細胞により維持されるDNAの別の断片を含む。例えば細胞または細胞株は、(i)細胞により安定に維持されるトリプトファニルtRNA/アミノアシルtRNAシンテターゼ対(野生型または遺伝子工学で作り変えられる)、および/または(ii)細胞により安定に維持されるロイシルtRNA/アミノアシルtRNAシンテターゼ対(野生型または遺伝子工学で作り変えられる)の1つ以上のコピーを含み得る。
例えばある態様において、細胞株は安定な細胞株であり、細胞株は、ゲノムの中に安定に組み込まれた(i)アミノアシルtRNAシンテターゼ(例えばtRNAに非天然アミノ酸を負荷し得る原核生物トリプトファニル-tRNAシンテターゼムテインまたはtRNAに非天然アミノ酸を負荷し得る原核生物ロイシルtRNAシンテターゼムテイン、例えば本明細書に開示されるtRNAシンテターゼムテイン)をコードする核酸配列;および/または(ii)サプレッサtRNA(例えば非天然アミノ酸で負荷され得る原核生物サプレッサトリプトファニルtRNAまたは非天然アミノ酸で負荷され得る原核生物サプレッサロイシルtRNA、例えば本明細書に開示されるサプレッサtRNA)をコードする核酸配列を有するゲノムを含む。
ある態様において、細胞株は、(例えば細胞が連続培養において維持される場合)標的タンパク質を少なくとも5、10、15、20、25、30または35日間発現し得る。ある態様において、細胞株は、(例えば細胞が連続培養において維持される場合)標的タンパク質を5~30日、5~20日、5~10日、10~30日、10~20日または20~30日の間発現し得る。
ある態様において、細胞株は、標的タンパク質を、未成熟終止コドンを欠く遺伝子由来の対応する細胞株において発現される鋳型タンパク質の発現のレベルの少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%または約100%である発現のレベルで発現し得、例えば細胞株は、(例えば細胞が連続培養において維持される場合)標的タンパク質を、少なくとも5、10、15、20、25、30または35日間、該発現レベルで発現し得る。
tRNAおよび/またはアミノアシルtRNAシンテターゼをコードする核酸を目的の細胞のゲノムに導入するか、またはゲノムの外側にある、細胞により複製されるDNA内で核酸を安定に維持する方法は、当該技術分野において周知である。
tRNAおよび/またはアミノアシルtRNAシンテターゼをコードする核酸は、発現ベクター、トランスファーベクターまたはDNAカセット、例えば本明細書に開示される発現ベクター、トランスファーベクターまたはDNAカセット内で細胞に提供され得る。tRNAおよび/またはアミノアシルtRNAシンテターゼをコードする発現ベクター トランスファーベクターまたはDNAカセットは、任意に誘導性または構成性の活性なプロモーターの制御下で、tRNAおよび/またはアミノアシルtRNAシンテターゼの1つ以上のコピーを含み得る。発現ベクター、トランスファーベクターまたはDNAカセットは、例えば他の標準的な構成要素(エンハンサー、終結因子等)を含み得る。tRNAをコードする核酸およびアミノアシルtRNAシンテターゼをコードする核酸は、同時にまたは連続して、同じもしくは異なるベクター上にあり得るか、同じもしくは異なる比で存在し得るか、細胞に導入され得るか、または細胞のゲノムに安定に組み込まれ得ることが企図される。
tRNAおよび/またはアミノアシルtRNAシンテターゼをコードするDNAカセットの1つまたは複数のコピーは、宿主細胞のゲノムに組み込まれ得るか、またはトランスポゾン系(例えばPiggyBac)、ウイルスベクター(例えばレンチウイルスベクターまたは他のレトロウイルスベクター)、CRISPR/Cas9系組換え、エレクトロポーレーションおよび天然の組換え、BxB1リコンビナーゼ系を使用して、またはDNAの複製/維持された断片(エプスタイン-バーウイルスに由来するものなど)を使用して、細胞内に安定に維持され得る。
tRNAおよび/またはアミノアシルtRNAシンテターゼをコードする核酸を安定に維持し、および/またはUAAの目的のタンパク質への組み込みに有効である細胞株を選択するために、選択可能マーカーを使用し得る。例示的な選択可能マーカーとしては、ゼオシン(zeocin)、ピューロマイシン、ネオマイシン、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、グルタミンシンテターゼ(GS)、mCherry-EGFP融合体または他の蛍光タンパク質が挙げられる。ある態様において、選択可能マーカータンパク質をコードする遺伝子(または選択可能マーカーの存在下で検出可能な機能、例えば生存能力のために必要とされるタンパク質をコードする遺伝子)は、未成熟終止コドンを含み得るので、細胞株が未成熟終止コドンの部位でUAAを組み込み得る場合にのみタンパク質は発現される。
ある態様において、2つ以上のtRNA/アミノアシルtRNAシンテターゼ対を含む宿主細胞または細胞株を開発するために、複数の同一または別個のUAA指向コドンを使用して、2つ以上のtRNA/アミノアシルtRNAシンテターゼ対の複数のコピーを組み込んだ宿主細胞または細胞株を、ゲノムの組み込みおよび選択の反復ラウンドにより同定し得る。高められたUAA組込み効率、低いバックグラウンドおよび低下した毒性を含む宿主細胞または細胞株は、1つ以上の終止コドンを含む選択可能マーカーを介して最初に単離され得る。その後、宿主細胞または細胞株は、選択スキームに供されて、tRNA/アミノアシルtRNAシンテターゼ対の所望のコピーを含み、1つ以上の終止コドンを含む(ゲノム的に組み込まれるかまたはそうではないかのいずれかの)目的の遺伝子を発現する宿主細胞または細胞株を同定し得る。タンパク質発現は、例えば目的のタンパク質またはC末端タグに結合する抗体を用いたウエスタンブロットなどの当該技術分野で公知の任意の方法を使用してアッセイされ得る。
宿主細胞または細胞株は、例えばスクリーニング工程、プロモーターの活性化または形質転換体の選択と同程度に、かかる活性について適切に改変された従来の栄養培地中で培養される。これらの細胞は、任意にトランスジェニック生物内で培養され得る。例えば細胞単離および培養(例えばその後の核酸単離)についての他の有用な参照としては、Freshney (1994) Culture of Animal Cells, a Manual of Basic Technique, third edition, Wiley-Liss, New York;Payne et al. (1992) Plant Cell and Tissue Culture in Liquid Systems John Wiley & Sons, Inc. New York, N.Y.;Gamborg and Phillips (eds.) (1995) Plant Cell, Tissue and Organ Culture;Fundamental Methods Springer Lab Manual, Springer-Verlag (Berlin Heidelberg N.Y.)およびAtlas and Parks (eds.) The Handbook of Microbiological Media (1993) CRC Press, Boca Raton, Flaが挙げられる。
UAAを組み込む抗体を産生し得る例示的な細胞株の産生は、Roy et al. (2020) MABS 12(1), e1684749)に記載される。タンパク質へのUAAの組み込みのための安定な細胞株を作製するためのさらなる例示的な方法は本明細書の実施例2および図6に記載される。
ある態様において、タンパク質へのUAAの組み込みのための安定な細胞株の作製のための方法は、以下の工程の1つ以上を含む:(i)細胞に、サプレッサtRNAおよびアミノアシルtRNAシンテターゼをコードする1つ以上のプラスミドをトランスフェクトする工程、ここで該1つ以上のプラスミドは選択可能マーカー(例えば抗生物質耐性遺伝子)を含む、(ii)選択可能マーカーを使用して1つ以上のプラスミドを含む細胞を選択する工程、(iii)細胞に、タンパク質へのUAAの組み込みの際に検出可能なシグナルを与えるレポーター構築物(例えば蛍光レポーター構築物)を一過的にトランスフェクトする工程、(iv)レポーター構築物を使用して、UAA組込みを行い得る細胞を選択する工程、ならびに(v)細胞をさらに増殖させる工程。ある態様において、該方法はさらに、(vi)細胞にレポーター構築物を再度一過的にトランスフェクトして、レポーター構築物を使用してUAA組込みの能力を維持した細胞を選択する工程を含む。
VI. 非天然アミノ酸(UAA)を含むタンパク質およびその作製方法
非天然アミノ酸(UAA)を含むタンパク質およびその作製方法も本発明に包含される。
非天然アミノ酸(UAA)を含むタンパク質およびその作製方法も本発明に包含される。
非天然アミノ酸の組み込みは、タンパク質の構造および/または機能の変化を調整すること、サイズ、酸度、求核性、水素結合、疎水性、プロテアーゼ標的部位の接触可能性を変えること、(例えばタンパク質アレイについて)部分を標的化すること、生物学的に活性な分子を付加すること、ポリマーを結合すること、放射線核種を結合すること、血清半減期を調節すること、組織浸透(例えば腫瘍)を調節すること、活性な輸送を調節すること、組織、細胞または臓器の特異性または分布を調節すること、免疫原性を調節すること、プロテアーゼ耐性を調節すること等を含む種々の目的のためになされ得る。非天然アミノ酸を含むタンパク質は、高められるかまたはさらに全体的に新規の触媒または生物物理学的特性を有し得る。例えば、以下の特性:毒性、生体分布、構造的特性、分光特性、化学的および/または光化学的特性、触媒性能力、半減期(限定されないが血清半減期を含む)、限定されないが共有結合的または非共有結合的を含む他の分子と反応する能力等は、非天然アミノ酸をタンパク質に含むことにより任意に改変される。少なくとも1つの非天然アミノ酸を含むタンパク質を含む組成物は、限定されないが例えば新規の治療薬、診断薬、酵素および結合タンパク質(例えば治療抗体)に有用である。
タンパク質は、少なくとも1、例えば少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9もしくは少なくとも10またはそれ以上のUAAを有し得る。UAAは、同じであり得るかまたは異なり得る。例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10またはそれ以上の異なるUAAを含むタンパク質中に1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10またはそれ以上の異なる部位があり得る。タンパク質は、少なくとも1つであるが全てよりも少ない、UAAで置換されるタンパク質中に存在する特定のアミノ酸を有し得る。1つより多くのUAAを有する所定のタンパク質について、UAAは同一であり得るかまたは異なり得る(例えばタンパク質は2つ以上の異なる種類のUAAを含み得るか、または2つの同じUAAを含み得る)。2つより多くのUAAを有する所定のタンパク質について、UAAは、同じであり得るか、異なり得るか、または少なくとも1つの異なるUAAを有する同じ種類の複数の非天然アミノ酸の組合せであり得る。
ある態様において、タンパク質は、抗体(またはその断片)、二重特異性抗体、ナノボディ、アフィボディ、ウイルスタンパク質、ケモカイン、抗原、血液凝固因子、ホルモン、成長因子、酵素または任意の他のポリペプチドもしくはタンパク質である。
本明細書で使用する場合、そうではないと示されない限り、用語「抗体」は、インタクトの抗体(例えばインタクトのモノクローナル抗体)、またはその断片、例えば抗体のFc断片(例えばモノクローナル抗体のFc断片)、または抗体の抗原結合断片(例えばモノクローナル抗体の抗原結合断片)、例えば改変された、遺伝子工学で作り変えられたまたは化学的にコンジュゲートされたインタクトの抗体、抗原結合断片またはFc断片を意味することが理解される。抗原結合断片の例としてはFab、Fab'、(Fab')2、Fv、単鎖抗体(例えばscFv)、ミニボディおよびダイアボディが挙げられる。改変されたまたは遺伝子工学で作り変えられた抗体の例としては、キメラ抗体、ヒト化抗体および多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)が挙げられる。化学的にコンジュゲートされた抗体の例は、毒素部分にコンジュゲートされた抗体である。
1つ以上の非天然アミノ酸を含むように改変され得る治療薬、診断薬および他のタンパク質のさらなる例は、米国特許出願公開第2003/0082575号および同2005/0009049号に記載される。
本明細書に開示されるtRNAS、アミノアシルtRNAシンテターゼおよび/または非天然アミノ酸は、任意の適切な翻訳系を使用して目的のタンパク質に非天然アミノ酸を組み込むために使用され得る。
用語「翻訳系」は、アミノ酸を成長中のポリペプチド鎖(タンパク質)に組み込むために必要な構成要素を含む系をいう。翻訳系の構成要素は、例えばリボソーム、tRNA、シンテターゼ、mRNA等を含み得る。翻訳系は、細胞性であり得るかまたは細胞非含有であり得、原核生物性または真核生物性であり得る。例えば、翻訳系は、非真核細胞、例えば細菌(大腸菌など)、真核細胞、例えば酵母細胞、哺乳動物細胞、植物細胞、藻類細胞、真菌細胞または昆虫細胞を含み得るかまたはそれらに由来し得る。
翻訳系は、宿主細胞または細胞株、例えば本明細書において企図される宿主細胞または細胞株を含む。宿主細胞中で非天然アミノ酸を有する目的のポリペプチドを発現するために、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、例えば転写を方向づけるプロモーター、転写/翻訳終結因子、およびタンパク質をコードする核酸の場合は翻訳開始のためのリボソーム結合部位を含む発現ベクターにクローニングし得る。
翻訳系はまた、浸透化された細胞または細胞培養物などの全細胞調製物を含み、ここで所望の核酸配列は、mRNAに転写され得、mRNAは翻訳され得る。細胞非含有翻訳系は市販され、多くの異なる型および系は周知である。細胞非含有系の例としては、限定されないが大腸菌溶解物などの原核生物溶解物ならびにコムギ胚芽抽出物、昆虫細胞溶解物、ウサギ網状赤血球溶解物、ウサギ卵母細胞溶解物およびヒト細胞溶解物などの真核生物溶解物が挙げられる。再構成された翻訳系も使用され得る。再構成された翻訳系は、精製された翻訳因子の混合物および溶解物または精製された翻訳因子、例えば開始因子-1(IF-1)、IF-2、IF-3(αまたはβ)、伸長因子T(EF-Tu)もしくは終結因子が補充された溶解物の混合物を含み得る。細胞非含有系はまた、連結された転写/翻訳系であり得、ここでDNAは、系に導入され、mRNAに転写され、mRNAは翻訳される。
本発明は、非天然アミノ酸を含むタンパク質を発現する方法およびタンパク質中の特定の位置に1つ以上の非天然アミノ酸を有するタンパク質を産生する方法を提供する。該方法は、翻訳系(例えば宿主細胞または細胞株、例えば本明細書に開示される宿主細胞または細胞株)を、細胞内で発現されるタンパク質への非天然アミノ酸の組み込みを可能にする条件下でインキュベートする工程を含む。翻訳系は、1つ以上の非天然アミノ酸(例えばロイシルまたはトリプトファニルアナログ)と、タンパク質への1つ以上の非天然アミノ酸の組み込みに適した条件下で接触され得る(例えば細胞培養培地は接触され得る)。
ある態様において、タンパク質は、未成熟終止コドンを含む核酸配列から発現される。翻訳系(例えば宿主細胞または細胞株)は、例えばサプレッサロイシルtRNA(例えば本明細書に開示されるサプレッサロイシルtRNA)に、未成熟終止コドンに対応する位置でタンパク質に組み込まれる非天然アミノ酸(例えばロイシルアナログ)を負荷し得るロイシルtRNAシンテターゼムテイン(例えば本明細書に開示されるロイシルtRNAシンテターゼムテイン)を含み得る。ある態様において、ロイシルサプレッサtRNAは、未成熟終止コドンにハイブリダイズして、非天然アミノが未成熟終止コドンに対応する位置でタンパク質に組み込まれることを可能にするアンチコドン配列を含む。
ある態様において、タンパク質は未成熟終止コドンを含む核酸配列から発現される。翻訳系(例えば宿主細胞または細胞株)は、例えばサプレッサトリプトファニルtRNA(例えば本明細書に開示されるサプレッサトリプトファニルtRNA)に、未成熟終止コドンに対応する位置でタンパク質に組み込まれる非天然アミノ酸(例えばトリプトファンアナログ)を負荷し得るトリプトファニルtRNAシンテターゼムテイン(例えば本明細書に開示されるトリプトファニルtRNAシンテターゼムテイン)を含み得る。ある態様において、トリプトファニルサプレッサtRNAは、未成熟終止コドンにハイブリダイズして、非天然アミノが未成熟終止コドンに対応する位置でタンパク質に組み込まれることを可能にするアンチコドン配列を含む。
説明を通じて、組成物が、特定の構成要素を有する、含む(including)もしくは含む(comprising)と記載される場合、またはプロセスおよび方法が特定の工程を有する、含むもしくは含むと記載される場合、さらに、記載される構成要素から本質的になるかまたはそれからなる本発明の組成物があること、ならびに記載されるプロセス工程から本質的になるかまたはそれからなる本発明によるプロセスおよび方法があることが企図される。
本願において、要素もしくは構成要素が記載される要素もしくは構成要素のリストに含まれるおよび/またはそれから選択されるといえる場合、該要素もしくは構成要素は、記載される要素もしくは構成要素のいずれか1つであり得るか、または該要素もしくは構成要素は、記載される要素もしくは構成要素の2つ以上からなる群より選択され得ることが理解されるべきである。
さらに、本明細書に記載される組成物もしくは方法の要素および/または特徴は、本明細書において明示的であろうと黙示的であろうと、本発明の精神および範囲を逸脱することなく種々の方法で組み合され得ることが理解されるべきである。例えば、特定の化合物について参照がなされる場合、化合物は、文脈からそうではないと理解されない限り、本発明の組成物の種々の態様および/または本発明の方法において使用され得る。すなわち、本願において、態様は、明確および簡潔な適用を記載および図示し得る方法で記載されて示されているが、態様は、本教示および発明(1つまたは複数)から逸脱することなく種々に組み合され得るかまたは分離され得ることが意図され、理解される。例えば、本明細書に記載および示される全ての特徴は、本明細書に記載および示される発明(1つまたは複数)の全ての局面に適用可能であり得ることが理解される。
表現「少なくとも1つの」は、文脈および用途からそうではないと理解されない限り、該表現の後に記載されるもののそれぞれを個々におよび記載されるものの2つ以上の種々の組合せを含むことが理解されるべきである。3つ以上の記載されるものに関して、表現「および/または」は、文脈からそうではないと理解されない限り、同じ意味を有すると理解されるべきである。
用語「含む(include)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(have)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含む(contain)」、「含む(contains)」または「含む(containing)」の使用は、その文法的な同等物を含めて、文脈にそうではないと具体的に記されないかまたは文脈からそうではないと具体的に理解されない限り、例えば記載されていないさらなる要素または工程を排除することなく、一般的に、開放型および非限定として理解されるべきである。
用語「約」の使用が量的値の前にある場合、本発明は、そうではないと具体的に記載されない限り、具体的な量的値自体も含む。本明細書で使用する場合、用語「約」は、そうではないと示されないかまたは推測されない限り、名目上の値から±10%の変動をいう。
工程の順序または特定の行為を実行するための順序は、本発明が実施可能なままである限りは重要ではないことが理解されるべきである。さらに、2つ以上の工程または行為は同時に実施されてもよい。
本明細書における任意および全ての例または例示的な用語、例えば「など(such as)」または「含む(including)」の使用は、単に本発明をよりよく説明するために意図され、特許請求されない限り、本発明の範囲に限定を与えない。明細書における用語は、本発明の実施に必須のものとして、任意の特許請求されない要素を示すように解釈されるべきではない。
実施例
以下の実施例は単なる例示であり、いかなる方法においても本発明の範囲または内容を限定することを意図しない。
以下の実施例は単なる例示であり、いかなる方法においても本発明の範囲または内容を限定することを意図しない。
実施例1-向上されたロイシルtRNAシンテターゼムテインの構築および選択
この実施例にはロイシルtRNAシンテターゼムテインの構築が記載される。
この実施例にはロイシルtRNAシンテターゼムテインの構築が記載される。
野生型大腸菌ロイシルtRNAシンテターゼ(配列番号:1)を、CMVプロモーターの制御下でプラスミドにクローニングした。プラスミドは、サプレッサtRNAをコードする4x U6-LeutRNACUA DNAカセット(CUAアンチコドンを有する大腸菌ロイシルtRNA h1、配列番号:19)も含んだ。ロイシルtrRNAシンテターゼおよびロイシルサプレッサtRNAをコードするプラスミドを、ライブラリ鋳型構築物として使用し、pBBK-LeuRS.wt-LtR-TAGと称する。
ロイシルシンテターゼムテインV2(配列番号:3)およびV3(配列番号:4)は、野生型活性部位残基の標準的な突然変異誘発により作製された(Zheng et al. (2018)上述参照)。ロイシルシンテターゼムテインV1(配列番号:2)は、V2およびV3ムテインの異なる活性部位変異を組み合わせることにより設計した。
次いで、ロイシルtRNAシンテターゼムテインV1(配列番号:2;本明細書においてLeuRS.v1と称される)をコードするプラスミドを、さらなるロイシルtRNAシンテターゼバリアントをコードするプラスミドのライブラリの作製のための鋳型として使用した。ライブラリは、Q2、E20、M40、L41、T252、Y499、Y527およびH537のそれぞれの、20の天然アミノ酸のそれぞれでの個々の置換を有するロイシルtRNAシンテターゼバリアントをコードするプラスミドを含んだ。
Y39にアンバーコドンを有するGFPタンパク質をコードし、C末端でHisタグに融合されたレポータープラスミド(GFP39-TAG)を使用するsGFP-39TAGレポーター蛍光アッセイを使用して、哺乳動物細胞中でロイシルシンテターゼムテイン活性を評価した。HEK293T細胞を、10% FBSおよび0.5xペニシリン-ストレプトマイシンを補充されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中、8% CO2の存在下、湿潤インキュベーター中37℃で培養した。トランスフェクションの24時間前に1ウェル当たり0.7 x 106 HEK293Tを12ウェルプレートに播種した。ポリエチルアミンおよびDNAを、DMEM中4μL PEI(1mg/mL) 対 1μg DNAの比で混合した。それぞれのトランスフェクション混合物について、500ng GFP39-TAGレポータープラスミドを、pBBK-LeuRS.v#-LtR-TAGと混合した。非天然アミノ酸(UAA)を添加したかまたは0.5mM LCA、1mM LKETもしくは1mM ACAの濃度で培地から排除した。Olympus顕微鏡を用いて、488帯域フィルターセットにより48時間で蛍光画像を得た。GFP39-TAG発現データを得るために、細胞を12,000 x gで採取した。細胞をPBSで洗浄して、1x Haltプロテアーゼ阻害剤および0.01% Pierceユニバーサルヌクレアーゼを補充したCelLytic M溶解バッファで溶解した。20分のインキュベーション後、溶解物を15,000 x gで10分間清澄化し、透明な底の96ウェルアッセイプレートに移した。Fluoroskan Ascent II (Ex. 485nm;Em. 535nm)を使用して蛍光を測定した。
LeuRS.v1のバリアント(配列番号:5~14)を、上記のようにLCA組込みについてアッセイした。LeuRS.v1のバリアント中の点変異を図4Aに示し、GFP-39TAGレポーターアッセイにおける対応する蛍光活性を図4Bに示す。図4Bに見られるように、スクリーニングされたハイスループットスクリーンから経験的に選択したロイシルtRNAシンテターゼは、0.5mM LCAの存在下、親のLeuRS.v1と比較して異なる活性を有した。50を超えるバリアントを試験して;GFP-39TAGレポーターアッセイにおけるLeuRSバリアント(以下の表1に示されるアミノ酸配列および変異を有するLeuRSバリアントv1、v2、v9、v10、v26、v29、v48、v50、v54、v55およびv63)の選択のために代表的な蛍光画像を図4Cに示す。バリアントv9、v10、v26、v29、v48、v50、v54、v55およびv63は、親配列LeuRS.v1と比較した場合にLCA組込みについて高い活性を有することが見出された。
図4B~4Cに示されるLeuRSバリアントを多重特異性分析に供して、それらがLCAに加えてUAA基質を受け入れるかどうかを試験した。上記のように、0.5mM LCA、1mM LKETまたは1mM ACAの存在下でGFP-39TAG発現分析を行った(図5A)。上記のように活性を測定し、結果を図5Bに示す。
実施例2-ロイシルtRNAおよびロイシルtRNAシンテターゼムテインを発現する安定な細胞株の構築
この実施例には、ロイシルサプレッサtRNAおよびロイシルtRNAシンテターゼを発現する細胞株、例えば安定な細胞株の構築が記載される(図6A~6Bに概略的に示す)。
この実施例には、ロイシルサプレッサtRNAおよびロイシルtRNAシンテターゼを発現する細胞株、例えば安定な細胞株の構築が記載される(図6A~6Bに概略的に示す)。
CHO-dhFr接着細胞をATCCから取得した。目的の標的遺伝子の将来の組込みのためのそれらの固有の代謝dhFr選択戦略の柔軟性のために、CHO-dhFr細胞を親細胞株として選択した(すなわちプラットフォーム(platform)細胞株作製後)。CHO-dhFr細胞は、ATCCプロトコルに従って、10%ウシ胎仔血清、0.1mMヒポキサンチン、0.016mMチミジンおよび0.002mMメトトレキサートを補充されたGibcoTM IMDM中で保持した。安定な細胞株作製について、継代15下のCHO-dhFr細胞を、Lipofectamine 2000 (Thermo Fisher Scientific)またはNucleofector 4D-X単位のいずれかおよび関連のあるキット(Lonza)を使用して、pCLDプラスミドトランスフェクションについて培養した。
Lipofectamine 2000トランスフェクションについて、トランスフェクションの24時間前に、CHO-dhFr細胞1mL当たり2.5 x 105細胞の2mLを6ウェルプレートの1ウェル当たりに平板培養した。24時間後、Thermo Fisher Scientific標準的プロトコルに従いLipofectamine 2000を使用して、細胞を、(i)4 x U6 プロモーター、ロイシルサプレッサtRNA h1リピートカセットおよび(ii)EF1αプロモーター、LeuRS.v1-IRES-ピューロマイシンカセットを含む3μgのプラスミド(プラスミド2、表2)でトランスフェクトした。
Lonza Nucleofector 4D-Xトランスフェクションについて、製造業者の指示書に従いLonzaキットSEを使用して、1 x 106 CHO-dhFr細胞を、(i)4 x U6 プロモーター、ロイシルサプレッサtRNAリピートカセットおよび(ii)EF1αプロモーター、LeuRS.v1-IRES-ピューロマイシンカセットを含む2~4μgのプラスミド(プラスミド2、表2)でトランスフェクトした。トランスフェクション後の細胞を6ウェルプレートに平板培養した。Lipofectamine 2000系トランスフェクションまたはNucleofectionの後、プレートを、37℃、5% CO2でインキュベートして、選択のための1.5μg~6μgピューロマイシンの適用の24~48時間前に回収した(図6Aの工程1~2)。
プラスミド2中のロイシルサプレッサtRNAは配列番号:19に示され、プラスミド2中のLeuRS.v1ロイシルtRNAシンテターゼは配列番号:2に示される。
ピューロマイシン選択の2週間後、製造業者のプロトコルに記載されるようにLipofectamine 2000を使用して、細胞を、GFPおよびmCherry蛍光レポーターの両方を含む二重レポーター構築物でトランスフェクトした。前記二重レポーターは構成的にmCherry(赤色)を産生し、終止コドンを含むリンカーを介してGFPに連結されるので、該レポーターは、tRNA/aaRS対が活性である場合に条件付きでGFP(緑色)を産生する(図6Aの工程3)。トランスフェクトされた細胞を、BD Melody FACS分類機(BD)での無菌単一細胞分類の前に、0.25mM LCAの存在下で15~48時間培養した。蛍光細胞分析分離(FACS)および蛍光顕微鏡検査によりUAA組込み活性を決定した(図7~8)。図7A~7Cは、蛍光レポーター陽性対照の予想される表現型を示し、mCherry-GFP野生型は45°の軸に沿って存在する細胞を生じることを示す。図7D~7Eは、上記のようにピューロマイシンを用いて選択された、lipofectamine系トランスフェクションを使用して得られた安定な細胞集団を示し、図7F~7Hは、上記のようにピューロマイシンを用いて選択された、nucleofection系トランスフェクションを使用して得られた安定な細胞集団を示す。図7A~7Hに示されるように、集団は45°の軸に移動し、条件付GFPシグナルの変化を示し、nucleofectorトランスフェクションが最大の移動、および従って条件付二重レポーターの最大の活性を有することが示された。まとめると、45°の軸に沿ったそれぞれのドットは、安定な細胞株であり、単離、増殖および再特徴付けについて選択され得る(図7)。FACSプール分析の間、mCherryおよびGFP二重陽性クローンを選択し、図7に示される最も広い選択である「ホール」ゲートまたは45°の軸に沿った45ゲートにより、単一のクローンを96ウェルプレートに分類した(図7I)。これらのクローンは、条件付二重レポーターによる再特徴付けの前に回収のために培養された(図6Aの工程4)。
次いで、単離されたクローンを個々に、UAA組込みの代表的な読出しとして働く、上記される同じmCherry-GFP条件付レポーターによるトランスフェクションおよび再特徴付けについて調製した(図6Aの工程5)。クローン性の集団を、蛍光レポーターを有するLCA(そうではないと記載されない限り)を使用して上記のように一過的にトランスフェクトし、蛍光顕微鏡検査(図8)、FACS(図9)によりスクリーニングした。FACSの結果からの抑制効率およびタンパク質産生の定量を図10に示す。図8において、最初にクローン性単離物を、蛍光顕微鏡検査により、mCherry-GFPwtを発現する親細胞(MGwtと略す)、またはmCherry-GFP*および安定な細胞株を作製するために最初に使用した「一過的対照」または「pCLD一過的」と称されるpCLDサプレッサプラスミド(プラスミド2、表2)で共トランスフェクトされた親細胞(MG*と略す、*はTAG変異体をいう)と比較した。図8Aおよび図8Bは、lipofectamineまたはnucleofection系のいずれかの細胞株作製から単離されたクローンについての上記の標準的なlipofectamineに基づく特徴付けアッセイ(48時間で分析)を示す。クローン1.L1w.6、2.2N4S.3および2.2N6S.3についての代表的な画像は、これらのクローンが親の株よりも全体的なより高いタンパク質発現およびMG*レポーターの読み通し(readthrough)を示す高いパーセンテージの細胞を有したことを示した。
トランスフェクトされた細胞の蛍光強度をFACSにより定量した。クローン性集団内で発現されたMG*レポーターのヒストグラム分析(図9)は、UAAを組み込み得る集団中の細胞の全体的なパーセンテージの洞察を容易にし、タンパク質発現生産性および抑制効率の比較を可能にする。レポーターおよびサプレッサプラスミドを含むCHO-dhFrの一過的対照(図9K;表2のプラスミド2)に対する安定なクローンにおけるMG*発現のヒストグラム分析(図9A~9J)は、安定なクローンが全体的なより高い細胞トランスフェクション効率、およびそのために0.25mM LCAの存在下でより高いレポーター発現を有したことを示し、図9Iに示されるようにゲート化された(gated)。Nucleofectorにより送達されたLeu-tR-RS遺伝子を保有するクローンは、図9に示されるように、より高い細胞トランスフェクション効率を示した。
図10に示されるヒストグラムは、BD Melodyソフトウェアを使用して決定された。図10Aに示される平均mCherryまたはGFP蛍光の定量は、図9に見られるものと同じ傾向を示した。相対的抑制効率の理解を得るために、平均mCherry蛍光で割った平均GFP蛍光の比を、細胞株にわたって比較した。図10Bに示される安定な細胞株は、妥当な抑制効率を示し、さらなるサプレッサプラスミドDNAを必要とすることなく、4 x Leu-tRNA/ 1 x LeuRS.v1の比の、LCAを組み込み得る安定な細胞株を作製する些細でない能力を示した。さらに、図10Cは、mCherryを発現する細胞のパーセンテージに対するGFPを発現する細胞のパーセンテージのより高い比を示し、これにより一過的なトランスフェクションと比較した場合の安定な集団の間のUAA組込みのより高い頻度が確認された。tRNA:aaRSの比および組込みの部位のさらなる実験および分析は、これらの特徴を向上し得る。
GFP*レポーターを使用して安定なクローンの生産性分析を行い、親細胞株またはクローン1.L1w.6を比較した(図11)。0.25mM LCAの存在下Nucleofectionを使用して、2mlの細胞培養物を、Y39にアンバーコドンを有し、C末端でHisタグと融合された、GFPタンパク質をコードする3μgのレポータープラスミド(GFP39-TAG)でトランスフェクトして、上記されるようにインキュベーター条件中トランスフェクション後に72時間発現させた。細胞を採取して、1x Haltプロテアーゼ阻害剤および0.01% Pierceユニバーサルヌクレアーゼを補充した150μL CelLytic M溶解バッファに溶解し、製造業者のプロトコルに従い、50μL Ni-NTAビーズ上に親和性捕捉させた。Ni-NTAビーズを、PBS + 20mMイミダゾールを用いた4回の洗浄、次いでPBS + 300mMイミダゾールを用いた50μL溶出に供した。それぞれの試料を、4X-SDS試料バッファ中で変性させ、クマシーゲルにより分析した。(図11に示されるように)それぞれの試料由来の14μLの等負荷容量を、1X MESランニングバッファ中4~12% Bis-Trisゲル上で分離した。レーン1は親の株CHO-DhFr中のトランスフェクトされたGFPwtを含み、レーン2は親の株CHO-DhFr中のトランスフェクトされたGFP-TAGおよびpCLDサプレッサプラスミド(プラスミド2、表2)を含み、レーン3はクローン1.L1.6中のトランスフェクトされたGFPwtを含み、レーン4はクローン1.L1.6中のトランスフェクトされたさらなるプラスミドなしのGFP-TAGを含む(図11)。GFPの正確なサイズを観察し、矢印で示した。親およびクローンの株において同等のレベルのタンパク質が発現されることが示され、野生型に対してUAA含有タンパク質の明らかに高い相対比を有した(例えばレーン2 対 1と比較してレーン3 対 4)。
上記の方法により30日の期間にわたり、UAA組込み能力についてのクローン細胞株の安定性をさらにアッセイする。クローンを融解し、上記のプロトコルに従って培養する。培養期間の終了時に、細胞を融解し、それぞれの時点について上記のように蛍光分析を繰り返し、次いで上記のように一般的な生産性分析を行う(図6Aの工程6)。UAA組込み能力を維持する細胞株について、産生株を作製し、ここで目的の遺伝子はプラットフォーム株のゲノムに安定に組み込まれる(図6Aの工程7)。
実施例3-WTロイシルtRNAアンバーサプレッサ 対 H1ロイシルtRNAアンバーサプレッサを用いて作製された安定な細胞株プールの比較
安定なクローン作製の効率について野生型 対 h1ロイシルtRNAのそれぞれの効果を比較するために、CUAアンチコドンを含むように遺伝子工学で作り変えられた野生型またはムテインtRNA h1を有するpCLD-4xLeutRwt-LeuRS.v1-Puro(表2のプラスミド1)またはpCLD-4xLeutR.h1-LeuRS.v1-Puro(表2のプラスミド1)を使用して、上の実施例2に記載されるようにnucleofectionを用いて親細胞株プールを作製した(図6Aおよび図6Bの工程1~3に示されるプロセス)。プラスミド1中のロイシルサプレッサtRNA LeutRwtは配列番号:16に示され、プラスミド2中のロイシルサプレッサtRNA LeutR.h1は配列番号:19に示され、プラスミド1および2中のLeuRS.v1ロイシルtRNAシンテターゼは配列番号:2に示される。両方のプールを同じ選択条件に供し、上の実施例2に記載されるようにMG*レポーターを使用してFACS分析により分析した。h1 tRNAを発現するpCLDプラスミドを使用した一過的なトランスフェクションを対照として使用して、標的ゲートP6を同定した。45°ゲート(P6)内で約2x多いクローンが同定され、細胞を、「野生型」サプレッサではなくh1 tRNAでトランスフェクトした場合に2x多い陽性クローンが同定された(P5)(図12)。
安定なクローン作製の効率について野生型 対 h1ロイシルtRNAのそれぞれの効果を比較するために、CUAアンチコドンを含むように遺伝子工学で作り変えられた野生型またはムテインtRNA h1を有するpCLD-4xLeutRwt-LeuRS.v1-Puro(表2のプラスミド1)またはpCLD-4xLeutR.h1-LeuRS.v1-Puro(表2のプラスミド1)を使用して、上の実施例2に記載されるようにnucleofectionを用いて親細胞株プールを作製した(図6Aおよび図6Bの工程1~3に示されるプロセス)。プラスミド1中のロイシルサプレッサtRNA LeutRwtは配列番号:16に示され、プラスミド2中のロイシルサプレッサtRNA LeutR.h1は配列番号:19に示され、プラスミド1および2中のLeuRS.v1ロイシルtRNAシンテターゼは配列番号:2に示される。両方のプールを同じ選択条件に供し、上の実施例2に記載されるようにMG*レポーターを使用してFACS分析により分析した。h1 tRNAを発現するpCLDプラスミドを使用した一過的なトランスフェクションを対照として使用して、標的ゲートP6を同定した。45°ゲート(P6)内で約2x多いクローンが同定され、細胞を、「野生型」サプレッサではなくh1 tRNAでトランスフェクトした場合に2x多い陽性クローンが同定された(P5)(図12)。
実施例4-トリプトファニルtRNAおよびトリプトファニルtRNA-シンテターゼムテインを発現する安定な細胞株の構築
pCLD-4xTrptR-TGA-TrpRS.h14-Puroを使用して、実施例2に上記されるようにnucleofectionにより細胞株プールを作製した。pCLDプラスミドのこのバージョンは、(i)4 x U6プロモーター、Trp-tRNA-UCAリピートカセットおよび(ii)EF1α促進TrpRS.h14-IRES-ピューロマイシンカセットを含む。プラスミド1中のトリプトファニルサプレッサtRNA Trp-tRNA-UCAは配列番号:50に示され、プラスミド1中のTrpRS.h14トリプトファニル-tRNAシンテターゼは配列番号:44に示される。
pCLD-4xTrptR-TGA-TrpRS.h14-Puroを使用して、実施例2に上記されるようにnucleofectionにより細胞株プールを作製した。pCLDプラスミドのこのバージョンは、(i)4 x U6プロモーター、Trp-tRNA-UCAリピートカセットおよび(ii)EF1α促進TrpRS.h14-IRES-ピューロマイシンカセットを含む。プラスミド1中のトリプトファニルサプレッサtRNA Trp-tRNA-UCAは配列番号:50に示され、プラスミド1中のTrpRS.h14トリプトファニル-tRNAシンテターゼは配列番号:44に示される。
1.5μg/mLまたは4μg/mLのいずれかにおいて7~10日の短縮されたピューロマイシン選択を使用して、TAG終止コドンではなくTGA終止コドンを有するmCherry-GFP*レポーターを使用した。TGA終止コドンは、トリプトファニル対について、哺乳動物細胞中でTAG終止コドンよりも高い効率を示す。安定なトリプトファン細胞株のプールを同じ選択条件に供し、トリプトファニル対に対するUAAである1mM 5-ヒドロキシトリプトファン、HTPの存在下、実施例2において上記されるように、改変されたMG*(TGA)レポーターを使用してFACS分析により分析した(図13)。標的45°ゲート内で安定なクローンが同定され、クローン性単離物に分類された。これらの安定なクローンの同定および分類により、安定なトリプトファニル細胞株の作製について実現性のあるものとして、4:1のtRNA:aaRS比が確認される。
例えば上の実施例2に記載されるロイシルクローン性単離物を用いて実行されたように、クローン性単離物のさらなる特徴付けを行って、安定なトリプトファニル細胞株のタンパク質産生および安定性の特徴を決定する。
参照による援用
本明細書で言及される特許文献および科学文献のそれぞれの全開示は、全ての目的で参照により援用される。
本明細書で言及される特許文献および科学文献のそれぞれの全開示は、全ての目的で参照により援用される。
均等物
本発明は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく他の特定の形態で実現され得る。そのため、前述の態様は、全ての局面において本明細書に記載される発明の限定ではなく、例示としてみなされる。したがって、本発明の範囲は、前述の記載ではなく添付の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の同等物の意味および範囲内にある全ての変更が本発明に包含されることが意図される。
本発明は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく他の特定の形態で実現され得る。そのため、前述の態様は、全ての局面において本明細書に記載される発明の限定ではなく、例示としてみなされる。したがって、本発明の範囲は、前述の記載ではなく添付の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の同等物の意味および範囲内にある全ての変更が本発明に包含されることが意図される。
Claims (44)
- タンパク質への組み込みのために、tRNAに非天然アミノ酸を負荷し得る原核生物ロイシルtRNAシンテターゼムテインであって、配列番号:1のアミノ酸配列、ならびに(i)His537に対応する位置での少なくとも1つの置換(例えば疎水性アミノ酸での置換)、(ii)E20V、E20M、L41V、L41A、Y499H、Y499A、Y527I、Y527V、Y527Gおよびそれらの任意の組合せから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換、(iii)E20KおよびL41Sならびにそれらの任意の組合せから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換ならびにM40I、T252A、Y499IおよびY527Aならびにそれらの任意の組合せから選択される少なくとも1つのアミノ酸置換、または(iv) (i)、(ii)および(iii)の2つ以上の組合せ
を含む、原核生物ロイシルtRNAシンテターゼムテイン。 - E20K、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527AもしくはH537Gまたはそれらの組合せを含む、請求項1記載のtRNAシンテターゼムテイン。
- E20K、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527AおよびH537Gを含む、請求項2記載のtRNAシンテターゼムテイン。
- 20位で、GluまたはLys以外のアミノ酸での置換を含む、請求項1~3いずれか記載のtRNAシンテターゼムテイン。
- 置換が疎水性アミノ酸(例えばLeu、ValまたはMet)による、請求項4記載のtRNAシンテターゼムテイン。
- E20M、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527AおよびH537Gを含む、請求項5記載のtRNAシンテターゼムテイン。
- E20V、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527AおよびH537Gを含む、請求項5記載のtRNAシンテターゼムテイン。
- 41位で、LeuまたはSer以外のアミノ酸での置換を含む、請求項1~3いずれか記載のtRNAシンテターゼムテイン。
- 置換がLeu以外の疎水性アミノ酸(例えばGly、Ala、ValまたはMet)による、請求項8記載のtRNAシンテターゼムテイン。
- E20K、M40I、L41V、T252A、Y499I、Y527AおよびH537Gを含む、請求項9記載のtRNAシンテターゼムテイン。
- E20K、M40I、L41A、T252A、Y499I、Y527AおよびH537Gを含む、請求項9記載のtRNAシンテターゼムテイン。
- 499位で、Tyr、IleまたはSer以外のアミノ酸での置換を含む、請求項1~3いずれか記載のtRNAシンテターゼムテイン。
- 置換が小疎水性アミノ酸(例えばGly、AlaまたはVal)による、請求項12記載のtRNAシンテターゼムテイン。
- E20K、M40I、L41S、T252A、Y499A、Y527AおよびH537Gを含む、請求項13記載のtRNAシンテターゼムテイン。
- 置換が正に荷電したアミノ酸(例えばLys、ArgまたはHis)による、請求項12記載のtRNAシンテターゼムテイン。
- E20K、M40I、L41S、T252A、Y499H、Y527AおよびH537Gを含む、請求項15記載のtRNAシンテターゼムテイン。
- 527位で、AlaまたはLeu以外の疎水性アミノ酸(例えばGly、Ile、MetまたはVal)での置換を含む、請求項1~3いずれか記載のtRNAシンテターゼムテイン。
- E20K、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527IおよびH537Gを含む、請求項17記載のtRNAシンテターゼムテイン。
- E20K、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527VおよびH537Gを含む、請求項17記載のtRNAシンテターゼムテイン。
- E20K、M40I、L41S、T252A、Y499I、Y527GおよびH537Gを含む、請求項17記載のtRNAシンテターゼムテイン。
- 請求項1~20いずれか記載のtRNAシンテターゼムテインをコードする核酸。
- 請求項21記載の核酸を含むトランスファーベクター。
- ベクターが核酸を細胞に導入し得、その際に核酸が細胞のゲノムに組み込まれ得る、請求項22記載のトランスファーベクター。
- 請求項1~20いずれか記載のtRNAシンテターゼムテインを含む遺伝子工学で作り変えられた細胞。
- 請求項21記載の核酸を含む遺伝子工学で作り変えられた細胞。
- 請求項22または23記載のトランスファーベクターを含む遺伝子工学で作り変えられた細胞。
- 核酸が、細胞のゲノムに安定に組込まれる、請求項25記載の細胞。
- 核酸が細胞内で発現されて、対応するtRNAシンテターゼムテインを産生し得る、請求項27記載の細胞。
- 非天然アミノ酸を、細胞内での発現を経験するタンパク質に組み込み得るサプレッサロイシルtRNAをさらに含む、請求項24~28いずれか記載の細胞。
- サプレッサロイシルtRNAが配列番号:16~42のいずれか1つから選択される、請求項29記載の細胞。
- サプレッサロイシルtRNAをコードする核酸が、細胞のゲノムに安定に組込まれる、請求項29または30記載の細胞。
- 核酸が細胞内で発現されて、対応するサプレッサtRNAを産生し得る、請求項31記載の細胞。
- 非天然アミノ酸がロイシンアナログである、請求項24~32いずれか記載の細胞。
- ロイシンアナログが、アルキン、アジド、シクロプロペン、アルケン、ケトン、アルデヒド、ジアジリンまたはテトラジンの官能基を含む直線化ハロゲン化アルキルおよび直線化脂肪族鎖から選択される、請求項33記載の細胞。
- タンパク質が、未成熟終止コドンを含む核酸配列から発現される、請求項24~34いずれか記載の細胞。
- tRNAシンテターゼムテインが、サプレッサロイシルtRNAに、未成熟終止コドンに対応する位置でタンパク質に組み込まれる非天然アミノ酸を負荷し得る、請求項35記載の細胞。
- サプレッサtRNAが、未成熟終止コドンにハイブリダイズして、非天然アミノを、未成熟終止コドンに対応する位置でタンパク質に組み込ませるアンチコドン配列を含む、請求項35記載の細胞。
- 細胞内で発現されるタンパク質が、抗体(またはその断片)、二重特異性抗体、ナノボディ、アフィボディ、ウイルスタンパク質、ケモカイン、抗原、血液凝固因子、ホルモン、成長因子、酵素または任意の他のポリペプチドもしくはタンパク質である、請求項24~37いずれか記載の細胞。
- 原核細胞(例えば細菌細胞)である、請求項24~41いずれか記載の細胞。
- 真核細胞(例えば哺乳動物細胞)である、請求項24~41いずれか記載の細胞。
- 非天然アミノ酸の、細胞内で発現されるタンパク質への組み込みを可能にする条件下で、請求項24~43いずれか記載の細胞を培養または増殖する工程を含む、非天然アミノ酸を含むタンパク質を発現させる方法。
- タンパク質が少なくとも5日間発現される、請求項44記載の方法。
- タンパク質が少なくとも10日間発現される、請求項44記載の方法。
- タンパク質が少なくとも15、20、25、30または35日間発現される、請求項45記載の方法。
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