JP2022541560A - 焼成石灰石由来のカルシウム化合物を利用するための方法およびシステム - Google Patents

焼成石灰石由来のカルシウム化合物を利用するための方法およびシステム Download PDF

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Abstract

本明細書では、a)セメント工場において石灰石を焼成して、二酸化炭素、および酸化カルシウム、水酸化カルシウムまたはそれらの組合せから選択されるカルシウム化合物を形成する工程と、b)カルシウム化合物を、水中でN含有塩を用いて処理して、カルシウム塩およびN含有塩を含む水溶液を生成する工程と、c)水溶液を、1つまたは複数の沈殿条件下で二酸化炭素と接触させて、バテライトを含む炭酸カルシウムを含む沈殿物質および上清水溶液を生成する工程とを含む方法が提供される。

Description

関連出願の相互参照
本願は、2019年7月21日出願の米国仮出願番号第62/876,711号の利益を主張するものであり、その全体は本開示において参照により本明細書に組み込まれる。
二酸化炭素(CO)排出は、地球温暖化現象に大きく寄与するものとして特定されている。COは、燃焼の副産物であり、操作上の問題、経済的問題および環境問題を引き起こしている。大気中のCOおよび他の温室ガスの濃度上昇は、大気中の熱保存をより促進して、地表温度の上昇および急速な気候変動をもたらすと予測され得る。さらに、大気中のCOレベルの上昇は、COの溶解および炭酸の形成に起因して、世界海洋をさらに酸性化するおそれもある。気候変化および海洋酸性化の影響は、適時に対処されなければ、経済的に費用が増し、環境にとって有害となる可能性が高くなるおそれがある。気候変化の潜在的リスクを低減するには、様々な人為的プロセスからのCOの隔離および回避が必要である。
一態様では、a)セメント工場において石灰石を焼成して、二酸化炭素、および酸化カルシウム、水酸化カルシウムまたはそれらの組合せから選択されるカルシウム化合物を形成する工程と、b)カルシウム化合物を、水中でN含有塩を用いて処理して、カルシウム塩およびN含有塩を含む水溶液を生成する工程と、c)水溶液を、1つまたは複数の沈殿条件下で二酸化炭素と接触させて、炭酸カルシウムを含む沈殿物質および上清水溶液を生成する工程であって、前記炭酸カルシウムがバテライトを含む、工程とを含む方法が提供される。前述の態様の一部の実施形態では、酸化カルシウムは、不完全燃焼石灰、低反応性石灰、高反応性石灰、またはそれらの組合せである。前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、焼成ステップは、溶鉱炉または回転炉において行われる。前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、セメント工場は、湿式プロセス工場または乾式プロセス工場である。
前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、処理ステップは、無水アンモニアまたはアンモニア水溶液を添加することをさらに含む。
前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、N含有塩は、N含有無機塩、N含有有機塩、またはそれらの組合せである。前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、N含有塩は、N含有無機塩である。前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、N含有無機塩は、ハロゲン化アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、およびそれらの組合せからなる群から選択される。前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、ハロゲン化アンモニウムは、塩化アンモニウムである。前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、N含有塩は、塩化アンモニウムである。前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、N含有塩は、脂肪族アミン、脂環式アミン、複素環式アミン、およびそれらの組合せからなる群から選択されるN含有有機化合物を有するN含有有機塩である。
前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、N含有塩:カルシウム化合物のモル比は、重量で約0.5:1~2:1の間である。前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、本方法は、アンモニアおよび/またはN含有塩を除去し、必要に応じて回収する工程であって、(i)処理ステップおよび/または接触ステップ中に、アンモニアを含むガス排気ストリームを回収するステップ、(ii)上清水溶液が、残留N含有塩を含み、該上清水溶液から、残留N含有塩を回収する工程をさらに含むステップ、ならびに(iii)沈殿物質が、残留N含有塩を含み、該沈殿物質から、残留N含有塩を除去し、必要に応じて回収する工程をさらに含むステップのうちの1つまたは複数のステップを使用する工程をさらに含む。前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、残留N含有塩は、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、硫化水素アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、またはそれらの組合せである。
前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、本方法は、熱分解、pH調整、逆浸透、多段フラッシュ、多重効用蒸留、蒸気再圧縮、蒸留、およびそれらの組合せからなる群から選択される回収プロセスを使用して、上清水溶液から残留N含有塩を回収する工程をさらに含む。
前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、本方法は、回収された残留N含有塩を、上記プロセスの処理ステップ、上記プロセスの接触ステップ、またはそれらの組合せに戻して再循環させる工程をさらに含む。
前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、アンモニアを含むガス排気ストリームを回収するステップは、アンモニアを含むガス排気ストリームを、スクラビングプロセスに付す工程を含み、スクラビングプロセスは、アンモニアを含むガス排気ストリームを、工業プロセス由来の二酸化炭素および水でスクラビングして、アンモニア溶液を生成する工程を含む。前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、アンモニアを含むガス排気ストリームを回収するステップは、アンモニアを含むガス排気ストリームを、スクラビングプロセスに付す工程を含み、スクラビングプロセスは、アンモニアを含むガス排気ストリームを、塩酸および水でスクラビングして、塩化アンモニウム溶液を生成する工程を含む。
前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、アンモニア溶液は、必要に応じて、接触ステップに戻して再循環させるカルバメートを含む。
前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、沈殿物質から残留N含有塩を除去し、必要に応じて回収するステップ(iii)は、沈殿物質を、約150~360℃の間または約100~360℃の間または約150~200℃の間で加熱して、沈殿物質からN含有塩を蒸発させ、必要に応じて凝縮によってN含有塩を回収する工程を含む。
前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、炭酸カルシウムは、反応性バテライトを含む。前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、炭酸カルシウムは、ステップ(iii)における加熱後に、反応性バテライトとして沈殿物質に残留する反応性バテライトを含む。
前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、約100~360℃の間での沈殿物質の加熱は、約10分超または約10~60分の間行われる。前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、N含有塩は、アンモニアガス、塩化水素ガス、塩素ガス、またはそれらの組合せを含む形態で、沈殿物質から蒸発する。
前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、本方法は、反応性バテライトを含む沈殿物質に水を添加し、バテライトをアラゴナイトに転換する工程をさらに含み、該アラゴナイトは凝結し、硬化して、セメントまたはセメント製品を形成する。
前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、セメント製品は、石造ユニット、建築パネル、導管、水盤(basin)、梁、柱、スラブ、遮音バリア、断熱材料、およびそれらの組合せから選択される、形成された建材である。
前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、水溶液は、固体をさらに含む。前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、本方法は、接触ステップの前に、濾過および/または遠心分離によって水溶液から固体を分離する工程をさらに含む。前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、分離された固体は、フィラーまたは補助セメント材料(SCM)として、沈殿物質に添加される。
前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、本方法は、すすぎ、熱分解、pH調整、およびそれらの組合せからなる群から選択される回収プロセスを使用して、上記固体から残留N含有塩を回収する工程をさらに含む。
前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、上記固体は、水溶液から分離されず、水溶液は、二酸化炭素と接触させられて、上記固体をさらに含む沈殿物質を生成する。前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、上記固体は、炭素、シリカ、酸化鉄、酸化アルミニウム、またはそれらの組合せを含む。前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、上記固体は、上記水溶液中、上記沈殿物質中、またはそれらの組合せに、1~40wt%の間で存在する。
前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、1つまたは複数の沈殿条件は、温度、pH、圧力、イオン比、沈殿速度、添加物の存在、イオン種の存在、添加物およびイオン種の濃度、撹拌、滞留時間、混合速度、かき混ぜ形態、種結晶、触媒、膜または下地の存在、脱水、乾燥、ボールミル粉砕、ならびにそれらの組合せから選択される。前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、炭酸カルシウムの形成にとって都合が良い、または反応性バテライトの形成にとって都合が良い1つまたは複数の沈殿条件は、水溶液の7~8.5の間のpH、前記溶液の20~80℃の間の温度、15~60分の間の滞留時間、またはそれらの組合せを含む。
一態様では、前述の方法の態様および実施形態によって形成された製品が提供される。
本発明の特色は、添付の特許請求の範囲の特殊性と共に記載される。本発明の特色および利点は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明、および以下の添付の図を参照することによって、より良く理解される。
図1は、本明細書で提供される一部の方法およびシステムの実施形態を示す。
図2は、バテライトからアラゴナイトへの遷移のギブズ自由エネルギー図を示す。
本明細書では、石灰石を焼成するセメント工場由来の石灰および廃棄物を使用して炭酸カルシウムを生成する方法およびシステムが提供される。石灰石の焼成から得られる生成物には、酸化カルシウム(石灰または生石灰)、水酸化カルシウム(消石灰)、および廃ガス、例えば二酸化炭素が含まれる。本明細書では、セメント工場由来の石灰およびCOを使用して、本明細書に記載される様々な製品において使用することができる炭酸カルシウムを形成する、独特の方法およびシステムが提供される。本明細書で提供される方法の一部の実施形態では、セメント工場由来の酸化カルシウムおよび/または水酸化カルシウムは、カルシウム化合物を水溶液に可溶化するためにN含有塩で処理され、次に、該水溶液は二酸化炭素ガスで処理されて、炭酸カルシウムを含む沈殿物または沈殿物質を形成する。
一部の実施形態では、炭酸カルシウムは、バテライト多形形態で形成され、または一部の実施形態では、炭酸カルシウムは、沈殿した炭酸カルシウム(PCC)である。PCCは、バテライト、アラゴナイト、方解石、またはそれらの組合せの形態であってもよい。一部の実施形態では、炭酸カルシウムは、安定なバテライト形態または反応性バテライト形態であり、それらは、共に本明細書に記載されている。一部の実施形態では、反応性バテライトを含む沈殿物質は、限定されるものではないが、高い圧縮強度で凝結しセメント化するアラゴナイトに転換させることによるセメント化特性を含めた、独特な特性を有する。一部の実施形態では、バテライトからアラゴナイトへの転換により、建材および/またはセメント製品、例えば限定されるものではないが、本明細書にさらに記載される形成された建材、例えば建築パネルなどを形成するために使用することができるセメントが得られる。一部の実施形態では、製品におけるバテライトは、安定であり(アラゴナイトに転換しない)、他のセメント、例えば普通ポルトランドセメント(OPC)と混合される場合には、フィラーまたは補助セメント材料(SCM)として使用することができる。バテライトを含む沈殿物質はまた、反応性バテライトを含有する沈殿物質が、水と接触した後にアラゴナイトに転換する骨材として使用される場合があり、該アラゴナイトは凝結し、セメント化し、次にセメント化後に該骨材を形成するために粉砕される。炭酸カルシウムがPCCとして形成される一部の実施形態では、PCC材料は、セメント質であり、または紙製品、ポリマー製品、潤滑剤、接着剤、ゴム製品、チョーク、アスファルト製品、塗料、塗料除去のための研磨剤、パーソナルケア製品、化粧品、清浄製品、パーソナル衛生製品、摂取可能な製品、農業製品、土壌改良製品、殺有害生物剤、環境修復製品、およびそれらの組合せなどの製品におけるフィラーとして使用することができる。非セメント製品におけるフィラーとしての沈殿物質のこのような使用は、2010年11月9日発行の米国特許第7,829,053号に記載されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
カルシウム化合物由来のカルシウムイオンを可溶化するために使用されるN含有塩は、沈殿物が形成された後、上清溶液および沈殿物自体に残留N含有塩を残すことができる。一部の実施形態では、単なる例として、沈殿物における、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、硫化水素アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムもしくは任意の他のN含有有機塩、またはそれらの組合せなどのN含有塩は、こうして沈殿物質から形成されたセメント製品に有害となるおそれがあるので、沈殿物における残留N含有塩の存在は、望ましくない場合がある。例えば、セメント製品における塩化物は、セメント製品と共に使用される金属構造物にとって腐食性であり得る。さらに、残留アンモニアは、製品に悪臭を加えるおそれがある。さらに、沈殿物および上清溶液における、回収されない無駄な残留N含有塩は、経済的にも環境的にも実行可能になり得ない。上清溶液および沈殿物から残留N含有塩を除去し、必要に応じて回収するための様々な方法が、本明細書で提供されている。
本発明を詳細に説明する前に、本発明は、記載される特定の実施形態に限定されず、したがって当然ながら変わり得ることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を単に記載することを目的とし、制限することを企図されないことも理解されたい。
ある範囲の値が提供される場合、文脈によって別段明示されない限り、その範囲の上限値と下限値の間に介在する、下限値の単位の10分の1までの各値、および記述されたその範囲内の記述されたいかなる他の値または介在する値も、本発明に包含されると理解される。これらのより小さい範囲の上限値および下限値は、独立に、前記より小さい範囲に含まれていてよく、記述された範囲における任意の境界が具体的に排除されることを条件として、本発明にも包含される。記述された範囲が、境界の一方または両方を含む場合、含まれたそれらの境界の一方または両方を排除する範囲も、本発明に含まれる。
ある特定の範囲は、本明細書では、数値の前に用語「約」が置かれている状態で提示される。用語「約」は、本明細書では、その後に置かれる正確な数、および後に置かれる数に近い数または近似する数について、文字により裏付けるために使用される。ある数が、具体的に記載されている数に近いまたは近似するかどうかを決定する際、近いまたは近似する記載されていない(unrequited)数は、それが提示される文脈において、具体的に記載されている数と実質的に等価な数を提供する数であり得る。
別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の技術者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものに類似のまたは等価な任意の方法および材料を、本発明の実施または試験において使用することもできるが、本明細書では、代表的な例示的方法および材料が記載される。
本明細書に引用されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、あたかもそれぞれ個々の刊行物、特許、または特許出願が、参照により本明細書に組み込まれることが具体的に個々に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。さらに、それぞれの引用される刊行物、特許、または特許出願は、その刊行物が引用されるものに関して主題を開示し、記載するために、参照により本明細書に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、その出願日前にそれらを開示するためのものであり、本明細書に記載される本発明が、先行特許に関してこのような刊行物に先行する権利を有していないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提供された刊行日は、実際の刊行物の公開日とは異なる場合があり、独立に確認される必要があり得る。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、状況によって別段明示されない限り、複数の参照物を含むことに留意されたい。さらに、特許請求の範囲は、必要に応じた任意の要素を排除するように書かれる場合があることに留意されたい。したがって、この単数形の記載は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連する、「単に(solely)」、「だけ(only)」などの排他的用語の使用、または「消極的」限定の使用のための先行詞として働くことが企図される。
本開示を読む際に当業者に明らかになる通り、本明細書に記載され、例示される個々の実施形態のそれぞれは、別個の構成成分および特色を有し、それらは、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、その他のいくつかの実施形態のいずれかの特色と容易に分離され得るか、または組み合わされ得る。記載されるいかなる方法も、記載される事象の順序で、または論理的に可能な任意の他の順序で行うことができる。
I.方法およびシステム
炭酸カルシウムの多形を形成するために石灰石焼成を経るセメント工場由来のカルシウム化合物およびCOを利用するための、方法およびシステムが提供される。「石灰石」は、本明細書で使用される場合、CaCOを意味し、石灰石に典型的に存在する他の不純物をさらに含むことができる。「カルシウム化合物」には、本明細書で使用される場合、石灰石の焼成から形成されたいかなるカルシウム化合物も含まれる。本明細書で提供される方法およびシステムは、石灰石を焼成しているセメント工場由来の、CO、および酸化カルシウム、水酸化カルシウムまたはそれらの組合せから選択されるカルシウム化合物を利用し、炭酸カルシウム、例えば限定されるものではないが、安定なもしくは反応性バテライトまたはPCCを含む沈殿物質を形成する。これらの方法およびシステムは、本明細書でより詳細に記載される通りである。本明細書で形成された炭酸カルシウムの多形、例えばバテライトは、セメントまたはフィラーとして使用することができる。一部の実施形態では、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、またはそれらの組合せから選択されるカルシウム化合物は、二価カチオン(Ca2+)の供給源およびプロトン除去剤の両方として作用することができる。一部の実施形態では、酸化カルシウムを水に可溶化することによって形成された水酸化カルシウムは、二価カチオンの供給源としてのカルシウムイオン、およびプロトン除去剤の供給源としての水酸化物を提供することができ、二酸化炭素と反応して、炭酸カルシウム沈殿物を形成することができる。炭酸カルシウム沈殿物のバテライト多形は、製品中のフィラーとして作用することができる安定なバテライトであってもよく、またはバテライトは、本明細書に記載される溶解再沈殿プロセス中にアラゴナイトに転換し得る反応性バテライトであってもよい。
本明細書で提供される方法の一部の実施形態では、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、またはそれらの組合せから選択されるカルシウム化合物は、カルシウム化合物を水溶液に可溶化するためにN含有塩で処理され、次に、該水溶液は二酸化炭素ガスで処理されて、炭酸カルシウムを含む沈殿物質を形成する。上記プロセスは、沈殿物が形成された後、上清溶液および沈殿物自体の中に残存する残留N含有塩をもたらし得る。上清溶液および沈殿物から残留N含有塩を除去し、必要に応じて回収するための様々な方法が、本明細書で提供されている。一部の実施形態では、石灰石の焼成後に得られたカルシウム化合物は、石灰石の供給源に応じて、硫黄を含有し得る。カルシウム化合物における硫黄は、N含有塩を用いてカルシウム化合物を可溶化した後、水溶液に導入することができる。アルカリ溶液中では、限定されるものではないが、亜硫酸塩(SO 2-)、硫酸塩(SO 2-)、水硫化物(HS)、チオ硫酸塩(S 2-)、ポリスルフィド(S 2-)、チオール(RSH)などを含めた、様々な硫黄イオン種を含有する様々な硫黄化合物が、溶液中に存在し得る。「硫黄化合物」には、本明細書で使用される場合、いかなる硫黄イオン含有化合物も含まれる。硫黄化合物の例は、本明細書で提供されている。上清溶液および沈殿物から硫黄化合物を除去し、必要に応じて回収するための様々な方法が、本明細書で提供されている。
一態様では、a)セメント工場において石灰石を焼成して、二酸化炭素、および酸化カルシウム、水酸化カルシウムまたはそれらの組合せから選択されるカルシウム化合物を形成する工程と、b)カルシウム化合物を、水中でN含有塩を用いて処理して、カルシウム塩およびN含有塩を含む水溶液を生成する工程と、c)水溶液を、1つまたは複数の沈殿条件下で二酸化炭素と接触させて、バテライトを含む炭酸カルシウムを含む沈殿物質および上清水溶液を生成する工程とを含む方法が提供される。前述の態様の一部の実施形態では、本方法は、沈殿物質を脱水して、上清水溶液から沈殿物を分離する工程をさらに含む。前述の態様の一部の実施形態では、炭酸カルシウムは、反応性バテライトを含む。前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、炭酸カルシウムは、50wt%を超える反応性バテライトを含む。
前述の態様および実施形態は、図1に示される。所望の結果に応じて、図1に示されるステップは修正することができ、またはステップの順序は変更することができ、またはさらなるステップを追加もしくは削除することができることを理解されたい。図1に示される通り、石灰石の焼成を経るセメント工場から得られた酸化カルシウム、水酸化カルシウムまたはそれらの組合せから選択されるカルシウム化合物、およびCO(図1のステップA)は、本明細書で提供される方法およびシステムに供して、炭酸カルシウムを含む沈殿物質を生成する。
焼成または焼成することは、石灰石の熱分解をもたらす熱処理プロセスである。石灰石は、自然に存在する鉱物である。この鉱物の化学組成は、地域ごとに変わり、同じ地域の異なる鉱床の間でも変わり得る。したがって、各天然鉱床由来の石灰石を焼成することにより得られる酸化カルシウムおよび/または水酸化カルシウムも異なり得る。典型的に、石灰石は、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、鉄(Fe)、硫黄(S)または他の微量元素から構成され得る。
石灰石鉱床は、広く分布している。様々な鉱床由来の石灰石は、物理化学特性が異なっている場合があり、それらの化学組成、質感および地質学的形成に従って分類することができる。石灰石は、炭酸塩含量が主に炭酸カルシウムから構成され得、炭酸マグネシウム含量が5%以下である高カルシウムタイプ、炭酸マグネシウムを約5~20%含有するマグネシウムタイプ、または20~45%の間のMgCOを含有することができ、残量が炭酸カルシウムであるドロマイトタイプに分類することができる。異なる供給源由来の石灰石は、化学組成および物理的構造が大幅に異なり得る。本明細書で提供される方法およびシステムは、先に列挙されるか、または商業的に入手可能な供給源のいずれか由来の石灰石を焼成するすべてのセメント工場に適用されることを理解されたい。
石灰石の焼成は、石灰石の分解の化学反応が、
CaCO → CaO+CO(ガス)
となる、分解プロセスである。
酸化カルシウムは、条件に応じて、乾燥形態または湿潤形態(例えば水酸化カルシウム)で存在し得る。酸化カルシウム(石灰または生石灰)の生成は、炉のタイプ、焼成条件、および原材料、すなわち石灰石の性質に応じて変わり得る。比較的低い焼成温度では、炉内で形成された生成物は、未燃炭酸塩および石灰の両方を含有している場合があり、不完全燃焼石灰と呼ばれることがある。温度が上昇するにつれて、軟質の燃焼石灰または高反応性石灰が生成され得る。さらにより高い温度では、死焼石灰または低反応性石灰が生成され得る。軟質の燃焼石灰は、反応フロントが、充填された石灰石のコアに達し、存在するすべての炭酸塩を石灰に変換する場合に生成される。高生産性の生成物は、比較的軟質である場合があり、小さい石灰微結晶を含有しており、容易に評価可能な内部を有する開放多孔質構造を有する。このような石灰は、高反応性、高表面積および低バルク密度の最適な特性を有することができる。この段階を超えて焼成度を高めると、石灰微結晶は、より大きい凝集物および焼結物に成長し得る。これにより、表面積、多孔性および反応性が低下し、バルク密度が上昇し得る。この生成物は、死焼石灰または低反応性石灰として公知であり得る。いかなる理論にも拘泥するものではないが、本明細書で提供される方法およびシステムは、前述の石灰のいずれか1つまたは組合せを利用する。
石灰石を焼成することによるカルシウム化合物の生成は、様々なタイプの炉、例えば限定されるものではないが、溶鉱炉または回転炉を使用して行うことができる。焼成するためのこれらの装置は、数ミリメートルから数十ミリメートルの直径を有する塊の形態の石灰石を焼成するのに適している。セメント工場の廃棄物ストリームには、湿式プロセス工場および乾式プロセス工場の両方から出た廃棄物ストリームが含まれ、それらの工場は、溶鉱炉または回転炉を用いることができ、予備焼成炉を含んでいてもよい。これらの工業用工場は、それぞれ単一燃料を燃焼することができ、または2種もしくはそれよりも多種の燃料を、順次もしくは同時に燃焼することができる。
図1に示される通り、石灰石の採石場から得られた石灰石は、セメント工場で焼成され、その結果、酸化カルシウム、水酸化カルシウムまたはそれらの組合せから選択されるカルシウム化合物、およびCOガスを形成する。カルシウム化合物は、乾式炉/セメント化プロセス由来の固体形態の酸化カルシウムであってもよく、かつ/または湿式炉/セメント化プロセス内でスラリー形態の、酸化カルシウムおよび水酸化カルシウムの組合せであってもよい。湿式の場合、酸化カルシウム(水中でその水酸化物形態に変わる塩基性無水物としても公知)は、その水和形態、例えば限定されるものではないが、水酸化カルシウムで存在し得る。水酸化カルシウム(消石灰とも呼ばれる)は、酸化カルシウムの一般的な水和形態であるが、他の中間の水和複合体および/または水複合体も、スラリー中に存在することができ、それらはすべて、本明細書で提供される方法およびシステムの範囲内に含まれる。
本明細書で提供される方法およびシステムにおいて、セメント工場から得られたカルシウム化合物は、その溶解度を改善するために、可溶化剤、例えばN含有塩で処理されるか、またはそれと溶媒和される(図1のステップB)。「処理する」または「溶媒和する」または「可溶化する」またはその文法的等価物は、本明細書で互換的に使用され、水性媒体へのカルシウム化合物の可溶化を含む。一部の実施形態では、湿式プロセスのセメント工場から得られたカルシウム化合物スラリーは、必要に応じて脱水ステップ(図に示されず)に供される場合があり、ここで残留水は除去されてよく、脱水された残留物は、さらなる処理(例えば可溶化剤、例えばN含有塩を用いる溶媒和)に付されてよい。カルシウム化合物スラリーは、任意の技術、例えば限定されるものではないが、遠心分離を使用して脱水することができる。
酸化カルシウムは、水に溶けにくいことがある。本明細書で提供される方法およびシステムにおいて、酸化カルシウムの溶解度は、可溶化剤、例えばN含有塩および/またはホウ酸塩を用いてそれを処理することによって増大する。一部の実施形態では、カルシウム化合物は、N含有塩で処理される。
単に例示する目的で、図においては、N含有塩溶液が塩化アンモニウム(NHCl)溶液と示されており、その後のカルシウム塩は、塩化カルシウム(CaCl)と示されている。N含有塩の様々な例が、本明細書で提供されており、すべて本発明の範囲内にある。
前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、N含有塩は、N含有無機塩、N含有有機塩、またはそれらの組合せである。「N含有塩」は、本明細書で使用される場合、石灰石の焼成後に得られたカルシウム化合物を、部分的にまたは完全にまたは実質的に可溶化または溶解する塩である。カルシウム化合物は、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、カルシウムの任意の他の誘導体、またはそれらの組合せであり得る。
「N含有無機塩」は、本明細書で使用される場合、窒素を有する任意の無機塩を含む。N含有無機塩の例として、限定されるものではないが、ハロゲン化アンモニウム(ハロゲンは、任意のハロゲンである)、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムなどが挙げられる。一部の実施形態では、ハロゲン化アンモニウムは、塩化アンモニウムまたは臭化アンモニウムである。一部の実施形態では、ハロゲン化アンモニウムは、塩化アンモニウムである。このような化学物質は、当技術分野で周知であり、商業的に入手可能である。
「N含有有機塩」は、本明細書で使用される場合、窒素を有する有機化合物の任意の塩を含む。N含有有機化合物の例として、限定されるものではないが、脂肪族アミン、脂環式アミン、複素環式アミン、およびそれらの組合せが挙げられる。このような化学物質は、当技術分野で周知であり、商業的に入手可能である。
「脂肪族アミン」は、本明細書で使用される場合、式(R)-NH3-nの任意のアルキルアミンを含む(nは、整数1~3であり、Rは、独立に、C1~C8の間の直鎖または分枝鎖の置換または非置換アルキルである)。式(R)-NH3-nのアルキルアミンの対応する塩の一例は、(R)-NH4-n Clまたは(R)-NH4-n Brである。一部の実施形態では、Rが置換アルキルである場合、置換アルキルは、独立に、ハロゲン、ヒドロキシル、酸および/またはエステルで置換されている。
例えば、Rが、(R)-NH3-nにおいてアルキルである場合、アルキルアミンは、単なる例として、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミンなどの第一級アルキルアミンであってもよく、アルキルアミンは、単なる例として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミンなどの第二級アミンであってもよく、かつ/またはアルキルアミンは、単なる例として、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの第三級アミンであってもよい。
例えば、Rが、(R)-NH3-nにおいてヒドロキシルで置換されている置換アルキルである場合、置換アルキルアミンは、限定されるものではないが、モノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン、またはトリアルカノールアミン、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、またはトリエタノールアミンなどを含めた、アルカノールアミンである。
例えば、Rが、(R)-NH3-nにおいてハロゲンで置換されている置換アルキルである場合、置換アルキルアミンは、例えば、クロロメチルアミン、ブロモメチルアミン、クロロエチルアミン、ブロモエチルアミンなどである。
例えば、Rが、(R)-NH3-nにおいて酸で置換されている置換アルキルである場合、置換アルキルアミンは、例えば、アミノ酸である。一部の実施形態では、前述のアミノ酸は、極性の非電荷アルキル鎖を有し、その例として、限定されるものではないが、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、またはそれらの組合せが挙げられる。一部の実施形態では、前述のアミノ酸は、荷電アルキル鎖を有し、その例として、限定されるものではないが、アルギニン、ヒスチジン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはそれらの組合せが挙げられる。一部の実施形態では、前述のアミノ酸は、グリシン、プロリン、またはそれらの組合せである。
「脂環式アミン」は、本明細書で使用される場合、式(R)-NH3-nの任意の脂環式アミンを含む(nは、整数1~3であり、Rは、独立に、すべて炭素の1つまたはそれより多くの環であり、その環は、飽和であっても不飽和であってもよいが、芳香族性を有していない)。脂環式化合物は、結合している1つまたはそれより多くの脂肪族側鎖を有することができる。式(R)-NH3-nの脂環式アミンの対応する塩の一例は、(R)-NH4-n Clである。脂環式アミンの例として、限定されるものではないが、シクロアルキルアミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、シクロヘプチルアミン、シクロオクチルアミンなどが挙げられる。
「複素環式アミン」は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つのアミンに結合している少なくとも1つの複素環式芳香環を含む。複素環式環の例として、限定されるものではないが、ピロール、ピロリジン、ピリジン、ピリミジンなどが挙げられる。このような化学物質は、当技術分野で周知であり、商業的に入手可能である。
一部の実施形態では、可溶化剤(単独でまたはN含有塩と組み合わせて使用される)の他の例として、ホウ酸塩が挙げられる。ホウ酸塩の例として、限定されるものではないが、ホウ砂、コールマン石、ウレキサイト、ケルナイト、ボラサイト、ペイン石、またはそれらの組合せが挙げられる。
図1のステップBに示される通り、N含有塩は、塩化アンモニウム(NHCl)として例示されている。NHClは、単に例示する目的で示されており、本明細書で提供される方法およびシステムでは、他のいかなるN含有塩(または任意のホウ酸塩)も使用できることを理解されたい。図1において、1つまたは複数のステップは省略もしくは修正することができ、またはステップの順序は変更することができる。酸化カルシウムおよび水酸化カルシウムは、生じ得る反応が、
CaO(固体)+2NHCl(水溶液) → 2NH(水溶液)+CaCl(水溶液)+HO(液体)
Ca(OH)+2NHCl(水溶液) → 2NH+CaCl+2H
である場合、NHCl(新しいもの、およびさらに以下に説明される通り再循環されたもの)を用いて処理することによって溶媒和または可溶化される。
一部の実施形態では、N含有塩、例えば限定されるものではないが、塩化アンモニウム溶液には、溶液中の塩化アンモニウムの最適レベルを維持するために、無水アンモニアまたはアンモニア水溶液が補充され得る。
一部の実施形態では、N含有塩、例えばN含有無機塩、N含有有機塩、またはそれらの組合せの量は、カルシウム化合物に対して30%過剰である。一部の実施形態では、N含有塩は、カルシウム化合物と、0.5:1~4:1の間(N含有塩(またはホウ酸塩):カルシウム化合物)もしくは0.5:1~2:1の間もしくは0.5:1~1.5:1の間もしくは1:1~1.5:1の間もしくは2:1~4:1の間もしくは2:1~3:1の間もしくは2.5:1~3:1の間もしくは3:1~4:1の間、または1.5:1もしくは2:1もしくは2.5:1もしくは3:1もしくは3.5:1もしくは4:1の比である。一部の実施形態では、N含有塩、例えばN含有無機塩は、カルシウム化合物と、0.5:1~4:1の間(N含有無機塩:カルシウム化合物)もしくは0.5:1~2:1の間もしくは0.5:1~1.5:1の間もしくは1:1~1.5:1の間もしくは2:1~4:1の間もしくは2:1~3:1の間もしくは2.5:1~3:1の間もしくは3:1~4:1の間、または2:1もしくは3:1もしくは4:1の比である。一部の実施形態では、前述の比または本明細書におけるこのような比は、モル比またはwt%比である。
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、本明細書で提供される沈殿物質および/または製品を形成するために、ポリヒドロキシ化合物は使用されない。
例えば、ホットスポットおよびコールドスポットを排除することによってカルシウム化合物の処理を行うために、かき混ぜを使用することができる。一部の実施形態では、カルシウム化合物の水中濃度は、1~10g/Lの間、10~20g/Lの間、20~30g/Lの間、30~40g/Lの間、40~80g/Lの間、80~160g/Lの間、160~320g/Lの間、320~640g/Lの間、または640~1280g/Lの間であり得る。カルシウム化合物の精製/溶媒和を最適化するために、高せん断混合、湿潤ミル粉砕、および/または超音波処理を使用して、カルシウム化合物を破壊することができる。高せん断混合および/または湿潤ミル粉砕の間または後に、カルシウム化合物の懸濁液は、N含有塩で処理され、次に、セメント炉の排出物由来の二酸化炭素と接触させることができる(図1に示される通り)。
一部の実施形態では、N含有塩(例えば塩化アンモニウム)および必要に応じてアンモニアを用いるカルシウム化合物の処理により、カルシウム塩、N含有塩の水溶液、および必要に応じて固体が形成される。一部の実施形態では、固体不溶性不純物は、塩化カルシウム水溶液から除去することができ、その後、該水溶液は、上記プロセスにおいて二酸化炭素で処理される(図1のステップC)。固体は、必要に応じて、濾過および/または遠心分離技術によって水溶液から除去され得る。
一部の実施形態では、固体不純物は、上記水溶液から除去されなくてもよく(図1に示されず)、カルシウム塩を含有する水溶液および上記固体は、二酸化炭素と接触させられて、沈殿物を形成する。このような実施形態では、沈殿物質は、固体をさらに含む。
一部の実施形態では、カルシウム化合物の溶媒和から得られた固体(図1に不溶性不純物として示される)は、カルシウムが枯渇した固体であり、セメント代用物(例えば、ポルトランドセメントの代用物)として使用することができる。
一部の実施形態では、上記固体は、上記水溶液中、上記沈殿物質中、またはそれらの組合せに、1~40wt%の間、または1~30wt%の間、または1~20wt%の間、または1~10wt%の間、または1~5wt%の間、または1~2wt%の間で存在する。
図1のステップDに示される通り、カルシウム塩を含む水溶液(および必要に応じて固体)が、セメント工場由来の二酸化炭素と接触させられる場合、以下の反応が生じる。
CaCl(水溶液)+2NH(水溶液)+CO(ガス)+HO → CaCO(固体)+2NHCl(水溶液)
溶液へのCOの吸収により、炭酸水素塩および炭酸塩の両方と平衡状態の種である、炭酸を含有するCO充填水が生成される。沈殿物質は、バテライト含有材料またはPCC材料を形成するのに適した1つまたは複数の沈殿条件(本明細書に記載される通り)下で調製される。
N含有塩、例えばアンモニウム塩を用いるカルシウム化合物の処理から得られたカルシウム塩水溶液は、カルシウム塩が1つまたは複数の沈殿条件(すなわち、沈殿物質の沈殿を可能にする条件)に付される前、その間、またはその後、いつでもセメント工場由来のCOと接触させられる。したがって、一部の実施形態では、カルシウム塩溶液の水溶液は、該水溶液が、安定なもしくは反応性バテライトまたはPCCを含む沈殿物質の形成に都合が良い沈殿条件に付される前に、COと接触させられる。一部の実施形態では、カルシウム塩溶液の水溶液は、安定なもしくは反応性バテライトまたはPCCを含む沈殿物質の形成に都合が良い沈殿条件に水溶液が付されている間に、COと接触させられる。一部の実施形態では、カルシウム塩溶液の水溶液は、安定なもしくは反応性バテライトまたはPCCを含む沈殿物質の形成に都合が良い沈殿条件に水溶液が付される前および付されている間に、COと接触させられる。一部の実施形態では、カルシウム塩溶液の水溶液は、安定なもしくは反応性バテライトまたはPCCを含む沈殿物質の形成に都合が良い沈殿条件に水溶液が付された後に、COと接触させられる。
一部の実施形態では、カルシウム塩を含む水溶液を、セメント工場由来の二酸化炭素と接触させる工程は、本明細書に記載される便利なプロトコールを使用して、所望のpH範囲、所望の温度範囲、および/または所望の二価のカチオン濃度を達成し、維持するように該水溶液を接触させることによって達成される。一部の実施形態では、本システムは、カルシウム塩を含む水溶液を、セメント工場由来の二酸化炭素と接触させるように構成された沈殿反応器を含む。
一部の実施形態では、カルシウム塩を含む水溶液は、水を保持する沈殿反応器に入れることができ、ここで、添加されるカルシウム塩を含む水溶液の量は、そのpHを、所望のレベル(例えば、沈殿物質の沈殿を誘発するpH)、例えばpH7~14、pH7.5~8.5、pH7~8、pH8~14、pH9~14、pH10~14、pH11~14、pH12~14、またはpH13~14に上昇させるのに十分な量である。一部の実施形態では、カルシウム塩を含む水溶液のpHは、二酸化炭素と接触させられる場合、安定なバテライト、反応性バテライトまたはPCCを含む沈殿物質を形成するために、7~8.5の間または7.5~8.5の間または7~8の間または7.6~8.5の間または8~8.5の間または7.5~9.5の間に維持される。一部の実施形態では、上記水溶液は、カラムまたは床に固定される。このような実施形態では、水は、水のpHを所望のpHまたは特定の二価のカチオン(Ca2+)濃度に上昇させるのに十分な量のカルシウム塩溶液中を通過させられ、または該十分な量のカルシウム塩溶液上を通過させられる。一部の実施形態では、上記水溶液は、2回以上循環させられてもよく、ここで第1の沈殿サイクルは、主に炭酸カルシウム鉱物を除去し、アルカリ溶液を残し、該溶液にカルシウム塩を含む追加の水溶液が添加され得る。二酸化炭素は、上記水溶液の再循環溶液と接触させられると、さらなる炭酸カルシウムおよび/または炭酸水素塩化合物の沈殿を可能にする。これらの実施形態では、第1の沈殿サイクル後の水溶液は、カルシウム塩を含む水溶液が添加される前、その間、および/またはその後に、COと接触させられ得ることが認識される。これらの実施形態では、水は再循環させることができ、または新しく導入することができる。したがって、COおよびカルシウム塩を含む水溶液の添加順は、変わり得る。例えば、カルシウム塩を含む水溶液を、例えばブライン、海水、または真水に添加した後に、COを添加することができる。別の例では、COを、例えばブライン、海水、または真水に添加した後に、カルシウム塩を含む水溶液を添加することができる。
カルシウム塩を含む水溶液は、任意の便利なプロトコールを使用してCOと接触させることができる。COがガスである場合、目的の接触プロトコールには、限定されるものではないが、直接接触プロトコール(例えば、水溶液を介するCOガスの発泡)、同時接触手段(すなわち、一方向流の気相ストリームと液相ストリームの接触)、向流手段(すなわち、逆流の気相ストリームと液相ストリームの接触)などが含まれる。したがって、接触は、沈殿反応器内で注入器、バブラー、流体ベンチュリ反応器、スパージャー、ガスフィルター、スプレー、トレイ、または充填カラム反応器などを使用することによって達成され得る。一部の実施形態では、ガスと液体の接触は、フラットジェットノズルを用いて溶液の液膜を形成することによって達成され、ここでCOガスおよび液膜は、向流、並流もしくは逆流方向で、または任意の他の適切な方式で移動する。一部の実施形態では、ガスと液体の接触は、平均直径500マイクロメートルまたはそれ未満、例えば100マイクロメートルまたはそれ未満を有する溶液の液滴を、COガス供給源と接触させることによって達成される。
セメント工場由来のCOのガス状ストリームは、実質的に純粋なCOであってもよく、またはCO、ならびに1つもしくはそれより多くの追加のガスおよび/もしくは他の物質、例えば灰および他の微粒子を含む複数の構成成分を含み得る。セメント工場由来のガス状CO廃棄物ストリームの一部(すなわち、ガス状廃棄物ストリーム全体ではない)は、沈殿物質を生成するために使用することができる。一部の実施形態では、沈殿物質の沈殿に用いられるガス状CO廃棄物ストリームの一部は、ガス状廃棄物ストリームの75%またはそれ未満、例えば50%およびそれ未満を含めた60%またはそれ未満であり得る。さらなる他の実施形態では、セメント工場によって生成された実質的にすべての(例えば、80%またはそれを超える)ガス状CO廃棄物ストリームが、沈殿物質の沈殿に用いられる。
本明細書に記載されるガスと液体の接触プロトコールは、何回利用してもよい。ガスと液体の接触は、沈殿反応混合物のpHが最適になるまで継続され(例えば、反応性バテライトを含む沈殿物質を形成するのに最適な様々なpH値は、本明細書に記載されている)、その後、沈殿反応混合物を撹拌することができる。pHが低下する速度は、ガスと液体の接触中に、カルシウム塩を含む水溶液をさらに添加することによって制御することができる。さらに、追加の水溶液は、沈殿物質の一部またはすべてを沈殿させるための塩基性レベルに戻すようにpHを上昇させるためにスパージした後に、添加することができる。いずれの場合も、沈殿物質は、沈殿反応混合物中のある特定の種(例えば、炭酸、炭酸水素塩、ヒドロニウム)からプロトンを除去する際に、形成され得る。次に、炭酸塩を含む沈殿物質は、分離され、必要に応じてさらに処理され得る。
pHが低下する速度は、ガスと液体の接触中に、カルシウム塩を含む追加の上清または上記水溶液を添加することによって制御することができる。さらに、カルシウム塩を含む追加の上清または上記水溶液は、沈殿物質の一部またはすべてを沈殿させるための塩基性レベル(例えば、7~9の間または7~8.5の間または7~8の間)に戻すようにpHを上昇させるためにガスと液体を接触させた後に、添加することができる。
一部の実施形態では、吸収装置または沈殿反応器を出たガス(図1に「スクラビングされたガス」として示される)は、スクラビングプロセスのためにガス処理ユニットに向かう。ガス処理ユニットのための質量平衡および装置設計は、ガスの特性に応じて変わり得る。一部の実施形態では、ガス処理ユニットは、ガスによるCO吸収、沈殿ステップから運ばれ得るガス排気ストリーム中の少量のNHを回収するために、HClスクラバーを組み込むことができる。NHは、HCl溶液によって、
NH(ガス)+HCl(水溶液) → NHCl(水溶液)
を経由して捕捉され得る。
HClスクラバー由来のNHCl(水溶液)は、溶媒和ステップBに再循環させることができる。
一部の実施形態では、アンモニアを含むガス排気ストリーム(図1に「スクラビングされたガス」と示される)は、スクラビングプロセスに付すことができ、ここで、アンモニアを含むガス排気ストリームは、アンモニア溶液を生成するために工業プロセス由来の二酸化炭素および水でスクラビングされる。スクラバーへの流入物は、二酸化炭素(CO(ガス))、アンモニア(NH(ガス))を含有する反応器ガス排気、および新しい補給水(またはいくつかの他の希釈用水ストリーム)であり得る。流出物は、スクラバーの再循環流体(例えばHN-CO(水溶液)またはカルバメート)のスリップストリームであり得、それらは、必要に応じて二酸化炭素および沈殿物と接触させるために、主要反応器に戻され得る。システムのpHは、スクラバーへのCO(ガス)の流速を調節することによって制御することができる。システムの伝導率は、スクラバーに希釈用補給水を添加することによって制御することができる。体積は、スクラバーまたはそのリザーバーのレベル検出器を使用することによって一定に維持することができる。アンモニアは塩基性ガスであり、一方、二酸化炭素ガスは酸性ガスである。一部の実施形態では、酸性ガスおよび塩基性ガスは、それらの溶解度を増大させるように互いにイオン化することができる。
いかなる理論にも拘泥するものではないが、以下の反応
NH(水溶液)+CO(水溶液)+HO → HCO +NH
が起こり得ることが意図される。
カルシウム塩を含む水溶液は、COガスと接触させられると、炭酸カルシウムの沈殿を生じる。このプロセスにおいて安定なもしくは反応性バテライトまたはPCCを形成する1つまたは複数の沈殿条件は、本明細書で以下に記載されている。一部の実施形態では、沈殿物質は、安定なバテライトおよび/もしくは反応性バテライトまたはPCCを含む。「安定なバテライト」またはその文法的等価物は、本明細書で使用される場合、水中での溶解再沈殿プロセス中および/またはその後に、アラゴナイトまたは方解石に転換しないバテライトを含む。「反応性バテライト」または「活性化されたバテライト」またはその文法的等価物は、本明細書で使用される場合、水中での溶解再沈殿プロセス中および/またはその後に、アラゴナイトを形成するバテライトを含む。「沈殿した炭酸カルシウム」または「PCC」には、本明細書で使用される場合、高純度の、ミクロンまたはそれ未満のサイズの粒子を有する従来のPCCが含まれる。PCCは、限定されるものではないが、バテライト、アラゴナイト、方解石、またはそれらの組合せを含めた、いかなる多形形態の炭酸カルシウムであってもよい。一部の実施形態では、PCCは、ナノメートルまたは0.001ミクロン~5ミクロンの間の粒径を有する。
反応性バテライトを含む沈殿物質(必要に応じて固体を含む)は、アラゴナイトに転換し、凝結し、セメント製品に硬化し(図1に生成物(A)として示される)、該固体は、セメント製品に組み込まれ得る。これは、固体を除去するステップが1つ減り、NHCl喪失を最小限に抑え、潜在的な廃棄物ストリームを排除し、それによって効率を増大させ、上記プロセスの経済的側面を改善するという追加の利点を提供する。一部の実施形態では、固体不純物は、バテライトからアラゴナイトへの転換および/またはアラゴナイトに対するバテライトの反応性に有害な影響を及ぼさない。一部の実施形態では、固体不純物は、セメント製品の強度(例えば、圧縮強度または曲げ強度)に有害な影響を及ぼさない。
一部の実施形態では、前述の記載される方法は、沈殿物質を、脱水し、必要に応じてすすぎ、必要に応じて乾燥させることによって、上記水溶液から分離する(例えば脱水する)工程をさらに含む(図1において炭酸カルシウムケーキと呼ばれる)。次に、沈殿物質は、セメント製品または非セメント製品(図1において生成物(B)として示される)を作製するために使用することができる。
一部の実施形態では、沈殿物質におけるバテライトは、バテライトが、アラゴナイトに対して反応性であり、水中での溶解沈殿プロセス時(セメント化中)にアラゴナイトに転換するように、適切な条件下で形成され得る。アラゴナイトは、限定されるものではないが、高い圧縮強度、複雑な微細網目構造、中性pHなどを含めた、1つまたは複数の独特の特徴を製品に付与し得る。一部の実施形態では、沈殿物質におけるバテライトは、バテライトが安定であり、様々な適用においてフィラーとして使用されるように、適切な条件下で形成され得る。一部の実施形態では、沈殿物質におけるPCCは、PCCが高度に純粋であり、非常に小さいサイズの粒子のPCCであるように、適切な条件下で形成され得る。
一部の実施形態では、炭酸カルシウムケーキは、前述の通り、アンモニウム(NH )イオン、硫黄イオン、および/または塩化物(Cl)イオンの不純物(例えば、1~2重量%またはそれよりも多い)を含有し得る。沈殿したCaCOの濾過ケーキのすすぎにより、前述の通り、N含有塩および/または硫黄化合物の一部またはすべてが除去され得ると同時に、希釈濃度のN含有塩(上清における)がもたらされ得、該塩は、プロセスに戻して再循環させる前に濃縮する必要がある場合がある。
炭酸カルシウムスラリーは、脱水し、必要に応じてすすいで、炭酸カルシウムスラリー(還元水を用いる)または炭酸カルシウムケーキ(図1に示される通り)、および残留N含有塩溶液、例えばアンモニウム塩溶液を含有する水を形成することができる。脱水から得られた残留N含有塩溶液およびすすぎストリームは、必要に応じて濃縮された後、カルシウム化合物を用いる溶媒和処理のために、戻して再循環させることができる。さらなるN含有塩および/またはアンモニア(無水または水溶液)は、プロセス中に、N含有塩の喪失を補うために、再循環させられた溶液に添加され、N含有塩の濃度を最適レベルにすることができる。
一部の実施形態では、残留N含有塩、例えば図1に示される塩化アンモニウム溶液などは、上清水溶液から回収され、回収プロセス、例えば限定されるものではないが、熱分解、pH調整、逆浸透、多段フラッシュ、多重効用蒸留、蒸気再圧縮、蒸留、またはそれらの組合せを使用して濃縮され得る。これらのプロセスを行うように構成されたシステムは、商業的に入手可能である。例えば、溶液のpHを上昇させることができる(例えばNaOHのような強塩基を用いる)。これにより、揮発性アンモニアの方に平衡をシフトすることができる(NH(水溶液)/NH(ガス))。除去速度および全除去率は、共に、溶液を加熱することによって改善される可能性がある。
一部の実施形態では、残留N含有塩は、熱分解プロセスによって炭酸カルシウム沈殿物から分離され、回収され得る。このプロセスは、CaCO沈殿物の分離時(ステップE)および/または乾燥させたCaCO沈殿物もしくは粉末のステップ(ステップF)後、図1に示されるプロセスに組み込まれ得る。
典型的に、固体NHClは、338℃でアンモニア(NH)ガスおよび塩化水素(HCl)ガスに分解することができる。一方、固体CaCOは、840℃で酸化カルシウム(CaO)固体および二酸化炭素(CO)ガスに分解する。
NHCl(固体) ←→ NH(ガス)+HCl(ガス)
CaCO(固体) ←→ CaO(固体)+CO(ガス)
一部の実施形態では、CaCO沈殿物および/または乾燥CaCO沈殿物における残留N含有塩、例えば限定されるものではないが、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、硫化水素アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、またはそれらの組合せは、150~360℃の間または150~200℃の間または150~300℃の間または300~850℃の間または338~840℃の間の温度で熱分解することによって除去することができる。これは、通常の濾過ケーキの乾燥プロセス中、および/または第2の乾燥後熱処理として、行うことができる。沈殿物における残留N含有塩を分解すると同時に、沈殿物質における反応性バテライトのセメント特性を保存し、したがって反応性バテライトが、加熱後に反応性バテライトとして残留し、水と組み合わされた後にアラゴナイトに転換してセメント製品を形成することに成功する、温度範囲が望ましい。前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、沈殿物質から残留N含有塩を除去し、必要に応じて回収するステップ(iii)は、沈殿物質を、約150℃~375℃の間または約150℃~300℃の間または約290℃~375℃の間または約300℃~360℃の間または約300℃~350℃の間または約310℃~345℃の間または約320℃~345℃の間または約330℃~345℃の間または約300℃~345℃の間で加熱して、沈殿物質からN含有塩を蒸発させ、必要に応じてN含有塩を凝縮することによって回収することを含む。前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、沈殿物質から残留N含有塩を除去し、必要に応じて回収するステップ(iii)は、沈殿物質を、約10分を超えるもしくは約15分を超えるもしくは約5分を超える期間、または約10分~約1時間の間もしくは約10分~約1.5時間の間もしくは約10分~約2時間の間もしくは約10分~約5時間の間もしくは約10分~約10時間の間の期間にわたって加熱することを含む。
一部の実施形態では、沈殿物質を脱水し(上清水溶液を除去するため)、乾燥させて水を除去した(例えば約100℃でまたは約100℃超で加熱することによって)後、沈殿物質を加熱ステップ(iii)に付して、N含有塩を除去し、必要に応じて回収する。一部の実施形態では、沈殿物質を部分的に脱水し(上清水溶液のバルクを除去するため)、部分的に乾燥させて水を除去した(または乾燥ステップを回避した)後、沈殿物質を加熱ステップ(iii)に付して、N含有塩を除去し、必要に応じて回収する。一部の実施形態では、沈殿物質における反応性バテライトは、加熱後に反応性バテライトとして残留する。前述の実施形態の一部の実施形態では、沈殿物質における反応性バテライトが反応性バテライトとして残留し、したがって材料のセメント特性が保存されることが望ましい。一部の実施形態では、N含有塩は、アンモニアガス、塩化水素ガス、塩素ガス、またはそれらの組合せを含む形態で、沈殿物質から蒸発する。出願人らは、一部の実施形態において、加熱温度および加熱期間の量の組合せを維持することが、沈殿物質からN含有塩を除去すると同時に、反応性バテライト材料のセメント特性を保存するのに非常に重要であり得ることを見出した。従来、反応性バテライトは、非常に不安定であり、アラゴナイト/方解石に容易に転換する。しかし出願人らは、必要に応じて、温度範囲を、反応性バテライトの転換を最小限に抑える加熱期間と組み合わせることによっても、材料から残留N含有塩が除去されることを見出した。前述の実施形態の一部の実施形態では、N含有塩の除去後、沈殿物質におけるバテライトは、反応性バテライトとして残留し、それが水と組み合わされるとアラゴナイトに転換し(溶解再沈殿プロセス)、それが凝結し、セメント化して、セメント製品を形成する。こうして形成されたセメント製品は、塩化物含量が最小限であるか、または塩化物を含んでおらず、アンモニアの悪臭も硫黄の悪臭も全くない。一部の実施形態では、塩化物含量は、ほぼ、セメント製品について許容されるASTM基準値であるか、またはそれ未満である。
一部の実施形態では、加熱期間と必要に応じて組み合わされた、先に記載される温度条件は、残留N含有塩の分解の熱力学を改善するための駆動力を提供する圧力条件と組み合わせることができる。例えば、沈殿物質の加熱は、ヘッドスペースが大気圧よりも低い圧力であるシステムで行うことができる。大気圧よりも低い圧力は、気相中の反応物の部分圧を低減することによって、気相生成物(例えば限定されるものではないが、アンモニアガス、塩化水素ガス、塩素ガス、またはそれらの組合せ)を伴う加熱反応のための駆動力を生じることができる。減圧下または真空下で操作することの別の利点は、より低い圧力では、一部の昇華反応がより低温で生じ、それによって加熱反応のエネルギー必要量を改善できるということである。
前述の熱分解プロセスの一部の実施形態では、アンモニアガスおよびHClガスの形態の分離された塩化アンモニウムは、熱的に発生したガスが組み合わされたものの再結晶か、またはガスを水性媒体に吸収させることによって、再使用のために回収することができる。それらの機序は、共に、図1に示されるプロセスで再使用するために十分に濃縮され得るNHCl生成物をもたらすことができる。
一部の実施形態では、N含有塩は、前述のプロセスにおいて(または図1に示される通り)、アンモニウム塩からpHが調整されたNHガスを発生させることによって、分離し、回収することができる。このプロセスは、CaCOケーキの分離時に、図1に示されるプロセスに組み込むことができる。濾過ケーキにおける水の最終pHは、典型的に約7.5であり得る。このpHでは、NH (pKa=9.25)は、主な種であり得る。この水のpHを上昇させると、以下の等式に記載される通り、NHガスとの酸塩基平衡を駆動することができる。
NH ←→ H+NH(ガス)
任意のアルカリ性供給源を、濾過ケーキ水のpHを上昇させるために使用することができる。一部の実施形態では、酸化カルシウムおよび/もしくは水酸化カルシウムの水溶液または石灰石スラリーは、高いアルカリ性供給源を提供することができる。一部の実施形態では、カルシウム化合物の水性画分は、脱水プロセスのすすぎ段階(例えばケーキを濾過するステップ)にまとめられて、システムのpHを上昇させ、NHガスの発生を駆動することができる。アンモニアは、水に実質的に溶解するので、熱および/または真空圧を適用して、ガス相の方に平衡をさらに駆動することができる。アンモニアは、アンモニアの塩化物での再結晶によって、またはアンモニアを水性媒体に吸収させることによって、再使用のために回収することができる。それらの機序は、共に、図1に示されるプロセスで再使用するために十分に濃縮され得るアンモニア溶液またはNHCl生成物をもたらすことができる。
炭酸カルシウムケーキ(例えばバテライトまたはPCC)は、安定なもしくは反応性バテライトまたはPCCを含有する炭酸カルシウム粉末を形成するために、乾燥機に送ることができる(図1のステップF)。安定なもしくは反応性バテライトまたはPCCを含む沈殿物質の粉末形態は、本明細書に記載される通り、生成物を形成するための適用において、さらに使用することができる。ケーキは、当技術分野で公知の任意の乾燥技術、例えば限定されるものではないが、流動床乾燥機またはスワールフルイダイザー(swirl fluidizer)を使用して乾燥させることができる。次に、生じた固体粉末を、添加剤と混合して、本明細書に記載される様々な生成物を作製することができる。一部の実施形態では、還元水を含むスラリー形態または沈殿物質のケーキ形態は、本明細書に記載される通り、建築パネルなどの製品を形成するために直接使用される。
必要に応じて、分離された固体は、乾燥させ、ポゾランとして使用することができる。一部の実施形態では、分離された固体は、フィラーまたは補助セメント材料として、バテライトを含む沈殿物質の粉末形態に添加することができる。
本明細書で提供される方法において、カルシウム塩を含む水溶液をCOと接触させる(共にセメント工場から得られる)ことによって生成された、CO充填水を含む水溶液は、安定なもしくは反応性バテライトまたはPCCを含む沈殿物質、および上清(すなわち、沈殿物質の沈殿後に残る沈殿反応混合物の一部)を生成するのに十分な沈殿条件の1つまたは複数に付される(ステップD)。1つまたは複数の沈殿条件は、安定なもしくは反応性バテライトまたはPCCを含む沈殿物質の生成にとって都合が良い。
沈殿条件には、COが充填された沈殿反応混合物の環境をモジュレートして、安定なもしくは反応性バテライトまたはPCCを含む所望の沈殿物質を生成する条件が含まれる。本明細書に記載される方法の実施形態において使用することができる、安定なもしくは反応性バテライトまたはPCCを含有する炭酸塩沈殿物質を形成するのに適したこのような1つまたは複数の沈殿条件には、限定されるものではないが、温度、pH、圧力、イオン比、沈殿速度、添加物の存在、イオン種の存在、添加物およびイオン種の濃度、撹拌、滞留時間、混合速度、超音波などのかき混ぜ形態、種結晶、触媒、膜または下地の存在、脱水、乾燥、ボールミル粉砕などが含まれる。一部の実施形態では、安定なもしくは反応性バテライトまたはPCCの平均粒径は、沈殿物質の沈殿において使用される1つまたは複数の沈殿条件に応じても変わり得る。一部の実施形態では、沈殿物質における安定なまたは反応性バテライトのパーセンテージは、沈殿プロセスで使用される1つまたは複数の沈殿条件に応じても変わり得る。
例えば、COが充填された沈殿反応混合物の温度は、所望の沈殿物質の沈殿に適した量が得られる温度に上昇させることができる。このような実施形態では、COが充填された沈殿反応混合物の温度は、25℃~45℃または20℃~70℃または20℃~60℃または20℃~50℃または20℃~40℃または20℃~30℃を含む20℃~80℃などの値に上昇させることができる。沈殿条件の所与の組は、0℃~100℃の範囲の温度を有することができるが、ある特定の実施形態では、温度は、所望の沈殿物質を生成するために上昇させることができる。ある特定の実施形態では、沈殿反応混合物の温度は、低二酸化炭素またはゼロ二酸化炭素排出源から生じるエネルギー(例えば、太陽エネルギー源、風力エネルギー源、水力発電エネルギー源、炭素排出物の排煙から得られる廃熱など)を使用して上昇させられる。
COが充填された沈殿反応混合物のpHは、所望の沈殿物質の沈殿に適した量に上昇させることもできる。このような実施形態では、COが充填された沈殿反応混合物のpHは、炭酸水素塩よりも炭酸塩が優先される沈殿に合ったアルカリレベルに上昇させられる。一部の実施形態では、二酸化炭素ガスと接触させられるカルシウム塩を含む水溶液のpHは、反応性バテライトまたはPCCの形成に対して効果を有する。一部の実施形態では、反応性バテライトまたはPCCを含む沈殿物質を形成するために必要な沈殿条件には、反応性バテライトまたはPCCを形成するために、7よりも高いpHまたはpH8またはpH7.1~8.5の間またはpH7.5~8の間または7.5~8.5の間または8~8.5の間または7.6~8.4の間で、二酸化炭素を、カルシウム塩を含む水溶液と接触させるステップを実施することが含まれる。pHは、pH11もしくはそれよりも高いpH、またはpH12.5もしくはそれよりも高いpHを含めた、pH9またはそれよりも高いpH、例えばpH10またはそれよりも高いpHに上昇させることができる。
沈殿中の主なイオン比の調整は、沈殿物質の性質に対して影響を及ぼし得る。主なイオン比は、多形形成に対してかなりの影響を与えることができる。例えば、水中のマグネシウム:カルシウム比が増大すると、アラゴナイトは、低マグネシウムバテライトを上回って、沈殿物質における炭酸カルシウムの主な多形になり得る。低マグネシウム:カルシウム比では、低マグネシウム方解石が、主な多形になり得る。一部の実施形態では、Ca2+およびMg2+が共に存在する場合、沈殿物質におけるCa2+対Mg2+の比(すなわち、Ca2+:Mg2+)は、1:1~1:2.5、1:2.5~1:5、1:5~1:10、1:10~1:25、1:25~1:50、1:50~1:100、1:100~1:150、1:150~1:200、1:200~1:250、1:250~1:500、または1:500~1:1000である。一部の実施形態では、沈殿物質におけるMg2+対Ca2+の比(すなわち、Mg2+:Ca2+)は、1:1~1:2.5、1:2.5~1:5、1:5~1:10、1:10~1:25、1:25~1:50、1:50~1:100、1:100~1:150、1:150~1:200、1:200~1:250、1:250~1:500、または1:500~1:1000である。
沈殿速度も、化合物相の形成に対して効果を及ぼすことができ、最も急速な沈殿速度は、溶液に所望の相を播種することによって達成される。播種しない場合、急速な沈殿は、沈殿反応混合物のpHを急速に上昇させることによって達成することができ、それによってより非晶質の構成物がもたらされ得る。pHが高いほど急速に沈殿し、それによってより非晶質の沈殿物質がもたらされ得る。
水溶液をCOと接触させた後の反応混合物の滞留時間も、化合物相の形成に対して効果を有することができる。例えば、一部の実施形態では、より長い滞留時間により、反応混合物において反応性バテライトからアラゴナイト/方解石への転換が生じ得る。一部の実施形態では、滞留時間が短すぎると、反応混合物における反応性バテライトの形成が不完全になり得る。したがって、滞留時間は、反応性バテライトの沈殿にとって非常に重要であり得る。さらに、滞留時間も、沈殿物の粒径に影響を及ぼし得る。例えば、滞留時間が長すぎると、大きいサイズの粒子を形成する粒子が凝集することがあり、これはPCC形成にとって望ましくない。したがって、一部の実施形態では、反応滞留時間は、約10分~1時間の間、または約15分~60分の間、または約15分~45分の間、または約15分~30分の間、または約30分~60分の間である。
一部の実施形態では、沈殿反応混合物から所望の沈殿物質を生成するための一組の沈殿条件には、前述の通り、温度およびpH、ならびにある場合には、水中の添加剤およびイオン種の濃度が含まれ得る。添加剤は、本明細書で以下に記載されている。添加剤の存在および添加剤の濃度も、安定なもしくは反応性バテライトまたはPCCの形成にとって都合が良い場合がある。一部の実施形態では、PCCを形成するために、中鎖または長鎖脂肪酸エステルを、沈殿中に水溶液に添加することができる。脂肪酸エステルの例として、限定されるものではないが、セルロース、例えばカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、シトレート、例えばクエン酸ナトリウムもしくはクエン酸カリウム、ステアレート、例えばステアリン酸ナトリウムもしくはステアリン酸カリウム、ホスフェート、例えばリン酸ナトリウムもしくはリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタホスフェート、EDTA、またはそれらの組合せが挙げられる。一部の実施形態では、PCCを形成するために、ステアレートおよびシトレートの組合せを、プロセスの接触ステップ中に添加することができる。
沈殿条件には、混合速度、超音波などのかき混ぜ形態、および種結晶、触媒、膜または下地の存在などの因子も含まれ得る。一部の実施形態では、沈殿条件には、過飽和条件、温度、pHおよび/もしくは濃度勾配、またはこれらのパラメータのいずれかの循環もしくは変化が挙げられる。本発明に従って沈殿物質を調製するために用いられるプロトコールは、バッチ、半バッチ、または連続プロトコールであり得る。所与の沈殿物質を生成するための沈殿条件は、連続流システムにおいては、半バッチまたはバッチシステムと比較して異なる場合がある。
沈殿物質は、沈殿反応混合物から生成された後、図1のステップEに示される通り、反応混合物から分離されて、分離された沈殿物質(例えば、湿潤ケーキ)および上清を生成する。本明細書で提供されるシステムにおいて、分離ステップは、分離ステーション上で行われ得る。沈殿物質は、沈殿後および分離(例えば乾燥による)前に、一定期間にわたって上清に保存され得る。例えば、沈殿物質は、上清に、数分~数時間から1~1000日またはそれよりも多い日数までの範囲の期間、例えば1~10日またはそれよりも長い範囲の期間にわたって、1℃~40℃、例えば20℃~25℃の範囲の温度で保存され得る。沈殿反応混合物からの沈殿物質の分離は、排水(例えば、沈殿物質の重力沈降の後に排水)、デカンテーション、濾過(例えば、重力濾過、真空濾過、強制空気を使用する濾過)、遠心分離、加圧、またはそれらの任意の組合せを含めた、いくつかの便利な手法のいずれかを使用して達成される。沈殿物質からのバルク水の分離により、沈殿物質の湿潤ケーキ、または脱水された沈殿物質が生成される。液体-固体分離装置、例えばEpuramat製のExtrem-Separator(「ExSep」)液体-固体分離装置、Xerox PARC製のスパイラル選鉱機、またはEpuramat製のExSepもしくはXerox PARC製のスパイラル選鉱機のいずれかの改変装置は、沈殿反応混合物から沈殿物質を分離するのに有用であり得る。
一部の実施形態では、生じた脱水された沈殿物質、例えば湿潤ケーキ材料(N含有塩を熱的に除去した後)は、本明細書に記載される生成物を生成するために直接使用される。例えば、脱水された沈殿物質の湿潤ケーキは、本明細書に記載される1種またはそれより多種の添加剤と混合され、コンベヤベルト上に広げられ、そこで沈殿物質における反応性バテライトまたはPCCは、アラゴナイトに転換し、凝結し、硬化する(N含有塩は、熱的に除去される)。次に、硬化した材料は、所望の形状、例えば本明細書に記載されるボードまたはパネルに切断される。一部の実施形態では、湿潤ケーキは、コンベヤベルトの最上部の紙シート上に注がれる。別の紙シートを、湿潤ケーキ上に置くことができ、次にそれを圧縮すると、過剰の水が除去される。沈殿物質が凝結し、硬化した後(バテライトからアラゴナイトの転換)、材料は、所望の形状、例えばセメント羽目板および乾式壁などに切断される。一部の実施形態では、1種またはそれより多種の添加剤の量は、バテライトからアラゴナイトへの転換に必要な所望の時間(以下に記載される)に応じて最適化され得る。例えば、一部の適用では、材料が急速に転換することが望ましい場合があり、ある特定の他の場合には、緩慢な転換が望ましい場合がある。一部の実施形態では、湿潤ケーキは、バテライトからアラゴナイトへの転換を速めるために、コンベヤベルト上で加熱され得る。一部の実施形態では、湿潤ケーキは、所望の形状の型に注ぐことができ、次にバテライトからアラゴナイトへの転換を速めるため(および残留N含有塩を除去するため)に、その型は、オートクレーブ内で加熱される。したがって、連続流プロセス、バッチプロセスまたは半バッチプロセスはすべて、本発明の範囲に十分に含まれる。
一部の実施形態では、沈殿物質を、沈殿反応混合物から分離したら、真水で洗浄し、次に濾過圧縮機に入れて、30~60%固体を含む濾過ケーキを生成する。次に、この濾過ケーキを、任意の便利な手段、例えば水圧圧縮機を使用して、例えば5~5000psi、例えば1000~5000psiの範囲の適切な圧力で型の中で機械的に圧縮して、形成された固体、例えば長方形のレンガを生成する。次に、生じたこれらの固体は、例えば屋外に置き、保存することによって、高レベルの湿度および熱に付されるチャンバに入れるなどによって、養生させられる。次に、生じたこれらの養生した固体は、建材自体として使用され、または骨材を生成するために破砕される。
温度および圧力の使用を伴うプロセスにおいて、脱水された沈殿物ケーキを乾燥させることができる。次に、ケーキは、再給水と高温および/または高圧の組合せに、一定期間にわたって曝露される。添加して戻される水の量、温度、圧力および曝露時間の組合せ、ならびにケーキの厚さは、出発材料の組成および所望の結果に従って変わり得る。
材料を温度および圧力に曝露するいくつかの異なるやり方が、本明細書に記載されるが、便利ないかなる方法も使用され得ることを認識されよう。ケーキの厚さおよびサイズは、所望通りに調整され得るが、厚さは、一部の実施形態では、0.05インチ~5インチ、例えば0.1~2インチ、または0.3~1インチで変わり得る。一部の実施形態では、ケーキは、0.5インチ~6フィートまたはそれより厚くてもよい。次に、ケーキは、任意の便利な方法によって、例えばプラテン圧縮機において加熱したプラテンを使用して、所与の時間にわたって高温および/または高圧に曝露される。例えば、プラテンのために温度を上昇させるための熱は、例えば、工業廃ガスストリーム、例えば排煙ストリーム由来の熱によって提供することができる。その温度は、任意の適切な温度であり得るが、一般に、ケーキが厚いほど高い温度が望ましく、温度範囲の例は、40~150℃、例えば60~120℃、例えば70~110℃、または80~100℃である。同様に、圧力は、所望の結果をもたらすのに適したいかなる圧力であってもよく、例示的な圧力として、2000~50,000psi、または2000~25,000psi、または2000~20,000psi、または3000~5000psiを含めた、1000~100,000ポンド毎平方インチ(psi)が挙げられる。最後に、ケーキが圧縮される時間は、任意の適切な時間、例えば1~100秒、または1~100分、または1~50分、または2~25分、または1~10,000日であってよい。次に、生じた硬質平板(tablet)は、必要に応じて、例えば屋外に置き、保存することによって、高レベルの湿度および熱に付されるチャンバに入れるなどによって、養生させることができる。次に、必要に応じて養生したこれらの硬質平版は、建材自体として使用され、または骨材を生成するために破砕される。
温度および圧力を提供する別の方法は、圧縮機の使用である。適切な圧縮機、例えばプラテン圧縮機を使用して、所望の温度において、所望の時間にわたって圧力を提供することができる(例えば排煙によって、または例えば電気化学的方法に由来する、沈殿物を生成するためのプロセスの他のステップによって供給される熱を使用する)。一組のローラーも、同様に使用することができる。
ケーキを高温および高圧に曝露する別のやり方は、押出機、例えばスクリュー型押出機を用いることによるやり方である。押出機のバレルは、高温を達成するために、例えばジャケットを備えることによって装備することができ、この高温は、例えば、排煙などによって供給することができる。圧縮操作の前に、原料を予熱し乾燥させる手段として、押出しを使用することができる。このような圧縮は、圧縮型を用いることによって、ローラーを介して、移動するときに圧縮を提供するベルトの間に、成形された押込み型(事実上いかなる所望の形状の骨材も提供することができる)を有するローラーを介して、または任意の他の便利な方法によって実施することができる。あるいは、押出機を使用して、ダイを介して材料を押し出し、ダイを介して押し出されるときにその材料を圧力に曝露し、任意の所望の形状を与えることができる。一部の実施形態では、炭酸塩沈殿物は、真水と混合され、次に、回転スクリュー押出機の供給セクション内に置かれる。押出機および/または出口のダイは、そのプロセスをさらに補助するために加熱することができる。スクリューの回転は、その長さに沿って材料を運搬し、ねじ山の高さ(flite)が低くなるにつれて、材料を圧縮する。押出機のスクリューおよびバレルは、バレルにベントをさらに含むことができ、スクリューの減圧帯域は、そのバレルのベント開口と合致している。特に、加熱押出機の場合には、これらのベント付きの領域は、運搬される塊から蒸気を放出させて、材料から水を除去することができる。
次に、スクリューにより運搬された材料は、材料をさらに圧縮し成形するダイセクションを介して、押し出される。ダイの典型的な開口は、円形、楕円形、四角形、長方形、台形などであり得るが、最終的な骨材に望まれるいかなる形状も、開口の形状を調整することによって作製される可能性がある。ダイを出る材料は、任意の便利な方法によって、例えばフライナイフ(fly knife)によって、任意の便利な長さに切断され得る。加熱されたダイセクションの使用は、炭酸塩鉱物から硬質の安定な形態への遷移を加速することによって、生成物の形成をさらに補助することができる。バインダーの場合には、加熱されたダイを使用してバインダーを硬化または凝結させることもできる。加熱されたダイセクションにおいては、一般に100℃~600℃の温度が使用される。
さらなる他の実施形態では、沈殿物は、その場または現場形成(form-in-place)構造物の製作のために用いることができる。例えば、道路、舗装領域、または他の構造物は、例えば前述の沈殿物の層を、下地、例えば地面、路床などに適用し、次に、沈殿物を、例えば雨の形態などで自然に適用される水に曝露することによって、または灌水によって水和することによって、沈殿物から製作することができる。水和により、沈殿物は、所望のその場または現場形成構造物、例えば道路、舗装領域などに固化する。そのプロセスは、例えば、その場で形成された構造物のより厚い層が望ましい場合には反復してもよい。
一部の実施形態では、沈殿物質および生成物の生成は、同じ施設内で行われる。一部の実施形態では、沈殿物質は、ある施設内で生成され、最終製品を作製するために別の施設に輸送される。沈殿物質は、スラリー形態、湿潤ケーキ形態、または乾燥粉末形態で輸送され得る。
一部の実施形態では、分離ステーションから得られた、生じた脱水された沈殿物質は、安定なもしくは反応性バテライトまたはPCCを含む炭酸塩沈殿物質の粉末形態を生成するために、乾燥ステーションで乾燥させられる。乾燥は、沈殿物質を空気乾燥させることによって達成され得る。ある特定の実施形態では、乾燥は、フリーズドライ(すなわち、凍結乾燥)によって達成され、ここで、沈殿物質は凍結され、周囲圧力は低減され、沈殿物質における凍結水をガスに直接昇華させるのに十分な熱が加えられる。さらに別の実施形態では、沈殿物質は、沈殿物質を乾燥させるために噴霧乾燥させられ、ここで、沈殿物質を含有する液体は、高温ガス(例えば、発電所由来のガス状廃棄物ストリーム)を介して供給することによって乾燥させられ、供給液体は、主な乾燥チャンバにアトマイザを介してポンプで送られ、高温ガスは、アトマイザ方向に対して並流または向流として通過する。システムの特定の乾燥プロトコールに応じて、乾燥ステーションは、濾過要素、フリーズドライ構造、噴霧乾燥構造などを含み得る。一部の実施形態では、沈殿物は、流動床乾燥機によって乾燥させることができる。ある特定の実施形態では、適切な場合、発電所または類似の操作由来の廃熱を使用して、乾燥ステップを実施することができる。例えば、一部の実施形態では、乾燥生成物は、高温(例えば、発電所の廃熱由来)、圧力、またはそれらの組合せを使用することによって生成される。次に、沈殿物質の乾燥後、該物質を高温で加熱して、本明細書に記載される通り、N含有塩を除去することができる。
沈殿プロセスから生じた上清および沈殿物質のスラリーは、所望通りに処理することもできる。例えば、上清またはスラリーは、カルシウム化合物水溶液に、または別の場所に戻すことができる。一部の実施形態では、上清は、さらなるCOを捕捉するために、前述の通りCO供給源と接触させることができる。例えば、上清が沈殿反応器に戻されるべき実施形態においては、上清は、上清中に存在する炭酸イオンの濃度を増大させるのに十分な方式で、COの廃ガス供給源と接触させることができる。前述の通り、接触は、任意の便利なプロトコールを使用して実施することができる。一部の実施形態では、上清は、アルカリ性pHを有し、CO供給源との接触は、pH5~9の間、pH6~8.5の間、またはpH7.5~8.2の間の範囲にpHを低減するのに十分な方式で行われる。
一部の実施形態では、本方法によって生成された沈殿物質は、構築環境においてCOが有効に捕捉されるように、建材(例えば、ビルディング、道路、橋、ダムなどの一部のタイプの人工構造物ための建築材料)として用いられる。基礎、駐車場構造物、家、オフィスビルディング、商業事務所、政府のビルディング、インフラストラクチャー(例えば、舗道、道路、橋、陸橋、壁、ゲートのための足場、フェンスおよびポールなど)などのいかなる人工構造物も、構築環境の一部とみなされる。モルタルは、建築ブロック(例えば、レンガ)を一緒に結合し、建築ブロックの間の間隙を充填するのに使用される。モルタルは、他の使用の中でも、既存の構造物を修復するため(例えば、元のモルタルが傷付いている、または侵食されている部分を置き換えるため)に使用することもできる。
ある特定の実施形態では、反応性バテライトを含む沈殿物質の粉末形態が、セメントとして用いられ、それがアラゴナイトに転換し(溶解再沈殿プロセス)、水と合わせた後に凝結し、硬化する。
一部の実施形態では、骨材は、生じた沈殿物質から生成される。乾燥プロセスにより、所望のサイズの粒子が生成されるこのような実施形態では、骨材を生成するために必要とされる追加の処理はほとんどない。さらなる他の実施形態では、所望の骨材を生成するために、沈殿物質のさらなる処理が実施される。例えば、沈殿物質は、沈殿物が固体生成物を形成するのに十分な方式で真水と合わせることができ、ここで反応性バテライトがアラゴナイトに変わる。湿潤材料の含水量を制御することによって、最終的な骨材の多孔性、ならびに最終的な強度および密度を制御することができる。典型的に、湿潤ケーキは、40~60体積%が水であってよい。より密度が高い骨材については、湿潤ケーキは、<50%が水であってよく、密度がより低いケーキについては、湿潤ケーキは、>50%が水であってよい。次に、硬化後に生じた固体生成物は、機械的に処理され、例えば破砕されるか、またはその他の方法で破壊され、所望の特徴、例えばサイズ、特定の形状などの骨材を生成するために分類され得る。これらのプロセスにおいて、凝結および機械的処理ステップは、実質的に連続的に、または時間を隔てて実施され得る。ある特定の実施形態では、大きい体積の沈殿物は、沈殿物が大気に曝露される開放環境で保存することができる。凝結ステップでは、沈殿物は、真水で便利に灌水することができ、または凝結生成物を生成するために、自然に雨水に付すことができる。次に、凝結生成物は、前述の通り、機械的に処理することができる。沈殿物の生成後に、沈殿物は、所望の骨材を生成するために処理される。一部の実施形態では、沈殿物は、天水の安定化反応を引き起こして沈殿物を硬化させて骨材を形成するために、真水供給源として雨水を使用することができる屋外に置くことができる。
図1に示される通り、本方法は、安定なもしくは反応性バテライトまたはPCCを含む沈殿物質(湿潤、スラリーまたは乾燥形態)を生成する。「組成物」、「沈殿物」および「沈殿物質」は、本明細書において互換的に使用される。本明細書に記載される通り、残留N含有塩を除去した後、本明細書で提供される方法およびシステムにおいて形成された沈殿物質は、バテライトまたはPCCを含む。安定なバテライトには、溶解再沈殿プロセス中および/またはその後に、アラゴナイトまたは方解石に転換しないバテライトが含まれる。反応性バテライトまたは活性化されたバテライトには、溶解再沈殿プロセス中および/またはその後に、アラゴナイトを形成するバテライトが含まれる。一部の実施形態では、形成されたPCCは、バテライト形態である。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、沈殿物質(乾燥形態または湿潤形態)を水と接触させ、反応性バテライトをアラゴナイトに転換する工程をさらに含む。一部の実施形態では、安定なバテライトは、水と接触させられても、アラゴナイトに転換せず、バテライト形態のままであるか、または長期間にわたって方解石に転換する。
典型的に、炭酸カルシウムが沈殿する際、最初に、非晶質炭酸カルシウム(ACC)が沈殿し、そのより安定な3つの相(バテライト、アラゴナイト、または方解石)の1つまたは複数に転換し得る。OstwaldによってStep Rule (Ostwald, W. Zeitschrift fur Physikalische Chemie 289 (1897))に記載されている通り、不安定な相からより安定な相への転換のために、熱力学的駆動力が存在してもよい。この理由から、炭酸カルシウム相は、ACCからバテライト、アラゴナイト、および方解石の順序で転換し、ここで、中間体相は存在することもあり、存在しないこともある。この転換中、図2によって示される通り、過剰のエネルギーが放出される。この固有エネルギーは、凝集および凝結またはセメント化をもたらし得る強力な集合傾向および表面の相互作用を生じさせるために利用することができる。図2に報告された値は、当技術分野で周知であり、変わり得ることを理解されたい。
本明細書で提供される方法は、沈殿物質を、バテライト形態で、またはバテライト、アラゴナイトもしくは方解石形態で存在し得るPCC形態で、生成または単離する。沈殿物質は、湿潤形態、スラリー形態、または乾燥粉末形態であってもよい。この沈殿物質は、他のいかなる多形にも容易に転換しない安定なバテライト形態を有することができ、またはアラゴナイト形態に転換する反応性バテライト形態を有することもできる。アラゴナイト形態は、より安定な方解石形態にはそれ以上変わらない。アラゴナイト形態の沈殿物を含有する生成物は、限定されるものではないが、高圧縮強度、高多孔性(低密度または軽量)、中性pH(下記の人工岩礁として有用)、微細網目構造などを含めた、1つまたは複数の予期されなかった特性を示す。
バテライトに加えて炭酸塩を含有する沈殿物質中に存在し得る少量の他の多形形態の炭酸カルシウムには、限定されるものではないが、非晶質炭酸カルシウム、アラゴナイト、方解石、バテライトの前駆相、アラゴナイトの前駆相、方解石よりも不安定な中間相、これらの多形の間の多形体、またはそれらの組合せが含まれる。
バテライトは、単分散形態または凝集形態で存在することができ、球形、楕円形、プレート様形状、または六方晶系であり得る。バテライトは、典型的に、六方晶結晶構造を有し、成長の際に多結晶の球形粒子を形成する。バテライトの前駆形態は、バテライトのナノクラスタを含み、アラゴナイトの前駆形態は、サブミクロンからナノクラスタの針状アラゴナイトを含む。アラゴナイトは、バテライトと共に組成物中に存在する場合、針形状、円柱状、または斜方系の結晶であり得る。方解石は、バテライトと共に組成物中に存在する場合、立方晶、紡錘形、または六方晶系の結晶であり得る。方解石よりも不安定な中間相は、バテライトと方解石の間の相、バテライトの前駆体と方解石の間の相、アラゴナイトと方解石の間の相、および/またはアラゴナイトの前駆体と方解石の間の相であり得る。
炭酸カルシウム多形間の転換は、固体状態の遷移を介して生じることができ、溶液によって媒介されてもよく、またはその両方であってもよい。一部の実施形態では、溶液媒介性は、熱活性化された固体状態の遷移よりもエネルギーが少なくて済むので、転換は、溶液媒介性である。バテライトは、準安定であり、炭酸カルシウム多形の熱力学的安定性の差は、溶解度の差として現れる場合があり、ここで、最も安定性が低い相は、最も可溶性が高い(上記のOstwald)。したがって、バテライトは、溶液に容易に溶解し、より安定な多形、例えばアラゴナイトに都合良く転換することができる。炭酸カルシウムのような多形系では、準安定な相の溶解および安定な相の成長の2つの動的プロセスが、溶液中に同時に存在することができる。一部の実施形態では、バテライトが水性媒体に溶解している間に、アラゴナイト結晶が成長し得る。
一態様では、反応性バテライトが、溶解再沈殿プロセス中にアラゴナイトへの経路に至り、方解石への経路に至らないように、反応性バテライトを活性化することができる。一部の実施形態では、反応性バテライトを含有する組成物は、溶解再沈殿プロセス後に、アラゴナイトの形成が増強され、方解石の形成が抑止されるようなやり方で活性化される。反応性バテライトを含有する組成物の活性化により、アラゴナイトの形成および結晶の成長を制御することができる。バテライトを含有する組成物の活性化は、様々なプロセスによって達成され得る。バテライトの活性化の様々な例、例えば限定されるものではないが、核活性化、熱活性化、機械的活性化、化学的活性化、またはそれらの組合せが、本明細書に記載される。一部の実施形態では、バテライトは、アラゴナイトの形成およびその形態、ならびに/または結晶の成長が、バテライトを含有する組成物と水の反応時に制御され得るように、様々なプロセスを介して活性化される。形成されたアラゴナイトは、反応性バテライトから形成された製品に、より高い引張強度および耐破壊性をもたらす。
一部の実施形態では、反応性バテライトは、本明細書に記載される通り、機械的手段によって活性化され得る。例えば、反応性バテライトを含有する組成物は、アラゴナイトの形成が加速されるように、バテライト組成物上に表面欠損を生じることによって活性化され得る。一部の実施形態では、活性化されたバテライトは、ボールミル粉砕された反応性バテライトであるか、またはアラゴナイトの形成経路が促進されるように表面欠損を有する反応性バテライトである。
反応性バテライトを含有する組成物は、バテライト組成物を化学的活性化または核活性化することによっても活性化され得る。このような化学的活性化または核活性化は、アラゴナイト種晶、無機添加物、または有機添加物の1つまたは複数によって提供され得る。本明細書で提供される組成物中に存在するアラゴナイト種晶は、天然または合成供給源から得ることができる。天然供給源には、限定されるものではないが、岩礁の砂、石灰石、斧足類、腹足類、軟体動物の殻、ならびに温水および冷水珊瑚の石灰性内骨格を含めた、ある特定の真水および海生無脊椎生物の硬質骨格材料、真珠、岩、堆積物、鉱石鉱物(例えば、蛇紋石)などが含まれる。合成供給源には、限定されるものではないが、例えば炭酸ナトリウムおよび塩化カルシウムから形成された沈殿アラゴナイト、またはバテライトからアラゴナイトへの転換によって形成されたアラゴナイト、例えば本明細書に記載される転換したバテライトが含まれる。
一部の実施形態では、本明細書で提供される組成物における無機添加物または有機添加物は、反応性バテライトを活性化するいかなる添加物であってもよい。本明細書で提供される組成物における無機添加物または有機添加物の一部の例として、限定されるものではないが、デシル硫酸ナトリウム、ラウリン酸、ラウリン酸のナトリウム塩、尿素、クエン酸、クエン酸のナトリウム塩、フタル酸、フタル酸のナトリウム塩、タウリン、クレアチン、ブドウ糖、ポリ(n-ビニル-1-ピロリドン)、アスパラギン酸、アスパラギン酸のナトリウム塩、塩化マグネシウム、酢酸、酢酸のナトリウム塩、グルタミン酸、グルタミン酸のナトリウム塩、塩化ストロンチウム、石こう、塩化リチウム、塩化ナトリウム、グリシン、無水クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、ナトリウムポリスチレン、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、またはそれらの組合せが挙げられる。一部の実施形態では、本明細書で提供される組成物における無機添加物または有機添加物には、限定されるものではないが、タウリン、クレアチン、ポリ(n-ビニル-1-ピロリドン)、ラウリン酸、ラウリン酸のナトリウム塩、尿素、塩化マグネシウム、酢酸、酢酸のナトリウム塩、塩化ストロンチウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、またはそれらの組合せが含まれる。一部の実施形態では、本明細書で提供される組成物における無機添加物または有機添加物には、限定されるものではないが、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、またはそれらの組合せが含まれる。
いかなる理論にも拘泥するものではないが、ボールミル粉砕による、あるいはアラゴナイト種晶、無機添加物もしくは有機添加物またはそれらの組合せを添加することによるバテライトの活性化により、活性化された反応性バテライトの溶解再沈殿プロセス中に、限定されるものではないが、多形、形態、粒径、架橋、凝集、凝固、集合、沈降、結晶構造解析、結晶のある特定の面に沿って成長を抑制すること、結晶のある特定の面に沿って成長を可能にすること、またはそれらの組合せなどの特性の制御を含めて、アラゴナイトの形成が制御され得ることが意図される。例えば、アラゴナイト種晶、無機添加物または有機添加物は、アラゴナイトの形態を選択的に標的にし、方解石の成長を抑制し、一般に動態学的に不都合な場合があるアラゴナイトの形成を促進し得る。
一部の実施形態では、1種またはそれより多種の無機添加剤は、バテライトからアラゴナイトへの転換を促進するために添加され得る。1種またはそれより多種の添加剤は、プロセスのいかなるステップ中にも添加され得る。例えば、1種またはそれより多種の添加剤は、カルシウム化合物溶液と二酸化炭素の接触中、カルシウム化合物溶液と二酸化炭素の接触後、沈殿物質の沈殿中、スラリーにおける沈殿物質の沈殿後に、沈殿物質の脱水後のスラリーに、スラリーの乾燥後の粉末に、粉末沈殿物質と混合されることになる水溶液に、もしくは水を用いて粉末化沈殿物質から作製されたスラリーに、またはそれらの任意の組合せに、添加され得る。一部の実施形態では、沈殿物質を作製するプロセスで使用される水は、予め、1種もしくはそれより多種の添加剤または1種もしくはそれより多種の添加物イオンを含有していてもよい。例えば、プロセスで海水が使用される場合には、添加物イオンは、予め、海水中に存在していてもよい。
前述の方法の一部の実施形態では、本プロセス中に添加される1種またはそれより多種の添加剤の量は、0.1重量%超、または0.5重量%超、または1重量%超、または1.5重量%超、または1.6重量%超、または1.7重量%超、または1.8重量%超、または1.9重量%超、または2重量%超、または2.1重量%超、または2.2重量%超、または2.3重量%超、または2.4重量%超、または2.5重量%超、または2.6重量%超、または2.7重量%超、または2.8重量%超、または2.9重量%超、または3重量%超、または3.5重量%超、または4重量%超、または4.5重量%超、または5重量%超、または0.5~5重量%の間、または0.5~4重量%の間、または0.5~3重量%の間、または0.5~2重量%の間、または0.5~1重量%の間、または1~3重量%の間、または1~2.5重量%の間、または1~2重量%の間、または1.5~2.5重量%の間、または2~3重量%の間、または2.5~3重量%の間、または0.5重量%、または1重量%、または1.5重量%、または2重量%、または2.5重量%、または3重量%、または3.5重量%、または4重量%、または4.5重量%、または5重量%である。前述の方法の一部の実施形態では、本プロセス中に添加される1種またはそれより多種の添加剤の量は、0.5~3重量%の間または1.5~2.5重量%の間である。
一部の実施形態では、沈殿物質は、粉末形態である。一部の実施形態では、沈殿物質は、乾燥粉末形態である。一部の実施形態では、沈殿物質は、無秩序であり、または秩序配列ではなく、または粉末化形態である。さらなる一部の実施形態では、沈殿物質は、部分的または完全に水和した形態である。さらなる一部の実施形態では、沈殿物質は、塩水または真水中に存在する。さらなる一部の実施形態では、沈殿物質は、塩化ナトリウムを含有する水中に存在する。さらなる一部の実施形態では、沈殿物質は、アルカリ土類金属イオン、例えば限定されるものではないが、カルシウム、マグネシウムなどを含有する水中に存在する。一部の実施形態では、沈殿物質は、医療用ではなく、医療手順のためのものでもない。
本明細書で提供される組成物または沈殿物質から生成された製品は、高い圧縮強度、高い耐久性、高い多孔性(軽量)、高い曲げ強度、およびより低い維持コストなどの1つまたは複数の特性を示す。一部の実施形態では、水と組み合わされると凝結し、硬化する組成物または沈殿物質は、少なくとも3MPa(メガパスカル)、または少なくとも7MPa、または少なくとも10MPa、または一部の実施形態では、3~30MPaの間、または14~80MPaの間、または14~35MPaの間の圧縮強度を有する。
前述の態様および実施形態の一部の実施形態では、組成物または沈殿物質は、少なくとも10w/w%のバテライト、または少なくとも20w/w%のバテライト、または少なくとも30w/w%のバテライト、または少なくとも40w/w%のバテライト、または少なくとも50w/w%のバテライト、または少なくとも60w/w%のバテライト、または少なくとも70w/w%のバテライト、または少なくとも80w/w%のバテライト、または少なくとも90w/w%のバテライト、または少なくとも95w/w%のバテライト、または少なくとも99w/w%のバテライト、または10w/w%~99w/w%のバテライト、または10w/w%~90w/w%のバテライト、または10w/w%~80w/w%のバテライト、または10w/w%~70w/w%のバテライト、または10w/w%~60w/w%のバテライト、または10w/w%~50w/w%のバテライト、または10w/w%~40w/w%のバテライト、または10w/w%~30w/w%のバテライト、または10w/w%~20w/w%のバテライト、または20w/w%~99w/w%のバテライト、または20w/w%~95w/w%のバテライト、または20w/w%~90w/w%のバテライト、または20w/w%~75w/w%のバテライト、または20w/w%~50w/w%のバテライト、または30w/w%~99w/w%のバテライト、または30w/w%~95w/w%のバテライト、または30w/w%~90w/w%のバテライト、または30w/w%~75w/w%のバテライト、または30w/w%~50w/w%のバテライト、または40w/w%~99w/w%のバテライト、または40w/w%~95w/w%のバテライト、または40w/w%~90w/w%のバテライト、または40w/w%~75w/w%のバテライト、または50w/w%~99w/w%のバテライト、または50w/w%~95w/w%のバテライト、または50w/w%~90w/w%のバテライト、または50w/w%~75w/w%のバテライト、または60w/w%~99w/w%のバテライト、または60w/w%~95w/w%のバテライト、または60w/w%~90w/w%のバテライト、または70w/w%~99w/w%のバテライト、または70w/w%~95w/w%のバテライト、または70w/w%~90w/w%のバテライト、または80w/w%~99w/w%のバテライト、または80w/w%~95w/w%のバテライト、または80w/w%~90w/w%のバテライト、または90w/w%~99w/w%のバテライト、または10w/w%のバテライト、または20w/w%のバテライト、または30w/w%のバテライト、または40w/w%のバテライト、または50w/w%のバテライト、または60w/w%のバテライト、または70w/w%のバテライト、または75w/w%のバテライト、または80w/w%のバテライト、または85w/w%のバテライト、または90w/w%のバテライト、または95w/w%のバテライト、または99w/w%のバテライトを含む。バテライトは、安定なバテライトまたは反応性バテライトまたはPCCであり得る。
前述の態様および前述の実施形態の一部の実施形態では、水と組み合された後に凝結し、硬化する(すなわちアラゴナイトに転換する)バテライト、またはセメントおよび水と混合され、凝結し、硬化した後の安定なバテライトを含む沈殿物質は、少なくとも3MPa、少なくとも7MPa、少なくとも14MPa、または少なくとも16MPa、または少なくとも18MPa、または少なくとも20MPa、または少なくとも25MPa、または少なくとも30MPa、または少なくとも35MPa、または少なくとも40MPa、または少なくとも45MPa、または少なくとも50MPa、または少なくとも55MPa、または少なくとも60MPa、または少なくとも65MPa、または少なくとも70MPa、または少なくとも75MPa、または少なくとも80MPa、または少なくとも85MPa、または少なくとも90MPa、または少なくとも95MPa、または少なくとも100MPa、または3~50MPa、または3~25MPa、または3~15MPa、または3~10MPa、または14~25MPa、または14~100MPa、または14~80MPa、または14~75MPa、または14~50MPa、または14~25MPa、または17~35MPa、または17~25MPa、または20~100MPa、または20~75MPa、または20~50MPa、または20~40MPa、または30~90MPa、または30~75MPa、または30~60MPa、または40~90MPa、または40~75MPa、または50~90MPa、または50~75MPa、または60~90MPa、または60~75MPa、または70~90MPa、または70~80MPa、または70~75MPa、または80~100MPa、または90~100MPa、または90~95MPa、または14MPa、または3MPa、または7MPa、または16MPa、または18MPa、または20MPa、または25MPa、または30MPa、または35MPa、または40MPa、または45MPaの圧縮強度を有する。例えば、前述の態様および前述の実施形態の一部の実施形態では、凝結し、硬化した後の組成物は、3MPa~25MPa、または14MPa~40MPa、または17MPa~40MPa、または20MPa~40MPa、または30MPa~40MPa、または35MPa~40MPaの圧縮強度を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載される圧縮強度は、1日、または3日、または7日、または28日、または56日、またはそれよりも長い期間経過した後の圧縮強度である。
一部の実施形態では、バテライトを含む沈殿物質は、0.1~100ミクロンの平均粒径を有する微粒子組成物である。平均粒径(または平均粒子直径)は、任意の従来の粒径決定方法、例えば限定されるものではないが、マルチ検出器レーザー散乱またはレーザー回折またはふるい分けを使用して決定され得る。ある特定の実施形態では、単峰性(unimodel)または多峰性、例えば二峰性または他の分布が存在する。二峰性分布は、表面積を最小限にし、したがって組成物が水と混合される場合により低い液体/固体質量比を可能にしながらも、初期反応のためにより小さい反応性粒子を提供することができる。一部の実施形態では、本明細書で提供される組成物または沈殿物質は、0.1~1000ミクロン、または0.1~500ミクロン、または0.1~100ミクロン、または0.1~50ミクロン、または0.1~20ミクロン、または0.1~10ミクロン、または0.1~5ミクロン、または1~50ミクロン、または1~25ミクロン、または1~20ミクロン、または1~10ミクロン、または1~5ミクロン、または5~70ミクロン、または5~50ミクロン、または5~20ミクロン、または5~10ミクロン、または10~100ミクロン、または10~50ミクロン、または10~20ミクロン、または10~15ミクロン、または15~50ミクロン、または15~30ミクロン、または15~20ミクロン、または20~50ミクロン、または20~30ミクロン、または30~50ミクロン、または40~50ミクロン、または50~100ミクロン、または50~60ミクロン、または60~100ミクロン、または60~70ミクロン、または70~100ミクロン、または70~80ミクロン、または80~100ミクロン、または80~90ミクロン、または0.1ミクロン、または0.5ミクロン、または1ミクロン、または2ミクロン、または3ミクロン、または4ミクロン、または5ミクロン、または8ミクロン、または10ミクロン、または15ミクロン、または20ミクロン、または30ミクロン、または40ミクロン、または50ミクロン、または60ミクロン、または70ミクロン、または80ミクロン、または100ミクロンの平均粒径を有する微粒子組成物である。例えば、一部の実施形態では、本明細書で提供される組成物または沈殿物質は、0.1~20ミクロン、または0.1~15ミクロン、または0.1~10ミクロン、または0.1~8ミクロン、または0.1~5ミクロン、または1~25ミクロン、または1~20ミクロン、または1~15ミクロン、または1~10ミクロン、または1~5ミクロン、または5~20ミクロン、または5~10ミクロンの平均粒径を有する微粒子組成物である。一部の実施形態では、組成物または沈殿物質は、組成物または沈殿物質において2個もしくはそれよりも多い、または3個もしくはそれよりも多い、または4個もしくはそれよりも多い、または5個もしくはそれよりも多い、または10個もしくはそれよりも多い、または20個もしくはそれよりも多い、または3~20個、または4~10個の異なるサイズの粒子を含む。例えば、組成物または沈殿物質は、0.1~10ミクロン、10~50ミクロン、50~100ミクロン、100~200ミクロン、200~500ミクロン、500~1000ミクロンの範囲および/またはサブミクロンの粒径の、2個もしくはそれよりも多い、または3個もしくはそれよりも多い、または3~20個の間の粒子を含むことができる。一部の実施形態では、沈殿物質におけるPCCは、0.1ミクロン未満、例えば0.001ミクロン~1ミクロンの間またはそれよりも大きい平均粒径を有することができる。一部の実施形態では、PCCは、ナノメートルの粒径であってもよい。
一部の実施形態では、組成物または沈殿物質は、普通ポルトランドセメント(OPC)またはポルトランドセメントクリンカーをさらに含むことができる。ポルトランドセメント構成成分の量は変わってもよく、10~95w/w%、または10~90w/w%、または10~80w/w%、または10~70w/w%、または10~60w/w%、または10~50w/w%、または10~40w/w%、または10~30w/w%、または10~20w/w%、または20~90w/w%、または20~80w/w%、または20~70w/w%、または20~60w/w%、または20~50w/w%、または20~40w/w%、または20~30w/w%、または30~90w/w%、または30~80w/w%、または30~70w/w%、または30~60w/w%、または30~50w/w%、または30~40w/w%、または40~90w/w%、または40~80w/w%、または40~70w/w%、または40~60w/w%、または40~50w/w%、または50~90w/w%、または50~80w/w%、または50~70w/w%、または50~60w/w%、または60~90w/w%、または60~80w/w%、または60~70w/w%、または70~90w/w%、または70~80w/w%の範囲であってもよい。例えば、組成物または沈殿物質は、75%のOPCおよび25%の組成物、または80%のOPCおよび20%の組成物、または85%のOPCおよび15%の組成物、または90%のOPCおよび10%の組成物、または95%のOPCおよび5%の組成物のブレンドを含むことができる。
ある特定の実施形態では、組成物または沈殿物質は、骨材をさらに含むことができる。骨材は、細骨材を含むモルタルおよび粗骨材も含むコンクリートを提供するために、組成物または沈殿物質に含まれ得る。細骨材は、ほぼ全体的に4号のふるい(ASTM C125およびASTM C33)を通過する材料、例えばシリカサンドである。粗骨材は、主に4号のふるい(ASTM C125およびASTM C33)に保持される材料、例えばシリカ、石英、破砕された丸い大理石、ガラス球、花崗岩、石灰石、方解石、長石、沖積砂、砂または任意の他の耐久性がある骨材、およびそれらの混合物である。したがって、用語「骨材」は、限定されるものではないが、砂、砂利、破砕された石、スラグ、およびリサイクルされたコンクリートを含めた、粗いものおよび細かいもの両方のいくつかの異なる種類の微粒子材料を指すために、広範に使用される。骨材の量および性質は、広く変わり得る。一部の実施形態では、骨材の量は、組成物および骨材の両方から生成された全組成物の25~80w/w%、例えば40~70w/w%、および50~70w/w%を含めた範囲であり得る。
一部の実施形態では、前述の方法によって調製される組成物または沈殿物質は、1つまたは複数の適切な条件下で水性媒体を用いて処理した後に、凝結し、硬化する。水性媒体には、限定されるものではないが、必要に応じて添加剤を含有する真水またはブラインが含まれる。一部の実施形態では、1つまたは複数の適切な条件には、限定されるものではないが、温度、圧力、凝結のための期間、水性媒体の組成物に対する比、およびそれらの組合せが含まれる。温度は、水性媒体の温度に関する温度であってよい。一部の実施形態では、温度は、0~110℃、または0~80℃、または0~60℃、または0~40℃、または25~100℃、または25~75℃、または25~50℃、または37~100℃、または37~60℃、または40~100℃、または40~60℃、または50~100℃、または50~80℃、または60~100℃、または60~80℃、または80~100℃の範囲である。一部の実施形態では、圧力は、大気圧であるか、または大気圧を上回る。一部の実施形態では、セメント製品を凝結するための期間は、30分~48時間、または30分~24時間、または30分~12時間、または30分~8時間、または30分~4時間、または30分~2時間、2~48時間、または2~24時間、または2~12時間、または2~8時間、または2~4時間、5~48時間、または5~24時間、または5~12時間、または5~8時間、または5~4時間、または5~2時間、10~48時間、または10~24時間、または24~48時間である。
組成物または沈殿物質を水性媒体と混合する間、沈殿物を、高せん断ミキサーにかけることができる。混合後、沈殿物を再び脱水し、予め形成された型に入れて、形成された建材を作製することができ、または当技術分野で周知のもしくは本明細書に記載される通りのプロセスを使用して、形成された建材を作製するために使用することができる。あるいは、沈殿物は、水と混合することができ、凝結させることができる。沈殿物は、数日間にわたって凝結することができ、次に、例えば40℃で、または40℃~60℃、または40℃~50℃、または40℃~100℃、または50℃~60℃、または50℃~80℃、または50℃~100℃、または60℃~80℃、または60℃~100℃で乾燥させるためにオーブンに入れることができる。沈殿物は、50℃~60℃、または50℃~80℃、または50℃~100℃、または60℃~80℃、または60℃~100℃、または60℃、または80℃~100℃などの高温において、高い湿度で、例えば30%、または40%、または50%、または60%の湿度で養生させることができる。
本明細書に記載される方法によって生成された製品は、骨材または建材または予め打設された材料または形成された建材であり得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法によって生成された製品には、非セメント材料、例えば紙、塗料、PVCなどが含まれる。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法によって生成された製品には、人工岩礁が含まれる。これらの製品は、本明細書に記載されている。
一部の実施形態では、湿潤形態または乾燥形態の沈殿物質は、限定されるものではないが、強度、曲げ強度、圧縮強度、多孔性、熱伝導率などを含めた1つまたは複数の特性を製品に付与するために、1つまたはそれより多くの混和剤と混合することができる。用いられる混和剤の量は、混和剤の性質に応じて変わり得る。一部の実施形態では、1つまたはそれより多くの混和剤の量は、1~50w/w%、例えば1~30w/w%、または1~25w/w%、または1~20w/w%/、または2~10w/w%の範囲である。混和剤の例として、限定されるものではないが、凝結促進剤、凝結遅延剤、空気連行剤、発泡剤、消泡剤、アルカリ反応性低減剤、結合混和剤、分散剤、着色混和剤、腐食抑制剤、防湿混和剤、ガス形成剤、浸透性低減剤、圧送助剤、収縮補正混和剤、殺真菌混和剤、殺菌混和剤、殺虫混和剤、レオロジー変性剤、微粉砕された鉱物混和剤、ポゾラン、骨材、湿潤剤、強度増強剤、撥水剤、強化材料、例えば繊維、および任意の他の混和剤が挙げられる。混和剤が使用される場合、混和剤原料が導入される組成物または沈殿物質は、組成物中に混和剤原料を比較的均一に分散させるのに十分な時間にわたって混合される。
凝結促進剤は、セメントの凝結および初期強度成長を加速するために使用することができる。使用することができる凝結促進剤の例として、限定されるものではないが、非塩化物タイプの凝結促進剤であるPOZZOLITH(登録商標)NC534および/または亜硝酸カルシウムベースの腐食抑制剤であるRHEOCRETE(登録商標)CNIが挙げられ、それらは共に、オハイオ州クリーブランドのBASF Admixtures Inc.によって前述の商標で販売されている。遅延凝結または水和制御としても公知の凝結を遅らせる混和剤は、セメントの凝結速度を遅らせ、遅延し、または緩徐するために使用される。ほとんどの凝結遅延剤は、低レベルの減水剤として作用することができ、いくらかの空気を製品に連行するために使用することもできる。遅延剤の一例は、オハイオ州クリーブランドのBASF Admixtures Inc.によるDELVO(登録商標)である。空気連行剤は、組成物に空気を連行する任意の物質を含む。一部の空気連行剤は、組成物の表面張力を低濃度で低減することもできる。空気連行混和剤は、顕微鏡的な空気の気泡をセメントに意図的に連行するために使用される。空気の連行は、そのミックスの加工性を増大させると同時に、分離およびブリーディングを排除または低減することができる。これらの所望の効果を達成するために使用される材料は、木材樹脂、天然樹脂、合成樹脂、スルホン化リグニン、石油酸、タンパク性材料、脂肪酸、樹脂酸、アルキルベンゼンスルホネート、スルホン化炭化水素、ビンソール(vinsol)樹脂、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、天然ロジン、合成ロジン、無機空気連行剤、合成洗浄剤、およびそれらの対応する塩、ならびにそれらの混合物から選択することができる。空気連行剤は、セメント組成物中に所望のレベルの空気をもたらす量で添加される。混和剤システムにおいて利用することができる空気連行剤の例として、限定されるものではないが、MB AE90、MB VRおよびMICRO AIR(登録商標)が挙げられ、それらはすべて、オハイオ州クリーブランドのBASF Admixtures Inc.から入手可能である。
一部の実施形態では、沈殿物質は、発泡剤と混合される。発泡剤は、多量の空気細孔/多孔性を組み込み、材料密度の低減を促進する。発泡剤の例として、限定されるものではないが、石けん、洗浄剤(アルキルエーテルサルフェート)、millifoamTM(アルキルエーテルサルフェート)、cedepalTM(アンモニウムアルキルエトキシサルフェート)、witcolateTM12760などが挙げられる。
消泡剤も、混和剤として対象になる。消泡剤は、セメント組成物における空気含量を低減するために使用される。分散剤も、混和剤として対象になる。分散剤には、限定されるものではないが、ポリエーテル単位を含むまたは含まないポリカルボキシレート分散剤が含まれる。分散剤という用語は、組成物のための可塑剤、減水剤、例えば高範囲減水剤、流動化剤、抗凝集剤、または超可塑剤(superplasticizer)としても機能する化学物質、例えばリグニンスルホン酸塩、スルホン化ナフタレンスルホン酸塩凝縮物の塩、スルホン化メラミンスルホン酸塩凝縮物の塩、ベータナフタレンスルホン酸塩、スルホン化メラミンホルムアルデヒド凝縮物、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド凝縮物樹脂、例えばLOMAR D(登録商標)分散剤(Cognis Inc.、オハイオ州シンシナティ)、ポリアスパラギン酸、またはオリゴマー分散剤を含むことも意味する。ポリカルボキシレート分散剤を使用することができ、これは、ペンダント側鎖を含む炭素骨格を有する分散剤を意味し、ここで側鎖の少なくとも一部は、カルボキシル基またはエーテル基を介して骨格に結合している。
天然および合成混和剤は、審美的理由および安全性の理由で、製品を着色するために使用することができる。これらの着色混和剤は、顔料から構成されてもよく、それには、カーボンブラック、酸化鉄、フタロシアニン、アンバー、酸化クロム、酸化チタン、コバルトブルー、および有機着色剤が含まれる。腐食抑制剤も、混和剤として対象になる。腐食抑制剤は、包埋された鉄筋を腐食から保護するために働くことができる。腐食を抑制するために一般に使用される材料は、亜硝酸カルシウム、亜硝酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ある特定のリン酸塩またはフルオロケイ酸塩、フッ化アルミン酸塩(fluoroaluminite)、アミン、および関連化学物質である。防湿混和剤も、対象になる。防湿混和剤は、低セメント含量、高い水-セメント比、または骨材の細粒欠損を有する製品の浸透性を低減する。これらの混合物は、乾燥製品に湿気が浸透するのを遅らせるものであり、それには、ある特定の石けん、ステアレート、および石油製品が含まれる。ガス形成混和剤も、対象になる。ガス形成剤またはガスを形成する薬剤は、時として、硬化の前にわずかに膨張を引き起こすためにミックスに添加される。膨張量は、使用されるガス形成性材料の量および新しい混和剤の温度に依存して決まる。アルミニウム粉末、樹脂石けん、および植物性または動物性の糊、サポニンまたは加水分解タンパク質は、ガス形成剤として使用することができる。浸透性低減剤も、対象になる。浸透性低減剤は、圧力下で水がミックス中を伝わる速度を低減することができる。シリカフューム、フライアッシュ、粉砕スラグ、天然ポゾラン、減水剤、およびラテックスは、ミックスの浸透性を低減するために用いることができる。
レオロジー変性剤の混和剤も、対象になる。レオロジー変性剤は、組成物の粘度を増大させるために使用することができる。レオロジー変性剤の適切な例として、硬化シリカ、コロイドシリカ、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、フライアッシュ(ASTM C618において定義される)、鉱物油(例えば軽質ナフテン)、粘土、例えばヘクトライト粘土、ポリオキシアルキレン、多糖類、天然ガム、またはそれらの混合物が挙げられる。鉱物増量剤の一部、例えば限定されるものではないが、セピオライト粘土は、レオロジー変性剤である。
収縮補正混和剤も、対象になる。TETRAGUARD(登録商標)は、収縮低減剤の一例であり、オハイオ州クリーブランドのBASF Admixtures Inc.から入手可能である。硬化した製品の上または中の細菌および真菌の成長は、殺真菌混和剤および殺菌混和剤の使用により、部分的に制御することができる。これらを目的とした材料には、限定されるものではないが、ポリハロゲン化フェノール、ディルドリン(dialdrin)エマルジョン、および銅化合物が含まれる。一部の実施形態では、加工性改善混和剤も、対象になる。連行された空気は、潤滑剤のように作用し、加工性を改善する作用物質として使用することができる。他の加工剤は、減水剤およびある特定の微粉砕混和剤である。
一部の実施形態では、組成物または沈殿物質は、例えば繊維強化製品が望ましい場合には、強化材料、例えば繊維と共に用いられる。繊維は、ジルコニア含有材料、アルミニウム、ガラス、鋼、炭素、セラミック、草、竹、木材、繊維ガラス、または合成材料、例えばポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ナイロン、ポリエチレン、ポリエステル、レーヨン、高強度アラミド(すなわちKevlar(登録商標))、またはそれらの混合物から作製することができる。強化材料は、2012年7月27日出願の米国特許出願第13/560,246号に記載されており、本開示において、その全体は本明細書に組み込まれる。
沈殿物質の構成成分は、任意の適切なプロトコールを使用して組み合わせることができる。各材料は、作業時に混合することができ、または材料の一部もしくはすべてを、前もって混合することができる。あるいは、材料の一部は、混和剤、例えば高範囲減水混和剤と共にまたはそれなしに、水と混合され、次に、それと残りの材料を混合することができる。混合装置として、従来のいかなる装置も使用することができる。例えば、Hobartミキサー、スラントシリンダーミキサー、Omniミキサー、Henschelミキサー、V型ミキサー、およびNautaミキサーを用いることができる。
一態様では、N含有塩および必要に応じてアンモニアを用いるカルシウム化合物の処理または溶媒和を処理して、カルシウム塩およびN含有塩を含む水溶液を作製するように構成された処理装置;カルシウム塩を含む水溶液および必要に応じて固体を、セメント工場由来の二酸化炭素で処理して、バテライトまたはPCCを含む沈殿物質、および残留N含有塩の水溶液を含む上清を作製するように構成された反応器;ならびに水溶液から残留N含有塩を回収して、処理装置に戻して再循環させるための回収システムを含む、システムが提供される。回収システムは、熱分解、逆浸透、多段フラッシュ、多重効用蒸留、蒸気再圧縮、蒸留、およびそれらの組合せを行うように構成されたシステムである。
本明細書で提供される方法およびシステムは、陸地で(例えば、石灰石を焼成するセメント工場が存在する場所、または容易に経済的に輸送される場所で)、海で、または海洋中で行うことができる。一部の実施形態では、石灰石を焼成するセメント工場は、沈殿物質を形成し、さらに、沈殿物質から製品を形成するために、本明細書に記載されるシステムを追加導入することができる。
いくつかの態様は、本明細書に記載される方法を実施するための、処理工場または製造所を含めたシステムを含む。システムは、目的の特定の生成方法を実施可能にする、いかなる立体配置も有することができる。
ある特定の実施形態では、本システムは、セメント工場由来のカルシウム化合物またはカルシウム化合物を含有する水溶液の供給源、および水溶液のための投入口を有する構造を含む。例えば、システムは、カルシウム化合物水溶液のパイプラインまたは類似の供給部を含むことができ、ここで水溶液は、ブライン、海水、または真水である。システムはさらに、セメント工場由来のCO、および沈殿反応器の前または沈殿反応器において、これらの供給源を水(必要に応じて水溶液、例えば水、ブラインまたは海水)と組み合わせるための構成成分のための投入口を含む。一部の実施形態では、ガスと液体の接触装置は、1日当たり1トン、10トン、100トン、1,000トン、または10,000トンを超える沈殿物質を生成するのに十分なCOを接触させるように構成される。
システムはさらに、沈殿反応器に導入された水を、沈殿条件の1つまたは複数(本明細書に記載される)に付し、沈殿物質および上清を生成する、沈殿反応器を含む。一部の実施形態では、沈殿反応器は、1日当たり1トン、10トン、100トン、1,000トン、または10,000トンを超える沈殿物質を生成するのに十分な水を保持するように構成される。沈殿反応器は、いくつかの異なる要素、例えば温度モジュレーション要素(例えば、水を所望の温度に加熱するように構成される)、化学添加要素(例えば、添加剤などを沈殿反応混合物に導入するように構成される)、コンピューター自動化などのいずれかを含むように構成することもできる。
COのガス状廃棄物ストリームは、任意の便利な方式で、セメント工場から沈殿現場に提供することができる。一部の実施形態では、ガス状廃棄物ストリームは、セメント工場の現場から沈殿現場の1つまたはそれより多くの場所に走行するガスコンベヤ(例えば、ダクト)を用いて提供される。ガス状廃棄物ストリームの供給源は、ガス状廃棄物ストリームの供給源が、沈殿場所から100マイルまたはそれよりも長距離を含めた、1マイルまたはそれよりも長距離、例えば10マイルまたはそれよりも長距離にある場所にあるように、沈殿現場に対して遠い場所にあってもよい。例えば、ガス状廃棄物ストリームは、COガス運搬システム(例えば、パイプライン)を介して遠隔のセメント工場から沈殿現場に輸送されてきていてもよい。セメント工場によって生じたCO含有ガスは、沈殿現場(すなわち、生成物の沈殿および/または生成が行われる現場)に到達する前に処理されてもよく、または処理されなくてもよい(例えば、他の構成成分を除去する)。さらに他の場合、ガス状廃棄物ストリーム供給源は、沈殿現場に近接している。例えば、沈殿現場は、製品を生成するために使用することができる沈殿物質を沈殿させるための沈殿反応器を統合しているガス状廃棄物ストリーム供給源、例えばセメント工場と、統合される。
炭酸塩化合物の組成物を生成するためにシステムによって処理される塩水供給源が、海水である場合、例えば、投入口が、海水から地上システムまたは船体の流入ポートへのパイプラインまたは供給管であるような場合、例えばシステムが、例えば海上システムにおける船舶の一部である場合には、投入口は、海水供給源と流体連結している。
本方法およびシステムは、水性媒体の供給源または二酸化炭素の供給源をモニタリングするように構成された、1つまたはそれより多くの検出器(図示されず)を含むこともできる。モニタリングには、限定されるものではないが、水または二酸化炭素ガスの圧力、温度および組成に関するデータの収集が含まれ得る。検出器は、モニタリングするように構成された任意の便利なデバイス、例えば、圧力センサー(例えば、電磁圧力センサー、電位差圧力センサーなど)、温度センサー(抵抗温度検出器、熱電対、ガス温度計、サーミスタ、高温計、赤外放射線センサーなど)、体積センサー(例えば、地球物理学的な回折断層撮影法、X線断層撮影法、水中音響探査機など)、および水または二酸化炭素ガスの化学構成を決定するためのデバイス(例えば、IR分光計、NMR分光計、UV-vis分光光度計、高速液体クロマトグラフ、誘導結合プラズマ発光分光計、誘導結合プラズマ質量分析計、イオンクロマトグラフ、X線回折計、ガスクロマトグラフ、ガスクロマトグラフィー-質量分析計、フローインジェクション分析、シンチレーションカウンター、酸滴定、およびフレーム発光分光計など)であってよい。
一部の実施形態では、検出器は、使用者に、水性媒体、カルシウム化合物、および/または二酸化炭素ガスに関して収集されたデータを提供するように構成されている、コンピューターインターフェースを含むこともできる。一部の実施形態では、概要は、コンピューター可読データファイルとして保存することができ、または使用者可読文書として印刷することができる。
一部の実施形態では、検出器は、リアルタイムデータ(例えば、内部圧力、温度など)を収集できるように、モニタリングデバイスであってもよい。他の実施形態では、検出器は、水性媒体および/または二酸化炭素ガスのパラメータを定期的に決定するように、例えばその組成を1分毎、5分毎、10分毎、30分毎、60分毎、100分毎、200分毎、500分毎、またはいくつかの他の間隔で決定するために構成された、1つまたはそれより多くの検出器であってもよい。
ある特定の実施形態では、本システムは、沈殿物からセメントまたは骨材などの建材を調製するためのステーションをさらに含むことができる。形成された建材および/または非セメント材料などの他の材料も、沈殿物から形成することができ、その調製に適したステーションを使用することができる。
先に示される通り、本システムは、地上または海上に存在することができる。例えば、システムは、例えば、海水供給源に近い沿岸部、または水が海水供給源、例えば海洋からシステムにパイプで送られる内陸の場所にある、地上システムであり得る。あるいは、システムは、水系システム、すなわち水上または水中に存在するシステムである。このようなシステムは、ボート、海洋系プラットフォームなどの上に、所望通りに存在することができる。
炭酸カルシウムスラリーは、一部の実施形態では、濾過ステップの後に噴霧乾燥を含む乾燥システムに、ポンプを介して送られる。乾燥システムから分離された水は、放出されるか、または反応器に再循環させられる。乾燥システムから生じた固体または粉末は、COを有効に捕捉する建材を生成するためのセメントまたは骨材として利用される。固体または粉末は、非セメント製品、例えば紙、プラスチック、塗料などにおけるPCCフィラーとして使用することもできる。固体または粉末は、形成された建材、例えば乾式壁、セメントボードなどの形成において使用することもできる。
一部の実施形態では、本システムは、沈殿装置または充填装置に運搬される二酸化炭素の量、N含有塩の量、および/もしくはカルシウム化合物の量;分離装置に運搬される沈殿物の量;乾燥ステーションに運搬される沈殿物の量;ならびに/または精製ステーションに運搬される沈殿物の量を制御するように構成されている制御ステーションを含むことができる。制御ステーションは、手作業で、機械的にもしくはデジタルで制御される一組の弁もしくは複数弁システムを含むことができ、または任意の他の便利な流量調節プロトコールを用いることができる。ある場合には、制御ステーションは、前述の通り、使用者に、量を制御するための入力および出力パラメータを提供するように構成されているコンピューターインターフェースを含むことができる(調節は、コンピューター支援されるか、またはコンピューターによって完全に制御される)。
II.製品
本明細書では、セメント工場由来のCOのガス状廃棄物ストリームおよびカルシウム化合物を利用して、バテライトおよび/またはアラゴナイト多形形態の炭酸カルシウムを含む沈殿物質を生成するための方法およびシステムであって、バテライトがアラゴナイトに転換し、セメントを形成する、方法およびシステムが提供される。本明細書では、セメント工場由来のガス状廃棄物ストリームからCOを除去または分離し、COを、保存安定性のある非ガス形態(例えば、ビルディングおよびインフラストラクチャーなどの構造物の建築のための材料、ならびに構造物自体または形成された建材、例えば乾式壁、または非セメント材料、例えば紙、塗料、プラスチックなど、または人工岩礁)に固定し、したがってCOが大気に逃げないようにする、環境に優しい方法が提供される。
建材
本明細書で使用される「建材」には、建築に使用される材料が含まれる。一態様では、例えば反応性バテライトがアラゴナイトに変わっている沈殿物質、または凝結し、硬化するPCCの、凝結し硬化した形態を含む、構造物または建材が提供される。アラゴナイト形態の沈殿物を含有する製品は、限定されるものではないが、高圧縮強度、高多孔性(低密度または軽量)、中性pH(例えば人工岩礁として有用である)、微細網目構造などを含めた、予期されなかった1つまたは複数の特性を示す。
このような構造物または建材の例として、限定されるものではないが、ビルディング、ドライブウェイ、基礎、キッチンスラブ、家具、舗道、道路、橋、高速道路、陸橋、駐車場構造物、レンガ、ブロック、壁、ゲートのための足場、フェンス、またはポール、およびそれらの組合せが挙げられる。
形成された建材
本明細書で使用される「形成された建材」には、定義された物理的形状を有する構造物に成形された(例えば、成型された、打設された、切断された、またはその他の方法で生成された)材料が含まれる。形成された建材は、予め打設された建材、例えば、予め打設されたセメントまたはコンクリート製品であり得る。形成された建材および形成された建材を作製し使用する方法は、2009年9月30日出願の米国特許出願第12/571,398号に記載されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。形成された建材は、大幅に変わり得、定義された物理的形状、すなわち立体配置を有する構造物に成形された(例えば、成型された、打設された、切断された、またはその他の方法で生成された)材料を含む。形成された建材は、定義された安定な形状を有しておらず、むしろそれらが保持される容器、例えばバッグまたは他の容器に適合する非晶質建材(例えば、粉末、ペースト、スラリーなど)とは異なる。形成された建材は、形成された建材が、例えばビルディングにおける形成された建材の使用を可能にする仕様に従って生成されるという点で、不規則にまたは不正確に形成された材料(例えば、廃棄される骨材、バルク形態など)とも異なる。形成された建材は、本発明の組成物がこのような材料の作製において用いられることを除いて、このような構造物のための従来の製造プロトコールに従って調製することができる。
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、反応性バテライト(反応性バテライトは、アラゴナイトに変わっている)または凝結し硬化したPPCを含む沈殿物質を凝結し、硬化し、形成された建材を形成する工程をさらに含む。
一部の実施形態では、沈殿物質から作製された、形成された建材は、少なくとも3MPa、少なくとも10MPaもしくは少なくとも14MPa、または3~30MPaの間もしくは約14~100MPaの間もしくは約14~45MPaの間の圧縮強度または曲げ強度を有し、あるいは本明細書に記載される通り凝結し、硬化した後の沈殿物質の圧縮強度を有する。
前述の方法によって生成することができる形成された建材の例として、限定されるものではないが、石造ユニット、単に例として、レンガ、ブロック、および限定されるものではないが、天井タイルを含めたタイル;建築パネル、単に例として、セメントボード(セメントから従来作製されているボード、例えば繊維セメントボード)および/もしくは乾式壁(石こうから従来作製されているボード);導管;水盤;梁;柱、スラブ;遮音バリア;断熱材料;またはそれらの組合せが挙げられる。建築パネルは、長さおよび幅が実質的に厚さよりも大きいことを特徴とする任意の非耐力構造要素に言及するために、広範な意味で用いられる形成された建材である。したがって、パネルは、厚板、ボード、屋根板、および/またはタイルであってもよい。沈殿物質から形成された例示的な建築パネルとして、セメントボードおよび/または乾式壁が挙げられる。建築パネルは、それらの所期の使用に応じて大幅に変わる寸法を有する多角形構造物である。建築パネルの寸法は、100~300cm、例えば250cmを含めた50~500cmの長さ;75~150cm、例えば100cmを含めた25~200cmの幅;7~20mm、10~15mmを含めた5~25mmの厚さの範囲であり得る。
一部の実施形態では、セメントボードおよび/または乾式壁は、異なる種類のボード、例えば限定されるものではないが、紙張りボード(例えば、セルロース繊維を用いる表面強化)、繊維ガラス張りもしくはガラスマット張りボード(例えば、ガラス繊維マットを用いる表面強化)、繊維ガラスメッシュ強化ボード(例えば、ガラスメッシュを用いる表面強化)、および/または繊維強化ボード(例えば、セルロース、ガラス、繊維などを用いるセメント強化)の作製において使用することができる。これらのボードは、限定されるものではないが、羽目板、例えば繊維-セメント羽目板、屋根ふき、下端、シージング、クラッディング、デッキ、天井、シャフトライナー、壁ボード、バッカー、トリム、フリーズ、屋根板、およびファスキア(fascia)、ならびに/または下張りを含めた様々な適用において使用することができる。
セメントボードは、従来、セメント、例えば普通ポルトランドセメント(OPC)、酸化マグネシウムセメントおよび/またはケイ酸カルシウムセメントから作製される。本明細書で提供される方法によって作製されたセメントボードは、ボードにおける従来のセメントを部分的または完全に置き換える沈殿物質から作製される。一部の実施形態では、セメントボードは、アラゴナイトセメント(バテライトがアラゴナイトに転換するときに凝結し、硬化する)と繊維および/または繊維ガラスの組合せとして調製された建築パネルを含むことができ、ボードの両面が追加の繊維および/または繊維ガラスで強化されていてもよい。
セメントボードは、一部の実施形態では、浴室タイル、キッチンカウンター、バックスプラッシュなどの裏側に用いることができるセラミックのためのバッカーボードとして使用される、形成された建材であり、100~200cmの範囲の長さを有することができる。セメントボードは、物理的特性および機械的特性が変わり得る。一部の実施形態では、曲げ強度は、2~6MPa、例えば5MPaを含めた1~7.5MPaの間の範囲で変わり得る。また圧縮強度は、10~30MPa、例えば15~20MPaを含めた5~50MPaの範囲で変わり得る。一部の実施形態では、セメントボードは、湿気に広範に曝露される環境(例えば、商業用サウナ)において用いることができる。本明細書に記載される組成物または沈殿物質は、セメントボードを形成するのに望ましい形状およびサイズを生成するために使用することができる。さらに、限定されるものではないが、可塑剤、粘土、発泡剤、促進剤、遅延剤および空気連行添加剤を含めた、様々なさらなる構成成分を、セメントボードに添加することができる。次に、組成物は、シート型に注がれ、またはローラーを使用して、所望の厚さのシートを形成することができる。成形された組成物は、ローラー圧縮、水圧圧力、振動圧縮、または共鳴ショック圧縮によってさらに圧縮することができる。次に、シートは、所望の寸法のセメントボードに切断される。
本明細書に記載される組成物または沈殿物質から形成される別のタイプの建築パネルは、バッカーボードである。バッカーボードは、インテリアおよび/またはエクステリアの床、壁および天井の建築のために使用することができる。いくつかの実施形態では、バッカーボードは、沈殿物質から部分的または完全に作製される。
本組成物または沈殿物質から形成される別のタイプの建築パネルは、乾式壁である。「乾式壁」には、本明細書で使用される場合、インテリアおよび/またはエクステリアの床、壁および天井の建築のために使用されるボードが含まれる。従来、乾式壁は、石こうから形成される(紙張りボードと呼ばれる)。いくつかの実施形態では、乾式壁は、炭酸塩沈殿物質から部分的または完全に作製され、それによって乾式壁製品から石こうを置き換える。一部の実施形態では、乾式壁は、アラゴナイトセメント(バテライトがアラゴナイトに転換するときに凝結し、硬化する)とセルロース、繊維および/または繊維ガラスの組合せとして調製された建築パネルを含むことができ、ボードの両面が追加の紙、繊維、繊維ガラスメッシュおよび/または繊維ガラスマットで強化されていてもよい。乾式壁製品を作製するための様々なプロセスは、当技術分野で周知であり、十分に本発明の範囲内にある。一部の例として、限定されるものではないが、湿式プロセス、半乾式プロセス、押出しプロセス、wonderborad(登録商標)プロセスなどが挙げられ、それらは本明細書に記載されている。
一部の実施形態では、乾式壁は、内側コアの周りを包むペーパーライナーから作製されたパネルである。例えば、一部の実施形態では、沈殿物質から乾式壁製品を作製するプロセス中、バテライトを含む沈殿物質のスラリーが、紙シートの上に注がれる。次に、別の紙シートが沈殿物質の上部に置かれ、したがって沈殿物質には、両側に紙が配置される(生じた組成物は、外側材料、例えば厚紙または繊維ガラスマットの2つのシートの間に挟まれている)。次に、沈殿物質におけるバテライトを、アラゴナイトに転換し(添加剤および/または熱を使用して)、次に、該アラゴナイトが凝結し、硬化する。コアが凝結し、大型乾燥チャンバ内で乾燥させられる場合、サンドイッチ状パネルは、建材として使用するのに十分剛性かつ強力になる。次に、乾式壁シートは切断され、分離される。
沈殿物質から形成された乾式壁の曲げおよび圧縮強度は、軟質建築材料であることが公知の、石こうプラスターを用いて調製された従来の乾式壁と同じか、またはそれよりも高い。一部の実施形態では、曲げ強度は、0.5~2MPa、例えば1.5MPaを含めた0.1~3MPaの間の範囲であり得る。圧縮強度も変わり、ある場合には5~15MPa、例えば8~10MPaを含めた1~20MPaの範囲であり得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法によって生成された、形成された建材、例えば建築パネル、例えば限定されるものではないが、セメントボードおよび乾式壁は、低密度および高多孔性であり、それにより軽量断熱適用に適したものになる。高多孔性および軽量の形成された建材、例えば建築パネルは、バテライトがアラゴナイトに転換するときにアラゴナイト微細構造が生じることにより得ることができる。溶解/再沈殿プロセス中のバテライトの転換により、マイクロ多孔性が生じ得ると同時に、形成されたアラゴナイト結晶の間に生じた空隙は、ナノ多孔性を提供し、それによって高多孔質の軽量構造をもたらし得る。転換プロセス中、限定されるものではないが、発泡剤、レオロジー変性剤および鉱物増量剤、例えば限定されるものではないが、粘土、デンプンなどのある特定の混和剤を添加することができ、それにより、発泡剤が混合物中に空気を連行することができるので、製品に多孔性が加えられ、全体的な密度を低減することができ、また、セピオライト粘土などの鉱物増量剤は、混合物の粘度を増大させ、それによって沈殿物質と水の分離を防止することができる。
セメントボードまたは乾式壁の適用の1つは、繊維セメント羽目板である。本明細書で提供される方法によって形成された繊維-セメント羽目板は、アラゴナイトセメント、骨材、織り合わされたセルロース、および/またはポリマー繊維の組合せとして調製された建築パネルを含み、木材に似た質感および可撓性を有することができる。
一部の実施形態では、形成された建材は、石造ユニットである。石造ユニットは、一般にモルタル、グラウトなどを使用して組み立てられる耐力構造物および非耐力構造物の建築において使用される、形成された建材である。本組成物から形成された例示的な石造ユニットとして、レンガ、ブロック、およびタイルが挙げられる。
本明細書に記載される沈殿物質から形成された別の形成された建材は、導管である。導管は、ガスまたは液体を、ある場所から別の場所に運搬するように構成されている管または類似構造物である。導管は、限定されるものではないが、パイプ、カルバート、ボックスカルバート、排水路およびポータル、流入口構造物、取水塔、ゲートウェル、流出口構造物などを含めた、液体またはガスの運搬に使用される多くの異なる構造物のいずれかを含むことができる。
本明細書に記載される沈殿物質から形成された別の形成された建材は、水盤である。水盤という用語は、液体、例えば水を保持するために使用される、いかなる構成の容器も含み得る。したがって、水盤には、限定されるものではないが、井戸、回収ボックス、公衆衛生マンホール、浄化槽、排水枡(catch basin)、グリーストラップ/分離装置、雨水収集貯水槽などの構造物が含まれ得る。
本明細書に記載される沈殿物質から形成された別の形成された建材は、梁であり、これは広範な意味では、大きい曲げ強度および圧縮強度を有する水平耐力構造物を指す。梁は、四角形十字型、Cチャネル型、L型断面の縁梁、I型梁、スパンドレル梁、H型梁であってもよく、逆T設計などを有する。また本発明の梁は、限定されるものではないが、根太、まぐさ石、アーチ道および片持ち梁を含めた、水平耐力ユニットであってもよい。
本明細書に記載される沈殿物質から形成された別の形成された建材は、柱であり、これは広範な意味では、主に軸圧縮による荷重に耐え、圧縮部材などの構造要素を含む、縦型の耐力構造物を指す。本発明の他の縦型圧縮部材には、限定されるものではないが、支柱、橋脚、台座、または郵便ポストが含まれ得る。
本明細書に記載される沈殿物質から形成された別の形成された建材は、コンクリートスラブである。コンクリートスラブは、予め製作された基礎、床および壁パネルの建築において使用される建材である。ある場合には、コンクリートスラブは、床ユニット(例えば、中空厚板ユニットまたはダブルティー設計)として用いることができる。
本明細書に記載される沈殿物質から形成された別の形成された建材は、遮音バリアであり、これは、音の減衰または吸収のためのバリアとして使用される構造物を指す。したがって、遮音バリアには、限定されるものではないが、防音パネル、反射バリア、吸収バリア、反応性バリアなどの構造物が含まれ得る。
本明細書に記載される沈殿物質から形成された別の形成された建材は、断熱材料であり、これは、熱伝導を減弱または抑制するために使用される材料を指す。また断熱材には、放射伝熱を低減または抑制する材料が含まれ得る。
一部の実施形態では、その他の形成された建材、例えば予め打設されたコンクリート製品には、限定されるものではないが、バンカーサイロ、家畜飼料桶、家畜脱出防止格子(cattle grid)、農業用フェンス、H型桶、J型桶、家畜用スラット、家畜用給水槽、建築用パネル壁、クラッディング(レンガ)、ビルディング用トリム、基礎、土間のスラブを含めた床、壁、二重壁の予め打設されたサンドイッチ状パネル、水路、力学的に安定化されたアースパネル(earth panel)、ボックスカルバート、3面カルバート、橋システム、鉄道踏切(RR crossing)、枕木(RR tie)、防音壁/バリア、ジャージーバリア、トンネルセグメント、強化コンクリートボックス、公共施設(utillity)保護構造物、ハンドホール、中空コア製品、照明ポールベース、メーターボックス、パネル式貯蔵室(panel vault)、プルボックス、電気通信構造物、変圧器パッド、変圧器室、トレンチ、公共施設の貯蔵室(utility vault)、公共施設用ポール、制御環境室、地下壕、霊廟、墓石、棺、危険物貯蔵容器、貯留室(detention vault)、排水枡、マンホール、通気システム、分電ボックス、ドージンングタンク、ドライウェル、グリース阻集器、浸出ピット、砂-油/油-水分離器、浄化槽、水/下水保存タンク、ウェットウェル、防火水槽、浮桟橋、水中インフラストラクチャー、デッキ、柵(railing)、防波堤、屋根瓦、敷石、地域用擁壁、住宅用擁壁、モジュール式ブロックシステム、および補強式(segmental)擁壁が含まれる。
非セメント組成物
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、限定されるものではないが、紙、ポリマー製品、潤滑剤、接着剤、ゴム製品、チョーク、アスファルト製品、塗料、塗料除去のための研磨剤、パーソナルケア製品、化粧品、清浄製品、パーソナル衛生製品、摂取可能な製品、農業製品、土壌改良製品、殺有害生物剤、環境修復製品、およびそれらの組合せを含めた非セメント組成物を含む他の製品を、本明細書に記載される沈殿物質から作製する工程を含む。このような組成物は、2010年11月9日発行の米国特許第7,829,053号に記載されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
人工海洋構造物
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、限定されるものではないが、人工珊瑚および岩礁を含めた人工海洋構造物を、本明細書に記載される沈殿物質から作製する工程を含む。一部の実施形態では、人工構造物は、水族館または海で使用することができる。一部の実施形態では、これらの製品は、凝結し硬化した後にアラゴナイトに転換する反応性バテライトを含む沈殿物質から作製される。アラゴナイトセメントは、海洋生物の維持および成長を助長し得る中性pHまたは中性に近いpHを提供する。アラゴナイト岩礁は、海生種に適した生息環境を提供することができる。
以下の実施例は、本発明をどのように作製し使用するかについての完全な開示および説明を当業者に提供するように記載されており、本発明者らが本発明とみなすものの範囲を制限することを企図するものでも、以下の実験が、実施されたすべての実験または唯一の実験であると示すことを企図するものでもない。使用される数値(例えば量、温度など)に関して正確さを確保するよう努めてきたが、いくらかの実験誤差および偏差は考慮されるべきである。別段の指定がない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧またはほぼ大気圧である。
実施例1
石灰石の焼成からの沈殿物質の形成および転換
NHClを水に溶解させた。石灰石を950℃で4時間焼成し、室温に冷却し、NHCl水溶液に添加し、数時間混合した。生じた混合物をデカントして、重い不純物を除去した。濾過されていない溶液を気密容器に移した。溶液を熱交換器を介して供給し、それによって溶液を40℃に予熱した。炭酸化反応器は、バッフル、ガスディフューザ、pH電極、熱電対、タービンインペラ、ならびに液体、ガスおよびスラリーのための流入ポートおよび流出ポートを備えたアクリルシリンダーであった。質量流量制御装置により、CO流入ガスを割り当てた。起動中に、容器内の溶液を熱交換器を介して反応器にポンプ注入した。ミキサーを撹拌しながら、ガスディフューザを介してCOガスを導入した。新しい反応物溶液の連続流入流を、反応器をpH8に維持することによって制御した。生じた反応性バテライトスラリーを保持容器に連続的に収集した。スラリーを真空濾過した。反応性バテライト濾過ケーキを100℃でオーブン乾燥させた。ケーキは、平均粒径9umを有する100%バテライトを示した。再生されたNHClを含有する透明な濾液を、その後の実験に再循環させた。
実施例2
石灰およびCOからの沈殿物質の形成および転換
NHClを水に溶解させる。酸化カルシウムをその水溶液に添加し、数時間混合する。生じた混合物を真空濾過して、不溶性不純物を除去する。透明な濾液を折り畳み式の気密バッグに移す。バッグを水浴に浸し、それによって溶液を35℃に予熱する。炭酸化反応器は、バッフル、ガスディフューザ、pH電極、熱電対、タービンインペラ、ならびに液体、ガスおよびスラリーのための流入ポートおよび流出ポートを備えたアクリルシリンダーである。質量流量制御装置により、CO流入ガスを割り当てる。起動中に、バッグ内の溶液を反応器にポンプ注入する。ミキサーを撹拌しながら、ガスディフューザを介してCOガスを導入する。コンピューター自動化制御ループにより、新しい反応物溶液の連続流入流を制御してpHを7.5に維持する。生じた反応性バテライトスラリーを、保持容器に連続的に収集する。スラリーを真空濾過する。反応性バテライト濾過ケーキを100℃でオーブン乾燥させる。ケーキは、平均PSAを有する100%バテライトを示す。再生されたNHClを含有する透明な濾液を、その後の実験に再循環させる。
乾燥させた反応性バテライト固体をペーストに混合する。1日経過した後のペーストのXRDは、99.9%アラゴナイトを示す(バテライトはアラゴナイトに完全に変わった)。ペーストを、2’’×2’’×2’’の立方体に打設し、それを60℃および80%の相対湿度に設定した湿度チャンバ内で7日間凝結させ、硬化させる。セメント化立方体を、100℃のオーブン内で乾燥させる。破壊試験により、立方体の圧縮強度は4600psi(約31MPa)であることが決定される。
前述の本発明を、明確な理解を目的として、例示および実施例によっていくらか詳細に説明してきたが、本発明の教示に照らして、添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく、ある特定の変更および修正がそれに加えられ得ることが、当業者には容易に明らかになるはずである。したがって、前述のものは、単に本発明の原理を例示するものである。当業者は、本明細書に明確に記載されても示されてもいないが、本発明の原理を具体化し、その精神および範囲内に含まれる様々な取合せを考案することができることを認識されよう。さらに、本明細書に記載されるすべての実施例および条件付きの文言は、主に、本発明の原理、および当技術分野を推進するために本発明者らによって与えられた概念を理解する際に、読者の助けとすることを企図され、このような具体的に記載された実施例および条件に限定することなく解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様および実施形態、ならびにその具体例を記載する本明細書のすべての記述は、その構造的均等物および機能的均等物の両方を包含することを企図される。さらに、このような均等物は、現在公知の均等物および将来開発される均等物の両方、すなわち構造に関係なく同じ機能を発揮する、開発された任意の要素を含むことが企図される。したがって、本発明の範囲は、本明細書に示され記載された例示的な実施形態に限定されることを企図されない。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義することが企図され、これらの特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの均等物は、それによって保護されることが企図される。

Claims (35)

  1. a)セメント工場において石灰石を焼成して、二酸化炭素、および酸化カルシウム、水酸化カルシウムまたはそれらの組合せから選択されるカルシウム化合物を形成する工程と、
    b)前記カルシウム化合物を、水中でN含有塩を用いて処理して、カルシウム塩およびN含有塩を含む水溶液を生成する工程と、
    c)前記水溶液を、1つまたは複数の沈殿条件下で前記二酸化炭素と接触させて、炭酸カルシウムを含む沈殿物質および上清水溶液を生成する工程であって、前記炭酸カルシウムがバテライトを含む、工程と
    を含む、方法。
  2. 前記酸化カルシウムが、不完全燃焼石灰、低反応性石灰、高反応性石灰、またはそれらの組合せである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記焼成ステップが、溶鉱炉または回転炉において行われる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記セメント工場が、湿式プロセス工場または乾式プロセス工場である、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記処理ステップが、無水アンモニアまたはアンモニア水溶液を添加することをさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記N含有塩が、N含有無機塩、N含有有機塩、またはそれらの組合せである、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記N含有塩が、N含有無機塩である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記N含有無機塩が、ハロゲン化アンモニウム、酢酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記ハロゲン化アンモニウムが、塩化アンモニウムである、請求項8に記載の方法。
  10. 前記N含有塩が、塩化アンモニウムである、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記N含有塩が、脂肪族アミン、脂環式アミン、複素環式アミン、およびそれらの組合せからなる群から選択されるN含有有機化合物を有するN含有有機塩である、請求項6に記載の方法。
  12. 前記N含有塩:カルシウム化合物のモル比が、重量で約0.5:1~2:1の間である、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
  13. アンモニアおよび/またはN含有塩を除去し、必要に応じて回収する工程であって、(i)前記処理ステップおよび/または前記接触ステップ中に、アンモニアを含むガス排気ストリームを回収するステップ、(ii)前記上清水溶液が、残留N含有塩を含み、前記上清水溶液から、前記残留N含有塩を回収する工程をさらに含むステップ、ならびに(iii)前記沈殿物質が、残留N含有塩を含み、前記沈殿物質から、前記残留N含有塩を除去し、必要に応じて回収する工程をさらに含むステップのうちの1つまたは複数のステップを使用する工程をさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
  14. 熱分解、pH調整、逆浸透、多段フラッシュ、多重効用蒸留、蒸気再圧縮、蒸留、およびそれらの組合せからなる群から選択される回収プロセスを使用して、前記上清水溶液から前記残留N含有塩を回収する工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記回収された残留N含有塩を、前記プロセスの前記処理ステップ、前記プロセスの前記接触ステップ、またはそれらの組合せに戻して再循環させる工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
  16. アンモニアを含む前記ガス排気ストリームの前記回収ステップが、アンモニアを含む前記ガス排気ストリームを、スクラビングプロセスに付す工程を含み、前記スクラビングプロセスが、アンモニアを含む前記ガス排気ストリームを、前記工業プロセス由来の前記二酸化炭素および水でスクラビングして、アンモニア溶液を生成する工程を含む、請求項13に記載の方法。
  17. アンモニアを含む前記ガス排気ストリームの前記回収ステップが、アンモニアを含む前記ガス排気ストリームを、スクラビングプロセスに付す工程を含み、前記スクラビングプロセスが、アンモニアを含む前記ガス排気ストリームを、塩酸および水でスクラビングして、塩化アンモニウム溶液を生成する工程を含む、請求項13に記載の方法。
  18. 前記アンモニア溶液が、必要に応じて、前記接触ステップに戻して再循環させるカルバメートを含む、請求項16に記載の方法。
  19. 前記沈殿物質から前記残留N含有塩を除去し、必要に応じて回収する前記ステップ(iii)が、前記沈殿物質を約150~360℃の間で加熱して、前記沈殿物質から前記N含有塩を蒸発させ、必要に応じて凝縮によって前記N含有塩を回収する工程を含む、請求項13に記載の方法。
  20. 前記炭酸カルシウムが、反応性バテライトを含む、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記炭酸カルシウムが、ステップ(iii)における加熱後に、反応性バテライトとして前記沈殿物質に残留する反応性バテライトを含む、請求項19に記載の方法。
  22. 約150~360℃の間での前記沈殿物質の前記加熱が、約10分超または約10~60分の間行われる、請求項21に記載の方法。
  23. 前記N含有塩が、アンモニアガス、塩化水素ガス、塩素ガス、またはそれらの組合せを含む形態で、前記沈殿物質から蒸発する、請求項19に記載の方法。
  24. 反応性バテライトを含む前記沈殿物質に水を添加し、前記バテライトをアラゴナイトに転換する工程をさらに含み、前記アラゴナイトが凝結し、硬化して、セメントまたはセメント製品を形成する、請求項20または21に記載の方法。
  25. 前記セメント製品が、石造ユニット、建築パネル、導管、水盤、梁、柱、スラブ、遮音バリア、断熱材料、およびそれらの組合せから選択される、形成された建材である、請求項24に記載の方法。
  26. 前記水溶液が、固体をさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記接触ステップの前に、濾過および/または遠心分離によって前記水溶液から前記固体を分離する工程をさらに含む、請求項26に記載の方法。
  28. 前記分離された固体が、フィラーとして前記沈殿物質に添加される、請求項27に記載の方法。
  29. すすぎ、熱分解、pH調整、およびそれらの組合せからなる群から選択される回収プロセスを使用して、前記固体から前記残留N含有塩を回収する工程をさらに含む、請求項27に記載の方法。
  30. 前記固体が、前記水溶液から分離されず、前記水溶液が、前記二酸化炭素と接触させられて、前記固体をさらに含む前記沈殿物質を生成する、請求項26に記載の方法。
  31. 前記固体が、炭素、シリカ、酸化鉄、酸化アルミニウム、またはそれらの組合せを含む、請求項26~30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記固体が、前記水溶液中、前記沈殿物質中、またはそれらの組合せに、1~40wt%の間で存在する、請求項26~31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記1つまたは複数の沈殿条件が、温度、pH、圧力、イオン比、沈殿速度、添加物の存在、イオン種の存在、添加物およびイオン種の濃度、撹拌、滞留時間、混合速度、かき混ぜ形態、種結晶、触媒、膜または下地の存在、脱水、乾燥、ボールミル粉砕、ならびにそれらの組合せから選択される、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記炭酸カルシウムの形成にとって都合が良い、または反応性バテライトの形成にとって都合が良い前記1つまたは複数の沈殿条件が、前記水溶液の7~8.5の間のpH、前記溶液の20~80℃の間の温度、15~60分の間の滞留時間、またはそれらの組合せを含む、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
  35. 請求項1に記載の方法によって形成された、製品。

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