JP2022539821A - 新規方法 - Google Patents
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Abstract
本開示は、双極性II型障害の治療方法であって、該治療を必要とする患者に、遊離形態または薬学的に許容される塩形態であって重水素化形態であってもよいルマテペロンの治療有効量を投与することを含む、方法を提供する。
Description
関連出願の相互参照
本願は2019年7月7日に出願された米国仮出願第62/871,170号(その内容は全体として出典明示により本明細書の一部とする)の優先権および利益を主張する。
本願は2019年7月7日に出願された米国仮出願第62/871,170号(その内容は全体として出典明示により本明細書の一部とする)の優先権および利益を主張する。
技術分野
本開示は、遊離形態または薬学的に許容される塩形態であって重水素化形態であってもよいルマテペロンの双極性II型障害の治療のための使用に関する。
本開示は、遊離形態または薬学的に許容される塩形態であって重水素化形態であってもよいルマテペロンの双極性II型障害の治療のための使用に関する。
ルマテペロンなどの置換複素環縮合γカルボリンは、中枢神経系障害の治療に有用である5HT2Aまたは5HT2A/D2受容体リガンドであることが知られている。これらの化合物は、セロトニン2A(5HT2A)受容体に拮抗し、および/または、主要な細胞内リンタンパク質のレベルでドパミン受容体シグナル伝達を調節する。このような化合物は、主に統合失調症の陽性症状および陰性症状の治療に有用であることが知られている。ドパミンD2受容体において、これらの化合物は二重の性質を有し、シナプス後アンタゴニストとシナプス前部分アゴニストの両方として作用する。また、グルタミン酸作動性NMDA NR2BまたはGluN2B受容体のリン酸化を中脳辺縁系に特異的に刺激する。抗精神病薬の効力を媒介すると考えられる脳領域におけるこの局所選択性は、セロトニン作動性相互作用、グルタミン酸作動性相互作用およびドパミン作動性相互作用とともに、統合失調症に関連する陽性症状、陰性症状、感情症状および認知症状に対する抗精神病効果をもたらし得ると考えられる。該化合物はまた、セロトニン再取り込み阻害を示し、統合失調感情障害および併存性うつ病の治療のため、および/または大うつ病性障害のスタンドアロン治療として、抗うつ活性を提供する。記載されるような5HT2Aまたは5HT2A/D2受容体リガンドは、双極性障害ならびに他の精神障害および神経変性障害、特に、認知症、自閉症および他のCNS疾患に伴う行動障害の治療にも有用である。これらの特徴は、統合失調症患者の生活の質を向上させ、社会的機能を高めて、より完全に家族および職場に溶け込めるようにし得る。これらの化合物は、低用量では5HT2A受容体を選択的に標的とし、高用量ではD2受容体と徐々に相互作用するという、差次的用量依存性効果を示す。その結果、低用量では、それらは睡眠、攻撃性および激越の治療に有用である。高用量では、それらは急性の増悪した残遺型統合失調症、双極性障害、および気分障害を治療することができる。
式:
を有する4-((6bR,10aS)-3-メチル-2,3,6b,9,10,10a-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[3',4':4,5]ピロロ[1,2,3-de]キノキサリン-8(7H)-イル)-1-(4-フルオロフェニル)-1-ブタノンであるルマテペロンは、現在臨床試験中の治療薬である。ルマテペロンは、セロトニン、ドパミンおよびグルタミン酸の神経伝達を選択的かつ同時に調節する。それは、強力な(Ki=0.5nM)の5HT2A受容体アンタゴニズム、インビボでのシナプス前D2受容体部分アゴニズムおよびシナプス後D2受容体アンタゴニズム(Ki=32nM)と一致する中脳辺縁系/中脳皮質選択的ドパミン受容体タンパク質リン酸化モジュレーターとしての活性、高いD1受容体親和性(Ki=52nM)、ならびにセロトニントランスポーター(SERT)の阻害(Ki=26~62nM、さまざまなSERT活性測定法を使用)を示す。ルマテペロンは、2019年に米国食品医薬品局によって統合失調症の治療薬として承認され、アルツハイマー病を含む認知症における双極性うつ病および激越の治療薬として第III相臨床開発段階にある。
ルマテペロンおよび関連化合物は、米国特許第6,548,493号;第7,238,690号;第6,552,017号;第6,713,471号;米国再発行特許発明第39,680号および米国再発行特許発明第39,679号において、不安、うつ病、精神病、統合失調症、睡眠障害、性障害、片頭痛、頭痛に関連する状態、および社会恐怖症などの5HT2A受容体調節に関連する障害の治療に対して有用な新規化合物として開示されている。PCT/US08/03340および米国特許第7,081,455号も、置換複素環縮合γカルボリンの製造方法、ならびに、嗜癖行動および睡眠障害などの中枢神経系障害の制御および予防に有用なセロトニンアゴニストおよびアンタゴニストとしてのこれらγカルボリンの使用を開示している。国際公開第2009/145900号および米国特許第8,598,119、ならびに国際公開第2013/155506号および米国特許出願公開第2015/0080404号(それぞれ出典明示により本明細書の一部とする)は、精神病とうつ病性障害の合併、および精神病またはパーキンソン病の患者における睡眠障害、うつ病性障害および/または気分障害の治療のため、ならびに、認知症に関連する障害、特に行動障害または気分障害、例えば激越、苛立ち、攻撃的(aggressive/assaultive)行動、怒り、身体的または感情的爆発、および認知症に関連する精神病および睡眠障害の治療または予防のための特定の置換複素環縮合γカルボリンの使用を開示している。国際公開第2009/114181号および米国特許第8,648,077号、米国特許出願公開第2020/0157100号(それぞれ出典明示により本明細書の一部とする)は、特定の置換複素環縮合γカルボリンのトルエンスルホン酸付加塩結晶、例えばルマテペロンのトルエンスルホン酸付加塩(一トシル酸塩および二トシル酸塩)の調製方法を開示している。
国際公開第2011/133224号および米国特許第8,993,572号(それぞれ出典明示により本明細書の一部とする)は、改善された製剤、例えば持続放出/制御放出製剤のための置換複素環縮合γカルボリンのプロドラッグ/代謝物を開示している。本願は、4-フルオロフェニル(4-ヒドロキシ)ブチル部分でN置換された複素環縮合γカルボリンが、4-フルオロフェニルブタノンを含有する複素環縮合γカルボリンと比較してセロトニントランスポーター(SERT)に対して高い選択性を有することが示されることを開示している。
国際公開第2009/145900号(および米国特許第8,598,119号)は、選択された置換複素環縮合γカルボリン化合物がセロトニン再取り込みトランスポーター(SERT)に対してナノモルの親和性を有し、したがって選択的セロトニン再取り込み阻害剤であることを教示している。
国際公開第2015/154025号、米国特許出願公開第2017/0183350号、国際公開第2017/165843号および米国特許出願公開第2019/231780号(それぞれ、出典明示により本明細書の一部とする)に開示されているように、ルマテペロンおよび関連化合物の重水素化形態は、代謝安定性が改善されていることが示されている。
国立メンタルヘルス研究所(National Institute of Mental Health)によると、躁うつ病としても知られている双極性障害は、気分、行動力(energy)、活動度、および日常的な業務を遂行する能力に異常な変化をもたらす脳障害である。双極性障害には4つの基本的なタイプがある;それらのすべてが気分、行動力(energy)および活動度の明確な変化を伴う。これらの気分は、極端に「上向きで(up)」高揚していてエネルギッシュな行動の時期(躁病エピソードとして知られている)から、非常に悲しいか「暗い気分の(down)」または絶望的な時期(うつ病エピソードとして知られている)まで様々である。それほど重症ではない躁病期間は、軽躁病エピソードとして知られている。
a.双極性I型障害 - 少なくとも7日間続く躁病エピソード、または即座に病院での治療が必要なほど重度の躁病症状によって定義される。通常、うつ病エピソードも起こり、典型的には少なくとも2週間続く。また、混合特徴を有するうつ病のエピソード(うつ病と躁病症状を同時に有する)も起こり得る。
b.双極性II型障害 - 上記の本格的な躁病エピソードではなく、うつ病エピソードと軽躁病エピソードのパターンによって定義される。
c.気分循環性障害(気分循環症とも称される) - 少なくとも2年(小児および青年では1年)続く多数の軽躁病症状期間と多数のうつ症状期間によって定義される。しかしながら、この症状は軽躁病エピソードとうつ病エピソードの診断要件を満たしていない。
d.その他の特定および不特定の双極性障害および関連障害 - 上記の3つのカテゴリーに合致しない双極性障害症状によって定義される。
a.双極性I型障害 - 少なくとも7日間続く躁病エピソード、または即座に病院での治療が必要なほど重度の躁病症状によって定義される。通常、うつ病エピソードも起こり、典型的には少なくとも2週間続く。また、混合特徴を有するうつ病のエピソード(うつ病と躁病症状を同時に有する)も起こり得る。
b.双極性II型障害 - 上記の本格的な躁病エピソードではなく、うつ病エピソードと軽躁病エピソードのパターンによって定義される。
c.気分循環性障害(気分循環症とも称される) - 少なくとも2年(小児および青年では1年)続く多数の軽躁病症状期間と多数のうつ症状期間によって定義される。しかしながら、この症状は軽躁病エピソードとうつ病エピソードの診断要件を満たしていない。
d.その他の特定および不特定の双極性障害および関連障害 - 上記の3つのカテゴリーに合致しない双極性障害症状によって定義される。
双極性障害の病因は依然としてはっきりしないままであり、該障害は依然として治療に対して抵抗性のままである。薬物治療には、リチウムまたは抗痙攣薬(例えば、カルバマゼピン、ラモトリギンおよびバルプロ酸)などの気分安定化薬が含まれる。選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)などの慣用の抗うつ薬は、大うつ病性障害よりも双極性うつ病の治療への効果が低いだけでなく、躁病エピソードおよび急速循環を引き起こすことにより害を及ぼす可能性がある。
抗精神病薬は、双極性I型障害における双極性躁病エピソードの短期治療に一般的に効果があるが、双極性II型障害の治療およびうつ病エピソード期間中の維持療法には一般的に効果がない。さらに、多くの抗精神病薬は、急性ジスキネジアおよびジストニア反応、遅発性ジスキネジア、パーキンソニズム、アキネジア、アカシジア、ならびに神経弛緩薬性悪性症候群を含む錐体外路症状などの重大な副作用を示す。
例えば、非定型抗精神病薬アリピプラゾールは双極性障害の治療について広く評価されたが、臨床データのレビューでは次のような結論が出された:「アリピプラゾールは、急性躁病、および躁病予防に対する有効性は証明されているが、これまでに得られたエビデンスでは、急性双極性うつ病の治療およびうつ病再発予防に対するアリピプラゾールの有効性を支持していない。」Yatham LN, “A clinical review of aripiprazole in bipolar depression and maintenance therapy of bipolar disorder.” J. Affect. Disord. 2011 Jan;128 Suppl 1:S21-8。アリピプラゾールは現在、米国で「双極性I型障害に関連する躁病および混合エピソードの急性治療」として承認されている。双極II型障害の治療は現在、承認されていない
双極性I型障害に関連する躁病の治療に承認されている抗精神病薬は多数あるが、現在、米国では双極性I型障害に関連するうつ病の治療に承認されている抗精神病薬は4つだけであり、現在、米国では双極性II型障害の治療に承認されている抗精神病薬はクエチアピン(セロクエル(Seroquel)(登録商標))1つだけである。しかしながら、クエチアピンは、非常に鎮静作用があること、ならびに高血糖症、脂質異常症および体重増加などの多くの代謝性副作用を引き起こすことが報告されている。また、一部の患者では希死念慮の出現と関連している。
推定値はさまざまであるが、双極性障害に罹患している患者の約30~60%が双極性II型障害に罹患していると考えられている。その有病率にもかかわらず、双極性II型障害は、しばしば大うつ病性障害または双極性I型障害のいずれかと誤診され、その結果、不適切に処置される。双極性II型障害のより安全でより効果的な治療法が必要とされており、また、双極性I型障害と双極性II型障害の両方を治療するのに有効な治療法も必要とされている。
簡単な概要
我々は、驚くべきことに、ルマテペロンが双極性II型障害の治療に有用であることを見出した。臨床結果は、ルマテペロンが、双極性障害の治療における既存の抗精神病薬と少なくとも同じくらいこの適応症において効果的であり、特に抗精神病薬による治療に対してしばしば抵抗性である双極性II型障害において予想外の効果があることを示唆している。さらに、ルマテペロンは良好な安全性プロファイルを呈する。臨床試験は、ルマテペロンが、他の多くの抗精神病薬とは異なり、アカシジア、不穏状態、その他の運動障害を増加させず、希死念慮を増加させず、重大な代謝性副作用を持たないことを示している。
我々は、驚くべきことに、ルマテペロンが双極性II型障害の治療に有用であることを見出した。臨床結果は、ルマテペロンが、双極性障害の治療における既存の抗精神病薬と少なくとも同じくらいこの適応症において効果的であり、特に抗精神病薬による治療に対してしばしば抵抗性である双極性II型障害において予想外の効果があることを示唆している。さらに、ルマテペロンは良好な安全性プロファイルを呈する。臨床試験は、ルマテペロンが、他の多くの抗精神病薬とは異なり、アカシジア、不穏状態、その他の運動障害を増加させず、希死念慮を増加させず、重大な代謝性副作用を持たないことを示している。
したがって、第1の態様では、本開示は、双極性II型障害の治療を必要とする患者における双極性II型障害の治療方法であって、該治療を必要とする患者に、遊離塩基形態または薬学的に許容される塩形態の、重水素化形態であってもよい、ルマテペロンの治療有効量を投与することを含む、方法を提供する。
さらなる実施態様は以下の詳細な説明および実施例から明らかになる。
詳細な説明
双極性I型障害または双極性II型障害に関連する大うつ病エピソードの治療における単剤療法としてルマテペロンを評価する第3相臨床試験において、ルマテペロン42mg/日(トシル酸塩60mgとして経口投与)は、プラセボに対するベースラインからの変化によって測定されるうつ病の改善についての主要エンドポイントであるモンゴメリー-アスバーグうつ病評価尺度(Montgomery-Asberg Depression Rating Scale)(MADRS)合計スコアを満たし(p<0.001;効果量=0.56)、その重要な副次的エンドポイントである双極性障害重症度についての臨床全般印象評価尺度(Clinical Global Impression Scale for Bipolar for Severity of Illness)(CGI-BP-S)合計スコアも満たした(p<0.001;効果量=0.46)。
双極性I型障害または双極性II型障害に関連する大うつ病エピソードの治療における単剤療法としてルマテペロンを評価する第3相臨床試験において、ルマテペロン42mg/日(トシル酸塩60mgとして経口投与)は、プラセボに対するベースラインからの変化によって測定されるうつ病の改善についての主要エンドポイントであるモンゴメリー-アスバーグうつ病評価尺度(Montgomery-Asberg Depression Rating Scale)(MADRS)合計スコアを満たし(p<0.001;効果量=0.56)、その重要な副次的エンドポイントである双極性障害重症度についての臨床全般印象評価尺度(Clinical Global Impression Scale for Bipolar for Severity of Illness)(CGI-BP-S)合計スコアも満たした(p<0.001;効果量=0.46)。
さらに、患者は、ヤング躁病評価尺度(Young Mania Rating Scale)(YMRS)および躁病重症度についての特定の臨床全般印象度(specific clinical global impression of severity for mania)によって測定される躁病の出現を示さなかった。これは、該薬物が、躁病または軽躁病の出現を予防するのに有効であり、双極性障害の治療においてSSRIにしばしば関連する躁病エピソードを誘発しなかったかまたは急速循環を誘発しなかったことを意味する。
予想外なことに、双極性II型障害における抗精神病薬の一般に限られている有効性を考慮して、双極性II型障害患者のサブグループ解析は、1日42mgのルマテペロンがMADRS合計スコアにおいてプラセボに対して統計的に有意に優れていることを示した。
ルマテペロンは、この試験において、プラセボに匹敵する好ましい安全性プロファイルを示した。ルマテペロンは、クエチアピンとは異なり、高血糖症、脂質異常症または体重増加などのような顕著な代謝作用を有するとは思われなかった。また、希死念慮に関する有害事象報告もなく、自殺もなく、希死念慮による中止もなかった。同様に重要なこととして、アカシジア、不穏状態または他の運動副作用などの錐体外路症状の有害事象報告もなかった。
アカシジアは、特に双極性障害において、ほとんどの抗精神病薬および抗うつ薬の使用に関連している。アカシジアは自殺と関連している。このことは、ルマテペロンがアカシジアを引き起こすことなく双極性II型障害を治療することができ、したがって自殺行動を引き起こす可能性が低いため、ルマテペロンの臨床的重要性を浮き彫りにしている。
第1の態様では、本開示は、双極性II型障害の治療のための方法であって、該治療を必要とする患者に、遊離塩基形態または薬学的に許容される塩形態の、重水素化形態であってもよい、ルマテペロンの治療有効量を投与することを含む、方法(方法1)を提供する。第1の態様のさらなる実施態様では、本開示は、以下を提供する:
1.1. ルマテペロンがトシル酸塩の形態であり(例えば、トルエンスルホン酸の酸付加塩、例えば一トシル酸塩又は二トシル酸塩)、該塩が、米国特許出願公開第2011/112105号および米国特許出願公開第2020/0157100号(それぞれの記載内容は出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)に開示されている固体結晶塩などの固体結晶塩であってもよい、方法1。
1.2. ルマテペロンが遊離塩基の形態である、方法1。
1.3. ルマテペロンが重水素化形態であり、例えば、特定の炭素結合水素原子の重水素:プロチウム比が、天然同位体比よりも有意に高く、例えば少なくとも2倍、例えば少なくとも10倍高い、いずれかの上記方法。
1.4. ルマテペロンが、遊離形態または薬学的に許容される塩形態、例えばトシル酸塩形態である、
(式中、Dは、天然の重水素の取り込みを実質的に超える(すなわち、実質的に0.0156%を超える)、例えば、60%を超える、または70%を超える、または80%を超える、または90%を超える、または95%を超える、または96%を超える、または97%を超える、または98%を超える、または99%を超える水素位置を表す)
から選択される重水素化形態である、方法1.3。
から選択される重水素化形態である、方法1.3。
1.5. 遊離形態または薬学的に許容される塩形態であって重水素化形態であってもよいルマテペロンが、遊離塩基6~60mg、例えば20~50mgに相当する1日総用量で投与される、いずれかの上記方法。
1.6. 遊離形態または薬学的に許容される塩形態であって重水素化形態であってもよいルマテペロンが、遊離塩基25~30mgに相当する1日総用量で投与される、いずれかの上記方法。
1.7. 遊離形態または薬学的に許容される塩形態であって重水素化形態であってもよいルマテペロンが、遊離塩基40~45mgに相当する1日総用量で投与される、いずれかの上記方法。
1.8. 遊離形態または薬学的に許容される塩形態であって重水素化形態であってもよいルマテペロン遊離塩基当量約42mgを薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせてまたは関連させて含む経口投与用単位用量、例えば錠剤またはカプセル剤の1日1回投与を含む、いずれかの上記方法。
1.9. 重水素化形態であってもよいルマテペロントシル酸塩約60mgを薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせてまたは関連させて含む錠剤またはカプセル剤の1日1回投与を含む、いずれかの上記方法。
1.10. 遊離形態または薬学的に許容される塩形態であって重水素化形態であってもよいルマテペロン遊離塩基当量約28mgを薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせてまたは関連させて含む経口投与用単位用量、例えば錠剤またはカプセル剤の1日1回投与を含む、いずれかの上記方法。
1.11. 重水素化形態であってもよいルマテペロントシル酸塩約40mgを薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせてまたは関連させて含む錠剤またはカプセル剤の1日1回投与を含む、いずれかの上記方法。
1.12. 遊離塩基10~60mgに相当する量の遊離形態または薬学的に許容される塩形態であって重水素化形態であってもよいルマテペロンと薬学的に許容される希釈剤または担体とを含む皮下投与または経粘膜投与用単位用量、例えば舌下または頬側の口腔内崩壊性錠剤またはフィルム剤の1日1回投与を含む、いずれかの上記方法。
1.13. 遊離形態または薬学的に許容される塩形態であって重水素化形態であってもよいルマテペロンの長時間作用型注射剤形態での投与を含む、いずれかの上記方法。
1.14. 患者が、双極性II型障害と診断されている患者である、いずれかの上記方法。
1.15. 治療されるべき状態が、双極性II型障害におけるうつ病、または双極性II型障害に関連するうつ病エピソード(例えば、大うつ病エピソード)である、いずれかの上記方法。
1.16. 治療されるべき状態が、双極性II型障害における混合型感情エピソードを含む、いずれかの上記方法。
1.17. 治療されるべき状態が、軽躁病エピソードを含む、いずれかの上記方法。
1.18. 治療が、躁病または軽躁病を抑制する、いずれかの上記方法。
1.19. 治療が、躁病エピソードもしくは軽躁病エピソードまたは急速循環を誘発しない、いずれかの上記方法。
1.20. 治療の経過中に、患者が、ヤング躁病評価尺度(YMRS)によって測定されるような躁病または軽躁病の出現を呈しない、いずれかの上記方法。
1.21. 治療の経過中に、患者が、例えばモンゴメリー-アスバーグうつ病評価尺度(MADRS)、ハミルトンうつ病評価尺度(Hamilton Depression Rating Scale)(HAM-D)、ベックうつ病質問票(Beck Depression Inventory)(BDI)、ツァン自己評価式うつ病尺度(Zung Self-Rating Depression Scale)、ウェクスラーうつ病評価尺度(Wechsler Depression Rating Scale)、ラスキンうつ病評価尺度(Raskin Depression Rating Scale)、うつ症状質問票(Inventory of Depressive Symptomatology)(IDS)、または簡易うつ症状質問票(Quick Inventory of Depressive Symptomatology)(QIDS)のうち1つ以上を使用して測定されるような、うつ症状の改善を示す、いずれかの上記方法。
1.22. 治療の経過中に、患者が、モンゴメリー-アスバーグうつ病評価尺度(MADRS)合計スコアの改善(例えば、治療開始後8日以内での改善)を示す、いずれかの上記方法。
1.23. 治療後、患者が、双極性障害重症度についての臨床全般印象評価尺度(CGI-BP-S)の改善(例えば、治療開始後8日以内での改善)を示す、いずれかの上記方法。
1.24. 治療の経過中に、患者が、双極性うつ病重症度についての臨床全般印象評価尺度(Clinical Global Impression Scale for Bipolar Depression for Severity of Illness)(CGI-BP-Depression-S)の改善(例えば、治療開始後8日以内での改善)を示す、いずれかの上記方法。
1.25. 治療の経過中に、患者が、双極性躁病重症度についての臨床全般印象評価尺度(Clinical Global Impression Scale for Bipolar Mania for Severity of Illness)(CGI-BP-Impression-S)の増大を示さない、いずれかの上記方法。
1.26. 治療の経過中に、患者が、例えば臨床全般印象度-重症度(CGI-S)または臨床全般印象度-改善(CGI-I)を使用して測定するような、全体的なメンタルヘルスの改善(例えば、治療開始後8日以内での改善)を示す、いずれかの上記方法。
1.27. 治療が、代謝性副作用が引き起こさない、例えば高血糖症、脂質異常症または体重増加のうち1つ以上を引き起こさない、いずれかの上記方法。
1.28. 治療が希死念慮(suicidal ideation)または希死念慮(suicidal thoughts)を誘発しない、いずれかの上記方法。
1.29. 治療が、錐体外路症状、例えばアカシジア、アキネジア、不穏状態、急性ジスキネジア、ジストニア反応、遅発性ジスキネジア、パーキンソン病様症状または神経弛緩薬性悪性症候群のうち1つ以上を誘発しない、いずれかの上記方法。
1.30. 治療がアカシジアを誘発しない、いずれかの上記方法。
1.31. 遊離塩基形態または薬学的に許容される塩形態であって重水素化形態であってもよいルマテペロンが、双極性II型障害の治療のための単剤療法として投与される、いずれかの上記方法。
1.32. 患者が、並行して(concurrently)、気分安定化剤、例えばリチウム、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン、ラモトリギンおよびバルプロ酸(ジバルプロエクス(別名バルプロ酸セミナトリウム)、バルプロ酸ナトリウム、およびバルプロ酸の他の遊離形態、塩形態または複合形態を包含する)から選択される気分安定化剤の投与を受けている、いずれかの上記方法。
1.33. 患者が並行して(concurrently)リチウムまたはバルプロ酸の投与を受けている、いずれかの上記方法。
1.34. 患者が18歳未満である、いずれかの上記方法。
1.35. 患者が、成人、例えば18歳以上、例えば境界も含めて18歳~75歳である、いずれかの上記方法。
1.36. 患者が、高齢者、例えば65歳以上、例えば75歳以上である、いずれかの上記方法。
1.37. 遊離形態または塩形態であるルマテペロンが、双極性I型障害および双極性II型障害におけるうつ病の治療に使用される、いずれかの上記方法。
1.38. 治療期間が6週間以下である、いずれかの上記方法。
1.39. 治療が維持療法である、いずれかの上記方法。
1.40. 治療期間が6週間以上である、いずれかの上記方法。
1.41. 患者が以前にSSRIによる治療を受けていた(例えば、その治療が効果的ではなかった、および/または副作用などのために中止された)、いずれかの上記方法。
1.42. SSRIが、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチンおよびセルトラリンから選択される、方法1.41。
1.43. 患者が以前に非定型抗精神病薬のような抗精神病薬による治療を受けていた(例えば、その治療は、効果的ではなかった、および/または副作用などのために中止された)、いずれかの上記方法。
1.44. 抗精神病薬が、ハロペリドールン、アリピプラゾール、クエチアピン、オランザピン、リスペリドン、ルラシドン、パリペリドン、イロペリドン、ジプラシドン、ブレクスピプラゾール(brexipiprazole)、アセナピン、クロザピンおよびゾテピンから選択される、方法1.43。
別の態様では、本開示は、双極性II型障害の治療に使用するための、例えば方法1以降のいずれかに使用するための、遊離形態または薬学的に許容される塩形態であって重水素化形態であってもよいルマテペロンを提供する。
別の態様では、本開示は、双極性II型障害の治療のための医薬、例えば方法1以上のいずれかに使用するための医薬の製造における遊離形態または薬学的に許容される塩形態であって重水素化形態であってもよいルマテペロンの使用を提供する。
「治療」および「治療する」という用語は、疾患の予防および治療または寛解および/または疾患の原因の治療を包含するものと適切に理解されるべきである。特定の実施態様では、「治療」および「治療する」という用語は、疾患の症状の予防または寛解をいう。
本明細書で使用される「患者」とは、特記しない限り、ヒト患者を意味する。
ルマテペロンの薬学的に許容される塩としては、薬学的に許容される酸付加塩、例えばトルエンスルホン酸付加塩(トシル酸塩)が挙げられる。ルマテペロンのトシル酸塩としては、一トシル酸塩および二トシル酸塩が挙げられる。特記しない限り、「ルマテペロントシル酸塩」という用語は、一トシル酸塩をいう。ルマテペロントシル酸塩は、カプリタ(商標)(CaplytaTM)として販売されている。塩の投与量または量が重量、例えば1日当たりのミリグラムまたは単位用量当たりのミリグラムで示される場合、特記しない限り、塩の投与量は、対応する遊離塩基の重量として示される。
治療的使用に言及する場合の「並行して(concurrently)」という用語は、2つ以上の活性剤が同じ時または異なる時に投与されるかどうか、または同じもしくは異なる投与経路によって投与されるかどうかにかかわらず、疾患または障害の治療のためのレジメンの一部として患者に2つ以上の成分を投与することを意味する。2つ以上の活性成分の並行投与(concurrent administration)は、同じ日の異なる時に、または異なる日または異なる頻度で行われ得る。
本開示の実施に使用される投与量は、もちろん、例えば治療されるべき特定の疾患または状態、使用される特定の活性化合物、投与様式および所望の療法などに依存して変化する。遊離形態または薬学的に許容される塩形態であって重水素化形態であってもよいルマテペロンは、経口、非経口、経皮または経粘膜を含む適切な経路によって、例えば錠剤、カプセル剤、皮下注射剤、長時間作用型注射剤(デポ)、または舌下投与用もしくは頬側投与用の口腔内急速崩壊錠剤もしくはフィルム剤の剤形で、投与することができる。
いくつかの実施態様では、ルマテペロンは、薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせてルマテペロントシル酸塩を含む経口投与用の錠剤またはカプセル剤として提供される。
いくつかの実施形態において、ルマテペロンは、ルマテペロントシル酸塩を薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせて含む舌下投与用または頬側投与用の急速崩壊錠剤またはフィルム剤として提供される。
いくつかの実施態様では、遊離形態または薬学的に許容される塩形態であって重水素化形態であってもよいルマテペロンは、ポリマーが経時的に分解するにつれて化合物が継続的に放出されるように、例えば本明細書に記載のように化合物をポリマーマトリクス中に分散、溶解、懸濁またはカプセル化することによって、デポ製剤として投与される。ポリマーマトリックスからのルマテペロンの放出は、例えば、医薬デポ組成物から該医薬デポ投与対象体(例えば、ヒトのような温血動物)への制御放出および/または遅延放出および/または持続放出を提供する。したがって、医薬デポは、ルマテペロンを、特定の疾患または病状の治療に有効な濃度で、長い期間、例えば1週間~3か月にわたって対象体に送達する。
本発明の組成物(例えば、本発明のデポ組成物)におけるポリマーマトリックスに有用なポリマーとしては、ヒドロキシ脂肪酸のポリエステルおよびその誘導体、または他の薬剤、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリクエン酸、ポリリンゴ酸、ポリβ-ヒドロキシ酪酸、ε-カプロラクトン開環重合体、乳酸-グリコール酸共重合体、2-ヒドロキシ酪酸-グリコール酸共重合体、ポリ乳酸-ポリエチレングリコール共重合体またはポリグリコール酸-ポリエチレングリコール共重合体)、α-シアノアクリル酸アルキルの重合体(例えばポリ(2-シアノアクリル酸ブチル))、ポリアルキレンオキサレート(例えばポリトリメチレンオキサレートまたはポリテトラメチレンオキサレート)、ポリオルトエステル、ポリカーボネート(例えばポリエチレンカーボネートまたはポリエチレンプロピレンカーボネート)、ポリオルトカーボネート、ポリアミノ酸(例えばポリγ-L-アラニン、ポリ-γ-ベンジル-L-グルタミン酸またはポリ-γ-メチル-L-グルタミン酸)、ヒアルロン酸エステルなどが挙げられ、これらのポリマーを1つ以上使用することができる。
ポリマーがコポリマーである場合、それらはランダム、ブロックおよび/またはグラフトコポリマーの何れであってもよい。上記α-ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシジカルボン酸およびヒドロキシトリカルボン酸がその分子内に光学活性を有する場合、D-異性体、L-異性体および/またはDL-異性体のいずれか1つを用い得る。とりわけ、α-ヒドロキシカルボン酸ポリマー(好ましくは、乳酸-グリコール酸重合体)、そのエステル、ポリ-α-シアノアクリル酸エステル等を用いることができ、乳酸-グリコール酸共重合体(ポリ(ラクチド-α-グリコリド)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)とも称され、以下、PLGAと称する)が好ましい。このように、一の態様では、ポリマーマトリックスに有用なポリマーは、PLGAである。本明細書で使用される場合、PLGAという用語は、乳酸のポリマー(ポリラクチド、ポリ(乳酸)、またはPLAとも称される)を含む。最も好ましくは、該ポリマーは、PLGA 50:50、PLGA 85:15、PLGA 90:10などの生分解性ポリ(d,l-ラクチド-co-グリコリド)ポリマーである。
一のそのような実施態様では、本発明のポリマーマトリックスは、生体適合性かつ生分解性のポリマー材料である。「生体適合性」という用語は、毒性がなく、発癌性がなく、体組織において炎症を有意に誘発しない高分子材料と定義される。マトリックス材料は生分解性でなければならず、高分子材料は身体的プロセスによって分解されて身体により容易にディスポーザブルな生成物とならなければならず、体内に蓄積されてはならない。生分解の生成物はまた、ポリマーマトリックスが身体と生体適合性であるという点で、身体と生体適合性でなければならない。ポリマーマトリックス材料の特に有用な例としては、ポリ(グリコール酸)、ポリ-D,L-乳酸、ポリ-L-乳酸、前記のコポリマー、ポリ(脂肪族カルボン酸)、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリ(オルトカーボネート)、ポリ(アセタール)、ポリ(乳酸-カプロラクトン)、ポリオルトエステル、ポリ(グリコール酸-カプロラクトン)、ポリアンハイドライド、ならびに、アルブミン、カゼインおよびワックスを含む天然ポリマー、例えばグリセロールモノおよびジステアレート等が挙げられる。本発明の実施に使用するための1つの好適なポリマーは、dl(ポリラクチド-co-グリコリド)である。一の実施態様では、このようなコポリマー中のラクチドとグリコリドのモル比は、約75:25~50:50の範囲である。
有用なPLGAポリマーは、約5,000~500,000ダルトン、好ましくは約150,000ダルトンの重量平均分子量を有し得る。達成されるべき分解速度に依存して、異なる分子量のポリマーを使用し得る。薬物放出の拡散メカニズムについては、該ポリマーは、薬物のすべてがポリマーマトリックスから放出され、その後分解されるまで、そのままでなければならない。薬物はまた、高分子賦形剤がバイオエロードする(bioerode)につれてポリマーマトリックスから放出され得る。
PLGAは、慣用方法によって調製することができるか、または市販されているものであり得る。例えば、PLGAは、環状ラクチド、グリコリド等から適切な触媒を用いた開環重合により製造することができる(欧州特許第0058481号B2;PLGA特性に対する重合変数の影響:分子量、組成、鎖構造を参照)。
PLGAは、乳酸およびグリコール酸を形成する生物学的条件下(例えば、ヒトのような温血動物の組織中に見られる水分および生体酵素の存在下)での加水分解可能および酵素的に切断可能なエステル結合の分解により、固体ポリマー組成物全体の分解によって生分解性であると考えられている。乳酸とグリコール酸はどちらも水溶性で無毒な通常の代謝生成物であり、さらに生分解して二酸化炭素と水を形成し得る。言い換えれば、PLGAは、例えばヒトのような温血動物の体内では、水の存在下でそのエステル基の加水分解によって分解し、乳酸およびグリコール酸を生成して酸性微気候を作ると考えられている。乳酸およびグリコール酸は、通常の生理学的条件下におけるヒトのような温血動物の体内の様々な代謝経路の副産物であり、したがって、良好な忍容性を示し、最小限の全身毒性しか生じない。
誤解を避けるために、数値範囲、例えば「Xまで」の量の開示は、上限数値Xを含むことを意図している。したがって、「60mgまで」の開示は、60mgを含むことを意図している。
本明細書で引用されるすべての参考文献は、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。本開示における定義と引用文献の定義とに矛盾がある場合、本開示が優先する。
本開示は、以下の実施例においてさらに説明されるが、これらは例示的であり、限定的なものではないことを意味している。
実施例1: 双極性I型障害および双極性II型障害の患者を対象とした臨床試験
多施設共同、多国籍、無作為化、二重盲検、固定用量、プラセボ対照臨床試験は、実質的に以下のプロトコルに従って実施される。
多施設共同、多国籍、無作為化、二重盲検、固定用量、プラセボ対照臨床試験は、実質的に以下のプロトコルに従って実施される。
患者は、以下の基準に従って募集する:
- 主な試験対象患者基準: 双極性I型障害または双極性II型障害の臨床診断を受け、現在大うつ病エピソードを経験しており、書面によるインフォームドコンセントを提供できる、境界も含めて18~75歳のあらゆる人種の男性または女性の被験者。
- 主な試験対象除外基準: 妊娠中または授乳中の女性被験者、および試験参加に医学的に不適当と判断された被験者。
- 主な試験対象患者基準: 双極性I型障害または双極性II型障害の臨床診断を受け、現在大うつ病エピソードを経験しており、書面によるインフォームドコンセントを提供できる、境界も含めて18~75歳のあらゆる人種の男性または女性の被験者。
- 主な試験対象除外基準: 妊娠中または授乳中の女性被験者、および試験参加に医学的に不適当と判断された被験者。
上記の基準に従って募集した合計381名の患者を2つの研究群に1:1で無作為化する:(i)ルマテペロン42mg(ルマテペロントシル酸塩60mgとして経口投与)および(ii)プラセボ。ルマテペロン群では、ルマテペロン(ルマテペロントシル酸塩60mg)を、6週間毎晩1日1回経口投与する。プラセボ群では、プラセボを6週間毎晩1日1回投与する。患者は、双極性障害の治療のための他の薬物の投与を受けていない。本試験は4重マスキングされている(すなわち、参加者、医療従事者、治験責任医師、およびアウトカム評価者)。
総試験期間は、最大2週間のスクリーニング期間(禁止された薬物の洗い流し)、6週間の二重盲検治療期間、および2週間の安全性追跡調査期間を含む約10週間である。
主要アウトカムメジャーは、モンゴメリー-アスバーグうつ病評価尺度(MADRS)[タイムフレーム: 43日目]である。副次的アウトカムメジャーは、臨床全般印象尺度双極性バージョン(Clinical Global Impression Scale, Bipolar version)(CGI-BP)[タイムフレーム: 43日目]ならびに生活の質の楽しみと満足度に関する質問票-短い形式(Quality of Life Enjoyment and Satisfaction Questionnaire - Short Form)(Q-LES-Q-SF)[タイムフレーム: 43日目]である。
本試験のさらなる目的は、以下によって測定されるように、ルマテペロン対プラセボの安全性および忍容性を決定することである:
a. 有害事象(AE)の発生率
b. ヤング躁病評価尺度(YMRS)
c. コロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)
d. 異常不随意運動評価尺度(AIMS)
e. バーンズアカシジア評価尺度(BARS)
f. シンプソン・アンガス尺度(SAS)
g. 臨床検査評価
h. 心電図(ECG)
i. バイタルサイン測定
j. 理学的検査および神経学的所見。
a. 有害事象(AE)の発生率
b. ヤング躁病評価尺度(YMRS)
c. コロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)
d. 異常不随意運動評価尺度(AIMS)
e. バーンズアカシジア評価尺度(BARS)
f. シンプソン・アンガス尺度(SAS)
g. 臨床検査評価
h. 心電図(ECG)
i. バイタルサイン測定
j. 理学的検査および神経学的所見。
したがって、本試験における主要なメジャーおよび重要な副次的メジャーであるMADRS合計スコアおよびCGI-BP-Sの統計的に有意な改善によって示されるように、ルマテペロン42mgはプラセボよりも優れていた。ルマテペロン42mgを用いた本試験において見られた改善は、臨床的に意味があると考えられる。
ルマテペロン42mgは一般的に安全であり、良好な忍容性を示した。5%を超えてプラセボよりも高い割合で観察された最も一般的に報告された有害事象は、頭痛、傾眠および悪心であった。重要なことに、アカシジアおよび錐体外路症状の割合は1%未満であり、プラセボと同様であった。
本試験において、1日1回のルマテペロン42mgは、MADRS合計スコアのベースラインからの変化によって測定されるように、6週目(試験エンドポイント)において、プラセボよりも統計的に有意に大きな改善を伴って主要エンドポイントを満たした。治療企図(ITT)解析対象試験集団において、ベースラインからの最小二乗(LS)平均減少は、プラセボが12.1点であるのに対して、ルマテペロン42mgは16.7点であった(LS平均差=4.6点、効果量=0.56、p<0.001)。さらに、ルマテペロン42mgは、1週目という早い時期にプラセボからの統計的に有意な分離を示し、それは試験全体にわたってすべての時点で維持された。
ルマテペロン42mgはまた、CGI-BP-S合計スコア(p<0.001;効果量=0.46)およびうつ病を特異的に評価するCGI成分(CGI-Sうつ病スコア;p<0.001;効果量=0.5)に関する統計的に有意な改善の重要な副次的エンドポイントも達成した。
これらの結果は、レスポンダー率および寛解率に対する統計的に有意な利益によって裏付けられており、主要アウトカムの臨床的有意味性を実証している。さらに、双極性II型障害患者のサブグループ解析では、ルマテペロン42mgはMADRS合計スコアについてプラセボよりも統計的に有意に優れていた。
Claims (14)
- 双極性II型障害の治療方法であって、該治療を必要とする患者に、遊離形態または薬学的に許容される塩形態であって重水素化形態であってもよいルマテペロンの治療有効量を投与することを含む、方法。
- ルマテペロンがトルエンスルホン酸付加塩(例えば、一トシル酸塩または二トシル酸塩)の形態である、請求項1記載の方法。
- 塩が固体結晶塩である、請求項2記載の方法。
- ルマテペロンが重水素化形態である、請求項1~3いずれか1項記載の方法。
- 遊離形態または薬学的に許容される塩形態であって重水素化形態であってもよいルマテペロンが、遊離塩基6~60mgに相当する1日総用量で投与される、請求項1~4いずれか1項記載の方法。
- ルマテペロントシル酸塩約60mgを薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせてまたは関連させて含む錠剤またはカプセル剤の1日1回投与を含む、上記のいずれかの請求項に記載の方法。
- 治療されるべき状態が、双極性II型障害におけるうつ病、または双極性II型障害に関連するうつ病エピソード(例えば、大うつ病エピソード)である、上記のいずれかの請求項に記載の方法。
- 治療の経過中に、患者が、モンゴメリー-アスバーグうつ病評価尺度(MADRS)合計スコアの改善を示し、および/または、双極性障害重症度についての臨床全般印象評価尺度(CGI-BP-S)の改善(例えば、治療開始後8日以内での改善)を示す、上記のいずれかの請求項に記載の方法。
- 治療が、高血糖症、脂質異常症、体重増加、希死念慮(suicidal ideation)もしくは希死念慮(suicidal thoughts)、またはアカシジアを包含する錐体外路症状のうち1つ以上を引き起こさない、上記のいずれかの請求項に記載の方法。
- 患者が並行して気分安定化剤の投与を受けている、上記のいずれかの請求項に記載の方法。
- 患者が以前にSSRIによる治療を受けていた(例えば、その治療は、効果的ではなかった、および/または副作用などのために中止された)、上記のいずれかの請求項に記載の方法。
- 患者が以前に非定型抗精神病薬のような抗精神病薬による治療を受けていた(例えば、その治療は、効果的ではなかった、および/または副作用などのために中止された)、上記のいずれかの請求項に記載の方法。
- 抗精神病薬が、ハロペリドールン、アリピプラゾール、クエチアピン、オランザピン、リスペリドン、ルラシドン、パリペリドン、イロペリドン、ジプラシドン、ブレクスピプラゾール(brexipiprazole)、アセナピン、クロザピンおよびゾテピンから選択される、請求項12記載の方法。
- 上記請求項のいずれかに記載の方法で使用するための遊離形態または薬学的に許容される塩形態であって重水素化形態であってもよいルマテペロン。
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