JP2022533316A - 食品用ブチレート - Google Patents

食品用ブチレート Download PDF

Info

Publication number
JP2022533316A
JP2022533316A JP2021563183A JP2021563183A JP2022533316A JP 2022533316 A JP2022533316 A JP 2022533316A JP 2021563183 A JP2021563183 A JP 2021563183A JP 2021563183 A JP2021563183 A JP 2021563183A JP 2022533316 A JP2022533316 A JP 2022533316A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
composition
compound
formula
weight
triglycerides
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021563183A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2020234348A5 (ja
Inventor
ゴレッタ, ルーカス アクティス
モハメド ナビル ボスコ,
アマウリー パティン,
Original Assignee
ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー filed Critical ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
Publication of JP2022533316A publication Critical patent/JP2022533316A/ja
Publication of JPWO2020234348A5 publication Critical patent/JPWO2020234348A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/21Esters, e.g. nitroglycerine, selenocyanates
    • A61K31/215Esters, e.g. nitroglycerine, selenocyanates of carboxylic acids
    • A61K31/22Esters, e.g. nitroglycerine, selenocyanates of carboxylic acids of acyclic acids, e.g. pravastatin
    • A61K31/23Esters, e.g. nitroglycerine, selenocyanates of carboxylic acids of acyclic acids, e.g. pravastatin of acids having a carboxyl group bound to a chain of seven or more carbon atoms
    • A61K31/231Esters, e.g. nitroglycerine, selenocyanates of carboxylic acids of acyclic acids, e.g. pravastatin of acids having a carboxyl group bound to a chain of seven or more carbon atoms having one or two double bonds
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
    • A23L33/00Modifying nutritive qualities of foods; Dietetic products; Preparation or treatment thereof
    • A23L33/10Modifying nutritive qualities of foods; Dietetic products; Preparation or treatment thereof using additives
    • A23L33/115Fatty acids or derivatives thereof; Fats or oils
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23KFODDER
    • A23K20/00Accessory food factors for animal feeding-stuffs
    • A23K20/10Organic substances
    • A23K20/158Fatty acids; Fats; Products containing oils or fats
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23KFODDER
    • A23K50/00Feeding-stuffs specially adapted for particular animals
    • A23K50/40Feeding-stuffs specially adapted for particular animals for carnivorous animals, e.g. cats or dogs
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C11ANIMAL OR VEGETABLE OILS, FATS, FATTY SUBSTANCES OR WAXES; FATTY ACIDS THEREFROM; DETERGENTS; CANDLES
    • C11CFATTY ACIDS FROM FATS, OILS OR WAXES; CANDLES; FATS, OILS OR FATTY ACIDS BY CHEMICAL MODIFICATION OF FATS, OILS, OR FATTY ACIDS OBTAINED THEREFROM
    • C11C3/00Fats, oils, or fatty acids by chemical modification of fats, oils, or fatty acids obtained therefrom
    • C11C3/04Fats, oils, or fatty acids by chemical modification of fats, oils, or fatty acids obtained therefrom by esterification of fats or fatty oils
    • C11C3/10Ester interchange
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23VINDEXING SCHEME RELATING TO FOODS, FOODSTUFFS OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES AND LACTIC OR PROPIONIC ACID BACTERIA USED IN FOODSTUFFS OR FOOD PREPARATION
    • A23V2002/00Food compositions, function of food ingredients or processes for food or foodstuffs

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Animal Husbandry (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Emergency Medicine (AREA)
  • Birds (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Cardiology (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Nutrition Science (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Mycology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)

Abstract

対象における心血管障害の治療又は予防に使用するための、次式(1)、(2)、(3)、(4)を有する化合物又はこれらの組み合わせ。【化1】TIFF2022533316000010.tif26147[式中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、独立して、16~20個の炭素を有する長鎖脂肪酸である。]【選択図】 なし

Description

本発明は、心血管障害の予防及び/又は治療に使用するための、改善された官能特性を有するブチレートを含む食物原料に関する。
心血管障害は、世界の年間死亡件数全体の約20%を占め、先進国と発展途上国の両方において死因の第1位を保持している(S.K.Wattanapitayakul et al.,Pharmacology and Therapeutics,89,187~206(2001))。心血管障害は、後年の身体障害の主要な原因でもある。心血管障害は心臓又は血管を冒す。主な心血管障害はアテローム性動脈硬化(動脈硬化性血管疾患としても知られている)であり、この障害では脂肪質の斑状沈着物(粥腫又は動脈硬化性プラーク)が中動脈及び大動脈の血管壁で発達し、血流の減少又は遮断を招く。アテローム性動脈硬化は、動脈硬化(動脈の硬化を意味する)の一形態である。動脈硬化は身体の血圧調節に干渉し、高血圧のリスクを高める。動脈が硬直することで、血圧を正常に戻す拡張が妨げられてしまうことになる。高血圧患者は、脳卒中、心臓発作、及び腎不全のリスクが大きい。
アテローム性動脈硬化の主な原因はまだ不明である。アテローム性動脈硬化は、動脈壁における慢性的な炎症に対する応答であって、動脈血管を冒す症候群である。主にマクロファージの蓄積によって引き起こされ、低密度リポタンパク質(LDL、コレステロールとトリグリセリドとを運搬する血漿リポタンパク質)によって促進され、機能性高密度リポタンパク質(HDL)によるマクロファージからの脂肪及びコレステロールの適切な除去が行われない。アテローム性動脈硬化は一般に、動脈の硬化又はファーリング(furring)とも呼ばれる。この状態は動脈内で複数のプラークが形成することによって引き起こされる。
アテローム性動脈硬化が心臓に血液を供給する動脈を冒す場合(冠動脈疾患)、これは、胸痛(狭心症)、又はある領域の心筋が破壊された場合には心臓発作(心筋梗塞)を引き起こし得る。心筋への酸素に富んだ血流の低減は、心不全(心臓が血液を不十分にしか圧送しない障害)を引き起こす恐れがあり、血流の減少、静脈及び肺における血液の滞り(うっ血)、並びに心臓を更に弱らせ得るその他の変化につながりかねない。冠動脈循環による心筋及び周囲組織への十分な循環供給の不全は、冠動脈性心疾患と呼ばれる。
脳への動脈を冒すアテローム性硬化症は、脳卒中につながる。脳卒中は、脳への動脈が遮断され又は破裂し、ある領域の脳組織の死滅(脳梗塞)が生じたときに起きる。
死亡率の観点では、主な心血管障害は脳卒中及び心臓発作であるが、心血管障害は、大動脈瘤及び末梢血管疾患などの状態も包含し、腎血管疾患、血管性認知症及び網膜疾患を含む臨床状態に関与する。心血管障害の予防は、死亡率の低減だけでなく、身体障害の予防及び生活の質の改善にも関する。
心血管障害の初期治療は、食事及び生活様式への介入、例えば運動の増加、低脂肪食の摂食及び禁煙に重点を置く。
心血管障害の治療又は予防のために、数多くの化合物が提案されてきた。こうした化合物としては、サリチレート(国際公開第2009/006583号)、スタチン(J.K.Liao、International Journal of Cardiology、86、5~18(2002年))、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤(米国特許第5684016号)、アンジオテンシンII受容体遮断薬(欧州特許第1604664号)及びカルシウムチャネル遮断薬(欧州特許第0089167号)が挙げられる。
残念ながら、現在利用できる治療は、有効性の観点から、及び/又は特に治療に伴う恐れがある副作用の観点から、必ずしも十分に満足のいくものではない。
スタチン下の多くの患者は、CVDのリスクが依然として高いことが公知である。これらの患者は、LDL-C値が有意に減少しているにもかかわらず、hsCRPが持続的に上昇している。この状態がいわゆる「残存炎症リスク」として定義されており、興味深い薬理学的標的となっている。この標的の関連性についての証拠は、カナキヌマブ抗炎症性血栓症転帰研究(CANTOS)の試験から得られている。CANTOSでは、IL-1βアンタゴニストによる炎症の直接的な低減は、LDL-C値とは無関係に、心血管イベントの発生率を低下させることが示された(P.M.Ridker,N Engl J Med.2017 Sep 21;377(12):1119-1131)。しかしながら、IL-1βアンタゴニスト治療には法外な費用がかかり、重要な副作用がある。
したがって、従来技術に記載のある欠点を伴わずに心血管障害の治療又は予防に利用可能な別の組成物を有することが非常に望ましい。
ヒト大腸のアセテート、プロピオネート、及びブチレートは、難消化性デンプン又は食物繊維の発酵後に微生物叢によって生成される主な短鎖脂肪酸(SCFA)である。生成されると、SCFAは、エネルギー源として腸の腸嚢胞に吸収されるが、これらの吸収された脂肪酸の一部は、全身循環に達し、複数の生物学的システム及び/又は器官の生物学的活性を調節する。SCFAは抗炎症効果を有し、炎症性腸疾患、結腸がん、及び真性糖尿病を含む様々な炎症性疾患の発症を軽減することができるという証拠が存在する(P.A.Gill,Aliment Pharmacol Ther.2018 Jul;48(1):15-34)。
しかしながら、アテローム性動脈硬化及びそれに続く心血管疾患に対するSCFAの効果は、依然としてあまり解明されていない。動脈硬化は、動脈内へのアテローム性プラーク形成による中動脈又は大動脈の任意の硬化(及び弾性の喪失)を記述する一般用語である。血管研究者は、これまでにアテローム性動脈硬化における炎症の働きを実証している。アテローム動脈硬化性プラークの形成が開始されて以降、マクロファージは内皮細胞を活性化する炎症誘発性サイトカインを放出し、追加の白血球を動員する。この動員が、白血球の内皮細胞への接着、白血球の内皮下腔への移行、並びにプラークの進行及び成熟を引き起こす。プラーク内では、活性化された白血球(特にIL1及びIL6)からの炎症シグナルが、心筋梗塞に見られるようなプラーク不安定化及び破綻を最終的に引き起こす(P.M.Ridker,Circ Res.2016 Jan 8;118(1):145~56,P.M.Ridker,Circ Res.2019 Feb;124(3):437-450)。
最近の臨床試験データにより、現在では、炎症が、疫学データで以前に示唆されているようにアテローム性動脈硬化の重要なドライバであることが実証されている。高感度C反応性タンパク質(hsCRP)及びインターロイキン-6(IL-6)を含む循環性炎症バイオマーカーは、心血管イベントのリスクの増加に関連する。これは、コレステロール及び他の従来のリスクファクタとは無関係である。実際には、無作為試験により、スタチン治療が、血中脂質低下効果(LDL-Cとして知られる低密度リポタンパクコレステロール)を示すことに加えて、hsCRPも低減させることが示された。興味深いことに、hsCRPの低減の程度は心血管リスクの低減に比例する(P.M.Ridker,J Am Coll Cardiol.2016 Feb 16;67(6):712-723)。
インビトロ試験では、チャレンジ後、内皮炎症応答もSCFA前処理によって低減されることが実証されている。SCFAで前処理されLPS又はTNFチャレンジを受けた内皮細胞は、インターロイキン-6の分泌が少なく、血管細胞接着タンパク質1(VCAM1)の発現が少なく、白血球接着を低減する(M.Li,Front Pharmacol.2018 May 23;9:533)。
他の研究では、培養内皮細胞において、ブチレートが、コレステロール結晶によって誘導されるNrlp3インフラマソームの形成及び活性化を有意に低下させることが確認されたが、アセテート又はプロピオネートでは確認されなかった。更にインビボでの調査では、不十分なNrlp3インフラマソーム複合体の形成及び活性化に関連する、頚動脈損傷のげっ歯類モデルにおいて、ブチレートが動脈壁に対する保護効果を有することが実証された(X.Yuan,Redox Biol.2018 Jun;16:21~31)。
これらのインビトロ及びインビボ研究は、SCFAの抗炎症的働きを裏付け、ブチレートをアテローム性動脈硬化症の予防及び/又は治療の候補とする。
ブチレートの一般的な供給源は、酪酸及びトリブチリンであり、トリブチリンは、3つのブチレート部分を持つ3つのエステル官能基とグリセロール骨格とから構成されるトリグリセリドである。酪酸及びトリブチリンは両方とも、安全であると一般的にみなされる(GRAS)食品添加物(それぞれ、21CFR582.60及び21CFR184.1903)であり、多くの乳製品の天然成分である。しかしながら酪酸は、嘔吐物、糞便、及びチーズのような匂い特性などの、ネガティブな官能品質を伴う。トリブチリンはまた、ネガティブな官能品質、特に高度の苦味も有する。これらの不快な味覚及び臭気特性により、これらの化合物を含む組成物の経口投与を行うことが、特に困難になることがある。乳製品のブチレート成分は富化することができないため、かなりの量の乳脂肪を摂取する必要があるが、特に動物性脂肪に由来した不要なカロリーを大量に摂取することになることから、これは実際上及び栄養上の理由から実現不可能である。
ブチレートは、アテローム性動脈硬化の予防及び/又は治療に有益であり得るが、現在、許容可能な官能特性を有する形態でブチレートを送達する方法は存在しない。
したがって、心血管障害の治療又は予防に使用される利用可能な解決策と比較して、改善された官能特性を有する食品等級のブチレート供給源を提供することは有益となる。
本発明は、心血管疾患の予防又は治療に使用するための改善された官能特性を有するブチレートの供給源である化合物を提供し、該化合物は、酪酸、酪酸塩、及び/又はトリブチリンと比較して改善された臭気及び/又は味を有する。化合物は、酪酸の食物原料として使用することができる。化合物は、例えば、栄養組成物、ダイエタリーサプリメント、飲料及びペットケア製品において使用されてもよい。
化合物及び組成物は、残存炎症リスクの低減を通じて、心血管障害、特にアテローム性動脈硬化の予防又は治療に使用することができる。心血管障害は、アテローム性動脈硬化、冠動脈性心疾患、心筋梗塞、狭心症、脳卒中、及び/又は心不全からなる群から選択され得る。上述のように、脳卒中及び心筋梗塞(心臓発作)は、死亡率の観点から主要な心血管障害である。冠動脈性心疾患及び心不全もまた、死亡及び衰弱性健康不良の重大な原因である。アテローム性動脈硬化は、その他の数多くの心血管障害の根本原因である。多くの人々が高血圧及び狭心症の定期的な発作を抱えて生きているが、生活の質に悪影響が及ぶことが多く、人々には、かかる発作が脳卒中、心不全又は心臓発作の前兆であり得るという懸念が絶えない。したがって、アテローム性動脈硬化、冠動脈性心疾患、心筋梗塞、狭心症、脳卒中、及び/又は心不全を治療又は予防することは有利であろう。
本発明の第1の態様によれば、対象における心血管障害の予防又は治療に使用するための、次式を有する化合物又はこれらの組み合わせが提供される。
Figure 2022533316000002

[式中、R、R、R、R、R、及びRは、独立して、16~20個の炭素を有する長鎖脂肪酸である。]
本発明の別の態様によれば、対象における心血管障害の予防又は治療に使用するための、式(1)、(2)、(3)若しくは(4)を有する化合物又はこれらの組み合わせを含む、組成物が提供される。[式中、R、R、R、R、R、及びRは、独立して、16~20個の炭素を有する長鎖脂肪酸である。]
一実施形態では、組成物は、式(1)を有する化合物、式(2)を有する化合物、式(3)を有する化合物、及び式(4)を有する化合物を含む。
組成物は、式(1)を有する化合物及び式(2)を有する化合物を含み得る。
組成物は、式(1)を有する化合物及び式(3)を有する化合物を含み得る。
組成物は、式(1)を有する化合物及び式(4)を有する化合物を含み得る。
組成物は、式(2)を有する化合物及び式(3)を有する化合物を含み得る。
組成物は、式(2)を有する化合物及び式(4)を有する化合物を含み得る。
組成物は、式(3)を有する化合物及び式(4)を有する化合物を含み得る。
組成物は、式(1)を有する化合物、式(2)を有する化合物、及び式(3)を有する化合物を含み得る。
組成物は、式(1)を有する化合物、式(2)を有する化合物、及び式(4)を有する化合物を含み得る。
組成物は、式(1)を有する化合物、式(3)を有する化合物、及び式(4)を有する化合物を含み得る。
組成物は、式(2)を有する化合物、式(3)を有する化合物、及び式(4)を有する化合物を含み得る。
組成物は、式(1)を有する化合物、式(2)を有する化合物、式(3)を有する化合物、及び式(4)を有する化合物を含み得る。
一実施形態では、式(1)を有する化合物、(2)を有する化合物、(3)を有する化合物及び(4)を有する化合物は、組成物のトリグリセリド全量の少なくとも50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%、又は99重量%を構成する。
一実施形態では、式(1)を有する化合物、式(2)を有する化合物、式(3)を有する化合物及び式(4)を有する化合物は、組成物中のブチレート部分含有トリグリセリド全量の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%又は99重量%を構成する。
一実施形態では、トリブチリンは、組成物中のトリグリセリド全量の10重量%未満、好ましくは組成物中のトリグリセリド全量の8重量%未満、より好ましくは5重量%未満のトリグリセリドを構成する。
一実施形態では、組成物は、食物繊維及び/又はプロバイオティクスを更に含む。
本発明の組成物は、栄養組成物、例えば、食品、飲料、ペットケア製品の形態であってもよい。
本発明の組成物は、ダイエタリーサプリメントの形態であってもよい。
一実施形態では、R、R、R、R、R、及び/又はRは、不飽和脂肪酸、好ましくは一価不飽和脂肪酸である。
一実施形態では、R、R、R、R、R、及び/又はRは、オレイン酸、パルミチン酸、又はリノール酸からなる群から選択され、好ましくは、R、R、R、R、R、及びRのそれぞれはオレイン酸である。
本発明の化合物及び組成物は、心血管障害の予防又は治療に有用であり得る。
本発明の化合物及び組成物は、残存炎症リスクの低減によって、心血管障害、特にアテローム性動脈硬化、及びアテローム性動脈硬化関連障害の発症及び/又は進行を予防するのに有用であり得る。
一実施形態では、化合物又はそれらの組み合わせは、酪酸、トリブチリン及び/又はブチレート塩と比較して改善された官能特性を有する。
一実施形態では、化合物は、哺乳動物、好ましくはヒト、ペット、又は家畜に提供される。
(A)トリブチリン、(B)高オレイン酸ヒマワリ油、及び(C)本発明によるブチレート部分含有トリアシルグリセロール(TAG)の混合物、を200mg含有するエマルジョンからの脂肪酸の放出を示している。i)模擬腸液(SIF)、又は(ii)胃液(SGF)に続いて模擬腸液(SIF)で順次かのいずれかで消化されている。 SIF及びSGF-SIFの両方の後の、トリブチリン、高オレイン酸ヒマワリ油、及び本発明によるブチレート部分含有TAGの混合物の脂質消化の全体的程度を示している。
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「から構成される(comprised of)」は、「含む(including)」又は「含む(includes)」又は「含有する(containing)」又は「含有する(contains)」と同義であり、他を包含し得るもの、すなわちオープンエンドであり、かつ追加の、列挙されていない構成、要素、又は工程を除外しない。用語「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「から構成される(comprised of)」はまた、用語「からなる(consisting of)」を含む。
トリグリセリド
トリグリセリド(トリアシルグリセロールとも呼ばれる)は、グリセロール及び3つの脂肪酸から誘導されたトリエステルである。消化中のものなどの加水分解条件下では、トリグリセリドは脂肪酸の供給源であり得る。例えば、トリブチリンは、トリブチリン1モル当たり3モルの酪酸の供給源となり得る。
脂肪酸は、長い尾部(鎖)を有するカルボン酸である。脂肪酸は、不飽和又は飽和のいずれであってもよい。他の分子に結合していない脂肪酸は、遊離脂肪酸(FFA)と呼ばれる。
用語「脂肪酸部分」は、グリセロールとのエステル化反応において脂肪酸に由来するトリグリセリドの部分を指す。本発明で使用されるトリグリセリドは、少なくとも1つの酪酸部分及び少なくとも1つの長鎖脂肪酸部分を含む。
本発明での使用に好ましい長鎖脂肪酸は、16~20個の炭素原子を有する脂肪酸である。長鎖脂肪酸の例としては、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びリノール酸が挙げられる。好ましくは、長鎖脂肪酸はオレイン酸である。例えば、本発明は、対象における心血管障害の治療又は予防に使用するための、次式を有する化合物、又はこれらの組み合わせを提供する。
Figure 2022533316000003
本発明で使用することができるトリグリセリドの他の例としては、1,3-ジブチリル-2-リノレオイルグリセロール、1,3-ジブチリル-2-ステアロイルグリセロール、1-ブチリル-2-オレオイル-3-パルミトイルグリセロール、1-パルミトイル-2-オレオイル-3-ブチリルグリセロール、1-ブチリル-2-オレオイル-3-リノレオイルグリセロール、1-リノレオイル-2-オレオイル-3-ブチリルグリセロール、1-オレオイル-2-ブチリル-3-リノレオイルグリセロール、1-リノレオイル-2-ブチリル-3-オレオイルグリセロール、1-ブチリル-2-リノレオイル-3-オレオイルグリセロール、1-オレオイル-2-リノレオイル-3-ブチリルグリセロール、1-ブチリル-2-ステアロイル-3-オレオイルグリセロール、1-オレオイル-2-ステアロイル-3-ブチリルグリセロール、1-ブチリル-2-オレオイル-3-ステアロイルグリセロール、1-ステアロイル-2-オレオイル-3-ブチリルグリセロール、1,2-ジオレオイル-3-パルミトイルグリセロール、1-パルミトイル-2,3-ジオレオイルグリセロール、1,2-ジオレオイル-3-リノレオイルグリセロール、及び1-リノレオイル-2,3-ジオレオイルグリセロールが挙げられる。
本発明のトリグリセリドは、例えば、長鎖脂肪酸及び酪酸の、グリセロールとのエステル化反応によって合成することができる。
本発明のトリグリセリドは、例えば、トリブチリンと、長鎖脂肪酸を含有する別のトリグリセリドとの間のエステル交換によって合成することができる。一実施形態では、高オレイン酸ヒマワリ油が、長鎖脂肪酸の原料である。これにより、主としてブチレート部分及びオレエート部分を含有する、トリグリセリドを作製する。この化合物は、乳成分不含有、コレステロール不含有、及び動物由来成分不含有である。脂肪酸は、胃腸管において天然に存在するリパーゼにより、トリグリセリドから脱離する。ブチレート塩と比較すると、当該化合物が、最終的な配合物に更なるミネラル塩を添加することはない。
トリグリセリド合成の代替的な方法は、当業者によって通常の手順の一環として決定することができる。例として、1,3-ジブチリル-2-パルミトイルグリセロール(BPB)を得る方法について、以下に示す。
Figure 2022533316000004
単一のブチレート部分含有トリグリセリドを、本明細書で使用することができる。あるいは、異なるブチレート部分含有トリグリセリドの混合物を使用することができる。
組成物
本発明の化合物は、組成物の形態で投与することができる。したがって、本発明は、対象における心血管障害の予防又は治療に使用するための、本明細書で言及されるブチレート部分含有トリグリセリドを含む組成物を提供する。
一実施形態では、本明細書に定義される組成物中には、式(1)を有する化合物と式(2)を有する化合物との組み合わせが存在する。
一実施形態では、式(1)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の少なくとも10重量%の量で存在し、式(2)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の少なくとも10重量%の量で存在する。
一実施形態では、式(1)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の少なくとも15重量%の量で存在し、式(2)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の少なくとも15重量%の量で存在する。
一実施形態では、式(1)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の少なくとも20重量%の量で存在し、式(2)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の少なくとも20重量%の量で存在する。
一実施形態では、式(1)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の少なくとも20重量%の量で存在し、式(2)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の少なくとも30重量%の量で存在する。
一実施形態では、式(1)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の約20重量%~約40重量%を構成し、及び/又は式(2)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の約30%~約40重量%を構成する。
一実施形態では、式(1)を有する化合物及び式(2)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の少なくとも20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、又は70重量%、好ましくは組成物中のトリグリセリド全量の約40重量%~約80重量%、又は約50重量%~約75重量%を構成する。
一実施形態では、組成物は、式(3)を有する化合物を更に含み、好ましくは、式(3)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の少なくとも2重量%、3重量%、4重量%、又は5重量%を構成し、及び/又は組成物は、式(4)を有する化合物を更に含み、好ましくは、式(4)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の少なくとも1重量%、2重量%、又は3重量%を構成する。
一実施形態では、式(1)を有する化合物は、組成物中の酪酸含有トリグリセリド全量の少なくとも20重量%の量で存在し、式(2)を有する化合物は、組成物中の酪酸含有トリグリセリド全量の少なくとも30重量%の量で存在する。
一実施形態では、式(1)を有する化合物は、組成物中の酪酸含有トリグリセリド全量の約30重量%~約50重量%を構成し、及び/又は式(2)を有する化合物は、組成物中の酪酸含有トリグリセリド全量の約40重量%~約60重量%を構成する。
一実施形態では、式(1)を有する化合物及び式(2)を有する化合物は、組成物中の酪酸含有トリグリセリド全量の少なくとも20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、又は80重量%を構成し、好ましくは組成物中の酪酸含有トリグリセリド全量の約60重量%~約90重量%を構成する。
一実施形態では、式(5)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の少なくとも10重量%を構成し、及び/又は式(6)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の少なくとも10重量%を構成する。
一実施形態では、式(5)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の少なくとも15重量%を構成し、及び/又は式(6)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の少なくとも15重量%を構成する。
一実施形態では、式(5)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の少なくとも15重量%を構成し、及び/又は式(6)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の少なくとも20重量%を構成する。
一実施形態では、式(5)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の少なくとも20重量%を構成し、及び/又は式(6)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の少なくとも20重量%を構成する。
一実施形態では、式(5)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の約15重量%~約30重量%を構成し、及び/又は式(6)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の約20重量%~約30重量%を構成する。
一実施形態では、式(5)を有する化合物及び式(6)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の少なくとも20重量%、30重量%、又は40重量%、好ましくは組成物中のトリグリセリド全量の約30重量%~約60重量%、又は約40重量%~約50重量%を構成する。
一実施形態では、組成物は、式(7)を有する化合物を更に含み、好ましくは、式(7)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の少なくとも2重量%又は3重量%を構成し、及び/又は組成物は、式(8)を有する化合物を更に含み、好ましくは、式(8)を有する化合物は、組成物中のトリグリセリド全量の少なくとも2重量%又は3重量%を構成する。
一実施形態では、式(5)を有する化合物は、組成物中のブチレート部分含有トリグリセリド全量の少なくとも10重量%を構成し、式(6)を有する化合物は、組成物中のブチレート部分含有トリグリセリド全量の少なくとも10重量%を構成する。
一実施形態では、式(5)を有する化合物は、組成物中のブチレート部分含有トリグリセリド全量の少なくとも15重量%を構成し、式(6)を有する化合物は、組成物中のブチレート部分含有トリグリセリド全量の少なくとも15重量%を構成する。
一実施形態では、式(5)を有する化合物は、組成物中のブチレート部分含有トリグリセリド全量の少なくとも15重量%を構成し、式(6)を有する化合物は、組成物中のブチレート部分含有トリグリセリド全量の少なくとも20重量%を構成する。
一実施形態では、式(5)を有する化合物は、組成物中のブチレート部分含有トリグリセリド全量の少なくとも20重量%を構成し、式(6)を有する化合物は、組成物中のブチレート部分含有トリグリセリド全量の少なくとも20重量%を構成する。
一実施形態では、式(5)を有する化合物は、組成物中のブチレート部分含有トリグリセリド全量の約15重量%~約30重量%を構成し、式(6)を有する化合物は、組成物中のブチレート部分含有トリグリセリド全量の約20重量%~約30重量%を構成する。
一実施形態では、組成物は、式(7)を有する化合物を更に含み、好ましくは、式(7)を有する化合物は、組成物中のブチレート部分含有トリグリセリド全量の少なくとも2重量%又は3重量%を構成し、及び/又は組成物は、式(8)を有する化合物を更に含み、好ましくは、式(8)を有する化合物は、組成物中のブチレート部分含有トリグリセリド全量の少なくとも2重量%又は3重量%を構成する。
一実施形態では、本発明の組成物は、1,3-ジブチリル-2-リノレオイルグリセロール、1,3-ジブチリル-2-ステアロイルグリセロール、1-ブチリル-2-オレオイル-3-パルミトイルグリセロール、1-パルミトイル-2-オレオイル-3-ブチリルグリセロール、1-ブチリル-2-オレオイル-3-リノレオイルグリセロール、1-リノレオイル-2-オレオイル-3-ブチリルグリセロール、1-オレオイル-2-ブチリル-3-リノレオイルグリセロール、1-リノレオイル-2-ブチリル-3-オレオイルグリセロール、1-ブチリル-2-リノレオイル-3-オレオイルグリセロール、1-オレオイル-2-リノレオイル-3-ブチリルグリセロール、1-ブチリル-2-ステアロイル-3-オレオイルグリセロール、1-オレオイル-2-ステアロイル-3-ブチリルグリセロール、1-ブチリル-2-オレオイル-3-ステアロイルグリセロール、1-ステアロイル-2-オレオイル-3-ブチリルグリセロール、1,2-ジオレオイル-3-パルミトイルグリセロール、1-パルミトイル-2,3-ジオレオイルグリセロール、1,2-ジオレオイル-3-リノレオイルグリセロール、及び/又は1-リノレオイル-2,3-ジオレオイルグリセロールを更に含み得る。
一実施形態では、トリブチリンは、組成物中のブチレート部分含有トリグリセリド全量の10重量%未満、好ましくは組成物中のブチレート部分含有トリグリセリド全量の8重量%未満、より好ましくは5重量%未満を構成する。
本発明の組成物は、例えば、固体(例えば、粉末)、液体、又はゼラチン状の形態であってもよい。
本発明の組成物は、例えば、錠剤、糖衣錠、カプセル、ゲルキャップ、粉末、顆粒、溶液、エマルジョン、懸濁液、被覆粒子、噴霧乾燥粒子、又は丸剤であってもよい。
組成物は、医薬組成物の形態であってもよく、1つ以上の好適な医薬的に許容される担体、希釈剤、及び/又は賦形剤を含んでもよい。本明細書に記載される組成物に好適な、このような賦形剤の例は、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」,2nd Edition,(1994),(A Wade and PJ Weller編)に見ることができる。治療用途のための許容可能な担体又は希釈剤もまた、医薬分野において周知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.(A.R.Gennaro edit.1985)に記載されている。
医薬組成物は、担体、賦形剤、若しくは希釈剤として、又はそれに加え、任意の好適な結合剤、潤滑剤、懸濁化剤、コーティング剤、及び/若しくは可溶化剤を含んでもよい。好適な結合剤の例としては、デンプン、ゼラチン、天然糖、例えばグルコース、無水ラクトース、流動性ラクトース、β-ラクトースなど、コーン甘味料、天然及び合成ガム、例えばアカシア、トラガカント、又はアルギン酸ナトリウムなど、カルボキシメチルセルロース、及びポリエチレングリコールが挙げられる。好適な潤滑剤の例としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。
防腐剤、安定剤、染料、及び更には香味剤を組成物に含ませてもよい。防腐剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、及びp-ヒドロキシ安息香酸のエステルが挙げられる。酸化防止剤及び懸濁剤もまた、使用することができる。
組成物は、栄養組成物であってもよい。
表現「栄養組成物」とは、対象に栄養を与える組成物を意味する。この栄養組成物は、好ましくは経口で摂取され、脂質、又は脂肪源及びタンパク質源を含んでもよい。かかる組成物はまた、炭水化物源を含有してもよい。一実施形態では、栄養組成物は、脂質又は脂肪源のみを含有する。他の特定の実施形態では、栄養組成物は、脂質(又は脂肪)源を、タンパク質源、炭水化物源、又はこれらのいずれもとともに含有する。
いくつかの特定の実施形態では、本発明による栄養組成物は、「経腸栄養組成物」、すなわち、当該組成物の投与に胃腸管が関わる食料品である。胃への導入は、口腔/鼻道を通過する管又は胃に直接つながる腹部の管の使用を伴ってもよい。このような管は、特に病院又は診療所において使用することができる。
いくつかの特定の実施形態では、組成物は、経口栄養補助食品(ONS)、完全栄養フォーミュラ、医薬品、医療製品、又は食品製品である。いくつかの特定の実施形態では、本組成物は個体に飲料として投与される。本組成物は粉末としてサシェに保存され、次に使用の際に水などの液体中に懸濁されてもよい。
本発明による組成物は、ダイエタリーサプリメントであり得る。
用語「ダイエタリーサプリメント」は、個体の栄養を補完するものとして使用することができる(典型的には栄養の補完のために使用するものであるが、それだけでなく摂取が意図される任意の種類の組成物に添加することもできる)。これは、例えば、錠剤、カプセル、トローチ、又は液体の形態であってもよい。ダイエタリーサプリメントは、保護親水コロイド(ガム、タンパク質、加工デンプンなど)、結合剤、皮膜形成剤、カプセル化剤/材料、壁/シェル材料、マトリックス化合物、コーティング、乳化剤、表面活性剤、可溶化剤(油、脂肪、ワックス、レシチンなど)、吸着剤、担体、充填剤、共化合物、分散剤、湿潤剤、加工助剤(溶媒)、流動剤、味覚マスキング剤、増量剤、ゼリー化剤、及びゲル形成剤を更に含有してもよい。ダイエタリーサプリメントはまた、従来の医薬添加剤及び補助剤、賦形剤、及び希釈剤を含有してもよく、これには、水、任意の由来のゼラチン、植物ガム、リグニンスルホネート、タルク、糖、デンプン、アラビアガム、植物油、ポリアルキレングリコール、風味剤、防腐剤、安定剤、乳化剤、緩衝液、潤滑剤、着色剤、湿潤剤、充填剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
組成物は、栄養補給剤である場合、単位用量の形態で提供することができる。
本発明による組成物は、乳製品、液体飲料、飲料粉末、乾燥スープ、ダイエタリーサプリメント、食事代替物、栄養バー、シリアル、菓子製品、又は乾燥ペットフードであり得る。
組成物は、食物繊維を更に含み得る。「食物繊維」は、少なくとも1つの難消化性オリゴ糖(例えば、プレバイオティクス)を含み得る。プレバイオティクスは、組成物の0.3~10重量%の量で存在してもよい。食物繊維及び/又はプレバイオティクスは、腸内細菌叢による内因性ブチレートの産生を促進することができ、したがって更なる有益な効果を提供することができる。
プレバイオティクスは通常、胃又は小腸において分解されず吸収されないという意味で難消化性である。したがって、プレバイオティクスは大腸に入る際にインタクトのままであり、大腸で有益な細菌により選択的に発酵される。プレバイオティクスの例としては、フラクトオリゴ糖(FOS)、イヌリン、キシロオリゴ糖(XOS)、ポリデキストロース、又はこれらの任意の混合物といったある種のオリゴ糖が挙げられる。特定の実施形態では、プレバイオティクスは、フラクトオリゴ糖及び/又はイヌリンであってもよい。特定の実施形態では、プレバイオティクスは、FOSとイヌリンとの組み合わせ、例えば、BENEO-Oraftiにより商標名Orafti(登録商標)オリゴフルクトース(以前にはRaftilose(登録商標))で販売されている製品における組み合わせ、又はBENEO-Oraftiにより商標名Orafti(登録商標)イヌリン(以前にはRaftiline(登録商標))で販売されている製品における組み合わせである。別の例は、70%の短鎖フラクトオリゴ糖と30%のイヌリンとの組み合わせであり、これはNestleによって商標名「Prebio 1」として登録されている。本発明の栄養組成物はまた、少なくとも1種の乳オリゴ糖を含んでもよく、当該オリゴ糖は、BMO(ウシ乳オリゴ糖)及び/又はHMO(ヒト乳オリゴ糖)であり得る。
本発明の組成物は、プロバイオティクス菌株などの少なくとも1種のプロバイオティクス(すなわち、プロバイオティクス菌株)を更に含んでもよい。プロバイオティクス株の摂取はまた、腸内細菌叢による内在性ブチレートの産生を促進し得、したがって更なる有益な効果を提供することができる。
最も一般的に使用されるプロバイオティクス微生物は、主に以下の属の細菌及び酵母である:ラクトバチルス属の菌種(Lactobacillus spp.)、ストレプトコッカス属の菌種(Streptococcus spp.)、エンテロコッカス属の菌種(Enterococcus spp.)、ビフィドバクテリウム属の菌種(Bifidobacterium spp.)及びサッカロミセス属の菌種(Saccharomyces spp.)。
いくつかの特定の実施形態において、プロバイオティクスは、プロバイオティクス菌株である。いくつかの特定の実施形態では、プロバイオティクス菌株は、ビフィズス菌及び/又はラクトバチルスである。
本発明による栄養組成物は、乾燥重量基準で、組成物1g当たり10e3~10e12cfuのプロバイオティクス株、より好ましくは10e7~10e12cfu、例えば10e8~10e10cfuのプロバイオティクス株を含有してもよい。
一実施形態では、プロバイオティクスは生菌である。別の実施形態では、プロバイオティクスは、複製しない、又は不活性化される。プロバイオティクスはまた、プロバイオティクスの部分、例えば細胞壁成分、又はプロバイオティクスの代謝産物であってもよい。いくつかの他の実施形態では、生存可能なプロバイオティクス及び不活性化したプロバイオティクスの両方が存在していてもよい。本発明の栄養組成物は、好ましくは病原性連鎖球菌(Streptococci)、ヘモフィルス属(Haemophilus)、モラクセラ(Moraxella)及びブドウ球菌(Staphylococci)に対する、少なくとも1つのファージ(バクテリオファージ)又はファージの混合物を更に含んでもよい。
本発明の栄養組成物は、概して、タンパク質源、炭水化物源、及び脂質源を含有する。しかし、いくつかの実施形態では、特に本発明の栄養組成物が栄養補給剤又は強化剤である場合、脂質(又は脂質源)のみが存在していてもよい。
本発明による栄養組成物は、タンパク質源を含有してもよい。例えば、大豆をベースとしたタンパク質源に加えて、ホエイ、カゼイン、及びこれらの混合物をベースとしたタンパク質源を使用してもよい。ホエイタンパク質に関して言えば、タンパク質源は酸性ホエイ若しくは甘性ホエイ又はこれらの混合物をベースとしたものであってよく、任意の所望の割合でα-ラクトアルブミン及びβ-ラクトグロブリンを含有し得る。いくつかの実施形態では、主たるタンパク質源はホエイである(すなわち、50%超、例えば60%超又は70%超のタンパク質がホエイタンパク質から生じたものである)。タンパク質は、インタクトなタンパク質若しくは加水分解されたタンパク質、又はインタクトなタンパク質と加水分解されたタンパク質との混合物であってもよい。いくつかの実施形態では、タンパク質源はまた、アミノ酸を追加する方法で一部が又は全部が提供されてもよい。
用語「インタクト」とは、タンパク質の主要部分がインタクトであること、すなわち、分子構造が変化していないこと、例えば、タンパク質の少なくとも80%が変化していないこと、例えば、タンパク質の少なくとも85%が変化していないこと、好ましくは、タンパク質の少なくとも90%が変化していないこと、更により好ましくは、タンパク質の少なくとも95%が変化していないこと、例えば、タンパク質の少なくとも98%が変化していないことを意味する。特定の実施形態では、タンパク質は全く変化していない。
用語「加水分解された」とは、本発明の文脈において、タンパク質が加水分解されていること、又はその構成要素であるアミノ酸まで分解されていることを意味する。
タンパク質は、完全に加水分解されている、又は部分的に加水分解されている、のいずれかであってよい。加水分解されたタンパク質が必要である場合、加水分解プロセスを、所望に応じて、当該技術分野において既知のように行うことができる。例えば、ホエイタンパク質の加水分解物は、1つ以上のステップでホエイ画分を酵素により加水分解することにより調製することができる。出発物質として使用されたホエイ画分が実質的にラクトースを含まないものである場合、加水分解プロセス中にタンパク質が受けるリジンブロック(lysine blackage)が大幅に少なくなることが判明している。これにより、リジン全量の約15重量%から、リジン全量の約10重量%未満まで、リジンブロックの程度を低減することができ、例えば、約7重量%のリジンにより、タンパク質源の栄養価は大幅に改善される。
特定の一実施形態では、組成物のタンパク質は、加水分解され、広範に加水分解され、又は部分的に加水分解される。タンパク質の加水分解度(DH)は、2~20、又は8~40、又は20~60、又は20~80、又は10超、20超、40超、60超、80超、又は90超であってもよい。例えば、約15%未満の加水分解度を有する加水分解物を含有する栄養組成物は、Nestle社から商標名Peptamen(登録商標)で市販されている。
いくつかの実施形態では、タンパク質は、広範に加水分解されている。
タンパク質の少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、又は97%が、加水分解されてもよい。特定の実施形態では、タンパク質の100%が加水分解される。
特定の一実施形態では、タンパク質はアミノ酸として提供される。
特定の一実施形態では、組成物のタンパク質は、植物系タンパク質である。
本発明による栄養組成物は、炭水化物源を含有してもよい。栄養組成物に従来含まれる任意の炭水化物源、例えば、乳糖、スクロース、サッカロース、マルトデキストリン、デンプン、及びこれらの混合物などが使用されてもよい。
本発明の栄養組成物はまた、毎日の食生活において必須である及び栄養面で顕著な量が必須であると理解されているビタミン及びミネラルを全て含有してもよい。特定のビタミン及びミネラルに対する最小必要量が確立されている。本発明の組成物中に任意選択的に存在する、ミネラル、ビタミン、及び他の栄養素の例としては、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンC、ビタミンD、葉酸、イノシトール、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、コリン、カルシウム、リン、ヨウ素、鉄、マグネシウム、銅、亜鉛、マンガン、塩素、カリウム、ナトリウム、セレン、クロム、モリブデン、タウリン、及びL-カルニチンが挙げられる。ミネラルは、通常、塩形態で添加される。特定のミネラル及び他のビタミンの存在及び量は、対象とする集団に応じて異なる。
必要な場合、本発明の栄養組成物は、乳化剤及び安定剤、例えば、大豆、レシチン、モノ及びジグリセリドのクエン酸エステルなどを含有してもよい。本発明の栄養組成物はまた、例えばラクトフェリン、オステオポンチン、TGFβ、slgA、グルタミン、ヌクレオチド、ヌクレオシドなどの、有益な効果を有することができる他の物質を含有してもよい。
本発明による栄養組成物は、任意の好適な方法で調製することができる。例えば、組成物は、適切に分けた成分を合わせて混合することにより調製でき、任意選択的には、1種以上の担体と混合した後、当該乾燥混合物を液体成分(liquefier)と混合して液体混合物を形成することによって調製することができる。最終製品が粉末である場合、当該液体混合物を次に均質化し、低温殺菌し、任意選択的に噴霧乾燥させることができる。組成物は、殺菌前又は殺菌後に均質化されてもよい。
本発明の栄養組成物は、治療に有効な用量で、ヒト、例えば高齢者などの個体に投与することができる。治療に有効な用量は当業者により決定され得るものであり、状態の重症度並びに個体の体重及び全身状態など、当業者に公知のいくつもの因子に応じて異なり得る。
本発明の一実施形態では、栄養組成物は、運動又は身体活動のレジメンと組み合わせて対象に投与される。
本発明の栄養組成物は、動物に投与するように、動物用のトリート(例えば、ビスケット)、又はダイエタリーサプリメントの形態で製剤化することができる。組成物は、ドライ組成物(例えば、キブル)、セミモイスト組成物、ウェット組成物、又はそれらの任意の混合物であってよい。別の実施形態では、栄養組成物は、グレイビー(gravy)、飲料水、飲料、ヨーグルト、粉末、顆粒、ペースト、懸濁液、噛むもの(chew)、一口で食べるもの(morsel)、トリート、スナック、ペレット、丸薬(pill)、カプセル、錠剤、又は他の適切な送達形態などのダイエタリーサプリメントである。
栄養組成物は、個体において心血管障害がまだ発症していない場合に、心血管障害の発症を予防する、又は心血管障害の発症のリスクを少なくとも部分的に低減するのに十分な量で個体に投与され得る。かかる量は「予防に有効な用量」と定義される。
栄養組成物は、好ましくは個体の食事に対する栄養補給剤として毎日又は少なくとも週2回投与される。一実施形態では、組成物は、数日間連続的に個体に投与される。例えば、本組成物を、少なくとも30日間、60日間又は90日間連続で毎日個体に投与することができる。別の例として、本組成物を、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10年の期間など、より長期間にわたって個体に投与することができる。
好ましい一実施形態において、本栄養組成物は、少なくとも3か月間、例えば3か月~1年の期間、好ましくは少なくとも6か月間にわたって、個体に投与される。
上記の投与例は、間断のない連日投与を必要とするものではない。それよりむしろ、投与期間中の2~4日間の中断など、投与には何回かの短期間の中断があってもよい。本組成物の理想的な投与継続期間は当業者により決定され得る。
心血管障害
本発明は、残存炎症リスクを低減することによって心血管障害を予防及び/又は治療する、化合物、組成物、及び方法を提供する。
心血管障害は、心臓又は血管を冒す。主な心血管障害は、アテローム性動脈硬化(動脈硬化性血管疾患としても知られている)であり、この障害では脂肪質の斑状沈着物(粥腫又は動脈硬化性プラーク)が中動脈及び大動脈の血管壁で発達し、血流の減少又は遮断を招く。アテローム性動脈硬化は、動脈硬化(動脈の硬化を意味する)の一形態である。動脈硬化は身体の血圧調節に干渉し、高血圧のリスクを高める。動脈が硬直することで、血圧を正常に戻す拡張が妨げられてしまうことになる。高血圧の患者は、脳卒中、心臓発作、及び腎不全のリスクがより大きい。
アテローム性動脈硬化は、動脈壁における慢性的な炎症に対する応答であって、動脈血管に影響を及ぼす症候群である。主にマクロファージの蓄積によって引き起こされ、低密度リポタンパク質(LDL、コレステロールとトリグリセリドを運搬する血漿リポタンパク質)によって促進され、機能性高密度リポタンパク質(HDL)によるマクロファージからの脂肪及びコレステロールの適切な除去が行われない。アテローム性動脈硬化は一般に、動脈の硬化又はファーリングとも呼ばれる。この状態は、動脈内で複数のプラークが形成することによって引き起こされる。
アテローム性動脈硬化が心臓に血液を供給する動脈を冒す場合(冠動脈疾患)、これは、胸痛(狭心症)、又はある領域の心筋が破壊された場合には心臓発作(心筋梗塞)を引き起こし得る。心筋への酸素に富んだ血流の低減は、心不全(心臓が血液を不十分にしか圧送しない障害)を引き起こす恐れがあり、血流の減少、静脈及び肺における血液の滞り(うっ血)、並びに心臓を更に弱らせ得るその他の変化につながりかねない。冠動脈循環による心筋及び周囲組織への十分な循環供給の不全は、冠動脈性心疾患と呼ばれる。
脳への動脈を冒すアテローム性硬化は、脳卒中につながる。脳卒中は、脳への動脈が遮断され又は破裂し、ある領域の脳組織の死滅(脳梗塞)が生じたときに起きる。
死亡率の観点では、主な心血管障害は脳卒中及び心臓発作であるが、心血管障害は、大動脈瘤及び末梢血管疾患などの状態も包含し、腎血管疾患、血管性認知症及び網膜疾患を含む臨床状態に関与する。心血管障害の予防は、死亡率の低減だけでなく、身体障害の予防及び生活の質の改善にも関する。
本発明の化合物、組成物、及び方法は、アテローム性動脈硬化及び/又は関連する状態の予防及び/又は治療に、特にアテローム性動脈硬化の発症又は進行の予防に有益であり得ることが理解され得る。
治療方法
本明細書において「治療」についてなされる全ての言及は、治癒的、緩和的、及び予防的治療を含むものの、本発明の文脈においてなされる「予防」についての言及は、より一般的には予防的治療に関連することは認識されるであろう。治療には、疾患の重症度の進行を抑止することも含まれ得る。
任意の疾患又は障害に関し、「治療する」、「治療している」、又は「治療」なる用語は、一実施形態では、疾患又は障害を改善させることを指す(すなわち、疾患又はその臨床症状の少なくとも1つの発症を遅らせる、又は阻止する、又は減らす)。別の実施形態では、「治療する」、「治療している」、又は「治療」は、患者により認識され得ないものを含む少なくとも1つの肉体的パラメーターを緩和又は改善することを指す。更に別の実施形態では、「治療する」、「治療している」、又は「治療」は、肉体的に(例えば、認識可能な症状の安定化)、生理学的に(例えば、肉体的パラメーターの安定化)、又はこれらの両方のいずれかで、疾患又は障害を調節することを指す。更に別の実施形態では、「治療する」、「治療している」、又は「治療」は、疾患又は障害の始まり又は発症又は進行を予防又は遅延させることを指す。本明細書で使用するとき、対象がそのような治療により生物学的な利益、医学的な利益、又は生活の質に対する利益を得る場合、そのような対象は「治療を必要とする」。
対象
用語「対象」は、ヒト及びコンパニオンアニマルを含む任意の動物を意味する。概して、対象は、ヒト、又は鳥類、ウシ、イヌ、ウマ、ネコ、ヤギ、ネズミ、ヒツジ若しくはブタである。対象は、ウマ又はコンパニオンアニマル、例えば、ネコ又はイヌであり得る。好ましくは、対象は、ヒトである。
哺乳動物、特にヒトの治療が、好ましい。しかしながら、ヒト及び動物の治療の両方が、本発明の範囲内である。
獣医学的な対象に関しては、対象はイヌ、ネコ、及びウマであることが好ましい。
投与
好ましくは、本明細書に記載される化合物及び組成物は、経腸投与される。
経腸的投与は、経口、経胃、及び/又は経直腸投与であってよい。
一実施形態では、投与は、経口又は経胃である。好ましい実施形態では、投与は経口である。
一般論として、本明細書に記載される組み合わせ又は組成物の投与は、例えば、経口経路又は別の経路による胃腸管への投与であってもよく、例えば、投与は経管栄養によるものであってもよい。
対象は、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ヤギ、ウシ、ヒツジ、ブタ、シカ、及び霊長類などの哺乳動物であってもよい。好ましくは、対象は、ヒトである。
官能特性
本発明は、改善された官能特性を有し、ブチレートの供給源である化合物を提供する。特に、化合物は、酪酸、ブチレート塩、及び/又はトリブチリンと比較して、臭気及び/又は味が改善されている。一実施形態では、化合物は、トリブチリンと比較して改善された味を有する。一実施形態では、化合物は、ブチレート塩(例えば、酪酸ナトリウム)と比較して改善された匂いを有する。
一実施形態では、改善された官能特性は、改善された臭気である。一実施形態では、改善された官能特性は、改善された味覚である。一実施形態では、改善された官能特性は、改善された臭気及び改良された味覚である。一実施形態では、改善された味は、低減された苦味である。
実施例1-ブチレート化トリグリセリド(TAG)の調製
ナトリウムメトキシドなどの触媒の存在下で、トリブチリンと高オレイン酸ヒマワリ油との間で化学的にエステル交換することにより、ブチレート化TAGを含む組成物を生成した。高オレイン酸ヒマワリ油に対してモル過剰のトリブチリンを使用した。
3つの試薬、すなわち、トリブチリン、高オレイン酸ヒマワリ油、及び触媒を、窒素雰囲気下で反応器内で混ぜ合わせ、次いで撹拌しながら80℃で3時間、加熱した。反応が完了したところで、生成物を水で数回洗浄した後、真空下で乾燥させた(25mBar、60℃で2時間)。次いで、得られた油生成物を漂白土(bleaching earth)の作用による脱色工程に供し、ショートパス蒸留(130℃,0.001~0.003mbar)又は蒸気水の注入による脱臭(160℃,2mbar,2h)のいずれかにより精製した。
得られた油組成物の成分(主にトリグリセリド)を以下の表1に示す。これらのトリグリセリドは、これらが含有する3つの脂肪酸によって表される。これらの脂肪酸は、その脂質数によって表され、ブチレートでは4:0、パルミテートでは16:0、ステアレートでは18:0、オレエートでは18:1、リノレエートでは18:2である。中央の脂肪酸は、トリグリセリドのsn-2位に位置している。例として、16:0-4:0-18:1は2種類の異なるトリグリセリドを表し、当該トリグリセリドは、sn2位のブチレートと、sn-1位のパルミテート及びsn-3位のオレエート又はsn-1位のオレエート及びsn-3位のパルミテートとを有する分子のいずれをも含む。
TAGプロファイル及び位置異性体を、高分解能質量分析計に接続した液体クロマトグラフィによって分析した。各脂質の割合を、蒸発光散乱検出器(ELSD)に接続した液体クロマトグラフィによって評価した。
Figure 2022533316000005
組成物試料において、最も豊富であった2種類のTAGは4:0-18:1-4:0及び18:1-18:1-4:0であり、これらは合わせて約40~50g/100gであった。
実施例2-ブチレート部分含有トリグリセリドの臭気特性
ブチレート部分含有TAGを含む溶液(主にオレイン酸脂肪酸及び酪酸脂肪酸で構成される)の臭気比較を、酪酸ナトリウムを含有する溶液と比較した。
サンプル調製
ブチレート部分含有TAG(実施例1を参照)又は酪酸ナトリウムを含む溶液を調製し、官能パネルに渡すまで4℃で保存した。各250mLの溶液は、600mgの酪酸(栄養補助食品として市販の酪酸ナトリウムの1カプセルに相当;2.4mg/mLの濃度)と、1%w/vのBEBA Optipro 1乳児用フォーミュラとを、酸性化した脱イオン水中に含んだ。
試料は、試験前日に各溶液(TAG酪酸溶液;酪酸ナトリウム溶液)4mLをAgilent社製バイアルに入れて調製した。
方法
「2対5点試験」を行った。この試験では、パネリストに5つの試料を提示する。パネリストに、他の3つと異なる2つの試料を特定するよう指示する。提示順序によるバイアスを回避するために、試料の提示順序を無作為化する。
2対5点試験に加えて、コメント欄をパネリストに示し、知覚された差の性質(例えば、臭気強度、臭気の質)についてコメントさせた。
結果
5つの試料を、パネリストに同時に提示した。パネリストには、所定の順序でキャップを外し、匂いを嗅ぎ、次いで各々のバイアル瓶にキャップすることを依頼した。結果を表2に示す。
Figure 2022533316000006

P値については、Fizzソフトウェア(Biosystems,France)により行った二項検定を用いて計算した。
正しい返答(ナトリウムブチレートとは異なるブチレート部分含有TAG)の区別のついたパネリストによると、ナトリウムブチレートは「チーズ」の匂いがした一方で、ブチレート部分含有TAG試料については、この「チーズ」の匂いは大きく減少しており、臭気にはほとんど癖がないと説明された。
実施例3.ブチレート部分含有トリグリセリドの味覚特性
主にオレイン酸及び酪酸脂肪酸で構成されるブチレート部分含有TAG(実施例1を参照)を含む溶液の官能ベンチマーキングを、トリブチリンを含有する溶液と比較して実施した。
試料調製
最終体積が150mLになるよう、大さじ1杯(4.6g)のBEBA Optipro1乳児用フォーミュラを、温水(説明書のとおりに冷ました沸騰水)に添加した(約3重量/体積%の溶液)。各TAG形態のブチレートを別々に秤量して600mgのブチレートを準備し、各溶液の最終体積が50mLになるよう乳児用フォーミュラを添加した。
溶液Aには、ブチレート部分含有TAG(実施例1を参照)を含有させた。溶液Bには、トリブチリンを含有させた。
方法
パネリストのグループは、内容を伏せたテイスティングを反復して行った。
予備的苦味評価の直前に試料を調製し、それぞれの溶液を激しく振盪した。A及びBと表記したテイスティング用カップに、それぞれの溶液を同時に少量で充填した。
この2つの試料をパネリストに同時に提示した。パネリストには、口に含んでは吐き出すという様式で溶液をテイスティングし、知覚した苦味を0~10のスケール[0では苦味を知覚せず、10では想像可能な中で最大の苦味に類するように感じられる]で評価するよう依頼した。
結果
溶液Aの苦味について、パネリストは、平均±SDで、4.33±1.52であると評価した。
溶液Bの苦味について、パネリストは、平均±SDで、8.33±1.52であると評価した。
これらのデータは、乳児用フォーミュラ中のブチレート部分含有TAG組成物は、乳児用フォーミュラ中のトリブチリンと比較して苦味が顕著に低かったことを示す。
実施例4.1,3-ジブチリル-2-パルミトイルグリセロールの味覚特性
1,3-ジブチリル-2-パルミトイルグリセロール(BPB)を、以下の合成を用いて単一の化合物として合成した。
Figure 2022533316000007
BPBを記述型官能パネル評価で評価したところ、味及び臭気においてクセがないことが判明した。
実施例5.ブチレート部分含有トリグリセリドの消化
5.1 エマルジョン調製
0.3重量%のポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標)80)で安定化した10重量%の水中油型エマルジョンを、Tween 80を40℃で油相に混合し、次いで水相と混合することによって調製した。次いで、超音波プローブホモジナイザーを使用してエマルジョンを作製した。
5.2 粒度測定
Malvern Instruments(Malvern(Worcestershire,United Kingdom))製のHydro SMを備えたMastersizer 3000を用いるレーザー光散乱によって、各々の脂質エマルジョンの液滴サイズを測定した。エマルジョンの粒径を、2つの値、すなわち、体積表面平均直径D3,2(D3,2 1/4 Pnidi 3/nidi 2)又は体積長さ平均直径D4,3(D4,3 1/4 Pnidi 4/nidi 3)として見積もる。2つの新たに調製したエマルジョンを3回測定した値の平均を、エマルジョンの粒径の結果とする。
5.3 インビトロでの消化
200mgの脂肪を含有する脂質エマルジョン(2mL)を、インビトロでの胃腸脂肪分解に供した。TIM 856 bi-burette pH-STAT(Radiometer Analytical(France))によって制御したpH-STAT組立体において、サーモスタット付きガラス容器(37℃)内で消化を行った。胃消化のために、試料を、150mMのNaCl、450U/mLのペプシン、18U/mLのウサギ胃リパーゼからなる、8.5mLの模擬胃液(SGF)とともに、37℃及びpH5.5で90分間インキュベートした。18U/mL(TBU、トリブチリンに対する活性をpH5.4で評価した値)のウサギ胃リパーゼを添加することにより、消化を開始した。
NaOHを添加することでpHを6.8で一定に維持したpH-STAT内で、腸内消化工程を実施した。胆汁塩混合物(トリス緩衝液で調製した胆汁塩)及びカルシウム溶液(20mM Ca、176.5mMトリス、150mM NaCl)をSGF試料混合物に添加した。この混合物をpH-STATに移し、pHを約6.78に調整した。温度が37±0.5℃に達したら、腸消化ステップを開始する。pHをpH6.8に調節し、このpH及び温度で2分間インキュベートした後、パンクレアチン溶液を添加した。腸液の最終組成は、10mMのCaCl、12mMの混合胆汁塩、0.75mMのリン脂質、150mMのNaCl、及び4mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液とした。腸消化ステップを、Radiometer製の滴定マネージャにおいて3時間行った。腸消化段階の間、pH-STAT(TIM856、Radiometer)の手法を用いて消化速度を追跡し、次式によって計算した(脂肪酸ではなく)滴定可能な酸として表した。
TA=VNaOH×0:05×1000
TA:放出された滴定可能な酸の全量、mmol、VNaOH:3時間のうちに放出された酸を滴定するため使用したNaOHの体積、mL。
5.6 結果
食物脂質の消化には、胃及び腸のどちらに由来するリパーゼも関与することから、2つの消化モデル、i)ブタ膵臓リパーゼ(PPL)による模擬腸液(SIF)、及びii)ウサギ胃リパーゼ(RGL)による模擬胃液(SGF)に続いてブタ膵臓リパーゼ(PPL)による模擬腸液(SIF)における連続消化を用いて、脂質消化度を評価した。全ての脂質は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween(登録商標)80)による乳化を受け、同様の粒度分布及び比表面積を有していた(図2)。このことは、消化の差異が主にトリグリセリドの分子構造から生じていることを意味する。
図1A~Cのi)は、トリブチリン(C4)、高オレイン酸ヒマワリ油(HOSFO、大部分がC18:1)、及びトリブチリンと高オレイン酸ヒマワリ油との間の化学的エステル交換(実施例1を参照)によって作製した本発明によるブチレート部分含有トリグリセリド「C4-C18:1」の、混合した胆汁及びカルシウムの存在下での、ブタ膵臓リパーゼ(脾臓由来)による消化(SIFモデル)を示している。脂質は、概ね、同じ脂肪分解挙動を示し、最初の15分間に初期急速脂肪分解期間があり、この脂肪分解は、模擬腸消化の最後の2.5時間の間に次第に遅くなる。C4トリグリセリドは、初期最大速度223±59μmol/分の脂肪分解を示した。高オレイン酸ヒマワリ油での初期脂肪分解速度、34.5±2.3μmol/分は、短鎖トリグリセリドのものよりも大幅に低かった(p<0.0001)。C4-C18:1は、C4とC18:1との間で153±47μmol/分の初期加水分解速度を示した。総合して、全てのトリグリセリドが、ブタ膵臓リパーゼの存在下で急速かつ十分に消化されることが分かる。
次に、これらのトリグリセリドを連続的SGF(RGL)SIF(PPL)モデルにより消化した。SIF部における消化を図1A~Cのii)に示す。対象とする脂肪酸のイオン化が限定的なものであることから、胃部における測定は行わなかった。SIF単独で消化した場合と比較して、C4及びC18:1トリグリセリドが3時間の消化中に放出した滴定可能な酸は、概ね少量であった。効果はトリブチリンで最大となり、トリブチリンは、SIF単独の223±59μmol/分と比較して、SGF-SIF消化中に大幅に低い(p<0.0001)初期脂肪分解速度44.1±8.8μmol/分を有する。トリブチリンのSGF-SIF消化後に放出された酸の総量、381±20μmolは、SIF単独での消化後に放出された量、958±12.5μmolのほぼ1/3である。これらの結果は、モデルの胃部内でのトリブチリンの消化が相当なものであることを明確に示している。
SGF及びSIFに連続して曝露した場合、ブチレート部分含有トリグリセリドC4-C18:1のSIF脂肪分解速度は、124±20μmol/分であり、SIF単独(124±20μmol/分)と比較してわずかに、但し大幅ではない減少を示している。最も興味深い観察としては、RGLへの事前曝露によって生じるSIF脂肪分解の減少には二次脂肪酸鎖長が影響する。元々、トリブチリンでは、SGF中でのRGLへの事前曝露後、SIF脂肪分解中に総脂肪酸放出量が60.2%(147±7.6μmol)減少した。比較すると、C4-C18:1エステル交換トリグリセリドでは、6.1%(45±7.6μmol)の減少を示した。
SIF及びSGF-SIFの両方の後の3つのトリグリセリドの全体的な脂質消化の程度を、直接滴定及び逆滴定を用い図2に示す。多くの脂肪酸はpH6.8では部分的にのみイオン化され、直接滴定では、脂質消化の程度の部分的な様子のみが得られることから、消化の程度について全体像を推定するためには、むしろpH11.5までの逆滴定又はGC-FAME分析が必要とされる。3つのトリグリセリドでの逆滴定の結果は、トリブチリン及びブチレート部分含有トリグリセリドC4-C18:1が、それぞれ101.5±0.9%及び101±1.6%消化されたことを示している。完全消化では1分子当たり3つの脂肪酸が放出されることを示し、他方、高オレイン酸ヒマワリ油は72.3±2%消化されたことを示し、完全消化では1分子当たり2つの脂肪酸が放出されることを示している。
概して、トリブチリンは胃において十分に加水分解され、他方、高オレイン酸ヒマワリ油トリグリセリドは、胃において非常に限定的に加水分解されたことが分かった。驚くべきことに、長鎖脂肪酸によるC4のエステル交換(C4-C18:1)によって作製したブチレート部分含有トリグリセリドにより、C4脂肪酸の胃脂肪分解の程度は減少することが分かった。トリブチリンは、SGF中でのRGLへの事前曝露後のSIF脂肪分解中の総脂肪酸放出量の減少によって示されるように、胃リパーゼにより約60%が脂肪分解された。比較すると、C4-C18:1ブチレート部分含有トリグリセリドは、SGF-SIFにおいて総脂肪酸放出量の6.1%の減少のみを示した。これらの結果から、長鎖脂肪酸(C4-C18:1)によるC4のエステル交換は、酪酸の放出を、胃内ではなく、消化後に腸において放出されるよう遅らせて調節すること、並びにこの構造をもたせる脂質デザインにより、短鎖脂肪酸が胃腸管に送達されるタイミング(但し、度合いではない)が変更されること、が示唆される。
上記明細書で言及した全ての刊行物は、本明細書に参照により組み込まれる。開示された本発明の方法、細胞、組成物、及び使用の、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することのない様々な修正及び変更が、当業者には明白であろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して開示されているが、特許請求される本発明は、このような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、本発明を実施するために開示されたモードの、当業者には自明である種々の変形例は、以下の特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。

Claims (15)

  1. 対象における心血管障害の予防又は治療に使用するための、次式を有する化合物又はこれらの組み合わせ。
    Figure 2022533316000008

    [式中、R、R、R、R、R、及びRは、独立して、16~20個の炭素を有する長鎖脂肪酸である。]
  2. 対象における心血管障害の治療又は予防に使用するための、次式を有する化合物又はこれらの組み合わせを含む、組成物。
    Figure 2022533316000009

    [式中、R、R、R、R、R、及びRは、独立して、16~20個の炭素を有する長鎖脂肪酸である。]
  3. 前記組成物が、式(1)を有する前記化合物、式(2)を有する前記化合物、式(3)を有する前記化合物、及び式(4)を有する前記化合物を含む、請求項2に記載の使用のための組成物。
  4. 式(1)を有する前記化合物、式(2)を有する前記化合物、式(3)を有する前記化合物、及び式(4)を有する前記化合物が、前記組成物のトリグリセリド全量の少なくとも50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%、又は99重量%を構成する、請求項2又は3に記載の使用のための組成物。
  5. 式(1)を有する前記化合物、式(2)を有する前記化合物、式(3)を有する前記化合物、及び式(4)を有する前記化合物が、前記組成物中のブチレート部分含有トリグリセリド全量の少なくとも50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%、又は99重量%を構成する、請求項2~4のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  6. トリブチリンが、前記組成物中のトリグリセリド全量の10重量%未満、好ましくは前記組成物中のトリグリセリド全量の8重量%未満、より好ましくは5重量%未満を構成する、請求項2~5のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  7. 前記組成物が、食物繊維を更に含む、請求項2~6のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  8. 前記組成物が、栄養組成物、ダイエタリーサプリメント、又はペットケア製品である、請求項2~7のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  9. 、R、R、R、R、及び/又はRが、不飽和脂肪酸であり、好ましくは一価不飽和脂肪酸である、請求項1に記載の使用のための化合物若しくはそれらの組み合わせ、又は請求項2~8のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  10. 、R、R、R、R、及び/又はRが、オレイン酸、パルミチン酸、若しくはリノール酸からなる群から選択され、好ましくは、R、R、R、R、R、及びRのそれぞれがオレイン酸である、請求項1若しくは請求項9に記載の使用のための化合物若しくはそれらの組み合わせ、又は請求項2~9のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  11. アテローム性動脈硬化、冠動脈性心疾患、心筋梗塞、狭心症、脳卒中、及び/又は心不全の治療又は予防に使用するための、請求項1、9若しくは10のいずれか一項に記載の使用のための化合物若しくはそれらの組み合わせ、又は請求項2~10のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  12. アテローム性動脈硬化の予防に使用するための、請求項11に記載の使用のための化合物若しくはそれらの組み合わせ、又は組成物。
  13. 請求項1若しくは9~12のいずれか一項に記載の化合物若しくはそれらの組み合わせ、又は請求項2~12のいずれか一項に記載の組成物の有効量を、ヒト対象又は動物対象に投与することを含む、心血管障害の治療又は予防の方法。
  14. 前記心血管障害が、アテローム性動脈硬化、冠動脈性心疾患、心筋梗塞、狭心症、脳卒中、及び/又は心不全からなる群から選択される、請求項13に記載の心血管障害の治療又は予防の方法。
  15. 前記化合物又はそれらの組み合わせが、酪酸、トリブチリン及び/又はブチレート塩と比較して改善された官能特性を有する、請求項1若しくは9~12のいずれか一項に記載の使用のための化合物若しくはそれらの組み合わせ、又は請求項2~12のいずれか一項に記載の使用のための組成物、又は請求項13若しくは14に記載の方法。

JP2021563183A 2019-05-21 2020-05-20 食品用ブチレート Pending JP2022533316A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP19175553 2019-05-21
EP19175553.7 2019-05-21
PCT/EP2020/064068 WO2020234348A1 (en) 2019-05-21 2020-05-20 Dietary butyrate

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022533316A true JP2022533316A (ja) 2022-07-22
JPWO2020234348A5 JPWO2020234348A5 (ja) 2023-05-16

Family

ID=66625823

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021563183A Pending JP2022533316A (ja) 2019-05-21 2020-05-20 食品用ブチレート

Country Status (8)

Country Link
US (1) US20220218647A1 (ja)
EP (1) EP3972421A1 (ja)
JP (1) JP2022533316A (ja)
CN (1) CN113840538A (ja)
AU (1) AU2020278825A1 (ja)
BR (1) BR112021020020A2 (ja)
CA (1) CA3135099A1 (ja)
WO (1) WO2020234348A1 (ja)

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DK161312C (da) 1982-03-11 1991-12-09 Pfizer Analogifremgangsmaade til fremstilling af 2-aminoalkoxymethyl-4-phenyl-6-methyl-1,4-dihydropyridin-3,5-dicarboxylsyreestere eller syreadditionssalte deraf samt phthalimidoderivater til anvendelse som udgangsmateriale ved fremgangsmaaden
US5684016A (en) 1984-04-12 1997-11-04 Hoechst Aktiengesellschaft Method of treating cardiac insufficiency
US5662953A (en) * 1989-09-20 1997-09-02 Nabisco, Inc. Reduced calorie triglyceride mixtures
US20040086621A1 (en) * 2002-11-06 2004-05-06 Kraft Foods Holdings, Inc. Reduced calorie fat
CA2514921C (en) 2003-01-31 2013-04-30 Sankyo Company, Limited Combined use of olmesartan medoxomil and azelnidipine or amlodipine for the treatment of arteriosclerosis and hypertension
ITFI20050024A1 (it) * 2005-02-14 2006-08-15 Fernando Cantini Lipidi per l'alimentazione degli animali
EP2167681B1 (en) 2007-07-03 2013-01-16 Joslin Diabetes Center, Inc. Treatment of cardiovascular disease with salicylates
ES2655367T3 (es) * 2008-08-21 2018-02-19 Oxford University Innovation Limited Bebida que comprende éster de hidroxibutirato y uso médico de la misma
US20110077300A1 (en) * 2009-03-26 2011-03-31 Jianping Ye Metabolic Benefits to Butyrate as a Chronic Diet Supplement
CN102366413A (zh) * 2011-10-10 2012-03-07 上海交通大学 三丁酸甘油酯在制备治疗心血管疾病药物中的用途
CN104862351B (zh) * 2015-05-06 2018-04-17 江南大学 一种含共轭亚油酸的低热量结构脂质的制备方法及应用

Also Published As

Publication number Publication date
CN113840538A (zh) 2021-12-24
AU2020278825A1 (en) 2021-10-21
WO2020234348A1 (en) 2020-11-26
EP3972421A1 (en) 2022-03-30
BR112021020020A2 (pt) 2021-12-07
US20220218647A1 (en) 2022-07-14
CA3135099A1 (en) 2020-11-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2016535036A (ja) 消化不良の処置における使用のためのモノアシルグリセロール及び脂溶性栄養素
JP2021525227A (ja) 食品用ブチレート
JP2022533316A (ja) 食品用ブチレート
JP2022533315A (ja) 食品用ブチレート
JP2010229099A (ja) 脂質異常症の改善または治療薬
WO2013005834A1 (ja) 高純度epaを含有する抗肥満剤
Tamargo et al. Pharmacokinetics and safety profile of omega-3 polyunsaturated fatty acids
US20220218646A1 (en) Dietary butyrate and its uses
US20220241236A1 (en) Dietary butyrate and its uses
US20220195332A1 (en) Dietary butyrate and its uses
US20220195331A1 (en) Dietary butyrate and its uses
US20220226273A1 (en) Dietary butyrate and its uses
US20230102803A1 (en) Dietary butyrate and its uses
JP2016535037A (ja) 非機械的基礎を有する吸収不良の処置における使用のためのモノアシルグリセロール及び脂溶性栄養素
US20050154059A1 (en) Method of treating type III hypersensitive reaction-related diseases and conditions by using conjugated linoleic acid

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230508

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230508

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240426

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240507