JP2022530192A - プラスミドシステム - Google Patents

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Abstract

プラスミドシステム本発明は組み換えAAV(rAAV)ベクターを産生するための2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミド、および/またはベクタープラスミドに関する。本発明はさらに、本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドおよび/またはベクタープラスミドの、使用方法、または使用に関する。【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は、組み換えアデノ随伴ウイルス(組み換えAAV:rAAV)ベクター作製のための2-プラスミドシステム(two-plasmid system)、ヘルパープラスミド、および/または、ベクタープラスミドに関する。本発明はさらに本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドおよび/またはベクタープラスミドの、使用方法、または使用に関する。
発明の背景
リコンビナントアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターは、その有望で安全なプロファイルおよびイン・ビボにおいて多くの組織に対する形質転換における可能性から、遺伝子治療において大きな可能性を有する。しかしながら、作製はいまだかなり困難で複雑であり、工業規模における作製のスケールアップは、限定された限度においてしか成し遂げられていない。このひとつの理由はrAAVの作製が生産的なライフサイクルを伝播させ、構築させることがヘルパーウイルスとの重複感染に依拠するからである。rAAVを作成するために、アデノウイルス等の自立増殖性のヘルパーウイルスを細胞に感染させることは、rAAVのストックがヘルパーウイルスに汚染される、複製過程の下流において、検証されたウイルス除去ステップを必要とする、という短所を有する。
この理由から、アデノウイルスの重複感染を用いることは、いくつかの他のプラスミドと共にトランスフェクションされるAAVのRepおよびCap機能を有するプラスミド上、および産生されるウイルス粒子において異種核酸のパッケージングを確実なものにする末端逆位配列(ITR配列)に隣接されるrAAV「ベクターゲノム」、すなわち当該rAVVの遺伝的「ペイロード(payload)」を含む異種の核酸上、にある適切なアデノウイルスのヘルパー機能、を提供するこによって一般的に回避されている。例えば、Emmerling et al(2016)の3.1.2節は、Rep、Capおよびアデノウイルスのヘルパー機能が、4つめのプラスミド上にあるベクターゲノムとともに、それぞれ別のプラスミドによって提供される、4‐プラスミドシステムを記載する。プラスミド合成は主要な商品原価を左右するものであり、4つのプラスミドの使用‐それらのすべてはrAAV作製を行うために同一の細胞にいれる必要がある‐は効率および経済的な観点からの短所である。
Emmerling et al(2016)の3.1.3節において、Rep、Capおよびベクターゲノムを含む1つのプラスミドと、2つ目のプラスミド上で提供されるアデノウイルスの機能とが共にある、2‐プラスミドシステムが記載されている。この点において、腫瘍溶解性のウイルスまたは遺伝子を伝達するベクターに対する、ウイルスを基とした生産物の安全性に関する薬剤規制機関の主要な関心事が、初期物質上の遺伝情報の組み込みによる野生型様の復帰変異株の産生、例えば、プラスミドを用いた細胞作製におけるトランスフェクションにおける、この情報の集合的な導入など、であるという点であることに注目する必要がある。プラスミド間の組み換えは、いわゆる自立増殖性(自立増殖性:rc)ウイルスの誘発をもたらしうる(AAVの場合においては、自立増殖性AAV(自立増殖性AAV:rcAAV)。repおよびcapが同一のプラスミド上に存在している場合では、分子外または分子内(ITR‐異種核酸‐ITRを伝達するプラスミドによる)の組み換えによって産生されるrcAAVが許容できない量になるというリスクがある。
このようなプラスミドの結合は、異なったベクターゲノム(すなわち目的の異種遺伝子:導入遺伝子カセット)、または異なった組織親和性が求められている場合において望まれうる異なったカプシド血清型(セロタイプ)(すなわち異なったcap遺伝子)、をスイッチすることが望まれる場合においても経済的に副次的に最適なものである。いずれの場合においても、新しい(Rep‐Cap‐ベクターゲノム)プラスミドが合成される必要があり、各合成のコストは、(変化しない)rep遺伝子が寄与するプラスミドの長さの役割の一部である。
臨床試験および市場における供給に対する、rAAVベクターという物質の現在の需要を満たすためには、(a)規制の要求に応えるための、ベクターの品質における需要におけるrAAVベクターの安全性および高い品質という特性の改良;(b)製造活動間の切り替えコストやある特定の製造活動のための原料という点におけるrAAVベクターの製造の経済面の改良;(c)高いrAAV作製収量;および(d)完全な組み換えベクターゲノムを含む(「完全な」)か、組み換えベクターゲノムを有さない(「空の」)、rAAV粒子を生産する比率をコントロールする、という更なる目標がいまだに達成されていない。
発明の要旨
本発明はrAAVを製造するための2-プラスミドシステムに関し、少なくともアデノウイルスヘルパー遺伝子機能の一部が一つのプラスミド上のAAVのrepと結合しており、AAVのcapが二つ目のプラスミド上にあるrAAVベクターゲノムと結合している。当該‘トランススプリット Rep-Cap’ 2-プラスミドシステムは、本明細書において開示するような驚くべき別の長所に加えて、より単純で柔軟性のある構成の結果である改善された経済性と、安全性および高い品質という特性の促進とを結びつけることを成し遂げた点において、既知のシステムより優れている。
したがって、本発明の1つ目の側面においては、ヘルパープラスミドおよびベクタープラスミドを含む2-プラスミドシステムが提供され、ここで、前記ヘルパープラスミドは少なくとも一つの機能的なRepタンパク質をコードする少なくとも一つのrep遺伝子を含み、機能的なCapタンパク質をコードするcap遺伝子を含まない。
本発明の2つ目の側面においては、ヘルパープラスミドおよびベクタープラスミドを含む2-プラスミドシステムが提供され、ここで、前記ヘルパープラスミドは少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子を含み、機能的なCapタンパク質をコードするcap遺伝子を含まず、かつ前記少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子は、前記プラスミド中の、配列番号4の全長または少なくとも6000、少なくとも7000、もしくは少なくとも8000のヌクレオチド長である配列番号4の断片と、(一本の鎖において)少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%の相同性を有する連続した領域に含まれる。
さらに、本発明は本発明の2-プラスミドシステムにおいて用いられるためにデザインされたヘルパープラスミドおよびベクタープラスミドに関する。
したがって、本発明の3つ目の側面においては、少なくとも一つの機能的なRepタンパク質をコードする少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子を含み、かつ機能的なCapタンパク質をコードするcap遺伝子を含まない、ヘルパープラスミドが提供される。
同様に、本発明の4つ目の側面においては、少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子を含み、機能的なCapタンパク質をコードするcap遺伝子を含まず、前記少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子が、前記プラスミド中の、配列番号4の全長または少なくとも6000、少なくとも7000、もしくは少なくとも8000のヌクレオチド長である配列番号4の断片と、(一本の鎖において)少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%の相同性を有する連続した領域に含まれる、ヘルパープラスミドが提供される。
さらに、本発明の5つ目の側面においては、以下:
(a)少なくとも一つの機能的なCapタンパク質をコードするcap遺伝子;または
(b)少なくとも一つのcap遺伝子プロモーター、前記cap遺伝子プロモーターに作動可能に結合されたクローニングサイト、および少なくとも一つのITRと隣接する発現カセット
を含むベクタープラスミドであって、
機能的なRepタンパク質をコードするrep遺伝子および少なくとも一つの発現調節因子に作動可能に結合された導入遺伝子を含む発現カセットを含まない、ベクタープラスミドが提供される。
本発明の6つ目の側面においては、本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミド、またはベクタープラスミドを含む宿主細胞が提供される。
本発明はrAAV調製物の製造における、そのような2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドおよびベクタープラスミドの使用にも関する。本発明のプラスミドは、低レベルのrcAAVを有するrAAV調製物を取得するため、全粒子に対する完全粒子の所望の比を有するrAAV調製物を取得するため、および/または高い収率もしくは所望の収率でrAAV調製物を取得するために用いられてもよい。
本発明の7つ目の側面においては:
(a)低レベルの自立増殖性AAV(rcAAV)を有するrAAV調製物を産生するための;
(b)全粒子に対する全粒子に対する完全な粒子の所望の比を有するrAAV調製物を産生するための;および/または
(c)高い収量または所望の収量であるrAAV調製物を産生するための
本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミド、またはベクタープラスミドの使用を提供する。
本発明の8つ目の側面においては、本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミド、またはベクタープラスミドの:
(a)rAAVの作製における自立増殖性AAV(rcAAV)のレベルを減少、または最小化する;
(b)rAAVの作製における偽野生型自立増殖性AAV(rcAAV)のレベルを減少、または最小化する;
(c)rAAVの作製における、全粒子に対する完全な粒子の比を調節または最大化する;および/または
(d)rAAV作製におけるrAAVの収量を増加させ、最適化させ、または最大化させる
ための使用が提供される。
本発明の9つ目の側面においては、rAAV調製物を産生するための方法であって:
(a)本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミド、またはベクタープラスミドを取得すること;
(b)本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミド、またはベクタープラスミドで宿主細胞をトランスフェクションすること;および
(c)rAAV作製に適した環境下において宿主細胞を培養すること
を含む方法が提供される。
本発明の10個目の側面においては、rAAV作製において産生される自立増殖性AAV(rcAAV)の量を減少または最小化するための方法であって:
(a)本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミド、またはベクタープラスミドを取得すること;
(b)本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミド、またはベクタープラスミドで宿主細胞をトランスフェクションすること;および
(c)rAAV作製に適した環境下において宿主細胞を培養すること
を含む方法が提供される。
本発明の11個目の側面においては、rAAV作製における全粒子に対する完全な粒子の比の割合を調節しまたは最大化するための方法であって:
(a)本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミド、またはベクタープラスミドを取得すること;
(b)本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミド、またはベクタープラスミドで宿主細胞をトランスフェクションすること;および
(c)rAAV作製に適した環境下において宿主細胞を培養すること
を含む方法が提供される。
本発明の12個目の側面においては、rAAV作製におけるrAAVの収量を増加させ、最適化させ、または最大化させるための方法であって:
(a)本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミド、またはベクタープラスミドを取得すること;
(b)本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミド、またはベクタープラスミドで宿主細胞をトランスフェクションすること;および
(c)rAAV作製に適した環境下において宿主細胞を培養すること
を含む方法が提供される。
本発明の13個目の側面においては、本発明の方法によって取得することができるrAAVの調製物が提供される。
本発明の14個目の側面においては、本発明の方法によって取得することができるrAAVの調製物が提供される。
本発明の15個目の側面においては、rAAV作製における偽野生型自立増殖性AAV(rcAAV)のレベルを減少させ、また最小化させるため方法であって:
(a)本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミド、またはベクタープラスミドを取得すること;
(b)本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミド、またはベクタープラスミドで宿主細胞をトランスフェクションすること;および
(c)rAAV作製に適した環境下において宿主細胞を培養すること
を含む方法が提供される。
図の説明
図1は、重複しているrepおよびcap(VP1-3)の転写産物ならびにp5、p19およびp40プロモーターの位置を示す、野生型のAAVゲノムの模式図を提供する。ITR =末端逆位配列(inverted terminal repeat)。 図2は実施例1において記載されたのと同様の、構築されたp5、p19およびp40プロモーターを含んでいるrep遺伝子の挿入が示されているヘルパープラスミドの模式図を提供する。「p40」を消すバツ印は、これらのプロモーターは機能を発揮しないことを示している。rep 52/40遺伝子の斜線部は、rep 52の転写産物をスプライシングするが、rep 40の転写産物はスプライシングで切り出すイントロン配列の存在を示している。Ori =細菌の複製起点。KanR = カナマイシン耐性遺伝子。それぞれのプラスミドの特徴はスケールでは表されていないことに注意。 図3は、cap遺伝子およびp5、p19およびp40プロモーターを含む上流プロモーター領域が示されている差し込み図を含む、実施例1において記載されたように構築されたベクタープラスミドの模式図を提供する。「ATG」および「GTG」を消すバツ印は、これらの潜在的な翻訳開始コドンが欠失していることを示す。Ori = 細菌の複製起点。KanR = カナマイシン耐性遺伝子。ITR = 末端逆位配列。それぞれのプラスミドの特徴はスケールでは表されていないことに注意。 図4-1は:(A)cap遺伝子およびITRに隣接した、中に発現カセットをクローニングするためのマルチプルクローニングサイトを含む;(B)cap遺伝子、および中にITR-に隣接した発現カセットクローニングするためのマルチプルクローニングサイトを含む;(C)ITRに隣接した発現カセット、ならびに、p5、p19およびp40プロモーターを含むプロモーター下流領域に、中にcap遺伝子をクローニングするためのマルチプルクローニングサイトを含む;ベクタープラスミドの具体例を示す模式図を提供する。 図4-2は:(D)中に発現カセットをクローニングするためのITRに隣接したマルチプルクローニングサイト、および、p5、p19およびp40プロモーターを含むプロモーター下流領域に、中にcap遺伝子クローニングするためのほかのマルチプルクローニングサイトを含む;(E)ITRに隣接した発現カセットを中にクローニングするためのマルチプルクローニングサイトおよび、p5、p19およびp40プロモーターを含むプロモーター下流領域に、中にcap遺伝子をクローニングするためのほかのマルチプルクローニングサイトを含む、ベクタープラスミドの具体例を示す模式図を提供する。 図5は、実施例2で記載されたのと同様の、産生されたrAAVの解析およびアッセイの結果を提供する。(A)一定のトータルプラスミドDNAレベルでの、様々なヘルパープラスミド:ベクタープラスミドの比における、抗カプシド ELISAによって測定された本発明の2-プラスミドシステムを用いて産生されたrAAVの、mlあたりの粒子力価。「non-split」=同一のプラスミド上にRepおよびCap機能を有し、AdVヘルパー発現カセット:rep-capのプラスミド比が1.6:1において用いられた2-プラスミドシステム。「Ctrl」= ネガティブコントロール:ベクタープラスミドの代わりにpUC19がトランスフェクトされたヘルパープラスミド。(B)(A)のrAAVサンプル中の発現カセットのプロモーター中の配列を増幅させるqPCRによって測定された、mlあたりのベクターゲノム(vg)。注:1.0E+12 = 1.0x1012。エラーバーはサンプルの三重解析における標準偏差を示す。 図5は、実施例2で記載されたのと同様の、産生されたrAAVの解析およびアッセイの結果を提供する。(C)全粒子(Aからの)に対するvgの比(Bからの)の比であって、「完全な粒子の%」、すなわち、粒子数のパーセンテージとしてのvgの数、としてあらわされる。 図6は、さまざまなrAAVの一群におけるrAAVの定量を提供する。同一の(第IX因子をコードする)導入遺伝子カセットを含む3つの異なった一群のrAAVがrcAAVに関連して解析された。実施例3はそれらの群がどのように解析されたかを記載する。 図7は収量の調節およびプラスミド比の調節による全粒子に対する完全な粒子の比をあらわす。6つの異なったプラスミド比がrAAV作製における本発明の2-プラスミドシステムに対してテストされた。当該プラスミドモル比は3:1、1.8:1、1:1.5、1:2、1:3および1:5である。これらは当該倍率変化を算出した、図5について行われた実験からの結果からの抜粋である。倍率変化はヘルパープラスミド:ベクタープラスミドのモル比3:1に関したものである。(A)ウイルス(ベクター)ゲノム収量は導入遺伝子カセット特異的qPCRによって決定された。(B)カプシド収量はカプシド特異的ELISAによって決定された。(C)全粒子に対する完全な粒子の比はqPCRおよびELISAの結果によって算出された。 図8は、以下について示している。(A)本発明の2-プラスミドパッケージングシステムにおける4つの異なった導入遺伝子についてのウイルス(ベクター)ゲノム収量。4つの異なった導入遺伝子(第IX因子[FIX]、α-ガラクトシダーゼA [GLA]、β-グルコセレブロシダーゼ[GBA]および第VIII因子 [FVIII])がrAAV パッケージングのために用いられた。2回の独立したパッケージング実験がそれぞれの導入遺伝子について行われた。収量は導入遺伝子 カセット特異的qPCRsを用いて定量された。それぞれのヘルパープラスミド:ベクタープラスミドの比はGBA導入遺伝子およびFVIII導入遺伝子を背景にして比較され、GBAに対する結果は(B)から(D)であらわされ、FVIIIに対する結果は、(E)から(G)であらわされる。用いられた、ヘルパープラスミド:ベクタープラスミドのモル比は示されているように1:0.75、1:1.5、1:3および1:4.5である。ウイルス(ベクター)ゲノム収量は導入遺伝子カセット特異的qPCRによって決定された。カプシド 収量はカプシド特異的ELISAによって決定された。全粒子に対するベクターゲノムの比はqPCRおよびELISAの結果によって算出された。結果はヘルパープラスミド:ベクタープラスミドのモル比が1:0.75であるものに関する倍率変化として示されている。(H)はヘルパープラスミド:ベクタープラスミド比1:1.8および1:3を用いた、4つの異なった導入遺伝子(第IX因子[FIX]、α-ガラクトシダーゼA [GLA]、β-グルコセレブロシダーゼ[GBA]および第VIII因子 [FVIII])に対する、本発明の2-プラスミドパッケージングシステムにおける、ウイルス(ベクター)ゲノム収量を示す。収量は導入遺伝子カセット特異的qPCRを用いて定量された。結果は、ヘルパープラスミド:ベクタープラスミドモル比が1.8:1であるものに関する倍率変化として示されている。 図8は、以下について示している。(A)本発明の2-プラスミドパッケージングシステムにおける4つの異なった導入遺伝子についてのウイルス(ベクター)ゲノム収量。4つの異なった導入遺伝子(第IX因子[FIX]、α-ガラクトシダーゼA [GLA]、β-グルコセレブロシダーゼ[GBA]および第VIII因子 [FVIII])がrAAV パッケージングのために用いられた。2回の独立したパッケージング実験がそれぞれの導入遺伝子について行われた。収量は導入遺伝子 カセット特異的qPCRを用いて定量された。それぞれのヘルパープラスミド:ベクタープラスミドの比はGBA導入遺伝子およびFVIII導入遺伝子を背景にして比較され、GBAに対する結果は(B)から(D)であらわされ、FVIIIに対する結果は、(E)から(G)であらわされる。用いられた、ヘルパープラスミド:ベクタープラスミドのモル比は示されているように1:0.75、1:1.5、1:3および1:4.5である。ウイルス(ベクター)ゲノム収量は導入遺伝子カセット特異的qPCRによって決定された。カプシド 収量はカプシド特異的ELISAによって決定された。全粒子に対するベクターゲノムの比はqPCRおよびELISAの結果によって算出された。結果はヘルパープラスミド:ベクタープラスミドのモル比が1:0.75であるものに関する倍率変化として示されている。(H)はヘルパープラスミド:ベクタープラスミド比1:1.8および1:3を用いた、4つの異なった導入遺伝子(第IX因子[FIX]、α-ガラクトシダーゼA [GLA]、β-グルコセレブロシダーゼ[GBA]および第VIII因子 [FVIII])に対する、本発明の2-プラスミドパッケージングシステムにおける、ウイルス(ベクター)ゲノム収量を示す。収量は導入遺伝子カセット特異的qPCRを用いて定量された。結果は、ヘルパープラスミド:ベクタープラスミドモル比が1.8:1であるものに関する倍率変化として示されている。 図8は、以下について示している。(A)本発明の2-プラスミドパッケージングシステムにおける4つの異なった導入遺伝子についてのウイルス(ベクター)ゲノム収量。4つの異なった導入遺伝子(第IX因子[FIX]、α-ガラクトシダーゼA [GLA]、β-グルコセレブロシダーゼ[GBA]および第VIII因子 [FVIII])がrAAV パッケージングのために用いられた。2回の独立したパッケージング実験がそれぞれの導入遺伝子について行われた。収量は導入遺伝子 カセット特異的qPCRを用いて定量された。それぞれのヘルパープラスミド:ベクタープラスミドの比はGBA導入遺伝子およびFVIII導入遺伝子を背景にして比較され、GBAに対する結果は(B)から(D)であらわされ、FVIIIに対する結果は、(E)から(G)であらわされる。用いられた、ヘルパープラスミド:ベクタープラスミドのモル比は示されているように1:0.75、1:1.5、1:3および1:4.5である。ウイルス(ベクター)ゲノム収量は導入遺伝子カセット特異的qPCRによって決定された。カプシド収量はカプシド特異的ELISAによって決定された。全粒子に対するベクターゲノムの比はqPCRおよびELISAの結果によって算出された。結果はヘルパープラスミド:ベクタープラスミドのモル比が1:0.75であるものに関する倍率変化として示されている。(H)はヘルパープラスミド:ベクタープラスミド比1:1.8および1:3を用いた、4つの異なった導入遺伝子(第IX因子[FIX]、α-ガラクトシダーゼA [GLA]、β-グルコセレブロシダーゼ[GBA]および第VIII因子 [FVIII])に対する、本発明の2-プラスミドパッケージングシステムにおける、ウイルス(ベクター)ゲノム収量を示す。収量は導入遺伝子カセット特異的qPCRを用いて定量された。結果は、ヘルパープラスミド:ベクタープラスミドモル比が1.8:1であるものに関する倍率変化として示されている。 図8は、以下について示している。(A)本発明の2-プラスミドパッケージングシステムにおける4つの異なった導入遺伝子についてのウイルス(ベクター)ゲノム収量。4つの異なった導入遺伝子(第IX因子[FIX]、α-ガラクトシダーゼA [GLA]、β-グルコセレブロシダーゼ[GBA]および第VIII因子 [FVIII])がrAAV パッケージングのために用いられた。2回の独立したパッケージング実験がそれぞれの導入遺伝子について行われた。収量は導入遺伝子 カセット特異的qPCRを用いて定量された。それぞれのヘルパープラスミド:ベクタープラスミドの比はGBA導入遺伝子およびFVIII導入遺伝子を背景にして比較され、GBAに対する結果は(B)から(D)であらわされ、FVIIIに対する結果は、(E)から(G)であらわされる。用いられた、ヘルパープラスミド:ベクタープラスミドのモル比は示されているように1:0.75、1:1.5、1:3および1:4.5である。ウイルス(ベクター)ゲノム収量は導入遺伝子カセット特異的qPCRによって決定された。カプシド 収量はカプシド特異的ELISAによって決定された。全粒子に対するベクターゲノムの比はqPCRおよびELISAの結果によって算出された。結果はヘルパープラスミド:ベクタープラスミドのモル比が1:0.75であるものに関する倍率変化として示されている。(H)はヘルパープラスミド:ベクタープラスミド比1:1.8および1:3を用いた、4つの異なった導入遺伝子(第IX因子[FIX]、α-ガラクトシダーゼA [GLA]、β-グルコセレブロシダーゼ[GBA]および第VIII因子 [FVIII])に対する、本発明の2-プラスミドパッケージングシステムにおける、ウイルス(ベクター)ゲノム収量を示す。収量は導入遺伝子カセット特異的qPCRを用いて定量された。結果は、ヘルパープラスミド:ベクタープラスミドモル比が1.8:1であるものに関する倍率変化として示されている。 図9は、様々なcapセロタイプまたは合成capバリアントを用いたrAAV作製を示す。rAAVは同一のプラスミドモル比を、5つの異なったcapセロタイプ/合成capバリアント(当該遺伝子組み換えcap遺伝子、AAV-2、AAV-5、AAV-8またはAAV-9)および同一の導入遺伝子カセット用いて生成された。ウイルス(ベクター)ゲノム収量は導入遺伝子-カセット特異的qPCRによって決定された。 配列表。 配列表。 配列表。 配列表。 配列表。 配列表。 配列表。 配列表。 配列表。 配列表。 配列表。 配列表。 配列表。 配列表。 図11は、rcAAVを濃縮したものから単離されたDNAのサザンブロット解析を示す。サザンブロット解析はcap(A)およびrep(B)特異的なプローブでおこなわれた。ブロッティング前の、当該染色されたマーカーのバンドがある、対応するゲルの像が、当該ブロッティング上で検出されたバンドとのサイズ相関のために下に貼られた。 「rcAAV」:機能的なrepおよびcap遺伝子を含む4.7kbベクターゲノムを含む、自立増殖性AAVベクターの調製物が直接ゲルにロードされる。1×107および1×106 ゲノムコピーが感度のコントロールとしてロードされた。両者はゲルのそれぞれの端にロードされた。4.7kbのバンドは予測通り双方のプローブによって検出された。このサンプルは機能的なrepおよびcap遺伝子を含む、4.7kbである野生型ゲノムの長さも示す。 「ヘルパープラスミドからの断片」:ヘルパープラスミドP-150のBsrGI-HFおよびNdeIによる消化後の4.2kbのプラスミド断片がロードされ、特異性に係るコントロールとして供される、repプローブ(であってcapプローブではない)に対するシグナルのみを提供した。当該断片の1×107がロードされた。「ベクタープラスミドからの断片」:ベクタープラスミドP-160のApaLIおよびPvuI-HFの消化後における3.8kbのプラスミド断片がロードされ、特異的コントロールとして提供される、capプローブ(であってrepプローブではない)のみを提供した。当該断片の1×107がロードされた。「Split」:トランススプリット 2-プラスミドシステムを用いて生成されたrAAVを用いた2回の感染(rcAAVの濃縮のため)の後に単離されたAAVベクターゲノム。「濃縮されたsplit DNAサンプル」とも称される。実施例10において記載された前記cap配列に対するqPCRを用いて、capのコピー数が推定された。約2×107、4×107および6×107capコピーがブロット上にコピーされた。「Non-split」:non-split システムを用いて生成されたrAAVを用いて、2回の感染(rcAAVの濃縮のため)後に単離されたAAVベクターゲノム。「濃縮されたnon-split DNAサンプル」とも称される。実施例10において記載された前記cap配列に対するqPCRを用いて、capのコピー数が推定された。約5×107capのコピーがブロット上にロードされた。「感染後のrcAAV」:機能的なrepおよびcap遺伝子を載せた自立増殖性AAV(濃縮ポジティブコントロール)を用いて、2回の感染(rcAAVの濃縮のため)後に単離されたAAVベクターゲノム。機能的なRepおよびCapが存在する場合においては、rcAAVが生成されるということを当該アッセイを用いて示すコためのントロールとして、1×107ゲノムコピーがロードされた。約4.7kbのはっきりしたシグナルが検出された。“M” = Fluorescent High Range DNA ladder(イエナ バイオサイエンス):0.5、0.6、0.8、1.0、1.5、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、8.0、10.0kb。 図11は、rcAAVを濃縮したものから単離されたDNAのサザンブロット解析を示す。サザンブロット解析はcap(A)およびrep(B)特異的なプローブでおこなわれた。ブロッティング前の、当該染色されたマーカーのバンドがある対応するゲルの像が、当該ブロッティング上で検出されたバンドとのサイズ相関のために下に貼られた。 「rcAAV」:機能的なrepおよびcap遺伝子を含む4.7kbベクターゲノムを含む、自立増殖性AAVベクターの調製物が直接ゲルにロードされる。1×107および1×106 ゲノムコピーが感度のコントロールとしてロードされた。両者はゲルのそれぞれの端にロードされた。4.7kbのバンドは予測通り双方のプローブによって検出された。このサンプルは機能的なrepおよびcap遺伝子を含む、4.7kbである野生型ゲノムの長さも示す。 「ヘルパープラスミドからの断片」:ヘルパープラスミドP-150のBsrGI-HFおよびNdeIによる消化後の4.2kbのプラスミド断片がロードされ、特異性に係るコントロールとして供される、repプローブ(であってcapプローブではない)に対するシグナルのみを提供した。当該断片の1×107がロードされた。「ベクタープラスミドからの断片」:ベクタープラスミドP-160のApaLIおよびPvuI-HFの消化後における3.8kbのプラスミド断片がロードされ、特異的コントロールとして提供される、capプローブ(であって rep プローブではない)のみを提供した。当該断片の1×107がロードされた。「Split」:トランススプリット 2-プラスミドシステムを用いて生成されたrAAVを用いた2回の感染(rcAAVの濃縮のため)の後に単離されたAAVベクターゲノム。「濃縮されたsplit DNAサンプル」とも称される。実施例10において記載された前記cap配列に対するqPCRを用いて、capのコピー数が推定された。約2×107、4×107および6×107capコピーがブロット上にコピーされた。「Non-split」:non-split システムを用いて生成されたrAAVを用いて、2回の感染(rcAAVの濃縮のため)後に単離されたAAVベクターゲノム。「濃縮されたnon-split DNAサンプル」とも称される。実施例10において記載された前記cap配列に対するqPCRを用いて、capのコピー数が推定された。約5×107capのコピーがブロット上にロードされた。「感染後のrcAAV」:機能的なrepおよびcap遺伝子を載せた自立増殖性AAV(濃縮ポジティブコントロール)を用いて、2回の感染(rcAAVの濃縮のため)後に単離されたAAVベクターゲノム。機能的なRepおよびCapが存在する場合においては、rcAAVが生成されるということを当該アッセイを用いて示すコためのントロールとして、1×107ゲノムコピーがロードされた。約4.7kbのはっきりしたシグナルが検出された。“M” = Fluorescent High Range DNA ladder(イエナ バイオサイエンス):0.5、0.6、0.8、1.0、1.5、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、8.0、10.0kb。 図12は、濃縮されたnon-split DNAサンプル(「Non-split」)および濃縮されたsplit DNAサンプル(「Split」)に対する、プライマーペアO-108/109によって取得されたPCR増幅産物のアガロースゲル(1%)分離を示す。各PCR 反応物10μlがレーン毎にロードされた。NTC:鋳型なしのコントロール(鋳型DNAの代わりに水)マーカー(PeqLab):0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、5.0、6.0、8.0、10.0kb。 矢印は得られた主要な産物を示している:non-splitサンプルについて~3.5kb;splitサンプルについて、~3.5kbの薄い産物および~2.8kbの濃い産物。 図13は、プライマーペアs O-108/109(図12で示された実験の繰り返し)および濃縮されたDNA non-splitサンプル(“n.s.”)および濃縮されたDNA splitサンプル(“split”)に対してO-119/117によって取得されたPCR増幅産物のアガロースゲル(1%)分離を示す。O-108/109について約3.5kbおよびO-119/117について約4.1kbである、野生型に配置されたrep-capについての増幅産物の長さを示すため、ポジティブコントロールとして、プラスミドP-143についてもPCRが行われた。1レーンに各PCR 産物10μlがロードされた。右側のゲルはO-119/117プライマーペアを用いたPCR産物を含んだゲルの増幅図である。薄いバンドを可視化するため、ゲルがより長く露光された。白い矢印は、non-splitサンプルについて簡単に検出しうる、潜在的に機能を有するrep-capを含んだAAV分子種をあらわす、splitサンプルにおける、O-119/117のとても薄い産物を指す。NTC:対応したプライマーペアの、鋳型なしのコントロール(鋳型DNAの代わりに水)。マーカー(PeqLab):0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、5.0、6.0、8.0、10.0kb。 図14は、実施例8において記載されたプラスミドからの領域の模式図を提供する。当該模式図はRepおよびCapをコードするP-143 プラスミドからの領域と前記capをコードするベクタープラスミドP-160からの領域および前記Rep68、Rep40もしくはRep52をコードするヘルパープラスミドP-150の領域を整列させる。P-143 プラスミドおよびP-150ヘルパープラスミドには存在するが、P-160ベクタープラスミドには存在しない2つの配列領域が(縦割りの長方形によって強調される)がある。ベクタープラスミドの点線はP-143 プラスミドおよびヘルパープラスミドにはあるが、ベクタープラスミドには存在しない配列に対応する。プライマーペアO-108/109およびプライマーペアO-117/119がハイブリダイズする箇所が示される。capをコードする配列の中にリバースプライマーO-109およびO-117がハイブリダイズし、フォワードヘルパープラスミドおよびP-143 プラスミドには存在するが、ベクタープラスミド中には存在しないrep 配列領域の中に、プライマーO-119およびO-108がハイブリダイズする。プロモーター(p5、p19およびp40)が示される。「p40」を消すバツ印はこれらのプロモーターが機能のないものにされたことを示している。前記プラスミド間のクロス-ハッチングの一致パターンは相同配列を含む領域を示す。それぞれのプラスミドの特徴は縮尺通りに示されたものではないことに注意。 図15は、実施例8で記載された前記P-160ベクタープラスミドおよび前記P-150ヘルパープラスミドからの領域の概略図を提供する。前記プラスミド間のクロス-ハッチングの一致パターンは、相同配列を含む領域を示す。破線の斜線で示されたベクターおよびヘルパープラスミドのエリア間の相同組み換えが、前記示された相同組み換え産物をもたらす。相同組み換え産物において、示されたように、O-108/109プライマーペアを用いた増幅は約2.8kbの産物となり、O-119/117プライマーペアを用いた増幅は約3.5kbの産物となる。***でラベルされた各ボックスは、ヘルパープラスミドにおける、Rep68/40およびRep 52/40をコードする配列に存在するが、前記相同組み換え産物では失われている、rep遺伝子座の一部である。*でマークされたラインは、ベクタープラスミドに存在し、相同組み換え産物の大多数にも存在するが、専ら存在するわけではない変異をあらわす。**でマークされた3つのラインは前記ベクタープラスミドに存在し、前記相同組み換え産物にも存在する3つの変異をあらわす。プロモーター(p5、p19およびp40)は示される。「p40」を消すバツ印はこれらのプロモーターが機能のないものにされたことを示している。それぞれのプラスミドの特徴は縮尺通りに示されたものではないことに注意。 図16は、実施例8に記載されたP-160ベクタープラスミドおよびP-150ヘルパープラスミドからの領域の概略図を提供する。前記プラスミド間のクロス-ハッチングの一致パターンは、相同配列を含む領域を示す。斜線で示されるベクターおよびヘルパープラスミドの領域間の相同組み換えが、表示された相同組み換え産物とをもたらす。相同組み換え産物においては、示されるように、O-108/109プライマーペアを用いた増幅は約3.5kbの産物となり、O-119/117プライマーペアを用いた増幅は約4.1kbの産物となる。***でラベルされた各ボックスは、ヘルパープラスミドにおけるRep68/40およびRep52/40をコードする配列に存在するrep遺伝子座の一部であって、図15で示される相同組み換え産物からは失われているが、図16にある相同組み換え産物には存在する。*でマークされたラインは、前記ベクタープラスミドに存在する変異をあらわす。当該産物の存在量が少なかったために配列決定できなかったため、相同組み換え産物における変異の有無は確認することができなかった。**でマークされた3本の線は、ベクタープラスミドに存在する3つの変異を表している。当該産物の存在量が少なかったために配列決定できなかったため、相同組み換え産物における変異の存在の有無は決定することができなかった。プロモーターs(p5、p19およびp40)は示される。「p40」を消すバツ印、これらのプロモーターが機能のないものにされたことを示している。それぞれのプラスミドの特徴は縮尺通りに示されたものではないことに注意。
詳細な説明
全般の定義
特に記載しない限り、本明細書においてもちいられる技術的および科学的用語は、本発明が属する分野における当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。
全般的に、用語「含む(comprising)」は、含む(including)を意味するが、これに限定されない。例えば、語句「少なくとも一つのrep遺伝子を含むヘルパープラスミド」は、該ヘルパープラスミドが少なくとも一つのrep遺伝子を含むが、該ヘルパープラスミドはさらなる遺伝子等のさらなる構成要素を含み得ることを意味すると解釈されるべきである。
本発明におけるいくつかの実施形態において、「含む(comprising)」という単語は、「含む(consisting of)」または「本質的に含む(consisting essentially of)」という表現に置き換えられる。用語「含む(consisting of)」は限定されるということを意図している。例えば、「一つのrep遺伝子を『含む(consisting of)』ヘルパープラスミド」という表現は、当該プラスミドが一つのrep遺伝子を有していることおよびほかの遺伝物質を含まないことを意味していると理解されるべきである。同様に、「一つのrep遺伝子を『本質的に含む(consisting essentially of)』ヘルパープラスミド」という表現は一つのrep遺伝子を有していることおよび当該ヘルパープラスミドの機能に実質的に影響するほかの構成要件を含まないということを意味していると理解されるべきである。例えば、rep遺伝子を実質的に含む(consisting essentially of)ヘルパープラスミドはスペーサーのようなほかの遺伝物質を含んでいるかもしれないが、他のいかなる遺伝子をも含まない。
用語「タンパク質(タンパク質)」および「ポリペプチド(polypeptide)」は本明細書においては互換性のあるものとして用いられ、任意の長さのアミノ酸のポリマー鎖を指すことを意図している。
本発明の目的のために、二つの配列(例えば、二つのポリヌクレオチドまたは二つのポリペプチドの配列)の相同性を決定するために、当該配列は最適に比較する目的のために(例えば、第二の配列と最適なアラインメントをとるために、第一の配列に空白(ギャップ)が挿入される)アラインメントされる。各部位におけるヌクレオチドまたはアミノ酸はその後比較される。第一の配列におけるあるひとつの部位が、第二の配列における対応する部位と同じアミノ酸またはヌクレオチドである場合において、当該アミノ酸またはヌクレオチドはその部位において相同である。二つの配列間の配列一致度がこれらの配列により共有される同一な部位の数と相関する(換言すれば、配列一致度= 相同な部位の数/参照配列におけるすべての部位の数×100)。
典型的に配列比較は参照配列の長さに対して行われる。例えば、仮に使用者がある所定の配列(テスト配列)が配列番号1に対して95%相同であるかどうかを決定することを望むのならば、配列番号1は参照配列となる。ある所定の配列が配列番号1(参照配列の例)に対して少なくとも80%であるかどうかを評価するために、当業者が配列番号1に対するアラインメントを行い、テスト配列におけるいくつの部位が配列番号1に対して同一であるかを特定する。仮に当該部位の少なくとも80%が同一であれば、当該テスト配列は少なくとも配列番号1に対して少なくとも80%相同である。少なくとも当該位置の80%が同一であれば、テスト配列は少なくとも配列番号1に対して 80%同一である。仮に当該配列が配列番号1よりも短い場合、ギャップや欠失している部位は相同する部位ではないとみなすべきである。
当業者は二つの配列間における相同性または同一性を決定することができる種々のコンピュータプログラムを認識する。例えば、二つの配列間における配列比較および相同性の決定は、数学的なアルゴリズムを用いてなされうる。一の実施形態においては、Blosum 62 matrixまたはPAM250 matrix、およびGAPプログラムをAccelrys GCG software package(available at http://www.accelrys.com/products/gcg/)に組み込んだ、Needleman and Wunschアルゴリズム(1970)を用いて、二つのアミノ酸配列または核酸配列の間における相同性が決定される。一の実施形態において、2つのアミノ酸または核酸配列間の配列一致度は、Accelrys GCG software packageのGAP プログラム(http://www.accelrys.com/products/gcg/にて入手可能)に組み込まれたNeedleman and Wunsch(1970)アルゴリズムを用い、Blosum 62 マトリックスまたはa PAM250 マトリックスのいずれか、および16、14、12、10、8、6、または4のgap weight、および1、2、3、4、5または6の長さの重み(length weight)を用いて、決定された。
本明細書において、用語「プラスミド」は細胞の染色体とは独立に複製しうる核酸分子を示すことを意味する。用語「プラスミド」は環状核酸分子および直鎖状核酸分子を含むことを意味する。さらに、用語「プラスミド」はバクテリアプラスミドを含むだけでなく、コスミド(Cosmid)、ミニサークル(minicircle)(Nehlsen, K., Broll S., Bode, J.(2006), Gene Ther. Mol. Biol., 10:233-244;Kay, M.A., He, C.-Y, Chen, Z.-H.(2010), Nature Biotechnology, 28:1287-1289)、およびミニストリング(ministring)(Nafissi N, Alqawlaq S, Lee EA, Foldvari M, Spagnuolo PA, Slavcev RA.(2014), Mol Ther nucleotides, 3:e165)を含むことを意味する。前記プラスミドは環状の核酸分子であってもよい。当該プラスミドはバクテリア起源の核酸分子であってもよい。
用語「ヘルパー」は限定することを意図しない。したがって「ヘルパープラスミド」は以下のようないかなるプラスミドでもある:
(i)少なくとも一つの機能的なRepタンパク質をコードするrep遺伝子を含み、かつ機能的なCapタンパク質をコードするcap遺伝子を含まない;または
(ii)少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子を含み、かつ 機能的なCapタンパク質をコードするcap遺伝子を含まず、かつ配列番号4の全長、または少なくとも6000、少なくとも7000、もしくは少なくとも8000ヌクレオチドの長さである配列番号4の断片と、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の相同性を有する、当該プラスミドの連続した領域(stretch)において、少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子が含まれている。
用語「ベクタープラスミド」は限定することを意図しない。したがって、「ベクタープラスミド」は以下のようないかなるプラスミドでもある:
(i)本発明の2-プラスミドシステムにおけるヘルパープラスミドに即した使用に好適であり;または
(ii)以下を含む:
(a)少なくとも一つの機能的なCapタンパク質をコードするcap遺伝子;または
(b)少なくとも一つのcap遺伝子のプロモーター、遺伝子プロモーターと作動可能に連結されたクローニングサイト、および少なくとも一つのITR(末端逆位配列)と隣接する発現カセット(発現カセット)であって、ここで当該ベクタープラスミドは機能的なRepタンパク質をコードするrep遺伝子および少なくとも一つの制御調節因子(調節制御因子)と作動可能に接続された導入遺伝子を含む発言カセットを含まない。
用語「核酸分子」は任意の長さである核酸の多量体を示す。前記核酸分子はデオキシリボ核酸、リボ核酸、またはそれらのアナログであってもよい。好ましくは前記プラスミドはデオキシリボ核酸またはリボ核酸からなる。より好ましくは、前記プラスミドはデオキシリボ核酸からなり、換言すると前記プラスミドはDNA分子である。
用語「野生型(wild type)」および「野生型(native)」は同義語であり、AAVまたはアデノウイルスの株/血清型(セロタイプ)のゲノムに存在する遺伝子、またはAAVまたはアデノウイルスの株/血清型(セロタイプ)のゲノムに存在する遺伝子によりコードされたタンパク質を示す。
AAV作製アッセイ
AAV作製アッセイ
AAV作製アッセイにおいて、使用者は以下のように、所与の「テスト」プラスミドまたは2-プラスミドシステムが、「リファレンスプラスミド」または2-プラスミドシステムと同様のレベルで rAAVの産生に効率的かどうか決定しうる。
使用者は「リファレンスヘルパープラスミド」および「リファレンスベクタープラスミド」を含む、「リファレンス」2-プラスミドシステムを提供する。
例えば、使用者は、E2A、E4ならびにVA RNA IおよびIIをコードする野生型アデノウイルス 5のヘルパー遺伝子、すなわち配列番号2に含まれるアデノウイルスヘルパー遺伝子、を含む、リファレンスヘルパープラスミドを提供する。これらの遺伝子をコードする、配列番号2における前記核酸配列位置の詳細は、「少なくとも一つのウイルスヘルパー遺伝子」の項目において、より詳細に記載されている。ヘルパープラスミドは、Rep 40、Rep 52、Rep 68およびRep 78をコードする野生型rep遺伝子、および前記repプロモーター、p5、p19およびp40も含み、すなわち当該配列は配列番号1のヌクレオチド 200~2252に含まれる
使用者は、p5、p19およびp40、を含む、野生型cap遺伝子プロモーターに作動可能に結合された野生型cap遺伝子、すなわち配列番号1に含まれるcap遺伝子(配列番号1のヌクレオチド 5961~8171)、を含むリファレンスベクタープラスミドを提供する。ベクタープラスミドは導入遺伝子AAV2のITR、すなわち配列番号1のヌクレオチド1~145および4535~4679に含まれるITR、に隣接する導入遺伝子をさらに含む。
それから使用者は、「テストヘルパープラスミド」および「テストベクタープラスミド」を含み、リファレンス 2-プラスミドシステムに基づくが、使用者がテストしたい特徴と関連する一つの変化を有する「テスト」2-プラスミドシステムを提供する。例えば、使用者が所与のRepタンパク質が機能を有するかどうかを確認したい場合、使用者は当該「リファレンスヘルパープラスミド」の当該rep遺伝子をスワップアウトし、それを「テストヘルパープラスミド」を提供するために、テストRepタンパク質と置き換えることができる。
使用者はそれからリファレンス 2-プラスミドシステムおよびテスト2-プラスミドシステムがrAAVの産生を行うための能力を比較した。これをなすために、使用者はリファレンス 2-プラスミドシステムで、適切な宿主細胞の第一のセット(ヘルパープラスミドがE1A/B遺伝子を含むことを必要としないように、当該E1A/B遺伝子を発現するHEK293T細胞等)をトランスフェクトし、テスト 2-プラスミドシステムで同一の宿主細胞の二番目のセットをトランスフェクトし、およびAAV作製がおきるために適切な時間の間、宿主細胞をインキュベートする。リファレンス 2-プラスミドシステムおよびテスト 2-プラスミドシステムから産生されたAAV組み替え体の収量はそれから回収することができ、ベクターゲノムの数を定量するためにqPCRを用いて測定された。例えば、qPCRは、リファレンス 2-プラスミドシステムでトランスフェクトされた宿主細胞と比べテスト 2-プラスミドシステムでトランスフェクトされた宿主細胞において産生された、プロモーター 配列等当該ベクターゲノムの構成要素を含む、目的の核酸分子の数を決定するために使用することができる。代わりに、相対的な粒子の収量は、例えば、抗-カプシド ELISAによって決定されうる。
適切なAAV作製アッセイは実施例2において開示されている。
2-プラスミドシステム
本発明はヘルパープラスミドおよびベクタープラスミドを含む、2-プラスミドシステムを提供し、ここで前記ヘルパープラスミドは、少なくとも一つの機能的なRepタンパク質をコードする少なくとも一つのrep遺伝子を含み、機能的なCapタンパク質を、コードするcap遺伝子を含まない。
本発明はヘルパープラスミドおよびベクタープラスミドを含む、2-プラスミドシステム も提供し、ここで前記ヘルパープラスミドは少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子を含み、機能的なCapタンパク質をコードするcap遺伝子を含まず、前記少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子は、配列番号4の全長または配列番号4の少なくとも6000、少なくとも7000、もしくは少なくとも8000ヌクレオチド長の断片と少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%の相同性を有するプラスミドの隣接している領域において、含まれる。
必要に応じて、前記2-プラスミドシステムで用いられる前記ヘルパープラスミドおよび/または前記ベクタープラスミドは本発明のヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドである。必要に応じて、前記2-プラスミドシステムは、本発明のヘルパープラスミドおよびベクタープラスミドを含む。
前記2-プラスミドシステム rAAVの産生において有益である。必要に応じて、前記2-プラスミドシステムは、rAAVの産生における使用について適切である。前記2-プラスミドシステムはrAAVの産生のためのものであってもよい。前記2-プラスミドシステムは、遺伝子治療における使用について適切なrAAVの産生についてのものであってもよい。前記2-プラスミドシステムは、遺伝子治療における使用のためのrAAVの生産についてのものであってもよい。
「2-プラスミドシステム」という表現は2つのプラスミドを含み、rAAVを産生するために他のプラスミドの必要なしに用いられるシステムを示す。必要に応じて、前記2-プラスミドシステムは、アデノウイルス等のヘルパーウイルスの必要なしにrAAVの産生に用いられうる。必要に応じて、前記2-プラスミドシステムは宿主細胞に由来する遺伝物質の必要なしに、E1A/Bをコードする遺伝子を例外として、rAAVの産生に用いることができる。しかしながら、当該システムは他の非プラスミドである構成要素を含むことができる。必要に応じて、前記2-プラスミドシステムはヘルパーウイルスを含まないなくてもよい。本発明の2-プラスミドシステムはrAAVの作製に必要なすべての遺伝情報を含んでいてもよい。例えば、本発明の2-プラスミドシステムは少なくとも一つのrep遺伝子、少なくとも一つのcap遺伝子および少なくとも一つのヘルパー 遺伝子を含むことができる。本発明の2-プラスミドシステムは遺伝子治療における使用に適切なrAAVの作製に必要な遺伝情報のすべてを含んでもよい。例えば、本発明の2-プラスミドシステムは、少なくとも一つのrep遺伝子、少なくとも一つのcap遺伝子、少なくとも一つのヘルパー遺伝子、および少なくとも一つの制御調節因子に作動可能に結合された導入遺伝子を含む発現カセット、を含むことができる。しかしながら、実施形態において、本発明の2-プラスミドシステムは、機能的なcap遺伝子(rAAVの作製に必要とされる)および/または少なくとも一つの制御調節因子(遺伝子治療における使用について適切なrAAVの作製に必要とされる)に作動可能に結合された導入遺伝子を含む発現カセットを欠いていてもよい。
様々な遺伝病を治療するために、ベクタープラスミドのcap遺伝子および/または導入遺伝子を別のものと交換されうることは本発明の利点である。したがって、本発明の2-プラスミドシステムは機能的なcap遺伝子を除く、rAAVの作製に必要な遺伝情報のすべてを含んでいてもよく、このような実施形態において、本発明の2-プラスミドシステムはcap遺伝子のクローニングに適切なサイトを含んでいてもよい。このようなサイトはcap遺伝子プロモーターに隣接しているクローニングサイトを含んでいてもよい。cap遺伝子のクローニングに適切なサイトは、ベクタープラスミド上に存在することができる。必要に応じて、本発明の2-プラスミドシステムは機能的なcap遺伝子および導入遺伝子および調節制御因子を含む発現カセットを除き、遺伝子治療における使用のために適切なrAAVの作製のためのすべての必要な遺伝情報を含み、ここで、前記2-プラスミドシステムは、cap遺伝子中におけるクローニングのために適切なサイト(動作可能に接続されたcap遺伝子プロモーターおよびクローニングサイト、すなわち前記cap遺伝子プロモーターに隣接した)および発現カセット中におけるクローニングのために適切なサイト(1以上のITRが隣接したクローニングサイト等)を含む。必要に応じて、本発明の2-プラスミドシステムは、導入遺伝子および調節制御因子を含む発現カセットを除いて、遺伝子治療における使用のために適切なrAAVの作成のための、すべての必要な遺伝情報を含み、ここで前記2-プラスミドシステムは発現カセット中において(1以上のITRに隣接されたクローニングサイト等)クローニングに適切なサイトを含む。このような場合、cap遺伝子中のクローニングに適切なサイトおよび発現カセット中のクローニングに適切なサイトは、ベクタープラスミド上に存在しうる。必要に応じて、本発明の2-プラスミドシステムは、前記ベクタープラスミドおよび前記ヘルパープラスミドの間で分離された、以下の構成要素を含む:
-少なくとも一つの機能的なRepタンパク質をコードする、少なくとも一つのrep遺伝子;
-少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子;
-少なくとも一つの機能的なカプシドタンパク質またはcap遺伝子プロモーターをコードするcap遺伝子、および当該cap遺伝子プロモーターに作動可能に結合されたクローニングサイト;
-少なくとも一つのITR;および
-少なくとも一つの調節制御因子に作動可能に結合された導入遺伝子を含む発現カセット、またはその一方の側においてITRにより隣接された(すなわちITRと隣接した)発現カセットにおいてクローニングに適切なサイト。
前記ベクタープラスミドは以下を含むことができる:
(a)少なくとも一つの機能的なCapタンパク質をコードするcap遺伝子;または
(b)少なくとも一つのcap遺伝子プロモーター、前記cap遺伝子プロモーターに作動可能に結合されたクローニングサイト、およびITRの少なくとも一方に配置される発現カセット;
ここで前記ベクタープラスミドは、機能的なRepタンパク質をコードするrep遺伝子を含まず、および前記発現カセットは少なくとも一つの調節制御因子作動可能に結合された導入遺伝子を含む。
前記ヘルパープラスミドは以下を含むことができる:
(a)少なくとも一つの機能的なRepタンパク質をコードする、少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子を含み、機能的なCapタンパク質をコードするcap遺伝子を含まず;または
(b)少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子を含み、機能的なCapタンパク質をコードするcap遺伝子を含まず、前記少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子が、配列番号4の全長または少なくとも6000、少なくとも7000、もしくは少なくとも8000ヌクレオチド長である配列番号4の断片と、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の相同性を有する、プラスミドの継続した領域に含まれる。
必要に応じて、前記ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は、3:1~1:10、1.5:1~1:9、1.4:1~1:8、1.3:1~1:7;1.2:1~1:6;1.1:1~1:5;1:1~1:4;または1:1.5~1:3である。必要に応じて、前記2-プラスミドシステムはヘルパープラスミド.にくらべてモル過剰量のベクタープラスミドを含む。必要に応じて、前記ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比 3:1~1:10、1.5:1~1:9、1.4:1~1:8、1.3:1~1:7;1.2:1~1:6;1.1:1~1:5;1:1~1:4;1:1.5~1:3;1:2~1:4;または約1:3である。必要に応じて、前記ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は1:2~1:4であるか、または約1:3である。好ましくは、前記ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は約1:3である。
以下に記載するように、ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比を変えることは、AAV作製の間に産生される全粒子に対する完全な粒子の比(またはカプシド/完全な粒子の割合)を調整するために、またrAAV作製の間に産生されるrAAVの収量を増加させるために用いることができる。
「ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比」という表現はモル比、すなわち存在するベクタープラスミドのモル数に対する存在するヘルパープラスミドのモル数の比である。所与のベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は、ヘルパープラスミドおよびベクタープラスミドを単に適切なモル比で混合させるだけで提供されうる。
ヘルパープラスミド
本発明は、少なくとも一つの機能的なRepタンパク質をコードする少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのヘルパーウイルス 遺伝子を含み、かつ機能的なCapタンパク質をコードするcap遺伝子を含まない、ヘルパープラスミドを提供する。
本発明はrAAVの産生に適切な、改良された2-プラスミドシステムに関する。少なくとも一つの機能的なRepタンパク質をコードする少なくとも一つのrep遺伝子を含み、かつ 機能的なCapタンパク質をコードするcap遺伝子を含まない、ヘルパープラスミドは、このような改良された2-プラスミドシステムの使用に対して有利であり得る。rep遺伝子およびcap遺伝子はともにrAAVを産生するために必要である。しかしながら、本発明のプラスミドおよび2-プラスミドシステムは、repおよびcap遺伝子の両方が単一のプラスミド上に存在しない(「trans-split」な構成)ように構成される。野生型のAAVcapおよびrep遺伝子は重複しているため、前記ヘルパープラスミドがrep遺伝子およびcap遺伝子の双方を含まないことを確かめることは困難であり、充分な遺伝物質を維持しながら、かつそれらを分離し、完全なタンパク質を作製させることは困難である。しかしながら、rep遺伝子およびcap遺伝子をヘルパープラスミドおよびベクタープラスミド間において分離することは、rcAAVを形成するために必要とされる組み換え現象の数を増やすことから有利である。
本発明は、少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子を含み、かつ 機能的なCapタンパク質をコードするcap遺伝子を含まないヘルパープラスミドも提供し、ここで前記少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子は、配列番号4の全長、または少なくとも6000、少なくとも7000、もしくは少なくとも8000ヌクレオチドの長さである配列番号4の断片と、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の相同性を有する隣接しているプラスミド領域に含まれている。必要に応じて、前記ヘルパープラスミドは少なくとも一つの機能的なRepタンパク質をコードする少なくとも一つのrep遺伝子を含む。
AAVは、AAV 増殖を助けるタンパク質をコードする、ヘルパーウイルスの存在下においてしか増殖することができない。しかしながら、AAVヘルパーウイルスの存在下におけるAAVの成長はヘルパーウイルスが、AAVを成長させるために用いられる宿主細胞を含む細胞を溶かしうることから不利である。さらに、ヘルパーウイルスが、遺伝子治療における使用のためのrAAV等の、rAAV産物の作製に用いられる場合、当該ヘルパーウイルスが産物を汚染しうる。アデノウイルスのように、ヘルパーウイルスと共感染させるための代替手段として、トランスフェクトされたプラスミド上にある、ヘルパーウイルスの必須遺伝子が提供されうる。アデノウイルスのE1A/B遺伝子(HEK293T細胞等)を発現する宿主細胞にとって、残ったものはE4、E2AおよびVA RNA IおよびIIをコードするアデノウイルスのヘルパー遺伝子を必要とする。これらの遺伝子はアデノウイルスのゲノムの長い領域にわたって分布している一方で、本発明者らは、ゲノム遺伝子を分離するノンコーディングヌクレオチドの大きな領域が遺伝子の発現に影響を与えることなく除去されうることを決定した。発明者らは、したがって、配列番号4である最小のヘルパー遺伝子領域を設計した。rAAVの作製のためにプラスミドにおける最小のヘルパー遺伝子領域を用いることは、使用者が産生にかかるコストが小さく、細胞へのトランスフェクトが用意な、より小さなプラスミドを使うことができることから、有利である。
少なくとも一つのrep遺伝子
前記ヘルパープラスミドは、少なくとも一つの機能的なRepタンパク質をコードする少なくとも一つのrep遺伝子を含んでいてもよい。AAVは4つのRepタンパク質(Rep 78、Rep 68、Rep 52およびRep 40)をコードするrep遺伝子 領域を含む。当該遺伝子領域 isはp5およびp19プロモーターの制御下にある。前記p5プロモーターが用いられた場合、Rep 78およびRep 68をコードする遺伝子が転写される。Rep 78およびRep 68は二つの代替となるスプライシングバリアント(Rep 78はRep 68において切り取られるイントロンを含む)である。同様に、p19プロモーターが用いられた場合、Rep 52およびRep 40をコードする遺伝子が転写される。Rep 52およびRep 40は代替となるスプライシングバリアント(Rep 52はRep 40において切り出されるイントロンを含む)である。
前記4つのRepタンパク質はウイルスゲノムの複製およびパッケージングに関わっていることが知られており、したがって、rAAV作製に有益である。
4つすべてのRepタンパク質が存在することは必要ではない。しかしながら、前記少なくとも一つのrep遺伝子は大きなRepタンパク質(Rep 78またはRep 68)および小さなRepタンパク質(Rep 52またはRep 40)をコードしてもよい。Rep 78は細胞に対して毒性を持つことがあり、Rep 78はAAVの複製が行われるために存在する必要はない。前記少なくとも一つのrep遺伝子がRep 78をコードしない実施形態において、前記少なくとも一つのrep遺伝子は好ましくはRep 68をコードする。したがって、前記ヘルパープラスミドは以下をコードする少なくとも一つのrep遺伝子を含んでいてもよい:
(a)機能的なRep 52タンパク質;
(b)機能的なRep 40タンパク質;および/または
(c)機能的なRep 68タンパク質。
「機能的な」Repタンパク質はAAV粒子の作製ができるようにするものである。特に、Rep 78またはRep 68(前記大きいRepタンパク質)はAAV ゲノムの複製に関与していると考えられており、かつRep 52およびRep 40(小さいRepタンパク質)は、前記AAV ゲノムのカプシドへのパッケージングに関与していると考えられている。所与のRepタンパク質が機能的かどうかを決定することは当業者の能力の範疇内である。当業者はほとんど前記Repタンパク質がAAV作製アッセイを用いるAAV作製を維持するかどうかを上述したように決定する必要はない。この場合において、当該テスト2-プラスミドシステムは機能性が決定されるべきRepタンパク質を含むヘルパープラスミドを含み、そうでなければ用いられた当該テスト2-プラスミドシステムはリファレンス 2-プラスミドシステムと同一である。
一の実施形態において、前記ヘルパープラスミドの少なくとも一つのrep遺伝子は「機能的な」Repタンパク質をコードする。Repタンパク質が、野生型Repタンパク質によって維持されるレベルの、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%のrAAV作製を維持する場合、すなわち、リファレンス 2-プラスミドシステムを用いて産生されるrAAVベクターゲノムの収量の、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%を産生する場合。好ましくは、野生型Repタンパク質によって維持されるレベルの少なくとも80%のレベルを維持する場合、前記ヘルパープラスミドの少なくとも一つのrep遺伝子は機能的である。
一般的に、Repタンパク質がパッケージングされるAAVのゲノム周辺のITRと両立する場合、Repタンパク質はrAAV作製を維持することができるのみである。前記Repタンパク質のように、同一のセロタイプのITRと並んでいた場合、Repタンパク質のいくつかは、ゲノム物質(発現カセット等)をパッケージングすることしかできないこともある。ほかのRepタンパク質は横断的に対応可能であり、これは異なったセロタイプのITRに隣接されるゲノムをパッケージングできることを意味する。例えば、2-プラスミドシステムの場合、前記Repタンパク質がベクタープラスミドの中に含まれる発現カセットの複製およびパッケージングを維持でき、およびそのようなRepタンパク質が前記少なくとも一つのITR隣接発現カセット(すなわち、複製およびパッケージすることができ、少なくともITRの一方の側と隣接している発現カセット)と互換性があることが好まれる。
前記少なくとも一つのrep遺伝子は、機能的なRep 52タンパク質をコードする遺伝子、機能的なRep 40タンパク質をコードする少なくとも一つの遺伝子、および機能的なRep 68タンパク質をコードする遺伝子を含んでいてもよい。
前記ヘルパープラスミドは機能的なRep 40タンパク質をコードする二つの遺伝子を含んでいてもよい。一の実施形態において前記少なくとも一つのrep遺伝子は機能的なRep 40タンパク質をコードする二つの遺伝子を含む。例えば、前記ヘルパープラスミドはプラスミド上にて分離される二つのrep遺伝子を含んでいてもよい。二つの分離されたrep遺伝子のうち第一のものはRep 68(例えば、p5プロモーターまたはrep遺伝子中のp5プロモーターの通常の位置の近くに位置する別のプロモーターを用いて)およびRep 40(例えば、p19プロモーターまたはp19プロモーターの通常の位置の近くに位置する別のプロモーターを用いて)をコードすることができる。二つの分離されたrep遺伝子のうち第二のものはRep 52およびRep 40をコードすることができる。Rep 52およびRep 40は代替可能なスプライシングバリアントである。
前記ヘルパープラスミドがRep 40タンパク質をコードする二つの遺伝子を含む場合、機能的なRep 40タンパク質をコードする二つの遺伝子のうち一つはイントロンを含んでいてもよい。一の実施形態においては、機能的なRep 40タンパク質をコードする双方の遺伝子がイントロンを含む。しかしながら、好ましい実施形態においては、機能的なRep 40タンパク質をコードする遺伝子の一方のみがイントロンを含む。例えば、使用者がRep 78をコードする少なくとも一つのrep遺伝子を避けようとする場合、rep遺伝子は部分的に重複して2つの遺伝子に分けられうる。一つの遺伝子は、イントロンが除去されたものに対応する配列である野生型のrep遺伝子の全長に対応するヌクレオチドを含みうる。そのような遺伝子はRep 68およびRep 40をコードするが、rep 40のイントロンとして働く配列によってRep 78およびRep 52タンパク質それぞれの一部がコードされるので、Rep 78またはRep 52のいずれかをコードしない。第2の遺伝子はp19プロモーターの下流にある野生型のrep遺伝子の領域に対応するヌクレオチドであってRep 52(イントロンがスプライスインされたもの)およびRep 40(イントロンがスプラウスアウトされたもの)をコードするものを含む。
配列番号1は野生型AAV2のゲノム配列を提供し、および配列番号1のヌクレオチド 321~2252は4つのRepタンパク質をコードする。全長rep遺伝子(ヌクレオチド 321~2252)はすべての4つのRepタンパク質(p5プロモーターからRep 78およびRep 68、ならびにp19プロモーターからRep 52およびRep 40)をコードする。p19プロモーター(ヌクレオチド 993~2252)の下流にあるrep遺伝子の短縮された領域はRep 52およびRep 40のみをコードする(すなわちこの当該rep遺伝子領域はp19プロモーターの末端から当該遺伝子の末端に至る)。配列番号1のヌクレオチド 1907~2227はイントロンに対応する。Rep 78およびRep 52はイントロンによってコードされるアミノ酸を含むが、Rep 68およびRep 40はイントロンによってコードされたアミノ酸を含まない、代替可能なスプライシング バリアントである。rep遺伝子と当該4つのRepタンパク質との間の関係は図1に示される。
前記2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドは機能的なRep 52タンパク質をコードする遺伝子を含んでいてもよく、当該機能的なRep 52タンパク質をコードする遺伝子は、配列番号1の全長または配列番号1のヌクレオチド993~2186の、少なくとも800ヌクレオチド長、少なくとも900ヌクレオチド長、少なくとも1000ヌクレオチド長、または少なくとも1100ヌクレオチド長の断片もしくはAAVの様々なセロタイプにおいて対応するヌクレオチド領域に対して、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の相同性を持つ核酸配列を含む。
特定のヌクレオチド(テスト)領域が「様々なセロタイプのヌクレオチド領域に対応する」AAVであるかどうかを決定することは当業者の能力の範疇である。必要とされるすべては当業者がリファレンス セロタイプのゲノム(すなわち配列番号1)とテストヌクレオチド領域のアラインメントを行うことである。テストヌクレオチド領域が配列番号1において同一の長さのヌクレオチド領域であって隣接しているものと90%より大きい相同性を有している場合、当該隣接している領域は、AAVの様々なセロタイプにおけるヌクレオチド領域に対応する。同じことはアデノウイルス配列の場合にも該当する(ここでリファレンス セロタイプが配列番号2である場合は除く)。
必要に応じて、少なくとも一つのrep遺伝子は機能的なRep 40タンパク質をコードする遺伝子を含み、前記機能的なRep 40タンパク質をコードする遺伝子は、配列番号1の全長または配列番号1のヌクレオチド 993~2252 マイナスヌクレオチド 1907~2227の、少なくとも600ヌクレオチド長、少なくとも700ヌクレオチド長、少なくとも800ヌクレオチド長、もしくは少なくとも900ヌクレオチド長の断片、または様々なAAVセロタイプにおける対応するヌクレオチド領域に、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%の相同性を有する核酸配列を有する。したがって、このようなRep 40をコードする遺伝子は、少なくとも配列番号1のヌクレオチド 2228~2252のすぐそばに並んでいる配列番号1のヌクレオチド 993~1906を含む、概念的なヌクレオチド領域(5’-[993~1906]-[2228~2252]-3’)、または様々なAAVセロタイプの概念的なヌクレオチド領域に対して、少なくとも、上で特定した相同性を有する。
必要に応じて、前記少なくとも一つのrep遺伝子は機能的なRep 40タンパク質をコードする少なくとも一つの遺伝子を含み、当該機能的なRep 40タンパク質をコードする遺伝子は、配列番号1のヌクレオチドの全長または少なくとも900ヌクレオチド長、少なくとも1000ヌクレオチド長、少なくとも1100ヌクレオチド長、もしくは少なくとも1200ヌクレオチド長である、配列番号1のヌクレオチド993~2252の断片またはAAVの様々なセロタイプにおける対応するヌクレオチド領域に、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の相同性を有する核酸配列を含む。
必要に応じて、少なくとも一つのrep遺伝子は機能的なRep 68タンパク質をコードする遺伝子を含み、前記機能的なRep 68タンパク質をコードする遺伝子は、配列番号1の全長、配列番号1のヌクレオチド321~2252マイナスヌクレオチド 1907~2227に対応するヌクレオチド領域の少なくとも1000ヌクレオチド長、少なくとも1400ヌクレオチド長、少なくとも1500ヌクレオチド長、または少なくとも1600ヌクレオチド長の断片、またはAAVの様々なセロタイプにおける対応するヌクレオチド領域と、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の相同性を有する核酸配列を含む。したがって、このようなRep 68をコードする遺伝子は、少なくとも配列番号1のヌクレオチド 2228~2252のすぐそばに並んでいる配列番号1のヌクレオチド321~1906(5’-[321~1906]-[2228~2252]-3’)を含む概念的なヌクレオチド領域、または様々なAAV セロタイプの概念的なヌクレオチド領域に対して、少なくとも、上で特定した相同性を有する。
Rep 68はイントロンによってコードされたアミノ酸を含まないため(ヌクレオチド1907~2227)、機能的なRep 68タンパク質をコードする遺伝子はヌクレオチド 1907~2227に対応するヌクレオチドを含む必要がない。実際、少なくとも一つのrep遺伝子からヌクレオチド 1907~2227を除くことで Rep 78はコードされなくなる(Rep 78 イントロンによってコードされたアミノ酸を含むので)。好ましくは前記ヘルパープラスミドは機能的なRep 78タンパク質をコードする遺伝子を含まない。
必要に応じて、前記少なくとも一つのrep遺伝子は機能的なRep 68およびRep 40タンパク質をコードする遺伝子を含み、ここで前記遺伝子は、野生型AAV2 配列(配列番号1)の以下の領域の、全長または少なくとも1400ヌクレオチド長、1500ヌクレオチド長、1600ヌクレオチド長または1700ヌクレオチド長の、5’ 末端から3’末端のすぐそばに並ぶ位置にある断片:200~1906;2228~2309、またはAAVの様々なセロタイプにおける、対応する並置されているヌクレオチド領域に対して、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の相同性を有する核酸配列を含む。
必要に応じて、少なくとも一つのrep遺伝子は機能的なRep 52およびRep 40タンパク質をコードする遺伝子を含み、ここで前記遺伝子は、以下の野生型のAAV2 配列の領域(配列番号1):658~2300の全長、または少なくとも1300ヌクレオチド長、1400ヌクレオチド長、1500ヌクレオチド長または1600ヌクレオチド長の断片、またはAAVの様々なセロタイプにおける対応するヌクレオチド領域に対して、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する核酸配列を含む。
必要に応じて、前記少なくとも一つのrep遺伝子は、機能的なRep 68、Rep 52およびRep 40タンパク質をコードするヌクレオチド領域を含み、ここで前記領域は、AAV2 配列の領域(配列番号1)の全長または少なくとも3000ヌクレオチド長、3200ヌクレオチド長、3300ヌクレオチド長もしくは3400ヌクレオチド長であって以下の野生型のAAV2 配列の領域(配列番号1)の5’ 末端からto 3’末端のすぐそばに並ぶ位置にある断片:200~1906;2228~2309;658~2300、またはAAVの様々なセロタイプにおいて対応する、並置しているヌクレオチド領域に対して、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する核酸配列を含む。
前記2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドは、配列番号1のヌクレオチド321~2186 中、またはAAVの様々なセロタイプにおけるヌクレオチド領域中に含まれる、同等の長さの隣接しているヌクレオチド領域に対応する、少なくとも1700、少なくとも1800、または1866ヌクレオチドの隣接している配列を含まなくてもよい。ヌクレオチド321~2186に含まれる隣接しているヌクレオチド領域はRep 78に対応する。
いくつかの実施形態においては、前記少なくとも一つのrep遺伝子は機能的で内在的なp40プロモーターを含まない。野生型のrep/cap遺伝子はp40プロモーターを含む(D.J. Pereira and N. Muzyczka(1997), J. Virol. 71:1747~1756)。p40プロモーターはcap遺伝子の発現を駆動するが、rep遺伝子の発現には必要とされない。機能的なp40プロモーターは、cap遺伝子の発現を駆動することができるものの一つである。
所与のp40プロモーターが機能的であるかどうかは、タンパク質の発現を駆動する能力をテストすることによって決定することができる(発現アッセイを用いて)。例えば、使用者はGFPなどのリポータータンパク質の上流に野生型40プロモーターを含む(配列番号1のヌクレオチド1710~1827等)、「リファレンス」ベクターを調製することができる。使用者は、それから前記野生型のp40プロモーターがその機能性がテストされたp40プロモーター(「テスト」p40プロモーター)によって置換されていることを除き、前記リファレンスベクターと同一である、「テスト」ベクターを調製することができる。二つのベクターは適切な宿主細胞にトランスフェクトされることができ、前記宿主細胞はリポータータンパク質を発現させるため適切な環境下でインキュベートされる。宿主細胞において発現されたリポータータンパク質のレベルは、例えば、蛍光分光法によって測定されることができる。リファレンスベクターからの発現レベルは(野生型p40プロモーターによって駆動される発現レベルと対応する)それからテストベクターからの発現レベルと比較することができる(テストプロモーターによって駆動される発現レベルと対応する)。
野生型p40プロモーターによって駆動される発現の少なくとも40%のレベルで発現が駆動された場合、p40プロモーターは機能的であると考えられる。機能的なp40プロモーターは、p40プロモーターによって駆動される発現の、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%のレベルの発現を駆動する。前記少なくとも一つのrep遺伝子は、それが野生型p40プロモーターによって駆動される発現の、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%のレベルで発現を駆動する、p40プロモーターに対応する配列(例えば配列番号1のヌクレオチド1710~1827)を含まない場合においては、機能的で内在性のp40プロモーターを含まなくてもよい。
「TATA box」を欠くP40プロモーターは機能的ではない。p40プロモーターは配列番号1の1823に対応する位置から開始するTATA boxを含む。ゆえに、機能的で内在性のp40プロモーターを含まないヘルパープラスミドは、1以上のp40プロモーターが機能しないように変異したTATA boxのあるp40プロモーターを含んでいてもよい。前記少なくとも一つのrep遺伝子は配列番号1の1823の位置に対応する位置のヌクレオチドTを含まなくてもよい。前記少なくとも一つのrep遺伝子配列番号1の1823の位置に対応する位置のヌクレオチドCを含んでいてもよい。前記少なくとも一つのrep遺伝子は配列番号1の1826~1828の位置に対応する位置のAAGを含んでいなくともよい。前記少なくとも一つのrep遺伝子は配列番号1の1826~1828の位置に対応する位置のCTCを含んでいてもよい。
cap遺伝子の欠失
本発明のヘルパープラスミドは機能的な一連のCapタンパク質をコードするcap遺伝子を含まない。
野生型のAAV(配列番号1に記載されているゲノムを有するAAV等)において、capおよびrep遺伝子は重複する。特に、cap遺伝子の発現を駆動するp40プロモーターはrep遺伝子中に存在する。ゆえに、Repタンパク質をコードするヘルパープラスミドはcap遺伝子由来のヌクレオチドを含みうる。しかしながら、本発明のヘルパープラスミドは機能的な一連のCapタンパク質をコードするヌクレオチド領域を含まなくてもよい。特に、本発明のヘルパープラスミドは専らcap遺伝子の配列であるヌクレオチド配列の重要な領域を含まなくてもよい。「専らcap遺伝子の配列」という表現は、Capタンパク質の一部をコードするが、Repタンパク質の一部をコードしない遺伝子配列、例えば、配列番号1のヌクレオチド 2253~4410、を称することを意味する。
capタンパク質(VP1、VP2およびVP3;図1を参照)は集合してウイルスゲノムを取り囲むカプシドを形成するタンパク質である。ゆえに、機能的な一連のCapタンパク質をコードする遺伝子は、ウイルスゲノムをカプシドで包むために集合することができるcapタンパク質をコードする遺伝子である。
「機能的な」一連のCapタンパク質は、AAVのカプシド形成について重要なタンパク質である。cap遺伝子の産物が機能的であるかどうかを決定することは当業者の能力の範疇である。当業者は上述したようにAAV作製アッセイを用いてコードされたCapタンパク質がAAV作製を維持するかどうかを決定することをほとんど必要としない。この場合、テスト 2-プラスミドシステムはその「機能性」が決定されるべきタンパク質(s)をコードするcap遺伝子を含むベクタープラスミドを含むか、あるいは用いられたテスト2-プラスミドシステムは前記リファレンス 2-プラスミドシステムと同一でありうる。いずれのcap遺伝子にも対応するような遺伝物質を含まない場合、またはヘルパープラスミドに存在するいずれのcap遺伝子も、野生型cap遺伝子の産物により維持されるレベルの10%より低いレベルにおける、AAV作製を維持するタンパク質をコードする場合、すなわち産生されるrAAVの収量がリファレンス 2-プラスミドシステムを用いて産生されるrAAVの収量の10%より少ない場合、ヘルパープラスミドは機能的な一連のCapタンパク質をコードするcap遺伝子を含まない。
一般的に、機能的なcap遺伝子は250ヌクレオチド長よりも大きい。したがって、機能的な一連のCapタンパク質をコードするcap遺伝子を含まないヘルパープラスミドは、250ヌクレオチド超、100ヌクレオチド超、または60ヌクレオチド超の、一続きの専らcap遺伝子の配列を含まなくてもよい。上述したように、野生型AAVのcap遺伝子およびrep遺伝子は重複している。前記ヘルパープラスミドは60ヌクレオチド超の、一続きの専らcap遺伝子の配列を含まなくてもよい。前記ヘルパープラスミドは機能的なVP1タンパク質をコードするcap遺伝子を含まなくてもよい。前記ヘルパープラスミドはcap遺伝子配列の一部や一連の機能的なCapタンパク質をコードしないcap遺伝子配列の一部を含んでもよい。ヘルパープラスミドはcap遺伝子が機能的な一連のCapタンパク質をコードしない限りにおいて、cap遺伝子配列の一部を含むことができる。前記cap遺伝子配列の一部が機能的でない限りにおいては、複数の組み換え現象がrcAAVを提供するために必要とされうる。
少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子
前記ヘルパープラスミドは少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子を含んでいてもよい。AAVはヘルパーウイルスの存在下においてのみ増殖することができる。ヘルパーウイルスの一例としては、アデノウイルスおよびヘルパーウイルスが挙げられる。
しかしながら、上記のように、ヘルパーウイルスの存在下におけるAAVの生育は、ヘルパーウイルスがAAVの生育に用いる宿主細胞を含む細胞を溶解しうることから、有利なものではない。さらに、ヘルパーウイルスが遺伝子治療ベクター等のrAAV産物の作製において用いられた場合、当該ヘルパーウイルス当該産物を汚染しうる。アデノウイルス等の、ヘルパーウイルスと共感染させるための代替物として、ヘルパーウイルスの必須遺伝子がトランスフェクションされたプラスミド上において提供されることができる。アデノウイルスのE1A/B 遺伝子を発現する宿主細胞(HEK293T細胞等)において、ほかの必要とされるヘルパー遺伝子はE4、E2AおよびVA RNA IおよびVA RNA II(VA 核酸)である。これらの遺伝子がアデノウイルスのゲノムの長い領域にわたって分布している一方で、本発明者らはゲノム遺伝子を分離するノンコーディングヌクレオチドの大きな領域が遺伝子の発現に影響することなく除去することができることを特定した。本発明者らは、したがって、最小のヘルパー遺伝子領域、配列番号4を設計した。配列番号4はVA 核酸、ならびにE2A遺伝子およびE4 遺伝子の逆相補配列(二重鎖プラスミドに存在しているような)を含む。このようなプラスミドにおける、最小のヘルパー遺伝子領域をrAAVの作製に用いることは、使用者が、産生のためのコストが低く、細胞にトランスフェクトしやすい、より小さなプラスミドできるという点で有利である。
いくつかの実施形態においては、本発明のヘルパープラスミドは少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子を含む。好ましくは、本発明のヘルパープラスミドはAAVの複製およびパッケージングがなされるために必要な充分なヘルパー遺伝子を含む。ヘルパープラスミドがAAV作製を促進するために充分なヘルパー 遺伝子を含んでいるかどうかは、上述したようにAAV作製アッセイを用いて評価することができる。この場合において、前記テスト 2-プラスミドシステムはAAV作製を促進する能力がテストされるべきヘルパー 遺伝子を含むヘルパープラスミドを含んでいるか、さもなければ用いられたテスト 2-プラスミドシステムはリファレンス 2-プラスミドシステムと同一のものでありうる。一の実施形態においては、E4、E2AならびにVA RNA IおよびVA RNA IIをコードするアデノウイルスのヘルパー遺伝子によって維持されるレベルの、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%のレベルのrAAV作製を維持する場合、すなわち産生されるrAAVの収量が、リファレンス 2-プラスミドシステムを用いて産生されるrAAVの収量の、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%である場合、ヘルパー遺伝子産物はAAV作製を促進すると考えることができる。好ましくは、E4、E2A VA RNA IおよびVA RNA IIをコードするアデノウイルスのヘルパー 遺伝子によって維持されるレベルの、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%のレベルのrAAV作製を維持する場合、前記ヘルパー遺伝子産物 AAV作製を促進するものと考えられる。
前記ヘルパープラスミドが効率的なAAV作製を行うために必要とされる遺伝子をコードしているので、他のヘルパーウイルスは必要とされない。
前記少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子はアデノウイルス 遺伝子であってもよい。アデノウイルスは、AAVの増殖を助けることが知られているウイルスである(Xiao et al(1998), J. Virol, 72:2224~2232)。前記少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子は、アデノウイルス 5遺伝子またはアデノウイルス 2 遺伝子であってもよい。アデノウイルス 5のゲノムは配列番号2において記載されており、アデノウイルス 2のゲノムは配列番号3において記載されている。したがって、前記ヘルパー 遺伝子は配列番号2 もしくは配列番号3に存在するヌクレオチド領域、または別のセロタイプのアデノウイルスにおける対応するヌクレオチド領域を含んでいてもよい。
前記アデノウイルスのヘルパー遺伝子は、E1A、E1B、E4、E2AならびにVA RNA IおよびVA RNAIIをコードする。
E1Aはアデノウイルス 5 ゲノム(例えば、配列番号2のゲノム)のヌクレオチド 560~1545によってコードされる。ヌクレオチド 560~1545ヌクレオチド 1113からヌクレオチド 1228までのイントロンを含む。このイントロンは必須ではないので、配列番号2のヌクレオチド 560~1112および1229~1545を含むE1A遺伝子は機能的なE1Aタンパク質をコードしうる。
E1Bは実質的には2つのタンパク質、E1B 19KおよびE1B 55Kであり、これらはアデノウイルス-感染細胞においてアポトーシスを防ぐためにともに機能する。E1Bはアデノウイルス 5 ゲノム(例えば、配列番号2のゲノム)の、ヌクレオチド1714~2244(E1B 19K)およびヌクレオチド2019~3509(E1B 55 K)にコードされる。
E4はアデノウイルス 5 ゲノム(例えば、配列番号2のゲノム)の、いくつかの異なったオープンリーディングフレーム(ORF)によってコードされる。E4 ORF 6/7はヌクレオチド 32914~34077によってコードされ、ヌクレオチド 33193~33903のイントロンを含む。このイントロンは必須ではないので、配列番号2のヌクレオチド 32914~33192および33904~34077を含むE4 ORF 6/7は充分なものである。E4 34Kはアデノウイルス 5 ゲノム(例えば、配列番号2のゲノム)のヌクレオチド 33193~34077によってコードされる。E4 ORF 4はアデノウイルス 5 ゲノム(例えば、配列番号2のゲノム)のヌクレオチド 33998~34342によってコードされる。E4 ORF 3はアデノウイルス 5 ゲノム(例えば、配列番号2のゲノム)のヌクレオチド34353~34703によってコードされる。E4 ORF Bはアデノウイルス 5 ゲノム(例えば、配列番号2のゲノム)のヌクレオチド34700から35092によってコードされる。E4 ORF 1はアデノウイルス 5 ゲノム(例えば、配列番号2のゲノム)ヌクレオチド35140~35526によってコードされる。
ORF 6およびORF7によりコードされるアミノ酸のみが活性のために必要であるため、機能的なE4タンパク質はORF6および7によってコードされるアミノ酸のみを含んでいてもよい。したがって、前記機能的なE4タンパク質はORF 6および7によってコードされたポリペプチド配列のすべて、または大部分を含んでいてもよい。前記機能的なE4タンパク質はすべての、または一部分のORF 1~4および34Kによってコードされたポリペプチド配列を含んでいなくともよい。しかしながら、ORF 1~3および34Kによってコードされたアミノ酸はE4タンパク質の活性を向上させるので、いくつかの実施形態においては、前記機能的なE4タンパク質はORF 1~7によってコードされたアミノ酸を含む。
前記E2(E2A)遺伝子はアデノウイルス 5 ゲノム(例えば、配列番号2のゲノム)のヌクレオチド 22443~24032によってコードされる。
前記VA RNA IおよびVA RNA IIは、アデノウイルス 5 ゲノム(例えば配列番号2のゲノム)のヌクレオチド10589~11044によってコードされる。
E1BおよびE4はAAV mRNAの蓄積を促進すると考えられており、E2AおよびVA RNA IおよびVA RNA IIはAAV mRNAのスプライシングと翻訳を促進すると考えられている。E1B、E4およびE2Aはアデノウイルス ゲノムに存在する遺伝子によりコードされたタンパク質であり、一方で前記VA 核酸配列は、VA RNA IおよびVA RNA IIとして知られる、2つのRNA 転写産をコードする。転写産物はそれ自体が細胞において機能的であり、アミノ酸 配列に翻訳されることはあり得ない。したがって、VA 核酸配列がタンパク質をコードしないが、RNAを「コードする」かRNAに「対応する」こと、すなわち用語「コードする」はVA 核酸が翻訳されない核酸配列であるときに用いられることがわかるだろう
5つのアデノウイルス 遺伝子のうち、E1AまたはE1Bがヘルパープラスミドに含まれない可能性があり、いくつかの宿主細胞株(HEK293細胞等)はE1AまたはE1Bの1以上を恒常的に発現する。したがって、前記ヘルパープラスミド機能的なアデノウイルスのE1A/Bタンパク質をコードする遺伝子を含んでいなくてもよい。
一の実施形態においては、前記少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子は以下を含む:
(a)機能的なVA RNA IおよびVA RNA IIをコードするVA(viral associated;ウイルス随伴)核酸配列;
(b)機能的なE2Aタンパク質をコードするE2A遺伝子;および/または
(c)機能的なE4タンパク質をコードするE4遺伝子。
前記少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子は、VA 核酸、E2A遺伝子およびan E4 遺伝子を含んでいてもよい。
「機能的な」VA RNA IおよびVA RNA II、E2Aタンパク質またはE4タンパク質はAAVの作製を促進することができる。所与のVA RNA IおよびVA RNA II、E2Aタンパク質またはE4タンパク質が機能的であるかどうかを決定することは当業者の能力の範疇である。当業者は上述したように、ほとんどVA RNA IおよびVA RNAII、E2Aタンパク質またはE4タンパク質がAAV作製アッセイを用いてAAV作製を維持するかどうか決定する必要がない。この場合において、テスト2-プラスミドシステムは「機能性」が決定されているVA RNA IおよびVA RNAII、E2Aタンパク質またはE4タンパク質を含むヘルパープラスミドを含む、でなければ前記用いられたテスト2-プラスミドシステムはリファレンス 2-プラスミドシステムと同一のものである。一の実施形態において、野生型によって維持されるレベルのrAAV作製の少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%のレベルで維持される場合(例えばアデノウイルス 5でみられるように;配列番号2)、VA RNA IおよびVA RNAII、E2Aタンパク質またはE4タンパク質、すなわち産生されるrAAVの収量が、リファレンス 2-プラスミドシステムを用いて産生されるrAAVの収量の少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%である場合VA RNA IおよびVA RNAII、E2Aタンパク質またはE4タンパク質は「機能的である」と考えられる。好ましくは、E4タンパク質は、それがAAV作製を少なくとも、野生型E4タンパク質によって維持されるレベルの、70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%のレベルで維持する場合において「機能的」であると考えられる。
前記E4遺伝子はVA 核酸とE2A 遺伝子との間に位置していなくてもよく、すなわち前記E4遺伝子配列のようなプラスミドの配列VA 核酸配列およびE2A遺伝子配列の間のプラスミドにおいてはあらわれない。E2A遺伝子はVA 核酸配列およびE4 遺伝子の間に位置していてもよい。
前記ヘルパープラスミドは二重鎖であり、ヘルパープラスミドに含まれる遺伝子はいずれも 「フォワード(forward)」または「リバース(reverse)」起源で存在していてもよい。例えば、E4遺伝子アデノウイルス 5 ゲノム(例えば配列番号2のゲノム)のヌクレオチド 22443~24032を含んでいてもよいし、ヌクレオチド 22443~24032の逆相補鎖を含んでいてもよい。ゆえに、プラスミドが、ある核酸配列を「含む(comprising)」と言及している、本出願のすべての例において、当該リファレンスはプラスミドが核酸配列の逆相補鎖を含む実施形態を包含すると解釈されるべきである。
本発明者らは、すべてまたは一部のアデノウイルス ゲノム(例えば、配列番号2のゲノム)における10595~10619の位置に存在するヌクレオチド領域の除去が、VA 核酸によってコードされるVA RNA IおよびVA RNAIIの活性を(約50%まで)有意に減少させることを、明らかにした。この活性の減少を回避することは有利なことである。
したがって、一の実施形態においては、VA 核酸配列は、アデノウイルス 5の野生型VA 核酸配列が有する活性レベルの、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%および100%の間の活性レベルを有する。前記VA 核酸配列の活性レベルは、例えば、上述のAAV作製アッセイを用いて、rAAVの収量を測定することにより決定されてもよい。一の実施形態において VA 核酸配列は配列番号2の10595~10619ヌクレオチドの少なくとも15ヌクレオチド、少なくとも20ヌクレオチド、または25ヌクレオチドの領域と、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%の相同性のある連続した配列、またはアデノウイルスの様々なセロタイプにおける対応したヌクレオチド領域を含む。
必要に応じて、E2A遺伝子は配列番号2のヌクレオチド27037~27136の少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、または100ヌクレオチドと少なくとも96%、少なくとも98%、または100%の相同性のある連続している配列またはアデノウイルスの様々なセロタイプ中の対応するヌクレオチド領域を含むプロモーターに作動可能に結合される。
E4遺伝子の発現は配列番号2のヌクレオチド 35585~35848に対応するプロモーター(本明細書においては「E4プロモーター」と命名される)によって駆動される。アデノウイルス 5 ゲノム35793~35848(配列番号2のゲノム等)に対応するヌクレオチドは、プロモーターが完全な活性をもつために必要とされる。したがって、E4遺伝子は、アデノウイルス 5の野生型プロモーターの活性の少なくとも50%、少なくとも70%、または少なくとも90%の活性を有するE4プロモーターに作動可能に結合されていてもよい。E4プロモーターの活性はタンパク質の発現を駆動する能力をテストすることによって決定されてもよい。
所与のE4プロモーターがE4遺伝子の発現を駆動できるかどうかは、上述したようにAAV作製アッセイをもちいて決定してもよい。特に、E4プロモーターがE4遺伝子の発現を駆動できる場合においては、それはAAV作製を促進する。この場合において、テスト2-プラスミドシステムはAAV作製を促進できるE4遺伝子およびテストされるべきE4遺伝子プロモーターを含むベクタープラスミドを含み、さもなければ用いられた2-プラスミドシステムリファレンス 2-プラスミドシステムと同一のものである。一の実施形態においては、E4プロモーターは、それが野生型E4遺伝子プロモーターによって維持されているrAAV作製のレベルの、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、または少なくとも90%のレベルでrAAV作製のレベルを維持している場合、アデノウイルス 5の野生型E4プロモーターの活性の少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも70%または少なくとも90%を有すると考えられ、すなわち産生されるrAAVの収量が、リファレンス 2-プラスミドシステムを用いて産生されるrAAVの収量の、少なくとも50%、少なくとも70%、または少なくとも90%である。好ましくは、E4プロモーターは、それがリファレンス 2-プラスミドシステムを用いて産生されるrAAVの収量の、rAAV作製少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%のレベルで維持する場合においては、AAV作製を促進すると考えられる。
E4プロモーターは配列番号2のヌクレオチド 35793~35848に対応する少なくとも30、少なくとも40、または55ヌクレオチドの配列またはアデノウイルスの異なったセロタイプにおける対応するヌクレオチド領域を含んでいてもよい。
ヘルパープラスミドサイズの削減
本発明者らは、野生型アデノウイルス 5における様々なヘルパー遺伝子配列間においてヘルパー遺伝子ではない核酸配列が大量にあること、およびヘルパー遺伝子配列によってコードされるタンパク質の発現レベルや機能に有意な影響を与えることなしに除去することができる核酸配列の実質的な位置を決定した。したがって、本発明者らは、ヘルパープラスミド自体の大きさを削減することも含まれうる、削減されたサイズのヘルパー遺伝子領域の決定を進めた。削減された大きさのヘルパー遺伝子領域を有することはヘルパープラスミド全体の大きさが削減できるために有利である。より小さなプラスミドは作製がより安価であり宿主細胞への導入がより容易である。
したがって、前記ヘルパープラスミド5000塩基対の長さより小さく、20000塩基対の長さより小さく、15000塩基対の長さより小さく、14500塩基対の長さより小さく、10000塩基対~25000塩基対の長さであり、10000塩基対~20000塩基対の長さであり、12000塩基対~15000塩基対の長さであり、または約14021塩基対の長さであってもよい。
同様に、前記少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子 VA核酸、E2A遺伝子およびan E4 遺伝子を含み、前記VA核酸、E2A遺伝子およびE4遺伝子は15000より少なく、12000より少なく、10000より少なく、9000より少なく、または8500より少ないヌクレオチドのヘルパープラスミド上の隣接しているヌクレオチド領域に含まれる。
削減された大きさのヘルパー遺伝子領域の一例は配列番号4に記載される。ヘルパー遺伝子領域はヘルパー遺伝子をコードする最初のヌクレオチドにおいて始まり、ヘルパー 遺伝子を、コードする最後のヌクレオチドにおいて終わる連続しているプラスミド領域である。必要に応じて、ヘルパー遺伝子領域は、配列番号4の全長または少なくとも6000ヌクレオチド長、少なくとも7000ヌクレオチド長、または少なくとも8000ヌクレオチド長の配列番号4の断片と、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する配列を含み、すなわち少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子は、配列番号4の全長または配列番号4の少なくとも6000ヌクレオチド長、少なくとも7000ヌクレオチド長、または少なくとも8000ヌクレオチド長の断片と、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の相同性を有するプラスミドの連続した領域に含まれる。必要に応じて、ヘルパー遺伝子領域は配列番号4の全長または配列番号4の少なくとも6000ヌクレオチド長、少なくとも7000ヌクレオチド長、または少なくとも8000ヌクレオチド長の断片と、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の相同性を有する配列を含む、すなわち、少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子は、配列番号4の全長または少なくとも6000ヌクレオチド長、少なくとも7000ヌクレオチド長、または少なくとも8000ヌクレオチド長の配列番号4の断片と、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%相同である配列を含む、プラスミド上の連続している領域に含まれる。
本発明者らはヘルパープラスミドから排除されうるアデノウイルス 5 ゲノムの特定の領域を同定した。
一の実施形態においては、ヘルパープラスミドは、配列番号2のヌクレオチド194~3620内に含まれる同等の長さのヌクレオチドの連続した領域の、またはアデノウイルスの様々なセロタイプの対応したヌクレオチド領域の、少なくとも2000、少なくとも2500、少なくとも3000、または3427ヌクレオチドの連続した配列を含まない。一の実施形態においては、前記ヘルパープラスミドは、配列番号2のヌクレオチド4032~4100 中に含まれる同等の長さの連続したヌクレオチド領域の少なくとも50、少なくとも60、または69ヌクレオチドの連続した配列、またはアデノウイルスの様々なセロタイプにおいて対応するヌクレオチド領域を含まない。
一の実施形態において、前記ヘルパープラスミドは、配列番号2のヌクレオチド10619~32755 中に含まれる同等の長さの連続したヌクレオチド領域の少なくとも15000、少なくとも20000、少なくとも22000、または22137ヌクレオチドの連続した配列、またはアデノウイルスの様々なセロタイプにおいて対応するヌクレオチド領域を含まない。
前記ヘルパープラスミドは、配列番号2のヌクレオチド11045~32755 中に含まれる同等の長さの連続したヌクレオチド領域の少なくとも15000、少なくとも20000、少なくとも21000、または21711ヌクレオチドの連続した配列、またはアデノウイルスの様々なセロタイプにおいて対応するヌクレオチド領域を含まない。
同様に、本発明者らは、ヘルパープラスミドのサイズを最小化する目的においてヘルパープラスミドに含まれる必要がなく、したがって、ヘルパープラスミドから排除されてもよい AAV2 ゲノムの領域を特定した。したがって、一の実施形態においては前記前記ヘルパープラスミドは、配列番号1のヌクレオチド4051~4413中に含まれる同等の長さの連続したヌクレオチド領域の少なくとも200、少なくとも300、少なくとも350、または363ヌクレオチドの連続した配列、またはアデノウイルスの様々なセロタイプにおいて対応するヌクレオチド領域を含まない。同様に、一の実施形態においては、前記ヘルパープラスミドは、配列番号1のヌクレオチド2301~2947中に含まれる同等の長さの連続したヌクレオチド領域の少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、または647ヌクレオチドの連続した配列、またはアデノウイルスの様々なセロタイプにおいて対応するヌクレオチド領域を含まない。
人工的なrep結合サイト
Repタンパク質は、GCTCGCTCGCTCGCTC(配列番号6)のコンセンサス配列を有する核酸配列である、rep結合サイト(rep 結合サイト(RBS))に結合する(McCarty, D. M. et al.(1994), J. Virol., 68(8):4988-4997))。したがって、rep 結合サイトはGCTCGCTCGCTCGCTC(配列番号6)と相同性を有する核酸配列である。核酸配列(テスト 核酸配列)がrep 結合サイトを含むかどうかを決定すること、例えば、核酸配列がGCTCGCTCGCTCGCTC(配列番号6)と相同性を有する配列を含むかどうかを決定することは、ゲルシフトアッセイ(EMSA)を用いて行うことができる。テスト 核酸配列が適切な電気泳動における使用に適切なゲルの最初のウェルにアプライされ、テスト 核酸配列およびRep68/Rep78タンパク質の混合物が当該ゲルの2番目のウェルにアプライされる。テスト 核酸配列が結合サイトを含む場合、Rep68/Rep78タンパク質が無いウェルに比べ、Rep68/Rep78タンパク質を含むウェルにおいては、核酸配列の移動度のシフトを引き起こす。
Repタンパク質の変異したRBSへの結合は、RBSを含む様々な配列間のRep-媒介 非-相同組み換えという結果となりえる。例えば、Repタンパク質は前記RBSにAAVのITRにおいて結合することができ、RBSバクテリアンのプラスミド骨格に存在することは、プラスミド骨格 配列からITRへの融合という結果となる。これは結果として促進された複製および望ましい融合配列などのパッケージングとなる。
したがって、本発明のプラスミドに存在するRBSのみが、野生型AAV(Repタンパク質がその通常の機能を発揮できるようにする)に存在するRBSに対応することことは好ましい。しかしながら、プラスミドが構築される場合、RBSがプラスミド骨格またはAAVには由来しない配列のプラスミドのどこかに存在する可能性があり、このような配列は「人工的な(artificial)」「変異した」RBSであると考えられ、回避されるか/除去されるべきである
プラスミドに存在する、人工的なRBSの一般的な原料はプラスミド骨格からきている。プラスミド骨格は細菌の宿主細胞におけるプラスミドを増幅させるために必要な細菌の配列である。プラスミド骨格は、アデノウイルス AAVに由来しないプラスミド領域であってもよく、2つのAAV-由来ITRの間に位置していていなくてもよい。ベクタープラスミド骨格はcap遺伝子以外のいかなるヌクレオチドをも包含し、cap遺伝子に作動可能に結合されたプロモーター(領域)、ITRs発現カセットを包含していてもよい。前記ヘルパープラスミド骨格は随伴アデノウイルス-由来の調節因子をのぞく、少なくとも一つのヘルパー遺伝子ヌクレオチド、少なくとも一つのrep遺伝子および随伴AAV-由来調節因子、少なくとも一つのrep遺伝子に作動可能に結合された1以上のプロモーターを含有していてもよい。一の実施形態においては、前記ヘルパープラスミドおよび/または前記ベクタープラスミド骨格を含み、前記プラスミド骨格は人工的なRBSを含まない。前記ヘルパープラスミドおよびベクタープラスミドのそれぞれは骨格を含んでいてもよく、いずれのプラスミド骨格も人工RBSは含まない
したがって、一の実施形態においては、前記ヘルパープラスミドおよび/または前記ベクタープラスミドは人工的なRBSは含まない。好ましくは、前記ヘルパープラスミドおよび前記ベクタープラスミドは人工的なRBSを含まなくてもよい。ベクタープラスミドおよび/またはヘルパープラスミドにおいては、ITR、p5プロモーターおよびp19プロモーターの中を除き、RBSはなくてもよい。
Cap遺伝子
ベクタープラスミド遺伝子を含んでもよい。cap遺伝子は機能的なCapタンパク質をコードする。cap遺伝子は機能的な一連のCapタンパク質をコードしていてもよい。AAVは通常3つのCapタンパク質、VP1、VP2およびVP3を含む。これらの3つのタンパク質はAAV ゲノムが挿入されるカプシドを形成し、宿主細胞にAAV ゲノムをトランスファーできるようにする。VP1、VP2およびVP3のすべては単一の遺伝子、cap遺伝子によって野生型AAVにおいてコードされる。VP1のアミノ酸 配列はVP2配列の配列を含む。VP2の一部を形成しないVP1の一部はVP1ユニークまたはVP1Uと称される。VP2のアミノ酸 配列にはVP3 配列が含まれる。VP3の一部を形成しないVP2の一部はVP2ユニークまたはVP2と称される。
「機能的な」一連のCapタンパク質はrAAVのカプシド形成をできるようにするものである。上述したように、所与のCapタンパク質または一連のCapタンパク質が機能的であるかどうかを決定することは当業者の能力の範疇である。当業者は、コードされたCapタンパク質が上述したようにAAV作製アッセイを用いてAAV作製を維持するかどうかを確かめる必要はほとんどない。この場合、テスト 2-プラスミドシステムにおいて、「機能性」を決定されるべきCapタンパク質をコードするcap遺伝子を含むベクタープラスミドを含み、さもなければ用いられたテスト2-プラスミドシステムはリファレンス 2-プラスミドシステムと同一である。Capタンパク質(s)は、それが維持するrAAV作製レベルが、野生型cap遺伝子 産物により維持されるレベルの少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%である場合、すなわち産生されるrAAVの収量が、リファレンス 2-プラスミドシステムを、用いて産生されるrAAVの収量の、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%であるとき、「機能的である」と考えられる。好ましくは、野生型cap遺伝子産物により維持されるレベルの少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%のレベルにおいて、rAAV作製を維持する場合、当該Capタンパク質は「機能的」であると考えられる。
VP2および/またはVP3タンパク質を含むAAVが、野生型VP2および/またはVP3タンパク質を含む同等のAAVのレベルの、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%のレベルでHuh7細胞に形質導入できる場合、VP2および/またはVP3タンパク質は「機能的」であってもよい。AAV粒子のHuh7細胞への形質導入能力は緑色蛍光タンパク質(GFP)等のリポータータンパク質をAAV粒子に添加し、当該AAV粒子をHuh7細胞と混合し、生じた蛍光を測定することによってテストされてもよい。
ベクタープラスミドはVP1、VP2および/またはa VP3タンパク質をコードするcap遺伝子を含んでいてもよい。VP1、VP2およびVP3タンパク質は1以上のcap遺伝子から発現されてもよい。前記ベクタープラスミドは、VP1、VP2およびa VP3タンパク質をコードするcap遺伝子を含んでいてもよい。前記ベクタープラスミドはウイルスゲノムをカプシド化するためのほかのCapタンパク質と集合できる、機能的なVP1、すなわちVP1タンパク質をコードするcap遺伝子を含んでいてもよい。
AAVの様々なセロタイプは、様々なアミノ酸配列を有するCapタンパク質を持つ。cap遺伝子をコードする(一連の)capタンパク質(s)は、本発明と関連した使用に適切である。Capタンパク質はあるセロタイプのAAVにおいて発現された野生型Capタンパク質であってもよい。代わりに、前記Capタンパク質は非天然のものであってもよく、例えば、遺伝子組み換えで、Capタンパク質は、野生型AAVcapタンパク質のそれとは異なった配列を含むように設計された。遺伝子治療適応の背景において、ほとんどいない潜在的な患者が、野生型カプシドと比べて非天然Capタンパク質を含むAAVによる転写を防ぐ高いレベルの抗体を有している可能性があることから、非天然capタンパク質をコードする遺伝子は特に有利なものである。
前記cap遺伝子はセロタイプ 1、2、3A、3B、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13を含む群から選択されたセロタイプのCapタンパク質をコードしてもよい。前記cap遺伝子はセロタイプ 2、5、8、および9を含む群から選択されたセロタイプのCapタンパク質をコードしてもよい。前記cap遺伝子は、LK03、rh74、rh10およびMut C(WO 2016/181123;WO 2013/029030;WO 2017/096164)を含む群から選択されたcapタンパク質をコードしてもよい。前記cap遺伝子はセロタイプ 2、5、8または9、およびMut C(WO 2016/181123の配列番号3)を含むAAV セロタイプの群から選択されたCapタンパク質をコードしてもよい。前記cap遺伝子はcapタンパク質Mut C(WO 2016/181123の配列番号3)をコードしてもよい。
Cap遺伝子プロモーター
前記ベクタープラスミドはcap遺伝子プロモーターを含んでもよい。前記cap遺伝子のプロモーターはcap遺伝子に作動可能に結合されてもよい。代わりに、当該ベクタープラスミドはcap遺伝子を含まずともよいが、作動可能にcap遺伝子プロモーターに結合された(すなわち近距離の並置 5’-[cap遺伝子プロモーター]-[クローニングサイト]-3’)クローニングサイトを含みうる。クローニングサイトはマルチプルクローニングサイト(MCS、またはポリリンカー;例えば図4C-E参照)であってもよい。使用者はある特定のcap遺伝子をある特定の適用のために加えるという 選択肢を有することを求めうる。例えば、ベクタープラスミドが遺伝子治療において使用するためのAAVを産生するために用いられる場合、使用者はcap遺伝子を欠いているが、ある特定の適用に対して特定のcap遺伝子をクローニングさせるためのクローニングサイトベクタープラスミドを望んでもよい。ベクタープラスミドは導入遺伝子(発現カセットにおける)に関して用いることができ、使用者は、ある導入遺伝子について、そのようなカセットを肝臓向性などの特性を有するカプシドにカプシド化が有利な点であり、一方で、ほかの導入遺伝子については、異なった向性を有するカプシドが有利な点であることを見出すことができる。クローニングサイトに連結しているcap遺伝子プロモーターを含むベクタープラスミドの設計により、使用者は、特定の適用について(特定の導入遺伝子の使用等)適切なcap遺伝子を容易に「プラグ イン」することができる。
前記ベクタープラスミドは少なくとも一つの、野生型cap遺伝子プロモーターであるcap遺伝子プロモーターを含んでいてもよい。
野生型cap遺伝子(すなわち野生型AAVのcap遺伝子)はp40プロモーター、p5プロモーターおよびp19プロモーターに作動可能に結合される。前記少なくとも一つのcap遺伝子プロモーターはAAV p40プロモーター、p5プロモーター、および/またはp19プロモーターを含んでいてもよい。前記少なくとも一つのcap遺伝子プロモーターは、AAV p40プロモーター、p5プロモーター、およびp19プロモーターを含んでいてもよい。しかしながら、cap遺伝子の発現を駆動できる適切なプロモーターが用いられうる。
所与のcap遺伝子プロモーターが遺伝子の発現を駆動できるかどうかは、上述したようにAAV作製アッセイを用いて決定することができる。特に、前記cap遺伝子プロモーターがcap遺伝子発現を駆動することができる場合、それはAAV作製を促進する。この場合、テスト 2-プラスミドシステムは、cap遺伝子およびAAV作製を促進する能力をテストされるべきcap遺伝子プロモーターを含む、ベクタープラスミドを含み、さもなければ用いられたテスト 2-プラスミドシステムはリファレンス 2-プラスミドシステムと同一である。一の実施形態においては、野生型p40cap遺伝子プロモーターによって維持されるレベルの少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%のレベルでrAAV作製が維持される場合、すなわちrAAVベクターが産生する収量が、リファレンス 2-プラスミドシステムを用いて産生されるrAAVの収量の、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%である場合、cap遺伝子プロモーターはAAV作製を促進すると考えられる。好ましくは、リファレンス 2-プラスミドシステムを用いて産生されるrAAVの収量の、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%のレベルでrAAV作製が維持される場合、cap遺伝子プロモーターはAAV作製を促進すると考えられる。
前記p40プロモーターは前記cap遺伝子の発現を駆動すると理解できる。野生型p40プロモーターは野生型rep遺伝子の中に含まれうる。AAV2 p40プロモーターは配列番号1のヌクレオチド配列を有する。しかしながら、他のセロタイプのAAVにおけるp40プロモーターはわずかに異なった配列を含んでいてもよい。いくつかの実施形態においては、p40プロモーターは、配列番号1のヌクレオチド1710~1827またはAAVの他のセロタイプにおける対応する配列と、少なくとも95%、少なくとも98%、または99%相同である配列を有する。いくつかの実施形態においてはp40プロモーターは配列番号1のヌクレオチド1710~1827と少なくとも98%相同である配列を有する。
本発明者らは、p5プロモーターおよびp19プロモーターがp40プロモーターを調節するという点において重要な働きを果たし、p40プロモーター、p5プロモーターおよびp19プロモーターの存在が高い収量/高い質のrAAVをもたらす、適切に制御されたcap遺伝子の発現を導くことから、p40プロモーター、p5プロモーターおよびp19プロモーターを含む、少なくとも一つのcap遺伝子プロモーターが有利であることを見出した。したがって、いくつかの実施形態においては、少なくとも一つのcap遺伝子プロモーターは、p40プロモーター、p5プロモーターおよびp19プロモーターを含む「プロモーター 領域」に含まれている。必要に応じて、プロモーター 領域は、野生型AAV2 配列(配列番号1)の以下の領域の、全長、または少なくとも800ヌクレオチド長、少なくとも900ヌクレオチド長、少なくとも1000ヌクレオチド長または少なくとも1100ヌクレオチド長であって5’ 末端から3’末端のすぐそばに並ぶ位置にある断片:200~354;600~1049;1701~2202、またはAAVの様々なセロタイプにおける対応する並置されているヌクレオチド領域に対して、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の相同性を有する配列を含む。
前記野生型p5プロモーターは野生型rep遺伝子の上流にある。AAV2 p5プロモーターは配列番号1のヌクレオチド 204~292の配列を有する。しかしながら、p5プロモーターはAAVのほかのセロタイプにおいてはわずかに異なった配列を含んでいてもよい。いくつかの実施形態においては、前記p5プロモーターは配列番号1のヌクレオチド204~292と少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99% 相同である配列を有するか、またはAAVの他のセロタイプからの対応する配列を有する。いくつかの実施形態においては、前記p5プロモーターは配列番号1のヌクレオチド 204~292について少なくとも98%相同である配列を有する
前記p19プロモーターは野生型rep遺伝子中に含まれる。AAV2 p19プロモーターは、配列番号1のヌクレオチド730~890の配列を有する。しかしながら、p19プロモーターはAAVのほかのセロタイプにおいてはわずかに異なった配列を含んでいてもよい。いくつかの実施形態においては、前記p19プロモーターは、配列番号1のヌクレオチド730~890またはAAVのほかのセロタイプの対応する配列と少なくとも95%、少なくとも98%、または、少なくとも99%相同である配列を有する。いくつかの実施形態においては、前記p19プロモーターは、配列番号1のヌクレオチド 730~890と少なくとも98%相同である配列を有する。
少なくともその一方の側においてITRにより隣接される発現カセット
本発明のベクタープラスミドまたは2-プラスミドシステムは、遺伝子治療における使用についてのAAVベクターの産生に用いられてもよい。「遺伝子治療」は導入遺伝子(第IX因子をコードするヌクレオチド 配列等)をそれが投与されるホスト内で発現できる本発明のAAV/ウイルス粒子を投与することもかかわる。このような場合では、当該ベクタープラスミドは発現カセットを含む。
前記ベクタープラスミドは少なくとも一つのITRを含んでいてもよい。したがって、前記ベクタープラスミドは少なくとも一つのITRが含まれるが、典型的には2つのITR(通常発現カセットの片方の端のいずれか、すなわち5’末端に一つ、3’末端に一つ)、をさらに含んでいてもよい。発現カセットおよび1以上のITRの間に介在配列を有していてもよい。発現カセットは2つの調節 ITRの間において、または2つのD 領域で遺伝子組み換えされたITRのいずれか一方側において、ウイルス粒子に組み込まれてもよい。前記ベクタープラスミドはAAV1、AAV2、AAV4および/またはAAV6に由来するITR配列を含んでいてもよい。好ましくは前記ITR配列はAAV2 ITR配列である。
ベクタープラスミドは発現カセットを含んでいてもよい。本明細書において記載されているように、発現カセットは、導入遺伝子および導入遺伝子に作動可能に結合されたプロモーターを含む核酸配列のことを称する。前記カセットはエンハンサーのようなほかの転写調節因子、イントロン、非翻訳領域、転写終結因子などをさらに含んでいてもよい。
発現カセットはHLP2、HLP1、LP1、HCR-hAAT、ApoE-hAAT、および/またはLSPからのプロモーター 領域および/またはエンハンサー領域を含む転写調節因子を含んでいてもよい。これらの転写調節因子はi以下の参照文献においてさらに詳細に記載されている:HLP2:WO16/075473;HLP1:McIntosh J. et al., Blood 2013 Apr 25, 121(17):3335~44;LP1:Nathwani et al., Blood. 2006 April 1, 107(7):2653-2661;HCR-hAAT:Miao et al., Mol Ther. 2000;1:522~532;ApoE-hAAT:Okuyama et al., Human Gene Therapy, 7, 637~645(1996);and LSP:Wang et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 1999 March 30, 96(7):3906-3910。これらの転写調節因子はそれぞれ、プロモーター、エンハンサー、および必要に応じて 他のヌクレオチドを含む。前記ポリヌクレオチドが肝臓における発現を意図されている場合、前記プロモーターは肝臓特異的プロモーターでありうる。前記プロモーターは、ヒト肝臓特異的なプロモーターであってもよい。
前記導入遺伝子は適切な遺伝子のいずれであってもよい。前記ベクタープラスミドが遺伝子治療における使用についてのものである場合、前記導入遺伝子は疾患の治療に用いられうるタンパク質またはヌクレオチド 配列を含む、またはコードする遺伝子を含んでいてもよい。例えば、前記導入遺伝子は酵素、代謝タンパク質、シグナルタンパク質、抗体、抗体断片、抗体様タンパク質、抗原、またはmiRNA、siRNA、snRNA、もしくはアンチセンス RNAなどの非翻訳RNAをコードしていてもよい
必要に応じて、前記導入遺伝子は第IX因子、α-ガラクトシダーゼA、β-グルコセレブロシダーゼおよび第VIII因子の群から選択されたタンパク質をコードする。
第IX因子はセリンプロテアーであり、血液凝固カスケードの一部を形成する。第IX因子タンパク質は野生型第IX因子タンパク質であってもよい。第IX因子タンパク質は野生型第IX因子タンパク質の断片であってもよい。第IX因子タンパク質は野生型第IX因子タンパク質の変異体であってもよい。第IX因子タンパク質またはその断片は、野生型第IX因子タンパク質またはその断片と比較して、1以上の置換、欠失および/または付加を含んでいてもよい。第IX因子タンパク質は野生型第IX因子タンパク質と少なくとも90% 相同であってもよい。好ましくは第IX因子タンパク質またはその断片は機能的である。前記第IX因子タンパク質またはその断片は高機能的なものであってもよい。機能的な第IX因子タンパク質またはその断片は、第X因子中でアルギニン-イソロイシン結合の加水分解を起こすことで第Xa因子を形成する。
前記第VIII因子タンパク質は野生型第VIII因子タンパク質であってもよい。前記第VIII因子タンパク質は野生型第VIII因子タンパク質の断片であってもよい。第VIII因子タンパク質は野生型第VIII因子タンパク質の変異体であってもよい。第VIII因子タンパク質またはその断片は、野生型第VIII因子タンパク質またはその断片と比較して、1以上の置換、欠失および/または付加を含んでいてもよい。第VIII因子タンパク質は、βドメインの欠失等の欠失を含んでいてもよい。第VIII因子タンパク質は野生型第VIII因子タンパク質に対して少なくとも90% 相同である。第VIII因子タンパク質は、β ドメインの欠失などの欠失を含む、野生型第VIII因子タンパク質と、少なくとも90% 相同であってもよい。好ましくは前記第VIII因子タンパク質またはその断片は機能的である。前記第VIII因子タンパク質またはその断片は高機能的なものであってもよい。機能的な第VIII因子タンパク質またはその断片は、トロンビンによって活性化されたとき、第IXa因子、リン脂質およびカルシウムと、酵素複合体を形成できるものであり、当該酵素複合体は第X因子から第Xa因子への変換を触媒できる。
前記α-ガラクトシダーゼAタンパク質は野生型α-ガラクトシダーゼAタンパク質であってもよい。前記α-ガラクトシダーゼAタンパク質は野生型α-ガラクトシダーゼAタンパク質の断片であってもよい。α-ガラクトシダーゼAタンパク質野生型α-ガラクトシダーゼAタンパク質の変異型であってもよい。α-ガラクトシダーゼAタンパク質oまたはその断片は野生型α-ガラクトシダーゼAタンパク質と比べて1以上の置換、欠失および/または負荷を含んでいてもよい。α-ガラクトシダーゼAタンパク質は少なくとも野生型α-ガラクトシダーゼAタンパク質と90%同一であってもよい。好ましくは前記α-ガラクトシダーゼAタンパク質またはその断片は機能的である。前記α-ガラクトシダーゼAタンパク質またはその断片は高機能的なものであってもよい。機能的なα-ガラクトシダーゼAタンパク質またはその断片は糖脂質および糖タンパク質のα-ガラクトシル末端部分を加水分解する。
前記β-グルコセレブロシダーゼタンパク質は野生型β-グルコセレブロシダーゼタンパク質であってもよい。β-グルコセレブロシダーゼタンパク質は野生型β-グルコセレブロシダーゼタンパク質の断片であってもよい。β-グルコセレブロシダーゼタンパク質は野生型β-グルコセレブロシダーゼタンパク質の変異型であってもよい。β-グルコセレブロシダーゼタンパク質またはその断片は野生型β-グルコセレブロシダーゼタンパク質と比較して、1以上の置換、欠失sおよび/または付加を含んでいてもよい。β-グルコセレブロシダーゼタンパク質は野生型β-グルコセレブロシダーゼタンパク質と少なくとも90%相同なものであってもよい。好ましくはβ-グルコセレブロシダーゼタンパク質またはその断片は機能的なものである。β-グルコセレブロシダーゼタンパク質またはその断片は高機能的なものであってもよい。機能的なβ-グルコセレブロシダーゼタンパク質またはその断片は糖脂質および糖タンパク質のα-ガラクトシル末端部分を加水分解する。機能的なβ-グルコセレブロシダーゼタンパク質または断片は、グルコセレブロシドの加水分解を起こすものである。
前記ベクタープラスミドはcap遺伝子を含み、少なくとも一方の側において、ITRによって隣接される発現カセットをさらに含んでもよい。
必須ではない翻訳開始コドン
前記ベクタープラスミドは必須ではない翻訳開始コドンを含まなくともよい。前記ベクタープラスミドは、転写され、翻訳されなければならない少なくとも二つの遺伝子(導入遺伝子(発現カセット中の)およびcap遺伝子)を含んでいてもよい。前記導入遺伝子は翻訳されるタンパク質またはポリペプチドをコードしていない機能的なRNAをコードしていてもよい。導入遺伝子がタンパク質をコードする場合、前記cap遺伝子は遺伝子の翻訳開始を促進する開始(ATGまたはGTG)コドンを含んでいる。しかしながら、前記ベクタープラスミドは追加のATGまたはGTG(これらの遺伝子のリーディングフレームのインフレームまたはアウトオブフレームのいずれにおいても)を含んでいてもよく、翻訳は、必要に応じて、これらの位置の1つにおいて始まることができる。これらの追加のATGまたはGTGの場所から翻訳がはじめられる必要がないことから、前記ATGまたはGTGコドンは「必須ではない翻訳開始コドン」と考えられてもよい。特に、それらがプロモーター 領域に現れる場合は、必須ではない翻訳開始コドンは除去されるか、非機能的なものにされることが好ましい。プロモーター 領域は、cap遺伝子に作動可能に結合された1以上のプロモーターを含む、ベクタープラスミドの領域である。いくつかの実施形態においては、cap遺伝子は1以上のp5、p19およびp40プロモーターに作動可能に結合されており、このような実施形態においては、前記プロモーター 領域はp5、p19およびp40プロモーターを含む。
前記プラスミドは1以上のプロモーターを含むプロモーター 領域を含んでいてもよく、当該プロモーター 領域はATGまたはGTGコドンを含まない。当該プロモーター 領域はp5、p19および/またはp40プロモーターを含んでいてもよく、ここで配列番号1の(a)321~323(Rep78/68 ATG 開始コドン)、(b)766~768(ATGコドン)、(c)955~957(ATG コドン)、(d)993~995(Rep52/40 ATG スタートコドン)および(e)1014~1016(GTGコドン)、に対応する1以上の位置にあるATGまたはGTGコドンは存在しないか、変異している。
必要に応じて、プロモーター 領域においては:
(a)配列番号1のヌクレオチドに対応するヌクレオチド321~323は存在しない;
(b)配列番号1のヌクレオチド 766~768に対応するヌクレオチドATGではなく、ATTであってもよい;
(c)配列番号1のヌクレオチド 955~957に対応するヌクレオチドは存在しない;
(d)配列番号1のヌクレオチド 993~995に対応するヌクレオチドは存在しない;および/または
(e)配列番号1のヌクレオチド 1014~1016に対応するヌクレオチドは存在しない。
必要に応じて、プロモーター 領域においては:
(a)配列番号1のヌクレオチド 321~323に対応するヌクレオチドは存在せず;
(b)配列番号1のヌクレオチド766~768に対応するヌクレオチドはATGではなく、ATTであってもよく;
(c)配列番号1のヌクレオチド 955~957に対応するヌクレオチドは存在せず;
(d)配列番号1のヌクレオチド 993~995に対応するヌクレオチドは存在せず;および
(e)配列番号1のヌクレオチド 1014~1016ヌクレオチドは存在しない。
ベクタープラスミドのサイズ
上述したように、ヘルパープラスミドに関しては、rAAVの作製に用いられるプラスミドは可能な限り小さいほうが有利である。より小さなプラスミドは産生するためのコスト効率がよりよく、細胞にトランスフェクトすることもより容易である。
ベクタープラスミドのサイズは、上述したように、そこに含まれるプロモーター、転写調節因子、導入遺伝子およびcap遺伝子のサイズによって部分的に定義され、これらの機能の性質は、rAAVが使用されるアプリケーションによって部分的または完全に定義される。
しかしながら、ベクタープラスミドのサイズは、用いられる骨格のサイズを小さくすることでおよび/またはベクタープラスミドがスペーサー(200ヌクレオチド長より大きいノンコーディング核酸配列の隣接している領域)を含まないようにすることで削減されることができる。
前記ベクタープラスミドは4000ヌクレオチドヌクレオチド長より短い骨格、3500ヌクレオチドヌクレオチド長より短い骨格、3000ヌクレオチド、長より短い骨格、または2500ヌクレオチド長より短い骨格を含んでいてもよい。前記ベクタープラスミドはいかなるスペーサーをも含まなくてもよい。
宿主細胞
本発明は、本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドを含む、宿主細胞を提供する。
前記宿主細胞は好ましくはrAAVを産生するために用いることができる宿主細胞である。宿主細胞は、したがって、宿主細胞はrAAVの作製に適切な宿主細胞であってもよい。加えて、前記宿主細胞はrAAVの作製のためのものでありうる。
通常、rAAVの作製に適切な宿主細胞は、真核細胞のセルライン、好ましくは脊椎生物のセルライン、好ましくは哺乳類のセルライン、好ましくはヒトのセルラインに由来する宿主細胞である。必要に応じて宿主細胞は、HEK293T細胞、HEK293細胞、HEK293EBNA細胞、CAP細胞、CAP-T細胞、AGE1.CR細胞、PerC6細胞、C139細胞、EB66細胞、BHK細胞、COS細胞、Vero細胞、Hela細胞、およびA549細胞を含む群から選択された細胞である。好ましくは、宿主細胞はHEK293T細胞、HEK293細胞、HEK293EBNA細胞、CAP細胞、CAP-T細胞、AGE1.CR細胞、PerC6細胞、C139細胞、およびEB66細胞を含む群から選択された細胞である。さらに好ましくは、前記宿主細胞はHEK293T細胞、HEK293細胞、およびHEK293EBNA細胞を含む群から選択された細胞である。例えば前記宿主細胞はHEK293T細胞であってもよい。前記宿主細胞は、機能的なアデノウイルスのE1A/Bタンパク質を発現する細胞であってもよい。例えば前記宿主細胞は機能的なアデノウイルスのE1A/Bタンパク質をコードする遺伝子を含む染色体を含んでいてもよい。機能的なアデノウイルスのE1A/Bタンパク質は「少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子」と題された節で論じられている。
宿主細胞がrAAVの作製について適切であるかどうかを決定することは当業者の能力の範疇である。当業者は上述したように宿主細胞がAAV作製アッセイを用いてAAV作製を維持するかどうかを決定するほとんどする必要がない。この場合、用いられたテスト 2-プラスミドシステムおよびリファレンス 2-プラスミドシステムは同一のものである。しかしながら、テストプラスミドシステムは、組換えAAVの産生への適合性が試験された宿主細胞にトランスフェクトされ、リファレンス 2-プラスミドシステムはHEK293T細胞にトランスフェクトされる。それが維持するAAV作製が、HEK293T細胞によって維持されるレベルの、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%のレベルである場合、すなわち産生された組み換えAAVの収量が、HEK293T細胞において産生された組み換えAAVの収量の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%である場合、宿主細胞は、組み換えAAVの作製に適切であると考えることができる。
低レベルの自立増殖性AAV(rcAAV)
本発明は低レベルの自立増殖性AAV(rcAAV)を有するrAAV調製物の産生のための、本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドの使用を提供する。
本発明は、rAAV作製の間に産生される前記rcAAVのレベルを減少させるか最小化させるための、本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミド、またはベクタープラスミドの使用も提供する。
本発明は、rAAV作製の間に産生される偽野生型rcAAVのレベルを減少させるか最小化させるための、本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドの使用も提供する。
本発明は以下を含むrAAV調製物を産生する方法も提供する:
(a)本発明の、2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドを取得すること;
(b)宿主細胞を本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドでトランスフェクトすること;および
(c)rAAV作製に適切な環境下で宿主細胞を培養すること。
ここで前記rAAV調製物は低レベルの自立増殖性AAV(rcAAV)を含む。
前記方法は低レベルのrcAAVを含むAAV 調製物を提供するためのrAAV回収のステップをさらに含んでいてもよい。
本発明は、組み換えAAV(rAAV)作製の間に産生される自立増殖性AAV(rcAAV)のレベルを、減少させるか最小化させる方法もさらに包含し、以下を含む:
(a)本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドを取得すること;
(b)本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドで宿主細胞をトランスフェクトすること;および
(c)rAAV作製に適切な環境下で宿主細胞を培養すること。
前記方法はさらに、必要に応じて低レベルのrcAAVを有するrAAV調製物を提供するための、rAAVを回収するステップを含んでいてもよい。
本発明は、組み換えAAV(rAAV)作製の間に産生される偽野生型自立増殖性AAV(rcAAV)のレベルを、減少させるか最小化させる方法もさらに包含し、以下を含む:
(a)本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドを取得すること;
(b)本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドで宿主細胞をトランスフェクトすること;および
(c)rAAV作製に適切な環境下で宿主細胞を培養すること。
前記方法はさらに、必要に応じて低レベルの偽野生型rcAAVを有するrAAV調製物を提供するためのrAVVを回収するステップを含んでいてもよい。
「RAAV」または「組み換えAAV」はAAV粒子、すなわちAAV ゲノム(ベクターゲノム等)およびAAV カプシドを含む粒子を示す。
本発明の目的に対して、用語「rcAAV」または「自立増殖性AAV」はrep遺伝子を含むゲノムまたはcap遺伝子を含むゲノムを含む、rAAV粒子を示すことを意図している。一方、本発明の目的に対して、用語「rcAAV」は、rep遺伝子またはcap遺伝子を含むゲノムを含む、rAAV粒子を示すことを意図しており、rep遺伝子を含むが、cap遺伝子は含まないゲノムを含むrAAV粒子(本明細書においては、いわゆる「cap欠失rcAAV」)またはcap遺伝子を含むが、rep遺伝子を含まないゲノムを含むrAAV粒子(本明細書において、いわゆる「rep欠失rcAAV」)は独立では自立増殖性がないということを理解することができる。むしろ、複製を行うために(必要なヘルパーウイルスの機能の存在下であり、in transで提供されるAAVの機能は必要とせずに)、AAV粒子はrep遺伝子およびcap遺伝子(いわゆる「偽野生型rcAAV」)を含んでいなければならない。しかしながら、rep遺伝子を含むがcap遺伝子を含まないAAV粒子は、cap遺伝子を含むAAV粒子を宿主細胞において共感染させた場合、複製することができ、cap遺伝子を含むがrep遺伝子を含まないAAV粒子は、rep遺伝子を含むAAV粒子を宿主細胞に共感染させた場合、複製することができる。ゆえに、用語「rcAAV」は「cap欠失rcAAV」を包含するが、「偽野生型rcAAV」および「rep欠失rcAAV」も包含する。偽野生型rcAAVは(ヘルパーウイルスの機能の存在下で)宿主細胞において ほかのAAV粒子による重複感染なしで複製し、次代のウイルスを産生することができる。偽野生型rcAAVはITR配列により隣接されるrep遺伝子およびcap遺伝子を含んでいてもよい。
用語「rep-rcAAV」は「偽野生型rcAAV」および「cap欠失rcAAV」を含有する。用語「cap-rcAAV」は「偽野生型rcAAV」および「rep欠失rcAAV」を包含する。
rcAAVのすべての種はrAAV調製物において望ましくない。cap欠失rcAAVは、cap含有AAV粒子と共感染した場合において、複製されうる。Rep欠失rcAAVはrep-含有AAV粒子と共感染した場合に複製され得、偽野生型rcAAVはAAV 重複感染することなしに複製されうる。rcAAVが複製された場合、有意な副作用が引き起こされうる。したがって、前記産生されるrcAAVのレベルを減少させるか最小化させることは有利である。本明細書において用いられるように、用語「前記rcAAVのレベルを減少させること」は産生されるrcAAVの数を減少させることを示す。本明細書において用いられるように、用語「前記rcAAVのレベルを最小化する」は、当該方法の制約を考慮したうえで、前記rcAAVのレベルを、最も低いレベルに減少させることを示す。
本発明の方法を使用することは、前記パッケージングされたrAAV ゲノムはrep遺伝子またはcap遺伝子のいずれも含むべきではなく、通常、rep遺伝子またはcap遺伝子のいずれもITRに連結されない(同一のプラスミド上で隣接している)。しかしながら、単一の組み換え現象はcap欠失またはrep欠失rcAAVの生成を起こしうる。偽野生型rcAAVを生成するため、二つの組み換え現象が起こるべきであるが、これは滅多に起きることではない。
rAAV粒子がrep遺伝子を含むゲノムを含むかどうか、rAAV粒子の調製物がrep遺伝子を含むゲノムを含む粒子を含むかどうかは、qPCRを用いて決定されてもよい。rcAAVの量は産生されたrepのコピー数を決定することで測定されてもよい。rcAAVの量は細胞(すなわち宿主細胞)当たりのrepのコピー数をqPCRを用いて決定することで、測定されてもよい。
rep遺伝子に特異的な1つのプライマー(または2つのプライマー)はqPCRにおいて使用されるべきである。必要に応じて、その(または双方の)プライマーは(プライマーがフォワードプライマーであるかリバースプライマーであるかにより、リバースおよび相補的なまたは同一の)、前記4つのRepタンパク質をコードする、配列番号1のヌクレオチド 321~2252の、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、または少なくとも18の領域に対して特異的である。当該プライマーはrep 40に特異的であってもよい。前記プライマーはrep 52に特異的であってもよい。前記プライマーはrep 68に特異的であってもよい。
qPCRの第二のプライマー対を用いて、細胞当たりのrepのコピー数を決定することは、宿主細胞において、HEK293細胞のヒトアルブミンのような内在性の遺伝子(内在性のハウスキーピング遺伝子等)に特異的なものである、qPCRにおいて用いられるべきである。各プライマーまたはプライマーペアはヒトアルブミンのゲノム配列の少なくとも8、少なくとも10、少なくとも12または少なくとも15ヌクレオチドの領域に対して特異的(相補的)であってもよい。細胞当たりのコピー数はそれから、内在性の遺伝子のコピー数に対するrepのコピー数の比として決定されてもよい。
代わりに、rcAAV(偽野生型および/またはcap欠失rcAAV)を検出する/測定するための上記方法はrep欠失rcAAVを検出するために用いることができるcap遺伝子特異的qPCRによって行われうる。
前記方法または使用はrAAV調製物を提供することができる。このような実施形態において、rAAV調製物は、好ましくは低レベルのrcAAVを含む。低レベルのrcAAVは通常107 rAAVあたり1 rcAAVであるよりも低く、または本発明の方法と同等の方法を用いて産生されたrAAV調製物よりも低い。ベクタープラスミドが少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の双方を含むことを除き、「高い収量」と題された項目において後述されるように、rAAVのレベルはベクターゲノムの数を決定するためにqPCRを用いることによって決定されうる。
前記rcAAVのレベルは、107 組み換えAAVあたり1 rcAAVであるより低く、109 組み換えAAVあたり1 rcAAVであるより低く、または1010組み換えAAVあたり1 rcAAVであるより低くてもよい。前記rcAAVのレベルはベクタープラスミドが少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の双方を含むことを除いて対応する方法を用いて産生される、前記rcAAVのレベルよりも低くてもよい。前記rcAAVのレベルは、上記qPCRアッセイを用いて測定されてもよい。前記rcAAVのレベルは2回または3回の継代後におけるqPCRアッセイを用いて測定されてもよい。前記rcAAVは偽野生型rcAAVであってもよい。前記rcAAVはcap欠失rcAAVであってもよい。前記rcAAVはrep欠失rcAAVであってもよい。前記rcAAVは、偽野生型rcAAV、cap欠失rcAAVおよびrep欠失rcAAVを含んでいてもよい。
「本発明の方法と同等の方法」という表現は、前記ベクタープラスミドが少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の双方を含むことを除いて、同じ方法を示すことを意図する。
前記低レベルのrcAAVは低レベルのrep-rcAAVを含んでいてもよい。前記rcAAVが「低レベルのrep‐-cAAVを含む」場合には、調合物に存在するrcAAVには、せいぜいrep-rcAAVの割合がわずかしかない。したがって、「低レベルのrep-rcAAVを含む、低レベルのrcAAV」という表現は、本明細書において用いられるとおり、調製物における、前記低レベルのrcAAVは少なくとも、rep-rcAAVの割合が小さいことを意味する。低レベルのrcAAVは少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の双方を含むプラスミドを含む、2-プラスミドシステムを用いて産生されるrep-rcAAVのレベルと比べて、低いレベルのrep-rcAAVを含んでいてもよい。
少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の双方を含むプラスミドを含む、2-プラスミドシステムは、本明細書において、「比較のために用いられる2-プラスミドシステム」とも称される。前記比較のために用いられる2-プラスミドシステムは従来の“non-split” 構成であってもよい。少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の双方を含むプラスミド(前記比較のために用いられる2-プラスミドシステム)は、すべての4つのrep遺伝子(例えばAAV2 rep カセット)を含んでいてもよい。少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の双方を含むプラスミド(前記比較のために用いられる2-プラスミドシステム)は、本発明の2-プラスミドシステムのように同一のcap遺伝子配列を含んでいてもよい。少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の双方を含むプラスミド(前記比較のために用いられる2-プラスミドシステム)は、本発明の2-プラスミドシステムのように同一のrep遺伝子配列を含んでいてもよい。比較のために用いられる2-プラスミドシステムは、本発明の2-プラスミドシステムのように、同一のAdV(アデノウイルス)ヘルパーおよびベクターゲノム配列(例えば、発現カセット)を含むプラスミドを含んでいてもよい。例えば、前記比較のために用いられる2-プラスミドシステムは本発明の2-プラスミドシステムのように、同一のAdVヘルパーおよびベクターゲノム配列(例えば、発現カセット)を含むプラスミドを含んでいてもよく、少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の双方を含む(前記比較のために用いられる2-プラスミドシステムの)プラスミドは、本発明の2-プラスミドシステムのように同一のcap遺伝子配列および同一のrep遺伝子配列を含む。さらなる一例として、前記比較のために用いられる2-プラスミドシステムは本発明の2-プラスミドシステムのように、同一のAdVヘルパーおよびベクターゲノム配列(例えば、発現カセット)を含むプラスミドを含んでいてもよく、少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の双方を含むプラスミド(前記比較のために用いられる2-プラスミドシステムの)、は本発明の2-プラスミドシステムのように、同一のcap遺伝子配列およびすべての4つのrep遺伝子を含むAAV(例えば、AAV2)rep カセットを含む。前記比較のために用いられる2-プラスミドシステムのプラスミドは、1.8:1(AdVヘルパー-ベクターゲノム プラスミド:rep-capプラスミド)のプラスミドモル比でトランスフェクトされてもよい。
前記低レベルのrcAAVは、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、または少なくとも35倍の過剰量のrep-rcAAVまたはcap-rcAAVを含む。必要に応じて、低レベルのrcAAVは、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、または少なくとも35倍過剰のcap-rcAAVを含み、すなわちrcAAVは、rep 配列に比べて、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、または少なくとも35倍のcap配列を含みうる。必要に応じて、低レベルのrcAAVは少なくとも5倍~少なくとも100倍、または少なくとも25倍~少なくとも50倍の過剰量のcap-rcAAVを含む、すなわち当該低レベルのrcAAVはrep 配列よりも少なくとも5倍~少なくとも100倍、または少なくとも25倍~少なくとも50倍のcap配列を含んでいてもよい。cap-rcAAVのレベルが過剰な場合は、rep-rcAAVのレベルを低くする必要がある。低いレベルのrep-rcAAV indicates a低レベルの偽野生型rcAAVを示す(偽野生型rcAAVはrep遺伝子を含むため)。
前記低レベルのrcAAVは少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、または少なくとも35倍過剰のrep-rcAAVを含み、すなわちrcAAVはcap配列よりも少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、または少なくとも35倍のrep 配列を含みうる。低レベルのrcAAVは少なくとも5倍~少なくとも100倍、または少なくとも25倍~少なくとも50倍の過剰量のrep-rcAAV、を含む、すなわち当該低レベルのrcAAVは、cap配列よりも少なくとも5倍~少なくとも100倍、または少なくとも25倍~少なくとも50倍のrep 配列を含んでいてもよい。rep-rcAAVのレベルが過剰な場合は、cap-rcAAVのレベルを低くする必要がある。より低いレベルのcap-rcAAVは低レベルの偽野生型rcAAVを示す(偽野生型rcAAVがcap遺伝子を含むため)。
repまたはcap遺伝子を含むプラスミドが少なくとも一つのITR配列を含む場合において、repまたはcap遺伝子がAAV粒子にパッケージングされている可能性は増加する。例えば、1つのプラスミドがrep遺伝子を含み、少なくとも一つのITR配列を含まず、かつ他のプラスミドがcap遺伝子および少なくとも一つのITR配列を含む場合においては、rep遺伝子よりも多くのcap遺伝子がパッケージングされている可能性が高い。さらなる一例として、1つのプラスミドがcap遺伝子を含み、かつ少なくとも一つのITR配列を含まず、他方のプラスミドがrep遺伝子および少なくとも一つのITR配列を含む場合においては、cap遺伝子よりも多くのrep遺伝子がパッケージングされている可能性が高い。
前記低レベルのrcAAVは、1/5 rep-rcAAVよりも低い、1/10 rep-rcAAVよりも低い、1/25 rep-rcAAVよりも低い、1/30 rep-rcAAVよりも低い、または1/35 rep-rcAAVよりも低い、割合で構成されうる。一例として、rcAAVが1 /5rep-rcAAVよりも低い比で構成されている場合、rcAAVの少なくとも4/5はcap-rcAAVである必要がある。
前記低レベルのrcAAVは、少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の双方を含むプラスミドを含む2-プラスミドシステムを用いて産生される割合よりも低いrep-rcAAVの割合を含んでいてもよい。rep-rcAAVの割合は、少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の双方を含むプラスミドを含む前記2-プラスミドシステムを用いて産生された割合の90%未満、75%未満、60%未満、50%未満、25%未満、20%未満17%未満、または15%未満、であってもよい。少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の双方を含むプラスミドを含む2-プラスミドシステムは本明細書において前記比較のために用いられる2-プラスミドシステムとも称される。
前記低レベルのrcAAVは低レベルの偽野生型rcAAVを含んでいてもよい。前記低レベルのrcAAVは、1/5 偽野生型rcAAV未満、1/10 偽野生型rcAAV未満、1/25 偽野生型rcAAV未満、1/30 偽野生型rcAAV未満、または1/35 偽野生型rcAAV未満、を含んでいてもよい。
産生されたrcAAVにおいて、repおよびcap配列の量が等しくない場合、repおよびcap配列間でより低い方の量は、同一のDNA分子上にrepおよびcap遺伝子を含むAAV 種の可能最大数(maximum possible number)の指標である。したがって、repおよびcap配列量のうち低い方の量はは偽野生型rcAAVの可能最大数の指標である。ゆえに、rep-rcAAVまたはcap-rcAAVのいずれが超過であっても、rep-rcAAVおよびcap-rcAAVのレベルが等しい場合、偽野生型rcAAVの量のほうが少ない可能性が高い。repおよびcap配列の間でより低い方の量は、repおよびcap配列の量の間のより大きい量の割合として、偽野生型rcAAVであるrcAAVの割合の指標である。一例として、cap配列がrep 配列の40倍であった場合、偽野生型であるrcAAVの割合は1/40でありうる。産生されたrcAAVにおいて、偽野生型rcAAVであるrcAAVの割合は1/5未満、1/10未満、1/25未満、1/30未満、または1/35未満、でありうる。
capおよびrep 配列の量はqPCRによって測定されてもよい。適切なqPCRは実施例10において論じられる。rep-rcAAVのレベルはrep68 エクソン 1に結合するプライマーを用いたqPCRによって検出されたrcAAVのレベルであってもよい。rep-rcAAVのレベルは、フォワードプライマーCACGTGCATGTGGAAGTAG(配列番号7)およびリバースプライマーCGACTTTCTGACGGAATGG(配列番号8)を用いたqPCRによって検出されたrep-rcAAVのレベルであってもよい。cap-rcAAVのレベルは、VP3をコードする配列に結合するプライマーをもちいたqPCRによって検出されたcap-rcAAVのレベルであってもよい。前記cap-rcAAVのレベルはフォワードプライマーTACTGAGGGACCATGAAGAC(配列番号9)およびリバースプライマーGTTTACGGACTCGGAGTATC(配列番号10)をもちいたqPCRによって検出されたcap-rcAAVのレベルであってもよい。
rep-rcAAVまたはcap-rcAAVの過剰は、偽野生型rcAAVのレベルが減少し、または最小化したことを示すことができる。前記過剰は少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、または少なくとも35倍のrep-rcAAVまたはcap-rcAAVの過剰であってもよい。前記過剰は、少なくとも5倍~少なくとも100倍、または少なくとも25倍~少なくとも50倍の、rep-rcAAVまたはcap-rcAAVの過剰であってもよい。低レベルのrcAAVは少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、または少なくとも35倍、のcap-rcAAV過剰量を含んでもよく、すなわち、rcAAVはrep 配列よりも、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、または少なくとも35倍多いcap配列を含んでいてもよい。必要に応じて、低レベルのrcAAVが少なくとも5倍~少なくとも100倍、または少なくとも25倍~少なくとも50倍の、過剰のcap-rcAAVを含んでいてもよく、すなわち低レベルのrcAAVは、rep 配列よりも、少なくとも5倍~少なくとも100倍、または少なくとも25倍~少なくとも50倍多いcap配列を含む。cap-rcAAVのレベルが過剰な場合は、rep-rcAAVのレベルを低くする必要がある。rep-rcAAVの低いレベルは低レベルの偽野生型rcAAVを示す(偽野生型rcAAVがrep遺伝子を含むため)。低レベルのrcAAVは少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、または少なくとも35倍、過剰のrep-rcAAVを含んでいてもよく、すなわちrcAAVはcap配列よりも少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、または少なくとも35倍多いrep 配列を含んでいてもよい。前記低レベルのrcAAVは少なくとも5倍~少なくとも100倍、または少なくとも25倍~少なくとも50倍の過剰のrep-rcAAVを含んでもよく、すなわち低レベルのrcAAVはcap配列よりも、少なくとも5倍~少なくとも100倍、または少なくとも25倍~少なくとも50倍多いrep 配列を含みうる。rep-rcAAVのレベルが過剰な場合は、cap-rcAAVのレベルを低くする必要がある。より低いレベルのcap-rcAAVは、低レベルの偽野生型rcAAVを示す(偽野生型rcAAVはcap遺伝子を含むため)。前記過剰は、少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の双方を含むプラスミドを含む2-プラスミドシステムを用いて産生された過剰より大きくなりえる。少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の双方を含むプラスミドを含む2-プラスミドシステムは、本明細書において 比較のために用いられる2-プラスミドシステムとも称される。
rAAV調製物のcapおよびrep 配列の量は、少なくとも一回の増幅ラウンドの後に測定されてもよい。例えば、rAAV調製物におけるcapおよびrep 配列の量は二回の増幅ラウンドの後に測定されてもよい。増幅ラウンドをおこなうためには、必要に応じて、適切な宿主細胞(HEK293T細胞等)は、rAAV調製物に感染し、アデノウイルスに共感染し、rAAVの作製に適切な環境下でインキュベートされる。細胞は溶解されてもよく、ライセート中のcapおよびrep 配列の量は測定される。当該ライセートは二回目の増幅ラウンドにもちいられてもよい。例えば、当該ライセートは、アデノウイルスにも同時感染しているさらに適切な宿主細胞に、さらに感染させるために用いることができ、rAAVの作製に適切な環境下でインキュベートされる。細胞は溶解され、ライセート中のcapおよびrep 配列の量は測定される適切な増幅方法は実施例8に記載される。
全粒子に対する完全な粒子の望ましい比
本発明は、全粒子に対する完全な粒子の望ましい比を有するrAAV調製物を産生するための、本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドの使用を提供する。
本発明は、全粒子に対する完全な粒子の比を調節し、または最大化する、本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドの使用も提供する。
本発明は、以下を含む、rAAV調製物を産生するための方法も提供する:
(a)本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドを取得すること;
(b)本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドで宿主細胞をトランスフェクトすること;および
(c)rAAV作製に適切な環境下で宿主細胞を培養すること。
ここで、前記rAAV調製物は全粒子に対する完全な粒子の比を含む。
本発明は、AAV作製間における全粒子に対する完全な粒子の比を調節し、また最大化するための方法であって、以下を含むものも包含する:
(a)本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドを取得すること;
(b)本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドで宿主細胞をトランスフェクトすること;
(c)rAAV作製に適切な環境下で宿主細胞を培養すること。
前記方法はさらに全粒子に対する完全な粒子の望ましい比を有していてもよいrAAV調製物を提供するためのrAAVを回収するステップをさらに有していてもよい。
本発明者らは、ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比を変えることが、産生された全粒子に対する完全な粒子の比を変えるために用いられることを突き止めた。具体的には、本発明者らはヘルパープラスミドに対するベクタープラスミドの相対的なレベルを上げることが全粒子に対する完全な粒子の比を減らすことを突き止めた。
「完全な(Full)」粒子はカプシドおよび意図したベクターゲノム、または少なくとも後述するqPCR 法を用いて決定されるようなゲノムの一部の双方を含むrAAV粒子である。「空の(Empty)」粒子(すなわち完全ではない粒子)はカプシドを含むが、ゲノムを含まないか、またはqPCR 法を用いて検出されない ゲノムの一部分のみ(したがって完全なrAAV粒子を形成しない)を含む。しかしながら、前記rAAV調製物は完全な粒子および空の粒子の双方を含んでいてもよい。通常、低い、または最小化された空の粒子の割合であることが望ましい。例えば、前記rAAVが遺伝子治療において用いられるものである場合、空の粒子は目的の発現カセットの全体を含まず、したがって、治療には効果的ではない。一方、空の粒子の存在が望ましい状況がある。いくつかの場合や、ある患者群において、それは空の粒子が、rAAV粒子を投与するために、患者における免疫反応を減少させる「おとり(decoy)」としてふるまう場合である(WO2013/078400)。さらに、さらなる詳細について後述するように、ヘルパープラスミドに対するベクタープラスミドの相対的なレベルの増加は全粒子に対する完全な粒子の比を減少させる一方で、これはまた産生されるrAAVの収量(したがってある場合においては、産生された完全な粒子の総数)を増加させる。ゆえに、当該方法の使用者が、全粒子に対する完全な粒子の高い比が望ましいと考えていたとしても、これがより大きな収量となる場合、使用者はより低いヘルパープラスミドの割合を用いてもよい。代わりに、プラスミド比が一定に保たれた場合において、使用者が、例えば、所与の産物の開発の間にプロセスの変更を行った場合、例えば、バイオリアクターAからバイオリアクターBに切り替えることで全粒子に対する完全な粒子の比が異なったものとなる、プロセスの変更の影響を補いまたは相殺し、全粒子に対する完全な粒子の比を開発の過程にわたって一定にするため、当該プラスミド比は変わりうるため、この比は、rAAVバッチが調節され、バッチがそれぞれ同等に保たれるために必要な、rAAVバッチの重要な品質のパラメータである。
したがって、本発明の方法および使用の長所は、使用者が全粒子に対する完全な粒子の望ましい比を柔軟に決定することができ、その全粒子に対する完全な粒子の望ましい比を達成するためにベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比を変更することができる。
全粒子に対する完全な粒子の比は、以下のqPCR アッセイを用いて決定されるような、ベクターゲノムまたは少なくともそのようなゲノムの一部分を概念的に含む(カプシドあたりの1つの(部分的な)ゲノムと仮定する)、粒子(カプシド)の総数の比として、本明細書において説明されてもよい。qPCRは、少なくとも発現カセットのプロモーターの領域を増幅することができるプライマー対を用いて行われる。少なくともプライマーの一つは発現カセットのプロモーターの、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも16、または少なくとも18ヌクレオチドの領域に特異的であってもよい(当該プライマーがフォワードプライマーであるかリバースプライマーであるかどうかによって、リバースの、相補的な、または同一のものである)。1つのプライマーはプロモーターの開始部分に特異的であってもよく(プロモーターの最初の少なくとも12ヌクレオチド)およびもう一つのプライマーは第一のプロモーターの結合サイトから150塩基対である発現カセットの領域に特異的である。
全粒子に対する完全な粒子の比(完全な粒子である粒子の総数の割合として測定された)は、ベクターゲノムの数を決定するために(前記パラグラフで論じられたように)qPCRを用い、粒子の総数を測定するためにカプシド特異的ELISAを用いることで、決定されてもよい。例えば、前記カプシド特異的ELISAは、カプシドタンパク質に結合する抗体に対する、前記rAAV調製物の曝露を含んでいてもよい。例えば、ベクタープラスミドがAAV2 セロタイプのカプシドをコードするcap遺伝子を含んでいる場合、当該抗体は、AAV2 カプシドに結合する抗体であってもよい。例えば、使用者はカプシドに特異的な抗体でプレートを被覆することができる。使用者はそれから当該rAAV調製物をプレートの表面に流すことができる。粒子は抗体に結合することでプレート上に固定される。プレートはその後汚染物質を除去するために洗浄される。それから存在する粒子量は、カプシドに結合することができ、ストレプトアビジンペルオキシターゼのような検出試薬とコンジュゲートされた検出用抗体を加えることで検出されることができる存在する粒子量はストレプトアビジンペルオキシターゼが発色性基質TMB(テトラメチルベンジジン)に曝露された際に得られた色の変化に比例する。
全粒子に対する完全な粒子の比(ベクターゲノムを概念的に含む総粒子数の割合として表される)は、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも7%、少なくとも10%または少なくとも15%(回収、精製および/またはrAAV調製物の濃縮に先立って、バルク産物を測定した)。多くの場合において、全粒子に対する完全な粒子の比を上げることは有利であり、本発明者らは、全粒子に対する完全な粒子の比を少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも7%、少なくとも10%または少なくとも15%にすることを目的とすることで、全粒子に対する完全な粒子の比と優れた収量との間の、優れた均衡を達成することができることを突き止めた。全粒子に対する完全な粒子の望ましい比は全粒子に対する完全な比は、ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比が1.8:1であるときに対応する方法を用いて達成されうる、全粒子に対する完全な粒子の比の少なくとも20%または少なくとも30%であってもよい。全粒子に対する完全な粒子の望ましい比はベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比が1.8:1であるときにおいて対応する方法を用いて達成される全粒子に対する完全な粒子の比の少なくとも40%または少なくとも45%であってもよい。
用いられ 選択され調整されるベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は3:1~1:10、1.5:1~1:9、1.4:1~1:8、1.3:1~1:7、1.2:1~1:6;1.1:1~1:5;1:1~1:4;または1:1.5~1:3であってもよい。ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比にはモル超過のベクタープラスミドが含まれていてもよい.。用いられるか選択されるか調整される、ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は、3:1~1:10、1.5:1~1:9、1.4:1~1:8、1.3:1~1:7;1.2:1~1:6;1.1:1~1:5;1:1~1:4;1:1.5~1:3;1:2~1:4;または約1:3であってもよい。用いられ、選択され、または調整されるベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は1:2~1:4、または約1:3である。好ましくは、用いられ、選択され、または調整されるベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は約1:3であってもよい。
高い収量
本発明は高いまたは望ましい収量でのrAAV調製物を生産するための、本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドを提供する。
本発明はrAAV作製の間に産生されるrAAVの収量を、増加させ、最適化させ、または最大化させるための、本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドの使用も提供する。
本発明は、rAAV調製物を産生する方法であって以下を含むものも提供する:
(a)本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドを取得すること;
(b)本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドで宿主細胞をトランスフェクトすること;および
(c)rAAV作製に適切な環境下で宿主細胞を培養すること。
ここで、rAAV調製物は高いまたは望ましい収量である。
本発明はAAV作製の間に産生されるrAAVの収量を増加させ、最適化させ、最大化するための方法であって以下のものを含むものも包含する:
(a)本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドを取得すること;
(b)宿主細胞を本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドでトランスフェクションすること;および
(c)rAAV作製に適切な環境下で宿主細胞を培養すること。
本発明はrAAV調製物を提供するためにrAAVベクターを回収するステップをさらに含んでいてもよく、必要に応じて高い、または望ましい収量を提供する。用語「収量」は本発明の前記方法または使用において調製されるAAV粒子の量を示す。以前に測定されたように(回収、精製および/またはrAAV調製物の濃縮に先立って バルク産物が測定されたように)、「収量」は培地mlあたりのベクターゲノム(vg)の数、として表現されてもよい。ベクターゲノムの数は「全粒子に対する完全な粒子の望ましい比」の表題中で述べたように、測定されることができ、すなわちrAAVの収量(rAAV粒子等)はプロモーター 配列(vg)を含むカセットを含む核酸配列の数を定量するためにqPCRを用いることで決定されてもよい。
本発明者らは、ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比の変更は、rAAVを産生する方法の収量を増加させるために(すなわち産生されたvgのまたはvg/mlの収量)用いられてもよいことを示した。rAAVを産生するために必要とされる原料の量を削減するので、可能な限り最も高い収量を有することは明確に有利なことである。しかしながら、ある状況下で、可能な限り最も高いレベルに収量を増加させることは全粒子に対する完全な粒子の比を減少させることになりうる。ゆえに、使用者はrAAVを、全粒子に対する完全な粒子の比を最大化することが重要なアプリケーションに対して産生する場合には、全粒子に対する完全な粒子の比(すなわち「完全な粒子の割合」)を最適化するベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比を用いることにより、当該使用者は可能な限り最も高い収量ではない、望ましい収量を使用することを決めることができる。
本明細書において用いられるように、用語「最大化」は、本発明の方法の限界内において可能な限り最も高い収量を目的とすることを示す。本明細書において用いられるように、用語「最適化」は、例えば、使用者が、全粒子に対する完全な粒子の比を高くする(すなわち、空の粒子の割合を最小化させる)ことを確実にしたい場合において、収量を増加させるが最大可能収量ではなく、望ましい収量を目的とすることを示す。
本明細書において用いられる用語「高い収量」は通常2×1010vg/mlより大きい収量、またはベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比が1.8:1の同等の方法を用いて達成される収量よりも少なくとも2倍大きい収量を示す。「対応する方法」は、ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比が1.8:1であることを除き、同一の方法である。
高い、または望ましい収量は、2×1010vg/mlよりも大きく、4×1010vg/mlよりも大きく、6×1010vg/mlよりも大きく、8×1010vg/mlよりも大きく、1×1011vg/mlよりも大きく、2×1011よりも大きく、また4×1011vg/mlよりも大きな収量であってもよい。
高い、または望ましい収量はベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比が1.8:1であるときにおいて対応する方法を用いて達成される収量よりも、少なくとも2倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、または少なくとも6倍高い収量であってもよい。
用いられる、選択されるか調整されるベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は、3:1~1:10、1.5:1~1:9、1.4:1~1:8、1.3:1~1:7、1.2:1~1:6、1.1:1~1:5、1:1~1:4;または1:1.5~1:3であってもよい。ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は、ヘルパープラスミドに比べてモル超過のベクタープラスミドを含んでいてもよい。用いられる、選択される、または調整されるベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は、3:1 ~1:10、1.5:1~1:9、1.4:1~1:8、1.3:1~1:7;1.2:1~1:6;1.1:1~1:5;1:1~1:4;1:1.5~1:3;1:2~1:4、または1:3であってもよい。用いられる、選択される、または調整されるベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は、1:2~1:4、または約1:3であってもよい。好ましくは、用いられる、選択される、または調整されるベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は約1:3である。
高い収量と全粒子に対する完全な粒子の高い比との均衡
上述したように、全粒子に対する完全な粒子の比および収量は前記発明で用いられるベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比を変更することによって影響されることがある。ゆえに、使用者は、全粒子に対する完全な粒子の望ましい比を取得するために、ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比を、適切な比に調製することができ、前記方法と使用は、ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比を選択するステップを含みうる。ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比を変更したり、ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比を選択したりすることは、様々な相対的な比においてヘルパープラスミドおよびベクタープラスミドを単に混合することによって達成しうる。
使用者は、全粒子に対する完全な粒子の比を得るために必要とされるベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比を決定するために試験方法を実行する必要があるかもしれないが、これは負担とはならない。例えば、当業者は小さなスケールの実験を、必要とされるベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比を決定するために行うことができ、そしてこの比は大きなスケールの作製 プロセスにおいて使用することができる。必要に応じて、ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比を選択するステップは、様々な比のベクタープラスミド対ヘルパープラスミドを用いた、本発明の方法の、小さなスケールのテストランを行うことを含みえる。
必要に応じて、ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は、均衡のとれた収量 対全粒子に対する完全な粒子の比を達成するために選択されるか調整される。ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は、このようなrAAVの最大収量において達成しうる粒子の最小収量において、rAAVの最大収量(すなわちvgs)を達成する比となるために選択されるか調整されうる。すなわち使用者は収量を最大化し、それからその収量を達成するベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比を決定し、その一方で、最も高い、全粒子に対する完全な粒子の比を提供する。
必要に応じて全粒子に対する完全な粒子の望ましい比、および/または高い、または望ましい組み換えAAVの収量を得るために、前記ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は調整される。必要に応じて、ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は選択され、または使用者が全粒子に対する完全な粒子の比もしくは高いか望ましい組み換えAAVの収量を得られるようにするための比になるまで調整される。
必要に応じて、用いられる、選択される、または調整されるベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は3:1~1:10、1.5:1~1:9、1.4:1~1:8、1.3:1~1:7;1.2:1~1:6;1.1:1~1:5;1:1~1:4;または1:1.5~1:3である。ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比はモル超過のベクタープラスミドを含んでいてもよい。用いられる、選択される、または調整されるベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は、3:1~1:10、1.5:1~1:9、1.4:1~1:8、1.3:1~1:7;1.2:1~1:6;1.1:1~1:5;1:1~1:4;1:1.5~1:3;1:2~1:4;または約1:3である。用いられる、選択される、または調整されるベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は1:2~1:4、または約1:3であってもよい。好ましくは、用いられる、選択される、または調整されるベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は約1:3である。
トランスフェクション、培養、および回収
本発明の方法は、本発明の2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドを取得し、前記2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミド、またはベクタープラスミドで宿主細胞をトランスフェクトするステップ、組み換えAAV作製に適切な環境下で宿主細胞を培養する、ステップを含みうる。
前記2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミド、またはベクタープラスミドの宿主細胞へのトランスフェクションは、トランスフェクションに適切な環境において 宿主細胞を前記2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドに曝露することを含んでいてもよい。例えば、当該方法の使用者はトランスフェクション試薬加えることができる(トランスフェクションに適切な条件だと考えられるトランスフェクション試薬の追加)。代わりに、リン酸カルシウムトランスフェクション、エレクトロポレーション、またはカチオン性リポソームを用いうる。宿主細胞がコンフルエンスとなるまで生育した場合、宿主細胞 へのトランスフェクションのステップを行ってもよい。
rAAV作製に適切な環境下で宿主細胞を培養するということは、宿主細胞が生育でき、AAVが複製できる環境下で、宿主細胞を培養することを、示す。例えば、宿主細胞は32℃~40℃、34℃~38℃、35℃~38℃、または約 37℃の温度で培養されてもよい。必要に応じて、宿主細胞はDulbecco’s Modified Eagle’s Medium(DMEM)などの完全細胞培養培地の存在下で培養されてもよい。完全細胞培養培地は、宿主細胞の生育に必要とされるすべての必須栄養素を提供する培地である。完全細胞培養培地はウシ胎児血清またはウシ血清アルブミンなどの血清が添加されてもよい。
前記宿主細胞は「宿主細胞」の表題の下で定義されたような宿主細胞でよい。前記宿主細胞は、HEK293T細胞、HEK293細胞、HEK293EBNA細胞、CAP細胞、CAP-T細胞、AGE1.CR細胞、PerC6細胞、C139細胞、およびEB66細胞を含む群から選択されてもよい。前記宿主細胞は機能的なE1A/Bタンパク質を発現する細胞であってもよい。
前記方法はrAAVの精製ステップをさらに含んでいてもよい。通常、rAAVの精製ステップは、調製における他の構成要素と比較して、rAAVの濃度の上昇に関与している。必要に応じて、rAAVの精製ステップは濃縮されたrAAV調製物をもたらす。必要に応じて、rAAVの精製ステップは単離されたrAAVをもたらす。
いかなる適切な精製方法をも用いることができる。rAAVの精製ステップは、密度勾配遠心(CsClまたはイオジキサノール等の密度勾配遠心)、濾過、イオン交換 クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィーおよび疎水クロマトグラフィーを含む群から選択された技術を用いて行うことができる。
前記方法は、超遠心分離、タンジェント流濾過、または濾過を用いたrAAVのさらなる濃縮を含んでいてもよい。
前記方法は、薬学的に許容可能な賦形剤を含んでいてもよい。薬学的に許容可能な賦形剤、担体、希釈剤および/またはほかの薬剤、医薬品、またはアジュバント等を含んでいてもよい。前記薬学的に許容可能な賦形剤は生理食塩水を含む前記薬学的に許容可能な賦形剤はヒト血清アルブミンを含んでいてもよい。
組み換えAAV(rAAV)の調製
本発明はさらに、本発明の方法によって取得しうる組み換えAAV(rAAV)調製物を提供する。本発明はさらに本発明の方法によって取得された組み換えAAV 調製物を提供する。
本発明の方法によって取得しうる、または取得され 組み換えAAV 調製物は、それらは通常低レベルのrcAAVを含み、および/または望ましい全粒子に対する完全な粒子の比を有するため、有利なものである。「望ましい全粒子に対する完全な粒子の比」、「高い収量と高い全粒子に対する完全な粒子の比との間の均衡」および「低レベルの自立増殖性AAV(rcAAV)」と題されたセクションは、低レベルのrcAAVおよび全粒子に対する完全な粒子の望ましい比、という用語によって意味される、さらなる詳細を提供する。
配列一覧表
Figure 2022530192000001
番号の付された本発明の側面
1.ヘルパープラスミドおよびベクタープラスミドを含む2-プラスミドシステム:ここで当該ヘルパープラスミドは少なくとも一つの機能的なRepタンパク質をコードする少なくとも一つのrep遺伝子を含み、機能的な一連のCapタンパク質をコードするcap遺伝子を含まない。

2.ヘルパープラスミドおよびベクタープラスミドを含み、2-プラスミドシステム、当該ヘルパープラスミドは少なくとも一つのヘルパーウイルス 遺伝子を含み、機能的な一連のCapタンパク質をコードするcap遺伝子を含まず、かつ前記少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子は、配列番号4の全長または少なくとも6000、少なくとも7000、もしくは少なくとも8000のヌクレオチド長である配列番号4の断片と、(一本の鎖において)少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%の相同性を有する、前記プラスミドにおける継続した領域に含まれる。

3.側面2の2-プラスミドシステムであって、前記ヘルパープラスミドは、少なくとも一つの機能的なRepタンパク質をコードする少なくとも一つのrep遺伝子を含む。

4.側面1~3のいずれかの2-プラスミドシステムであって、当該2-プラスミドシステムはヘルパープラスミドにくらべてモル過剰量のベクタープラスミドを含む。

5.側面1~4のいずれかの2-プラスミドシステムであって、前記ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は、3:1~1:10、1.5:1~1:9、1.4:1~1:8、1.3:1~1:7;1.2:1~1:6;1.1:1~1:5;1:1~1:4;1:1.5~1:3;1:2~1:4;または約1:3である。

6.少なくとも一つの機能的なRepタンパク質をコードする少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子を含み、ならびに機能的な一連のCapタンパク質をコードするcap遺伝子を含まない、ヘルパープラスミド。

7.少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子を含み、機能的な一連のCapタンパク質をコードするcap遺伝子を含まないヘルパープラスミドであって、当該少なくとも一つのヘルパーウイルス 遺伝子は、配列番号4の全長または少なくとも6000、少なくとも7000、もしくは少なくとも8000のヌクレオチド長である配列番号4の断片と、(一本の鎖において)少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、もしくは100%の相同性を有する、前記プラスミドにおける連続した鎖に含まれる。

8.側面7のヘルパープラスミドであって、当該ヘルパープラスミドは少なくとも一つの機能的なRepタンパク質をコードする、少なくとも一つのrep遺伝子を含む。

9.以下を含むベクタープラスミド:
(a)少なくとも一つの機能的なCapタンパク質をコードするcap遺伝子;または
(b)少なくとも一つのcap遺伝子プロモーター、前記cap遺伝子プロモーターに作動可能に結合されたクローニングサイト、および少なくとも一つのITRと隣接する発現カセット;
ここで、ベクタープラスミドは機能的なRepタンパク質をコードするrep遺伝子および少なくとも一つの発現調節因子に作動可能に結合された導入遺伝子を含む発現カセットを含まない。

10.側面1~5のいずれかの2-プラスミドシステムであって、前記ベクタープラスミドは以下を含む:
(a)少なくとも一つの機能的なCapタンパク質をコードするcap遺伝子;または
(b)少なくとも一つのcap遺伝子プロモーター、前記cap遺伝子プロモーターに作動可能に結合されたクローニングサイト、および少なくとも一つのITRと隣接する発現カセット;
ここで、ベクタープラスミドは機能的なRepタンパク質をコードするrep遺伝子および少なくとも一つの発現調節因子に作動可能に結合された導入遺伝子を含む発現カセットを含まない。

11.側面1、3~6、8または10のいずれかの2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、前記少なくとも一つのrep遺伝子は以下をコードする遺伝子を含む:
(a)機能的なRep 52タンパク質;
(b)機能的なRep 40タンパク質;および/または
(c)機能的なRep 68タンパク質。

12.側面1、3~6、8、10または11のいずれかの2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、前記少なくとも一つのrep遺伝子は、機能的なRep 52タンパク質をコードする遺伝子、機能的なRep 40タンパク質をコードする少なくとも一つの遺伝子、および機能的なRep 68タンパク質をコードする遺伝子を含む。

13.側面 1~8、または10~12のいずれかの2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、前記ヘルパープラスミドは機能的なRep 40タンパク質をコードする2つの遺伝子を含む。

14.側面13の2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記機能的なRep 40タンパク質をコードする2つの遺伝子の1つのみがイントロンを含む。

15.側面11~14のいずれかの2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、前記機能的なRep 52タンパク質をコードする遺伝子は、配列番号1のヌクレオチド993~2186の全長または少なくとも800、少なくとも900、少なくとも1000、または少なくとも1100ヌクレオチド長の断片、または様々なセロタイプのAAVにおける対応するヌクレオチド領域、と、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の相同性を有する核酸配列を含む。

16.側面11~15のいずれかの2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、前記機能的なRep 40タンパク質をコードする少なくとも一つの遺伝子は、
配列番号1のヌクレオチド1907~2227の全長または少なくとも600、少なくとも700、少なくとも800、または少なくとも900ヌクレオチド長の断片、または様々なセロタイプのAAVにおける対応するヌクレオチド領域、と、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の相同性を有する核酸配列を含む。

17.側面11~16のいずれかの2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで機能的なRep 40タンパク質をコードする少なくとも一つの遺伝子は、配列番号1のヌクレオチド993~2252の全長または少なくとも900、少なくとも1000、少なくとも1100、または少なくとも1200ヌクレオチド長の断片、または様々なセロタイプのAAVにおける対応するヌクレオチド領域、と、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の相同性を有する核酸配列を含む。

18. 側面11~17のいずれかの、2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで機能的なRep 68タンパク質をコードする前記遺伝子は、配列番号1のヌクレオチド 321~2252 マイナスヌクレオチド 1907~2227の全長または少なくとも1000、少なくとも1400、少なくとも1500、または少なくとも1600ヌクレオチド長の断片、または様々なセロタイプのAAVにおける対応するヌクレオチド領域、と、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の相同性を有する核酸配列を含む。

19. 側面1~8または10~18のいずれかの2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記機能的なRep 78タンパク質をコードするヘルパープラスミド遺伝子を含まない。

20. 側面1~8または10~19のいずれかの、2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記ヘルパープラスミドは、配列番号1のヌクレオチド321~2186 内または様々なセロタイプのAAVに対応したヌクレオチド領域内に含まれる、隣接している同等の長さのヌクレオチド領域に対応する少なくとも1700、少なくとも1800、または1866ヌクレオチドの隣接している配列を含まない。

21. 側面1、3~6、8、10、または11~20のいずれかの、2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記少なくとも一つのrep遺伝子は機能的な内在性のp40プロモーターを含まない。

22. 側面1、3~6、8、10、または11~21のいずれかの、2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記少なくとも一つのrep遺伝子は配列番号1の1823の位置に対応する位置においてTヌクレオチドを含まない。

23. 側面22の2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記少なくとも一つのrep遺伝子は配列番号1の1823の位置に対応する位置においてCヌクレオチドを含む。

24. 側面1、3~6、8、または11~23のいずれかの、2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記少なくとも一つのrep遺伝子は、配列番号1の1826~1828の位置に対応する位置にAAGを含まない。

25. 側面1、3~6、8、または11~24の、2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記少なくとも一つのrep遺伝子は配列番号1の1826~1828の位置に対応する位置のCTCを含む。

26. 側面1~8または10~25のいずれかの、2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記ヘルパープラスミドは隣接している250ヌクレオチドより大きく、100ヌクレオチドより大きく、または60ヌクレオチドより大きい、一続きの専らcap遺伝子の配列を含まない。

27. 側面26の2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記ヘルパープラスミド隣接している60ヌクレオチドより大きい一続きの専らcap遺伝子の配列を含まない。

28. 側面1~8または10~27のいずれかの2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記ヘルパープラスミドはcap遺伝子配列の一部、およびcap遺伝子配列の一部を含み、機能的な一連のCapタンパク質はコードしない。

29. 側面1~5または10~28のいずれかの2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記ヘルパープラスミドは少なくとも一つのヘルパーウイルス 遺伝子を含む。

30. 側面2、3、6~8または29のいずれかの、2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子はアデノウイルス遺伝子である。

31. 側面30の2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子はアデノウイルス 5またはアデノウイルス 2 遺伝子である。

32. 側面2、3、6~8または29~31のいずれかの2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子は以下を含む:
(a)VA(ウイルス随伴)核酸配列コードする機能的なVA RNA IおよびII;
(b)機能的なE2Aタンパク質をコードするE2A遺伝子;および/または
(c)機能的なE4タンパク質をコードするE4遺伝子。

33. 側面32の2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子はVA 核酸、E2A遺伝子およびE4遺伝子を含む。

34. 側面33の2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記E4遺伝子は、VA 核酸およびE2A 遺伝子の間に位置しない。

35. 側面1~8または10~34の2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記ヘルパープラスミド25000塩基対の長さより小さく、20000塩基対の長さより小さく、15000塩基対の長さより小さく、14500塩基対の長さより小さく、10000塩基対~25000塩基対の長さであり、10000塩基対~20000塩基対の長さであり、12000塩基対~15000塩基対の長さであり、または約14021塩基対の長さである。

36. 側面1~8または10~35のいずれかの、2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記ヘルパープラスミドは機能的なアデノウイルスのE1A/Bタンパク質をコードする遺伝子を含まない。

37. 側面1~8または10~36のいずれかの2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記ヘルパープラスミドは、配列番号2の194~3620ヌクレオチド内、またはアデノウイルスの様々なセロタイプにおける対応するヌクレオチド領域内に含まれる、同等の長さの隣接しているヌクレオチド領域の少なくとも2000、少なくとも2500、少なくとも3000、または3427ヌクレオチドの隣接している配列は含まない。

38. 側面1~8または10~37のいずれかの2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記ヘルパープラスミドは、配列番号2のヌクレオチド 4032~4100内、またはアデノウイルスの様々なセロタイプにおける対応するヌクレオチド領域内に含まれる、同等の長さの隣接しているヌクレオチド領域の少なくとも50、少なくとも60、または69ヌクレオチドの隣接している配列は含まない。

39. 側面1~8または10~38のいずれかにおける2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記ヘルパープラスミドは、配列番号1のヌクレオチド4051~4413内またはアデノウイルスの様々なセロタイプにおける対応するヌクレオチド領域 内に含まれる、同等の長さの隣接しているヌクレオチド領域の少なくとも200、少なくとも300、少なくとも350、または363ヌクレオチドの隣接しているヌクレオチド領域は含まない。

40. 側面1~8または10~39のいずれかの前記2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記ヘルパープラスミドは、配列番号1のヌクレオチド2301~2947内またはアデノウイルスの様々なセロタイプにおける対応するヌクレオチド領域 内に含まれる、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、または647ヌクレオチドの隣接しているヌクレオチド領域は含まない。

41. 側面32~40のいずれかの2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記VA 核酸が、アデノウイルス 5の野生型VA 核酸の活性の、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または95%~100%の活性を有する。

42. 側面41の前記2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記VA 核酸の活性レベルは組み換えAAV 収量の測定により決定される。

43. 側面32~42のいずれかの前記2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記VA 核酸配列は配列番号2のヌクレオチド 10595~10619の少なくとも15ヌクレオチド、少なくとも20ヌクレオチド、または25ヌクレオチドの領域、またはアデノウイルスの様々なセロタイプの対応するヌクレオチド領域と少なくとも95%、少なくとも98%、または100%の同一性のある隣接している配列を含む。

44. 側面32~43のいずれかの2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記E2A遺伝子は配列番号2のヌクレオチド27037~27136の少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、または100ヌクレオチド領域またはアデノウイルスの様々なセロタイプにおける対応するヌクレオチド領域と、少なくとも96%、少なくとも98%、または100%の同一性がある隣接している配列を含むプロモーターに作動可能に結合される。

45. 側面32~44のいずれかの2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子はVA 核酸、E2A遺伝子およびE4遺伝子を含み、ここで、前記VA 核酸、前記E2A遺伝子および前記E4遺伝子は15000ヌクレオチドより少なく、12000ヌクレオチドより少なく、10000ヌクレオチドより少なく、または9000ヌクレオチドより少ない隣接している部分中に含まれる。

46. 側面1、3~8または10~45のいずれかの、2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子は全長または配列番号4の少なくとも6000ヌクレオチド長、少なくとも7000ヌクレオチド長または少なくとも8000ヌクレオチド長断片と少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有する隣接しているプラスミド領域上に含まれる。

47. 側面32~46のいずれかの2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記ヘルパープラスミドは、配列番号2のヌクレオチド10619~32755 内、またはアデノウイルスの様々なセロタイプにおける対応するヌクレオチド領域内に含まれる、隣接している同等の長さのヌクレオチド領域の、少なくとも15000ヌクレオチド、少なくとも20000ヌクレオチド、少なくとも22000ヌクレオチド、または22137ヌクレオチドの隣接している配列は含まない。

48. 側面32~47のいずれかの2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記E4遺伝子はアデノウイルス 5の野生型プロモーターの活性の少なくとも50%、少なくとも70%、または少なくとも90%の活性を有するE4プロモーターに作動可能に結合される。

49. 側面48の前記2-プラスミドシステムまたはヘルパープラスミドであって、ここで前記E4プロモーターは、配列番号2のヌクレオチド235793~35848に対応する少なくとも30、少なくとも40、または55ヌクレオチドの配列、またはアデノウイルスの様々なセロタイプにおける対応する配列、を含む。

50. 側面1~49のいずれかの、前記2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドであって、ここで前記ヘルパープラスミドおよび/または前記ベクタープラスミドは人工的なRep 結合サイトを含まない。

51. 側面1~50のいずれかの、2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドであって、ここで前記ヘルパープラスミドおよび/または前記ベクタープラスミドはプラスミド骨格を含み、前記プラスミド骨格は人工的なRep結合サイトを含まない。

52.側面1~5、または9~51のいずれかの2-プラスミドシステムまたはベクタープラスミド、ここで前記ベクタープラスミドは、少なくとも一つのcap遺伝子プロモーターに作動可能に結合されたcap遺伝子を含む。

53.側面1~5、または9~52のいずれかの2-プラスミドシステムまたはベクタープラスミドであって、ここで前記ベクタープラスミドはcap遺伝子および少なくともその一方の側においてITRにより隣接される発現カセットをさらに含む。

54.側面1~5または9~53のいずれかの前記2-プラスミドシステムまたはベクタープラスミドであって、ここで前記ベクタープラスミドはcap遺伝子を含み、当該cap遺伝子はVP1、VP2、および/またはVP3タンパク質をコードする。

55. 側面1~5または9~54のいずれかの2-プラスミドシステムまたはベクタープラスミドであって、ここで前記ベクタープラスミドはcap遺伝子を含み、前記cap遺伝子はセロタイプ 1、2、3A、3B、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13、LK03、rh74、rh10、およびMut C(WO 2016/181123の配列番号3)を含むAAV セロタイプ群から選択されたcapタンパク質をコードする。

56. 側面1~5または9~55のいずれかの2-プラスミドシステムまたはベクタープラスミドであって、ここで前記ベクタープラスミドはcap遺伝子を含み、前記cap遺伝子はセロタイプ2、5、8、9、およびMut C(WO 2016/181123の配列番号3)を含む、AAV セロタイプの群から選択されたcapタンパク質をコードする。

57. 側面1~5または9~56のいずれかの2-プラスミドシステムまたはベクタープラスミドであって、ここで前記ベクタープラスミドは少なくとも一つのcap遺伝子プロモーターを含み、これは野生型のcap遺伝子プロモーターである。

58. 側面1~5または9~57のいずれかの2-プラスミドシステムまたはベクタープラスミドであって、ここで前記ベクタープラスミドは少なくとも一つのcap遺伝子プロモーターを含み、これはan AAV p40プロモーター、p5プロモーター、および/またはa p19プロモーターを含む。

59. 側面58の2-プラスミドシステムまたはベクタープラスミドであって、ここで前記少なくとも一つのcap遺伝子プロモーターはp40プロモーターを含む。

60. 側面58または59の2-プラスミドシステムまたはベクタープラスミドであって、ここで前記少なくとも一つのcap遺伝子プロモーターはp40プロモーター、p5プロモーター、およびp19プロモーターを含む。

61. 側面9~60のいずれかの2-プラスミドシステムまたはベクタープラスミドであって、ここで前記導入遺伝子は酵素、代謝タンパク質、シグナリングタンパク質、抗体、抗体断片、抗体様タンパク質、抗原、またはmiRNA、siRNA、snRNA、またはアンチセンスRNAなどの非翻訳RNAをコードする。

62. 側面9~61のいずれかの2-プラスミドシステムまたはベクタープラスミドであって、ここで前記導入遺伝子は第IX因子、α-ガラクトシダーゼA、β-グルコセレブロシダーゼおよび第VIII因子を含む群から選択されたタンパク質をコードする。

63. 側面9~62のいずれかの2-プラスミドシステムまたはベクタープラスミドであって、ここで前記クローニングサイトはマルチクローニングサイト(MCS)である。

64. 側面1~5または9~63のいずれかの2-プラスミドシステムまたはベクタープラスミドであって、ここで前記ベクタープラスミドは不要な翻訳開始コドンを含まない。

65. 側面64の2-プラスミドシステムまたはベクタープラスミドであって、ここで前記ベクタープラスミドは1以上のプロモーターを含むプロモーター領域を含み、当該プロモーター領域はATGまたはGTGコドンを含まない。

66. 側面65の2-プラスミドシステムまたはベクタープラスミドであって、ここで前記プロモーター 領域はp5、p19およびp40プロモーターを含み、ここで配列番号1の(a)321~323、(b)766~768、(c)955~957、(d)993~995および(e)1014~1016の位置に対応している1以上の位置にあるATGまたはGTG コドンは欠失しているか変異している。

67. 側面66の2-プラスミドシステムまたはベクタープラスミドであって、ここで前記プロモーター 領域において:
(a)配列番号1のヌクレオチド321~323に対応しているヌクレオチドは欠失しており;
(b)配列番号1のヌクレオチド766~768に対応しているヌクレオチドはATGではなく、ATTであってもよく;
(c)配列番号1のヌクレオチド 955~957に対応しているヌクレオチドは欠失しており;
(d)配列番号1のヌクレオチド 993~995に対応しているヌクレオチドは欠失しており;および/または
(e)配列番号1のヌクレオチド1014~1016に対応しているヌクレオチドは欠失している。

68. 側面67の2-プラスミドシステムまたはベクタープラスミドであって、ここで前記プロモーター領域において:
(a)配列番号1のヌクレオチド321~323に対応するヌクレオチドは欠失しており;
(b)配列番号1のヌクレオチド 766~768に対応するヌクレオチドはATGではなく、かつATTであってもよく;
(c)配列番号1のヌクレオチド955~957に対応するヌクレオチドは欠失しており;
(d)配列番号1のヌクレオチド993~995に対応するヌクレオチドは欠失しており;および
(e)配列番号1のヌクレオチド1014~1016に対応するヌクレオチドは欠失している。

69. 側面1~5または9~68のいずれかの2-プラスミドシステムまたはベクタープラスミドであって、ここで前記ベクタープラスミドは、4000ヌクレオチド長未満、3500ヌクレオチド長未満、3000ヌクレオチド長未満、または2500ヌクレオチド長未満、の骨格を含む。

70. 側面1~5または9~69のいずれかの2-プラスミドシステムまたはベクタープラスミドであって、ここで前記ベクタープラスミドはいかなるスペーサーをも含まない。

71.前記側面のいずれかの2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミド、またはベクタープラスミドを含む、宿主細胞。

72. 側面1~70のいずれかで定義された組み換えAAV 調製物を産生するための、前記2-プラスミドシステム、前記ヘルパープラスミド、または前記ベクタープラスミドの使用であって、前記組み換えAAV調製物は:
(a)低レベルの自立増殖性AAV(rcAAV)を有し;
(b)全粒子に対するすべてが望ましい比を有し;および/または
(c)高い、または望ましい収量である。

73.側面72の使用であって、ここで前記低レベルのrcAAVは低レベルのrep-rcAAVを含む。

74.側面72または73の使用であって、前記低レベルのrcAAVは少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の両方を含むプラスミドを含む2-プラスミドシステムを用いて産生されたrep-rcAAVのレベルに比べて低いレベルのrep-rcAAVを含む。

75.側面72~74のいずれかの使用であって、前記低レベルのrcAAVは、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、または少なくとも35倍を超えるrep-rcAAVまたはcap-rcAAVを含む。

76.側面72~75のいずれかの使用であって、ここで前記低レベルのrcAAVは、1/5 rep-rcAAVの1/5よりも少なく、rep-rcAAVの1/10よりも少なく、rep-rcAAVの1/25よりも少なく、rep-rcAAVの1/30よりも少なく、またはrep-rcAAVの1/35よりも少い、割合を含む。

77. 側面72~76のいずれかの使用であって、ここで前記低レベルのrcAAVは、少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の双方を含むプラスミドを含む2-プラスミドシステムを用いて産生される割合よりも低いrep-rcAAVの割合を含む。

78. 側面77の使用であって、ここで前記rep-rcAAVの割合は、少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の双方を含むプラスミドを含む、前記2-プラスミドシステムを用いて産生された割合の、90%よりも少なく、75%よりも少なく、60%よりも少なく、50%よりも少なく、25%よりも少なく、20%よりも少なく、17%よりも少なく、または15%よりも少ない。

79. 側面72~78のいずれかの使用であって、ここで前記低レベルのrcAAVは低レベルの偽野生型rcAAVを含む。

80. 側面72~79のいずれかの使用であって、ここで前記低レベルのrcAAVが含むのは、偽野生型rcAAVの1/5よりも少なく、偽野生型rcAAVの1/10よりも少なく、偽野生型rcAAVの1/25よりも少なく、偽野生型rcAAVの1/30よりも少なく、または偽野生型rcAAVの1/35よりも少ない。

81. 側面72~80のいずれかの使用であって、ここで前記rep-rcAAVのレベルは、rep68 エクソン 1に結合しうるプライマーを用いたqPCRによって検出されたrep-rcAAVのレベルである。

82. 側面72~81のいずれかの使用であって、ここで前記rep-rcAAVのレベルは、フォワードプライマーCACGTGCATGTGGAAGTAG(配列番号7)およびリバースプライマーCGACTTTCTGACGGAATGG(配列番号8)を用いたqPCRによって検出されたrep-rcAAVのレベルである。

83. 側面72~82のいずれかの使用であって、ここで前記cap-rcAAVのレベルは、VP3をコードする配列に結合するプライマーを用いたqPCRによって検出されたcap-rcAAVのレベルである。

84. 側面72~83のいずれかの使用であって、ここで前記cap-rcAAVのレベルは、フォワードプライマーTACTGAGGGACCATGAAGAC(配列番号9)およびリバースプライマーGTTTACGGACTCGGAGTATC(配列番号10)を用いたqPCRによって検出されたcap-rcAAVのレベルである。

85. 側面1~70のいずれかにおいて定義された前記2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドの使用であって、以下:
(a)組み換えAAV作製の間に産生される自立増殖性AAV(rcAAV)のレベルを減少させるか最小化させる;
(b)組み換えAAV作製の間に産生される自立増殖性AAV(rcAAV)のレベルを減少させるか最小化させる;
(c)組み換えAAV作製の間に産生される全粒子に対する完全な粒子の比を調節または最大化させる;および/または
(d)組み換えAAV作製の間に産生される組み換えAAVの収量を増加、最適化、または最大化させる
ためのものである。

86. 側面72~85のいずれかの使用であって、ここで前記使用は側面1~70のいずれかの前記2-プラスミドシステム、前記ヘルパープラスミド、または前記ベクタープラスミドでの宿主細胞のトランスフェクション、および組み換えAAV作製に適切な環境下における宿主細胞の培養を含む。

87. 側面85または86の使用であって、ここで、rep-rcAAVまたはcap-rcAAVの過剰が、偽野生型rcAAVのレベルを減少し、または最小化することを示す。

88. 側面87の使用であって、ここで前記過剰は、rep-rcAAVまたはcap-rcAAVの過剰は、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、または少なくとも35倍の過剰である。

89. 側面87または88の使用であって、ここで前期過剰は、少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の双方を含んだプラスミドを含む2-プラスミドシステムを用いて産生された過剰よりも大きい。

90. 側面87~89のいずれかの使用であって、ここで前記rep-rcAAVのレベルは、rep68 エクソン 1に結合するプライマーを用いたqPCRにより検出されたrep-rcAAVのレベルである。

91. 側面87~90のいずれかの使用であって、ここで前記rep-rcAAVのレベルは、フォワードプライマーCACGTGCATGTGGAAGTAG(配列番号7)および前記リバースプライマーCGACTTTCTGACGGAATGG(配列番号8)を用いたqPCRによって検出されたrep-rcAAVのレベルである。

92. 側面87~91のいずれかの使用であって、ここで前記cap-rcAAVのレベルは、VP3をコードする配列に結合するプライマーを用いたqPCRによって検出されたcap-rcAAVのレベルである。

93. 側面87~92のいずれかの使用であって、ここで前記cap-rcAAVのレベルは、フォワードプライマーTACTGAGGGACCATGAAGAC(配列番号9)およびリバースプライマーGTTTACGGACTCGGAGTATC(配列番号10)を用いたqPCRによって検出されたcap-rcAAVのレベルである。

94. 組み換えAAV調製物を産生する方法であって、以下:
(a)側面1~70のいずれかで定義された前記2-プラスミドシステム、前記ヘルパープラスミドまたは前記ベクタープラスミドを取得すること;
(b)宿主細胞を、側面1~70のいずれかで定義した前記2-プラスミドシステム、前記ヘルパープラスミドまたは前記ベクタープラスミドでトランスフェクションすること;および
(c)組み換えAAV作製に適切な環境下で前記宿主細胞を培養すること
を含む、方法。

95. 組み換えAAV 調製物を提供するための組み換えAAVを回収するステップをさらに含む側面94の使用。

96. 組み換えAAV作製間に産生される自立増殖性AAV(rcAAV)のレベルを低減させるまたは最小化させるための方法であって、以下:
(a)側面1~70のいずれかで定義された前記2-プラスミドシステム、前記ヘルパープラスミドまたは前記ベクタープラスミドを取得すること;
(b)側面1~70のいずれかで定義された前記2-プラスミドシステム、前記ヘルパープラスミドまたは前記ベクタープラスミドで宿主細胞をトランスフェクションすること;および
(c)組み換えAAV作製に適切な環境下において宿主細胞を培養すること
を含む、方法。

97. 組み換えAAV作製間に産生される偽野生型である自立増殖性AAV(rcAAV)のレベルを低減させる、または最小化させるための方法であって、以下:
(a)側面1~70のいずれかで定義された前記2-プラスミドシステム、前記ヘルパープラスミドまたは前記ベクタープラスミドを取得すること;
(b)側面1~70のいずれかで定義された前記2-プラスミドシステム、前記ヘルパープラスミドまたは前記ベクタープラスミドで宿主細胞をトランスフェクションすること;および
(c)組み換えAAV作製に適切な環境下において宿主細胞を培養すること
を含む、方法。

98. 側面97の方法であって、ここで 過剰量のrep-rcAAVまたはcap-rcAAVは前記偽野生型rcAAVのレベルを低減されているか最小化されていることを示す。

99. 側面98の方法であって、ここで前記過剰量は少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、または少なくとも35倍の、rep-rcAAVまたはcap-rcAAVの過剰量である。

100. 側面98または99の方法であって、ここで前記過剰量は、少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の双方を含むプラスミドを含む2-プラスミドシステムを用いて産生される過剰量よりも大きい。

101. 側面98~100のいずれかの方法であって、ここで前記rep-rcAAVのレベルはrep68のエクソン 1に結合するプライマーを用いたqPCRによって検出されるrep-rcAAVのレベルである。

102. 側面98~101のいずれかの方法であって、ここで前記rep-rcAAVのレベルは、フォワードプライマーCACGTGCATGTGGAAGTAG(配列番号7)およびリバースプライマーCGACTTTCTGACGGAATGG(配列番号8)を用いたqPCRによって検出されたrep-rcAAVのレベルである。

103. 側面98~102のいずれかの方法であって、ここで前記cap-rcAAVのレベルは、VP3を、コードする配列に結合するプライマーを用いたqPCRによって検出されたcap-rcAAVのレベルである。

104. 側面98~103のいずれかの方法であって、ここで前記cap-rcAAVのレベルは前記フォワードプライマーTACTGAGGGACCATGAAGAC(配列番号9)および前記リバースプライマーGTTTACGGACTCGGAGTATC(配列番号10)を用いたqPCRによって検出された前記cap-rcAAVのレベルである。

105. 組み換えAAV調製物を提供するための前記組み換えAAVを回収するステップをさらに含む、側面86~93または96~104のいずれかの使用または方法。

106. 側面94、95または105のいずれかの使用または方法であって、ここで前記組み換えAAV調製物は低レベルのrcAAVを含む。

107. 側面106の使用または方法であって、ここで前記低レベルのrcAAVは低レベルのrep-rcAAVを含む

108. 側面106または107の使用または方法であって、ここで前記低レベルのrcAAVは、少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の双方を含むプラスミドを含む2-プラスミドシステムを用いて産生されたrep-rcAAVのレベルと比べてさらに低いレベルのrep-rcAAVを含む。

109. 側面106~108のいずれかに記載の使用または方法であって、ここで前記低レベルのrcAAVは、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、または少なくとも35倍を超えるrep-rcAAVまたはcap-rcAAVを含む。

110. 側面106~109のいずれかの使用または方法であって、ここで前記低レベルのrcAAVはrep-rcAAVの1/5未満、rep-rcAAVの1/10未満、rep-rcAAVの1/25未満、rep-rcAAVの1/30未満またはrep-rcAAVの1/35の割合を含む。

111. 側面106~110のいずれかの使用または方法であって、ここで前記低レベルのrcAAVは、少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の双方を含むプラスミドを含む2-プラスミドシステムを用いて産生された当該割合未満である、rep-rcAAVの割合を含む。

112. 側面111の使用または方法であって、ここで前記rep-rcAAVの割合は、少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子の双方を含むプラスミドを含む前記2-プラスミドシステムを用いて産生された当該割合の90%未満、75%未満、60%未満、50%未満、25%未満、20%未満、17%未満、または15%未満である。

113. 側面106~112のいずれかの使用または方法であって、ここで前記低レベルのrcAAV低レベルの偽野生型rcAAVを含む。

114. 側面106~113のいずれかの使用または方法であって、ここで前記低レベルのrcAAVが含むものは、偽野生型rcAAVの1/5よりも少なく、偽野生型rcAAVの1/10よりも少なく、偽野生型rcAAV1/25よりも少なく、偽野生型rcAAV1/30よりも少なく、または 1/35 偽野生型rcAAVの1/35よりも少ない。

115. 側面106~114のいずれかの使用または方法であって、ここで前記rep-rcAAVのレベルはrep68 エクソン 1に結合するプライマーを用いたqPCRにより検出される前記rep-rcAAVのレベルである。

116. 側面106~115のいずれかの使用または方法であって、ここで前記rep-rcAAVのレベルは、前記フォワードプライマーCACGTGCATGTGGAAGTAG(配列番号7)および前記リバースプライマーCGACTTTCTGACGGAATGG(配列番号8)を用いたqPCRによって検出されるrep-rcAAVのレベルである。

117. 側面106~116のいずれかの使用または方法であって、ここで前記cap-rcAAVのレベルは、VP3をコードする配列に結合するプライマーを用いるqPCRによって検出される、前記cap-rcAAVのレベルである。

118. 側面106~117のいずれかの使用または方法であって、ここで前記cap-rcAAVのレベルは、前記フォワードプライマーTACTGAGGGACCATGAAGAC(配列番号9)および前記リバースプライマーGTTTACGGACTCGGAGTATC(配列番号10)を用いたqPCRを用いることによって検出される。

119. 側面72~84または106~118のいずれかの使用または方法であって、ここで前記rcAAVのレベルは、rcAAV 107の組み換えAAVにおいて1より少なく、109の組み換えAAVにおいて1より少なく、または1010の組み換えAAVにおいて1より少ない、と測定される。

120. 側面106~119の使用または方法であって、ここで前記rcAAVのレベルは前記ベクタープラスミドが少なくとも一つのrep遺伝子および少なくとも一つのcap遺伝子を共に含むことを除いて対応する方法を用いて産生されるrcAAVのレベルよりも低い。

121. 側面72~84、86~93または106~120のいずれかの使用または方法であって、ここで前記rcAAVのレベルは、rep遺伝子を含む組み換えAAV粒子の数を測定するためにqPCRを用いることで測定される。

122. 側面72~84、86~95または105~121のいずれかの使用または方法であって、ここで前記組み換えAAV調製物は、全粒子に対する全てのものが望ましい比を有する。

123. 組み換えAAV作製間に産生される全粒子に対する完全な粒子の比を調節するか最大化する方法であって:
(a)側面1~70のいずれかで定義された、前記2-プラスミドシステム、前記ヘルパープラスミドまたは前記ベクタープラスミドを取得すること;
(b)前記側面1~70のいずれかで定義された、前記2-プラスミドシステム、前記ヘルパープラスミドまたは前記ベクタープラスミドで宿主細胞をトランスフェクトすること;および
(c)組み換えAAV作製に適切な環境下において前記宿主細胞を培養すること
を含む、方法。

124. 側面123の方法であって、全粒子に対する完全な粒子の望ましい比を含む、組み換えAAV調製物を提供するために、前記組み換えAAVを回収する方法をさらに含む、方法。

125. 側面72~84、86~93、122、または124のいずれかの使用または方法であって、ここで前記望ましい全粒子に対する完全な粒子の比は少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも7%、少なくとも10%または少なくとも15%である。

126. 側面94~125のいずれかの方法であって、ここで前記方法は高いか望ましい収量の組み換えAAVを産生する方法である。

127. 組み換えAAV産生の間における組み換えAAVの収量を増加、最適化、または最大化する方法であって:
(a)前記側面1~70のいずれかで定義された、前記2-プラスミドシステム、前記ヘルパープラスミドまたは前記ベクタープラスミドを取得すること;
(b)前記側面1~70のいずれかで定義された、前記2-プラスミドシステム、前記ヘルパープラスミドまたは前記ベクタープラスミドで宿主細胞をトランスフェクトすること;および
(c)組み換えAAV作製に適切な環境下において前記宿主細胞を培養すること
を含む、方法。

128. 高いか望ましい組み換えAAVの収量を含む組み換えAAV調製物を提供するための組み換えAAVを回収するステップをさらに含む、側面127の方法。

129. 側面72~84、86~93、124~126または128のいずれかの使用または方法であって、ここで前記ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は全粒子に対する完全な粒子の比および/または高いもしくは望ましい組み換えAAV収量を取得するために調整される。

130.ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比を選択するステップを含む、側面72~84、86~93、または123~129のいずれかの使用または方法。

131. 側面130の使用または方法であって、ここで前記ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は、使用者が全粒子に対する完全な粒子の比または組み換えAAVの高い、または望ましい収量が取得できるように選択されるか調整される。

132. 側面72~93、122~126または128~131のいずれかの使用または方法であって、ここで前記ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は、収量対全粒子に対する完全な粒子の比が均衡がとれるように選択されるか調整される。

133. 側面72~93、122~126または128~132のいずれかの使用または方法であって、ここでベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は、組み換えAAVの最大収量などにおいて達成可能な、空粒子の最小収量での組み換えAAVの最大収量を達成する比に選択されるか調整される。

134. 側面72~84、86~93、125、126または128~133のいずれかの使用または方法であって、ここで、前記高い、または望ましい収量は、ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比が1.8:1である場合の方法に対応する方法を用いて達成されるよりも少なくとも2倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、または少なくとも6倍高い収量である。

135. 側面72~84、86~93、125、126または128~134の使用または方法であって、ここで前記高い、または望ましい収量は、2×1010vg/mlより大きく、4×1010vg/mlより大きく、6×1010vg/mlより大きく、8×1010vg/mlより大きく、1×1011vg/mlより大きく、2×1011vg/mlより大きく、もしくは4×1011vg/mlより大きな収量である。

136. 側面72~84、86~93、122、124~126または129~135のいずれかの使用または方法であって、ここで前記望ましい全粒子に対する完全な粒子の比は全粒子に対する完全な比であって、ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比が1.8:1である場合の方法に対応する方法を用いて達成される、少なくとも全粒子に対する完全な比の20%または少なくとも30%である。

137. 側面72~84、86~93、122~126または129~136のいずれかの使用または方法であって、ここで全粒子に対する完全な比は、プロモーター 配列(ベクターゲノム;vg)を含むカセットを含む核酸配列の数を定量するためのqPCRを用いてベクターゲノムの数を算出し;カプシド特異的ELISAを用いて当該全粒子数を測定し;およびvg/ml÷粒子/ml×100の式を用いて当該比を算出することによって測定される。

138. 側面72~84、86~93、123~126または128~137のいずれかの使用または方法であって、ここで、前記組み換えAAVの収量は、プロモーター配列(vg)を含むカセットを含む核酸配列の数を定量するためのqPCRを用いることによって決定される。

139. 側面72~93、122~126または128~138のいずれかの使用または方法であって、ここでベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比は3:1~1:10、1.5:1~1:9と、1.4:1~1:8、1.3:1~1:7;1.2:1~1:6;1.1:1~1:5;1:1~1:4と;1:1.5~1:3;1:2~1:4;または約1:3である。

140. 側面72~93、122~126または128~139のいずれかの使用または方法であって、ここで前記ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比はヘルパープラスミドに比べベクタープラスミドのモル過剰であることを含む。

141. 側面72~140のいずれかの方法または使用であって、ここで前記宿主細胞はHEK293T細胞、HEK293細胞、HEK293EBNA細胞、CAP細胞、CAP-T細胞、AGE1.CR細胞、PerC6細胞、C139細胞、およびEB66細胞を含む群から選択される。

142. 側面72~141のいずれかの方法または使用であって、ここで前記宿主細胞は機能的なE1A/Bタンパク質を発現する細胞である。

143. 側面72~142のいずれかの方法または使用であって、前記組み換えAAV粒子の精製ステップをさらに含む。

144. 側面143の方法または使用であって、ここで前記組み換えAAV粒子の精製ステップは、密度勾配遠心(CsClまたはイオジキサノール等の密度勾配遠心)、濾過、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除 クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、および疎水クロマトグラフィーを含む群から選択された技術を用いて行われる。

145. 超遠心、タンジェンシャルフロー濾過、またはゲル濾過を用いた、さらなる前記組み換えAAVの濃縮を含む、143または44の側面の方法または使用。

146. 薬学的に許容可能な賦形剤との、前記組み換えAAVの配合を含む、側面72~145のいずれかの方法または使用。

147. 側面94~146のいずれかの方法によって取得可能な組み換えAAV調製物。

148. 側面 94~146のいずれかの方法によって取得された組み換えAAV調製物。
実施例1
実施例1-(トランススプリット(trans-split))の2-プラスミドシステムヘルパーおよびベクタープラスミドの構築
ヘルパープラスミド
ヘルパープラスミドを作製するために、前記repおよびcap遺伝子を含む野生型AAV2のヌクレオチド 200~4497(Genbank アクセッション番号 AF043303;配列番号1)が、pUC19(Yanisch-Perron et al(1985), Gene, 33:103~119)にクローニングされた。次に、ベクタープラスミド(当該構築は以下に記載)との配列のホモロジーを最小化するために、AAV2ヌクレオチドが削除された。Rep 68の発現を維持する一方で、Rep 78の発現を防ぐために、クローニングされたrep遺伝子中のイントロンが削除された。以下のイントロンの欠失させたRep 52を発現させるために、p19プロモーターを含むrep 52に対応するAAV2ヌクレオチドが、イントロン-欠失 rep 68遺伝子の3末端側のすぐ近くにクローニングされた。cap遺伝子配列の大半がそれから削除された。
二つのp40プロモーター(Rep 68およびRep 52のいずれか一つをコードするrep重複遺伝子)は、TATAボックスの除去(それぞれ、AAV2の1823の位置に対応するTをCに、およびAAV2の1826~1828の位置に対応するAAGをCTCにする変異)によって機能しなくなった。
結果として得られた「repカセット」が、それから、アデノウイルス(すなわちヘルパーウイルス)セロタイプ 5(配列番号4)からの機能的なVA RNA IおよびVA RNAII、E2AおよびE4遺伝子を含む8342ヌクレオチド領域を含むプラスミドにクローニングされた。カナマイシン耐性遺伝子および細菌の複製起点を含むプラスミド骨格は約2.2kbの長さであり、14021ヌクレオチドのヘルパープラスミドとなった。
図2は前記ヘルパープラスミドの主な特徴を示す模式図である。前記「repカセット」については、配列番号1のヌクレオチド位置に対して参照することによってAAV2 配列の部分が示される。
ベクタープラスミド
ベクタープラスミドを作製するために、前記repおよびcap遺伝子を含む、野生型AAV2の200~4497のヌクレオチド(Genbank アクセッション番号 AF043303;配列番号1)がpUC19にクローニングされた。3つの野生型プロモーターの調節の下で下流のcap遺伝子を維持する一方で、それぞれ p5およびp19の間およびp19およびp40プロモーターの間にある2つのrep遺伝子配列部分が、それからRepタンパク質発現を防ぐために削除された。ヘルパープラスミドについて上述したように、AAV2ヌクレオチドの4461~4497が、ヘルパープラスミドとの配列ホモロジーを最小化するために削除された。
残ったプロモーター領域中にある潜在的な開始コドンからの所望しない産物の翻訳を最小化するか阻止するために4つのATGコドンおよび4つのGTGコドンが除去された:AAV2ヌクレオチドの321~323、955~957および993~995に対応する位置にあるATG、およびAAV2ヌクレオチドの1014~1016に対応する位置にあるGTGが除去され、AAV2ヌクレオチドの766~768にあるATGがATTに変異された。
前記AAV2cap遺伝子をコードする上記プロモーター領域の3末端に接している前記VP1、VP2およびVP3が遺伝子組み換えcap遺伝子の対応する配列と置き換えられ、このcap遺伝子は当該AAV2cap遺伝子よりも3ヌクレオチド(一つの追加のコードされたアミノ酸と等価である)長い。その結果の、「プロモーター-cap」カセットが、カナマイシン耐性遺伝子および細菌の複製起点を含むプラスミド骨格にクローニングされた。この骨格にはプロモーターおよびpolyA転写調節因子に連結され、野生型のAAV2 ITR(AAV2ヌクレオチド 1~145および4535~4679)を含むAAV2 配列に隣接された前記導入遺伝子配列を含む発現カセットが挿入された。
2672-ヌクレオチド(ITR-ITR間)第IX因子発現カセットを含むベクタープラスミドの場合、実施例2で用いたのと同様前記プラスミド骨格は約2.3kb長であり、8525-ヌクレオチドのベクタープラスミドとなる。全ての以下の作業において、実施例3の一群のrAAVの作製を含み、当該プラスミド骨格は約2kb長まで減少させられる。α-ガラクトシダーゼA(GLA)発現カセット(実施例3)は2297ヌクレオチド長であった。
図3はベクタープラスミドの主な特徴を示す模式図である。前記「プロモーター-cap’」セットについては、AAV2配列の部分は、配列番号1のヌクレオチド位置に対して参照することによって示される。
実施例2
実施例2 - 2-プラスミドシステム:ヘルパープラスミド:ベクタープラスミド比の比較
細胞培養
HEK293T細胞は37℃、95% 相対湿度、および5% v/v CO2である標準環境下において、10% ウシ胎児血清(FBS)および1% GlutaMax(商標)(L-アラニン-L-グルタミン ジペプチド)を添加したDulbecco's Modified Eagle's Medium(DMEM)中、接着培養において維持された。継代中の細胞コンフルエンスは40~95%の範囲におかれた。
HEK293T 細胞のトランスフェクションおよび細胞溶解物の調整
HEK293T細胞は、異なったモル数のプラスミド比(ヘルパー:ベクター3:1から1:6まで)のヘルパープラスミドおよびベクタープラスミド(後者は遺伝子組み換えcap遺伝子および第IX因子発現カセット;を含む実施例1)を用いて、当該トータルプラスミドDNA量を維持した状態でトランスフェクトされた。トランスフェクション当日に培養集密度が60~70%となるように、トランスフェクションの前日に6cmのディッシュにおいて、培養エリア平方センチメートルあたり1.5×105個の生存細胞が3mlのDMEM、10% FBS、1% GlutaMax(商標)に播種された。メーカーのマニュアルに準じて、線状のポリエチレンイミンであるトランスフェクション試薬PEIpro(商標)(Polyplus)を用いて、添加物無しで、PEI-DNA 複合体がDMEMにおいて調整された。6μgのトータルプラスミドDNAおよびPEI-DNAの割合は、前記用いられたプラスミドの配合割合と独立して2:1に維持された。細胞はトランスフェクション後三日まで培養され、前記培地に回収され、凍結融解サイクル(-80℃および37℃)によって融解された。細胞片は10,000×gで5分間遠心分離されることによって除去された。
rAAVベクターゲノムの定量
AAVベクターゲノムアッセイはrAAV発現カセットのプロモーター配列に対する定量ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)に基づく。原則として前記qPCRプライマーは、組み換えAAVゲノムの一部であって、野生型AAVゲノムに共通するものではなく、ベクターゲノム力価が過大になるため、前記ITRに極めて近接しているプライマーの鋳型配列を用いないことが奨められる。
細胞溶解物であるテストサンプルは、組み込まれていないベクターゲノムを除去するため、qPCRを行う前にヌクレアーゼ処理が行われる。その目的のため、サンプルは0.125% Pluronic F-68を含んだヌクレオチドフリーの水で1:250に事前希釈される。25μlの当該事前に希釈した液はTurbo DNase(サーモフィッシャーサイエンティフィック、ウォルサム、米国)2ユニットおよび1×Turbo DNase reaction bufferで消化されるために用いられ、全反応液は29μlになる。1時間37℃においてインキュベーションが行われた。その後、同量の0.4 M NaOHが加えられ、サンプルは45分65℃においてインキュベートされた。0.1%のPluronic F-68が添加された、1035μlヌクレオチドフリーの水が30μl 0.4 M HClとともに加えられた。Turbo DNaseによる消化の質をコントロールするために、既知のAAVベクターゲノム力価を有した精製されていない細胞溶解物を含むトレンディングコントロールおよび前記プロモーター配列を載せたプラスミドDNAを用いたスパイク-イン コントロールが並行して測定された。
サンプル当たり、12.5μl QuantiFast SYBR Green PCR Master Mix(Qiagen、フェンロー、オランダ)が0.75μlのqPCR プライマーワーキングストックソリューション(各プライマー10μMを含む)と混合され、体積20μlになるまでヌクレオチドフリーの水でフィルアップされた。5μlのTurbo DNaseで処理された細胞溶解物、または精製されたウイルステストサンプルが当該混合物(全反応体積25μl、反応物中各最終プライマー濃度 300 nM)に加えられ、CFX 96 Touch Real Time PCR cycler(バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社、ヘラクレス、米国)において、以下のプログラムステップで、qPCRが行われた:95℃ 5 分;39 サイクル(95℃ 10 回、60℃ 30 回、プレート読み取り);95℃ 10秒;60~95℃(+0.5℃/ステップ)、10 秒;プレート読み取り。qPCRの品質をチェックするために既知のAAVベクターゲノム力価を有したトレンディングコントロールが並行して測定された。コンタミネーションの確認のため、鋳型のないコントロールl(NTC、5μl H2O)も含まれた。基準列、テストサンプルおよびコントロールはそれぞれの希釈物について3回測定された。精製されたウイルステストサンプルおよびトレンディングコントロールは通常3つの異なったEBバッファー(10 mM Tris-Cl、pH 8.5)での希釈物について測定された。Turbo DNaseで処理された細胞溶解物 テストサンプルは、さらなる希釈無しに、直接qPCRに用いられた。データはCFX ManagerTM Software 3.1(バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社)を用いて解析された。
融解曲線解析によりアンプリコン1つのみの存在が確認された。増幅物質はリアルタイムでPCR反応を測定できる、蛍光インターカレーターSYBR Greenで検出される新生の二重鎖DNAアンプリコンとなる。線状化されたプラスミドの形態である、既知の量のプロモーター遺伝物質の量が検量線を作成するために連続的に希釈され、そしてベクターゲノムサンプルの力価が検量線から補間された。
rAAV粒子(カプシド)の定量
AAV2力価測定ELISA法はトータルAAV粒子(カプシド)の測定法であり、商業的に入手可能なキット(Progen(商標)、ハイデルベルグ、ドイツ;カタログナンバー PRATV)に基づく。このサンドウィッチ免疫技術は、捕捉および検出の両方においてモノクローナル抗体 A20(Wobus et al(2000), J Virol, 74:9281~9293)を用いる。当該抗体は、これらの実験において用いられるセロタイプ AAV2、AAV3のカプシド集合体、および前記遺伝子組み換えカプシド上に存在する、立体構造的なエピトープに特異的である。
前記AAV2力価測定ELISA kitは細胞溶解物中および精製されたウイルスの調製物中のトータルAAV粒子を定量するためにメーカーの指示書に準じて用いられた。要するに、100μlに希釈されたAAV2 Kit Control、テストサンプル、または既知の全粒子力価を有する遺伝子組み換えカプシドのトレンディングコントロールが、モノクローナル抗体 A20でコートされたマイクロタイタープレート1ウェルごとに添加され、37℃で1時間インキュベートされた。基準列(standard row)、テストサンプル、およびコントロールはそれぞれの希釈物に対して2回ずつ測定された。2段階目において、100μlの希釈前のビオチンコンジュゲートモノクローナル抗体 A20(1:20 アッセイバッファー[ASSB])が加えられ、37℃で1時間インキュベートされた。それから、100μlの希釈前のストレプトアビジンペルオキシターゼコンジュゲート(1:20 ASSB)が加えられ、37℃で1時間インキュベートされた。100μlの基質溶液(TMB [テトラメチルベンジジン])が加えられ、15分間インキュベーションされた後、当該反応は100μl 停止溶液を用いて停止された。吸光度は450 nmで、SpectraMax M3 マイクロプレートリーダー(モレキュラーデバイス、サンノゼ、米国)を用いて光化学的に測定された。データはSoftMax Pro 7.0 Software(モレキュラーデバイス)で解析された。
テストサンプルはアッセイの範囲に希釈され、AAVの全粒子濃度は規定されたAAV2 Kit Controlを用いて作成された検量線による補間によって決定された。ASSBがブランクとして用いられた。
全粒子に対するベクターゲノムの割合
全AAV粒子に対するベクターゲノムの割合は百分率であらわされる。これはベクターゲノムの力価(上述したようにqPCRによって決定される)および全AAV粒子(上述したようにカプシドELISAによって決定される)の数に基づく。
結果
図5AおよびBから明らかなように、ベクタープラスミドの割合の上昇は粒子およびベクターゲノムの産生を共に上昇させた。しかしながら、粒子(カプシド)産生の相対的な増加はさらに際立っており、またより早期に当該ベクターゲノム産生における平坦域に至った。これらの結果は、ベクターゲノムの全粒子に対する割合(図5Cおよび7C)における段階的な現象によるものであった。ヘルパープラスミド:ベクタープラスミドの割合が1:3であることは、以前適用された1.8:1という割合と比べて(図7B)、ベクターゲノム力価が約3.5倍というほぼ最大の増加に至り、また一方で前記粒子力価は約8倍に増加した(図7A)。
比較のために、従来の「分離しない(non-split)」構成の2つのプラスミド(つまり、一方のプラスミドは同一のAdVヘルパーおよびベクターゲノム(第IX因子発現カセット)配列を含み、および他方のプラスミドは、RepおよびCap機能が前記プラスミド間において分離されないように、4つすべてのrep遺伝子を含むAAV2 rep カセットに加えて同一のcap遺伝子配列を含む)が、確立されたプラスミドのモル比 1.6:1で、トランスフェクションされ、このことにより、粒子およびベクターゲノム収量がかなり低いことが明らかにされた。
その後に行われた、前記ヘルパープラスミドの確認のためのシークエンスが、AAV2(配列番号1)の位置429~431に対応する、Rep 68タンパク質のアミノ酸位置 37におけるロイシンからフェニルアラニンへの置換となる、Rep 68をコードする配列におけるコドン中の変異を明らかにした。ロイシンをコードする野生型AAV2コドンを復元するため、ヘルパープラスミド配列を修正することで、収量vg/mlが増加し、また「変異した」ヘルパープラスミドに対して直接比較した場合、全粒子に対するベクターゲノムの割合(つまり、%全粒子)が約2倍の増加となるいう結果となった。補正されたヘルパープラスミド配列は、実施例3において解析されたrAAVグループの作製を含む、すべての以下の作業に用いられた。
実施例3―コンピテントAAV(rcAAV
実施例3 -トランススプリット 2-プラスミドシステムによるrAAV 産生における自立増殖性AAV(rcAAV)頻度の決定
rcAAVテスト
2-プラスミドシステムでトランスフェクションされた細胞とiCellis(登録商標)バイオリアクターを用いてラージスケールで製造され、不純物を除去するために多くの下流のプロセスを用いて精製された、精製rAAV原薬物質がrcAAVの存在のためにリミット・テストを受けた。前記一群のrAAVは、遺伝子組み換えcap遺伝子、および(i)α-ガラクトシダーゼA発現カセット(実施例1において記載したとおり)または(ii)実施例1において記載したものと(様々な、部分的にコドン最適化された第IX因子コーディング配列を含むことを除き)同一の第IX因子発現カセットベクタープラスミドを用いて産生された。当該これらの一群のrAAVを産生するために用いられた2-プラスミドシステムは、それぞれ 実施例1および2で記載したとおり短縮したベクタープラスミド骨格および補間されたヘルパープラスミド配列がもちいられた。当該リミット・テストにおいて、HEK293細胞は、野生型アデノウイルスの存在下または非存在下において最も濃縮された形態の前記AAV(精製後であって製剤前の原薬)によって形質導入された。以下に記載したとおり、連続して3回のウイルス増幅が行われた。
細胞はT75/T175フラスコに播種された。80% +/- 10の培養集密度および>90%の生存率において、細胞は、7.8x103の多重感染度(MOI)においてヘルパー野生型アデノウイルスセロタイプ5(Ad5wt)と共に、あるいはそれなしで、形質導入され、前記rAAV生成物がテストされた。インキュベーションの二日後、当該細胞は機械的に剥がすことによって回収された。1回目のラウンドから:1)バックアップのために維持される(繰り返しの解析が必要になった場合のためにストックされる);2)DNA 生成および解析のため;3)2回目の形質導入のため、の3セットの細胞が回収され、遠心分離された。精製および以降の数回の形質転換のための細胞は、ドライアイス/エタノールからの37℃のウォーターバスにおける凍結融解(3x)によって溶解され、そしてAd5wtを30分間のインキュベーションによって不活性化させ、1500gで2 分間遠心分離された。2回目の形質転換のために播種された細胞は1回目の回収からのAd5wt有り、あるいは無しのライセートで形質転換され、すべての過程は、2回目の回収物からのサンプルの回収のために繰り返された。3回目の形質転換のために播種された細胞は、2番目の回収物からのAd5wt有り、あるいは無しのライセートで形質転換され、すべての過程は、3回目の回収物からのサンプル回収のために繰り返された。
ゲノムDNAがDNeasy(登録商標)Tissue kit(Qiagen)を用いて、3つの増幅ステップのそれぞれから抽出され、紫外線吸光度比A260/A280において定量された。rcAAVの存在はreal-time quantitative PCR(qPCR)によって検出された:DNAはHEK293細胞から単離され、2つの配列が、1)AAV2のrepをコードする配列(rep)特異的なプライマーおよび2)HEK細胞における内在性のハウスキーピング遺伝子(ヒトアルブミン;hAlb)を用いて単離されたDNAから増幅された。
濃度 100ngのDNAが25μl qPCRの反応液に添加された。repのコピー数は、プラスミドの基本的な範囲(qPCRの反応生成物あたり100から1x108コピー)、ならびに前記repコピーおよび前記ヒトアルブミン配列コピーの比として計算された1細胞当たりの相対的なrep配列コピー数2(hAlb、2コピー/細胞)によって乗された)に対して算出された。連続した増幅ラウンドにおける一細胞あたりのrep配列のレベルの増加は、rcAAVの存在を示す。
ポジティブコントロールはアデノウイルス(Ad5wt)との野生型AAV2である;それらは単独または前記rAAV産物のサンプルの存在下において、インヒビションコントロールとしてテストされた。当該コントロールは、AAV2について、テストの検出限界(LOD)がrAAV 産物サンプルの1x1011 vgあたり、10 rcAAV 1x1010~10 rcAAVであることを確認する。LODはアッセイであって、生成物に依拠するパラメータである。ネガティブコントロールは非感染細胞(アデノウイルス有または無し)およびwt AAV2(アデノウイルス無し)で形質転換された細胞を含む。
複製は、少なくとも3回の増幅回数のうち1回、およびその後の1回以上の周回において行われ、細胞当たりの前記rep配列のコピー数は>10である場合行われる。repの非存在は「(複製なし)no replication」として報告され、テストサンプルの1x1010から1x1011 vgにおいて<10 rcAAVであることを意味する。rep配列の検出は「(複製)replication」、すなわち、テストサンプルの1x1010から1x1011 vgにおけるrcAAVの検出、として報告される。
結果
リミット・テストは、α-ガラクトシダーゼA-および第IX因子を含むrAAV産生物の、それぞれのいくつかの群において行われた。Ad5wtと野生型AAV2との共感染の、自立増殖性であるポジティブコントロールでは、前記アッセイによるrcAAVの検出を確認した。前記rAAV 産物サンプルに入れられた当該cAAV(AAV2)ポジティブコントロールはサンプルによる阻害がないことを示す。前記ポジティブコントロールは、前記テストでの検出限界(LOD)は、第IX因子-含有rAAV 産物サンプル1x1011 vgあたり10 rcAAV、およびα-ガラクトシダーゼA含有 rAAV 産物サンプル1x1010または1x1011vgあたり10 rcAAVであることを確認した。非感染細胞のネガティブコントロール(アデノウイルス有または無)およびwt AAV2(アデノウイルス無し)を遺伝子導入した細胞はrcAAVに対して陰性である。
故に、前記2-プラスミドシステムを用いて産生された、試験されたrAAV産物の群は、第IX因子含有 rAAV産物の1x1010vgあたり<1 rcAAVを含み、α-ガラクトシダーゼA-含有 rAAV産物の1x109 ~ 1x1010 vg あたり<1 rcAAVを含んでいることが示された。
実施例4
実施例4 - 2-プラスミドシステム:追加の導入遺伝子に関連したヘルパープラスミド:ベクタープラスミド比の比較
細胞培養
HEK293細胞は37℃、相対湿度95%、5% v/v CO2である標準環境下において、5% ウシ胎児血清(FBS)および2 mM L-グルタミンを添加したDulbecco's Modified Eagle's Medium(DMEM)中、接着培養において維持された。継代中の細胞コンフルエンスは40~95%の範囲におかれた。
HEK293細胞のトランスフェクションおよび細胞溶解物の調製
HEK293細胞は、前記トータルプラスミドDNA量は維持されたまま、異なったプラスミドモル比(ヘルパー:ベクター1:0.75から1:4.5)を用いてヘルパープラスミドおよびベクタープラスミド(後者は前記遺伝子組み換えcap遺伝子およびβ-グルコセレブロシダーゼ[GBA]または第VIII因子 [FVIII]発現カセットを含む)でトランスフェクトされた。培養エリア平方センチメートルあたり1.5×105生存細胞が6cmのディッシュにおいて体積3 ml DMEM、5% FBS、2mM L-グルタミンに、トランスフェクションの前日に、トランスフェクション当日に培養集密度が60~70%となるように播種された。メーカーのマニュアルに準じて、線状のポリエチレンイミンであるトランスフェクション試薬PEIpro(商標)(Polyplus)を用いて、添加物無しで、PEI-DNA 複合体がDMEMにおいて調製された。6μgのトータルプラスミドDNAの量およびDNAに対するPEIの比は、前記用いられたプラスミドの組合せの比と独立して2:1に維持された。細胞はトランスフェクション後三日まで培養され、前記培地に回収され、凍結融解サイクル(-80℃および37℃)によって溶解された。10,000×gで5分間遠心分離されることによって細胞片が除去された。
rAAVベクターゲノムの定量
前記AAVベクターゲノムアッセイは、GBA発現カセットのプロモーター 配列またはFVIII発現カセットのコーディング配列特異的な定量PCR(qPCR)に基づく。
細胞溶解物であるテストサンプルは、組み込まれていないベクターゲノムを除去するため、qPCRを行う前にヌクレアーゼ処理に供された。その目的のため、サンプルは0.125% Pluronic F-68を含んだヌクレオチドフリーの水で1:250に事前希釈された。25μlの当該事前に希釈した液がTurbo DNase(ThermoFisher Scientific、ウォルサム、米国)2ユニットおよび1×Turbo DNase reaction bufferで消化されるために用いられ、全反応液は29μlになる。インキュベーションが1時間37℃において行われた。その後、同量の0.4 M NaOHが加えられ、サンプルは45分65℃においてインキュベートされた。0.1%のPluronic F-68が添加された、1035μlヌクレオチドフリーの水が30μl 0.4 M HCとともに加えられた。Turbo DNaseによるダイジェストの質をコントロールするために、既知のAAVベクターゲノム力価を有した未精製の細胞溶解物を含む適切なトレンディングコントロールおよびプロモーター配列(GBA発現カセットの場合)またはFVIII コーディング配列(FVIII発現カセットの場合)を載せたプラスミドDNAを用いたスパイク-イン コントロールが並行して測定された。
サンプル当たり、12.5μl QuantiFast SYBR Green PCR Master Mix(Qiagen、フェンロー、オランダ)は0.75μlのqPCR プライマーワーキングストックソリューション(各プライマー10μMを含む)と混合され、体積20μlになるまでヌクレオチドフリーの水でフィルアップされた。5μlのTurbo DNaseで処理された細胞溶解物、または精製されたウイルス テストサンプルは当該混合物(全反応体積25μl、反応物中各最終プライマー濃度300 nM)に加えられ、以下のプログラムステップで、CFX 96 Touch Real Time PCR cycler(バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社、ヘラクレス、米国)においてqPCRが行われた:95℃ 5分;39 サイクル(95℃ 10 s、60℃ 30 s、プレート読み取り);95℃ 10 sec;60~95℃(+0.5℃/step)、10 sec;プレート読み取り。qPCRの品質をチェックするために既知のAAVベクターゲノム 力価を有したトレンディングコントロールが並行して測定された。コンタミネーションの確認のため、鋳型のないコントロールl(NTC、5μl H2O)も含まれた。基準列、テストサンプルおよびコントロールはそれぞれの希釈物について3回測定された。精製されたウイルステストサンプルおよびトレンディングコントロールは通常EB バッファー(10 mM Tris-Cl、pH 8.5)中での3つの異なった希釈物について測定された。Turbo DNaseで処理された細胞溶解物テストサンプルは、更なる希釈無しに、直接qPCRに用いられた。データはCFX ManagerTM Software 3.1(バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社)を用いて解析された。
融解曲線解析によりアンプリコン1つのみの存在が確認された。増幅物質はリアルタイムでPCR反応を測定できる、蛍光インターカレーターSYBR Greenで検出される新生の二重鎖DNAアンプリコンとなる。線状化されたプラスミドの形態である、既知の量のプロモーター(GBA発現カセットの場合)またはコーディング配列(FVIII発現カセットの場合)遺伝物質は検量線を作成するために連続的に希釈され、そしてベクターゲノムサンプルの力価は検量線から補間された。
rAAV粒子(カプシド)の定量
AAV2力価測定ELISA方法はトータルAAV粒子(カプシド)の測定であり、商業的に入手可能なキット(Progen(商標)、ハイデルベルグ、ドイツ;カタログナンバー PRATV)に基づく。このサンドウィッチ免疫技術は、捕捉および検出の両方においてモノクローナル抗体 A20(Wobus et al(2000), J Virol, 74:9281~9293)を用いる。当該抗体は、これらの実験において用いられるセロタイプAAV2、AAV3セロタイプのカプシド集合体、および前記遺伝子組み換えカプシド上に存在する、立体構造的なエピトープに特異的である。
前記AAV2力価測定ELISA kitは細胞溶解物中および精製されたウイルスの調製物中のトータルAAV粒子を定量するためにメーカーの指示書に準じて用いられた。要するに、100μlに希釈されたAAV2 Kit Control、テストサンプル、または既知の全粒子力価を有する遺伝子組み換えカプシドのトレンディングコントロールは、モノクローナル抗体A20でコートされたマイクロタイタープレート1ウェルごとに添加され、37℃で1時間インキュベートされた。基準列、テストサンプル、およびコントロールはそれぞれの希釈物に対して2回ずつ測定された。2段階目において、100μlの希釈前のビオチンコンジュゲートモノクローナル抗体 A20(1:20 アッセイバッファー[ASSB])が加えられ、37℃で1時間インキュベートされた。それから、100μlの希釈前のストレプトアビジンペルオキシターゼコンジュゲート(1:20 ASSB)が加えられ、37℃で1時間インキュベートされた。100μlの基質溶液(TMB [テトラメチルベンジジン])が加えられ、15分間インキュベーションされた後、当該反応は100μl 停止溶液を用いて停止された。吸光度450nmにおいて、SpectraMax M3 マイクロプレートリーダー(モレキュラーデバイス、サンノゼ、米国)を用いて光化学的に測定された。データはSoftMax Pro 7.0 Software(モレキュラーデバイス)で解析された。
テストサンプルはアッセイの範囲に希釈され、AAVの全粒子濃度は規定されたAAV2 Kit Controlを用いて作成された検量線による補間によって決定された。ASSBがブランクとして用いられた。
全粒子に対するベクターゲノムの割合
全AAV粒子に対するベクターゲノムの割合は百分率であらわされる。これはベクターゲノムの力価(上述したようにqPCRによって決定される)および全AAV粒子(上述したようにカプシドELISAによって決定される)の数に基づく。
結果
GBA(図8B~D)およびFVIII(図8E~G)導入遺伝子における、それぞれのヘルパープラスミド:ベクタープラスミド比の比較は、実施例2における、ベクタープラスミドの割合を上昇させることによりより高い粒子収量およびベクターゲノム収量の双方が得られることになるという見解を裏付けた。ベクターゲノム収量の相対的な増加よりも粒子(カプシド)収量の相対的な増加が再びさらに明確となったように、全粒子に対するベクターゲノムの比における段階的な減少が注目された(図8Dおよび8G)。ヘルパープラスミド:ベクタープラスミドのプラスミド比が1:3であることは、全粒子に対する許容可能なベクターゲノムとの比との間のバランスを維持する一方で、ベクターゲノム力価が、ほとんど最大(GBA)または最大(FVIII)の増加となる結果となった。
実施例5
実施例5 - 2-プラスミドシステム:様々な導入遺伝子に関連した評価
細胞培養
HEK293T細胞は37℃、相対湿度95%、5% v/v CO2である標準環境下において、10% ウシ胎児血清(FBS)および1% GlutaMax(商標)(L-アラニン-L-グルタミン ジペプチド)を添加したin Dulbecco's Modified Eagle's Medium(DMEM)中、接着培養において維持された。継代中の細胞コンフルエンスは40~95%の範囲におかれた。
HEK293細胞は37℃、95% 相対湿度、5% v/v CO2である標準環境下において、5% ウシ胎児血清(FBS)および2 mM L-グルタミンを添加したDulbecco's Modified Eagle's Medium(DMEM)中、接着培養において維持された。継代中の細胞コンフルエンスは40~95%の範囲におかれた。
HEK293T細胞またはHEK293細胞のトランスフェクションおよび細胞溶解物の調製
HEK293TまたはHEK293細胞は、ヘルパープラスミドおよびベクタープラスミド(後者は遺伝子組み換えcap遺伝子および第IX因子、α-ガラクトシダーゼA [GLA]、β-グルコセレブロシダーゼ[GBA]または第VIII因子発現カセットを含む)で、プラスミドモル比1:3(ヘルパー:ベクター)で、トータルプラスミドDNA量を維持した状態でトランスフェクトされた。培養エリア平方センチメートル当たり1.5×105個の生存細胞が、6cmのディッシュ中、3mlの体積のDMEM、10% FBS、1% GlutaMax(商標)(HEK293T)に、または3mlの体積のDMEM、5% FBS、2mM L-グルタミン(HEK293)に、トランスフェクション当日に培養集密度が60~70%となるようにトランスフェクションの前日に播種された。PEI-DNA複合体が、添加物を含まないDMEM中で、線状ポリエチレンイミントランスフェクション試薬 PEIpro(商標)(Polyplus)を用いて、メーカーのマニュアルに準じて調製された。6μgのトータルプラスミドDNAの量および2:1のDNAに対するPEIの比が、前記用いられたプラスミドの組合せと独立して維持された。細胞はトランスフェクション後三日まで培養され、前記培地に回収され、凍結融解サイクル(-80℃および37℃)によって溶解された。10,000×g、5分で遠心分離されることで細胞片が除去された。第IX因子またはGLA発現カセットを含むAAVベクターはHEK293T細胞において製造され、一方、GBAまたは第VIII因子発現カセットを含むAAVベクターはHEK293細胞において製造された。
rAAVベクターゲノムの定量
AAVベクターゲノムアッセイは、rAAV発現カセットのプロモーター配列に特異的な定量PCR(qPCR)に基づく
細胞溶解物であるテストサンプルは、qPCRを行う前にパッケージされていないベクターゲノムを除去するためにヌクレアーゼ処理に供された。当該目的のために、当該サンプルが0.125%のPluronic F-68を含むヌクレオチドフリーの水で1:250に事前希釈された。25μlの当該事前に希釈した液はTurbo DNase(サーモフィッシャーサイエンティフィック、ウォルサム、米国)および1×Turbo DNase reaction bufferで消化され、全反応液は29μlになる。インキュベーションは1時間37℃において行われた。その後、同量の0.4 M NaOHが加えられ、サンプルは45分65℃においてインキュベートされた。0.1%のPluronic F-68が添加された、1035μlヌクレオチドフリーの水が30μl 0.4 M HCとともに加えられた。Turbo DNaseによる消化の質をコントロールするために、既知のAAVベクターゲノム 力価を有した精製されていない細胞溶解物を含むトレンディングコントロールおよび前記プロモーター配列を載せたプラスミドDNAを用いたスパイク-イン コントロールが並行して測定された。
サンプルあたり、12.5μlのQuantiFast SYBR Green PCR Master Mix(Qiagen、フェンロー、オランダ)が0.75μlのqPCR プライマーワーキングストックソリューション(各プライマー10μMを含む)と混合され、ヌクレオチドフリーの水で、体積が20μlになるようにフィルアップされた。5μlのTurbo DNaseで処理された細胞溶解物または精製されたウイルステストサンプルが混合物(全反応体積25μl、反応物中各最終プライマー濃度 300 nM)に加えられ、CFX 96 Touch Real Time PCR cycler(バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社、ヘラクレス、米国)において、qPCRが、以下のプログラムステップで行われた:95℃ 5分;39サイクル(95℃ 10回、60℃ 30 回、プレート読み取り);95℃ 10秒;60~95℃(+0.5℃/ステップ)、10秒;プレート読み取り。qPCRの品質をコントロールするため、トレンディングコントロールが既知のAAVベクターゲノム力価と並行して測定された。コンタミネーションをチェックするため、鋳型を含まないコントロール(NTC、5μl H2O)も含まれる。基準列、テストサンプルおよびコントロールはそれぞれの希釈物に対して三重に測定された。精製されたウイルスであるテストサンプルおよびトレンディングコントロールは概ねEBバッファー(10 mM Tris-Cl、pH 8.5)中での3つの異なった希釈率において測定された。Turbo DNaseで処理された細胞溶解物であるテストサンプルはqPCRにおいて更なる希釈無しに直接用いられた。データはCFX Manager(商標)Software 3.1(バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社)を用いて解析された。
融解曲線解析でアンプリコン1つのみの存在が確認された。増幅物質はリアルタイムでPCR反応を測定できる、蛍光インターカレーターSYBR Greenで検出される新生の二重鎖DNAアンプリコンとなる。線状化されたプラスミドの形態である、既知の量のプロモーター遺伝物質の量が検量線を作成するために連続的に希釈され、そしてベクターゲノムサンプルの力価が検量線から補間された。
結果
異なったサイズの導入遺伝子および発現カセット(第IX因子[FIX]、α-ガラクトシダーゼA [GLA]、β-グルコセレブロシダーゼ[GBA]および第VIII因子[FVIII])を含む、4つの異なったベクターゲノムが、それぞれ二つの独立した実験において、遺伝子組み換え カプシドにパッケージングされた。図8Aにおいて示されるように、確実に高いベクターゲノム収量が、発現カセットとは独立して、また、HEK293TおよびHEK293細胞がベクター作製に用いられた場合の双方において達成された。これらの結果は、当該プラスミドシステムが、異なるヒト胎児性腎臓細胞293の細胞系譜において様々な導入遺伝子をコードするAAVベクターの製造のためのプラットフォームとして用いられうることを示す。
実施例6
実施例6 - 2-プラスミドシステム:様々なセロタイプのおよび遺伝子組み換えcap遺伝子に関連した評価
細胞培養
HEK293T細胞は37℃、相対湿度95%、5% v/v CO2である標準環境下において、10% ウシ胎児血清(FBS)および1% GlutaMax(商標)(L-アラニン-L-グルタミンジペプチド)を添加したin Dulbecco's Modified Eagle's Medium(DMEM)接着培養において維持された。継代中の細胞コンフルエンスは40~95%の範囲におかれた。
HEK293T細胞のトランスフェクションおよび細胞溶解物の調製
HEK293T細胞は、ヘルパープラスミドおよびベクタープラスミド(後者は第IX因子発現カセットおよびAAV-2、AAV-5、AAV-8、AAV-9または遺伝子組み換えcap遺伝子を含む)で、プラスミドモル比 1:3(ヘルパー:ベクター)で、トータルプラスミドDNA量を維持した状態でトランスフェクトされた。トランスフェクション当日に培養集密度が60~70%となるように、トランスフェクションの前日に6cmのディッシュにおいて培養エリア平方センチメートルあたり1.5×105の生存細胞が3 mlのDMEM、10% FBS、1% GlutaMax(商標)に播種された。6μgのトータルプラスミドDNAの量および2:1のDNAに対するPEIの比は、前記用いられたプラスミドの組合せと独立して維持された。細胞はトランスフェクション後三日まで培養され、前記培地に回収され、凍結融解サイクル(-80℃および37℃)によって溶解された。10,000×gで5分間遠心分離されることによって細胞片が除去された。
rAAVベクターゲノムの定量
AAVベクターゲノムアッセイはrAAV発現カセットのプロモーター配列に特異的な定量PCR(qPCR)に基づく。
細胞溶解物であるテストサンプルは、qPCRを行う前に、パッケージングされていないベクターゲノムを除去するためにヌクレアーゼ処理に供された。当該目的のために、当該サンプルは0.125%のPluronic F-68を含むヌクレオチドフリーの水で1:250に事前希釈された。25μlの当該事前に希釈した液はTurbo DNase(サーモフィッシャーサイエンティフィック、ウォルサム、米国)2ユニットおよび1×Turbo DNase reaction bufferで消化されるために用いられ、全反応液は29μlになる。インキュベーションは1時間37℃において行われた。その後、同量の0.4 M NaOHが加えられ、サンプルが45分65℃においてインキュベートされた。0.1%のPluronic F-68が添加された、1035μlヌクレオチドフリーの水が30μl 0.4 M HCとともに加えられた。Turbo DNaseによる消化の質をコントロールするために、既知のAAVベクターゲノム力価を有した精製されていない細胞溶解物を含むトレンディングコントロールおよび前記プロモーター配列を載せたプラスミドDNAを用いたスパイク-イン コントロールが並行して測定された。
サンプルあたり、12.5μlのQuantiFast SYBR Green PCR Master Mix(Qiagen、フェンロー、オランダ)が0.75μlのqPCR プライマーワーキングストックソリューション(各プライマー10μMを含む)と混合され、ヌクレオチドフリーの水で、体積20μlになるようにフィルアップされた。5μlのTurbo DNaseで処理された細胞溶解物または精製されたウイルステストサンプルが混合物(トータル反応量25μl、各反応系における最終プライマー濃度 300 nM)に加えられ、qPCRが、CFX 96 Touch Real Time PCR cycler(バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社、ヘラクレス、米国)で、以下のプログラムステップで行われた:95℃ 5分;39 サイクル(95℃ 10 s、60℃ 30 s、プレート読み取り);95℃ 10 sec;60~95℃(+0.5℃/step)、10 sec;プレート読み取り。qPCRの品質をコントロールするため、トレンディングコントロールが既知のAAVベクターゲノム力価と並行して測定された。コンタミネーションをチェックするため、鋳型を含まないコントロール(NTC、5μl H2O)も含まれる。基準列、テストサンプルおよびコントロールがそれぞれの希釈物に対して三重に測定された。精製されたウイルスであるテストサンプルおよびトレンディングコントロールは、概ねEBバッファー(10 mM Tris-Cl、pH 8.5)中での3つの異なった希釈率において測定された。Turbo DNaseで処理された細胞溶解物であるテストサンプルはqPCRにおいて更なる希釈無しに直接用いられた。データはCFX Manager(商標)Software 3.1(バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社)を用いて解析された。
融解曲線解析がアンプリコン1つのみの存在下で確認された。増幅産物はPCR反応をリアルタイムでチェックするため蛍光インターカレーターSYBR Greenで検出される新生二重鎖DNAアンプリコンとなる。既知の量のプロモーター遺伝物質が、線状化されたプラスミドの形態で、検量線を作成するために連続的に希釈され、サンプルベクターゲノム力価が検量線によって補間された。
結果
第IX因子をコードするベクターゲノムが、自然に生じるAAV-2、AAV-5、AAV-8およびAAV-9 セロタイプのカプシドに対するのと同様に遺伝子組み換えカプシドにパッケージされた。図9に示された、得られたベクターゲノム収量は、最高値と最低値の間で差異が三倍以下である、妥当な範囲内であった。したがって、当該プラスミドシステムは様々なカプシドバリアントに関連したAAVベクターの作製に対して適切なプラットフォームであると考えられる。
実施例7
実施例7 - 2-プラスミドシステム:様々な導入遺伝子に関連した選択されたヘルパープラスミド:ベクタープラスミド比の比較
細胞培養
HEK293T細胞は37℃、相対湿度95%、5% v/v CO2である標準環境下において、10% ウシ胎児血清(FBS)および1% GlutaMax(商標)(L-アラニン-L-グルタミン ジペプチド)を添加したDulbecco's Modified Eagle's Medium(DMEM)中、接着培養において維持された。継代中の細胞コンフルエンスは40~95%の範囲におかれた。
HEK293T細胞のトランスフェクションおよび細胞溶解物の調製
HEK293T細胞は、二つの異なったプラスミドモル比(ヘルパー:ベクター1.8:1および1:3)を用いて、トータルプラスミドDNA量を維持した状態で、ヘルパープラスミドおよびベクタープラスミド(後者は遺伝子組み換えcap遺伝子および第IX因子[FIX]、α-ガラクトシダーゼA [GLA]、β-グルコセレブロシダーゼ[GBA]または第VIII因子 [FVIII]発現カセットを含む)でトランスフェクトされた。培養エリア平方センチメートル当たり1.5 ×105 個の生存細胞が、6cmのディッシュ中、3mlの体積のDMEM、10% FBS、1% GlutaMax(商標)に、トランスフェクション当日に培養集密度が60~70%となるようにトランスフェクションの前日に播種された。PEI-DNA複合体が、添加物を含まないDMEM中で、線状ポリエチレンイミントランスフェクション試薬 PEIpro(商標)(Polyplus)を用いて、メーカーのマニュアルに準じて調製された。6μgのトータルプラスミドDNAの量および2:1のDNAに対するPEIの比が、用いられたプラスミドの組合せの比と独立して維持された。細胞はトランスフェクション後三日まで培養され、前記培地に回収され、凍結融解サイクル(-80℃および37℃)によって溶解された。10,000×g、5分で遠心分離されることによって細胞片が除去された。
rAAVベクターゲノムの定量
AAVベクターゲノムアッセイはrAAV発現カセットのプロモーター配列に特異的な定量PCR(qPCR)に基づく。
細胞溶解物であるテストサンプルが、sqPCRを行う前にパッケージされていないベクターゲノムを除去するためにヌクレアーゼ処理に供された。当該目的のために、当該サンプルは0.125%のPluronic F-68を含むヌクレオチドフリーの水で1:250に事前希釈された。25μlの当該事前に希釈した液はTurbo DNase(サーモフィッシャーサイエンティフィック、ウォルサム、米国)2ユニットおよび1×Turbo DNase reaction bufferで消化されるために用いられ、全反応体積は29μlとなった。インキュベーションが37℃で1時間行われた。その後、1体積分の0.4 M NaOHが加えられ、サンプルは65℃で45分間インキュベートされた。0.1%のPluronic F-68が添加された1035μlのヌクレオチドフリーの水が30μl 0.4 M HClと共に加えられた。Turbo DNaseによる消化の質をコントロールするために、既知のAAVベクターゲノム力価の精製されていない細胞溶解物を含むトレンディングコントロールおよびプロモーター配列を有するプラスミドを用いたスパイク-イン コントロールが並行して測定された。
サンプルあたり、12.5μlのQuantiFast SYBR Green PCR Master Mix(Qiagen、Venlo、オランダ)が0.75μlのqPCR プライマーワーキングストックソリューション(各プライマー10μMを含む)と混合され、ヌクレオチドフリーの水で、体積20μlになるようにフィルアップされた。5μlのTurbo DNaseで処理された細胞溶解物または精製されたウイルステストサンプルが混合物(トータル反応量25μl、各反応系における最終プライマー濃度 300 nM)に加えられ、qPCRが、CFX 96 Touch Real Time PCR cycler(バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社、ヘラクレス、米国)で、以下のプログラムステップで行われた:95℃ 5 分;39 サイクル(95℃10、60℃ 30、プレート読み取り);95℃ 10秒;60~95℃(+0.5℃/ステップ)、10 秒;プレート読み取り。qPCRの品質をコントロールするため、トレンディングコントロールが既知のAAVベクターゲノム力価と並行して測定された。コンタミネーションをチェックするため、鋳型を含まないコントロール(NTC、5μl H2O)も含まれる。基準列、テストサンプルおよびコントロールはそれぞれの希釈物に対して三重に測定された。精製されたウイルスであるテストサンプルおよびトレンディングコントロールは概ねEBバッファー(10 mM Tris-Cl、pH 8.5)中での3つの異なった希釈率において測定された。Turbo DNaseで処理された細胞溶解物であるテストサンプルはqPCRにおいて更なる希釈無しに直接用いられた。データはCFX Manager(商標)Software 3.1(バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社)を用いて解析された。
融解曲線解析がアンプリコン1つのみの存在を確認した。増幅物質はリアルタイムでPCR反応を測定できる、蛍光インターカレーターSYBR Greenで検出される新生の二重鎖DNA アンプリコンとなる。線状化されたプラスミドの形態である、既知の量のプロモーター 遺伝物質の量が検量線を作成するために連続的に希釈され、そしてベクターゲノムサンプルの力価が検量線から補間された。
結果
実施例5ですでに用いられており、異なったサイズの導入遺伝子を含む、4つの異なったベクタープラスミドが、ヘルパープラスミド:ベクタープラスミド比 1.8:1および当該プラスミド比 1:3においてHEK293T細胞にトランスフェクトされた。すべての例において実質的に増加したベクターゲノム収量が観察され、1:3のプラスミド比で4.55倍から9.32倍の範囲において増加し(図8H)、様々な発現カセットを含んだAAVベクターについての、1:3のプラスミド比の長所が強調された。
実施例8
実施例8 - トランススプリット 2-プラスミドシステムによって産生された自立増殖性AAV(rep欠失rcAAV、cap欠失rcAAVおよび偽野生型rcAAVを含む、rcAAV)についての検討
実施例3からのリミット・テストは、前記トランススプリット 2-プラスミドシステムを用いて産生されたrAAV 産物群が、第IX因子含有rAAV 産物 1x1010 vgあたり<1のrcAAVを含み、およびα-ガラクトシダーゼA含有rAAV産物1x109 ~ 1x1010 vgあたり<1 rcAAV perを含むことを示している。ゆえに、rcAAVを産生することは滅多にない事象である。rcAAVがトランススプリット 2-プラスミドシステムで産生されるかどうか、かつどの程度そのようなrcAAVが従来の「non-split」構成で産生されたrcAAVに匹敵しうるかどうかについて調べるため、以下の一連の実験を行った。
プラスミド
前記トランススプリット 2-プラスミドシステムについてヘルパーおよびベクタープラスミドは実施例1において記載したように構成された。図2および3は前記ヘルパーおよびベクタープラスミドの概要図をそれぞれ提供する。前記短縮されたベクタープラスミド骨格および補完されたヘルパープラスミド配列は実施例1および2にそれぞれ記載したように用いられた。前記ベクタープラスミドは、実施例3において述べたものと同一の遺伝子組み換えcap遺伝子および第IX因子発現カセットを含む。
従来の「non-split」な構成における2つのプラスミドが比較のために用いられた。1つのプラスミドが、前記トランススプリット 2-プラスミドシステムにおいて使われるように、同一のAdVヘルパーおよびベクターゲノム(第IX因子発現カセット)配列を含む。他方のプラスミド(本明細書においては「P-143」とも称される)は、RepおよびCap機能が当該二つのプラスミド間では分離されないような、前記トランススプリット 2-プラスミドシステムで用いられた同一のcap遺伝子配列および4つすべてのrep遺伝子を含むAAV2 rep カセットを含んだ(図14)。したがって、当該capおよびrep遺伝子は図1であらわされるように野生型の構成である。
用いられた前記ヘルパープラスミドは「P-150」とも称され、用いられた前記ベクタープラスミドは「P-160」とも称される。
細胞培養
HEK293T細胞は、セクション「細胞培養」における実施例2に記載されたように培養された。
HEK293T細胞のトランスフェクションおよびrAAVの精製
HEK293T細胞はヘルパープラスミドおよびベクタープラスミドを、トータルプラスミドDNA量を維持しながら、トランススプリット 2-プラスミドシステムおよびnon-split システムで、異なったプラスミドモル比を用いてトランスフェクトされた。トランススプリット 2-プラスミドシステムでのヘルパー:ベクター比は1:3であり、non-split システムでのAdVヘルパー-発現カセット:cap-rep比は1.8:1であった。トランスフェクション当日に培養集密度が60~70%となるように、トランスフェクションの前日に15cmのディッシュにおいて、培養エリア平方センチメートルあたり8×104 個の生存細胞が、25ml DMEM、10%FBS、1%GlutaMa(商標)に播種された。PEI-DNAは線状ポリエチレンイミントランスフェクション試薬 PEIpro(商標)(Polyplus社)を用いて、添加物を有しないDMEM中でメーカーのマニュアルに準じて 調製された。プレートあたり42μgであるトータルプラスミドDNAの量および2:1であるDNAに対するPEIの比は、前記用いられたプラスミドの組合せの比と独立して維持された。細胞は、トランスフェクション3日後まで培養され、培地中に回収され、3回の凍結融解サイクル(-80℃および37℃)によって溶解された。7枚の皿のプールが、残存しているプラスミドDNAを除去するためにDenarase(ザルトリウス・ステディム・バイオテック)で処理され、アフィニティクロマトグラフィーで精製された。トランススプリット 2-プラスミドシステムおよびnon-split システムの、精製され、最終的にPBSで調整されたrAAVに対して、AAVベクターゲノムを定量するために(すなわち当該rAAVベクターゲノム力価を決定するために)、qPCRが用いられた。qPCRは、前記rAAV発現カセットのプロモーター配列における領域を増幅することによって行われた。qPCRは、実施例2の「rAAVベクターゲノムの定量」のセクションにおいて上述されたように行われた。non-splitシステムの調製物では1.3x1012vg/mlの力価が得られ、トランススプリット 2-プラスミドシステムの調製物では8.2x1012vg/mlの力価が得られた。
rcAAV(rep欠失rcAAV、cap欠失rcAAVおよび偽野生型rcAAVを含むの濃縮およびベクターDNAの単離
トランススプリット 2-プラスミドシステムからのrcAAVの生成がまれにしかおこらないことから、種々のrcAAVの濃縮が、さらなるサザンブロットqPCRおよびPCR解析の前に行われた。
rcAAV粒子を濃縮するために、HEK293T細胞が、トランススプリット 2-プラスミドシステム(「splitサンプル」としても選ばれている)およびnon-split システム(「non-splitサンプル」としても選ばれている)から生成されたrAAVがトランスフェクションされた。HEK293T細胞は最も濃縮した形のrAAVサンプルで感染させられ、かつAd5wtで共感染させられた。全体で、2回の連続した感染ラウンドが以下に記載するように行われた。これらの2回のラウンドの間に産生されるAAV粒子のために、HEK293T細胞はRepおよびcap機能の双方を含むrcAAVを感染させるか、または、細胞に存在するrcAAVの組み合わせがRepおよびcap機能を提供する、1より多くのrcAAVを感染させる必要がある。
細胞は1.2e5 vc/cm2(vc=生存細胞)で96ウェルのプレートに播種された。翌日、細胞は、80%+/-10 %の培養集密度において、希釈していない25μlのrAAVサンプルで感染させられ、MOI 2.5で、1ウェルあたり全量150μlで、Ad5wtで共感染させられた。ネガティブコントロールとして機能させるため、あるウェルは、追加のrAAVサンプル無しで、全量150μl、MOI 2.5においてAd5wtのみで感染させられた。
感染から3日後、細胞は培地中で3回の凍結融解サイクル(-80℃および37℃)によって溶解され、Ad5wtは56℃、35分で不活化された。各ウェルから25μlのライセートを、第二回目の感染のため、新しい96ウェルプレートに移した。第一回目の感染と同様に、第二回目の感染において、細胞は1.2e5 vc/cm2で96ウェルのプレートに播種され、細胞は、その翌日、80%+/-10 %の培養集密度において、前記第一の感染ラウンドからのライセート25μlで感染させられ、MOI 2.5で各ウェルあたり全量150μlとなるようにAd5wtで共感染させられた。
感染から3日後、細胞は培地中で3回の凍結融解サイクル(-80℃および37℃)によって溶解され、Ad5wtは56℃、35分で不活化された。10μlの各ライセートは150μlのPBで1:16に希釈された。この希釈物5μlが、rAAV/Ad5wt 感染細胞においてcap配列を含む粒子の存在を確認するためにcap遺伝子中の特異的配列を標的とするqPCRによって、解析された。qPCRは、用いられたプライマーがcap配列に対するものである以外は、実施例2のセクション「rAAVベクターゲノムの定量」におけるqPCRと同一の方法で行われた。以下のプライマーが用いられた:
プライマーcap forward:TACTGAGGGACCATGAAGAC(配列番号9)
プライマーcap reverse:GTTTACGGACTCGGAGTATC(配列番号10)
Ad5wtのみでの感染(ネガティブコントロール)はcap配列に対するqPCRにおいて非特異的な産物を示し、一方 rAAV/Ad5wtで感染させたウェルは特異的な産物をCq(定量サイクル)値<25で示した。
第二の感染ラウンドに続き、cap陽性のウェルからのライセートが回収され、プールされ、3500 xg、5分間遠心分離されることで細胞片が除去された。ライセートからのパッケージングされたAAV粒子からDNAを単離するために、フリーの細胞DNAが、75U/ml、1.5時間 37℃におけるDenarase(ザルトリウス・ステディム・バイオテック)消化によって除去された。Denarase 酵素はその後のライセートの65℃、30分でのインキュベーションによって不活化された。パッケージングされたAAV粒子からのDNAはその後、カラムにロードする前に、ライセート量に応じてバッファーAL volumeおよびエタノールでアップスケールされ、QIAamp MinElute ウイルス Spin Kit(Qiagen)を用いて単離された。キャリアRNAは用いられなかった。より大きな体積をより速くカラムにローディングすることを可能にするために、吸い上げポンプが適用された。プロテアーゼ Kの量およびカラムにロードした後のすべてのステップは、ライセートの体積には適用することなく、メーカーの指示書に準じて行われた。DNAは30~50μlのRNaseフリーの水に溶出され、以下に記載のようにサザンブロット、qPCRおよびPCR解析に用いられた(実施例9および10を参照)。
ポジティブコントロールとして提供するために、いくつかのウェルは、FIX-含有 rAAVで感染させられ、Ad5wtで共感染させられるのではなく、ITRに隣接する機能的なrepおよびcap遺伝子を含む4.7kbのvgを含んだ自立増殖性AAVで感染させられた。ポジティブコントロールの感染、回収、および解析はrAAV/Ad5wt感染と並行して行われた。このサンプルは「感染後rcAAV」と命名され、以下のブロッティングおよびPCRを基にした解析においてポジティブコントロールとして用いられた。当該サンプルは、当該アッセイシステムにおいて機能的なrepおよびcap遺伝子が存在する場合にrcAAVが生成されうることを示すために含められた。
実施例9
実施例9 - トランススプリット 2-プラスミドシステムを用いて産生した自立増殖性AAV(rcAAV、rep欠失rcAAV、cap欠失rcAAVおよび偽野生型rcAAVを含む)を検討するためのサザンブロッティングの使用
方法
実施例8における第2回目の感染後に単離されたDNA(rcAAVの濃縮のため)が、repまたはcap配列を標的にしたプローブでのサザンブロットにより解析された。単離されたDNAサンプルは「濃縮されたnon-split DNAサンプル」とも称され、ここで感染に用いられたrAAVはnon-split システムを用いて生成された。単離されたDNAサンプルは「濃縮されたsplit DNAサンプル」とも称され、ここで感染に用いられたrAAVはトランススプリット 2-プラスミドシステムを用いて生成された。
単離されたDNAサンプルは、6×ローディングバッファー(18%Ficoll、300 mM NaOH、6 mM EDTA、2.4%SDS、0.15 %キシレンシアノール)と共に、1%アルカリ性のアガロース(Gene On社)ゲル(50 mM NaOH、1 mM EDTA)上にロードされ、24Vで17時間、4℃において泳動された。DNA マーカーバンドを可視化するために1×TAE 中の10×GelRed(商標)(Bovendis)で 1 時間染色する前、中和が、1xTAE バッファー(40 mM 酢酸トリス、1 mM EDTA pH 8.3)で3×15分間洗浄することによって行われた。ゲルの像はFusion Detection System(ヴィルバー 社)のUV lightモードによって取得された。
DNAを転写する準備のため、ゲルが脱プリン化バッファー(0.29 M HCl)中で30分間インキュベートされた。次に変性バッファー中で(0.5 M NaOH、1.5 M NaCl)さらに30 分間振盪させたあと、ゲルは中和バッファー(1 M Trizma base、2 M NaCl)中30分間で中和された。Amersham Hybond N+ blotting membrane(GE Healthcare社)へのDNAの転写はBiometra Vacu-Blot Device(アナリティクイエナ社)で、20×SSC バッファー(3 M NaCl、0.3 M クエン酸三ナトリウム二水和物)を用い、5時間、100ミリバールで行われた。
604塩基対の大きなrep 特異的なプローブがヘルパープラスミド(P-150)のPCR増幅によって生成された。2200塩基対の大きなcap特異的なプローブがP-143 プラスミドのPCR 増幅によって生成された。2200 塩基対の大きなcap特異的なプローブはほとんどすべてのcap遺伝子配列に及んでいる。前記PCRはいずれも従来のPCR cycler systemにおいて40サイクルで行われた。プローブはQIAquick PCR 精製 Kit(Qiagen)を用いて精製された。
プローブの標識と検出は、CDP-Star(GE Healthcare)のAlkPhos Direct(商標)labellingおよびdetection systemによってメーカーの指示書に準じて行われた。画像はFusion Detection Systemの化学発光モード6時間で取得した。
濃縮されたsplit DNAサンプルおよび濃縮されたnon-split DNAサンプルと同様に、いくつかのコントロールサンプルが追加でロードされた。機能的なrepおよびcap遺伝子(「rcAAV」と命名された)を含む自立増殖性AAVがロードされた。「rcAAV」の二つのレーンがゲルの両サイドにロードされた。2つの「rcAAV」レーンのコピー数は1e7および1e6 vg/laneである。様々なコピー数のものが感度のコントロールとして含まれる。「rcAAV」コントロールも野生型の配列における4.7kbのゲノムサイズを指し示すために含まれる。splitサンプル生成(P-150ヘルパープラスミド;P-160ベクタープラスミド)に用いられたプラスミドも共に、消化され、プローブの特異性を確認するために、repまたはcap遺伝子をコードする断片がロードされた。最後に、「rcAAV post-infections」「と命名されたサンプルが調製され、ロードされた。「rcAAV post-infections」は実施例8で述べたポジティブコントロールから精製されたDNAを含んでいる。
結果
サザンブロット解析が、濃縮されたnon-split DNAサンプルおよび濃縮されたsplit DNAサンプル中の、repおよび/またはcap配列を有する生成されたrcAAV分子種を可視化し、比較するために行われた。
capサザンブロット(図11A)は、濃縮されたnon-split DNAおよび濃縮されたsplit DNAサンプルの双方については明瞭でないバンドを示し、一方 「rcAAV」および「感染後rcAAV」コントロールサンプルについては明瞭なバンドが見られた。non-splitおよびsplitサンプルは、レーン上に主にスメアとなって示されたが、non-splitサンプルについては、機能的なrepおよびcap遺伝子を有する、野生型の長さのものに対応する4.7kb付近で、最も強いシグナルを有する広がったバンドが検出された。逆に、splitサンプル(本capブロット上では様々な量がロードされた)は、野生型の長さの4.7kbより下で最も強い シグナルを有する様々な種類を示した。これはsplitサンプルについて最も顕著な種類(濃縮後に検出された)はcap遺伝子および/またはrep遺伝子において欠失を含んでいるということを示唆する。
サザンブロット(図11B)上において、すべてのコントロールは予期されたバンドパターンを示した一方でnon-splitサンプルについてはスメアが検出され、splitサンプルについては、ほとんどシグナルは検出されなかった。splitサンプルについては明瞭なバンドおよび強いスメアのいずれも検出されなかった。
サザンブロットの感度における限界のため(検出の間にすでに有意に最適化されていた)、以下のcAAVの濃縮物に存在する種類をより詳細に特徴づけるために、PCRを基とした解析が用いられた。
実施例10
実施例10 - トランススプリット 2-プラスミドシステムによって産生された自立増殖性AAV(rep欠失rcAAV、cap欠失rcAAVおよび偽野生型rcAAVを含む、rcAAV)を検討するためのqPCRの使用
方法
non-split システム(「濃縮されたnon-split DNAサンプル」とも称される)およびsplit system(「濃縮されたsplit DNAサンプル」とも称される)を用いて生成されたrAAVを用いた2回の感染(rcAAVの濃縮のため)に続き、実施例8において同量のライセートから単離されたDNAが、repおよびcap配列の量を定量するため、qPCRを用いてテストされた。
前記サンプルにおけるrepおよびcapの検出されたコピー数が、プラスミド基準範囲(qPCRの反応あたり100から1×108までのコピー)に対して算出された。要するに、既知の量のrep(P-150)またはcap(P-160)を含む線状プラスミドが、検量線を作成するために連続して希釈され、サンプル中のrepおよびcapのコピー数は検量線によって補間された。
qPCRは、用いられたプライマーがrepおよびcap配列に対するものであること以外は、実施例2の「rAAVベクターゲノムの定量」のセクションにおけるqPCRと同一の方法で行われた。以下のプライマーが用いられた:
repに結合するプライマー(rep68 エクソン1に結合し、P-160に結合しない):
プライマーrep-fw:5’- CACGTGCATGTGGAAGTAG-3’(配列番号7)
プライマーrep-rv:5’- CGACTTTCTGACGGAATGG-3’(配列番号8)
cap配列に結合するプライマー:
プライマーcap-fw:5’-TACTGAGGGACCATGAAGAC-3’(配列番号9)
プライマーcap-rv:5’-GTTTACGGACTCGGAGTATC-3’(配列番号10)
結果
濃縮されたrcAAV粒子の分子配列を評価し、2つのプラスミドシステムを比較するため、濃縮されたnon-split DNAサンプルおよび濃縮されたsplit DNAサンプル中のrepおよびcap配列の量が比較された。
non-split システムにおいて、capおよびrep 配列の双方はrAAV作製に用いた同一のプラスミド(P-143)に由来し、したがって、1つのDNA分子上にrepおよびcap遺伝子が共に導入されるための組み換え事象は必要ない。したがって、2回の感染(rcAAVの濃縮のため)に続いて生成されたrcAAVの大部分は、capおよびrep配列を同一のDNA分子において有している可能性が高い。このことは検出されたrepおよびcap配列の量を比較した結果によって支持される。ほとんど同じ量のrepおよびcap配列が濃縮されたnon-split DNAサンプルから検出された。rep配列に対するcap配列の割合(すなわちcapの量を、repの量で割ったもの)は0.66であった。
対照的に、濃縮されたsplit DNAサンプルは、rep配列に比べ約40倍のcap配列を有した(rep量で除したcap量は39.74)。repよりも有意に多いcapが存在するので、capおよびrep配列は生成されたAAV 中の同一のDNA分子上には存在していない可能性が高い。これはプラスミドシステムにおいてrepおよびcap配列は異なったプラスミド上に存在し、したがって、rep配列とcap配列の双方が同一のDNA分子上に存在するためには組換えが生じるという要件に一致する。ゆえに、トランススプリット 2-プラスミドシステムはrepおよびcap配列の双方を含むAAV分子種をほとんど生成しないように見える。
双方のサンプルから検出されたrepコピーの量を比較すると、濃縮されたsplit DNAサンプルは濃縮されたnon-split DNAサンプルよりも有意に少ない種類のrepを含み、濃縮されたnon-split DNAサンプルは濃縮されたsplit DNAサンプルよりも1.7倍の量のrepを示した。splitプラスミドシステムから生成されたrAAVの初期力価、および2回の感染(rcAAVの濃縮のため)において用いられた初期力価はnon-split プラスミドシステムから生成されたrAAVにおける同等の初期力価よりも6.3倍高いことに注目することは重要である。初期力価の違いを考慮に入れた場合、濃縮されたnon-split DNAサンプルは濃縮されたsplit DNAサンプルと比べ10.7倍のrep配列を含んでいるようにみえる。
split プラスミドシステムおよびnon-splitによって生成されうる、repおよびcap配列の双方を含むrcAAVの最大可能量を比較するために、repおよびcap配列の量が、濃縮されたsplit DNAサンプルと濃縮されたnon-split DNAサンプルとの間で比較された。repおよびcapの量が同じではない場合、repおよびcapの間におけるより低いほうの量は、同一のDNA分子上にrepおよびcap遺伝子を含むAAV分子種の最大可能数を示す。濃縮されたnon-split DNAサンプルにおいて、capの量はrepよりも少なく、濃縮されたsplit DNAサンプルにおいては、repの量はcapよりも少なかった。濃縮されたnon-split DNAサンプルからのcapの量は濃縮されたsplit DNAサンプルrepの量よりも11% 高かった。再びsplit プラスミドシステムから生成され、2回の感染(rcAAVの濃縮のため)に用いられたrAAVの初期力価がnon-split プラスミドシステムから生成されたrAAVにおける同等の初期力価よりも6.3倍高いことを考慮にいれると、濃縮されたnon-split DNAサンプルは濃縮されたsplit DNAサンプルよりも、repおよびcap配列を含んでいる可能性のあるAAV分子種を、7倍多く含んでいるように見える。
(濃縮のための)2回の感染に先立って、split システムおよびnon-split システムにより生成されたrAAVの集団におけるrepおよびcap量がqPCRによって測定された場合においてもまた、上述したものと類似の結果が得られた。
実施例11
実施例11-トランススプリット 2-プラスミドシステムにより産生された自立増殖性AAV(rep欠失rcAAV、cap欠失rcAAVおよび偽野生型rcAAVを含む、rcAAV)について検討するためのPCRの使用
方法
同一分子上に機能的なRepおよびCapの配列を含むAAV分子種を特定するために、2回の感染ラウンド(rcAAVの濃縮のため)に続く、実施例8において同量のライセートから単離されたDNAにおけるPCR解析が行われた。2つのプライマーのセットが設計された。
プライマーセット O-108/109:プライマーO-108は、rep68遺伝子配列に結合する。この配列はトランススプリット 2-プラスミドシステムのヘルパープラスミド(P-150)に存在する。プライマーO-109は、トランススプリット 2-プラスミドシステム(図15)のベクタープラスミド(P-160)に存在するcap配列に結合する。O-108/109プライマーペアを用いた、濃縮されたsplit DNAサンプルからの増幅産物の生成は、rAAV作製に用いた2つのプラスミド間(P-150およびP-160)で組み換え現象が引き起こされたことを示している。
プライマーセット O-119/117:プライマーO-119は上記プライマーO-108の142 塩基対5末端側のrep68遺伝子配列に結合する。この配列はトランススプリット 2-プラスミドシステムのヘルパープラスミド(P-150)に存在する。プライマーO-117は、トランススプリット 2-プラスミドシステム(図15)のベクタープラスミド(P-160)に存在するcap配列のストップコドンにおいて始まる。O-119/117プライマーペアを用いた、濃縮されたsplit DNAサンプルからの増幅産物の生成は、rAAV作製に用いた2つのプラスミド間(P-150およびP-160)で組み換え現象が引き起こされたことも示す。
プライマーセット O-108/109と同様に、プライマーセット O-119/117は同一の組み換え現象を検出するが、repおよびcap配列(すべてのcap遺伝子配列を含む)の、より大きな部分を増幅する。
PCR プロトコール:全量25μlにおいて、2×HotStarTaq Plus Master Mix(Qiagen社)12.5μlが対応するプライマーペア(終濃度200 nM プライマーあたり)および10μlの、サンプルとDNAの1:100の希釈物と混合された。P-143 プラスミドが、1回の反応につき106 コピーのポジティブコントロールとして用いられた。PCRは、後述する対応するプログラムを用いてThermal Cycler(バイオ・ラッド)で行われた。追加のコントロールとして、サンプルDNAの代わりに10μlヌクレオチドフリーの水がPCR混合物に加えられた、鋳型のないコントロール(non-template control(NTC))が平行して泳動された。
各PCR産物10μlは、ゲル解析のために2μl 6×DNA ローディングバッファーと混合され、1×TAE(40 mM 酢酸トリス、1 mM EDTA pH 8.3)および0.005%ROTIGel Stain(カールルース社)を含む1%アガロースゲルにロードされた。最適なマーカー(PeqLab)分離が検出されるまでゲルの泳動が行われた。Fusion Detection System(ヴィルバー)で UVモードにおいて画像が取得された。
配列決定のために、検出されたDNA バンドがQIAquick gel extraction kit(Qiagen)を用いてアガロースゲルから切り出され、精製され、GATC(コンスタンツ)に送られた。
O-108/109およびO-119/117に対するPCRプログラム:95℃ 5分;39 サイクル(94℃ 30 s、60℃ 30 s、72℃ 4分);72℃ 10分;ホールド。
結果
1つの分子上においてrepおよびcap遺伝子を保有する種類の検出を試みるために、濃縮されたDNAサンプルからPCR解析が行われた。したがって、フォワードプライマー(O-108およびO-119)はrep68遺伝子に位置し、リバースプライマー(O-109およびO-117)はcap遺伝子配列に位置した。フォワードプライマーO-108およびO-119が元々ヘルパープラスミドに存在しているrep 配列中に結合し、一方、リバースプライマー O-109およびO-117は元々ベクタープラスミドに存在しているcap配列中に結合していることから、濃縮されたsplit DNAサンプルについて、得られたPCR産物は、トランススプリット システムの2つのプラスミド配列の間におけるベクターのパッケージングの間の相同組み換え現象に起因するAAVの種類をあらわす。repおよびcap配列はnon-split システムの同じプラスミドに存在しており、濃縮されたnon-split DNAサンプルからこれらのプライマーペアを用いてPCR産物を取得するために相同組み換えは必要とされない。
図12に示されるように、濃縮されたnon-split DNAサンプルについて、プライマーペアO-108/109に対する、約3.5kbの長さの強いPCR産物が検出された。これは、P-143 プラスミドにおけるrepおよびcap配列の基となった(野生型の)配列に対応し、精製されたPCR産物のシークエンスによっても確認された(データは示さず)。この産物は増幅されたrep-cap配列において欠失が含まれないため機能的でありうると考えられる。
濃縮されたsplit DNAサンプルについて、もっとも濃いPCR産物は約2.8kbの長さで検出された。この~2.8kb バンドのシークエンスにより、図15において示されたように非機能的なrep部位を有するrep-cap分子をもたらすトランススプリット 2プラスミドシステムのベクタープラスミド(P-160)およびヘルパープラスミド(P-150)の組み換え産物の存在が確認される。図15によって見られるように、組み換え産物は元のヘルパープラスミドに存在するrep部位の一部(***とラベルされたボックス)を有さない。ゆえに機能的なrep遺伝子は存在しない(それぞれのrep遺伝子(rep68、rep78、rep40およびrep52)は欠失しているrep部位の一部を含むため)。3.5kbで検出されたバンドはとても薄く、その存在量の低さゆえに配列決定することができなかったが、濃縮されたnon-split DNAサンプルにおいて検出された種に相当するrep-cap野生型様の配列を表しうる。図16は、この野生型様の配列をもたらすトランススプリット 2プラスミドシステムの、ベクタープラスミド(P-160)およびヘルパープラスミド(P-150)間の可能な相同組み換え現象を示す。プライマーペアO-108/109を用いたPCR増幅が反復されたとき(図13に示す)、当該3.5kb バンドは検出されなかったが、これはその低い存在量を確認する。
組み換えされた機能的なrep-capである可能性が高い、濃縮されたDNA splitサンプルの3.5kb PCR産物と、組み換えされた機能的なrep-capである可能性が高い、濃縮されたnon-split DNAサンプルとの比較は、non-split システムについて、split systemと比べてはるかに濃い産物を示す。ゆえに、濃縮されたnon-split DNAサンプルと比べて、濃縮されたsplit DNAサンプル内の、1つのDNA分子上の野生型の構成のrepおよびcapがある可能性は低い。再構成された、野生型であり得る構成(図16に示す)となるためにsplit systemにおいて必要とされる相同組み換えは、機能的なrepなしの産物(図15に示す)となるために必要な相同組み換えと比べ、過小であるようにみえる。split プラスミドシステムから生成され、2回の感染(の濃縮のため rcAAV)に用いられたrAAVの初期力価がnon-split プラスミドシステムから生成されたrAAVの相当する初期力価よりも6.3倍高かったことを考慮すると、濃縮されたsplit DNAサンプルにおける検出された潜在的な機能的なrep-capAAVの種類の量は、濃縮されたnon-split DNAサンプルよりも有意に低いように見える。3.5kbのバンド上の、量的なシグナルの統合はBio1D software(Vilber社)を用いて行われ、図12に示される。濃縮されたnon-split DNAサンプルについてのバンドの強度は、濃縮されたsplit DNAサンプルについてのバンドの強度よりも7.2倍強い。そのnon-split 3.5kbのバンドはすでに飽和していた(ゆえに小さく見積もられた)こと、および、同等のnon-split プラスミドシステムから生成されたrAAVの初期力価と比較して、split プラスミドシステムから生成されたrAAVの初期力価は6.3倍高かったことを考慮すると、splitおよびnon-splitサンプルの間において、検出された機能性があると思われるrep-capAAVの分子種は少なくとも45倍の違いがあるように見える。
2番目のプライマーペアO-119/117で行われたPCRは、プライマーO-108/109で行われた前記PCRと類似の結果となった(図13)。プライマーペアO-108/109を用いたPCR 増幅は繰り返され、図13に示されている。2番目のプライマーペアO-119/117は、ほとんどすべてのrep部位を含み、かつすべてのcap遺伝子配列を含む、rep-cap配列のより大きな領域を増幅する。濃縮されたnon-split DNAサンプルはプライマーペアO-119/117に対して約4.1kbの長さの強力なPCR産物を有し、これはP-143 プラスミドにおけるrepおよびcap配列のオリジナルの(野生型の)配列に対応し、また、これは精製されたPCR産物のシークエンスによっても確認された(データは示されない)。濃縮されたsplit DNAサンプルについて、もっとも強力なPCR産物は約3.5kbの長さで検出された。O-108/109プライマーペアによって増幅された、~2.8kbの産物に関しては、この~3.5kbのバンドのシークエンスが、非機能的なrep部位を有するrep-cap分子である、トランススプリット 2 プラスミドシステムのベクタープラスミド(P-160)およびヘルパープラスミド(P-150)の組み換え産物の存在を確認した。O-108/109プライマーペアによって増幅されたマイナーな~3.5kb 産物、O-119/117プライマーペアを用いて~4.1kbで検出されたバンドに関してはとても弱く、配列決定できなかったが、濃縮されたnon-split DNAサンプル中で検出された種類と同等のrep-capでありうる野生型様の配列を示しているのかもしれない。図16は、そのような野生型様の配列をもたらすトランススプリット 2 プラスミドシステムの、ベクタープラスミド(P-160)およびヘルパープラスミド(P-150)間の可能な相同組み換え現象を示す。

Claims (27)

  1. ヘルパープラスミドおよびベクタープラスミドを含む、2-プラスミドシステムであって、前記ヘルパープラスミドが少なくとも一つの機能的なRepタンパク質をコードする少なくとも一つのrep遺伝子を含み、かつ機能的な一連のCapタンパク質をコードするcap遺伝子を含まない、2-プラスミドシステム。
  2. 前記2-プラスミドシステムがヘルパープラスミドに比べてモル過剰のベクタープラスミドを含む、請求項1の2-プラスミドシステム。
  3. 前記ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比が、3:1~1:10、1.5:1~1:9、1.4:1~1:8、1.3:1~1:7;1.2:1~1:6;1.1:1~1:5;1:1~1:4;または1:1.5~1:3である、請求項1または2の2-プラスミドシステム。
  4. 前記ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比が、1:2~1:4;または約1:3である、請求項1~3のいずれか一項の2-プラスミドシステム。
  5. 前記ベクタープラスミドが:
    (a) 少なくとも一つの機能的なCapタンパク質をコードするcap遺伝子;または
    (b) 少なくとも一つのcap遺伝子プロモーター、前記cap遺伝子プロモーターに作動可能に結合されたクローニングサイト、少なくとも一方の側においてITRにより隣接される発現カセット;
    を含み、
    前記ベクタープラスミドが、機能的なRepタンパク質をコードするrep遺伝子を含まず、かつ発現カセットが少なくとも一つの調節制御因子に作動可能に結合された導入遺伝子を含む、請求項1~4のいずれか一項の2-プラスミドシステム。
  6. 前記少なくとも一つのrep遺伝子が、機能的なRep52タンパク質をコードする遺伝子、機能的なRep40タンパク質をコードする少なくとも一つの遺伝子、および機能的なRep68タンパク質をコードする遺伝子を含む、請求項1~5のいずれか一項の2-プラスミドシステム。
  7. 前記少なくとも一つのrep遺伝子が、機能的な内在性のp40プロモーターを含まない、請求項1~6のいずれか一項の2-プラスミドシステム。
  8. (i) 前記少なくとも一つのrep遺伝子が配列番号1の1823の位置に対応する位置においてCヌクレオチドを含み;および/または
    (ii) 前記ヘルパープラスミドが、250ヌクレオチド超、100ヌクレオチド超、または60ヌクレオチド超の、一続きの専らcap遺伝子の配列を含まない
    請求項1~7のいずれか一項の2-プラスミドシステム。
  9. 前記ヘルパープラスミドがcap遺伝子配列の一部を含み、前記cap遺伝子配列の一部が機能的な一連のCapタンパク質をコードしない、請求項1~8のいずれか一項の2-プラスミドシステム。
  10. 前記ヘルパープラスミドが少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子を含み、必要に応じて:
    (i) 前記少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子がアデノウイルス遺伝子であり、必要に応じてアデノウイルス5またはアデノウイルス2遺伝子であり;および/または
    (ii) 前記少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子が、機能的なVA RNA IおよびVA RNA IIをコードするVA核酸、機能的なE2Aタンパク質をコードするE2A遺伝子、ならびに機能的なE4タンパク質をコードするE4遺伝子を含む
    請求項1~9のいずれか一項の2-プラスミドシステム。
  11. (i) 前記少なくとも一つのヘルパーウイルス遺伝子が、機能的なVA RNA IおよびVA RNA IIをコードするVA核酸、機能的なE2Aタンパク質をコードするE2A遺伝子、ならびに機能的なE4タンパク質をコードするE4遺伝子を含み、前記E4遺伝子が前記VA核酸および前記E2A遺伝子の間には位置せず;および/または
    (ii) 前記ヘルパープラスミドが25000塩基対の長さより小さく、20000塩基対の長さより小さく、15000塩基対の長さより小さく、14500塩基対の長さより小さく、10000塩基対~25000塩基対の長さであり、10000塩基対~20000塩基対の長さであり、12000塩基対~15000塩基対の長さであり、または約14021塩基対の長さである
    請求項10の2-プラスミドシステム。
  12. (i) 前記ヘルパープラスミドおよび/もしくは前記ベクタープラスミドが人工的なRep結合サイトを含まず;ならびに/または
    (ii) 前記ヘルパープラスミドおよび/もしくは前記ベクタープラスミドがプラスミド骨格を含み、かつ前記プラスミド骨格が人工的なRep結合サイトを含まない
    請求項1~11のいずれか一項の2-プラスミドシステム。
  13. 前記ベクタープラスミドが、cap遺伝子を含み、少なくとも一方の側においてITRにより隣接される発現カセットをさらに含む、請求項1~12のいずれか一項の2-プラスミドシステム。
  14. 前記ベクタープラスミドがcap遺伝子を含み、前記cap遺伝子が、セロタイプ2、5、8、9、およびMut C(WO2016/181123からの配列番号3)からなるAAVセロタイプの群から選択されたCapタンパク質をコードする、請求項1~13のいずれか一項の2-プラスミドシステム。
  15. (i) 前記ベクタープラスミドが、必須ではないいかなる翻訳開始コドンも含まない;および/または
    (ii) 前記ベクタープラスミドが、必須ではないいかなる翻訳開始コドンも含まず、前記ベクタープラスミドが、1以上のプロモーターを含むプロモーター領域を含み、前記プロモーター領域が、ATGまたはGTGコドンを含まず、必要に応じて、前記プロモーター領域が、p5、p19およびp40プロモーターを含み、配列番号1の(a)321~323、(b)766~768、(c)955~957、(d)993~995および(e)1014~1016の位置に対応する、1以上の位置にあるATGまたはGTGコドンが欠失しているか変異している
    請求項1~14のいずれか一項の2-プラスミドシステム。
  16. 前記ベクタープラスミドが、4000ヌクレオチド長より短く、3500ヌクレオチド長より短く、3000ヌクレオチド長より短く、または2500ヌクレオチド長より短い骨格を含む、請求項1~15のいずれか一項の2-プラスミドシステム。
  17. 請求項1~16のいずれか一項で定義される2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミド、またはベクタープラスミドの:
    (a) 全粒子に対する完全な粒子の望ましい比を有する組み換えAAV調製物を産生するため;および/または
    (b) 高い、または望ましい収量で組み換えAAV調製物を産生するため
    の使用。
  18. 請求項1~16のいずれか一項で定義される2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドの:
    (a)組み換えAAV産生の間に産生される、全粒子に対する完全な粒子の比を調節もしくは最大化する;および/または
    (b)組み換えAAV産生の間に産生される、組み換えAAVの収量を増加、最適化、もしくは最大化する
    ための使用。
  19. 前記使用が、請求項1~16のいずれか一項の、2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドで宿主細胞をトランスフェクトすることおよび組み換えAAV作製に適切な環境下において宿主細胞を培養することを含む、請求項17または18の使用。
  20. 組み換えAAV産生の間に産生される、全粒子に対する完全な粒子の比を調節または最大化するための方法であって:
    (a)請求項1~16のいずれか一項で定義された、2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドを取得すること;
    (b)請求項1~16のいずれか一項で定義された、2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドで宿主細胞をトランスフェクトすること;および
    (c)組み換えAAV作製に適切な環境下において前記宿主細胞を培養すること
    を含む、方法。
  21. 全粒子に対する完全な粒子の望ましい比を含む組み換えAAV調製物を提供するための、組み換えAAVを回収するステップをさらに含む、請求項20の方法。
  22. 前記方法が、高い、または望ましい収量で組み換えAAV調製物を産生するための方法である、請求項20または21の方法。
  23. 組み換えAAV産生の間に産生される、組み換えAAVの収量を増加、最適化、または最大化する方法であって:
    (a)請求項1~16のいずれか一項で定義された、2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドを取得すること;
    (b)請求項1~16のいずれか一項で定義された、2-プラスミドシステム、ヘルパープラスミドまたはベクタープラスミドで宿主細胞をトランスフェクトすること;および
    (c)組み換えAAV作製に適切な環境下において前記宿主細胞を培養すること
    を含む、方法。
  24. 前記高い、または望ましい収量が、ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比が1.8:1である同等の方法を用いて達成される収量よりも、少なくとも2倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、または少なくとも6倍高い収量である、請求項17、19、または22のいずれか一項の使用または方法。
  25. 前記全粒子に対する完全な粒子の望ましい比が、ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比が1.8:1である同等の方法を用いて達成される全粒子に対する完全な粒子の比の、少なくとも20%または少なくとも30%である、全粒子に対する完全な粒子の比である、請求項17、19、21、22または24のいずれか一項の使用または方法。
  26. 前記ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比が、3:1~1:10、1.5:1~1:9、1.4:1~1:8、1.3:1~1:7;1.2:1~1:6;1.1:1~1:5;1:1~1:4または;1:1.5~1:3である、請求項17~19、20、21、22、24または25のいずれか一項の使用または方法。
  27. 前記ベクタープラスミドに対するヘルパープラスミドの比が、1:2~1:4;または約1:3である、請求項17~19、20、21、22、24、25または26のいずれか一項の使用または方法。
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