JP2022526497A - 新規選択マーカーを含む細胞株及びタンパク質製造のためのそれらの使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、部分的又は完全に不活化されている内因性ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)遺伝子を含む細胞株、及び組み換えタンパク質の製造のためのその使用に関する。

Description

発明の分野
本発明は、タンパク質製造のための細胞株及び選択マーカーに関する。
発明の背景
工業規模での組み換えタンパク質の製造は、大量の組み換えタンパク質を産生するクローンの単離を必要とする。異種遺伝子を動物宿主細胞に導入し、そして加えられた遺伝子の発現についてスクリーニングすることは、非常に長く複雑なプロセスである。このプロセスは、トランスフェクション及び安定な長期発現するクローンの選択、並びに対応する組み換えタンパク質について高い発現率を有するクローンのスクリーニングを含む。
発現ベクターから組み換えタンパク質を発現するクローンを生成する場合、宿主細胞は通常は、目的のタンパク質及び選択マーカーの両方を同じベクター上にコードするDNAベクターを用いてトランスフェクトされる。従ってこのような発現ベクターは、発現ベクターが存在するクローンの選択を可能にする選択可能なマーカーを含む。このような選択可能なマーカーはまた、トランスフェクトされたDNAの同時増幅ももたらし得、それにより高産生クローンの単離を可能にし得る。
大部分の選択可能なマーカーは、抗生物質もしくは他の毒性物質に対する耐性を付与するタンパク質又は細胞生存に必須のタンパク質のいずれかである。いくつかのこのような選択可能なマーカーは当該分野で公知であり、これらとしては、例えば、G418、ハイグロマイシン、ピューロマイシン、ゼオマイシン(zeomycin)、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)、グルタミン合成酵素(GS)及びヒポキサンチン-グアニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)が挙げられる。特に、GSは、真核生物細胞における工業的組み換えタンパク質製造の分野において選択可能なマーカーとして広く使用される。GS遺伝子は細胞成長に必須であるグルタミンの合成を可能にし、そしてMSX(L-メチオニンスルホキシイミン)により阻害される。MSXの存在下で、多量のGSを発現している細胞のみが残存する。適切なスクリーニングの後、外因性タンパク質を産生する細胞を選択する事が可能である。
以前の出願特許文献1において、本発明者らは、ジヒドロオロト酸脱水素酵素(DHODH)の選択可能マーカーとしての使用に基づく発現系を開発した。DHODHはピリミジン合成に必要な酵素である。従って、DHODHを阻害する化合物はDNA合成を阻害し、それ故細胞増殖を阻害する。従ってこの選択マーカーは、レフルノミド及びテリフルノミドのようなDHODH阻害剤と組み合わせて使用されるDHODHをコードする発現ベクターを含む。
しかし、上記の選択マーカーとともに使用される阻害剤の大部分は毒性である。DHODH選択マーカーの場合、例えばテリフルノミドは強力な免疫抑制剤であり、そして特に大規模でのその取扱は、安全性の理由から困難な場合がある。GS選択マーカーの場合、MSXは高用量ではけいれん薬であり、それ故取り扱いの問題を生じ得る。DHFR選択マーカーの場合、メトトレキサートは造血及び消化の毒性を示すことが知られており、それによりまた取り扱いの問題を生じる。
WO2016/062837
従って、目的のタンパク質を産生するクローンの選択を、取り扱い困難な化合物を加えることなく行うことができる発現系の必要が存在する。
本発明はこの必要性を満たす。
発明の要旨
本発明は、目的のタンパク質を産生する細胞を、その細胞株におけるDHODH遺伝子の部分的又は完全な不活化の結果、ウリジンを含まない培地において選択することができる細胞株の本発明者らによる設計から生じるものである。DHODH遺伝子が部分的又は完全に不活化されているこの細胞株は、典型的にはウリジンを添加した培地において増殖されるが、哺乳動物DHODH、特に変異した哺乳動物DHODHをコードするヌクレオチド配列、及び目的のタンパク質を発現するための発現カセットを含む発現ベクターを用いてトランスフェクトされた場合、培地は典型的にはウリジンを含まない培地に変更され、それにより目的のタンパク質を産生する細胞を選択する。
選択圧としての阻害剤の使用を避けることにより、産生細胞の生存能が増加するので、このような発現系は特に有利である。本発明者らは、この毒性の減少が高い生産性と関連付けられることをさらに実証した。
従って本発明は、部分的又は完全に不活化された内因性ジヒドロオロト酸脱水素酵素(DHODH)遺伝子を含む細胞株に関する。
特定の実施形態において、上記細胞株は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株である。
より詳細な実施形態において、細胞株は、
a)特にCRISPR-Cas9法のような遺伝子編集法により、細胞における内因性DHODH遺伝子を不活化すること、及び
b)該細胞を、ウリジンを含む培地で、内因性DHODH遺伝子が部分的又は完全に不活化された細胞株を生成するために適した条件下で培養すること
により製造される。
特定の実施形態において、上記細胞株の内因性DHODH遺伝子の対立遺伝子は全て、部分的又は完全に不活化されている。
さらなる実施形態において、上記細胞株は、外因性哺乳動物DHODHをコードするヌクレオチド配列及び組み換えタンパク質の発現のための少なくとも1つの発現カセットを含む発現ベクターをさらに含み、ここで該外因性DHODHは、配列番号2の配列又は配列番号4の配列と少なくとも60%同一である配列を含む。
その特定の実施形態において、上記ヌクレオチド配列は、配列番号1の配列又は配列番号3の配列を含む。
その別の特定の実施形態において、上記組み換えタンパク質はモノクローナル抗体である。
そのなお別の特定の実施形態において、上記ベクターは、抗体軽鎖のクローニングに適した第一の発現カセット、及び抗体重鎖のクローニングに適した第二の発現カセットを含む。
本発明の別の目的は:
(i)上で定義された部分的又は完全に不活化されている内因性ジヒドロオロト酸脱水素酵素(DHODH)遺伝子を含む細胞株、並びに
(ii)外因性哺乳動物DHODHをコードするヌクレオチド配列及び組み換えタンパク質を発現するための少なくとも1つの発現カセットを含む発現ベクター、
を含む発現系であり、ここで該外因性DHODHは、配列番号2の配列又は配列番号4の配列と少なくとも60%同一である配列を含む。
特定の実施形態において、上記ヌクレオチド配列は、配列番号1の配列又は配列番号3の配列を含む。
別の特定の実施形態において、上記組み換えタンパク質はモノクローナル抗体である。
なお特定の実施形態において、上記ベクターは、抗体軽鎖のクローニングに適した第一の発現カセット及び抗体重鎖のクローニングに適した第二の発現カセットを含む。
本発明はさらに、(i)上で定義された細胞株、又は上で定義された発現系、及び(ii)ウリジンを含まない培地に関する。
本発明の別の目的は、組み換えタンパク質をインビトロで製造する方法に関し、該方法は:
A) a1)外因性哺乳動物DHODHをコードするヌクレオチド配列及び組み換えタンパク質を発現するための少なくとも1つの発現カセットを含む発現ベクターをさらに含む、上で定義された細胞株を供給する工程、[ここで該外因性DHODHは、配列番号2の配列又は配列番号4の配列と少なくとも60%同一である配列を含む];
又は
a2)上で定義された細胞株を供給する工程、及び
a2’)上で定義された発現ベクターを、工程a2)において供給された細胞株に導入する工程;
又は
a3)内因性DHODH遺伝子を含む細胞株を供給する工程、
a3’)工程a3)において供給された細胞株において内因性DHODH遺伝子を部分的もしくは完全に不活化する工程、及び
a3’’)上で定義された発現ベクターを、工程a3’)において得られた部分的もしくは完全に不活化された内因性DHODH遺伝子を含む細胞株に導入する工程;
B)該細胞株を、組み換えタンパク質の産生に適した条件下で培養する工程;並びに
C)該組み換えタンパク質を単離及び/もしくは精製する工程
を含む。
特定の実施形態において、上記方法の工程B)は、ウリジンを含まない培地において行われる。
別の特定の実施形態において、上記方法は、上記組み換えタンパク質を製剤化して医薬組成物にする工程D)をさらに含む。
本発明はさらに、組み換えタンパク質を製造するための、上で定義された細胞株、上で定義された発現系又は上で定義されたキットの使用に関する。
特定の実施形態において、細胞株、発現系又はキットは、ウリジンを含まない培地と組み合わせて使用される。
図1は、Genbank NCBIで2018年12月21日に利用可能なGene ID:100756632で参照されるヒトDHODH遺伝子のゲノム構造を示す。 図2は、配列n°1 DHODH exon2. PAM:プロトスペーサー隣接モチーフ配列(TGG)のアライメントを示す。 図3は、選択剤として様々な濃度のテリフルノミドの存在下での抗体の産生についての、様々なKO(ノックアウト)DHODHクローンのスクリーニングを示す。 図4は、選択マーカーとして様々なDHODHバリアントを使用して製造されたタンパク質の量をmg/mLで示す。 図5は、ヒトDHODH G202A又はヒトGS選択マーカー及びDHODH KO又は野生型CHO細胞を使用した、14日目のリパーゼ産生を示す。 図6は、ヒトDHODH G202A又はヒトGS選択マーカー、及びDHODH KO又は野生型CHO細胞を使用した、14日目のモノクローナル抗体mAb-Bの産生を示す。 図7は、ヒトDHODH G202A及び/又はヒトGS選択マーカー、並びにDHODH KO又は野生型CHO細胞を使用した、14日目の二重特異性抗体産生を示す。 図8は、ヒトDHODH G202A及びヒトGS選択マーカー、並びにDHODH KO又は野生型CHO細胞を使用した、14日目の三重特異性抗体産生を示す。
発明の詳細な説明
ジヒドロオロト酸脱水素酵素
本明細書で使用されるように、用語「ジヒドロオロト酸脱水素酵素」又は「DHODH」は、以下の反応により表されるような、ジヒドロオロタート (4,5-ジヒドロオロト酸又は2,6-ジオキソ-1,3-ジアジナン-4-カルボン酸)のオロタート(オロト酸又は1,2,3,6-テトラヒドロ-2,6-ジオキソ-4-ピリミジンカルボン酸)への変換を触媒することができるポリペプチドを指す:
(S)-ジヒドロオロタート + O ←→ オロタート + H
このようなポリペプチドは、酵素委員会(Enzyme Commission)(EC)番号1.3.3.1に分類される。上記の反応を触媒することができるポリペプチドは、「DHODH」活性を示す。
上記反応は、DNA及びRNAの合成に必要なウリジン一リン酸(rUMP)のデノボ合成における第四段階である。従って、DHODHの阻害又は不活化は、DNA及びRNA合成を阻害する効果を有し、それ故細胞増殖を阻害する。
細胞株
本発明は、部分的又は完全に不活化された内因性ジヒドロオロト酸脱水素酵素(DHODH)遺伝子を含む細胞株に関する。
細胞株は真核生物細胞株、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、サル細胞株又はヒト細胞株のような哺乳動物細胞株である。
特定の実施形態において、細胞株はCHO細胞株である。
CHO細胞株は、工業的タンパク質製造に一般的に使用されており、そして多くのCHO細胞株が当業者に公知である。例えば、このようなCHO細胞株は、CHO-K1細胞株(ATCC番号:CCL-61)、CHO-S細胞株(例えばInvitrogen及びGibcoにより販売されている)、CHO DP-12細胞株(ATCC番号CRL-12444及び12445)及びCHO 1-15細胞株(ATCC番号CRL-9606)のようなアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)から公開で入手可能である株を含む。工業的タンパク質製造に適した別の細胞株はCHO 9E4細胞株である。9E4細胞株は、単細胞クローニングプロセスによりCHO-K1細胞株のクローンから樹立された。9E4細胞株の樹立は実施例1においてより深く示される。CHO-K1細胞株はPuckにより1957年に得られ、そしてATCCに番号CCL-61で寄託されている。
HEK293(ATCC番号CRL-1573)、HKB11(ATCC番号CRL-12568)、PER-C6(Crucell)、HT1080(ATCC番号CRL-121)、Jurkat、Daudi、Raji及びCAP(ATCC番号CRL-1098)細胞のようなヒト細胞も、組み換えヒトタンパク質のための天然グリコシル化パターンを得るために、タンパク質製造に使用され得る。
一実施形態において、細胞株は、無血清培地(例えば、既知組成培地)及び/又は懸濁液中で増殖することができる。このような細胞株は、親細胞株を無血清培地及び/又は懸濁液中で増殖するように適応させることにより(例えば、単細胞クローニングにより、漸進的適応により及び/又は「飢餓と救出(starve and save)」のプロセスにより)当業者により容易に得られる。
本発明の細胞株は、部分的又は完全に不活化された内因性ジヒドロオロト酸脱水素酵素(DHODH)遺伝子を含む細胞株である。
「内因性DHODH遺伝子」により、本明細書では、特定の環境条件下で特定の発生段階にあるその特定の細胞中に通常存在するDHODH遺伝子を意味する。
「内因性DHODH遺伝子」は、外因性DHODHは以下で定義される発現ベクターにより供給されるという点で、以下で定義される「外因性DHODH」と区別され、その外因性DHODHは該発現ベクターが細胞株中に導入されていた場合には本発明の細胞株中に存在していてもよい。
当業者には当然のことながら、内因性DHODH遺伝子は細胞株に依存する。例えば、CHO細胞株において、内因性DHODH遺伝子はチャイニーズハムスターDHODH遺伝子であり;ヒト細胞株において、内因性DHODH遺伝子はヒトDHODH遺伝子である。
典型的には、野生型チャイニーズハムスターDHODHは、配列番号2を含むか又は配列番号2からなる配列、さらにはDHODH活性を示すそのバリアントを指す。このようなバリアントは、例えば、ハムスター種において天然に存在するバリアント(例えば対立遺伝子バリアント又はスプライスバリアント)に相当し得る。
典型的に、野生型ヒトDHODHは、配列番号4を含むか配列番号4からなる配列、さらにはDHODH活性を示すそのバリアントを指す。このようなバリアントは、例えば、ヒト種において天然に存在するバリアント(例えば対立遺伝子バリアント又はスプライスバリアント)に相当し得る。
本明細書で使用される「遺伝子」は、遺伝子産物をコードするDNA領域、さらにはそのような制御配列がコード配列及び/又は転写された配列に隣接していても隣接していなくても、遺伝子産物の産生を制御する全てのDNA領域を含む。従って、遺伝子は、プロモーター配列、ターミネーター、リボソーム結合部位及び配列内リボソーム進入部位のような翻訳制御配列、エンハンサー、サイレンサー、インスレーター、境界領域、複製起点、マトリックス結合部位並びに遺伝子座調節領域を含む。
遺伝子「不活化」は、対応する野生型細胞と比較して遺伝子発現の任意の減少を指す。遺伝子不活化は、完全(完全な不活化又はノックアウト)であっても、部分的(例えば、遺伝子が正常発現レベルより低いレベルを示すハイポモルフ又はそれが影響を及ぼす活性の部分的な減少を示す変異遺伝子の産物)であってもよい。
特定の実施形態において、内因性DHODH遺伝子の全ての対立遺伝子は、部分的又は完全に不活化されている。
特定の実施形態において、上記内因性DHODH遺伝子は完全に不活化されている。
より特定の実施形態において、内因性DHODH遺伝子の全ての対立遺伝子は完全に不活化されている。
特定の実施形態において、内因性DHODH遺伝子は、Agaら(2015) BMC Proceedings 9(補遺9):P2に記載されるようなCRISPR-Cas9法を使用して不活化される。
当業者に周知のように、CRISPR-Cas9系は、部位特異的DNA切断を誘発するようにCas9ヌクレアーゼを誘導するために非コードRNAを使用する原核生物適応性免疫応答系である。このDNA損傷は、非相同末端結合DNA修復経路(NHEJ)又は相同組み換え修復(HDR)経路のいずれかを経て、細胞DNA修復機構により修復される。遺伝子破壊を作製ために、DNA標的に特異的なcrRNA配列、及びCas9と相互作用するtracrRNA配列からなるシングルガイドRNA(gRNA)は、DNAエンドヌクレアーゼ活性を有するCas9タンパク質の組み換え形態に結合する。生じた複合体は、標的特異的二本鎖DNA切断を引き起こす。切断部位は、遺伝子機能を破壊し得る挿入/欠失(INDEL)を生じ得るエラープローンプロセスである非相同末端結合(NHEJ)DNA修復経路により修復される。
特定の実施形態において、DHODH遺伝子の少なくとも1つのエクソンは、特に、CRIPR-Cas9法のような遺伝子編集法により不活化を標的とする。より特定の実施形態において、DHODHタンパク質のN末端部分をコードするDHODH遺伝子の部分は、特に、CRISPR-Cas9法のような遺伝子編集法により不活化の標的にされる。なお別の実施形態において、DHODH遺伝子の第二のエクソンは、特に、CRISPR-Cas9法のような遺伝子編集法により不活化の標的にされる。
一実施形態において、配列CAAGGATGATGGCTGCATCC(配列番号23)もしくは配列GGATGCAGCCATCATCCTTG(配列番号5)の20ヌクレオチドの配列又はCHO生存を損なうことなくDHODH遺伝子のノックアウトと適合性の任意の配列を、gRNAを生成するためのDNAの対応部分として使用し、これはDHODH遺伝子の第二のエクソンを標的とする。このgRNAは典型的には、配列CACCGCACCGGGATGCAGCCATCATCCTTG(配列番号6)及びAAAACCAAGGATGATGGCTGCATCC(配列番号7)のオリゴヌクレオチドを使用して、又は配列GGATGCAGCCATCATCCTTGGTTTT(配列番号24)及びCAAGGATGATGGCTGCATCCCGGTG(配列番号25)のオリゴヌクレオチドを使用して得られ、これらは典型的にはpCM3561プラスミド(Invitrogenにより販売される)のBaeI部位のようなプラスミドの独特の制限部位でクローン化され、その結果クローンされたDNA配列はU6プロモーターの制御下にあり、そして該プラスミドが細胞に導入されると、tracrRNAに融合されたcrRNA、DHODH遺伝子の第二のエクソンに特異的なcrRNA部分、及びCas9酵素により認識されるtracrRNA部分を含有する単一の転写ユニットに転写される。
DHODH遺伝子について、不活化される細胞株を同定するために、典型的にはウェルプレートにおいて限定希釈することにより単細胞を単離し、そして適切なコンフルエンス、例えば90%コンフルエンスに達した後、細胞を少なくとも2つの条件、例えばウリジンを添加された培地中のものと、ウリジンを含まない培地中の別のものに分ける。目的のクローンは、典型的にはウリジンの欠乏に対して感受性のクローンである。
単離されると、これらの目的の細胞を、ピリミジン塩基を含む培地、特にウリジンを含む培地中で培養することができる。
「ピリミジン塩基」により、本明細書ではピリミジンそれ自体、及び骨格としてピリミジン核を有する様々なピリミジン誘導体を意味する。このようなピリミジン塩基の例としては、ウラシル核酸関連物質、例えばウラシル、ウリジン、ウリジンリン酸類、特にウリジン一リン酸(UMP)、ウリジン二リン酸(UDP)及びウリジン三リン酸(UTP)、デオキシウリジン、デオキシウリジンリン酸類、特にデオキシウリジン一リン酸(dUMP)、デオキシウリジン二リン酸(dUDP)及びデオキシウリジン三リン酸(dUTP);シトシン核酸関連物質、例えば、シトシン、シチジン、シチジンリン酸類、特にシチジン一リン酸(CMP)、シチジン二リン酸(CDP)、シチジン三リン酸(CTP)、デオキシシチジン、2’-デオキシシチジン、デオキシシチジンリン酸類、特にデオキシシチジン一リン酸(dCMP)、デオキシシチジン二リン酸(dCDP)及びデオキシシチジン三リン酸(dCTP);チミン、チミジン、チミジンリン酸類、特にチミジン一リン酸(TMP)、チミジン二リン酸(TDP)及びチミジン三リン酸(TTP)、デオキシチミジン、デオキシチミジンリン酸類、特にデオキシチミジン一リン酸(dTMP)、デオキシチミジン二リン酸(dTDP)及びデオキシチミジン三リン酸(dTTP)及びオロタートが挙げられる。
特定の実施形態において、上記ピリミジン塩基はウリジンである。
「ウリジン」により、本明細書では以下の式
Figure 2022526497000001
のヌクレオシドを意味する。
「ウリジンを含まない培地」により、特定の細胞株の増殖に適した任意の基本培地を意味し、ここで該培地は1mM未満のウリジンを含み、特に該培地はいずれのウリジンも含まない。
「ウリジンを含む培地」により、特定の細胞株の増殖に適した任意の基本培地を意味し、ここで該培地は1mMから25mMのウリジン、特に5mM~10mMのウリジンをさらに含む。
「基本培地」により、本明細書では、細胞、例えばCHO細胞への曝露に適した無添加培地を意味する。当業者には当然のことながら、使用するべき基本培地は、使用される細胞の種類によって決まる。基本培地の例としては、CDCHO培地、OPTiCHOTM培地、Fecto CHOTM培地、FortiCHOTM培地、ExpiCHOTM培地、Ex-CellTM培地、ActiPROTM培地、MAM PF77TM培地及びPowerCHOTM培地が挙げられる。
特定の実施形態において、基本培地は、グルタミン、典型的には4~6mMのグルタミンをさらに添加される。
従って、特定の実施形態において、本発明の細胞株は、
a)特にCRISPR-Cas9法のような遺伝子編集法により、細胞における内因性DHODH遺伝子を不活化すること、及び
b)該細胞を、ウリジンを含む培地で、内因性DHODH遺伝子が部分的又は完全に不活化された細胞株を生成するために適した条件下で培養すること
により製造される。
CRISPR-Cas9アプローチにより完全に又は部分的に不活化された内因性DHODH遺伝子を含むCHO細胞株の製造は、実施例2及び3においてより深く例示される。
完全に又は部分的に不活化された内因性DHODH遺伝子を含むCHO細胞株のような細胞株の製造は、当該分野で公知の様々な他の分子生物学技術により生成され得る。例えば、完全に又は部分的に不活化された内因性DHODH遺伝子を有する細胞株を生成するために有用な他の遺伝子編集技術としては、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)又は転写因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)の使用が挙げられる。Cre/Lox法もまた、DHODH遺伝子の1つもしくはそれ以上又は全ての対立遺伝子をノックアウトするために使用することができる。
特定の実施形態において、本発明の細胞株は、「発現ベクター」のセクションにおいて以下で定義されるような発現ベクターをさらに含む。
上記発現ベクターは、トランスフェクション、特にエレクトロポレーションもしくは化学トランスフェクション、又は形質導入のような、当業者に周知の任意の適切な技術により細胞株に導入され得る。
特定の実施形態において、本発明の上記細胞株は、本発明の発現ベクターとは異なる選択マーカーを含むさらなる発現ベクター、典型的にはグルタミン合成酵素をコードする配列を含むさらなる発現ベクターをさらに含んでいてもよい。
外因性DHODH
本発明において使用される発現ベクターによりコードされるDHODH(さらに「外因性DHODH」と呼ばれる)は、配列番号2又は配列番号4と少なくとも60%、62%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%;92%;93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%又は100%同一である配列を含んでいても、該配列からなるものであってもよい。また、配列番号2又は配列番号4の少なくとも100、150、200、250、300又は350個の連続したアミノ酸のフラグメントを含んでいても、該フラグメントからなるものであってもよいが、ただしそのタンパク質はDHODH活性を保持する。
いくつかの実施形態において、本発明に従う外因性DHODHは、配列番号2の配列及び配列番号4の配列の両方と、少なくとも60%、62%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%;92%;93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%又は100%同一である配列を含むか又は該配列からなる。
いくつかの実施形態において、本発明に従う外因性DHODHはヒトDHODH、すなわち、ヒト起源のDHODHである。
本明細書で使用されるように、用語「ヒトDHODH」は、配列番号4を含むか又は配列番号4からなる配列のタンパク質、さらにはDHODH活性を示すそのバリアントを指す。このようなバリアントは、例えばヒト種において天然に存在するバリアント(例えば、対立遺伝子バリアント又はスプライスバリアント)に相当し得る。あるいは、このようなバリアントは、遺伝子操作により得られるバリアントに相当し得る。一実施形態において、このようなバリアントは、配列番号4と比較して、多くとも150、140、130、120、110、100、90、80、70、60、50、40、30、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1個のアミノ酸変異(これらの変異は置換、挿入及び欠失を含む)の存在だけ配列番号4の配列と異なる。
特定の実施形態において、上記ヒトDHODHは、野生型配列と比較してG202A変異を含むバリアントであり、典型的には配列番号26のアミノ酸配列を含むか又は配列番号26のアミノ酸配列からなるタンパク質である。
いくつかの実施形態において、外因性DHODHはハムスターDHODHであり、すなわちハムスター起源のDHODHである。ハムスターDHODHは、例えばチャイニーズハムスター(Cetulus griseus)DHODHである。
本明細書で使用されるように、用語「チャイニーズハムスターDHODH」は、配列番号2を含むか又は配列番号2からなる配列、さらにはDHODH活性を示すそのバリアントを指す。このようなバリアントは、例えばハムスター種において天然に存在するバリアントに相当し得る(例えば対立遺伝子バリアント又はスプライスバリアント)。あるいは、このようなバリアントは、遺伝子操作により得られるバリアントに相当し得る。一実施形態において、このようなバリアントは、配列番号2と比較して、多くとも150、140、130、120、110、100、90、80、70、60、50、40、30、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1個のアミノ酸変異(これらの経には置換、挿入及び欠失を含む)の存在だけ配列番号2の配列と異なる。
別の実施形態において、バリアントDHODHはDHODH活性を有し、場合により、野生型タンパク質と同じレベルの活性、又は野生型タンパク質の活性レベルの50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%、140%又はそれ以上のレベルの活性を有する。
本発明の問い合わせアミノ酸配列と少なくとも例えば95%「同一である」アミノ酸配列を有するポリペプチドにより、対象ポリペプチドの配列が、問い合わせアミノ酸配列の各100アミノ酸あたり5つまでのアミノ酸変化を含むかもしれないということを除いて、対象のポリペプチドのアミノ酸配列が問い合わせ配列と同一であるということが意図される。換言すると、問い合わせアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るために、対象配列における5%(100のうち5)までのアミノ酸残基が、挿入されるか、欠失されるか又は別のアミノ酸で置換されてもよい。
配列同一性は、バリアント配列の全長、参照配列の全長又はその両方にわたって決定され得る。例えば、同一性のパーセンテージは、グローバルアライメントを使用して計算され得る(すなわち、2つの配列は、それらの長さ全体に渡って比較される)。2つ又はそれ以上の配列の同一性及び相同性を比較するための方法は、当該分野で周知である。「needle」プログラムは、2つの配列の最適なアライメント(ギャップを含む)を見出すために、そらら全体の長さを考慮する場合、Needleman-Wunschグローバルアライメントアルゴリズム(Needleman and Wunsch (1970)J.Mol.Biol.48:443-453)を使用し、例えば、グローバルアライメントを実行する場合に使用され得る。このneedleプログラムは、例えば、ebi.ac.ukワールドワイドウェブサイトで利用可能である。本発明に従う同一性のパーセンテージは、好ましくはEMBOSS::need|e(グローバル)プログラムを使用して、10.0に等しい「ギャップオープン」パラメーター、0.5に等しい「ギャップ伸長」パラメーター、及びBlosum62マトリックスを用いて計算される。
参照配列のバリアントは、参照配列と比較して欠失、挿入及び/又は置換のような変異を含み得る。置換の場合、その置換は好ましくは以下の表に示されるような保存的置換に相当する。
Figure 2022526497000002
発現ベクター
本発明の状況において使用される発現ベクターは、組み換えタンパク質の製造に適しており、そしてジヒドロオロト酸脱水素酵素(DHODH)をコードする配列を含む。
発現ベクターは好ましくはDNAベクターである。
本発明の状況において使用される発現ベクターは、上の「外因性DHODH」のセクションで定義されたような外因性DHODHをコードする配列を含む。
特定の実施形態において、発現ベクターを導入しようとする細胞株はCHO細胞株であり、そして外因性DHODHは異種起源である(すなわち、外因性DHODHはハムスターDHODHではない)。
このような外因性DHODHをコードする配列は、天然に存在するヌクレオチド配列であってよい。あるいは、このようなDHODHをコードする配列のトリプレットコドンは、CHO細胞における発現のために偏っていてもよい。最適な発現を得るために配列を偏らせるためのソフトウェア及びアルゴリズムは、当該分野で公知であり、そしてこれらとしては、例えば、Raab et al.(2010)Syst Synth Biol.4:215-225に記載されるアルゴリズムが挙げられる。このアルゴリズムは、発現に裁量の利用可能なコドンを提供するだけでなく、GC含有量及び望まれないDNAモチーフが存在しないことも考慮に入れる。
例えば、外因性DHODHをコードする配列は、配列番号3の配列(すなわち、配列番号4のヒトDHODHをコードする配列、これはCHO細胞における最適な発現のために設計された)と、かつ/又は配列番号1の配列(すなわち、配列番号2のハムスターDHODHをコードする配列、これはCHO細胞での最適な発現のために設計された)と、少なくとも60%、62%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である配列を含んでいても、該配列からなるものであってもよい。
一実施形態において、外因性DHODHをコードする配列は、配列番号1もしくは配列番号3の配列を含むか又は配列番号1もしくは配列番号3の配列からなる。
本発明の状況において使用される発現ベクターにおいて、上で定義される外因性DHODHをコードする配列は、当業者に公知の任意のプロモーターの制御下に置かれ得る。
例えば、上で定義される外因性DHODHをコードする配列は、例えばDHODHの発現を推進するために適したプロモーター、例えばサル空胞ウイルス40(SV40)プロモーター(例えば、SV40の後期又は初期プロモーター)、CMVプロモーター、伸長因子1プロモーター、GAPDHプロモーター、RPL37プロモーター、アクチンプロモーターの制御下に置かれ得る。初期SV40プロモーターは、例えばBenoist and Chambon (1981) Nature 290:304-310及びMoreau et al. (1981) Nucleic Acids Res. 9:6047-6068において記載される。特に、上記SV40プロモーターは全長プロモーターである。上記SV40プロモーターはまた、72bpの反復を含有する複製起点を有し得る。
いくつかの実施形態において、上記SV40プロモーターは、位置128~270が除去されているSV40プロモーターではない、すなわち、上記SV40プロモーターは、韓国特許第10-0267720号に記載され、そして1997年12月17日に寄託番号:KCTC 8860 PでGene Bank、Institute of Bioengineering、KISTに寄託されたE. coli形質転換体を形質転換するSV40プロモーターではない。
他の実施形態において、上で定義された外因性DHODHをコードする配列は、SV40プロモーターの制御下に置かれない。
組み換えタンパク質の製造に適した発現ベクターは当業者に公知である。このようなベクターは典型的には、複製起点並びにその製造が望まれる組み換えタンパク質のクローニング及び発現を可能にする少なくとも1つの発現カセットを含む発現ベクターに相当する。発現カセットは、典型的には5’非翻訳領域(プロモーター、及び場合によりエンハンサー配列を含むか又はそれらからなる)、組み換えタンパク質をコードする配列のクローニングを可能にする1つ又はそれ以上の制限部位、3’非翻訳領域(例えば、ポリAシグナル)、及び場合により1つ又はそれ以上のイントロンを含む。プロモーター配列は、例えばヒトCMVプロモーターのような当該分野で周知の任意の強力なプロモーターに相当し得る。場合により、本発明の状況において使用される発現ベクターは、ベクターが原核生物細胞における複製を可能にするように、原核生物複製起点(例えば、E. coliにおけるColE1のような原核生物レプリコン)及び原核生物選択可能マーカーとしても知られる少なくとも原核生物-選択的マーカー遺伝子を含む。ベクターを複製する細胞は、原核生物-選択的マーカー遺伝子も発現し、従って、それらを同定し選択することができる。原核生物-選択的マーカー遺伝子は当業者に周知である。原核生物-選択的マーカー遺伝子の例は、例えば抗生物質耐性を付与するタンパク質をコードする配列(例えば、アンピシリン、クロラムフェニコール、ブラストサイジン又はカナマイシンに対する耐性を付与するタンパク質をコードする配列)である。
組み換えタンパク質は、当業者が興味のある任意のタンパク質に相当し得る。
本明細書で使用されるように、用語「タンパク質」は、ペプチド(すなわち、50未満のアミノ酸のアミノ酸鎖)、ポリペプチド(すなわち、少なくとも50アミノ酸のアミノ酸鎖)、単量体タンパク質(すなわち、アミノ酸鎖からなるタンパク質)及び多量体タンパク質(すなわち、例えば、モノクローナル抗体のような2つ又はそれ以上のアミノ酸鎖からなるタンパク質)を包含することを意味する。
本発明の状況において使用される発現ベクターは、典型的には、タンパク質を構成する異なるアミノ酸鎖の数と同じ数の発現カセットを含む(例えば、単量体タンパク質又はホモ二量体タンパク質の場合の1つの発現カセット、モノクローナル抗体のヘテロ二量体タンパク質の場合は2つなど)。
あるいは、本発明の状況において使用される発現ベクターは、ヘテロ二量体タンパク質の産生の場合、又はモノクローナル抗体の産生が望まれる場合でさえ発現カセットを1つだけ含み得る。このような場合において、タンパク質の他のアミノ酸鎖をコードする配列は別個の発現ベクター上に存在し、これは宿主細胞株に、特にCHO細胞株に、本発明に従う発現ベクターと同時トランスフェクトされる。
その場合、追加の別個の発現ベクターは、DHFR、GS又はHPRTのような、本明細書に記載されるDHODH選択マーカーとは異なる選択マーカーを含み得る。
一実施形態において、本発明の状況において使用される発現ベクターは、発現カセットを含んでいなくてもよい。このような場合、組み換えタンパク質の発現に適した発現カセットは、別個のベクター上に存在し、これは宿主細胞株、特に本発明のDHODH不活化細胞株中に、より詳細には本発明のDHODH不活化CHO細胞株中に本発明に従う発現ベクターとともに同時トランスフェクトされる。
従って、いくつかの実施形態において、本発明の状況において使用される発現ベクターは:
- 初期SV40プロモーターの制御下に置かれた、上で定義されたような外因性DHODHをコードする配列;
- 抗体の軽鎖をコードする配列がCMVプロモーターの制御下に置かれている第一の発現カセット;
- 抗体の重鎖をコードする配列がCMVプロモーターの制御下に置かれている第二の発現カセット;
- 原核生物複製起点;及び
- その天然のプロモーターの制御下に置かれた、原核生物細胞における使用のための選択的マーカー、すなわち、アンピシリンに対する耐性を付与するタンパク質をコードする配列。
本明細書全体を通して、用語「組み換えタンパク質」は、その製造が望まれる任意の組み換えタンパク質を指す。例えば、これは治療的及び/又は予防的タンパク質、すなわち、薬剤(ワクチンを含む)としての使用を意図されたタンパク質に相当する場合がある。特定の実施形態において、その製造が望まれる組み換えタンパク質はDHODHではない。別の特定の実施形態において、その製造が望まれる組み換えタンパク質は、抗体、例えばモノクローナル抗体である。さらに別の特定の実施形態において、その製造が望まれる組み換えタンパク質は抗原タンパク質である。
用語「抗体」は、本明細書において最も広い意味で使用され、詳細には、lgG、lgM、lgA、lgD、及びlgEのような任意のアイソタイプのモノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多選択性抗体(二重特異性及び三重特異性抗体を含む)、抗体フラグメント(例えば、Fv、scFv、ds、Fab、Fab’、又はF(ab’)フラグメント)、単一ドメイン抗体及びそのフラグメント、並びに抗体フラグメントを含む融合タンパク質を含む。特定の抗原に反応性の抗体は、ファージもしくは同様のベクターにおける組み換え抗体のライブラリーの選択のような組み換え方法により、又は抗原もしくは抗原をコードする核酸を用いて動物を免役することにより生成され得る。
本明細書で使用されるように、「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体であり、すなわち、この集団を形成する抗体は、少量存在するかもしれない可能な天然に存在する変異を除いて本質的に同一である。これらの抗体は、単一のエピトープ(又は多選択性モノクローナル抗体の場合にはエピトープの単一の群)に対して特異的であり、従って高度に特異的である。
典型的なモノクローナル抗体は、ジスルフィド結合により連結されている2つの同一の重鎖及び2つの同一の軽鎖から構成される。各重鎖及び軽鎖は、定常領域及び可変領域を含有する。各可変領域は、「相補性決定領域」(「CDR」)又は「超可変領域」と呼ばれる3つのセグメントを含有し、これらは抗原のエピトープに結合する主な原因である。これらは通常はCDR1、CDR2、及びCDR3と呼ばれ、N末端から順に番号を付けられる(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、National Institute of Health、Bethesda、MD、1991を参照のこと)。可変領域のより高度に保存された部分は「フレームワーク領域」と呼ばれる。
モノクローナル抗体は、例えば、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、又は完全ヒト抗体であり得る。
モノクローナル抗体は、単一特異性抗体でも、二重特異性抗体でも三重特異性抗体でもよい。
その製造が望まれる組み換えタンパク質がモノクローナル抗体である場合、本発明に従う発現ベクターは、抗体軽鎖のクローニングに適した第一の発現カセット、及び抗体重鎖のクローニングに適した第二の発現カセットを含み得る。
特定の実施形態において、上記第一及び第二の発現カセットは、それぞれ、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、例えばヒト又はマウスCMV由来のCMVプロモーターを含む。より詳細には、上記第一及び第二の発現カセットは:
- CMV最初期エンハンサープロモーター(例えば、Teschendorf et al.(2002)Anticancer Res.22:3325-3330に記載される配列を有するもの);又は
- マウスCMV由来のIE2プロモーター/エンハンサー領域(例えば、Chatellard et al.(2007)Biotechnol Bioeng.96:106-117に記載される配列を有するもの);又は
- hCMV-MIE制御エレメント(例えば、WO89/01036に記載される配列を有するもの)
を含み得る。
用語「抗原タンパク質」は、本明細書において最も広い意味で使用され、そして単独で又はアジュバントと組み合わせて、免疫応答を生じることができる任意のタンパク質を含む。予防的なワクチン又は治療用ワクチンのいずれかにおける使用が意図され得る。特定の実施形態において、抗原タンパク質はワクチンタンパク質、すなわち、予防的ワクチンにおける使用を意図されたタンパク質である。
発現ベクターは、目的の組み換えタンパク質をコードする少なくとも1つの配列(例えば、単量体タンパク質をコードする1つの配列、抗体鎖をコードする1つの配列、又は抗体軽鎖及び抗体重鎖をそれぞれコードする2つの配列)を含んでいても、空であってもよい(すなわち、目的の組み換えタンパク質をコードするような配列を含まない)。
発現系、キット、方法及び使用
本発明は:
(i)上の「細胞株」のセクションにおいて定義されたように部分的又は完全に不活化されている内因性DHODH遺伝子を含む、上の「細胞株」のセクションにおいて定義された細胞株、及び
(ii)上の「発現ベクター」のセクションにおいて定義された発現ベクター
を含む発現系を提供する。
本発明の発現系は、DHFR、GS又はHPRTのようなDHODHとは異なる選択マーカーをコードするヌクレオチド配列、及び組み換えタンパク質を発現するための少なくとも1つの発現カセットをそれぞれ含む追加の別個の発現ベクターをさらに含んでいてもよい。
あるいは、本発明の発現系は、上の「発現ベクター」のセクションにおいて定義される追加の発現ベクターをさらに含んでいてもよい。
本発明は、(i)上の「発現ベクター」のセクションにおいて定義される発現ベクターを含む本発明に従う細胞株、又は本発明に従う発現系、及び(ii)上で定義されたような、ウリジンを含まない培地、を含むキットを提供する。
キットは、上記のような外因性DHODHをコードする発現ベクター(発現系中)を含み得る。このようなキットにおいて、これは当業者が目的のタンパク質をクローニングすることを可能にするので、ベクターは好ましくは空である。さらに、発現ベクターは、好ましくはこのようなキットで細胞株から単離される。
キットは、上の「細胞株」のセクションで定義されたように、ウリジンを含まない培地をさらに含む。
キットは、細胞株の培養に適した培地、細胞株へのベクターのトランスフェクションに適した培地、包装材料及び/又は発現系の使用に関する指示書をさらに含み得る。
特定の実施形態において、キットはDHODH阻害剤を含まない。
DHODH阻害剤の例としては、ビシンコニン酸、ブレキナル (6-フルオロ-2-(2’-フルオロ-1,1’-ビフェニル-4-イル)-3-メチル-4-キノリン カルボン酸)、ジクロロアリルローソンのようなナフトキノン誘導体、レフルノミド (5-メチル-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-イソオキサゾール-4-カルボキサミド)のようなイソオキサゾール誘導体及びその活性代謝物テリフルノミド ((2Z)-2-シアノ-3-ヒドロキシ-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ブタ-2-エンアミド)、キノロンカルボン酸、ナフトキノン類、イソオキサゾール類、フェノキシキノリン類、レドキサール(redoxal)及び誘導体、ローソン、ラパコール、アトバコン及び(8-クロロ-4-(2-クロロ-4-フルオロ-フェノキシ)キノリン)が挙げられる。DHODHの阻害剤は、DHODH活性を少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、95、99又は100%阻害することができるかもしれない。
特定の実施形態において、キットはテリフルノミドを含まない。
本発明は、上の「発現ベクター」のセクションにおいて定義された発現ベクター、本発明に従う発現系、又は本発明に従うキットを含む、組み換えタンパク質をインビトロで製造するための本発明に従う細胞株の使用をさらに提供する。
特定の実施形態において、上記細胞株、発現系又はキットは、上で定義されたウリジンを含まない培地と組み合わせて、より詳細にはDHODH阻害剤の存在しない培地と組み合わせて使用される。
本発明はさらに、本発明に従う発現系、上の「発現ベクター」のセクションにおいて定義された発現ベクターを含む本発明に従う細胞株、又は本発明に従うキットの、インビトロで、特にDHODH阻害剤が存在しない場合に、高レベルの組み換えタンパク質を産生するクローン細胞(「高産生クローン」)を単離するための使用を提供する。
本発明の状況において、用語「高レベルの組み換えタンパク質」は、培地において、組み換えタンパク質の濃度が少なくとも0.05g/I、好ましくは少なくとも0.1g/l、さらに好ましくは少なくとも0.2g/I、より好ましくは0.3と1g/Iとの間であることを意味することを意図される。組み換えタンパク質の濃度は、当業者に周知の方法により決定することができ、これらとしては、特に酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ウェスタンブロット、caliper技術及び組み換えタンパク質に対応する精製サレタタンパク質の濃度範囲が挙げられる。
本発明はさらに、組み換えタンパク質を製造するインビトロ方法を提供し、該方法は:
A) a1)上の「発現ベクター」のセクションにおいて定義される発現ベクターを含む本発明に従う細胞株を供給する工程;
又は
a2)本発明に従う細胞株を供給する工程、及び
a2’)上の「発現ベクター」のセクションにおいて定義される発現ベクターを、工程a2)において供給された細胞株に導入する工程;
又は
a3)内因性DHODH遺伝子を含む細胞株を供給する工程、
a3’)工程a3)において供給された細胞株において内因性DHODH遺伝子を部分的もしくは完全に不活化する工程、及び
a3’’)上の「発現ベクター」のセクションにおいて定義される発現ベクターを、工程a3’)において得られた部分的もしくは完全に不活化された内因性DHODH遺伝子を含む細胞株に導入する工程;
B)該細胞株を、組み換えタンパク質の産生に適した条件下で培養する工程;並びに
C)該組み換えタンパク質を単離及び/もしくは精製する工程
を含む。
特定の実施形態において、上記方法の工程B)は、ウリジンを含まない培地、より詳細にはDHODH阻害剤も含まない培地において行われ、そして特にウリジンが存在しないにも関わらず、特にさらにDHODH阻害剤が存在しないにもかかわらず増殖するトランスフェクトされた細胞を選択することから構成される副工程(sub-step)を含む。
本発明はさらに、高レベルの組み換えタンパク質を産生するクローン細胞を単離するインビトロ方法を提供し、該方法は、以下の工程
A) a1)上の「発現ベクター」のセクションにおいて定義される発現ベクターを含む本発明に従う細胞株を供給する工程;
又は
a2)本発明に従う細胞株を供給する工程、及び
a2’)上の「発現ベクター」のセクションにおいて定義される発現ベクターを、工程a2)において供給された細胞株に導入する工程;
又は
a3)内因性DHODH遺伝子を含む細胞株を供給する工程、
a3’)工程a3)において供給された細胞株において内因性DHODH遺伝子を部分的もしくは完全に不活化する工程、及び
a3’’)上の「発現ベクター」のセクションにおいて定義される発現ベクターを、工程a3’)において得られた部分的もしくは完全に不活化された内因性DHODH遺伝子を含む細胞株に導入する工程;
B)該細胞株を、組み換えタンパク質の産生に適した条件下で培養する工程;並びに
C)高レベルの組み換えタンパク質を産生するクローンを単離する工程
を含む。
特定の実施形態において、上記方法の工程B)は、ウリジンを含まない培地、より詳細にはDHODH阻害剤も含まない培地において行われ、そして特にウリジンが存在しないにも関わらず、特にさらにDHODH阻害剤が存在しないにもかかわらず増殖するトランスフェクトされた細胞を選択することから構成される副工程を含む。
上記発現ベクターは、トランスフェクション、特にエレクトロポレーション又は化学トランスフェクション、又は形質導入のような当業者に周知の任意の技術により、工程a2’)又はa3’’)において上記細胞株に導入され得る。
組み換えタンパク質の製造に適した条件は、当業者に周知である。例えば実施例に記載されるプロトコルが使用され得る。
特定の実施形態において、工程B)において使用される培地は、減少する濃度のウリジンを含む。これにより、ベクター由来の外因性DHODH遺伝子(及び従って組み換えタンパク質をコードする配列が増幅されたクローンを選択することが可能となる。
上記方法は、組み換えタンパク質を製剤化して医薬組成物にする工程をさらに含み得る。
明細書全体を通して、「含む(comprises)」、「含まれる(comprised)」及び「含むこと(comprising)」のような用語は、大部分の特許の権限において、好ましくは問題になっている権限においてそれらに期する意味を有し;例えば、これらは「含む(includes)」、「含まれる(included)」、「含むこと(including)」などを意味する場合がある。「からなる」、「本質的に~からなること」及び「本質的に~からなる」のような用語は、大部分の特許の権限において、好ましくは問題になっている権限においてそれらに帰属される意味を有し;例えば、これらは、他の要素を全て、大部分又は無視できる量以外は全て排除することを示し、これらは明示的に記載されていない要素を許容するが、従来技術において見出されているか又は本発明の基本的もしくは新規な特徴に影響を及ぼす要素を排除する。
本明細書の文章全体をとおしていくつかの書類が引用される。本明細書において引用されるこれらの書類はそれぞれ(任意の学術論文又は要約、公開されたか又は未公開の特許出願、交付済み特許、製造者の仕様書、指示書などを含む)、参照により本明細書に加入される。しかし、本明細書において引用されるいずれかの書類が実際に本発明に関する先行技術であるということを承認するものではない。
本発明は、以下の図面及び実施例を参照してさらに記載され、これらは説明のみのためのものであり、本発明を限定することは意図されない。
本発明は特許請求の範囲によって定義され、これは明細書及び図面を用いて解釈されるべきである。
配列の簡単な説明
Figure 2022526497000003
Figure 2022526497000004
実施例1: CHO 9E4細胞株の入手
この実施例は、ATCCから番号ATCC CCL-61で市販されているCHO-K1細胞株からCHO 9E4細胞株を得ることを記載する。
1. CHO-K1細胞株
ウシ血清の存在下で1969年に凍結されたCHO-K1細胞(ATCC CCL-61)のバイアルをATCCから得た。
2. Ex-CellTM 302培地におけるバイアルの解凍及びCHO-LG-APFバンクの調製
CHO-K1バイアルを、4mMグルタミンを添加したEx-CellTM 302培地(SAFC)中で直接解凍し、そして静的支持面上で、次いでスピナーにおいて増幅した。得られたCHO-LG-APFバンクを12継代及び17.3世代後にEx-CellTM 302培地中で凍結した。
3. Ex-CellTM 302培地におけるCHO-LG-APFバンクの解凍及びABC-024 P22バンクの調製
CHO-LG-APFバイアルをEx-CellTM 302培地中で解凍し、そして増幅した。得られたABC-024 P22バンクを18.5世代後に解凍した。
4. CMV07-024バンクのCDCHOフュージョン培地への順化及びABC-003バンクの調製
CMV07-024バンクを解凍し、そして4mMグルタミンを添加したEx-cellTM CDCHOフュージョン培地(SAFC)にそのまま順化させ、そして振盪機で12.5世代にわたってABC-003バンクをEx-cellTM CDCHOフュージョン培地で凍結するまで順化させた。
5. ABC-003バンクのCDCHOフュージョン培地における解凍及びABC-053バンクのCDCHOフュージョン培地における準備
ABC-003バイアルをCDCHOフュージョン培地中で解凍し、そして希釈した後、 ABC-53バンクを4.2世代後に凍結した。
6. ABC-053バンクのCDCHOフュージョン培地における解凍、選択、クローニング及びCDCHOフュージョン培地におけるP15A11バンクの調製
4mMグルタミンを添加したEx-cellTMCDCHOフュージョン培地(SAFC)においてABC-053バンクを解凍した。培養物を増幅した後、プレートでの限界希釈によりクローニングし、次いでCDCHOフュージョン培地において増幅した。このクローニングから得られたクローンP15A11のバンクを凍結した。このクローニング及び増幅は、およそ94世代に相当する。
7. CDCHOフュージョン培地におけるP15A11バンクの解凍、CDCHOにおける直接継代によるバンクの順化、及びCDCHO培地におけるCHOSP10-002バンクの調製
4mMグルタミンを添加したEx-cellTM CDCHOフュージョン培地(SAFC)においてP15A11バンクを解凍し、そしてCDCHOフュージョン培地において2継代後に、細胞をCDCHO培地中で希釈した。CDCHO培地において3継代後、CHOSP10-002バンクを合計15.9世代後に凍結した。
8. CDCHO培地におけるCHOSP10-002バンクの解凍、増幅、遠心分離による塊の除去、及び96ウェルプレートにおける塊を含まない継代培養による選択、CDCHO培地においてCHOSP10-012バンクを調製するための6ウェルプレート及び振盪機における増幅
6mMグルタミンを添加したCDCHO培地(Invitrogen)中でCHOSP10-002バンクを解凍し、次いで増幅した。細胞塊を除去するために培養物を遠心分離し、そして上清から単離された細胞のみを用いて培養を続けた。この段階で、解凍から11.3世代が生成された。
この培養物を96ウェルプレートにおいて1ウェルあたり10細胞で分割した。懸濁液中で孤立して増殖する細胞を含むウェルを6ウェルプレートで、次いで振盪機で増幅した。CHOSP10-012バンクを凍結するまでに23.2世代追加された。
9. CHOSP10-012バンクの解凍、CHOSP11-008バンクの増幅及び調製(9E4バンク)
6mMグルタミンを添加したCDCHO培地(Invitrogen)中でCHOSP10-012バンクを解凍し、次いでエルレンマイヤー段階から17lバイオリアクターまで増幅した。
9E4バンクを合計10世代後に凍結した。
実施例2: DHODH遺伝子が無効にされたCHO細胞株の製造
A - CRISPR CAS9ガイドRNA(gRNA)の設計及び構築
CHO細胞においてDHDOH遺伝子を無効にするために、本発明者らは、ハムスターDHODH遺伝子配列を回収し、CHOゲノムにおけるCRISPR-Cas9を用いたトランスフェクションのために異なるガイドRNA(gRNA)を設計するために公開で利用可能なTeforソフトウェアを使用することから開始した。イントロン及びエクソンを含むCHO DHODH配列全体を図1に示す。
このソフトウェアは、DHODH遺伝子を標的とし得る8つの配列を決定した:
配列1
CACCGGGATGCAGCCATCATCCTTG (配列番号6)
AAAACCAAGGATGATGGCTGCATCC (配列番号7)
配列2
CACCGGATGCAGCCATCATCCTTGG (配列番号8)
AAAACCCAAGGATGATGGCTGCATC (配列番号9)
配列3
CACCGGCAGCCATCATCCTTGGGGG (配列番号10)
AAAACCCCCCAAGGATGATGGCTGC (配列番号11)
配列4
CACCGGCCATCATCCTTGGGGGAGG (配列番号12)
AAAACCCTCCCCCAAGGATGATGGC (配列番号13)
配列5
CACCGGCTATTCGCTTCACGTCCCT (配列番号14)
AAAACAGGGACGTGAAGCGAATAGC (配列番号15)
配列6
CACCGGCCTCTACAAACTGGGCTTT (配列番号16)
AAAACAAAGCCCAGTTTGTAGAGGC (配列番号17)
配列7
CACCGGGCTTTGGGTTTGTCGAGGT (配列番号18)
AAAACACCTCGACAAACCCAAAGCC (配列番号19)
配列8
CACCGGCTGGTCTGAGGAGCCTACA (配列番号20)
AAAACTGTAGGCTCCTCAGACCAGC (配列番号21)
8つの配列を試験し、そしてクローニングしたが、8つの配列のうち4つのクローン化された配列のみがトランスフェクトされ、そしてDHODH遺伝子のノックアウトを首尾よく生成したのは1つのみであった。以下の20ヌクレオチドの配列を、図2示されるようにgRNAを生成するためのDNAの対応する部分として使用した GGATGCAGCCATCATCCTTG (配列番号5)。これはDHODH遺伝子の第二のエクソンを標的とする。適切なgRNAの転写物を得るために、2つのオリゴヌクレオチド
Figure 2022526497000005
を合成により作製し、アニーリングし、そしてpCM3561(Invitrogenにより市販される)の独特のBaeI部位でクローン化した。
それによりクローン化されたDNA配列は、U6プロモーターの制御下にあり、そしてDNAがCHO細胞にトランスフェクトされると、これはtracrRNAに融合されたcrRNAを含有する単一の転写ユニットに転写された。crRNA部分はDHODH遺伝子の第二のエクソンに対して特異的であるが、tracrRNAはCas9酵素自体により認識された。
B-CRISPR-Cas9遺伝子編集のための材料の準備
CHO 9E4細胞を単離し、そして実施例1に開示されるように、ATCCから購入されたCHO K-1細胞から選択し、そして6mM L-グルタミンを添加され、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞の増殖に最適化されたCDCHO無血清既知組成培地中で懸濁培養として37℃でインキュベーターにおいて8% CO及び80%湿度を用いて増殖及び維持した。
sgRNA発現ベクター(pCM3561)10μgを、20μM S-アデノシルメチオニン(SAM)を添加したBaeI酵素1μLを5単位/μlで用いて25℃で1時間消化し、次いで消化されたプラスミドを1%アガロースゲルを使用して電気泳動により分離した。次いで得られたsgRNAクローニングベクターをゲル抽出キット(Qiagen Kit)により回収した。
sgRNAクローニングベクター及びアニーリングされたガイドオリゴヌクレオチドを、T4 DNAリガーゼ酵素(Biolabs)を使用して連結し、そして10分間室温でインキュベートした。
連結産物5μLを、E.coli DH5aコンピテント細胞(Invitrogen)50μLに加えた。
細胞及びDNAを30分間氷上でインキュベートし、次いで42℃で45秒間ヒートショック処理した。500mL S.O.C培地を加えた後、37℃(800rpm)で1時間インキュベーションして、プラスミド骨格上でコードされる抗生物質耐性を生じる時間を細菌に与えた。インキュベーション後に、各チューブを100μg/mLアンピシリンを添加された1つのコーティングされたLB上に広げた。ディッシュを終夜37℃でインキュベートした。ネガティブコントロール(挿入DNAの代わりに水を用いる)を使用して形質転換の成功を評価した。
増殖工程のために、1構築あたり2つのコロニーを選択し、そしてインキュベーターに終夜置いたチューブにおいて100μg/mlアンピシリンを添加したLB培地2mLに播種した(37℃、700rpm)。終夜インキュベートした培養物を遠心分離により採取した。QIAprep Miniprep KitTM(QIAGEN)を使用して、増幅されたDNAを回収した(EB緩衝液で溶出)。次いで、目的のガイドオリゴヌクレオチドの配列を、Sanger配列決定法(センス及びアンチセンス配列決定、GATC Company)により確認した。Vector NTIソフトウェア(Thermofisher Scientific)でのアライメントによる検証後に、対応するコロニーを使用して、アンピシリン100μg/mlを添加したLB培地200mLに播種した。24時間のインキュベーション後に、細菌を6000gで15分間4℃での遠心分離により採取した。EndoFree Plasmid Maxi KitTM(QIAGEN)を使用してMaxiPrepを調製した。室温でイソプロパノールを加えることによりDNAを沈殿させた。1時間の遠心分離(4℃、8000rpm)の後、DNAペレットをエンドトキシンを含まない室温の70%エタノールにより洗浄した。短い新たな遠心分離の後に、ペレットを1時間の間風乾し、そして適切な体積のエンドトキシンを含まない滅菌水に再溶解して、DNA濃縮物を5mg/mLで得た。nanodropデバイスを使用してDNA濃度を測定した。
4つの異なるプラスミド、すなわち、pBH6840プラスミド(KO DHODH SEQ1)、pBH6841プラスミド(KO DHODH SEQ4)、pBH6842プラスミド(KO DHODH SEQ5)及びpBH6843プラスミド(KO DHODH SEQ7)を準備した。CHO DHODH遺伝子におけるこれらのプラスミドの標的を配列番号22の配列に示す。
DNA配列決定はGATCの再委託業者 - A Eurofins Genomics Companyにより行われた。
C-CRISPR-Cas9遺伝子編集
MaxCyte STX及びそのCHO規定プロトコルを使用してエレクトロポレーションによりトランスフェクションを行った。これらはOC-100(トランスフェクションあたり2000万個の細胞)プロセシングアセンブリにおいて行われた。
トランスフェクションの前日に、細胞を1.5×10細胞/mLで6 mM L-グルタミンを補充されたCDCHO培地に播種した。
トランスフェクションの日に、細胞をViCell装置(Beckman & Coulter)で計数した。必要数の細胞を250gで10分間遠心分離し、そして上清を捨てた。
各トランスフェクション条件について、20×10個の細胞を10分間250gで遠心分離した。ペレットを70μL Maxcyte緩衝液を用いて再懸濁した。DNA 30μgを加え、そして混合物(細胞、緩衝液及びDNA)を100μL Maxcyteエレクトロポレーションカセットに移した。使用したプロセシングアセンブリは、100μLカセットに特有のOC-100であり、そしてCHOに最適化されたプログラムを選択した。
以下のトランスフェクションを行った。
Figure 2022526497000006
エレクトロポレーション後に、細胞を25mL作業エルレンマイヤーフラスコに移した。それらを37℃、5%COで静的インキュベーターに45分置いた。次いで6mM L-グルタミンを補充したCDCHO培地25mLを加えて細胞を再懸濁し、そしてエルレンマイヤーフラスコを37℃、5%CO、湿度70%、110rpmで振盪機に置いた。
エレクトロポレーションの翌日に、1ウェルあたり単一の細胞を上記のCHO9E4トランスフェクトプールからの限界希釈により播種した。約20日後、細胞が約90%コンフルエントになり、顕微鏡下で検査した場合に正常に見えたら、細胞をウリジンを含むか又は含まない2つの新しい96ウェルに分けた。
ウリジンの欠乏に対するそれらの感受性についていくつかのクローンを選択した。これらのクローンを、6mMグルタミン及び5mMウリジンを補充したCDCHO培地における増殖のために順化させた。
遺伝子編集が成功したことを確認するために、Qiagen DNeasy kitTM(Qiagen)を使用してCRISPR-Cas9クローン細胞からゲノムDNAを抽出した。CRISPR-Cas9により標的化されるDHODH遺伝子座の領域に適したプライマーを使用して、標的遺伝子座をPCRにより増幅し、そしてPCR産物を、可能性のある欠失した領域を網羅するPCRフラグメントを使用してNGSにより配列決定した。
実施例3: DHODH遺伝子が無効にされているCHO細胞株の代替の製造
A - CRISPR CAS9ガイドRNA(gRNA)の設計及び構築
CHO細胞においてDHDOH遺伝子を無効にするために、本発明者らは、ハムスターDHODH遺伝子配列を回収し、そしてCHOゲノムにおけるCRISPR-Cas9を用いたトランスフェクションのために異なるガイドRNA(gRNA)を設計するための公開で利用可能なTeforソフトウェアを使用することから開始した。
ソフトウェアは、DHODH遺伝子を標的化し得る8つの配列を決定した:
配列1’
GGATGCAGCCATCATCCTTGGTTTT (配列番号24)
CAAGGATGATGGCTGCATCCCGGTG (配列番号25)
配列2’
GATGCAGCCATCATCCTTGGGTTTT (配列番号27)
CCAAGGATGATGGCTGCATCCGGTG (配列番号28)
配列3’
GCAGCCATCATCCTTGGGGGGTTTT (配列番号29)
CCCCCAAGGATGATGGCTGCCGGTG (配列番号30)
配列4’
GCCATCATCCTTGGGGGAGGGTTTT (配列番号31)
CCTCCCCCAAGGATGATGGCCGGTG (配列番号32)
配列5’
GCTATTCGCTTCACGTCCCTGTTTT (配列番号33)
AGGGACGTGAAGCGAATAGCCGGTG (配列番号34)
配列6’
GCCTCTACAAACTGGGCTTTGTTTT (配列番号35)
AAAGCCCAGTTTGTAGAGGCCGGTG (配列番号36)
配列7’
GGCTTTGGGTTTGTCGAGGTGTTTT (配列番号37)
ACCTCGACAAACCCAAAGCCCGGTG (配列番号38)
配列8’
GCTGGTCTGAGGAGCCTACAGTTTT (配列番号39)
TGTAGGCTCCTCAGACCAGCCGGTG (配列番号40)
8つの配列を試験しクローニングしたが、8つの配列のうち、4つのクローン化された配列のみがトランスフェクトされ、そしてDHODH遺伝子のノックアウトを生成することに成功したのは1つのみであった。以下の20ヌクレオチドの配列を、gRNAを生成するためのDNAの対応部分として使用した GGATGCAGCCATCATCCTTG (配列番号5)。これはDHODH遺伝子の第二のエクソンを標的にする。適切なgRNAの転写を得るために、2つのオリゴヌクレオチド GGATGCAGCCATCATCCTTGGTTTT (oligo1’、配列番号24)及びCAAGGATGATGGCTGCATCCCGGTG (oligo2’、配列番号25)を合成により作製し、アニーリングし、そしてpCM3561 (Invitrogenにより商品化される)の独特なBaeI部位においてクローン化した。
それにより、クローン化されたDNA配列はU6プロモーターの制御下にあり、そしてDNAがCHO細胞においてトランスフェクトされると、これはtracrRNAに融合されたcrRNAを含有する単一の転写ユニットに転写された。crRNA部分はDHODH遺伝子の第二のエクソンに特異的であるが、tracrRNAはCas9酵素自体により認識される。
B-CRISPR-Cas9遺伝子編集のための材料の準備
CHO 9E4細胞を単離し、そして実施例1に開示されるように、ATCCから購入されたCHO K-1細胞から選択し、そして6mM L-グルタミンを添加したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞の増殖に最適化されたCDCHO無血清既知組成培地において37℃で8% CO及び湿度80%における懸濁培養として増殖させ、そして維持した。
sgRNA発現ベクター(pCM3561)10μgを、20μM S-アデノシルメチオニン(SAM)を添加補充したBaeI酵素1μL 5単位/μlを用いて25℃で1時間消化し、次いで、消化されたプラスミドを1%アガロースゲルを使用した電気泳動により分離した。次いで、得られたsgRNAクローニングベクターをゲル抽出キット(Qiagen Kit)により回収した。
sgRNAクローニングベクター及びアニーリングしたガイドオリゴヌクレオチドを、T4 DNAリガーゼ酵素(Biolabs)を使用して連結し、そして10分間室温でインキュベートした。
連結産物5μLを、E.coli DH5aコンピテント細胞(Invitrogen)50μLに加えた。
細胞及びDNAを30分間氷上でインキュベートし、次いで42℃で45秒間熱ショック処理した。500mL S.O.C培地を加えた後、1時間37℃(800rpm)でインキュベートすることにより、プラスミド骨格上にコードされる抗生物質耐性タンパク質が生成するための時間を細菌に与えた。インキュベーション後に、100μg/mLアンピシリンを添加された1つのコーティングされたLB上に各チューブを広げた。ディッシュを終夜37℃でインキュベートした。ネガティブコントロール(挿入DNAの代わりに水を用いる)を使用して形質転換の成功を評価した。
増幅工程のために、1構築あたり2つのコロニーを選択し、そしてインキュベーターに終夜(37℃、700rpm)置いたチューブにおいてアンピシリン100μg/mlを添加したLB培地2mLに播種した。終夜インキュベートした培養物を遠心分離により採取した。QIAprep Miniprep KitTM (QIAGEN)を使用して増幅されたDNAを回収した(EB緩衝液で溶出)。次いで目的のガイドオリゴヌクレオチドの配列を、Sanger配列決定法(センス及びアンチセンス配列決定、GATC Company)により確認した。Vector NTIソフトウェア(Thermofisher Scientific)でのアライメントによる検証後に、対応するコロニーを使用して、アンピシリン100μg/mlを添加したLBに培地200mLに播種した。24時間のインキュベーション後に、細菌を6000gで15分間4℃での遠心分離により採取した。EndoFree Plasmid Maxi KitTM(QIAGEN)を使用してMaxiPrepを調製した。室温でイソプロパノールを加えることによりDNAを沈殿させた。1時間遠心分離した後(4℃、8000rpm)、DNAペレットを、エンドトキシンフリーの室温70%エタノールで洗浄した。新たな短時間の遠心分離の後、ペレットを1時間風乾し、そして適切な体積のエンドトキシンフリー滅菌水に再溶解してDNA濃度5mg/mLにした。nanodropデバイスを使用してDNA濃度を測定した。
4つの異なるプラスミド、すなわちpBH6840プラスミド(KO DHODH SEQ1)、pBH6841プラスミド(KO DHODH SEQ4)、pBH6842プラスミド(KO DHODH SEQ5)及びpBH6843プラスミド(KO DHODH SEQ7)を準備した。
DNA配列決定はGATCの再委託業者 - A Eurofins Genomics Companyにより行われた。
C-CRISPR-Cas9遺伝子編集
MaxCyte STX及びそのCHO規定プロトコルを使用するエレクトロポレーションによりトランスフェクションを行った。これらはOC-100(トランスフェクションあたり2000万個の細胞)プロセシングアセンブリにおいて行われた。
トランスフェクションの前日に、細胞を1.5×10細胞/mLで6mM L-グルタミンを補充したCDCHO培地に播種した。
トランスフェクションの日に、細胞をViCell装置(Beckman & Coulter)で計数した。必要数の細胞を250gで10分間遠心分離し、そして上清を捨てた。
各トランスフェクション条件について、20×10個の細胞を10分間250gで遠心分離した。ペレットを70μL Maxcyte緩衝液を用いて再懸濁した。DNA 30μgを加え、そして混合物(細胞、緩衝液及びDNA)を100μL Maxcyteエレクトロポレーションカセットに移した。使用したプロセシングアセンブリは、100μLカセットに特有のOC-100であり、そしてCHOに最適化されたプログラムを選択した。
以下のトランスフェクションを行った。
Figure 2022526497000007
エレクトロポレーション後に、細胞を25mL作業エルレンマイヤーフラスコに移した。これらを37℃、5%COの静的インキュベーターに45分間置いた。6mM L-グルタミンを補充した25mL CDCHO培地を加えて細胞を再懸濁し、そしてエルレンマイヤーフレスコを37℃、5%CO、湿度70%の、110rpm振盪機に置いた。
エレクトロポレーションの翌日に、1ウェルあたり単一の細胞を上記のCHO9E4トランスフェクトプールからの限界希釈により播種した。約20日後、細胞が約90%コンフルエントになり、顕微鏡下で検査した場合に正常に見えたら、細胞をウリジンを含むか又は含まない2つの新しい96ウェルに分けた。
ウリジンの欠乏に対するそれらの感受性についていくつかのクローンを選択した。これらのクローンを、6mMグルタミン及び5mMウリジンを補充したCDCHO培地における増殖のために順化させた。
遺伝子編集が成功したことを確認するために、Qiagen DNeasy kitTM(Qiagen)を使用してCRISPR-Cas9クローン細胞からゲノムDNAを抽出した。CRISPR-Cas9により標的化されるDHODH遺伝子座の領域に適したプライマーを使用して、標的遺伝子座をPCRにより増幅し、そしてPCR産物を、可能性のある欠失した領域を網羅するPCRフラグメントを使用してNGSにより配列決定した。
実施例4: 組み換えタンパク質産生のためのDHODH欠乏CHO細胞株の使用
これらのクローンがテリフルノミドなしで抗体を発現することができるがどうかを検証するために、実施例2又は3において得られた有効なDHODH欠乏CHOクローンで抗体産生を試験した。
設計されたベクターを製造して、濃度5mg/mLで調製した。これらは全て、トランスポサーゼをコードするプラスミドであるpBH6209とは別に、産生細胞のゲノムにおけるプラスミドの組み込みのためのトランスポゾン系の使用を可能にするITRを有する。
使用された細胞株は、CHO 9E4_SP11野生型並びにDHODHについてのKO2及びKO19ノックアウトであった。
CHO 9E4_SP11を、6mM L-グルタミンを添加したCDCHO培地で培養した。
KO2及びKO19を、6mM L-グルタミン及び5mMウリジンを添加したCDCHO培地で培養した。
これらを初めに25mL作業エルレンマイヤーフラスコにおいて培養し、そして必要な生存細胞数に達するまで増幅した。
Maxcyteにより開発された高効率エレクトポレーションプロトコルを使用してMaxcyte STX装置において様々なタンパク質を製造した。
トランスフェクションの1日前に細胞を1.5×10に分割した。
トランスフェクションの日に、2つのベクター:PiggyBac認識部位(末端逆位反復、ITR)に隣接したヒト抗CD38重鎖(HC)及び軽鎖(LC)発現カセット及びDHODH選択マーカー(WO2016/062837に記載されるとおり)を含有するDNAプラスミド発現ベクター並びにトランスポゾンのTTAA部位におけるCHOゲノムへの移動を触媒するTransposagenからのトランスポサーゼベクターを用いて細胞を同時トランスフェクトした。
各トランスフェクション条件のために、80×10個の細胞を10分間250gで遠心分離した。ペレットを250μL Maxcyte緩衝液に再懸濁した。DNA 120μgを加え、そしてこの混合物(細胞、緩衝液及びDNA)を400μL Maxcyteエレクトロポレーションカセットに移した。使用したプロセシングアセンブリは400μLカセットに特有のOC-400であり、そしてCHOに最適化されたプログラムを選択した。
回収段階のために、トランスフェクトされた細胞を撹拌することなく125mlフラスコに37℃で40分間即座に移した。6mMグルタミン(KO細胞については+5mMウリジン)を補充した予め温めたCDCHO培地25mLを加え、そしてトランスフェクトされた培養物を37℃で8%CO及び湿度80%のインキュベーターにおいて維持した。トランスフェクションの1日後に、細胞を遠心分離し、そして6 mMグルタミン、30% FeedB(Gibco)及び様々な量のテリフルノミド(0、5、15及び25μM)を補充したCD OPTiCHOTM選択培地(Gibco)に1×10細胞/mLで再懸濁した。
トランスフェクションの14日後に、細胞を200gで10分間25℃で遠心分離した。上清を0.22μm PESフィルターに通して濾過し、そして抗体力価をOctet装置を使用して測定した。
図3に示されるように、2つのクローン(KO2及びKO19)は、テリフルノミド無しで良好な産生を示し、そしてゲノムNGSは、これら2つのクローンがDHODH遺伝子座の2つの対立遺伝子にノックアウト変異を含有するということを示した。
意外なことに、全てのKOクローンは、選択剤としてのテリフルノミドが存在しなくても抗体を産生した。2つのクローンKO2及びKO19をさらなる試験のために選択した。さらに、DHODH遺伝子のホモ接合ノックアウトを示したのはこれらの引用したクローンのみであった。
従って、この実施例は、本発明がいずれの選択圧を使用しなくても抗体の産生を可能にする一組の細胞株及びベクターを提供するということを示す。
実施例5: 3つのヒトDHODHバリアントの評価
ヒトDHODHを損なった形態の使用がCHOゲノムへの組み込みコピー数を増強し、そしてそれによりより良好な生産性を可能にするかどうかを確認するために、DHODH KO2、KO19及びWT CHO 9E4細胞株を、ミラー症候群患者において記載される3つのヒトDHODH cDNAバリアント(R135C、G202A及びR346W、詳細にはFang et al. (2012) Biosci.32:631-639を参照のこと)を用いてトランスフェクトした。コントロールベクターとしてヒトWT DHODHをコードするcDNAを有するプラスミドをトランスフェクトした。
SalI-BglII制限酵素で消化された、ヒト抗CD38モノクローナル抗体、mAb-A (pBH6204)をコードするプラスミドベクター50ngを、各バリアント(R135C、G202A、及びR346W)に対応するSalI-BglII精製DNAフラグメント37.5ngと混合した。T4-DNAリガーゼ(BioLabs)1μL及び濃縮ライゲーション緩衝液を加えた後、ライゲーション反応(最終体積10μL)を10分間室温で行った。
次いで、このDNAプールのアリコートを使用してE.coliコンピテント細胞(StellarTM、Takara)を形質転換した。
小スケールプラスミド調製を、市販のQiagenプラスミドミニプレップキット(Qiagen)を用いて製造者の推奨に従って行った。
603センス(配列 GTTGGCCTTCCAATGGCTT、配列番号41)及び503アンチセンス(配列 GTTCCTTCACAAAGAT、配列番号42)オリゴヌクレオチドを使用したDNA配列決定は、GATCの再委託業者 - A Eurofins Genomics Companyにより行われた。
DHODHバリアントのトランスフェクションを、MaxCyte STXを使用したエレクトポレーションにより行った。これらは、上記のようにOC-100プロセシングアセンブリで行われた。
トランスフェクションの1日後に、細胞を遠心分離し、そして9E4 CHO細胞には6mMグルタミン及び25μMテリフルノミドを補充し、そしてKO2及びKO19クローンにはテリフルノミドを用いないCD CHO選択培地に1×10細胞/mLで再懸濁した。
2継代後に、9E4 CHO細胞には30%FeedB及び6mMグルタミン及び25μMテリフルノミドを補充し、そしてKO2及びKO19クローンにはテリフルノミドを用いないCD OPTiCHO培地で、mAb-Aの産生を0.3×10細胞/mLで開始した。
トランスフェクションの14日後に、細胞を200gで10分間25℃で遠心分離した。上清を0.22μm PESフィルターに通して濾過し、そして抗体力価をOctet装置を使用して測定した。
図4に示されるように、WT CHO 9E4及びDHODH KOクローンでのR138C及びR346W DHODH変異で有意な効果は観察されなかった。他方で、G202A変異は、WT CHO 9E4株を用いたグラムスケールの抗体製造を獲得し、そしてDHODH KO2及びKO19クローンの生産性を増強することを可能にした。
実施例6: 本発明の発現系を使用したタンパク質製造
最終生産性が、少なくとも選択可能マーカーとしてヒトグルタミン合成酵素(GS)を使用する従来技術の発現系と同じ範囲であることを確認するために、本発明の発現系を使用して、特に上の実施例3において開示された有効なクローンCHO 9E4 KO2及びKO19における上で開示されたG202A変異を含むヒトDHODH cDNAを使用して、様々な種類のタンパク質を製造した。
以下のタンパク質を製造した:
リパーゼ
・ 単シストロン性cDNA PLBL2-Hisを使用する、及び
・ 選択可能マーカーhDHODH G202Aプラスミド又はhGSプラスミドを使用する、
モノクローナル抗体(mAb-B)
・ 抗体のVH及びVL鎖をコードする2シストロン性cDNAを使用する、並びに
・ 選択可能マーカーhDHODH G202Aプラスミド又はhGSプラスミドを使用する;
二重特異性抗体
・ (i)抗体のVH及びVL鎖をコードする2シストロン性cDNA、又は(ii)それぞれ抗体のVH及びVL鎖をコードする2つの単シストロン性を使用する、並びに
・ 選択可能マーカー(i)hDHODH G202Aプラスミド(2シストロン性cDNA)又は(ii)2つのhDHODH G202AプラスミドもしくはhDHODH G202Aプラスミド及びhGSプラスミド(単シストロン性cDNA)を使用する;
三重特異性抗体
・2つの2シストロン性cDNAを使用する、及び
・選択可能マーカーhDHODH G202Aプラスミド及びhGSプラスミドを使用する。
FectoPRO(登録商標)トランスフェクションの1日前に、6mMグルタミン及び5mMウリジンを添加したCD CHO培地中1.5×10細胞/mLに細胞を希釈した。
トランスフェクションの日に、6mM L-グルタミン及び5mMウリジンを補充したCD CHO中1.1×10細胞/mlに細胞懸濁液を希釈した。FectoPRO(登録商標)試薬を5秒間ボルテックスし、そして遠心沈殿した後、空の50mLチューブに25μL/チューブを加えた。第2の50mLチューブに、cDNA 12.5μgをCD CHO培地中で希釈し、そして希釈したDNAを純粋なFectoPRO(登録商標)試薬に全て一度に加えた。この溶液をすぐにホモジナイズし、そして10分間インキュベートした。FectoPRO(登録商標)/DNAトランスフェクション混合物を細胞上に注ぎ、そして培養物を37℃、190rpm及びCOレベル8%でインキュベートした。
トランスフェクションの24時間後に、細胞をInvitrogenTM CountessTM装置を用いて計数した。全細胞培養物を200gで10分間遠心分離した。ペレットを以下に開示された条件で予熱した製造培地2 5mLに再懸濁した。
3つ又はそれ以上のサブユニットを含む複合体タンパク質の場合、第二のトランスフェクションを上記のトランスフェクションのプロトコルを再度使用して行った。
Figure 2022526497000008
Figure 2022526497000009
Figure 2022526497000010
Figure 2022526497000011
トランスフェクションの72時間後に、InvitrogenTM CountessTM装置を用いて細胞を計数し、そして別の培地に変更することでタンパク質産生をブーストした。さらに、トランスフェクトされた細胞の生存率をトランスフェクションの3日後及び7日後に測定した。
トランスフェクション14日後に、細胞を200gで10分間及び25℃で遠心分離した。上清を0.22μm PESフィルターに通して濾過し、そしてタンパク質力価をOctet装置を使用して測定した。
以下の結果を得た。
a) リパーゼ
Figure 2022526497000012
14日目のリパーゼ産生を図5に示す。
これらの結果は、両方のKO DHODH細胞株がテリフルノミド選択圧の存在しない場合にリパーゼを産生する能力を有するということを示し、これは産生細胞に対する毒性を減少させることを可能にする。
さらに、KO DHODH細胞株は、従来技術のGS系(野生型9E4 CHO細胞において)と同じ範囲で、すなわち25mlスケールで1g/lでリパーゼを産生することが可能であった。
b)モノクローナル抗体 mAb-B
Figure 2022526497000013
14日目のモノクローナル抗体mAb-B産生を図6に示す。
これらの結果は、KO DHODH細胞株が、この特定の抗体の産生の間、異なる挙動を示したということを示す。実際に、たとえ両方のクローンが従来技術のテリフルノミド産生よりも良好な生産性を生じても、KO19クローンは、KO2クローンよりも有意に良好な生産性を生じた。
最良のKO細胞株(KO19)において、抗体産生は、25mlスケールでおよそ0.67g/lという従来技術のGS系(野生型9E4 CHO細胞において)と同じ範囲であった。
さらに、増加した生存率がKO細胞株を使用して観察された。
c)二重特異性抗体
Figure 2022526497000014
14日目の二重特異性抗体産生を図7に示す。
二重特異性抗体は、全ての試験された場合において、単一特異性抗体ほど効率的に産生されなかった。しかし、この種の二重特異性抗体を産生する困難性にもかかわらず、最良のKO細胞株の生産性は、従来技術のGS系(野生型9E4 CHO細胞において)と同じ範囲、25mlスケールでおよそ0.145g/lであった。
さらに、増加した生存率がKO細胞株を使用して観察された。
d) 三重特異性抗体
Figure 2022526497000015
14日目の三重特異性抗体産生を図8に示す。
全ての条件において、2つのKO細胞株は、従来技術の選択系と同じ範囲、すなわち優れた0.5g/lの結果を生じた。
従ってこの実施例は、KO DHODH CHOクローンが様々なタンパク質形式(タンパク質、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、三重特異性抗体)の発現に適していることを裏付ける。これらのクローンは複合体タンパク質を製造するために二重トランスフェクションにさえ使用することができる。

Claims (17)

  1. 部分的又は完全に不活化されている内因性ジヒドロオロト酸脱水素酵素(DHODH)遺伝子を含む細胞株。
  2. チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株である、請求項1に記載の細胞株。
  3. 細胞株は、
    a)細胞における内因性DHODH遺伝子を不活化すること、及び
    b)該細胞を、ウリジンを含む培地で、内因性DHODH遺伝子が部分的又は完全に不活化された細胞株を生成するために適した条件下で培養すること
    により製造される、請求項1又は2に記載の細胞株。
  4. 内因性DHODH遺伝子は遺伝子編集法により不活化される、請求項3に記載の細胞株。
  5. 内因性DHODH遺伝子はCRISPR-Cas9法により不活化される、請求項4に記載の細胞株。
  6. 内因性DHODH遺伝子の1つもしくはそれ以上又は全ての対立遺伝子が部分的又は完全に不活化されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の細胞株。
  7. 細胞株は、外因性哺乳動物DHODHをコードするヌクレオチド配列及び組み換えタンパク質を発現するための少なくとも1つの発現カセットを含む発現ベクターをさらに含み、ここで該外因性DHODHは、配列番号2の配列又は配列番号4の配列と少なくとも60%同一である配列を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の細胞株。
  8. (i)請求項1~6のいずれか1項に記載の細胞株、並びに
    (ii)哺乳動物DHODHをコードするヌクレオチド配列及び組み換えタンパク質を発現するための少なくとも1つの発現カセットを含む発現ベクター
    を含む発現系であって、ここで、該DHODHは、配列番号2の配列又は配列番号4の配列と少なくとも60%同一である配列を含む、上記発現系。
  9. 上記ヌクレオチド配列は、配列番号1の配列及び配列番号3の配列を含む、請求項7に記載の細胞株又は請求項8に記載の発現系。
  10. 上記組み換えタンパク質はモノクローナル抗体である、請求項7もしくは9に記載の細胞株又は請求項8もしくは9に記載の発現系。
  11. 上記ベクターは、抗体軽鎖のクローニングに適した第一の発現カセット、及び抗体重鎖のクローニングに適した第二の発現カセットを含む、請求項7、9及び10のいずれか1項に記載の細胞株、又は請求項8~10のいずれか1項に記載の発現系。
  12. (i)請求項7及び9~11のいずれか1項に記載の細胞株、又は請求項8~11のいずれか1項に記載の発現系、及び(ii)ウリジンを含まず、さらに特にDHODH阻害剤を含まない培地、を含むキット。
  13. A) a1)請求項7及び9~11のいずれか1項に記載の細胞株を供給する工程;
    又は
    a2)請求項1~6のいずれか1項に記載の細胞株を供給する工程、及び
    a2’)請求項9~11のいずれか1項において定義される発現ベクターを、工程a2)において供給された細胞株に導入する工程;
    又は
    a3)内因性DHODH遺伝子を含む細胞株を供給する工程、
    a3’)工程a3)において供給された細胞株において内因性DHODH遺伝子を部分的もしくは完全に不活化する工程、及び
    a3’’)請求項9~11のいずれか1項において定義される発現ベクターを、工程a3’)において得られた部分的もしくは完全に不活化された内因性DHODH遺伝子を含む細胞株に導入する工程;
    B)該細胞株を、組み換えタンパク質の産生に適した条件下で培養する工程;並びに
    C)該組み換えタンパク質を単離及び/もしくは精製する工程
    を含む、組み換えタンパク質をインビトロで製造する方法。
  14. 工程B)は、ウリジンを含まず、特にさらにDHODH阻害剤を含まない培地で行われる、請求項13に記載の方法。
  15. 上記組み換えタンパク質を製剤化して医薬組成物にする工程D)をさらに含む、請求項13又は14に記載の方法。
  16. 組み換えタンパク質を製造するための、請求項7及び9~11のいずれか1項に記載の細胞株、請求項9~11のいずれか1項に記載の発現系、又は請求項12に記載のキットの使用。
  17. 細胞株、発現系又はキットは、ウリジンを含まず、特にDHODH阻害剤が存在しない培地と組み合わせて使用される、請求項16に記載の使用。
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