JP2022526152A - 広範なnir保護のためのnir染料の混合物を含む偏光レンズ - Google Patents

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Abstract

光学素子及びその製造方法が開示される。光学素子は、光学基材中で混合される2種以上の近赤外線吸収剤と、光学基材上に配置された1つ又はそれ以上の機能性フィルムとを含有する。光学素子を製造する方法は、異なる近赤外線波長吸収範囲及び残留色を有する2種の近赤外線吸収剤を、光学基材の前駆体と混合することを含む。混合物をその後処理し、広範な近赤外線波長吸収範囲、高い近赤外線吸収レベル、及び/又は均質な色分布を有する光学素子が製造される。

Description

本発明は、光学素子及びその製造方法に関する。より特に本発明は、光学基材中に混合された複数の近赤外線吸収剤と、光学基材上に配置された機能性フィルムとを含有する光学素子に関する。
赤外線(IR)放射線は、可視光より長い波長を有する電磁放射線である。赤外線放射線は、一般に、以下:780~3000nmの波長を有する近赤外線(NIR)範囲;3μm~50μmの波長を有する中赤外線(MIR)範囲;及び50~1000μmの波長を有する遠赤外線(FIR)範囲を含む、3つの小区域に分割することができる780nm~1mmの範囲の波長を有する。
眼に対するNIR放射線の影響を評価するために、広範囲の研究が実施されてきた。研究の結果によると、NIRが網膜色素上皮に吸収されることが示された。NIRのフルエンス率、全線量及びスペクトル特性次第で、フォトメカニカル(光音響)プロセス、フォトサーマル(加熱)プロセス及びフォトケミカルプロセスの少なくとも1つによって、構造的な網膜損傷が生じる可能性がある。さらにまた、多くの研究結果によって、常習的なNIR曝露と眼の白内障発生との間の強い相関性が示された。したがって、NIR放射線に対する眼の曝露を制限することが望ましい。
網膜へのNIR光の到達を減少させるため、又は防ぐために、一般に光学物品(例えばサングラスレンズ材料)中に光学フィルタリング手段が組み込まれる。さらに特に、NIR放射線に対する眼の保護を提供するために、光学レンズ上でNIR吸収フィルター及び干渉フィルター(例えば反射フィルター)を含む、2種類のNIRフィルターを使用することができる。しかしながら、高いNIR吸収が光学フィルターの反射防止性能に悪影響を及ぼすことが証明されているように、反射防止機能を含む他の機能と一緒に、最適化されたNIR吸収性能を有する多機能性フィルターを設計することは困難である。光学物品上に堆積される光学コーティング中にNIR吸収剤を組み込むことができる。しかしながら、光学コーティング中でのNIR吸収剤の直接的な組み込みは、レンズの製造費用を有意に増加させる可能性があり、同時に光学コーティングの機械特性を低下させる可能性がある。
NIR保護を改善するための別の選択肢としては、NIR吸収剤による基材の含浸又はNIR吸収剤との基材前駆体の混合によって、光学物品のバルク基材中にNIR吸収剤を組み込むことが挙げられる。しかしながら、ほとんどの市販のNIR吸収剤は、レンズ製造プロセスの条件に関して熱的に不安定である。例えば、偏光レンズは、一般に、射出成形によって、レンズの前面上に配置された偏光ウエハを有する状態で製造される。射出成形間の温度は300℃より高い温度に達する可能性があり、この温度では多くの市販のNIR吸収剤は分解し、その結果、製造されたレンズのNIR保護の損失がもたらされる。さらにまた、レンズ基材中に混合された商業的に入手可能なNIR吸収剤は、製造されたレンズの光透過率を有意に減少させる可能性があり、その結果、透過分類に関する規格を満たさない製造レンズがもたらされる。追加的に、市販のNIR吸収剤は一般に残留色を有し、そのため、レンズの色外観が変化する可能性がある。
全体として、NIR保護の機能を有する光学レンズ又は他の光学素子は既存であるが、これらの光学レンズ又は光学素子に関する少なくとも前記の欠点を考慮して、この分野の改善に関する要求は持続している。
近赤外線(NIR)保護を有する光学素子と関連する上記課題に対する解決案が発見された。この解決案は、前面上に1つ又はそれ以上の機能性フィルムが配置された光学基材と、光学基材中に混合された2種以上の近赤外線吸収剤とを含む光学素子に基づく。近赤外線吸収剤は、光学基材中で実質的に均質に混合されることが可能である。光学物品が従来のNIR保護光学物品と比較して、より広範の波長範囲で近赤外線放射線を吸収することができるように、光学素子中の2種以上の近赤外線吸収剤は異なる近い赤外線範囲を有し得る。さらに、相乗効果的な残留色強度が最小化されて、そしてNIR吸収剤によって引き起こされる光学素子の色外観の変化を避けるように、光学素子中の2種以上の近赤外線吸収剤は異なる残留色を有し得る。さらに、光学素子中のNIR吸収剤は、NIR吸収剤によって引き起こされる光透過率の相乗効果的な減少を最小化し、そして分解することなく光学素子の製造条件に耐えるように適応される。したがって、本発明の光学素子は、従来のNIR保護光学素子と関連する少なくともいくつかの課題に対する技術的な解決案を提供する。
本発明のいくつかの実施形態は、光学素子に関する。いくつかの態様において、光学素子は、前面及び背面を含む光学基材を含み得る。光学素子は、光学基材中に実質的に均質に混合された2種以上の近赤外線吸収剤を含み得る。いくつかの態様において、光学素子は、光学素子の前面及び/又は背面上に配置された1つ又はそれ以上の機能性フィルムを含み得る。いくつかの態様において、2種以上の近赤外線吸収剤は、異なる近赤外線カット範囲及び/又は異なる残留色を有する。
本発明のいくつかの実施形態は、光学素子の調製方法に関する。いくつかの態様において、本方法は、光学基材用の前駆体材料と、2種以上の近赤外線吸収剤を提供することを含み得る。いくつかの態様において、本方法は、2種以上の近赤外線吸収剤が、2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれの個々の赤外線カット範囲よりも広範な赤外線カット範囲及び/又は2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれの個々赤外線吸収範囲よりも高い赤外線吸収レベルを相乗効果的に生じる、2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれに対する濃度を決定することを含み得る。いくつかの態様において、本方法は、実質的に均質な混合物を形成するために決定された濃度で、前駆体材料及び2種以上の近赤外線吸収剤を混合することを含み得る。いくつかの態様において、本方法は、混合物を使用することによって、光学基材と、その前面及び/又は背面上に配置された機能性フィルムとを含む光学素子を製造することを含み得る。
「約」又は「およそ」という用語は、当業者によって理解される通り、近いこととして定義される。1つの非限定的な実施形態において、この用語は、10%以内、好ましくは5%以内、より好ましくは1%以内、そして最も好ましくは0.5%以内であるために定義される。
「重量%」、「体積%」又は「モル%」という用語は、それぞれ、その構成要素を含む材料の全重量、全体積又は全モルに基づく、構成要素の重量、体積又はモルパーセントを意味する。
「実質的に」という用語及びその変形は、10%以内、5%以内、1%以内、又は0.5%以内の範囲を含むために定義される。
「抑制」、「減少」、「防ぐ」、又は「避ける」という用語及びその変形は、請求項及び/又は明細書中に使用される場合、所望の結果を達成するためのいずれの測定可能な減少又は完全な抑制を含む。
「有効」という用語は、明細書及び/又は請求項中に使用される場合、所望された、期待された、又は意図された結果を達成するために適切であることを意味する。
「a」又は「an」という用語の使用は、請求項又は明細書中で「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」、又は「有する(having)」という用語とともに使用される場合、「1つ」を意味し得るが、「1つ又はそれ以上」、「少なくとも1つ」及び「1つ又は2以上」の意味にも一致する。
「含む(comprising)」(並びに「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」などの「含む(comprising)」のいずれかの形態)、「有する(having)」(並びに「有する(have)」及び「有する(has)」などの「有する(having)」のいずれかの形態)、「含む(including)」(並びに「含む(includes)」及び「含む(include)」などの「含む(including)」のいずれかの形態)、又は「含有する(containing)」(並びに「含有する(contains)」及び「含有する(contain)」などの「含有する(containing)」のいずれかの形態)という用語は、包括的であるか、又は無制限であり、且つ追加的な列挙されていない要素又は方法ステップを除外しない。
本発明のプロセスは、本明細書を通して開示される特定の成分、構成要素、組成などを「含む」ことが可能であるか、又はそれから「本質的になる」ことが可能であるか、又はそれから「なる」ことが可能である。
本発明の他の対象、特徴及び利点は、以下の図面、詳細説明及び実施例から明らかになる。しかしながら、図面、詳細説明及び実施例は、本発明の特定の実施形態を示しているが、実例としてのみ記載されており、限定するように意図されないことは理解されるべきである。追加的に、本発明の精神及び範囲内での変更及び修正は、この詳細説明から当業者に明らかになると考えられる。さらなる実施形態において、特定の実施形態からの特徴が、他の実施形態からの特徴と組み合わせられてもよい。例えば、1つの実施形態からの特徴が、他のいずれかの実施形態からの特徴と組み合わせられてもよい。さらなる実施形態において、追加的な特徴が、本明細書に記載される特定の実施形態に追加されてもよい。
より完全な理解のために、ここで、以下の説明は添付の図面とともに参照される。
開示された実施形態による、機能性フィルム及び2種以上の近赤外線吸収剤を含有する光学素子を製造する方法の図式的なフローチャートを示す。 Epolight(商標)9837近赤外線吸収剤を含有するレンズ(図2A)及びEpolight(商標)3157近赤外線吸収剤を含有するレンズのスペクトル透過率のプロットを示す。 515°F(図3A)、555°F(図3B)及び590°F(図3C)で射出成型されたEpolight(商標)9837近赤外線吸収剤を有する、製造されたポリカーボネートレンズのスペクトル透過率のプロットを示す。 515°F(図4A)、555°F(図4B)及び590°F(図4C)で射出成型されたEpolight(商標)3157近赤外線吸収剤を有する、製造されたポリカーボネートレンズのスペクトル透過率のプロットを示す。 1.50B(図5A)、4.25B(図5B)及び8.50B(図5C)のレンズベースによって表3に列挙されたそれぞれのレンズ構成のスペクトル透過率のプロットを示す。 高透過率偏光レンズ、標準偏光レンズ及び非偏光レンズの写真を示す。これらは全て、Epolight(商標)9837及びEpolight(商標)3157近赤外線吸収剤を含有する。図6Aは、1.3mmの中心厚さを有する-7.00パワーのレンズの写真であり、図6Bは、6.5mmの中心厚さを有する+4.00パワーのレンズの写真である。
NIR保護機能を有する現在利用可能な光学物品には、製造プロセスの間の近赤外線吸収剤の分解、近赤外線吸収剤によって引き起こされる色外観の変化、及び不十分なNIR吸収波長範囲を含む不備がある。本発明は、これらの課題の少なくとも一部に関する解決案を提供する。この解決案は、光学基材中で混合される2種以上のNIR吸収剤を含む光学素子を前提とする。光学素子が、それぞれの近赤外線吸収剤よりも広範なNIR吸収範囲を有するように、2種以上の近赤外線吸収剤は異なるNIR吸収範囲を有し得る。追加的に、近赤外線吸収剤が相乗効果的に中間残留色を有し、NIR吸収剤によって引き起こされる光学物品の色変化の最小化がもたらされるように、2種以上の近赤外線吸収剤は異なる残留色を有する。さらに、光学基材中に混合されたNIR吸収剤は、光学物品の製造条件下で熱的に安定であり、射出成形などの高温プロセスの間のNIR吸収剤の分解が避けられる。
本発明のこれら及び他の非限定的な態様は、以下の項目でより詳細に議論される。
A.近赤外線保護を有する光学素子
近赤外線は、眼の損傷を引き起こすことが証明されている。眼用レンズなどの光学素子は、使用者の眼を保護するために、近赤外線保護機能を組み込むことができる。しかしながら、従来は、近赤外線吸収剤は、一般に、光学素子上でさらなるプロセスが適用されることを要求する光学フィルター中に、又は近赤外線吸収剤によって機械強度が悪影響を受ける可能性がある光学コーティングの中に組み込まれる。近赤外線吸収剤は、光学基材中に組み込まれることが可能である。しかしながら、多くの市販の近赤外線吸収剤は光学物品の製造条件下で熱的に不安定であり、光学物品製造のために使用可能な製造プロセスを制限することとなる。光学物品中の近赤外線吸収剤は光学物品の色の変化を引き起こす可能性があり、それによって、光学物品の美的外観に悪影響を与える可能性がある。
本明細書に開示される光学素子は、射出成形を含むレンズ製造プロセスのための高いプロセス温度において熱的に安定である。光学素子は、光学素子の近赤外線波長カット範囲を拡張することが可能であり、そして異なる吸収範囲及び/又は異なる残留色を有する2種以上の近赤外線吸収剤を光学素子の光学基材中に組み込むことによって近赤外線吸収剤の残留色を最小化することが可能である。いくつかの実施形態は、光学素子を含む。いくつかの例において、光学素子は眼用レンズであることが可能である。眼用レンズは、サングラスレンズ又は実質的に無色の透明レンズを含むことができる。
本発明の実施形態において、光学素子は、前面及び背面を含む光学基材を含むことができる。いくつかの態様において、光学基材の前面は、眼用レンズの凸面を含み得る。いくつかの態様において、光学素子の背面は、眼用レンズの凹面を含み得る。光学基材の非限定的な例としては、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリル、ポリアミド、ポリ(メチルメタクリレート)、コポリエステル、セルローストリアセテート、アリルジグリコールカーボネート、ポリエピスルフィド、トライベックス(trivex)、ポリアクリル、ポリオール、ポリアミン、ポリアンヒドリド、ポリカルボン酸(polycarboxilic acid)、ポリエポキシド、ポリイソシアネート、ポリノルボルネン、ポリシロキサン、ポリシラザン、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリアリリック、ポリスルフィド、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリアリーレン、ポリオキシド、ポリスルホン、ポリシクロオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリペンテン又はそのいずれかの組合せが挙げられる。
本発明の実施形態において、光学素子は、光学基材中で混合される2種以上の近赤外線吸収剤を含むことができる。いくつかの態様において、2種以上の近赤外線吸収剤としては、ポリメチン、フタロシアニン、ポルフィリン、トリフェニルメタン、イミニウム、スクアリリウム、クロコニウム、ジチオレン、キノン、ポリペリレン、ピリリウム(pyrilium)、チオピリリウム(thiopyrilium)、シアニン又はそのいずれかの組合せを挙げることができる。いくつかの態様において、光学素子は、約10~2000ppm、並びに10~20ppm、20~30ppm、30~40ppm、40~50ppm、50~60ppm、60~70ppm、70~80ppm、80~90ppm、90~100ppm、100~200ppm、200~300ppm、300~400ppm、400~500ppm、500~600ppm、600~700ppm、700~800ppm、800~900ppm、900~1000ppm、1000~1100ppm、1100~1200ppm、1200~1300ppm、1300~1400ppm、1400~1500ppm、1500~1600ppm、1600~1700ppm、1700~1800ppm、1800~1900ppm及び1900~2000ppmの範囲を含むその間の全ての範囲及び値の2種以上の近赤外線吸収剤を含む。
いくつかの例において、2種以上の近赤外線吸収剤は、光学基材中で実質的に均質に混合され得る。いくつかの例において、2種以上の近赤外線吸収剤は、光学基材の中央部分よりも光学基材の前面部分及び/又は背面部分において高い濃度で混合され得る。いくつかの態様において、前面部分は、光学基材の前面に最も近い光学基材の厚さの約3分の1を含み得る。いくつかの態様において、背面部分は、光学基材の背面に最も近い光学基材の厚さの約3分の1を含み得る。
いくつかの例において、光学素子中の2種以上の近赤外線吸収剤は、200~400℃の温度範囲、並びに200~210℃、210~220℃、220~230℃、230~240℃、240~250℃、250~260℃、260~270℃、270~280℃、280~290℃、290~300℃、300~310℃、310~320℃、320~330℃、330~340℃、340~350℃、350~360℃、360~370℃、370~380℃、380~390℃及び390~400℃を含むその間の全ての範囲及び値における分解を実質的に避けるために熱的に安定である。いくつかの態様において、2種以上の近赤外線吸収剤は、異なる近赤外線カット範囲及び/又は異なる残留色を有する。いくつかの態様において、光学素子中の2種以上の近赤外線吸収剤は、2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれ個々の色強度よりも低い、相乗効果的な色強度を生じるように適応される。いくつかの例において、2種以上の近赤外線吸収剤の相乗効果的な色強度は、0~5のクロマ範囲、並びに0~0.5、0.5~1、1~1.5、1.5~2、2~2.5、2.5~3、3~3.5、3.5~4、4~4.5及び4.5~5の範囲を含むその間の全ての範囲及び値であり得る。いくつかの例において、2種以上の近赤外線吸収剤は、相乗効果的に中間色であるか、又は好ましくは無色である。
いくつかの態様において、光学素子は、780~2000nmの波長範囲、並びに780~820nm、820~860nm、860~900nm、900~940nm、940~980nm、980~1020nm、1020~1060nm、1060~1100nm、1100~1140nm、1140~1180nm、1180~1200nm、1200~1240nm、1240~1280nm、1280~1320nm、1320~1360nm、1360~1400nm、1400~1440nm、1440~1480nm、1480~1520nm、1520~1560nm、1560~1600nm、1600~1640nm、1640~1680nm、1680~1720nm、1720~1760nm、1760~1800nm、1800~1840nm、1840~1880nm、1880~1920nm、1920~1960nm、1960~2000nmの範囲を含むその間の全ての範囲及び値の近赤外線放射を吸収することが可能であり得る。いくつかの態様において、光学素子中の2種以上の近赤外線吸収剤は、2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれの個々の赤外線カット範囲よりも広い、相乗効果的な赤外線カット範囲を生じるように適応される。
いくつかの態様において、光学素子中の2種以上の近赤外線吸収剤は、2種以上の近赤外線吸収剤のいずれの個々の近赤外線吸収レベルよりも高い相乗効果的な赤外線吸収レベルを発生するように適応される。いくつかの態様において、2種以上の近赤外線吸収剤の相乗効果的な近赤外線透過率レベルは、(TsIR780-2000(%)として決定される)5~80%の範囲、並びに5~10%、10~15%、15~20%、20~25%、25~30%、30~35%、35~40%、40~45%、45~50%、50~55%、55~60%、60~65%、65~70%、70~75%及び75~80%の範囲を含むその間の全ての範囲及び値であることが可能である。いくつかの態様において、光学素子中の2種以上の近赤外線吸収剤は、0~1%、1~2%、2~3%、3~4%、4~5%、5~6%~6~7%、7~8%、8~9%及び9~10%の範囲を含む、光学基材に関する(Tv%(D65)として決定される)380~780nmの波長範囲における平均光学透過率における10未満の減少を相乗効果的に引き起こすように適応される。
いくつかの態様において、光学素子は、光学基材の前面及び/又は背面上に配置された1つ又はそれ以上の機能性フィルムを含むことができる。機能性フィルムの非限定的な例としては、偏光フィルム、フォトクロミックフィルム、カラーフィルム、染色可能フィルム、ブルーカットフィルム、クロノカットフィルムを含む光フィルターフィルム、及びそのいずれかの組合せが含まれる。いくつかの例において、機能性フィルムとしては、約50%未満の平均光透過率レベルを有する偏光フィルムが含まれる。いくつかの態様において、偏光フィルムは、ポリビニルアルコール偏光層、ポリアセチレン偏光層、ポリエン偏光層、ポリビニレン偏光層、ポリエチレンテレフタレート(PET)偏光層又はワイヤーグリッド偏光層の少なくとも1つを含む偏光フィルターを曲線形ウエハに形成することによって調製され得る。偏光フィルムは、単層構造又は多層構造を有し得る。いくつかの例において、偏光フィルムは、1つ又はそれ以上の保護又は機能性層を含み得る。保護層の非限定的な例としては、ポリカーボネート(PC)保護層、酢酸セルロース(CA)、酢酸酪酸セルロース(CAB)、三酢酸セルロース(TAC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアミド(PA)、PET、環式オレフィンコポリマー(COC)、環式オレフィンポリマー(COP)及びその組合せが含まれ得る。機能性層の非限定的な例としては、フォトクロミック層、ブルーカット層、UVカット層、カラー強化層、染色可能層、ミラー層又はそのいずれかの組合せが含まれ得る。いくつかの態様において、偏光フィルムとしては、高透過フィルターが含まれ得る。
いくつかの態様において、光学素子は実質的に均質な色を有する。いくつかの態様に、光学素子は、8%より高い、好ましくは8~50%並びに8~11%、11~14%、14~17%、17~20%、20~23%、23~26%、26~29%、29~32%、32~35%、35~38%、38~41%、41~44%、44~47%及び47~50%の範囲を含むその間の全ての範囲及び値の平均光線透過率レベルを有する。いくつかの態様において、光学素子は、約2未満の中心とその端部との間のデルタE値を有する。デルタEは、光学素子の中心と端部との間の色の差を表す。デルタE値は、
Figure 2022526152000002
のCIE76式を使用して算出することができる。L、a、bは、CIE刊行物15.2(1986)、4.2セクションにおいて定義されるカラースケールであり、L,aは中心のカラースケールを表し、Lは端部のカラースケールを表す。より詳しくは、L*は明度値であり、L*=0で最も暗い黒、そしてL*=100で最も明るい白を表し;a*及びb*はカラーチャネルであり、a*=0及びb*=0で真の中性グレー値を表す。a*軸は緑-赤成分を表し、マイナス方向が緑、そしてプラス方向が赤である。b*軸は青-黄成分を表し、マイナス方向が青、そしてプラス方向が黄である。
B.NIR吸収剤を含有する光学素子の製造方法
従来は、NIR吸収光学素子を製造する方法は、光学基材前駆体中で近赤外線吸収剤を混合することを含み、そして混合物を使用して光学素子を製造する。それにもかかわらず、光学素子を製造するためのプロセス条件は、しばしば近赤外線吸収剤が熱的に不安定である高温を含み、その結果、製造された光学素子の近赤外線吸収能力の損失がもたらされる。さらに、従来法で使用される近赤外線吸収剤は光学素子の色外観を変える可能性があり、このことは、光学素子の美的外観に悪影響を与え得る。
本明細書に開示される方法は、従来法のこれらの欠点を避けることができる。図1に示すように、実施形態は、近赤外線放射を吸収することが可能である、上記の光学素子を調製する方法100を含む。いくつかの態様において、光学素子は眼用レンズを含み得る。いくつかの例において、光学素子は、サングラスレンズ又は無色眼用レンズであることが可能である。
いくつかの実施形態において、ブロック101に示されるように、方法100は、光学基材用の前駆体材料と、2種以上の近赤外線吸収剤を提供することを含み得る。いくつかの態様において、前駆体材料としては、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリル、ポリアミド、ポリ(メチルメタクリレート)、コポリエステル、セルローストリアセテート、アリルジグリコールカーボネート、ポリエピスルフィド、トライベックス(trivex)、ポリアクリル、ポリオール、ポリアミン、ポリアンヒドリド、ポリカルボン酸(polycarboxilic acid)、ポリエポキシド、ポリイソシアネート、ポリノルボルネン、ポリシロキサン、ポリシラザン、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリアリリック、ポリスルフィド、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリアリーレン、ポリオキシド、ポリスルホン、ポリシクロオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリペンテンの光学基材用の前駆体又はそのいずれかの組合せが挙げられる。いくつかの態様において、2種以上の近赤外線吸収剤は、異なる近赤外線カット範囲及び/又は異なる残留色を有する。いくつかの態様において、2種以上の近赤外線吸収剤としては、ポリメチン、フタロシアニン、ポルフィリン、トリフェニルメタン、イミニウム、スクアリリウム、クロコニウム、ジチオレン、キノン、ポリペリレン、ピリリウム(pyrilium)、チオピリリウム(thiopyrilium)、シアニン及びその組合せを含む群から選択される。
いくつかの実施形態において、ブロック102に示されるように、方法100は、2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれに対する濃度を決定することを含む。いくつかの態様において、2種以上の近赤外線吸収剤は、ブロック102において決定された濃度において、2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれの個々の赤外線カット範囲よりも広範な赤外線カット範囲及び/又は2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれの個々赤外線吸収範囲よりも高い赤外線吸収レベルを相乗効果的に生じる。いくつかの例において、2種以上の近赤外線吸収剤は、10~2000ppmの第1のNIR吸収剤及び10~2000ppmの第2のNIR吸収剤を含む。いくつかの態様において、ブロック102において提供された2種以上の近赤外線吸収剤は、200~400℃の温度、並びに200~210℃、210~220℃、220~230℃、230~240℃、240~250℃、250~260℃、260~270℃、270~280℃、280~290℃、290~300℃、300~310℃、310~320℃、320~330℃、330~340℃、340~350℃、350~360℃、360~370℃、370~380℃、380~390℃及び390~400℃を含むその間の全ての範囲及び値において熱的に安定である。
いくつかの態様において、ブロック102において決定することは、種々の濃度の2種以上の近赤外線吸収剤を用いて複数の光学素子を製造すること、及び1つ又はそれ以上の基準に基づき、2種以上の近赤外線吸収剤の濃度の1つ又はそれ以上の組合せを選択することを含む試行錯誤方法によって実行される。いくつかの例において、この基準には、2種以上の近赤外線吸収剤の相乗効果的な色が中性又は無色であること、それぞれの赤外線吸収剤の個々の近赤外線吸収レベルより高い相乗効果的な近赤外線吸収レベル、それぞれの赤外線吸収剤の個々の近赤外線カット範囲よりも広範な相乗効果的な近赤外線カット範囲、10%未満の近赤外線吸収剤によって引き起こされる380~780nmの波長範囲における平均光学透過率の相乗効果的な減少、及び近赤外線吸収剤を含有する製造された光学素子の実質的な色均一性の1つ又はそれ以上が含まれ得る。
いくつかの実施形態において、ブロック103に示されるように、方法100は、ブロック102において得られた決定された濃度で前駆体材料及び2種以上の近赤外線吸収剤を混合して、混合物を形成することを含む。いくつかの態様において、混合物は実質的に均質であることが可能である。いくつかの実施形態において、混合は、0~400℃の範囲、並びに0~20℃、20~40℃、40~60℃、60~80℃、80~100℃、100~120℃、120~140℃、140~160℃、160~180℃、180~200℃、200~220℃、220~240℃、240~260℃、260~280℃、280~300℃、300~320℃、320~340℃、340~360℃、360~380℃及び380~400℃を含むその間の全ての範囲及び値の温度で実行可能である。いくつかの態様において、ブロック103における混合は、前駆体材料の第2の量を、紫外線染料、モノマー、触媒、放出剤の1種又はそれ以上又はそのいずれかの組合せと任意選択的に混合して、第1の混合物を製造することを含み得る。
いくつかの実施形態において、ブロック104に示されるように、方法100は、ブロック103で得られる混合物を使用して、その前面及び/又は背面上に配置された光学機能性フィルムを含む光学素子を製造することを含む。いくつかの態様において、製造ステップは、2種以上の近赤外線吸収剤の近赤外線吸収レベルへの影響を実質的に有さないプロセス条件下で射出成形又はキャスティングによって光学素子を形成することを含むことが可能である。
いくつかの例において、ブロック104における製造は、射出成形によって偏光ポリカーボネート眼用レンズを製造することを含む。いくつかの態様において、射出成形プロセスは、偏光フィルムを射出成形用の型の内面に配置すること、溶融ポリカーボネート及び近赤外線吸収剤を含む混合物を型の中に射出すること、型の中で混合物を冷却することによって固化し、偏光ポリカーボネートレンズを製造することを含む。いくつかの態様に、混合物は、25~170℃、並びに25~40℃、40~55℃、55~70℃、70~85℃、85~100℃、100~115℃、115~130℃、130~145℃、145~160℃及び160~170℃を含むその間の全ての範囲及び値の温度で型の中に射出される。いくつかの態様において、方法100は、ブロック104において製造された光学素子をクリーニングすることを含み得る。
本発明の実施形態が図1のブロックに関して説明されたが、本発明の操作が、図1中に示される特定のブロック及び/又は特定のブロックの順序に限定されないことは認識されるべきである。したがって、いくつかの実施形態は、図1のものとは異なる順序で、種々のブロックを使用して、本明細書に記載される機能性を提供し得る。
本発明の開示の一部として、特定の実施例が以下に含まれる。本実施例は、例証目的のためだけであり、本発明を制限するように意図されない。当業者は、本質的に同一の結果を得るために、変更可能又は修正可能であるパラメーターを容易に認識するであろう。
実施例1
(近赤外線吸収剤の評価)
ポリカーボネート眼用レンズ中の2種の近赤外線吸収剤のNIRカット範囲、色特性及び熱安定性を含む特性を評価した。試験された近赤外線吸収剤を表1に列挙する。
Figure 2022526152000003
Epolight(商標)9837(Epolin,USA)及びEpolight(商標)3157(Epolin,USA)近赤外線吸収剤のそれぞれを50ppmの濃度でPCペレットと混合した。515°F(268.3℃)、555°F(290.5℃)及び590°F(310.0℃)を含む3つの異なる射出成形温度で、混合物を2mm(厚さ)の平面レンズへと射出成形した。それぞれのレンズ試料に関して、近赤外線カット範囲及びレベル、射出成形プロセス間の熱安定性、並びにレンズ光透過スペクトルを試験した。
図2Aは、Epolight(商標)9837近赤外線吸収剤を含有するレンズのスペクトル透過率を示し、そして図2Bは、Epolight(商標)3157近赤外線吸収剤を含有するレンズのスペクトル透過率を示す。近赤外線吸収レベル(NIRカット(%))及び残留色特性を表2にまとめる。
Figure 2022526152000004
近赤外線吸収剤の熱安定性の結果を図3A~3C及び図4A~4Cに示す。図3A~3Cは、それぞれ515°F(268.3℃)、555°F(290.5℃)及び590°F(310.0℃)で射出成形されたEpolight(商標)9837を有する製造されたポリカーボネートレンズの光スペクトル透過率を示す。図4A~4Cは、それぞれ515°F(268.3℃)、555°F(290.5℃)及び590°F(310.0℃)で射出成形されたEpolight(商標)3157を有する製造されたポリカーボネートレンズの光スペクトル透過率を示す。この結果は、Epolight(商標)9837吸収剤に関して、射出成形温度が515°Fから590°Fまで増加すると、近赤外線吸収レベルが減少し、そして近赤外線吸収範囲が広がったことを示す。Epolight(商標)吸収剤に関しては、射出成形温度が515°Fから590°Fまで増加した場合、近赤外線吸収レベルは、近赤外線吸収レベル及び範囲に関して実質的に変化しなかった。したがって、Epolight(商標)9837は、555°F及び590°Fにおいて熱的に不安定であるが、515°Fにおいては安定である。Epolight(商標)3157は、3つの全ての試験された温度において安定である。
実施例2
(複数の近赤外線吸収剤を有する偏光レンズ)
Epolight(商標)9837及びEpolight(商標)3157近赤外線吸収剤を使用して、射出成形によってポリカーボネートベースの偏光レンズを製造した。それぞれのレンズ試料中、それぞれの近赤外線吸収剤の濃度は100ppmであった。標準(Std.)透過偏光ウエハ及び高透過(Hi-T)偏光ウエハの両方を使用した。それぞれの試料のためのポリカーボネートペレット及び2種の近赤外線吸収剤の混合物を515°F(268.3℃)で射出成形した。射出成形プロセスの間に、偏光ウエハを型の内部前面(凹)表面上に配置した。レンズ試料のそれぞれのセットのための成分を表3に列挙する。
Figure 2022526152000005
Figure 2022526152000006
それぞれの試料の光スペクトル透過率を測定した。1.50B、4.25B及び8.50B試料に対してそれぞれ結果を図5A~5Cに示す。この結果は、両方の近赤外線吸収剤を有する全ての試料が、近赤外線吸収剤を含まない試料と比較して、改善された近赤外線吸収範囲及び高い近赤外線吸収レベルを有することを示す。
それぞれのレンズ試料の780~2000nmの範囲の赤外線透過率TsIR780-2000は、以下の方程式を使用して算出された。
Figure 2022526152000007
式中、Es(λ)は、ISO 12312で定義される太陽スペクトル放射線であり;NIRカット(%)は、100-TsIR780-2000によって定義される値である。レンズ試料のそれぞれのセットのためのD65源値による算出された可視透過率(Tv D65)、及び近赤外線吸収剤の有無によるレンズ試料間のこれらの値の差(表5中の「Diff」)を表5に示す。
Figure 2022526152000008
表5の結果は、偏光レンズ試料中の近赤外線吸収剤が全光透過Tv(%)のわずかな減少を引き起こすことを示し、このことは、近赤外線吸収剤が着用者の視覚による認識に最小限の相乗効果的な影響を及ぼすことを示す。表5は、両方の近赤外線吸収剤を有するレンズが、偏光レンズ試料の近赤外線吸収レベルにおける有意な増加を有することをさらに示す。さらにまた、図6A及び6Bに示されるように、選択された近赤外線吸収剤(NIR染料)は、低い色強度で相乗効果的に中性着色された。2種の近赤外線吸収剤は、1.3mmの中心厚さ(CT)を有する-7.00パワーの偏光レンズ(図6A)及び6.5mmの中心厚さ(CT)を有する+4.00パワーのレンズ(図6B)の色を有意に変えない。
本出願の実施形態及びそれらの利点が詳細に説明されたが、添付の請求の範囲によって定義されるように、実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の変化、置換及び変更が実行可能であることを理解すべきである。さらに、本出願の範囲は、本明細書に記載されるプロセス、処理、機械、製造、組成物、手段、方法及び/又はステップの特定の実施形態に限定されるように意図されない。当業者が上記の開示から容易に認識するように、本明細書に記載される相当する実施形態と実質的に同じ機能を実行するか、又は実質的に同じ結果を達成する既存の、又は今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法又はステップも利用されてよい。したがって、添付の請求の範囲は、それらの範囲中にそのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法又はステップを含むように意図される。

Claims (15)

  1. 前面及び背面を含む光学基材と、
    前記光学基材中で実質的に均質に混合される2種以上の近赤外線吸収剤と、
    前記光学基材の前記前面及び/又は前記背面上に配置された1つ又はそれ以上の機能性フィルムと
    を含む光学素子であって、
    前記2種以上の近赤外線吸収剤が、異なる近赤外線カット範囲及び/又は異なる残留色を有する光学素子。
  2. 前記光学素子が眼用レンズを含む、請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記光学素子中の前記2種以上の近赤外線吸収剤が、前記2種以上の近赤外線吸収剤のいずれの個々の近赤外線吸収レベルよりも高い相乗効果的な近赤外線吸収レベルを発生するように適応される、請求項1に記載の光学素子。
  4. 前記光学素子中の前記2種以上の近赤外線吸収剤が、前記2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれの個々の赤外線カット範囲よりも広い、相乗効果的な赤外線カット範囲を生じるように適応される、請求項1に記載の光学素子。
  5. 前記光学素子中の前記2種以上の近赤外線吸収剤が、前記光学基材に関する380~780nmの波長範囲における平均光学透過率における10%未満の減少を相乗効果的に引き起こすように適応される、請求項1に記載の光学素子。
  6. 前記光学基材が、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリル、ポリアミド、ポリ(メチルメタクリレート)、コポリエステル、セルローストリアセテート、アリルジグリコールカーボネート、ポリエピスルフィド、トライベックス、ポリアクリル、ポリオール、ポリアミン、ポリアンヒドリド、ポリカルボン酸、ポリエポキシド、ポリイソシアネート、ポリノルボルネン、ポリシロキサン、ポリシラザン、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリアリリック、ポリスルフィド、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリアリーレン、ポリオキシド、ポリスルホン、ポリシクロオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリペンテン又はそのいずれかの組合せを含む、請求項1に記載の光学素子。
  7. 前記2種以上の近赤外線吸収剤が、ポリメチン、フタロシアニン、ポルフィリン、トリフェニルメタン、イミニウム、スクアリリウム、クロコニウム、ジチオレン、キノン、ポリペリレン、ピリリウム、チオピリリウム、シアニン又はそのいずれかの組合せを含む、請求項1に記載の光学素子。
  8. 前記1つ又はそれ以上の機能性フィルムが、偏光フィルム、フォトクロミックフィルム、カラーフィルム、染色可能フィルム、ブルーカットフィルム、クロノカットフィルム、近赤外線フィルターフィルムを含む光フィルターフィルム又はそのいずれかの組合せを含む、請求項1に記載の光学素子。
  9. 前記光学素子が10~2000ppmの前記2種以上の近赤外線吸収剤を含む、請求項1に記載の光学素子。
  10. 前記光学素子が実質的に均質な色を有する、請求項1に記載の光学素子。
  11. 前記機能性フィルムが、約50%未満の平均光透過率レベルを有する偏光フィルムを含む、請求項10に記載の光学素子。
  12. 前記光学素子が、約8%より高い平均光透過率レベルを有する、請求項10に記載の光学素子。
  13. 前記光学素子が、約2未満の中心とその端部との間の色の差を表すデルタE値を有する、請求項1に記載の光学素子。
  14. 請求項1~13のいずれか一項に記載の光学素子の調製方法であって、
    前記光学基材用の前駆体材料と、2種以上の前記近赤外線吸収剤を提供することと、
    前記2種以上の近赤外線吸収剤が、前記2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれの個々の赤外線カット範囲よりも広範な赤外線カット範囲及び/又は前記2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれの個々赤外線吸収範囲よりも高い赤外線吸収レベルを相乗効果的に生じる、前記2種以上の近赤外線吸収剤のそれぞれに対する濃度を決定することと、
    実質的に均質な混合物を形成するために決定された濃度で、前記前駆体材料及び前記2種以上の近赤外線吸収剤を混合することと、
    前記混合物を使用して、前記光学基材と、その前面及び/又は背面上に配置された前記機能性フィルムとを含む前記光学素子を製造することと
    を含む方法。
  15. 前記製造ステップが、前記2種以上の近赤外線吸収剤の前記近赤外線吸収レベルへの影響を実質的に有さないプロセス条件下で射出成形又はキャスティングによって前記光学素子を形成することを含む、請求項14に記載の方法。
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