JP2022526111A - 加熱可能なインレイ要素を備えている乗り物複合ペイン - Google Patents

Abstract

本発明は、乗り物複合ペイン（１）に関し、少なくとも１つの熱可塑性中間層（４）を介して互いに結合されている第一ペイン（２）及び第二ペイン（３）、並びに第一ペイン（２）と第二ペイン（３）との間に配置されているインレイ要素（５）、を少なくとも有している。インレイ要素（５）は、少なくとも１つのカットアウト部（８）を有している不透明層（６）、透明基材層（７）、及び透明電気加熱可能層（９）を有している。【選択図】図１

Description

本発明は、加熱可能なインレイ要素を備えている乗り物複合ペイン、その製造のための方法、及びその使用に関する。

現代的な乗り物は、ますます多くの光学センサを備えており、これらセンサのシグナルが、運転者を支援するために使用される。そのようなセンサの例としては、カメラ、例えばビデオカメラ若しくは暗視カメラ、雨センサ、光センサ、又は距離メーターが挙げられる。前方向きのセンサが、しばしば、ウィンドシールドの内部側表面において、典型的には、上方端部の近傍において中央に、固定されている。従来技術において、センサは、ウィンドシールドにおける、不透明なマスキング印刷によって、隠されている。これのために、慣用的な、周縁的な枠様のマスキング印刷が、センサの領域において、ペインの中央の方向に、大幅に拡大されている。この慣用的な、周縁的な枠様のマスキング印刷は、主に、ウィンドシールドの組立接着材のＵＶ防護としての役割を果たす。

従来のセンサは、それらの検出方向が水平に延在しているようにして、ウィンドシールドに取り付けられる。ウィンドシールドは、乗り物において、大きく傾いて、例えば垂直に対する設置角度６０°で設置されているので、センサの検出方向は、ウィンドシールドと、非常に鋭角な約３０°の角度を形成している。これは、比較的大きい、実質的に台形の、ウィンドシールドのいわゆる「センサ領域」又はセンサウィンドウを生じる。センサウィンドウは、ウィンドシールドの領域であって、通過する放射が、センサによって検出される。すなわち、ウィンドシールドのセンサウィンドウは、センサの検出光線経路に存在している領域である。

ペインに固定されるセンサが多いほど、ウィンドシールドのより大きな面積が、センサ領域の合計によって占められ、かつ、センサを隠すために意図されているマスキング印刷が、より大きい必要がある。

乗り物複合ペインの製造過程で、マスキング印刷は、個々のペインを曲げる前に、スクリーン印刷により、外側ペイン又は内側ペインに適用される。通常５００℃から７００℃の温度で行われる曲げ工程過程で、それぞれのペインより多くの熱がスクリーン印刷に吸収される。これは、スクリーン印刷、特に黒色印刷によって囲まれるセンサウィンドウの光学歪み、及び／又はガラスの破損をもたらし得る。

センサウィンドウは、氷又は霧から免れるように保たれるべきである。これは、例えば、加熱可能なセンサウィンドウによって可能になり得る。この目的のため、センサウィンドウの領域には、電熱線が積層されている。このような電熱線の積層は、しかしながら、センサウィンドウの光学品質に悪影響を及ぼす。

独国特許第１０２４９９９２号明細書及び欧州特許出願公開第２９７７２０２号明細書は、導電層と不透明エッジストリップとを有している複合ペインを開示している。

独国特許出願公開第１０２０１２０１８００１号明細書は、センサウィンドウと不透明マスキング印刷とを有している、加熱可能な乗り物複合ペインを開示している。

加熱可能なセンサ領域を有しているペインは、独国特許出願公開第１０２００９０２６０２１号明細書に開示されている。

本発明の目的は、特にセンサウィンドウが加熱可能であり、かつ、センサウィンドウの光学品質が改善され、及び／又は曲げ加工中のガラス破損のリスクが低減された、改良された乗り物複合ペインを提供することである。

本発明の目的は、本発明に従って、請求項１の乗り物複合ペインにより、達成される。好ましい実施形態が、従属請求項に示されている。

図１は、本発明に係る乗り物複合ペインの実施形態の平面図である。 図２は、Ａ－Ａ’線に沿った、図１の本発明に係る乗り物複合ペインの断面である。 図３は、Ａ－Ａ’線に沿った、本発明に係る乗り物複合ペインの別の実施形態の断面である。 図４は、インレイ要素の実施形態の断面。 図５は、インレイ要素の別の実施形態の断面。 図６は、インレイ要素の別の実施形態の断面。 図７は、インレイ要素の別の実施形態の断面。 図８は、インレイ要素の別の実施形態の断面。 図９は、インレイ要素の別の実施形態の断面。 図１０は、インレイ要素の別の実施形態の断面。 図１１は、本発明に係る乗り物複合ペインの別の実施形態の平面図。 図１２は、本発明に係る乗り物複合ペインの別の実施形態の平面図。 図１３は、本発明に係る乗り物複合ペインの別の実施形態の平面図。 図１４は、本発明に係る乗り物複合ペインの別の実施形態の平面図。 図１５は、本発明に係る乗り物複合ペインの別の実施形態の平面図。 図１６は、本発明に係る方法の実施形態のフローチャート。

本発明に係る乗り物用複合ペインは、少なくとも１つの熱可塑性中間層を介して互いに結合されている、第一ペイン及び第二ペインと、第一ペイン及び第二ペインの間に配置されているインレイ要素と、を少なくとも備えている。

本発明によれば、インレイ要素は、少なくとも１つのカットアウト部を有している不透明層と、透明基材層と、そして透明導電層と、を備えている。

本発明によれば、透明導電層は、電気加熱可能層、すなわち、電圧が印加されたときに加熱される層である。

インレイ要素において、層の異なる配列及び実施形態が可能である。インレイ要素における層の、配列及び実施形態は異ならせてよい。インレイ要素における異なる層配列は、そのようなインレイ要素を有する、本発明に係る乗り物複合ペインの異なる実施形態をもたらす。

本発明に係る乗り物複合ペインの一実施形態において、インレイ要素は、透明基材層が不透明層と透明電気加熱可能層との間に配置されるように構成されている。

別の実施形態において、インレイ要素の層構造では、透明基材層と不透明層との間に透明電気加熱可能層が配置されている。

一実施形態における、インレイ要素において、透明基材層が枠様の様式で不透明層に囲まれており、すなわち、透明基材層が不透明層の少なくとも１つのカットアウト部範囲内に完全に配置されている。この実施形態において、透明電気加熱可能層は、その表面全体に亘って、不透明層と透明基材層とに直接隣接して配置されている。従って、それはインレイ要素の長さ及び幅の全体に延設され、すなわち、不透明層と同じ外形寸法を有している。不透明層が１つより多くのカットアウト部を有している場合、この実施形態においては、透明基材層の１つのサブセクションがこれらのカットアウト部のそれぞれに配置され、ここで、サブセクションのそれぞれが枠様の様式で不透明層に囲まれる。透明基材層と不透明層とを一体的に実施することも可能である。これは、例えば、透明基材層の特定領域への不透明な着色により実現できる。このような実施形態において、別個の不透明層は不要である。

透明基材層と透明電気加熱可能層とは、電気加熱可能透明基材層として一体的に実施することも可能である。一実施形態における、インレイ要素において、少なくとも１つのカットアウト部を有している不透明層が、電気加熱可能透明基材層に直接隣接して配置されている。別の実施形態において、不透明層は、電気加熱可能透明基材層を取り囲み、すなわち、電気加熱可能透明基材層は、不透明層のカットアウト部範囲内に完全に配置されている。不透明層が１つより多くのカットアウト部を有している場合、この実施形態においては、電気加熱可能透明基材層のサブセクションがこれらのカットアウト部のそれぞれに配置され、ここで、それらサブセクションのそれぞれが枠様の様式で不透明層に囲まれる。

一実施形態における、インレイ要素において、不透明層と透明電気加熱可能層とは、少なくとも１つのカットアウト部を有している電気加熱可能不透明層として一体的に実施されており、かつ、透明基材層が、その表面全体に亘って、電気加熱可能不透明層と少なくとも１つのカットアウト部とに直接隣接して配置されている。従って、それはインレイ要素の長さ及び幅の全体に延設され、すなわち、電気加熱可能不透明層と同じ外形寸法を有している。

別の実施形態における、インレイ要素において、不透明層と透明電気加熱可能層とは、少なくとも１つのカットアウト部を有している電気加熱可能不透明層として一体的に実施されており、かつ、透明基材層は、電気加熱可能不透明層の少なくとも１つのカットアウト部範囲内に完全に配置されている。言い換えれば、この実施形態においては、透明基材層が、電気加熱可能不透明層によって枠様の様式で囲まれている。電気加熱可能不透明層が１より多くのカットアウト部を有する場合、この実施形態においては、透明基材層のサブセクションにそれらカットアウト部のそれぞれが配置され、ここで、それらサブセクションのそれぞれが、電気加熱可能不透明層によって枠様の様式で囲まれる。

第一ペインと第二ペインとは、典型的にはガラスからできている。この場合、第一ペインは外側ペインに；かつ、第二ペインは、本発明に係る乗り物複合ペインの内側ペインになり得る。代替的には、第二ペインは外側ペインに；かつ、第二ペインは、本発明に係る乗り物複合ペインの外側ペインにもなり得る。乗り物複合ペインは、車両内部を外部環境から分離することが意図されている。乗り物複合ペインは、従って、車体の窓開口部に設置されるウィンドウペインである、又はそのために意図されるものである。本発明に係る乗り物複合ペインは、特に自動車のウィンドシールドである。

用語「内側ペイン」は、設置位置において車両の内部に面することが意図されるペインを意味する。「外側ペイン」は、設置位置において車両の外部環境に面することが意図されるペインを意味する。上述したように、本発明に係る乗り物複合ペインにおいては、第一ペインが外側ペイン、第二ペインが内側ペインになり得て、又は代替的に、第二ペインが外側ペイン、第一ペインが内側ペインになり得る。それぞれのペインの、設置位置で外部環境に面する表面は、外部側表面と呼ばれ、それぞれのペインの、設置位置で車両の内部に面する表面は、内部側表面と呼ばれる。

乗り物複合ペインのうち、センサの検出光路に配置されている、又はその目的ために意図されている領域は、センサ領域又はセンサウィンドウと呼ばれる。センサウィンドウにおいて乗り物複合ペインを通過した放射線は、センサによって検出される。

センサがカメラであるとき、乗り物複合ペインの、検出光路に配置されている、又はその目的のために意図されている領域は、カメラ領域又はカメラウィンドウとも呼ばれ得る。カメラウィンドウにおいて乗り物複合ペインを通過した放射線は、カメラによって検出される。

本発明に係る乗り物複合ペインの好ましい実施形態において、インレイ要素の不透明層における少なくとも１つのカットアウト部は、光学センサ用のセンサウィンドウである。

本発明に係る乗り物複合ペインは、特に、設置位置において内側ペインであるペイン上に光学センサを固定するために提供され、かつ、それに適している。その目的のために、内側ペインの内部側表面には、ブラケット又はハウジング等の適切なマウントが設けられ得る。

光学センサは、好ましくは、ビデオカメラや暗視カメラ等のカメラ、雨センサ、光センサ、距離メーター、ＬｉＤａＲ（Ｌｉｇｈｔ Ｄｅｔｅｃｔｉｏｎ ａｎｄ Ｒａｎｇｉｎｇ）システム等である。１つより多くの光学センサがある場合、個々の光学センサの種類が異なることさえあり得る。

一実施形態において、乗り物複合ペインは、内側ペインの内部側表面に固定され、かつ、少なくとも１つのカットアウト部に向けられた、少なくとも１つの光学センサを更に含む。乗り物複合ペインを通して外側から見る場合、センサは、好ましくは不透明層又は電気加熱可能不透明層によって覆われ、従って、外側から見えない。

好ましくは、不透明層又は電気加熱可能不透明層のカットアウト部の数は、それぞれの場所において１つのカットアウト部に１つのセンサを向けられるように、光学センサの数に対応している。しかしながら、複数のセンサが同一のカットアウト部に向かい、カットアウト部の数はセンサの数より少ないこともあり得る。

一実施形態において、少なくとも１つのカットアウト部は台形状である。台形状のカットアウト部は、特に、カメラのセンサウィンドウとして適している。別の実施形態において、少なくとも１つのカットアウト部は、円形形状又は楕円形状である。円形形状又は楕円形状のカットアウト部は、特に雨センサ用のセンサウィンドウとして適している。不透明層又は電気加熱可能不透明層が１つより多くのカットアウト部を有するとき、それらは異なる形状を有することさえあり得る。

少なくとも１つのカットアウト部の面積は、少なくともそれぞれのセンサに必要なセンサウィンドウのサイズに対応しており、好ましくはそれぞれのセンサに必要なセンサウィンドウのサイズに正確に対応している。カットアウト部は、好ましくは、少なくとも１ｃｍ²、特に好ましくは１ｃｍ²から５００ｃｍ²、最も好ましくは１０ｃｍ²から２５０ｃｍ²、特に、２０ｃｍ²から１００ｃｍ²、例えば３５ｃｍ²の面積を有している。不透明層が複数のカットアウト部を有しているとき、それらの面積は異なり得る。

第一ペイン、第二ペイン、及び少なくとも１つの熱可塑性中間層は、通常、同一の寸法を有している。

寸法の点で、インレイ要素は、好ましくは、第一ペイン、第二ペイン、及び少なくとも１つの熱可塑性中間層よりも小さいことが好ましい。例えば、インレイ要素は、ペインを部分的にしか覆っていない。インレイ要素の面積は、一実施形態において、乗り物複合ペインの面積のうち、最大でも９５％、好ましくは最大でも７５％、特に好ましくは最大でも５０％、最も特に好ましくは最大でも１０％である。

好ましい実施形態において、インレイ要素の不透明層は、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）又はポリエチレン（ＰＥ）、特にＰＥＴを含む。特に好ましい実施形態において、インレイ要素の不透明層は、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）又はポリエチレン（ＰＥ）、特にＰＥＴからできている。

言うまでもなく、不透明層は、透明基材層又は電熱加熱可能透明基材層の、不透明なコートとしても実施でき得る。従って、不透明なコートとして実施される不透明層は、第一ペイン又は第二ペインに適用される不透明なマスキング印刷とは異なる。透明基材層又は電気加熱可能透明基材層に不透明コートを適用するための、適切な不透明コート及び印刷方法は、当業者に知られている。

不透明層は、好ましくは１０μｍ（ミクロン）及び２００μｍの間の厚さ、特に好ましくは１００μｍ及び２００μｍの間の厚さ、最も好ましくは１２５μｍ及び１８０μｍの間の厚さである。好ましい実施形態において、不透明層の厚さは１２５μｍ又は１５０μｍである。

好ましい実施形態において、インレイ要素の透明基材層は、熱可塑性プラスチック若しくは熱硬化性プラスチックを含み、又は熱可塑性プラスチック若しくは熱硬化性プラスチックからできている。代替的には、透明基材層は、厚さが０．５ｍｍ以下、好ましくは０．２ｍｍ以下、特に好ましくは０．１ｍｍ以下のガラス層であり得る。

好ましくは、透明基材層は、エチレンビニルアセテート（ＥＶＡ）、ポリビニルブチラール（ＰＶＢ）、ポリウレタン（ＰＵ）、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、ポリエチレン（ＰＥ）、若しくはポリエステル、又はそれらの混合物、共重合体、若しくは誘導体を含む、又はそれらからできている。特に好ましくは、透明基材層は、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）を含む、又はポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）からできている。

透明基材層の厚さは、好ましくは１０μｍ及び５００μｍの間、特に好ましくは５０μｍ及び２００μｍの間、最も好ましくは８０μｍ及び１２５μｍの間である。透明基材層の厚さは、例えば、５０μｍ又は１００μｍである。

透明電気加熱可能層は、電気加熱可能コート、炭素含有層、又は金属層であり得る。代替的に、透明電気加熱可能層は、導電性ポリマーを含み得る、又はそれからでき得る。どのような材料が透明電気熱可能層として適しているかは、当業者に知られている。例えば、透明電気的加熱可能層は、インジウムスズ酸化物（ＩＴＯ）層若しくはコート、銀若しくは銀含有合金を含む層若しくはコート、金、アルミニウム、若しくはタングステンを含む層若しくはコート、グラファイトを含む層若しくはコート、又はグラフェンであり得る。導電性、従って加熱可能ポリマーの例としては、ポリスチレンスルホン酸（ＰＳＳ）を対イオンとするポリ－３，４－エチレンジオキシチオフェン（ＰＥＤＯＴ）、ドープされたポリアセチレン（ＰＡＣ）、及びポリアニリン（ＰＡｎｉ）等が挙げられる。

透明電熱加熱可能層の厚さは、好ましくは５μｍ及び５０μｍの間、特に好ましくは５μｍ及び２０μｍの間、最も好ましくは８μｍ及び１５μｍの間である。透明電熱加熱可能層の厚さは、例えば、１０μｍである。

導電要素、すなわち透明電気加熱可能層がコートとして適用されている実施形態において、導電要素、すなわち透明電気加熱可能層の厚さは、好ましくは１０ｎｍ及び５０００ｎｍの間、好ましくは１０ｎｍ及び１００ｎｍの間である。

電気加熱可能透明基材層は、導電性ポリマーを含み得る、又はそれからでき得る。導電性ポリマーの例としては、ポリスチレンスルホン酸（ＰＳＳ）を対イオンとするポリ－３，４－エチレンジオキシチオフェン（ＰＥＤＯＴ）、ドープされたポリアセチレン（ＰＡＣ）、及びポリアニリン（ＰＡｎｉ）等が挙げられる。

電気加熱可能透明基材層の厚さは、好ましくは５μｍ及び１５０μｍの間、特に好ましくは１０μｍ及び１００μｍの間、最も好ましくは５０μｍ及び１００μｍの間である。電気加熱可能な透明基材層の厚さは、例えば、５０μｍ又は１００μｍである。

電気加熱可能不透明層は、導電性ポリマーを含み得る、又はそれからでき得る。導電性ポリマーの例としては、ポリスチレンスルホン酸（ＰＳＳ）を対イオンとするポリ－３，４－エチレンジオキシチオフェン（ＰＥＤＯＴ）、ドープされたポリアセチレン（ＰＡＣ）、及びポリアニリン（ＰＡｎｉ）等が挙げられる。

電気加熱可能不透明層は、好ましくは１０μｍ及び５００μｍの間の厚さであり、特に好ましくは１００μｍ及び２００μｍの間の厚さであり、最も好ましくは１２５μｍ及び１８０μｍの間の厚さである。好ましい実施形態では、電気加熱可能不透明層は、１２５μｍ又は１５０μｍの厚さである。

好ましい実施形態において、不透明層又は電気加熱可能不透明層は、少なくとも部分的に、８００ｎｍ及び１１００ｎｍの間の範囲の波長を有する赤外線放射に対して透明である。これらの実施形態において、不透明層又は電気加熱可能不透明層は、従って、赤外線センサ、又は光検出及び測距（ＬｉＤａＲ）センサの放射に対して、少なくとも部分的に透明である。

少なくとも１つの熱可塑性中間層は、好ましくは、エチレンビニルアセテート（ＥＶＡ）、ポリビニルブチラール（ＰＶＢ）、若しくはポリウレタン（ＰＵ）又はそれらの混合物若しくは共重合体若しくは誘導体を含み、特に好ましくはＰＶＢである。熱可塑性中間層の厚さは、好ましくは０．２ｍｍから２ｍｍ、特に好ましくは０．３ｍｍから１ｍｍ、例えば０．３８ｍｍ又は０．７６ｍｍである。乗り物複合ペインが２つ以上の熱可塑性中間層を含むとき、個々の中間層は異なる材料であり得る。

一実施形態において、乗り物複合ペインは、１つの熱可塑性中間層を正確に介して互いに結合されている、第一ペインと第二ペインとを有している。この場合、インレイ要素は、第一ペインと熱可塑性中間層との間、又は第二ペインと熱可塑性中間層との間に配置される。

別の実施形態において、乗り物複合ペインは、少なくとも２つの熱可塑性中間層を介して互いに結合されている、第一ペインと第二ペインとを有している。この場合、インレイ要素は、好ましくは、２つの熱可塑性中間層の間に配置される。

本発明に係る乗り物複合ペインの好ましい実施形態において、不透明層又は電気加熱可能不透明層は黒色である。不透明層又は電気加熱可能不透明層は、しかしながら、他の任意の色にもなり得る。不透明層又は電気的加熱可能不透明層は、全体に亘り着色された層として、又はインプリント層としても実施し得る。

本発明に係る乗り物複合ペインは、特に暗色、好ましくは黒色のエナメルでできたマスキング印刷を追加的に含み得る。好ましくは、不透明層又は電気加熱可能不透明層と、マスキング印刷とは、実質的に同じ光学濃度を有する。マスキング印刷は、特に周縁的なマスキング印刷、すなわち枠様のマスキング印刷である。周縁的なマスキング印刷は、主に乗り物複合ペインの組立接着材のＵＶ保護としての役割を果たす。マスキング印刷は、不透明であり得て、表面全体を覆い得る。マスキング印刷は、例えば、ポイントグリッド、ストリップグリッド、又はチェッカーグリッドとして、少なくとも部分的に半透明でも実施され得る。代替的に、マスキング印刷は、例えば、不透明な被覆から半透明な被覆へのグラデーションをも有し得る。

「実質的に同じ光学濃度」とは、２つの材料の光学濃度が互いに最大でも５％、好ましくは３％、特に好ましくは最大でも２％異なることを意味する。

本発明に係る乗り物複合ペインの好ましい実施形態において、不透明層又は電気加熱可能不透明層と同色のマスキング印刷を含んでいる。

マスキング印刷は、通常、設置位置で外側ペインを構成するそのペインの内部側表面、又は、設置位置で内側ペインを構成するそのペインの内部側表面に適用される。

一実施形態において、乗り物複合ペインは、１つの熱可塑性中間層を正確に介して互いに結合されている、第一ペインと第二ペインとを有しており；マスキング印刷が外側ペインに適用されている。この場合、インレイ要素は、外側ペインと熱可塑性中間層との間に配置されることが好ましく；インレイ要素の不透明層又は電気加熱可能不透明層は、外側ペインに直接隣接して配置されることが特に好ましい。

別の実施形態において、乗り物複合ペインは、１つの熱可塑性中間層を正確に介して互いに結合されている、第一ペインと第二ペインとを有しており；マスキング印刷が、内側ペインの内部側表面に適用されている。この場合、インレイ要素は、内側ペインと熱可塑性中間層との間に配置されることが好ましく；インレイ要素の不透明層又は熱可塑性中間層は、内側ペインに直接隣接して配置されることが特に好ましい。

別の実施形態において、乗り物複合ペインは、２つの熱可塑性中間層を介して互いに結合されている、第一ペインと第二ペインとを有しており；内側ペインの内部側表面にマスキング印刷が施されている。この場合、インレイ要素は、内側ペインと、内側ペインに隣接する熱可塑性中間層と、の間、又は２つの熱可塑性中間層の間に配置されることが好ましい。

別の実施形態において、乗り物複合ペインは、２つの熱可塑性中間層を介して互いに結合されている、第一ペインと第二ペインとを有しており；外周ペインの内部側表面にマスキング印刷が適用されている。この場合、インレイ要素は、外側ペインと、外側ペインに隣接する熱可塑性中間層と、の間、又は２つの熱可塑性中間層の間に配置されることが好ましい。

好ましくは、インレイ要素の不透明層は、それぞれの場合において、第一ペインと第二ペインとの間に、マスキング印刷が適用されたペインに直接できるだけ隣接して配置される。このような配置における、外部からの上面図において、透明電気加熱可能層又は電気加熱可能透明基材層の供給ラインと接続部とが、不透明層によって隠蔽されている。代替的に、供給ラインと接続部とは、大部分を又は完全に不透明層に埋め込まれ得る。

第一ペイン、第二ペイン、又は少なくとも１つの熱可塑性中間層は、クリアかつ無色であり得て、しかし、色づいていてもよく、つや消しされていてもよく、又は着色されていてもよい。乗り物複合ペインを通過する合計の透過率は、好ましい実施形態において、特に乗り物複合ペインがウィンドシールドであるとき、７０％より大きい。用語「合計の透過率」は、ＥＣＥ－Ｒ４３、付属３、§９．１において特定されている、自動車ウィンドウの光透過性をテストするための方法に基づいている。第一ペインと第二ペインとは、事前強化されていない、部分的に事前強化されている、又は事前強化されているガラスからできていてよい。第一ペインと第二ペインとの厚さは、通常０．３ｍｍから５ｍｍ、好ましくは１ｍｍから３ｍｍ、例えば２．１ｍｍである。

乗り物複合ペインは、好ましくは、１つ又は複数の空間的な方向において湾曲しており、自動車ウィンドウによく見られるように、典型的な曲率の半径は約１０ｃｍから約４０ｍの範囲である。積層ガラスは、しかしながら、例えば、バス、列車、又はトラクター用のペインとしてこれが提供されるとき、平坦でもあり得る。

好ましくは、インレイ要素は、乗り物複合ペインの、上半分に、特に好ましくは上３分の１に、最も好ましくは上４分の１に配置される。好ましくは、インレイ要素は、乗り物複合ペインの実質的に中央部に水平に配置される。

好ましい実施形態において、乗り物複合ペインは、ウィンドシールドである。

一実施形態において、乗り物複合ペインは、中心線に沿って鏡面対称に配置されたウィンドシールドであり、かつ、インレイ要素は、ウィンドシールドの上方端部の近傍の中心線上に配置されている。

「上方端部の近傍」とは、特に、インレイ要素と上方端部との間の距離が最大でも３０ｍｍ、好ましくは最大でも２０ｍｍ、特に好ましくは最大でも１５ｍｍ、最も特に好ましくは最大でも１０ｍｍであることを意味する。

本発明に係る有利な実施形態において、透明電気加熱可能層、電気加熱可能透明基材層、又は電気加熱可能不透明層が、バスバーを介して電源に接続されている。バスバーは、電力を伝えるために使用される。バスバーの好適な例は、独国特許第１０３３３６１８号明細書及び欧州特許第００２５７５５号明細書から知られている。

バスバーは、有利には、導電性ペーストの印刷によって作製される。導電性ペーストは、好ましくは、銀粒子とガラスフリットとを含んでいる。焼成された導電性ペーストの厚さは、好ましくは５μｍから２０μｍである。

代替的な実施形態において、薄くかつ細い、好ましくは、銅及び／又はアルミニウムを含む、金属箔ストリップ又は金属ワイヤがバスバーとして使用される；特に、厚さ１０μｍから２００μｍ、例えば約５０μｍの銅箔ストリップが使用される。銅箔ストリップの幅は、１ｍｍから１０ｍｍが好ましい。

通常、乗り物分野では、複合ペインの内部にあるバスバーへの接触のための供給ラインとして、箔伝導体が使用されている。箔伝導体の例は、独国特許出願公開第４２３５０６３号明細書、独国実用新案第２０２００４０１９２８６号明細書、及び独国実用新案第９３１３３９４号明細書に記載されている。

本発明の更なる態様は、本発明に係る車両複合ペイン、及びそれに取り付けられている光学センサを有している設備であり、この光学センサが、内側ペインの、中間層から離れて面している内部側表面に固定されており、乗り物複合ペインのセンサウィンドウ、すなわち、不透明層若しくは電気加熱可能不透明層のカットアウト部の領域に、又は透明基材層における不透明に着色されていない領域に、向いている。このようにして、センサの検出光線経路が、不透明層若しくは電気加熱可能不透明層のカットアウト部を、又は透明基材層における不透明に着色されていない領域を、通過する。光学センサは、好ましくは、光学カメラであり、換言すると、可視スペクトル領域における感度を有しているカメラであり、例えば、レーンカメラ又は拡張現実ヘッドアップディスプレイ用カメラである。

本発明はまた、少なくとも以下の工程を含む、乗り物複合ペインを製造するための方法に関する。
（ａ）第一ペイン、第二ペイン、少なくとも１つの熱可塑性中間層、並びに少なくとも１つのカットアウト部を有している不透明層、透明基材層、及び透明電気加熱可能層を少なくとも備えているインレイ要素、が提供され；
（ｂ）少なくとも１つの熱可塑性中間層、及びインレイ要素が、第一ペインと第二ペインとの間に配置され；かつ
（ｃ）第一ペインは、積層により、少なくとも１つの熱可塑性中間層を介して第二ペインに結合される。

インレイ要素を提供するときの、少なくとも１つのカットアウト部を有している不透明な層、透明基材層、及び透明電気加熱可能層の配置は、手動、又は、例えばロボットを使用した機械により行われ得る。インレイ要素は、上述した様々な実施形態のように実施され得る。インレイ要素における層の順序は、上述した様々な実施形態のようになり得る。上述したように、透明基材層と透明電気加熱可能層とは電気加熱可能透明基材層として一体的に実施され得る。インレイ要素において、不透明層と透明電気加熱可能層とは、少なくとも１つのカットアウト部を有している電気加熱可能不透明層として一体的に実施され得て、かつ、透明基材層は、その表面全体に亘って、電気加熱可能不透明層と少なくとも１つのカットアウト部に直接隣接して配置される；又は、透明基材層は、電気加熱可能不透明層の少なくとも１つのカットアウト部範囲内に完全に配置される。

第一ペインと第二ペインとの間のインレイ要素の配置は、手動、又は、例えばロボットを使用した機械により行われ得る。

乗り物複合ペインが湾曲を有している場合、特に乗用車では通例であるように、ペインを、積層前に、例えば、重力曲げ、吸引曲げ、及び／又は押圧曲げ等の曲げプロセスに供する。典型的な曲げ温度は５００℃から７００℃である。

好ましくは、積層に先立って、かつ任意の曲げに先立って、特に第一ペイン及び／又は第二ペインの端部領域に、不透明なマスキング印刷が適用される。これのために、黒色又は暗色のエナメルが、積層に先立って、特に曲げに先立って又は曲げの間に、スクリーン印刷及び焼成によって、典型的に適用される。

乗り物複合ペインに関連して上述した実施形態は、本発明に係る方法にも同様に適用される。

本発明は、本発明に係る乗り物複合ペインを、乗り物、好ましくは自動車のウィンドシールドとして使用することにも関する。

本発明の様々な実施形態は、個別に又は任意の組み合わせで実施され得る。特に、上述した、及び以下で説明する特徴は、本発明の範囲から逸脱しない範囲において、上述した組み合わせにおいてだけでなく、他の組み合わせにおいても、又は単独においても用いられ得る。

以下で、本発明を、図面及び例示的な実施態様を参照して、詳細に説明する。図面は、概略的な表現であり、かつ、縮尺どおりではない。図面は、決して本発明を制限しない。

図１は、本発明に係る乗り物複合ペイン１の実施形態を描写し、中心線に対応するＡ－Ａ’線に沿った、図１による本発明に係る乗り物複合ペイン１の断面を描写している。図１に示される乗り物複合ペイン１は、中心線に沿って鏡面対称であり、かつ、インレイ要素５は、中心線の上方端部Ｏの近傍に配置されている。図１及び２に描写される実施形態において、乗り物複合ペイン１は、熱可塑性中間層４を介して表面と表面で、互いに結合されている、第一ペイン２と第二ペイン３とを備えている。図１及び２に描写される実施形態において、第一ペイン２は外側ペインであり；第二ペイン３は内側ペインである。第一ペイン２と第二ペインとは、ソーダ石灰ガラスでできており、例えば、２．１ｍｍの厚みを有している。第二ペイン３と熱可塑性中間層４との間に配置されているのは、カットアウト部８を有しているインレイ要素５である。図１及び２に描写される実施形態において、インレイ要素５は第二ペイン３と熱可塑性中間層４との間に配置されている。インレイ要素５は、しかしながら、第一ペイン２と熱可塑性中間層４との間にも配置され得る。更に、本発明に係る乗り物複合ペイン１は、１つより多くの熱可塑性中間層４を含み得る。図１及び２に描写される実施形態において、熱可塑性中間層４は、ポリビニルブチラール（ＰＶＢ）でできており、厚さ０．７６ｍｍである。図２に描写される実施形態において、インレイ要素は、図４に示されるように構成されている。図１及び２に描写される実施形態において、カットアウト部８は台形、かつ、３５ｃｍ^２の面積を有している。しかしながら、センサウィンドウに適した他の任意の形状もまた可能である。図１及び２に描写される実施形態において、インレイ要素５は台形形状を有しており、ここで、下方端部の方に向かう角は丸みを帯びている。しかしながら、センサのマスクに適したインレイ要素５は、他の任意の外形もまた可能である。図１及び２に描写される実施形態において、不透明層６は濃い灰色である。それは、しかしながら、例えば黒といった他の任意の色にもなり得る。図１及び２に描写される実施形態において、第二ペイン３は、取り付けられた位置で車両の内部に面する、内側ペインである。

乗り物複合ペイン１は上方端部Ｏと下方端部Ｕとを有している。取り付けられた位置において、上方端部Ｏは車両ルーフに向かった上向きを指し；下方端部Ｕは、取り付けられた位置において、エンジン室に向かって下向きを指している。外側ペイン（第一ペイン２）の内部側表面は、熱可塑性中間層４を介して、内側ペイン（第二ペイン３）の外部側表面に結合されている。通常、外側ペインの外部側表面は「Ｉ面」として；外側ペインの内部側表面は、「ＩＩ面」として；内側ペインの外部側表面は「ＩＩＩ面」として；内側ペインの外部側表面は「ＩＶ面」として呼ばれる。

図３は、本発明に係る乗り物複合ペイン１の別の実施形態を描写しており、これは、図２に描写される実施形態とは、第二ペインの内部側に取り付けられ、内側ペインとしてマウント１４を介して第二ペイン３上に実装され、かつ、カットアウト部８に向けられている光学センサ１２を更に有しているという点でのみ異なる。光学センサ１２は、例えば、レーンカメラである。光学センサ１２の検出方向は、乗り物複合ペイン１の外側前方にほぼ水平に向けられている。図３に描写される実施形態のカットアウト部８の領域に対応するいわゆる「センサウィンドウ」において、乗り物複合ペイン１を通って水平に入射する放射線は、光学センサ１２によって検出される。

図４は、インレイ要素５の実施形態の断面、すなわち、本発明に係る乗り物複合ペイン１の実施形態におけるインレイ要素５の断面を描写している。図４に描写される実施形態において、インレイ要素５は、透明基材層７、透明電気加熱可能層９、及びカットアウト部８を有する不透明層６を有している。透明基材層７は、不透明層６と透明電気加熱可能層９との間に配置されている。図４に描写される実施形態では、透明基材層７は、例えば、厚さ１００μｍのＰＥＴフィルムであり；透明電気加熱可能層９は、透明基材層７上に適用される厚さ１０μｍの電気加熱可能なＩＴＯコートであり；不透明層６は厚さ１２５μｍのＰＥＴフィルムである。透明基材層７、透明電気加熱可能層９、及びカットアウト部８を有する不透明層６は、同じ外形寸法を有している。

図５は、インレイ要素５の別の実施形態の断面を描写している。図５に描写される実施形態において、インレイ要素５は、透明基材層７、透明電気加熱可能層９、及びカットアウト部８を有する不透明層６を有している。透明電気加熱可能層９は、不透明層６と透明基材層７との間に配置されている。図５に描写される実施形態において、透明基材層７は、例えば、厚さ１００μｍのＰＥＴフィルムであり；透明電気加熱可能層９は、透明基材層７上に適用される厚さ１０μｍの電気加熱可能な銀コートであり；不透明層６は厚さ１２５μｍのＰＥＴフィルムである。透明基材層７、透明電気加熱可能層９、及びカットアウト部８を有する不透明層６は、同じ外形寸法を有している。

図６は、インレイ要素５の別の実施形態の断面を描写している。図６に描写される実施形態において、インレイ要素５は、透明基材層７、透明電気加熱可能層９、及びカットアウト部８を有する不透明層６を有している。透明基材層７は、不透明層６の少なくとも１つのカットアウト部（８）範囲内に完全に配置されている。透明基材層７は、不透明層６と同じ厚さを有しており、図６に描写される実施形態において、それによって枠様の様式で囲まれている。透明電気加熱可能層９は、図６に描写される実施形態において、その表面全体に亘って、不透明層６と透明基材層７とに直接隣接して配置されている。図６に描写される実施形態において、透明基材層７は、例えば、厚さ１００μｍのＰＥＴフィルムであり；透明電気加熱可能層９は、厚さ２０μｍのグラフェン層であり；不透明層６は厚さ１５０μｍのＰＥＴフィルムである。代替的には、透明基材層７と不透明層６とを一体的に実施することも可能であり；透明基材層７は、図６の参照符号６で示された領域で不透明に着色される。これらの実施形態において、別個の不透明層６は不要である。

図７は、インレイ要素５の別の実施形態の断面を描写している。図７に描写される実施形態において、インレイ要素５は、カットアウト部８を有する不透明層６、及びそれに直接隣接して配置されている電気加熱可能透明基材層１０を有している。従って、図７に描写される実施形態において、透明基材層７と透明電気加熱可能層９とは２つの別個の層としては存在せず、しかし、電気加熱可能透明基材層１０として一体的に実施されている。図７に描写される実施形態において、電気加熱可能透明基材層１０は、例えば、厚さ１００μｍの、ポリアニリン等の導電性ポリマーでできており；不透明層６は厚さ７５μｍのＰＥＴフィルムである。

図８は、インレイ要素５の別の実施形態の断面を描写している。図８に描写される実施形態において、インレイ要素５は、カットアウト部８を有する不透明層６、及びカットアウト部８範囲内に完全に配置されている電気加熱可能透明基材層１０を有している。電気加熱可能透明基材層１０は、従って、不透明層６によって枠様の様式で囲まれている。図８に描写される実施形態において、透明基材層７と透明電気加熱可能層９とは、２つの別個の層としては存在せず、しかし、電気加熱可能透明基材層１０として一体的に実施されている。図８に描写される実施形態において、電気加熱可能透明基材層１０は、例えば、厚さ１５０μｍの、ポリアニリン等の導電性ポリマーでできており；不透明層６は厚さ１５０μｍのＰＥＴフィルムである。

図９は、インレイ要素５の別の実施形態の断面を描写している。図９に描写される実施形態において、インレイ要素５は、透明基材層７、及びそれに直接隣接して配置されている電気加熱可能不透明層１１を有している。従って、図９に描写される実施形態において、不透明層６と透明電気加熱可能層９とは、２つの別個の層としては存在せず、しかし、電気加熱可能不透明層１１として一体的に実施されている。電気加熱可能不透明層１１はカットアウト部８を有している。図９に描写される実施形態において、電気加熱可能不透明層１１は、例えば、厚さ１００μｍの、ポリアニリン等の、着色された導電性ポリマーでできており；透明基材層７は厚さ０．１ｍｍの薄ガラスである。透明基材層７とカットアウト部８とを有している電気加熱可能不透明層１１は、同じ外形寸法を有している。

図１０は、インレイ要素５の別の実施形態の断面を描写している。図１０に描写される実施形態において、インレイ要素５は、透明基材層７と電気加熱可能不透明層１１とを有している。従って、図１０に描写される実施形態において、不透明層６と透明電気加熱可能層９とは、２つの別個の層としては存在せず、しかし、電気加熱可能不透明層１１として一体的に実施されている。電気加熱可能不透明層１１は、カットアウト部８を有している。図１０に描写される実施形態は、図９の断面に描写されるインレイ要素５の実施形態とは、特に、透明基材層７が、電気加熱可能不透明層１１のカットアウト部８範囲内に完全に配置されている、という点で異なる。透明基材層７は、電気加熱可能不透明層１１と同じ厚さを有しており、かつ、図１０に描写される実施形態において、それによって枠様の様式で囲まれている。図１０に描写される実施形態において、電気加熱可能不透明層１１は、例えば、厚さ１２５μｍの、ポリアニリン等の、着色された導電性ポリマーでできており；透明基材層７は厚さ１２５μｍのＰＶＢフィルムである。

図１１は、本発明に係る乗り物複合ペイン１の別の実施形態を描写している。図１１に示される乗り物複合ペイン１は、図１に示される実施形態とは、インレイ要素５が２つのカットアウト部８を有しており、ここで、その１つが台形状、もう１つが円状である、という点でのみ異なる。

図１２は、本発明に係る乗り物複合ペイン１の別の実施形態を描写している。図１２に示される乗り物複合ペイン１は、図１１に示される実施形態とは、台形状のカットアウト部８がより大きく、カットアウト部８同士が横並びに配置されているのではなく、しかし、その代わりに、それが他のものより上方に配置されている、という点でのみ異なる。更に、図１２に描写される実施形態のインレイ要素５の外形は、図１１に描写される実施形態のインレイ要素５の外形と異なる。

図１３は、本発明に係る乗り物複合ペイン１の別の実施形態を描写している。図１３に示される乗り物複合ペイン１は、図１１に示される実施形態とは、インレイ要素５が３つのカットアウト部８を有しており、そのうち１つが台形状、かつ、２つが円状である、という点でのみ異なる。

図１４は、本発明に係る乗り物複合ペイン１の別の実施形態を描写している。これは、図１３に示される実施形態とは、３つのカットアウト部８が台形状であり、横並びに配置されており、かつ、その中央においてインレイ要素５が下方端部Ｕの方向に延在している、という点でのみ異なる。

図１５は、本発明に係る乗り物複合ペイン１の別の実施形態を示している。図１３に示される乗り物複合ペイン１は、図１１とは、エナメルでできた、周縁的なマスキング印刷１３を追加的に含む、という点でのみ異なる。インレイ要素５の不透明層６（図１５には明示的に図示せず）及び周縁的なマスキング印刷１３は、本質的に同じ光学密度を有しており、図１５に描写される実施形態では濃い灰色とされている。図１５に描写される実施形態においてどこにインレイ要素５が配置されているのかを明確にするため、それが図１５において黒色の境界破線で指し示されている。図１５に描写される実施形態において、周縁的なマスキング印刷１３は、乗り物複合ペイン１の外縁近隣にのみ適用される。しかしながら、マスキング印刷１３は、インレイ要素５の周囲外縁に適用されることも可能である。

図１６は、本発明に係る乗り物複合ペイン１を製造するための、本発明に係る方法のフローチャートを示している。第１のステップＩにおいて、第一ペイン２、第二ペイン３、少なくとも１つの熱可塑性中間層４、並びに少なくとも１つのカットアウト部８を有している不透明層６、透明基材層７、及び透明電気加熱可能層９を少なくとも備えているインレイ要素５が提供される。第２のステップＩＩにおいて、少なくとも１つの熱可塑性中間層４、及びインレイ要素５が、第一ペイン２と第二ペイン３との間に配置される。第３のステップＩＩＩにおいて、第一ペイン２が、積層により、少なくとも１つの熱可塑性中間層４を介して第二ペイン３に結合される。

１ ：乗り物複合ペイン
２ ：第一ペイン
３ ：第二ペイン
４ ：熱可塑性中間層
５ ：インレイ要素
６ ：不透明層
７ ：透明基材層
８ ：カットアウト部
９ ：透明電気加熱可能層
１０：電気加熱可能透明基材層
１１：電気加熱可能不透明層
１２：光学センサ
１３：マスキング印刷
１４：マウント１４
Ｏ ：乗り物複合ペインの上方端部／ルーフ端部
Ｕ ：乗り物複合ペインの下方端部／エンジン端部

Claims (15)

1. 少なくとも下記を具備している、乗り物複合ペイン（１）
   －少なくとも１つの熱可塑性中間層（４）を介して互いに結合されている、第一ペイン（２）及び第二ペイン（３）、並びに
   －少なくとも１つのカットアウト部（８）を有している不透明層（６）、透明基材層（７）、及び透明電気加熱可能層（９）を少なくとも備えている、インレイ要素（５）、
   ここで、前記インレイ要素（５）は、前記第一ペイン（２）と前記第二ペイン（３）との間に配置されている。
2. 前記インレイ要素（５）において、前記透明基材層（７）は、前記不透明層（６）と前記透明電気加熱可能層（９）との間に配置されている、請求項１に記載の乗り物複合ペイン（１）。
3. 前記インレイ要素（５）において、前記透明電気加熱可能層（９）は、前記透明基材層（７）と前記不透明層（６）との間に配置されている、請求項１に記載の乗り物複合ペイン（１）。
4. 前記インレイ要素（５）において、前記透明基材層（７）は、前記不透明層（６）の前記少なくとも１つのカットアウト部（８）範囲内に完全に配置されており、かつ前記透明電気加熱可能層（９）は、その表面全体に亘って、前記不透明層（６）と前記透明基材層（７）とに直接隣接して配置されている、請求項１に記載の乗り物複合ペイン（１）。
5. 前記インレイ要素（５）において、前記透明基材層（７）と前記透明電気加熱可能層（９）とは、電気加熱可能透明基材層（１０）として一体的に実施されている、請求項１に記載の乗り物複合ペイン（１）。
6. 前記インレイ要素（５）において、前記不透明層（６）と前記透明電気加熱可能層（９）とは、少なくとも１つのカットアウト部（８）を有している電気加熱可能不透明層（１１）として一体的に実施されており；かつ前記透明基材層（７）は、その表面全体に亘って、前記電気加熱可能不透明層（１１）と前記少なくとも１つのカットアウト部（８）とに直接隣接して配置されており、又は、前記電気加熱可能不透明層（１１）の前記少なくとも１つのカットアウト部（８）範囲内に完全に配置されている、請求項１に記載の乗り物複合ペイン（１）。
7. 前記少なくとも１つのカットアウト部（８）は、光学センサ（１２）のためのセンサウィンドウである、請求項１～６のいずれか一項に記載の乗り物複合ペイン（１）。
8. 前記不透明層（６）は、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）又はポリエチレン（ＰＥ）、好ましくはＰＥＴを含み、又はポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）又はポリエチレン（ＰＥ）、好ましくはＰＥＴからできている、請求項１～５又は７のいずれか一項に記載の乗り物複合ペイン（１）。
9. 前記透明基材層（７）は、熱可塑性若しくは熱硬化性プラスチックを含み、又は０．５ｍｍ以下の厚さを有しているガラス層である、請求項１～４又は６～８のいずれか一項に記載の乗り物複合ペイン（１）。
10. 前記透明電気加熱可能層（９）は、電気加熱可能コート、炭素含有層、若しくは金属層である、又は導電性ポリマーを含み若しくは導電性ポリマーからできている、請求項１～４又は７～９のいずれか一項に記載の乗り物複合ペイン（１）。
11. 前記電気加熱可能透明基材層（１０）又は前記電気加熱可能不透明層（１１）は、導電性ポリマーを含み又は導電性ポリマーからできている、請求項５又は６に記載の乗り物複合ペイン（１）。
12. 前記不透明層（６）又は前記電気加熱可能不透明層（１１）は、少なくとも部分的に、８００ｎｍ及び１１００ｎｍの間の範囲の波長の赤外線放射に対して透明である、請求項１～１１のいずれか一項に記載の乗り物複合ペイン（１）。
13. 前記乗り物複合ペイン（１）は、中心線に沿って鏡面対称であるウィンドシールドであり、かつ前記インレイ要素（５）は、前記ウィンドシールドの上方端部（Ｏ）近傍の、前記中心線上に配置されている、請求項１～１２のいずれか一項に記載の乗り物複合ペイン（１）。
14. 請求項１～１３のいずれか一項に記載の乗り物複合ペイン（１）の製造方法、ここで、
    （ａ）第一ペイン（２）、第二ペイン（３）、少なくとも１つの熱可塑性中間層（４）、並びに少なくとも１つのカットアウト部（８）を有している不透明層（６）、透明基材層（７）、及び透明電気加熱可能層（９）を少なくとも備えているインレイ要素（５）、が提供され；
    （ｂ）前記少なくとも１つの熱可塑性中間層（４）、及び前記インレイ要素（５）が、前記第一ペイン（２）と前記第二ペイン（３）との間に配置され；かつ
    （ｃ）前記第一ペイン（２）は、積層により、前記少なくとも１つの熱可塑性中間層（４）を介して前記第二ペイン（３）に結合される。
15. 乗り物、好ましくは自動車のウィンドシールドとしての、請求項１～１３のいずれか一項に記載の乗り物複合ペイン（１）の使用。

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