JP2022525661A - 組換えccnドメインタンパク質および融合タンパク質 - Google Patents

組換えccnドメインタンパク質および融合タンパク質 Download PDF

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Abstract

本発明は、CCNファミリータンパク質のメンバーのトロンボスポンジンI型リピート相同ドメインに対応するかまたは該ドメインに関連するアミノ酸配列を有する組換えタンパク質、およびその使用に関する。さらに、本発明は、融合パートナーおよび随意にリンカー領域と組み合わされた、CCNファミリータンパク質のメンバーのトロンボスポンジン1型リピート相同ドメインに対応するかまたは該ドメインに関連するアミノ酸配列を含む、融合タンパク質に関する。また、新規プロテアーゼ耐性Fc断片を本明細書に開示する。

Description

本発明は、CCNファミリータンパク質のメンバーのトロンボスポンジン1型リピート相同ドメイン(ドメインIII)に対応するかまたは関連するアミノ酸配列を有する組換えタンパク質、およびその使用に関し、特に、一部切除されている(truncated)、そして/または特定のアミノ酸修飾を含む、こうしたタンパク質が含まれる。さらに、本発明は、随意にリンカーペプチドを通じて、融合パートナーと組み合わされた、CCNファミリータンパク質のメンバーのトロンボスポンジン1型リピート相同ドメインに対応するかまたは関連するアミノ酸配列を含む融合タンパク質に関する。特に、融合パートナーは単量体性(monomeric)タンパク質であり、そして融合タンパク質は単量体性である。
また、新規プロテアーゼ耐性Fc断片を本明細書に開示する。
CCNタンパク質は、分泌糖タンパク質のファミリーである。CCNは、元来、該遺伝子ファミリーの最初に同定された3つのメンバー;yr61、TGFおよびOVに由来する頭字語として作られた呼称である。しかし、この頭字語は、近年、細胞コミュニケーションネットワーク(Cellular Communication Network)因子の短縮として当てはめられてきており、そしてHUGO Gene Nomenclature Committeeによって承認されている(Perbal B,Tweedie SおよびBruford E,J Cell Commun Signal.2019 Sep;13(3):435)。該タンパク質は、しばしば、細胞外マトリックス(ECM)と関連するマトリックス細胞タンパク質として分類される。CCNタンパク質は、細胞を組織に編成する足場機能の一部ではなく、むしろシグナル伝達タンパク質であり、そして独立のオートクリンまたはパラクリンシグナル伝達因子として、あるいは他の細胞外シグナル伝達タンパク質の修飾因子として機能しうる。3つのWnt誘導性シグナル伝達経路タンパク質(WISP1/CCN4、WISP2/CCN5、およびWISP3/CCN6)のセットとともに、これらは、哺乳動物において、6つの相同システインリッチタンパク質のファミリーを含み、CCN1~6と改名されている。
CCNファミリーの最初のメンバーは、モジュラー構造を共有し、分泌のためのN末端ペプチドシグナルに、4つの保存ドメインが続く。第一のドメインは、インスリン様増殖因子結合タンパク質(IGFBP)に配列相同性を示し、そしてしたがってIGF結合タンパク質相同ドメインとして知られるが、IGFには無視できる程度のアフィニティしか持たない。第二のドメインは、フォン・ヴィルブランド因子C型リピート(VWC)相同ドメインとして知られ、細胞外マトリックス(ECM)タンパク質にしばしば見られる。第三のドメインは、トロンボスポンジンI型リピート相同ドメイン(TSP-1)として知られ、インテグリンへのCCNタンパク質の付着に関与する可能性もある。第四のドメインは、システイン・リッチC末端リピートまたはシスチン・ノット相同ドメインであり、ヘパリンに結合すると報告されているドメインである。CCNタンパク質ファミリーの5番目のメンバーであるWISP2(Wnt1誘導性シグナル伝達経路タンパク質2)は、CCN5としてもまた知られ、カルボキシル末端シスチン・ノット・ドメイン(ドメイン4)を欠く点で非典型的である。CCNタンパク質ファミリーのTSP-1相同ドメインは、34%のアミノ酸配列同一性および25%の配列類似性を共有する(ClustalOmegaによって分析した際。参考のため以下を参照されたい)。4ドメインのCCNタンパク質は、CCN6を除いて、一次配列全体で38の保存されたシステインを含有し、CCN6においては、VWC相同ドメインの4つのシステインが他のファミリーメンバーとの間で保存されていない。また、カルボキシル末端シスチン・ノット相同ドメインを欠くCCN5に関しては、他のCCNファミリーメンバーと比較して、IGFBP、VWCおよびTSP-1相同ドメインのすべてのシステインが保存されている。
しばしばヒンジ領域と称される、保存されていないプロテアーゼ感受性の中央領域は、タンパク質を2つに分ける。CCNタンパク質の発現は、環境刺激における変化に反応して、転写、転写後および翻訳レベルで制御される。
CCNタンパク質ファミリーのドメイン編成に関する情報は、例えばLiuら,2017,Journal of Diabetes,9,pp.462-474に見られる。
細胞レベルでは、CCNタンパク質は、細胞外マトリックスおよび細胞表面の界面で、多様な制御性の役割を有しうる。CCNタンパク質は、細胞接着、遊走、増殖、分化、アポトーシス、生存、老化および遺伝子発現を制御しうる。これらの細胞機能の1つまたはそれより多くの側面を調節することによって、細胞タイプ特異的方式で、CCNは、胚発生中の心臓血管および骨格発生、ならびに成体における炎症、創傷治癒、および組織傷害および修復を含む、複雑な生物学的プロセスを協調させる。一般的に言って、4ドメインのCCN1~4およびCCN6(特にCCN1、CCN2およびCCN4)は、線維化促進活性を発揮しうる一方、3つのドメインI~IIIしか含まないCCN5は、抗線維化活性を有する。
CCNタンパク質はまた、進行性線維症、例えば肝線維症および特発性肺線維症による臓器不全などの、非常に多様な病的状態、ならびに癌浸潤および転移にも関与する。これに関して、JunおよびLau,2011,Nat.Rev.Drug.Discovery,10(12),pp.945-963を参照されたい。再び、一般的に言って、4ドメインのCCNタンパク質、特にCCN2は、多様な線維性疾患の機構に関与することが示されてきている一方、こうした疾患の前臨床疾患モデルにおいて、逆に、CCN5レベルの増加が有益でありうることが示されてきている。
Kaasboellら,J.Biol.Chem,293:46,pp.17953-17970において、CCN2としてもまた知られる結合組織増殖因子(CTGF)が合成され、そして生物学的に活性であるCCN2を放出するためにはタンパク質分解的切断を必要とする不活性プレプロタンパク質として分泌され、そしてドメインIII~IVで構成されるC末端断片のホモ二量体は、CCN2の生物学的に完全に活性である型に相当し、そして最後にCCN2の主要な報告される活性は、C末端ドメインIII~IV断片のホモ二量体によって再現可能であることが報告されている。Kaasboellらによって報告される活性アッセイによって、プロセシングされていない全長CCN2またはドメインI~IIで構成されるN末端断片のいずれも生物学的に活性でないことが明らかになった。さらに、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)活性による全長CCN2のタンパク質分解的プロセシングは、その不顕性活性を解放することが見出された。まとめると、Kaasboellらによって報告される知見は、プレプロ-CCN2が、N末端ドメインIおよびIIによって自己阻害されることを示す。CCN1およびCCN3のC末端ドメインIIIおよびIV断片が、迅速な細胞シグナル伝達の活性化および細胞生理学的反応の誘発に十分であることもまた見出された。しかし、CCN1および/またはCCN3、あるいは任意の他のCCNタンパク質ファミリーメンバーのヒンジ領域のどの程度の度合いのエンドペプチダーゼ切断が、生物学的活性の放出に必要であるのかは未知である。
CCN2は、発生中に、増進された線維化および組織線維症を伴う多様な病的状態において、そしていくつかの癌において、高発現されることが知られる(JunおよびLau、2011、上記)。CCNタンパク質が非常に多様な病的状態に関与し、線維症の発展に機構的に関与する細胞外タンパク質であり、そして健康な生物においては限定された発現しか示さないという事実により、これらは療法的ターゲットとして魅力的である。
Jeongら,2016,J.American College of Cardiology,67:13,pp.1557-1568は、実験的に誘導された心臓の圧過負荷後、ネズミ心臓へのCCN5のアデノ随伴ウイルス仲介性遺伝子トランスファーの役割を調べた研究に関して報告する。該研究は、CCN5が心筋における筋線維芽細胞の生成を阻害しそして該細胞のアポトーシスを増進させることによって、確立された心臓線維症を逆転させる可能性があると結論付け、CCN5が抗心臓線維症療法を開発するプラットフォームを提供しうると示唆する。
US2008/0207489において、平滑筋増殖に基づく障害を治療するための方法であって、CCN5の発現または平滑筋細胞へのCCN5タンパク質の投与を伴う前記方法を開示する。
EP2556839において、全長CCN5またはCCN2ΔCTをコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子キャリアーを含む組成物が提供され、そして心不全の治療におけるその役割が示唆される。EP2556839におけるCCN2ΔCTは、K251(uniprot番号付け)の後ろで一部切除(truncated)されたCCN2のアミノ酸配列と定義される。
CCN5の過剰発現は、いくつかの実験系で報告されており、CCN2過剰発現のものとは反対の表現型を生じている(Jeongら、上記、Yoonら,J Mol Cell Cardiol,49(2),294-303 Aug 2010)が、CCN5による4ドメインCCNタンパク質の拮抗は、著者らの知る限り報告されてきていない。特に、他のCCNファミリーメンバーのCCN5/WISP2仲介性拮抗の構造的基礎は、本発明に提示する研究以前には未知であった。
本発明者らは、より早い段階で、全長CCN2(FL-CCN2)がプレプロタンパク質、不活性前駆体であり、そしてドメインIIIおよびIVを含む断片がCCN2のすべての生物学的に適切な活性を伝達するようであることを示している。タンパク質分解的活性化が必要な不活性プレプロタンパク質として、一般に、どの程度のCCNタンパク質が分泌されるのかは未知のままである。しかし、本発明者ら(Kaasbоellら,J.Biol.Chem.(2018) 293(46)17953-17970)および他の研究者ら(Butler,G.S.ら Matrix Biol 59,23-38(2017)およびGuillon-Munos,A.ら J Biol Chem 286,25505-25518(2011))によって立証されるように、多数のプロテアーゼに対する全長CCNタンパク質の感受性は、未修飾の全長CCNタンパク質が、組換えタンパク質製造中およびin vivo投与後の両方で、安定性の理由から、薬剤としては非常に不適切であろうことを示す。療法タンパク質として非修飾全長CCNタンパク質を用いるのがこのように不適切であることはまた、例えば全長CCN1(Schutze,N.ら(2005)Protein Expr Purif 42,219-225)および全長CCN6(Schutze,Nら(2007)BMC Cell Biol 8,45)に関して記載されるように、全長CCNタンパク質の融合タンパク質にも当てはまる。CCNタンパク質の分野において、これらのタンパク質のタンパク質分解に対する感受性は、組換えCCNタンパク質を産生することが非常に困難である理由の1つであることが周知である。さらに、Kaasboellら(J Biol Chem 2018;293(46):17953-17970)の新規知見に基づいて、組換え全長CCNタンパク質は、その活性があらかじめタンパク質分解的プロセシングされていることに依存する可能性があり、このことが薬物動態学および薬力学を予測不能にしているために、理想的な生物学的薬剤からは程遠い可能性がある。さらに、Fc-融合タンパク質の場合、構成要素、例えばペプチドリンカー、CCN断片およびFc断片のタンパク質分解感受性に加えて、構成要素の配置が、組換え融合タンパク質の有効性および強度に重要であることもまた示されてきている。この一例は、本発明者らによって公表された論文(Kaasboellら(2018))中にあり、この中で、CCN2のドメインIII~IVを含有するFc-融合タンパク質の変異体が、あらかじめ容易に予測可能ではない方式で、非常に多様な活性を有することが見出されている。
CCNタンパク質の作用は、高濃度のCCNタンパク質一次配列由来の合成ペプチドによる拮抗効果に感受性であることが報告されてきている。一例は、IGFBP相同ドメインであるドメインI由来のペプチドによる、そしてより低い度合いで、CCN2のTSP-1リピート相同ドメインであるドメインIII由来のペプチドによる、Rat2線維芽細胞における組換えCCN2によって刺激されたAKTリン酸化の阻害である(Moeら,J.Cell Commun.Signal.(2013)7:31-47)。別の例は、CCN2のシスチン・ノット相同ドメインであるドメインIV由来のペプチドによる、肝臓星状細胞のCCN2(ドメインIV)刺激接着の阻害である(Gao RおよびBrigstock DR.,J Biol Chem.2004 Mar 5;279(10):8848-55)。さらに、CCN1のドメインIII(Leuら J.Biol.Chem,2003,Vol.278,No.36,Issue of September 5,pp.33801-33808,2003)、ならびにCCN1、CCN2、CCN3、CCN5およびCCN6のドメインIII(Karagiannis EGおよびPopel The International Journal of Biochemistry & Cell Biology 39(2007)2314-2323)由来のペプチドは、HUVEC細胞でのin vitroアッセイにおいてある程度の抗血管形成効果を(Leuら J.Biol.Chem,2003、ならびにKaragiannis EGおよびPopel,Int J Biochem Cell Biol 39(2007))、そして1064SKヒト包皮線維芽細胞に対して抗接着効果を(Leuら J.Biol.Chem,2003)有することが報告されてきているが、これらのペプチドは、本文書で記載する本発明の中心的な保存されたシステインの1つ(Leuら J.Biol.Chem,2003)または2つ(Karagiannis EGおよびPopel,Int J Biochem Cell Biol 39,2007)しか含有しない。CCNタンパク質のドメインIIIにおけるシステインは、HUVEC細胞から内因性に発現されたCCN2において(Lu,Sら(2015)Nat methods 12,329-331)そして精製組換えCCN2(Kaasboellら,J.Biol.Chem.2018)から立証されるように、ジスルフィド架橋を生成することが知られる。CCN2において示された、C199~C228(uniprot番号付け)に渡るジスルフィド架橋は、アミノ酸鎖が折り重ねられる複雑な3D構造を与える。これは、CCNタンパク質の完全ドメインIIIが、真核系において産生されたCCNタンパク質の完全ドメインIIIにおけるように、システイン間のジスルフィド架橋によって構造的に制約されない小分子ペプチドによっては複製されると予期することは不可能であることを示す。さらに、ドメインI、III、およびIVの一次配列由来のペプチドによるCCN2活性の阻害は、CCN2の特定のドメイン由来のペプチドが、4ドメインCCNタンパク質の阻害を与えうるかどうかに関して、技術分野には知識が欠如していることを例示する。
本発明者らはここで、CCNファミリータンパク質の構造-活性分析、および生物学的に活性になるために、CCN2がタンパク質分解的プロセシングを経る必要があるという観察に基づいて、CCN5タンパク質の生物学的活性部分が、トロンボスポンジンI型リピート相同ドメインであるドメインIIIであることを見出している。この新規知見は、CCN5のドメインIIIならびにCCNタンパク質ファミリーの他のメンバーのドメインIIIに基づく、生物活性構造の提供を生じている。
US2008/0207489 EP2556839
Perbal B,Tweedie SおよびBruford E,J Cell Commun Signal.2019 Sep;13(3):435 Liuら,2017,Journal of Diabetes,9,pp.462-474 JunおよびLau,2011,Nat.Rev.Drug.Discovery,10(12),pp.945-963 Kaasboellら,J.Biol.Chem,293:46,pp.17953-17970 Jeongら,2016,J.American College of Cardiology,67:13,pp.1557-1568 Yoonら,J Mol Cell Cardiol,49(2),294-303 Aug 2010 Butler,G.S.ら Matrix Biol 59,23-38(2017) Guillon-Munos, A.ら J Biol Chem 286,25505-25518(2011) Schutze,N.ら(2005) Protein Expr Purif 42,219-225 Schutze,Nら(2007) BMC Cell Biol 8,45 Moeら, J.Cell Commun.Signal.(2013)7:31-47 Gao RおよびBrigstock DR.,J Biol Chem.2004 Mar 5;279(10):8848-55 Leuら J.Biol.Chem,2003,Vol.278,No.36,Issue of September 5,pp.33801-33808,2003 Karagiannis EGおよびPopel The International Journal of Biochemistry&Cell Biology 39(2007)2314-2323 Lu,Sら(2015) Nat methods 12,329-331
本発明者らは、CCN5および他のCCNタンパク質の構造-活性関係への洞察の結果、CCN5シグナル伝達に起因する細胞シグナル伝達および細胞生理学的機能を再現し、そしてまた他の4ドメインCCNタンパク質(Cyr61(CCN1としてもまた知られる)、CTGF(CCN2としてもまた知られる)、NOV(CCN3としてもまた知られる)、WISP1(CCN4としてもまた知られる)およびWISP3(CCN6としてもまた知られる))を相殺可能である、新規生物学的活性組換えタンパク質を提供している。言い換えると、CCN5の生物学的活性を再現するかまたは該活性を有し、そして4ドメインCCNタンパク質、CCN1~4またはCCN6の効果に拮抗するかまたは該効果を阻害することが可能である、CCNタンパク質のTSP1相同ドメインであるドメインIIIに基づく、融合タンパク質型を含むタンパク質を提供する。特に、本明細書のタンパク質は、抗線維化活性を有し、そしてまた、直接の抗癌活性を有する可能性もある。
上述のように、他のCCNタンパク質、すなわち4ドメインCCNタンパク質のドメインIII(TSP-1相同ドメイン)は、他のCCNドメインの非存在下で別個のドメインとして提供された際には、驚くべきことに、CCN5の報告される活性を再現するために十分であることが見出されてきている。したがって、言い換えると、4ドメインCCNタンパク質のドメインIIIは、他のCCNドメインの非存在下で別個のドメインとして(すなわち単離ドメインとして)提供された際には、CCN5と、あるいは別の表現ではCCN5のドメインIII/TSP-1相同ドメインと、同じ活性(すなわち、全長4ドメインCCNタンパク質のものとは反対の活性)を有する。したがって、本文書で開示する実験から、任意のCCNタンパク質の単離TSP-1相同ドメインが、CCN5のTSP-1相同ドメインのものと同じ活性を発揮しうることは明らかである。CCN5の場合以外では、これは全長CCNタンパク質によって発揮される活性とは同じでない可能性もある。
CCNタンパク質のドメインIIIが単量体性融合パートナーに融合している単量体性融合タンパク質は、本発明および本明細書の開示にしたがって、特に有益であり、そして有用であることが見出されてきている。
第一の側面にしたがって、本発明は、単量体性融合タンパク質であって:
(i)CCNファミリータンパク質のトロンボスポンジン1型リピート(TSP-1)相同ドメインの少なくとも部分に対応するポリペプチド;
(ii)(i)のアミノ酸配列にN末端またはC末端で融合した単量体性融合パートナー;および
(iii)随意に、(i)のポリペプチドおよび(ii)の単量体性融合パートナーの間のペプチドリンカー
を含み、
(i)のポリペプチドが長さ40~60アミノ酸であり、そして配列番号37または2~6より選択されるアミノ酸配列、あるいは配列番号37または2~6より選択される配列に少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含み、配列番号37または2~6より選択される前記配列中のシステイン残基のすべてが保存されており、
そして(ii)の単量体性融合パートナーおよび(iii)のペプチドリンカーが、CCNファミリータンパク質のIGF結合タンパク質相同ドメイン、フォン・ヴィルブランド因子C型リピート相同ドメイン、またはシステイン・ノット・ドメインではないか、またはこうしたドメインを含まない
前記単量体性融合タンパク質を提供する。
以下により詳細に記載するであろうように、配列番号37および2~6は、それぞれ、CCN5、CCN3、CCN2、CCN1、CCN4およびCCN6のドメインIIIの44アミノ酸一部切除断片に相当し、これらはこのドメインの6つの保存されたシステイン残基を含む。特に、該断片には、ドメインの第一のおよび最後のシステイン残基が隣接する。こうした断片は、特に有効であり、そしてタンパク質分解的分解に耐性であることが見出されてきている。
1つの態様において、(i)のポリペプチドは:
(a)配列番号1または8~12より選択されるアミノ酸配列;あるいは
(b)配列番号1または8~12より選択される配列に少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列;あるいは
(c)(a)または(b)のアミノ酸配列の部分であって、それぞれ、配列番号37、6、2、3、4もしくは5の、またはそれぞれ、配列番号37、6、2、3、4もしくは5より選択される配列に少なくとも80%の配列同一性を有する配列の、少なくとも44アミノ酸配列を含む、前記部分
を含むか、あるいはこれらからなる。
配列番号1、および8~12は、それぞれ、CCN5、CCN6、CCN3、CCN2、CCN1、およびCCN4のドメインIIIのわずかにより長いN末端一部切除断片に相当する。これらの断片は、それぞれのドメインIII由来のいくつかのさらなるC末端配列を伴う、それぞれ、配列番号37、6、2、3、4、および5の対応する配列を含む。
さらなる態様において、(i)のポリペプチドは、配列番号37または2~6、あるいは配列番号1または8~12より選択される前記配列の2位に対応する位で、アラニン残基を含む。いくつかの態様において、(i)のアミノ酸配列は、配列番号38または42~46、あるいはこれらに少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列より選択されるアミノ酸配列を含む。別の態様において、(i)のアミノ酸配列は、配列番号7、または47~51、あるいはこれらに少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列より選択されるアミノ酸配列を含む。これに関して、2位のこの残基の置換は、タンパク質の安定性を促進する際に有益であることが見出されてきている。
本発明のさらなる側面にしたがって、単量体性融合タンパク質は、配列番号84、85、88、89、97、98、102、103、106、107、110、111、またはこれらに80%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する。
これらの側面の態様において、単量体性融合パートナーは、血清アルブミン、トランスフェリンおよび単量体性Fc断片、特にIgG、より具体的にはヒトIgGの単量体性Fc断片より選択される。
上述のように、本明細書のドメインIII断片の2位の置換は、断片の安定性、特にプロテアーゼ分解に対する耐性を改善させる。本明細書において、ドメインIII断片のこうした配列修飾された変異体は、融合パートナーに連結されることなく、それ自体で有用なタンパク質に相当する。
したがって、本発明の別の側面はまた、配列番号7、38、42~46、または47~51に示すようなアミノ酸配列、あるいはこれらに少なくとも80%の配列同一性を持つ配列を含む長さ40~60アミノ酸のタンパク質、あるいはこうした配列からなるタンパク質であって、配列番号7、38、42~46、47~51の前記配列の2位に対応する位でアラニン残基を含み、そして前記配列中のシステイン残基のすべてが保存されている、前記タンパク質も提供する。
本発明のさらなる側面として、以下に詳述するような、他のタンパク質および融合タンパク質もまた提供する。
本発明のさらなる側面にしたがって、式(I)を含む組換えタンパク質であって
Cys-A-Cys-B-Cys-C-Cys-D-Cys-E-Cys-F(式(I))
式中、
Aは式II
A1-A2-A3-A4-A5-A6-A7-A8-A9
のペプチドであり、式中、A1はP、A、V、I、およびLからなる群より選択され;A2はE、D、A、I、L、およびVからなる群より選択され;A3はG、Q、Y、S、N、W、Fからなる群より選択され;A4はA、I、L、V、S、Tからなる群より選択され;A5はT、Y、N、G、QおよびSからなる群より選択されるアミノ酸であり;A6はA、V、I、L、P、S、E、D、K、R、およびHからなる群より選択されるアミノ酸であり;A7はWであり;A8はG、T、S、Q、Y、N、P、A、V、I、およびLからなる群より選択され;A9はA、P、L、I、V、Qからなる群より選択されるアミノ酸であり;そして
Bは式III
B1-B2-B3
のペプチドであり、式中、B1はG、Q、N、S、Y、およびTからなる群より選択されるアミノ酸であり;B2はT、S、N、F、Q、H、RおよびKからなる群より選択されるアミノ酸であり;B3はG、Q、N、S、Y、Tからなる群より選択されるアミノ酸であり;ここでB1~B3の1つは存在せず;そして
Cは式IV
C1-C2-C3-C4-C5-C6-C7-C8-C9-C10-C11-C12-C13-C14
のペプチドであり、式中、C1はG、Q、N、S、Y、およびTからなる群より選択されるアミノ酸であり;C2はK、R、H、M、T、S、A、L、I、およびVからなる群より選択されるアミノ酸であり;C3はG、Q、N、S、Y、およびTからなる群より選択されるアミノ酸であり;C4はM、F、A、I、L、V、およびWからなる群より選択されるアミノ酸であり;C5はG、Q、N、S、T、Y、A、I、L、およびVからなる群より選択されるアミノ酸であり;C6はG、Q、N、S、およびTからなる群より選択されるアミノ酸であり;C7はH、R、およびLからなる群より選択されるアミノ酸であり;C8はA、L、I、およびVからなる群より選択されるアミノ酸であり;C9はG、Q、N、S、TおよびYからなる群より選択されるアミノ酸であり;C10はG、Q、N、S、T、Yからなる群より選択されるアミノ酸(好ましくはN)であり;C11はV、P、A、I、L、G、Q、N、S、T、Y、R、K、D、およびEからなる群より選択されるアミノ酸であり;C12はG、Q、N、S、Y、およびTからなる群より選択されるアミノ酸であり;C13はH、K、R、A、L、I、V、P、G、Q、N、S、Y、およびTからなる群より選択されるアミノ酸であり;C14はF、P、W、G、Q、N、S、Y、T、E、およびDからなる群より選択されるアミノ酸であり;そして
Dは式V
D1-D2-D3-D4-D5-D6-D7-D8
のペプチドであり、式中、D1はR、K、H、D、E、W、Pからなる群より選択されるアミノ酸であり;D2はP、A、L、I、V、M、W、D、およびEからなる群より選択されるアミノ酸であり;D3はD、E、A、L、I、V、R、K、およびHからなる群より選択されるアミノ酸であり;D4はG、Q、S、Y、T、R、L、K、およびHからなる群より選択されるアミノ酸であり;D5はG、Q、N、S、Y、T、D、およびEからなる群より選択されるアミノ酸であり;D6はH、R;K、G、Q、N、S、Y、およびTからなる群より選択されるアミノ酸であり;D7はL、H、およびRからなる群より選択されるアミノ酸であり;D8はA、L、I、およびVからなる群より選択されるアミノ酸であり;そして
Eは式VI
E1-E2-E3-E4
のペプチドであり、式中、E1はP、A、L、I、V、M、W、G、Q、N、S、T、Y、D、およびEからなる群より選択されるアミノ酸であり;E2は;P、A、L、I、V、M、W、G、Q、N、S、T、Yからなる群より選択されるアミノ酸であり;E3はR、K、H、G、Q、N、S、TおよびYからなる群より選択されるアミノ酸であり;E4はP、A、L、IおよびVからなる群より選択されるアミノ酸であり;Fは存在しないかまたは最大約13アミノ酸のアミノ酸配列であり
40~60アミノ酸を含む
前記組換えタンパク質を提供する。
上記側面の1つの態様にしたがって、
A1はP、I、およびLからなる群より選択され;A2はE、V、およびAからなる群より選択され;A3はW、Q、およびYからなる群より選択され;A4はS、T、およびAからなる群より選択され;A5はTおよびSからなる群より選択されるアミノ酸であり;A6はA、E、P、SおよびKからなる群より選択されるアミノ酸であり;A7はWであり;A8はG、SおよびTからなる群より選択され;A9はP、QおよびAからなる群より選択されるアミノ酸であり;そして
B1はセリン(S)であり;B2はT、KおよびRからなる群より選択されるアミノ酸であり;B3はTおよびSからなる群より選択されるアミノ酸であり;そして
C1はアミノ酸Gであり;C2はT、LおよびMからなる群より選択されるアミノ酸であり;C3はGであり;C4はM、F、I、およびVからなる群より選択されるアミノ酸であり;C5はSおよびAからなる群より選択されるアミノ酸であり;C6はTおよびNからなる群より選択されるアミノ酸であり;C7はRであり;C8はV、およびIからなる群より選択されるアミノ酸であり;C9はS、およびTからなる群より選択されるアミノ酸であり;C10はアスパラギンNであり;C11はQ、R、D、V、およびEからなる群より選択されるアミノ酸であり;C12はアスパラギンNであり;C13はR、A、P、およびSからなる群より選択されるアミノ酸であり;C14はF、Q、S、E、およびNからなる群より選択されるアミノ酸であり;そして
D1はR、E、およびWからなる群より選択されるアミノ酸であり;D2はL、M、およびPからなる群より選択されるアミノ酸であり;D3はE、L、VおよびRからなる群より選択されるアミノ酸であり;D4はT、K、およびQからなる群より選択されるアミノ酸であり;D5はQおよびEからなる群より選択されるアミノ酸であり;D6はR、T、S、およびKからなる群より選択されるアミノ酸であり;D7はアルギニン(R)であり;D8はL、およびIからなる群より選択されるアミノ酸であり;そして
E1はL、M、E、N、およびYからなる群より選択されるアミノ酸であり;E2は;S、V、LおよびIからなる群より選択されるアミノ酸であり;E3はQおよびRからなる群より選択されるアミノ酸であり;E4はPであり;Fは存在しないかまたは最大13アミノ酸のペプチドであり、そしてPPSRGRSPQNSAF、GQPVYSSL、EADLEEN、EQEPEQPTD、DVDIHTLI、およびDSNILKTIKIPからなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、
総数44~57のアミノ酸を含む
式(I)の組換えタンパク質を提供する。
上記側面のさらなる態様にしたがって、Fが完全に存在しないか、部分的に存在しないか、またはPPSRGRSPQNSAFのアミノ酸配列を含む約13アミノ酸のペプチドである、式Iの組換えタンパク質を提供する。
より具体的には、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、および配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号37、配列番号38;ならびにアミノ酸配列、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、および配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号37、配列番号38と50%を超える配列同一性を有するその断片または変異体からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、組換えタンパク質を提供する。
本発明の別の側面にしたがって、PEG化されている、上に定義するような組換えタンパク質を提供する。
別の側面にしたがって、本発明は
(i)CCNファミリータンパク質のトロンボスポンジン1型リピート(TSP-1)相同ドメイン;
(ii)(i)のTSP-1リピート相同ドメインにN末端またはC末端で融合し、そして血清アルブミン、トランスフェリンおよびヒトIgGのFc断片からなる群より選択される、融合パートナー;
(iii)随意に、TSP-1リピート相同ドメインおよびFc断片((i)のTSP-1リピート相同ドメインにN末端またはC末端で融合したもの)の間のペプチドリンカー
を含む融合タンパク質を提供する。
上記側面の態様にしたがって、本発明のさらなる側面として上述するような、本発明にしたがった組換えタンパク質を含む、融合タンパク質を提供する。
本発明にしたがった融合タンパク質の融合パートナーは、1つの態様にしたがって、IgG1、IgG2またはIgG4のFc断片、血清アルブミンおよびトランスフェリンからなる群より選択される。
さらなる態様にしたがって、融合パートナー(ii)が、安定化ジスルフィド架橋を含むIgG1、IgG2またはIgG4のFc断片である、融合タンパク質を提供する。こうした突然変異はタンパク質の熱安定性を増加させうる。安定化突然変異は当該技術分野に知られ、そして報告されてきている。
さらにさらなる態様にしたがって、融合パートナー(ii)が、S228P(IgG4に関する)、E233P(IgG1およびIgG4に関する)、F234A(IgG4に関する)、L234A(IgG1に関する)、L234V(IgG1に関する)、F234V(IgG4に関する)、L235A(IgG1およびIgG4に関する)、ΔG236(IgG1およびIgG4に関する)およびΔK447(IgG1、IgG2およびIgG4に関する)からなる群より選択される1つまたはそれより多い突然変異を含む、IgG1、IgG2またはIgG4のFc断片である、融合タンパク質を提供する。
別の態様にしたがって、融合タンパク質は、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、および配列番号19からなる群より選択されるFc断片を含んでもよい。
別の態様にしたがって、融合タンパク質は、配列番号20;配列番号21;配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、および配列番号39からなる群より選択されるリンカーを含む。
1つの態様にしたがって、リンカーは、アミノ酸配列(EAAAK)nを含み、式中、nは少なくとも4であり、好ましくはnは8である。
別の態様にしたがって、融合タンパク質は、配列番号26、配列番号27;配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号40および配列番号41からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
別の態様にしたがって、(ii)の融合パートナーは血清アルブミンである。
本発明の第二の側面の別の態様にしたがって、(ii)の融合パートナーはトランスフェリンである。
本発明は、さらにさらなる側面にしたがって、本発明にしたがった組換えタンパク質、タンパク質または融合タンパク質をコードする核酸分子(例えばDNA)をさらに提供する。
この側面の1つの態様にしたがって、配列番号34、配列番号35、配列番号36または配列番号86、87、90、91、99、100、104、105、108、109、112または113に示すような核酸配列、および配列番号34、配列番号35、配列番号36または配列番号86、87、90、91、99、100、104、105、108、109、112または113と約80%の配列同一性を有する核酸配列を含む、DNA配列を提供する。
さらに、本発明の別の側面にしたがって、本発明にしたがったDNA配列を含む、発現ベクターを提供する。また、本発明にしたがった発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。
最後に、4ドメインCCNファミリータンパク質に起因する細胞シグナル伝達および細胞生理学的機能を阻害するかまたは相殺することによって、障害を治療するかまたは防止するため、医薬として使用するための、上に定義するような、CCNファミリータンパク質のトロンボスポンジン1型リピート(TSP-1)相同ドメイン、タンパク質および融合タンパク質を提供する。
1つの側面において、療法において使用するための、本明細書に定義するような融合タンパク質またはタンパク質を提供する。
融合タンパク質またはタンパク質は、4ドメインCCNタンパク質の活性、特に4ドメインCCNタンパク質の望ましくないまたは異常な活性と関連する状態の治療において使用するためであってもよい。活性は、線維化効果と関連してもよい。活性は線維化促進活性であってもよい。
別の側面において、線維症、または線維症を示す任意の状態(すなわち線維化状態または疾患)の治療または防止において使用するための、本明細書に定義するような融合タンパク質またはタンパク質を提供する。さらなる側面において、癌の治療において使用するための、本明細書に定義するような融合タンパク質またはタンパク質を提供する。炎症性または自己免疫疾患、あるいは代謝性疾患の治療において使用するための、本明細書に定義するような融合タンパク質またはタンパク質もまた提供する。
本発明のこうした側面にしたがって、本明細書に定義するかまたは記載するような、状態または疾患を治療するかまたは防止するための薬剤製造のための、本明細書に定義するようなタンパク質または融合タンパク質の使用もまた提供する。
こうした側面にはまた、本明細書に定義するかまたは記載するような状態または疾患を治療するかまたは防止する際に使用するための、本明細書に定義するようなタンパク質または融合タンパク質を含む組成物(例えば薬学的組成物)も含まれる。
こうした側面にはまた、本明細書に定義するかまたは記載するような状態または疾患を治療するかまたは防止する方法であって、本明細書に定義するようなタンパク質または融合タンパク質、特に前記タンパク質または融合タンパク質の有効量を、その必要がある被験体に投与する工程を含む、前記方法も含まれる。
図1は、CCN5(dIII)-Fcv2(配列番号28の配列に定義するような、本発明の一態様)の細胞生理および細胞シグナル伝達を示す。A)は配列番号28のCCN5(dIII)-Fcv2融合タンパク質が、A549肺癌細胞においてAktのリン酸化(セリン-473)の濃度依存性阻害を引き起こすことを示す。すべてのエラーバーはSDを示す。統計的有意性は、ダネットの事後検定を伴う1方向ANOVAによって計算した(p<0.05をによって示す)。 図1は、CCN5(dIII)-Fcv2(配列番号28の配列に定義するような、本発明の一態様)の細胞生理および細胞シグナル伝達を示す。B)は配列番号28のCCN5(dIII)-Fcv2融合タンパク質が、ヒト肺線維芽細胞株、IMR90において増殖を阻害することを示す。すべてのエラーバーはSDを示す。統計的有意性は、ダネットの事後検定を伴う1方向ANOVAによって計算した(p<0.05をによって示す)。 図1は、CCN5(dIII)-Fcv2(配列番号28の配列に定義するような、本発明の一態様)の細胞生理および細胞シグナル伝達を示す。C)は配列番号28のCCN5(dIII)-Fcv2融合タンパク質が、エストロゲン受容体陽性乳癌細胞株MCF-7の、およびトリプルネガティブ乳癌細胞株MDA-MB-231の球体形成能(係留独立増殖)を阻害することを示す。すべてのエラーバーはSDを示す。統計的有意性は、ダネットの事後検定を伴う1方向ANOVAによって計算した(p<0.05をによって示す)。 図1は、CCN5(dIII)-Fcv2(配列番号28の配列に定義するような、本発明の一態様)の細胞生理および細胞シグナル伝達を示す。D)は配列番号28のCCN5(dIII)-Fcv2融合タンパク質が、TGF-β誘導性SMADレポーター活性(SMADタンパク質はカノニカルなTGF-β制御性転写因子である)を、用量依存性に阻害することを示す。すべてのエラーバーはSDを示す。統計的有意性は、ダネットの事後検定を伴う1方向ANOVAによって計算した(p<0.05をによって示す)。 図2は、CCN5(dIII)がIgGのFc断片に融合している本発明の態様の、プロテアーゼ感受性に対するFc断片のヒンジ領域の異なる変異体の効果を示し、ここで、試験される融合タンパク質は、それぞれ、配列番号28;配列番号29、および配列番号30に示すような配列を含む。以下の実施例6を参照されたい。 図3は、IgGのFc断片とCCN5(dIII)を連結するペプチドリンカーの構造に応じた、本発明の態様の凝集の傾向を示し、ここで、試験される融合タンパク質は、配列番号30および配列番号31に示すような配列を含む。 図4は、ペプチドリンカーに、そしてFc-ヒンジを通じてFc断片にC末端で連結されたTSP-1リピート相同ドメインを含む、本発明記載の融合タンパク質を例示する。 図5は、本発明の態様が、CCN5 TSP-1リピート相同ドメインの野生型P195変異体(Fc-HLn8-CCN5(dIII)、配列番号40)に比較して、配列番号7に示すような、CCN5 TSP-1リピート相同ドメインのプロリン195の突然変異を取り込んだ場合(Fc-HLn8-CCN5(dIII)-P195A、配列番号41)の、エンドペプチダーゼ切断に対する感受性の減少を示す。 図6は、プロテインA捕捉クロマトグラフィによって精製された、配列番号58に対応するタンパク質の産生を示す。還元剤、ベータ-メルカプトエタノールの非存在下(-レーン)では二量体が存在することがわかる。しかし、ベータ-メルカプトエタノールの存在下(+レーン)では、主な産物は、配列番号58によってコードされる部分すべてを含む、損なわれていない(intact)融合タンパク質(TSP-1相同ドメイン断片、ペプチドリンカーおよびFc断片)ではなく、Fc断片のみで構成される切断断片であることがわかる。 図7は、プロテインA捕捉クロマトグラフィによって精製された、一部切除C末端テールを有する、配列番号27に対応するタンパク質の産生を示す。該タンパク質が、C末端テールが含まれている配列番号58に対応するタンパク質よりも、プロテアーゼ分解に対して有意により耐性であることがわかる。 図8は、プロテインA捕捉クロマトグラフィによって精製された、配列番号27に対応するタンパク質に類似の、配列番号73に対応するタンパク質の産生を示す。再び、ベータ-メルカプトエタノールの存在下(+レーン)で、該タンパク質が、配列番号58に対応するタンパク質よりも、プロテアーゼ分解により耐性であることがわかる。 図9は、安定トランスフェクション細胞において産生された、配列番号41に対応するタンパク質の多様な濃度の投与後の、A549肺癌細胞におけるホスホ-AKT(Ser-473)レベルを測定するアッセイの結果を示す。該タンパク質が、AKTのリン酸化の阻害をまったく示さないことがわかる。 図10は、安定トランスフェクション細胞において産生された、配列番号80に対応するタンパク質の多様な濃度の投与後の、A549肺癌細胞におけるホスホ-AKT(Ser-473)レベルを測定するアッセイの結果を示す。該タンパク質が、AKTのリン酸化の有意な阻害をまったく示さず、そして実際、より高い濃度では、ホスホ-AKTの増加すら生じうることがわかる。 図11は、一過性トランスフェクション細胞において産生された、配列番号80に対応するタンパク質の多様な濃度の投与後の、A549肺癌細胞におけるホスホ-AKT(Ser-473)レベルを測定するアッセイの結果を示す。一過性トランスフェクション細胞において産生された際、該タンパク質が、AKTのリン酸化に対して、濃度依存性の阻害活性を有することがわかる。 図12は、配列番号84、94および106に対応するタンパク質の多様な濃度の投与後、A549肺癌細胞におけるホスホ-AKT(Ser-473)レベルを測定するアッセイの結果を示す。これらのタンパク質各々が、AKTのリン酸化に対して、濃度依存性の阻害活性を有することがわかる。 図13は、配列番号88に対応するタンパク質の多様な濃度の投与後、A549肺癌細胞におけるホスホ-AKT(Ser-473)レベルを測定するアッセイの結果を示す。該タンパク質が、10μg/mlを超える濃度で、AKTのリン酸化を阻害可能であることがわかる。 図14は、配列番号102および97に対応するタンパク質の多様な濃度の投与後、A549肺癌細胞におけるホスホ-AKT(Ser-473)レベルを測定するアッセイの結果を示す。どちらのタンパク質も、AKTのリン酸化に対する、濃度依存性阻害活性を有することがわかる。 図15は、配列番号110に対応するタンパク質の多様な濃度の投与後、A549肺癌細胞におけるホスホ-AKTレベルを測定するアッセイの結果を示す。該タンパク質が、AKTのリン酸化に対する、濃度依存性阻害活性を有することがわかる。 図16は、配列番号106に対応するタンパク質を伴ういくつかの実験の結果を示す。A)TGF-ベータおよびCCN2の両方によって誘導されるヒト肺線維芽細胞の遊走を、該タンパク質が阻害することを示す。B)TGF-ベータおよびCCN2の両方によって誘導されるスクラッチ創傷の閉鎖を、該タンパク質が阻害することを示す。 図16は、配列番号106に対応するタンパク質を伴ういくつかの実験の結果を示す。C)線維化促進性であることが知られる遺伝子、COL1A1の発現のTGF-ベータ誘導の部分的阻害を、該タンパク質が生じることを示す。D)線維化促進性であることが知られる遺伝子、FN1の発現のTGF-ベータ誘導の部分的阻害を、該タンパク質が生じることを示す。 図16は、配列番号106に対応するタンパク質を伴ういくつかの実験の結果を示す。E)線維化促進性であることが知られる遺伝子、ACTA2の発現のTGF-ベータ誘導の部分的阻害を、該タンパク質が生じることを示す。F)線維化促進性であることが知られる遺伝子、CCN2の発現のTGF-ベータ誘導の部分的阻害を、該タンパク質が生じることを示す。
本発明は、言及するように、CCN5のトロンボスポンジン1型リピート(TSP-1)相同ドメインが、CCN5/WISP2の細胞シグナル伝達機能を与える、完全に活性な構造であるという驚くべき知見に基づく。CCN5のTSP-1リピート相同ドメインの活性に対するこの新規洞察に基づいて、本発明者らは、4ドメインCCNタンパク質、すなわちCCN1、CCN2、CCN3、CCN4およびCCN6に起因する細胞シグナル伝達および細胞生理学的機能を阻害するかまたは相殺するために使用可能な、本発明にしたがったタンパク質、組換えタンパク質および融合タンパク質を提供する。CCN5の活性を再現するために全長CCN5のどの部分が必要であるか、以前は明らかでなかったため、そして全長CCN分子はタンパク質分解に非常に感受性であり、そして活性がある均質な型で生じることが困難であるため、この新規洞察は、CCN5に基づく、安定で均質な薬剤様分子の形成を可能にするために非常に重要であると見なされる。さらに、CCN5の特定の部分が、例えば全長タンパク質の一過性過剰発現に際して観察される活性を再現するために十分でありうるというこの含意はまた、CCNタンパク質がマトリックス細胞タンパク質として働くという、技術分野における一般的な意見とは対照的である。CCNタンパク質、およびマトリックス細胞タンパク質一般の作用機構に関する一般的な意見は、細胞シグナル伝達の直接調節因子として働くというよりも、CCNタンパク質の異なるセグメントが多様な他のECMタンパク質および細胞表面受容体と相互作用して、それによってその活性を調節するというものである。CCN5のTSP-1リピート相同ドメインの活性の新規知見、およびCCNタンパク質ファミリーの他のメンバーとの構造的に緊密な関係の知見によって、他のCCNファミリータンパク質のTSP-1リピート相同ドメインもまた、4ドメインCCNファミリータンパク質の細胞シグナル伝達機能を阻害するために利用可能であることが示唆される。1つの側面にしたがって、本発明の組換えタンパク質および融合タンパク質は、A549細胞においてAKTのリン酸化(Ser473)を阻害する。
前記細胞シグナル伝達の阻害は、多様な障害の治療に適切である。例えば、CCN2は、いくつかの疾患、特に、増進された線維形成および組織線維症が特徴的な病態生理特性である疾患に関与する。
例えば、CCN2のみの過剰発現は、肺において線維症を誘導するために十分であることが示されてきている(Sonnylalら, Arthritis Rheum 62,1523-1532(2010))。CCN2はまた、ブレオマイシン誘導性肺線維症(Bonniaud P.ら Am J Respir Cell Mol Biol 31,510-516(2004))、放射線誘導性肺線維症(Bickelhaupt,S.ら J Natl Cancer Inst 109(2017))、およびPTEN(ホスファターゼおよびテンシン相同体(Phosphatase And Tensin Homolog))発現の喪失による肺線維症(Parapuram,S.K.ら Matrix Biol 43, 35-41(2015))に必要であることもまた見出されてきている。さらに、他の誘発剤の非存在下で、CCN2は、肺クララ細胞(Wu,S.ら Am J Respir Cell Mol Biol 42,552-563(2010))、肺胞II型上皮細胞で発現され、そしてそこから分泌された際(Chen,S.ら Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 300,L330-340)、線維芽細胞特異的プロモーターから発現された際(Sonnylalら(2010)、上記、Sonnylal,S.ら, J Cell Sci 126,2164-2175(2013))、またはアデノウイルスによって送達された際(Bonniaud,P.ら, Am J Respir Crit Care Med 168,770-778(2003))、肺線維症を誘導することが見出されてきている。したがって、多数の報告はすべて、CCN2が皮膚または肺において線維症を誘発するために十分であるだけでなく、いくつかの疾患モデルにおいて、完全な線維症表現型にも必要であるという結論を支持する。肺線維症は、ヒト疾患、特発性肺線維症(IPF)の特徴であるが、肺線維症はまた、慢性閉塞性肺疾患(COPD)(Jang,J.H.ら, COPD 14,228-237(2017))、および全身性硬化症の状況でも起こる。実際、肺線維症は、全身性硬化症患者の最大40%で、主な死因として報告されてきている(Tyndall AJら, Ann Rheum Dis.2010 Oct;69(10):1809-15)。CCN2、および他のCCNタンパク質、例えばWISP1もまた、ヒト患者において、IPF(Konigshoff,M.ら, J Clin Invest 119,772-787(2009))およびCOPD(Jangら、上記)の両方の病態生理に関連付けられてきている。
別の例は新生物障害である。例えば、乳癌の状況において、CCN2は、トリプルネガティブ乳癌モデル(MDA-MB-231)において、骨転移に寄与することが示されてきている(Kang,Y.ら, Cancer Cell 3, 537-549(2003))。さらに、高レベルのCCN2を発現する細胞株であるトリプルネガティブ乳癌細胞(MDA-MB-231)(Chen,P.S.ら, J Cell Sci 120,2053-2065(2007))において、CCN2をノックダウンすると、これらの細胞の遊走能が減少する一方、CCN2の内因性発現が低いホルモン受容体陽性MCF-7乳癌細胞株(Chenら、上記)において、CCN2を過剰発現すると、後者の細胞の遊走能が増加した(Chenら、上記、Chien,W.ら, Int J Oncol 38,1741-1747(2011))。さらに後の報告はまた、MCF-7細胞においてCCN2を過剰発現させると、化学耐性が増加する一方、MDA-MB-231細胞においてCCN2をノックダウンすると、化学耐性が減少することも見出した(Wang,M.Y.ら, Cancer Res 69,3482-3491(2009))。CCN2によって与えられる化学耐性の増加はまた、他の乳癌細胞に関しても報告されてきている(Lai,Dら, Cancer Res 71,2728-2738(2011))。さらに、過剰発現またはノックダウン研究を通じて、CCN2が、上皮から間葉系への遷移(EMT)、および乳癌細胞の係留独立増殖(マンモスフェア形成)能の増加に寄与することもまた示されてきている(Chenら、上記、Zhu, X.ら, Oncotarget 6,25320-25338(2015))。化学耐性増加およびCCN2によって誘導されるEMTの増進の知見はどちらも、他の癌タイプにおいてもまた、EMTおよび化学耐性の間にある関連と一致する(Fischer,K.R.ら, Nature 527,472-476(2015)、Zheng,X.ら, Nature 527,525-530(2015))。
特定の側面において、本発明は、CCNファミリータンパク質のトロンボスポンジン1型リピート(TSP-1)相同ドメインの少なくとも部分に対応するポリペプチドを含み、TSP-1相同ドメイン配列が一部切除され、そして/または修飾されていてもよいが、該ドメインのシステイン残基が保存されているポリペプチドを含む、上に定義するような単量体性融合タンパク質を提供する。このポリペプチドは、便宜上、「TSP-1ポリペプチド」と称されてもよく、そしてこの用語は、したがって、特定の天然TSP-1相同ドメイン配列のみへのいかなる限定も持たずまたは示さないと理解されるものとする。用語「TSP-1ポリペプチド」は、「TSP-1ドメインタンパク質」または「TSP-1ドメイン配列」と同義にまたは交換可能に使用可能である。
以下の実施例に立証するように、驚くべきことに、単量体性融合パートナーは、二量体性融合タンパク質を生じるIgGタンパク質由来のFc断片などの、二量体性融合パートナーに比較して、活性であり、そして安定であるタンパク質を産生する際に好適であることが見出されてきている。単量体性融合は、これらが含むTSP-1ドメインポリペプチドの活性を保持する。さらに、タンパク質は、タンパク質分解的分解に関するものを含めて安定である。さらに以下に記載するように、タンパク質分解的分解に対する耐性は、特に、上述のAla置換を含めて、TSP-1ポリペプチドのアミノ酸配列に対する修飾を作製することによって、改善されうる。
したがって、融合タンパク質の構成要素(i)のポリペプチドは、配列番号37または2~6より選択される前記配列と、あるいは配列番号1または8~12より選択される配列と少なくとも80%の配列同一性を保持し、そして前記配列中のシステイン残基のすべてが保存される限り、前記配列に対して、挿入、欠失、置換、突然変異またはその任意の組み合わせを含んでもよい。
別の側面において、本発明は、CCNファミリータンパク質のトロンボスポンジン1型リピート(TSP-1)相同ドメインの少なくとも部分に対応するポリペプチドからなるかまたはこうしたポリペプチドを含むが、融合タンパク質の背景にはないタンパク質(例えば組換えタンパク質)を提供し、ここで、TSP-1ドメイン配列は一部切除され、そして/または修飾されていてもよく、そして配列番号37または2~6、あるいは配列番号1または8~12の2位に対応する位でAla置換を含むが、該ドメインのシステイン残基は保存されている。言い換えると、TSP-1ドメインタンパク質は、融合パートナーなどの別の構成要素は含まずに、またはこうした構成要素とは独立に、提供されてもよい。したがって、TSP-1ドメインタンパク質は、別のタンパク質ドメインまたは構成要素、あるいは他の機能的または構造的タンパク質配列に融合もまたは連結もされていない。便宜上、こうしたタンパク質は、「Ala置換タンパク質」と称されてもよい。
本明細書において、用語「保存された」は、所定の配列における残基が、欠失または置換されていないことを意味する。言い換えると、用語「保存された」は、用語「保持された」と同義に(そして交換可能に)用いられる。これは単純に、システイン残基が配列から除去されないことを意味する。したがって、上記背景において、これは、配列番号37または2~6あるいは1または8~12より選択される配列中のシステイン残基が欠失もまたは置換もされないことを意味する。保存された残基間(例えば保存されたシステイン間)でのさらなる残基の挿入、または保存されない(例えば非システイン)残基の欠失は、元来の参照配列(例えば配列番号37または2~6より選択される配列)中のその位に対して、ポリペプチド配列中の保存された残基の位置を改変させる可能性もあることが注目される。しかし、本明細書に定義した際、こうした残基はなお、「保存された」と見なされる。したがって、用語「保存された」は、システイン残基の位(またはより具体的には、位の番号)に対するいかなる制限または限定も課さない。
いくつかの態様において、(i)のポリペプチドは:
(a)配列番号1または8~12より選択されるアミノ酸配列;あるいは
(b)配列番号1または8~12より選択される配列に少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列;あるいは
(c)(a)または(b)のアミノ酸配列の部分であって、それぞれ、配列番号37、6、2、3、4もしくは5の、またはそれぞれ、配列番号37、6、2、3、4もしくは5より選択される配列に少なくとも80%の配列同一性を有する配列の、少なくとも44アミノ酸配列を含む、前記部分
を含むか、あるいはこれらからなる。
上述のように、(ii)の単量体性融合パートナーおよび(iii)のペプチドリンカーは、CCNファミリータンパク質のIGF結合タンパク質相同ドメイン、フォン・ヴィルブランド因子C型リピート相同ドメイン、またはシステイン・ノット・ドメインではないかまたはこれらのドメインを含まない。言い換えると、本発明の融合タンパク質中に存在してもよいCCNファミリータンパク質の唯一のドメインは、TSP-1相同ドメインである。
同様におよび類似に、融合タンパク質ではないAla置換タンパク質の背景において、該タンパク質は、いかなる他のCCNドメインも(TSP-1ドメインタンパク質以外には)含まない。
いくつかの態様において、(i)のポリペプチドまたはAla置換タンパク質は、上に定義するように、TSP-1相同ドメインの部分しか含まなくてもよい。本発明者らは、必要とされるTSP-1ドメインの最小限の断片は、配列番号37、6、2、3、4または5の44アミノ酸配列であることを見出している。したがって、いくつかの態様において、(i)のポリペプチドは、長さ少なくとも44アミノ酸である。いくつかの態様において、(i)のポリペプチドは、長さ44~57アミノ酸である。しかし、上述のように、システイン残基の間に位置する44アミノ酸最小断片において、1つまたはそれより多いアミノ酸の欠失があってもよい。したがって、いくつかの態様において、TSP-1ポリペプチドの長さは、44残基未満、すなわち40~43残基であってもよい。
いくつかの態様において、(i)のポリペプチドは、配列番号37または2~6より選択されるアミノ酸配列、あるいは配列番号37または2~6より選択される配列に少なくとも80%の配列同一性を有する配列からなる。
上述のように、本発明のタンパク質は、融合タンパク質を含めて、CCN5の活性、より具体的には生物学的活性を提示する(または言い換えると、示すまたは有する)。1つの態様において、タンパク質は、CCN5のTSP-1相同ドメインの活性を保持するかまたは示すかまたは有してもよい。あるいは、タンパク質は、CCNタンパク質の単離TSP-1相同ドメインの活性、特に生物学的活性を提示する(または示すまたは有する)と定義されてもよい。前述は、ドメインの任意の活性、そして特にTSP-1相同ドメインの抗線維化効果を反映する活性に当てはまりうる。ドメインの任意の特定の生物学的効果に基づいて、任意の好適なアッセイまたは方法を用いて、こうした活性に関してアッセイ(または試験または検出)してもよい。
AKTのリン酸化に対するタンパク質の効果を分析することによって、所定のタンパク質の活性を好適に評価してもよいことが注目される。特に、実施例2に記載するように、A549ヒト肺癌細胞において、AKTのリン酸化(Ser-473)を阻害する能力に関して、所定のタンパク質をアッセイしてもよい。当業者は、他の類似のアッセイを考案して、同じ活性を評価してもよいし、または他の関連する抗線維化活性を評価してもよいことを認識するであろう。
上述のように、本発明の他の側面において、4ドメインCCNタンパク質に起因する細胞シグナル伝達および細胞生理学的機能を阻害するかまたは相殺する組換えタンパク質であって、上記式I記載のアミノ酸配列を含む、前記組換えタンパク質を提供する。
Cys-A-Cys-B-Cys-C-Cys-D-Cys-E-Cys-F
式中、A、B、C、D、EおよびFは上に定義する通りであり、そして付随する請求項における通りである。式Iは、構造的に関連するCCNファミリータンパク質(CCN1~CCN6)のTSP-1リピート相同ドメインの整列の結果であり、これらはすべて6つの保存されたシステインを含み、そしてタンパク質の活性に影響を及ぼすことなくアミノ酸が置換されてもよい(以下にさらに論じるような保存的置換)ことを考慮に入れている。異なるCCNタンパク質のTSP1リピート相同ドメインの最初の保存されるシステインの位置は、式Iの組換えタンパク質の1位と定義される。
保存されたシステインの間の5つのセグメントは、それぞれ、A、B、C、D、およびEである。
第一のセグメントAは、式A1-A2-A3-A4-A5-A6-A7-A8-A9によって定義され、式中、A1~A9は上に定義する通りである。セグメントAの7番目の位置(A7)中のアミノ酸は、CNNファミリータンパク質のすべてのメンバーにおいてトリプトファン(W)であり、そして保存されていると考えられる。
第二のセグメントBは、式B1-B2-B3によって定義され、式中、B1~B3は上に定義する通りである。1つの態様にしたがって、B1およびB3はセリンまたはスレオニンのいずれかである。
第三のセグメントCは、式C1-C2-C3-C4-C5-C6-C7-C8-C9-C10-C11-C12-C13-C14であり、式中、アミノ酸C1~C14は上に定義する通りである。1つの態様にしたがって、アミノ酸C1およびC3はグリシン(G)である。別の態様にしたがって、C7はアルギニン(R)であり、C10およびC12はどちらもアスパラギン(N)である。
第四のセグメントDは、式D1-D2-D3-D4-D5-D6-D7-D8によって定義され、式中、アミノ酸D1~D8は上に定義する通りである。1つの態様にしたがって、D7はアルギニン(R)である。
第五のセグメントEは、式E1-E2-E3-E4によって定義され、式中、アミノ酸E1~E4は上に定義する通りである。本発明の1つの態様にしたがって、E4はプロリンである。
最後のシステインに続いて、0~13アミノ酸を含む、可変長のカルボキシル末端ペプチドセグメント(F)がある。
Fは、CCNファミリータンパク質のTSP-1リピート相同ドメインのアミノ酸配列と比較して、欠失されてもまたは短縮されてもよい。1つの態様にしたがって、Fは存在しない。別の態様にしたがって、Fは、PPSRGRSPQNSAF、GQPVYSSL、EADLEEN、EQEPEQPTD、DVDIHTLI、およびDSNILKTIKIPからなる群より選択されるペプチドからなる。本態様の1つの側面にしたがって、組換えタンパク質は、配列番号8~12に示すようなアミノ酸配列の型を取ってもよい。
別の側面にしたがって、本発明は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、および配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号37、配列番号38;ならびにアミノ酸配列、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、および配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号37、配列番号38と少なくとも50%の配列同一性を有するその断片または変異体からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、組換えタンパク質を提供する。
1つの側面にしたがって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、および配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号37、配列番号38;ならびにアミノ酸配列、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、および配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号37、配列番号38と50%を超える配列同一性を有するその断片または変異体からなる群より選択されるアミノ酸からなる、組換えタンパク質を提供する。
「組換えタンパク質」は、本明細書において、組換え核酸によってコードされるタンパク質である。これらは、以下にさらに開示するように、宿主細胞において、組換え核酸から発現される。
「組換え核酸」は、本明細書において、以下にさらに開示するように、その起源または操作によって、天然に会合しているポリヌクレオチドのすべてまたは部分と会合しておらず、そして/または天然に連結しているもの以外のポリヌクレオチドに連結している、核酸分子を記載する。
当業者は、本発明記載の組換えタンパク質および融合タンパク質のアミノ酸配列の修飾を、前記タンパク質の活性を改変することなく導入しうることを知っている。アミノ酸は通常、疎水性または親水性として、そして/あるいは極性または非極性側鎖を有するとして分類される。1つのアミノ酸の、同じ生化学的特性を有する別のものでの置換は、一般的に保存的置換として知られる。
アミノ酸の保存的置換には、以下の群内のアミノ酸間で行われる置換が含まれる:
・MILV
・FYW
・KRH
・AG
・ST
・QN
・ED
一般的に、保存的アミノ酸置換は、アミノ酸置換が行われるタンパク質の相対電荷またはサイズ特性を改変しないアミノ酸置換を指し、そしてしたがって、タンパク質の構造をほとんど改変せず、これが生物学的活性もまた有意には改変されない理由である。
当業者は、構造的および化学物理的特性が保存される限り、1つまたはいくつかのアミノ酸が欠失されるか、挿入されるか、またはアミノ酸配列に付加されても、タンパク質の生物学的活性もまた保持されうることを知っている。
記号「Δ」は、アミノ酸の直前で用いられた際、示すアミノ酸の欠失を指し、例えばΔK447は、K447が存在しないタンパク質と理解されるものとする。特定のアミノ酸の欠失はまた、本明細書において、代わりに「-」で示され、例えばK447-もまた、K447が存在しないタンパク質と理解されるものとする。
したがって、本発明は、付随する請求項において開示されるように、組換えタンパク質および融合タンパク質を含み、上述のようなこうした修飾(アミノ酸の置換、欠失、挿入および付加)は、その生物学的活性、すなわち4ドメインCCNファミリータンパク質;CCN1、CCN2、CCN3、CCN4およびCCN6に起因する細胞シグナル伝達および細胞生理学的機能を阻害するかまたは相殺する能力を本質的に改変することなく導入されうることが理解されるものとする。
本明細書を通して、アミノ酸配列に言及する。本明細書でアミノ酸配列に言及する際、ときに、本明細書において、「uniprot番号付け」またはEu番号付けを参照することにより、問題のアミノ酸配列またはタンパク質の修飾に言及する。uniprot番号付けはuniprotデータベース(UniProt Consortium, Nucleic Acids Res. 2019 Jan 8;47(D1):D506-D515)で利用される番号付けを指す。CCNタンパク質のアミノ酸番号に言及する際、uniprot番号付けを用いる。Eu番号付けは、Eu抗体の番号付け(Edelmanら,1969,Proc Natl Acad Sci USA 63:78-85)を指し、そして野生型とは異なる突然変異またはキメラを含むまたは含まないヒトIgGサブクラスのFc断片におけるアミノ酸を指す際に用いられる。Eu番号付け系は、例えば、IMGT Scientificチャート中の国際ImMunoGeneTics情報系(IMGT)からアクセス可能である。IMGTは、Lefranc M-P, Biomolecules.2014 Dec;4(4):1102-1139に記載される。
本明細書において、「配列同一性」に言及する際、第二の配列に少なくともx%の同一性を有する配列は、第二のアミノ酸配列の全長に対して、全体整列を通じて両方の配列を最適に整列させた際、第二の配列のマッチするアミノ酸に同一である、第一の配列中のアミノ酸の数を示す。xが最大である場合、両方の配列は最適に整列されている。整列および同一性パーセントの決定を、手動でまたは自動的に行ってもよい。
アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のための整列を、当該技術分野の技術範囲内の多様な方式で達成してもよく、例えば公的に入手可能なソフトウェア、例えばClustalOmega(Sievers F, Higgins DG(2018)Protein Sci 27:135-145)、タンパク質BLAST(National Center for Biotechnology Information(NCBI)、米国より)、または商業的に入手可能なソフトウェア、例えばMegalign(DNASTAR)ソフトウェアを用いてもよい。当業者は、比較する配列の全長に渡って最大整列を達成するために必要な任意のアルゴリズムを含めて、整列を測定するために適切なパラメータを決定してもよい。NCBI BLASTは、アミノ酸配列同一性を決定するために用いられるソフトウェアの別の例である(MacWilliamら, Nucleic Acids Res.2013 Jul;41(Web Server issue):W597-W600)。
本発明の1つの側面にしたがって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号37、および配列番号38;ならびにアミノ酸配列、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号37および配列番号38と少なくとも50%の配列同一性を有するその断片または変異体からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、組換えタンパク質を提供する。
別の側面にしたがって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号37、および配列番号38からなる群より選択されるアミノ酸配列と、少なくとも60%、70%、80%、90%、または95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、組換えタンパク質を提供する。
生物学的に活性であるタンパク質およびペプチドは、ヒト疾患の臨床管理において、重要な位置を有する。しかし、多くのタンパク質およびペプチドは、これらが小さいサイズであるために腎濾過によって除去されるため、そして/またはタンパク質分解的代謝のためのいずれかで、理想的な薬物動態学的特性ではないため、困難を提示する。こうした要因は、タンパク質またはペプチドの循環濃度を有効な療法レベルに維持するために、一定の注入または頻繁な皮下投与を投与する必要があるなど、治療の必要がある被験体に薬剤を投与する際に、限界または困難を課す可能性もある。薬剤の一定のまたは非常に頻繁な投与の必要性は、患者および医師の両方に明らかな困難および不都合を与えるため、臨床的に望ましくない。
生物学的活性ペプチドまたはタンパク質の半減期を延長させるための1つの戦略は、PEG化と呼ばれるプロセスによって、関心対象のペプチドまたはタンパク質にポリエチレングリコール(PEG)基を連結させることである(例えばDozieら(2015), Int.J.MolSci, 16(10) 25831-25864を参照されたい)。タンパク質PEG化のための一般的な戦略は、タンパク質-PEGコンジュゲートを形成するため、タンパク質上の官能基と、PEG分子上の相補基を反応させることである。PEG部分は、柔軟性、親水性、多様なサイズおよび低毒性のため、タンパク質の安定性および循環半減期を増加させるためのいくつかの利点を提供する。
1つの態様において、本発明は、したがって、前記タンパク質がPEG化されている、上述のような組換えタンパク質を提供する。本発明にしたがった融合タンパク質もまた、PEG化されていてもよい。
融合タンパク質
ペプチドおよびタンパク質の医学的使用に関する困難を除去する別の方法は、融合タンパク質を作製することによって、生物活性タンパク質またはペプチドの半減期の延長を得ることである(例えば、Valeriaら(2017),“A New Approach to Drug Therapy: Fc-Fusion Technology”,Prim Health Care,7:255,doi:10.4172/2167-1079.1000255)。遺伝子組み換えを通じて、タンパク質またはペプチドをキャリアータンパク質に共有的に融合させることによって、関心対象のタンパク質の分子量を、腎濾過の閾値であるおよそ60~70kDaに増加させることが可能である。
本発明は、
(i)CCNファミリータンパク質のトロンボスポンジン1型リピート(TSP-1)相同ドメイン;
(ii)(i)のTSP-1リピート相同ドメインにNまたはC末端で融合し、そして血清アルブミン、トランスフェリンおよび免疫グロブリンFc断片からなる群より選択される、融合パートナー;
(iii)随意に、(i)のTSP-1リピート相同ドメインおよびFc断片(TSP-1リピート相同ドメインにNまたはC末端で融合している)の間のペプチドリンカー
を含む、融合タンパク質を提供する。
本明細書を通して、TSP-1リピート相同ドメインはまた、CCNファミリータンパク質の第三のドメインを指す、ドメインIIIと称されてもよく、そして該ドメインを指してもよい。
1つの好ましい側面において、融合パートナーは単量体性融合パートナーであり、そして単量体性である融合タンパク質を生じる。こうした融合タンパク質、そして特にそのTSP-1ドメインは、上記のように定義され、そしてさらに以下に記載される。
しかし、本開示にはまた、TSP-1ドメインタンパク質構成要素および融合パートナー構成要素両方に関して、他の態様も含まれる。
こうした態様にしたがって、TSP-1リピート相同ドメインは、上に定義するような式Iの組換えタンパク質である。
TSP-1リピート相同ドメインは、別の態様にしたがって、配列番号1~12、37、および38に示す配列のいずれか1つに定義するようなアミノ酸配列を有する組換えタンパク質、または上に定義するような式Iの組換えタンパク質である。
1つの態様にしたがって、TSP-1リピート相同ドメインは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号37、および配列番号38からなる群より選択されるアミノ酸配列と、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む組換えタンパク質である。
タンパク質は、本質的にプロテアーゼ分解に感受性である。本発明にしたがった組換えタンパク質および融合タンパク質のプロテアーゼ分解を防止するため、プロテアーゼ耐性組換えタンパク質および融合タンパク質を提供するために、例えば部位特異的突然変異誘発によって、アミノ酸配列に対する修飾を導入してもよい。例えば、融合タンパク質の、または組換えタンパク質中の、配列番号1~12、37または38に定義するようなCCNファミリータンパク質、あるいはより具体的には配列番号1~6、8~12または37のいずれか1つに定義するようなタンパク質のトロンボスポンジン1型リピート(TSP-1)相同ドメイン中に、点突然変異を導入してもよい。1つの態様にしたがって、タンパク質分解的分解の感受性を減少させる点突然変異を導入する。本発明の組換えタンパク質および融合タンパク質のより少ないタンパク質分解を生じる点突然変異の限定されない例は、CCN5、例えば配列番号7に示すもののドメインIIIの195位のプロリンのアラニンでの置換(P195A)に対応する点突然変異を導入することによる。また、他のCCNファミリーメンバーのドメインIIIから生じるアミノ酸配列において、類似の突然変異を導入してもよい。配列番号38は、Ala置換を含む、CCN5のTSP-1ドメインの一部切除44アミノ酸配列に相当する。配列番号42~46は、それぞれ、Ala置換を含むCCN1、2、3、4および6のTSP-1相同ドメインの一部切除44アミノ酸配列に相当する。配列番号47~51は、それぞれ、Ala置換を含む、CCN1、2、3、4および6のより長いTSP-1相同配列に相当する。任意のこうした配列、またはこれと少なくとも80%の配列同一性を有する配列を、本発明にしたがって用いてもよい。
上述のように、好ましい態様において、本発明にしたがった融合タンパク質の融合パートナー(ii)は単量体性である。いかなる単量体性融合パートナーを用いてもよい。したがって、融合パートナーは、TSP-1相同ドメインタンパク質構成要素と融合した際、単量体型で存在し、そして単量体型のままである、いかなるタンパク質、またはその部分(例えばタンパク質ドメイン)であってもよい。したがって、単量体性融合パートナーおよびTSP-1相同ドメインタンパク質を含む融合タンパク質は、単量体として存続する。すなわち、二量体化するか、またはそれ自身とより高次の多量体を形成することはない。
多様なタンパク質が、ありうる融合パートナーとして知られ、そしてこれには、天然タンパク質、あるいはその断片またはアミノ酸配列修飾変異体、ならびに合成タンパク質またはアミノ酸ホモポリマーが含まれてもよい。こうしたタンパク質には、特に、IgGのFc断片、血清アルブミンまたはトランスフェリンが含まれる。
融合パートナーは、第一のCCN TSP-1相同ポリペプチドと天然には組み合わされて(例えば隣接して、あるいは直接または間接的に、連結されて)存在せず、そして合成または人工的な組み合わせで、第一のCCN TSP-1相同ポリペプチドに連結される、第二のポリペプチド(または第二のアミノ酸配列)と、本明細書において、広く定義される。したがって、融合タンパク質は、ともに連結されるかまたは融合される、少なくとも2つのアミノ酸配列またはポリペプチドの非天然組み合わせを含む。
融合パートナーは、長さ少なくとも6、8、9、10、15、20、25、30、40または50あるいはそれより多いアミノ酸のアミノ酸配列であってもよい。典型的には、融合パートナーは、機能性ポリペプチドであるか、あるいは言い換えると、融合タンパク質に機能または特性、例えば融合タンパク質を安定化させる(第一のポリペプチドをより安定にする)か、または血清半減期を増加させる機能または特性を与えるポリペプチドである。したがって、融合パートナーは、構造タンパク質であるかまたは構造的機能を有してもよく、あるいは融合パートナーは、融合タンパク質に活性または特性、例えば結合活性を与えてもよい(例えば、融合パートナーは結合対のメンバーであってもよいし、またはアフィニティ結合パートナーであってもよいなど)。代表的な例において、融合パートナーは、アルブミン(特に血清アルブミン)、フィブリノーゲン、グルタチオンS-トランスフェラーゼ、トランスフェリン、ストレプトアビジンまたはストレプトアビジン様タンパク質、または免疫グロブリン、またはその部分、特に免疫グロブリンのFc部分(例えばIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)あるいはその部分または修飾であってもよい。適切な血清アルブミンには、ウシ血清アルブミン(BSA)、マウス血清アルブミン(MSA)および特にヒト血清アルブミン(HSA)が含まれる。他のありうる融合パートナーには、融合タンパク質の薬物動態学的特性を改善するよう作用しうるポリペプチド、例えば合成ポリペプチド、例えばホモアミノ酸ポリマー、プロリン-アラニン-セリンポリマー、またはエラスチン様ペプチド、例えばStrohl,2015,BioDrugs 29, 215-239に記載されるようなものが含まれる。療法タンパク質との使用が当該技術分野に知られる任意の融合パートナーを用いてもよい。
1つの態様において、本発明にしたがった融合タンパク質の融合パートナー(ii)は、IgG(任意のサブクラスまたは任意のサブクラスのキメラ)のFc断片、血清アルブミンまたはトランスフェリンのいずれかであってもよい。
融合パートナーを、融合タンパク質のTSP-1相同ドメインタンパク質構成要素に、例えば本明細書に定義するような、CCN5または他のCCNタンパク質のいずれかのTSP-1リピート相同ドメインに、NまたはC末端でカップリングさせてもよい。以下にさらに記載するように、直接またはリンカーを通じて間接的に、連結してもよい。
Fc断片は、二量体を形成する傾向があり、そして融合タンパク質において用いた場合、融合タンパク質構築物は、2コピーの融合タンパク質を含む傾向がある。しかし、当該技術分野には単量体性Fc断片およびこれらを含む単量体性融合タンパク質を調製可能であることが知られる。
したがって、融合パートナーがFc断片である場合、これは、好ましくは、単量体性Fc断片、例えば任意のクラスのヒトIgGの単量体性Fc断片である。異なるクラス由来のFc領域の部分を含むキメラFc断片が含まれ、修飾配列を含むFc断片も含まれる。
Fc融合タンパク質は、IgGアイソタイプのFc断片にカップリングしたエフェクタードメインからなるキメラタンパク質に基づくタンパク質療法剤の成長しつつある分野である。生物製剤製品の典型的な例は、関節リウマチの治療に用いられるエタネルセプト(Fc断片にカップリングしたTNF-α受容体)である。Fc融合生物製剤タンパク質の別の例はアフリベルセプトである。アフリベルセプトは、滲出性黄斑変性症および転移性結腸直腸癌の治療に用いられるVEGF受容体-Fc融合タンパク質である。Fc断片融合タンパク質を作製するための主な論理的根拠は、腎排出を排除するために十分な分子量の増加のために半減期の延長を得て、そして新生Fc受容体を通じて腎近位尿細管再吸収を増進させることである。また、内皮細胞上の新生Fc受容体(FcRn)へのFc融合タンパク質のpH依存性結合によって、そうでなければエンドサイトーシス、およびそれに続くリソソーム分解を運命づけられているFcに基づく融合タンパク質が、リサイクルされ、そして循環内に再び放出されることを可能にする。
1つの態様にしたがって、融合パートナー(ii)が、ヒトIgGのすべてのサブクラスを含む、ヒトIgG(免疫グロブリンG、免疫グロブリンγとしてもまた知られる)由来のFc断片である、融合タンパク質を提供する。本発明のさらに別の態様にしたがって、融合パートナーが、IgG1、IgG2またはIgG4のFc断片である融合タンパク質を提供する。好ましくは、ヒトIgGのFc断片は、サブクラスIgG4(配列番号13)またはIgG2(配列番号14)のものである。
IgG1、IgG2およびIgG4は、しばしば、およそ3週間のより長い半減期を有するため、IgG3より好ましい。当業者は、Fc融合パートナーとしての特定のサブクラスのIgGアイソタイプの選択は、最終化合物の望ましい半減期延長および活性の細胞毒性レベルに応じることを知っているであろう。癌または自己免疫疾患の治療のために示される療法抗体は、大部分の場合、IgG1サブクラスに属し、これは、Fc受容体へのアフィニティが高く、そして免疫エフェクター機能を発揮する強力な能力を有するためである。一方、IgG2およびIgG4は、免疫エフェクター機能が不都合な影響を引き起こしうるため、免疫エフェクター機能の欠如が望ましい場合、療法候補の主鎖としての使用のために好ましいIgGサブクラスである。免疫エフェクター機能を活性化するFc断片の傾向は、Igアイソタイプおよびサブクラスに依存し、そして異なる免疫エフェクターに関して多様である。適切なIgGサブクラスのFc断片を選択することに加えて、Fc断片が免疫エフェクター機能を活性化する能力を減少させるため、IgGサブクラスのアミノ酸配列を、例えば部位特異的突然変異誘発によって修飾してもよい。
単量体を形成する、またはより正確には単量体型を保持するかまたは有するFc断片を選択してもよいし、あるいはFc断片を修飾して、単量体構造を可能にするかまたは促進する突然変異を導入してもよい。こうした突然変異は、本明細書において、「単量体生成突然変異」と称される。単量体生成突然変異を含むFc断片の例は、配列番号54および配列番号55である。当業者は、こうした突然変異をどのように導入して、そして単量体性Fc突然変異体を選択するかを知っている。
Fc断片の免疫エフェクター活性化機能の回避
例えば、2型糖尿病の週1回の治療に用いるGLP-1アゴニスト-Fc断片融合タンパク質である、生物製剤融合タンパク質デュラグルチド(TrulicityTM)において、活性化免疫エフェクター機能の能力を減少させるため、よく特徴づけられた突然変異F234AおよびL235AがIgG4 Fc断片のヒンジ領域中に導入されている。
本発明の1つの態様にしたがって、Fc融合パートナーは、IgG4のFc断片であり、ここでIgG4 Fc断片は、免疫エフェクター機能を回避するために、例えば上記F234AおよびL235A突然変異を含むよう、修飾されている。
プロテアーゼ耐性Fc断片
製造の際の収量および生物学的半減期の両方を減少させうる別の要因は、融合タンパク質のエンドペプチダーゼ切断である。タンパク質分解的分解のリスクを減少させるかまたは排除するため、特にタンパク質分解的切断に感受性である部位に突然変異を導入することによって、Fc断片のアミノ酸配列中に修飾を導入してもよい。EP特許出願EP2654780B1において、E233-L234-L235-G236をP233-V234-A235(G236を欠失させる)(EU番号付け)で置換することによって、IgG1定常領域のFcドメインを修飾して、生じた修飾Fc含有タンパク質をタンパク質分解的分解に対して耐性にした。
CCN5のドメインIIIにカップリングしたIgG4のFc断片において、EP2654780B1に開示するアミノ酸修飾の取り込みは、エンドペプチダーゼに対する十分な耐性を提供しないと考慮された。しかし、本発明にしたがった融合パートナーとして用いられたIgGサブタイプのさらなる修飾によって、プロテアーゼ耐性の改善が達成された。
より具体的には、IgG2の全ヒンジ領域、ならびにIgG4の定常重鎖2および3を含む融合タンパク質は、優れたタンパク質分解耐性を示すことが見出されてきている。
Mueller JPら, Mol. Immunol.(1997),34(6),pp.441-452において、IgG抗体中のIgG2/IG4キメラの使用を開示する。発作性夜間ヘモグロビン尿症および非典型溶血性尿毒症症候群の治療に用いられる、エクリズマブと称される別の生物製剤モノクローナル抗体は、例えば、IgG4がFcγR依存性免疫エフェクターを活性化する能力を回避する際に、有用であることが示されてきている。さらに、こうしたキメラFc断片のIgG4定常ドメイン2および3が、IgG2が補体依存性免疫エフェクター機能を活性化する能力を回避することもまた示されている。これに関して、Rotherら(2007),cf. Nat. Biotechnol.,25(11),pp.1256-1264の報告およびMueller JPら、上記を参照されたい。
また、Borrokら(2017), J. Pharm. Sci.106;1008-1017は、抗体の免疫エフェクター機能に対するその影響を研究するため、Fc断片中の修飾の導入を開示する(FQQ-YTE突然変異)。WO2017158426A1において、抗体の半減期を改善するため、Fc断片中に突然変異を導入することによる抗体の修飾を開示する。特に、免疫グロブリンのFc領域中の311、434、428、438、および435位の1つまたはそれより多くの修飾を開示する。
さらに、Kinderら J Biol Chem. 2013 Oct 25;288(43):30843-54は、IgG1の下部ヒンジにおける突然変異(すなわち、E233P、L234V、L235A、G236-、Eu番号付け)が、プロテアーゼ耐性IgG1抗体を生じたことを報告する。
1つの態様にしたがって、本発明にしたがった融合タンパク質のFc断片は、以下の突然変異;S228P、F234A、L235A、K447-、Eu番号付けを取り込むIgG4サブクラスのFc断片からなる配列番号15を参照されたい。
Jacobsenら J Biol Chem. 2017 Feb 3;292(5):1865-1875は、Fc断片のアグリコシル化を生じ、さらにIgGエフェクター機能の欠如を生じるAsn297の突然変異を報告した。Jacobsenはまた、いくつかの変異体(N297G)が、他の変異体(N297QまたはN297A)と比較して、より優れた安定性および発展可能性を有する抗体を生じることも見出した。親IgG1よりも、より優れた安定性を生じるさらなる修飾もまた導入された(ジスルフィド架橋)。
本発明にしたがって、融合パートナーがFc断片である場合、これは、配列番号16におけるように、安定化ジスルフィド架橋を含まず、または含み、アグリコシル化されてもよい。
本発明者らの知る限り、IgG2の全ヒンジ領域ならびにIgG4の定常重鎖2および3で構成されるFc断片は、前記Fc断片をエフェクタータンパク質に連結することによって、融合タンパク質を調製するためには用いられてこなかった。
1つの態様にしたがって、本融合タンパク質の融合パートナーは、アグリコシル化され、そしてジスルフィド架橋によって安定化され、そして以下の突然変異:E233P、L234V、L235A、G236-(Eu番号付け)を含む下部ヒンジが導入されている、IgG1のFc断片である(配列番号17)。
1つの態様にしたがって、CCNファミリータンパク質のTSP-1リピート相同ドメインを含む融合タンパク質の融合パートナーは、IgG4のFc断片であり、そしてS228PおよびK477-突然変異に加えて、下部ヒンジに以下の突然変異:E233P、L234V、L235A、G236-(Eu番号付け)が導入されている(配列番号18)。
1つの好ましい態様において、Fc断片は、IgG2のヒンジ領域(216 ERKCCVECPPCPAPPVA-GP 238、Eu番号付け)および任意の他のIgGサブクラスのキメラである。最も好ましくは、Fc断片は、配列番号19に示すような、IgG2のヒンジ領域ならびにカルボキシル末端K477(Eu番号付け)の欠失を伴うIgG4の定常重鎖ドメイン2および3のキメラである。本発明のこの態様は、改善されたプロテアーゼ耐性特性を有することが示されてきている(実施例6を参照されたい)。
1つの態様において、本発明の単量体性融合タンパク質の融合パートナーは、配列番号54に提供するような、ジスルフィド架橋安定化され(R292C、V302C)、アグリコシル化され(N297G)、そして単量体生成突然変異(C220Q、C226Q、C229Q、T366R、L368H、P395K、K409T、M428L、Eu番号付け)を伴う、IgG1のFc断片である。
さらなる態様において、本発明の単量体性融合タンパク質の融合パートナーは、配列番号55に提供するような、IgG2のヒンジ領域、ならびにカルボキシル末端K477-の欠失および単量体生成突然変異(C219Q、C220Q、C226Q、C229Q、L351F、T366R、P395K、F405R、Y407E)および半減期延長突然変異(M252Y、S254T、T256E)(Eu番号付け)を含む、IgG4の定常重鎖ドメイン2および3のキメラであるFc断片である。
本発明にしたがった融合タンパク質は、IgG2の全ヒンジ領域、IgG4の定常重鎖2および3、ならびにCCNタンパク質ファミリーメンバーのドメインIIIからなるFc断片を用いることによって例示されるが、こうしたFc断片キメラを他のエフェクター分子、例えばVEGFR、FGF-21またはGLP1にカップリングしてもまた、好適なプロテアーゼ耐性が達成されると考えられる。エフェクター分子は、望ましい薬物動態学的特性を与えるFc融合タンパク質の部分である一方、Fc断片は薬力学的特性に寄与する。
融合パートナーとしての血清アルブミン
ペプチドおよびタンパク質の半減期を延長させるための別の戦略は、融合パートナーとして血清アルブミン(SA)を用いることである。IgGおよびSAは、他の大部分の循環タンパク質に関する数日間またはそれ未満と比較して、約19日間の延長された半減期を共有する。SAはまた、新生Fc受容体(FcRn)に対するアフィニティも有し、そして細胞内分解からレスキューされる(Andersenら(2014), J Biol Chem,289(19);pp13492-13502を参照されたい)。
本発明の1つの態様において、融合パートナーが血清アルブミン、好ましくはヒト血清アルブミンである、上述のような融合タンパク質を提供する。
1つの態様において、融合タンパク質が、配列番号101に提供するような、ヒト血清アルブミンのアミノ酸25~606を含む、上述のような単量体性融合タンパク質を提供する。
本発明のさらなる態様において、アルブミン、例えばヒト血清アルブミンは、例えばpH依存性を伴いまたは伴わずに、そのFcRnアフィニティを改変して増加したまたは減少した半減期を生じることによって、半減期を増加させるかまたは減少させるために修飾されている。
融合パートナーとしてのトランスフェリン
ペプチドおよびタンパク質の半減期を延長するためのさらに別の戦略は、融合パートナーとしてトランスフェリンを用いて、トランスフェリンの天然の長い半減期を利用することである(Strohl W. BioDrugs.2015;29(4):215-239)。グリコシル化または非グリコシル化型のトランスフェリンを用いてもよい。
本発明の1つの態様において、融合パートナーがトランスフェリン、好ましくはヒトトランスフェリンである、上述のような融合タンパク質を提供する。
1つの態様において、融合タンパク質が、配列番号53に提供するような、ヒトトランスフェリンのアミノ酸20~698を含む、上述のような単量体性融合タンパク質を提供する。
リンカー
別の態様にしたがって、本発明にしたがった融合タンパク質は、随意に、融合パートナーおよびエフェクター分子の間にペプチドリンカーを含み、すなわち、リンカーは、CCNタンパク質のTSP-1リピート相同ドメイン(TSP-1ドメインタンパク質/ポリペプチド)にNまたはC末端で融合している。
(CCNタンパク質配列でない限り)任意のペプチドリンカーを用いてもよく、これらの多くが当該技術分野に知られそして記載されている。リンカーは、(柔軟リンカー配列モチーフのリピートを含んでもよい)柔軟リンカー配列であってもよい。当該技術分野に知られる典型的なリンカーは、小さい非極性(例えばグリシン)または極性(例えばセリンまたはスレオニン)残基がリッチであり、そして一般的に、グリシンおよびセリン残基(GS)のストレッチ、あるいはアラニン、リジンおよび/またはグルタミン酸(A、K、および/またはE)などの他のアミノ酸残基、あるいはまったく任意のアミノ酸からなる。一般的に用いられるリンカーは、(GGGGS)リンカー(配列番号121)であり、これは、リンカー中の反復ユニットとして提供されてもよい((GGGGS)nとして、ここで、nのコピー数は調節可能であり、例えば1~10、1~6、1~4等である)。リンカーは、長さ1~50、1~45、1~40、1~30、1~25、1~20、1~15、1~12、1~10、例えば1~8、1~6、1~5、または1~4アミノ酸であってもよい。以下の実施例に多様な異なるリンカーを記載し、そして用い、そしてこれらのいずれも、本発明の融合タンパク質のいずれで用いてもよい。
いくつかの態様において、リンカーは50を超えないアミノ酸を含む。
ペプチドリンカーの特性は、エフェクター機能の維持をさらに改善してもよい。しかし、ペプチドリンカーは、融合タンパク質のエンドペプチダーゼ切断および除去に感受性であってもよい。散在するセリン残基を含むまたは含まない、グリシンを含むペプチドリンカーが一般的に利用されるが、この設計は、望ましい活性およびエンドペプチダーゼに対する耐性を持つ融合タンパク質を常に生じるわけではない。ニューロトロフィン結合タンパク質-Fc融合タンパク質を開示するUS20180273603において、配列A(EAAAK)A(該文書において配列番号14)の反復を含むα-らせんリンカーの使用が示唆される。さらに、US2018/0127478は、配列EAAAKの1~3の反復からなるアミノ酸リンカーの使用が、Fc融合タンパク質において示唆されることを開示する。
本発明にしたがって、ペプチド配列EAAAK(本明細書において配列番号21)からなるリンカーもまた、TSP-1相同ドメインおよび融合パートナー(Fc断片)の間に取り込まれてもよい。より好ましくは、リンカーは、アミノ酸配列EAAAKの反復で構成される。
リンカーが本発明の融合タンパク質中に含まれる場合、リンカーは、融合パートナーおよびエフェクター分子、すなわちCCNタンパク質のドメインIIIの間に配置される。リンカーは、CCNタンパク質のドメインIIIのC末端またはN末端のどちらに導入されてもよい。
さらに、らせんリンカーは、懸濁CHO細胞において、組換えタンパク質の発現後、エンドペプチダーゼ切断に耐性であった。これは、製造目的のため、およびin vivo有効性のためのどちらに関しても重要である。さらに、Fc融合タンパク質において、Fc断片およびエフェクタードメインの間のα-らせんリンカーの取り込みは、Fc融合タンパク質の凝集傾向を減少させることが示されている。
これらの知見は、エフェクタータンパク質としてのCCNファミリータンパク質のドメインIIIを含む融合タンパク質で示されたが、本発明にしたがったFc断片およびα-らせんリンカーに他のエフェクター分子を組み合わせてもまた、好適な凝集傾向減少およびプロテアーゼ耐性効果は得られると考えられる。
したがって、本発明は、式aa1-aa2-(EAAAK)n-aa3-aa4-aa5、式中、n≧4のペプチドリンカー配列を、Fc断片およびエフェクター分子の間に有し、そしてaa1、aa2、aa3、aa4、aa5は、独立に、存在しないかまたは1つのアミノ酸である、Fc断片を含むFc融合タンパク質を提供する。リンカーをFc断片のN末端またはC末端に配置してもよい。1つの態様にしたがって、nは8である。別の態様にしたがって、aa1はスレオニン(T)であり、aa1、aa2、aa3、aa4およびaa5はAla(A)である。1つの態様にしたがって、上記Fc融合タンパク質のリンカーは、配列番号22、配列番号23、配列番号24および配列番号25からなる群より選択される。特に、(EAAAK)リピート、すなわち例えば(EAAAK)n、式中、nは8である、からなるリンカーを含む、本発明記載の融合タンパク質の使用は、好適に、より少ない凝集を生じる。
本発明にしたがって用いてもよい別のリンカーは、配列番号20に示すようなアミノ酸配列を持つリンカー(TEGRMD)である。
1つの態様において、したがって、本発明には、融合パートナー、およびCCN5のドメインIII(例えば配列番号1~配列番号12、37または38)の間のリンカーペプチドの取り込みが含まれてもよい。配列番号20のリンカーを取り込む融合タンパク質の限定されない例を、それぞれ、配列番号28、配列番号29および配列番号30に示す。
本発明が、ペプチドリンカー(配列番号20におけるようなもの)および以下の突然変異(S228P、F234A、L235A、K447-、Eu番号付け)を取り込むIgGサブタイプIgG4のFc断片(配列番号15におけるようなもの)のN末端に遺伝子融合したCCN5のドメインIIIの態様を取る場合、完全配列は、CCN5(dIII)-Fcv2ともまた称される、配列番号28におけるようなものであろう。
本発明が、ペプチドリンカー(配列番号20におけるようなもの)および以下の突然変異(S228P、E233P、F234V、L235A、G236-、K447-、Eu番号付け)を取り込む配列番号18に示すようなIgGサブタイプIgG4のFc断片のN末端に遺伝子融合したCCN5のドメインIIIの態様を取る場合、生じる配列は、CCN5(dIII)-Fcv2.1ともまた称される、配列番号29に示すようなものであろう。
本発明が、ペプチドリンカー(配列番号20におけるようなもの)および配列番号19に示すようなIgGサブタイプIgG2/4サブタイプのキメラFc断片のN末端に遺伝子融合したCCN5のドメインIIIの態様を取る場合、生じる配列は、CCN5(dIII)-Fcv2.3ともまた称される、配列番号30に示すようなものであろう。
本発明が、ペプチドリンカー(配列番号25におけるようなもの)および配列番号19に示すようなIgGサブタイプIgG2/4サブタイプのキメラFc断片のN末端に遺伝子融合したCCN5のドメインIII(配列番号1におけるようなもの)の態様を取る場合、生じる配列は、CCN5(dIII)-HLn8-Fcv2.3ともまた称される、配列番号31に示すようなものであろう。
本発明の好ましい態様にしたがって:
1)ドメインIIIのタンパク質分解感受性の減少を生じる、CCNファミリータンパク質、特にCCN5のドメインIII内の点突然変異(配列番号7を参照されたい);
2)Fc融合タンパク質中で利用される、以前記載されたFc断片主鎖に比較して、タンパク質分解感受性を減少させる、ヒトIgG4およびヒトIgG2のFc断片の操作キメラ(配列番号19);および
3)タンパク質分解感受性が減少し、融合タンパク質の生物学的活性が増進し、そして融合タンパク質の凝集傾向が減少している、ペプチドリンカーの最適化組成(配列番号21~25を参照されたい)
を含む、本発明にしたがった融合タンパク質を提供する。
いくつかの態様において、(i)のアミノ酸配列および単量体性融合パートナーの間のペプチドリンカーは、配列番号20~25または39からなる群より選択されるアミノ酸配列、あるいは該配列に80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。
本発明にしたがって用いてもよい別のリンカー配列を、配列番号57、63、65、67および121に提供する。
組換え体発現
本発明にしたがった組換えタンパク質および融合タンパク質を、前記タンパク質をコードするヌクレオチド配列の発現を可能にする宿主細胞を培養することによって、製造してもよい。当業者は、一般的に利用可能な遺伝子操作技術および組換えDNA発現系を用いて、多様な宿主細胞系における異種発現によって、組換えタンパク質の調製のため、単離された核酸配列の発現を提供する、多様な利用可能なバイオテクノロジー技術をよく知っている。例えば、“Recombinant Gene Expression Protocols, Methods in Molecular Biology,1997,Rocky S Tuan監修,Human Press(ISSN 1064-3745)中、またはSambrookら, Molecular Cloning:A laboratory Manual(第3版),2001,CSHL Press,(ISBN 978-087969577-4)を参照されたい。例えば、本発明にしたがった組換えタンパク質をコードする核酸配列を、適切な宿主細胞において、所望のタンパク質コード核酸配列の発現を指示するために特に適応している、すべての必要な転写および翻訳制御配列を含む適切な発現ベクター中に挿入してもよい。適切な発現ベクターは、例えばプラスミド、コスミド、ウイルスまたは人工的酵母染色体(YAC)である。
本発明の組換えタンパク質をコードするDNA配列を、当業者に周知の方法によって、または当業者に周知の商業的供給業者、例えばGenscript、Thermo Fisher Scientific等によって、合成してもよい。
この側面の1つの態様にしたがって、配列番号86、87、90、91、99、100、104、105、108、109、112、または113に示すような核酸配列、あるいは任意の前述の配列に少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含むDNA分子を提供する。こうしたDNA分子を含む発現ベクターもまた提供する。この側面の別の態様にしたがって、こうしたベクターを含む宿主細胞もまた提供する。
組換えタンパク質を調製するために発現され、そして用いられるDNA配列を、Gatewayクローニング系(Espositoら,2009,“Gateway Cloning for Protein Expression”,Methods in Molecular Biology中,498,pp.31-54)を用いて、エントリーベクターとして一般的に知られるベクター中に挿入してもよい。エントリーベクター内にクローニングされた遺伝子は、組換えによって、多様な発現ベクター内に容易に導入されうる。例として、本発明にしたがった組換えタンパク質または融合タンパク質をコードする合成配列を、BP Gatewayレコンビナーゼクローニングによって組み換えて、適切な宿主細胞、例えば大腸菌(E.coli)細胞においてプラスミドを増殖させるために用いてもよいエントリーベクターを生成してもよい。好ましい態様において、プラスミドの効率的な増殖を可能にするために突然変異された大腸菌細胞、例えばOne Shot Top10TM細胞を用いる。
本発明の1つの態様にしたがって、機能可能であるようにプロモーターに連結された、本発明にしたがった組換えタンパク質または融合タンパク質をコードするDNA配列を含む発現ベクターを調製する。当業者は、本明細書において、「プロモーター」が特定の遺伝子の転写を調節し、そして開始する、DNAコード配列のDNA上流(5’端)のDNA領域を指すことを知っている。プロモーターは、RNAポリメラーゼおよび他のタンパク質の認識および結合を調節して、転写を開始する。「機能可能であるように連結された」は、プロモーターおよび第二の配列の間の機能的連結を指し、ここでプロモーター配列は、第二の配列に対応するDNA配列の転写を開始し、そして仲介する。一般的に、「機能可能であるように連結された」は、連結されている核酸配列が連続性であることを意味する。
エントリーベクターならびに発現ベクター、例えば以下に言及するデスティネーションベクターから生成されるものを、当業者に周知の標準的なプラスミド単離技術を用いて、例えばQiagenTMのQIAprepTMスピンミニプレップキットまたはQIAGENTMプラスミドプラスマキシキットを用いて、単離してもよい。
本発明にしたがった組換えタンパク質または融合タンパク質をコードするDNA配列を含有するエントリーベクターを用いる場合、前記エントリーベクターは、さらにLRゲートウェイレコンビナーゼを用いて、デスティネーションベクターと組み換えられて、発現ベクターを生成してもよい。次いで、発現ベクターを用いて、適切な宿主細胞において、タンパク質コードDNA配列を発現させてもよい。適用可能なデスティネーションベクターの限定されない例は、例えば、Kaasboellら,J.Biol.Chem,293:46,pp.17953-17970に記載されるような、pUCOE-DHFR-DESTである。
また、生じた発現ベクターを、標準的制限酵素消化およびDNAゲル電気泳動によって検証してもよい。
本発明の1つの側面にしたがって、式(I)の組換えタンパク質をコードする核酸配列を含む発現ベクターを提供する。本発明のさらに別の側面にしたがって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、および配列番号8~12、37、38、84、85、88、89、97、98、102、103、106、107、110および111;ならびにアミノ酸配列、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、および配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号37および配列番号38、ならびに配列番号84、85、88、89、97、98、102、103、106、107、110および111と少なくとも50%の配列同一性を有するその断片または変異体からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする核酸配列を含む、発現ベクターを提供する。
別の側面にしたがって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号37、および配列番号38、ならびに配列番号84、85、88、89、97、98、102、103、106、107、110および111からなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%、70%、80%、90%、または95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む組換えタンパク質をコードする、発現ベクターを提供する。
本発明のさらなる態様にしたがって、本発明にしたがった融合タンパク質をコードする発現ベクターを提供する。
当業者は、遺伝暗号の縮重、および多様な生物における特定のコドンの優先性をよく知っている。したがって、宿主細胞の選択に応じて、本発明の組換えタンパク質および融合タンパク質をコードする核酸配列を宿主細胞の好ましいコドンに適応させてもよい。したがって、本発明のタンパク質のアミノ酸は、以下の表に示すようなコドンの任意の組み合わせによってコードされてもよい。
Figure 2022525661000001
好ましくは、コドンは、選択した宿主細胞にしたがって、高発現のためにさらに最適化される。
組換えDNA技術によるタンパク質の発現のため、本発明の特定の態様に加えて、シグナルペプチドをコードするDNA配列が、好ましくは、タンパク質配列のN末端に付け加えられる。シグナルペプチドは、宿主細胞における合成中および/または合成後に、融合タンパク質の局在を指示するように働いてもよい。したがって、これは、融合タンパク質の分泌を指示する配列であってもよい。こうしたシグナルペプチド配列の使用は、当該技術分野に周知である。シグナルペプチドはいかなる型を取ってもよく、例えばIgGk鎖シグナルペプチドを構成してもよく、またはヒト血清アルブミン由来のシグナルペプチド(配列番号32)を構成してもよい。
ヒト血清アルブミン由来のシグナルペプチド(配列番号32)を配列番号28のN末端に付け加える場合、発現されるタンパク質配列は、配列番号33、あるいは配列番号85、89、98、103、107、または111に示される通りであってもよい。
さらに、組換えDNA技術によるタンパク質の発現のため、本発明の1つの特定の態様にしたがって、配列番号33に示すようなアミノ酸配列、配列番号34または配列番号86、90、99、104、108、または112に示すようなヌクレオチド配列を有するタンパク質を用いてもよく、ここで、コード配列の3’端には翻訳停止コドンが付け加えられる。
本発明が配列番号34におけるヌクレオチド配列によって体現される場合、配列番号35あるいは配列番号86、90、99、104、108、または112におけるように、ヌクレオチド配列には、好ましくは、コード配列の5’端にすぐ隣接してKozak配列、例えばGCCAACが付け加えられる。DNA配列にはさらに、サブクローニングを可能にするDNA要素、例えばゲートウェイレコンビナーゼattB部位が隣接してもよい。しかし、DNA配列を生成し、そして発現ベクター内へのサブクローニングを促進するために、いかなるクローニングまたは合成戦略を用いてもよい。DNA配列をゲートウェイレコンビナーゼ部位に取り込んでサブクローニングを可能にする場合、ヌクレオチド配列は、配列番号36または配列番号87、91、100、105、109、または113に示す通りであってもよい。
本発明の組換えタンパク質または融合タンパク質をコードする核酸配列を含む、得られた発現ベクターを、所望のタンパク質の産生のため、適切な宿主細胞中に導入してもよい。多様な商業的に入手可能なまたは私有の(proprietary)宿主細胞を用いてもよい。例えば、発現ベクターを、真核宿主細胞、例えばCHO細胞、例えばCHO DG44 DHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ-/-)懸濁培養適応CHO細胞内にトランスフェクトしてもよい。発現ベクターでの宿主細胞のトランスフェクションを、当業者に周知の方法によって、例えばエレクトロポレーションを用いて、実行してもよい。
適切な培地中で宿主細胞を培養する際、宿主細胞中の発現ベクターによってコードされる、本発明にしたがった組換えタンパク質または融合タンパク質を産生し、そして生じたタンパク質を、当業者に周知の方法によって、収集し、そして精製してもよい。
発現ベクターには、培地内への発現されたタンパク質または融合タンパク質の分泌のための、一般的に「シグナルペプチド」として知られるシグナル配列が含まれてもよい。
細胞培地から分泌された組換えタンパク質の単離および精製のため、大きな粒子およびバイオマスを除去するため、一般的に、まず、1つまたはそれより多くの前処理または清澄化工程が用いられる。適用可能な前処理工程の限定されない例は、例えば、逆浸透法、遠心分離、濾過法およびディアフィルトレーション、またはその組み合わせである。次いで、得られたタンパク質は、一般的に、当業者に周知の1つまたはそれより多い多様なクロマトグラフィ法によって、例えばアフィニティクロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、混合様式クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィまたは他のクロマトグラフィ技術、あるいはその組み合わせによって、精製される。
例えば、アフィニティクロマトグラフィ法を用いて、例えばMabSelectTMSuReTM媒体、例えばFPLCクロマトグラフィ系、例えば5mm UVフローセルを取り付けたBioRad NGC DiscoverTM10 Proシステム上に搭載された5mlのHiTrap MabSelectTMSuReTMカラムを用いて、適切な宿主細胞によって発現される組換えタンパク質または融合タンパク質を精製してもよい。精製しようとするタンパク質を含む試料を装填した後、一般的に、カラムを1つまたはそれより多い適用可能な洗浄緩衝液で、1回またはそれより多く洗浄し、その後、適切な溶出緩衝液を用いて、タンパク質を溶出させる。上に列挙するクロマトグラフィ法の1つまたはそれより多くを用いて、得られたタンパク質をさらに精製してもよい。
当業者に周知の技術、例えば発現を促進する技術を利用して、本発明の組換えタンパク質をコードする核酸配列中に、多様な修飾を導入してもよいことが理解されるべきである。部位特異的突然変異誘発の使用によって、用いる所望の宿主にコード配列を適応させるように修飾を導入して、配列を発現させ、そしてしたがって組換えタンパク質を産生してもよい。当業者は、宿主特異的コドンの存在の事実をよく知っており、そして上述のように、異種核酸配列を宿主特異的コドンに適応させると発現効率が増加することをよく知っている。例えば単離および精製を促進するため、すなわちこうした目的のために有用なペプチドまたはタンパク質をコードする配列を付加することによって、他の修飾もまた導入してもよい。また、宿主細胞からの所望の組換えタンパク質の分泌を提供するシグナルペプチドをコードする核酸配列もまた、本発明の核酸配列に連結してもよい。
本発明はさらに、本発明にしたがった組換えタンパク質または融合タンパク質の産生に適した宿主細胞を提供する。組換えタンパク質の産生に特に適応した、原核宿主細胞および真核宿主細胞両方の多様な商業的に入手可能な宿主細胞を用いてもよい。適切な宿主細胞の限定されない例は、例えば、CHO細胞、HEK293細胞、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)細胞、NS0細胞または大腸菌細胞である。
最後に、本発明はまた、CCNファミリータンパク質に起因する細胞シグナル伝達および細胞生理学的機能を阻害するかまたは相殺することによって、障害を治療するかまたは防止するための薬剤として使用するための、CCNファミリータンパク質のトロンボスポンジン1型リピート(TSP-1)相同ドメインおよび前記TSP-1リピート相同ドメインを含む融合タンパク質にも関する。
1つの側面において、本発明は、療法において使用するための、本明細書に定義するようなタンパク質、例えば融合タンパク質を提供する。
いくつかの側面において、タンパク質、例えば融合タンパク質は、線維症、または線維症を示す任意の状態(すなわち任意の線維化状態または障害)の治療または防止に使用するためであってもよい。線維症は、例えば肺、目、心臓、骨格筋、腹膜、腎臓、肝臓、膵臓、胆管、皮膚、血管、またはより全身性の系を含む、いかなる組織または臓器に影響を及ぼしてもよい。特に、線維症を示す状態を、特発性肺線維症を含む、任意の病因であってもよい肺線維症、気管支肺異形成症、網膜線維症、糖尿病性網膜症、加齢性黄斑変性症、網膜剥離、酸素誘導性網膜症、緑内障、心線維症、移植後移植片線維症、心筋関連線維症、筋線維症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、腹膜線維症、糖尿病性腎症、慢性腎疾患(腎線維症)、急性腎傷害、尿細管間質性線維症、慢性同種移植片腎症、肝線維症、非アルコール性脂肪性肝炎、脂肪肝疾患、慢性膵炎、胆管線維症、ケロイド、瘢痕、全身性硬化症、アテローム性動脈硬化症、硬膜外線維症より選択してもよい。
心線維症の背景において、治療または防止すべき状態には、駆出率の保持を伴うまたは伴わない心肥大および心不全が含まれてもよい。
さらなる側面において、本発明は、炎症性または自己免疫疾患の治療において使用するための、本明細書に定義するようなタンパク質、例えば融合タンパク質を提供する。いくつかの態様において、炎症性疾患は、関節リウマチ、筋委縮性側索硬化症(ALS)、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病より選択される。
さらなる側面において、本発明は、癌の治療において使用するための、本明細書に定義するようなタンパク質、例えば融合タンパク質を提供する。これに関連して、4ドメインCCNタンパク質は、癌細胞に直接または腫瘍間質に作用することによって、単離癌細胞における発癌性反応を誘発し、かつ転移、化学耐性および免疫療法耐性にも寄与しうることが知られる。本明細書のタンパク質が4ドメインCCNタンパク質の効果または活性を阻害する活性は、したがって、癌を治療するための論理的根拠を提供する。癌は悪性または前悪性新生物状態のいずれであってもよい。癌はいかなる組織または臓器のものであってもよい。1つの態様において、癌は、固形腫瘍として現れてもよい。別の態様において、癌は造血系のものであるかまたは造血系中にあってもよい。癌は、原発性癌または続発性癌、あるいは転移であってもよい。したがって、癌は、膵臓、乳房、前立腺、子宮頸、卵巣、肝臓、膀胱、脳、血液、骨、皮膚、肺または胃の癌であってもよい。いくつかの態様において、癌は、膵臓癌、膵管腺癌、乳癌、前立腺癌、子宮頸癌、卵巣癌、肝癌、肝細胞癌、尿路上皮性膀胱癌、脳癌、神経膠芽腫、急性リンパ芽球性白血病、骨肉腫、黒色腫、中皮腫、胃癌、口腔扁平上皮癌、食道癌、結腸直腸癌、肺癌より選択される。
さらなる側面において、本発明は、代謝性疾患の治療において使用するための、本明細書に定義するようなタンパク質、例えば融合タンパク質を提供する。代謝性疾患は、インスリン耐性またはグルコース不耐性であってもよいし、またはこれらに関連してもよい。いくつかの態様において、代謝性疾患は、2型糖尿病および代謝性症候群より選択される。
また、本発明の融合タンパク質を、上述の状態の治療法において用いてもよい。同様に、本発明の融合タンパク質を、上述の状態の治療において使用するための薬剤の製造法において、用いてもよい。
実施例1
本発明にしたがった融合タンパク質の発現
本実施例において、ペプチドリンカー(配列番号20)および配列番号15のIgG、IgG4サブクラスのFc断片(S228P、F234A、L235A、K447-、Eu番号付け)のN末端に融合したCCN5のアミノ酸194~246(配列番号1)を含む融合タンパク質(CCN5(dIII)-Fcv2)(すなわち配列番号28にしたがった融合タンパク質)の提供を記載する。配列番号32のアルブミンから生じるN末端シグナル配列を融合タンパク質にさらに付け加え、そしてこれを以下に開示するように、哺乳動物細胞において発現した。
商業的供給業者によって、配列番号36に示すDNA配列を合成し、そして配列を検証した。合成した配列を、BPゲートウェイレコンビナーゼクローニングによって、pDonrZeoと組み換えて、エントリーベクターを生成した。プラスミドの効率的な増殖を可能にするように突然変異されたコンピテント大腸菌(One Shot Top10TM細胞)のトランスフェクション後、QiagenTMのQIAprepTMスピンミニプレップキットの使用を通じた標準的プラスミド単離技術で、エントリーベクターを単離した。プラスミド単離後、当業者に周知の標準的技術にしたがって、制限酵素消化、その後、DNAゲル電気泳動によって、エントリーベクターを検証した。
LRゲートウェイレコンビナーゼを用いて、デスティネーションベクターと、配列番号35を含有するエントリーベクターをさらに組み換えた。用いたデスティネーションベクターは、Kaasboellら、2018、上記に記載されるような、pUCOE-DHFR-DESTであった。
プラスミドの効率的な増殖を可能にするように突然変異されたコンピテント大腸菌(One Shot Top10TM細胞)のトランスフェクション後、QIAGENTMプラスミドプラスマキシキットを用いた標準的プラスミド単離技術で、発現ベクターを単離した。当業者に周知の標準的技術にしたがった標準的制限酵素消化およびDNAゲル電気泳動によって、生じた発現ベクターを検証した。次いで、生じた発現ベクターを、ExpifectamineTMCHOトランスフェクションキット(Gibcoカタログ番号A29129)の製造者によって供給される「Max Titer」プロトコルにしたがって、そしてKaasboellら、2018、上記に簡潔に記載されるように、ExpiCHO懸濁培養に適応したCHO細胞内にトランスフェクトした。トランスフェクション6日後、4750g、4℃で20分間遠心分離することによって、細胞を沈降させ、そして上清細胞培地を採取した。100%イソプロパノール中の0.1M PMSFを1mMの濃度まで添加し、そして0.5M EDTAを2mMの濃度まで添加した。次いで、96%エタノールを約3%の最終濃度まで添加した。クロマトグラフィ精製の前に、1M TrisHCl pH7.4を25mMの最終濃度まで添加した。
プロテインAクロマトグラフィ媒体でのアフィニティクロマトグラフィによって、精製の捕捉工程を行った。この実験で用いた媒体はrProtein A FF(GE Healthcare)であった。上述のように採取し、そして補充した細胞培地60mLから、発現された組換えタンパク質の精製のために、5mL HiTrapTM rProtein A FFカラム(GE Healthcare)を用いた。5mm UVフローセルを取り付けたFPLCクロマトグラフィ系(BioRad NGC DiscoverTM 10 Pro系)上にHiTrapTM rProtein A FFカラムを搭載し、そして25mM TrisHCl pH7.4、25mM NaClおよび3%エタノールを含有する緩衝液で平衡化した。組換えタンパク質を含有する、採取した細胞培地を、2.5ml/分の速度で、試料ポンプを用いて装填した後、6カラム体積の洗浄緩衝液(25mM TrisHCl pH7.4、25mM NaClおよび3%エタノール)で洗浄し、その後、3%エタノール中の0.1Mクエン酸Na、pH3.0で溶出した。100mAUを超えるUV280nm吸光度の溶出物を、1mL 1M TrisHCl pH9.0をあらかじめ充填した低タンパク質結合チューブ中、3mLの分画で収集した。UV吸光度ピークを含有する分画を、Vivaspin(登録商標)20mL、30kDa MWCO濃縮デバイスを用いて、500μLに濃縮した。濃縮後、FPLCクロマトグラフィ系(BioRad NGC DiscoverTM 10 Pro系)上の試料装填ループ内に試料を装填した。FPLCクロマトグラフィ系に、50mM NaCl、20mM HEPES pH7.0で平衡化したSuperdex(登録商標)200 Increase 10/300 GLカラム(GE Healthcare)を取り付けた。試料を注入し、そして0.25mL/分の流速で、前平衡化緩衝液(50mM NaCl、20mM HEPES pH7.0)でカラムを灌流した。主なUV 280nm吸光度ピークは、精製組換えタンパク質(CCN5(dIII)-Fcv2、配列番号28)を含有することが見出された。収集した分画の10μLの試料を、Mini-PROTEAN(登録商標)TGX Stain-FreeTMプレキャストゲルを利用したSDS-PAGEに供して、そしてChemiDocTM画像化系(BioRad)を利用して、単離された組換えタンパク質を視覚化した。
当業者には、多様な発現系において組換えタンパク質を産生し、そして多様なクロマトグラフィ法によってこれらを精製して、類似の結果が得られうることが広く知られている。
実施例2
配列番号28にしたがった組換えタンパク質を産生するため、ペプチドリンカー(配列番号20)および配列番号15のIgG、サブクラスIgG4のFc断片(S228P、F234A、L235A、K447-、Eu番号付け)のN末端に融合したCCN5のアミノ酸194~246(配列番号1)を含む融合タンパク質(CCN5(dIII)-Fcv2)をコードするDNA配列を発現させた。
A549ヒト肺癌細胞において、生存促進シグナル伝達を阻害する能力に関して(AKTのセリン-473リン酸化)、得られたタンパク質を試験した(図1A)。組織培養処理Corning Incorporated Costar(登録商標)96ウェル無菌ポリスチレンプレートを、BioWhittaker(登録商標)のダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(Lonzaカタログ番号17-512F、以後、PBSと称する)中、10μg/mLに希釈したフィブロネクチン(Sigmaカタログ番号F1141)でコーティングした。フィブロネクチンを含有するコーティング溶液を、100μL/ウェルの体積でウェルに分配し、室温で1時間インキュベーションした後、コーティング溶液をデカントし、100μLのPBSもまた、フィブロネクチンコーティングウェルに分配し、これもまたデカントした。最大80%集密度の密度を維持するように継代培養されたA549細胞を酵素処理(Accutase(登録商標)、biowest(登録商標)のカタログ番号L0950-100)によって剥離し、10%熱不活化ウシ胎児血清(FBS)(室温に平衡化したFBS(Gibcoのカタログ番号16000-044)を含む500mLフラスコを振盪しながら60℃の温度で30分間水槽中でインキュベーションした)および50μg/mlゲンスマイシン(gensumycin)(Sanofi)を補充した高グルコースを含むダルベッコの修飾イーグル培地(Gibcoカタログ番号41965-039)中で、110000細胞/mLの濃度まで希釈し、そして100μLの細胞溶液をフィブロネクチンコーティングウェルに分配した。37℃の温度、室内空気加湿大気および5%CO2に維持した細胞培養インキュベーター中ですべての細胞インキュベーションを行った。一晩インキュベーション後、A594細胞をPBSで2回洗浄し、そしてFBSを含まず、高グルコースを含むダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM、Gibcoカタログ番号41965-039)90μLおよび50μg/mlゲンスマイシン(Sanofi)をウェルに分配した。FBSを含まない培地中で18時間インキュベーションした後、細胞を問題の組換えタンパク質10μL溶液で刺激した。60分間刺激した後、培地をデカントし、そしてCisbioホスホ-AKT(Ser473)キット(Cisbio Inc、カタログ番号64KSPEG)によって供給される通りのブロッキング試薬を含む50μL溶解緩衝液を添加することによって細胞を採取した。ブロッキング試薬を含む溶解緩衝液を添加した後、96ウェルプレートをPST-60HL plus(ThermoFisher)プレート振盪装置上、500rpm上で60分間インキュベーションする。振盪後、溶解試料を粉砕した(tritrurate)後、白色壁HTRF96ウェル低体積プレート(Cisbio Inc.、カタログ番号66PL96025)に、各ウェルから16μLトランスファーした。リン酸化されたAKT(Ser473)の量をアッセイするため、4μLの標識抗体混合物(Cisbio Inc、カタログ番号64AKSPEGのホスホ-AKT d2およびホスホ-AKTクリプテートの50/50体積/体積混合物)を各ウェルに添加し(陰性対照ウェルには、クリプテート抗体のみを用いた)、プレートを接着性プラスチックフィルムで密封し、そして4℃で一晩インキュベーションした後、TR-FRET記録ヘッドならびに337nm放出および615nmおよび665nm励起フィルターを取り付けたPolarStar Omegaプレート読み取り装置(BMG Labtech、ドイツ)で読み取った。665nmおよび615nm励起記録の間の比をブランク補正し、そして組換えタンパク質で刺激したウェルの値を、ビヒクルで刺激したウェルの割合として表した。
実施例3
配列番号28にしたがった組換えタンパク質を産生するため、ペプチドリンカー(配列番号20)および配列番号15のIgGサブクラスIgG4のFc断片(S228P、F234A、L235A、K447-、Eu番号付け)のN末端に融合したCCN5のアミノ酸194~246(配列番号1)を含む融合タンパク質(CCN5(dIII)-Fcv2)をコードするDNA配列を発現させた。
得られたタンパク質を、IMR90ヒト肺線維芽細胞において、TGF-βが刺激する線維化促進性転写(SMAD2/3結合シス要素からの転写)を阻害する能力に関して試験した(図1D)。Rat2細胞の代わりに、2500のIMR90肺線維芽細胞/ウェルを利用することを除いて、技術的にKaasboellら(2018)上記に記載するように、アッセイを行った。刺激のために用いるタンパク質は図1Dに示す通りであった。使用前に、IMR90細胞を、A549細胞に関して上記に記載するように継代培養した。継代20回より前、すなわち複製老化に到達する前のIMR90細胞を用いた。
実施例4
配列番号28にしたがった組換えタンパク質を産生するため、ペプチドリンカー(配列番号20)および配列番号15のIgG、サブクラスIgG4のFc断片(S228P、F234A、L235A、K447-、Eu番号付け)のN末端に融合したCCN5のアミノ酸194~246(配列番号1)を含む融合タンパク質(CCN5(dIII)-Fcv2)をコードするDNA配列を発現させた。
得られたタンパク質を、ヒト肺線維芽細胞株IMR90の増殖を阻害する能力に関して試験した(図1B)。使用前に、IMR90細胞を、A549細胞に関して上記に記載するように継代培養した。継代20回より前、すなわち複製老化に到達する前のIMR90細胞を用いた。実験のため、IMR90細胞を、A549細胞に関して上記に記載するように採取し、PBS中で洗浄し、実施例2に関して上記に記載するようにゲンスマイシンを含む1%FBSを含むDMEM中で希釈し、そして12000/ウェルの密度でxCELLigenceインピーダンスプレート中に植え付けた。2時間後、問題の組換えタンパク質またはFBSの10μL溶液で細胞を刺激し、そしてさらに72時間インキュベーションした後、Kaasboellら(2018)、上記に記載されるように、CellTiter-Glo(登録商標)(Promega Inc.)で採取した。
実施例5
配列番号28にしたがった組換えタンパク質を産生するため、ペプチドリンカー(配列番号20)および配列番号15のIgG、サブクラスIgG4のFc断片(S228P、F234A、L235A、K447-、Eu番号付け)のN末端に融合したCCN5のアミノ酸194~246(配列番号1)を含む融合タンパク質(CCN5(dIII)-Fcv2)をコードするDNA配列を発現させた。
得られたタンパク質を、Kaasboellら、上記に記載されるように、エストロゲン受容体陽性乳癌細胞株MCF-7およびトリプルネガティブ乳癌細胞株MDA-MB-231の球体形成能(係留独立増殖)を阻害する能力に関して試験した(図1C)。MDA-MB-231細胞を、Kaasboellら、上記においてMCF-7細胞株に関して記載するものと同じように処理した。MCF-7およびMDA-MB-231細胞株を、A549細胞株に関して上記に記載するように継代培養した。
実施例6
配列番号28(CCN5(dIII)-Fcv2)、配列番号29(CCN4(dIII)-Fcv2.1)および配列番号30(CCN5(dIII)-Fcv2.3)にしたがった組換えタンパク質を産生するため、ペプチドリンカー(配列番号20)および配列番号15のIgG、サブクラスIgG4のFc断片(S228P、F234A、L235A、K447-、Eu番号付け)(CCN5(dIII)-Fcv2)、配列番号18のIgG、サブクラスIgG4のFc断片(S228P、F233P、F234V、L235A、G236-、K447-、Eu番号付け)(CCN5(dIII)-Fcv2.1)またはIgG2/4サブクラスのキメラFc断片(配列番号19)(CCN5(dIII)-Fcv2.3)のN末端に融合したCCN5のアミノ酸194~246(配列番号1)を含む融合タンパク質をコードするDNA配列を発現させた。
特に、配列番号28(CCN5(dIII)-Fcv2)、配列番号29(CCN4(dIII)-Fcv2.1)および配列番号30(CCN5(dIII)-Fcv2.3)の発現のためコードする発現ベクターを、ExpifectamineTMCHOトランスフェクションキット(Gibcoカタログ番号A29129)の製造者によって供給される「Max Titer」プロトコルにしたがって、そしてKaasboellら、上記に簡潔に記載されるように、ExpiCHO懸濁培養適応CHO細胞内にトランスフェクションした。トランスフェクション6日後、Heraeus biofuge picoベンチトップ遠心分離装置中、13000rpmで5分間遠心分離することによって、細胞を沈降させ、そして上清細胞培地を採取した。採取した細胞培養上清の試料を、Mini-PROTEAN(登録商標)TGX Stain-FreeTMプレキャストゲルを利用して、SDS-PAGEによって分離し、そしてChemiDocTM画像化系(BioRad)を利用して組換えタンパク質を視覚化した。分離したタンパク質を、次いで、ウェスタンブロット分析のため、Trans-Blot Turbo、セミドライブロッティング系(Bio-Rad)を用いて、PVDF膜にトランスファーした。視覚化のため、SuperSignalTM West Femto Maximum感受性基質(ThermoFisherScientific)およびChemiDocTM画像化系(BioRad)と組み合わせて用いる、セイヨウワサビ(horseradish)ペルオキシダーゼ(Invitrogenカタログ番号A10654)にコンジュゲート化された抗ヒトIgG4抗体でブロットを探査した。
図2において、IgG2/4キメラ(配列番号19に示す)で構成されるFc断片主鎖の改善されたプロテアーゼ耐性を示すデータを示す。
免疫エフェクターがサイレンシングされたIgG4ヒンジ(配列番号28に定義されるようなもの)を含むIgG4 Fc断片に融合されたCCN5/WISP2(ドメインIII);CCN5(ドメインIII)-Fcv2、IgG2に基づく突然変異を取り込む同じIgG4主鎖(配列番号29に定義されるようなもの);CCN5(ドメインIII)-Fcv2.1、またはIgG2由来の完全ヒンジ領域を持つ同じIgG4主鎖(配列番号30に定義されるようなもの);CCN5(ドメインIII)-Fcv2.3のいずれかを、ExpiCHO系で発現し、そして馴化培地(CM)を6日後に採取した。SDS-PAGEゲルのウェスタンブロッティングおよび総タンパク質染色によって、CCN5(ドメインIII)-Fcv2.3変異体が、培養中に存在するプロテアーゼに最も感受性でないことが明らかになる。Fc断片に対する抗IgG4抗体の免疫反応性が、IgG2由来の配列の置換で部分的に失われ、そしてしたがって、一般的なタンパク質染色に比較して、タンパク質レベルを過小評価していることに注目されたい。
実施例7
配列番号30(CCN5(dIII)-Fcv2.3)および配列番号31(CCN5(dIII)-HLn8-Fcv2.3)にしたがった組換えタンパク質を産生するため、配列番号20に記載するペプチドリンカーおよびIgG2/4サブクラスのキメラFc断片(配列番号19)(CCN5(dIII)-Fcv2.3)または配列番号25に記載するペプチドリンカーおよびIgG2/4サブクラスのキメラFc断片(配列番号19)(CCN5(dIII)-HLn8-Fcv2.3)のいずれかのN末端に融合した、CCN5のアミノ酸194~246(配列番号1)を含む融合タンパク質をコードするDNA配列を発現させた。
特に、配列番号30(CCN5(dIII)-Fcv2.3)および配列番号31(CCN5(dIII)-HLn8-Fcv2.3)の発現のためコードする発現ベクターを、ExpifectamineTMCHOトランスフェクションキット(Gibcoカタログ番号A29129)の製造者によって供給される「Max Titer」プロトコルにしたがって、そしてKaasboellら、上記に簡潔に記載されるように、ExpiCHO懸濁培養適応CHO細胞内にトランスフェクションした。トランスフェクション4日後、Heraeus biofuge picoベンチトップ遠心分離装置中、13000rpmで5分間遠心分離することによって、細胞を沈降させ、そして上清細胞培地を採取した。採取した細胞培養上清の試料を、Mini-PROTEAN(登録商標)TGX Stain-FreeTMプレキャストゲルを利用して、SDS-PAGEによって分離した。分離したタンパク質を、ウェスタンブロット分析のため、Trans-Blot Turbo、セミドライブロッティング系(Bio-Rad)を用いて、PVDF膜にトランスファーした。視覚化のため、SuperSignalTM West Femto Maximum感受性基質(ThermoFisherScientific)およびChemiDocTM画像化系(BioRad)と組み合わせて用いる、セイヨウワサビ・ペルオキシダーゼ(Invitrogenカタログ番号A10654)にコンジュゲート化された抗ヒトIgG4抗体でブロットを探査した。
図3において、本発明の態様が配列番号25に示すペプチドリンカーを取り込んだ場合の凝集の減少傾向を示すデータを提供する。
多様なペプチドリンカーを通じて、キメラIgG2/4 Fc断片のアミノ末端に融合したCCN5(ドメインIII)を発現する、一過性トランスフェクションCHO懸濁細胞由来のCMの非還元SDS-PAGE。ウェスタンブロットによって、配列番号31に示すようなアミノ酸配列を含む融合タンパク質;(dIII)-HLn8-Fcv2.3が、配列番号30に示すようなアミノ酸配列を有する本発明の融合タンパク質;CCN(ドメインIII)-Fcv2.3よりも、より低い凝集傾向を有することが明らかになる。この知見は、配列番号25の配列中に定義するペプチドリンカーが、配列番号20の配列に定義するペプチドリンカーを含有する融合タンパク質と比較して、融合タンパク質の凝集のより低い傾向を提供することを示す。
実施例8
配列番号40(Fc-HLn8-CCN5(dIII))または配列番号41(Fc-HLn8-CCN5(dIII)-P195A)にしたがった組換えタンパク質を産生するため、ペプチドリンカー(配列番号39)および配列番号15のIgGサブタイプIgG4のFc断片(S228P、F234A、L235A、K447-、Eu番号付け)のC末端に融合している、CCN5のアミノ酸194~246(配列番号1)、または195位のアミノ酸(プロリン)がアラニンで置換されているCCN5のアミノ酸194~246(配列番号7)のいずれかを含む融合タンパク質をコードするDNA配列を発現させた。
特に、配列番号40(Fc-HLn8-CCN5(dIII))および配列番号41(Fc-HLn8-CCN5(dIII)-P195A)の発現のためコードする発現ベクターを、ExpifectamineTMCHOトランスフェクションキット(Gibcoカタログ番号A29129)の製造者によって供給される「Max Titer」プロトコルにしたがって、そしてKaasboellら、上記に簡潔に記載されるように、ExpiCHO懸濁培養適応CHO細胞内にトランスフェクションした。トランスフェクション3日後、Heraeus biofuge picoベンチトップ遠心分離装置中、13000rpmで5分間遠心分離することによって、細胞を沈降させ、そして上清細胞培地を採取した。採取した細胞培養上清の試料を、Mini-PROTEAN(登録商標)TGX Stain-FreeTMプレキャストゲルを利用して、SDS-PAGEによって分離した。分離したタンパク質を、ウェスタンブロット分析のため、Trans-Blot Turbo、セミドライブロッティング系(Bio-Rad)を用いて、PVDF膜にトランスファーした。視覚化のため、SuperSignalTM West Femto Maximum感受性基質(ThermoFisherScientific)およびChemiDocTM画像化系(BioRad)と組み合わせて用いる、セイヨウワサビ・ペルオキシダーゼ(Invitrogenカタログ番号A10654)にコンジュゲート化された抗ヒトIgG4抗体でブロットを探査した。
図5において、本発明の態様が、配列番号7に示すような、CCN5 TSP-1リピート相同ドメインのプロリン195の突然変異を取り込む場合の、エンドペプチダーゼ切断に対する感受性の減少を示すデータを提示する。
P195A突然変異を取り込むか(Fc-HLn8-CCN5(dIII)-P195A)またはCCN5 TSP-1リピート相同ドメインの野生型P195変異体を発現するか(Fc-HLn8-CCN5(dIII))いずれかの、配列番号15に記載するようなIgG4 Fc断片のカルボキシル末端に融合しているCCN5(ドメインIII)を発現する、一過性トランスフェクションCHO懸濁細胞由来のCMの還元SDS-PAGE。このブロットは、P195A突然変異が、CCN5のTSP-1リピート相同ドメインにタンパク質分解的耐性を提供することを立証する。
実施例9
ペプチドリンカー(配列番号57)および配列番号15のヒトIgG、IgG4サブクラスのFc断片(S228P、F234A、L235A、K447-、Eu番号付け)のN末端に融合している、ヒトCCN5のアミノ酸194~250(配列番号56)を含み、配列番号58に対応するタンパク質配列(CCN5(dIII)-SL-Fcv0)を生じる融合タンパク質を開示する。該融合タンパク質に、配列番号32のアルブミンから生じる分泌のためのN末端シグナル配列をさらに付け加えて、配列番号59に対応する融合タンパク質を生じ、そして以下に開示するように、哺乳動物細胞中で発現させた。
配列番号59の融合タンパク質をコードするDNA配列を、ハムスター細胞におけるタンパク質発現のためにコドン最適化し(商業的供給業者のアルゴリズムによる)、そして翻訳のためのKOZAK配列を5’端に付け加え、そして停止コドンを3’端に導入して、配列番号60のDNA配列を生じた。DNA配列の両端にGateway attB部位をさらに付け加えて、配列番号61のDNA配列を生じた。商業的供給業者によって、配列番号61の配列を合成し、そして検証した。合成した配列を、BP Gatewayレコンビナーゼクローニングによって、pDonrZeoと組み換えて、エントリーベクターを生成した。プラスミドの効率的な増殖を可能にするように突然変異させたコンピテント大腸菌(One Shot Top10TM細胞)のトランスフェクション後、QiagenTMのQIAprepTMスピンミニプレップキットの使用を通じた標準的プラスミド単離技術でエントリーベクターを単離した。プラスミド単離後、当業者に周知の標準的技術にしたがって、制限酵素消化、その後、DNAゲル電気泳動によって、エントリーベクターを検証した。
配列番号60の配列を含有するエントリーベクターを、LRゲートウェイレコンビナーゼを用いて、デスティネーションベクターとさらに組み換えた。用いたデスティネーションベクターは、Kaasboellら,2018, J.Biol.Chem,293:46,pp.17953-17970に記載されるような、pUCOE-DHFR-DESTであった。
プラスミドの効率的な増殖を可能にするように突然変異されたコンピテント大腸菌(One Shot Top10TM細胞)のトランスフェクション後、QIAGENTMプラスミドプラスマキシキットを用いた標準的プラスミド単離技術で、発現ベクターを単離した。当業者に周知の標準的技術にしたがった標準的制限酵素消化およびDNAゲル電気泳動によって、生じた発現ベクターを検証した。次いで、生じた発現ベクターを、ExpifectamineTMCHOトランスフェクションキット(Gibcoカタログ番号A29129)の製造者によって供給される「Max Titer」プロトコルにしたがって、そしてKaasboellら、2018、上記に簡潔に記載されるように、懸濁培養に適応したExpiCHO細胞内にトランスフェクションした。トランスフェクション4日後、4750xg、4℃で20分間遠心分離することによって、細胞を沈降させ、そして上清細胞培地を採取した。100%イソプロパノール中の0.1M PMSFを1mMの濃度に添加し、そして0.5M EDTAを2mMの濃度に添加した。次いで、96%エタノールを約3%の最終濃度まで添加した。クロマトグラフィ精製の前に、1M TrisHCl pH7.4を25mMの最終濃度まで添加した。
プロテインAクロマトグラフィ媒体を利用したアフィニティクロマトグラフィによって、タンパク質を精製した。この実験で用いたクロマトグラフィ媒体はrProtein A FF(GE Healthcare)であった。上述のように採取し、そして補充した細胞培地120mLから、発現された組換えタンパク質の精製のために、5mL HiTrapTM rProtein A FFカラム(GE Healthcare)を用いた。5mm UVフローセルを取り付けたFPLCクロマトグラフィ系(BioRad NGC DiscoverTM 10 Pro系)上にHiTrapTM rProtein A FFカラムを搭載し、そして25mM TrisHCl pH7.4、25mM NaClおよび3%エタノールを含有する緩衝液で平衡化した。組換えタンパク質を含有する、採取した細胞培地を、2.5ml/分の速度で、試料ポンプを用いて装填した後、10カラム体積の洗浄緩衝液(25mM TrisHCl pH7.4、25mM NaClおよび3%エタノール)で洗浄し、その後、3%エタノール中の0.1Mクエン酸Na、pH3.0で溶出した。1mL 1M TrisHCl pH9.0をあらかじめ充填した低タンパク質結合チューブ中、3mLの溶出分画を収集した。タンパク質溶出を280nm UV吸光度で監視し、そしてUV 280nm吸光度ピークを含有するプールした分画の10μL試料を、還元剤β-メルカプトエタノールの存在下または非存在下で、Mini-PROTEAN(登録商標)TGX Stain-FreeTMプレキャストゲルを利用したSDS-PAGEに供して、そしてChemiDocTM画像化系(BioRad)を利用して、単離された組換えタンパク質を視覚化した。
当業者には、多様な発現系において組換えタンパク質を産生し、そして多様なクロマトグラフィ法によってこれらを精製してもよく、類似の結果が得られることが広く知られている。
図6において、配列番号58に対応するタンパク質の発現および精製は、還元剤β-メルカプトエタノールの非存在下で、予期されるよりも高い位置に移動するタンパク質を生じ、したがって二量体形成が示される。しかし、還元剤β-メルカプトエタノールの存在下で、精製タンパク質を含有するレーンからわかるように、配列番号58に対応するタンパク質の発現および精製は、主に、切断断片を生じ、そして損なわれていないタンパク質を生じない。
実施例10
配列番号58に対応するタンパク質のタンパク質分解耐性を増加させる試みにおいて、配列番号58の配列の多数の変異体を生成した。商業的供給業者によって、DNA配列を合成し、そして検証した後、サブクローニングして、実施例9に記載するようなプラスミドおよび実施例9に記載するように発現させたタンパク質を生成した。変異体には、以下に列挙するような修飾を含むタンパク質が含まれた:
1)配列番号32のアルブミンから生じるN末端シグナル配列を、配列番号63に対応するペプチドリンカーの一部切除および配列番号15のFc断片と組み合わせた、配列番号62に対応する突然変異(P245L)を取り込んだアミノ酸194~249で構成されるCCN5の断片のアミノ末端につなぎ、配列番号64に対応する配列を生じる、
2)配列番号32のアルブミンから生じるN末端シグナル配列を、配列番号65に対応するペプチドリンカーの変形および配列番号15のFc断片と組み合わせた、配列番号1に対応するアミノ酸194~246で構成されるCCN5の断片のアミノ末端につなぎ、配列番号66に対応する配列を生じる、
3)配列番号32のアルブミンから生じるN末端シグナル配列を、配列番号67に対応するペプチドリンカーの変形および配列番号15のFc断片と組み合わせた、配列番号1に対応するアミノ酸194~246で構成されるCCN5の断片のアミノ末端につなぎ、配列番号68に対応する配列を生じる、
4)配列番号32のアルブミンから生じるN末端シグナル配列を、配列番号65に対応するペプチドリンカーの変形および配列番号19のFc断片と組み合わせた、配列番号1に対応するアミノ酸194~246で構成されるCCN5の断片のアミノ末端につなぎ、配列番号69に対応する配列を生じる。
実施例12に開示するタンパク質のこれらの反復(上記1~4)は、実施例9に記載するように行ったExpiCHO系における発現中、タンパク質分解的切断に対する耐性のある程度の改善を示した。しかし、配列番号64、配列番号66、配列番号68および配列番号69に対応するタンパク質の発現によって、タンパク質分解耐性の度合いは、損なわれていない精製タンパク質の産生を可能にするためにはなお不十分であることが明らかになった。
実施例11
ペプチドリンカー(配列番号21)およびカルボキシル末端K477-(EU番号付け)の欠失を含むIgGサブタイプIgG2/4のキメラFc断片(配列番号19)のN末端に融合している、195位のアミノ酸(プロリン)がアラニンで置換されているCCN5のアミノ酸194~237(配列番号38)を含み、配列番号27を生じる、融合タンパク質を生成した。該融合タンパク質に、配列番号32のアルブミンから生じる分泌のためのN末端シグナル配列をさらに付け加えて、配列番号70に対応する融合タンパク質を生成した。配列番号70の融合タンパク質をコードするDNA配列を、ハムスター細胞におけるタンパク質発現のためにコドン最適化し(商業的供給業者のアルゴリズムによる)、そして翻訳のためのKOZAK配列を5’端に付け加え、そして停止コドンを3’端に導入して、配列番号71のDNA配列を生じた。DNA配列の両端にGateway attB部位をさらに付け加えて、配列番号72のDNA配列を生じた。
商業的供給業者によって、DNA配列を合成し、そして検証した後、サブクローニングして、実施例9に記載するようにプラスミドを生成し、そして実施例9に記載するようにExpiCHO細胞の一過性トランスフェクションによって配列番号70に対応するタンパク質を発現させた。
トランスフェクション6日後、4750xg、4℃で20分間遠心分離することによって、細胞を沈降させ、そして上清細胞培地を採取した。100%イソプロパノール中の0.1M PMSFを0.1mMの濃度まで添加した。クロマトグラフィ精製の前に、1Mクエン酸Na pH5.5を30mMの最終濃度まで添加した。
1mL HiTrapTM MabSelectSuReTMカラム(GE Healthcare)での捕捉工程、その直後のBioScaleTM Mini Bio-Gel(登録商標)P-6 10mLカラム(BioRad)での脱塩で構成されるタンデムクロマトグラフィによって、タンパク質を精製した。5mm UVフローセルを取り付けたFPLCクロマトグラフィ系(BioRad NGC DiscoverTM 10 Pro系)上にカラムを搭載した。第一のカラムスイッチングバルブ上にMabSelectSuReTMカラムを搭載し、そして30mMクエン酸Na pH5.5で構成される緩衝液で平衡化する一方、Bio-Gel(登録商標)カラムを第二のカラムスイッチングバルブ上に搭載して、そして緩衝液A2(100mM NaHPO4/NaHPO4 pH6.5)で平衡化した。Bio-Gel(登録商標)カラムを含有する第二のカラムスイッチングバルブをバイパスするようにセットして、組換えタンパク質を含有する採取した細胞培地140mLを、2.0ml/分の速度で、試料ポンプを用いて、MabSelectSuReTMカラム上に装填した後、5カラム体積の洗浄緩衝液A1(30mMクエン酸Na pH5.5)、その後、5カラム体積の洗浄緩衝液A3(30mMクエン酸Na、0.5M NaCl、pH5.5)、その後、3カラム体積の洗浄緩衝液A1で洗浄した。溶出緩衝液(30mMクエン酸、pH3.4)での溶出前に、第二のカラムスイッチングバルブ上に搭載されたBio-Gel(登録商標)カラムをスイッチングして流路に進入させた。2mL溶出緩衝液で溶出した後、MabSelectSuReTMカラムをスイッチングして流路から外して、そして精製タンパク質を、緩衝液A2でBio-Gel(登録商標)カラムから溶出させた。タンパク質溶出を280nm UV吸光度で監視し、そして吸光度が100mAUを超えたら収集を誘発した。収集した分画をプールし、そして10μL試料を、還元剤β-メルカプトエタノールの存在下で、Mini-PROTEAN(登録商標)TGX Stain-FreeTMプレキャストゲルを利用したSDS-PAGEに供し、そしてChemiDocTM画像化系(BioRad)を利用して、単離された組換えタンパク質を視覚化した。
図7において、実施例9に比較して継代培養のさらに2日後に細胞培地を採取してもなお、CCN5のカルボキシル末端テールが一部切除された配列番号27に対応するタンパク質の発現および精製が、CCN5のカルボキシル末端アミノ酸がすべて含まれている変異体(配列番号58、64、66、68および69におけるようなもの)よりも、タンパク質分解的に実質的により耐性であることが示される。
実施例12
ペプチドリンカー(配列番号21)、およびカルボキシル末端K477-(Eu番号付け)の欠失を含むIgGサブタイプIgG2/4のキメラFc断片(配列番号19)のN末端に融合している、207位のアミノ酸(イソロイシン)がアラニンに置換されているCCN3のアミノ酸206~249(配列番号44)を含み、配列番号73の融合タンパク質を生じる、融合タンパク質を生成した。該融合タンパク質に、配列番号32のアルブミンから生じる分泌のためのN末端シグナル配列をさらに付け加えて、配列番号74に対応する融合タンパク質を生成した。配列番号74の融合タンパク質をコードするDNA配列を、ハムスター細胞におけるタンパク質発現のためにコドン最適化し(商業的供給業者のアルゴリズムによる)、そして翻訳のためのKOZAK配列を5’端に付け加え、そして停止コドンを3’端に導入して、配列番号75のDNA配列を生じた。DNA配列の両端にGateway attB部位をさらに付け加えて、配列番号76のDNA配列を生じた。
商業的供給業者によって、DNA配列を合成し、そして検証した後、サブクローニングして、実施例9に記載するようにプラスミドを生成し、そして実施例9に記載するようにExpiCHO細胞の一過性トランスフェクションによって配列番号74に対応するタンパク質を発現させた。
トランスフェクション5日後、4750xg、4℃で20分間遠心分離することによって、細胞を沈降させ、そして上清細胞培地を採取した。100%イソプロパノール中の0.1M PMSFを0.1mMの濃度まで添加した。クロマトグラフィ精製の前に、1Mクエン酸Na pH5.5を30mMの最終濃度まで添加した。
5mL HiTrapTM MabSelectSuReTMカラム(GE Healthcare)での捕捉工程、その直後の53mL HiPrepTM26/10脱塩カラム(GE Healthcare)での脱塩で構成されるタンデムクロマトグラフィによって、タンパク質を精製した。5mm UVフローセルを取り付けたFPLCクロマトグラフィ系(BioRad NGC DiscoverTM 10 Pro系)上にカラムを搭載した。第一のカラムスイッチングバルブ上にMabSelectSuReTMカラムを搭載し、そして30mMクエン酸Na pH5.5で構成される緩衝液で平衡化する一方、HiPrepTMカラムを第二のカラムスイッチングバルブ上に搭載して、そして緩衝液A2(100mM NaHPO4/NaHPO4 pH6.5)で平衡化した。HiPrepTMカラムを含有する第二のカラムスイッチングバルブをバイパスするようにセットして、組換えタンパク質を含有する採取した細胞培地260mLを、3.5ml/分の速度で、試料ポンプを用いて、MabSelectSuReTMカラム上に装填した後、5カラム体積の洗浄緩衝液A1(30mMクエン酸Na pH5.5)、その後、5カラム体積の洗浄緩衝液A3(30mMクエン酸Na、0.5M NaCl、pH5.5)、その後、2カラム体積の洗浄緩衝液A1で洗浄した。溶出緩衝液(30mMクエン酸、pH3.4)での溶出前に、第二のカラムスイッチングバルブ上に搭載されたHiPrepTMカラムをセットして流路に進入させた。10mL溶出緩衝液で溶出した後、MabSelectSuReTMカラムをスイッチングして流路から外して、そして精製タンパク質を、緩衝液A2でHiPrepTMカラムから溶出させた。タンパク質溶出を280nmのUV吸光度で監視し、そして吸光度が100mAUを超えたら収集を誘発した。収集した分画をプールし、そして10μL試料を、還元剤β-メルカプトエタノールの存在下または非存在下で、Mini-PROTEAN(登録商標)TGX Stain-FreeTMプレキャストゲルを利用したSDS-PAGEに供し、そしてChemiDocTM画像化系(BioRad)を利用して、単離された組換えタンパク質を視覚化した。
図8において、配列番号27に開示するような相同CCN5(ドメインIII/TSP-1相同ドメイン)由来のアミノ酸を含有する融合タンパク質同様、配列番号73に開示するようなCCN3/Nоv(ドメインIII/TSP-1相同ドメイン)由来のアミノ酸を含有する融合タンパク質は、実施例11に記載し、そして図7に示すような、CCN5由来のアミノ酸を含有する融合タンパク質と類似かまたはそれより優れたタンパク質分解耐性を有することが示される。
実施例13
ペプチドリンカー(配列番号39)および配列番号15のIgG、IgG4サブクラスのFc断片(S228P、F234A、L235A、K447-、Eu番号付け)のC末端に融合している、195位のアミノ酸(プロリン)がアラニンで置換されているCCN5のアミノ酸194~246(配列番号7)を含み、配列番号41に対応するタンパク質配列を生じる融合タンパク質に、配列番号32のアルブミンから生じる分泌のためのN末端シグナル配列を付け加えて、配列番号77に対応する融合タンパク質を生じた。配列番号77の融合タンパク質をコードするDNA配列を、ハムスター細胞におけるタンパク質発現のためにコドン最適化し(商業的供給業者のアルゴリズムによる)、そして翻訳のためのKOZAK配列を5’端に付け加え、そして停止コドンを3’端に導入して、配列番号78のDNA配列を生じた。DNA配列の両端にGateway attB部位をさらに付け加えて、配列番号79のDNA配列を生じた。
商業的供給業者によって、配列番号79の配列を合成し、そして配列を検証した。合成した配列を、BP Gatewayレコンビナーゼクローニングによって、pDonrZeoと組み換えて、エントリーベクターを生成した。プラスミドの効率的な増殖を可能にするように突然変異させたコンピテント大腸菌(One Shot Top10TM細胞)のトランスフェクション後、QiagenTMのQIAprepTMスピンミニプレップキットの使用を通じた標準的プラスミド単離技術でエントリーベクターを単離した。プラスミド単離後、当業者に周知の標準的技術にしたがって、制限酵素消化、その後、DNAゲル電気泳動によって検証した。
配列番号78の配列を含有するエントリーベクターを、LRゲートウェイレコンビナーゼを用いて、デスティネーションベクターとさらに組み換えた。用いたデスティネーションベクターは、Kaasboellら,2018, J.Biol.Chem,293:46,pp.17953-17970に記載されるような、pUCOE-DHFR-DESTであった。
プラスミドの効率的な増殖を可能にするように突然変異されたコンピテント大腸菌(One Shot Top10TM細胞)のトランスフェクション後、QIAGENTMプラスミドプラスマキシキットを用いた標準的プラスミド単離技術で、発現ベクターを単離した。当業者に周知の標準的技術にしたがった標準的制限酵素消化およびDNAゲル電気泳動によって、生じた発現ベクターを検証した。次いで、生じた発現ベクターを、Neonトランスフェクション系(ThermoFisherScientific)を利用したエレクトロポレーションによって、懸濁培養に適応したDG44 CHO細胞内にトランスフェクトした。振盪プラットフォーム上、8%COを含み37℃で維持した細胞培養インキュベーター中、通気型三角フラスコ中で細胞を維持した(Kaasboellら、上記に記載される通り)。トランスフェクション細胞をCD DG44細胞培地(Gibco、カタログ番号12610-010)中で一晩維持した後、HyCloneTM ActiProTM培地(ヒポキサンチンおよびチミジンを含まない、GE Healthcare)にトランスファーし、そして生存度が80%に近づくまで継代培養し、その時点で培地に0.1μMメトトレキセートを補充した。0.1μMメトトレキセートを添加した後、再び、生存度が80%に近づくまで細胞を継代培養し、その時点で培地に1μMメトトレキセートを補充した。生存度が98%を超え、そして倍加時間が26時間未満まで減少するまで細胞を再び継代培養し、その時点で細胞プールが安定トランスフェクションされたと見なした。安定細胞プールが確立されたら、細胞培養体積を拡大して、110^6細胞/mLの密度で、産生のため、安定トランスフェクション細胞の植え付けを可能にした。継代培養3日後から毎日、4/0.4%v/v HyCloneTM Cell BoostTM7a/7bを細胞培養に補充した。10日後、4750xg、4℃で20分間遠心分離することによって、細胞を沈降させ、そして上清細胞培地を採取した。100%イソプロパノール中の0.1M PMSFを0.1mMの濃度まで添加した。クロマトグラフィ精製の前に、1Mクエン酸Na pH5.5を最終濃度30mMの最終濃度まで添加した。
実施例15に記載するように、5mL HiTrapTM MabSelectSuReTMカラム(GE Healthcare)での捕捉工程、その直後の53mL HiPrepTM26/10脱塩カラム(GE Healthcare)での脱塩で構成されるタンデムクロマトグラフィによって、タンパク質を精製した。精製タンパク質調製物(タンパク質分解プロセシングの徴候をまったく示さない)を続いて、実施例2に記載するようにA549ヒト肺癌細胞における生存促進シグナル伝達(AKTのセリン-473リン酸化)を阻害する能力に関して試験した。図9からわかるように、CHO懸濁細胞の安定トランスフェクションプールから産生される配列番号41に対応する精製タンパク質は、驚くべきことに、AKTのリン酸化(セリン473)を阻害する能力の徴候をまったく示さなかった。
実施例14
ペプチドリンカー(配列番号22)およびIgGサブタイプIgG2/4のキメラFc断片(配列番号19)のN末端に融合している、207位のアミノ酸(イソロイシン)がアラニンで置換されているCCN3のアミノ酸206~249(配列番号44)を含み、配列番号80に対応するタンパク質配列を生じる融合タンパク質を生成し、配列番号32のアルブミンから生じる分泌のためのN末端シグナル配列を付け加えて、配列番号81に対応する融合タンパク質を生じた。配列番号81の融合タンパク質をコードするDNA配列を、ハムスター細胞におけるタンパク質発現のためにコドン最適化し(商業的供給業者のアルゴリズムによる)、そして翻訳のためのKOZAK配列を5’端に付け加え、そして停止コドンを3’端に導入して、配列番号82のDNA配列を生じた。DNA配列の両端にGateway attB部位をさらに付け加えて、配列番号83のDNA配列を生じた。
商業的供給業者によって、配列番号83の配列を合成し、そして配列を検証した。合成した配列を、BP Gatewayレコンビナーゼクローニングによって、pDonrZeoと組み換えて、エントリーベクターを生成した。プラスミドの効率的な増殖を可能にするように突然変異させたコンピテント大腸菌(One Shot Top10TM細胞)のトランスフェクション後、QiagenTMのQIAprepTMスピンミニプレップキットの使用を通じた標準的プラスミド単離技術でエントリーベクターを単離した。プラスミド単離後、当業者に周知の標準的技術にしたがって、制限酵素消化、その後、DNAゲル電気泳動によってエントリーベクターを検証した。
配列番号82の配列を含有するエントリーベクターを、LRゲートウェイレコンビナーゼを用いて、デスティネーションベクターとさらに組み換えた。用いたデスティネーションベクターは、Kaasboellら,2018, J.Biol.Chem,293:46,pp.17953-17970に記載されるような、pUCOE-DHFR-DESTであった。
プラスミドの効率的な増殖を可能にするように突然変異されたコンピテント大腸菌(One Shot Top10TM細胞)のトランスフェクション後、QIAGENTMプラスミドプラスマキシキットを用いた標準的プラスミド単離技術で、発現ベクターを単離した。当業者に周知の標準的技術にしたがった標準的制限酵素消化およびDNAゲル電気泳動によって、生じた発現ベクターを検証した。次いで、生じた発現ベクターを、ExpiCHOTM安定産生培地(Gibcoカタログ番号A3711001)の製造者によって供給される「ExpiCHOTM産物を用いた安定細胞株の生成およびスケールアップ」プロトコルにしたがって、ExpiCHO懸濁培養に適応したCHO細胞内にトランスフェクトした。振盪装置プラットフォーム上、8%COを含み37℃で維持した細胞培養インキュベーター中、通気型三角フラスコ中で細胞を維持した(Kaasboellら、上記に記載される通り)。トランスフェクション細胞をExpiCHOTM発現培地中で一晩維持した後、0.1μMメトトレキセートを補充したExpiCHOTM発現培地にトランスファーした。次いで、生存度が80%に近づくまで細胞を継代培養し、その時点で培地に1μMメトトレキセートを補充した。生存度が95%を超え、そして倍加時間が20時間未満まで減少するまで細胞を再び継代培養し、その時点で細胞プールが安定トランスフェクションされたと見なした。安定細胞プールが確立されたら、細胞培養体積を拡大して、110^6細胞/mLの密度で、産生のため、安定トランスフェクション細胞の植え付けを可能にした。5日後、4750xg、4℃で20分間遠心分離することによって、細胞を沈降させ、そして上清細胞培地を採取した。100%イソプロパノール中の0.1M PMSFを0.1mMの濃度まで添加した。クロマトグラフィ精製前に、1Mクエン酸Na pH5.5を30mMの最終濃度まで添加し、そして2M L-アルギニンpH4.0を100mMの最終濃度まで添加した。
緩衝液A1、A2、A3およびB1に100mM L-アルギニンを添加することを除いて、実施例12に記載したものと同じプロトコルを利用して、5mL HiTrapTM MabSelect PrismATMカラム(GE Healthcare)での捕捉工程、その直後の53mL HiPrepTM26/10脱塩カラム(GE Healthcare)での脱塩で構成されるタンデムクロマトグラフィによって、タンパク質を精製した。精製タンパク質調製物(タンパク質分解プロセシングの徴候をまったく示さない)を続いて、実施例2に記載するようなA549ヒト肺癌細胞における生存促進シグナル伝達(AKTのセリン-473リン酸化)を阻害する能力に関して試験した。図10からわかるように、CHO懸濁細胞の安定トランスフェクションプールから産生される配列番号80に対応する精製タンパク質は、驚くべきことに、AKTのリン酸化(セリン473)を阻害する能力の徴候をまったく示さず、CCN5由来のアミノ酸を含有する損なわれていない二量体性Fc融合タンパク質調製物(配列番号41、実施例13、図9)も、またCCN3由来のアミノ酸を含有する損なわれていない二量体性Fc融合タンパク質調製物(配列番号80)のいずれも、生物学的に活性でないことが示された。
実施例15
配列番号82を含有する、実施例14に記載する発現プラスミドであって、ペプチドリンカー(配列番号22)およびIgGサブタイプIgG2/4のキメラFc断片(配列番号19)のN末端に融合している、207位のアミノ酸(イソロイシン)がアラニンで置換されているCCN3のアミノ酸206~249(配列番号44)を含み、配列番号80に対応するタンパク質配列を生じ、これに配列番号32のアルブミンから生じる分泌のためのN末端シグナル配列をさらに付け加え、そして配列番号81に対応する融合タンパク質をコードする前記プラスミドを、実施例9に記載するようなExpiCHOTM細胞の一過性トランスフェクションによって発現させた。トランスフェクション6日後、実施例14に記載するように細胞を沈降させ、そして実施例14に記載するように培地を補充した。実施例14に記載するように、5mL HiTrapTM MabSelect PrismATMカラム(GE Healthcare)での捕捉工程、その直後の53mL HiPrepTM26/10脱塩カラム(GE Healthcare)での脱塩で構成されるタンデムクロマトグラフィによって、タンパク質を精製した。
精製したタンパク質調製物(部分的にタンパク質分解的にプロセシングした)を続いて、実施例2に記載するようなA549ヒト肺癌細胞における生存促進シグナル伝達(AKTのセリン-473リン酸化)を阻害する能力に関して試験した。図11からわかるように、一過性トランスフェクションExpiCHOTM細胞から産生された配列番号80に対応する精製タンパク質は、AKTのリン酸化(セリン473)を阻害する濃度依存性の能力を示し、配列番号80に対応する融合タンパク質を産生するために用いた発現系、およびその結果、観察されるタンパク質分解的プロセシングの度合いが、生じるタンパク質調製物の活性またはその欠如に非常に影響を及ぼすことを示した。
実施例16
ペプチドリンカー(配列番号21)、ならびに単量体誘導性および半減期延長突然変異を含むFc断片(配列番号55)のN末端に融合している、207位のアミノ酸(イソロイシン)がアラニンで置換されているCCN3のアミノ酸206~249(配列番号44)を含み、配列番号84に対応するタンパク質配列を生じる融合タンパク質に、配列番号32のアルブミンから生じる分泌のためのN末端シグナル配列を付け加えて、配列番号85に対応する融合タンパク質を生じる。配列番号85の融合タンパク質をコードするDNA配列を、ハムスター細胞におけるタンパク質発現のためにコドン最適化し(商業的供給業者のアルゴリズムによる)、そして翻訳のためのKOZAK配列を5’端に付け加え、そして停止コドンを3’端に導入して、配列番号86のDNA配列を生じた。DNA配列の両端にGateway attB部位をさらに付け加えて、配列番号86のDNA配列を生じた。商業的供給業者によって、DNA配列を合成し、そして検証した後、サブクローニングして、実施例9に記載するようにプラスミドを生成し、そして実施例9に記載するようにExpiCHOTM細胞の一過性トランスフェクションによって発現させた。トランスフェクション5日後、実施例14に記載するように、細胞を沈降させ、そして実施例14に記載するように、培地を補充した。実施例14に記載するように、5mL HiTrapTM MabSelect PrismATMカラム(GE Healthcare)での捕捉工程、その直後の53mL HiPrepTM26/10脱塩カラム(GE Healthcare)での脱塩で構成されるタンデムクロマトグラフィによって、タンパク質を精製した。
予期される単量体型を示す精製タンパク質調製物を、続いて、実施例2に記載するように、A549ヒト肺癌細胞において、生存促進性シグナル伝達(AKTのセリン-473リン酸化)を阻害する能力に関して試験した。図12からわかるように、配列番号84に対応する精製タンパク質は、AKTのリン酸化(セリン473)を阻害する濃度依存性能力を示し、CCNタンパク質のドメインIII/TSP-1相同ドメイン由来のアミノ酸を含む別の単量体性融合タンパク質が、A549ヒト肺癌細胞において、AKT(セリンー473)のリン酸化を阻害する能力を有することを示した。
実施例17
ペプチドリンカー(配列番号21)、ならびに単量体誘導性および安定性誘導性突然変異を含むFc断片(配列番号54)のN末端に融合している、207位のアミノ酸(イソロイシン)がアラニンで置換されているCCN3のアミノ酸206~249(配列番号44)を含み、配列番号88に対応するタンパク質配列を生じる融合タンパク質に、配列番号32のアルブミンから生じる分泌のためのN末端シグナル配列を付け加えて、配列番号89に対応する融合タンパク質を生じた。配列番号89の融合タンパク質をコードするDNA配列を、ハムスター細胞におけるタンパク質発現のためにコドン最適化し(商業的供給業者のアルゴリズムによる)、そして翻訳のためのKOZAK配列を5’端に付け加え、そして停止コドンを3’端に導入して、配列番号90のDNA配列を生じた。DNA配列の両端にGateway attB部位をさらに付け加えて、配列番号91のDNA配列を生じた。商業的供給業者によって、DNA配列を合成し、そして検証した後、サブクローニングして、実施例9に記載するようにプラスミドを生成し、そして実施例9に記載するようにExpiCHOTM細胞の一過性トランスフェクションによって発現させた。トランスフェクション6日後、実施例14に記載するように、細胞を沈降させ、そして実施例14に記載するように、培地を補充した。実施例14に記載するように、5mL HiTrapTM MabSelect PrismATMカラム(GE Healthcare)での捕捉工程、その直後の53mL HiPrepTM26/10脱塩カラム(GE Healthcare)での脱塩で構成されるタンデムクロマトグラフィによって、タンパク質を精製した。
予期される単量体型を主に示す精製タンパク質調製物を、続いて、実施例2に記載するように、A549ヒト肺癌細胞において、生存促進性シグナル伝達(AKTのセリン-473リン酸化)を阻害する能力に関して試験した。図13からわかるように、配列番号88に対応する精製タンパク質は、AKTのリン酸化(セリン473)を阻害する濃度依存性能力を示し、CCNタンパク質のドメインIII/TSP-1相同ドメイン由来のアミノ酸を含む別の単量体性融合タンパク質が、A549ヒト肺癌細胞において、AKT(セリンー473)のリン酸化を阻害する能力を有することを示した。
実施例18
ペプチドリンカー(配列番号93)ならびに6xHisタグ、HaloタグおよびSumo要素を含む多機能タグ(配列番号92)のN末端に融合している、207位のアミノ酸(イソロイシン)がアラニンで置換されているCCN3のアミノ酸206~249(配列番号44)を含み、配列番号94に対応するタンパク質配列を生じる融合タンパク質に、配列番号32のアルブミンから生じる分泌のためのN末端シグナル配列を付け加えて、配列番号114に対応する融合タンパク質を生じた。配列番号114の融合タンパク質をコードするDNA配列を、ハムスター細胞におけるタンパク質発現のためにコドン最適化し(商業的供給業者のアルゴリズムによる)、そして翻訳のためのKOZAK配列を5’端に付け加え、そして停止コドンを3’端に導入して、配列番号95のDNA配列を生じた。DNA配列の両端にGateway attB部位をさらに付け加えて、配列番号96のDNA配列を生じた。商業的供給業者によって、DNA配列を合成し、そして検証した後、サブクローニングして、実施例9に記載するようにプラスミドを生成し、そして実施例15に記載するようにExpiCHOTM細胞の一過性トランスフェクションによって発現させた。トランスフェクション5日後、実施例14に記載するように、細胞を沈降させた。クロマトグラフィ精製前に、100%イソプロパノール中の0.1M PMSFを0.1mMの濃度まで添加し、1Mクエン酸Na pH5.5を30mMの最終濃度まで添加し、2M L-アルギニンpH4.0を0.1Mの最終濃度まで添加し、そしてイミダゾールを5mMの最終濃度まで添加した。
5mL HiTrapTMHisTrapTMエクセルカラム(GE Healthcare)での捕捉工程、その直後の53mL HiPrepTM26/10脱塩カラム(GE Healthcare)での脱塩で構成されるタンデムクロマトグラフィによって、タンパク質を精製した。5mm UVフローセルを取り付けたFPLCクロマトグラフィ系(BioRad NGC DiscoverTM 10 Pro系)上にカラムを搭載した。第一のカラムスイッチングバルブ上にHisTrapTMカラムを搭載し、そして5mMイミダゾール、50mM NaCl、100mM L-アルギニンで構成されるA1緩衝液で平衡化する一方、HiPrepTMカラムを第二のカラムスイッチングバルブ上に搭載して、そして緩衝液A2(100mM NaH2PO4/Na2HPO4、100mM L-アルギニン pH6.5)で平衡化した。HiPrepTMカラムを含有する第二のカラムスイッチングバルブをバイパスするようにセットして、組換えタンパク質を含有する採取した細胞培地250mLを、3.5ml/分の速度で、試料ポンプを用いて、HisTrapTMカラム上に装填した後、5カラム体積の洗浄緩衝液A1、その後、5カラム体積の洗浄緩衝液A3(5mMイミダゾール、0.5M NaCl、100mM L-アルギニン)、その後、2カラム体積の洗浄緩衝液A1で洗浄した。溶出緩衝液(250mMイミダゾール、50mM NaCl、100mM L-アルギニン)での溶出前に、第二のカラムスイッチングバルブ上に搭載したHiPrepTMカラムをスイッチングして流路に進入させた。10mL溶出緩衝液で溶出した後、HisTrapTMカラムをスイッチングして流路から外して、そして精製タンパク質を、緩衝液A2でHiPrepTMカラムから溶出させた。タンパク質溶出を280nmのUV吸光度で監視し、そして吸光度が60mAUを超えたら収集を誘発した。
予期される単量体型を示す精製タンパク質調製物を、続いて、実施例2に記載するように、A549ヒト肺癌細胞において、生存促進性シグナル伝達(AKTのセリン-473リン酸化)を阻害する能力に関して試験した。図12からわかるように、配列番号94に対応する精製タンパク質は、AKTのリン酸化(セリン473)を阻害する濃度依存性能力を示し、CCNタンパク質のドメインIII/TSP-1相同ドメイン由来のアミノ酸を含む別の単量体性融合タンパク質が、A549ヒト肺癌細胞において、AKT(セリンー473)のリン酸化を阻害する能力を有することを示した。
実施例19
ペプチドリンカー(配列番号21)およびヒト血清アルブミンのアミノ酸25~609(配列番号52)のN末端に融合している、195位のアミノ酸(プロリン)がアラニンで置換されているCCN5のアミノ酸194から237(配列番号38)を含み、配列番号97を生じる融合タンパク質に、配列番号32のヒト血清アルブミンから生じる分泌のためのN末端シグナル配列を付け加えて、配列番号98に対応するタンパク質配列を生じた。配列番号98の融合タンパク質をコードするDNA配列を、ハムスター細胞におけるタンパク質発現のためにコドン最適化し(商業的供給業者のアルゴリズムによる)、そして翻訳のためのKOZAK配列を5’端に付け加え、そして停止コドンを3’端に導入して、配列番号99のDNA配列を生じた。DNA配列の両端にGateway attB部位をさらに付け加えて、配列番号100のDNA配列を生じた。
商業的供給業者によって、DNA配列を合成し、そして検証した後、サブクローニングして、実施例9に記載するようにプラスミドを生成し、そしてAKTの恒常的活性型を発現するように操作されたDG44 CHO懸濁細胞を用いて、実施例13に記載するように配列番号98のタンパク質を発現するCHO懸濁細胞の安定プールを生成した。安定細胞プールが確立されたら、細胞培養体積を拡大して、110^6細胞/mLの密度で、産生のため、安定トランスフェクション細胞の植え付けを可能にした。6日後、4750xg、4℃で20分間遠心分離することによって、細胞を沈降させ、そして上清細胞培地を採取した。クロマトグラフィ精製前に、100%イソプロパノール中の0.1M PMSFを0.1mMの濃度まで添加し、0.5M EDTAを2mMの最終濃度まで添加し、1Mクエン酸Na pH5.5を30mMの最終濃度まで添加し、そして2M L-アルギニンpH4.0を0.1Mの最終濃度まで添加した。
3mLのCaptureSelectTMヒトアルブミンアフィニティマトリックス(ThermoFisherScientific)を充填したTricornカラム(GE Healthcare)での捕捉工程、その直後の53mL HiPrepTM26/10脱塩カラム(GE Healthcare)での脱塩で構成されるタンデムクロマトグラフィによって、タンパク質を精製した。5mm UVフローセルを取り付けたFPLCクロマトグラフィ系(BioRad NGC DiscoverTM 10 Pro系)上にカラムを搭載した。第一のカラムスイッチングバルブ上にCaptureSelectTM含有カラムを搭載し、そして100mM NaH2PO4/Na2HPO4、100mM L-アルギニンpH6.5で構成されるA1緩衝液で平衡化する一方、HiPrepTMカラムを第二のカラムスイッチングバルブ上に搭載して、そして緩衝液A1(100mM NaH2PO4/Na2HPO4、100mM L-アルギニン pH6.5)で平衡化した。HiPrepTMカラムを含有する第二のカラムスイッチングバルブをバイパスするようにセットして、組換えタンパク質を含有する採取した細胞培地500mLを、2.0ml/分の速度で、試料ポンプを用いて、CaptureSelectTM含有カラム上に装填した後、5カラム体積の洗浄緩衝液A1、その後、5カラム体積の洗浄溶液A2(100mM NaH2PO4/Na2HPO4、100mM L-アルギニン、0.25M NaCl、pH6.5)、その後、5カラム体積の洗浄緩衝液A1で洗浄した。溶出緩衝液(30mMクエン酸、pH3.5+0.5M L-アルギニン)での溶出前に、第二のカラムスイッチングバルブ上に搭載したHiPrepTMカラムをスイッチングして流路に進入させた。10mL溶出緩衝液で溶出した後、CaptureSelectTM含有カラムをスイッチングして流路から外して、そして精製タンパク質を、緩衝液A1でHiPrepTMカラムから溶出させた。タンパク質溶出を280nmのUV吸光度で監視し、そして吸光度が100mAUを超えたら収集を誘発した。
予期される単量体型を示す精製タンパク質調製物を、続いて、実施例2に記載するように、A549ヒト肺癌細胞において、生存促進性シグナル伝達(AKTのセリン-473リン酸化)を阻害する能力に関して試験した。図14からわかるように、配列番号97に対応する精製タンパク質は、AKTのリン酸化(セリン473)を阻害する濃度依存性能力を示し、CCNタンパク質のドメインIII/TSP-1相同ドメイン由来のアミノ酸を含む別の単量体性融合タンパク質が、A549ヒト肺癌細胞において、AKT(セリンー473)のリン酸化を阻害する能力を有することを示した。
実施例20
ヒト血清アルブミン(アミノ酸25~606、配列番号101)の融合タンパク質を、195位のアミノ酸(プロリン)がアラニンで置換されているヒトCCN5のアミノ酸194~246(配列番号7)に連結するペプチドリンカー(配列番号22)にC末端で融合させて、配列番号103を生じた。配列番号102に対応する融合タンパク質に、配列番号32のアルブミンから生じる分泌のためのN末端シグナル配列を付け加えて、配列番号103に対応する融合タンパク質を生じた。配列番号103の融合タンパク質をコードするDNA配列を、ハムスター細胞におけるタンパク質発現のためにコドン最適化し(商業的供給業者のアルゴリズムによる)、そして翻訳のためのKOZAK配列を5’端に付け加え、そして停止コドンを3’端に導入して、配列番号104のDNA配列を生じた。DNA配列の両端にGateway attB部位をさらに付け加えて、配列番号105のDNA配列を生じた。
商業的供給業者によって、DNA配列を合成し、そして検証した後、サブクローニングして、実施例9に記載するようにプラスミドを生成し、そしてAKTの恒常的活性型を発現するように操作されたDG44 CHO懸濁細胞を用いて、実施例13に記載するように配列番号104のタンパク質を発現するCHO懸濁細胞の安定プールを生成した。安定細胞プールが確立されたら、細胞培養体積を拡大して、110^6細胞/mLの密度で、産生のため、安定トランスフェクション細胞の植え付けを可能にした。6日後、4750xg、4℃で20分間遠心分離することによって、細胞を沈降させ、そして上清細胞培地を採取した。クロマトグラフィ精製前に、100%イソプロパノール中の0.1M PMSFを0.1mMの濃度まで添加し、0.5M EDTAを2mMの最終濃度まで添加し、1Mクエン酸Na pH5.5を30mMの最終濃度まで添加し、そして2M L-アルギニンpH4.0を0.1Mの最終濃度まで添加した。
試料装填流が、2.0mL/分ではなく0.37mL/分であることを除いて、実施例19に記載するように、3mLのCaptureSelectTMヒトアルブミンアフィニティマトリックス(ThermoFisherScientific)を充填したTricornカラム(GE Healthcare)での捕捉工程、その直後の53mL HiPrepTM26/10脱塩カラム(GE Healthcare)での脱塩で構成されるタンデムクロマトグラフィによって、タンパク質を精製した。
予期される単量体型を示す精製タンパク質調製物を、続いて、実施例2に記載するように、A549ヒト肺癌細胞において、生存促進性シグナル伝達(AKTのセリン-473リン酸化)を阻害する能力に関して試験した。図14からわかるように、配列番号102に対応する精製タンパク質は、AKTのリン酸化(セリン473)を阻害する濃度依存性能力を示し、CCNタンパク質のドメインIII/TSP-1相同ドメイン由来のアミノ酸を含む別の単量体性融合タンパク質が、A549ヒト肺癌細胞において、AKT(セリンー473)のリン酸化を阻害する能力を有することを示した。
実施例21
ペプチドリンカー(配列番号21)およびヒト血清アルブミンのアミノ酸25~609(配列番号52)のN末端に融合している、207位のアミノ酸(イソロイシン)がアラニンで置換されているCCN3のアミノ酸206~249(配列番号44)を含み、配列番号106を生じる融合タンパク質に、配列番号32のアルブミンから生じる分泌のためのN末端シグナル配列を付け加えて、配列番号107に対応する融合タンパク質を生じた。配列番号107の融合タンパク質をコードするDNA配列を、ハムスター細胞におけるタンパク質発現のためにコドン最適化し(商業的供給業者のアルゴリズムによる)、そして翻訳のためのKOZAK配列を5’端に付け加え、そして停止コドンを3’端に導入して、配列番号108のDNA配列を生じた。DNA配列の両端にGateway attB部位をさらに付け加えて、配列番号109のDNA配列を生じた。
商業的供給業者によって、DNA配列を合成し、そして検証した後、サブクローニングして、実施例9に記載するようなプラスミドを生成し、そして実施例9に記載するようなExpiCHOTM細胞の一過性トランスフェクションによって発現した。トランスフェクション6日後、実施例14に記載するように細胞を沈降させ、そして実施例19に記載するように培地を補充した。10mLのCaptureSelectTMヒトアルブミンアフィニティマトリックス(ThermoFisherScientific)を充填したTricornカラム(GE Healthcare)での捕捉工程、その直後の53mL HiPrepTM26/10脱塩カラム(GE Healthcare)での脱塩で構成されるタンデムクロマトグラフィによって、タンパク質を精製した。5mm UVフローセルを取り付けたFPLCクロマトグラフィ系(BioRad NGC DiscoverTM 10 Pro系)上にカラムを搭載した。第一のカラムスイッチングバルブ上にCaptureSelectTM含有カラムを搭載し、そして100mM NaH2PO4/Na2HPO4、100mM L-アルギニンpH6.5で構成されるA1緩衝液で平衡化する一方、HiPrepTMカラムを第二のカラムスイッチングバルブ上に搭載して、そして緩衝液A1(100mM NaH2PO4/Na2HPO4、100mM L-アルギニンpH6.5)で平衡化した。HiPrepTMカラムを含有する第二のカラムスイッチングバルブをバイパスするようにセットして、組換えタンパク質を含有する採取した細胞培地500mLを、1.0ml/分の速度で、試料ポンプを用いて、CaptureSelectTM含有カラム上に装填した後、3カラム体積の洗浄緩衝液A1、その後、2カラム体積の洗浄緩衝液A2(100mM NaH2PO4/Na2HPO4、100mM L-アルギニン、0.25M NaCl、pH6.5)、その後、3カラム体積の洗浄緩衝液A1で洗浄した。溶出緩衝液(30mMクエン酸、pH3.5+0.1M L-アルギニン)での溶出前に、第二のカラムスイッチングバルブ上に搭載されたHisPrepTMカラムをセットして流路に進入させた。15mL溶出緩衝液で溶出した後、CaptureSelectTM含有カラムをスイッチングして流路から外して、そして精製タンパク質を、緩衝液A1でHiPrepTMカラムから溶出させた。タンパク質溶出を280nmのUV吸光度で監視し、そして吸光度が100mAUを超えたら収集を誘発した。
予期される単量体型を含有する精製タンパク質調製物を、続いて、実施例2に記載するように、A549ヒト肺癌細胞において、生存促進性シグナル伝達(AKTのセリン-473リン酸化)を阻害する能力に関して試験した。図12からわかるように、配列番号106に対応する精製タンパク質は、AKTのリン酸化(セリン473)を阻害する濃度依存性能力を示し、CCNタンパク質のドメインIII/TSP-1相同ドメイン由来のアミノ酸を含む別の単量体性融合タンパク質が、A549ヒト肺癌細胞において、AKT(セリンー473)のリン酸化を阻害する能力を有することを示した。
実施例22
ペプチドリンカー(配列番号22)およびヒト血清アルブミンのアミノ酸25~609(配列番号52)のN末端に融合している、207位のアミノ酸(イソロイシン)がアラニンで置換されているCCN3のアミノ酸206~249(配列番号44)を含み、配列番号110を生じる融合タンパク質に、配列番号32のアルブミンから生じる分泌のためのN末端シグナル配列を付け加えて、配列番号111に対応する融合タンパク質を生じた。配列番号111の融合タンパク質をコードするDNA配列を、ハムスター細胞におけるタンパク質発現のためにコドン最適化し(商業的供給業者のアルゴリズムによる)、そして翻訳のためのKOZAK配列を5’端に付け加え、そして停止コドンを3’端に導入して、配列番号112のDNA配列を生じた。DNA配列の両端にGateway attB部位をさらに付け加えて、配列番号113のDNA配列を生じた。
商業的供給業者によって、DNA配列を合成し、そして検証した後、サブクローニングして、実施例9に記載するようにプラスミドを生成し、そして実施例9に記載するようにExpiCHOTM細胞の一過性トランスフェクションによって発現した。トランスフェクション6日後、実施例14に記載するように細胞を沈降させ、そして実施例19に記載するように培地を補充した。10mLのCaptureSelectTMヒトアルブミンアフィニティマトリックス(ThermoFisherScientific)を充填したTricornカラム(GE Healthcare)での捕捉工程、その直後の53mL HiPrepTM26/10脱塩カラム(GE Healthcare)での脱塩で構成されるタンデムクロマトグラフィによって、タンパク質を精製した。5mm UVフローセルを取り付けたFPLCクロマトグラフィ系(BioRad NGC DiscoverTM 10 Pro系)上にカラムを搭載した。第一のカラムスイッチングバルブ上にCaptureSelectTM含有カラムを搭載し、そして100mM NaH2PO4/Na2HPO4、100mM L-アルギニンpH6.5で構成されるA1緩衝液で平衡化する一方、HiPrepTMカラムを第二のカラムスイッチングバルブ上に搭載して、そして緩衝液A1(100mM NaH2PO4/Na2HPO4、100mM L-アルギニン pH6.5)で平衡化した。HiPrepTMカラムを含有する第二のカラムスイッチングバルブをバイパスするようにセットして、組換えタンパク質を含有する採取した細胞培地300mLを、1.0ml/分の速度で、試料ポンプを用いて、CaptureSelectTM含有カラム上に装填した後、3カラム体積の洗浄緩衝液A1、その後、2カラム体積の洗浄緩衝液A2(100mM NaH2PO4/Na2HPO4、100mM L-アルギニン、0.25M NaCl、pH6.5)、その後、3カラム体積の洗浄緩衝液A1で洗浄した。溶出緩衝液(30mMクエン酸、pH3.5+0.5M L-アルギニン)での溶出前に、第二のカラムスイッチングバルブ上に搭載されたHiPrepTMカラムをセットして流路に進入させた。15mL溶出緩衝液で溶出した後、CaptureSelectTM含有カラムをスイッチングして流路から外して、そして精製タンパク質を、緩衝液A1でHiPrepTMカラムから溶出させた。タンパク質溶出を280nmのUV吸光度で監視し、そして吸光度が100mAUを超えたら収集を誘発した。
予期される単量体型を含有する精製タンパク質調製物を、続いて、実施例2に記載するように、A549ヒト肺癌細胞において、生存促進性シグナル伝達(AKTのセリン-473リン酸化)を阻害する能力に関して試験した。図15からわかるように、配列番号110に対応する精製タンパク質は、AKTのリン酸化(セリン473)を阻害する濃度依存性能力を示し、CCNタンパク質のドメインIII/TSP-1相同ドメイン由来のアミノ酸を含む別の単量体性融合タンパク質が、A549ヒト肺癌細胞において、AKT(セリンー473)のリン酸化を阻害する能力を有することを示した。
実施例23
配列番号108を含有する実施例21に記載する発現プラスミドであって、ペプチドリンカー(配列番号21)およびヒト血清アルブミンのアミノ酸25~609(配列番号52)のN末端に融合している、207位のアミノ酸(イソロイシン)がアラニンで置換されているCCN3のアミノ酸206~249(配列番号44)を含み、さらに、配列番号32のアルブミンから生じる分泌のためのN末端シグナル配列を付け加えて、そして配列番号107に対応する融合タンパク質をコードする、前記プラスミドを用いて、実施例14に記載するような安定トランスフェクションExpiCHOTM細胞のプールを生成した。配列番号106に対応する分泌タンパク質を含有する馴化培地のバッチを産生するため、安定トランスフェクション細胞のプールを拡大して、110^6細胞/mLの密度で安定トランスフェクション細胞の250mLの体積での植え付けを可能にした。細胞培養に5%v/v 2XEfficientFeedTMC+(GibcoTM)を継代培養2日後から始めて1日おきに補充し、そして継代培養2日後、3%グルコース(10%w/v)を、そして継代培養6日後、5%グルコース(10%w/v)を補充した。9日後、4750xg、4℃で20分間遠心分離することによって細胞を沈降させ、そして上清細胞培地を採取した。100%イソプロパノール中の0.1M PMSFを0.1mMの濃度まで添加した。クロマトグラフィ精製の前に、1Mクエン酸Na pH5.5を30mMの最終濃度まで添加し、そして2M L-アルギニン pH4.0を100mMの最終濃度まで添加した。
10mLのCaptureSelectTMヒトアルブミンアフィニティマトリックス(ThermoFisherScientific)を充填したTricornカラム(GE Healthcare)での捕捉工程、その直後の2つの連続連結Superdex 200 Increase 10/300GL(GE Healthcare)カラムでのサイズ排除クロマトグラフィで構成される2Dクロマトグラフィによって、タンパク質を精製した。5mm UVフローセルを取り付けたFPLCクロマトグラフィ系(BioRad NGC DiscoverTM 10 Pro系)上にカラムを搭載し、そして出口バルブを5mL試料ループに連結した。第一のカラムスイッチングバルブ上にCaptureSelectTM含有カラムを搭載し、そして100mM NaH2PO4/Na2HPO4、100mM L-アルギニンpH6.5で構成されるA1緩衝液で平衡化する一方、Superdex 200 Increaseカラムを第二のカラムスイッチングバルブ上に搭載して、そして緩衝液A1(100mM NaH2PO4/Na2HPO4、100mM L-アルギニン pH6.5)で平衡化した。Superdex 200 Increaseカラムを含有する第二のカラムスイッチングバルブをバイパスするようにセットして、組換えタンパク質を含有する採取した細胞培地120mLを、3.9ml/分の速度で、試料ポンプを用いて、CaptureSelectTM含有カラム上に装填した。組換えタンパク質を含有する採取した細胞培地をCaptureSelectTM含有カラム上に装填した後、3カラム体積の緩衝液A1、その後、2カラム体積の緩衝液A2(100mM NaH2PO4/Na2HPO4、100mM L-アルギニン、0.25M NaCl、pH6.5)、その後、3カラム体積の緩衝液A1で洗浄した。1200mAUを超える吸光度で溶出物を試料ループ内に収集するようにセットされた系で、CaptureSelectTM含有カラムを15mL緩衝液B1(30mMクエン酸、0.5M L-アルギニン、pH3.5)で溶出させた。CaptureSelectTM含有カラムの溶出後、第一のカラムスイッチングバルブに連結されたCaptureSelectTM含有カラムをスイッチングして流路から外して、そして第二のカラムスイッチングバルブをスイッチングするようセットして、Superdex 200 Increase含有カラムを流路に入れた。次いで、溶出タンパク質を含有するCaptureSelectTM含有カラムからの溶出物を、0.5mL/分の速度で、緩衝液A1で、Superdex 200 Increase含有カラム上に装填した。タンパク質溶出を280nmのUV吸光度で監視し、そして吸光度が200mAUを超えたら収集を誘発した。
予期される単量体型を含有する精製タンパク質調製物を、続いて、正常ヒト肺線維芽細胞(NHLF)(Lonza Bioscience、カタログ番号CC-2512)のTGFβ誘導性および活性CCN2誘導性活性を阻害する能力に関して試験した。NHLFを、完全増殖培地(すべての添加剤(2%ウシ胎児血清、インスリン、hFGF-B、ゲンタマイシン/アンホテリシンB)を含むLonza Bioscienceブレットキット(カタログ番号CC-3132))中で継代培養して、商業的供給業者(Lonza Bioscience)の指示にしたがって、最大80%の集密度の密度を維持した。活性CCN2は、CCN2のドメイン3~4で構成され、そしてKaasboellら、2018、上記に記載されるように産生され、そして精製された。
NHLFの活性CCN2およびTGFβ誘導性細胞遊走に対する、配列番号106に対応するタンパク質の効果を試験するため(トランスウェルアッセイ/修飾ボイデンチャンバーアッセイ)、細胞をまずトリプシン/EDTAで剥離し、トリプシン中和試薬(Lonza Bioscience、カタログ番号CC-5034)で中和し、そして基本増殖培地(線維芽細胞基本培地(Lonza Bioscienceカタログ番号CC-3131、ゲンスマイシン(50μg/mL)以外の添加剤を含まない))に再懸濁した後、5μm孔サイズ(SigmaAldrich(Merck KGaA)の24ウェルプレート、Corning(登録商標)Transwell(登録商標)、カタログ番号CLS3402-48EA)を有するトランスウェル・インサートの上側に、ウェルあたり100μLの体積で、30,000細胞を植え付けた。ウェルの下部チャンバーは、ゲンスマイシン以外の他の添加物を含まない基本増殖培地500μL中に溶解した試験物質またはビヒクル対照を含有した。20時間のインキュベーション後、インサートをウェルから取り除き、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、Lonza Bioscience、カタログ番号17-512F)中に浸すことによって2回洗浄した後、4%ホルムアルデヒド(Solveco、スウェーデン、カタログ番号621092)中、37℃で15分間固定した。PBS中の0.1%Triton X-100で10分間処理することによって細胞を透過処理した後、PBSで2回洗浄した。インサートの上側の非遊走細胞を、コットンスワップ(swap)で掻き取った後、膜を乾燥させた。インサート上側の遊走細胞の核をHoechst 33342 20mM(PBS中、1:5000希釈、ThermoFisherScientific、カタログ番号62249)で、暗所中、15分間染色した後、PBSに浸すことによって2回洗浄した。トランスウェル・インサートから膜を切り出し、そしてガラスに向かって遊走した細胞とともにガラススライド上にマウントし、1滴のProLongTM Gold Antifade(ThermoFisherScientific、カタログ番号P36934)で覆い、カバーガラスをマウントし、そして各ウェル5~10画像をZeiss Axio Observer Z.1画像化系上で保持した。ImageJソフトウェアv1.51k、Rasband, W.S.、Image J、米国国立衛生研究所、米国メリーランド州ベセスダ、https://imagej.nih.gov/ij/、1997~2018を利用して、画像を半自動的に分析した。図16Aからわかるように、配列番号106に対応するタンパク質は、TGFβおよび活性CCN2の両方によって誘導される遊走を阻害する。
活性CCN2およびTGFβ誘導性スクラッチ創傷アッセイに対する配列番号106に対応するタンパク質の効果を試験するため、NHLFをトリプシン/EDTAで剥離し、トリプシン中和試薬(Lonza Bioscience、カタログ番号CC-5034)で中和した後、組織培養処理12ウェルプレート(Corning Costar(登録商標)、カタログ番号3513)中、1mL体積中で100,000細胞を植え付けた。植え付け翌日、0.9%NaClで細胞を2回洗浄し、そして完全増殖培地を基本増殖培地に交換した。基本増殖培地中で16~20時間インキュベーションした後、無菌12.5μLピペットチップ(ThermoFisherScientific、カタログ番号94420053)で細胞単層にスクラッチを作製し、細胞をPBSで1回洗浄した後、細胞を、試験物質またはビヒクルをともに含む1mLの基本増殖培地中でインキュベーションした。細胞をさらに24時間インキュベーションした後、PBS中で3回洗浄し、その後、4%ホルムアルデヒド中、37℃で15分間固定した。固定後、穏やかに振盪しながらPBS中で3x3分間、再び細胞を洗浄し、穏やかに振盪しながら、PBS中の0.1% Triton X-100で10分間透過処理した。Hoechst33342 20mM(PBS中、1:5000希釈、ThermoFisherScientific、カタログ番号62249)で、暗所中で15分間処理した後、穏やかに振盪しながらPBS中で3x5分間洗浄することによって、細胞核を染色した。1滴のProLongTM Gold Antifade(ThermoFisherScientific、カタログ番号P36934)をマウント前に適用し、そしてZeiss Axio Observer Z.1画像化系で、残ったギャップを中心として5画像を各ウェルから捕捉した。スクラッチ創傷の長さに沿って、3つの固定間隔で、スクラッチ後の残ったギャップの距離を測定することによって、画像を分析した。各ウェル由来の画像すべてからの測定すべての平均を計算し、そして1つの生物学的複製物としてカウントした。図16Bからわかるように、配列番号106に対応するタンパク質は、TGFβおよび活性CCN2の両方によって誘導されたスクラッチ創傷の閉鎖を阻害する。
TGFβ誘導性遺伝子制御に対する、配列番号106に対応するタンパク質の効果を試験するため、NHLFをトリプシン/EDTAで剥離し、トリプシン中和試薬(Lonza Bioscience、カタログ番号CC-5034)で中和した後、組織培養処理12ウェルプレート(Corning Costar(登録商標)、カタログ番号3513)中、1mLの体積中で100,000細胞を植え付けた。植え付け翌日、細胞を0.9%NaClで2回洗浄し、そして完全増殖培地を、0.1%熱不活化ウシ胎児血清(GibcoTMのカタログ番号16000-044、実施例2に記載するように実行した熱不活化)を補充した基本増殖培地に交換した。0.1%ウシ胎児血清を含む基本増殖培地中で6時間インキュベーションした後、試験物質またはビヒクル対照をウェルに添加した。96時間後、ウェルをPBSで2回洗浄し、そして製造者のプロトコルにしたがって、Qiagen RNeasy RNA抽出キット(カタログ番号74106)を利用してRNAを抽出した。NanoDrop(登録商標)ND-1000分光光度計(NanoDrop Technologies、米国)でRNA濃度を定量化し、ヌクレアーゼ不含水で50ng/μLの最終RNA濃度まで希釈した後、各複製物から200ng RNAを利用して、製造者のプロトコルにしたがって、TaqManTM逆転写キット(カタログ番号N8080234)を利用することによって、cDNAを生成した。それぞれのTaqManTMアッセイおよびTaqMan Fast Advanced Master Mix(ThermoFisherScientific、カタログ番号4444557)によって、生じたcDNA試料から示差遺伝子発現を分析した。製造者のプロトコルにしたがって、Applied Biosystems StepOnePlusリアルタイムPCR系を用いて、各試料に関して技術的3つ組で、TaqManTMリアルタイムPCR反応を行った。標準曲線から、異なる転写物の相対量を計算した後、技術的3つ組を平均して、各試料から単一の値を得た。すべての遺伝子発現結果を、GAPDH(ThermoFisherScientific、カタログ番号Hs02786624_gl)mRNAレベルに比較し、そして標準化して、ビヒクル対照刺激ウェルの平均の倍数として表した。図19C~Fよりわかるように、配列番号107に対応するタンパク質は、一般的に、線維化促進遺伝子と見なされる、TGFβに誘導される遺伝子:COL1A1(「コラーゲン1型α-1」、ThermoFisherScientific、カタログ番号Hs00164004_m1)、FN1(「フィブロネクチン1」、ThermoFisherScientific、カタログ番号Hs01549976_m1)、ACTA2(「平滑筋アクチンα-2」、ThermoFisherScientific、カタログ番号Hs00426835_g1)およびCCN2(ThermoFisherScientific、カタログ番号Hs00170014_m1)の部分的阻害を提供する。
明細書および配列表に言及される配列番号の概観
Figure 2022525661000002
Figure 2022525661000003
Figure 2022525661000004
Figure 2022525661000005
Figure 2022525661000006
Figure 2022525661000007
Figure 2022525661000008
Figure 2022525661000009
Figure 2022525661000010
Figure 2022525661000011
Figure 2022525661000012
Figure 2022525661000013
CCNタンパク質の番号付けは、「本発明の詳細な説明」、上記に記載するようにuniprotデータベースにしたがった。Fc断片の番号付けは、「本発明の詳細な説明」、上記に記載するようにEu番号付け系にしたがった。

Claims (24)

  1. 単量体性融合タンパク質であって:
    (i)CCNファミリータンパク質のトロンボスポンジン1型リピート(TSP-1)相同ドメインの少なくとも部分に対応するポリペプチド;
    (ii)(i)のアミノ酸配列にN末端またはC末端で融合した単量体性融合パートナー;および
    (iii)随意に、(i)のポリペプチドおよび(ii)の単量体性融合パートナーの間のペプチドリンカー
    を含み、
    (i)のポリペプチドが長さ40~60アミノ酸であり、そして配列番号37または2~6より選択されるアミノ酸配列、あるいは配列番号37または2~6より選択される配列に少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含み、配列番号37または2~6より選択される前記配列中のシステイン残基のすべてが保存されており、
    そして(ii)の単量体性融合パートナーおよび(iii)のペプチドリンカーが、CCNファミリータンパク質のIGF結合タンパク質相同ドメイン、フォン・ヴィルブランド因子C型リピート相同ドメイン、またはシステイン・ノット・ドメインではないか、またはこうしたドメインを含まない
    前記単量体性融合タンパク質。
  2. (i)のポリペプチドが長さ44~57アミノ酸である、請求項1の融合タンパク質。
  3. (i)のポリペプチドが:
    (a)配列番号1または8~12より選択されるアミノ酸配列;あるいは
    (b)配列番号1または8~12より選択される配列に少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列;あるいは
    (c)(a)または(b)のアミノ酸配列の部分であって、それぞれ、配列番号37、6、2、3、4もしくは5の、またはそれぞれ、配列番号37、6、2、3、4もしくは5より選択される配列に少なくとも80%の配列同一性を有する配列の、少なくとも44アミノ酸配列を含む、前記部分
    を含むか、あるいはこれらからなる、請求項1または請求項2の融合タンパク質。
  4. 前記ポリペプチドが、配列番号37または2~6より選択されるアミノ酸配列、あるいは配列番号37または2~6より選択される配列に少なくとも80%の配列同一性を有する配列からなる、請求項1~3のいずれか一項の融合タンパク質。
  5. (iii)のペプチドリンカーが50を超えないアミノ酸を含む、請求項1~4のいずれか一項の融合タンパク質。
  6. (i)のポリペプチドが、配列番号37または2~6、あるいは配列番号1または8~12より選択される前記配列の2位に対応する位でアラニン残基を含む、請求項1~5のいずれか一項の融合タンパク質。
  7. 請求項1~6のいずれか一項の融合タンパク質であって、(i)のアミノ酸配列が、配列番号7、38、42~46または47~51より選択されるアミノ酸配列、あるいはこれらの配列に少なくとも80%の配列同一性を持つ配列を含み、該タンパク質が、配列番号7、38、42~46または47~51の前記配列の2位に対応する位でアラニン残基を含む、前記融合タンパク質。
  8. 前記単量体性融合パートナーが、血清アルブミン、トランスフェリン、およびヒトIgGの単量体性Fc断片からなる群より選択される、請求項1~7のいずれか一項の融合タンパク質。
  9. ヒトIgGの前記単量体性Fc断片が、IgG1、IgG2またはIgG4の単量体性Fc断片である、請求項8の融合タンパク質。
  10. 単量体性Fc断片がアグリコシル化されている、請求項8または請求項9の融合タンパク質。
  11. 単量体性Fc断片が、安定化ジスルフィド架橋および/またはプロテアーゼ安定化突然変異を含む、請求項8~10のいずれか一項の融合タンパク質。
  12. 単量体性Fc断片が免疫エフェクター機能を持たない、請求項8~11のいずれか一項の融合タンパク質。
  13. (i)のアミノ酸配列および単量体性融合パートナーの間のペプチドリンカーが、配列番号20~25、39、57、63、65または67、あるいはこれらに80%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、請求項1~12のいずれか一項の融合タンパク質。
  14. 融合タンパク質が、配列番号84、85、88、89、97、98、102、103、106、107、110、および111、あるいはこれらに80%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、請求項1~8のいずれか一項の融合タンパク質。
  15. 請求項1~14のいずれか一項に定義するような単量体性融合タンパク質をコードする、DNA分子。
  16. シグナル配列をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項15のDNA分子。
  17. 配列番号34、35、36、86、87、90、91、99、100、104、105、108、109、112または113に示すようなヌクレオチド配列、あるいは前記配列いずれかと少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項15または16のDNA分子。
  18. 請求項15~17のいずれか一項に定義するようなDNA分子を含む、発現ベクター。
  19. 請求項18に定義するようなベクターを含む、宿主細胞。
  20. 療法において使用するための、請求項1~14のいずれか一項記載の融合タンパク質。
  21. 4ドメインCCNファミリータンパク質に起因する細胞シグナル伝達および細胞生理学的機能を阻害するかまたは相殺することによって、障害を治療するかまたは防止する際に使用するための、請求項1~14のいずれか一項記載の融合タンパク質。
  22. 線維症、または線維症を示す任意の状態の治療または防止において使用するための、請求項1~14、20または21のいずれか一項記載の融合タンパク質。
  23. 癌の治療において使用するための、請求項1~14、または20~22のいずれか一項記載の融合タンパク質。
  24. 配列番号7、38、42~46、47~51に示すようなアミノ酸配列、あるいはこれらに少なくとも80%の配列同一性を持つ配列を含むかあるいはこうした配列からなる、長さ40~60アミノ酸のタンパク質であって、配列番号7、38、42~46、47~51の前記配列の2位に対応する位でアラニン残基を含み、そして前記配列中のシステイン残基のすべてが保存されている、前記タンパク質。
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