一般的事項
本発明をより容易に理解するため、特定の用語が詳細な説明の全体を通じて定義される。特に定義されない限り、本明細書で用いられるすべての科学技術用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されている場合と同じ意味を有する。
用語法
特に断りのない限り、以下の用語及び語句は、本明細書で用いられるとき、以下の意味を有するように意図される。
本明細書において使用される冠詞「a」および「an」は、その冠詞の文法的対象の1つまたは2つ以上(例えば、少なくとも1つ)を指す。
用語「または」は、本明細書において、文脈がそうでないことを明示しない限り、用語「および/または」を意味するために使用され、それと互換的に使用される。
「約」および「およそ」は、一般に計測の性質または精度を考慮して、計測される量についての許容可能な誤差の程度を意味する。例示的な誤差の程度は、所与の値または値の範囲の20パーセント(%)以内、典型的には、10%以内、より典型的には、5%以内である。
用語「疾患」および「障害」は、病態、特に病理学的病態を指すために互換的に使用される。ある実施形態において、用語「疾患」および「障害」は、IL-15シグナル伝達により影響を受ける疾患および/または免疫エフェクター応答の促進により影響を受ける疾患を指すために互換的に使用される。
本明細書において使用される用語「治療する」、「治療」および「治療すること」は、障害、例えば、増殖性障害の進行、重症度および/もしくは持続期間の低減もしくは改善、または1つ以上の治療法の施与から生じる障害の1つ以上の症状(好ましくは、1つ以上の識別可能な症状)の改善を指す。具体的な実施形態において、用語「治療する」、「治療」および「治療すること」は、必ずしも患者により識別可能でない少なくとも1つの計測可能な増殖性障害の身体パラメータ、例えば、腫瘍の成長の改善を指す。他の実施形態において、用語「治療する」、「治療」および「治療すること」は、例えば、識別可能な症状の安定化による身体的な、例えば、身体パラメータの安定化による生理学的な、またはその両方での増殖性障害の進行の阻害を指す。他の実施形態において、用語「治療する」、「治療」および「治療すること」は、腫瘍サイズまたは癌性細胞数の低減または安定化を指す。
本明細書において使用される用語「治療法(therapies)」および「治療法(therapy)」は、疾患、例えば、癌、感染性疾患、リンパ球減少、および免疫不全、またはそれらに伴う症状の予防、治療、管理、または改善において使用することができる任意のプロトコル、方法、組成物、配合物、および/または薬剤を指し得る。ある実施形態において、用語「治療法(therapies)」および「治療法(therapy)」は、当業者に公知の疾患またはそれに伴う症状の治療、管理、予防、または改善において有用な生物療法、支持療法、および/または他の治療法を指す。
受容体(例えば、野生型IL-15RαまたはIL-15受容体βγ)およびリガンド(例えば、野生型IL-15)相互作用に関して本明細書において使用される用語「特異的に結合する」、「特異的に認識する」および類似の用語は、リガンドおよび受容体間の特異的結合または会合を指す。好ましくは、リガンドは、他の分子よりも受容体についての高い親和性を有する。具体的な実施形態において、リガンドは、野生型IL-15であり、受容体は、野生型IL-15Rαである。別の具体的な実施形態において、リガンドは、野生型IL-15/IL-15Rα複合体であり、受容体は、βγ受容体複合体である。さらなる実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、βγ受容体複合体に結合し、IL-15媒介シグナル伝達を活性化させる。受容体に特異的に結合するリガンドは、例えば、免疫アッセイ、BIAcore(商標)、または当業者に公知の他の技術により同定することができる。
抗体に関して本明細書において使用される用語「免疫特異的に結合する」および「特異的に結合する」は、抗原(例えば、エピトープまたは免疫複合体)に特異的に結合し、別の分子に特異的に結合しない分子を指す。抗原に特異的に結合する分子は、例えば、免疫アッセイ、BIAcore(商標)または当該技術分野において公知の他のアッセイにより決定してより低い親和性で他の抗原に結合し得る。具体的な実施形態において、抗原に結合する分子は、他の抗原と交差反応しない。
「組合せ」または「との組合せで」は、治療法または治療剤が同時に投与され、送達のために一緒に配合されなければならないことを意味するものではないが、それらの送達方法は本明細書に記載の範囲内である。組合せにおける治療剤は、1つ以上の他の追加の治療法または治療剤と同時に、それよりも前に、またはその後に投与することができる。治療剤または治療プロトコルは、任意の順序で投与することができる。一般に、それぞれの薬剤は、その薬剤について決定された用量で、および/または時間スケジュールで投与する。この組合せにおいて利用される追加の治療剤は、単一組成物中で一緒に投与し、または異なる組成物中で別個に投与することができることがさらに認識される。一般に、組合せにおいて利用される追加の治療剤は、それらが個々に利用されるレベルを超過しないレベルにおいて利用されることが予測される。一部の実施形態において、組合せにおいて利用されるレベルは、個々に利用されるものよりも低い。
用語「抗癌効果」は、種々の手段、例として、限定されるものではないが、例えば、腫瘍容積の減少、癌細胞数の減少、転移数の減少、余命の延長、癌細胞増殖の減少、癌細胞生存の減少、または癌性病態に伴う種々の生理学的症状の改善により顕在化され得る生物学的効果を指す。「抗癌効果」は、ペプチド、ポリヌクレオチド、細胞および抗体が最初に癌の発生を予防する能力によっても顕在化され得る。
用語「抗腫瘍効果」は、種々の手段、例として、限定されるものではないが、例えば、腫瘍容積の減少、腫瘍細胞数の減少、腫瘍細胞増殖の減少、または腫瘍細胞生存の減少により顕在化され得る生物学的効果を指す。
用語「癌」は、異常細胞の急速で無制御な成長を特徴とする疾患を指す。癌細胞は局所的にまたは血流およびリンパ系を介して身体の他の部分に拡散し得る。種々の癌の例は本明細書に記載され、それとしては、限定されるものではないが、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、皮膚癌、膵臓癌、結腸直腸癌、腎臓癌、肝臓癌、脳腫瘍、リンパ腫、白血病、肺癌などが挙げられる。用語「腫瘍」および「癌」は本明細書において互換的に使用され、例えば、両方の用語は、固形および液性、例えば、びまん性または循環腫瘍を包含する。本明細書において使用される用語「癌」または「腫瘍」は、前悪性、ならびに悪性の癌および腫瘍を含む。
本明細書において使用される用語「免疫エフェクター」または「エフェクター」「機能」または「応答」は、標的細胞の免疫攻撃を向上させ、または促進する、例えば、免疫エフェクター細胞の機能または応答を指す。例えば、免疫エフェクター機能または応答は、標的細胞の殺滅またはその成長もしくは増殖の阻害を促進するTまたはNK細胞の性質を指す。T細胞の場合、一次刺激および共刺激は免疫エフェクター機能または応答の例である。
用語「エフェクター機能」は、細胞の特殊化機能を指す。例えば、T細胞のエフェクター機能は、細胞溶解活性またはヘルパー活性、例として、サイトカイン分泌であり得る。
本発明の組成物および方法は、規定の配列、またはそれと実質的に同一もしくは類似する配列、例えば、規定の配列と少なくとも85%、90%、95%またはそれ以上同一である配列を有するポリペプチドおよび核酸を包含する。アミノ酸配列に関して、用語「実質的に同一」は、第1および第2のアミノ酸配列が共通の構造ドメインおよび/または共通の機能的活性を有し得るように、第2のアミノ酸配列とi)同一、またはii)第2のアミノ酸配列中のアラインされるアミノ酸残基の保存的置換である十分なまたは最小数のアミノ酸残基を含有する第1のアミノ酸を指すために本明細書において使用される。例えば、参照配列、例えば、本明細書に提供される配列と少なくとも約85%、90%。91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する共通の構造ドメインを含有するアミノ酸配列。
ヌクレオチド配列に関して、用語「実質的に同一」は、第1および第2のヌクレオチド配列が共通の機能的活性を有するポリペプチドをコードし、または共通の構造ポリペプチドドメインもしくは共通の機能的ポリペプチド活性をコードするように、第2の核酸配列中のアラインされるヌクレオチドと同一である十分なまたは最小数のヌクレオチドを含有する第1の核酸配列を指すために本明細書において使用される。例えば、参照配列、例えば、本明細書に提供される配列と少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するヌクレオチド配列。
用語「機能的バリアント」は、野生型配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、または実質的に同一のヌクレオチド配列によりコードされ、野生型配列の1つ以上の活性を有し得るポリペプチドを指す。
配列間の相同性または配列同一性(これらの用語は、本明細書において互換的に使用される)の計算は、以下の通り実施される。
2つのアミノ酸配列の、または2つの核酸配列の同一性パーセントを決定するため、配列を最適比較目的のためにアラインする(例えば、最適アラインメントのためにギャップを第1および第2のアミノ酸または核酸配列の一方または両方に導入することができ、比較目的のために非相同配列を無視することができる)。好ましい実施態様において、比較目的のためにアラインされる参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、95%、いっそうより好ましくは少なくとも100%である。次いで、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列中のある位置が、第2の配列中の対応する位置と同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドにより占有されている場合、それらの分子は、その位置において同一である(本明細書において使用されるアミノ酸または核酸「同一性」は、アミノ酸または核酸「相同性」と同等である)。
2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適アラインメントのために導入することが必要であるギャップ数、およびそれぞれのギャップの長さを考慮してそれらの配列により共有される同一位置の数の関数である。
2つの配列間の配列の比較および同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。好ましい実施態様において、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントを、GCGソフトウェアパッケージ(NCBIから入手可能)におけるGAPプログラムに組み込まれたNeedleman and Wunsch((1970)J.Mol.Biol.48:444-453)アルゴリズムを使用して、Blossum 62マトリクスまたはPAM250マトリクス、およびギャップ加重16、14、12、10、8、6、または4および長さ加重1、2、3、4、5、または6を使用して決定する。さらに別の好ましい実施態様において、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントを、GCGソフトウェアパッケージにおけるGAPプログラムを使用して、NWSgapdna.CMPマトリクスおよびギャップ加重40、50、60、70、または80および長さ加重1、2、3、4、5、または6を使用して決定する。特に好ましいパラメータセット(および特に規定のない限り使用すべきもの)は、ギャップペナルティ12、ギャップ伸張ペナルティ4、およびフレームシフトギャップペナルティ5のBlossum62スコアリングマトリクスである。
2つのアミノ酸またはヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれたE.Meyers and W.Miller((1989)CABIOS,4:11-17)のアルゴリズムを使用して、PAM120加重残基表(weight residue table)、ギャップ長ペナルティ12およびギャップペナルティ4を使用して決定することができる。
本明細書に記載の核酸およびタンパク質配列を「クエリー配列」として使用して公的データベースに対する検索を実施し、例えば、他のファミリーメンバーまたは関連配列を同定することができる。このような検索は、Altschul,et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403-10のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実施することができる。BLASTヌクレオチド検索は、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12を用いて実施して本発明の核酸(配列番号2)分子に相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索は、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて実施して本発明のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的のためにギャップ付きアラインメントを得るため、Gapped BLASTをAltschul et al.,(1997)Nucleic Acids Res.25:3389-3402に記載の通り利用することができる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータを使用することができる(NBCIから入手可能)。
本明細書において使用される用語「低いストリンジェンシー、中程度のストリンジェンシー、高いストリンジェンシーまたは極めて高いストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする」は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄についての条件を記載する。ハイブリダイゼーション反応を実施するための指針は、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,N.Y.(1989),6.3.1-6.3.6に見出すことができる。水性および非水性方法がその参考文献に記載されており、いずれのものも使用することができる。本明細書に言及される具体的なハイブリダイゼーション条件は、以下の通りである:1)低いストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件、約45℃における6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)とそれに続く0.2×SSC、0.1%のSDS中での少なくとも50℃における2回の洗浄(洗浄の温度は、低いストリンジェンシー条件に関して55℃まで増加させることができる);2)中程度のストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件、約45℃における6×SSCとそれに続く0.2×SSC、0.1%のSDS中での60℃における1回以上の洗浄;3)高いストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件、約45℃における6×SSCとそれに続く0.2×SSC、0.1%のSDS中での65℃における1回以上の洗浄;および好ましくは4)極めて高いストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、65℃における0.5Mのリン酸ナトリウム、7%のSDSとそれに続く0.2×SSC、1%のSDS中での65℃における1回以上の洗浄である。極めて高いストリンジェンシー条件(4)が好ましい条件であり、特に規定のない限り使用すべきものである。
本発明の分子は、機能に対する実質的な影響を有さない追加の保存的または非必須アミノ酸置換を有し得ることが理解される。
用語「アミノ酸」は、天然か合成かにかかわらず、アミノ官能性および酸官能性の両方を含み、野生型アミノ酸のポリマー中に含まれ得る全ての分子を包含することを意図する。例示的なアミノ酸としては、野生型アミノ酸;そのアナログ、誘導体および同族体;バリアント側鎖を有するアミノ酸アナログ;ならびに上記のいずれかのいずれかの全ての立体異性体が挙げられる。本明細書において使用される用語「アミノ酸」は、D-またはL-光学異性体の両方およびペプチド模倣体を含む。
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基により置き換えられているものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において定義されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分枝側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が挙げられる。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」(一本鎖である場合)は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために本明細書において互換的に使用される。ポリマーは直鎖または分枝鎖であり得、修飾アミノ酸を含み得、非アミノ酸により中断されていてよい。本用語は、修飾、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作、例えば、標識構成成分とのコンジュゲーションがなされているアミノ酸ポリマーも包含する。ポリペプチドは天然供給源から単離することができ、真核生物もしくは原核生物宿主から組換え技術により産生することができ、または合成手順の生成物であり得る。
用語「核酸」、「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」、「ポリヌクレオチド配列」、および「ポリヌクレオチド」は、互換的に使用される。これらは、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドのいずれか、またはそれらのアナログの任意の長さのヌクレオチドの重合形態を指す。ポリヌクレオチドは一本鎖または二本鎖のいずれかであり得、一本鎖である場合、コード鎖または非コード(アンチセンス)鎖であり得る。ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、例えば、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログを含み得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成成分により中断されていてよい。ポリヌクレオチドは、重合後に例えば、標識構成成分とのコンジュゲーションによりさらに修飾され得る。核酸は、組換えポリヌクレオチド、またはゲノム、cDNA、天然に生じず、もしくは自然界で見られない配置で別のポリヌクレオチドと結合している半合成、もしくは合成起源のポリヌクレオチドであり得る。
本明細書において使用される用語「単離」は、その元のまたは天然環境(例えば、野生型の場合、自然環境)から取り出された物質を指す。例えば、生存動物中に存在する野生型ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されていないが、ヒト介入により、自然系で併存する物質の一部または全てから分離された同一のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されている。このようなポリヌクレオチドは、ベクターの一部であり得、および/またはこのようなポリヌクレオチドもしくはポリペプチドは組成物の一部であり得、そのようなベクターまたは組成物が天然に見出される環境の一部ではない点で依然として単離されている。
本明細書で用いられるとき、用語「グリカン」は、少なくとも3つの糖などの糖残基の単量体又は多量体であり得、また直線状又は分岐状であり得る(例えば、α1,3アーム及びα1,6アームを有する)糖である。「グリカン」は、天然糖残基(例えば、グルコース、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルノイラミン酸、ガラクトース、マンノース、フコース、ヘキソース、アラビノース、リボース、キシロースなど)及び/又は修飾糖(例えば、2’-フルオロリボース、2’-デオキシリボース、ホスホマンノース、6’スルホN-アセチルグルコサミンなど)を含み得る。用語「グリカン」は、糖残基のホモ及びヘテロ多量体を含む。用語「グリカン」はまた、複合糖質の(例えば、糖タンパク質、糖脂質、プロテオグリカンなどの)グリカン成分を包含する。該用語はまた、複合糖質から切断されているか又はそれ以外では放出されているグリカンを含む、遊離グリカンを包含する。
本明細書で用いられるとき、用語「糖タンパク質」は、1以上の糖部分(即ちグリカン)に共有結合的に結合されたペプチド骨格を有するタンパク質を指す。糖部分は、単糖、二糖、オリゴ糖、及び/又は多糖の形態であってもよい。糖部分は、糖残基の単一の非分岐鎖を含んでもよく、又は1以上の分岐鎖を含んでもよい。糖タンパク質は、O-結合糖部分及び/又はN-結合糖部分を含有し得る。多糖は、セリン若しくはトレオニン(O-グリコシル化ポリペプチド)のOH基又はアスパラギン(N-グリコシル化ポリペプチド)のアミド基(NH2)のいずれかを介して結合される。糖タンパク質は、宿主細胞に対して相同であってもよい、又は好ましくはそれを発現する宿主細胞に対して異種、即ち外来であってもよい(例えば、CHO細胞によって産生されるヒトタンパク質)。
用語「複合糖質」は、本明細書で用いられるとき、少なくとも1つの糖部分が少なくとも1つの他の部分に共有結合的に結合されたすべての分子を包含する。該用語は、具体的には、例えば、N-結合糖タンパク質、O-結合糖タンパク質、糖脂質、プロテオグリカンなどを含む、共有結合的に結合された糖部分を有するすべての生体分子を包含する。
本明細書で用いられるとき、用語「グリコシル化パターン」は、特定のサンプル上に存在するグリカン構造のセットを指す。例えば、特定の複合糖質(例えば糖タンパク質)又は複合糖質のセット(例えば糖タンパク質のセット)は、グリコシル化パターンを有することになる。いくつかの実施形態では、細胞表面グリカンのグリコシル化パターンが参照される。グリコシル化パターンは、例えば、グリカンの同一性、個別のグリカン若しくは特定タイプのグリカンの量(絶対又は相対)、グリコシル化部位の占有度など、又はかかるパラメータの組み合わせによって特徴づけることができる。
本発明の様々な態様は、以下にさらに具体的に説明される。追加的定義は、本明細書全体を通じて示される。
グリコシル化
用語「グリコシル化」は、多糖のポリペプチドへの結合を指す。好ましくは、多糖は、グリコシド結合によって一緒に結合された2~12個の単糖からなる。糖タンパク質は、O-結合糖部分及び/又はN-結合糖部分を含有し得る。特定のグリコシル化部位に結合された糖部分の構造及び数は可変であり得る。かかる糖部分は、例えば、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン、マンノース、ガラクトース、グルコース、フコース、キシロース、グルクロン酸、イズロン酸及び/又はシアル酸であってもよい。
用語「N-結合型グリコシル化」は、多糖のアミノ酸鎖のアスパラギン残基への結合を指す。
用語「O-結合型グリコシル化」は、糖部分のアミノ酸鎖のセリン又はトレオニン残基への結合を指す。
本願中で互換可能に用いられる用語「糖特性」又は「グリコシル化特性」は、グリコシル化ポリペプチドのグリカン性を説明する。これらの特性は、好ましくは、グリコシル化部位、又はグリコシル化部位の占有、又はポリペプチドのグリカン及び/若しくは非糖部分の同一性、構造、組成物若しくは量、又は特定のグリコフォームの同一性及び量である。
N-アセチルノイラミン酸(NANA)は、N-及びO-結合型グリカンの主成分である。NANAは、ヒトにおけるタンパク質のグリコシル化事象内で優勢なノイラミン酸の形態である一方で、他の哺乳類はまた、N-グリコリルノイラミン酸(NGNA)などの他の誘導体を含んでもよい。NANAは、いくつかの方法でN-及びO-グリカンのコア構造に結合され得る。優位には、α(2,3)及びα(2,6)の後続する糖への結合を見出すことができるが、α(2,8)などの他の結合が存在する。ヒト細胞、例えばヒト胚性腎臓(HEK)細胞は、主にα(2,6)結合シアリル化を生成する一方で、多数の産生細胞株、例えばCHO細胞株は、α(2,3)結合シアリル化を生成する。
CHO細胞内で、コアグリカン構造へのα(2-6)結合NANA延長部分を生成することに関与する酵素(β-ガラクトシドα-2,6-シアリルトランスフェラーゼ1)が、CHO細胞内で不活性であるか又は発現されないことが報告されている(例えば、Chung et al.(2017)Biotechnol.J.12:1600502を参照)ものの、酵素自体における遺伝子は、C.グリセウス(C.griseus)中に存在する。本発明は、CHO細胞で産生されたIL-15/IL-15Rα複合体が、ヒト細胞株によって産生されたIL-15/IL-15Rα複合体と比べて異なるグリコシル化パターンを有するという予想外の発見に基づく。さらに、α(2,6)結合型グリカンは、CHO細胞で産生されたIL-15/IL-15Rα複合体中に認められた。このグリコシル化パターンは、独特である。それは、潜在的には、ヒトグリコシル化型により近いことにより、想定されたCHOパターンと比べて直接的利益をもたらすことがある。
いくつかの実施形態では、本開示のIL-15/IL-15Rαヘテロ二量体は、以下の表1に示される通り、グリカン種の1以上を有する。
IL-15
本明細書において使用される用語「IL-15」および「インターロイキン-15」は、野生型IL-15またはIL-15誘導体を指す。タンパク質またはポリペプチドに関して本明細書において使用される用語「野生型IL-15」および「野生型インターロイキン-15」は、任意の哺乳動物インターロイキン-15アミノ酸配列、例として未成熟または前駆体および成熟形態を指す。野生型哺乳動物インターロイキン-15の種々の種のアミノ酸配列についてのGeneBankアクセッション番号の非限定的な例としては、NP_000576(ヒト、未成熟形態)、CAA62616(ヒト、未成熟形態)、NP_001009207(イエネコ(Felis catus)、未成熟形態)、AAB94536(ドブネズミ(Rattus norvegicus)、未成熟形態)、AAB41697(ドブネズミ(Rattus norvegicus)、未成熟形態)、NP_032383(ハツカネズミ(Mus musculus)、未成熟形態)、AAR19080(イヌ)、AAB60398(アカゲザル(Macaca mulatta)、未成熟形態)、AAI00964(ヒト、未成熟形態)、AAH23698(ハツカネズミ(Mus musculus)、未成熟形態)、およびAAH18149(ヒト)が挙げられる。表2に配列番号1に提供される長鎖シグナルペプチド(下線)および成熟ヒト野生型IL-15(イタリック)を含むヒトIL-15の未成熟/前駆体形態のアミノ酸配列。一部の実施形態において、野生型IL-15は、哺乳動物IL-15の未成熟または前駆体形態である。他の実施形態において、IL-15は、哺乳動物IL-15の成熟形態である。具体的な実施形態において、野生型IL-15は、ヒトIL-15の前駆体形態である。別の実施形態において、野生型IL-15は、ヒトIL-15の成熟形態である。一実施形態において、野生型IL-15タンパク質/ポリペプチドは、単離または精製されている。
核酸に関して本明細書において使用される用語「野生型IL-15」および「野生型「インターロイキン-15」は、哺乳動物インターロイキン-15、例として未成熟または前駆体および成熟形態をコードする任意の核酸配列を指す。野生型哺乳動物IL-15の種々の種のヌクレオチド配列についてのGeneBankアクセッション番号の非限定的な例としては、NM_000585(human)、NM_008357(ハツカネズミ(Mus musculus))、およびRNU69272(ドブネズミ(Rattus norvegicus))が挙げられる。表2中の配列番号2に提供される長鎖シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列(下線)および成熟ヒト野生型IL-15をコードするヌクレオチド配列(イタリック)を含むヒトIL-15の未成熟/前駆体形態をコードするヌクレオチド配列。具体的な実施形態において、核酸は、単離または精製核酸である。一部の実施形態において、核酸は、哺乳動物IL-15の未成熟または前駆体形態をコードする。他の実施形態において、核酸は、哺乳動物IL-15の成熟形態をコードする。具体的な実施形態において、野生型IL-15をコードする核酸は、ヒトIL-15の前駆体形態をコードする。別の実施形態において、野生型IL-15をコードする核酸は、ヒトIL-15の成熟形態をコードする。
タンパク質またはポリペプチドに関して本明細書において使用される用語「IL-15誘導体」および「インターロイキン-15誘導体」は、(a)野生型哺乳動物IL-15ポリペプチドと少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるポリペプチド;(b)野生型哺乳動物IL-15ポリペプチドをコードする核酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一である核酸配列によりコードされるポリペプチド;(c)野生型哺乳動物IL-15ポリペプチドに対して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個またはそれ以上のアミノ酸突然変異(すなわち、付加、欠失および/または置換)を含有するポリペプチド;(d)核酸によりコードされるポリペプチドは、高いまたは中程度のストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で野生型哺乳動物IL-15ポリペプチドをコードする核酸にハイブリダイズし得る;(e)高いまたは中程度のストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で少なくとも20個の連続アミノ酸、少なくとも30個の連続アミノ酸、少なくとも40個の連続アミノ酸、少なくとも50個の連続アミノ酸、少なくとも100個の連続アミノ酸、または少なくとも150個の連続アミノ酸の野生型哺乳動物IL-15ポリペプチドの断片をコードする核酸配列にハイブリダイズし得る核酸配列によりコードされるポリペプチド;および/または;(f)野生型哺乳動物IL-15ポリペプチドの断片を指す。IL-15誘導体としては、哺乳動物IL-15ポリペプチドの成熟形態のアミノ酸配列および異種シグナルペプチドアミノ酸配列を含むポリペプチドも挙げられる。具体的な実施形態において、IL-15誘導体は、野生型ヒトIL-15ポリペプチドの誘導体である。別の実施形態において、IL-15誘導体は、ヒトIL-15ポリペプチドの未成熟または前駆体形態の誘導体である。別の実施形態において、IL-15誘導体は、ヒトIL-15ポリペプチドの成熟形態の誘導体である。別の実施形態において、IL-15誘導体は、例えば、Zhu et al.,(2009),J.Immunol.183:3598または米国特許第8,163,879号明細書に記載のIL-15N72Dである。別の実施形態において、IL-15誘導体は、米国特許第8,163,879号明細書に記載のIL-15バリアントのものである。一実施形態において、IL-15誘導体は、単離または精製されている。
好ましい実施形態において、IL-15誘導体は、当該技術分野において周知のアッセイ、例えば、ELISA、BIAcore(商標)、共免疫沈降により計測してIL-15Rαポリペプチドに結合する野生型哺乳動物IL-15ポリペプチドの機能の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%を保持する。別の好ましい実施形態において、IL-15誘導体は、当該技術分野において周知のアッセイ、例えば、電気泳動移動度シフトアッセイ、ELISAおよび他の免疫アッセイにより計測してIL-15媒介シグナル伝達を誘導する野生型哺乳動物IL-15ポリペプチドの機能の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%を保持する。具体的な実施形態において、IL-15誘導体は、例えば、当該技術分野において周知のリガンド/受容体結合アッセイにより評価してIL-15Rαおよび/またはIL-15Rβγに結合する。同一性パーセントは、当業者に公知の任意の方法を使用して、上記の通り決定することができる。
核酸に関して本明細書において使用される用語「IL-15誘導体」および「インターロイキン-15誘導体」は、(a)哺乳動物IL-15ポリペプチドをコードする核酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一である核酸配列;(b)野生型哺乳動物IL-15ポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるポリペプチドをコードする核酸配列;(c)哺乳動物IL-15ポリペプチドをコードする核酸配列に対して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個またはそれ以上の核酸塩基突然変異(すなわち、付加、欠失および/または置換)を含有する核酸配列;(d)高いまたは中程度のストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で哺乳動物IL-15ポリペプチドをコードする核酸配列にハイブリダイズする核酸配列;(e)高いまたは中程度のストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で哺乳動物IL-15ポリペプチドをコードする核酸配列の断片にハイブリダイズする核酸配列および/または(f)哺乳動物IL-15ポリペプチドをコードする核酸配列の断片をコードする核酸配列を指す。具体的な実施形態において、核酸に関するIL-15誘導体は、ヒトIL-15ポリペプチドをコードする核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、核酸に関するIL-15誘導体は、ヒトIL-15ポリペプチドの未成熟または前駆体形態をコードする核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、核酸に関するIL-15誘導体は、ヒトIL-15ポリペプチドの成熟形態をコードする核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、核酸に関するIL-15誘導体は、例えば、Zhu et al.,(2009;前掲)、または米国特許第8,163,879号明細書に記載のIL-15N72Dをコードする核酸配列である。別の実施形態において、核酸に関するIL-15誘導体は、米国特許第8,163,879号明細書に記載のIL-15バリアントの1つをコードする核酸配列である。
IL-15誘導体核酸配列としては、哺乳動物IL-15ポリペプチド、例として、IL-15ポリペプチドの成熟および未成熟形態をコードするコドン最適化核酸配列が挙げられる。他の実施形態において、IL-15誘導体核酸としては、哺乳動物IL-15RNA転写産物の安定性を増加させるためにアミノ酸配列への影響なしで潜在的スプライス部位および不安定エレメント(例えば、A/TまたはA/Uリッチエレメント)を排除する突然変異を含有する哺乳動物IL-15RNA転写産物をコードする核酸が挙げられる。一実施形態において、IL-15誘導体核酸配列としては、国際公開第2007/084342号パンフレットに記載のコドン最適化核酸配列が挙げられる。ある実施形態において、IL-15誘導体核酸配列は、表2の配列番号4のコドン最適化配列である(そのような核酸配列によりコードされるアミノ酸配列は、表2の配列番号5に提供される)。
好ましい実施形態において、IL-15誘導体核酸配列は、当該技術分野において周知のアッセイ、例えば、ELISA、BIAcore(商標)、共免疫沈降により計測してIL-15Rαに結合する野生型哺乳動物IL-15ポリペプチドの機能の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%を保持するタンパク質またはポリペプチドをコードする。別の好ましい実施形態において、IL-15誘導体核酸配列は、当該技術分野において周知のアッセイ、例えば、電気泳動移動度シフトアッセイ、ELISAおよび他の免疫アッセイにより計測してIL-15媒介シグナル伝達を誘導する野生型哺乳動物IL-15ポリペプチドの機能の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%を保持するタンパク質またはポリペプチドをコードする。具体的な実施形態において、IL-15誘導体核酸配列は、例えば、当該技術分野において周知のリガンド/受容体結合アッセイにより評価してIL-15Rαおよび/またはIL-15Rβγに結合するタンパク質またはポリペプチドをコードする。
IL-15Rα
本明細書において使用される用語「IL-15Rα」および「インターロイキン-15受容体アルファ」は、野生型IL-15Rα、IL-15Rα誘導体、または野生型IL-15RαおよびIL-15Rα誘導体を指す。タンパク質またはポリペプチドに関して本明細書において使用される用語「野生型IL-15Rα」および「野生型インターロイキン-15受容体アルファ」は、任意の哺乳動物インターロイキン-15受容体アルファ(「IL-15Rα」)アミノ酸配列、例として、未成熟または前駆体および成熟形態およびアイソフォームを指す。種々の野生型哺乳動物IL-15Rαのアミノ酸配列についてのGeneBankアクセッション番号の非限定的な例としては、NP_002180(ヒト)、ABK41438(アカゲザル(Macaca mulatta))、NP_032384(ハツカネズミ(Mus musculus))、Q60819(ハツカネズミ(Mus musculus))、CAI41082(ヒト)が挙げられる。表2の配列番号6に提供されるシグナルペプチド(下線)および成熟ヒト野生型IL-15Rα(イタリック)を含む全長ヒトIL-15Rαの未成熟形態のアミノ酸配列。表2の配列番号7に提供されるシグナルペプチド(下線)および成熟ヒト可溶性IL-15Rα(イタリック)を含む可溶性ヒトIL-15Rαの未成熟形態のアミノ酸配列。一部の実施形態において、野生型IL-15Rαは、哺乳動物IL-15Rαポリペプチドの未成熟形態である。他の実施形態において、野生型IL-15Rαは、哺乳動物IL-15Rαポリペプチドの成熟形態である。ある実施形態において、野生型IL-15Rαは、哺乳動物IL-15Rαポリペプチドの可溶性形態である。他の実施形態において、野生型IL-15Rαは、哺乳動物IL-15Rαポリペプチドの全長形態である。具体的な実施形態において、野生型IL-15Rαは、ヒトIL-15Rαポリペプチドの未成熟形態である。別の実施形態において、野生型IL-15Rαは、ヒトIL-15Rαポリペプチドの成熟形態である。ある実施形態において、野生型IL-15Rαは、ヒトIL-15Rαポリペプチドの可溶性形態である。他の実施形態において、野生型IL-15Rαは、ヒトIL-15Rαポリペプチドの全長形態である。一実施形態において、野生型IL-15Rαタンパク質またはポリペプチドは、単離または精製されている。
核酸に関して本明細書において使用される用語「野生型IL-15Rα」および「野生型インターロイキン-15受容体アルファ」は、哺乳動物インターロイキン-15受容体アルファ、例として、未成熟または前駆体および成熟形態をコードする任意の核酸配列を指す。種々の種の野生型哺乳動物IL-15Rαのヌクレオチド配列についてのGeneBankアクセッション番号の非限定的な例としては、NM_002189(ヒト)、EF033114(アカゲザル(Macaca mulatta))、およびNM_008358(ハツカネズミ(Mus musculus))が挙げられる。表2の配列番号8に提供されるシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列(下線)および成熟ヒト野生型IL-15Rαをコードするヌクレオチド配列(イタリック)を含む野生型ヒトIL-15Rαの未成熟形態をコードするヌクレオチド配列。表2の配列番号9に提供されるシグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列(下線)および成熟ヒト可溶性野生型IL-15Rαをコードするヌクレオチド配列(イタリック)を含む可溶性ヒトIL-15Rαタンパク質またはポリペプチドの未成熟形態をコードするヌクレオチド配列)。具体的な実施形態において、核酸は、単離または精製核酸である。一部の実施形態において、核酸は、哺乳動物IL-15Rαポリペプチドの未成熟形態をコードする。他の実施形態において、核酸は、哺乳動物IL-15Rαポリペプチドの成熟形態をコードする。ある実施形態において、核酸は、哺乳動物IL-15Rαポリペプチドの可溶性形態をコードする。他の実施形態において、核酸は、哺乳動物IL-15Rαポリペプチドの全長形態をコードする。具体的な実施形態において、核酸は、ヒトIL-15ポリペプチドの前駆体形態をコードする。別の実施形態において、核酸は、ヒトIL-15ポリペプチドの成熟をコードする。ある実施形態において、核酸は、ヒトIL-15Rαポリペプチドの可溶性形態をコードする。他の実施形態において、核酸は、ヒトIL-15Rαポリペプチドの全長形態をコードする。
タンパク質またはポリペプチドに関して本明細書において使用される用語「IL-15Rα誘導体」および「インターロイキン-15受容体アルファ誘導体」は、(a)野生型哺乳動物IL-15ポリペプチドと少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるポリペプチド;(b)野生型哺乳動物IL-15Rαポリペプチドをコードする核酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一である核酸配列によりコードされるポリペプチド;(c)野生型哺乳動物IL-15Rαポリペプチドに対して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個またはそれ以上のアミノ酸突然変異(すなわち、付加、欠失および/または置換)を含有するポリペプチド;(d)高いまたは中程度のストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で野生型哺乳動物IL-15Rαポリペプチドをコードする核酸配列にハイブリダイズし得る核酸配列によりコードされるポリペプチド;(e)高いまたは中程度のストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で少なくとも20個の連続アミノ酸、少なくとも30個の連続アミノ酸、少なくとも40個の連続アミノ酸、少なくとも50個の連続アミノ酸、少なくとも100個の連続アミノ酸、または少なくとも150個の連続アミノ酸の野生型哺乳動物IL-15ポリペプチドの断片をコードする核酸配列にハイブリダイズし得る核酸配列によりコードされるポリペプチド;(f)野生型哺乳動物IL-15Rαポリペプチドの断片;および/または(g)本明細書に記載の規定のIL-15Rα誘導体を指す。IL-15Rα誘導体としては、哺乳動物IL-15Rαポリペプチドの成熟形態のアミノ酸配列および異種シグナルペプチドアミノ酸配列を含むポリペプチドも挙げられる。具体的な実施形態において、IL-15Rα誘導体は、野生型ヒトIL-15Rαポリペプチドの誘導体である。別の実施形態において、IL-15Rα誘導体は、ヒトIL-15ポリペプチドの未成熟形態の誘導体である。別の実施形態において、IL-15Rα誘導体は、ヒトIL-15ポリペプチドの成熟形態の誘導体である。一実施形態において、IL-15Rα誘導体は、哺乳動物IL-15Rαポリペプチドの可溶性形態である。換言すると、ある実施形態において、IL-15Rα誘導体としては、哺乳動物IL-15Rαの可溶性形態が挙げられ、それらの可溶性形態は天然存在でない。IL-15Rα誘導体の他の例としては、本明細書に記載のヒトIL-15Rαのトランケート可溶性形態が挙げられる。具体的な実施形態において、IL-15Rα誘導体は、精製または単離されている。
好ましい実施形態において、IL-15Rα誘導体は、当該技術分野において周知のアッセイ、例えば、ELISA、BIAcore(商標)、共免疫沈降により計測してIL-15ポリペプチドに結合する野生型哺乳動物IL-15Rαポリペプチドの機能の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%を保持する。別の好ましい実施形態において、IL-15Rα誘導体は、当該技術分野において周知のアッセイ、例えば、電気泳動移動度シフトアッセイ、ELISAおよび他の免疫アッセイにより計測してIL-15媒介シグナル伝達を誘導する野生型哺乳動物IL-15Rαポリペプチドの機能の少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%を保持する。具体的な実施形態において、IL-15Rα誘導体は、当該技術分野において周知の方法、例えば、ELISAなどにより評価してIL-15に結合する。
核酸に関して本明細書において使用される用語「IL-15Rα誘導体」および「インターロイキン-15受容体アルファ誘導体」は、(a)哺乳動物IL-15Rαポリペプチドをコードする核酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一である核酸配列;(b)野生型哺乳動物IL-15Rαポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるポリペプチドをコードする核酸配列;(c)哺乳動物IL-15Rαポリペプチドをコードする核酸配列に対して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個またはそれ以上の核酸突然変異(すなわち、付加、欠失および/または置換)を含有する核酸配列;(d)高いまたは中程度のストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で哺乳動物IL-15Rαポリペプチドをコードする核酸配列にハイブリダイズする核酸配列;(e)高いまたは中程度のストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で哺乳動物IL-15Rαポリペプチドをコードする核酸配列の断片にハイブリダイズする核酸配列;(f)哺乳動物IL-15Rαポリペプチドをコードする核酸配列の断片をコードする核酸配列;および/または(g)本明細書に記載の規定のIL-15Rα誘導体をコードする核酸配列を指す。具体的な実施形態において、核酸に関するIL-15Rα誘導体は、ヒトIL-15Rαポリペプチドをコードする核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、核酸に関するIL-15Rα誘導体は、ヒトIL-15Rαポリペプチドの未成熟形態をコードする核酸配列の誘導体である。別の実施形態において、核酸に関するIL-15Rα誘導体は、ヒトIL-15Rαポリペプチドの成熟形態をコードする核酸配列の誘導体である。一実施形態において、核酸に関するIL-15Rα誘導体は、可溶性である哺乳動物IL-15Rαポリペプチドの誘導体をコードする核酸配列を指す。ある実施形態において、核酸に関するIL-15Rα誘導体は、天然存在でない哺乳動物IL-15Rαの可溶性形態をコードする核酸配列を指す。一部の実施形態において、核酸に関するIL-15Rα誘導体は、天然存在でないIL-15Rαの可溶性形態であるヒトIL-15Rαの誘導体をコードする核酸配列を指す。具体的な実施形態において、IL-15Rα誘導体核酸配列は、単離または精製されている。
IL-15Rα誘導体核酸配列としては、野生型IL-15Rαポリペプチド、例として、IL-15Rαポリペプチドの成熟および未成熟形態をコードするコドン最適化核酸配列が挙げられる。他の実施形態において、IL-15Rα誘導体核酸としては、IL-15RαRNA転写産物の安定性を増加させるためにアミノ酸配列に影響せずに潜在的スプライス部位および不安定エレメント(例えば、A/TまたはA/Uリッチエレメント)を排除する突然変異を含有するIL-15RαRNA転写産物をコードする核酸が挙げられる。ある実施形態において、IL-15Rα誘導体核酸配列は、表2の配列番号11、13のコドン最適化配列である(そのような核酸配列によりコードされるアミノ酸配列は、それぞれ表2の配列番号12、14に提供される)。
具体的な実施形態において、IL-15Rα誘導体核酸配列は、当該技術分野において周知のアッセイ、例えば、ELISA、BIAcore(商標)、共免疫沈降により計測してIL-15に結合する野生型哺乳動物IL-15Rαポリペプチドの機能の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%を保持するタンパク質またはポリペプチドをコードする。別の好ましい実施形態において、IL-15Rα誘導体核酸配列は、当該技術分野において周知のアッセイ、例えば、電気泳動移動度シフトアッセイ、ELISAおよび他の免疫アッセイにより計測してIL-15媒介シグナル伝達を誘導する野生型哺乳動物IL-15Rαの機能の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%を保持するタンパク質またはポリペプチドをコードする。具体的な実施形態において、IL-15Rα誘導体核酸配列は、当該技術分野において周知の方法、例えば、ELISAなどにより評価してIL-15に結合するタンパク質またはポリペプチドをコードする。
ヒトIL-15Rαの可溶性形態が本明細書に記載される。ヒトIL-15Rαのトランケート可溶性形態である規定のIL-15Rα誘導体も本明細書に記載される。これらの規定のIL-15Rα誘導体およびヒトIL-15Rαの可溶性形態は、部分的には、ヒトIL-15Rαのタンパク質分解開裂部位の同定をベースとする。IL-15Rαのグリコシル化に基づき特徴づけされるIL-15Rαの可溶性形態が本明細書にさらに記載される。
ヒトIL-15Rαのタンパク質分解開裂は、野生型全長ヒトIL-15Rαの未成熟形態の提供されるアミノ酸配列中で太字で示され、下線が付される残基(すなわち、Gly170およびHis171)間で生じる:
(表2の配列番号6)
したがって、一態様において、ヒトIL-15Rαの可溶性形態(例えば、ヒトIL-15Rαの精製可溶性形態)であって、ヒトIL-15Rαの可溶性形態のアミノ酸配列が野生型膜結合ヒトIL-15Rαのタンパク質分解開裂の部位において終結するヒトIL-15Rαの可溶性形態が本明細書に提供される。特に、ヒトIL-15Rαの可溶性形態(例えば、ヒトIL-15Rαの精製可溶性形態)であって、ヒトIL-15Rαの可溶性形態のアミノ酸配列が、PQG(表2の配列番号20)(Gは、Gly170である)で終結するヒトIL-15Rαの可溶性形態が本明細書に提供される。特定の実施形態において、表2の配列番号7に示されるアミノ酸配列を有するヒトIL-15Rαの可溶性形態(例えば、ヒトIL-15Rαの精製可溶性形態)が本明細書に提供される。一部の実施形態において、(i)表2の配列番号7と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であり;(ii)アミノ酸配列PQG(表2の配列番号20)で終結するポリペプチドであるIL-15Rα誘導体(例えば、IL-15Rα誘導体の精製および/または可溶性形態)が本明細書に提供される。他の特定の実施形態において、表2の配列番号10のアミノ酸配列を有するヒトIL-15Rα(例えば、ヒトIL-15Rαの精製可溶性形態)の可溶性形態が本明細書に提供される)。一部の実施形態において、表2の配列番号10と少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるポリペプチドであるIL-15Rα誘導体(例えば、IL-15Rα誘導体の精製および/または可溶性形態)であって、場合により、IL-15Rα誘導体の可溶性形態のアミノ酸配列がPQG(表2の配列番号20)で終結するIL-15Rα誘導体が本明細書に提供される。
一部の実施形態において、ヒトIL-15RαのIL-15Rα誘導体であって、可溶性であり:(a)IL-15Rα誘導体のC末端における最後のアミノ酸がアミノ酸残基PQGHSDTT(表2の配列番号15)からなり;(b)IL-15Rα誘導体のC末端における最後のアミノ酸がアミノ酸残基PQGHSDT(表2の配列番号16)からなり;(c)IL-15Rα誘導体のC末端における最後のアミノ酸がアミノ酸残基PQGHSD(表2の配列番号17)からなり;(d)IL-15Rα誘導体のC末端における最後のアミノ酸がアミノ酸残基PQGHS(表2の配列番号18)からなり;または(e)IL-15Rα誘導体のC末端における最後のアミノ酸がアミノ酸残基PQGH(表2の配列番号19)からなるIL-15Rα誘導体が本明細書に提供される。ある実施形態において、これらのIL-15Rα誘導体のアミノ酸配列は、表2の配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である。一部の実施形態において、これらのIL-15Rα誘導体は精製されている。
別の態様において、IL-15Rαのグリコシル化形態(例えば、IL-15Rαの精製グリコシル化形態)であって、IL-15Rαのグリコシル化が、当業者に公知の技術により評価してIL-15Rαの質量(分子量)の少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、または20%~25%、20%~30%、25%~30%、25%~35%、30%~35%、30%~40%、35%~40%、35%~45%、40%~50%、45%~50%、20%~40%、もしくは25%~50%を占めるIL-15Rαのグリコシル化形態が本明細書に提供される。IL-15Rαのグリコシル化が占めるIL-15Rα(例えば、精製IL-15Rα)の質量(分子量)の割合は、例えば、限定されるものではないが、ゲル電気泳動およびゲルの定量的密度測定、ならびにIL-15Rαのグリコシル化形態(例えば、IL-15Rαの精製グリコシル化形態)と、IL-15Rαの非グリコシル化形態(例えば、IL-15Rαの精製非グリコシル化形態)との平均質量(分子量)の比較を使用して決定することができる。一実施形態において、IL-15Rα(例えば、精製IL-15Rα)の平均質量(分子量)は、マトリックスとしてシナピン酸を使用するCovalX HM-1高質量検出器を備えるVoyager De-Pro上でMALDI-TOF MSスペクトルを使用して決定することができ、IL-15Rαのグリコシル化形態(例えば、IL-15Rαの精製グリコシル化形態)の質量をIL-15Rαの非グリコシル化形態(例えば、IL-15Rαの精製非グリコシル化形態)の質量と比較してグリコシル化が占める質量の割合を決定することができる。
別の態様において、IL-15Rαのグリコシル化形態であって、IL-15Rαがあるアミノ酸残基においてグリコシル化(N-またはO-グリコシル化)されているIL-15Rαのグリコシル化形態が本明細書に提供される。ある実施形態において、以下のグリコシル化部位;(i)IL-15Rα中のアミノ酸配列
(表2の配列番号22)の5位におけるトレオニン上のO-グリコシル化;(ii)IL-15Rα中のアミノ酸配列
(表2の配列番号22)の7位におけるセリン上のO-グリコシル化;(iii)IL-15Rα中のアミノ酸配列
(表2の配列番号22)の8位におけるセリン上、またはIL-15Rα中のアミノ酸配列
(表2の配列番号23)の8位のセリン上のN-グリコシル化;(iv)IL-15Rα中のアミノ酸配列ITCPPPMSVEHADIWVKSYSLYSRERYICNS(表2の配列番号23)のSer18上のN-グリコシル化;(v)IL-15Rα中のアミノ酸配列
(表2の配列番号24)の20位におけるセリン上のN-グリコシル化;(vi)IL-15Rα中のアミノ酸配列
(表2の配列番号24)の23位におけるセリン上のN-グリコシル化;および/または(vii)IL-15Rα中のアミノ酸配列
(表2の配列番号24)の31位におけるセリン上のN-グリコシル化の1、2、3、4、5、6、7つ、または全てにおいてグリコシル化されているヒトIL-15Rαが本明細書に提供される。
具体的な実施形態において、グリコシル化IL-15Rαは、野生型ヒトIL-15Rαである。他の具体的な実施形態において、グリコシル化IL-15Rαは、ヒトIL-15RαのIL-15Rα誘導体である。一部の実施形態において、グリコシル化IL-15Rαは、野生型可溶性ヒトIL-15Rα、例えば、表2の配列番号7または10である。他の実施形態において、グリコシル化IL-15Rαは、ヒトIL-15Rαの可溶性形態であるIL-15Rα誘導体である。ある実施形態において、グリコシル化IL-15Rαは、精製または単離されている。
IL-15/IL-15Rα複合体
本明細書において使用される用語「IL-15/IL-15Rα複合体」は、互いに共有または非共有結合しているIL-15およびIL-15Rαを含む複合体を指す。好ましい実施形態において、IL-15Rαは、IL-15についての比較的高い親和性、例えば、当該技術分野において公知の技術、例えば、KinExAアッセイ、プラズマ表面共鳴(例えば、BIAcore(商標)アッセイ)により計測して10~50pMのKDを有する。別の好ましい実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、当該技術分野において周知のアッセイ、例えば、電気泳動移動度シフトアッセイ、ELISAおよび他の免疫アッセイにより計測してIL-15媒介シグナル伝達を誘導する。一部の実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、βγ鎖に特異的に結合する能力を保持する。具体的な実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、細胞から単離されている。
IL-15受容体のβγサブユニットに結合し、IL-15シグナル伝達(例えば、Jak/Statシグナル伝達)を誘導し、IL-15媒介免疫機能を向上させる複合体であって、インターロイキン-15受容体アルファ(「IL-15Rα」)に共有または非共有結合しているIL-15を含む複合体(「IL-15/IL-15Rα複合体」)が本明細書に提供される。IL-15/IL-15Rα複合体は、βγ受容体複合体に結合し得る。
IL-15/IL-15Rα複合体は、野生型IL-15またはIL-15誘導体および野生型IL-15RαまたはIL-15Rα誘導体から構成され得る。ある実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、野生型IL-15またはIL-15誘導体および上記のIL-15Rαを含む。具体的な実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、IL-15またはIL-15誘導体および表2の配列番号10のアミノ酸配列を有する野生型IL-15Rαを含む。別の実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、野生型IL-15またはIL-15誘導体および上記のIL-15Rαのグリコシル化形態を含む。
具体的な実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、野生型IL-15またはIL-15Rα誘導体および可溶性IL-15Rα(例えば、野生型可溶性ヒトIL-15Rα)を含む。別の具体的な実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、IL-15誘導体およびIL-15Rα誘導体から構成される。別の実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、野生型IL-15およびIL-15Rα誘導体から構成される。一実施形態において、IL-15Rα誘導体は、IL-15Rαの可溶性形態である。IL-15Rαの可溶性形態の具体例は、上記のものである。具体的な実施形態において、IL-15Rαの可溶性形態は、野生型IL-15Rαの膜貫通ドメイン、および場合により、野生型IL-15Rαの細胞内ドメインを欠く。別の実施形態において、IL-15Rα誘導体は、野生型IL-15Rαの細胞外ドメインまたはその断片である。ある実施形態において、IL-15Rα誘導体は、野生型IL-15Rαのsushiドメインまたはエキソン2を含む細胞外ドメインの断片である。一部の実施形態において、IL-15Rα誘導体は、野生型IL-15Rαのsushiドメインまたはエキソン2を含む細胞外ドメインの断片およびエキソン3によりコードされる少なくとも1つのアミノ酸を含む。ある実施形態において、IL-15Rα誘導体は、野生型IL-15Rαのsushiドメインまたはエキソン2を含む細胞外ドメインの断片およびIL-15Rαヒンジ領域またはその断片を含む。ある実施形態において、IL-15Rαは、表2の配列番号10のアミノ酸配列を含む。
別の実施形態において、IL-15Rα誘導体は、野生型IL-15Rαを開裂させる内因性プロテアーゼによる開裂を阻害する細胞外ドメイン開裂部位中の突然変異を含む。具体的な実施形態において、IL-15Rαの細胞外ドメイン開裂部位は、異種の公知のプロテアーゼにより認識および開裂される開裂部位により置き換えられている。このような異種プロテアーゼ開裂部位の非限定的な例としては、フーリンプロテアーゼにより認識および開裂されるArg-X-X-Arg(表2の配列番号25);ならびにトロンビンプロテアーゼにより認識および開裂されるA-B-Pro-Arg-X-Y(表2の配列番号26)(AおよびBは、疎水性アミノ酸であり、XおよびYは、非酸性アミノ酸である)およびGly-Arg-Glyが挙げられる。
別の実施形態において、IL-15は、例えば、国際公開第2007/084342号パンフレットおよび国際公開第2010/020047号パンフレット;ならびに米国特許第5,965,726号明細書;同第6,174,666号明細書;同第6,291,664号明細書;同第6,414,132号明細書;および同第6,794,498号明細書に記載の方法を使用してIL-15の発現を向上させるために最適化された核酸配列によりコードされる。
ある実施形態において、表2の配列番号22、23および24を参照して上記のグリコシル化部位の1、2、3、4、5、6、7つ、または全てにおいてグリコシル化されているヒトIL-15Rαを含むIL-15/IL-15Rα複合体が本明細書に提供される。具体的な実施形態において、グリコシル化IL-15Rαは、野生型ヒトIL-15Rαである。他の具体的な実施形態において、グリコシル化IL-15Rαは、ヒトIL-15RαのIL-15Rα誘導体である。一部の実施形態において、グリコシル化IL-15Rαは、野生型可溶性ヒトIL-15Rα、例えば、表2の配列番号7または10である。他の実施形態において、グリコシル化IL-15Rαは、ヒトIL-15Rαの可溶性形態であるIL-15Rα誘導体である。ある実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、精製または単離されている。
IL-15およびIL-15Rαに加え、IL-15/IL-15Rα複合体は、異種分子を含み得る。一部の実施形態において、異種分子は、タンパク質安定性を増加させる。このような分子の非限定的な例としては、IL-15またはIL-15Rαのインビボ半減期を増加させるポリエチレングリコール(PEG)、IgG免疫グロブリンのFcドメインもしくはその断片、またはアルブミンが挙げられる。ある実施形態において、IL-15Rαは、免疫グロブリン(例えば、IgG1)のFcドメインまたはその断片にコンジュゲート/融合している。具体的な実施形態において、IL-15RαFc融合タンパク質は、表2の配列番号27または28のアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、IL-15RαFc融合タンパク質は、Han et al.,(2011),Cytokine 56:804-810、米国特許第8,507,222号明細書または米国特許第8,124,084号明細書に記載のIL-15Rα/Fc融合タンパク質である。異種分子を含むそれらのIL-15/IL-15Rα複合体において、異種分子は、IL-15および/またはIL-15Rαにコンジュゲートしていてよい。一実施形態において、異種分子は、IL-15Rαにコンジュゲートしている。別の実施形態において、異種分子は、IL-15にコンジュゲートしている。
IL-15/IL-15Rα複合体の構成成分は、非共有結合もしくは共有結合のいずれかを使用して(例えば、ペプチド結合を介してアミノ酸配列を組み合わせることにより)直接融合していてよく、および/または1つ以上のリンカーを使用して組み合わせることができる。IL-15/IL-15Rα複合体の調製に好適なリンカーは、2つ以上の構成成分に一緒に結合し得るペプチド、アルキル基、化学置換アルキル基、ポリマー、または任意の他の共有結合もしくは非共有結合化学物質を含む。ポリマーリンカーは、当該技術分野において公知の任意のポリマー、例として、ポリエチレングリコール(PEG)を含む。一部の実施形態において、リンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個またはそれ以上のアミノ酸長のペプチドである。具体的な実施形態において、リンカーは、IL-15Rαに結合するIL-15の能力を保存するほど十分長い。他の実施形態において、リンカーは、βγ受容体複合体に結合し、IL-15シグナル伝達を媒介するアゴニストとして作用するIL-15/IL-15Rα複合体の能力を保存するほど十分長い。
特定の実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、本明細書に記載の方法における使用前(例えば、細胞をIL-15/IL-15Rα複合体と接触させる前または対象へのIL-15/IL-15Rα複合体の投与前)、プレカップリングする。他の実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、本明細書に記載の方法における使用前にプレカップリングしない。
具体的な実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、当該技術分野において周知のアッセイ、例えば、ELISPOT、ELISA、および細胞増殖アッセイを使用してIL-15/IL-15Rα複合体が投与されない対象における免疫機能に対して対象における免疫機能を少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、または少なくとも10%だけ向上させ、または誘導する。具体的な実施形態において、免疫機能は、サイトカイン放出(例えば、インターフェロン-ガンマ、IL-2、IL-5、IL-10、IL-12、またはトランスフォーミング成長因子(TGF)-ベータ)である。一実施形態において、IL-15媒介免疫機能は、NK細胞増殖であり、それは、例えば、フローサイトメトリーによりアッセイしてNK細胞のマーカー(例えば、CD56)を発現する細胞の数を検出することができる。別の実施形態において、IL-15媒介免疫機能は、抗体産生であり、それは、例えば、ELISAによりアッセイすることができる。一部の実施形態において、IL-15媒介免疫機能は、エフェクター機能であり、それは、例えば、細胞毒性アッセイまたは当該技術分野において周知の他のアッセイによりアッセイすることができる。
具体的な実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体により向上される免疫機能の例としては、リンパ球の増殖/拡大(例えば、リンパ球数の増加)、リンパ球のアポトーシスの阻害、樹状細胞(または抗原提示細胞)の活性化、および抗原提示が挙げられる。特定の実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体により向上される免疫機能は、CD4+T細胞(例えば、Th1およびTh2ヘルパーT細胞)、CD8+T細胞(例えば、細胞傷害性Tリンパ球、アルファ/ベータT細胞、およびガンマ/デルタT細胞)、B細胞(例えば、形質細胞)、メモリーT細胞、メモリーB細胞、樹状細胞(未成熟または成熟)、抗原提示細胞、マクロファージ、マスト細胞、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)、腫瘍常在性T細胞、CD122+T細胞、またはナチュラルキラー細胞(NK細胞)の数の増殖/拡大またはそれらの活性化である。一実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、リンパ球前駆細胞の増殖/拡大またはその数を向上させる。一部の実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、CD4+T細胞(例えば、Th1およびTh2ヘルパーT細胞)、CD8+T細胞(例えば、細胞傷害性Tリンパ球、アルファ/ベータT細胞、およびガンマ/デルタT細胞)、B細胞(例えば、形質細胞)、メモリーT細胞、メモリーB細胞、樹状細胞(未成熟または成熟)、抗原提示細胞、マクロファージ、マスト細胞、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)、腫瘍常在性T細胞、CD122+T細胞、またはナチュラルキラー細胞(NK細胞)の数を、陰性対照(例えば、IL-15/IL-15Rα複合体により処理もされず、それと培養もされず、それと接触もされないそれぞれの細胞の数)に対しておよそ1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍またはそれ以上だけ増加させる。
具体的な実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)により活性化される全血上のIL-2の発現を増加させる。例えば、IL-15/IL-15Rα複合体は、SEBを単独で使用した場合のIL-2の発現と比較してIL-2の発現を少なくとも約2、3、4、または5倍だけ増加させる。
IL-15/IL-15Rα複合体の産生
IL-15および/またはIL-15Rαをコードする核酸は、哺乳動物細胞、細菌、酵母、およびウイルス中での発現のための核酸構築物中に挿入することができる。IL-15およびIL-15Rαは、同一の核酸構築物から(例えば、バイシストロン性核酸構築物を使用して)または異なる核酸構築物から(例えば、モノシストロン性核酸構築物を使用して)組換え発現させることができる。一実施形態において、IL-15およびIL-15Rαは、IL-15およびIL-15Rαの単一のオープンリーディングフレーム(ORF)を含む単一核酸構築物から組換え発現させることができる。
核酸構築物は、IL-15および/またはIL-15Rαのコード配列に作動可能に結合している1つ以上の転写調節エレメントを含み得る。転写調節エレメントは、典型的には、コード配列に対して5’側であり、IL-15および/またはIL-15Rαをコードする核酸の転写を指向する。一部の実施形態において、野生型IL-15および/または野生型IL-15Rα遺伝子の転写を調節することが本来見出される転写調節エレメントの1つ以上が、転写を制御するために使用される。他の実施形態において、野生型IL-15および/または野生型IL-15Rα遺伝子に対して異種である1つ以上の転写調節エレメントが、転写を制御するために使用される。当業者に公知の任意の転写調節エレメントを使用することができる。転写調節エレメントのタイプの非限定的な例としては、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、および誘導性プロモーターが挙げられる。具体的な実施形態において、転写は、少なくとも部分的には、哺乳動物(一部の実施形態において、ヒト)転写調節エレメントにより制御される。具体的な実施形態において、転写は、少なくとも部分的に、強力なプロモーター、例えば、CMVにより制御される。他の態様において、誘導性プロモーターを使用することができる。
核酸構築物は、IL-15および/またはIL-15Rαのコード配列に作動可能に結合している1つ以上の転写後調節エレメントも含み得る。転写後調節エレメントは、コード配列に対して5’および/または3’側であり、IL-15および/またはIL-15RαをコードするRNA転写産物の翻訳の転写後調節を指向し得る。
別の態様において、核酸構築物は、例えば、国際公開第1994/12650号パンフレットおよび国際公開第2001/68882号パンフレットに記載の通り、遺伝子の既存の調節領域を、異なる遺伝子から単離された調節配列または新規調節配列により置き換えるベクターを標的化する遺伝子であり得る。ある実施形態において、宿主細胞は、例えば、内因性IL-15および/またはIL-15Rα遺伝子の調節領域を変更することにより内因性IL-15および/またはIL-15Rαの産生を増加させるように遺伝子操作することができる。
選択される核酸構築物は、種々の因子、例として、限定されるものではないが、転写調節エレメントの強度ならびにIL-15および/またはIL-15Rαを発現させるために使用すべき宿主細胞に依存する。核酸構築物は、プラスミド、ファージミド、コスミド、ウイルスベクター、ファージ、人工染色体などであり得る。一態様において、ベクターは、任意の好適な手段(形質転換、形質移入、コンジュゲーション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクションなど)により適切な宿主細胞中に導入してそれらを形質転換することができるエピソームまたは非相同的組込みベクターであり得る。
核酸構築物は、宿主細胞中でのIL-15および/またはIL-15Rαの一過的または安定的発現のためのプラスミドまたは安定的組込みベクターであり得る。安定的発現のため、ベクターは、標的部位またはランダム染色体部位における染色体組込みを媒介し得る。IL-15および/またはIL-15Rαを発現させるために使用することができる宿主細胞-ベクター系の非限定的な例としては、ウイルス(例えば、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルスなど)が感染した哺乳動物細胞系;ウイルス(例えば、バキュロウイルス)が感染した昆虫細胞系;微生物、例えば、酵母ベクターを含有する酵母、またはバクテリオファージ、DNA、プラスミドDNA、もしくはコスミドDNAにより形質転換された細菌;および選択マーカーを使用する形質転換により生成された安定的細胞系が挙げられる。一部の実施形態において、核酸構築物は、選択マーカー遺伝子、例として、限定されるものではないが、ネオマイシン(neo)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)およびハイグロマイシン(hyg)を含む。
核酸構築物は、モノシストロン性またはマルチシストロン性であり得る。マルチシストロン性核酸構築物は、2、3、4、5、6、7、8、9、10個もしくはそれ以上、または2~5、5~10もしくは10~20個の範囲の遺伝子/ヌクレオチド配列をコードし得る。例えば、バイシストロン性核酸構築物は、以下の順で、プロモーター、第1の遺伝子(例えば、IL-15)、および第2の遺伝子および(例えば、IL-15Rα)を含み得る。このような核酸構築物において、両方の遺伝子の転写はプロモーターによりドライブされる一方、第1の遺伝子からのmRNAの翻訳は、キャップ依存性スキャニング機序によるものであり、第2の遺伝子からのmRNAの翻訳は、キャップ非依存性機序、例えば、IRESによるものである。
これらの態様を実施するための技術は、特に示されない限り、当業者により定型的に実施される分子生物学、微生物学、ならびに組換えDNA操作および産生の慣用の技術を用いる。例えば、Sambrook,1989,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Second Edition;DNA Cloning,Volumes I and II(Glover,Ed.1985);Oligonucleotide Synthesis(Gait,Ed.1984);Nucleic Acid Hybridization(Hames & Higgins,Eds.1984);Transcription and Translation(Hames & Higgins,Eds.1984);Animal Cell Culture(Freshney,Ed.1986);Immobilized Cells and Enzymes(IRL Press,1986);Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning(1984);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(Miller & Calos,Eds.1987,Cold Spring Harbor Laboratory);Methods in Enzymology,Volumes 154 and 155(それぞれWu & Grossman,and Wu,Eds.)、(Mayer & Walker,Eds.,1987);Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology(Academic Press,London,Scopes,1987),Expression of Proteins in Mammalian Cells Using Vaccinia Viral Vectors in Current Protocols in Molecular Biology,Volume 2(Ausubel et al.,Eds.,1991)参照。
具体的な実施形態において、IL-15またはIL-15Rαをコードする核酸構築物は、同一の宿主細胞または異なる宿主細胞中に同時形質移入または形質移入することができる。場合により、選択マーカー遺伝子をコードする核酸を含む核酸構築物を同一の細胞中に形質移入して形質移入細胞を選択することもできる。IL-15およびIL-15Rαをコードする核酸を含む核酸構築物が異なる細胞中に形質移入される場合、異なる細胞により発現されるIL-15およびIL-15Rαを単離し、上記のIL-15/IL-15Rα複合体を形成するために好適な条件下で互いに接触させることができる。当業者に公知の任意の技術、例として、例えば、形質転換、形質移入、コンジュゲーション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、直接マイクロインジェクション、ならびにウイルス、例として、限定されるものではないが、アデノウイルス、レンチウイルス、およびレトロウイルスによる感染を使用して核酸により宿主細胞を形質移入または形質導入することができる。
組換えIL-15およびIL-15Rαポリペプチドの長期高収量産生のため、安定的細胞系を生成することができる。例えば、細胞系は、同一または別個の核酸構築物上に選択マーカー遺伝子を含有し得る本明細書に記載の核酸構築物を使用して形質転換することができる。選択マーカー遺伝子は、同時形質移入により同一の細胞中に導入することができる。ベクターの導入後、細胞を濃縮培地中で1~2日間成長させてから選択培地に交換して導入核酸を良好に発現する細胞の成長および回収を可能とする。安定的形質転換細胞の耐性クローンは、細胞タイプに適切である当該技術分野において周知の組織培養技術を使用して増殖させることができる。特定の実施形態において、細胞系は、無血清培地中で成長するように適合されたものである。一実施形態において、細胞系は、シェーカーフラスコ中で無血清培地中で成長するように適合されたものである。一実施形態において、細胞系は、撹拌または回転フラスコ中で成長するように適合されたものである。ある実施形態において、細胞系は、懸濁液中で培養される。特定の実施形態において、細胞系は、接着しておらず、または非接着細胞として成長するように適合されたものである。ある実施形態において、細胞系は、低カルシウム条件下で成長するように適合されたものである。一部の実施形態において、細胞系は、低血清培地中で培養され、または成長するように適合されている。
具体的な実施形態において、本発明の組換えポリペプチドの高収量産生の特に好ましい方法は、米国特許第4,889,803号明細書に記載の連続的に増加するレベルのメトトレキサートの使用によるDHFR欠損CHO細胞中のジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)増幅の使用を介するものである。このような細胞から得られたポリペプチドは、グリコシル化形態であり得る。
一実施形態において、細胞系は、野生型ヒトIL-15および野生型可溶性ヒトIL-15Rαの安定的ヘテロ二量体を発現するように遺伝子操作し、次いでそれを精製し、ヒトに投与することができる。一実施形態において、IL-15/IL-15Rαヘテロ二量体の安定性は、IL-15およびIL-15Rαの両方を組換え発現する細胞系から産生された場合に増加する。
具体的な実施形態において、宿主細胞は、IL-15および全長IL-15Rαを組換え発現する。別の具体的な実施形態において、宿主細胞は、IL-15およびIL-15Rαの可溶性形態を組換え発現する。別の具体的な実施形態において、宿主細胞は、IL-15および細胞の表面から開裂されず、細胞と会合したままであるIL-15Rαの膜結合形態を組換え発現する。一部の実施形態において、IL-15および/またはIL-15Rα(全長または可溶性形態)を組換え発現する宿主細胞は、別のポリペプチド(例えば、サイトカインまたはその断片)も組換え発現する。
ある実施形態において、このような宿主細胞は、このような宿主細胞は、IL-15Rαポリペプチドに加え、IL-15ポリペプチドを組換え発現する。IL-15および/またはIL-15Rαをコードする核酸を使用してIL-15およびIL-15Rαの単離および精製のためにIL-15およびIL-15Rαを多量に組換え発現する哺乳動物細胞を生成することができ、好ましくは、IL-15およびIL-15Rαは、複合体として会合している。一実施形態において、多量のIL-15/IL-15Rα複合体は、対照細胞(例えば、IL-15、IL-15Rα、もしくはIL-15およびIL-15Rαの両方を組換え発現するように遺伝子操作されていない細胞、または空ベクターを含む細胞)により内因的に発現されるIL-15/IL-15Rα複合体の量よりも少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、または20倍よりも多い、細胞により発現されるIL-15/IL-15Rα複合体の量を指す。一部の実施形態において、本明細書に記載の宿主細胞は、当業者に公知の技術(例えば、ELISA)により計測しておよそ0.1pg~25pg、0.1pg~20pg、0.1pg~15pg、0.1pg~10pg、0.1pg~5pg、0.1pg~2pg、2pg~10pg、または5~20pgのIL-15を発現する。ある実施形態において、本明細書に記載の宿主細胞は、当該技術分野において公知の技術(例えば、ELISA)により計測して1日当たりおよそ0.1~0.25pg、1日当たり0.25~0.5pg、1日当たり0.5~1pg、1日当たり1~2pg、1日当たり2~5pg、または1日当たり5~10pgのIL-15を発現する。具体的な実施形態において、IL-15Rαは、IL-15Rαの可溶性形態である。具体的な実施形態において、IL-15Rαは、安定的ヘテロ二量体でIL-15と会合しているIL-15Rαの可溶性形態であり、それは収量を増加させ、生物活性ヘテロ二量体IL-15/可溶性IL-15Rαサイトカインの産生および精製を簡易化させる。
組換えIL-15およびIL-15Rαは、組換えタンパク質産生および精製の方法を使用して精製することができ、それらは当該技術分野において周知である、例えば、国際公開第2007/070488号パンフレット参照。簡潔に述べると、ポリペプチドは、細胞内で、ペリプラズム空間中で産生することができ、または培地中で直接分泌させることができる。ポリペプチドを含む細胞溶解物または上清は、例えば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、および親和性クロマトグラフィーを使用して精製することができる。タンパク質精製のための他の技術、例えば、イオン交換カラム上の分別、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上でのクロマトグラフィー、ヘパリンSEPHAROSE(商標)(ゲル濾過物質;Pharmacia Inc.,Piscataway,New Jersey)上でのクロマトグラフィー、アニオンまたはカチオン交換樹脂(例えば、ポリアスパラギン酸カラム)上でのクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、および硫酸アンモニウム沈殿も利用可能である。
一部の実施形態において、IL-15およびIL-15Rαは、合成し、または異なる細胞により組換え発現させ、続いて単離し、合わせてIL-15/IL-15Rα複合体をインビトロで形成してから対象に投与する。他の実施形態において、IL-15およびIL-15Rαは、合成し、または異なる細胞により組換え発現させ、続いて単離し、次いでIL-15/IL-15Rα複合体をインサイチューまたはインビボで対象に同時投与する。さらに他の実施形態において、IL-15およびIL-15Rαは、合成し、または同一の細胞により一緒に発現させ、形成されたIL-15/IL-15Rα複合体を単離する。
核酸の発現について選択される宿主細胞は、細胞の意図された使用に依存することになる。細胞が例えばIL-15及び/又はIL-15Rαを内因性に発現する細胞と同様にグリコシル化するか否かなどの要素は、宿主細胞を選択する場合に検討されてもよい。
本明細書中の核酸構築物によってコードされるタンパク質を発現するように使用可能な宿主細胞の非限定例は、哺乳動物細胞、細菌細胞、酵母細胞、初代細胞、不死化細胞、植物細胞及び昆虫細胞を含む。具体的な実施形態では、宿主細胞は、哺乳動物細胞株である。哺乳動物細胞株の例として、限定はされないが、COS、CHO、HeLa、NIH3T3、HepG2、MCF7、HEK293、HEK293T、RD、PC12、ハイブリドーマ、プレB細胞、293、293H、K562、SkBr3、BT474、A204、M07Sb、TFβ1、Raji、Jurkat、MOLT-4、CTLL-2、MC-IXC、SK-N-MC、SK-N-MC、SK-N-DZ、SH-SY5Y、C127、N0、及びBE(2)-C細胞が挙げられる。発現用の宿主として利用可能な他の哺乳動物細胞株は、当該技術分野で公知であり、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)(ATCC)から入手可能な多数の不死化細胞株を含む。
CHO細胞
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞は、最も一般的には、治療用途におけるグリコシル化ポリペプチドの産生用に使用される。これらの細胞は、規定されたグリコシル化特性をもたらし、遺伝的に安定な高生産性細胞株の作出を可能にする。さらに、CHO細胞は、安全且つ再現可能な生物学的過程を発生させるため、無血清培地中、高い細胞密度で培養され得る。組換え発現用の宿主細胞としてCHO細胞を使用するときに直面する1つの主要な課題が、「クリッピング」とも称される、細胞培地中で発現及び分泌された目的のポリペプチドのタンパク質分解性分解である。
いくつかの実施形態では、IL-15/IL-15Rα複合体は、マトリプターゼの機能を損なうように改変されているCHO細胞株により、例えばマトリプターゼ遺伝子の機能的発現を低減又は除去し、前記細胞により細胞培地中で発現及び分泌される目的の組換えポリペプチドのタンパク質分解性分解(「クリッピング」)を有意に低減することにより、産生される。したがって、前記細胞内でのマトリプターゼの効果を損なわせることにより、マトリプターゼの効果が損なわれないような対応する脊椎動物細胞と比べて、分泌された組換えIL-15/IL-15Rα複合体のクリッピングが低減される。マトリプターゼとともに、組換え的に発現され、分泌されたポリペプチドのクリッピングに関与する主要なプロテアーゼが同定された。マトリプターゼの効果を損なうように脊椎動物細胞を改変することは、細胞培地中で組換え的に発現され、分泌された目的のポリペプチドのクリッピングを低減又は除去することにより、目的のポリペプチドの組換え産生を有意に改善することを可能にする。それにより、IL-15/IL-15Rα複合体の収率が増加する。
CHO細胞内で、コアグリカン構造へのα(2-6)結合NANA延長部分を生成することに関与する酵素(β-ガラクトシドα-2,6-シアリルトランスフェラーゼ1)が、CHO細胞内で不活性であるか又は発現されないことが報告されている(例えば、Chung et al 2017を参照)ものの、酵素自体における遺伝子は、C.グリセウス(C.griseus)中に存在する。しかし、意外にも、本開示のCHO細胞で産生されたIL-15/IL-15Rα複合体が、ヒト細胞株により産生されたIL-15/IL-15Rα複合体と比べて異なるグリコシル化パターンを有することが発見された。さらに、α(2-6)結合型グリカンが、CHO細胞で産生されたIL-15/IL-15Rα複合体中で認められた。このグリコシル化パターンは独特である。それは、潜在的には、ヒトグリコシル化型により近いことにより、予想されるCHOパターンと比べて直接的利益をもたらすことがある。CHO細胞株の詳細は、国際公開第2015/166427号パンフレット(本明細書中で参照として援用される)に見出すことができる。
医薬組成物
IL-15/IL-15Rα複合体を含む組成物が本明細書に提供される。組成物としては、医薬組成物の製造において有用なバルク薬物組成物(例えば、不純または非滅菌組成物)および単位剤形の調製において使用することができる医薬組成物(すなわち、対象または患者への投与に好適な組成物)が挙げられる。組成物(例えば、医薬組成物)は、有効量のIL-15/IL-15Rα複合体、またはIL-15/IL-15Rα複合体の組合せおよび薬学的に許容可能な担体を含む。具体的な実施形態において、組成物(例えば、医薬組成物)は、有効量の1つ以上のIL-15/IL-15Rα複合体および薬学的に許容可能な担体を含む。一部の実施形態において、組成物は、追加の治療薬、例えば、抗癌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、アジュバントをさらに含む。このような治療薬の非限定的な例は、以下に提供される。
具体的な実施形態において、用語「薬学的に許容可能な」は、動物、特にヒトにおける使用について連邦政府の管理機関もしくは州政府により承認されているまたは米国薬局方もしくは一般に認知されている他の薬局方に列記されていることを意味する。用語「担体」は、治療薬と投与される希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全および不完全)、または、より好ましくは、MF59C.1アジュバント)、賦形剤またはビヒクルを指す。このような医薬担体は、無菌液体、例えば、水および油、例として、石油、動物、植物または合成起源のもの、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などであり得る。一実施形態において、医薬組成物が静脈内投与される場合、水が担体である。生理食塩水ならびに水性デキストロースおよびグリセロール溶液を液状担体、特に、注射液剤用として用いることもできる。好適な医薬賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、イネ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。組成物は、所望により、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤も含有し得る。これらの組成物は、液剤、懸濁液剤、乳濁液剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放性配合物などの形態を取り得る。
医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容可能な担体または賦形剤を使用して任意の慣用の様式で配合することができる。具体的な実施形態において、本明細書に記載の方法に従って対象に投与されるIL-15/IL-15Rα複合体は、医薬組成物として投与される。
一般に、IL-15/IL-15Rα複合体を含む医薬組成物の構成成分は、単位剤形で供給され、例えば、密閉容器、例えば、活性剤の量を示すアンプルまたは小袋中の乾燥凍結粉末または無水濃縮物として供給される。IL-15/IL-15Rα複合体を注入により投与すべき場合、滅菌された医薬グレードの水または生理食塩水(例えば、PBS)を含有する注入ボトルにより分注することができる。IL-15/IL-15Rα複合体を注射により投与する場合、成分を投与前に混合することができるように注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルを提供することができる。
一部の実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、当業者に公知の任意の方法による投与、例として、限定されるものではないが、非経口(例えば、皮下、静脈内、腫瘍内または筋肉内)投与のために配合することができる。一実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、局所または全身非経口投与、例えば、腫瘍内投与のために配合される。具体的な実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、それぞれ皮下または静脈内投与のために配合される。一実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、薬学的に適合性の溶液中で配合される。
IL-15/IL-15Rα複合体は、注射による、例えば、ボーラス注射または連続注入による非経口投与のために配合することができる。注射用配合物は、例えば、アンプルまたは複数回投与用容器中で添加された保存剤とともに単位剤形で提供することができる。組成物は、油性または水性ビヒクル中で、懸濁液剤、液剤または乳濁液剤のような形態を取り得、配合剤、例えば、懸濁化剤、安定剤および/または分散剤を含有し得る。あるいは、活性成分は、好適なビヒクル、例えば、滅菌パイロジェンフリー水による使用前の構成のための粉末形態であり得る。
治療的及び用量レジメン
一態様において、IL-15媒介免疫機能を向上させる方法であって、複合体IL-15/IL-15Rα複合体を規定の用量レジメンにおいて対象に投与することを含む方法が本明細書に提供される。IL-15媒介免疫機能の向上はある障害の予防、治療および/または管理に有益であるため、そのような障害を予防し、治療し、および/または管理する方法であって、それが必要とされる対象にIL-15/IL-15Rα複合体を投与することを含む方法が本明細書に提供される。IL-15媒介免疫機能を向上させることが有益である障害の非限定的な例としては、癌、リンパ球減少、免疫不全、感染性疾患、および創傷が挙げられる。
一実施形態において、対象における障害を予防し、治療し、および/または管理するにあたり、IL-15媒介免疫機能の向上がそのような障害の予防、治療および/または管理に有益である方法であって、同一用量のIL-15/IL-15Rα複合体を対象に治療サイクルの持続期間にわたり投与することを含む方法が本明細書に提供される。一実施形態において、用量は、0.1μg/kgおよび0.5μg/kgの範囲である。一実施形態において、用量は、0.25μg/kgおよび1μg/kgの範囲である。具体的な実施形態において、用量は、0.5μg/kgおよび2μg/kgの範囲である。別の実施形態において、用量は、1μg/kg~4μg/kgである。別の実施形態において、用量は、2μg/kg~8μg/kgである。別の実施形態において、用量は、0.1μg/kg、0.25μg/kg、0.5μg/kg、1μg/kg、2μg/kg、4μg/kg、5μg/kg、6μg/kg、8μg/kgである。具体的な実施形態において、用量は、1μg/kgである。ある実施形態において、用量は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回もしくはそれ以上、または1~3、1~4、2~4、2~5、2~6、3~6、4~6、6~8、5~8、もしくは5~10回投与される。一部の実施形態において、用量は、5~7日間、5~10日間、7~12日間、7~14日間、7~21日間または14~21日間の期間にわたり1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回もしくはそれ以上、または1~3、1~4、2~4、2~5、1~5、2~6、3~6、4~6もしくは6~8回投与される。具体的な実施形態において、それぞれの用量は、5~7日間、5~10日間、7~12日間、7~14日間、7~21日間または14~21日間の期間にわたり少なくとも1、2、3、4、5、6回またはそれ以上投与される。別の具体的な実施形態において、それぞれの用量は、少なくとも1回投与され、対象は、3週間の期間にわたり週1回用量が投与される。
別の実施形態において、対象における障害を予防し、治療し、および/または管理するにあたり、IL-15媒介免疫機能の向上がそのような障害の予防、治療および/または管理に有益である方法であって、IL-15/IL-15Rα複合体を対象に投与レジメンにおいて非投与期間前に投与サイクルにおいて少なくとも1、2、4回または6回投与することを含む方法が本明細書に提供される。具体的な実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体を3週間にわたり週1回提供し、4週目は投与しない。次いで、この投与サイクルを繰り返す。
代替実施形態において、対象における障害を予防し、治療し、および/または管理するにあたり、IL-15媒介免疫機能の向上がそのような障害の予防、治療および/または管理に有益である方法であって、(a)少なくとも1回の初期低用量のIL-15/IL-15Rα複合体を対象に投与すること;および(b)連続的に高くなる用量のIL-15/IL-15Rα複合体を治療サイクルの持続期間にわたり対象に投与することを含む方法が本明細書に提供される。具体的な実施形態において、対象における癌を予防し、治療し、および/または管理する方法であって、(a)初期用量のIL-15/IL-15Rα複合体を対象に治療サイクルの持続期間にわたり投与すること;および(b)連続的に高くなる用量のIL-15/IL-15Rα複合体を対象に治療サイクルの持続期間にわたり投与することを含む方法が本明細書に提供される。具体的な実施形態において、初期用量は、0.1μg/kgおよび0.5μg/kgの範囲である。具体的な実施形態において、初期用量は、0.25μg/kgおよび1μg/kgの範囲である。別の実施形態において、初期用量は、0.5μg/kgおよび2μg/kgの範囲である。具体的な実施形態において、初期用量は、1μg/kg~4μg/kgである。別の実施形態において、初期用量は、2μg/kgおよび8μg/kgである。別の実施形態において、初期用量は、約0.25μg/kgである。別の実施形態において、初期用量は、約0.5μg/kgである。別の実施形態において、初期用量は、約1μg/kgである。別の実施形態において、初期用量は、0.1μg/kg、0.25μg/kg、0.5μg/kg、1μg/kg、2μg/kg、4μg/kg、5μg/kg、6μg/kg、8μg/kgである。ある実施形態において、初期用量は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回もしくはそれ以上、または1~3、1~4、2~4、2~5、2~6、3~6、4~6、6~8、5~8、もしくは5~10回投与される。一部の実施形態において、初期用量は、5~7日間、5~10日間、7~12日間、7~14日間、7~21日間もしくは14~21日間の期間にわたり1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回もしくはそれ以上、または1~3、1~4、2~4、2~5、1~5、2~6、3~6、4~6もしくは6~8回投与される。ある実施形態において、それぞれの連続的に高くなる用量は、前回用量よりも1.2、1.25、1.3、1.35、1.4、1.45、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、もしくは6倍高く、または前回用量よりも1.2~2、2~3、2~4、1~5、2~6、3~4、3~6、もしくは4~6倍高く、または前回用量よりも2倍高い。一部の実施形態において、それぞれの連続的に高くなる用量は、前回用量よりも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%、195%、または200%高い。具体的な実施形態において、それぞれの用量は、5~7日間、5~10日間、7~12日間、7~14日間、7~21日間または14~21日間の期間にわたり少なくとも1、2、3、4、5、6回またはそれ以上投与される。別の具体的な実施形態において、それぞれの用量は少なくとも1回投与され、対象は、2週間の期間にわたり週7日間当たり3回(例えば、月曜日、水曜日および金曜日)用量を投与される。
ある実施形態において、対象は、以下の有害事象、例えば、グレード3または4の血小板減少、グレード3または4の顆粒球減少、グレード3または4の白血球増加(白血球(WBC)>100,000mm3)、グレード3または4のWBC、リンパ球絶対数(ALC)および/または好中球絶対数(ANC)の減少、リンパ球増加ならびに臓器機能不全(例えば、肝または腎機能不全)についてモニタリングされる。ある実施形態において、用量は増加させず、対象が有害事象、例えば、グレード3または4の血小板減少、グレード3または4の顆粒球減少、グレード3または4の白血球増加(白血球(WBC)>100,000mm3)、グレード3または4のWBC、リンパ球絶対数(ALC)および/または好中球絶対数(ANC)の減少、リンパ球増加、ならびに臓器機能不全(例えば、肝または腎機能不全)を経験する場合には用量は同一のままであり得、停止または低減させることができる。これらの実施形態によれば、対象に投与されるIL-15/IL-15Rα複合体の用量は、有害事象が減少または消失するまで低減させることができ、または同一のままであり得る。
別の実施形態において、対象における障害を予防し、治療し、および/または管理するにあたり、IL-15媒介免疫機能の向上がそのような障害の予防、治療および/または管理に有益である方法であって、IL-15/IL-15Rα複合体を、0.25μg/kg~4μg/kgの初期用量を含む第1のサイクルから開始し、後続のサイクルにおいて用量を前回の用量と比べて2~3倍増加させる用量レジメンにおいてヒト対象に投与することを含む方法が本明細書に提供される。それぞれの用量は、少なくとも1、2、4回または6回投与してから用量を次のレベルに上昇させ、ある用量のIL-15/IL-15Rα複合体の投与後の一定期間(例えば、ある用量のIL-15/IL-15Rα複合体の投与後のおよそ24時間~およそ48時間、およそ24時間~およそ36時間、およそ24時間~およそ72時間、およそ48時間~およそ72時間、およそ36時間~およそ48時間、またはおよそ48時間~60時間および別の用量のIL-15/IL-15Rα複合体の投与前)、対象から得られた試料(例えば、血漿試料)中の遊離IL-15の濃度をモニタリングしてから用量を次のレベルに上昇させる。
別の実施形態において、対象における障害を予防し、治療し、および/または管理するにあたり、IL-15媒介免疫機能の向上がそのような障害の予防、治療および/または管理に有益である方法であって、IL-15/IL-15Rα複合体を、以下の連続用量:(i)0.25μg/kg;(ii)0.5μg/kg;(iii)1μg/kg;(iv)2μg/kg;(v)4μg/kg;および(vi)8μg/kgにおける用量レジメンにおいて対象に投与することを含む方法が本明細書に提供される。ある実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、以下の連続用量:(i)1μg/kg;(ii)2μg/kg;(iii)4μg/kg;および(iv)8μg/kgにおける用量レジメンにおいて対象に投与する。それぞれの用量は、投与サイクルにおいて少なくとも1、2、4回または6回投与してから用量を次のレベルに上昇させ、ある用量のIL-15/IL-15Rα複合体の投与後の一定期間(例えば、ある用量のIL-15/IL-15Rα複合体の投与後のおよそ24時間~およそ48時間後、およそ24時間~およそ36時間、およそ24時間~およそ72時間、およそ48時間~およそ72時間、およそ36時間~およそ48時間、またはおよそ48時間~60時間および別の用量のIL-15/IL-15Rα複合体の投与前)、対象から得られた試料(例えば、血漿試料)中の遊離IL-15の濃度をモニタリングしてから用量を次のレベルに上昇させる。
別の実施形態において、対象における癌を予防し、治療し、および/または管理する方法であって、IL-15/IL-15Rα複合体を以下の連続用量:(i)1μg/kg;(ii)2μg/kg;(iii)4μg/kg;および(iv)8μg/kgにおける用量レジメンにおいて対象に投与することを含み、それぞれの用量を、投与サイクルにおいて少なくとも少なくとも1、2、4回または6回投与してから用量を次のレベルに上昇させる方法が本明細書に提供される。具体的な実施形態では、該方法は、周期的投与レジメンを用いてIL-15/IL-15Rα複合体を対象に投与するステップを含み、ここで周期的投与レジメンは、(a)IL-15/IL-15Rα複合体を、1週~3週の第1期間にわたり、1日、2日又は3日ごとに0.1~10μg/kgの用量で対象に皮下投与することと;(b)IL-15/IL-15Rα複合体が対象に投与されない1週~2か月の第2期間後、IL-15/IL-15Rα複合体を、1週~3週の第3期間にわたり1日、2日又は3日ごとに0.1~10μg/kgの用量で対象に皮下投与すること、を含む。
特定の実施形態において、対象は、ヒト対象である。ある実施形態において、治療サイクルにおける用量は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回もしくはそれ以上、または1~3、1~4、1~5、2~4、2~5、1~6、2~6、1~6、3~6、4~6、6~8、5~8、もしくは5~10回投与される。一部の実施形態において、用量は、5~7日間、5~10日間、7~12日間、7~14日間、7~21日間または14~21日間の期間にわたり1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回もしくはそれ以上、または1~3、1~4、1~5、2~4、2~5、2~6、1~6、3~6、4~6もしくは6~8回投与される。ある実施形態において、それぞれの用量は、1投与サイクル当たり1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回もしくはそれ以上、または1~3、1~4、1~5、2~4、2~5、1~6、2~6、1~6、3~6、4~6、6~8、5~8、もしくは5~10回投与される。具体的な実施形態において、それぞれの用量は、5~7日間、5~10日間、7~12日間、7~14日間、7~21日間または14~21日間の期間にわたり少なくとも1、2、3、4、5、6回もしくはそれ以上、または1~3、1~4、1~5、2~4、2~5、1~6、2~6、1~6、3~6、4~6、6~8、5~8、もしくは5~10回投与される。
別の具体的な実施形態において、対象は、週7日間当たり3回(例えば、月曜日、水曜日および金曜日)用量を投与される。ある実施形態において、対象は、以下の有害事象、例えば、グレード3または4の血小板減少、グレード3または4の顆粒球減少、グレード3または4の白血球増加(白血球(WBC)>100,000mm3)、グレード3または4のWBC、リンパ球絶対数(ALC)および/または好中球絶対数(ANC)の減少、リンパ球増加、ならびに臓器機能不全(例えば、肝または腎機能不全)についてモニタリングされる。ある実施形態において、用量は増加させず、対象が有害事象、例えば、グレード3または4の血小板減少、グレード3または4の顆粒球減少、グレード3または白血球増加(白血球(WBC)>100,000mm3)、グレード3または4のWBC、リンパ球絶対数(ALC)および/または好中球絶対数(ANC)の減少、リンパ球増加、ならびに臓器機能不全(例えば、肝または腎機能不全)を経験する場合には用量は同一のままであり得、停止または低減させることができる。これらの実施形態によれば、対象に投与されるIL-15/IL-15Rα複合体の用量は、有害事象が減少または消失するまで低減させることができ、または同一のままであり得る。
具体的な実施形態では、本明細書に記載の方法に従い、各用量は、週1回で3週間投与される。具体的な実施形態では、本明細書に記載の方法に従い、各用量は、1回、週に3回で2週間投与される。具体的な実施形態では、本明細書に記載の方法に従い、各用量は、1回、週に3回で2週間、3週間、又は4週間投与される。具体的な実施形態では、本明細書に記載の方法に従い、各用量は、1回、週に6回で2週間、3週間、又は4週間投与される。具体的な実施形態では、本明細書に記載の方法に従い、各用量は、一日おきに1回で2週間、3週間、又は4週間投与される。具体的な実施形態では、本明細書に記載の方法に従い、各用量は、毎日1回で2週間、3週間、又は4週間投与される。
ある実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、本明細書に記載の方法により対象に皮下投与される。一部の実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、本明細書に記載の方法により対象に静脈内または筋肉内投与される。ある実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、本明細書に記載の方法により対象に腫瘍内投与される。一部の実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、本明細書に記載の方法により対象における部位(例えば、感染の部位)に局所投与される。
ある実施形態において、本明細書に記載の方法により対象から得られる試料は、血液試料である。具体的な実施形態において、試料は血漿試料である。IL-15の基底血漿レベルは、ヒトにおいておよそ1pg/ml、サル(例えば、マカク)においておよそ8~10pg/ml、および齧歯動物(例えば、マウス)においておよそ12pg/mである。当業者に公知の技術を使用して対象から試料を得ることができる。
具体的な実施形態において、本明細書に記載の方法により向上される免疫機能の例としては、リンパ球の増殖/拡大(例えば、リンパ球数の増加)、リンパ球のアポトーシスの阻害、樹状細胞(または抗原提示細胞)の活性化、および抗原提示が挙げられる。特定の実施形態において、本明細書に記載の方法により向上される免疫機能は、CD4+T細胞(例えば、Th1およびTh2ヘルパーT細胞)、CD8+T細胞(例えば、細胞傷害性Tリンパ球、アルファ/ベータT細胞、およびガンマ/デルタT細胞)、B細胞(例えば、形質細胞)、メモリーT細胞、メモリーB細胞、樹状細胞(未成熟または成熟)、抗原提示細胞、マクロファージ、マスト細胞、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)、腫瘍常在性T細胞、CD122+T細胞、またはナチュラルキラー細胞(NK細胞)の数の増殖/拡大またはそれらの活性化である。一実施形態において、本明細書に記載の方法は、リンパ球前駆細胞の増殖/拡大またはその数を向上させる。一部の実施形態において、本明細書に記載の方法は、CD4+T細胞(例えば、Th1およびTh2ヘルパーT細胞)、CD8+T細胞(例えば、細胞傷害性Tリンパ球、アルファ/ベータT細胞、およびガンマ/デルタT細胞)、B細胞(例えば、形質細胞)、メモリーT細胞、メモリーB細胞、樹状細胞(未成熟または成熟)、抗原提示細胞、マクロファージ、マスト細胞、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)、腫瘍常在性T細胞、CD122+T細胞、またはナチュラルキラー細胞(NK細胞)の数を、陰性対照に対しておよそ1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、またはそれ以上増加させる。
具体的な実施形態において、本明細書に記載の方法は、当該技術分野において周知のアッセイ、例えば、ELISPOT、ELISA、および細胞増殖アッセイを使用してIL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せを投与していない対象における免疫機能に対して対象における免疫機能を少なくとも0.2倍、0.5倍、0.75倍、1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、または少なくとも10倍だけ向上させ、または誘導する。具体的な実施形態において、本明細書に記載の方法は、当該技術分野において周知のアッセイ、例えば、ELISPOT、ELISAおよび細胞増殖アッセイを使用してIL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せを投与していない対象における免疫機能に対して対象における免疫機能を少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、または少なくとも10%だけ向上させ、または誘導する。具体的な実施形態において、免疫機能はサイトカイン放出(例えば、インターフェロン-ガンマ、IL-2、IL-5、IL-10、IL-12、またはトランスフォーミング成長因子(TGF)-ベータ)である。一実施形態において、IL-15媒介免疫機能はNK細胞増殖であり、それは、例えば、フローサイトメトリーによりアッセイしてNK細胞のマーカー(例えば、CD56)を発現する細胞数を検出することができる。一実施形態において、IL-15媒介免疫機能はCD8+T細胞増殖であり、それは、例えば、フローによりアッセイすることができる。別の実施形態において、IL-15媒介免疫機能は抗体産生であり、それは、例えば、ELISAによりアッセイすることができる。一部の実施形態において、IL-15媒介免疫機能はエフェクター機能であり、それは、例えば、細胞毒性アッセイまたは当該技術分野において周知の他のアッセイによりアッセイすることができる。末梢血リンパ球数に対する1つ以上のIL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せの1回以上の投与の効果は、当業者に公知の標準的な技術を使用してモニタリング/評価することができる。哺乳動物における末梢血リンパ球数は、例えば、前記哺乳動物から末梢血の試料を得、例えば、Ficoll-Hypaque(Pharmacia)勾配遠心分離を使用して末梢血の他の構成成分、例えば、血漿からリンパ球を分離し、トリパンブルーを使用してリンパ球を計数することにより決定することができる。哺乳動物における末梢血T細胞数は、例えば、例えばFicoll-Hypaque(Pharmacia)勾配遠心分離の使用を使用して末梢血の他の構成成分、例えば、血漿からリンパ球を分離し、T細胞抗原、例えば、CD3、CD4、およびCD8に指向されるFITCまたはフィコエリスリンにコンジュゲートしている抗体によりT細胞を標識し、FACSによりT細胞の数を計測することにより決定することができる。さらに、T細胞の特定のサブセット(例えば、CD2+、CD4+、CD8+、CD4+RO+、CD8+RO+、CD4+RA+、またはCD8+RA+)またはNK細胞に対する効果は、当業者に公知の標準的な技術、例えば、FACSを使用して決定することができる。
IL-15および/またはPD-1の血漿レベルは、当業者に公知の標準的な技術を使用して評価することができる。例えば、血漿は、対象から得られた血液試料から得ることができ、血漿中のIL-15および/またはPD-1のレベルは、ELISAにより計測することができる。
併用療法
IL-15/IL-15Rαと組み合わせて使用可能な他の治療法もまた、本開示により提供される。一態様では、がんを予防、治療、及び/又は管理するための方法であって、IL-15/IL-15Rα複合体及び抗PD-1抗体分子又はIL-15/IL-15Rα複合体及び抗PD-1抗体分子を含む組成物を有効量でそれを必要とする対象に投与するステップを含む方法が本明細書に提供される。本明細書において使用される用語「癌」は、組織病理学タイプまたは浸潤のステージにかかわらず癌性成長または癌遺伝子プロセス、転移性組織または悪性形質転換細胞、組織、もしくは臓器の全てのタイプを含むことを意味する。具体的な実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体は、同一の反復用量、あるいは用量漸増レジメンのいずれかにおいて皮下投与される。具体的な実施形態において、抗PD-1抗体分子は、均一投与レジメンにおいて静脈内注入として投与される。
具体的な実施形態において、本明細書に記載の方法による対象へのIL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せの投与は、1、2、もしくは3つまたはそれ以上の結果を達成する:(1)腫瘍または新生物の成長の低減;(2)腫瘍の形成の低減;(3)原発性、局所性および/または転移性癌の根絶、除去または制御;(4)転移拡散の低減;(5)死亡率の低減;(6)生存率の増加;(7)生存期間の増加;(8)寛解患者数の増加;(9)入院率の減少;(10)入院期間の減少;ならびに(11)腫瘍のサイズが10%超だけ、または8%超だけ、または6%超だけ、または4%超だけ増加しない;好ましくは腫瘍のサイズが2%超だけ増加しないような、腫瘍のサイズの維持。
具体的な実施形態において、本明細書に記載の方法による癌を有する対象(一部の実施形態において、癌についての動物モデル)へのIL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せの投与は、当該技術分野において周知のアッセイを使用して計測して、陰性対照を投与した癌を有する対象(一部の実施形態において、癌についての同一の動物モデル)における腫瘍の成長に対して腫瘍の成長を少なくとも2倍、好ましくは少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、または少なくとも10倍だけ阻害し、または低減させる。別の実施形態において、本明細書に記載の方法による癌を有する対象(一部の実施形態において、癌についての動物モデル)へのIL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せの投与は、当該技術分野において周知のアッセイを使用して計測して、陰性対照、またはIL-15/IL-15Rα複合体もしくは抗PD-1抗体分子を単一薬剤として投与した癌を有する対象(一部の実施形態において、癌についての同一の動物モデル)における腫瘍の成長に対して腫瘍の成長を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%だけ阻害し、または低減させる。
癌性障害の例としては、限定されるものではないが、固形腫瘍、血液腫瘍、軟部組織腫瘍、および転移性病変が挙げられる。固形腫瘍の例としては、種々の臓器系の悪性腫瘍、例えば、肉腫、および癌腫(例として、腺癌および扁平上皮癌)、例えば、肝臓、肺、乳房、リンパ、胃腸管(例えば、結腸)、尿生殖路(例えば、腎細胞、尿路上皮細胞)、前立腺および咽頭を冒すものが挙げられる。腺癌としては、悪性腫瘍、例えば、ほとんどの結腸癌、直腸癌、腎細胞癌、肝臓癌、肺の非小細胞癌、小腸の癌および食道の癌が挙げられる。扁平上皮癌としては、例えば、肺、食道、皮膚、頭頸部領域、口腔、肛門、および頸部中の悪性腫瘍が挙げられる。一実施形態において、癌は、黒色腫、例えば、進行期黒色腫である。上記の癌の転移性病変も、本発明の方法および組成物を使用して治療または予防することができる。
本明細書に開示されるIL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せを使用して成長を阻害することができる例示的な癌としては、免疫療法に典型的に応答性である癌が挙げられる。治療のための好ましい癌の非限定的な例としては、黒色腫(例えば、転移性悪性黒色腫)、腎臓癌(例えば、淡明細胞癌)、前立腺癌(例えば、ホルモン不応性前立腺腺癌)、乳癌、結腸癌および肺癌(例えば、非小細胞肺癌)が挙げられる。さらに、本明細書に記載の組合せ療法を使用して不応性または再発性悪性腫瘍を治療することができる。
治療することができる他の癌の例としては、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部の癌、皮膚または眼内悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、腎臓癌、肛門癌、胃食道、胃癌、精巣癌、子宮癌、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰の癌腫、メルケル細胞癌、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、食道の癌、小腸の癌、内分泌系の癌、甲状腺の癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟部組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、慢性または急性白血病、例として、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、幼児の固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱の癌、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、腎臓または尿管の癌、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊椎軸腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮癌、T細胞リンパ腫、環境誘導癌、例として、石綿により誘導されるもの(例えば、中皮腫)、および前記癌の組合せが挙げられる。
具体的な実施形態において、癌は、黒色腫、腎臓癌、結腸癌、または前立腺癌である。別の実施形態において、癌は、転移性である。別の実施形態では、対象は、免疫チェックポイント阻害剤(CPI)、例えば抗PD-1/PD-L1、及び抗CTLA-4で先行治療されており、且つ応答し、進行している。
IL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せは、1つ以上の他の治療薬、例えば、抗癌剤、サイトカインまたは抗ホルモン剤と一緒に投与して癌を治療および/または管理することができる。抗癌剤の非限定的な例は、以下に記載される。
一実施形態では、対象における障害、例えば対象における高増殖性状態又は障害(例えばがん)を予防、治療及び/又は管理するための方法であって、抗PD-1抗体分子を対象に投与するステップを含む方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体分子は、約200mg~500mg、例えば、約250mg~450mg、約300mg~400mg、約250mg~350mg、約350mg~450mg、又は約300mg若しくは約400mgの用量(例えば均一用量)で注射(例えば皮下又は静脈内)により投与される。投与スケジュール(例えば均一投与スケジュール)は、例えば、週1回から2週、3週、4週、5週、又は6週ごとに1回にかけて変化し得る。一実施形態では、抗PD-1抗体分子は、約300mg~400mgの用量で3週ごとに1回又は4週ごとに1回投与される。一実施形態では、抗PD-1抗体分子は、約300mgからの用量で3週ごとに1回投与される。一実施形態では、抗PD-1抗体分子は、約400mgからの用量で4週ごとに1回投与される。一実施形態では、抗PD-1抗体分子は、約300mgからの用量で4週ごとに1回投与される。一実施形態では、抗PD-1抗体分子は、約400mgからの用量で3週ごとに1回投与される。
本明細書に記載の方法に従い、IL-15/IL-15Rα複合体は、医薬組成物中で対象に投与されてもよい。具体的な実施形態では、IL-15/IL-15Rα複合体は、1以上の他の治療法、例えば抗PD-1抗体分子と組み合わせて投与される。併用療法は、IL-15/IL-15Rα複合体及び抗PD-1抗体分子の同時及び連続投与を含む。本明細書で用いられるとき、IL-15/IL-15Rα複合体及び抗PD-1抗体分子は、それらが同じ日に、例えば、同時に、又は1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、若しくは8時間間隔で患者に投与される場合、同時に投与されると言われる。それに対し、IL-15/IL-15Rα複合体及び抗PD-1抗体分子は、それらが異なる日に患者に投与される場合、連続的に投与されると言われ、例えば、IL-15/IL-15Rα複合体及び抗PD-1抗体分子は、1日、2日又は3日間隔で投与され得る。本明細書に記載の方法では、IL-15/IL-15Rα複合体の投与は、抗PD-1抗体分子の投与に先行又は後続し得る。同時に投与されるとき、IL-15/IL-15Rα複合体及び抗PD-1抗体分子は、同じ医薬組成物中又は異なる医薬組成物中であり得る。
IL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せは、例えば、x線、ガンマ線およびの他の放射線源の使用を含む放射線療法と一緒に投与して癌細胞を破壊することもできる。具体的な実施形態において、放射線治療は、外部ビーム放射または遠隔療法(放射線が離隔源から指向される)として施与される。他の実施形態において、放射線治療は、内科療法または近接照射療法として施与され、放射能線源は、癌細胞または腫瘍塊に近い身体の内側に配置される。IL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子は、化学療法との組合せで投与することもできる。一実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子は、本明細書に記載の方法により放射線療法または化学療法の前、その間またはその後に投与することができる。一実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せは、手術の前、その間またはその後に投与することができる。
一部の実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せは、癌を罹患し、または癌と診断された対象に投与される。他の実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体の抗PD-1抗体分子の組合せは、癌を発症しやすく、または発症すると疑われる対象に投与される。
ある実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せは、0~6カ月齢、6~12カ月齢、1~5歳、5~10歳、10~15歳、15~20歳、20~25歳、25~30歳、30~35歳、35~40歳、40~45歳、45~50歳、50~55歳、55~60歳、60~65歳、65~70歳、70~75歳、75~80歳、80~85歳、85~90歳、90~95歳または95~100歳の対象に投与される。他の実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せは、ヒト成人に投与される。ある実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せは、手術、化学療法および/または放射線療法を受けている、受ける予定である、または受けた対象に投与される。一部の実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せは、不応性患者に投与される。ある実施形態において、不応性患者は、標準的な抗癌療法に不応性の患者である。ある実施形態において、癌が有意に根絶されず、および/または症状が有意に緩和されなかった場合、癌を有する患者は治療法に不応性である。患者が不応性か否かの決定は、そのような背景において当該技術分野において認められている意味の「不応性」を使用して、治療の有効性をアッセイするための当該技術分野において公知の任意の方法によりインビボまたはインビトロのいずれかで行うことができる。種々の実施形態において、癌性腫瘍が減少せず、または増加した場合、癌を有する患者は不応性である。
本発明の他の方法を使用して特定の毒素または病原体に曝露された患者を治療する。したがって、本発明の別の態様は、対象における感染性疾患を治療する方法であって、本明細書に開示される組合せ、例えば、IL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子を含む組合せを対象に投与し、その結果、対象を感染性疾患について治療することを含む方法を提供する。
感染(例えば、急性および/または慢性)の治療において、IL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せの投与は、感染に対する自然宿主免疫防御の刺激に加え、またはその代わりに慣用の治療と組み合わせることができる。感染に対する自然宿主免疫防御としては、限定されるものではないが、炎症、発熱、抗体媒介宿主防御、Tリンパ球媒介宿主防御、例として、リンホカイン分泌および細胞傷害性T細胞(特にウイルス感染の間)、補体媒介溶解およびオプソニン化(食作用の容易化)、ならびに食作用が挙げられる。機能不全T細胞を再活性化させる抗PD-1抗体分子の能力は、慢性感染、特に、細胞媒介免疫が完全回復に重要であるものを治療するために有用である。
抗体媒介PD-1遮断は、IL-15/IL-15Rα複合体投与に対するアジュバントとして、またはIL-15/IL-15Rα複合体および/もしくはワクチンとの組合せで作用して病原体、毒素および自己抗原に対する免疫応答を刺激することができる。この治療アプローチが特に有用であり得る病原体の例としては、有効なワクチンが現存しない病原体、または慣用のワクチンが完全に有効ではない病原体が挙げられる。これらとしては、限定されるものではないが、HIV、肝炎(A、B、およびC)、インフルエンザ属(Influenza)、ヘルペス属(Herpes)、ジアルジア属(Giardia)、マラリア属(Malaria)、リーシュマニア属(Leishmania)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas Aeruginosa)が挙げられる。IL-15/IL-15Rα複合体およびPD-1遮断による免疫系刺激は、感染の過程にわたり変更した抗原を提示する作用物質、例えば、HIVによる確立した感染に対して特に有用である。これらの新規エピトープは治療時点において外来物質として認識され、したがって、例えば、PD-1を介する負のシグナルにより減衰されない強力なT細胞応答を誘発する。
疾患、例えば、癌、感染性疾患、リンパ球減少、免疫不全および創傷の予防、治療および/または管理のためにIL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子との組合せで使用することができる他の治療法としては、限定されるものではないが、小分子、合成薬物、ペプチド(環状ペプチドを含める)、ポリペプチド、タンパク質、核酸(例えば、DNAおよびRNAヌクレオチド、例として、限定されるものではないが、アンチセンスヌクレオチド配列、3重らせん、RNAi、および生物学的に活性なタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドをコードするヌクレオチド配列)、抗体、合成または天然の無機分子、模倣薬剤、ならびに合成または天然の有機分子が挙げられる。このような治療法の具体例としては、限定されるものではないが、免疫調節剤(例えば、インターフェロン)、抗炎症剤(例えば、アドレノコルチコイド、コルチコステロイド(例えば、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン、糖質コルチコイド、ステロイド、および非ステロイド性抗炎症性薬(例えば、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナク、およびCOX-2阻害剤)、鎮痛薬、ロイコトリエンアンタゴニスト(例えば、モンテルカスト、メチルキサンチン、ザフィルルカスト、およびザイリュートン)、ベータ2-アゴニスト(例えば、アルブテロール、ビテロール(biterol)、フェノテロール、イソエタリエ(isoetharie)、メタプロテレノール、ピルブテロール、サルブタモール、テルブタリンホルモテロール、サルメテロール、およびサルブタモールテルブタリン)、抗コリン作動剤(例えば、臭化イプラトロピウムおよび臭化オキシトロピウム)、スルファサラジン、ペニシラミン、ダプソン、抗ヒスタミン薬、抗マラリア剤(例えば、ヒドロキシクロロキン)、抗ウイルス剤(例えば、ヌクレオシド類似体(例えば、ジドブジン、アシクロビル、ガンシクロビル、ビダラビン、イドクスウリジン、トリフルリジン、およびリバビリン)、フォスカーネット、アマンタジン、リマンタジン、サキナビル、インジナビル、リトナビル、およびAZT)ならびに抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(旧名アクチノマイシン)、ブレオマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))が挙げられる。
IL-15機能/シグナリングおよび/または/免疫チェックポイントモジュレーションにより影響を受ける疾患の予防、管理、および/または治療に有用であることが公知の、またはそれに使用された、もしくは現在使用されている任意の治療法を、IL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せ療法との組合せで使用することができる。疾患または障害、例えば、癌、感染性疾患、リンパ球減少、免疫不全および創傷の予防、治療および/または管理に使用された、または現在使用されている治療法(例えば、予防または治療剤)に関する情報については、例えば、Gilman et al.,Goodman and Gilman’s:The Pharmacological Basis of Therapeutics,10th ed.,McGraw-Hill,New York,2001;The Merck Manual of Diagnosis and Therapy,Berkow,M.D.et al.(eds.),17th Ed.,Merck Sharp & Dohme Research Laboratories,Rahway,NJ, 1999;Cecil Textbook of Medicine,20th Ed.,Bennett and Plum(eds.),W.B.Saunders,Philadelphia,1996,and Physicians’Desk Reference(66th ed.2012)参照。
IL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せ療法に加えて使用することができる1つ以上の他の治療法の非限定的な例としては、免疫調節剤、例えば、限定されるものではないが、化学療法剤および非化学療法免疫調節剤が挙げられる。化学療法剤の非限定的な例としては、メトトレキサート、シクロスポリンA、レフルノミド、シスプラチン、イホスファミド、タキサン、例えば、タキソールおよびパクリタキソール、トポイソメラーゼI阻害剤(例えば、CPT11、トポテカン、9AC、およびGG211)、ゲムシタビン、ビノレルビン、オキサリプラチン、5-フルオロウラシル(5-FU)、ロイコボリン、ビノレルビン、テモダール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、糖質コルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシンホモログ、ならびにシトキサンが挙げられる。
生物学的活性
一態様において、IL-15/IL-15Rα複合体および/または抗PD-1抗体分子は、例えば、抗体応答(体液性応答)または細胞性免疫応答、例えば、サイトカイン分泌(例えば、インターフェロンガンマ)、ヘルパー活性または細胞性細胞毒性であり得る免疫応答を増加させる。一実施形態において、免疫応答の増加は、サイトカイン分泌、抗体産生、エフェクター機能、T細胞増殖、および/またはNK細胞増殖の増加である。このような活性を計測するための種々のアッセイは当該技術分野において周知であり、それとしては、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA;例えば、Current Protocols in Immunology,Coligan et al.(eds.),John Wiley and Sons,Inc.1997のセクション2.1参照)、抗原特異的T細胞を同定するための「四量体染色」アッセイ(Altman et al.,(1996),Science 274:94-96参照)、混合リンパ球標的培養アッセイ(例えば、Palladino et al.,(1987),Cancer Res.47:5074-5079参照)およびインビトロでサイトカイン放出を計測するために使用することができるELISPOTアッセイ(例えば、Scheibenbogen et al.,(1997),Int.J.Cancer 71:932-936参照)が挙げられる。
一部の態様において、IL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せにより誘導または向上される免疫応答は、当該技術分野において公知の任意の方法によりアッセイして陰性対照により、または単一薬剤として投与されるIL-15/IL-15Rα複合体もしくは抗PD-1抗体分子により誘発される免疫応答に対して少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、または12倍向上され、または増加する。ある実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せに誘導される免疫応答は、当該技術分野において公知の任意の方法によりアッセイして陰性対照により誘導される免疫応答に対して少なくとも0.5~2倍、少なくとも2~5倍、少なくとも5~10倍、少なくとも10~50倍、少なくとも50~100倍、少なくとも100~200倍、少なくとも200~300倍、少なくとも300~400倍または少なくとも400~500倍だけ向上される。具体的な実施形態において、免疫応答を評価するために使用されるアッセイは、抗体産生、サイトカイン産生、または細胞性細胞毒性のレベルを計測し、そのようなアッセイは当該技術分野において周知である。一部の実施形態において、免疫応答を計測するために使用されるアッセイは、抗体またはサイトカインレベルを決定する酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、サイトカイン放出を決定するELISPOTアッセイ、または細胞性細胞毒性を決定する[51Cr]放出アッセイである。
具体的な実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せは、ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)により活性化される全血上のIL-2の発現を増加させる。例えば、IL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子は、IL-15/IL-15Rα複合体、抗PD-1抗体分子またはアイソタイプ対照(例えば、IgG4)が単独使用される場合のIL-2の発現と比較してIL-2の発現を少なくとも約2、3、4、または5倍だけ増加させる。相加または相乗的効果は、IL-15/IL-15Rα複合体を抗PD-1抗体分子と同日に投与した場合が、IL-15/IL-15Rα複合体を抗PD-1抗体分子の投与の72時間後に投与した場合よりも明白であった。
一実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せと接触させた癌細胞の増殖または生存度は、当該技術分野において周知のアッセイ、例えば、CSFE、BrdU、および放射性チミジン取り込みを使用する細胞増殖アッセイを使用して計測して、陰性対照または単一薬剤としてのIL-15/IL-15Rα複合体または抗PD-1抗体分子と接触させた場合の癌細胞の増殖に対して少なくとも2倍、好ましくは少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも7倍、または少なくとも10倍だけ阻害され、または減少する。あるいは、細胞生存度は、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、細胞溶解時に放出される安定的細胞質酵素を計測するアッセイにより、または細胞溶解時の[51Cr]の放出により計測することができる。別の実施形態において、IL-15/IL-15Rα複合体および抗PD-1抗体分子の組合せと接触させた癌細胞の増殖は、当該技術分野において周知のアッセイ、例えば、CSFE、BrdU、および放射性チミジン取り込みを使用する細胞増殖アッセイを使用して計測して、陰性対照または単一薬剤としてのIL-15/IL-15Rα複合体もしくは抗PD-1抗体分子と接触させた癌細胞に対して少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%だけ阻害され、または低減する。
このようなアッセイを実施することができる癌細胞系は、当業者に周知である。壊死、アポトーシスおよび増殖アッセイを初代細胞、例えば、組織外植片に対して実施することもできる。
一実施形態において、壊死細胞は、色素、例えば、ニュートラルレッド、トリパンブルー、またはALAMAR(商標)ブルー(Page et al.,(1993),Intl.J.of Oncology 3:473-476)を取り込む細胞の能力の有無により計測される。このようなアッセイにおいて、細胞を、色素含有培地中でインキュベートし、細胞を洗浄し、細胞の色素の取り込みを反映する残留色素を分光光度法により計測する。別の実施形態において、色素はスルホローダミンB(SRB)であり、タンパク質へのその結合を細胞毒性の尺度として使用することができる(Skehan et al.,(1990),J.Natl Cancer Inst.82:1107-12)。さらに別の実施形態において、テトラゾリウム塩、例えば、MTTが、生存しており死滅していない細胞を検出することによる哺乳動物細胞の生存および増殖についての定量的比色アッセイに使用される(例えば、Mosmann,(1983),J.Immunol.Methods 65:55-63参照)。
他の実施形態において、アポトーシス細胞が、培養物の付着および「浮遊」コンパートメントの両方で計測される。両方のコンパートメントは、上清を除去し、付着細胞をトリプシン処理し、遠心分離洗浄ステップ(10分間、2000rpm)の後に両方の調製物を組み合わせることにより回収される。スリンダクおよび関連化合物により腫瘍細胞培養物を治療して有意な量のアポトーシスを得るためのプロトコルが文献に記載されている(例えば、Piazza et al.,(1995)Cancer Research 55:3110-16参照)。この方法の特徴は、浮遊および付着細胞の両方を回収し、アポトーシスの観察に最適な治療時間および用量範囲を同定し、最適な細胞培養条件を同定することを含む。別の実施形態において、アポトーシスは、DNA断片化を計測することにより定量化される。DNA断片化の定量的インビトロ決定のための市販の光度測定方法が、利用可能である。このようなアッセイの例、例として、TUNEL(断片化DNA中の標識ヌクレオチドの取り込みを検出する)およびELISAベースアッセイは、Biochemica,(1999),no.2,pp.34-37(Roche Molecular Biochemicals)に記載されている。さらに別の実施形態において、アポトーシスを形態的に観察することができる。
本開示の1以上の実施形態の詳細は、付属する上の説明の中で示される。本明細書の記載に類似又は相当する任意の方法及び材料を本開示の実施又は試験にて用いることができるが、ここでは好ましい方法及び材料が説明される。本開示の他の特徴、対象物、及び利点は、説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。本明細書及び貼付の特許請求の範囲において、文脈が明確にそうでない旨を表さない限り、単数形は複数の参照対象を含む。特に定義されない限り、本明細書で用いられるすべての科学技術用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解されている場合と同じ意味を有する。本明細書で引用されるすべての特許及び刊行物は、別段の指示がない限り、適用可能として参照により援用される。以下の実施例は、本開示の好ましい実施形態をより十分に例示するため、提示される。これらの実施例は、貼付の特許請求の範囲によって定義される、開示される主題の範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
具体的な実施形態、引用および参照文献
本発明は、本明細書に記載の具体的な実施形態により範囲が限定されるべきでない。実際、本明細書に記載のものに加えて、本発明の種々の改変が、上記の詳細な説明および添付の図面から当業者に明らかとなる。このような改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内に収まるものとする。
種々の参照文献、例として、特許出願、特許、および科学刊行物が本明細書において引用され;それぞれのそのような参照文献の開示は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
実施例1:CHO細胞株中でのhetIL-15の産生
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)親細胞株CHO-MaKoを使用し、(「hetIL-15」とも称される)IL-15/IL-15Rαヘテロ二量体を産生した。CHO-MaKo細胞株は、Znフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)技術を用いて、CHO-C8TD内のマトリプターゼ遺伝子の標的化欠失によって誘導した。プロテアーゼマトリプターゼは、CHO細胞内での種々の組換え治療用タンパク質の分解に関与することが見出された。CHO-C8TDは、WCB070625からの親細胞株CHO-K1PDの単一バイアルから誘導した。CHO-K1PDは、最初にATCCから入手したCHO-K1細胞株(カタログ番号CCL-61.3)から誘導した。CHO-MaKo細胞株についての詳細は、国際公開第2015/166427号パンフレット(参照により本明細書中に援用される)中に見出すことができる。
CHO-MaKo細胞は、エレクトロポレーションにより、(IL-15(インターロイキン15)及びIL015Rα(インターロイキン15受容体α)をコードする)直線化ベクターpBW1697及びIL-15RαをコードするpBW1703をコトランスフェクトした。2日の回復期後、トランスフェクト細胞プールを、メトトレキサート(MTX)を添加した低葉酸塩培地中で数週間培養し、組換え細胞について選択した。IL-15の発現を増加させるため、回収した細胞プールに、エレクトロポレーションにより、IL-15をコードする直線化ベクターpBW1916をトランスフェクトした。2日の回復期後、トランスフェクト細胞プールを、メトトレキサート(MTX)及びピューロマイシンを添加した低葉酸塩培地中で数週間培養し、組換え細胞について選択し、それから単一細胞をFACSにより選別した。選択したクローンに対し、バイオリアクター性能、mRNAのサイズ及び完全性(ノーザンブロットによる)、導入遺伝子のコピー数(qPCRによる)、発現カセットのサイズ及び完全性(サザンブロットによる)及び配列検証(NGSによる)に関してさらに特徴づけた。
pBW1697、pBW1703及びpBW1916のベクターマップを図1に提示する。表3は、最終発現構築物及び発現カセットの概要を提示する。
表1に示す通り、2つの異なるIL-15発現カセットを使用した:pBW1697では、114aaのIL-15鎖に先行する29aaの天然シグナルペプチド(自体のSP)及び19aaの天然プロペプチド配列をオープンリーディングフレーム(ORF)内に含める。pBW1916では、IL-15鎖を、いわゆるUTR12シグナルペプチド(UTR12 SP)と組み合わせる。
IL-15Rαについても、2つの異なるORFから発現させた。pBW1697では、完全長受容体(IL-15Rα FL)をその天然シグナルペプチド(自体のSP)とともに使用する。pBW1703では、IL-15Rαの可溶性バージョンをUTR12 SPとともに発現させる。
実施例2.IL-15/IL-15Rαヘテロ二量体の産生
IL-15/IL-15Rαを組換えチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株により産生する。産生は、バイオリアクター内の標準フェドバッチ産生プロセスを使用して実施する。
マスター細胞バンクからの1つの凍結バイアルを解凍し、拡大培地に懸濁する。一連の振盪フラスコ継代を実施し、接種材料の体積を拡大させる。接種材料体積及び生細胞密度が十分に高いとき(生細胞密度が約4.8×106個の細胞/mL;生存度>90%)、接種材料を第1のシードリアクターに移す。
前ステップからの接種材料を、拡大培地を含有する第1のシードバイオリアクターに移し、バッチモードでさらに培養する。生細胞密度が十分であるとき(生細胞密度が約5.4×106個の細胞/mL)、培養物を使用し、第2のシードバイオリアクターに接種する。
第1のシードバイオリアクターからの培養物を、拡大培地を含有する第2のシードバイオリアクターに移し、バッチモードでさらに培養する。生細胞密度が十分であるとき(生細胞密度が約5.6×106個の細胞/mL)、培養物を使用し、産生バイオリアクターに接種する。
産生バイオリアクターをフェドバッチモードで作動させる。ステップ3からの培養物を、産生培地を含有する産生バイオリアクターに移す。2つのフィード溶液の供給は、バイオリアクターの実行全体を通じて実施する。両方のフィード添加は、約2×106個の細胞/mLの生細胞密度で開始する。約12.5×106個の細胞/mLの生細胞密度で、培養温度を36.5℃から33.0℃に変化させる。細胞生存度が≦75%に低下するときか、又は産生開始から約14日後、収集を開始する。バイオバーデン及び外来性物質について、バルク収集物の各ロットを監視する。
精製プロセスは、ウイルス不活化/除去に供される2つのステップ、即ち低pHインキュベーション及びナノ濾過を含む。最終的に、生成物を最終緩衝液に濃縮し、ダイアフィルトレーションする。
実施例3.O-グリカン組成物の判定
マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI-MS)により、O-グリカンを分析した。このため、O-結合型グリカンを還元的β除去法(reductive beta-elimination method)によりタンパク質から化学的に切断し、MS検出前に過メチル化により誘導体化する。MSデータに基づき、同定及び半定量的結果を生成する。5つすべてのバッチ内の主要なグリカン種の同一性及び相対的存在量を表4にまとめる。
図6は、様々な種の分布をバーチャートの形式で描出する。
O-グリカン変異体における有意差及び分布が、異なる細胞株由来のhetIL-15バッチ間で認められる。HEK293バッチは、コア2タイプ変異体(C2G、C2S1、C2GS1、C2GS2)の約50%を含有する。これらは、専らCHO由来バッチにおいて痕跡レベルで検出される。CHOバッチにおいては、HEK293バッチと比べてより高レベルのコア1モノシアリル化変異体(C1S1)が検出された(各々、約50%対約15%)。すべてのバッチのシアリル化の全体レベルは、非常に高い(>97%)。認められた差異に起因し、HEK293及びCHO細胞に由来するバッチは、それらの一般的なO-グリカン組成物に関しては同等でないと考えられる。
図7は、コア1タイプのO-グリカン型(「C1」)の基本的構造を示す。他のグリカン残基(例えばシアル酸)との延長により、表4に列挙されるようなより複雑な構造(例えば、C1S1、C1S2)が得られる。コア1の構造モチーフは、すべての分析されたバッチ内に存在する。下の図8は、コア2タイプのO-グリカン型(「C2」)の基本的構造を示す。他のグリカン残基との延長により、表4に列挙されるようなより複雑な構造(例えば、C2S1、C2GS1)が得られる。この構造は、HEK293バッチ内に限り、有意なレベルで検出している。
O-グリカンを、シアル酸の結合型に関してさらに特徴づけた。β除去方法によるタンパク質からの化学的切断後、エチルエステル化による誘導体化を実施した。エチルエステル化後のO-結合型グリカンのMS分析により、シアル酸の結合情報(α2,3又はα2,6)が得られるが、それはあくまで定性ベースで実施した。
HEK293及びCHOバッチの双方は、シアル酸結合の2つのタイプ(α2,3及びα2,6)を示す。これは、ヒト細胞(HEK293)内で発現されるタンパク質においては想定されるが、CHO細胞内で発現されるタンパク質においては一般的でない。下の図9は、CHO臨床バッチBC0001における質量スペクトルを示す。α2,6結合シアル酸の相対的強度は、α2,3結合シアル酸でのより優勢な変異体と比べてむしろ低い。
シアル酸の特性及び含量は、逆相クロマトグラフィーにより評価した。化学的切断及び蛍光標識後、シアル酸を勾配溶出によりカラム上で分離し、蛍光検出により定量化した。
N-アセチルノイラミン酸は、ヒト糖タンパク質における主要なシアル酸である。N-グリコリルノイラミン酸は、非ヒト糖タンパク質において見出され、望ましくない。したがって、N-グリコリルノイラミン酸に対して高い比のN-アセチルノイラミン酸が好ましい。
HEK293バッチは、非常に高い比を示す。これらのバッチ内のN-グリコリルノイラミン酸の量は、無視できると考えることができる。
CHOバッチは、200超に匹敵する高い比を示す。これは、0.5%未満の望ましくないN-グリコリルノイラミン酸がこれらのサンプル中に存在することを示す。
実施例4.N-グリカン組成物の判定
N-グリカンを、hetIL-15ヘテロ二量体から酵素的に切断し、RapiFluor(商標)技術を用いて蛍光標識及び三次アミンで誘導体化した。精製後、標識したN-グリカンを、MS(質量分析)と関連した蛍光検出を用いるHILIC(親水性相互作用液体クロマトグラフィー)により分析した。
図10におけるクロマトグラムは、1つのHEK293由来のバッチ及び1つのCHO由来のバッチのオーバーレイを示す。2つの異なる細胞株由来のCHOバッチ間で、N-グリカン集団における有意差及び分布が認められる。主要なN-グリカン種は異なり、HEK293バッチの特性が異質性分布を示す一方で、CHOバッチの特性はより均一である。
5つすべてのバッチ内の主要なN-グリカン種の同一性及び相対的ピーク面積を表5にまとめる。
図11のクロマトグラムは、3つのHEK293バッチのオーバーレイを示す。3つのバッチの全体的な糖パターン及び主要形態の順番は類似し、認められた差異は、想定されるバッチ間の可変性の範囲内である。主要な種がガラクトシル化に関する(FA2B/FA2/FA3/FA4)一方で、高レベルのシアリル化が認められた。多数の多様なシアリル化グリカンが低レベルで検出された。脱フコシル化及び高マンノースグリカンなどの薬物動態又は免疫原性に対して潜在的影響を有する種は検出されなかった。
図12のクロマトグラムは、2つのCHOバッチのオーバーレイを示す。2つのバッチの糖パターンは酷似する。2つの主要なシアリル化種(FA2G2S2及びFA2G2S1)は、N-グリカン集団の約60%に寄与する。脱フコシル化及び高マンノースグリカンなどの薬物動態又は免疫原性に対して潜在的影響を有する種は検出されなかった。
実施例5.転移がんを有する成人におけるIL-15/IL-15Rα複合体の単独又は抗PD-1抗体分子との組み合わせについての第I/Ib相試験
本実施例は、単独で又は抗PD-1抗体分子と組み合わせて固形腫瘍又はリンパ腫を有するヒト患者に投与される、CHO細胞株によって産生される皮下(SC)組換えヘテロ二量体IL-15/可溶性IL-15Rα複合体(hetIL-15)の安全性、耐容性、用量制限毒性(DLT)及び最大耐用量(MTD)を判定するための試験を説明する。
目的
この第I/Ib相試験の目的は、CHO細胞株によって産生されるヘテロ二量体IL-15/可溶性IL-15Rα複合体(hetIL-15)(「CHO hetIL-15」と称される)の安全性特性を判定することであり、且つそれが抗PD-1抗体と安全に組み合わせ可能である場合には、さらなる試験に対する適切な用量及びスケジュールを決定することである。さらに、試験では、CHO hetIL-15の薬物動態特性を単剤及び抗PD-1抗体との組み合わせとして特徴づけ、予備的な抗腫瘍活性を同定することになる。
一次目的は、以前に免疫チェックポイント阻害剤(CPI)に応答し、進行した固形腫瘍及びリンパ腫を有する患者(二次耐性患者)において、CHO hetIL-15の安全性、耐容性を単剤及び抗PD-1抗体との組み合わせとして特徴づけることである。
二次目的は、1)CHO hetIL-15及び抗PD-1抗体の予備的な抗腫瘍活性を評価し;且つ2)単剤及び抗PD-1抗体との組み合わせとしてのCHO hetIL-15の薬物動態(PK)並びに抗PD-1抗体のPKを特徴づけることである。
試験設計
これは、抗PD-1/CPI療法に対して先行応答を得た後に進行している進行した固形腫瘍及びリンパ腫を有する対象における、皮下投与されたCHO hetIL-15の単独及び抗PD-1抗体との組み合わせについての第I/Ib相非盲検グローバル多施設試験である。先行応答は、X線撮影による完全寛解(CR)又は部分寛解(PR)と定義する。また、直近のレジメンがCPIを含んだ場合、≧6か月続く安定疾患(SD)を有する対象も含める。試験は、用量漸増及び用量拡大という2つの部分からなる。2つの分かれた群は漸増部分の間に試験する:1)単剤としてのCHO hetIL-15の評価(抗PD-1抗体は、第1の疾患再評価の抗PD-1抗体で添加してもよい)、及び2)C1D1から開始する組み合わせとしてのCHO hetIL-15及び抗PD-1抗体の投与。
患者集団
試験は、CPI(抗PD-1/PD-L1及び/又は抗CTLA-4)で先に治療され、先に応答し、進行している、男性及び女性患者≧18歳において実施する。先行応答は、直近のレジメンがCPIを含んだ場合、≧6か月続く初期X線検査のCR/PR(確証的スキャンは要求されない)又はSDである。用量漸増中、試験は、進行した固形腫瘍及びリンパ腫を有する患者において実施する。拡大中、試験は、メラノーマを有する患者において実施する。
主要な組み入れ基準
1.男性又は女性患者≧18歳
2.標準的治療後に記録された進行があり、又はその場合、治験責任医師の意見では適切な標準的治療が存在しない場合の、組織学的に確認され、記録された進行した固形腫瘍及びリンパ腫(手術又は放射線療法によって治癒可能でない局所的に進行したもの、及び転移性疾患を有するものを含む)
漸増:CPI(抗PD-1/PD-L1及び/又は抗CTLA-4)で先に治療され、先に応答し、進行している患者。先行応答は、直近のレジメンがCPIを含んだ場合、≧6か月続く初期X線検査のCR/PR(確証的スキャンは要求されない)又はSDである。
拡大:CPI(抗PD-1/PD-L1及び/又は抗CTLA-4)で先に治療され、先に応答し、進行している、メラノーマを有する患者。先行応答は、直近のレジメンがCPIを含んだ場合、≧6か月続くX線検査のCR/PR(確証的スキャンは要求されない)又はSDである。
主要な除外基準
1.任意の先行的なIL-15治療を受けている患者
2.試験薬及び他のmAb及び/又はそれらの賦形剤の任意の成分に対する重篤な過敏症反応の履歴
3.原発性CNS腫瘍を有する患者を除外する。症候性CNS転移、又は局所性CNS指向治療(放射線療法又は手術など)、又は治験登録2週前に増加用量のコルチコステロイドを必要とするCNS転移の存在。治療された症候性脳転移を有する患者は、神経学的に安定である必要があり(治療後4週間及び治験登録前)、且つ任意の試験治療薬の投与前の少なくとも2週間、プレドニゾン又は等価物の用量が≦10mg/日である。
4.試験治療薬の初回投与から7日以内の、全身性慢性ステロイド療法(>10mg/日のプレドニゾン又は等価物)又は副腎不全の状況下での補充用量ステロイド以外の任意の免疫抑制療法。局所、吸入、経鼻及び点眼用ステロイドが可能である。
5.この試験にて治療中以外の悪性疾患。例外として、皮膚の基底細胞がん又は皮膚の扁平上皮がん(潜在的には根治療法を受けている)又は原位置子宮頸がん又は平均余命に影響しない他の腫瘍が挙げられる。
有効性評価
腫瘍評価は、リンパ腫についてのSeymour et al.(2017)Lancet Oncol;18:e143-e152及びCheson et al(2014)J.Clin.Oncol.32(27):3059-67によって記載されるような固形腫瘍用のiRECISTであるRECIST1.1に従う。スクリーニング時、治療開始の28日以内(サイクル1の1日目に先立つ-28日目~-1日目)にイメージング評価を実施する。すべての対象は、胸部、腹部及び骨盤のIVコントラストを伴うコンピュータ断層撮影(CT)スキャンを受ける。首に疾患の臨床的証拠が見られる場合、首のIVコントラストを伴うCTもまた実施する。既知のCNS疾患を有する対象の場合、ベースラインでの脳のイメージングが必要である。磁気共鳴画像法(MRI)は、CTによって十分に画像化されていない疾患の部位を評価するため、使用する必要がある。対象が造影剤に不耐性である場合、CTはコントラストなしで実施してもよい。IVコントラストを伴わないCTが十分でない場合、疾患の部位を評価するため、MRIを使用してもよい。視認可能な皮膚病変及び容易に触知可能な腫瘍は、定規又はノギスを使用する身体検査により測定してもよく、カラー写真が撮られる。超音波は、応答を目的として疾患の部位を測定するために使用すべきでない。
結果評価
薬物動態は、ベースライン時及び治療時、CHO hetIL-15及び抗PD-1抗体の血清濃度により評価する。
CHO hetIL-15の単剤及び抗PD-1抗体との組み合わせとしてのサイクル1(28日)中での用量制限毒性(DLT)の発生率
実験室パラメータ、バイタルサイン、及び心電図(ECG)における変化を含む、有害事象(AE)及び重篤な有害事象(SAE)の発生率及び重症度
他の評価項目は、以下を含む:
1.腫瘍浸潤CD8+T細胞及びNK細胞の数及び細胞傷害性活性における変化並びにT細胞クローンの存在量における変化の評価。
2.ベースライン及び治療時腫瘍生検での配列決定。IHCによる腫瘍生検時のPD-L1発現及びCD8+T細胞の評価。
3.ベースライン及び治療時腫瘍サンプルでの遺伝子発現プロファイリング
4.ベースライン及び治療時血漿サンプルからの循環している遊離腫瘍DNAのDNA配列決定
5.活性化/増殖マーカー、血液中のT細胞及びNK細胞サブセット上のチェックポイント阻害剤及び血漿中の可溶性免疫因子のレベル及び/又は発現におけるベースラインからの変化の評価
試験治療薬
用量漸増及び用量拡大
患者は、単剤及び抗PD-1抗体との組み合わせとしてのCHO hetIL-15で、MTDが達成されるか又は組み合わせにおいてより低いRDが確立されるまで、治療する。用量漸増は、試験に関する今後の課題において用量制限毒性(DLT)のリスクを制御するため、EWOC原則に従うように適応させたBHLRMにより導かれることになる。用量漸増部分の間、2つの分かれた投与群を評価する:
群1)CHO hetIL-15単剤(対象はそれらの第1の疾患再評価後に抗PD-1抗体を開始することが可能となる)
群2)C1D1で開始する、抗PD-1抗体と組み合わせたCHO hetIL-15。
図14は、評価される仮用量レベルを提供する。試験の過程の間、追加および/または間欠的用量レベルを添加することが可能である。さらに、hetIL-15の代替投与スケジュール、例えば、サイクルの最初の2週間の間の週1または2回のhetIL-15の投与を評価することができる。コホートは、MTD未満で任意の用量レベルにおいて追加して安全性、PK、および/またはPDをより良好に理解することができる。
治療期間は、サイクル1の1日目(C1D1)に開始する。各治療サイクルは28日からなる。CHO hetIL-15は、週1回、3週オン/1週オフで皮下投与する。抗PD-1抗体が与えられるとき、各サイクルの1日目に1回、400mgの一定用量でそれを静脈内投与する。
この試験に登録された対象に対するCHO hetIL-15の単独又は抗PD-1抗体との組み合わせでの開始用量は、3週オン/1週オフのスケジュールで、2μg/kgの皮下(SC)で週1回である。抗PD-1抗体の開始用量は、400mg Q4Wの静脈内となる。代替的な投与スケジュールを検討してもよく、任意の新しいスケジュールを反映させるため、プロトコルを修正することになる。
前臨床モデルでは、IL-15治療単独は、IFN-γを誘導し、抗腫瘍効果を有するが、この抗腫瘍活性は、CD8+T細胞上のPD-1の上方制御に起因して制限されることがある。チェックポイント阻害剤、例えばPD-1及びCTLA-4阻害剤の添加により、IFN-γの発現がさらに増強され、CD8+T細胞上のPD-1の発現が低減され、生存の増加がもたらされる(Yu et al(2010)Clin Cancer Res;16(24):6019-28,Yu et al(2012)Proc Natl Acad Sci USA;109(16):6187-92)。さらに、予備臨床データは、CPIに応答している対象がより高いベースラインレベルのIL-15を有することを示している。さらに、メラノーマ、NSCLC及び乳がんにおけるCD8+T細胞腫瘍浸潤は、より高レベルのIL-15及びNK遺伝子シグネチャーと相関する。したがって、CHO hetIL-15、IL-15作動薬と抗PD-1抗体、PD-1阻害剤との組み合わせは、特にチェックポイント阻害に先に応答し、その後に再発している対象集団において、相乗的であることがあり、抗腫瘍応答をさらに増強することがある。
追加的な薬剤は、CHO hetIL-15±抗PD-1抗体と組み合わせてもよく、試験の拡大部分において他の効能を検討してもよい。これらの追加的な組み合わせレジメン及び/又は効能は、この試験に将来的なプロトコル修正を加える場合に限り、検討することになる。
試験の用量拡大部分は、一旦MTD及び/又はRDが抗PD-1抗体と組み合わせたCHO hetIL-15において明示されると、開始することになる。拡大群の一次目標は、抗PD-1抗体と組み合わせたCHO hetIL-15の安全性及び耐容性をさらに評価することである。拡大群の二次目標は、CPIで再発したメラノーマ対象における抗PD-1抗体と組み合わせたCHO hetIL-15の抗腫瘍活性を評価することである。
仮用量レベル
表6及び表7は、この試験中に評価してもよいCHO hetIL-15における開始用量及び仮用量レベルを記載している。抗PD-1抗体用量は、400mg Q4Wで固定する。開始用量レベル1を例外として、実用量レベルは、利用可能な毒性、薬物動態及び薬力学的データに基づいて決定する。
用量制限毒性の定義
用量制限毒性(DLT)は、単剤としてのCHO hetIL-15又はCHO hetIL-15/抗PD-1の組み合わせとの関係が、除外することができず、主として疾患、疾患進行、併発疾患、又は併用薬に関連しない場合の、DLT期間(28日)以内に生じる有害事象又は異常な臨床検査値と定義する。表8は、DLTにおける基準を列挙する。すべての類別に対して、国立癌研究所(National Cancer Institute)の有害事象の一般用語基準(NCI CTCAE)バージョン5.0を使用する。用量漸増決定を目的として、DLTを検討し、BHLRMに含めることになる。
バイオマーカー
バイオマーカー分析を使用し、分子及び細胞レベルで、CHO hetIL-15の単剤又は抗PD-1抗体との組み合わせとしての効果を検討するとともに、マーカーにおける変化が曝露及び臨床成績にどのように関連するかを判定することになる。さらに、有効性の潜在的な予測マーカー、並びにhetIL-15に対する抵抗性機構についても検討する。
CHO hetIL-15がNK及びCD8+T細胞を促進し、抗腫瘍免疫を増強し、CHO hetIL-15及び抗PD-1抗体の併用療法が腫瘍増殖を阻害することが予想される。
CHO細胞によって産生された実施例6のhetIL-15は、HEK293によって産生されたhetIL-15と比べて、IL-15Rα鎖C末端のスプライシング変異体を有しない。
HEK293及びCHO hetIL-15についてのサイズによる異質性を、ペプチドマッピング、SDS-PAGE(天然及び還元条件)、SEC、RP-HPLC及び質量分析により比較した。
図15に示す通り、HEK293バッチ及びCHOバッチのクロマトグラフ特性は、有意に異なる。HEK293バッチは、CHOバッチ内で不在であるスプライシング変異体の存在に起因し、二重のIL-15Rαピークを示す。スプライシング変異体の位置は、IL-15受容体ピークのC末端領域内に存在する。HEK293及びCHOバッチは、4つのIL-15ピークの分布及びIL-15RαとIL-15のピーク面積比について酷似する。ピーク面積比はIL-15Rα及びIL-15の化学量論をモニターし:2.0の比は2つの鎖の1:1のモル比に対応する。
IL-15Rα鎖のスプライシング変異体は、ペプチドマッピング:
によって判定した159残基(I1-G159)(上に示す)からなるHEK293バッチに限って検出された。
本明細書に記載の実施例及び態様があくまで例示を目的とし、且つそれを踏まえた様々な修飾又は変化が当業者にとって示唆に富み、本願の精神及び範囲並びに貼付の特許請求の範囲の中に含まれるべきであることは理解される。
さらに、本発明の特徴又は態様がマーカッシュグループの観点で説明される場合、当業者は、それにより本発明もマーカッシュグループの任意の個別メンバー又はメンバーのサブグループの観点で説明されることを理解するであろう。
本明細書中で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、各々が個別に参照により援用された場合と同じ程度に、それら全体が(又は文脈の指示に従い)参照により明示的に援用される。矛盾が生じる場合、定義を含む本明細書が制御することになる。
本明細書中で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、各々が個別に参照により援用された場合と同じ程度に、それら全体が(又は文脈の指示に従い)参照により明示的に援用される。矛盾が生じる場合、定義を含む本明細書が制御することになる。
本発明の様々な実施形態を以下に示す。
1.ヒトインターロイキン15(IL-15)ポリペプチド及びヒトインターロイキン15受容体α(IL-15Rα)ポリペプチドを含むポリペプチド複合体であって、FA2G2、FA2G2S1、FA2G2S2、FA3G3S1、FA2F1G2S2、FA3G2S2、及びFA3G3S3を含むN-結合型グリカンを含むポリペプチド複合体。
2.IL-15ポリペプチドが、配列番号1又は5の配列を有し、且つIL-15Rαが、配列番号6、7、10、12、14又は21の配列を有する、上記1に記載のポリペプチド複合体。
3.前記N-結合型グリカンが、FA2G2S1の少なくとも10%、12.5%、15%、17.5%、20%又は22.5%を含む、上記1に記載のポリペプチド複合体。
4.前記N-結合型グリカンが、FA2G2S2の少なくとも10%、20%、30%、又は40%を含む、上記1に記載のポリペプチド複合体。
5.ヒトインターロイキン15(IL-15)ポリペプチド及びヒトインターロイキン15受容体α(IL-15Rα)ポリペプチドを含むポリペプチド複合体であって、O-結合型グリカンを含み、且つ前記グリカンの少なくとも80%、85%、90%又は95%が、コア-1 O-結合型グリカンである、ポリペプチド複合体。
6.IL-15ポリペプチドが、配列番号1又は5の配列を有し、且つIL-15Rαが、配列番号6、7、10、12、14又は21の配列を有する、上記5に記載のポリペプチド複合体。
7.前記コア-1 O-結合型グリカンが、モノシアリル化及び/又はジシアリル化される、上記5に記載のポリペプチド複合体。
8.ヒトインターロイキン15(IL-15)ポリペプチド及びヒトインターロイキン15受容体α(IL-15Rα)ポリペプチドを含むポリペプチド複合体であって、
O-結合型グリカンを含み、且つ前記グリカンの少なくとも80%、85%、90%又は95%が、コア-1 O-結合型グリカン構造を有し;且つ
FA2G2、FA2G2S1、FA2G2S2、FA3G3S1、FA2F1G2S2、FA3G2S2、及びFA3G3S3を含むN-結合型グリカンを含む、
ポリペプチド複合体。
9.IL-15ポリペプチドが、配列番号1又は5の配列を有し、且つIL-15Rαが、配列番号6、7、10、12、14又は21の配列を有する、上記8に記載のポリペプチド複合体。
10.前記N-結合型グリカンが、FA2G2S1の少なくとも10%、12.5%、15%、17.5%、20%又は22.5%を含む、上記8に記載のポリペプチド複合体。
11.前記N-結合型グリカンが、FA2G2S2の少なくとも10%、20%、30%、又は40%を含む、上記8に記載のポリペプチド複合体。
12.前記コア-1 O-結合型グリカンが、主にモノシアリル化及び/又はジシアリル化される、上記8に記載のポリペプチド複合体。
13.非ヒト細胞内で産生される単離されたIL-15/IL-15Rαヘテロ二量体であって、α(2,6)O-結合型シアリル化を含む、単離されたIL-15/IL-15Rαヘテロ二量体。
14.前記非ヒト細胞が、組換えチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、上記13に記載の単離されたIL-15/IL-15Rαヘテロ二量体。
15.前記CHO細胞が、マトリプターゼの機能を損なうように改変される、上記14に記載の単離されたIL-15/IL-15Rαヘテロ二量体。
16.O-結合型グリカンを含み、且つ前記グリカンの少なくとも80%、85%、90%又は95%が、コア-1 O-結合型グリカンである、上記13に記載の単離されたIL-15/IL-15Rαヘテロ二量体。
17.前記O-グリカンの約15%が、α(2,6)-結合型シアリル化を有する、上記16に記載の単離されたIL-15/IL-15Rαヘテロ二量体。
18.上記13に記載のポリペプチド複合体又は単離されたIL-15/IL-15Rαヘテロ二量体を含む医薬組成物。
19.薬学的に許容できる担体をさらに含む、上記18に記載の医薬組成物。
20.ヒトインターロイキン15(IL-15)ポリペプチド及びヒトインターロイキン15受容体α(IL-15Rα)ポリペプチドをコードする核酸を含む非ヒト細胞であって、前記細胞によって発現される前記IL-15及びIL-15Rαが、ヘテロ二量体を形成し、且つ前記ヘテロ二量体が、α(2,6)-結合型シアリル化を含む、非ヒト細胞。
21.組換えチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、上記20に記載の非ヒト細胞。
22.前記CHO細胞が、マトリプターゼの機能を損なうように改変される、上記20に記載の非ヒト細胞。
23.がんを治療する方法であって、上記18に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法。
24.IL-15/IL-15αヘテロ二量体を発現する細胞を産生する方法であって、
(a)非ヒト細胞を準備するステップと;
(b)前記非ヒト細胞に、IL-15RαとIL-15の双方をコードする第1ベクター、及びIL-15Rαの一部をコードする第2ベクターを含む2つのベクターを同時にトランスフェクトし、且つ前記トランスフェクト細胞を培養するステップと;
(c)ステップb)からの前記細胞に、IL-15をコードする第3ベクターをトランスフェクトし、且つ前記トランスフェクト細胞を培養するステップと;
(d)IL-15/IL-15αヘテロ二量体を発現する個別クローンを単離するステップと、
を含む方法。
25.前記非ヒト細胞が、組換えチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である、上記24に記載の方法。
26.前記CHO細胞が、前記マトリプターゼ遺伝子の機能を損なうように修飾される、上記25に記載の方法。
27.前記IL-15Rαが、配列番号6、12又は14の配列を有する、上記24に記載の方法。
28.前記IL-15が、配列番号1又は5の配列を有する、上記24に記載の方法。
29.IL-15Rαの前記部分が、IL-15Rαの可溶性部分である、上記24に記載の方法。
30.IL-15Rαの前記可溶性部分が、配列番号7、10又は21の配列を有する、上記29に記載の方法。
31.IL-15/IL-15Rαヘテロ二量体を産生する方法であって、
(a)上記24によって産生された前記細胞をIL-15/IL-15Rαヘテロ二量体の発現及びIL-15/IL-15Rαヘテロ二量体の分泌を可能にする条件下で培養するステップと、
(b)前記IL-15/IL-15αヘテロ二量体を前記細胞培養物から単離するステップと、
を含む方法。
32.ヒトインターロイキン15(IL-15)ポリペプチド及びヒトインターロイキン15受容体α(IL-15Rα)ポリペプチドを含むポリペプチド複合体であって、組換えチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞によって産生され、且つIL-15Rα鎖スプライシング変異体を有しない、ポリペプチド複合体。
33.前記CHO細胞が、マトリプターゼの機能を損なうように改変される、上記32に記載のポリペプチド複合体。
34.前記IL-15Rα鎖スプライシング変異体が、I1からG159に及ぶ159残基を含む、上記32に記載のポリペプチド複合体。