JP2022521850A - 断片化が低減した抗アルファベータtcr結合ポリペプチド - Google Patents

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Abstract

本開示は、T細胞媒介性疾患および障害(例えば、自己免疫障害、移植片対宿主病、および移植片拒絶)を治療するための改善された組成物および方法に関する。軽鎖可変領域の断片化を低減することによって結合ポリペプチドの安定性を高める少なくとも1つのアミノ酸置換または修飾を含む、抗体を含む抗αβTCR結合ポリペプチドが提供される。本明細書で提供される方法は一般に、アルファベータT細胞受容体(αβTCR)に特異的な安定化されたヒト化結合ポリペプチドの有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む。

Description

関連出願
本出願は、その内容全体が参照によって本明細書に組み入れられている、2019年4月3日に出願された米国仮出願第62/828,601号の利益を主張するものである。
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出され、その全体が参照によって本明細書に組み入れられている配列表を含有する。2020年3月30日に作成された前記ASCIIコピーは704503_SA9-254PC_ST25.txtという名称で、サイズは32,602バイトである。
モノクローナル抗体は、結合ポリペプチドおよび生物学的治療薬の重要なクラスである。一般に、ポリペプチド骨格は生理的条件下で高度に安定である。それにもかかわらず、重鎖および軽鎖ポリペプチドの断片化は治療的モノクローナル抗体に関する大きな関心事となっている。
一般に、タンパク質骨格は生理的条件下で高度に安定している。しかし、様々な機序によって、例えば、自発的反応または酵素反応通じてポリペプチド骨格の切断をもたらす天然の共有結合の破壊によって、断片化が引き起こされる場合がある。さらに、特定の領域およびモチーフ(例えば、Asn-Proモチーフ)は、アミノ酸配列、二次元または三次元ポリペプチド構造の柔軟性、ならびに適合しない溶媒および環境条件(例えば、温度およびpH)により断片化をより起こしやすい可能性がある。
断片化は、生物学的組成物の製造または保存中のいずれの段階でも起こり得る。断片化は、効力の低下または不要な種および潜在的に免疫原性の種の存在をもたらす可能性があるため、いかなる生物学的治療薬の生産においても断片化の低減が重要な検討事項となる。
故に、製造およびその後の保存中の抗体ポリペプチド鎖の断片化の低減を示す、安定性が改善された抗体組成物が当技術分野で必要である。
本開示は、T細胞媒介性疾患および障害の治療に有用な改善された組成物および方法を提供する。アルファベータT細胞受容体(αβTCR)と特異的に結合するヒト化結合ポリペプチドが提供される。本明細書に提供される抗αβTCR組成物は、改善された組成物が、軽鎖可変領域の断片化を低減することによって結合ポリペプチドの安定性を高める少なくとも1つのアミノ酸置換または修飾を含むという点で、公知の組成物より改善している。また、改善された組成物を用いてT細胞媒介性疾患および障害を治療するための方法(例えば、移植片対宿主病、自己免疫疾患、および移植片拒絶)も提供される。本明細書で提供される方法は一般に、αβTCRと特異的に結合するヒト化結合ポリペプチドの有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む。
驚くことに、本発明者らは、抗ヒトαβTCR抗体VH31の軽鎖のAsnクリッピング部位を除去すると、この抗体の断片化が低減することを見出した。推定Asnクリッピング部位は相補性決定領域(CDR)内で生じること、無関係の抗体(すなわち、sFLT01)でのAsnクリッピング部位を除去する以前の試みは抗体断片化を防がなかったことから、この発見は特に驚きである。
一態様では、ヒトαβTCR/CD3複合体に特異的に結合する結合ポリペプチドであって、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、および定常領域を含み:
軽鎖可変領域は、配列番号26、27、および28に記載されたアミノ酸配列をそれぞれ含む、3つの相補性決定領域(CDR)、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み;
配列番号28は、アミノ酸配列Q-Q-W-S-S-X-X-L-Tを含み(式中、XはQ、D、H、S、Y、およびAからなる群から選択されるアミノ酸であり、XはPおよびAからなる群から選択されるアミノ酸である);
定常領域はヒト由来である、前記結合ポリペプチドが提供される。
ある特定の実施形態では、XはSである。
ある特定の実施形態では、XはPである。
ある特定の実施形態では、XはSであり、XはPである。
ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号14に記載のヒト軽鎖フレームワーク領域をさらに含む。
ある特定の実施形態では、結合ポリペプチドは、VH31と比べて5.0を超えるpHで安定性が向上する。
ある特定の実施形態では、結合ポリペプチドは、VH31と比べて4℃を超える温度で安定性が向上する。
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7、12、13、15、および16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7、配列番号12、および配列番号13からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号15および配列番号16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号15として記載されたアミノ酸配列を含む。
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号16として記載されたアミノ酸配列を含む。
ある特定の実施形態では、定常領域は、Fcγ受容体結合を低減する修飾されたグリコシル化パターンを有するFc修飾を含む。
ある特定の実施形態では、Fcγ受容体は、FcγRIIIaおよびFcγRIからなる群から選択される1つまたはそれ以上の受容体である。
ある特定の実施形態では、Fc修飾は、N297Q/S298N/Y300S、S298N/T299A/Y300S、およびS298N/Y300Sからなる群から選択される。
ある特定の実施形態では、Fc修飾はN297Q/S298N/Y300Sである。
ある特定の実施形態では、Fc修飾はS298N/T299A/Y300Sである。一実施形態では、Fc修飾はS298N/Y300Sである。
ある特定の実施形態では、結合ポリペプチドはヒト化されている。
ある特定の実施形態では、結合ポリペプチドはモノクローナル抗体である。
ある特定の実施形態では、結合ポリペプチドは多重特異性である。
ある特定の実施形態では、結合ポリペプチドは二重特異性である。
別の態様では、本明細書に記載された結合ポリペプチドと、薬学的に許容される担体または希釈剤をと含む医薬組成物が提供される。
別の態様では、本明細書に記載された医薬組成物を含む製剤が提供される。ある特定の実施形態では、製剤は液体製剤である。ある特定の実施形態では、製剤は凍結乾燥製剤である。
別の態様では、治療が達成されるように、本明細書に記載された結合ポリペプチドまたは医薬組成物の有効量を対象に投与することを含む、T細胞媒介性疾患または障害のために対象を治療する方法が提供される。ある特定の実施形態では、T細胞媒介性疾患または障害は、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)、多発性硬化症(MS)、強皮症、1型糖尿病(T1D)、尋常性天疱瘡(PV)、乾癬、アトピー性皮膚炎、セリアック病、慢性閉塞性肺疾患、橋本甲状腺炎、グレーブス病(甲状腺)、シェーグレン症候群、ギランバレー症候群、グッドパスチャー症候群、アジソン病、ウェゲナー肉芽腫症、原発性胆汁性硬化症、硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、リウマチ性多発筋痛症、レイノー現象、側頭動脈炎、巨細胞性動脈炎、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、結節性多発動脈炎、ベーチェット病、原発性胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎、心筋炎、リウマチ熱、強直性脊椎炎、糸球体腎炎、サルコイドーシス、皮膚筋炎、重症筋無力症、多発性筋炎、円形脱毛症、白斑、移植片対宿主病(GvHD)、および同種移植片拒絶からなる群から選択される。
別の態様では、本明細書に記載された結合ポリペプチドをコードする核酸が提供される。
別の態様では、本明細書に記載された核酸を含むベクターが提供される。
別の態様では、本明細書に記載された核酸を含む細胞が提供される。一実施形態では、細胞は哺乳動物細胞である。一実施形態では、哺乳動物細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞およびヒト胎児腎臓(HEK)細胞からなる群から選択される。
本発明の前述および他の特徴および利点は、添付図面と併せて理解される例示的な実施形態の以下の詳細な説明から、より十分に理解されるであろう。
5週間にわたる高温(45℃)および示されたpHを含む加速条件下の、参照ヒト化抗αβTCR抗体VH31製剤化抗体の断片の低分子量(LMW)の出現を示すタンパク質ゲルの写真である。HC、重鎖;LC、軽鎖。 5週間にわたる加速条件下の様々な濃度での参照VH31製剤化抗体の効力をプロットする線グラフである。白抜きの四角は、45℃、pH8.0で保存された参照VH31抗体に対応する;白抜きの丸は、45℃、pH5.0で保存された参照VH31抗体に対応する;および白抜きの菱形は、対照条件下、すなわち、≦0℃;pH5.0で保存された参照VH31抗体に対応する。 示された加速条件下で存在した参照VH31バンドの、分子量およびN末端配列決定に基づき割り当てられた正体を示すタンパク質ゲルの写真である。HC、重鎖;LC、軽鎖。 参照VH31軽鎖(LC)アミノ酸配列(配列番号25)およびN93/P94推定クリッピング部位を描いた図である。 図5A~5Cは、参照VH31軽鎖のトリプシン消化産物(Kabatナンバリングによるアミノ酸61~102または61~106)のN93/P94でのクリッピングから生じる様々な軽鎖断片を示す線グラフである。これらの断片は、VH31 LCのアミノ酸残基94~102(図5A)、残基61~93(図5B)、および残基94~106(図5C)に対応する。102および106 C末端は、不完全なトリプシン消化に起因している。 図5-1の続き。 Asn93(N93)での切断が溶液中で生じ得る提案されたプロセスを描いた図である。 LC安定性を増強するように作られた様々なVH31 LCアミノ酸変異を示す図である。 変異(レーン1~8)または非変異LCのどちらかを含有するVH31抗体の高発現および純度を示すタンパク質ゲルの一対の写真である。1、N93Q;2、N93D;3、N93H;4、N93S;5、N93Y;6、N93A;8、N93A/P94A。 N93SLC変異を含む抗体の純度は、野生型(WT)および対照(VH31)抗体に匹敵したことを示す、タンパク質ゲル(左のパネル)および3つのSEC-HPLCプロット(右のパネル)の一対の写真である。 示されたLC変異を含むVH31抗体の効力をプロットする線グラフである。LCバリアントN93S(白抜きの菱形記号)を含む抗体は、参照VH31(白抜きの四角記号)または野生型(WT)抗体(白抜きの八角形記号)のどちらかよりわずかに効力が少ないだけであった。 N93S変異体は、45℃、pH8で6週間保存すると野生型(WT)またはVH31対照抗体のどちらかと比べて分解が明らかに低減したことを示す(左のパネル)タンパク質ゲルの写真である。右のパネルは、野生型またはVH31対照抗体のどちらか(それぞれ20倍を超える損失)と比べて、N93S変異体は加速条件下で効力の損失が著しく少なかった(3倍の損失)ことを示している。 高温(45℃)、pH5.5で6週間保存後の参照VH31抗体およびN93S変異体の断片化を示すタンパク質ゲルの写真である。
本開示は、T細胞媒介性障害(例えば、移植片対宿主病、自己免疫疾患、および同種移植片拒絶)を治療するための改善された組成物および方法を提供する。本明細書で提供される方法は一般に、アルファベータT細胞受容体(αβTCR)に特異的であるヒト化結合ポリペプチドの有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む。本明細書に提供される抗αβTCR組成物は、改善された組成物が、軽鎖可変領域の断片化を低減することによって結合ポリペプチドの安定性を改善する1つまたはそれ以上のアミノ酸置換または修飾を含むという点で、公知の組成物より改善している。
I.定義
特に記載がない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されている方法および材料と同様または同等のいかなる方法および材料も、本開示の手法の方法において使用することができる。本明細書に引用されている全ての刊行物は、本開示に関連して使用され得る刊行物の中で報告されている方法論、試薬、およびツールを記載および開示する目的で、その全体が参照によって本明細書に組み入れられている。
本出願の方法および手法は一般に、特に指示のない限り、当技術分野で周知の従来の方法、ならびに本明細書全体にわたって引用され、論じられている様々な一般的およびより具体的な参考文献に記載されている従来の方法に従って行われる。例えば、Gennaro,A.R.編(1990)Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing Co.;Hardman,J.G.、Limbird,L.E.、およびGilman,A.G.編(2001)The Pharmacological Basis of Therapeutics、第10版、McGraw-Hill Co.;Colowick,S.ら編、Methods In Enzymology、Academic Press,Inc.;Weir,D.M.およびBlackwell,C.C.編(1986)Handbook of Experimental Immunology、第I~IV巻、Blackwell Scientific Publications;Maniatis,T.ら編(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、第I~III巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press;Ausubel,F.M.ら編(1999)Short Protocols in Molecular Biology、第4版、John Wiley & Sons;Reamら編(1998)Molecular Biology Technique:An Intensive Laboratory Course、Academic Press;Newton,C.R.およびGraham,A.編(1997)PCR(Introduction to Biotechniques Series)、第2版、Springer-Verlagを参照のこと。
ヒトαβTCR/CD3複合体は、T細胞の表面に提示されるT細胞受容体複合体である。Kuhnsら(2006)Immunity 24:133~139頁を参照のこと。この複合体は、マウスモノクローナル抗体BMA031(その全体が参照によって本明細書に組み入れられている欧州特許出願第EP0403156号;配列番号1および2を参照のこと)、ならびに本明細書に開示されるヒト化され、安定化された抗体によって標的にされる。
マウスIgG2bモノクローナル抗体BMA031(Borstら(1990)Hum.Immunol.29(3):175~88;EP0403156)は、アルファ-ベータTCR/CD3複合体上の共通の決定基に対して特異的であり、ガンマ-デルタTCRには結合しない。BMA031は高度に免疫抑制性であり、活性化誘導細胞死(AICD)の機序により活性化T細胞のアポトーシスを誘導することができる(Wesselborgら(1993)J.Immunol.150(10):4338~4345頁)。インビトロでBMA031は混合リンパ球反応を阻害し、いくつかの固形臓器移植シナリオでの移植片拒絶の予防、および急性移植片対宿主病の治療(Kurrleら(1989)Transplant Proc.21(1):1017~1019頁)においてBMA031は予備的臨床有効性を示している。BMA031は、ヒト集団の大多数でヒトFcガンマ受容体(FcγR)と結合しない。そのためBMA031は、T細胞受容体の架橋を介したT細胞活性化を引き起こさず、それ故に、T細胞活性化または関連サイトカイン放出を誘導しない。この点に関してBMA031のプロフィールは、OKT3のプロフィールより極めて好ましい。しかし、BMA031はマウス抗体であり、そのため、反復投与で誘発されるヒト抗マウス抗体(HAMA)応答を考慮すると、ヒト対象での反復投与に適さない。
BMA031のいくつかのヒト化バージョンが記載されている(例えば、WO2013/037484;EP0403156を参照のこと;また、Shearmanら(1991)J.Immunol.147:4366~4373頁も参照のこと)。EP0403156で述べられているように、単なるCDR移植は抗原結合を保持するのに成功しなかった。有意な「教化」フレームワーク修飾を有する1つのクローン、EUCIV3は、T細胞への結合に成功した;しかし、EP0403156で述べられているように、αβTCRへの結合は、フローサイトメトリー競合アッセイによって決定された場合の親BMA031抗体ほど有効ではない。さらに、EUCIV3はもともと、FcγR結合を依然として保持している野生型ヒトIgG1またはIgG4骨格で生成された。これらのヒト化抗体はそれ故に、T細胞活性化、増殖および同時サイトカイン放出を可能にし、そのためBMA031の元の特性とはかなり異なっていた。
用語「結合タンパク質」または「結合ポリペプチド」は、特に指示のない限り、目的とする標的抗原(例えば、ヒト抗原)への選択的結合に関与する少なくとも1つの結合部位を含有するポリペプチド(例えば、抗体またはその抗原結合断片)を指すのに使用される。例示的な結合部位には、抗体可変ドメイン、受容体のリガンド結合部位、またはリガンドの受容体結合部位が挙げられる。ある特定の態様では、本明細書に記載された結合ポリペプチドは、複数の(例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の)結合部位を含む。
用語「抗体」は、特に指示のない限り、抗体全体およびそのような抗体の抗原結合断片を指すのに使用される。例えば、該用語は、4本鎖IgG分子、および抗体断片を包含する。
本明細書で使用される場合、用語「抗体断片」は、例えば以下にさらに記載されるようなインタクトな完全長抗体の部分を指す。
抗体は、IgG、IgA、IgE、IgD、またはIgMなどの任意のクラス;およびIgG1またはIgG4などの任意のサブクラスであってもよい。免疫グロブリンの異なるクラスおよびサブクラスは、異なる適用において有利となり得る異なる特性を有する。例えば、IgG4抗体は、Fc受容体への結合が低減している。
天然に存在する免疫グロブリンは、2つの同一の軽鎖(約24kDa)および2つの同一の重鎖(約55または70kDa)が四量体を形成する共通のコア構造を有する。各鎖のアミノ末端部分は可変(V)領域として知られ、各鎖の残りのより保存された定常(C)領域と区別され得る。
免疫グロブリンのアミノ酸配列変異のほとんどは、抗原結合に直接関与する、超可変領域または相補性決定領域(CDR)として知られる各V領域中の3つの別々の位置に限局している。アミノ末端から進んで、これらの領域はそれぞれ、CDR1、CDR2およびCDR3と名付けられている。CDRは、より保存されたフレームワーク領域(FR)によって適切な位置に保たれる。アミノ末端から進んで、これらの領域はそれぞれ、FR1、FR2、FR3およびFR4と名付けられている。アミノ末端から進んで、V領域に含まれるこれらの複合領域は、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4と名付けられている。CDRおよびFR領域の位置ならびにナンバリングシステムは、Kabatらによって定義されている(Kabat,E.A.ら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S.Department of Health and Human Services、U.S.Government Printing Office(1991)、およびオンラインで見出すことができるそのアップデート)。さらに、CDR領域の境界は、IMGT命名法によってさらに定義されている。
「ヒト化モノクローナル抗体」は、本明細書で使用される場合、非ヒト抗体由来の相補性決定領域(CDR)が移植されたヒト抗体フレームワークから成る抗体である。ヒトアクセプターフレームワークの変更が行われる場合もある。ヒト化抗体の設計および作製の手順は、当技術分野で周知であり、例えば、米国特許第4,816,397号;米国特許第4,816,567号;および米国特許第5,225,539;欧州特許出願第0120694号;欧州特許出願第0125023号;欧州特許出願第0194276号B1;欧州特許出願第0239400号;欧州特許出願第0519596号;および国際特許出願WO86/01533に記載されている。抗体、ヒト化抗体、ヒト改変抗体、およびそれらの調製方法に関するさらなる詳細は、Kontermann,R.およびDijbel,S.編(2001、2010)Antibody Engineering、第2版、Springer-Verlag、New York、NYに見出すことができる。上記に列挙された特許および特許出願公開の各々の内容全体は、参照によって本明細書に組み入れられている。
記載された実施形態による抗体の可変領域は、少なくとも一部は、BMA031をヒト化すること、すなわち、BMA031のCDRをヒトフレームワークに導入すること、および軽鎖可変領域の断片化を低減することによって結合ポリペプチドの安定性を改善するように1つまたはそれ以上のVL CDRをさらに修飾することによって得ることができる。ヒト化BMA031抗体の2つのシリーズが、本明細書に参照によって組み入れられているPCT公開WO2013/037484に記載されている。これらの2つのシリーズは、本配列番号5~7、12および13を含むHEBE1シリーズ、ならびに本配列番号8、15および16に示される重鎖可変領域を含むGL1BMシリーズである。どちらの場合も、使用される軽鎖可変領域は、本配列番号14(GL1BM VK43)に示されているとおりである。使用されるヒトフレームワークは、HEBE1の場合ではIGH3-23(本配列番号17)、ならびにGL1BMの場合ではIGHV1-301およびIGKV3-1101(それぞれ、本配列番号18および19)である。
定常領域は、任意のヒト抗体定常領域に由来してもよい。可変領域遺伝子は、定常領域遺伝子とインフレームで発現ベクターにクローニングされて、重および軽免疫グロブリン鎖を発現させてもよい。そのような発現ベクターは、抗体合成のための抗体産生宿主細胞にトランスフェクトすることができる。
ヒト抗体可変領域および定常領域は、配列データベースから得ることができる。例えば、免疫グロブリン配列は、IMGT/LIGMデータベース(Giudicelliら、(2006)Nucleic Acids Res.34(suppl.1):D781~D784)またはVBase 30(vbase.mrc-cpe.cam.ac.uk)で入手可能である。アグリコシル化抗体は、広範に修飾された機能性を有することができる;Boydら(1996)Mol.Immunol.32:1311~1318頁を参照のこと。「デルタab」またはΔab修飾は、本明細書で使用される場合、Armourら、(1999)Eur.J.Immunol.29:2613~2624頁に記載されているFc修飾である。抗体Fc領域のグリコシル化を修飾するための手法は当技術分野で公知であり、化学的、酵素的手段および/または変異手段、例えば、CH2ドメインのN297位の変異が挙げられる。アグリコシル化IgG分子を産生するために抗体遺伝子を変異させる手段は、TaoおよびMorrison(1989)J.Immunol.143:2595~2601頁に記載されている。
本明細書に記載された抗体との関連における特異性は、特許請求された抗体が、その定義された同族抗原、すなわち、αβTCR/CD3複合体を選択的に結合できることを意味する。本明細書に記載された抗体は、T細胞を含む細胞で発現されたαβTCR/CD3複合体と結合する。
用語「安定な」、「安定性」、および「安定化された」は、結合ポリペプチドと関連して本明細書で使用される場合、製造、調製、輸送および保存の所与の条件下の熱分解のおよび化学分解または断片化に対する、結合ポリペプチドの抵抗性を指す。「安定な」組成物は、所与の製造、調製、輸送および保存条件下で80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上、または99.9%以上の生物学的活性を保持する。結合ポリペプチドの安定性は、例えば、分解もしくは断片化の程度、または特定の断片のレベル、または凝集物のタイプもしくはサイズに関して、当業者に公知の方法および測定を使用して、対照と比べてまたは出発材料と比べて評価することができる。そのような方法および測定には、参照と比べた、曲線下面積(AUC)低減、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、高速(または高圧)サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)、キャピラリーゲル電気泳動(CGE)、およびドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「核酸」は、本明細書で使用される場合、本明細書に記載された抗体をコードするDNA分子を含む。本明細書に記載された抗体をコードする好ましいDNA分子は、宿主細胞で抗体遺伝子を発現させるのに適した発現ベクターである。抗体遺伝子発現のための発現ベクターおよび宿主細胞は、当技術分野で公知である;例えば、Morrow,K.J.Genetic Engineering & Biotechnology News(2008年6月15日)28(12)、およびBackliwal,G.ら(2008)Nucleic Acids Res.36(15):e96~e96を参照のこと。
用語「治療する(treat)」および「治療(treatment)」は、本明細書で使用される場合、疾患、障害、または状態を有する患者または対象のケアを指す。治療は、以下のいずれか1つまたは任意の組み合わせを対象とし得るが、これらに限定されない:疾患、障害、もしくは状態の治癒;疾患、障害、もしくは状態の少なくとも1つの症状の改善;および/または疾患、障害、もしくは状態の発生を防止もしくは低減することを目標とする予防もしくは防止行為。ある特定の実施形態では、治療は、疾患、障害、もしくは状態の治癒;または疾患、障害、もしくは状態の少なくとも1つの症状の改善を対象とし得るが、これらに限定されない。
用語「対象」は、本明細書で使用される場合、マウス、ラット、アレチネズミ、ハムスター、モルモット、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ、および霊長類を含む任意の哺乳動物を指す。ある特定の実施形態では、対象はヒト以外の哺乳動物である。ある特定の実施形態では、対象はヒト以外の霊長類である。ある特定の実施形態では、対象はヒトである。
II.抗体
本開示は、本明細書に記載されたヒト化抗αβTCR抗体の1つまたはそれ以上の抗原結合断片を、それを必要とする対象に投与する方法を包含する。該抗体の断片は、αβTCR/CD3複合体と結合することができる。それらは、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびF(v)断片、または個々の軽鎖もしくは重鎖可変領域もしくはその任意の部分を包含する。断片には、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、scFv等が挙げられる。ある特定の態様では、断片は、インタクトな抗体のFc部分を欠き、循環からより迅速に消失し、および/またはインタクトな抗体より非特異的組織結合が少なくなり得る。ある特定の態様では、断片は、周知の方法を使用して、例えば、パパイン(Fab断片を作製するための)またはペプシン(F(ab’)断片を作製するための)などの酵素を用いたタンパク質切断によって、インタクトな抗体から作製されてもよい。
ある特定の態様では、抗体および/または抗体断片は、αβTCR/CD3複合体に結合する一本鎖抗体断片(scFv)を包含する。ある特定の態様では、scFvは、抗体軽鎖可変領域(VL)に作動可能に連結された抗体重鎖可変領域(VH)を含み、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の一方または両方は、αβTCRと結合する結合部位を一緒にまたは個々に形成する。scFvは、アミノ末端にVH領域およびカルボキシ末端にVL領域を含んでもよい。あるいは、scFvは、アミノ末端にVL領域およびカルボキシ末端にVH領域を含んでもよい。さらに、Fv断片の2つドメイン、VLおよびVHは、別々の遺伝子によってコードされるが、それらをVLおよびVH領域が対合して一価分子を形成する単一のタンパク質鎖(一本鎖Fv(scFv)として知られる)として作られるようにする合成リンカーによって、組換え法を使用して連結することができる。scFvは、場合により、重鎖可変領域と軽鎖可変領域の間にポリペプチドリンカーをさらに含み得る。
抗体および抗体断片は、Ward,E.S.ら(1989)Nature 341:544~546頁に記載されている、VHドメインからなるドメイン抗体(dAb)断片も包含する。抗体および抗体断片は、重鎖抗体(HCAb)も包含する。HCAbは、これらの機能的抗体が重鎖のみの二量体(「重鎖抗体」または「HCAb」と呼ばれる)であるという点で、重鎖可変領域のみを使用した抗原結合領域を形成することが報告されている。したがって、ある特定の態様では、抗体および抗体断片は、αβTCR/CD3複合体に特異的に結合するHCAbであってもよい。抗体および抗体断片は、αβTCR/CD3複合体に特異的な小モジュラー免疫薬(SMIP)または結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質である抗体も包含する。これらの構築物は、抗体エフェクター機能を実行するのに必要な免疫グロブリンドメインに融合された抗原結合ドメインを含む一本鎖ポリペプチドである(WO2005/017148を参照のこと)。抗体および抗体断片は、ダイアボディも包含する。ダイアボディは、VHおよびVLドメインが単一のポリペプチド鎖で発現される二価抗体を指すが、同じ鎖上の2つのドメイン間で対合させるには短すぎるリンカーを使用する。これにより、ドメインは別の鎖の相補的ドメインと対合せざるを得なくなり、それにより2つの抗原結合部位が作出される(例えば、WO93/11161を参照のこと)。ダイアボディは、二重特異性または単一特異性であり得る。
ある特定の態様では、抗体または抗体断片は、ヒトαβTCR/CD3複合体に特異的に結合する。すなわち、そのような抗体または抗体断片は、ヒトαβTCR/CD3複合体以外のいかなる標的とも交差反応しない。
抗体または抗体断片は、抗体または抗体断片の半減期を増加させるための多糖ポリマー等を含む、PEGまたは他の水溶性ポリマーなどの分子を例えば追加することによって、その血清半減期を増加させるように修飾することができる。
抗体および抗体断片は、多重特異性または二重特異性であってもよい。例えば、二重特異性抗体または抗体断片は、2つの異なる結合部位(可変領域)を含む単一抗体(または抗体断片)に類似していてもよい。二重特異性抗体は、化学的手法、「ポリドーマ(polydoma)」法または組換えDNA法などの様々な方法によって作製することができる。二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有することができ、そのうちの少なくとも1つはαβTCR/CD3複合体である。他方の特異性は、例えば、インビボでの半減期を延長するためのヒト血清アルブミンに対する特異性を含む、任意の有用なまたは所望の特異性から選択することができる。
腫瘍学的用途のための臨床における二重特異性抗体の使用は、悪性腹水の症例での使用が承認された三官能性カツマキソマブ(REMOVAB(登録商標))、およびフィラデルフィア染色体陰性の再発または難治性急性リンパ芽球性白血病(ALL)のための第二選択治療として使用される用途が承認された二重特異性抗体ブリナツモマブ(BLINCYTO(登録商標))により今や現実のものになりつつある。これらの抗体は、T細胞に結合する結合アーム、および腫瘍標的細胞に結合する第2のアームを共通して有し、腫瘍標的のT細胞媒介性溶解をもたらす。また共通して、これらの分子は、細胞表面に位置するCD3タンパク質を介してT細胞を動員する。CD3を介した動員の代わりとなるのは、同じく細胞の表面で発現されるαβT細胞受容体(αβTCR)を利用することである。
ある特定の例示的な実施形態では、本開示による抗体は、腫瘍関連抗原に対する特異性をαβT細胞受容体(αβTCR)に対する特異性と組み合わせて抗腫瘍抗体を開発するのに使用されてもよい。
III.抗αβTCR抗体
上述したように、そのようなヒト化抗αβTCR抗体の2つシリーズが、本明細書に参照によって組み入れられているPCT公開WO2013/037484に記載されている。これらの2つシリーズはマウス抗αβTCR抗体BMA031に基づいており、配列番号5~7、12および13を含むHEBE1シリーズ、ならびに配列番号8、15および16に示される重鎖可変領域を含むGL1BMシリーズを含む。どちらの場合も、使用される軽鎖可変領域は、配列番号14(GL1BM VK43)に示されているとおりである。使用されるヒトフレームワークは、HEBE1の場合ではIGH3-23(配列番号17)、ならびにGL1BMの場合ではIGHV1-301(配列番号18)およびIGKV3-1101(配列番号19)である。
表1に列挙された配列において、選択されたCDRは太字で示され、配列番号26~28に記載されているとおりである。
Figure 2022521850000001
Figure 2022521850000002
Figure 2022521850000003
安定化GL1BM VK43のLCDR3(Q-Q-W-S-S-X-X-L-T(式中、XはQ、D、H、S、Y、またはAであり、XはPまたはAである)(配列番号28))に対する配列番号14中のGL1BM VK43のLCDR3(QQWSSNPLT(配列番号29))の比較により、配列番号28のアミノ酸XおよびXは、それぞれ配列番号29のNおよびPに対応することが明らかになっている。
ある特定の実施形態では、ヒトαβTCR/CD3複合体と特異的に結合する結合ポリペプチドであって、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、および定常領域を含み:
軽鎖可変領域は、配列番号26、27、および28に記載されたアミノ酸配列をそれぞれ含む、3つの相補性決定領域(CDR)、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み;
配列番号28は、アミノ酸配列Q-Q-W-S-S-X-X-L-Tを含み(式中、XはQ、D、H、S、Y、およびAからなる群から選択されるアミノ酸であり、XはPおよびAからなる群から選択されるアミノ酸である);
定常領域はヒト由来である、前記結合ポリペプチドが提供される。
ある特定の実施形態では、XはQである。
ある特定の実施形態では、XはDである。
ある特定の実施形態では、XはHである。
ある特定の実施形態では、XはSである。
ある特定の実施形態では、XはYである。
ある特定の実施形態では、XはAである。
ある特定の実施形態では、XはPである。
ある特定の実施形態では、XはAである。
ある特定の実施形態では、XはQであり、XはPである。
ある特定の実施形態では、XはQであり、XはAである。
ある特定の実施形態では、XはDであり、XはPである。
ある特定の実施形態では、XはDであり、XはAである。
ある特定の実施形態では、XはHであり、XはPである。
ある特定の実施形態では、XはHであり、XはAである。
ある特定の実施形態では、XはSであり、XはPである。
ある特定の実施形態では、XはSであり、XはAである。
ある特定の実施形態では、XはYであり、XはPである。
ある特定の実施形態では、XはYであり、XはAである。
ある特定の実施形態では、XはAであり、XはPである。
ある特定の実施形態では、XはAであり、XはAである。
ある特定の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号14によるヒト軽鎖フレームワーク領域をさらに含む。
ある特定の実施形態では、結合ポリペプチドは、参照抗体VH31と比べて5.0を超えるpHで安定性が向上する。
ある特定の実施形態では、結合ポリペプチドは、参照抗体VH31と比べて4℃を超える温度で安定性が向上する。
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7、12、13、15、および16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号7、配列番号12、および配列番号13からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号15および配列番号16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号15として記載されたアミノ酸配列を含む。
ある特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号16として記載されたアミノ酸配列を含む。
IV.修飾された抗αβTCR抗体
抗αβTCR抗体は、1つまたはそれ以上の修飾を含んでもよい。本発明による修飾された抗αβTCR抗体は、当技術分野で公知の任意の手法を使用して作ることができる。
i)断片化の低減
用語「断片化」は、結合ポリペプチド組成物と関連して本明細書で使用される場合、それぞれが元の結合ポリペプチドまたはその第1の部分より低い分子量の2つ以上の部分への、結合ポリペプチドまたはその第1の部分の切断を指す。そのような断片化形態には、完全長不対重鎖、完全長不対軽鎖、第2の完全長重鎖と対合された第1の完全長重鎖、部分重鎖と対合された完全長重鎖、第2の部分重鎖と対合された第1の部分重鎖、完全長軽鎖と対合された完全長重鎖、部分軽鎖と対合された完全長重鎖、完全長軽鎖と対合された部分重鎖、部分軽鎖と対合された部分重鎖、第2の完全長重鎖および完全長軽鎖と対合された第1の完全長重鎖、第2の完全長重鎖および部分軽鎖と対合された第1の完全長重鎖、第1の部分軽鎖と対合された第1の完全長重鎖および第2の部分軽鎖と対合された第2の完全長重鎖、部分重鎖および完全長軽鎖と対合された第1の完全長重鎖、部分重鎖および2つの完全長軽鎖と対合された第1の完全長重鎖、部分重鎖および部分軽鎖と対合された第1の完全長重鎖、第2の部分重鎖および完全長軽鎖と対合された第1の部分重鎖、ならびに第2の部分重鎖および部分軽鎖と対合された第1の部分重鎖が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「断片」は、少なくとも1個のアミノ酸を指す。典型的には、断片は、一緒に連結された2個以上のアミノ酸、より典型的には少なくとも10、20、30、40、または50個のそのようなアミノ酸を含むであろう。特に、1つを超えるポリペプチド鎖を含む断片に関して、断片は、例えば、少なくとも100個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも400個、少なくとも500個、少なくとも600個、または少なくとも700個のアミノ酸を含み得る。
様々な機序によって、例えば、自発的反応(例えば、非酵素反応)または酵素反応を通じてポリペプチド骨格の切断をもたらす天然の共有結合の破壊によって、断片化が引き起こされる場合がある。一般に、タンパク質骨格は生理的条件下で高度に安定している。しかし、特定の領域およびモチーフは、そのアミノ酸配列、二次元または三次元ポリペプチド構造の柔軟性、ならびに適合しない溶媒および環境条件(例えば、温度およびpH)により断片化をより起こしやすい可能性がある。
例えば、アミノ酸Asp(D)、Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、およびAsn(N)は、抗体のポリペプチド骨格において切断を特に起こしやすいことが示されている。例えば、Liu H.ら J.Am.Soc.Mass Spectrom.2009;20:2258~2264頁を参照のこと。さらに、Asn-Pro(N-P)アミド結合は、アンモニアの存在下で完全な切断を受けることが知られている。例えば、Tarelli E.およびCorran P.H.J.Peptide Res.2003;62:245~251頁を参照のこと。
断片化は、生物学的組成物の製造または保存中のいずれの段階でも起こり得る。断片化は、効力の低下または不要な種および潜在的に免疫原性の種の存在をもたらす可能性があるため、いかなる生物学的治療薬の生産においても断片化の低減が重要な検討事項となる。
いくつかの実施形態では、抗体の5%未満(例えば、4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4、4.3、4.2、4.1、4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、または0.1%未満)は、2℃~8℃で少なくとも1カ月(例えば、少なくとも2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、12カ月、13カ月、14カ月、15カ月、16カ月、17カ月、18カ月、19カ月、20カ月、21カ月、22カ月、23カ月、24カ月、またはそれ以上)にわたる保存後に断片化される。
単量体結合ポリペプチドの量、および溶液中に存在する結合ポリペプチドの単量体形態、オリゴマー形態、凝集形態、または断片化形態の量を決定するための方法は、本明細書に記載され、実施例に例示されている。例えば、当業者は、所与の溶液中に存在する中間体全体、断片化された中間体、折り畳まれていない中間体、および/または凝集種のパーセンテージを、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー高速液体クロマトグラフィー(SEC-HPLC)、静的光散乱(SLS)、フーリエ変換赤外分光分析(FTIR)、円二色性(CD)、尿素誘導タンパク質アンフォールディング法、内在性トリプトファン蛍光、非還元ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)、および示差走査熱量測定(DSC)を使用して決定することができる。本明細書に記載された実施例では、本発明者ら、溶液中の結合ポリペプチドの物理的状態を決定するために、特にSEC-HPLCおよびSDS-PAGEの使用を例示する。
ii)免疫原性の低減
ある特定の例示的な実施形態では、抗体、またはその抗原結合部分の免疫原性を減少させるのに脱免疫化が使用され得る。本明細書で使用される場合、用語「脱免疫化」は、1つまたはそれ以上のT細胞エピトープを修飾するための、抗体、またはその抗原結合部分の変更を含む(例えば、WO98/52976A1、WO00/34317A2を参照のこと)。例えば、出発抗体由来のVHおよびVL配列が分析されてもよく、相補性決定領域(CDR)および配列内の他の主な残基との関連でエピトープの位置を示すヒトT細胞エピトープ「マップ」が、各V領域から生成されてもよい。T細胞エピトープマップからの個々のT細胞エピトープは、最終抗体の活性を変えるリスクが低い代替のアミノ酸置換を同定するために分析され得る。アミノ酸置換の組み合わせを含む一連の代替のVHおよびVL配列が設計され得、これらの配列はその後、本明細書に開示される方法において使用するために一連の抗αβTCR抗体または抗αβTCR抗体断片に組み込まれ得、次いで機能についてテストされる。修飾されたVおよびヒトC領域を含む完全な重鎖および軽鎖遺伝子は、次いで発現ベクターにクローニングされ得、その後のプラスミドが抗体全体の産生のために細胞株に導入され得る。抗体は、次いで適当な生化学的および生物学的アッセイで比較され得、最適なバリアントが同定され得る。
iii)エフェクター機能およびFc修飾
ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、1つまたはそれ以上のエフェクター機能を媒介する抗体定常領域(例えば、IgG定常領域、例えば、ヒトIgG定常領域、例えば、ヒトIgG1またはIgG4定常領域)を含んでもよい。例えば、補体のC1成分の抗体定常領域への結合は、補体系を活性化し得る。補体の活性化は、細胞病原体のオプソニン化および溶解において重要である。補体の活性化はまた炎症反応も刺激し、自己免疫過敏症にも関与し得る。さらに、抗体は、細胞上のFc受容体(FcR)に結合する抗体Fc領域のFc受容体結合部位により、Fc領域を介して様々な細胞上の受容体に結合する。IgG(ガンマ受容体、すなわち、Fcγ受容体)、IgE(イプシロン受容体)、IgA(アルファ受容体)およびIgM(ミュー受容体)を含む、異なるクラスの抗体に特異的な多くのFc受容体がある。細胞表面のFc受容体への抗体の結合は、抗体被覆粒子の貪食および破壊、免疫複合体のクリアランス、キラー細胞による抗体被覆標的細胞の溶解(抗体依存性細胞媒介性細胞傷害、またはADCCと呼ばれる)、炎症性メディエーターの放出、胎盤通過、および免疫グロブリン産生の制御を含む、多くの重要で多様な生物学的応答をトリガーする。
ある特定の実施形態では、ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、Fcγ受容体に結合する。代替の実施形態では、ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、1つまたはそれ以上のエフェクター機能(例えば、ADCC活性)を指示することができない、および/またはFcγ受容体と結合することができない定常領域を含んでもよい。
本明細書に記載されたある特定の実施形態は、ほぼ同じ免疫原性の、変更がない抗体全体と比較した場合、例えば、エフェクター機能の低下もしくは増強、非共有結合的に二量体化する能力、腫瘍の部位に局在化する能力の増加、血清半減期の低下、および/または血清半減期の増加などの所望の生化学的特性をもたらすように、1つまたはそれ以上の定常領域ドメインの少なくとも1個のアミノ酸が欠失またはさもなければ変更されているヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)を提供する。例えば、本明細書に記載された診断方法および治療方法において使用するためのある特定の抗体、またはその断片は、免疫グロブリン重鎖と同様のポリペプチド鎖を含むが、1つまたはそれ以上の重鎖ドメインの少なくとも一部を欠くドメイン欠失抗体である。例えば、ある特定の抗体では、修飾された抗体の定常領域の1つの全ドメインが欠失され、例えば、CH2ドメインの全部または一部が欠失される。
ある特定の他の実施形態では、ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、異なる抗体アイソタイプに由来する定常領域(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4の2つ以上に由来の定常領域)を含む。他の実施形態では、ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、キメラヒンジ(すなわち、異なる抗体アイソタイプのヒンジドメインに由来するヒンジ部分を含むヒンジ、例えば、IgG4分子由来の上部ヒンジドメイン、およびIgG1中部ヒンジドメイン)を含む。1つの実施形態では、ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、ヒトIgG4分子由来のFc領域またはその部分、および該分子のコアヒンジ領域のSer228Pro(S228P)変異(EUナンバリング)を含む。
ある特定の例示的な実施形態では、ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)のFc部分は、エフェクター機能を増加または減少させるために当技術分野で公知の手法を使用して変異させることができる。例えば、定常領域ドメインの欠失または不活性化(点変異または他の手段による)は、循環修飾抗体のFc受容体結合を低減し、それにより腫瘍局在化を増加させことができる。他のケースでは、本開示と一致する定常領域修飾は補体結合を緩和し、故に血清半減期、およびコンジュゲートされた細胞毒の非特異的結合を低減することになる。定常領域のさらに他の修飾は、抗原特異性または柔軟性の増加により局在化の増強を可能にするジスルフィド結合またはオリゴ糖部分を修飾するのに使用される。結果として生じる生理学的プロフィール、バイオアベイラビリティ、ならびに腫瘍局在化、体内分布および血清半減期などの修飾の他の生化学的効果は、過度の実験を行うことなく周知の免疫学的手法を使用して容易に測定および定量化することができる。
ある特定の実施形態では、ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)で使用されるFcドメインは、Fcバリアントである。本明細書で使用される場合、用語「Fcバリアント」は、Fcドメインが由来する野生型Fcドメインと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を有するFcドメインを指す。例えば、FcドメインがヒトIgG1抗体に由来する場合、前記ヒトIgG1 FcドメインのFcバリアントは、前記Fcドメインと比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
Fcバリアントのアミノ酸置換は、Fcドメイン内の任意の位置(すなわち、任意のEU従来型アミノ酸位置)にあってもよい。1つの実施形態では、Fcバリアントは、ヒンジドメインまたはその部分に位置するアミノ酸位置に置換を含む。別の実施形態では、Fcバリアントは、CH2ドメインまたはその部分に位置するアミノ酸位置に置換を含む。別の実施形態では、Fcバリアントは、CH3ドメインまたはその部分に位置するアミノ酸位置に置換を含む。別の実施形態では、Fcバリアントは、CH4ドメインまたはその部分に位置するアミノ酸位置に置換を含む。
抗体は、エフェクター機能および/またはFcR結合の改善(例えば、低下または増強)を与えることが公知の当技術分野において認識されている任意のFcバリアントを使用してもよい。前記Fcバリアントには、例えば、その各々が参照によって本明細書に組み入れられている、国際PCT公開WO88/07089A1、WO96/14339A1、WO98/05787A1、WO98/23289A1、WO99/51642A1、WO99/58572A1、WO00/09560A2、WO00/32767A1、WO00/42072A2、WO02/44215A2、WO02/060919A2、WO03/074569A2、WO04/016750A2、WO04/029207A2、WO04/035752A2、WO04/063351A2、WO04/074455A2、WO04/099249A2、WO05/040217A2、WO05/070963A1、WO05/077981A2、WO05/092925A2、WO05/123780A2、WO06/019447A1、WO06/047350A2、およびWO06/085967A2または米国特許第5,648,260号;5,739,277号;5,834,250号;5,869,046号;6,096,871号;6,121,022号;6,194,551号;6,242,195号;6,277,375号;6,528,624号;6,538,124号;6,737,056号;6,821,505号;6,998,253号;および7,083,784号に開示されているアミノ酸置換のいずれか1つが挙げられる。
1つの例示的な実施形態では、ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、EU位置268(例えば、H268DまたはH268E)にアミノ酸置換を含むFcバリアントを含む。別の例示的な実施形態では、ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、EU位置239(例えば、S239DまたはS239E)および/またはEU位置332(例えば、I332DまたはI332Q)にアミノ酸置換を含む。
ある特定の実施形態では、ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、抗体の抗原依存的エフェクター機能、特に抗体の循環半減期を変化させるアミノ酸置換を含むFcバリアントを含む。そのような抗体は、これらの置換を欠く抗体と比べた場合、新生児Fc受容体(FcRn)への結合の増加または減少のどちらかを示し、それ故に血清中の半減期はそれぞれ増加または減少する。FcRnに対する親和性が改善したFcバリアントは、より長い血清半減期を有することが見込まれ、そのような分子は、例えば慢性疾患または障害を治療するために、投与された抗体の長い半減期が望まれる哺乳動物を治療する方法において有用な用途を有する。対照的に、FcRn結合親和性が減少したFcバリアントはより短い半減期を有すると予想され、そのような分子もまた、例えば、インビボ画像診断のために、または長期間にわたって循環に存在する場合、出発抗体が有毒な副作用を有する状況において、例えば循環時間の短縮が有利である哺乳動物への投与に有用である。FcRn結合親和性が減少したFcバリアントはまた、胎盤を通過する可能性が少なく、故に、妊婦の疾患または障害の治療においても有用である。さらに、FcRn結合親和性の低下が望まれ得る他の用途には、脳、腎臓、および/または肝臓への局在化が望まれる用途が挙げられる。1つの例示的な実施形態では、抗体の変化は、血管系からの腎臓糸球体上皮の通過の低下を示す。別の実施形態では、抗体の変化は、脳からの血管腔への血液脳関門(BBB)の通過の低下を示す。
1つの実施形態では、FcRn結合が変化した抗体は、Fcドメインの「FcRn結合ループ」内に1つまたはそれ以上のアミノ酸置換を有するFcドメインを含む。FcRn結合ループは、アミノ酸残基280~299(EUナンバリングによる)から成る。FcRn結合活性を変化させた例示的なアミノ酸置換は、あらゆる目的でその全体が本明細書に参照によって組み入れられている国際PCT公開第WO05/047327号に開示されている。ある特定の例示的な実施形態では、ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、以下の置換:V284E、H285E、N286D、K290EおよびS304D(EUナンバリング)の1つまたはそれ以上を有するFcドメインを含む。
他の実施形態では、本明細書に記載された診断方法および治療方法において使用するためのヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、グリコシル化を低減または排除するために変化された定常領域、例えば、IgG1またはIgG4重鎖定常領域を有する。例えば、抗体は、抗体のグリコシル化を変化させるアミノ酸置換を含むFcバリアントも含むことができる。例えば、前記Fcバリアントは、グリコシル化(例えば、N-またはO-結合型グリコシル化)が低減し得る。例示的な実施形態では、Fcバリアントは、通常はアミノ酸位置297(EUナンバリング)に見出されるN-結合型グリカンのグリコシル化の低減を含む。別の実施形態では、抗体は、グリコシル化モチーフ(例えば、アミノ酸配列NXTまたはNXSを含有するN-結合型グリコシル化モチーフ)の近くまたは該モチーフ内にアミノ酸置換を有する。特定の実施形態では、抗体は、アミノ酸位置228または299(EUナンバリング)にアミノ酸置換を有するFcバリアントを含む。より特定の実施形態では、抗体は、S228PおよびT299A変異(EUナンバリング)を含むIgG1またはIgG4定常領域を含む。
グリコシル化の低減または変化を与える例示的なアミノ酸置換は、あらゆる目的でその全体が本明細書に参照によって組み入れられている、国際PCT公開第WO05/018572号に開示されている。ある特定の実施形態では、抗体、またはその断片は、グリコシル化を排除するように修飾される。そのような抗体、またはその断片は、「アグリ(agly)」抗体、またはその断片(例えば、「アグリ」抗体断片)と呼ばれる。科学理論に束縛されるものではないが、アグリ抗体、またはその断片は、インビボでの安全性および安定性プロフィールが改善し得ることが考えられる。例示的なアグリ抗体、またはアグリ抗体断片は、Fcエフェクター機能を欠くIgG4抗体のアグリコシル化Fc領域を含み、それにより正常な重要臓器に対するFc媒介性毒性の可能性を排除する。さらに他の実施形態では、アグリ抗体、またはアグリ抗体断片は、変化したグリカンを含む。例えば、アグリ抗体またはアグリ抗体断片は、Fc領域のAsn297(N297)でN-グリカンのフコース残基の数が低減し得る、すなわち、アフコシル化される。別の実施形態では、アグリ抗体またはアグリ抗体断片は、Fc領域のAsn297でN-グリカンのシアル酸残基の数が変化し得る。
iv)共有結合
ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、抗体がその同族エピトープに特異的に結合するのを共有結合が妨げないように、例えば分子の抗体への共有結合によって修飾することができる。例えば、限定する目的ではないが、ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク質切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質への結合等によって修飾することができる。数多くの化学修飾のいずれも、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化等を含むがこれらに限定されない公知の手法によって実行することができる。さらに、誘導体は、1つまたはそれ以上の非古典的アミノ酸を含有し得る。
ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、さらに、N末端もしくはC末端で異種ポリペプチドに組み換え的に融合することができ、またはポリペプチドもしくは他の組成物に化学的にコンジュゲートすることができる(共有および非共有コンジュゲーションを含む)。例えば、抗αβTCR抗体は、検出アッセイにおける標識として有用な分子、および異種ポリペプチド、薬物、放射性核種、または毒素などのエフェクター分子に組み換え的に融合され、またはコンジュゲートされる。例えば、PCT公開WO92/08495、WO91/14438、およびWO89/12624;米国特許第5,314,995号;ならびにEP396,387を参照のこと。
ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、インビボでの半減期を増加させるために、または当技術分野で公知の方法を使用した免疫アッセイでの使用のために、1つまたはそれ以上の異種ポリペプチドに融合させることができる。例えば、1つの実施形態では、インビボでの半減期を増加させるために、ポリエチレングリコール(PEG)がヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)にコンジュゲートされる。Leong,S.R.ら、Cytokine 16:106頁(2001);Chapman A.P、Adv.Drug Deliv.Rev.54:531頁(2002);またはWeirら、Biochem.Soc.Transactions 30:512頁(2002)。
さらに、ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)の精製または検出を容易にするために、ペプチドなどの1つまたはそれ以上のマーカー配列に融合することができる。ある特定の実施形態では、マーカーアミノ酸配列は、特に、pQEベクター(QIAGEN,Inc.、9259 Eton Avenue、Chatsworth、Calif.、91311)で提供されるタグなどのヘキサヒスチジンペプチドであり、その多くが市販されている。例えば、Gentzら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:821~824頁(1989)に記載されているように、ヘキサヒスチジンは、融合タンパク質の簡便な精製を提供する。精製に有用な他のペプチドタグには、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質に由来するエピトープに対応する「HA」タグ(Wilsonら、Cell 37:767~778頁(1984))および「flag」タグが挙げられるが、これらに限定されない。
ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、例えば、分子の治療的特性を改善するため、標的検出を容易にするため、または対象の撮像もしくは療法のために非コンジュゲート形態で使用することができ、または様々な分子の少なくとも1つにコンジュゲートすることができる。ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、精製が行われる場合、精製前または後のどちらかに標識またはコンジュゲートすることができる。特に、ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、治療剤、プロドラッグ、ペプチド、タンパク質、酵素、ウイルス、脂質、生物学的応答調節物質、医薬品、またはPEGにコンジュゲートすることができる。
本開示は、さらに、診断剤または治療剤にコンジュゲートされたヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)を包含する。ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は診断的に使用されて、例えば、臨床検査手順の一環として免疫細胞障害(例えば、CLL)の発症または進行を監視して、例えば所与の治療および/または予防レジメンの効能を決定することができる。検出は、ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)を検出可能な物質にカップリングして容易にすることができる。検出可能な物質の例には、様々な酵素、補欠分子族、蛍光材料、発光材料、生物発光材料、放射性材料、様々なポジトロン放出断層撮影法を使用したポジトロン放出金属、および非放射性常磁性金属イオンが挙げられる。本開示による診断法として使用するための抗体にコンジュゲートすることができる金属イオンについては、例えば、米国特許第4,741,900号を参照のこと。適切な酵素の例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、およびアセチルコリンエステラーゼが挙げられ;適切な補欠分子族複合体の例には、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられ;適切な蛍光材料の例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドおよびフィコエリスリンが挙げられ;発光材料の例には、ルミノールが挙げられ;生物発光材料の例には、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンが挙げられ;適切な放射性材料の例には、125I、131I、111Inおよび99Tcが挙げられる。
本明細書に開示される診断方法および治療方法において使用するためのヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、1つまたはそれ以上の細胞毒(放射性同位体、細胞毒性薬、または毒素など)治療剤、細胞分裂阻害剤、生物毒素、プロドラッグ、ペプチド、タンパク質、酵素、ウイルス、脂質、生物学的応答調節物質、医薬品、免疫学的に活性なリガンド(例えば、結果として生じる分子が、新生物細胞、およびT細胞などのエフェクター細胞の両方に結合するリンホカインまたは他の抗体)、またはPEGにコンジュゲートすることができる。
別の実施形態では、本明細書に開示される診断方法および治療方法において使用するためのヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、腫瘍細胞増殖を減少させる分子にコンジュゲートすることができる。他の実施形態では、開示された組成物は、薬物またはプロドラッグに結合されたヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)を含んでもよい。本明細書に記載されたさらに他の実施形態は、リシン、ゲロニン、緑膿菌外毒素またはジフテリア毒素等などの特定の生体毒素またはその細胞毒性断片にコンジュゲートされた抗体、またはその断片の使用を含む。どのコンジュゲート抗体または非コンジュゲート抗体を使用するかの選択は、癌のタイプおよびステージ、補助的治療(例えば、化学療法または外部照射)の使用、ならびに対象の状態に依存するであろう。当業者は、本明細書の教示に照らしてそのような選択を容易に行い得ることが理解されるであろう。
以前の研究では、同位体で標識された抗腫瘍抗体は、動物モデルにおいておよびいくつかの例ではヒトにおいて腫瘍細胞を破壊するのに成功裏に使用されていることが理解されるであろう。例示的な放射性同位体には、限定されるものではないが、以下が挙げられる:67Cu、67Ga、90Y、105Rh、111In、123I、125I、131I、153Sm、166Ho、177Lu、186Re、および188Re。放射性核種は、核DNAにおける複数の鎖切断を引き起こす電離放射線を生成し、細胞死をもたらすことによって作用する。治療用コンジュゲートを作製するのに使用される同位体は、典型的には、経路長が短い高エネルギーアルファまたはベータ粒子を生成する。そのような放射性核種は、極めて近接する細胞、例えば、コンジュゲートが結合または侵入した新生物細胞を死滅させる。該放射性核種は、非局在化細胞に対してほとんど影響を与えないかまたは影響を与えない。放射性核種は本質的に非免疫原性である。
V.抗体作製
抗体作製は、ヤギ(Pollockら(1999)J.lmmunol.Methods 231:147~157頁を参照のこと)、ニワトリ(Morrow,K.J.J.(2000)Genet.Eng.News 20:1~55頁を参照のこと)、マウス(Pollockら、上記を参照のこと)または植物(Doran,P.M.(2000)Curr.Opinion Biotechnol.11:199~204頁;Ma.J.K-C.(1998)Nat.Med.4:601~606頁;Baez,J.ら(2000)BioPharm.13:50~54頁;Stoger,E.ら(2000)Plant Mol.Biol.42:583~590頁を参照のこと)などのトランスジェニック生物を含む、当技術分野で公知の任意の手法によって行うことができる。抗体は、化学合成、または抗体をコードする遺伝子の宿主細胞での発現によって作製することもできる。
ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)をコードするポリヌクレオチドが単離され、宿主細胞でのさらなる増殖または発現のために、プラスミドなどの複製可能な構築物またはベクターに挿入される。記載された実施形態によるヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)の発現に適した構築物またはベクター(例えば、発現ベクター)が当技術分野で利用可能である。宿主細胞において単一コピーもしくは複数コピーで維持されるベクター、または宿主細胞の染色体に組み込まれるようになるベクターを含む様々なベクターが利用可能である。構築物またはベクターは適切な宿主細胞に導入され、ヒト化免疫グロブリンを発現する細胞が培養で作製および維持される。単一のベクターまたは複数のベクターがヒト化免疫グロブリンの発現に使用される。
ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)をコードするポリヌクレオチドは容易に単離され、従来の手順(例えば、オリゴヌクレオチドプローブ)を使用して配列決定される。使用することができるベクターには、プラスミド、ウイルス、ファージ、トランスポゾン、プラスミドが典型的な実施形態であるミニ染色体が挙げられる。一般に、そのようなベクターは、発現を容易にするために軽鎖および/または重鎖ポリヌクレオチドに作動可能に連結されたシグナル配列、複製起点、1つまたはそれ以上のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーターおよび転写終結配列をさらに含む。軽鎖および重鎖をコードするポリヌクレオチドは、別々のベクターに挿入され、同時にまたは順次同じ宿主細胞に導入され(例えば、形質転換、トランスフェクション、電気穿孔または形質導入によって)または、所望の場合には、重鎖および軽鎖の両方がそのような導入の前に同じベクターに挿入される。
プロモーターは適切な宿主細胞での発現のために提供される。プロモーターは恒常性または誘導性であってもよい。例えば、プロモーターは、コードされたポリペプチドの発現を指示するように、ヒト化免疫グロブリンまたは免疫グロブリン鎖をコードする核酸に作動可能に連結することができる。原核生物および真核生物宿主用の様々な適切なプロモーターが利用可能である。原核生物プロモーターには、大腸菌用のlac、tac、T3、T7プロモーター;3-ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の解糖系酵素、例えば、エノラーゼ、グリセルアルデヒド3-リン酸脱水素酵素、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース6リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ムターゼおよびグルコキナーゼが挙げられる。真核生物プロモーターには、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロムC、酸性ホスファターゼ、メタロチオネインおよび窒素代謝またはマルトース/ガラクトース利用に関与する酵素などの誘導性酵母プロモーター;ポリオーマ、鶏痘およびアデノウイルス(例えば、アデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス(特に、前初期遺伝子プロモーター)、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、アクチン、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター、ならびに初期または後期シミアンウイルス40プロモーターなどのウイルスプロモーター、ならびにEF-1アルファ(MizushimaおよびNagata(1990)Nucleic Acids Res.18(17):5322頁)などの非ウイルスプロモーターを含むRNAポリメラーゼIIプロモーターが挙げられる。当業者は、ヒト化抗体またはその部分を発現させるのに適当なプロモーターを選択することができるであろう。
必要に応じて、例えば、高等真核生物の細胞での発現のために、追加のエンハンサーエレメントが、上に記載されたプロモーター中にあることが見出されたものの代わりに、またはこれと共に含まれる。適切な哺乳動物エンハンサー配列は、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、フェトプロテイン、メタロチオニンおよびインスリン由来のエンハンサーエレメントを含む。あるいは、SV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、ポリオーマ エンハンサー、バキュロウイルスエンハンサーまたはマウスIgG2a遺伝子座などの真核生物細胞ウイルス由来のエンハンサーエレメントを使用してもよい(WO04/09823を参照のこと)。そのようなエンハンサーは、プロモーターの上流の部位でベクター上に位置する場合が多いが、他の場所、例えば、未翻訳領域内またはポリアデニル化シグナルの下流に位置することもできる。エンハンサーの選択および配置は、発現に使用される宿主細胞との適合性に基づき得る。
さらに、ベクター(例えば、発現ベクター)は、ベクターを有する宿主細胞の選択のための選択可能なマーカー、および複製可能なベクターの場合には複製起点を含んでもよい。抗生物質または薬物耐性を与える産物をコードする遺伝子は一般的な選択可能なマーカーであり、原核生物(例えば、β-ラクタマーゼ遺伝子(アンピシリン耐性)、tet遺伝子(テトラサイクリン耐性))および真核生物細胞(例えば、ネオマイシン(G418またはジェネティシン)、gpt(ミコフェノール酸)、アンピシリン、またはハイグロマイシン5耐性遺伝子)で使用される。ジヒドロ葉酸還元酵素マーカー遺伝子は、様々な宿主でのメトトレキサートを用いた選択を可能にする。宿主の栄養要求性マーカーの遺伝子産物をコードする遺伝子(例えば、LEU2、URA3、HIS3)は、酵母での選択可能なマーカーとして使用される場合が多い。ウイルス(例えば、バキュロウイルス)またはファージベクター、およびレトロウイルスベクターなどの宿主細胞のゲノムに組み込むことができるベクターの使用も企図される。
真核生物系では、ポリアデニル化および終結シグナルは、本明細書に記載された抗体をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結される。そのようなシグナルは、典型的にはオープンリーディングフレームの3’に置かれる。哺乳動物系では、ポリアデニル化/終結シグナルの非限定的な例には、成長ホルモン、伸長因子1アルファおよびウイルス(例えば、SV40)遺伝子またはレトロウイルス長末端反復に由来するものが挙げられる。酵母系では、ポリアデニル化/終結シグナルの非限定的な例には、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)およびアルコール脱水素酵素1(ADH)遺伝子に由来するものが挙げられる。原核生物系では、ポリアデニル化シグナルは典型的には必要とされず、代わりに、より短い、より定義されたターミネーター配列を使用することが有用である。ポリアデニル化/終結配列の選択は、発現に使用される宿主細胞との適合性に基づき得る。上記に加えて、収量を高めるのに使用される他の特性には、クロマチンリモデリングエレメント、イントロンおよび宿主細胞特異的コドン修飾が挙げられる。本明細書に記載された抗体のコドン使用頻度は、転写物および/または産物収量を増大させるために宿主細胞のコドンバイアスに対応するように修飾される(例えば、Hoekema,A.ら(1987)Mol.Cell Biol.7(8):2914~24頁)。コドンの選択は、発現に使用される宿主細胞との適合性に基づき得る。
本開示は故に、ヒト化免疫グロブリン、またはその重鎖もしくは軽鎖をコードする単離された核酸分子に関する。本開示はまた、免疫グロブリンおよびその鎖の抗原結合部分をコードする単離された核酸分子にも関する。
ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、例えば、適切な宿主細胞での抗体をコードする1つまたはそれ以上の組換え核酸の発現によって作製することができる。宿主細胞は、任意の適切な方法を使用して作製することができる。例えば、本明細書に記載された発現構築物(例えば、1つまたはそれ以上のベクター、例えば、哺乳動物細胞発現ベクター)は適切な宿主細胞に導入され、得られた細胞は、構築物またはベクターの発現に適した条件下で維持される(例えば、培養、動物、植物において)。宿主細胞は、細菌細胞、例えば大腸菌(例えば、株DH5α(商標))(Invitrogen、カールズバッド、CA)、PerC6(Crucell、ライデン、NL)、枯草菌および/または他の適切な細菌などを含む原核生物;真核生物細胞、例えば真菌もしくは酵母細胞(例えば、ピキア・パストリス、アスペルギルス属種、出芽酵母、分裂酵母、アカパンカビ)、または他の下等真核生物細胞、および高等真核生物の細胞、例えば、昆虫(例えば、ショウジョウバエシュナイダーS2細胞、Sf9昆虫細胞)(WO94/126087)、BTI-TN-5B1-4(High Five(商標))昆虫細胞(Invitrogen)、哺乳動物(例えば、COS細胞、例えばCOS-1(ATCC受託番号CRL-1650)およびCOS-7(ATCC受託番号CRL-1651)、CHO(例えば、ATCC受託番号CRL-9096)、CHO DG44(Urlaub,G.およびChasin,L.A.(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77(7):4216~4220頁)、293(ATCC受託番号CRL-1573)、HEK、HeLa(ATCC受託番号CCL-2)、CVI(ATCC受託番号CCL-70)、WOP(Dailey,L.ら(1985)J.Virol.、54:739~749頁)、3T3、293T(Pear,W.S.ら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、90:8392~8396頁)、NS0細胞、SP2/0細胞、HuT 78細胞等、または植物(例えば、タバコ、アオウキクサ属(lemna)(アオウキクサ)、および藻類)由来のものであってもよい。例えば、Ausubel,F.M.ら編 Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing Associates and John Wiley & Sons Inc.(1993)を参照のこと。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、多細胞生物(例えば、植物または動物)の一部ではなく、例えば、単離された宿主細胞であり、または細胞培養物の一部である。
宿主細胞は、スピナーフラスコ、振盪フラスコ、ローラーボトル、ウェーブリアクター(例えば、wavebiotech.com製システム1000)または中空糸システムで培養することができるが、大規模生産には、撹拌タンクリアクターまたはバッグリアクター(例えば、Wave Biotech、サマセット、ニュージャージー USA)が特に懸濁培養に使用されることが好ましい。撹拌タンクリアクターは、例えば、スパージャ、バッフルまたは低剪断インペラを使用する通気に適合することができる。気泡塔およびエアリフトリアクターに関して、気泡または酸素気泡による直接通気が使用される。宿主細胞が無血清培養培地で培養される場合、通気プロセスの結果としての細胞損傷を防ぐのに役立つ、プルロニックF-68などの細胞保護剤が培地に補充される。宿主細胞の特性に応じて、マイクロキャリアが足場依存性細胞株の増殖基質として使用され、または細胞が懸濁培養に適合される。宿主細胞、特に脊椎動物宿主細胞の培養は、バッチ、フェドバッチ、反復バッチ処理(Drapeauら(1994)Cytotechnology 15:103~109頁を参照のこと)、拡張バッチ処理または灌流培養などの様々な動作モードを利用することができる。組み換え形質転換哺乳動物宿主細胞は、ウシ胎仔血清(FCS)を含む培地のような血清含有培地で培養することができるが、そのような宿主細胞は、必要に応じてグルコースなどのエネルギー源および組換えインスリンなどの合成増殖因子を補充された、Keenら(1995)Cytotechnology 17:153~163頁に開示されているような無血清培地、またはProCHO(商標)もしくはUltraCHO(商標)(Cambrex NJ、USA)などの市販の培地で培養されることが好ましい。宿主細胞の無血清培養は、それらの細胞が無血清条件での増殖に適合されることを必要とする場合がある。1つの適合アプローチは、そのような宿主細胞を血清含有培地で培養し、宿主細胞が無血清条件への適合をするようになるように培養培地の80%を無血清培地に繰り返し交換することである(例えば、Scharfenberg,K.ら(1995)Animal Cell Technology:Developments Towards the 21st Century(Beuvery,E.C.ら編)、619~623頁、Kluwer Academic publishersを参照のこと)。
記載された実施形態によるヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は培地に分泌され、意図された使用に適した精製の程度を提供する様々な手法を使用してそこから回収され、精製される。例えば、ヒト対象の治療のためのヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)の使用は、治療用抗体を含む培養培地と比べて、還元SDS-PAGEによって決定される場合、典型的には少なくとも95%純度、より典型的には98%または99%純度を要求する。第1の例では、培養培地からの細胞残渣が遠心分離を使用して除去され、その後、例えば精密濾過、限外濾過および/または深層濾過を使用して上清の清澄化工程が行われる。あるいは、ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、事前に遠心分離することなく精密濾過、限外濾過または深層濾過によって回収される。透析およびゲル電気泳動などの様々な他の手法、ならびにヒドロキシアパタイト(HA)、アフィニティークロマトグラフィー(場合により、ポリヒスチジンなどのアフィニティータグシステムを含む)および/または疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)(US5,429,746を参照のこと)などのクロマトグラフ法が利用可能である。1つの実施形態では、様々な清澄化工程後、ヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)は、プロテインAまたはプロテインGアフィニティークロマトグラフィーを使用して捕捉され、その後、イオン交換および/またはHAクロマトグラフィー、アニオンまたはカチオン交換、サイズ排除クロマトグラフィーならびに硫安沈殿などのさらなるクロマトグラフィー工程が行われる。様々なウイルス除去工程も使用される(例えばDV-20フィルターを使用した例えばナノ濾過)。これらの様々な工程後、少なくとも10mg/mL以上、例えば100mg/mL以上の本明細書に記載された抗体を含む精製調製物が提供され、それ故に、本明細書に記載された別の実施形態を形成する。100mg/mL以上への濃縮物が、超遠心分離によって生成される。そのような調製物は、本明細書に記載された抗体の凝集形態が実質的にない。
細菌系は抗体断片の発現に特に適している。そのような断片は、細胞内またはペリプラズム内に局在化される。不溶性ペリプラズムタンパク質は、当業者に公知の方法により抽出およびリフォールドされて活性タンパク質を形成することができる。Sanchezら(1999)J.Biotechnol.72:13~20頁;Cupit,P.M.ら(1999)Lett.Appl.Microbiol.29:273~277頁を参照のこと。
本開示はまた、核酸、例えば本明細書に記載されたベクター(例えば、発現ベクター)を含む細胞にも関する。例えば、記載された実施形態によるヒト化免疫グロブリンの重鎖および軽鎖をコードする核酸(すなわち、1つまたはそれ以上の核酸)、またはそのような核酸を含む構築物(例えば、1つまたはそれ以上の構築物、例えば、1つまたはそれ以上のベクター)は、選択された宿主細胞に適した方法(例えば、形質転換、トランスフェクション、電気穿孔、感染)によって適切な宿主細胞に導入され、核酸は、1つまたはそれ以上の発現制御エレメント(例えば、宿主細胞ゲノムに組み込まれるベクター内、細胞でのプロセシングによって作出される構築物内の)に作動可能に連結される、または作動可能に連結されるようになる。宿主細胞は、発現に適した条件下(例えば、誘導因子、適当な塩を補充された適切な培地、増殖因子、抗生物質、栄養サプリメント等の存在下)で維持され、それにより、コードされたポリペプチドが産生される。所望の場合には、コードされたヒト化抗体は、例えば宿主細胞、培養培地、または乳汁から単離される。このプロセスは、トランスジェニック動物または植物(例えば、タバコ)の宿主細胞(例えば、乳腺細胞)での発現を包含する(例えば、WO92/03918を参照のこと)。
VI.T細胞媒介性障害を治療または予防する方法
免疫抑制が正当化される、および/または自己免疫状態が生じるいくつかの状況では、T細胞活性の抑制が望ましい。したがって、炎症、自己免疫、および/またはそのような機序を含む他の状態などの不適切なまたは望ましくない免疫応答を含む疾患の治療におけるαβTCR/CD3複合体の標的化が示される。1つの実施形態では、そのような疾患または障害は、 自己免疫および/または炎症性疾患である。そのような自己免疫および/または炎症性T細胞媒介性疾患の例には:全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、炎症性腸疾患(IBD)(潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を含む)、多発性硬化症(MS)、強皮症、1型糖尿病(T1D)、ならびに他の疾患および障害、例えば、尋常性天疱瘡(PV)、乾癬、アトピー性皮膚炎、セリアック病、慢性閉塞性肺疾患、橋本甲状腺炎、グレーブス病(甲状腺)、シェーグレン症候群、ギランバレー症候群、グッドパスチャー症候群、アジソン病、ウェゲナー肉芽腫症、原発性胆汁性硬化症、硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、リウマチ性多発筋痛症、レイノー現象、側頭動脈炎、巨細胞性動脈炎、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、結節性多発動脈炎、ベーチェット病、原発性胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎、心筋炎、リウマチ熱、強直性脊椎炎、糸球体腎炎、サルコイドーシス、皮膚筋炎、重症筋無力症、多発性筋炎、円形脱毛症、ならびに白斑が挙げられるが、これらに限定されない。
1つの実施形態では、そのような疾患または障害はSLEである。1つの実施形態では、そのような疾患または障害はRAである。1つの実施形態では、そのような疾患または障害はIBDである。1つの実施形態では、そのような疾患または障害はMSである。1つの実施形態では、そのような疾患または障害はT1Dである。
別の実施形態では、そのような疾患または障害は、異種移植、同種移植、種間妊娠(xenopregnancy)、妊娠高血圧腎症、またはRh病である。
特定の実施形態では、記載された実施形態による抗体は、対象の免疫を抑制して移植を助けるのに使用される。そのような使用は、異種移植または同種移植(限定されるものではないが、以下を含む:幹細胞、骨髄、組織、身体のパーツ、および固形臓器の移植)後の一般的な合併症である移植片対宿主病(GvHD)を軽減する。組織には、限定されるものではないが、以下が挙げられる:角膜、強膜、骨、皮膚、血管、および心臓弁。身体のパーツには、限定されるものではないが、以下が挙げられる:顔またはその部分、1つまたはそれ以上の腕またはその部分、1つまたはそれ以上の手またはその部分、1つまたはそれ以上の足またはその部分、および頭皮またはその部分。固形臓器には、限定されるものではないが、以下が挙げられる:心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、胃、小腸、大腸、精巣および卵巣。移植片対宿主病に対する既存の治療の説明については、例えば、Svennilson、Bone Marrow Transplantation(2005)35:S65~S67頁、およびその中に引用されている参考文献を参照のこと。有利には、本開示で提示される抗体は、他の利用可能な療法と組み合わせて使用される。
自己免疫疾患の治療に関して、併用療法は、本明細書に記載された抗体を医薬品と一緒に投与することを含み得、医薬品は、抗体と一緒にそのような自己免疫疾患を予防または治療するための有効量を含む。前記自己免疫疾患が1型糖尿病である場合、併用療法は、膵ベータ細胞の増殖を促進し、またはベータ細胞移植を増強する、ベータ細胞増殖もしくは生存因子または免疫調節性抗体などの薬剤の1つまたはそれ以上を包含し得る。前記自己免疫疾患が関節リウマチである場合、前記併用療法は、メトトレキサート、抗TNF-α抗体、TNF-α受容体-Ig融合タンパク質、抗IL-15もしくは抗IL-21抗体、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、または疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)の1つまたはそれ以上を包含し得る。例えば、追加の薬剤は、抗TNF剤(例えば、エンブレル(登録商標)、インフリキシマブ(レミケード(登録商標))およびアダリムマブ(ヒュミラ(登録商標))またはリツキシマブ(リツキサン(登録商標))などの生物剤であってもよい。前記自己免疫疾患が造血移植拒絶反応である場合、造血成長因子(例えば、エリスロポエチン、G-CSF、GM-CSF、IL-3、IL-11、トロンボポエチン等)または抗菌薬(例えば、抗菌薬、抗ウイルス、抗真菌薬)が投与される。前記自己免疫疾患が乾癬である場合、追加の薬剤は、タールおよびその誘導体、光線療法、コルチコステロイド、シクロスポリンA、ビタミンD類似体、メトトレキサート、p38マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)阻害剤、ならびに抗TNF-α剤およびリツキサン(登録商標)などの生物剤の1つまたはそれ以上であってもよい。前記自己免疫疾患が、例えば、クローン病または潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患(IBD)である場合、追加の薬剤は、アミノサリチル酸、コルチコステロイド、免疫調節薬、抗生物質、またはレミケード(登録商標)およびヒュミラ(登録商標)などの生物剤の1つまたはそれ以上であってもよい。
併用治療は、当業者によって必要または好都合と見なされる任意の方法で実行され、本明細書の目的のために、組み合わせて使用される化合物の順序、量、反復または相対量に関する制限は企図されない。したがって、記載された実施形態による抗体は、療法において使用するための医薬組成物に製剤化することができる。
VII.抗αβTCR抗体の医薬組成物および投与方法
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されたヒト化モノクローナル抗体、もしくはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)、または本開示の前の態様で定義されているアッセイ方法によって識別可能なリガンドを含む医薬組成物が提供される。リガンドは、本明細書で論じられている免疫グロブリン、ペプチド、核酸または小分子であってもよい。それらは、以下の考察では「化合物」と呼ばれる。
本明細書に記載された医薬組成物は、活性成分としてT細胞活性を調節することができる化合物を含む組成物である。化合物は、任意の薬学的に許容される塩の形態であり、または例えば、必要に応じて、類似体、遊離塩基形態、互変異性体、エナンチオマー、ラセミ体、もしくはそれらの組み合わせである。本明細書に記載された活性成分を含む医薬組成物の活性成分は、例えば、移植片対宿主病の治療において、特定の症例に依存する量で投与される場合、治療的活性を示すように企図される。
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載されたヒト化モノクローナル抗体、またはヒト化モノクローナル抗体断片(例えば、抗αβTCR抗体またはその断片)、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む。
ある特定の実施形態では、本開示に記載された1つまたはそれ以上の化合物は、上述の状態のいずれかを治療する上で特定の適応症の治療に適していることが公知の、当技術分野において認識されている任意の化合物と組み合わせて使用することができる。したがって、本明細書に記載された1つまたはそれ以上の化合物は、好都合な単一の組成物が対象に投与されるように、前述の適応症の治療に適していることが公知の、当技術分野において認識されている1つまたはそれ以上の化合物と組み合わせることができる。投薬レジメンは、最適な治療反応をもたらすように調整される。
例えば、いくつかの分割用量が毎日投与され、または該用量は、治療状況の緊急性によって示されるのに比例して低減される。
活性成分は、経口、静脈内(水溶性の場合)、筋肉内、皮下、鼻腔内、皮内もしくは座薬経路、または埋め込み(例えば、徐放分子を使用する)などによる好都合な方法で投与することができる。移植のケースでは、活性成分は、患者に移植される細胞、組織、または臓器を移植の前に処置するのに使用することもできる。これは、例えば、移植片対宿主病の可能性を予防し、減少させ、または移植片対宿主病の症状を和らげるために行われる。
投与経路に応じて、活性成分は、前記成分を不活性化する可能性がある酵素、酸および他の天然条件の作用から前記成分を保護する材料にコーティングされることが必要とされる。
非経口投与以外の手段によって活性成分を投与するために、活性成分はその不活性化を防ぐ材料によってコーティングされ、または該材料と共に投与されるであろう。例えば、活性成分は、酵素阻害剤と同時投与されるアジュバント、またはリポソームで投与される。アジュバントは最も広義に使用され、インターフェロンなどの任意の免疫刺激化合物を含む。本明細書で企図されるアジュバントには、レゾルシノール、非イオン性界面活性剤、例えばポリオキシエチレンオレイルエーテルおよびn-ヘキサデシルポリエチレンエーテルが挙げられる。酵素阻害剤には、膵臓トリプシンが挙げられる。
リポソームには、水中油中水型エマルションおよび従来のリポソームが挙げられる。
活性成分は、非経口または腹腔内投与することもできる。
分散液も、グリセリン、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中ならびに油中で製造される。保存および使用の通常の条件下では、これらの製造物は微生物の増殖を防ぐための防腐剤を含有する。
注射可能な使用に適した薬学的形態には、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液および滅菌注射溶液または分散液の即時製造のための滅菌粉末が挙げられる。全ての場合で該形態は無菌でなければならず、容易に注射できる程度に流動性でなければならない。該形態は製造および保存の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)、それらの適切な混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒であってもよい。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用、分散液の場合には必要とされる粒径の維持、および界面活性剤の使用によって維持することができる。
微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によってもたらされる。ある特定の場合、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含むことが好ましいことがある。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物で使用することによってもたらされる。
滅菌注射用溶液は、必要とされる量の活性成分を、必要に応じて、上記に列挙された他の成分のいくつかと共に適当な溶媒に組み入れ、その後濾過滅菌して製造される。一般に、分散液は、滅菌された活性成分を、基礎分散媒および上記に列挙されたものからの必要とされる他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み入れて製造される。滅菌注射用溶液を製造するための滅菌粉末の場合、好ましい製造方法は、活性成分プラス任意の追加の所望の成分の粉末を、前もって滅菌濾過されたその溶液からもたらす真空乾燥および凍結乾燥法である。
様々な他の材料は、コーティング剤として、またはさもなければ投与単位の物理的形態を変更するために存在していてもよい。当然ながら、任意の投与単位形態の製造において使用される任意の材料は、薬学的に純粋であり、使用される量において実質的に無毒であるべきである。さらに、活性成分は、持続放出製造物および製剤に組み入れることができる。
本明細書で使用される場合「薬学的に許容される担体および/または希釈剤」には、あらゆる溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤等が挙げられる。ある特定の実施形態では薬学的に許容される担体または希釈剤は、水性流体である。薬学的活性物質のためのそのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性成分と適合しない場合を除いて、治療用組成物におけるそれらの使用が企図される。補助的活性成分も組成物に組み入れることができる。
投与の容易さおよび投与量の均一性のために投与単位形態で非経口組成物を製剤化することが特に有利である。投与単位形態は本明細書で使用される場合、治療される哺乳動物対象のための単一剤形として適した物理的に別個の単位を指し;各単位は、必要とされる薬学的担体と関連して所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性物質を含有する。本明細書に記載された新規投与単位形態の仕様は、(a)活性物質の固有の特性および達成されるべき特定の治療効果、ならびに(b)身体の健康が損なわれる疾患または状態を有する生体における疾患の治療のための活性物質などの化合物の技術分野に特有の制限によって決定づけられ、およびこれに直接依存する。主要な活性成分は、有効量での好都合で有効な投与のために、投与単位形態において適切な薬学的に許容される担体と共に配合される。補助的活性成分を含有する組成物の場合、投与量は、前記成分の通常の用量および投与様式を参照して決定される。
投与量には、限定されるものではないが、以下が挙げられる:0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.07mg/kg、0.08mg/kg、0.09mg/kg、0.10mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2.0mg/kg、2.1mg/kg、2.2mg/kg、2.3mg/kg、2.4mg/kg、2.5mg/kg、2.6mg/kg、2.7mg/kg、2.8mg/kg、2.9mg/kg、3.0mg/kg、3.1mg/kg、3.2mg/kg、3.3mg/kg、3.4mg/kg、3.5mg/kg、3.6mg/kg、3.7mg/kg、3.8mg/kg、3.9mg/kg、4.0mg/kg、4.1mg/kg、4.2mg/kg、4.3mg/kg、4.4mg/kg、4.5mg/kg、4.6mg/kg、4.7mg/kg、4.8mg/kg、4.9mg/kg、5.0mg/kg、5.1mg/kg、5.2mg/kg、5.3mg/kg、5.4mg/kg、5.5mg/kg、5.6mg/kg、5.7mg/kg、5.8mg/kg、5.9mg/kg、6.0mg/kg、6.1mg/kg、6.2mg/kg、6.3mg/kg、6.4mg/kg、6.5mg/kg、6.6mg/kg、6.7mg/kg、6.8mg/kg、6.9mg/kg、7.0mg/kg、7.1mg/kg、7.2mg/kg、7.3mg/kg、7.4mg/kg、7.5mg/kg、7.6mg/kg、7.7mg/kg、7.8mg/kg、7.9mg/kg、8.0mg/kg、8.1mg/kg、8.2mg/kg、8.3mg/kg、8.4mg/kg、8.5mg/kg、8.6mg/kg、8.7mg/kg、8.8mg/kg、8.9mg/kg、9.0mg/kg、9.1mg/kg、9.2mg/kg、9.3mg/kg、9.4mg/kg、9.5mg/kg、9.6mg/kg、9.7mg/kg、9.8mg/kg、9.9mg/kg、10.0mg/kg、10.1mg/kg、10.2mg/kg、10.3mg/kg、10.4mg/kg、10.5mg/kg、10.6mg/kg、10.7mg/kg、10.8mg/kg、10.9mg/kg、11.0mg/kg、11.1mg/kg、11.2mg/kg、11.3mg/kg、11.4mg/kg、11.5mg/kg、11.6mg/kg、11.7mg/kg、11.8mg/kg、11.9mg/kg、12.0mg/kg、12.1mg/kg、12.2mg/kg、12.3mg/kg、12.4mg/kg、12.5mg/kg、12.6mg/kg、12.7mg/kg、12.8mg/kg、12.9mg/kg、13.0mg/kg、13.1mg/kg、13.2mg/kg、13.3mg/kg、13.4mg/kg、13.5mg/kg、13.6mg/kg、13.7mg/kg、13.8mg/kg、13.9mg/kg、14.0mg/kg、14.1mg/kg、14.2mg/kg、14.3mg/kg、14.4mg/kg、14.5mg/kg、14.6mg/kg、14.7mg/kg、14.8mg/kg、14.9mg/kg、15.0mg/kg、15.1mg/kg、15.2mg/kg、15.3mg/kg、15.4mg/kg、15.5mg/kg、15.6mg/kg、15.7mg/kg、15.8mg/kg、15.9mg/kg、16.0mg/kg、16.1mg/kg、16.2mg/kg、16.3mg/kg、16.4mg/kg、16.5mg/kg、16.6mg/kg、16.7mg/kg、16.8mg/kg、16.9mg/kg、17.0mg/kg、17.1mg/kg、17.2mg/kg、17.3mg/kg、17.4mg/kg、17.5mg/kg、17.6mg/kg、17.7mg/kg、17.8mg/kg、17.9mg/kg、18.0mg/kg、18.1mg/kg、18.2mg/kg、18.3mg/kg、18.4mg/kg、18.5mg/kg、18.6mg/kg、18.7mg/kg、18.8mg/kg、18.9mg/kg、19.0mg/kg、19.1mg/kg、19.2mg/kg、19.3mg/kg、19.4mg/kg、19.5mg/kg、19.6mg/kg、19.7mg/kg、19.8mg/kg、19.9mg/kg、および20.0mg/kgを含む、0.01mg/kg~20mg/kg。
投与量には、限定されるものではないが、以下も挙げられる:約100ng/kg、約200ng/kg、約300ng/kg、約400ng/kg、約500ng/kg、約600ng/kg、約700ng/kg、約800ng/kg、約900ng/kg、約1マイクログラム/kg、約2マイクログラム/kg、約3マイクログラム/kg、約4マイクログラム/kg、約5マイクログラム/kg、約6マイクログラム/kg、約7マイクログラム/kg、約8マイクログラム/kg、約9マイクログラム/kg、約10マイクログラム/kgを含む、約100ng/kg~約0.01mg/kg。
抗体を含むペプチド化合物の細胞への送達を容易にするために、ペプチドは細胞膜を横断するその能力を改善するように修飾される。例えば、US5,149,782は、細胞膜を越えるタンパク質輸送を増加させるための融合ペプチド、イオンチャネル形成ペプチド、膜ペプチド、長鎖脂肪酸および他の膜添加剤の使用を開示している。これらのおよび他の方法は、参照によって本明細書に組み入れられているWO97/37016およびUS5,108,921にも記載されている。
さらなる態様では、単独で、または特定の適応症を治療するのに適していることが公知の、当技術分野において認識されている化合物と組み合わせて、疾患の治療において使用するための本明細書に記載された活性成分が提供される。その結果として、異常な免疫応答に関連する疾患を治療する医薬品の製造のための本明細書に記載された活性成分の使用が提供される。
さらに、上に記載されているアッセイ方法を使用して識別可能なリガンドの治療有効量を対象に投与することを含む、異常な免疫応答に関連する状態を治療するための方法が提供される。
以下に提供される例は、例示のみの目的のためであり、本明細書に記載された組成物および方法に対する制限と見なされるべきではない。
VH31抗αβTCR抗体製剤の加速安定性試験
加速安定性試験をVH31抗体の様々な製剤で行った。参照または対照VH31抗体は、配列番号16として記載されたアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン、および配列番号14として記載されたアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインを含む、GL1BMシリーズの野生型ヒト化抗ヒトαβTCR抗体である(表1)。冷蔵温度4℃以下で4カ月後の液体製剤では断片化は観察されなかった。しかし、5週間にわたる温度およびpH上昇(すなわち、45℃;pH4.0~8.0)を含む加速条件が与えられたVH31液体製剤では断片が検出された。2つの低分子量(LMW)バンドの存在が、VH31抗体の軽鎖(LC)に対応するバンドの消失と相関しているようであり、観察されたLMW種源の軽鎖断片化を暗に示していることが注目された(図1、矢印)。
ストレスを受けた製剤の効力を評価するための細胞ベースのアッセイ
VH31抗αβTCR抗体は活性化T細胞を選択的に枯渇させる。加速条件に曝露したVH31製剤がこの能力を保持するかどうかを決定するために、細胞ベースの効力アッセイを行った。効力アッセイは、T細胞受容体の活性化、およびアポトーシス経路を刺激する抗αβTCR抗体のその後の結合に基づいた。
ジャーカットTリンパ球はT細胞受容体複合体を発現する。効力アッセイは、ルシフェラーゼ受容体に連結された活性化T細胞の核因子(NFAT)応答エレメントを含有するジャーカットT細胞株を利用した。この改変細胞株を使用して、T細胞活性化およびその後の抗αβTCR抗体による活性化シグナルの阻害を調べた。T細胞受容体複合体の活性化はNFAT経路を刺激し、ルシフェラーゼ産生をもたらす。ルシフェラーゼ産生を、次いでルシフェラーゼ基質(例えば、ルシフェリン)および発光検出器を使用して測定した。活性化のレベルはルシフェラーゼ産生に比例する。固定化抗CD3は、NFAT-ルシフェラーゼジャーカット細胞におけるNFAT経路の誘導およびその後のルシフェラーゼ産生により測定した場合、ジャーカットT細胞を活性化する。活性化は抗αβTCR抗体によって用量依存的に阻害される。これは抗αβTCR効力の定性的測定である。
定性的効力アッセイを96ウェルプレートフォーマットで行った。96ウェルプレートを抗CD3 1μg/mLで2~8℃、一晩コーティングした。プレートを洗浄し、NFAT-ルシフェラーゼジャーカットTリンパ球(5×10細胞/ウェル)を抗CD3コーティングプレートに添加した。T細胞受容体複合体を活性化するために、細胞を抗CD3と37℃および5%COで5時間インキュベートした。各細胞条件を、次いで複数レベル(0.003~200μg/mL)の抗αβTCR(対照および試料)とさらに18時間インキュベートした。陰性抗CD3(0μg/mL)対照および抗αβTCR(0 μg/mL)対照を各条件に含めた。2回目のインキュベーション工程後、抗αβTCR希釈液を除去し、細胞を細胞培養溶解試薬で溶解した。ルシフェラーゼ基質および発光プレートリーダーを使用して溶解物をルシフェラーゼ産生について測定した。より高用量の抗αβTCR抗体は、活性化応答の阻害を示すより低い発光シグナルをもたらすことが予想された。Softmax Proソフトウェアを使用して用量反応データをプロットし、試料用量反応曲線を対照用量反応曲線と目視で比較した。
図2のグラフは、細胞ベースの効力アッセイからのデータを示している。5週間にわたる加速条件(すなわち、45℃;pH8.0)に曝露したVH31抗体製剤(白抜きの四角記号)は、5週間にわたるあまり厳しくない条件(すなわち、45℃;pH5.0)(白抜きの丸記号)または対照条件(すなわち、≦0℃;pH5.0;白抜きの菱形記号)に曝露したVH31製剤と比べて、効力のかなりの喪失を示した。この試験は、軽鎖断片化に起因している可能性がある、LMW種の見かけと抗体効力の喪失の関係を示した。
抗体断片の分析
抗体断片を、観察されたバンドの分子量推定、ならびにN末端配列決定およびペプチドマッピング試験によってさらに分析した(図3)。ポリペプチドの化学的および酵素的切断は、Asn(N)とPro(P)残基の間で生じることが知られている。したがって、配列決定およびマッピング試験に基づき、軽鎖アミノ酸残基N93およびP94を、軽鎖クリッピングの推定位置および同定された断片の源として同定した(図4)。これをさらに確かめるために、VH31軽鎖(P7)をpH4.0~8.0でトリプシン消化に供した。図5のグラフは、酵素的クリッピングがN93/P94で生じるとするならば予想される様々な軽鎖断片を示している。これらの断片は、アミノ酸残基94~102(図5A)、残基61~93(図5B)、および残基94~106(図5C)に対応する。アミノ酸94~102および94~106に対応する2つのC末端産物は、不完全なトリプシン消化によるものであった。予想通り、pHの増加は予測した断片の増加と関連していた。
Asn(N)は溶液中で、例えばAsn側鎖の脱アミド化によりAsp(D)に変換し得ることが知られている(図6)。LC断片化の機序をより理解するために、LC断片を分析して残基93がNまたはDかを決定した。同位体分布は、61~93ペプチド断片の大部分がAsnで終わっていることを明らかにした。D93に対応する別個のピークは観察されず、AsnからAspへの変換と、その後のAsp/Pro切断がVH31 LC断片化の主な原因ではないことを示した。これらの理由のために、その後の改変安定性試験は残基N93/P94に注目した。
変異誘発による軽鎖(LC)バリアントの改変
安定性および断片化に対する耐性が向上したVH31軽鎖バリアントを改変するために、変異誘発アプローチを採った。無関係の抗体(すなわち、sFLT01)のAsnクリッピング部位を除去する以前の試みは、抗体断片化を防がなかった。さらに複雑なことに、アミノ酸残基N93およびP94は軽鎖相補性決定領域3(LC CDR3)内に存在することが注目された。上記を考慮し、軽鎖安定性を増強しながら、抗原結合親和性および抗体効力を同時に保持することを目的として、軽鎖バリアントを合理的に設計した。
アミノ酸Pro(P)は、折り畳まれたタンパク質構造ではほとんど自由がきかない。したがって、LC CDR3のコンフォメーションを不安定化することなく残基94でProを置き換えることは困難であり得ることが想定された。Ala(A)は、その物理特性のために変異誘発で一般的に使用される。出発点として、残基N93およびP94をAと個々にまたは同時に置き換えた。さらに、互換性があると考えられるアミノ酸特性、例えば、電荷、サイズ、H結合、極性対非極性等に基づき、いくつかの他の置換を残基N93で行った。図7は、行われテストされた様々なアミノ酸置換を示している。
野生型抗αβTCR VH31発現ベクターを、変異誘発のテンプレートおよび発現対照として使用した。8組のプライマーを設計し、QuikChange Lightning Site-Directed Mutagenesis Kit(Agilent)を使用してPCR変異誘発を行った。変異体DNAを次いでDNA配列決定によって確認した。
LCバリアントの発現および分析
変異体および野生型(WT)DNAをExpi293一過性発現系にトランスフェクトした。馴化培地をトランスフェクション4日後に回収し、発現レベルをOctet Protein Aアッセイによって測定した。結果(表2に示された)は、αβTCR野生型(114μg/mL培地)および8つの変異体(>45μg/mL培地)中7つについて良好な発現を示した。1つの変異体(N93A)は、比較的低レベル(16μg/mL)で発現された。トランスフェクションを8つの変異体全てについて30mLまでスケールアップした。プロテインA精製のために馴化培地を回収した。
馴化培地を精製のために1mL HiTrap Protein A HP(GE)カラムに通した。カラムを5カラム容量のPBS pH7.2(Gibco)で平衡化した。培地を流速0.5mL/分で充填し、次いで溶出前に20カラム容量(CV)のPBS pH7.2で洗浄した。抗体を10mMコハク酸塩、pH3.75に溶出し、溶出直後に0.2M水酸化ナトリウムでpH5.5に調整した。全ての試料を、シリンジフィルターを備えた0.2μm低タンパク質結合膜で濾過し(回収率50%~80%)、Amicon YM30を使用して試料を濃縮した(回収率100%)。結果を表2にまとめた。
Figure 2022521850000004
精製抗体を、Mini-PROTEAN TGX Stain-Free Gels(Bio-Rad)、1ウェルあたり1.5μgロードで処理した。結果は、テストした全て変異体がWTに匹敵し、良好な純度を有することを示した(図8)。精製変異体を、安定性および機能アッセイによるさらなる特徴付けに供した。
αβTCR N93S変異体の60ミリリットルスケールのトランスフェクションをExpi293一過性発現系で行った。馴化培地をトランスフェクション4日後に回収した。発現レベルをOctet Protein Aアッセイによって測定し、37μg/mLであると判定した。
HiTrap Protein A HP(GE)カラム(1mL)を精製に使用した。カラムを5CVのPBS pH7.2(Gibco)で平衡化した。馴化培地試料を流速0.5mL/分で充填し、次いで溶出前に20CVのPBS pH7.2で洗浄した。抗体を5CVの10mMコハク酸塩、pH3.75(合計5mL)に溶出した。収率はほぼ100%であった。溶出した抗体を、溶出後0.2M水酸化ナトリウムでpH5.5に調整した。溶液は、pH5.5でわずかに濁るようになり、50mLチューブトップフィルターで濾過した(0.2μm CA、低タンパク質結合)。 濾過回収率は、おそらく比較的大容量の喪失のために77%であった(合計1.7mg)。精製抗体およびαβTCR VH31対照を、Mini-PROTEAN TGX Stain-Free Gels(1ウェルあたり2μgロード)で処理した。結果は、テストした全て変異体がVH31対照に匹敵することを示した。精製N93Sおよび予め精製したWTおよびVH31対照をSEC-HPLCで処理し、プロフィールを図9に示した。WTおよびN93S変異体いずれのSECプロフィールも、VH31対照に匹敵するようであった。
LCバリアントの効力を評価するためのアッセイ
実施例2に記載した定性的効力アッセイを、バリアント軽鎖を含む抗体で繰り返した。野生型および対照抗体は同一のVH31アミノ酸配列を含んだが、異なる調製物から作製した。野生型VH31抗体はLCバリアント抗体と一緒に作製したのに対し、対照抗体は別個の大規模調製物から作製した。図10に示すとおり、LCバリアントN93Sを含む抗体は、野生型VH31または対照抗体のどちらより効力がわずかに低下したのみであった。対照的に、LCバリアントN93Q、N93A、およびN93A/P94Aを含む抗体は全て、いずれの上述の抗体より効力が著しく低下した。これらの結果に基づき、N93Sバリアントを加速安定性試験の候補として選択した。
LCバリアントの加速安定性試験
LCバリアントN93Sを含む抗体を、上昇した温度(すなわち、45℃)およびpH(すなわち、pH8.0)に6週間供して、N93Sアミノ酸置換がLCを安定化し、断片化を防ぐかどうかを決定した。上昇した温度およびpH8.0で6週間後、断片化は野生型、参照VH31、およびN93S抗体で観察された。しかし、野生型またはVH31対照抗体のどちらかと比べて、N93S変異体は分解が明らかに低減した(図11)。特に、N93S変異体は、野生型またはVH31対照抗体のどちらか(それぞれ20倍を超える喪失)と比べて、加速条件下で効力の喪失が著しく低減した(3倍の喪失)。pH8.0より仮定の抗体薬物質製剤のpHに近いpH5.5では、断片化の広まりは6週間時点で著しく少なかった(図12)。
上述の結果は、VH31αβTCR抗体と比べてN93S変異体が、上昇した温度および上昇したpH下を含む保存条件下でLC安定性および効力の改善を示すことを示した。無関係の抗体(すなわち、sFLT01)のAsnクリッピング部位を除去する以前の試みは抗体断片化を防がなかったため、これらの結果は驚くべきものであった。

Claims (31)

  1. ヒトαβTCR/CD3複合体と特異的に結合する結合ポリペプチドであって、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、および定常領域を含み:
    軽鎖可変領域は、配列番号26、27、および28に記載されたアミノ酸配列をそれぞれ含む、3つの相補性決定領域(CDR)、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含み;
    配列番号28は、アミノ酸配列Q-Q-W-S-S-X-X-L-Tを含み(式中、XはQ、D、H、S、Y、およびAからなる群から選択されるアミノ酸であり、XはPおよびAからなる群から選択されるアミノ酸である);
    定常領域はヒト由来である、前記結合ポリペプチド。
  2. はSである、請求項1に記載の結合ポリペプチド。
  3. はPである、請求項1に記載の結合ポリペプチド。
  4. はSであり、XはPである、請求項1に記載の結合ポリペプチド。
  5. 軽鎖可変領域は、配列番号14に記載のヒト軽鎖フレームワーク領域をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の結合ポリペプチド。
  6. 結合ポリペプチドは、VH31と比べて5.0を超えるpHで安定性が向上する、請求項1~5のいずれか1項に記載の結合ポリペプチド。
  7. 結合ポリペプチドは、VH31と比べて4℃を超える温度で安定性が向上する、請求項1~6のいずれか1項に記載の結合ポリペプチド。
  8. 重鎖可変領域は、配列番号7、12、13、15、および16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の結合ポリペプチド。
  9. 重鎖可変領域は、配列番号7、配列番号12、および配列番号13からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の結合ポリペプチド。
  10. 重鎖可変領域は、配列番号15および配列番号16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の結合ポリペプチド。
  11. 重鎖可変領域は、配列番号15として記載されたアミノ酸配列を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の結合ポリペプチド。
  12. 重鎖可変領域は、配列番号16として記載されたアミノ酸配列を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の結合ポリペプチド。
  13. 定常領域は、Fcγ受容体結合を低減する修飾されたグリコシル化パターンを有するFc修飾を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の結合ポリペプチド。
  14. Fcγ受容体は、FcγRIIIaおよびFcγRIからなる群から選択される、請求項13に記載の結合ポリペプチド。
  15. Fc修飾は、N297Q/S298N/Y300S、S298N/T299A/Y300S、およびS298N/Y300Sからなる群から選択される、請求項13に記載の結合ポリペプチド。
  16. Fc修飾はN297Q/S298N/Y300Sである、請求項13に記載の結合ポリペプチド。
  17. Fc修飾はS298N/T299A/Y300Sである、請求項13に記載の結合ポリペプチド。
  18. Fc修飾はS298N/Y300Sである、請求項13に記載の結合ポリペプチド。
  19. 結合ポリペプチドはヒト化されている、請求項1に記載の結合ポリペプチド。
  20. 結合ポリペプチドはモノクローナル抗体である、請求項1~19のいずれか1項に記載の結合ポリペプチド。
  21. 結合ポリペプチドは多重特異性である、請求項1~19のいずれか1項に記載の結合ポリペプチド。
  22. 結合ポリペプチドは二重特異性である、請求項21に記載の結合ポリペプチド。
  23. 請求項1~22のいずれか1項に記載の結合ポリペプチドと、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む医薬組成物。
  24. 請求項23に記載の医薬組成物を含む製剤であって、該製剤が、凍結乾燥製剤および液体製剤からなる群から選択される、前記製剤。
  25. T細胞媒介性疾患または障害のために対象を治療する方法であって、請求項1~22のいずれか1項に記載の結合ポリペプチドの有効量を対象に投与することを含む、前記方法。
  26. T細胞媒介性疾患または障害は、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)、多発性硬化症(MS)、強皮症、1型糖尿病(T1D)、尋常性天疱瘡(PV)、乾癬、アトピー性皮膚炎、セリアック病、慢性閉塞性肺疾患、橋本甲状腺炎、グレーブス病(甲状腺)、シェーグレン症候群、ギランバレー症候群、グッドパスチャー症候群、アジソン病、ウェゲナー肉芽腫症、原発性胆汁性硬化症、硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、リウマチ性多発筋痛症、レイノー現象、側頭動脈炎、巨細胞性動脈炎、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、結節性多発動脈炎、ベーチェット病、原発性胆汁性肝硬変、ブドウ膜炎、心筋炎、リウマチ熱、強直性脊椎炎、糸球体腎炎、サルコイドーシス、皮膚筋炎、重症筋無力症、多発性筋炎、円形脱毛症、白斑、移植片対宿主病(GvHD)、および同種移植片拒絶からなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
  27. 請求項1~22のいずれか1項に記載の結合ポリペプチドをコードする核酸。
  28. 請求項27に記載の核酸を含むベクター。
  29. 請求項27に記載の核酸を発現する細胞。
  30. 細胞は哺乳動物細胞である、請求項29に記載の細胞。
  31. 哺乳動物細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞およびヒト胎児腎臓(HEK)細胞からなる群から選択される、請求項30に記載の哺乳動物細胞。
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