JP2022521096A - 配向性冷光エミッタを有する結晶質フィルムおよび発光デバイス - Google Patents

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Abstract

フィルム、および本フィルムを放射層として組み込まれた発光デバイス(例えばOLED)は、冷光エミッタを有し、この冷光エミッタは、金属有機フレームワーク(MOF)、共有結合性有機フレームワーク(COF)、または多孔性配位ポリマーなどの結晶質フレームワーク材に組み込まれることによって所望の方位に維持されている。フィルム中の結晶構造は、少なくとも1つの結晶軸を有し、この結晶軸は、フィルムの平面におよび/またはフィルムが上に堆積または成長するデバイス基板の平面に実質的に平行に整列されている。冷光エミッタは、結晶質フレームワーク材の単位胞に保持および配向されており、ゆえに、それらの遷移双極子は、結晶軸に実質的に平行であり、この結晶軸は、延いてはフィルムの表面に、または光が通って発射されるデバイスの放射層に実質的に平行であり、その結果、光のアウトカップリングが向上する。

Description

本開示は概して、有機発光ダイオード(OLED)などの発光デバイス、および本デバイスの放射層での使用に適した結晶質フィルムに関し、これらでは、冷光部分や冷光分子などのエミッタ材が、結晶質フレームワーク材(例えば金属有機フレームワーク、共有結合性有機フレームワーク、または多孔性配位ポリマー材)に組み込まれることによって所望の方位に維持されている。
本特許出願は、2019年2月22日出願の米国仮特許出願第62/809,333号の利益を請求するものであり、上記出願はここに参照によりその全体を組み込まれる。
有機半導体部品に用いられている半導体層は、主に非晶質である。これらの非晶質層が整列されていないことは、種々の物性、例えば半導体層の持つ重要な伝導性に不利である。しかし、この部品の効率に非常に特異的な不都合は、発光部品の領域に、さらに具体的には有機発光ダイオードの領域に起こる。これらの部品では、配向性のない光の放射は、外部量子効率、すなわち同様に外部に実際に放射されるフォトンの画分に、大きな損失率の余地を与える。既存のOLEDは、アウトカップリング補助物なしで約20%を超えない外部量子効率を特徴としている。
有機発光ダイオード(OLED)の効率は、光収率を用いて測定される。エミッタの材料に固有のパラメータによってならびに半導体層の自己吸収性によって決定される内部量子効率に加えて、光学パラメータは、外部量子効率―すなわち外部に実際に放射されるフォトン―の低減に大きな寄与をもたらす。これらのパラメータは、例えば、ガラス基板内へのインカップリングの損失、導波モードの励起、および反射電極でのプラズモンの励起に起因する損失である。OLED内の方向付けのない放射に起因する損失を最小にするために、反射電極はアルミニウムや銀などの反射材から製作され、それゆえに例えば、生成されたフォトンは高い反射性を有する。しかし、この解決策はあまり有効ではなく、それはなぜなら、電極におけるプラズモンの励起は、生成された光量子の大きな損失が依然として存在することを意味するためである。プラズモンに起因するこれらの損失は、およそ30%に達する。これらの損失は、実際に生成されたフォトンがさらに大きな割合で反射電極に衝突する場合に低減できるに過ぎない。放射は、反射電極に垂直な放射双極子ベクトルの数が最小となるように、方向付けられるものとなる。
しかし、エミッタの方位付けを基本的に阻むのは、分子が放射されている方向をその内部分子座標系に関して知る必要があるということである。HOMO(最高被占分子軌道)およびLUMO(最低空軌道)の空間的な方位に応じて、第1の励起状態は基底状態とは異なる双極子モーメントを有する。放射双極子は、基底状態にある双極子モーメントと相互関係にある。
従来のOLEDデバイス構成は理論効率に近い(例えば>97%)。OLEDデバイス内におけるリン光体分子の完全な整列は、最大理論効率を50%増加させることが知られており、このことは、既存のデバイスを超える向上の大きな可能性を開くものである。この効率の増加は、リン光体分子から放射されたフォトンが、放射を導く遷移の双極子に対し直角であるという事実から発生する。デバイスの平面に平行に放射されたフォトンは、表面プラズモンおよび他の損失の多いモードとなって失われる。
本開示の態様は、結晶質フレームワーク材と複数の冷光エミッタとを含むフィルムを含み、複数の冷光エミッタは、結晶質フレームワーク材に対し非ランダムな方位を有するように、結晶質フレームワーク材の繰り返し構造単位中にそれぞれ構成される。本開示の態様はまた、発光デバイスと、本デバイスの放射層での使用に適した結晶質フレームワーク材とを含む。本開示の態様はまた、発光デバイスに備え付けられた電気装置を含む。
第1の態様によれば、本開示は、結晶質フィルムと、本フィルムを放射層として組み込まれた発光デバイス(例えばOLED)とを提供し、これらでは、冷光エミッタ(例えば、リン光体や蛍光体などの冷光部分または発光団分子)は、金属有機フレームワーク(MOF)、共有結合性有機フレームワーク(COF)、または多孔性配位ポリマー材などの結晶質フレームワーク材に組み込まれることによって、所望の方位に維持されている。結晶質フレームワーク材は、(典型的には厚い結晶質フィルムとして)OLEDデバイスの放射層内に位置し、フィルムの平面についておよび/またはフィルムが上に堆積または成長するデバイス基板の平面について所望の方位に(例えば、フィルムおよび基板の平面に平行に)冷光エミッタを方向付ける。遷移双極子がフィルムの平面に平行に配向されるように冷光エミッタを方向付けることにより、デバイスを出るフォトンが50%増加し、それゆえに効率が50%まで増加する。
別の態様によれば、発光デバイスは、放射層、ならびに間に電圧を印加して放射層の少なくとも一部に電界を生成することができる第1および第2の電極を含む。放射層は、結晶構造を有する複数の単位胞から構成される結晶質フレームワーク材を含み、この結晶構造は、結晶質フレームワーク材中にわたって繰り返される。場合によっては、結晶質フレームワーク材は、放射層の平面に対する結晶方位を有し、それゆえに、単位胞は、平面について実質的に一様に配向される。冷光エミッタは、単位胞の大部分(および場合によっては単位胞の少なくとも80%)に組み込まれる。少なくとも1つの冷光エミッタにより機能化される各単位胞は、単位胞の結晶構造について所望の方位に冷光エミッタを保持または配置して、それゆえに、冷光エミッタの遷移双極子モーメントは、その方位異方性因子Θが1/3未満になるように、放射層の平面について配向される。
別の態様によれば、フィルムは、結晶構造を有する複数の単位胞から構成される結晶質フレームワーク材を含む。結晶質フレームワーク材は、フィルムの平面について特定の結晶方位を示す。冷光エミッタは、結晶質フレームワーク材に配置される。冷光エミッタは、単位胞の結晶構造について非ランダムな方位を示す。冷光エミッタの遷移双極子モーメントは、その方位異方性因子Θが0.33未満になるように、フィルムの平面について配向される。実施形態によっては、単位胞の少なくとも80%は、遷移双極子モーメントがフィルムの平面に実質的に平行になるように、ならびにその方位異方性因子Θが0.2未満になるように、エミッタを保持する。
公知の発光団であるテトラフェニルポルフィリン白金(II)(TTP-Pt)の模式図である。TTP-Ptの遷移双極子はこの分子の平面に位置する。
テトラフェニルポルフィリン白金(II)(TPP-Pt)を含むMOFフィルムを含む放射層を有するOLEDデバイスの模式的ブロック図である。TPP-Ptの遷移双極子は、放射層およびデバイス表面に平行に所定の角度で位置する。
方位が基板の表面に実質的に平行であるシート様の幾何学的形状を有するMOF結晶を含む、放射層の模式的ブロック図である。
Cu(TCPP)MOFの結晶構造を示す図である。TCPP単位は、ポルフィリン部分の中心で白金イオンが結合されており、8つの銅イオンとの錯体となり、「パドルホイール」構造単位と呼ばれる(Cu)クラスターを形成する。
配向されたリン光体を含む配向されたMOFフィルムにより形成された放射層を有する、OLEDデバイスの模式的ブロック図である。
矢印により遷移双極子モーメントを標示された例示的な冷光エミッタ(例えばリン光体)の図である。
本開示の態様は、結晶質フレームワーク材を含む冷光フィルムを含み、結晶質フレームワーク材は、繰り返し構造単位と複数の冷光エミッタとを含み、複数の冷光エミッタは、結晶質フレームワーク材に対し非ランダムな方位を有するように結晶質フレームワーク材の繰り返し構造単位中にそれぞれ構成される。本開示の態様は、発光デバイスと、本デバイスの放射層での使用に適した冷光フィルムとをさらに含む。本開示の冷光部分または冷光分子は、結晶質フレームワーク材内に組み込まれることによって所望の方位に維持されている。本開示の発光デバイスと冷光フィルムとの組合せは、照明および/またはディスプレイ用の装置に適することがある。本開示の発光デバイスと冷光フィルムとの組合せは、発光デバイスからの光の放射のエネルギー効率を増加させる。
第1の態様によれば、本開示は、少なくとも1つのエミッタ材を含むフィルム、場合によっては冷光部分や発光団分子などの冷光エミッタを生産するための方法を提供する。場合によっては、エミッタ材は、冷光部分または発光団(例えば蛍光体またはリン光体)を含む。発光団の方位は、その発光団の遷移双極子モーメントが所定の方位に、例えばフィルムの平面に平行に、またはフィルムが上に堆積または成長する基板の平面に平行に、配向されるように制御される。遷移双極子モーメントは、以降、略して遷移双極子または双極子モーメントとも称される。
実施形態によっては、冷光フィルムは結晶質フレームワーク材を含む。場合によっては、結晶質フレームワーク材は、フィルムの平面に対し一様な方位を有する繰り返し構造単位を含む。場合によっては、冷光フィルムは複数の冷光エミッタを含む。場合によっては、複数の冷光エミッタのそれぞれは、結晶質フレームワーク材に対して非ランダムな方位を有するように、結晶質フレームワーク材の繰り返し構造単位に構成される。
実施形態によっては、フィルムは複数の結晶から構成され、この複数の結晶は、結晶質フレームワーク材から構成され、フィルムの平面に実質的に平行に整列された少なくとも1つの結晶軸をそれぞれ有し、各結晶の複数の繰り返し構造単位は、少なくとも1つの結晶軸に対し実質的に平行な方位で構成される遷移双極子モーメントを有する冷光エミッタを含む。
実施形態によっては、結晶質フレームワーク材の繰り返し構造単位はそれぞれ、構造的に一体型の冷光エミッタ(例えば、前記結晶質フレームワークの構造の一部であり前記結晶質フレームワークの構造に必須である冷光エミッタ)を含む。
実施形態によっては、繰り返し構造単位は、結晶質フレームワーク材の単位胞とも呼ぶことができる。
実施形態によっては、結晶質フレームワーク材(例えば、MOF、COF、または多孔性配位ポリマー)は、以下となるように発光団を組み込んでいる:(a)結晶質フレームワーク材の単位胞が、基板上でフィルムとして成長するかまたは成型される際に、公知の方位を基板について有する;ならびに(b)発光団が、公知の方位を結晶質フレームワーク材の単位胞について有する。並進により繰り返されるパターンを構成する結晶質フレームワーク材中の粒子の最も小さなグループは、構造の単位胞である。場合によっては、条件(a)と(b)との組合せは、結果として、フィルムの平面について、ならびにフィルムが上に成長するかまたは成型される基板の表面について、所定の方位を有する(例えば平行な)、発光団の遷移双極子モーメントを生じる。
図1は、リン光体テトラフェニルポルフィリン白金(II)(TTP-Pt)を示す。TTP-Ptの遷移双極子モーメントは、分子の平面に位置する。所与の遷移双極子モーメントを有する冷光分子が特定されると、次に、フィルムの表面および/またはフィルムが上に堆積もしくは成長する発光デバイスの基板の表面について、所望の方位にその冷光分子の遷移双極子を整列するかまたは方位付けるのに適した、MOF構造が特定される。
図3は、基板18の平面上に成長または堆積した、配向されたMOFフィルム20の模式的ブロック図を示す。フィルム20は、方位が基板18の表面に実質的に平行なシート様の幾何学的形状を有するMOF結晶または結晶子22を含む層である。多孔性配位フレームワークおよび多孔性配位ポリマーとして様々に知られる金属有機フレームワーク(MOF)は、多結晶質の薄フィルム20として基板18上に形成されるかまたは堆積することのある結晶質多孔性材のクラスを構成する。この形成または堆積は、場合によっては、フィルム20が基板18について結晶方位を有するように行われる。そのように形成されるかまたは堆積したフィルムは、「配向されたフィルム」と呼ばれる。この特定の結晶方位の結果、配向されたフィルム20中のMOF材の様々な構成成分もまた、基板18について特定の方位を有する。
MOF材またはCOF材は、少なくとも1つの冷光エミッタ、例えば冷光部分または発光団(例えばリン光体分子または蛍光体分子)などを有する。そのようなMOFの配向されたフィルムは、その構成成分(例えば冷光エミッタを含む単位胞)のすべてに、特定の方位を付与する。そのため、特定のMOF構造は、そのMOFの配向されたフィルムが冷光エミッタに所望の方位を付与するように(例えば、冷光エミッタの遷移双極子がフィルムの平面に実質的に平行な方位を有するように)設計されていてもよく、冷光エミッタは、単位胞によって正しい位置に保持されてその方位を達成する。配向されたフィルムは、典型的には、1nmから1umの範囲の、場合によっては1nmから1,000nm、1nmから500nmの範囲の、または場合によっては2nmから約150nmまでの範囲の厚さを有する。横寸法は、特定の照明用途(例えば、ディスプレイ中の単独ピクセルを単位としてサイズ調整されるか、または他のサイズ)に依存することが多い。
実施形態によっては、本開示の冷光フィルムは、1)MOF構造自体の中に組み込まれた配向されたリン光体を含む配向されたMOFフィルムのみを含むか、または2)配向されたリン光体をMOF孔内に含むがMOF構造自体の中には組み込んでいないMOFフィルムを含む、放射層を含む。実施形態はまた、上記のどちらかの構成の配向されたMOFフィルム、ならびに他の伝導性の分子またはポリマーから構成される、放射層をも含み、他の伝導性の分子またはポリマーは、MOFの孔の中にあってもMOF構造の外側にあってもよい。実施形態はまた、MOFが電子、孔、またはその両方を伝える役割を果たす、放射層も含む。
実施形態によっては、本開示の冷光フィルムは、1nmから10,000nmの厚さを有する。実施形態によっては、冷光フィルムは、1nmから100nmまで、100nmから500nmまで、500nmから1000nmまで、1000nmから1500nmまで、1500nmから2000nmまで、2000nmから2500nmまで、2500から3000nmまで、3000nmから3500nmまで、3500nmから4000nmまで、4000nmから4500nmまで、4500nmから5000nmまで、5000nmから5500nmまで、5500nmから6000nmまで、6000nmから6500nmまで、6500nmから7000nmまで、7000nmまで7500nmまで、7500nmから8000nmまで、8000nmから8500nmまで、8500nmから9000nmまで、9000nmから9500nmまで、9500nmまで10,000nmまでの厚さを有する。
結晶質フレームワーク材
本開示の態様は、冷光フィルムの平面に対して一様な方位を有する繰り返し構造単位を含む、結晶質フレームワーク材を含む。本開示は、繰り返された一様な方位を有する繰り返し構造単位に基づく、整列化された剛性の結晶質フレームワーク材を提供する。結晶質フレームワーク材は、単結晶質とすることも多結晶質とすることもできる。結晶質フレームワーク材の規則性は、(例えば、本明細書に記載されるような)フレームワーク内に組み込まれている複数の冷光エミッタの方位の制御を達成するのに有用である。フィルム内に組み込まれて、結晶質フレームワーク材の繰り返し構造単位について、延いてはさらに大きな冷光フィルム構造について、一様に配向された冷光エミッタは、フィルムから望ましい光放射の強度と方向とをもたらすことができる。
実施形態によっては、結晶質フレームワーク材は、有機構造単位により連結された金属性構造単位を含む金属有機フレームワークである。
本開示のコンテクストでは、ならびにその従来の意味では、用語「金属有機フレームワーク」とは、金属性構造単位(「無機接合体」とも呼ばれることがある)および有機構造単位(「リンカー」とも呼ばれることがある)を含む1次元、2次元、または3次元の配位ポリマーを指し、その場合、少なくとも1つの金属性構造単位は、少なくとも1つの二座、三座、または多座の有機構造単位に化学的に結合されている。「金属性構造単位」が金属または金属酸化物を含む任意の構造単位を指す場合があること、ならびに「有機構造単位」もまた、有機部分にカップリングされた無機部分を含有する修飾された単位を指す場合があることに留意されたい。
実施形態によっては、フィルムまたは光放射層に含まれている金属有機フレームワークは、単一の種類の金属性構造単位を含んでいてもよいし、異なる種類の金属性構造単位を含んでいてもよい。実施形態によっては、本開示の電気冷光化合物に含まれている金属有機フレームワークは、種々の金属性構造単位を含んでいてもよい。例えば、金属性構造単位の少なくとも一部は、Al、Zn、Cu、Cr、In、Ga、Fe、Sc、Ti、V、Co、Ni、La、Ce、Pr、Nb、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ac、Th、Pa、U、Np、Pu、Am、Cm、Bk、Cf、Es、Fm、Md、No、およびLrからなる群から選択される1つまたは複数の元素、例えば、Al、Zn、Ga、In、Fe、Cr、およびScからなる群から選択される1つまたは複数の元素、またはAl、In、およびGaからなる群から選択される1つまたは複数の元素などを含んでいてもよい。実施形態によっては、金属性構造単位の少なくとも一部が希土類元素を含む際に、電気冷光化合物の放射波長を整調することができる。場合によっては、金属有機フレームワークの金属性構造単位は、銅、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、ガドリニウムなどから選択される金属の金属イオンまたは金属イオンクラスターである。
実施形態によっては、フィルムまたは光放射層に含まれる金属有機フレームワークは、種々の有機構造単位を含むことがある。例えば、有機構造単位の少なくとも一部は、ポルフィリン、ペリレン、およびカルボキシレートからなる群から選ばれる部分を含むことがある。適したカルボキシレートの非限定的な例は、含窒素カルボキシレート、例えば1個の窒素原子(ピリジン)、2個の窒素原子(イミダゾール、ビピリジン)、3個の窒素原子(トリアゾール)、またはそれを超える個数の窒素原子を有するピリジン様部分などである。含窒素カルボキシレートは、ジカルボキシレートおよび/またはトリカルボキシレートと組み合わせて用いられてもよい。適したカルボキシレートのさらに非限定的な例は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、クエン酸、トリメシン酸、およびそれらの混合物である。
実施形態によっては、金属有機フレームワークは、式:[M(L)(Y)]の繰り返し構造単位を含み、式中、Lは2個以上の金属単位を接続する有機連結単位であり、Yは任意選択的であり、p、n、およびmの値は、選択された金属(M)基、L基、および/またはY基の結合価に従って容易に決定される。実施形態によっては、Mは金属イオンであり、pは1から4であり;Lは多価の有機構造単位(例えば二価、三価、四価)であり;Yは任意選択的な第2の配位子(例えば、ピラー配位子、O、OH、HO、ハロゲン、acac、溶媒、水、ジメチル-ホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジエチルホルムアミド(DEF)、アルコール、アミン、チオ―ルなど)であり;nは1から4であり;mは0から3(例えば、0、0.5、1)である。
実施形態によっては、金属有機フレームワークの有機構造単位は、置換アリール基または置換ヘテロアリール基、例えば、任意選択的なリンカーを介して1つまたは複数の金属結合基に置換された単環系または多環系を含む。実施形態によっては、金属有機フレームワークの有機構造単位は、BDCまたはTPA(テレフタル酸)、BTC(トリメシン酸)、BTB(4,4’,4’’,-ベンゼン-1,3,5-トリイル-トリス(安息香酸))、およびTCPP(4,4,4,4-(ポルフィン-5,10,15,20-テトライル)テトラキス(安息香酸))、2,5-ジヒドロキシオキシドテレフタル酸、3,3’-ジヒドロキシビフェニル-4,4’-カルボン酸、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ピラジン、トリアジン、dabco、4,4’-ビピリジン、1,2,4,5-テトラキス(ベンゼン-3,5-ジカルボキシラート)ベンゼン、1,3,5-トリス(ピラゾラート)ベンゼン、1,3,5-トリス(トリアゾラート)ベンゼン、1,3,5-トリス(テトラゾラート)ベンゼン、およびそれらの置換バージョンから選択される基を含む。実施形態によっては、上記置換バージョンは、追加的なフェニル環の追加によって延長される基、および硫黄原子に代えて酸素原子に置換された基から選択される。
実施形態によっては、繰り返し構造単位は[M(L)]を含む。実施形態によっては、Mは銅または亜鉛であり;Lは4つの金属結合性官能基(例えばカルボキシ基)を含む四価の有機構造単位である。
実施形態によっては、繰り返し構造単位はCu(TCPP)を含み、式中、TCPPは5,10,15,20-テトラキス(4-カルボキシフェニル)ポルフィリン]である。本開示の電気冷光化合物に含まれる金属有機フレームワークの他の非限定的な例は、金属性構造単位としてのアルミニウムまたはカルボン酸アルミニウムに基づくものであり、例えばMIL-53、MIL-69、MIL-88、MIL-96、MIL-100、MIL-101、およびMIL-110などであり、式中、頭字語「MIL」とは「ラヴォワジエ研究所の材料(Materiaux de Vlnstitut Lavoisier)」を指す。フィルムまたは光放射層に含まれる金属有機フレームワークの他の非限定的な例としては、MIL-53、MIL-69、MIL-88、およびMIL-101が挙げられる。実施形態によっては、MIL-53、MIL-69、MIL-88、MIL-96、MIL-100、MIL-101、およびMIL-110は、異なる金属、例えば、以下に限定されないが、銅、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、ガドリニウム、マグネシウム、カドミウム、鉄、マンガン、コバルト、バナジウム、ジルコニウム、チタニウム、およびインジウムなどにより作製することができる。実施形態によっては、金属有機フレームワークは、式[Cu(BTC)]、[Cu(BTC)(HO)]、[ZnO(BDC)]、[ZnO(BTB)]、MIL-53、MIL-69、MIL-88、MIL-100、MIL-101、MIL-111、UiO-66、UiO-67、またはUiO-68により記載される単位を含む。実施形態によっては、金属有機フレームワークMIL-53、MIL-69、MIL-88、MIL-100、MIL-101、またはMIL-111は、銅、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、ガドリニウム、マグネシウム、カドミウム、鉄、マンガン、コバルト、バナジウム、ジルコニウム、チタニウム、およびインジウムから選択される金属を含む。実施形態によっては、金属有機フレームワークはM2(dobpdc)を含み、式中、MはMg、Cu、Zn、Co、Mn、Fe、またはNiである。実施形態によっては、金属有機フレームワークはM-BTTを含み、式中、MはMg、Cu、Zn、Co、Mn、Fe、Cd、またはNiである。
実施形態によっては、結晶質フレームワーク材は多孔性であり、各冷光エミッタは、結晶質フレームワーク材の孔で非共有結合により結合されている。実施形態によっては、結晶質フレームワーク材は、金属有機フレームワーク、共有結合性有機フレームワーク、または多孔性配位フレームワークである。
実施形態によっては、金属有機フレームワークは、(少なくとも機能化の前に)1次元の多孔性構造を有することがある。金属有機フレームワークホストは、第二次高調波発生(周波数倍増としても知られる)をもたらすことができる。この現象に従えば、材料は、入射フォトンの振幅の2倍(波長の半分)を有するフォトンを発生することができる。実施形態によっては、金属有機フレームワークはまた、(少なくとも機能化の前に)2次元多孔性構造または3次元多孔性構造を有することがある。結晶質フレームワーク材の実施形態によっては、冷光部分は、金属有機フレームワークの配位不飽和金属に移植されてもよい。金属有機フレームワークが、1つまたは複数の配位不飽和金属部位を有する金属性構造単位を含む際には、これらの部位は冷光部分によって占めることができる。
実施形態によっては、フィルムを形成する結晶質フレームワーク材は、発光デバイスの放射層の基礎として用いることができる。例えば、結晶質フレームワーク材は、実施形態によっては、マトリックス材と配合することができる。場合によっては、マトリックス材は、少なくとも部分的には透明の材料である。目的とする適用に応じて、マトリックス材は、ポリマー(例えば導電性ポリマーまたは非導電性ポリマーなど)、アマルガムペースト、および液体電解質からなる群から選択される1つまたは複数の化合物を含むことがある。
実施形態によっては、本開示の冷光フィルムは、マトリックス材と1つまたは複数の任意選択的な添加剤とをさらに含む。
実施形態によっては、本開示の冷光フィルムは、ドーパント、電荷輸送化合物、電解質、および染料から選択される1つまたは複数の添加剤を含む。。
実施形態によっては、マトリックス材は、導電性ポリマーを含む。マトリックス材は、1つまたは複数の導電性ポリマーを含むことがある。数多くの異なる導電性ポリマー、例えばポリチオフェン、ポリアニリン、ポリカルバゾール、ポリピロール、およびそれらの置換誘導体が公知である。具体例としては、(任意選択的にリン光体ベースのドーパントを含む)ポリ(3-ブチルチオフェン-2、5-ジイル、任意選択的に臭素で終結されていることがあるポリ(チオフェン-2、5-ジイル)、ポリ(3、4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリスチレンスルホネート)、ポリ(p-フェニレンビニレン)、BFをドープされたポリアニリン、ポリフェニレンスルフィド、導電性ナイロン、ポリエステルウレタン、およびポリエーテルウレタンを挙げることができる。
実施形態によっては、マトリックス材は非伝導性ポリマーを含む。マトリックス材はまた、1つまたは複数の非伝導性ポリマーを含むことがある。それらのいくつかの例としては、硬化剤を含まないエポキシ樹脂とナフロンとが挙げられる。非伝導性ポリマーは、小規模の電気冷光デバイスに使用することができる。例えば、小規模デバイスは、点電極を用いて設計することができ、点電極のそれぞれは、冷光金属有機フレームワーク結晶に直接的に接触している。実施形態によっては、マトリックス材は、マトリックス材の導電特性を変える目的で、ドーパントをドープされるポリマーを含むことがある。
実施形態によっては、マトリックス材と結晶質フレームワーク材との配合物は、ドーパント、および電荷輸送化合物(例えば固体または液体の電解質など)を含めた従来の添加剤などの構成成分をさらに含んでいてもよい。さらに、実施形態によっては、レーザ染料が、放射光の波長を変更または調整するために任意選択的な添加剤として含まれることがあり、その場合、レーザ染料を、物理的に電気冷光化合物から隔てることができる。この目的のために用いられることのあるレーザ染料の非限定的な例は、クマリン540Aである。
実施形態によっては、配向されたフィルム20を生産する第1の方法では、MOFがまず合成され、後で基板18の表面に堆積する。この非限定的な例では、合成されたMOF材は、結晶が3次元よりも2次元ではるかに大きくなるように、高い縦横比を有する結晶22の分散を含む。この非限定的な例では、結晶22のそれぞれは、長さと幅との両方がその厚さよりもはるかに大きい。場合によっては、結晶22は、少なくとも5:1の縦横比を有する。場合によっては、10超:1の縦横比であり、場合によっては、少なくとも100:1である。本明細書に用いられる際に、これらの縦横比は、結晶の最大寸法が、実施形態によっては結晶の最小寸法に対し少なくとも5倍、10倍、または100倍長いことを意味する。
結晶22は、浸漬被覆、吹付被覆、滴下成型、およびスピン被覆を含む多数の方法のうちいずれか1つによって、基板18の表面上に堆積される。シート様結晶22は、場合によっては、基板18の表面に平行に配向される。フィルム20は、基板18の表面に堆積され、場合によっては、基板18の表面に方位が実質的に平行であるシート様MOF結晶子22の被覆を含む。実施形態によっては、結晶子22は、50から10,000nmの範囲の長さおよび幅の両方(図3の水平方向)と、5から100nmの範囲の厚さ(図3の垂直方向)とを有する。別の製作方法では、結晶質フレームワーク材は、基板18の表面に直接的に合成される。
場合によっては、シート様の結晶が基板18の表面に実質的に平坦に位置する際に、遷移双極子が基板の表面およびフィルム20の底面に平行になるように、結晶子または結晶22は、冷光エミッタの遷移双極子を方向付ける。他の実施形態では、縦横比の高い結晶は針のような形状をとり、この針は、針の方向(針の縦軸)に直角にかつさらに基板18の表面に平行に遷移双極子を向けて、直立している。これらの形状(シートおよび針)および他の縦横比の高い形状または形態は、代替の実施形態にて可能である。
留意すべきは、結晶子または結晶22の形状および寸法が、遷移双極子の所望の方位を達成するためには決定的に重要ではなく、任意の形状または寸法にすることができるということである。場合によっては、結晶子または結晶は、平坦なシート様の結晶22もしくは直立した針様の結晶であるか、または他の風変わりな結晶性の幾何学的形状であるが、それは、結晶22とその単位胞が平面についてある特定の方位を有するように、正しいあり方で(例えば、フィルム20の底部平面および基板18の上面に平行に)配向された妥当な結晶軸が保たれる限りにおいてである。実施形態によっては、結晶子または結晶は、円柱形状、円形状、正方形状、球形状、錐形状、角柱形状、または矩形状である。実施形態によっては、結晶子または結晶のそれぞれは同じ形状である。実施形態によっては、結晶子または結晶のそれぞれは異なる形状である。結晶子または結晶は、本明細書に記載の形状および/またはサイズに限定されず、その意図される仕様に指定された条件の通りに、必要に応じて、任意の形状および/またはサイズとすることができる。
概して、結晶22は、結晶構造の結晶軸のいくつかがフィルムおよび基板18の平面に実質的に平行に整列されるように、基板18の平面上に形を成す。その結晶軸は、特定のMOFまたはその適用に用いられる他の結晶質フレームワーク材に応じて、[001]、[011]、[111]、[020]、[435]などになる可能性がある。所与のMOF材のどの結晶軸がフィルムおよび基板の平面に実質的に平行な具体的な方位を有して形成されるかを特定すれば、冷光エミッタを、その遷移双極子も所望の通りに(例えば、結晶軸に平行に)配向されるように、正しい位置でMOF材に組み込むことができる。具体的には、結晶22の単位胞は、その遷移双極子が結晶軸に実質的に平行となり、延いては結晶軸がフィルムおよび基板18の平面に実質的に平行となるように、正しい方位に冷光エミッタを保持する。問題になっている軸、すなわち、単位胞によって実質的に平行に遷移双極子が保持されている結晶軸が、基板18の表面に実質的に平行な具体的な方位を有し、その結果として遷移双極子が1/3未満の異方性因子Θを有するように、結晶22が配向される。
全ての結晶22が完全に平行に配向される必要はなく、(遷移双極子が整列される)それらの選択された結晶軸がフィルムおよび基板18の平面に完全に平行に配向される必要もない。場合によっては、結晶または結晶子22の多くは、ランダムよりも理想に近い方位を有するものとなる。「非ランダムな方位」とは、1つまたは複数の構成成分、例えば結晶軸、冷光エミッタ、またはその遷移双極子などが、方位がランダムであるならば有するであろう平均的な方位とは異なる平均的な方位を示す場合であることを特定することができる。結晶22およびそのそれぞれの結晶軸(遷移双極子が平行に整列される)のうち少なくともいくつかが、+/-45°の、または他の実施形態では+/-40°、+/-35°、+/-30°、+/-25°、+/-20°、もしくは+/-15°の最大偏差で、フィルム20の底部平面に平行に配向されている場合に、遷移双極子の所望の異方性の方位をやはり達成することができる。全ての結晶22とそのそれぞれの結晶軸(遷移双極子が平行に整列される)のうち、いくつかの場合では少なくとも30%が、いくつかの場合では少なくとも40%、50%、66%、70%、80%、90%、または95%が、そして最大で100%が、平面に平行に配向され、この平行な方位から最大+/-45°もしくは+/-40°、+/-35°、+/-30°、+/-25°、+/-20°、または+/-15°の最大偏差を有する。
実施形態によっては、複数の冷光エミッタは、法線から45°以下(例えば、40°以下、35°以下、30°以下、25°以下、20°以下、15°以下、または10°以下)の平均放射角でフィルムの平面から光を放射するように構成される。
実施形態によっては、平面に実質的に平行な結晶構造の結晶軸が1つを超えて存在することがあり、遷移双極子は、実質的に平行な少なくとも1つの結晶軸に実質的に平行に配向される。実施形態によっては、フィルムまたは放射層を形成する複数の結晶22が分散するのではなく、ただ1つの結晶が存在することがある。
図4A、図4B、および図4Cは、Cu(TCPP)MOFの結晶構造を示す。TCPP単位は、ポルフィリン部分の中心で白金イオンが結合しており、8つの銅イオンと錯体となり、この錯体は「パドルホイール」構造単位と呼ばれる(Cu)クラスターを形成する。この実施形態では、MOFの化学式はCu(TCPP)であり、式中、TCPPは5,10,15,20-テトラキス(4-カルボキシフェニル)ポルフィリン]である。Cu(TCPP)は、任意の数の水分子または他の溶媒分子をその化学式内に含んでいてもよい。実施形態によっては、放射層は、Cu(TCPP)と、冷光部分への電荷輸送を促す少なくとも1つの伝導性マトリックス成分とを含む。さらに別の実施形態では、Cu(TCPP)MOFの孔は、冷光部分への電荷輸送を促す伝導性の有機分子によって占められる。
再び図3を参照すると、具体的な実施形態では、Cu(TCPP)のフィルムは、水に混合したアルコール溶媒中のCu(TCPP)の分散物を、基板18の平面上に滴下成型することによって堆積する。シート様の幾何学的形状のCu(TCPP)MOFは、結果として、基板18の平面についてシート様の結晶子22の特定の平行な方位を生じる。Cu(TCPP)MOFの冷光部分TCPPは、フィルム20の底部平面と基板18の上部平面について特定の平行な方位で配向される。TCPPの遷移双極子モーメントは、MOF結晶の平面に位置し、またフィルム20の底部平面および基板18の上部平面について平行な方位に位置する。この遷移双極子モーメントの平行な方位は、結果として光放射を生じ、この光放射は、場合によっては、フィルム20の底面および基板18の平面によって画定された平面に直角に(図3の下方へ垂直に)向けられている。
結晶質フレームワークへの冷光エミッタの付加
本開示の態様は、フィルム20を形成し、1つまたは複数の冷光部分をフレームワーク材のビルディングユニットとして含む、結晶質フレームワーク材を含む(例えば、少なくとも1つの冷光部分は結晶質フレームワーク材の単位胞の構成成分である)。実施形態によっては、結晶質フレームワーク材は、有機構造単位によって連結された金属性構造単位を含む金属有機フレームワークであり、冷光部分は、有機構造単位の少なくとも一部に含まれる。実施形態によっては、冷光部分は、結晶質フレームワーク材の少なくとも一部分に共有結合により接続される。他の実施形態では、冷光部分は、結晶質フレームワーク材の孔内に存在する。本開示のコンテクストでは、用語「孔」は、フレームワークの多孔性に寄与する、結晶質フレームワークにおける任意の種類の開口を指す。
本開示の実施形態によっては、現今ある冷光エミッタ(例えば、発光団または冷光部分)は、直接取込み法、共有結合性もしくは配位結合性の方法、非共有結合性もしくは非配位性の取込み法を用いて、MOF構造に組み込まれてもよい。しかし、我々はそのようなアプローチおよび改変に限定されない。
実施形態によっては、現今ある冷光エミッタは、直接取込み法を用いて組み込まれる。場合によっては、発光団は、発行団がMOF単位胞で構造有機成分として作用することを可能にする、複数の配位基の追加によって修飾されることがある。場合によっては、修飾としては、以下に限定されないが、発光団の有機配位子への1つもしくは複数のカルボン酸基、1つもしくは複数のアルコール基、1つもしくは複数のアミン基、1つもしくは複数のイミダゾリル基、または1つもしくは複数のピリジル基の追加、または窒素原子などのヘテロ原子を含むための現今ある芳香族の変換によることが挙げられる。これらの修飾のいずれも、単一の発光団または冷光部分にある任意の他のものと併せて遂行されてもよい。
実施形態によっては、現今ある冷光エミッタは、共有結合性または配位結合性の方法を用いて組み込まれる。場合によっては、発光団は、複数の共有結合または配位結合を通じて発光団がMOF構造に結合することを可能にする、複数の官能基の追加により修飾されていてもよい。修飾としては、以下に限定されないが、上記に挙げられたもの、ならびに1つまたは複数の配位部分、例えばチオール基、シアノ基、もしくはイソシアノ基など、またはMOF単位胞への共有結合性の付加を可能にするための1つまたは複数の部分、例えばケトン、アルデヒド、アジド基、アルケン基、およびアルケン基、エポキシド基、または有機ハロゲンなどの追加が挙げられる。
実施形態によっては、現今ある冷光エミッタは、非共有結合性かつ非配位性の組込み方法を用いてMOF孔内に組み込まれる。場合によっては、発光団は、発光団とMOF孔との間の特異的または非特異的な相互作用、例えばファンデルワールス相互作用、四極子相互作用、および双極子相互作用などを利用することによって、MOF内に組み込まれてもよい。場合によっては、発光団は、これらの相互作用の様式の強度を増す化学部分の追加によって、例えばアルキル基、芳香族基、またはハロゲン基の追加によって、修飾されていてもよい。場合によっては、発光団は、具体的なMOF孔とのその相互作用の強度および特異性に基づき、化学修飾を行うことなく含有のために選択されることがある。
態様によっては、フィルムまたは光放射層を形成する結晶質フレームワーク材を調製するための方法は、(i)官能基を有する有機構造単位を用いて金属有機フレームワークを調製するステップと、(ii)官能基を1つまたは複数の冷光部分に反応させるステップとを含む。これらの2つのステップは、任意の順序で行うことができる。金属有機フレームワークの調製は、当技術分野に周知である(例えば、Rowsell et al, Microporous and Mesoporous Materials 2004,73,3-14を参照)。典型的には、金属有機フレームワークの調製は、DMFなどの特定の溶媒中、無機塩と有機化合物とを含有する混合物を、60℃から120℃の範囲で数時間から2日間にわたって加熱することを含む。金属有機フレームワークの代替的な調製法としては、機械化学的磨砕、電気化学的合成、音響化学的合成、およびマイクロ波補助合成が挙げられる。
官能基を有する有機構造単位を提供することは、有機化学の分野で公知である。また、官能基を有機構造単位のための開始物質として既に有する化合物を用いることによって、機能化された金属有機フレームワークを調製することもできる。上記方法のステップ(i)は、典型的には、官能基を既に含む有機構造単位を用いる金属有機フレームワークの調製を含む。あるいは、官能基は、金属有機フレームワークが調製された後に導入されてもよい。
結晶質フレームワーク材を調製するための代替的な方法は、(i)有機構造単位を用いて金属有機フレームワークを調製するステップと;(ii)金属有機フレームワークの内側面で冷光エミッタを吸着するステップとを含む。冷光エミッタはまた、金属有機フレームワークの調製に用いられる前に、ビルディングブロックの1つに吸着されることもある。この代替的な方法に従って、冷光エミッタは、金属有機フレームワークに化学的に結合されないが、代わりにフレームワーク構造の表面に吸着され、場合によっては、フレームワーク構造の孔の内側面に吸着される。例として、吸着は、気相からまたは溶液から行うことができる。
金属有機フレームワーク中で配位不飽和金属部位に冷光エミッタが付加されている結晶質フレームワーク材は、例えば、孔容積に等しい溶液量を用いる乾式含浸(初期湿潤含浸または細孔容積含浸としても知られる)などの含浸によって、または過剰な溶液体積を用いる湿式含浸によって、調製することができる。それらはまた、化学蒸着法または原子層堆積法によって調製することができる。
冷光部分が有機構造単位に化学的に結合されている結晶質フレームワーク材の実施形態によっては、金属有機フレームワークは、(i)官能基を付与された有機構造単位と、(ii)無機化合物、金属-有機化合物などの無機-有機化合物、および有機化合物からなる群から選ばれる1つまたは複数の冷光部分との反応生成物である冷光有機構造単位を含む。本明細書に用いられる際に、ならびにその従来の意味では、用語「官能基」とは、有機化学における慣例的かつ通常の意味を指す、すなわち、その基の結合している分子の特有の化学反応を担う相互に連結された原子の一団を指す。官能基は脱離基を含むことがある。
そのような冷光有機構造単位の調製は、様々な官能基を用いることによって行うことができる。例として、有機構造単位は、アミン、ニトロ基、イミン、ピリジル、またはそれらの誘導体、ハロホルミル、ハロアルキル、酸塩化物などのハロゲン化アシルを含むハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の官能基によって修飾することができる。良好な結果は、有機構造単位をアミン官能基により修飾することによって達成されているが、他の官能基を同様に用いてもよい。
実施形態によっては、冷光有機構造単位を産生するように無機化合物、金属-有機化合物などの無機-有機化合物、および/または有機化合物を有機構造単位にカップリングするために、官能基を使用してもよい。官能基は脱離基を含んでいてもよく、脱離基は、無機化合物、無機-有機化合物、または有機化合物により置き換えられてもよい。冷光部分としての使用に適した無機化合物、無機-有機化合物、および有機化合物の非限定的な例は、有機レーザ染料、およびホスフィンおよびホスフィネートなどのリン原子を含む化合物である。冷光部分としての使用に適した金属-有機化合物の非限定的な例は、銀、金、ランタニドなどの希土類元素、またはフェロセンを含む化合物である。
デバイスのフィルムまたは放射層の全ての単位胞が冷光エミッタを含む必要がある訳ではないことを留意されたい。単位胞の半分未満が冷光エミッタを含んでいる場合であっても、フィルムまたは放射層は、やはり所望の方向にいくらかの光を発するものとなる。冷光エミッタが結晶質フレームワーク材(例えば金属有機フレームワーク)の単位胞の有機構造単位に化学的に結合されている際に、単位胞の30%以上は、冷光エミッタ(例えば、発光団分子または冷光部分)により機能化されていてもよい。実施形態によっては、単位胞の50%以上、または60%以上、または70%以上が、冷光エミッタにより機能化されていることがある。他の非限定的な例では、単位胞の70%から80%または70%から90%が、冷光エミッタにより機能化されていることがある。また、結晶質フレームワーク材の実質的に全ての単位胞が、冷光エミッタにより機能化されている可能性もあることがある。
実施形態によっては、各冷光エミッタは、ペンダントリンカー(例えば、結晶質フレームワークのコア構造に共有結合により連結されているがその一部ではないペンダント冷光エミッタ)を介して、結晶質フレームワーク材の構造単位に共有結合により付加される。
実施形態によっては、有機構造単位の少なくとも50%は、フィルムの平面に実質的に平行になるように構成された遷移双極子モーメントを有する冷光エミッタを含む。
実施形態によっては、有機構造単位は、1つまたは複数の金属結合基(例えば2つ以上)で最大6つの金属結合基(例えば最大5つ、4つ、または3つの金属結合基)に連結された冷光エミッタから構成される。金属結合基は、任意の都合のよい位置を介して任意の都合のよい間隔で冷光エミッタに付加されて、結晶質フレームワーク材中に所望の方位の冷光エミッタを配することができる。
実施形態によっては、本開示の有機構造単位は式:
Figure 2022521096000002
であり、式中、Eは冷光エミッタであり;各Lは独立して連結基であり、上式で各nは独立して0または1であり;Zは金属結合性官能基であり;mは1から4である。
本明細書に記載されたMOFの有機構造単位に含むことができる、目的とする金属結合性官能基としては、以下に限定されないが、-COH、-CSH、-NO、-SOH、-Si(OH)、またはそれらの塩形態が挙げられる。
式(I)の実施形態によっては、nは0であり、ZはEに直接的に共有結合されている。式(I)の実施形態によっては、nは1であり、リンカーLが存在する。
式(I)の実施形態によっては、各Lは、独立して、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、オキソ(-O-)、アミド(例えば-NHCO-または-CONH-)、スルホニル、スルホンアミドなどから選択される。実施形態によっては、Lは大員環である。実施形態によっては、大員環は、ポルフィリンおよび多座配位子から選択される。実施形態によっては、多座配位子は、ビピリジン、フェニルピリジン、サレン配位子、およびそれらの置換バージョンから選択される。場合によっては、多座配位子は、テレフタル酸、アミノテレフタル酸、およびニトロテレフタル酸から選択される。ポルフィリンおよび多座配位子の非限定的な例は、ここに参照によりその全体が組み込まれる米国特許第9,880,137号および第10,413,858号に見出すことができる。
式(I)の実施形態によっては、mは2、3、または4である。式(I)の実施形態によっては、mは2である。式(I)の実施形態によっては、mは3である。式(I)の実施形態によっては、mは4である。
式(I)の実施形態によっては、本開示の有機構造単位は、以下の式:
Figure 2022521096000003
Figure 2022521096000004

Figure 2022521096000005
のうちの1つであり、式中、
各nは独立して0または1であり;ならびに
各Arは、独立して、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、および置換複素環から選択される。
式(II)~(IV)の実施形態によっては、Arはフェニルまたは置換フェニルである。式(II)~(IV)の実施形態によっては、Arは1,4-フェニレンまたは置換1,4-フェニレンである。式(II)~(IV)の実施形態によっては、各nは1である。式(II)~(IV)の実施形態によっては、各nは0であり、Z基はEに直接的に共有結合されている。
式(I)~(IV)の実施形態によっては、各Zはカルボキシである。
実施形態によっては、冷光エミッタEは、イリジウム錯体、白金錯体、希土類金属錯体、フェニル系ホスフィン、ホスフィン酸化物、および置換ホスフィンから選択される。実施形態によっては、Eは冷光イリジウム錯体である。実施形態によっては、Eは金属錯体、例えば、金属イオンに配位した複数の配位子(例えば、二座の配位子)を含む冷光イリジウム錯体である。式(II)~(IV)の実施形態によっては、Eは金属錯体であり、金属結合性官能基が、その錯体の配位子のたった1つに連結されている。式(II)~(IV)の実施形態によっては、Eは金属錯体であり、金属結合性官能基が、その錯体の配位子のうち2つに連結されている。式(II)~(IV)の実施形態によっては、Eは金属錯体であり、各金属結合性官能基が、その錯体の異なる配位子に連結されている。場合によっては、冷光金属錯体の周囲の配位している配位子の幾何学的な形状および構成(例えば、八面体または他の幾何学的な形状)は、結晶質フレームワークの接続のために望ましい方位へと金属結合性官能基を突出させるのに利用できる連結位置または置換位置を提供する(例えば図3を参照)。
式(III)~(IV)の実施形態によっては、本開示の有機構造単位は、以下の式:
Figure 2022521096000006
Figure 2022521096000007
のうちの1つであり、式中、E、E、およびEはそれぞれ独立して、冷光イリジウム錯体の二座キレート配位子である。
式(V)~(VI)の実施形態によっては、E、E、およびEは、独立して、bppo、ppy、MDQ、acac、およびそれらの置換バージョンからから選択される。実施形態によっては、E、E、およびEは、独立して、置換bppo、置換ppy、置換MDQ、および置換acacから選択することができる。実施形態によっては、E、E、およびEの組合せは、Eが(bppo)Ir(acac)、(bppo)Ir(ppy)、(ppy)Ir(bppo)、(MDQ)Ir(acac)、またはそれらの置換バージョンとなるように選択される。E、E、およびEは、-[Ar]-Zを有する配位子の任意の便利な位置で、例えば、イリジウムイオンを有する配位子の配位に不利な影響を及ぼさない配位子の位置であって、かつフレームワークの軸を有した有機構造単位の整列に適している位置で、置換することができる。
実施形態によっては、各冷光エミッタは、ペンダントリンカーを介して有機構造単位に共有結合により付加される。実施形態によっては、本開示の有機構造単位は、式:
Figure 2022521096000008

Figure 2022521096000009
Figure 2022521096000010
のうちの1つであり、式中、Eは冷光エミッタであり;Arは、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールから選択され;Lはペンダントリンカーであり;Zは金属結合性官能基である。Arは単環とすることも多環系とすることもできる。
式(VII)~(IX)の一部の実施形態では、Arは、ポルフィリン、ペリレン、ピリジン、フェニル、イミダゾール、ビピリジン、トリアゾール、およびそれらの置換バージョンから選択される。実施形態によっては、Arはフェニルまたは置換フェニルである。実施形態によっては、Arは、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメシン酸、またはそれらの置換バージョンである。
式(VII)の実施形態によっては、本開示の有機構造単位は以下の式である:
Figure 2022521096000011
式(VII)~(X)の実施形態によっては、Zはカルボキシである。
式(VII)~(X)の実施形態によっては、冷光エミッタEは、イリジウム錯体、白金錯体、希土類金属錯体、有機染料、フェニル系ホスフィン、ホスフィン酸化物、置換ホスフィンから選択される。
式(VII)~(X)の実施形態によっては、Lは独立して、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、オキソ(-O-)、アミノ、置換アミノ、アミド(例えば-NHCO-または-CONH-)、スルホニル、スルホンアミドなどからから選択される。式(VII)~(X)の実施形態によっては、Lは置換アミノ基を含む。場合によっては、Lは、冷光金属錯体に配位することのできる金属結合配位子基をさらに含む。
式(VII)~(X)の実施形態によっては、Lは-NR-P(R’)(R’’)=O-であり、冷光金属錯体に配位している。実施形態によっては、R、R’、およびR’’は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アミノ、アルコキシ、ヒドロキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、複素環オキシ基、アシル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アシルオキシ、アシルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、スルホニルアミノ、スルファモイル、カルバモイル、アルキルチオ、アリールチオ、複素環チオ基、および複素環基から選択される。実施形態によっては、Rは水素またはアルキルであり;R’およびR’’は、独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、およびアシルオキシから選択される。
式(VII)~(X)の実施形態によっては、本開示の有機構造単位は式:
Figure 2022521096000012
であり、式中、M’は金属イオンであり;X、X、X、X、X、およびXはそれぞれ独立して、水素またはハロゲン原子であるか;または
その塩形態である。
式(XI)の実施形態によっては、X、X、X、X、X、およびXは、それぞれ水素である。
式(XI)の実施形態によっては、M’は希土類金属イオンである。実施形態によっては、希土類金属イオンは、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテチウムから選択される。
フィルムまたは光放射層を形成する結晶質フレームワーク材の非限定的な例では、金属有機フレームワークの有機構造単位の少なくともいくつかは、イソフタル酸やテレフタル酸などのフタル酸などのコア構造単位に接続されるアミノ基の形でペンダント官能基を有する。そのようなペンダント官能化アミノ基は、適した冷光部分に容易に連結して反応させることができることが見出されている。結果として得られる冷光有機構造単位の非限定的な例は、下記の式(XII)および式(XIII)のものである。
Figure 2022521096000013
式(XII)では、Rは、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、または複素環基とすることができる。R’は、R’’と同じとすることができ、任意選択的に置換されることがあるフェニル環とすることができる。
Figure 2022521096000014
実施形態によっては、一般式(XIII)では、Rは、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、または複素環基とすることができる。R’は、R’’と同じとすることができ、任意選択的に置換されることがあるフェニル環とすることができる。M’は金属イオンであり、例えば希土類金属イオンであり、例えばイットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテチウムからなる群から選択される希土類金属イオンなどである。X、X、X、X、X、およびXは、それぞれ独立して、フッ素、塩素、または臭素などのハロゲン原子とすることができる。X、X、X、X、X、およびXは同じとすることができる。
冷光エミッタはまた、結晶質フレームワーク材の孔内に構成されてもよい。実施形態によっては、各冷光エミッタは、有機構造単位に非共有結合により結合され、金属有機フレームワークの孔に構成される。冷光エミッタは、例えば、金属有機フレームワークの内面に吸着させることができる。冷光エミッタは、公知の方法、例えば蒸着および/または吸着および/または合成後機能化などを介して、金属有機フレームワークの調製後に挿入することができる。また、冷光部分の存在下で金属有機フレームワークを調製することもでき、この冷光部分は、次いで、金属有機フレームワークの多孔性構造に組み込まれる(被包または包埋される)ものとなる。冷光部分の近接近性と規則的な構成が、電荷(電子)ホッピング機構の発生を導くことがある。さらに、反応基を欠き、それゆえに結晶質フレームワーク材に使用可能な有望な冷光部分の幅を拡げる、冷光部分を用いることができる。冷光エミッタが金属有機フレームワークの孔に存在する際に、後者は、金属有機フレームワークの有機構造単位当たり少なくとも0.8の冷光部分の程度にまで、冷光エミッタを搭載することがある。
冷光部分
種々の冷光エミッタは、対象フィルムでの使用に適応させることができる。用語「冷光部分」とは、光を放射することができる部分または化合物を指す。冷光部分は、光冷光性であっても電気冷光性であってもよく、(例えば、光または電位差の印可によって)励起すると光を放射することができる。光の放射は、上記部分または化合物の励起に起因して起こすことができ、以下に限定されないが光冷光、蛍光、リン光、電気発光、熱発光などを含めた種々の形状を有するものとすることができる。用語「冷光部分」、「冷光エミッタ」、および「発光団」は、本明細書では互換的に用いられる。場合によっては、冷光部分はリン光体である。
実施形態によっては、本開示の冷光エミッタは、イリジウム錯体、白金錯体、希土類金属錯体、有機染料、フェニル系ホスフィン、ホスフィン酸化物、置換ホスフィンなどから選択される。本明細書に記載される任意の2つ以上の冷光エミッタの組合せを利用して、対象フィルムから所望の光放射特性を付与することができる。
実施形態によっては、冷光エミッタは冷光遷移金属錯体である。実施形態によっては、冷光エミッタはイリジウム錯体である。実施形態によっては、冷光エミッタはレニウム錯体である。実施形態によっては、冷光エミッタは白金錯体である。
実施形態によっては、遷移金属錯体は、式:
111213
を有するものとでき、式中:
Mは遷移金属イオンであり;ならびに
11、L12、およびL13は、Mに配位している有機二座配位子である。
実施形態によっては、Mはイリジウム(Ir)である。実施形態によっては、Mはレニウム(Re)である。実施形態によっては、MはPt(IV)である。
対象フィルムでの使用に適応させることのできる有機二座配位子を含む、目的とするイリジウム錯体としては、以下に限定されないが、参照により本明細書にその開示が組み込まれる米国特許出願公開第20070292631号および米国特許第9,793,499号に記載されたイリジウム錯体が挙げられる。
実施形態によっては、配位子L11、L12およびL13のうち少なくとも1つは、窒素原子および炭素原子を介してMを配位する有機二座配位子である。実施形態によっては、配位子L11、L12、およびL13のうち少なくとも1つは、β-ジケトン配位子である。目的の有機二座配位子としては、β-ジケトン配位子(例えばacac)、ppy=2-フェニルピリジン、ppz=4,7-フェナントロリノ-5,6:5,6-ピラジン、bppz=2,3-ジ-2-ピリジルピラジン、bppo、MDQ(2-メチルジベンゾ[f、h]キノキサリン)、およびppo(PPO=3-フェニル-2-(フェニルスルホニル)-1,2-オキサジリジン)が挙げられる。
実施形態によっては、イリジウム錯体は、式:
Figure 2022521096000015
によって表され、式中、Xは、イリジウムに結合されている炭素原子および窒素原子と共に芳香族キレート配位子を形成する原子団を表し、nは整数2または3であり、各芳香族キレート基に存在する複数のX’は、互いに同じであっても異なっていてもよく、Lは二座の有機配位子を表し、式中、炭素原子以外の原子は、イリジウムに結合されている。
実施形態によっては、上記のイリジウム錯体、式中の[]二座配位子の内部は、下記に示す構造式の群から選択されるいずれか1つの配位子であり:
Figure 2022521096000016
式中、点線は、イリジウムとの結合を示し、芳香環上の各水素原子は、ハロゲン原子、または1個から15個の炭素原子を有する有機基によって置換されていてもよく、nが複数番号を表す際に、配位子は互いに異なっていてもよい。
実施形態によっては、冷光エミッタは、以下の式によって表される有機イリジウム錯体であり:
Figure 2022521096000017
式中、RからRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または1個から15個の炭素原子を有する有機基を表し、互いに隣り合う置換基(RからR)は、1つまたは複数の部位で結合され、それによって縮合環を形成することがあり、nは整数2または3であり、[]の内側によって示される2つまたは3つの配位子は、互いに同じであっても異なっていてもよく、Lは二座の有機配位子を表し、式中、例えば、炭素原子以外の原子がイリジウムに結合されている。
実施形態によっては、冷光エミッタは、以下の式によって表される有機イリジウム錯体であり:
Figure 2022521096000018
式中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、tert-ブチル基または水素原子であって、β-ジケトン配位子は、少なくとも1つのtert-ブチル基を有し;それらは、β-ジケトン配位子が2つのtert-ブチル基を有する際に互いに結合し、それによって飽和炭化水素環を形成することがあり;Aは、5員環または6員環のどちらかであり窒素を含有する複素環を有する置換基であり;Aの複素環は、任意選択的にベンゼン環に融合し、硫黄原子(S)または酸素原子(O)を窒素(N)以外のヘテロ原子として含んでいてもよく;Xはヘテロ原子である。
実施形態によっては、冷光エミッタは、テトラフェニルポルフィリン白金(II)、(bppo)Ir(acac)、(bppo)Ir(ppy)、(ppy)Ir(bppo)、(ppy)Re(CO)、and(MDQ)Ir(acac)、Ir(piq)3、(piq)2Ir(acac)、(pq)2Ir(acac)、Ir(ppy)3、Ir(pppy)3、テトラフェニルポルフィリン白金(II)、(bppo)2Ir(acac)、(bppo)2Ir(ppy)、(ppy)2Ir(bppo)、(ppy)Re(CO)3、(MDQ)2Ir(acac)、Flrpic、Flr6、Flrtaz、FlrN4、FCNlr、Ir(dfpypy)3、Ir(taz)3、mer-Ir(cn-pmic)から選択される。
実施形態によっては、冷光部分は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アミン、アルコキシド、アリールオキシド、複素環オキシド、アシル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アシルオキシド、アシルアミン、アルコキシカルボニルアミン、アリールオキシカルボニルアミン、スルホニルアミン、スルファモイル、カルバモイル、アルキルチオール、アリールチオール、複素環チオールを含有する希土類金属錯体、有機染料、フェニル系ホスフィン、ホスフィン酸化物、置換ホスフィン、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
実施形態によっては、冷光部分は有機染料である。目的とする有機染料としては、以下に限定されないが、エオシン染料、ローダミン染料、キサンテン染料、フルオレセイン染料、アクリジン染料、アントラキノン染料、アゾ染料、ジアゾニウム染料、フッ素染料、フルオロン染料、フタロシアニン染料、BODIPY染料、およびN,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-(1,1’-ビフェニル)-4、4’-ジアミン(NPD)が挙げられる。
遷移双極子モーメントの方位
実施形態によっては、発光団分子または冷光部分の全体的な放射は、水平におよび垂直に整列された遷移双極子に由来する寄与の重ね合せとして記載することができ、その場合、方位は、フィルムまたは放射層34の底部平面について、または積層の平面(例えば、透明の基板40の底面、または基板がOLEDデバイスを形成する積層の底部層であるものは何でも)について考慮される。
実施形態によっては、本開示の冷光フィルムは、結晶質フレームワーク材から構成される複数の結晶から構成され、結晶はそれぞれ、フィルムの平面に実質的に平行に整列された少なくとも1つの結晶軸を有し、各結晶の複数の繰り返し構造単位は、少なくとも1つの結晶軸に対して実質的に平行な方位に構成される遷移双極子モーメントを有する冷光エミッタを含む。実施形態によっては、結晶質フレームワーク材の繰り返し構造単位はそれぞれ、構造的に一体型の冷光エミッタ(例えば、前記結晶質フレームワークの構造の一部であり前記結晶質フレームワークの構造に不可欠である冷光エミッタを含む。場合によっては、繰り返し構造単位の少なくとも50%は、フィルムの平面に実質的に平行になるように構成される遷移双極子モーメントを有する冷光エミッタを含む。場合によっては、冷光エミッタの遷移双極子モーメントの少なくとも66%は、約+/-45°、約+/-40°、約+/-35°、約+/-30°、約+/-25°、約+/-20°、約+/-15°、約+/-10°、または約+/-5°の最大偏差で、フィルムの平面に実質的に平行に配向される。実施形態によっては、冷光エミッタは、この平行な方位から、約45°以下、約40°以下、約35°以下、約30°以下、約25°以下、約20°以下、約15°以下、約10°以下、または約5°以下の最大偏差で、フィルムの平面に「実質的に平行に」配向される。
図5の非限定的な例では、遷移双極子の所望の平行な方位は水平であり、双極子の直角な方位は垂直である。異方性因子とは、双極子の総数に対する垂直な双極子の数の比率であり、それゆえに遷移双極子モーメントの平均的な方位を表す。異方性因子Θは、以下のように記述することができる:
Θ=<cosθ> (1)
式中、θは、放射層34中の冷光エミッタの各遷移双極子モーメントベクトルVと面法線Nとの間の角度であり、面法線Nは、放射層34の平面に直角である。遷移双極子モーメントの1/3が放射層34の平面に直角に整列され(例えば垂直に配向され)、かつ2/3が水平に配向される場合に、等方性方位(Θ=1/3)が存在する。光学的なシミュレーションでは、最大アウトカップリング効率がΘ=0に対して達成されること、すなわち、全遷移双極子モーメントの完全かつ平行な(例えば水平な)整列が示されている。完全に水平に整列された遷移双極子は、結果としてΘ=0となる。等方性分布はΘ=0.33により与えられ、垂直な双極子方位はΘ=1により標示される。実施形態によっては、異方性因子Θは0.2未満;または0.1未満;または0.015未満;または0.001未満であり、場合によっては0である。
場合によっては、冷光エミッタは、フィルムの平面に対して実質的に一様に配向されるように構成され、0.33未満の方位異方性因子(Θ)を有する。0.33未満の方位異方性因子が標示するのは、放射層34のフィルム中の遷移双極子が、場合によって放射層の平面に平行に配向され、ランダムな方位を有する冷光部分での場合よりも多くの光を平面に直角な方向に放射するということである。フィルムまたは放射層34の平面とは、それ自体に対し冷光部分とその遷移双極子が平行な方位を有する面であり、且つそれ自体を通って光が放射される面であるが、典型的には主表面(例えば、通常は基板表面に接触しているフィルムまたは放射層の上部または底部)であって、フィルムまたは放射層の重要でない縁表面ではない。
実施形態によっては、フィルムまたは放射層34中の全ての冷光エミッタとその各遷移双極子は、平面に完全に平行に配向される必要はない。所望の異方性の方位は、少なくともいくらかの遷移双極子が実質的に平行に近く配向されている場合に、やはり達成することができる。実施形態によっては、遷移双極子モーメントは、+/-45°の最大偏差で、または他の実施形態では+/-40°、+/-35°、+/-30°、+/-25°、+/-20°、もしくは+/-15°の最大偏差で、フィルム、放射層34の底部平面、またはOLED積層の平面について平行に(図5で水平に)配列されることがある。場合によっては、全ての遷移双極子の少なくとも30%、40%、50%、66%、70%、80%、90%、または95%が、そして最大で100%が、平行に配向され、この平行な方位から最大+/-45°もしくは+/-40°、+/-35°、+/-30°、+/-25°、+/-20°、または+/-15°の最大偏差を有する。
実施形態によっては、発光デバイス30は、第1と第2の電極の間に電圧(電位差)を印加するための制御器または電圧源も含むことがある。実施形態によっては、制御器は、AC電圧、例えば100Hzと10,000Hzとの間の範囲に周波数を有するAC電圧を印加するように配列される。この周波数範囲の下限は、ちらつきを避けるように選択され、上限は、発光モジュールでの電荷発生過程を最適に利用するように選択される。AC電圧は、場合によっては、比較的短い時間内に最小と最大との間の遷移が起こる波形を有するが、なぜなら、そのような波形では発光デバイスが最も良い性能を有することが実験的に決められているためである。そのような波形の非限定的な例は、矩形波、三角波、およびパルス波である。AC電圧は、AC信号にDCバイアスを印加することによって、負電圧または正電圧のみからなることがある。このことは、増幅器を1種類のみ用いることができるという利点がある。
図6は、他のいくつかの一般的なリン光体分子を、矢印により標示されたその遷移双極子と共に示す。同様の置換方法を用いて、これらのリン光体を同様のMOF構造内に組み込んでもよい。例えば、特定の位置で配位子上にカルボン酸基を置換することにより、MOF単位胞中に異なる方位のリン光体を生じ、ゆえに異なる方位の遷移双極子モーメントを生じる。置換に用いる位置を選択することによって、最終的なデバイスにおけるリン光体の遷移双極子モーメントの方位を制御することができる。留意すべきは、図2のデバイスが、MOF単位胞の結晶構造によって遷移双極子モーメントが予め定められているという一例であるのに対し、図6のリン光体は、遷移双極子モーメントを所望の通りに配向させる種々の方法で設計されうるということである。遷移双極子(またはいくつかのリン光体分子についての複数の双極子)がリン光体分子の平面に存在しないため、光(例えばフォトン)が通って放射されるフィルム表面において遷移双極子がやはり平行になるように、MOF単位胞中でリン光体の保持される相対角度を調整することができる。
実施形態によっては、MOF/リン光体単位胞の構造の調整は、遷移双極子が可能な限りフィルム表面に平行に近くなるまで行われる。実施形態によっては、設計プロセスは以下の工程を含む:A)結晶構造の少なくとも1つの結晶軸を基板の平面に平行に近いものとするように、基板の平面上にフィルムとして成長させるかまたは成型することのできるMOFの記名一覧を特定すること;B)フィルム中でどのような方位をMOF単位胞が有し易いのかを(例えばMOFを作製することによって)突き止め、どの結晶軸が実質的に平行に成長するのかを特定すること;C)リン光体の双極子モーメントを特定された結晶軸に実質的に平行に近いものとするために、MOF単位胞中でどのような方位をリン光体が必要とするのかを、フィルム中のMOF方位に基づき決定すること;ならびにD)MOF単位胞内へのリン光体の組込みを可能にするリン光体上にカルボキシレート基を配することであって、リン光体とその遷移双極子がフィルム中で概ね異方性の方位を有するものとなるように、カルボキシレート基が配列されること。
MOFの非限定的な例としては、構造/フィルムの方位、以下に限定されないが:UiO-66、UiO-66(NH)、UiO-67、およびUiO-68(NH)を含めた酸化ジルコニウムクラスターに基づくMOFのクラスが挙げられる。このMOFのクラスは、酸化ジルコニウムクラスターに接続された有機カルボキシレートに基づく実際および仮想の構造を含むものと理解され、その場合、クラスターは、少なくとも6つの有機カルボキシレートとの配位結合を含む少なくとも6つのジルコニウムイオンを含有する。場合によっては、これらのMOFは、基板に平行な[111]結晶軸を含む連続フィルムとして合成されるものとなる。
MOFの非限定的な例としては、構造/フィルムの方位、以下に限定されないが:「パドルホイール」M(R-CO2)クラスターおよび有機ジカルボキシレートまたはテトラカルボキシレート部分に基づくMOFのクラスが挙げられ、式中、Mは二価の金属イオンであって、最も一般的にはZnまたはCuであり、有機ジカルボキシレートまたはテトラカルボキシレート部分はそれぞれ、これらの金属クラスター単位を2つまたは4つ接続している。場合によっては、これらの配位結合は、結果として、[001]結晶軸に沿って延びる2次元のシート様構造を生じる。場合によっては、これらのMOFは、基板に平行な[001]結晶軸を有する連続フィルムとして合成されるものとなる。
MOFの非限定的な例としては、構造/フィルムの方位、以下に限定されないが:「パドルホイール」M(R-CO2)クラスターおよび有機ジカルボキシレートまたはテトラカルボキシレート部分、ならびに有機ジアミンまたは4,4’-ビピリジン部分に基づくMOFのクラスが挙げられ、式中、Mは二価の金属イオンであって、最も一般的にはZnまたはCuであり、有機ジカルボキシレートまたはテトラカルボキシレート部分はそれぞれ、これらの金属クラスター単位を2つまたは4つ接続している。場合によっては、これらの配位結合は、結果として、カルボキシレート部分により相互に連結された[001]結晶軸に沿って延びる2次元のシート様構造を生じる。このシートは、アキシアル位で金属イオンに結合されたジアミンによって、[001]軸に直角に相互に連結されている。場合によっては、これらのMOFは、基板に平行な[001]結晶軸を有する連続フィルムとして合成されるものとなる。
MOFの非限定的な例としては、構造/フィルムの方位、以下に限定されないが:「パドルホイール」M(R-CO2)クラスターおよび有機トリカルボキシレート部分に基づくMOFのクラスが挙げられ、式中、Mは二価の金属イオンであって、最も一般的にはZnまたはCuであり、有機トリカルボキシレート部分は、相互に連結された3次元構造内にこれらの金属クラスター単位を3つ接続している。HKUST-1は、そのような構造の一例である。実施形態によっては、これらのMOFは、合成の条件および表面の調製に応じて、基板に平行な[001]結晶軸または[111]結晶軸のどちらかを有する連続フィルムとして合成されるものとなる。
MOFの非限定的な例としては、構造/フィルムの方位、以下に限定されないが:「ゼオライト様イミダゾレートフレームワーク」と総称される、典型的にはZnまたはCdである二価の金属カチオンおよびイミダゾレート部分に基づくMOFのクラスが挙げられる。ZIF-8は、そのような構造の一例である。実施形態によっては、これらのMOFは、基板に平行な特定の結晶軸を有する連続フィルムとして合成されるものとなる。
発光デバイス
本開示の態様は、発光デバイス、例えば有機発光ダイオード(OLED)などを含み、具体的にはデバイスの放射層における使用に適した発光デバイスおよび結晶質フィルムを含む。実施形態によっては、冷光部分または分子などのエミッタ材は、結晶質フレームワーク材(例えば、金属有機フレームワークまたは共有結合性有機フレームワーク)内に組み込まれることによって、所望の方位に維持される。
場合によっては、デバイスの冷光フィルムは、冷光薄フィルムと呼ばれる。実施形態によっては、本開示の放射層は、冷光フィルムと;間に電圧を印加して放射層の少なくとも一部に電界を生成することができる第1および第2の電極とを含む。
実施形態によっては、少なくとも1つの電極は、透明または半透明の材料から構成される。実施形態によっては、デバイスは、電子注入層、電子輸送層、孔輸送層、孔注入層、電子遮断層、孔遮断層、および遮蔽層から選択される1つまたは複数の追加の層を含む。
実施形態によっては、デバイスは、印加電圧下で可視光を放射する。
本開示の態様は、本開示の発光デバイスを含む電気装置を含み、電気装置は、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末などから選択される。
図2は、上部電極(カソード)12、底部電極(アノード)16、カソード12とアノード16との間に配置されたMOF含有放射層14を含む発光デバイス10の模式図である。実施形態によっては、デバイス10は、下記に代替の実施形態で考察するように、カソード12とアノード16との間にいくつかの他の層を任意選択的に含むことがある。OLEDデバイスの有機積層内のそのような任意選択的な層は、当技術分野に周知であるが、説明を簡単にするために図2から省略されている。MOF含有放射層14は、テトラフェニルポルフィリン-銅単位をリン光体分子により置換することによって図1のリン光体分子を含むように修飾された構造を含む、単位胞を有するMOFフィルムである。放射層14を形成するMOFフィルムは、テトラフェニルポルフィリン白金(II)(TPP-Pt)を有する構造誘導体である。
TPP-Ptの遷移双極子モーメントは、図2の水平な矢印により標示されており、アノード16の表面に平行な(またはデバイス10が放射層14とアノード16との間に追加の層を含む場合、MOFフィルムが上に堆積または成長する基板の表面に平行な)所定の角度で位置する。放射層14のMOFフィルムは、設計によりその層状構造に平行な、すなわちフィルムの平面に平行な、そしてフィルムが上に堆積または成長する基板の対応する平面にも平行な、リン光体の遷移双極子モーメントを配向する。MOFは、その層状構造に基づき高度に配向されたフィルムを生成することが公知である。
そのようなMOFフィルムを放射層14に含むデバイス10は、放射層14の表面に平行に配向され、且つフィルムを上に堆積もしくは成長させる基板であって透明なアノード16でありうる基板または積層中の別の基板の表面に平行に配向された、遷移双極子を有する。MOFフィルムの単位胞がデバイス10について公知の方位を有し、リン光体がMOF単位胞内に公知の方位を有することから、デバイス10についてのリン光体遷移双極子の方位を、製作前に予想することができる。光(例えばフォトン)は、遷移双極子モーメント(図2では水平)に直角に(図2で下方へ垂直に)放射され、ゆえにフォトンは、発光層14の底部平面に直角に、且つ透明なアノード16の表面に直角に放射される。この結果、デバイス10からの光の放射の効率が大きく増加する。はるかに少ないフォトンがこれらの表面の平面に平行に放射され、フォトンは表面プラズモンおよび他の損失性モードへと失われる。この発光デバイス10の配置の結果として、デバイスから出るフォトンに最大50%の増加を生じ、ゆえに最大50%の効率の増加を生じることがある。
実施形態によっては、発光デバイス10は、第1と第2の電極の間に電圧(電位差)を印加するための制御器または電圧源も含むことがある。場合によっては、制御器は、AC電圧、例えば100Hzと10,000Hzとの間の範囲に周波数を有するAC電圧を印加するように配列される。この周波数範囲の下限は、ちらつきを避けるように選択され、上限は、発光モジュールでの電荷発生過程を最適に利用するように選択される。AC電圧は、場合によっては、比較的短い時間内に最小と最大との間の遷移が起こる波形を有するが、なぜなら、そのような波形では発光デバイスが最も良い性能を有することが実験的に決定されているためである。そのような波形の非限定的な例は、矩形波、三角波、およびパルス波である。AC電圧は、AC信号にDCバイアスを印加することによって、負電圧または正電圧のみからなることがある。このことは、増幅器を1種類のみ用いることができるという利点がある。
発光デバイス10の代替的な構成では、第1および第2の電極がどちらとも、光放射層14の同じ側に提供されてもよい。実施形態によっては、光生成層も第1および第2の電極の間に挟まれていてもよく、その場合、一方の電極は少なくとも部分的に透明である。実施形態によっては、スズドープ酸化インジウム(ITOとしても知られる)などの透明の伝導性オキシドを、透明の電極材として用いることができる。代替の実施形態では、1つまたは複数の電極は、透明ではなく半透明であってもよい。本明細書に用いられる際に、ならびにその従来の意味では、「半透明」は、可視光を透過する層を含むことがある。この場合、半透明の層を、透明、すなわち澄んだ半透明、または少なくとも部分的に光散乱性および/または部分的に光吸収性とすることができ、それゆえにまた、半透明の層を、例えば散漫にまたは乳濁状に半透明とすることができる。場合によっては、ここで半透明として示された層は、可能な限り透明であるように、その結果として具体的には光の吸収が可能な限り小さくなるように、具現化される。
あるいは、場合によっては、光放射層14は、第1および第2の電極12および16の間に挟まれていてもよく、その場合、第2の電極は、光放射層14の縁に位置する。実施形態によっては、アルミニウムまたは金などの任意の従来の電極材を用いることができる。発光デバイス10は、光放射層14と第1および第2の電極12および16のうち少なくとも1つとの間に位置する補助層をさらに含むことがある。そのような補助層の一例は誘電層であり、光放射層14と第1および第2の電極12および16のうち少なくとも1つとの間の直接的な相互作用を防ぐことができる。
図5は、前出の実施形態の配向されたフィルムなど、結晶質フレームワーク材から構成されるフィルムを含む放射層34を有する電気冷光デバイス30の模式的ブロック図を示す。デバイス30は、カソード31と半透明または透明のアノード39とを含み、アノード39は、やはり半透明または透明であるデバイス基板40上に配置されている。カソードとアノードとの間に配置された放射層34に加えて、デバイス30は、数多くの任意選択的な層をカソードとアノードとの間の積層に含み、そのようなものとしては電子注入層32、電子輸送層33(複数の別個の層であってもよい)、孔輸送層35(複数の別個の層であってもよい)、孔注入層36、電子遮断層37、および孔遮断層38が挙げられる。放射層34は、放射層34の底部平面に平行に配向された遷移双極子を有する、配向された冷光部分を含むMOFフィルムを含む。この遷移双極子モーメントの平行な方位は、結果として、光50(例えばフォトン)の放射を生じ、その光は、場合によっては、透明のアノード39およびデバイス基板40を通して、放射層34の底面によって、平面に直角に(図5で下方へ垂直に)方向付けられる。
以下の記載では、記載された構造間の接続の全てを、直接的な機能的接続とすることも中間構造を通じた間接的な機能的接続とすることもできることを理解されたい。構成要素のセットは1つまたは複数の構成要素を含む。特許請求の範囲では、「含むこと(comprising)」という語は、他の構成要素を除外せず、不定冠詞「a」または「an」は、複数を除外しない。複数の構成要素は、少なくとも2つの構成要素を含む。別段に必要のない限り、記載された任意の方法工程は、説明された具体的な順番で必ずしも実施される必要はない。
本開示の非限定的な態様の例
上に記載された本願の主題の態様は、実施形態を含めて、単独で、または実施形態の1つまたは複数の他の態様と組み合わせて有益なものとしてよい。上記を限定することなく、本開示のある特定の非限定的な態様を下記に示す。本開示を読めば当業者に明らかになるように、個別に付番された態様のそれぞれは、前出または後出の個別に付番された任意の態様と併せて使用しても組み合わせてもよい。このことは、そのような態様の組合せの全てにサポートを提供することを意図されており、下記に明確に示される態様の組合せに限定されない。
態様1。放射層と、間に電圧を印加して放射層の少なくとも一部に電界を発生させることのできる第1および第2の電極とを含む発光デバイスであって、放射層が、
a)結晶質フレームワーク材中にわたって繰り返される結晶構造を有する複数の単位胞を含む結晶質フレームワーク材であって、放射層の平面について結晶方位を有し、それゆえに大部分の単位胞が平面について実質的に一様に配向される結晶質フレームワーク材;および
b)少なくともいくつかの単位胞に組み込まれた複数の冷光エミッタであって、冷光エミッタの遷移双極子モーメントは、その方位異方性因子Θを0.33とするように放射層の平面について配向されるよう単位胞に配列された冷光エミッタを含む、発光デバイス。場合によっては、少なくとも1つの冷光エミッタを用いて機能化される単位胞のそれぞれは、単位胞の結晶構造について実質的に固定された方位に、冷光エミッタを保持または配置して、それゆえに冷光エミッタの遷移双極子モーメントは、所望の方位に(例えば、平面に実質的に平行に)維持される。
態様2。単位胞の少なくとも50%が、所望の方位(例えば、それゆえに遷移双極子が平面に実質的に平行になる)に少なくとも1つの冷光エミッタを保持する、態様1のデバイス。
態様3。遷移双極子モーメントの少なくとも66%が、+/-45°の最大偏差で放射層の平面に実質的に平行に配向される、態様1のデバイス。
態様4。放射層が、結晶質フレームワーク材の単位胞を含む1つまたは複数の結晶から構成されるフィルムを含み、1つまたは複数の結晶のそれぞれが、フィルムの平面に実質的に平行に整列された少なくとも1つの結晶軸を含み、冷光エミッタは、冷光エミッタの遷移双極子モーメントが結晶軸に実質的に平行となるように、単位胞の少なくともいくつか(例えば、少なくとも30%)に配列されている、態様1のデバイス。
態様5。結晶質フレームワーク材が、有機構造単位によって連結された金属性構造単位を含む少なくとも1つの金属有機フレームワークを含み、冷光エミッタが、有機構造単位の少なくとも一部に含まれる、態様1のデバイス。
態様6。冷光エミッタが、結晶質フレームワーク材の孔に存在する、態様1のデバイス。
態様7。冷光エミッタが、結晶質フレームワーク材の少なくとも一部分に共有結合により付加される、態様1のデバイス。
態様8。結晶質フレームワーク材が、Cu(TCPP)を含む金属有機フレームワークであり、TCPPが5,10,15,20-テトラキス(4-カルボキシフェニル)ポルフィリン]を含む、態様1のデバイス。
態様9。
a)結晶構造を有する複数の単位胞を含む結晶質フレームワーク材であって、フィルムの平面について好適な結晶方位を示し、それゆえに単位胞の大部分が平面について実質的に一様に配向される、結晶質フレームワーク材;および
b)結晶質フレームワーク材に配置された複数の冷光エミッタであって、単位胞の結晶構造について非ランダムな方位を示し、冷光エミッタの遷移双極子モーメントは、その方位異方性因子Θが0.33未満となるように、フィルムの平面について配向される、冷光エミッタ
を含むフィルム。
態様10。結晶質フレームワーク材が、金属有機フレームワーク、共有結合性有機フレームワーク、または多孔性配位フレームワークである、態様9のフィルム。
態様11。冷光エミッタが、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アミン、アルコキシド、アリールオキシド、複素環オキシド、アシル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アシルオキシド、アシルアミン、アルコキシカルボニルアミン、アリールオキシカルボニルアミン、スルホニルアミン、スルファモイル、カルバモイル、アルキルチオール、アリールチオール、複素環チオールを含有する希土類金属錯体、フェニル系ホスフィン、ホスフィン酸化物、置換ホスフィン、およびそれらの組合せからなる群から選択される冷光部分である、態様9のフィルム。
態様12。冷光エミッタが、テトラフェニルポルフィリン白金(II)、(bppo)Ir(acac)、(bppo)Ir(ppy)、(ppy)Ir(bppo)、(ppy)Re(CO)、(MDQ)Ir(acac)、N,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(NPD)、およびそれらの組合せからなる群から選択される冷光部分である、態様9のフィルム。
態様13。単位胞の少なくとも50%が、フィルムの平面に実質的に平行な冷光エミッタを少なくとも1つずつ保持する、態様9のフィルム。
態様14。遷移双極子モーメントの少なくとも66%が、約+/-45°の最大偏差で平面に実質的に平行に配向される、態様9のフィルム。
態様15。フィルムが、結晶質フレームワーク材の単位胞を含む1つまたは複数の結晶から構成され、1つまたは複数の結晶のそれぞれが、フィルムの平面に実質的に平行に整列された少なくとも1つの結晶軸を有し、冷光エミッタは、冷光エミッタの遷移双極子モーメントが結晶軸に実質的に平行となるように、単位胞のいくつかに配列される、態様9のフィルム。
態様16。結晶質フレームワーク材が、有機構造単位によって連結された金属性構造単位を含む少なくとも1つの金属有機フレームワークを含み、冷光エミッタが、有機構造単位の少なくとも一部に含まれる、態様9のフィルム。
態様17。冷光エミッタが、フレームワーク材の孔に存在する、態様9のデバイス。
態様18。冷光エミッタが、結晶質フレームワーク材の少なくとも一部分に共有結合により付加される、態様9のフィルム。
態様19。前記結晶質フレームワーク材が、Cu(TCPP)を含む金属有機フレームワークであり、TCPPが5,10,15,20-テトラキス(4-カルボキシフェニル)ポルフィリン]を含む、態様9のフィルム。
態様20。放射層と、間に電圧を印加して放射層の少なくとも一部に電界を発生させることのできる第1および第2の電極とを含む発光デバイスであって、放射層が、
a)結晶質フレームワーク材の複数の単位胞を含む少なくとも1つの結晶であって、光が通って放射される放射層の平面に実質的に平行に配向された少なくとも1つの結晶軸を有する、結晶;および
b)冷光エミッタの遷移双極子モーメントが結晶軸に実質的に平行になるように、少なくともいくつかの単位胞に組み込まれる、複数の冷光エミッタ
を含む、発光デバイス。
態様21。単位胞の少なくとも50%が、結晶軸に実質的に平行な少なくとも1つの冷光エミッタを保持する、態様20のデバイス。
態様22。冷光エミッタの少なくとも66%が、+/-45°の最大偏差で上記平面に実質的に平行に配向された遷移双極子モーメントを有する、態様20のデバイス。
態様23。放射層が、複数の結晶から構成されるフィルムを含み、各結晶が、上記平面に実質的に平行に配向された少なくとも1つの結晶軸を有する、態様20のデバイス。
態様24。結晶質フレームワーク材が、金属有機フレームワークを含み、冷光エミッタが、少なくとも1つの配位基の追加によって修飾された発光団を含み、上記配位基により、各発光団がMOF単位胞中で構造有機成分として作用することが可能になる、態様20のデバイス。
態様25。冷光エミッタが、結晶質フレームワーク材の孔に存在し、冷光エミッタが、アルキル基、芳香族基、またはハロゲン基などの化学部分の追加によって修飾される、態様20のデバイス。
態様26。冷光エミッタが、少なくとも1つの官能基の追加によって修飾された発光団を含んで、発光団が共有結合または配位結合を通じて単位胞に結合することを可能にする、態様20のデバイス。
態様27。遷移双極子モーメントが平面に実質的に平行に配向され、それゆえにその方位異方性因子Θが1/3未満となる、態様20のデバイス。
態様28。結晶質フレームワーク材が、Cu(TCPP)を含む金属有機フレームワークであり、TCPPが5,10,15,20-テトラキス(4-カルボキシフェニル)ポルフィリン]を含む、態様20のデバイス。
態様29。結晶質フレームワーク材が、金属有機フレームワーク、共有結合性の有機フレームワーク、または多孔性配位フレームワークである、態様20のデバイス。
態様30。
a)結晶質フレームワーク材の複数の単位胞を含む少なくとも1つの結晶であって、フィルムの平面に実質的に平行に配向された少なくとも1つの結晶軸を有する結晶;および
b)冷光エミッタの遷移双極子モーメントが結晶軸について実質的に平行な方位に維持されるように、少なくともいくつかの単位胞に構成される複数の冷光エミッタを含むフィルム。実施形態によっては、少なくとも1つの冷光エミッタを用いて機能化される単位胞のそれぞれは、実質的に固定された方位に冷光エミッタを保持または配置し、それゆえにその遷移双極子モーメントは、結晶軸に実質的に平行に配向される。
態様31。単位胞の少なくとも30%が、結晶軸に実質的に平行な方位に少なくとも1つの冷光エミッタを保持する、態様30のフィルム。場合によっては、単位胞の少なくとも50%、66%、70%、80%、または90%が、結晶軸に実質的に平行な方位に少なくとも1つの冷光エミッタを保持する。
態様32。冷光エミッタの少なくとも66%が、約+/-45°の最大偏差で上記平面に実質的に平行に配向された遷移双極子モーメントを有する、態様30のフィルム。
態様33。フィルムが、上記平面に実質的に平行に配向された同じ結晶軸を有する複数の結晶から構成される、態様30のフィルム。
態様34。冷光エミッタの遷移双極子モーメントがフィルムの平面に実質的に平行に配向され、それゆえにその方位異方性因子Θが1/3未満となる、態様30のデバイス。
実施例
下記の実施例は、本発明を実施し使用する方法の完全な開示および記載を当業者に提供するために提示されるものであって、本発明者らが何をその発明として考えるのかということの範囲を限定することを意図されておらず、また、下記の実験が全てまたは唯一の実施される実験であることを表すことも意図されていない。使用された数(例えば量、温度など)について正確性を担保するように努力が為されているが、いくらかの実験誤差および偏差が考慮されるべきである。別段に標示のない限り、部は質量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏温度であり、圧力は大気また近大気でのものである。標準的な略語、例えばナノメートル(nm)、ミリグラム(mg)、ミリリットル(ml)、ミリメートル(mm)、pl、ピコリットル(複数可);秒(複数可);分(複数可);時間(複数可);などが用いられることがある。
実施例1-Cu(TCPP)フィルムを製作するための材料および方法
硝酸銅三水和物(7mg)および5,10,15,20-テトラキス(4-カルボキシフェニル)ポルフィリン](TCPP、30mg)をジエチルホルムアミド1.5mLおよびエタノール0.5mLの溶液に溶解する。結果として得られる溶液をガラスバイアルに封入し、オーブン内に置く。オーブンを30分間にわたって80℃まで加熱し、12時間にわたって80℃で保持する。次いで、オーブンを5℃/時間の速度で室温に冷却する。結果として得られる溶液を遠心分離する。液体内容物を廃棄し、赤褐色の固体Cu(TCPP)をメタノール2mL中に再分散する。遠心分離工程を2回繰り返す。結果として得られる溶液を、メタノール中、所望の濃度(出発濃度の10分の1とする場合がある)に希釈し、薄フィルムとして基板上に堆積させる。薄フィルムの堆積は以下のように進めてもよい:Cu(TCPP)のメタノール中分散物を、ビーカー内の水の表面にピペットで滴下する。MOFが水の上部に薄層を形成することを観察する。MOFの薄層がガラスの表面に堆積されるように、スライドガラスを液体の表面上に下げる。次いで、スライドガラスを沈めて、傾斜させて水から取り出す。
上記は、本開示の実施形態を例として説明しており、必ずしも限定として説明するものではない。フィルム、発光デバイス、および製作のための方法の数多くの他の実施形態および例が可能である。例えば、適した実施形態としては、以下に限定されないが、冷光部分(例えばリン光体分子)の方位を指示するのに用いられる結晶質フレームワーク材(例えば金属有機フレームワーク)を放射層が含有する、任意の構成のOLEDデバイスが挙げられる。このようなものとしては、図5に提示されるような構成、ならびに放射層以外の任意の層を欠いた代替の構成が挙げられる。このようなものとしてはまた、いくつかの層を放射層と組み合わせた構成(例えば孔輸送と放射とを組み合わせた層)が挙げられる。このようなものとしてはまた、図2にあるようなちょうど2つの電極と放射層とを含む構成が挙げられる。
したがって、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲およびその法的な等価物によって決定されるべきである。本明細書の記載は数多くの詳細を含むとはいえ、これらは、本開示の範囲を限定するのではなく、現状で好適ないくつかの実施形態の説明を提供するに過ぎないものと解釈されるべきである。そのため、本開示の範囲が、当業者に自明となってゆく可能性のある他の実施形態を完全に包含することを認識されたい。
特許請求の範囲では、単数での要素への言及は、明確にそのように述べられない限り、「1つおよび1つのみ」を意味することを意図されず、むしろ「1つまたは複数の」を意味することを意図される。当業者に公知の開示された実施形態の構成要件の全ての構造的、化学的、および機能的な等価物は、本明細書に参照により明確に組み込まれ、本願の特許請求の範囲に包含されることを意図される。さらに、本開示中の要素、構成要素、または方法ステップには、その要素、構成要素、または方法ステップが特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かに関わらず、公用に提供されていることを意図されるものはない。本明細書中の特許請求の範囲の要素には、その要素が「ための手段(means for)」という句を用いて明確に記載されない限り、ミーンズ・プラス・ファンクションの要素として解釈されるものはない。本明細書中の特許請求の範囲の要素には、その要素が「ためのステップ(step for)」という句を用いて明確に記載されない限り、ステップ・プラス・ファンクションの要素として解釈されるものはない。

Claims (76)

  1. a)フィルムの平面に対し実質的に一様な方位を有する繰り返し構造単位を含む、結晶質フレームワーク材;および
    b)前記結晶質フレームワーク材に対し非ランダムな方位を有するように前記結晶質フレームワーク材の繰り返し構造単位中にそれぞれ構成される、複数の冷光エミッタ
    を含むフィルム。
  2. 前記複数の冷光エミッタは、法線から45°以下(例えば40°以下、35°以下、30°以下、25°以下、20°以下、15°以下、または10°以下)の平均放射角で前記フィルムの平面から光を放射するように構成される、請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記冷光エミッタは、その遷移双極子モーメントが0.33未満の方位異方性因子(Θ)を有するように、前記平面に対し実質的に一様に配向されるように構成される、請求項1から2のいずれか1項に記載のフィルム。
  4. 前記繰り返し構造単位の少なくとも50%は、前記フィルムの平面に対し実質的に平行となるように構成される遷移双極子モーメントを有する冷光エミッタを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のフィルム。
  5. 前記冷光エミッタの前記遷移双極子モーメントの少なくとも66%は、約+/-45°の最大偏差で前記フィルムの平面に対し実質的に平行に配向されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のフィルム。
  6. 前記結晶質フレームワーク材は単結晶質である、請求項1から5のいずれか1項に記載のフィルム。
  7. 前記結晶質フレームワーク材は多結晶質である、請求項1から5のいずれか1項に記載のフィルム。
  8. 前記フィルムは、前記繰り返し構造単位を含む少なくとも1つの結晶から構成されており、前記少なくとも1つの結晶は、前記フィルムの平面に対し実質的に平行に整列された少なくとも1つの結晶軸を有し、前記冷光エミッタは、前記冷光エミッタの遷移双極子モーメントが前記少なくとも1つの結晶軸に対して実質的に平行な方位に構成されるように、前記繰り返し構造単位の少なくとも30%に配列されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のフィルム。
  9. 前記結晶質フレームワーク材の前記繰り返し構造単位はそれぞれ、構造的に一体型の冷光エミッタ(例えば、前記結晶質フレームワークの構造の一部であり前記結晶質フレームワークの構造に不可欠である冷光エミッタ)を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載のフィルム。
  10. 各冷光エミッタは、ペンダントリンカー(例えば、前記結晶質フレームワークのコア構造に共有結合により連結されているが前記結晶質フレームワークのコア構造の一部ではないペンダント冷光エミッタ)を介して前記結晶質フレームワーク材の構造単位に共有結合により付加されている、請求項1から8のいずれか1項に記載のフィルム。
  11. 前記結晶質フレームワーク材は多孔性であり、各冷光エミッタは、前記結晶質フレームワーク材の孔で非共有結合により結合されている、請求項1から8のいずれか1項に記載のフィルム。
  12. 前記結晶質フレームワーク材は、金属有機フレームワーク、共有結合性有機フレームワーク、または多孔性配位フレームワークである、請求項1から11のいずれか1項に記載のフィルム。
  13. 前記結晶質フレームワーク材は、有機構造単位に連結された金属性構造単位を含む金属有機フレームワークである、請求項12に記載のフィルム。
  14. 前記有機構造単位の少なくとも50%は、前記フィルムの平面に実質的に平行となるように構成される遷移双極子モーメントを有する冷光エミッタを含む、請求項13に記載のフィルム。
  15. 各有機構造単位は冷光エミッタを含む、請求項13または14に記載のフィルム。
  16. 前記有機構造単位は、1つまたは複数の金属結合基に連結された冷光エミッタから構成される、請求項13から15のいずれか1項に記載のフィルム。
  17. 前記冷光エミッタのそれぞれは、ペンダントリンカーを介して有機構造単位に共有結合により付加されている、請求項13から15のいずれか1項に記載のフィルム。
  18. 前記冷光エミッタのそれぞれは、有機構造単位に非共有結合により結合され、前記金属有機フレームワークの孔に構成される、請求項13から15のいずれか1項に記載のフィルム。
  19. 前記有機構造単位は式:
    Figure 2022521096000019
    であり、式中、
    Eは前記冷光エミッタであり;
    はnが0または1である連結基であり;
    Zは金属結合性官能基であり;ならびに
    mは1から4である、
    請求項16に記載のフィルム。
  20. nは0である、請求項19に記載のフィルム。
  21. nは1である、請求項19に記載のフィルム。
  22. 各Lは独立して、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、オキソ(-O-)、アミド、スルホニル、およびスルホンアミドから選択される、請求項19に記載のフィルム。
  23. 各Lは大員環である、請求項19に記載のフィルム。
  24. 前記大員環はポルフィリンおよび多座配位子から選択される、請求項23に記載のフィルム。
  25. 前記多座配位子は、ビピリジン、フェニルピリジン、およびサレン配位子から選択される、請求項24に記載のフィルム。
  26. mは2、3、または4である、請求項19から25のいずれか1項に記載のフィルム。
  27. 前記有機構造単位は、以下の式:
    Figure 2022521096000020
    Figure 2022521096000021
    Figure 2022521096000022
    のうちの1つであり、式中、各Arは独立して、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールから選択される、請求項19に記載のフィルム。
  28. Arはフェニルまたは置換フェニルである、請求項27に記載のフィルム。
  29. Arは1,4-フェニレンまたは置換1,4-フェニレンである、請求項28に記載のフィルム。
  30. Zはカルボキシである、請求項19から29のいずれか1項に記載のフィルム。
  31. 前記冷光エミッタEは、イリジウム錯体、白金錯体、希土類金属錯体、有機染料、フェニル系ホスフィン、ホスフィン酸化物、および置換ホスフィンから選択される、請求項19から30のいずれか1項に記載のフィルム。
  32. Eは冷光イリジウム錯体である、請求項19から31のいずれか1項に記載のフィルム。
  33. 前記有機構造単位は以下の式:
    Figure 2022521096000023
    Figure 2022521096000024
    のうちの1つであり、式中、E、E、およびEはそれぞれ独立して、前記冷光イリジウム錯体の二座キレート配位子である、請求項32に記載のフィルム。
  34. 、E、およびEは独立して、bppo、ppy、MDQ、acac、およびそれらの置換バージョンから選択される、請求項33に記載のフィルム。
  35. 、EおよびEは独立して、(bppo)Ir(acac)、(bppo)Ir(ppy)、(ppy)Ir(bppo)、(MDQ)Ir(acac)、およびそれらの置換バージョンから選択される、請求項34に記載のフィルム。
  36. 前記有機構造単位は式:
    Figure 2022521096000025
    Figure 2022521096000026
    Figure 2022521096000027
    のうちの1つであり、式中:
    Eは冷光エミッタであり;
    Arはアリール、置換アリール、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールから選択され;
    はペンダントリンカーであり;ならびに
    Zは金属結合性官能基である、
    請求項17に記載のフィルム。
  37. Arは、ポルフィリン、ペリレン、ピリジン、フェニル、イミダゾール、ビピリジン、トリアゾール、およびそれらの置換バージョンから選択される、請求項35に記載のフィルム。
  38. Arはフェニルまたは置換フェニルである、請求項35に記載のフィルム。
  39. Arは、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメシン酸、またはそれらの置換バージョンである、請求項35に記載のフィルム。
  40. 前記有機構造単位は式:
    Figure 2022521096000028
    である、請求項37に記載のフィルム。
  41. Zはカルボキシである、請求項35から39のいずれか1項に記載のフィルム。
  42. 前記冷光エミッタEは、イリジウム錯体、白金錯体、希土類金属錯体、有機染料、フェニル系ホスフィン、ホスフィン酸化物、置換ホスフィンから選択される、請求項36から41のいずれか1項に記載のフィルム。
  43. は独立して、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、オキソ(-O-)、アミノ、置換アミノ、アミド、スルホニル、およびスルホンアミドから選択される、請求項36から42のいずれか1項に記載のフィルム。
  44. は置換アミノ基を含む、請求項36から43に記載のフィルム。
  45. は、冷光金属錯体に配位可能な金属結合性配位子基をさらに含む、請求項43または44に記載のフィルム。
  46. は-NR-P(R’)(R’’)=O-であり、冷光金属錯体に配位しており;ならびに
    R、R’、およびR’’は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アミノ、アルコキシ、ヒドロキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、複素環オキシ基、アシル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アシルオキシ、アシルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールオキシカルボニルアミノ、スルホニルアミノ、スルファモイル、カルバモイル、アルキルチオ、アリールチオ、複素環チオ基、および複素環基から選択される、
    請求項36から45のいずれか1項に記載のフィルム。
  47. Rは水素またはアルキルであり;ならびに
    R’およびR’’は独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、ヒドロキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、およびアシルオキシから選択される、
    請求項46に記載のフィルム。
  48. 前記有機構造単位は、式:
    Figure 2022521096000029
    であり、式中
    M’は金属イオンであり;ならびに
    、X、X、X、X、およびXはそれぞれ独立して、水素もしくはハロゲン原子であるか;
    またはそれらの塩形態である、
    請求項46または47に記載のフィルム。
  49. 、X、X、X、X、およびXはそれぞれ水素である、請求項48に記載のフィルム。
  50. M’は希土類金属イオンである、請求項48または49に記載のフィルム。
  51. 前記希土類金属イオンは、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテチウムから選択される、請求項50に記載のフィルム。
  52. 前記冷光エミッタは、イリジウム錯体、白金錯体、希土類金属錯体、有機染料、フェニル系ホスフィン、ホスフィン酸化物、および置換ホスフィンから選択される、請求項18に記載のフィルム。
  53. 前記冷光エミッタは、テトラフェニルポルフィリン白金(II)、(bppo)Ir(acac)、(bppo)Ir(ppy)、(ppy)Ir(bppo)、(ppy)Re(CO)、(MDQ)Ir(acac)、N,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-(1,1’-ビフェニル)-4、4’-ジアミン(NPD)、およびそれらの組合せから選択される、請求項52に記載のフィルム。
  54. 前記金属有機フレームワークの金属性構造単位は、銅、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、ガドリニウム、マグネシウム、カドミウム、鉄、マンガン、コバルト、バナジウム、ジルコニウム、チタニウム、およびインジウムから選択される金属の金属イオンまたは金属イオンクラスターである、請求項13から53のいずれか1項に記載のフィルム。
  55. 前記金属有機フレームワークは、式:
    [M(L)(Y)
    の繰り返し構造単位を含み、式中、
    Mは金属イオンであり、pは1から4であり;
    Lは多価の有機構造単位(例えば二価、三価、四価)であり;ならびに
    Yは任意選択的な第2の配位子であり;
    nは1から4であり;ならびに
    mは0から3(例えば0、0.5、1)である、
    請求項13から54のいずれか1項に記載のフィルム。
  56. 前記金属有機フレームワークの有機構造単位は、BDCまたはTPA(テレフタル酸)、BTC(トリメシン酸)、BTB(4,4’,4’,-ベンゼン-1,3,5-トリイル-トリス(安息香酸))、TCPP(4,4,4,4-(ポルフィン-5,10,15,20-テトライル)テトラキス(安息香酸))、2,5-ジヒドロキシオキシドテレフタル酸、3,3’-ジヒドロキシビフェニル-4,4’-カルボン酸、イミダゾール、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ピラジン、トリアジン、dabco、4,4’-ビピリジン、1,2,4,5-テトラキス(ベンゼン-3,5-ジカルボキシラート)ベンゼン、1,3,5-トリス(ピラゾラート)ベンゼン、1,3,5-トリス(トリアゾラート)ベンゼン、1,3,5-トリス(テトラゾラート)ベンゼン、およびそれらの置換バージョンから選択される基を含む、請求項54または55に記載のフィルム。
  57. 前記置換バージョンは、追加的なフェニル環の追加によって改変された基、および硫黄原子に代えて酸素原子に置換された基から選択される、請求項56に記載のフィルム。
  58. 前記金属有機フレームワークは、[Cu(BTC)]、[Cu(BTC)(HO)]、[ZnO(BDC)]、[ZnO(BTB)]、MIL-53、MIL-69、MIL-88、MIL-100、MIL-101、およびMIL-111、UiO-66、UiO-67、またはUiO-68を含む、請求項54~57のいずれか1項に記載のフィルム。
  59. MIL-53、MIL-69、MIL-88、MIL-100、MIL-101、MIL-111は、銅、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、ガドリニウム、マグネシウム、カドミウム、鉄、マンガン、コバルト、バナジウム、ジルコニウム、チタニウム、およびインジウムから選択される金属を含む、請求項58に記載のフィルム。
  60. 前記金属有機フレームワークはM2(dobpdc)を含み、式中、MはMg、Cu、Zn、Co、Mn、Fe、またはNiである、請求項54~57のいずれか1項に記載のフィルム。
  61. 前記金属有機フレームワークはM-BTTを含み、式中、MはMg、Cu、Zn、Co、Mn、Fe、Cd、またはNiである、請求項54~57のいずれか1項に記載のフィルム。
  62. 前記繰り返し構造単位は、
    [M(L)]
    を含み、式中、
    Mは銅または亜鉛であり;ならびに
    Lは4つの金属結合性官能基を含む四価の有機構造単位である、
    請求項55または56に記載のフィルム。
  63. 前記繰り返し構造単位はCu(TCPP)を含み、式中、TCPPは5,10,15,20-テトラキス(4-カルボキシフェニル)ポルフィリン]である、請求項62に記載のフィルム。
  64. 前記フィルムは1nmから10,000nmまでの厚さを有する、請求項1から63のいずれか1項に記載のフィルム。
  65. 前記フィルムは1nmから1,000nmまでの厚さを有する、請求項1から64のいずれか1項に記載のフィルム。
  66. 前記フィルムは1nmから500nmまでの厚さを有する、請求項1から65のいずれか1項に記載のフィルム。
  67. 前記フィルムは2nmから150nmまでの厚さを有する、請求項1から66のいずれか1項に記載のフィルム。
  68. 前記フィルムは、マトリックス材と1つまたは複数の任意選択的な添加剤とをさらに含む、請求項1から67のいずれか1項に記載のフィルム。
  69. 前記マトリックス材は導電性ポリマーを含む、請求項68に記載のフィルム。
  70. 前記マトリックス材は非伝導性ポリマーを含む、請求項68に記載のフィルム。
  71. 前記フィルムは、ドーパント、電荷輸送化合物、電解質、および染料から選択される1つまたは複数の添加剤を含む、請求項68から70のいずれか1項に記載のフィルム。
  72. 請求項1~64のいずれか1項に記載の冷光フィルムを含む放射層;ならびに
    間に電圧を印加して前記放射層の少なくとも一部に電界を生成することができる第1および第2の電極
    を含む発光デバイス。
  73. 前記電極のうち少なくとも1つは、透明または半透明の材料から構成される、請求項72に記載のデバイス。
  74. 電子注入層、電子輸送層、孔輸送層、孔注入層、電子遮断層、孔遮断層、および遮蔽層から選択される1つまたは複数の追加の層をさらに含む、請求項72または73に記載のデバイス。
  75. 印加電圧下で可視光を放射する、請求項72から74のいずれか1項に記載のデバイス。
  76. ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末から選択される、請求項72~75のいずれか1項に記載の発光デバイスを含む電気装置。
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