発明の詳細な説明
〔技術分野〕
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技術分野
本発明は、配列類似性19を持つファミリー、メンバーA5(FAM19A5)に対する拮抗剤(例えば、抗FAM19A5抗体)又は当該拮抗剤を含む組成物を用いて対象(例えば、ヒト)の粥状硬化症(atherosclerosis)を治療するための方法を提供する。
〔背景技術〕
粥状硬化症は、脂質を持つ大食細胞が蓄積して血管(例えば、動脈)が狭くなることによって病変やプラークが形成されることを特徴とする疾患である(Lu,H.,et al,Arterioscler Thromb Vase Biol 35(3):485-491(2015))。粥状硬化症の初期には一般に症状がないが、治療せずに放置すると、損傷した動脈によって冠状動脈疾患、脳卒中、末梢動脈疾患、又は腎臓関連問題を招くことがある。
粥状硬化症は一般に、若い時に発症して年を取るにつれて悪化する。65歳以上では殆どの人々がこの疾患の影響をある程度受ける。現在適用可能な治療オプションは、一般に、食餌療法、運動療法、及びコレステロールを低下させる製剤(例えば、スタチン)、血圧を調節する製剤(例えば、抗高血圧薬物)及び/又は凝固を減少させる製剤(例えば、アスピリン)のような薬物療法を含む(Bergheanu,S.C.,et al,Neth Heart J 25(4):231-242(2017))。この疾患が深刻な場合は、侵襲的な過程が必要となることもある(例えば、経皮的冠状動脈形成術、冠状動脈迂回移植術、又は頚動脈内膜切除術)。このような治療オプションにもかかわらず、粥状硬化症は、先進国における死亡及び障害の最大原因の一つとして報告されている(Herrington,W.,et al.,Circ Res 118(4):535-46(2016))。しかも、利用可能な治療オプションの多くが不所望の副作用を有し得る(Stroes,E.S.,et al,Eur Heart J 36(17):1012-22(2015))。
したがって、粥状硬化症に対するより効果的且つ包括的な治療オプションの必要性が依然として存在する。
〔発明の概要〕
治療が必要な対象における大食細胞による低密度脂肪タンパク質(LDL)の食作用を増加させる方法が本発明に提供され、この方法は、配列類似性19を持つファミリー、メンバーA5(“FAM19A5”)タンパク質に対する拮抗剤(“FAM19A5拮抗剤”)を対象に投与する段階を含む。
一部の具体例において、大食細胞によるLDLの食作用は、基準値(例えば、FAM19A5拮抗剤を非投与した対象における相応する値又はFAM19A5拮抗剤を投与する前の対象における相応する値)と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%又はそれ以上まで増加する。特定の具体例において、大食細胞によるLDLの食作用の増加は粥状硬化症病変において起こる。追加の具体例において、LDLは、酸化したLDLを含む。一部の具体例において、粥状硬化症病変部位は血管にある。特定の具体例において、血管は、動脈、静脈、毛細管、又はこれらの組合せを含む。一部の具体例において、動脈は大動脈である。
また、治療が必要な対象の粥状硬化症病変部位における大食細胞の遊走及び/又は蓄積を増加させる方法が本発明に開示され、この方法は、配列類似性19を持つファミリー、メンバーA5(“FAM19A5”)タンパク質に対する拮抗剤(“FAM19A5拮抗剤”)を対象に投与する段階を含む。
一部の具体例において、粥状硬化症病変部位における大食細胞の遊走及び/又は蓄積は、基準値(例えば、FAM19A5拮抗剤を非投与した対象における相応する値又はFAM19A5拮抗剤を投与する前の対象における相応する値)と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%又はそれ以上まで増加する。追加の具体例において、粥状硬化症病変部位における大食細胞の増加した遊走及び/又は蓄積は、対象の低密度脂肪タンパク質(LDL)レベルの減少と関連する。
本発明は、治療が必要な対象の低密度脂肪タンパク質(LDL)レベルを減少させる方法を提供し、この方法は、配列類似性19を持つファミリー、メンバーA5(“FAM19A5”)タンパク質に対する拮抗剤(“FAM19A5拮抗剤”)を、対象に投与する段階を含む。一部の具体例において、前記対象のLDLレベルは、基準値(例えば、FAM19A5拮抗剤を非投与した対象における相応する値又はFAM19A5拮抗剤を投与する前の対象における相応する値)と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%又はそれ以上まで減少する。
一部の具体例において、本発明に記述された(例えば、FAM19A5拮抗剤で治療された)対象は、次の特性のいずれか一つ以上を示す:(i)大食細胞によるLDLの増加した食作用;(ii)粥状硬化症病変部位における大食細胞の増加した遊走及び/又は蓄積;及び(iii)減少したLDLレベル。
治療が必要な対象の粥状硬化症を治療する方法が本発明に提供され、この方法は、配列類似性19を持つファミリー、メンバーA5(“FAM19A5”)タンパク質に対する拮抗剤(“FAM19A5拮抗剤”)を、対象に投与する段階を含む。
一部の具体例において、粥状硬化症は、冠状動脈心臓疾患(CHD)、頚動脈疾患、末梢動脈疾患、慢性腎臓疾患、脳卒中、網膜動脈閉塞、腸損傷による腹部疼痛、腹膜炎、又はこれらの組合せを含む疾患に関連する。特定の具体例において、粥状硬化症は、高脂肪及び/又は高コレステロール(高コレステロール性)食餌に関連する。追加の具体例において、粥状硬化症は、粥状硬化症のない対象(例えば、健康な対象)と比較して、増加した総コレステロールレベル、増加したトリグリセリドレベル、増加したLDLレベル、減少したHDLレベル、プラーク内におけるオキソLDL誘導泡沫細胞(foam cell)の増加した数及び/又は滞留、又はこれらの組合せに関連する。
一部の具体例において、FAM19A5拮抗剤(例えば、抗FAM19A5抗体)の投与は、基準値(例えば、FAM19A5拮抗剤を非投与した対象における相応する値又はFAM19A5拮抗剤を投与する前の対象における相応する値)と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%又はそれ以上まで対象の低密度脂肪タンパク質(LDL)レベルを減少させる。
一部の具体例において、FAM19A5拮抗剤の投与は、基準値(例えば、FAM19A5拮抗剤を非投与した対象における相応する値又はFAM19A5拮抗剤を投与する前の対象における相応する値)と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%又はそれ以上まで対象の大動脈の粥状硬化症病変部位における大食細胞の遊走及び/又は蓄積を増加させる。
一部の具体例において、FAM19A5拮抗剤の投与は、基準値(例えば、FAM19A5拮抗剤を非投与した対象における相応する値又はFAM19A5拮抗剤を投与する前の対象における相応する値)と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%又はそれ以上まで大食細胞によるLDLの食作用を増加させる。特定の具体例において、大食細胞によるLDLの食作用の増加は、血管の粥状硬化症病変部位において起こる。一部の具体例において、LDLは、酸化したLDLを含む。特定の具体例において、血管は、動脈、静脈、毛細管、又はこれらの組合せを含む。一部の具体例において、動脈は、大動脈である。
一部の具体例において、FAM19A5拮抗剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、miRNA、FAM19A5標的化dsRNA、アプタマー、PNA、又はこれらを含むベクターである。
一部の具体例において、FAM19A5拮抗剤は、FAM19A5タンパク質に特異的に結合する抗体(“抗FAM19A5抗体”)、又はその抗原結合部分である。特定の具体例において、抗FAM19A5抗体は、(a)酵素結合免疫吸着分析法(ELISA)によって測定されたとき、10nM以下のKDで可溶性ヒトFAM19A5に結合;(b)ELISAによって測定されたとき、10nM以下のKDで膜結合ヒトFAM19A5に結合;及び(c)(a)と(b)の両方、から選択された一特性を示す。
一部の具体例において、抗FAM19A5抗体は、ヒトFAM19A5エピトープとの結合に対して基準抗体と相互競合し、基準抗体は、表2~表5で構成される群から選ばれる。特定の具体例において、基準抗体は、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含み、重鎖CDR1は、SEQ ID NO:14として提示されたアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:15として提示されたアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:16として提示されたアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:26として提示されたアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:27として提示されたアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:28として提示されたアミノ酸配列を含む。
一部の具体例において、抗FAM19A5抗体は基準抗体と同じFAM19A5エピトープに特異的に結合し、基準抗体は、表2~表5で構成される群から選ばれる。特定の具体例において、基準抗体は、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含み、重鎖CDR1は、SEQ ID NO:14として提示されたアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:15として提示されたアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:16として提示されたアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:26として提示されたアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:27として提示されたアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:28として提示されたアミノ酸配列を含む。
一部の具体例において、抗FAM19A5抗体は、SEQ ID NO:6又は、SEQ ID NO:9である少なくとも一つのFAM19A5エピトープに特異的に結合する。
一部の具体例において、抗FAM19A5抗体は、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含み、(i)重鎖CDR1は、表2のCDR1からなる群から選ばれるCDR1を含み;(ii)重鎖CDR2は、表2のCDR2からなる群から選ばれるCDR2を含み;(iii)重鎖CDR3は、表2のCDR3からなる群から選ばれるCDR3を含み;(iv)軽鎖CDR1は、表3のCDR1からなる群から選ばれるCDR1を含み;(v)軽鎖CDR2は、表3のCDR2からなる群から選ばれるCDR2を含み;及び/又は(vi)軽鎖CDR3は、表3のCDR3からなる群から選ばれるCDR3を含む。
一部の具体例において、抗FAM19A5抗体は、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含み、(i)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:14として提示されたアミノ酸配列を含み、(ii)重鎖CDR2は、SEQ ID NO:15として提示されたアミノ酸配列を含み;(iii)重鎖CDR3は、SEQ ID NO:16として提示されたアミノ酸配列を含み;(iv)軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:26として提示されたアミノ酸配列を含み;(v)軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:27として提示されたアミノ酸配列を含み;及び/又は(vi)軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:28として提示されたアミノ酸配列を含む。
一部の具体例において、抗FAM19A5抗体は、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含み、重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれ、SEQ ID NO:14、15、及び16として提示されたアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれ、SEQ ID NO:26、27、及び28として提示されたアミノ酸配列を含む。
一部の具体例において、抗FAM19A5抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、VHは、SEQ ID NO:36として提示されたアミノ酸配列を含む。
一部の具体例において、抗FAM19A5抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、VHは、SEQ ID NO:36として提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を含む。特定の具体例において、抗FAM19A5抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、VLは、SEQ ID NO:40として提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を含む。
一部の具体例において、抗FAM19A5抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、(i)VHは、SEQ ID NO:36として提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を含み;(ii)VLは、SEQ ID NO:40として提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を含む。
一部の具体例において、抗FAM19A5抗体は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)を含む。特定の具体例において、抗FAM19A5抗体は、IgGl、IgG2、IgG3、IgG4、及びこれらの変異体からなる群から選ばれる。一部の具体例において、抗FAM19A5抗体は、IgG2、IgG4、又はこれらの組合せである。追加の具体例において、抗FAM19A5抗体は、IgG2/IgG4アイソタイプ抗体を含む。一部の具体例において、抗FAM19A5抗体は、Fc機能がない定常領域を含む。一部の具体例において、抗FAM19A5抗体は、キメラ抗体、ヒト抗体、又はヒト化抗体である。
一部の具体例において、FAM19A5拮抗剤は、二重特異的分子を形成する第2結合モイエティを有する分子に連結される。一部の具体例において、FAM19A5拮抗剤は、免疫コンジュゲートを形成する製剤に連結される。
一部の具体例において、本発明に開示された方法は、治療剤を投与する段階をさらに含む。
一部の具体例において、本発明に開示されたFAM19A5拮抗剤は、製薬学的に許容される担体と共に製剤化する。一部の具体例において、FAM19A5拮抗剤は、静脈内、皮下、筋肉内、経口、動脈内、硝子体内、硬膜内経路で、又はこれらの組合せによって投与される。
一部の具体例において、本発明で治療される対象はヒトである。
一部の具体例において、本発明に開示された方法は、コレステロール低下剤を投与する段階をさらに含む。特定の具体例において、コレステロール低下剤は、FAM19A5拮抗剤に続いて又は同時に投与される。
〔図面の簡単な説明〕
図1は、高コレステロール血症マウスの体重に対する抗FAM19A5抗体の効果を示す。マウスは、ヒトIgG対照群抗体(グループ2、黒三角)、又は2つの異なる濃度、すなわち5mg/kg(グループ3、白抜き四角)又は10mg/kg(グループ4)の抗FAM19A5抗体で治療された。正常マウス(すなわち、正常食餌;グループ1、白抜き三角)が対照群として用いられた。体重は、約42日間7つの異なる時点で測定された。
図2は、高コレステロール血症マウスのLDLレベルに対する抗FAM19A5抗体の効果を示す。マウスは、ヒトIgG対照群抗体(G2)、又は2つの異なる濃度、すなわち5mg/kg(G3)又は10mg/kg(G4)の抗FAM19A5抗体で治療された。正常マウス(すなわち、正常食餌;G1)が対照群として用いられた。データは、平均±S.D.で表示される。
図3A~図3Dは、異なる治療グループのマウスの大動脈におけるCD68(左パネル)及びCD146(右パネル)発現の免疫組織学分析を示す。図3Aは、正常マウス(すなわち、正常食餌)における発現を示す。図3Bは、ヒトIgG対照群抗体で治療された高コレステロール血症マウスにおける発現を示す。図3C及び図3Dは、2つの異なる濃度、すなわち5mg/kg及び10mg/kgの抗FAM19A5抗体で治療されたマウスにおける発現を示す。図示の映像は、100倍拡大したものである。
図4A及び4Bは、BV2細胞の食作用能力に対する抗FAM19A5抗体の効果を示す。図4Aは、次のいずれか一つで処理されたBV2細胞における22時間のPHRODOTM Green E.coli BioParticlesの食作用性吸収を示す:(i)ヒトFc単独(“1”)、(ii)ヒトFAM19A5-Fcタンパク質単独(“2”)、又は(iii)様々な濃度(25μg/mL(“6”)、12.5μg/mL(“5”)、6.25μg/mL(“4”)、又は3.125μg/mL(“3”))の抗FAM19A5抗体と組み合わせられたヒトFAM19A5-Fcタンパク質。データは平均±S.D.で表示される。図4Bは、次のいずれか一つで処理されたBV2細胞の代表的な免疫蛍光イメージを提供する:(i)ヒトFc単独(左パネル)、(ii)ヒトFAM19A5-Fcタンパク質単独(中央パネル)、又は(iii)抗FAM19A5抗体(25μg/mL)と組み合わせられたヒトFAM19A5-Fcタンパク質(右パネル)。
図5は、BV2細胞によるTNF-α生産に対する抗FAM19A5抗体治療の効果を示す。同図の異なる治療グループは(左側から右側に)(1)LPS単独、(2)LPS+FAM19A5-Fcタンパク質、(3)LPS+FAM19A5-Fcタンパク質+0.78125μg/mLの抗FAM19A5抗体、(4)LPS+FAM19A5-Fcタンパク質+1.5625μg/mLの抗FAM19A5抗体、(5)LPS+FAM19A5-Fcタンパク質+3.125μg/mLの抗FAM19A5抗体、(6)LPS+FAM19A5-Fcタンパク質+6.25μg/mLの抗FAM19A5抗体、(7)LPS+FAM19A5-Fcタンパク質+12.5μg/mLの抗FAM19A5抗体、(8)LPS+FAM19A5-Fcタンパク質+25μg/mLの抗FAM19A5抗体、(9)LPS+FAM19A5-Fcタンパク質+50μg/mLの抗FAM19A5抗体、及び(10)LPS+FAM19A5-Fcタンパク質+100μg/mLの抗FAM19A5抗体を含む。データは、平均±S.D.で表示される。棒上の“***”は、LPS治療されたグループと比較して統計的に有意な差(p<0.005)を示す。棒上の“###”は、LPS+FAM19A5-Fcタンパク質治療されたグループと比較して統計的に互いに異なる差(p<0.005)を示す。
図6A及び図6Bは、マウス骨髄由来大食細胞(“BMDM”)の食作用能力に対するFAM19A5信号化の効果を示す。食作用能力は、流細胞計数法を用いて測定され、PHRODOTM発現に対して陽性であるマウスBMDMのパーセントで表示される。図6Aは、異なる治療グループのそれぞれに対する代表的なヒストグラムプロットを提供する(右上の象限に提供された値は、PHRODOTM発現に対して陽性であるBMDMのパーセントを表す)。図6Bは、3つの独立した験からの結果を要約した表を提供する。図6A及び図6Bに示す異なるBMDM治療グループは、次を含む:(A1)マウスBMDM単独、(A2)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞、(A3)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+対照群Fc(0.4μM)、(A4)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+対照群Fc(0.8μM)、(A5)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.4μM)、及び(A6)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.8μM)。
図7A及び図7Bは、マウス骨髄由来大食細胞(“BMDM”)の食作用能力に対する抗FAM19A5抗体治療の効果を示す。食作用能力は、流細胞計数法を用いて測定され、PHRODOTM発現に対して陽性であるマウスBMDMのパーセントで表示される。図7Aは、異なる治療グループのそれぞれに対する代表的なヒストグラムプロットを提供する(右上の象限に提供された値は、PHRODOTM発現に対して陽性であるBMDMのパーセントを表す)。図7Bは、3つの独立した実験からの結果を要約した表を提供する。図7A及び図7Bに示す異なるBMDM治療グループは、次を含む:(B1)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.8μM)+hlgGl対照群抗体(25nM)、(B2)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.8μM)+hlgGl対照群抗体(50nM)、(B3)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.8μM)+“3-2”抗FAM19A5抗体(25nM)、(B4)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.8μM)+”3-2”抗FAM19A5抗体(50nM)、(B5)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.8pM)+“1-65”抗FAM19A5抗体(25nM)、及び(B6)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.8μM)+“1-65”抗FAM19A5抗体(50nM)。
図8は、図6A、図6B、図7A、及び図7Bに示す結果のグラフ比較を提供する。データは、平均±S.D.で表示される。
〔発明を実施するための形態〕
本発明に開示の発明の理解を容易にさせために、多数の用語及び語句が定義される。追加の定義は、詳細な説明全体で提示される。
I.定義
本発明全体において、用語“一つの”又は“一”存在は、その存在が一つ以上であることを指す;例えば、“一つの抗体”は1つ以上の抗体を表すものと理解される。このように、用語“一つの”(又は“一”)、“一つ以上の”及び“少なくとも一つの”は、本発明において同じ意味で使われ得る。
また、“及び/又は”は、本発明で使われた場合、2つの明示された特徴又は成分のそれぞれが、残り一方と併せて又は単独で具体的に開示されると解釈されるべきである。したがって、“A及び/又はB”のような語句で使われたような用語“及び/又は”は、“A及びB”、“A又はB”、“A”(単独)、及び“B”(単独)を含むものとして意図される。同様に、“A、B及び/又はC”のような語句で使われたような用語“及び/又は”は、A、B及びC;A、B又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);及びC(単独)の態様をそれぞれ含むものとして意図される。
一つの態様が“含む”と共に本発明に説明されると、“構成される”及び/又は“本質的に構成される”と説明された他の類似の態様も提供されるということが理解される。
別に断りのない限り、本発明で使われる全ての技術及び科学用語は、本発明が関連する当該分野における当業者に通常理解されるのと同じ意味を有する。例えば、the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;及びthe Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressが、本発明で使われる大部分の用語に関する一般的な意味を当業者に提供する。
単位、接頭辞及び記号は、Systeme International de Unites(SI)から承認された形態で表示される。数値範囲は、その範囲を限定する数字を包括的に含む。別に断りのない限り、アミノ酸配列は、アミノからカルボキシ配向へと左側から右側へ書き込まれる。本発明に提供された表題は、発明の様々な態様の制限ではなく、これらは全体的に明細書を参照したものであり得る。したがって、次に定義される用語は、その全体が明細書を参照することによってさらに十分に定義される。
用語“約”は、‘概略、‘略’、‘近く’、又は、‘…の領域内’であることを意味するために本発明で使われる。用語“約”が数値範囲と共に使われるとき、それは、提示された数値の上及び下へと境界を拡張させることによって該当の範囲を変形する。一般に、用語“約”は、例えば、上又は下に(より高く又はより低く)10パーセントの変動まで言及された値の上と下に数値を変形できる。
本発明で使われる用語“粥状硬化症”、“粥状硬化症プラーク”、“プラーク”、又は“アテローム”は、血管の壁に脂質、コレステロール、コラーゲン、及び大食細胞のいずれか一つ以上の蓄積を指す。一部の具体例において、このような蓄積は、血管壁の変形された脂肪タンパク質、単球由来大食細胞、T細胞、及び正常細胞要素間の相互作用を伴う炎症過程からの結果であり得る。この炎症過程は、血管の壁に沿って複雑な病変やプラークの発生を招くことがあり、その結果、血管内腔が狭くなる。
粥状硬化症に対する危険因子の非制限的な例は、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、上昇した血漿低密度脂肪タンパク質及びトリグリセリド、喫煙、肥満、家族力、健康でない食餌、及びこれらの組合せを含むことができる。
本発明で使われる用語“HDL”は、高密度脂肪タンパク質のことを指す。
本発明で使われる用語“LDL”は、低密度脂肪タンパク質のことを指す。一部の具体例において、LDLは酸化する(“酸化したLDLである”)。
本発明で使われる用語“VLDL”は、密度が非常に低い脂肪タンパク質のことを指す。
本発明で使われる用語“高コレステロール血症”は、血中総コレステロールの非常に高いレベルを特徴とする状態(例えば、粥状硬化症)のことを指す。“総コレステロール”とは、血漿内に存在する全ての主要血漿脂肪タンパク質(例えば、LDL、HDL及びVLDL)の合計を指す。
一部の具体例において、高コレステロール血症は、少なくとも約200mg/dL、少なくとも約210mg/dL、少なくとも約220mg/dL、少なくとも約230mg/dL、少なくとも約240mg/dL、少なくとも約250mg/dL、少なくとも約260mg/dL、少なくとも約270mg/dL、少なくとも約280mg/dL、少なくとも約290mg/dL又はそれ以上の総コレステロールレベルに関連する。特定の具体例において、高コレステロール血症は、約240mg/dL又はそれ以上の総コレステロールレベルに関連する。
一部の具体例において、高コレステロール血症対象は、血中に上昇したLDLレベルを有する。特定の具体例において、高コレステロール血症対象におけるLDLレベルは、少なくとも約130mg/dL、少なくとも約140mg/dL、少なくとも約150mg/dL、少なくとも約160mg/dL、少なくとも約170mg/dL、少なくとも約180mg/dL、少なくとも約190mg/dL、少なくとも約200mg/dL又はそれ以上である。一部の具体例において、高コレステロール血症対象におけるLDLレベルは、約160mg/dL以上である。特定の具体例において、高コレステロール血症対象におけるLDLレベルは、約190mg/dL以上である。
一部の具体例において、高コレステロール血症対象は、血中に上昇したトリグリセリドレベルを有する。一部の具体例において、高コレステロール血症対象におけるトリグリセリドレベルは、少なくとも約150mg/dL、少なくとも約175mg/dL、少なくとも約200mg/dL、少なくとも約225mg/dL、少なくとも約250mg/dL、少なくとも約275mg/dL、少なくとも約300mg/dL、少なくとも約325mg/dL、少なくとも約350mg/dL、少なくとも約375mg/dL、少なくとも約400mg/dL、少なくとも約425mg/dL、少なくとも約450mg/dL、少なくとも約475mg/dL、少なくとも約500mg/dL、少なくとも約525mg/dL、少なくとも約550mg/dL、少なくとも約575mg/dL、少なくとも約600mg/dL、少なくとも約625mg/dL、少なくとも約650mg/dL又はそれ以上である。特定の具体例において、高コレステロール血症対象におけるトリグリセリドレベルは、約150mg/dL以上である。他の具体例において、高コレステロール血症対象におけるトリグリセリドレベルは、約200mg/dL以上である。追加の具体例において、高コレステロール血症対象におけるトリグリセリドレベルは、約500mg/dL以上である。
一部の具体例において、高コレステロール血症対象は、血中に減少したHDLレベルを有する。特定の具体例において、高コレステロール血症対象におけるHDLレベルは、約50mg/dL未満、約45mg/dL未満、約40mg/dL未満、約30mg/dL未満、約20mg/dL未満、約10mg/dL未満、又は約5mg/dL未満である。
本発明で使われる用語“泡沫細胞”は、血管壁上の脂肪沈着物に局所化する大食細胞の種類を指し、これらは、低密度脂肪タンパク質(例えば、酸化したLDL)を摂取し、脂質を持つことによって、泡沫型の外観を有することになる。これらの細胞は、プラーク成長に伴う様々な物質を分泌し、これらの死滅は炎症を促進し、心血管疾患を引き起こす。血管内における泡沫細胞の蓄積は、初期粥状硬化症病変である脂肪線条の形成を招くことがある。
本発明で使われる用語“治療する(treat)”、“治療する(treating)”及び“治療(treatment)”は、疾患に関連した症状、合併症、状態又は生化学的指標の進行、発生、深刻性又は再発を反転、改善、緩和、抑制又は遅延させる目的で対象に行われた任意の介入又は過程、又は対象に対する活性剤の投与を意味する。治療は、疾患を持つ対象又は疾患を持たない対象(例えば、予防)に対して行われ得る。
本発明で使われる用語“投与”は、当業者に公知の様々な方法及び送達システムのいずれかを用いて、対象に治療剤又は治療剤を含む組成物を物理的に導入することを指す。本発明に説明された抗体のための異なる投与経路は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、脊椎又は他の非経口投与経路、例えば注射又は注入によるものを含む。本発明で使われた語句“非経口投与”は、一般に、注射による、腸及び局部的(topical)投与以外の他の投与方式を意味し、次に制限されないが、硝子体内、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病変内、嚢内、眼窩内、心臓内、血内、気管支経、肺、皮下、表皮下、関節内、嚢下、蜘蛛膜下、脳室内、硝子体内、硬膜外、及び胸骨下注射及び注入、且つ生体内電気穿孔を含む。または、本発明に説明される抗体は、非経口経路を通じて、例えば局部的、上皮又は粘膜投与経路を通じて、例えば鼻内、経口、膣、直腸、舌下又は局部的経路を通じて投与され得る。また、投与は、例えば、1回、多回、及び/又は1回以上の延長された期間にわたって行われ得る。
本発明で使われる用語“治療的有効量”は、単独で又は他の治療剤と組み合わせて、対象の疾患又は障害を“治療するのに”効果的な、又は疾患又は障害(例えば、粥状硬化症)の危険、潜在性、可能性又は発生を減少させるのに効果的な、薬物の量を指す。“治療的有効量”は、疾患又は障害(例えば、粥状硬化症)を有しているか有する危険のある対象に、一部の改善や利益を提供する薬物又は治療剤の量を含む。したがって、“治療的有効量”は、疾患又は障害の危険、潜在性、可能性又は発生を減少させたり又は一部の緩和、軽減を提供し、及び/又は少なくとも一つの兆候(例えば、増加した炎症又はプラーク形成)を減少させ、及び/又は疾患又は障害の少なくとも一つの臨床症状を減少させる量である。
本発明で使われる用語“対象”は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。用語“非ヒト動物”は、全ての脊椎動物、例えば哺乳類及び非哺乳類、例えば非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両棲類、爬虫類などを含む。
用語“配列類似性19を持つファミリー、メンバーA5”又は“FAM19A5”は、5個の高度に相同性であるタンパク質のTAFAファミリー(FAM19ファミリーとも知られている。)に属する(Tang T.Y.et al.,Genomics 83(4):727-34(2004))。これらのタンパク質は、固定した位置に保存されているシステイン残基を含有し、CC-ケモカインファミリーのメンバーである大食細胞炎症タンパク質1-アルファ(MIP-1-アルファ)に関連する。TAFAタンパク質は、脳と脊髄の特定領域で発現する。これらのタンパク質は、神経発生過程で成人神経幹細胞によって発生し分配されるものと推定される。FAM19A5はまた、TAFA5又はケモカイン様タンパク質TAFA-5とも知られている。
FAM19A5は、完全な中枢神経系の発生、分化、形成に重要な役割を担当することが明らかにされた。FAM19A5はまた、多くの中枢神経系損傷及び/又は退行性脳疾患(例えば、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳脊髓損傷、脳卒中及び脳腫瘍)の発病機転において有意の役割を担う。中枢神経系の損傷時に神経幹細胞がFAM19A5を生成し、これは、正常星状膠細胞の反応性星状膠細胞への分化を誘導する。これらの反応性星状膠細胞は(小膠細胞と一緒に)広範囲なECM(例えば、プロテオグリカン)を発現させることができ、神経膠瘢痕の形成を誘導でき、これは、中枢神経系の損傷した領域を網状に囲んでニューロンの再生を妨害することがある。FAM19A5に対する拮抗剤(例えば、抗FAM19A5抗体)は、中枢神経系傷害及び/又は疾患の予防及び/又は治療に用いられ得る(米国特許第9,579,398号参照)。
しかしながら、特定疾患の場合、特に血管異常性と関連した疾患の場合、最近の研究は、FAM19A5拮抗剤が成功的な治療オプションでない可能性を示唆した(Wang et al,Circulation 138(l):48-63(2018))。Wang等は、正常の健康な個体の脂肪組織がFAM19A5を生成し、これはスフィンゴシン1-リン酸受容体2(S1PR2)を通じて血管平滑筋細胞(VSMC)の増殖及び遊走を抑制し、損傷後新生血管内膜形成を弱化させる信号を送出することを明らかにした。しかし、肥満な個体では脂肪組織においてFAM19A5発現(mRNA及びタンパク質の両方とも)が非常に減少する。Wang等は、FAM19A5活性のこのような減少が、多い肥満個体で観察された心血管疾患の加速した発生を招くと結論付けた。
ヒトにおいて、FAM19A5を暗号化する遺伝子は、染色体22に位置する。次のような3個のヒトFAM19A5(UniProt:Q7Z5A7)アイソフォームがあり、これらは選択的スプライシングによって生成されるものと推定される:アイソフォーム1(UniProt:Q7Z5A7-1)、これは132個のアミノ酸で構成される;アイソフォーム2(UniProt:Q7Z5A7-2)、これは125個のアミノ酸で構成される;及びアイソフォーム3(UniProt:Q7Z5A7-3)、これは53個のアミノ酸で構成される。ヒトFAM19A5タンパク質は膜結合形態と可溶性(分泌された)形態のいずれの形態でも存在すると推定される。アイソフォーム1は、一つの硬膜領域を持つ膜タンパク質と推定される。アイソフォーム2は、分泌されたタンパク質(可溶性)であり、Tang T.Y.et al.,Genomics 83(4):727-34(2004)に報告され、アミノ酸位置1-25に信号ペプチドを含有する。アイソフォーム3は、ESTデータに基づいて予想される。次は、3つの公知されたヒトFAM19A5アイソフォームのアミノ酸配列である。
(I)アイソフォーム1(UniProt:Q7Z5A7-1、硬膜タンパク質):このアイソフォームが標準配列として選択された。
MAPSPRTGSR QDATALPSMS STFWAFMILA SLLIAYCSQL AAGTCEIVTL DRDSSQPRRT IARQTARCAC RKGQIAGTTR ARPACVDARI IKTKQWCDML PCLEGEGCDL LINRSGWTCT QPGGRIKTTT VS(SEQ ID NO:1)
(II)アイソフォーム2(UniProt:Q7Z5A7-2、可溶性タンパク質):
MQLLKALWAL AGAALCCFLV LVIHAQFLKE GQLAAGTCEI VTLDRDSSQP RRTIARQTAR CACRKGQIAG TTRARPACVD ARIIKTKQWC DMLPCLEGEG CDLLINRSGW TCTQPGGRIK TTTVS(SEQ ID NO:2)
(III)アイソフォーム3(UniProt:Q7Z5A7-3):
MYHHREWPAR IIKTKQWCDM LPCLEGEGCD LLINRSGWTC TQPGGRIKTT TVS(SEQ ID NO:3)
用語“FAM19A5”は、細胞によって自然的に発現するFAM19A5の任意の変異体又はアイソフォームを含む。したがって、本発明に説明される抗体は、同種の異なるアイソフォーム(例えば、ヒトFAM19A5の異なるアイソフォーム)と交差反応できるか、又はヒト以外の種のFAM19A5(例えば、マウスFAM19A5)と交差反応できる。または、抗体は、ヒトFAM19A5に特異的であり得、他の種とは交差反応性を示さなくてもよい。FAM19A5、又はその任意の変異体及びアイソフォームは、それらを自然的に発現させる細胞又は組織から分離されたり、或いは組換え的に生成され得る。ヒトFAM19A5を暗号化するポリヌクレオチドはGenBank受託番号No.BC039396を有し、次の配列を有する:
用語“FAM19A5タンパク質に対する拮抗剤”は、FAM19A5タンパク質の発現及び/又は活性を抑制し及び/又は中和させる全ての拮抗剤を指す。このような拮抗剤は、ペプチド、核酸、又は化合物であり得る。より具体的に、拮抗剤は、アンチセンス-オリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、miRNA、dsRNA、アプタマー、FAM19A5標的化PNA(ペプチド核酸)又はこれらを含むベクターであってもよい。一部の具体例において、拮抗剤は、FAM19A5タンパク質に特異的に結合する抗体、又はその抗原結合部分であってもよい。
用語“抗体(antibody)”及び“抗体(antibodies)”は、当業界の用語であり、本発明で同じ意味で使われてもよく、抗原に特異的に結合する抗原結合部位を持つ分子のことを指す。本発明で使われる用語は、全抗体及び任意の抗原結合断片(すなわち、“抗原結合部分”)又はこれらの単鎖を含む。一具体例において、“抗体”は、二硫化物結合によって相互連結された少なくとも2個の重鎖(H)と2個の軽鎖(L)を含む糖タンパク質、又はその抗原結合部分のことを指す。他の具体例において、“抗体”は、単一可変ドメイン、例えばVHHドメインを含む単鎖抗体を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(本発明ではVHと略す。)及び重鎖定常領域からなる。特定の自然発生抗体において、重鎖定常領域は、3個のドメインCH1、CH2及びCH3からなる。特定の自然発生抗体において、各軽鎖は、軽鎖可変領域(本発明ではVLと略す。)及び軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は1個のドメインCLからなる。
VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と命名されたより保存された領域が散在している、相補性決定領域(CDR)と命名された超可変性の領域にさらに細分化できる。それぞれのVH及びVLは3個のCDR及び4個のFRからなり、これらはFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4の順にアミノ末端からカルボキシ末端に向かって配列される。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫システムの様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的な補体システムの第1成分(C1q)を含む宿主組織又は因子と免疫グロブリンの結合を媒介することができる。
用語“Kabatナンバリング”及び類似の用語は、当業界で通用されており、抗体、又はその抗原結合部分の重鎖及び軽鎖可変領域においてアミノ酸残基をナンバリングするシステムのことを指す。特定の態様において、抗体のCDRは、Kabatナンバリングシステムによって決定され得る(例えば、Kabat EA & Wu TT(1971)Ann NY Acad Sci 190:382-391 and Kabat EA et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242参照)。Kabatナンバリングシステムを用いると、抗体重鎖分子内でCDRは典型的に、アミノ酸位置31~35(これは、選択的に35以降に1個又は2個の更なるアミノ酸を含むことができる;Kabatナンバリング方式において35A及び35Bと言及される。)(CDR1)、アミノ酸位置50~65(CDR2)、及びアミノ酸位置95~102(CDR3)に存在する。Kabatナンバリングシステムを用いると、抗体軽鎖分子内でCDRは典型的に、アミノ酸位置24~34(CDR1)、アミノ酸位置50~56(CDR2)、及びアミノ酸位置89~97(CDR3)に存在する。特定の具体例において、本発明に説明される抗体のCDRは、Kabatナンバリング方式によって決定されている。
語句“Kabatにおけるようなアミノ酸位置ナンバリング”、“Kabat位置”及びこれらの変異型は、Kabat et al,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)において抗体コンピレーションの重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインに対して用いられたナンバリングシステムのことを指す。このナンバリングシステムを用いると、実際の線形アミノ酸配列は、より少ない又は追加のアミノ酸を含有できるが、これは、可変ドメインのFW又はCDRの短縮、又はそこへの挿入に該当する。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52以降に挿入された単一アミノ酸残基(Kabatによれば、残基52a)及び重鎖FW残基8以降に挿入された残基(例えば、Kabatによれば、残基82a、82b、及び82cなど)を含むことができる(表1B参照)。
残基のKabatナンバリングは、“標準”Kabatナンバリングされた配列と抗体の配列の相同性の領域において整列によって与えられた抗体に対して決定され得る。Chothiaは、構造的ループの位置を代わりに言及する(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。Chothia CDR-H1ループの端部は、Kabatナンバリング慣例に従ってナンバリングされたとき、ループの長さによってH32~H34の間で変わる(これは、Kabatナンバリング方式がH35AとH35Bに挿入を位置させるからである;35A及び35Bの両方が存在すれば、ループは32で終わる;35Aだけ存在すれば、ループは33で終わる;35A及び35Bの両方が存在すれば、ループは34で終わる)。AbM超可変領域は、Kabat CDRとChothia構造ループ間の折衝点を表示し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって用いられる。
IMGT(ImMunoGeneTics)も、CDRを含む免疫グロブリン可変領域に対するナンバリングシステムを提供する(例えば、Lefranc,M.P.et al.,Dev.Comp.Immunol.27:55-77(2003)を参照し、これは本明細書に参考として含まれる)。IMGTナンバリングシステムは、5,000個を超える配列の整列、構造データ、及び超可変ループの特性化に基づており、全ての種に対して可変領域とCDR領域の比較を容易にする。IMGTナンバリングスキマーによれば、VH-CDR1は位置26~35にあり、VH-CDR2は位置51~57にあり、VH-CDR3は位置93~102にあり、VL-CDR1は位置27~32にあり、VL-CDR2は位置50~52にあり、VL-CDR3は位置89~97にある。
本発明で議論される全ての重鎖定常領域アミノ酸位置に対して、ナンバリングは、配列化された最初のヒトIgG1である骨髄腫タンパク質EUのアミノ酸配列を説明したEdelman et al.,1969,Proc.Natl.Acad.Sci.USA63(1):78-85に説明されたEUインデックスにしたがう。EdelmanなどのEUインデックスはまた、Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.,United States Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesdaにも提示される。したがって、語句“Kabatに提示されたEUインデックス”又は“KabatのEUインデックス”及び“Kabatに提示されたEUインデックスにしたがう位置”及びこれらの変異型は、Kabat 1991に提示されたようなEdelmanなどのヒトIgG1EU抗体に基づく残基ナンバリングシステムのことを指す。
可変ドメイン(重鎖と軽鎖両方とも)及び軽鎖定常領域アミノ酸配列に用いられたナンバリングシステムは、Kabat 1991に提示されたものである。
抗体は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA又はIgY)、任意の類型(class)(例えば、IgD、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1又はIgA2)、又は任意の亜型(subclass)(例えば、ヒトにおいてIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4;及びマウスにおいてIgG1、IgG2a、IgG2b及びIgG3)を有することができる。免疫グロブリン、例えばIgG1は、いくつかのアロタイプで存在し、これらは最大でいくつかのアミノ酸が異なっている。本発明に開示の抗体は、通常知られたアイソタイプ、類型、亜型、又はアロタイプのいずれかから由来し得る。特定の具体例において、本発明に開示の抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4亜型又はこれらの任意のハイブリッドである。特定の具体例において、抗体は、ヒトIgG1亜型又はヒトIgG2又はヒトIgG4亜型のものである。
“抗体”は、自然発生及び非自然発生抗体;単クローン性及び多クローン性抗体;キメラ及びヒト化した抗体;ヒト及び非ヒト抗体、全合成合体;単鎖抗体;単一特異的抗体;多重特異的抗体(二重特異的抗体を含む);2本の重鎖と2本の軽鎖分子を含むテトラマー抗体;抗体軽鎖モノマー;抗体重鎖モノマー;抗体軽鎖ダイマー;抗体重鎖ダイマー;抗体軽鎖-抗体重鎖対;イントラボディー;ヘテロコンジュゲート抗体;1価抗体;ラクダ化抗体;アフィボディ;抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、抗抗Id抗体を含む)、及び十分に抗原結合できる単一モノマー可変抗体ドメイン(例えば、VHドメイン又はVLドメイン)で構成された結合分子を含む単一ドメイン抗体(sdAb)を含む(Harmen M.M.and Haard H.J.Appl Microbiol Biotechnol.77(1):13-22(2007))。
本発明で使われる用語抗体の“抗原結合部分”は、抗原(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する能力を保有している抗体の一つ以上の断片のことを指す。このような“断片”は、例えば、約8個~約1500個のアミノ酸長、約8個~約745個のアミノ酸長、8個~約300個、8個~約200個のアミノ酸、又は約10個~約50個又は100個のアミノ酸長である。抗体の抗原結合機能は、全長抗体の断片によって行われ得ることが明らかにされた。抗体、例えば、本発明に説明される抗FAM19A5抗体の“抗原結合部分”に含まれた結合断片の例は、(i)Fab断片、VL、VH、CL、及びCH1ドメインで構成された1価断片;(ii)F(ab’)2断片、ヒンジ領域で二硫化物架橋によって連結された2個のFab断片を含む2価断片;(iii)VH及びCH1ドメインで構成されたFd断片;(iv)抗体の単一腕のVL及びVHドメインで構成されたFv断片、及び二硫化物連結されたFvs(sdFv);(v)dAb断片(Ward el al,(1989)Nature 341:544-546)、これはVHドメインで構成される。;及び(vi)分離された相補性決定領域(CDR)、又は(vii)選択的に合成リンカーによって連結され得る2つ以上の分離されたCDRの組合せを含む。また、Fv断片の2個ドメイン、即ちVL及びVHは、別個の遺伝子によってコードされるが、これらは組換え方法を用いて、これらをVL及びVH領域が対をなして1価分子を形成した単一タンパク質鎖に作ることができる合成リンカーによって連結され得る(単鎖Fv(scFv)と知られている;例えば、Bird el al.(1988)Science 242:423-426;及びHuston et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:5879-5883)参照)。このような単鎖抗体も、抗体の“抗原結合部分”に含まれる。これらの抗体断片は、当業者に公知の従来の技術によって得られ、断片は、無損傷抗体と同じ方式で活用に対してスクリーニングされる。抗原結合部分は、組換えDNA技術、又は無損傷免疫グロブリンの酵素又は化学的切断によって生成され得る。
本発明で使われる用語“可変領域”及び“可変ドメイン”は同じ意味で使われ、当業界における通常の用語である。可変領域は、典型的に抗体の一部分、一般に軽鎖又は重鎖の一部分、典型的に成熟した重鎖の約アミノ末端110個~120個のアミノ酸及び成熟した軽鎖の約90個~115個のアミノ酸のことを指し、これらは抗体別に配列が広範囲に異なり、その特定抗原に対する特定抗体の結合及び特異性のために用いられる。配列変動性は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる領域に集中し、可変ドメインのより保存された領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。
軽鎖及び重鎖のCDRは、抗体と抗原の相互作用及び特異性を主に担当するものと推定される。特定の具体例において、可変領域は、ヒト可変領域である。特定の具体例において、可変領域は、齧歯類又はマウスCDR(murine CDR)及びヒトフレームワーク領域(FR)を含む。特定の具体例において、可変領域は、霊長類(例えば、非ヒト霊長類)可変領域である。特定の具体例において、可変領域は、齧歯類又はマウスCDR及び霊長類(例えば、非ヒト霊長類)フレームワーク領域(FR)を含む。
本発明で使われる用語“重鎖”(HC)は、抗体と関連して用いられたとき、任意の区別されるタイプ、例えば定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、アルファ(α)、デルタ(δ)、エプシロン(ε)、ガンマ(γ)及びミュー(μ)のことを指し、これらはそれぞれIgGの亜型、例えばIgGl、IgG2、IgG3及びIgG4を含む、抗体のIgA、IgD、IgE、IgG及びIgM類型を生成する。
本発明で使われる用語“軽鎖”(LC)は、抗体と関連して用いられたとき、任意の区別されるタイプ、例えば定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)又はラムダ(λ)のことを指す。軽鎖アミノ酸配列は当業界によく知られている。特定の具体例において、軽鎖はヒト軽鎖である。
用語“VL”及び“VLドメイン”は同じ意味で使われ、抗体の軽鎖可変領域のことを指す。
用語“VH”及び“VHドメイン”は同じ意味で使われ、抗体の重鎖可変領域のことを指す。
本発明で使われる用語“定常領域”及び“定常ドメイン”は同じ意味で使われ、当業界における通常の意味を有する。定常領域は、抗体部分、例えば、抗体と抗原との結合に直接伴うことはないが、Fc受容体との相互作用のような様々なエフェクター機能を示し得る軽鎖及び/又は重鎖のカルボキシ末端部分である。免疫グロブリン分子の定常領域は、一般に、免疫グロブリン可変ドメインに比べてより保存されたアミノ酸配列を有する。
“Fc領域”(断片結晶化可能な領域)又は“Fcドメイン”又は“Fc”は、免疫システムの様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)上に位置したFc受容体又は古典的な補体システムの第1補体(C1q)に対する結合を含む、免疫グロブリンと宿主組織又は因子との結合を媒介する抗体の重鎖のC末端領域のことを指す。したがって、Fc領域は、第1定常領域免疫グロブリンドメイン(例えば、CH1又はCL)以外の抗体の定常領域を含む。IgG、IgA及びIgD抗体アイソタイプにおいて、Fc領域は、抗体の2重鎖の第2(CH2)及び第3(CH3)定常ドメインから由来した2個の同じタンパク質断片を含む。IgM及びIgE Fc領域は、各ポリペプチド鎖において3個の重鎖定常ドメイン(CHドメイン2~4)を含む。IgGの場合、Fc領域は、免疫グロブリンCy2とCy3との間、及びCy1とCy2との間のヒンジを含む。免疫グロブリン重鎖のFc領域のバウンダリは可変的であるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、一般に、位置C226又はP230(又は、これら両アミノ酸間のアミノ酸)にあるアミノ酸残基から重鎖のカルボキシ末端まで伸縮できると定義される(ナンバリングは、KabatにおけるようにEUインデックスにしたがう。)。ヒトIgG Fc領域のCH2ドメインは、約アミノ酸231から約アミノ酸340まで延長されるのに対し、CH3ドメインは、Fc領域においてCmドメインのC末端側に位置し、すなわち、IgGの約アミノ酸341から約アミノ酸447まで延長される。本発明で用いられるFc領域は、任意のアロタイプ変異体、又は変異体Fc(例えば、非自然発生Fc)を含む、自生配列Fcであり得る。Fcはまた、分離された状態の領域又は“Fc領域を含む結合タンパク質”のようなFc含有タンパク質ポリペプチドに関連した領域のことを指すことができ、後者は、“Fc融合タンパク質”(例えば、抗体又は免疫接合体)と呼ぶこともできる。
“自生配列Fc領域”又は“自生配列Fc”は、自然から発見されたFc領域のアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を含む。自生配列ヒトFc領域は、自生配列ヒトIgG1 Fc領域;自生配列ヒトIgG2 Fc領域;自生配列ヒトIgG3 Fc領域;及び自生配列ヒトIgG4 Fc領域、及びこれらの自然発生変異体を含む。自生配列Fcは、Fcの様々なアロタイプを含む(例えば、Jefferis et al.(2009)mAbs 1:1;Vidarsson G.et al.Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開)参照)。
“Fc受容体”又は“FcR”は、免疫グロブリンのFc領域に結合する受容体である。IgG抗体に結合するFcRは、対立形質変異体及びこれらの受容体の他の方式でスプライスされた形態を含む、FcγRファミリーの受容体を含む。FcγRファミリーは、3個の活性化(マウスにおいてFcγRI、FcγRIII及びFcγRIV;ヒトにおいてFcγRIA、FcγRIIA及びFcγRIIIA)受容体と1個の抑制性(FcγRIIB)受容体で構成される。ヒトIgG1は大部分のヒトFc受容体に結合し、最も強いFcエフェクター機能を導出し、それが結合する活性化Fc受容体の種類に対してマウスIgG2a(murine IgG2a)と同等であると見なされる。一方、ヒトIgG4は、最小限のFcエフェクター機能を導出する(Vidarsson G.et al.Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開)参照)。
定常領域は、一つ以上のエフェクター機能を除去するように、例えば組換え技術によって操作され得る。“エフェクター機能”は、抗体Fc領域とFc受容体又はリガンドの相互作用、又はそのことから起きる生化学的事件のことを指す。例示的な“エフェクター機能”は、C1q結合、補体依存性細胞毒性(CDC)、Fc受容体結合、FcγR媒介エフェクター機能、例えばADCC及び抗体依存性細胞媒介食作用(ADCP)、及び細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BCR)の下向き調節を含む。このようなエフェクター機能は、一般に、Fc領域が結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と組み合わせられることを必要とする。したがって、用語“Fc機能がない定常領域”は、Fc領域によって媒介された一つ以上のエフェクター機能が減少したり或いは存在しない定常領域を含む。
抗体のエフェクター機能は、異なる接近法によって減少又は回避させることができる。抗体のエフェクター機能は、Fc領域を欠如した抗体断片(例えば、Fab、F(ab’)2、単鎖Fv(scFv)、又はモノマーVH又はVLドメインで構成されたsdAb)を使用することによって減少又は回避させることができる。代案として、Fc領域の他の属性(例えば、延長された半減期及びヘテロダイマー化)を保有しながら抗体のエフェクター機能を減少させるために、Fc領域において特定残基に連結された糖を除去することによって、いわゆる非グリコシル化(aglycosylated)抗体を生成することができる。非グリコシル化抗体は、例えば、糖が付着した残基の欠失又は変更、糖の酵素的除去、グリコシル化抑制剤の存在の下に培養された細胞における抗体の生成、又はタンパク質をグリコシル化できない細胞(例えば、バクテリア宿主細胞)における抗体の発現によって生成することができる(例えば、米国出願公開第20120100140号参照)。他の接近法は、減少したエフェクター機能を持つIgG亜型のFc領域を用いることであり、例えば、IgG2及びIgG4抗体は、IgG1及びIgG3よりも低いレベルのFcエフェクター機能を有することを特徴とする。先天免疫システムのエフェクター細胞上のC1q(補体)及びIgG-Fc受容体(FcγR)に対して非常に重なった結合部位を含有するので、Fc部分のCH2ドメインにおいてヒンジ領域に最も近接している残基が抗体のエフェクター機能を担当する(Vidarsson G.el al.Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開))。したがって、Fcエフェクター機能が減少したり又はない抗体は、例えばIgG4アイソタイプのIgG抗体のCH2ドメインとIgG1アイソタイプのIgG抗体のCH3ドメインを含むキメラFc領域、又はIgG2のヒンジ領域とIgG4のCH2領域を含むキメラFc領域(例えば、Lau C.et al.J.Immunol.191:4769-4777(2013)参照)、又は変更されたFcエフェクター機能、例えば減少したり又はないFc機能をもたらす突然変異を持つFc領域を生成することによって製造することができる。突然変異を持つこのようなFc領域は、当業界に知られている(例えば、米国出願公開第20120100140号及びそこに引用された米国出願及びPCT公報及びAn et al.mAbs 1:6,572-579(2009)参照;これらの内容はその全体が本明細書に参照によって組み込まれる)。
“ヒンジ”、“ヒンジドメイン”又は“ヒンジ領域”又は“抗体ヒンジ領域”は、CH2ドメインにCH1ドメインを連結する重鎖定常領域のドメインのことを指し、ヒンジの上部、中央及び下部の部分を含む(Roux et al.J.Immunol.1998161:4083)。ヒンジは、抗体の結合及びエフェクター領域に様々なレベルの可撓性を提供し、さらに2重鎖定常領域間の分子間二硫化物結合のための座を提供する。本発明で用いられるヒンジは、全てのIgGアイソタイプに対してGlu216から始まってGly237で終わる(Roux et al,1998J Immunol 161:4083)。野生型IgGl、IgG2、IgG3及びIgG4ヒンジの配列は、当業界に知られている(例えば、Kabat EA et al,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and human Services,NIH Publication No.91-3242;Vidarsson G.et al.Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開)参照)。
用語“CH1ドメイン”は、重鎖定常ドメインにおいてヒンジに可変ドメインを連結する重鎖定常領域のことを指す。本発明で用いられるCH1ドメインは、A118から始まってV215で終わる。用語“CH1ドメイン”は、野生型CH1ドメインの他に、その自然的に存在する変異体(例えば、アロタイプ)も含む。IgGl、IgG2、IgG3及びIgG4のCH1ドメイン配列(野生型及びアロタイプを含む)が当業界に知られている(例えば、Kabat EA et al,(1991)(同上)及びVidarsson G.et al.Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開)参照)。例示的なCH1ドメインは、抗体の生物学的活性、例えば半減期を変形させる突然変異を持つCH1ドメインを含み、これは、例えば米国出願公開第20120100140号及びそこに引用された米国特許及び公報並びにPCT公報に説明される。
用語“CH2ドメイン”は、重鎖定常ドメインにおいてCH3ドメインにヒンジを連結する重鎖定常領域のことを指す。本発明で用いられるCH2ドメインは、P238から始まってK340で終わる。用語“CH2ドメイン”は、野生型CH2ドメインの他に、その自然的に存在する変異体(例えば、アロタイプ)も含む。IgGl、IgG2、IgG3及びIgG4のCH2ドメイン配列(野生型及びアロタイプを含む)が当業界に知られている(例えば、Kabat EA et al,(1991)(同上)及びVidarsson G.et al.Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開)参照)。例示的なCH2ドメインは、抗体の生物学的活性、例えば半減期及び/又は減少したFcエフェクター機能を変形させる突然変異を持つCH2ドメインを含み、これは、例えば米国出願公開第20120100140号及びそこに引用された米国特許及び公報並びにPCT公報に説明される。
用語“CH3ドメイン”は、重鎖定常ドメインにおいてCH2ドメインに対してC末端である重鎖定常領域のことを指す。本発明で用いられるCH3ドメインは、G341から始まってK447で終わる。用語“CH3ドメイン”は、野生型CH3ドメインの他に、その自然的に存在する変異体(例えば、アロタイプ)を含む。IgGl、IgG2、IgG3及びIgG4のCH3ドメイン配列(野生型及びアロタイプを含む)は、当業界に知られている(例えば、Kabat EA et al,(1991)(同上)及びVidarsson G.et al.Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開)参照)。例示的なCH3ドメインは、抗体の生物学的活性、例えば半減期を変形させる突然変異を持つCH3ドメインを含み、これは、例えば米国出願公開第20120100140号及びそこに引用された米国特許及び公報並びにPCT公報に説明される。
本発明で使われる“アイソタイプ”は、重鎖定常領域遺伝子によって暗号化された抗体類型(例えば、IgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgAl、IgA2、IgD、及びIgE抗体)のことを指す。
“アロタイプ”は、特定のアイソタイプグループ内で自然発生した変異体のことを指し、これらの変異体は、いくつかのアミノ酸が異なっている(例えば、Jefferis et al.(2009)mAbs 1:1参照)。本発明に説明される抗体は、任意のアロタイプであり得る。IgGl、IgG2、IgG3、及びIgG4のアロタイプが、当業界に知られている(例えば、Kabat EA et al,(1991)(同上)、Vidarsson G.et al.Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開);及びLefranc MP,mAbs 1:4,1-7(2009)参照)。
語句“抗原を認識する抗体”及び“抗原に特異的な抗体”は、本発明において用語“抗原に特異的に結合する抗体”と同じ意味で使われる。
本発明で用いられた“分離された(isolated)抗体”は、異なる抗原特異性を持つ他の抗体が実質的にない抗体のことを指す。例えば、FAM19A5に特異的に結合する分離された抗体は、FAM19A5以外の他の抗原に特異的に結合する抗体が実質的にない抗体である。しかし、FAM19A5のエピトープに特異的に結合する分離された抗体は、異なる種からの他のFAM19A5タンパク質に対して交差反応性を有し得る。
“結合親和性”は、一般に、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)間の非共有相互作用の全合計強度のことを指す。別に断りのない限り、本発明で使われる“結合親和性”は、結合対のメンバー(例えば、抗体と抗原)間の1:1相互作用を反映する固有な結合親和性のことを指す。パートナーYに対する分子Xの親和性は、一般に、解離定数(KD)によって表示され得る。親和性は、、制限ではないが、平衡解離定数(KD)、及び平衡結合定数(KA)を含む、当業界に公知された多数の方式で測定及び/又は表示され得る。KDは、koff/konの商から計算され、モル濃度(M)で表示され、KAはkon/koffの商から計算される。konは、例えば、抗原に対する抗体の結合速度定数のことを指し、koffは、例えば、抗原に対する抗体の解離速度定数のことを指す。kon及びkoffは、免疫分析法(例えば、酵素結合免疫吸着分析法(ELISA))、BIACORETM又は力学的排除分析法(KINEXA(登録商標))のような、当業者に公知の技術によって決定され得る。
本発明で使われる用語“特異的に結合する”、“特異的に認識する”、“特異的結合”、“選択的結合”及び“選択的に結合する”とは、抗体と関連して類似の用語であり、抗原(例えば、エピトープ又は免疫複合体)と分子(例えば、抗体)との結合をいい、このような結合は、当業者に理解されている通りである。例えば、抗原に特異的に結合する分子は、例えば、免疫分析法、BIACORETM、KINEXA(登録商標)3000機器(Sapidyne Instruments,Boise,ID)、又は当業界に公知された他の分析法によって決定されたとき、一般に、他のペプチド又はポリペプチドに、より低い親和性で結合し得る。特定の具体例において、抗原に特異的に結合する分子は、この分子が他の抗原に結合する時のKA比べて少なくとも2log、2.5log、3log、4log又はそれ以上より大きいKAでその抗原に結合する。
抗体は、典型的に、10-5~10-11M以下の解離定数によって反映される高い親和性で同族抗原に特異的に結合する。約10-4Mを超過するKDは、一般に、非特異的結合を示すと見なされる。本発明において、抗原と“特異的に結合する抗体”は、高い親和性で抗原及び実質的に同じ抗原に結合する抗体のことを指し、例えば、定められた抗原を用いて免疫分析法(例えば、ELISA)又はBIACORETM2000機器で表面プラズモン共鳴(SPR)技術によって決定されたとき、10-7M以下、好ましくは10-8M以下、より好ましくは10-9M以下、及び最も好ましくは10-8M~10-10M以下のKDを有するものを意味し、関連のない抗原には高い親和性で結合しない。
本発明で使われる用語“抗原”は、任意の天然又は合成免疫原性物質、例えばタンパク質、ペプチド又はハプテンのことを指す。抗原は、FAM19A5又はその断片であり得る。
本発明で使われる用語“エピトープ”は、当業界の用語であり、抗体が特異的に結合できる抗原の局所化した領域のことを指す。エピトープは、例えばポリペプチドの連続(contiguous)アミノ酸(線形又は連続エピトープ)であり得るか、又は、例えばポリペプチド又はポリペプチドの2つ以上の非連続領域が合わせられたもの(立体形態的、非線形、不連続、又は非連続エピトープ)であり得る。連続アミノ酸から形成されたエピトープは、必ずしもそうではないが、典型的に、変性溶媒に露出時に維持され、3次フォルディングにより形成されたエピトープは、典型的に、変性溶媒で処理時に喪失される。エピトープは、典型的に、独特の空間的立体形態において少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は20個のアミノ酸を含む。与えられた抗体によって結合したエピトープを決定する方法(すなわち、エピトープマッピング)が当業界によく知られており、例えば、免疫ブロッティング及び免疫沈殿分析を含み、(例えば、FAM19A5からの)重複又は連続ペプチドが与えられた抗体(例えば、抗FAM19A5抗体)との反応性に対して試験される。エピトープの空間的立体形態を決定する方法は、当業界の技術及び本発明に説明されるものを含み、例えば、X線結晶学、2次元核磁気共鳴及びHDX-MSを含む(例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66,G.E.Morris,Ed.(1996)参照)。
特定の具体例において、抗体が結合したエピトープは、例えば、NMR分光法、X線回折結晶学研究、ELISA分析法、質量分光法と結合した水素/重水素交換(例えば、液体クロマトグラフィー電子噴霧質量分光法)、アレイベースのオリゴ-ペプチドスキャニング分析法、及び/又は突然変異誘発マッピング(例えば、部位指定突然変異誘発マッピング)によって決定され得る。X線結晶学の場合、結晶化は、当業界に公知された方法のいずれかによって達成され得る(例えば、Giege R et al,(1994)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 50(Pt4):339-350;McPherson A(1990)Eur J Biochem 189:1-23;Chayen NE(1997)Structure 5:1269-1274;McPherson A(1976)J Biol Chem 251:6300-6303参照)。抗体:抗原結晶は、公知のX線回折技術を用いて研究でき、X-PLOR(Yale University,1992,Molecular Simulations,Inc.によって配布;例えば、Meth Enzymol(1985)volumes 114&115,eds Wyckoff H.W.et al.,;米国出願公開第2004/0014194号参照)、及びBUSTER(Bricogne G.(1993)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 49(Pt1):37-60;Bricogne G.(1997)Meth Enzymol 276A:361-423,ed Carter CW;Roversi P.et al.,(2000)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 56(Pt10):1316-1323)のようなコンピュータソフトウェアを用いることができる。突然変異誘発マッピング研究は、当業者に公知された任意の方法を用いて達成され得る。アラニンスキャニング突然変異誘発技術を含む突然変異誘発技術の説明は、例えば、Champe M.et al.,(1995)J Biol Chem 270:1388-1394及びCunningham B.C.& Wells J.A.(1989)Science 244:1081-1085を参照する。
用語“エピトープマッピング”は、抗体-抗原認識に対する分子決定素の確認過程のことを指す。
2つ以上の抗体と関連して用語“同じエピトープに結合する”とは、与えられた方法によって決定されたとき、抗体がアミノ酸残基の同じセグメントに結合するということを意味する。抗体が本発明に説明の抗体と“FAM19A5上の同じエピトープ”に結合するか否かを決定する技術は、例えばエピトープマッピング方法、例えばエピトープの原子分解能を提供する抗原:抗体複合体の結晶のX線分析及び水素/重水素交換質量分光法(HDX-MS)を含む。他の方法は、抗体と抗原断片又は抗原の突然変異した変異体との結合をモニタリングし、ここで、抗原配列内でアミノ酸残基の変形による結合の損失が、主にエピトープ成分の表示として見なされる。これに加えて、エピトープマッピングのためのコンピュータ組合せ方法も用いられ得る。これらの方法は、組合せファージディスプレイペプチドライブラリーから特定した短いペプチドを親和性分離できる関心抗体の能力に依存する。同じVH及びVL又は同じCDR1、2及び3配列を持つ抗体は、同じエピトープに結合すると予想される。
“標的との結合に対して他の抗体と競合する”抗体は、他の抗体と標的の結合を(部分的に又は完全に)抑制する抗体のことを指す。両抗体が標的との結合に対して互いに競合するか否か、すなわち、一つの抗体が他の抗体と標的との結合を抑制するか否か及び抑制する程度は、公知された競合実験によって決定され得る。特定の具体例において、抗体は他の抗体と標的の結合において競合し、この結合を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%まで抑制する。抑制又は競合のレベルは、抗体が“遮断抗体”(すなわち、標的と先にインキュベーションされた低温抗体)であるか否かによって異なり得る。競合分析は、例えば、E.d.Harlow and David Lane,Cold Spring Harb Protoc;2006;doi:10.1101/pdb.prot4277又はE.d.Harlow and David Laneによる“Using Antibodies”(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,USA 1999)の第11章に説明されたとおりに行われ得る。競合抗体は(例えば、立体障害によって証明されたとおり)同一エピトープ、重複エピトープ又は隣接エピトープに結合する。
他の競合結合分析は、固体相直接又は間接放射性免疫分析法(RIA)、固体相直接又は間接酵素免疫分析法(EIA)、サンドウィッチ競合分析法(Stahli et al.,Methods in Enzymology 9:242(1983)参照);固体相直接ビオチン-アビジンEIA(Kirkland et al.,J.Immunol.137:3614(1986)参照);固体相直接標識化分析法、固体相直接標識化サンドウィッチ分析法(Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press(1988)参照);1-125標識を用いた固体相直接標識RIA(Morel et al.,Mol.Immunol.25(1):7(1988)参照);固体相直接ビオチン-アビジンEIA(Cheung et al.,Virology 176:546(1990));及び直接標識化RIA(Moldenhauer et al.,Scand.J.Immunol.32:77(1990))を含む。
“二重特異的又は二重機能性抗体”は、2つの異なる重鎖/軽鎖対と2つの異なる結合部位を有する人工ハイブリッド抗体である。二重特異的抗体は、ハイブリドーマの融合又はFab’断片の連結を含む様々な方法によって生成され得る(例えば、Songsivilai & Lachmann,Clin.Exp.Immunol.79:315-321(1990);Kostelny et al.,J.Immunol.148,1547-1553(1992)参照)。
本発明で使われる用語“単クローン性抗体”は、特定エピトープに対して単一結合特異性及び親和性を示す抗体又は全抗体が特定エピトープに対して単一結合特異性及び親和性を示す抗体組成物のことを指す。したがって、用語“ヒト単クローン性抗体”は、単一結合特異性を示し、ヒトジャームライン免疫グロブリン配列から由来した可変及び選択的定常領域を有する抗体又は抗体組成物のことを指す。一具体例において、ヒト単クローン性抗体は、トランスジェニック非ヒト動物、例えば、不滅化細胞に融合されたヒト重鎖トランス遺伝子と軽鎖トランス遺伝子を含むゲノムを有する、トランスジェニックマウスから得られたB細胞を含むハイブリドーマによって生成される。
本発明で使われる用語“組換えヒト抗体”は、(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子に対してトランス遺伝子であるか、トランス染色体性(transchromosomal)である動物(例えば、マウス)から分離された抗体又はそれから製造されたハイブリドーマ、(b)抗体を発現させるように形質転換された宿主細胞から、例えばトランスフェクトーマ(transfectoma)から分離された抗体、(c)組換え、組合せヒト抗体ライブラリーから分離された抗体、及び(d)他のDNA配列に対するヒト免疫グロブリン遺伝子配列を、スプライシングを伴う任意の他の手段によって製造、発現、生成又は分離された抗体のような、組換え手段によって製造、発現、生成又は分離された全てのヒト抗体を含む。このような組換えヒト抗体は、ジャームライン遺伝子によって暗号化されるが、例えば、抗体成熟化の間に発生する後続再配列及び突然変異を含む特定のヒトジャームライン免疫グロブリン配列を用いる可変及び定常領域を含む。当業界に公知のとおり(例えば、Lonberg(2005)Nature Biotech.23(9):1117-1125参照)、可変領域は、外来抗原に対して特異的な抗体を形成するように再配列した様々な遺伝子によって暗号化された、抗原結合ドメインを含有する。再配列に加えて、可変領域は、外来抗原に対する抗体の親和性を増加させるために多数の単一アミノ酸変化(体細胞突然変異又は超突然変異)によってさらに変形され得る。定常領域は、抗原に対する追加反応(すなわち、アイソタイプスイッチ)において変わるだろう。したがって、抗原に反応して軽鎖及び重鎖免疫グロブリンポリペプチドを暗号化する、再配列され体細胞突然変異した核酸分子は、本来の核酸分子と配列同一性を有することはできないが、実質的に同一又は類似であろう(すなわち、少なくとも80%同一性を有する)。
“ヒト抗体(HuMAb)”は、フレームワークとCDR領域が両方ともヒトジャームライン免疫グロブリン配列から由来した可変領域を有する抗体のことを指す。また、この抗体が定常領域を含有すると、定常領域も同様に、ヒトジャームライン免疫グロブリン配列から由来する。本発明に説明される抗体は、ヒトジャームライン免疫グロブリン配列によって暗号化されないアミノ酸残基(例えば、試験管内無作為又は部位特定突然変異誘発によって又は生体内体細胞突然変異によって導入された突然変異)を含むことができる。しかし、本発明で使われる用語“ヒト抗体”は、マウスのような他の哺乳類種のジャームラインから由来したCDR配列がヒトフレームワーク配列に融合(graft)された抗体は含まない。用語“ヒト”抗体と“完全なヒト”抗体は同義語として使われる。
“ヒト化抗体”は、非ヒト抗体のCDRドメイン外のアミノ酸の一部、大部分又は全部が、ヒト免疫グロブリンから由来した相応するアミノ酸に置換された抗体のことを指す。抗体のヒト化した形態の一具体例において、CDRドメイン外のアミノ酸の一部、大部分又は全部が、ヒト免疫グロブリンからのアミノ酸に置換され、一つ以上のCDR領域内のアミノ酸の一部、大部分又は全部はそのまま残る。抗体が特定抗原に結合する能力を無くさない限り、アミノ酸の微細な添加、欠失、挿入、置換又は変形は許容される。“ヒト化抗体”は原始抗体のそれと類似な抗原特異性を保有する。
“キメラ抗体”は、一つの種から可変領域が由来し、他の種から定常領域が由来した抗体、例えばマウス抗体から可変領域が由来し、ヒト抗体から定常領域が由来した抗体のことを指す。
本発明で使われる用語“交差反応する”とは、異なる種からのFAM19A5に結合する本発明に説明される抗体の能力を指す。例えば、ヒトFAM19A5に結合する本発明に説明される抗体はまた、他の種のFAM19A5(例えば、マウスFAM19A5)にも結合できる。本発明で使われる交差反応性は、結合分析(例えば、SPR、ELISA)で精製された抗原との特異的反応性を検出することによって又はFAM19A5を生理学的に発現する細胞との結合、又は機能的相互作用を検出することによって測定できる。交差反応性を決定する方法は、本発明に説明される標準結合分析法、例えば、BIACORETM 2000 SPR機器(Biacore AB、スウェーデンウプサラ)を用いたBIACORETM表面プラズモン共鳴(SPR)分析法、又は流細胞計数技術を含む。
本発明においてある物体に適用された用語“自然発生”は、物体が自然から発生し得るという事実を指す。例えば、自然のソースから分離可能であり、実験室でヒトによって意図的に変形されていない有機体に存在するポリペプチド又はポリヌクレオチド配列は、自然発生である。
“ポリペプチド”は、少なくとも2つの連続連結されたアミノ酸残基を含む鎖のことを指し、鎖の長さに上限はない。タンパク質において一つ以上のアミノ酸残基は、制限ではないが、グリコシル化、リン酸化又は二硫化物結合形成のような変形を含有できる。“タンパク質”は、一つ以上のポリペプチドを含むことができる。
本発明で使われる用語“核酸分子”は、DNA分子及びRNA分子を含む。核酸分子は、一本鎖又は二本鎖であり得、cDNAであり得る。
本発明で使われる用語“ベクター”は、それが連結された他の核酸を輸送できる核酸分子のことを指す。ベクターの一種類が“プラスミド”であり、これは、追加のDNAセグメントがライゲーションされ得る円形の二重鎖DNAループのことを指す。他の種類のベクターにはウイルスベクターがあり、このベクターでは追加のDNAセグメントがウイルスゲノムにライゲーションされ得る。特定のベクター(例えば、バクテリア複製起源を持つバクテリアベクター及びエピソーム哺乳類ベクター)は、これらが導入された宿主細胞において自己複製可能である。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳類ベクター)は、宿主細胞に導入時に宿主細胞のゲノムに統合され得、これによって宿主ゲノムと共に複製される。さらに、特定のベクターは、それらが作動可能に連結された遺伝子の発現を指示できる。このようなベクターは、本発明において“組換え発現ベクター”(又は、簡単に“発現ベクター”)と言及される。一般に、組換えDNA技術において有用性を持つ発現ベクターは主にプラスミドの形態である。本明細書において、“プラスミド”と“ベクター”は、プラスミドがベクターの最も多い形態であるので、同じ意味で使われ得る。しかし、ウイルス(例えば、複製結合レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ関連ウイルス)ベクターのような他の形態の発現ベクターも含まれ、これらは同等な機能を有する。
本発明で使われる用語“組換え宿主細胞”(又は、簡単に“宿主細胞”)は、細胞に自然的に存在しない核酸を含む細胞のことを指し、組換え発現ベクターが導入された細胞であり得る。このような用語は、特定の該当の細胞だけでなく、それらの細胞の子孫も言及するということが理解されるべきである。突然変異や環境的影響によってつながった世代では特定の変形が起きることがあるので、このような子孫は実際に親細胞と同一でないこともあり得るが、それにもかかわらず、依然として本発明で使われる用語“宿主細胞”の範囲内に含まれる。
本発明で使われる用語“連結された”とは、2つ以上の分子の会合のことを指す。連結は、共有連結又は非共有連結であり得る。連結はまた、遺伝子連結(すなわち、組換え的に融合)であり得る。このような連結は、化学的コンジュゲーション及び組換えタンパク質生成のような当業界に認められた様々な技術を用いて達成され得る。
本発明で使われる用語“治療的有効量”は、単独で又は他の治療剤と組み合わせて、対象の疾患又は障害を“治療”するのに効果的な又は疾患又は障害(例えば、粥状硬化症)の危険、潜在性、可能性又は発生を減少させるのに効果的な、薬物の量を指す。“治療的有効量”は、疾患又は障害(例えば、粥状硬化症)を有しているか或いは有する危険がある対象に、一部の改善や利益を提供する薬物又は治療剤(例えば、本発明に開示の抗FAM19A5抗体)の量を含む。したがって、“治療的有効量”は、疾患又は障害の危険、潜在性、可能性又は発生を減少させたり又は一部の緩和、軽減を提供し及び/又は少なくとも一つの兆候を減少させ、及び/又は疾患又は障害(例えば、粥状硬化症)の少なくとも一つの臨床症状を減少させる量である。
II.粥状硬化症治療方法
治療が必要な対象の心血管状態を治療する方法が本発明に開示される。より具体的に、本発明に開示の方法は、粥状硬化症に関連した疾患及び障害を含む、粥状硬化症を治療するために用いることができる。このような疾患及び障害の非制限的な例は、冠状動脈疾患、脳卒中、末梢動脈疾患、腎臓損傷、網膜動脈閉塞、腸損傷による腹部疼痛、及び腹膜炎、又はこれらの組合せを含む、次に説明されるとおり、粥状硬化症は一般に、血漿中の脂肪タンパク質の異常レベルと関連する。特定の具体例において、用語“脂肪タンパク質”は、総コレステロール、 、HDL、トリグリセリド、又はこれらの組合せを含む。このような脂肪タンパク質の異常レベルは、脂質を持つ大食細胞(泡沫細胞とも知られている。)の蓄積を引き起こすことがあり、その結果、血管壁に沿って病変又はプラーク蓄積が起きる。したがって、本発明はまた、治療が必要な対象(例えば、粥状硬化症を持つ)において一つ以上の脂肪タンパク質のレベルを調整する(すなわち、減少又は増加させる)方法を提供する。また、治療が必要な対象におけるプラーク内の泡沫細胞(例えば、オキソLDL誘導泡沫細胞)の数及び/又は泡沫細胞の滞留を減少させる方法が、本発明に提供される。
一部の具体例において、本発明に開示の方法は、対象にFAM19A5タンパク質に対する拮抗剤(“FAM19A5拮抗剤”)を投与する段階を含む。一部の具体例において、FAM19A5拮抗剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、miRNA、FAM19A5標的化dsRNA、アプタマー、PNA、又はこれらを含むベクターである。他の具体例において、FAM19A5拮抗剤は、FAM19A5タンパク質に特異的に結合する抗体(“抗FAM19A5抗体”)、又はその抗原結合部分、抗FAM19A5抗体を暗号化するポリヌクレオチド、又はそのポリヌクレオチドを含むベクターである。一部の具体例において、抗FAM19A5抗体は、FAM19A5タンパク質に結合し、FAM19A5活性を減少させる。
本発明に開示の方法で治療可能な対象(例えば、粥状硬化症を持つ対象)は、粥状硬化症を持たない対象(例えば、健康な対象)と比較して、次の特性のいずれか一つ以上を示すことができる:(i)増加した総コレステロールレベル、(ii)増加したトリグリセリドレベル、(iii)増加したLDLレベル、(iv)減少したHDLレベル、(v)プラークにおける泡沫細胞の増加した数及び/又は泡沫細胞の滞留、又は(vi)これらの組合せ。
したがって、本発明に開示のFAM19A5拮抗剤(例えば、抗FAM19A5抗体)は、前記説明された特性のいずれか一つ以上の減少、緩和及び/又は逆転によって粥状硬化症を治療することができる。一部の具体例において、FAM19A5拮抗剤は、FAM19A5タンパク質を中和させることができる、例えばFAM19A5中和剤である。他の具体例において、FAM19A5拮抗剤は、抗FAM19A5抗体である。一部の具体例において、抗FAM19A5抗体は、中和抗体である。
一部の具体例において、本発明に開示のFAM19A5拮抗剤は、治療が必要な対象の総コレステロールレベルを減少させることができる。特定の具体例において、前記対象の総コレステロールレベルは、基準値(例えば、FAM19A5拮抗剤を非投与した対象における相応する値又はFAM19A5拮抗剤を投与する前の対象における相応する値)と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%又はそれ以上まで減少する。
一部の具体例において、本発明に開示のFAM19A5拮抗剤は、治療が必要な対象のトリグリセリドレベルを減少させることができる。特定の具体例において、対象のトリグリセリドレベルは、基準値(例えば、FAM19A5拮抗剤を非投与した対象における相応する値又はFAM19A5拮抗剤を投与する前の対象における相応する値)と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%又はそれ以上まで減少する。
一部の具体例において、本発明に開示のFAM19A5拮抗剤は、治療が必要な対象の低密度脂肪タンパク質(LDL)レベルを減少させることができる。特定の具体例において、対象のLDLレベルは、基準値(例えば、FAM19A5拮抗剤を非投与した対象における相応する値又はFAM19A5拮抗剤を投与する前の対象における相応する値)と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%又はそれ以上まで減少する。
一部の具体例において、本発明に開示のFAM19A5拮抗剤は、治療が必要な対象の高密度脂肪タンパク質(HDL)レベルを増加させることができる。特定の具体例において、対象のHDLレベルは、基準値(例えば、FAM19A5拮抗剤を非投与した対象における相応する値又はFAM19A5拮抗剤を投与する前の対象における相応する値)と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%又はそれ以上まで増加する。
一部の具体例において、本発明に開示のFAM19A5拮抗剤(例えば、抗FAM19A5抗体)は、治療が必要な対象の粥状硬化症病変部位に大食細胞の遊走及び/又は蓄積を増加させることができる。特定の具体例において、粥状硬化症病変部位に大食細胞の遊走及び/又は蓄積は、基準値(例えば、FAM19A5拮抗剤を非投与した対象における相応する値又はFAM19A5拮抗剤を投与する前の対象における相応する値)と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%又はそれ以上まで増加する。
一部の具体例において、FAM19A5拮抗剤は、治療が必要な対象における大食細胞(又は、食作用能力を持つ他の細胞、例えば樹枝状細胞)による低密度脂肪タンパク質(LDL)の食作用を増加させることができる。特定の具体例において、大食細胞によるLDLの食作用は、基準値(例えば、FAM19A5拮抗剤を非投与した対象における相応する値又はFAM19A5拮抗剤を投与する前の対象における相応する値)と比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%又はそれ以上まで増加する。
一部の具体例において、(i)粥状硬化症病変部位における大食細胞の遊走及び/又は蓄積の増加及び/又は(ii)大食細胞によるLDLの食作用の増加は、血中LDLのレベルを減少させることができ、これによって粥状硬化症(又は、粥状硬化症と関連した疾患又は障害)が治療できる。一部の具体例において、大食細胞は、脂質を持つ大食細胞(泡沫細胞とも知られている。)である。
一部の具体例において、本発明に開示のFAM19A5拮抗剤は、治療が必要な対象の血管の正常化を誘導することができる。特定の具体例において、血管正常化は、(i)増加した血管数、(ii)改善された血管連結性、(iii)減少した血管透過性、(iv)増加した血流量、又は(v)これらの任意の組合せを含む。特定の具体例において、血管の正常化は、血管壁内に減少したプラーク蓄積に関連する。
本発明で使われる用語“血管”は、それを通じて血液が体内を循環する脈管のことを指す。用語“脈管”とは、動脈や静脈のような、流体を運搬するチャネルのことを指す。一部の具体例において、血管は、動脈、静脈、又は毛細管を含む。特定の具体例において、血管は大動脈を含む。
後述するとおり、適切に治療されないと、粥状硬化症は他の心血管疾患及び障害を招くことがある。したがって、一部の具体例において、本発明で治療可能な粥状硬化症は、冠状動脈心臓疾患(CHD)、頚動脈疾患、末梢動脈疾患、慢性腎臓疾患、脳卒中、網膜動脈閉塞、腸損傷による腹部疼痛、及び腹膜炎、又はこれらの組合せを含む疾患に関連する。一部の具体例において、粥状硬化症は、高脂肪及び/又は高コレステロール(高コレステロール性)食餌に関連する。特定の具体例において、高脂肪及び/又は高コレステロール食餌は、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%又はそれ以上の総脂肪濃度を含む。一部の具体例において、高脂肪及び/又は高コレステロール食餌は、約42%の総脂肪濃度を含む。他の具体例において、粥状硬化症は、粥状硬化症がない対象(例えば、健康な対象)と比較して、増加した総コレステロールレベル、増加したトリグリセリドレベル、増加したLDLレベル、減少したHDLレベル、プラーク内におけるオキソLDL誘導泡沫細胞の増加した数及び/又は滞留、又はこれらの組合せに関連する。
一部の具体例において、本発明で使われる用語“基準”とは、本発明に開示の組成物(FAM19A5拮抗剤、例えば抗FAM19A5抗体)を非投与した相応する対象(例えば、粥状硬化症を持つ対象)のことを指す。用語“基準”はまた、本発明に開示の組成物を投与する前の同一対象(例えば、粥状硬化症を持つ対象)のことを指すこともできる。特定の具体例において、用語“基準”は、対象(例えば、粥状硬化症を持つ対象)の集団の平均のことを指す。
一部の具体例において、本発明の方法で治療可能な対象は、非ヒト動物、例えばラット又はマウスである。他の具体例において、本発明に開示の方法で治療可能な対象は、ヒトである。
一部の具体例において、FAM19A5拮抗剤(例えば、抗FAM19A5抗体)、二重特異的分子、又は免疫コンジュゲート、又は本発明に開示のこれらの組成物は、静脈内投与で対象に送達される。他の投与経路の非制限的な例は、皮下、筋肉内、経口、硝子体内、硬膜内経路、又はこれらの組合せを含む。
本発明に開示のFAM19A5拮抗剤(例えば、抗FAM19A5抗体)、又はその組成物の投与のために、投薬量は約0.0001~100mg/kgの範囲である。
一部の具体例において、FAM19A5拮抗剤、又はその組成物は、粥状硬化症を治療するための一つ以上の追加の製剤(例えば、治療剤)と共に投与できる。このような追加の製剤の非制限的な例は、(i)コレステロール低下剤、(ii)抗血小板製剤、(iii)ベータ遮断剤、(iv)アンジオテンシン転換酵素(ACE)抑制剤、(v)カルシウムチャネル遮断剤、(vi)糖尿病薬物、又は(vii)これらの組合せを含む。
一部の具体例において、コレステロール低下剤は、スタチン(例えば、アトルバスタチン(LIPITOR(登録商標))、フルバスタチン(LESCOL(登録商標))、ロバスタチン、ピタバスタチン(LIVALO(登録商標))、プラバスタチン(PRAVACHOL(登録商標))、ロスバスタチンカルシウム(CRESTOR(登録商標))、及びシンバスタチン(ZOCOR(登録商標)))を含む。他の具体例において、コレステロール低下剤は、PCSK9抑制剤(例えば、アリロクマブ(PRALUENT(登録商標))及びエボロクマブ(REPATHA(登録商標)))を含む。
一部の具体例において、抗血小板製剤は、アセチルサリチル酸又はアスピリン(ASPIRIN(登録商標)、ASAPHEN(登録商標)、ENTROPHEN(登録商標)、NOVASEN(登録商標))、クロピドグレル(PLAVIX(登録商標))、プラスグレル(EFFIENT(登録商標))、又はチカグレロル(BRILINTA(登録商標))を含む。
一部の具体例において、ベータ遮断剤は、アセブトロール(SECTRAL(登録商標))、アテノロール(TENORMIN(登録商標))、ビソプロロール(ZEBETA(登録商標))、メトプロロール(LOPRESSOR(登録商標)及びTOPROL-XL(登録商標))、ナドロール(CORGARD(登録商標))、ネビボロール(BYSTOLIC(登録商標))、又はプロプラノロール(INDERAL LA(登録商標)及びINNOPRAN XL(登録商標))を含む。
一部の具体例において、ACE抑制剤は、ベナゼプリル(LOTENSIN(登録商標)、LOTENSIN HCT(登録商標))、カプトプリル(CAPOTEN(登録商標))、エナラプリル(VASOTEC(登録商標))、ホシノプリル(MONOPRIL(登録商標))、リシノプリル(PRINIVIL(登録商標)、ZESTRIL(登録商標))、モエキシプリル(UNIVASC(登録商標))、ペリンドプリル(ACEON(登録商標))、キナプリル(ACCUPRIL(登録商標))、ラミプリル(ALTACE(登録商標))、又はトランドラプリル(MAVIK(登録商標))を含む。
一部の具体例において、カルシウムチャネル遮断剤は、アムロジピン(NORVASC)、ジルチアゼム(CARDIZEM(登録商標)、TIAZAC(登録商標))、フェロジピン、イスラジピン、ニフェジピン、ニフェジピン(ADALAT CC(登録商標)、AFEDITAB CR(登録商標)、PROCARDIA(登録商標))、ニソルジピン(SULAR(登録商標))、又はベラパミル(CALAN(登録商標)、VERELAN(登録商標))を含む。
一部の具体例において、糖尿病薬物は、メトホルミン(GLUCOPHAGE(登録商標)、GLUMETZA(登録商標))、スルホニルウレア(DIABETA(登録商標)、GLYNASE(登録商標)、GLUCOTROL(登録商標)、AMARYL(登録商標))、メグリチニド(PRANDIN(登録商標)、STARLIX(登録商標))、チアゾリジンジオン(AVANDIA(登録商標)、ACTOS(登録商標))、DPP-4抑制剤(JANUVIA(登録商標)、ONGLYZA(登録商標)、TRADJENTA(登録商標))、GLP-1受容体作用剤(BYETTA(登録商標)、VICTOZA(登録商標))、SGLT2抑制剤(INVOKANA(登録商標)、FARXIGA(登録商標))、又はインスリン治療剤を含む。
FAM19A5拮抗剤、又はその組成物と組み合わせて用いることができる現在利用可能な他の治療オプションは、制限ではないが、手術(例えば、冠状動脈迂回移植術、又は頚動脈内膜切除術)及び調整可能な危険因子の制御(例えば、運動、健康な食餌、タバコ使用中断)を含む。
III.FAM19A5拮抗剤
一部の具体例において、本発明に有用なFAM19A5拮抗剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、miRNA、dsRNA、アプタマー、FAM19A5を特異的に標的化するPNA(ペプチド核酸)、又はこれらを含むベクターである。他の具体例において、FAM19A5拮抗剤は、FAM19A5タンパク質に特異的に結合する抗体(“抗FAM19A5抗体”)、又はその抗原結合部分、抗FAM19A5抗体を暗号化するポリヌクレオチド、又はそれがポリヌクレオチドを含むベクターである。
本発明に開示の方法で有用な抗体は、特別な機能的特徴や特性を特徴とする単クローン性抗体である。例えば、抗体は、可溶性FAM19A5及び膜結合したFAM19A5を含むヒトFAM19A5に特異的に結合する。可溶性及び/又は膜結合ヒトFAM19A5に特異的に結合することに加えて、本発明に説明される抗体はまた、(a)10nM以下のKDで可溶性ヒトFAM19A5に結合したり;(b)10nM以下のKDで膜結合ヒトFAM19A5に結合したり;又は(c)(a)及び(b)の両方が可能である。
一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、高い親和性で、例えば、10-7M以下、10-8M(10nM)以下、10-9M(1nM)以下、10-10M(0.1nM)以下、10-11M以下、又は10-12M以下、例えば10-12M~10-7M、10-11M~10-7M、10-10M~10-7M、又は10-9M~10-7M、例えば10-12M、5×10-12M、10-11M、5×10-11M、10-10M、5×10-10M、10-9M、5×10-9M、10-8M、5×10-8M、10-7M、又は5×10-7MのKDで、可溶性ヒトFAM19A5又は膜結合ヒトFAM19A5に特異的に結合する。様々な種のヒトFAM19A5に対する抗体の結合親和性を評価するための標準分析法は当業界に知られており、例えば、ELISA、ウェスタンブロット及びRIAを含む。好適な分析法は、実施例に詳細に説明される。抗体の結合動力学(例えば、結合親和性)もELISA、BIACORETM分析又はKINEXA(登録商標)のような当業界に公知の標準分析法によって評価され得る。
一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、例えばELISAによって決定された時、10-7M以下、10-8M(10nM)以下、10-9M(1nM)以下、10-10M以下、10-12M~10-7M、10-11M~10-7M、10-10M~10-7M、10-9M~10-7M、又は10-8M~10-7MのKDで可溶性ヒトFAM19A5に結合する。一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、10nM以下、例えば0.1~10nM、0.1~5nM、0.1~1nM、0.5~10nM、0.5~5nM、0.5~1nM、1~10nM、1~5nM、又は5~10nMのKDで可溶性FAM19A5に結合する。一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、ELISAによって決定された時、約1pM、2pM、3pM、4pM、5pM、6pM、7pM、8pM、9pM、10pM、20pM、30pM、40pM、50pM、60pM、70pM、80pM、90pM、100pM、200pM、300pM、400pM、500pM、600pM、700pM、800pM、又は900pM、又は約1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、6nM、7nM、8nM、又は9nM、又は約10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、60nM、70nM、80nM、又は90nMのKDで可溶性ヒトFAM19A5に特異的に結合する。
一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、例えばELISAによって決定された時、10-7M以下、10-8M(10nM)以下、10-9M(1nM)以下、10-10M以下、10-12M~10-7M、10-11M~10-7M、10-10M~10-7M、10-9M~10-7M、又は10-8M~10-7MのKDで膜結合ヒトFAM19A5に結合する。特定の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、ELISAによって決定された時、10nM以下、例えば0.1~10nM、0.1~5nM、0.1~1nM、0.5~10nM、0.5~5nM、0.5~1nM、1~10nM、1~5nM、又は5~10nMのKDで膜結合ヒトFAM19A5に特異的に結合する。一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、ELISAによって決定された時、約1pM、2pM、3pM、4pM、5pM、6pM、7pM、8pM、9pM、10pM、20pM、30pM、40pM、50pM、60pM、70pM、80pM、90pM、100pM、200pM、300pM、400pM、500pM、600pM、700pM、800pM、若しくは900pM、又は約1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、6nM、7nM、8nM、若しくは9nM、又は約10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、60nM、70nM、80nM、若しくは90nMのKDで膜結合ヒトFAM19A5に結合する。
特定の具体例において、本発明に開示の方法において有用な抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、ヒトFAM19A5エピトープとの結合に対して、本発明に開示のCDR又は可変領域を含む抗FAM19A5抗体と相互競合する(又は、結合を抑制する)。
特定の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む基準抗体の結合を抑制し、(i)基準抗体の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれ、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、及びSEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含み、基準抗体の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3は、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、及びSEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含んだり;(ii)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含んだり;(iii)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:30のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含んだり;(iv)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含んだり;(v)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:89のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:90のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:91のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:92のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:93のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:94のアミノ酸配列を含んだり;(vi)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:95のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:96のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:97のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:98のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:99のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:100のアミノ酸配列を含んだり;(vii)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:101のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:102のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:103のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:104のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:105のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:106のアミノ酸配列を含んだり;(viii)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:107のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:108のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:109のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:110のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:111のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:112のアミノ酸配列を含んだり;(ix)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:113のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:114のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:115のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:116のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:117のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:118のアミノ酸配列を含んだり;(x)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:119のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:120のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:121のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:122のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:123のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:124のアミノ酸配列を含んだり;(xi)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:125のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:126のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:127のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:128のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:129のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:130のアミノ酸配列を含んだり;(xii)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:131のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:132のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:133のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:134のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:135のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:136のアミノ酸配列を含んだり;(xiii)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:137のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:138のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:139のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:140のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:141のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:142のアミノ酸配列を含んだり;(xiv)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:143のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:144のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:145のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:146のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:147のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:148のアミノ酸配列を含んだり;(xv)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:149のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:150のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:151のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:152のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:153のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:154のアミノ酸配列を含んだり;(xvi)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:208のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:209のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:210のアミノ酸配列を含む。一部の態様において、基準抗体の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれ、表2に提示されたCDR1、CDR2、及びCDR3配列を含み、基準抗体の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれ、表3に提示されたCDR1、CDR2、及びCDR3配列を含む。
一部の具体例において、基準抗体は、(a)それぞれSEQ ID NO:35及び39を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(b)それぞれSEQ ID NO:36及び40を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(c)それぞれSEQ ID NO:37及び41を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(d)それぞれSEQ ID NO:38及び42を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(e)それぞれSEQ ID NO:155及び166を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(f)それぞれSEQ ID NO:156及び167を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(g)それぞれSEQ ID NO:157及び168を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(h)それぞれSEQ ID NO:158及び169を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(i)それぞれSEQ ID NO:159及び170を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(j)それぞれSEQ ID NO:160及び171を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(k)それぞれSEQ ID NO:161及び172を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(l)それぞれSEQ ID NO:162及び173を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(m)それぞれSEQ ID NO:163及び174を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(n)それぞれSEQ ID NO:164及び175を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(o)それぞれSEQ ID NO:165及び176を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(p)それぞれSEQ ID NO:211及び212を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む。一部の態様において、基準抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、VHは、表4に提示されたアミノ酸配列を含み、VLは、表5に提示されたアミノ酸配列を含む。
特定の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、ヒトFAM19A5に対する基準抗体の結合を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%まで又は100%まで抑制する。競合抗体は、(例えば、立体障害によって証明されたとおりに)同一エピトープ、重複エピトープ又は隣接エピトープに結合する。標的に対する結合に対して2個の抗体が相互競合するか否かは、RIA及びEIAのような当業界に公知の競合実験を用いて確認することができる。
特定の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む本発明に開示の基準抗体と同じFAM19A5エピトープに結合し、(i)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:12のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:23のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:24のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含んだり;(ii)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含んだり;(iii)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:30のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含んだり;(iv)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含んだり;(v)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:89のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:90のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:91のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:92のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:93のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:94のアミノ酸配列を含んだり;(vi)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:95のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:96のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:97のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:98のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:99のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:100のアミノ酸配列を含んだり;(vii)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:101のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:102のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:103のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:104のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:105のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:106のアミノ酸配列を含んだり;(viii)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:107のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:108のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:109のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:110のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:111のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:112のアミノ酸配列を含んだり;(ix)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:113のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:114のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:115のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:116のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:117のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:118のアミノ酸配列を含んだり;(x)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:119のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:120のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:121のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:122のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:123のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:124のアミノ酸配列を含んだり;(xi)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:125のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:126のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:127のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:128のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:129のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:130のアミノ酸配列を含んだり;(xii)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:131のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:132のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:133のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:134のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:135のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:136のアミノ酸配列を含んだり;(xiii)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:137のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:138のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:139のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:140のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:141のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:142のアミノ酸配列を含んだり;(xiv)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:143のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:144のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:145のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:146のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:147のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:148のアミノ酸配列を含んだり;(xv)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:149のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:150のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:151のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:152のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:153のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:154のアミノ酸配列を含んだり;又は(xvi)重鎖CDR1は、SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は、SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は、SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:208のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:209のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:210のアミノ酸配列を含む。一部の態様において、基準抗体の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれ、表2に提示されたCDR1、CDR2、及びCDR3配列を含み、基準抗体の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれ、表3に提示されたCDR1、CDR2、及びCDR3配列を含む。
一部の具体例において、基準抗体は、(a)それぞれSEQ ID NO:35及び39を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(b)それぞれSEQ ID NO:36及び40を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(c)それぞれSEQ ID NO:37及び41を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(d)それぞれSEQ ID NO:38及び42を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(e)それぞれSEQ ID NO:155及び166を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(f)それぞれSEQ ID NO:156及び167を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(g)それぞれSEQ ID NO:157及び168を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(h)それぞれSEQ ID NO:158及び169を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(i)それぞれSEQ ID NO:159及び170を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(j)それぞれSEQ ID NO:160及び171を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(k)それぞれSEQ ID NO:161及び172を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(l)それぞれSEQ ID NO:162及び173を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(m)それぞれSEQ ID NO:163及び174を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(n)それぞれSEQ ID NO:164及び175を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(o)それぞれSEQ ID NO:165及び176を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(p)それぞれSEQ ID NO:211及び212を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む。一部の態様において、基準抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、VHは、表4に提示されたアミノ酸配列を含み、VLは、表5に提示されたアミノ酸配列を含む。
2つの抗体が同じエピトープに結合するか否かを決定する技術は、例えば、エピトープマッピング方法、例えばエピトープの原子分解能を提供する抗原:抗体複合体結晶のX線分析及び水素/重水素交換質量分光法(HDX-MS)、抗体と抗原断片又は抗原の突然変異した変異との結合をモニタリングする方法(ここで、抗原配列内でアミノ酸残基の変形による結合の損失が主にエピトープ成分の兆候として見なされる)、エピトープマッピングのためのコンピュータ組合せ方法を含む。
本発明に開示の方法に有用であり得る抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、例えば、抗体とヒトFAM19A5の断片との結合によって決定されたとき、成熟したヒトFAM19A5の少なくとも一つのエピトープと結合できる。一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、TLDRDSSQPRRTIARQTARC(SEQ ID NO:6又はSEQ ID NO:2のアミノ酸残基42~61)のアミノ酸配列内に位置した断片、例えば、SEQ ID NO:6の少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のアミノ酸を有するエピトープと結合する。一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:2のアミノ酸残基46~51(すなわち、DSSQPR)、例えばアミノ酸残基46、50、及び52(すなわち、D---P-R)、例えばアミノ酸残基46、47、48、及び50(すなわち、DSS-P)に該当する一つ以上のアミノ酸においてSEQ ID NO:6に結合する。一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、CDMLPCLEGEGCDLLINRSG(SEQ ID NO:9又はSEQ ID NO:2のアミノ酸90~109)のアミノ酸配列内に位置した断片、例えば、SEQ ID NO:9の少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のアミノ酸を有するエピトープと結合する。特定の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:4の一つ以上のアミノ酸残基99~107(すなわち、EGCDLLINR)、例えばアミノ酸残基102、103、105、及び107(すなわち、DL-I-R)、例えばアミノ酸残基99、100、102、103、105、及び107(すなわち、EG-DL-I-R)、例えばアミノ酸残基99、100、及び107(すなわち、EG------R)においてSEQ ID NO:9に結合する。
一部の具体例において、少なくとも一つのエピトープは、SEQ ID NO:6と少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を有する。一部の具体例において、少なくとも一つのエピトープは、SEQ ID NO:9と少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を有する。
一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:5、6、7、8、9若しくは10、又はSEQ ID NO:5、6、7、8、9若しくは10のアミノ酸配列内に位置した断片、例えば、SEQ ID NO:5、6、7、8、9若しくは10の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19若しくは20個のアミノ酸を有するエピトープである、ヒトFAM19A5にのみ結合する。
一部の具体例において、本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:6又はその断片と自生立体形態(すなわち、非変性)状態で結合する。一部の具体例において、本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:9又はその断片と自生立体形態(すなわち、非変性)状態で結合する。他の具体例において、少なくとも一つのエピトープは、SEQ ID NO:5と少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を有する。一部の具体例において、少なくとも一つのエピトープは、SEQ ID NO:10と少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を有する。一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、グリコシル化及び非グリコシル化ヒトFAM19A5のいずれにも結合する。
一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、一つ以上の追加のFAM19A5エピトープとさらに結合する。したがって、特定の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:6のエピトープ及び追加のエピトープ又はSEQ ID NO:9のエピトープ及び追加のエピトープに結合する。他の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:5のエピトープ、SEQ ID NO:9、及び追加のエピトープに結合できる。一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:6のエピトープ、SEQ ID NO:10のエピトープ、及び追加のエピトープに結合する。一部の具体例において、一つ以上の追加のFAM19A5エピトープは、QLAAGTCEIVTLDR(SEQ ID NO:5、エピトープF1)、TLDRDSSQPRRTIARQTARC(SEQ ID NO:6、エピトープF2)、TARCACRKGQIAGTTRARPA(SEQ ID NO:7、エピトープF3)、ARPACVDARIIKTKQWCDML(SEQ ID NO:8、エピトープF4)、CDMLPCLEGEGCDLLINRSG(SEQ ID NO:9、エピトープF5)、又はNRSGWTCTQPGGRIKTTTVS(SEQ ID NO:10、エピトープF6)、又は、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、若しくはSEQ ID NO:10、又はこれらの任意の組合せのアミノ酸配列内に位置している断片から選択される。SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、又はSEQ ID NO:10のアミノ酸配列内に位置した断片は、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、又はSEQ ID NO:10のいずれかの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のアミノ酸を有する断片を含む。一部の具体例において、一つ以上の追加のFAM19A5エピトープは、SEQ ID NO:5、6、7、8、9、又は10、SEQ ID NO:5、6、7、8、9、又は10のアミノ酸配列内に位置している断片、例えば、SEQ ID NO:5、6、7、8、9、又は10の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のアミノ酸を有する断片、又はこれらの任意の組合せから選択される。一部の具体例において、本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、一つ以上の追加のエピトープに自生立体形態(すなわち、非変性)状態で結合する。一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、一つ以上の追加のFAM19A5エピトープのグリコシル化及び非グリコシル化形態のいずれにも結合する。
一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、EP2、EP4、及び/又はEP8として確認された少なくとも一つのFAM19A5エピトープに結合し、EP2は、アミノ酸DSSQP(SEQ ID NO:66)を含んだり、本質的に構成されたり、又は構成され、EP4は、アミノ酸ARCACRK(SEQ ID NO:68)を含んだり、本質的に構成されたり、又は構成され、EP8は、アミノ酸TCTQPGGR(SEQ ID NO:72)を含んだり、本質的に構成されたり、又は構成される。一部の具体例において、少なくとも一つのエピトープは、EP2、EP4、又はEP8と少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を有する。一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、単にEP2にのみ結合する。一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、EP4及びEP8に結合する。
一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、EP6、EP7、又はEP8として確認された少なくとも一つのFAM19A5エピトープに結合し、EP6はアミノ酸KTKQWCDML(SEQ ID NO:70)を含み、EP7はアミノ酸GCDLLINR(SEQ ID NO:71)を含み、EP8はアミノ酸TCTQPGGR(SEQ ID NO:72)を含む。一部の具体例において、少なくとも一つのエピトープは、EP6、EP7、又はEP8と少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を有する。一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は単にEP6、EP7、又はEP8にのみ結合する。一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、EP6、EP7、及びEP8に結合する。一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、EP7及びEP8に結合する。一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、EP7に結合する。
一部の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:65、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:67、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:69、SEQ ID NO:70、SEQ ID NO:71、SEQ ID NO:72、及びこれらの任意の組合せからなる群から選ばれる一つ以上のFAM19A5エピトープに結合する。
特定の具体例において、例えば、免疫分析法(例えば、ELISA)、表面プラズモン共鳴、又は力学的排除分析によって測定されたとき、FAM19Aファミリーの他のタンパク質に比べて20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又はより高い親和性でFAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)と結合する抗体又はその抗原結合部分が本発明に提供される。特定の具体例において、例えば、免疫分析法によって測定されたとき、FAM19Aファミリーの他のタンパク質と交差反応性無しでFAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に結合する抗体又はその抗原結合部分が本発明に提供される。
特定の具体例において、抗FAM19A5抗体は、自生抗体でないか又は自然発生抗体ではない。例えば、抗FAM19A5抗体は、例えば、より多い、より少ない、又は互いに異なるタイプの翻訳後変形を有することによって、自然発生抗体とは異なる翻訳後変形を有する。
IV.例示的な抗FAM19A5抗体
本発明に開示の方法に使用可能な特定の抗体は、本発明に開示のCDR及び/又は可変領域配列を有する抗体、例えば単クローン性抗体でもよく、これらの可変領域又はCDR配列と少なくとも80%同一性(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%同一性)を有する抗体でもよい。異なる抗FAM19A5抗体に対するVH及びVL CDRのアミノ酸配列がそれぞれ、表2及び表3に提供される。次の抗体に対するCDRは、Kabatナンバリングシステム(上記を参照)を用いて確認した:1-65、3-2、2-13、1-28、P2-C12、13B4、13F7、15A9、P1-A03、P1-A08、P1-F02、P2-A01、P2-A03、P2-F07、P2-F11、SS01-13、SS01-13-s5、及びS5-2.GKNG。次の抗体に対するCDRは、IMGTナンバリングシステム(上記を参照)を用いて確認した:1-7A-IT、Low-PI、1-30、1-17、1-32、4-11、6-10、2-13D、2-13D-37、2-13D-37-1.5W-41、及び2-13D-37-3W-16。本発明の異なる抗FAM19A5抗体に対するVH及びVLアミノ酸配列がそれぞれ、表4及び表5に提供される。
重鎖及び軽鎖可変領域を含む抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分が本発明に提供され、重鎖可変領域は、SEQ ID NO:35-38、155-165、211、214、234-237、又は249-251のアミノ酸配列を含む(表4参照)。他の具体例において、抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:35-38、155-165、211、214、234-237、又は249-251からなる群から選ばれる重鎖可変領域のCDRを含む(表4参照)。
また、重鎖及び軽鎖可変領域を含む抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分が提供され、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:39-42、166-176、212、215、又は238-245のアミノ酸配列を含む(表5参照)。他の具体例において、抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:39-42、166-176、212、215、又は238-245からなる群から選ばれる軽鎖可変領域のCDRを含む(表5参照)。
特定の具体例において、抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:35-38、155-165、211、214、234-237、又は249-251からなる群から選ばれる重鎖可変領域のCDR及びSEQ ID NO:39-42、166-176、212、215、又は238-245からなる群から選ばれる軽鎖可変領域のCDRを含む。
また、重鎖及び軽鎖可変領域を含む抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分が提供され、(i)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:35のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含んだり;(ii)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:36のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:40のアミノ酸配列を含んだり;(iii)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:41のアミノ酸配列を含んだり;(iv)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:38のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:42のアミノ酸配列を含んだり;(v)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:155のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:166のアミノ酸配列を含んだり;(vi)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:156のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:167のアミノ酸配列を含んだり;(vii)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:157のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:168のアミノ酸配列を含んだり;(viii)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:158のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:169のアミノ酸配列を含んだり;(ix)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:159のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:170のアミノ酸配列を含んだり;(x)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:160のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:171のアミノ酸配列を含んだり;(xi)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:161のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:172のアミノ酸配列を含んだり;(xii)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:162のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:173のアミノ酸配列を含んだり;(xiii)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:163のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:174のアミノ酸配列を含んだり;(xiv)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:164のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:175のアミノ酸配列を含んだり;(xv)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:165のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:176のアミノ酸配列を含んだり;(xvi)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:211のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:212のアミノ酸配列を含んだり;(xvii)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:214のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:215のアミノ酸配列を含んだり;(xviii)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:249のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:215のアミノ酸配列を含んだり;(xix)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:234のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:238のアミノ酸配列を含んだり;(xx)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:235のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:239のアミノ酸配列を含んだり;(xxi)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:235のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:240のアミノ酸配列を含んだり;(xxii)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:235のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:241のアミノ酸配列を含んだり;(xxiii)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:235のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:242のアミノ酸配列を含んだり;(xxiv)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:235のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:243のアミノ酸配列を含んだり;(xxv)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:235のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:244のアミノ酸配列を含んだり;(xxvi)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:236のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:245のアミノ酸配列を含んだり;(xxvii)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:250のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:245のアミノ酸配列を含んだり;(xxviii)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:237のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:245のアミノ酸配列を含んだり;又は(xxix)重鎖可変領域は、SEQ ID NO:251のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:245のアミノ酸配列を含む。
重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分が本発明に提供され、重鎖可変領域は、SEQ ID NO:35-38、155-165、211、214、234-237、又は249-251に提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を含む(表4参照)。
また、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分が本発明に提供され、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:39-42、166-176、212、215、又は238-245に提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を含む(表5参照)。
また、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分が本発明に提供され、重鎖可変領域は、SEQ ID NO:35-38、155-165、211、214、234-237、又は249-251に提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:39-42、166-176、212、215、又は238-245に提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を含む。
一部の具体例において、本発明は、抗FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分を提供し、これは、
(a)SEQ ID NO:35及び39をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(b)SEQ ID NO:36及び40をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(c)SEQ ID NO:37及び41をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(d)SEQ ID NO:38及び42をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(e)SEQ ID NO:155及び166をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(f)SEQ ID NO:156及び167をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(g)SEQ ID NO:157及び168をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(h)SEQ ID NO:158及び169をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(i)SEQ ID NO:159及び170をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(j)SEQ ID NO:160及び171をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(k)SEQ ID NO:161及び172をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(l)SEQ ID NO:162及び173をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(m)SEQ ID NO:163及び174をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(n)SEQ ID NO:164及び175をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(o)SEQ ID NO:165及び176をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(p)SEQ ID NO:211及び212をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(q)SEQ ID NO:214及び215をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(r)SEQ ID NO:249及び215をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(s)SEQ ID NO:234及び238をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(t)SEQ ID NO:235及び239をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(u)SEQ ID NO:235及び240をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(v)SEQ ID NO:235及び241をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(w)SEQ ID NO:235及び242をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(x)SEQ ID NO:235及び243をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(y)SEQ ID NO:235及び244をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(z)SEQ ID NO:236及び245をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(aa)SEQ ID NO:250及び245をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(bb)SEQ ID NO:237及び245をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;又は
(cc)SEQ ID NO:251及び245をそれぞれ含む重鎖及び軽鎖可変領域配列
を含む。
特定の具体例において、本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、(i)2-13の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又は2-13の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(ii)3-2の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又は3-2の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(iii)1-65の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又は1-65の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(iv)1-28の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又は1-28の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(v)P2-C12の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又はP2-C12の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(vi)13B4の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又は13B4の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(vii)13F7の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又は13F7の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(viii)15A9の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又は15A9の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(ix)P1-A03の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又はP1-A03の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(x)P1-A08の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又はP1-A08の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(xi)P1-F02の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又はP1-F02の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(xii)P2-A01の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又はP2-A01の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(xiii)P2-A03の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又はP2-A03の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(xiv)P2-F07の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又はP2-F07の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(xv)P2-F11の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又はP2-F11の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(xvi)SS01-13の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又はSS01-13の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(xvii)SS01-13-s5の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又はSS01-13-s5の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(xviii)S5-2.GKNGの重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又はS5-2.GKNGの軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(xix)1-7A-ITの重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又は1-7A-ITの軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(xx)Low-PIの重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又はLow-PIの軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(xxi)1-30の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又は1-30の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(xxii)1-17の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又は1-17の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(xxiii)1-32の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又は1-32の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(xxiv)4-11の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又は4-11の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(xxv)6-10の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又は6-10の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(xxvi)2-13Dの重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又は2-13Dの軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(xxvii)2-13D-37の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又は2-13D-37の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;(xxviii)2-13D-37-1.5W-41の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又は2-13D-37-1.5W-41の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せ;又は(xxix)2-13D-37-3W-16の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの組合せ、及び/又は2-13D-37-3W-16の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はこれらの任意の組合せを含む。本発明に開示の個別の抗FAM19A5抗体に対するVH CDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列が、表2に提供されている。本発明に開示の個別の抗FAM19A5抗体に対するVL CDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列が、表3に提供されている。
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:12のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含むVH CDR3
を含む。
特定の具体例において、抗体又はその抗原結合部分は、前記VH CDRの1個、2個、又は3個全部を含む。
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:23のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(b)SEQ ID NO:24のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
特定の具体例において、抗体又はその抗原結合部分は前記VL CDRの1個、2個、又は3個全部を含む。
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:12のアミノ酸配列を含むVH CDR2;
(c)SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含むVH CDR3
(d)SEQ ID NO:23のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(e)SEQ ID NO:24のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(f)SEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含むVH CDR3
を含む。
特定の具体例において、抗体又はその抗原結合部分は、前記VH CDRの1個、2個、又は3個全部を含む。
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(b)SEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
特定の具体例において、抗体又はその抗原結合部分は、前記VL CDRの1個、2個、又は3個全部を含む。
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含むVH CDR2;
(c)SEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含むVH CDR3
(d)SEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(e)SEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(f)SEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むVH CDR3
を含む。
特定の具体例において、抗体又はその抗原結合部分は、前記VH CDRの1個、2個、又は3個全部を含む。
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(b)SEQ ID NO:30のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
特定の具体例において、抗体又はその抗原結合部分は、前記VL CDRの1個、2個、又は3個全部を含む。
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むVH CDR2;
(c)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むVH CDR3
(d)SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(e)SEQ ID NO:30のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(f)SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むVH CDR3
を含む。
特定の具体例において、抗体又はその抗原結合部分は、前記VH CDRの1個、2個、又は3個全部を含む。
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(b)SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
特定の具体例において、抗体又はその抗原結合部分は、前記VL CDRの1個、2個、又は3個全部を含む。
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むVH CDR2;
(c)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むVH CDR3
(d)SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(e)SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(f)SEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
特定の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、前記CDRの1個、2個、3個、4個、5個、又は6個を含む。
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、本発明の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:220のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:221のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含むVH CDR3
を含む。
特定の具体例において、抗体又はその抗原結合部分は、前記VH CDRの1個、2個、又は3個全部を含む。
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:225のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(b)SEQ ID NO:228のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:227のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
特定の具体例において、抗体又はその抗原結合部分は、前記VL CDRの1個、2個、又は3個全部を含む。
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は:
(a)SEQ ID NO:220のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:221のアミノ酸配列を含むVH CDR2;
(c)SEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含むVH CDR3
(d)SEQ ID NO:225のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(e)SEQ ID NO:228のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(f)SEQ ID NO:227のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
特定の具体例において、抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、前記CDRの1個、2個、3個、4個、5個、又は6個を含む。
本発明に説明されるVHドメイン、又はその一つ以上のCDRは、重鎖、例えば全長重鎖を形成するために定常ドメインに連結され得る。同様に、本発明に説明されるVLドメイン、又はその一つ以上のCDRは、軽鎖、例えば全長軽鎖を形成するために定常ドメインに連結され得る。全長重鎖と全長軽鎖は組合せわせて全長抗体を形成できる。
したがって、特定の具体例において、抗体軽鎖及び重鎖、例えば分離された軽鎖及び重鎖を含む抗体が、本発明に提供される。軽鎖と関連して、特定の具体例において、本発明に説明される抗体の軽鎖は、カッパ軽鎖である。他の特定の具体例において、本発明に説明される抗体の軽鎖は、ラムダ軽鎖である。さらに他の特定の具体例において、本発明に説明される抗体の軽鎖は、ヒトカッパ軽鎖又はヒトラムダ軽鎖である。特定の具体例において、FAM19A5ポリペプチド(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する本発明に説明される抗体は、本発明に説明される任意のVL又はVL CDRアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、軽鎖の定常領域は、ヒトカッパ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。特定の具体例において、FAM19A5ポリペプチド(例えばヒトFAM19A5)に特異的に結合する本発明に説明される抗体は、本発明に説明されるVL又はVL CDRアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、軽鎖の定常領域は、ヒトラムダ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。ヒト定常領域配列の非制限的な例は、当業界に公知されている(例えば、米国特許第5,693,780号及びKabat E.A.et al.,(1991)(同上)参照)。
重鎖と関連して、一部の具体例において、本発明に説明される抗体の重鎖は、アルファ(α)、デルタ(δ)、エプシロン(ε)、ガンマ(γ)又はミュー(μ)重鎖であり得る。他の特定の具体例において、本発明に説明される抗体の重鎖は、ヒトアルファ(α)、デルタ(δ)、エプシロン(ε)、ガンマ(γ)又はミュー(μ)重鎖を含むことができる。一具体例において、FAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する本発明に説明される抗体は、本発明に説明されるVH又はVH CDRアミノ酸配列を含む重鎖を含み、重鎖の定常領域は、ヒトガンマ(γ)重鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。他の具体例において、FAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する本発明に説明される抗体は、本発明に開示のVH又はVH CDRアミノ酸配列を含む重鎖を含み、重鎖の定常領域は、本発明に説明されたり当業界に公知であるヒト重鎖のアミノ酸配列を含む。ヒト定常領域配列の非制限的な例は、当業界に公知されている(例えば、米国特許第5,693,780号及びKabat E.A.et al.,(1991)(同上)参照)。
一部の具体例において、FAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する本発明に説明される抗体は、本発明に説明されるVH又はVH CDR及びVL又はVL CDRを含むVLドメイン及びVHドメインを含み、定常領域は、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA又はIgY免疫グロブリン分子、又はヒトIgG、IgE、IgM、IgD、IgA又はIgY免疫グロブリン分子の定常領域のアミノ酸配列を含む。他の特定の具体例において、FAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する本発明に説明される抗体は、本発明に説明される任意のアミノ酸配列を含むVLドメイン及びVHドメインを含み、定常領域は、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA又はIgY免疫グロブリン分子、免疫グロブリン分子の任意の亜型(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)の定常領域のアミノ酸配列を含む。一部の具体例において、定常領域は、亜型(例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)及びアロタイプ(例えば、G1m、G2m、G3m及びnG4m)及びこれらの変異体を含む、自然発生したヒトIgGの定常領域のアミノ酸配列を含む(例えば、Vidarsson G.et al.,Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開)及びJefferis R.and Lefranc M.P.,mAbs 1:4,1-7(2009)参照)。一部の具体例において、定常領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4、又はこれらの変異体の定常領域のアミノ酸配列を含む。
特定の具体例において、本発明に開示の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、Fcエフェクター機能、例えば補体依存性細胞毒性(CDC)及び/又は抗体依存性細胞食作用(ADCP)を有しない。先天免疫システムのエフェクター細胞上でC1q(補体)及びIgG-Fc受容体(FcγR)に対して非常に重なった結合部位を含有するために、エフェクター機能はFc領域によって媒介され、Fc領域のCH2ドメインにおいてヒンジ領域に一番近接している残基が抗体のエフェクター機能を担当する。また、IgG2及びIgG4抗体は、IgG1及びIgG3抗体に比べてより低いレベルのFcエフェクター機能を有する。抗体のエフェクター機能は、次のような当業界に公知の異なる接近法によって減少又は回避可能である:(1)Fc領域を欠如した抗体断片(例えば、Fab、F(ab’)2、単鎖Fv(scFv)、又はモノマーVH又はVLドメインから構成されたsdAb)の使用;(2)糖が付着した残基の欠失又は変更、糖の酵素的除去、グリコシル化抑制剤の存在の下に培養された細胞における抗体の生成、又はタンパク質をグリコシル化できない細胞(例えば、バクテリア宿主細胞、米国出願公開第20120100140号参照)における抗体の発現によって生成され得る、非グリコシル化抗体の生成;(3)エフェクター機能が減少したIgG亜型からFc領域(例えば、IgG2又はIgG4抗体のFc領域、又はIgG2又はIgG4抗体のCH2ドメインを含むキメラFc領域、米国出願公開第20120100140号及びLau C.et al.,J.Immunol.191:4769-4777(2013)参照)の利用;及び(4)減少したり又はないFc機能をもたらす突然変異を有するFc領域の生成(例えば、米国出願公開第20120100140号及びそこに引用された米国出願及びPCT公報、及びAn et al.mAbs 1:6,572-579(2009)参照)。
したがって、一部の具体例において、本発明に開示の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、単鎖Fv(scFv)、又はモノマーVH又はVLドメインから構成されたsdAbである。このような抗体断片は当業界に公知であり、上に詳述した。
一部の具体例において、本発明に開示の抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、Fcエフェクター機能が減少したり又はないFc領域を含む。一部の具体例において、定常領域は、ヒトIgG2やIgG4のFc領域のアミノ酸配列を含む。一部の具体例において、抗FAM19A5抗体は、IgG2/IgG4アイソタイプである。一部の具体例において、抗FAM19A5抗体は、IgG4アイソタイプのIgG抗体のCH2ドメインとIgG1アイソタイプのIgG抗体のCH3ドメインを含むキメラFc領域、又はIgG2のヒンジ領域とIgG4のCH2領域を含むキメラFc領域、又は減少したり又はないFc機能をもたらす突然変異を有するFc領域を含む。Fcエフェクター機能が減少したり又はないFc領域は、当業界に公知のものを含む(例えば、Lau C.et al.,J.Immunol.191:4769-4777(2013);An et al.,mAbs1:6,572-579(2009);及び米国出願公開第20120100140号及びそこに引用された米国特許及び公報及びPCT公報を参照)。また、Fcエフェクター機能が減少したり又はないFc領域は、当業者にとって容易に製造可能である。
V.核酸分子
本発明に説明される他の態様は、本発明に説明される抗体又はその抗原結合部分のいずれか一つを暗号化する一つ以上の核酸分子の使用に関する。核酸は、全細胞の一部として、細胞溶解物として、又は部分的に精製された形態や実質的に純粋な形態として使用可能である。核酸は、アルカリ性/SDS処理、CsClバンディング、カラムクロマトグラフィー、制限酵素、アガロースゲル電気泳動及び当業界に公知の他の技術を含む標準技術によって、他の細胞成分又は他の汚染物、例えば他の細胞核酸(例えば、他の染色体DNA、例えば、自然から分離されたDNAに連結された染色体DNA)又はタンパク質から精製されたとき、“分離されたり”又は“実質的に純粋である”とする(F.Ausubel,et al.,ed.(1987)Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing and Wiley Interscience,New York参照)。本発明の方法に有用な核酸は、例えばDNA又はRNAでよく、イントロン配列を含有しても又は含有しなくてもよい。特定の具体例において、本発明の方法に有用な核酸は、cDNA分子である。
本発明に説明される核酸は、標準分子生物学技術を用いて得ることができる。ハイブリドーマ(例えば、より詳細に後述されるとおりに、ヒト免疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェニックマウスから製造されたハイブリドーマ)によって発現した抗体の場合、このハイブリドーマによって製造された抗体の軽鎖及び重鎖を暗号化するcDNAを、標準PCR増幅又はcDNAクローニング技術によって得ることができる。(例えば、ファージディスプレイ技術を用いた)免疫グロブリン遺伝子ライブラリーから得られた抗体の場合、この抗体を暗号化する核酸をライブラリーから回収できる。
本発明の方法に有用な特定の核酸分子は、本発明の様々な抗FAM19A5抗体のVH及びVL配列を暗号化するものである。このような抗体のVH配列を暗号化する例示的なDNA配列が、SEQ ID NO:43-46及び177に提示される。抗FAM19A5抗体のVH配列を暗号化する追加の例示的なDNA配列が、表6(下)に提供される。このような抗体のVL配列を暗号化する例示的なDNA配列は、SEQ ID NO:47-50及び178に提示される。抗FAM19A5抗体のVL配列を暗号化する追加の例示的なDNA配列が、表7(下)に提供される。
本発明の方法に有用なVH及びVLセグメントを暗号化するDNA断片が得られた後、これらのDNA断片は、例えば、可変領域遺伝子を全長抗体鎖遺伝子、Fab断片遺伝子又はscFv遺伝子に転換するために、標準組換えDNA技術によってさらに操作され得る。これらの操作において、VL-又はVH-暗号化DNA断片は、抗体定常領域又は可撓性リンカーのような他のタンパク質を暗号化する他のDNA断片に作動可能に連結される。これに関連して用いられた用語“作動可能に連結された”は、2個のDNA断片によって暗号化されたアミノ酸配列がインフレーム(in-frame)を保持するように2個のDNA断片が連結されることを意味する。
本発明の方法に有用なVH領域を暗号化する分離されたDNAは、VH暗号化DNAを重鎖定常領域(ヒンジ、CH1、CH2及び/又はCH3)を暗号化する他のDNA分子に作動可能に連結することによって、全長重鎖遺伝子に転換できる。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は当業界に知られており(例えば、Kabat,E.A.,et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242参照)、これらの領域を含むDNA断片が標準PCR増幅によって得られる。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM又はIgD定常領域、例えばIgG2及び/又はIgG4定常領域であり得る。Fab断片重鎖遺伝子の場合、VH暗号化DNAは、単に重鎖CH1定常領域のみを暗号化する他のDNA分子に作動可能に連結され得る。
本発明の方法に有用なVL領域を暗号化する分離されたDNAは、VL暗号化DNAを軽鎖定常領域CLを暗号化する他のDNA分子に作動可能に連結することによって全長軽鎖遺伝子に転換できる。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は当業界に知られており(例えば、Kabat,E.A.,et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242参照)、これらの領域を含むDNA断片が標準PCR増幅によって得られる。軽鎖定常領域は、カッパ又はラムダ定常領域であり得る。
scFv遺伝子を生成するために、VH及びVL暗号化DNA断片が可撓性リンカーを暗号化する、例えばアミノ酸配列(Gly4-Ser)3を暗号化する他の断片に作動可能に連結されることによって、VLとVH領域が可撓性リンカーによって連結された状態でVH及びVL配列が連続単鎖タンパク質として発現し得る(例えば、Bird et al.,(1988)Science 242:423-426;Huston et al.,(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:5879-5883;McCafferty et al.,(1990)Nature 348:552-554参照)。
一部の具体例において、本発明は、本発明に開示の方法において抗体又はその抗原結合部分を暗号化するヌクレオチド配列を含む分離された核酸分子を含むベクターの使用を提供する。他の具体例において、ベクターは、遺伝子療法に用いることができる。
開示の方法に好適なベクターは、発現ベクター、ウイルスベクター、及びプラスミドベクターを含む。一具体例において、ベクターはウイルスベクターである。
本発明で用いられた発現ベクターは、適切な宿主細胞に導入されたとき、挿入されたコーディング配列の転写及び翻訳のための必須要素、又はRNAウイルスベクターの場合、複製及び翻訳のための必須要素を含有する任意の核酸構成物のことを指す。発現ベクターは、プラスミド、ファージミド、ウイルス、及びこれらの誘導体を含むことができる。
開示の方法のための発現ベクターは、本発明に開示の抗体又はその抗原結合部分を暗号化するポリヌクレオチドを含むことができる。一具体例において、抗体又はその抗原結合部分に対するコーディング配列は、発現制御配列に作動可能に連結される。本発明で用いられた2つの核酸配列は、各成分核酸配列が機能性を保有するように共有連結された時に作動可能に連結されたものである。コーディング配列及び遺伝子発現制御配列は、コーティング配列の発現又は転写及び/又は翻訳が遺伝子発現制御配列の影響又は制御の下に共有連結された時に作動可能に連結されたものである。2つのDNA配列は、5’遺伝子発現配列においてプロモーターの誘導がコーディング配列の転写をもたらし、2つのDNA配列の連結の性格が(1)フレームシフト突然変異の導入をもたらさないか、(2)コーディング配列の転写を指示するプロモーター領域の能力を妨害しないか、又は(3)タンパク質に翻訳される相応するRNA転写体の能力を妨害しないと、作動可能に連結されたものである。したがって、コーティング核酸配列を転写させた場合、遺伝子発現配列はコーディング核酸配列に作動可能に連結されたものであるので、得られた転写体は、所望の抗体又はその抗原結合部分に翻訳される。
本発明の方法に有用なウイルスベクターは、制限ではないが、レトロウイルス、例えばモロニーマウス白血病ウイルス、Harveyマウス肉腫ウイルス、マウス乳房腫瘍ウイルス、及びRous肉腫ウイルス;レンチウイルス;アデノウイルス;アデノ関連ウイルス;SV40-タイプウイルス;ポリオマウイルス;エプスタインバールウイルス;乳頭腫ウイルス;ヘルパスウイルス;牛痘ウイルス;ポリオウイルス;及びRNAウイルス、例えばレトロウイルスのようなウイルスからの核酸配列を含む。当業界によく公知された他のベクターも容易に用いることができる。特定のウイルスベクターは、非必須遺伝子が関心遺伝子に置換された非細胞変性(non-cytopathic)真核生物ウイルスに基づく。非細胞変性ウイルスは、レトロウイルスを含み、その生涯周期はゲノムウイルスRNAのDNAへの逆転写と後続して宿主細胞DNAへのプロウイルス統合を伴う。レトロウイルスは、ヒト遺伝子療法試験のために承認された。複製欠陥があるレトロウイルス(すなわち、所望のタンパク質の合成を指示できるが、感染性粒子は製造できない。)が最も有用である。このような遺伝子変更されたレトロウイルス発現ベクターは、生体内遺伝子の高効能形質導入(transduction)において通常の有用性を有する。複製欠陥レトロウイルスを生成する標準プロトコル(プラスミドへの外来遺伝子物質の統合、プラスミドにパッケージングセルラインをトランスフェクション、パッケージングセルラインによる組換えレトロウイルスの生成、組織培養培地からのウイルス粒子の収集、及びウイルス粒子で標的細胞を感染する段階を含む。)は、Kriegler,M.,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,W.H.Freeman Co.,New York(1990)及びMurry,E.J.,Methods in Molecular Biology,Vol.7,Humana Press,Inc.,Cliffton,N.J.(1991)に提供される。
一具体例において、本発明の方法に有用なウイルスは、二本鎖DNAウイルスであるアデノ関連ウイルスである。アデノ関連ウイルスは、複製欠陥があるように操作されてよく、広範囲な細胞タイプ及び種を感染させることができる。また、アデノ関連ウイルスは、熱及び脂質溶媒安定性;造血細胞を含む様々な系統の細胞における高い形質導入頻度;及び菌交代症抑制の欠如のような利点があるので、多重形質導入が可能である。報告されたことによれば、アデノ関連ウイルスは、部位特定方式でヒト細胞DNAに統合され得るので、挿入突然変異誘発の確率及びレトロウイルス感染の挿入された遺伝子発現特徴の変動性を最小化する。これに加えて、野生型アデノ関連ウイルス感染が選択圧の不在下に100継代以上の間に組織培養物において追跡されたが、これは、アデノ関連ウイルスゲノム統合が相対的に安定しているイベントであることを示唆する。また、アデノ関連ウイルスは、染色体外方式で働き得る。
他の具体例において、本発明の方法に有用なベクターは、レンチウイルスから由来する。特定の具体例において、ベクターは、非分裂細胞を感染させることができる組換えレンチウイルスのベクターである。
レンチウイルスゲノム及びプロウイルスDNAは、典型的にレトロウイルスから発見される3個の遺伝子gag、pol及びenvを有し、これらの側面には2個の長い末端反復部(LTR)配列がある。gag遺伝子は、内部構造(基質、カプシド及びヌクレオカプシド)タンパク質を暗号化し、pol遺伝子は、RNA指定DNA重合酵素(逆転写酵素)、プロテアーゼ及びインテグラーゼを暗号化し、env遺伝子は、ウイルス外皮糖タンパク質を暗号化する。5’及び3’LTRは、ビリオンRNAの転写及びポリアデニル化を促進する作用を有する。LTRは、ウイルス複製に必要な他のシス作用配列を全て含有する。レンチウイルスは(HIV-1、HIV-2及び/又はSIVにおいて)vif、vpr、tat、rev、vpu、nef及びvpxを含む追加の遺伝子を有する。
5’LTRに隣接して、ゲノムの逆転写に必要な配列(tRNAプライマー結合部位)が存在し、これは、粒子へのウイルスRNAのアンカプシデーションに効果的である(Psi部位)。アンカプシデーション(又は、感染性ビリオンにレトロウイルスRNAのパッケージング)に必須な配列がウイルスゲノムから欠如する場合、このシス欠陥はゲノムDNAのアンカプシデーションを防止する。
しかし、得られた突然変異は、全てのビリオンタンパク質の合成を相変らず指示できる。また、パッケージング機能を有する2つ以上のベクター、すなわち、rev及びtatだけでなくgag、pol及びenvで宿主細胞をトランスフェクションすることを含む非分裂細胞を感染させることができる組換えレンチウイルスが本発明に有用である。下に開示されるとおり、機能的tat遺伝子を欠如したベクターは特定用途に好ましい。したがって、例えば、第1ベクターは、ウイルスgagとウイルスpolを暗号化する核酸を提供し、第2ベクターは、ウイルスenvを暗号化する核酸を提供し、パッケージング細胞が生成され得る。パッケージング細胞に、移植ベクターとして本発明から確認された、異種性遺伝子を提供するベクターを導入することは、関心の外来遺伝子を有する感染性ウイルス粒子を放出するプロデューサー(producer)細胞を提供する。
ベクター及び外来遺伝子の上述した構成形態によって、第2ベクターはウイルス外皮(env)遺伝子を暗号化する核酸を提供することができる。env遺伝子は、レトロウイルスを含む、略全ての適切なウイルスから由来し得る。一部の具体例において、envタンパク質は、ヒト及び他の種の細胞を形質導入させる両種性外皮タンパク質である。
レトロウイルス由来env遺伝子の例は、、制限ではないが、Moloneyマウス白血病ウイルス(MoMuLV又はMMLV)、Harveyマウス肉腫ウイルス(HaMuSV又はHSV)、マウス乳房腫瘍ウイルス(MuMTV又はMMTV)、テナガザル(gibbon)サル白血病ウイルス(GaLV又はGALV)、ヒト免疫欠乏ウイルス(HIV)及びRous肉腫ウイルス(RSV)から由来した遺伝子を含む。他のenv遺伝子、例えば、水疱性口内炎ウイルス(VSV)タンパク質G(VSV G)、肝炎ウイルス及びインフルエンザーから由来したものも用いられ得る。
ウイルスenv核酸配列を提供するベクターは、本明細書で説明された調節配列と作動可能に会合される。
特定の具体例において、本発明の方法に有用なベクターは、非分裂細胞を形質導入するベクターの能力を損傷させずにHIV病毒性遺伝子env、vif、vpr、vpu及びnefが欠失されたレンチウイルスベクターを含む。
一部の具体例において、ベクターは、3’LTRのU3領域の欠失を含むレンチウイルスベクターを含む。U3領域の欠失は、完全欠失又は部分欠失であり得る。
一部の具体例において、本発明に説明されるFVIIIヌクレオチド配列を含む本発明のレンチウイルスベクターは、細胞で(a)gag、pol、又はgag及びpol遺伝子を含む第1ヌクレオチド配列、及び(b)異種性env遺伝子を含む第2ヌクレオチド配列でトランスフェクションされてよく、このとき、レンチウイルスベクターは機能的tat遺伝子を欠如する。他の具体例において、細胞は、rev遺伝子を含む第4ヌクレオチド配列でさらにトランスフェクションされる。特定の具体例において、レンチウイルスベクターはvif、vpr、vpu、vpx及びnef、又はこれらの任意の組合せから選択された機能的遺伝子を欠如する。
特定の具体例において、レンチウイルスベクターは、gagタンパク質、Rev反応要素、中心ポリプリントラック(cPPT)、又はこれらの任意の組合せを暗号化する一つ以上のヌクレオチド配列を含む。
レンチウイルスベクターの例は、WO9931251、WO9712622、WO9817815、WO9817816、及びWO9818934に開示され、これらはその全体が本明細書に参照されることによって組み込まれる。
本発明の方法に有用な他のベクターは、プラスミドベクターを含む。プラスミドベクターは、当業界に広範囲に公知されている(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989参照)。ここ数年間、プラスミドベクターは、宿主ゲノム内で複製及び統合されない特性から、生体内で細胞に遺伝子を送達するのに特に有益なものと判明された。しかし、宿主細胞と両立するプロモーターを持つプラスミドは、プラスミド内で作動可能に暗号化された遺伝子からペプチドを発現させることができる。商業的供給者から入手可能なプラスミドは、pBR322、pUC18、pUC19、様々なpcDNAプラスミド、pRC/CMV、様々なpCMVプラスミド、pSV40、及びpBlueScriptを含む。特定のプラスミドの追加の例は、pcDNA3.1、カタログ番号V79020;pcDNA3.1/hygro、カタログ番号V87020;pcDNA4/myc-His、カタログ番号V86320;及びpBudCE4.1、カタログ番号V53220を含む(いずれもInvitrogen(Carlsbad,CA.)製)。他のプラスミドも当業者によく知られている。さらに、プラスミドは、DNAの特定断片を除去及び/又は付加するために標準分子生物学技術を用いて注文設計され得る。
VI.抗体生成
FAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に免疫特異的に結合する抗体又はその断片は、抗体の合成のための当業界に公知された任意の方法によって、例えば化学的合成又は組換え発現技術によって生成され得る。本発明に説明される方法は、別に断りのない限り、分子生物学、微生物学、遺伝子分析、組換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチド合成及び変形、核酸混成化、及び当業界技術範囲における関連分野の従来の技術を用いる。これらの技術は、本発明に引用された参考資料に記述され、文献に十分に説明されている(例えば、Maniatis T et al.,(1982)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Sambrook J et al.,(1989),Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Sambrook J et al.,(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;Ausubel FM et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons(1987 and annual updates);Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons(1987 and annual updates)Gait(ed.)(1984)Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press;Eckstein(ed.)(1991)Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,IRL Press;Birren B et al.,(eds.)(1999)Genome Analysis:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press参照)。
特定の具体例において、本発明に説明される抗体は、例えば合成、DNA配列の遺伝子操作を用いた生成を伴う任意の手段によって製造、発現、生成又は分離された抗体(例えば、組換え抗体)である。特定の具体例において、このような抗体は、生体内動物又は哺乳類(例えば、ヒト)の抗体ジャームラインレパートリー内に自然的に存在しない配列(例えば、DNA配列又はアミノ酸配列)を含む。
VII.製薬学的組成物
所望の程度の純度を有する本発明の方法に有用な抗体又はその抗原結合部分を、生理学的に許容される担体、賦形剤及び/又は安定剤中に含む組成物が、本発明に提供される(Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)Mack Publishing Co.,Easton,PA)。許容される担体、賦形剤又は安定剤は、用いられた投薬量及び濃度において受恵者にとって非毒性であり、
バッファ、例えばホスフェート、シトレート及びその他の有機酸;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10個残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えは、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリジン(lysine);単糖類、二糖類及びグルコース、マンノース又はデキストリンを含むその他炭水化物;キレート化剤、例えはEDTA;糖、例えは、スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール;塩形成対イオン、例えばナトリウム;金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体);及び/又は非イオン性界面活性剤、例えば、TWEENTMTM、PLURONICSTM又はポリエチレングリコール(PEG);を含む。
一部の具体例において、本発明の方法に有用な製薬学的組成物は、本発明に説明される抗体又はその抗原結合部分、二重特異的分子、又は免疫コンジュゲート、及び選択的に一つ以上の追加の予防又は治療剤を、製薬学的に許容される担体中に含む。一部の具体例において、製薬学的組成物は、本発明に説明される抗体又はその抗原結合部分の有効量、及び選択的に一つ以上の追加の予防又は治療剤を、製薬学的に許容される担体中に含む。一部の具体例において、抗体は、製薬学的組成物に含まれた唯一の活性成分である。本発明に説明される製薬学的組成物は、FAM19A5活性を減少させるのに有用であり得るので、粥状硬化症のような心血管関連疾患又は障害を治療できる。
非経口製剤において用いられる製薬学的に許容される担体は、水性ビークル、非水性ビークル、抗菌剤、等張剤、バッファ、抗酸化剤、局所痲酔剤、懸濁及び分散剤、乳化剤、金属イオンの封鎖又はキレート化剤及びその他の製薬学的に許容される物質を含む。水性ビークルの例は、塩化ナトリウム注射液、点滴注射液、等張デキストロース注射液、滅菌水注射液、デキストロース及びラクテート点滴注射液を含む。非水性非経口ビークルは、植物起源の固定油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油及びピーナッツ油を含む。静菌又は静真菌濃度の抗微細物剤が、多回容量容器にパッケージされた非経口製剤に添加されてもよく、フェノール又はクレゾール、水銀含有物質、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピルp-ヒドロキシベンゾ酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンゼトニウムを含む。等張剤は、塩化ナトリウム及びデキストロースを含む。バッファは、ホスフェート及びシトレートを含む。抗酸化剤は、重硫酸ナトリウムを含む。局所痲酔剤は、プロカイン塩酸塩を含む。懸濁及び分散剤は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンを含む。乳化剤は、Polysorbate 80(TWEEN(登録商標) 80)を含む。金属イオンの封鎖又はキレート化剤は、EDTAを含む。製薬学的担体はまた、水混和性ビークル用のエチルアルコール、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールを含み、pH調整のための水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸又は乳酸を含む。
本発明の方法に有用な製薬学的組成物は、対象に対する任意の投与経路に応じて製剤化できる。皮下、筋肉内、腹腔内又は静脈内注射を特徴とする非経口投与が、本発明において考慮される。注射可能物質は、従来の形態として、液体溶液又は懸濁液、注射前に液体中で溶液又は懸濁液になるに適した固体形態又はエマルジョンとして製造され得る。注射可能物質、溶液及びエマルジョンはまた、1つ以上の賦形剤を含有する。適切な賦形剤は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール又はエタノールである。これに加えて、必要な場合、投与する製薬学的組成物はまた、湿潤又は乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解度増進剤のような少量の非毒性補助物質、及び他の製剤、例えば酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレート及びシクロデキストリンを含有できる。
抗体の非経口投与用製剤は、即席注射可能な滅菌液、皮下注射用錠剤を含む使用直前に溶媒と即席調合できる凍結乾燥粉末のような滅菌乾燥可溶性製品、即席注射可能な滅菌懸濁液、使用直前にビークルと即席調合できる滅菌乾燥不溶性製品及び滅菌エマルジョンを含む。溶液は、水性又は非水性であり得る。
静脈内投与の場合、適切な担体は、生理食塩水又はリン酸緩衝食塩水(PBS)、及びグルコース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びこれらの混合物のような増粘剤及び可溶化剤を含有する溶液を含む。
抗体を含む局部用混合物は、局所及び全身投与に対して説明の通りに製造される。得られた混合物は、溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり得、クリーム、ゲル、軟膏、エマルジョン、溶液、エリキシル、ローション、懸濁液、チンキ、ペースト、フォーム、エアゾール、灌注液、スプレー、坐薬、包帯、皮膚パッチ又は局部投与に適した任意の他の剤形として剤形化できる。
本明細書に説明された抗体又はその抗原結合部分は、例えば、吸入による局部用エアゾールとして剤形化できる(例えば、米国特許第4,044,126号、第4,414,209号及び第4,364,923号を参照。これらの出願は、炎症性疾患、特に、喘息の治療に有用なステロイド伝達用エアゾールを開示する。)。気道投与用のこれらの剤形は、噴霧器用エアゾール又は溶液形態であるか、吸入剤用マイクロ波である粉末であり得、単独で使用されたり、又はラクトースのような非活性担体と組み合わせることができる。このような場合、製剤の粒子は、一具体例において、50ミクロン未満の直径、一具体例では10ミクロン未満の直径を有する。
本発明の方法に有用な抗体又はその抗原結合部分は、局所又は局部的適用、例えば、皮膚粘膜への局部的適用のために、ゲル、クリーム及びローションとして製剤化できる。局部的投与は、経皮伝達用として考慮され、また、粘膜投与又は吸入療法用としても考慮される。単独で、或いは他の製薬学的に許容される賦形剤との組合せで前記抗体の点鼻液(nasal solution)が投与されてもよい。
イオン泳動及び電気泳動装置を含む経皮パッチは、当業者には周知であり、抗体を投与するために用いることができる。例えば、このようなパッチは、米国特許番号第6,267,983号、第6,261,595号、第6,256,533号、第6,167,301号、第6,024,975号、第6,010,715号、第5,985,317号、第5,983,134号、第5,948,433号及び第5,860,957号に開示されている。
特定の具体例において、本発明の方法に有用な抗体又はその抗原結合部分を含む薬剤学的組成物は、凍結乾燥した粉末であり、該粉末は、溶液、エマルジョン及びその他の混合物として投与用に再構成され得る。凍結乾燥した粉末はまた、固体又はゲルとして再構成及び製剤化できる。前記凍結乾燥した粉末は、本発明に説明された抗体又はその抗原結合部分、又はその薬剤学的に許容される誘導体を適切な溶媒に溶解させてなる。一部の具体例において、凍結乾燥した粉末は、滅菌状態である。前記溶媒は、前記粉末又は前記粉末から製造された再構成溶液の安定性又はその他の薬理学的成分を改善する賦形剤を含有できる。使用可能な賦形剤は、デキストロース、ソルビトール、フルクトース、トウモロコシシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース又はその他の適切な製剤を含むが、これに限定されない。前記溶媒はまた、シトレート、リン酸ナトリウム又はリン酸カリウムのようなバッファ、又は一具体例において、略中性pHの他のこのような緩衝剤を含有できる。次いで、前記溶液を滅菌濾過した後、当業者に公知された標準条件で凍結乾燥させ、所望の剤形を提供する。一具体例において、前記得られた溶液は、凍結乾燥用バイアルに配分され得る。各バイアルは、前記化合物の単一投与量又は多回の投与量を含有できる。前記凍結乾燥した粉末は、適切な条件下で、例えば、約4℃~室温で保管され得る。
凍結乾燥した粉末を注射用水によって再構成し、非経口投与用の製剤を提供する。再構成のために、凍結乾燥した粉末を、滅菌水又は他の適切な担体に添加する。その正確な量は、選択した化合物によって異なる。このような量は、経験的に決定できる。
本発明の方法に有用な抗体又はその抗原結合部分、二重特異的分子又は免疫コンジュゲート、及び本明細書に提供された他の組成物はまた、治療する対象の特定組織、受容体又は他の身体領域を標的にするよう剤形化されてもよい。多くの標的化方法が当業者によく知られている。本発明において、このような標的化方法はいずれも、本組成物に使用することが考慮される。標的化方法の非制限的な例については、例えば、米国特許第6,316,652号、第6,274,552号、第6,271,359号、第6,253,872号、第6,139,865号、第6,131,570号、第6,120,751号、第6,071,495号、第6,060,082号、第6,048,736号、第6,039,975号、第6,004,534号、第5,985,307号、第5,972,366号、第5,900,252号、第5,840,674号、第5,759,542号及び第5,709,874号を参照する。特定の具体例において、本発明の方法に有用な抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、粥状硬化症を治療し及び/又は粥状硬化症に関連した一つ以上の症状(例えば、増加した総コレステロール、LDL、トリグリセリドレベル、減少したHDLレベル、及び/又はプラーク内におけるオキソLDL誘導泡沫細胞の増加した数及び/又は滞留)を減少、緩和、又は抑制するために用いることができる。
生体内投与に用いられる組成物は、滅菌され得る。例えば、滅菌濾過膜を用いた濾過によって容易に滅菌され得る。
VIII.キット
本発明の方法に有用な一つ以上の抗体、又はその抗原結合部分、二重特異的分子、又はその免疫コンジュゲートを含むキットが、本発明に提供される。特定の具体例において、本発明に提供された一つ以上の抗体又はその抗原結合部分のような、本発明の方法に有用な製薬学的組成物の成分の一つ以上で満たされた一つ以上の容器及び選択的に使用説明書を含む製薬学的パック又はキットが、本発明に提供される。一部の具体例において、キットは、本発明の方法に有用な製薬学的組成物及び本発明に説明されたような任意の予防剤又は治療剤を含有する。
実施例
実施例1:粥状硬化症のマウスモデルにおける抗FAM19A5抗体の生体内投与後体重の評価
粥状硬化症に対する抗FAM19A5抗体治療の効果評価を開始するために、粥状硬化症傾向があるC57BL/6アポ脂肪タンパク質E欠乏(Apoe-/-)マウス(Jackson Laboratory、米国)を使用した。簡単に言えば、Apoe-/-マウスに5週間高脂肪(高コレステロール性)食餌(TD.88137照射された完全カロリー食餌、42%総脂肪、Halan Laboratories,Inc.、米国)を提供し、粥状硬化症を誘導した。次に、ヒトIgG対照群抗体(10mg/kg)又は抗FAM19A5抗体(クローン“3-2”)を総6週間毎週1回静脈内投与した。抗FAM19A5抗体は、2つの異なる濃度(5mg/kg又は10mg/kg)で関連マウスに投与された。正常の(すなわち、正常食餌(+40 RMM-SP-10照射された完全食、15.2%タンパク質、SAFE Inc.、フランス))健康なマウスを対照群として用いた。正常マウスと高コレステロール血症マウスは、実験期間に亘って各自の食餌を維持した。体重及び通常の臨床観察を、治療期間に亘ってモニタリングした。最後の抗体を投与して1週後に、異なる治療グループのマウスを犠牲させ、分析した。表8に、異なる治療グループを示す。
表9(下)及び図1に示すように、正常食餌(グループ1)が提供された動物と比較して、高脂肪食餌が提供された動物はいずれも実験過程中に体重が増加した。グループ1、3及び4の全ての動物は全実験期間で生存した(すなわち、42日)。しかし、グループ2(対照群ヒトIgG抗体で治療された高コレステロール血症マウス)では、実験が終わるまで10匹のマウスのうち3匹が死んだ。死んだ3匹マウスのうち2匹は、死ぬ前に異常症状(例えば、痙攣及び歩行障害)を示した。異なる治療グループのマウスでは有意な異常は観察されなかった。
前記結果は、抗FAM19A5抗体の投与が高コレステロール血症動物の体重には有意な影響を及ぼさないということを示唆する。しかし、抗FAM19A5治療は、抗ヒトIgG対照群抗体で治療された高コレステロール血症グループにおいて死んだ3匹のマウスから証明されたとおり、生存を促進することができる。
実施例2:LDLレベルに対する抗FAM19A5抗体治療の効果評価
LDLレベルに対する抗FAM19A5抗体治療の効果を評価するために、実施例1に説明された高コレステロール血症マウスを再び使用した。簡単に言えば、異なるグループのマウスを、最後の抗体を投与して略1週(すなわち、最初抗体投与後7週)後に犠牲させた。腹部静脈から血液(約1mL)を採取し、EDTA-2Kで処理し、遠心分離し(室温で10分間約3000rpm)、血漿を除去した。次に、マウスのLDLレベルを測定した。
表10(下)に示すように、ヒトIgG対照群抗体(グループ2)で治療されたマウスと比較して、抗FAM19A5抗体(グループ3及び4)で治療された高コレステロール血症マウスのLDLレベルが若干減少した(図2参照)。
前記結果は、抗FAM19A5治療が高コレステロール血症動物の血中LDLレベルを低下させることによって粥状硬化症の治療に役立ち得るということを示唆する。LDLレベルのこういう減少は、血中に減少した総コレステロールレベルを意味できる。
実施例3:大動脈上の粥状硬化症病変部位への大食細胞の遊走に対する抗FAM19A5抗体治療効果の免疫組織化学分析
死んだ細胞及び酸化したLDLの大食細胞による食作用は、粥状硬化症プラークの掃除に重要である。したがって、抗FAM19A5治療が血管の粥状硬化症病変部位における単球/大食細胞の蓄積及び/又は食作用特性にどのような影響を及ぼすかを決定するために、実施例1で説明された高コレステロール血症マウスの大動脈におけるCD68及びC146の発現を評価した。CD68及びCD146は、組織内の脂肪を持つ大食細胞(泡沫細胞)を検出するために通常用いられるマーカーである。
簡単に言えば、異なるグループのマウスを、最後の抗体を投与して略1週(すなわち、最初抗体投与後7週)後に犠牲させた。マウスから心臓と大動脈を分離する前に、PBSと4%パラホルムアルデヒドで順に心臓潅流を行った。心臓と大動脈を収集し、10%中性ホルマリンに固定させた。次に、組織サンプルをCD68とCD146で染色し、組織サンプルの全病変領域における泡沫細胞又は脂肪を持つ大食細胞の存在を決定した。
図3A~図3Dに示すように、正常の健康なマウス(グループ1)と比較して、高コレステロール血症マウス(グループ2、3及び4)の大動脈におけるCD68及びCD146の発現が増加した。このような増加は、抗FAM19A5抗体で治療された高コレステロール血症マウスにおいて遥かに明確であった。
この結果は、抗FAM19A5抗体が、高コレステロール血症動物の大動脈内の粥状硬化症病変部位へのCD68及びCD146を発現させる脂肪を持つ大食細胞(泡沫細胞)の遊走及び活性化を促進できるということを示唆する。
実施例4:BV2細胞の食作用活性に対する抗FAM19A5抗体治療効果の評価
抗FAM19A5抗体治療が大食細胞機能に影響を及ぼすか否かを評価するために、BV細胞(不滅化されたマウス小膠細胞セルライン)を使用した。簡単に言えば、BV2細胞(4×103/100μL/ウェル)を96ウェルプレート上にプレーティングし、6時間、37℃、5% CO2でインキュベーションした。次に、BV2細胞をヒトFAM19A5-Fcタンパク質(0.25μM、Lot# 170815)で単独で又は様々な濃度(25μg/mL、12.5μg/mL、6.25μg/mL、又は3.125μg/mL)の抗FAM19A5抗体(クローン“1-30”;Lot# A5ml80831)と組み合わせて処理した。処理された細胞を37℃、5%CO2で16時間さらにインキュベーションした。インキュベーション後、細胞にPHRODOTM Green E.coli BioParticles(Thermofisher,P35366)を添加した(15μg/100μL/ウェル)。次に、INCUCYTE(登録商標)(Sartorius)を用いて1時間ごとに緑色蛍光強度を測定することによって、BioParticlesの食作用性吸収を観察した。
図4A及び図4Bに示すように、ヒトFAM19A5-Fcタンパク質によるBV2細胞の処理は、BV2細胞の食作用能力を抑制した。しかし、ヒトFAM19A5-Fcタンパク質と抗FAM19A5抗体の組合せによるBV2細胞の処理は、濃度依存的方式で食作用を回復させた。BioParticlesで処理して略9時間後、対照群(すなわち、ヒトFAM19A5-Fcタンパク質単独)と比較して3.125、6.25、12.5、及び25μg/mL抗FAM19A5抗体から観察された食作用はそれぞれ、66%、68%、80%、91%、及び104%であった。
前記結果は、抗FAM19A5抗体がFAM19A5タンパク質処理後、BV2細胞の食作用能力を効果的に回復させることができることを証明する。要するに、以上の実施例は、抗FAM19A5抗体治療が、高コレステロール血症動物における脂質を持つ大食細胞の遊走性(例えば、血管壁上の粥状硬化症病変部位への)も機能性(例えば、食作用)も増進させることができるということを示唆する。このような大食細胞は、循環系からのLDLの吸収において重要であり得るので、血中LDLレベルを減少させることができる。
実施例5:BV2細胞による酸化したLDLの食作用に対する抗FAM19A5抗体治療効果の評価
大食細胞機能に対する抗FAM19A5抗体の効果をさらに評価するために、抗FAM19A5抗体処理後、酸化したLDLに食作用できるBV2細胞の能力を評価した。BV2細胞が96ウェルプレート上にプレーティングされ、ヒトFAM19A5-Fcタンパク質(0.25μM、Lot# 170815)で単独で又は様々な濃度の抗FAM19A5抗体と組み合わせて処理された。BV2細胞は、37℃5% CO2でインキュベーションされた。次に、細胞にOx-LDL(AbD Serotecから購入、Kidlington,Oxford,UK)が添加された。Ox-LDLの細胞含有量がOil Red Oを用いて測定された。INCUCYTE(登録商標)(Sartorius)を用いて1時間ごとにOil Red O強度を測定することによってOx-LDLの食作用性吸収を観察した。
実施例6:プラーク形成に対する抗FAM19A5抗体治療効果の評価
抗FAM19A5抗体が粥状硬化症に関連したプラーク形成に影響を及ぼすか否か評価するために、粥状硬化症傾向のあるC57BL/6アポ脂肪タンパク質E欠乏(Apoe-/-)マウス(Jackson Laboratory、米国)が用いられた。実施例1に説明されたとおり、高脂肪食餌を提供して動物の粥状硬化症を誘導した後、ヒトIgG対照群抗体又は抗FAM19A5抗体で治療した。最後の治療後、マウスを犠牲させ、Oil Red O染色を用いて血管壁におけるプラーク蓄積を評価した。
実施例7:BV2細胞によるTNF-αセクションに対する抗FAM19A5抗体治療効果の評価
粥状硬化症と関連した大食細胞に対する抗FAM19A5治療効果をさらに理解するために、BV2細胞を96ウェルプレート上にプレーティングし(5×103細胞/ウェル)5% CO2環境で37℃で6時間インキュベーションした。次に、細胞を次のように処理した:(i)5μL LPS(0.5μg/mL)単独、(ii)5μL LPS(0.5μg/mL)+5μL FAM19A5-Fcタンパク質(10μg/mL)、及び(iii)5μL LPS(0.5μg/mL)+5μL FAM19A5-Fcタンパク質(10μg/mL)+様々な濃度の抗FAM19A5抗体(クローン“1-30”)。抗FAM19A5抗体の最終濃度は、次の通りであった:100μg/mL、50μg/mL、25μg/mL、12.5μg/mL、6.25μg/mL、3.125μg/mL、1.5625μg/mL、及び0.78125μg/mL。処理された細胞を5% CO2環境で37℃で16~18時間さらにインキュベーションした。インキュベーション後、細胞を3分間、3,000rpmで遠心分離した。次に、異なるウェルの上澄液を収集し、Quantikine ELISAマウスTNF-α免疫分析法((R&D biosystems,cat# SMTA00B)を用いて、サンプルに存在するTNF-αの濃度を評価した。
図5に示すように、FAM19A5-Fcタンパク質は、対照群細胞(すなわち、LPS単独処理された細胞)と比較して、LPSで刺激後、BV2細胞によって生成されたTNF-αの量が非常に増加した。このような増進された効果は、抗FAM19A5抗体が細胞に添加された時に抑制された。抑制効果は、抗FAM19A5抗体が12.5μg/mLの濃度である時から観察された(IC50=11.5μg/mL)。
前記結果は、本発明に開示の抗FAM19A5抗体がFAM19A5タンパク質活性を効果的に中和させることができるので、FAM19A5タンパク質が粥状硬化症に関連した大食細胞に及ぼし得る炎症誘発効果を抑制及び/又は減少させることができることを証明する。
実施例8:末梢大食細胞に対する抗FAM19A5抗体治療効果の評価
末梢大食細胞に対する抗FAM19A5抗体治療の効果を評価するために、細胞死細胞に食作用するマウス骨髄由来大食細胞(“m-BMDMs”)の能力を評価した。
細胞死細胞を生成するために、マウスから胸腺細胞を分離し、1.0×106胸腺細胞/mLの一定の細胞濃度下にイオン化放射線2Gyに露出させた。細胞の細胞死状態をアネキシンV陽性及びヨード化プロピジウム陰性染色又は流細胞計数法によってTUNEL染色を用いて評価した。細胞の略60~70%が細胞死されたとき、細胞をPHRODOTM(Invitrogen)で標識し、後述するように食作用分析に用いた。
食作用を測定するために、m-BMDMを24ウェルプレート上にプレーティングし(2×105細胞/ウェル)、一晩インキュベーションした。次に、2% FBSを含有するDMEM/F12で30分間細胞を餓死させ、PHRODOTM標識されたアポトーシス性胸腺細胞(前記説明された)(4.0×106細胞/ウェル)と共に、次のいずれか一つの存在下にインキュベーションした:(i)対照群Fc、(ii)FAM19A5-Fcタンパク質、(iii)ヒトIgG対照群抗体、(iv)3-2抗FAM19A5抗体、及び(v)1-65抗FAM19A5抗体。異なる治療グループを、表11(下)に提示する。インキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し、トリプシン化し、1% NaN3を含有する冷たい媒体に再懸濁し、流細胞計数法によって分析した。前方及び側面散乱変数を用いて、貪食された標的と飽食細胞を区別した。このデータをFlowJoソフトウェアを用いて分析した。蛍光信号陽性BMDMが標的を貪食する飽食細胞であると見なされた。
図6A、図6B及び図8に示すように、FAM19A5-Fcタンパク質は、FAM19A5-Fcタンパク質で非処理されたm-BMDMと比較して、アポトーシス性胸腺細胞に食作用するm-BMDMの能力を抑制した(例えば、図6AにおいてA3及びA4対A5及びA6を参照)。しかし、細胞が抗FAM19A5抗体(3-2及び1-65抗体の両方)で処理されたとき、m-BMDMの食作用能力は、FAM19A5-Fcタンパク質で非処理された相応する細胞と類似であり(例えば、図7AのB5及びB6対図6AのA3及びA4を参照)、これは、抗FAM19A5抗体(特に、50nMの濃度)がFAM19A5-Fcタンパク質の活性を効果的に中和させたことを示唆する。
前記結果は、BV2細胞を用いて上で観察した結果(実施例4参照)を確認し、(本発明に開示のような)抗FAM19A5抗体の投与がまた、末梢大食細胞の機能的特性(例えば、食作用)を改善でき、粥状硬化症の治療に有用であることを証明する。
概要及び要約部分以外の詳細な説明の部分は、請求項を解釈するために用いられるように意図されることが認定されるべきである。概要及び要約部分は、本発明者によって考察されたとおり、本発明の全部ではなく、一つ以上の例示的な具体例を提示でき、よって、本発明及び添付する請求項をいかなる方法でも制限しようと意図しない。
本発明は、明示された機能とそれらの関係の実施形態を例示する機能的構成要素の補助下に説明されてきた。これらの機能的構成要素の境界は、説明の便宜のために任意に限定された。明示された機能とそれらの関係が適切に行われる限り、代案の境界も限定可能である。
特定の具体例に関する前述した説明は、本発明の一般的な性質を十分に表しているといえ、第三者は当業界の知識を適用することによって、本発明の一般的な概念から逸脱することなく過度な実験無しでこのような特定の具体例を様々な用途に合わせて容易に変形及び/又は改造できる。したがって、このような改造及び変形は、本明細書に提示された教示及び指針に基づいて開示された具体例の等価物の意味と範囲内にあるように意図される。本明細書に用いられた語句又は用語は、制限の目的ではなく説明の目的のためのものであることが理解されるべきであり、本明細書の用語又は語句は、教示及び指針に照らして当業者によって解釈されるべきである。
本発明の範囲及び領域は、前記説明された例示の具体例のいずれかによって制限されてはならず、添付の請求項及びその等価物によってのみ限定されるべきである。
本発明に引用された全ての刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト及び(ポリヌクレオチドとポリペプチド配列の両方を含む)受託番号/データベース配列は、各個別刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト又は受託番号/データベース配列が参考されて含まれるように、具体的にそして個別的に適示されたのと同じ範囲で全ての目的のためにその全体が参照されることによって本明細書に組み込まれる。
図1は、高コレステロール血症マウスの体重に対する抗FAM19A5抗体の効果を示す。マウスは、ヒトIgG対照群抗体(グループ2、黒三角)、又は2つの異なる濃度、すなわち5mg/kg(グループ3、白抜き四角)又は10mg/kg(グループ4)の抗FAM19A5抗体で治療された。正常マウス(すなわち、正常食餌;グループ1、白抜き三角)が対照群として用いられた。体重は、約42日間7つの異なる時点で測定された。
図2は、高コレステロール血症マウスのLDLレベルに対する抗FAM19A5抗体の効果を示す。マウスは、ヒトIgG対照群抗体(G2)、又は2つの異なる濃度、すなわち5mg/kg(G3)又は10mg/kg(G4)の抗FAM19A5抗体で治療された。正常マウス(すなわち、正常食餌;G1)が対照群として用いられた。データは、平均±S.D.で表示される。
図3A~図3Dは、異なる治療グループのマウスの大動脈におけるCD68(左パネル)及びCD146(右パネル)発現の免疫組織学分析を示す。図3Aは、正常マウス(すなわち、正常食餌)における発現を示す。図3Bは、ヒトIgG対照群抗体で治療された高コレステロール血症マウスにおける発現を示す。図3C及び図3Dは、2つの異なる濃度、すなわち5mg/kg及び10mg/kgの抗FAM19A5抗体で治療されたマウスにおける発現を示す。図示の映像は、100倍拡大したものである。
図3A~図3Dは、異なる治療グループのマウスの大動脈におけるCD68(左パネル)及びCD146(右パネル)発現の免疫組織学分析を示す。図3Aは、正常マウス(すなわち、正常食餌)における発現を示す。図3Bは、ヒトIgG対照群抗体で治療された高コレステロール血症マウスにおける発現を示す。図3C及び図3Dは、2つの異なる濃度、すなわち5mg/kg及び10mg/kgの抗FAM19A5抗体で治療されたマウスにおける発現を示す。図示の映像は、100倍拡大したものである。
図3A~図3Dは、異なる治療グループのマウスの大動脈におけるCD68(左パネル)及びCD146(右パネル)発現の免疫組織学分析を示す。図3Aは、正常マウス(すなわち、正常食餌)における発現を示す。図3Bは、ヒトIgG対照群抗体で治療された高コレステロール血症マウスにおける発現を示す。図3C及び図3Dは、2つの異なる濃度、すなわち5mg/kg及び10mg/kgの抗FAM19A5抗体で治療されたマウスにおける発現を示す。図示の映像は、100倍拡大したものである。
図3A~図3Dは、異なる治療グループのマウスの大動脈におけるCD68(左パネル)及びCD146(右パネル)発現の免疫組織学分析を示す。図3Aは、正常マウス(すなわち、正常食餌)における発現を示す。図3Bは、ヒトIgG対照群抗体で治療された高コレステロール血症マウスにおける発現を示す。図3C及び図3Dは、2つの異なる濃度、すなわち5mg/kg及び10mg/kgの抗FAM19A5抗体で治療されたマウスにおける発現を示す。図示の映像は、100倍拡大したものである。
図4A及び4Bは、BV2細胞の食作用能力に対する抗FAM19A5抗体の効果を示す。図4Aは、次のいずれか一つで処理されたBV2細胞における22時間のPHRODOTM Green E.coli BioParticlesの食作用性吸収を示す:(i)ヒトFc単独(“1”)、(ii)ヒトFAM19A5-Fcタンパク質単独(“2”)、又は(iii)様々な濃度(25μg/mL(“6”)、12.5μg/mL(“5”)、6.25μg/mL(“4”)、又は3.125μg/mL(“3”))の抗FAM19A5抗体と組み合わせられたヒトFAM19A5-Fcタンパク質。データは平均±S.D.で表示される。図4Bは、次のいずれか一つで処理されたBV2細胞の代表的な免疫蛍光イメージを提供する:(i)ヒトFc単独(左パネル)、(ii)ヒトFAM19A5-Fcタンパク質単独(中央パネル)、又は(iii)抗FAM19A5抗体(25μg/mL)と組み合わせられたヒトFAM19A5-Fcタンパク質(右パネル)。
図4A及び4Bは、BV2細胞の食作用能力に対する抗FAM19A5抗体の効果を示す。図4Aは、次のいずれか一つで処理されたBV2細胞における22時間のPHRODOTM Green E.coli BioParticlesの食作用性吸収を示す:(i)ヒトFc単独(“1”)、(ii)ヒトFAM19A5-Fcタンパク質単独(“2”)、又は(iii)様々な濃度(25μg/mL(“6”)、12.5μg/mL(“5”)、6.25μg/mL(“4”)、又は3.125μg/mL(“3”))の抗FAM19A5抗体と組み合わせられたヒトFAM19A5-Fcタンパク質。データは平均±S.D.で表示される。図4Bは、次のいずれか一つで処理されたBV2細胞の代表的な免疫蛍光イメージを提供する:(i)ヒトFc単独(左パネル)、(ii)ヒトFAM19A5-Fcタンパク質単独(中央パネル)、又は(iii)抗FAM19A5抗体(25μg/mL)と組み合わせられたヒトFAM19A5-Fcタンパク質(右パネル)。
図5は、BV2細胞によるTNF-α生産に対する抗FAM19A5抗体治療の効果を示す。同図の異なる治療グループは(左側から右側に)(1)LPS単独、(2)LPS+FAM19A5-Fcタンパク質、(3)LPS+FAM19A5-Fcタンパク質+0.78125μg/mLの抗FAM19A5抗体、(4)LPS+FAM19A5-Fcタンパク質+1.5625μg/mLの抗FAM19A5抗体、(5)LPS+FAM19A5-Fcタンパク質+3.125μg/mLの抗FAM19A5抗体、(6)LPS+FAM19A5-Fcタンパク質+6.25μg/mLの抗FAM19A5抗体、(7)LPS+FAM19A5-Fcタンパク質+12.5μg/mLの抗FAM19A5抗体、(8)LPS+FAM19A5-Fcタンパク質+25μg/mLの抗FAM19A5抗体、(9)LPS+FAM19A5-Fcタンパク質+50μg/mLの抗FAM19A5抗体、及び(10)LPS+FAM19A5-Fcタンパク質+100μg/mLの抗FAM19A5抗体を含む。データは、平均±S.D.で表示される。棒上の“***”は、LPS治療されたグループと比較して統計的に有意な差(p<0.005)を示す。棒上の“###”は、LPS+FAM19A5-Fcタンパク質治療されたグループと比較して統計的に互いに異なる差(p<0.005)を示す。
図6A及び図6Bは、マウス骨髄由来大食細胞(“BMDM”)の食作用能力に対するFAM19A5信号化の効果を示す。食作用能力は、流細胞計数法を用いて測定され、PHRODOTM発現に対して陽性であるマウスBMDMのパーセントで表示される。図6Aは、異なる治療グループのそれぞれに対する代表的なヒストグラムプロットを提供する(右上の象限に提供された値は、PHRODOTM発現に対して陽性であるBMDMのパーセントを表す)。図6Bは、3つの独立した験からの結果を要約した表を提供する。図6A及び図6Bに示す異なるBMDM治療グループは、次を含む:(A1)マウスBMDM単独、(A2)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞、(A3)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+対照群Fc(0.4μM)、(A4)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+対照群Fc(0.8μM)、(A5)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.4μM)、及び(A6)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.8μM)。
図6A及び図6Bは、マウス骨髄由来大食細胞(“BMDM”)の食作用能力に対するFAM19A5信号化の効果を示す。食作用能力は、流細胞計数法を用いて測定され、PHRODOTM発現に対して陽性であるマウスBMDMのパーセントで表示される。図6Aは、異なる治療グループのそれぞれに対する代表的なヒストグラムプロットを提供する(右上の象限に提供された値は、PHRODOTM発現に対して陽性であるBMDMのパーセントを表す)。図6Bは、3つの独立した験からの結果を要約した表を提供する。図6A及び図6Bに示す異なるBMDM治療グループは、次を含む:(A1)マウスBMDM単独、(A2)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞、(A3)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+対照群Fc(0.4μM)、(A4)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+対照群Fc(0.8μM)、(A5)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.4μM)、及び(A6)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.8μM)。
図7A及び図7Bは、マウス骨髄由来大食細胞(“BMDM”)の食作用能力に対する抗FAM19A5抗体治療の効果を示す。食作用能力は、流細胞計数法を用いて測定され、PHRODOTM発現に対して陽性であるマウスBMDMのパーセントで表示される。図7Aは、異なる治療グループのそれぞれに対する代表的なヒストグラムプロットを提供する(右上の象限に提供された値は、PHRODOTM発現に対して陽性であるBMDMのパーセントを表す)。図7Bは、3つの独立した実験からの結果を要約した表を提供する。図7A及び図7Bに示す異なるBMDM治療グループは、次を含む:(B1)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.8μM)+hlgGl対照群抗体(25nM)、(B2)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.8μM)+hlgGl対照群抗体(50nM)、(B3)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.8μM)+“3-2”抗FAM19A5抗体(25nM)、(B4)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.8μM)+”3-2”抗FAM19A5抗体(50nM)、(B5)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.8pM)+“1-65”抗FAM19A5抗体(25nM)、及び(B6)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.8μM)+“1-65”抗FAM19A5抗体(50nM)。
図7A及び図7Bは、マウス骨髄由来大食細胞(“BMDM”)の食作用能力に対する抗FAM19A5抗体治療の効果を示す。食作用能力は、流細胞計数法を用いて測定され、PHRODOTM発現に対して陽性であるマウスBMDMのパーセントで表示される。図7Aは、異なる治療グループのそれぞれに対する代表的なヒストグラムプロットを提供する(右上の象限に提供された値は、PHRODOTM発現に対して陽性であるBMDMのパーセントを表す)。図7Bは、3つの独立した実験からの結果を要約した表を提供する。図7A及び図7Bに示す異なるBMDM治療グループは、次を含む:(B1)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.8μM)+hlgGl対照群抗体(25nM)、(B2)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.8μM)+hlgGl対照群抗体(50nM)、(B3)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.8μM)+“3-2”抗FAM19A5抗体(25nM)、(B4)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.8μM)+”3-2”抗FAM19A5抗体(50nM)、(B5)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.8pM)+“1-65”抗FAM19A5抗体(25nM)、及び(B6)マウスBMDM+アポトーシス性胸腺細胞+FAM19A5-Fc(0.8μM)+“1-65”抗FAM19A5抗体(50nM)。
図8は、図6A、図6B、図7A、及び図7Bに示す結果のグラフ比較を提供する。データは、平均±S.D.で表示される。