JP2022512897A - 治療方法 - Google Patents

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Abstract

ヒトリンパ球の腫瘍抗原を特定するための、及びがん治療の対象を特定するための方法及び組成物が、本明細書に提供される。がんは異常な細胞の増殖を特徴とする。多くの治療には、費用がかさみかつ、痛みを伴う手術及び化学療法が含まれる。患者自身の免疫系を使用してがん細胞を標的とするがん治療への関心が高まっているが、そのような治療は限られた成功しか収めていない。本発明は、とりわけ、がん治療の開始、継続、変更及び/または中止のためのがんの対象の特定及び/または選択の方法を特徴とする。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月29日出願の米国仮出願第62/752,288号、2019年1月4日出願の米国仮出願第62/788,313号、及び2019年5月31日出願の米国仮出願第62/855,332号の利益を主張するものであり、これらの各々の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
がんは異常な細胞の増殖を特徴とする。多くの治療には、費用がかさみかつ、痛みを伴う手術及び化学療法が含まれる。患者自身の免疫系を使用してがん細胞を標的とするがん治療への関心が高まっているが、そのような治療は限られた成功しか収めていない。
本発明は、とりわけ、がん治療の開始、継続、変更及び/または中止のためのがんの対象の特定及び/または選択の方法を特徴とする。
したがって、本開示の一態様は、対象をがん治療の候補として特定する方法を特徴とし、この方法は、a)複数の腫瘍抗原を含む細菌細胞またはビーズを含むライブラリを取得、提供、または生成することであって、ここで各細菌細胞、またはライブラリのビーズが異なる腫瘍抗原を含むことと;b)細菌細胞またはビーズを対象由来の抗原提示細胞(APC)と接触させることであって、ここで、このAPCが細菌細胞またはビーズを内在化することと;c)1つ以上のAPCによって提示される腫瘍抗原によるリンパ球の活性化に適した条件下で、APCを対象由来のリンパ球と接触させることと;d)1つ以上のリンパ球が、1つ以上のAPCによって提示される1つ以上の腫瘍抗原によって活性化されるか、または反応性でないかを、例えば、1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベル(例えば、対照に対する、レベルの増減)を評価(例えば、検出または測定)することによって、決定することと;e)1つ以上の腫瘍抗原を刺激抗原及び/または阻害性抗原として特定することと;f)対象の反応プロファイルを表す、阻害性抗原に対する刺激性抗原の数の比率を生成することと;g)対象の反応プロファイルを標的反応プロファイルと比較して、がん治療の開始、継続、変更、中止、または非開始の候補対象としてこの対象を選択することと、を含む。
いくつかの実施形態では、この方法は、h)細菌細胞またはビーズを標的対象由来の抗原提示細胞(APC)と接触させることであって、ここでこのAPCは細菌細胞またはビーズを内在化することと;i)1つ以上のAPCによって提示される腫瘍抗原によるリンパ球の活性化に適した条件下で、APCを標的対象由来のリンパ球と接触させることと;j)1つ以上のリンパ球が、1つ以上のAPCによって提示される1つ以上の腫瘍抗原によって活性化されるか、またはそれに対して反応しないかを、例えば、1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベル(例えば、対照に対する、レベルの増減)を評価(例えば、検出または測定)することによって、決定することと;k)1つ以上の腫瘍抗原を、刺激性抗原及び/または阻害性抗原として特定することと;l)標的反応プロファイルを表す阻害性抗原に対する刺激性抗原の数の比率を生成することと、を含む方法によって標的反応プロファイルを生成することをさらに含む。
いくつかの実施形態では、標的反応プロファイルは、がんに対して少なくとも1つの有益な反応を示すか、または以前に示した1つ以上の標的対象に由来する。いくつかの実施形態では、標的反応プロファイルは、少なくとも100:1、50:1、20:1、10:1、5:1、2:1、1.5:1、1.4:1、1.2:1、1.1:1、0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1、または0.5:1である阻害性抗原の数に対する刺激性抗原の数の比率を含む。いくつかの実施形態では、有益な反応は、がん治療または治療の組み合わせに対する陽性の臨床反応を含む。いくつかの実施形態では、この有益な反応は、がんに対する自発性の反応を含む。いくつかの実施形態では、この有益な反応には、がんのクリアランス、例えば、がんのクリアランスに関連する1つ以上の臨床的測定のレベルを含む。いくつかの実施形態では、この有益な反応は、例えば、定義された期間(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12週間、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12か月間、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12年間)にわたる、がんの再燃、再発、及び/または転移の欠如を含む。いくつかの実施形態では、この有益な反応には、ポジティブながんの予後を含む。いくつかの実施形態では、この有益な反応には、がん治療または治療の組み合わせに対する1つ以上の毒性反応及び/または副作用(例えば、1つ以上の測定可能な毒性反応または副作用)の欠如を含む。
いくつかの実施形態では、標的反応プロファイルは、がんに対して1つ以上の有害な及び/または非有益な反応を示すか、または以前に示した1つ以上の標的対象に由来する。いくつかの実施形態では、標的反応プロファイルが、5:1、2:1、1.5:1、1.4:1、1.2:1、1.1:1 0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1、0.5:1、0.25:1、0.125:1、0.01:1、または0.001:1未満である阻害性抗原の数に対する刺激性抗原の数の比率を含む。いくつかの実施形態では、有害及び/または非有益な反応は、がん治療または治療の組み合わせに対するネガティブな臨床反応及び/または反応不全を含む。いくつかの実施形態では、この有害及び/または非有益な反応には、がんのクリアランスの欠如、例えば、がんのクリアランスの欠如に関連する1つ以上の臨床的測定のレベルを含む。いくつかの実施形態では、有害な反応及び/または非有益な反応には、がんの少なくとも1回の再燃、再発、及び/または転移を含む。いくつかの実施形態では、この有害及び/または非有益な反応には、ネガティブながんの予後を含む。いくつかの実施形態では、この有害及び/または非有益な反応には、がん治療または治療の組み合わせに対する1つ以上の毒性反応及び/または副作用(例えば、1つ以上の測定可能な毒性反応または副作用)を含む。
いくつかの実施形態では、この方法は、がん治療またはがん治療の組み合わせの開始のための候補対象を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、がん治療またはがん治療の組み合わせの継続のための候補対象を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法はさらに、対象の反応プロファイルが、少なくとも100:1、50:1、20:1、10:1、5:1、2:1、1.5:1、1.4:1、1.2:1、1.1:1、0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1、または0.5:1である、阻害性抗原の数に対する刺激性抗原の数の比率を含む場合、その対象を候補対象として選択することを含む。
いくつかの実施形態では、この方法は、がん治療の変更のための候補対象を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、がん治療の中止または非開始のための候補対象を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法はさらに、対象の反応プロファイルが、5:1、2:1、1.5:1、1.4:1、1.2:1、1.1:1 0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1、0.5:1、0.25:1、0.125:1、0.01:1、または0.001:1未満である阻害性抗原の数に対する刺激性抗原の数の比率を含む場合、がん治療の変更、中止、及び/または非開始のための候補対象として、その対象を選択することを含む。
いくつかの実施形態では、この方法は、この候補対象に対してがん治療またはがん治療の組み合わせを施すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、この候補対象に施されたがん治療を変更することをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、候補対象に対するがん治療の中止または非開始をさらに含む。
本開示の別の態様は、対象をがん治療の候補として特定する方法を含み、この方法は、a)複数の腫瘍抗原を含む細菌細胞またはビーズを含むライブラリを取得、提供、または生成することであって、ここで各細菌細胞、またはライブラリのビーズが、異なる腫瘍抗原を含むことと;b)細菌細胞またはビーズを対象由来の抗原提示細胞(APC)と接触させることであって、ここで、このAPCが細菌細胞またはビーズを内在化することと;c)1つ以上のAPCによって提示される腫瘍抗原によるリンパ球の活性化に適した条件下で、APCを対象由来のリンパ球と接触させることと;d)1つ以上のリンパ球が、1つ以上のAPCによって提示される1つ以上の腫瘍抗原によって活性化されるか、またはそれに対して反応性でないかを、例えば、1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベル(例えば、対照に対する、レベルの増減)を評価(例えば、検出または測定)することによって、決定することと;e)1つ以上の腫瘍抗原を刺激抗原及び/または阻害性抗原として特定することと;f)阻害性抗原の数に対する刺激性抗原の数を比較することと;g)がん治療の開始、継続、変更、中止、または非開始の候補対象としてこの対象を選択することと、を含む。
いくつかの実施形態では、この方法は、がん治療またはがん治療の組み合わせの開始のための候補対象を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、がん治療またはがん治療の組み合わせの継続のための候補対象を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、刺激性抗原の数が少なくとも1つ(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)であり、かつ阻害性抗原の数がゼロである場合、対象を候補対象として選択することをさらに含む。
いくつかの実施形態では、この方法は、がん治療の変更のための候補対象を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、がん治療の中止または非開始のための候補対象を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、刺激性抗原の数がゼロであり、かつ阻害性抗原の数が少なくとも1つ(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)である場合、対象を候補対象として選択することをさらに含む。
いくつかの実施形態では、この方法は、この候補対象に対してがん治療またはがん治療の組み合わせを施すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、この候補対象に施されたがん治療を変更することをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、候補対象に対するがん治療の中止または非開始をさらに含む。
本明細書に記載の本教示は、添付の図面と共に読んだ場合、以下の様々な例示的な実施形態の記載からより十分に理解される。以下に記載の図面は、説明の目的のためのものにすぎず、本教示の範囲を何ら限定することは意図されていないことが理解されるべきである。
代表的な試料NEO-031由来のCD8+T 細胞(パネルA)及びCD4+T細胞(パネルB)によって上清中に分泌されたIFNγ濃度を示すグラフである。 代表的な試料NEO-KCC由来のCD8+T 細胞(パネルA)及びCD4+T細胞(パネルB)によって上清中に分泌されたIFNγ濃度を示すグラフである。 代表的な試料NEO-041由来のCD8+T 細胞(パネルA)及びCD4+T細胞(パネルB)によって上清中に分泌されたIFNγ濃度を示すグラフである。 代表的な試料NEO-027由来のCD8+T 細胞(パネルA)及びCD4+T細胞(パネルB)によって上清中に分泌されたIFNγ濃度を示すグラフである。 代表的な試料NEO-028由来のCD8+T 細胞(パネルA)及びCD4+T細胞(パネルB)によって上清中に分泌されたIFNγ濃度を示すグラフである。 免疫療法治療に対して、有益な反応(白い円)を示すか、または非有益なもしくは有害な反応(黒丸)を示した患者のT細胞から刺激性反応(y軸)及び阻害性反応(x軸)を誘発したネオアンチゲンの相対的な割合を示すグラフである。円のサイズは腫瘍遺伝子変異量(TMB)を示す。 ATLASによってスクリーニングされた候補抗原の総数に対する、刺激性(y軸)及び阻害性反応(x軸)を誘発した、ATLASで特定された患者特異的抗原の割合を示すグラフである。 図6及び図7由来の組み合わせた患者データを示すグラフである。このグラフは、刺激性反応(y軸)及び阻害性反応(x軸)を誘発したATLASで特定された患者特異的抗原の相対的割合を示す。 刺激性反応(黒)、阻害性反応(白)、または無反応(灰色)を誘発した、ATLASで特定された患者特異的抗原の割合を示す棒グラフである。パネルAは、CD4T細胞の結果を示す。パネルBは、CD8T細胞の結果を示す。 図6の患者データと5人の追加患者の組み合わせを示すグラフである。各円は、免疫療法治療に対して、有益な反応(白い円)を示すか、または非有益なもしくは有害な反応(黒丸)を示した個々の患者のT細胞から刺激性反応(y軸)及び阻害性反応(x軸)を誘発したネオアンチゲンの相対的な割合を示している。円のサイズは腫瘍遺伝子変異量(TMB)を示す。
定義
活性化する:本明細書で使用される場合、抗原提示細胞(APC)によって提示されるペプチドは、抗原特異的認識が起こることを可能にする条件下でAPCによって提示されるペプチドへの曝露後に、リンパ球活性が検出可能に調節される場合、リンパ球を「活性化」する。リンパ球活性の任意の指標を評価して、リンパ球が活性化されているか否か、例えば、T細胞の増殖、受容体のリン酸化または脱リン酸化、カルシウム流動、細胞骨格の再配列、発現及び/または分泌の増減、改変、例えば、サイトカインまたは可溶性メディエーターなどの免疫メディエーターのリン酸化または局在化、1つ以上の細胞表面マーカーの発現の増減(または改変、例えば、リン酸化または局在化)、1つ以上の転写因子の発現の増減(または改変、例えば、リン酸化または局在化)、1つ以上の代謝因子の発現の増減(または改変、例えば、リン酸化または局在化)を評価し得る。
投与:本明細書で使用される場合、用語「投与」とは典型的には、組成物の対象またはシステム(系)への投与を指す。当業者は、適切な状況において、対象、例えばヒトへの投与に利用され得る様々な経路を承知しているであろう。例えば、いくつかの実施形態では、投与は、全身的であっても、または局所的であってもよい。いくつかの実施形態では、投与は、経腸的であっても、または非経口的であってもよい。いくつかの実施形態では、投与は、注射(例えば、筋肉内、静脈内、または皮下注射)によるものであり得る。いくつかの実施形態では、注射は、ボーラス注射、点滴、かん流、または注入を含んでもよい。いくつかの実施形態では、投与は局所であり得る。当業者は、例えば、www.fda.govで列挙されているものから、本明細書に記載の特定の療法で使用するための適切な投与経路を認識しており、これには、心耳(耳)、頬側、結膜、皮膚、歯、頸管内、副鼻腔内、気管内、腸内、硬膜外、羊膜外、体外、間質、腹部内、羊膜内、動脈内、関節内、胆管内、気管支内、滑液嚢内、心臓内、軟骨内、仙骨内、陰茎海綿体内(intracavernous)、腔内、脳内、嚢内、角膜内、歯冠内、陰茎海綿体内(intracorporus cavernosum)、皮内、節内、椎間板内、導管内、十二指腸内、硬膜内、表皮内、食道内、胃内、歯肉内、病巣内、管腔内、リンパ管内、髄内、髄膜内、筋肉内、眼内、卵巣内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、洞内、髄腔内、滑液嚢内、腱内、精巣内、髄腔内、胸郭内、管内、腫瘍内、鼓室内、子宮内、血管内、静脈内、静脈内ボーラス、静脈内点滴、心室内(脳室内)、硝子体内、喉頭部、鼻、経鼻胃、眼、口内、口腔咽頭、非経口、経皮、関節周囲、硬膜外、神経周囲、歯周、直腸、呼吸器(例えば、吸入)、球後、軟質組織、くも膜下、結膜下、皮下、舌下、粘膜下、局所、経皮、経粘膜、経胎盤、経気管、尿管、尿道、または膣が含まれる。いくつかの実施形態では、投与は、電気浸透、血液透析、浸潤、イオントフォレシス、潅注、及び/または閉鎖包帯を含み得る。いくつかの実施形態では、投与は、間欠的(例えば、時間で隔てられた複数の用量)及び/または周期的な(例えば、共通の期間によって隔てられた個々の用量)投薬である投薬を含み得る。いくつかの実施形態では、投与は、連続投薬を含み得る。
抗原:用語「抗原」とは、本明細書で使用される場合、特異的免疫反応を誘発する分子(例えば、ポリペプチド)を指す。適応免疫反応としても公知である抗原特異的免疫学的反応は、抗原受容体(例えば、T細胞受容体、B細胞受容体)を発現するリンパ球(例えば、T細胞、B細胞、NK細胞)によって媒介される。特定の実施形態では、抗原は、T細胞抗原であり、細胞免疫反応を誘発する。特定の実施形態では、抗原は、B細胞抗原であり、体液性(すなわち、抗体)反応を誘発する。特定の実施形態では、抗原は、T細胞抗原及びB細胞抗原の両方である。本明細書で使用される場合、用語「抗原」は、全長ポリペプチドならびにポリペプチドの一部もしくは免疫原性断片、及びポリペプチド内のペプチドエピトープ(例えば、主要組織適合性複合体(MHC)分子(例えば、MHCクラスI、またはMHCクラスII)によって結合されるペプチドエピトープ)の両方を包含する。いくつかの実施形態では、抗原は、腫瘍抗原(例えば、腫瘍特異的抗原[TSAまたはネオアンチゲン]、腫瘍関連抗原[TAA]、またはがん/精巣抗原[CTA])である。いくつかの実施形態では、抗原は、全長ポリペプチド、またはそのフラグメントもしくはペプチドである。
抗原提示細胞:「抗原提示細胞」または「APC」とは、T細胞による認識のためにMHCクラスI及び/またはMHCクラスII分子上にペプチドを提示する細胞を指す。APCとしては、ナイーブリンパ球を刺激する能力を有するプロフェッショナルAPC(例えば、樹状細胞、マクロファージ、B細胞)、及び非プロフェッショナルAPC(例えば、線維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、グリア細胞)の両方を含む。特定の実施形態では、APCは、候補抗原として異種ポリペプチドを発現するライブラリのメンバー(例えば、細菌細胞のライブラリの細胞)を内在化する(例えば、取り込む)ことが可能である。
オートリシンポリペプチド:「オートリシンポリペプチド」は、真核細胞によって内在化された細胞(例えば、細菌細胞)の自己消化を容易にし、または媒介するポリペプチドである。いくつかの実施形態では、オートリシンポリペプチドは、細菌性オートリシンポリペプチドである。オートリシンポリペプチドとしては、GenBank(登録商標)において受託番号NP_388823.1、NP_266427.1、及びP0AGC3.1で配列が開示されているポリペプチドを含むがこれらに限定されない。
がん:本明細書で使用される場合、「がん」という用語は、細胞が相対的に異常な、制御されていない、及び/または自律的な成長を示すことにより、それらが異常に上昇した増殖速度及び/または細胞増殖の制御の有意な喪失を特徴とする異常な成長表現型を示す疾患、障害、または病態を指す。いくつかの実施形態では、がんは、1つ以上の腫瘍を特徴とし得る。当業者は、例えば、副腎皮質癌、星状細胞腫、基底細胞癌、カルチノイド、心臓、胆管癌、脊索腫、慢性骨髄増殖性新生物、頭蓋咽頭腫、非浸潤性乳管癌、上衣腫、眼内黒色腫、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、妊娠性絨毛性疾患、神経膠腫、組織球増殖症、白血病(例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病、骨髄性白血病、骨髄白血病)、リンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫[非ホジキンリンパ腫]、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、菌状息肉腫、セザリー症候群、AIDS関連リンパ腫、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)、骨髄異形成症候群、乳頭腫症、傍神経節腫、褐色細胞腫、胸膜肺芽腫、網膜芽細胞腫、肉腫(例えば、ユーイング肉腫、カポジ肉腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、子宮肉腫、血管性肉腫)、ウィルムス腫瘍、及び/または副腎皮質、肛門、虫垂、胆管、膀胱、骨、脳、乳房、気管支、中枢神経系、頸部、結腸、子宮内膜、食道、眼、卵管、胆嚢、消化管、胚細胞、頭頸部、心臓、腸、腎臓(例えば、ウィルムス腫瘍)、喉頭、肝臓、肺(例えば、非小細胞肺癌、小細胞肺癌)、口、鼻腔、口腔、卵巣、膵臓、直腸、皮膚、胃、精巣、咽喉、甲状腺、陰茎、咽頭、腹膜、下垂体、前立腺、直腸、唾液腺、尿管、尿道、子宮、膣、または外陰の癌を含む様々ながんの種類を認識している。
細胞溶解素ポリペプチド:「細胞溶解素ポリペプチド」とは、真核細胞の膜において孔を形成する能力を有するポリペプチドである。細胞溶解素ポリペプチドは、真核細胞によって内在化された宿主細胞(例えば、細菌細胞)に発現される場合、宿主細胞成分(例えば、宿主細胞ポリペプチドなどの宿主細胞巨大分子)の内在化細胞の細胞質への放出を容易にする。いくつかの実施形態では、細胞溶解素ポリペプチドは、細菌性細胞溶解素ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、細胞溶解素ポリペプチドは、細胞質性細胞溶解素ポリペプチドである。細胞溶解素ポリペプチドとしては、米国特許第6,004,815号において、及びGenBank(登録商標)において受託番号NP_463733.1、NP_979614、NP_834769、YP_084586、YP_895748、YP_694620、YP_012823、NP_346351、YP_597752、BAB41212.2、NP_561079.1、YP_001198769、及びNP_359331.1で配列が開示されているポリペプチドを含むがこれらに限定されない。
細胞質性細胞溶解素ポリペプチド:「細胞質性細胞溶解素ポリペプチド」とは、真核細胞の膜において孔を形成する能力を有し、かつ細菌細胞において細胞質性ポリペプチドとして発現される細胞溶解素ポリペプチドである。細胞質性細胞溶解素ポリペプチドは、細菌細胞によって有意には分泌されない。細胞質性細胞溶解素ポリペプチドは、様々な手段によって提供され得る。いくつかの実施形態では、細胞質性細胞溶解素ポリペプチドは、細胞質性細胞溶解素ポリペプチドをコードする核酸として提供される。いくつかの実施形態では、細胞質性細胞溶解素ポリペプチドは、ビーズに結合させて提供される。いくつかの実施形態では、細胞質性細胞溶解素ポリペプチドは、分泌された細胞溶解素ポリペプチドの配列に対して変化した(例えば、シグナル配列の欠失または変化により非機能的となることによって変化した)配列を有する。いくつかの実施形態では、細胞質性細胞溶解素ポリペプチドは、それが分泌不全細胞で発現されるので、細胞質性である。いくつかの実施形態では、細胞質性細胞溶解素ポリペプチドは、細胞溶解素ポリペプチドに連結したシグナル配列の分泌を認識せず、かつ媒介しない細胞で発現されるので、細胞質性である。いくつかの実施形態では、細胞質性細胞溶解素ポリペプチドは、細菌性細胞溶解素ポリペプチドである。
異種:用語「異種」とは、遺伝子またはポリペプチドを指して本明細書で使用される場合、遺伝子またはポリペプチドであって、それが存在するか及び/または発現している生物において天然に生じず、及び/または人の手によってその生物に導入された遺伝子またはポリペプチドを指す。いくつかの実施形態では、異種ポリペプチドとは、本明細書に記載の腫瘍抗原である。
免疫メディエーター:本明細書で使用される場合、用語「免疫メディエーター」とは、免疫反応に関与する細胞及びプロセスに影響を及ぼす任意の分子を指す。免疫メディエーターとしては、サイトカイン、ケモカイン、可溶性タンパク質、転写因子、代謝因子、及び細胞表面マーカーが挙げられる。
改善する、増大する、阻害する、刺激する、抑制する、または減少させる:本明細書で使用される場合、用語「改善する」、「増大する」、「阻害する」、「刺激する」、「抑制する」、「減少させる」、またはそれらの文法的に同等なものは、ベースラインまたは他の参照測定に対する値を示す。いくつかの実施形態では、適切な参照測定は、特定の薬剤または治療の非存在(例えば、前及び/または後)のそれ以外では同等の条件下、または適切な同等の参照薬剤の存在下での特定のシステム(例えば、単一の個体)における測定であってもよく、またはそれを含んでもよい。特定の薬剤または治療の効果は、直接的または間接的であり得る。いくつかの実施形態では、適切な参照測定は、関係する薬剤または治療の存在下で、特定の方式で反応することが公知であるか、または予期される同等のシステムにおける測定であってもよく、またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、例えば、対照と比べて、T細胞増殖、受容体のリン酸化または脱リン酸化、カルシウム流出、細胞骨格再構成、免疫メディエーター、例えば、サイトカインまたは可溶性メディエーターの発現及び/または分泌の増減、1つ以上の細胞表面マーカー発現の増減によって観察される、抗原特異的認識を生じさせることを可能にする条件下で抗原提示細胞(APC)によって提示されるペプチドへの曝露後に、リンパ球が、有益な反応に関連する表現型に活性化された場合、APCによって提示されるペプチドは、リンパ球を「刺激する」かまたはリンパ球に対して「刺激性」である。いくつかの実施形態では、例えば、対照と比べて、受容体のリン酸化または脱リン酸化、カルシウム流出、細胞骨格再構成、免疫メディエーター、例えば、サイトカインまたは可溶性メディエーターの発現及び/または分泌の増減、1つ以上の細胞表面マーカー発現の増減によって観察される、抗原特異的認識を生じさせることが可能な条件下で抗原提示細胞によって提示されるペプチドへの曝露後に、リンパ球が、有害または非有益な反応に関連する表現型に活性化された場合、APCによって提示されるペプチドは、リンパ球を「抑制する」か、「阻害する」か、またはリンパ球に対して「阻害性」である。
阻害性抗原:「阻害性抗原」とは、腫瘍またはがんの免疫制御を阻害するか、抑制するか、損なうか、及び/または減少させる抗原である。いくつかの実施形態では、阻害性抗原は、腫瘍増殖を促進するか、腫瘍増殖を可能にするか、腫瘍増殖を改善するか、腫瘍増殖を活性化するか、腫瘍増殖を加速するか、及び/または腫瘍の転移を増大及び/または可能にするか、及び/または腫瘍増殖を加速する。いくつかの実施形態では、阻害性抗原は、対象に対して有害または非有益である1つ以上のリンパ球反応を刺激するか;及び/または対象に対して有益である1つ以上のリンパ球反応を阻害及び/または抑制する。いくつかの実施形態では、阻害性抗原は、対象に対して有害または非有益である1つ以上のリンパ球反応の標的であるか;及び/または対象に対して有益である1つ以上のリンパ球反応を阻害及び/または抑制する。
いくつかの実施形態では、阻害性抗原は、腫瘍抗原(例えば、腫瘍特異的抗原[TSAまたはネオアンチゲン]、腫瘍関連抗原[TAA]、またはがん/精巣抗原[CTA])である。いくつかの実施形態では、阻害性抗原は、全長ポリペプチド、またはそのフラグメントもしくはペプチドである。
インバシンポリペプチド:「インバシンポリペプチド」とは、真核細胞による細胞(例えば、細菌細胞)の取り込みを容易にするか、または媒介するポリペプチドである。非侵襲性細菌細胞におけるインバシンポリペプチドの発現は、その細胞に真核細胞に侵入する能力を付与する。いくつかの実施形態では、インバシンポリペプチドは、細菌性インバシンポリペプチドである。いくつかの実施形態では、インバシンポリペプチドは、Yersiniaインバシンポリペプチド(例えば、GenBank(登録商標)において受託番号YP_070195.1で開示される配列を含むYersiniaインバシンポリペプチド)である。
リステリオリシンO(LLO):用語「リステリオリシンO」または「LLO」は、Listeria monocytogenesのリステリオリシンOポリペプチド及び孔形成能力を保持するその切断形態(例えば、シグナル配列を欠く切断形態を含むLLOの細胞質性形態)を指す。いくつかの実施形態では、LLOは、細胞質性LLOである。例示的なLLO配列を以下の表1に示す。
ポリペプチド:用語「ポリペプチド」は、本明細書で使用される場合、一般に、少なくとも3つのアミノ酸のポリマーというその技術分野で認識されている意味を有する。しかしながら、当業者は、用語「ポリペプチド」が、本明細書に(または本明細書で具体的に言及されている参考文献またはデータベースに)記述されている完全な配列を有するポリペプチドを包含するだけでなく、そのような完全なポリペプチドの機能的断片(すなわち、少なくとも1つの活性を保持している断片)及び免疫原性断片を表すポリペプチドも包含するように十分に一般的なものであることが意図されていることを理解する。その上、当業者は、タンパク質の配列が一般に、活性を破壊することなくいくらかの置換を許容することを理解する。したがって、活性を保持し、かつ少なくとも約30~40%、多くの場合、約50%、60%、70%、または80%超の全体的な配列同一性を共有する任意のポリペプチドであって、さらに、通常、はるかに高い同一性、多くの場合、90%超、さらに95%、96%、97%、98%、または99%という同一性の少なくとも1つの領域を1つ以上の高度に保存された領域に含み、通常は、同じクラスの別のポリペプチドと、通常少なくとも3~4個、多くの場合は最大20個以上のアミノ酸を含む任意のポリペプチドが、本明細書で使用される関連用語「ポリペプチド」に含まれる。他の類似領域及び/または同一性は、様々なポリペプチドの配列の分析によって当業者によって決定され得る。
初代細胞:本明細書で使用される場合、「初代細胞」とは、in vitroで不死化されていない生物由来の細胞を指す。いくつかの実施形態では、初代細胞とは、対象(例えば、ヒト)から直接的に採取された細胞である。いくつかの実施形態では、初代細胞とは、対象から採取された細胞の子孫(例えば、in vitroで継代された細胞)である。初代細胞は、培養で増殖するために刺激された細胞を含む。
反応:本明細書で使用される場合、対象(患者または実験生物)の観点において、「反応」、「反応性の」、または「反応性」とは、治療の結果として生じるか、または治療と相関する対象の状態の変化を指す。特定の実施形態では、反応は、有益な反応である。特定の実施形態では、有益な反応は、対象の病態の安定化(例えば、治療がない場合に生じることが予期されるかまたは典型的に観察される悪化の防止または遅延)、病態の1つ以上の症状の好転(例えば、頻度及び/または強度の減少)、及び/または病態の治癒のための見込みの改善などを含み得る。特定の実施形態では、がんを有する対象について、有益な反応としては、以下を含み得る:対象が、がん治療または治療の組み合わせに対してポジティブな臨床反応を有する;対象が、がんに対して自発的な反応を示す;対象が、がんから部分的または完全に寛解している;対象が、がんを排除した;対象には、がんの再燃、再発または転移がない;対象が、ポジティブながんの予後である;対象が、がん治療または治療の組み合わせに対する毒性反応または副作用を経験していない。特定の実施形態では、がんを患った対象について、有益な反応が過去に発生したか、または進行中である。
特定の実施形態では、反応は、有害または非有益な反応である。特定の実施形態では、有害または非有益な反応には、対象の病態の悪化、病態の1つ以上の症状の好転の欠如(例えば、頻度及び/または強度の減少なし)、及び/または病態の治癒の見込みの悪化などを含み得る。特定の実施形態では、がんを有する対象の場合、有害または非有益な反応には以下を含み得る:対象が、がん治療または治療の組み合わせに対してネガティブな臨床反応を有する;対象が、がんから寛解していない;対象が、がんがなくなっていない;対象に、がんの再燃、再発または転移が起こっている;対象のがんの予後が、ネガティブである;対象が、がん治療または治療の組み合わせに対して毒性反応または副作用を経験している。特定の実施形態では、がんを有していた対象の場合、有害または非有益な反応は、過去に生じていたか、または継続中である。
本明細書で使用される場合、細胞、器官、組織、または細胞成分、例えば、リンパ球の観点において、「反応」、「反応性の」、または「反応性」とは、薬剤、例えば、腫瘍抗原の投与またはそれへの曝露の結果として生じるか、またはそれに相関する細胞活性の変化を指す。特定の実施形態では、有益な反応としては、対象におけるポジティブな臨床反応または転帰に関連する免疫メディエーターの発現及び/または分泌の増大を含み得る。特定の実施形態では、有益な反応としては、対象におけるネガティブな臨床反応または転帰に関連する免疫メディエーターの発現及び/または分泌の減少を含み得る。特定の実施形態では、有害または非有益な反応には、対象におけるネガティブな臨床反応または転帰に関連する免疫メディエーターの発現及び/または分泌の増大を含み得る。特定の実施形態では、有害または非有益な反応は、対象におけるポジティブな臨床反応または転帰に関連する免疫メディエーターの発現及び/または分泌の減少を含み得る。特定の実施形態では、反応とは、臨床反応である。特定の実施形態では、反応とは、細胞性反応である。特定の実施形態では、反応とは、直接的反応である。特定の実施形態では、反応とは、間接的反応である。特定の実施形態では、「非反応」、「非反応性の」、または「非反応性」は、最小反応を意味するか、または検出可能な反応がないことを意味する。特定の実施形態では、「最小反応」は、検出可能な反応がないことを含む。特定の実施形態では、反応の存在、程度、及び/または特質は、特定の基準に従って測定及び/または特徴付けされ得る。特定の実施形態では、そのような基準は、臨床基準及び/または客観的基準を含み得る。特定の実施形態では、反応を評価するための技術としては、限定するものではないが、臨床検査、陽電子断層撮影法、胸部X線、CTスキャン、MRI、超音波、内視鏡検査、腹腔鏡検査、試料中の特定のマーカーの存在またはレベル、細胞学、及び/または組織学が挙げられ得る。目的の反応がある療法に対する腫瘍の反応である場合、当業者は、そのような反応を評価するため(例えば、腫瘍負荷、腫瘍サイズ、腫瘍ステージなどを決定するためのものを含む)の様々な確立された技術を認識する。治療に対する反応を評価するための方法及びガイドラインは、Therasse et al.,J.Natl.Cancer Inst.,2000,92(3):205-216;及びSeymour et al.,Lancet Oncol.,2017,18:e143-52に考察されている。正確な反応基準は、腫瘍、患者もしくは実験生物、及び/または細胞、器官、組織、もしくは細胞成分の群を比較する場合に、比較される群が奏功率を決定するための同じまたは同等の基準に基づいて評価されることを条件に、任意の適切な手法で選択され得る。当業者は、適切な基準を選択し得る。
刺激性抗原:「刺激性抗原」とは、腫瘍またはがんの免疫制御を増強するか、改善するか、増大するか及び/または刺激する抗原である。いくつかの実施形態では、刺激性抗原とは、腫瘍増殖を減少させるか、殺傷するか、縮小するか、再吸収するか、及び/または根絶し;腫瘍増殖を促進しないか、可能にしないか、改善しないか、活性化しないか、及び/または加速せず;腫瘍転移を減少させるか、及び/または腫瘍増殖を減速させる免疫反応の標的である。いくつかの実施形態では、刺激性抗原は、対象に対して有害または非有益である1つ以上のリンパ球反応を阻害及び/または抑制するか;及び/または対象に対して有益である1つ以上のリンパ球反応を刺激する。
腫瘍:本明細書で使用される場合、「腫瘍」という用語は、細胞または組織の異常な増殖を指す。いくつかの実施形態では、腫瘍は、前がん性(例えば、良性)、悪性、前転移性、転移性、及び/または非転移性である細胞を含み得る。いくつかの実施形態では、腫瘍は、がんに関連しているか、またはがんの兆候である。いくつかの実施形態では、腫瘍とは、分散型腫瘍であっても、または液体腫瘍であってもよい。いくつかの実施形態では、腫瘍は、固体腫瘍であり得る。
詳細な説明
がん免疫療法のためのイピリムマブ、ニボルマブ、及びペムブロリズマブなどの免疫チェックポイント阻害剤療法の最近の進歩は、他の適応症の中でも、NSCLCに罹患している対象において劇的な有効性をもたらしている。ニボルマブ及びペムブロリズマブは、化学療法ですでに治療されている進行性NSCLCを有する患者における使用のために食品医薬品局(FDA)及び欧州医薬品庁(EMA)によって承認されている。彼らは、腫瘍の制御におけるT細胞反応の重要性を固めた。正常なヒトゲノムには全く存在しない潜在的ながん拒絶抗原であるネオアンチゲン(neoantigen)は、腫瘍制御に関係すると仮定されている;しかしながら、それらを定義する試み及び腫瘍クリアランスにおけるそれらの役割を定義する試みは、生物学的に関係する偏りのない手法でそれらを定義するための利用可能なツールの不足によって妨げられている(Schumacher and Schreiber,2015 Science 348:69-74,Gilchuk et al.,2015 Curr Opin Immunol 34:43-51)。
非小細胞肺癌(NSCLC)を例にとると、ペムブロリズマブで治療された患者に由来するNSCLC腫瘍の全エクソームシーケンシングは、腫瘍における非同義変異の負荷が大きいほど、改善された客観的反応、持続的臨床有益性、及び無進行生存に関連することを示していた(Rizvi et al.,(2015)Science 348(6230):124-8)。この研究では、発見コホートの非同義変異負荷の中央値は209であり、検証コホートのそれは200であった。ただし、変異がシーケンシングによって特定されただけで、それが作成するエピトープがT細胞によって認識され得るとか、またはT細胞応答の防御抗原として機能することを意味するわけではないので(Gilchuk et al.,2015 Curr Opin Immunol 34:43-51)、ネオアンチゲン(neoantigen)という単語を使用することは多少誤った呼び方である。NSCLCにT細胞の潜在的な標的が200以上ある場合、予測されるあらゆるエピトープを試験して、どの変異がネオアンチゲンとして機能し、どのネオアンチゲンが腫瘍制御の臨床的証拠に関連しているかを判断することは不可能である。最近、McGranahanらによる研究では、原発性肺腺癌におけるクローン性ネオアンチゲン負荷及び全生存が関連していることが示された。しかし、クローンのネオアンチゲンを濃縮することでさえ、50~約400という範囲の潜在的な抗原標的がもたらされる(McGranahan et al.,2016 Science 351:1463-69)。同様の知見は、イピリムマブ療法に対して反応している黒色腫患者(Snyder et al.,2015 NEJM;Van Allen et al.,2015 Science)について及びペムブロリズマブで治療されたミスマッチ修復欠損大腸癌を有する患者(Le et al.,2015 NEJM)において記載されている。
本開示は、T細胞反応を誘発する、特にヒトT細胞反応を誘発する腫瘍抗原(例えば、腫瘍特異的抗原(TSA、またはネオアンチゲン)、腫瘍関連抗原(TAA)、またはがん/精巣抗原(CTA))、ならびに潜在的腫瘍抗原であるポリペプチドの迅速な特定のための方法及びシステムを提供する。本開示の目的に関して、「腫瘍抗原」は、腫瘍抗原及び潜在的腫瘍抗原の両方を含む。本明細書に記載されているように、本開示の方法は、公知のアルゴリズムによって特定されなかった刺激性腫瘍抗原を特定した。さらに、本開示の方法は、公知のアルゴリズムによって特定不可能な抑制性及び/または阻害性腫瘍抗原を特定した。本開示の方法はまた、潜在的腫瘍抗原であるポリペプチド、すなわち、がんに罹患している対象のT細胞ではなく、非がん性対象のT細胞を活性化するポリペプチドを特定した。本開示はまた、腫瘍抗原及び潜在的腫瘍抗原を選択する方法、この選択された腫瘍抗原及び潜在的腫瘍抗原を使用する方法、選択された腫瘍抗原及び潜在的腫瘍抗原を含む免疫原性組成物、ならびに免疫原性組成物を製造する方法を提供する。本開示はまた、例えば、がん治療の開始、継続、変更及び/または中止のための対象を特定または選択するための、がん対象における免疫応答を評価する方法も提供する。
ライブラリ生成
ライブラリとは、メンバー(例えば、細胞または非細胞性粒子、例えば、ウイルス粒子、リポソーム、またはビーズ(例えば、in vitroで翻訳されたポリペプチドなどのポリペプチドで被覆されたビーズ、例えば、親和性ビーズ、例えば、抗体被覆ビーズ、または目的のポリペプチドに結合したNTA-Niビーズ)の集合体である。本開示によれば、ライブラリのメンバーは、本明細書に記載の目的のポリペプチドを含む(例えば、内在的に発現するかまたは保有する)。いくつかの実施形態では、ライブラリのメンバーとは、本明細書に記載の目的のポリペプチドを内在的に発現する細胞である。いくつかの実施形態では、粒子であるライブラリのメンバーは、目的のポリペプチドを保有するか、及び/またはそれに結合する。アッセイシステムでライブラリを使用すれば、複数の候補抗原に対する細胞反応をin vitroで同時に評価可能である。本開示によれば、ライブラリは、ヒト抗原提示細胞によって内在化されて、内在的に発現した目的のポリペプチドに由来するペプチドを含むライブラリメンバーに由来するペプチドが、T細胞による認識のための抗原提示細胞のMHC分子上に提示されるように設計される。
ライブラリは、ヒトMHCクラスI及びMHCクラスII分子によって提示されるペプチドを検出するアッセイにおいて使用され得る。内在化されたライブラリメンバーによって発現されるポリペプチドは、ヒト細胞の細胞内エンドサイトーシス区画(例えば、ファゴソーム、エンドソーム、リソソーム)において消化され、ヒトCD4T細胞によって認識されるMHCクラスII分子上に提示される。いくつかの実施形態では、ライブラリメンバーは、目的のポリペプチドに加えて、細胞溶解素ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、ライブラリメンバーは、目的のポリペプチドに加えて、インバシンポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、ライブラリメンバーは、目的のポリペプチドに加えて、オートリシンポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、ライブラリメンバーは、細胞溶解素ポリペプチドを発現する細胞と共に提供される(すなわち、細胞溶解素及び目的のポリペプチドは、同じ細胞で発現されず、抗原提示細胞は、細胞溶解素を含むメンバー及び目的のポリペプチドを含むメンバーに曝露され、これにより、抗原提示細胞は両方を内在化し、細胞溶解素が、目的のポリペプチドを抗原提示細胞のMHCクラスI経路に送達することを容易にする)。細胞溶解素ポリペプチドは、細胞において構成的に発現されてもよいし、またはそれは、誘導性発現系(例えば、誘導性プロモーター)の制御下であってもよい。いくつかの実施形態では、細胞溶解素は、細胞溶解素を発現する細胞に対する細胞傷害性を最小化するために誘導性プロモーターの制御下で発現される。
細胞溶解素ポリペプチドが、ヒト細胞によって一旦内在化されれば、ヒト細胞における細胞内区画を穿孔することで、ライブラリメンバーによって発現されるポリペプチドは、ヒト細胞の細胞質へのアクセスを獲得することが可能となる。細胞質に放出されるポリペプチドは、MHCクラスI分子上に提示され、これはCD8T細胞によって認識される。
ライブラリは、目的のポリペプチド(及び、細胞溶解素ポリペプチドが所望とされる用途の場合は細胞溶解素ポリペプチド)を本明細書に記載の方法において使用するための抗原提示細胞に内在化され、かつ送達され得る任意の種類の細胞または粒子を含み得る。用語「細胞」は、ライブラリメンバーを指すために本明細書全体を通して使用されるが、いくつかの実施形態では、ライブラリメンバーは、非細胞性粒子、例えば、ウイルス粒子、リポソーム、またはビーズであることが理解される。いくつかの実施形態では、ライブラリのメンバーは、目的のポリペプチド(及び細胞溶解素ポリペプチド)をコードするポリヌクレオチドを含み、抗原提示細胞による内在化の前、及び/またはその間に目的のポリペプチド(及び細胞溶解素ポリペプチド)を発現するように誘導され得る。
いくつかの実施形態では、細胞溶解素ポリペプチドは、それが発現されるライブラリ細胞に対して異種であり、そのライブラリ細胞によって発現されるポリペプチドを、ライブラリ細胞を内在化したヒト細胞の細胞質に送達することを容易にする。細胞溶解素ポリペプチドは、細菌性細胞溶解素ポリペプチド、例えば、リステリオリシンO(LLO)、ストレプトリシンO(SLO)、及びパーフリンゴリシンO(PFO)を含む。さらなる細胞溶解素ポリペプチドは、米国特許6,004,815に記載されている。特定の実施形態では、ライブラリメンバーはLLOを発現する。いくつかの実施形態では、細胞溶解素ポリペプチドは、ライブラリ細胞によって有意には分泌されない(例えば、細胞によって生成される細胞溶解素ポリペプチドの20%、10%、5%、または1%未満が分泌される)。例えば、細胞溶解素ポリペプチドは、細胞質性細胞溶解素ポリペプチド、例えば、細胞質性LLOポリペプチドである(例えば、Higgins et al.,Mol.Microbiol.31(6):1631-1641,1999に記載されているように、N末端シグナル配列を欠くLLOの形態)。例示的な細胞溶解素ポリペプチド配列を表1に示す。表1の2行目に示されるリステリオリシンO(Δ3-25)配列は、表1の最初の行に示すLLO配列と比較して、残基3~25の欠失を有し、細胞質LLOポリペプチドである。いくつかの実施形態では、細胞溶解素は、ライブラリ宿主細胞において構成的に発現される。他の実施形態では、細胞溶解素は、誘導性プロモーターの制御下で発現される。細胞溶解素ポリペプチドは、ライブラリ細胞における目的のポリペプチドと同じベクターから発現されても、または異なるベクターから発現されてもよい。
Figure 2022512897000001
Figure 2022512897000002
Figure 2022512897000003
いくつかの実施形態では、ライブラリメンバー(例えば、細菌細胞であるライブラリメンバー)は、抗原提示細胞による取り込みを促進するインバシンを含む。いくつかの実施形態では、ライブラリメンバーは、抗原提示細胞内でライブラリメンバーの自己消化を容易にするオートリシンを含む。いくつかの実施形態では、ライブラリメンバーは、インバシン及びオートリシンの両方を含む。いくつかの実施形態では、E.coli細胞であるライブラリメンバーは、インバシン及び/またはオートリシンを含む。様々な実施形態では、インバシン及び/またはオートリシンを発現するライブラリ細胞は、非プロフェッショナル抗原提示細胞または細胞株に由来する抗原提示細胞も採用する方法において使用される。Isberg et al.(Cell,1987,50:769-778),Sizemore et al.(Science,1995,270:299-302)及びCourvalin et al.(C.R.Acad.Sci.Paris,1995,318:1207-12)は、標的細胞による細菌のエンドサイトーシスをもたらすインバシンの発現を説明する。オートリシンは、Cao et al.,Infect.Immun.1998,66(6):2984-2986;Margot et al.,J.Bacteriol.1998,180(3):749-752;Buist et al.,Appl.Environ.Microbiol.,1997,63(7):2722-2728;Yamanaka et al.,FEMS Microbiol.Lett.,1997,150(2):269-275;Romero et al.,FEMS Microbiol.Lett.,1993,108(1):87-92;Betzner and Keck,Mol.Gen.Genet.,1989,219(3):489-491;Lubitz et al.,J.Bacteriol.,1984,159(1):385-387;及びTomasz et al.,J.Bacteriol.,1988,170(12):5931-5934によって記載されている。いくつかの実施形態では、オートリシンは、遅延溶解を可能にする特徴を有し、例えば、オートリシンは、温度感受性または時間感受性である(例えば、Chang et al.,1995,J.Bact.177,3283-3294;Raab et al.,1985,J.Mol.Biol.19,95-105;Gerds et al.,1995,Mol.Microbiol.17,205-210を参照のこと)。有用な細胞溶解素はまた、中毒(毒/解毒剤)オートリシンを含む(例えば、Magnuson R,et al.,1996,J.Biol.Chem.271(31),18705-18710;Smith A S,et al.,1997,Mol.Microbiol.26(5),961-970参照)。
いくつかの実施形態では、ライブラリのメンバーは、細菌細胞を含む。特定の実施形態では、ライブラリは、非病原性、非毒性細菌細胞を含む。ライブラリメンバーとして使用するための細菌の例としては、E.coli、マイコバクテリウム、Listeria monocytogenes、Shigella flexneri、Bacillus subtilis、またはSalmonellaが挙げられる。
いくつかの実施形態では、ライブラリのメンバーは、真核細胞(例えば、酵母細胞)を含む。いくつかの実施形態では、ライブラリのメンバーは、ウイルス(例えば、バクテリオファージ)を含む。いくつかの実施形態では、ライブラリのメンバーは、リポソームを含む。細胞溶解素及び他の薬剤を含むリポソームを調製するための方法は、Kyung-Dallらの米国特許第5,643,599号に記載されている。いくつかの実施形態では、ライブラリのメンバーは、ビーズを含む。ビーズを含むライブラリを調製するための方法は、例えば、Lam et al.,Nature 354:82-84,1991、米国特許第5,510,240号及び第7,262,269号、ならびにそれらで引用されている参考文献に記載されている。
特定の実施形態では、ライブラリは、目的のポリペプチド、またはその一部をコードするポリヌクレオチドを、ライブラリの細胞において目的のポリペプチドを発現するベクターにクローニングすることによって構築される。このポリヌクレオチドは合成的に合成され得る。ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドを増幅するプライマーを設計することによってクローニングされ得る。プライマーは、利用可能なソフトウエア、例えば、プライマー3Plus(以下のURLから利用可能:bioinformatics.nl/cgi-bin/primer3plus/primer3plus.cgi;Rozen and Skaletsky,In:Krawetz S,Misener S(eds)Bioinformatics Methods and Protocols:Methods in Molecular Biology.Humana Press,Totowa,NJ,pp.365-386,2000参照)を使用して設計され得る。プライマーを設計するための他の方法は、当業者に公知である。いくつかの実施形態では、プライマーは、切断されたポリペプチドを生成するように、及び/または効率的な発現を促進するために疎水性領域(例えば、シグナル配列または膜貫通領域)を欠くように構築される。所与のオープンリーディングフレーム(ORF)配列における予測されたシグナル配列及び予測されたシグナル配列切断部位の位置は、利用可能なソフトウエア、例えば、Dyrlov et al.,J.Mol.Biol.,340:783-795,2004,及び以下のURL:cbs.dtu.dk/services/SignalP/参照)を使用して決定され得る。例えば、シグナル配列が所与のポリペプチド配列のN末端の20アミノ酸で生じることが予測される場合、プライマーは、増幅配列がこのシグナル配列を欠く産物をコードするように、N末端の20アミノ酸をコードするヌクレオチドの下流のコード配列にアニールするように設計される。
プライマーはまた、後のクローニング工程を容易にする配列を含むように設計され得る。ORFは、ゲノムDNA(例えば、腫瘍細胞のゲノムDNA)から直接的に、または腫瘍細胞によって発現されるmRNAの逆転写(RT-PCR)によって生成されるポリヌクレオチドから増幅され得る。mRNAのRT-PCRは、例えば、目的のゲノム配列がイントロン領域を含有する場合に有用である。PCRで増幅されたORFは、適切なベクターにクローニングされ、ORFのサイズ、配列、及び発現は、免疫学的アッセイで使用する前に検証され得る。
いくつかの実施形態では、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、タグ(例えば、N末端またはC端エピトープタグ)またはレポータータンパク質(例えば、蛍光タンパク質)をコードする配列に連結される。エピトープタグ及びレポータータンパク質は、発現されるポリペプチドの精製を容易にし、例えば、スクリーニングにおいて細胞を使用する前に、所与のポリペプチドがライブラリ宿主細胞において適切に発現されることを検証することを可能にし得る。有用なエピトープタグとしては、例えば、ポリヒスチジン(His)タグ、パラミクソウイルスのP及びVタンパク質由来のV5エピトープタグ、血球凝集素(HA)タグ、mycタグ、及び他のものが挙げられる。いくつかの実施形態では、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、公知の抗原性エピトープ(例えば、オボアルブミンなどのモデル抗原のMHCクラスI及び/またはMHCクラスII制限T細胞エピトープ)であるタグであって、目的のポリペプチドが発現されること及びポリペプチド-タグ融合タンパク質が抗原提示アッセイにおいてプロセシング及び提示されることを検証するために使用され得るタグをコードする配列に融合される。いくつかの実施形態では、タグとしては、マウスT細胞(例えば、マウスT細胞株)のT細胞エピトープが挙げられる。いくつかの実施形態では、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、精製を容易にするタグ及び公知の抗原性エピトープであるタグに連結される。有用なレポータータンパク質としては、天然に存在する蛍光タンパク質及びその誘導体、例えば、緑色蛍光タンパク質(Aequorea Victoria)及びネオングリーン(Neon Green)(Branchiostoma lanceolatum)が挙げられる。合成的に誘導された蛍光及び発色タンパク質のパネルも商業的供給源から利用可能である。
目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ライブラリ宿主細胞への導入のための発現ベクターにクローニングされる。様々なベクター系が、Gateway(登録商標)クローニング系(Invitrogen)など、ポリヌクレオチドのクローニング及び操作を容易にするために利用可能である。当業者に公知であるように、発現ベクターは、ライブラリ宿主細胞においてポリヌクレオチドによってコードされる目的のポリペプチドの生成を駆動させるエレメント(例えば、プロモーター及び他の制御エレメント)を含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチド発現は、誘導性エレメント(例えば、誘導性プロモーター、例えば、数例を挙げるとIPTGまたはアラビノース誘導性プロモーター、またはIPTG誘導性ファージT7RNAポリメラーゼシステム、ラクトース(lac)プロモーター、トリプトファン(trp)プロモーター、tacプロモーター、trcプロモーター、ファージラムダプロモーター、アルカリホスファターゼ(phoA)プロモーター;Cantrell,Meth.in Mol.Biol.,235:257-276,Humana Press,Casali and Preston,Eds.を参照されたい)によって制御される。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、細胞質性ポリペプチドとして発現される。いくつかの実施形態では、ポリペプチド発現のために使用されるベクターは、ライブラリ宿主細胞において高いコピー数を有するベクターである。いくつかの実施形態では、発現のために使用されるベクターは、細胞あたり25、50、75、100、150、200、または250コピーを超えるコピー数を有する。いくつかの実施形態では、発現のために使用されるベクターは、ColE1の複製起点を有する。細菌におけるポリペプチド発現のための有用なベクターとしては、pETベクター(Novagen)、Gateway(登録商標)pDESTベクター(Invitrogen)、pGEXベクター(Amersham Biosciences)、pPROベクター(BD Biosciences)、pBADベクター(Invitrogen)、pLEXベクター(Invitrogen)、pMAL(商標)ベクター(New England BioLabs)、pGEMEXベクター(Promega)、及びpQEベクター(Qiagen)が挙げられる。ファージライブラリを生成するためのベクターシステムは、公知であり、これには、Novagen T7Select(登録商標)ベクター、及びNew England Biolabs Ph.D.(商標)Peptide Display Cloning Systemが挙げられる。
いくつかの実施形態では、ライブラリ宿主細胞は、目的のポリペプチドを全細胞性タンパク質の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、または70%まで(構成的に、または誘導される場合は、選択される発現系に依存して)発現する。いくつかの実施形態では、ライブラリメンバー(例えば、細胞、ウイルス粒子、リポソーム、ビーズ)の中またはその上で利用可能なポリペプチドのレベルは、十分な量のライブラリメンバーに曝露される抗原提示細胞が、精製されたペプチドでパルスされた抗原提示細胞によって提示される密度と同等の密度でMHC分子ポリペプチドエピトープ上に提示されるようなレベルである。
ライブラリを効率的かつ大規模に作成する方法が利用可能である。例えば、部位特異的リコンビナーゼまたはレアカット制限酵素は、適切な配向及びリーディングフレームで発現ベクター間にポリヌクレオチドを移入させるために使用され得る(Walhout et al.,Meth.Enzymol.328:575-592,2000;Marsischky et al.,Genome Res.14:2020-202,2004;Blommel et al.,Protein Expr.Purif.47:562-570,2006)。
リポソームライブラリの生成のために、例えば、Wassef et al.,米国特許第4,863,874号;Wheatley et al.,米国特許第4,921,757号;Huang et al.,米国特許第4,925,661号;またはMartin et al.,米国特許第5,225,212号に記載されているように、発現したポリペプチド(例えば、精製されたまたは部分的に精製されたポリペプチド)は、リポソーム膜内に封入され得る。
ライブラリは、全長ポリペプチド及び/またはポリペプチドの一部を含むように設計され得る。全長ポリペプチドの発現により、ヒト抗原提示細胞による提示に利用可能なエピトープが最大化され、これにより抗原を特定する可能性が増大する。しかしながら、いくつかの実施形態では、ポリペプチドの一部、またはそうでなければ変化させたポリペプチドを発現させて、効率的な発現を達成することが有用である。例えば、いくつかの実施形態では、大きく(例えば、1,000アミノ酸を超える)、伸長した疎水性領域、シグナルペプチド、膜貫通ドメイン、または細胞毒性を引き起こすドメインを有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、細胞傷害性を減少させるため及びライブラリ細胞において効率的な発現を可能とするために(例えば、C末端切断、N末端切断、または内部欠失によって)改変され、これは今度は、ヒト細胞上でのコードされたポリペプチドの提示を容易にする。他の種類の改変、例えば、点変異またはコドン最適化もまた発現を増強するために使用され得る。
ライブラリに含まれるポリペプチドの数は変更されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ライブラリは、標的細胞(例えば、腫瘍細胞)におけるORFの少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、またはそれ以上に由来するポリペプチドを発現するように設計され得る。いくつかの実施形態では、ライブラリは、少なくとも10、15、20、25、30、40、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、2500、5000、10,000、またはそれ以上の異なる目的のポリペプチドを発現し、これらの各々は、単一の全長ポリヌクレオチドまたはその一部によってコードされるポリペプチドを表し得る。
いくつかの実施形態では、アッセイは、例えば、体液性及び細胞性免疫反応の両方の標的である可能性が高い抗原を特定するために、分泌ポリペプチド、細胞表面発現ポリペプチド、または病原性決定因子である抗原を特定することに焦点を合わせてもよい。
目的のポリペプチドに加えて、ライブラリは、目的のポリペプチドのMHC提示を容易に精製し、分析し、または評価することを可能とするタグまたはレポータータンパク質を含み得る。いくつかの実施形態では、ライブラリによって発現されるポリペプチドは、モデル抗原、例えば、ニワトリオボアルブミン(OVA)に由来するMHCクラスI及びMHCクラスII制限T細胞エピトープの両方を含むC末端タグを含む。ライブラリタンパク質発現及びMHC提示は、これらのエピトープを使用して確認される。いくつかの実施形態では、エピトープは、それぞれ、OVA247-265及びOVA258-265であり、これは、GenBank(登録商標)において受託番号NP_990483で見られるアミノ酸配列における位置に相当する。連結されたORFの発現及び提示は、これらのエピトープを特異的に認識するT細胞ハイブリドーマ(例えば、H2-K拘束性であるB3Z Tハイブリドーマ細胞、及びH2-A拘束性であるKZO Tハイブリドーマ細胞)を使用して抗原提示アッセイで検証され得る。
ライブラリメンバー(例えば、細菌細胞)のセットは、各位置におけるメンバーが異なる目的のポリペプチド、または異なる目的のポリペプチドのセットを発現するようにアレイ上で(例えば、固体支持体、例えば、96ウェルプレート上で)提供され、分離され得る。
T細胞抗原を特定するためのライブラリメンバーを使用する方法は、以下に詳細に記載されている。これらの方法に加えて、ライブラリメンバーは、B細胞抗原を特定するためのアッセイにも有用である。例えば、目的のポリペプチドを含むライブラリメンバーから調製された溶解物は、対象(例えば、目的の感染性物質に曝露された対象、がんを有する対象、及び/または対照対象)に由来する抗体を含む試料(例えば、血清試料)をスクリーニングして、その対象に存在する抗体が目的のポリペプチドと反応するか否かを決定するために使用され得る。抗体反応性を評価するための適切な方法が公知であり、これには、例えば、ELISAアッセイが挙げられる。
目的のポリペプチド
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物を使用して、目的のポリペプチドに対する免疫反応を特定及び/または検出し得る。いくつかの実施形態では、目的のポリペプチドは、標的腫瘍細胞に由来するORFによってコードされ、ライブラリのメンバーは、標的腫瘍細胞に由来するORFを含む(例えば、内在的に発現するまたは保有する)。いくつかのそのような実施形態では、ライブラリを本明細書に記載の方法で使用して、1つ以上のORFによってコードされる1つ以上の目的のポリペプチドに対する免疫反応を評価し得る。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、刺激性抗原(例えば、免疫反応、例えば、T細胞反応、例えば、1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌を刺激する)として1つ以上の目的のポリペプチドを特定する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、免疫反応(例えば、1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌)に対して最小の効果を有するか、または効果を有さない抗原または潜在的抗原として1つ以上の目的のポリペプチドを特定する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、(例えば、免疫反応、例えば、T細胞反応、例えば、1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌を阻害するか、抑制するか、下方制御するか、損なわせるか、及び/または防止する)阻害性及び/または抑制性抗原として1つ以上の目的のポリペプチドを特定する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、目的の1つ以上のポリペプチドを腫瘍抗原または潜在的腫瘍抗原、例えば、腫瘍特異的抗原(TSA、またはネオアンチゲン)、腫瘍関連抗原(TAA)、またはがん/精巣抗原(CTA)として特定する。
いくつかの実施形態では、目的のポリペプチドは、推定腫瘍抗原であり、本明細書に記載の方法及び組成物は、1つ以上の推定腫瘍抗原に対する免疫反応を特定及び/または検出するために使用してもよい。例えば、ライブラリのメンバーは、推定腫瘍抗原(例えば、腫瘍抗原として以前に(例えば、第三者によって)特定された、例えば、本開示の方法以外の方法を使用して腫瘍抗原として特定されたポリペプチド)を含む(例えば、内在的に発現するまたは保有する)。いくつかの実施形態では、推定腫瘍抗原は、本明細書に記載の腫瘍抗原である。いくつかのそのような実施形態では、そのようなライブラリを使用して、そのような推定腫瘍抗原が免疫反応を媒介するか否かを、及び/またはその程度を評価し得る。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、1つ以上の推定腫瘍抗原を刺激性抗原として特定する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、免疫反応に対して最小の効果を有するか、または効果を有さない抗原として1つ以上の推定腫瘍抗原を特定する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、1つ以上の推定腫瘍抗原を阻害性及び/または抑制性抗原として特定する。
いくつかの実施形態では、目的のポリペプチドは、事前選択された腫瘍抗原であり、本明細書に記載の方法及び組成物は、1つ以上の事前選択された腫瘍抗原に対する免疫反応を特定及び/または検出するために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ライブラリのメンバーは、本開示の方法を使用して及び/または本開示の方法以外の方法を使用して腫瘍抗原として特定された1つ以上のポリペプチドを含む(例えば、内在的に発現するまたは保有する)。いくつかのそのような実施形態では、そのようなライブラリは、本明細書に記載の1つ以上の反応プロファイルを得るために、1つ以上の対象(例えば、がんを有する対象及び/または対照の対象)に由来する免疫細胞によってそのような腫瘍抗原が免疫反応を媒介するか否か及び/またはその程度を評価するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、1つ以上の対象のための刺激性抗原として1つ以上の事前選択された腫瘍抗原を特定する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、1つ以上の対象のための免疫反応に対して最小の効果を有するか、または効果を有さない抗原として1つ以上の事前選択された腫瘍抗原を特定する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、1つ以上の対象のための阻害性及び/または抑制性抗原として1つ以上の事前選択された腫瘍抗原を特定する。
いくつかの実施形態では、目的のポリペプチドは、公知の腫瘍抗原であり、本明細書に記載の方法及び組成物は、1つ以上の公知の腫瘍抗原に対する免疫反応を特定及び/または検出するために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ライブラリのメンバーは、本開示の方法を使用して及び/または本開示の方法以外の方法を使用して腫瘍抗原として特定された1つ以上のポリペプチドを含む(例えば、内在的に発現するまたは保有する)。いくつかのそのような実施形態では、そのようなライブラリは、本明細書に記載の1つ以上の反応プロファイルを得るために、1つ以上の対象(例えば、がんを有する対象及び/または対照対象)に由来する免疫細胞によってそのような腫瘍抗原が免疫反応を媒介するか否か及び/またはその程度を評価するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、1つ以上の対象のための刺激性抗原として1つ以上の公知の腫瘍抗原を特定する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、1つ以上の対象のための免疫反応に対して最小の効果を有するか、または効果を有さない抗原として1つ以上の公知の腫瘍抗原を特定する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、1つ以上の対象のための阻害性及び/または抑制性抗原として1つ以上の公知の腫瘍抗原を特定する。
いくつかの実施形態では、目的のポリペプチドは、潜在的腫瘍抗原であり、本明細書に記載の方法及び組成物は、1つ以上の潜在的腫瘍抗原に対する免疫反応を特定及び/または検出するために使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ライブラリのメンバーは、本開示の方法を使用して及び/または本開示の方法以外の方法を使用して、目的のものとして、例えば、腫瘍に関連する変異をコードするものとして特定された1つ以上のポリペプチドを含む(例えば、内在的に発現するまたは保有する)。いくつかのそのような実施形態では、そのようなライブラリは、本明細書に記載の1つ以上の反応プロファイルを得るために、1つ以上の対象(例えば、がんを有する対象及び/または対照対象)に由来する免疫細胞によってそのようなポリペプチドが免疫反応を媒介するか否か及び/またはその程度を評価するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、1つ以上のポリペプチドを、1つ以上の対象のための刺激性抗原として特定する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、1つ以上の対象のための免疫反応に対して最小の効果を有するか、または効果を有さない抗原として1つ以上のポリペプチドを特定する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、1つ以上の対象のための阻害性及び/または抑制性抗原として1つ以上のポリペプチドを特定する。
腫瘍抗原
本明細書に記載の方法及びシステムにおいて使用される目的のポリペプチドは、腫瘍抗原及び潜在的腫瘍抗原、例えば、腫瘍特異的抗原(TSA、またはネオアンチゲン)、腫瘍関連抗原(TAA)、及び/またはがん/精巣抗原(CTA)を含む。例示的な腫瘍抗原としては、例えば、MART-1/メランA(MelanA)(MART-IまたはMLANA)、gp100(Pmel 17またはSILV)、チロシナーゼ、TRP-1、TRP-2、MAGE-1、MAGE-3(HIP8としても公知である)、BAGE、GAGE-1、GAGE-2、p15、カルシトニン、カルレチニン、がん胎児性抗原(CEA)、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、上皮膜タンパク質(EMA)、第VIII因子、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、総嚢胞性疾患流体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、インヒビン、リンパ球マーカー、MART-1(メラン-A)、Myo D1、筋肉特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ(PLAP)、前立腺特異的抗原、PTPRC(CD45)、S100タンパク質、平滑筋アクチン(SMA)、シナプトフィジン、サイログロブリン、甲状腺転写因子-1、腫瘍M2-PK、ビメンチン、p53、Ras、HER-2/neu、BCR-ABL、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、エプスタインバーウイルス抗原(例えば、EBNA1)、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原E6またはE7(HPV_E6またはHPV_E7)、TSP-180、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、RAGE、NY-ESO-1(CTAG1Bとしても公知である)、erbB、p185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、PSA、TAG-72、CA19-9、CA72-4、CAM17.1、NuMa、K-ras、ベータ-カテニン、CDK4、Mum-1、p15、p16、43-9F、5T4、791Tgp72、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ベータ-HCG、BCA225、BTAA、CA125、CA15-3\CA27.29\BCAA、CA195、CA242、CA-50、CAM43、CD68\P1、CO-029、FGF-5、G250、Ga733\EpCAM、HTgp-175、M344、MA-50、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90\Mac-2結合タンパク質\シクロフィリンC関連タンパク質、TAAL6、TAG72、TLP、MUC16、IL13Rα2、FRα、VEGFR2、ルイスY、FAP、EphA2、CEACAM5、EGFR、CA6、CA9、GPNMB、EGP1、FOLR1、内皮受容体、STEAP1、SLC44A4、ネクチン-4、AGS-16、グアナリルシクラーゼC、MUC-1、CFC1B、インテグリンアルファ3鎖(a3b1のもの、ラミニン受容体鎖)、TPS、CD19、CD20、CD22、CD30、CD31、CD72、CD180、CD171(L1CAM)、CD123、CD133、CD138、CD37、CD70、CD79a、CD79b、CD56、CD74、CD166、CD71、CD34、CD99、CD117、CD80、CD28、CD13、CD15、CD25、CD10、CLL-1/CLEC12A、ROR1、グリピカン(Glypican)3(GPC3)、メソテリン(Mesothelin)、CD33/IL3Ra、c-Met、PSCA、PSMA、糖脂質F77、EGFRvIII、BCMA、GD-2、PSAP、プロステイン(P501Sとしても公知である)、PSMA、スルビビン(BIRC5としても公知である)、及びMAGE-A3、MAGEA2、MAGEA4、MAGEA6、MAGEA9、MAGEA10、MAGEA12、BIRC5、CDH3、CEACAM3、CGB_アイソフォーム2、ELK4、ERBB2、HPSE1、HPSE2、KRAS_アイソフォーム1、KRAS_アイソフォーム2、MUC1、SMAD4、TERT,2、TERT.3、TGFBR2、EGAG9_アイソフォーム1、TP53、CGB_アイソフォーム1、IMPDH2、LCK、アンジオポエチン-1(Ang1)(ANGPT1としても公知である)、XIAP(BIRC4としても公知である)、ガレクチン-3(LGALS3としても公知である)、VEGF-A(VEGFとしても公知である)、ATP6S1(ATP6AP1としても公知である)、MAGE-A1、cIAP-1(BIRC2としても公知である)、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)、ガレクチン-9(LGALS9としても公知である)、プログラニュリンPGRN(グラニュリンとしても公知である)、OGFR、MLIAP(BIRC7としても公知である)、TBX4(ICPPS、SPSまたはT-Box4としても公知である)、分泌白血球タンパク質阻害剤(Slpi)(抗ロイコプロテイナーゼとしても知られている)、Ang2(ANGPT2としても知られている)、ガレクチン-1(LGALS1としても知られている)、TRP-2(DCTとしても知られている)、hTERT(テロメラーゼ逆転写酵素)チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP-1、TYRP1)、NOR-90/UBF-2(UBTFとしても知られている)、LGMN、SPA17、PRTN3、TRRAP_1、TRRAP_2、TRRAP_3、TRRAP_4、MAGEC2、PRAME、SOX10、RAC1、HRAS、GAGE4、AR、CYP1B1、MMP8、TYR、PDGFRB、KLK3、PAX3、PAX5、ST3GAL5、PLAC1、RhoC、MYCN、REG3A、CSAG2、CTAG2-1a、CTAG2-1b、PAGE4、BRAF、GRM3、ERBB4、KIT、MAPK1、MFI2、SART3、ST8SIA1、WDR46、AKAP-4、RGS5、FOSL1、PRM2、ACRBP、CTCFL、CSPG4、CCNB1、MSLN、WT1、SSX2、KDR、ANKRD30A、MAGED1、MAP3K9、XAGE1B、PREX2、CD276、TEK、AIM1、ALK、FOLH1、GRIN2A MAP3K5ならびに任意の前述の腫瘍抗原の1つ以上のアイソフォームが挙げられる。例示的な腫瘍抗原は、添付の配列のリストに提供されている。
腫瘍特異的抗原(TSA、またはネオアンチゲン)は、正常宿主ゲノムではコードされない腫瘍抗原である(例えば、Yarchoan et al.,Nat.Rev.Cancer.2017 Feb 24.doi:10.1038/nrc.2016.154;Gubin et al.,J.Clin.Invest.125:3413-3421(2015)を参照のこと)。いくつかの実施形態では、TSAは、体細胞変異及び/または他の遺伝子的変化から生じる。いくつかの実施形態では、TSAは、ミスセンスまたはインフレーム変異から生じる。いくつかの実施形態では、TSAは、フレームシフト変異または停止コドン喪失変異から生じる。いくつかの実施形態では、TSAは、挿入または欠失変異から生じる。いくつかの実施形態では、TSAは、複製または繰り返し増加変異から生じる。いくつかの実施形態では、TSAは、スプライスバリアントまたは不適切なスプライシングから生じる。いくつかの実施形態では、TSAは、遺伝子融合から生じる。いくつかの実施形態では、TSAは、転座から生じる。いくつかの実施形態では、TSAは、発がん性ウイルスタンパク質を含む。例えば、メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCPyV)に関連するメルケル細胞癌(MCC)ならびにヒトパピローマウイルス(HPV)に関連する子宮頸部、中咽頭及び他の部位のがんと同様に、TSAは、ウイルスのオープンリーディングフレームによってコードされるタンパク質を含む。本開示の目的のため、用語「変異(mutation)」及び「変異(mutations)」は、対象のがんまたは腫瘍細胞のゲノムではコードされるが、同じ対象の正常または非がん性細胞ではコードされない抗原に生じ得る全ての変異及び遺伝子変化を包含する。いくつかの実施形態では、TSAは、対象に特異的(個人的)である。いくつかの実施形態では、TSAは、例えば、2例以上の対象、例えば、がんに罹患している対象の1%未満、1~3%、1~5%、1~10%、またはそれ以上によって共有される。いくつかの実施形態では、2例以上の対象によって共有されるTSAは、公知である場合もあり、または事前選択されてもよい。
いくつかの実施形態では、TSAは、ウイルス由来のオープンリーディングフレームによってコードされる。例えば、ライブラリは、以下のウイルスのうちの1つに由来するポリペプチドを発現するように設計され得る:免疫不全ウイルス(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、例えば、HIV-1、HIV-2)、肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、A型肝炎ウイルス、非A型及び非B型肝炎ウイルス)、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルスI型(HSV-1)、HSV-2、水痘帯状疱疹ウイルス、エプスタインバーウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)、HHV-7、HHV-8)、ポックスウイルス(例えば、天然痘、ワクシニア、サル痘、伝染性軟属腫ウイルス)、インフルエンザウイルス、ヒトパピローマウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、狂犬病ウイルス、コクサッキーウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス(I、II及びIII型)、パラインフルエンザウイルス、パラミクソウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス、ライノウイルス、風疹ウイルス、麻疹ウイルス、おたふく風邪ウイルス、アデノウイルス、黄熱病ウイルス、ノーウォークウイルス、西ナイルウイルス、デング熱ウイルス、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、ブニヤウイルス、エボラウイルス、マールブルグウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、フニンウイルス、ラッサ熱ウイルス、及びリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス。他のウイルスのためのライブラリも本明細書に記載の方法に従って生成され、使用され得る。
腫瘍特異的抗原は、当該技術分野で公知であり、そのいずれかが本明細書に記載の方法において使用され得る。いくつかの実施形態では、潜在的または推定上のネオアンチゲンであるポリペプチドをコードする遺伝子配列は、次世代シーケンシング技術を使用した、がんを患っている対象由来の腫瘍組織及び健康な組織のゲノム及び/またはエクソームを配列決定することによって決定される。いくつかの実施形態では、変異の頻度及び潜在的または推定上のネオアンチゲンをコードする能力に基づいて選択される遺伝子は、次世代シーケンシング技術を使用して配列決定される。次世代シーケンシングは、ゲノムシーケンシング、ゲノムリシーケンシング、トランスクリプトームプロファイリング(RNA-Seq)、DNA-タンパク質相互作用(ChIP-シーケンシング)、及びエピゲノム特性化に適用される(de Magalhaes et al.(2010)Ageing Research Reviews 9(3):315-323;Hall N(2007)J.Exp.Biol.209(Pt 9):1518-1525;Church(2006)Sci.Am.294(1):46-54;ten Bosch et al.(2008)Journal of Molecular Diagnostics 10(6):484-492;Tucker T et al.(2009)The American Journal of Human Genetics 85(2):142-154)。次世代シーケンシングは、個別の変異、例えば、個々の腫瘍におけるコード変異、例えば、単一のアミノ酸変化(例えば、ミスセンス変異、インフレーム変異)またはフレームシフト挿入によって生成されるアミノ酸の新規伸長、欠失、遺伝子融合、停止コドンにおけるリードスルー変異、複製またはリピート増加変異、及びスプライスバリアントの転座または不適切にスプライシングされたイントロン、ならびに転座(例えば、「neoORF」)の存在を迅速に明らかにするために使用され得る。
潜在的または推定上のネオアンチゲンを特定するための別の方法は、直接タンパク質シーケンシングである。タンデム質量分析を含む多次元MS技術(MSn)を使用した酵素消化物のタンパク質シーケンシング(MS/MS))も、ネオアンチゲンの特定に使用され得る。そのようなプロテオソームアプローチは、迅速で高度に自動化された分析のために使用され得る(例えば、Gevaert et al.,Electrophoresis 21:1145-1154(2000)参照)。未知のタンパク質のデノボシーケンシングのためのハイスループット法を使用してまた、対象の腫瘍のプロテオームを分析し、発現された潜在的または推定上のネオアンチゲンを特定もし得る。例えば、メタショットガンタンパク質シーケンシングを使用して、発現された潜在的または推定上のネオアンチゲンを特定し得る(例えば、Guthals et al.(2012)Molecular and Cellular Proteomics 11(10):1084-96を参照)。
潜在的または推定上のネオアンチゲンはまた、ネオアンチゲン特異的T細胞反応を特定するためにMHC多量体を使用して特定され得る。例えば、患者試料中のネオアンチゲン特異的T細胞応答のハイスループット分析は、MHCテトラマーベースのスクリーニング技術を使用して実行され得る(例えば、Hombrink et al.(2011)PLoS One;6(8):e22523;Hadrup et al.(2009)Nature Methods,6(7):520-26;van Rooij et al.(2013)Journal of Clinical Oncology,31:1-4;及びHeemskerk et al.(2013)EMBO Journal,32(2):194-203を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、1つ以上の公知のもしくは事前選択された腫瘍特異的抗原、またはこれらの方法のうちの1つ以上を使用して特定された1つ以上の潜在的もしくは推定腫瘍特異的抗原は、本明細書に記載のライブラリに含まれ得る。
腫瘍関連抗原(TAA)は、正常ゲノムにおいてコードされるタンパク質を含む(例えば、Ward et al.,Adv.Immunol.130:25-74(2016)を参照のこと)。いくつかの実施形態では、TAAは、正常な分化抗原または異常に発現した正常タンパク質のいずれかである。ウィルムス腫瘍1(WT1)(Ohminami et al.,Blood 95:286-293(2000))またはHer2/neu(Kawashima et al.,Cancer Res.59:431-435(1999))などの増殖/生存促進機能を保有する、過剰発現された正常なタンパク質は、発がん過程に直接関与するTAAである。タンパク質のリン酸化などの翻訳後修飾もTAAの形成につながり得る(Doyle,J.Biol.Chem.281:32676-32683(2006);Cobbold,Sci.Transl.Med.5:203ra125(2013))。TAAは一般に、複数の対象、例えば、がんに罹患している対象の1%未満、1~3%、1~5%、1~10%、1~20%、またはそれ以上によって共有される。いくつかの実施形態では、TAAは、公知のまたは事前選択された腫瘍抗原である。いくつかの実施形態では、個々の対象に関して、TAAは、潜在的または推定の腫瘍抗原である。がん/精巣抗原(CTA)は、様々な腫瘍タイプによって及び生殖組織(例えば、精巣、胎児卵巣及びトロホブラスト)によって発現されるが、成人における他の正常組織では発現が限られているか、または検出可能な発現を有さず、一般に正常な生殖細胞上では提示されないが、その理由は、これらの組織は、MHCクラスI分子を発現しないからである(例えば、Coulie et al.,Nat.Rev.Cancer 14:135-146(2014);Simpson et al.,Nat.Rev.Cancer 5:615-625(2005);Scanlan et al.,Immunol.Rev.188:22-32(2002)を参照のこと)。ライブラリスクリーニング
抗原提示のためのヒト細胞
本発明は、とりわけ、ヒト免疫細胞によって認識される腫瘍抗原を特定するための組成物及び方法を提供する。ヒト抗原提示細胞は、ヒトリンパ球上の抗原受容体及び他の免疫活性化分子に対するリガンドを発現する。種間のMHCペプチド結合特異性及び抗原プロセシング酵素の差を考慮すると、ヒト細胞によってプロセシング及び提示される抗原は、非ヒト系で特定される抗原よりもin vivoで生理的に関係するヒト抗原である可能性が高い。したがって、これらの抗原を特定する方法は、候補腫瘍抗原ポリペプチドを提示するヒト細胞を採用する。ライブラリメンバーを内在化し、MHC分子上でライブラリメンバーによって発現されるポリペプチドを提示する任意のヒト細胞は、本開示に従って抗原提示細胞として使用され得る。いくつかの実施形態では、抗原提示のために使用されるヒト細胞は、初代ヒト細胞である。細胞は、ヒトの末梢血単核細胞(PBMC)を含み得る。いくつかの実施形態では、末梢血細胞は、抗原提示アッセイにおいて使用する前に、サブセット(例えば、樹状細胞、マクロファージ、単球、B細胞、またはそれらの組み合わせを含むサブセット)に分離される。いくつかの実施形態では、MHCクラスIIを発現する細胞のサブセットは、末梢血から選択される。一例では、樹状細胞を含む細胞集団は、末梢血から単離される。いくつかの実施形態では、樹状細胞のサブセット(例えば、形質細胞様、骨髄、またはそれらのサブセット)が単離される。ヒト樹状細胞マーカーは、CD1c、CD1a、CD303、CD304、CD141、及びCD209を含む。細胞は、これらのマーカーの1つ以上の発現に基づいて選択され得る(例えば、CD303、CD1c、及びCD141を発現する細胞)。
樹状細胞は、市販のキット(例えば、Miltenyi Biotec Inc.製)を使用して末梢血から正の選択によって単離され得る。いくつかの実施形態では、樹状細胞は、アッセイにおいて使用する前に、ex vivoで増殖される。樹状細胞はまた、in vitroで単球前駆体の樹状細胞への分化を促進する条件下で末梢血細胞を培養することによって生成され得る。これらの条件は典型的には、サイトカイン、例えば、GM-CSF及びIL-4の存在下で細胞を培養することを含む(例えば、Inaba et al.,Isolation of dendritic cells,Curr.Protoc.Immunol.May;Chapter 3:Unit 3.7,2001を参照のこと)。造血幹細胞及び前駆細胞(例えば、骨髄または末梢血から取得されたもの)のin vitroでの増加のための手順、及びin vitroでのこれらの細胞の樹状細胞への分化は、米国特許第5,199,942号、及び米国特許公開20030077263に記載されている。簡単に言えば、CD34造血幹細胞及び前駆細胞は、末梢血または骨髄から単離され、Flt3-L、IL-1、IL-3、及びc-kitリガンドの1つ以上を含む培養条件でin vitroで増殖される。
いくつかの実施形態では、ヒトMHC分子を発現する不死化された細胞(例えば、ヒト細胞、またはヒトMHC分子を発現するように改変された非ヒト細胞)は、抗原提示ために使用される。例えば、アッセイは、ヒトMHC分子またはHeLa細胞がトランスフェクトされたCOS細胞を採用し得る。
いくつかの実施形態では、この方法において使用される抗原提示細胞及び免疫細胞はいずれとも、同じ対象から誘導される(例えば、自己T細胞及びAPCが使用される)。これらの実施形態では、対象の末梢血から細胞のサブセットを連続的に単離して、アッセイに利用可能な細胞の収率を最大化することが有利であり得る。例えば、最初に、末梢血からCD4及びCD8T細胞サブセットを単離し得る。次に、樹状細胞(DC)を、T細胞が枯渇した細胞集団から単離する。残りのT及びDC枯渇細胞は、アッセイにおいてDCを補うために使用するか、または抗原提示細胞として単独で使用する。いくつかの実施形態では、DCは、1:2、1:3、1:4、または1:5の比率で、アッセイにおいてT及びDC枯渇細胞と共に使用される。いくつかの実施形態では、この方法において使用される抗原提示細胞及び免疫細胞は、異なる対象から誘導される(例えば、異種T細胞及びAPCが使用される)。
抗原提示細胞は、末梢血以外の源から単離され得る。例えば、抗原提示細胞は、スクリーニングアッセイにおいて使用するために、粘膜組織(例えば、鼻、口、気管支組織、気管組織、消化管、生殖管(例えば、膣組織)、または関連するリンパ組織)、腹腔、リンパ節、脾臓、骨髄、胸腺、肺、肝臓、腎臓、ニューロン組織、内分泌組織、または他の組織から取得され得る。いくつかの実施形態では、細胞は、活発な免疫反応(例えば、潰瘍、疼痛箇所、または膿瘍)の部位である組織から採取される。細胞は、外科的に、洗浄または他の手段によって除去された組織から単離され得る。
本明細書に記載の方法において有用な抗原提示細胞は、「プロフェッショナル」抗原提示細胞に限定されない。いくつかの実施形態では、非プロフェッショナル抗原提示細胞は、本開示の方法の実施において効果的に利用され得る。非プロフェッショナル抗原提示細胞としては、線維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、ニューロン/グリア細胞、プロフェッショナル抗原提示細胞ではないリンパまたは骨髄細胞(例えば、T細胞、好中球)、筋肉細胞、肝臓細胞、及び他の種類の細胞が挙げられる。
抗原提示細胞は、MHC分子上のライブラリメンバーによって発現されるポリペプチドを抗原提示細胞が内在化し、プロセシングし、提示する条件下で、目的のポリペプチドを発現するライブラリメンバー(及び、所望の場合、細胞溶解素ポリペプチド)と共に培養される。いくつかの実施形態では、ライブラリメンバーは、抗原提示細胞と共に培養する前に殺傷または不活性化される。細胞またはウイルスは、任意の適切な因子によって不活性化され得る(例えば、有機溶媒での固定、照射、凍結)。いくつかの実施形態では、ライブラリメンバーは、タグ(例えば、1つ以上の公知のT細胞エピトープを含むタグ)またはレポータータンパク質に連結されたORFを発現する細胞であり、その発現は培養の前に検証されている。
いくつかの実施形態では、抗原提示細胞は、37℃で30分間~5時間の間(例えば、45分間~1.5時間)ライブラリメンバーと共にインキュベートされる。インキュベーションの後、抗原提示細胞は、内在化されなかったライブラリメンバーを除去するために洗浄され得る。特定の実施形態では、抗原提示細胞は非接着性であり、洗浄は細胞の遠心分離を必要とする。洗浄された抗原提示細胞は、抗原プロセシングを可能とするために、リンパ球への曝露の前に37℃で追加期間(例えば、30分~2時間)インキュベートされ得る。いくつかの実施形態では、リンパ球への曝露の前に抗原提示細胞を(例えば、1%のパラホルムアルデヒドで細胞を処理することによって)固定し、殺傷することが所望である。
抗原提示細胞及びライブラリメンバーの数は、ライブラリメンバーがMHC分子上の提示に十分な量の目的のポリペプチドを提供する限り、変更されてもよい。いくつかの実施形態では、抗原提示細胞はアレイで提供され、ライブラリ細胞のセットと接触され、各セットは、異なる目的のポリペプチドを発現するものである。特定の実施形態では、アレイにおける各位置は、1×10~1×10個の抗原提示細胞を含み、細胞は、細菌細胞である1×10~1×10個のライブラリ細胞と接触される。
本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、抗原提示細胞は、ライブラリ細胞とのインキュベートの前、またはライブラリ細胞とのインキュベートの後に、新たに単離されても、培養で維持されても、及び/または凍結保存から解凍されてもよい。
ヒトリンパ球
本開示の方法では、ヒトリンパ球は、抗原提示細胞、例えば、上述した目的のポリペプチドを発現するライブラリと共にインキュベートされた抗原提示細胞に対する抗原特異的反応性について試験される。本開示の方法は、個体から単離されたリンパ球、またはその細胞の子孫のプールを使用してヒト抗原の迅速な特定を可能にする。抗原特異的反応の検出は、個々のT細胞クローンを分離するための面倒な手順には依存しない。いくつかの実施形態では、ヒトリンパ球は、初代リンパ球である。いくつかの実施形態では、ヒトリンパ球は、NKT細胞、ガンマ-デルタT細胞、またはNK細胞である。ちょうど抗原提示細胞が抗原提示アッセイにおける使用の前にサブセットに分離され得るように、特定のマーカーまたは他の特徴を有するリンパ球の集団が使用され得る。いくつかの実施形態では、Tリンパ球の集団が単離される。いくつかの実施形態では、CD4T細胞の集団が単離される。いくつかの実施形態では、CD8T細胞の集団が単離される。CD8T細胞は、MHCクラスI分子の観点において提示されたペプチド抗原を認識する。よって、いくつかの実施形態では、CD8T細胞は、目的のポリペプチドに加えて、細胞溶解素ポリペプチドを共発現するライブラリ宿主細胞に曝露された抗原提示細胞と共に使用される。他の細胞表面マーカーを発現するT細胞サブセットも、例えば、特定の表現型を有する細胞を提供するために、単離され得る。これらとしては、CLA(皮膚ホーミングT細胞について)、CD25、CD30、CD69、CD154(活性化T細胞について)、CD45RO(記憶T細胞について)、CD294(Th2細胞について)、γ/δTCR発現細胞、CD3及びCD56(NK T細胞について)が挙げられる。他のサブセットも選択され得る。
リンパ球は、当該技術分野で知られている任意の手段によって(例えば、抗体ベースの方法、例えば、磁気ビーズ分離、パンニング、またはフローサイトメトリーを採用するものを使用して)単離され、分離され得る。ヒトリンパ球及びそのサブセットを特定及び分離するための試薬は周知であり、市販されている。
本明細書に記載の方法において使用するためのリンパ球は、末梢血単核細胞から、またはヒトにおける他の組織から単離され得る。いくつかの実施形態では、リンパ球は、腫瘍、リンパ節、粘膜組織(例えば、鼻、口、気管支組織、気管組織、消化管、生殖管(例えば、膣組織)、または関連するリンパ組織)、腹腔、脾臓、胸腺、肺、肝臓、腎臓、ニューロン組織、内分泌組織、腹腔、骨髄、または他の組織から取得される。いくつかの実施形態では、細胞は、活動的免疫反応の部位(例えば、潰瘍、疼痛箇所、または膿瘍)である組織から取得される。細胞は、外科的に、洗浄または他の手段により除去された組織から単離され得る。
個体から採取されたリンパ球は、抗原提示アッセイにおいて使用するまで培養液中でまたは凍結して維持され得る。いくつかの実施形態では、新たに単離されたリンパ球は、上述したライブラリ細胞に曝露された抗原提示細胞によってin vitroで刺激され得る。いくつかの実施形態では、これらのリンパ球は、事前の非抗原特異的増殖を必要とすることなく検出可能な刺激を示す。ただし、初代リンパ球はまた、in vitroで最初に非特異的に刺激されたときに、検出可能な抗原特異的反応も誘発する。よって、いくつかの実施形態では、リンパ球は、抗原提示アッセイにおいて使用する前に、非抗原特異的手法でin vitroで増殖するために刺激される。リンパ球はまた、抗原提示アッセイにおいて使用する前に、抗原特異的手法で刺激され得る。いくつかの実施形態では、細胞は、ライブラリによって増殖するために刺激される(例えば、ライブラリを採用する抗原提示アッセイにおいて使用する前に)。in vitroで細胞を増殖させることは、アッセイにおいて使用するためのより多数の細胞を提供する。初代T細胞を刺激して、例えば、ポリクローナルT細胞マイトジェン、例えば、フィトヘマグルチニンまたはコンカナバリンへの曝露によって、増殖を刺激する抗体での治療によって、または抗体で被覆された粒子での治療によって増加させてもよい。いくつかの実施形態では、T細胞は、抗CD2、抗CD3、及び抗CD28抗体での治療によって増殖される。いくつかの実施形態では、T細胞は、インターロイキン-2での治療によって増殖される。いくつかの実施形態では、リンパ球は、凍結保存から解凍され、抗原提示細胞と接触させる前に増殖される(例えば、非抗原特異的手法または抗原特異的手法で、例えば、増殖するために刺激される)。いくつかの実施形態では、リンパ球は、凍結保存から解凍され、抗原提示細胞と接触させる前に増殖されない。いくつかの実施形態では、リンパ球は、新たに単離され、抗原提示細胞と接触させる前に増加される(例えば、非抗原特異的手法または抗原特異的手法で、例えば、増殖するために刺激される)。
抗原提示アッセイ
抗原提示アッセイにおいて、T細胞は、抗原提示細胞上のMHC分子によって提示されるペプチドのT細胞認識を可能にする条件下で、上述した方法に従って調製された抗原提示細胞と共に培養される。いくつかの実施形態では、T細胞は、37℃で12~48時間の間(例えば、24時間)抗原提示細胞と共にインキュベートされる。いくつかの実施形態では、T細胞は、37℃で3、4、5、6、7、または8日間抗原提示細胞と共にインキュベートされる。抗原提示細胞及びT細胞の数は変更され得る。いくつかの実施形態では、所与のアッセイにおけるT細胞の抗原提示細胞に対する比率は、1:10、1:5、1:2、1:1、2:1、5:1、10:1、20:1、25:1、30:1、32:1、35:1または40:1である。いくつかの実施形態では、抗原提示細胞は、アレイ(例えば、96ウェルプレート)で提供され、アレイの各位置における細胞は、ライブラリ細胞のセットと接触されており、各セットは、異なる目的のポリペプチドを含むものである。特定の実施形態では、アレイにおける各位置は、1×10~1×10個の抗原提示細胞を含み、細胞は、1×10~1×10個のT細胞と接触される。
T細胞が抗原提示細胞と共にインキュベートされた後、培養物は、活性化についてアッセイされる。リンパ球の活性化は、当技術分野で公知の任意の手段、例えば、T細胞増殖、受容体のリン酸化または脱リン酸化、カルシウム流出、細胞骨格再構成、免疫メディエーター、例えば、サイトカインまたは可溶性メディエーターの発現及び/または分泌の増減、1つ以上の細胞表面マーカーの発現の増減によって検出され得る。いくつかの実施形態では、培養上清を収集し、活性化に関連する1つ以上のポリペプチド、例えば、サイトカイン、可溶性メディエーター、細胞表面マーカー、または他の免疫メディエーターの発現及び/または分泌の増減についてアッセイする。いくつかの実施形態では、1つ以上のサイトカインは、TRAIL、IFN-ガンマ、IL-12p70、IL-2、TNF-アルファ、MIP1-アルファ、MIP1-ベータ、CXCL9、CXCL10、MCP1、RANTES、IL-1ベータ、IL-4、IL-6、IL-8、IL-9、IL-10、IL-13、IL-15、CXCL11、IL-3、IL-5、IL-17、IL-18、IL-21、IL-22、IL-23A、IL-24、IL-27、IL-31、IL-32、TGF-ベータ、CSF、GM-CSF、TRANCE(RANK Lとしても公知である)、MIP3-アルファ、及びフラクタルカインから選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上の可溶性メディエーターは、グランザイムA、グランザイムB、sFas、sFasL、パーフォリン、及びグラニュリシンから選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上の細胞表面マーカーは、CD107a、CD107b、CD25、CD69、CD45RA、CD45RO、CD137(4-1BB)、CD44、CD62L、CD27、CCR7、CD154(CD40L)、KLRG-1、CD71、HLA-DR、CD122(IL-2RB)、CD28、IL7Ra(CD127)、CD38、CD26、CD134(OX-40)、CTLA-4(CD152)、LAG-3、TIM-3(CD366)、CD39、PD1(CD279)、FoxP3、TIGIT、CD160、BTLA、2B4(CD244)、及びKLRG1から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上の他の免疫メディエーターは、CXCR5、IDO、PD-L1、CD33、CD11b、LAG3、CXCR3、t-bet、GATA-3、GITR、CD39、CD73、CD57、TCF1、Akt、SLAMF6、BCL-6、FoxO1、TOX、IRF4、及びCD30から選択される。培養上清中のサイトカイン分泌は、例えば、ELISA、ビーズアレイによって、例えば、Luminex(登録商標)分析器を用いて検出され得る。サイトカイン生成もまた、T細胞から単離されたmRNAのRT-PCRによって、またはT細胞によって放出されたサイトカインのELISPOT分析によってアッセイされ得る。いくつかの実施形態では、培養物中のT細胞の増殖が決定される(例えば、Hチミジン取り込みを検出することによって)。いくつかの実施形態では、標的細胞溶解が決定される(例えば、Na 51CrOで標識された抗原提示細胞のT細胞依存性溶解を検出することによって)。標的細胞溶解アッセイは典型的には、CD8T細胞で実施される。これらの検出方法のプロトコルは公知である。例えば、Current Protocols In Immunology,John E.Coligan et al.(eds),Wiley and Sons,New York,N.Y.,2007を参照のこと。当業者は、これらの検出方法において、例えば、非抗原特異的バックグラウンド活性化について調整するために、抗原提示細胞の提示能力を確認するために、及びリンパ球の生存性を確認するために適切な制御が使用され得ることを理解する。
いくつかの実施形態では、この方法において使用される抗原提示細胞及びリンパ球は、同じ個体に由来する。いくつかの実施形態では、この方法において使用される抗原提示細胞及びリンパ球は、異なる個体に由来する。
いくつかの実施形態では、抗原提示アッセイは、例えば、反応の検出を増強するために、または弱い初期反応を増強するために、抗原提示細胞への曝露の1回以上の先行ラウンドを受けた同じ個体に由来するリンパ球を使用して繰り返される。いくつかの実施形態では、抗原提示アッセイは、例えば、反応の検出を増強するために、または弱い初期反応を増強するために、ライブラリへの曝露の1回以上の先行ラウンドを受けた同じ個体に由来する抗原提示細胞を使用して繰り返される。いくつかの実施形態では、抗原提示アッセイは、例えば、反応の検出を増強するために、または弱い初期反応を増強するために、抗原提示細胞への曝露の1回以上の先行ラウンドを受けた同じ個体に由来するリンパ球、及びライブラリへの曝露の1回以上の先行ラウンドを受けた同じ個体に由来する抗原提示細胞を使用して繰り返される。いくつかの実施形態では、抗原提示アッセイは、例えば、複数の個体によって認識される抗原を特定するために、または個体間で異なる反応性を比較するために、異なる個体に由来する抗原提示細胞及びリンパ球を使用して繰り返される。
腫瘍抗原を特定する方法
本明細書に記載の方法の1つの利点は、臨床的に関係するヒト抗原を特定するその能力である。がんを患っているヒトは、以前の曝露から生じる適応免疫反応の産物である腫瘍抗原を特異的に認識するリンパ球を有する場合がある。いくつかの実施形態では、これらの細胞は、がんを有さない個体由来の細胞よりも高い頻度で存在するか、及び/またはこの細胞は、適切な抗原刺激に再曝露されると容易に再活性化される(例えば、この細胞は「記憶」細胞である)。よって、がんに罹っているかまたは罹っていたヒトは、in vitroで抗原を特定するための特に有用な細胞のドナーである。この個体は、がんから回復した個体であり得る。いくつかの実施形態では、個体は、最近にがんと診断されている(例えば、個体は、個体に由来するリンパ球及び/または抗原提示細胞の単離の1年未満前、3か月未満前、2か月未満前、1か月未満前、または2週間未満前に診断された)。いくつかの実施形態では、個体は、リンパ球及び/または抗原提示細胞の単離の3か月超、6か月超、または1年超前に初めてがんと診断された。
いくつかの実施形態では、リンパ球は、メンバーが目的のポリペプチドを発現または保持する細胞のライブラリと接触された抗原提示細胞に対してスクリーニングされ、リンパ球は、がんと診断されていない個体に由来する。いくつかの実施形態では、そのようなリンパ球は、バックグラウンド(すなわち、非抗原特異的)反応性を決定するために使用される。いくつかの実施形態では、そのようなリンパ球は、非がん個体に存在する抗原、反応性を特定するために使用される。
複数のドナー(例えば、がんを有する複数の対象)に由来する細胞が、本明細書に記載の方法において収集され、アッセイされ得る。いくつかの実施形態では、所与の腫瘍抗原が広い集団部分で反応性であるか否かを決定するために、または広い集団部分で有効な免疫原性組成物を生成するために後に組み合わされ得る複数の腫瘍抗原を特定するために、複数のドナーに由来する細胞をアッセイする。
抗原提示アッセイは、感染性及び非感染性の両方の疾患の観点において有用である。本明細書に記載の方法は、ヒト細胞性免疫の迅速評価が有益である任意の状況に適用可能である。いくつかの実施形態では、新生物細胞(例えば、腫瘍細胞)によって示差的に発現されるポリペプチドに対する抗原反応性が評価される。新生物細胞によって示差的に発現される核酸のセットは、サブトラクティブハイブリダイゼーションなどの確立された技術を使用して特定されている。本明細書に記載の方法は、抗腫瘍免疫反応が起こった対象において機能的であった抗原を特定するために使用され得る。他の実施形態では、対象が腫瘍抗原または腫瘍抗原のセットに対して反応するリンパ球を有するか否かを評価するための方法を使用する。
いくつかの実施形態では、個体、例えば、自己免疫病態にかかりやすいか、または罹患している個体の細胞における自己抗原に対する反応性を調べるために抗原提示アッセイを使用する。そのような方法は、個体の疾患状態の診断もしくは予後の指標を提供するために、または自己抗原を特定するために使用され得る。これらのアッセイのため、いくつかの実施形態では、ヒトポリペプチドのアレイを含むライブラリを調製する。いくつかの実施形態では、自己抗原に対する交差反応性反応を誘発することが疑われる感染性病原体由来のポリペプチドを含むライブラリを調製する。交差反応性の自己免疫反応を誘発すると考えられている感染性因子由来の抗原の例については、Barzilai et al.,Curr Opin Rheumatol.,19(6):636-43,2007;Ayada et al.,Ann N Y Acad Sci.,1108:594-602,2007;Drouin et al.,Mol Immunol.,45(1):180-9,2008;and Bach,J Autoimmun.,25 Suppl:74-80,2005を参照のこと。
論述したように、本開示は、目的のポリペプチドがライブラリに含まれる(例えば、ライブラリ細胞で発現されるか、または粒子もしくはビーズの中または上に保有されている)方法を含む。ライブラリのメンバーが抗原提示細胞によって内在化された後、目的のポリペプチドは、抗原提示細胞内でタンパク質分解プロセシングされ、ポリペプチドのペプチド断片が抗原提示細胞に発現したMHC分子上に提示される。本明細書に記載のアッセイにおいてヒトリンパ球を刺激するポリペプチドの同一性は、刺激を生成した抗原提示細胞に提供されたライブラリ細胞のセットの検査から決定され得る。いくつかの実施形態では、観察された刺激を生成するためにMHC分子によって結合されるポリペプチド内のエピトープをマッピングすることが有用である。このエピトープ、またはそれが誘導されたより長いポリペプチド(いずれも本明細書において「抗原」と称される)は、免疫原性組成物のための、または将来の抗原提示アッセイにおける抗原刺激のための基礎を形成し得る。
MHC分子によって結合されるペプチドを特定するための方法は公知である。いくつかの実施形態では、エピトープは、目的のポリペプチドの欠失変異体を生成し、これらをリンパ球を刺激する能力について試験することによって特定される。リンパ球を刺激する能力を失う欠失は、抗原提示細胞によってプロセシング及び提示される場合、ペプチドエピトープを失っている。いくつかの実施形態では、エピトープは、目的のポリペプチドの一部に対応するペプチドを合成し、(例えば、抗原提示細胞がペプチドでパルスされる抗原提示アッセイにおいて)そのペプチドをリンパ球を刺激する能力について試験することによって特定される。MHC結合ペプチドを特定するための他の方法は、抗原ペプチドを含む抗原提示細胞の溶解、細胞溶解物からのMHC分子のアフィニティ精製、ならびにその後のMHCからのペプチドの溶出及び分析を含む(Falk,K.et al.Nature 351:290,1991,及び米国特許第5,989,565号)。
他の実施形態では、抗原に反応して拡大されたクローンT細胞受容体を特定することは有用である。クローン性T細胞受容体は、T細胞受容体レパートリーのDNAシーケンシングによって特定される(Howie et al,2015 Sci Trans Med 7:301)。TCRの特異性及び機能を特定することにより、TCRを他の細胞タイプにトランスフェクトし、機能研究または新規免疫療法に使用してもよい。他の実施形態では、対象の腫瘍抗原に反応するT細胞を特定して分離することが有用である。単離されたT細胞は、ex vivoで増殖され、がん治療または予防のために対象に投与され得る。
対象の免疫反応を特定する方法
本開示は、対象(例えば、試験対象、または標的対象)の1つ以上の免疫反応を特定する方法を提供する。いくつかの実施形態では、対象(例えば、試験対象または標的対象)の1つ以上の免疫反応は、a)腫瘍抗原(例えば、公知の腫瘍抗原、本明細書に記載の腫瘍抗原、または本明細書に記載の方法を使用して特定される目的の腫瘍抗原、潜在的腫瘍抗原、及び/または他のポリペプチド)のパネルを含む本明細書に記載のライブラリを提供すること;b)このライブラリを対象に由来する抗原提示細胞と接触させること;c)この抗原提示細胞を対象に由来するリンパ球と接触させること;及びd)1つ以上の抗原提示細胞によって提示される1つ以上の腫瘍抗原によって1つ以上のリンパ球が刺激されるか、阻害されるか、及び/または抑制されるか、活性化されるか、またはそれに対して非反応性であるかを決定することによって、決定される。いくつかの実施形態では、ライブラリは、約1、3、5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、またはそれ以上の腫瘍抗原を含む。
いくつかの実施形態では、試験対象とは、(i)がん治療を受けていないがん対象;(ii)がん治療に対して反応しなかったか、及び/または臨床的に反応していないか、及び/またはネガティブな反応を示したがん対象;あるいは(iii)がんと診断されていない対象、である。
いくつかの実施形態では、標的対象は、(i)がん治療に臨床的に反応するかまたはポジティブに反応したがん対象(「反応性対象」);(ii)がん治療に反応しなかったか、及び/または臨床的に反応していないか、及び/またはネガティブに反応したがん対象(「非反応性の対象」);(iii)がんに自発的に反応するかまたは反応したがん対象(「自発的標的対象」);あるいは(vi)がんと診断されていない対象(「正常な対象」)である。
いくつかの実施形態では、リンパ球刺激、非刺激、阻害及び/または抑制、活性化、及び/または非反応性は、本明細書に記載の1つ以上の発現されたかもしくは分泌されたサイトカインまたは他の免疫メディエーターのレベルを評価することによって決定される。いくつかの実施形態では、対照レベルよりも少なくとも20%、40%、60%、80%、100%、120%、140%、160%、180%、200%またはそれ以上高い1つ以上の発現または分泌されるサイトカインのレベルは、リンパ球刺激を示す。いくつかの実施形態では、対照レベルの平均よりも少なくとも1、2、3、4または5高い標準偏差である1つ以上の発現または分泌されるサイトカインのレベルは、リンパ球刺激を示す。いくつかの実施形態では、対照に対する反応レベル中央値よりも少なくとも1、2、3、4または5高い中央絶対偏差値(MAD)である1つ以上の発現または分泌されるサイトカインのレベルは、リンパ球刺激を示す。いくつかの実施形態では、対照は、陰性対照、例えば、Neon Green(NG)を発現するクローンである。いくつかの実施形態では、対照レベルよりも少なくとも20%、40%、60%、80%、100%、120%、140%、160%、180%、200%またはそれ以上低い1つ以上の発現または分泌されるサイトカインのレベルは、リンパ球阻害及び/または抑制を示す。いくつかの実施形態では、対照レベルの平均よりも少なくとも1、2、3、4または5低い標準偏差である1つ以上の発現または分泌されるサイトカインのレベルは、リンパ球阻害及び/または抑制を示す。いくつかの実施形態では、対照に対する反応レベル中央値よりも少なくとも1、2、3、4または5低い中央絶対偏差値(MAD)である1つ以上の発現または分泌されるサイトカインのレベルは、リンパ球阻害及び/または抑制を示す。いくつかの実施形態では、対照は、陰性対照、例えば、Neon Green(NG)を発現するクローンである。いくつかの実施形態では、対照レベルよりも少なくとも20%、40%、60%、80%、100%、120%、140%、160%、180%、200%またはそれ以上高いかまたは低い1つ以上の発現または分泌されるサイトカインのレベルは、リンパ球活性化を示す。いくつかの実施形態では、対照レベルの平均よりも少なくとも1、2、3、4または5高いかまたは低い標準偏差である1つ以上の発現または分泌されるサイトカインのレベルは、リンパ球活性化を示す。いくつかの実施形態では、対照に対する反応レベル中央値よりも少なくとも1、2、3、4または5高いかまたは低い中央絶対偏差値(MAD)である1つ以上の発現または分泌されるサイトカインのレベルは、リンパ球活性化を示す。いくつかの実施形態では、対照は、陰性対照、例えば、Neon Green(NG)を発現するクローンである。いくつかの実施形態では、対照レベルの約20%、15%、10%、5%以内である1つ以上の発現または分泌されたサイトカインのレベルは、リンパ球の無反応または非刺激を示す。いくつかの実施形態では、対照レベルの平均よりも1または2未満高いかまたは低い標準偏差である1つ以上の発現または分泌されるサイトカインのレベルは、リンパ球非反応性または非刺激を示す。いくつかの実施形態では、対照に対する反応レベル中央値よりも1または2未満高いかまたは低い中央絶対偏差値(MAD)である1つ以上の発現または分泌されるサイトカインのレベルは、リンパ球非反応性または非刺激を示す。いくつかの実施形態では、対象反応プロファイルは、異なるサイトカイン(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、またはそれ以上のサイトカイン)のパネルの定量、特定、及び/または表示ならびにサイトカインのパネルの各メンバーの生成、発現または分泌を刺激するか、刺激しないか、阻害するか及び/または抑制するか、活性化するか、またはそれに対する効果を有さないか、もしくは最小の効果を有する腫瘍抗原の総数(例えば、ライブラリに由来する異なる腫瘍抗原の全てまたは一部のもの)の定量、特定、及び/または表示を含み得る。
対象の反応プロファイルを取得する方法
本開示は、試験対象から対象の反応プロファイル(「対象の反応プロファイル」)を取得するための方法を提供する。
いくつかの実施形態では、試験対象の対象反応プロファイルを、a)腫瘍抗原(例えば、公知の腫瘍抗原、本明細書に記載の腫瘍抗原、または本明細書に記載の方法を使用して特定される目的の腫瘍抗原、潜在的腫瘍抗原、及び/または他のポリペプチド)のパネルを含む、本明細書に記載のライブラリを提供すること;b)このライブラリを試験対象に由来する抗原提示細胞と接触させること;c)この抗原提示細胞を試験対象に由来するリンパ球と接触させること;ならびにd)1つ以上の抗原提示細胞によって提示される1つ以上の腫瘍抗原によって、1つ以上のリンパ球が刺激されるか、阻害されるか、及び/または抑制されるか、活性化されるか、またはそれに対して非反応性であるかを決定することによって、得て、その対象反応プロフィルを得る。いくつかの実施形態では、ライブラリは、約1、3、5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、500、1000またはそれ以上の腫瘍抗原を含む。
対象の反応プロファイルには、リンパ球を刺激するか、リンパ球を刺激しないか、リンパ球を阻害及び/または抑制するか、リンパ球を活性化するか、またはそれに対してリンパ球が非反応性である、本開示の方法によって特定された、腫瘍抗原のパネルの全部または一部の定量化、特定、及び/または提示を包含し得る。いくつかの実施形態では、対象の反応プロファイルは、1つ以上の免疫メディエーター、例えば、1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカー、または他の免疫メディエーターの発現または分泌のレベルの定量化、特定、及び/または提示をさらに含む。
いくつかの実施形態では、対象の反応プロファイルは、1つ以上の免疫メディエーターの発現または分泌を刺激するか、1つ以上の免疫メディエーターの発現もしくは分泌を阻害及び/または抑制するか、及び/または免疫メディエーターの発現もしくは分泌に影響を与えないかまたは影響が最小限である、本開示の方法によって特定された、腫瘍抗原のパネルの全部または一部の定量化、特定、及び/または提示を含む。いくつかの実施形態では、対象の反応プロファイルは、1つ以上の免疫メディエーター、例えば、1つ以上のサイトカインまたは細胞表面マーカーの発現または分泌のレベルの定量化、特定、及び/または提示をさらに含む。
いくつかの実施形態では、対象の反応プロファイルは、(i)少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを低下する)腫瘍抗原の数、対、(ii)少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する)腫瘍抗原の数の比率を含む。
いくつかの実施形態では、対象の反応プロファイルは、(i)少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを低下する)腫瘍抗原の絶対数、及び/または(ii)少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する)腫瘍抗原の絶対数を含む。
標的の反応プロファイルを取得する方法
いくつかの実施形態では、対象の反応プロファイルを、標的対象、例えば、がん治療に臨床的に反応するかまたは反応したがん対象;がん治療に臨床的に反応しないか、及び/または反応しなかったがん対象;がんに対する自発的反応があるか、またはがんに対する自発的反応があった対象;あるいはがんと診断されていない対象(標的対象の「標的反応プロファイル」)由来の対応する反応プロファイルと比較する。
本開示は、標的対象から標的反応プロファイルを取得するための方法を提供する。標的対象の標的反応プロファイルを、a)対象反応プロファイルを生成するために用いられる腫瘍抗原(例えば、公知の腫瘍抗原、本明細書に記載の腫瘍抗原、または本明細書に記載の方法を使用して特定される目的の腫瘍抗原、潜在的腫瘍抗原、及び/または他のポリペプチド)の同じパネルの全てまたは一部を含む、本明細書に記載のライブラリを提供すること;b)このライブラリを標的対象に由来する抗原提示細胞と接触させること;c)この抗原提示細胞を標的対象に由来するリンパ球と接触させること;ならびにd)1つ以上の抗原提示細胞によって提示される1つ以上の腫瘍抗原によって、1つ以上のリンパ球が刺激されるか、阻害されるか、及び/または抑制されるか、活性化されるか、またはそれに対して非反応性であるかを決定することによって、得て、その標的反応プロフィルを得る。
この標的反応プロファイルには、対象の反応プロファイルに含まれる腫瘍抗原の同じパネルに対する標的対象からの細胞の免疫反応の定量化、特定、及び/または提示が含まれる。
いくつかの実施形態では、この標的反応プロファイルとしては、リンパ球を刺激するか、リンパ球を刺激しないか、リンパ球を阻害及び/または抑制するか、リンパ球を活性化するか、及び/またはそれに対してリンパ球が非反応性である、腫瘍抗原のパネルの全部または一部の定量化、特定、及び/または提示が挙げられる。いくつかの実施形態では、対象の反応プロファイルは、1つ以上の免疫メディエーター、例えば、1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカー、または他の免疫メディエーターの発現または分泌のレベルの定量化、特定、及び/または提示をさらに含む。
いくつかの実施形態では、標的の反応プロファイルは、1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌を刺激するか、1つ以上の免疫メディエーターの発現または分泌を阻害及び/または抑制するか、及び/または免疫メディエーターの発現及び/または分泌に影響を与えないかもしくは影響が最小限である、本開示の方法によって特定された、腫瘍抗原のパネルの全部または一部の定量化、特定、及び/または提示を含む。いくつかの実施形態では、対象の反応プロファイルは、1つ以上の免疫メディエーター、例えば、1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカー、または他の免疫メディエーターの発現または分泌のレベルの定量化、特定、及び/または提示をさらに含む。
いくつかの実施形態では、標的の反応プロファイルは、(i)少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを低下する)腫瘍抗原の数、対、(ii)少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する)腫瘍抗原の数の比率を含む。
いくつかの実施形態では、標的の反応プロファイルは、(i)少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを低下する)腫瘍抗原の絶対数、及び/または(ii)少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する)腫瘍抗原の絶対数を含む。
対象反応プロファイルと標的反応プロファイルとの比較
リンパ球
いくつかの実施形態では、対象反応プロファイルにおいてリンパ球を刺激する特定された腫瘍抗原が、標的反応プロファイルにおいてリンパ球を刺激する特定された腫瘍抗原から1、2、3、4、5、10、15、20、または25以下の違いしかない場合;対象の反応プロファイルでリンパ球を刺激しない特定された腫瘍抗原が、標的反応プロファイルでリンパ球を刺激しない特定された腫瘍抗原と1、2、3、4、5、10、15、20、または25以下の違いしかない場合;対象反応プロファイルにおいてリンパ球を阻害及び/または抑制する特定された腫瘍抗原が、標的反応プロファイルでリンパ球を阻害及び/または抑制する、特定された腫瘍抗原と1、2、3、4、5、10、15、20、または25以下の違いしかない場合;対象の反応プロファイルでリンパ球を活性化する、特定された腫瘍抗原が、標的反応プロファイルでリンパ球を活性化する特定された腫瘍抗原と1、2、3、4、5、10、15、20、または25以下の違いしかない場合;及び/または対象の反応プロファイルにおいてリンパ球を刺激しないか、またはリンパ球が非反応性である、特定された腫瘍抗原が、リンパ球が標的反応プロファイルで反応性でないか、または反応が最小限である、特定された腫瘍抗原と、1、2、3、4、5、10、15、20、または25以下の違いしかない場合;対象反応プロファイルは標的反応プロファイルと類似している。
いくつかの実施形態では、対象反応プロファイルにおいてリンパ球を刺激する、特定された腫瘍抗原が、標的反応プロファイルにおいてリンパ球を刺激する特定された腫瘍抗原から5、6、7、8、9、10、20またはそれ以上異なる場合;対象の反応プロファイルでリンパ球を刺激しない特定された腫瘍抗原が、標的反応プロファイルでリンパ球を刺激しない特定された腫瘍抗原と5、6、7、8、9、10、20またはそれ以上異なる場合;対象反応プロファイルにおいてリンパ球を阻害及び/または抑制する特定された腫瘍抗原が、標的反応プロファイルでリンパ球を阻害及び/または抑制する、特定された腫瘍抗原と5、6、7、8、9、10、20またはそれ以上異なる場合;対象の反応プロファイルでリンパ球を活性化する、特定された腫瘍抗原が、標的反応プロファイルでリンパ球を活性化する特定された腫瘍抗原と5、6、7、8、9、10、20またはそれ以上異なる場合;及び/または対象の反応プロファイルにおいてリンパ球を刺激しないか、またはリンパ球が非反応性である、特定された腫瘍抗原が、リンパ球が標的反応プロファイルで反応性でないか、または反応が最小限である、特定された腫瘍抗原と、5、6、7、8、9、10、20またはそれ以上異なる場合;対象反応プロファイルは標的反応プロファイルと類似していない。
いくつかの実施形態では、対象反応プロファイルにおいてリンパ球を刺激する、特定された腫瘍抗原が、標的反応プロファイルにおいてリンパ球を刺激する特定された腫瘍抗原から1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、または25%以下の違いしかない場合;対象の反応プロファイルでリンパ球を刺激しない特定された腫瘍抗原が、標的の反応プロファイルでリンパ球を刺激しない特定された腫瘍抗原から1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、または25%以下の違いしかない場合;対象反応プロファイルにおいてリンパ球を阻害及び/または抑制する特定された腫瘍抗原が、標的反応プロファイルでリンパ球を阻害及び/または抑制する、特定された腫瘍抗原から1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、または25%以下の違いしかない場合;対象の反応プロファイルでリンパ球を活性化する、特定された腫瘍抗原が、標的反応プロファイルでリンパ球を活性化する特定された腫瘍抗原から1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、または25%以下の違いしかない場合;及び/または対象の反応プロファイルにおいてリンパ球を刺激しないか、または非反応性である、特定された腫瘍抗原が、リンパ球が標的反応プロファイルで反応性でないか、または反応が最小限である、特定された腫瘍抗原から1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、または25%以下の違いしかない場合;対象反応プロファイルは標的反応プロファイルと類似している。
いくつかの実施形態では、対象反応プロファイルにおいてリンパ球を刺激する、特定された腫瘍抗原が、標的反応プロファイルにおいてリンパ球を刺激する特定された腫瘍抗原から5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%以上異なっている場合;対象の反応プロファイルでリンパ球を刺激しない特定された腫瘍抗原が、標的の反応プロファイルでリンパ球を刺激しない特定された腫瘍抗原から5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%以上異なっている場合;及び/または対象反応プロファイルにおいてリンパ球を阻害及び/または抑制する特定された腫瘍抗原が、標的反応プロファイルでリンパ球を阻害及び/または抑制する、特定された腫瘍抗原から5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%以上異なっている場合;対象の反応プロファイルでリンパ球を活性化する、特定された腫瘍抗原が、標的反応プロファイルでリンパ球を活性化する特定された腫瘍抗原から5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%以上異なっている場合;及び/または対象の反応プロファイルにおいてリンパ球を刺激しないか、またはリンパ球が非反応性である、特定された腫瘍抗原が、リンパ球が標的反応プロファイルで反応性でないか、または反応が最小限である、特定された腫瘍抗原から5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%以上異なっている場合;対象反応プロファイルは標的反応プロファイルと類似していない。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、(a)(i)少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する腫瘍抗原の数(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の数)対、(ii)少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の数(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する腫瘍抗原の数)の比率を含む対象反応プロファイルを、(b)(iii)有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する腫瘍抗原の数(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の数)対、(iv)少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の数(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する腫瘍抗原の数)の比率を含む標的反応プロファイルと比較することを含む。
いくつかの実施形態では、(a)対象反応プロファイルの少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する腫瘍抗原の絶対数(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の絶対数)を、(b)標的反応プロファイルの少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の絶対数(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する腫瘍抗原の絶対数)と比較する。
サイトカイン及び細胞表面マーカー
いくつかの実施形態では、標的反応プロファイルは、1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカー、または他の免疫メディエーター、ならびにサイトカインの産生、発現及び/または分泌を刺激するか、刺激しないか、阻害するか、及び/または抑制するか、または影響がないかもしくは最小限である腫瘍抗原の(例えば、対象の反応プロファイルに含まれる同じ腫瘍抗原の)の総数の定量化、特定、及び/または提示を含み得る。いくつかの実施形態では、標的反応プロファイルは、異なるサイトカイン(例えば、対象反応プロファイルに含まれるサイトカインの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、またはそれ以上(例えば、全て))のパネルならびにこのサイトカインのパネルの生成、発現及び/または分泌を刺激するか、刺激しないか、阻害するか、及び/または抑制するか、または影響がないかもしくは最小限である腫瘍抗原の(例えば、対象反応プロファイルに含まれる同じ腫瘍抗原の)総数の定量、特定、及び/または提示を含み得る。
いくつかの実施形態では、対象反応プロファイルに含まれる1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターの発現及び/または分泌を刺激する抗原の総数が、標的反応プロファイルに含まれる同じ1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターを刺激する抗原の総数から1、2、3、4、5、10、15、20、または25以下の違いしかない場合;対象反応プロファイルに含まれる1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターの発現及び/または分泌を刺激しない抗原の総数が、標的反応プロファイルに含まれる同じ1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターを刺激しない抗原の総数から1、2、3、4、5、10、15、20、または25以下の違いしかない場合;対象反応プロファイルに含まれる1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターを阻害及び/または抑制する抗原の総数が、標的反応プロファイルに含まれる同じ1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターの発現及び/または分泌を阻害及び/または抑制する抗原の総数から1、2、3、4、5、10、15、20、または25以下の違いしかない場合;及び/または対象反応プロファイルに含まれる1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターの発現及び/または分泌に影響がないかまたは最小限である抗原の総数が、標的反応プロファイルに含まれる同じ1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターに影響がないかまたは最小限である抗原の総数から1、2、3、4、5、10、15、20、または25以下の違いしかない場合;対象反応プロファイルは、標的反応プロファイルと類似である。
いくつかの実施形態では、対象反応プロファイルに含まれる1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターの発現及び/または分泌を刺激する抗原の総数が、標的反応プロファイルに含まれる同じ1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターを刺激する抗原の総数から5、6、7、8、9、10、20以上異なる場合;対象反応プロファイルに含まれる1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターの発現及び/または分泌を刺激しない抗原の総数が、標的反応プロファイルに含まれる同じ1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターを刺激しない抗原の総数から5、6、7、8、9、10、20以上異なる場合;対象反応プロファイルに含まれる1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターの発現及び/または分泌を阻害及び/または抑制する抗原の総数が、標的反応プロファイルに含まれる同じ1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターを阻害及び/または抑制する抗原の総数から5、6、7、8、9、10、20以上異なる場合;及び/または対象反応プロファイルに含まれる1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターの発現及び/または分泌に影響がないかまたは最小限である抗原の総数が、標的反応プロファイルに含まれる同じ1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターに影響がないかまたは最小限である抗原の総数から5、6、7、8、9、10、20以上異なる場合;対象反応プロファイルは、標的反応プロファイルと類似ではない。
前述の方法は、潜在的な腫瘍抗原、ならびに腫瘍抗原であるポリペプチドをコードするライブラリで得られた対象反応プロファイル及び標的反応プロファイルに適用される。
がん治療のための対象を特定/スクリーニングする方法
本開示は、例えば、試験対象、例えば、がんの対象を、がん治療(例えば、本明細書に記載のがん治療)の開始、継続、変更、及び/または中止または場合によっては非開始のために特定する方法を提供する。一般に、そのような方法は、がん治療を受けていない(あるいはがん治療に臨床的に応答しなかったか、及び/または応答していないか、及び/またはがん治療に対してネガティブに応答した)がん対象の1つ以上の免疫応答を、標的対象の1つ以上の免疫応答と比較することを含み、この標的対象とは、(i)がん治療に臨床的に反応するかまたはポジティブに反応したがん対象(「反応性対象」);(ii)がん治療に臨床的に反応しなかったか、及び/または反応していないか、及び/またはネガティブに反応したがん対象(「無反応の対象」);(iii)がんに自然に反応するか、または反応したがん対象(「自発的対象」);及び/または(vi)がんと診断されていない対象(「正常な対象」)、であり得る。
反応性の対象の1つ以上の免疫反応と同一もしくは類似であるか、及び/または非反応性の対象の1つ以上の免疫反応と類似していない試験対象の1つ以上の免疫反応によって、この試験対象が、がん治療を開始、及び/または継続、及び/または変更(例えば、増大するか、及び/または1つ以上の他の方式と組み合わせる)すべきであることが示される。反応性の対象の1つ以上の免疫反応と類似していないか、及び/または非反応性の対象の1つ以上の免疫反応と類似している(またはそれと同じである)試験対象の1つ以上の免疫反応によって、このがん対象が、がん治療を開始しないべきであるか、及び/または中止すべきであるか、及び/または変更すべきである(例えば、低減するか、及び/または1つ以上の他の方式と組み合わせる)、及び/または代替のがん治療を開始すべきか、またはある場合には、がん治療をすべきでないことが示される。
いくつかの実施形態では、(反応性対象の)標的反応プロファイルに類似する対象反応プロファイルによって、その試験対象ががん治療を、開始及び/または継続及び/または変更(例えば、増大及び/または1つ以上の他の方式と組み合わせる)すべきであることが示される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象の反応プロファイルが(反応性対象の)標的反応プロファイルに類似する場合、がん治療の開始及び/または継続及び/または変更(例えば、増大及び/または1つ以上の他の方式と組み合わせる)に関して、試験対象を選択することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象の反応プロファイルが(反応性対象の)標的反応プロファイルに類似する場合、試験対象に対するがん治療の施行を開始及び/または継続及び/または変更(例えば、増大及び/または1つ以上の他の方式との組み合わせ)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象反応プロファイルが(反応性対象の)標的反応プロファイルに類似する場合、試験対象にがん治療を施すことを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象反応プロファイルが(反応性対象の)標的反応プロファイルに類似する場合、試験対象に対するがん治療の施行を変更すること(例えば、増大及び/または1つ以上の他の方式との組み合わせ)を含む。
いくつかの実施形態では、(反応性対象の)標的反応プロファイルに類似しない対象反応プロファイルによって、その試験対象が、がん治療を、開始すべきではないか、及び/または変更(例えば、軽減及び/または1つ以上の他の方式と組み合わせる)すべきであるか、及び/または中止すべきであるか、及び/または代替のがん治療を開始すべきであることが示される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象の反応プロファイルが(反応性対象の)標的反応プロファイルに類似しない場合、がん治療の開始に試験対象を選択しないか、及び/またはがん治療の変更(例えば、軽減及び/または1つ以上の他の方式との組み合わせ)及び/または中止、及び/または代替のがん治療の開始に試験対象を選択することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象の反応プロファイルが(反応性対象の)標的反応プロファイルに類似しない場合、試験対象に対するがん治療の施行を開始しないか、及び/または変更(例えば、軽減及び/または1つ以上の他の方式との組み合わせ)するか及び/または試験対象に対するがん治療の施行を中止すること、及び/または代替のがん治療の開始を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象反応プロファイルが(反応性対象の)標的反応プロファイルに類似しない場合、試験対象にがん治療を施さないことを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象反応プロファイルが(反応性対象の)標的反応プロファイルに類似しない場合、試験対象に対するがん治療の施行を変更すること(例えば、低減及び/または1つ以上の他の方式との組み合わせ)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象反応プロファイルが(反応性対象の)標的反応プロファイルに類似しない場合、試験対象に代替のがん治療を施すことを含む。
いくつかの実施形態では、対象の反応プロファイルを、がん治療に臨床的に反応しなかったか、及び/または反応していないか、及び/またはネガティブに反応するがん対象からの対応する反応プロファイル(反応しない対象の「標的反応プロファイル」)と比較する。いくつかの実施形態では、標的反応プロファイル(非反応性対象の)は、対象反応プロファイルを生成するために用いられる腫瘍抗原(例えば、公知の腫瘍抗原、本明細書に記載、または本明細書に記載の方法を使用して特定される腫瘍抗原)の同じパネルの全てまたは一部を含む、本明細書に記載のライブラリを提供すること;ライブラリを非反応性対象に由来する抗原提示細胞と接触させること;この抗原提示細胞を非反応性対象に由来するリンパ球と接触させること;ならびに1つ以上の抗原提示細胞によって提示される1つ以上の腫瘍抗原によって、1つ以上のリンパ球が刺激されるか、阻害されるか、及び/または抑制されるか、またはそれに対して非反応性であるかを決定することによって、得られる。この標的反応プロファイル(非反応性対象の)には、対象の反応プロファイルに含まれる腫瘍抗原の同じパネルに対する、非反応性がん対象からの細胞の免疫反応の定量化、特定、及び/または提示を含む。
対象反応プロファイルを標的反応プロファイルと比較するための方法、及び対象反応プロファイルと標的反応プロファイルとの類似性及び非類似性を決定するためのパラメータが、本開示で提供される。
いくつかの実施形態では、この標的反応プロファイル(非反応性対象の)には、リンパ球を刺激するか、リンパ球を刺激しないか、及び/またはリンパ球を阻害及び/または抑制する腫瘍抗原のパネルの全部または一部の定量化、特定、及び/または提示を含む。いくつかの実施形態では、対象反応プロファイルにおいてリンパ球を刺激する、特定された腫瘍抗原が、標的反応プロファイル(非反応性対象の)においてリンパ球を刺激する、特定された腫瘍抗原から1、2、3、4、5、10、15、20、または25以下の違いしかない場合;対象の反応プロファイルでリンパ球を刺激しない特定された腫瘍抗原が、標的の反応プロファイル(非反応性対象の)でリンパ球を刺激しない特定された腫瘍抗原から1、2、3、4、5、10、15、20、または25以下の違いしかない場合;及び/または対象反応プロファイルにおいてリンパ球を阻害及び/または抑制する特定された腫瘍抗原が、標的反応プロファイル(非反応性対象の)でリンパ球を阻害及び/または抑制する、特定された腫瘍抗原から1、2、3、4、5、10、15、20、または25以下の違いしかない場合;対象反応プロファイルは、標的反応プロファイル(非反応性の対象の)と類似している。いくつかの実施形態では、対象反応プロファイルにおいてリンパ球を刺激する、特定された腫瘍抗原が、標的反応プロファイル(非反応性対象の)においてリンパ球を刺激する特定された腫瘍抗原から5、6、7、8、9、10、20以上異なる場合;対象の反応プロファイルでリンパ球を刺激しない特定された腫瘍抗原が、標的の反応プロファイル(非反応性対象の)でリンパ球を刺激しない特定された腫瘍抗原から5、6、7、8、9、10、20以上異なる場合;及び/または対象反応プロファイルにおいてリンパ球を阻害及び/または抑制する特定された腫瘍抗原が、標的反応プロファイル(非反応性対象の)でリンパ球を阻害及び/または抑制する、特定された腫瘍抗原から5、6、7、8、9、10、20以上異なる場合;対象反応プロファイルは、標的反応プロファイルと類似していない。いくつかの実施形態では、対象反応プロファイルにおいてリンパ球を刺激する、特定された腫瘍抗原が、標的反応プロファイル(非反応性対象の)においてリンパ球を刺激する特定された腫瘍抗原から1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、または25%以下の違いしかない場合;対象の反応プロファイルでリンパ球を刺激しない特定された腫瘍抗原が、標的の反応プロファイル(非反応性対象の)でリンパ球を刺激しない特定された腫瘍抗原から1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、または25%以下の違いしかない場合;及び/または対象反応プロファイルにおいてリンパ球を阻害及び/または抑制する特定された腫瘍抗原が、標的反応プロファイル(非反応性対象の)でリンパ球を阻害及び/または抑制する、特定された腫瘍抗原から1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、または25%以下の違いしかない場合;対象反応プロファイルは、標的反応プロファイル(非反応性の対象の)と類似している。いくつかの実施形態では、対象反応プロファイルにおいてリンパ球を刺激する、特定された腫瘍抗原が、標的反応プロファイル(非反応性対象の)においてリンパ球を刺激する特定された腫瘍抗原から5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%以上異なる場合;対象の反応プロファイルでリンパ球を刺激しない特定された腫瘍抗原が、標的の反応プロファイル(非反応性対象の)でリンパ球を刺激しない特定された腫瘍抗原から5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%以上異なる場合;及び/または対象反応プロファイルにおいてリンパ球を阻害及び/または抑制する特定された腫瘍抗原が、標的反応プロファイル(非反応性対象の)でリンパ球を阻害及び/または抑制する、特定された腫瘍抗原から5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%以上異なる場合;対象反応プロファイルは、標的反応プロファイル(非反応性の対象の)と類似していない。
いくつかの実施形態では、標的反応プロファイル(非反応性対象の)は、1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカー、または他の免疫メディエーター、ならびに1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカー、または他の免疫メディエーターの産生、改変、局在化、発現及び/または分泌を刺激するか、刺激しないか、及び/または阻害するか、及び/または抑制する腫瘍抗原の(例えば、対象の反応プロファイルに含まれる同じ腫瘍抗原の)の総数の定量化、特定、及び/または提示を含み得る。いくつかの実施形態では、標的反応プロファイル(非反応性対象の)は、異なるサイトカイン、細胞表面マーカー、または他の免疫メディエーター(例えば、対象の反応プロファイルに含まれるサイトカイン、細胞表面マーカー、または他の免疫メディエーターの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20以上(例えば、全て))のパネル、ならびにサイトカイン、細胞表面マーカー、または他の免疫メディエーターのパネルの生成、改変、局在化、発現及び/または分泌を刺激するか、刺激しないか、及び/または阻害するか、及び/または抑制する腫瘍抗原の(例えば、対象の反応プロファイルに含まれる同じ腫瘍抗原の)の総数の定量化、特定、及び/または提示を含み得る。いくつかの実施形態では、対象反応プロファイルに含まれる1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターを刺激する抗原の総数が、(非反応性の対象の)標的反応プロファイルに含まれる同じ1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターを刺激する抗原の総数から1、2、3、4、5、10、15、20、または25以下の違いしかない場合;対象反応プロファイルに含まれる1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターを刺激しない抗原の総数が、(非反応性の対象の)標的反応プロファイルに含まれる同じ1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターを刺激しない抗原の総数から1、2、3、4、5、10、15、20、または25以下の違いしかない場合;及び/または対象反応プロファイルに含まれる1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターを阻害及び/または抑制する抗原の総数が、標的反応プロファイル(非反応性の対象の)に含まれる同じ1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターを阻害及び/または抑制する抗原の総数から1、2、3、4、5、10、15、20、または25以下の違いしかない場合;対象反応プロファイルは、標的反応プロファイル(非反応性の対象の)と類似である。いくつかの実施形態では、対象反応プロファイルに含まれる1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターを刺激する抗原の総数が、(非反応性の対象の)標的反応プロファイルに含まれる同じ1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターを刺激する抗原の総数から5、6、7、8、9、10以上異なる場合;対象反応プロファイルに含まれる1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターを刺激しない抗原の総数が、標的反応プロファイル(非反応性の対象の)に含まれる同じ1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターを刺激しない抗原の総数から5、6、7、8、9、10以上異なる場合;及び/または対象反応プロファイルに含まれる1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターを阻害及び/または抑制する抗原の総数が、(非反応性の対象の)標的反応プロファイルに含まれる同じ1つ以上のサイトカイン、細胞表面マーカーまたは他の免疫メディエーターを阻害及び/または抑制する抗原の総数から5、6、7、8、9、10、20以上異なる場合;対象反応プロファイルは、標的反応プロファイル(非反応性の対象の)と類似ではない。
いくつかの実施形態では、(非反応性対象の)標的反応プロファイルに類似しない対象反応プロファイルによって、その試験対象が、がん治療を、開始及び/または継続及び/または変更(例えば、増大及び/または1つ以上の他の方式と組み合わせ)すべきであることが示される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象の反応プロファイルが(非反応性対象の)標的反応プロファイルと類似しない場合、がん治療の開始及び/または継続及び/または変更(例えば、増大及び/または1つ以上の他の方式と組み合わせ)に関して、試験対象を選択することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象の反応プロファイルが(非反応性対象の)標的反応プロファイルに類似しない場合、試験対象に対するがん治療の施行を開始及び/または継続及び/または変更(例えば、増大及び/または1つ以上の他の方式との組み合わせ)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象反応プロファイルが(非反応性対象の)標的反応プロファイルに類似しない場合、試験対象にがん治療を施すことを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象反応プロファイルが(非反応性対象の)標的反応プロファイルに類似しない場合、試験対象に対するがん治療の施行を変更すること(例えば、増大及び/または1つ以上の他の方式との組み合わせ)を含む。
いくつかの実施形態では、(非反応性対象の)標的反応プロファイルに類似する対象反応プロファイルによって、その試験対象が、がん治療を、開始すべきではないか、及び/または変更(例えば、軽減及び/または1つ以上の他の方式と組み合わせる)すべきであるか、及び/または中止すべきであるか、及び/または代替のがん治療を開始すべきであることが示される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象の反応プロファイルが(非反応性対象の)標的反応プロファイルに類似する場合、がん治療の開始に試験対象を選択しないか、及び/または変更(例えば、軽減及び/または1つ以上の他の方式との組み合わせ)及び/またはがん治療の中止、及び/または代替のがん治療の開始に試験対象を選択することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象の反応プロファイルが(非反応性対象の)標的反応プロファイルに類似する場合、試験対象に対するがん治療の施行を開始しないか、及び/または変更(例えば、軽減及び/または1つ以上の他の方式との組み合わせ)するか及び/または試験対象に対するがん治療の施行を中止するか及び/または代替のがん治療の開始を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象反応プロファイルが(非反応性対象の)標的反応プロファイルに類似する場合、試験対象にがん治療を施さないことを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象反応プロファイルが(非反応性対象の)標的反応プロファイルに類似する場合、試験対象に対するがん治療の施行を変更すること(例えば、低減及び/または1つ以上の他の方式との組み合わせ)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、対象反応プロファイルが(非反応性対象の)標的反応プロファイルに類似している場合、試験対象に代替のがん治療を施すことを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の対象反応プロファイルは、1つ以上の反応性の対象の及び/または1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の非反応性対象の1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の標的反応プロファイルと比較される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の標的反応プロファイル(例えば、反応性対象または非反応性対象の)は、それぞれ、反応性または非反応性対象の集団からの平均1つ以上の免疫反応(本明細書に記載)を含む。いくつかの実施形態では、試験対象の1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)の対象反応プロファイルが得られる(例えば、がん治療の施行の前、最中、及び/または開始後、変更後、及び/または中止後)。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、(a)(i)少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する腫瘍抗原の数(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の数)対、(ii)少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の数(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する腫瘍抗原の数)の比率を含む対象の反応プロファイルを、(b)(iii)有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する腫瘍抗原の数(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の数)対、(iv)少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の数(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する腫瘍抗原の数)の比率(または比率の範囲)を含む標的反応プロファイルと比較することと、この対象の比率が10、5、4、3、2、1.5または1という係数以下で標的の比率(または比率の標的範囲)とは異なる場合、対象を選択することとを含む。
いくつかの実施形態では、(i)少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する腫瘍抗原の数(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の数)、対(ii)対象反応プロファイルの、少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の数(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する腫瘍抗原の数)の比率が、少なくとも100:1、50:1、20:1、10:1、5:1、2:1、1.5:1、1.4:1、1.2:1、1.1:1、0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1、0.5:1、0.2:1、または0.1:1である場合、対象を選択する。いくつかの実施形態では、このような比率は、治療のための対象を選択するために用いられる指数である。いくつかの実施形態では、この比率は、治療のために対象を選択するために使用される指数を計算するために他のデータと共に使用される。
いくつかの実施形態では、対象の反応プロファイルが、少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する腫瘍抗原の数)を含まず、かつ少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する少なくとも1つの(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)の腫瘍抗原(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の数)を含む場合、対象を選択する。いくつかの実施形態では、(i)少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する腫瘍抗原の数(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の数)、及び(ii)少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の数(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する腫瘍抗原の数)などの値は、治療のための対象を選択するのに用いられる指数である。いくつかの実施形態では、この値は、治療のための対象を選択するために使用される指数を計算するために他のデータと共に使用される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、(a)(i)少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する腫瘍抗原の数(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の数)対、(ii)少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の数(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する腫瘍抗原の数)の比率を含む対象反応プロファイルを、(b)(iii)有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する腫瘍抗原の数(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の数)対、(iv)少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の数(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する腫瘍抗原の数)の比率(または比率の範囲)を含む標的反応プロファイルと比較することと、この対象の比率が5、6、7、8、9、10、15、20またはそれ以上という係数で標的の比率(または比率の標的範囲)とは異なる場合、対象を選択しないこととを含む。
いくつかの実施形態では、(i)少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する腫瘍抗原の数(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の数)、対(ii)対象反応プロファイルの、少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の絶対数(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する腫瘍抗原の数)の比率が、5:1、2:1、1.5:1、1.4:1、1.2:1、1.1:1、0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1、0.5:1、0.25:1、0.125:1、0.01:1または0.001:1未満である場合、対象を選択しない。
いくつかの実施形態では、対象の反応プロファイルが、少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する腫瘍抗原(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の数)を含まず、かつ少なくとも1つの有益な反応に関連する1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを刺激する少なくとも1つの(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10以上)の腫瘍抗原(及び/または少なくとも1つの有害もしくは非有益な反応に関連する少なくとも1つの免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルを阻害及び/または抑制する腫瘍抗原の数)を含む場合、対象を選択しない。
いくつかの実施形態では、刺激性抗原の頻度及び/または阻害性抗原の頻度は、決定/算出/測定され得る。例えば、刺激性抗原のパーセンテージ(例えば、試験/アッセイされた抗原の総数に対する)及び/または阻害性抗原のパーセンテージ(例えば、試験/アッセイされた抗原の総数に対する)を決定し得る。いくつかの実施形態では、刺激性抗原の頻度と腫瘍遺伝子変異量(TMB)との関係及び/またはTMBに対する阻害性抗原の頻度の関係は、対象(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、またはそれ以上の対象)の数から決定して、例えば、各対象の「反応スコア」を導き得る。いくつかの実施形態では、「反応指数」は、このような反応スコア、例えば、有益な反応を示す対象からの反応スコア、及び/または非有益もしくは有害な反応を示す対象からの反応スコアから導き出し得る。いくつかの実施形態では、そのような反応指数を使用して、対象(例えば、試験対象)が有益な反応、及び/または非有益もしくは有害な反応を示すか否かを決定し得る。いくつかの実施形態では、反応スコアは、対象(例えば、試験対象)について決定され、そのような反応指数と比較され得る。いくつかの実施形態では、反応指数よりも高い試験対象の反応スコアは、この試験対象が有益な反応を示すことを示す。いくつかの実施形態では、反応指数よりも低い試験対象の反応スコアは、この試験対象が非有益または有害な反応を示すことを示す。
腫瘍抗原を選択する方法及び対象において免疫反応を誘導する方法
一般に、免疫反応は、その統合された機能的最終効果の観点から、有用に定義され得る。Dhabarら(2014)は、免疫反応が、免疫防御、免疫病理学的、及び免疫調節性/阻害性として分類され得ると提唱している。これらのカテゴリーは、アイデアを整理するための有用な構成要素を提供するが、全体的なin vivoの免疫反応は、各カテゴリーからの優勢の量が異なるいくつかのタイプの反応で構成される可能性がある。免疫保護または有益な反応は、効率的な創傷治癒を促進し、感染症及びがんを排除し、ワクチンによって誘発される免疫学的記憶を媒介する反応として定義される。これらの反応は、IFN-γ、IL-12、IL-2、グランザイムB、CD107などのようなサイトカイン及びメディエーターに関連している。免疫病理学的または有害な反応は、自己に対する反応(多発性硬化症、関節炎、ループスなどの自己免疫疾患)または無害な抗原(喘息、アレルギー)及び慢性の非消散性炎症を伴う反応として定義される。これらの反応は、免疫保護反応に関与する分子にも関連し得るが、TNF-α、IL-10、IL-13、IL-17、IL-4、IgE、ヒスタミンなどの免疫メディエーターも含み得る。免疫調節反応とは、免疫細胞及び他の免疫細胞の機能を調節する(主に下方制御する)因子が関与するものとして定義される。最近の研究では、免疫反応を阻害するように機能する免疫系のアームがあることが示唆される。例えば、とりわけ、制御性CD4CD25+FoxP3T細胞、IL-10、及びTGF-ベータは、免疫調節/阻害性機能を有することが示されている。これらの因子の生理学的機能は、炎症誘発性、アレルギー性、及び自己免疫反応を抑えることであるが、それらはまた、抗腫瘍免疫を抑制し、がんの予後不良を示す場合もある。腫瘍の状況では、共刺激分子の発現はしばしば減少し、共阻害性リガンドの発現は増大する。MHC分子は腫瘍細胞で下方制御される場合が多く、それらの逃避を促進する。間質細胞、腫瘍関連免疫細胞、及び他の細胞タイプを含む腫瘍微小環境は、IL-10、TGF-β、及びIDOなどの多くの阻害因子を産生する。Treg、Tr1細胞、未熟DC(iDC)、pDC、及びMDSCを含む阻害性免疫細胞が、腫瘍微小環境で見られ得る。(Y Li UT GSBS Thesis 2016)。メディエーター及びそれら免疫効果の例を表2に示す。
Figure 2022512897000004
Figure 2022512897000005
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いくつかの実施形態では、腫瘍抗原は、対象に有益である1つ以上のリンパ球反応を刺激する。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原は、対象に対して有害または非有益である1つ以上のリンパ球反応を阻害及び/または抑制する。有益な抗腫瘍反応につながり得る免疫反応の例としては、限定するものではないが、1)がん細胞を効果的に殺傷し、メディエーターパーフォリン及び/またはグランザイムを放出して腫瘍細胞死を駆動し得る細胞傷害性CD8T細胞;及び2)宿主防御において重要な役割を果たし、IL-2、IFN-ガンマ及びTNF-アルファを分泌し得るCD4Th1 T細胞が挙げられる。これらは、他のサイトカインの中でもIL-12、IL-2、及びIFNガンマによって誘導される。
いくつかの実施形態では、腫瘍抗原は、対象に対して有害または非有益である1つ以上のリンパ球反応を刺激する。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原は、対象に対して有益である1つ以上のリンパ球反応を阻害及び/または抑制する。有害または非有益の抗腫瘍反応につながり得る免疫反応の例としては、限定するものではないが、1)免疫反応を抑制し、免疫抑制性サイトカイン、例えば、TGF-ベータ及びIL-10を分泌し、分子CD25及びFoxP3を発現し得るT細胞の集団である制御性T細胞;及び2)アレルゲンに対する反応を標的とするが、がんに対して産生性ではないTh2細胞、が挙げられる。これらは、増大したIL-4及びIL-10によって誘導され、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9及びIL-13を分泌し得る。
本開示は、腫瘍抗原を特定及び選択するための方法及びシステムを提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法及びシステムは、がん治療を受けていない(またはがん治療に臨床的にこれまで反応していないか及び/または現在反応していない)がん対象において1つ以上の免疫反応が刺激される1つ以上の腫瘍抗原を特定及び選択し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法及びシステムは、がん治療を受けていない(またはがん治療に臨床的にこれまで反応していないか及び/または現在反応していない)がん対象において1つ以上の免疫反応が刺激されない1つ以上の腫瘍抗原を特定及び選択し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法及びシステムは、がん治療を受けていない(またはがん治療に臨床的にこれまで反応していないか及び/または現在反応していない)がん対象において1つ以上の免疫反応が阻害及び/または抑制される1つ以上の腫瘍抗原を特定及び選択し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法及びシステムは、がん治療を受けていない(またはがん治療に臨床的にこれまで反応していないか及び/または現在反応していない)がん対象において免疫反応が誘発されないかまたは誘発が最小限である1つ以上の腫瘍抗原を特定及び選択し得る。
いくつかの実施形態では、1つ以上の選択された腫瘍抗原を含む組成物は、がん治療の施行の前に、その間に、及び/またはその後にがん対象に投与される。
本開示は、対象の反応プロファイルと標的の反応プロファイルとの比較に基づいて、本明細書の方法によって特定された腫瘍抗原を選択するための方法を提供する。本開示はまた、望ましいかまたは有益な反応との関連に基づいて、本明細書の方法によって特定された腫瘍抗原を選択(または選択解除)するための方法を提供する。本開示はまた、望ましくないか、有害かまたは非有益な反応との関連に基づいて、本明細書の方法によって特定された腫瘍抗原を選択(または選択解除)するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原を選択するための方法が組み合わされる。この方法は、任意の順序で組み合わされてもよく、例えば、選択は、対象の反応プロファイルを標的の反応プロファイルと比較し、続いて望ましい(または望ましくない)反応との関連に基づいて選択することによって実行されてもよいし;または、選択は、望ましい(または望ましくない)反応との関連に基づいて、続いて、対象の反応プロファイルを標的の反応プロファイルと比較することによって実行されてもよい。
腫瘍抗原及び潜在的な腫瘍抗原を特定するための方法が本明細書に提供される。対象の反応プロファイルを生成または取得するための方法が本明細書に提供されている。目標反応プロファイル、例えば、集団ベースまたは複合標的反応プロファイルを生成するかまたは獲得するための方法が本明細書で提供される。対象反応プロファイルと標的反応プロファイルとの比較のための方法が本明細書で提供される。対象反応プロファイルが標的反応プロファイルと類似しているか否かを決定するための方法が本明細書で提供される。
いくつかの実施形態では、対象反応プロファイル及び標的反応プロファイルは、同じ複数の目的のポリペプチドを使用して生成されるかまたは得られる。いくつかの実施形態では、対象反応プロファイル及び標的反応プロファイルは、同じ複数の腫瘍抗原を使用して生成されるかまたは得られる。
この標的反応プロファイルには、リンパ球を刺激するか、リンパ球を刺激しないか、リンパ球を阻害及び/または抑制するか、リンパ球を活性化するか、及び/またはそれに対してリンパ球が非反応性である、1つ以上の腫瘍抗原の定量化、特定、及び/または提示を含む。
いくつかの実施形態では、1つ以上の腫瘍抗原は、試験対象におけるリンパ球を阻害する及び/または抑制するものとして特定され(例えば、対象反応プロファイルから特定され)、及び同じ1つ以上の腫瘍抗原が、標的対象においてリンパ球を刺激するものとして特定される(例えば、標的反応プロファイルから特定される)。いくつかの実施形態では、1つ以上の腫瘍抗原は、試験対象におけるリンパ球を刺激するものとして特定され(例えば、対象反応プロファイルから特定され)、及び同じ1つ以上の腫瘍抗原が、標的対象においてリンパ球を阻害及び/または抑制するものとして特定される(例えば、標的反応プロファイルから特定される)。いくつかの実施形態では、1つ以上の腫瘍抗原または可能性のある腫瘍抗原は、試験対象におけるリンパ球を誘発するのが最小限であるかまたはリンパ球からのを誘発しないものとして特定され(例えば、対象反応プロファイルから特定され)、及び同じ1つ以上の腫瘍抗原が、標的対象においてリンパ球を刺激するか、または阻害及び/または抑制するものとして特定される(例えば、標的反応プロファイルから特定される)。いくつかの実施形態では、1つ以上の腫瘍抗原は、試験対象におけるリンパ球を刺激するか、または阻害するか、及び/または抑制するものとして特定され(例えば、対象反応プロファイルから特定され)、及び同じ1つ以上の腫瘍抗原が、標的対象においてリンパ球を誘発するのが最小限であるかまたはリンパ球からの反応を誘発しないものとして特定される(例えば、標的反応プロファイルから特定される)。
腫瘍抗原は、標的反応プロファイルに対する対象反応プロファイルの類似性または非類似性に基づいて特定及び/または選択され得る。腫瘍抗原は、望ましいかまたは有益な反応との関連に基づいて特定及び/または選択(または選択解除)され得る。腫瘍抗原は、望ましくないか、有害であるか、または非有益な反応との関連に基づいて特定及び/または選択(または選択解除)され得る。腫瘍抗原は、任意の順序で適用される先行の方法の組み合わせに基づいて特定及び/または選択(または選択解除)され得る。
全てのポジティブレスポンダー
いくつかの実施形態では、対象の反応プロファイルを、がん治療に臨床的に反応するか、及び/または反応したがん対象からの対応する反応プロファイル(本明細書に記載の反応性の対象の「標的反応プロファイル」)と比較する。いくつかの実施形態では、対象反応プロファイルを、がんと診断されていない標的対象からの標的反応プロファイルと比較する。いくつかの実施形態では、対象反応プロファイルを、がんに対する有益な反応を有する(または有した)標的対象からの標的反応プロファイルと比較する。いくつかの実施形態では、対象は、がん治療または治療の組み合わせに対してポジティブな臨床反応を有する(または有した)。いくつかの実施形態では、対象は、がんに対する自発的反応があった。いくつかの実施形態では、対象は、がんから部分的または完全に寛解している。いくつかの実施形態では、対象は、がんがなくなった。いくつかの実施形態では、対象には、がんの再燃、再発または転移が起こっていない。いくつかの実施形態では、対象は、ポジティブながんの予後を有する。いくつかの実施形態では、対象は、がん治療または治療の組み合わせに対する毒性反応または副作用を経験していない。
いくつかの実施形態では、標的反応プロファイルの同じ腫瘍抗原によって誘発される反応とは異なるか、または類似ではない反応を誘発する対象反応プロファイルの1つ以上の腫瘍抗原を選択する。いくつかの実施形態では、所望のまたは有益な免疫反応との関連に基づいて、1つ以上の腫瘍抗原を選択する(または選択解除する)。いくつかの実施形態では、望ましくない、有害な、または非有益な免疫反応との関連に基づいて、1つ以上の腫瘍抗原を選択する(または選択解除する)。
腫瘍抗原またはその免疫原性断片が、(i)対象に対して有益であるリンパ球反応を刺激し、(ii)対象に対して有益であるサイトカインの発現を刺激し、(iii)対象に対して有害または非有益であるリンパ球反応を阻害及び/または抑制し、または(iv)対象に対して有害または非有益であるサイトカインの発現を阻害及び/または抑制する反応は、「有益な反応」と称される。
いくつかの実施形態では、選択された腫瘍抗原は、対象に対して有益である1つ以上のリンパ球反応を刺激する。いくつかの実施形態では、選択された腫瘍抗原は、対象に対して有害または非有益である1つ以上のリンパ球反応を阻害及び/または抑制する。
いくつかの実施形態では、選択された腫瘍抗原は、対象に有益なサイトカインの発現及び/または分泌を増大する。いくつかの実施形態では、選択された腫瘍抗原は、対象に対して有害または非有益であるサイトカインの発現を阻害及び/または抑制する。
いくつかの実施形態では、1つ以上の選択された腫瘍抗原の対象への投与は、その対象の免疫反応を誘発する。いくつかの実施形態では、1つ以上の選択された腫瘍抗原の対象への投与は、対象の有益な免疫反応を誘発する。いくつかの実施形態では、1つ以上の選択された腫瘍抗原の対象への投与は、対象の有益な反応を誘発する。いくつかの実施形態では、1つ以上の選択された腫瘍抗原の対象への投与は、がん治療に対する対象の臨床反応を改善する。
全てのネガティブレスポンダー
いくつかの実施形態では、対象の反応プロファイルを、がん治療に臨床的に反応しないか、及び/または反応しなかったがん対象からの対応する反応プロファイル(本明細書に記載の非反応性の対象の「標的反応プロファイル」)と比較する。いくつかの実施形態では、対象反応プロファイルを、がんに対する有害または非有益な反応を有する(または有した)標的対象からの標的反応プロファイルと比較する。いくつかの実施形態では、対象は、がん治療または治療の組み合わせに対してネガティブな臨床反応を有する(または有した)。いくつかの実施形態では、対象は、がんがなくなっていない。いくつかの実施形態では、対象には、がんの再燃、再発または転移が起こっていた。いくつかの実施形態では、対象のがんの予後が、ネガティブである。いくつかの実施形態では、対象は、がん治療または治療の組み合わせに対する毒性反応または副作用を経験している。
腫瘍抗原またはその免疫原性断片が、(i)対象に対して有害または非有益であるリンパ球反応を刺激するか、(ii)対象に対して有害または非有益であるサイトカインの発現を刺激するか、(iii)対象に対して有益であるリンパ球反応を阻害及び/または抑制するか、あるいは(iv)対象に対して有益であるサイトカインの発現を阻害及び/または抑制する反応は、「有害または非有益な反応」と称される。
いくつかの実施形態では、標的反応プロファイルの同じ腫瘍抗原によって誘発される反応と同じであるか、または類似である反応を誘発する対象反応プロファイルの1つ以上の腫瘍抗原を選択する。いくつかの実施形態では、所望のまたは有益な免疫反応との関連に基づいて、1つ以上の腫瘍抗原を選択する(または選択解除する)。いくつかの実施形態では、1つ以上の腫瘍抗原は、望ましくない、有害な、または非有益な免疫反応との関連に基づいて選択される(または選択解除される)。
いくつかの実施形態では、選択された腫瘍抗原は、対象に対して有害または非有益である1つ以上のリンパ球反応を刺激する。いくつかの実施形態では、選択された腫瘍抗原は、対象に対して有益である1つ以上のリンパ球反応を阻害及び/または抑制する。
いくつかの実施形態では、選択された腫瘍抗原は、対象に対して有害または非有益であるサイトカインの発現及び/または分泌を増大させる。いくつかの実施形態では、選択された腫瘍抗原は、対象に対して有益であるサイトカインの発現を阻害及び/または抑制する。
いくつかの実施形態では、1つ以上の腫瘍抗原は、本明細書の方法によって選択解除される。
いくつかの実施形態では、1つ以上の選択された腫瘍抗原は、対象への投与から除外される。
潜在的な腫瘍抗原を選択する方法
十分に確立された腫瘍では、内因性抗腫瘍T細胞反応の活性化は、完全な腫瘍退縮をもたらすには不十分である場合が多い。さらに、腫瘍微小環境の文脈で教育されたT細胞は、最適までは活性化されない場合もあり、結合力が低く、最終的には抗原を発現する腫瘍細胞を認識できない。さらに、腫瘍は複雑であり、変異した遺伝子の様々な程度の発現を伴う多数の細胞種を含むので、腫瘍成長を制御するのに十分なポリクローナルT細胞の反応を発生させることが困難となる。結果として、当該分野における研究者は、がん対象において自らのT細胞によって認識されることが確認されているものに加えて、「潜在的腫瘍抗原」である変異を特定することががん対象において重要であることを提唱している。
現在、包括的手法で潜在的腫瘍抗原を特定する信頼できる方法は存在しない。何が抗原であるかを予測するための試みにおいて計算的方法が開発されてきたが、これらのアプローチには多くの限界がある。まず、エピトープの予測及び提示のモデリングには、MHC分子をコードする12,000を超えるHLA対立遺伝子を考慮する必要があり、各対象は14もの対立遺伝子を発現しており、全てが異なるエピトープ親和性を示す。第二に、予測されたエピトープの大部分は、それらが質量分析を使用して評価される場合、腫瘍によって提示されているのを発見するのに失敗する。第三に、予測アルゴリズムは抗原のT細胞認識を考慮に入れておらず、予測されたエピトープの大部分は、それらが存在する場合でさえT細胞反応を誘発し得ない。最後に、細胞性免疫の第2のアームであるCD4+T細胞サブセットは見過ごされがちである。インシリコのツールの大部分は、MHCクラスIバインダーに焦点を合わせている。MHCクラスIIエピトープを予測するためのツールは未開発であり、より多様である。
本開示は、a)本開示の抗原提示アッセイにおいて潜在的な腫瘍抗原であるポリペプチドを特定するため、及びb)それらの抗原可能性に基づいてポリペプチドを選択するための方法を提供する。この方法は、T細胞反応の標的となる可能性があるもの、またはMHCによって提示される可能性があるものについて予測を行うことなく、デコンボリューションを必要とせずに実行される。この方法を拡張して、対象と同じMHC対立遺伝子を共有する健康な対象における抗原的潜在性を探索して、免役原性組成物またはワクチン製剤に含めることが最も好適であろうそれらの潜在的腫瘍抗原を特定してもよい。この方法によって、潜在的腫瘍抗原が対象のMHC分子の観点においてプロセシング及び提示されること、ならびにT細胞が正しい条件下(例えば、アジュバントまたは送達システムに由来する強い危険なシグナルを有するワクチンの観点において)で潜在的腫瘍抗原に曝露された場合に潜在的腫瘍抗原に対して反応し得ることが確保される。
腫瘍抗原を選択するための前述の方法は、潜在的な腫瘍抗原、すなわち、対象のがんまたは腫瘍細胞に存在するかまたは発現される1つ以上の変異をコードするポリペプチドの選択に適用され得る。
免疫原性組成物及びその使用
本開示は、本明細書に記載の方法によって特定または選択された腫瘍抗原(複数可)、腫瘍抗原をコードする核酸を含む組成物、及びこの組成物を使用する方法を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、ペプチドが8~40アミノ酸長、8~60アミノ酸長、8~100、8~150、または8~200のアミノ酸長(例えば、MHC結合ペプチド、例えば、ペプチド23~29、24~28、25~27、8~30、8~29、8~28、8~27、8~26、8~25、8~24、8~23、8~22、8~21、8~20、8~15、8~12のアミノ酸長)である腫瘍抗原を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、全長ポリペプチドの長さの約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の長さである1つ以上の腫瘍抗原を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、全長ポリペプチドと比較して約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、またはそれ以上のアミノ酸が切り詰められている1つ以上の腫瘍抗原を含む。この組成物は、MHCクラスI結合ペプチド、MHCクラスII結合ペプチド、またはMHCクラスI及びMHCクラスII結合ペプチド両方であるか、またはそれらを含む腫瘍抗原を含んでもよい。組成物は、単一の腫瘍抗原、または複数の腫瘍抗原を含んでもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、またはそれ以上の腫瘍抗原のセットを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、10、15、20、25、30、またはそれ以上の腫瘍抗原を含む。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原またはペプチドは、1つ以上の融合タンパク質として提供される。いくつかの実施形態では、組成物は、腫瘍抗原またはペプチドをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原またはペプチドをコードする核酸は、1つ以上の融合タンパク質として提供される。
本開示は、2つまたは3つのTAAの任意の組み合わせを含む免疫原性組成物を提供する:HPSE1(配列番号6)、HPSE2(配列番号7)、及び/またはSMAD4(配列番号8)。
HPSEは、ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)をヘパラン硫酸側鎖及びコアプロテオグリカンに切断するエンドグリコシダーゼであるヘパリナーゼをコードする。HPSEは、細胞外マトリックス(ECM)の分解及びリモデリングに関与している。単一の機能的なヘパリナーゼ:HPSEアイソフォーム1(HPSE1)、543アミノ酸タンパク質がある。スプライスバリアントHPSEアイソフォーム2(HPSE2)には酵素活性はないが、HPSE1活性を調節し得る。HPSE1の活性タンパク質型は、非共有結合している8及び50kDaサブユニットのヘテロダイマーである。TIMバレル折り畳みドメインには活性部位が含まれており、タンパク質のC末端ドメインは非酵素的シグナル伝達及び分泌機能に関与している。HPSE内の潜在的なT細胞エピトープが報告されている(Tang.In vitro and ex vivo evaluation of a multi-epitope heparinase vaccine for various malignancies.Cancer Sci 105(2014)9-17)。HPSE1及びHPSE2のタンパク質配列は、公開されているデータベースであるUniProt(World Wide Web上で、それぞれ、http://www.uniprot.org/uniprot/Q9Y251及びhttp://www.uniprot.org/uniprot/Q8WWQ2)で検索することで見出し得る。HPSE1及びHPSE2のDNA配列は、公開されているデータベースEntrez(World Wide Web上、それぞれhttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/10855及びhttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/60495)で検索することで見出し得る。
SMAD4は、シグナル伝達タンパク質及び腫瘍抑制遺伝子であるマザーズアゲインストデカペンタプレジックホモログ4(Mothers against decapentaplegic homolog 4)(TGFbシグナル伝達経路の下流転写出力の中心的なメディエーターである)をコードする。SMAD4は、552アミノ酸、60.4KDaのタンパク質である。SMAD4は、TGF-β活性化がない場合は単量体として、及びTGF-β活性化ではヘテロ二量体として存在する。SMAD4は、C末端がリン酸化されたR-SMAD分子の2つの分子、SMAD2またはSMAD3、及び転写活性SMAD2/SMAD3-SMAD4複合体を形成するSMAD4の1つの分子で構成されている。SMAD4は、DNAへの結合を通じて多数の標的遺伝子の転写を調節して、Smad結合エレメント(SBE)と呼ばれる8bpのパリンドローム配列(GTCTAGAC)を認識する。このタンパク質は腫瘍抑制因子として作用し、上皮細胞の増殖を阻害する。SMAD4のタンパク質及びDNA配列は、公的に利用可能なデータベースであるUniProt及びEntrez(World Wide Web上、それぞれ、http://www.uniprot.org/uniprot/Q13485及びhttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/4089)で検索することによって見出され得る。
本開示はまた、腫瘍抗原をコードする核酸を提供する。核酸は、発現ベクターを産生するために、例えば、腫瘍抗原の組換え産生のために、またはインビボでの核酸ベースの投与(例えば、DNAワクチン接種)のために、使用し得る。
いくつかの実施形態では、腫瘍抗原は、診断アッセイにおいて使用される。これらのアッセイのために、腫瘍抗原を含む組成物は、例えば、個体からの試料中の抗体反応性または細胞反応性を検出するためのキットで提供され得る。
いくつかの実施形態では、腫瘍抗原組成物は、対象において免疫反応を誘導するために使用される。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、対象は非ヒト動物である。腫瘍抗原組成物は、例えば、診断アッセイでの使用及び治療用途のために、抗体を産生するために(例えば、マウス、ラット、ハムスター、またはヤギなどの非ヒト動物において)使用し得る。治療的使用の例として、本明細書に記載の方法によって発見された腫瘍抗原は、強力なT細胞及び/またはB細胞抗原であり得る。抗体の調製物は、対象を腫瘍抗原で免疫すること、及び対象から抗血清を単離することによって作製され得る。高力価の高親和性抗原特異的抗体を誘発するための方法、及び抗血清から腫瘍抗原特異的抗体を単離するための方法は、当技術分野で公知である。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原組成物は、モノクローナル抗体、例えば、ヒトモノクローナル抗体を産生するために使用される。
いくつかの実施形態では、腫瘍抗原組成物を使用して、ヒト対象において免疫反応を誘導して治療反応をもたらす。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原組成物を使用して、ヒト対象において望ましくない免疫応答を再度方向付ける免疫反応を誘導する。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原組成物は、例えば、その腫瘍抗原組成物を投与されていない対象と比較して、対象に対して本明細書に記載のポジティブな臨床反応を生じさせる免疫反応を誘発する。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原組成物は、例えば、その腫瘍抗原組成物を投与されていない対象と比較して、対象の臨床反応が改善する免疫反応を誘発する。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原組成物を使用して、ヒト対象において緩和効果のための免疫反応を誘導する。この反応は、完全な治療であっても、または部分的な治療であってもよい。
いくつかの実施形態では、腫瘍抗原組成物を使用して、ヒト対象において免疫反応を誘導して予防的反応をもたらす。この反応は、完全な防御であっても、または部分的な防御であってもよい。
いくつかの実施形態では、腫瘍抗原の免疫原性は、インビボで評価される。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原に対する体液性反応を、評価する(例えば、投与された腫瘍抗原に対する抗体力価を検出することによって)。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原に対する細胞性免疫反応は、例えば、対象由来の試料中の抗原特異的細胞の頻度を検出することによって(例えば、対象由来のT細胞を、抗原ペプチドを含むMHC/ペプチド四量体で染色して、抗原特異的T細胞を検出することによって、または本明細書に記載のアッセイなどの抗原提示アッセイを使用して抗原特異的細胞を検出することによって)評価される。いくつかの実施形態では、防御的または治療的免疫を誘発する腫瘍抗原(複数可)の能力を、動物モデルにおいて評価する。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原(複数可)が、免疫を刺激するか、もしくは抑制するか、及び/または阻害する能力を、動物モデルにおいて評価する。
いくつかの実施形態では、この組成物は、薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。免疫原性組成物はまた、製剤の免疫原性を増強するためのアジュバント(例えば、水中油型、不完全フロイントアジュバント、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、サポニンアジュバント、トール様受容体アゴニスト、またはムラミルジペプチド)を含み得る。他のアジュバントは、当技術分野で公知である。
いくつかの実施形態では、免疫原性組成物は、担体タンパク質に連結された腫瘍抗原を含む。担体タンパク質の例としては、例えば、毒素及びトキソイド(化学的または遺伝的)が挙げられ、これらは、炭疽毒素、PA及びDNI(Pharm Athene,Inc.)、ジフテリアトキソイド(Massachusetts State Biological Labs;Serum Institute of India,Ltd.)またはCRM 197、破傷風毒素、破傷風トキソイド(Massachusetts State Biological Labs;Serum Institute of India,Ltd.)、破傷風毒素フラグメントZ、エキソトキシンAまたはPseudomonas aeruginosaのエキソトキシンAの変異体、細菌フラゲリン、ニューモリシン、Neisseria meningitidis(ATCC(American Type Culture Collection,Manassas,Va.)から入手可能な株)の外膜タンパク質、Pseudomonas aeruginosa Hcp1タンパク質、E.coli熱不安定性エンテロトキシン、志賀様毒素、ヒトLTBタンパク質、細胞全体由来のタンパク質抽出物、及びリンカーによって架橋され得る任意の他のタンパク質などの変異体であっても、そうでなくてもよい。他の有用な担体タンパク質としては、高密度リポタンパク質(HDL)、ウシ血清アルブミン(BSA)、P40、及びニワトリリボフラビンが挙げられる。多くの担体タンパク質が市販されている(例えば、Sigma Aldrichから)。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法によって特定された腫瘍抗原を含む免疫原性組成物は、利用可能なワクチンと組み合わせて使用される。例えば、本明細書に記載されるように特定された抗原は、ワクチン製剤の補充成分として、またはワクチン接種プロトコルにおける追加免疫抗原として使用され得る。
いくつかの実施形態では、免疫原性組成物は、皮下注射の場合は約0.5mL、皮内注射の場合は0.1mL、または経皮投与の場合は0.002~0.02mLの体積である。組成物の0.5ml用量は、約2~500ugの腫瘍抗原を含み得る。
いくつかの実施形態では、免疫原性組成物は、非経口的に(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、または皮内注射によって)投与される。いくつかの実施形態では、真皮層を物理的に貫通する手段による送達を使用する(例えば、針、エアガン、または擦過傷)。
いくつかの実施形態では、免疫原性組成物は、例えば、適切な免疫アジュバントを用いた筋肉内注射、皮内注射、または経皮免疫によって、対象に投与される。組成物は、1回以上投与されてもよく、これには、対象の免疫反応を高めるように設計された2回目の投与を含む場合が多い。組成物の投与の頻度及び量は、組成物の比率活性及び対象の臨床反応に応じて変化し得、慣用的な実験によって決定され得る。
免疫原性組成物の製剤は、単位用量または多用量の容器、例えば、密封アンプル及びバイアルで提供されてもよく、使用直前の滅菌液体担体の添加しか必要としないフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保管されてもよい。
腫瘍抗原の生成
本開示の任意の方法または組成物での使用に適した腫瘍抗原は、組換えまたは合成などの任意の利用可能な手段によって生成され得る(例えば、Jaradat Amino Acids 50:39-68(2018);Behrendt et al.,J.Pept.Sci.22:4-27(2016)を参照のこと)。例えば、腫瘍抗原は、腫瘍抗原をコードする核酸を発現するように操作された宿主細胞系を利用することによって組換え的に生成され得る。あるいは、またはさらに、腫瘍抗原は、内因性遺伝子を活性化することによって生成されてもよい。あるいは、またはさらに、腫瘍抗原は、化学合成によって部分的に調製されても、または完全に調製されてもよい。
タンパク質が組換え生成される場合、任意の発現系を使用してもよい。ほんの数例を挙げると、公知の発現系としては、例えば、E.coli、卵子、バキュロウイルス、植物、酵母、または哺乳動物細胞が挙げられる。
いくつかの実施形態では、本発明に適した組換え腫瘍抗原は、哺乳動物細胞において生成される。本発明に従って使用され得る哺乳動物細胞の非限定的な例としては、BALB/cマウス骨髄腫株(NSO/l、ECACC番号:85110503);ヒト網膜芽細胞(PER.C6、CruCell、Leiden,The Netherlands);SV40(COS-7、ATCC CRL 1651)によって形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胎児腎臓株(浮遊培養での増殖のためにサブクローニングされたHEK293または293細胞、Graham et al.,J.Gen Virol.,36:59,1977);ヒト線維肉腫細胞株(例えば、HT1080);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK21、ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞+/-DHFR(CHO,Urlaub and Chasin、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4216,1980);マウスセルトリ細胞(TM4,Mather,Biol.Reprod.,23:243-251,1980);サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1 587);ヒト子宮頸癌細胞(HeLa、ATCC CCL 2);イヌの腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci,383:44-68,1982);MRC5細胞;FS4細胞;及びヒト肝癌株(Hep G2)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、本発明は、ヒト細胞から生成された組換え腫瘍抗原を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、CHO細胞またはHT1080細胞から生成された組換え腫瘍抗原を提供する。
典型的には、組換え腫瘍抗原を発現するように操作された細胞は、本明細書に記載の組換え腫瘍抗原をコードする導入遺伝子を含み得る。組換え腫瘍抗原をコードする核酸は、組換え腫瘍抗原を発現するための、調節配列、遺伝子制御配列、プロモーター、非コード配列及び/また他の適切な配列を含み得ることを理解されたい。典型的には、コード領域は、これらの核酸成分の1つ以上と作動可能に連結されている。
導入遺伝子のコード領域は、特定の細胞型のコドン使用頻度を最適化するために、1つ以上のサイレント変異を含んでもよい。例えば、腫瘍抗原導入遺伝子のコドンは、脊椎動物細胞での発現のために最適化され得る。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原導入遺伝子のコドンは、哺乳動物細胞における発現のために最適化され得る。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原導入遺伝子のコドンは、ヒト細胞における発現のために最適化され得る。
免疫原性組成物の製造方法
いくつかの実施形態では、本開示は、免疫原性組成物を必要とする対象に投与するための免疫原性組成物を製造する方法を提供し、その方法は、以下を含む:a)各々の組成物が異なる抗原を含む、複数の抗原を含む複数の抗原性組成物を提供、調製、または得ること;b)標的反応プロファイルを提供、準備、または取得することであって、ここで、標的反応プロファイルが、複数の抗原に関連する(例えば、決定、測定、観察される)1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルの提示を含むこと;c)対象反応プロファイルを提供、準備、または取得することであって、ここで、この対象反応プロファイルが、複数の抗原に関連する(例えば、決定、測定、観察される)1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルの提示を含むこと;d)標的反応プロファイルを対象反応プロファイルと比較すること;e)この比較に基づいて1つ以上の抗原を選択すること;ならびにf)1つ以上の選択された抗原を含む1つ以上の抗原組成物の少なくとも一部を医薬組成物として処方すること。
場合によっては、約1、2、5、10、20、40、60、80、100、150、200以上の抗原組成物が提供、調製、または得られる。例えば、複数の抗原は、本明細書に記載の方法を使用して、例えば、組換え的または合成的に生成され得る。この抗原は、溶液または凍結乾燥組成物などの適切な組成物で提供され得る。場合によっては、抗原は合成的に生成される。場合によっては、合成的に生成された抗原は、固体支持体に付着したままである。場合によっては、抗原を処方することは、抗原性組成物の一部をアリコートにすること、凍結乾燥された抗原性組成物の少なくとも一部を再構成すること、及び/または固体支持体から合成的に生成された抗原を放出することを含む。
抗原性組成物は、懸濁液中、溶液中、または凍結乾燥などの様々な形態で調製または取得及び保存され得る。抗原性組成物は、-80℃未満からほぼ室温までの範囲の温度、例えば、約-80℃、約-20℃、約-15℃、約-10℃、約4℃、またはほぼ室温で保存され得る。いくつかの実施形態では、抗原性組成物は、担体、賦形剤、安定剤、防腐剤及び/またはアジュバントを含んでもよい。
複数の抗原は、標的反応プロファイルから誘導され得、この標的反応プロファイルは、複数の抗原に関連する(例えば、決定、測定、観察される)1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルの提示を含む。
複数の抗原は、対象反応プロファイルから誘導され得、この対象反応プロファイルは、複数の抗原に関連する(例えば、決定、測定、観察される)1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベルの提示を含む。
いくつかの実施形態では、標的反応プロファイル及び対象反応プロファイルを比較して、1つ以上の抗原を、この比較に基づいて選択する。いくつかの実施形態では、がんに対する有益な反応に関連する免疫メディエーターの発現または分泌を増大する1つ以上の抗原、及び/またはがんに対する有害または有益ではない反応に関連する免疫メディエーターの発現または分泌を阻害及び/または抑制する1つ以上の抗原を選択する。選択された抗原、または選択された抗原の一部は、医薬組成物として処方され得る。
がん及びがん治療
本開示は、腫瘍などのがんを有するか、またはがんと診断された対象に関連する方法及びシステムを提供する。いくつかの実施形態では、腫瘍は、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、AIDS関連リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ランゲルハンス細胞組織球症、多発性骨髄腫、または骨髄増殖性腫瘍を含むがこれらに限定されない血液学的悪性腫瘍であるか、またはそれらを含む。
いくつかの実施形態では、腫瘍は、乳癌、扁平上皮癌、結腸癌、頭頸部癌、卵巣癌、肺癌、中皮腫、泌尿生殖器癌、直腸癌、胃癌、または食道癌を含むがこれらに限定されない固形腫瘍であるか、またはこれらを含む。
いくつかの特定の実施形態では、腫瘍は、進行性腫瘍、及び/または難治性腫瘍であるか、またはこれらを含む。いくつかの実施形態では、腫瘍において特定の病状が観察された場合(例えば、腫瘍から得られた生検試料などの組織試料において)、及び/またはそのような腫瘍を有するがん患者が通常、従来の化学療法の候補ではないと考えられる場合、腫瘍は進行性であると特徴付けられる。いくつかの実施形態では、腫瘍を進行したものとして特徴付ける病状には、腫瘍サイズ、遺伝子マーカーの発現の変化、腫瘍細胞による隣接する器官及び/またはリンパ節への浸潤を含み得る。いくつかの実施形態では、そのような腫瘍を有する患者が、1つ以上の公知の治療方法(例えば、1つ以上の従来の化学療法レジメン)に対して抵抗性である場合及び/または特定の患者が1つ以上のそのような公知の治療方法に対して抵抗性(例えば、反応性の欠如)を実証した場合、腫瘍は難治性として特徴付けされる。
いくつかの実施形態では、本開示は、がん治療に関連する方法及びシステムを提供する。本開示は、任意の特定のがん治療に限定されず、任意の公知のまたは開発されたがん治療は、本開示に包含される。公知のがん治療としては、例えば、化学療法剤の投与、放射線療法、外科的切除、腫瘍の外科的切除後の化学療法、補助療法、限局性低体温または高体温、抗腫瘍抗体、及び抗血管新生剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、がん及び/または補助療法には、TLRアゴニスト(例えば、CpG、Poly I:C,など、例えば、Wittig et al.,Crit.Rev.Oncol.Hematol.94:31-44(2015);Huen et al.,Curr.Opin.Oncol.26:237-44(2014);Kaczanowska et al.,J.Leukoc.Biol.93:847-863(2013)参照)、STINGアゴニスト(例えば、US20160362441;US20140329889;Fu et al.,Sci.Transl.Med.7:283ra52(2015);及びWO2014189805)、自然免疫の非特異的刺激、及び/または樹状細胞、またはGM-CSF、インターロイキン-12、インターロイキン-7、Flt-3、または他のサイトカインの投与が挙げられる。いくつかの実施形態では、がん治療は、腫瘍溶解性ウイルス療法、例えば、タリモジーンラハーパレプベック(talimogene leherparepvec)であるか、またはそれを含む(例えば、Fukuhara et al.,Cancer Sci.107:1373-1379(2016)参照)。いくつかの実施形態では、がん治療は、二重特異性抗体療法であるか、またはそれを含む(例えば、Choi et al.,2011 Expert Opin Biol Ther;Huehls et al.,2015,Immunol and Cell Biol)。いくつかの実施形態では、がん治療は、細胞療法、例えば、キメラ抗原受容体T(CAR-T)細胞、TCR形質導入T細胞、樹状細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、またはナチュラルキラー(NK)細胞であるか、またはそれを含む(例えば、Sharpe and Mount,2015,Dis Model Mech 8:337-50でレビューされている)。
抗腫瘍抗体療法(すなわち、1つ以上の抗腫瘍抗体剤の投与を伴う治療レジメン)は、多くの腫瘍の治療のための標準治療に急速になりつつある。抗体剤は、腫瘍抗原、特に腫瘍細胞表面に発現する抗原に結合するように設計または選択されている。有用な抗腫瘍抗体剤を説明する様々な総説が発表されている(例えば、Adler et al.,Hematol.Oncol.Clin.North Am.26:447-81(2012);Li et al.,Drug Discov.Ther.7:178-84(2013);Scott et al.,Cancer Immun.12:14(2012);及びSliwkowski et al.,Science 341:1192-1198(2013)を参照のこと)。以下の表3は、公知の利用可能な抗体剤が標的とする特定のヒト抗原の包括的でない列挙を示しており、抗体剤が有用であると提案されている特定のがんの適応症を示している。
Figure 2022512897000011
Figure 2022512897000012
Figure 2022512897000013
いくつかの実施形態では、がん治療は、免疫チェックポイント遮断療法(例えば、Martin-Liberal et al.,Cancer Treat.Rev.54:74-86(2017);Menon et al.,Cancers(Basel)8:106(2016)参照)、または免疫抑制遮断療法であるか、またはそれを含む。特定のがん細胞は、免疫抵抗性の主要なメカニズムとして、特に腫瘍抗原に特異的なT細胞に関して、免疫チェックポイント経路を利用して増殖する。例えば、特定のがん細胞は、細胞傷害性T細胞応答の阻害を担う1つ以上の免疫チェックポイントタンパク質を過剰発現し得る。よって、免疫チェックポイント遮断療法は、阻害性シグナルを克服するためにならびにがん細胞に対する免疫攻撃を可能にするか及び/または拡大するために適用され得る。免疫チェックポイント遮断療法は、負の免疫反応制御因子(例えば、CTLA-4)によるシグナル伝達を減少、阻害、もしくは抑止することによって、がん細胞に対する免疫細胞反応を促進し得る。いくつかの実施形態では、がん治療は、免疫反応のポジティブな制御因子(例えば、CD28)のシグナル伝達を刺激または増強し得る。
免疫チェックポイント遮断及び免疫抑制遮断療法の例としては、A2AR、B7-H4、BTLA、CTLA-4、CD28、CD40、CD137、GITR、IDO、KIR、LAG-3、PD-1、PD-L1、OX40、TIM-3、及びVISTAのうちの1つ以上を標的とする薬剤が挙げられる。免疫チェックポイント遮断剤の具体的な例としては、以下のモノクローナル抗体:イピリムマブ(CTLA-4を標的とする);トレメリムマブ(CTLA-4を標的とする);アテゾリズマブ(PD-L1を標的とする);ペムブロリズマブ(PD-1を標的とする);ニボルマブ(PD-1を標的とする);アベルマブ;デュルバルマブ;及びセミプリマブが挙げられる。
免疫抑制遮断薬の具体例としては以下が挙げられる:Vista(B7-H5、T細胞活性化のvドメインIgサプレッサー)阻害剤;Lag-3(リンパ球活性化遺伝子3、CD223)阻害剤;IDO(インドールアミン-ピロール-2,3、-ジオキシゲナーゼ-1,2)阻害剤;KIR受容体ファミリー(キラー細胞免疫グロブリン様受容体)阻害剤;CD47阻害剤;及びTigit(Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体)阻害剤。
いくつかの実施形態では、がん治療は、免疫活性化療法であるか、またはそれを含む。免疫活性化因子の具体的な例としては、CD40アゴニスト;GITR(グルココルチコイド誘導TNF-R関連タンパク質、CD357)アゴニスト;OX40(CD134)アゴニスト;4-1BB(CD137)アゴニスト;ICOS(誘導性T細胞刺激因子);CD278アゴニスト;IL-2(インターロイキン2)アゴニスト;及びインターフェロンアゴニストが挙げられる。
いくつかの実施形態では、がん治療は、1つ以上の免疫チェックポイント遮断剤、免疫抑制遮断剤、及び/または免疫活性化因子の組み合わせ、または1つ以上の免疫チェックポイント遮断剤、免疫抑制遮断剤、及び/または免疫活性化因子、及び他のがん治療の組み合わせであるか、あるいはそれを含む。
本明細書で考察されるとおり、いくつかの実施形態では、本開示は、がん治療に対して反応しないか、及び/または反応しなかったか;または反応するか及び/または反応した(例えば、臨床的に反応性である、例えば、臨床的に陽性反応性または臨床的に陰性反応性)対象に関連する方法及びシステムを提供する。いくつかの実施形態では、対象はがん治療に対して臨床的に反応するか及び/またはポジティブに反応した。いくつかの実施形態では、対象はがん治療に対して臨床的に反応するか及び/またはネガティブに反応した。いくつかの実施形態では、対象はがん治療に対して反応しないか及び/または反応しなかった(例えば、臨床的に非反応性)。
対象ががん治療に対してポジティブに反応するか、ネガティブに反応するか、及び/または反応できないかを、特定の基準に従って測定してもよいし、及び/または特徴付けてもよい。特定の実施形態では、そのような基準は、臨床基準及び/または客観的基準を含み得る。特定の実施形態では、反応を評価するための技術としては、限定するものではないが、臨床検査、陽電子断層撮影法、胸部X線、CTスキャン、MRI、超音波、内視鏡検査、腹腔鏡検査、試料中の特定のマーカーの存在またはレベル、細胞学、及び/または組織学が挙げられ得る。治療に対する腫瘍のポジティブな反応、ネガティブな反応、及び/または反応なしは、そのような反応を評価するため(例えば、腫瘍負荷、腫瘍サイズ、腫瘍ステージなどのうちの1つ以上を決定するためのものを含む)の様々な確立された技術を使用して当業者によって評価され得る。治療に対する反応を評価するための方法及びガイドラインは、Therasse et al.,J.Natl.Cancer Inst.,2000,92(3):205-216;及びSeymour et al.,Lancet Oncol.,2017,18:e143-52で考察されている。
いくつかの実施形態では、反応性の対象は、がん治療の投与の際、腫瘍負荷、腫瘍サイズ及び/または腫瘍の病期の低減を示す。いくつかの実施形態では、非反応性の対象は、がん治療の投与の際、腫瘍負荷、腫瘍サイズまたは腫瘍の病期の低減を示さない。いくつかの実施形態では、非反応性の対象は、がん治療の投与の際、腫瘍負荷、腫瘍サイズまたは腫瘍の病期の増大を示す。
いくつかの実施形態では、がん対象は、本明細書に記載されるようながん治療の投与のために特定されるか及び/または選択される。いくつかの実施形態では、このがん治療が、対象に施される。いくつかの実施形態では、がん治療の投与時に、対象は、がん治療に対してポジティブな臨床反応を示し、例えば、1つ以上の臨床的及び/または客観的基準に基づく改善を示す(例えば、腫瘍負荷、腫瘍サイズ及び/または腫瘍の病期の低減を示す)。いくつかの実施形態では、臨床反応は、がん治療を開始すべきではないか、及び/または変更すべきである(例えば、低減及び/または1つ以上の他の方式を組み合わせる)か、及び/またはがん治療を中止するか、及び/または代替のがん治療を開始する必要があるがん対象として、特定された(本明細書に記載の方法を使用して)がん対象に対して施されたがん治療に対する臨床応答よりもポジティブである。
本明細書に記載の方法は、電子式、ウェブベース、または紙形態などのレポートを調製及び/または提供することを含み得る。このレポートは、本明細書に記載の方法からの1つ以上のアウトプット、例えば、本明細書に記載の対象反応プロファイルを含み得る。いくつかの実施形態では、がん患者について1つ以上の腫瘍抗原(例えば、本明細書に記載の1つ以上の刺激性及び/または阻害性及び/または抑制性腫瘍抗原、またはリンパ球が反応性ではない腫瘍抗原)の存在または非存在、ならびに必要に応じて、推奨されるがん治療を特定する紙または電子形態などのレポートが生成される。いくつかの実施形態では、このレポートは、がん患者のための識別子を含む。一実施形態では、このレポートは、ウェブベースの形態である。
いくつかの実施形態では、追加的にまたは代替的に、レポートは、予後、抵抗性、または潜在的もしくは示唆された治療オプションに関する情報を含む。このレポートは、治療オプションの期待できる有効性、治療オプションの受容性、または治療オプションをがん患者(例えば、レポートで特定されている)に適用する推奨度に関する情報を含み得る。例えば、このレポートは、患者へのがん治療の投与、例えば、事前選択された投薬量の投与または事前選択された治療レジメン、例えば、1つ以上の代替的ながん治療との組み合わせでの投与に関する情報、または推奨を含み得る。このレポートは、例えば、本明細書に記載の方法の実施から7、14、21、30、または45日以内にそれに記載されている実体に送達され得る。いくつかの実施形態では、このレポートは、個人化されたがん治療の報告書である。
いくつかの実施形態では、レポートは、がん患者が本明細書に記載の方法を使用して試験される各時点を記録するように作成される。がん対象は、がん治療に対する反応性について対象を監視するために、及び/または例えば、本明細書に記載される1つ以上のがん症状の改善のため、毎月、2か月ごと、6か月ごと、または毎年、またはそれより多いか少ない頻度などの間隔で再評価され得る。いくつかの実施形態では、レポートは、少なくともがん対象の治療歴を記録し得る。
一実施形態では、この方法は、レポートを別の当事者に提供することをさらに含む。他の当事者は、例えば、がん対象、介護者、医師、がん専門医、病院、診療所、第三者支払人、保険会社または官庁であり得る。
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によってその全体が組み込まれる。加えて、材料、方法、及び実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の方法及び材料が本発明の実践または検査で使用され得るが、好適な方法及び材料が本明細書に記載される。
本開示は以下の実施例によってさらに説明される。実施例は、説明の目的のためにのみ提供される。それらは、本開示の範囲または内容をいかなる形でも限定するものと解釈されるべきではない。
実施例1.NSCLC患者でATLAS(商標)を使用して特定されたネオアンチゲンに対する免疫反応
ATLAS(商標)ネオアンチゲンライブラリの生成
ATLAS(商標)(Genocea Biosciences)を適用して、以下の表に記載されているように、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、ベバシズマブ、放射線療法、従来の細胞毒性化学療法、またはそれらの組み合わせで治療された同意された非小細胞肺癌(NSCLC)患者の腫瘍で特定された変異のほぼ完全な補体をスクリーニングした。各患者に固有の変異の大部分を発現する個別のATLAS(商標)ライブラリを構築した。各クローンには、41~113個のアミノ酸が含まれており、変異は構築物の中心近くに配置され、配列が検証された。各クローンはE.coliで組換え発現された。NEO-KCCの場合、タンパク質発現は、サロゲートT細胞アッセイ(B3Zハイブリドーマ)を使用して検証し、これで、各オープンリーディングフレームのC末端、終止コドンの上流に挿入されているC57BL/6マウスT細胞エピトープSIINFEKLを認識する。陽性対照の5%を超えるB3Z反応を誘導したタンパク質(抗原提示細胞にパルスされた最小のSIINFEKLエピトープ)が発現したものと認められた。NEO-027、NEO-028、及びNEO-031の場合、タンパク質の発現は、NEO-KCCと同じ場所に配置されたSIINFEKLタグを使用して検証し、次いで、ウエスタンブロットによって調査した。これらのライブラリからのクローンの約10%を発現について検証した。NEO-041の場合、組換え赤色蛍光タンパク質(RFP)をペプチドフラグメントのC末端にクローニングし、これを使用して、バックグラウンド対照の2倍の蛍光強度で全てのクローンのペプチド発現を検証した。
Figure 2022512897000014
ATLAS(商標)ライブラリスクリーニング
末梢血試料は、各患者から収集した。末梢血単核細胞(PBMC)を、密度勾配遠心分離によって濃縮した。CD4+及びCD8+T細胞を、抗体結合磁気ビーズを使用して選別し、抗CD3及び抗CD28刺激で非特異的に増殖した。単球は樹状細胞(MDDC)に分化した。
治療の0日目及び42日目(3回目の注射後)のCD4+及びCD8+T細胞を、ATLAS(商標)ライブラリクローンに対して、及びネオングリーン(NG)を発現する20個の陰性対照クローンに対してスクリーニングした。ライブラリクローンは、250:1というE.coli:MDDCの比率で2,000個のMDDC及び80,000個のT細胞を使用して2連でスクリーニングした。24時間のインキュベーション後、アッセイ上清を回収し、-80℃で保存した。Meso Scale Discovery V-PLEX炎症誘発性パネル1(ヒト)キットを使用して、上清のサイトカインを分析した。
データ分析
NEO-KCCの場合、反応性ネオアンチゲンは、観察されたサイトカイン反応の平均が、対照タンパク質ネオングリーンのサイトカイン反応の中央値からの2つの絶対偏差中央値より大きいものとして定義された。NEO-027及びNEO-028の場合、反応性ネオアンチゲンは、観察されたサイトカイン反応の平均が、ライブラリ中の全ての抗原のサイトカイン反応の中央値からの2つの絶対偏差中央値より大きいものとして定義された。NEO-031及びNEO-041の場合、混合効果モデルの当てはめを行い、これにより、バックグラウンドの対照タンパク質(ネオングリーン)サイトカイン反応の平均及び標準偏差の推定値が生成される。反応性ネオアンチゲンは、観察されたサイトカイン反応の平均が、対照タンパク質ネオングリーンのモデルベースの平均の推定反応からの2つの残差標準偏差より大きいものとして定義された。全ての図で、上の点線より上のポイントは、サイトカイン反応によって測定されるとおり、T細胞反応を刺激するネオアンチゲンを示している。下の点線より下のポイントは、サイトカイン反応によって測定されるとおり、T細胞反応を抑制及び/または阻害するネオアンチゲンを示している。
図1は、試料NEO-031から得られたCD8+及びCD4+T細胞(それぞれ上及び下のパネル)について、対照に対して正規化された、ネオアンチゲンあたりのIFNγ濃度を示している。表Aは、IFNγまたはIFNγ+TNFα濃度、及び刺激性と阻害性のネオアンチゲンの比率によって測定された、刺激性及び阻害性の反応を誘発するネオアンチゲンの数をまとめたものである。
Figure 2022512897000015
図2は、試料NEO-KCCから得られたCD8+及びCD4+T細胞(それぞれ上及び下のパネル)について、対照に対して正規化された、ネオアンチゲンあたりのIFNγ濃度を示している。表Bは、IFNγまたはIFNγ+TNFα濃度、及び刺激性と阻害性のネオアンチゲンの比率によって測定された、刺激性及び阻害性の反応を誘発するネオアンチゲンの数をまとめたものである。
Figure 2022512897000016
図3は、試料NEO-041から得られたCD8+及びCD4+T細胞(それぞれ上及び下のパネル)について、対照に対して正規化された、ネオアンチゲンあたりのIFNγ濃度を示している。表Cは、IFNγまたはIFNγ+TNFαの濃度、及び該当する場合には刺激性と阻害性のネオアンチゲンの比率によって測定された、刺激性及び阻害性の反応を誘発するネオアンチゲンの数をまとめたものである。
Figure 2022512897000017
図4は、試料NEO-027から得られたCD8+及びCD4+T細胞(それぞれ上及び下のパネル)について、対照に対して正規化された、ネオアンチゲンあたりのIFNγ濃度を示している。表Dは、IFNγまたはIFNγ+TNFαの濃度、及び該当する場合には刺激性と阻害性のネオアンチゲンの比率によって測定された、刺激性及び阻害性の反応を誘発するネオアンチゲンの数をまとめたものである。
Figure 2022512897000018
図5は、試料NEO-028から得られたCD8+及びCD4+T細胞(それぞれ上及び下のパネル)について、対照に対して正規化された、ネオアンチゲンあたりのIFNγ濃度を示している。表Eは、IFNγまたはIFNγ+TNFα濃度、及び刺激性と阻害性のネオアンチゲンの比率によって測定された、刺激性及び阻害性の反応を誘発するネオアンチゲンの数をまとめたものである。
Figure 2022512897000019
代表的な試料の比較結果を、表F、G、及びHに示す。
Figure 2022512897000020

Figure 2022512897000021

Figure 2022512897000022
実施例2.患者における刺激性抗原と阻害性抗原との比率との比較
末梢血単核細胞は、免疫療法の処置の前に9人の対象から濃縮した。同じ患者から、腫瘍生検及び唾液を収集し、エクソームを配列決定して、腫瘍の新しい変異を特定した。各対象について、それらの腫瘍から特定された変異のそれぞれを発現する固有のATLASライブラリを生成して、次いで抗原提示細胞とT細胞を使用して調査した。データは、各ATLASプレートの陰性対照に対して正規化し、刺激反応(y軸)と阻害性反応(x軸)を誘発したネオアンチゲンの相対比率を決定し、図6に示す(円のサイズは腫瘍遺伝子変異量(TMB)を示す)。治療後、患者を追跡して、有益な反応(完全奏功、CRまたは部分奏功、PRまたは安定した疾患、SD)を示したか、または非有益もしくは有害な反応(進行性疾患)を示したかを判断した。有益な反応を示した患者は白い円で示しており、非有益または有害な反応を示した患者は黒い円で表す。これらのデータは、各患者内の阻害性対刺激性のネオアンチゲン特異的T細胞反応の相対比率(図6の対角線で示されている)が、免疫療法に対する有益な反応(または非有益または有害な反応)を予測することを示唆している。驚くべきことに、阻害性対刺激性のネオアンチゲン特異的T細胞反応のこの相対的な比率は、変異が少ない患者(図6の小さな円)が有益な反応を示した一方で、腫瘍遺伝子変異量が大きい一部の患者(図6の大きな円)は有益な反応を示さなかったので、TMBよりも優れた予測因子であると思われる。
実施例3.患者コホートIIにおける刺激性抗原対阻害性抗原の比較
末梢血単核細胞(PBMC)は、固形腫瘍の治療のために開発されている個人向けアジュバントワクチンであるGEN-009のフェーズ1/2a臨床試験の評価部分の各患者から収集した。患者は、自分の疾患(皮膚黒色腫、NSCLC、SCCHN、または尿路上皮癌)の治療目的で治療を完了し、GEN-009治験の評価の開始時に疾患の証拠はなかった(NED)。腫瘍生検及び唾液も各患者から収集し、エクソームを配列決定して、腫瘍の新規変異を特定した。各患者の腫瘍から特定された変異のそれぞれを発現する固有のATLASライブラリを生成し、次いでその患者の抗原提示細胞及びT細胞を使用して調査した。簡単に説明すると、単球、CD4+及びCD8+T細胞を、各患者のPBMCから選別した。単球は樹状細胞(MDDC)へ誘導され、T細胞は非特異的に増殖した。MDDCを2連でパルスし、E.coliは患者の腫瘍特異的変異のそれぞれを順序付けられた配列で発現し、その後洗浄した。選別されたT細胞をウェルに加え、一晩インキュベートした。翌日、Meso-Scale Discoveryアッセイを使用して、上清中のサイトカイン(IFNγ及びTNF-アルファ)レベルを測定した。データは、各ATLASプレートの陰性対照に対して正規化した。評価段階(約16週間)の間、患者を追跡して、以前の治療に対して有益な反応を示し続けた(すなわち、NEDを維持した)か、または非有益もしくは有害な反応を示した(疾患の進行)かを決定した。表4は、腫瘍遺伝子変異量(TMB;DNAの変異/Mb)、ATLASによってスクリーニングされた候補抗原(ネオアンチゲン)の総数、IFNγ及び/またはTNF-α分泌によって測定された、ATLASで特定された刺激または阻害性反応を誘発する患者特異的ネオアンチゲンの数、阻害性抗原に対する刺激性抗原の比率、ならびに評価段階の終了時の各患者の臨床状態をまとめている。
Figure 2022512897000023
Figure 2022512897000024
図7は、ATLASによってスクリーニングされた候補ネオアンチゲンの総数に対する、刺激性及び阻害性反応を誘発した、ATLASで特定された患者特異的抗原の割合を示す。各患者は円で表される。刺激反応を誘発した候補抗原(刺激抗原)の相対的な割合は、y軸上の円の位置で示される。阻害反応を誘発した候補抗原(阻害抗原)の相対的な割合は、x軸上の円の位置で示される。円のサイズは、腫瘍遺伝子変異量(TMB)を示す。有益な臨床反応(または決定される反応)を示した患者は白い円で示しており;非有益または有害な臨床反応を示した患者は黒い円で表す。
図8は、図6と図7の患者データを組み合わせたものである。図6及び図7と同様に、各患者は円で表す。刺激反応を誘発した、ATLASで特定した、患者特異的抗原の相対的な割合は、y軸上の円の位置で示される。阻害反応を誘発した、ATLASで特定した、患者特異的抗原の相対的な割合は、x軸上の円の位置で示される。円のサイズは、腫瘍遺伝子変異量(TMB)を示す。評価時に有益な臨床反応(例えば、完全奏功、部分奏功、安定した疾患、または疾患の証拠がない)(または決定される反応)を示した患者は、白丸で示す。非有益または有害な臨床反応(疾患の進行)を示した患者は、黒丸で表す。
図9は、刺激反応(黒)、阻害反応(白)、または無反応(灰色)を誘発した、ATLASで特定された患者特異的抗原の割合を棒形式で示すグラフである。各患者はバーで表される。パネルAは、CD4+T細胞の結果を示す。パネルBは、CD8T細胞の結果を示す。
図10は、図6の患者データと下の表5に示される5例の追加患者の組み合わせを示すグラフである。各円は、免疫療法の処置に対して、有益な反応(白い円)を示すか、または非有益なもしくは有害な反応(黒丸)を示した個々の患者のT細胞から刺激性反応(y軸)及び阻害性反応(x軸)を誘発したネオアンチゲンの相対的な割合を示している。灰色の円は、転帰が不明であることを示す。円のサイズは、腫瘍遺伝子変異量(TMB)を示す。
Figure 2022512897000025
このデータは、患者における刺激性対阻害性の抗原特異的T細胞反応の高い割合(図6~8及び10の対角線の上の円)が、免疫療法を含むがん治療に対する有益な臨床反応と相関していることを示唆している。対照的に、阻害性抗原特異的T細胞反応に対する刺激性の割合が低いか、または刺激性抗原が存在しないことは、非有益または有害な臨床反応と相関している。驚くべきことに、刺激性対阻害性の抗原特異的T細胞反応の相対的な比率は、TMBが比較的低い患者(図6~8及び10の小さな円)が有益な反応を示した一方で、TMBが大きい一部の患者(図6~8及び10の大きな円)は有益な反応を示さなかったので、TMBよりも臨床反応に対してよく相関すると思われる。
配列のリスト(列挙)
Figure 2022512897000026
Figure 2022512897000027
Figure 2022512897000028
Figure 2022512897000029
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Figure 2022512897000031
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Figure 2022512897000033
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Figure 2022512897000140
等価物
本開示は、その詳細な説明と併せて説明されているが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を例示しており、制限しないことが意図されていることを理解されたい。他の態様、利点、及び改編は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。

Claims (36)

  1. 対象をがん治療の候補として特定する方法であって、
    a)複数の腫瘍抗原を含む細菌細胞またはビーズを含むライブラリを取得、提供、または生成し、ここで、前記ライブラリの各細菌細胞またはビーズは、異なる腫瘍抗原を含むことと;
    b)前記細菌細胞またはビーズを前記対象由来の抗原提示細胞(APC)と接触させ、ここで、前記APCは前記細菌細胞またはビーズを内在化することと;
    c)前記APCを前記対象由来のリンパ球と、1つ以上のAPCによって提示される腫瘍抗原によるリンパ球の活性化に適した条件下で、接触させることと;
    d)1つ以上のリンパ球が、1つ以上のAPCによって提示される1つ以上の腫瘍抗原によって活性化されるか、またはそれに対して反応しないかを、例えば、1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベル(例えば、対照に対するレベルの増減)を評価すること(例えば、検出または測定すること)によって決定することと;
    e)1つ以上の腫瘍抗原を刺激抗原及び/または阻害性抗原として特定することと;
    f)対象の反応プロファイルを表す阻害性抗原に対する刺激性抗原の数の比率を生成することと;
    g)対象の反応プロファイルと標的反応プロファイルと比較して、がん治療の開始、継続、変更、中止、または非開始の候補対象として前記対象を選択することと、
    を含む前記方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    h)前記細菌細胞またはビーズを標的対象由来の抗原提示細胞(APC)と接触させ、ここで、前記APCは前記細菌細胞またはビーズを内在化することと;
    i)前記APCを前記標的対象由来のリンパ球と、1つ以上のAPCによって提示される腫瘍抗原によるリンパ球の活性化に適した条件下で、接触させることと;
    j)1つ以上のリンパ球が、1つ以上のAPCによって提示される1つ以上の腫瘍抗原によって活性化されるか、またはそれに対して反応しないかを、例えば、1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベル(例えば、対照に対するレベルの増減)を評価すること(例えば、検出または測定すること)によって決定することと;
    k)1つ以上の腫瘍抗原を刺激抗原及び/または阻害性抗原として特定することと;
    l)前記標的反応プロファイルを表す、阻害性抗原に対する刺激性抗原の数の比率を生成することと、
    を含む方法によって前記標的反応プロファイルを生成することをさらに含む、前記方法。
  3. 前記標的反応プロファイルが、がんに対して少なくとも1つの有益な反応を示すか、または以前に示した1つ以上の標的対象に由来する、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 前記標的反応プロファイルが、少なくとも100:1、50:1、20:1、10:1、5:1、2:1、1.5:1、1.4:1、1.2:1、1.1:1、0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1、または0.5:1である、阻害性抗原の数に対する刺激性抗原の数の比率を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記有益な反応が、がん治療または治療の組み合わせに対するポジティブな臨床反応を含む、請求項3に記載の方法。
  6. 前記有益な反応が、がんに対する自発性の反応を含む、請求項3に記載の方法。
  7. 前記有益な反応には、がんのクリアランス、例えば、がんのクリアランスに関連する1つ以上の臨床的測定のレベルを含む、請求項3に記載の方法。
  8. 前記有益な反応は、例えば、定義された期間(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12週間、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12か月間、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12年間)にわたる、がんの再燃、再発、及び/または転移の欠如を含む、請求項3に記載の方法。
  9. 前記有益な反応が、ポジティブながん予後を含む、請求項3に記載の方法。
  10. 前記有益な反応が、がん治療または治療の組み合わせに対する1つ以上の毒性反応及び/または副作用(例えば、1つ以上の測定可能な毒性反応または副作用)の欠如を含む、請求項3に記載の方法。
  11. 前記標的反応プロファイルが、がんに対して1つ以上の有害及び/または非有益な反応を示すか、または以前に示した1つ以上の標的対象に由来する、請求項1または請求項2に記載の方法。
  12. 前記標的反応プロファイルが、5:1、2:1、1.5:1、1.4:1、1.2:1、1.1:1、0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1、0.5:1、0.25:1、0.125:1、0.01:1、または0.001:1未満である、阻害性抗原の数に対する刺激性抗原の数の比率を含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記有害及び/または非有益な反応が、がん治療または治療の組み合わせに対するネガティブな臨床反応及び/または反応の不全を含む、請求項11に記載の方法。
  14. 前記有害及び/または非有益な反応が、がんのクリアランスの欠如、例えば、がんのクリアランスの欠如に関連する1つ以上の臨床的測定のレベルを含む、請求項11に記載の方法。
  15. 前記有害及び/または非有益な反応が、がんの少なくとも1回の再燃、再発、及び/または転移を含む、請求項11に記載の方法。
  16. 前記有害及び/または非有益な反応には、ネガティブながんの予後を含む、請求項11に記載の方法。
  17. 前記有害及び/または非有益な反応には、がん治療または治療の組み合わせに対する1つ以上の毒性反応及び/または副作用(例えば、1つ以上の測定可能な毒性反応及び/または副作用)を含む、請求項11に記載の方法。
  18. がん治療またはがん治療の組み合わせの開始のための前記候補対象を選択することをさらに含む、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
  19. がん治療またはがん治療の組み合わせの継続のための前記候補対象を選択することをさらに含む、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
  20. 前記対象の反応プロファイルが、少なくとも100:1、50:1、20:1、10:1、5:1、2:1、1.5:1、1.4:1、1.2:1、1.1:1、0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1、または0.5:1である、阻害性抗原の数に対する刺激性抗原の数の比率を含む場合、前記対象を候補対象として選択することを含む、請求項18または請求項19に記載の方法。
  21. がん治療の変更のための前記候補対象を選択することをさらに含む、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
  22. がん治療の中止または非開始のための前記候補対象を選択することをさらに含む、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
  23. 前記対象の反応プロファイルが、5:1、2:1、1.5:1、1.4:1、1.2:1、1.1:1 0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1、0.5:1、0.25:1、0.125:1、0.01:1、または0.001:1未満である阻害性抗原の数に対する刺激性抗原の数の比率を含む場合、がん治療の変更、中止、及び/または非開始のための候補対象として、前記対象を選択することを含む、請求項21または22に記載の方法。
  24. 前記がん治療または治療の組み合わせを前記対象に施すことをさらに含む、請求項18~20のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記候補対象に施された前記がん治療を変更することをさらに含む、請求項21~23のいずれか1項に記載の方法。
  26. 前記候補対象に対する前記がん治療を中止すること、または開始しないことをさらに含む、請求項21~23のいずれか1項に記載の方法。
  27. がん治療の候補として対象を特定する方法であって、
    a)複数の腫瘍抗原を含む細菌細胞またはビーズを含むライブラリを取得、提供、または生成し、ここで、前記ライブラリの各細菌細胞またはビーズは、異なる腫瘍抗原を含むことと;
    b)前記細菌細胞またはビーズを前記対象由来の抗原提示細胞(APC)と接触させ、ここで、前記APCは前記細菌細胞またはビーズを内在化することと;
    c)前記APCを前記対象由来のリンパ球と、1つ以上のAPCによって提示される腫瘍抗原によるリンパ球の活性化に適した条件下で、接触させることと;
    d)1つ以上のリンパ球が、1つ以上のAPCによって提示される1つ以上の腫瘍抗原によって活性化されるか、またはそれに対して反応しないかを、例えば、1つ以上の免疫メディエーターの発現及び/または分泌のレベル(例えば、対照に対するレベルの増減)を評価すること(例えば、検出または測定すること)によって決定することと;
    e)1つ以上の腫瘍抗原を刺激抗原及び/または阻害性抗原として特定することと;
    f)刺激性抗原の数を阻害性抗原の数と比較することと;
    g)がん治療の開始、継続、変更、中止、または非開始の候補対象として前記対象を選択することと、を含む前記方法。
  28. がん治療またはがん治療の組み合わせの開始のための前記候補対象を選択することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
  29. がん治療またはがん治療の組み合わせの継続のための前記候補対象を選択することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
  30. 前記刺激性抗原の数が少なくとも1つ(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)であり、かつ前記阻害性抗原の数がゼロである場合、前記対象を候補対象として選択することを含む、請求項28または請求項29に記載の方法。
  31. がん治療の変更のための前記候補対象を選択することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
  32. がん治療の中止または非開始のための前記候補対象を選択することをさらに含む、請求項27に記載の方法。
  33. 前記刺激性抗原の数がゼロであり、かつ前記阻害性抗原の数が少なくとも1つ(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)である場合、前記対象を候補対象として選択することを含む、請求項31または請求項32に記載の方法。
  34. 前記がん治療またはがん治療の組み合わせを前記候補対象に施すことをさらに含む、請求項28~30のいずれか1項に記載の方法。
  35. 前記候補対象に施された前記がん治療を変更することをさらに含む、請求項31~33のいずれか1項に記載の方法。
  36. 前記候補対象に対する前記がん治療を中止すること、または開始しないことをさらに含む、請求項31~33のいずれか1項に記載の方法。
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