JP2022510634A - 除去レジメンに抵抗性の遺伝的に改変されたhspc - Google Patents

除去レジメンに抵抗性の遺伝的に改変されたhspc Download PDF

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Abstract

本発明は、遺伝的に改変された造血幹細胞または前駆細胞(HSPC)および幹細胞置換療法において、上記HSPCを使用する方法を提供する。上記HSPCは、改変なしの内因性HSPCまたはコントロールHSPCと比較して、導入される細胞に選択的利点を付与するレセプターを発現するように、遺伝的に改変される。このようなレセプターの存在は、内因性HSPCを排除するために使用される免疫療法レジメンに抵抗性を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月28日出願の米国仮特許出願第62/772,545号(これは、全ての目的のためにその全体において参考として援用される)の利益を主張する。
配列表の言及
本出願は、テキストファイル 53950-SEQLST(11キロバイト、作成日:2019年11月26日)において開示された配列(参考として援用される)を含む。
背景
幹細胞は、生物に、増殖を通じて、分化した細胞を生成するためにある特定の組織を維持および修復する手段を提供する。造血幹細胞移植は、患者に血球を生成する能力を提供するために、通常は、上記患者が、化学療法、または他のコンディショニングレジメンによって内因性造血幹細胞が除去されている場合に、使用されている。
造血細胞移植は、一般に、造血幹細胞を含む自家または同種異系の血液形成細胞の静脈内注入を含む。これらは、骨髄、末梢血、または臍帯血から集められ、骨髄または免疫系が損傷したかまたは欠陥がある患者において造血機能を再確立するために移植される。この手順はしばしば、骨髄浸潤プロセス(例えば、白血病)を排除するために、または先天性の免疫不全障害を補正するために、治療の一部として行われる。造血細胞移植はまた、がんを有する患者が、骨髄が通常寛容し得るより高用量の化学療法を受容することを可能にするために使用される;次いで、骨髄機能は、その骨髄を、以前に採取した幹細胞で置き換えることによって救助される(一般には、WO 2004/002425およびWO2018/140940を参照のこと)。
国際公開第2004/002425号 国際公開第2018/140940号
特許請求された発明の要旨
本発明は、内因性HSPCと比較して、被験体に導入した際に、遺伝的に改変されたHSPCに選択的増殖の利点を付与するレセプターを発現するように遺伝的に改変された造血幹または前駆細胞(HSPC)を提供する。必要に応じて、上記細胞は、原始幹細胞である。
本発明は、上記または下記で定義されるように、少なくとも10のHSPCの集団をさらに提供する。必要に応じて、上記少なくとも10のHSPCは、CD34である。必要に応じて、上記集団は、クローン性である。必要に応じて、上記集団は、原始幹細胞および共通前駆細胞を含む。
いくつかの細胞では、上記レセプターは、B2M/MHC-1、PD-L1、CD24、GAS6、CD47、c-Kitまたは複数のこのようなレセプターの組み合わせのうちのいずれかである。いくつかの細胞では、上記レセプターは、上記レセプターの変異体形態であり、ここで上記変異体は、上記レセプターの野生型形態と比較して、抗体への結合が低減している。いくつかの細胞では、上記レセプターは、CD47またはc-Kitである。いくつかの細胞はさらに、機能的ヒトタンパク質を発現するように遺伝的に改変され、その結果として、上記HSPCは、遺伝的障害を緩和し得る。上記遺伝的障害は、上記障害を有する被験体においてヒトタンパク質をコードする遺伝子の変異に起因し得る。いくつかの細胞では、上記ヒトタンパク質は、ヘモグロビンである。
いくつかのHSPCは、標的化構築物と内因性遺伝子座との間の相同組換えによって遺伝的に改変される。いくつかのHSPCでは、上記遺伝的改変は、ヘテロ接合性である。いくつかのHSPCでは、上記遺伝的改変は、ホモ接合性である。
本発明はさらに、HSPCを改変する方法であって、上記方法は、上記HSPCに、改変前のHSPCと比較して、遺伝的に改変されたHSPCに選択的増殖の利点を付与するレセプターを発現し得る転写ユニットを形成するHSPCのゲノムに組み込まれる構築物を導入する工程を包含する方法を提供する。必要に応じて、上記構築物は、その発現に関する調節配列に作動可能に連結されたレセプターをコードするセグメントを含む転写ユニットを含む。必要に応じて、上記構築物は、内因性遺伝子座との相同組換えを受ける。必要に応じて、上記方法は、ヌクレアーゼを上記HSPCに導入する工程を包含し、上記ヌクレアーゼは、上記相同組換えの遺伝子座に近いゲノムDNAを切断し、それによって、上記相同組換えを刺激する。必要に応じて、上記ヌクレアーゼは、上記ヌクレアーゼをコードする構築物を導入することによって導入され、上記ヌクレアーゼは、上記HSPCにおいて発現される。
本発明はさらに、被験体を処置する方法であって、上記方法は、(a)c-Kitに特異的に結合する免疫治療剤を投与して、c-Kitを発現する内因性HSPCを枯渇させる工程;および(b)内因性HSPCと比較して、遺伝的に改変されたHSPCに選択的増殖の利点を付与するレセプターを発現するように遺伝的に改変された置換HSPCを投与し、それによって、上記c-Kitに特異的に結合する免疫治療剤による枯渇に耐える工程を包含し、ここで上記置換HSPCは、上記内因性HSPCを少なくとも部分的に置換する方法を提供する。必要に応じて、選択的増殖の利点を付与する上記レセプターは、CD47である。必要に応じて、上記CD47レセプターは、変異を含み、上記方法は、野生型CD47に結合し、存在する場合、SIRPαへの上記変異したレセプターのその結合およびアンタゴニズムより強く、SIRPαとのその相互作用をアンタゴナイズする抗体またはSIRPα Fc融合タンパク質を投与する工程をさらに包含する。必要に応じて、内因性HSPCは、工程(b)を行う前に、部分的にのみ枯渇される。必要に応じて、工程(a)は、工程(b)の前に行われる。必要に応じて、工程(a)は、工程(b)と同時に、または工程(b)の後に行われる。必要に応じて、上記c-Kitに特異的に結合する免疫治療剤は、上記導入する工程が行われるときに血清中で検出可能である。必要に応じて、上記c-Kitに特異的に結合する免疫治療剤は、工程(b)の前および工程(b)の後に、複数の機会に投与される。必要に応じて、上記c-Kitに特異的に結合する免疫治療剤は、抗体である。必要に応じて、上記抗体は、ADCCまたはADPを促進するために有効なFcドメインを有する。
必要に応じて、上記被験体は、血球のタイプの遺伝的障害を有し、上記置換HSPCは、上記障害のないタイプの血球へと発生する。必要に応じて、上記置換HSPCは、上記障害がないようにさらに遺伝的に改変された自家細胞である。必要に応じて、上記遺伝的障害は、鎌状赤血球貧血である。必要に応じて、上記被験体は、がんを有する。必要に応じて、上記がんは、血球のがんであり、上記血球は、c-Kitを発現するか、またはc-Kitを発現するHSPCに由来する。必要に応じて、上記被験体は、がんを有し、上記がんに対する化学療法を受けたことがある。必要に応じて、上記被験体は、工程(a)の後に臓器移植片を受容する。
定義
被験体は、開示される方法によって処置されるヒトおよび他の動物、特に、哺乳動物(ペットおよび実験動物、例えば、マウス、ラット、ウサギを含む)の両方を含む。従って、上記方法は、ヒト治療および獣医学的適用の両方に適用可能である。
免疫治療剤とは、指定された標的に対する抗体またはFc融合タンパク質に言及する。例えば、CD47に対する抗体およびSIRPα-Fc融合物は、CD47に対する免疫治療剤である。
核酸またはアミノ酸の作動可能な連結とは、各々がその意図された機能を果たし得るように、上記配列が連結されることを意味する。例えば、コード配列に対するプロモーターの作動可能な連結は、上記コード配列が上記プロモーターから発現され得ることを示唆する。シグナルペプチドへのタンパク質の作動可能な連結は、上記シグナルペプチドが上記タンパク質の分泌を指向し得るか、またはそれを、細胞膜への組み込みのために標的化し得ることを示唆する。
機能的な核酸または上記核酸によってコードされるタンパク質とは、上記核酸を上記タンパク質に発現する被験体の正常な生理機能を支持し得る、上記核酸の野生型形態、または天然のもしくは誘導されたその改変体に言及する。言い換えると、被験体における上記核酸の発現は、部分的または完全な浸透度を有する病的状態を生じない。例えば、野生型の機能に対していかなる顕著な影響をも有しない1またはこれより多くのバリエーションを含む野生型核酸またはタンパク質の改変体は、機能的な核酸またはタンパク質と考えられる。このようなものは、変異を含む核酸またはこれから発現されるタンパク質とは対照をなすことになり、ヘテロ接合性またはホモ接合性の形態での被験体におけるその存在は、部分的または完全な浸透度を有する病的状態の発生と関連付けられる。そのコードされるタンパク質を発現し得るように、置換HSPCに導入される機能的核酸は、従って、内因性HSPCにおいて上記核酸および/またはタンパク質の変異した形態から生じる病理を少なくとも部分的に緩和し得る。
免疫治療剤は、代表的には、単離された形態で提供される。これは、このような薬剤が、代表的には、その生成または精製から生じる干渉タンパク質および他の夾雑物から少なくとも50% w/w 純粋であるが、上記薬剤が、その使用を促進することが意図された、過剰の薬学的に受容可能なキャリアまたは他のビヒクルと組み合わされるという可能性を排除しないことを意味する。ときおり、薬剤は、生成または精製由来の干渉タンパク質および夾雑物から少なくとも60%、70%、80%、90%、95%または99% w/w 純粋である。しばしば、薬剤は、その精製後に残っている優勢な高分子種である。
免疫治療剤の、その標的抗原に対する特異的結合は、少なくとも10、10、10、10、または1010 -1の親和性を意味する。特異的結合は、大きさが検出可能により高く、少なくとも1つの関連しない標的に対して起こる非特異的結合から区別可能である。特異的結合は、特定の官能基の間の結合または特定の空間的適合の形成(例えば、鍵と鍵穴タイプ)の結果であり得るのに対して、非特異的結合は、通常は、ファン・デル・ワールス力の結果である。その標的抗原に特異的に結合する免疫治療剤はまた、その標的抗原に対するものであると記載され得る。
基本的な抗体構造単位は、サブユニットのテトラマーである。各テトラマーは、ポリペプチド鎖の2個の同一の対を含み、各対は、1本の「軽」鎖(約25kDa)および1本の「重」鎖(約50~70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識を主に担う約100~110個またはより多くのアミノ酸の可変領域を含む。この可変領域は、最初に、切断可能なシグナルペプチドに連結されて発現される。そのシグナルペプチドのない可変領域は、ときおり、成熟可変領域といわれる。従って、例えば、軽鎖成熟可変領域は、軽鎖シグナルペプチドのない軽鎖可変領域を意味する。しかし、可変領域への言及は、シグナル配列が必ず存在することを意味しない;そして実際に、シグナル配列は、本発明の抗体または他の免疫治療剤が一旦発現されかつ分泌された後に、切断される。重鎖可変領域および軽鎖可変領域の対は、抗体の結合領域を規定する。上記軽鎖および重鎖のカルボキシ末端部分は、それぞれ、軽鎖および重鎖の定常領域を規定する。重鎖定常領域は、主にエフェクター機能を担う。IgG抗体では、重鎖定常領域は、CH1、ヒンジ、CH2、およびCH3領域に分けられる。IgAでは、重鎖定常領域は、CH1、CH2およびCH3に分けられる。上記CH1領域は、ジスルフィド結合および非共有結合的な結合によって軽鎖定常領域に結合する。上記ヒンジ領域は、抗体の結合領域とエフェクター領域との間で可撓性を提供し、テトラマーサブユニットにおいて2つの重鎖低量域の間の分子間ジスルフィド結合の部位も提供する。上記CH2およびCH3領域は、エフェクター機能およびFcRn結合の主な部位である。
軽鎖は、κまたはλのいずれかとして分類される。重鎖は、γ、μ、α、δ、またはεとして分類され、それぞれ、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEとして抗体のアイソタイプを規定する。軽鎖および重鎖の中で、可変領域および定常領域は、約12個またはこれより多くのアミノ酸の「J」セグメントによって結合され、重鎖はまた、約10個またはこれより多くのアミノ酸の「D」セグメントを含む(一般には、Fundamental Immunology (Paul, W.編, 第2版. Raven Press, N.Y., 1989, 第7章(全ての目的のためにその全体において参考として援用される)を参照のこと)。
各軽鎖/重鎖対の成熟可変領域は、抗体結合部位を形成する。従って、無傷の抗体は、2個の結合部位を有する、すなわち、2価である。天然の抗体では、上記結合部位は同じである。しかし、二重特異性では、上記結合部位は異なる(例えば、Songsivilai and Lachmann, Clin. Exp. Immunol., 79:315-321 (1990); Kostelnyら, J. Immunol., 148:1547-53 (1992)を参照のこと)。上記可変領域は、全て、3個の超可変領域(相補性決定領域またはCDRともいわれる)によって結合される比較的保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ一般的構造を示す。各対の2つの鎖のCDRは、フレームワーク領域によって整列され、特異的エピトープへの結合を可能にする。N末端からC末端へと、軽鎖および重鎖の両方は、以下のドメイン、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、Kabat, Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health, Bethesda, Md., 1987および1991)、またはChothia & Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987); Chothiaら, Nature 342:878-883 (1989)の定義に従う。Kabatはまた、異なる重鎖可変領域の間または異なる軽鎖可変領域の間の対応する残基が同じ番号に割り当てられる、広く使用される番号付けの慣習(Kabat番号付け)を提供する。Kabat番号付けが抗体定常領域に使用され得るが、本出願と同様に、EUインデックスはより一般的に使用される。
用語「エピトープ」とは、二重特異的抗体のアームが結合する抗原上の部位に言及する。エピトープは、連続するアミノ酸から形成され得るか、または1もしくはこれより多くのタンパク質の三次折りたたみによって近くに並ぶ非連続アミノ酸から形成され得る。連続するアミノ酸から形成されるエピトープ(直線状エピトープとしても公知)は、代表的には、変性溶媒への曝露の際に維持されるのに対して、三次折りたたみによって形成されるエピトープ(コンフォメーションエピトープとしても公知)は、代表的には、変性溶媒での処理の際に失われる。いくつかの抗体は、末端特異的エピトープ(end-specific epitope)に結合し、これは、抗体が、別のポリペプチドに融合されて、遊離末端の喪失を生じるその同じポリペプチドと比較して、遊離末端を有するポリペプチドに優先的に結合することを意味する。エピトープは、代表的には、特有の空間的コンフォメーションにおいて、少なくとも3個、およびより通常は、少なくとも5個または8~10個のアミノ酸を含む。エピトープの空間的コンフォメーションを決定する方法としては、例えば、x線結晶学および2次元核磁気共鳴が挙げられる。例えば、Epitope Mapping Protocols, in Methods in Molecular Biology, Vol. 66, Glenn E. Morris, 編. (1996)を参照のこと。
用語「抗原」または「標的抗原」は、二重特異的抗体の1つの結合部位によって結合される標的分子を示す。抗原は、分子の中でもとりわけ、任意の長さのタンパク質(天然の、合成の、または組換え発現される)、核酸または炭水化物であり得る。抗原としては、レセプター、リガンド、カウンターレセプター、およびコートタンパク質が挙げられる。
同じまたは重なり合うエピトープを認識する抗体は、1つの抗体が、標的抗原に対して別の抗体の結合と競合する能力を示す単純なイムノアッセイにおいて同定され得る。抗体のエピトープはまた、接触残基を同定するために、その抗原に結合した抗体のX線結晶学によって規定され得る。あるいは、2つの抗体は、一方の抗体の結合を低減または排除する抗原における全てのアミノ酸変異が、他方の結合を低減または排除する場合に同じエピトープを有する。2つの抗体は、一方の抗体の結合を低減または排除するいくつかのアミノ酸変異が、他方の結合を低減または排除する場合に、重なり合うエピトープを有する。
抗体間の競合は、試験中の抗体が、共通する抗原への参照抗体の特異的結合を阻害するアッセイによって決定される(例えば、Junghansら, Cancer Res. 50:1495, 1990を参照のこと)。試験抗体は、過剰な試験抗体(例えば、少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、または100倍)が、競合結合アッセイにおいて測定される場合、参照抗体の結合を少なくとも50%、しかし好ましくは75%、90%または99%阻害する場合に、参照抗体と競合する。競合アッセイによって同定される抗体(競合抗体)は、参照抗体と同じエピトープに結合する抗体および立体障害が起こるほど参照抗体によって結合されるエピトープに十分近くに隣接するエピトープに結合する抗体が挙げられる。
保存的または非保存的としてアミノ酸置換を分類する目的のために、アミノ酸は、以下のようにグループ分けされる:グループI(疎水性側鎖):met、ala、val、leu、ile;グループII(中性親水性側鎖):cys、ser、thr;グループIII(酸性側鎖):asp、glu;グループIV(塩基性側鎖):asn、gln、his、lys、arg;グループV(鎖の配向に影響を及ぼす残基):gly、pro;およびグループVI(芳香族側鎖):trp、tyr、phe。保存的置換は、同じクラスの中でのアミノ酸間での置換を含む。非保存的置換は、これらのクラスのうちの1個のメンバーを、別のクラスのメンバーと交換することを構成する。
パーセンテージ配列同一性は、可変領域に関するKabat番号付けの慣習または定常領域に関するEU番号付けによって最大に整列された抗体配列で決定される。整列後に、主題の抗体領域(例えば、重鎖または軽鎖の成熟可変領域全体)が、参照抗体の同じ領域と比較される場合、その主題の抗体領域と参照抗体領域との間のパーセンテージ配列同一性は、その主題の抗体領域と参照抗体領域の両方における同じアミノ酸によって占有される位置の数を、ギャップをカウントせずにその2つの領域の整列された位置の全数で除算し、それに100をかけてパーセンテージに変換したものである。
1またはこれより多くの記載される要素を「含む(comprising)」組成物または方法は、具体的に記載されていない他の要素を含み得る。例えば、抗体を含む組成物は、その抗体を単独で、または他の成分と組み合わせて含み得る。
用語「抗体依存性細胞傷害」、またはADCCは、抗体でコーティングした標的細胞(すなわち、抗体が結合した細胞)と溶解活性を有する免疫細胞(エフェクター細胞ともいわれる)との相互作用に依存する細胞死を誘導するための機構である。このようなエフェクター細胞としては、ナチュラルキラー細胞、単球/マクロファージおよび好中球が挙げられる。ADCCは、細胞に結合した抗体のFc領域と免疫エフェクター細胞(例えば、好中球、マクロファージおよびナチュラルキラー細胞)上のFcγレセプター、特に、FcγRIおよびFcγRIIIとの間の相互作用によって誘発される。上記標的細胞は、エフェクター細胞を媒介するタイプに依存して、ファゴサイトーシスまたは溶解によって排除される。抗体でコーティングされた標的細胞の死滅は、エフェクター細胞活性の結果として起こる。
用語「抗体依存性細胞ファゴサイトーシス(antibody-dependent cellular phagocytosis)」またはADCPとは、抗体でコーティングされた細胞が、免疫グロブリンFc領域に結合する貪食性の免疫細胞(例えば、マクロファージ、好中球および樹状細胞)によって、全体的にまたは部分的に、のいずれかで内部移行されるプロセスに言及する。
用語「補体依存性細胞傷害」またはCDCとは、標的に結合した抗体のFcエフェクタードメインが、標的細胞膜において孔を形成することになる一連の酵素反応を活性化する細胞死を誘導するための機構に言及する。代表的には、抗原-抗体複合体(例えば、抗体でコーティングされた標的細胞上のもの)が、補体成分C1qを結合および活性化し、これは次に、補体カスケードを活性化し、標的細胞の死滅をもたらす。補体の活性化はまた、白血球上の補体レセプター(例えば、CR3)を結合することによって、ADCCを促進する、標的細胞表面上の補体成分の沈着を生じ得る。
詳細な説明
I.概略
本発明は、遺伝的に改変された造血幹または前駆細胞(HSPC)および幹細胞置換療法において上記HSPCを使用する方法を提供する。上記HSPCは、改変のない内因性HSPCまたはコントロールHSPCと比較して、導入された細胞に選択的な利点を付与するレセプターを発現するように遺伝的に改変される。このようなレセプターの存在は、内因性HSPCを排除するために使用される免疫療法レジメンに対する抵抗性を提供する。従って、上記免疫療法レジメンは、内因性HSPCと比較して、導入されるHSPCの増殖に都合が良い。上記遺伝的に改変されたHSPCは、遺伝的障害を被りやすい内因性HSPCを置換するために、血液悪性疾患もしくは自己免疫疾患を被りやすい内因性HSPCを置換するために、適用の中でもとりわけ、化学療法レジメンによって損傷した内因性HSPCを置換するために、または臓器移植前に除去された内因性HSPCを置換するために、使用され得る。
II.HSPC
適用に依存して、被験体に導入されるべきHSPCは、自家(すなわち、その被験体に由来する)、同種異系(同じ種の別の個体に由来する)、または異種(異なる種に由来する)であり得る。同種異系である場合、上記HSPCは、MHCアレルに関して完全にマッチし得るか、部分的にマッチし得るか、またはマッチしていない可能性がある。マッチしたHSPCが、親類または全くの他人から得られ得る。
全てのHSPCは、増殖し、骨髄系統またはリンパ系統または両方へと分化する能力があるが、HSPCは、異なる分化ステージの細胞を含む。原始幹細胞は、無限に増殖し得、骨髄系統およびリンパ系統の全ての細胞タイプを形成し得る。原始幹細胞は、多能性前駆細胞(multi-potent progenitor)へと分化し、これは、骨髄系統およびリンパ系統の両方の全ての細胞を生じ得るが、無限には増殖できない。多能性前駆細胞は、共通リンパ系前駆細胞、CLPを含む少能性前駆細胞(oligo-potent progenitor)を生じ、これは、成熟Bリンパ球、Tリンパ球、およびナチュラルキラー(NK)細胞を生じる。多能性前駆細胞はまた、共通骨髄系前駆細胞(CMP)を生じ、これはさらに、単球/マクロファージおよび顆粒球へと分化する顆粒球-マクロファージ前駆細胞へと、ならびに巨核球/血小板および赤血球へと分化する巨核球/赤血球前駆細胞へと分化する(Bryderら, Am. J. Pathol. 169, 338-346 (2006)の図1を参照のこと)。
原始HCおよび多能性前駆細胞は、例えば、Cobblestone-Forming Area Cell Assay(Ploemacherら. Blood. 78:2527-33 (1991))を行うことによって、実験上は互いから区別され得る。前駆細胞は、培養において1~3週間の期間に早期に出現するのに対して、原始造血幹細胞は、培養において4~5週間で出現する。原始幹細胞および多能性前駆細胞の両方が、置換療法に有用である。さらに分化した細胞(例えば、CMPまたはCLP)がまた使用され得るが、それらの制限された増殖能およびそれらが形成し得る細胞の系統が制限されることから、それほど用途が広いわけではない。
HSPCは、骨髄から、末梢血または臍帯血から採取することによって得られ得る。骨髄は一般に、ドナーが局所麻酔または全身麻酔のいずれかの下にある間に、後腸骨稜から吸引される。さらなる骨髄は、前腸骨稜から得られ得る。骨髄は、幹細胞数を増大させるために、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF;フィルグラスチム[Neupogen])で刺激され得る。全骨髄(whole bone marrow)」への言及は、一般に、特異的免疫細胞部分セットに関して選択されていない骨髄に由来する単核細胞の組成物に言及する。「分画された骨髄(fractionated bone marrow)」とは、例えば、T細胞、例えば、CD8+細胞、CD52+細胞、CD3+細胞などが枯渇されていてもよいし;CD34+細胞などが富化されていてもよい。
HSPCはまた、サイトカイン(例えば、G-CSF、GM-CSFまたはPlerixafor(AMD3100またはMozobilとしても公知)によって、骨髄から末梢血へと幹細胞を動員することによって得られ得る。動員に使用されるG-CSFの例示的用量は、10μg/kg/日であるが、例えば、40μg/kg/日までのより高い用量が与えられ得る。Mozobilは、収集用にHSPCを末梢血へと動員するためにG-CSFとともに使用され得る。HSPCは、アフェレーシスデバイスで末梢血から採取され得る。
HSPCはまた、臍帯血(UBC)から、代表的には同種異系移植片のために得られ得る。UCBは、インビボで長期間再生息する幹細胞を生成する能力がある原始幹/前駆細胞において富化される。
これらの手順から単離された血球は、HSPCまたはその部分セット、例えば、特徴的な細胞表面マーカーに関するアフィニティー富化による原始幹細胞および/または共通前駆細胞に関する富化を、受け得る。このようなマーカーとしては、CD34;CD90(thy-1);CD59;CD110(c-mpl);c-Kit(CD-117)が挙げられる。細胞は、磁性ビーズ選択、フローサイトメトリーなどを含むアフィニティー方法によって、ドナー造血細胞サンプルから選択され得る。Ceparte、Isolex 300i、およびCliniMACS Prodigy(登録商標)を含むいくつかの免疫選択デバイスは、CD34+細胞選択のために市販されている。
HSPC組成物は、集団中のCD34である細胞のパーセンテージによって規定される場合、少なくとも約50%純粋であり得、少なくとも約75%純粋、少なくとも約85%純粋、少なくとも約95%純粋、またはそれより高く純粋であり得る(同様に規定される)。
III.除去レジメンに対する抵抗性を付与するレセプター
HSPCは、1またはこれより多くのレセプター(内因性HSPCを含む被験体への置換HSPCの導入後に、置換HSPCの割合が時間を経て増大するように、内因性HSPCよりも、置換HSPCに選択的増殖の利点を付与する)を発現するように遺伝的に改変される。適切なレセプターとしては、don’t eat meレセプターが挙げられる。don’t eat meレセプターは、細胞が代表的に存在する生物の免疫系から、そのレセプターを発現する細胞を保護するレセプターである。本方法において、don’t eat meレセプターは、置換HSPCを、レシピエント被験体における免疫系に対して、特に、その被験体から内因性HSPCを除去するにあたって使用される免疫療法に対して保護する。適切なレセプターの例は、CD47(例えば、Swiss Prot Q08722)、c-Kit(例えば、Swiss Prot P10721)、β2M(例えば、Swiss Prot P61769)/MHC-1(多くの異なるアクセッション番号)、PD-L1(Q9NZQ7)、CD24(Swiss Prot P25063)、GAS6(例えば、Swiss Prot Q14393)およびCD31(例えば、Swiss Prot P16284)である。このようなレセプターへの言及は、ヒト形態(例えば、提供されるアクセッション番号のもの)への言及として理解されるべきである。しかし、これらのレセプターの非ヒト形態はまた、獣医学的適用またはモデル化実験において使用され得る。
貪食細胞上のSIRPαへのHSPC上のCD47の結合は、HSPCをファゴサイトーシスから保護するdon’t eat meシグナル(内因性HSPCの除去レジメンにおいて使用される抗体によって誘導されるものを含む)を生成する。
CD31は、don’t eat meレセプターの別の例である。Brownら, Nature. 2002;418(6894):200-203。
MHCクラスI分子は、2つのポリペプチド鎖、αおよびβ2-ミクログロブリン(b2m)からなるヘテロダイマーである。その2つの鎖は、b2mおよびα3ドメインの相互作用を介して非共有結合的に連結される。MHCクラスIタンパク質は、マクロファージ上でLILRB1といわれるタンパク質に結合することによって、「don’t eat me」シグナルを生成する。MHCクラスIタンパク質またはLILRB1のいずれかが遮断される場合、その「don’t eat me」シグナルは高められ、マクロファージがMHCクラスIを有する細胞を殺滅する能力が回復された。MHCクラスIはまた、ナチュラルキラー細胞(NK)の阻害性リガンドとしても働き得る。表面クラスI MHCの正常レベルにおける低減(いくつかのウイルスおよびある特定の腫瘍によって、CTL応答から逃れるために使用される機構)は、NK細胞殺滅を活性化する。
プログラム死-リガンド1(PD-L1)は、適応免疫系に「don’t find me」シグナルを提供する。
増殖停止特異的6(growth arrest-specific 6)(GAS6としても公知)は、Gas6タンパク質をコードするヒト遺伝子である。GAS6は、ある特定のがん(AMLを含む)で発現される。WUら, Cell Death & Disease volume 8, page e2700 (2017)。
CD24は、種々のがんおよびがん幹細胞によって発現される小さな細胞表面タンパク質であり、細胞接着およびがん転移に関与する。Jaggupilliら, Clinical and Developmental Immunology Volume 2012, Article ID 708036。
上記で記載されるとおりの保護的レセプターは、野生型配列(代表的にはヒト)またはこのような配列の変異体バージョンの形態で存在し得る。野生型でない場合、レセプターは、代表的には、改変体または野生型の全長にわたって、どちらがより短かかろうが、野生型と少なくとも90%、95%または99%の配列同一性を示す。任意の差異が、保存的置換であり得るが、そうである必要はない。保護的レセプターは、野生型であっても変異体配列であっても、代表的には、細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含む。保護的レセプターは、全長であり得る(シグナルペプチドの除外はあり得る)か、または保護的機能が維持されることを条件として、短縮型であり得る(例えば、末端から)。例えば、上記保護の役割が、CD47とSIRPαとの間のようなリガンド結合を要する場合、このような結合は、保持されるべきである。
保護的レセプターの野生型バージョンは、除去レジメンが、保護的レセプターに対する抗体を含まない場合に、特に有用である。例えば、除去レジメンが、c-Kitに対するが、CD47に対するものではない抗体を使用する場合、野生型CD47は、置換HSPC上の保護的レセプターとして使用され得る。
保護的レセプターの変異体バージョンは、内因性HPSCに対するかまたは上記レセプターを有するがん細胞に対するかのいずれかの除去レジメンの一部として、抗体が指向されるレセプターにとって特に有用である。上記保護的レセプターへの変異の導入は、内因性HSPCの除去またはがん処置のために使用されるレセプターに対する抗体または他の免疫治療剤への上記レセプターの結合を低減または排除する。同様に、上記変異は、上記抗体または他の免疫治療剤が、上記レセプターをアンタゴナイズする能力を低減する。言い換えると、上記抗体または他の免疫治療剤は、野生型レセプターに結合しかつ変異体レセプターより強くアンタゴナイズする(あるとすれば)。上記変異は、このような抗体によって結合されるエピトープを形成する保護的レセプターの1またはこれより多くのアミノ酸位置に存在し得る。例えば、除去レジメンに、エピトープXに結合するc-Kitに対する抗体が関わる場合、HSPCは、上記抗体が変異したc-Kitに結合しないかまたは低減した程度でのみ結合するように、エピトープXにおいて変異を有するc-Kitを発現するように遺伝的に操作され得る。あるいは、上記変異は、アロステリックに結合する抗体を低減または排除し得る。このような変異は、好ましくは、そのリガンド、幹細胞因子へのc-Kitの結合を顕著に低減しない。同様に、除去レジメンに、内因性HSPCの除去を促進するためにエピトープYに結合するCD47に対する抗体が関わる場合、HSPCは、上記抗体が、CD47に結合しないかまたは低減した程度でのみ結合するように、エピトープYの中で変異したCD47を発現するように遺伝的に改変され得る。あるいは、上記変異は、アロステリックに結合する抗CD47抗体を低減または排除し得る。このような変異は、好ましくは、SIRPαに対するCD47の結合を顕著に低減しない。他の保護的レセプターの同様に変異した形態は、同様に、除去、またはこのようなレセプターのうちの1もしくはこれより多くに対する抗体が関わる抗がん治療との組み合わせにおいて使用され得る。
IV.除去レジメン
除去レジメンは、内因性HSPCを低減または排除するように働く。内因性HSPCは、置換HSPCを導入する前に、例えば、少なくとも10%、25%、50%または90%程度低減され得る。いくつかのレジメンは、置換HSPCを導入する前に、例えば、50%、25%または10%を超えて内因性HSPCを低減させない。
このような除去レジメンは、c-Kit(CD117)に特異的に結合する抗体の投与を含む(一般には、WO 2008067115を参照のこと)。C-Kitは、骨髄においてHSPCのある特定のタイプを同定するために使用される細胞表面マーカーである。造血幹細胞(HSC)、多能性前駆細胞(MPP)、および共通骨髄系前駆細胞(CMP)は、高レベルのc-Kitを発現する。このような抗体は、c-Kitとそのリガンドの間の相互作用を阻害することによって、およびエフェクター媒介性機構(例えば、ADCC、ADCPおよびCDC)によって、内因性HSPCを低減し得る。c-Kitは、レセプターチロシンキナーゼタイプIIIであり、これは、幹細胞因子(ある特定のタイプの細胞を増殖させる物質)(「steel factor」または「c-Kitリガンド」としても公知)に結合する。このレセプターが幹細胞因子に結合する場合、それは、その固有のキナーゼ活性を活性化させるダイマーを形成し、これは、次に、細胞においてそのシグナルを伝播するシグナル伝達分子をリン酸化し、活性化する。ヒトc-Kitに特異的に結合する多くの抗体は、市販されている(SR1、2B8、ACK2、YB5-B8、57A5、104D2(US20180214525)が挙げられる)。AMG191は、SR1のヒト化形態である(米国特許第8,436,150号および同第7,915,391号)。SR1のさらなるヒト化形態は、2019年11月25日出願のPCT/US19/63091(全ての目的のためにその全体において参考として援用される)に記載される。本発明のいくつかの抗体は、配列番号13、17または21と指定される鎖(それぞれ、2019年11月25日出願のPCT/US19/63091のAH2、AH3、およびAH4と指定される)のうちのいずれかの配列を有する成熟重鎖可変領域、およびPCT/US19/63091の配列番号53、NL2(本明細書中、配列番号13~16)の配列を有する成熟軽鎖可変領域を有する。これらの抗体(キメラ形態、ベニア形態またはヒト化形態を含む)またはc-Kitへの結合に関して同じエピトープを結合するかまたはこれと競合する抗体のうちのいずれかは、開示される方法において使用され得る。c-Kitに対する他の抗体は、以下にさらに記載されるとおりの標準的な免疫学的技術によって新規に生成され得る。
上記除去レジメンはまた、c-Kitに対する抗体との組み合わせにおける使用のための、CD47-SIRPα相互作用を阻害する免疫治療剤を含み得る(一般には、WO2016033201を参照のこと)。このような薬剤は、抗c-Kitによって媒介される内因性HSPCのエフェクター媒介性排除を促進する。このような薬剤としては、CD47またはSIRPαに特異的に結合する抗体が挙げられる。このような薬剤はまた、Fcに融合したCD47 ECD(これは、SIRPαに対する抗体と同様に機能する)、またはFcに融合したSIRPα(これは、CD47に対する抗体と同様に機能する)を含む(Zhangら, Antibody Therapeutics, Volume 1, Issue 2, 21 September 2018, Pages 27-32を参照のこと)。好ましい抗体は、いずれかのレセプターを介する活性化シグナルを与えることなく、CD47-SIRPα相互作用をアンタゴナイズする。
適切な抗CD47抗体の例としては、クローンB6H12、5F9、8B6、C3(例えば、WO 2011/143624に記載されるとおり)、CC9002(Vonderheide, Nat Med 2015; 21: 1122-3., 2015)、およびSRF23(Surface Oncology)が挙げられる。適切な抗CD47抗体としては、このような抗体、CD47への結合に関して同じエピトープに結合するか、またはそれと競合する抗体のヒト、ヒト化、またはキメラバージョンが挙げられる。ヒト化抗体(例えば、hu5F9-IgG4-WO2011/143624)は、それらの低い抗原性に起因して、ヒトにおいてインビボ適用に特に有用である。同様にイヌ化、ネコ化抗体などは、それぞれ、イヌ、ネコ、および他の種における適用に特に有用である。WO2011/143624(本明細書で、配列番号1~6)の、配列番号20、21および22にそれぞれ示されるVH相補性領域、CDR1、CDR2およびCDR3を含む可変性重鎖(VH)領域;ならびに配列番号23、24および25にそれぞれ示されるVL相補性領域、CDR1、CDR2およびCDR3を含む可変性軽鎖(VL)領域を含むいくつかのヒト化抗体は、ヒトCD47に特異的に結合する。いくつかのヒト化抗体は、WO2011/143624(本明細書で配列番号7~12)に示される、配列番号36、配列番号37および配列番号38から選択される重鎖可変領域ならびに配列番号41、配列番号42および配列番号43から選択される軽鎖可変領域を含む。例示的な抗体は、マグロリマブ(magrolimab)である。
適切な抗SIRPα抗体は、SIRPαに、好ましくはファゴサイトーシスを阻害するために十分なシグナル伝達応答を活性化/刺激することなく特異的に結合し、SIRPαとCD47との間の相互作用を阻害する。適切な抗SIRPα抗体は、このような抗体の完全ヒト、ヒト化またはキメラバージョンを含む。例示的な抗体は、KWAR23(Ringら, Proc Natl Acad Sci USA 2017 Dec 5; 114(49):E10578-E10585、WO2015/138600)、MY-1(Yanagitaら, JCI Insight. 2017 Jan 12; 2(1): e89140)、およびEffi-DEM(Zhangら, Antibody Therapeutics, Volume 1, Issue 2, 21 September 2018, pages 27-32)である。ヒト化抗体は、それらの低い抗原性に起因して、ヒトにおけるインビボ適用に特に有用である。同様にイヌ化、ネコ化抗体などは、それぞれ、イヌ、ネコ、および他の種における適用に特に有用である。
免疫治療剤はまた、SIRPαに特異的に結合する可溶性CD47ポリペプチドを含み、HSPC上のCD47と貪食細胞上のSIRPαとの間の相互作用を低減する(例えば、WO2016179399を参照のこと)。このようなポリペプチドは、ECD全体または上記の機能性を有するその一部を含み得る。適切な可溶性CD47ポリペプチドは、SIRPαに、SIRPαを介するシグナル伝達を活性化も刺激もすることなく特異的に結合する。なぜならSIRPαの活性化は、ファゴサイトーシスを阻害するからである。代わりに、適切な可溶性CD47ポリペプチドは、内因性HCSPのファゴサイトーシスを促進する。可溶性CD47ポリペプチドは、Fcに融合され得る(例えば、US20100239579に記載されるとおり)。
免疫療法試薬としてはまた、CD47に特異的に結合しかつそのSIRPαとの相互作用を阻害する可溶性SIRPαポリペプチドが挙げられる。例示的な薬剤としては、ALX148(Kauderら, Blood 2017 130:112)ならびにTTI-622およびTTI-661(Trillium)が挙げられる。このような薬剤は、SIRPα ECD全体または上記の機能性を有するそれらの任意の部分を含み得る。上記SIRPα試薬は通常、SIRPαの少なくともd1ドメインを含む。上記可溶性SIRPαポリペプチドは、Fc領域に融合され得る。「高親和性SIRPα試薬(high affinity SIRPα reagent)」といわれる例示的なSIRPαポリペプチドは、SIRPα由来ポリペプチドおよびそのアナログを含む(例えば、CV1-hlgG4、およびCV1モノマーは、WO2013/109752に記載される)。高親和性SIRPα試薬は、天然のSIRPαタンパク質の改変体である。増大した親和性を提供するアミノ酸変化は、d1ドメインに位置し、従って、高親和性SIRPα試薬は、d1ドメイン内の野生型配列と比較して、少なくとも1個のアミノ酸変化を有するヒトSIRPαのd1ドメインを含む。このような高親和性SIRPα試薬は、必要に応じて、さらなるアミノ酸配列、例えば、抗体Fc配列;d1ドメイン以外の野生型ヒトSIRPαタンパク質の一部(天然タンパク質の残基150~374またはそのフラグメント、通常は、d1ドメインと連続するフラグメント;などが挙げられるが、これらに限定されない)を含む。高親和性SIRPα試薬は、モノマーまたはマルチマー、すなわち、ダイマー、トリマー、テトラマー、などであり得る。いくつかの実施形態において、高親和性SIRPα試薬は可溶性であり、ここで上記ポリペプチドは、SIRPα膜貫通ドメインを欠いており、野生型SIRPα配列と比較して、少なくとも1個のアミノ酸変化を含み、そしてここで上記アミノ酸変化は、例えば、多くとも10/1、多くとも20/1、多くとも50/1、多くとも100/1、多くとも500/1またはこれより低くオフレートを減少させることによって、CD47に結合するSIRPαポリペプチドの親和性を増大させる。CD47またはSIRPαに指向され、Fc領域を有する免疫治療剤は、ヒトアイソタイプのうちのいずれか、例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4を有し得る。ヒトIgG4もしくはIgG2アイソタイプまたはエフェクター機能を低減するように変異したIgG1が使用され得る。なぜならエフェクター機能は、CD47-SIRPα相互作用を阻害するために必要とされないからである。
免疫治療剤(抗体およびFc融合タンパク質を含む)は、内因性HSPCを低減または排除するという所望の目的を達成するために有効なレジメンにおいて投与される。有効なレジメンとは、用量、投与頻度および投与経路の組み合わせに言及する。このような薬剤の有効な用量は、上記薬剤に伴って変動し得る。抗c-Kit抗体に関する例示的な用量は、少なくとも0.05mg/kgおよび10mg/kgまで、例えば、約0.05~10mg/kg、または0.1~5mg/kgである。CD47-SIRPαを阻害する免疫療法薬剤に関する例示的な用量は、5mg/kg、10mg/kg、20mg/kg、30mg/kg、40mg/kgまたは50mg/kgのうちのいずれかまでで、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kgのうちの少なくともいずれかである。いくつかの例示的な範囲は、0.05mg/kg~50mg/kg、0.1mg/kg~20mg/kgまたは1mg/kg~10mg/kgである。必要に応じて、このような免疫治療剤は、最初に、1またはこれより多くの刺激用量において、続いて、1またはこれより多くの治療用量において投与されて、例えば、WO2017181033によって記載されるように、赤血球の不要な架橋を低減し得る。
免疫療法薬剤は、内因性HSPCを所望のレベルへと低減するか、または内因性HSPCを排除するために、置換HSPCを導入する前に、1回またはより多くの複数回、投与され得る。上記レジメンは、置換HSPCを導入する例えば、1ヶ月、2週間、1週間またはより短い期間前に始まり得る。上記免疫療法薬剤はまた、HSPCを、残りの内因性HSPCに対して選択するために、置換HSPCを導入した後に、1回または複数回投与され得る。あるいは、上記除去レジメンは、置換HSPCの導入と同時または導入後に、始まり得る。
複数の免疫治療剤が使用される場合、上記薬剤または薬剤の組み合わせは、置換HSPCを導入する前および導入した後で、同じであってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、抗c-Kitは、置換HSPCの導入前に単独で、および抗c-Kitおよび抗CD47の両方が後に投与され得る。置換HSPCの導入後に、内因性HSPCに対する除去レジメンが、内因性HSPCが所望のレベルへと低減されるまで継続され得る。遺伝的に改変されたHSPCを、遺伝的に改変されたHSPCに関する選択が進行中の、いくらかの内因性HSPCを保持する被験体に導入することは、結果的に、どんなときにも感染のリスクがあるHSPCの被験体を完全には欠乏させないということにおいて有利である。
免疫治療剤は、代表的には、上記薬剤が1またはこれより多くの薬学的に受容可能なキャリアと組み合わされる薬学的組成物として投与される。種々の水性キャリアが使用され得る(例えば、緩衝化食塩水など)。これらの溶液は無菌であり、概して不要な物質を含まない。これらの組成物は、従来の技術によって滅菌され得る。上記組成物は、生理学的条件に近づけるために必要とされるとおりの薬学的に受容可能な補助物質(例えば、pH調節剤および緩衝化剤)、張度調節剤など(例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなど)を含み得る。これらの製剤中の活性薬剤の濃度は、広く変動し得、選択される特定の投与様式および患者のニーズに従って、流体の容積、粘性、体重などに主に基づいて選択される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Science(第15版, 1980)およびGoodman & Gillman, The Pharmacological Basis of Therapeutics(Hardmanら,編, 1996))。
V.抗体の一般的特徴
抗原に対する他の非ヒトモノクローナル抗体(例えば、マウス、モルモット、霊長類、ウサギ、またはラット)の生成は、例えば、上記動物を上記抗原もしくはそのフラグメント、または上記抗原を有する細胞で免疫することによって達成され得る。Harlow & Lane, Antibodies, A Laboratory Manual (CSHP NY, 1988)(全ての目的のために参考として援用される)を参照のこと。このような抗原は、天然の供給源から、ペプチド合成によって、または組換え発現によって得られ得る。必要に応じて、上記抗原は、キャリアタンパク質と融合されて、または別の方法で複合体化されて投与され得る。必要に応じて、上記抗原は、アジュバントとともに投与され得る。いくつかのタイプのアジュバントが、以下で記載されるように使用され得る。完全フロイントアジュバント、続いて、不完全アジュバントが、実験動物を免疫するために好ましい。
ヒト化抗体は、非ヒト「ドナー」抗体に由来するCDRが、ヒト「アクセプター」抗体配列にグラフト化される遺伝的に操作された抗体である(例えば、Queen, 米国特許第5,530,101号および同第5,585,089号; Winter, 米国特許第5,225,539号、Carter, 米国特許第6,407,213号、Adair, 米国特許第5,859,205号、同第6,881,557号、Foote, 米国特許第6,881,557号を参照のこと)。上記アクセプター抗体配列は、例えば、成熟ヒト抗体配列、このような配列の複合物、ヒト抗体配列のコンセンサス配列、または生殖細胞系列領域配列であり得る。従って、ヒト化抗体は、ドナー抗体に完全にまたは実質的に由来するいくつかまたは全てのCDRならびにヒト抗体配列に完全にまたは実質的に由来する可変領域フレームワーク配列および定常領域(存在する場合)を有する抗体である。同様に、ヒト化重鎖は、ドナー抗体重鎖に完全にまたは実質的に由来する少なくとも1個、2個および通常は3個全てのCDR、ならびにヒト重鎖可変領域フレームワークおよび定常領域配列に実質的に由来する重鎖可変領域フレームワーク配列および重鎖定常領域(存在する場合)を有する。同様に、ヒト化軽鎖は、ドナー抗体軽鎖に完全にまたは実質的に由来する少なくとも1個、2個および通常は3個全てのCDR、ならびにヒト軽鎖可変領域フレームワークおよび定常領域配列に実質的に由来する軽鎖可変領域フレームワーク配列および軽鎖定常領域(存在する場合)を有する。ナノボディーおよびdAb以外は、ヒト化抗体は、ヒト化重鎖およびヒト化軽鎖を含む。ヒト化抗体におけるCDRは、相当する残基(Kabatによって定義されるとおり)のうちの少なくとも85%、90%、95%または100%が、それぞれのCDR間で同一である場合に、非ヒト抗体における相当するCDRに実質的に由来する。抗体鎖の可変領域フレームワーク配列または抗体鎖の定常領域は、Kabatによって定義される相当する残基のうちの少なくとも85%、90%、95%または100%が同一である場合、それぞれ、ヒト可変領域フレームワーク配列またはヒト定常領域に実質的に由来する。
ヒト化抗体はしばしば、マウス抗体に由来する全6個のCDR(好ましくはKabatによって定義されるとおり)を組み込むが、それらはまた、全てより少ないCDR(例えば、マウス抗体に由来する少なくとも3個、4個、または5個のCDR)で作製され得る(例えば、Pascalisら, J. Immunol. 169:3076, 2002; Vajdosら, Journal of Molecular Biology, 320: 415-428, 2002; Iwahashiら, Mol. Immunol. 36:1079-1091, 1999; Tamuraら, Journal of Immunology, 164:1432-1441, 2000)。
キメラ抗体は、非ヒト抗体(例えば、マウスの)軽鎖および重鎖の成熟可変領域が、ヒト軽鎖および重鎖定常領域と組み合われる抗体である。このような抗体は、マウス抗体の結合特異性を実質的にまたは完全に保持し、約2/3のヒト配列が存在する。
ベニア化抗体は、CDRのうちのいくつかおよび通常は全て、ならびに非ヒト抗体の非ヒト可変領域フレームワーク残基のうちのいくつかを保持するが、B細胞エピトープまたはT細胞エピトープに寄与し得る他の可変領域フレームワーク残基(例えば、露出した残基)(Padlan, Mol. Immunol. 28:489, 1991)をヒト抗体配列の相当する位置に由来する残基で置き換えるヒト化抗体のタイプである。その結果は、CDRが、非ヒト抗体に完全にまたは実質的に由来し、非ヒト抗体の可変領域フレームワークが、置換によってよりヒト様にされる抗体である。
ヒト抗体は、ヒトから単離され得るか、またはさもなければ、ヒト免疫グロブリン遺伝子の発現から生じ得る(例えば、トランスジェニックマウスにおいて、インビトロでまたはファージティスプレイによって)。ヒト抗体を生成するための方法としては、以下が挙げられる: Oestbergら, Hybridoma 2:361-367 (1983); Oestberg, 米国特許第4,634,664号;およびEnglemanら, 米国特許第4,634,666号のトリオーマ法、ヒト免疫グロブリン遺伝子を含むトランスジェニックマウスの使用(例えば、Lonbergら, WO93/12227(1993); 米国特許第5,877,397号、同第5,874,299号、同第5,814,318号、同第5,789,650号、同第5,770,429号、同第5,661,016号、同第5,633,425号、同第5,625,126号、同第5,569,825号、同第5,545,806号、Nature 148, 1547-1553 (1994)、Nature Biotechnology 14, 826 (1996)、Kucherlapati, WO 91/10741(1991)を参照のこと)およびファージディスプレイ法(例えば、Dowerら, WO 91/17271およびMcCaffertyら, WO 92/01047、米国特許第5,877,218号、同第5,871,907号、同第5,858,657号、同第5,837,242号、同第5,733,743号、および同第5,565,332を参照のこと)。
抗体は、それらの意図された標的への特異的結合に関してスクリーニングされる。抗体は、標的の特異的領域への結合(例えば、所望のエピトープを含む)、参照抗体との競合、抗原を有する細胞のアゴニズムまたはアンタゴニズムに関してさらにスクリーニングされ得る。非ヒト抗体は、上記で記載されるとおりのキメラ形態、ベニア化形態またはヒト化形態に変換され得る。
定常領域の選択は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害、抗体依存性細胞ファゴサイトーシスおよび/または補体依存性細胞傷害が望ましいか否かに一部依存する。例えば、ヒトアイソタイプIgG1およびIgG3は、補体依存性細胞傷害を有し、ヒトアイソタイプIgG2およびIgG4は有しない。軽鎖定常領域は、λまたはκであり得る。ヒトIgG1およびIgG3はまた、ヒトIgG2およびIgG4より強い細胞媒介性エフェクター機能を誘導する。
ヒト定常領域は、異なる個体間でのアロタイプバリエーションおよびアイソアロタイプ(isoallotypic)バリエーションを示す。すなわち、定常領域は、1またはこれより多くの多型位置において個体が異なれば異なり得る。アイソアロタイプは、アイソアロタイプを認識する血清が、1またはこれより多くの他のアイソタイプの非多型領域に結合するという点で、アロタイプとは異なる。ヒト定常領域への言及は、任意の天然のアロタイプまたは天然のアロタイプにおいて多型位置を占有する残基の任意の並べ替えを有する定常領域を含む。
軽鎖および/または重鎖のアミノ末端またはカルボキシ末端における1またはいくつかのアミノ酸(例えば、重鎖のC末端リジン)は、分子のある割合または全てにおいて失われてもよいし、誘導体化されてもよい。置換は、エフェクター機能(例えば、補体媒介性細胞傷害またはADCC(例えば、Winterら, 米国特許第5,624,821号; Tsoら, 米国特許第5,834,597号;およびLazarら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103:4005, 2006を参照のこと)を低減もしくは増大させるために、またはヒトにおいて半減期を長くするために(例えば、Hintonら, J. Biol. Chem. 279:6213, 2004を参照のこと)、定常領域において作製され得る。例示的な置換としては、位置250におけるGlnおよび/または位置428におけるLeu、位置434におけるSもしくはN、位置252におけるY、位置254におけるT、および位置256におけるEが挙げられる。N434A(EU番号付け)。増大したFcRn結合は、本発明のハイブリッドタンパク質を、FcRnへの結合に関して内因性IgGとより強く競合させるのに有利である。また、多くの変異は、ADCC、ADPまたはCMCのうちのいずれかを低減することに関して公知である(例えば、Winterら, 米国特許第5,624,821号; Tsoら, 米国特許第5,834,597号;およびLazarら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103:4005, 2006を参照のこと)。例えば、位置234、235、236および/または237のうちのいずれかの置換は、Fcγレセプター、特に、FcγRIレセプターに対する親和性を低減する(例えば、米国特許第6,624,821号を参照のこと)。必要に応じて、ヒトIgG2における位置234、236および/または237は、アラニンで置換され、位置235は、グルタミンまたはグルタミン酸で置換される(例えば、米国特許第5,624,821号を参照のこと)。エフェクター機能を低減する他の置換としては、位置268におけるA、位置297におけるGまたはA、位置309におけるL、位置322におけるA、位置327におけるG、位置330におけるS、位置331におけるS、位置238におけるS、位置268におけるA、位置309におけるLが挙げられる。エフェクター機能を増強する変異のいくつかの例としては、S239D、I332E、A330Lおよびこれらの組み合わせが挙げられる。
除去のための目的の抗体は、ADCCを誘導するそれらの能力に関して試験され得る。抗体関連ADCC活性は、溶解した細胞からの標識もしくは乳酸デヒドロゲナーゼのいずれかの放出の検出、または低減した標的細胞生存度の検出(例えば、アネキシンアッセイ)を通じて、モニタリングまたは定量され得る。アポトーシスのアッセイは、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ媒介性ジゴキシゲニン-1 1-dUTPニック末端標識(TUNEL)アッセイ(Lazebnikら, Nature: 371 , 346 (1994))によって行われ得る。細胞傷害はまた、検出キット(例えば、Roche Applied Science(Indianapolis, Ind.)のCytotoxicity Detection Kit)によって直接検出され得る。抗体は、同様に、WO/2009/091601によって記載されるように、例えば、AML LSCに対して抗体依存性ファゴサイトーシス(ADP)を誘導するそれらの能力に関して試験され得る。
いくつかの実施形態において、免疫治療剤は、エフェクター部分に結合体化される。上記エフェクター部分は、放射性標識または蛍光標識のような標識部分を含む、任意の数の分子であり得るか、または細胞傷害性部分であり得る。細胞傷害性薬剤としては、細胞傷害性薬物または毒素もしくはこのような毒素の活性フラグメントが挙げられる。適切な毒素およびそれらの相当するフラグメントとしては、ジフテリアA鎖、外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)、サポリン、オーリスタチン-Eなどが挙げられる。細胞傷害性薬剤としてはまた、放射性同位体を抗体に結合体化させることによって作製される放射性化学物質が挙げられる。細胞傷害性部分を膜貫通タンパク質に標的化すると、標的化された領域におけるその細胞傷害性部分の局所濃度が増大するように働く。
VI.血球の遺伝的障害
本方法は、血球の遺伝的障害、特に、単一のタンパク質の変異から生じる単一遺伝子の障害を補正するために使用され得る。このような障害は、優性または非優性であり得、部分的または完全な浸透度を生じ得る。概して、このような障害は、内因性HPLCを除去し、その障害の根底にあるタンパク質の機能する(例えば、野生型)形態を含む置換HPLCを投与することによって処置され得る。このような細胞は、野生型タンパク質、および/または代わりに、遺伝的改変がどのように行われるかに依存して、そのタンパク質の変異体形態を発現し得る。
血球の遺伝的障害としては、以下が挙げられる:ヘモグロビン異常症(例えば、サラセミアおよび鎌状赤血球症)、X連鎖重症複合免疫不全症(X-SCID)、アデノシンデアミナーゼ欠損症(ADA-SCID)、SCIDの他の遺伝子形態(artemis、Rag1/2)、ウィスコット・アルドリッチ症候群(WAS)、慢性肉芽腫症、血球貪食性リンパ組織球増多症、X連鎖高IgM症候群、X連鎖リンパ増殖症(X-linked lymphoproliferative disease)、X連鎖無ガンマグロブリン血症、X連鎖副腎脳白質ジストロフィー、異染性白質ジストロフィー、血友病、フォン・ビルブランド病、鎌状赤血球性貧血(drepanocytic anemia)、遺伝性再生不良性貧血、赤芽球癆、発作性夜間ヘモグロビン尿症、ファンコーニ貧血、血球貪食性リンパ組織球増多症(HLH)、先天代謝異常(例えば、ムコ多糖症、ゴーシェ病および他のリピドーシス)、表皮水疱症、重症先天性好中球減少症、シュワッハマン・ダイアモンド症候群、ダイアモンド・ブラックファン貧血、コストマン症候群、および白血球接着不全症。
鎌状赤血球貧血において、バリンは、ヘモグロビンβ鎖の6番目のアミノ酸においてグルタミンの代わりに使用されている。ヘモグロビンのバリン変異体形態は、グルタミン形態より遙かに可溶性が低い;それは、低P02の部位においてRBCを鎌状にするロッド様ファクトイド(factoid)の半固体ゲルを形成する。ゆがんだ、可撓性のないRBCは、血管内皮に接着し、小さな細動脈および毛細管を詰まらせ、これは、閉塞および梗塞をもたらす。鎌状RBCは、脆すぎて循環の機械的外傷に耐えられないことから、それらが循環に入った後に溶血が起こる。ホモ接合体では、臨床的症状発現は、組織虚血および梗塞を生じる貧血および血管閉塞事象によって引き起こされる。成長および発生は障害され、感染症への罹りやすさが増大する。貧血は通常、重症であるが、患者間で非常に変動する。鎌状赤血球貧血(sick cell anemia)は、遺伝的欠損を補正し、さらなる機能的ヘモグロビン転写ユニットを発現するか、またはBCL11A赤血球系増強を破壊することによって救済され得、これは、胎児グロビン発現を抑制し、鎌状赤血球貧血(またはベータサラセミア)の処置のために胎児ヘモグロビンの増大したレベルを生じる。
サラセミアは、欠陥のあるヘモグロビン合成および無効な赤血球生成によって特徴づけられ、特に、地中海、アフリカ、および東南アジアに祖先を持つ個体に共通する、慢性、遺伝性、小球性の貧血の群である。サラセミアは、最も一般的な遺伝性の溶血性障害の中にある。それは、少なくとも1つのグロビンポリペプチド鎖(β、α、γ、δ)の減少した生成によって引き起こされるアンバランスなHb合成から生じる。これは、遺伝子の調節領域における変異を通じて、または低減した発現を生じるグロビンコード配列における変異から起こり得る。
複合免疫不全症は、先天的なおよび通常は遺伝性のB細胞系およびT細胞系両方の欠陥、リンパ系形成不全、および胸腺異形成によって特徴づけられる障害の群である。複合免疫不全症としては、重症複合免疫不全症、スイス型無ガンマグロブリン血症、アデノシンデアミナーゼ欠損症またはヌクレオシドホスホリラーゼ欠損症を伴う複合免疫不全症、および免疫グロブリンを伴う複合免疫不全症(ネゼロフ症候群)が挙げられる。大部分の患者は、鵞口瘡、肺炎、および下痢を伴う感染の早期発生を有する。処置されないままであれば、大部分は、2歳前に死亡する。大部分の患者は、B細胞および免疫グロブリンの顕著な欠損を有する。以下は、特徴である:リンパ球減少、T細胞レベルが低いまたは存在しない、マイトジェンに対する増殖応答が不十分、皮膚アネルギー、胸腺の映像がない、およびリンパ系組織の減少。ニューモシスチス肺炎および他の日和見感染が一般的である。
本方法はまた、ウイルスを感染させることによって使用される免疫細胞レセプター(例えば、HIVの場合にはCCR5)を改変することによって、感染症の処置のために使用され得る。
これら本方法はまた、病理が少なくとも部分的に血球にある血液の悪性疾患および自己免疫疾患を処置するために使用され得る。血液の悪性疾患としては、白血病、リンパ腫および骨髄腫が挙げられる。このような悪性疾患のより具体的な例としては、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄性白血病;慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性障害、および多発性骨髄腫が挙げられる。自己免疫障害としては、B細胞およびT細胞媒介性障害が挙げられる。一般的な例は、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、多発性硬化症、1型糖尿病、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー、乾癬、グレーブス病、橋本甲状腺炎、重症筋無力症、血管炎および全身性硬化症である。
本方法はまた、他のタイプのがん(例えば、固形腫瘍)を有し、内因性HSPCに損傷を引き起こす化学療法を受けたことがある患者において、内因性HSPCを置換するために使用され得る。固形腫瘍としては、とりわけ、乳房、前立腺、脳、肺、腎臓、肝臓、胃、腸、結腸、甲状腺、胸腺、卵巣、メラノーマ、および膵臓のものが挙げられる。置換幹細胞は、内因性HSPCの機能を(例えば、感染と戦うことにおいて)供給し、同種異系である場合には、残りのがん細胞に対してさらなる活性を有し得る。
本方法はまた、臓器移植、特に、同種移植においてHSPCを置換するために使用され得る。内因性HSPCは、MHCがマッチしていない同種移植片に対する宿主対移植片応答を発生させる可能性が高い。宿主対移植片応答は、臓器移植の前に内因性HSPCを除去し、移植された臓器と同時に増殖の利点を付与するように遺伝的に改変された置換HSPCを、好ましくは同じ供給源(すなわち、被験体)から導入することによって低減され得る。
自家供給源と同種異系供給源との間の置換HSPCの選択は、いくつかの要因に依存する。自家移植は容易に利用可能であり、HLAがマッチしたドナーを同定する必要はない。自家移植片は、生命を脅かす合併症のリスクが低い;GVHDのリスクはなく、GVHDおよび移植片拒絶を防止する免疫抑制治療の必要性もない。免疫再構成は、同種異系移植の後より迅速であり、日和見感染のリスクはより低い。移植の失敗は希にしか起こらない。しかし、がん患者に由来する自家移植片は、がん細胞で汚染されるというリスクがある。
同種異系移植は、その移植片に、夾雑する腫瘍細胞がないという利点を有する。その移植片はまた、免疫移植片対悪性疾患効果(immune graft-versus-malignancy effect)を生じ得るドナー由来の免疫適格細胞を含む。自家移植と比較して、同種異系移植片の後に疾患再発のリスクは概して低い。しかし、同種異系移植片は、多くの潜在的に致命的な合併症、例えば、レジメン関連臓器毒性(regimen-related organ toxicity)、移植の失敗、および移植片対宿主病と関連し得る。
一般に、同種異系移植片は、白血病および骨髄異形成症候群の処置において主に使用されてきた。自家移植片は、固形腫瘍、リンパ腫、および骨髄腫においてより頻繁に使用されてきた。遺伝的障害の補正のために、自家移植片は、その障害に関する遺伝的基礎を補正するように遺伝的改変とともに、または補正の必要なしに同種異系移植片とともに使用され得る。
VII.HSPCの遺伝子操作
HSPCは、HSPCに、被験体において内因性HSPCに対して選択的利点を提供する1またはこれより多くのタンパク質を発現することを可能にするように遺伝的に改変される。HSPCはまた、内因性HPLCにおいて欠損しているタンパク質の機能的形態を発現して、欠陥の根底にある遺伝的障害を処置するように遺伝的に改変され得る。遺伝的改変は、レセプターまたは発現されるべき他のタンパク質をコードする外因性核酸の導入を含む。次いで、このような外因性核酸は、エピソームとして存在し得るか、または好ましくは遺伝的に改変されたHSPCのゲノムに組み込まれ得る。このような組み込みは、ランダムであり得るか、または通常は、相当する内因性配列に標的化され得る。その外因性核酸は、調節配列(例えば、発現されるべき配列に隣接するプロモーター)を含み得るか、または発現されるべき配列は、内因性調節配列と作動可能に連結した状態で染色体の位置において組み込むように設計され得る。いずれかの形式において、HSPCのゲノムは、選択的利点を、または内因性HSPCにおいて欠損したタンパク質の機能的形態を付与するレセプターを発現し得る転写ユニットを含むように改変される。
遺伝的改変はまた、レセプターまたはタンパク質をコードする内因性遺伝子を改変する、例えば、遺伝子欠損の根底にある変異を除去するか、または内因性遺伝子を不活性化するために、遺伝子標的化構築物の導入を含み得る。このような改変は、標的化構築物と内因性アレルとの間での組換えによって概してもたらされる。その標的化構築物は、代表的には、相同組換えを媒介するために、相同性アームが隣接した内因性核酸(例えば、変異体コドンの代わりに野生型コドンを有する)のセグメントを置き換える核酸を含む。改変による標的化の頻度は、CRISPR、またはヌクレアーゼドメインに融合されるジンクフィンガータンパク質、talenなどによってもたらされる組換えに近い標的化された切断によって増大され得る(Shimら, Acta Pharmacologica Sinica volume 38, pages 738-753 (2017));米国特許第8,586,526号;同第6,534,261号;同第6,599,692号;同第6,503,717号;同第6,689,558号;同第7,067,317号;同第7,262,054号;同第7,888,121号;同第7,972,854号;同第7,914,796号;同第7,951,925号;同第8,110,379号;同第8,409,861号;米国特許公開20030232410;同第20050208489;同第20050026157;同第20050064474;同第20060063231;同第20080159996;同第201000218264;同第20120017290;同第20110265198;同第20130137104;同第20130122591;同第20130177983および同第20130177960)。
遺伝的改変はまた、内因性レセプターまたはタンパク質の発現を活性化または抑制することを含み得る。発現は、DNA結合ドメインならびに転写アクチベーターまたはリプレッサーの融合タンパク質を発現する構築物を導入することによって、活性化または抑制され得る(例えば、米国特許第6,933,133号を参照のこと)。上記DNA結合ドメインは、切断なしに、標的部位に結合するように変異したジンクフィンガータンパク質、talenまたはCas9であり得る。
遺伝的改変は、細胞に1または複数の改変エレメント(例えば、改変をもたらす標的化ベクターおよび相同組換えを促進するヌクレアーゼ、またはランダム挿入をもたらす転写ユニットをコードするウイルスベクター)の導入を含む。複数のエレメントが導入される場合、それらは、同じ構築物または異なる構築物の内部に含まれ得る。複数の改変が行われる(例えば、保護的レセプターをコードする核酸およびタンパク質の野生型形態をコードする核酸の両方を導入して、遺伝的障害を補正する)場合のように、上記改変核酸は、同じベクターまたは異なるベクターの中に含まれ得、異なるベクターの中にある場合、上記改変は、同時にまたは逐次的に行われ得る。遺伝的改変後のHSPCは、クローン性の集団またはポリクローナルであり得る。遺伝的改変は、その改変に関してヘテロ接合性またはホモ接合性の細胞を生じ得る。細胞は、被験体に導入する前に増殖を受け得る。
標的哺乳動物細胞へと外因性遺伝子を移入するために有用な多くのベクターが、利用可能である(例えば、WO2018/140940; Morganら, Cell Stem Cell 21, 574-590(2018)を参照のこと)。ベクターは、エピソームであってもよいし、相同組換えまたはランダム組み込みを通じて標的細胞ゲノムに組み込まれてもよい。ベクターは、改変された細胞を選択するために選択マーカーをコードしてもよいし、そうでなくてもよい。ベクターは、プラスミド、ウイルス由来ベクター(例えば、サイトメガロウイルス、アデノウイルスなど)、レトロウイルス由来ベクター(例えば、MMLV、HIV-1、およびALV)を含む。レンチウイルスベクター(例えば、HIVまたはFIV gag配列に基づくもの)は、分裂しない細胞(例えば、休止相のHSPC)をトランスフェクトするために使用され得る。
細胞は、適切なベクターでのトランスフェクション(例えば、エレクトロポレーション)、形質導入などによって、遺伝的に変化され得る。レトロウイルスおよび適切なパッケージング株の組み合わせは、キャプシドタンパク質が標的細胞に感染するために機能的である場合に使用され得る。通常は、上記細胞およびウイルスは、培養培地中で少なくとも約24時間インキュベートされる。次いで、上記細胞は、いくつかの適用において、短い間隔で、例えば、24~73時間、または少なくとも2週間にわたって、培養培地中で増殖させられ、分析する前に、5週間またはより長く増殖させられ得る。一般に使用されるレトロウイルスベクターは、「欠陥がある(defective)」、すなわち、生産的な感染に必要とされるウイルスタンパク質を生成できない。ベクターの複製は、パッケージング細胞株の中での増殖、またはトランスフェクションを必要とし、細胞は、例えば、8~16時間の期間にわたってベクターを含む上清を使用して遺伝的に変更され得、次いで、必要に応じて、薬物選択因子(例えば、ピューロマイシン、G418、またはブラストサイジン)を使用する選択ととともに、1~2日にわたり増殖培地へと交換され得、次いで、再度培養され得る。ウイルスまたはプラスミドベクターは、例えば、リコンビナーゼシステム(例えば、Cre/Lox)、またはそれらを発現する細胞を使用して後に除去されなければならない、例えば、選択的毒性を可能にする遺伝子(例えば、とりわけヘルペスウイルスTK、bcl-xs)を含めることによって、破壊されなければならない遺伝子を含み得る。
VIII.置換幹細胞を投与するためのレジメン
置換幹細胞は、非経口的に、代表的には、静脈内注入によって投与される。投与される幹細胞の用量は、注入される細胞組成物の所望の純度、および細胞の供給源に依存し得る。その用量はまた、HSPCの遺伝的改変のタイプに依存し得る。HSPCの保護が原因で、および置換HSPCを導入する前に内因性HSPCの実質的に完全な排除が不要であることから、投与量は、ときおり、1~2×10 CD34+ 細胞/kg 体重が最小と考えられた以前の方法より少ない可能性がある。再導入のための細胞の例示的な投与量は、少なくとも1×10、1×10、2×10、5×10、10、2×10 CD34+ 細胞/kg 体重である。例示的な範囲は、1×10~5×10、1×10×2×10、または5×10~6×10 CD34+細胞/kg 体重である。上記用量は、利用可能な細胞の数によって制限され得る。代表的には、供給源に拘わらず、上記用量は、存在するCD34+ 細胞の数によって計算される。CD34 細胞のパーセントの数字は、未分画骨髄または動員された末梢血に関しては低い可能性がある;その場合、投与される細胞の総数は、遙かに多い。
VIII.モニタリング
遺伝的に改変された置換HSPCを被験体に導入した後に、置換HSPC 対 全HSPCの比は、モニタリングされ得る。HSPCのサンプルは、以前に記載されるように、骨髄または末梢血から得られ得る。置換HSPCは、例えば、核酸ハイブリダイゼーションアッセイまたはイムノアッセイによって、内因性のものから区別され得る。置換HSPCが同種異系または異種である場合、置換細胞と内因性細胞との間には、差次的プローブ結合アッセイの根拠を形成し得る多くの遺伝的差異が存在し、そしてときおりイムノアッセイを可能にするレセプターにおける差異が存在する。置換HSPCが自家である場合、その置換HSPCの遺伝的改変は、核酸ハイブリダイゼーションアッセイまたはイムノアッセイのいずれかによって、それらを内因性HSPCから区別し得る。全HSPCに対する置換HSPCの割合は、導入後の時間とともに増大し得る。好ましくは、その割合は、6ヶ月後に、30%、50%、75%、90%または95%を超える。
上記または下記で引用される全ての特許出願、ウェブサイト、他の刊行物、アクセッション番号などは、各個々の項目が、具体的にかつ個々に、そのように参考として援用されることを示されるのと同程度に、全ての目的のためにそれらの全体において参考として援用される。配列の異なるバージョンが、異なるときにアクセッション番号と関連付けられる場合、本出願の有効な出願日に、そのアクセッション番号と関連付けられるバージョンが意味される。有効な出願日は、実際の出願日または適用可能な場合に、そのアクセッション番号に言及する優先権主張の基礎となる出願の出願日の早い方を意味する。刊行物、ウェブサイトなどの異なるバージョンが異なる時に刊行される場合のように、別段示されなければ、本出願の有効な出願日に最も近く刊行されたバージョンが、意味される。本開示の任意の特徴、工程、要素、実施形態、または局面は、別段具体的に示されなければ、任意の他のものと組み合わせて使用され得る。本開示は、明瞭さおよび理解を目的として、例証および例示によっていくぶん詳細に記載されてきたが、ある特定の変更および改変が、添付の特許請求の範囲内で実施され得ることは、明らかである。
必要に応じて、上記被験体は、血球のタイプの遺伝的障害を有し、上記置換HSPCは、上記障害のないタイプの血球へと発生する。必要に応じて、上記置換HSPCは、上記障害がないようにさらに遺伝的に改変された自家細胞である。必要に応じて、上記遺伝的障害は、鎌状赤血球貧血である。必要に応じて、上記被験体は、がんを有する。必要に応じて、上記がんは、血球のがんであり、上記血球は、c-Kitを発現するか、またはc-Kitを発現するHSPCに由来する。必要に応じて、上記被験体は、がんを有し、上記がんに対する化学療法を受けたことがある。必要に応じて、上記被験体は、工程(a)の後に臓器移植片を受容する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
内因性HSPCと比較して、被験体に導入する際に、遺伝的に改変されたHSPCに選択的増殖の利点を付与するレセプターを発現するように遺伝的に改変された造血幹または前駆細胞(HSPC)。
(項目2)
少なくとも10 の項目1に記載のHSPCの集団。
(項目3)
前記10 のHSPCは、CD34 である、項目2に記載の集団。
(項目4)
クローン性である、項目2に記載の集団。
(項目5)
原始幹細胞および共通前駆細胞を含む、項目2に記載の集団。
(項目6)
原始幹細胞である、項目1に記載のHSPC。
(項目7)
前記レセプターは、B2M/MHC-1、PD-L1、CD24、GAS6、CD47、c-Kitまたは複数のこのようなレセプターの組み合わせのうちのいずれかである、項目1に記載のHSPC。
(項目8)
前記レセプターは、変異体形態であり、前記変異体は、前記レセプターの野生型形態と比較して抗体への結合が低減している、項目7に記載のHSPC。
(項目9)
前記レセプターは、CD47またはc-Kitである、項目8に記載のHSPC。
(項目10)
前記HSPCは、機能的ヒトタンパク質を発現するようにさらに遺伝的に改変され、その結果として、前記HSPCが遺伝的障害を緩和し得る、前述の項目のいずれかに記載のHSPCまたは集団。
(項目11)
前記遺伝的障害は、前記障害を有する被験体において前記ヒトタンパク質をコードする遺伝子の変異に起因する、項目10に記載のHSPCまたは集団。
(項目12)
前記ヒトタンパク質は、ヘモグロビンである、項目11に記載のHSPCまたは集団。
(項目13)
前記HSPCは、標的化構築物と内因性遺伝子座との間の相同組換えによって遺伝的に改変される、前述の項目のうちのいずれかに記載のHSPCまたは集団。
(項目14)
前記遺伝的改変は、ヘテロ接合性である、項目1~13のいずれか1項に記載のHSPCまたは集団。
(項目15)
前記遺伝的改変は、ホモ接合性である、項目1~13のいずれか1項に記載のHSPCまたは集団。
(項目16)
HSPCを改変する方法であって、前記方法は、前記HSPCに、改変する前のHSPCと比較して、遺伝的に改変されたHSPCに選択的増殖の利点を付与するレセプターを発現し得る転写ユニットを形成する前記HSPCのゲノムへと組み込まれる構築物を導入する工程を包含する、方法。
(項目17)
前記構築物は、その発現のために調節配列に作動可能に連結された前記レセプターをコードするセグメントを含む転写ユニットを含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記構築物は、内因性遺伝子座との相同組換えを受ける、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記HSPCへとヌクレアーゼを導入する工程であって、前記ヌクレアーゼは、前記相同組換えの遺伝子座に近いゲノムDNAを切断し、それによって前記相同組換えを刺激する、工程をさらに包含する、項目16に記載の方法。
(項目20)
前記ヌクレアーゼは、前記ヌクレアーゼをコードする構築物を導入することによって導入され、前記ヌクレアーゼは、前記HSPCにおいて発現される、項目19に記載の方法。
(項目21)
被験体を処置する方法であって、前記方法は、
(a)c-Kitに特異的に結合する免疫治療剤を投与して、c-Kitを発現する内因性HSPCを枯渇させる工程;および
(b)内因性HSPCと比較して、遺伝的に改変されたHSPCに選択的増殖の利点を付与するレセプターを発現するように遺伝的に改変された置換HSPCを投与し、それによって、前記c-Kitに特異的に結合する免疫治療剤による枯渇に抵抗する工程であって、ここで前記置換HSPCは、前記内因性HSPCを少なくとも部分的に置換する、工程、
を包含する方法。
(項目22)
前記選択的増殖の利点を付与するレセプターは、CD47である、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記CD47レセプターは変異を含み、前記方法は、野生型CD47に結合し、存在する場合、SIRPαへの前記変異したレセプターのその結合およびアンタゴニズムより強く、SIRPαとのその相互作用をアンタゴナイズする抗体またはSIRPα Fc融合タンパク質を投与する工程をさらに包含する、項目22に記載の方法。
(項目24)
内因性HSPCは、工程(b)を行う前に、部分的にのみ枯渇される、項目21~23のいずれか1項に記載の方法。
(項目25)
工程(a)は、工程(b)の前に行われる、項目21~24のいずれか1項に記載の方法。
(項目26)
工程(a)は、工程(b)と同時に、または工程(b)の後に行われる、項目21~24のいずれか1項に記載方法。
(項目27)
前記c-Kitに特異的に結合する免疫治療剤は、前記導入する工程が行われるときに血清中で検出可能である、項目21~26のいずれか1項に記載の方法。
(項目28)
前記c-Kitに特異的に結合する免疫治療剤は、工程(b)の前および工程(b)の後に、複数の機会に投与される、項目21~27のいずれか1項に記載の方法。
(項目29)
前記c-Kitに特異的に結合する免疫治療剤は、抗体である、項目21~28のいずれか1項に記載の方法。
(項目30)
前記抗体は、ADCCまたはADPを促進するために有効なFcドメインを有する、項目21~29のいずれか1項に記載の方法。
(項目31)
前記被験体は、血球のタイプの遺伝的障害を有し、前記置換HSPCは、前記障害のないタイプの血球へと発生する、項目21~30のいずれか1項に記載の方法。
(項目32)
前記置換HSPCは、前記障害がないようにさらに遺伝的に改変された自家細胞である、項目21~31のいずれか1項に記載の方法。
(項目33)
前記遺伝的障害は、鎌状赤血球貧血である、項目31または32に記載の方法。
(項目34)
前記被験体は、がんを有する、項目21~30のいずれか1項に記載の方法。
(項目35)
前記がんは、血球のがんであり、前記血球は、c-Kitを発現するか、またはc-Kitを発現するHSPCに由来する、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記被験体は、がんを有し、前記がんに対する化学療法を受けたことがある、項目21~30のいずれか1項に記載の方法。
(項目37)
前記被験体は、工程(a)の後に臓器移植片を受容する、項目21~30のいずれか1項に記載の方法。

Claims (37)

  1. 内因性HSPCと比較して、被験体に導入する際に、遺伝的に改変されたHSPCに選択的増殖の利点を付与するレセプターを発現するように遺伝的に改変された造血幹または前駆細胞(HSPC)。
  2. 少なくとも10の請求項1に記載のHSPCの集団。
  3. 前記10のHSPCは、CD34である、請求項2に記載の集団。
  4. クローン性である、請求項2に記載の集団。
  5. 原始幹細胞および共通前駆細胞を含む、請求項2に記載の集団。
  6. 原始幹細胞である、請求項1に記載のHSPC。
  7. 前記レセプターは、B2M/MHC-1、PD-L1、CD24、GAS6、CD47、c-Kitまたは複数のこのようなレセプターの組み合わせのうちのいずれかである、請求項1に記載のHSPC。
  8. 前記レセプターは、変異体形態であり、前記変異体は、前記レセプターの野生型形態と比較して抗体への結合が低減している、請求項7に記載のHSPC。
  9. 前記レセプターは、CD47またはc-Kitである、請求項8に記載のHSPC。
  10. 前記HSPCは、機能的ヒトタンパク質を発現するようにさらに遺伝的に改変され、その結果として、前記HSPCが遺伝的障害を緩和し得る、前述の請求項のいずれかに記載のHSPCまたは集団。
  11. 前記遺伝的障害は、前記障害を有する被験体において前記ヒトタンパク質をコードする遺伝子の変異に起因する、請求項10に記載のHSPCまたは集団。
  12. 前記ヒトタンパク質は、ヘモグロビンである、請求項11に記載のHSPCまたは集団。
  13. 前記HSPCは、標的化構築物と内因性遺伝子座との間の相同組換えによって遺伝的に改変される、前述の請求項のうちのいずれかに記載のHSPCまたは集団。
  14. 前記遺伝的改変は、ヘテロ接合性である、請求項1~13のいずれか1項に記載のHSPCまたは集団。
  15. 前記遺伝的改変は、ホモ接合性である、請求項1~13のいずれか1項に記載のHSPCまたは集団。
  16. HSPCを改変する方法であって、前記方法は、前記HSPCに、改変する前のHSPCと比較して、遺伝的に改変されたHSPCに選択的増殖の利点を付与するレセプターを発現し得る転写ユニットを形成する前記HSPCのゲノムへと組み込まれる構築物を導入する工程を包含する、方法。
  17. 前記構築物は、その発現のために調節配列に作動可能に連結された前記レセプターをコードするセグメントを含む転写ユニットを含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記構築物は、内因性遺伝子座との相同組換えを受ける、請求項16に記載の方法。
  19. 前記HSPCへとヌクレアーゼを導入する工程であって、前記ヌクレアーゼは、前記相同組換えの遺伝子座に近いゲノムDNAを切断し、それによって前記相同組換えを刺激する、工程をさらに包含する、請求項16に記載の方法。
  20. 前記ヌクレアーゼは、前記ヌクレアーゼをコードする構築物を導入することによって導入され、前記ヌクレアーゼは、前記HSPCにおいて発現される、請求項19に記載の方法。
  21. 被験体を処置する方法であって、前記方法は、
    (a)c-Kitに特異的に結合する免疫治療剤を投与して、c-Kitを発現する内因性HSPCを枯渇させる工程;および
    (b)内因性HSPCと比較して、遺伝的に改変されたHSPCに選択的増殖の利点を付与するレセプターを発現するように遺伝的に改変された置換HSPCを投与し、それによって、前記c-Kitに特異的に結合する免疫治療剤による枯渇に抵抗する工程であって、ここで前記置換HSPCは、前記内因性HSPCを少なくとも部分的に置換する、工程、
    を包含する方法。
  22. 前記選択的増殖の利点を付与するレセプターは、CD47である、請求項21に記載の方法。
  23. 前記CD47レセプターは変異を含み、前記方法は、野生型CD47に結合し、存在する場合、SIRPαへの前記変異したレセプターのその結合およびアンタゴニズムより強く、SIRPαとのその相互作用をアンタゴナイズする抗体またはSIRPα Fc融合タンパク質を投与する工程をさらに包含する、請求項22に記載の方法。
  24. 内因性HSPCは、工程(b)を行う前に、部分的にのみ枯渇される、請求項21~23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 工程(a)は、工程(b)の前に行われる、請求項21~24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 工程(a)は、工程(b)と同時に、または工程(b)の後に行われる、請求項21~24のいずれか1項に記載方法。
  27. 前記c-Kitに特異的に結合する免疫治療剤は、前記導入する工程が行われるときに血清中で検出可能である、請求項21~26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 前記c-Kitに特異的に結合する免疫治療剤は、工程(b)の前および工程(b)の後に、複数の機会に投与される、請求項21~27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 前記c-Kitに特異的に結合する免疫治療剤は、抗体である、請求項21~28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 前記抗体は、ADCCまたはADPを促進するために有効なFcドメインを有する、請求項21~29のいずれか1項に記載の方法。
  31. 前記被験体は、血球のタイプの遺伝的障害を有し、前記置換HSPCは、前記障害のないタイプの血球へと発生する、請求項21~30のいずれか1項に記載の方法。
  32. 前記置換HSPCは、前記障害がないようにさらに遺伝的に改変された自家細胞である、請求項21~31のいずれか1項に記載の方法。
  33. 前記遺伝的障害は、鎌状赤血球貧血である、請求項31または32に記載の方法。
  34. 前記被験体は、がんを有する、請求項21~30のいずれか1項に記載の方法。
  35. 前記がんは、血球のがんであり、前記血球は、c-Kitを発現するか、またはc-Kitを発現するHSPCに由来する、請求項34に記載の方法。
  36. 前記被験体は、がんを有し、前記がんに対する化学療法を受けたことがある、請求項21~30のいずれか1項に記載の方法。
  37. 前記被験体は、工程(a)の後に臓器移植片を受容する、請求項21~30のいずれか1項に記載の方法。
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