JP2022510606A - 子宮内膜症を処置するための組成物および方法 - Google Patents

子宮内膜症を処置するための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

【解決手段】β-カテニンに結合するペプチド、および前記ペプチドを含む組成物が本明細書で提供される。β-カテニンに結合するペプチドは、核への移行を防ぎ、古典的Wnt経路を調節する。さらに、子宮内膜症を含む組織浸潤性疾病の処置において前記ペプチドおよび前記組成物を使用する方法が本明細書で提供される。【選択図】図4C

Description

相互参照
本特許出願は、2018年11月21日に出願された米国仮特許出願第62/770,601号の利益を主張するものであり、この文献は全体として参照によって組み込まれる。
本開示は、疾患または疾病を処置するための、薬剤および方法 製剤、ならびに、そのような薬剤を被験体に投与するための装置に関する。提供される薬剤の中には、β-カテニンおよびWntの阻害剤など、ある細胞タンパク質または機能を阻害することができるものもある。上記薬剤は治療用ペプチドおよびペプチド模倣剤を含み得る。上記方法の特徴は、子宮内膜症などの疾病を処置するための様々な利点、例えば、子宮内膜症の根本的原因を処置するか、または回復に向かわせる能力、および、子宮内膜症に関連する症状を寛解させるために、ホルモン療法を施す必要性を減らすか、またはなくす能力を提供する。
子宮内膜症(EMS)は、女性および青年期の女性の~10%に影響を及ぼしており、米国で740万人を超える女性、および世界中で1億7600万人を超える女性に影響を及ぼしている。EMSは、生殖期の女性の間で能力障害および不妊症の一番の原因であり、不妊女性の40%がEMSを患っている。診断時の平均年齢は28歳である。衰弱性の症状には、痛みを伴う月経、慢性疼痛、性交時の痛み、不妊症が含まれる(Giudice,L.C.& Kao,L.C.,Lancet 364,1789-1799)。人間の苦痛に加えて、米国における症状に関連する生産性の損失および直接医療費が年間900億ドルを超える。EMSは逆行性月経によって生じ、逆行性月経では、生存可能な子宮内膜組織が卵管を逆流し、腹膜腔に流入する。そこで、生存可能な子宮内膜組織は複数の外来部位(例えば、卵管、卵巣窩、腹膜壁、靭帯、および腸)に付着し、ホルモンに応答する(Sampson,J.A.,Am J Pathol 3,93-110 143,1927)。現在の治療では症状を抑えることしかできず、治癒に有効ではない。再発は一般的であり、治療が中止された場合には再発が早く生じる可能性がある。
ホルモンベースの治療は、排卵周期を変更して逆行性月経を減らし、かつEMS症状を処置するために使用される。そのホルモンベースの治療には、ホルモンの活性化を減少させて排卵を抑える、エストロゲン/プロゲステロンの併用治療、プロゲスチンのみの処置、またはGnRHアンタゴニスト/アゴニスト(つまり「医学的閉経」)が含まれる;しかし、これらの治療はEMS症状を抑えるのみで、疾患を治癒しない。治療が中止された場合、症状の再発は~70%である(Selcuk,I.et al.,Ger Gynecol Assoc 14,98-103,2013)。ホルモン調節によるEMSの管理は、既存の病変を回復に向かわせることができず;他の因子(例えば、酸化ストレスまたは遺伝的特徴)によって引き起こされた病変の発達を妨害せず;EMSを抱えるほとんどの女性で見られるプロゲステロン受容体(PGR)抵抗によって妨害され;および、好ましくない副作用が伴う。EMSのためのホルモン療法の制限は、有効性の制限、プロトコルに対する低いアドヒアランス、および侵襲的手術の必要性を結果としてもたらす。
外科手術は、子宮内膜症を診断および管理する際の基本的なツールであり続けるが、外科手術でさえ治療に有効ではなく;外科的処置の主な目的は、さらなる外科手術の必要性をなくすか、またはさらなる外科手術までの時間を延ばすために、再発を防ぎ、症状を軽減することである。
したがって、EMSのための非ホルモン性で外科手術を行わない処置が必要とされる。
式X-X-X-X-X-X-X-X-X-X10-X11-X12-X13-X14-X15-X16を有するアミノ酸配列を含むペプチドおよびペプチド模倣剤が本明細書で提供され、式中:Xは、Mまたはヌルであり;Xは、S、I、G、T、A、L、またはヌルであり;Xは、R、K、またはヌルであり;Xは、正に荷電したアミノ酸、シトルリン、Orn、D、E、8-アミノオクタン酸、または4~12の炭素を有するアミノカルボン酸であり;Xは、M、ノルロイシン、Orn、D、E、K、H、R、K、8-アミノオクタン酸、4~12の炭素を有するアミノカルボン酸、またはヌルであり;Xは、W、Y、F、またはN-メチルAであり;Xは、F、I、L、Chg、Cha、またはTleであり;Xは、L、I、またはAであり;Xは、L、I、またはAであり;X10は、C、S、A、Abu、C(me)、またはS(Bzl)であり;X11は、F、H、A、K、E、Chg、Cng、またはOrnであり;X12は、W、Y、A、またはFであり;および、X13は、G、GABA、またはヌルである。
式R-X-X-X-X-X-X-X-X-X-X10-X11-X12-X13-X14-X15-X16を有するアミノ酸配列を含むペプチドおよびペプチド模倣剤が本明細書で提供され、式中:Rは、NH、アセチル化、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、C-C炭化水素、C-C脂肪酸、またはヌルであり;Xは、M、G、βアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、またはヌルであり;Xは、W、N-メチルW、R、Y、F、シトルリン、またはKであり;Xは、P、W、N-メチル-W、N-エチル-W、N-メチルA、N-エチルA、L、Pip、Aib、Y、またはFであり;Xは、E、Q、N、またはDであり;Xは、S、αメチルS、K、D、Orn、T、またはEであり;Xは、I、Chg、H、またはLであり;Xは、LまたはIであり;Xは、D、N、E、またはQであり;Xは、D、E、K、Q、またはOrnであり;X10は、Hまたはメチル-Hであり;X11は、V、αメチルV、Chg、L、I、またはノルバリンであり;X12は、Q、Aib、S、R、またはNであり;X13は、R、K、シトルリン、Orn、D、またはEであり;X14は、V、I、L、またはノルバリンであり;X15は、W、Y、またはFであり;および、X16は、R、G、またはヌルである。
配列番号:1~配列番号:500のいずれか1つのアミノ酸配列を含むペプチドおよびペプチド模倣剤が本明細書で提供される。
配列番号:1~配列番号:500のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドおよびペプチド模倣剤が、本明細書で提供される。
いくつかの実施形態では、ペプチドはβ-カテニンに結合する。いくつかの実施形態では、ペプチドはβ-カテニン阻害剤である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、核へのβ-カテニンの移行の阻害剤である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、β-カテニンが癌遺伝子、マトリックスメタロプロテアーゼ 9(MMP9)、またはクロライドC3チャネル(ClC-3)への転写因子として作用するのを防ぐ。いくつかの実施形態では、ペプチドは、子宮内膜症(EMS)細胞の形質転換、浸潤、遊走、線維化、またはそれらの任意の組み合わせを防ぐ。いくつかの実施形態では、ペプチドは、β-カテニンがエストロゲン受容体(ESR1)に結合するのを防ぐ。いくつかの実施形態では、ペプチドは、β-カテニンの膜活性を減少させない。いくつかの実施形態では、ペプチドは、β-カテニンE-カドヘリン結合を減少させない。いくつかの実施形態では、ペプチドは、発癌性転写因子活性(oncogenic transcription factor activity)を防ぐ。いくつかの実施形態では、ペプチドは、50uM未満、30uM未満、10uM未満、5uM、1uM、500nM、400nM、300nM、200nM、100nM、50nM、30nM、10nM、5nM、3nM、1nM、800pM、600pM、400pM、200pM、100pM、50pM、30pM、20pM、10pM、あるいは5pM、または、約10uM未満、約5uM、約1uM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約100nM、約50nM、約30nM、約10nM、約5nM、約3nM、約1nM、約800pM、約600pM、約400pM、約200pM、約100pM、約50pM、約30pM、約20pM、約10pM、または約5pMのEC50を有するWnt経路活性を阻害する。いくつかの実施形態では、ペプチドは、50uM未満、30uM、10uMKD、5uM、1uM、500nM、400nM、300nM、200nM、100nM、50nM、30nM、10nM、5nM、3nM、1nM、800pM、600pM、400pM、200pM、100pM、50pM、30pM、20pM、10pM、あるいは5pM、または、約10uM未満、約5uM、約1uM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約100nM、約50nM、約30nM、約10nM、約5nM、約3nM、約1nM、約800pM、約600pM、約400pM、約200pM、約100pM、約50pM、約30pM、約20pM、約10pM、または約5pMのKD50結合親和性を有するβ-カテニンに結合する。いくつかの実施形態では、ペプチドは天然に存在しない。いくつかの実施形態では、ペプチドは環状化ペプチドである。いくつかの実施形態では、ペプチドは二環式ペプチドである。いくつかの実施形態では、ペプチドは、Cys-Cysジスルフィド結合で環状化される。いくつかの実施形態では、ペプチドはアミド結合で環状化される。いくつかの実施形態では、アミド結合は、N末端とC末端との間のヘッド-テール(head-to-tail)である。いくつかの実施形態では、アミド結合は、N末端と内部COOHとの間のヘッド-側鎖(head-to-side chain)である。いくつかの実施形態では、アミド結合は、内部NHとC末端との間の側鎖-テール(chain-to-tail)である。いくつかの実施形態では、アミド結合は、内部NHと内部COOHとの間の側鎖-側鎖である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、炭化水素ステープリング(hydrocarbon stapling)を使用して環状化される。いくつかの実施形態では、ペプチドは、クリックケミストリーを使用して環状化される。いくつかの実施形態では、ペプチドは、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49、少なくとも50、少なくとも51、少なくとも52、少なくとも53、少なくとも54、少なくとも55、少なくとも56、少なくとも57、少なくとも58、少なくとも59、少なくとも60、少なくとも61、少なくとも62、少なくとも63、少なくとも64、少なくとも65、少なくとも66、少なくとも67、少なくとも68、少なくとも69、少なくとも70、少なくとも71、少なくとも72、少なくとも73、少なくとも74、少なくとも75、少なくとも76、少なくとも77、少なくとも78、少なくとも79、少なくとも80、または少なくとも81のアミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、4未満、5未満、6未満、7未満、8未満、9未満、10未満、11未満、12未満、13未満、14未満、15未満、16未満、17未満、18未満、19未満、20未満、21未満、22未満、23未満、24未満、25未満、26未満、27未満、28未満、29未満、30未満、31未満、32未満、33未満、34未満、35未満、36未満、37未満、38未満、39未満、40未満、41未満、42未満、43未満、44未満、45未満、46未満、47未満、48未満、49未満、50未満、51未満、52未満、53未満、54未満、55未満、56未満、57未満、58未満、59未満、60未満、61未満、62未満、63未満、64未満、65未満、66未満、67未満、68未満、69未満、70未満、71未満、72未満、73未満、74未満、75未満、76未満、77未満、78未満、79未満、80未満、または81未満のアミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、ペプチドは、1以上の非天然アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の非天然アミノ酸は、N-メチルアミノ酸である。
β-カテニン阻害剤と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物が、本明細書で提供される。
β-カテニンへの結合特異性を含むペプチドと、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物が、本明細書で提供される。
ペプチドを含むβ-カテニン阻害剤と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物が、本明細書で提供される。
本明細書に記載されるペプチドと;薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、ペプチドは環状化ペプチドである。いくつかの実施形態では、上記医薬組成物は、吸収促進剤または透過促進剤を含む。いくつかの実施形態では、吸収促進剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの1以上のスルホキシド;ラウロカプラム(1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン);n-メチル-2-ピロリドンなどのピロリドン;テルペンおよびテルペノイド;精油;4-デシクロキサゾリジン(decycloxazolidin)-2-オンなどのオキサゾリジノン;尿素;シクロペンタデカラクトン;ナトリウムN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC);8-(N-2-ヒドロキシ-5-クロロ-ベンゾイル)-アミノ-カプリル酸(5-CNAC);中鎖脂肪酸、塩、および誘導体;カプリン酸ナトリウム(sodium caprate);カプリル酸ナトリウム;プロテアーゼ阻害剤およびω-3脂肪酸;液体混合ミセルの噴霧剤;脂質ポリマーミセル;アルキルグリコシド;キトサン;ドデシル-2-N,N-ジメチルアミノプロピオネート(DDAIP);細胞膜脂質成分;ナノ粒子;リポソーム、リガンド;および、親油性修飾(lipophilic modifications)を含む。いくつかの実施形態では、吸収促進剤はカプリン酸ナトリウムである。
本明細書に記載されるペプチドまたは医薬組成物を含む製剤が本明細書で提供され、ここで、上記製剤は、溶液、ローション、震盪合剤、クリーム、軟膏、ゲル、フォーム、粉体、固体、ペースト、チンキ、微粒子、マイクロカプセル、ナノ粒子、リポソーム、エマルジョン、または凍結乾燥物(lyophilisate)を含む。製剤が本明細書にさらに記載され、ここで、ゲルは熱可逆性のゲルである。製剤が本明細書にさらに記載され、ここで、上記製剤は、1以上の粘膜付着性ポリマーを含む。製剤が本明細書でさらに記載され、ここで、上記製剤は、局所投与用である。
本明細書に記載されるペプチドまたは医薬組成物を含む膣内装置が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、膣内装置は、坐剤、経皮パッチ、スポンジ、テープ、フィルム、腟内リング、膣タンポン、膣リング、膣ストリップ、膣カプセル、膣錠、膣ペッサリー、膣カップ、膣スポンジ、または子宮内器具である。いくつかの実施形態では、ペプチドまたは医薬組成物は、溶液、ローション、震盪合剤、クリーム、軟膏、ゲル、フォーム、粘膜付着性組成物、コーティング、コア、マトリックス、エマルジョン、リポソーム、または凍結乾燥物からなる群から選択される製剤として製剤化され、ここで、上記膣内装置は上記製剤を含む。いくつかの実施形態では、膣内装置は、約0.01mg~約5000mgの阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、膣内装置は、約0.01mg、約0.05mg、約0.1mg、約0.5mg、約1mg、約5mg、約10mg、約20mg、約40mg、約60mg、約80mg、約100mg、約150mg、約200mg、約400mg、約600mg、約800mg、約1000mg、約1200mg、約1400mg、約1600mg、約1800mg、約2000mg、約2500mg、約3000mg、約3500mg、約4000mg、約4500mg、または約5000mgの阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、膣内装置は、阻害剤を経粘膜的に送達するように構成される。いくつかの実施形態では、膣内装置は、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、12ヶ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、11年間、または12年間にわたって阻害剤を送達するように構成される。いくつかの実施形態では、膣内装置は、1日あたり約0.01mg~約1000mgの阻害剤を送達するように構成される。いくつかの実施形態では、膣内装置は、1日あたり約0.01mg、約0.05mg、約0.1mg、約0.5mg、約1mg、約5mg、約10mg、約20mg、約40mg、約60mg、約80mg、約100mg、約150mg、約200mg、約400mg、約600mg、約800mg、または約1000mgの阻害剤を送達するように構成される。いくつかの実施形態では、装置は坐剤である。いくつかの実施形態では、装置は経皮パッチである。いくつかの実施形態では、装置はスポンジである。いくつかの実施形態では、装置はテープである。膣内装置が本明細書でさらに提供され、ここで、上記装置は腟内リングである。いくつかの実施形態では、腟内リングは、シリコンインサート(silicone insert)、圧縮錠剤、または凍結乾燥されたゲルを含む。いくつかの実施形態では、ペプチドまたは組成物は、シリコンインサート、圧縮錠剤、または凍結乾燥されたゲル全体にわたって組み込まれている。いくつかの実施形態では、装置は膣タンポンである。いくつかの実施形態では、装置は膣リングである。いくつかの実施形態では、装置は膣ストリップである。いくつかの実施形態では、装置はカプセルである。いくつかの実施形態では、装置は膣錠である。いくつかの実施形態では、装置は膣ペッサリーである。いくつかの実施形態では、装置は膣カップである。いくつかの実施形態では、装置は膣スポンジである。いくつかの実施形態では、装置は子宮内器具である。
本明細書に記載されるペプチドまたは医薬組成物を含む製剤が本明細書で提供され、ここで、上記製剤は経口投与用である。製剤が本明細書でさらに提供され、ここで、上記製剤は錠剤またはカプセルである。いくつかの実施形態では、製剤は液体である。
本明細書に記載される装置を被験体の膣に挿入する工程を含む、被験体のβ-カテニンを阻害する方法が本明細書で提供される。
細胞を本明細書に記載されるペプチドまたは医薬組成物と接触させる工程を含む、β-カテニンを阻害する方法が本明細書で提供される。
治療上有効な量の本明細書に記載されるペプチドまたは医薬組成物を、それを必要とする被験体に投与する工程を含む、子宮内膜症を処置する方法が本明細書で提供される。
治療上有効な量の本明細書に記載されるペプチドまたは医薬組成物を、それを必要とする被験体に投与する工程を含む、子宮内膜症に関連する症状を減少させる方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、症状は、慢性疼痛、中枢性感作、筋膜痛、付属器腫瘤、不妊症、月経困難症、遺伝的素因、月経時以外の骨盤-腹部の痛み、性交疼痛、腸症状(下痢、筋痙攣、便秘)、排便痛(排便困難)、卵巣腫瘤または卵巣腫、疼痛性膀胱症状(painful bladder symptoms)、および排尿障害からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
治療上有効な量の本明細書に記載されるペプチドまたは医薬組成物を被験体に投与する工程を含む、疾病を処置する方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、疾病は、組織浸潤疾病(tissue-infiltration condition)、組織移行疾病(tissue migration condition)、組織浸潤疾病(tissue invasion condition)、またはその組み合わせである。いくつかの実施形態では、疾病は癌を含む。いくつかの実施形態では、癌は、大腸癌、扁平上皮癌、頭頚部癌、膵臓癌、乳癌、骨髄性白血病、基底細胞癌、滑膜肉腫、非小細胞肺癌、固形腫瘍、または前立腺癌を含む。いくつかの実施形態では、疾病は子宮内膜症を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドはβ-カテニンに結合する。いくつかの実施形態では、ペプチドはβ-カテニンを阻害する。いくつかの実施形態では、ペプチドは細胞質β-カテニンに結合する。いくつかの実施形態では、ペプチドは細胞質β-カテニンに結合して、細胞の核へのβ-カテニンの移行を阻害する。いくつかの実施形態では、ペプチドは細胞質β-カテニンに結合して、膜結合β-カテニンを維持するか、または増大させる。いくつかの実施形態では、ペプチドは細胞質β-カテニンに結合して、核β-カテニンを減少させる。いくつかの実施形態では、ペプチドは細胞質β-カテニンに結合して、β-カテニンが癌遺伝子、マトリックスメタロプロテアーゼ 9(MMP9)、またはクロライドC3チャネル(ClC-3)への転写因子として作用するのを防ぐ。いくつかの実施形態では、ペプチドは細胞質β-カテニンに結合して、EMS細胞の形質転換、浸潤、遊走、線維化、またはそれらの任意の組み合わせを防ぐ。いくつかの実施形態では、ペプチドは、細胞質β-カテニンに結合して、β-カテニンがエストロゲン受容体(ESR1)に結合するのを防ぐ。いくつかの実施形態では、ペプチドは細胞質β-カテニンに結合し、β-カテニンの膜活性は減少しない。いくつかの実施形態では、ペプチドは細胞質β-カテニンに結合し、β-カテニン-E-カドヘリン結合は減少しない。いくつかの実施形態では、ペプチドは発癌性転写因子活性を防ぐ。いくつかの実施形態では、遊離細胞質β-カテニンの減少は、異なる時点で得られた被験体の細胞に対するものである。いくつかの実施形態では、被験体の細胞中の膜結合細胞質β-カテニンの量は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも100%増加する。いくつかの実施形態では、膜結合細胞質β-カテニンの増加は、治療上有効な量の医薬組成物を投与されなかった対照被験体の細胞に対するものである。いくつかの実施形態では、膜結合β-カテニンの増加は、被験体が疾病を発症する前に得られた被験体の細胞に対するものである。いくつかの実施形態では、膜結合β-カテニンの増加は、異なる時点で得られた被験体の細胞に対するものである。いくつかの実施形態では、被験体の細胞中の核β-カテニンの量は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも100%減少する。いくつかの実施形態では、核β-カテニンの減少は、治療上有効な量の医薬組成物を投与されなかった対照被験体の細胞に対するものである。いくつかの実施形態では、核β-カテニンの減少は、被験体が疾病を発症する前に得られた被験体の細胞に対するものである。いくつかの実施形態では、核β-カテニンの減少は、異なる時点で得られた被験体の細胞に対するものである。
いくつかの実施形態では、治療上有効な量は約0.01mg~約1000mgである。
治療上有効な量の本明細書に記載されるペプチドまたは医薬組成物を被験体に投与する工程を含む、疾病を防ぐ方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、疾病は、組織浸潤疾病、組織移行疾病、組織浸潤疾病、またはその組み合わせである。いくつかの実施形態では、疾病は癌を含む。いくつかの実施形態では、癌は、大腸癌、扁平上皮癌、頭頚部癌、膵臓癌、乳癌、骨髄性白血病、基底細胞癌、滑膜肉腫、非小細胞肺癌、固形腫瘍、または前立腺癌を含む。いくつかの実施形態では、疾病は子宮内膜症を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドはβ-カテニンに結合する。いくつかの実施形態では、ペプチドはβ-カテニンを阻害する。いくつかの実施形態では、ペプチドは細胞質β-カテニンに結合する。いくつかの実施形態では、ペプチドは細胞質β-カテニンに結合して、細胞の核へのβ-カテニンの移行を阻害する。いくつかの実施形態では、ペプチドは細胞質β-カテニンに結合して、膜結合β-カテニンの量を維持するか、または増大させる。いくつかの実施形態では、ペプチドは細胞質β-カテニンに結合して、β-カテニンが癌遺伝子、マトリックスメタロプロテアーゼ 9(MMP9)、またはクロライドC3チャネル(ClC-3)への転写因子として作用するのを防ぐ。いくつかの実施形態では、ペプチドは、EMS細胞の形質転換、浸潤、遊走、線維化、またはそれらの任意の組み合わせを防ぐ。いくつかの実施形態では、ペプチドは、β-カテニンがエストロゲン受容体(ESR1)に結合するのを防ぐ。いくつかの実施形態では、ペプチドは細胞質β-カテニンに結合し、β-カテニンの膜活性は減少しない。いくつかの実施形態では、ペプチドは、細胞質β-カテニンに結合し、β-カテニン-E-カドヘリン結合は影響を受けない。いくつかの実施形態では、ペプチドは発癌性転写因子活性を防ぐ。いくつかの実施形態では、被験体の細胞中の核β-カテニンの量は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも100%減少する。いくつかの実施形態では、核β-カテニンの減少は、治療上有効な量の医薬組成物を投与されなかった対照被験体の細胞に対するものである。いくつかの実施形態では、核β-カテニンの減少は、被験体が子宮内膜症または組織浸潤性疾病(tissue-infiltrating condition)を発症する前に得られた被験体の細胞に対するものである。いくつかの実施形態では、核β-カテニンの減少は、異なる時点で得られた被験体の細胞に対するものである。いくつかの実施形態では、治療上有効な量は約0.01mg~約1000mgである。いくつかの実施形態では、ペプチドまたは医薬組成物は静脈内に投与される。いくつかの実施形態では、ペプチドまたは医薬組成物は筋肉内に投与される。いくつかの実施形態では、ペプチドまたは医薬組成物は、骨粗鬆症を処置するための薬物の投与と同時に投与される。いくつかの実施形態では、骨粗鬆症を処置するための薬物は、アレンドロネート、イバンドロネート、リセドロネート、ゾレドロン酸、デノスマブ、カルシトニン、エストロゲン、ラロキシフェン、バゾドキシフェン(bazodoxifene)、テリパラチド、アバロパラチド(abaloparatide)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、骨粗鬆症を処置するための薬物はゾレドロン酸である。
時間制御方式でペプチドを放出するように製剤化された、配列番号:215または393のアミノ酸配列を含むペプチドを含む膣内装置が本明細書で提供され、ここで、上記ペプチドはβ-カテニンに結合し、ここで、上記ペプチドは、細胞の核へのβ-カテニンの移行を阻害し、ここで、上記ペプチドは、膜中のE-カドヘリンに結合するβ-カテニンを減少させず、およびここで、上記ペプチドは、被験体の子宮内膜症病変または子宮内膜症に関連する他の症状の大きさおよび重症度を減少させる。
引用による組み込み
本明細書で言及される全ての出版物、特許、および特許出願は、あたかも個々の出版物、特許、または特許出願が参照によって組み込まれるよう具体的かつ個別に示されるかのように、同じ程度まで参照により本明細書に組み込まれる。
「オフ(Off)」および「オン(On)」状態のWnt/β-カテニンシグナル伝達経路を示す。 β-カテニン阻害ペプチドとインキュベートされたWnt反応性プロモーターによって制御された、トランスフェクトされたレポーター細胞におけるルシフェラーゼ発現を示す。 β-カテニン阻害ペプチド(配列番号:264および配列番号:396)とのインキュベーション後のβ-カテニン発現細胞株における細胞増殖を示す。 配列番号:42に対応するβ-カテニン阻害ペプチドの存在下でのE-カドヘリン結合を示す。 β-カテニンに対するペプチド阻害剤が病変の退縮を引き起こすことを示す。図4Aは、発情周期段階を評価するための毎日の腟スミアの分析を示す。 β-カテニンに対するペプチド阻害剤が病変の退縮を引き起こすことを示す。図4Bは、ペプチド2(配列番号:215)が病変の退縮を実証することを示す。 β-カテニンに対するペプチド阻害剤が病変の退縮を引き起こすことを示す。図4Cは、ビヒクルまたはペプチド2のいずれかで処置された病変の画像を示す。病変(L)の2つの画像が各処置について示される。ドナーマウスは緑色蛍光タンパク質を発現し、病変は緑色である。拡大率=7.5倍。 Aは、ビヒクルのみで処置されたマウスのEMS病変から得られた試料の組織構造を示す。Bは、ペプチド2で処置されたマウスのEMS病変から得られた試料の組織構造を示す。 β-カテニンが治療用ペプチドによる処置後に核に局地化されないこと、および、ペプチド阻害剤がb-カテニン局在化パターンに従うことを示すために染色された、マウスモデルの子宮内膜症病変の20倍拡大での代表的なスライドを示す。 対照で処置されたマウスと比べて、ペプチドで処置された試料の膜にβ-カテニンがより局在化することを示す、染色されたマウスモデルの子宮内膜症病変の120倍の拡大での代表的なスライドを示す。 Aは、治療用ペプチドで処置された病変と未処置対照との膜結合β-カテニン定量化を比較する。Bは、治療用ペプチドで処置された病変と未処置対照との核β-カテニンの定量化を比較する。 治療用ペプチドが、既知の陽性対照(ICG001)よりも大幅にWnt経路の遺伝子転写を阻害することを示す。 治療用ペプチドが、既知の陽性対照(ICG001)よりも大幅にWnt経路の遺伝子転写を阻害することを示す。 配列番号:404を有するペプチドを使用した蛍光偏光アッセイの結果を示す。
例えば、各種疾患および疾病の処置のために、処置療法と併せて使用される薬剤、組成物、方法、および製品が本明細書で提供される。場合によっては、疾患および疾病は子宮内膜症を含み得る。上記方法は、阻害剤、または組成物、製剤、あるいは阻害剤を含む装置を被験体に投与する工程を含み得る。例示的な阻害剤はβ-カテニン阻害剤を含む。阻害剤は、単離されたペプチドまたはペプチドの組み合わせなどのペプチドを含み得る。
I.定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語、表記法、およびその他の技術用語および科学用語または専門用語は、請求される主題が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。場合によっては、一般に理解されている意味を持つ用語は、明確にするため、および/またはすぐに参照できるように本明細書で定義され、本明細書にそのような定義を含めることは、当技術分野で一般に理解されているものに対して実質的な違いを表すと必ずしも解釈されるべきではない。
本出願の全体にわたって、様々な実施形態が範囲形式(range format)で提示され得る。範囲形式の記載は単に利便性と簡潔さのためのものであり、本開示の範囲に対する確固たる限定として解釈されるべきでないことを理解されたい。したがって、範囲の記載は、すべての可能な部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数値を具体的に開示したものであると考慮されなければならない。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6といった、具体的に開示されたサブ範囲、同様に、例えば1、2、3、4、5、および6といった範囲内にある個々の数字を有するものとして考慮されなければならない。これは、範囲の広さにかかわらず適用される。
本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、「a」、「and」、および「the」は、文脈が他のことを明確に示していない限り、複数の参照を含む。例えば、「試料」との用語は複数の試料を含み、その混合物も含む。
「判定すること(determining)」、「測定すること(measuring)」、「評価すること(evaluating)」、「評価すること(assessing)」、「分析すること(assaying)」、および「分析すること(analyzing)」はしばしば、測定の形態を指し、かつ1つの要素の存在の有無を判定すること(例えば、検出)を含むように、本明細書で互換的に使用される。このような用語は、定量的、質的、または定量的かつ質的な判定を含み得る。評価は、代替的に、相対的または絶対的である。「~の存在を検出すること」とは、存在するものの量を判定すること、ならびに、その存在の有無を判定することを含む。
「被験体」、「個体」、または「患者」との用語はしばしば、本明細書で互換的に使用される。「被験体」は、発現された遺伝物質を含む生物学的実体であり得る。生物学的実体は、例えば、細菌、ウィルス、真菌、および原生動物を含む、植物、動物、または微生物であり得る。被験体は、インビボで得られたか、またはインビトロで培養された生物学的実体の組織、細胞、およびそれらの子孫であり得る。被験体は哺乳動物で有り得る。哺乳動物はヒトで有り得る。被験体は、疾患のリスクが高いと診断されるか、またはそうであると疑われる場合がある。疾患は子宮内膜症であり得る。場合によっては、被験体は必ずしも、疾患のリスクが高いと診断されるか、またはそうであると疑われるとは限らない。
「インビボ」との用語は、被験体の身体で生じる事象を説明するために使用される。
「インビトロ」との用語は、被験体の身体の外部で生じる事象を説明するために使用される。「エクスビボ」アッセイは、被験体に対して行なわれない。むしろ、これは被験体とは別の試料で行われる。試料に対して行われる「エクスビボ」アッセイの例は、「インビトロ」アッセイである。
「インビトロ」との用語は、物質が得られる生物源の生体から実験用試薬を分離する実験用試薬を保持するための容器で生じる事象を説明するために使用される。インビトロのアッセイは、生きているまたは死んでいる細胞が利用される、細胞ベースのアッセイを包含し得る。インビトロのアッセイはまた、無傷の細胞が利用されない無細胞のアッセイを包含し得る。
本明細書で使用されるように、「約」との用語が付く数字は、その数字のプラスまたはマイナス10%の数字を指す。「約」との用語の付く範囲は、最低値のマイナス10%、および最大値のプラス10%の範囲を指す。
本明細書で使用されるように、「処置(treatment)」または「処置すること(treating)」との用語は、レシピエントにおける有益あるいは所望の結果を得るための医薬的もしくはその他の介入レジメンに関して使用されるものである。有益あるいは所望の結果は、限定されないが、治療利点および/または予防利点を含む。治療利点は、処置されている症状または根本的な障害の根絶あるいは寛解を指し得る。また、治療効果は、被験体が未だに根本的な障害による影響を受ける可能性があるもかかわらず、被験体において改善が観察されるように、根本的な障害に関連する生理学的症状の1以上を根絶または寛解することによって達成され得る。予防効果は、疾患または疾病の出現を遅延、予防、あるいは排除すること、疾患または疾病の症状の発症を遅延あるいは排除すること、疾患または疾病の進行を遅くするか、止めるか、あるいは好転させること、もしくはそれらの任意の組み合わせを含む。予防効果に関して、特定の疾患を進行させるリスクがある被験体、または、疾患の生理学低症状の1以上を報告する被験体は、たとえこの疾患の診断がなされていない場合でも、処置を受けることがある。
本明細書に使用される配列で使用される用語の多くの略語が、表1で定義される。
Figure 2022510606000002
Figure 2022510606000003
本明細書で使用されている節の見出しは、整理を目的としたものであり、記載されている主題を限定するものとして解釈されるものではない。
II.WNT古典的経路/Β-カテニン
Wnt経路は、遺伝子発現、細胞挙動、細胞接着、および細胞極性の制御に関与する。古典的(β-カテニン依存性)Wntシグナル伝達経路は、Wnt経路の中でも最もよく研究されており、進化を通じて高度に保存される。この経路では、Wntシグナル伝達は、多くの遺伝子の転写を調節することができるβ-カテニンの分解を阻害する。Wntシグナル伝達は、7つの膜貫通frizzledタンパク質およびLRP5/6で構成されるそれぞれの二量体細胞表面受容体へのWntタンパク質のライゲーションによって活性化される。それらの受容体へのライゲーションの際に、細胞質タンパク質disheveled(Dvl)が動員され、リン酸化され、活性化される。Dvlの活性化は、GSK-3βのAxinからの解離を誘導し、GSK-3βの阻害を引き起こす。次に、「分解複合体」の不活性化の結果、β-カテニンのリン酸化および分解が阻害される。その後、安定したβ-カテニンが核に移行し、様々な標的遺伝子発現の変化を引き起こす。
正常細胞では、図1に示されるように、β-カテニンは典型的に、細胞膜でE-カドヘリンに結合し、Wnt経路によって調節される。正常な婦人科学的上皮(gynecological epithelia)では、高濃度のβ-カテニンがしばしば膜で見られ、低濃度のβ-カテニンが細胞質および核で見られる(Aberle,H.,et al.,EMBO J 16,3797-3804,1997; Jha,R.K.,et al.,FEBS Lett 580,5653-5660,2006; Lee,K.Y.,et al.,Trends Endocrinol Metab 18,234-239,2007; Jeong,J.W.et al.,Oncogene 28,31-40,2009、これらの各々が開示のために参照により本明細書に組み込まれる)。Wnt/β-カテニンシグナル伝達経路は「オフ」になり、β-カテニンは分解複合体と相互作用し、それによりβ-カテニンをリン酸化してプロテアソーム分解のための標的とする。
反対に、Wnt経路調節異常では、β-カテニンはしばしば膜から解離し、細胞質内に蓄積する。細胞質内に蓄積すると、β-カテニンはしばしば核に移行することができ、そこで、β-カテニンは癌遺伝子(Clevers,H.,Cell 127,469-480,2006)、マトリックスメタロプロテアーゼ 9(MMP9)、クロライド3チャネル(ClC-3)、および他のWntの経路活性化タンパク質への転写因子として機能することができる。これらのタンパク質は、EMS細胞の形質転換、浸潤、遊走、および線維化を開始することができると考えられる(Guan,Y.T.et al.,Hum Reprod 31,986-998,2016)(Matsuzaki,S.et al.,Mol Cell Ther 2,36,2014)(Zhang,L.et al.,Biol Reprod 94,70,2016)(Zhang,L.et al.,Mol Hum Reprod 22,526-535,2016)。形質導入経路が「オン」の状態であるとき、細胞質β-カテニンは蓄積し、核内に移行し、転写因子(ER-αを含む)に結合し、WNT標的遺伝子の転写を刺激することで、例えば、ClC3、MMP9、およびSOXを産生する。
EMSでは、β-カテニンは、受容体調節異常または体細胞突然変異のいずれかによって膜から分離することが多い。そのβ-カテニンは、エストロゲン受容体(ESR1)に結合して核内に移行すると考えられ、そこでonco/endogenesを活性化して病変を引き起こすと考えられる(Valentijn,A.J.et al.,Hum Reprod 28,2695-2708,2013)(Kouzmenko,A.P.et al.,J Biol Chem 279,40255-40258,2004)。
β-カテニンの膜活性の維持は、正常細胞の特徴であると考えられる;E-カドヘリンとβ-カテニンの膜結合を妨害するWntアンタゴニストは、細胞質β-カテニンの濃度および細胞移動性を増大させると考えられる。このことは、望ましくない癌原遺伝子のような効果を結果としてもたらす場合がある(Onder,T.T.et al.,Cancer Res 68,3645-3654,2008)。したがって、β-カテニンの核移行および発癌性転写因子活性を阻害することができる、細胞質β-カテニンに特異的なWntアンタゴニストは、EMSの処置のための魅力的なアプローチとなる(Matsuzaki,S.et al.,Mol Cell Ther 2,36,2014; Xiong,W.et al.,Reproduction 150,507-516,2015; Pazhohan,A.et al.,Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol 220,1-5,2018、これらの各々はそのような開示のために参照により本明細書に組み込まれる)。
Wnt経路の調節異常は、EMSのすべての病変サブタイプに存在すると考えられる。例えば、細胞質β-カテニンは核に移行して標的遺伝子を活性化する。β-カテニンが核に移行するのを防ぐことにより、上流受容体の標的化からの望まれない副作用を引き起こすことなく、EMSの下流のイニシエーターを標的とする。Wntアンタゴニストは子宮内膜病変(endometriotic lesions)を回復に向かわせることができる。現在まで、4つのWntアンタゴニスト(PKF 115-584、CGP049090、ニクロサミド、およびβ-カテニンsiRNA)が、EMSのサブタイプにわたってEMS病変進行を好転させることに成功し;オフターゲット効果により臨床試験に進んだものはない。過剰な細胞質β-カテニンの移行を阻害し、β-カテニン:E-カドヘリン相互作用を妨害することなくその転写因子活性を阻害して、膜タンパク質機能を維持する治療剤は、現在当技術分野で熟慮される治療法よりも大幅に改善されたものになる。
正常な子宮機能は、典型的には、不活性化された古典的Wnt経路と、主にE-カドヘリン膜複合体と会合するβ-カテニンとを含む(図1)。Wnt経路のホルモン活性化によりβ-カテニンが細胞質内に放出されて核に移行し、これにより、核転写活性が活性化されてEMS病因を引き起こす。
A.β-カテニン阻害剤
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物はβ-カテニン阻害剤を含む。β-カテニン阻害剤は、例えば、EMSおよびその関連症状を処置するか、阻害するか、防ぐか、または減少させることを含む、様々な治療設定に有用であり得る。そのような阻害剤は、EMS病因に直接対処し、疾患進行を好転させ、および、EMSの再発を防ぐか、または遅らせることができる可能性がある。場合によっては、β-カテニン阻害剤は、既存のEMS病変を縮小することができる。場合によっては、β-カテニン阻害剤は、EMSの根本的な原因の1つであると考えられるWnt経路の調節異常を阻害することができる。β-カテニン阻害剤は、子宮内膜細胞侵襲性を防ぐことにより、EMS病因を制限することができる場合がある。代替的にまたは加えて、β-カテニン阻害剤は、上皮間葉転換(EMT)を抑制することができる。この抑制は、子宮内膜病変の増殖を制限することができる。代替的にまたは加えて、β-カテニン阻害剤は、TGF-β1およびWnt1のパラクリン産生を減少させることができる場合もあり、これにより、卵巣子宮内膜腫における線維化を減少させることができる。さらに、β-カテニン阻害剤は、MMP9発現を減少させることができる場合もあり、その結果、血管新生を減少させることができる。血管新生の阻害または減少により、子宮内膜細胞が子宮の外部で増殖する能力を阻害することができる。
例示的な利点として、標的化β-カテニンは、標的とする上流受容体に関連する望まれない副作用を低減することができる。場合によっては、これらの副作用には、過剰なエストロゲン産生が含まれ得る。場合によっては、阻害剤は、β-カテニンが細胞質から核に移行する能力を優先的に阻害する。場合によっては、阻害剤が、β-カテニンの転写活性を優先的に阻害する。これらの例示的な特徴は、β-カテニンの膜機能をほとんどまたは完全に元のまま都合よく残すことができ、これにより、場合によっては、Wnt機能の阻害に関連する副作用を低減することができる。したがって、場合によっては、阻害剤は、細胞膜へのβ-カテニンの結合を阻害しない。
場合によっては、上記阻害剤は、β-カテニンが結合因子に結合する能力を妨害せず、これによって、副作用を引き起こす可能性がある。例えば、いくつかの態様において、阻害剤は、β-カテニンおよびE-カドヘリンまたは大腸腺腫様ポリポーシス(APC)の間の結合または相互作用を妨害しない場合があるか、あるいは、核TCFがDNAに結合するのを妨害しない場合がある。
1.ペプチド
いくつかの実施形態では、β-カテニン阻害剤はペプチドを含む。場合によっては、ペプチドは、β-カテニンに結合するタンパク質またはペプチドに対応し、例えば、そのタンパク質またはペプチドに基づくか、あるいは由来する。場合によっては、ペプチドは合成ペプチド配列を含有している。
本明細書に記載されるペプチドは、それらの所望の標的に対する親和性、吸収度または細胞取込、安定性、プロテアーゼ耐性、および他の要因のために最適化され得る。その意図した標的に対するペプチドの親和性は、様々な方法を使用して修飾することができる。例えば、親和性は、アミノ酸置換を用いて改善することができる。さらに、ペプチドのサイズの変更、環化の位置の変更、疎水性の増加、および、アミノ酸の修飾またはペプチドの構造内への人工アミノ酸の取り込みは、ペプチドの親和性に影響を与える場合がある。例示的な修飾は、N-メチルおよびアルファ-メチルアミノ酸を取り込むことを含む。
提供される実施形態の中には、本明細書に記載されるペプチドと同じまたは類似する構造および特性を含むペプチド模倣剤がある。そのようなペプチド模倣剤は、ペプチドを模倣するように設計される小さなタンパク質様鎖を含む。これらは、ペプチドの修飾を含むか、またはペプトイドおよびβ-ペプチドなどのペプチドを模倣する同様の系の設計によるペプチド模倣剤を含む。
表4に表記されるように、例示的なペプチドは配列番号:1~配列番号:500を含む。ペプチドは通常、2つのファミリーのうちの1つにおいて同定される:一方は、TCF4/β-カテニン結合領域と相同性を有するもの、他方は、β-カテニン結合ステープルペプチドと同様の配列を有するものである。場合によっては、ペプチドは、配列番号:1~配列番号:のうちのいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
代替的にまたは加えて、ペプチドは、式X-X-X-X-X-X-X-X-X-X10-X11-X12-X13-X14-X15-X16を有する配列を含み得る。いくつかの実施形態では、XはMまたはヌルである。いくつかの実施形態では、Xは、S、I、G、T、A、L、またはヌルであり;Xは、R、Kまたはヌルである。いくつかの実施形態では、Xは、正に荷電したアミノ酸、シトルリン、Orn、D、E、8-アミノオクタン酸、または4~12の炭素を有するアミノカルボン酸である。いくつかの実施形態では、Xは、M、ノルロイシン、Orn、D、E、K、H、R、K、8-アミノオクタン酸、4~12の炭素を有するアミノカルボン酸、またはヌルである。いくつかの実施形態では、Xは、W、Y、F、またはN-メチルAである。いくつかの実施形態では、Xは、F、I、L、Chg、Cha、またはTleである。いくつかの実施形態では、Xは、L、I、またはAである。いくつかの実施形態では、Xは、L、I、またはAである。いくつかの実施形態では、X10は、C、S、A、Abu、C(me)、またはS(Bzl)である。いくつかの実施形態では、X11は、F、H、A、K、E、Chg、CngまたはOrnである。いくつかの実施形態では、X12は、W、Y、A、またはFである。いくつかの実施形態では、X13は、G、GABA、またはヌルである。いくつかの実施形態では、Xは、Mまたはヌルであり;Xは、S、I、G、T、A、L、またはヌルであり;Xは、R、K、またはヌルであり;Xは、正に荷電したアミノ酸、シトルリン、Orn、D、E、8-アミノオクタン酸、または4~12の炭素を有するアミノカルボン酸であり;Xは、M、ノルロイシン、Orn、D、E、K、H、R、K、8-アミノオクタン酸、4~12の炭素を有するアミノカルボン酸、またはヌルであり;Xは、W、Y、F、またはN-メチルAであり;Xは、F、I、L、Chg、Cha、またはTleであり;Xは、L、I、またはAであり;Xは、L、I、またはAであり;X10は、C、S、A、Abu、C(me)、またはS(Bzl)であり;X11は、F、H、A、K、E、Chg、Cng、またはOrnであり;X12は、W、Y、A、またはFであり;および、X13は、G、GABA、またはヌルである。
代替的にまたは加えて、ペプチドは、式R-X-X-X-X-X-X-X-X-X-X10-X11-X12-X13-X14-X15-X16を有する配列を含み得る。いくつかの実施形態では、Rは、NH、アセチル化、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、C-C炭化水素、C-C脂肪酸、またはヌルである。いくつかの実施形態では、Xは、M、G、ベータアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、またはヌルである。いくつかの実施形態では、Xは、W、N-メチルW、R、Y、F、シトルリン、またはKである。いくつかの実施形態では、Xは、P、W、N-メチル-W、N-エチル-W、N-メチルA、N-エチルA、L、Pip、Aib、Y、またはFである。いくつかの実施形態では、Xは、E、Q、N、またはDである。いくつかの実施形態では、Xは、S、αメチル、S、K、D、Orn、T、またはEである。いくつかの実施形態では、Xは、I、Chg、H、またはLである。いくつかの実施形態では、Xは、LまたはIである。いくつかの実施形態では、Xは、D、N、E、またはQである。いくつかの実施形態では、Xは、D、E、K、Q、またはOrnである。いくつかの実施形態では、X10は、Hまたはメチル-Hである。いくつかの実施形態では、X11は、V、αメチルV、Chg、L、I、またはノルバリンである。いくつかの実施形態では、X12は、Q、Aib、S、R、またはNである。いくつかの実施形態では、X13は、R、K、シトルリン、Orn、D、またはEである。いくつかの実施形態では、X14は、V、I、L、またはノルバリンである。いくつかの実施形態では、X15は、W、Y、またはFである。いくつかの実施形態では、X16は、R、G、またはヌルである。いくつかの実施形態では、Rは、NH、アセチル化、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、C-C炭化水素、C-C脂肪酸、またはヌルであり;Xは、M、G、βアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、またはヌルであり;Xは、W、N-メチルW、R、Y、F、シトルリン、またはKであり;Xは、P、W、N-メチル-W、N-エチル-W、N-メチルA、N-エチルA、L、Pip、Aib、Y、またはFであり;Xは、E、Q、N、またはDであり;Xは、S、αメチルS、K、D、Orn、T、またはEであり;Xは、I、Chg、H、またはLであり;Xは、LまたはIであり;Xは、D、N、E、またはQであり;Xは、D、E、K、Q、またはOrnであり;X10は、Hまたはメチル-Hであり;X11は、V、αメチルV、Chg、L、I、またはノルバリンであり;X12は、Q、Aib、S、R、またはNであり;X13は、R、K、シトルリン、Orn、D、またはEであり;X14は、V、I、L、またはノルバリンであり;X15は、W、Y、またはFであり;および、X16は、R、G、またはヌルである。
場合によっては、極性基または荷電基をペプチドから除去して、親和性または透過性を増大させることができる。例えば、ロイシンまたはイソロイシンはしばしば、シクロヘキシルグリシンと置き換えられてもよい。
いくつかの実施形態では、ペプチドは3~80のアミノ酸の長さであり得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49、少なくとも50、少なくとも51、少なくとも52、少なくとも53、少なくとも54、少なくとも55、少なくとも56、少なくとも57、少なくとも58、少なくとも59、少なくとも60、少なくとも61、少なくとも62、少なくとも63、少なくとも64、少なくとも65、少なくとも66、少なくとも67、少なくとも68、少なくとも69、少なくとも70、少なくとも71、少なくとも72、少なくとも73、少なくとも74、少なくとも75、少なくとも76、少なくとも77、少なくとも78、少なくとも79、少なくとも80、または少なくとも81のアミノ酸残基の長さであり得る。
いくつかの実施形態では、ペプチドは、4未満、5未満、6未満、7未満、8未満、9未満、10未満、11未満、12未満、13未満、14未満、15未満、16未満、17未満、18未満、19未満、20未満、21未満、22未満、23未満、24未満、25未満、26未満、27未満、28未満、29未満、30未満、31未満、32未満、33未満、34未満、35未満、36未満、37未満、38未満、39未満、40未満、41未満、42未満、43未満、44未満、45未満、46未満、47未満、48未満、49未満、50未満、51未満、52未満、53未満、54未満、55未満、56未満、57未満、58未満、59未満、60未満、61未満、62未満、63未満、64未満、65未満、66未満、67未満、68未満、69未満、70未満、71未満、72未満、73未満、74未満、75未満、76未満、77未満、78未満、79未満、80未満、または81未満のアミノ酸残基の長さであり得る。
いくつかの実施形態では、ペプチドは、TCF4と相同性を示し得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、TCF4と約10%~約100%の相同性を示す。いくつかの実施形態では、ペプチドは、TCF4と約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約100%の相同性を示す。
いくつかの実施形態では、ペプチドは、axinと相同性を示し得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、axinと約10%~約100%の相同性を示す。いくつかの実施形態では、ペプチドは、axinと約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、または約100%の相同性を示す。
a.ペプチド合成方法
本明細書に記載されるペプチドは、合成法によって産生することができる。
例えば、固相ペプチド合成(SPPS)は、不溶性の多孔質支持体上でのアミノ酸誘導体の逐次反応によって、ペプチド鎖の迅速な組み立てを可能にする。
固体支持体は、発生期のペプチド鎖に連結する反応基(アミン基またはヒドロキシル基など)で官能化された小さな高分子樹脂ビーズをしばしば含む。ペプチドが合成の間ずっと支持体に共有結合されたままであるため、洗浄および濾過によって過剰な試薬および副産物を除去することができる。
ペプチド鎖のN末端に結合するアミノ酸はそれぞれ、側鎖および使用される保護戦略に応じて、Boc(酸不安定(acid-labile))またはFmoc(塩基不安定(base-labile))などの適切な保護基を使用して、そのN末端と側鎖上で保護することができる(以下を参照)。
一般的なSPPS手順は通常、N末端基脱保護およびカップリング反応の反復サイクルの1つである。樹脂は各工程間で洗浄されてもよい。初めに、アミノ酸を樹脂にカップリングさせることが多い。次に、アミンを通常、脱保護し、その後、第2のアミノ酸の遊離酸とカップリングする。所望の配列が合成されるまで、このサイクルは繰り返すことができる。SPPSサイクルはさらに、未反応のアミノ酸の末端が反応しないようにブロックすることができるキャッピング工程を含むことがある。合成の終わりに、粗ペプチドを固体支持体から切断することができる。この工程は、トリフルオロ酢酸のような強酸または求核分子を使用して、一斉にすべての保護基を除去することをしばしば含み得る。有機可溶性副生成物を除去するために、粗ペプチドをジエチルエーテルのような無極性溶媒から沈殿させることができる。粗ペプチドは、逆相HPLCを使用して精製することができる。副産物を、MCSGPプロセスなどの連続クロマトグラフィーを使用して除去し、純度レベルを犠牲にすることなく、収率を最大化することができる。
b.ペプチドを環化するための方法
本明細書に記載されるペプチドは、環状ペプチドであってもよい。環状ペプチドはしばしば、強力な立体配座安定性および生体内安定性を有する安定したペプチドアナログである。環状ペプチドは、ある状況でいくつかの利点をもたらし得る。例えば、環状ペプチドはしばしば、非環状対応物よりもプロテアーゼへの耐性が高いため、より低速で新陳代謝する;他方では、環状ペプチドは、対応する線形の対応物よりも長時間作用性のデポ効果を有する。環状ペプチドは、活性ペプチド(例えば、ペプチドホルモン)の構造を模倣するために使用することができ、インビボの薬物標的に結合することができる。
1)ジスルフィド架橋Cys-Cysチオール酸化
本明細書に記載されるペプチドは、ジスルフィド架橋を使用して環化され得る。ペプチドジスルフィド架橋は、システインまたはシステインアナログの側鎖からの2つのチオール(SH)基を連結することができる。望ましくない結合を、適切な保護基化学を使用することによって防ぎ、特異的な分子内酸化または分子間酸化のいずれかを達成することができる。一般的に、ジスルフィド架橋は、ホモ二量体(2つの同一のペプチド)またはヘテロ二量体(2つの異なるペプチド)のいずれかをもたらす分子間(ジスルフィド架橋を介して2つのペプチド分子が連結される)、あるいは、分子内(1つのペプチド分子内の環化)で形成することができる。
2)アミド結合形成、ラクタム形成
環状ペプチドはさらに、アミド結合を介してペプチドのアミノ(N)末端をカルボキシル(C)末端に連結することによって合成され得る。LysおよびOrnのアミノ側鎖、ならびに、AspおよびGluのカルボキシル側鎖も、アミド結合を介して環状ペプチドを構築するために使用されてもよい。ペプチドの官能基に応じて、環状ペプチド合成はしばしば、4つの異なる方法のうち1つを使用する:N末端とC末端の間のヘッド-テール;N末端と内部COOHとの間のヘッド-側鎖(例えば、Aspのs-COOH基またはGluのγ-COOH基);内部NHsとC末端との間の側鎖-テール(例えば、Lysのε-NH-基);および、内部NHと内部COOHの間の側鎖-側鎖(例えば、Aspのs-COOH基またはGluのγ-COOH基のいずれかを有するLyのε-NH-基)。
3)ステープルペプチド合成
本明細書に記載されるペプチドは、ステープルペプチド合成を使用して環化され得る。ペプチドステープリング(Peptide stapling)は、様々な長さの末端オレフィンテザー(terminal olefin tether)を有する、α,α二置換の非天然アミノ酸を取り込むことによって典型的に達成される。後続するオレフィンメタセシスは、ペプチドを環化するために、アミノ酸側鎖間の炭素-炭素結合テザーを作製する。あるいは、ステープルペプチドは、当技術分野で一般に知られているFmoc固相合成化学を使用して生成され得る。ステープルペプチドは、タンパク質間相互作用の界面で典型的に見られる分子構造を模倣することができる化学的にロックされた立体配座構造を有する。この安定した配置にロックされると、拘束ペプチド(constraint peptides)は細胞に浸透することができ、細胞内のタンパク質標的に対してその効果を発揮することができる。ペプチドの大きな表面積は、標的とされるタンパク質間相互作用を阻害することにより特定のシグナル伝達経路を妨害するその能力において、小分子よりも優れている。
4)ペプチド環化のためのクリックケミストリー
本明細書に記載されるペプチドはさらに、クリック化学を使用して環化され得る。アルキン基で修正された、保護されたアミノ酸の様々な組み合わせを使用して、クリック可能な官能基は、合成時にペプチド取り込まれ得、その後アジド酸とクリック反応する。結果として生じるペプチドは、樹脂から分離されてトリアゾール含有ペプチドをもたらす。これらの官能基はさらに、合成後の修飾により導入されて、構造的に拘束されたペプチドを産生することができる。
c.ペプチド安定性を向上させる方法
本明細書に記載されるペプチドは、安定性を向上させるために修飾され得る。N-メチル修飾はペプチドリガンドの機能および安定性を向上させることができることが一般に示されている(Fiacco et al.,Chembiochem 2008,9(14):2200; Fiacco et al.,Chembiochem 2016,17(17):1643、それらの各々はそのような開示のために参照より本明細書に組み込まれる)。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、ペプチドは、天然アミノ酸に対する1つ以上のN-メチルアナログを用いて修飾される。1つ以上のN-メチルアミノ酸の取り込みにより、タンパク質分解耐性を、天然残基からなるペプチドの抵抗の10倍~10000倍に増大させることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のN-メチルアミノ酸を含有するペプチドのタンパク質分解耐性は、天然残基からなるペプチドの抵抗の少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、少なくとも200倍、少なくとも400倍、少なくとも500倍、少なくとも600倍、少なくとも700倍、少なくとも800倍、少なくとも900倍、少なくとも1000倍、少なくとも2000倍、少なくとも3000倍、少なくとも4000倍、少なくとも5000倍、少なくとも6000倍、少なくとも7000倍、少なくとも8000倍、少なくとも9000倍、少なくとも10,000倍である。
III.特徴付けアッセイ
A.表面プラズモン共鳴
表面プラズモン共鳴(SPR)は、リアルタイムで標識されていない反応体の検出を可能にする光学現象である。Biacore(登録商標)T100システム(Biacore(登録商標)、Uppsala、Sweden)などのSPRベースのバイオセンサは、活性濃度の決定、ならびに、親和性および化学速度論の両方の点における分子の相互作用の特性付けに使用され得る。表面の最大結合能(飽和時の応答)は、Biacore(登録商標)システム(GE)の説明書を使用して計算され得る。結合レベルは、表面の少なくとも20%~80%の飽和の分析物濃度の範囲にわたって決定される。オンレート(on rates)、オフレート(off rates)、およびKDは、Biacore(登録商標)Insight Evaluation So0ftware(GE)を使用して計算される。50%の飽和での濃度は、これらの一連の希釈から計算され、KD50として示される。本明細書に記載されるライブラリから選択されたペプチドの結合速度論および熱力学が、表5に表示される。例示的な方法は実施例11に記載される。
いくつかの例では、本明細書に記載されるペプチドは、約30uMより大きい結合親和性(KD)を含む。いくつかの例では、本明細書に記載されるペプチドは、約30uM未満、約10uM未満、約5uM未満、約1uM未満、約500nm未満、約400nM未満、約300nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約50nm未満、または約10nm未満の結合親和性(KD)を含む。
B.蛍光偏光(FP)
蛍光偏光(FP)は、タンパク質-リガンド相互作用を分析するために使用される別の方法である。この方法は、溶液中の別の化合物に結合した標識化合物に対する、上記別の化合物に結合しない標識化合物によって発せられた蛍光光の変化を測定する。複合体に蛍光分子が結合すると、蛍光トレーサの回転が制限されるため偏光が増大する。競合FPは、プレート形式でハイスループットスクリーン用にフォーマットされるため、薬物スクリーンでしばしば利用される。この免疫学的アッセイは、標識された競合リガンド複合体への結合を競合する非結合薬物を導入し、偏光の減少をもたらすことによって実施される。TCF4タンパク質は、(1)このタンパク質がWnt経路の完全な活性化に影響を及ぼし、(2)β-カテニン阻害剤と相同性を共有するため、競合アッセイに利用される。例示的な方法が実施例13に記載される。データを、Microsoft Excel(Microsoft,Redmond,WA)で分析およびプロットした。結果として生じるKD50を、表5で示されるように計算した。
C.Wnt-依存性ルシフェラーゼレポーターアッセイ
ルシフェラーゼレポーターアッセイは、転写レベルで遺伝子発現を試験するためのツールとして一般的に使用される。本明細書に記載されるライブラリからのペプチドを、Wnt反応性プロモーターによって制御されたルシフェラーゼ発現を有する細胞の転写を抑制する能力について特徴付けた。Wnt反応性プロモーターの下流のルシフェラーゼ遺伝子でトランスフェクトされた細胞に、ペプチドを添加した。細胞をWnt3aタンパク質で刺激し、本明細書に記載されるライブラリからのペプチドとインキュベートした。発光を記録して、最も高いβ-カテニン阻害活性を有するペプチドを決定した。EC50値を発光の阻害に基づいて計算し、表5に濃度(uM)として表す。
D.細胞増殖アッセイ
β-カテニンを阻害するペプチドは、結腸癌細胞株(SW480)における細胞生存率の低下、および、疾患動物モデルから切除された子宮内膜症の病変を引き起こす。本明細書に記載されるライブラリからのペプチドを、発光細胞生存率アッセイ(Cell Titer-Glo(登録商標)、Promega、Madison、WI)を使用して測定されて表5でIC50として表される、細胞の生存率に対する効果において特徴付けた。
いくつかの例では、本明細書に記載されるペプチドは、30uMより大きいIC50を含む。いくつかの例では、本明細書に記載されるペプチドは、約30uM未満、約25uM未満、約22.5uM未満、約20uM未満、約15uM未満、約10uM未満、約7.5uM未満、約5uM、または約1uM未満のIC50を含む。
IV.投与
A.投与方法および処置レジメン
一実施形態では、本明細書に記載される阻害剤組成物は、β-カテニン阻害剤の投与から利益を得るだろう哺乳動物の疾患、疾病、または症状を処置するための薬物の調製に使用される。そのような処置を必要とする哺乳動物の本明細書に記載される疾患または疾病のいずれかを処置する方法は、治療上有効な量の本明細書に記載される少なくとも1つの阻害剤を含む医薬組成物を前記哺乳動物に投与する工程を含む。
本明細書に記載される組成物を用いた処置から利益を得る可能性がある疾患、疾病、または症状としては、限定されないが、子宮内膜症、子宮内膜病変、子宮内膜腫、表在性子宮内膜移植(superficial endometriotic implants)、深部子宮内膜症、慢性疼痛、中枢性感作、筋膜痛、付属器腫瘤、不妊症、月経困難症、遺伝的素因、月経時以外の骨盤-腹部の痛み、性交疼痛、腸症状(下痢、筋痙攣、便秘)、排便痛(排便困難)、卵巣腫瘤または卵巣腫、疼痛性膀胱症状、および排尿障害が挙げられる。
ある実施形態では、本明細書に記載される阻害剤を含む組成物は、予防的および/または治療的な処置のために投与される。ある治療用途では、組成物は、疾患または疾病の症状の少なくとも1つを治癒するか、または少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で、疾患または疾病に既に苦しんでいる患者に投与される。この使用に有効な量は、疾患または疾病の重症度および経過、以前の治療、患者の健康状態、体重、および薬物に対する応答、ならびに処置する医師の判断に依存する。治療上有効な量は、限定されないが、用量漸増および/または用量範囲探索の臨床試験を含む方法によって随意に決定される。
予防的な用途では、本明細書に記載される阻害剤を含む組成物は、特定の疾患、障害、または疾病になりやすい、またはそのリスクのある患者に投与される。このような量は、「予防上有効な量または投与量」であると定義される。この用途では、正確な量は患者の健康状態、体重などによっても変わる。患者に使用される際、この使用のための有効な量は、疾患、障害、または疾病の重症度および経過、以前の治療、患者の健康状態および薬物への応答、ならびに処置する医師の判断に依存する。一態様では、予防的処置は、疾患または疾病の症状の再発を防ぐために、処置されている疾患の少なくとも1つの症状を以前に経験し、現在は寛解期にある哺乳動物に、本明細書に記載される阻害を含む医薬組成物を投与する工程を含む。
患者の状態が改善されないある実施形態では、患者の疾患または疾病の症状を改善するために、またはそうでなければ管理または制限するために、医師の裁量により、阻害剤は、慢性的に、つまり、患者の生涯を含む長時間にわたって投与される。
患者の状態が改善しているある実施形態では、投与されている薬物の投与量は、一時的に減らされるか、または一定期間にわたり一時的に止められる(つまり「休薬日」)。特定の実施形態では、休薬期間の長さは、2日から1年の間であり、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、または28日より長い期間を含む。休薬期間中の用量減少は、ほんの一例として、10%~100%であり、ほんの一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、および100%を含む。
いったん患者の状態が改善すると、必要に応じて維持量が投与される。続いて、特定の実施形態では、投与の用量または頻度、またはその両方は、症状に応じて、改善された疾患、障害、または疾病が保持されるレベルまで減らされる。しかし、ある実施形態では、患者は、症状が再発すると、長期間にわたって断続的な処置を必要とする。
そのような量に相当する所定の薬剤の量は、特定の阻害剤、疾患の状態およびその重症度、処置を必要とする被験体または宿主の独自性(例えば、体重、性別)などの因子に応じて変わるが、それにもかかわらず、例えば、投与されている特定の薬剤、投与経路、処置されている疾病、および処置されている被験体または宿主を含むそのケースを取り巻く特定の状況に応じて決定される。
一般に、成人のヒトの処置に使用される投与量は、典型的には、1日あたり約0.01mg~約5000mgの範囲である。いくつかの態様では、成人のヒトの処置に利用される投与量は、1日あたり約0.01mg~約1000mgである。いくつかの実施形態では、所望の投与量は、単回投与で提供されるか、または、同時にまたは適切な間隔で投与される分割量で、例えば、1日あたり2、3、4回またはそれ以上のサブ用量として、好適に提供される。他の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、数時間、数日、または数か月の期間にわたる持続放出のために製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、12ヶ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、11年間、または12年間にわたる送達のために製剤化される。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される阻害剤に適切な一日投与量は、体重1kgにつき約0.01~50mg/kgである。いくつかの実施形態では、剤形中の有効成分の毎日の投与量または量は、個々の処置レジメンに関する多くの変数に基づいて、本明細書に示される範囲より少なくなるか、または高くなる。様々な実施形態では、毎日の投与量および単位投与量は、限定されないが、使用される阻害剤の活性、処置される疾患または疾病、投与の様式、個々の被験体の要件、処置されている疾患または疾病の重症度、および医師の判断を含む、多くの変数に依存して変更される。
こうした治療レジメンの毒性および治療の有効性は、限定されないが、LD50とED50の決定を含む、細胞培養または実験動物における標準的な製薬手順によって決定される。毒性と治療効果との間の用量比が治療指数であり、これは、LD50とED50との間の比率として表される。ある実施形態では、細胞培養アッセイと動物研究から得られたデータは、ヒトを含む哺乳動物で使用するための治療上有効な毎日の投与量範囲および/または治療上有効な単位用量の製剤で使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される阻害剤の毎日の投与量は、最小の毒性のED50を含む血中濃度の範囲内にある。ある実施形態では、毎日の投与量範囲および/または単位用量は、使用される剤形および利用される投与経路に応じて、この範囲内で変動する。
前述の態様のいずれかにおいて、有効な量の本明細書に記載される阻害剤は、(a)哺乳動物に全身に投与され、および/または、(b)哺乳動物に経口投与され、および/または、(c)哺乳動物に静脈内投与され、および/または、(d)哺乳動物に注射によって投与され、および/または、(e)哺乳動物に局所的に投与され、および/または、(f)哺乳動物に非全身的または局所的に投与される、さらなる実施形態がある。
前述の態様のいずれかにおいて、(i)阻害剤が1日に一回投与されるか;または(ii)阻害剤が1日にわたって哺乳動物に複数回投与されるさらなる実施形態を含む、有効な量の化合物の単回投与を含むさらなる実施形態がある。さらなる態様では、阻害剤が一定期間にわたって連続的に投与される実施形態がある。
前述の態様のいずれかにおいて、(i)阻害剤が継続的にまたは断続的に単回投与でのように投与され;(ii)複数回投与の間隔が6時間ごとであり、(iii)阻害剤が8時間ごとに哺乳動物に投与される;(iv)阻害剤が12時間毎に哺乳動物に投与される;(v)阻害剤が24時間毎に哺乳動物に投与されるさらなる実施形態を含む、有効な量の阻害剤の複数回投与を含むさらなる実施形態がある。
前述の態様のいずれかにおいて、阻害剤の持続送達をもたらすために送達ビヒクルに組み込まれた阻害剤を含むさらなる実施形態がある。いくつかの実施形態では、送達は、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、12ヶ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、11年間、または12年間にわたって持続される。いくつかの実施形態では、阻害剤は、経皮パッチ、テープ、坐剤、腟坐剤、膣タンポン、膣リング、膣ストリップ、膣カプセル、膣錠、膣ペッサリー、膣カップ、膣スポンジ、または子宮内器具に組み込まれる。
さらなるまたは代替的な実施形態では、方法は休薬期間を含み、ここで、阻害剤の投与は一時的に中断されるか、または投与されている阻害剤の量が一時的に減らされ;休薬期間の終わりに阻害剤の投与が再開される。一実施形態では、休薬期間の長さは2日~1年と様々である。
ある例では、1つ以上の治療剤と組み合わせて、明細書に記載される少なくとも1つの阻害剤を投与することが適切である。例示的な追加の治療剤としては、限定されないが、受胎調節、コンビネーション受胎調節、選択的プロゲステロン受容体アンタゴニスト、選択的プロゲステロン受容体アゴニスト、性腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アンタゴニスト、性腺刺激ホルモン放出ホルモン受容体アゴニスト、抗レトロウィルス薬、抗悪性腫瘍薬、抗炎症薬、非ステロイド性抗炎症薬、またはそれらの任意の組み合わせを含む、ホルモン治療剤が挙げられ得る。
一実施形態では、本明細書に記載される阻害剤の1つの治療有効性は、アジュバントの投与によって増強される(つまり、アジュバントそれ自体では最小の治療効果しか有していないが、別の治療薬と組み合わせると、患者への全体的な治療効果が増強される)。または、いくつかの実施形態では、患者が受ける効果は、本明細書に記載される阻害剤の1つを、同様に治療効果を有する別の薬剤(これは治療レジメンも含む)とともに投与することによって増加する。
一つの特定の実施形態では、本明細書に記載される阻害剤は、第2の治療剤と同時投与される。場合によっては、本明細書に記載される阻害剤および第2の治療剤は、処置されている疾患、病気、または疾病の異なる側面を調節し、それにより、いずれかの治療剤を単独で投与するよりも全体的に大きな効果をもたらすことができる。いかなる場合でも、処置される疾患、障害、または疾病に関わらず、患者が受ける総合的な効果は、2つの治療剤の相加的なものあり得るか、あるいは、患者は相乗的効果を受ける場合もある。
ある実施形態では、本明細書で開示される阻害剤の様々な治療上有効な量は、医薬組成物を製剤する際に利用され、および/または、本明細書で開示される阻害剤が追加の治療上有効な薬物、アジュバントなどの1つ以上の追加の薬剤と組み合わせて投与される処置レジメンにおいて利用される。併用療法レジメンで使用される薬物および他の薬剤の治療上有効な量は、随意に、有効成分自体に対して上に明記された手段と類似した手段によって決定される。さらに、本明細書に記載される予防/処置の方法は、規則正しい(metronomic)投薬の使用を包含する、つまり、毒性の副作用を最小限に抑えるために、より頻繁に、より少ない投与量を提供する。いくつかの実施形態では、併用処置レジメンは、本明細書に記載されている阻害剤の投与が、本明細書に記載される第2の薬剤を用いた処置前、処置中、または処置後に開始され、第2の薬剤を用いた処置中の任意の時点まで、または第2の薬剤を用いた処置の終了後まで続く処置レジメンを含む。それはまた、本明細書に記載される阻害剤および組み合わせて使用される第2の薬剤が、処置期間中、同時にまたは異なる時間に、および/または減少あるいは増加する間隔で投与される処置も含む。併用処置はさらに、患者の臨床管理を援助するために、様々な時点で開始および停止される定期的処置も含む。
救済が求められる疾病を処置するか、予防するか、または改善するための投与レジメンは、様々な因子(例えば、被験体が苦しんでいる疾患、障害、または疾病;被験体の年齢、体重、性別、食事および病状)に合わせて修正され得ることを理解されたい。したがって、いくつかの例では、実際に利用される投与レジメンは変化し、いくつかの実施形態では、本明細書に明記される投与レジメンから逸脱する。
本明細書に記載される併用療法に関して、同時投与される阻害剤の投与量は、使用される特定の共薬、使用される特定の薬物、処置されている疾患または疾病などによって変わる。追加の実施形態では、1つ以上の他の治療剤と同時投与される場合、本明細書に提供される阻害剤は、1つ以上の他の治療剤と同時に、または順次投与される。
併用療法では、複数の治療薬(そのうちの1つは本明細書に記載される阻害剤の1つである)は、任意の順序で、または同時に投与される。投与が同時である場合、複数の治療薬は、ほんの一例として、単一の統一した形態で、または複数の形態で(例えば、単一の丸剤、または2つの別個の丸剤として)提供される。
併用療法とともに、本明細書に記載される阻害剤は、疾患または疾病の発症の前、発症中、あるいは発症後に投与され、阻害剤を含有する医薬組成物を投与するタイミングは様々である。したがって、一実施形態では、本明細書に記載される阻害剤は、予防薬として使用され、疾患または疾病の発症を防ぐために、疾患または疾病を発症する傾向のある被験体に継続的に投与される。別の実施形態において、阻害剤および組成物は、症状の発症中に、または発症後できるだけすぐに被験体に投与される。特定の実施形態において、本明細書に記載される阻害剤は、疾患または疾病の発症が検出されたか、または疑われた後に実用可能となってすぐに、および疾患の処置に必要な期間にわたって、投与される。いくつかの実施形態では、処置に必要な期間は様々であり、処置期間は各被験体の具体的なニーズに合わせて調節される。例えば、特定の実施形態では、本明細書に記載される阻害剤または阻害剤を含有する製剤は、少なくとも2週間、約1か月~約5年間投与される。
B.医薬組成物
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される阻害剤は、医薬組成物へと製剤化される。医薬組成物は、薬学的に使用される調製物への活性阻害剤の処理を促進する1つ以上の薬学的に許容可能な不活性成分を使用して、従来の方法で製剤化される。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。本明細書に記載される医薬組成物の要約は、例えば:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995);Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975;Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980;および、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)に見られ、これらは、そのような開示のために参照によって本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される阻害剤は、単独で投与されるか、または、医薬組成物において、薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または希釈剤と組み合わせて投与される。本明細書に記載される阻害剤および組成物の投与は、作用部位への阻害剤の送達を可能にする方法によって達成され得る。こうした方法は、限定されないが、腸内経路(経口、胃、または十二指腸の栄養管、肛門坐剤、および直腸浣腸を含む)、非経口経路(動脈内、心臓内、皮内、十二指腸内、髄内、筋肉内、骨内、腹腔内、鞘内、血管内、静脈内、硝子体内、硬膜外および皮下を含む、注射または注入)、吸入、経皮、経粘膜、舌下、頬側、および局所(上皮、皮膚、浣腸、点眼、点耳、鼻腔内、膣、および子宮内を含む)の投与を介した送達を含むが、最も適切な経路は、例えば、レシピエントの疾患および障害に依存し得る。ほんの一例として、本明細書に記載される阻害剤は、例えば、手術中の局所注入、クリーム剤または軟膏剤などの局所適用、注射、カテーテル、移植、または挿入装置によって、処置を必要としている領域へと局所的に投与され得る。投与は病変組織または臓器の部位での直接注射によるものでもあり得る。
いくつかの実施形態では、経口投与に適した医薬組成物は、各々があらかじめ決められた量の有効成分を含む、カプセル、カシェ、あるいは錠剤などの分散単位として;粉末または顆粒として;水性液または非水性の液体中の溶液または懸濁液として;あるいは、水中油型エマルションまたは油液中の油中水型エマルションとして提示される。いくつかの実施形態では、有効成分は、ボーラス剤(bolus)、舐剤、またはペースト剤として提供される。
経口で使用することができる医薬組成物は、錠剤、ゼラチンで作られた押し込み型カプセル、ならびに、ゼラチンおよび可塑剤、例えば、グリセロールまたはソルビトールで作られた密封されたソフトカプセルを含む。錠剤は、随意に1つ以上の副成分とともに、圧縮または成形によって作られてもよい。圧縮錠剤は随意に、結合剤、不活性希釈剤、または平滑剤、表面活性剤、あるいは分散剤と混合して、粉末または顆粒などの自由流動形態で有効成分を適切な機械で圧縮することによって調製され得る。成形錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末阻害剤の混合物を適切な機械で成形することによって生成され得る。いくつかの実施形態では、錠剤はコーティングされるかスコア化され、その中の有効成分の遅延放出または制御放出をもたらすように製剤化される。経口投与用のすべての製剤はこうした投与に適した投与量であり得る。押し込み型カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/または滑石またはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および随意に安定化剤と組み合わせて活性成分を含むことができる。ソフトカプセルでは、活性阻害剤は、脂肪油、流動パラフィン、または液体のポリエチレングリコールなどの、適切な液体中に溶解または懸濁され得る。いくつかの実施形態では、安定化剤が加えられる。糖衣錠コアは適切なコーティングと共に提供される。この目的のために、濃縮した糖溶液が使用されてもよく、これは随意に、アラビアゴム、滑石、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒または溶媒混合液を含有し得る。染料または色素は、同定のために、または、活性阻害剤の用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、錠剤または糖衣錠のコーティングに加えられてもよい。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、例えば、ボーラス注射または持続注入などの注射による非経口投与のために製剤化される。注射のための製剤は、追加の保存剤とともに、単位剤形で、例えば、アンプルまたは複数回投与用容器で提供されてもよい。組成物は、油性または水性のビヒクル中で懸濁液、溶液、またはエマルジョンなどの形態をとってもよく、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散剤などの調合剤を含有し得る。組成物は、単位投与用また複数回投与用の容器、例えば、密封したアンプルおよびバイアルにおいて提供されてもよく、粉末形態で保存されることもあれば、使用の直前に無菌の液体担体、例えば、生理食塩水または発熱性物質を含まない蒸留水の追加しか必要としない冷凍乾燥(凍結乾燥)状態で保存されることもある。即席の注射液および懸濁液は、上に記載された種類の無菌の粉末、顆粒、および錠剤から調製されてよい。
非経口投与のための医薬組成物は、製剤を所望のレシピエントの血液と等張にする抗酸化剤、緩衝液、静菌薬、および溶質を含み得る、活性阻害剤の水性および非水性(油性)の無菌注射液と;懸濁化剤および増粘剤を含み得る水性および非水性の無菌懸濁液とを含む。適切な親油性溶媒またはビヒクルは、ごま油などの脂肪油、オレイン酸エチルあるいはトリグリセリドなどの合成の脂肪酸エステル、またはリポソームを含む。水性の注射懸濁液は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの、懸濁液の粘度を増加させる物質を含み得る。随意に、懸濁液は、高濃度の溶液の調製を可能にするために阻害剤の溶解度を増加させる、適切な安定剤または薬剤も含んでいてもよい。
医薬組成物はデボー製剤としても製剤化され得る。そのような長時間作用型の製剤は、移植によって(例えば、皮下あるいは筋肉内)または筋肉内注射によって投与されてもよい。したがって、例えば、阻害剤は、適切な高分子材料または疎水性材料(例えば、許容可能な油中のエマルジョンとして)あるいはイオン交換樹脂で、または難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として製剤化されてもよい。
頬側投与または舌下投与については、組成物は、従来の方法で製剤化された錠剤、ロゼンジ、パステル剤、またはゲル剤の形態をとり得る。そのような組成物は、スクロースおよびアカシアまたはトラガントなどの香味をつけた(flavored)主成分中の有効成分を含み得る。
医薬組成物は、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、または他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含むなどして、坐剤または保持浣腸剤などの直腸組成物または腟組成物でも製剤化されることがある。挿入されると、坐剤基剤は、治療効果を有するのに十分長い期間にわたり成分が粘膜と接触することができるように液化するか、または体温で水混和性になる。坐剤基剤の重量パーセントは、ヒトおよび/または動物の身体の開口部のサイズに依存し、治療効果を有するために必要な投薬組成、およびそれが室温以下で固体を維持することを可能にするその物理化学的性質に依存する。いくつかの実施形態では、坐剤は、約50重量%~99重量%を超えるか、または約75重量%~99重量%を超える坐剤基剤を含む。いくつかの実施形態では、坐剤は、約75重量%~約98重量%のポリエチレングリコールを含む。いくつかの実施形態では、坐剤は、約2重量%~約25重量%のポリソルベートを含む。坐剤基剤は、約400~約5000の範囲の分子量、または約950~約3700を有する(米国特許第2009/0311290号、これはそのような開示のために参照により本明細書に組み込まれる)。
場合によっては、医薬組成物は、カプリン酸ナトリウムなどの吸収増強剤を含む。そのような場合のいくつかは、本明細書に記載されるような直腸または膣で使用される組成物および剤形を含む。
医薬組成物は局所的に、直腸的に、すなわち、非全身投与によって投与され得る。これは、外部の表皮または頬腔に本開示の阻害剤を適用すること、および、阻害剤が血流になるべく入らないように、直腸または腟にそのような阻害剤を滴下注入することを含む。対照的に、全身投与とは経口、静脈内、腹腔内、および筋肉内の投与を指す。
局所投与に適した医薬組成物は、皮膚を介した浸透に適している液体または半液状製剤、例えば、膣または直腸への送達に適したものを含む、溶液、ローション、震盪合剤、クリーム、軟膏、ゲル、フォーム、経皮パッチ、粉体、固体、スポンジ、テープ、蒸気、ペースト、チンキ、微粒子、マイクロカプセル、ナノ粒子、リポソーム、あるいは、エマルジョンを含む。有効成分は、局所投与の場合、製剤の0.001%w/w~10%w/w、例えば、1重量%~2重量%を含み得る。
吸入による投与のための医薬組成物は、注入器、噴霧器、加圧されたパック、またはエアロゾルスプレーを送達する他の便利な手段から都合よく送達される。加圧されたパックは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切な気体などの、適切な噴霧剤(propellant)を含み得る。加圧されたエアロゾルの場合、投与単位は、測定された量を送達するためのバルブを設けることによって決定され得る。代替的に、吸入または通気による投与のために、製剤は、乾燥粉末組成物、例えば、阻害剤とラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤とのとの粉末混合物の形態をとり得る。粉末組成物は、粉末が吸入器または注入器を用いて投与され得る単位剤形、例えば、カプセル、カートリッジ、ゼラチン、またはブリスターパックで提供され得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される阻害剤は、胃腸管の特定の領域への送達が達成されるように製剤される。例えば、本明細書に開示される阻害剤は、胃腸管の特定の領域への阻害剤の送達を達成するために、生体接着性ポリマー、pH感受性コーティング、時間依存性の生分解性ポリマー、ミクロフローラ活性化システムなどによる経口送達のために製剤化される。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される阻害剤は、泌尿生殖器または肛門直腸粘膜(anorectal mucosa)の特定の領域への送達が達成されるように製剤化される。例えば、本明細書に開示される阻害剤は、泌尿生殖器系の特定の領域への阻害剤の送達を達成するために、生体接着性ポリマー、pH感受性コーティング、時間依存性の生分解性ポリマー、ミクロフローラ活性化システムなどによる腟内送達のために製剤化される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される阻害剤は、その阻害剤の制御放出を提供するために製剤化される。制御放出とは、長期間にわたって所望のプロファイルに従って、本明細書に記載される阻害剤が組みこまれる剤形からのその阻害剤の放出を指す。制御放出特性は、例えば、持続放出、長期放出、パルス放出、および遅延放出の特性を含む。即時放出組成物とは対照的に、制御放出組成物は、あらかじめ定められた特性に従って、長期間にわたる被験体への薬剤の送達を可能にする。そのような放出速度は、長期間、治療上有効なレベルの薬剤を提供し、その結果として、より長期間の薬理反応を提供し、一方で、従来の急速放出剤形と比較して、副作用を最小限に抑える。こうした長期間の反応により、対応する短時間作用性の即時放出調合剤では達成されない多くの固有の利益がもたらされる。
泌尿生殖器系(腟など)または胃腸管(例えば、結腸など)の特定の領域に無傷の治療用阻害剤を送達するためのアプローチは、以下のものを含む:
(i)ポリマーによるコーティング:無傷の分子は、結腸でのみ分解する適切なポリマーを用いた薬物分子のコーティングにより、腸の上部部分で吸収されることなく、結腸に送達され得る。加えて、ポリマーによるコーティングは、膣製剤のための保護または制御放出プロファイルを提供することができる。
(ii)pH感受性ポリマーによるコーティング:腸内、結腸、および膣を標的とする送達系は、従来のハードゼラチンカプセルに充填される錠剤またはペレット剤のコーティングに基づく。最も一般的に使用されているpH依存性コーティングポリマーは、メタクリル酸コポリマー(Eudragit(登録商標)Sとして一般に知られている)であり、より具体的には、Eudragit(登録商標)LおよびEudragit(登録商標)S.Eudragit(登録商標)L100、およびS100は、メタクリル酸とメタクリル酸メチルのコポリマーである。
(iii)生分解性ポリマーによるコーティング;
(iv)マトリックスへの埋め込み;
(v)生物分解性マトリックスおよびヒドロゲルへの埋め込み;
(vi)pH感受性マトリックスへの埋め込み;
(vii)時限放出系;
(viii)Redox感受性ポリマー;
(ix)生体接着系;
(x)微粒子によるコーティング;
(xi)浸透圧制御された薬物送達。
腟および結腸を標的とした薬物送達または制御放出系への別のアプローチは、ポリマーマトリックスに薬物を埋め込み、その薬物を捕捉して結腸中で放出することを含む。これらのマトリックスはpH感受性であり得るか、または生分解性であり得る。マルチマトリックス(MMX)ベースの遅延放出錠剤などのマトリックスベースの系は、膣または結腸での薬物放出を確かなものにする。
C.剤形
本明細書に記載される組成物および方法は、以下に記載されるものを含む様々な剤形および装置によって治療剤を送達することを含み得る。以下に記載される剤形の多くはいくつかの利点を有する。それらには、治療用阻害剤の局所送達が含まれ得る。局所送達は、全身送達およびオフターゲット効果と関連し得る副作用を低減することができる。場合によっては、本明細書に記載される剤形および装置は、例えば、本明細書に記載される阻害剤の長期的または連続的な送達を提供することにより、患者のコンプライアンスを向上させることができる。場合によっては、これらの剤形および装置はさらに、容認性および安全性を増大させることができる。
1.腟内リング
本明細書に記載されるペプチドおよび組成物は、送達のために腟内リングに組み込まれ得る。腟内リング(IVR)を介した治療物質の送達により、局所送達が可能になり、治療物質の安全性および容認性が向上する。IVRはさらに複数の利点を有し得る:バイパス胃腸管吸収(bypass gastrointestinal absorption)および肝臓/腎の初回通過、より低い有効量、連続的な送達および/または制御放出のプロファイル、投与と投与の間の期間の延長、副作用の低減、低い血清薬物濃度、患者の自己投与、ならびに患者満足度の改善。IVRは、深部EMS(DIE)を含むEMSによって影響を受けた臓器に、親水性および高分子の薬剤を含む薬物を成功裡に送達することができる。膣内リング送達系の体内分布は、血清ではなく組織吸収によるものであり、腹膜腔中のEMSによって影響を受けるすべての臓器に到達することができる。
膣リングは通常、送達される薬物を含有するエラストマーの別の層によってコーティングされた不活性なエラストマーリングからなる。リングは、容易に挿入され、所望の期間にわたり適所に残され、その後、ユーザによって除去され得る。リングは、治療用成分を含有する中実または中空であり得るか、あるいは、そのリングは薬物をそこから放出する多孔質材料であり得る。リングは、薬物を含有していない第3の外側の速度制御するエラストマー層を随意に含むことができる。随意に、第3のリングは、二重放出リングのための第2の薬物を含有し得る。薬物が、シリコンエラストマーリングの至る所でポリエチレングリコールに取り込まれて、送達される薬物のリザーバーとして機能することができる。場合によっては、IVRは、シリコン、圧縮錠剤、または凍結乾燥されたゲルを含み得る。
ペッサリー、カップ、ストリップ、錠剤、および坐剤は、本開示使用され得る薬物送達系の他の例である。これらの系は、膣避妊薬(vaginal contraceptives)の送達に使用されており、文献に広く記載されている。
送達系の別の例は、膣スポンジおよび膣フォームである。所望の医薬品は、文献に記載されるように、円筒状の薬物を含まないポリウレタン膣スポンジ上にコーティングされる、シリコンマトリックス内に組み込まれ得る。
いくつかの実施形態では、IVRは、坐剤、溶液、ローション、震盪合剤、クリーム、軟膏、ゲル、フォーム、経皮パッチ、粉体、固体、スポンジ、テープ、ペースト、チンキ、エマルジョン、微粒子、マイクロカプセル、ナノ粒子、リポソーム、または、微粒子、マイクロカプセル、ナノ粒子、またはリポソームを含有するカプセルとして製剤化される、本明細書に記載されるペプチドまたは組成物を含む。IVRは、親水性阻害剤または高分子量阻害剤、例えば、ペプチド、タンパク質、または抗体の放出プロファイルを最適化するために、シリコンインサート、圧縮錠剤、または凍結乾燥したゲルなどの様々な送達ビヒクルを含むようにさらに変更されている。(Morrow,et.al.,Eur J Pharm Biopharm,2011 Jan; 77(1):3-10、これはそのような開示のために参照により本明細書に組み込まれる)。IVRは、カプリン酸ナトリウムなどの1つ以上の吸収促進剤も含み得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるIVRは、約0.01mg~約5000mgの阻害剤を含むように製剤化される。いくつかの実施形態では、IVRは、約0.01mg、約0.05mg、約0.1mg、約0.5mg、約1mg、約5mg、約10mg、約20mg、約40mg、約60mg、約80mg、約100mg、約150mg、約200mg、約400mg、約600mg、約800mg、約1000mg、約1200mg、約1400mg、約1600mg、約1800mg、約2000mg、約2500mg、約3000mg、約3500mg、約4000mg、約4500mg、または約5000mgの阻害剤を含み得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるIVRは、1日あたり約0.01mg~約1000mgの阻害剤を送達するように製剤化される。いくつかの実施形態では、IVRは、1日あたり約0.01mg、約0.05mg、約0.1mg、約0.5mg、約1mg、約5mg、約10mg、約20mg、約40mg、約60mg、約80mg、約100mg、約150mg、約200mg、約400mg、約600mg、約800mg、または約1000mgの阻害剤を送達するように製剤化される。
2.膣タンポン
本明細書に記載されるペプチドおよび組成物は、送達のためにタンポン装置に組み込まれ得る。タンポン装置は、典型的に、近位端および遠位端を有する膣タンポンを含む。遠位端のカップ状の多孔性フォーム部分は子宮頸部のまわりに適合し、送達ために本明細書に記載されるペプチドまたは組成物を含有している。上記装置はさらに、遠位開口部を有し、かつ多孔性のフォームカップを通ってタンポン内に延びて血流を吸収材料に誘導する、非吸収性軸管を含み得る。任意に、タンポン装置につながれる回収ストリングまたはテープも含まれている。吸収性膣タンポンは、本明細書に記載されるペプチドまたは組成物を含有するか、あるいは、本明細書に記載されるペプチドまたは組成物でコーティングされている場合があり、送達のための薬用タンポンとして使用され得る。
3.ペッサリー/坐剤/圧縮錠剤
本明細書に記載されるペプチドおよび組成物は、局所送達のために固体に組み込まれ得る。固体は、ペッサリーまたは膣または肛門坐剤の形態をとり得る。体温に達すると、固形剤形は溶ける場合がある。あるいは、固体はその構造を保持し、本明細書に記載される組み込まれた組成物を放出することができる。固体は、膣内に支持体を提供するように設計されたペッサリーであってもよい。膣スポンジには、膣内送達のために本明細書に記載される組成物が埋め込まれ得る。
4.局所用薬剤
本明細書に記載されるペプチドおよび組成物は、送達のために局所製剤に組み込まれ得る。局所用薬剤は、皮膚または粘膜などの体表面に適用される。いくつかの例では、体表面は、限定されることなく、上皮組織、粘膜組織、腹膜、子宮外膜、および子宮内膜を含む。阻害剤は、局所的または全身的な効果を達成するために、体表面によって吸収される。局所用薬剤は、以下のクラスで随意に製剤化される:局所用溶液;ローション;震盪合剤;クリーム;軟膏;ゲル;フォーム;経皮パッチ;粉体;固体;スポンジ;テープ;蒸気;ペースト;またはチンキ。局所用溶液は、典型的に、基剤に水またはアルコールを有する低粘性の洗浄水、噴霧剤、または点滴薬として投与されることがある。ローションは、溶液より濃く、より皮膚を柔らかにする(emollient)ことができる。それは通常、水中で混合された油であり、溶液より少ないアルコールを有し得る。震盪合剤は、経時的に2つまたは3つの部分に分かれる混合物である。その混合物は、水系溶液と混合した油であってもよく、使用前に振って懸濁液にする必要がある。クリームは、油と水がほぼ等しい比率のエマルジョンである。軟膏は、均質で、粘着性で、半固体の調製物であり、最も一般的には、高粘度の脂性の濃厚な油(油80%-20水%)である。軟膏は、炭化水素基材(hydrocarbon base)、吸収基材(absorption base)、水溶性基剤、乳化基剤、または植物油、あるいはそれらの任意の組み合わせを含み得る。軟膏は、限定されないが、固形パラフィン、軟パラフィン、ミクロクリスタンワックス、またはセレシンなどの炭化水素基材;羊毛脂または蜜蝋などの吸水基剤;マクロゴール200、300、または400などの水溶性基剤;乳化ろうまたはセトリミドなどの乳化基剤;あるいは、オリーブ油、ココナッツオイル、ゴマ油、アーモンド油、またはピーナッツ油などの植物油を含む基剤中で製剤化される。
ゲルは半固体のエマルジョンである。有用な乳化剤の非限定的な例としては、アクリル酸ポリマー(Voveon,Inc.によって製造されるカルボマーブランドの増粘剤、例えば、カルボマー934Pなど)、ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン-20-ステアリルエーテル、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、コレステロール、ステアリン酸ジグリコール、モノステアリン酸グリセリン、ステアリン酸グリセリル、ポリグリセリル-3-オレイン酸塩、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラノリン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、メチルセルロース、ポリオキシエチレンステアレート(polyoxyethylene stearate)、ポリソルベート、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンエステル、ステアリン酸、またはそれあの2つ以上の混合物が挙げられる。
局所製剤中の乳化剤の量は、局所製剤の全重量に基づいて、約1~約40重量%の範囲、いくつかの実施形態では、約5~約30重量%の範囲であり得る。
本明細書に記載されるゲル製剤は1つ以上のゲル化剤を含み得る。有用なゲル化剤の非限定的な例としては、スクロースのアリルエーテル(例えば、カルボマーブランドの増粘剤)、セトステアリルアルコール、ヒドロキシメチルセルロース、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、またはそれらの2つ以上の混合物などの架橋物質(cross links)により架橋されたアクリル酸ポリマーを含む、カルボン酸ポリマーが挙げられる。
局所用ゲル製剤中のゲル化剤の量は、局所製剤の全重量に基づいて、約0.1~約10の重量%、いくつかの実施形態では、約0.1~約1重量%の範囲であり得る。
本明細書に記載されるゲル製剤は、ゲル化の活性化剤として、約2重量%未満の量で1つ以上のアルカリ化薬、例えば、水酸化ナトリウムをさらに含み得る。
製剤は、当技術分野で周知の1つ以上の追加の賦形剤、例えば、水および増粘剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素を含んでいてもよい。
熱可逆性ゲルは、直腸または膣に挿入されるとゲルになる液体製剤である。熱可逆性ゲルは、従来の坐剤またはペッサリーよりも容易な投与および位置決めを可能にし、剤形の漏れを防ぐことができる。熱可逆性ゲルは、熱可逆性ポリマー(例えば、粘膜へのゲルの付着を可能にする粘膜付着剤ポリマーと組み合わせたポロキサマー)からなるポリマー溶液として製剤化される。熱可逆性「液体坐剤(liquid suppositories)」とも呼ばれる、インサイチュの熱可逆性の液体ゲル製剤は、低温(<10C)で液体であり、体温でゲルになる。
活性薬剤は、密封包帯用の外科手術用テープに組み込まれ得る。薬物は、気化によって粘膜に到達するために、軟膏またはゲルとして適用され得る。ペーストは、油、水、および粉体を組み合わせる。チンキは、典型的には、皮膚に塗布するための高い割合のアルコールを含有している。
5.経皮パッチおよびフィルム
本明細書に記載されるペプチドおよび組成物は、経皮パッチ送達において組み込まれ得る。経皮パッチは、薬物のリザーバーを覆う多孔質膜を介して、または、パッチ接着剤に埋め込まれた薬物の薄層を体温で溶かすによって薬物の制御放出を提供する。
本明細書に記載される組成物は、送達のためにフィルムに組み込まれ得る。フィルムは、アプリケーターを用いずに、および不快感を引き起こすことなく膣腔に容易に挿入することができる、薄くて小さなポリマー製剤である。膣フィルムは、ペッサリー、フォーム、およびゲルなどの他のタイプの膣製剤よりも適用が容易である(Rohan LC et al.,AAPS Journal 2009;11:78-87、これはそのような開示のために参照より本明細書に組み込まれる)。
6.子宮内器具
本明細書に記載されるペプチドおよび組成物は、子宮内器具(IUD)(送達のために子宮に挿入される、小さな、しばしばT型の装置)に組み込まれ得る。IUDは、典型的には、銅、プロゲストゲン、またはレボノルゲストレルを含有している。本明細書に記載される組成物は、IUD装置に組み込まれて、経時的にゆっくりと放出される。
7.全身的な送達(注射)
本明細書に記載されるペプチドおよび組成物は、全身的な送達のために製剤化され得る。
非経口的注射は、ボーラス注入または持続注入のために製剤化され得る。医薬組成物は、油性または水性のビヒクル中の滅菌した懸濁液、溶液、またはエマルジョンとして、非経口注射に適切な形態であり得、懸濁化剤、安定剤、および/または分散剤などの調合剤を含有し得る。非経口的投与のための医薬製剤は、水溶性の形態の本明細書に記載されるペプチドの水溶液を含んでいる。本明細書に記載されるペプチドの懸濁液は、油性の注射懸濁液として調製され得る。適切な親油性溶媒またはビヒクルとしては、ごま油などの脂肪油、オレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの合成の脂肪酸エステル、またはリポソームが挙げられる。水性の注射剤懸濁液は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの懸濁液の粘性を増加させる物質を含み得る。懸濁液は、高濃縮溶液の調製を可能にするために、本明細書に記載されるそのようなペプチドの溶解度を増加させ、および/または、上記ペプチドの凝集を減少させる、適切な安定剤あるいは薬剤も含有し得る。あるいは、本明細書に記載されるペプチドは、凍結乾燥され得るか、または使用前に適切なビヒクル、例えば、発熱物質を含まない滅菌水と共に再構成するための粉末形態であり得る。いくつかの実施形態では、精製されたペプチドは静脈内に投与される。
8.丸剤
本明細書に記載されるペプチドおよび組成物は、経口的送達のために製剤化され得る。経口で使用することができる医薬組成物は、錠剤、ゼラチンで作られた押し込み型カプセルの他に、ゼラチンで作られた柔軟な密閉カプセル、およびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤を含む。錠剤は、随意に1つ以上の副成分とともに、圧縮または成形によって作られてもよい。圧縮錠剤は随意に、結合剤、不活性希釈剤、または平滑剤、表面活性剤、あるいは分散剤と混合して、粉末または顆粒などの自由流動形態で有効成分を適切な機械で圧縮することによって調製され得る。成形錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末阻害剤の混合物を適切な機械で成形することによって作られ得る。いくつかの実施形態では、錠剤はコーティングされるかスコア化され、その中の有効成分の遅延放出または制御放出をもたらすように製剤化される経口投与のための製剤は、こうした投与に適した投与量であり得る。押し込み型カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/または滑石またはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および随意に安定化剤と組み合わせて活性成分を含むことができる。ソフトカプセルでは、活性阻害剤は、脂肪油、流動パラフィン、または液体のポリエチレングリコールなどの、適切な液体中に溶解または懸濁され得る。いくつかの実施形態では、安定化剤が加えられる。糖衣錠コアは適切なコーティングと共に提供される。この目的のために、濃縮した糖溶液が使用されてもよく、これは随意に、アラビアゴム、滑石、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒または溶媒混合液を含有し得る。染料または色素は、同定のために、または、活性阻害剤の用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、錠剤または糖衣錠のコーティングに加えられてもよい。
胃腸管の特定の領域に対する治療薬の標的送達へのさらなる薬学的アプローチが知られている。Chourasia MK,Jain SK,Pharmaceutical approaches to colon targeted drug delivery systems.,J Pharm Sci.2003 Jan-Apr; 6(1):33-66.Patel M,Shah T,Amin A.Therapeutic opportunities in colon-specific drug-delivery systems Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.2007; 24(2):147-202.Kumar P,Mishra B.Colon targeted drug delivery systems--an overview.Curr Drug Deliv.2008 Jul; 5(3):186-98.Van den Mooter G.Colon drug delivery.Expert Opin Drug Deliv.2006 Jan; 3(1):111-25.Seth Amidon,Jack E.Brown,および Vivek S.Dave,Colon-Targeted Oral Drug Delivery Systems:Design Trends and Approaches,AAPS PharmSciTech.2015 Aug; 16(4):731-741。これらの参考文献のそれぞれは、そのような開示のために参照により本明細書に組み込まれる。
上で具体的に言及される成分に加えて、本明細書に記載される阻害剤および組成物が、問題になっている製剤のタイプに関係している当該技術分野で慣行の他の薬剤を含んでもよいことが理解されるべきである。例えば、経口投与に適した薬剤は香味料を含んでいてもよい。
D.製剤化
本明細書に記載されるペプチドおよび組成物は、治療剤の能力を改善するために追加の賦形剤を含有し得る。組成物は、表皮または粘膜表面にわたる吸収度、および膜透過を高めるために吸収促進剤、または浸透促進剤を含有し得る。本明細書に記載される組成物中の製剤化された増強剤としては、限定されないが、ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド;ラウロカプラム(1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン);n-メチル-2-ピロリドンなどのピロリドン;テルペンおよびテルペノイド;精油;4-デシクロキサゾリジン(decycloxazolidin)-2-オンなどのオキサゾリジノン;尿素;シクロペンタデカラクトン;ナトリウムN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC);8-(N-2-ヒドロキシ-5-クロロ-ベンゾイル)-アミノ-カプリル酸(5-CNAC);中鎖脂肪酸、塩、および誘導体;カプリン酸ナトリウム;カプリル酸ナトリウム;プロテアーゼ阻害剤およびω-3脂肪酸;液体混合ミセルの噴霧剤;脂質ポリマーミセル;アルキルグリコシド;キトサン;ドデシル-2-N,N-ジメチルアミノプロピオネート(DDAIP);細胞膜脂質成分;ナノ粒子;リポソーム、リガンド;および、親油性修飾が挙げられ得る。
本明細書に記載されるペプチドおよび組成物は、溶液、ローション、震盪合剤、クリーム、軟膏、ゲル、フォーム、粘膜付着剤組成物、エマルジョン、リポソーム、コーティング、コア、マトリックス、凍結乾燥物として製剤化され得る。
E.処置される疾病
本明細書に記載される方法は、組織浸潤性疾病を処置するか、または防ぐために使用され得る。本明細書で使用されるように、組織浸潤性疾病は、任意の疾患、障害、悪性病変、転移、突然変異、疾病などを含み、ここで、細胞は、遊走するか、浸潤するか、転移するか、または、何らかの方法である位置において増殖するか、あるいは、細胞が増殖する被験体に何らかの方法で病原性であるか、そうでなければ有害な程度まで増殖する。いくつかの実施形態では、組織浸潤性疾病は子宮内膜症を含む。さらなる実施形態では、組織浸潤疾病は癌を含む。癌は、大腸癌、扁平上皮癌、頭頚部癌、膵臓癌、乳癌、骨髄性白血病、基底細胞癌、滑膜肉腫、非小細胞肺癌、固形腫瘍、または前立腺癌を含み得る。さらなる実施形態では、組織浸潤疾病は線維症を含む。線維症は、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、腺筋症、肺線維症、嚢胞性線維症、特発性肺線維症、放射線誘発性肺損傷、肝硬変、心房線維症、心内膜心筋線維症、陳旧性心筋梗塞、グリア性瘢痕、動脈硬化度、関節線維症、クローン病、デュピュイトラン拘縮、ケロイド、縦隔線維症、骨髄繊維症、ペロニー病、腎性全身性線維症、進行性塊状線維症、後腹膜線維症、強皮症/全身性硬化症、または癒着性関節包炎を含み得る。
F.同時投与
本明細書に記載されるペプチドおよび組成物は、他の治療剤と共同投与され得る。本明細書に記載される実施形態では、環状ペプチド組成物は、限定されないが、アレンドロネート、イバンドロネート、リセドロネート、ゾレドロン酸、デノスマブ、カルシトニン、エストロゲン、ラロキシフェン、バゾドキシフェン、テリパラチド、アバロパラチド、またはそれらの任意の組み合わせを含む、骨粗鬆症を処置するための薬物とともに投与され得る。
V.例示的な実施形態
1.式X-X-X-X-X-X-X-X-X-X10-X11-X12-X13-X14-X15-X16を有するアミノ酸配列を含むペプチドであって、式中:Xは、Mまたはヌルであり;Xは、S、I、G、T、A、L、またはヌルであり;Xは、R、K、またはヌルであり;Xは、正に荷電したアミノ酸、シトルリン、Orn、D、E、8-アミノオクタン酸、または4~12の炭素を有するアミノカルボン酸であり;Xは、M、ノルロイシン、Orn、D、E、K、H、R、K、8-アミノオクタン酸、4~12の炭素を有するアミノカルボン酸、またはヌルであり;Xは、W、Y、F、またはN-メチルAであり;Xは、F、I、L、Chg、Cha、またはTleであり;Xは、L、I、またはAであり;Xは、L、I、またはAであり;X10は、C、S、A、Abu、C(me)、またはS(Bzl)であり;X11は、F、H、A、K、E、Chg、Cng、またはOrnであり;X12は、W、Y、A、またはFであり;および、X13は、G、GABA、またはヌルである。
2.式R-X-X-X-X-X-X-X-X-X-X10-X11-X12-X13-X14-X15-X16を有するアミノ酸配列を含むペプチドであって、式中:Rは、NH、アセチル化、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、C-C炭化水素、C-C脂肪酸、またはヌルであり;Xは、M、G、βアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、またはヌルであり;Xは、W、N-メチルW、R、Y、F、シトルリン、またはKであり;Xは、P、W、N-メチル-W、N-エチル-W、N-メチルA、N-エチルA、L、Pip、Aib、Y、またはFであり;Xは、E、Q、N、またはDであり;Xは、S、αメチルS、K、D、Orn、T、またはEであり;Xは、I、Chg、H、またはLであり;Xは、LまたはIであり;Xは、D、N、E、またはQであり;Xは、D、E、K、Q、またはOrnであり;X10は、Hまたはメチル-Hであり;X11は、V、αメチルV、Chg、L、I、またはノルバリンであり;X12は、Q、Aib、S、R、またはNであり;X13は、R、K、シトルリン、Orn、D、またはEであり;X14は、V、I、L、またはノルバリンであり;X15は、W、Y、またはFであり;および、X16は、R、G、またはヌルである。
3.配列番号:1~配列番号:500のいずれか1つのアミノ酸配列を含むペプチド。4.配列番号:1~配列番号:500のいずれか1つと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチド。5.ペプチドはβ-カテニンに結合する、実施形態1-4に記載ペプチド。6.ペプチドはβ-カテニン阻害剤である、実施形態1-4に記載ペプチド。7.ペプチドは、核へのβ-カテニンの移行の阻害剤である、実施形態1-4に記載ペプチド。8.ペプチドは、β-カテニンが癌遺伝子、マトリックスメタロプロテアーゼ 9(MMP9)、またはクロライドC3チャネル(ClC-3)への転写因子として作用するのを防ぐ、実施形態1-4に記載ペプチド。9.ペプチドは、EMS細胞の形質転換、浸潤、遊走、線維化、またはそれらの任意の組み合わせを防ぐ、実施形態1-4に記載ペプチド。10.ペプチドは、β-カテニンがエストロゲン受容体(ESR1)に結合するのを防ぐ、実施形態1-4に記載ペプチド。11.ペプチドはβ-カテニンの膜活性に影響を与えない、実施形態1-4に記載ペプチド。12.ペプチドはβ-カテニンE-カドヘリン結合に影響を与えない、実施形態1-4に記載ペプチド。13.ペプチドは発癌性転写因子活性を防ぐ、実施形態1-4に記載ペプチド。14.ペプチドは、50uM未満、30uM未満、10uM未満、5uM EC50、1uM、500nM、400nM、300nM、200nM、100nM、50nM、30nM、10nM、5nM、3nM、1nM、800pM、600pM、400pM、200pM、100pM、50pM、30pM、20pM、10pM、または5pM、あるいは、約10uM未満、約5uM、約1uM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約100nM、約50nM、約30nM、約10nM、約5nM、約3nM、約1nM、約800 pM、約600pM、約400pM、約200pM、約100pM、約50pM、約30pM、約20pM、約10pM、約5pMのEC50を有するWnt経路活性を阻害し、および/または、約50uM未満、約30uM、10uM、約5uM、約1uM、約500nM、約400nM、約300nM、約200nM、約100nM、約50nM、約30nM、約10nM、約5nM、約3nM、約1nM、約800pM、約600pM、約400pM、約200pM、約100pM、約50pM、約30pM、約20pM、約10pM、または約5pM、あるいは10uM未満、5uM、1uM、500nM、400nM、300nM、200nM、100nM、50nM、30nM、10nM、5nM、3nM、1nM、800pM、600pM、400pM、200pM、100pM、50pM、30pM、20pM、10pM、または5pMのKD50結合親和性を有するβ-カテニンに結合する、実施形態1-13に記載ペプチド。15.ペプチドは天然に存在しない、実施形態1-14のいずれか1つに記載のペプチド。16.ペプチドは環状化ペプチドである、実施形態1-15のいずれか1つに記載のペプチド。17.ペプチドは二環式ペプチドである、実施形態1-15に記載ペプチド。18.ペプチドはCys-Cysジスルフィド結合で環状化される、実施形態16または17のいずれか1つに記載のペプチド。19.ペプチドはアミド結合で環状化される、実施形態16または17のいずれか1つに記載のペプチド。20.アミド結合は、N末端とC末端との間のヘッド-テール(head-to-tail)である、実施形態19に記載のペプチド。21.アミド結合は、N末端と内部COOHとの間のヘッド-側鎖(head-to-side chain)である、実施形態19に記載のペプチド。22.アミド結合は、内部NHとC末端との間の側鎖-テール(chain-to-tail)である、実施形態19に記載のペプチド。23.アミド結合は、内部NHと内部COOHとの間の側鎖-側鎖である、実施形態19に記載のペプチド。24.ペプチドは炭化水素ステープリングを使用して環状化される、実施形態16または17に記載のペプチド。25.ペプチドはクリックケミストリーを使用して環状化される、実施形態16または17に記載のペプチド。26.ペプチドは、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも45、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49、少なくとも50、少なくとも51、少なくとも52、少なくとも53、少なくとも54、少なくとも55、少なくとも56、少なくとも57、少なくとも58、少なくとも59、少なくとも60、少なくとも61、少なくとも62、少なくとも63、少なくとも64、少なくとも65、少なくとも66、少なくとも67、少なくとも68、少なくとも69、少なくとも70、少なくとも71、少なくとも72、少なくとも73、少なくとも74、少なくとも75、少なくとも76、少なくとも77、少なくとも78、少なくとも79、少なくとも80、または少なくとも81のアミノ酸残基である、実施形態1-25のいずれか1つに記載のペプチド。27.ペプチドは、4未満、5未満、6未満、7未満、8未満、9未満、10未満、11未満、12未満、13未満、14未満、15未満、16未満、17未満、18未満、19未満、20未満、21未満、22未満、23未満、24未満、25未満、26未満、27未満、28未満、29未満、30未満、31未満、32未満、33未満、34未満、35未満、36未満、37未満、38未満、39未満、40未満、41未満、42未満、43未満、44未満、45未満、46未満、47未満、48未満、49未満、50未満、51未満、52未満、53未満、54未満、55未満、56未満、57未満、58未満、59未満、60未満、61未満、62未満、63未満、64未満、65未満、66未満、67未満、68未満、69未満、70未満、71未満、72未満、73未満、74未満、75未満、76未満、77未満、78未満、79未満、80未満、または81未満のアミノ酸残基である、実施形態1-26のいずれか1つに記載のペプチド。28.ペプチドは1以上の非天然アミノ酸を含む、実施形態1-27のいずれか1つに記載のペプチド。29.1つ以上の非天然アミノ酸はN-メチルアミノ酸である、実施形態28に記載のペプチド。
30.β-カテニン阻害剤と、薬学的に許容可能な担体とを含む、医薬組成物。
31.β-カテニンへの結合特異性を含むペプチドと、薬学的に許容可能な担体とを含む、医薬組成物。
32.ペプチドを含むβ-カテニン阻害剤と、薬学的に許容可能な担体とを含む、医薬組成物。33.実施形態1-29のいずれか1つに記載のペプチドと、薬学的に許容可能な担体とを含む、医薬組成物。34.ペプチドは環状化ペプチドである、実施形態30-33のいずれか1つに記載の医薬組成物。35.上記医薬組成物は、吸収促進剤または透過促進剤を含む、実施形態30-33に記載の医薬組成物。36.吸収促進剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの1以上のスルホキシド;ラウロカプラム(1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン);n-メチル-2-ピロリドンなどのピロリドン;テルペンおよびテルペノイド;精油;4-デシクロキサゾリジン(decycloxazolidin)-2-オンなどのオキサゾリジノン;尿素;シクロペンタデカラクトン;ナトリウムN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリレート(SNAC);8-(N-2-ヒドロキシ-5-クロロ-ベンゾイル)-アミノ-カプリル酸(5-CNAC);中鎖脂肪酸、塩、および誘導体;カプリン酸ナトリウム(sodium caprate);カプリル酸ナトリウム;プロテアーゼ阻害剤およびω-3脂肪酸;液体混合ミセルの噴霧剤;脂質ポリマーミセル;アルキルグリコシド;キトサン;ドデシル-2-N,N-ジメチルアミノプロピオネート(DDAIP);細胞膜脂質成分;ナノ粒子;リポソーム、リガンド;および、親油性修飾を含む、実施形態35に記載の医薬組成物。37.吸収促進剤はカプリン酸ナトリウムである、実施形態36に記載の医薬組成物。
38.実施形態1-29のいずれか1つに記載のペプチドまたは実施形態30-37のいずれか1つに記載の医薬組成物を含む製剤であって、上記製剤は、溶液、ローション、震盪合剤、クリーム、軟膏、ゲル、フォーム、粉体、固体、ペースト、チンキ、微粒子、マイクロカプセル、ナノ粒子、リポソーム、エマルジョン、または凍結乾燥物(lyophilisate)を含む、39.ゲルは熱可逆性のゲルである、実施形態38に記載の製剤。40.上記製剤は1以上の粘膜付着性ポリマーを含む、実施形態38に記載の製剤。41.上記製剤は局所投与用である、実施形態38に記載の製剤。42.実施形態1-29のいずれか1つに記載のペプチドまたは実施形態30-37のいずれか1つに記載の医薬組成物を含む膣内装置。43.上記膣内装置は、坐剤、経皮パッチ、スポンジ、テープ、フィルム、腟内リング、膣タンポン、膣リング、膣ストリップ、膣カプセル、膣錠、膣ペッサリー、膣カップ、膣スポンジ、または子宮内器具である、実施形態42に記載の膣内装置。44.上記ペプチドまたは上記医薬組成物は、溶液、ローション、震盪合剤、クリーム、軟膏、ゲル、フォーム、粘膜付着性組成物、コーティング、コア、マトリックス、エマルジョン、リポソーム、または凍結乾燥物からなる群から選択される製剤として製剤化され、ここで、上記膣内装置は上記製剤を含む、実施形態42に記載の膣内装置。45.上記膣内装置は、約0.01mg~約5000mgの阻害剤を含む、実施形態42に記載の膣内装置。46.上記膣内装置は、約0.01mg、約0.05mg、約0.1mg、約0.5mg、約1mg、約5mg、約10mg、約20mg、約40mg、約60mg、約80mg、約100mg、約150mg、約200mg、約400mg、約600mg、約800mg、約1000mg、約1200mg、約1400mg、約1600mg、約1800mg、約2000mg、約2500mg、約3000mg、約3500mg、約4000mg、約4500mg、または約5000mgの阻害剤を含む、実施形態42に記載の膣内装置。47.上記膣内装置は、阻害剤を経粘膜的に送達するように構成される、実施形態42に記載の膣内装置。48.上記膣内装置は、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、12ヶ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、11年間、または12年間にわたって阻害剤を送達するように構成される、実施形態42に記載の膣内装置。49.上記膣内装置は、1日あたり約0.01mg~約1000mgの阻害剤を送達するように構成される、実施形態42に記載の膣内装置。50.上記膣内装置は、1日あたり約0.01mg、約0.05mg、約0.1mg、約0.5mg、約1mg、約5mg、約10mg、約20mg、約40mg、約60mg、約80mg、約100mg、約150mg、約200mg、約400mg、約600mg、約800mg、または約1000mgの阻害剤を送達するように構成される、実施形態42に記載の膣内装置。51.上記装置は坐剤である、実施形態43に記載の膣内装置。52.上記装置は経皮パッチである、実施形態43に記載の膣内装置。53.上記装置はスポンジである、実施形態43に記載の膣内装置。54.上記装置はテープである、実施形態43に記載の膣内装置。55.上記装置は腟内リングである、実施形態43に記載の膣内装置。56.上記腟内リングは、シリコンインサート、圧縮錠剤、または凍結乾燥されたゲルを含む、実施形態55に記載の膣内装置。57.上記ペプチドまたは上記組成物は、シリコンインサート、圧縮錠剤、または凍結乾燥されたゲル全体にわたって組み込まれている、実施形態56に記載の膣内装置。58.上記装置は膣タンポンである、実施形態43に記載の膣内装置。59.上記装置は膣リングである、実施形態43に記載の膣内装置。60.上記装置は膣ストリップである、実施形態43に記載の膣内装置。61.上記装置はカプセルである、実施形態43に記載の膣内装置。62.上記装置は膣錠である、実施形態43に記載の膣内装置。63.上記装置は膣ペッサリーである、実施形態43に記載の膣内装置。64.上記装置は膣カップである、実施形態43に記載の膣内装置。65.上記装置は膣スポンジである、実施形態43に記載の膣内装置。66.上記装置は子宮内器具である、実施形態43に記載の膣内装置。67.実施形態1-29のいずれか1つに記載のペプチドまたは実施形態30-37のいずれか1つに記載の医薬組成物を含む製剤であって、上記製剤は経口投与用である。68.上記製剤は錠剤またはカプセルである、実施形態67に記載の製剤。69.上記製剤は液体である、実施形態67に記載の製剤。70.実施形態42-66のいずれか1つに記載の装置を被験体の膣に挿入する工程を含む、被験体のβ-カテニンを阻害する方法。
71.細胞を、実施形態1-29のいずれか1つに記載のペプチドまたは実施形態30-37のいずれか1つに記載の医薬組成物に接触させる工程を含む、β-カテニンを阻害する方法。72.治療上有効な量の実施形態1-29のいずれか1つに記載のペプチドまたは実施形態30-37のいずれか1つに記載の医薬組成物を、それを必要とする被験体に投与する工程を含む、子宮内膜症を処置する方法。73.治療上有効な量の実施形態1-29のいずれか1つに記載のペプチドまたは実施形態30-37のいずれか1つに記載の医薬組成物を、それを必要とする被験体に投与する工程を含む、子宮内膜症に関連する症状を減少させる方法。74.症状は、慢性疼痛、中枢性感作、筋膜痛、付属器腫瘤、不妊症、月経困難症、遺伝的素因、月経時以外の骨盤-腹部の痛み、性交疼痛、腸症状(下痢、筋痙攣、便秘)、排便痛(排便困難)、卵巣腫瘤または卵巣腫、疼痛性膀胱症状、および排尿障害からなる群から選択される少なくとも1つを含む、実施形態73に記載の方法。
75.治療上有効な量の実施形態1-29のいずれか1つに記載のペプチドまたは実施形態30-37のいずれか1つに記載の医薬組成物を被験体に投与する工程を含む、疾病を処置する方法。76.上記疾病は、組織浸潤疾病、組織移行疾病、組織浸潤疾病、またはその組み合わせである、実施形態75に記載の方法。77.上記疾病は癌を含む、実施形態75に記載の方法。78.癌は、大腸癌、扁平上皮癌、頭頚部癌、膵臓癌、乳癌、骨髄性白血病、基底細胞癌、滑膜肉腫、非小細胞肺癌、固形腫瘍、または前立腺癌を含む、実施形態77に記載の方法。79.疾病は子宮内膜症を含む、実施形態75に記載の方法。80.ペプチドはβ-カテニンに結合する、実施形態71-75のいずれか1つに記載の方法。81.ペプチドはβ-カテニンを阻害する、実施形態71-80のいずれか1つに記載の方法。82.ペプチドは細胞質β-カテニンに結合する、実施形態80に記載の方法。83.ペプチドは細胞質β-カテニンに結合して、細胞の核へのβ-カテニンの移行を阻害する、実施形態82に記載の方法。84.ペプチドは細胞質β-カテニンに結合して、遊離核β-カテニンの量を減少させる、実施形態82に記載の方法。85.ペプチドは細胞質β-カテニンに結合して、β-カテニンが癌遺伝子、マトリックスメタロプロテアーゼ 9(MMP9)、またはクロライドC3チャネル(ClC-3)への転写因子として作用するのを防ぐ、実施形態82に記載の方法。86.ペプチドは細胞質β-カテニンに結合して、EMS細胞の形質転換、浸潤、遊走、線維化、またはそれらの任意の組み合わせを防ぐ、実施形態82に記載の方法。87.ペプチドは細胞質β-カテニンに結合して、β-カテニンがエストロゲン受容体(ESR1)に結合するのを防ぐ、実施形態82に記載の方法。88.ペプチドは細胞質β-カテニンに結合し、β-カテニンの膜活性は減少しない、実施形態82に記載の方法。89.ペプチドは細胞質β-カテニンに結合し、β-カテニン-E-カドヘリン結合は減少しない、実施形態82に記載の方法。90.ペプチドは発癌性転写因子活性を防ぐ、実施形態76に記載の方法。91.被験体の細胞中の膜β-カテニンの量は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも100%増加する、実施形態84に記載の方法。92.膜β-カテニンの増加は、治療上有効な量の医薬組成物を投与されなかった対照被験体の細胞に対するものである、実施形態91に記載の方法。93.細胞質β-カテニンの増加は、被験体が疾病を発症する前に得られた被験体の細胞に対するものである、実施形態91に記載の方法。94.膜β-カテニンの増加は、異なる時点で得られた被験体の細胞に対するものである、実施形態91に記載の方法。95.治療上有効な量は約0.01mg~約1000mgである、実施形態72-94のいずれか1つに記載の方法。
96.治療上有効な量の実施形態1-29のいずれか1つに記載のペプチドまたは実施形態30-37のいずれか1つに記載の医薬組成物を被験体に投与する工程を含む、疾病を予防する方法。97.上記疾病は、組織浸潤疾病、組織移行疾病、組織浸潤疾病、またはその組み合わせである、実施形態96に記載の方法。98.上記疾病は癌を含む、実施形態96に記載の方法。99.癌は、大腸癌、扁平上皮癌、頭頚部癌、膵臓癌、乳癌、骨髄性白血病、基底細胞癌、滑膜肉腫、非小細胞肺癌、固形腫瘍、または前立腺癌を含む、実施形態98に記載の方法。100.疾病は子宮内膜症を含む、実施形態98に記載の方法。101.ペプチドはβ-カテニンに結合する、実施形態96-100のいずれか1つに記載の方法。102.ペプチドはβ-カテニンを阻害する、実施形態96-101のいずれか1つに記載の方法。103.ペプチドは細胞質β-カテニンに結合する、実施形態101に記載の方法。104.ペプチドは細胞質β-カテニンに結合して、細胞の核へのβ-カテニンの移行を阻害する、実施形態103に記載の方法。105.ペプチドは細胞質β-カテニンに結合して、遊離核β-カテニンの量を減少させる、実施形態103に記載の方法。106.ペプチドは細胞質β-カテニンに結合して、β-カテニンが癌遺伝子、マトリックスメタロプロテアーゼ 9(MMP9)、またはクロライドC3チャネル(ClC-3)への転写因子として作用するのを防ぐ、実施形態103に記載の方法。107.ペプチドは、EMS細胞の形質転換、浸潤、遊走、線維化、またはそれらの任意の組み合わせを防ぐ、実施形態103に記載の方法。108.ペプチドは、β-カテニンがエストロゲン受容体(ESR1)に結合するのを防ぐ、実施形態103に記載の方法。109.ペプチドは細胞質β-カテニンに結合し、β-カテニンの膜活性は減少しない、実施形態103に記載の方法。110.ペプチドは細胞質β-カテニンに結合し、β-カテニン-E-カドヘリン結合は影響を受けない、実施形態103に記載の方法。111.ペプチドは発癌性転写因子活性を防ぐ、実施形態96に記載の方法。112.被験体の細胞中の遊離核β-カテニンの量は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも100%減少する、実施形態105に記載の方法。113.遊離細胞質β-カテニンの減少は、治療上有効な量の医薬組成物を投与されなかった対照被験体の細胞に対するものである、実施形態112に記載の方法。114.遊離核β-カテニンの減少は、被験体が子宮内膜症または組織浸潤性疾病を発症する前に得られた被験体の細胞に対するものである、実施形態112に記載の方法。115.遊離細胞質β-カテニンの減少は、異なる時点で得られた被験体の細胞に対するものである、実施形態112に記載の方法。116.治療上有効な量は約0.01mg~約1000mgである、実施形態96-115のいずれか1つに記載の方法。117.ペプチドまたは医薬組成物は静脈内に投与される、実施形態72-116のいずれか1つに記載の方法。118.ペプチドまたは医薬組成物は筋肉内に投与される、実施形態72-116のいずれか1つに記載の方法。119.ペプチドまたは医薬組成物は、骨粗鬆症を処置するための薬物の投与と同時に投与される、実施形態72-116のいずれか1つに記載の方法。120.骨粗鬆症を処置するための薬物は、アレンドロネート、イバンドロネート、リセドロネート、ゾレドロン酸、デノスマブ、カルシトニン、エストロゲン、ラロキシフェン、バゾドキシフェン、テリパラチド、アバロパラチド、またはそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態119に記載の方法。121.骨粗鬆症を処置するための薬物はゾレドロン酸である、実施形態119に記載の方法。
VI.実施例
以下の実施例は説明目的のためだけに含まれ、本開示の範囲を限定することは意図していない。
実施例1 ペプチド合成
アンチセンスMet-X-X-X-X-X-X-X-X-X-X10-Lys一本鎖DNA鋳型を、Keck Oligonucleotide Synthesis Facility(Yale)において合成し、その配列は、5’...GCCAGACCCCGATTTSNNSNNSNNSNNSNNSNNSNNSNNSNNSNNCATTGTAATTGTAAATA-GTAATTG...3’であり、ここで、N=A、T、C、Gであり、S=G、Cである。A:C:G:Tを3:3:2:2の比率で混合することによって、「N」位置に使用される試薬ビンを作成した。C:Gを3:2の比率で混合することによって、「S」位置のための試薬ビンを作成した。フォワードプライマーGen-FP(5’-TAATACGACTCACTATAGGGACAATTACTATTTACAATTA CA-3’)およびリバースプライマーMK10K-RP(5’...ACCGCTGCCAGACCCCGATT T...3’)を使用して、MX10Kライブラリ二本鎖DNAを5サイクルのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅した。ラウンド0のmRNAプールを、T7ランオフ転写(runoff transcription)によって生成し、尿素-PAGEによって精製した。精製したmRNAを、オリゴヌクレオチドスプリント(oligonucleotide splint)(MX10K-スプリント:5’...TTTTTTTTTTTTTACCGCTGCCAGAC...3’)を介して、F30P((5’-dA21[C9]3dAdCdC-P;C9=tri-(エチレングリコール)ホスフェート(Glen Research)、P=ピューロマイシン(Glen Research)にライゲートした。ライゲーション反応のPAGE精製後、鋳型を水に溶解し、260nmの吸光度によって定量化した。
実施例2 ペプチドの合成および環化
N-メチルアミノ酸を含有するペプチドにおいてプロテアーゼ抵抗の増加が示される。さらに、ペプチドの環化は、リガンドペプチドの結合親和性を増大させることが示されている。
溶媒はすべてSigmaから購入した。N-Me-L14以外のすべてのペプチドを、プレロードしたレウ-2-クロロトリチル樹脂(250mg、0.15mmol;Anaspec)を用いたマニュアル固相ペプチド合成によって合成した。Fmoc-N-メチルロイシン(Fmoc=9-フルオレニルメトキシカルボニル;Anaspec)を2-クロロトリチル樹脂(Anaspec)にロードした後、N-Me-L14を合成した。5つのN末端基Asn残基を添加してペプチド溶解性を増強した。ロードは、N,Nジイソプロピルエチルアミン(DIEA;5当量)を有するDMF中のFmocN-Me-L14を、2-クロロトリチル樹脂(5当量;250mg、0.35mmol)に2時間添加することによって達成した。HATU(2mL、0.6mmol;Novabiochem)中の単量体(5当量;Novabiochem)、DIEA(1.8mmol)を有するDMF中のHOAt(1.2mmol;Genescript))を用いて、室温で15分間、標準カップリングを実行した。N-メチルアミノ酸へのカップリングは、30分間のカップリング時間で同じ手順に従った。Fmoc脱保護を、20%のピペリジン(Anaspec)を用いて、室温で15分間実行した。続いて、脱保護、95%のTFAでの切断、濾過、およびエーテル抽出を行い、粗製生成物を勾配溶出(5分間で0%B、40分で10~50%B。溶媒A:0.1%のTFAを有するH2O、溶剤B:0.035%のTFAを有するCH3CN)を使用して、Vydac C-18逆相カラムで精製した。凍結乾燥した固形物をDMSO中で再構成し、280nm(ε280=12490L mol-1cm-1)の吸光度によって量化した。収率=20~25%。
50mMのリン酸塩緩衝液(pH=8)中の190μLのdT-精製融合物を、50μLのDSG(DMF中の1mg/mL)を添加することによって、ペプチドを環化した。その反応を1時間進行させ、融合物をdT-セルロースによって再精製し、エタノール沈殿を行った。このプロセスにより環状ペプチドを得た。
実施例3 核β-カテニン阻害およびWntシグナル伝達
Wntシグナル伝達を阻害する能力についてペプチドを評価した。Wnt反応性プロモーター(TCF/LEF)(Enzo Life Sciences、Farmingdale、NY)下でルシフェラーゼを発現するマウス3T3線維芽細胞を、ペプチド阻害剤の増加する濃度の存在下のWnt3a(Hit1:配列番号:217、Hit2:配列番号:224、Hit3:配列番号:228、Hit4:配列番号:227、Hit5:配列番号:220、Hit6:配列番号:168.Hit7:配列番号:226)またはビヒクル対照で刺激した(図2A)。最適化した化合物は500~999nMの範囲のEC50値を示し、ルシフェラーゼレベルは刺激されていない(-Wnt3a)対照のレベルまで減少した。ルシフェラーゼ活性は、スクランブルペプチド(scrambled peptide)(スクランブル方法で同じアミノ酸を含有する)、非機能性ペプチド(ペプチドはβ-カテニンを標的としない)、または非透過性ペプチド(透過性を増強する特徴のないペプチド)を添加することによって影響を受けなかった。結果は、本明細書に記載されるペプチドを有するWnt反応性プロモーターの濃度依存性抑制を示す。conc dep supp。
実施例4 ペプチドは膜結合β-カテニンを阻害しないか、またはE-カドヘリン上の結合部位へのアクセスをブロックしない。
競合結合アッセイを実施し(図3)、ここで、ビオチン化されたβ-カテニンをストレプトアビジンプレート上で固定し、様々な量のペプチド阻害剤(配列番号:42)の存在下で、50nMのE-カドヘリンFC融合を添加した。試験した用量のいずれもβ-カテニンとE-カドヘリンの相互作用を阻害しなかった。結果は、ペプチドが膜結合β-カテニンを阻害しないか、またはE-カドヘリン上の結合部位へのアクセスをブロックしないことを示す。
実施例5 β-カテニン阻害剤は病変の退縮を引き起こす
子宮内膜症のマウスモデルに対するβ-カテニンの影響を評価するために試験を行った。マウスからの細かく刻まれたGFP+子宮組織を野生型のc57/bl6マウスに腹腔内注入することによって、子宮内膜症のEMSマウスモデルにおいて病変を確立した。このマウスモデルの病変は、ヒトで見られる付着部位を模倣している。その病変は、定義された上皮腺性構造、組織化された間質、およびヘモジデリン沈着マクロファージ(hemosiderin-laden macrophages)で組織化される。病変はホルモンに応答し、β-カテニン、MMP、Wnt4、PGR、およびESRを発現する。子宮内膜疾患をマウスにおいて確立し、治療の開始前3週間にわたって進行させた。
この確立段階の後、マウスを、ビヒクル(PBS+0.5%のDMSO陰性対照)または大環状ペプチドであるシクロ-アセチル-KNle-W-3-シクロヘキシル-L-アラニン-LI-(アミノ酪酸-AWD-COOH)(配列番号:215)、「ペプチド2」(0.5%のDMSO中のPBS+5mg/kgのペプチド2)のいずれかで、3週間にわたり毎日IP処置した。腟スミアを毎日採取し、これにより、ビヒクルまたはペプチド2のいずれかで処置したマウスは発情周期の4つの段階を経て進行したことが示された。図4Aは、マウスは、発情前期(P)、発情期(E)、発情間期(D)、および発情後期(M)の段階を4~5日ごとに繰り返すことを示す。ビヒクルおよびペプチド2の発情期のパターンは正常である。視床下部生殖腺軸(hypothalamic gonadal axis)の子宮に対する副作用は示されなかった。
その後、マウスを発情期中に安楽死させた;マウスの重量、卵巣の重量、および子宮の重量を測定し、処置レジメンにわたって一貫していることを決定した(図4B)。ビヒクル単独と比較すると、EMS病変は、ペプチド2で処置したマウスにおいてサイズが減少した(図4Bおよび図4C)。活性化マクロファージの関連する増加も、ビヒクル単独と比較して、ペプチド2で処置したマウスで観察された。図5は、組織構造によって評価されるように、ビヒクル単独と比較した、ペプチド2(配列番号:215)で処置された病変の部位における活性化マクロファージ、泡沫細胞、多形核好中球、B細胞、およびT細胞の相対数の増大を示す。理論によって制限されることを望まずに、これらの結果は、免疫細胞が子宮組織を貪食していることを示唆する可能性がある。
この実験から、β-カテニンの阻害剤であるペプチド2が、発情周期、マウスの重量、卵巣の重量、または子宮の重量を変えることなく、病変の退縮を引き起こすことが結論付けられ得る。ともに、これらのデータは、ペプチド2が、(1)膜透過性であり、用量依存的様式でβ-カテニンの核転写機能を妨害すること、(2)プロテアーゼに対する安定性および持続的な半減期を示すこと、(3)E-カドヘリンに結合するβ-カテニン膜に影響を与えないこと、(4)病的かつ異常なWnt依存性増殖を伴う細胞の細胞増殖を阻害すること、(5)正常細胞の増殖に影響を与えたり、膜結合β-カテニン活性を妨害したりしないこと、および、(6)子宮の周期性または子宮の重量を変えることなく、EMS病変を退行させることを実証する。
実施例6 ペプチドの治療有効性
ペプチド阻害を、様々な病変のサブタイプ(位置ならびに重症度に基づく)からのヒト子宮内膜の間質細胞(HESC)および/または初代EMS細胞を含む、細胞型のパネルにわたって細胞増殖を阻害する能力について試験する。マウスの子宮に由来するマウスの子宮細胞を対照細胞株として使用して、ペプチドが正常な細胞挙動を阻害しないことを実証する。初代EMS細胞を様々な患者から切除し、World Endometriosis Research Foundation Endometriosis Phenome and Biobanking Harmonization Project(EPHect)の基準プロトコルに従って採取した。すべての細胞株をプレーティングし(四つ組の5-10x10細胞/24ウェルプレート)、それぞれのペプチドを、一連の対照と共に、10の異なる濃度(10~50,000nM)で5日間毎日投与する(表2を参照)。5日目の後、CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay (Promega)を使用して、生存細胞を検出する。IC50値を、細胞生存率読み取り値に基づいて、Prismソフトウェア(GraphPad)を使用してグラフ化し、計算する。
Figure 2022510606000004
実施例7 インビトロでの細胞の遊走および浸潤の治療的阻害
Matsuzaki et al.,C.PLoS One 8,e61690によって概説されるように、HESC、マウスEMS病変細胞、およびヒトEMS病変細胞のインビトロでの細胞の遊走および浸潤を、コーティングされていないか、あるいはマトリゲルでコーティングされた24ウェルのチャンバーまたはマイクロフィルター(Becton Dickinson)をそれぞれ使用して分析する。同じ対照を使用して実施例3および6で最適であると決定された化合物の刺激と、その後の投与の際に、細胞運動性および遊走を、24時間でチャンバーの非集合領域(unpopulated area)に遊走する細胞の数によって計算し、および、細胞の浸潤を、24時間でミクロポアフィルターに浸潤する細胞の数によって計算する。これらの実験は4つ組で実施し、コンピューター化された光学顕微鏡を用いて定量的に分析する。その結果を使用して、ペプチドが細胞の遊走および浸潤を阻害する能力を評価する。
実施例8 細胞株中の治療用分子のオンターゲット(on-target)活性の確認
各ペプチドのオンターゲット活性を、ヒトWNTシグナル伝達経路RT Profiler PCRアレイ(Qiagen、Venlo、Netherlands)を使用して、>80のWNT経路遺伝子の転写活性によって評価する。初代細胞に500nMの選択されたペプチドを48時間投与する。RNAを採取した細胞から抽出し、rtPCRを使用してアレイ上でプロファイリングする(profiled)。上記アレイには、リガンド、受容体、下流シグナル分子、および、Wnt古典的経路、2つの非古典的経路、平面内極性、ならびにカルシウムイオン依存性経路の調節因子が含む、Wnt媒介性シグナル伝達に関連する84の遺伝子が含まれている。ClC-3のウエスタンブロット解析およびMMP-9活性のザイモグラフィーを使用して、選択されたタンパク質が初期レベルの≧50%減少したことを確認する。細胞を、免疫蛍光検査法によってβ-カテニン局在化について染色する。対照は表2に表記される通りである。
実施例9 インビボの病変の治療的退縮
EMSのマウスモデルを使用して、治療的可能性をさらに試験するために化合物を選択する。Burns,et al.,Endocrinology 153,3960-3971に従って、マウスにEMSを誘導する。ホルモン的に無傷の同系のマウスを妊馬血清性ゴナドトロピン(PMSG-5 IU)と同期化する。41時間後に子宮を摘出し、このとき、ホルモンのレベルおよび膣の組織構造が、発情後期/発情間期を模倣する(データは示されない)。外側の子宮筋層および付着した血液供給をはがし、子宮を縦に細長く切り、1~2mmの小片に切り刻んで無菌生理食塩水に入れた。切り刻まれた子宮組織を、5mmの背側の穴から腹膜腔に注入する(0日目)。ペプチドを腹腔内に導入する前に、切り刻まれた子宮組織を3週間付着させて増殖させる。5mg/kg、10mg/kg、および20mg/kgのペプチドを用いて、マウスを6週間毎日処置する。EMSの開始後9週目に、マウスを発情期で安楽死させる。前のデータを、数を決定するための平均および標準偏差の予備推定値(preliminary estimates)として使用する。
剖検では、腹膜細胞および体液を腹腔洗浄によって採取する。病変は、組織学的検査/免疫組織化学的検査(IHC)では周囲の組織と一緒に除去するか、または、リアルタイムPCRによる遺伝子発現解析では周囲の組織を含めずに除去する(重量、体積、および位置を記録する)。組織学的に血管を視覚化するために、剖検の20分前に、マウスにレクチン(100μg)およびヘパリン硫酸(heparin sulfate)(100U)を注射する。病変を、血管密度、組織化/コラーゲン(Masson’s Trichrome)、白血球の浸潤(つまり、Ly6Gによる好中球、F4/80によるマクロファージ)、増殖(Ki67)、β-カテニン局在化、およびWntシグナル伝達分子について組織学的に分析する。病変はさらに、Wnt/β-カテニンレベル、およびMMPザイモグラフィーを使用してマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性を調べるために使用する。腹水細胞を、マクロファージおよび好中球について分析する。実施例4でWntシグナル伝達PCRアレイにおいて最も影響を受けた遺伝子を標的とするリアルタイムPCRを使用して、病変を分析する。対照処置の病変はベースラインとして機能する。
対照と比較して、Wntシグナル伝達を減少させるか、病変の重量または体積を減少させるか、MMP活性レベルを減少させるか、線維症を減少させるか、病変における白血球の浸潤を増加させるか、核β-カテニンの量を減少させるか、あるいはそれらの任意の組み合わせを行う化合物を選択し、さらなる試験を行った。
Figure 2022510606000005
実施例10 局在化の免疫組織化学的検査
子宮内膜症を疾患マウスモデルにおいて確立した。マウスは3週間にわたり子宮内膜症を確立させた。最初の3週間後、配列番号:215または393に対応する治療用ペプチド、または未処置の陰性対照を用いて、マウスを3週間毎日腹腔内処置した。ペプチドおよびβ-カテニンの局在化を評価するために、子宮内膜症マウスモデルの病変を評価した。処置の最後の日に、病変に対するペプチドの局在化を視覚化するために、マウスに、ビオチン化タグ付き治療用ペプチドまたは対照を投薬した。マウスを安楽死させ、病変を取り出してホルマリンで固定し、組織学的検査および免疫組織化学的検査を行った。固定されて区分された病変を、β-カテニンに特異的な特定の抗体(細胞シグナル伝達、1:100、二次:Fisher Scientific、ヤギ-抗-ウサギ-647 1:200)、ビオチン化した治療剤用のストレプトアビジン(isher Scientific、SA-405 1:100)、および核用のSytox green(Fisher Scientific、1:300)とインキュベートした。免疫組織化学的な陰性対照を、IgG非特異的抗体(ウサギ-IgG、AbCam 1:100)を使用して、すべての処置群からの病変切片上で実施した。
定性的に、図6Aに示されるように、治療用ペプチドで処置された場合、標的β-カテニンが核に局地化されないことは明白である。加えて、治療用ペプチドはさらに、核内では減少して膜内では維持/増大するβ-カテニンの局在化パターンに従う。このことは、ペプチドが膜可溶性であり、細胞質β-カテニンに結合し、膜中のβ-カテニン間の結合を妨害しないことを示唆する。治療用ペプチド結合により、E-カドヘリンに対するβ-カテニンの結合親和性が増大する場合がある。反対に、対照で処置された病変は、膜、細胞質ゾル、および核にわたってより拡散した染色を有していた。さらに、図6Bで示されるように、直交スライス(orthogonal slices)は、ペプチドで処置された病変中のβ-カテニンが、対照で処置された病変と比較してより膜性であることを示す。予想通り、治療用ペプチドの局在化は、β-カテニン染色と相関する。ペプチドで処置された病変において、ペプチドの局在化は、膜にわたって優勢的に視覚化された。
β-カテニン局在化の定量化を、閾値処理を介して、Zeiss Blueソフトウェアを使用して実施した。閾値処理により、ソフトウェアがピクセル強度を使用して染色領域を計算することが可能になり;したがって、様々な細胞区画について、染色のための定量的数値を推定することができる(表6を参照)。
Figure 2022510606000006
コンパイルされた領域閾値処理データは、治療的処置を受けている病変からのβ-カテニンが、対照で処置されている病変と比較された時、より膜結合していることを示す(図7Aを参照)。さらに、核β-カテニンのレベルは、対照で処置された病変と比較して、治療剤で処置された病変において減少する(図7Bを参照)。
ともに、これらのデータは、治療用ペプチドがβ-カテニンの膜への結合を維持するか、または増加させ、核β-カテニンの局在化を阻害することを示す。
実施例11 表面プラズモン共鳴(SPR)を用いたKD50測定
ビオチン化されたタンパク質(βカテニン)を、高親和性ストレプトアビジン(SA)センサチップ(GE)上で固定した。メーカーの説明に従って、増加する濃度のペプチドを室温でHBS EP+緩衝液中に流した。Biacore(登録商標)系(GE)説明書を使用して、表面の最大の結合能力(飽和時の応答)を計算し、結合をデータポイントとして各濃度で測定した。少なくとも20%~80%の表面の飽和度の分析物濃度の範囲にわたって、結合レベルを決定した。オンレート、オフレート、およびKDを、Biacore(登録商標)Insight Evaluation Softwareソフトウェア(GE)を使用して計算した。50%の飽和時の濃度をこれらの一連の希釈液から計算し、表5でKD50として表した。qPCRにより、細胞株中の治療用分子のオンターゲット活性が確認された。
各ペプチドのオンターゲット活性を、QiagenのヒトWNTシグナル伝達経路RT Profiler PCRアレイを使用して、WNT経路遺伝子の転写活性によって評価した。初代細胞に、配列番号:42に対応する治療用ペプチドを48時間投与した。採取された細胞からRNAを抽出し、rtPCRを使用してアレイ上でプロファイリングした。アレイは、リガンド、受容体、下流シグナル分子、および、Wnt古典的経路、2つの非古典的経路、平面内極性、ならびにカルシウムイオン依存性経路の調節因子を含む、Wnt媒介性シグナル伝達に関連する84個の遺伝子を含有しており、このうち38個をここで評価した。ICG001(既知のWnt阻害剤)の陽性対照もRNAアレイ上で実行し、比較として使用した。
図8Aおよび図8Bで示される結果により、Wnt経路内のいくつかの鍵遺伝子転写産物を阻害することによって、配列番号:42に対応する治療用ペプチドが既知の陽性対照より優れていたことが示された。具体的には、治療用ペプチドが投与されると、FZD3、FZD4、FZD6、FZD8、WNT10A、WANT11、WANT2B、WNT4、WNT5A、WNT5B、WNT6、WNT7Aを含む、AXIN1、AXIN2、CCND1、CTNNB1、CXXC4、DKK1、DKK3、DVL1、DVL2、FRAT1、LEF1、MMP7、MYC、NFATC1、RHOA、RHOU、TCF7、TCF7L1、WNT9A、およびWnt受容体ならびにリガンドを含む、下流Wntマーカーおよび標的遺伝子がダウンレギュレートされた(図8Aおよび8Bを参照)。重要な転写産物のダウンレギュレーションは、子宮内膜症細胞において観察された治療剤の抗増殖効果に寄付し得る。さらに、いくつかのWnt受容体およびリガンドはアップレギュレートされ、このことは、これらの処置された細胞におけるアポトーシスの結果であり得る。アップレギュレートされたWnt受容体およびリガンドは、FZD5、FZD9、WNT3を含む。ともに、これらの結果は、配列番号:42に対応する治療用ペプチドが強力かつ特異的なWnt阻害剤であることを示す。
実施例12 蛍光偏光(FP)を使用するKD50の測定
5nMの標識されたTCF4タンパク質を100nMのβ-カテニンの溶液に添加し、96ウェルプレート(Greiner96平らな透明プレート、Millipore Sigma(Carlsbad CA)において室温でインキュベートした。その後、様々な濃度のβ-カテニン阻害剤候補(配列番号:404)を、プレートの異なるウェル中の阻害剤の10nM~30uMの一連の階段希釈液に添加した。蛍光偏光を、470nmの励起波長でInfinite M1000(Tecan,Baldwin Park CA)によって読み取り、520nmの放射波長で測定した。ブランクからのバックグラウンドノイズについて補正された偏光測定により、各データポイントの偏光強度の読み取り値が結果としてもたらされた。実験を3回実施し、データをMicrosoft Excel(Microsoft、Redmond、WA)で分析およびプロットした。配列番号:404の結果を示す例が図9に示される。上記結果は、阻害剤が濃度依存的様式でβ-カテニンに結合することを示す。
実施例13 細胞増殖に対するペプチドの効果
ペプチド阻害剤を、病原性細胞株を発現する2つの異なるβ-カテニンにわたって細胞増殖を阻害する能力について試験した:疾患のマウスモデルに由来する結腸癌細胞株(SW480)および/またはマウスEMS病変細胞。両方の細胞株は高レベルのβ-カテニンを発現することが知られている。細胞株を、様々な濃度のペプチド濃度でインキュベートし、5日および7日後に生存率について評価した。CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を使用して生存細胞を検出した。IC50値を、細胞生存率読み取り値に基づいて、 Prismソフトウェア(GraphPad)を使用してグラフ化し、計算する。IC50を使用して、ペプチド濃度による細胞増殖の阻害を評価し、各株にわたる各ペプチドの阻害効果を計算する。その結果を使用して、ペプチドの治療有効性を評価する。
SW480細胞株において、ファミリー1(配列番号:264)およびファミリー2(配列番号:396)からのペプチド阻害剤を細胞増殖培地に毎日添加した。7日後、細胞生存率を、Cell-Titer Gloキット(Promega、Madison、WI)を用いて評価した。両方のペプチドは、濃度依存的様式で7日後に細胞増殖を阻害した(図2B)。疾患マウスモデルに由来するマウスEMS病変細胞では、ペプチド阻害剤(配列番号:465)を、25uM、12.5uM、6.25uM、3.125uM、1.56uM、0.78uM、0.39uM、0.195uM、0.098uM、0.049uM、0.024uM、および0uM(陰性対照)の濃度で、細胞増殖培地に毎日添加した。5日後に細胞生存率を評価し、ペプチドは、用量依存的様式で5日後に細胞増殖を阻害した。IC50を、50%の生存率が観察された濃度に基づいてペプチドについて計算した(表5)。
実施例14 例示的な化合物
例示的なペプチドが以下に示される。実施例1および実施例2に記載されるようにペプチドを合成した。
Figure 2022510606000007
Figure 2022510606000008
Figure 2022510606000009
Figure 2022510606000010
Figure 2022510606000011
本開示の好ましい実施形態が本明細書中で示され、記載されてきたが、このような実施形態はほんの一例として提供されているに過ぎないということは、当業者に明らかであろう。多くの変形、変更、および置き換えは、本開示から逸脱することなく、当業者によって想到されるものである。本明細書に記載される開示の実施形態の様々な代案が、本開示の実施において利用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本開示の範囲を定義するものであり、ならびに、この特許請求の範囲およびその同等物の範囲内の方法および構造はそれによって包含されることが、意図されている。
Figure 2022510606000012
Figure 2022510606000013
Figure 2022510606000014
Figure 2022510606000015
Figure 2022510606000016
Figure 2022510606000017
Figure 2022510606000018
Figure 2022510606000019
Figure 2022510606000020
Figure 2022510606000021
Figure 2022510606000022
Figure 2022510606000023
Figure 2022510606000024
Figure 2022510606000025
Figure 2022510606000026
Figure 2022510606000027
Figure 2022510606000028
Figure 2022510606000029
Figure 2022510606000030
Figure 2022510606000031
Figure 2022510606000032
Figure 2022510606000033
Figure 2022510606000034

Claims (52)

  1. 式X-X-X-X-X-X-X-X-X-X10-X11-X12-X13-X14-X15-X16を有するアミノ酸配列を含むペプチドであって、式中、
    は、Mまたはヌルであり、
    は、S、I、G、T、A、L、またはヌルであり、
    は、R、K、またはヌルであり、
    は、正に荷電したアミノ酸、シトルリン、Orn、D、E、8-アミノオクタン酸、または4~12の炭素を有するアミノカルボン酸であり、
    は、M、ノルロイシン、Orn、D、E、K、H、R、K、8-アミノオクタン酸、4~12の炭素を有するアミノカルボン酸、またはヌルであり、
    は、W、Y、F、またはN-メチルAであり、
    は、F、I、L、Chg、Cha、またはTleであり、
    は、L、I、またはAであり、
    は、L、I、またはAであり、
    10は、C、S、A、Abu、C(me)、またはS(Bzl)であり、
    11は、F、H、A、K、E、Chg、Cng、またはOrnであり、
    12は、W、Y、A、またはFであり、および、
    13は、G、GABA、またはヌルである、
    ペプチド。
  2. 式R-X-X-X-X-X-X-X-X-X-X10-X11-X12-X13-X14-X15-X16を有するアミノ酸配列を含むペプチドであって、式中、
    Rは、NH、アセチル化、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、C-C炭化水素、C-C脂肪酸、またはヌルであり、
    は、M、G、βアラニン、ノルロイシン、ノルバリン、またはヌルであり、
    は、W、N-メチルW、R、Y、F、シトルリン、またはKであり、
    は、P、W、N-メチル-W、N-エチル-W、N-メチルA、N-エチルA、L、Pip、Aib、Y、またはFであり、
    は、E、Q、N、またはDであり、
    は、S、αメチルS、K、D、Orn、T、またはEであり、
    は、I、Chg、H、またはLであり、
    は、LまたはIであり、
    は、D、N、E、またはQであり、
    は、D、E、K、Q、またはOrnであり、
    10は、Hまたはメチル-Hであり、
    11は、V、αメチルV、Chg、L、I、またはノルバリンであり、
    12は、Q、Aib、S、R、またはNであり、
    13は、R、K、シトルリン、Orn、D、またはEであり、
    14は、V、I、L、またはノルバリンであり、
    15は、W、Y、またはFであり、および、
    16は、R、G、またはヌルである、
    ペプチド。
  3. 配列番号:1~配列番号:500のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項1または2に記載のペプチド。
  4. 配列番号:1~配列番号:500のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1または2に記載のペプチド。
  5. 前記ペプチドはβ-カテニンに結合する、請求項1または2に記載のペプチド。
  6. 前記ペプチドはβ-カテニン阻害剤である、請求項1または2に記載のペプチド。
  7. 前記ペプチドは、核へのβ-カテニンの移行の阻害剤である、請求項1または2に記載のペプチド。
  8. 前記ペプチドは、β-カテニンが癌遺伝子、マトリックスメタロプロテアーゼ 9(MMP9)、またはクロライドC3チャネル(ClC-3)への転写因子として作用するのを防ぐ、請求項1または2に記載のペプチド。
  9. 前記ペプチドは、子宮内膜症(EMS)細胞の形質転換、浸潤、遊走、線維化、またはそれらの任意の組み合わせを防ぐ、請求項1または2に記載のペプチド。
  10. 前記ペプチドは、β-カテニンがエストロゲン受容体(ESR1)に結合するのを防ぐ、請求項1または2に記載のペプチド。
  11. 前記ペプチドは、β-カテニンの膜活性を減少させない、請求項1または2に記載のペプチド。
  12. 前記ペプチドは、β-カテニンE-カドヘリン結合を減少させない、請求項1または2に記載のペプチド。
  13. 前記ペプチドは発癌性転写因子活性を防ぐ、請求項1または2に記載のペプチド。
  14. 前記ペプチドは、50uM未満のEC50を有するWnt経路活性を阻害する、請求項5に記載のペプチド。
  15. 前記ペプチドは天然に存在しない、請求項1または2に記載のペプチド。
  16. 前記ペプチドは環状化ペプチドまたは二環式ペプチドである、請求項1または2のいずれか1つに記載のペプチド。
  17. 前記ペプチドはCys-Cysジスルフィド結合で環状化される、請求項16に記載のペプチド。
  18. 前記ペプチドはアミド結合で環状化される、請求項16に記載のペプチド。
  19. 前記アミド結合は、N末端とC末端との間のヘッド-テールである、請求項18に記載のペプチド。
  20. 前記アミド結合は、N末端と内部COOHとの間のヘッド-側鎖である、請求項18に記載のペプチド。
  21. 前記アミド結合は、内部NHとC末端との間の側鎖-テールである、請求項18に記載のペプチド。
  22. 前記アミド結合は、内部NHと内部COOHとの間の側鎖-側鎖である、請求項18に記載のペプチド。
  23. 前記ペプチドは炭化水素ステープリングを使用して環状化される、請求項16に記載のペプチド。
  24. 前記ペプチドはクリックケミストリーを使用して環状化される、請求項16に記載のペプチド。
  25. 前記ペプチドは少なくとも3つのアミノ酸残基である、請求項1または2に記載のペプチド。
  26. 前記ペプチドは81未満のアミノ酸残基である、請求項1または2に記載のペプチド。
  27. 前記ペプチドは1以上の非天然アミノ酸を含む、請求項1または2に記載のペプチド。
  28. 前記1以上の非天然アミノ酸はN-メチルアミノ酸である、請求項27に記載のペプチド。
  29. 医薬組成物であって、前記医薬組成物は、
    β-カテニン阻害剤;
    β-カテニンへの結合特異性を含むペプチド;
    ペプチドを含むβ-カテニン阻害剤;または、
    配列番号:1-490のいずれか1つのアミノ酸配列を含むペプチド;および、
    薬学的に許容可能な担体を含む、
    医薬組成物。
  30. 治療上有効な量の配列番号:1-490のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を含むペプチドまたは請求項29に記載の医薬組成物を、それを必要とする被験体に投与する工程を含む、子宮内膜症を処置する方法。
  31. 子宮内膜症の処置は子宮内膜症に関連する症状を減少させ、前記症状は、慢性疼痛、中枢性感作、筋膜痛、付属器腫瘤、不妊症、月経困難症、遺伝的素因、月経時以外の骨盤-腹部の痛み、性交疼痛、腸症状(下痢、筋痙攣、便秘)、排便痛(排便困難)、卵巣腫瘤または卵巣腫、疼痛性膀胱症状、および排尿障害からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項30に記載の方法。
  32. 前記ペプチドは細胞質β-カテニンに結合する、請求項30に記載の方法。
  33. 前記ペプチドはβ-カテニンを阻害する、請求項30に記載の方法。
  34. 前記ペプチドは細胞質β-カテニンに結合して、細胞の核へのβ-カテニンの移行を阻害する、請求項32に記載の方法。
  35. 前記ペプチドは細胞質β-カテニンに結合して、膜結合β-カテニンを維持するか、または増大させる、請求項32に記載の方法。
  36. 前記ペプチドは細胞質β-カテニンに結合して、β-カテニンが癌遺伝子、マトリックスメタロプロテアーゼ 9(MMP9)、またはクロライドC3チャネル(ClC-3)への転写因子として作用するのを防ぐ、請求項32に記載の方法。
  37. 前記ペプチドは細胞質β-カテニンに結合して、EMS細胞の形質転換、浸潤、遊走、線維化、またはそれらの任意の組み合わせを防ぐ、請求項32に記載の方法。
  38. 前記ペプチドは細胞質β-カテニンに結合して、β-カテニンがエストロゲン受容体(ESR1)に結合するのを防ぐ、請求項32に記載の方法。
  39. 前記ペプチドは細胞質β-カテニンに結合し、β-カテニンの膜活性は減少しない、請求項32に記載の方法。
  40. 前記ペプチドは細胞質β-カテニンに結合し、β-カテニン-E-カドヘリン結合は減少しない、請求項32に記載の方法。
  41. 前記ペプチドは発癌性転写因子活性を防ぐ、請求項30に記載の方法。
  42. 前記被験体の細胞中の核β-カテニンの量が、少なくとも5%減少する、請求項32に記載の方法。
  43. 核β-カテニンの減少は、治療上有効な量の前記医薬組成物を投与されなかった対照被験体の細胞に対するものである、請求項42に記載の方法。
  44. 核β-カテニンの減少は、前記被験体が疾病を発症する前に得られた被験体の細胞に対するものである、請求項42に記載の方法。
  45. 核β-カテニンの減少は、異なる時点で得られた被験体の細胞に対するものである、請求項42に記載の方法。
  46. 治療上有効な量は約0.01mg~約1000mgである、請求項30に記載の方法。
  47. 前記ペプチドまたは前記医薬組成物は静脈内に投与される、請求項30に記載の方法。
  48. 前記ペプチドまたは前記医薬組成物は筋肉内に投与される、請求項30に記載の方法。
  49. 前記ペプチドまたは前記医薬組成物は、骨粗鬆症を処置するための薬物の投与と同時に投与される、請求項30に記載の方法。
  50. 前記骨粗鬆症を処置するための薬物は、アレンドロネート、イバンドロネート、リセドロネート、ゾレドロン酸、デノスマブ、カルシトニン、エストロゲン、ラロキシフェン、バゾドキシフェン、テリパラチド、アバロパラチド、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項49に記載の方法。
  51. 前記骨粗鬆症を処置するための薬物はゾレドロン酸である、請求項49に記載の方法。
  52. 時間制御方式でペプチドを放出するように製剤化された配列番号:215または393のアミノ酸配列を含むペプチドを含む、膣内装置であって、
    ここで、前記ペプチドはβ-カテニンに結合し、
    ここで、前記ペプチドは、細胞の核へのβ-カテニンの移行を阻害し、
    ここで、前記ペプチドは、膜中のE-カドヘリンに結合するβ-カテニンを減少させず、および、
    ここで、前記ペプチドは、それを必要とする被験体の子宮内膜症病変または子宮内膜症に関連する他の症状の大きさあるいは重症度を減少させる、
    膣内装置。
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