JP2022509215A - バチルス属(bacillus)細胞におけるタンパク質産生増強のための新規なプロモーター配列及びその方法 - Google Patents

バチルス属(bacillus)細胞におけるタンパク質産生増強のための新規なプロモーター配列及びその方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2022509215000001
本開示は一般に、バチルス属(Bacillus)種(宿主)細胞におけるタンパク質産生増強のための新規なプロモーター配列及びその方法に関する。本明細書に記載するように、本開示の新規なプロモーター配列は、目的のタンパク質をコードする遺伝子又はオープンリーディングフレームに作動可能に連結された場合、工業的に関連するタンパク質の大規模生産での使用に特に適している。
【選択図】図1

Description

本開示は、一般に、細菌学、微生物学、分子生物学、遺伝学、酵素学、工業用タンパク質産生などの分野に関する。より詳しくは、本開示の特定の実施形態は、バチルス属(Bacillus)種(宿主)細胞においてタンパク質産生増強表現型を得るための新規プロモーター配列及びその方法に関する。本明細書に記載するように、本開示の新規なプロモーター配列は、目的のタンパク質をコードする遺伝子(又はオープンリーディングフレーム)に作動可能に連結された場合、工業用関連タンパク質の大規模生産での使用に特に適している。
関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月28日に出願された米国仮特許出願第62/772,363号の利益を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
配列表の参照
「NB41318-WO-PCT_SequenceListing.txt」との名称が付けられた配列表のテキストファイルの電子的提出の内容は、2019年11月21日に作成され、サイズは176KBであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)などのグラム陽性菌は、その優れた発酵特性と高い収率(例えば、培養物1リットル当たり最大25グラム;Van Dijl and Hecker,2013)から、工業用関連タンパク質を産生するための微生物工場として頻繁に使用されている。例えば、B.サブチリス(B.subtilis)は、食品、繊維、洗濯、医療/歯科用機器(洗浄)、膜(洗浄)薬品工業などに必要なα-アミラーゼ(Jensen et al.,2000;Raul et al.,2014)及びプロテアーゼ(Brode et al.,1996)の生産でよく知られている(Westers et al.,2004)。これらの非病原性グラム陽性菌は、有害な副生物(例えば、内毒素としても知られるリポ多糖類(LPS))を全く含まないタンパク質を産生するので、欧州食品安全機関(European Food Safety Authority)の「安全性適格推定(Qualified Presumption of Safety)」(QPS)の評価を得ており、それらの産生物の多くは、アメリカ食品医薬品局(US Food and Drug Administration)から「安全食品認定(Generally Recognized as Safe)」(GRAS)の評価を獲得した(Olempska-Beer et al.,2006;Earl et al.,2008;Caspers et al.,2010)。
したがって、微生物宿主細胞内でのタンパク質(例えば、酵素、抗体、受容体、ペプチドなど)の産生は、バイオテクノロジー分野において特に関心が高い。同様に、1種以上の目的のタンパク質を産生及び/又は分泌させるための宿主細胞の最適化は、特に工業バイオテクノロジーの状況においては非常に重要であり、タンパク質が工業的に大量生産される場合、タンパク質収量の僅かな改善が極めて重要な意味を有する。より詳細には、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)及びB.サブチリス(B.subtilis)は、工業的重要性の高いバチルス属(Bacillus)種の宿主細胞の例であり、したがって、タンパク質発現/産生の増強/増量のためにそのような宿主細胞の遺伝子を改変し操作し得ることは、新規且つ改善されたバチルス属(Bacillus)種の産生株構築のために非常に望ましい。
例えば、遺伝子(又はオープンリーディングフレーム(ORF))によってコードされる目的のタンパク質(例えば、酵素)の組み換え産生は一般に、目的のタンパク質をコードするポリヌクレオチド(配列)が、プロモーター(核酸)配列の下流(3’)に置かれ、且つプロモーター(核酸)配列に作動可能に連結された発現カセット(すなわち、所与の宿主細胞での使用に好適なコンストラクト/ベクター/カセット)を構築することによって達成される。したがって、プロモーター配列は、プロモーター配列の下流(3’)にある遺伝子(又は、ORF)の上流(5’)に配置され、且つ作動可能に連結される(すなわち、作動可能な組み合わせで)。
同様に、発現カセットは種々の技術(例えば、形質転換)によって宿主細胞に導入され、所望の目的のタンパク質(POI)の発現/産生が、POIの発現/産生に必要な好適条件下で(形質転換された)宿主細胞を培養することによって達成され得る。例えば、国際公開第2013/086219号パンフレットは、一般に、B.サブチリス(B.subtilis)由来のリボソームプロモーターを含む、目的のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを産生するためのプロモーター、発現ベクター、微生物、及び方法を開示している。
宿主細胞における遺伝子の発現に使用するための多数のプロモーターが一般的に知られているが、新規なプロモーター(核酸)配列が当該技術分野において依然として要求されており、そして未だその要求は達成されていない。より詳細には、このような継続し、且つ未達成の要求には、以下に限定されるものではないが、新規なプロモーター(核酸)配列の特定、そのプロモーター機能性の増強、そのプロモーター活性の増加、タンパク質産生増強表現型などが含まれる。以下に提示し、記載し、そして例示するように、本開示は、新規なプロモーター配列を得、タンパク質産生増強表現型などを含むそのバチルス属(Bacillus)種宿主細胞(例えば、タンパク質産生(宿主)細胞、細胞工場)を構築する、そのような強く要望され、且つ達成されていない要求に関する。
本開示は一般に、タンパク質産生増大表現型などを有するバチルス属(Bacillus)種の細胞(例えば、タンパク質産生宿主細胞、細胞工場)を作製し、且つ構築するための組成物及び方法に関する。より詳細には、本開示の特定の実施形態は、新規プロモーター(核酸)配列、このような新規プロモーターを含む発現カセット、及びタンパク質生産性増強表現型を含むその改変バチルス属(Bacillus)種(娘)細胞に関する。
したがって、本開示の特定の実施形態は、関連するプロモーター核酸配列である。特定の実施形態では、プロモーター核酸配列は、配列番号39に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号39のヌクレオチド位30のチミン(T)、配列番号39のヌクレオチド位89のチミン(T)、配列番号39のヌクレオチド位90のグアニン(G)、及び配列番号39のヌクレオチド位91のチミン(T)からなる群から選択される少なくとも1つの変異を含む。他の実施形態では、本開示のプロモーター核酸配列は、配列番号39のヌクレオチド位30のT、配列番号39のヌクレオチド位89のT、配列番号39のヌクレオチド位90のG、及び配列番号39のヌクレオチド位91のTからなる群から選択される少なくとも2つの変異を含む。他の実施形態では、プロモーター核酸配列は、配列番号39のヌクレオチド位30のT、配列番号39のヌクレオチド位89のT、配列番号39のヌクレオチド位90のG、及び配列番号39のヌクレオチド位91のTからなる群から選択される少なくとも3つの変異を含む。特定の他の実施形態では、プロモーター核酸配列は、配列番号39のヌクレオチド位30のT、配列番号39のヌクレオチド位89のT、配列番号39のヌクレオチド位90のG、及び配列番号39のヌクレオチド位91のTからなる群から選択される少なくとも4つの変異を含む。他の実施形態では、プロモーター核酸配列は、配列番号40を含む。他の実施形態では、本開示のプロモーター核酸配列は、プロモーターの下流(3’)に位置し、且つプロモーターに作動可能に連結された、目的のタンパク質(POI)をコードする遺伝子又はオープンリーディングフレーム(ORF)を含む。特定の実施形態では、目的のタンパク質(POI)は酵素である。他の実施形態では、酵素は、ヒドロラーゼである。さらに他の実施形態では、プロモーター配列は、その上流(5’)にあり、それに作動可能に連結された、1つ以上のヌクレオチドを含む。特定の実施形態では、プロモーター配列は、(3’)下流の天然aprE 5’-UTR配列、又はその改変aprE 5’-UTR配列に作動可能に連結されている。特定の実施形態では、天然のaprE 5’-UTR配列は、配列番号85を含む。
したがって、本開示の特定の他の実施形態は、配列番号40、配列番号58又は配列番号59を含むプロモーター核酸配列に関する。特定の実施形態では、配列番号40、配列番号58又は配列番号59を含むプロモーター核酸配列はさらに、プロモーターの下流(3’)に位置し、且つプロモーターに作動可能に連結された目的のタンパク質(POI)をコードする遺伝子又はORFを含む。特定の実施形態では、POIは酵素である。他の実施形態では、酵素は、ヒドロラーゼである。別の実施形態では、配列番号40、配列番号58又は配列番号59を含むプロモーター核酸配列は、その上流(5’)にあり、且つそれに作動可能に連結された1つ以上のヌクレオチドを含む。別の実施形態では、配列番号40、配列番号58又は配列番号59を含むプロモーター核酸配列は、(3’)下流の天然aprE 5’-UTR配列、又はその改変aprE 5’-UTR配列に作動可能に連結されている。別の実施形態では、天然のaprE 5’-UTR配列は、配列番号85を含む。
本開示の特定の他の実施形態は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号60とハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を対象としており、このハイブリダイズするポリヌクレオチド配列は、配列番号39の等価なヌクレオチド位30、89、90又は91に対して、30、89、90又は91から選択されるヌクレオチド位に少なくとも1つの変異を含む。特定の実施形態では、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド配列は、配列番号40を含む。別の実施形態では、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド配列は、配列番号58を含む。他の実施形態では、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド配列は、配列番号59を含む。特定の他の実施形態では、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号60とハイブリダイズするポリヌクレオチド配列は、プロモーターの下流(3’)に位置し、且つプロモーターに作動可能に連結された目的のタンパク質(POI)をコードする遺伝子又はORFをさらに含む。特定の実施形態では、POIは酵素である。他の実施形態では、酵素は、ヒドロラーゼである。さらに他の実施形態では、ポリヌクレオチドは、その上流(5’)にあり、それに作動可能に連結された1つ以上のヌクレオチドをさらに含む。特定の他の実施形態では、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号60とハイブリダイズするポリヌクレオチド配列は、(3’)下流の天然aprE 5’-UTR配列、又はその改変aprE 5’-UTR配列に作動可能に連結されている。特定の実施形態では、天然のaprE 5’-UTR配列は、配列番号85を含む。
したがって、特定の他の実施形態は、本明細書に開示される新規なプロモーター配列を含む遺伝子組み換えバチルス属(Bacillus)種細胞に関する。特定の他の実施形態は、本明細書に開示される新規なポリヌクレオチド配列を含む遺伝子改変バチルス属(Bacillus)種細胞に関する。他の実施形態は、本開示の新規プロモーターを含む発現カセット、又は本開示の新規ポリヌクレオチドを含む発現カセットに関する。さらに他の実施形態は、本開示の発現カセットを含む改変バチルス属(Bacillus)種細胞に関する。
したがって、特定の他の実施形態は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号60とハイブリダイズするプロモーター核酸配列を含む変異体B.サブチリス(B.subtilis)細胞に関し、その変異体プロモーター配列は、配列番号39の等価なヌクレオチド位30、89、90又は91に対して、30、89、90又は91から選択されるヌクレオチド位に少なくとも1つの変異を含む。
他の実施形態では、本開示は、(3’)下流5’-UTR配列に作動可能に連結された(5’)上流プロモーター配列を含むプロモーター領域核酸配列に関し、そのプロモーター配列は、配列番号82に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号82のヌクレオチド位72にチミン(T)、配列番号82のヌクレオチド位73にグアニン(G)、及び配列番号82のヌクレオチド74にチミン(T)を含む。特定の実施形態では、プロモーター領域核酸配列は、天然の5’-UTR配列又は改変5’-UTR配列を含む。特定の実施形態では、5’-UTR配列は、配列番号84の天然のamyL 5’-UTR配列、又はそのバリアントamyL5’-UTR配列である。別の実施形態では、プロモーター領域核酸配列が配列番号85の天然aprE5’-UTR配列、又はそのバリアントaprE 5’-UTR配列を含む。
したがって、他の実施形態は、配列番号65を含むプロモーター領域核酸配列を対象としている。別の実施形態は、配列番号67を含むプロモーター領域核酸配列を対象としている。別の実施形態では、配列番号65を含むプロモーター領域核酸配列は、プロモーター領域の下流(3’)に位置し、且つプロモーター領域に作動可能に連結された、目的のタンパク質(POI)をコードする遺伝子又はオープンリーディングフレーム(ORF)をさらに含む。特定の実施形態では、POIは酵素である。別の実施形態では、酵素はヒドロラーゼである。他の実施形態では、プロモーター領域配列は、その上流(5’)にあり、それに作動可能に連結された、1つ以上のヌクレオチドをさらに含む。
特定の他の実施形態では、本開示は、配列番号82のヌクレオチド配列を含む天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyLプロモーターに由来する改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyLプロモーターに関し、その改変プロモーターは、配列番号82に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号82のヌクレオチド位72にチミン(T)、配列番号82のヌクレオチド位73にグアニン(G)、及び配列番号82のヌクレオチド位74にチミン(T)を含む。別の実施形態では、改変amyLプロモーターは、プロモーターの下流(3’)に位置し、且つプロモーターに作動可能に連結された、目的のタンパク質(POI)をコードする遺伝子又はオープンリーディングフレーム(ORF)を含む。特定の実施形態では、POIは酵素である。他の実施形態では、酵素は、ヒドロラーゼである。別の実施形態では、プロモーターは、その上流(5’)にあり、それに作動可能に連結された、1つ以上のヌクレオチドをさらに含む。
したがって、特定の他の実施形態は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号65のポリヌクレオチド配列又はその相補配列とハイブリダイズするポリヌクレオチド配列に関する。したがって、他の実施形態は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号67又はその相補配列とハイブリダイズするポリヌクレオチド配列に関する。別の実施形態は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号83又はその相補配列とハイブリダイズするポリヌクレオチド配列に関する。
他の実施形態は、本開示の新規プロモーター領域を含む改変バチルス属(Bacillus)種細胞に関する。
特定の実施形態は、配列番号83の改変プロモーターを含む改変バチルス属(Bacillus)種細胞に関する。
したがって、特定の他の実施形態は、本開示の新規プロモーター領域を含む発現カセットに関する。特定の実施形態では、発現カセットは、改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyLプロモーターを含む。
したがって、本開示の特定の他の実施形態は、(a)ポリヌクレオチド発現カセットを親バチルス属(Bacillus)種細胞に導入する工程であって、カセットは、目的のタンパク質(POI)をコードする遺伝子又はオープンリーディングフレーム(ORF)上流(5’)に位置し、それに作動可能に連結されたプロモーター配列を含み、そのプロモーターは、配列番号39に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号39のヌクレオチド位30のT、配列番号39のヌクレオチド位89のT、配列番号39のヌクレオチド位90におけるG、及び配列番号39のヌクレオチド位91のTからなる群から選択される少なくとも1つの改変を含む工程と、(b)導入された発現コンストラクトを含む工程(a)からの改変細胞を単離する工程と、(c)工程(b)の改変細胞をPOIの産生に好適な条件下で発酵させる工程とを含み、工程(c)の改変細胞は、同じPOIをコードする同じ遺伝子又はORFの上流(5’)に位置し、且つそれに作動可能に連結されたプロモーター配列を含むポリヌクレオチド発現カセットを含み、そのプロモーターは配列番号39を含む、等価なバチルス属(Bacillus)種細胞と比較して、POIをより多く産生する、改変バチルス属(Bacillus)種細胞におけるタンパク質産生増強のための方法を対象としている。特定の実施形態では、プロモーターは、配列番号39のヌクレオチド位30のT、配列番号39のヌクレオチド位89のT、配列番号39のヌクレオチド位90のG、及び配列番号39のヌクレオチド位91のTからなる群から選択される少なくとも2つの変異を含む。他の実施形態では、プロモーターは、配列番号39のヌクレオチド位30のT、配列番号39のヌクレオチド位89のT、配列番号39のヌクレオチド位90のG、及び配列番号39のヌクレオチド位91のTからなる群から選択される少なくとも3つの変異を含む。別の実施形態では、プロモーターは、配列番号39のヌクレオチド位30のT、配列番号39のヌクレオチド位89のT、配列番号39のヌクレオチド位90のG、及び配列番号39のヌクレオチド位91のTからなる群から選択される少なくとも4つの変異を含む。本方法の他の実施形態では、POIは酵素である。本方法の別の実施形態では、酵素はヒドロラーゼである。本方法の別の実施形態では、プロモーターは、その上流(5’)にあり、それに作動可能に連結された、1つ以上のヌクレオチドをさらに含む。特定の実施形態では、プロモーター配列は、(3’)下流の天然aprE 5’-UTR配列、又はその改変aprE 5’-UTR配列に作動可能に連結されている。本方法の他の実施形態では、天然aprE 5’-UTR配列は、配列番号85を含む。
本開示の特定の他の実施形態は、(a)ポリヌクレオチド発現カセットを親バチルス属(Bacillus)種細胞に導入する工程であって、カセットは、配列番号65に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号65のヌクレオチド位72にチミン(T)、配列番号65のヌクレオチド位73にグアニン(G)、及び配列番号65のヌクレオチド位74にチミン(T)を有する上流プロモーター領域を含み、その上流プロモーター領域は目的のタンパク質(POI)をコードする遺伝子又はオープンリーディングフレーム(ORF)と作動可能に連結されている工程と、(b)導入された発現カセットを含む工程(a)からの改変細胞を単離する工程と、(c)工程(b)の改変細胞をPOIの産生に好適な条件下で発酵させる工程とを含み、工程(c)の改変細胞は、配列番号65に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号65のヌクレオチド位72にアデニン(A)、配列番号65のヌクレオチド位73にチミン(T)、及び配列番号65のヌクレオチド位74にグアニン(G)を有する上流プロモーター領域を含み、その上流プロモーター領域は同じPOIをコードする同じ遺伝子又はORFに作動可能に連結されている、等価なバチルス属(Bacillus)種細胞と比較して、POIをより多く産生する、改変バチルス属(Bacillus)種細胞におけるタンパク質産生増強のための方法に関する。本方法の特定の実施形態では、POIは酵素である。他の実施形態では、酵素は、ヒドロラーゼである。
別の実施形態は、本開示は、(a)ポリヌクレオチド発現カセットを親バチルス属(Bacillus)種細胞に導入する工程であって、カセットは、配列番号67に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号65のヌクレオチド位72にチミン(T)、配列番号65のヌクレオチド位73にグアニン(G)、及び配列番号65のヌクレオチド位74にチミン(T)を有する上流プロモーター領域を含み、その上流プロモーター領域は目的のタンパク質(POI)をコードする遺伝子又はオープンリーディングフレーム(ORF)と作動可能に連結されている工程と、(b)導入された発現カセットを含む工程(a)からの改変細胞を単離する工程と、(c)工程(b)の改変細胞をPOIの産生に好適な条件下で発酵させる工程とを含み、工程(c)の改変細胞は、配列番号67に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号65のヌクレオチド位72にアデニン(A)、配列番号65のヌクレオチド位73にチミン(T)、及び配列番号65のヌクレオチド位74にグアニン(G)を有する上流プロモーター領域を含み、その上流プロモーター領域は同じPOIをコードする同じ遺伝子又はORFに作動可能に連結されている、等価なバチルス属(Bacillus)種細胞と比較して、POIをより多く産生する、改変バチルス属(Bacillus)種細胞におけるタンパク質産生増強のための方法に関する。本方法の特定の実施形態では、POIは酵素である。他の実施形態では、酵素は、ヒドロラーゼである。
別の実施形態では、本開示は、(a)ポリヌクレオチド発現カセットを親バチルス属(Bacillus)種細胞に導入する工程であって、カセットは、配列番号83に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号83のヌクレオチド位72にチミン(T)、配列番号83のヌクレオチド位73にグアニン(G)、及び配列番号83のヌクレオチド位74にチミン(T)を有する上流プロモーターを含み、その上流プロモーターは目的のタンパク質(POI)をコードする遺伝子又はオープンリーディングフレーム(ORF)と作動可能に連結されている工程と、(b)導入された発現カセットを含む工程(a)からの改変細胞を単離する工程と、(c)工程(b)の改変細胞をPOIの産生に好適な条件下で発酵させる工程とを含み、工程(c)の改変細胞は、配列番号83に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号83のヌクレオチド位72にアデニン(A)、配列番号83のヌクレオチド位73にチミン(T)、及び配列番号83のヌクレオチド位74にグアニン(G)を有する上流プロモーターを含み、その上流プロモーターは同じPOIをコードする同じ遺伝子又はORFに作動可能に連結されている、等価なバチルス属(Bacillus)種細胞と比較して、POIをより多く産生する、改変バチルス属(Bacillus)種細胞におけるタンパク質産生増強のための方法に関する。本方法の特定の実施形態では、POIは酵素である。他の実施形態では、酵素は、ヒドロラーゼである。
図1は、天然B.サブチリス(B.subtilis)rrnIp2プロモーター(配列番号39)、新規(合成)rrnIp2-1プロモーター(配列番号40)、新規(合成)rrnIp2-2プロモーター(配列番号58)及び新規(合成)rrnIp2-3プロモーター(配列番号59)の核酸配列アラインメントを示す。図1に示すように、-35及び-10プロモーター配列領域は下線を引いたヌクレオチドで示し、推定転写開始部位(TSS)は太い下線を引いたヌクレオチドで示し、二重下線を引いた「G」ヌクレオチドはTSSの可視化を補助する。
図2は、天然rrnIp2プロモーター(配列番号39)及びその相補配列(配列番号60;図2A)、合成rrnIp2-1プロモーター(配列番号40)及びその相補配列(配列番号61;図2B)、合成rrnIp2-2プロモーター(配列番号58)及びその相補配列(配列番号62;図2C)、並びにrrnIp2-3プロモーター(配列番号59)及びその相補配列(配列番号63;図2D)を示す。
図3は、天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyLプロモーター領域(PamyL-1;配列番号64)及び新規(合成)amyLプロモーター領域(PamyL-2;配列番号65)の核酸配列アラインメントを示す。図3に示すように、-35及び-10プロモーター配列領域は下線を引いたヌクレオチドで示し、5’-UTR配列はイタリック体のヌクレオチドで示し、推定転写開始部位(TSS)は太字ヌクレオチド、及びPamyL-2に対するPamyL-1のTSSの可視化を補助する二重下線を引いた「G」ヌクレオチドで示す。
図4は、天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyLプロモーター配列(配列番号82)及び合成amyLプロモーター配列(配列番号83)のアラインメントを示し、推定転写開始部位(TSS)を太字ヌクレオチド、及び合成amyLプロモーターに対する天然amyLプロモーターのTSSの可視化を補助する下線を引いた「G」ヌクレオチドで示す。
図5は、合成PamyL-3プロモーター領域(配列番号66)及び合成Pamyl-4プロモーター領域(配列番号67)の核酸配列アラインメントを示す。図5に示すように、推定転写開始部位(TSS)を太字ヌクレオチドで示し、その後にイタリック体のヌクレオチドで示す5’-UTR配列が続き、二重下線を引いた「G」ヌクレオチドはPamyL-4に対するPamyL-3のTSSの可視化を補助する。
生物学的配列の簡単な説明
配列番号1は、Cas9タンパク質をコードする合成核酸配列である。
配列番号2は、N末端核局在シグナル(NLS)配列のアミノ酸配列である。
配列番号3は、C末端NLS配列のアミノ酸配列である。
配列番号4は、デカ-ヒスチジン(10-H)タグを含むアミノ酸配列である。
配列番号5は、B.サブチリス(B.subtilis)aprEプロモーターを含む核酸配列である。
配列番号6は、Cas9フォワードプライマー核酸配列である。
配列番号7は、Cas9リバースプライマー核酸配列である。
配列番号8は、プラスミドpKB320骨格の核酸配列である。
配列番号9は、プラスミドpKB320の核酸配列である。
配列番号10は、pKB320フォワードプライマー核酸配列である。
配列番号11は、pKB320リバースプライマー核酸配列である。
配列番号12は、Cas9「リバースシーケンシングプライマー1」核酸配列である。
配列番号13は、Cas9「リバースシーケンシングプライマー2」核酸配列である。
配列番号14は、Cas9「フォワードシーケンシングプライマー1」核酸配列である。
配列番号15は、Cas9「フォワードシーケンシングプライマー2」核酸配列である。
配列番号16は、Cas9「フォワードシーケンシングプライマー3」核酸配列である。
配列番号17は、Cas9「フォワードシーケンシングプライマー4」核酸配列である。
配列番号18は、Cas9「フォワードシーケンシングプライマー5」核酸配列である。
配列番号19は、Cas9「フォワードシーケンシングプライマー6」核酸配列である。
配列番号20は、Cas9「フォワードシーケンシングプライマー7」核酸配列である。
配列番号21は、合成pRF694核酸配列である。
配列番号22は、合成pRF748核酸配列である。
配列番号23は、合成二重ターミネーター核酸配列である。
配列番号24は、E.コリ(E.coli)rpsLプロモーター(核酸)配列である。
配列番号25は、Cas9エンドヌクレアーゼ認識ドメインをコードする合成核酸配列である。
配列番号26は、ラムダファージt0ターミネーター核酸配列である。
配列番号27は、B.サブチリス(B.subtilis)yhfN遺伝子である。
配列番号28は、B.サブチリス(B.subtilis)yhfN標的部位である。
配列番号29は、yhfN VTドメインをコードする合成核酸配列である。
配列番号30は、B.サブチリス(B.subtilis)yhfN標的部位PAM配列である。
配列番号31は、合成yhfNガイドRNA(gRNA)配列である。
配列番号32は、yhfN gRNAをコードする合成ポリヌクレオチド配列(DNA)である。
配列番号33は、合成yhfN gRNAポリヌクレオチド(DNA)発現カセットである。
配列番号34は、合成pRF793核酸配列である。
配列番号35は、B.サブチリス(B.subtilis)yhfN遺伝子座を含むポリヌクレオチド配列である。
配列番号36は、合成pRF748フォワードプライマー配列である。
配列番号37は、合成pRF748リバースプライマー配列である。
配列番号38は、yhfN遺伝子座の5’側の領域にフランキングするB.サブチリス(B.subtilis)核酸(配列)である。
配列番号39は、天然B.サブチリス(B.subtilis)rrnIp2プロモーター核酸配列である。
配列番号40は、合成rrnIp2-1プロモーター核酸配列である。
配列番号41は、合成B.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)aprターミネーター配列である。
配列番号42は、yhfN遺伝子座の3’側の領域にフランキングするB.サブチリス(B.subtilis)核酸(配列)である。
配列番号43は、B.サブチリス(B.subtilis)comK遺伝子である。
配列番号44は、合成rrnIp2_α-アミラーゼカセットである。
配列番号45は、合成rrnIp2-1_α-アミラーゼカセットである。
配列番号46は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)5’lysAホモロジーアームである。
配列番号47は、合成改変aprE5’UTRである。
配列番号48は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)latシグナル配列である。
配列番号49は、バリアントサイトファーガ属(Cytophaga)種α-アミラーゼをコードする合成DNA配列である。
配列番号50は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)latターミネーター配列である。
配列番号51は、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)3’lysAホモロジーアームである。
配列番号52は、合成lysAフォワードプライマーである。
配列番号53は、合成lysAリバースプライマーである。
配列番号54は、合成DNA1032である。
配列番号55は、合成DNA1033である。
配列番号56は、合成DNA1034である。
配列番号57は、合成DNA1035である。
配列番号58は、合成rrnIp2-2プロモーター配列である。
配列番号59は、合成rrnIp2-3プロモーター配列である。
配列番号60は、天然rrnIp2プロモーター配列(配列番号39)の相補配列である。
配列番号61は、合成rrnIp2-1プロモーター配列(配列番号40)の相補配列である。
配列番号62は、合成rrnIp2-2プロモーター配列(配列番号58)の相補配列である。
配列番号63は、合成rrnIp2-3プロモーター配列(配列番号59)の相補配列である。
配列番号64は、天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyLプロモーター配列(配列番号82)及び天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyL 5’-UTR配列(配列番号84)を含む、本明細書でPamyL-1と名付けられた天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyLプロモーター領域である。
配列番号65は、天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyL 5’-UTR配列(配列番号84)に作動可能に連結された合成amyLプロモーター配列(配列番号83)を含む、本明細書でPamyL-2と名付けられた合成amyLプロモーター領域である。
配列番号66は、天然B.サブチリス(B.subtilis)aprE 5’-UTR配列(配列番号85)に作動可能に連結された天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyLプロモーター配列(配列番号82)を含む、本明細書でPamyL-3と名付けられた合成amyLプロモーター領域である。
配列番号67は、天然B.サブチリス(B.subtilis)aprE 5’-UTR配列(配列番号85)に作動可能に連結された合成amyLプロモーター配列(配列番号83)を含む、本明細書でPamyL-4と名付けられた合成amyLプロモーター領域である。
配列番号68は、トランケート型成熟B.デラミフィカンス(B.deramificans)プルラナーゼをコードする天然DNA配列である。
配列番号69は、合成プライマー配列である。
配列番号70は、合成プライマー配列である。
配列番号71は、合成プライマー配列である。
配列番号72は、合成プライマー配列である。
配列番号73は、合成プライマー配列である。
配列番号74は、合成プライマー配列である。
配列番号75は、合成プライマー配列である。
配列番号76は、合成プライマー配列である。
配列番号77は、合成プライマー配列である。
配列番号78は、PamyL-1_プルルナーゼ発現カセットである。
配列番号79は、PamyL-2_プルルナーゼ発現カセットである。
配列番号80は、PamyL-3_プルルナーゼ発現カセットである。
配列番号81は、PamyL-4_プルルナーゼ発現カセットである。
配列番号82は、天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyLプロモーター配列である。
配列番号83は、合成amyLプロモーター配列である。
配列番号84は、天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyl 5’-UTR配列である。
配列番号85は、天然B.サブチリス(B.subtilis)aprE 5’-UTR配列である。
詳細な説明
本開示は一般に、タンパク質生産性増強表現型などを有するバチルス属(Bacillus)種の(宿主)細胞(例えば、タンパク質産生宿主細胞、細胞工場)を構築/作製するための組成物及び方法に関する。より詳細には、本開示の特定の実施形態は、新規プロモーター(核酸)配列、その新規発現コンストラクト、改変バチルス属(Bacillus)(娘)細胞などに関する。
したがって、本開示の特定の実施形態は、改変(又は変異体)バチルス属(Bacillus)種細胞に関する。他の実施形態は、その中に導入された1つ以上の新規なプロモーター(核酸)配列(例えば、「改変」又は「合成」プロモーター配列)を含む改変バチルス属(Bacillus)種細胞に関する。他の実施形態では、その1つ以上のプロモーター配列は、目的のタンパク質をコードする遺伝子又はオープンリーディングフレームに作動可能に連結されている。他の実施形態では、本開示の改変バチルス属(Bacillus)種(娘)細胞は、それが由来する(親)バチルス属(Bacillus)種細胞と比較してタンパク質生産性が増強された表現型を含む。特定の他の実施形態は、内因性(天然)プロモーター(核酸)配列を含む親バチルス属(Bacillus)種細胞に関し、それから誘導される改変バチルス属(Bacillus)種娘細胞は、その改変(非天然)プロモーター配列を含む。
I.定義
本明細書に記載される、目的の1種以上の異種及び/又は内因性タンパク質を産生する改変細胞、並びにその方法を考慮して、以下の用語及び句が定義される。本明細書で定義されていない用語には、当該技術分野で通常使用されている意味が与えられるべきである。
他に定義されていない限り、本明細書で使用する技術用語及び科学用語は全て、本発明の組成物及び方法が属する分野の当業者が一般に理解する意味と同一の意味を有する。本明細書に記載のものに類似又は同等の任意の方法及び材料は、本発明の組成物及び方法を実施又は試験するためにも使用できるが、以下では例示的な方法及び材料について記載する。本明細書で引用した刊行物及び特許は全て、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
特許請求の範囲が任意選択的な要素を排除するように記載され得ることにもさらに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求項の構成要素の列挙に関連して「唯一(solely)」、「ただ~のみ(only)」、「~を除いて(excluding)」、「~を含まない(not including)」などの排他的な用語の使用、又はその「否定的な」限定若しくは条件の使用のための先行文として機能することを意図している。
本開示を読めば当業者には明らかなように、本明細書に記載及び例示する個々の実施形態のそれぞれは、本明細書に記載する本組成物及び方法の範囲又は精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離又は組み合わせることができる別個の構成要素及び特徴を有する。記載した方法はいずれも、記載した事象の順序で、又は論理的に可能な他の任意の順序で実施することができる。
本明細書で使用する場合、「宿主細胞」は、新たに導入されるDNA配列のための宿主又は発現ビヒクルとして作用する能力を有する細胞を指す。したがって、本開示の特定の実施形態では、宿主細胞は、例えば、バチルス属(Bacillus)種細胞又はE.コリ(E.coli)細胞である。
本明細書で定義されるように、「親細胞」又は「親(宿主)細胞」は、互換的に使用され得、「未改変(の)」親細胞を指す。
本明細書で使用する場合、「改変細胞」又は「改変(宿主)細胞」は、互換的に使用され得、改変細胞が由来する「親」宿主細胞中に存在しない少なくとも1つの遺伝子改変を含む組み換え(宿主)細胞を指す。
特定の実施形態では、親(未改変)細胞は、特に、改変娘細胞と比較する場合、又はそれに対して、「対照細胞」と称し得る。
本明細書で使用する場合、親(未改変)細胞(すなわち、対照細胞)における目的のタンパク質(POI)の発現及び/又は産生が、改変(娘)細胞における同じPOIの発現及び/又は産生と比較する場合、「改変」及び「未改変」細胞は、同一条件(すなわち、培地、温度、pHなどの同一条件)下で増殖/培養/発酵されることは理解されるであろう。
本明細書で使用する場合、「バチルス(Bacillus)属」又は「バチルス属(Bacillus)種」細胞には、当業者に知られる「バチルス(Bacillus)」属内の全ての種、例えば、以下に限定されないが、B.サブチリス(B.subtilis)、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)、B.レンツス(B.lentus)、B.ブレビス(B.brevis)、B.ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)、B.アルカロフィルス(B.alkalophilus)、B.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)、B.クラウシイ(B.clausii)、B.ハロデュランス(B.halodurans)、B.メガテリウム(B.megaterium)、B.コアグランス(B.coagulans)、B.サークランス(B.circulans)、B.ラウツス(B.lautus)及びB.チューリンギエンシス(B.thuringiensis)が含まれる。バチルス(Bacillus)属が分類学的再編成を受け続けていることは認識されている。したがって、この属は、再分類されている種、例えば、以下に限定されないが、現在、「ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)」と称されている「B.ステアロサーモフィルス(B.stearothermophilus)」などの生物を含むことが意図されている。
本明細書で使用する場合、用語「野生型」及び「天然」は、互換的に使用され、天然において見出される遺伝子、タンパク質、タンパク質ミックス、細胞、又は菌株を指す。
本明細書で使用する用語「プロモーター」は、コーディング配列(又は、機能的RNA)の転写を制御できる核酸配列を一般に指す。一般に、コーディング配列は、プロモーター配列の下流(3’)に位置する。プロモーターは、それらの全体が天然遺伝子に由来してもよく、天然に存在する種々のプロモーターに由来する種々のエレメントから構成されていてもよく、合成核酸セグメントを含んでいてもよい。種々のプロモーターが、種々の細胞型で、又は種々の生育段階で、又は種々の環境若しくは生理的条件に応答して、種々のレベルのRNA転写産物に、遺伝子の発現を指示し得ることは、当業者には理解されている。殆どの細胞型で遺伝子の発現を最も多く類似のレベルで引き起こすプロモーターは、一般に、「構成的プロモーター」と呼ばれている。さらに、殆どの場合に調節配列の正確な境界は完全には明らかになっていないため、種々の長さのDNA断片が同じプロモーター活性を有し得ることは確認されている。
本明細書で使用する場合、「機能的プロモーター」及び「プロモーター機能」などの用語は、特に、コーディング配列(又は機能的RNA)の転写を、コーディング配列の上流(5’)に配置され、コーディング配列と作動可能に組み合わされた場合に、制御し得る核酸配列を指す。例えば、プロモーター機能は、当業者に知られたプロモーター機能/プロモーター活性アッセイによって、容易に評価、推定、試験、測定などし得る。
本明細書で使用する場合、用語「プロモーター活性」は、プロモーター機能の定性的又は定量的推定をいう。例えば、未知の(候補/試験)プロモーター(核酸)配列のプロモーター活性は、(例えば、当該技術分野で一般に知られている1つ以上のプロモーター活性アッセイを用いて)評価し、既知の(対照)プロモーター配列のプロモーター活性と比較することができる。したがって、このようなプロモーター活性測定/アッセイは、発現速度、時間的発現、空間的発現などを調べるために使用され得る。プロモーター活性を試験/測定する方法は、多くの場合、レポーター遺伝子(例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP))の発現に基づいており、目的のプロモーター配列は、レポーター遺伝子(例えば、GFP)の上流(5’)に配置され、且つレポーター遺伝子(例えば、GFP)に作動可能に連結される。例えば、目的のプロモーター配列(又は、例えば、1つ以上の変異、欠失、置換を含む、多くのそのバリアント)は、レポーター遺伝子(例えば、GFP)の上流(5’)で目的のプロモーター配列を作動可能に連結し、レポーター遺伝子における変化を検出/測定することによって試験し得る。したがって、GFP、RFPなどの蛍光レポーター遺伝子は、当業者が、例えば、蛍光シグナルの変化を検出することによって、プロモーター活性を測定することを可能にする(Solberg and Krauss、2013)。
本開示の特定の実施形態では、プロモーター機能(又は活性)は、発現カセット(コンストラクト)を好適な宿主細胞(例えば、バチルス属(Bacillus)種細胞)に導入することによって評価される。例えば、特定の実施形態では、好適な宿主細胞は、(a)候補(試験)発現カセット又は(b)対照発現カセットを含む。より詳細には、(a)候補(試験)発現カセットは、目的のタンパク質(例えば、酵素)をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)の上流(5’)に位置し、且つそれに作動可能に連結された候補(試験)プロモーター配列を含み、(b)対照カセットは、同じ目的のタンパク質(例えば、同じ酵素)をコードするオープンリーディング(ORF)の上流(5’)に位置し、且つそれに作動可能に連結された対照プロモーター配列を含む。したがって、候補(試験)プロモーター配列と直接比較するために選択される対照プロモーター配列は、既知の機能又は活性を有する任意のプロモーター配列であり得る。特定の実施形態では、対照プロモーター配列は、配列番号39の核酸配列を含む。例えば、特定の実施形態において、本開示の適切な宿主細胞は(a)導入された「コントロール」発現カセット又は(b)導入された「候補」(試験)発現カセットのいずれかを含み、ここで、2つの宿主細胞は続いて培養され(すなわち、同一の条件下で)、そして2つの宿主細胞(すなわち、候補細胞対コントロール細胞)の間で発現/産生される目的のタンパク質の量が直接比較される。
本明細書で使用する場合、「天然バチルス属(Bacillus)rrnIp2プロモーター」(以下、「rrnIp2」プロモーターと略す)は、配列番号39に示すヌクレオチド配列を含む。
本明細書で使用する場合、「改変rrnIp2」プロモーター、「合成rrnIp2」プロモーター、「バリアントrrnIp2」プロモーター、「変異体rrnIp2」プロモーター、「変異rrnIp2」プロモーターなどの句は、配列番号39の「天然rrnIp2」プロモーターに由来する遺伝子改変プロモーター配列を指す。例えば、特定の実施形態では、本開示の改変(非天然)rrnIp2プロモーターは、配列番号39の天然rrnIp2プロモーター(1~91位)に関して少なくとも1つの改変ヌクレオチド位を含み、その少なくとも1つの改変ヌクレオチド位は、配列番号39の1位、89位、90位又は91位から選択される。
他の実施形態では、本開示の改変(非天然)rrnIp2プロモーターは、配列番号39の天然rrnIp2プロモーター(1~91位)に関して少なくとも2つの改変ヌクレオチド位を含み、その少なくとも2つの改変ヌクレオチド位は、配列番号39の1位、89位、90位又は91位から選択される。
他の実施形態では、本開示の改変(非天然)rrnIp2プロモーターは、配列番号39の天然rrnIp2プロモーター(1~91位)に関して少なくとも3つの改変ヌクレオチド位を含み、その少なくとも3つの改変ヌクレオチド位は、配列番号39の1位、89位、90位又は91位から選択される。
他の実施形態では、本開示の改変(非天然)rrnIp2プロモーターは、配列番号39の天然rrnIp2プロモーター(1~91位)に関して少なくとも4つの改変ヌクレオチド位を含み、その少なくとも4つの改変ヌクレオチド位は、配列番号39の1位、89位、90位及び91位から選択される。
本明細書で使用する場合、「rrnIp2-1」プロモーターは、配列番号40に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号40のヌクレオチド位30位にチミン(T)、ヌクレオチド位89位にチミン(T)、ヌクレオチド位90位にグアニン(G)、及びヌクレオチド位91位にチミン(T)を含む。特定の他の実施形態では、「rrnIp2-1」プロモーターは、配列番号40に対し少なくとも90%~約99%の配列同一性を含み、且つ配列番号40のヌクレオチド位30位にチミン(T)、ヌクレオチド位89位にチミン(T)、ヌクレオチド位90位にグアニン(G)、及びヌクレオチド位91位にチミン(T)を含む。
本明細書で使用する場合、「rrnIp2-2」プロモーターは、配列番号58に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号58のヌクレオチド位89にT、ヌクレオチド位90にG、及びヌクレオチド位91にTを含む。特定の他の実施形態では、「rrnIp2-2」プロモーターは、配列番号58に対し少なくとも90%~約99%の配列同一性を含み、且つ配列番号58のヌクレオチド位89にT、ヌクレオチド位90にG、及びヌクレオチド位91にTを含む。
本明細書で使用する場合、「rrnIp2-3」プロモーターは、配列番号59に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号59のヌクレオチド位30にTを含む。特定の他の実施形態では、「rrnIp2-3」プロモーターは、配列番号59に対し少なくとも90%~約99%の配列同一性を含む。
本明細書で使用する場合、「合成」rrnIp2-1プロモーター、「合成」rrnIp2-2プロモーター、「合成」rrnIp2-3プロモーター、「改変」rrnIp2-1プロモーター、「改変」rrnIp2-2プロモーター、「改変」rrnIp2-3プロモーターなどの用語は、1つ以上の(非天然)rrnIp2プロモーター配列(すなわち、天然rrnIp2プロモーター配列;配列番号39とは対照的に)を指す。
したがって、特定の実施形態では、本開示の合成、バリアント、又は改変rrnIp2プロモーター(例えば、rrnIp2-1、rrnIp2-2、rrnIp2-3)は、目的のタンパク質をコードする遺伝子又はORFに作動可能に連結された場合に、増強されたプロモーター機能又は活性(例えば、タンパク質生産性増強表現型)を含む。特定の関連する実施形態では、本開示の合成、バリアント、又は改変rrnIp2プロモーターは、配列番号39の天然rrnIp2プロモーター配列と比較して、増強されたプロモーター機能又は活性を含む。
したがって、特定の他の実施形態では、内因性天然rrnIp2プロモーターを含む親バチルス属(Bacillus)種細胞が、本開示の方法にしたがって改変され、それに由来する改変バチルス属(Bacillus)種(娘)細胞は、本開示の変異(非天然)rrnIp2プロモーターを含む。
天然のrrnIp2プロモーター、又はそれに由来するバリアント(改変)rrnIp2プロモーター(例えば、rrnIp2-1、rrnIp2-2、rrnIp2-3)に関連して、本明細書で使用する場合、所与の「核酸配列」(すなわち、本明細書中に開示されるrrnIp2プロモーター配列)中のヌクレオチドの「位置」は、配列番号39の天然B.サブチリス(B.subtilis)rrnIp2プロモーターを参照して(5’から3’方向に読まれる)番号付けられる。このrrnIp2プロモーター配列は(例えば、図1A~図1Cに示すように)ヌクレオチド1~91を含む。
例えば、図1A~図1Cに示すように、本明細書に記載される候補(試験)プロモーター(核酸)配列は、本明細書に記載のアラインメントアルゴリズム及び/又は関連技術分野において知られるアラインメントアルゴリズムを使用して、天然B.サブチリス(B.subtilis)rrnIp2プロモーター配列(配列番号39;ヌクレオチド位1~91)とアラインされ得、ここで、配列番号39の天然プロモーター配列とアラインする候補(試験)配列中のヌクレオチド位置は、天然配列中の対応するヌクレオチドを参照して番号付けすることができる。例えば、図1Aに示すように、本開示の新規(合成)rrnIp2-1プロモーター配列(すなわち、配列番号40)は、天然バチルス属(Bacillus)種rrnIp2プロモーター配列(すなわち、配列番号39)とアラインされ、30位、89位、90位及び91位の4つのヌクレオチドが、天然rrnIp2プロモーター(配列番号39)と新規rrnIp2-1プロモーター(配列番号40)との間で異なっている。したがって、配列番号39の天然rrnIp2プロモーター配列に対する配列相同性(又は同一性)を確立するために、当業者は、当業者に知られる配列アラインメントアルゴリズム、ソフトウェア、及びその方法を使用して、天然rrnIp2プロモーター配列を目的の1つ以上の候補(試験)プロモーター配列と容易に比較し得る。
特定の実施形態では、新規バリアントrrnIp2プロモーターは、配列番号39の天然rrnIp2プロモーター配列又は配列番号60のその相補配列と(ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で)ハイブリダイズする核酸配列を含む。例えば、特定の実施形態では、新規バリアントrrnIp2プロモーターは、配列番号60を含む相補rrnIp2プロモーター配列と(ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で)ハイブリダイズする核酸配列を含み、そのハイブリダイズするバリアント配列は、配列番号39の天然rrnIp2プロモーター配列中の同じ位置に対して、30、89、90又は91から選択される位置に少なくとも1つのヌクレオチド置換を含む。したがって、他の実施形態では、(ストリンジェントなハイブリッド化条件下で)ハイブリダイズする本開示の新規バリアントrrtInp2プロモーター配列は、ヌクレオチド位89のT、ヌクレオチド位90のG、及びヌクレオチド位91のTを含む(すなわち、配列番号39と比較して、ヌクレオチド位89~91にA、A、Aを含む)。他の実施形態では、(ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で)ハイブリダイズする新規バリアントrrnIp2プロモーターは、配列番号40、58又は59を含む。
本明細書で使用する場合、以下「PamyL-1」と略される天然バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)「amyLプロモーター領域」は、配列番号64に示すヌクレオチド配列を含む。
本明細書で使用する場合、以下「PamyL-2」と略される改変(合成)「amyLプロモーター領域」は、配列番号65に示すヌクレオチド配列を含む。
特定の実施形態では、改変(合成)PamyL-2配列は、配列番号64に対し少なくとも90%~約99%の配列同一性を含み、且つ配列番号64のヌクレオチド位72にチミン(T)、配列番号64のヌクレオチド位73にグアニン(G)、及び配列番号64のヌクレオチド位74にチミン(T)を含む。
天然PamyL-1配列及び改変(合成)PamyL-2配列に関連して、本明細書で使用する場合、所与の「核酸配列」中のヌクレオチドの「位置」は、配列番号64の天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyLプロモーター領域PamyL-1を参照して(5’から3’方向に読まれる)番号付けされ、この天然PamyL-1プロモーター領域配列は、配列番号64のヌクレオチド位1~100(すなわち、図3に示すように、5’から3’へ)を含む。
例えば、図3に示すように、天然PamyL-1プロモーター領域は、配列番号64のヌクレオチド位1~74を含む天然のamyLプロモーター配列、及び配列番号64のヌクレオチド位75~100を含む天然amyL 5’-UTR配列を含み、改変(合成)PamyL-2プロモーター領域は、配列番号65のヌクレオチド位75~100を含む天然amyL 5’-UTR配列に作動可能に連結された配列番号65のヌクレオチド位1~74を含む改変amyLプロモーター配列を含む。
本明細書で使用する場合、天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)「amyLプロモーター」配列は、配列番号82に示すヌクレオチド配列を含む。
本明細書で使用する場合、改変(合成)「amyLプロモーター」配列は、配列番号83に示すヌクレオチド配列を含み、且つ配列番号83のヌクレオチド位72にチミン(T)、配列番号83のヌクレオチド位73にグアニン(G)、及び配列番号83のヌクレオチド位74にチミン(T)を含む。特定の実施形態では、改変(合成)PamyLプロモーター配列は、配列番号82に対し少なくとも90%~約99%の配列同一性を含み、且つ配列番号82のヌクレオチド位72にチミン(T)、配列番号82のヌクレオチド位73にグアニン(G)、及び配列番号82のヌクレオチド位74にチミン(T)を含む。
天然のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyLプロモーター配列及び改変amyLプロモーター配列に関連して、本明細書で使用する場合、所与の「核酸配列」中のヌクレオチドの「位置」は、配列番号82の天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyLプロモーター配列を参照して(5’から3’方向に読まれる)番号付けされ、この天然amyLプロモーター配列は、配列番号82のヌクレオチド位1~74(すなわち、図4に示すように、5’から3’へ)を含む。例えば、図4に示すように、天然amyLプロモーター配列(配列番号82)は、72、73及び74にそれぞれヌクレオチドA、T及びGを含み、改変amyLプロモーター配列(配列番号83)は、ヌクレオチド位72、73及び74にそれぞれヌクレオチドT、G及びTを含む。
本明細書で使用する場合、天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)「amyL 5’-UTR」配列は、配列番号84に示すヌクレオチド配列を含む。
本明細書で使用する場合、天然B.サブチリス(B.subtilis)「aprE 5’-UTR」は、配列番号85に示すヌクレオチド配列を含む。
本明細書で使用する場合、以下「PamyL-3」と略される改変(合成)「amyLプロモーター領域」は、配列番号66に示すヌクレオチド配列を含む。
本明細書で使用する場合、以下「PamyL-4」と略される改変(合成)「amyLプロモーター領域」は、配列番号67に示すヌクレオチド配列を含む。
特定の実施形態では、改変(合成)PamyL-4配列は、配列番号66に対し少なくとも90%~約99%の配列同一性を含み、且つ配列番号66のヌクレオチド位72にチミン(T)、配列番号66のヌクレオチド位73にグアニン(G)、及び配列番号66のヌクレオチド位74にチミン(T)を含む。
したがって、合成PamyL-3プロモーター領域及び合成PamyL-4プロモーター領域に関連して、本明細書で使用する場合、所与の「核酸配列」中のヌクレオチドの「位置」は、配列番号66の合成PamyL-3プロモーター領域を参照して(5’から3’方向に読まれる)番号付けされ、このPamyL-3プロモーター領域配列は、配列番号66のヌクレオチド位1~132(すなわち、図5に示すように、5’から3’へ)を含む。
例えば、図5に示すように、合成PamyL-3プロモーター領域(配列番号66)は、配列番号66のヌクレオチド位75~132を含む天然B.サブチリス(B.subtilis)aprE 5’-UTR配列(例えば、配列番号85)に作動可能に連結された、配列番号66のヌクレオチド位1~74を含む天然amyLプロモーター配列(例えば、配列番号82)を含む。同様に、図5に示すように、合成PamyL-4プロモーター領域(配列番号67)は、配列番号67のヌクレオチド位75~132を含む天然B.サブチリス(B.subtilis)aprE 5’-UTR配列(例えば、配列番号85)に作動可能に連結された、配列番号67のヌクレオチド位1~74を含む改変amyLプロモーター配列(例えば、配列番号83)を含む。
したがって、図5に示すように、PamyL-3プロモーター領域(配列番号66)は、ヌクレオチド位72、73及び74にそれぞれヌクレオチドA、T及びGを含み、PamyL-4プロモーター領域(配列番号67)は、ヌクレオチド位72、73及び74にそれぞれヌクレオチドT、G及びTを含む。
PamyL-1プロモーター領域(配列番号64)、PamyL-2プロモーター領域(配列番号65)、PamyL-3プロモーター領域(配列番号66)及びPamyL-4プロモーター領域(配列番号67)に関連して、本明細書で使用する場合、「プロモーター領域」又は「プロモーター領域配列という用語は、下流(3’)5-UTR配列に作動可能に連結された上流(5’)プロモーター配列を少なくとも含む核酸配列を指す。
本明細書で使用する場合、「核酸」は、ヌクレオチド若しくはポリヌクレオチド配列、及びそれらの断片若しくは部分、並びにセンス鎖又はアンチセンス鎖の何れを表していても、二本鎖であっても一本鎖であってもよい、ゲノム又は合成起源のDNA、cDNA及びRNAを指す。
本明細書で使用する場合、用語「3’-非翻訳領域」は、「3’-UTR」と略され、用語「5’-非翻訳領域」は「5’-UTR」と略される。
本明細書で使用する用語「作動可能に連結された」は、一方の機能が他方によって影響されるような、単一核酸断片上での核酸配列の会合を指す。例えば、プロモーターは、それがそのコーディング配列の発現に影響を及ぼすことができる場合(すなわち、そのコーディング配列がプロモーターの転写制御下にある場合)、コーディング配列(例えば、ORF)に作動可能に連結している。コーディング配列は、センス又はアンチセンス配向で調節配列に作動可能に連結され得る。核酸は、それが他の核酸配列と機能的関係に置かれている場合、「作動可能に連結されて」いる。例えば、分泌リーダー(すなわち、シグナルペプチド)をコードするDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現している場合、ポリペプチドのためのDNAに作動可能に連結している;プロモーター若しくはエンハンサーは、それがコーディング配列の転写に影響を及ぼす場合、そのコーディング配列に作動可能に連結している;又はリボソーム結合部位は、翻訳を促進するように配置されている場合、コーディング配列に作動可能に連結している。一般に、「作動可能に連結された」は、連結されるDNA配列が隣接しており、分泌リーダーの場合には、隣接し、且つリーディング期にあることを意味する。しかしながら、エンハンサーは、隣接している必要はない。連結は、適当な制限部位でのライゲーション又はシームレスアセンブリー法によって達成される。そのような部位が存在しない場合は、合成オリゴヌクレオチドアダプター又はリンカーが従来の手法にしたがって使用される。
本明細書で使用する場合、「好適な調節配列」は、コーディング配列の上流(5’、非コーディング配列)、配列内又は下流(3’、非コーディング配列)に位置し、関連コーディング配列の転写、RNAプロセシング若しくは安定性、又は翻訳に影響を及ぼすヌクレオチド配列を指す。調節配列は、プロモーター、翻訳リーダー配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位、ステムループ構造及び他のRNA安定性モチーフを含み得る。
本明細書で使用する場合、用語「発現」は、本開示の核酸分子に由来するセンス(mRNA)若しくはアンチセンスRNAの転写及び安定した蓄積を指す。発現はまた、mRNAのポリペプチドへの翻訳を指し得る。したがって、用語「発現」には、以下に限定されないが、転写、転写後改変、翻訳、翻訳後改変、分泌などのポリペプチドの産生に関与する任意の工程が含まれる。
本明細書で使用する場合、「バチルス属(Bacillus)種(娘)細胞が「増加した」(即ち、親細胞と比較して)量の目的のタンパク質(POI)を発現する/産生する」などの句で使用される複合語「発現/産生する」は、本開示のそのような「バチルス属(Bacillus)種(娘)細胞におけるタンパク質の発現及び産生に関与する任意のステップを含むことが意図されている。
本明細書で使用する場合、「発現の増加」、「発現の増強」、「POIの発現の増加」、「産生の増加」、「POIの産生の増加」などの用語は、「改変」バチルス属(Bacillus)(娘)細胞を指し、ここで、「増加する(increase)」は、常に同じPOIを発現/産生する「未改変」バチルス属(Bacillus)(親)細胞と比較して(相対的)である。
同様に、本明細書で使用する場合、「改変宿主細胞が(未改変)親宿主細胞と比較して「増加した量の」1種以上の目的のタンパク質を「発現/産生する」などの句において使用した場合の「増加した量」は、特に、改変宿主細胞内で発現/産生した目的のタンパク質(POI)の「増加した量」を指すが、この「増加した量」は常に同じPOIを発現/産生する(未改変)親B.バチルス属(Bacillus)細胞に関し、ここで改変及び未改変細胞は、同じ条件(例えば、培地、温度、pHなどの同じ条件)下で増殖/培養/発酵させられる。例えば、増加した量のPOIは、本開示の改変バチルス属(Bacillus)細胞において発現した内因性POIであっても異種POIであってもよい。
したがって、本明細書で使用する場合、タンパク質産生を「増加させる」又は「増加した」タンパク質産生は、産生したタンパク質(例えば、目的のタンパク質)の増加した量を指す。タンパク質は、宿主細胞の内部で産生されても、培養培地中へ分泌(又は、輸送)されてもよい。特定の実施形態では、目的のタンパク質は、培養培地中へ産生(分泌)される。タンパク質産生の増加は、例えば、親宿主細胞と比較して、より高い最大レベルのタンパク質若しくは酵素活性(例えば、プロテアーゼ活性、アミラーゼ活性、セルラーゼ活性、ヘミセルラーゼ活性など)として、又は産生される総細胞外タンパク質として検出され得る。
本明細書で使用する「タンパク質生産性が増強された表現型」を含む改変細胞としては、以下に限定されないが、増強/増加した体積生産性、増強/増加した炭素変換効率を含む変異細胞、増強/増加したタンパク質収率を含む改変細胞、増強/増加した比タンパク質生産性を含む改変細胞が挙げられる。
本明細書で使用する場合、「タンパク質生産性が増強された表現型」及び「タンパク質生産性が増加された表現型」という句は、互換的に使用することができる。
本明細書で使用する場合、未改変(親)細胞対改変(バリアント/娘)細胞における「タンパク質生産性が増強/増加された表現型」について記載する場合に、「親」及び「バリアント」細胞が同じ条件(例えば、培地、温度、pHなどの同じ条件)下で増殖/培養/発酵されることは理解されるであろう。
本明細書で使用する用語「導入する(こと)」は、少なくとも1つのポリヌクレオチドオープンリーディングフレーム(ORF)、又はその遺伝子、又はそのベクターを「細胞に導入する(こと)」などの句で使用する場合、ポリヌクレオチドを細胞に導入するための当該技術分野で知られる方法を含み、こうした方法としては、以下に限定されないが、プロトプラスト融合、天然又は人工形質転換(例えば、塩化カルシウム、エレクトロポレーション)、形質導入、トランスフェクションなどが挙げられる。
本明細書に記載のポリヌクレオチド(若しくは核酸分子)には、「遺伝子」、「ベクター」及び「プラスミド」が含まれることは理解されている。
したがって、用語「遺伝子」は、タンパク質のコーディング配列の全部又は一部を含む、アミノ酸の特定配列をコードするポリヌクレオチドを指し、例えば、遺伝子が発現する条件を決定する、プロモーター配列などの調節(非転写)DNA配列を含み得る。遺伝子の転写領域は、イントロン、5’側-非翻訳領域(UTR)及び3’側-UTRを含む非翻訳領域(UTR)並びにコーディング配列を含み得る。
本明細書で使用する場合、用語「コーディング配列」は、その(コードする)タンパク質産物のアミノ酸配列を直接特定するヌクレオチド配列を指す。コーディング配列の境界は、一般に、オープンリーディングフレーム(以下では、「ORF」)によって決定されて、通常はATG開始コドンで始まる。コーディング配列には、一般的に、DNA、cDNA及び組み換えヌクレオチド配列が含まれる。
本明細書で定義する場合、「オープンリーディングフレーム」(以下、「ORF」)という用語は、(i)開始コドン、(ii)アミノ酸を表す一連の2つ以上のコドン、及び(iii)終止コドンからなる(天然型であるか、非天然型であるか、又は合成であるかにかかわらず)連続するリーディングフレームを含む核酸又は核酸配列を意味し、ORFは、5’側から3’側の方向に読まれる(又は、翻訳される)。
本明細書で定義する場合、「好適な調節配列」は、コーディング配列の上流(5’非コーディング配列)、配列内又はその下流(3’非コーディング配列)に位置し、関連コーディング配列の転写、RNAプロセシング若しくは安定性又は翻訳に影響を及ぼすヌクレオチド配列を指す。調節配列には、プロモーター、翻訳リーダー配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位及びステムループ構造が含まれ得る。
本明細書で定義する場合、「導入する(こと)」という用語は、少なくとも1つのポリヌクレオチドオープンリーディングフレーム(ORF)、又はその遺伝子、又はそのベクターを「細菌細胞に導入する(こと)」又は「バチルス属(Bacillus)細胞に導入する(こと)」などの句で使用する場合、ポリヌクレオチドを細胞に導入するための当該技術分野で知られる方法を含み、こうした方法としては、以下に限定されないが、プロトプラスト融合、天然又は人工形質転換(例えば、塩化カルシウム、エレクトロポレーション)、形質導入、トランスフェクション、接合などが挙げられる(例えば、Ferrari et al.,1989を参照)。
本明細書で使用する場合、「形質転換された」又は「形質転換」は、細胞が組み換えDNA技術の使用によって形質転換されていることを指す。形質転換は、一般的には、1つ以上のヌクレオチド配列(例えば、ポリヌクレオチド、ORF又は遺伝子)を細胞に挿入することによって発生する。挿入されたヌクレオチド配列は、異種ヌクレオチド配列(すなわち、形質転換対象の細胞には天然に存在しない配列)であってもよい。本明細書で使用する場合、「形質転換」は、DNAが、染色体組み込み体又は自己複製染色体外ベクターとして維持されるように、外因性DNAを宿主細胞に導入することを指す。本明細書で使用する場合、「形質転換DNA」、「形質転換配列」、及び「DNAコンストラクト」は、配列を宿主細胞又は生物に導入するために使用されるDNAを指す。形質転換DNAは、配列を宿主細胞又は生物に導入するために使用されるDNAである。このDNAは、インビトロでPCR又は任意の他の好適な技術によって生成され得る。一部の実施形態では、形質転換DNAは、入来配列を含むが、他の実施形態では、形質転換DNAは、ホモロジーボックスに隣接された入来配列をさらに含む。さらに別の実施形態では、形質転換DNAは、末端に付加された、他の非相同配列(すなわち、スタッファー配列又はフランキング配列)を含む。末端は、例えば、ベクターへの挿入などのように、形質転換DNAが閉環を形成するように閉じることができる。
本明細書で使用する「入来配列」は、バチルス属(Bacillus)染色体に導入されるDNA配列を指す。いくつかの実施形態では、入来配列は、DNAコンストラクトの一部である。他の実施形態では、入来配列は、1種以上の目的のタンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、入来配列は、形質転換対象の細胞のゲノム内に既に存在していても存在していなくてもよい(すなわち、相同配列であっても非相同配列であってもよい)配列を含む。いくつかの実施形態では、入来配列は、1種以上の目的のタンパク質、遺伝子及び/又は変異若しくは改変遺伝子をコードする。代替の実施形態では、入来配列は、機能的な野生型遺伝子若しくはオペロン、機能的な変異遺伝子若しくはオペロン又は非機能的な遺伝子若しくはオペロンをコードする。いくつかの実施形態では、非機能的配列は、遺伝子の機能を崩壊させるために遺伝子に挿入され得る。別の実施形態では、入来配列は、選択マーカーを含む。さらなる実施形態では、入来配列は、2つの相同ボックス(例えば、上流及び下流のホモロジーアーム)を含む。
本明細書で使用する「ホモロジーボックス」は、バチルス属(Bacillus)染色体内の配列と相同である核酸配列を指す。より具体的には、ホモロジーボックスは、本発明による目的の染色体遺伝子座に直接フランキングする領域と、約80~100%の配列同一性、約90~100%の配列同一性、又は約95~100%の配列同一性を有する上流又は下流の領域である。これらの配列は、バチルス属(Bacillus)染色体内にDNAコンストラクトが組み込まれる場所を指示し、もしあれば、バチルス属(Bacillus)染色体のどの部分を入来配列で置換するかを指示する。本開示を限定することを意図するものではないが、ホモロジーボックスには、約1塩基対(bp)~200キロ塩基(kb)が含まれ得る。好ましくは、ホモロジーボックスは、約1bp~10.0kb、1bp~5.0kb、1bp~2.5kb、1bp~1.0kb、及び0.25kb~2.5kbを含む。ホモロジーボックスはまた、約10.0kb、5.0kb、2.5kb、2.0kb、1.5kb、1.0kb、0.5kb、0.25kb及び0.1kbを含み得る。いくつかの実施形態では、選択マーカーの5’側及び3’側末端は、ホモロジーボックス(ホモロジーアーム)によってフランキングされ、このホモロジーボックスは、遺伝子のコード領域に直接フランキングする核酸配列を含む。
本開示のさらに別の実施形態では、DNAアレイ解析(例えば、本明細書に記載したトランスクリプトーム解析)によって決定される不適切な時間に活性である遺伝子の欠失、崩壊、不活化又は下方制御は、目的のタンパク質の発現を増強する。本明細書で使用する場合、「トランスクリプトーム解析」は、遺伝子転写の解析を指す。
本明細書で使用する場合、用語「選択可能マーカーコーディングヌクレオチド配列」は、宿主細胞内で発現することができ、選択可能マーカーの発現が、発現した遺伝子を含有する細胞に、対応する選択的作用物質の存在下又は必須栄養素の欠如下で増殖する能力を付与する、ヌクレオチド配列を指す。
本明細書で使用する場合、用語「選択可能マーカー」及び「選択マーカー」は、ベクターを含有するそれらの宿主の選択を容易にさせる、宿主細胞内で発現することができる核酸(例えば、遺伝子)を指す。そのような選択可能マーカーの例としては、抗微生物剤が挙げられるが、それらに限定されない。したがって、用語「選択可能マーカー」は、宿主細胞が目的入来DNAを取り込めたか、又は何らかの他の反応が発生したことの兆候を提供する遺伝子を指す。一般的には、選択可能マーカーは、形質転換中に外因性配列を受け入れていない細胞から外来DNAを含有する細胞を区別することを可能にする抗微生物剤耐性又は代謝有利性を宿主細胞に付与する遺伝子である。
「存在する選択可能マーカー」は、形質転換対象の微生物の染色体上に所在するマーカーである。存在する選択可能マーカーは、形質転換DNAコンストラクト上の選択可能マーカーとは異なる遺伝子をコードする。選択マーカーは、当業者にはよく知られている。上記のように、マーカーは抗微生物剤耐性マーカー(例えば、ampR、phleoR、specR、kanR、eryR、tetR、cmpR及びneoR)であり得る。いくつかの実施形態では、本発明は、クロラムフェニコール耐性遺伝子(例えば、pC194上に存在する遺伝子、並びにバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)のゲノムに存在する耐性遺伝子)を提供する。この耐性遺伝子は、本発明において、並びに染色体組み込みカセット及び組み込みプラスミドの染色体増幅を含む実施形態において、特に有用である。本発明により有用な他のマーカーとしては、セリン、リシン、トリプトファンなどの栄養要求性マーカー、及びβ-ガラクトシダーゼなどの検出マーカーが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で定義する場合、宿主細胞「ゲノム」、細菌(宿主)細胞「ゲノム」、又はバチルス属(Bacillus)(宿主)細胞「ゲノム」は、染色体遺伝子及び染色体外遺伝子を含む。
本明細書で使用する場合、用語「プラスミド」、「ベクター」及び「カセット」は、多くは、細胞の中心的な代謝には通常関与しない遺伝子を持ち、通常、環状の二本鎖DNA分子の形態の染色体外エレメントを指す。そのようなエレメントは、任意のソースに由来する、線状又は環状で、一本鎖又は二本鎖のDNA又はRNAからなる自己複製配列、ゲノム組み込み配列、ファージ又はヌクレオチド配列であり得、それらにおいては、選択された遺伝子産物のためのプロモーター断片及びDNA配列を3’非翻訳配列と共に細胞に導入することができる固有の構成に、多くのヌクレオチド配列が結合又は再結合している。
本明細書で使用する場合、「形質転換カセット」は、遺伝子(又は、そのORF)を含み、外来遺伝子に加えて、特定の宿主細胞の形質転換を促進する要素を有する特異的ベクターを指す。
本明細書で使用する場合、用語「ベクター」は、細胞内で複製(増殖)することができ、新たな遺伝子又はDNAセグメントを細胞中に運ぶことができる任意の核酸を指す。したがって、この用語は、様々な宿主細胞間を輸送するために設計された核酸コンストラクトを指す。ベクターとしては、「エピソーム」(すなわち、自律的に複製するか、又は宿主生物の染色体に組み込むことができる)である、ウイルス、バクテリオファージ、プロウイルス、プラスミド、ファージミド、トランスポゾン、並びにYAC(酵母人工染色体)、BAC(細菌人工染色体)、PLAC(植物人工染色体)などの人工染色体が挙げられる。
「発現ベクター」は、細胞内に異種DNAを組み込んで発現させる能力を有するベクターを指す。多数の原核生物及び真核生物の発現ベクターが市販されており、当業者には知られている。適切な発現ベクターの選択は、当業者の知識の範囲内である。
本明細書で使用する場合、用語「発現カセット」及び「発現ベクター」は、標的細胞中の特定の核酸の転写を許容する一連の特定の核酸要素を用いて、組み換え又は合成的に生成される核酸コンストラクト(すなわち、これらは、上述したベクター若しくはベクターエレメントである)を指す。組み換え発現カセットは、プラスミド、染色体、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、ウイルス又は核酸断片内に組み込むことができる。通常、発現ベクターの組み換え発現カセット部分には、他の配列の中でも、転写対象の核酸配列及びプロモーターが含まれる。いくつかの実施形態では、DNAコンストラクトには、標的細胞内の特定の核酸の転写を許容する一連の特定の核酸要素も含まれる。所定の実施形態では、本開示のDNAコンストラクトは、本明細書で定義する選択マーカー及び不活化染色体セグメント又は遺伝子セグメント又はDNAセグメントを含む。
本明細書で使用する場合、「ターゲティングベクター」は、その中にターゲティングベクターが形質転換される宿主細胞の染色体内の領域に相同なポリヌクレオチド配列を含み、その領域で相同組み換えを駆動できるベクターである。例えば、ターゲティングベクターは、相同組み換えによって宿主細胞の染色体に変異を導入する際に使用される。いくつかの実施形態では、ターゲティングベクターは、例えば末端に付加された他の非相同配列(すなわち、スタッファー配列又はフランキング配列)を含む。末端は、例えば、ベクターへの挿入などのように、ターゲティングベクターが閉環を形成するように閉じることができる。適切なベクターの選択及び/又は構成は、十分に当業者の知識の範囲内である。
本明細書で使用する場合、用語「プラスミド」は、クローニングベクターとして使用される環状の二本鎖(ds)DNAコンストラクトを指し、多くの細菌及び一部の真核生物において、染色体外の自己複製、条件付きの自己複製又は複製しない遺伝要素を形成する、環状の二本鎖(ds)DNAコンストラクトを指す。いくつかの実施形態では、プラスミドは、宿主細胞のゲノムに組み込まれる。
本明細書で使用する場合、「目的のタンパク質」又は「POI」という用語は、改変バチルス属(Bacillus)(娘)細胞中で発現することが望まれる目的ポリペプチドを指し、このPOIは、増強/増大したレベル(すなわち、「未改変」(親)細胞と比較して)で発現することが好ましい。したがって、本明細書で使用する場合、POIは、酵素、基質結合タンパク質、表面活性タンパク質、構造タンパク質、受容体タンパク質、抗体などであり得る。
同様に、本明細書で定義する場合、「目的遺伝子」又は「GOI」は、POIをコードする核酸配列(例えば、ポリヌクレオチド、遺伝子又はオープンリーディングフレーム)を指す。「目的のタンパク質」をコードする「目的遺伝子」は、天然型遺伝子、変異遺伝子又は合成遺伝子であってよい。
特定の実施形態では、本開示の改変細胞は、親細胞に比較して異種POI又は内因性POIをより多く産生する。特定の実施形態では、本開示の改変細胞によって産生されるPOIの増加量は、親細胞と比較して、少なくとも0.05%の増加、少なくとも0.10%、少なくとも1.0%の増加、少なくとも5.0%の増加、又は5.0%超の増加である。非限定的な例として、特定の実施形態では、POIは酵素(例えば、ヒドロラーゼ)であり、改変細胞によって産生されるPOIのレベルの増加(すなわち、その非改変親と比較して)は、酵素活性の増加及び/又は比生産性(Qp)の増加として検出又は測定される。
本明細書で使用する場合、用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、互換的に使用され、ペプチド結合によって連結されたアミノ酸残基を含む任意の長さのポリマーを指す。本明細書では、アミノ酸残基に対し、従来の1文字コード又は3文字コードを使用する。ポリペプチドは、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、改変アミノ酸を含んでもよく、また、非アミノ酸によって分断されていてもよい。ポリポチペプチドという用語はまた、自然に、或いは介入;例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、又は標識化成分との結合などの任意の他の操作若しくは改変によって、改変されているアミノ酸ポリマーを包含する。また、この定義の範囲には、例えば、アミノ酸の1つ以上のアナログ(例えば、非天然アミノ酸などを含む)を含有するポリペプチド、及び当該技術分野において知られる他の改変も含まれる。
特定の実施形態では、本開示の遺伝子は、酵素(例えば、アセチルエステラーゼ、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、アラビナーゼ、アラビノフラノシダーゼ、炭酸脱水酵素、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、キモシン、クチナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エピメラーゼ、エステラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、α-グルカナーゼ、グルカンリザーゼ(glucan lysase)、エンド-β-グルカナーゼ、グルコアミラーゼ、グルコースオキシダーゼ、α-グルコシダーゼ、β-グルコシダーゼ、グルクロニダーゼ、グリコシルヒドロラーゼ、ヘミセルラーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、ヒドロラーゼ、インベルターゼ、イソメラーゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、リアーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、酸化還元酵素、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ペクチンデポリメラーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクチン分解酵素、ペルヒドロラーゼ、ポリオールオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、フィターゼ、ポリガラクツロナーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、ラムノ-ガラクツロナーゼ、リボヌクレアーゼ、トランスフェラーゼ、輸送タンパク質、トランスグルタミナーゼ、キシラナーゼ、ヘキソースオキシダーゼ及びこれらの組み合わせ)などの商業的に関連する工業用の目的のタンパク質をコードする。
本明細書で使用する「バリアント」ポリペプチドは、一般的には組み換えDNA技術による、1個以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失による親(若しくは参照)ポリペプチドに由来するポリペプチドを指す。バリアントポリペプチドは、少数のアミノ酸残基によって親ポリペプチドと異なる可能性があり、親(参照)ポリペプチドとの一次アミノ酸配列の相同性/同一性のレベルによって定義され得る。
好ましくは、バリアントポリペプチドは、親(参照)ポリペプチド配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する。本明細書で使用する場合、「バリアント」ポリヌクレオチドは、バリアントポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指し、この「バリアントポリヌクレオチド」は、親ポリヌクレオチドと特定の程度の配列相同性/同一性を有するか、又はストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で親ポリヌクレオチド(又は、その相補体)とハイブリダイズする。好ましくは、バリアントヌクレオチドは、親(参照)ポリヌクレオチド配列と、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%のヌクレオチド配列同一性を有する。
本明細書で使用する場合、「変異」は、核酸配列内のあらゆる変化又は変更を指す。点変異、欠失変異、サイレント変異、フレームシフト変異、スプライシング変異などを含む数種類の変異が存在する。変異は、特異的に(例えば、部位特異的変異誘発によって)、又はランダムに(例えば、化学薬品、修復マイナス細菌株による継代によって)行われ得、或いは自然発生的に起こり得る。
本明細書で使用する場合、ポリペプチド又はその配列に関連して、用語「置換」は、1つのアミノ酸の別のアミノ酸との置き換え(すなわち、置換)を意味する。
本明細書で定義する場合、「内因性遺伝子」は、生物のゲノム中の天然の位置に存在する遺伝子を指す。
本明細書で定義する場合、「異種」遺伝子、「非内因性」遺伝子、又は「外来」遺伝子は、通常は宿主生物に見出されないが、遺伝子導入によって宿主生物に導入される遺伝子(又はORF)を指す。本明細書で使用する場合、用語「外来」遺伝子は、非天然生物中に挿入された天然遺伝子(若しくはORF)及び/又は天然若しくは非天然生物中に挿入されたキメラ遺伝子を含む。
本明細書で定義する場合、「異種」核酸コンストラクト又は「異種」核酸配列は、その中でそれが発現する細胞に対して天然ではない配列の部分を有する。
本明細書で定義する場合、「異種制御配列」は、天然では目的遺伝子の発現を調節(制御)するために機能しない遺伝子発現制御配列(例えば、プロモーター又はエンハンサー)を指す。一般に、異種核酸配列は、その中にそれらが存在する細胞又はゲノムの一部に対して内因性(天然)ではなく、感染、トランスフェクション、形質転換、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどによって細胞に加えられている。「異種」核酸コンストラクトは、天然宿主細胞内で見出される制御配列/DNAコーディング配列の組み合わせと同一又は異なる制御配列/DNAコーディング(ORF)配列の組み合わせを含有し得る。
本明細書で使用する場合、用語「シグナル配列」及び「シグナルペプチド」は、成熟タンパク質又はタンパク質の前駆体形の分泌又は直接輸送に関与する可能性があるアミノ酸残基の配列を指す。シグナル配列は、一般的には、前駆体又は成熟タンパク質配列のN末端に位置する。シグナル配列は、内因性であっても外因性であってもよい。シグナル配列は、通常、成熟タンパク質には存在しない。シグナル配列は、一般的には、タンパク質が輸送された後にシグナルペプチダーゼによってタンパク質から切断される。
用語「由来する」には、用語「~から生じた」、「~から得られた」、「~から入手可能な」及び「から作成された」が含まれ、一般には、1つの特定の材料若しくは組成物が別の材料若しくは組成物にその起源が見出されるか、又は他の特定の材料若しくは組成物を参照して記載できる特徴を有することを示す。
本明細書で使用する場合、用語「相同性」は、相同ポリヌクレオチド又は相同ポリペプチドに関する。2つ以上のポリヌクレオチド又は2つ以上のポリペプチドが相同である場合、これは、それらの相同のポリヌクレオチド又はポリペプチドが、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より一層好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、及び最も好ましくは少なくとも98%の「同一性度」を有することを意味している。2つのポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列が、本明細書で定義するように相同であるほどの十分に高い同一性度を有するか否かは、当該技術分野で知られるコンピュータープログラム、例えば、GCGプログラムパッケージで提供される「GAP」(Program Manual for the Wisconsin Package、Version 8,August 1994、Genetics Computer Group,575 Science Drive,Madison,Wisconsin,USA 53711)を使用して2つの配列をアラインさせることにより好適に調べることができる(Needleman and Wunsch,(1970)。DNA配列比較のために以下の設定でGAPを使用:GAP作成ペナルティ(creation penalty)5.0及びGAP伸長ペナルティ(extension penalty)0.3。
本明細書で使用する場合、用語「同一性パーセント(%)」は、配列アライメントプログラムを使用してアラインさせたときの、ポリペプチドをコードする核酸配列間又はポリペプチドのアミノ酸配列間の核酸又はアミノ酸配列の同一性のレベルを指す。
本明細書で使用する場合、用語「比生産性」は、所定の期間にわたって、細胞1個当たり、単位時間当たりに産生するタンパク質の総量を指す。
本明細書で定義する場合、用語「精製(された)」、「単離(された)」又は「濃縮(された)」は、生体分子(例えば、ポリペプチド又はポリヌクレオチド)が、それが本来結合している、天然型の一部若しくは全部の構成要素から分離することによって、その天然状態から改変されることを指す。そのような単離若しくは精製は、最終組成物中に望ましくない全細胞、細胞残屑、不純物、外来タンパク質又は酵素を除くための、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、疎水性分離、透析、プロテアーゼ処理、硫酸アンモニウム沈澱若しくは他のタンパク質塩析、遠心分離、サイズ排除クロマトグラフィー、濾過、精密濾過、ゲル電気泳動、又は勾配による分離などの当該技術分野で知られる分離技術によって実施することができる。精製又は単離した生体分子組成物には、その後さらに、追加の便益を付与する構成要素、例えば、活性化剤、抗阻害剤、望ましいイオン、pH調節化合物又は他の酵素若しくは化学物質を添加することができる。
本明細書で使用する場合、用語「ComKポリペプチド」は、comK遺伝子の産物;コンピテンスの発達の前の最終自己調節制御スイッチとして作用する転写因子として定義され;DNA結合及び取り込み並びに組み換えに関与する後期コンピテンス遺伝子の発現の活性化に関与する(Liu and Zuber,1998,Hamoen et al.,1998)。comK核酸配列を含み、発現するプラスミド(pBL.comK)を配列番号43に示す。
本明細書で使用する場合、「相同遺伝子」は、異なるが通常は関連する種に由来する、相互に対応し、且つ相互に同一又は極めて類似する1対の遺伝子を指す。この用語は、種分化(すなわち、新規な種の発生)によって分離された遺伝子(例えば、オルソロガス遺伝子)、及び遺伝子重複によって分離されてきた遺伝子(例えば、パラロガス遺伝子)を包含する。
本明細書で使用する場合、「オルソログ」及び「オルソロガス遺伝子」は、種分化によって共通の先祖遺伝子(すなわち、相同遺伝子)から生じた異なる種の遺伝子を指す。通常、オルソログは、進化の過程で同じ機能を保持している。オルソログの同定は、新しく配列が決定されたゲノムにおける遺伝子機能の信頼性の高い予測に使用される。
本明細書で使用する場合、「パラログ」及び「パラロガス遺伝子」は、ゲノム内での重複に関係する遺伝子を指す。オルソログは進化の過程を通して同じ機能を保持し、一方、パラログはいくつかの機能は多くは元の機能に関連するものの新しい機能を生じる。パラロガス遺伝子の例としては、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ及びトロンビン(これらはいずれも、セリンプロテイナーゼであり、同じ種において同時に発生する)をコードする遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用する「相同性」は、配列類似性又は同一性を指すが、同一性が好ましい。この相同性は、当該技術分野で知られる標準技術を使用して決定される(例えば、Smith and Waterman,1981;Needleman and Wunsch,1970;Pearson and Lipman,1988;Wisconsin Genetics Software Package(Genetics Computer Group,Madison,WI)のGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTAなどのプログラム;並びにDevereux et al.,1984を参照)。
本明細書で使用する場合、「アナログ配列」は、遺伝子の機能が、バチルス属(Bacillus)細胞に由来する遺伝子と実質的に同じである配列である。さらに、アナログ遺伝子は、バチルス属(Bacillus)種細胞の配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を含む。アナログ配列は、既知の配列アラインメント法によって決定される。一般に使用されるアラインメント法はBLASTであるが、配列をアラインさせる際に他の方法もまた使用される。
本明細書で使用する場合、「ハイブリダイゼーション」という用語は、当該技術分野で知られているように、核酸鎖がその相補鎖と塩基対を形成するによって結合するプロセスを指す。核酸配列は、2つの配列が中~高ストリンジェンシーなハイブリダイゼーション条件及び洗浄条件下で互いに特異的にハイブリダイズする場合、参照核酸配列に「選択的にハイブリダイズ可能」であると考えられる。ハイブリダイゼーション条件は、核酸結合複合体又はプローブの融解温度(Tm)に基づいている。例えば、「最大ストリンジェンシー」は、通常、Tm-5℃(プローブのTmを5°下回る)程度で、「高ストリンジェンシー」はTmを約5~10℃下回って、「中間ストリンジェンシー」はプローブのTmを約10~20℃下回って、そして「低ストリンジェンシー」はTmを約20~25℃下回って、起こる。機能上、最大ストリンジェンシー条件はハイブリダイゼーションプローブと厳密な同一性、又はほぼ厳密な同一性を有する配列を同定するために用いることができ、一方、中間又は低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションはポリヌクレオチド配列ホモログを同定又は検出するために用いることができる。中~高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は当該技術分野でよく知られている。高ストリンジェンシー条件の例としては、50%ホルムアミド、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS及び100pg/mlの変性キャリアDNA中における約42℃でのハイブリダイゼーション、その後の2×SSC及び0.5%SDS中における室温(RT)での2回の洗浄、並びに0.1×SSC及び0.5%SDS中における42℃でのさらなる2回の洗浄が挙げられる。中間ストリンジェント条件の例としては、20%ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl、15mMクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%硫酸デキストラン及び20mg/ml変性断片処理済みサケ精子DNAを含む溶液中、37℃で終夜インキュベートし、続いて1×SSC中、約37~50℃でフィルターを洗浄することが挙げられる。当業者は、プローブ長などの因子を適合させるために必要な温度、イオン強度などを調整する方法を知っている。
本明細書で使用する場合、「組み換え」は、異種核酸配列の導入によって改変されている、又は細胞がそのように改変された細胞に由来する細胞又はベクターへの言及が含まれる。したがって、例えば、組み換え細胞は、細胞の天然(非組み換え)形態内の同一形態においては見出されない遺伝子を発現する、又はヒトが意図的に介入した結果として、さもなければ異常に発現する、過少発現する、若しくは全く発現しない天然遺伝子を発現する。「組み換え」、「組み換える(こと)」又は「組み換え」核酸を生成することは、一般に、2つ以上の核酸断片の集合体であり、この集合体は、キメラ遺伝子を発生させる。
本明細書で使用する場合、「フランキング配列」は、考察対象の配列の上流又は下流にある任意の配列を指す(例えば、遺伝子A-B-Cでは、遺伝子BがA及びCの遺伝子配列にフランキングされている)。特定の実施形態では、入来配列は、両側でホモロジーボックスにフランキングされている。また別の実施形態においては、入来配列及びホモロジーボックスは、両側でスタッファー配列によってフランキングされている単位を含む。いくつかの実施形態では、フランキング配列は、一方の側(3’又は5’)にのみ存在するが、好ましい実施形態では、フランキングされている配列の両側に存在する。各ホモロジーボックスの配列は、バチルス属(Bacillus)染色体内の配列と相同である。これらの配列は、バチルス属(Bacillus)染色体のどこに新規なコンストラクトが組み込まれ、バチルス属(Bacillus)染色体のどの部分が入来配列により置換されるかを指示する。他の実施形態では、選択マーカーの5’側及び3’側末端は、不活化染色体セグメントの一部を含むポリヌクレオチド配列によってフランキングされている。いくつかの実施形態では、フランキング配列は、一方の側(3’又は5’)にのみ存在するが、他の実施形態では、フランキングされている配列の両側に存在する。
本明細書で使用する場合、用語「スタッファー配列」は、ホモロジーボックス(一般的には、ベクター配列)にフランキングしている任意のエクストラDNAを指す。しかし、この用語は、任意の非相同DNA配列を包含する。いかなる理論によっても限定されるものではないが、スタッファー配列は細胞がDNA取り込みを開始するために重要ではない標的を提供する。
II.リボソームRNAプロモーター配列
上に一般的に記載したように、本開示の特定の実施形態は、本明細書に記載の新規なプロモーター(核酸)配列に関する。特定の実施形態では、これらの新規なプロモーター配列は、POIをコードする遺伝子又はORFに作動可能に連結されており、それらは工業的に関連するタンパク質の大規模生産における使用に特に好適である。特定の実施形態では、このような新規プロモーター配列は、天然のバチルス属(Bacillus)種リボソームRNA(rrn)プロモーター(核酸)配列の合成バリアントである。
例えば、上記の背景の項で提示したように、国際公開第WO2013/086219号パンフレットには、一般に、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)由来のリボソームプロモーターを含む、目的のタンパク質をコードするポリヌクレオチドを生産するためのプロモーター、発現ベクター、微生物、及び方法が開示され、そこに開示されているリボソームプロモーター配列は、グラム陽性微生物細胞におけるタンパク質産生増強のために有用である。これらのリボソームRNA及びリボソームタンパク質プロモーター配列には、いくつかのB.サブチリス(B.subtilis)リボソームRNAプロモーター(「rrn」と略記)、例えば、rrnB、rrnI、及びrrnE、並びにいくつかのB.サブチリス(B.subtilis)リボソームタンパク質プロモーター(「rps」と略記)、例えば、rpsD及びrpsJが含まれた。
対照的に、以下の実施例の項に提示し、記載するように、本出願人は、このようなrrnプロモーター(核酸)配列に由来する新規な変異体/バリアントプロモーター配列を同定した。より詳細には、バチルス属(Bacillus)発現コンストラクトへアセンブリするためのDNAのルーチン合成の間に、本出願人はコンストラクトのDNAアセンブリを容易にするためにrrnプロモーターの配列を改変し、これらの改変の間に、本出願人は、天然のrrnIp2プロモーター配列と比較して、作動可能に連結されたレポーター遺伝子の発現/産生量が増加した特定のB.サブチリス(B.subtilis)rrnIp2プロモーター変異体(例えば、配列番号40、58及び59などのバリアント/変異rrnIp2プロモーター配列)を同定した。
例えば、実施例1に提示し、記載するように、本出願人は、B.サブチリス(B.subtilis)のaprE遺伝子座へ発現カセットを導入するためのaprE Cas9ターゲティングベクターを構築した。したがって、ガイドRNA(gRNA)発現カセットを作製するために、gRNAをコードするDNAを、バチルス属(Bacillus)種細胞において作動可能なプロモーター配列及びターミネーター配列に、gRNAをコードするDNAの上流(5’)にプロモーターが配置され、gRNAをコードするDNAの下流(3’)にターミネーターが配置されるように、作動可能に連結した。さらに、本開示の実施例2ではさらに、導入されたヒドロラーゼ発現カセットを含むバチルス属(Bacillus)種(娘)細胞の構築について記載する。より詳細には、このようなバチルス属(Bacillus)種細胞は、(1)(2a)天然B.サブチリス(B.subtilis)rrnIp2プロモーター(配列番号39)をコードするDNA配列又は(2b)新規(合成)バリアントrrnIp2-1プロモーター(配列番号40)(これらのプロモーターDNA配列は(3)例示的な目的のタンパク質(すなわち、ヒドロラーゼ)をコードするDNA配列に作動可能に連結されている)に作動可能に連結された、yhfN遺伝子の5’側のフランキング領域に相同なDNA配列(配列番号38)を有するヒドロラーゼ発現カセットを含み、この発現カセットは(4)B.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)aprターミネーター配列(配列番号41)をコードするDNA配列に作動可能に融合されており、ここで、プロモーターはヒドロラーゼをコードするDNA配列の上流(5’)に位置し、ターミネーターはヒドロラーゼをコードするDNAの下流(3’)に位置する。さらに、このような発現カセットは、yhfN遺伝子の3’側のフランキング領域に相同なDNA配列(配列番号42)に作動可能に融合された。例えば、天然rrnIp2プロモーター(配列番号39)を有するヒドロラーゼ発現カセットを含むバチルス属(Bacillus)種(娘)細胞コロニーを保存して、「SS066」株と命名し、改変rrnIp2-1プロモーター(配列番号40)を有するヒドロラーゼ発現カセットを含むバチルス属(Bacillus)種(娘)細胞コロニーを保存して、「SS065」株と命名した。
本開示の実施例3ではさらに、天然rrnIp2プロモーター(例えば、Bacillus細胞SS066)又は改変rrnIp2-1プロモーター(例えば、Bacillus細胞SS065)を有するヒドロラーゼ発現カセット(すなわち、実施例3;プロテアーゼ)を含むバチルス属(Bacillus)種細胞のヒドロラーゼ(すなわち、プロテアーゼ)産生を小規模条件下で評価した。より詳細には、40時間の増殖後、全細胞培地中のプロテアーゼ濃度を、suc-AAPF-pNAアッセイを用いて決定した。例えば、表5(実施例3)は、SS066細胞(すなわち、天然rrnIp2プロモーター(配列番号39)を含む)に対するSS065細胞(すなわち、rrnIp2-1プロモーター(配列番号40)を含む)の(正規化)相対プロテアーゼ発現を示し、プロテアーゼ活性が約2倍に増加したことを示した。
同様に、本開示の実施例4は、例示的なヒドロラーゼ発現カセット(すなわち、実施例4;アミラーゼ)を含むバチルス属(Bacillus)種細胞を提示する。より具体的には、実施例4に記載のアミラーゼ発現カセットを、(1)天然rrnIp2プロモーター(配列番号39)の制御下、又は(2)改変rrnIp2-1プロモーター(配列番号40)の制御下にあるアミラーゼ発現カセットを含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に導入した。より詳細には、天然rrnIp2アミラーゼカセット及び改変rrnIp2-1アミラーゼカセットのためのハロー陽性形質転換体を、1%(w/v)の不溶性デンプンを含有するL寒天上でストリーク精製して、単一コロニーを精製し、rrnIp2_アミラーゼカセットの配列が確認されたカセットを有するコロニーを保存して、「BF399」と命名し、rrnIp2-1_アミラーゼカセットの配列が確認されたカセットを有するコロニーを保存して、「BF401」と命名した。
本開示の実施例5では、実施例4で構築されたアミラーゼ発現カセットを含むバチルス属(Bacillus)種細胞(すなわち、BF399細胞及びBF401細胞)をさらにアッセイした。例えば、表9に示すように、天然rrnIp2プロモーター(すなわち、配列番号44カセット)を含むアミラーゼ発現カセット及びバリアントrrnIp2-1プロモーター(すなわち、配列番号45カセット)を含むアミラーゼ発現カセットについてアミラーゼの発現/産生を試験して、これらの異なるプロモーターのバチルス属(Bacillus)種細胞におけるアミラーゼ産生に及ぼす影響を決定した。より詳細には、表9に示すように、バリアントrrnIp2-1プロモーター(配列番号40;すなわち、配列番号45カセット)を含むバチルス属(Bacillus)種細胞は、天然rrnIp2プロモーター(すなわち、配列番号44カセット)を含むバチルス属(Bacillus)種細胞よりも平均で30%多くアミラーゼを産生する。
したがって、本明細書に一般的に記載するように、本開示の特定の実施形態は、タンパク質産生増加表現型などを有するバチルス属(Bacillus)種細胞(例えば、タンパク質産生宿主細胞、細胞工場)を作製/構築するための組成物及び方法に関する。
III.バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)amyLプロモーター領域配列
上に一般的に記載したように、本開示の特定の実施形態は、本明細書に記載の新規なプロモーター(核酸)配列に関する。したがって、特定の実施形態では、本明細書に記載の新規プロモーター配列は、POIをコードする遺伝子又はORFに作動可能に連結されており、これらの新規プロモーター配列は、工業的に関連するタンパク質の大規模生産における使用に特に好適である。例えば、特定の実施形態は、本明細書に一般的に記載されるように、下流5’-UTR配列に作動可能に連結された上流プロモーター配列を含む新規プロモーター配列領域に関する。特定の実施形態では、このような新規プロモーター配列領域は、天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyLプロモーター(核酸)配列の合成(改変)バリアントである。
例えば、上記のセクションII(例えば、図1を参照)に一般的に記載されるように、天然rrnIp2プロモーター配列(配列番号39)のヌクレオチド位89、90及び91における3’側アデニン(A)が、rrnIp2-1プロモーター配列(配列番号40;配列番号58)のヌクレオチド位89でチミン(T)に、ヌクレオチド位90でグアニン(G)に、及びヌクレオチド位91でチミン(T)に変化した場合、(TGT)改変rrnIp2-1プロモーター(配列番号40;配列番号58)の制御下で、目的遺伝子の発現は、天然rrnIp2プロモーター(配列番号39)の制御下で発現される同じ目的遺伝子の発現と比較して有意に増強された。改変rrnIp2プロモーター配列のこれらの驚くべき且つ予想外の観察に基づいて、本出願人は、天然の.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyLプロモーター領域に同様の3’側ヌクレオチド改変を導入することを意図した。
より具体的には、以下の実施例6に記載するように、特定の実施形態では、本出願人は、天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyLプロモーター領域(PamyL-1と命名;配列番号64)を改変し、この天然のPamyL-1プロモーター領域は天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyLプロモーター配列(配列番号82)及び天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyL5’-UTR配列(配列番号84)を含み、一方、改変amyLプロモーター領域(PamyL-2と命名;配列番号65)は天然のB.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyL5’-UTR配列(配列番号84)に作動可能に連結された改変(合成)amyLプロモーター配列(配列番号83)を含む。例えば、図3及び図4を参照されたい。特定の他の実施形態では、出願人はPamyL-3(配列番号66)及びPamyL-4(配列番号67)と名付けた合成(ハイブリッド)プロモーター領域を構築し、ハイブリッドPamyL-3プロモーター領域(配列番号66)は天然B.サブチリス(B.Subtilis)aprE 5’-UTR配列(配列番号85)に作動可能に連結された天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyLプロモーター配列(配列番号82)を含み、ハイブリッドPamyL-4プロモーター領域(配列番号67)は、天然B.サブチリス(B.Subtilis)aprE5’-UTR配列(配列番号85)に作動可能に連結された改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyLプロモーター配列(配列番号83)を含む。例えば、図5の核酸配列アラインメントに示すように、推定転写開始部位(TSS)は太字ヌクレオチドで示し、その後にイタリック体ヌクレオチドで示された5’-UTR配列が続き、二重下線を引いた「G」ヌクレオチドはPamyL-4に対するPamyL-3のTSSの可視化を補助する。
したがって、実施例6に一般的に記載するように、異種(トランケート型)プルラナーゼ発現カセットをB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に導入した。より具体的には、(トランケート型)プルラナーゼ発現カセットをB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に導入し、細胞は、(a)天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyLプロモーター領域(すなわち、PamyL-1;配列番号64)の制御下にある発現カセット、(b)改変プロモーター領域PamyL-2(配列番号65)の制御下にある発現カセット、(c)改変プロモーター領域PamyL-3(配列番号66)の制御下にある発現カセット、又は(d)改変プロモーター領域PamyL-4(配列番号67)の制御下にある発現カセットを含んだ。例えば、実施例6に記載するように、PamyL-1プルラナーゼカセット(配列番号78)の配列が確認されたカセットを有するコロニーをストリーク精製し、保存し、「PamyL-Pulltr」と命名し、PamyL-2プルラナーゼカセット(配列番号79)の配列が確認されたカセットを有するコロニーをストリーク精製し、保存し、「LDN461」と命名し、PamyL-3プルラナーゼカセット(配列番号80)の配列が確認されたカセットを有するコロニーをストリーク精製し、保存し、「LDN462」と命名し、PamyL-4プルラナーゼカセット(配列番号81)の配列が確認されたカセットを有するコロニーをストリーク精製し、保存し、「LDN463」と命名した。
より詳細には、実施例7にさらに記載するように、出願人は導入された(トランケート型)プルラナーゼ発現カセットを含むバチルス細胞(株)をアッセイして、これらの異なるプロモーター領域がこのような異種プルラナーゼタンパク質産生に及ぼす影響を決定した。例えば、実施例7に示したデータは、PamyL-2プルラナーゼカセットを含むバチルス属(Bacillus)株(配列番号79;例えば、LDN461株)が、PamyL-1プルラナーゼカセットを含むバチルス属(Bacillus)株(配列番号78;PamyL-Pulltr.株)よりも平均78%多いプルラナーゼを産生したことを示す。同様に、実施例7に示したデータは、PamyL-4プルラナーゼカセットを含むバチルス属(Bacillus)株(配列番号81;LDN463株)が、PamyL-3プルラナーゼカセットを含むバチルス属(Bacillus)株(配列番号80;LDN462株)よりも平均16%多いプルラナーゼを産生したことを示す。
したがって、本明細書に一般的に記載するように、本開示の特定の実施形態は、タンパク質産生増加表現型などを有するバチルス属(Bacillus)種細胞(例えば、タンパク質産生宿主細胞、細胞工場)を作製/構築するための組成物及び方法に関する。
IV.分子生物学
上で一般的に述べたように、本開示の特定の実施形態は、親バチルス属(Bacillus)細胞に由来する改変バチルス属(Bacillus)(娘)細胞に関する。より詳細には、特定の他の実施形態は、改変バチルス属(Bacillus)種(娘)細胞、並びにタンパク質生産性増加表現型などを有するそのような改変バチルス属(Bacillus)種細胞(例えば、タンパク質産生宿主細胞、細胞工場)を作製及び構築するためのその方法に関する。したがって、特定の他の実施形態は、1つ以上の遺伝子改変を含む(すなわち、親細胞に対して)、親バチルス属(Bacillus)種細胞の変異体に関する。
本明細書に提示するように、このような新規プロモーター(核酸)配列は、バチルス属(Bacillus)種細胞における目的のタンパク質をコードする遺伝子又はORFの発現に特に有用である。他の実施形態は、その新規発現カセット内に含まれる新規プロモーター(核酸)配列に関する。したがって、特定の他の実施形態は、その中に導入された1つ以上の異種発現コンストラクトを含む改変バチルス属(Bacillus)種細胞に関する。特定の他の実施形態は、本開示の改変バチルス属(Bacillus)種細胞により産生される、単離された目的のタンパク質(POI)に関する。したがって、特定の実施形態では、1つ以上のプロモーター配列は、POIをコードする遺伝子又はORFに作動可能に連結されている。特定の他の実施形態では、この1つ以上のプロモーター配列は、上流(5’)にヌクレオチドをさらに含み、それに作動可能に連結されている。他の実施形態では、遺伝子又はORFは、下流(3’)にヌクレオチドをさらに含み、それに作動可能に連結されている。
したがって、本開示の特定の実施形態は、バチルス属(Bacillus)種細胞を(例えば、遺伝子、ORF、プロモーター、ターミネーター、5’-UTR、3’-UTRなどにおける1つ以上のヌクレオチドの導入、置換、及び/又は除去におり)遺伝子的に改変するための方法を対象とする。したがって、バチルス属(Bacillus)種細胞を遺伝子的に改変するための方法には、(a)所与の核酸配列における1つ以上のヌクレオチドの導入、置換、及び/若しくは除去、(b)遺伝子破壊、(c)遺伝子変換、(d)遺伝子欠失、(e)遺伝子下方制御、(f)Cas9媒介編集、(g)部位特異的変異誘発、並びに/又は(h)ランダム変異誘発が含まれるが、これらに限定されない。したがって、特定の実施形態では、親バチルス属(Bacillus)種細胞は、当該分野でよく知られた方法、例えば、目的ポリヌクレオチド配列における挿入、破壊、置換、又は欠失などを使用して改変される。
例えば、特定の実施形態では、改変対象の遺伝子の一部は、コーディング領域、又はコーディング領域の発現に必要とされる調節エレメントであり得る。特定の実施形態では、バチルス属(Bacillus)種核酸配列(例えば、遺伝子、ORF、プロモーター、5’-UTRなど)は、当該技術分野で知られた方法を使用して改変される。特定の実施形態では、プロモーター(核酸)配列は、当該技術分野で知られた方法を使用して改変される。他の実施形態では、天然バチルス属(Bacillus)種に由来するプロモーターは、当該技術分野で知られた方法を使用して改変される。特定の他の実施形態では、本開示のバリアントバチルス属(Bacillus)種プロモーターは、合成配列(例えば、rrnIp2-1プロモーター;配列番号40)である。
したがって、特定の実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)種細胞は、遺伝子欠失によって構築される。遺伝子欠失技術は、遺伝子の部分的又は完全な除去を可能にし、それによりそれらの発現を排除する、又は非機能的(若しくは活性が減少した)タンパク質産物を発現させる。そのような方法では、遺伝子の欠失は、遺伝子にフランキングする5’及び3’領域を隣接して含有するように構築されているプラスミドを用い、相同組み換えによって遂行され得る。隣接する5’及び3’領域は、例えば、プラスミドが細胞内で樹立されることを可能にする許容温度で第2の選択可能マーカーと会合しているpE194などの感温性プラスミドでバチルス属(Bacillus)細胞内に導入され得る。細胞はその後、相同フランキング領域の1つで染色体内に組み込まれたプラスミドを有する細胞を選択するために非許容温度へシフトされる。プラスミドを組み込むための選択は、第2の選択可能マーカーの選択によって実施される。組み込み後、第2の相同フランキング領域での組み換え事象が、選択せずに細胞を数世代にわたり許容温度へシフトすることによって刺激される。細胞をプレーティングして単一コロニーを得、このコロニーを両方の選択可能マーカーの消失について試験する(例えば、Perego,1993を参照)。したがって、当業者は、完全又は部分的欠失に好適な遺伝子のコーディング配列及び/又は遺伝子の非コーディング配列中のヌクレオチド領域を容易に同定し得る。
他の実施形態では、本開示の改変バチルス属(Bacillus)種細胞は、それらの転写又は翻訳に必要とされる遺伝子又は調節エレメント内の1つ以上のヌクレオチドを導入するか、置換するか、又は除去することによって構築される。例えば、本明細書に記載するように、本開示の特定の改変プロモーター(核酸)配列は、ヌクレオチド置換(例えば、ヌクレオチド位30、89、90及び91)を含む。このような改変は、部位特異的変異誘発又はPCR生成変異誘発などの当該技術分野で知られた手法により、当該技術分野で知られた方法にしたがって実施され得る(例えば、Botstein and Shortle,1985;Lo et al.,1985;Higuchi et al.,1988;Shimada,1996;Ho et al.,1989;Horton et al.,1989及びSarkar and Sommer,1990を参照)。
別の実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)種細胞は、遺伝子変換のプロセスによって構築される(例えば、Iglesias and Trautner,1983を参照)。例えば、遺伝子変換法では、遺伝子に対応する核酸配列をインビトロで変異させて欠陥のある核酸配列を生成し、次いで、この核酸配列を親バチルス属(Bacillus)細胞に形質転換して欠陥のある遺伝子を生成する。相同組み換えによって、欠陥のある核酸配列が内因性遺伝子に取って代わる。欠陥のある遺伝子又は遺伝子断片がまた、欠陥のある遺伝子を含有する形質転換体の選択に使用され得るマーカーをコードすることが望ましい場合がある。例えば、欠陥のある遺伝子は、選択可能マーカーと会合している非複製プラスミド又は感温性プラスミドで導入され得る。プラスミドを組み込むための選択は、プラスミド複製を許容しない条件下でそのマーカーを選択することによって実施される。遺伝子置換をもたらす第2の組み換え事象の選択は、選択可能マーカーの消失及び変異遺伝子の獲得についてコロニーを調査することによって実施される(Perego,1993)。或いは、欠陥のある核酸配列は、以下に記載するように、遺伝子の1つ以上のヌクレオチドの挿入、置換又は欠失を含有し得る。
他の実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)種細胞は、CRISPR-Cas9編集によって作製/構築される。例えば、本開示のバチルス属(Bacillus)種プロモーター配列は、DNA上の標的配列にエンドヌクレアーゼを動員するガイドRNA(例えば、Cas9)及びCpf1又はガイドDNA(例えば、NgAgo)に結合することによってそれらの標的DNAを見出す核酸誘導型エンドヌクレアーゼによって編集(又は、破壊、欠失、下方制御)され得、ここで、エンドヌクレアーゼは、DNAにおいて一本鎖又は二本鎖切断を生成することができる。この標的化されたDNA切断は、DNA修復のための基質となり、提供された編集鋳型と組み換えて、プロモーター配列を改変し得る(例えば、実施例1を参照)。したがって、例えば、核酸誘導型エンドヌクレアーゼをコードする遺伝子(この目的のためには、S.ピオゲネス(S.pyogenes)由来のCas9)、又はCas9ヌクレアーゼをコードするコドン最適化遺伝子は、バチルス属(Bacillus)種細胞内で活性なプロモーター及びバチルス属(Bacillus)細胞内で活性なターミネーターに作動可能に連結されており、これによりバチルス属(Bacillus)Cas9発現カセットを生成する。同様に、目的プロモーターに固有の1つ以上の標的部位は、当業者により容易に同定される。例えば、目的標的の標的プロモーター部位に向けられたgRNAをコードするDNAコンストラクトを構築するためには、可変標的化ドメイン(VT)は、そのヌクレオチドが、S.ピオゲネス(S.pyogenes)Cas9に対するCas9エンドヌクレアーゼ認識ドメイン(CER)をコードするDNAに融合している、(PAM)プロトスペーサー隣接モチーフ(TGG)の5’側にある標的部位のヌクレオチドを含むであろう。VTドメインをコードするDNAとCERドメインをコードするDNAとの組合せは、それによりgRNAをコードするDNAを生成する。したがって、gRNAのためのバチルス属(Bacillus)発現カセットは、バチルス属(Bacillus)細胞内で活性なプロモーター及びバチルス属(Bacillus)細胞内で活性なターミネーターにgRNAをコードするDNAを作動可能に連結させることによって作製される。特定の実施形態では、エンドヌクレアーゼによって誘導されたDNA切断は、入来配列を用いて修復/置換される。
例えば、上述したCas9発現カセット及びgRNA発現カセットによって生成されたDNA切断を精密に修復するためには、細胞のDNA修復機構が編集鋳型を利用できるように、ヌクレオチド編集鋳型が提供される。例えば、標的化プロモーターの約500bpの上流(5’)は、編集鋳型を生成するために標的化遺伝子の約500bpの下流(3’)に融合させることができ、その鋳型は、RGENによって生成されたDNA切断を修復するためにバチルス属(Bacillus)宿主の機構によって使用される。Cas9発現カセット、gRNA発現カセット及び編集鋳型は、多数の様々な方法(例えば、プロトプラスト融合法、エレクトロポレーション法、生来のコンピテンス又は誘導されたコンピテンス)を使用して細胞に同時に送達され得る。形質転換細胞は、遺伝子座をフォワードプライマー及びリバースプライマーを用いて増幅させることによる、標的遺伝子座をPCR増幅させることによってスクリーニングされる。これらのプライマーは、野生型遺伝子座又はRGENによって編集されている改変遺伝子座を増幅させることができる。次いで、これらの断片は、編集されたコロニーを同定するために、シーケンシングプライマーを使用して配列決定される。
さらに他の実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)種細胞は、化学的変異誘発(例えば、Hopwood,1970を参照)及び転座(例えば、Youngman et al.,1983を参照)を含むがそれらに限定されない当該技術分野においてよく知られる方法を使用して、ランダム変異誘発又は特異的変異誘発によって構築される。遺伝子又はプロモーターの改変は、親細胞に変異誘発を受けさせること、及びその中で遺伝子の発現が変更されている変異細胞についてスクリーニングすることによって実施され得る。特異的であってもランダムであってもよい変異誘発は、例えば、好適な物理的若しくは化学的変異誘発剤の使用によって、好適なオリゴヌクレオチドの使用によって、又はDNA配列をPCR生成変異誘発にかけることによって実施され得る。さらに、変異誘発は、これらの変異誘発法を任意に組み合わせることにより実施され得る。
本発明の目的に好適な物理的又は化学的な変異誘発剤の例としては、紫外線(UV)照射、ヒドロキシルアミン、N-メチル-N’-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(MNNG)、N-メチル-N’-ニトロソグアニジン(NTG)、O-メチルヒドロキシルアミン、亜硝酸、エチルメタンスルホネート(EMS)、亜硫酸水素ナトリウム、蟻酸及びヌクレオチドアナログが挙げられる。このような薬剤を使用する場合、変異誘発は、一般的には、好適な条件下で最適な変異誘発剤の存在下で変異誘発対象の親細胞をインキュベートするステップ、及び遺伝子の減少した発現を示す、又は発現を示さない変異細胞を選択するステップによって実施される。
国際公開第2003/083125号パンフレット(参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる)は、E.コリ(E.coli)を迂回するためにPCR融合を使用する、バチルス属(Bacillus)欠失株及びDNAコンストラクトの作成などの、バチルス属(Bacillus)細胞を改変するための方法を開示している。国際公開第2002/14490号パンフレット(参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる)は、(1)組み込みプラスミド(pComK)の構築及び形質転換、(2)コーディング配列、シグナル配列及びプロペプチド配列のランダム変異誘発、(3)相同組み換え、(4)形質転換DNAに非相同フランクを付加することにより形質転換効率を増大させること、(5)二重交差組み込みを最適化すること、(6)部位特異的変異誘発、及び(7)マーカーレス欠失を含むバチルス属(Bacillus)細胞を改変するための方法を開示する。
当業者は、細菌細胞にポリヌクレオチド配列を導入するための好適な方法をよく知っている(例えば、E.コリ(E.coli)及びバチルス属(Bacillus)種;例えば、Ferrari et al.,1989;Saunders et al.,1984;Hoch et al.,1967;Mann et al.,1986;Holubova,1985;Chang et al.,1979;Vorobjeva et al.,1980;Smith et al.,1986;Fisher et.al.,1981及びMcDonald,1984を参照)。実際に、プロトプラスト形質転換及び会合、形質導入、並びにプロトプラスト融合を含む形質転換などの方法が知られており、本開示における使用に適している。形質転換法は、本開示のDNAコンストラクトを宿主細胞に導入するのに特に好ましい。
一般に使用される方法に加えて、いくつかの実施形態では、宿主細胞は、直接的に形質転換させられる(すなわち、宿主細胞内に導入する前にDNAコンストラクトを増幅させるために、又はさもなければプロセシングするために中間細胞が使用されない)。DNAコンストラクトの宿主細胞内への導入には、プラスミド又はベクター内へ挿入することなく、DNAを宿主細胞内に導入するために当該技術分野において知られるそれらの物理的及び化学的方法が含まれる。このような方法としては、以下に限定されないが、塩化カルシウム沈降法、エレクトロポレーション法、裸のDNA法、リポソーム法などが挙げられる。追加の実施形態では、DNAコンストラクトは、プラスミドに挿入することなく、プラスミドと共に同時形質転換される。さらなる実施形態では、選択マーカーは、当該技術分野において知られる方法によって改変バチルス属(Bacillus)株から欠失、又は実質的に切除される(例えば、Stahl et al.,1984及びPalmeros et al.,2000)。いくつかの実施形態では、宿主染色体由来のベクターの分解は、染色体内のフランキング領域を残すが、一方、固有の染色体領域を除去する。
バチルス属(Bacillus)細胞において広範囲の活性(プロモーター強度)を有するプロモーターライブラリーをスクリーニング及び作製する方法は、国際公開第2003/089604号パンフレットに記載されている。
V.目的のタンパク質の産生のためのバチルス属(Bacillus)細胞の培養
本開示の他の実施形態では、本明細書において構築され且つ記載されるバチルス属(Bacillus)種細胞は、タンパク質生産性増強表現型を含む。より具体的には、本開示の改変バチルス属(Bacillus)種(娘)細胞は、親細胞及び娘細胞が同じ条件下で培養される場合、由来する親バチルス属(Bacillus)種細胞と比較して、タンパク質生産性が増強された表現型を含む。したがって、本開示の特定の実施形態は、目的のタンパク質(POI)を発現/産生する方法に関し、この方法、一般に、そのような細胞を発酵/培養することを含む。
本開示の改変及び未改変バチルス属(Bacillus)種細胞を発酵させるために、当該技術分野でよく知られた発酵方法を適用することができる。いくつかの実施形態では、細胞は、バッチ又は連続発酵条件下で培養される。古典的なバッチ発酵は、クローズドシステムであり、培地の組成は発酵の開始時に設定され、発酵中に変更されない。発酵の開始時に、培地に所望の生物を接種する。この方法では、系にいかなる成分も添加することなく醗酵を行わせる。一般に、バッチ発酵は、炭素源の添加に関して「バッチ」であると見なされ、pH及び酸素濃度などの因子を制御することは頻繁に行われる。バッチ系の代謝物及びバイオマス組成物は、発酵が停止される時点まで絶えず変化する。一般的なバッチ培養では、細胞は静的誘導期を経由して高増殖対数期へ進行し、最終的には増殖率が減少又は停止する静止期に進み得る。処理しない場合、静止期にある細胞は最終的には死滅する。一般に、対数期の細胞は、生成物の大部分の産生を担っている。
標準バッチ系に関する好適な変形形態は、「フェドバッチ発酵」系である。一般的なバッチ系のこの変形形態では、発酵の進行に伴い基質が徐々に加えられる。フェドバッチ系は、カタボライト抑制が細胞の代謝を阻害する可能性が高い場合、及び培地中の基質量が限られた量であることが望ましい場合に有用である。フェドバッチ系では、実際の基質濃度の測定は困難であり、したがって、pH、溶存酸素、及びCO2などの廃ガスの分圧などの測定可能な因子の変化に基づいて推定される。バッチ及びフェドバッチ発酵は、当該技術分野において一般的であり、知られている。
連続発酵は、規定の発酵培地がバイオリアクターに連続的に加えられ、処理のために等量の馴化培地が同時に除去される開放系である。連続発酵は、一般に、培養物を一定の高密度に維持し、細胞は主として対数増殖期にある。連続発酵は、細胞の増殖及び/又は産生物の濃度に影響する1つ以上の因子の調節を可能にする。例えば、一実施形態では、炭素源又は窒素源などの制限栄養素は一定比率で維持され、他の全てのパラメータは調節することができる。他の系では、培地の濁度によって測定される細胞濃度を一定に保ちながら、増殖に影響を及ぼす多数の因子は連続的に変化させることができる。連続系は、定常状態の増殖条件を維持しようとする。したがって、培地を取り出すことによる細胞損失は、発酵中の細胞増殖速度に対して平衡が保たれなければならない。連続発酵プロセスで栄養素及び増殖因子を調節する方法、並びに産生物形成速度を最大化するための手法は、工業微生物学の技術分野においてはよく知られている。
したがって、特定の実施形態では、形質転換(改変)宿主細胞によって産生されたPOIは、従来の手順、例えば、宿主細胞を培地から遠心分離若しくは濾過によって分離する、又は必要であれば、細胞を破壊し、上清を細胞破砕物及び細胞片から取り除くことによって、培養培地から回収することができる。一般的には、清浄化後、上清又は濾液のタンパク質成分を、塩、例えば、硫酸アンモニウムによって沈澱させる。次いで、沈澱したタンパク質を可溶化させ、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過などの様々なクロマトグラフィー法により精製してもよい。
VI.改変細胞によって産生される目的のタンパク質
前セクションで簡単に述べたように、本発明の細胞、株、ポリヌクレオチド、プロモーター、発現コンストラクト及びそれらの方法は、商業的に重要なタンパク質の産生に使用される。本開示の目的のタンパク質(POI)は、任意の内因性又は異種タンパク質であってよく、そのようなPOIのバリアントであってもよい。タンパク質は、1つ以上のジスルフィド架橋を含有し得る、又はその機能的形態が単量体若しくは多量体であるタンパク質である、すなわち、タンパク質は、四次構造を有し、複数の同一(相同)若しくは非同一(異種)サブユニットから構成され、ここで、POI若しくはその変異POIは、好ましくは目的の特性を備えるタンパク質である。
例えば、特定の実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)種(娘)細胞はそれが由来する親バチルス属(Bacillus)種細胞と比較して増加したタンパク質力価を含み、ここで、タンパク質力価は、体積当たりのタンパク質の量(g/L)と定義される。例えば、力価は、当該技術分野において知られた方法(例えば、ELISA、HPLC、ブラッドフォードアッセイ、LC/MSなど)によって測定することができる。したがって、特定の実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)種(娘)細胞は、それが由来する親バチルス属(Bacillus)種細胞と比較して、少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、又は少なくとも約10%若しくはそれ以上のタンパク質力価の増加を含む。
特定の実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)種(娘)細胞は、それが由来する親バチルス属(Bacillus)種細胞と比較して、増加した体積生産性を示し、ここで、体積生産性は、総発酵時間(h)当たりのバイオリアクターの公称体積(L)当たりの発酵中に産生されるタンパク質の量(g)と定義される。例えば、体積生産性は、当該技術分野において知られた方法(例えば、ELISA、HPLC、ブラッドフォードアッセイ、LC/MSなど)によって測定することができる。したがって、特定の実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)種(娘)細胞は、それが由来する親バチルス属(Bacillus)種細胞と比較して、少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、又は少なくとも約10%若しくはそれ以上の体積生産性の増加を含む。
特定の他の実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)種(娘)細胞は、それが由来する親バチルス属(Bacillus)種細胞と比較して、増加した全タンパク質収率を示し、ここで、全タンパク質収率は、供給された炭水化物の1グラム当たりの産生されたタンパク質の量(g)と定義される。したがって、本明細書で使用する場合、全タンパク質収率(g/g)は、下記の方程式:
Yf=Tp/Tc
(式中、「Yf」は全タンパク質収率(g/g)であり、「Tp」は発酵中に産生した全タンパク質(g)であり、及び「Tc」は発酵(バイオリアクター)作動中に供給された全炭水化物(g)である)を使用して計算することができる。特定の実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)種(娘)細胞の全タンパク質収率の増加は、それが由来する親バチルス属(Bacillus)種細胞と比較して、少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、又は少なくとも約10%若しくはそれ以上の増加である。
全タンパク質収率はまた、例えば、全タンパク質中に組み込まれる供給された炭素のパーセンテージ(%)として、炭素変換効率/炭素収率として記載することができる。したがって、特定の実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)種(娘)細胞はそれが由来する親バチルス属(Bacillus)種細胞と比較して、増加した炭素変換効率(例えば、全タンパク質中に組み込まれる供給される炭素のパーセンテージ(%)の増加)を含む。特定の実施形態では、改変細胞の炭素変換効率の増加(すなわち、親細胞と比較して)は、少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、又は少なくとも約10%若しくはそれ以上の増加である。
特定の実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)種(娘)細胞は、それが由来する親バチルス属(Bacillus)種細胞と比較して、POIの増加した比生産性(Qp)を示す。例えば、比生産性(Qp)の検出は、タンパク質の生産率を評価するために好適な方法である。比生産性(Qp)は、下記の方程式:
「Qp=gP/gDCW・hr」
(式中、「gP」は、タンク中に産生されるタンパク質のグラムであり、「gDCW」は、タンク中の乾燥細胞重量(DCW)のグラムであり、「hr」は、接種時点からの発酵時間(時間)であり、これは、産生時間及び増殖時間を含む)を使用して決定することができる。したがって、特定の実施形態では、改変バチルス属(Bacillus)種(娘)細胞は、それが由来する親バチルス属(Bacillus)種細胞と比較して、少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、又は少なくとも約10%若しくはそれ以上の比生産性(Qp)の増加を含む。
所定の実施形態では、POI若しくはそのバリアントPOIは、アセチルエステラーゼ、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、アラビナーゼ、アラビノフラノシダーゼ、炭酸脱水酵素、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、キモシン、クチナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エピメラーゼ、エステラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、α-グルカナーゼ、グルカンリアーゼ、エンド-β-グルカナーゼ、グルコアミラーゼ、グルコースオキシダーゼ、α-グルコシダーゼ、β-グルコシダーゼ、グルクロニダーゼ、グリコシルヒドロラーゼ、ヘミセルラーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、ヒドロラーゼ、インベルターゼ、イソメラーゼ、ラッカーゼ、リガーゼ、リパーゼ、リアーゼ、マンナナーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、酸化還元酵素、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、ペクチンデポリメラーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクチン分解酵素、ペルヒドロラーゼ、ポリオールオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、フィターゼ、ポリガラクツロナーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、ラムノ-ガラクツロナーゼ、リボヌクレアーゼ、トランスフェラーゼ、輸送タンパク質、トランスグルタミナーゼ、キシラナーゼ、ヘキソースオキシダーゼ及びこれらの組合せからなる群から選択される。
特定の実施形態では、POI又はそのバリアントPOIは、EC1、EC2、EC3、EC4、EC5又はEC6からなる群から選択される酵素委員会(EC)番号から選択される。
例えば、特定の実施形態では、POIは、EC1.10.3.2(例えば、ラッカーゼ)、EC1.10.3.3(例えば、L-アスコルビン酸オキシダーゼ)、EC1.1.1.1(例えば、アルコール脱水素酵素)、EC1.11.1.10(例えば、塩化物ペルオキシダーゼ)、EC1.11.1.17(例えば、ペルオキシダーゼ)、EC1.1.1.27(例えば、L-乳酸脱水素酵素)、EC1.1.1.47(例えば、グルコース1-脱水素酵素)、EC1.1.3.X(例えば、グルコースオキシダーゼ)、EC1.1.3.10(例えば、ピラノースオキシダーゼ)、EC1.13.11.X(例えば、ジオキシゲナーゼ)、EC1.13.11.12(例えば、リノール酸13S-リポキシゲナーゼ(lipozygenase))、EC1.1.3.13(例えば、アルコールオキシダーゼ)、EC1.14.14.1(例えば、モノオキシゲナーゼ)、EC1.14.18.1(例えば、モノフェノールモノオキシゲナーゼ)、EC1.15.1.1(例えば、スーパーオキシドジスムターゼ)、EC1.1.5.9(以前のEC1.1.99.10、例えば、グルコース脱水素酵素)、EC1.1.99.18(例えば、セロビオース脱水素酵素)、EC1.1.99.29(例えば、ピラノース脱水素酵素)、EC1.2.1.X(例えば、脂肪酸還元酵素)、EC1.2.1.10(例えば、アセトアルデヒド脱水素酵素)、EC1.5.3.X(例えば、フルクトシルアミン還元酵素)、EC1.8.1.X(例えば、ジスルフィド還元酵素)及びEC1.8.3.2(例えば、チオールオキシダーゼ)から選択されるEC1酵素(酸化還元酵素)を含むがそれらに限定されない酸化還元酵素である。
特定の実施形態では、POIは、EC2.3.2.13(例えば、トランスグルタミナーゼ)、EC2.4.1.X(例えば、ヘキソシルトランスフェラーゼ)、EC2.4.1.40(例えば、アルテルナスクラーゼ(alternasucrase)、EC2.4.1.18(例えば、1,4α-グルカン分枝酵素)、EC2.4.1.19(例えば、シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ)、EC2.4.1.2(例えば、デキストリンデキストラナーゼ)、EC2.4.1.20(例えば、セロビオースホスホリラーゼ)、EC2.4.1.25(例えば、4-α-グルカノトランスフェラーゼ)、EC2.4.1.333(例えば、1,2-β-オリゴグルカンリントランスフェラーゼ)、EC2.4.1.4(例えば、アミロスクラーゼ)、EC2.4.1.5(例えば、デキストランスクラーゼ)、EC2.4.1.69(例えば、ガラクトシド2-α-L-フコシルトランスフェラーゼ)、EC2.4.1.9(例えば、イヌロスクラーゼ)、EC2.7.1.17(例えば、キシルロキナーゼ)、EC2.7.7.89(以前のEC3.1.4.15、例えば、[グルタミンシンテターゼ]-アデニリル-L-チロシンホスホリラーゼ)、EC2.7.9.4(例えば、αグルカンキナーゼ)及びEC2.7.9.5(例えば、ホスホグルカンキナーゼ)から選択されるEC2(トランスフェラーゼ)酵素を含むがそれらに限定されないトランスフェラーゼ酵素である。
他の実施形態では、POIは、EC3.1.X.X(例えば、エステラーゼ)、EC3.1.1.1(例えば、ペクチナーゼ)、EC3.1.1.14(例えば、クロロフィラーゼ)、EC3.1.1.20(例えば、タンナーゼ)、EC3.1.1.23(例えば、グリセロール-エステルアシルヒドロラーゼ)、EC3.1.1.26(例えば、ガラクトリパーゼ)、EC3.1.1.32(例えば、ホスホリパーゼA1)、EC3.1.1.4(例えば、ホスホリパーゼA2)、EC3.1.1.6(例えば、アセチルエステラーゼ)、EC3.1.1.72(例えば、アセチルキシランエステラーゼ)、EC3.1.1.73(例えば、フェルロイルエステラーゼ)、EC3.1.1.74(例えば、クチナーゼ)、EC3.1.1.86(例えば、ラムノガラクツロナンアセチルエステラーゼ)、EC3.1.1.87(例えば、フモシンB1エステラーゼ)、EC3.1.26.5(例えば、リボヌクレアーゼP)、EC3.1.3.X(例えば、リン酸ヒドロラーゼ)、EC3.1.30.1(例えば、アスペルギルス(Aspergillus)ヌクレアーゼS1)、EC3.1.30.2(例えば、セルチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)ヌクレアーゼ)、EC3.1.3.1(例えば、アルカリホスファターゼ)、EC3.1.3.2(例えば、酸性ホスファターゼ)、EC3.1.3.8(例えば、3-フィターゼ)、EC3.1.4.1(例えば、ホスホジエステラーゼI)、EC3.1.4.11(例えば、ホスホイノシチドホスホリパーゼC)、EC3.1.4.3(例えば、ホスホリパーゼC)、EC3.1.4.4(例えば、ホスホリパーゼD)、EC3.1.6.1(例えば、アリールスルファターゼ)、EC3.1.8.2(例えば、ジイソプロピル-フルオロホスファターゼ)、EC3.2.1.10(例えば、オリゴ-1,6-グルコシダーゼ)、EC3.2.1.101(例えば、マンナンエンド-1,6-α-マンノシダーゼ)、EC3.2.1.11(例えば、α-1,6-グルカン-6-グルカノヒドロラーゼ)、EC3.2.1.131(例えば、キシランα-1,2-グルクロノシダーゼ)、EC3.2.1.132(例えば、キトサンN-アセチルグルコサミノヒドロラーゼ)、EC3.2.1.139(例えば、α-グルクロニダーゼ)、EC3.2.1.14(例えば、キチナーゼ)、EC3.2.1.151(例えば、キシログルカン特異的エンド-β-1,4-グルカナーゼ)、EC3.2.1.155(例えば、キシログルカン特異的エキソ-β-1,4-グルカナーゼ)、EC3.2.1.164(例えば、ガラクタンエンド-1,6-β-ガラクトシダーゼ)、EC3.2.1.17(例えば、リゾチーム)、EC3.2.1.171(例えば、ラムノガラクツロナンヒドロラーゼ)、EC3.2.1.174(例えば、ラムノガラクツロナンラムノヒドロラーゼ)、EC3.2.1.2(例えば、β-アミラーゼ)、EC3.2.1.20(例えば、α-グルコシダーゼ)、EC3.2.1.22(例えば、α-ガラクトシダーゼ)、EC3.2.1.25(例えば、β-マンノシダーゼ)、EC3.2.1.26(例えば、β-フルクトフラノシダーゼ)、EC3.2.1.37(例えば、キシラン1,4-β-キシロシダーゼ)、EC3.2.1.39(例えば、グルカンエンド-1,3-β-D-グルコシダーゼ)、EC3.2.1.40(例えば、α-L-ラムノシダーゼ)、EC3.2.1.51(例えば、α-L-フコシダーゼ)、EC3.2.1.52(例えば、β-N-アセチルヘキソサミニダーゼ)、EC3.2.1.55(例えば、α-N-アラビノフラノシダーゼ)、EC3.2.1.58(例えば、グルカン1,3-β-グルコシダーゼ)、EC3.2.1.59(例えば、グルカンエンド-1,3-α-グルコシダーゼ)、EC3.2.1.67(例えば、ガラクツラン1,4-α-ガクツロニダーゼ)、EC3.2.1.68(例えば、イソアミラーゼ)、EC3.2.1.7(例えば、1-β-D-フルクタンフルクタノヒドロラーゼ)、EC3.2.1.74(例えば、グルカン1,4-β-グルコシダーゼ)、EC3.2.1.75(例えば、グルカンエンド-1,6-β-グルコシダーゼ)、EC3.2.1.77(例えば、マンナン1,2-(1,3)-α-マンノシダーゼ)、EC3.2.1.80(例えば、フルクタンβ-フルクトシダーゼ)、EC3.2.1.82(例えば、エキソ-ポリ-α-ガラクツロニシダーゼ)、EC3.2.1.83(例えば、κ-カラギナーゼ)、EC3.2.1.89(例えば、アラビノガラクタンエンド-1,4-β-ガラクトシダーゼ)、EC3.2.1.91(例えば、セルロース1,4-β-セロビオシダーゼ)、EC3.2.1.96(例えば、マンノシル-グリコプロテインエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ)、EC3.2.1.99(例えば、アラビナンエンド-1,5-α-L-アラビナナーゼ)、EC3.4.X.X(例えば、ペプチダーゼ)、EC3.4.11.X(例えば、アミノペプチダーゼ)、EC3.4.11.1(例えば、ロイシルアミノペプチダーゼ)、EC3.4.11.18(例えば、メチオニルアミノペプチダーゼ)、EC3.4.13.9(例えば、Xaa-Proジペプチダーゼ)、EC3.4.14.5(例えば、ジペプチジル-ペプチダーゼIV)、EC3.4.16.X(例えば、セリン型カルボキシペプチダーゼ)、EC3.4.16.5(例えば、カルボキシペプチダーゼC)、EC3.4.19.3(例えば、ピログルタミル-ペプチダーゼI)、EC3.4.21.X(例えば、セリンエンドペプチダーゼ)、EC3.4.21.1(例えば、キモトリプシン)、EC3.4.21.19(例えば、グルタミルエンドペプチダーゼ)、EC3.4.21.26(例えば、プロリルオリゴペプチダーゼ)、EC3.4.21.4(例えば、トリプシン)、EC3.4.21.5(例えば、トロンビン)、EC3.4.21.63(例えば、オリジン)、EC3.4.21.65(例えば、テルモミコリン)、EC3.4.21.80(例えば、ストレプトグリシンA)、EC3.4.22.X(例えば、システインエンドペプチダーゼ)、EC3.4.22.14(例えば、アクチニダイン)、EC3.4.22.2(例えば、パパイン)、EC3.4.22.3(例えば、フィカイン)、EC3.4.22.32(例えば、ステムブロメライン)、EC3.4.22.33(例えば、フルーツブロメライン)、EC3.4.22.6(例えば、キモパパイン)、EC3.4.23.1(例えば、ペプシンA)、EC3.4.23.2(例えば、ペプシンB)、EC3.4.23.22(例えば、エンドチアペプシン)、EC3.4.23.23(例えば、ムコールペプシン)、EC3.4.23.3(例えば、ガストリクシン)、EC3.4.24.X(例えば、メタロエンドペプチダーゼ)、EC3.4.24.39(例えば、ドイテロリシン)、EC3.4.24.40(例えば、セラリシン)、EC3.5.1.1(例えば、アスパラギナーゼ)、EC3.5.1.11(例えば、ペニシリンアミダーゼ)、EC3.5.1.14(例えば、N-アシル-脂肪族-L-アミノ酸アミドヒドロラーゼ)、EC3.5.1.2(例えば、L-グルタミンアミドヒドロラーゼ)、EC3.5.1.28(例えば、N-アセチルムラモイル-L-アラニンアミダーゼ)、EC3.5.1.4(例えば、アミダーゼ)、EC3.5.1.44(例えば、タンパク質-L-グルタミンアミドヒドロラーゼ)、EC3.5.1.5(例えば、ウレアーゼ)、EC3.5.1.52(例えば、ペプチド-N(4)-(N-アセチル-β-グルコサミニル)アスパラギンアミダーゼ)、EC3.5.1.81(例えば、N-アシル-D-アミノ酸デアシラーゼ)、EC3.5.4.6(例えば、AMPデアミナーゼ)及びEC3.5.5.1(例えば、ニトリラーゼ)から選択されるEC3(ヒドロラーゼ)酵素を含むがそれらに限定されないヒドロラーゼ酵素である。
他の実施形態では、POIは、EC4.1.2.10(例えば、マンデロニトリルリアーゼ)、EC4.1.3.3(例えば、N-アセチルノイラミン酸リアーゼ)、EC4.2.1.1(例えば、炭酸脱水酵素)、EC4.2.2.-(例えば、ラムノガラクツロナンリアーゼ)、EC4.2.2.10(例えば、ペクチンリアーゼ)、EC4.2.2.22(例えば、ペクチン酸三糖リアーゼ)、EC4.2.2.23(例えば、ラムノガラクツロナンエンドリアーゼ)及びEC4.2.2.3(例えば、マンヌロン酸特異的アルギン酸リアーゼ)から選択されるEC4(リアーゼ)酵素を含むがそれらに限定されないリアーゼ酵素である。
特定の他の実施形態では、POIは、EC5.1.3.3(例えば、アルドース1-エピメラーゼ)、EC5.1.3.30(例えば、D-プシコース3-エピメラーゼ)、EC5.4.99.11(例えば、イソマルツロースシンターゼ)及びEC5.4.99.15(例えば、(1→4)-α-D-グルカン1-α-D-グルコシルムターゼ)から選択されるEC5(イソメラーゼ)酵素を含むがそれらに限定されないイソメラーゼ酵素である。
さらに他の実施形態では、POIは、EC6.2.1.12(例えば、4-クマリン酸塩:補酵素Aリガーゼ)及びEC6.3.2.28(例えば、L-アミノ酸α-リガーゼ)から選択されるEC6(リガーゼ)酵素を含むがそれらに限定されないリガーゼ酵素である。
本発明の菌株及び方法のこれらや他の態様及び実施形態は、本明細書及び下記の実施例に照らせば、当業者には明白になるであろう。
本発明の特定の態様は、以下の実施例に照らしてさらに理解することができるが、それらの実施例は限定するものと解釈すべきでない。材料及び方法の変更は、当業者には明白であろう。
実施例1
aprE Cas9ターゲティングベクターの構築
N末端核局在化配列(NLS、「APKKKRKV」;配列番号2)、C末端NLS(「KKKKLK」;配列番号3)及びデカ-ヒスチジンタグ(「HHHHHHHHHH」;配列番号4)を含むS.ピオゲネス(S.pyogenes)由来のCas9タンパク質をコードする合成ポリヌクレオチド(配列番号1)を、B.サブチリス(B.subtilis)由来のaprEプロモーター(P-aprE)(配列番号5)に作動可能に連結し、製造業者の使用説明書にしたがってQ5 DNAポリメラーゼ(NEB)を使用し、以下の表1に示すフォワード(配列番号6)及びリバース(配列番号7)プライマー対を用いて増幅した。
Figure 2022509215000002
プラスミドpKB320(配列番号9)の骨格(配列番号8)を、製造業者の使用説明書にしたがってQ5 DNAポリメラーゼ(NEB)を使用し、以下の表2に示すフォワード(配列番号10)及びリバース(配列番号11)プライマー対を用いて増幅した。
Figure 2022509215000003
PCR産物を、Zymo clean and concentrate5カラムを製造業者の使用説明書にしたがって使用して精製した。続いて、2つの断片を等モル比で混合するQ5ポリメラーゼ(NEB)を用いて、長時間オーバーラップエクステンションPCR(POE-PCR)により、PCR産物を組み立てた。以下のPOE-PCR反応サイクルを実行した:98℃で5秒間、64℃で10秒間、72℃で4分15秒間を30サイクル。5μlのPOE-PCR(DNA)を、製造業者の使用説明書にしたがってTop10 E.コリ(E.coli)(Invitrogen)に形質転換し、50μg/mlの硫酸カナマイシンを含有し、1.5%寒天で固化させた溶原(L)培地(Miller処方;1%(w/v)トリプトン、0.5%酵母抽出物(w/v)、1%NaCl(w/v))で選択した。コロニーを37℃で18時間増殖させた。コロニーを採取し、Qiaprep DNAミニプレップキットを製造業者の使用説明書にしたがって使用してプラスミドDNAを調製し、55μlのddH2O中に溶出した。このプラスミドDNAについてサンガーシーケンシングを行い、以下の表3に示すシーケンシングプライマー(配列番号12~20)を使用して、正しい組み立てを確認した。
Figure 2022509215000004
正しく組み立てられたプラスミドpRF694(配列番号21)を使用して、中間体プラスミドpRF748(配列番号22)を組み立てた。プラスミドpRF748の構築は、中断された合成gRNAカセットをプラスミドpRF694のNcoI/SalI部位にクローニングすることによって作製した。このカセットは、IDTによって合成的に産生され、B.サブチリス(B.subtilis)rrnIp2プロモーター(配列番号39)、合成ダブルターミネーター(配列番号24)、E.コリ(E.coli)rpsL遺伝子(配列番号25)、Cas9エンドヌクレアーゼ認識ドメイン(配列番号26)をコードするDNA、及びラムダファージT0ターミネーター(配列番号27)を含む。
RNA発現カセットを含むDNA断片を、標準的な分子生物学的技術を用いてpRF694に組み入れてプラスミドpRF748を生成し、Cas9発現カセット及びgRNA発現カセットを含むE.コリ(E.coli)-B.サブチリス(B.subtilis)シャトルプラスミドを生成することができる。
中間体プラスミド、pRF748を用いて、B.サブチリス(B.subtilis)のaprE遺伝子座に発現カセットを導入するためのプラスミドを組み立てた。より詳細には、B.サブチリス(B.subtilis)のaprE遺伝子座におけるyhfN遺伝子(配列番号28)はCas9標的部位(配列番号29)を含む。標的部位は、PAM配列(配列番号31)を除去することによって、可変標的化(VT)ドメイン(配列番号30)をコードするDNA配列に変換され得る。VTドメイン(配列番号30)をコードするDNA配列は、細胞内のRNAポリメラーゼによって転写された場合に機能性gRNA(配列番号32)を産生するように、Cas9エンドヌクレアーゼ認識ドメイン(CER;配列番号26)をコードするDNA配列に作動可能に融合され得る。gRNAをコードするDNA(配列番号33)は、バチルス属(Bacillus)種細胞において作動可能なプロモーター(例えば、B.サブチリス(B.subtilis)rrnIp2プロモーター;配列番号39)、及びバチルス属(Bacillus)種細胞において作動可能なターミネーター(例えば、ラムダファージt0ターミネーター;配列番号26)に作動可能に連結され得、その結果、プロモーターはgRNAをコードするDNAの5’側に位置し、ターミネーターはgRNAをコードするDNAの3’側に位置し、gRNA発現カセット(配列番号34)が作製される。
B.サブチリス(B.subtilis)のyhfN遺伝子(配列番号36)を標的とするプラスミドpRF793(配列番号35)を、製造者の使用説明書にしたがってQ5を使用し、表4に示すフォワード(配列番号37)及びリバース(配列番号37)プライマー対を用いてプラスミドpRF748(配列番号22)を増幅することにより作製した。
Figure 2022509215000005
これらのプライマーは、5’及び3’末端が重複し、yhfN可変ターゲッティングドメインを含む断片を作製するgRNAの可変ターゲッティング領域を除いて、プラスミド全体(pRF748)を増幅する。このPCR産物を、製造業者の使用説明書にしたがってNEBuilder(New England Biolabs)を用いて分子内集合反応に使用して、プラスミドpRF793(配列番号35)を作製し、Cas9発現カセット及びyhfNを標的とするgRNAをコードするgRNA発現カセットを含むE.コリ(E,coli)-B.サブチリス(B.subtilis)シャトルプラスミドを生成した。
実施例2
例示的な発現カセットを含むバチルス属(BACILLUS)細胞の生成
本実施例では、出願人はプロテアーゼ発現カセット(例えば、例示的なPOI)をB.サブチリス(B.subtilis)細胞に導入した。より具体的には、発現カセットは、(1)(2a)天然B.サブチリス(B.subtilis)rrnIp2プロモーター(配列番号39)をコードするDNA配列又は(2b)その改変rrnIp2配列(本明細書では、「rrnIp2-1プロモーターと命名)(配列番号40)(これらの天然及び改変プロモーターDNA配列は(3)成熟(サブチリシン)プロテアーゼをコードするDNA配列に作動可能に連結されている)に作動可能に連結された、yhfN遺伝子の上流(5’)のフランキング領域に相同なDNA配列(配列番号39)を含み、このDNA配列は(4)B.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)aprターミネーター配列(配列番号41)をコードするDNA配列に作動可能に融合されており、ここで、プロモーターはプロテアーゼをコードするDNA配列の5’側に位置し、ターミネーターはプロテアーゼをコードするDNAの3’側に位置した。最後に、上に示した発現カセットを、yhfN遺伝子の下流(3’)のフランキング領域に相同なDNA配列(配列番号42)に作動可能に融合した。
したがって、本実施例では、B.サブチリス(B.subtilis)comK遺伝子(配列番号44;PxylA誘導性プロモーターを用いてamyE遺伝子座に導入)を含む親B.サブチリス(B.subtilis)細胞を、125mlバッフル付きフラスコにおいて、15mlのL培地(1w・v-1%トリプトン、0.5%酵母抽出物w・v-1、1%NaCl w・v-1)中、37℃及び250RPMで一晩増殖させた。一晩培養した物を、125mlバッフル付きフラスコにおいて、10mlの新鮮なL培地で0.2(OD600単位)に希釈した。
培養物が37℃(250RPM)で0.9(OD600単位)に達するまで、細胞を増殖させた。D-キシロースを、30%(w/v)のストックから、0.3%(w/v)に加えた。細胞を37℃(250RPM)でさらに2.5時間増殖させ、7分間にわたり1700×gでペレット化した。細胞を、使用済み培地を使用して元の培養の4分の1量に再懸濁させた。100μlの濃縮細胞を、(a)天然rrnIp2プロモーター(配列番号39)を含むプロテアーゼ発現カセット、又は(b)実施例1に記載の改変rrnIp2-1プロモーター(配列番号40)及びpRF793プラスミド(配列番号34)を含むプロテアーゼ発現カセット約1μgと混合し、ローリングサークル増幅(Syngis)を製造者の使用説明書にしたがって用いて、18時間増幅した。細胞/DNA形質転換混合物を、10μg/mLカナマイシン、1.6%(w/v)スキムミルクを含有し、1.5%(w/v)寒天で固化させたL培地(miller)にプレーティングした。37℃でコロニーを形成させた。
カナマイシン及びスキムミルクを含有するL寒天上で増殖し、コロニーに隣接する領域に目に見える透明ゾーンを生成したコロニー(すなわち、タンパク質分解活性を示す)を採取し、1.6%(w/v)スキムミルクを含有する寒天プレート上にストリークした。天然rrnIp2プロモーターを有するプロテアーゼ発現カセットを含むコロニーを保存し、「SS066」株と命名した。改変rrnIp2-1プロモーターを有するプロテアーゼ発現カセットを含むコロニーを保存し、「SS065」株と命名した。
実施例3
バチルス属(Bacillus)細胞における改変プロモーターの制御下でのプロテアーゼ発現
本実施例では、天然rrnIp2プロモーター(配列番号39)又は改変rrnIp2-1プロモーター(配列番号40)を有するプロテアーゼ発現カセットを含む2種のバチルス属(Bacillus)細胞(すなわち、SS066株及びSS065株)を、小規模条件下でのプロテアーゼ産生について評価した。これらの2種の株を、1.6%(w/v)のスキムミルクを含有するL寒天プレート上でストリーク精製し、約24時間にわたり37℃で増殖させた。単一のハロー陽性コロニーを25mlのL培地(1%w・v-1トリプトン、0.5%酵母抽出物w・v-1、1%NaClw・v-1)に接種し、37℃(250rpm)で5時間増殖させた。この前培養物を、25mlのMPS2培地(10%w・v-110×MOPSベースの培地(8.4%w・v-1MOPS、2.9%w・v-1塩化ナトリウム、1.2%w・v-1水酸化カリウム、1%w・v-1硫酸カリウム、15w・v-1塩化マグネシウム、0.7%w・v-1トリシン);10%w・v-1MaltrinM150、10%w・v-1微量栄養素;6%w・v-1ソイトン、0.78%w・v-1リン酸二カリウム、0.3%w・v-1尿素、0.2%リン酸一カリウム、水酸化カリウムでpH7.4)中、0.2(OD600単位)に希釈し、37℃(250RPM)で増殖させた。1リットル中、400mgのFeSO47H2O、100mgのMnSO4H2O、100mgのZnSO47H2O、50mgのCuCl22H2O、100mgのCoCl26H2O、100mgのNaMoO42H2O、100mgのNa2B4O710H2O、10mlの1M CaCl2、及び10mlの0.5Mクエン酸ナトリウムの100×ストック溶液として、微量栄養素を調製した。40時間の増殖後、全細胞培地中のプロテアーゼ濃度を、suc-AAPF-pNAアッセイを用いて決定した。
例えば、suc-AAPF-pNAプロテアーゼアッセイは、全培養培地を規定の条件下で発色性ペプチド基質と共にインキュベートし、発色を測定することを含む。基質はN-スクシニル-L-Ala-L-Ala-L-Pro-L-Phe-p-ニトロアニリド(suc-AAPF-pNA)である。プロテアーゼによるペプチド基質の加水分解の際に、4-ニトロアニリドが切断され、黄色発色団である4-ニトロアニリンを生じる。したがって、405nmでの吸光度を測定し、分析試料中のプロテアーゼレベルに直接相関させる。この一連のアッセイに使用される装置には、SpectraMAX MTPリーダー(340型分子デバイス)が含まれる。より詳細には、このアッセイシステムでは、以下の試薬及び溶液を用いた:(1)N-スクシニル-L-Ala-L-Ala-L-Pro-L-Phe-p-ニトロアニリド(Sigma);(2)希釈緩衝液:100mMのトリス-HCl、10mMのCaCl2、0.005%のTWEEN(登録商標)80緩衝液、pH8.6;及び(3)トリス緩衝液:100mMのトリス-HCl、0.005%のTWEEN(登録商標)80緩衝液、pH8.6。
したがって、100mgのsuc-AAPF-pNA基質を含有するバイアルを、1mlのDMSOに溶解し、1mlのsuc-AAPF-pNAを100mlのTris緩衝液に添加することによって1mg/mLの作業ストックを調製した。プロテアーゼ試料(全細胞培地)を希釈緩衝液で1000×希釈した。アッセイは、10μlの希釈プロテアーゼ溶液をMTPのウェルに入れ、続いて1mg/mlの作業用suc-AAPF-pNA基質溶液190μlを添加することによって行った。溶液を混合し、吸光度をMTP-リーダーで(λ)405nmで読み取った。非プロテアーゼ対照を使用して、バックグラウンド吸光度値を補正した。プロテアーゼ濃度(mg/L)を計算するために、精製(バリアント)プロテアーゼの希釈系列を標準(対照試料)として使用し、実験に組み込んだ。相対プロテアーゼ活性を以下の表5に示すが、SS065細胞(改変rrnIp2-1プロモーターを含む)のSS066細胞(天然rrnIp2プロモーターを含む)に対する(正規化)相対プロテアーゼ発現を示し、プロテアーゼ活性が約2倍に増加したことが示された。
Figure 2022509215000006
実施例4
異種アミラーゼ発現カセットのバチルス属(BACILLUS)細胞への導入
本実施例では、(異種)α-アミラーゼ発現カセットを親B.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に導入した。より具体的には、以下に示すα-アミラーゼ発現カセットをB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に導入した。ここで、細胞は(a)天然rrnIp2プロモーター(配列番号39)の制御下にある発現カセット、又は(b)改変rrnIp2-1プロモーター(配列番号40)の制御下にある発現カセットを含んだ。したがって、本実施例では、キシロース誘導性comK発現カセットを有するプラスミド(配列番号43)を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞を、125mlバッフル付きフラスコにおいて、100μg/mlスペクチノマイシン二塩酸塩を含む、15mlのL培地(1%(w/v)トリプトン、0.5%(w/v)酵母抽出物、1%(w/v)NaCl)中、37℃及び250RPMで一晩増殖させた。一晩培養した物を、250mlのバッフル付きフラスコにおいて、100μg/mlのスペクチノマイシン二塩酸塩を含有する25mlの新鮮なL培地で0.7(OD600単位)に希釈した。細胞を37℃及び250RPMで1時間増殖させた。D-キシロースを25%(w/v)ストックから0.1%(w/v)に添加し、細胞を37℃及び250rpmでさらに4時間増殖させた。細胞を1700・gで7分間ペレット化した。細胞を、使用済み培地を使用して元の培養の4分の1量に再懸濁させた。100μlの濃縮細胞を、約1μgの(a)天然rrnIp2プロモーター発現コンストラクト(配列番号44)又は(b)改変rrnIp2-1プロモーター発現コンストラクト(配列番号45)と混合した。
例えば、各カセットは、(5’から3’方向に)同じ5’lysA遺伝子座相ホモロジーアーム(配列番号46)、改変aprE 5’-UTR(配列番号47)に作動可能に連結された天然rrnIp2プロモーター(配列番号39)又は改変rrnIp2-1プロモーター(配列番号40)を含む。より詳細には、配列番号47の改変aprE 5’-UTRは、PCT出願第PCT/US2018/049470号(2018年9月05日出願;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)にさらに記載されている。さらに、改変5’-UTRを、latシグナル配列(配列番号48)をコードするDNA配列に作動可能に連結し、続いて、3’lysA遺伝子座ホモロジーアーム(配列番号51)に連結されたlatターミネーター配列(配列番号50)に作動可能に連結された(バリアント)サイトファーガ属(Cytophaga)種α-アミラーゼをコードするDNA配列(配列番号49)に作動可能に連結した。
形質転換反応物を37℃、1400RPMで90分間インキュベートした。細胞を1%(w/v)KClで2回洗浄し、1%(w/v)不溶性デンプンを含むTSS寒天(50mMトリス、37mM NH4Cl、1.5mM K2HPO4・3H2O pH7.4、0.5%(w/v)デキストロース、1mM MgSO4・7H2O、0.004%(w/v)FeCl3、0.004%(w/v)クエン酸三ナトリウム)上にプレーティングした。形質転換体を37℃で回収した。
rrnIp2_α-アミラーゼ(配列番号44)及びrrnIp2-1_α-アミラーゼ(配列番号45)発現カセットのハロー陽性形質転換体を、1%(w/v)不溶性デンプンを含有するL寒天上でストリーク精製して、単一コロニーに精製した。精製されたハロー陽性コロニー中の発現カセットの配列を、表6に示すプライマーを用いて、標準的なPCR技術を用いて発現カセットを増幅することによって決定した。
Figure 2022509215000007
PCR産物を標準的な技術を用いてサンガーシーケンシングし、表7に記載のプライマーを用いて発現カセットの配列を確認した。
Figure 2022509215000008
rrnIp2_α-アミラーゼカセット(配列番号44)の配列が確認されたカセットを有するコロニーを保存し、「BF399」と命名し、rrnIp2-1_α-アミラーゼカセット(配列番号45)の配列が確認されたカセットを有するコロニーを保存し、「BF401」と命名した。
実施例5
アミラーゼ発現カセットを含むバチルス属(BACILLUS)細胞における異種アミラーゼ産生
本実施例では、出願人は、実施例4に記載のα-アミラーゼ発現カセットを含むバチルス属(Bacillus)株をアッセイした。したがって、以下の表8に示すように、天然rrnIp2プロモーター(すなわち、rrnIp2_α-アミラーゼカセット;配列番号44)及び改変rrnIp2-1プロモーター(すなわち、rrnIp2-1_α-アミラーゼカセット;配列番号45)のα-アミラーゼ産生について試験して、これらの異なるプロモーターがこのような異種タンパク質産生に及ぼす影響を決定した。
Figure 2022509215000009
株を、1%(w/v)不溶性デンプンを含む1.5%(w/v)Bacto寒天で固化させたL培地(1%(w/v)トリプトン、0.5%(w/v)酵母抽出物、1%(w/v)NaCl)上にストリークし、37℃で24時間増殖させた。単一コロニーを、4つの独立したTSB(2%(w/v)非動物起源ペプトン、0.25%(w/v)デキストロース、0.5%(w/v)NaCl、0.25%(w/v)K2HPO4)に接種した。培養物を、37℃、250rpm及び80%湿度で24時間増殖させた。培養物を4000RPMで7分間ペレット化した。10μlの清澄化した各培養上清を、ウシ血清アルブミン(BSA)スタンダードを使用し、Bradfordの方法を二連で使用して、全タンパク質産生を測定した。各株の相対アミラーゼ産生を、rrnIp2_α-アミラーゼカセット(配列番号44)を含む株に対する能力によって決定した。より詳細には、天然(プロモーター)rrnIp2_α-アミラーゼカセット(配列番号44)又は改変(プロモーター)rrnIp2_1_α-アミラーゼカセット(配列番号45)を含む株の相対産生を下記の表9に示すが、そのデータは、改変rrnIp2-1_α-アミラーゼカセット(配列番号45)を含む株が天然rrnIp2_α-アミラーゼカセット(配列番号44)を含む株よりも平均30%多くアミラーゼを産生することを示す。
Figure 2022509215000010
実施例6
異種プルラナーゼ発現カセットのバチルス属(BACILLUS)細胞への導入
本実施例では、異種(トランケート型)プルラナーゼ発現カセットをB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に導入した。より具体的には、以下に示すトランケート型プルラナーゼ発現カセットをB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞に導入し、細胞は、(a)天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyLプロモーター領域(すなわち、PamyL-1;配列番号64)の制御下にある発現カセット、(b)改変プロモーター領域PamyL-2(配列番号65)の制御下にある発現カセット、(c)改変プロモーター領域PamyL-3(配列番号66)の制御下にある発現カセット、又は(d)改変プロモーター領域PamyL-4(配列番号67)の制御下にある発現カセットを含んだ。
したがって、本実施例では、キシロース誘導性comK発現カセットを有するプラスミド(配列番号43)を含むB.リケニフォルミス(B.licheniformis)細胞を、125mlバッフル付きフラスコにおいて、100μg/mlスペクチノマイシン二塩酸塩を含む、15mlのL培地(1%(w/v)トリプトン、0.5%(w/v)酵母抽出物、1%(w/v)NaCl)中、37℃及び250RPMで一晩増殖させた。一晩培養した物を、250mlのバッフル付きフラスコにおいて、100μg/mlのスペクチノマイシン二塩酸塩を含有する25mlの新鮮なL培地で0.7(OD600単位)に希釈した。細胞を37℃及び250RPMで1時間増殖させた。D-キシロースを25%(w/v)ストックから0.1%(w/v)に添加し、細胞を37℃及び250rpmでさらに4時間増殖させた。細胞を1700・gで7分間ペレット化した。細胞を、使用済み培地を使用して元の培養の4分の1量に再懸濁させた。100μlの濃縮細胞を、約1μgのPamyL-1発現カセット(配列番号78)、PamyL-2発現カセット(配列番号79)、PamyL-3発現カセット(配列番号80)、又はPamyL-4発現カセット(配列番号81)と混合した。
例えば、各カセットは、(5’から3’方向に)同じ5’lysA遺伝子座ホモロジーアーム(配列番号46)、latシグナル配列(配列番号48)をコードするDNA配列に作動可能に連結された、天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)プロモーター領域PamyL-1(配列番号64)、又は改変プロモーター領域配列PamyL-2(配列番号65)、PamyL-3(配列番号66)若しくはPamyL-4(配列番号67)の1つ、続いて、3’lysA遺伝子座ホモロジーアーム(配列番号51)に連結されたlatターミネーター配列(配列番号50)に作動可能に連結されたトランケート型成熟B.デラミフィカンス(B.deramificans)プルラナーゼをコードするDNA配列(配列番号68)を含む。
形質転換反応物を37℃、1400RPMで90分間インキュベートした。細胞を1%(w/v)KClで2回洗浄し、0.5%(w/v)レマゾールブリリアントブルーで染色したデンプンを含有するMinimal寒天(50mMトリス、37mM NH4Cl、1.5mM K2HPO4・3H2O pH7.4、0.5%(w/v)デキストロース、1mM MgSO4・7H2O、0.004%(w/v)FeCl3、0.004%(w/v)クエン酸三ナトリウム)上にプレーティングした。形質転換体を37℃で回収した。
PamyL-1プルラナーゼカセット(配列番号78)、PamyL-2プルラナーゼカセット(配列番号79)、PamyL-3プルラナーゼカセット(配列番号80)及びPamyL-4プルラナーゼカセット(配列番号81)の形質転換体を、HI寒天上でストリーク精製して、単一コロニーに精製した。精製されたコロニー中の発現カセットの配列を、表10に示すプライマーを用いて、標準的なPCR技術を用いて発現カセットを増幅することによって決定した。
Figure 2022509215000011
PCR産物を標準的な技術を用いてサンガーシーケンシングし、表11に記載のプライマーを用いて発現カセットの配列を確認した。
Figure 2022509215000012
PamyL-1プルラナーゼカセット(配列番号78)、PamyL-2プルラナーゼカセット(配列番号79)、PamyL-3プルラナーゼカセット(配列番号80)及びPamyL-4プルラナーゼ(配列番号81)発現カセットの配列が確認されたカセットを有するコロニーをストリーク精製し、保存して、それぞれ「PamyL-Pulltr.」、「LDN461」、「LDN462」及び「LDN463」と命名した。
実施例7
トランケート型プルラナーゼ発現カセットを含むバチルス属(BACILLUS)細胞における異種トランケート型プルラナーゼ産生
本実施例では、出願人は、実施例6に記載のトランケート型プルラナーゼ発現カセットを含むバチルス属(Bacillus)株をアッセイした。したがって、下記の表12に示すように、PamyL-1プルラナーゼカセット(配列番号78)及びPamyL-2プルラナーゼカセット(配列番号79)の(切断型)プルラナーゼの産生について試験して、これらの異なるプロモーター及び5’-UTRがこのような異種プルラナーゼタンパク質産生に及ぼす影響を決定した。
Figure 2022509215000013
同様に、下記の表13に示すように、PamyL-3プルラナーゼカセット(配列番号80)及びPamyL-4プルラナーゼカセット(配列番号81)の(切断型)プルラナーゼの産生について試験して、これらの異なるプロモーター及び5’-UTRがこのような異種プルラナーゼタンパク質産生に及ぼす影響を決定した。
Figure 2022509215000014
株を、1.5%(w/v)Bacto寒天で固化させたL培地(1%(w/v)トリプトン、0.5%(w/v)酵母抽出物、1%(w/v)NaCl)上にストリークし、37℃で24時間増殖させた。3つのコロニーをTSB(2%(w/v))に接種し、37℃、250RPMで一晩増殖させ、1:10(v/v)で定義されていないMOPS緩衝剤をベースとした培地に移し、37℃、250RPMで68時間インキュベートした。培養物を採取し、Megazyme(プルラナーゼ/限界デキストリナーゼ分析法(PullG6法))法を用いて全タンパク質産生を測定するために直接使用した。
LDN461株(PamyL-2プルラナーゼ;配列番号79)の相対(切断型)プルラナーゼ産生を、PamyL-Pulltr株(PamyL-1プルラナーゼカセット;配列番号78)と比較した能力によって決定した。より詳細には、PamyL-Pulltr株(PamyL-1プルラナーゼカセット;配列番号78)及びLDN461株(PamyL-2プルラナーゼカセット;配列番号79)の相対産生を以下の表14に示すが、このデータはLDN461株がPamyL-Pulltr株(PamyL-1プルラナーゼカセット;配列番号78)より平均78%多くプルラナーゼを産生することを示す。
Figure 2022509215000015
同様に、LDN463株(PamyL-4プルラナーゼカセット;配列番号81)の相対(切断型)プルラナーゼ産生を、LDN462株(PamyL-3プルラナーゼカセット;配列番号80)と比較した能力によって決定した。これらの株の相対産生を以下の表15に示すが、このデータは、LDN463株(PamyL-4プルラナーゼカセット)がLDN462株(PamyL-3プルラナーゼカセット;配列番号80)よりも平均16%多く(切断型)プルラナーゼを産生することを示す。
Figure 2022509215000016
参考文献
PCT出願第PCT/US2018/049470号
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Claims (40)

  1. 配列番号39に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号39のヌクレオチド位30のチミン(T)、配列番号39のヌクレオチド位89のチミン(T)、配列番号39のヌクレオチド位90のグアニン(G)、及び配列番号39のヌクレオチド位91のチミン(T)からなる群から選択される少なくとも1つの変異を含むプロモーター核酸配列。
  2. 配列番号39のヌクレオチド位30のT、配列番号39のヌクレオチド位89のT、配列番号39のヌクレオチド位90のG、及び配列番号39のヌクレオチド位91のTからなる群から選択される少なくとも2つの変異を含む、請求項1に記載のプロモーター。
  3. 配列番号39のヌクレオチド位30のT、配列番号39のヌクレオチド位89のT、配列番号39のヌクレオチド位90のG、及び配列番号39のヌクレオチド位91のTからなる群から選択される少なくとも3つの変異を含む、請求項1に記載のプロモーター。
  4. 配列番号39のヌクレオチド位30のT、配列番号39のヌクレオチド位89のT、配列番号39のヌクレオチド位90のG、及び配列番号39のヌクレオチド位91のTを含む少なくとも4つの変異を含む、請求項1に記載のプロモーター。
  5. 前記プロモーターの下流(3’)に位置し、且つ前記プロモーターに作動可能に連結された目的のタンパク質(POI)をコードする遺伝子又はオープンリーディングフレーム(ORF)を含む、請求項1に記載のプロモーター。
  6. 配列番号40、配列番号58又は配列番号59を含むプロモーター核酸配列。
  7. 前記プロモーターの下流(3’)に位置し、且つ前記プロモーターに作動可能に連結された目的のタンパク質(POI)をコードする遺伝子又はORFを含む、請求項6に記載のプロモーター。
  8. ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号60とハイブリダイズするポリヌクレオチド配列であって、配列番号39の等価なヌクレオチド位30、89、90又は91に対して、30、89、90又は91から選択されるヌクレオチド位に少なくとも1つの変異を含む、ハイブリダイズするポリヌクレオチド配列。
  9. 配列番号40を含む、請求項8に記載のポリヌクレオチド。
  10. 配列番号58を含む、請求項8に記載のポリヌクレオチド。
  11. 配列番号59を含む、請求項8に記載のポリヌクレオチド。
  12. 前記プロモーターの下流(3’)に位置し、且つ前記プロモーターに作動可能に連結された目的のタンパク質(POI)をコードする遺伝子又はオープンリーディングフレーム(ORF)を含む、請求項8に記載のポリヌクレオチド。
  13. 前記POIは酵素である、請求項12に記載のポリヌクレオチド。
  14. 前記酵素はヒドロラーゼである、請求項13に記載のポリヌクレオチド。
  15. 請求項1又は請求項6に記載のプロモーターを含む改変バチルス属(Bacillus)種細胞。
  16. 請求項8に記載のポリヌクレオチドを含む改変バチルス属(Bacillus)種細胞。
  17. 請求項1に記載のプロモーター、請求項6に記載のプロモーター又は請求項8に記載のポリヌクレオチドを含む発現カセット。
  18. 請求項17に記載の発現カセットを含む改変バチルス属(Bacillus)種細胞。
  19. ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号60とハイブリダイズする変異プロモーター核酸配列を含む変異体B.サブチリス(B.subtilis)細胞であって、前記変異体プロモーター配列は、配列番号39の等価なヌクレオチド位30、89、90又は91に対して、30、89、90又は91から選択されるヌクレオチド位に少なくとも1つの変異を含む変異体B.サブチリス(B.subtilis)細胞。
  20. (3’)下流5’-UTR配列に作動可能に連結された(5’)上流プロモーター配列を含むプロモーター領域核酸配列であって、前記プロモーター配列は、配列番号82に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号82のヌクレオチド位72にチミン(T)、配列番号82のヌクレオチド位73にグアニン(G)、及び配列番号82のヌクレオチド位74にチミン(T)を含むプロモーター領域核酸配列。
  21. 前記5’-UTR配列は、配列番号84の天然amyL 5’-UTR配列、又はそのバリアントamyL 5’-UTR配列である、請求項20に記載のプロモーター領域核酸配列。
  22. 前記5’-UTR配列は、配列番号85の天然aprE 5’-UTR配列、又はそのバリアントaprE 5’-UTR配列である、請求項20に記載のプロモーター領域核酸配列。
  23. 配列番号65を含むプロモーター領域核酸配列。
  24. 配列番号67を含むプロモーター領域核酸配列。
  25. 前記プロモーター領域の(3’)下流に位置し、且つ前記プロモーター領域に作動可能に連結された目的のタンパク質(POI)をコードする遺伝子又はオープンリーディングフレーム(ORF)を含む、請求項20、23又は24に記載のプロモーター領域。
  26. 配列番号82のヌクレオチド配列を含む天然B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyLプロモーターに由来する改変B.リケニフォルミス(B.licheniformis)amyLプロモーターであって、配列番号82に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号82のヌクレオチド位72にチミン(T)、配列番号82のヌクレオチド位73にグアニン(G)、及び配列番号82のヌクレオチド位74にチミン(T)を含む改変プロモーター。
  27. 前記プロモーターの(3’)下流に位置し、且つ前記プロモーターに作動可能に連結された目的のタンパク質(POI)をコードする遺伝子又はオープンリーディングフレーム(ORF)を含む、請求項26に記載のプロモーター。
  28. ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号65又はその相補配列とハイブリダイズするポリヌクレオチド配列。
  29. ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号67又はその相補配列とハイブリダイズするポリヌクレオチド配列。
  30. ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号83又はその相補配列とハイブリダイズするポリヌクレオチド配列。
  31. 請求項20、23又は24に記載のプロモーター領域を含む改変バチルス属(Bacillus)種細胞。
  32. 配列番号83の改変プロモーターを含む改変バチルス属(Bacillus)種細胞。
  33. 請求項20、23又は24に記載のプロモーター領域を含む発現カセット。
  34. 請求項26に記載のプロモーターを含む発現カセット。
  35. 改変バチルス属(Bacillus)種細胞におけるタンパク質産生増強方法であって、
    (a)ポリヌクレオチド発現カセットを親バチルス属(Bacillus)種細胞に導入する工程であって、前記カセットは、POIをコードする遺伝子又はORFの上流(5’)に位置し、且つそれに作動可能に連結されたプロモーター配列を含み、前記プロモーターは、配列番号39に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号39のヌクレオチド位30のT、配列番号39のヌクレオチド位89のT、配列番号39のヌクレオチド位90におけるG、及び配列番号39のヌクレオチド位91のTからなる群から選択される少なくとも1つの改変を含む工程と、
    (b)前記導入された発現カセットを含む工程(a)からの改変細胞を単離する工程と、
    (c)前記工程(b)の改変細胞を前記POIの産生に好適な条件下で発酵させる工程とを含み、
    前記工程(c)の改変細胞は、同じPOIをコードする同じ遺伝子又はORFの上流(5’)に位置し、且つそれに作動可能に連結されたプロモーター配列を含むポリヌクレオチド発現カセットを含み、前記プロモーターは配列番号39を含む、等価なバチルス属(Bacillus)種細胞と比較して、前記POIをより多く産生する方法。
  36. 改変バチルス属(Bacillus)種細胞におけるタンパク質産生増強方法であって、
    (a)ポリヌクレオチド発現カセットを親バチルス属(Bacillus)種細胞に導入する工程であって、前記カセットは、配列番号65に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号65のヌクレオチド位72にチミン(T)、配列番号65のヌクレオチド位73にグアニン(G)、及び配列番号65のヌクレオチド位74にチミン(T)を有する上流プロモーター領域を含み、前記上流プロモーター領域は、目的のタンパク質(POI)をコードする遺伝子又はオープンリーディングフレーム(ORF)に作動可能に連結されている工程と、
    (b)前記導入された発現カセットを含む工程(a)からの改変細胞を単離する工程と、
    (c)前記工程(b)の改変細胞を前記POIの産生に好適な条件下で発酵させる工程とを含み、
    前記工程(c)の改変細胞は、配列番号65に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号65のヌクレオチド位72にアデニン(A)、配列番号65のヌクレオチド位73にチミン(T)、及び配列番号65のヌクレオチド位74にグアニン(G)を有する上流プロモーター領域を含む導入されたポリヌクレオチド発現カセットを含み、前記上流プロモーター領域は、同じPOIをコードする同じ遺伝子又はORFに作動可能に連結されている、等価なバチルス属(Bacillus)種細胞と比較して、前記POIをより多く産生する方法。
  37. 改変バチルス属(Bacillus)種細胞におけるタンパク質産生増強方法であって、
    (a)ポリヌクレオチド発現カセットを親バチルス属(Bacillus)種細胞に導入する工程であって、前記カセットは、配列番号67に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号65のヌクレオチド位72にチミン(T)、配列番号65のヌクレオチド位73にグアニン(G)、及び配列番号65のヌクレオチド位74にチミン(T)を有する上流プロモーター領域を含み、前記上流プロモーター領域は、目的のタンパク質(POI)をコードする遺伝子又はオープンリーディングフレーム(ORF)に作動可能に連結されている工程と、
    (b)前記導入された発現カセットを含む工程(a)からの改変細胞を単離する工程と、
    (c)前記工程(b)の改変細胞を前記POIの産生に好適な条件下で発酵させる工程とを含み、
    前記工程(c)の改変細胞は、配列番号67に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号65のヌクレオチド位72にアデニン(A)、配列番号65のヌクレオチド位73にチミン(T)、及び配列番号65のヌクレオチド位74にグアニン(G)を有する上流プロモーター領域を含む導入されたポリヌクレオチド発現カセットを含み、前記上流プロモーター領域は、同じPOIをコードする同じ遺伝子又はORFに作動可能に連結されている、等価なバチルス属(Bacillus)種細胞と比較して、前記POIをより多く産生する方法。
  38. 改変バチルス属(Bacillus)種細胞におけるタンパク質産生増強方法であって、
    (a)ポリヌクレオチド発現カセットを親バチルス属(Bacillus)種細胞に導入する工程であって、前記カセットは、配列番号83に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号83のヌクレオチド位72にチミン(T)、配列番号83のヌクレオチド位73にグアニン(G)、及び配列番号83のヌクレオチド位74にチミン(T)を有する上流プロモーターを含み、前記上流プロモーターは、目的のタンパク質(POI)をコードする遺伝子又はオープンリーディングフレーム(ORF)に作動可能に連結されている工程と、
    (b)前記導入された発現カセットを含む工程(a)からの改変細胞を単離する工程と、
    (c)前記工程(b)の改変細胞を前記POIの産生に好適な条件下で発酵させる工程とを含み、
    前記工程(c)の改変細胞は、配列番号83に対し少なくとも90%の配列同一性を含み、且つ配列番号83のヌクレオチド位72にアデニン(A)、配列番号83のヌクレオチド位73にチミン(T)、及び配列番号83のヌクレオチド位74にグアニン(G)を有する上流プロモーターを含む導入されたポリヌクレオチド発現カセットを含み、前記上流プロモーターは、同じPOIをコードする同じ遺伝子又はORFに作動可能に連結されている、等価なバチルス属(Bacillus)種細胞と比較して、前記POIをより多く産生する方法。
  39. 前記POIは酵素である、請求項35~38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 前記酵素はヒドロラーゼである、請求項39に記載の方法。
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