JP2022507573A - Sherlockによる高度に進化するウイルスバリアントの多重化 - Google Patents

Sherlockによる高度に進化するウイルスバリアントの多重化 Download PDF

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Abstract

病原体標的配列を含み得るサンプルを分析する際に使用するためのプライマー及び/またはプローブを生成するための方法であって、プライマー及び/またはプローブの汎ウイルスセットを同定することを含む、方法が提供される。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月14日出願の米国仮出願第62/767,076号の権益を主張する。上述の出願の全内容は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
電子配列表への参照
サイズは6687バイトで、2019年11月14日に作成された電子配列表(BROD_3830WP3820WP_ST25.txt)の内容は、参照によりその全体が本書に組み込まれる。
[技術分野]
本明細書に開示される主題は、概して、病原体標的配列を含み得るサンプルの分析に使用するためのプライマー及び/またはプローブならびにそれらの生成方法に関する。
迅速な時間枠で多数のサンプルに対して高い感度と単一塩基特異性で核酸を迅速に検出する能力は、多くの疾患の診断とモニタリングに革命を起こし、貴重な疫学情報を提供し、一般化可能な科学ツールとして役立ち得る。一度に多数のサンプルを試験できるプラットフォームでは、少量のサンプルを利用することで、現在の最先端技術よりも明確な利点をもたらす。例えば、qPCRアプローチは高感度であるが、高価であり、複雑な機器に依存しているため、実験室の環境で高度に訓練されたオペレーターのみが使用できる。等温核酸増幅とポータブルプラットフォームを組み合わせた新しい方法(Du et al.,2017;Pardee et al.,2016)などの他のアプローチは、ポイントオブケア(POC)環境で高い検出特異性を提供するが、感度が低いため、アプリケーションが幾分制限される。核酸診断が様々なヘルスケアアプリケーションにますます重要になるにつれて、低コストで高い特異性と感度を備えた大規模な多重化を可能にする検出技術は、臨床と基礎研究の両方の環境で非常に有用であり、最終的にサンプルの汎ウイルス、汎細菌、または汎病原体の試験を可能にする。
特定の例示的な実施形態において、病原体標的配列を含み得るサンプルを分析する際に使用するためのプライマー及び/またはプローブを生成するための方法であって、プライマー及び/またはプローブの汎ウイルスセットを同定することを含む、方法が提供される。プローブは、本明細書に記載されるような検出のシステム及び方法において有利に使用することができる。
病原体に対するプローブ及びプライマーを開発する方法は、1つ以上の標的病原体に対する入力ゲノム配列のセットを提供することと、セットカバー解法プロセスを標的配列のセットに適用して、1つ以上の標的増幅配列を同定することであって、前記1つ以上の標的増幅配列は、標的病原体の入力ゲノム配列のセットの間で共有される高度に保存された標的配列である、セットカバー解法プロセスを標的配列のセットに適用して、1つ以上の標的増幅配列を同定することと、前記1つ以上の標的増幅配列に基づいて、1つ以上のプライマー、1つ以上のプローブ、またはプライマー対とプローブの組み合わせを生成することと、を含む。いくつかの実施形態では、入力ゲノム配列のセットが、10以上のウイルスのセットに由来するゲノム配列を表す。実施形態では、プライマーのセットが、58~60℃の標的融解温度によって同定される。実施形態では、推定アンプリコンは、同時設計のアンプリコンプライマー及びガイド配列である。
実施形態において、1つ以上の標的増幅配列を診断設計ガイドに供して、1つ以上のプライマー、1つ以上のプローブ、またはプライマー対とプローブの組み合わせを生成する。入力ゲノム配列のセットが、2以上のウイルス病原体に由来するゲノム配列を表す。生成された1つ以上のプライマー、1つ以上のプローブ、またはプライマー対とプローブの組み合わせは、5つ以上のウイルスの検出のための配列を含むことができる。実施形態において、方法は、汎ウイルス検出を可能にする。
サンプル中のウイルスを検出する方法は、サンプルを、プライマー対及び検出可能な標識を含むプローブと接触させることを含み、1つ以上のプライマー及び/またはプローブが、それぞれがウイルス種またはサブ種を検出するよう構成されている。実施形態では、1つ以上のプローブが、対応する標的分子に結合するよう設計された1つ以上のガイドRNAを含む。実施形態では、1つ以上のガイドRNAは、標的RNAもしくはDNA中の一塩基多型、またはRNA転写物のスプライスバリアントを検出するように設計される。実施形態では、1つ以上のガイドRNAは、疾患状態に特徴的な1つ以上の標的分子に結合するように設計されている。実施形態では、1つ以上のガイドRNAは、1つ以上のウイルス株を区別するように設計されている。実施形態では、1つ以上のガイドRNAは、少なくとも90のガイドRNAを含む。
例示的な実施形態のこれら及び他の態様、目的、特徴、及び利点は、示された例示的な実施形態の以下の詳細な説明を考慮すれば、当業者には明らかになるであろう。
本発明の特徴及び利点の理解は、本発明の原理が利用され得る例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、及びその添付の図面を参照することによって得られるであろう。
液滴検出の例示的な方法の概略図を提供する。SHERLOCKによる病原菌の検出は、マイクロウェルのアレイを備えたチップ上の液滴で検出を実行することにより、大量に多重化できる。増幅反応(RPAまたはPCRを使用)は、標準のチューブまたはマイクロウェルで実施できる。次いで、検出及び増幅混合物をマイクロウェルに並べる。蛍光色素の比率で構成される独自の蛍光バーコードを、各検出ミックス及び各標的に追加できる。バーコード化された試薬は油中で乳化され、エマルションからの液滴は一緒に1つのチューブにプールされる。液滴プールは、マイクロウェルアレイを搭載したPDMSチップにロードされる。各マイクロウェルは2つの液滴に対応し、プールされたすべての液滴のペアワイズの組み合わせをランダムに作成する。マイクロウェルをガラスに固定して各ウェルの内容物を隔離し、蛍光顕微鏡を使用してすべての液滴のバーコードを読み取り、各マイクロウェルの内容物を決定する。画像化後、液滴は電場にマージされ、検出ミックスと標的が混合され、検出反応が開始される。チップをインキュベートして反応を進行させ、蛍光顕微鏡を使用してSHERLOCK(特異的高感度酵素的レポーターunLOCKing)反応の進行をモニタリングする。
検出試薬と標的が油中で液滴として安定に乳化できることを示す画像を含む。左:油に乳化された標的の水溶液の白色光画像。右:検出試薬と標的のライブラリーがロードされたマイクロウェルチップの蛍光画像。それぞれに一意の蛍光バーコードを有する。各ウェルの内容物は、蛍光バーコードから決定できる。
SHERLOCKがプレートと液滴で同等に良好に機能することを示すグラフを含む。左:プレート中のジカウイルスに対するSHERLOCKの感度曲線。右:液滴中のジカウイルスに対する同じSHERLOCKアッセイの感度曲線。左側のエラーバーは1つの標準偏差を示す。右側のエラーバーはS.E.M.である。
SHERLOCKがプレートと液滴で同等に良好に一塩基多型(SNP)を区別することを示すグラフを提供する。左:ジカウイルスが米国に拡散した際に生じたSNPのSHERLOCKによる区別。右:同じSNPの液滴SHERLOCK検出。左側のエラーバーは1つの標準偏差を示す。右側のエラーバーはS.E.M.である。
マイクロウェルアレイ内の液滴中のSHERLOCK検出によってインフルエンザのサブタイプを区別できることを示すヒートマップを含む。crRNAプールのバックグラウンド減算後のフォールドターンオンは、ヒートマップに示される。
インフルエンザHサブタイプの多重検出のヒートマップ結果を含む。2008年以降に寄託された配列に基づいて、インフルエンザのHセグメントを標的とする41のcrRNAが設計された。ボックスは、各サブタイプに対して設計されたcrRNAのセットを示し、アスタリスクは、0または1のミスマッチを持つ各サブタイプの大多数のコンセンサス配列に整列するcrRNAを示す。H4、H8、及びH12に対する対照crRNAプールが示される。
インフルエンザHサブタイプの多重検出の第2の設計のヒートマップを示す。2008年以降に寄託された配列に基づき、より新しい配列に優先的な重み付けをして、インフルエンザのHセグメントを標的とする28のcrRNAが設計された。ボックスは、各サブタイプに対して設計されたcrRNAのセットを示し、アスタリスクは、0または1のミスマッチを持つ各サブタイプの大多数のコンセンサス配列に整列するcrRNAを示す。H4、H8、及びH12に対する対照crRNAプールが示される。
インフルエンザNサブタイプの多重検出のヒートマップを含む。2008年以降に寄託された配列に基づき、より新しい配列に優先的な重み付けをして、インフルエンザのHセグメントを標的とする35のcrRNAが設計された。ボックスは、各サブタイプに対して設計されたcrRNAのセットを示し、アスタリスクは、0または1のミスマッチを持つ各サブタイプの大多数のコンセンサス配列に整列するcrRNAを示す。「crRNA36」は、crRNAを添加していない陰性対照を示す。
液滴SHERLOCKを使用したHIV逆転写酵素の6つの変異の多重検出を含む。祖先及び派生配列の両方の合成標的を使用して、祖先及び派生の対立遺伝子を標的とするcrRNAの示された変異について、蛍光が様々な時点で示される。合成標的(10cp/μl)は、マルチプレックスPCRを使用して増幅され、液滴SHERLOCKを使用して検出された。エラーバー:S.E.M.
HIV由来のv0と祖先v1の試験がどのように機能するかを示し、潜在的に一緒に使用できことを示す。
液滴SHERLOCKを使用したTBの薬剤耐性変異の多重検出の結果を含む。両方の対立遺伝子(参照及び薬剤耐性)について、30分後にバックグラウンドを差し引いた蛍光が示される。
SHERLOCKとマイクロウェルアレイチップテクノロジーの組み合わせが、これまでの多重検出で最高のスループットを提供することを示すグラフである。
バーコード数とチップサイズの拡張により、いかに大量の多重化が可能になるかを示す。(左)3つの蛍光色素を使用して、現在の64のバーコードセットが105のバーコードに拡張された。第4の色素を追加する可能性は、本発明者らによる既存のシステムと比較してコーディング精度を損なうことなく小規模で実証されており、数百のバーコードの規模に簡単に拡張できる。(右)既存のチップサイズを4倍にすることができ、アッセイ開発に必要なチップ数を4分の1に削減できる。
追加のバーコードと拡張されたチップ寸法の実装により、示されているように、ヒトに関連するすべてのウイルスについて約20のサンプルを一度に試験できることを示すグラフを含む。
本明細書の図は、例示のみを目的としており、必ずしも縮尺通りには描かれていない。
例示的な実施形態の詳細な説明
一般的な定義
別途定義されない限り、本明細書において使用される技術用語及び科学用語は、本開示の関係する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。分子生物学の一般的な用語と技術の定義は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd edition(1989)(Sambrook,Fritsch,and Maniatis);Molecular Cloning:A Laboratory Manual,4th edition(2012)(Green and Sambrook);Current Protocols in Molecular Biology (1987)(F.M.Ausubel et al.eds.);the series Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.):PCR 2:A Practical Approach(1995)(M.J.MacPherson,B.D.Hames,and G.R.Taylor eds.):Antibodies,A Laboratory Manual(1988)(Harlow and Lane,eds.):Antibodies A Laboratory Manual,2nd edition 2013(E.A.Greenfield ed.);Animal Cell Culture(1987)(R.I.Freshney,ed.);Benjamin Lewin,Genes IX,Jones and Bartletにより公開、2008(ISBN 0763752223);Kendrew et al.(eds.),The Encyclopedia of Molecular Biology,Blackwell Science Ltd.により公開、1994(ISBN 0632021829);Robert A.Meyers (ed.),Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference,VCH Publishers,Inc.により公開、1995(ISBN 9780471185710);Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 2nd ed.,J.Wiley & Sons(New York,N.Y.1994),March,Advanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure 4th ed.,John Wiley & Sons(New York,N.Y.1992);及びMarten H.Hofker and Jan van Deursen,Transgenic Mouse Methods and Protocols,2nd edition(2011)に見出され得る。
本明細書で使用されるとき、単数形「a(不定冠詞)」、「an(不定冠詞)」、及び「the(定冠詞)」は、文脈がそうではないと明確に指示しない限り、単数及び複数の指示対象の両方を含む。
「任意選択的な」または「任意選択的に」という用語は、続いて記載された事象、状況、または置換基が起こっても起こらなくてもよいこと、ならびに記載が、当該事象または状況が起こる場合の例及びそれが起こらない場合の例を含むことを意味する。
端点による数値範囲の列挙は、それぞれの範囲内に包含されるすべての数及び分数、ならびに言及された端点を含む。
本明細書で使用されるとき、「約」または「およそ」という用語は、パラメーター、量、時間的持続時間などの測定可能な値を指す場合、特定の値の及び特定の値からの変動を、そのような変動が、開示された本発明において行うために適切である限り、例えば、特定された値の及び特定の値からの+/-10%以下、+/-5%以下、+/-1%以下、及び+/-0.1%以下の変動を含むことを意味する。修飾語「約」または「およそ」が指す値自体はまた、具体的であり、かつ好ましくは開示されていることを理解されたい。
本明細書を通して「一実施形態」、「実施形態」、「実施形態の例」への言及は、実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造または特性が本発明の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所における「一実施形態では」、「ある実施形態では」、または「実施形態の例」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、本開示から当業者には明らかなように、1つ以上の実施形態では、任意の適切な方法で組み合わせられてもよい。さらに、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれる他の特徴ではなくいくつかを含むが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内にあることを意味する。例えば、添付の特許請求の範囲において、特許請求される実施形態のいずれも、任意の組み合わせで使用され得る。
「C2c2」は現在、「Cas13a」と呼ばれ、それらの用語は別段の指示がない限り、本明細書において交換可能に利用される。
本明細書に引用されるすべての刊行物、公開特許文書、及び特許出願は、個々の出版物、公開特許文書、または特許出願が参照により組み込まれると具体的かつ個別に示されるのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
概要
本明細書に開示される実施形態は、RNA標的エフェクターを利用して、液滴中で検出を実施することにより、大規模に多重化されたアプリケーションに対して堅牢なCRISPRベースの診断を提供する。本明細書に開示される実施形態は、DNAとRNAの両方を同等の感度レベルで検出でき、ナノリットル容量での単一塩基対の違いに基づいて、非標的から標的を区別できる。そのような実施形態は、例えば、ウイルス検出、細菌株タイピング、高感度ジェノタイピング、マルチプレックスSNP検出、マルチプレックス株識別、及び疾患関連無細胞DNAの検出を含む、ヒトの健康における複数のシナリオで有用である。参照を容易にするために、本明細書に開示される実施形態は、SHERLOCK(特異的高感度酵素的レポーターunLOCKing)とも呼ばれる。これは、いくつかの実施形態では、多重化可能な液滴中で実行され、有利には、少量で高感度の検出を可能にする。
現在開示されている主題は、特定のRNA感知のためのプラットフォームを提供するC2c2を含む、単一エフェクターRNA誘導RNase(Shmakov et al.,2015;Abudayyeh et al.,2016;Smargon et al.,2017)を含むプログラム可能なエンドヌクレアーゼを利用する。微生物のクラスター化等間隔短鎖回分リピート(CRISPR)及びCRISPR関連(CRISPR-Cas)適応免疫システムからのRNA誘導RNAエンドヌクレアーゼは、CRISPR RNA(crRNA)を使用して簡単かつ便利に再プログラムして、標的RNAを切断できる。C2c2などのRNA誘導RNaseは、そのRNA標的を切断した後も活性を維持し、近接した非標的RNAの「付随的」切断をもたらす(Abudayyeh et al.,2016)。このcrRNAによってプログラムされた付随的RNA切断活性は、RNA誘導RNaseを使用して、読み出しとして使用できる、インビボでプログラムされた細胞死またはインビトロでの非特異的RNA分解を引き起こすことによって、特定のRNAの存在を検出する機会を提供する(Abudayyeh et al.,2016;East-Seletsky et al.,2016)。現在開示されている主題は、液滴適用における切断活性を利用して、少量のサンプルとの多重反応を可能にする。
一態様では、検出CRISPR系、1つ以上の標的分子の光学バーコード、及びマイクロ流体デバイスを含む多重検出システムが提供される。いくつかの実施形態では、検出CRISPR系は、RNA標的エフェクタータンパク質、対応する標的分子に結合するように設計された1つ以上のガイドRNA、RNAベースのマスキング構築物、及び光学バーコードを含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体デバイスは、マイクロウェルのアレイと、マイクロウェルの下に少なくとも1つのフローチャネルとを含み、マイクロウェルは、少なくとも2つの液滴を捕捉するサイズである。系は、キットとして提供できる。
一態様では、本明細書に開示される実施形態は、サンプル中の標的核酸を検出する方法を対象とする。本明細書に開示される方法は、いくつかの実施形態において、第1のセットの液滴を生成するステップであって、第1のセットの液滴における各液滴は、少なくとも1つの標的分子及び光学バーコードを含む、ステップと;第2のセットの液滴を生成するステップであって、第2のセットの液滴の各液滴は、RNA標的エフェクタータンパク質、及び対応する標的分子に結合するように設計された1つ以上のガイドRNA、RNAベースのマスキング構築物、及び光学バーコードを含む検出CRISPR系を含む、ステップと;第1のセットと第2のセットの液滴を組み合わせて液滴のプールにし、組み合わせた液滴のプールを、マイクロウェルのアレイと、マイクロウェルの下の少なくとも1つのフローチャネルとを含むマイクロ流体デバイス上に流すステップであって、マイクロウェルが少なくとも2つの液滴を捕捉するサイズであるステップと;マイクロウェルで液滴を捕捉し、各マイクロウェルで捕捉された液滴の光学バーコードを検出するステップと;各マイクロウェルで捕捉された液滴を、各マイクロウェルで形成されたマージ液滴にマージするステップであって、マージ液滴の少なくともサブセットは、検出CRISPR系及び標的配列を含む、ステップと;検出反応を開始するステップと、を含み得る。次いで、マージ液滴は、1つ以上のガイドRNAを1つ以上の標的分子に結合させるのに十分な条件下で維持される。1つ以上のガイドRNAが標的核酸に結合すると、転じてCRISPRエフェクタータンパク質を活性化する。活性化されると、CRISPRエフェクタータンパク質は、例えば、検出可能な陽性シグナルがマスキング解除、放出、または生成されるようにマスキング構築物を切断することにより、マスキング構築物を不活性化する。1つ以上の時間周期で各マージ液滴の検出可能なシグナルの検出及び測定を行うことができ、例えば、陽性の検出可能なシグナルが存在するとき、標的分子の存在を示す。
多重検出システム
多重システムも開示され、RNA標的エフェクタータンパク質、及び対応する標的分子に結合するように設計された1つ以上のガイドRNA、RNAベースのマスキング構築物、及び1つ以上の標的分子光学バーコードである光学バーコードを含む検出CRISPR系を含み、マイクロ流体デバイスは、マイクロウェルのアレイ及びマイクロウェルの下の少なくとも1つのフローチャネルを含む。実施形態では、マイクロウェルは少なくとも2つの液滴を捕捉するサイズである。
一般に、CRISPR-Cas、またはCRISPR系とは、本明細書、及びWO2014/093622(PCT/US2013/074667)などの文書で使用されているものであり、Cas遺伝子をコードする配列、tracr(トランス活性化CRISPR)配列(例えば、tracrRNAまたは活性部分tracrRNA)、tracr-mate配列(内因性CRISPR系の状況で「ダイレクトリピート」及びtracrRNAで処理された部分的なダイレクトリピートを含む)、ガイド配列(内因性CRISPR系の状況で「スペーサー」とも呼ばれる)、またはその用語が本明細書で使用される「RNA(複数可)」(例えば、Cas9などのCasをガイドするRNA(複数可)、例えばCRISPR RNA及びトランス活性化(tracr)RNAまたはシングルガイドRNA(sgRNA)(キメラRNA))またはCRISPR遺伝子座からの他の配列及び転写物を含む、CRISPR関連(「Cas」)遺伝子の活性の発現または活性の誘導に関与する転写物及び他の要素を総称的に指す。一般的に、CRISPR系は、標的配列の部位においてCRISPR複合体の形成を促進する要素(内因性CRISPR系の文脈においてプロトスペーサーとも呼ばれる)によって特徴付けられる。
RNA標的タンパク質
CRISPRタンパク質がC2c2タンパク質である場合、tracrRNAは必要ない。C2c2は、Abudayyeh et al.(2016)“C2c2 is a single-component programmable RNA-guided RNA-targeting CRISPR effector”;Science;DOI:10.1126/science.aaf5573、及びShmakov et al.(2015)“Discovery and Functional Characterization of Diverse Class 2 CRISPR-Cas Systems”,Molecular Cell,DOI:dx.doi.org/10.1016/j.molcel.2015.10.008によって記載され、これらは、参照によりそのすべての内容が本明細書に組み込まれる。Cas13bは、Smargon et al.(2017)“Cas13b Is a Type VI-B CRISPR-Associated RNA-Guided RNases Differentially Regulated by Accessory Proteins Csx27 and Csx28,”Molecular Cell.65,1-13;dx.doi.org/10.1016/j.molcel.2016.12.023に記載され、これらは、参照によりそのすべての内容が本明細書に組み込まれる。CRISPRエフェクタータンパク質は、国際出願第PCT/US2017/065477号の表1~6、40~52ページに記載され、本明細書で開示される方法、システム、及びデバイスにおいて使用することができ、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
特定の実施形態において、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)またはPAM様モチーフは、本明細書に開示されるエフェクタータンパク質複合体の目的の標的遺伝子座への結合を指示する。いくつかの実施形態では、PAMは、5’PAM(すなわち、プロトスペーサーの5’末端の上流に位置する)であり得る。他の実施形態では、PAMは、3’PAM(すなわち、プロトスペーサーの5’末端の下流に位置する)であり得る。「PAM」という用語は、「PFS」または「プロトスペーサー隣接部位」または「プロトスペーサー隣接配列」という用語と互換的に使用され得る。
好ましい実施形態において、CRISPRエフェクタータンパク質は、3’PAMを認識し得る。特定の実施形態において、CRISPRエフェクタータンパク質は、5’Hである3’PAMを認識し得、HはA、CまたはUである。特定の実施形態において、エフェクタータンパク質は、Leptotrichia shahiiのC2c2p、より好ましくは、Leptotrichia shahii DSM 19757のC2c2であってよく、3’PAMは、5’Hである。
CRISPR複合体形成の文脈において、「標的配列」は、ガイド配列が相補性を有するように設計される配列を指し、標的配列とガイド配列の間のハイブリダイゼーションがCRISPR複合体の形成を促進する。標的配列は、RNAポリヌクレオチドを含み得る。「標的RNA」という用語は、標的配列である、または標的配列を含むRNAポリヌクレオチドを指す。換言すると、標的RNAは、gRNAの一部、すなわちガイド配列が相補性を有するように設計され、それに対してCRISPRエフェクタータンパク質とgRNAを含む複合体によって媒介されるエフェクター機能が指示されるRNAポリヌクレオチドまたはRNAポリヌクレオチドの一部であり得る。いくつかの実施形態において、標的配列は、細胞の核または細胞質に位置する。
CRISPRエフェクタータンパク質、特にC2c2をコードする核酸分子は、有利にはコドン最適化CRISPRエフェクタータンパク質である。コドン最適化配列の例は、この場合、真核生物、例えばヒトでの発現のために最適化された配列である(すなわち、ヒトでの発現のために最適化されている)、または本明細書で議論される別の真核生物、動物または哺乳動物のための配列である。例えば、WO2014/093622(PCT/US2013/074667)のSaCas9ヒトコドン最適化配列を参照されたい。これは好ましいが、他の例が可能であり、ヒト以外の宿主種に対するコドン最適化、または特定の臓器に対するコドン最適化が知られていることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、CRISPRエフェクタータンパク質をコードする酵素コード配列は、真核細胞などの特定の細胞での発現に最適化されたコドンである。真核生物細胞は、ヒトまたは非ヒト真核生物、あるいは本明細書で議論される動物または哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、家畜、または非ヒト哺乳動物もしくは霊長類を含むがこれらに限定されない植物または哺乳動物などの特定の生物であり得るか、またはそれに由来し得る。いくつかの実施形態では、人間の生殖細胞系列の遺伝的同一性を改変するプロセス及び/または人間または動物に実質的な医学的利益をもたらすことなく苦痛をもたらす可能性のある動物の遺伝的同一性を改変するプロセス、及びそのようなプロセスから結果として生じる動物が除外され得る。一般に、コドン最適化は、天然の配列の少なくとも1つのコドン(例えば、約1、2、3、4、5、10、15、20、25、50、またはそれ以上のコドン)を、天然のアミノ酸配列を維持しながら、その宿主細胞の遺伝子でより頻繁にまたは最も頻繁に使用されるコドンと置き換えることによって、目的の宿主細胞における増強された発現のために核酸配列を改変するプロセスを指す。様々な種が、特定のアミノ酸の特定のコドンに対して特定のバイアスを示す。コドンバイアス(生物間のコドン使用頻度の違い)は、メッセンジャーRNA(mRNA)の翻訳効率と相関することが多く、これは、同じく、とりわけ、翻訳されるコドンの特性及び特定のトランスファーRNA(tRNA)分子の利用可能性に依存すると考えられている。細胞内の選択されたtRNAの優位性は、一般的にペプチド合成で最も頻繁に使用されるコドンを反映している。したがって、コドン最適化に基づいて、特定の生物における最適な遺伝子発現のために遺伝子を調整してもよい。コドン使用表は、例えばkazusa.orjp/codon/にある「Codon Usage Database」で容易に入手可能であり、これらの表は、多数の方法で適合され得る。Nakamura,Y.,et al.“Codon usage tabulated from the international DNA sequence databases: status for the year 2000”Nucl.Acids Res. 28:292 (2000)を参照されたい。Gene Forge(Aptagen;Jacobus、PA)など、特定の宿主細胞で発現する特定の配列をコドン最適化するコンピューターアルゴリズムも利用してもよい。いくつかの実施形態では、Casをコードする配列中の1つ以上のコドン(例えば、1、2、3、4、5、10、15、20、25、50もしくはそれ以上、またはすべてのコドン)は、特定のアミノ酸で最も頻繁に使用されるコドンに対応する。
特定の実施形態において、本明細書に記載の方法は、Casトランスジェニック細胞、特にC2c2トランスジェニック細胞を提供することを含んでもよく、ここで、1つ以上のガイドRNAをコードする1つ以上の核酸が、1つ以上の目的の遺伝子のプロモーターを含む調節エレメントと作動可能に接続されて細胞内に提供または導入される。本明細書で使用されるとき、「Casトランスジェニック細胞」という用語は、Cas遺伝子がゲノム的に組み込まれている真核細胞などの細胞を指す。本発明によれば、細胞の性質、タイプ、または起源は特に限定されない。また、Cas導入遺伝子が細胞に導入される方法は様々であり得、当該技術分野で知られている任意の方法であり得る。特定の実施形態において、Casトランスジェニック細胞は、Cas導入遺伝子を単離細胞に導入することによって得られる。特定の他の実施形態において、Casトランスジェニック細胞は、Casトランスジェニック生物から細胞を単離することによって得られる。一例として、限定されないが、本明細書で言及されるCasトランスジェニック細胞は、Casノックイン真核生物などのCasトランスジェニック真核生物に由来し得る。WO2014/093622(PCT/US13/74667)が参照され、参照により本明細書に組み込まれる。Rosa遺伝子座を標的とすることを目的としたSangamo BioSciences,Inc.に帰属する米国特許公開第20120017290号及び第20110265198号の方法は、本発明のCRISPR Casシステムを利用するように改変され得る。Rosa遺伝子座を標的とすることを目的としたCellectisに帰属する米国特許公開第20130236946号の方法もまた、本発明のCRISPR Casシステムを利用するように改変され得る。さらなる例として、Cas9ノックインマウスを記載する、参照により本明細書に組み込まれる、Platt et.al.(Cell;159(2):440-455(2014))が参照される。Cas導入遺伝子はさらにLox-Stop-polyA-Lox(LSL)カセットを含むことができ、それによりCas発現をCreリコンビナーゼによって誘導可能にする。代替的に、Casトランスジェニック細胞は、Cas導入遺伝子を単離細胞に導入することによって得ることができる。導入遺伝子の送達システムは当該技術分野で周知である。例として、Cas導入遺伝子は、ベクター(例えば、AAV、アデノウイルス、レンチウイルス)及び/または粒子及び/またはナノ粒子送達によって、また本明細書のいずこかに記載のように、例えば真核細胞に送達されてもよい。
本明細書で言及されるCasトランスジェニック細胞などの細胞は、組み込まれたCas遺伝子、またはCasを標的遺伝子座に導くことが可能なRNAと複合体化した場合のCasの配列特異的作用から生じる変異を有することに加えて、さらなるゲノム変化を含み得ることは、当業者によって理解されるであろう。
特定の態様において、本発明は、例えば、Cas及び/またはCasを標的遺伝子座に導くことができるRNA(すなわち、ガイドRNA)を細胞内に送達または導入するためだけでなく、これらの成分を増殖させるため(例えば、原核細胞内)のベクターを含む。本明細書で使用されるとき、「ベクター」は、ある環境から別の環境への実体の転送を可能にするまたは容易にするツールである。これは、プラスミド、ファージ、またはコスミドなどのレプリコンであり、挿入されたセグメントの複製をもたらすために別のDNAセグメントが挿入されてもよい。一般に、ベクターは適切な制御因子と結合している場合に複製することができる。一般に、「ベクター」という用語は、それが結合している別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。ベクターは、一本鎖、二本鎖、または部分的に二本鎖である核酸分子、1つ以上の自由末端を含む核酸分子、自由末端を含まない(例えば環状)核酸分子、DNA、RNAまたはその両方を含む核酸分子、及び当該技術分野に公知の他の様々なポリヌクレオチドを含むが、これらに限定されない。他の型のベクターは「プラスミド」であり、それは、標準的な分子クローニング技術などにより、追加的なDNAセグメントを挿入することのできる、環状二重鎖DNAループを指す。別の型のベクターは、ウイルスベクターであり、ウイルス由来のDNAまたはRNA配列が、ウイルス(例えば、レトロウイルス、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、複製欠損アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス(AAV))へパッケージ化するためのベクター中に存在する。ウイルスベクターはまた、宿主細胞へと遺伝子導入するためにウイルスによって担持されるポリヌクレオチドを含む。あるベクターは、それらが導入された宿主細胞において自律的複製が可能である(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入の際、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それによって、宿主ゲノムとともに複製される。さらに、あるベクターは、それらが作動可能に連結された遺伝子の発現を駆動し得る。本明細書において、そのようなベクターは、「発現ベクター」と呼ばれる。組換えDNA技術において有用な一般的な発現ベクターは、しばしばプラスミドの形態である。
組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現に好適な形態で本発明の核酸を含み得、それは、組換え発現ベクターが、発現に使用される宿主細胞に基づいて選択してもよい、発現すべき核酸配列に作動可能に連結される1つ以上の調節エレメントを含むことを意味する。組換え発現ベクターにおいて、「作動可能に連結」は、目的のヌクレオチド配列が調節エレメント(複数可)にヌクレオチド配列の発現(例えば、インビトロ転写/翻訳系、またはベクターが宿主細胞に導入されるとき、宿主内において)を可能とする様式で連結されることを意味することを意図する。組換え及びクローニング方法に関しては、2004年9月2日にUS2004-0171156A1として公開された米国特許出願第10/815,730号が参照され、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。したがって、本明細書に開示される実施形態は、CRISPRエフェクターシステムを含むトランスジェニック細胞も含み得る。特定の例示的な実施形態では、トランスジェニック細胞は、個別の別個のボリュームとして機能することができる。換言すると、マスキング構築物を含むサンプルは、例えば適切な送達小胞内の細胞に送達され得、標的が送達小胞中に存在する場合、CRISPRエフェクターが活性化され、検出可能なシグナルが生成される。
ベクター(複数可)は、調節エレメント(複数可)、例えばプロモーター(複数可)を含むことができる。ベクター(複数可)は、Casをコードする配列、及び/または単一の、しかしおそらくは、少なくとも3または8または16または32または48または50のガイドRNA(複数可)(例えば、sgRNA)をコードする配列、例えば1~2、1~3、1~4、1~5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、3~8、3~16、3~30、3~32、3~48、3~50のRNA(複数可)(例えば、sgRNA)を含むことができる。単一のベクターでは、各RNA(例えば、sgRNA)に対するプロモーターが存在してもよく、最大約16個のRNA(複数可)がある場合に有利である。単一のベクターが16を超えるRNA(複数可)を提供する場合、1つ以上のプロモーター(複数可)が1を超えるRNA(複数可)の発現を駆動することができる。例えば、32のRNA(複数可)がある場合、各プロモーターは2つのRNA(複数可)の発現を駆動でき、48のRNA(複数可)がある場合、各プロモーターは3つのRNA(複数可)の発現を駆動できる。単純な算術及び十分に確立されたクローニングプロトコール、及び本開示における教示により、当業者は、AAVなどの適切な例示的ベクター及びU6プロモーターなどの適切なプロモーターに対してRNA(複数可)について、本発明を容易に実施することができる。例えば、AAVのパッケージングの制限は約4.7kbである。単一のU6-gRNA(及びクローニング用の制限部位)の長さは361bpである。したがって、当業者は、約12~16個、例えば13個のU6-gRNAカセットを単一のベクターに容易に適合させることができる。これは、TALEアセンブリ(genome-engineering.org/taleffectors/)に使用されるゴールデンゲート戦略などの任意の適切な手段によって組み立てることができる。当業者はまた、タンデムガイド戦略を使用して、U6-gRNAの数を約1.5倍、例えば12~16、例えば13から約18~24、例えば約19のU6-gRNAに増やすことができる。したがって、当業者は、単一のベクター、例えばAAVベクターにおいて約18~24、例えば約19のプロモーター-RNA、例えばU6-gRNAに容易に到達することができる。ベクター内のプロモーターとRNAの数を増やすためのさらなる手段は、単一のプロモーター(例えば、U6)を使用して、切断可能な配列によって隔てられたRNAのアレイを発現することである。また、ベクター内のプロモーター-RNAの数を増やすためのさらに別の手段は、コード配列または遺伝子のイントロン内の切断可能な配列によって隔てられたプロモーター-RNAのアレイを発現することである。そして、この場合、発現が増加し、組織特異的な様式で長いRNAの転写を可能にするポリメラーゼIIプロモーターを使用することが有利である。(例えば、nar.oxfordjoumals.org/content/34/7/e53.short、及びnature.com/mt/joumal/vl6/n9/abs/mt2008144a.htmlを参照されたい)。有利な実施形態では、AAVは、最大約50個の遺伝子を標的とするU6タンデムgRNAをパッケージすることができる。したがって、当業者は、当該技術分野の知識及び本開示における教示から、1つ以上のプロモーターの制御下またはそれに作動的もしくは機能的に連結された複数のRNAまたはガイドを発現するベクター(複数可)、例えば単一のベクターを容易に作成及び使用することができ、特に、本明細書で議論されるRNAまたはガイドの数に関して、過度の実験は必要ない。
ガイドRNA(複数可)をコードする配列及び/またはCasをコードする配列は、調節エレメント(複数可)に機能的または作動的に連結することができ、したがって調節エレメント(複数可)は発現を駆動する。プロモーター(複数可)は、構成的プロモーター(複数可)及び/または条件的プロモーター(複数可)及び/または誘導性プロモーター(複数可)及び/または組織特異的プロモーター(複数可)であり得る。プロモーターは、RNAポリメラーゼ、pol I、pol II、pol III、T7、U6、H1、レトロウイルスラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸還元酵素プロモーター、β-アクチンプロモーター、ホスホグリセロールキナーゼ(PGK)プロモーター、及びEF1αプロモーターからなる群から選択できる。有利なプロモーターはプロモーターU6である。
いくつかの実施形態では、核酸標的化システムの1つ以上の要素は、内因性CRISPR RNA標的系を含む特定の生物に由来する。特定の例示的な実施形態では、エフェクタータンパク質CRISPR RNA標的系は、本明細書に記載のHEPNドメイン、当該技術分野で公知のHEPNドメイン、及びコンセンサス配列モチーフと比較してHEPNドメインであると認識されるドメインを含むがこれらに限定されない少なくとも1つのHEPNドメインを含む。そのようなドメインのいくつかが本明細書に提供される。1つの非限定的な例において、コンセンサス配列は、本明細書に提供されるC2c2またはCas13bオルソログの配列に由来し得る。特定の例示的な実施形態では、エフェクタータンパク質は、単一のHEPNドメインを含む。特定の他の例示的な実施形態では、エフェクタータンパク質は、2つのHEPNドメインを含む。
1つの例示的な実施形態において、エフェクタータンパク質は、RxxxxHモチーフ配列を含む1つ以上のHEPNドメインを含む。RxxxxHモチーフ配列は、非限定的に、本明細書に記載のHEPNドメインまたは当該技術分野で既知のHEPNドメインに由来し得る。RxxxxHモチーフ配列は、2つ以上のHEPNドメインの一部を組み合わせることにより作成されたモチーフ配列をさらに含む。前述のように、コンセンサス配列は、「Novel Type VI CRISPR Orthologs and Systems」と題するPCT/US2017/038154の例えば256~264ページ及び285~336ページ、「Novel CRISPR Enzymes and Systems」と題する米国仮特許出願62/471,710、2017年3月15日に出願された「Novel Type VI CRISPR Orthologs and Systems」と題する米国仮特許出願第62/484,786号、ならびに2017年4月12日に出願された「Novel Type VI CRISPR Orthologs and Systems」と題する米国仮特許出願第62/484,786号に開示されているオルソログの配列に由来し得る。
本発明の一実施形態において、HEPNドメインは、R{N/H/K}X1X2X3Hの配列を含む少なくとも1つのRxxxxHモチーフを含む。発明の一実施形態において、HEPNドメインは、R{N/H}X1X2X3Hの配列を含むRxxxxHモチーフを含む。本発明の一実施形態において、HEPNドメインは、R{N/K}X1X2X3Hの配列を含む。特定の実施形態では、X1はR、S、D、E、Q、N、G、Y、またはHである。特定の実施形態では、X2はI、S、T、V、またはLである。特定の実施形態では、X3はL、F、N、Y、V、I、S、D、E、またはAである。
本発明によって使用するための追加のエフェクターは、例えば、casl遺伝子の開始から20kb及びcasl遺伝子の最後から20kbの領域内にあるが、これらに限定されない、casl遺伝子へのそれらの近接性によって同定することができる。特定の実施形態において、エフェクタータンパク質は、少なくとも1つのHEPNドメイン及び少なくとも500のアミノ酸を含み、C2c2エフェクタータンパク質は、Cas遺伝子またはCRISPRアレイの20kb上流または下流内の原核生物ゲノムに自然に存在する。Casタンパク質の非限定的な例は、Casl、CaslB、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9(Csnl及びCsx12としても知られる)、Cas10、Csyl、Csy2、Csy3、Csel、Cse2、Cscl、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmrl、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csbl、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csfl、Csf2、Csf3、Csf4、それらのホモログ、またはそれらの改変したものを含む。特定の例示的な実施形態では、C2c2エフェクタータンパク質は、Cas1遺伝子の20kb上流または下流内の原核生物ゲノムに自然に存在する。「オルソログ(orthologue)」(本明細書では「オルソログ(ortholog)」とも呼ばれる)及び「ホモログ(homologue)」(本明細書では「ホモログ(homolog)」とも呼ばれる)という用語は、当該技術分野で周知である。追加のガイダンスとして、本明細書で使用されるタンパク質の「ホモログ」は、ホモログの関係にあるタンパク質と同じまたは同様の機能を発揮する、同じ種のタンパク質である。相同タンパク質は、可能性としてはあり得るが、構造的に関連する必要はなく、またはその構造的な関連性は部分的なものにすぎない。本明細書で使用されるタンパク質の「オルソログ」は、オルソログの関係にあるタンパク質と同じまたは同様の機能を発揮する、異なる種のタンパク質である。オルソロガスタンパク質は、可能性としてはあり得るが、構造的に関連する必要はなく、またはその構造的な関連性は部分的なものにすぎない。
特定の実施形態では、VI型のRNA標的Cas酵素はC2c2である。他の実施形態では、VI型のRNA標的Cas酵素はCas13bである。特定の実施形態において、本明細書で言及されるC2c2などのVI型タンパク質のホモログまたはオルソログは、C2c2((例えば、Leptotrichia shahii C2c2、Lachnospiraceae bacterium MA2020 C2c2、Lachnospiraceae bacterium NK4A179 C2c2、Clostridium aminophilum(DSM 10710)C2c2、Carnobacterium gallinarum(DSM 4847)C2c2、Paludibacter propionicigenes (WB4)C2c2、Listeria weihenstephanensis(FSL R9-0317)C2c2、Listeriaceae bacterium(FSL M6-0635)C2c2、Listeria newyorkensis(FSL M6-0635)C2c2、Leptotrichia wadei(F0279)C2c2、Rhodobacter capsulatus(SB 1003)C2c2、Rhodobacter capsulatus(R121)C2c2、Rhodobacter capsulatus(DE442)C2c2、Leptotrichia wadei(Lw2)C2c2、またはListeria seeligeri C2c2)のいずれかの野生型の配列に基づいて)などのVI型タンパク質と、少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、例えば、少なくとも95%の配列相同性または同一性を有する。さらなる実施形態において、本明細書で言及されるC2c2などのVI型タンパク質のホモログまたはオルソログは、野生型C2c2((例えば、Leptotrichia shahii C2c2、Lachnospiraceae bacterium MA2020 C2c2、Lachnospiraceae bacterium NK4A179 C2c2、Clostridium aminophilum(DSM 10710)C2c2、Carnobacterium gallinarum(DSM 4847)C2c2、Paludibacter propionicigenes(WB4)C2c2、Listeria weihenstephanensis(FSL R9-0317)C2c2、Listeriaceae bacterium(FSL M6-0635)C2c2、Listeria newyorkensis(FSL M6-0635)C2c2、Leptotrichia wadei(F0279) C2c2、Rhodobacter capsulatus(SB 1003)C2c2、Rhodobacter capsulatus(R121)C2c2、Rhodobacter capsulatus(DE442)C2c2、Leptotrichia wadei(Lw2)C2c2、またはListeria seeligeri C2c2)のいずれかの野生型の配列に基づいて)と、少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、さらにより好ましくは少なくとも90%、例えば、少なくとも95%の配列同一性を有する。
特定の他の例示的な実施形態では、CRISPR系のエフェクタータンパク質はC2c2ヌクレアーゼである。C2c2の活性は、2つのHEPNドメインの存在に依存していてもよい。これらは、RNaseドメイン、すなわちヌクレアーゼ(特にエンドヌクレアーゼ)切断RNAであることが示されている。C2c2 HEPNは、DNA、または潜在的にDNA及び/またはRNAを標的とし得る。C2c2のHEPNドメインが少なくともRNAに結合でき、野生型ではRNAの切断が可能であることに基づいて、C2c2エフェクタータンパク質はRNase機能を有することが好ましい。C2c2 CRISPR系に関しては、TYPE VI CRISPR ORTHOLOGS AND SYSTEMSと題する国際特許公開第WO/2017/219027号、2016年6月17日に出願された米国仮特許出願第62/351,662号、及び2016年8月17日に出願された米国仮特許出願第62/376,377号を参照されたい。2016年6月17日に出願された米国仮特許第62/351,803号も参照される。また、2016年12月8日に出願された、Broad Institute番号10035.PA4及び代理人ドケット番号47627.03.2133の「Novel Crispr Enzymes and Systems」と題する米国仮特許も参照される。さらに、East-Seletsky et al.“Two distinct RNase activities of CRISPR-C2c2 enable guide-RNA processing and RNA detection”Nature doi:10/1038/naturel9802、及びAbudayyeh et al.“C2c2 is a single-component programmable RNA-guided RNA targeting CRISPR effector”bioRxiv doi:10.1101/054742も参照される。
CRISPR系におけるRNase機能は知られており、例えば、mRNA標的は特定のIII型CRISPR-Cas系で報告され(Hale et al.,2014,Genes Dev,vol.28,2432-2443、Hale et al.,2009,Cell,vol.139,945-956、Peng et al.,2015,Nucleic acids research,vol.43,406-417)、重要な利点を提供する。Staphylococcus epidermis III-A型システムでは、標的間の転写は、Cas10-Csmリボ核タンパク質エフェクタータンパク質複合体内の独立した活性部位によって媒介される標的DNAとその転写産物の切断をもたらす(Samai et al.,2015,Cell,vol.151,1164-1174を参照されたい)。したがって、本発明のエフェクタータンパク質を介してRNAを標的とするCRISPR-Cas系、組成物または方法が提供される。
一実施形態において、Casタンパク質は、以下を含むがこれに限定されない属の生物のC2c2オルソログであり得る:Leptotrichia、Listeria、Corynebacter、Sutterella、Legionella、Treponema、Filifactor、Eubacterium、Streptococcus、Lactobacillus、Mycoplasma、Bacteroides、Flaviivola、Flavobacterium、Sphaerochaeta、Azospirillum、Gluconacetobacter、Neisseria、Roseburia、Parvibaculum、Staphylococcus、Nitratifractor、Mycoplasma、Campylobacter、及びLachnospira。そのような属の生物種はさもなければ、本明細書で議論された通りであり得る。
特定の例示的な実施形態では、本発明のC2c2エフェクタータンパク質には、非限定的に以下の21のオルソログ種が含まれる(複数のCRISPR遺伝子座を含む:Leptotrichia shahii;Leptotrichia wadei(Lw2);Listeria seeligeri;Lachnospiraceae bacterium MA2020;Lachnospiraceae bacterium NK4A179;[Clostridium]aminophilum DSM 10710;Carnobacterium gallinarum DSM 4847;Carnobacterium gallinarum DSM 4847(第2のCRISPR遺伝子座);Paludibacter propionicigenes WB4;Listeria weihenstephanensis FSL R9-0317;Listeriaceae bacterium FSL M6-0635;Leptotrichia wadei F0279;Rhodobacter capsulatus SB 1003;Rhodobacter capsulatus R121;Rhodobacter capsulatus DE442;Leptotrichia buccalis C-1013-b;Herbinix hemicellulosilytica;[Eubacterium]rectale;Eubacteriaceae bacterium CHKCI004;Blautia sp.Marseille-P2398;及びLeptotrichia sp.oral taxon 879 str.F0557。12のさらなる非限定的な例は以下の通りである:Lachnospiraceae bacterium NK4A144;Chloroflexus aggregans;Demequina aurantiaca;Thalassospira sp.TSL5-1;Pseudobutyrivibrio sp.OR37;Butyrivibrio sp.YAB3001;Blautia sp.Marseille-P2398;Leptotrichia sp.Marseille-P3007;Bacteroides ihuae;Porphyromonadaceae bacterium KH3CP3RA;Listeria riparia;及びInsolitispirillum peregrinum。
CRISPR-Cas系酵素のオルソログを特定するいくつかの方法は、対象のゲノム内のtracr配列を特定することを含み得る。tracr配列の特定は、次のステップに関連し得る:データベースでダイレクトリピートまたはtracr mate配列を検索して、CRISPR酵素を含むCRISPR領域を特定する。センスとアンチセンスの両方向でCRISPR酵素に隣接するCRISPR領域の相同配列を検索する。転写ターミネーターと二次構造を探す。ダイレクトリピートまたはtracr mate配列ではないが、潜在的なtracr配列として、ダイレクトリピートまたはtracr mate配列と50%を超える同一性を持つ任意の配列を特定する。潜在的なtracr配列を取得し、それに関連する転写ターミネーター配列を分析する。
本明細書に記載の機能のいずれも、複数のオルソログからの断片を含むキメラ酵素を含む、他のオルソログからのCRISPR酵素に操作できることが理解されよう。そのようなオルソログの例は、本明細書のいずこかに記載されている。したがって、キメラ酵素は、Leptotrichia、Listeria、Corynebacter、Sutterella、Legionella、Treponema、Filifactor、Eubacterium、Streptococcus、Lactobacillus、Mycoplasma、Bacteroides、Flaviivola、Flavobacterium、Sphaerochaeta、Azospirillum、Gluconacetobacter、Neisseria、Roseburia、Parvibaculum、Staphylococcus、Nitratifractor、Mycoplasma、及びCampylobacterを含むがこれらに限定されない生物のCRISPR酵素オルソログの断片を含み得る。キメラ酵素は、第1の断片及び第2の断片を含むことができ、断片は、本明細書で言及される属または本明細書で言及される種の生物のCRISPR酵素オルソログであり得る。有利には、断片は異なる種のCRISPR酵素オルソログに由来する。
実施形態において、本明細書で言及されるC2c2タンパク質は、C2c2またはそのホモログもしくはオルソログの機能的バリアントも包含する。本明細書で使用されるとき、タンパク質の「機能的バリアント」は、そのタンパク質の活性を少なくとも部分的に保持する、そのようなタンパク質のバリアントを指す。機能的バリアント」には、多形体などを含む変異体(挿入、欠失、または置換変異体であり得る)が含まれ得る。また、機能的バリアントには、そのようなタンパク質と、通常は無関係な別の核酸、タンパク質、ポリペプチド、またはペプチドとの融合産物も含まれる。機能的バリアントは、天然に存在する場合もあれば、人工的に発生する場合もある。有利な実施形態は、操作された、または天然に存在しないVI型RNA標的エフェクタータンパク質を含み得る。
一実施形態において、C2c2またはそのオルソログもしくはホモログをコードする核酸分子(複数可)は、真核細胞における発現のためにコドン最適化され得る。真核生物は、本明細書で論じられるものであり得る。核酸分子(複数可)は、操作されたものでも、天然に存在しないものでもよい。
一実施形態において、C2c2またはそのオルソログもしくはホモログは、1つ以上の変異を含み得る(したがって、それをコードする核酸分子(複数可)は変異(複数可)を有し得る)。変異は、人工的に導入された変異であり得、触媒ドメインにおける1つ以上の変異を含み得るが、これらに限定されない。Cas9酵素に関する触媒ドメインの例には、RuvC I、RuvC II、RuvC III及びHNHドメインが含まれ得るが、これらに限定されない。
一実施形態において、C2c2またはそのオルソログもしくはホモログは、1つ以上の変異を含み得る。変異は、人工的に導入された変異であり得、触媒ドメインにおける1つ以上の変異を含み得るが、これらに限定されない。Cas酵素に関する触媒ドメインの例には、HEPNドメインが含まれるが、これらに限定されない。
一実施形態において、C2c2またはそのオルソログもしくはホモログは、機能的ドメインに融合するか、または機能的ドメインに作動可能に連結される一般的な核酸結合タンパク質として使用され得る。例示的な機能ドメインには、翻訳開始剤、翻訳活性化因子、翻訳抑制因子、ヌクレアーゼ、特にリボヌクレアーゼ、スプライソソーム、ビーズ、光誘導可能/制御可能ドメイン、または化学的誘導可能/制御可能ドメインが含まれ得るが、これらに限定されない。
特定の例示的な実施形態において、C2c2エフェクタータンパク質は、Leptotrichia、Listeria、Corynebacter、Sutterella、Legionella、Treponema、Filifactor、Eubacterium、Streptococcus、Lactobacillus、Mycoplasma、Bacteroides、Flaviivola、Flavobacterium、Sphaerochaeta、Azospirillum、Gluconacetobacter、Neisseria、Roseburia、Parvibaculum、Staphylococcus、Nitratifractor、Mycoplasma、及びCampylobacterからなる群から選択される生物に由来し得る。
特定の実施形態において、エフェクタータンパク質は、Listeria sp.C2c2p、好ましくはListeria seeligeria C2c2p、より好ましくはListeria seeligeria血清型1/2b株SLCC3954 C2c2pであり得、crRNA配列は、5’の29ntの直接反復(DR)及び15nt~18ntのスペーサーを含み、44~47ヌクレオチド長であり得る。
特定の実施形態において、エフェクタータンパク質は、Leptotrichia sp.C2c2p、好ましくはLeptotrichia shahii C2c2p、より好ましくはLeptotrichia shahii DSM 19757 C2c2pであり得、crRNA配列は、5’直接反復が少なくとも24ntであり、例えば、5’の24~28nt直接反復(DR)を含み、少なくとも14ntのスペーサー、例えば、14nt~28ntのスペーサー、または少なくとも18nt、例えば、19、20、21、22、またはそれ以上のnt、例えば、18~28、19~28、20~28、21~28、または22~28ntのスペーサーを含み、42~58ヌクレオチド長であり得る。
特定の例示的な実施形態において、エフェクタータンパク質は、Leptotrichia sp.、Leptotrichia wadei F0279、またはListeria sp.、好ましくはListeria newyorkensis FSL M6-0635であり得る。
特定の実施形態において、本発明によるC2c2タンパク質は、オルソログの1つであるか、もしくはそれに由来するか、または本出願に記載のオルソログの2つ以上のキメラタンパク質であるか、またはオルソログの1つの変異体もしくはバリアント(またはキメラ変異体もしくはバリアント)であり、異種/機能ドメインとの融合の有無にかかわらず、本明細書の他の場所で定義される死C2c2、分割C2c2、不安定化C2c2などを含む。
特定の例示的な実施形態では、RNA標的エフェクタータンパク質は、Cas13b及びグループ29またはグループ30タンパク質などのVI-B型エフェクタータンパク質である。特定の例示的な実施形態では、RNA標的エフェクタータンパク質は、1つ以上のHEPNドメインを含む。特定の例示的な実施形態では、RNA標的エフェクタータンパク質は、C末端HEPNドメイン、N末端HEPNドメイン、またはその両方を含む。本発明に関連して使用できる例示的なタイプVI-Bエフェクタータンパク質に関して、2016年10月21日に出願された、「Novel CRISPR Enzymes and Systems」と題する米国特許出願第15/331,792号、2016年10月21日に出願された、「Novel CRISPR Enzymes and Systems」と題する国際特許出願第PCT/US2016/058302号、及びSmargon et al.“cas13b is a Type VI-B CRISPR-associated RNA-Guided RNase differentially regulated by accessory proteins Csx27 and Csx28” Molecular Cell,65,1-13(2017);dx.doi.org/10.1016/j.molcel.2016.12.023、及び2017年3月15日に出願された、「Novel cas13b Orthologues CRISPR Enzymes and System」と題する割り当てられる予定の米国仮出願を参照される。特定の例示的な実施形態では、参照により本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/US2017/065477号、40~52ページの表1~6に記載される、2つのCas13aオルソログ、2つのCas13bオルソログ、または2つのCas13cオルソログなど、同じクラスのCRISPRエフェクタータンパク質からの異なるオルソログを使用することができる。特定の他の例示的な実施形態では、異なるヌクレオチド編集選好性を有する異なるオルソログ、例えば、Cas13a及びCas13bオルソログ、またはCas13a及びCas13cオルソログ、またはCas13bオルソログ及びCas13cオルソログなどを使用することができる。
RNA標的エフェクタータンパク質は、いくつかの実施形態では、1つ以上のHEPNドメインを含むことができ、これは、場合によってはRxxxxHモチーフ配列を含むことができる。場合によっては、RxxxHモチーフはR{N/H/K]XH配列を含み、これは、いくつかの実施形態では、Xは、R、S、D、E、Q、N、G、またはYであり、Xは、独立してI、S、T、V、またはLであり、Xは、独立してL、F、N、Y、V、I、S、D、E、またはAである。いくつかの特定の実施形態では、CRISPR RNA標的エフェクタータンパク質は、C2c2である。
ガイド
本明細書に開示される方法を利用して、1つ以上のウイルス株を区別するための1つ以上のガイドRNAを設計することができる。実施形態では、方法は、ウイルス株を区別する、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、またはそれ以上のガイドRNAを設計する。方法論は、1つ以上の標的増幅配列を同定する1つ以上の標的病原体への入力ゲノム配列のセットを可能にする。実施形態では、方法を利用して、1つ以上のガイド配列を生成することができ、これは、少なくとも90のガイド配列であり得る。
本明細書で使用されるとき、「ガイド配列」、「crRNA」、「ガイドRNA」または「シングルガイドRNA」または「gRNA」という用語は、標的核酸配列とハイブリダイズし、ガイド配列とCRISPRエフェクタータンパク質とを含むRNA標的化複合体が標的核酸配列へ配列特異的結合するように差し向けるのに、標的核酸配列と十分な相補性を有する任意のポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを指す。いくつかの例示的な実施形態では、相補性の程度は、適切な整列アルゴリズムを使用して最適にアラインメントされる場合、約50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、97.5%、99%、またはそれ以上である。最適なアラインメントは、アラインメント配列に適した任意のアルゴリズムを使用して決定され得るが、その非限定的な例には、Smith-Watermanアルゴリズム、Needleman-Wunschアルゴリズム、Burrows-Wheeler変換に基づくアルゴリズム(例えば、Burrows Wheeler Aligner)、ClustalW、Clustal X、BLAT、Novoalign(Novocraft Technologies;www.novocraft.comで入手可能)、ELAND(Illumina、San Diego、CA)、SOAP(soap.genomics.org.cnで入手可能)、及びMaq(maq.sourceforge.netで入手可能)が挙げられる。核酸標的化複合体の標的核酸配列への配列特異的結合を指示するガイド配列(核酸標的化ガイドRNA内)の能力は、任意の適切なアッセイにより評価され得る。例えば、試験されるガイド配列を含む核酸標的化複合体を形成するのに十分な核酸標的化CRISPR系の構成要素は、核酸標的化複合体の構成要素をコードするベクターを用いるトランスフェクション、続いて、本明細書に記載のSurveyorアッセイなどによる、標的核酸配列内の優先的標的化(例えば、切断)の評価などによって、対応する標的核酸配列を有する宿主細胞に提供され得る。同様に、標的核酸配列の切断は、試験管内で、標的核酸配列、試験されるガイド配列及び試験ガイドとは異なる対照ガイド配列を含む核酸標的化複合体の構成要素を、を提供すること、ならびに試験と対照のガイドの配列の反応の間の標的配列での結合または切断速度の比較により評価され得る。他のアッセイもまた可能であり、当業者には明らかであろう。任意の標的核酸配列を標的とするために、ガイド配列、したがって核酸標的ガイドを選択してもよい。標的配列はDNAであってもよい。標的配列は、任意のRNA配列であってもよい。いくつかの実施形態では、標的配列は、メッセンジャーRNA(mRNA)、プレmRNA、リボソームRNA(rRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、非コードRNA(ncRNA)、長非コードRNA(lncRNA)、及び低分子細胞質RNA(scRNA)からなる群より選択されるRNA分子内の配列であってもよい。いくつかの好ましい実施形態では、標的配列は、mRNA、プレmRNA、及びrRNAからなる群より選択されるRNA分子内の配列であってもよい。いくつかの好ましい実施形態では、標的配列は、ncRNA及びlncRNAからなる群より選択されるRNA分子内の配列であり得る。いくつかのより好ましい実施形態では、標的配列は、mRNA分子またはプレmRNA分子内の配列であってもよい。
いくつかの実施形態では、核酸標的ガイドは、核酸標的ガイド内の二次構造の程度を低下するように選択される。いくつかの実施形態では、核酸標的化ガイドのヌクレオチドのうち、最適にフォールディングされたときの自己相補的な塩基対形成に関与するヌクレオチドの割合は、約75%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約1%以下、またはそれ未満の%である。最適なフォールディングは、任意の適切なポリヌクレオチドフォールディングアルゴリズムによって決定され得る。いくつかのプログラムは、最小ギブズ自由エネルギーの計算に基づくものである。そのようなアルゴリズムの1つの例は、mFoldであり、mFoldは、Zuker and Stiegler (Nucleic Acids Res.9(1981),133-148)によって説明されている。フォールディングアルゴリズムの別の例は、重心構造予測アルゴリズムを使用するオンラインウェブサーバーRNAfoldであり、これは、Institute for Theoretical Chemistry at the University of Viennaで開発されたものである(例えば、A.R.Gruber et al.,2008,Cell 106(1):23-24;及びPA Carr and GM Church,2009,Nature Biotechnology 27(12):1151-62を参照されたい)。包括的ハイブリダイゼーションの標的のコンパクトな集約(CATCH)を使用して、多様性を完全にカバーするコンパクトなプローブセットを設計できる。例えば、Metsky et al.,Capturing diverse microbial sequence with comprehensive and scalable probe design,DOI https://doi.org/10.1101/279570を参照されたい。本明細書に記載の診断ガイド設計方法は、ソフトウェアツールに実装することができる。ウイルス配列(または他の望ましい標的配列)の場合、ウイルス配列のアライメントの入力が利用され、その目的は、ガイドと標的との間のいくつかのミスマッチ(通常は1)を許容する入力配列のいくつかの所望の画分(例えば、95%)を検出する、すべてのいくつかの特定のアンプリコン長さ内にあるガイド配列のセットを見つけることである。サブタイピング(または任意の鑑別同定)にとって重要なことは、各コレクションが1つのサブタイプに固有であることを保証する様々なガイドのコレクションを設計することである。この特定のアプローチにより、参照により本明細書に組み込まれる、PCT/US2017/0488744、例えば、[0056]~[0131]、及びPCT/US2017/048479に記載されるようなものを含む、他のツール及びアプローチと一緒に、診断ガイド設計(「d-g-d」)を使用して種を同定するためのアンプリコンプライマーとガイド配列を同時に設計することができる。
特定の実施形態では、ガイドRNAまたはcrRNAは、ダイレクトリピート(DR)配列及びガイド配列またはスペーサー配列を含んでもよいし、本質的にそれらからなってもよいし、またはそれらからなってもよい。特定の実施形態では、ガイドRNAまたはcrRNAは、ガイド配列またはスペーサー配列に融合または連結されたダイレクトリピート配列を含んでもよいし、本質的にそれらからなってもよいし、またはそれらからなってもよい。特定の実施形態では、ダイレクトリピート配列は、ガイド配列またはスペーサー配列の上流(すなわち5’)に位置してもよい。他の実施形態では、ダイレクトリピート配列は、ガイド配列またはスペーサー配列の下流(すなわち、3’)に位置してもよい。
特定の実施形態では、crRNAは、ステムループ、好ましくは単一のステムループを含む。特定の実施形態では、ダイレクトリピート配列は、ステムループ、好ましくは単一のステムループを形成する。
特定の実施形態では、ガイドRNAのスペーサー長は、15~35ntである。特定の実施形態では、ガイドRNAのスペーサー長は、少なくとも15ヌクレオチドである。特定の実施形態では、スペーサー長は、15~17nt、例えば15、16、または17nt、17~20nt、例えば17、18、19、または20nt、20~24nt、例えば20、21、22、23、または24nt、23~25nt、例えば23、24、または25nt、24~27nt、例えば24、25、26、または27nt、27~30nt、例えば27、28、29、または30nt、30~35nt、例えば30、31、32、33、34、または35nt、または35nt以上である。
一般に、CRISPR-Cas、CRISPR-Cas9、またはCRISPR系とは、WO2014/093622(PCT/US2013/074667)などの前述の文書で使用されているものであり、Cas遺伝子をコードする配列、特にCRISPR-Cas9の場合はCas9遺伝子、tracr(トランス活性化CRISPR)配列(例えば、tracrRNAまたは活性部分tracrRNA)、tracr-mate配列(内因性CRISPR系の状況で「ダイレクトリピート」及びtracrRNAで処理された部分的なダイレクトリピートを含む)、ガイド配列(内因性CRISPR系の状況で「スペーサー」とも呼ばれる)、またはその用語が本明細書で使用される「RNA(複数可)」(例えば、Cas9をガイドするRNA(複数可)、例えばCRISPR RNA及びトランス活性化(tracr)RNAまたはシングルガイドRNA(sgRNA)(キメラRNA))またはCRISPR遺伝子座からの他の配列及び転写物を含む、CRISPR関連(「Cas」)遺伝子の活性の発現または活性の誘導に関与する転写物及び他の要素を総称的に指す。一般的に、CRISPR系は、標的配列の部位においてCRISPR複合体の形成を促進する要素(内因性CRISPR系の文脈においてプロトスペーサーとも呼ばれる)によって特徴付けられる。CRISPR複合体形成の文脈において、「標的配列」は、ガイド配列が相補性を有するように設計される配列を指し、標的配列とガイド配列との間のハイブリダイゼーションがCRISPR複合体の形成を促進する。標的配列への相補性が切断活性にとって重要であるガイド配列のセクションは、本明細書ではシード配列と呼ばれる。標的配列は、DNAまたはRNAのポリヌクレオチドのような任意のポリヌクレオチドを含んでよい。いくつかの実施形態では、標的配列は、細胞の核または細胞質に位置し、細胞内に存在するミトコンドリア、オルガネラ、小胞、リポソームまたは粒子の中またはそれに由来する核酸を含んでもよい。いくつかの実施形態では、特に非核用途の場合、NLSは好ましくない。いくつかの実施形態では、CRISPR系は、1つ以上の核輸出シグナル(NES)を含む。いくつかの実施形態では、CRISPR系は、1つ以上のNLS及び1つ以上のNESを含む。いくつかの実施形態では、以下の基準のいずれかまたはすべてを満たす反復モチーフを検索することにより、インシリコでダイレクトリピートを同定し得る:1.タイプIICRISPR遺伝子座に隣接するゲノム配列の2Kbのウィンドウで見られる;2.20~50bpの範囲;及び3.20~50bpの間隔。いくつかの実施形態では、これらの基準のうちの2つ、例えば1と2、2と3、または1と3を使用し得る。いくつかの実施形態では、3つすべての基準を使用してもよい。
本発明の実施形態では、用語ガイド配列及びガイドRNA、すなわちCasを標的ゲノム遺伝子座にガイドし得るRNAは、WO2014/093622(PCT/US2013/074667)などの前述の引用文献のように交換可能に使用される。一般的に、ガイド配列は、標的配列にハイブリダイズして、標的配列へのCRISPR複合体の配列特異的結合を導くのに十分な、標的ポリヌクレオチド配列との相補性を有する、任意のポリヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態において、ガイド配列とその対応する標的配列との間の相補性の程度は、好適な整列アルゴリズムを用いて最適なアラインメントがなされるとき、約または約50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、97.5%、99%以上である。最適なアラインメントは、配列のアラインメントに適した任意のアルゴリズムを使用して決定され得るが、その非限定的な例には、Smith-Watermanアルゴリズム、Needleman-Wunschアルゴリズム、Burrows-Wheeler変換に基づくアルゴリズム(例えば、Burrows Wheeler Aligner)、ClustalW、Clustal X、BLAT、Novoalign(Novocraft Technologies;www.novocraft.comで入手可能)、ELAND(Illumina、San Diego、CA)、SOAP(soap.genomics.org.cnで入手可能)、及びMaq(maq.sourceforge.netで入手可能)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、ガイド配列は、約5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、75、またはそれ以上のヌクレオチド長である。いくつかの実施形態において、ガイド配列は、約75、50、45、40、35、30、25、20、15、12未満またはそれ未満のヌクレオチド長である。好ましくは、ガイド配列は、10 30ヌクレオチド長である。CRISPR複合体の標的配列への配列特異的結合を指示するガイド配列の能力は、任意の適切なアッセイにより評価され得る。例えば、試験されるガイド配列を含む、CRISPR複合体を形成するのに十分なCRISPR系の構成要素は、CRISPR配列の構成要素をコードするベクターによるトランスフェクションなどにより、続いて、本明細書に記載のSurveyorアッセイなどによる、標的配列内の優先的切断の評価などによって、対応する標的配列を有する宿主細胞に提供され得る。同様に、標的ポリヌクレオチド配列の切断は、標的配列、試験すべきガイド配列、試験のガイド配列と異なる対照ガイド配列を含むCRISPR複合体の構成要素を提供し、試験及び対照ガイド配列の反応間で標的配列での結合またはその切断速度を比較することによって、試験管内で評価できる。他のアッセイも可能であり、当業者には明らかであろう。
CRISPR-Cas系のいくつかの実施形態では、ガイド配列とその対応する標的配列との間の相補性の程度は、約50%、60%、75%、80%、85%、90%、95%、97.5%、99%、または100%またはそれ以上であってもよく;ガイドまたはRNAまたはsgRNAは、約5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、75、またはそれ以上のヌクレオチド長であってもよく;あるいは、ガイドまたはRNAまたはsgRNAは、長さが約75、50、45、40、35、30、25、20、15、12またはそれ未満のヌクレオチド長であってもよく;有利には、tracr RNAは、30または50ヌクレオチド長である。しかし、本発明のある態様は、オフターゲット相互作用を低減すること、例えば、低い相補性を有する標的配列と相互作用するガイドを低減することである。実際、この実施例では、本発明は、CRISPR-Cas系が80%を超えて約95%までの相補性、例えば83%~84%または88~89%または94~95%の相補性を有する、標的配列とオフターゲット配列との間を区別し得る変異(例えば、18ヌクレオチドを有する標的と、1、2または3つのミスマッチを有する18ヌクレオチドのオフターゲットを区別する)を含むことが示されている。したがって、本発明の状況では、ガイド配列とその対応する標的配列との間の相補性の程度は、94.5%または95%または95.5%または96%または96.5%または97%または97.5%または98%または98.5%または99%または99.5%または99.9%、または100%より大きい。オフターゲットは、配列とガイドとの間の100%または99.9%または99.5%または99%または99%または98.5%または98%または97.5%または97%または96.5%または96%または95.5%または95%または94.5%または94%または93%または92%または91%または90%または89%または88%または87%または86%または85%または84%または83%または82%または81%または80%未満の相補性であり、オフターゲットが配列とガイドとの間で100%または99.9%または99.5%または99%または99%または98.5%または98%または97.5%または97%または96.5%または96%または95.5%または95%または94.5%の相補性であることが有利である。
ガイド改変
ある特定の実施形態では、本発明のガイドは、天然には存在しない核酸、及び/または天然には存在しないヌクレオチド、及び/またはヌクレオチドアナログ、及び/または化学的改変を含む。天然には存在しない核酸としては、例えば、天然に存在するヌクレオチド、及び天然には存在しないヌクレオチドの混合物が挙げられる。天然には存在しないヌクレオチド及び/またはヌクレオチドアナログは、リボース部分、リン酸部分、及び/または塩基部分が改変され得る。本発明のある1つの実施形態では、ガイド核酸は、リボヌクレオチド及び非リボヌクレオチドを含む。そのような実施形態の1つでは、ガイドは、1つ以上のリボヌクレオチド及び1つ以上のデオキシリボヌクレオチドを含む。本発明のある1つの実施形態では、ガイドは、1つ以上の天然には存在しないヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログ、例えば、ホスホロチオエート結合を有するヌクレオチド、ボラノリン酸連結を有する、リボース環の2’と4’炭素との間にメチレン架橋を含むロックド核酸(LNA)ヌクレオチド、または架橋型核酸(BNA)を含む。改変ヌクレオチドの他の例としては、2’-O-メチルアナログ、2’-デオキシアナログ、2’-チオウリジンアナログ、N6-メチルアデノシンアナログ、または2’-フルオロアナログが挙げられる。改変塩基のさらなる例としては、限定されないが、2-アミノプリン、5-ブロモ-ウリジン、シュードウリジン(Ψ)、N-メチルシュードウリジン(meΨ)、5-メトキシウリジン(5moU)、イノシン、及び7-メチルグアノシンが挙げられる。ガイドRNAの化学改変の例としては、限定するものではないが、2’-O-メチル(M)、2’-O-メチル3’ホスホロチオエート(MS)、ホスホロチオエート(PS)、S-拘束エチル(cEt)、または2’-O-メチル3’チオPACE(MSP)を1つ以上の末端ヌクレオチドに組み込むことが挙げられる。化学的に改変されたそのようなガイドは、オンターゲット特異性とオフターゲット特異性との対比結果は予測不可能であるものの、非改変ガイドと比較して安定性の向上、及び活性の増大を含み得る(2015年6月29日にオンラインで公開されたHendel,2015,Nat Biotechnol.33(9):985-9,doi:10.1038/nbt.3290;Ragdarm et al.,0215,PNAS,E7110-E7111;Allerson et al.,J.Med.Chem.2005,48:901-904;Bramsen et al.,Front.Genet.,2012,3:154;Deng et al.,PNAS,2015,112:11870-11875;Sharma et al.,MedChemComm.,2014,5:1454-1471;Hendel et al.,Nat.Biotechnol.(2015)33(9):985-989;Li et al.,Nature Biomedical Engineering,2017,1,0066 DOI:10.1038/s41551-017-0066を参照されたい)。いくつかの実施形態では、ガイドRNAの5’末端及び/または3’末端は、様々な機能性部分によって改変され、こうした機能性部分としては、蛍光色素、ポリエチレングリコール、コレステロール、タンパク質、または検出タグが含まれる。(Kelly et al.,2016,J.Biotech.233:74-83を参照されたい)。ある特定の実施形態では、ガイドは、標的DNAに結合する領域にリボヌクレオチドを含み、Cas9、Cpf1、またはC2c1に結合する領域に1つ以上のデオキシリボヌクレオチド及び/またはヌクレオチドアナログを含む。本発明のある1つの実施形態では、デオキシリボヌクレオチド及び/またはヌクレオチドアナログは、操作されたガイド構造、例えば、限定されないが、5’及び/または3’末端、ステムループ領域及びシード領域などに組み込まれる。ある特定の実施形態では、こうした改変は、ステムループ領域の5’ハンドルには存在しない。ガイドのステムループ領域の5’ハンドルを化学的に改変するとガイドの機能が消失し得る(Li,et al.,Nature Biomedical Engineering,2017,1:0066を参照されたい)。ある特定の実施形態では、ガイドのヌクレオチドのうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、35個、40個、45個、50個、または75個のヌクレオチドが化学的に改変される。いくつかの実施形態では、ガイドの3’末端または5’末端のいずれかに位置する3~5ヌクレオチドが化学的に改変される。いくつかの実施形態では、シード領域にごく軽微な改変(2’-F改変など)が導入される。いくつかの実施形態では、ガイドの3’末端に2’-F改変が導入される。ある特定の実施形態では、ガイドの5’末端及び/または3’末端に位置する3~5ヌクレオチドが、2’-O-メチル(M)、2’-O-メチル3’ホスホロチオエート(MS)、S-拘束エチル(cEt)、または2’-O-メチル3’-チオPACE(MSP)で化学的に改変される。そのような改変によってゲノム編集効率が増進し得る(Hendel et al.,Nat.Biotechnol.(2015)33(9):985-989を参照されたい)。ある特定の実施形態では、遺伝子破壊のレベルを増進させるために、ガイドのホスホジエステル結合のすべてがホスホロチオエート(PS)で置き換えられる。ある特定の実施形態では、ガイドの5’末端及び/または3’末端に位置する5ヌクレオチド超が、2’-O-Me、2’-F、またはS-拘束エチル(cEt)で化学的に改変される。化学的に改変されたそのようなガイドでは、媒介する遺伝子破壊のレベルが増進し得る(Ragdarm et al.,0215,PNAS,E7110-E7111を参照されたい)。本発明のある1つの実施形態では、ガイドは、その3’末端及び/または5’末端に化学的部分を含むように改変される。そのような部分には、限定されないが、アミン、アジド、アルキン、チオ、ジベンゾシクロオクチン(DBCO)、またはローダミンが挙げられる。ある特定の実施形態では、化学部分は、リンカー(アルキル鎖など)によってガイドに結合される。ある特定の実施形態では、改変ガイドの化学的部分は、ガイドを別の分子(DNA、RNA、タンパク質、またはナノ粒子など)に付加するために使用され得る。化学的に改変されたそのようなガイドは、CRISPR系によって一般に編集された細胞の同定または富化に使用され得る(Lee et al., eLife,2017,6:e25312,DOI:10.7554を参照されたい)。
特定の実施形態では、本明細書で提供されるCRISPR系は、ガイド配列を含むcrRNAまたは類似のポリヌクレオチドを利用することができ、ポリヌクレオチドは、RNA、DNA、もしくはRNAとDNAの混合物であり、及び/またはポリヌクレオチドは、1つ以上のヌクレオチド類似体を含む。配列は、バルジ、ヘアピン、またはステムループ構造などのネイティブcrRNAの構造を含むがこれらに限定されない任意の構造を含むことができる。特定の実施形態において、ガイド配列を含むポリヌクレオチドは、RNAまたはDNA配列であり得る第2のポリヌクレオチド配列と二本鎖を形成する。
いくつかの実施形態では、ガイドに対する改変は、化学改変、挿入、欠失、または分割である。いくつかの実施形態では、化学改変には、限定されないが、2’-O-メチル(M)アナログ、2’-デオキシアナログ、2-チオウリジンアナログ、N6-メチルアデノシンアナログ、2’-フルオロアナログ、2-アミノプリン、5-ブロモ-ウリジン、シュードウリジン(Ψ)、N-メチルシュードウリジン(meΨ)、5-メトキシウリジン(5moU)、イノシン、7-メチルグアノシン、2’-O-メチル-3’-ホスホロチオエート(MS)、S-拘束エチル(cEt)、ホスホロチオエート(PS)、または2’-O-メチル-3’-チオPACE(MSP)を組み込むことが含まれる。いくつかの実施形態では、ガイドは、ホスホロチオエート改変のうちの1つ以上を含む。ある特定の実施形態では、ガイドのヌクレオチドのうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、または25個が化学的に改変される。ある特定の実施形態では、シード領域における1つ以上のヌクレオチドが化学的に改変される。ある特定の実施形態では、3’末端における1つ以上のヌクレオチドが化学的に改変される。ある特定の実施形態では、5’ハンドルにおけるヌクレオチドはいずれも、化学的に改変されない。いくつかの実施形態では、シード領域における化学改変は、軽微な改変(2’-フルオロアナログの組み込みなど)である。特定の実施形態では、シード領域のヌクレオチドの1ヌクレオチドが、2’-フルオロアナログで置き換えられる。いくつかの実施形態では、3’末端における5または10個のヌクレオチドが化学的に改変される。Cpf1 CrRNAの3’末端をそのように化学的に改変することで、遺伝子切断効率が改善する(Li,et al.,Nature Biomedical Engineering,2017,1:0066を参照されたい)。特定の実施形態では、3’末端における5ヌクレオチドが、2’-フルオロアナログで置き換えられる。特定の実施形態では、3’末端における10のヌクレオチドが、2’-フルオロアナログで置き換えられる。特定の実施形態では、3’末端における5ヌクレオチドが、2’-O-メチル(M)アナログで置き換えられる。
いくつかの実施形態では、ガイドの5’ハンドルのループが改変される。いくつかの実施形態では、欠失、挿入、分割、または化学改変を有するように、ガイドの5’ハンドルのループが改変される。ある特定の実施形態では、ループは、ヌクレオチドを3つ、4つ、または5つ含む。ある特定の実施形態では、ループは、UCUU、UUUU、UAUU、またはUGUUという配列を含む。
任意の標的核酸配列を標的とするために、ガイド配列、したがって核酸標的ガイドRNAを選択してもよい。CRISPR複合体形成の文脈において、「標的配列」は、ガイド配列が相補性を有するように設計される配列を指し、標的配列とガイド配列の間のハイブリダイゼーションがCRISPR複合体の形成を促進する。標的配列は、RNAポリヌクレオチドを含んでもよい。「標的RNA」という用語は、標的配列であるかまたは標的配列を含むRNAポリヌクレオチドを指す。換言すると、標的RNAは、RNAポリヌクレオチドまたはRNAポリヌクレオチドの一部であり得、これに対して、gRNAの一部、すなわちガイド配列は、相補性を有するように設計され、そしてエフェクター機能は、CRISPRエフェクタータンパク質を含む複合体によって媒介され、gRNAが誘導される。いくつかの実施形態において、標的配列は、細胞の核または細胞質に位置する。
標的配列はDNAであってもよい。標的配列は、任意のRNA配列であってもよい。いくつかの実施形態では、標的配列は、メッセンジャーRNA(mRNA)、プレmRNA、リボソームRNA(rRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、非コードRNA(ncRNA)、長非コードRNA(lncRNA)、及び低分子細胞質RNA(scRNA)からなる群より選択されるRNA分子内の配列であってもよい。いくつかの好ましい実施形態では、標的配列は、mRNA、プレmRNA、及びrRNAからなる群より選択されるRNA分子内の配列であってもよい。いくつかの好ましい実施形態では、標的配列は、ncRNA及びlncRNAからなる群より選択されるRNA分子内の配列であり得る。いくつかのより好ましい実施形態では、標的配列は、mRNA分子またはプレmRNA分子内の配列であってもよい。特定の実施形態では、1つ以上のガイドRNAは、本明細書により詳細に記載されるように、一塩基多型、転写物のスプライスバリアント、または標的RNAまたはDNAにおけるフレームシフト変異を検出するように設計される。
特定の実施形態では、ガイドRNAのスペーサー長は、28ヌクレオチド未満である。特定の実施形態では、ガイドRNAのスペーサー長は、少なくとも18ヌクレオチドであり、かつ28ヌクレオチド未満である。特定の実施形態では、ガイドRNAのスペーサー長は、19~28ヌクレオチドである。特定の実施形態では、ガイドRNAのスペーサー長は、19~25ヌクレオチドである。特定の実施形態では、ガイドRNAのスペーサー長は、20ヌクレオチドである。特定の実施形態では、ガイドRNAのスペーサー長は、23ヌクレオチドである。特定の実施形態では、ガイドRNAのスペーサー長は、25ヌクレオチドである。
特定の実施形態では、切断効率の調節は、ミスマッチ、例えば、スペーサー/標的に沿ったミスマッチの位置を含む、スペーサー配列と標的配列の間の1つまたは2つのミスマッチなどの1つ以上のミスマッチの導入によって利用することができる。例えば、二重ミスマッチが中心にある(すなわち、3’または5’ではない)ほど、切断効率が影響を受ける。したがって、スペーサーに沿ったミスマッチ位置を選択することにより、切断効率を調節することができる。例として、標的の100%未満の切断が望まれる場合(例えば、細胞集団において)、スペーサーと標的配列との間の1つ以上、好ましくは2つのミスマッチをスペーサー配列に導入することができる。ミスマッチ位置がスペーサーに沿って中心にあるほど、切断率は低くなる。
特定の例示的な実施形態では、切断効率を利用して、一塩基多型(SNP)、バリエーション、または(点)変異など、単一ヌクレオチドによって変化する2つ以上の標的を区別できるシングルガイドを設計することができる。CRISPRエフェクターは、SNP(または他の単一ヌクレオチドバリエーション)に対する感受性が低下しており、一定レベルの効率でSNP標的を切断し続ける可能性がある。したがって、2つの標的または標的のセットについて、ガイドRNAは、標的の1つ、すなわちオンターゲットのSNPに相補的なヌクレオチド配列で設計され得る。ガイドRNAはさらに合成ミスマッチを持つように設計されている。本明細書で使用されるとき、「合成ミスマッチ」は、天然に存在するSNPの上流または下流に、例えば、最大で5ヌクレオチド上流または下流、例えば4、3、2、または1ヌクレオチド上流または下流、好ましくは最大で3ヌクレオチド上流または下流、より好ましくは最大で2ヌクレオチド上流または下流に、最も好ましくは1ヌクレオチド上流または下流に(すなわち、SNPに隣接して)に導入される、天然に存在しないミスマッチを指す。CRISPRエフェクターがオンターゲットSNPに結合すると、単一のミスマッチのみが合成ミスマッチにより形成され、CRISPRエフェクターは引き続き活性化され、検出可能なシグナルが生成される。ガイドRNAがオフターゲットSNPにハイブリダイズすると、SNPからのミスマッチと合成ミスマッチの2つのミスマッチが形成され、検出可能なシグナルは生成されない。したがって、本明細書に開示されるシステムは、集団内のSNPを区別するように設計され得る。例えば、システムは、単一のSNPによって異なる病原性株を区別するために、または非限定的にがん関連SNPなどの疾患関連SNPなどであるがそれには限定されない特定の疾患特異的SNPを検出するために使用され得る。
特定の実施形態では、ガイドRNAは、SNPがスペーサー配列の(5’末端から開始した)位置1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30に位置するように設計されている。特定の実施形態では、ガイドRNAは、SNPがスペーサー配列の(5’末端から開始した)位置1、2、3、4、5、6、7、8、または9に位置するように設計されている。特定の実施形態では、ガイドRNAは、SNPがスペーサー配列の(5’末端から開始した)位置2、3、4、5、6、または7に位置するように設計されている。特定の実施形態では、ガイドRNAは、SNPがスペーサー配列の(5’末端から開始した)位置3、4、5、または6に位置するように設計されている。特定の実施形態では、ガイドRNAは、SNPがスペーサー配列の(5’末端から開始した)位置3に位置するように設計されている。
特定の実施形態では、ガイドRNAは、ミスマッチ(例えば、合成ミスマッチ、すなわちSNP以外の追加の変異)がスペーサー配列の(5’末端から開始した)位置1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30に位置するように設計されている。特定の実施形態では、ガイドRNAは、ミスマッチがスペーサー配列の(5’末端から開始した)位置1、2、3、4、5、6、7、8、または9に位置するように設計されている。特定の実施形態では、ガイドRNAは、ミスマッチがスペーサー配列の(5’末端から開始した)位置4、5、6、または7に位置するように設計されている。特定の実施形態では、ガイドRNAは、ミスマッチがスペーサー配列の(5’末端から開始した)位置5に位置するように設計されている。
特定の実施形態において、ガイドRNAは、ミスマッチがSNPの2ヌクレオチド上流(すなわち、1つの介在ヌクレオチド)に位置するように設計される。
特定の実施形態において、ガイドRNAは、ミスマッチがSNPの2ヌクレオチド下流(すなわち、1つの介在ヌクレオチド)に位置するように設計される。
特定の実施形態では、ガイドRNAは、ミスマッチがスペーサー配列の(5’末端から開始した)位置5に位置し、SNPがスペーサー配列の(5’末端から開始した)位置3に位置するように設計されている。
本明細書に記載の実施形態は、本明細書に考察されるベクターを細胞に送達することを含む、本明細書に考察される真核細胞(インビトロ、すなわち単離された真核細胞)に1つ以上のヌクレオチド改変を誘導することを包含する。変異(複数可)には、ガイド(複数可)RNA(複数可)を介した細胞(複数可)の各標的配列での1つ以上のヌクレオチドの導入、欠失、または置換が含まれ得る。変異は、ガイド(複数可)RNA(複数可)を介した当該細胞(複数可)の各標的配列での1~75ヌクレオチドの導入、欠失、または置換を含み得る。変異には、ガイド(複数可)RNA(複数可)を介した、当該細胞(複数可)の各標的配列における1、5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50または75ヌクレオチドの導入、欠失、または置換が含まれ得る。変異には、ガイド(複数可)RNA(複数可)を介した、当該細胞(複数可)の各標的配列における5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、または75ヌクレオチドの導入、欠失、または置換が含まれ得る。変異には、ガイド(複数可)RNA(複数可)を介した、当該細胞(複数可)の各標的配列の10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、または75ヌクレオチドの導入、欠失、または置換が含まれる。変異には、ガイド(複数可)RNA(複数可)を介した、当該細胞(複数可)の各標的配列での20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、または75ヌクレオチドの導入、欠失、または置換が含まれ得る。変異には、ガイド(複数可)RNA(複数可)を介した、当該細胞(複数可)の各標的配列での40、45、50、75、100、200、300、400または500ヌクレオチドの導入、欠失、または置換が含まれ得る。
典型的に、内在性CRISPR系の文脈において、CRISPR複合体(標的配列にハイブリダイズして1つ以上のCasタンパク質と複合体形成するガイド配列を含む)の形成は、標的配列内またはその近接(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50またはそれ以上の塩基対離れている)の切断を生じるが、特にRNA標的の場合、例えば二次構造に依存する可能性がある。
一態様では、本明細書に開示される実施形態は、2つ以上のCRISPR系、対応する標的分子に結合するように設計された1つ以上のガイドRNA、マスキング構築物、及びサンプル中の標的核酸分子を増幅するための任意選択の増幅試薬を含む核酸検出系を対象とする。特定の例示的な実施形態では、システムは、1つ以上の検出アプタマーをさらに含み得る。1つ以上の検出アプタマーは、RNAポリメラーゼ部位またはプライマー結合部位を含み得る。1つ以上の検出アプタマーは、1つ以上の標的ポリペプチドに特異的に結合し、RNAポリメラーゼ部位またはプライマー結合部位が標的ペプチドへの検出アプタマーの結合時にのみ露出するように構成される。RNAポリメラーゼ部位の露出は、テンプレートとしてアプタマー配列を使用してトリガーRNAオリゴヌクレオチドの生成を容易にする。したがって、そのような実施形態では、1つ以上のガイドRNAは、トリガーRNAに結合するように構成される。
別の態様では、本明細書に開示される実施形態は、複数の個別の別個のボリュームを含む診断デバイスを対象とする。各々の個別の別個のボリュームは、CRISPRエフェクタータンパク質と、対応する標的分子に結合するように設計された1つ以上のガイドRNAと、マスキング構築物とを含むCRISPR系を含む。個別の別個のボリュームは、光学バーコード、標的分子、及び/または増幅試薬を含んでもよい。光学バーコードを備えたCRISPR系を含む個別の別個のボリュームを提供することができる。光学バーコードを含み、任意選択で標的分子及び/または増幅試薬を含む、他の個別の別個のボリュームも提供され得る。特定の例示的な実施形態において、RNA増幅試薬は、個別の別個のボリュームに事前にロードされるか、または個別の別個のボリュームへのサンプルまたは標的分子の追加と同時に、その前に、またはその後に個別の別個のボリュームに追加され得る。一態様では、液滴などの個別の別個のボリュームのマージは、マージされた個別の別個のボリュームへの特定の試薬の追加をもたらす。デバイスは、マイクロ流体ベースのデバイス、ウェアラブルデバイス、または個別の別個のボリュームが画定または提供される柔軟な材料基質を含むデバイスであり得る。
別の態様では、本明細書に開示される実施形態は、サンプルまたはサンプルのセット(それら自体の個別の別個のボリュームに含まれ得る)を、各々の個々の個別のボリュームがCRISPRエフェクタータンパク質、1つの標的オリゴヌクレオチドに結合するように設計された1つ以上のガイドRNA、及びマスキング構築物を含む、個別の別個のボリュームのセットに分配することを含む、サンプル中の標的核酸を検出する方法に関する。特に好ましい実施形態におけるそのような分配は、好ましくは、ランダムな液滴分配によるものである。次いで、サンプルのセットは、1つ以上のガイドRNAを1つ以上の標的分子に結合させるのに十分な条件下で維持される。1つ以上のガイドRNAが標的核酸に結合すると、転じてCRISPRエフェクタータンパク質を活性化する。活性化されると、CRISPRエフェクタータンパク質は、例えば、検出可能な陽性シグナルがマスキング解除、放出、または生成されるようにマスキング構築物を切断することにより、マスキング構築物を不活性化する。個別の別個のボリュームにおける陽性の検出可能なシグナルの検出は、標的分子の存在を示す。
さらに別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、ポリペプチドを検出するための方法を対象とする。ポリペプチドの検出方法は、上述の標的核酸の検出方法と同様である。しかしながら、ペプチド検出アプタマーも含まれる。ペプチド検出アプタマーは、上述のように機能し、標的ポリペプチドに結合するとトリガーオリゴヌクレオチドの生成を促進する。ガイドRNAはトリガーオリゴヌクレオチドを認識し、それによってCRISPRエフェクタータンパク質を活性化するように設計されている。活性化されたCRISPRエフェクタータンパク質によるマスキング構築物の非活性化は、マスキング解除、放出、または検出可能な陽性シグナルの生成をもたらす。
一態様では、本明細書に開示される実施形態は、2つ以上のCRISPR系、対応する標的分子に結合するように設計された1つ以上のガイドRNA、マスキング構築物、及びサンプル中の標的核酸分子を増幅するための任意選択の増幅試薬を含む核酸検出系を対象とする。特定の例示的な実施形態では、システムは、1つ以上の検出アプタマーをさらに含み得る。1つ以上の検出アプタマーは、RNAポリメラーゼ部位またはプライマー結合部位を含み得る。1つ以上の検出アプタマーは、1つ以上の標的ポリペプチドに特異的に結合し、RNAポリメラーゼ部位またはプライマー結合部位が標的ペプチドへの検出アプタマーの結合時にのみ露出するように構成される。RNAポリメラーゼ部位の露出は、テンプレートとしてアプタマー配列を使用してトリガーRNAオリゴヌクレオチドの生成を容易にする。したがって、そのような実施形態では、1つ以上のガイドRNAは、トリガーRNAに結合するように構成される。
別の態様では、本明細書に開示される実施形態は、複数の個別の別個のボリュームを含む診断デバイスを対象とする。各々の個別の別個のボリュームは、CRISPRエフェクタータンパク質と、対応する標的分子に結合するように設計された1つ以上のガイドRNAと、マスキング構築物とを含むCRISPR系を含む。個別の別個のボリュームは、光学バーコード、標的分子、及び/または増幅試薬を含んでもよい。光学バーコードを備えたCRISPR系を含む個別の別個のボリュームを提供することができる。光学バーコードを含み、任意選択で標的分子及び/または増幅試薬を含む、他の個別の別個のボリュームも提供され得る。特定の例示的な実施形態において、RNA増幅試薬は、個別の別個のボリュームに事前にロードされるか、または個別の別個のボリュームへのサンプルまたは標的分子の追加と同時に、その前に、またはその後に個別の別個のボリュームに追加され得る。一態様では、液滴などの個別の別個のボリュームのマージは、マージされた個別の別個のボリュームへの特定の試薬の追加をもたらす。デバイスは、マイクロ流体ベースのデバイス、ウェアラブルデバイス、または個別の別個のボリュームが画定または提供される柔軟な材料基質を含むデバイスであり得る。
別の態様では、本明細書に開示される実施形態は、サンプルまたはサンプルのセット(それら自体の個別の別個のボリュームに含まれ得る)を、各々の個々の個別のボリュームがCRISPRエフェクタータンパク質、1つの標的オリゴヌクレオチドに結合するように設計された1つ以上のガイドRNA、及びマスキング構築物を含む、個別の別個のボリュームのセットに分配することを含む、サンプル中の標的核酸を検出する方法に関する。特に好ましい実施形態におけるそのような分配は、好ましくは、ランダムな液滴分配によるものである。次いで、サンプルのセットは、1つ以上のガイドRNAを1つ以上の標的分子に結合させるのに十分な条件下で維持される。1つ以上のガイドRNAが標的核酸に結合すると、転じてCRISPRエフェクタータンパク質を活性化する。活性化されると、CRISPRエフェクタータンパク質は、例えば、検出可能な陽性シグナルがマスキング解除、放出、または生成されるようにマスキング構築物を切断することにより、マスキング構築物を不活性化する。個別の別個のボリュームにおける陽性の検出可能なシグナルの検出は、標的分子の存在を示す。
さらに別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、ポリペプチドを検出するための方法を対象とする。ポリペプチドの検出方法は、上述の標的核酸の検出方法と同様である。しかしながら、ペプチド検出アプタマーも含まれる。ペプチド検出アプタマーは、上述のように機能し、標的ポリペプチドに結合するとトリガーオリゴヌクレオチドの生成を促進する。ガイドRNAはトリガーオリゴヌクレオチドを認識し、それによってCRISPRエフェクタータンパク質を活性化するように設計されている。活性化されたCRISPRエフェクタータンパク質によるマスキング構築物の非活性化は、マスキング解除、放出、または検出可能な陽性シグナルの生成をもたらす。
セットカバーアプローチ
特定の実施形態において、例えば、ウイルス及び微生物の定義されたセット内のすべてのウイルス及び/または微生物種を同定できるプライマー及び/またはプローブが設計される。特に有利なアプローチは、インフルエンザなどの急速に進化しているウイルスのためのプライマー及び/またはプローブの設計を可能にする。そのような方法は、特定の例示的な実施形態に記載されている。セットカバー解法は、標的配列全体または標的配列のセット、例えばゲノム配列のセットをカバーするために必要な最小数の標的配列プローブまたはプライマーを識別できる。セットカバーアプローチは、通常20~50塩基対の範囲で、プライマー及び/またはマイクロアレイプローブを識別するために以前に使用されている。例えば、Pearson et al.,cs.virginia.edu/~robins/papers/primers_damll_fmal.pdf、Jabado et al.Nucleic Acids Res.2006 34(22):6605-ll、Jabado et al.Nucleic Acids Res.2008,36(l):e3 doi10.1093/nar/gkmll06、Duitama et al.Nucleic Acids Res.2009,37(8):2483-2492、Phillippy et al.BMC Bioinformatics.2009,10:293 doi:10.1186/1471-2105-10-293を参照されたい。このようなアプローチでは、一般に、各プライマー/プローブをk-merとして扱い、完全一致を検索するか、またはサフィックスアレイを使用して不正確一致を可能にする。さらに、これらの方法は、一般に、各入力配列が1つのプライマーまたはプローブによって結合されることのみを必要とし、配列に沿ったこの結合の位置は無関係であるように、プライマーまたはプローブを選択することにより、ハイブリダイゼーションを検出するためのバイナリアプローチを取る。別の方法では、標的ゲノムを事前定義されたウィンドウに分割し、バイナリアプローチの下で各ウィンドウを個別の入力配列として効果的に扱うことができる。すなわち、特定のプローブまたはガイドRNAが各ウィンドウ内で結合するかどうかを決定し、すべてのウィンドウが、いくつかのプライマーまたはプローブの状態によって結合されている必要がある。事実上、これらのアプローチは、セットカバー問題の「ユニバース」の各要素を入力配列全体または入力配列の事前定義されたウィンドウのいずれかとして扱い、各要素は、プローブまたはガイドRNAの開始が、要素内で結合する場合、「カバーされている」とみなされる。
病原体に対するプローブ及びプライマーを開発するための方法であって、入力ゲノム配列のセットを1つ以上の標的病原体に提供することを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、単一のアッセイで所与のウイルスのすべての変異体、または複数の異なるウイルスを同定するために使用され得る。さらに、本明細書に開示される方法は、セットカバー問題における「ユニバース」の各要素を標的配列のヌクレオチドとして扱い、プローブまたはガイドRNAが、要素を含む標的ゲノムのいくつかのセグメントに結合する限り、各要素は「カバーされている」とみなされる。所与のプライマーまたはプローブが所与のウィンドウに結合するか結合しないかを尋ねるだけでなく、そのようなアプローチを使用してハイブリダイゼーションパターンを検出することができる。すなわち、所定のプライマーまたはプローブが1つの標的配列または複数の標的配列に結合する場合、それらのハイブリダイゼーションパターンから、サンプルからの濃縮とありとあらゆる標的配列の配列決定の両方を可能にするのに十分な程度に標的配列のセットをカバーするために必要なプライマーまたはプローブの最小数を決定する。これらのハイブリダイゼーションパターンは、損失関数を最小限に抑える特定のパラメーターを定義することによって決定でき、これにより、例えば、各種の多様性を反映するように、パラメーターを各種に対して変動させることを可能にする方法で、またプライマーまたはプローブの設計コンテキストで以前に適用されたものなど、セットカバー解法の単純なアプリケーションを使用して達成することができないコンピューター的に効率的な方法で、最小限のプローブまたはガイドRNAのセットの同定が可能となる。開示されるセットカバー解決プロセスを標的配列のセットに適用して、1つ以上の標的増幅配列を同定する。実施形態において、1つ以上の標的増幅配列は、標的病原体の設定された入力ゲノム配列間で共有される高度に保存された標的配列である。そのような標的病原体は、例えば、参照により本明細書に具体的に組み込まれる、国際特許公開WO2018/170340、[0289]~[0300]、及び[0347]~[0354]に記載されている通りであり得る。
複数の転写産物の存在量を検出する能力は、特定の表現型を示す独特なウイルスまたは微生物のシグネチャーの生成を可能にできる。様々な機械学習技術を使用して、遺伝子シグネチャーを導き出すことができる。したがって、本発明のプライマー及び/またはプローブを使用して、特定の表現型を検出するために、遺伝子シグネチャーによって定義されるバイオマーカーの相対レベルを同定及び/または定量することができる。特定の例示的な実施形態では、遺伝子シグネチャーは、特定の治療に対する感受性、治療に対する耐性、またはそれらの組み合わせを示す。
本発明の一態様において、方法は、1つ以上の病原体を検出することを含む。このようにして、個々の微生物による対象の感染の区別を得ることができる。いくつかの実施形態では、そのような区別により、臨床医は特定の疾患、例えば、疾患の様々なバリアントを検出または診断することができる。好ましくは、ウイルスまたは病原体配列は、ウイルスもしくは病原体のゲノムまたはその断片である。この方法は、病原体の進化を決定することをさらに含み得る。病原体の進化を決定することは、病原体の変異、例えば、ヌクレオチド欠失、ヌクレオチド挿入、ヌクレオチド置換の同定を含み得る。後者には、非同義、同義、及び非コード置換がある。変異は、アウトブレイク中は非同義であることが多い。この方法は、上述のように分析された2つの病原体配列間の置換率を決定することをさらに含み得る。変異が有害であるか適応性があるかは、機能分析が必要になるが、非同義変異の割合は、この流行の継続的な進行が病原体適応の機会を与える可能性があることを示唆しており、迅速な封じ込めの必要性を強調する。したがって、この方法は、ウイルス適応のリスクを評価することをさらに含むことができ、非同義変異の数が決定される。(Gire,et al.,Science 345,1369,2014)。この方法は、本明細書のいずこかに記載されている診断ガイド設計を含むことができる。
診断ガイド設計を使用して、1つ以上のプライマー、1つ以上のプローブ、またはプライマー対とプローブの組み合わせを生成すると、サンプル内のウイルスまたはその他の病原体の検出を最適化できる。入力ゲノム配列のセットが、2以上のウイルス病原体に由来するゲノム配列を表し得る。生成された1つ以上のプライマー、1つ以上のプローブ、またはプライマー対とプローブの組み合わせは、5つ以上のウイルスの検出のための配列を含むことができる。実施形態において、方法は、汎ウイルス検出を可能にする。特定の実施形態では、入力ゲノム配列のセットが、5、6、7、8、9、10、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、またはそれ以上のウイルスのセットに由来するゲノム配列を表す。
国際特許公開WO/2018/039643及びそこに開示されている、病原体バリアント及び/または病原体種の間で高度に保存された領域を同定する方法、ならびに病原体を検出するための核酸ベースの検出アッセイの開発及び使用のためにそのような領域に向けられたプライマー及びプローブの使用が参照される。本明細書に記載されるように、2つ以上の核酸配列または2つ以上のアミノ酸配列間の同一性/類似性は、同一性パーセンテージ単位で測定された配列間の同一性または類似性に関して表現することができ、パーセンテージが高いほど、配列はより同一性が高い。核酸またはアミノ酸配列の相同体またはオルソログは、標準的な方法を使用して整列させたとき、比較的高い配列同一性/配列類似性を有する。病原性配列のアラインメント及び設計へのアプローチは、参照により具体的に組み込まれる国際特許公開WO/2018/039643の実施例1にさらに記載されている。
比較のための配列のアライメント方法は、当該技術分野で周知である。様々なプログラム及び整列のアルゴリズムは以下に記載される:Smith & Waterman,Adv.Appl.Math.2:482,1981;Needleman & Wunsch,J.Mol.Biol.48:443,1970;Pearson & Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444,1988;Higgins & Sharp,Gene,73:237-44,1988;Higgins & Sharp,CABIOS 5:151-3,1989;Corpet et al.,Nuc.Acids Res.16:10881-90,1988;Huang et al.Computer Appls.in the Biosciences 8,155-65,1992;及びPearson et al.,Meth.Mol.Bio.24:307-31,1994.Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403-10,1990(配列アライメント法と相同性計算の詳細な検討事項を提示する)。NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)(Altschul et al,J.Mol.Biol.215:403-10,1990)は、シーケンス分析プログラムblastp、blastn、blastx、tblastn、及びtblastxと関連して使用するために、Biological Information(NCBI,National Library of Medicine,Building 38A,Room 8N805,Bethesda,MD 20894)を含むいくつかの提供源またはインターネット上で利用可能である。Blastnは核酸配列を比較するために使用され、blastpはアミノ酸配列を比較するために使用される。さらなる情報はNCBIのウェブサイトで見つけることができる。参照により組み込まれる、WO2018/039643の[0100]も参照されたい。
一旦アラインメントされると、一致の数は、同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基が両方の配列中に存在する位置の数を数えることによって決定される。配列同一性パーセントは、一致の数を、同定された配列に記載された配列の長さ、または連結した長さ(同定された配列に記載された配列からの100個の連続するヌクレオチドまたはアミノ酸残基など)のいずれかで割り、続いて結果の値に100を掛けることによって決定される。
プライマーの設計に関しては、ソフトウェアツールに実装された「診断ガイド設計」法を利用して、標的病原体配列に対する方法を利用することができる。ウイルス配列の場合、ウイルス配列のアライメントの入力を利用することができ、その目的は、ガイドと標的との間のいくつかのミスマッチ(通常は1)を許容する入力配列のいくつかの所望の画分(例えば、95%)を検出する、すべてのいくつかの特定のアンプリコン長さ内にあるガイド配列のセットを見つけることである。サブタイピング(または任意の鑑別同定)にとって重要なことは、各コレクションが1つのサブタイプに固有であることを保証する様々なガイドのコレクションを設計することである。実施形態では、この設計アプローチを使用して、診断ガイド設計(「d-g-d」)と他のツールを使用して、種同定用のアンプリコンプライマーとガイド配列を同時に設計する。追加のプライマーとプローブは、PCRにおける追加の特異性、競合、及びミスマッチに関して熱力学と動力学を考慮して設計できる(例えば、Chen et al.,Nature Communications 10,4675(2019)doi:10.1038/s4167-019-12593-9を参照されたい)(例えば、Bustin et al.,DOI:10.1016/j.bdq.2017.11.001を参照されたい)。プローブ及びプライマーを設計するための複数のツールが利用可能であり、ゲノム、標的配列、及びアッセイに合わせて調整することができる。例えば、プライマー設計用のオープンソフトウェアビルディングブロック、D01:10.1371/jounal.pone.0080156;自動化されたマルチプレックスオリゴヌクレオチド設計ツール;DOI:10.1093/ar/gky319;LAMP primers(DOI:10.7717/peerj.6801)複数の検索モードを備えたqPCRツール、例えば、Jeon et al.,DOI:10.1093/nar/gkz323、及びPrimer-BLASTなどのNCBIツールを参照されたい。
RNAベースのマスキング構築物
本明細書で使用されるとき、「マスキング構築物」は、本明細書に記載の活性化されたCRISPR系エフェクタータンパク質によって切断またはさもなければ不活性化され得る分子を指す。「マスキング構築物」という用語は、代わりに「検出構築物」と呼ばれ得る。特定の例示的な実施形態において、マスキング構築物は、RNAベースのマスキング構築物である。RNAベースのマスキング構築物は、CRISPRエフェクタータンパク質によって切断可能なRNA要素を含む。RNA要素の切断は、薬剤を解放するか、検出可能なシグナルが生成されることを可能にする構造変化を生成する。どのようにRNA要素を使用して検出可能なシグナルの生成を防止またはマスキングできるかを示す例示的な構築物が以下に記載されており、本発明の実施形態は、それらの改変を含む。切断の前、またはマスキング構築物が「活性」状態にある場合、マスキング構築物は、検出可能な陽性シグナルの生成または検出をブロックする。特定の例示的な実施形態では、活性RNAマスキング構築物の存在下で最小限のバックグラウンドシグナルが生成され得ることが理解されるであろう。陽性の検出可能なシグナルは、光学的、蛍光的、化学発光的、電気化学的、または当該技術分野で公知の他の検出方法を使用して検出できる任意のシグナルであり得る。「検出可能な陽性シグナル」という用語は、マスキング構築物の存在下で検出可能である可能性のある他の検出可能シグナルと区別するために使用される。例えば、特定の実施形態では、マスキング剤が存在するときに第1のシグナルを検出することができ(すなわち、検出可能な陰性シグナル)、これは、次いで、標的分子の検出時及び活性化されたCRISPRエフェクタータンパク質によるマスキング剤の切断または非活性化時に、第2のシグナル(例えば、検出可能な陽性シグナル)に変換される。
したがって、本発明の特定の実施形態において、RNAベースのマスキング構築物は、検出可能な陽性シグナルの生成を抑制するか、またはRNAベースのマスキング構築物は、検出可能な陽性シグナルをマスキングすることにより、もしくは代わりに検出可能な陰性シグナルを生成することにより、検出可能な陽性シグナルの生成を抑制するか、またはRNAベースのマスキング構築物は、レポーティング構築物によってコードされる遺伝子産物の生成を抑制するサイレンシングRNAを含み、遺伝子産物は、発現時に検出可能な陽性シグナルを生成する。
さらなる実施形態において、RNAベースのマスキング構築物は、検出可能な陰性シグナルを生成するリボザイムであり、リボザイムが不活性化されると、検出可能な陽性シグナルが生成されるか、またはリボザイムが基質を第1の色に変換し、リボザイムが不活性化されたときに基質が第2の色に変換される。
他の実施形態において、RNAベースのマスキング剤はRNAアプタマーであるか、またはアプタマーは酵素を隔離し、酵素は基質に作用することによりアプタマーからの放出時に検出可能なシグナルを生成するか、またはアプタマーは、アプタマーから放出されたときに結合して検出可能なシグナルを生成する剤のペアを隔離する。
別の実施形態では、RNAベースのマスキング構築物は、検出可能なリガンド及びマスキング成分が付着するRNAオリゴヌクレオチドを含む。別の実施形態では、検出可能なリガンドはフルオロフォアであり、マスキング成分はクエンチャー分子、またはNASBAまたはRPA試薬などであるがこれらに限定されない標的RNA分子を増幅する試薬である。
特定の例示的な実施形態では、マスキング構築物は遺伝子産物の生成を抑制し得る。遺伝子産物は、サンプルに加えられるレポーター構築物によってコードされ得る。マスキング構築物は、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)または低分子干渉RNA(siRNA)など、RNA干渉経路に関与する干渉RNAであり得る。マスキング構築物は、マイクロRNA(miRNA)も含み得る。マスキング構築物が存在する間、遺伝子産物の発現を抑制する。遺伝子産物は、蛍光タンパク質もしくは他のRNA転写物、またはさもなければマスキング構築物が存在しない場合は、標識プローブ、アプタマー、または抗体によって検出可能であるタンパク質であり得る。エフェクタータンパク質が活性化されると、マスキング構築物が切断されるか、さもなければサイレンシングされ、遺伝子産物の発現及び検出が検出可能な陽性シグナルとして可能になる。
特定の例示的な実施形態では、マスキング構築物は、検出可能な陽性シグナルを生成するために必要な1つ以上の試薬を隔離し、それによってマスキング構築物からの1つ以上の試薬の放出が検出可能な陽性シグナルの生成をもたらすようにすることができる。1つ以上の試薬を組み合わせて比色シグナル、化学発光シグナル、蛍光シグナル、または他の任意の検出可能なシグナルを生成することができ、そのような目的に適していることが知られている任意の試薬を含むことができる。特定の例示的な実施形態において、1つ以上の試薬は、1つ以上の試薬に結合するRNAアプタマーによって隔離される。標的分子の検出時にエフェクタータンパク質が活性化され、RNAアプタマーが分解されると、1つ以上の試薬が放出される。
特定の例示的な実施形態では、マスキング構築物は、個別の別個のボリューム(以下でさらに定義される)内の固体基質上に固定化され、単一の試薬を隔離することができる。例えば、試薬は色素を含むビーズであり得る。固定化試薬によって隔離された場合、個々のビーズは拡散しすぎて検出可能なシグナルを生成できないが、マスキング構築物からの放出時に、例えば凝集または溶液濃度の単純な増加によって、検出可能なシグナルを生成できる。特定の例示的な実施形態では、固定化されたマスキング剤は、標的分子の検出時に活性化エフェクタータンパク質によって切断され得るRNAベースのアプタマーである。
特定の他の例示的な実施形態では、マスキング構築物は、溶液中で固定化された試薬に結合し、それにより、溶液中で遊離している別個の標識結合パートナーに試薬が結合する能力をブロックする。したがって、サンプルに洗浄ステップを適用すると、標的分子が存在しない状態で、標識された結合パートナーをサンプルから洗い流すことができる。しかしながら、エフェクタータンパク質が活性化されると、マスキング構築物は、マスキング構築物が試薬に結合する能力を妨害するのに十分な程度に切断され、それにより、標識された結合パートナーが固定化試薬に結合できるようになる。したがって、標識された結合パートナーは、洗浄ステップの後も残存し、サンプル中の標的分子の存在を示す。特定の態様において、固定化試薬に結合するマスキング構築物はRNAアプタマーである。固定化試薬はタンパク質であってもよく、標識された結合パートナーは標識された抗体であってもよい。代替的に、固定化試薬はストレプトアビジンであってもよく、標識結合パートナーは標識ビオチンであってもよい。上述の実施形態で使用される結合パートナー上の標識は、当該技術分野で既知の任意の検出可能な標識であり得る。さらに、本明細書に記載の全体的な設計に従って、他の既知の結合パートナーを使用することができる。
特定の例示的な実施形態では、マスキング構築物はリボザイムを含み得る。リボザイムは、触媒特性を持つRNA分子である。リボザイムは、天然及び操作されたものであり、本明細書に開示されるエフェクタータンパク質によって標的とされ得るRNAを含むか、またはRNAからなる。リボザイムは、検出可能な陰性シグナルを生成するか、または陽性対照シグナルの生成を防止する反応を触媒するように選択または操作することができる。活性化エフェクタータンパク質によるリボザイムの不活性化により、陰性対照シグナルを生成する反応、または検出可能な陽性シグナルの生成を妨げる反応が除去され、それにより検出可能な陽性シグナルが生成されることを可能にする。1つの例示的な実施形態において、リボザイムは比色反応を触媒し、溶液を第1の色として見せることができる。リボザイムが不活性化されると、溶液は第2の色に変わり、第2の色は検出可能な陽性シグナルになる。比色反応を触媒するためにリボザイムを使用し得る方法の例は、Zhao et al.“Signal amplification of glucosamine-6-phosphate based on ribozyme glmS,”Biosens Bioelectron.2014;16:337-42に記載され、及びどのようにそのようなシステムが本明細書に開示された実施形態との関連で機能するように変更できるかの例を提供する。代替的に、リボザイムは、存在する場合、例えばRNA転写物の切断産物を生成することができる。したがって、検出可能な陽性シグナルの検出は、リボザイムの非存在下でのみ生成される非切断RNA転写物の検出を含み得る。
特定の例示的な実施形態では、1つ以上の試薬は、比色、化学発光、または蛍光シグナルなどの検出可能なシグナルの生成を促進することのできる、酵素などのタンパク質であり、タンパク質が、1つ以上のRNAアプタマーのタンパク質への結合により、検出可能なシグナルを生成できないように阻害または隔離されている。本明細書に開示されるエフェクタータンパク質の活性化時に、RNAアプタマーは、検出可能なシグナルを生成するタンパク質の能力をもはや阻害しない程度に切断または分解される。特定の例示的な実施形態では、アプタマーはトロンビン阻害剤アプタマーである。特定の例示的な実施形態では、トロンビン阻害剤アプタマーは、GGGAACAAAGCUGAAGUACUUACCC(配列番号5)の配列を有する。このアプタマーが切断されると、トロンビンが活性化し、ペプチドの比色基質または蛍光基質を切断する。特定の例示的な実施形態では、比色基質は、トロンビンのペプチド基質に共有結合しているパラニトロアニリド(pNA)である。トロンビンによって切断されると、pNAが放出されて黄色になり、目に見えやすくなる。特定の例示的な実施形態では、蛍光基質は、蛍光検出器を使用して検出することができる青色蛍光体である7-アミノ-4-メチルクマリンである。阻害アプタマーは、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)、ベータ-ガラクトシダーゼ、または子ウシアルカリホスファターゼ(CAP)にも、上述の一般原則の範囲内で使用できる。
特定の実施形態において、RNase活性は、酵素阻害アプタマーの切断を介して比色分析的に検出される。RNase活性を比色シグナルに変換する1つの潜在的なモードは、RNAアプタマーの切断と、比色出力を生成できる酵素の再活性化を合わせることである。RNA切断がない場合、インタクトなアプタマーは酵素標的に結合し、その活性を阻害する。この読み出しシステムの利点は、酵素が追加の増幅ステップを提供することである:付随活性(例えばCas13a付随活性)を介してアプタマーから解放されると、比色酵素は比色産物を生成し続け、シグナルの増殖をもたらす。
特定の実施形態では、比色読み出しを持つ酵素を阻害する既存のアプタマーが使用される。トロンビン、プロテインC、好中球エラスターゼ、サブチリシンなど、比色読み出しを持ついくつかのアプタマー/酵素のペアが存在する。これらのプロテアーゼは、pNAに基づく比色基質を持ち、市販されている。特定の実施形態では、一般的な比色酵素を標的とする新規アプタマーが使用される。ベータガラクトシダーゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、または子ウシ腸のアルカリホスファターゼなどの一般的で堅牢な酵素は、SELEXなどの選択戦略によって設計された操作されたアプタマーの標的となり得る。このような戦略により、ナノモル結合効率のアプタマーをすばやく選択でき、比色読み出し用の追加の酵素/アプタマーペアの開発に使用できる。
特定の実施形態において、RNase活性は、RNA係留阻害剤の切断を介して比色分析的に検出される。多くの一般的な比色酵素には、競合的で可逆的な阻害剤がある。例えば、ベータガラクトシダーゼはガラクトースによって阻害され得る。これらの阻害剤の多くは弱いが、局所濃度を上げることで効果を高めることができる。阻害剤の局所濃度をRNase活性に関連付けることにより、比色酵素と阻害剤のペアを操作してRNaseセンサーに組み込むことができる。小分子阻害剤に基づく比色RNaseセンサーには、比色酵素、阻害剤、及び阻害剤と酵素の両方に共有結合して阻害剤を酵素に係留する架橋RNAの3つのコンポーネントが含まれる。切断されていない構成では、酵素は小分子の局所濃度の増加によって阻害される。RNAが切断されると(例えば、cas13a付随切断によって)、阻害剤が放出され、比色酵素が活性化される。
特定の実施形態において、RNase活性は、G四重鎖の形成及び/または活性化を介して比色分析的に検出される。DNAのG四重鎖は、ヘム(鉄(III)-プロトポルフィリンIX)と複合体を形成して、ペルオキシダーゼ活性を持つDNAザイムを形成することができる。ペルオキシダーゼ基質(例えば、ABTS:(2,2’-アジノビス[3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸]-ジアンモニウム塩))とともに供給される場合、過酸化水素の存在下でG四重鎖-ヘム錯体が基質の酸化を引き起こし、これにより溶液中で緑色が形成される。G四重鎖を形成するDNA配列の例は、GGGTAGGGCGGGTTGGGA(配列番号6)である。このDNAアプタマーにRNA配列をハイブリダイズさせることにより、G四重鎖構造の形成が制限される。RNase付随的活性化(C2c2複合体側副活性化など)により、RNAステープルが切断され、G四重鎖が形成され、ヘムが結合する。この戦略は特に魅力的である。なぜなら、発色は酵素的であり、RNaseの活性化以外にも追加の増幅があることを意味するためである。
特定の例示的な実施形態では、マスキング構築物は、個別の別個のボリューム(以下でさらに定義される)内の固体基質上に固定化され、単一の試薬を隔離することができる。例えば、試薬は色素を含むビーズであり得る。固定化試薬によって隔離された場合、個々のビーズは拡散しすぎて検出可能なシグナルを生成できないが、マスキング構築物からの放出時に、例えば凝集または溶液濃度の単純な増加によって、検出可能なシグナルを生成できる。特定の例示的な実施形態では、固定化されたマスキング剤は、標的分子の検出時に活性化エフェクタータンパク質によって切断され得るRNAベースのアプタマーである。
1つの例示的な実施形態では、マスキング構築物は、検出剤が溶液中で凝集しているか分散しているかに応じて色を変化させる検出剤を含む。例えば、コロイド金などの特定のナノ粒子は、凝集体から分散粒子に移動するときに、紫から赤への可視的なカラーシフトを受ける。したがって、特定の例示的な実施形態では、そのような検出剤は、1つ以上の架橋分子によって凝集して保持され得る。架橋分子の少なくとも一部はRNAを含む。本明細書に開示されるエフェクタータンパク質の活性化時に、架橋分子のRNA部分が切断され、検出剤が分散し、対応する色の変化をもたらす。例えば、図46を参照されたい。特定の例示的な実施形態において、架橋分子はRNA分子である。特定の例示的な実施形態では、検出剤はコロイド金属である。コロイド金属材料は、液体、ヒドロゾル、または金属ゾル中に分散した水不溶性金属粒子または金属化合物を含むことができる。コロイド金属は、周期表のIA、IB、IIB及びIIIB族の金属、ならびに遷移金属、特にVIII族の金属から選択することができる。好ましい金属には、金、銀、アルミニウム、ルテニウム、亜鉛、鉄、ニッケル及びカルシウムが含まれる。他の適切な金属には、様々な酸化状態のすべての次のものも含まれる:リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、ガリウム、ストロンチウム、ニオブ、モリブデン、パラジウム、インジウム、スズ、タングステン、レニウム、プラチナ、及びガドリニウム。金属は、好ましくは、適切な金属化合物に由来する、イオン形態、例えば、A13+、Ru3+、Zn2+、Fe3+、Ni2+、及びCa2+のイオンとして提供される。
活性化されたCRISPRエフェクターによりRNAブリッジが切断されると、前述のカラーシフトが観察される。特定の例示的な実施形態では、粒子はコロイド金属である。特定の他の例示的な実施形態では、コロイド金属はコロイド金である。特定の例示的な実施形態において、コロイドナノ粒子は、15nmの金ナノ粒子(AuNP)である。コロイド金ナノ粒子の独特の表面特性により、溶液中に完全に分散し、肉眼では赤色に見える場合、520nmで最大吸光度が観察される。AuNPが凝集すると、最大吸光度において赤方偏移し、色が濃くなり、最終的に溶液から暗紫色の凝集体として沈殿する。特定の例示的な実施形態において、ナノ粒子は、ナノ粒子の表面から伸長するDNAリンカーを含むように修飾される。個々の粒子は、RNAの各端でDNAリンカーの少なくとも一部にハイブリダイズする一本鎖RNA(ssRNA)ブリッジによって互いに連結される。したがって、ナノ粒子は、連結された粒子と凝集体の網を形成し、暗い沈殿物として現れる。本明細書に開示されるCRISPRエフェクターの活性化時に、ssRNAブリッジが切断され、連結されたメッシュからAU NPSが解放され、目に見える赤色が生成される。DNAリンカーとRNAブリッジ配列の例を以下に示す。DNAリンカーの末端にあるチオールリンカーは、AuNPSへの表面コンジュゲートに使用できる。他の形態のコンジュゲートが使用されてもよい。特定の例示的な実施形態では、AuNPの2つの集団が、各DNAリンカーに対して1つ生成され得る。これにより、ssRNAブリッジが適切な方向に適切に結合しやすくなる。特定の例示的な実施形態において、第1のDNAリンカーは3’末端によってコンジュゲートされ、第2のDNAリンカーは5’末端によってコンジュゲートされている。
Figure 2022507573000002
特定の他の例示的な実施形態では、マスキング構築物は、検出可能な標識及びその検出可能な標識のマスキング剤が付着するRNAオリゴヌクレオチドを含み得る。このような検出可能な標識/マスキング剤のペアの例は、フルオロフォア及びフルオロフォアのクエンチャーである。フルオロフォアと別のフルオロフォアまたは非蛍光分子との間の非蛍光複合体の形成の結果として、フルオロフォアのクエンチが起こり得る。このメカニズムは、基底状態の複合体形成、静的クエンチング、または接触クエンチングとして知られている。したがって、RNAオリゴヌクレオチドは、フルオロフォア及びクエンチャーが接触クエンチングが起こるのに十分近接するように設計され得る。フルオロフォア及びそれらの同種のクエンチャーは当該技術分野で知られており、当業者がこの目的のために選択することができる。特定のフルオロフォア/クエンチャーのペアは、本発明の文脈において重要ではなく、フルオロフォア/クエンチャーのペアの選択のみが、フルオロフォアのマスキングを確実にする。本明細書に開示されるエフェクタータンパク質の活性化時に、RNAオリゴヌクレオチドが切断され、それにより、接触クエンチング効果を維持するために必要なフルオロフォアとクエンチャーとの間の近接性が切断される。したがって、フルオロフォアの検出は、サンプル中の標的分子の存在を決定するために使用され得る。
特定の他の例示的な実施形態では、マスキング構築物は、金ナノ粒子などの1つ以上の金属ナノ粒子が付着する1つ以上のRNAオリゴヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、マスキング構築物は、閉ループを形成する複数のRNAオリゴヌクレオチドによって架橋された複数の金属ナノ粒子を含む。一実施形態では、マスキング構築物は、閉ループを形成する3つのRNAオリゴヌクレオチドによって架橋された3つの金ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、CRISPRエフェクタータンパク質によるRNAオリゴヌクレオチドの切断は、金属ナノ粒子によって生成される検出可能なシグナルをもたらす。
特定の他の例示的な実施形態では、マスキング構築物は、1つ以上の量子ドットが付着する1つ以上のRNAオリゴヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、CRISPRエフェクタータンパク質によるRNAオリゴヌクレオチドの切断は、量子ドットによって生成される検出可能なシグナルをもたらす。
1つの例示的な実施形態では、マスキング構築物は量子ドットを含み得る。量子ドットは、表面に付着した複数のリンカー分子を有してもよい。リンカー分子の少なくとも一部はRNAを含む。リンカー分子は、量子ドットの一方の端に、及びリンカーの長さに沿ってまたはリンカーの末端で1つ以上のクエンチャーに結合し、量子ドットのクエンチングが発生するのに十分に近接してクエンチャーが維持されるようにする。リンカーは分岐していてもよい。上述のように、量子ドット/クエンチャーのペアは重要ではなく、量子ドット/クエンチャーのペアを選択するだけでフルオロフォアのマスキングが保証される。量子ドット及びそれらの同種のクエンチャーは当該技術分野で知られており、当業者がこの目的のために選択することができる。本明細書に開示されるエフェクタータンパク質の活性化時に、リンカー分子のRNA部分が切断され、それにより、クエンチング効果を維持するために必要な量子ドットと1つ以上のクエンチャーとの間の近接性が排除される。特定の例示的な実施形態では、量子ドットはストレプトアビジンコンジュゲートである。RNAはビオチンリンカーを介して結合され、クエンチング分子を配列/5Biosg/UCUCGUACGUUC/3IAbRQSp/(配列番号10)または/5Biosg/UCUCGUACGUUCUCUCGUACGUUC/3IAbRQSp/(配列番号11)で動員し、ここで、/5Biosg/はビオチンタグであり、/31AbRQSp/はアイオワブラッククエンチャーである。切断すると、本明細書に開示される活性化エフェクターにより、量子ドットは目に見える蛍光を発する。
同様に、蛍光エネルギー移動(FRET)を使用して、検出可能な陽性シグナルを生成することができる。FRETは、エネルギー的に励起されたフルオロフォア(すなわち、「ドナーフルオロフォア」)からの光子が、別の分子(すなわち、「アクセプター」)の電子のエネルギー状態を励起一重項状態のより高い振動レベルに上げる非放射プロセスである。ドナーフルオロフォアは、そのフルオロフォアに特有の蛍光を発することなく基底状態に戻る。アクセプターは、別のフルオロフォアまたは非蛍光分子であり得る。アクセプターがフルオロフォアである場合、伝達されたエネルギーはそのフルオロフォアの蛍光特性として放出される。アクセプターが非蛍光分子の場合、吸収されたエネルギーは熱として損失する。したがって、本明細書に開示される実施形態の文脈において、フルオロフォア/クエンチャーのペアは、オリゴヌクレオチド分子に結合したドナーフルオロフォア/アクセプターのペアで置き換えられる。インタクトである場合、マスキング構築物は、アクセプターから放出された蛍光または熱によって検出される最初のシグナル(検出可能な陰性シグナル)を生成する。本明細書に開示されるエフェクタータンパク質の活性化により、RNAオリゴヌクレオチドが切断され、FRETが破壊され、そのためドナーフルオロフォアの蛍光(検出可能な陽性シグナル)が検出される。
特定の例示的な実施形態では、マスキング構築物は、長いRNAの短いヌクレオチドへの切断に応答してそれらの吸光度を変化させる挿入色素の使用を含む。いくつかのそのような色素が存在する。例えば、ピロニン-YはRNAと複合体を形成し、572nmでの吸光度を有する複合体を形成する。RNAの切断により、吸光度が失われ、色が変化する。メチレンブルーも同様の方法で使用でき、RNA切断時に688nmでの吸光度が変化する。したがって、特定の例示的な実施形態では、マスキング構築物は、本明細書に開示されるエフェクタータンパク質によるRNAの切断時に吸光度を変化させるRNA及び挿入色素複合体を含む。
特定の例示的な実施形態では、マスキング構築物は、HCR反応のための開始剤を含み得る。例えば、Dirks and Pierce.PNAS 101,15275-15728(2004)を参照されたい。HCR反応は、2つのヘアピン種の潜在的エネルギーを利用する。ヘアピンの1つの対応する領域に相補的な部分を有する一本鎖の開始剤が、以前に安定していた混合物に放出されると、1つの種のヘアピンが開かれる。このプロセスでは、転じて、他の種のヘアピンを開く一本鎖領域が露出する。転じて、このプロセスにより、元の開始剤と同一の一本鎖領域が露出する。結果として生じる連鎖反応は、ヘアピン供給が枯渇するまで成長する、ニックのある二重らせんの形成をもたらし得る。得られた生成物の検出は、ゲル上または比色的に行うことができる。比色検出方法の例には、例えば、Lu et al.“Ultra-sensitive colorimetric assay system based on the hybridization chain reaction-triggered enzyme cascade amplification ACS Appl Mater Interfaces,2017,9(1):167-175,Wang et al.“An enzyme-free colorimetric assay using hybridization chain reaction amplification and split aptamers”Analyst 2015,150,7657-7662、及びSong et al.“Non covalent fluorescent labeling of hairpin DNA probe coupled with hybridization chain reaction for sensitive DNA detection.”Applied Spectroscopy,70(4):686-694(2016)に開示されるものが含まれる。
特定の例示的な実施形態では、マスキング構築物は、HCR開始剤配列、及び開始剤がHCR反応を開始するのを妨げる、ループまたはヘアピンなどの切断可能な構造要素を含み得る。活性化されたCRISPRエフェクタータンパク質によって構造要素が切断されると、開始剤が放出されてHCR反応を引き起こし、その検出はサンプル中の1つ以上の標的の存在を示す。特定の例示的な実施形態において、マスキング構築物は、RNAループを有するヘアピンを含む。活性化されたCRISRPエフェクタータンパク質がRNAループを切断すると、開始剤が放出されてHCR反応が誘発され得る。
光学バーコード、バーコード、及び一意の分子識別子(UMI)
本明細書に開示されるシステムは、1つ以上の標的分子の光学バーコード、及び検出CRISPR系に関連する光学バーコードを含み得る。例えば、1つ以上の標的分子及び標的分子を含む目的のサンプルのバーコードを、光学バーコードを含有するCRISPR検出システムを含む液滴とマージすることができる。
本明細書で使用されるとき、「バーコード」という用語は、標的分子及び/または標的核酸などの関連分子の識別子として、または起源細胞などの関連分子の供給源の識別子として使用されるヌクレオチドの短い配列(例えば、DNAまたはRNA)を指す。バーコードはまた、核酸断片の起源を特定するために使用され得る、任意の固有の天然に存在しない核酸配列を指し得る。発明のメカニズムを理解する必要はないが、バーコード配列は、単一細胞、ウイルスベクター、標識リガンド(例えば、アプタマー)、タンパク質、shRNA、sgRNA、またはcDNAに関連するバーコードの高品質の個別読み取りを提供し、そのため、複数の種を一緒に配列決定できるようにすると考えられている。
バーコード化は、その全体が本明細書に組み込まれる特許公開WO2014047561 A1,Compositions and methods for labeling of agentsに開示されている組成物または方法のいずれかに基づいて実行することができる。特定の実施形態では、バーコード化ではエラー訂正スキームを使用する(T.K.Moon,Error Correction Coding:Mathematical Methods and Algorithms(Wiley,New York,ed.1,2005))。理論に縛られることなく、単一細胞からの増幅された配列は、各細胞に関連付けられたバーコードに基づいて一緒に配列決定され、決定される。
光学的にコード化された粒子は、各ウェル内の光学的にコード化された粒子のランダムな組み合わせをもたらす個別のボリュームにランダムに送達されてもよいし、または光学的にコード化された粒子の一意の組み合わせが各個別のボリュームに具体的に割り当てられてもよい。次いで、光学的にコード化された粒子の観察可能な組み合わせを使用して、各個別のボリュームを識別することができる。表現型などの光学的評価は、個別のボリュームごとに作成及び記録することができる。場合によっては、バーコードは、光または蛍光顕微鏡で視覚化できる光学的に検出可能なバーコードであり得る。特定の例示的な実施形態では、光学バーコードは、一連の定義された色から区別可能な色のフルオロフォアまたは量子ドットのサブセットを含む。場合によっては、光学的にコード化された粒子は、各ウェル内の光学的にコード化された粒子のランダムな組み合わせをもたらす個別のボリュームにランダムに送達されてもよいし、または光学的にコード化された粒子の一意の組み合わせが各個別のボリュームに具体的に割り当てられてもよい。
例示的な実施形態では、3つの蛍光色素、例えば、様々なレベルのAlexa Fluor 555、594、647で、105個のバーコードを生成できる。第4の色素を追加して使用することができ、数百の一意のバーコードの規模に拡張することができる。同様に、5色は、色の比率を変えることで達成できる一意のバーコードの数を増やすことができる。異なる比率の色素で標識することにより、正規化後に色素が対数座標で等間隔になるように色素比率を選択することができる。
一実施形態において、各液滴または個別のボリュームで受け取られるフルオロフォアの割り当てられたまたはランダムなサブセット(複数可)は、各個別のボリュームにおける個別の光学的にコード化された粒子の観察可能なパターンを決定し、それにより、各個別のボリュームが独立して識別されることを可能にする。各個々のボリュームは、光学的にコード化された粒子を検出する適切な画像化技術で画像化される。例えば、光学的にコード化された粒子が蛍光標識されている場合、各個別のボリュームは、蛍光顕微鏡を使用して画像化される。別の例では、光学的にコード化された粒子が比色的に標識されている場合、各個別のボリュームは、各カラーラベルに固有の波長または吸収スペクトルまたは発光スペクトルに一致する1以上のフィルターを備えた顕微鏡を使用して画像化される。使用される光学システムに適合する他の検出方法、例えば、量子ドット、色素などを検出するための当該技術分野で知られている方法が企図される。各個別のボリュームについて観察された個別の光学的にコード化された粒子のパターンは、後の使用のために記録することができる。
光学バーコードは、任意選択で一意のオリゴヌクレオチド配列を含むことができ、生成方法は、例えば、国際特許出願公開第WO/2014/047561号の[050]~[0115]に記載されている通りであり得る。1つの例示的な実施形態では、プライマー粒子識別子は標的分子に組み込まれている。当該技術分野で知られている次世代シーケンシング(NGS)技術は、1つ以上の標的配列の配列類似性によるクラスタリングを伴うシーケンシングに使用することができる。配列変動によるアライメントは、整列された配列情報に組み込まれた粒子識別子に基づいて、個別のボリュームに送達された光学的にコード化された粒子の識別を可能にする。一実施形態では、整列された配列情報に組み込まれた各プライマーの粒子識別子は、アンプリコンが生成される対応する個別のボリュームで観察可能である光学的にコード化された粒子のパターンを示す。このようにして、核酸配列の変化を元の個別のボリュームに相関させ、さらにその個別のボリュームの核酸を含む標本で作成された表現型などの光学的評価に一致させることができる。
好ましい実施形態では、配列決定は、一意の分子識別子(UMI)を使用して実行される。本明細書で使用される「一意の分子識別子」(UMI)という用語は、分子タグを使用して一意の増幅産物を検出及び定量化する方法で使用される配列決定リンカーまたは核酸バーコードのサブタイプを指す。UMIは、単一のクローンによる効果と複数のクローンによる効果を区別するために使用される。本明細書で使用されるとき、「クローン」という用語は、配列決定される単一のmRNAまたは標的核酸を指し得る。UMIはまた、増幅産物を生じた転写産物の数、または本明細書に記載の標的バーコードの場合、結合事象の数を決定するために使用され得る。好ましい実施形態では、増幅はPCRまたは多重置換増幅(MDA)によるものである。
特定の実施形態では、4~20塩基対のランダム配列を有するUMIがテンプレートに付加され、増幅され、配列決定される。好ましい実施形態では、UMIはテンプレートの5’末端に付加される。配列決定により高解像度の読み取りが可能になり、真のバリアントの正確な検出が可能になる。本明細書で使用されるとき、「真のバリアント」は、元のクローンに由来するすべての増幅産物に存在し、すべての産物をUMIと整列させることによって識別される。増幅された各クローンは、増幅された産物がそのクローンに由来することを示す異なるランダムUMIを有する。真のバリアントはすべての増幅された産物に存在し、ランダムエラーを表すバックグラウンドは単一の増幅産物にのみ存在するため、増幅プロセスの忠実度に起因するバックグラウンドは排除できる(例えば、Islam S.et al.,2014.Nature Methods No:11,163-166を参照されたい)。理論に縛られることなく、UMIは、増幅または配列決定中に最大4~7のエラーが発生しても、オリジナルへの割り当てが発生するように設計されている。理論に拘束されるものではなく、UMIを使用して真のバーコード配列を識別できる。
一意の分子識別子は、例えば、可変増幅効率のサンプルを正規化するために使用できる。例えば、様々な実施形態において、核酸バーコード(例えば、同じ配列を共有する複数のバーコード)が付着する固体または半固体の支持体(例えば、ヒドロゲルビーズ)を特徴とし、バーコードの各々はさらに、特定の固体または半固体支持体上のすべてのバーコードが個別の一意の分子識別子を受け取るように、一意の分子識別子に結合し得る。次いで、例えば、標的分子が核酸バーコードだけでなく、その固体または半固体支持体に由来する識別子の間で一意の識別子も受け取るように、一意の分子識別子を、関連するバーコードとともに標的分子に移すことができる。
核酸バーコードまたはUMIは、例えば、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、または100ヌクレオチド長であり、一本鎖または二本鎖の形態であり得る。標的分子及び/または標的核酸は、核酸バーコードコンカテマーなどのコンビナトリアル様式で複数の核酸バーコードで標識することができる。典型的には、核酸バーコードを、標的分子及び/または標的核酸を、特定の個別のボリュームに由来するもの、特定の物理的特性(例えば、親和性、長さ、配列など)を有するもの、または特定の治療条件に供されるものとして識別するために使用される。標的分子及び/または標的核酸を複数の核酸バーコードに関連付けて、これらすべての特徴(及びそれ以上)に関する情報を提供できる。一方、UMIの特定の集団の各メンバーは、通常、同一の特定の(例えば、個別のボリューム、物理的特性、または処理条件固有)核酸バーコードの特定のセットの個々のメンバーと関連付けられている(例えば、同じ分子に共有結合しているかその構成要素である)。したがって、例えば、同一または一致するバーコード配列を有する起源特異的核酸バーコードのセットの各メンバー、または他の核酸識別子またはコネクターオリゴヌクレオチドは、区別できるかまたは異なるUMIと関連付けられていてもよい(例えば、同じ分子に共有結合しているかその構成要素である)。
本明細書に開示されるように、一意の核酸識別子は、標的分子及び/または標的核酸、例えば起源特異的バーコードなどを標識するために使用される。核酸識別子、核酸バーコードは、関連する分子、位置、または状態の識別子として使用できるヌクレオチドの短い配列を含むことができる。特定の実施形態において、核酸識別子は、1つ以上の一意の分子識別子及び/またはバーコード受容アダプターをさらに含む。核酸識別子は、例えば、約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、または100塩基対(bp)またはヌクレオチド(nt)の長さを有してもよい。特定の実施形態において、核酸識別子は、ランダムに選択されたインデックス(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のインデックス)を組み合わせることにより、コンビナトリアルな様式で構築され得る。そのような各インデックスは、異なる配列を持つヌクレオチドの短い配列(例えば、DNA、RNA、またはそれらの組み合わせ)である。インデックスは、例えば、約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25bpまたはntの長さを有してもよい。核酸識別子は、例えば、その各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際特許公開第WO2014/047556号及びWO2014/143158号に記載されているもののようなスプリットプール合成方法によって生成することができる。
1つ以上の核酸識別子(例えば、核酸バーコード)を標的分子に付着または「タグ付け」することができる。この結合は、直接的(例えば、標的分子への核酸識別子の共有または非共有結合)または間接的(例えば、追加の分子を介した)であり得る。このような間接的な付着には、例えば、標的分子を認識する特異的結合剤に結合したバーコードが含まれる。特定の実施形態において、バーコードはプロテインGに付着し、標的分子は抗体または抗体断片である。標的分子(例えば、タンパク質及び他の生体分子)へのバーコードの付着は、当該技術分野で周知の標準的な方法を使用して行うことができる。例えば、バーコードは、システイン残基(例えば、C末端システイン残基)を介してリンクできる。他の例では、適切な基特異的試薬を使用して、ポリペプチド上の様々な官能基を介して、バーコードをポリペプチド(例えば、抗体)に化学的に導入できる(例えば、www.drmr.com/abconを参照されたい)。特定の実施形態では、バーコードタグ付けは、本明細書に記載されるように、標的分子と会合した(例えば、付着した)バーコード受容アダプターを介して起こり得る。
標的分子は、任意選択で複数のバーコードをコンビナトリアルな様式で標識でき(例えば、標的分子を特異的に認識する1つ以上の特異的結合剤に結合した複数のバーコードを使用して)、したがって、特定のバーコードプール内で可能な一意の識別子の数を大幅に拡大する。特定の実施形態において、バーコードは、標的分子に付着した成長中のバーコードコンカテマーに、例えば、一度に1つずつ付加される。他の実施形態では、複数のバーコードが、標的分子に付着する前に組み立てられる。複数のバーコードをコンカテマー化するための組成物及び方法は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際特許公開第WO2014/047561号に記載されている。
いくつかの実施形態では、核酸識別子(例えば、核酸バーコード)は、増幅及び配列決定を可能にする配列(例えば、IlluminaシーケンシングのためのSBS3及びP5要素)に付加されてもよい。特定の実施形態では、核酸バーコードは、バーコードの末端に付着したプライマー(例えば、一本鎖DNAプライマー)のハイブリダイゼーション部位をさらに含むことができる。例えば、起源特異的バーコードは、バーコード及び特異的プライマーのハイブリダイゼーション部位を含む核酸であり得る。特定の実施形態では、起源特異的バーコードのセットは、例えばランダム化されたオリゴタイプNNNNNNNNNNNNを使用して作成された一意のプライマー特異的バーコードを含む。
核酸識別子は、例えば、核酸識別子の1つ以上が付着する共通の支持体に特異的な一意の分子識別子及び/または追加のバーコードをさらに含むことができる。したがって、標的分子のプールは、例えば、異なる処理条件を表す複数の固体または半固体の支持体(例えば、ビーズ)を含む個別のボリュームに追加することができ(及び/または、例えば、1つ以上の追加の固体または半固体の支持体を、標的分子プールの導入後、個別のボリュームに連続して追加でき)、そのため、特定の標的分子がさらされた条件の正確な組み合わせは続いて、それに関連付けられている一意の分子識別子を配列決定することによって決定できる。
標識された標的分子及び/または標的核酸に関連する起源特異的核酸バーコード(任意選択で、本明細書に記載の他の核酸バーコードと組み合わせて)は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの当該技術分野で公知の方法によって増幅することができる。例えば、核酸バーコードは、PCR増幅及びその後のハイスループット配列決定のためのPCRプライマーが結合できるユニバーサルプライマー認識配列を含むことができる。特定の実施形態では、核酸バーコードは、バーコード及び配列決定アダプター要素が両方とも標的分子に結合するように、配列決定アダプター(例えば、ユニバーサルプライマー認識配列)を含むか、またはそれに結合される。特定の例では、起源特異的バーコードの配列は、例えばPCRを使用して増幅される。いくつかの実施形態では、起源特異的バーコードはさらに配列決定アダプターを含む。いくつかの実施形態では、起源特異的バーコードはさらにユニバーサルプライミング部位を含む。核酸バーコード(またはそのコンカテマー)、標的核酸分子(例えば、DNAまたはRNA分子)、標的ペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸、及び/または特異的結合剤をコードする核酸は、任意選択で、当該技術分野で既知の任意の方法、例えば、次世代シーケンシングまたはディープシーケンシングとしても知られるハイスループットシーケンシングの方法によって配列決定される。バーコード(例えば、起源特異的バーコード)で標識された核酸標的分子をバーコードで配列決定して、標的分子とバーコードの両方の配列またはその一部を含む単一の読み取り及び/またはコンティグを生成することができる。例示的な次世代シーケンシング技術には、例えば、とりわけ、Illuminaシーケンシング、Ion Torrentシーケンシング、454シーケンシング、SOLiDシーケンシング、ナノポアシーケンシングなどが含まれる。いくつかの実施形態では、標識された標的分子の配列は非配列決定ベースの方法によって決定される。例えば、可変長のプローブまたはプライマーを使用して、例えば、バーコードの長さ、標的核酸の長さ、または標的ポリペプチドをコードする核酸の長さなどによって、異なる標的分子を標識するバーコード(例えば、起源特異的バーコード)を区別できる。他の例では、バーコードは、例えば、特定の標的分子(例えば、ポリペプチド、核酸、小分子、または脂質)の分子のタイプを識別する配列を含むことができる。例えば、複数のタイプの標的分子を含む標識された標的分子のプールにおいて、ポリペプチド標的分子は1つの識別配列を受け取ることができ、標的核酸分子は異なる識別配列を受け取ることができる。このような識別配列は、例えば、特定の種類の標的分子に特異的な識別配列に特異的なPCRプライマーを使用することにより、特定の種類の標的分子を標識するバーコードを選択的に増幅するために使用することができる。例えば、ポリペプチド標的分子を標識するバーコードをプールから選択的に増幅することができ、それにより標的分子プールのポリペプチドサブセットからバーコードのみを取り出すことができる。
核酸バーコードは、例えば切断後に配列決定されて、標的分子の存在、量、または他の特徴を決定することができる。特定の実施形態において、核酸バーコードは、さらなる核酸バーコードにさらに付着することができる。例えば、核酸バーコードは、特異的結合剤が標的分子またはタグ(例えば、標的分子から切断されたコード化されたポリペプチド識別子要素)に結合した後、特異的結合剤から切断され、次いで、核酸バーコードは、起源特異的バーコードに連結できる。結果として生じる核酸バーコードコンカテマーは、他のそのようなコンカテマーとプールされ、配列決定され得る。配列決定読み取りを使用して、どの標的分子がどの個別ボリュームに元々存在していたかを特定できる。
固体基板に可逆的に結合したバーコード
いくつかの実施形態では、起源特異的バーコードが固体または半固体の基板に可逆的に結合される。いくつかの実施形態では、起源特異的バーコードは、標的核酸に特異的に結合する核酸捕捉配列及び/または標的分子に特異的に結合する特異的結合剤をさらに含む。特定の実施形態では、起源特異的バーコードは起源特異的バーコードの2つ以上の集団を含み、第1の集団は核酸捕捉配列を含み、第2の集団は標的分子に特異的に結合する特異的結合剤を含む。いくつかの例において、起源特異的バーコードの第1の集団は、標的核酸バーコードをさらに含み、標的核酸バーコードは、核酸を標識するものとして集団を識別する。いくつかの例において、起源特異的バーコードの第2の集団は、標的分子バーコードをさらに含み、標的分子バーコードは、標的分子を標識するものとして集団を識別する。
切断部位を有するバーコード
核酸バーコードは、例えば、特異的結合剤が標的分子に結合した後、特異的結合剤から切断可能であり得る。いくつかの実施形態では、起源特異的バーコードはさらに1つ以上の切断部位を含む。いくつかの例において、少なくとも1つの切断部位は、その部位での切断が、それが結合しているビーズ、例えばヒドロゲルビーズなどの基板から起源特異的バーコードを放出するように配向されている。いくつかの例において、少なくとも1つの切断部位は、その部位での切断が標的分子特異的結合剤から起源特異的バーコードを放出するように配向されている。いくつかの例では、切断部位は、特定の核酸配列に存在するエンドヌクレアーゼ部位などの酵素切断部位である。他の実施形態において、切断部位は、特定の酵素がアミノ酸配列を切断できるようなペプチド切断部位である。さらに他の実施形態では、切断部位は化学的切断の部位である。
バーコードアダプター
いくつかの実施形態では、標的分子は、核酸などの起源特異的バーコード受容アダプターに結合される。いくつかの例では、起源特異的バーコード受容アダプターはオーバーハングを含み、起源特異的バーコードはオーバーハングにハイブリダイズできる配列を含む。バーコード受容アダプターは、起源特異的核酸バーコードなどの核酸バーコードを受容または受けるように構成される分子である。例えば、バーコード受容アダプターは、例えば、バーコードに核酸バーコードの一部または全体に相補的な配列を介して、所与のバーコード(例えば、起源特異的バーコード)にハイブリダイズできる一本鎖核酸配列(例えば、オーバーハング)を含むことができる。特定の実施形態では、バーコードのこの部分は、個々のバーコード間で一定に保持される標準配列である。ハイブリダイゼーションにより、バーコード受容アダプターがバーコードに結合する。いくつかの実施形態では、バーコード受容アダプターが標的分子に会合していて(例えば、付着していて)もよい。このように、バーコード受容アダプターは、起源特異的バーコードを標的分子に付着させる手段として機能することができる。バーコード受容アダプターは、当該技術分野で既知の方法に従って標的分子に付着することができる。例えば、バーコード受容アダプターは、システイン残基(例えば、C末端システイン残基)でポリペプチド標的分子に付着することができる。バーコード受容アダプターを使用して、1つ以上の標的分子に関連する特定の状態、例えば、起源細胞または起源の個別のボリュームなどを識別することができる。例えば、標的分子は、細胞によって発現される細胞表面タンパク質であり得、細胞特異的バーコード受容アダプターを受容する。細胞が1つ以上の条件にさらされると、バーコード受容アダプターを1つ以上のバーコードに結合させることができ、標的分子の元の起源細胞及び細胞がさらされている各々の状態は、その後、バーコード受容アダプター/バーコードコンカテマーの配列を特定することによって決定することができる。
捕捉部分を有するバーコード
いくつかの実施形態では、起源特異的バーコードには、共有結合または非共有結合で結合した捕捉部分がさらに含まれる。したがって、いくつかの実施形態では、捕捉部分を含む、起源特異的バーコード、及びそこに結合または付着したいずれかのものは、捕捉部分に特異的に結合する特異的結合剤で捕捉される。いくつかの実施形態では、捕捉部分が表面に吸着またはさもなければ捕捉される。特定の実施形態では、標的プローブは、例えば、インビトロ転写中にビオチン-16-UTPを組み込むことにより、ビオチンで標識され、後でストレプトアビジンによる捕捉が可能になる。起源特異的バーコードを標識、捕捉、及び検出する他の手段には、アミノアリル標識ヌクレオチドの取り込み、スルフヒドリル標識ヌクレオチドの取り込み、アリルまたはアジド含有ヌクレオチドの取り込み、及び参照により本明細書に具体的に組み込まれる、Bioconjugate Techniques(2nd Ed),Greg T.Hermanson,Elsevier(2008)に記載される他の多数の方法が含まれる。いくつかの実施形態では、標的プローブは、サンプルに接触する前に、アミノアリル標識ヌクレオチドの取り込みに続いて1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)のカルボキシ活性化固体支持体へのカップリングなどの方法を使用して、またはBioconjugate Techniquesに記載される他の方法を使用して、固体支持体または他の捕捉デバイスに共有結合される。いくつかの実施形態では、特異的結合剤が例えば固体支持体に固定化されており、それにより起源特異的バーコードを単離する。
他のバーコード化の実施形態
DNAバーコード化は、生物のDNA内の短い遺伝子マーカーを使用して、特定の種に属するものとして識別する分類学的手法でもある。これは、主な目的が分類を決定することではなく、既知の分類に関して未知のサンプルを特定することであるという点で、分子系統発生学とは異なる。Kress et al.,“Use of DNA barcodes to identify flowering plants”Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.102(23):8369-8374(2005)。バーコードは、未知の種を識別する、または種を組み合わせるもしくは分離する必要があるかどうかを評価するためにしばしば使用される。Koch H.,“Combining morphology and DNA barcoding resolves the taxonomy of Western Malagasy Liotrigona Moure,1961”African Invertebrates 51(2):413-421(2010)、及びSeberg et al.,“How many loci does it take to DNA barcode a crocus?”PLoS One 4(2):e4598(2009)。例えば、花や果実を得られない場合でも植物の葉を識別する、胃の内容物や糞に基づいて動物の食事を識別する、または商業製品(ハーブのサプリメントまたは木材など)を識別するために、バーコードが使用されている。Soininen et al.,“Analysing diet of small herbivores:the efficiency of DNA barcoding coupled with high-throughput pyrosequencing for deciphering the composition of complex plant mixtures”Frontiers in Zoology 6:16(2009)。
DNAバーコード化にとって望ましい遺伝子座を標準化して、その遺伝子座の配列の大規模なデータベースを開発できるようにする必要があることが示唆されている。関心のある分類群のほとんどは、種特異的PCRプライマーなしで配列決定可能な遺伝子座を持っている。CBOL Plant Working Group,“A DNA barcode for land plants”PNAS 106(31):12794-12797(2009)。さらに、これらの推定バーコード遺伝子座は、現在の技術で簡単に配列決定できるほど短いと考えられている。Kress et al.,“DNA barcodes:Genes,genomics,and bioinformatics”PNAS 105(8):2761-2762(2008)。したがって、これらの遺伝子座は、種内の比較的少量の変動と組み合わせて、種間の大きな変動を提供する。Lahaye et al.,“DNA barcoding the floras of biodiversity hotspots”Proc Natl Acad Sci USA 105(8):2923-2928(2008)。
DNAバーコード化は、比較的単純な概念に基づいている。例えば、ほとんどの真核細胞にはミトコンドリアが含まれており、ミトコンドリアDNA(mtDNA)の変異速度は比較的速いため、種間でmtDNA配列に大きな変化が生じ、原則として、種内では比較的小さな差異が生じる。ミトコンドリアのシトクロムcオキシダーゼサブユニット1(CO1)遺伝子の648-bp領域が、潜在的な「バーコード」として提案された。2009年の時点で、CO1配列のデータベースには、58,000種を超える動物種からの少なくとも620,000の標本が含まれており、他のいずれかの遺伝子で利用可能なデータベースよりも大規模である。Ausubel,J.,“A botanical macroscope”Proceedings of the National Academy of Sciences 106(31):12569(2009)。
DNAバーコード化のソフトウェアには、フィールド情報管理システム(FIMS)、ラボ情報管理システム(LIMS)、配列分析ツール、フィールドデータとラボデータを接続するためのワークフロー追跡、データベース送信ツール、及びエコシステム規模のプロジェクトにスケールアップするためのパイプライン自動化の統合が必要である。Geneious Proは配列分析コンポーネントに使用でき、Moorea Biocode Projectを通じて無料で入手できる2つのプラグイン、Biocode LIMS及びGenbank Submissionプラグインが、FIMS、LIMS、ワークフロー追跡、及びデータベース送信との統合を処理する。
さらに、他のバーコード設計とツールについても記載されている(例えば、Birrell et al.,(2001)Proc.Natl Acad.Sci.USA 98,12608-12613、Giaever,et al.,(2002)Nature 418,387-391、Winzeler et al.,(1999)Science 285,901-906、及びXu et al.,(2009)Proc Natl Acad Sci USA.Feb 17;106(7):2289-94を参照されたい)。
本明細書に記載の標的分子は、任意の標的核酸配列を含むことができ、実施形態において、1つ以上のガイドRNAは、疾患状態に特徴的な1つ以上の標的分子に結合するように設計される。さらなる実施形態において、疾患状態は、感染症、臓器疾患、血液疾患、免疫系疾患、がん、脳及び神経系疾患、内分泌疾患、妊娠または出産関連疾患、遺伝性疾患、または環境によって獲得される疾患である。なおさらなる実施形態において、疾患状態は、微生物感染症を含む感染症である。
さらなる実施形態では、感染症はウイルス、細菌、もしくは真菌によって引き起こされるか、または感染症はウイルス感染症である。特定の実施形態では、ウイルス感染は、二本鎖RNAウイルス、プラス鎖RNAウイルス、マイナス鎖RNAウイルス、レトロウイルス、またはそれらの組み合わせによって引き起こされる。特定の実施形態において、用途は、多重化された株識別を達成することができる。いくつかの実施形態では、病原菌サブタイピングを検出でき、一実施形態では、インフルエンザサブタイピング、Staphまたはstrepサブタイピング、及び細菌の重複感染サブタイプの検出を行うことができる。1つの好ましい実施形態では、インフルエンザAウイルスのすべてのH及びNサブタイプの多重検出及び同定を行うことができる。一態様において、プールされた(または配列された)crRNAは、サブタイプ内の変動を捕捉するために使用される。特定の場合によっては、感染症はHIVである。一実施形態において、HIV逆転写酵素における薬剤耐性変異は、SNP検出を介して行うことができる。いくつかの実施形態では、変異はK65R、K103N、V106M、Y181C、M184V、G190Aであってよい。同様に、結核などの他の感染症におけるSNP検出を行うことができる。いくつかの実施形態では、変異はkatG、315ACC;イソニアジド耐性、rpoB、531TTG:リファンピン耐性、gyrA、94GGC:フルオロキノロン耐性、rrs、1401G:アミノグリコシド耐性であってよい。さらに、HIV/TBの同時感染も検出できる。汎ウイルス、ウイルスゾーン汎ウイルス、汎細菌、または汎病原菌の検出のための大規模な多重化を実現できる。
本明細書に記載されるように、本発明で使用するための標的分子を含むサンプルは、食品サンプル(新鮮な果物または野菜、肉)、飲料サンプル、紙の表面、布地の表面、金属表面、木材表面、プラスチック表面、土壌サンプル、淡水サンプル、廃水サンプル、塩水サンプル、大気への暴露または他のガスサンプル、またはそれらの組み合わせなどの生物学的または環境的サンプルであり得る。例えば、金属、木材、プラスチック、ゴムなどを含むがこれらに限定されない任意の材料で作られた家庭用/商業用/工業用の表面は、綿棒で拭き取り、汚染物質について試験することができる。土壌サンプルは、環境目的及び/またはヒト、動物、または植物の病気の検査のために、病原性細菌または寄生虫、または他の微生物の存在について検査することができる。淡水サンプル、廃水サンプル、または塩水サンプルなどの水サンプルは、清潔さと安全性、及び/または可搬性について評価して、例えば、Cryptosporidium parvum、Giardia lambda、またはその他の微生物汚染の存在を検出できる。さらなる実施形態では、生体サンプルは、組織サンプル、唾液、血液、血漿、血清、大便、尿、痰、粘膜、リンパ液、滑液、脳脊髄液、腹水、胸水、漿液腫、膿、または皮膚もしくは粘膜表面のスワブを含むがこれらに限定されない供給源より取得できる。いくつかの特定の実施形態では、環境サンプルまたは生体サンプルは粗サンプルであり得、及び/または1つ以上の標的分子は、方法の適用前にサンプルから精製または増幅されなくてもよい。微生物の同定は、様々な用途に有用であり、及び/または必要であり、したがって、当業者によって適切とみなされる任意の供給源からの任意のタイプのサンプルが本発明に従って使用され得る。
いくつかの実施形態では、生体サンプルには、血液、血漿、血清、尿、大便、痰、粘液、リンパ液、滑液、胆汁、腹水、胸膜滲出液、血清腫、唾液、脳脊髄液、房水もしくは硝子体液、または任意の体の分泌物、濾出液、浸出液、または関節から得られた体液、または皮膚もしくは粘膜表面のスワブが含まれ得るが、必ずしもこれらに限定されるわけではない。
特定の実施形態では、サンプルは、ヒト患者から得られた血液、血漿、または血清であり得る。
いくつかの実施形態では、サンプルは植物サンプルであり得る。いくつかの実施形態では、サンプルは粗サンプルであり得る。いくつかの実施形態では、サンプルは精製されたサンプルであり得る。
マイクロウェルのアレイを含むマイクロ流体デバイス
マイクロ流体デバイスは、マイクロウェルの下に少なくとも1つのフローチャネルを備えたマイクロウェルのアレイを含む。特定の例示的な実施形態では、デバイスは、異なる液滴(すなわち、個々の個別のボリューム)を生成及び/またはマージするマイクロ流体デバイスである。例えば、スクリーニングされるサンプルを含む第1のセットの液滴が形成され、本明細書に記載のシステムの要素を含む第2のセットの液滴が形成されてもよい。次に、第1及び第2の液滴セットがマージされ、次に、マージ液滴セットに対して、本明細書に記載の診断方法が実行される。
本明細書に開示されるマイクロ流体デバイスは、シリコーンベースのチップであり、ホットエンボス加工、エラストマーの成形、射出成形、LIGA、ソフトリソグラフィ、シリコン加工、及び関連する薄膜処理技術を含むがこれらに限定されない様々な技術を使用して製造することができる。マイクロ流体デバイスを製造するための適切な材料には、環状オレフィン共重合体(COC)、ポリカーボネート、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)、及びポリ(メチルアクリレート)(PMMA)が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、PDMSにおけるソフトリソグラフィを使用して、マイクロ流体デバイスを調製することができる。例えば、基板内のフローチャネル、バルブ、及びフィルターの位置を定義するフォトリソグラフィを使用して型を作成することができる。基板材料を型に流し込み、硬化させてスタンプを作成する。次いで、スタンプは、ガラスなどであるがこれに限定されない固体支持体に密封される。一部のタンパク質を吸収し、特定の生物学的プロセスを阻害する可能性があるPDMSなどの一部のポリマーの疎水性のため、不動態化剤が必要になる場合がある(Schoffner et al.Nucleic Acids Research,1996,24:375-379)。適切な不動態化剤は当該技術分野で知られており、シラン、パリレン、n-ドデシル-b-D-マトシド(DDM)、プルロニック、Tween-20、他の同様の界面活性剤、ポリエチレングリコール(PEG)、アルブミン、コラーゲン、ならびに他の類似のタンパク質及びペプチドが含まれるが、これらに限定されない。
本発明の文脈で使用できるマイクロ流体デバイスの例は、参照により本明細書に組み込まれる、Kulesa,et al.PNAS,115,6685-6690に記載される。
特定の例示的な実施形態では、デバイスは、マイクロプレートウェルなどの個々のウェルを含み得る。マイクロプレートのウェルのサイズは、標準の6、24、96、384、1536、3456、または9600サイズのウェルのサイズであってよい。特定の実施形態において、マイクロウェルの数は、40,0000超または190,000超であってよい。特定の例示的な実施形態では、本明細書に記載のシステムの要素は、配布及び使用の前に、凍結乾燥され、ウェルの表面に適用されてもよい。
マイクロウェルチップは、代理人整理番号52199-505P03US、または参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/559,381号に開示されているように設計することができる。一実施形態では、マイクロウェルチップは、49200個のマイクロウェルを含む約6.2×7.2cmのフォーマット、または97,194個のマイクロウェルを含む7.4×10cmの大きなフォーマットで設計することができる。マイクロウェルのアレイは、例えば、直径約50~300μm、特定の実施形態では、10%の重なりに設定された直径150μmの2つの円として成形することができる。マイクロウェルのアレイは、ウェル間の間隔が50μmの六角格子に配置することができる。場合によっては、様々な数の液滴を保持するために、マイクロウェルを他の形状、間隔、及びサイズで配置することができる。マイクロウェルチップは、いくつかの実施形態では、有利にも、顕微鏡などの画像化装置を含む標準的な実験装置で使用できるサイズである。
例示的な方法では、化合物を蛍光色素(例えば、Alexa Fluor555、594、647)の一意の比率で混合することができる。標的分子と色素混合物の各混合物は、液滴に乳化することができる。同様に、光学バーコードを備えた各検出CRISPR系は、液滴に乳化できる。いくつかの実施形態では、各液滴は約1nLである。次に、CRISPR検出システムの液滴と標的分子の液滴を組み合わせて、マイクロウェルチップに適用することができる。液滴は、単純な混合または他の組み合わせ方法によって組み合わせることができる。1つの例示的な実施形態において、マイクロウェルチップは、クランプまたは例えばネオジム磁石であり得る他の固定手段によって上下からクランプできる取り外し可能なスペーサーを備えた疎水性スライドガラスなどのプラットフォーム上に吊り下げられる。スペーサーによって作成されたチップとガラスの間のギャップに油をロードし、液滴のプールをチップに注入し、さらに油を注入して余分な液滴を排出することで液滴を流し続けることができる。ロードが完了すると、チップを油で洗浄し、スペーサーを取り外してマイクロウェルをスライドガラスに対して密閉し、クランプを閉じることができる。チップは、例えば落射蛍光顕微鏡で画像化することができ、液滴をマージして、例えばコロナ処理装置によって供給されるAC電場を印加することにより各マイクロウェル内の化合物を混合し、続いて所望のプロトコールに従って処理することができる。一実施形態において、マイクロウェルは、落射蛍光顕微鏡を使用して蛍光を測定しながら、37℃でインキュベートすることができる。液滴の操作に続いて、さらなる分析、処理、及び/または操作のために、本明細書に記載されるように、液滴をマイクロウェルから溶出することができる。
開示されるデバイスは、入口及び出口ポート、または開口部をさらに含むことができ、これは、バルブ、チューブ、チャネル、チャンバー、ならびにデバイスへの流体の導入及びデバイスからの流体の抽出のためのシリンジ及び/またはポンプに接続され得る。デバイスは、マイクロ流体デバイス内の流体の方向移動を可能にする流体フローアクチュエータに接続されてもよい。アクチュエータの例には、シリンジポンプ、機械的に作動する再循環ポンプ、電気浸透圧ポンプ、バルブ、ベローズ、ダイヤフラム、または流体の移動を強制するためのバブルが含まれるが、これらに限定されない。特定の例示的な実施形態では、デバイスは、デバイスを通して流体を移動させるために協働するプログラム可能なバルブを備えたコントローラに接続されている。特定の例示的な実施形態では、デバイスは、以下でさらに詳細に議論されるコントローラに接続される。デバイスは、デバイスの入口ポートに挿入するための金属ピンで終わるチューブによって、フローアクチュエータ、コントローラ、及びサンプルローディングデバイスに接続することができる。
本発明は、無線ラボオンチップ(LOC)診断センサーシステムとともに使用することができる(例えば、米国特許第9,470,699号「Diagnostic radio frequency identification sensors and applications thereof」を参照されたい)。特定の実施形態では、本発明は、無線デバイス(例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、タブレット)によって制御されるLOCで実行され、結果は前記デバイスに報告される。
無線自動識別(RFID)タグシステムには、RFIDリーダー(インテロゲータとも呼ばれる)による受信用のデータを送信するRFIDタグが含まれる。典型的なRFIDシステムでは、個々のオブジェクト(例えば、店舗の商品)には、トランスポンダーを含む比較的小さなタグが装備されている。トランスポンダーには、一意の電子製品コードが割り当てられたメモリチップがある。RFIDリーダーは、通信プロトコールを使用してタグ内のトランスポンダーをアクティブにするシグナルを発信する。したがって、RFIDリーダーは、タグに対してデータを読み書きすることができる。さらに、RFIDタグリーダーは、RFIDタグシステム用途に従ってデータを処理する。現在、パッシブ型とアクティブ型のRFIDタグが存在する。パッシブタイプのRFIDタグは、内部電源を含んでいないが、RFIDリーダーから受信した無線周波数シグナルによって電力が供給される。代替的に、アクティブ型のRFIDタグは、アクティブ型のRFIDタグがより大きな送信範囲とメモリ容量を有することを可能にする内部電源を含む。パッシブ型タグとアクティブ型タグの使用は、特定の用途に依存する。
ラボオンチップ(Lab-on-the chip)テクノロジーは科学文献によく記載されており、複数のマイクロ流体チャネル、入力または化学ウェルで構成される。RFID電子チップからの導電性リードを各試験ウェルに直接接続できるため、無線自動識別(RFID)タグ技術を使用してウェル内の反応を測定できる。アンテナは、電子チップの別の層に印刷またはマウントするか、デバイスの背面に直接取り付けることができる。さらに、リード、アンテナ、及び電子チップをLOCチップに埋め込むことができるため、電極または電子機器の短絡を防ぐことができる。LOCにより複雑なサンプルの分離と分析が可能になるため、このテクノロジーにより、複雑または高価なリーダーと独立してLOC試験を行うことができる。むしろ、携帯電話またはPDAなどの単純な無線デバイスを使用できる。一実施形態では、無線デバイスは、より複雑なLOC分析のためにマイクロ流体チャネルの分離及び制御も制御する。一実施形態では、LED及び他の電子測定または感知装置がLOC-RFIDチップに含まれる。理論に縛られることなく、この技術は使い捨てであり、分離と混合を必要とする複雑な試験を実験室の外で行うことを可能にする。
好ましい実施形態では、LOCはマイクロ流体デバイスであり得る。LOCはパッシブ型チップであってもよく、チップは無線デバイスを介して電力供給及び制御される。特定の実施形態では、LOCは、試薬を保持するためのマイクロ流体チャネル及びサンプルを導入するためのチャネルを含む。特定の実施形態では、無線デバイスからのシグナルがLOCに電力を供給し、サンプルとアッセイ試薬の混合を活性化する。具体的には、本発明の場合、システムは、マスキング剤、CRISPRエフェクタータンパク質、及び標的分子に特異的なガイドRNAを含み得る。LOCが活性化すると、マイクロ流体デバイスはサンプルとアッセイ試薬を混合することができる。混合すると、センサーがシグナルを検出し、結果を無線デバイスに送信する。特定の実施形態において、マスキング解除剤は、導電性RNA分子である。導電性RNA分子は、導電性材料に付着することができる。導電性分子は、導電性ナノ粒子、導電性タンパク質、タンパク質もしくはラテックスに付着した金属粒子、または導電性の他のビーズであり得る。特定の実施形態において、DNAまたはRNAが使用される場合、導電性分子は、適合するDNAまたはRNA鎖に直接付着することができる。導電性分子の放出は、センサー全体で検出することができる。アッセイは一段階プロセスであり得る。
表面積の電気伝導度を正確に測定できるため、使い捨て無線RFIDエレクトロアッセイで定量的な結果が可能である。さらに、試験領域を非常に小さくできるため、特定のエリアでより多くの試験を実行できるため、結果としてコストを節約できる。特定の実施形態において、それぞれが異なるCRISPRエフェクタータンパク質に関連する別個のセンサー及びセンサーに固定化されたガイドRNAが、複数の標的分子を検出するために使用される。理論に拘束されることなく、様々なセンサーの活性化は、無線デバイスによって区別される。
本明細書に記載の導電性方法に加えて、使い捨てRFIDアッセイのための基本的な低コスト通信及び電力プラットフォームとしてRFIDまたはBluetoothに依存する他の方法を使用することができる。例えば、光学的手段を使用して、所与の標的分子の存在及びレベルを評価することができる。特定の実施形態において、光学センサーは、蛍光マスキング剤のマスキング解除を検出する。
特定の実施形態では、本発明のデバイスは、アッセイの診断的読み取りのためのハンドヘルドポータブルデバイスを含むことができる(例えば、Vashist et al.,Commercial Smartphone-Based Devices and Smart Applications for Personalized Healthcare Monitoring and Management,Diagnostics 2014,4(3),104-128;mReader from Mobile Assay;及びHolomic Rapid Diagnostic Test Readerを参照されたい)。
本明細書に記載されるように、特定の実施形態は、実施形態がPOC状況及びまたはシグナルを読み取るためのより複雑な検出機器へのアクセスが制限される可能性のある資源の乏しい環境で利用される場合に、特定の付随する利点を有する比色変化による検出を可能にする。しかしながら、本明細書に開示されるポータブル実施形態は、可視範囲外のシグナルの検出を可能にするハンドヘルド分光光度計と結合することもできる。本発明と組み合わせて使用できるハンドヘルド分光光度計デバイスの例は、Das et al.“Ultra-portable,wireless smartphone spectrophotometer for rapid,non-destructive testing of fruit ripeness.”Nature Scientific Reports.2016,6:32504,DOI:10.1038/srep32504に記載される。最後に、量子ドットベースのマスキング構築物を利用する特定の実施形態では、量子ドットによって提供されるほぼ完全な量子収量のために、ハンドヘルドUV光または他の適切なデバイスの使用が首尾よく使用されてシグナルを検出することができる。
個々の個別のボリューム
いくつかの実施形態では、CRISPR系は、個々の個別のボリュームに含まれており、各個別のボリュームは、CRISPRエフェクタータンパク質、対応する標的分子に結合するように設計された1つ以上のガイドRNA、及びRNAベースのマスキング構築物を含む。場合によっては、これらの個々の個別のボリュームのそれぞれが液滴である。特に好ましい実施形態では、液滴は第1のセットの液滴として提供され、各液滴はCRISPR系を含む。いくつかの実施形態では、標的分子またはサンプルは個々の個別のボリュームに含まれ、各個々の個別のボリュームは標的分子を含む。場合によっては、これらの個々の個別のボリュームのそれぞれが液滴である。特に好ましい実施形態では、液滴は第2のセットの液滴として提供され、各液滴は標的分子を含む。
一態様では、本明細書に開示される実施形態は、CRISPR系、対応する標的分子に結合するように設計された1つ以上のガイドRNA、マスキング構築物、及びサンプル中の標的核酸分子を増幅するための任意選択の増幅試薬を含む核酸検出システムに向けられた第1のセットの液滴を含むことができる。特定の例示的な実施形態では、システムは、1つ以上の検出アプタマーをさらに含み得る。1つ以上の検出アプタマーは、RNAポリメラーゼ部位またはプライマー結合部位を含み得る。1つ以上の検出アプタマーは、1つ以上の標的ポリペプチドに特異的に結合し、RNAポリメラーゼ部位またはプライマー結合部位が標的ペプチドへの検出アプタマーの結合時にのみ露出するように構成される。RNAポリメラーゼ部位の露出は、テンプレートとしてアプタマー配列を使用してトリガーRNAオリゴヌクレオチドの生成を容易にする。したがって、そのような実施形態では、1つ以上のガイドRNAは、トリガーRNAに結合するように構成される。
「個々の個別のボリューム」は、個別のボリュームまたは個別の空間、例えばコンテナー、容器、または核酸、CRISPR検出システム、及び本明細書に開示される方法を実行するために必要な試薬の移動を防止及び/または阻害する特性によって定義できる、他の定義されたボリュームもしくは空間などであり、例えば、不透過性または半透過性であってよい、壁、例えば、ウェルの壁、チューブの壁、または液滴の表面などの物理的特性によって定義される、または、化学的、制限された拡散率、電磁的、または光照射、またはそれらの任意の組み合わせなどの他の手段によって定義される、ボリュームまたは空間である。特に好ましい実施形態では、個々の個別のボリュームは液滴である。「制限された拡散率」(例えば、拡散によって定義されたボリューム)とは、特定の分子または反応のみがアクセスできる空間を意味する。これは、拡散の制約が、拡散が1つのストリームから他のストリームへの標的分子の移動を制限する2つの平行な層ストリームの場合のように、空間またはボリュームを効果的に定義するためである。「化学的」に定義されたボリュームまたは空間とは、サイズなどの化学的または分子的特性のために特定の標的分子のみが存在できる空間を意味し、例えば、ゲルビーズが、表面電荷、マトリックスサイズ、またはビーズの内部に入る可能性のある種の選択を可能にするビーズの他の物理的特性などによって、特定の種をビーズに侵入させないようにすることができる。「電磁的に」定義されたボリュームまたは空間とは、標的分子またはそれらの支持体の電磁特性、例えば電荷または磁気特性を使用して、磁場内または磁石上で直接磁性粒子を捕捉するなど、空間内の特定の領域を定義できる空間を意味する。「光学的に」定義されたボリュームとは、可視線、紫外線、赤外線、または他の波長の光でそれを照射することによって定義できる空間の任意の領域を意味し、定義された空間またはボリューム内の標的分子のみが標識され得る。壁のない、または半透膜を使用する利点の1つは、緩衝液、化学活性化剤、またはその他の試薬などの一部の試薬が個別のボリュームの中でまたは中を通って通過し、標的分子などの他の材料が個別のボリュームまたは空間に維持され得ることである。本明細書で説明するように、液滴系は、反応の開始が望まれるまで化合物の分離を可能にする。典型的には、個別のボリュームは、標識を可能にする条件下でインデックス可能な核酸識別子で標的分子を標識するのに適した流体媒体(例えば、水溶液、油、緩衝液、及び/または細胞増殖をサポートできる媒体)を含むことになる。開示された方法で有用な例示的な個別のボリュームまたは空間には、とりわけ、液滴(例えば、マイクロ流体液滴及び/またはエマルション液滴)、ヒドロゲルビーズまたは他のポリマー構造(例えば、ポリエチレングリコールジアクリレートビーズまたはアガロースビーズ)、組織スライド(例えば、化学的、光学的、または物理的手段によって特定の領域、ボリューム、または空間が定義された固定ホルマリンパラフィン包埋組織スライド)、秩序だったアレイまたはランダムパターンで試薬を堆積することによって領域が定義された顕微鏡スライド、チューブ(遠心管、マイクロ遠心管、試験管、キュベット、コニカルチューブなど)、ボトル(ガラスボトル、プラスチックボトル、セラミックボトル、三角フラスコ、シンチレーションバイアルなど)、ウェル(プレートのウェルなど)、プレート、ピペット、またはピペットチップが含まれる。特定の例示的な実施形態では、個々の個別のボリュームは液滴である。
液滴
本明細書で提供される液滴は、典型的には、油入力チャネル及び水性入力チャネルで形成される油中水型マイクロエマルションである。液滴は、当該技術分野で知られている様々な分散法によって形成することができる。1つの特定の実施形態において、油相中の多数の均一な液滴は、マイクロエマルションによって作ることができる。例示的な方法には、例えば、水相が油によって剪断され、それによって液滴が生成されるR接合形状;水流を2方向から剪断することによって液滴が生成される、流れに集中する形状;または水相が細い毛細管を通して排出され、油がポンプで送られる大きな毛細管の内側に同軸に配置された共流れ形状が含まれる。
単分散の水性液滴の使用は、油中水型エマルションとしてマイクロ流体デバイスによって生成できる。一実施形態では、液滴は流動油相中に運ばれ、界面活性剤によって安定化される。一態様では、単一細胞または単一細胞小器官または単一分子(タンパク質、RNA、DNA)が、水溶液/分散液から均一な液滴にカプセル化される。関連する態様において、複数の細胞または複数の分子が、単一の細胞または単一の分子の代わりになり得る。
1pL~10nLの範囲のボリュームの水性液滴は、個々の反応器として機能する。液滴中の10~10個の単一細胞は、1回の実行で処理及び分析できる。迅速な大規模化学スクリーニングまたは複雑な生物学的ライブラリーの同定に微小液滴を利用するには、それぞれが特定の化学化合物または生物学的プローブ細胞または目的の分子バーコードを含む異なる種の微小液滴を生成し、好ましい条件、例えば混合比、濃度、配合順序で組み合わせる必要がある。液滴の各種は、個別の入口マイクロ流体チャネルから主要なマイクロ流体チャネルの合流点に導入される。好ましくは、液滴のボリュームは、その各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国公開第US2007/0195127号及び国際公開第WO2007/089541号に開示されるように、ある種が他の種よりも大きく、異なる速度で、通常は他の種よりも遅い速度でキャリア流体内を移動するようにする設計によって選択される。チャネルの幅と長さは、液滴の速い種が最も遅い種に追いつくように選択される。チャネルのサイズの制約により、移動の速い液滴が移動の遅い液滴を通過することが妨げられ、一連の液滴がマージゾーンに入ることになる。多段階の化学反応、生化学反応、またはアッセイ検出化学では、多くの場合、異なるタイプの種を反応に追加する前に、一定の反応時間が必要である。多段階反応は、それぞれが別のマージ点を含む、2回目、3回目、またはそれ以上の合流点でプロセスを複数回繰り返すことによって達成される。入口チャネルからの液滴の頻度が最適化された比率に一致し、種のボリュームが合わされた液滴で最適化された反応条件を提供するように適合する場合、非常に効率的で正確な反応と反応の分析が達成される。流体液滴は、液滴を含む液体の流れを変更することにより、本発明の流体システム内でスクリーニングまたは分類され得る。例えば、一組の実施形態において、流体液滴は、流体液滴を取り囲む液体を第1のチャネル、第2のチャネルなどに向けることによって誘導または分類され得る。別の組の実施形態では、流体システム内、例えば、異なるチャネル内またはチャネルの異なる部分内の圧力を制御して、流体液滴の流れを方向付けることができる。例えば、液滴は、さらなる流れの方向のための複数のオプションを含むチャネル接合部に向けられ得る(例えば、任意選択の下流フローチャネルを定義するチャネル内のブランチまたは分岐に向けられる)。1つ以上の任意選択の下流フローチャネル内の圧力を制御して、液滴をチャネルの1つに選択的に向けることができ、圧力の変化は、連続する液滴が接合部に到達するのに必要な時間のオーダーに影響を与えることができるため、連続する各液滴の下流流路を独立して制御することができる。
1つの構成において、液体リザーバーの膨張及び/または収縮は、例えば、流体液滴を含む液体の方向付けられた動きを引き起こすことによって、流体液滴をチャネルに誘導または分類するために使用され得る。別では、液体リザーバーの膨張及び/または収縮は、例えば本明細書に記載されるような他の流れ制御デバイス及び方法と組み合わせることができる。液体リザーバーの膨張及び/または収縮を引き起こすことができるデバイスの非限定的な例には、ピストンが含まれる。マイクロ流体チャネルを使用して液滴を処理するための重要な要素には次のものが含まれる:(1)正しい容量の液滴を生成し、(2)正しい頻度で液滴を生成し、(3)サンプル液滴の第1のストリームをサンプル液滴の第2のストリームと一緒にして、サンプル液滴の第1のストリームの頻度がサンプル液滴の第2のストリームの頻度と一致するようにする。好ましくは、ライブラリー液滴の頻度がサンプル液滴の頻度と一致するように、サンプル液滴のストリームを予め作製されたライブラリー液滴のストリームと一緒にする。一定の頻度で均一な容量の液滴を生成する方法は、当該技術分野で周知である。1つの方法は、米国公開第US2005/0172476号及び国際公開第WO2004/002627号に開示されているように、分散相流体及び非混和性キャリア流体の流体力学的集束を使用して液滴を生成することである。コンフルエンスに導入された種の1つは、予め作製された液滴のライブラリーであることが望ましく、ライブラリーは複数の反応条件を含む。例えば、ライブラリーは、細胞または酵素への影響をスクリーニングするための別個のライブラリー要素としてカプセル化された、様々な濃度の複数の異なる化合物を含み得る。あるいは、ライブラリーは、遺伝子座のコレクションの標的化増幅のための異なるライブラリー要素としてカプセル化された複数の異なるプライマー対から構成され得る。あるいは、ライブラリーは、複数の結合アッセイを実行するために異なるライブラリー要素としてカプセル化された複数の異なる抗体種を含み得る。反応条件のライブラリーの基板への導入は、ライブラリー液滴の事前に作製されたコレクションを駆動流体でバイアルから押し出すことによって達成される。駆動流体は連続流体である。駆動流体は、キャリア流体と同じ物質(例えば、フルオロカーボン油)を含むことができる。例えば、ライブラリーが、10ピコリットルの液滴で構成されている場合、1秒あたり10,000ピコリットルの速度の駆動流体でマイクロ流体基板上の入口チャネルに駆動され、したがって、液滴が合流点に入ると予想される頻度は名目上、1秒あたり1000である。ただし、実際には、液滴の間に油が詰まっており、ゆっくりと流れ出す。時間の経過とともに、ライブラリーの液滴からキャリア液が流出し、液滴の数密度(数/mL)が増加する。したがって、駆動流体の注入の単純な固定速度は、基板内のマイクロ流体チャネルへの液滴の均一な導入速度を提供しない。さらに、平均ライブラリー液滴量のライブラリー間の変動は、合流点での液滴導入の頻度のシフトをもたらす。このように、サンプルの変動と油の排出に起因する液滴の均一性の欠如は、解決すべき別の問題をもたらす。例えば、名目上の液滴量がライブラリー内で10ピコリットルであると予想されるが、ライブラリー間で9~11ピコリットルで変動する場合、10,000ピコリットル/秒の注入速度は名目上、1秒あたり900~1,100液滴の頻度の範囲を生成する。つまり、チップ上で作製された液滴の分散相の組成におけるサンプル間の変動、ライブラリー液滴の数密度が時間の経過とともに増加する傾向、及び平均液滴容量のライブラリー間の変動は、一定の注入速度を使用するだけで、コンフルエンスで液滴の頻度を確実に一致させることができる範囲を厳しく制限する。さらに、これらの制限は、ボリュームを再現可能に組み合わせる範囲にも影響を与える。ポンプ流量精度の一般的な変動及びチャネル寸法の変動と組み合わさると、システムは実行ごとに補正する手段がなければ、大幅に制限される。前述の事実は、解決すべき問題を説明するだけでなく、マイクロ流体チャネル内の微小液滴に対するマイクロ流体制御を瞬時に制御する方法の必要性も示している。
界面活性剤(複数可)と油の組み合わせを開発して、液滴の生成、保管、及び操作を容易にし、多様なライブラリーの各液滴内で独自の化学的/生化学的/生物学的環境を維持する必要がある。したがって、界面活性剤と油の組み合わせは、(1)液滴形成プロセス及びその後の収集及び保管中に制御されない凝集に対して液滴を安定化させ、(2)油相へ及び/または液滴間での任意の液滴内容物の輸送を最小限に抑え、(3)各液滴の内容物で化学的及び生物学的不活性を維持する(例えば、油水界面でのカプセル化内容物の吸着または反応がなく、液滴中の生物学的または化学的成分への悪影響がない)。液滴ライブラリーの機能と安定性に関する要件に加えて、油中界面活性剤溶液は、プラットフォームに関連する流体物理学及び材料と結合する必要がある。具体的には、油溶液は、マイクロ流体チップを構築するために使用される材料を膨潤、溶解、または劣化させてはならず、油の物理的特性(例えば、粘度、沸点など)は、プラットフォームの流れ及び動作条件に適している必要がある。界面活性剤のない油で形成された液滴は、凝集するには安定していないため、エマルションライブラリーの連続相として使用される油に界面活性剤を溶解する必要がある。界面活性剤分子は両親媒性であり、分子の一部は油溶性であり、分子の一部は水溶性である。例えば、本明細書に記載の入口モジュールにおいて、マイクロ流体チップのノズルに水-油界面が形成されると、油相に溶解した界面活性剤分子が界面に吸着する。分子の親水性部分は液滴の内部にあり、分子の親フッ素性(fluorophilic)部分は液滴の外部を修飾する。界面に界面活性剤が存在すると、液滴の表面張力が低下するため、エマルションの安定性が向上する。凝集に対して液滴を安定させることに加えて、界面活性剤は各液滴の内容物に対して不活性であるべきであり、界面活性剤はカプセル化された成分の油または他の液滴への輸送を促進してはならない。液滴ライブラリーは、単一のコレクションに一緒にプールされる多数のライブラリー要素で構成されてもよい(例えば、米国特許公開第2010002241号を参照されたい)。
ライブラリーは、単一のライブラリー要素から1015以上のライブラリー要素まで、複雑さが異なり得る。各ライブラリー要素は、固定濃度の1つ以上の特定のコンポーネントであってもよい。要素は、細胞、オルガネラ、ウイルス、細菌、酵母、ビーズ、アミノ酸、タンパク質、ポリペプチド、核酸、ポリヌクレオチド、または小分子化学化合物であり得るが、これらに限定されない。要素には、標識などの識別子が含まれてもよい。「液滴ライブラリー」または「液滴ライブラリー(複数)」という用語は、本明細書では「エマルションライブラリー」または「エマルションライブラリー(複数)」とも呼ばれる。これらの用語は、本明細書全体で互換的に使用される。細胞ライブラリー要素には、ハイブリドーマ、B細胞、初代細胞、培養細胞株、がん細胞、幹細胞、組織から得られた細胞、または任意の他の細胞型が含まれるが、これらに限定されない。細胞ライブラリー要素は、個々の液滴に1から数十万までの多数の細胞をカプセル化することによって調製される。カプセル化された細胞の数は、通常、細胞の数密度と液滴の体積からポアソン統計によって与えられる。しかしながら、場合によっては、Edd et al.,“Controlled encapsulation of single-cells into monodisperse picolitre drops.”Lab Chip,8(8):1262-1264,2008に記載されるように、数がポアソン統計から逸脱している。細胞の個別の性質により、複数の細胞バリアントがすべて単一の開始培地に存在するライブラリーを大量に調製でき、その培地は最大で1つの細胞を含む個々の液滴カプセルに分割される。これらの個々の液滴カプセルは、次に結合またはプールされて、固有のライブラリー要素で構成されるライブラリーを形成する。カプセル化に続く、またはいくつかの実施形態では、カプセル化後の細胞分裂により、クローンライブラリー要素が生成される。
特定の実施形態では、ビーズベースのライブラリー要素は、所与のタイプの1つ以上のビーズを含むことができ、抗体、酵素、または他のタンパク質などの他の試薬も含むことができる。すべてのライブラリー要素が異なるタイプのビーズを含むが、同じ周囲の媒体を含む場合、ライブラリー要素はすべて、単一の開始流体から調製するか、様々な開始流体を有することができる。ゲノム改変された酵母または細菌細胞などのバリアントのコレクションから大量に調製された細胞ライブラリーの場合、ライブラリー要素は様々な開始流体から調製される。多くの場合、タンパク質のバリアントを生成するように操作された、複数の細胞または酵母または細菌で開始する場合、液滴ごとに正確に1つの細胞を持ち、ほんの少量の液滴にのみ1つを超える細胞を含むことが望ましい場合がある。場合によっては、ポアソン統計からの変動が達成され、液滴のロードが強化され、液滴ごとに正確に1つの細胞を持つ液滴が多くなり、空の液滴または1つを超える細胞を含む液滴の例外がほとんどなくなる。液滴ライブラリーの例は、ビーズ、細胞、小分子、DNA、プライマー、抗体など、様々な内容物を持つ液滴のコレクションである。より小さな液滴は、フェムトリットル(fL)ほどの容量の液滴であり、液滴ディスペンサーで特に考えられる。容量は、約5~約600fLの範囲であり得る。より大きな液滴のサイズは、直径約0.5ミクロン~500ミクロンの範囲であり、これは約1ピコリットル~1ナノリットルに相当する。しかしながら、液滴は5ミクロンと小さくても500ミクロンと大きくてもよい。好ましくは、液滴は100ミクロン未満であり、直径は約1ミクロン~約100ミクロンである。最も好ましいサイズは、直径約20~40ミクロン(10~100ピコリットル)である。液滴ライブラリーの検討された好ましい特性には、浸透圧バランス、均一サイズ、及びサイズ範囲が含まれる。本発明のエマルションライブラリー内の液滴は、少なくとも1つのフルオロ界面活性剤を含み得る非混和性油内に含まれ得る。いくつかの実施形態では、非混和性フルオロカーボン油内のフルオロ界面活性剤は、1つ以上の過フッ素化ポリエーテル(PFPE)ブロックと1つ以上のポリエチレングリコール(PEG)ブロックからなるブロック共重合体であり得る。他の実施形態では、フルオロ界面活性剤は、アミド結合基によって2つのPFPEブロックに共有結合したPEG中心ブロックからなるトリブロック共重合体である。フルオロ界面活性剤の存在(ライブラリー内の液滴の均一なサイズと同様)は、液滴の安定性と完全性を維持するために重要であり、本明細書に記載の様々な生物学的及び化学的アッセイのライブラリー内の液滴のその後の使用にも不可欠である。本発明の液滴ライブラリーで利用できる流体(例えば、水性流体、非混和性油など)及び他の界面活性剤は、本明細書でより詳細に説明される。
したがって、本発明は、少なくとも1つのフルオロ界面活性剤を含み得る非混和性油(例えば、フルオロカーボン油)内に複数の水性液滴を含み得るエマルションライブラリーを含み得、各液滴はサイズが均一であり、同じ水性流体を含み得、異なるライブラリー要素を含み得る。本発明はまた、異なるライブラリー要素を含み得る単一の水性流体を提供することと、各ライブラリー要素を少なくとも1つのフルオロ界面活性剤を含み得る非混和性フルオロカーボン油内の水性液滴にカプセル化することであって、ここで各液滴はサイズが均一であり、同じ水性流体を含み得、異なるライブラリー要素を含み得る、カプセル化することと、少なくとも1つのフルオロ界面活性剤を含み得る非混和性フルオロカーボン油内に水性液滴をプールし、それによりエマルションライブラリーを形成することと、を含むエマルションライブラリーを形成する方法を提供する。例えば、あるタイプのエマルションライブラリーでは、すべての異なるタイプの要素(例えば、細胞またはビーズ)を同じ媒体に含まれる単一のソースにプールすることができる。最初のプーリングの後、細胞またはビーズは液滴にカプセル化され、液滴のライブラリーが生成され、異なるタイプのビーズまたは細胞を含む各液滴は異なるライブラリー要素である。初期溶液の希釈により、カプセル化プロセスが可能になる。いくつかの実施形態では、形成される液滴は、単一の細胞またはビーズのいずれかを含むか、何も含まない、すなわち空になる。他の実施形態では、形成される液滴は、ライブラリー要素の複数のコピーを含む。カプセル化されている細胞またはビーズは、通常、同じタイプの細胞またはビーズのバリアントである。別の例では、エマルションライブラリーは、非混和性フルオロカーボン油内に複数の水性液滴を含むことができ、単一分子がカプセル化され、生成される20~60個の液滴(例えば、25、30、35、40、45、50、55、60個の液滴、またはその間の任意の整数)ごとに液滴内に単一分子が含まれるようにすることができる。分子を含む溶液を希釈して、単一分子のカプセル化が可能になるような低濃度にすることにより、単一分子をカプセル化することができる。これらのライブラリーの形成は、限界希釈に依存してもよい。
本発明はまた、少なくとも1つの界面活性剤、一実施形態ではフルオロ界面活性剤を含み得る油、一実施形態ではフルオロカーボン油内に、少なくとも第1の水性液滴及び少なくとも第2の水性液滴を含み得るエマルションライブラリーを提供し、少なくとも第1及び少なくとも第2の液滴はサイズが均一であり、異なる水性流体及び異なるライブラリー要素を含む。本発明はまた、少なくとも第1の要素ライブラリーを含み得る少なくとも第1の水性流体を提供することと、少なくとも第2の要素ライブラリーを含み得る少なくとも第2の水性流体を提供することと、前記少なくとも第1のライブラリーの各要素を、少なくとも1つのフルオロ界面活性剤を含み得る非混和性フルオロカーボン油内の少なくとも第1の水性液滴中にカプセル化することと、前記少なくとも第2のライブラリーの各要素を、少なくとも1つのフルオロ界面活性剤を含み得る非混和性フルオロカーボン油内の少なくとも第2の水性液滴中にカプセル化することであって、少なくとも第1及び少なくとも第2の液滴はサイズが均一であり、異なる水性流体及び異なるライブラリー要素を含み得る、カプセル化することと、少なくとも1つのフルオロ界面活性剤を含み得る非混和性フルオロカーボン油内少なくとも第1の水性液滴及び少なくとも第2の水性液滴をプールし、それによりエマルションライブラリーを形成すること、を含み得るエマルションライブラリーを形成する方法を提供する。
当業者は、本発明の方法及びシステムが任意の特定のタイプのサンプルに限定される必要はなく、本発明の方法及びシステムが任意のタイプの有機、無機、または生体分子とともに使用され得ることを認識するであろう(例えば、米国特許公開第20120122714号を参照されたい)。
特定の実施形態では、サンプルは核酸標的分子を含み得る。核酸分子は、合成されたものでも、天然に存在する供給源に由来するものでもよい。一実施形態において、核酸分子は、タンパク質、脂質、及び非鋳型核酸などの様々な他の成分を含む生体サンプルから単離され得る。核酸標的分子は、動物、植物、細菌、真菌、または任意の他の細胞生物から得られた、任意の細胞物質から得られ得る。特定の実施形態において、核酸標的分子は、単一細胞から得られてもよい。本発明で使用する生体サンプルには、ウイルス粒子または調製物が含まれ得る。核酸標的分子は、生物から直接、または生物から得られる生体サンプル、例えば、血液、尿、脳脊髄液、精液、唾液、痰、糞、及び組織から得ることができる。いかなる組織または体液標本も、本発明で使用するための核酸の供給源として使用することができる。核酸標的分子は、初代培養細胞または細胞株などの培養細胞から単離することもできる。標的核酸が得られる細胞または組織は、ウイルスまたは他の細胞内病原体に感染していてもよい。サンプルは、生物学的標本、cDNAライブラリー、ウイルス、またはゲノムDNAから抽出された全RNAであってもよい。一般に、核酸は、Maniatis,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,N.Y.,pp.280-281(1982)に記載されるもののような様々な技術によって生体サンプルから抽出することができる。核酸分子は、一本鎖、二本鎖、または一本鎖領域(例えば、ステム構造及びループ構造)を有する二本鎖であり得る。生物学的サンプルから得られた核酸は、典型的には、分析に適した断片を生成するために断片化され得る。標的核酸は、様々な機械的、化学的及び/または酵素的方法を使用して、所望の長さに断片化または剪断され得る。DNAは、超音波処理、例えば、Covaris法、DNaseへの短時間の暴露、または1つ以上の制限酵素の混合物もしくはトランスポゼースもしくはニッキング酵素の使用によってランダムに剪断することができる。RNAは、RNase、熱+マグネシウムへの短時間の暴露、または剪断によって断片化することができる。RNAはcDNAに変換してもよい。断片化を使用する場合、RNAは断片化の前または後にcDNAに変換してもよい。一実施形態では、生体サンプルからの核酸は、超音波処理によって断片化される。別の実施形態において、核酸は、水力剪断器具によって断片化される。一般に、個々の核酸標的分子は、約40塩基から約40kbであり得る。核酸分子は、一本鎖、二本鎖、または一本鎖領域(例えば、ステム構造及びループ構造)を有する二本鎖であり得る。本明細書に記載の生体サンプルは、洗剤または界面活性剤の存在下で均質化または分画することができる。緩衝液中の洗剤の濃度は、約0.05%~約10.0%であり得る。洗剤の濃度は、最大で洗剤が溶液に溶けたままである量でよい。一実施形態において、洗剤の濃度は、0.1%~約2%である。洗剤、特に非変性の刺激の少ないものは、サンプルを可溶化するように働き得る。洗剤はイオン性でも非イオン性でもよい。非イオン性洗剤の例には、Triton(商標)Xシリーズ(Triton(商標)X-100 t-Oct-C6H4--(OCH2--CH2)xOH、x=9-10、Triton(商標)X-100R、Triton(商標)X-114 x=7-8)などのtriton、オクチルグルコシド、ポリオキシエチレン(9)ドデシルエーテル、ジジトニン、IGEPAL(商標)CA630オクチルフェニルポリエチレングリコール、n-オクチル-ベータ-D-グルコピラノシド(betaOG)、n-ドデシル-ベータ、Tween(商標)20ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート、Tween(商標)80ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート、ポリドカノール、n-ドデシルベータ-D-マルトシド(DDM)、NP-40ノニルフェニルポリエチレングリコール、C12E8(オクタエチレングリコールn-ドデシルモノエーテル)、ヘキサエチレングリコールモノ-n-テトラデシルエーテル(C14E06)、オクチル-ベータ-チオグルコピラノシド(オクチルチオグルコシド、OTG)、エマルゲン、及びポリオキシエチレン10ラウリルエーテル(C12E10)が含まれる。イオン界面活性剤(アニオン性またはカチオン性)の例には、デオキシコール酸、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、N-ラウロイルサルコシン、及びセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)が含まれる。Chaps、両性イオン3-14、及び3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホン酸などの両性イオン試薬も、本発明の精製スキームで使用することができる。尿素は、別の洗剤または界面活性剤の有無にかかわらず添加できることも考えられる。溶解または均質化溶液は、還元剤などの他の薬剤をさらに含んでいてもよい。そのような還元剤の例には、ジチオスレイトール(DTT)、β-メルカプトエタノール、DTE、GSH、システイン、システアミン、トリカルボキシエチルホスフィン(TCEP)、または亜硫酸の塩が含まれる。非常に短い断片または非常に長い断片を除去するために、核酸のサイズ選択を行うことができる。核酸断片は、当該技術分野で既知の任意の適切な方法を使用して、所望の数の断片を含み得る画分に分割することができる。各断片の断片サイズを制限する適切な方法は、当該技術分野で知られている。本発明の様々な実施形態において、断片のサイズは、約10~約100Kb以上に制限される。本発明における、または本発明に関するサンプルには、個々の標的タンパク質、タンパク質複合体、翻訳修飾を伴うタンパク質、及びタンパク質/核酸複合体が含まれ得る。タンパク質の標的にはペプチドが含まれ、酵素、ホルモン、ウイルスのカプシドタンパク質などの構造成分、及び抗体も含まれる。タンパク質標的は、合成されたものでも、天然に存在する供給源に由来するものでもよい。本発明のタンパク質標的は、脂質、非鋳型核酸、及び核酸を含む様々な他の成分を含む生体サンプルから単離され得る。タンパク質標的は、動物、細菌、真菌、細胞生物、及び単一細胞から得ることができる。タンパク質標的は、生物から直接、または血液、尿、脳脊髄液、精液、唾液、痰、糞、及び組織などの体液を含む、生物から得られる生体サンプルから得ることができる。タンパク質標的は、細胞及び組織の溶解物及び生化学的画分から取得することもできる。個々のタンパク質は、単離されたポリペプチド鎖である。タンパク質複合体には、2つ以上のポリペプチド鎖が含まれる。サンプルには、リン酸化、メチオニン酸化、脱アミド化、グリコシル化、ユビキチン化、カルバミル化、s-カルボキシメチル化、アセチル化、及びメチル化を含むがこれらに限定されない翻訳後修飾を有するタンパク質が含まれ得る。タンパク質/核酸複合体には、架橋または安定なタンパク質-核酸複合体が含まれる。個々のタンパク質、タンパク質複合体、翻訳修飾を有するタンパク質、及びタンパク質/核酸複合体の抽出または単離は、当該技術分野で既知の方法を使用して行われる。
したがって、本発明は、サンプル液滴を形成することを含むことができる。液滴は、非混和性のキャリア流体に囲まれた水性液滴である。そのような液滴を形成する方法は、例えばLink et al.(米国特許出願第2008/0014589号、2008/0003142号、及び2010/0137163号)、Stone et al.(米国特許第7,708,949号及び米国特許出願第2010/0172803号)、Anderson et al.(RE41,780として再発行された米国特許第7,041,481号)、及びRaindance Technologies Inc.の欧州公開第EP2047910号に示される。それぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本発明は、ハイスループットマイクロ流体システム内で液滴を操作するためのシステム及び方法に関してもよい。マイクロ流体液滴は、分化した細胞をカプセル化することができ、細胞は溶解され、そのmRNAは、すべて液滴の内側で、表面にバーコード化されたオリゴdTプライマーを含む捕捉ビーズ上にハイブリダイズされる。バーコードは、PEGなどの柔軟な多原子リンカーを介して捕捉ビーズに共有結合される。好ましい実施形態において、液滴は、フルオロ界面活性剤(パーフルオロオクタノールなど)の添加によって破壊され、洗浄され、収集される。次いで、逆転写(RT)反応が行われ、各細胞のmRNAが、一意のバーコードが付けられ、mRNA捕捉ビーズに共有結合された第1の鎖のcDNAに変換される。その後、テンプレートスイッチング反応を介したユニバーサルプライマーは、RNA-Seqライブラリーを調製する従来のライブラリー調製プロトコールを使用して修正される。任意の特定の細胞からのすべてのmRNAには一意のバーコードが付けられているため、単一のライブラリーの配列が決定され、コンピューターによって解決され、どのmRNAがどの細胞に由来するかを決定する。このようにして、1回の配列決定実行で、数万(またはそれ以上)の識別可能なトランスクリプトームを同時に取得できる。オリゴヌクレオチド配列は、ビーズ表面上に生成され得る。これらのサイクル中に、ビーズを合成カラムから取り出し、プールし、質量によって4つの等しい部分に等分した。次いで、これらのビーズのアリコートを別の合成カラムに入れ、dG、dC、dT、またはdAホスホラミダイトのいずれかと反応させた。他の例では、より長いジヌクレオチド、トリヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチドが使用され、他の例では、オリゴdTテールは、特定の標的(単数または複数)、すべてまたは特定のRNA捕捉のための任意の長さのランダム配列をプライムするために遺伝子特異的オリゴヌクレオチドに置き換えられる。このプロセスを12回繰り返し、合計412=16,777,216の一意のバーコード配列を作成した。これらのサイクルの完了時に、8サイクルの縮重オリゴヌクレオチド合成をすべてのビーズで行い、続いて30サイクルのdT添加を行った。他の実施形態では、縮重合成は省略、短縮(8サイクル未満)、または延長(8サイクル超)され、他では、dT付加の30サイクルが遺伝子特異的プライマー(単一の標的もしくは多数の標的)または縮重配列に置き換えられる。上述のマイクロ流体システムは、本発明の試薬送達システムマイクロ流体ライブラリープリンターまたは液滴ライブラリー印刷システムとみなされる。サンプル流体が、溶解試薬とバーコードを含む液滴発生器から、油を含むマイクロ流体出口チャネルを通って接合部に向かって流れるときに、液滴が形成される。定義された数の液滴に対応する、ロードされた試薬エマルションの定義された体積が、キャリア流体のフローストリームにオンデマンドで分配される。サンプル流体は、典型的には、超純水(例えば、カラムクロマトグラフィーにより得られた18メガオームの抵抗)、10mMのトリスHCl及び1mMのEDTA(TE)緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、または酢酸緩衝液などの水生緩衝溶液を含んでもよい。核酸分子と生理学的に適合する任意の液体または緩衝液を使用することができる。キャリア流体は、サンプル流体と混和しないものを含んでもよい。キャリア流体は、非極性溶媒、デカン(例えば、テトラデカンまたはヘキサデカン)、フルオロカーボン油、シリコーン油、炭化水素などの不活性油、または別の油(例えば、鉱油)であり得る。キャリア流体は、表面張力を低下させる薬剤(界面活性剤)などの1つ以上の添加剤を含んでもよい。界面活性剤には、Tween、Span、フルオロ界面活性剤、及び水と比べて油に可溶性である他の薬剤が含まれる。一部の用途では、サンプル流体に第2の界面活性剤を追加することで性能が向上する。界面活性剤は、例えば、交差するチャネルに液滴を押し出したり注入したりするのに必要な剪断力を減らすことにより、液滴のサイズ、流れ、均一性の制御または最適化に役立つ。これは、液滴の量と周期性、または液滴が交差するチャネルに分かれる速度または頻度に影響を与え得る。さらに、界面活性剤は、フッ素化油中の水性エマルションを合体から安定化させる働きをすることができる。液滴は、水性油界面での表面張力を低下させることによって液滴を安定化させる界面活性剤に囲まれていてもよい。担体流体に添加することができる好ましい界面活性剤には、ソルビタンモノラウレート(Span20)、ソルビタンモノパルミテート(スパン40)、ソルビタンモノステアレート(スパン60)及びソルビタンモノオレエート(スパン80)を含むソルビタンベースのカルボン酸エステル(例えば、「Span」界面活性剤、FlukaChemika)、過フッ素化ポリエーテル(例えば、DuPont Krytox 157 FSL、FSM、及び/またはFSH)などの界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。使用できる非イオン性界面活性剤の他の非限定的な例には、ポリオキシエチレン化アルキルフェノール(例えば、ノニル-、p-ドデシル-、及びジノニルフェノール)、ポリオキシエチレン化直鎖アルコール、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化メルカプタン、長鎖カルボン酸エステル(例えば、天然脂肪酸のグリセリル及びポリグリセリルエステル、プロピレングリコール、ソルビトール、ポリオキシエチレン化ソルビトールエステル、ポリオキシエチレングリコールエステルなど)及びアルカノールアミン(例えば、ジエタノールアミン-脂肪酸縮合物及びイソプロパノールアミン-脂肪酸縮合物)が含まれる。場合によっては、マイクロ流体システムを介して単一細胞配列決定ライブラリーを作成するための装置は、一定量が経時的に注入される容量駆動型の流れを提供する。流体チャネルの圧力は、注入率とチャネルの寸法の関数である。一実施形態では、デバイスは油/界面活性剤入口;分析物の入口;フィルター、mRNA捕捉マイクロビーズ及び溶解試薬の注入口;入口を接続するキャリア流体チャネル;抵抗器;液滴のピンチオフのための狭窄;ミキサー;及び液滴用の出口を提供する。一実施形態において、本発明は、マイクロ流体システムを介して単一細胞配列決定ライブラリーを作成するための装置であって、フィルター及びキャリア流体チャネルを含むことができ、前記キャリア流体チャネルがさらに抵抗器を含むことができる、油-界面活性剤入口;フィルター及びキャリア流体チャネルを含むことができ、前記キャリア流体チャネルが抵抗器をさらに含むことができる、分析物のための入口;フィルター及びキャリア流体チャネルを含むことができ、前記キャリア流体チャネルが抵抗器をさらに含むことができる、mRNA捕捉マイクロビーズ及び溶解試薬のための入口を含むことができ、前記キャリア流体チャネルは、調整可能または所定の流量で流れるキャリア流体を有し、各前記キャリア流体チャネルは、接合部でマージし、前記接合部は、液滴用の出口を含むミキサーに接続されている、装置を提供する。したがって、単一細胞RNA-seqのためのマイクロ流体システムのマイクロ流体フロースキームを介して単一細胞配列決定ライブラリーを作成するための装置が想定されている。1つは細胞懸濁液を保有し、もう1つは一意にバーコード化されたmRNA捕捉ビーズ、溶解緩衝液、ライブラリー調製試薬を保有する2つのチャネルが接合部で出会い、液滴あたり1つの細胞及び1つのビーズの率で不活性なキャリア油にすぐに共カプセル化される。各液滴では、ビーズのバーコードタグ付きオリゴヌクレオチドをcDNAテンプレートとして使用し、各mRNAに一意の細胞固有識別子がタグ付けされる。本発明はまた、マウス及びヒト細胞の混合物のDrop-Seqライブラリーの使用を包含する。キャリア流体は、キャリア流体中の界面活性剤がチャネル壁をコーティングするように、出口チャネルを通して流されてもよい。フルオロ界面活性剤は、揮発性フッ素化溶媒中で過フッ素化ポリエーテルDuPont Krytox 157 FSL、FSM、またはFSHを水酸化アンモニウム水溶液と反応させることによって調製できる。ロータリーエバポレーターで溶媒と残留水とアンモニアを除去できる。次に、界面活性剤をフッ素化油(例えば、フロリナート(3M))に溶解し(例えば、2.5重量%)、これをキャリア流体として機能させる。試薬液滴を生成するためのサンプル流体リザーバーの活性化は、オンデマンド機能を介した動的試薬送達(例えば、コンビナトリアルバーコード化)の概念に基づく。オンデマンド機能は、本明細書に記載されるように、送達液滴を一次液滴に放出するための様々な技術的能力の1つによって提供され得る。
本開示及び本明細書に引用する文書及び当該技術分野の知識から、流量、チャネル長、及びチャネル形状を開発することは当業者の範囲内である。ランダムまたは指定された試薬の組み合わせを含む液滴を確立し、オンデマンドで生成し、目的のサンプル/細胞/基板を含む「反応チャンバー」液滴とマージできる。複数の一意のタグを追加の液滴に組み込み、タグを一次液滴に固有になるように設計された固体支持体に結合することにより、一次液滴がさらされる条件をコード化し、記録することができる。例えば、核酸タグを連続してライゲーションして、条件及び同じ順序を反映する配列を作成することができる。または、タグを個別に追加して、固体支持体に追加することもできる。生物情報学的に情報を記録するために使用できる動的標識システムの非限定的な例は、2012年9月21日及び2012年11月29日に出願された「Compositions and Methods for Unique Labeling of Agents」と題する米国仮特許出願に見出すことができる。このようにして、2つ以上の液滴を様々な異なる条件にさらすことができ、液滴が条件にさらされるたびに、条件をコードする核酸が、それぞれが一緒にライゲーションされた液滴に、または液滴と結合した一意の個体支持体に追加され、異なる履歴を持つ液滴が後で組み合わされても、異なる核酸を介してそれぞれの液滴の条件が利用可能なままであるようにされる。複数の条件への暴露に対する応答を評価する方法の非限定的な例は、2012年9月21日出願の米国仮特許出願、及び2015年4月17日出願の「Systems and Methods for Droplet Tagging」と題する米国特許出願第15/303874号に見出すことができる。したがって、本発明において、または本発明に関して、分子バーコード(例えば、DNAオリゴヌクレオチド、フルオロフォアなど)の動的生成が、目的の様々な化合物(siRNA、CRISPRガイドRNA、試薬など)の制御可能な送達と独立してまたはそれと協調して存在し得ることが想定されている。例えば、一意の分子バーコードを1つのノズルアレイで作成し、個々の化合物または化合物の組み合わせを別のノズルアレイで作成できる。目的のバーコード/化合物は、次いで、CRISPR検出システムを含む液滴とマージできる。送達されたバーコードと送達された下流試薬(複数可)を関連付けるために、コンピューターログファイルの形式で電子記録を保持できる。この方法論は、本明細書に開示された方法に従って、サンプルの大きな集団を効率的にスクリーニングすることを可能にする。開示された発明のデバイス及び技術は、単一細胞(または単一分子)レベルでのデータ分解を必要とする研究を費用効果の高い方法で実施する努力を容易にする。油中水型エマルションとしてマイクロ流体チップで1つずつ生成される単分散水性液滴を使用して、さらに評価するための標的分子のサンプルを含む可能性のある個々のエマルション液滴への試薬のハイスループットかつ高解像度の送達となる。
タンパク質の検出
本明細書に開示されるシステム、デバイス、及び方法は、特異的に構成されたポリペプチド検出アプタマーの組み込みを介して、核酸の検出に加えて、ポリペプチド(または他の分子)の検出にも適合され得る。ポリペプチド検出アプタマーは、上述のマスキング構築アプタマーとは異なる。まず、アプタマーは、1つ以上の標的分子に特異的に結合するように設計されている。一実施形態では、標的分子は標的ポリペプチドである。別の例示的な実施形態では、標的分子は、標的治療分子などの標的化学化合物である。SELEXなどの所与の標的に対して特異性を有するアプタマーを設計及び選択する方法は、当該技術分野で知られている。与えられた標的に対する特異性に加えて、アプタマーはさらにRNAポリメラーゼプロモーター結合部位を組み込むように設計されている。特定の例示的な実施形態において、RNAポリメラーゼプロモーターはT7プロモーターである。アプタマー結合が標的に結合する前に、RNAポリメラーゼ部位は、RNAポリメラーゼにアクセスできないか、さもなければ認識できない。しかしながら、アプタマーは、標的の結合時にアプタマーの構造がコンフォメーション変化を受け、RNAポリメラーゼプロモーターが露出するように構成される。RNAポリメラーゼプロモーターの下流のアプタマー配列は、RNAポリメラーゼによるトリガーRNAオリゴヌクレオチドの生成のためのテンプレートとして機能する。したがって、アプタマーのテンプレート部分は、所定のアプタマー及びその標的を識別するバーコードまたは他の識別配列をさらに組み込んでもよい。次いで、上述のガイドRNAを設計して、これらの特異的なトリガーオリゴヌクレオチド配列を認識することができる。ガイドRNAのトリガーオリゴヌクレオチドへの結合は、CRISPRエフェクタータンパク質を活性化し、続けてマスキング構築物を不活性化し、本明細書に記載されるように陽性の検出可能なシグナルを生成する。
したがって、特定の例示的な実施形態では、本明細書に開示される方法は、サンプルまたはサンプルのセットを個々の個別のボリュームのセットに分配する追加のステップであって、各個々の個別のボリュームは、ペプチド検出アプタマー、CRISPRエフェクタータンパク質、1つ以上のガイドRNA、マスキング構築物を含む、追加のステップと、検出アプタマーの1つ以上の標的分子への結合を可能にするのに十分な条件下でサンプルまたはサンプルのセットをインキュベートする追加のステップと、を含み、対応する標的へのアプタマーの結合は、RNAポリメラーゼプロモーター結合部位の露出をもたらし、トリガーRNAの合成は、RNAポリメラーゼがRNAポリメラーゼプロモーター結合部位に結合することによって開始されるようにされる。
別の例示的な実施形態では、アプタマーの結合により、アプタマーが標的ポリペプチドに結合すると、プライマー結合部位が露出し得る。例えば、アプタマーは、RPAプライマー結合部位を露出させてもよい。したがって、プライマーの追加または包含は、上で概説したRPA反応などの増幅反応に供給される。
特定の例示的な実施形態において、アプタマーは、目的の標的に結合すると、二次構造を変化させ、一本鎖DNAの新しい領域を露出させ得るコンフォメーションスイッチングアプタマーであってよい。特定の例示的な実施形態において、一本鎖DNAのこれらの新しい領域は、ライゲーション、アプタマーを伸長させ、本明細書に開示される実施形態を用いて特異的に検出され得るより長いssDNA分子を生成するための基質として使用され得る。アプタマーの設計は、グルコースなどの低エピトープ標的の検出のための三元複合体とさらに組み合わせることができる(Yang et al.2015:http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.analchem.5b01634)。コンフォメーションシフトアプタマーと対応するガイドRNA(crRNA)の例を以下に示す。
Figure 2022507573000003
増幅
特定の例示的な実施形態において、標的RNA及び/またはDNAは、CRISPRエフェクタータンパク質を活性化する前に増幅され得る。場合によっては、標的分子を含む液滴セットの形成に先立って増幅が行われる。他の実施形態は、標的分子を含む液滴セットの形成に引き続いて増幅を実行することを可能にし、したがって、標的分子を含む液滴中に核酸増幅試薬を含み得る。任意の適切なRNAまたはDNA増幅技術を使用することができる。特定の例示的な実施形態において、RNAまたはDNA増幅は等温増幅である。特定の例示的な実施形態では、等温増幅は、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、鎖置換増幅(SDA)、ヘリカーゼ依存性増幅(HDA)、またはニッキング酵素増幅反応(NEAR)であってよい。特定の例示的な実施形態では、非等温増幅方法を使用することができ、これには、限定はされないが、PCR、多重置換増幅(MDA)、ローリングサークル増幅(RCA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、または分岐増幅法(RAM)が含まれ得る。いくつかの好ましい実施形態において、RNAまたはDNA増幅はRPAまたはPCRである。
特定の例示的な実施形態では、RNAまたはDNA増幅はNASBAであり、RNA/DNA二本鎖を生成するための配列特異的リバースプライマーによる標的RNAの逆転写で開始される。次いで、RNase Hを使用してRNAテンプレートを分解し、T7プロモーターなどのプロモーターを含むフォワードプライマーが結合して相補鎖の伸長を開始し、二本鎖DNA産物を生成する。次いで、RNAポリメラーゼプロモーターを介したDNAテンプレートの転写により、標的RNA配列のコピーが作成される。重要なことは、新しい標的RNAのそれぞれがガイドRNAによって検出できるため、アッセイの感度がさらに向上するである。ガイドRNAによる標的RNAの結合は、CRISPRエフェクタータンパク質の活性化をもたらし、方法は上に概説したように進む。NASBA反応には、約41℃などの適度な等温条件下で進行できるという追加の利点があり、臨床検査室から遠く離れた現場での早期の直接検出のために配備されたシステムやデバイスに適している。
特定の他の例示的な実施形態では、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)反応を使用して標的核酸を増幅することができる。RPA反応は、配列特異的プライマーを二本鎖DNAの相同配列とペアリングできるリコンビナーゼを使用する。標的DNAが存在する場合、DNA増幅が開始され、熱サイクルや化学的融解などの他のサンプル操作は必要ない。RPA増幅システム全体は、乾燥した製剤として安定しており、冷蔵せずに安全に輸送できる。RPA反応は、37~42℃の最適反応温度の等温温度で実施することもできる。配列特異的プライマーは、検出される標的核酸配列を含む配列を増幅するように設計される。特定の例示的な実施形態では、T7プロモーターなどのRNAポリメラーゼプロモーターがプライマーの1つに加えられる。これにより、標的配列及びRNAポリメラーゼプロモーターを含む増幅された二本鎖DNA産物が得られる。RPA反応後または反応中に、二本鎖DNAテンプレートからRNAを生成するRNAポリメラーゼが追加される。増幅された標的RNAは、転じて、CRISPRエフェクターシステムによって検出できる。このようにして、本明細書に開示される実施形態を使用して標的DNAを検出することができる。RPA反応は、標的RNAの増幅にも使用できる。標的RNAは、最初に逆転写酵素を使用してcDNAに変換され、続いて第2鎖DNA合成が行われ、この時点で、上で概説されたようにRPA反応が進行する。
したがって、特定の例示的な実施形態では、本明細書に開示されるシステムは増幅試薬を含むことができる。核酸の増幅に有用な異なる成分または試薬が本明細書に記載されている。例えば、本明細書に記載の増幅試薬は、Tris緩衝液などの緩衝液を含むことができる。Tris緩衝液は、例えば、1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、15mM、25mM、50mM、75mM、1Mなどの濃度を含むが、これらに限定されない任意の濃度で、所望の用途または使用において使用され得る。当業者は、本発明で使用するためのTrisなどの緩衝液の適切な濃度を決定することができるであろう。
塩化マグネシウム(MgCl)、塩化カリウム(KCl)、または塩化ナトリウム(NaCl)などの塩は、核酸断片の増幅の改善のために、PCRなどの増幅反応に含めることができる。塩濃度は特定の反応と用途に依存するが、いくつかの実施形態では、特定のサイズの核酸断片が特定の塩濃度で最適な結果をもたらし得る。より大きな産物は、望ましい結果を得るために変更された塩濃度、通常はより低い塩を必要とし得るが、より小さな産物の増幅はより高い塩濃度でより良い結果を生み出し得る。当業者は、塩の存在及び/または濃度は、塩濃度の変化とともに、生物学的または化学的反応のストリンジェンシーを変化させ得ることを理解するであろう。したがって、本明細書に記載の本発明の反応に対する適切な条件を提供する任意の塩を使用できる。
生物学的または化学的反応の他の構成要素は、細胞内の物質の分析のために細胞を破壊または溶解するための細胞溶解成分を含み得る。細胞溶解成分としては、界面活性剤、NaCl、KCl、硫酸アンモニウム[(NHSO]などの上記の塩が挙げられ得るが、これらに限定されない。本発明に適切な界面活性剤には、Triton X-100、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、CHAPS(3-[(3-コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート)、エチルトリメチルアンモニウムブロミド、ノニルフェノキシポリエトキシルエタノール(NP-40)が含まれ得る。界面活性剤の濃度は、特定の用途に依存してもよく、場合によっては反応に固有であってもよい。増幅反応には、100nM、150nM、200nM、250nM、300nM、350nM、400nM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、700nM、750nM、800nM、850nM、900nM、950nM、1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、100mM、150mM、200mM、250mM、300mM、350mM、400mM、450mM、500mMなどの濃度を含むが、これらに限定されない本発明に適切な任意の濃度で使用されるdNTP及び核酸プライマーが含まれ得る。同様に、本発明に従って有用なポリメラーゼは、Taqポリメラーゼ、Q5ポリメラーゼなどを含む、当該技術分野で知られており、有用な、または本発明の任意の特定のまたは一般的なポリメラーゼであり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている増幅試薬は、ホットスタート増幅での使用に適していてもよい。いくつかの実施形態では、アダプター分子またはオリゴの二量体化を低減または排除するため、またはさもなければ不要な増幅産物またはアーティファクトを防止して、最適な所望の産物の増幅を得るために、ホットスタート増幅が有益であり得る。増幅に使用するための本明細書に記載の多くのコンポーネントは、ホットスタート増幅でも使用できる。いくつかの実施形態では、ホットスタート増幅での使用に適した試薬またはコンポーネントを、必要に応じて、1つ以上の構成コンポーネントの代わりに使用することができる。例えば、特定の温度または他の反応条件で所望の活性を示すポリメラーゼまたは他の試薬を使用することができる。いくつかの実施形態では、ホットスタート増幅での使用のために設計または最適化された試薬が使用されてもよく、例えば、ポリメラーゼは転位後または特定の温度に達した後に活性化され得る。そのようなポリメラーゼは、抗体ベースまたはアプタマーベースであり得る。本明細書に記載のポリメラーゼは当該技術分野において公知である。そのような試薬の例には、ホットスタートポリメラーゼ、ホットスタートdNTP、及び光ケージdNTPが含まれ得るが、これらに限定されない。そのような試薬は当該技術分野で知られており、入手可能である。当業者は、個々の試薬に適した最適温度を決定することができるであろう。
核酸の増幅は、特定の熱サイクル機構または装置を使用して行うことができ、単一の反応または大量に行うことができるため、任意の所望の数の反応を同時に行うことができる。場合によっては、液滴内で、または液滴形成の前に、増幅を実行することができる。いくつかの実施形態では、増幅はマイクロ流体デバイスまたはロボットデバイスを使用して実行するか、手動で温度を変更して目的の増幅を達成することで実行できる。いくつかの実施形態では、特定の用途や材料に最適な反応条件を得るために、最適化が行われてもよい。当業者は、十分な増幅を得る反応条件を理解し、最適化することができるであろう。
場合によっては、核酸増幅試薬には、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)試薬、核酸配列に基づく増幅(NASBA)試薬、ループ媒介等温増幅(LAMP)試薬、鎖置換増幅(SDA)試薬、ヘリカーゼ依存性増幅(HDA)試薬、ニッキング酵素増幅反応(NEAR)試薬、RT-PCR試薬、多重置換増幅(MDA)試薬、ローリングサークル増幅(RCA)試薬、リガーゼ連鎖反応(LCR)試薬、分岐増幅法(RAM)試薬、トランスポゼースベースの増幅試薬、またはプログラム可能なCRISPRニッキング増幅(PCNA)試薬が含まれる。
特定の実施形態において、本発明の方法またはシステムによるDNAの検出は、検出の前に(増幅された)DNAのRNAへの転写を必要とする。
本発明の検出方法が、核酸増幅及び検出手順を様々な組み合わせで含み得ることは明らかであろう。検出される核酸は、DNA及びRNAを含むがこれらに限定されない任意の天然に存在する核酸または合成核酸であり得、検出可能な中間産物を提供するために任意の適切な方法によって増幅され得る。中間産物の検出は、直接的または付随的活性により検出可能なシグナル部分を生成するCRISPRタンパク質の結合及び活性化を含むがこれらに限定されない任意の適切な方法によって行うことができる。
検出可能な陽性シグナルの増幅及び/または増強
特定の例示的な実施形態では、検出可能な陽性シグナルをさらに増幅するさらなる改変が導入され得る。例えば、活性化CRISPRエフェクタータンパク質の付随的活性化は、二次標的または追加のガイド配列、またはその両方を生成するために使用され得る。一実施形態では、反応溶液は、高濃度でスパイクされた二次標的を含む。二次標的は、一次標的(すなわち、アッセイが検出するように設計されている標的)とは異なる場合があり、場合によっては、すべての反応ボリュームにわたって共通であり得る。二次標的のための二次ガイド配列は、例えば、RNAループを持つヘアピンなどの二次構造的特徴によって保護され、第2の標的またはCRISPRエフェクタータンパク質に結合できなくされていてもよい。活性化されたCRISPRエフェクタータンパク質による保護基の切断(すなわち、溶液中の一次標的(複数可)との複合体の形成による活性化後)及び溶液中の遊離CRISPRエフェクタータンパク質との複合体の形成及びスパイクされた二次標的からの活性化。特定の他の例示的な実施形態では、同様の概念が、二次標的配列に対する第2のガイド配列とともに使用される。二次標的配列は、二次標的上の構造的特徴または保護基により保護され得る。二次標的からの保護基の切断により、追加のCRISPRエフェクタータンパク質/第2のガイド配列/二次標的複合体が形成される。さらに別の例示的な実施形態では、一次標的(複数可)によるCRISPRエフェクタータンパク質の活性化を使用して、保護されたまたは環状化されたプライマーを切断することができ、次いで、これを放出して、本明細書に開示されるような等温増幅反応を、二次ガイド配列、二次標的配列、またはその両方をコードするテンプレート上で実行する。この増幅されたテンプレートのその後の転写により、より多くの二次ガイド配列及び/または二次標的配列が生成され、その後、追加のCRISPRエフェクタータンパク質の付随的活性化が続く。
方法
一態様では、本明細書に開示される実施形態は、本明細書に記載のシステムを使用して、サンプル中の標的核酸を検出する方法を対象とする。本明細書に開示される方法は、いくつかの実施形態において、第1のセットの液滴を生成するステップであって、第1のセットの液滴における各液滴は、少なくとも1つの標的分子及び光学バーコードを含む、ステップと、第2のセットの液滴を生成ステップであって、第2のセットの液滴の各液滴は、RNA標的エフェクタータンパク質及び対応する標的分子に結合するように設計された1つ以上のガイドRNA、マスキング構築物、及び光学バーコードを含む検出CRISPR系を含む、ステップを含むことができる。第1及び第2のセットの液滴は、典型的には、第1及び第2のセットの液滴を混合または攪拌することにより、液滴のプールに組み合わされる。次いで、液滴のプールは、マイクロウェルのアレイと、マイクロウェルの下の少なくとも1つのフローチャネルとを含むマイクロ流体デバイス上に流されることができ、マイクロウェルは、少なくとも2つの液滴を捕捉するサイズに設定され、各マイクロウェルで捕捉された液滴の光学バーコードを検出し、各マイクロウェルで捕捉された液滴をマージして、各マイクロウェルで形成されたマージ液滴にし、マージ液滴の少なくともサブセットは、検出CRISPR系及び標的配列を含み、検出反応を開始して、1つ以上の時間間隔で各マージ液滴の検出可能なシグナルを測定する。
液滴の生成
第1のセットの液滴の生成に関して、第1のセットの液滴を生成する一態様において、各第1の液滴は検出CRISPR系を含み、検出CRISPR系は、RNA標的エフェクタータンパク質と、対応する標的分子に結合するように設計された1つ以上のガイドRNAと、RNAベースのマスキング構築物と、任意選択の本明細書に記載の光学バーコードとを含む。特定の実施形態では、第2のセットの液滴を生成するステップにおいて、第2のセットの各液滴が、少なくとも1つの標的分子と、本明細書で提供される光学バーコードを含む。
第1のセットの液滴及び第2のセットの液滴の生成に続いて、第1のセットの液滴及び第2のセットの液滴は、液滴のプールに組み合わされる。組み合わせることは、第1及び第2のセットを組み合わせる任意の手段によって行うことができる。1つの例示的な実施形態において、液滴のセットは混合されて液滴のプールに組み合わされる。
液滴のプールが生成されると、液滴のプールを流すステップが実施される。液滴のプールの流れは、複数のマイクロウェルを含むマイクロ流体デバイスに液滴をロードすることによって実施される。マイクロウェルは少なくとも2つの液滴を捕捉するサイズである。任意選択で、ローディングに続いて、界面活性剤が洗い流される。
液滴がマイクロウェルアレイにロードされると、各マイクロウェルで捕捉された液滴の光学バーコードを検出するステップが実施される。場合によっては、光学バーコードが蛍光バーコードである場合、光学バーコードの検出は、低倍率蛍光スキャンによって実施される。光学バーコードの種類に関係なく、各液滴のバーコードは一意であるため、各液滴の内容物を識別できる。検出方法は、使用する光学バーコードのタイプに応じて選択される。次いで、各マイクロウェルに含まれる液滴がマージされる。電界を印加することにより、マージを実施することができる。マージ液滴の少なくともサブセットは、検出CRISPR系及び標的配列を含む。
液滴のマージ後、検出反応が開始される。いくつかの実施形態では、検出反応を開始することは、マージ液滴をインキュベートすることを含む。検出反応に続いて、マージ液滴は、光学的アッセイに供される。これは、場合によっては、アッセイスコアを生成するための低倍率蛍光スキャンである。
いくつかの実施形態では、この方法は、標的分子を増幅するステップを含むことができる。標的分子の増幅は、第1のセットの液滴の生成前または生成後に行うことができる。
さらに別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、ポリペプチドを検出するための方法を対象とする。ポリペプチドの検出方法は、上述の標的核酸の検出方法と同様である。しかしながら、ペプチド検出アプタマーも含まれる。ペプチド検出アプタマーは、上述のように機能し、標的ポリペプチドに結合するとトリガーオリゴヌクレオチドの生成を促進する。ガイドRNAはトリガーオリゴヌクレオチドを認識し、それによってCRISPRエフェクタータンパク質を活性化するように設計されている。活性化されたCRISPRエフェクタータンパク質によるマスキング構築物の非活性化は、検出可能な陽性シグナルのマスキング解除、放出、または生成をもたらす。
レポーター構築物(蛍光タンパク質など)を利用した多重検出診断では、標的配列を迅速に検出し、薬剤耐性SNPを診断し、微生物種の菌株とサブタイプを区別できる。例えば、微生物種の1つ以上の菌株の存在についてサンプルを評価する場合、サンプルからの一連の標的分子は、第2のセットの液滴に含まれる一連のCRISPR系を利用して評価され、各CRISPR系には様々なガイドRNAが含まれる。第1のセットの液滴と第2のセットの液滴を組み合わせた後、組み合わせを迅速に繰り返し試験する。試験する各標的分子は、マイクロプレートウェルに配置される。水系及び油の入力チャネルを使用して、スクリーニング対象の標的分子を含む単分散液滴が形成される。次いで、標的分子の液滴がマイクロ流体デバイスにロードされる。各標的分子はバーコードで標識されている。2つ以上の液滴がマージされる場合、組み合わされた光学バーコードは、マージ液滴に存在する標的分子及び/またはCRISPR系を識別する。バーコードは、光または蛍光顕微鏡で視覚化された光学的に検出可能なバーコード、またはオフチップで検出されるオリゴヌクレオチドバーコードである。
本明細書に記載されるように、ガイドRNAが標的とされる標的分子を含むサンプルは、1つのセットの液滴にロードされ、ガイドRNA及びCRISPR系を含む液滴(複数可)とマージされる。CRISPR系液滴に組み込まれたレポーター系は、マスキング構築物で光学的に検出可能なマーカー(蛍光タンパク質など)を発現する。液滴のセットは、エフェクタータンパク質と、対応する標的分子に結合するように設計された1つ以上のガイドRNAと、RNAベースのマスキング構築物と、を含むCRISPR系を含む。液滴がマージされた後、各マイクロウェルを光学的にスキャンして光学バーコードを読み取ることにより、各ウェル内の分子種の同一性を決定できる。レポーターシステムの光学測定は、バーコードの光学スキャンと同時に行うことができる。したがって、このコンビナトリアルスクリーニングシステムを使用すると、実験データの収集と分子種の同定を同時に行うことができる。
場合によっては、マイクロ流体デバイスは、画像化の前に一定期間インキュベートされ、複数の時点で画像化され、経時的なレポーターの測定量の変化を追跡する。さらに、いくつかの実験では、マージ液滴は、オフチップ評価のためにマイクロ流体デバイスから溶出される(例えば、参照によりすべての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第WO2016/149661号を参照されたい。溶出は特に[0056]~[0059]で論じられる)。
開示された処理戦略により、何百万もの液滴の並行処理は、コンビナトリアルスクリーニングに必要な規模に達する。さらに、液滴のナノリットルボリュームにより、スクリーニングに必要な化合物の消費量が削減される。本開示は、光学バーコード及び大きな固定位置空間アレイにおける液滴の並行操作を組み込んで、液滴の同一性をアッセイ結果と関連付ける。本システムの独自の利点は、2nLのアッセイ容量でスクリーニングされた化合物の使用を最小限に抑えることである。本明細書でのプラットフォームは、液滴マイクロ流体システムのハイスループットの可能性を活用し、化合物のペアの組み合わせを構築するために必要な決定論的な液体処理操作をマイクロウェルデバイスで液滴のランダムなペアの並列マージと置き換える。この方法の独自の利点は、ハイスループットで手動で操作できることと、マイクロウェルでのアッセイの小型化により、少量のサンプルを使用できることである。SHEROCK技術と組み合わせると、この方法は、より小さなサンプルサイズを利用して大規模に多重化できる強力な検出技術を提供する。
本明細書の技法は、入力化合物のセットのすべての対の組み合わせを3つのステップで試験する処理プラットフォームを提供する。まず、標的分子がカラーバーコードと組み合わされる(2、3、4、またはそれ以上の蛍光色素の一意の比率)。標的分子は、蛍光色素(例えば、赤、緑、青など)の比率によってバーコード化され得る。サンプル処理に続いて、標的分子は、好ましくは約1ナノリットルのサイズの油滴中の水中に乳化される。いくつかの実施形態では、液滴を安定させるために界面活性剤を含ませることができる。標準的なマルチチャネルマイクロピペット技術を使用して、液滴を1つのプールに組み合わせることができる。CRISPR系、蛍光色素の比率を使用する光学バーコード、及びRNAマスキング化合物を含む第2のセットの液滴が調製される。第1のセットと第2のセットの液滴は1つの大きなプールに混合され、その後、各マイクロウェルが2つの液滴をランダムに捕捉するように、液滴がマイクロウェルアレイにロードされる。いくつかの実施形態では、マイクロウェルの交差汚染と蒸発を制限するために、ロード後のマイクロウェルアレイをガラス基板に密閉する。場合によっては、マイクロウェルアレイは機械的クランプによってアセンブリに固定される。各液滴の内容物は、識別された第1のセット及び第2のセットの液滴と事前に混合された2、3、4、またはそれ以上の蛍光色素の一意の比率から生じる蛍光バーコードによってコード化される。
低倍率(2~4倍)の落射蛍光顕微鏡は、各液滴及び/またはウェルの内容物を識別するために使用できる。次に、各ウェルの2つの液滴をマージし、高電圧AC電界を印加して液滴のマージを誘導する。マージに続いて、SHERLOCK反応が開始され、いくつかの実施形態では、サンプルが37℃でインキュベートされる。その後、アレイは、光学的表現型(例えば、陽性の蛍光)を決定し、この測定値を各ウェルで以前に識別された化合物のペアにマッピングするために画像化される。ローディング後の化合物交換を制限するマイクロウェルアレイ設計が特に好ましく、1つの例示的な方法は、液滴のローディング後にマイクロウェルアレイを機械的に密閉することである。
一態様では、本明細書に記載の実施形態は、1つ以上の核酸含有標本における核酸配列変動の多重スクリーニング方法を対象とする。核酸配列変動には、天然の配列の変動、遺伝子発現の変動、操作された遺伝的摂動、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。核酸含有検体は、細胞性または無細胞性であり得る。核酸を含む検体は、光学バーコードを含む液滴として調製される。CRISPR検出システムと光学バーコードを含む第2のセットの液滴が調製される。場合によっては、バーコードは、光または蛍光顕微鏡で視覚化できる光学的に検出可能なバーコードであり得る。特定の例示的な実施形態では、光学バーコードは、一連の定義された色から区別可能な色のフルオロフォアまたは量子ドットのサブセットを含む。場合によっては、光学的にコード化された粒子は、各ウェル内の光学的にコード化された粒子のランダムな組み合わせをもたらす個別のボリュームにランダムに送達されてもよいし、または光学的にコード化された粒子の一意の組み合わせが各個別のボリュームに具体的に割り当てられてもよい。光学的にコード化された粒子のランダムな分布は、すべての個別のボリュームへの分布を可能にするのに十分な時間、アッセイプラットフォームをポンピング、混合、ロッキング、または攪拌することによって達成することができる。当業者は、使用されるアッセイプラットフォームに基づいて、光学的にコード化された粒子を個別のボリューム全体にランダムに分配するための適切なメカニズムを選択することができる。
次いで、光学的にコード化された粒子の観察可能な組み合わせを使用して、各個別のボリュームを識別することができる。表現型などの光学的評価は、個別のボリュームごとに、例えば蛍光顕微鏡または他の画像化デバイスで作成及び記録することができる。図13に示されるように、3つの蛍光色素、例えば、様々なレベルのAlexa Fluor 555、594、647を使用して、105個のバーコードを生成できる。第4の色素を追加して使用することができ、数百の一意のバーコードの規模に拡張することができる。同様に、5色は、色の比率を変えることで達成できる一意のバーコードの数を増やすことができる。
例えば、核酸官能化粒子を固体支持体上で合成し、続いて様々なレベルで異なる比率の色素、例えばFAM、Cy3及びCy5、または3つの蛍光色素、例えばAlexa Fluor555、594、647で標識して、105個のバーコードを生成できる。
一実施形態において、各液滴または個別のボリュームで受け取られるフルオロフォアの割り当てられたまたはランダムなサブセット(複数可)は、各個別のボリュームにおける個別の光学的にコード化された粒子の観察可能なパターンを決定し、それにより、各個別のボリュームが独立して識別されることを可能にする。各個々のボリュームは、光学的にコード化された粒子を検出する適切な画像化技術で画像化される。例えば、光学的にコード化された粒子が蛍光標識されている場合、各個別のボリュームは、蛍光顕微鏡を使用して画像化される。別の例では、光学的にコード化された粒子が比色的に標識されている場合、各個別のボリュームは、各カラーラベルに固有の波長または吸収スペクトルまたは発光スペクトルに一致する1以上のフィルターを備えた顕微鏡を使用して画像化される。使用される光学システムに適合する他の検出方法、例えば、量子ドット、色素などを検出するための当該技術分野で知られている方法が意図される。各個別のボリュームについて観察された個別の光学的にコード化された粒子のパターンは、後の使用のために記録することができる。
さらに、液滴のマージ、及びCRISPR検出システムと標的分子とのインキュベーションに続いて、光学的評価を行うことができる。標的分子がガイド分子によって検出されると、CRISPRエフェクタータンパク質が活性化され、例えば、検出可能な陽性シグナルがマスキング解除、放出、または生成されるようにマスキング構築物を切断することにより、マスキング構築物を不活性化する。1つ以上の時間周期でマージした各液滴の検出可能なシグナルの検出及び測定を行うことができ、例えば、陽性の検出可能なシグナルが存在するとき、標的分子の存在を示す。
本発明のさらなる実施形態は、以下の番号の付いた項目で説明される。
1. 病原体に対するプローブ及びプライマーを開発する方法であって、
1つ以上の標的病原体に対して入力ゲノム配列のセットを提供することと、
セットカバー解法プロセスを前記標的配列のセットに適用して、1つ以上の標的増幅配列を同定することであって、前記1つ以上の標的増幅配列は、前記標的病原体の入力ゲノム配列のセットの間で共有される高度に保存された標的配列である、前記セットカバー解法プロセスを前記標的配列のセットに適用して、1つ以上の標的増幅配列を同定することと、
前記1つ以上の標的増幅配列に基づいて、1つ以上のプライマー、1つ以上のプローブ、またはプライマー対とプローブの組み合わせを生成することと、
を含む、前記方法。
2. 前記入力ゲノム配列のセットが、10以上のウイルスのセットに由来するゲノム配列を表す、項目1に記載の方法。
3. 前記プライマーのセットが、58~60℃の標的融解温度によって同定される、項目1に記載の方法。
4. 推定アンプリコンが同定される、項目1に記載の方法。
5. 次に、前記1つ以上の標的増幅配列を診断設計ガイドに供して、前記1つ以上のプライマー、1つ以上のプローブ、またはプライマー対とプローブの組み合わせを生成する、項目3に記載の方法。
6. 前記入力ゲノム配列のセットが、2以上のウイルス病原体に由来するゲノム配列を表す、項目1に記載の方法。
7. 前記生成された1つ以上のプライマー、1つ以上のプローブ、またはプライマー対とプローブの組み合わせが、5つ以上のウイルスの検出のための配列を含む、項目1に記載の方法。
8. サンプル中のウイルスを検出する方法であって、
サンプルを、プライマー対及び検出可能な標識を含むプローブと接触させることを含み、前記1つ以上のプライマー及び/またはプローブが、それぞれがウイルス種またはサブ種を検出するよう構成されている、前記方法。
9. 前記1つ以上のプローブが、対応する標的分子に結合するよう設計された1つ以上のガイドRNAを含む、項目8に記載の方法。
10. 前記1つ以上のガイドRNAが、標的RNAもしくはDNA中の一塩基多型、またはRNA転写物のスプライスバリアントを検出するように設計されている、項目9に記載の方法。
11. 前記1つ以上のガイドRNAが、疾患状態に特徴的な1つ以上の標的分子に結合するように設計されている、項目8に記載の方法。
12. 前記1つ以上のガイドRNAが、1つ以上のウイルス株を区別するように設計されている、項目8に記載の方法。
13. 前記1つ以上のガイドRNAが、少なくとも90のガイドRNAを含む、項目12に記載の方法。
本発明は、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定しない、以下の実施例においてさらに説明される。
例示的な方法
例示的な方法では、化合物を蛍光色素の一意の比率で混合することができる。標的分子と色素混合物の各混合物は、液滴に乳化することができる。同様に、光学バーコードを備えた各検出CRISPR系は、液滴に乳化された。いくつかの実施形態では、各液滴は約1nLである。次いで、液滴を組み合わせてマイクロウェルチップに適用することができる。簡単な混合で液滴を組み合わせることができる。例示的な一実施形態では、マイクロウェルチップは、例えばネオジム磁石などのクランプによって上下からクランプできる取り外し可能なスペーサーを備えた疎水性スライドガラスなどのプラットフォーム上に吊り下げられる。スペーサーによって作成されたチップとガラスの間のギャップに油をロードし、液滴のプールをチップに注入し、さらに油を注入して余分な液滴を排出することで液滴を流し続けることができる。ロードが完了すると、チップを油で洗浄して、遊離している界面活性剤をパージできる。スペーサーを取り外して、マイクロウェルをスライドガラスに対して密閉し、クランプを閉じることができる。次いで、チップを落射蛍光顕微鏡で画像化し、次いで、液滴をマージして、例えばコロナ処理装置によって供給されるAC電場を印加することにより各マイクロウェル内の化合物を混合する。37℃でのマイクロウェルのインキュベーションと、落射蛍光顕微鏡を使用した蛍光の測定。
プライマーの設計に関しては、ソフトウェアツールに実装された「診断ガイド設計」法を利用して、ウイルス配列に対する以下の例示的な方法を利用することができる。ウイルス配列の場合、ウイルス配列のアライメントの入力が利用され、その目的は、ガイドと標的との間のいくつかのミスマッチ(通常は1)を許容する入力配列のいくつかの所望の画分(例えば、95%)を検出する、いくつかの特定のアンプリコン長さ内にあるガイド配列のセットを見つけることである。サブタイピング(または任意の鑑別同定)にとって重要なことは、各コレクションが1つのサブタイプに固有であることを保証する様々なガイドのコレクションを設計することである。
目標は、これに基づいて、診断ガイド設計(「d-g-d」)と他のツールを使用して、種同定用のアンプリコンプライマーとガイド配列を同時に設計することである。
必要なウイルスゲノムを組み立て、mafftを使用して種レベルでアライメントを行い、データをクラスター化して密接に関連した種を識別する。セグメント化されたウイルスを特別に扱う。各セグメントを個別に扱う。最終的に、続行するのに最適なセグメント(または2つ)を選択する。
診断ガイド設計を使用して、推定プライマー結合部位(25mer)を同定する。カバレッジが95%で、ミスマッチが2つ以下の単一のプライマー配列を探す。
位置/ウィンドウでこのカバレッジを達成する方法がない場合は、次の位置に移動し、プライマー3を呼び出す前に、最初にゲノム全体でこれを実行する。
80~120ヌクレオチド長のアンプリコンのプライマーペアを同定する。プライマー3を使用して25merを絞り込み、58~60Cの標的融解温度を取得する。
SEQUENCE_PRIMER_PAIR_OK_REGION_LISTを使用して、推定アンプリコンのfwd/リバースプライマーの位置を指定する。これにより、[fwd_start、fwd_length,rev_start,rev_length]フォーマットを使用してプライマーが入る領域を入力できる。
好ましくは、PCRはより低い温度、例えば50~55Cで行うことができる。
プライマーの二次構造が悪い場合は、廃棄する(PRIMER_MAX_SELF_ANY_TH,PRIMER_PAIR_MAX_COMPL_ANY_THを40Cに設定)。これは、デフォルト設定の47Cよりも低い値であるが、ここで優れたプライマーを得るには、ストリンジェンシーが必要である。
クラスタリングデータを使用して、アンプリコンの交差反応性を確認する。これは、プライマーが避けるべき「ミスプライミングライブラリー」を可能にするプライマー3を使用して行うことができる。ここで、他の種(しかし同じクラスター内)からの配列表を入力できる。アンプリコンに固有のプライマーが含まれている可能性があるが、アッセイが非常に特異的であることを保証するために必要な、crRNAレベルでの重複が依然として存在する可能性がある。
それらのアンプリコンをd-g-dに渡し、crRNAの発見を試みる。
以前と同じように、1つのミスマッチを許容する。
ウィンドウサイズはアンプリコン全体である(プライマー配列との重複なし)。
クラスタリングデータを使用して差動設計を行う(おそらく、増幅されていない材料が不足している必要があるため、アンプリコン対他のアンプリコンを確認するのみである)。少なくとも4つのミスマッチを要求する(G-Uペアは含まれない)。
crRNAが少なく、カバレッジが高く、特異的なアンプリコンの表を作成する。
現時点では、単一の「最良の」設計を準備できるが、コードを変更して、例えば各ウイルスを試験するためのいくつかの選択肢を提供するホワイトリストの作成を可能にする必要がある。
20uLの反応を使用したプレート中のジカウイルスについてSHERLOCKによって分析された同じジカサンプルの感度曲線は、2nLの反応を使用した液滴中のジカウイルスのSHERLOCKアッセイと同じであり、液滴SHERLOCK(dSHERLOCK)の検出限界がプレートに匹敵することを示す。(図3)。同様に、dSHERLOCKは、プレートでのアッセイと比較した場合、一塩基多型(SNP)を同等に区別する。
本明細書に開示される方法及びシステムは、インフルエンザのサブタイプの多重検出に利用することができる(図5)。特に、チップ内の検出ミックスと標的のすべての組み合わせを生成するために必要な実験的努力は、ウェルプレートで対角線上の反応のみを構築するために必要な努力と同じであり、システムと方法を多数の組み合わせで分析に適用することを可能にする。チップは対角線に加えてすべての非対角線の組み合わせを自動的に構築するため、目的の製品に対する各検出ミックスの選択性の迅速な決定が達成可能である。ガイドRNAは、寄託された配列に基づいて、ウイルスの特定の一意なセグメントを標的にするように設計できる。場合によっては、より新しい配列データ、またはより一般的な配列を含むように設計に重みを付けることができる。インフルエンザHサブタイプについて図6に示すように、様々なウイルスのサブタイプに対してガイドRNAのセットを設計でき、0または1のミスマッチを持つ各サブタイプの多数のコンセンサス配列に対するガイドRNAのアライメントを提供する成功した結果が得られる。
現在のシステム及び方法の他の例示的な用途には、TB(図11)及びHIV逆転写酵素における薬剤耐性突然変異の検出を含む、変異の多重検出が含まれる。ガイドRNAは、祖先対立遺伝子と派生対立遺伝子を標的とするように設計することができ、派生対立遺伝子と標的対立遺伝子の試験を一緒に使用する可能性を示す試験を行うことができる。(図10)。dSHERLOCKは、30分以内に検出される蛍光で実行できる。(図11)。
マイクロウェルアレイチップと液滴検出を使用してSHERLOCKを本明細書に開示する方法に組み合わせることで、バーコードの数とチップサイズを拡張して大規模な多重化を可能にする、これまでの多重検出を通じて最高のスループットを提供できる。(図12~14)。
***
本発明の記載された方法、医薬組成物、及びキットの様々な改変及び変形は、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本発明を特定の実施形態に関連して説明してきたが、さらなる改変が可能であり、特許請求される本発明はそのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことが理解されるであろう。実際、当業者にとって明らかな、本発明を実施するための記載されたモードの様々な改変は、本発明の範囲内にあることを意図している。本出願は、一般に、本発明の原理に従い、本発明が属する技術分野の既知の慣習の範囲内であり、本明細書上記の本質的な特徴に適用することができる本開示からのそのような逸脱を含む、本発明のあらゆる変形、使用、または適応を包含することを意図している。

Claims (13)

  1. 病原体に対するプローブ及びプライマーを開発する方法であって、
    セットカバー解法プロセスを入力ゲノム配列のセットに適用して、1つ以上の標的増幅配列を同定することであって、前記1つ以上の標的増幅配列は、入力ゲノム配列のセットと標的病原体との間で共有される高度に保存された標的配列である、前記セットカバー解法プロセスを入力ゲノム配列のセットに適用して、1つ以上の標的増幅配列を同定することと、
    前記1つ以上の標的増幅配列に基づいて、1つ以上のプライマー、1つ以上のプローブ、またはプライマー対とプローブの組み合わせを生成することと、
    を含む、前記方法。
  2. 前記入力ゲノム配列のセットが、10以上のウイルスのセットに由来するゲノム配列を表す、請求項1に記載の方法。
  3. 前記プライマーのセットが、58~60℃の標的融解温度によって同定される、請求項1に記載の方法。
  4. 推定アンプリコンが同定される、請求項1に記載の方法。
  5. 次に、前記1つ以上の標的増幅配列を診断設計ガイドに供して、前記1つ以上のプライマー、1つ以上のプローブ、またはプライマー対とプローブの組み合わせを生成する、請求項3に記載の方法。
  6. 前記入力ゲノム配列のセットが、2以上のウイルス病原体に由来するゲノム配列を表す、請求項1に記載の方法。
  7. 前記生成された1つ以上のプライマー、1つ以上のプローブ、またはプライマー対とプローブの組み合わせが、5つ以上のウイルスの検出のための配列を含む、請求項1に記載の方法。
  8. サンプル中のウイルスを検出する方法であって、
    サンプルを、プライマー対及び検出可能な標識を含むプローブと接触させることを含み、前記1つ以上のプライマー及び/またはプローブが、それぞれがウイルス種またはサブ種を検出するよう構成されている、前記方法。
  9. 前記1つ以上のプローブが、対応する標的分子に結合するよう設計された1つ以上のガイドRNAを含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記1つ以上のガイドRNAが、標的RNAもしくはDNA中の一塩基多型、またはRNA転写物のスプライスバリアントを検出するように設計されている、請求項9に記載の方法。
  11. 前記1つ以上のガイドRNAが、疾患状態に特徴的な1つ以上の標的分子に結合するように設計されている、請求項8に記載の方法。
  12. 前記1つ以上のガイドRNAが、1つ以上のウイルス株を区別するように設計されている、請求項8に記載の方法。
  13. 前記1つ以上のガイドRNAが、少なくとも90のガイドRNAを含む、請求項12に記載の方法。
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