JP2022506976A - 細胞培養システムおよび方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、代替可能な懸濁細胞培養デバイスに関する。特に、本発明は、容積の異なる細胞培養チャンバ(1:1A、1B、1C)どうしの間にわたって細胞培養物を自動的に移送することにより、細胞培養領域の容積変更を可能とした構成を有した代替可能なデバイスに関する。さらに、本発明は、懸濁細胞培養システムを提供する。

Description

本発明は、細胞培養システムに関する。特に、本発明は、容積が異なる細胞培養チャンバどうしの間にわたって細胞培養物を移送することにより、細胞培養領域の容積を変更し得る構成を有したシステムに関する。さらに、本発明は、細胞培養方法を提供する。
化学産業または製薬産業は、とりわけ、特定の細胞製品の生産に関心を有しており、その目的のため、最高品質の製品を確保するに際し、多数のバイオリアクタと人手とを必要とするとともに、可能な限りのエネルギの最適化および資源の最適化を必要としている。
所望の製品を得るためには、細胞培養プロセスがそのプロセスに関する様々な特性に応じた適切な態様でかつ最適な条件下で実施されるように、制御することが非常に重要である。
所望の進展および成長のためには、懸濁液中の細胞は、培養プロセスの進行につれて、容積を増大させながら培養しなければならない。
培地内に含有された細胞を培養するために、従来から、様々なサイズの様々な容器が使用されてきた。しかしながら、これらの従来的手段は、様々な欠点を有していた。
これらの欠点のいくつかは、以下の通りである。
-品質管理が、不充分であることあるいは存在しないこと。
-培養状態のリアルタイムでの監視が、できないこと。
-ある容器から、より大きな容積の別の容器へと、手作業で移送する際に、外部媒体との接触による汚染リスクが存在すること。
-培養の進展速度が速いため、徹底した時間管理が必要であること。
-懸濁細胞培養プロセスにおいて特定時間に容積を変更する必要があるという上記の時間要件が遵守されない場合には、培養物に対して与えられる細胞ストレスのために、製品品質が低下すること。
-上記の要件に準拠して製品品質を最適化するために投資される時間と人的資源との両方が、指数関数的に増加すること。
現在、これらの欠点を回避するために培養プロセスをシステム化しようとする様々なシステムが存在する。それらシステムのいくつかは、細胞培養をバッグの中で行うなどの解決策を組み込んでいるけれども、その場合には、細胞を懸濁状態に維持するために、常に振盪する必要がある。さらに、追加的な問題点として、開始時の容積が大きすぎるため、細胞を播種するに際し、一連の前処理が必要である。
また、細胞の継代または移送を手作業で行う他のシステムでは、プロセスの拡張性に乏しく、そのため、製品の最終的な品質管理が損なわれる。
本発明は、請求項1に記載の細胞培養システムにより、および、請求項14に記載の細胞を培養するための方法により、上記の問題点に対する解決策を提案する。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に規定されている。
第1の発明的見地は、細胞培養システムであって、
培地内に含有された細胞を内部で培養するように構成された複数の細胞培養チャンバであるとともに、チャネルネットワークを介して互いに流体連通するように構成された複数の細胞培養チャンバと、
チャネルネットワークを通して流体を循環させるための流体流量制御手段と、
培地調整手段と、
培地および/または細胞の状態を監視するように構成された測定手段と、
流体流量制御手段に対しておよび/または調整手段に対して接続されたコントローラであるとともに、測定手段とデータ通信するように構成されたコントローラと、を含み、
細胞培養チャンバのそれぞれは、複数の流体出入口を含み、
複数の細胞培養チャンバのすべては、異なる内容積を有し、
コントローラは、測定手段によって測定されたデータに基づいて、
調整手段を動作させるように、および/または、
流体流量制御手段を動作させるように、さらに構成され、これにより、第1チャンバ内の培地内に含有された細胞が、第1チャンバの内容積よりも大きな内容積を有した第2チャンバ内へと移送されるなどのようにして、必要に応じて、より大きな内容積を有したチャンバ内へと順次的に移送され、
システムは、細胞培養チャンバ内に細胞を保持するように構成された細胞保持手段をさらに含む、ことを特徴とする細胞培養システムを提供する。
本明細書を通して、流体とは、液体媒体を意味するものとして、および/または、液体媒体内に含有された細胞を意味するものとして、理解される。培地、および/または、培地内に含有された細胞、などの流体に関するいくつかの例が、本発明内において規定される。さらに、本明細書を通して、細胞培養物とは、液体媒体内に含有された細胞を意味するとして、好ましくは、培地内に含有された細胞を意味するものとして、理解される。同様に、培地は、新鮮な培地であってもよく、すなわち、栄養素およびガスが豊富な培地であってもよく、あるいは、栄養素およびガスが不足した培地であってもよい。このように栄養素およびガスの量に基づいて培地を区別するのは、初期細胞を、初期的な培地(最適な条件で細胞培養を実行し得る最小限の栄養素およびガスを含む)内に最初に含有させ、これにより、所望の最終製品(培養された細胞)を取得するまで、細胞培養を開始させ得るためである。本システム内で実行される懸濁細胞培養プロセスにおいては、培地を、新品の培地と数回まで交換することができ、また、この培地を、細胞の成長に関与し続けるために必要なガスを回復させるのに必要な回数だけ調整することさえ可能である。この細胞培養プロセスは、本システム内に含まれている異なる細胞培養チャンバどうしの間にわたって実行される。
細胞培養チャンバどうしの間にわたっての流体の移送は、測定手段から受領したデータに基づいてコントローラが動作することによって、制御される。言い換えれば,そのような移送は,チャネルネットワークを通して流体を循環させるための流体流量制御手段の作用によって、実行される。そのような流体流量制御手段は、また、チャネルネットワークを通しての初期的な培地すなわち新鮮な培地ならびに不足状態の培地の通過を制御する役割、そして、初期細胞の通過を制御する役割、あるいは、培地に収容されていて既に培養されている細胞の通過を制御する役割、も果たしている。流体流量制御手段は、本システムの特徴点に応じて、手動でまたは自動で、動作させることができる。それにもかかわらず、システム内におけるコントローラの存在は、システムが必要であると決定した時には、流体流量制御手段および調整手段を自動で動作させることを可能とする。
細胞培養チャンバに設けられた流体出入口とは、チャンバに設けられた開口または出入口であって、そこを通して流体を導入し得るものとされたおよび/または導出し得るものとされた開口または出入口を意味するものとして、理解される。本システムのいずれかにおける特定の実施形態では、各細胞培養チャンバは、培地および/または細胞培養物のための少なくとも1つの入口と、培地および/または細胞培養物のための少なくとも1つの出口と、を含む。本システムのいずれかにおける別の実施形態では、各細胞培養チャンバは、培地のための入口と、細胞培養物または初期細胞のための入口と、培地のための出口と、細胞培養物または培養された細胞のための出口と、を含む。
本発明の主要な目的は、培地内に含有された細胞を最適な態様で培養するのに適したシステムを提供することである。この目的のため、細胞培養プロセスのその特定の時点での培養物の需要に適合していない細胞を、特定の容積特性を有した筐体や容器やまたはチャンバに閉じ込められた状態で維持することが必要である。その結果、本システムでは、互いに連通した複数のチャンバが設けられ、その内容積は、培養プロセスの需要に応じて増大する。言い換えれば、細胞が培養されるにつれて、細胞が膨張して成長し得るよう、細胞は、徐々に大きな容積を必要とするようになり、そのため、細胞は、細胞培養プロセスが終了するまで、あるチャンバから、より大きな内容積を有した別のチャンバへと、順次的に移送される。細胞培養時には、これらの細胞は、チャンバ内の培地内に含有され、チャンバの底面がなす表面によって許容される範囲全体にわたって分散する。細胞が、チャンバ内の培地内に懸濁している特定の例では、重力の影響により、これらの細胞は、細胞培養チャンバの底面上において培地内に懸濁する傾向がある。
本システムの更なる目的は、測定手段によって監視されたデータに基づいてコントローラが細胞移送を決定した時点での、チャンバどうしの間にわたっての細胞移送により、最適なかつ自動的な態様で細胞培養が実行される手段を提供することである。加えて、別の目的は、コントローラが細胞移送を決定する前に、あるいは、直接的に最終製品として細胞が導出される前に、細胞が細胞培養チャンバから外部に出ることを防止することである。
特定の実施形態では、複数の細胞培養チャンバのすべては、異なる底面サイズを有し、コントローラは、測定手段によって測定されたデータに基づいて、第1チャンバ内の培地内に含有された細胞が、その底面が第1チャンバの底面よりも大きな第2チャンバ内へと移送されるように、流体流量制御手段を動作させるように、構成される。
培地は、細胞が収容されている各細胞培養チャンバ内において、より大きな内容積のチャンバへと移送しなければならなくなるまでの必要な時間にわたって、循環することとなる。この培地の循環とは、培地が、連続的な態様であるいは定期的に、1つまたは複数のチャンバから導出されて1つまたは複数のチャンバ内へと導入されることを意味するものとして、理解される。このことは、有利には、不足状態の培地が、培養中に細胞が生成した廃棄物と一緒にチャンバ内から導出されること、そして、新鮮な培地が、あるいは、調整された培地が、チャンバ内へと導入され、これにより、培養を継続するために必要なガスを細胞に対して供給し得ることを、意味する。言い換えれば、培地の循環は、細胞に対して栄養素およびガスが供給されることに寄与するとともに、培養中に細胞が生成する老廃物を排出することにも寄与する。
培地の循環時に、生成される培地の流れが、細胞を巻き込まないように、そして、必要以上に早く、チャンバの内部から導出してしまわないように、システムは、細胞培養チャンバの内部に細胞を保持するように構成された細胞保持手段を提案する。有利には、これらの細胞保持手段は、細胞が培地の流れに巻き込まれるというリスクを伴うことなく、細胞培養チャンバの内部に細胞を保持する。コントローラが、細胞が配置されているチャンバよりも大きな内容積を有したチャンバへと細胞を移送させ得る流量制御手段を動作させるまでは、あるいは、最終製品(培養された細胞)として導出させ得る流量制御手段を動作させるまでは、細胞は、細胞培養チャンバの内部に保持される。
特定の実施形態では、流体流量制御手段は、流体を駆動するための手段を含み、この駆動手段は、培地および/または細胞培養物を、連続的な態様であるいは定期的に、細胞培養チャンバ内から流体を導出することができる、および、細胞培養チャンバ内へと流体を導入することができる。より詳細には、チャネルネットワークを通して流体を駆動するための手段は、蠕動ポンプまたは遠心ポンプとすることができる。
特定の実施形態では、流体流量制御手段は、チャネルネットワークを通しての流体の通過を制御するピンチバルブを含む。
本システム内に設けられた調整手段は、不足状態の培地に対して、失われたガス(すなわち、細胞によって既に吸収されたガス)を供給するように構成され、これにより、有利には、細胞培養の供給能力を回復させる。
測定手段は、培地および/または細胞の状態を監視するように構成され、さらに、コントローラとデータ通信するように構成されている。したがって、コントローラが受信したデータに基づいて、コントローラは、細胞培養物の需要を決定して、流体流量制御手段および/または調整手段を動作させる。
流体流量制御手段は、手動で動作させることができる、すなわちユーザが所望した時点で手動で動作させることができる、あるいは、測定手段によって監視されたデータに基づいて、自動ですなわちコントローラによって、動作させることができる。
例えばセンサなどの測定手段は、本システムにおける細胞培養プロセス時に細胞培養物またはその構成要素の状態を監視する役割を果たす。本システムは、センサから送信されたデータに基づいて流体流量制御手段と調整手段とを自動的に動作させる役割を果たすこととなるコントローラを、さらに含む。コントローラは、センサからの測定値に基づいて、例えば、培地を調整しなければならない時点を決定したり、培地を廃棄しなければならない時点を決定したり、したがって、新品の培地を導入する必要がある時点を決定したり、あるいは、細胞を、より大きな寸法のチャンバへと移送しなければならない時点を決定したり、などのように、細胞培養に関する様々な操作を決定するように構成されている。培地内でのセンサの測定値に基づいて、センサが、連続的な態様でデータをコントローラに対して送信し、これにより、コントローラは、流体流量制御手段と調整手段との双方を自動的に動作させることができる。それにもかかわらず、細胞培養プロセスは、有利には、自動的に実行することができる、すなわち、ユーザが継続的に警戒してシステムの構成要素に対して介入することを必要とすることなく実行することができる。
測定手段によって測定されてコントローラに対して送信された培地の状態に関するデータは、細胞培養チャンバどうしの間にわたっての細胞移送を許可するとともに、調整手段の動作回数あるいは培地の循環を変更する回数を、許可する。
有利には、測定手段は、細胞培養プロセス時には、細胞培養物および/または細胞の状態をリアルタイムで監視し、さらに、システムを自動的に動作させることを可能とする、すなわち、ユーザがいずれかのシステムの構成要素を操作する必要なく、また、細胞培養チャンバの内容物の移送を管理する必要なく、動作させることを可能とする。
培地が引き続き細胞の培養に適しているかどうかを決定するために、測定手段は、培地の、Oガスの量、COガスの量、およびpHを監視し、また、グルコースおよび乳酸などの栄養素の濃度、バイオマス、および他の代謝物の量も監視する。
特定の実施形態では、細胞保持手段は、細胞培養チャンバの内部に配置された濾過手段であるとともに、培地を濾過するように構成された、さらに、各細胞培養チャンバの内部に細胞を保持するように構成された濾過手段を含む。
各細胞培養チャンバの内部に配置されたこれらの濾過手段は、培地の通過を許容しつつ、チャンバの内部に細胞を保持する、すなわち、細胞の通過を許容しない。濾過手段は、有利には、培地循環フェーズ時に流体出入口を通して循環する培地の流れに細胞が巻き込まれるというリスクをもたらすことなく、細胞培養チャンバの内部に細胞を保持する。
特定の実施形態では、少なくとも1つの細胞培養チャンバの濾過手段は、細胞培養チャンバを、
培地を内部に収容するのに適した第1区画と、
培地内に含有された細胞を内部に収容するのに適した第2区画と、に分割するフィルタ膜を含み、
フィルタ膜は、両区画の間にわたっての培地の通過を可能とするように構成され、かつ、第2区画内に細胞を保持するように構成されている。
2つの区画が、フィルタ膜によって互いに分離された状態で、細胞培養チャンバ内に配置されていることにより、第1システム内における培地の循環時には、第1区画内へと導入される新鮮な培地と、第2区画内に収容された培地と、の間にわたって栄養素が拡散することが可能とされ、これにより、2つの培地が均衡化される、すなわち、循環する培地と、細胞培養チャンバに収容された培地と、の間で均衡化される。これにより、必要な栄養素が細胞に対して供給されるとともに、例えば乳酸などの、細胞が生成した老廃物は、細胞培養チャンバから導出される培地がそのような老廃物を巻き込むことで、徐々に除去される。両区画どうしの間にわたっての栄養素の拡散は、フィルタ膜を介して濾過した培地を両区画どうしの間にわたって循環させるこのフィルタ膜の結果として、起こる。
特定の実施形態では、各区画は、少なくとも1つの流体出入口を含む。
フィルタ膜が、細胞培養チャンバの内部空間を2つの区画に分割することは、有利には、培地内に含有された細胞を一方の区画内に閉じ込めることを可能としつつ、他方の区画では、新鮮な培地の流入および不足状態の培地の流出を可能とする。特定の実施形態では、第1区画は、濾過手段を介して第2区画の内部と連続的に流体連通させた態様で培地を収容するのに適している。特に、第1区画は、培地のための、入口および出口を含む。有利には、培地のための入口および出口を、培地内に含有された細胞を収容した第2区画から分離することにより、チャンバの内部へと出入りする培地の貫流が生成する流れまたは乱流が、細胞の状態に影響を与えることを防止する。
特定の実施形態では、第1区画は、少なくとも1つの培地分配チャネルを互いの間に規定する複数の壁を含み、この培地分配チャネルは、その延在部分全体に沿ってフィルタ膜に対して接続されているとともに、この第1区画の少なくとも1つの流体出入口に対して接続されている。
有利には、少なくとも1つの分配チャネルを形成する壁によって規定されるチャネル化構造の目的は、分配チャネルが膜の表面全体を覆うことである。言い換えれば、第1区画内へと導入される培地が濾過手段(フィルタ膜)の表面全体に沿って循環することは、壁のこの配置によって達成される。したがって、流体導入口を通して第1区画内へと新鮮な培地が導入される時には、この新鮮な培地は、第1区画の延在部分全体を移動することとなり、これにより、そのような移動の際にフィルタ膜の表面全体を確実に掃引し、したがって、培地内に含有された細胞を収容した第2区画に対して栄養素およびガスを交換するための表面が、最大化されて有利である。さらに、複数の壁は、栄養素を一様に分散させることを可能とする。
特定の実施形態では、複数の壁によって規定される培地分配チャネルは、培地入口に対して接続された第1端部と、培地出口に対して接続された第2端部と、を含む。
特定の実施形態では、第1区画は、第2区画の内容積と比較して、より小さな内容積を有している。
有利には、培地内に含有されるより大きな容積の細胞を収容するために、第2区画で利用可能な容積は、最大化されることとなる。有利には、第1区画内における栄養素不足の培地の滞留時間も短縮され、これにより、新品の新鮮な培地と交換されるかまたは調整されるため、培地の更新が加速化される。
特定の実施形態では、少なくとも1つの細胞培養チャンバの濾過手段は、細胞培養チャンバの少なくとも1つの流体出入口に配置された少なくとも1つのフィルタを含む。このフィルタは、培地の通過を可能とするように構成されているとともに、チャンバ内に細胞を保持するようにも構成されている。特定の例では、フィルタは、培地内に存在する細胞およびサイトカインを、チャンバ内に保持し得るように構成することができる。これにより、チャンバ内に濃縮物が存在することになり、培地全体に必要な濃度が低下することとなる。
有利には、細胞培養チャンバの流体出入口にフィルタが存在することにより、これらフィルタを、細胞培養チャンバ自体の内部に侵入することなく、新品のフィルタと交換することができる。
特定の例では、保持手段は、チャンバの底面に対して第1高さのところにおいて、チャンバを通して所定の速度および流れ方向で培地を循環させるように構成されたポンプを含み、第1高さは、チャンバ内に収容された細胞が、チャンバの底面に対して配置されている第2高さと比較して、より高いものとされ、これにより、培地がチャンバ内を通して循環する際に、細胞が、必要以上に早く、この細胞培養チャンバから外部へと巻き込まれることが防止される。
細胞培養チャンバ内へと培地を送り込む速度は、細胞培養チャンバの底面のサイズに応じて、予め決められている。言い換えれば、培地が細胞培養チャンバ内へと導入される単位表面あたりの流量は、チャンバの底面のサイズに応じて規定される。チャンバの底面が大きければ大きいほど、培地の流量は大きくなる、すなわち、チャンバの底面が大きければ大きいほど、チャンバ内に収容された細胞が耐え得る流量も大きくなる。さらに、培地の流量は、細胞培養状態を感知する手段によって測定されたデータに依存することとなる、すなわち、培地の流量は、培養されるべき細胞の需要に応じて変動し得る。
培地は、流れ方向または循環方向を有して細胞培養チャンバ内へと導入されて循環するように、細胞培養チャンバ内へと、調節可能なポンプによって駆動される。すなわち、細胞が、細胞培養チャンバ内へと導入される際には、重力の影響により、細胞培養チャンバの底面上において培地内に含有された細胞領域は、細胞培養チャンバの底面よりも上方の第2高さのところに位置することになる。しかしながら、培地は、チャンバの底面に対して第1高さに位置するチャンバ内の流れ方向で、細胞培養チャンバ内へと送り込まれる。培地の流れ方向の第1高さは、細胞培養チャンバに収容された細胞が位置している第2高さよりも、より高いものとされている。したがって、培地が細胞培養チャンバ内へと駆動される際の所定の速度は、培養チャンバ内で発生する培地流れが、細胞を巻き込んでチャンバ内から抽出しないようなものとされる。その結果、培地がチャンバ内へと導入される速度と、培地の流れ方向よりも下方に細胞が位置していることと、のために、この培地の流れ方向が、細胞に対して垂直になることが防止され、これにより、細胞が混合されてしまうことが防止されるとともに、細胞を巻き込んで予想よりも早くチャンバから外部へと細胞を抽出してしまう乱流が発生してしまうことが防止される。特定の実施形態では、細胞は、培養チャンバ内において培地内に含有されて複数の列で配置されており、このため、複数の細胞は、異なる第2高さに配置されているものの、すべての細胞は、常に、細胞培養チャンバの内部を通して循環する培地の流れ方向よりも下方に位置している。
ポンプは、細胞培養物の需要に応じて、ポンピングのための培地の流量をおよびその速度を、ユーザが制御し得るように構成される。特定の実施形態では、このポンプは、蠕動ポンプ、または遠心ポンプ、または差圧ポンプ、とすることができる。特定の実施形態では、ポンプは、細胞培養物の需要に応じて、コントローラによって自動的に制御されるように構成される。
所定の速度で、流れ方向または循環方向に培地を導入することにより、細胞培養チャンバ内には、互いに流体連通した2つの空間が生じる。第1空間は、培地内に含有された細胞が、ほぼ定常状態にあり、チャンバの底面上においてこの底面に対して第2高さで分布している場所であり、第2空間は、細胞培養チャンバの底面に対して第1高さで循環している培地が位置している場所である。したがって、双方の空間どうしの間の濃度差に起因して、双方の空間どうしの間にわたって栄養素の拡散が生じる。チャンバ内を通して循環する培地と、培地内に含有された細胞と、の間におけるこの栄養素の拡散が、第1空間と第2空間との間において栄養素濃度を同じに維持する原因である。
コントローラが、細胞が配置されているチャンバよりも大きな内容積を有したチャンバへと細胞を移送し得る流量制御手段を動作させるまでは、あるいは、最終製品(培養された細胞)として細胞を導出し得る流量制御手段を動作させるまでは、細胞は、細胞培養チャンバ内に保持される。
チャンバ内における培地の循環は、有利には、培養チャンバ内へと導入された新鮮な培地と、培養チャンバ内に既に収容されている培地と、の間にわたって栄養素の散布を提供し、これにより、2つの培地を均衡化させることができる、すなわち、循環する培地と、細胞培養チャンバに収容されている培地と、を均衡化させることができる。これにより、必要な栄養素が細胞に対して供給されるとともに、細胞が生成した老廃物は、細胞培養チャンバから導出される培地に巻き込まれることにより、徐々に除去される。培養チャンバ内における栄養素の拡散は、新鮮な培地が、所定の速度で、および、細胞培養チャンバの底面に対して同一の上方に位置した流れ方向で、循環することの結果として、起こる。
培地が所定の速度で循環することによりおよび培地の流れ方向よりも下方に位置していることにより、細胞がほぼ定常状態にあることは、システムが、有利には、培地内に含有された細胞をチャンバ内に閉じ込め得ることを意味するとともに、培地の循環によって、新鮮な培地の流入と、不足状態の培地の流出と、が起こることを意味する。さらに、培地の流れの速度および方向は、チャンバ内へと出入りする培地の貫流が生成する流れまたは乱流が、細胞の状態に影響を与えることを防止するような、ものとされる。
特定の実施形態では、各チャンバは、少なくとも1つの培地分配チャネルを互いの間に規定する複数の壁を含み、この培地分配チャネルは、少なくとも1つの流体出入口に対して接続されている。
有利には、複数の壁は、栄養素を一様に分散させることを可能とする。
特定の実施形態では、培地分配チャネルは、培地入口に対して接続された第1端部と、培地出口に対して接続された第2端部と、を含む。
一実施形態では、調整手段は、内部にガスを収容するように構成された調整チャンバを含み、調整チャンバは、ガス透過性膜を介して細胞培養チャンバに対して接続されている。
別の特定の実施形態では、培地調整手段は、
チャネルネットワークに対して接続され、かつ、内部に培地を収容するように構成された調整チャンバと、
調整チャンバ内へと少なくとも1つのガスを注入するための手段と、を含む。
有利には、培地内へとガスを注入するための手段は、細胞培養時に細胞が既に吸収したガスを、その培地に対して供給する。
より特定の実施形態では、細胞培養チャンバは、細胞培養チャンバのうちの、培地内に含有された細胞が貯蔵されている区画が、ガス透過性(液体透過性ではない)の膜を含むようにして、調整チャンバ内に配置される。
別の特定の実施形態では、調整手段は、細胞培養チャンバの内部において、培地内に含有された細胞が貯蔵されている区画内に配置された、ガス透過性の、かつ、液体透過性ではない、シリコーンチューブを含む。
特定の実施形態では、システムは、
チャネルネットワークに対して接続され、かつ、細胞培養チャンバの内部と流体連通するように構成された培地リザーバ、および/または、
チャネルネットワークに対して接続され、かつ、細胞培養チャンバの内部と流体連通するように構成された初期細胞リザーバ、および/または、
チャネルネットワークに対して接続され、かつ、細胞培養チャンバに由来する残留流体を内部に収容するように構成された残留物リザーバ、および/または、
チャネルネットワークに対して接続され、かつ、細胞培養チャンバの内部と流体連通するように構成された最終製品リザーバ、を含む。
培地リザーバは、細胞が培養されることとなる初期的な培地が配置されているリザーバである、あるいは、培地リザーバは、新品の培地とすることができる、すなわち、細胞培養プロセスにおいて細胞を含有している培地を交換する目的の点で関心のある栄養素およびガスが豊富な培地とすることができる、および、既に不足状態であると考えられ、そのため、使い捨て可能な培地とすることができる。有利には、この培地リザーバは、培養プロセスにおいて必要とされた時には、新鮮な培地をチャンバ内へと供給することを可能とする。さらに、この培地リザーバは、内部に回収培地を収容することもできるリザーバとして理解することができ、回収培地は、細胞が既に最終的なサイズに達しているためすなわち細胞懸濁培養プロセスが既に終了しているため回収媒体内に含有された最終製品として細胞が導出される最後の細胞培養チャンバ内へと、導入することができる。
初期細胞リザーバは、培地内で培養される対象となる細胞が配置されているリザーバである。有利には、この初期細胞リザーバは、培養されるべき細胞を、いずれかの細胞培養チャンバ内へと導入することを可能とする。特に、例えば3つの細胞培養チャンバを必要とする細胞培養プロセスでは、細胞は、一般に、最初は最小の内容積を有したチャンバ内へと導入され、その後、細胞は、順次的に、より大きな内容積を有したチャンバに徐々に拡張される。別の特定の実施形態では、第1細胞培養チャンバに対して最初に多数の細胞が存在する場合、これらの細胞は、最初の2つの細胞培養チャンバの間で分配され、これにより、最適な態様で培養することができ、これにより、培養のために収容される容積あたりの細胞の過剰が、防止される。
残留物リザーバは、いずれかの細胞培養チャンバに由来する残留流体に関連することが意図されたリザーバである。例えば、培地が、栄養素およびガスが不足しているものであると考えられた時には、そのため、使い捨てであると考えられた時には、それを除去して、残留物リザーバ内へと回収することができる。有利には、流体残留物リザーバは、いずれかの細胞培養チャンバの内部から廃棄されてきた任意の残留流体を内部に貯蔵することを可能とする。他の実施形態では、栄養素およびガスの不足により廃棄された培地は、例えば、培養中に細胞から分泌された代謝物または関心のある生成物を回収するために、ユーザにとって関心のあるものとなり得る。それでもなお、残留物リザーバは、使い捨て製品を貯蔵するリザーバだけでなく、関心のある製品が貯蔵されるリザーバでもある。
最終製品リザーバは、最終製品、すなわち、培地内で既に培養された細胞が、細胞培養プロセスの終了時に収容されるリザーバである。この最終製品は、培地内に含有された培養細胞として理解することができる、あるいは、例えば回収培地などのように、最後の細胞培養チャンバ内へと導入された新品の培地内に含有された培養細胞として理解することができる。有利には、この最終製品リザーバは、細胞培養チャンバに対して介入することなく、既に培養された細胞を迅速に回収することを可能とする。
測定手段が、細胞培養チャンバ内を循環している培地が、または細胞培養チャンバ内に収容されている培地が、例えばグルコースなどの栄養素が不足していることを検出した場合には、測定手段は、流体流量制御手段を動作させるために、コントローラに対して信号を送信するように構成されている。制御手段の駆動により、細胞培養チャンバ内を循環していて栄養素が不足している培地が除去され、これにより、この不足状態の培地が、残留物リザーバに導出される。栄養素不足の培地の除去開始時には、培地リザーバ内に貯蔵されている新品のまたは新鮮な培地を、細胞が配置されている細胞培養チャンバ内へと導入して、細胞培養を継続できるように、流体流量制御手段を動作させる。
特定の実施形態では、チャネルネットワークは、
培地を内部に導入するのに適した第1チャネル回路と、
培地内に含有された細胞を導出するのに適した第2チャネル回路と、を含む。
特に、測定手段は、第1チャネル回路に対して接続され、流体流量制御手段は、双方の回路に対して接続される。
有利には、2つの独立した回路を有することで、各回路をそれぞれ異なる機能に特化させることができるため、本システムに最適化されたより単純なチャネル設計が得られる。言い換えれば、第1回路は、システムおよびその構成要素を通しての、培地の分配および輸送を処理することとなる。他方、第2回路は、システムおよびその構成要素を通しての、細胞培養物の輸送および分配を処理することとなる。異なる機能を有した回路を使用することにより、細胞の損傷または損失というリスクも、有利には低減される。
特定の実施形態では、培地リザーバは、第1チャネル回路に対して接続され、初期細胞リザーバは、第2チャネル回路に対して接続され、残留物リザーバは、第1チャネル回路に対して接続され、そして、最終製品リザーバは、第2チャネル回路に対して接続される。
特定の実施形態では、少なくとも1つの細胞培養チャンバの流体出入口は、第1チャネル回路を介しておよび/または第2チャネル回路を介して、互いに接続される。
特定の実施形態では、システムは、プレチャンバを含み、好ましくは、第1細胞培養チャンバに対して接続された細胞トランスフェクションプレチャンバを含む。
細胞トランスフェクションプレチャンバは、細胞培養チャンバ内において細胞培養および拡張を開始する前に必要な細胞トランスフェクションを実施するのに適している。トランスフェクションプレチャンバは、細胞トランスフェクションのメカニズムおよび条件を制御するように構成されている。特定の実施形態では、細胞トランスフェクションメカニズムは、とりわけ、電気穿孔法、または、ウイルスベクターによる遺伝子トランスフェクション、とすることができる。
培養のために細胞を拡張する前に細胞トランスフェクションを行うことは、有利には、培養された後に使用するための特定の条件を獲得するように、細胞を遺伝子的に改変することを可能とする。
特定の実施形態では、システムは、モータを駆動することによって細胞培養チャンバの平衡化を行うように構成された平衡化手段を含む。特定の実施形態では、モータは、ユーザによって手動で駆動される。別の特定の実施形態では、モータは、測定手段とデータ通信するように構成され、これにより、測定手段によって監視されたデータに基づいて平衡化手段によって細胞培養チャンバを平衡化させる必要があると決定された時には、測定手段は、モータを動作させるための信号をコントローラに対して送信する。平衡化手段は、コントローラに対して接続されており、その動作は、予め設定することができ、測定手段によって得られたデータに基づいて変更することができる。
有利には、平衡化手段により、システムは、細胞培養プロセス時に細胞培養チャンバを平衡化することを可能とし、培地内での細胞の懸濁に寄与する。
特定の実施形態では、測定手段は、チャネルネットワークに対して接続されている、および/または、細胞培養チャンバの内部に組み込まれている。
特定の実施形態では、測定手段は、バイオマスセンサ、ならびに/もしくは、酸素センサ、pHセンサ、および/またはCOセンサ、を含む。
特定の実施形態では、システムは、培地内に懸濁した細胞を細胞培養チャンバ内に収容するのに適した懸濁細胞培養システムである。
別の特定の実施形態では、システムは、微粒子または表面に対しての細胞の付着による細胞培養システムである。微粒子に対しての付着の場合には、保持手段は、適時前に細胞が細胞培養チャンバの内部から抽出されることを防止することに加えて、培地の流れによって微粒子が抽出されることも防止する。
本発明の細胞培養システムは、有利には、最適な態様で、かつ、リアルタイムでの細胞培養プロセスに関する追跡および監視の下で、細胞の細胞培養を実行することを可能とする。したがって、システムは、システム内で実行されている培養の進展速度に関する徹底した時間管理を提供する。さらに、システム構成の結果として、細胞培養チャンバどうしの間にわたっての細胞の安全で自動的な拡張が実行され、そのため、細胞拡張プロセス中に人が介入することが防止されるため、外部媒体との接触によって細胞培養が汚染されてしまうというリスクが、有利には、ゼロへと低減される。さらに、システムが、細胞が最初に配置されているチャンバよりも大きな内容積を有したチャンバへと細胞を移送させる指示などを出してこの細胞培養の移送を順次的に実行するように構成されていることにより、細胞培養が最適ではない栄養状態および酸素状態となってしまうことを防止する。収容された細胞が配置されている容積が小さすぎて培養が進まないことのために細胞培養が最適ではない状況となってしまう前に、この細胞培養を、細胞が成長し続けるために細胞が必要とするものをカバーするより大きな容積を有した別のチャンバ内へと拡張させる。システム内の細胞培養物の移送または循環は、本システム内に設けられた制御手段によって操作される。
第2の発明的見地は、細胞を培養するための方法であって、第1の発明的見地による細胞培養システムにおいて実装され、
a)培地内に含有された細胞を、第1細胞培養チャンバ内へと導入するステップと、
b)培地を、チャネルネットワークを通して循環させるステップと、
c)培地内に含有された細胞を、第2細胞培養チャンバ内へと移送するステップと、
d)第2細胞培養チャンバの内部においてステップb)を繰り返すステップと、
e)培養された細胞を取得するステップと、を含み、
この方法は、細胞が特定の特性を獲得した時点を決定するために、また、ステップc)によって、細胞が位置している細胞培養チャンバと比較して、より大きな内容積を有した細胞培養チャンバへと移送しなければならない時点などの、必要に応じて、より大きな内容積を有したチャンバ内へと順次的に移送しなければならない時点を決定するために、測定手段によって細胞培養物および/または細胞の状態を監視することを、さらに含む、ことを特徴とする方法を提供する。
本発明の細胞培養方法は、有利には、培地内に含有された細胞の細胞培養を、最適な態様でかつリアルタイムで実行することを可能とする。この方法は、実行されている培養の進展速度に関する徹底した時間管理を提供する上記のシステムにおいて実装される。この方法により、細胞培養チャンバどうしの間にわたっての細胞の安全で自動的な拡張が達成され、そのため、細胞拡張プロセス中に人が介入することが防止されるため、外部媒体との接触によって細胞培養が汚染されてしまうというリスクが、有利には、ゼロへと低減される。第1細胞培養チャンバ内に収容された細胞が配置されている容積が小さすぎて培養が進まないことのために細胞培養がストレスを受けてしまう前に、この細胞培養を、より大きな容積を有した別のチャンバ内において拡張させる。
有利には、細胞培養を監視することにより、システムの構成要素を制御するユーザが存在する必要なく、方法を自動的に完了することができる。そして、この監視により、ユーザは、培地および/または細胞の状態をリアルタイムで認識することができる。
特定の実施形態では、第2細胞培養チャンバ内でステップb)を繰り返すというステップd)は、目標とする培養細胞数になるまで、必要な回数だけ繰り返すことができる。
特定の実施形態では、方法は、培地が不足状態にあることを、好ましくはガスおよび/または栄養素が不足した不足状態にあることを、測定手段が決定した場合には、調整手段によって培地を調整することを、さらに含む。
特定の実施形態では、方法は、
栄養素が不足した培地を、細胞培養チャンバ内から抽出することと、新品のまたは新鮮な培地を、その細胞培養チャンバ内へと導入することと、を含む。
特定の実施形態では、方法は、平衡化手段によって細胞培養チャンバを平衡化させることを、さらに含む。
本明細書(特許請求の範囲、説明、および図面、を含む)において説明した方法におけるすべての特徴点および/またはステップは、相互に排他的な特徴点どうしの組合せを除いて、任意の組合せで組み合わせることができる。
本発明における上記のおよび他の特徴点ならびに上記のおよび他の利点は、添付図面を参照して例示的なかつ非限定的な例示としてのみ与えられる好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明に基づいて、より明瞭に理解されるであろう。
図1は、本発明の第1の発明的見地における特定の実施形態による細胞培養システムを概略的に示している。 図2は、本発明の第1の発明的見地における特定の実施形態による第1チャネル回路を図示した細胞培養システムを概略的に示している。 図3は、本発明の第1の発明的見地における特定の実施形態による第2チャネル回路を図示した細胞培養システムを概略的に示している。 図4は、本発明の第1の発明的見地における特定の実施形態による細胞培養チャンバの概略的な斜視図を示している。 図5は、図4に図示した細胞培養チャンバに関する概略的な平面図を示している。 図6は、図4に図示した細胞培養チャンバに関する概略的な部分断面図を示している。 図7は、本発明の第1の発明的見地における特定の実施形態による細胞培養システムを示している。 図8は、本発明の第1の発明的見地における特定の実施形態による細胞培養システムを示している。
細胞培養システム
図1は、本発明の第1の発明的見地による懸濁細胞培養システムに関する特定の例を示している。このシステムは、3つの細胞培養チャンバ(1:1A、1B、1C)を含み、これらは、互いに積層を形成するようにして配置されている。これらのチャンバ(1A~1C)のそれぞれは、他のチャンバとは異なる内容積を有しており、特に、内容積が、第1チャンバ(1A)から、第2チャンバ(1B)へと、さらには第3チャンバ(1C)へと、徐々に増加していることを確認することができる。
図1に示す細胞培養チャンバ(1:1A、1B、1C)のそれぞれは、複数の流体出入口(10.1A~10.4A、10.1B~10.4B、10.1C~10.4C)と、細胞保持手段としての濾過手段(2)と、を含む。各チャンバ(1A~1C)は、各チャンバ(1A~1C)の内部空間が第1区画(14A~14C)と第2区画(15A~15C)とに分割されるようにして、細胞培養チャンバ(1A~1C)の内部を貫通して配置されたフィルタ膜(12)をさらに含み、第1区画(14A~14C)は、通常の動作位置においては、第2区画(15A~15C)の上方に配置されている。第1区画(14A~14C)は、第1培地入口(10.1A~10.1C)と、第1培地出口(10.2A~10.2C)と、を含み、培地入口(10.1A~10.1C)と培地出口(10.2A~10.2C)との双方は、システム全体に共通するチャネルネットワークに対して接続されている。第2区画(15A~15C)は、細胞培養物入口(10.3A~10.3C)と、細胞培養物出口(10.4A~10.4C)と、を含み、細胞培養物入口(10.3A~10.3C)と細胞培養物出口(10.4A~10.4C)との双方は、システム全体に共通するチャネルネットワークに対して接続されている。本システムにおいて図示したチャネルネットワークは、第1チャネル回路(16)と、第2チャネル回路(17)と、によって形成されており、チャネル回路(16、17)の双方は、各細胞培養チャンバ(1)の内部を介して互いに接続されている。第1チャネル回路(16)は、培地を導出するのに適しており、他方、第2チャネル回路(17)は、培地内に懸濁した細胞を導出するのに適している。
図1に示すシステムは、流体に関する流量制御手段(3:3.1~3.9)をさらに含み、この特定の例では、流量制御手段(3:3.1~3.9)は、ピンチバルブである。これらのピンチバルブは、チャネルネットワークを通しての流体の通過を調整する役割と、細胞培養チャンバ(1A~1C)に対しての流体の導入および/または導出を可能にする役割と、を果たしている。
流体流量制御手段は、チャネルネットワークを通して流体を駆動するための手段(4)を含む。この特定の例では、流体を駆動するための手段(4)は、蠕動ポンプ(4.1)であり、この蠕動ポンプは、ポンピングによって各細胞培養チャンバ(1A~1C)の内部から流体を導出する役割と、チャンバどうしの間にわたってあるいは同一の細胞培養チャンバ(1A~1C)の内部にわたって、一定の態様で流体をチャネルネットワーク全体を通して循環させるように流体をポンピングする役割と、を果たしている。特に、図1は、培地のポンピングの役割を果たす第1ポンプ(4.1)と、培地内に懸濁した細胞をポンピングする役割を果たす第2ポンプ(4.2)と、を図示している。
図1に示すシステムは、内部に初期的なまたは新鮮な培地を収容するのに適した培地リザーバ(7)を、さらに含む。培地リザーバ(7)は、チャネルネットワークに対して接続されており、これにより、必要に応じて、いずれかの細胞培養チャンバ(1A~1C)の内部に対して、新鮮なまたは新品の培地を供給することができる。
システムは、細胞培養チャンバ(1A~1C)の内部で懸濁培養される対象をなす初期細胞を内部に収容するのに適した初期細胞リザーバ(8)を、さらに含む。この初期細胞リザーバ(8)は、チャネルネットワークに対して接続されており、これにより、細胞培養チャンバ(1A~1C)の内部に対して、初期液体培地内に既に含まれている細胞を供給することができる。
図1は、さらに、細胞培養チャンバ(1A~1C)のいずれかから導出される残留流体を内部に収容するのに適した残留物リザーバ(9)を示している。この残留物リザーバ(9)は、チャネルネットワークに対して接続されており、これにより、懸濁細胞培養プロセス時には、菌類によって使い捨てと決定された栄養素不足のおよびガス不足の培地を、残留物リザーバ(9)内へと導入することができる。
図1は、また、チャネルネットワークに対して接続された最終製品リザーバ(11)を示している。この最終製品リザーバ(11)は、懸濁液細胞培養プロセスの後に、細胞培養チャンバ(1A~1C)のいずれかから導出された既に培養済みの細胞を収容する容器である。
図1は、さらに、流体流量制御手段(3:3.1~3.9)と、調整手段(6)と、測定手段(5)と、蠕動ポンプ(4.1、4.2)と、に対して接続されたコントローラ(24)を示している。
図1のシステムは、測定手段(5)をさらに含み、この測定手段(5)は、一実施形態では、チャネルネットワークに対して接続されたセンサである。測定手段(5)は、培地および/または細胞の状態を測定して監視する役割を果たしており、これにより、細胞培養状態を、すなわち、様々な懸濁細胞培養フェーズにおける細胞の状態を、知ることができる。特定の実施形態では、測定手段(5)は、チャネルネットワークに対して接続された、特に図1ではチャネルネットワークの第1回路(16)に対して接続された、グルコースおよび乳酸に対するセンサである。測定手段(5)は、コントローラ(24)に対して接続されており、これにより、測定手段(5)によって測定されて監視されたすべてのデータが、コントローラ(24)に対して送信され、コントローラは、それらデータを考慮して、流体流量制御手段(3:3.1~3.9)および培地調整手段(6)を動作させることができる。
システムは、チャネルネットワークに対して接続された培地調整手段(6)を含む。コントローラ(24)が、測定手段(5)によって測定されたデータに基づいて、培地がもはや新鮮ではないことを決定した場合には、すなわち、細胞培養のためのガスが不足していることを決定した場合には、この培地は、調整手段(6)によって調整され、これにより、細胞培養チャンバ(1A~1C)内で懸濁している細胞の細胞培養を継続するために必要なガスを培地に対して再び供給する。調整手段(6)は、調整チャンバ(13)を含み、この調整チャンバ(13)内には、ガスが不足した培地を導入することができ、そのような培地を調整して、細胞培養に必要なガスを回復させることができる。調整チャンバ(13)内へと導出されたガス不足の培地に対しての添加のために、システムは、ガス注入手段(20)を含む。
他方、コントローラ(24)が、培地が新鮮ではないと決定した場合には、すなわち、栄養素が不足していると決定した場合には、流体流量制御手段(3:3.1~3.9)の動作により、この培地を廃棄して、残留物リザーバ(11)へと導出する。次に、細胞が配置されている細胞培養チャンバ(1)内には、新品の新鮮な培地が導入され、成長を継続することが可能とされる。
図2は、本発明の第1の発明的見地による細胞培養システムに関する特定の例を示している。このシステムは、互いに上下に積層された2つの細胞培養チャンバ(1A~1B)を含み、積層の上側に配置された第1チャンバ(1A)は、下側の第2細胞培養チャンバ(1B)と比較して、より小さな内容積を有している。各細胞培養チャンバ(1A~1B)は、それぞれ、培地入口(10.1A~10.1B)および培地出口(10.2A~10.2B)を含む。
図2のシステムでは、調整手段(6)は、各細胞培養チャンバ(1A~1B)に対して1つずつ、合わせて2つの調整チャンバ(13)を含む。各調整チャンバ(13)は、ガス透過性膜(22)を介して各細胞培養チャンバ(1A~1B)のそれぞれの内部に対して接触している。調整手段(6)は、調整チャンバ(13)内へとガスを注入するように構成されたガス注入手段(20)と、調整チャンバ(13)内に存在するガスを放出するように構成されたガス導出手段またはガス排出手段(23)と、をさらに含む。特に、図2は、第1チャネル回路(16)と、システムを構成する様々な構成部材に対しての、この第1チャネル回路(16)の接続と、だけを図示している。第1細胞培養チャンバ(1A)の第1培地入口(10.1A)および第1培地出口(10.2A)は、第1チャネル回路(16)を介して、互いに接続されているとともに、他方の細胞培養チャンバ(1B)に対して接続されている。また、この第1チャネル回路(16)には、複数の流体流量制御手段(3:3.1~3.9)と、流体を駆動するための手段(4)と、測定手段(5)と、が接続されている。図2は、さらに、本システムのチャネルネットワークの第1チャネル回路(16)に対して接続された培地リザーバ(7)と、同じく第1チャネル回路(16)に対して接続された残留物リザーバ(9)と、を示している。第1培地出口(10.2A~10.2B)を介したチャンバ(1A~1C)の内部からの培地の導出と、その後の第1チャネル回路(16)を通しての循環とは、第1ポンプ(4.1)によって駆動されるとともに、流体流量制御手段(3:3.1~3.9)によって制御される。次に、第1培地入口(10.1A~10.1B)を介したチャンバ(1A~1C)の内部への培地の導入も、また、流体流量制御手段(3:3.1~3.9)によって制御される。
このシステムは、流体流量制御手段(3:3.1~3.9)と調整手段(6)とに対して接続され、かつ、測定手段(5)とデータ通信する、コントローラ(図示せず)を、さらに含む。細胞培養チャンバ(1A~1B)の内部に収容されて循環している培地の調整は、調整チャンバ(13)内へと注入された栄養素に富んだガスが培地に対して透過性膜(22)を介して相互作用することによって実行される。
システムは、また、第1チャネル回路(16)に対して接続され、かつ、所定の速度で特定の流れ方向(図示せず)にチャンバ(1A~1B)を通して培地を循環させるように構成された、第1ポンプ(4.1)(流体を駆動するための手段)を含む。
図3は、図2のシステムによる細胞培養システムに関する特定の例を示している。このシステムは、図2と同様に、互いに上下に積層された2つの細胞培養チャンバ(1A~1B)を含む。細胞培養チャンバ(1A~1B)のそれぞれは、第2細胞培養物入口(10.3A~10.3B)および第2細胞培養物出口(10.4A~10.4B)を含む。このシステムは、図2のシステムにおいて図示したものと同様の調整手段(6)を、さらに含む。特に、図3は、第2チャネル回路(17)と、システムを構成する様々な構成部材に対しての、この第2チャネル回路(17)の接続と、だけを図示している。チャンバ(1A~1B)の第2細胞培養物入口(10.3A~10.3B)および第2細胞培養物出口(10.4A~10.4B)は、第2チャンネル回路(17)を介して互いに接続されている。また、この第2チャネル回路(17)に対しては、複数の流体流量制御手段(3:3.1~3.9)と、特に図2で説明した第1ポンプ(4.1)と同様の第2ポンプ(4.2)などの、流体を駆動するための手段と、が接続されている。図3は、さらに、システムのチャネルネットワークの第2チャネル回路(17)に対して接続された初期細胞リザーバ(8)と、同じく第2チャネル回路(17)に対して接続された最終製品リザーバ(11)と、が図示されている。細胞培養チャンバの内部から第2細胞培養物出口(10.4A~10.4B)を通して細胞培養物を抽出することと、その後に、この第2チャネル回路(17)を通して細胞培養物を循環させることとは、第2ポンプ(4.2)によって駆動され、流体流量制御手段(3:3.1~3.9)によって制御される。次に、第2細胞培養物入口(10.3A~10.3B)を通しての、いずれかの細胞培養チャンバ(1A~1B)の内部への細胞培養物の導入も、また、流体流量制御手段(3:3.1~3.9)によって制御される。
図2に図示した第1チャネル回路(16)は、内部を通して培地または回収培地を循環させるのに適しており、他方、図3に図示した第2チャネル回路(17)は、内部を通して細胞培養物を、すなわち、培地または回収培地内に懸濁した細胞を、循環させるのに適している。
図4は、細胞培養チャンバ(1)の特定の例に関する斜視図を示している。この細胞培養チャンバ(1)は、2つの内部区画、すなわち、第2区画(15)と、この第2区画(15)の上に配置された第1区画(14)とを、含む。細胞培養チャンバ(1)は、このチャンバ(1)内に含まれている各出入口(10.1~10.4)に対して結合された複数のコネクタ(19)を、さらに含む。これらのコネクタ(19)は、各出入口(10.1~10.4)を、チャネルネットワークのチャネル/チューブ(図面には図示されていない)に対して接続する役割を果たしている。
特に、図4の細胞培養チャンバ(1)は、第1培地入口(10.1)および第1培地出口(10.2)を示しており、入口(10.1)および出口(10.2)の双方は、それぞれコネクタ(19)に対して接続されており、細胞培養チャンバ(1)の第1区画(14)の上部に配置されている。
さらに、細胞培養チャンバ(1)は、第2細胞培養物入口すなわち初期細胞入口(10.3)および第2細胞培養物出口(10.4)を図示しており、入口(10.3)および出口(10.4)の双方は、それぞれコネクタ(19)に対して接続され、細胞培養チャンバ(1)の第2区画(15)の側方部分に配置されている。双方の区画(14、15)は、フィルタ膜(図6に示す)によって互いに分離されており、これにより、双方の区画(14、15)の間にわたって、細胞培養チャンバ(1)の内部において流体連通することが可能とされている。
図5は、図4に図示した細胞培養チャンバ(1)の内部に関する平面図を示しており、第1区画(14)と、第1培地入口(10.1)および第1培地出口(10.2)と、に関する内部構造が、特に破線によって図示されている。この特定の例では、第1区画(14)は、培地分配チャネル(18)を規定する円形螺旋形態で配置された複数の壁(14.1)を含む。この培地分配チャネル(18)は、図6に示すように、フィルタ膜(12)に対して、その全延長に沿って接続されている。さらに、分配チャネル(18)は、第1培地入口(10.1)に対して接続された第1端部(18.1)と、第1培地出口(10.2)に対して接続された第2端部(18.2)と、を含む。
したがって、培地が、培地入口(10.1)を通して第1区画(14)内へと導入された時には、この培地は、第1培地出口(10.2)へと到達してこの第1出口(10.2)を通して導出されるまで、フィルタ膜(12)の表面全体を掃引するようにして、分配チャネル(18)に沿って流れる。
図6は、図5および図6に図示した細胞培養チャンバ(1)に関する側断面図を示している。図6は、区画(14、15)どうしの間の容積の違いを詳細に示している。第1区画(14)は、第2区画(15)の内容積と比較して、より小さな内容積を有している。
図7は、第1の発明的見地による、2つの細胞培養チャンバ(1:1A,1B)を含むシステムの特定の例を示しており、第1チャンバ(1A)は、第2チャンバ(1B)の内容積と比較して、より小さな内容積を有している。各チャンバ(1A~1B)は、保持手段として、細胞培養チャンバ(1)の内部を貫通して配置されたフィルタ膜(12)を含み、これにより、このチャンバ(1A~1B)の内部空間は、第1区画(14A~14B)と第2区画(15A~15B)とに分割されているとともに、通常の動作位置では、第1区画(14A~14B)が、第2区画(15A~15B)の上方に配置されている。両方の細胞培養チャンバ(1A~1B)は、チャネルネットワークを介して互いに接続されている。循環する培地(26)は、第1区画(14A~14B)に存在するであろうけれども、双方の区画どうしの間で濾過される培地(26)内に含まれる細胞(25)は、第2区画(15A~15B)内に存在している。
図7に図示したシステムは、チャネルネットワークに対して接続された複数のバルブ(3:3.1~3.10)を、さらに含む。このシステムは、同じくチャネルネットワークに対して接続されたポンプ(4)を、さらに含む。
図7に図示したシステムは、培地リザーバ(7)と、初期細胞リザーバ(8)と、残留物リザーバ(9)と、最終製品リザーバ(11)と、を含み、これらのリザーバは、すべて、図1に図示したものと同様である。
図7のシステムは、第1センサ(5.1)および第2センサ(5.2)をさらに含み、これらセンサの双方は、チャネルネットワークに対して接続されているとともに、第1細胞培養チャンバ(1A)および第2細胞培養チャンバ(1B)のうちのそれぞれ対応するチャンバを循環する培地の状態を監視するように構成されている。
図7に示すシステムにおける第1センサ(5.1)および第2センサ(5.2)は、それぞれ、ガスセンサおよび栄養素センサを含んでいる、すなわち、pHと、培地内に含まれたOのレベルと、グルコースのレベルと、乳酸のレベルと、をそれぞれ測定するように構成されたセンサである。センサ(5.1、5.2)は、細胞培養物の需要に応じて流体流量制御手段(3:3.1~3.10)および培地調整手段(6)を動作させるために、センサ(5.1、5.2)によって測定されて監視されたすべてのデータがコントローラに対して送信されるようにして、コントローラ(図面には図示されていない)に対して接続されている。
図7に示すシステムでは、培地調整手段(6)は、ガス不足の培地を導入して調整することができこれにより細胞培養に必要なガスを回復させ得る調整チャンバ(13)を含む、あるいは、調整チャンバは、また、細胞培養チャンバ(1A~1B)に向けてポンピングする前に、新品の新鮮な培地を堆積させることもできる。調整チャンバ(13)内に堆積したガス不足の培地を調整するために、システムは、ガス注入手段(20)を含む。さらに、システムは、懸濁細胞培養プロセスにおいて過剰な圧力が発生した場合のために、ガス放出手段(21)を含む。ガス注入手段(20)とガス放出手段(21)とは、また、コントローラ(図示せず)に対して接続されており、これにより、コントローラによって決定された時に動作させることができる。
図8は、2つの細胞培養チャンバ(1A、1B)を含むシステムに関する特定の例を示しており、第1チャンバ(1A)は、第2チャンバ(1B)の内容積と比較して、より小さな内容積を有している。双方の細胞培養チャンバ(1A~1B)は、チャネルネットワークを介して互いに接続されている。このシステムは、チャネルネットワークに対して接続され蠕動ポンプ(4)であるとともに、細胞培養チャンバ(1A~1B)の内部へと培地(26)を駆動する役割を果たす蠕動ポンプ(4)を、含む。培地(26)は、そのようなポンプ(4)によって、チャンバ(1A~1B)の底面に対して第1高さ(h1)のところにおいて、所定の速度および流れ方向で駆動され、この第1高さは、チャンバ(1A~1B)の内部に収容された細胞(25)がチャンバ(1A~1B)の底面に対して配置されている第2高さ(h2)と比較して、より高いものとされている。したがって、培地が、チャンバ(1A~1B)の内部を通して循環する際に、細胞(25)が、必要以上に早く、このチャンバ(1A~1B)から外部へと巻き込まれることが防止される。
特定の例では、チャンバ(1A~1C)の内部を通して循環する培地の流れ方向は、このチャンバ内に収容された細胞(25)の配置に対して実質的に平行である。
図8に図示したシステムは、チャネルネットワークに対して接続された複数のバルブ(3:3.1~3.10)を、さらに含む。
図8に図示したシステムは、さらに、培地リザーバ(7)と、初期細胞リザーバ(8)と、残留物リザーバ(9)と、最終製品リザーバ(11)と、を含み、これらのリザーバは、すべて、図1に図示したものと同様である。
図8のシステムは、第1センサ(5.1)および第2センサ(5.2)をさらに含み、これらのセンサの双方は、チャネルネットワークに対して接続されているとともに、第1細胞培養チャンバ(1A)および第2細胞培養チャンバ(1B)のうちのそれぞれ対応するチャンバを循環する培地の状態を監視するように構成されている。図8に図示したこれらのセンサ(5.1、5.2)は、図7に関して説明したものと同一である。
さらに、図8に図示したシステムは、培地(26)のための調整手段(6)を含み、この手段は、図7に関して説明したものと同様である。
図8においては、チャンバ(1A、1B)の内部を通して循環する培地(26)の流れ方向(27)が、細胞培養チャンバ(1A、1B)の底面に対して第1高さ(h1)のところに位置していること、および、培地(26)内に含有された細胞(25)の配列が、細胞培養チャンバ(1A、1B)の底面に対して第2高さ(h2)のところに位置していることを、理解することができる。第1高さ(h1)は、第2高さ(h2)と比較して、より高いものとされている。
細胞培養方法
以下は、本発明による細胞培養方法における様々なステップについて説明するものであり、この方法は、第1の発明的見地におけるシステムに対応した図7に図示したシステムで実装される。特に、方法は、懸濁細胞培養方法である。この方法は、本発明による以下のステップを含む。
a)培地(26)内に懸濁される細胞(25)を、第1細胞培養チャンバ(1A)内へと導入するステップ。
b)チャネルネットワークを通して培地(26)を循環させるステップ。
c)培地(26)内に懸濁した細胞(25)を、第2細胞培養チャンバ(1B)内へと移送するステップ。
d)第2細胞培養チャンバ(1B)の内部においてステップb)を繰り返すステップ。
e)培養された細胞(25)を取得するステップ。
ここで、方法は、細胞(25)が特定の特性を獲得した時点を決定するために、また、ステップc)によって、それら細胞が位置している細胞培養チャンバと比較して、より大きな内容積を有した細胞培養チャンバ(1B)へと移送しなければならない時点を決定するために、測定手段(5)によって細胞培養物および/または細胞(25)の状態を監視することを、さらに含む。
懸濁細胞培養方法を開始する前の時点で、システムの初期的な機能状態は、すべてのバルブ(3:3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、3.10、3.11、3.12、3.11)が閉塞されており、ポンプ(4)が停止状態である。
ステップa)の前に、調整チャンバ(13)を、培地リザーバ(7)に由来する培地(26)によって充填する。この充填は、バルブ(3.5)およびバルブ(3.10)の開放によって行われ、これにより、チャネルネットワークから圧力を解放して、培地(26)を、調整チャンバ(13)内へと循環させることができる。
ステップa)におけるシステムの機能的なスキームは、以下の通りである。
-ポンプ(4)を動作させる。
-バルブ(3.1A)を開放する。
-バルブ(3.6)を開放する。
-バルブ(3.3A)を開放する。
細胞(25)が、第1チャンバ(1A)の内部において培地(26)内に懸濁した後には、培地は、フィルタ膜(12)を介してチャンバの双方の区画(14、15)の間にわたって循環する。細胞培養物は、培地が第1センサ(5.1)に到達するまで、第1チャンバ(1A)内へと導入される。図2および図3に図示した細胞培養システムによる特定の例では、細胞は、入口(10.1)を通して導入される培地と一緒に、入口(10.3)を通して第1チャンバ(1A)内へと導入される。
特定の例では、ステップb)の前に、システムに設けられたモータ(図面には図示されていない)によって、細胞培養チャンバ(1A~1B)を平衡化する。平衡化時のシステムの機能的なスキームは、すべてのバルブ(3:3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、3.10、3.11、3.12、3.11)が閉塞しており、ポンプ(4)が停止状態である。特定の実施形態では、モータは、-10度から10度へと細胞培養チャンバ(1A~1B)の平衡化を提供する。
ステップb)におけるシステムの機能的なスキームは、以下の通りである。
-バルブ(3.1A)を開放する。
-バルブ(3.2A)を開放する。
-バルブ(3.7)を開放する。
-ポンプ(4)を動作させる。
特定の実施形態では、培地(26)は、循環ステップにおいては、チャネルネットワークを通して循環し、第1細胞培養チャンバ(1A)内へと導入され、約30秒の後に、第1細胞培養チャンバ(1A)から導出される。
ステップb)では、チャンバ内へと既に導入されていた培地(26)自体を循環させることに加えて、調整チャンバ(13)に収容されている培地(26)も、また、他の培地と組み合わされるようにして、循環させる。循環のために、より多量の培地(26)を導入することが必要な場合もあり、そのために、上述したように、調整チャンバ(13)内へと、新鮮な培地リザーバ(7)から、新鮮な培地(26)を再び導入する。
図2および図3に図示した細胞培養システムによる特定の例では、第1チャンバ(1A)内へと細胞が導入された後に、培地は、所定の速度で細胞培養チャンバの入口(10.1)を通して導入されるとともに出口(10.2)を通して導出されるようにして、循環し、これにより、チャンバ(1A)内に懸濁した細胞が、出口(10.2)を通しての培地の流れに巻き込まれることが防止される。
ステップb)の際に、第1センサ(5.1)によって測定されコントローラ(図7には示されていない)によって受信されたデータが、培地(26)内においてガスが不足していることを決定した場合、コントローラは、調整チャンバ(13)内を循環している培地(26)の貯蔵を可能にするために、操作手段(6)に対して信号を送信するとともに、バルブ(3.11)を開放することによって、ガス注入手段(20)を動作させる。これにより、培地(26)内へとガスが取り込まれて調整され、この培地(26)は、細胞の培養を進めるために、再びチャンバ(1A~1B)内へと導入される。
ステップb)の際に、第1センサ(5.1)が、培地(26)に栄養素が不足していると決定した場合、この第1センサ(5.1)は、栄養素が不足した培地(26)を廃棄し得るようにいくつかのバルブを操作するために、すなわち、そのような培地を残留物リザーバ(9)へと導出し得るようにいくつかのバルブを操作するために、コントローラに対して信号を出力する。栄養素が不足した培地に関するこの廃棄フェーズでは、システムの機能的なスキームは、以下の通りである。
-バルブ(3.2A)を開放する。
-バルブ(3.8)を開放する。
-バルブ(3.7)を閉塞する。
栄養素が不足した培地が廃棄された時には、システムは、細胞培養プロセスを継続するために、上述したように、培養チャンバ(1A~1B)の内部へと、新品の培地を供給する。新品の培地(26)が、チャネルネットワークを通して第1細胞培養チャンバ(1A)内へと導入された後には、この培地は、第1センサ(5.1)が、培地内でガスまたは栄養素に不足していることを検出するまで、あるいは、第2細胞培養チャンバ(1B)へと細胞を移送しなければならないことを検出するまで、循環される。細胞(25)を新たなチャンバへと移送しなければならない前の時点で、コントローラが、第1センサ(5.1)によって測定されたデータに基づいて、培地内でガスまたは栄養素で不足していると決定した場合、システムは、これらの状況のそれぞれに関して上述したように対応し、システムを通して循環する培地(26)を調整する、あるいは、この培地(26)を廃棄して新品の培地を導入する。
ステップb)の際に、第1センサ(5.1)が、細胞(25)を、より大きな容積へと拡張する必要があることを検出した場合、コントローラは、培地(26)内に懸濁した細胞(25)を、第2細胞培養チャンバ(1B)へと移送するステップc)に進むように、システムを動作させる。
ステップc)では、システムの機能的なスキームは、以下の通りである。
-バルブ(3.1A)を開放する。
-バルブ(3.3A)を開放する。
-バルブ(3.3B)を開放する。
-ポンプ(4)を動作させる。
特定の実施形態では、細胞培養チャンバ(1A~1B)間において細胞を移送するステップc)においては、平衡化モータを動作させ(すべてのバルブを閉塞した状態で)、これらのモータが、細胞培養チャンバ(1A~1B)を、-10度から10度へと平衡化させる。特定の例では、平衡化後に平衡化モータを停止させ、培地(26)内に懸濁した細胞(25)が第2細胞培養チャンバ(1B)内へと入ることを可能にするために、当該細胞培養チャンバ(1A~1B)を、システムの初期位置に対して-20度で平衡化させたままとする。
細胞(25)が第2細胞培養チャンバ(1B)へと移送された後には、培養プロセスは、培地を循環させるためのステップd)で規定されているように、第1細胞培養チャンバ(1A)に関して上述したように継続される。ステップd)の際に、第2センサ(5.2)は、培地の状態を監視し、測定されたデータが、コントローラに対して送信され、これにより、コントローラは、細胞(25)の状態を決定する。それにもかかわらず、コントローラが、培地(26)内でガスまたは栄養素が不足していると決定した場合、コントローラは、第1細胞培養チャンバ(1A)に関して上述したように、システムを適切に動作させることとなる。
第2センサ(5.2)が、システムが既に最終製品に到達したことを検出した場合、すなわち、細胞(25)が既に培養されたことを検出した場合、これらの細胞(25)は、方法のステップe)において回収される。
ステップe)では、システムの機能的なスキームは、以下の通りである。
-バルブ(3.3B)を開放する。
-バルブ(3.9)を開放する。
-バルブ(3.11)を開放する。
-ポンプ(4)を停止させる。
培地内に懸濁した培養細胞を、最終製品リザーバ(11)へと導出するために、この導出を補助する空気が、チャネルネットワーク内へと注入される。この空気の注入は、ガス注入手段(20)によって行われ、これにより、バルブ(3.11)が開放された時点で、第2細胞培養チャンバ(1B)の第2区画(15)内へと空気が注入され、最終製品を導出する。
特定の実施形態では、最終製品を取得するステップe)においては、平衡化モータを動作させ(すべてのバルブを閉塞した状態で)、これらのモータが、第2細胞培養チャンバ(1B)を、-10度から10度へと平衡化させる。ステップe)の特定の例では、平衡化後に平衡化モータを停止させ、当該第2細胞培養チャンバ(1B)を、システムの初期位置に対して-20度で平衡化させ、これにより、最終製品を、最終製品リザーバ(11)へと完全に導出することができる。最終製品の回収後には、平衡化モータは、細胞培養チャンバ(1)を、システムの初期位置に位置させる。
特定の実施形態では、測定手段(5)は、チャネルネットワークに対して接続され、かつ、コントローラとデータ通信する、第3センサ(図面には図示されていない)を含む。この第3センサは、空気のみがチャネルネットワークを循環し始めた時点を検出するように、つまり、最終製品の全体が既に最終製品リザーバ(9)内へと収集され終わった時点を検出するように、構成されている。第3センサは、最終製品リザーバ(11)の前方に配置されている。
図8に図示したシステムで実施される懸濁細胞培養方法に関しては、図7のシステムによって実装される方法に関して説明したものと同じステップを再現することとなる。しかしながら、この場合には、ステップb)において、循環される培地(26)は、チャンバ(1A~1B)の底面に対して第1高さ(h1)のところにおいて、ポンプ(4)によって、所定の速度および流れ方向(27)で、チャンバ(1A~1B)内へと駆動され、この第1高さは、培地(26)内に含有された細胞(25)が位置している第2高さ(h2)と比較して、より高いものとされ、これにより、チャンバ内に収容されたこれらの細胞(25)が、必要以上に早く、細胞培養チャンバ(1A~1B)から外部へと巻き込まれることが防止される。言い換えれば、システム自体の詳細に対してフィルタ膜が組み合わされているという図7のシステムに関して提案した解決策の代替として、図8に図示したシステムは、細胞培養だけでなく、システム自体の特徴に応じた速度および所定の流れ方向とされた培地を含むことを提案している。したがって、対照的に、図7に図示したシステムによって実装される懸濁培養方法に関して上述した事項は、図8のシステムによって実装される懸濁培養方法においても適用されることとなる。

Claims (15)

  1. 細胞培養システムであって、
    培地内に含有された細胞を内部で培養するように構成された複数の細胞培養チャンバ(1A~1C)であるとともに、チャネルネットワークを介して互いに流体連通するように構成された複数の細胞培養チャンバ(1A~1C)と、
    前記チャネルネットワークを通して流体を循環させるための流体流量制御手段(3:3.1~3.9)と、
    培地調整手段(6)と、
    前記培地および/または前記細胞の状態を監視するように構成された測定手段(5)と、
    前記流体流量制御手段(3:3.1~3.9)に対しておよび/または前記調整手段(6)に対して接続されたコントローラ(24)であるとともに、前記測定手段(5)とデータ通信するように構成されたコントローラ(24)と、を含み、
    前記細胞培養チャンバ(1A~1C)のそれぞれは、複数の流体出入口(10.1A~10.4A、10.1B~10.4B、10.1C~10.4C)を含み、
    前記複数の細胞培養チャンバ(1A~1C)のすべては、異なる内容積を有し、
    前記コントローラ(24)は、前記測定手段(5)によって測定されたデータに基づいて、
    前記調整手段(6)を動作させるように、および/または、
    前記流体流量制御手段(3:3.1~3.9)を動作させるように、さらに構成され、これにより、第1チャンバ(1A)内の培地内に含有された前記細胞が、前記第1チャンバ(1A)の内容積よりも大きな内容積を有した第2チャンバ(1B)内へと移送されるなどのようにして、必要に応じて、より大きな内容積を有したチャンバ内へと順次的に移送され、
    前記システムは、前記細胞培養チャンバ(1A~1C)内に細胞を保持するように構成された細胞保持手段をさらに含む、ことを特徴とする細胞培養システム。
  2. 前記細胞保持手段は、前記細胞培養チャンバ(1A~1C)の内部に配置された濾過手段(2)であるとともに、前記培地を濾過するように構成された、さらに、各細胞培養チャンバ(1A~1C)の内部に細胞を保持するように構成された濾過手段(2)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
  3. 少なくとも1つの前記細胞培養チャンバ(1A~1C)の前記濾過手段(2)は、前記細胞培養チャンバ(1A~1C)を、
    培地を内部に収容するのに適した第1区画(14:14A~14C)と、
    培地内に含有された細胞を内部に収容するのに適した第2区画(15:15A~15C)と、に分割するフィルタ膜(12)を含み、
    前記フィルタ膜(12)は、前記両区画(14:14A~14C、15:15A~15C)の間にわたっての前記培地の通過を可能とするように構成され、かつ、前記第2区画(15:15A~15C)内に前記細胞を保持するように構成されていることを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
  4. 少なくとも1つの前記細胞培養チャンバ(1A~1C)の前記濾過手段(2)は、前記細胞培養チャンバの少なくとも1つの前記流体出入口(10.1~10.4)に配置された少なくとも1つのフィルタを含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
  5. 前記保持手段は、前記チャンバ(1A~1C)の底面に対して第1高さ(h1)のところにおいて、前記チャンバ(1A~1C)を通して所定の速度および流れ方向で培地を循環させるように構成されたポンプ(4)を含み、前記第1高さは、前記チャンバ(1A~1C)内に収容された前記細胞が、前記チャンバ(1A~1C)の前記底面に対して配置されている第2高さ(h2)と比較して、より高いものとされ、これにより、前記培地が前記チャンバ(1A~1C)内を通して循環する際に、前記細胞が、必要以上に早く、前記チャンバ(1A~1C)から外部へと巻き込まれることが防止されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
  6. 前記調整手段(6)は、内部にガスを収容するように構成された調整チャンバ(13)を含み、前記調整チャンバ(13)は、ガス透過性膜(22)を介して前記細胞培養チャンバ(1A~1C)に対して接続されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
  7. 前記培地調整手段(6)は、
    前記チャネルネットワークに対して接続され、かつ、内部に培地を収容するように構成された調整チャンバ(13)と、
    前記調整チャンバ(13)内へと少なくとも1つのガスを注入するための手段(20)と、を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
  8. 前記チャネルネットワークに対して接続され、かつ、前記細胞培養チャンバ(1A~1C)の内部と流体連通するように構成された培地リザーバ(7)、および/または、
    前記チャネルネットワークに対して接続され、かつ、前記細胞培養チャンバ(1A~1C)の内部と流体連通するように構成された初期細胞リザーバ(8)、および/または、
    前記チャネルネットワークに対して接続され、かつ、前記細胞培養チャンバ(1A~1C)に由来する残留流体を内部に収容するように構成された残留物リザーバ(9)、および/または、
    前記チャネルネットワークに対して接続され、かつ、前記細胞培養チャンバ(1A~1C)の内部と流体連通するように構成された最終製品リザーバ(11)、を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
  9. プレチャンバを含み、好ましくは、第1細胞培養チャンバ(1A)に対して接続された細胞トランスフェクションプレチャンバを含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
  10. 前記測定手段(5)は、
    前記チャネルネットワークに対して接続されている、および/または、
    前記細胞培養チャンバ(1)の内部に組み込まれている、ことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
  11. 前記測定手段(5)は、
    バイオマスセンサ、ならびに/もしくは、
    酸素センサ、pHセンサ、および/またはCOセンサ、を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
  12. 培地内に懸濁した細胞を前記チャンバ(1A~1C)内に収容するのに適した懸濁細胞培養システムであることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
  13. 微粒子または表面に対しての細胞の付着による細胞培養システムであることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
  14. 細胞を培養するための方法であって、
    請求項1~13のいずれか一項に記載の懸濁細胞培養システムによって実装され、
    a)培地内に含有された細胞を、第1細胞培養チャンバ(1A)内へと導入するステップと、
    b)前記培地を、チャネルネットワークを通して循環させるステップと、
    c)前記培地内に含有された前記細胞を、第2細胞培養チャンバ(1B)内へと移送するステップと、
    d)前記第2細胞培養チャンバ(1B)の内部において前記ステップb)を繰り返すステップと、
    e)培養された細胞を取得するステップと、を含み、
    前記方法は、前記細胞が特定の特性を獲得した時点を決定するために、また、前記ステップc)によって、前記細胞が位置している細胞培養チャンバ(1A)と比較して、より大きな内容積を有した細胞培養チャンバ(1B)へと移送しなければならない時点などの、必要に応じて、より大きな内容積を有したチャンバ内へと順次的に移送しなければならない時点を決定するために、前記測定手段(5)によって細胞培養物および/または細胞の状態を監視することを、さらに含む、ことを特徴とする方法。
  15. 前記培地が不足状態にあることを、好ましくはガスおよび/または栄養素が不足した不足状態にあることを、前記測定手段(5)が決定した場合には、前記調整手段(6)によって前記培地を調整することを含む、ことを特徴とする、請求項14に記載の方法。

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