JP2022501322A - 機能的な間葉系幹細胞の富化集団を得る方法、それによって得られる細胞、およびその細胞を含む組成物 - Google Patents

機能的な間葉系幹細胞の富化集団を得る方法、それによって得られる細胞、およびその細胞を含む組成物 Download PDF

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Abstract

要約書機能的な間葉系幹細胞の富化集団を得る方法、それによって得られる細胞、およびその細胞を含む組成物。機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物であって、前記機能的な間葉系幹細胞の富化集団の低体温輸送、および治療における局所投与のための、組成物を得るための方法。また最後に、上記方法によって得られる機能的な間葉系幹細胞の前記富化集団、および、それらを含む組成物の使用法も記載され、局所的または全身的処置のいずれかによる、間葉系幹細胞治療が有効な疾病の自己由来か同種異型の処置における、および、とりわけ、変性椎間板疾患、変形性関節症、および骨修復などの骨関節の疾患の処置における、紅斑性狼瘡、移植片対宿主疾患、および他の自己免疫疾患における、末梢血管不全症および他の循環器疾患における、使用法も記載される。【選択図】なし

Description

本発明は、凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物であって、前記細胞はエクスビボの骨髄間葉系幹細胞の試料から得られ、前記凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物を低体温輸送し、および治療において局所投与するための、組成物を得るための方法を提供する。最後に、本発明は、記載された方法によって得られ、凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む前記組成物の、局所的または全身的処置のいずれかによる、間葉系幹細胞治療が有効な疾病の自己由来または同種異型の処置における、および、とりわけ、変性椎間板疾患、変形性関節症、および骨修復などの骨関節の疾患の処置における、紅斑性狼瘡、移植片対宿主疾患、および他の自己免疫疾患における、末梢血管不全症および他の循環器疾患における、使用法に関する。
臨床的効果を伴う高度な変形性関節症治療のゴールドスタンダードは人工置換である。関節の補綴は、持続期間が制限され、また高価な手術でもあるため、このことは、若い患者において特に問題であり、新しい、潜在的により効果的な治療方法を調査することを正当化する課題である。
骨髄には、間質性の始原細胞、または間葉系幹細胞(MSC)と呼ばれる非造血幹細胞の集団がある。これらの細胞は、多能性、すなわち他の細胞型に分化するそれらの能力によって特徴づけられる。MSCは繊維芽細胞の紡錘状形態の集団を有し、それは、CD73、CD90、およびCD105抗原を発現し、および、血液生成の抗原、単球のマーカー、マクロファージ、およびBリンパ球の欠如を示す。加えて、適切な条件下の環境において維持された時、それらは、インビトロで、骨芽細胞、脂肪細胞、および軟骨細胞への分化能力を保持する。
例えば、変形性関節症における、間葉系幹細胞(MSC)の関節内の注入は、その認識された再生と抗炎症の潜在能力により、研究の、これらの新しい系統の1つである。
動物モデルにおけるMSCを用いた研究は、前記MSCが関節(椎間板、膝、など)の人体環境への注入後に生き延びる、および、用量依存的な方法において軟骨を修復する、能力を証明した。
従って、MSCは、損傷を受けた、または破壊された骨、軟骨、および他の組織などの組織を、再生させる能力を有する。加えて、免疫反応を調整し、および炎症を制御するそれらの能力は、Tリンパ球に対するそれらの作用によって実証されてきた。
MSCは様々な臓器および組織から得ることができるが、骨髄は、その最良で、最も利用可能な源泉の1つを代表する。
しかしながら、骨髄におけるMSCの頻度は少なく、骨髄単核細胞のうちたった0.001〜0.01%の間を占める。事実、単一の全身処置のために、体重1kgにつき1.0x10から2.0x10までの間のMSCが一般的には使用され、および局所処置において局所的に投与される一回量が20〜40x10細胞におよぶ量になることは、従って、骨髄からそのように大量にインサイチュで直接収集することを不可能にしている。
凍結保存は、たった一回量で、骨髄間葉系幹細胞のいくつかのアリコートが投与されることを可能にし、従って、患者への連続的な介入を回避させ、および製造原価の一部を削減させ得る。加えて、それは、我々が結局処置のために様々な投与量を実行することを可能にし、従って、その有効性を改善させる。
さらに、凍結保存は、MSCの同種異系の投与を実行するために必須であり、処置される同じ患者からの新鮮なもので調製される必要があることが、処置を非効率的に、より高価に、およびロジスティックの面でより複雑にしている自己由来のMSCの使用と比較した場合に、コストを削減し、および患者を処置するためにより効率的な方式をもたらしている。
しかしながら、凍結保存は簡単な処理手順ではなく、および、しばしば、重大な細胞の病変も、細胞が解凍される時にではなく後の段階でしか明らかにならない隠れた損傷も同様に、もたらす。このことは、損傷を受けた組織を再生させるそれらの能力と、前記再生が実行される速度と、の両方の差別化する性能において、MSCの機能性を損なわせる。加えて、MSCが投与される時、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの凍結保存薬剤が懸濁液中に存続する場合に、吐き気、頻脈、徐脈、低血圧などの副作用が報告されている。他方、0.5%程度の低い濃度で細胞培養物に添加されたDMSOは、インビトロのMSCの増殖の速度を減少させる。
他方、同種異系の経路は、自己の細胞が処置しなければならない疾患を生じ、および従って、治癒効果を欠く自己免疫疾患のある患者の処置の可能性を開く。加えて、MSCは、他の細胞型に比べ免疫原性が非常に低く、および、通常、拒絶反応を触発せず、およびドナーに対する抗HLA抗原の生成さえ、全般的に貧弱か、または不検出である(J Garcia−Sancho et al., Transplantation direct 3 (9): e205)。
現在、いくつかの研究が、凍結保存された間葉細胞を解凍後に血流中に、直接および事前の処置なしで、注入することを特色としている。しかしながら、変形性関節症の処置における関節腔内への、または変性椎間板疾患における椎間板内への、MSCの局所的な注入は、すべての細胞が処置される部位に到達することができ、および、処置が同種異系の場合、ホストの免疫系による攻撃にほとんど影響を受けないため、常に好まれる。他方、局所療法は、凍結保護物質の事前の除去を必要とし、さもなければ、凍結保護物質、多くの場合ジメチルスルホキシド(dimethyl sulphoxyde)(DMSO)は、MSCの増殖の妨げとなる。DMSOが除去された場合でさえ、隠れた損傷がある細胞は、生存率の、または代謝のアッセイで検出されず、および、説明されたように、投与されると直ちに、前記隠れた損傷がそれらの生存率を、機能性も同様に、損傷を受けた組織を再生させるそれらの能力と前記再生が実行される速度の両方の分化する性能において、損なわせる。
例えば、Marquez−Curtis et al.(Cryobiology 71(2015)181−197)は、間葉系幹細胞を凍結保存し、および解凍するために使用された様々な条件/プロセスが、得られた細胞生成物にいかに異なった細胞生存率および増殖能力もたらすかについての報告を提供する。具体的に、前記報告は、凍結保存後に得られる細胞生成物の性質を改善する複数の解決策を提唱する。一方、Marquez−Curtis et alは、ジメチルスルホキシド(DMSO)の使用を伴う解凍後の細胞生成物の品質を改善し、およびDMSOの毒性を制限するために、凍結保存のための条件(凍結速度、貯蔵温度、凍結保護物質の%)を調整する様々なプロトコルを記載している。他方、著者たちは、また、特に、DMSOの使用に起因する毒性の課題を回避しながら、解凍後に得られる細胞生成物の品質を保つために、グリセロール、トレハロース、ラフィノース、ラクトース、スクロース、などの砂糖、抗酸化剤、アポトーシス阻害剤、またはそれらの混合物、などの他の凍結保護物質を、ガラス化、磁界における凍結、などのプロセスと共に、提案する。凍結保存の状態を調査している間、前記論文は解凍後に生細胞の回復における重大な減少が生じることが知られていることを指摘する、著者らは、培養条件、凍結保存前に細胞を培養すること、アポトーシスを減少させるために、レスベラトロールまたはサルブリナール(salubrinal)として、化学的修飾物質を使用すること、を指摘することなく、解凍後に細胞を培養することを含む様々な可能な解決法を、単に示唆しただけで、それらの示唆の間にいかなる詳細な指導を提供することもなかった。
Wei et al. (Veterinary surgery, 2018;47:19−29) もまた、DMSOの毒性の課題を認識し、および、前記凍結保護物質の使用は結果として細胞喪失および集落形成単位のより低い数をもたらすことを指摘しながら、その除去について実践上の複雑さを認める。この意味において、この論文は、十分な表現型、分化と生存率のプロファイルを備えた幹細胞生成物を発展させる先導として、DMSOとは異なる、他の凍結保護物質の開発に向かう方向を指しており、それは、DMSOの毒性の課題を回避しながら解凍後に直接使用することができる。
同じ系統において、Yuan et al. (Cryotherapy, 2016: 18: 860−869) は、その毒性の課題のためにDMSOを置き換える必要性に同意し、および、DMSOを置き換え、かつ細胞生成物を得るために、凍結保護物質としてZENALB(登録商標)4.5(タンパク質サプリメント)を提案しており、それは、解凍の直後に、十分な表現型、分化、および生存率のプロファイルを有する。
国際特許出願公開WO 2010/064054 A1も、同様に、普通に用いられている凍結保護物質DMSOの毒性を記載して、開発の同じ系統に追随している。その公開は、間葉系幹細胞を含む幹細胞を保存するために、しかし凍結保護物質としてDMSOを必要とせずにそれらを凍結保存するために、代わりに、ハイポサーモソール(Hypothermosol)(登録商標)および酸化防止剤6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボキシル酸(6−hydroxy−2,5,7,8−tetramethylchroman−2−carboxylic acid)(トロロックス(trolox))を備えた組成物を提案する。再び、文献WO 2010/064054 A1は、解凍後直接的に細胞を使用することを提案する。
国際特許出願公開WO 2017/068140 A1は、脂肪に由来する細胞に基づく幹細胞治療を記載する。前記公開は、吸引脂肪組織(lipoaspirate)の間質性の脈管の小片から得られた幹細胞が、生物反応器において培養され、結果的に、少なくとも2度、冷凍および解凍され、および解凍後に直接投与される方法を提案する。
従って、先行技術は、凍結保存の後に処置において使用することができる、間葉系幹細胞生成物を含む細胞生成物を開発するための、一般的なリードとして、解凍後の細胞生成物を直接的に使用することと同様に、直面する生存率と毒性の課題を回避するためにDMSOを置換することを示唆する、ということがわかった。
他方、Alves et al. (Tissue Engineering; part A, vol. 19, numbers 7 and 8, 2013) は、生体外で培養する間にMSCが受ける酸化ストレスの影響と分化可能性の緩やかな減少、および低下した臨床的有効度を分析する。このため、著者らは、前記酸化損傷を予防するための酸化防止剤としてトロロックスを使用することを提案する。しかしながら、著者らは、トロロックスの補充は初期の培養期間に酸化損傷を低下させることができるが、その一方で、酸化防止剤によって示された有益な効果は、それにもかかわらず、インビトロでの拡大の後でヒトMSCの分化能力を救うことができなかった、と結論する。
このため、効率的で標準化されたMSCに基づく治療を開発するための主要な鍵となる課題が、凍結保存または拡大などの前記細胞の操作が、細胞を損傷してそれらの活性、例えば、投与されると直ちに増殖および分化する能力などを損なうことがないことを確実にすることであるのは、明らかである。
さらに、一般的には数時間内に失われるそれらの機能性および生存率を、輸送の間に、およびその投与まで保持することができる組成物において、MSCを製剤化することが必須である。
本発明は、凍結保存され、回復され、および輸送調整される、機能的なMSCの富化集団を得る方法を提供し、ここでMSCは、低体温輸送および局所投与のために開発された組成物において製剤化され、それは前述の課題を解決する。
本発明は、治療における投与に適した、凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物を得るための方法に関し、前記方法は、
a.ジメチルスルホキシドを5%から10%含む凍結保護培地中に5x10から10x10細胞/mlの濃度で骨髄間葉系幹細胞のエクスビボ試料を懸濁する工程と、
b.骨髄間葉系幹細胞の試料を、保存の前少なくとも24時間にわたって、最初に液体窒素中で、−70℃から−90℃に冷却して、凍結保存する工程と、
c.以下の工程を実行することによって、骨髄間葉系幹細胞の試料を回復させる工程と;
c1.1分から5分間、温度を35〜39℃まで次第に上昇させることにより、骨髄間葉系幹細胞の試料を解凍する工程、
c2.適切な培養培地で試料を初期試料の体積の10から30倍に希釈する工程と、
c3.試料を遠心分離処理し、上澄み液を廃棄し、そして間葉系幹細胞のペレットを適切な培養培地において再懸濁する工程、
c4.少なくとも70%の生存率がある間葉系幹細胞を選択する工程、
c5.工程(c4)において選択された間葉系幹細胞をプラスチック支持体上に播種し、前記間葉系幹細胞を、7.5%から10%までのCOと少なくとも5%のウシ胎児血清を含む、適切な培養培地を用いて、1000から5000細胞/cmの間の細胞濃度で、35〜39℃の適切な培養条件でインキュベートする工程、
c6.一定の時間間隔で、7.5%から10%までのCOと少なくとも5%のウシ胎児血清を含む新鮮な適切な培養培地に交換し、および、凍結保存および回復された機能的な間葉系幹細胞を、その細胞が支持体の表面の80〜100%を占める時に支持体から単離させる、工程、
d.凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な、間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物を得るために、工程(c6)において単離された、凍結保存および回復された機能的な間葉系幹細胞の富化集団を、2〜8℃での輸送および保管に適した培地において懸濁させる工程であって、ここで、前記2〜8℃での輸送および保管に適した培地は、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を0.25から1mM含む等張の培地である、工程と、を含む。
本発明は、さらに、本発明の方法によって入手可能である、凍結保存され、回復され、および輸送調整される機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物に関する。
さらに、本発明はまた、本発明の方法によって得られる組成物であって、凍結保存され、回復され、および、輸送調整される機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む、薬剤として使用するための、組成物に関する。
本発明は、凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞(MSC)の富化集団を含む組成物をインビトロで得るための方法に関する。前記方法は、
a.5%から10%のジメチルスルホキシドを含む凍結保護培地中に5x10から10x10細胞/mlの細胞濃度で骨髄間葉系幹細胞のエクスビボ試料を懸濁させる工程と、
b.骨髄間葉系幹細胞の試料を、保存の前少なくとも24時間にわたって、液体窒素中で、最初に−70℃から−90℃に冷却して、温度を下げることによって凍結保存する工程と、
c.以下の工程を実行することによって、骨髄間葉系幹細胞の試料を回復させる工程と;
c1.1分から5分間、温度を35〜39℃まで次第に上昇させることにより、骨髄間葉系幹細胞の試料を解凍する工程、
c2.適切な培養培地を用いて、試料を試料体積の10から30倍に希釈する工程、
c3.試料を遠心分離処理し、上澄み液を廃棄し、および、適切な培養培地中に間葉系幹細胞を再懸濁させる工程、
c4.少なくとも70%の生存率がある間葉系幹細胞を選択する工程、
c5.プラスチック支持体上に工程(c4)において選択された間葉系幹細胞を播種し、7.5%から10%のCOと少なくとも5%のウシ胎児血清を含む適切な培養培地を用いて、1000から5000細胞/cmの間の濃度で、35〜39℃の適切な培養条件で、前記間葉系幹細胞をインキュベートする工程、
c6.一定の時間間隔で、7.5%から10%のCOと少なくとも5%のウシ胎児血清を含む新鮮な適切な培養培地に交換し、および、凍結保存および回復された機能的な間葉系幹細胞の富化集団を、その細胞が支持体の表面の80〜100%を占める時に支持体から単離させる工程、
d.凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物を得るために、工程(c6)において単離された、凍結保存および回復された機能的な間葉系幹細胞を、2〜8℃での輸送および保管に適した培地中に懸濁させる工程であって、ここで、前記2〜8℃での輸送および保管に適した培地は、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を0.25から1mMを含む等張の培地である、工程と、を含む。
適切な培養培地は、少なくとも5%のウシ胎児血清を、7.5%から10%のCOと必要な量の−HCOと共に含む。この意味において、適切な培養培地中のCOと−HCOの割合は、7.5%から10%までのCOと、少なくとも5%のウシ胎児血清の濃度とを含めて、一定のままである。
好ましくは、前記方法は、凍結保存され、回復され、および輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を選択する付加的な工程(c7)をさらに含み、それらは、
− プラスチックに対する接着性を示し、および、
− 少なくとも70%の生存率を呈し、および、
− CD90、CD166、CD73、およびCD105の90%以上の発現を呈し、および、
− CD14、CD34、CD45の10%以下の発現、および10%以下のHLA−DRの発現を呈し、および、
− 染色体異常の特徴を持たず、および、
− 骨芽細胞、脂肪細胞、および軟骨細胞に分化する能力を呈する。
用語「等張の培地」は、本発明の目的上、同じ有効なオスモル濃度を持っていることにより、または、細胞よりも非浸透性の溶質濃度、つまり、細胞の内部に対して同じ浸透圧を持っていることにより、細胞の体積を保存する溶液のことを指す。従って、細胞が前記溶液において懸濁され、およびそこで懸濁された細胞の体積を維持する時、懸濁された、等張溶液は、細胞膜を超えて水の自由な交換を可能にする。
6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2 −カルボン酸、またはトロロックスは、ビタミンEアナログである。
さらに好ましい実施形態では、前記2〜8℃での輸送および保管に適した、0.25mMから1mMの6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボキシル酸を含んでいる、等張の培地は、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を0.25mMから1mM含む、動物成分を含まない、無血清の、無タンパク質の、培地である。
さらに好ましい実施形態では、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を0.25mMから1mM含む前記等張の培地は、Na100mM、K42.5mM、Ca2+0.05mM、Mg2+5mM、塩化物17mM、リン酸二水素10mM、HCO5mM、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ペラジニルエタンスルホン酸(4−(2−hydroxyethyl)−1−piperazineethanesulfonic acid)(HEPES)25mM、ラクトビオン酸塩100mM、スクロース20mM、マンニトール20mM、40000の質量平均分子量を持つデキストラン6%、アデノシン2mM、グルタチオン3mM、グルコース5mM、ヒト血清アルブミン0.5%、および6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボキシル酸1mMを含む、培地である。
別の好ましい実施形態では、前記等張の培地は、Na130mM、K4mM、Ca2+1.35mM、塩化物109mM、および乳酸塩16mMを含む第1の組成物とNa159mM、K5mM、Mg2+0.8mM、塩化物77mM、リン酸二水素28mM、クエン酸塩10mM、および酢酸塩32mMを含む第2の組成物との1:9から9:1の混合物(v/v)を含み、グルコース5mM、ヒト血清アルブミン0.1%から0.5%、および6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボキシル酸0.25から1mMで補充される。
さらに好ましい実施形態では、前記等張の培地は、前記第1の組成物と前記第2の組成物の、1:9の、または1:4の、または1:3の、または1:1の、または3:1の、または4:1の、または9:1の混合物(v/v)を含み、グルコース5mM、ヒト血清アルブミン0.1%から0.5%、および6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボキシル酸0.25から1mMで補充される。
さらに好ましい実施形態では、前記等張の培地は、前記第1の組成物と前記第2の組成物の、1:1の混合物(v/v)を含み、グルコース5mM、ヒト血清アルブミンから0.5%、および6ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2カルボキシル酸0.5mMで補充される。
またさらに好ましい実施形態では、前記等張の培地は、グルコース5mM、ヒト血清アルブミン0.5%、および6ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2カルボキシル酸0.5mMを含む。
またさらに好ましい実施形態では、前記等張の培地は、ヒト血清アルブミン0.5%、および6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボキシル酸1mMを含む。
本発明は、また、治療における投与に適した、凍結保存され、回復され、および輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞富化集団を含む組成物であって、上に記載された、間葉系幹細胞(MSC)の機能的な集団をインビトロで得る方法によって、入手可能である、組成物にも関する。
本発明の一実施形態は治療における投与に適した、凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物であって、上に記載された方法によって入手可能であり、薬剤として使用するための、特に間葉系幹細胞治療が有効な疾患の処置において使用するための、組成物に関する。
別の実施形態は、凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物であって、上に記載された方法によって入手可能であり、間葉系幹細胞治療が有効な疾患の処置において使用するための組成物に関し、ここで、凍結保存され、回復され、輸送調整される機能的な間葉系幹細胞集団を含む前記組成物は、局所的に、または全身処置において投与される。
別の実施形態は、凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物であって、上に記載された方法によって入手可能であり、骨関節疾患、骨修復の処置、自己免疫疾患、および循環器疾患において使用するための、組成物に関する。
一実施形態では、骨関節の疾患は、変性椎間板疾患、変形性関節症、半月板損傷、および関節リウマチから選択される。
一実施形態において、自己免疫疾患は、紅斑性狼瘡、移植片対宿主疾患および全身性硬化症から選択される。
一実施形態において、循環器疾患は、末梢血管不全、心筋梗塞、脳卒中、および虚血から選択される。
凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的なMSCの富化集団を含む前記組成物は、解凍後に、およびまた2から8℃で低体温輸送する間にも、少なくとも72時間、新鮮なMSCの機能を保持することができる。
本発明の目的上、骨髄間葉系幹細胞は、それらの中胚葉の多分化能によって特徴づけられる、骨髄の中に存在する非造血幹細胞であり、および、それは、従って、骨芽細胞、脂肪細胞、および軟骨細胞へと分化することができる。
本発明によると、用語「機能的な間葉系幹細胞の集団」は、間葉系幹細胞治療が有効な疾患の処置における使用に適した、間葉系幹細胞の一分量を含む、間葉系幹細胞の試料を指し、および、ここで、前記試料は、新鮮な間葉系幹細胞の機能的な特性を持つ、つまり、プラスチックに対する接着性を示す、間葉系幹細胞だけを含み、少なくとも70%の生存率を呈し、CD90、CD166、CD73、およびCD105の90%以上の発現を呈し、および、CD14,CD34,CD45の10%以下の発現、および10%以下のHLA−DRを呈し、染色体異常の特徴を示さず、および骨芽細胞、脂肪細胞、および軟骨細胞へと分化する能力を持つ。
本発明の目的上、「機能的な間葉系幹細胞の富化集団」は、機能的な間葉系幹細胞であって、プラスチックに対する接着性を示し、少なくとも70%の生存率を示し、CD90、CD166、CD73、およびCD105の90%以上の発現を呈し、および、CD14,CD34,CD45の10%以下の発現、および10%以下のHLA−DRの発現を呈し、染色体異常の特徴を示さず、および骨芽細胞、脂肪細胞、および軟骨細胞へと分化する能力を持つ、機能的な間葉系幹細胞の少なくとも0.5x10の群を指す。
本発明の目的上、用語「凍結保存された細胞」は−70℃またはより低い温度で維持された細胞であって、低温保存しているため、代謝活性または化学的活性であって、実質的に止められた細胞に損傷を与える恐れがある、実質的にあらゆる活性を持つ、細胞である。
本発明の目的上、用語「凍結保存され、および回復される細胞」または、「凍結保存され、および回復される間葉系幹細胞の試料」およびそれらの同義語は、本発明の方法により、予め凍結保存され、解凍され、希釈され、単離され、および、少なくとも5%のウシ胎児血清と高レベルのCOを含む適切な培養培地において35〜39℃で培養された間葉系幹細胞であり、ここで、前記凍結保存され、および回復される細胞は、新鮮な間葉系幹細胞の実質的にすべての代謝および化学的活性を示し、少なくとも70%の生存率、より好ましくは少なくとも80%の生存率、およびさらに好ましくは、少なくとも90%の生存率を有する。
本発明の目的上、用語「凍結保存され、回復され、および輸送調整される細胞」または「凍結保存され、回復され、および輸送調整される間葉系幹細胞」およびそれらの同義語は、予め凍結保存され、および少なくとも5%のウシ胎児血清と高レベルのCOを含む適切な培養培地において、35〜39℃で回復された間葉系幹細胞を指し、それは単離後に、トロロックスを0.25mMから1mM含む、2〜8℃での輸送および保管に適した等張の培地を含む懸濁液において、輸送調整される。この意味において、本発明の目的上、用語「調整された」は、「輸送のために調整された」と、または「輸送調整された」と、または「2〜8℃での輸送と保管のために調整された」と同義である。
用語「含む(comprise(s))」は、一群の特徴を含むが、それらが請求項を実施不可能にしない限り、他の特徴の存在を除外しないことを意味すると解釈される。この目的のために、本発明の目的上、用語「含む(comprise(s))」は、用語「〜から成る(consisting of〜)」および用語「本質的に〜から成る(consisting essentially of)」と取り替えられてもよい。このようにして、用語「含む(comprise(s))」が特徴A、B、およびCの群を指すとき、それらが請求項を実施不可能にしない限り、最終的にA、B、およびCとは異なる様々な他の特徴を含めると解釈されるべきであるが、また、前記特徴A、B、およびCのみを含めて考えること、または、実質的に言及された特徴だけを含めることと解釈される場合もあり、従って、「含む(comprise(s))」は、特徴A、C、およびC「から成る」群、および特徴A、B、およびC「から本質的に成る」群も含めることと解釈されるべきである。
本発明の方法において使用される間葉系幹細胞は、エクスビボ骨髄単核細胞に由来する。前記エクスビボ骨髄単核細胞は、エクスビボ造血幹細胞、エクスビボ間葉系幹細胞、およびエクスビボ内皮始原細胞、および他の前駆幹細胞を含む、いくつかのタイプのエクスビボ骨髄幹細胞を含む。外傷後、細胞増殖因子は骨髄MSCの組織分化を促進し、それ故に、損傷した臓器の修復と臓器機能の復旧を可能にすることがあり得る。
MSCは、培養物における、プラスチックに対する強い接着性を特色とする。この接着能力は、骨髄単核細胞からの前記MSCの単離および精製のために使用される。
好ましくは、治療における投与に適した、凍結保存され、回復され、および輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞富化集団を含む組成物を得るための方法は、10〜15日間で実行される。
好ましい実施形態において、骨髄間葉系幹細胞のエクスビボ試料は、少なくとも8x10の骨髄間葉系幹細胞を含む。
好ましい実施形態において、骨髄間葉系幹細胞のエクスビボ試料は、8x10から10x10の骨髄間葉系幹細胞を含む。
好ましくは、エクスビボ試料は、少なくとも90%の生存率がある骨髄間葉系幹細胞を含む。
好ましくは、エクスビボ試料は、少なくとも90%の生存率があり、90%以上のCD90、CD166、CD73、およびCD105の発現と、10%以下のCD14、CD34、CD45、およびHLA−DRの発現とを伴う、8x10から10x10の間葉系幹細胞を含む。
好ましい実施形態において、エクスビボ骨髄間葉系幹細胞試料はプラスチック支持体において提供され、酵素法を使用して、プラスチック支持体から分離され、および、適切な培養培地で再懸濁される。
好ましいプラスチック支持体は、親水性のプラスチック支持体、または負に帯電したプラスチック支持体である。好ましい実施形態において、前記好ましいプラスチック支持体は親水基を含む。好ましい実施形態において、前記好ましいプラスチック支持体は、親水性の性質を有する、組織処理(tissue−treated)されたプラスチック支持体である。前記好ましいプラスチック支持体の商用の例はコーニング(Corning)CellBIND(登録商標)支持体である。
好ましい実施形態では、工程(a)に先立って、
i. プラスチック支持体において適切な培養培地でエクスビボ骨髄間葉系幹細胞試料を洗浄する工程と、
ii. 酵素溶液を添加し、および、使用される培養培地に適切な条件でインキュベートする工程と、
iii. 等しい体積の培養培地を添加することにより酵素溶液を不活性化する工程と、
iv. 遠心分離処理し、および、上澄み液を廃棄する工程と、が行われる。
好ましい実施形態では、工程(i)において細胞を洗浄するために適切な培地はダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle Medium)(DMEM)である。
別の好ましい実施形態では、工程(i)は、イスコフ改変ダルベッコ培地(Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium)(IMDM)、Reduced Serum Media of Eagle’s Minimum Essential Media、イーグルの最少必須培地(Eagle’s Minimum Essential Medium)、ヌクレオシド、グルコースなどで改変されたイーグルの最少必須培地、または、任意の他の適切な培養培地から選択された培養培地において実行される。
好ましい実施形態では、適切な培地がDMEMである時、工程(ii)は酵素溶液を添加し、および、5〜10分間、35〜37℃で、より好ましくは37℃で、10%CO下で、インキュベートすることを含む。
いずれの場合も、当業者は、工程(i)の培養を行なうために可能な変更と同様に、どの培養培地および条件が可能であるかを認識するだろう。
好適に、工程(ii)において使用される酵素溶液は0.05%のトリプシンと0.02%のエチレンジアミン四酢酸塩(EDTA) 四ナトリウム(tetra sodium ethylenediaminetetraacetic acid)をハンクス平衡塩溶液(Hanks′ Balanced Salt Solution)中に含む。
工程(ii)において使用される酵素溶液の商用の例は、トリプシン−EDTA 1X溶液(Sigma 9417C)である。
好ましくは、工程(iv)は、試料を5から10分間、15から25℃にて、300〜500gで、より好ましくは5分間20℃にて400gで、遠心分離処理することを含む。
好ましい実施形態では、ステップ(a)は、少なくとも90%の生存率があり、90%以上のCD90、CD166、CD73、およびCD105の発現と、10%以下のCD14、CD34、CD45、およびHLA−DRの発現とを伴う、8x10から10x10の間葉系幹細胞の試料を提供すること含む。
好ましくは、工程(a)において使用される骨髄間葉系幹細胞のエクスビボ試料は、以下の工程を含む方法によって得られる:
I. 少なくとも30mlのフィルタリングされた骨髄穿液のエクスビボ試料を提供する工程、
ii. エクスビボ骨髄穿刺液を抗凝血剤にさらす工程、
iii. エクスビボ骨髄穿刺液から単核細胞を選択する工程、
IV. 70%を超える生存率を伴う単核細胞を選択する工程、
V. 適切な培養培地中の、プラスチック支持体に1.5x10から2x10細胞/cmで単核細胞を播種し、および適切な培養条件においてそれらをインキュベートする工程、
VI. 細胞増殖パーセンテージおよびプラスチック支持体に接着した間葉系幹細胞の外観を一定の時間間隔で測定する工程、
VI.1 細胞増殖パーセンテージが60%未満である時、上澄み液を取り除いて、培養培地を替える工程、
VI.2 細胞増殖パーセンテージが80%を超えれば、プラスチック支持体に接着した間葉系幹細胞の試料を単離させる工程、
VI.3 前記間葉系幹細胞を増加させ、および純化するために、2継代まで継代培養を実行し、および、増殖パーセンテージが80%以上である場合、継代培養の各々からのプラスチック支持体に接着した間葉系幹細胞を単離させる工程。
好ましくは、骨髄穿刺液のエクスビボ試料から工程(a)の骨髄間葉系幹細胞のエクスビボ試料を得る方法は、8〜10日間で実行される。
一実施形態では、工程(II)において使用される抗凝血剤はヘパリンである。
一実施形態工程において、工程(III)は、エクスビボ硬骨吸引液から単核細胞を密度勾配によって選択することを含む。
好ましくは、工程(III)は、フィコールを含む溶液を使用して、エクスビボ硬骨吸引液から単核細胞を密度勾配によってインビトロで選択することを含み、前記工程(III)は、
III.1 エクスビボ骨髄穿刺液試料にフィコール溶液をゆっくり加える工程と、
III.2 試料を、15から25℃にて少なくとも30分間止めることなく、300〜500gで、遠心分離処理する工程と、
III.3 適切な培養液で界面を分離させ、および、洗浄する工程と、
III.4 遠心分離処理して上澄み液を廃棄する工程と、
III.5 適切な培養液でペレットを洗浄する工程と、
III.6 遠心分離処理して上澄み液を廃棄する工程と、
III.7 単核細胞を備えたペレットを適切な培養培地中に再懸濁させる工程と、を含む。
好ましい実施形態工程において、工程Iは、エクスビボ骨髄穿刺液試料に比率2:3 (vol:vol)でフィコール溶液をゆっくり加えることを含む。
好ましい実施形態において、洗浄は0.5のヒト血清アルブミンを含有しているリン酸緩衝液を用いて実行される。
別の好ましい実施形態では、工程III.3において、洗浄は、生理食塩液を用いて実行される。
別の好ましい実施形態では、洗浄はリンゲル液を用いて実行される。
好ましくは、工程III.4は、試料を5から10分間、15から25℃にて、300〜500gで、より好ましくは5分間20℃にて400gで、遠心分離処理することを含む。
好ましくは、工程III.6は、試料を5から10分間、15から25℃にて、300〜500gで、より好ましくは5分間20℃にて400gで、遠心分離処理することを含む。
好ましい実施形態では、工程(IV)において選択された単核細胞は、70%を超える、好ましくは80%を超える、および最も好ましくは90%を超える、生存率を有する。
好ましくは、単核細胞の生存率は、色素排除試験を使用して決定される。前記色素排除試験は、生きている細胞はトリパンブルーなどの特定の染料を排除する無傷の細胞膜を持つが、死細胞はそうではない、という原理に基づく。この試験では、細胞懸濁液は、染料と単に混合され、そして、細胞が染料を取り込むか排除するかを視覚的に決定するために検査される。従って、染料を排除する細胞は生きている細胞である。
好ましい実施形態では、工程Vは、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、Reduced Serum Media of Eagle’s Minimum Essential Media、イーグルの最少必須培地、ヌクレオシド、グルコースなどで改変されたイーグルの最少必須培地、または、任意の他の適当な培養培地から選択された培養培地において実行される。
好ましい実施形態工程では、工程Vは、少なくとも5%のウシ胎児血清(FBS)を伴うDMEM中のプラスチック支持体に1.5x10から2x10細胞/cmで単核細胞を播種し、および、7.5%から10%のCOのもとで、35〜39℃にてインキュベートして、実行される。培養培地は、好ましくは、少なくとも5%のウシ胎児血清を7.5%から10%のCO、および必要な量の−HCOと共に含む。
別の好ましい実施形態では、工程Vは、少なくとも5%のFBSと0.5%のゲンタマイシンを伴うDMEM中のプラスチック支持体に1.5x10から2x10細胞/cmで単核細胞を播種し、および、7.5〜10%のCOのもとで、35〜39℃にてインキュベートして、実行される。
好ましいプラスチック支持体は、親水性のプラスチック支持体、または負に帯電したプラスチック支持体である。好ましい実施形態において、前記好ましいプラスチック支持体は親水基を含む。好ましい実施形態において、前記好ましいプラスチック支持体は、親水性の性質を有する、組織処理されたプラスチック支持体である。前記好ましいプラスチック支持体の商用の例は、Corning CellBIND(登録商標)支持体である。
いずれの場合も、当業者は、工程(V)の培養を行なうために可能な変更と同様に、どの培養培地および条件が可能であるかを認識するだろう。
好ましくは、工程VIにおいて、細胞増殖パーセンテージが60〜80%未満の場合には、培養培地の交換が行なわれる。
好ましくは、工程VIにおいて、それが80%より多かった場合、細胞培養は、MSCの細胞系統を、増加させ、および純化するために2継代までの継代培養を実行することにより、細胞解離と拡大に進められる。
好ましい実施形態において、工程(VI.3)は、継代培養の各々からのプラスチック支持体に対して接着した間葉系幹細胞を単離する工程を含み、ここでは、単離する工程は、
i. 適切な培養培地を用いてプラスチック支持体中の骨髄間葉系幹細胞試料を洗浄する工程と、
ii. 酵素溶液を添加し、使用した培養培地に適切な条件において培養する工程と、
iii. 等しい体積の培養培地を添加することにより酵素溶液を不活性化する工程と、
iv. 遠心分離処理して上澄み液を廃棄する工程と、を含む。
好ましい実施形態において、工程(i)において細胞を洗浄するためにふさわしい培養培地はダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)である。
好ましい実施形態において、適切な培養培地がDMEMである時、工程(ii)は、酵素溶液を添加し、および10%CO下で35から39℃にて5〜10分間インキュベートすることを含む。
好ましくは、工程(ii)において使用される酵素溶液は、0.05%のトリプシンおよび0.02%および0.05%のエチレンジアミン四酢酸塩ナトリウムを含有している溶液である。好ましくは、工程(ii)において使用される酵素の溶液は0.05%のトリプシンおよび0.02%のエチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)四ナトリウムをハンクス平衡塩溶液中に含む。
好ましくは、工程(iv)の遠心分離処理は、15から25℃にて、および30分間、300〜500gで実行される。
いずれの場合でも、当業者は、工程(VII)の間葉系幹細胞の単離を行なうことが可能な様々な培養培地と条件を、可能な変更と同様に、認識するだろう。
好ましい実施形態において、工程(a)で使用するための、上記で得られた間葉系幹細胞のエクスビボ試料は、少なくとも90%の生存率を有し、90%以上のCD90、CD166、CD73、およびCD105の発現と、10%以下のCD14、CD34、CD45、およびHLA−DRの発現とを伴う。
好ましい実施形態において、生体外の骨髄穿刺液試料は、3000白血球/μlを超える白血球を含有している。
好ましい実施形態において、エクスビボ骨髄穿刺液試料はエクスビボ腸骨稜骨髄吸引液試料である。
好ましい実施形態において、工程(a)の凍結保護培地は、ウシ胎児血清、および5から10%のDMSOを含む培地を含む。
別の好ましい実施形態では、工程(a)の凍結保護培地は、5%のDMSO、および95%のウシ胎児血清を含む。
別の好ましい実施形態では、工程(a)の凍結保護培地は、10%のDMSO、および90%のウシ胎児血清を含む。
別の好ましい実施形態では、工程(a)の凍結保護培地は、5%のDMSOを含む、動物成分なしの、無血清の、無タンパク質の培地を含む。
別のさらに好ましい実施形態では、工程(a)の凍結保護培地は、10%のDMSOを含む、動物成分なしの、無血清の、無タンパク質の培地を含む。
好ましい実施形態において、工程(a)の凍結保護培地は、DMSOを5〜10%含み、および、Na100mM、K42.5mM、Ca2+0.05mM、Mg2+5mM、塩化物17mM、二水素リン酸10mM、HCO 5mM、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニルエタンスルホン酸塩(4−(2−hydroxyethyl)−1−piperazineethanesulfonic acid)(HEPES)25mM、ラクトビオン酸100mM、スクロース20mM、マンニトール20mM、平均分子量40000のデキストラン 6%、アデノシン2mM、グルタチオン3mM、グルコース5mM、を含む、等張の組成物を90から95%含む。
好ましい実施形態において、工程(a)の凍結保護培地は、DMSOを5%含み、および、Na100mM、K42.5mM、Ca2+0.05mM、Mg2+5mM、塩化物17mM、二水素リン酸10mM、HCO 5mM、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニルエタンスルホン酸塩(HEPES)25mM、ラクトビオン酸100mM、マンニトール20mM、40000の平均分子量を伴うデキストラン6%、アデノシン2mM、グルタチオン3mM、グルコース5mM、を含む、等張の組成物を90から95%含む。
好ましい実施形態において、工程(a)の凍結保護培地は、DMSOを10%含み、Na100mM、K42.5mM、Ca2+0.05mM、Mg2+5mM、塩化物17mM、二水素リン酸10mM、HCO 5mM、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニルエタンスルホン酸塩(HEPES)25mM、スクロース20mMラクトビオン酸100mM、マンニトール20mM、40000の平均分子量を伴うデキストラン6%、アデノシン2mM、グルタチオン3mM、グルコース5mM、を含む、等張の組成物を90から95%含む。
好ましい実施形態において、工程(b)は、骨髄間葉系幹細胞の試料を、保存の前少なくとも25時間、液体窒素中で、−70℃から−90℃の温度まで、1℃/分のスピードで、凍結保存することを含む。
好ましくは、凍結保存された間葉系幹細胞を回復する工程(c)は、最長6から20年になり得る処置のために設定された日付に従って始まる。
好ましくは、工程(c1)は、15から20分間ですばやく実行される。
好ましくは、工程(c1)は、制御された温度上昇速度を維持しながら、1から5分間、温度を35〜39℃まで次第に上昇させることによって、凍結保存された間葉系幹細胞を解凍することを含む。工程(c1)において凍結保存された間葉系幹細胞を解凍するために適当な装置は、ThawSTAR(登録商標)CFT2である。
好ましい実施形態では、工程(c2)の適切な培養培地は、少なくとも5%のウシ胎児血清と7.5%から10%のCOを伴った、ダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco´s Modified Eagle Medium)である。培養培地は、好ましくは、7.5%から10%のCOを伴う少なくとも5%のウシ胎児血清、および必要な量のHCOを含む。
別の好ましい実施形態では、工程(c2)の適切な培養培地は、7.5%から10%のCOと少なくとも5%のウシ胎児血清を含む、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、Reduced Serum Media of Eagle’s Minimum Essential Media、イーグルの最少必須培地、ヌクレオシドやグルコースなどで改変されたイーグルの最少必須培地、または、他の任意の適切な培養培地から選択される。
いずれの場合も、当業者は、どれが、少なくとも5%のFBS、と高レベルのCOと−HCOを含み、および35〜39℃の条件で、使用可能な培養培地かを、工程(c2)の培養を行なうために可能な変更と同様に、認識するだろう。
好ましくは、工程(c3)は試料を遠心分離処理することと、上澄み液を廃棄すること、および、1x10から5x10細胞/mlの濃度で適切な培養培地において間葉系幹細胞を再懸濁することと、を含む。好ましくは、前記適切な培養培地は、7.5%から10%のCOと少なくとも5%のウシ胎児血清を含む。
好ましくは、工程(c3)は、5〜10分間、15から25℃にて300〜500gで、より好ましくは、5分間、20℃にて400gで、試料を遠心分離処理することを含む。
好ましくは、工程(c4)において、間葉系幹細胞の細胞生存率は、色素排除試験を使用して決定される。
好ましくは、工程(c4)において、間葉系幹細胞の細胞生存率は、トリパンブルーを使用して決定される。
前記色素排除試験は、生きている細胞は、トリパンブルー、エオシン、またはプロピジウムなどの特定の染料を排除する無傷の細胞膜を持つが、死細胞はそうではない、という原理に基づく。この試験では、細胞懸濁液は、染料と単に混合され、そして、細胞が染料を取り込むか排除するかを視覚的に決定するために検査される。従って、染料を排除する細胞は生きている細胞である。
好ましくは、工程(c6)は、一定の時間間隔で、高レベルのCOを含む、好ましくは少なくとも5%のウシ胎児血清と7.5%から10%のCOを含む適切な培養培地を新鮮なものに交換することを含み、および、細胞が支持体の表面の80〜100%を占める時、凍結保存され回復された機能的な間葉系幹細胞の富化集団を支持体から単離させることを含む。
好ましい実施形態において、工程(c5)および(c6)の適切な培地は、7.5%から10%のCO、必要とされる量の−HCO、および少なくとも5%のウシ胎児血清を伴うダルベッコ改変イーグル培地である。
別の好ましい実施形態では、工程(c5)および(c6)の適切な培養培地は、7.5%から10%のCOと少なくとも5%のウシ胎児血清を伴う、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、Reduced Serum Media of Eagle’s Minimum Essential Media、イーグルの最少必須培地、または、他の任意の適切な培養培地から選択される。
好ましくは、工程(c5)および(c6)の培養は、少なくとも5%のウシ胎児血清を含む適切な培養培地で、7.5%から10%のCOを伴って、35〜39℃に維持されるだろう。培養培地は、付加的に、必要な量の−HCOを含む。
好ましくは、工程(c5)の培養は、選択された培養培地にとって適切な培養条件に維持されるだろう。
いずれの場合も、当業者は、どれが使用可能な培養培地および35〜39℃の条件であるのかを、高レベルのCOと少なくとも5%のウシ胎児血清を含む工程(c5)および(c6)の培養を行なうのに可能な改変と同様に、認識するだろう。
好ましくは、工程(c5)において、培養培地は、10000から40000細胞/cmの産出を得て、細胞が増殖表面の80〜100%を占めるまで、3〜4日ごとに替えられる。好ましくは、工程(c5)は、10から15日間で実行される。
好ましい実施形態において、工程(c6)は、凍結保存され回復された機能的な間葉系幹細胞の富化集団を、その細胞が支持体の表面の80〜100%を占める時、支持体から単離させる工程を含み、ここで、単離させる工程は、
i. プラスチック支持体中の、凍結保存され、回復された、および機能的な間葉系幹細胞試料を、適切な培地で洗浄する工程と、
ii. 酵素溶液を添加し、および使用される培養培地に適切な条件でインキュベートする工程と、
iii. 等しい体積の培養培地を添加することより、酵素溶液を不活性化する工程と、
iv. 遠心分離処理し、および上澄み液を廃棄する工程と、を含む。
好ましい実施形態では、工程(i)において細胞を洗浄するために適切な培地はダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)である。
好ましい実施形態において、適切な培養培地がDMEMである時、工程(ii)は酵素溶液を添加し、および、7.5%から10%のCOのもと、35〜39℃にて5から10分間インキュベートすることを含む。
好ましくは、工程(ii)において使用される酵素溶液は、0.05%のトリプシン、および0.02%のエチレンジアミン四酢酸塩を含有している溶液である。好ましくは、工程(ii)において使用される酵素溶液は、0.05%のトリプシン、および0.02%のエチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)四ナトリウムをハンクス平衡塩溶液中に含む。
いずれの場合も、当業者は、工程(c6)の凍結保存および回復された機能的な間葉系幹細胞の富化集団の単離を行なうために可能な変更と同様に、どれが可能な様々な培養培地であり、および適切な条件であるかを、認識するであろう。
好ましくは、工程(iv)の遠心分離処理は、10から30分間、15から25℃にて300〜500gで、より好ましくは、10分間、20℃にて400gで、実行される。
好ましい実施形態では、工程(c6)において単離させられた、凍結保存および回復された機能的な間葉系幹細胞の富化集団は、80%以上の生存率を有する。
好ましい実施形態では、工程(c6)において単離させられた、凍結保存および回復された機能的な間葉系幹細胞の富化集団は、90%以上の生存率を有する。
好ましい実施形態において、前記2〜8℃での輸送および保管に適した培地は、0.25mMから1mMの6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸(トロロックス)を含む、等張の培地である。
6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸、またはトロロックスは、ビタミンEアナログである。
より好ましい実施形態において、前記0.25mMから1mMの6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を含む等張の培地は、0.25mMから1mMの6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を含む、動物成分なしの、無血清の、無タンパク質の培地である。
より好ましい実施形態において、前記0.25mMから1mMの6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を含む等張の培地は、Na100mM、K42.5mM、Ca2+0.05mM、Mg2+5mM、塩化物17mM、二水素リン酸10mM、HCO5mM、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニルエタンスルホン酸塩(HEPES)25mM、ラクトビオン酸塩100mM、スクロース20mM、マンニトール20mM、40000の平均分子量を伴うデキストラン 6%、アデノシン2mM、グルタチオン3mM、グルコース5mM、ヒト血清アルブミン0.5%、および6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボキシル酸1mM、を含む。
別の好ましい実施形態では、前記等張の培地は、Na130mM、K4mM、およびCa2+1.35mM、塩化物109mM、およびラクテート16mMを含む第1の組成物と、Na159mM、K5mM、Mg2+0.8mM、塩化物77mM、二水素リン酸28mM、およびクエン酸塩10mM、および酢酸塩32mMを含む第2の組成物との、1:9から9:1の混合物(v/v)を含み、グルコース5mM、ヒト血清アルブミン0.1%から0.5%、および、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボキシル酸0.25から1mMで補充される。
より好ましい実施形態において、前記等張の培地は、1:9、または1:4、または1:3、または1:1、または3:1、または4:1、または9:1の、前記第1の組成物と前記第2の組成物の混合物(v/v)を含み、グルコース5mM、ヒト血清アルブミン0.1%から0.5%、および、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボキシル酸0.25から1mMで補充される。
より好ましい実施形態において、前記等張の培地は、前記第1の組成物と前記第2の組成物の1:1の混合物(v/v)を含み、グルコース5mM、ヒト血清アルブミン0.5%、および、6ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2カルボキシル酸0.5mMで補充される。
さらにより好ましい実施形態において、前記等張の培地は、グルコース5mM、ヒト血清アルブミン0.5%、および6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボキシル酸0.5をmM、を含む。
さらにより好ましい実施形態において、前記等張の培地は、ヒト血清アルブミン0.5%、および6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボキシル酸1mM、を含む。
適切な商用の等張の培地は、1mMの 6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボキシル酸、および0.1%から0.5%のヒト血清アルブミンで補充された、Hyportermosol(登録商標)−Baseである。
Hyportermosol(登録商標)−Base溶液は、Na100mM、K42.5mM、Ca2+0.05mM、Mg2+5mM、Cl17.1mM、二水素リン酸10mM、重炭酸5mM、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ペラジニルエタンスルホン酸(HEPES)25mM、ラクトビオン酸塩100mM、スクロース20mM、マンニトール20mM、グルコース5mM、アデノシン2mM、およびグルタチオン 3mMを含有する。
好ましくは、前記方法は、凍結保存され、回復され、および輸送調整された機能的な間葉系幹細胞の富化集団を選択する付加的な工程(c7)をさらに含み、該細胞は、
− プラスチックに対する接着性を示し、および、
− 少なくとも70%の生存率を呈し、および
− CD90、CD166、CD73、およびCD105の90%以上の発現を呈し、および、
− CD14、CD34、CD45の10%以下の発現、および10%以下のHLA−DRの発現を呈し、および、
− 染色体異常の特徴を持たず、および、
− 骨芽細胞、脂肪細胞、および軟骨細胞に分化する能力を持ち合わせる。
好ましくは、本発明の方法によって得られる、治療における投与に適した、凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物は、年間のあらゆる時期と気候条件において、少なくとも72時間を超えて2から8℃の間の一定の温度を保証する恒温のパッケージングに入って輸送される。本発明の方法と共に使用されるパッケージングの一例は、ORCA(登録商標)パッケージングシステムである。
凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物は、10回までの複製を被った後にさえ安定したままである。
一実施形態は、本発明の方法によって得られる組成物であって、凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物に関する。
別の実施形態は、薬剤として使用するための、本発明の方法によって得られる組成物であって、凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物に関する。別の実施形態は、本発明の方法によって得られる組成物であって、薬剤の製造において使用するための、凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む、組成物に関する。
加えて、本発明は、間葉系幹細胞治療が有効な疾患の処置において使用するための、本発明の方法によって得られる組成物であって、凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む、組成物に関する。
別の実施形態は、間葉系幹細胞治療が有効な疾患の処置において使用するための、本発明の方法によって得られる組成物であって、凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物に関し、ここで、前記凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物は、局所的にまたは全身療法において投与される。
別の実施形態は、骨関節疾患の処置、骨の修復、自己免疫疾患、および循環器疾患において使用するための、本発明の方法によって入手可能な、凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物に関する。
一実施形態では、骨関節疾患は、変性椎間板疾患、変形性関節症、半月板損傷、および関節リウマチから選択される。
一実施形態では、自己免疫疾患は、紅斑性狼瘡、移植片対宿主疾患、および全身性硬化症から選択される。
一実施形態では、循環器疾患は、末梢血管不全症、心筋梗塞、脳卒中、および虚血から選択される。好ましい実施形態では、疾患は視神経虚血性障害である。
本発明の目的上、用語「自己由来の処置」、または「自己由来の治療」は、本発明の方法の工程(a)において使用される骨髄間葉系幹細胞が、本発明によって意図される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団が使用される対象の人物、または、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物が使用される対象の人物と同一の人物に由来する骨髄間葉系幹細胞である処置を指す。
本発明の目的上、用語「同種異系の、または同種異系の処置」、または「同種異系の治療」は、本発明の方法の工程(a)において使用される骨髄間葉系幹細胞が、本発明によって意図される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団が使用される対象の人物、または、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物が使用される対象の人物とは異なる人物に由来する骨髄間葉系幹細胞である処置を指す。
上に記載された、本発明の方法によって入手可能な、凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物は、従って、特定の骨関節疾患、変形性関節症、自己免疫疾患、および循環器疾患における局所または全身の処置による間葉系幹細胞治療の効果がある疾患の処置の自己由来または同種異系の処置のための薬剤の製造において使用される。
本発明のある実施形態は、5×10から10×10細胞/mlの濃度において投与される薬剤として使用するための、本発明の方法によって入手可能な、凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物に関する。
本発明のある実施形態は、兆候に応じて5×10から10×10細胞/mlの細胞密度において、および50万から9000万個の細胞の1用量で投与される薬剤として使用するための、本発明の方法によって入手可能な、凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物に関する。
本発明のある実施形態は、骨関節疾患、骨修復、自己免疫疾患、および循環器疾患の自己由来の処置において使用するための、上に記載された、本発明の方法によって入手可能な、凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物に関する。
別の実施形態は、骨関節疾患、骨修復、自己免疫疾患、および循環器疾患の処置の方法に関し、該方法は、凍結保存され、回復され、および輸送調整される機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物の治療量を、必要とする被験体に投与する工程を含み、ここで、前記富化集団を含む前記組成物は、本開示において記載される方法によって得られる。
本発明による組成物(2)、参考組成物(1)、およびグルコースとヒト血清アルブミンで補充された乳酸リンゲル液を含む組成物の、低体温条件下(2〜8℃)で3日間保管中の細胞の生存率に対する効果である。データは5人の異なるドナーの平均±semである。 本発明による組成物2と組成物3、および参考組成物1、およびグルコースとヒト血清アルブミンで補充されたリンゲル乳酸塩溶液を含む組成物の、低体温条件下(2〜8℃)で3日間保管中の細胞の生存率に対する影響である。データは異なる5ドナーの平均±semである。 以下によって達成された細胞の生存率対時間。(1)本発明によって、FBS+10%DMSO中で凍結保存され、10%のCOを含む培養培地で35〜39℃にて回復され、および輸送調整された、組成物3を得るためのMSCを含む、組成物(塗りつぶされた棒グラフ)。(2)WO2010/064054による、トロロックスを伴うHypothermosol(登録商標)中で凍結保存され、解凍され、室温(20〜25℃)にて表示された時間維持されたMSCを含む組成物(斜線の棒グラフ)。および、(3)リンゲル乳酸塩と10%のDMSO中で凍結保存され、解凍されたMSCを含む組成物(白い棒)。値は3ドナーの平均+/−SDである。すべての測定は、3回繰り返して行われた。 (参考図)間葉系幹細胞発育におけるDMSOの影響。新鮮な間葉系幹細胞は、cmにつき1000細胞が、0%、0.1%、0.3%、1%、および5%のDMSOを伴って播種され、37℃にて表示された時間培養された。値は3ドナーの平均±SDである。 本発明によって得られる、凍結保存され、回復され、および輸送調整される間葉系幹細胞を含む組成物3の、72時間の低体温輸送(2〜8℃)の後の増殖曲線である。トリプリケートの値の平均±SD。異なるドナーを用いた3つの同様の実験の代表。
実施例
本発明は、実施例において、図および総括的なスキームと同様に、例示される。以下のスキームにおいて使用される置換基と整数は、他に指示がない限り、本発明の実施形態において定義された通りである。このセクションは、本発明についての理解を支援するために設けられるが、特許請求の範囲に記載された本発明をいかなる形でも限定するものと解釈されるべきではない。
本発明に記載の方法によって得られた機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含み、具体例において使用される組成物は、the Cell Production Unit of the Instituto de Biologia y Genetica Molecular (IBGM) of ValladolidのGood Manufacturing Practice (GMP) を使用して、Spanish Medicines Agency,によって承認された標準操作手順、AEMPS (PEI Num.10−134 and PEI num 15−007)に従って、処理された。
実施例1:本発明の方法による機能的な間葉系幹細胞の集団を得ること
プロトコル化された抗凝固療法の対象とされた骨髄穿刺液は、実施例の組成物を得るために使用されるMSCを得るための細胞の供給源である。骨髄穿刺液を、抽出の後、24時間以内に処理した。
MSCを得る過程は、ほぼ21〜28日続く。
最初の工程において、単核細胞画分(MNC)をフィコール密度勾配で選択した。続いて、トリパンブルー色素排除法によって細胞の生存率調査を行った。培養を始めるために、単核細胞(MNC)は70%以上の生存率を持っていなければならなかった。DMEM+20%FBSを含有している(細菌汚染の問題が疑われれば、0.5%のゲンタマイシンを添加する)培養フラスコにおいてMNCを播種し、および、10%のCOのもと、37℃にてインキュベートした。3日または4日ごとに、倒立顕微鏡を用いて細胞の単層およびコンフルエンス(細胞によって占められた培養物表面の%)の外観を観察した。コンフルエンスが60〜80%未満の場合には、培養培地の交換を行なった。コンフルエンスが80%より大きかった場合、細胞培養物を細胞の分離と拡大培養(継代)に進め、数を増加させ、およびMSCの細胞系統を純化するために継代培養を実行した。
第1の継代で得られた細胞を洗浄し、定量し、および、凍結保存培養培地中に懸濁した。細胞濃度を90%のFBS+10%DMSOで作られた凍結保存培養培地(cryopreservant)1mlあたり5〜10x10MSCに設定した。
24〜72時間細胞を−80±8℃に維持して、凍結保存手順を徐々に実行した。この期間の後、使用するまで細胞を液体窒素下で、名目上−196℃で保存した。
再拡大培養を含めて、回復を、最長6年から20年後になり得る治療のために設定された日付に合わせて予定した。
回復中に、試料がその培養温度(37℃)に適切に調節されるに違いないことを考慮に入れて、凍結保護物質を15〜20分間で素早く取り除いた。
最後に、細胞の集計と生存率調査を実行するために、生存率が70%未満の細胞バッチを除いて、細胞を完全な培養培地において再懸濁した。
この実施例において以下に見られるように、回復された生細胞の数がわかると直ちに、細胞遺伝学の分析のために5x10細胞の試料を取った。残りの溶液をcmあたり1000〜5000細胞の濃度で播種した。
この培養物を10%COで37℃にて維持した。細胞が培養面の80〜100%を占めるまで、培養培地を4日ごとに交換した。この時点で、トリプシン−EDTAを用いて分離を実行した。解凍が行なわれてから、再拡大培養の時間を含む回復は、10〜15日間続く。
細胞の生存率は80%以上であり、約12時間変わらなかった。
実施例2:本発明に記載の方法によって得られる、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物
実施例1において得られた、凍結保存および回復された機能的な間葉系幹細胞の富化集団の機能的な特徴における低体温条件下(2〜8の℃)の3日の保管にわたる細胞の生存率に対するいくつかの組成物の影響を調査した。異なる3つの培養培地、リンガー乳酸塩溶液、SSP+血小板添加溶液、および、Hypothermosol(登録商標)−FRSを輸送用にMSCを調節するために使用した。それらの組成物を表1に示す。
以下の機能的な作用を3つの溶液を組み合わせて調査した:
1.細胞への膜のNa/K ATPアーゼを介したKの送り込み、および、アルカリ・イオン勾配の回復を促進するために培養培地のK濃度を増加させたが、それは、温度の低下のために原形質膜のNa/K ATPaseが阻害されるため、失われる。加えて、原形質膜を安定させるために培養培地のMg2+容量を増加させた。
2.pHのよりよい維持のために緩衝能力(リン酸、クエン酸塩、および重炭酸およびHEPES)を増加させた。乳酸塩と酢酸塩の存在も代謝中に陽子生成を減少させることにより寄与した。
3.グルコース、酢酸塩、アデノシンなどの異なる代謝経路を介して作用する代謝基質を加えることにより、培養培地の栄養価は、向上された。
4.コロイド状浸透圧による細胞溶解に対抗するために、ラクトビオン酸塩、スクロース、マンニトール、またはデキストランなどの原形質膜不浸透性の浸透圧調整剤(osmolyte)を添加した。
5.最後に、グルタチオンを備えた培養培地と可溶性ビタミンEアナログの6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸(トロロックス)の相補性によって酸化防止能力を増加させた。
改変の影響が陽性だったかどうかを示すために、これらの添加剤の各々の有益な活性を調査した。テストされた様々な溶液を、表1に示す。
Figure 2022501322
図1と2は、低体温条件下(2〜8℃)での3日の保管の間における細胞の生存率に対するいくつかの組成物の影響を示す。
通常の輸液、グルコースとヒト血清アルブミンで補充された乳酸リンゲル液(図1および2において円において示される)は、12時間、凍結保存および回復されたMSCを安定させたが、より長い期間には適さない。
SSP+(Platelet additive solution, Ringwald et al. 2006, Transfusion Med Rev, vol 20, num 2, 158−164)と、グルコースとヒト血清アルブミンで補充された乳酸リンゲル液の組み合わせ(図1および2に空の三角形で示される組成物1)も、低体温条件下(2〜8℃)での3日の保管の間に十分に細胞の生存率を改善させなかったが、組成物2を得るために、その溶液にtroloxを添加した時(図1および2にダイヤモンドで示される)、図1および2に示されるように、安定性が著しく増加し、ここで、前記組成物は、72時間の後に80%を超える生存率をもたらした。
トロロックスを伴う組成物3もまた、図2において見られるような同様の働きを提供した(塗りつぶされた三角形で示される)。
組成物2および3では、4℃での7日間の後にさえ、保存状態は十分であった。
実施例3:実施例1において得られた機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物の生存率と特性評価。
本発明の方法によって、実施例1において記載されているように細胞を得た直後、実施例2に従って、トロロックスを伴う等張の培地、組成物3で調製した、機能的なMSCの富化集団を含む組成物の、7人の異なるドナーに由来する、7つのバッチに関する調査を、実行し、および、一群のパラメーターを以下の目的のために評価した:
− 本発明の方法により、実施例1において得られた機能的な間葉系幹細胞の富化集団が治療における応用に適していることを証明するため、
− 実施例1において得られた機能的な間葉系幹細胞の富化集団が、the Society for Cellular Therapy (ISCT) (Dominici et al., Cryotherapy, 2006, vol 8, No 4, 315−317)によって定義されたMSCの典型的な特徴を保護することを証明するため(Wuchter et al, Cryotherapy, 2015, 17:128−139)、および、
− 実施例1において得られた機能的な間葉系幹細胞の富化集団中に表現型と遺伝子型の異常がないことを実証するため。
測定されたパラメーターは、
1.接着能力によって測定された細胞形態と、
2.cmごとの細胞の拡大(増殖)能力として測定された細胞の性能と、
3.トリパンブルーを使用して測定された細胞の生存率と、
4.CD73、CD90、CD105、およびCD166の陽性の発現と、CD14、CD34、CD45、およびHLA−DRの陰性の発現を分析する免疫表現型分析と、
5.本発明の方法によって得られた組成物の無菌性と、
6.構造的異常および遺伝異常をチェックするための細胞遺伝学の調査と、であった。
形態:評価された7つすべての事例において、細胞培養は、繊維芽細胞様の接着細胞が存在した。
細胞の性能:実施例1において得られた機能的な間葉系幹細胞の富化集団、実施例1における(処理されたMSC)と、本発明の方法を経ていない対照MSC(対照MSC)とについて、得られた細胞のcmごとの数を表2に示す。
Figure 2022501322
細胞/cm2の平均数、18391対17377(表2中の最終行)は、著しくは異なっておらず、本発明の方法が細胞の増殖に影響していないことを示している。
生存率:実施例1で得られた機能的な間葉系幹細胞の富化集団の得られた細胞(処理MSC)と、本発明の方法を経ていない対照のMSC(対照MSC)との生存率は、表3において示される。
Figure 2022501322
生存率は非常に維持されており、および、対照と実施例1細胞において得られた細胞の間に有意な差はなかった。(98対95、表3中の最終行を参照されたい)
すべてのケースで、細胞の生存率は必ず70%以上である。
データ分析解析:
2006年、ISCTは、間葉系細胞を定義する3つの基準を提案した。第1に、これらの細胞は培養物において接着性がなければならない。第2に、CD34およびCD45などの血液生成の抗原がない状態において、CD90およびCD105抗原を発現する。および、第3に、間葉系細胞は「インビトロで」骨芽細胞、脂肪細胞、および軟骨細胞へ分化することができなければならない。加えて、この集団は特徴的な表現型を示さないため、CD73、CD166の存在下やCD14とHLA−DRの欠如下などにおける、他の接着分子の存在が分析されるべきである。
フローサイトメトリーによる表面抗原の分析によって、機能的な間葉系幹細胞の富化集団の表現型対照が行われており、これによって、間葉系細胞の特異的なマーカーの存在を確認することができた。
2mlのPBS中の100万の機能的な間葉系幹細胞の懸濁液を調製し、4本のチューブに分配し(500μlの体積中に250,000細胞/チューブ)、以下の表4に示す抗体パターンでマークした。使用した投与量は製造者によって推奨されたものだった。
Figure 2022501322
4℃にて20分間、暗やみにおいてチューブをインキュベートした。この時間の後、洗浄するために2.5mlのPBSを加え、2000rpmにて5分間遠心分離処理した。上澄み液を除去し、および、試料をフローサイトメーターに通す前に、細胞ペレットを500μlのPBS中に再懸濁した。
分析は、実施例1において得られた機能的な間葉系幹細胞の富化集団と、本発明の方法を経ていないコントロールMSC(新鮮なMSC)の両方は、CD73、CD90、CD105、およびCD166を発現(>90%)し、および、CD14、CD34、CD45、およびHLA−DRについては陰性(<10%)である、ということを示した。
他方では、我々は、7人のドナーにおいて、免疫表現型の研究において使用されるマーカーの発現のパーセンテージを調査した(表5を参照)。
Figure 2022501322
得られた細胞の無菌性。
生成物の無菌性評価において得られた結果は、確立された判定基準に従う。微生物の増殖(自動システム−Bact/AlertにおいてCO産生量によって、およびヨーロッパ薬局方各条6.2.27に準拠して、検知される)は、いずれの場合にも観察されず、および、マイコプラスマの存在は、ヨーロッパ薬局方各条6.2.7に従うPCR/NATに基づく手順によっても検知されなかった。
細胞遺伝学的調査。
上記すべてに加え、起こり得る薬剤の染色体異常を除外するために、実施例1において得られた機能的な間葉系幹細胞の富化集団の核型を得て、および、評価した。
実施したにおいて、実施例1において得られた機能的な間葉系幹細胞の富化集団の細胞遺伝学的調査を実施し、Gバンド(解像度400バンドの)によって確認された構造的異常はなかった。
要約すると、この実施例において得られた結果から、以下のことを結論付けることができる:
1.実施例1において得られた機能的な間葉系幹細胞の富化集団(処理されたMSC)と、本発明の方法を経ていない対照のMSC(対照MSC)の両方は、繊維芽細胞様の接着細胞である。
2.実施例1において得られた機能的な間葉系幹細胞の富化集団におけるcmごとの細胞数は、対照におけるのと同じであり、および、品質管理を実行するために、また同様に適切な処置用量を得るために、十分であった。
実施例1で得られた機能的な間葉系幹細胞の富化集団(処理されたMSC)と、本発明の方法を経ていない対照のMSC(対照MSC)の、両方の生存率は同じであり、および、設定された下限より上であった。
4.実施例1で得られた機能的な間葉系幹細胞の富化集団(処理されたMSC)と、本発明の方法を経ていない対照のMSC(対照MSC)の、両方の表現型は、CD34、CD45、およびHLA−DRなどの典型的な血液生成のマーカーがない状態でのCD105とCD90の発現という、International Society for Cellular Therapy (ISCT)によって確立された基準を満たしている。細胞(対照細胞と処理細胞の両方)はまた、CD73、CD166について陽性であり、CD14を発現しない。得られた発現パーセンテージを考慮に入れ、および、ISCTにおいて設定されたパラメーター(Wuchter et al, 2015)に従って、CD73、CD90、CD105、およびCD166のようなマーカーについては90%以上の発現が陽性と見なされ、および、CD14、CD34、CD45、およびHLA−DRのようなマーカーについては、10%以下の発現が陰性と見なされる、という合格基準を確立した。
5.要約すると、本発明の方法は、前記方法によって得られたが故に以前使用された本発明の方法を経ていないMSCと生物学的に同等である機能的なMSCの富化集団の特徴を改変も形質転換もせず、いくつかの指標において重大な治療値を示した(Orozco, Transplantation, 2011, 92:822−828; Orozco, Transplantation, 2013, 95(12):1535−1541; Vega, Transplantation 2015, 99:1681−1690; Noriega, Transplantation 2017, 101:1945−1951)。
6.実施例1において得られた機能的な間葉系幹細胞の富化集団は、凍結保存プロセスの後に遺伝子型の異常を示さない。
7.実施例1において得られた機能的な間葉系幹細胞の富化集団中に染色体異常がない状態から、10回までの複製を被る場合でもMSCが安定したままであると結論を下すことが可能である。
実施例4:72時間の輸送後に本発明の方法によって得られる、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物の特性評価。
試験の目的は、
− 72時間の輸送プロセスの後に本発明の方法によって得られる機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物の、無菌性、生存率、および免疫表現型を評価することと、
− 72時間の輸送プロセスを実行した後に、前記組成物のMSCがインビトロの再拡大能力、すなわち同じインビトロの増殖能力を維持すると示すこと、である。
本発明の方法によって処理されたMSCを得るための細胞の供給源として、3人の異なるドナーから得た骨髄穿刺液を使用して、プロトコル抗凝固手順にかけた。骨髄穿刺液試料は、その抽出の後24時間以内に処理された。
機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物を、実施例1において記載される本発明の方法によって得た。得られた機能的なMSCの富化集団を、上記実施例3による組成物3中に懸濁し、および、変性椎間板疾患(DDD)の処置において使用するために、5mlのシリンジにおいて2ml中に再懸濁された20±200万細胞の用量で、パッケージング・プロセスを行なった。変形性関節症における使用のために、細胞の用量は、8ml中に懸濁された4000万細胞になるだろう。
本発明に記載の方法によって得られる、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物は、CD90、CD105、CD166、およびCD73抗体の存在と、CD14、CD34、CD45、HLA−DRマーカーがない状態を伴う、間葉細胞の特徴的な免疫表現型を持っている。
得られた組成物を医療用にリリースするために、細胞の生存率は、90%以上である必要があり、および、この生成物は2〜8℃にて72時間の安定性を持つため、リリースされた組成物の生存率は、配送シミュレーションを実行した後、その発送の72時間以内(生成物使用期限)は80%以上でなければならない。
治療のための用量は、2mlの最終体積中に20±2×10細胞だった。組成物を内包する容器は、生産された生成物のデータを内包するラベルによって識別された。
年間のすべての時期と気候条件において、少なくとも168時間、2〜8℃の間の一定温度を保証すると公認された恒温のパッケージングである、ORCA装置において組成物を輸送した。加えて、パッケージングは、冷凍自動車における輸送を必要としない。また、各々の箱には、生成物が運送時間を通じて維持された温度のグラフを提供するデータロガー(サーモレコーダ(thermo−recorder))が組み込まれた。
ORCA(登録商標)パッケージングは、345×317x308mmの外寸、および、7.2kgの重量がある、4.4Lの箱からなる。
本発明による、組成物3で懸濁された、この実施例において得られた組成物が72時間の輸送プロセス後に安定したままであり、および、MSCの無菌性、生存率、および、 the Society for Cellular Therapy (ISCT) (Dominici et al., Cryotherapy, 2006, vol 9, No 4, 315−317)によって定義された表現型の特徴を維持することを実証するために、3つのロットに関する調査を以下のパラメーターを評価するように行なった。
− 輸送温度
− 細胞の生存率
− 免疫表現型の分析
− 無菌性
− 細胞が輸送プロセスの後に複製する能力を維持することを立証する増殖キネティクス試験。
ORCAの恒温パッケージングは、2から8℃の範囲内で72時間転位温度が維持されることを可能にした。
細胞生存率
輸送プロセスの後72時間、トリパンブルー色素排除法を用いて細胞の生存率を評価した。すべての試験を3回繰り返して実行した。表6は、分析されたドナーの初期の生存率、および72時間に得られた平均生存率±標準偏差を示す。
Figure 2022501322
すべての場合において、72時間での細胞の生存率は80%以上であり、そのため、この研究において確立された基準を満たす。
免疫表現型の分析
フローサイトメトリー分析は、組成物が発送された後72時間にて、試験された細胞が、すべての組成物の発現パターンにおいて、CD73、CD90、CD105、およびCD166を発現し、また、CD14、CD34、CD45、およびHLA−DRについて陰性であることを示した。表7は、組成物の発送時点、および、生成物が発送された後72時間における、フローサイトメトリーによって分析されたマーカーの発現のパーセンテージを示す。すべてのドナーは、輸送プロセスの後に間葉細胞表現型を示す。
Figure 2022501322
増殖キネティクス試験
輸送プロセスの後に培養する際、増殖キネティクス試験を異なる時間区間で細胞数を記録して実行した。これらの結果は、分析された3ドナーについて、機能的なMSCの富化集団が、72時間の輸送プロセスの後に複製の能力を維持するということを示す。
無菌性
輸送のシミュレーションの後に組成物の無菌性を評価した。機能的な間葉系幹細胞の富化集団を伴う組成物を得た72時間後に、3つの細胞拡大プロセスを始めた。抗生物質を伴わない培地で11日間にわたりこれらの拡大を維持した。3つの培養のどれもが、微生物学的汚染の兆候を示さず、すべての適切な増殖キネティックスが存在し、および従って、無菌性を維持する。
この調査において得られた結果から、以下のことを結論付けることができる:
1.72時間の輸送プロセスの後、本発明の方法で得られた組成物における間葉系細胞の生存率は80%以上である。
2.増殖キネティックスの調査において、組成物に含まれ、抗生物質を伴わない培養培地において維持された間葉系細胞は、輸送の後に無菌性を保つことが観察される。
3.72時間の輸送プロセス後、組成物中に含まれた間葉系細胞の表現型は、CD34、CD45、およびHLA−DRなどの典型的な血液生成マーカーがない状態におけるCD105とCD90の発現という、International Society for Cellular Therapy (ISCT)によって確立された基準を満たす。それらはまた、CD73、CD166について陽性であり、かつCD14を発現しない。前と同様陽性のマーカーについての90%以上の発現パーセンテージと、陰性のマーカーについての10%以下の発現パーセンテージがある。
4.組成物中に含まれた間葉系細胞は、72時間の低体温の輸送プロセスを実行した後に、分裂することができるため、「インビトロ」の再拡大能力を維持する。
実施例5:方法の再現性
現在の実施例は、プロセスの再現性を実証し、前記プロセスが、医薬製造品として治療において使用するために適切な規格品を提供するかどうかを、評価し、得られた生成物が一組の最終生成物仕様書に準拠することを確証することを目的とする。
試験において使用される、本発明の組成物を得るための細胞の供給源は、骨髄穿刺液であり、Directive 2006/17/EC and Spanish RD1301/2006によって設定されたドネーション要件にしたがって処理した。
骨髄穿刺液を、抽出の後、24時間以内に処理した。
試料中の単核細胞の産出高および生存率を表8に示す。
Figure 2022501322
上に詳述されるように、本発明の方法において使用される間葉系幹細胞の試料の単離は、およそ21〜28日かかる。単核細胞(MNC)の数分の1はフィコールを伴う密度勾配法によって前記試料において選択された。このプロセスの終わりに、Neubauer Chamberを用いたトリパンブルー色素排除法を使用して、集計および生存率対照を実行した。この時点で、間葉系細胞を得るプロセスを始めるために、70%を超える生存率をもつ単核細胞を選択した。
選択工程の後、MNCを175,000細胞/cmの密度で撒き、37℃および10%COで培養を維持した。3日または4日ごとに、倒立顕微鏡で細胞の外観を観察し、および、増殖のパーセンテージを記録した。パーセンテージが60〜80%未満の場合には、培地を交換し、80%を超えた場合は、分離と細胞の拡大(pass)を実施して、サンプル中にある他の非分裂細胞上のMSCを増加させ、および精製するために継代培養を行なった。
免疫表現型の調査はフローサイトメトリーによって実行され、サンプル中の間葉系細胞は、90%以上のパーセンテージでCD73、CD90、CD105、およびCD166を発現し、CD14、CD34、CD45、およびHLA−DRのマーカーについては、それらの発現が10%以下であったため、陰性であることを示した。
表9は、分析された2ドナーの細胞株を得る時点での、フローサイトメトリーによって分析されたマーカーの発現パーセンテージを示す。
Figure 2022501322
この第1の工程の間に得られた細胞は、本発明の方法の工程(a)の間葉系幹細胞試料を得るために凍結保存された。
この時点で、トリプシン−EDTAによる酵素消化を行い、それにより細胞懸濁液を得て、10%DMSOを含むFBSまたは市販のキット(CryoStor (r) CS5)を用いてそれを凍結保存し、液体窒素中で、−196℃にて24日間保管した。
回復と活性化のプロセスは約7〜10日続き、これにより本発明によるMSCを含む組成物を得ることができる。
37℃で1〜2分インキュベートしたクライオバイアルを解凍するか、ThawSTAR(登録商標) CFT2 Thawing Instrumentなどの自動化された装置を用いることによって回復プロセスを始め、2,000細胞/cmの密度で細胞を播種した。
サンプルの解凍後に行った対照では、表10に示すように、生存率と細胞数の点で満足のいく結果が得られたため、本発明の組成物を得るための細胞回復プロセスを開始した。
Figure 2022501322
37±2℃、および10%COで培養を維持した。3−4日ごと、培地の交換を行なった。このプロセス中に、培養物は倒立顕微鏡でモニターし、および、間葉細胞が低温保存および解凍プロセスの後にそれらの繊維芽細胞の形態を維持することを立証した。
培養物が合流の80%に達した時、間葉系幹細胞はトリプシン−EDTAを伴う酵素の解離によって回収された。
回復した機能的な間葉系幹細胞の富化集団を次に実施例2の組成物3中に再懸濁し、5mlのシリンジにおいて2ml中に再懸濁した20±200万細胞の用量でパッケージング・プロセスを行った。
機能的な間葉系細胞の富化集団が凍結保存および解凍プロセスの後に核型レベルで変性を示したかどうかを確証するために、細胞遺伝学の調査によってそれらを分析した。この分析から得られた結果は染色体異常を示さない。対照の結果を表11に示す。
Figure 2022501322
反応性物質上でのフローサイトメトリーによって免疫表現型の調査を実行し、得られた組成物の機能的な間葉系細胞の富化集団が90%以上のパーセンテージでCD73、CD90、CD105、およびCD166を発現し、およびCD14、CD34、CD45、およびHLA−DRについては発現が10%以下だったため陰性であることを示した。表12は、分析された2ドナーから性物質を得る時点での、フローサイトメトリーによって分析されたマーカーの発現パーセンテージを示す。
Figure 2022501322
加えて、実施した能力の調査では、細胞が軟骨組織に分化することが観察された。それらを順化培地で30日間培養株において保持し、また、アルシアンブルーで染めることにより組織学的調査を行い、軟骨への分化細胞において酸性の多糖類を見出すことが可能となった。最終生成物について行った対照の結果を表13に示す。
Figure 2022501322
本発明の方法によって得られた機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含有する、得られた組成物は、実施例2による組成物3中に再懸濁された2000万±200万細胞を内包していた。
この場合、それが椎間板再生の処置について確立された密度であるため、1ml中1000万のパッケージングを選んだ。それらの組成物を、2〜8℃にて72時間の安定性がある、2mlの細胞懸濁液を内包する5mlのシリンジ中に充填した。
本発明の組成物を保持する容器は、生成物のデータを含むラベルで識別される。その後、この容器を無菌のバッグへ導入し、および無菌ゾーンからコンディショニング領域へ出し、ここで対応する識別を備えた箱において二次パッケージングを行なった。
温度が168時間以内2〜8℃の間に維持すること保証し、またすべての生成物の温度の輸送プロセスの全体にわたるグラフを提供するデータロガーを内包する検証された恒温パッケージにおいて組成物を輸送した。
加えて、全体の製造工程にわたって組成物の無菌の製造を確実にした。
実施例6:細胞の生存率の評価
本発明の方法に従って得られた組成物に含まれる間葉系幹細胞の細胞生存率プロファイルを、現在の凍結保存法と比較する。
この目的のために、間葉系幹細胞の最初のサンプルを10%DMSOとFBSで凍結保存し、10%COを含むDMEMで35〜39℃で回復し、本発明の方法に従って組成物3を得るために輸送調整された。
間葉系幹細胞の第2のサンプルをHypothermosol(登録商標) FRS(DMSOを含まない)で凍結し、室温(21〜25℃)で解凍した。
間葉系幹細胞の第3のサンプルを10%のDMSOを含む生理食塩水で凍結し、室温(21〜25℃)で解凍した。
値は3ドナーの平均値+/−SDである。すべての測定を3回繰り返して行った。
図3に見られるように、本発明の方法に従って得られた組成物に含まれる間葉系幹細胞は、72時間の保存後でも80%以上の生存率を提供した(黒い棒グラフ)。他方、DMSOを含まないHypothermosol(登録商標)FRSで凍結保存し、室温で解凍した間葉系幹細胞(斜線付きの棒グラフ)は、わずか24時間の保存で50%以下の生存率となった。生理食塩水中のDMSOで凍結保存した細胞を、本発明の手順に従って回復せずに直接解凍した場合の生存率の結果はさらに低かった。本発明に従って得られた組成物のみが、延期される治療目的での使用に十分な安定性と生存率を示した。
参考実施例7:DMSO存在下での新鮮な間葉系幹細胞の細胞増殖プロファイルの評価
DMSOが混入している可能性のある現在の凍結保存法におけるDMSOの影響を評価するため、DMSO存在下での間葉系幹細胞の細胞増殖プロファイルを分析した。
示されるように、この目的のために、新鮮に調製したMSCのサンプルを、FBS、10%のCOおよび異なる濃度のDMSOを含むDMEM中で培養した。
参考図4は、DMSOは0.3%という低濃度でも成長を大きく阻害することを示しており、これにより、凍結解凍工程での使用中に発生するようなDMSOなどがわずかなに混入するだけでもでも成長を阻害する可能性があることが示唆される。
実施例8:細胞増殖プロファイルの評価
また、本発明の方法に従って得られた、凍結保存され、回復され、輸送調整された機能的な間葉系幹細胞を含む組成物について、解凍、回復、および、4℃で72時間輸送した後の細胞増殖も評価した(CRT)。
図4のように、この目的のために、間葉系幹細胞のサンプルを10%DMSOとFBSで凍結保存し、10%COを含むDMEMを用いて35〜39℃で7日間復元し、本発明の方法に従って組成物3を得るために輸送調整し、72時間、低体温(2〜8℃)でインキュベートし、その後、培養した。
図5は、本発明の方法で得た組成物中に含まれた間葉系幹細胞の増殖プロファイルがDMSOなしで培養された細胞のプロファイル(図4)とどのくらい類似しているかを示している。このことは、本明細書に記載された回復のプロセスが、本発明の方法による回復、および輸送溶液における調節に続く、72時間の低体温保管の後にさえ、顕著に改善された細胞の生存率プロファイルをもたらしながら、凍結保存中のDMSOの使用において見つかった如何なる可能な相互作用と毒性をも除去することを意味する。
本発明の方法によって得られた組成物の安定性、生存率、および細胞増殖プロファイルは、それらの保管および治療における延期された使用を可能にし、および、投与時のDMSOの毒性に関する課題を解決する。本発明の方法はまた、適切な表現型、細胞増殖、および生存率を備えた治療投与のために十分な数間葉系幹細胞を得ることを可能にし、先行技術において記載されていた課題を解決する。最適な結果には、適切な組成物が要求されるだけでなく、記載された、それぞれにおける工程、即ち凍結保存、回復、および輸送調整手順の、各基礎工程の適切な順序および持続時間も要求される。

Claims (14)

  1. 治療における投与に適した、凍結保存され、回復され、および輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞富化集団を含む組成物を得るための方法であって、前記方法は、
    a.ジメチルスルホキシドを5%から10%含む凍結保護培地中に5x10から10x10細胞/mlの濃度で骨髄間葉系幹細胞のエクスビボ試料を懸濁する工程と、
    b.骨髄間葉系幹細胞の試料を、保存の前の少なくとも24時間にわたって、液体窒素中で、最初に−70℃から−90℃に冷却して、凍結保存する工程と、
    c.以下の工程を実行することによって、骨髄間葉系幹細胞の試料を回復させる工程と;
    c1.1分から5分間、温度を35〜39℃まで次第に上昇させることにより、骨髄間葉系幹細胞の試料を解凍する工程、
    c2.適切な培養培地で試料を初期試料の体積の10から30倍に希釈する工程、
    c3.試料を遠心分離処理し、上澄み液を廃棄し、そして間葉系幹細胞のペレットを適切な培養培地において再懸濁する工程、
    c4.少なくとも70%の生存率がある間葉系幹細胞を選択する工程、
    c5.プラスチック支持体上に工程(c4)において選択された間葉系幹細胞を播種し、7.5%から10%のCOと少なくとも5%のウシ胎児血清を含む適切な培養培地を用いて、1000から5000細胞/cmの間の細胞濃度で、35〜39℃の適切な培養条件で、前記間葉系幹細胞をインキュベートする工程、
    c6.一定の時間間隔で、7.5%から10%のCOと少なくとも5%のウシ胎児血清を含む新鮮な適切な培養培地に交換し、および、凍結保存および回復された機能的な間葉系幹細胞を、その細胞が支持体の表面の80〜100%を占める時に支持体から単離させる、工程、
    d.凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む組成物を得るために、工程(c6)において単離された、凍結保存および回復された機能的な間葉系幹細胞の富化集団を、2〜8℃での輸送および保管に適した培地中に懸濁させる工程であって、ここで、前記2〜8℃での輸送および保管に適した前記培地は、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を0.25から1mM含む等張の培地である、工程と、を含む、方法。
  2. 工程(a)の凍結保護培地はウシ胎児血清と5%から10%のDMSOを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(a)の凍結保護培地は、動物成分がない、無血清の、および無タンパク質の培地であって、5%または10%のDMSOを含んでいる、請求項1に記載の方法。
  4. 工程(b)は、骨髄間葉系幹細胞の試料を、保存の前少なくとも25時間、液体窒素中で、−70℃から−90℃に、1℃/分のスピードで、凍結保存することを含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載の方法。
  5. 工程(c6)の後、さらに、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を選択する工程(c7)を含み、前記細胞は、
    − プラスチックに対する付着性を示し、および、
    − 少なくとも70%の生存率を呈し、および、
    − CD90、CD 166、CD73、およびCD105の90%以上の発現を呈し、および、
    − CD14、CD34、CD45の10%以下の発現、および10%以下のHLA−DRの発現を呈し、および、
    − 染色体異常の特徴を持たず、および、
    − 骨芽細胞、脂肪細胞、および軟骨細胞に分化する能力を持ち合わせる、請求項1から4のいずれか1つに記載の方法。
  6. 等張の培地は、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸0.25mMから1mMを含み、動物成分なしの、無血清、無タンパク質の培地であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1つに記載の方法。
  7. 6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸を0.25mMから1mM含む等張の培地は、Na130mM、K4mM、Ca2+1.35mM、塩化物109mM、および乳酸塩16mMを含む第1の組成物と、Na+159mM、K5mM、Mg2+0.8mM、塩化物77mM、リン酸二水素28mM、クエン酸塩10mM、および酢酸塩32mMを含む第2の組成物との、1:9から9:1の混合物(v/v)を含み、グルコース5mMとヒト血清アルブミン0.1%から0.5%で補充されている、請求項1から5のいずれか1つに記載の方法。
  8. 凍結保存され、回復され、および、輸送調整される、機能的な間葉系幹細胞の富化集団を含む請求項1から7に記載の組成物。
  9. 薬剤としての使用するための、請求項8に記載の組成物。
  10. 骨関節疾患、自己免疫疾患、および循環器疾患の、自己由来または同種異系の処置において使用するための、請求項8に記載の組成物。
  11. 1×10から10x10細胞/mlの細胞密度で、および50万から9000万の細胞数で投与されることを特徴とする、請求項9または10に記載の組成物。
  12. 骨関節疾患は、変性椎間板疾患、変形性関節症、半月板損傷、および関節リウマチからなる群から選択される、請求項10または11に記載の組成物。
  13. 自己免疫疾患は、紅斑性狼瘡、移植片対宿主疾患、および全身性硬化症からなる群から選択される、請求項10または11に記載の組成物。
  14. 心疾患は、末梢血管不全、心筋梗塞、脳卒中、および虚血からなる群から選択される、請求項10または11に記載の組成物。
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