本発明は、親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料、並びに親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料を作製する方法を対象としている。より具体的には、本明細書に記載される態様は、被験体に於ける親油性活性剤の生物学的利用能の向上をもたらす、並びに/又は親油性活性剤及び/若しくはタバコの不快な味覚をマスクする、親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料に関する。
本発明の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料は、喫煙物品の為の添加物(例えば、喫煙可能なブレンドの一部又はフィルターへの添加物若しくは喫煙物品の包み紙として)として、又は無煙タバコ組成物として、例えば、ルーズな湿った嗅ぎタバコ、ルーズな乾燥した嗅ぎタバコ、噛みタバコ、ペレット化されたタバコ小片、押出又は形成されたタバコストリップ、小片、ロッド又はスティック、微細粉砕粉、粉末状小片及び成分の微細凝集物又はミル粉砕凝集物、フレーク状小片、成形加工されたタバコ小片、タバコ含有ガムの小片、テープ状フィルムのロール、易水溶性又は易水分散性の形態、例えばフィルム、ストリップ又は粉末、貯蔵安定性の直ぐに飲める飲料組成物、並びに限定されるものではないが、錠剤、カプレット剤、カプセル剤、トローチ剤、フィルム剤、ストリップ剤、ゲルキャップ剤及びシロップ剤を含む単位投与形に製剤化された医薬組成物として使用され得る。その様な医薬組成物は、希釈剤、崩壊剤、担体等の様な薬理学的に不活性な成分である1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤も含み得る。医薬製剤に関する更なる情報は、レミントン(Remington)著(2006年)の「薬学の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)」,第21版,リッピンコット・ウィリアムズ&ウィルキンス(Lippincott Williams & Wilkins)に見出される。
本発明の親油性活性剤の含浸法を、従来のタバコ処理方法、例えば、風味が良く香りの良い化合物(例えば、メイラード反応生成物)の形成に適合された方法、タバコ組成物の殺菌に適合された方法、タバコ包装製品を製造する方法、再構成タバコの方法(例えば、キャストシート及び製紙再構成タバコの方法)、タバコ抽出方法、再組み立て方法、炙り方法、スチーム処理、及び乾燥方法へと組み込むこともできる。
従って、本発明の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料は、付録Dに列記された公開された米国特許出願(それぞれ引用する事により全体が本明細書に援用される)に記載された従来の無煙タバコ組成物及び方法の例示的な技術内で使用され得る。
組成物
親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料
一態様では、
(a)カンナビノイド、テルペン、及びテルペノイド、NSAID、ビタミン、ニコチン化合物、ホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害剤、マカ抽出物、エストロゲン、プロゲスチン、テストステロン、ブプレノルフィン、及びスコポラミンからなる群から選択される、治療的有効量の親油性活性剤と、
(b)被験体に於ける親油性活性剤の生物学的利用能を向上させる、生物学的利用能向上剤と、
(c)タバコの葉及び/又はタバコ材料と、
を含む、親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料が提供される。別の態様では、生物学的利用能向上剤は、長鎖脂肪酸を含む食用油を含む。別の態様では、生物学的利用能向上剤は、中鎖脂肪酸を含む食用油を含む。更なる態様では、生物学的利用能向上剤は、中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸との両方を含む食用油の組み合わせである。
別の態様では、親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料は、(i)タバコの葉及び/又はタバコ材料を、親油性活性剤及び生物学的利用能向上剤を含む油と接触させる工程と、(ii)タバコの葉及び/又はタバコ材料を脱水し、それにより親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料が生産される工程とによって得る事が出来る。更なる態様では、工程(i)は、タバコの葉及び/又はタバコ材料を、親油性活性剤及び生物学的利用能向上剤を含む油中で飽和させる事を含む。更に別の態様では、親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料は、フレーバー剤を更に含む。更なる態様では、親油性活性剤が含浸された食品のタバコの葉及び/又はタバコ材料は凍結乾燥される。
本発明の組成物及び方法で使用されるタバコの葉及び/又はタバコ材料は様々であり得る。タバコの葉及び/又はタバコ材料は、様々な種類のタバコ、例えば鉄管乾燥タバコ、バーレイタバコ、日干しタバコ(例えば、オリエンタルタバコ又はインドクルヌール)、メリーランドタバコ、ダークタバコ、ダークファイヤードタバコ、ダークエアキュアド(例えば、passandaタバコ、cubanoタバコ、jatinタバコ、及びbezukiタバコ)又はライトエアキュアド(例えば、North Wisconsinタバコ及びgalpoaタバコ)、及びルスティカタバコ、並びにその他の珍しい又はスペシャルティタバコ又は更にグリーンタバコ若しくはキュアリングされていないタバコを含み得る。
様々な種類のタバコ、栽培法、収穫方法、及びキュアリング方法の記載は、「タバコの生産、化学、及び技術(Tobacco Production, Chemistry and Technology)」,デイヴィス等(Davis et al.)(編)(1999年)(引用する事により本明細書に援用される)に示されている。又、センサボー,Jr等(Sensabaugh, Jr. et al.)の米国特許第4,660,577号明細書、ホワイト等(White et al.)の同第5,387,416号、及びドミンゲス等(Dominguez et al.)の同第6,730,832号(それぞれ引用する事により本明細書に援用される)も参照されたい。
最も好ましくは、タバコ材料は適切にキュアリング及び熟成されたものである。鉄管乾燥タバコをキュアリングする特に好ましい技術及び条件は、ネスター等(Nestor et al.)著,「バイトレーゲ・ツア・タバクフォアシュンク・インターナツィオナル(Beitrage Tabakforsch. Int.)」第20巻(2003年)第467頁〜第475頁及びペーレ(Peele)の米国特許第6,895,974号明細書(これらは引用する事により本明細書に援用される)に示されている。エアーキュアリングタバコの代表的な技術及び条件は、ロトン等(Roton et al.)著,「バイトレーゲ・ツア・タバクフォアシュンク・インターナツィオナル(Beitrage Tabakforsch. Int.)」第21巻(2005年)第305頁〜第320頁及びシュターフ等(Staaf et al.)著,「バイトレーゲ・ツア・タバクフォアシュンク・インターナツィオナル(Beitrage Tabakforsch. Int.)」第21巻(2005年)第321頁〜第330頁(これらは引用する事により本明細書に援用される)に示されている。
特定の種類の変わった又は珍しいタバコは日干し乾燥され得る。オリエンタルタバコの喫煙品質を改善する方式及び方法は、ローソン等(Lawson et al.)の米国特許第7,025,066号明細書(引用する事により本明細書に援用される)に示されている。代表的なオリエンタルタバコは、kateriniタバコ、prelipタバコ、komotiniタバコ、xanthiタバコ、及びyambolタバコを含む。ダークエアキュアドタバコを含むタバコ組成物は、マーシャル等(Marshall et al.)の米国特許出願公開第2008/0245377号明細書(引用する事により本明細書に援用される)に示されている。
本発明の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料、例えば、無煙形で使用する事が意図される親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料は、シングルタイプのタバコ(例えば、所謂「ストレートグレード」形)を含み得る。例えば、本発明の組成物及び方法の範囲内のタバコは、鉄管乾燥タバコ(例えば、タバコの全てが鉄管乾燥タバコ葉身又は鉄管乾燥タバコ葉身及び鉄管乾燥タバコ幹の混合物の何れかから構成され得る又はそれらから誘導され得る)だけから構成され得る。本発明の組成物及び方法の範囲内のタバコは、所謂「ブレンド」形を有しても良い。例えば、本発明の組成物及び方法の範囲内のタバコは、鉄管乾燥タバコ、バーレイタバコ(例えば、マラウイバーレイタバコ)及びオリエンタルタバコ(例えば、タバコ葉身又はタバコ葉身及びタバコ幹の混合物から構成される又はそれらから誘導されるタバコとして)の部分又は小片の混合物を含み得る。例えば、代表的なブレンドは、乾燥重量基準で約30部〜約70部のバーレイタバコ(例えば、葉身又は葉身及び幹)、及び約30部〜約70部の鉄管乾燥タバコ(例えば、幹、葉身、又は葉身及び幹)を含み得る。他の例示的なタバコブレンドは、乾燥重量基準で約75部の鉄管乾燥タバコ、約15部のバーレイタバコ、及び約10部のオリエンタルタバコ、又は約65部の鉄管乾燥タバコ、約25部のバーレイタバコ、及び約10部のオリエンタルタバコ、又は約65部の鉄管乾燥タバコ、約10部のバーレイタバコ、及び約25部のオリエンタルタバコを含む。他の例示的なタバコブレンドは、約20部〜約30部のオリエンタルタバコ、及び約70部〜約80部の鉄管乾燥タバコを含む。
本明細書で使用される場合に、「タバコの葉及び/又はタバコ材料」は、タバコの全体の葉又は部分的な葉、加工タバコの部分又は小片、実質的に天然の葉身形又は幹形のキュアリング及び熟成されたタバコ、タバコ抽出物、抽出されたタバコパルプ(例えば、溶剤として水を使用する)、又は上記のものの混合物(例えば、抽出されたタバコパルプを粒状のキュアリング及び熟成された天然タバコ葉身と混ぜた混合物)を含む。タバコの葉及び/又はタバコ材料は、最も好ましくは、タバコ葉身、又はタバコ葉身及び幹の混合物を含む。タバコの幹と比較して優勢な量のタバコの葉身を含むタバコ混合物が好ましい。最も好ましくは、タバコ葉身及び幹は、抽出されない形で、即ち、キュアリング及び熟成された形で天然タバコと匹敵する様に抽出可能な部分(例えば、水溶性の部分)が抽出不可能な部分(例えば、タバコパルプ)内に存在する様に使用される。タバコの部分は、加工形、例えば加工タバコ幹(例えば、切断圧延された幹、切断圧延膨脹された幹、又は切断して膨らませた幹)、又は体積膨張タバコ(例えば、ドライアイス膨張タバコ(DIET)等の膨らませたタバコ)を有し得る。例えば、デ・ラ・ブルデ等(de la Burde et al.)の米国特許第4,340,073号明細書、グイ等(Guy et al.)の同第5,259,403号、及びポインデクスター等(Poindexter, et al.)の同第5,908,032号、並びにポインデクスター等(Poindexter, et al.)の米国特許出願公開第2004/0182404号明細書(全ては引用する事により本明細書に援用される)に示されるタバコ膨脹方法も参照されたい。更に、タバコの葉及び/又はタバコ材料は、任意に発酵させたタバコを含み得る。アチュレイ等(Atchley et al.)のPCT出願の特許文献11(引用する事により本明細書に援用される)に示されるタバコ加工技術の種類も参照されたい。
本発明の組成物及び方法の範囲内のタバコの葉及び/又はタバコ材料は、典型的には、刻まれた形、粉砕された形、造粒された形、微粒子形、又は粉末形で提供される。最も好ましくは、タバコの葉及び/又はタバコ材料は、所謂「細刻み」タバコ製品で使用される刻みタバコの部分又は小片の平均粒子サイズより小さい平均粒子サイズを有する部分又は小片の形で使用される。典型的には、非常に微細なタバコ粒子又は小片は、約18タイラーメッシュのスクリーンを通過するサイズであり、一般に約20タイラーメッシュのスクリーンを通過するサイズであり、屡々約50タイラーメッシュのスクリーンを通過するサイズであり、頻繁には約60タイラーメッシュのスクリーンを通過するサイズであり、尚も100タイラーメッシュのスクリーンを通過するサイズであり得て、更に200タイラーメッシュのスクリーンを通過するサイズであり得る。所望であれば、空気分級装置を使用する事で、所望のサイズ又はサイズの範囲の小さいサイズのタバコ粒子が収集され得る事を保証する事が出来る。一実施形態では、タバコ材料は18タイラーメッシュを通過するが、60タイラーメッシュを通過しないサイズの微粒子形である。所望であれば、異なるサイズの造粒されたタバコの小片が一緒に混合され得る。典型的には、スヌース製品に適した非常に微細なタバコ粒子又は小片は、−8タイラーメッシュより大きく、屡々−8タイラーメッシュ〜+100タイラーメッシュ、頻繁には−18タイラーメッシュ〜+60タイラーメッシュの粒子サイズを有する。
タバコが微細型又は粉末型の形態で提供される様式は様々であってよい。好ましくは、タバコの部分又は小片は、粉砕、ミル粉砕等の為の装置及び技術を使用して粉末型の形態へと細砕、粉砕、又は粉末化される。最も好ましくは、タバコは、ハンマーミル、カッターヘッド、空気制御ミル等の様な装置を使用した粉砕又はミル粉砕の間に比較的乾燥した形態である。例えば、タバコ部分又は小片は、その水分含量が約15重量パーセント未満から約5重量パーセント未満である場合に粉砕又はミル粉砕され得る。
タバコ抽出物は、本発明の組成物及び方法の範囲内のタバコの葉及び/又はタバコ材料の成分として有用である。抽出物は、固体形(例えば、噴霧乾燥形又は凍結乾燥形)、液体形、半固体形等で使用され得る。典型的なタバコ抽出物及び抽出技術は、例えばオズボーン,Jr等(Osborne, Jr. et al.)の特許文献19、ファッグ等(Fagg et al.)の同第4,967,771号、ファッグ等(Fagg et al.)の同第5,005,593号、ファッグ等(Fagg et al.)の同第5,148,819号、及びクラップ等(Clapp et al.)の同第5,435,325号(全ては引用する事により本明細書に援用される)に示されている。様々なタバコ抽出法及び再構成法が、ファッグ(Fagg)の米国特許第5,065,775号明細書、ニュートン(Newton)の同第5,360,022号、及びファッグ(Fagg)の同第5,131,414号(全ては引用する事により本明細書に援用される)に示されている。ムノス等(Munoz et al.)の米国特許第5,131,415号明細書及びゴンザレス−パラの同第5,318,050号(両者は引用する事により本明細書に援用される)に示されるタバコ抽出処理法も参照されたい。
製紙技術又はキャスティング型の方法等の適切な既知の再構成タバコ加工技術を、本発明の方法と併せて使用する事が出来る。例えば、トゥガン(Tughan)の米国特許第3,398,754号明細書、マッティーナ(Mattina)の同第3,847,164号、カイト(Kite)の同第4,131,117号、ジェンキンス(Jenkins)の同第4,270,552号、マッティーナ(Mattina)の同第4,308,877号、ケリツィス(Keritsis)の同第4,341,228号、ゲラトリー(Gellatly)の同第4,421,126号、ゲラトリー(Gellatly)の同第4,706,692号、トマソン(Thomasson)の同第4,962,774号、クラップ(Clapp)の同第4,941,484号、ヤング(Young)の同第4,987,906号、ブラウン(Brown)の同第5,056,537号、ゾーン(Sohn)の同第5,143,097号、ブリンクレイ等(Brinkley et al.)の同第5,159,942号、ヤング(Young)の同第5,325,877号、ブリンクレイ(Brinkley)の同第5,445,169号、ヤング(Young)の同第5,501,237号、ヤング(Young)の同第5,533,530号(引用する事により本明細書に援用される)に示される製紙方法の種類を参照されたい。例えば、ハインド(Hind)の米国特許第3,353,541号明細書、ハインド(Hind)の同第3,399,454号、ハインド(Hind)の同第3,483,874号、デスツィック(Deszyck)の同第3,760,815号、ケリツィス(Keritsis)の同第4,674,519号、キーナン(Kiernan)の同第4,972,854号、ヒックル(Hickle)の同第5,023,354号、ヤング(Young)の同第5,099,864号、ジェイコブ(Jakob)の同第5,101,839号、ヒックル(Hickle)の同第5,203,354号、レクワウワ(Lekwauwa)の同第5,327,917号、ヤング(Young)の同第5,339,838号、ジェイコブ(Jakob)の同第5,598,868号、ヤング(Young)の同第5,715,844号、ゲラトリー(Gellatly)の同第5,724,998号、及びクマー(Kumar)の同第6,216,706号、並びに欧州特許第0565360号、欧州特許第1055375号、並びにPCT出願の国際公開第98/01233号パンフレット(引用する事により本明細書に援用される)に示されるキャスティング法を参照されたい。伝統的な種類の再構成タバコ法で使用される抽出物、抽出された材料、及びスラリーを本発明のタバコ配合物中の成分として使用する事が出来る。
本発明の方法は、熱の適用が含まれるあらゆるタバコ処理法に関連して、熱処理加工助剤若しくは添加剤と一緒に又はキャスティング成分等の成分と一緒に使用され得る。例えば、ブライアント,Jr.等(Bryant, Jr. et al.)の米国特許第4,177,822号明細書、ウー等(Wu et al.)の同第4,306,577号、メイズ等(Mays et al.)の同第4,449,541号、ガイシュ等(Gaisch et al.)の同第4,537,204号、シェラー等(Shelar et al.)の同第4,819,668号、及びローソン等(Lawson et al.)の同第4,836,224号(それぞれ引用する事により本明細書に援用される)に示されるケーシング材料及び方法を参照されたい。
親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料を含むタバコ組成物
本発明の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料は、喫煙物品(本明細書では「タバコ組成物」とも呼称される)の製造の為の添加物として有用である。例えば、本発明により調製される親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料を、ケーシング材料と混合する事が出来、ケーシング成分としてタバコに適用する事が出来、トップドレッシング成分として喫煙物品に導入する事が出来、又は再構成タバコ材料へと導入する事が出来る。又更に、本発明の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料を、紙巻タバコの製造方法の間に(例えば、フィルタープラグ、プラグラップ、又はチップペーパーで)紙巻タバコフィルターへと導入する事が出来、又は紙巻タバコ巻紙に、好ましくは内側面上に導入する事が出来る。親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料を、ロビンソン等(Robinson et al.)の米国特許出願公開第2008/0092912号明細書(引用する事により本明細書にその全体が援用される)に記載される様に、特定のエアロゾル生成電子喫煙物品内で添加物として使用する事も出来る。
本発明の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料を、ローソン等(Lawson et al.)の米国特許第4,836,224号明細書、ペルフェティ等(Perfetti et al.)の同第4,924,888号、ブラウン等(Brown et al.)の同第5,056,537号、ゲントリー(Gentry)の同第5,220,930号、及びブラックレイ等(Blakley et al.)の同第5,360,023号、シェーファー等(Shafer et al.)の米国特許出願公開第2002/0000235号明細書、並びにPCT出願の国際公開第02/37990号パンフレットに記載されるタバコブレンド、代表的な紙巻タバコ成分、及びそこから製造される代表的な紙巻タバコへと導入する事も出来る。これらのタバコ材料を、センサボー(Sensabaugh)の米国特許第4,793,365号明細書、クリアーマン等(Clearman et al.)の同第4,917,128号、ブルックス等(Brooks et al.)の同第4,947,974号、コルテ(Korte)の同第4,961,438号、ローレンス等(Lawrence et al.)の同第4,920,990号、クリアーマン等(Clearman et al.)の同第5,033,483号、ゲントリー等(Gentry et al.)の同第5,074,321号、ドレウェット等(Drewett et al.)の同第5,105,835号、リッグス等(Riggs et al.)の同第5,178,167号、クリアーマン等(Clearman et al.)の同第5,183,062号、シャノン等(Shannon et al.)の同第5,211,684号、デーヴィ等(Deevi et al.)の同第5,247,949号、リッグス等(Riggs et al.)の同第5,551,451号、バナジー等(Banerjee et al.)の同第5,285,798号、ファリアー等(Farrier et al.)の同第5,593,792号、ベンサレム等(Bensalem et al.)の同第5,595,577号、カウンツ等(Counts et al.)の同第5,816,263号、バーネス等(Barnes et al.)の同第5,819,751号、ベヴェン等(Beven et al.)の同第6,095,153号、ニコルズ等(Nichols et al.)の同第6,311,694号、及びニコルズ等(Nichols et al.)の同第6,367,481号、及びPCT出願の国際公開第97/48294号パンフレット及びPCT出願の国際公開第98/16125号パンフレットに記載される種類の紙巻タバコの製造に使用する事も出来る。「燃焼タバコの代わりの加熱する新しい紙巻タバコプロトタイプに対する化学的及び生物学的研究(Chemical and Biological Studies on New Cigarette Prototypes that Heat Instead of Burn Tobacco)」,R.J.レイノルズ・タバコ・カンパニー(R. J. Reynolds Tobacco Company)のモノグラフ(1988年)及び「インハレーション・トキシコロジー(Inhalation Toxicology)」,12巻:5号,第1頁〜第58頁(2000年)に記載される種類の市販の紙巻タバコも参照されたい。
本発明の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料を、無煙タバコ製品として使用する事も出来、又は無煙タバコ製品に於ける添加物として導入する事も出来る。様々な種類の無煙タバコ製品が、シュヴァルツ(Schwartz)の特許文献1、レヴィ(Levi)の特許文献2、ピットマン等(Pittman et al.)の特許文献3、センサボー,Jr等(Sensabaugh, Jr. et al.)の特許文献4、ストーリー等(Story et al.)の特許文献5、タウンゼント(Twonsend)の特許文献6、スプリンクル,III等(Sprinkle, III et al.)の特許文献7、及びホワイト等(White et al.)の特許文献8、ストリックランド等(Strickland et al.)の特許文献9、アーナルプ等(Arnarp et al.)のPCT出願の特許文献10、アチュレイ等(Atchley et al.)のPCT出願の特許文献11、エングストローム(Engstrom)のPCT出願の特許文献12、ビヨークホルム(Bjorkholm)のPCT出願の特許文献13、及びキンター等(Quinter et al.)のPCT出願の特許文献14(それぞれ引用する事により本明細書に援用される)に示されている。アチュレイ等(Atchley et al.)の特許文献15及びアチュレイ等(Atchley et al.)の特許文献16、ウィリアムズ(Williams)の特許文献32、ウィリアムズ(Williams)の特許文献33、アチュレイ等(Atchley et al.)の特許文献34、ウィリアムズ(Williams)の特許文献35、ブレスリン等(Breslin et al.)の特許文献36、ストリックランド等(Strickland et al.)の特許文献37、ホルトン,Jr.等(Holton, Jr. et al.)の特許文献38、ホルトン,Jr.等(Holton, Jr. et al.)の特許文献39、ストリックランド等(Strickland et al.)の特許文献40、デュベ等(Dube et al.)の特許文献41、ロビンソン等(Robinson et al.)の特許文献42、ムア等(Mua et al.)の特許文献43、ロビンソン等(Robinson et al.)の特許文献44、及びニールセン等(Nielsen et al.)の特許文献45(それぞれ引用する事により本明細書に援用される)に示される種類の無煙タバコ配合物、成分、及び加工法も参照されたい。
タバコ配合物内の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料の相対量は様々であり得る。好ましくは、タバコ配合物内の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料の量は、配合物の乾燥重量基準で少なくとも約10パーセント又は少なくとも約25パーセントである。特定の場合には、タバコ配合物内の他の成分の量は、乾燥重量基準で約40パーセントを超過し得る。配合物内のタバコ材料の典型的な範囲は、乾燥基準で約10重量パーセント〜約60重量パーセント、より頻繁には約20重量パーセント〜約40重量パーセントである。
タバコ製品は、アスパラギンと還元糖との反応等の特定の反応の点で食料品とは一義的に異なる。喫煙タバコ製品(例えば、紙巻タバコ、葉巻、パイプタバコ)では、使用中の温度勾配は、調理中に食品で遭遇する温度よりも遙かに高く、反応速度の増加をもたらし得る。特定の無煙タバコ製品では、pHが食品のpHよりも遙かに高い場合があり、加工の間に、pHを高めてタバコを加熱すると、特定の反応速度が増大する場合がある。従って、タバコ製品を取り扱う際には、特定の反応の抑制が特に困難になる場合がある。
従って、本発明の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料を含むタバコ配合物への例示的な添加物には、アミノ酸、二価及び三価カチオンを含む組成物、アスパラギナーゼ、特定の非還元糖類、特定の還元剤、フェノール化合物(例えば、少なくとも1つのフェノール官能性を有する化合物)、少なくとも1つの遊離チオール基又は官能性を有する特定の化合物、酸化剤、酸化触媒、ローズマリー抽出物(又は薬草又は植物由来のその他の植物抽出物)及びそれらの組み合わせが含まれる。動作理論に縛られるものではないが、これらの添加物は、利用可能な還元糖と優先的に反応する競合反応をもたらす事によるか、還元糖との反応を不可能にするアスパラギンとの化学的相互作用によるか、反応中間体との化学的相互作用によるか、又はアクリルアミドとの化学的相互作用によるかの何れかで、アスパラギンの反応によりアクリルアミドが形成されるのを抑制する事が出来る。本発明による特定の添加物の使用は、エルダー等(Elder et al.)の米国特許第7,037,540号明細書、及びエルダー等(Elder et al.)の同第7,267,834号、及びズィザック等(Zyzak et al.)の米国特許出願公開第2004/0058046号明細書、フィンレイ(Finley)の同第2005/0196504号明細書、オク等(Oku et al.)の同第2006/0194743号明細書、エルダー等(Elder et al.)の同第2007/0141225号明細書、ブードロー等(Boudreaux et al.)の同第2007/0141227号明細書、及びソーイ等(Soe et al.)の同第2007/0166439号明細書(全ては引用する事により本明細書に援用される)に記載されている。
本発明の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料を含むタバコ配合物中に存在する添加物の量は、タバコ配合物の所望の特性及び選択される添加物の種類に応じて様々である。典型的には、添加物の量は、少なくとも約0.01乾燥重量パーセントで、より頻繁には少なくとも約0.1乾燥重量パーセントで、最も頻繁には少なくとも約1乾燥重量パーセントである。添加物は、典型的には約15乾燥重量パーセント未満の量で、例えば、約10重量パーセント未満又は約8重量パーセント未満の量で存在する。一実施形態では、添加物の量は、約1乾燥重量パーセント〜約5乾燥重量パーセントである。
幾つかの実施形態では、本発明の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料を含むタバコ配合物は、無煙タバコ組成物である。その様な無煙タバコ組成物は、本明細書の他の箇所に示されるタバコ、水、及び添加物に加えて、典型的には、フレーバー料、充填剤、結合剤、pH調整剤、緩衝剤、着色剤、崩壊助剤、抗酸化剤、保湿剤、及び防腐剤等の追加の成分も含む。
使用され得る例示的なフレーバー料は、無煙タバコ製品の苦味、甘み、酸味、又は塩辛さを変える働きをし、配合物の知覚される乾燥度若しくは湿気、又は配合物によって呈されるタバコ味の度合いを増強する成分、又はそれらの成分の適切な組み合わせである。フレーバー料の種類には、塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等)、天然甘味料(例えば、フルクトース、スクロース、グルコース、マルトース、マンノース、ガラクトース、ラクトース等)、人工甘味料(例えば、スクラロース、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK、ネオテーム等)、及びそれらの混合物が含まれる。タバコ組成物で利用されるフレーバー料の量は様々であり得るが、典型的には、約10乾燥重量パーセント迄であり、特定の実施形態は、少なくとも約1乾燥重量パーセント、例えば約1乾燥重量パーセント〜約10乾燥重量パーセントのフレーバー料含有量によって特徴付けられる。フレーバー料の組み合わせ、例えば約0.1乾燥重量パーセント〜約2乾燥重量パーセントの人工甘味料及び約0.5乾燥重量パーセント〜約8乾燥重量パーセントの塩化ナトリウム等の塩が屡々使用される。
例示的な充填材料には、食物繊維材料、例えばテンサイ繊維材料(例えば、インターナショナル・ファイバー・コーポレーション(International Fiber Corporation)社から入手可能なFIBREX(登録商標)ブランドの充填剤)、オーツ麦又はその他の穀粒(加工された穀類又は膨らませた穀類を含む)、ブラン繊維、デンプン、又はその他の変性セルロース材料若しくは天然セルロース材料、例えば微結晶性セルロースが含まれる。追加の特定の例には、トウモロコシデンプン、マルトデキストリン、デキストロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ラクトース、マンニトール、キシリトール、及びソルビトールが含まれる。タバコ組成物で利用される充填剤の量は様々であり得るが、典型的には、約50乾燥重量パーセント迄であり、特定の実施形態は、少なくとも約10乾燥重量パーセント、例えば約20乾燥重量パーセント〜約50乾燥重量パーセントの充填剤含有量によって特徴付けられる。例えば、約2乾燥重量パーセント〜約8乾燥重量パーセントの炭酸カルシウム、約10乾燥重量パーセント〜約20乾燥重量パーセントの米粉、及び約10重量パーセント〜約20重量パーセントのマルトデキストリン等の充填剤の組み合わせが屡々使用される。
典型的な結合剤には、ポビドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び他の変性セルロース材料、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、デンプンベースの結合剤、アラビアガム、ペクチン、カラギーナン、プルラン、ゼイン等が含まれる。タバコ組成物で利用される結合剤の量は様々であり得るが、典型的には、約30乾燥重量パーセント迄であり、特定の実施形態は、少なくとも約5乾燥重量パーセント、例えば約5乾燥重量パーセント〜約30乾燥重量パーセントの結合剤含有量によって特徴付けられる。
好ましいpH調整剤又は緩衝剤は、約6〜約10のpH範囲をもたらし及び/又はその範囲内で緩衝し、例示的な剤には、金属水酸化物、金属炭酸塩、金属重炭酸塩、及びそれらの混合物が含まれる。特定の例示的な材料には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、及び重炭酸ナトリウムが含まれる。タバコ組成物で利用されるpH調整剤又は緩衝材料の量は様々であり得るが、典型的には、約5乾燥重量パーセント迄であり、特定の実施形態は、少なくとも約0.5乾燥重量パーセント、例えば約1乾燥重量パーセント〜約5乾燥重量パーセントのpH調整剤/緩衝剤含有量によって特徴付けられ得る。
例示的な着色剤には、カラメル色素及び二酸化チタン等の様々な染料及び顔料が含まれる。タバコ組成物で利用される着色剤の量は様々であり得るが、典型的には、約3乾燥重量パーセント迄であり、特定の実施形態は、少なくとも約0.1乾燥重量パーセント、例えば約0.5乾燥重量パーセント〜約3乾燥重量パーセントの着色剤含有量によって特徴付けられる。
例示的な保湿剤には、グリセリン及びプロピレングリコールが含まれる。タバコ組成物で利用される保湿剤の量は様々であり得るが、典型的には、約2乾燥重量パーセント迄であり、特定の実施形態は、少なくとも約0.1乾燥重量パーセント、例えば約0.2乾燥重量パーセント〜約2乾燥重量パーセントの保湿剤含有量によって特徴付けられ得る。
防腐剤(例えば、ソルビン酸カリウム)又は崩壊補助剤(例えば、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、
アルファ化トウモロコシデンプン等)等の他の成分を使用する事も出来る。典型的には、その様な成分は、約10乾燥重量パーセント迄、通常は少なくとも約0.1乾燥重量パーセント、例えば、約0.5乾燥重量パーセント〜約10乾燥重量パーセントの量で使用される。
特に無煙タバコ組成物に関して、本発明の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料を含むタバコ組成物は、含浸過程の前又は後の何れかに所望の製品形状に形成され得る。タバコ組成物を形成するのに使用される方法及び装置は、所望の形状に依存する。例示的な形状には、ピル形、タブレット形、球形、シート形、コイン形、立方体形、ビーズ形、卵形、横長形、豆形、スティック形、及びロッド形が含まれる。例えば、タバコ組成物は、圧縮されたタバコペレット、多層押出小片、押出又は形成されたロッド又はスティック、異なる種類のタバコ配合物に囲まれた1つの種類のタバコ配合物を有する組成物、テープ状のフィルムのロール、易水溶性又は易水分散性のフィルム又はストリップ(例えば、チェン等(Chan et al.)の米国特許出願公開第2006/0198873号明細書)、又は外殻(例えば、事実上透明、無色、半透明、又は高度に着色されていてもよい柔軟な又は硬い外殻)及びタバコ又はタバコフレーバーを有する内部領域(例えば、ニュートン流体又は何らかの形のタバコを含むチキソトロピー流体)を有するカプセル状の材料の形態を有し得る。
圧縮タバコペレット等の本発明の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料を含む加工タバコ組成物は、造粒されたタバコ及び関連の配合物成分をペレットの形に圧縮し、任意に各ペレットを上塗り材料でコーティングする事によって生産され得る。例示的な造粒装置は、ベクター・コーポレーション(Vector Corporation)社からFL−Mシリーズ造粒装置(例えば、FL−M−3)として、並びにアレキサンダーヴェルク,Inc.(Alexanderwerk, Inc.)社からWP 120V及びWP 200VNとして入手可能である。圧縮プレス等の例示的な圧縮装置は、ベクター・コーポレーション(Vector Corporation)社からColton 2216及びColton 2247として、並びにフェッテ・コンパクティング(Fette Compacting)社から1200i、2200i、3200、2090、3090及び4090として入手可能である。圧縮されたペレット化タバコ配合物に上塗り層を設ける為の装置は、トーマス・エンジニアリング(Thomas Engineering)社からCompuLab 24、CompuLab 36、Accela−Cota 48、及びAccela−Cota 60として入手可能である。
多層タバコペレット等の本発明の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料を含む加工タバコ組成物は、多岐に亘る押出技術を使用して製造され得る。例えば、多層タバコペレットは、同時押出技術を使用して(例えば、二軸スクリュー押出機を使用して)製造され得る。この様な状況では、連続的な湿った成分若しくは乾燥した成分又は成分の混合物が、別個の押出ホッパー内に配置され得る。蒸気、気体(例えば、アンモニア、空気、二酸化炭素等)、及び保湿剤(例えば、グリセリン又はプロピレングリコール)は、各乾燥混合物が噴射、可塑化、及び煮沸される様に押出機バレル内に注入される。こうして、様々な成分が非常に良く混ざる様に処理する事で、互いに完全な接触に至る。例えば、個々の成分が押出マトリックス又は押出物内に十分に埋め込まれ得る様に、成分を接触させる。例えば、トフト等(Toft et al.)の米国特許第4,821,749号明細書(引用する事により本明細書に援用される)を参照されたい。多層材料は、一般的なフィルムの形状を有し得て、その一方で、多層の略球形の材料が内側から外側に延びる様々な層を有し得る。
ロッド又は立方体等の幾つかの形状は、最初に所望の断面(例えば、丸形又は四角形)を有するダイを通して材料を押出し、次いで任意に、押出された材料を所望の長さに切断する事によって形成され得る。本発明での使用に適した例示的な押出装置には、イタリアのエミリオミティ,LLC(Emiliomiti, LLC)から入手可能なモデルTP 200/300等の産業用パスタ押出機が含まれる。シート状材料は、タバコ組成物を移動ベルト上に適用し、その移動ベルトを対向するローラーによって形成されるニップを通して通過させた後に、該シートを所望の長さに切断する事によって作製され得る。
生物学的利用能
生物学的利用能とは、活性部分(薬物又は代謝産物)が全身循環に入り、それによって作用部位に到達する程度及び速度を指す。所与の製剤の生物学的利用能は、体循環に吸収される経口投与された用量の相対的割合の推定値を提供する。低い生物学的利用能は、水溶性に乏しく吸収が遅い薬物の経口剤形で最も一般的である。胃腸管での吸収の為の不十分な時間は、低い生物学的利用能の一般的な要因である。薬物が容易に溶解しない又は上皮膜に浸透する事が出来ない場合(例えば、高度にイオン化されて極性である場合)、吸収部位での時間が不十分である可能性がある。経口投与された薬物は、腸壁を通過した後に肝臓への門脈循環を通過せねばならず、これらは両方とも初回通過代謝(薬物が体循環に到達する前に生ずる代謝)の一般的な部位である。従って、適切な血漿濃度に達する前に、多くの薬物が代謝される可能性がある。
生物学的利用能は通常、血漿濃度−時間曲線下面積(AUC)を調べる事によって評価される。AUCは、全身循環に到達する未変化の薬物の総量に正比例する。血漿薬物濃度は、吸収の程度と共に増加し、薬物排泄速度が吸収速度と等しい場合に、最大(ピーク)血漿濃度に到達する。ピーク時間は、最も広く使用されている吸収速度の一般的な指標であり、吸収が遅い程、ピーク時間は遅くなる。
一部の薬物、特にバイオ医薬品薬物分類システムに基づくクラスII薬物であるカンナビノイド等の薬剤の生物学的利用能は、食品と同時投与すると増大する(ケレプ等(Kelepu et al.)著(2013年)の「アクタ・ファーマシューティカ・シニカB(Acta Pharmaceutica Sinica B)」第3巻:第361頁〜第372頁、アミドン等(Amidon et al.)著(1995年)の「ファーマシューティカル・リサーチ(Pharm. Res.)」第12巻:第413頁〜第420頁、チャーマン等(Charman et al.)著(1997年)の「ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・サイエンシズ(J. Pharm. Sci.)」第86巻:第269頁〜第282頁、ウィンスタンレイ等(Winstanley et al.)著(1989年)の「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・クリニカル・ファーマコロジー(Br. J. Clin. Pharmacol.)」第28巻:第621頁〜第628頁)。親油性薬物の吸収に重要な役割を担い、経口生物学的利用能の向上をもたらすのは食品の脂質成分である(ハント&ノックス(Hunt & Knox)著(1968年)の「ザ・ジャーナル・オブ・フィジオロジー(J. Physiol.)」第194巻:第327頁〜第336頁、ケレプ等(Kelepu et al.)著(2013年)の「アクタ・ファーマシューティカ・シニカB(Acta Pharmaceutica Sinica B)」第3巻:第361頁〜第372頁)。これは、高脂肪食が胆汁及び膵臓の分泌を刺激し、代謝及び流出活性を低下させ、腸壁の透過性を高め、胃腸管(GIT)の滞留時間及びリンパ系を介した輸送を延長する能力にあるとされている(ワグネラ等(Wagnera et al.)著(2001年)の「アドバンスド・ドラッグ・デリバリー・レビューズ(Adv. Drug Del. Rev.)」第50巻:第13頁〜第31頁、ケレプ等(Kelepu et al.)著(2013年)の「アクタ・ファーマシューティカ・シニカB(Acta Pharmaceutica Sinica B)」第3巻:第361頁〜第372頁)。高脂肪食は、薬物分子と結合して腸のリンパ輸送を増強するトリグリセリドリッチなリポタンパク質も上昇させ、それにより薬物動態の変化がもたらされ、難溶性薬物の薬理作用の動態が変化する(ゲルシュコビッチ等(Gershkovich et al.)著(2007年)の「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・サイエンシズ(Eur. J. Pharm. Sci.)」第32巻:第24頁〜第32頁、ケレプ等(Kelepu et al.)著(2013年)の「アクタ・ファーマシューティカ・シニカB(Acta Pharmaceutica Sinica B)」第3巻:第361頁〜第372頁)。しかしながら、食物と親油性薬物とを同時投与するには、その様な薬物の投薬の際の食物摂取の綿密な管理及び/又は監視が必要とされ、患者のコンプライアンスに問題が生じる可能性もある(ケレプ等(Kelepu et al.)著(2013年)の「アクタ・ファーマシューティカ・シニカB(Acta Pharmaceutica Sinica B)」第3巻:第361頁〜第372頁)。
他の態様では、本発明の組成物及び方法の範囲内の生物学的利用能向上剤は、食用油若しくは食用脂肪、保護コロイド、又は保護コロイド及び食用油若しくは食用脂肪の両方である。別の態様では、生物学的利用能向上剤は又、親油性活性剤の味覚マスキング剤である。別の特定の態様では、生物学的利用能向上剤が保護コロイド、食用油又は食用脂肪及び親油性活性剤の味覚マスキング剤の両方である場合に、生物学的利用能向上剤は乾燥脱脂乳である。更なる態様では、生物学的利用能向上剤は、オメガ−6脂肪酸を実質的に含まない。他の態様では、被験体に於ける親油性活性剤の生物学的利用能は、生物学的利用能向上剤の不存在下での被験体に於ける親油性活性剤の生物学的利用能よりも少なくとも約1.5倍、2倍、5倍、又は10倍大きい。更なる態様では、被験体に於ける親油性活性剤の生物学的利用能は、20%を超える。
食用油は、本明細書では、通常の生理学的条件下にてin vivoで膵臓リパーゼの存在下に脱エステル化又は加水分解を受け得る油として定義される。具体的には、可消化油は、低分子量(C6迄)の一価、二価、又は多価アルコールを含む中鎖(C7〜C13)脂肪酸又は長鎖(C14〜C22)脂肪酸の完全なグリセロールトリエステルであり得る。従って、本発明で使用される可消化油の幾つかの例には、植物油、ナッツ油、又は種子油(ココナッツ油、ピーナッツ油、大豆油、ベニバナ種子油、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマシ油、綿実油、落花生油、ヒマワリ種子油、ココナッツ油、パーム油、菜種油、月見草油、ブドウ種子油、小麦胚芽油、ゴマ油、アボカド油、アーモンド油、ルリジサ油、ペパーミント油、及び杏仁油)及び動物油(魚肝油、サメ肝油、及びミンク油)が含まれる。
更なる態様では、生物学的利用能向上剤は、長鎖(C14〜C22)脂肪酸である。更なる態様では、生物学的利用能向上剤は、中鎖(C7〜C13)脂肪酸である。更なる態様では、生物学的利用能向上剤は、中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸との組み合わせである。
保護コロイドの例には、ポリペプチド(ゼラチン、カゼイン、及びカゼイン塩等)、多糖類(例えば、デンプン、デキストリン、デキストラン、ペクチン、及びアラビアゴム)、並びに全乳、スキムミルク、粉乳、又はこれらの混合物が含まれる。しかしながら、ポリビニルアルコール、ビニルポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸ポリマー及びコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びアルギン酸塩も使用可能である。更なる詳細については、R.A.モートン(R. A. Morton)著,「速溶性ビタミン(Fast Soluble Vitamins)」,インターナショナル・エンサイクロペディア・オブ・フード・アンド・ニュートリション(Intern. Encyclopedia of Food and Nutrition),第9巻,ペルガモン出版社(Pergamon Press),1970年,第128頁〜第131頁が参照され得る。
経口投与は、大部分の薬物にとって好ましい投与経路に当たる。しかしながら、望ましくない味覚又は苦い味覚を有する薬物は、経口投与される剤形の場合には患者コンプライアンスの欠如に繋がる。その様な場合には、味覚のマスキングが患者コンプライアンスを改善する為に必須のツールである。脂溶性の活性剤(例えば、カンナビジオール等のカンナビノイド)は望ましくない味覚プロファイルを有するので、コンプライアンスを改善する為に、本開示の組成物は1つ以上の親油性活性剤の味覚マスキング剤も含む。親油性活性剤の味覚マスキング剤の例には、上記の乾燥乳、並びにメントール、甘味料、重炭酸ナトリウム、イオン交換樹脂、シクロデキストリン包接化合物、吸着体等が含まれる。
別の態様では、タバコ製品で使用される味覚マスキング剤には、塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等)、天然甘味料(例えば、フルクトース、スクロース、グルコース、マルトース、マンノース、ガラクトース、ラクトース等)、人工甘味料(例えば、スクラロース、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK、ネオテーム等)、及びそれらの混合物等のフレーバー剤が含まれる。更なる態様では、適切なフレーバー剤には、バニラ、バニリン、エチルバニリン、オレンジ油、ペパーミント油、ストロベリー、ラズベリー、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
更なる態様では、生物学的利用能向上剤は、オメガ−6脂肪酸を実質的に含まない。本明細書で使用される場合に、「実質的に含まない」とは、完全に純粋ではないが殆ど純粋である事を意味する。
他の態様では、被験体に於ける親油性活性剤の生物学的利用能は、生物学的利用能向上剤の不存在下での被験体に於ける親油性活性剤の生物学的利用能よりも少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、又は10倍大きい。
更なる態様では、被験体に於ける親油性活性剤の生物学的利用能は、20%よりも大きいか、又は少なくとも約21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%であるか、又はそれよりも大きい。
親油性活性剤の生物学的利用能を測定するアッセイ及び方法は、当該技術分野に於いて良く知られている(例えば、ロッチ&ジャスコ(Rocci & Jusko)著(1983年)の「コンピュータープログラムズ・イン・バイオメディシン(Comput. Programs Biomed.)」,第16巻:第203頁〜第215頁、シャーゲル&ユー(Shargel & Yu)著(1999年)の「アプライド・バイオファーマシューティクス・アンド・ファーマコキネティクス(Applied biopharmaceutics & pharmacokinetics)」(第4版),ニューヨーク:マグローヒル(McGraw-Hill)、フー&リー(Hu & Li)著(2011年)の「経口生物学的利用能:基本原理、最新コンセプト、及び適用(Oral Bioavailability: Basic Principles, Advanced Concepts, and Applications)」,ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・リミテッド(John Wiley & Sons Ltd.)、カルシュナー等(Karschner et al.)著(2011年),「クリニカル・ケミストリー(Clinical Chemistry)」,第57巻:第66頁〜第75頁、オールソン等(Ohlsson et al.)著(1980年),「クリニカルファーマコロジー・アンド・セラピューティクス(Clin. Pharmacol. Ther.)」,第28巻:第409頁〜第416頁、オールソン等(Ohlsson et al.)著(1982年),「バイオメディカル・アンド・エンバイロメンタル・マススペクトロメトリー(Biomed. Environ. Mass Spectrom.)」,第9巻:第6頁〜第10頁、オールソン等(Ohlsson et al.)著(1986年),「バイオメディカル・アンド・エンバイロメンタル・マススペクトロメトリー(Biomed. Environ. Mass Spectrom.)」,第13巻:第77頁〜第83頁、カルシュナー等(Karschner et al.)著(2010年),「アナリティカル・アンド・バイオアナリティカルケミストリー(Anal. Bioanal. Chem.)」,第397巻:第603頁〜611頁を参照)。
凍結乾燥
更なる態様では、本発明の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料は凍結乾燥される。フリーズドライとしても知られる凍結乾燥は、凍結後に組成物から水を昇華させる方法である。その後に、凍結された溶液を典型的には、乾燥チャンバーに於いて減圧下で温度を徐々に上げて水の大部分を除去する第1の乾燥工程に供した後に、典型的には第1の乾燥工程で使用されるより高い温度で第2の乾燥工程に供して、凍結乾燥された組成物中の残留水分が除去される。次いで、凍結乾燥された組成物は、適切に密封され、後の使用の為に貯蔵される。タン等(Tang et al.)著(2004年),「ファーマシューティカル・リサーチ(Pharmaceutical Research)」,第21巻:第191頁〜第200頁は、フリーズドライに関係する科学的原理及び適切なフリーズドライ方法を設計する為のガイドラインを記載している。フリーズドライの更なる説明は、レミントン(Remington)著(2006年)の「薬学の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)」,第21版,リッピンコット・ウィリアムズ&ウィルキンス(Lippincott Williams & Wilkins),第828頁〜第831頁に見いだされる。
親油性活性剤
カンナビノイド
カンナビス・サティバL(Cannabis sativa L.)は、嗜好目的及び医療目的の両方に最も広く使用される植物の1つである。幾つかの化学物質クラスをカバーする500種を超える天然構成成分がC.サティバから単離及び同定されている(アーメッド等(Ahmed et al.)著(2008年)の「ジャーナル・オブ・ナチュラル・プロダクツ(J. Nat. Prod.)」第71巻:第536頁〜第542頁、アーメッド等(Ahmed et al.)著(2008年)のテトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.)第49巻:第6050頁〜第6053頁、エルソーリ&スレイド(ElSohly & Slade)著(2005年)の「ライフサイエンシズ(Life Sci.)」第78巻:第539頁〜第548頁、ラドワン等(Radwan et al.)著(2009年)の「ジャーナル・オブ・ナチュラル・プロダクツ(J. Nat. Prod.)」,第72巻:第906頁〜第911頁、ラドワン等(Radwan et al.)著(2008年)の「プランタ・メディカ(Planta Medica)」第74巻:第267頁〜第272頁、ラドワン等(Radwan et al.)著(2008年)の「ジャーナル・オブ・ナチュラル・プロダクツ(J. Nat. Prod.)」,第69巻:第2627頁〜第2633頁、ロス等(Ross et al.)著(1995年)の「ザガジグ・ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・サイエンシズ(Zagazig J. Pharm. Sci.)」第4巻:第1頁〜第10頁、ターナー等(Turner et al.)著(1980年)の「ジャーナル・オブ・ナチュラル・プロダクツ(J. Nat. Prod.)」第43巻:第169頁〜第170頁)。カンナビノイドは、テルペノフェノール類という化学物質クラスに属し、そのうち少なくとも85種がカンナビスで独自に同定されている(ボルゲルト等(Borgelt et al.)著(2013年)の「ファーマコセラピー(Pharmacotherapy)」第33巻:第195頁〜第209頁)。
カンナビノイドは、人体中に見いだされるカンナビノイド受容体(CB1、CB2)に対するリガンドである(パートウィー(Pertwee)著(1997年)の「ファーマコロジー・アンド・セラピューティクス(Pharmacol. Ther.)」第74巻:第129頁〜第180頁)。カンナビノイドは、通常は以下の群:古典的カンナビノイド、非古典的カンナビノイド、アミノアルキルインドール誘導体、及びエイコサノイドに分けられる(パートウィー(Pertwee)著(1997年)の「ファーマコロジー・アンド・セラピューティクス(Pharmacol. Ther.)」第74巻:第129頁〜第180頁)。古典的カンナビノイドは、C.サティバLから単離されたもの、又はそれらの合成類似体である。非古典的カンナビノイドは、テトラヒドロカンナビノール(THC)の二環式類似体又は三環式類似体(ピラン環無し)である。アミノアルキルインドール及びエイコサノイドは、古典的及び非古典的カンナビノイドと比較して構造の点で実質的に異なる。最も一般的な天然の植物カンナビノイド(フィトカンナビノイド)はカンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、及びカンナビノール(CBN)である。最も精神作用性の高いカンナビノイドはΔ9−THCである。
近年、マリファナ及びその成分は、限定されるものではないが、多発性硬化症及び筋痙攣の他の形態、運動障害、偏頭痛を含む疼痛、緑内障、喘息、炎症、不眠症、並びに高血圧を含む幅広い範囲の病態の症状に対抗する事が科学文献に於いて報告されている。カンナビノイドについては、抗不安薬、抗痙攣薬、抗鬱薬、抗精神病薬、抗癌剤、及び食欲刺激薬としての有用性も存在し得る。カンナビノイドの薬理学的研究及び毒性学的研究は、殆どがΔ9−THCの合成類似体(ドロナビノールの一般名として市販)に着目されてきた。1985年に、ドロナビノールは、化学療法に関連する悪心及び嘔吐、後にAIDS関連の消耗及び拒食症の治療についてFDAによって承認された。
カンナビノイドの治療的使用は、幾つかの化合物(例えば、ドロナビノール)の精神作用特性及び経口投与された場合のそれらの低い生物学的利用能によって妨げられて来た。生物学的利用能とは、活性部分(薬物又は代謝産物)が全身循環に入り、それによって作用部位に到達する程度及び速度を指す。経口摂取されたカンナビノイドの低い生物学的利用能(約6%〜20%、アダムス&マーティン(Adams & Martin)著(1996年)の「アディクション(Addiction)」第91巻:第1585頁〜第614頁、アグレル等(Agurell et al.)著(1986年)の「ファーマコロジカル・レビューズ(Pharmacol. Rev.)」第38巻:第21頁〜第43頁、グローテンヘルマン(Grotenhermen)著(2003年)の「クリニカル・ファーマコカイネティクス(Clin. Pharmacokinet.)」第42巻:第327頁〜第360頁)は、それらの不十分な溶解特性及び大規模な初回通過代謝にあるとされている。
カンナビノイドは、体のカンナビノイド受容体を直接的又は間接的に活性化する化学物質の異形の群である。カンナビノイドの3つの主要な型:カンナビス植物に特有に存在する薬草カンナビノイド、製造される合成カンナビノイド、及びin vivoで生ずる内在性カンナビノイドがある。薬草カンナビノイドは、水中にはほぼ不溶性であるが、脂質、アルコール、及び非極性有機溶剤中に可溶性である。これらの天然カンナビノイドは、トライコームとして知られる腺構造物中に産生される粘性の樹脂中に集中している。カンナビノイドに加えて、その樹脂はテルペンに富み、それらの大部分はカンナビス植物の臭いの原因である。
主要な精神作用薬としてのΔ9−テトラヒドロカンナビノール(THC)の同定及びその化学的合成は、1964年に薬理学的物質としての合成カンナビノイドの新たな時代を切り開いた。カンナビノイド受容体及びこれらの受容体の内在性リガンドが発見されて以来、カンナビノイド研究が近年大幅に増えた。該受容体には、主に脳内で発現されるCB1及び主として免疫系の細胞上に見られるCB2が含まれる。カンナビノイド受容体は、Gタンパク質共役受容体のスーパーファミリーに属する。これらは7つの膜貫通α−ヘリックスを有する単一のポリペプチドであり、細胞外のグリコシル化されたN末端及び細胞内C末端を有する。CB1及びCB2のカンナビノイド受容体は両方とも、G1/0タンパク質に連結されている。これらの受容体に加えて、THCの薬理学的作用を模倣する事が出来るこれらの受容体の内在性リガンドも発見されている。その様なリガンドはエンドカンナビノイドと呼称され、アナンダミド及び2−アラキドノイルグリセロール(2−AG)を含んでいた。アナンダミドは、脳及び脾臓等の末梢免疫組織に於いて産生される。
CB1及びCB2に結合する事によってその作用を発揮するTHCとは異なり、カンナビジオールはこれらの受容体には結合しない為、向精神活性を有しない。その代わりに、カンナビジオールは、アナンダミドを破壊する酵素(脂肪酸アミドヒドロキシラーゼ、「FAAH」)を抑制する事によって内在性カンナビノイドシグナル伝達を間接的に刺激する。カンナビジオールは2−AGの放出も刺激する。カンナビジオールは、免疫調節特性及び抗炎症特性を有する事、抗痙攣、抗不安、及び抗精神病活性を示す事、並びに効果的な神経保護性の抗酸化剤として機能する事が報告されている。
カンナビス内のカンナビノイドは、屡々喫煙によって吸入されるが、摂取もされ得る。喫煙又は吸入されたカンナビノイドは、約30%の平均で2%〜56%の範囲の生物学的利用能が報告された(ヒュースティス(Huestis)著(2007年)の「ケミストリー・アンド・バイオダイバーシティー(Chem. Biodivers.)」第4巻:第1770頁〜第1804頁、マッギルバレー(McGilveray)著(2005年)の「ペインリサーチ・アンド・マネージメント(Pain Res. Manag.)」第10巻,補遺A:15A−22A)。このばらつきは、主として喫煙動力学の違いに起因する。口腔内の粘膜を通じて吸収されるカンナビノイド(頬粘膜適用)は、ほぼ13%の生物学的利用能を有する(カルシュナー等(Karschner et al.)著(2011年)の「クリニカル・ケミストリー(Clinical Chemistry)」第57巻:第66頁〜第75頁)。それに対して、カンナビノイドが摂取されるとき、生物学的利用能は、典型的には約6%迄減少する(カルシュナー等(Karschner et al.)著(2011年)の「クリニカル・ケミストリー(Clinical Chemistry)」第57巻:第66頁〜第75頁)。
従って、他の態様では、本発明の組成物及び方法の範囲内で、親油性活性剤はカンナビノイドである。
特定の態様では、本発明の組成物及び方法の範囲内の少なくとも1つのカンナビノイドは、以下:
からなる群から選択される。
特定の態様では、本発明の組成物及び方法に於ける少なくとも1つのカンナビノイドは、非精神作用性のカンナビノイド、例えばカンナビジオールである。幾つかの具体的に開示された態様では、カンナビノイドは、以下:
(式中、
Aは、アリールであり、特に
であるが、ピネン、例えば
ではなく、且つ
R
1基〜R
5基は、それぞれ独立して、水素、置換又は非置換の低級アルキル、置換又は非置換のカルボキシル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のアルコール、及び置換又は非置換のエーテルの群から選択され、且つR
6〜R
7は、H又はメチルである)からなる群から選択される。特定の態様では、環中に窒素は存在せず、及び/又は環上にアミノ置換基は存在しない。
他の態様では、カンナビノイドは、
(式中、A環上の破線によって示される任意の二重結合によって示される様に、A環上には0個〜3個の二重結合が存在し得る)からなる群から選択される。C環は芳香族であり、且つB環はピランであり得る。特定の態様は、ジベンゾピラン及びシクロヘキセニルベンゼンジオールである。本発明のカンナビノイドの特定の態様は、高度に脂溶性でもあり得て、特定の態様では、水溶液中に僅かにのみ溶解され得る(例えば、10mg/ml以下)。有用な態様では、中性pHでのオクタノール/水分配率は、5000以上、例えば6000以上である。この高い脂溶性は、1.5L/kg以上、例えば3.5L/kg、7L/kg、又は理想的には10L/kg以上、例えば少なくとも20L/kgのその分布容積(Vd)によって反映される様に、中枢神経系(CNS)内への薬物の浸透を増強する。特定態様は、CNS内に浸透し得る高度に水溶性の誘導体、例えばカルボキシル誘導体でもあり得る。
R7〜18は、独立して、H、置換又は非置換のアルキル、特に低級アルキル、例えば非置換のC1〜C3アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、特に低級アルコキシ、例えばメトキシ又はエトキシ、置換又は非置換のアルコール、及び非置換又は置換カルボキシル、例えばCOOH又はCOCH3の群から選択される。他の態様では、R7〜18は置換又は非置換のアミノ、及びハロゲンでもあり得る。
特定の態様では、本発明の組成物及び方法の範囲内の少なくとも1つのカンナビノイドは非精神作用性のカンナビノイドであり、即ち、カンナビノイドは、カンナビノイド受容体によって媒介される精神作用活性を実質的に有しない(例えば、300nM以上、例えば1μM以上のカンナビノイド受容体でのIC50及び250nM超、特に500nM〜1000nM、例えば1000nM超のKi)。
他の特定の態様では、本発明の組成物及び方法の範囲内のカンナビノイドは、
(式中、R
19は、置換又は非置換のアルキル、例えば低級アルキル(例えばメチル)、低級アルコール(例えばメチルアルコール)、又はカルボキシル(例えばカルボン酸)、及び酸素(=Oの様な)であり、R
20は、水素又はヒドロキシであり、R
21は、水素、ヒドロキシ、又はメトキシであり、R
22は、水素又はヒドロキシであり、R
23は、水素又はヒドロキシであり、R
24は、水素又はヒドロキシであり、R
25は、水素又はヒドロキシであり、R
26は、置換若しくは非置換のアルキル(例えばn−メチルアルキル)、置換若しくは非置換のアルコール、又は置換若しくは非置換のカルボキシである)からなる群から選択される。
他の特定の態様では、本発明の組成物及び方法の範囲内のカンナビノイドは、
(式中、環の位置のそれぞれの番号付け規則が示されており、R
27、R
28、及びR
29は、独立してH、CH
3等の非置換の低級アルキル、及びCOCH
3等のカルボキシルからなる群から選択される)からなる群から選択される。この定義に含まれる非精神作用性のカンナビノイドの特定の例は、カンナビジオール
及びカンナビジオールの他の構造的類似体である。
他の特定の態様では、本発明の組成物及び方法の範囲内のカンナビノイドは、
(式中、R
27、R
28、及びR
29は、独立してH、CH
3等の低級アルキル、及びCOCH
3等のカルボキシルからなる群から選択され、特に、
a)R
27=R
28=R
29=H
b)R
27=R
29=H、R
28=CH
3
c)R
27=R
28=CH
3、R
29=H
d)R
27=R
28=COCH
3、R
29=H
e)R
27=H、R
28=R
29=COCH
3)からなる群から選択される。
R27=R28=R29=Hの場合に、化合物はカンナビジオール(CBD)である。R27=R29=H、且つR28=CH3の場合に、化合物はCBDモノメチルエーテルである。R27=R28=CH3、且つR29=Hの場合に、化合物はCBDジメチルエーテルである。R27=R28=COCH3、且つR29=Hの場合に、化合物はCBD二酢酸エステルである。R27=H、且つR28=R29=COCH3の場合に、化合物はCBD一酢酸エステルである。
テルペン及びテルペノイド
テルペンは、5炭素イソプレン単位に由来する有機炭化水素の多様な群であり、多岐に亘る植物によって産生される。テルペノイドは、化学修飾されてヘテロ原子を含む官能基が付加されたテルペンである。テルペン及びテルペノイドは、ホルモン、ビタミン、色素、ステロイド、樹脂、及び精油の重要な構成要素である。テルペンはカンナビスに天然に存在するが、抽出過程の間に取り出す事が出来る。テルペン及びテルペノイドは、様々な薬学的(薬力学的)効果を有し、所望の薬学的活性に合わせて選択され得る。
一実施形態では、テルペン/テルペノイドはリモネンを含む。リモネンは、環状テルペンに分類される無色の液体炭化水素である。より一般的なD−異性体は、強いオレンジの香りと苦い味覚を有している。リモネンは、カルボンの前駆体として化学合成で使用されると共に、洗浄製品に於ける溶剤としても使用される。リモネンはキラル分子である。生物学的供給源は1つのエナンチオマーを生じ、主要な産業的供給源の柑橘系の果物は、(R)−エナンチオマーであるD−リモネン((+)−リモネン)(CAS番号5989−27−5、EINECS番号227−813−5)を含む。ラセミ体リモネンはジペンテンとして知られている。そのIUPAC名は1−メチル−4−(1−メチルエテニル)−シクロヘキセンである。これは、4−イソプロペニル−1−メチルシクロヘキセンp−メンタ−1,8−ジエンのラセミ体:DL−リモネン;ジペンテンとしても知られている。
リモネンは、医学、食品、及び香料で使用されてきた歴史がある。リモネンは、非常に低い毒性を有し、ヒトがそれにアレルギーを起こす事は稀である。リモネンは胃逆流症の治療薬及び抗真菌剤として使用される。そのタンパク質に浸透する能力は、足の爪の真菌の有用な治療を可能にする。リモネンは、鬱病及び不安の治療にも使用される。リモネンは、皮膚、粘膜、及び消化管を通じた他のテルペノイド及び化学物質の吸収を助けると報告されている。リモネンは免疫刺激特性を有する。リモネンは植物性殺虫剤としても使用される。
リモネンの主な代謝産物は、(+)−トランス−カルベオール及び(−)−トランス−カルベオール(6−ヒドロキシル化の生成物)並びに(+)−ペリリルアルコール及び(−)−ペリリルアルコール(ヒト肝臓ミクロソームに於けるCYP2C9及びCYP2C19シトクロムによる7−ヒドロキシル化の生成物)である。ペリリルアルコールのエナンチオマーは、食事化学療法剤としての薬理学的可能性について調査されてきた。これらは、幾つかのCNS新生物及び他の固形腫瘍に於ける、特に神経膠腫の治療の為の新しい治療選択肢と考えられている。ペリリルアルコール及びリモネン代謝産物の細胞毒性活性は、それらの抗血管新生特性、温熱療法誘発効果、負のアポトーシス調節、及びRas経路への効果に起因する可能性が高い。
別の実施形態では、テルペン/テルペノイドはリナロオールを含む。リナロオールは、多くの花及び香辛料植物に見られる天然に存在するテルペンアルコール化学物質であり、大部分がその心地よい香り(フローラルで僅かにスパイシー)に基づく多くの商業的用途を有する。リナロオールは、β−リナロオール、リナリルアルコール、リナロイルオキシド、p−リナロオール、アロオシメノール、及び3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン−3−オールとしても知られている。そのIUPAC名は3,7−ジメチルオクタ−1,6−ジエン−3−オールである。
主にシソ科、クスノキ科、及びミカン科に於いて200種を超える植物がリナロオールを産生する。リナロオールは一部の真菌でも発見されている。リナロオールは、睡眠補助剤として何千年もの間使用されてきた。リナロオールはビタミンEの形成に於ける重要な前駆体である。リナロオールには、精神病及び不安の両方の治療での、並びに抗癲癇薬としての使用の歴史がある。リナロオールは、鎮痛性の疼痛緩和をもたらす。その蒸気は、ノミ、ミバエ、及びゴキブリに対する効果的な殺虫剤である事が分かっている。リナロオールは、石鹸、洗剤、シャンプー、及びローションを含む賦香衛生製品及び洗浄剤の推定60%〜80%で香りとして使用されている。
別の実施形態では、テルペン/テルペノイドはミルセンを含む。ミルセン又はβ−ミルセンは、オレフィン系の天然有機化合物である。ミルセンは、炭化水素として、より正確にはモノテルペンとして分類される。テルペンはイソプレンの二量体であり、ミルセンは最も重要なものの1つである。ミルセンは、月桂樹、カンナビス、イランイラン、ワイルドタイム、マンゴー、パセリ、及びホップを含む幾つかの植物の精油の成分である。ミルセンは主にミルシアから半合成的に生産され、それが名前の由来である。ミルセンは、幾つかのフレグランスの製造に於ける重要な中間体である。α−ミルセンは構造異性体2−メチル−6−メチレン−1,7−オクタジエンの名称であり、これは自然界には見られず、殆ど使用されていない。そのIUPAC名は7−メチル−3−メチレン−1,6−オクタジエンである。
ミルセンには鎮痛効果があり、これがレモングラスティーの薬理作用の原因である可能性が高い。ミルセンは、プロスタグランジンE2による抗炎症特性を有する。鎮痛作用はマウスでのナロキソン又はヨヒンビンによって遮断され得る事から、α2−アドレナリン受容体の刺激による内因性オピオイドの放出によって媒介される事が示唆される。β−ミルセンは抗炎症特性を有すると報告されており、痙攣、睡眠障害、及び疼痛の治療に使用される。ミルセンは、血液脳関門を越える抵抗力を低下させ、それ自体及び多くの他の化学物質がより効果的に血液脳関門を通過する事を可能にする。
別の実施形態では、テルペン/テルペノイドはα−ピネンを含む。α−ピネンは、植物及び動物の両方で生理学的に重要な主要なモノテルペンの1つである。α−ピネンはアルケンであり、反応性の4員環を含んでいる。α−ピネンは他の化学物質と反応して、D−リモネン及び他の化合物を含む他の様々なテルペンを形成する傾向がある。α−ピネンは、喘息の治療に於ける気管支拡張薬として何世紀にも亘って使用されてきた。α−ピネンは生物学的利用能が高く、60%のヒトの肺への取り込みと迅速な代謝を伴う。α−ピネンはPGE1を介した抗炎症薬であり、広域スペクトル抗生物質であると思われる。α−ピネンはアセチルコリンエステラーゼ阻害剤として作用し、記憶の補助となる。同定されたα−ピネンの生成物には、ピノンアルデヒド、ノルピノンアルデヒド、ピニン酸、ピノン酸、及びピナリン酸が含まれる。
ピネンは針葉樹、松、及びオレンジに見出される。α−ピネンはテレビン油の主成分である。そのIUPAC名は(1S,5S)−2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ−2−エン((−)−α−ピネン)である。
別の実施形態では、テルペン/テルペノイドはβ−ピネンを含む。β−ピネンは、樹木によって放出される最も豊富な化合物の1つである。β−ピネンは、ピネンの2つの異性体の1つであり、もう1つはα−ピネンである。β−ピネンは一般的なモノテルペンであり、空気中で酸化されると、ピノカルベオール及びミルテノールファミリーのアリル生成物が優勢となる。そのIUPAC名は6,6−ジメチル−2−メチレンビシクロ[3.1.1]ヘプタンであり、2(10)−ピネン、ノピネン、シュードピネンとしても知られている。β−ピネンは、クミン、レモン、松、及び他の植物に見出される。
別の実施形態では、テルペン/テルペノイドは、β−カリオフィレンとしても知られるカリオフィレンを含む。カリオフィレンは、クローブ、カンナビス、ローズマリー、及びホップを含む多くの精油の成分である天然の二環式セスキテルペンである。β−カリオフィレンは通常、イソカリオフィレン(シス二重結合異性体)及び開環異性体のα−フムレンの混合物として見出される。カリオフィレンは、珍しいシクロブタン環を有する事で有名である。そのIUPAC名は4,11,11−トリメチル−8−メチレン−ビシクロ[7.2.0]ウンデカ−4−エンである。
カリオフィレンは、黒コショウの辛さに寄与する化合物の1つであることが知られている。スイス連邦工科大学によって実施された研究では、β−カリオフィレンは、カンナビノイド受容体2型(CB2)の選択的アゴニストであり、マウスに於いて有意な大麻類似性の抗炎症効果を発揮する事が分かった。抗侵害受容活性、神経保護活性、抗不安活性、抗鬱活性、及び抗アルコール活性はカリオフィレンと結びつけられている。β−カリオフィレンはFDA承認の食品添加物である為、初の食事性カンナビノイドと見なされる。
別の実施形態では、テルペン/テルペノイドはシトラールを含む。シトラール、即ち3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナール又はレモナールは、分子式C10H16Oを有するテルペノイドのペア又は混合物の何れかである。2つの化合物は二重結合異性体である。E−異性体はゲラニアール又はシトラールAとして知られている。Z−異性体はネラール又はシトラールBとして知られている。そのIUPAC名は3,7−ジメチルオクタ−2,6−ジエナールである。これは、シトラール、ゲラニアール、ネラール、ゲラニアルデヒドとしても知られている。
シトラールは、レモンマートル、レモングラス、バーベナ、ライム、レモン、及びオレンジを含む幾つかの植物の油中に存在する。ゲラニアールは明白なレモンの匂いを有する。ネラールのレモンの香りはそれ程強くはないが、甘い香りがする。シトラールは、柑橘系の品質の為に主に香料で使用される。シトラールはフレーバーとして使用されると共に、レモンオイルを強化する為にも使用される。シトラールは強力な抗微生物特性及び昆虫に於けるフェロモン効果を有している。シトラールは、ビタミンA、イオノン、及びメチルイオノンの合成に使用される。
別の実施形態では、テルペン/テルペノイドはフムレンを含む。α−フムレン又はα−カリオフィレンとしても知られるフムレンは、2つが三置換され、1つが二置換された3つの非共役C=C二重結合を含む3つのイソプレン単位からなる11員環である天然に存在する単環式セスキテルペン(C15H24)である。これはフムルス・ルプルス(Humulus lupulus)(ホップ)の精油中で初めて発見された。フムレンはβ−カリオフィレンの異性体であり、多くの芳香植物では、屡々これら2つが混合物として一緒に見られる。
フムレンは哺乳類に抗炎症効果をもたらす事が分かっている事から、炎症性疾患の管理の可能性が示される。フムレンはデキサメタゾンと同様の効果を生じ、ヒスタミン注射によって引き起こされる浮腫形成を減少させる事が判明した。フムレンは、カラギーナンが注射されたラットに於いて、腫瘍壊死因子−α(TNFα)及びインターロイキン−1β(IL1B)の生成に対して阻害効果をもたらした。漢方薬では、これはβ−カリオフィレンとブレンドされ、炎症用のレメディーとして使用される。
他の例示的なテルペン及びテルペノイドには、メントール、ユーカリプトール、ボルネオール、プレゴン、サビネン、テルピネオール、及びチモールが含まれる。一実施形態では、例示的なテルペン/テルペノイドはユーカリプトールである。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)
NSAIDは、世界中のペインマネジメント治療オプションの2番目に大きいカテゴリーである。世界的なペインマネジメント市場は2011年には220億ドルと見積もられており、この市場の54億ドルがNSAIDによって賄われている。米国は世界的な市場の二分の一以上を占める。オピオイド市場(モルヒネ等)は最も大きい単一のペインマネジメント部門を形成するが、深刻な依存性及び耐性の問題を伴う事が知られている。
NSAIDは一般的に疼痛の安全で有効な治療方法であるが、それらは消化不良及び胃出血を含む多くの胃腸の問題を伴っている。
本発明の組成物及び方法によるNSAIDの送達は、胃腸への悪影響が低減された疼痛緩和の有益な特性をもたらし、より低い投薬量の有効成分を送達して、様々な適応症に及ぶペインマネジメントの結果がもたらされる。
従って、他の態様では、本発明の組成物及び方法の範囲内で、親油性活性剤はNSAIDであり、特にNSAIDは、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、アセトアミノフェン、ジクロフェナク、インドメタシン、及びピロキシカムからなる群から選択される。
ビタミン
世界的なビタミン及びサプリメントの市場は、ユーロモニター(Euromonitor)によれば680億ドルに相当する。このカテゴリーは幅広く且つ深く、多くの一般的な物質及び幾つかのより知名度の低い物質から構成される。ビタミンは一般的に米国に於いて85億ドルの年間市場であると考えられている。米国は世界中で最も大きな単一の国内市場であり、中国及び日本は2番目及び3番目に大きなビタミン市場である。
ビタミンEは脂溶性であり、細胞膜へと導入され得る事から、細胞膜を酸化的障害から保護し得る。天然起源のビタミンEの世界的な消費は2013年に10900メトリックトンであり、6億1190万ドルに相当する。
本発明の組成物及び方法による脂溶性ビタミンの送達により、より少ない無駄及びより低い投薬量がもたらされる事となる。加えて、丸剤の摂取は多くの者にとって不快な経験である為、通常の食品群によるビタミン送達は需要及び使用を大幅に拡張するであろう。
従って、他の態様では、本発明の組成物及び方法の範囲内で、親油性活性剤はビタミンであり、特に、このビタミンはビタミンEである。
ニコチン化合物
ニコチンは、植物性殺虫剤として作用するタバコの葉の天然成分である(フッカネン等(Hukkanen et al.)著(2005年)の「ファーマコロジカル・レビューズ(Pharmacological Reviews)」第57巻:第79頁〜第115頁)。市販の紙巻タバコの総アルカロイド含有量の約95%を構成し、ニコチンは市販の紙巻タバコの約1.5重量%を構成する(フッカネン等(Hukkanen et al.)著(2005年)の「ファーマコロジカル・レビューズ(Pharmacological Reviews)」第57巻:第79頁〜第115頁)。経口嗅ぎタバコ及びパイプタバコは、紙巻タバコと同様の濃度のニコチンを含むが、葉巻及び噛みタバコは典型的には、紙巻タバコのニコチン濃度の約半分しか含まない(フッカネン等(Hukkanen et al.)著(2005年)の「ファーマコロジカル・レビューズ(Pharmacological Reviews)」第57巻:第79頁〜第115頁)。平均的なタバコロッドには典型的には、10mg〜14mgのニコチンを含み(フッカネン等(Hukkanen et al.)著(2005年)の「ファーマコロジカル・レビューズ(Pharmacological Reviews)」第57巻:第79頁〜第115頁)、平均して約1mg〜1.5mgのニコチンが喫煙中に全身に吸収される(フッカネン等(Hukkanen et al.)著(2005年)の「ファーマコロジカル・レビューズ(Pharmacological Reviews)」第57巻:第79頁〜第115頁)。タバコ中のニコチンは主に左旋性(S)−異性体であり、総ニコチン含有量の僅か0.1%〜0.6%が(R)−ニコチンである(フッカネン等(Hukkanen et al.)著(2005年)の「ファーマコロジカル・レビューズ(Pharmacological Reviews)」第57巻:第79頁〜第115頁)。タバコの煙の(R)−ニコチン含有量はより高く、煙中のニコチンの10%迄が(R)−異性体であると報告されており、これは燃焼中に発生するラセミ化に起因すると考えられている(フッカネン等(Hukkanen et al.)著(2005年)の「ファーマコロジカル・レビューズ(Pharmacological Reviews)」第57巻:第79頁〜第115頁)。
世界的に消費されている全てのニコチンの99%よりも多くは、紙巻タバコの喫煙によって送達される。アメリカ疾病管理予防センターによれば、世界的に1年当たり凡そ6000000件の死亡が主として喫煙行為によるニコチンの送達に起因し、米国だけで成人喫煙者の為の直接的な医療ケアコストに1年当たり1700億ドル超が費やされているとも見積もられている。毎年12ヶ月の期間に於いて、米国の成人喫煙者の69%は断煙を求めており、米国の成人喫煙者の43%は断煙を試みている。
世界的に、小売紙巻タバコの売上は2013年には7220億ドルに相当し、5.7兆本を超える煙草が10億人よりも多くの喫煙者に販売された。当該技術分野では、活性剤の生物学的利用能の向上、不快な味覚のマスキング、及び追加の活性剤の導入を含む、喫煙物品及び/又は無煙タバコ製品に有用なタバコ(及びタバコ組成物及び配合物)の特性及び性質を変える更なる方法を提供する事が望まれる事となる。更に、本発明の組成物及び方法による現行の需要を満たすニコチンの送達は、紙巻タバコの消費者需要を部分的に軽減し得る。ニコチン消費の有害な衛生アウトカムの殆どは送達方法に関連し、ニコチンの実際の摂取に関連する程度はより低いに過ぎない為、紙巻タバコの喫煙を減らす事によって大きな良好な公衆衛生アウトカムが達成され得る。
従って、他の態様では、本発明の組成物及び方法の範囲内で、親油性活性剤はニコチン化合物である。タバコアルカロイドには、ニコチン及びニコチン様又はニコチン関連の薬理学的に活性な化合物、例えばノルニコチン、ロベリン等、並びに遊離塩基物質のニコチン及びニコチンのあらゆる薬理学的に許容可能な酸付加塩を含む塩が含まれる。従って、「ニコチン化合物」には、その用語が本明細書で使用される場合に、上述の全てのタバコアルカロイドだけでなく、限定されるものではないが、ニコチン酒石酸水素塩及び重酒石酸ニコチン二水和物並びにニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン硫酸塩、ニコチンクエン酸塩、ニコチン塩化亜鉛一水和物、ニコチンサリチル酸塩、ニコチン油、シクロデキストリンと複合体化されたニコチン、ニコチンポラクリレックス等のポリマー樹脂、ニコチン樹脂酸塩、及び他のニコチンイオン交換樹脂の単独又は組み合わせの何れかを含むニコチン塩も含まれる。ニコチン化合物には、限定されるものではないが、以下に(S)−ニコチン、ノルニコチン、(S)−コチニン、β−ニコチリン、(S)−ニコチン−N’−オキシド、アナバシン、アナタビン、ミオスミン、β−ノルニコチリン、4−(メチルアミノ)−1−(3−ピリジル)−1−ブテン(メタニコチン)のシス型又はトランス型、N’−メチルアナバシン、N’−メチルアナタビン、N’−メチルミオスミン、4−(メチルアミノ)−1−(3−ピリジル)−1−ブタノン(シュードオキシニコチン)、及び2,3’−ビピリジルについて示される構造を含むニコチン類似体も含まれる(フッカネン等(Hukkanen et al.)著(2005年)の「ファーマコロジカル・レビューズ(Pharmacological Reviews)」第57巻:第79頁〜第115頁):
ニコチン化合物は、遊離塩基形、カプセル化形、イオン化形及び噴霧乾燥形を含む、当該技術分野で良く知られる1つ以上の別個の物理的形態で使用され得る。
ニコチンの化学、吸収、代謝、反応速度論及びバイオマーカーに関する追加の説明については、フッカネン等(Hukkanen et al.)著(2005年)の「ファーマコロジカル・レビューズ(Pharmacological Reviews)」第57巻:第79頁〜第115頁、及びベノウィッツ等(Benowitz et al.)著(2009年)の「ハンドブック・オブ・エクスペリメンタル・ファーマコロジー(Handb. Exp. Pharmacol.)」第192巻:第29頁〜第60頁に記載されており、これらは両方とも附属書Cとして添付されており、引用する事によりその全体が本明細書に援用される。
ホスホジエステラーゼ5型阻害剤
ホスホジエステラーゼ5型阻害剤(PDE5阻害剤)は、陰茎の海綿体に供給する血管を内張りする平滑筋細胞に於いて、サイクリックGMPに対するcGMP特異的ホスホジエステラーゼ5型(PDE5)の分解作用を遮断する。バルデナフィル(レビトラ(登録商標))、シルデナフィル(バイアグラ(登録商標))、及びタダラフィル(シアリス(登録商標))を含むこれらの薬物は、勃起不全の治療の為に経口投与され、該病態に利用可能な初の有効な経口治療薬であった。
PDE5阻害剤は、心血管及び心臓病を含む他の臨床使用についても同様に研究されている。例えば、PDE5は肺内の動脈壁平滑筋にも存在する為、PDE5阻害剤は肺高血圧及び嚢胞性線維症等の肺疾患の為にも検討されている。肺動脈血圧の持続的亢進を特徴とする疾患の肺動脈性高血圧は、心臓の右心室不全の発生率の増加を引き起こし、これは又、体液により過剰負荷と成った肺の血管をもたらし得る。2つの経口PDE5阻害剤のシルデナフィル(レバチオ(登録商標))及びタダラフィル(アドシルカ(登録商標))が肺動脈性高血圧の治療について承認されている。PDE5阻害剤は、嚢胞性線維症疾患の動物モデルに於いてCFTRタンパク質異常のコレクター及びポテンシエーターの両方としての活性を有する事が見い出されている(ルバンバ等(Lubamba et al.)著,「アメリカン・ジャーナル・オブ・レスピラトリー・アンド・クリティカルケアメディシン(Am. J. Respir. Crit. Care Med.)」(2008年)第177巻:第506頁〜第515頁、ルバンバ等(Lubamba et al.)著,「ジャーナル・オブ・システィックフィブローシス(J. Cystic Fibrosis)」(2012年)第11巻:第266頁〜第273頁)。シルデナフィルは、嚢胞性線維症の潜在的な抗炎症性治療薬としても研究されている。経口のPDE5阻害剤は、抗リモデリング特性を有する事及び後負荷変化とは無関係に心臓変力作用を改善し、良好な安全性プロファイルを有する事も報告されている(ジャンネッタ等(Giannetta et al.)著,「BMCメディシン(BMC Medicine)」(2014年)第12巻:第185号)。しかしながら、PDE5阻害剤の経口投与は、不十分且つばらつきのある生物学的利用能、そして更に肝臓に於ける大規模な代謝をもたらす(サンドクヴィスト等(Sandqvist et al.)著,「ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・クリニカルファーマコロジー(Eur. J. Clin. Pharmacol.)」(2013年)第69巻:第197頁〜第207頁、メロトラ(Mehrotra)著,「インターナショナル・ジャーナル・オブ・インポテンス・リサーチ(Intl. J. Impotence Res.)」(2007年)第19巻:第253頁〜第264頁)。経口用量が一定のレベルを越えて増えると、全身副作用の発生率が増大する事により、これらの薬物の許容可能な使用が妨げられる(レビトラのEMEA科学的考察文書(Levitra EMEA Scientific Discussion Document),2005年)。
従って、他の態様では、本発明の組成物及び方法の範囲内では、PDE5阻害剤には、限定されるものではないが、アバナフィル、ロデナフィル、ミロデナフィル、シルデナフィル(又はその類似体、例えば、アセチルデナフィル、ヒドロキシアセチルデナフィル、若しくはジメチルシルデナフィル)、タダラフィル、バルデナフィル、ウデナフィル、アセチルデナフィル、又はチオメチソシルデナフィルが含まれる。これらの化合物の構造をそれぞれ以下に示す:
マカ抽出物
レピディウム・メエニイ(Lepidium meyenii)(マカ、マカマカ、メイノー、アヤックチキラ、及びアヤックウィルク)は、2000年以上に亘って栽培されているアブラナ科のペルーの植物である。その主な有効成分は、アルカロイド(マカリジン、レピジリンA及びB)、ベンシル−イソチオシアネート(bencil-isotiocyanate)及びグルコシノレート、マカミド、β−エクジソン、及びフィトステロールである。これらの物質は、エネルギー付与特性を与えるATP合成を活性化する。これらの物質は、コルチコステロンの高いレベルを低下させるので、ストレスによって生じる恒常性の変動も減弱させ、グルコースの減少及びストレスによる副腎の重量増加を防ぐ。これらの物質は又恒常性を回復し、エネルギーを向上させる(ロペス−ファンド等(Lopez-Fando et al.)著(2004年)の「フィトセラピー・リサーチ(Phytother Res.)」第18巻:471頁〜第474頁)。種々の用量のレピディウム・メエニイ(Lepidium meyenii)を有する活性治療薬をプラセボと比較した二重盲検プラセボ対照無作為化並行試験研究では、性的欲求の向上が示された(ゴンザレス等(Gonzales et al.)著(2002年)の「アンドロジア(Andrologia)」第34頁:第367頁〜第372頁)。レピディウム・メエニイ(Lepidium meyenii)は、LH、FSH、PRL、T、及びE2とは無関係のメカニズムによって、精子生産及び精子運動性も改善する(ゴンザレス等(Gonzales et al.)著(2001年)の「アジアン・ジャーナル・オブ・アンドロロジー(Asian J. Androl.)」第3巻:第301頁〜第303頁)。
エストロゲン
本明細書で使用される場合に、「エストロゲン」には、エストラジオール(17−β−エストラジオール)、安息香酸エストラジオール、エストラジオール17β−シピオネート、エストロピペート、エクイレニン、エクイリン、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、結合型エストロゲン、エステル化エストロゲン及びそれらの混合物等のエストロゲン様ステロイドが含まれる。
エストロゲンは、組織及び骨の維持にとって重要であり、その為に使用される内因性の合成ホルモンの群を指す。エストロゲンは、生殖器系の発達及び維持に関与する細胞過程に於ける内分泌調節物質である。生殖生物学、閉経後のほてりの防止、及び閉経後の骨粗鬆症の防止に於けるエストロゲンの役割は十分に確立されている。エストラジオールは、主な内因性ヒトエストロゲンであり、女性及び男性の両方に見られる。
エストロゲン及び抗エストロゲンの生物学的作用は、2つの異なる細胞内受容体であるエストロゲン受容体α(ERα)及びエストロゲン受容体β(ERβ)を介して現れる。内因性エストロゲンは典型的には、両方の受容体サブタイプの強力な活性化物質である。例えば、エストラジオールは、乳房組織、骨組織、心臓血管組織、及び中枢神経系組織を含む多くの組織に於いて、ERαアゴニストとして作用する。選択的エストロゲン受容体調節物質は一般に、異なる組織に於いて異なる作用を有する。例えば、SERMは、乳房に於いてERαアンタゴニストであり得るが、子宮、骨、及び心臓血管系に於いて部分ERαアゴニストであり得る。従って、エストロゲン受容体リガンドとして作用する化合物は、様々な病態及び障害を治療する上で有用である。
プロゲステロン及びプロゲスチン
本明細書で使用される「プロゲステロン」という用語は、プロゲスチンファミリーのメンバーを指し、21炭素ステロイドホルモンを含む。プロゲステロンは、D4−プレグネン−3,20−ジオン、4−プレグネン−3,20−ジオン、又はプレグナ−4−エン−3,20−ジオンとしても知られている。プロゲスチンは、その構造がプロゲステロンの構造に関連し、合成により得られ、プロゲステロンの生物学的活性を保持する分子である。代表的な合成プロゲスチンには、限定されるものではないが、17a−OHエステルを生ずる修飾物(即ち、17a−ヒドロキシプロゲステロンカプロエート)、並びに6a−メチル置換基、6−Me置換基、6−エン置換基、及び6−クロロ置換基をプロゲステロンへと導入する修飾物(即ち、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、及び酢酸クロマジノン)が含まれる。
テストステロン
テストステロンは、精巣で形成される主要な男性ホルモンである。現在、テストステロン療法は、男性性腺機能低下症の治療に適用されている。テストステロンは、AIDS及び癌に伴う消耗状態の治療、60歳を超える男性に於けるテストステロン補充、骨粗鬆症、女性の為の併用ホルモン補充療法、及び男性生殖能コントロールについても研究されている。
経口投与されたテストステロンは殆どが肝臓で分解され、従ってテストステロンが体循環に達する事が出来ない為、これはホルモン補充の実行可能な選択肢ではない。更に、分解を減らす様に修飾されたテストステロンの類似体(例えば、メチルテストステロン及びメタンドロステノロン)は、肝酵素及び抱合型ビリルビンの上昇等の肝機能の異常と関連している。注射されたテストステロンは、テストステロンの通常の変動と似ていないテストステロン濃度の広い最高最低間の変動をもたらし、血漿中の生理学的レベルの維持を困難にする。テストステロン注射は、気分のむら及び血清脂質レベルの上昇にも関連している。注射には筋肉内送達の為に大きな針が必要とされる事から、不快感の為に患者のコンプライアンスの低下に繋がる。
これらの問題を克服する為に、より患者に優しい方式で治療効果を達成する経皮送達アプローチが開発されてきた。例えば、米国特許第5,460,820号明細書は、女性に50μg/日〜500μg/日のテストステロンを送達する為のテストステロン送達パッチを開示している。更に、米国特許第5,152,997号明細書は、皮膚浸透促進剤を含むテストステロンのリザーバーと、該リザーバーが接着剤担体装置又は基礎接着剤層等の皮膚との拡散関係を維持する手段とを備える装置を開示している。
フェンタニル
フェンタニル(フェンタニールとしても知られる)は、急速な発現及び短い作用持続時間を伴う強力な合成麻薬性鎮痛薬である。フェンタニルはμ−オピオイド受容体に於ける強力なアゴニストである。フェンタニルは、SUBLIMAZE、ACTIQ、DUROGESIC、DURAGESIC、FENTORA、ONSOLIS INSTANYL、ABSTRAL等の商品名で製造されている。歴史的には、フェンタニルは慢性突出痛の治療に用いられており、一般に手技前にベンゾジアゼピンと組み合わせて麻酔薬として使用される。フェンタニルはモルヒネのおよそ100倍強力であり、鎮痛活性に於いて100マイクログラムのフェンタニルが10mgのモルヒネ及び75mgのペチジン(メペリジン)とほぼ同等である。
好適なフェンタニル類似体には、限定されるものではないが、以下の、超短時間作用性(5分間〜10分間)鎮痛薬であるアルフェンタニル(商品名ALFENTA)、特定の手術及び重度のオピオイド耐性/オピオイド依存症患者の手術に於いて使用される強力な鎮痛薬であるスフェンタニル(商品名SUFENTA)、現在最も短時間作用性のオピオイドであり、長時間注入の後であっても急速に消失するという利益を有するレミフェンタニル(商品名ULTIVA)、モルヒネの10000倍の鎮痛効力を有するフェンタニルの類似体であり、獣医学診療に於いてゾウ等の特定の大型動物を動けなくするのに使用されるカルフェンタニル(商品名WILDNIL)、及びカルフェンタニルより僅かに高い効力を有するフェンタニルの類似体であるロフェンタニルが含まれる。
ブプレノルフィン
ブプレノルフィン(17−(シクロプロピル−メチル)−α−(1,1−ジメチルエチル)−4,5−エポキシ−18,19−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−6−メトキシ−α−メチル−6,14−エテノモルフィナン−7−メタノール)は、エンドエチレンモルフィナン誘導体であり、強力な鎮痛効果を有するμ−オピオイド受容体の部分アゴニストである。ブプレノルフィンは部分合成アヘン剤であり、このクラスの物質の他の化合物に対するその利点はより高い活性にある。これは、ほぼ1mgの日用量で、末期に非常に不利な診断を受けた癌患者又は腫瘍患者に於いて痛みからの解放が達成され得る事を意味している。この文脈で合成オピオイドフェンタニル及びその類似体に対するブプレノルフィンの特徴は、ブプレノルフィンの中毒性の可能性がこれらの化合物よりも低い事である。不利点は、ブプレノルフィンの高い分子量、即ち467.64ダルトンの分子量の為、慣例的にその経皮吸収を行う事が困難であった事である。
スコポラミン
スコポラミンは所謂制吐薬であり、好ましくは、例えば、旅行中に繰り返しバランスの変化を受ける事で催す吐気及び嘔吐を抑える為に使用される。スコポラミンは、以下の化学構造:
によって表される。
スコポラミン類似体は本発明の組成物及び方法によっても包含される。「スコポラミン類似体」という語句は、一般にスコポラミンと同じ骨格を有するが、様々な部分が他の置換基又は部分によって置換又は置き換えられている化合物を含むと理解される。本明細書に開示される組成物及び方法で使用され得るスコポラミン類似体の幾つかの例には、限定されるものではないが、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、リン酸、硫酸等の様な様々な酸とのスコポラミンの塩が含まれる。一態様では、適切なスコポラミン類似体は、臭化水素酸スコポラミンであり得る。
スコポラミン類似体の追加の例には、限定されるものではないが、スコポラミンのN−アルキル化類似体、即ち、窒素原子に結合したアルキル置換基を含み、第四級アンモニウム種を形成する類似体が含まれる。「アルキル」とは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシル等の様な1個〜24個の炭素原子の分岐状又は非分岐状の飽和炭化水素基を意味する。アルキル基は置換又は非置換であってもよい。
その様なN−アルキル化スコポラミン類似体の他の塩(例えば、薬学的に許容可能な塩)も含まれる。
スコポラミン類似体の尚も更なる例には、限定されるものではないが、スコポラミンの脱エポキシ化類似体、即ち、エポキシ基が取り除かれた類似体が含まれる。その様な類似体の一例はアトロピンである。スコポラミンと同様に、アトロピンは様々な塩及びN−アルキル化類似体を有する。これらのアトロピン類似体は、「スコポラミン類似体」という語句に含まれる事が意図される。従って、スコポラミン類似体の更なる例には、限定されるものではないが、様々な塩を含むアトロピンの類似体(例えば、臭化水素酸アトロピン、塩酸アトロピン等)及びアトロピンのN−アルキル化類似体(例えば、臭化メチルアトロピン)が含まれる。ホマトロピン並びにその塩及びN−アルキル化類似体も含まれる。
商業的商品名を含む開示された組成物及び方法で使用され得る適切なスコポラミン類似体の一覧としては、限定されるものではないが、アトロピン、臭化水素酸アトロピン、塩酸アトロピンオキシド、硫酸アトロピン、ベラドンナ、スコポラミン、臭化水素酸スコポラミン、臭化メチルスコポラミン、臭化ブチルスコポラミン、ホマトロピン、イプラトロピウム、チオトロピウム、硫酸ヒヨスチアミン、メトスコポラミン、臭化メトスコポラミン、臭化水素酸ホマトロピン、臭化メチルホマトロピン、ヒヨスチアミン、臭化水素酸ヒヨスチアミン、硫酸ヒヨスチアミン、臭化プロパンテリン、アニソトロピン、臭化メチルアニソトロピン、臭化メタンテリン、臭化エメプロニウム、クリンジニウム、臭化クリジニウム、ヒヨスチン、臭化ブチルヒヨスチン、臭化水素酸ヒヨスチン、メト臭化ヒヨスチン、ヒヨスチンメトニトライト、ヒヨスチアミン、硫酸ヒヨスチアミン、ブスカピン、ブスコリシン、ブスコパン、ブチスコポラミン(butyiscopolamine)、N−臭化ブチルヒヨスチン、臭化N−ブチルスコポラアンモニウム、臭化スコポラン、臭化ブチルスコポラアンモニウム、塩化N−ブチルスコポラアンモニウム、N−臭化ブチルヒヨスチン、DD−234、ヒヨスチンメチオジド、メト臭化ヒヨスチン、硝酸メチルスコポラミン(methyiscopolamine)、メチル硫酸メチルスコポラアンモニウム、メチル硫酸N−メチルシン、臭化N−メチルスコポラミン、ヨウ化N−メチルスコポラミン、塩化メチルN−メチルスコポラミン、メチル硫酸N−メチルスコポラミン、硝酸N−メチルスコポラミン、スコピル、臭化ウリックス、N−メチルスコポラミン、メト臭化N−メチルスコポラミン、塩化メチルスコポラミン、メチル硫酸N−メチルシン、メチル硫酸テマトロピウム、及びN−イソプロピルアトロピン(それらの塩及び誘導体を含む)が挙げられる。
方法
他の態様では、親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料を作製する方法であって、
(a)タバコの葉及び/又はタバコ材料を、親油性活性剤と長鎖脂肪酸を含む食用油を含む生物学的利用能向上剤とを含む油と接触させる工程と、
(b)タバコの葉及び/又はタバコ材料を脱水し、それにより親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料が生産される工程と、
を含み、ここで、親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料は、治療的有効量の親油性活性剤を含み、且つ更に、
(i)親油性活性剤は、カンナビノイド、テルペン、及びテルペノイド、NSAID、ビタミン、ニコチン化合物、ホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害剤、マカ抽出物、エストロゲン、プロゲスチン、テストステロン、ブプレノルフィン、及びスコポラミンからなる群から選択され、且つ
(ii)生物学的利用能向上剤は、親油性活性剤の生物学的利用能を向上させる、方法が提供される。
別の態様では、工程(a)は、食料品を、親油性活性剤と生物学的利用能向上剤とを含む油中で飽和させる事を更に含む。別の態様では、工程(a)は、タバコの葉及び/又はタバコ材料を、特に、バニラ、バニリン、エチルバニリン、オレンジ油、ペパーミント油、ストロベリー、ラズベリー、及びそれらの混合物からなる群から選択されるフレーバー剤と接触させる事を更に含む。別の態様では、上記方法は、親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料を凍結乾燥させる工程を更に含む。
更なる態様では、開示された過程及び方法では、誘電エネルギー、特にマイクロ波エネルギーを使用する脱水方法が使用される。幾つかの態様では、誘電エネルギーは、ラジオ周波エネルギー、低周波マイクロ波エネルギー、及び高周波マイクロ波エネルギーからなる群から選択される。幾つかの態様では、脱水方法は、真空下で誘電エネルギーを使用する事を更に含む。尚も更なる態様では、脱水方法は、70℃未満の温度で撹拌する事を更に含む。尚も更なる態様では、開示された過程及び方法では、噴霧乾燥技術を使用する脱水方法が使用される(例えば、高温ガスで急速乾燥する事によって液体又はスラリーから乾燥粉末を製造する方法、一般にムジュムダル(Mujumdar)著(2007年)の「ハンドブック・オブ・インダストリアル・ドライング(Handbook of Industrial Drying)」、CRC出版社(CRC Press)を参照)。
治療方法
更なる態様では、本明細書に開示される組成物の何れかを、治療を必要とする被験体に投与する事を含む、病態を治療する方法が提供される。
本発明の活性剤は、広い投薬量範囲に亘って有効である。例えば、成人のヒトの治療に於いて、本発明の組成物及び方法は、0.01mg〜1000mg、0.5mg〜500mg、1mg〜100mg、5mg〜50mg、及び10mg〜25mgの親油性活性剤の投薬量を含む。代替的に、成人のヒトの治療に於いて、本発明の組成物及び方法は、0.01mg、0.05mg、0.1mg、0.25mg、0.5mg、0.75mg、1mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、又は1000mgの親油性活性剤の投薬量を含む。
本発明の組成物及び方法の範囲内の親油性活性剤がカンナビノイドである一態様では、病態は、心臓疾患、虚血性梗塞、及び心血管代謝障害等の心臓病、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症、及びヒト免疫不全ウイルス(HIV)認知症等の神経疾患、肥満、インスリン関連の欠乏症及び脂質プロファイル、肝疾患、糖尿病、及び食欲障害等の代謝障害、癌化学療法、良性前立腺肥大症、過敏性腸症候群、胆道疾患、卵巣障害、マリファナ乱用、及びアルコール中毒、オピオイド中毒、ニコチン中毒、又はコカイン中毒である。
別の態様では、本発明の組成物及び方法の範囲内の親油性活性剤がニコチン化合物である場合に、病態は、タバコ依存症/中毒等のニコチン関連障害、パーキンソン病、潰瘍性大腸炎、アルツハイマー病、統合失調症、注意欠陥多動性障害(ADHD)、トゥーレット症候群、潰瘍性大腸炎、及び禁煙後の体重管理である。
本発明の組成物及び方法の範囲内の親油性活性剤が本明細書に記載されるNSAIDである別の態様では、病態は、疼痛、発熱、及び/又は炎症に関連する疾患若しくは障害であり、これらには、限定されるものではないが、喘息、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、炎症性疼痛、発熱、片頭痛、頭痛、腰痛、線維筋痛、筋膜障害、ウイルス感染症(例えば、インフルエンザ、普通の風邪、帯状疱疹、C型肝炎、及びAIDS)、細菌感染症、真菌感染症、月経困難症、火傷、外科処置若しくは歯科処置、悪性腫瘍(例えば、乳癌、結腸癌、及び前立腺癌)、高プロスタグランジンE症候群、古典型バーター症候群、アテローム性動脈硬化症、痛風、関節炎、変形性関節炎、若年性関節炎、関節リウマチ、リウマチ熱、強直性脊椎炎、ホジキン病、全身性エリテマトーデス、血管炎、膵炎、腎炎、滑液包炎、結膜炎、虹彩炎、強膜炎、ぶどう膜炎、創傷治癒、皮膚炎、湿疹、乾癬、脳卒中、糖尿病、神経変性障害、例えば、アルツハイマー病及び多発性硬化症、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、鼻炎、潰瘍、冠動脈性心疾患、サルコイドーシス、及び他の任意の炎症性要素を有する疾患を含む。
本発明の組成物及び方法の範囲内の親油性活性剤がビタミンである別の態様では、病態は、ビタミン欠乏症、又は親油性ビタミンに関連する病態である。ビタミンが本明細書に記載の様にビタミンEである特定の態様では、病態は、ビタミンE欠乏症、及び/又はビタミンEに関連する疾患若しくは障害であり、例えば、ビタミンE欠乏症に関連する運動失調である。
別の態様では、本明細書に開示される組成物の何れかを、治療を必要とする被験体に投与する事を含む、中枢神経系の疾患、障害、又は病態を治療する方法が提供される。
治療を必要とする患者に於ける中枢神経系の疾患、障害、又は病態を治療する方法の範囲内の他の態様では、中枢神経系の疾患、障害、又は病態(精神的/行動的疾患又は障害を含む)は、限定されるものではないが、後天性癲癇様失語症、急性播種性脳脊髄炎、副腎白質ジストロフィー、脳梁欠損症、失認、エカルディ症候群、アレキサンダー病、アルパース病、交代性片麻痺、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、無脳症、アンジェルマン症候群、血管腫症、無酸素症、失語症、失行症、くも膜炎、アーノルド・キアリ奇形、動静脈奇形、アスペルガー症候群、毛細血管拡張性運動失調症、注意欠陥多動性障害、自閉症、聴覚情報処理障害、自律神経失調、背痛、バッテン病、ベーチェット病、ベル麻痺、良性本態性眼瞼痙攣、良性限局性筋萎縮、良性頭蓋内圧亢進症、両側前頭頭頂多小脳回、ビンズワンガー病、眼瞼痙攣、ブロッホ・ザルツバーガー症候群、腕神経叢損傷、脳膿瘍、脳損傷、脳外傷、脳腫瘍、脊髄腫瘍、ブラウン・セカール症候群、カナヴァン病、手根管症候群(cts)、灼熱痛、中枢痛症候群、橋中心髄鞘崩壊症、中心核ミオパシー、頭部障害、脳動脈瘤、脳動脈硬化症、脳萎縮症、脳性巨人症、脳性麻痺、シャルコー・マリー・トゥース病、キアリ奇形、舞踏病、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー(「CIDP」)、慢性疼痛、慢性局所疼痛症候群、コフィン・ラウリー症候群、昏睡(遷延性植物状態を含む)、先天性顔面両側麻痺、大脳皮質基底核変性症、頭蓋動脈炎、頭蓋骨縫合早期癒合症、クロイツフェルト・ヤコブ病、蓄積外傷性障害、クッシング症候群、巨細胞性封入体病(「CIBD」)、サイトメガロウイルス感染症、ダンディ・ウォーカー症候群、ドーソン病、ド・モルシェ症候群、デジェリン・クルンプケ麻痺、デジェリン・ソッタス病、睡眠相後退症候群、認知症、皮膚筋炎、発達性失行症、糖尿病性ニューロパシー、瀰漫性硬化症、自律神経障害、算数障害、書字障害、失読症、異緊張症、早期乳児癲癇性脳症、エムプティー・セラ症候群、脳炎、脳ヘルニア、大脳三叉神経性血管腫症、大便失禁、癲癇、エルプ麻痺、肢端紅痛症、本態性振戦、ファブリー病、ファール症候群、失神、家族性痙性麻痺、熱性痙攣、フィッシャー症候群、フリードライヒ運動失調症、ゴーシェ病、ゲルストマン症候群、巨細胞性動脈炎、巨細胞性封入体病、グロボイド細胞型白質ジストロフィー、異所性灰白質、ギラン・バレー症候群、HTLV−1関連ミエロパシー、ハラーフォルデン・シュパッツ病、頭部外傷、頭痛、片側顔面痙攣、遺伝性痙性対麻痺、遺伝性多発神経炎性失調、耳帯状ヘルペス、帯状ヘルペス、平山症候群、全前脳胞症、ハンチントン病、水頭性無脳症、水頭症、高コルチゾール症、低酸素症、免疫介在性脳脊髄炎、封入体筋炎、色素失調症、乳児性フィタン酸蓄積症、乳児性レフサム病、乳児性痙攣、炎症性ミオパシー、頭蓋内嚢胞、頭蓋内圧亢進、ジュベール症候群、カーンズ・セイヤー症候群、ケネディ病、キンスボーン症候群、クリッペル・ファイル症候群、クラッベ病、クーゲルベルク・ウェランダー病、クールー、ラフォラ病、ランバート・イートン筋無力症症候群、ランドー・クレッフナー症候群、外側髄(ワレンベルグ)症候群、学習障害、リー病、レノックス・ガストー症候群、レッシュ・ナイハン症候群、白質ジストロフィー、レヴィー小体認知症、滑脳症、閉じ込め症候群、ルー・ゲーリック病、椎間板疾患、ライム病−神経学的後遺症、マシャド・ジョセフ病(脊髄小脳変性症3型)、巨大脳髄症、巨脳症、メルカーソン・ローゼンタール症候群、メニエール病、髄膜炎、メンケス病、異染性白質ジストロフィー、小頭症、片頭痛、ミラー・フィッシャー症候群、小発作、ミトコンドリアミオパシー、メビウス症候群、単肢筋萎縮症、運動ニューロン疾患、運動能障害、もやもや病、ムコ多糖症、多発梗塞性認知症、多巣性運動ニューロパシー、多発性硬化症、体位性低血圧を伴う多系統萎縮症、筋ジストロフィー、筋痛性脳脊髄炎、重症筋無力症、髄鞘破壊性広汎性硬化症、乳児期ミオクロニー脳症、ミオクローヌス、ミオパシー、筋細管ミオパシー、先天性筋強直症、ナルコレプシー、神経線維腫症、神経遮断薬による悪性症候群、エイズの神経症状、狼瘡の神経学的後遺症、神経性筋強直症、神経セロイドリポフスチノーシス、神経細胞移動障害、ニーマン・ピック病、非24時間睡眠覚醒症候群、非言語性学習障害、オサリバン・マクラウド症候群、後頭神経痛、潜在性脊椎癒合不全続発、大田原症候群、オリーブ橋小脳萎縮症、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群、視神経炎、起立性低血圧、過度使用症候群、反復視、感覚異常、パーキンソン病、先天性パラミオトニア、腫瘍随伴性疾患、発作、パリー・ロンベルク症候群(ロンベルク症候群としても知られる)、ペリツェーウス・メルツバッヘル病、周期性四肢麻痺、末梢ニューロパシー、遷延性植物状態、広汎性発達障害、光性くしゃみ反射、フィタン酸蓄積症、ピック病、圧迫神経、下垂体腫瘍、pmg、ポリオ、多小脳回症、多発性筋炎、孔脳症、ポリオ後症候群、帯状疱疹後神経痛(「PHN」)、感染後脳脊髄炎、体位性低血圧、プラダー・ウィリー症候群、原発性側索硬化症、プリオン病、進行性片側顔面萎縮症(ロンベルク症候群としても知られる)、進行性多巣性白質脳症、進行性硬化性ポリオジストロフィー、進行性核上麻痺、偽性脳腫瘍、ラムゼイハント症候群(I型及びII型)、ラスムッセン脳炎、反射性交感神経性ジストロフィー症候群、レフサム病、反復運動障害、反復性ストレス傷害、むずむず脚症候群、レトロウイルス関連ミエロパシー、レット症候群、ライ症候群、ロンベルク症候群、狂犬病、舞踏病、サンドホフ病、統合失調症、シルダー病、裂脳症、感覚統合障害、中隔視神経異形成症、揺さぶられ症候群、帯状疱疹、シャイ・ドレーガー症候群、シェーグレン症候群、睡眠時無呼吸、睡眠病、スネイシエイション、ソトス症候群、痙縮、脊椎披裂、脊髄傷害、脊髄腫瘍、脊髄性筋萎縮症、脊椎管狭窄症、スティール・リチャードソン・オルゼウスキー症候群、進行性核上性麻痺、脊髄小脳失調症、スティッフパーソン症候群、卒中、スタージ・ウェーバー症候群、亜急性硬化性全脳炎、皮質下動脈硬化性脳症、脳表ヘモジデリン沈着症、シデナム舞踏病、失神、共感覚、脊髄空洞症、遅発性ジスキネジア、テイ・サックス病、側頭動脈炎、破傷風、係留脊髄症候群、トムゼン病、胸郭出口症候群、疼痛性チック、トッド麻痺、トゥーレット症候群、一過性脳虚血発作、伝播性海綿状脳症、横断性脊髄炎、外傷性脳傷害、振戦、三叉神経痛、熱帯性痙性不全対麻痺、トリパノソーマ症、結節性硬化症、側頭動脈炎を含む血管炎、フォンヒッペル・リンダウ病(「VHL」)、ビリウイスク脳脊髄炎(「VE」)、ワレンベルグ症候群、ウェルドニッヒ・ホフマン病、ウエスト症候群、鞭打ち症、ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、並びにツェルウェーガー症候群を含む。従って、全てのCNS関連の状態及び障害は、薬物送達のBBB経路を介して治療され得る事が理解される。
幾つかの実施形態では、本発明の実施形態によるCNSの疾患、障害、又は病態は、代謝疾患、行動障害、人格障害、認知症、癌、神経変性障害、疼痛、ウイルス感染症、睡眠障害、発作性障害、酸性リパーゼ疾患、ファブリー病、ウェルニッケ・コルサコフ症候群、ADHD、不安障害、境界性人格障害、双極性障害、鬱病、摂食障害、強迫性障害、統合失調症、アルツハイマー病、バース症候群及びトゥーレット症候群、カナバン病、ハラーホルデン・スパッツ病、ハンチントン病、レビー小体病、ルー・ゲーリック病、マシャド・ジョセフ病、パーキンソン病、又はむずむず脚症候群から選択され得る。幾つかの実施形態では、CNSの疾患、障害、又は病態は、疼痛であり、神経因性疼痛、中枢性疼痛症候群、体性疼痛、内臓痛、及び/又は頭痛から選択される。
本明細書で使用される場合に、本開示の方法によって治療される「被験体」という用語は、それらの多くの態様に於いて望ましくはヒトの被験体であるが、本明細書に記載される方法が全ての脊椎動物種に対して有効であり、それらは「被験体」という用語に含まれる事が意図されると理解されるべきである。従って、「被験体」は、医療目的の為に、例えば既存の疾患、障害、病態の診断若しくは治療、又は疾患、障害、若しくは病態の発症を防止する為の予防的な診断若しくは治療の為にヒト被験体を含み得て、或いは医療目的、獣医学的目的、又は開発目的の為に動物被験体を含み得る。好適な動物被験体には、限定されるものではないが、霊長類、例えばヒト、サル、類人猿、テナガザル、チンパンジー、オランウータン、マカク等、ウシ科、例えば畜牛、雄牛等、羊類、例えばヒツジ等、山羊類、例えばヤギ等、ブタ、例えば豚、雄豚等、ウマ科、例えば馬、ロバ、シマウマ等、野生の猫及び飼い猫を含むネコ科、犬を含むイヌ科、ウサギ、ノウサギ等を含むウサギ目、並びにマウス、ラット、モルモット等を含む齧歯類を含む哺乳動物が含まれる。動物はトランスジェニック動物であり得る。幾つかの態様では、被験体は、限定されるものではないが、胎児、新生児、幼児、若年、及び成人の被験体を含むヒトである。更に、「被験体」には、疾患、障害、又は病態に罹患しているか又は罹患していると疑われる患者が含まれ得る。従って、「被験体」及び「患者」という用語は、本明細書に於いて区別なく使用される。被験体には動物疾患モデル(例えば、実験等に用いられるラット又はマウス)も含まれる。
治療剤の「有効量」は、「治療的有効量」の様に、所望の生物学的応答を誘起するのに必要な治療剤の量を指す。当業者によって理解されるであろう様に、作用物質の有効量は所望の生物学的エンドポイント、送達されるべき作用物質、医薬組成物の組成、標的組織又は標的細胞等の様な要因に依存して変動し得る。より具体的には、「有効量」という用語は、所望の効果を生ずるのに、例えば、疾患、障害、若しくは病態又はそれらの1つ以上の症状の重症度、持続期間、進行、若しくは開始を減らす若しくは緩和するのに、疾患、障害、若しくは病態の進行を防止するのに、疾患、障害、若しくは病態の逆行を引き起こすのに、疾患、障害、若しくは病態に関連する症状の再発、発症、開始、若しくは進行を防止するのに、又は別の治療法の予防効果若しくは治療効果(単数又は複数)を増強若しくは改善するのに十分な量を指す。
本開示の組成物中の有効成分の実際の投薬量レベルは、被験体に対して毒性である事無しに、特定の被験体、組成物、投与経路、及び疾患、障害、又は病態について所望の治療応答を達成する為に有効である有効成分の量が得られる様に変動され得る。選択される投薬量レベルは、使用される特定の組成物の活性、投与経路、投与の時間、使用される特定の組成物の排泄速度、治療の持続期間、使用される特定の組成物との組み合わせて使用される他の薬物及び/又は物質、治療される患者の年齢、性別、体重、状態、一般的な健康、及び先行する医療履歴、並びに医療技術分野に於いて良く知られる同様の要因を含む様々な要因に依存する事となる。
当該技術分野に於ける通常の技量を有する医師は、必要とされる本開示の組成物の有効量を容易に決定及び指示する事が出来る。従って、投与の為の投薬量範囲は、本明細書の別の箇所でより完全に記載されている様に、必要に応じて医師によって調整され得る。
実施例1
様々なフレーバーの一連のCBD及び/又はTHCが含浸されたティーバッグを開発した。
I.成分
葉形態、油形態、醸造形態、有機及び無機の茶
濃縮乾燥脱脂乳
CBD油
摂取用の大麻油又は適合油
カンナビスの葉、蕾、油(全ての株がTHC及び/又はCBDを有する)
II. ViPova(登録商標)製剤
II A.CBD茶
濃縮乾燥脱脂乳を有機及び無機のあらゆる全ての茶と混ぜ合わせる
CBD油を茶葉とブレンドする
茶、CBD油、及び濃縮乾燥脱脂乳の混合物を食品脱水機内で脱水する
最終生成物は、強化されたCBDのみを有するViPova(登録商標)茶である
II B.THC/CBD茶
濃縮乾燥脱脂乳を有機及び無機のあらゆる全ての茶と混ぜ合わせる
大麻油又は他の摂取可能な油を茶葉とブレンドする
上記混合物にカンナビス葉を加える
茶、大麻油又は他の摂取可能な油、カンナビス葉、及び濃縮乾燥脱脂乳の混合物を脱水する
最終生成物は、THC及びCBDを有するViPova(登録商標)茶である
III.ViPova(登録商標)製剤:詳述
III A.CBD茶
茶:1つのティーバッグは1グラム〜3グラムの茶葉(乾燥重量)を含む
濃縮乾燥脱脂乳:0.10グラム〜1.00グラム
CBD油:ティーバッグ当たり10mg〜25mg
III B.THC/CBD茶
茶:1つのティーバッグはティーバッグ当たり1.5グラム〜12グラムの茶葉(乾燥重量)を含む
濃縮乾燥乳:ティーバッグ当たり0.10グラム〜6.00グラム
大麻油又は他の摂取可能な油:ティーバッグ当たり10mg〜25mg
カンナビス葉:ティーバッグ当たり1.00グラム〜12.00グラム
III C.製造設備:
茶葉及び/又はカンナビス葉用の市販の粉砕機
市販の混合機
市販の脱水機
市販のティーバッグ充填機
IV.フレーバー
ViPova(登録商標)茶は、限定されるものではないが、ミント、シトラス及びバニラを含むティーバッグ又はルーズティーセレクションに加えるフレーバーのメニューを提供する。
実施例2
CBD及び/又はTHCを食品に付着させる方法を開発した。食料品は、肉、魚、果物、野菜、乳製品、豆類、パスタ、パン、穀類、種子、ナッツ、香辛料、及びハーブからなる群から選択され得る。この方法は、食料品をヒマワリ及び/又は濃縮乳と接触させるステップを含んでも又は含まなくてもよい。この方法は以下の工程を含んでいた:
1.食料品を0グラム〜60グラムのCBD油及び/又はTHC油又は抽出物で飽和させた。
2.食料品を脱水機用紙の上に置き、食品脱水機内に0時間〜24時間置いた。
3.食料品を脱水機から取り出し、気密容器内に保管した。
実施例3
紅茶を、様々な親油性活性剤と配合した。最終製品1グラム当たり凡そ4.5mgの有効成分の濃度で、乾燥脱脂乳及びヒマワリ種子油を賦形剤として使用して活性剤を茶に投入した。以下の成分を配合に使用した:
453gのルーズリーフ紅茶
2265mgの活性剤
45gのインスタントの濃縮乾燥脱脂乳
1132.5mgのヒマワリ種子油
これらの成分をステンレス鋼のボウルにまとめ、手袋をはめた手で混ぜ合わせた。均一な混合物を脱水機トレイに均一に広げ、30分間脱水した。冷却後に、配合された茶を滅菌ジップロック(登録商標)バッグに入れた。
配合された有効成分は、ASA(アスピリン)、イブプロフェン、アセトアミノフェン、ジクロフェナク、インドメタシン、ピロキシカム、ニコチン、及びビタミンE(α−トコフェロール)であった。各活性剤の具体的な供給業者情報及びロット番号を、以下の表1に示す。
使用された茶は、アプトン・ティー・インポーツ(Upton Tea Imports)(マサチューセッツ州ホリストン)からのルーズリーフのイングリッシュ・ブレックファスト・ティー(English Breakfast Tea)であった。
ヒマワリ油は、ホールフーズ(Whole Foods)ブランドの有機ヒマワリ油であった。
乾燥脱脂乳は、ナウフーズ(NowFoods)ブランドの有機乾燥脱脂乳であった。
使用された脱水機は、プレスト・デハイドレーター(Presto Dehydrator)、モデル番号06300であった。
配合物の各成分を上述の手順に記載された様に秤量して混ぜ合わせた。各配合物についての個々の活性剤の重量を以下の表2にまとめる。
配合物毎に、均質な混合物が得られる迄、成分同士を手で混合し、その後に脱水機トレイ上に均一に広げて乾燥させた。各配合物を脱水機内で30分間乾燥させた。冷却後に、混合物をジップロックバッグに入れた。化学天秤をジップロックバッグについて風袋引きした後に、最終配合物の重量を記録し、配合物中の有効成分の濃度を計算した(表2)。
実施例4
本明細書で使用される場合に、DEHYDRATECH(商標)を取り入れた組成物は、治療的有効量の親油性活性剤と長鎖脂肪酸を含む食用油とを含む脱水された混合物を含む組成物であり、特に、この脱水された混合物は、
i)治療的有効量の親油性活性剤を、長鎖脂肪酸を含む食用油と混ぜ合わせる工程と、
ii)工程(i)の生成物を脱水する事により、脱水された混合物を生成する工程と、
によって得る事が出来る。
この研究は主に、ラットに於いて、DEHYDRATECH(商標)が用いられた製剤の相対的な摂取可能なニコチンの吸収性能を、どのような形の送達可能化技術も受けていない濃度が一致したコントロール製剤と比較して評価する為に設計した。チューインガム等のニコチン置換療法製品で今日広く商品化されている様なニコチンポラクリレックス誘導体の形式で、ニコチンを投与した。DEHYDRATECH(商標)製剤及びコントロール製剤がそれぞれ1mg/Kg及び10mg/Kgの投薬量レベルで試験される様に、12匹の雄ラットを3匹ずつの4つの群に分けた。製剤を経口投与し、全てのラットにカニューレを挿入して、投薬後8時間に亘って複数の間隔で採血し、15分を記録したら最初のデータ収集を行った。尿及び糞便も投薬後に最大24時間収集し、必須の臓器組織試料も研究後の検査の為に収集した。全ての試料を分析試験にかけて、試料中のニコチンのレベル並びにその3つの主要な肝臓代謝産物、即ち、ヒドロキシコチニン、ニコチンN’−オキシド及びコチニンのレベルを定量化して、種々の製剤によって吸収される相対的な代謝産物レベルを評価した。
結果及び考察
DEHYDRATECH(商標)製剤は一般に、試験された1mg/Kg用量及び10mg/Kg用量の両方で、濃度が一致したコントロール製剤と比較して、血中の平均的なニコチンのより素早い吸収、より高いピーク吸収、及びより高い総量を達成した。更に、以前に報告された様に、嘔吐又は下痢等の胃腸障害の明らかな兆候が無い事から、動物が治療に十分に耐えると思われることが示される。
ニコチン血中濃度を、投薬後8時間に亘って複数回評価した。10mg/Kgの投薬アームでは、コントロール製剤は、DEHYDRATECH(商標)製剤が僅か15分で到達したのと同様のレベルの血液吸収に到達するのにほぼ3時間を要した。更に、DEHYDRATECH(商標)製剤はその後も、コントロール製剤によって達成されたレベルの148%であるピーク血漿レベルを示し続けた。ヒトの研究で再現されれば、これらの知見は、DEHYDRATECH(商標)の技術が以前に理論化されたものよりも遙かに迅速且つ実質的に食用形式を通じて血中ニコチンレベルを上昇させるのにより効果的である事が分かり、こうして摂取可能なニコチン調剤が今日の利用可能な製品形式の実行可能な代替物となり得る一方で、より迅速なニコチン欲求の飽満に繋がる事を暗示する。
肝臓代謝産物の分析により、予想通り、研究された3つの代謝産物のうち2つの血中の全体的なレベルが、10mg/Kgの用量でDEHYDRATECH(商標)製剤の群よりもコントロール群の方が高い事が明らかになった。この結果は、コントロール調剤で摂取されたニコチンの通常の生理学的プロセシング後に、初回通過肝臓代謝を回避すると考えられているDehydraTECH(商標)技術と比較してより大量の代謝産物を肝臓が血流中に放出する予想されるタイミングと一致する投薬後45分から2時間の時間間隔で特に顕著であった。DEHYDRATECH(商標)製剤は、両方の用量でラット尿中のニコチン量がより低い事も示しており、これは、ラット血液中のニコチンレベルが、DEHYDRATECH(商標)製剤を用いた研究期間に亘ってコントロールよりもより高いままであったという事実と一致している。この研究により、10mg/KgのレベルのDEHYDRATECH(商標)製剤により、ラット脳組織の分析に際して、対応するコントロール製剤で回復されたニコチンよりも最大5.6倍多いニコチンが達成される事も明らかになった。これらの知見は恐らく、DEHYDRATECH(商標)製剤によりニコチンの有効性が延長する為、単回の食用ニコチン投与から長期間に亘って欲求を抑える為に人間にも有益である可能性がある事を示唆している。
実施例5
この研究では、雄のSprague−Dawleyラットに2つの別々の製剤(参照及び試験ニコチンポラクリレックス)を経口投与した後に、ニコチン及びその主要代謝産物の曝露及び分布を評価した。
製剤を10mg/kgで経口(PO)投与した。投薬後に、血液試料を投与後1時間迄収集し、尿及び糞便の試料を投与後24時間迄収集した。8時間の尿及び糞便の試料の収集(群3及び群7)又は24時間の尿及び糞便の試料の収集(群4及び群8)から1時間後(群1及び群5)、4時間後(群2及び群6)に、脳組織、肝臓組織、及び腎臓組織を収集した。各分析物の血中、尿中、糞便中、及び組織中の濃度をLC−MS/MSによって測定した。WinNonlin(v8.0)を使用して、血漿薬物動態パラメーターを決定した。スパースサンプリングによりWinNonlin(v8.0)ソフトウェアを使用して、脳、肝臓、及び腎臓の薬物動態パラメータを決定した。
参照ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群1)でPO投薬した後に、投薬後30分から1時間の間に、ニコチンの最大血漿濃度(平均144±68.2ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくニコチンについての平均曝露(群1)は、8.71±2.76時間・kg・ng/mL/mgであった。
参照ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群1)でPO投薬した後に、投薬後45分から1時間の間に、ヒドロキシコチニン代謝産物の最大血漿濃度(平均9.79±3.56ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくヒドロキシコチニンについての平均曝露(群1)は、0.420±0.146時間・kg・ng/mL/mgであった。
参照ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群1)でPO投薬した後に、投薬後30分から1時間の間に、ニコチン−n−オキシド代謝産物の最大血漿濃度(平均179±54.9ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくニコチン−n−オキシドについての平均曝露(群1)は、11.2±3.32時間・kg・ng/mL/mgであった。
参照ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群1)でPO投薬した後に、投薬後1時間で、コチニン代謝産物の最大血漿濃度(平均193±58.6ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくコチニンについての平均曝露(群1)は、10.9±2.90時間・kg・ng/mL/mgであった。
参照ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群2)でPO投薬した後に、投薬後8分から1時間の間に、ニコチンの最大血漿濃度(平均350±256ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくニコチンについての平均曝露(群2)は、21.3±13.7時間・kg・ng/mL/mgであった。
参照ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群2)でPO投薬した後に、投薬後1時間で、ヒドロキシコチニン代謝産物の最大血漿濃度(平均20.1±13.3ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくヒドロキシコチニンについての平均曝露(群2)は、1.15±0.928時間・kg・ng/mL/mgであった。
参照ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群2)でPO投薬した後に、投薬後12分から1時間の間に、ニコチン−n−オキシド代謝産物の最大血漿濃度(平均409±235ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくニコチン−n−オキシドについての平均曝露(群2)は、26.8±18.3時間・kg・ng/mL/mgであった。
参照ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群2)でPO投薬した後に、投薬後45分から1時間の間に、コチニン代謝産物の最大血漿濃度(平均359±236ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくコチニンについての平均曝露(群2)は、22.5±16.7時間・kg・ng/mL/mgであった。
参照ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群3)でPO投薬した後に、投薬後30分から1時間の間に、ニコチンの最大血漿濃度(平均176±71.2ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくニコチンについての平均曝露(群3)は、11.7±4.62時間・kg・ng/mL/mgであった。PO投薬した後に、それぞれ尿及び糞便中に平均して用量(不変の用量)の1.04±0.49%及び0.03±0.04%が見られた。
参照ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群3)でPO投薬した後に、投薬後45分から1時間の間に、ヒドロキシコチニン代謝産物の最大血漿濃度(平均13.4±5.95ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくヒドロキシコチニンについての平均曝露(群3)は、0.672±0.386時間・kg・ng/mL/mgであった。PO投薬した後に、それぞれ尿及び糞便中に平均して用量の1.10±0.64%及び0.03%(n=1)が見られた。
参照ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群3)でPO投薬した後に、投薬後30分から1時間の間に、ニコチン−n−オキシド代謝産物の最大血漿濃度(平均283±134ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくニコチン−n−オキシドについての平均曝露(群3)は、17.8±7.29時間・kg・ng/mL/mgであった。PO投薬した後に、それぞれ尿及び糞便中に平均して用量の9.36±4.36%及び0.07%(n=1)が見られた。
参照ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群3)でPO投薬した後に、投薬後1時間で、コチニン代謝産物の最大血漿濃度(平均304±103ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくコチニンについての平均曝露(群3)は、15.4±4.99時間・kg・ng/mL/mgであった。PO投薬した後に、それぞれ尿及び糞便中に平均して用量の0.99±0.48%及び0.03±0.02%が見られた。
参照ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群4)でPO投薬した後に、投薬後15分から1時間の間に、ニコチンの最大血漿濃度(平均210±68.6ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は0.949±0.214時間であった。用量正規化AUClastに基づくニコチンについての平均曝露(群4)は、13.0±4.98時間・kg・ng/mL/mgであった。PO投薬した後に、それぞれ尿及び糞便中に平均して用量(不変の用量)の3.31±0.91%及び0.09±0.07%が見られた。
参照ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群4)でPO投薬した後に、投薬後45分から1時間の間に、ヒドロキシコチニン代謝産物の最大血漿濃度(平均14.3±4.74ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくヒドロキシコチニンについての平均曝露(群4)は、0.751±0.389時間・kg・ng/mL/mgであった。PO投薬した後に、それぞれ尿及び糞便中に平均して用量の6.48±2.12%及び0.03±0.02%が見られた。
参照ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群4)でPO投薬した後に、投薬後15分から1時間の間に、ニコチン−n−オキシド代謝産物の最大血漿濃度(平均223±71.9ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は1.38時間であった。用量正規化AUClastに基づくニコチン−n−オキシドについての平均曝露(群4)は、15.0±6.27時間・kg・ng/mL/mgであった。PO投薬した後に、尿中に平均して用量の20.3±6.90%が見られた。糞便中の全ての濃度は、定量限界を下回っていた。
参照ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群4)でPO投薬した後に、投薬後45分から1時間の間に、コチニン代謝産物の最大血漿濃度(平均247±49.4ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくコチニンについての平均曝露(群4)は、14.0±2.60時間・kg・ng/mL/mgであった。PO投薬した後に、それぞれ尿及び糞便中に平均して用量の5.30±2.18%及び0.16±0.08%が見られた。
参照ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群1〜群4)でPO投薬した後に、脳組織中のニコチンについての平均(±SE)Cmaxは427±66.5ng/gであり、tmaxは4時間であり、半減期は決定する事が出来ず、用量正規化AUClastに基づくニコチンについての曝露は588±53.8時間・kg・ng/g/mgであった。参照ニコチンポラクリレックスをPO投薬した後に、脳組織中のヒドロキシコチニン代謝産物についての平均(±SE)Cmaxは51.8±9.14ng/gであり、tmaxは8時間であり、半減期は決定する事が出来ず、用量正規化AUClastに基づくヒドロキシコチニン代謝産物についての曝露は95.5±12.1時間・kg・ng/g/mgであった。参照ニコチンポラクリレックスをPO投薬した後に、大部分の濃度は定量限界を下回っていた為、薬物動態パラメーターを計算する事が出来なかった。参照ニコチンポラクリレックスをPO投薬した後に、脳組織中のコチニン代謝産物についての平均(±SE)Cmaxは722±135ng/gであり、tmaxは8時間であり、半減期は決定する事が出来ず、用量正規化AUClastに基づくコチニン代謝産物についての曝露は1332±208時間・kg・ng/g/mgであった。
参照ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群1〜群4)でPO投薬した後に、肝臓組織中のニコチンについての平均(±SE)Cmaxは1300±308ng/gであり、tmaxは4時間であり、半減期は決定する事が出来ず、用量正規化AUClastに基づくニコチンについての曝露は1737±167時間・kg・ng/g/mgであった。参照ニコチンポラクリレックスをPO投薬した後に、肝臓組織中のヒドロキシコチニン代謝産物についての平均(±SE)Cmaxは102±13.5ng/gであり、tmaxは8時間であり、半減期は決定する事が出来ず、用量正規化AUClastに基づくヒドロキシコチニン代謝産物についての曝露は205±26.3時間・kg・ng/g/mgであった。参照ニコチンポラクリレックスをPO投薬した後に、肝臓組織中のニコチン−n−オキシド代謝産物についての平均(±SE)Cmaxは4.51±1.58ng/gであり、tmaxは8時間であり、半減期は決定する事が出来ず、用量正規化AUClastに基づくニコチン−n−オキシド代謝産物についての曝露は6.86±1.83時間・kg・ng/g/mgであった。参照ニコチンポラクリレックスをPO投薬した後に、肝臓組織中のコチニン代謝産物についての平均(±SE)Cmaxは905±119ng/gであり、tmaxは8時間であり、半減期は決定する事が出来ず、用量正規化AUClastに基づくコチニン代謝産物についての曝露は1620±189時間・kg・ng/g/mgであった。
参照ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群1〜群4)でPO投薬した後に、腎臓組織中のニコチンについての平均(±SE)Cmaxは8965±1519ng/gであり、tmaxは4時間であり、半減期は決定する事が出来ず、用量正規化AUClastに基づくニコチンについての曝露は12267±1173時間・kg・ng/g/mgであった。参照ニコチンポラクリレックスをPO投薬した後に、腎臓組織中のヒドロキシコチニン代謝産物についての平均(±SE)Cmaxは200±44.1ng/gであり、tmaxは24時間であり、半減期は決定する事が出来ず、用量正規化AUClastに基づくヒドロキシコチニン代謝産物についての曝露は391±47.7時間・kg・ng/g/mgであった。参照ニコチンポラクリレックスをPO投薬した後に、腎臓組織中のニコチン−n−オキシド代謝産物についての平均(±SE)Cmaxは20.5±4.26ng/gであり、tmaxは4時間であり、半減期は決定する事が出来ず、用量正規化AUClastに基づくニコチン−n−オキシド代謝産物についての曝露は23.4±2.80時間・kg・ng/g/mgであった。参照ニコチンポラクリレックスをPO投薬した後に、腎臓組織中のコチニン代謝産物についての平均(±SE)Cmaxは1775±217ng/gであり、tmaxは8時間であり、半減期は決定する事が出来ず、用量正規化AUClastに基づくコチニン代謝産物についての曝露は3436±374時間・kg・ng/g/mgであった。
試験ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群5)でPO投薬した後に、投薬後12分から1時間の間に、ニコチンの最大血漿濃度(平均416±255ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくニコチンについての平均曝露(群5)は、28.7±13.8時間・kg・ng/mL/mgであった。
試験ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群5)でPO投薬した後に、投薬後1時間で、ヒドロキシコチニン代謝産物の最大血漿濃度(平均13.9±3.07ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくヒドロキシコチニンについての平均曝露(群5)は、0.671±0.167時間・kg・ng/mL/mgであった。
試験ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群5)でPO投薬した後に、投薬後45分から1時間の間に、ニコチン−n−オキシド代謝産物の最大血漿濃度(平均267±56.1ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくニコチン−n−オキシドについての平均曝露(群5)は、19.3±3.45時間・kg・ng/mL/mgであった。
試験ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群5)でPO投薬した後に、投薬後1時間で、コチニン代謝産物の最大血漿濃度(平均381±81.8ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくコチニンについての平均曝露(群5)は、21.3±5.76時間・kg・ng/mL/mgであった。
試験ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群6)でPO投薬した後に、投薬後15分から1時間の間に、ニコチンの最大血漿濃度(平均315±142ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくニコチンについての平均曝露(群6)は、21.5±10.8時間・kg・ng/mL/mgであった。
試験ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群6)でPO投薬した後に、投薬後45分から1時間の間に、ヒドロキシコチニン代謝産物の最大血漿濃度(平均11.6±2.62ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくヒドロキシコチニンについての平均曝露(群6)は、0.581±0.149時間・kg・ng/mL/mgであった。
試験ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群6)でPO投薬した後に、投薬後15分から1時間の間に、ニコチン−n−オキシド代謝産物の最大血漿濃度(平均246±120ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくニコチン−n−オキシドについての平均曝露(群6)は、15.6±8.37時間・kg・ng/mL/mgであった。
試験ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群6)でPO投薬した後に、投薬後45分から1時間の間に、コチニン代謝産物の最大血漿濃度(平均315±76.8ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくコチニンについての平均曝露(群6)は、17.7±5.25時間・kg・ng/mL/mgであった。
試験ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群7)でPO投薬した後に、投薬後12分から1時間の間に、ニコチンの最大血漿濃度(平均253±40.0ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくニコチンについての平均曝露(群7)は、18.3±6.21時間・kg・ng/mL/mgであった。PO投薬した後に、それぞれ尿及び糞便中に平均して用量(不変の用量)の2.02±1.21%及び0.04±0.04%が見られた。
試験ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群7)でPO投薬した後に、投薬後1時間で、ヒドロキシコチニン代謝産物の最大血漿濃度(平均12.7±4.62ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくヒドロキシコチニンについての平均曝露(群7)は、0.620±0.253時間・kg・ng/mL/mgであった。PO投薬した後に、それぞれ尿及び糞便中に平均して用量の0.97±0.34%及び0.02%(n=1)が見られた。
試験ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群7)でPO投薬した後に、投薬後15分から1時間の間に、ニコチン−n−オキシド代謝産物の最大血漿濃度(平均276±67.5ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は2.84時間であった。用量正規化AUClastに基づくニコチン−n−オキシドについての平均曝露(群7)は、17.6±6.17時間・kg・ng/mL/mgであった。PO投薬した後に、それぞれ尿及び糞便中に平均して用量の9.91±4.61%及び0.12%が見られた。
試験ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群7)でPO投薬した後に、投薬後1時間で、コチニン代謝産物の最大血漿濃度(平均317±100ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくコチニンについての平均曝露(群7)は、16.6±4.69時間・kg・ng/mL/mgであった。PO投薬した後に、それぞれ尿及び糞便中に平均して用量の1.39±0.80%及び0.02±0.01%が見られた。
試験ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群8)でPO投薬した後に、投薬後8分から1時間の間に、ニコチンの最大血漿濃度(平均593±641ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかったが、1匹のラットについての半減期は0.737時間であった。用量正規化AUClastに基づくニコチンについての平均曝露(群8)は、38.0±38.5時間・kg・ng/mL/mgであった。PO投薬した後に、それぞれ尿及び糞便中に平均して用量(不変の用量)の5.91±3.24%及び0.06±0.03%が見られた。
試験ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群8)でPO投薬した後に、投薬後45分から1時間の間に、ヒドロキシコチニン代謝産物の最大血漿濃度(平均17.4±13.8ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくヒドロキシコチニンについての平均曝露(群8)は、0.940±0.788時間・kg・ng/mL/mgであった。PO投薬した後に、それぞれ尿及び糞便中に平均して用量の9.07±3.61%及び0.02±0.01%が見られた。
試験ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群8)でPO投薬した後に、投薬後15分から1時間の間に、ニコチン−n−オキシド代謝産物の最大血漿濃度(平均357±306ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかったが、1匹のラットについての半減期は0.888時間であった。用量正規化AUClastに基づくニコチン−n−オキシドについての平均曝露(群8)は、27.5±23.8時間・kg・ng/mL/mgであった。PO投薬した後に、それぞれ尿及び糞便中に平均して用量の39.5±9.71%及び0.08%が見られた。
試験ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群8)でPO投薬した後に、投薬後1時間で、コチニン代謝産物の最大血漿濃度(平均441±333ng/mL)が観察された。経口投薬後の平均半減期は決定する事が出来なかった。用量正規化AUClastに基づくコチニンについての平均曝露(群8)は、25.8±20.0時間・kg・ng/mL/mgであった。PO投薬した後に、それぞれ尿及び糞便中に平均して用量の8.23±2.58%及び0.18±0.10%が見られた。
試験ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群5〜群8)でPO投薬した後に、脳組織中のニコチンについての平均(±SE)Cmaxは1260±200ng/gであり、tmaxは1時間であり、半減期は21.6時間であり、用量正規化AUClastに基づくニコチンについての曝露は1300±125時間・kg・ng/g/mgであった。試験ニコチンポラクリレックスをPO投薬した後に、脳組織中のヒドロキシコチニン代謝産物についての平均(±SE)Cmaxは91.2±7.69ng/gであり、tmaxは24時間であり、半減期は決定する事が出来ず、用量正規化AUClastに基づくヒドロキシコチニン代謝産物についての曝露は142±6.64時間・kg・ng/g/mgであった。試験ニコチンポラクリレックスをPO投薬した後に、脳組織中のニコチン−n−オキシド代謝産物についての平均(±SE)Cmaxは4.17±1.41ng/gであり、tmaxは1時間であり、半減期は決定する事が出来ず、用量正規化AUClastに基づくニコチン−n−オキシド代謝産物についての曝露は2.70±1.05時間・kg・ng/g/mgであった。試験ニコチンポラクリレックスをPO投薬した後に、脳組織中のコチニン代謝産物についての平均(±SE)Cmaxは1322±219ng/gであり、tmaxは24時間であり、半減期は決定する事が出来ず、用量正規化AUClastに基づくコチニン代謝産物についての曝露は2172±189時間・kg・ng/g/mgであった。
試験ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群5〜群8)でPO投薬した後に、肝臓組織中のニコチンについての平均(±SE)Cmaxは2702±308ng/gであり、tmaxは1時間であり、半減期は18.9時間であり、用量正規化AUClastに基づくニコチンについての曝露は2989±277時間・kg・ng/g/mgであった。試験ニコチンポラクリレックスをPO投薬した後に、肝臓組織中のヒドロキシコチニン代謝産物についての平均(±SE)Cmaxは232±41.2ng/gであり、tmaxは24時間であり、半減期は決定する事が出来ず、用量正規化AUClastに基づくヒドロキシコチニン代謝産物についての曝露は338±37.6時間・kg・ng/g/mgであった。試験ニコチンポラクリレックスをPO投薬した後に、肝臓組織中のニコチン−n−オキシド代謝産物についての平均(±SE)Cmaxは6.69±1.67ng/gであり、tmaxは1時間であり、半減期は決定する事が出来ず、用量正規化AUClastに基づくニコチン−n−オキシド代謝産物についての曝露は8.74±2.56時間・kg・ng/g/mgであった。試験ニコチンポラクリレックスをPO投薬した後に、肝臓組織中のコチニン代謝産物についての平均(±SE)Cmaxは1451±157ng/gであり、tmaxは24時間であり、半減期は決定する事が出来ず、用量正規化AUClastに基づくコチニン代謝産物についての曝露は2505±139時間・kg・ng/g/mgであった。
試験ニコチンポラクリレックスを10mg/kg(群5〜群8)でPO投薬した後に、腎臓組織中のニコチンについての平均(±SE)Cmaxは8930±676ng/gであり、tmaxは1時間であり、半減期は24.2時間であり、用量正規化AUClastに基づくニコチンについての曝露は12717±1354時間・kg・ng/g/mgであった。試験ニコチンポラクリレックスをPO投薬した後に、腎臓組織中のヒドロキシコチニン代謝産物についての平均(±SE)Cmaxは244±16.5ng/gであり、tmaxは24時間であり、半減期は決定する事が出来ず、用量正規化AUClastに基づくヒドロキシコチニン代謝産物についての曝露は449±24.1時間・kg・ng/g/mgであった。試験ニコチンポラクリレックスをPO投薬した後に、腎臓組織中のニコチン−n−オキシド代謝産物についての平均(±SE)Cmaxは28.0±6.34ng/gであり、tmaxは1時間であり、半減期は決定する事が出来ず、用量正規化AUClastに基づくニコチン−n−オキシド代謝産物についての曝露は38.0±5.57時間・kg・ng/g/mgであった。試験ニコチンポラクリレックスをPO投薬した後に、腎臓組織中のコチニン代謝産物についての平均(±SE)Cmaxは2466±321ng/gであり、tmaxは24時間であり、半減期は決定する事が出来ず、用量正規化AUClastに基づくコチニン代謝産物についての曝露は4300±280時間・kg・ng/g/mgであった。
本明細書に於いて挙げられる全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、本開示の主題が属する当業者の水準の指標である。全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、各個別の刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献が引用により援用されると具体的且つ個別に示されたかの様に、引用する事により同じ程度で本明細書に援用される。多くの特許出願、特許、及び他の参考文献が本明細書に於いて参照されているが、その様な参照は、これらの文献の何れかが当該技術分野に於ける通常の一般的な知識の一部を成す事を認める事には当たらないと理解されるであろう。
上述の主題は理解の明確さの目的の為に例示及び例として幾らか詳細に記載したが、添付の請求項の範囲内で或る特定の変化及び変更が実施され得るという事は当業者に理解されるであろう。
上述の主題は理解の明確さの目的の為に例示及び例として幾らか詳細に記載したが、添付の請求項の範囲内で或る特定の変化及び変更が実施され得るという事は当業者に理解されるであろう。
〔付記1〕
(a)カンナビノイド、テルペン、及びテルペノイド、NSAID、ビタミン、ニコチン化合物、ホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害剤、マカ抽出物、エストロゲン、プロゲスチン、テストステロン、ブプレノルフィン、及びスコポラミンからなる群から選択される、治療的有効量の親油性活性剤と、
(b)被験体に於ける前記親油性活性剤の生物学的利用能を向上させる、生物学的利用能向上剤と、
(c)タバコの葉及び/又はタバコ材料と、
を含む、親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料。
〔付記2〕
(i)前記タバコの葉及び/又はタバコ材料を前記親油性活性剤及び前記生物学的利用能向上剤を含む油と接触させる工程と、
(ii)前記タバコの葉及び/又はタバコ材料を脱水し、それにより前記親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料が生産される工程と、
によって得る事が出来る、付記1に記載の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料。
〔付記3〕
工程(i)は、食料品を、前記親油性活性剤及び前記生物学的利用能向上剤を含む油中で飽和させる事を含む、付記2に記載の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料。
〔付記4〕
前記生物学的利用能向上剤は、長鎖脂肪酸を含む食用油である、付記1〜3の何れか一項に記載の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料。
〔付記5〕
前記生物学的利用能向上剤は、中鎖脂肪酸を含む食用油である、付記1〜3の何れか一項に記載の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料。
〔付記6〕
前記生物学的利用能向上剤は、中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸との両方を含む食用油の組み合わせである、付記1〜3の何れか一項に記載の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料。
〔付記7〕
付記1〜6の何れか一項に記載の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料を含むタバコ組成物。
〔付記8〕
付記1〜6の何れか一項に記載の親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料を含む無煙タバコ組成物。
〔付記9〕
親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料を作製する方法であって、
(a)タバコの葉及び/又はタバコ材料を親油性活性剤及び生物学的利用能向上剤を含む油と接触させる工程と、
(b)前記タバコの葉及び/又はタバコ材料を脱水し、それにより前記親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料が生産される工程と、
を含み、ここで、前記親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料は、治療的有効量の前記親油性活性剤を含み、且つ更に、
(i)前記親油性活性剤は、カンナビノイド、テルペン、及びテルペノイド、NSAID、ビタミン、ニコチン化合物、ホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害剤、マカ抽出物、エストロゲン、プロゲスチン、テストステロン、ブプレノルフィン、及びスコポラミンからなる群から選択され、且つ
(ii)前記生物学的利用能向上剤は、前記親油性活性剤の生物学的利用能を向上させる、方法。
〔付記10〕
工程(a)は、食料品を、前記親油性活性剤及び前記生物学的利用能向上剤を含む油中で飽和させる事を含む、付記9に記載の方法。
〔付記11〕
前記生物学的利用能向上剤は、長鎖脂肪酸を含む食用油である、付記9〜10の何れか一項に記載の方法。
〔付記12〕
前記生物学的利用能向上剤は、中鎖脂肪酸を含む食用油である、付記9〜10の何れか一項に記載の方法。
〔付記13〕
前記生物学的利用能向上剤は、中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸との両方を含む食用油の組み合わせである、付記9〜10の何れか一項に記載の方法。
〔付記14〕
工程(a)は、前記タバコの葉及び/又はタバコ材料をフレーバー剤と接触させる事を更に含む、付記9〜13の何れか一項に記載の方法。
〔付記15〕
前記フレーバー剤は、バニラ、バニリン、エチルバニリン、オレンジ油、ペパーミント油、ストロベリー、ラズベリー、及びそれらの混合物からなる群から選択される、付記14に記載の方法。
〔付記16〕
付記9〜15の何れか一項に記載の方法によって製造された親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料を含むタバコ組成物。
〔付記17〕
付記9〜15の何れか一項に記載の方法によって製造された親油性活性剤が含浸されたタバコの葉及び/又はタバコ材料を含む無煙タバコ組成物。