JP2016531705A - 使用者の吸入に基づいて治療剤のイオントフォレシス送達を制御するシステムおよび方法 - Google Patents

使用者の吸入に基づいて治療剤のイオントフォレシス送達を制御するシステムおよび方法 Download PDF

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Abstract

本発明の実施形態は、嗜癖性渇望、例えば、ニコチンによる嗜癖性渇望を治療する治療剤の経皮送達方法を提供する。このような送達方法の一実施形態は、少なくとも1つの電極アセンブリを患者の皮膚と電気的に連通するように位置決めするステップを含む。前記アセンブリは、皮膚の中に受動拡散する治療剤を含む溶液を含む。一定用量の薬剤が、薬剤をアセンブリから反発力により放出させる特性、例えば、極性と大きさとを有する第1の電流を用いて第1の期間中に前記アセンブリから皮膚の中に送達される。第2の期間中、皮膚の中への薬剤の送達が最小限に抑えられるように、薬剤を引き付ける特性を有する第2の電流を使用して薬剤を前記アセンブリ内に保持する。特定の実施形態では、吸入型のタバコによく似ている吸入検知装置を用いた患者からの入力を用いて、一定用量の薬剤をオンデマンド式で送達することができる。【選択図】なし

Description

本明細書に記載の実施形態は、経皮薬物送達アセンブリおよび方法に関する。より具体的には、本明細書に記載の実施形態は、薬物および他の治療剤をイオントフォレシス経皮送達するアセンブリおよび方法に関する。さらにより具体的には、本明細書に記載の実施形態は、使用者の口にくわえられた検知装置からの入力に基づいて経皮送達を開始する、嗜癖性渇望(addictive cravings)を治療する治療剤のイオントフォレシス経皮送達を使用するアセンブリおよび方法に関する。
何百万人もの米国人が紙巻きタバコおよび他の形態のタバコ嗜癖に罹患している。それによりクオリティ・オブ・ライフが損なわれ、心疾患および肺疾患ならびに様々な形態の癌を含む、死に至る多くの疾患が引き起こされる。CDCによれば、喫煙により米国だけでも毎年500,000人近くが心疾患および肺疾患ならびに様々な形態の癌のため死亡する。葉巻およびパイプ喫煙ならびに噛みタバコなどの他の形態のタバコの使用も、口腔癌および咽喉癌ならびに他の形態の癌により、毎年、無数の死亡の原因となっている。紙巻きタバコの喫煙および他の形態のタバコ嗜癖は全て、タバコ植物中に存在する嗜癖性の高いアルカロイド物質であるニコチンの存在によるものである。嗜癖は、満足感、平穏感、リラックス感等を含む、ニコチンが脳に及ぼす幾つかの向精神作用によるものである。紙巻きタバコの場合、タバコ会社が実際に紙巻きタバコ中のニコチンの用量を嗜癖行動が最大限になるように調整することにより事態はさらに悪化する。タバコ会社はこれを、一部、最初の数パフで喫煙者に即時のニコチンスパイクが得られるように紙巻きタバコを設計することにより行う。
多くの禁煙プログラムでは、喫煙を完全に止めることを必要とする(即ち、禁断症状が現れる)。しかし、この形態または他の形態のタバコの中止の最も困難な面の1つには、使用者が喫煙を急に止めたときに生じる、ニコチン、従って紙巻きタバコへの渇望がある。この問題に対処する、喫煙を必要としない幾つかのニコチン送達製品がある。禁煙プログラムに使用される比較的一般的な形態の2つには、ニコチン含有経皮薬物送達パッチニコチン含有ガムが挙げられる。しかし、これらには両方とも幾つかの欠点がある。まず、どちらも紙巻きタバコの喫煙により達成されるニコチンの迅速なまたはスパイク用量送達によく似せることができない。そのため、喫煙者は同じ向精神作用が得られず、その結果、一方または両方の製品からニコチンを摂取しているときでも、使用者は依然として渇望を生じることがある。さらに、これらの同じ理由から、どちらも衝動的な(breakthrough)渇望の治療に有効ではない可能性がある。衝動的な渇望とは、短時間急に現れ、制御が容易でない渇望である。紙巻きタバコ喫煙者に関して、衝動的な渇望の特性は、毎日喫煙していた紙巻きタバコの数、喫煙年数、および全体的な脳化学を含む喫煙習慣に応じ人によって異なり得る。どちらの手法も、長時間にわたり既定量のニコチンを送達し、所定の使用者に合わせて調整することができないため、このような渇望を治療することができない。どちらの方法でも、使用者が複数のパッチを貼付するおよび/または複数のロゼンジを噛むことにより過剰な自己投与が起こり易い。製造は、使用者間の違いを考慮しないワンサイズの画一的な既定用量の経皮ニコチンパッチを製造するため、経皮パッチの場合、使用者は様々な送達の影響も受け易い。さらに、経皮パッチにはまた、渇望が満たされた後でも使用者がパッチからの受動拡散によりニコチンを投与され続けるため、過量送達が起こるといった欠点もある。この結果、使用者がさらにより高いニコチン用量を習慣的に使用するようになる(habituating)おそれがある。従って、禁煙計画中に起こる紙巻きタバコ/ニコチンへの渇望を治療するための改良されたニコチン送達方法が必要とされている。同じ必要性が、ニコチン嗜癖を引き起こす葉巻、パイプおよび噛みタバコを含む他の形態のタバコの使用にも当てはまる。
経皮イオントフォレシスは、小さい電荷を用いて電気的反発力(repulsive electromotive force)により、高濃度の薬物または他の治療剤をヒトまたは他の動物の皮膚を通して導入する非侵襲的方法である。この電荷はイオン化した(即ち、電荷を有する)形態の薬物または他の治療剤を反発する。このような手法を用いると、パッチ内に配置された溶液中に溶解した鎮痛薬を含有する皮膚接触パッチを使用して、複数用量の鎮痛薬を患者に送達することができる。電流の印加により、溶解した鎮痛薬が溶液から患者の接触層を通って皮膚の中に導入される。しかし、イオントフォレシス電流がオフのときでも、パッチと皮膚との間の濃度勾配により(フィックの拡散の原理で)、鎮痛薬はパッチリザーバから患者の体内に受動拡散し続けるため、このような装置では過量投与(over−administration)/過量投与(overdose)が依然として問題となる。また、患者が、装置を再起動させて、またはさらには電流を常にオンのままにして反復投与またはさらには連続投与することにより自ら過量投与することを阻止することができない。受動拡散による薬物の過量投与ならびに患者による過剰投与を防止する改良されたシステムおよび方法が必要とされている。
本発明の実施形態は、ヒト、哺乳動物および他の動物に薬物および他の治療剤を経皮送達する方法およびアセンブリを提供する。多くの実施形態は、送達期間の間、複数用量の治療剤を送達する送達電流と、非送達期間中に薬剤の送達を実質的に停止または減少させる保持電流とを有する二相性経皮イオントフォレシスシステムを提供する。このような実施形態は、例えば、嗜癖性渇望を含む様々な症状を治療するための薬物および他の治療剤の送達と非送達の反復サイクルを可能にするように構成することができる。さらに、様々な実施形態は、様々な急性症状、例えば、渇望制御、疼痛、悪心(例えば、化学療法誘発性のもの)、片頭痛および他の症状の治療を可能にするように、オンデマンドで(例えば、患者、医療提供者または他の人が)送達期間を開始することが可能なシステムおよび方法を提供する。特定の実施形態では、このようなシステムおよび方法は、禁煙または節煙起こる患者の紙巻きタバコ/ニコチン渇望を治療するための様々なニコチン化合物(例えば、ニコチン塩)の送達に使用されるように構成することができる。紙巻きタバコ/ニコチン渇望は、患者が紙巻きタバコの使用を中止するまたは低減する結果として起こり得る紙巻きタバコおよび/または紙巻きタバコからのニコチンへの患者の渇望を指す。このような実施形態はまた、他の形態のタバコ嗜癖に起因する渇望、例えば、他の形態の吸入タバコの使用、例えば、パイプ、葉巻または電子タバコの使用ならびに噛みタバコの使用により起こる渇望の治療に適応させることもできる。他の特定の実施形態では、このようなシステムおよび方法は、他の化学物質による嗜癖を治療するために使用される他の化合物、例えば、メタドン(その類似体および誘導体を含む)またはヘロインもしくは他のオピオイドによる嗜癖を治療するための他の合成オピオイドならびにコカイン嗜癖を治療するための様々な化合物などの送達に適応させることができる。
本発明のシステムおよび方法のさらに他の実施形態は、制御装置、例えば、マイクロプロセッサまたは当該技術分野で公知の他の制御装置(例えば、アナログ制御装置)により送達期間および/または送達と非送達のサイクルの開始を制御する。このような実施形態は、例えば、様々な形態のタバコの使用、例えば、紙巻きタバコ喫煙の中止/低減に起因するニコチン渇望を治療するための様々なニコチン化合物(例えば、ニコチン類似体およびそれらの塩)を含む様々な治療剤を周期的に送達するように構成することができる。さらに、このような実施形態は、患者に所望の治療効果をもたらすように、および/または有害作用(例えば、過量送達により比較的高レベルのニコチンを再び習慣的に使用するようになること)を最小限に抑えるように薬剤送達の時間経過を制御する必要がある治療剤送達に特に有用である。このような(送達期間または送達期間と非送達期間のサイクルのいずれかの)開始の制御は、直接、無線で、または制御装置に動作可能に結合された記憶装置を用いて制御装置にプログラムすることができる送達レジメンに組み込むことができる。本システムは、医師、薬剤師、または他の医療提供者がプログラムを選択できるように構成することができる。選択は医療提供者が、制御装置に結合された入力装置(例えばタッチスクリーン)を介して直接行っても、または携帯電話、タブレット型装置もしくは同様の装置などの無線装置を使用して無線で行ってもよい。いずれの場合にも、ロックアウトコードを用いて、医療提供者以外による特定の送達レジメンの入力または変更を防止することができる。
一実施形態は、タバコ製品の使用の中止または低減中に起こる紙巻きタバコ、葉巻または他のタバコ製品への嗜癖性渇望を治療するためのニコチン化合物などの、嗜癖性渇望を治療するための治療剤の経皮イオントフォレシス送達方法を提供する。本方法は、少なくとも1つの電極アセンブリを患者と電気的に連通するように位置決めするステップを含む。電極アセンブリは、皮膚接触層と、電荷を有する治療剤(例えば、ニコチンまたはニコチン類似体の塩)が溶解している溶液とを含み、溶解した治療剤は外力を加えなくても皮膚に受動拡散する。第1の用量の薬剤(ニコチンまたはニコチン類似体など)は、薬剤をアセンブリから反発力により放出させる極性と電圧とを有する第1の電流を用いて第1の期間中に電極アセンブリから皮膚の中に送達される。送達される薬剤がニコチンまたはニコチン類似体である特定の実施形態によれば、第1の用量の送達は、紙巻きタバコまたは他の形態の吸入タバコ送達によく似ている吸入検知装置から使用者が吸入することによって起こり、検知装置からの吸入は紙巻きタバコからの吸入または他の吸入タバコ送達形態(例えば、葉巻またはパイプ)を模擬する。第1の用量のニコチンの送達は吸入装置での吸入に同期させてもよく、またはそれは選択された時間、例えば、紙巻きタバコから吸入した後にニコチンが使用者の血流に入るのにかかる時間に相関する期間、遅延させてもよい。吸入装置はまた、使用者が吸入装置で行う吸入が紙巻きタバコまたは葉巻での吸入によく似ている吸入に対応し、呼吸の一部として起こる通常の吸入には対応しないことを確実にする手段として、使用者が唇または口の他の部分から加える力または圧力の量を検知するセンサも備えてもよい。このようにして、電極アセンブリは、紙巻きタバコ、葉巻または他の吸入型のタバコでの吸入によく似ている吸入に対応する使用者の吸入中にしかニコチンを送達しない。
第1の用量の治療剤は、例えば、患者が紙巻きタバコを吸うことによるニコチン送達プロファイルによく似るまたはそれを模擬するように、連続的にまたは一連のバーストとして送達されてもよい。このようなバーストは、矩形波、半波符号波台形他の形状を有してもよい。他の形態のタバコの使用(例えば、葉巻、電子タバコ、噛みタバコ)または他の嗜癖性物質からの送達プロファイルを模擬する他の送達パターンも考えられる。また、用量は、特定の患者の特性、例えば、体重および喫煙習慣(例えば、1日当たり喫煙する紙巻きタバコの数およびどれくらい脱習慣化したか)に合わせて調整することができる。第2の期間中、薬剤を引き付ける極性と電圧とを有する第2の電流を使用して、薬剤をアセンブリ内に保持し、これにより第2の期間中の皮膚内への薬剤の送達を最小限に抑え、薬剤の望ましくない送達および/または過量送達が起こる可能性が低減するようにする。喫煙嗜癖を治療するためのニコチン化合物を送達する実施形態では、このように送達を最小限に抑えることにより、この第2の期間中に患者にニコチンに関連する向精神作用が生じることが防止されるが、そのような作用を受けると患者が比較的高レベルのニコチンを習慣的に使用するようになるおよび/または脱習慣化の進行が遅くなるおそれがある。第1の期間は送達期間を構成し、第2の期間は非送達期間を構成し、それらは一緒に送達サイクル期間を構成する。次いで、必要に応じて送達サイクル期間を繰り返し、患者の嗜癖性渇望を低減することができる。特定の実施形態では、送達期間中に送達される用量、および送達期間と非送達期間の長さなどの1つ以上の送達パラメータは、患者の喫煙パターンの1つ以上のパラメータに基づいて決定するまたは調整することができる。このようなパラメータとしては、例えば、各パフの持続時間、パフ容量、パフ間の間隔およびパフの総数を挙げることができる。このようにして、本発明の実施形態により送達されるニコチン化合物の送達プロファイルは、患者の実際の紙巻きタバコ(または他の形態の吸入タバコ)の使用によるニコチン送達プロファイルにより近くするまたはよく似せることができる。送達期間/サイクル中に送達されるニコチンは患者が紙巻きタバコまたは他の形態のタバコの喫煙から得るものにより近いため、使用中、この手法によりニコチン渇望を低減することができる。
本明細書に記載するように、多くの実施形態では、ニコチンの用量を、使用者が口を保持することができる吸入検知装置で患者が行う吸入に同期させることができる、または他の方法で調和させることができる。特定の実施形態では、検知装置は、紙巻きタバコ、葉巻または他の吸入型のタバコの外観および感触を模擬する。このような実施形態は、本明細書では吸入タバコ模倣物、紙巻きタバコ模倣物または場合により単に模倣物と称される。検知装置はまた、紙巻きタバコまたは他の吸入型のタバコからの吸入感を模擬するように構成することができる。検知装置は、典型的には、使用者の少なくとも1つの吸入特性、例えば、紙巻きタバコまたは他の吸入型のタバコでのパフに対応する吸入の開始および停止、ならびにパフ持続時間、および1パフ中に使用者が吸入する煙、従って、ニコチンの量に相関し得る1パフ中の吸入容量を検知するセンサを少なくとも1つ備えることになる。
1つ以上の実施形態によれば、紙巻きタバコ模倣物は、吸入特性を検知するセンサと;センサからの出力に対応する信号を無線送信する通信装置と;紙巻きタバコ模倣物のセンサ、通信装置または他の構成要素の1つ以上に電力を供給する電源と;口接触部および吸入時に空気が通過する少なくとも1つの内腔と;を備える。通信装置は、当該技術分野で公知のRFチップまたは関連するRF通信装置に対応してもよく、BLUETOOTHプロトコルなどの当該技術分野で公知の1つ以上の通信プロトコルを用いて信号を送信するように構成されてもよい。典型的には、通信装置は、本明細書に記載の起動装置および/または制御装置と通信するように構成されることになる。特定の実施形態によれば、通信装置は、1用量以上のニコチンまたは本明細書に記載の1つ以上の実施形態による他の治療剤の経皮送達を開始するために、制御装置に1つ以上の信号を送信するように構成することができる。
1つ以上の実施形態では、センサは、1つ以上のシリコンベースの流量センサ(または他の固体流量センサ)などの当該技術分野で公知の空気流量または速度センサに対応してもよい。それは、典型的には、使用者の息が通過する内腔に配置されることになる。特定の実施形態では、それは紙巻きタバコ模倣物の口接触部の近傍に配置されてもよいが、他の位置も考えられる。また様々な実施形態で、複数のセンサは内腔の複数の位置(または模倣物内もしくは模倣物上の他の位置)に位置決めすることができ、それらは一定のパターンで(例えば、内腔の径軸に対して円形に、もしくは内腔の長手軸に対して直線状に、またはその両方で)配置され、特定の吸入特性(例えば、パフ/吸入速度、持続時間、容量および種類(例えば、短時間急速型か、長時間緩速型か)の測定が改善されるようにすることができる。放射状の分布と直線状の分布の組み合わせを使用して内腔での速度プロファイルを求めることができ、それを使用して、例えば、i)使用者の息が層流であるか、乱流であるか;およびii)短い偶発的な吸入であるか、意図された吸入であるか;の1つ以上を区別することができる。センサはまた、使用者の吸入(本明細書ではパフと称される)の開始、パフ持続時間、パフ容量、およびパフの種類(短時間急速型か、比較的深い吸入の長時間緩速型か);の1つ以上を求めるために使用することもできる。これらは、総称して、吸入特性と称される。(それらは、使用者の吸入に関する情報を提供すると言うこともでき、従って、吸入情報と記載されることもある)。当該技術分野で公知の他の吸入特性も考えることができる。好ましい実施形態では、ニコチン送達期間およびサイクルの開始を始めることができるように、センサは模倣物でのパフまたは吸入の開始を判定するように構成される。これは、本明細書に記載のもう1つの制御装置に入力されるセンサからの出力信号が、これらの制御装置の1つ以上の中にあるソフトウェア/制御モジュールに最終的に入力されることにより促進することができる。ソフトウェアモジュールは、ニコチン、ニコチン類似体または本明細書に記載の他の治療剤の送達サイクルを開始するための判定を行うために、センサからの信号を使用する幾つかの手法を使用することができる。本明細書の主要部にこれらの手法をより詳細に記載する。
他の実施形態では、送達期間中および/または送達サイクル中に送達される治療剤の用量を経時的に減少させて、患者を嗜癖から脱習慣化させることができる。特定の実施形態では、嗜癖行動中止計画における患者の進行度を反映するように、治療剤の用量を再調整することができる(第1の初期調整後)。例えば、紙巻きタバコ禁煙計画の場合、ニコチンの送達用量は、患者が計画を開始してからの日数、現在喫煙している紙巻きタバコの数、禁煙/節煙プログラム開始時と比較した変化(例えば、喫煙した紙巻きタバコの数および/または紙巻きタバコ間の頻度の変化)、ならびに、患者が現在感じている渇望の数と重症度、および禁煙/節煙プログラム開始時と比較した変化の1つ以上に基づいて再調整することができる。
使用中、前述の実施形態および関連する実施形態は、嗜癖性渇望(例えば、ニコチンやオピオイドへの渇望)を治療するための治療剤を制御経皮送達する方法を提供し、それには幾つかの利点がある。第1に、調整された投与および/またはバースト投与の使用により、それは嗜癖行動(例えば、紙巻きタバコの喫煙)中に送達される用量により近く、嗜癖行動と類似の向精神反応を生じさせるため、渇望が低減する。第2に、非送達期間中の受動拡散が最小限に抑えられるため、過量送達の可能性および/または患者が望ましくない送達用量を習慣的に使用するようになる可能性が低減する。これらの要因の一方は、または両方とも、従来の手法と比較して速く且つ高い成功率で(例えば、再発の可能性が低い)、患者が紙巻きタバコ喫煙などの嗜癖行動を止めることを助ける可能性がある。
さらに、添付の図面の図を参照して、本発明の前述のおよび他の実施形態および態様の詳細をより詳細に後述する。
図1は、3つの主要な皮膚層である表皮、真皮および皮下組織、ならびに皮膚に入る通路を示す断面図である。 図2は、送達電極と側電極とを使用する、様々な治療剤を経皮イオントフォレシス送達するシステムの一実施形態の側面図である。 図3aは、皮膚表面上での経皮イオントフォレシスパッチ装置の一実施形態の配置を示す略側面図であり、装置は能動電極アセンブリと帰還電極アセンブリとを備える。 図3bは、皮膚表面上での経皮イオントフォレシスパッチ装置の一実施形態の配置を示す略側面図であり、装置は2つの能動電極アセンブリを備える。 図4aは、能動電極と側電極とを備える皮膚パッチの一実施形態を示す側面図である。 図4bは、能動電極と側電極とを備える皮膚パッチの一実施形態を示す上面図である。 図5aは、パッチアセンブリを備えるオンデマンド使用者起動式経皮送達システムの一実施形態を示す鳥瞰図である。 図5bは、タバコの使用によるニコチン渇望を治療するためのニコチンなどの治療剤の送達期間と非送達期間を繰り返すように送達電流と保持電流とを有する患者制御式または他の「オンデマンド式」二相性経皮イオントフォレシス送達システムの一実施形態を示す時系列グラフである。図5bは薬物送達サイクルを開始するための起動信号を示し、この信号は患者起動式装置または他の信号生成手段によって生成される。 図5cは、タバコの使用によるニコチン渇望を治療するためのニコチンなどの治療剤の送達期間と非送達期間を繰り返すように送達電流と保持電流とを有する患者制御式または他の「オンデマンド式」二相性経皮イオントフォレシス送達システムの一実施形態を示す時系列グラフである。図5cは起動信号により開始される電流波形の一実施形態を示し、この波形は送達電流と保持電流とを有する。 図5dは、タバコの使用によるニコチン渇望を治療するためのニコチンなどの治療剤の送達期間と非送達期間を繰り返すように送達電流と保持電流とを有する患者制御式または他の「オンデマンド式」二相性経皮イオントフォレシス送達システムの一実施形態を示す時系列グラフである。図5dは送達電流と保持電流の期間に対応する薬物送達プロファイルの一実施形態を示す。 図6aは、パッチと電子機器アセンブリとを備える、治療剤(タバコの使用によるニコチン渇望を治療するためのニコチン化合物など)をイオントフォレシス経皮送達するシステム/パッチアセンブリの一実施形態を示す斜視図であり、図6aは上面図を示す。 図6bは、パッチと電子機器アセンブリとを備える、治療剤(タバコの使用によるニコチン渇望を治療するためのニコチン化合物など)をイオントフォレシス経皮送達するシステム/パッチアセンブリの一実施形態を示す斜視図であり、図6bは底面図を示す。 図6cは、制御装置、電流源および電流切換装置を備える電子機器アセンブリの一実施形態のブロック図である。 図7aは、使用者の皮膚上の例示的部位での図6aおよび図6bの一実施形態の配置を示す斜視図である。 図7bは、曲線状の輪郭を有する組織部位に位置決めされた曲線状の輪郭を有するパッチアセンブリの一実施形態を示す側面図である。 図8aは、経皮イオントフォレシス送達システムの実施形態の特性を促進するために用いることができる波形、即ち電流出力変化を示す。 図8bは、経皮イオントフォレシス送達システムの実施形態の特性を促進するために用いることができる波形、即ち電流出力変化を示す。 図8cは、経皮イオントフォレシス送達システムの実施形態の特性を促進するために用いることができる波形、即ち電流出力変化を示す。 図8dは、経皮イオントフォレシス送達システムの実施形態の特性を促進するために用いることができる波形、即ち電流出力変化を示す。 図8eは、経皮イオントフォレシス送達システムの実施形態の特性を促進するために用いることができる波形、即ち電流出力変化を示す。 図8fは、経皮イオントフォレシス送達システムの実施形態の特性を促進するために用いることができる波形、即ち電流出力変化を示す。 図8gは、ニコチン化合物のバーストモード送達に関するバーストモード送達プロファイル/曲線の一実施形態を示す。 図8hは、患者の血漿で得られたニコチン送達曲線と喫煙に関する送達曲線との比較を示す。 図8iは、バーストモード送達曲線の異なる実施形態を示す。 図8jは、使用者の吸入に基づいてニコチンまたは他の治療剤の送達を開始するまたは他の方法で制御するように吸入検知装置を使用して治療剤を経皮イオントフォレシス送達するシステムの一実施形態を示す略図である。 図8kは、図8jの吸入検知装置の一実施形態を示す側面図である。 図8lは、ニコチンまたは他の治療剤の送達を制御するために吸入検知装置からの信号を使用する実施形態を示すブロック図である。 図9は、実施例で使用される経皮イオントフォレシス送達システムの一実施形態をモデル化するために用いられる伝達関数のブロック図である。 図10aは、時間に対する送達された治療剤のプロットである。累積入力と、システム応答測定値の最適相互相関FIRフィルタ応答に基づく推定システム応答との比較を示す。 図10bは、時間に対する送達された治療剤のプロットである。プロットは、密度入力と、システム応答測定値の最適相互相関FIRフィルタ応答に基づく推定システム応答の比較とを示す。
本明細書に記載の様々な実施形態は、様々な嗜癖を治療するための治療剤を含む様々な治療剤を経皮イオントフォレシス送達する装置、システムおよび方法を提供する。このような嗜癖としては、様々な化合物、例えば、ニコチンに対する嗜癖、およびその化合物の嗜癖送達方式、例えば、紙巻きタバコ喫煙を挙げることができる。多くの実施形態は、様々な嗜癖および嗜癖に関連する渇望を治療するための治療剤を含む、様々な治療剤を二相性経皮送達する装置、システムおよび方法を提供する。嗜癖に関連する渇望を治療するためのこのような治療剤としては、紙巻きタバコまたは他のタバコ嗜癖(例えば、葉巻、パイプ、噛みタバコ等)に起因するニコチン渇望を治療するためのニコチン化合物;ヘロインまたは他のオピオイドに対するヘロイン嗜癖に起因する渇望を治療するためのメタドンおよび他の合成オピオイド;ならびに、コカイン嗜癖に起因する渇望を治療するためのアセチルシステイン、バクロフェン、ブプロピオン、バノキセリン(Vanoxerine)、およびビガバトリンまたは他の関連化合物の1種以上;を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本明細書で使用する場合、経皮送達という用語は、1つ以上の皮膚層(例えば、表皮、真皮等)を通した薬物または他の治療剤などの化合物の送達を指す。ここで図1を参照すると、皮膚層には表皮EP、真皮Dおよび皮下組織SDが含まれる。表皮の最上層には、死んでいる皮膚層(厚さ約10〜40μm)である角質層SCと、生きている表皮EPとが含まれる。経皮送達は、皮膚に入る3つの通路のうちの1つにより、即ち、1、汗孔SPを介して、2、毛包HFを介して、または表皮EP(角質層から始まる)と真皮とを通した透過3により行うことができる。
イオントフォレシスは、小さい電荷を用いて電気的反発力により高濃度の荷電物質(生理活性物質として知られる)を経皮的に導入する非侵襲的方法である。生理活性物質としては薬物または他の治療剤が挙げられる。電荷は電源により皮膚上に配置された能動電極アセンブリに印加され、能動電極アセンブリは、同符号の電荷を有する生理活性物質と、それを溶解させる溶媒とを含む。電流は、電極アセンブリから皮膚を通って流れた後、同じく皮膚上に配置された帰還電極アセンブリまたは対極アセンブリにより帰還する。アノードと称される正電荷を有する電極アセンブリは、正電荷を有する生理活性物質、またはアニオンを反発力により皮膚に導入すると共に、カソードと称される負電荷を有する電極アセンブリは、カチオンとして知られる負電荷を有する生理活性物質を反発力により皮膚に導入する。
ここで図2〜図4bを参照すると、患者の皮膚S上の、送達部位TSとも称される組織部位TS(腕Aなど)に治療剤51を経皮イオントフォレシス送達するシステム5の一実施形態は、能動電極アセンブリ20と帰還電極アセンブリ30を含む少なくとも2つの電極アセンブリ14と、電源装置100とを備える。能動電極アセンブリ20は、電源装置100から皮膚に供給される電流により皮膚Sを通して治療剤を送達するために用いられる。帰還電極アセンブリ30は、電源装置100への電流(例えば電流60)の帰還経路を提供する。まとめて、能動電極アセンブリ20と帰還電極アセンブリ30は、本明細書でパッチ装置10とも記載される経皮イオントフォレシス送達装置10を構成する。交流電流を用いる実施形態では、両方の電極アセンブリ14を、電流の方向に応じて能動電極アセンブリ20および帰還電極アセンブリ30として構成することができる。簡潔にするために、場合により、電極アセンブリ14、能動電極アセンブリ20および/または帰還電極アセンブリ30は、それぞれ電極14、能動電極20および帰還電極30と称されることもある。
多くの実施形態では、電極アセンブリ14(例えば、能動アセンブリ20および帰還アセンブリ30)は、皮膚表面に貼付されるように構成された1つ以上のパッチ15を備えるか、または他の方法でそのようなパッチ15上に配置される。パッチ15は、望ましくは皮膚表面Sの輪郭CRに追従することができ、エラストマー材料または他の可撓性ポリマー材料の層から製造することができる。幾つかの実施形態では、能動電極アセンブリ20と帰還電極アセンブリ30とを含む2つ以上の電極アセンブリ14を単一のパッチ15上に配置することができる。他の実施形態では、システム5は、電極アセンブリ14用の別個のパッチ15、例えば、能動電極アセンブリ20用の第1のパッチ15’と、帰還電極アセンブリ30用の第2のパッチ15’’とを備えることができる。他の実施形態では、複数の能動電極アセンブリ20もしくは帰還電極アセンブリ30のいずれかまたは両方を有するように、3つ以上のパッチ15を使用することができる。例えば、一実施形態では、システム5は、能動電極アセンブリ20を内蔵する2つのパッチと、帰還電極アセンブリ30を内蔵する第3のパッチ15とを含む、3つのパッチ15を備えることができる。複数のパッチと電極アセンブリとの他の組み合わせ、例えば、能動電極アセンブリ20用の2つのパッチと帰還電極アセンブリ30用の2つのパッチの4つのパッチも考えられる。
多くの実施形態では、能動電極アセンブリ20は、図2の実施形態に示すように、治療剤用のリザーバ21と、リザーバと流体連通している多孔質の組織接触部24と、アセンブリを皮膚に粘着させる粘着部25と、電極アセンブリ20を電源装置100に結合する電気コネクタ26とを備えることができる。リザーバ21は、送達される治療剤の特定の用量に合わせたサイズに製造することができる。様々な実施形態では、電源装置100は、病院環境および現場の両方で医療従事者による使用を容易にする様々な特徴を備えることができる。例えば、電源装置は、電極アセンブリ14、パッチ15または電源装置100の1つ以上に位置決めされたバーコードを読み取るバーコードリーダ(図示せず)を備えるか、またはそれに結合するように構成されてもよい。
組織接触部24はまた、能動電極20および/または帰還電極30として機能するように電気伝導性(本明細書では導電性)である。これは、組織接触部24を導電性多孔質材料(例えば、導電性炭素繊維または他の導電性繊維)から製造することにより、および/または組織接触部24を導電性の溶液54実施形態(この導電性は、溶液54に添加される治療剤51または様々な電解質によるものである)で濡らすことにより達成することができる。コネクタ26は、組織接触部24に電気的に結合するように、組織接触部24の中まで延びても、または他の方法でそれと電気的に接触してもよい。幾つかの実施形態では、コネクタ26を、電極アセンブリ14内に位置決めされる導電素子28に結合し、且つ導電性多孔質組織接触部24に結合することができる。導電素子28、導電層34(後述)ならびに側電極40(同様に後述)の1つ以上が、ステンレス鋼、炭素、塩化銀(AgCl)または当該技術分野で公知の他の導電性材料を含む、様々な導電性材料を含むことができる。
典型的には、粘着部25は、図4aおよび図4bの実施形態に示すように多孔質組織接触部24の外周24pを取り囲むことになるが、他の配置も考えられる。様々な実施形態では、多孔質部分24は多孔質層24を含むことができ、さらにそれは、ポリエステル、PETおよび同様の材料を含む当該技術分野で公知のポリマー発泡体、ポリマー繊維からなる膜または織布を含む、様々な多孔質材料を含む。粘着部25は多孔質層24に取り付けられてもよく、当該技術分野で公知の剥離可能な様々な粘着剤を含むことができる。粘着部25は、基材層25sに取り付けられた1種以上の剥離可能な粘着剤などの粘着剤層25aを含むことができ、基材層25sは様々なハイドロゲル、ポリウレタン、またはシリコーン等のポリマー材料を含むことができる。粘着部25のサイズおよび構成は、特定の皮膚部位(例えば、腕か、脚か、毛量等)および皮膚タイプ(例えば、小児か、老人か等、毛量等)に適応させることができる。
典型的には、治療剤51は、治療剤組成物54とも記載される治療剤溶液54に溶解され、それはリザーバ21を充填するために用いられる。様々な実施形態では、溶液54は水溶液を含み、本明細書では水溶液54と称されることもある。より詳細に後述するように、溶液54は治療剤51の他に保存剤(例えばクエン酸)などの1種以上の医薬品添加物52を含むことができる。溶液54の粘度は、溶液がリザーバ21から多孔質層24の中に容易に染み込むように調整することができる。溶液54は、工場でリザーバ21に予め装入されてもよく、または、図3bの実施形態に示すようにチャネル27を介してリザーバ21に連結しているセルフシールポートなどのポート22(ポートから液体を注入することを可能にする)を用いて使用前に医療従事者が添加してもよい。好適な治療剤51としては、喫煙または他のタバコ付加によるニコチン渇望を治療するためのニコチン化合物;ヘロイン嗜癖によるヘロイン(または他のオピオイド)渇望および離脱症状を治療するためのメタドン化合物、ならびにコカイン嗜癖に起因するコカイン渇望および離脱症状を治療するためのアセチルシステイン、バクロフェン、ブプロピオン、バノキセリン、およびビガバトリンの1つ以上を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。他の化学物質依存性嗜癖による渇望および離脱症状を治療するための他の治療剤51も考えられる。さらに他の治療剤51としては、鉄欠乏性貧血治療用のピロリン酸第二鉄または他の鉄含有化合物、糖尿病または他の血糖調節障害を治療するためのインスリンまたは様々なグルカゴン様ペプチド、疼痛管理用のフェンタニルまたは他のオピオイド化合物、および癌治療用の様々な化学療法剤を挙げることができる。
帰還電極アセンブリ30は、導電性組織接触層34と、粘着剤層35と、電極アセンブリを電源に結合するコネクタ26とを備える。多くの実施形態では、帰還電極アセンブリ30は、図3bの実施形態に示すように、能動電極アセンブリとして機能するように、能動電極アセンブリ20と実質的に同じ要素構成(例えば、リザーバ21、導電性組織接触層24)を有することができる。
多くの実施形態では、パッチ15はまた、側電極40として知られる1対以上の電極も備える。図3a〜図3bおよび図4a〜図4bの実施形態に示すように、側電極40は、多孔質部分24の両側に、多孔質部分24の外周24pから選択可能な距離に配置される。側電極40は、金属、グラファイト、塩化銀および他の同様の材料を含む、様々な導電性材料を含むことができる。様々な実施形態では、側電極40の全部または一部は、容量結合により皮膚に電流を供給する容量結合電極となるように絶縁コーティングを含むことができる。側電極40はまた、望ましくは電極20および30から電気的に絶縁され、典型的にはそれら自体の波形生成回路を備えることになる。
側電極40は望ましくは、多孔質部分24に対して、部分24の下にある皮膚Sを通過し、且つ皮膚と略平行な導電経路104が得られるように配置される。送達電極20と共に側電極40を用いるパッチ15の実施形態は、2つの電流、即ち、第1の電流60と第2の電流70の流れを可能にする。第1の電流60は電極20と30との間を流れ、治療剤51が皮膚S層の中に導入され、それを横断するように作用する電気的な力を提供する役割を果たす。第2の電流70は、ふるい分け電流70(sieving current)として知られ、治療剤51に対して皮膚Sと平行な方向に作用する電気的な力を提供し、それにより皮膚Sと平行な方向に治療剤51を振動させる。この振動は、皮膚の中で拡散抵抗が比較的小さいまたは最小の経路により治療剤を篩い分ける作用をする。第2のパッチ15’’が側電極40を内蔵し、且つ治療剤の送達に使用される実施形態では、第2のパッチ15’’上の側電極から第3の電流70’が供給されて、同様に電気的駆動力を作り出し、治療剤を第2のパッチ15’’の下で皮膚表面と略平行に振動させることができる。篩い分け電流の生成における側電極40の使用を含む、側電極40の配置および使用に関するさらなる説明は、2010年2月10日に出願された米国特許出願第12/658,637号明細書に記載されており、この文献は参照により全体として本明細書に援用される。
ここで図5a〜図5dを参照して、治療剤のオンデマンド経皮送達に用いられる本発明の様々な実施形態について説明する。このような実施形態は、治療剤51をオンデマンド送達するシステム5’および方法を含む。本明細書で使用する場合、「オンデマンド」という用語は、患者または他の人(例えば、医療提供者)が治療剤の送達を開始できることを指す。これには、後述する治療剤送達期間および/または治療剤送達期間のサイクルの開始が含まれる。これらのいずれの開始も、押しボタン装置などの患者起動装置からの信号/入力、および/または携帯電話もしくは他のRF対応装置などの無線装置から受信される信号であってもよい。このような「オンデマンド」実施形態により、以下、即ち、:i)患者、他の使用者または制御装置/機械が患者への治療剤51の送達を開始すること;およびii)パッチアセンブリ15cpにイオントフォレシス電流が供給されていない期間中に、治療剤51の受動拡散を阻止するまたは他の方法で制限すること;の1つ以上が可能となる。多くの実施形態では、オンデマンド経皮送達は、二相性経皮イオントフォレシス送達システム5’’の使用により実施することができる(二相性経皮イオントフォレシス送達については以下に定義し、詳述する)。このような実施形態は、タバコ嗜癖による渇望(例えば、紙巻きタバコへの渇望)を治療するニコチンまたは他のニコチン化合物などの、嗜癖性渇望を治療する治療剤51p(以下、医薬51p)の送達に特に有用である。しかし、このようなシステム5’’の実施形態は、任意の数の症状を治療するための、本明細書に記載のまたは当該技術分野で公知の任意の治療剤51の送達に用いることができることを理解されたい。
ここで図5aを参照して、「オンデマンド」経皮送達システム5’の一実施形態について説明する。このシステムは、患者および/または医療提供者が治療剤51をオンデマンド送達できるように構成されてもよい。システム5’はまた、例えば、後述する制御プログラム93pを使用することにより、本明細書に記載の二相性経皮イオントフォレシス送達システム5’’として構成されてもよい。システム5’は、パッチ15を含むパッチアセンブリ15cpと、電極14と、治療剤リザーバ21と、患者または他の使用者が治療剤51の送達を開始することを可能にする使用者起動式装置91(起動装置91とも称される)を備える電子モジュールまたはセクション90とを備える。電極14は、典型的には、本明細書に記載の送達電極または能動電極20と帰還電極30とを含むことができる。能動電極20は、治療剤51の供給分を貯蔵する治療剤リザーバ21と流体連通するように構成されている。本明細書に記載のように多くの実施形態では、治療剤51は、イオンの形態となるように溶液54(リザーバ21に収容されている)に溶解されることになる。1つ以上の実施形態によれば、治療剤51を含有する溶液54は、工場で、および/または薬局で患者が受け取る前に薬剤師により、リザーバ21に装入されてもよい。他の実施形態によれば、治療剤51は固体の形態でリザーバ21に貯蔵され、溶液54を含む液体は、使用直前に使用者または医療提供者によりリザーバに添加される。
様々な実施形態では、例えば、図5aの実施形態に示すように、パッチ15は、側部15sとテーパ状の中央部15cとを有するピーナッツ形またはカッシーニ曲線形の楕円15ocを含む、略楕円形15oであってもよい。能動電極20と帰還電極30とを含む電極14は側部15sに位置決めすることができ、電子機器モジュール90は中央部15cに位置決めすることができる。望ましくは、電極20と30とは、図5aの実施形態に示すように、対向する側部15sに位置決めされるが、電極20および30を各側部15sに配置する構成など、他の構成も考えられる。電子機器モジュール90は、制御装置530(図6cに示す)に対応し得る制御装置93と、電源570(図6bに示す)に対応し得る電源97とを備えることができ、且つ電気化学的蓄電池および電池のDC(直流)信号をAC(交流)信号に変換する回路を備えることができる。電子機器モジュール90は、一定用量のオピオイドまたは他の治療剤51(例えば、制吐薬)を送達するために、薬物送達サイクルを開始するための押しボタンまたはスイッチなどの使用者起動装置91を備える。当該技術分野で公知の他の電気機械式起動装置91も考えられる。典型的には、治療剤51の送達期間および/または送達サイクルの開始などの機能を開始させるために、装置91で生成される信号91sが制御装置に入力を提供するように、起動装置91を制御装置93(または他の制御装置)に結合させる。しかし、追加のまたは代替の実施形態では、起動装置91は、モジュール90に(例えば、有線で)電気的に接続され、且つ患者が容易に利用できるように位置決めおよび構成される押しボタン装置などの外部接続装置(例えば、患者のベルトに取り付けられるか、または患者のベッドサイドに置くことができる装置)を備えてもよい。さらに他の実施形態では、起動装置91は、携帯電話、PDAまたはRF対応通信装置などの、持ち運ぶ、装着する、または患者の直近に配置することができる無線装置を備えてもよい。装置91のこのような無線の実施形態では、装置91および/または制御装置93は偶発的使用および/または他の不正使用を防止する様々なパスワードまたは他のコードを備えてもよい。さらに他の実施形態では、起動装置91は、センサ装置200、紙巻きタバコ模倣物210に対応してもよい、および/または本明細書にさらに記載するように装置200/模倣物210に信号を送受信するように構成されてもよい。
ここで図5b〜図5dを参照して、二相性経皮イオントフォレシス送達システム5’’を用いた「オンデマンド」薬物送達方法の実施形態について説明する。この方法の実施形態は、パッチアセンブリ15cpおよび500などの本明細書に記載のパッチおよび電極アセンブリの様々な実施形態に適用可能である。「二相性経皮イオントフォレシス送達」は、第1の薬物送達相と第2の薬物送達相とを有する経皮イオントフォレシス送達システムの使用を指す。幾つかの実施形態では、第1の薬物送達相および第2の薬物送達相は送達期間および非送達期間に対応してもよい。さらに、送達期間は治療剤の能動輸送期間(例えば、駆動電流を使用)に対応してもよく、非送達期間はこのような輸送の能動的禁止期間(例えば、保持電流を使用)に対応してもよい。図5b〜図5dに示すように、送達サイクルが(例えば、患者または他の使用者により)開始される前は、後述する保持電流320により薬剤がリザーバ21内に保持されるため、薬剤は全くまたは最小限しか送達されない。患者が起動装置91を押すと、これにより、制御装置93に送られる信号300が発生する。制御装置93は、信号300の受信時に薬物送達期間340を開始する制御プログラムまたは他のロジック93pを備えることができる。次いで、制御プログラム93pは、薬物送達電流310(本明細書では駆動電流310とも称される)として知られる第1の電流の流れにより薬物送達期間340の開始を始め、薬物送達電流310は、治療剤51を反発力によりリザーバ21から皮膚に導入するように構成された極性と大きさまたは他の特性を有する(この極性は、イオン形態の治療剤51の電荷と符号(即ち、正または負)が同じである)。電流310の他の特性としては、電圧、電流310の波形の周波数/周期または形状の1つ以上を挙げることができる(これらの特性はまた、保持電流320がその機能を果たすようにそれを調整するのにも用いられる)が、これらに限定されるものではない。
制御装置93は、図5dの送達曲線350(送達プロファイルとも称される)により示されるように、送達期間340の間、送達電流310をオンに保ち、選択された用量の治療剤51を皮膚の中に送達する(送達期間および送達電流は、制御装置93に記憶することができる、および/またはプログラム93pにより、例えば、添付の実施例に記載される伝達関数および他のモデル化手法を用いて決定することができる)。送達期間340の終了時、制御装置は送達電流310を停止して、保持電流320を発生させることにより非送達期間330(本明細書では不応期間330とも記載される)を開始させる。保持電流320は、薬剤51を静電引力によりリザーバ21内に保持するように構成された極性と大きさまたは他の特性を有し(例えば、保持電流320の極性は、イオンの形態の治療剤の電荷と反対の符号を有し)、それによりパッチから皮膚の中への治療剤の受動拡散が防止される、または最小限に抑えられる。このような最小限の拡散は、図5dの非送達曲線360に示されている。保持電流320からの引力が存在しない場合、このような受動拡散が起こり得る。特定の実施形態では、保持電流が薬剤51をリザーバ21内に保持するのに十分であることが確実になるように、保持電流320の1つ以上の特性を、溶液54内の治療剤51の種類および濃度および/または溶液54の他の特性に対して調整する。例えば、電流320の大きさは、溶液54内の治療剤51の濃度に比例して調整する、または他の方法で(例えば幾何学的に)調整することができる。本明細書に記載の様々なニコチン塩を送達する実施形態では、特定のニコチン塩および溶液54内でのその濃度に応じて保持電流320を調整することもできる。電流は、ニコチン塩の濃度に比例して、または別の方式で増加させてもよい。調整は、工場で、医療提供者、薬剤師(例えば、特定のニコチン塩を溶液54に混合する場合)により、または制御装置93内のソフトウェアにより行うことができる。調整はまた、送達サイクルの間、溶液54内の薬剤51の濃度変化を考慮して動的に行うこともできる。特定の実施形態では、センサを用いて、溶液54内の薬剤51の濃度を、制御装置93への入力として送られるセンサの出力内で測定してもよい。関連する実施形態では、同様の調整は、十分な薬剤51がリザーバ21から患者の皮膚の中に送達されることを確実にするような、溶液54中の薬剤51の濃度または溶液54の他の特性に対する電流310の特性の調整であってもよい。
また、患者(または他の人)が自ら反復投与する、従って自ら過量投与することを防止するように、非送達期間330中、制御装置は別の送達期間の開始をロックアウトするまたは他の方法で防止する。ロックアウト期間後、制御装置は別の送達サイクルを開始させる。制御装置はまた、選択された時間の間に、例えば、12時間、24時間等の間に、薬剤51の用量の最大数しか投与されないようにプログラムされても、または他の方法で構成されてもよい。ニコチン渇望を治療するためのニコチン化合物などの嗜癖および嗜癖性渇望を治療するための治療剤51pを送達するための特定の実施形態では、用量の最大数は、12時間または24時間で24、40、48、60、80、98または100用量に対応することができる。望ましくは、用量の最大数は、治療剤の濃度(例えば、血漿中濃度)を治療係数(当該技術分野で公知)内に抑え、且つ用量が呼吸抑制、低血圧、低いもしくは高い心拍数および/または他の有害な生理学的影響を引き起こす、または引き起こし始めると思われるものなどの最大耐量を超えないように構成される。同様に、送達される用量の最大数および/またはロックアウト期間は、患者への治療剤51の送達速度をこのような副作用が起こり得る速度未満に抑えるように選択することができる。用量の最大数およびロックアウト期間は、治療剤、患者の年齢および体重、患者の状態および患者が(現在、過去または将来に)投与されている他の治療剤を含む1つ以上のパラメータに基づいて決定することができるが、これらに限定されるものではない。
ここで図6a、図6b、図6c、図7aおよび図7bを参照すると、様々な実施形態では、嗜癖性渇望を治療するための治療剤51pおよび/または他の治療剤をイオントフォレシス経皮送達するシステム500は、皮膚追従性パッチ505と、電子機器アセンブリ550とを備えることができる。システム500(本明細書ではパッチアセンブリ500とも記載される)は、本明細書に記載の「オンデマンド」経皮送達システム5’および/または二相性経皮イオントフォレシス送達システム5’’として構成することができる。パッチ505は第1の電極アセンブリ510と第2の電極アセンブリ512とを備え、これらは本明細書に記載の電極アセンブリの1つ以上の実施形態に対応し得る。アセンブリの電極部分の製造に用いられる材料としては、米国特許出願第12/824,146号明細書および同第12/824,147号明細書(共に2010年6月10日出願)に詳細に記載されているグラファイトなどの様々な耐食材料を挙げることができ、これらの文献全体があらゆる目的で参照により本明細書に援用される。また、電極アセンブリ510および512の一方または両方が、米国特許出願第12/832,011号明細書(2010年7月7日出願)に詳述されているように、エッジ効果を低減するように同心状に離間配置されたまたは他の方法で配置された一対520の組織接触リング形電極521および522を備えてもよく、上記文献全体があらゆる目的で参照により本明細書に援用される。
電子機器アセンブリ550は、典型的には、パッチアセンブリ500を形成するようにパッチ505に係合するハウジング560を備える。ハウジング560はそれぞれ底面561と上面562とを備え、底面561は典型的にはパッチ505に係合する接触面であるが、他の配置も考えられる。特定の実施形態では、ハウジング560は、1つ以上の着脱要素600を介してパッチ505に着脱可能に連結するように構成することができる。
ハウジング560は様々な形状を有してもよい。多くの実施形態では、ハウジング560は、パッチアセンブリ500が配置される標的組織部位TSの皮膚表面SSの輪郭C、例えば、患者の腕、脚または腹部の(例えば、目につかないようにウエストラインより下を含む下腹の前面または側面の)輪郭などに対応するように構成されている曲線状の輪郭564(底面561と上面562の一方または両方がこのようになっていてもよい)などの、付形された輪郭563を備えてもよい。輪郭563および564は、i)特定の標的部位TSの標準的な輪郭に対応してもよい;ii)様々な標的組織部位および患者のサイズに合うような様々なサイズおよび形状のものがあってもよい;またはiii)特定の患者および標的組織部位に特化した形状であってもよい。また、ハウジング560は、パッチ505およびハウジング560が配置される標的組織部位TSの皮膚表面SSの輪郭Cに少なくとも部分的に追従するように、追従性を有することができる(患者が静止しているときも、患者が動いているため、皮膚の屈曲や他の変形が生じ、それにより皮膚表面の輪郭が撓曲した輪郭になっているときも)。従って、様々な実施形態では、ハウジング560の全部または一部は、様々な弾性重合体、例えばシリコーンおよびポリウレタンなどの当該技術分野で公知の様々な可撓性ポリマーを含むことができる。他の可撓性ポリマーも考えられる。ハウジングの可撓性/追従性はまた、特定の標的組織部位TSの必要性を満たすように、ハウジングの長さにわたり変化するように構成されてもよい。例えば、ハウジング560は、その中央部560cで可撓性が最も大きくなるように構成することができる(それは幾つかの実施形態ではハウジングの中央付近にクリンプゾーンまたは関節状のゾーン560aを設けることにより達成することができる)。また、ハウジング560の可撓性プロファイルはパッチ505の形状および可撓性プロファイルに一致させるかまたは他の方法で相関させることができる。例えば、特定の実施形態では、ハウジングの可撓性/追従性は、リング形電極521および522を有するパッチ505の実施形態に合うように構成することができる。前述の実施形態および関連する実施形態では、ハウジング560は、リング形電極521および522(または他のもの)とほぼ位置合せし得る比較的可撓性が高い(例えば、剛性が比較的低い)領域566を含む構造を有し、それによりこれらの領域でアセンブリ500の全体的な可撓性が低下しないようにしてもよい。領域566の形状は電極521および522(または他の異形電極)の形状に対応し得るが、その領域のサイズは電極のサイズと異なってもよい。領域566は、ハウジングの厚さをこれらの領域で小さくすることにより、および/または可撓性が比較的高い材料を使用することにより達成することができる。楕円形の領域566またはさらには凹状の領域566を有する構造などの、付形された領域566を含むハウジング560の他の構造も考えられる。
また様々な実施形態では、ハウジング560は追従性があるだけでなく、パッチアセンブリ500全体を使用者が衣服の下に装着することができ、且つ十分に屈曲および撓曲し得るような形状およびサイズの外形565も有することができ、これにより:i)それは使用者の衣服からの(服および/または皮膚の動きによる)圧力または力によりすぐに剥離せず、使用者の服の下の組織部位に粘着させたときにパッチアセンブリ500を長時間付けたままにしておくことができる;およびii)使用者の服の下で目につきにくい。様々な実施形態では、ハウジングの外形565は、患者の腕、脚、腹部または他の標的組織部位TSの表面の輪郭Cに対応する(上面562および底面561の一方または両方の)輪郭564を有することができる。さらに、ハウジング560の実施形態は、パッチアセンブリ500が患者の腹部、腕、脚および他の標的組織部位に配置されたときに、患者の皮膚の動きを考慮して十分に屈曲および撓曲するようなサイズや形状に製造され、また他の方法で製造することができる。このように、パッチアセンブリ500が服の下に配置されても(またはそうでなくても)、このアセンブリは患者の皮膚に長時間十分に粘着した/取り付けられた状態を維持することができるため、所望の用量の薬物または他の治療剤51を送達することが可能である。様々な実施形態では、この時間は24時間以下、3日間以下、1週間以下であってよく、さらに長い時間も考えられる。パッチ505とハウジング560との特定の組み合わせは、本明細書に記載の1つ以上の因子(例えば、可撓性表面積等)を用いて、所望の特定の取り付け期間に合わせて構成することができる。元素鉄を含むパッチの実施形態では、このような構成により、特定の嗜癖性渇望を治療するための治療剤51pなどの所望の治療剤51(例えば、喫煙または他のタバコ嗜癖によるニコチン渇望を治療するためのニコチン)を治療用量、送達するのに十分な時間、患者の皮膚にパッチを十分に粘着した状態を維持することができる。同様の構成および方法は、前述の他の薬物および治療剤の送達に用いることができる。
さらに、パッチアセンブリ500が露出状態でまたは患者の服の下に装着されるとき、ハウジング560からパッチの下の皮膚表面SSに加わる力(患者の皮膚の動きによる)または衣服からパッチ505の下の皮膚表面に加わる力(衣服または皮膚の動きによる)の大きさがかなり一様になる(例えば、力の集中する面積をできるだけ小さくして力の分布が略一様になる)ように、ハウジング560のサイズおよび形状(例えば、楕円形、円形、ドッグボーン形等のハウジング底面561の形状)ならびにハウジング560の可撓性のうちの1つ以上を、パッチ505のサイズおよび形状(例えば、パッチ表面505sの形状)ならびに可撓性のうちの1つ以上に対して選択することができる。使用中、前述の実施形態および関連する実施形態は、このような力の集中による高電流密度および/またはホットスポットによる皮膚の熱傷、電撃傷または他の損傷の大きさを最小限に抑える役割を果たす。さらに、あと2つまたは電極アセンブリ(例えば、アセンブリ510および512)を有するパッチ505の実施形態から治療剤51を送達する実施形態では、力の集中(皮膚の動き等による)を最小限に抑えるこのような構成はまた、第2の電極(または他のもの)と比較して第1の電極からの治療剤の送達に対するどのような影響も最小限に抑える役割も果たす。特定の実施形態では、これは、第2の電極アセンブリ512(または他の電極アセンブリ)と比較して第1の電極アセンブリ510からの治療剤の送達速度または総送達量に対するどのような影響も最小限に抑える役割を果たすことができる。
特定の実施形態では、このような結果は、ハウジング560とパッチ505の可撓性を一致させる(ほぼ同等、または選択した量、例えば5〜50%だけ高くまたは低くする)と共に、パッチ505の表面積がハウジング560の表面積と比較して十分に大きくなるように構成し、それによりスノーシュー様の効果が生じ、衣服からハウジングに加わるどのような力もまたは他の加わる力(皮膚の動きによる力など)もパッチ505の表面積全体に均等に分布するようにすることにより達成することができる。1:1.5〜1:10(ハウジング表面積対パッチ表面積)の範囲の表面積比が考えられ、具体的な実施形態では1:2、1:3、1:5である。
さらに他の実施形態では、ハウジング560またはパッチ505は、使用者の服がハウジングおよび/またはパッチに加える力の大きさを検知する固体歪みゲージなどの圧力センサ567を備えてもよい。その場合、圧力センサからの入力を用いて、加わる力に対してパッチに供給される電流を調整する(増減する)ことができる。電流は、過剰な圧力によりパッチに過熱点が発生するのを防止するように下方に調整することもでき、または加わる圧力による皮膚の電気インピーダンスの任意の増加を考慮して上方に調整することができる。
アセンブリ550は、典型的には電源570(本明細書では電流源570とも称される)と、皮膚への薬剤のイオントフォレシス送達の1つ以上の側面を制御する制御装置530(例えば、マイクロプロセッサまたは同様の装置)とを備えることになる。制御装置530はまた、皮膚への電流の供給を制御する一体型または分離型の出力制御装置535も備えることができる。制御装置530および535の一方または両方は、皮膚への電流の供給を制限するまたは他の方法で制御するHブリッジまたは他の電流切換/制限装置540に結合することができる。ハウジングはまた、典型的には、AAまたはAAA電池などの標準的なサイズの電池に合うサイズに製造されてもよいシリンダ形のキャビティなどの、電流源570用のキャビティ580を備えることになる。他のキャビティ580形状も考えられる。
様々な実施形態では、電流源570は、アルカリ電池、リチウム電池、リチウムイオン電池および同様の化学電池を含む1つ以上の電気化学電池を含むことができる。記述を簡単にするため、本明細書では電流源570を電池570と称するが、他の電流源も同様に適用可能である。電池570はまた、当該技術分野で公知の充電式電池も含むことができる。電池570は、治療剤の経皮送達に十分な電流/電圧を皮膚に2〜24時間の範囲でまたはさらに長時間にわたり供給する選択された容量を有することができる。電源570は交流電源にも対応し得る。従って、電気化学電池を含む実施形態では、電源570は、電池からのDC信号をAC信号に変換する回路を備えてもよい。種々の蓄積コンデンサおよび圧電式エネルギー回収装置などの、他の電源/電流源570も考えられる。
パッチ505は、典型的には、電子機器アセンブリ550上の導電素子591に電気的に結合する1つ以上の導電領域506を備えることになる。導電領域506は、パッチ表面505s上またはパッチ505内に配置された導電トレース590に結合することができる。電子機器アセンブリ550上の導電素子は、制御装置530および電流源570の一方または両方に結合することができる。
着脱要素600はばね荷重式であってもよく、使用者の指で係合するように構成することができる。特定の実施形態では、着脱要素600は、パッチ505に繋止するフックなどの1つ以上の繋止要素601を備えてもよく、またはそれに機械的に連結されてもよい。繋止要素601はまた、パッチ表面505Sに係合するハウジング底面561に配置された粘着領域も含んでもよい。
使用中、着脱要素600により、使用者が電子機器アセンブリ550を選択されたパッチ505に取り付けたり、取り外したりすることが可能になる。これにより、複数のパッチに対して電子機器アセンブリ550を再使用することが可能になる。システム500を使用する例示的実施形態では、使用者は、特定のパッチ505を入手し、後述するバーコードリーダ(または他の表示読み取り手段)を使用してパッチに関する情報を走査した後、パッチ505をアセンブリ550に取り付けることができる。使用者がパッチを使用して行った後(例えば、所望の量の薬物が送達された後)、使用者はパッチ505からアセンブリ550を取り外し、パッチ505を廃棄する。特定の実施形態では、アセンブリ550は、パッチ505を取り外す時機を使用者に知らせるビープ音または他の警告などの信号を提供するプログラミングを備えることができる。代替として、パッチ表面505sは、必要量の薬剤が皮膚に送達されたときに変色するかまたは他の方法で視認可能な表示508を使用者に提供するインジケータ部分507を備えることができる。一実施形態では、表示508は、必要量の治療剤51が送達されたときに視認可能になる記号またはマーキング509を含むことができる。マーキングは、パッチ505内の治療剤51の消耗および/またはパッチ内またはパッチ上での化学反応または電気化学的反応により視認可能となってもよい。
特定の実施形態では、電子機器アセンブリ550はまた、例えば、パッチに含有される治療剤51の種類および量、望ましい送達レジメン、ロット番号(パッチ505および治療剤51の)、貯蔵寿命、使用期限および関連情報を含むパッチ505に関する様々な情報を確認するために、パッチ505上に印刷されたバーコードを読み取るバーコードリーダも備えることができる。追加のまたは代替の実施形態では、パッチ505は、同様の情報を含み、且つ電子機器アセンブリ550により(例えば、制御装置530により)読み取り可能な記憶装置(例えば、EEPROM等)506を内蔵してもよい。アセンブリ550はまた、情報(前述の)を記憶する記憶装置556も内蔵してもよく、それはマイクロコントローラ530に結合されてもよい。記憶装置556に含まれる情報(例えば、治療剤51の種類、用量およびロット番号)は、工場で、および/または医師もしくは薬剤師により入力されてもよい。また情報入力は、直接行っても、またはネットワーク、例えばインターネットもしくは携帯電話ネットワークまたは他の同様のネットワークを介して行ってもよい。パッチ505に関する情報の他の表示の読み取り/検出を行うための、他の表示読み取り手段も考えられる。このような表示読み取り手段としては、当該技術分野で公知の種々のRFIDチップの使用を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
パッチ505とアセンブリ550とを備えるシステム500は、腕、脚または腹部、背中または他の部位を含む、患者の皮膚上の任意の数の部位に配置されるようなサイズや形状に製造することができる。パッチ505およびハウジング560の特定の材料特性(例えば、厚さ、弾性係数、屈曲性等)もまた、所望の部位に配置できるように選択することもできる。例えば、下腹などの、使用者が比較的大きく曲げる皮膚領域にシステム500を配置できるように、比較的可撓性の高い材料特性を選択することができる。また、パッチ505とアセンブリ550は、例えば、キット500k(これは使用説明書を備えることができる)として一緒に包装することができ、そのアセンブリ550は、サイズ、電流源、プログラミング機械特性等に関してパッチ505と一致している。さらに、このようなパッチ505群または特定のロット番号のパッチ505に対して所定のアセンブリ550を較正することができる。このような実施形態では、複数のパッチ505を特定のアセンブリ550と共に含むことができる。使用時、これにより患者は、数日間、数週間、または数ヶ月間にわたり特定の治療剤51の送達必要量を満たす全供給分のパッチを入手することが可能となる。さらに、アセンブリ550は、患者が手持ちのまたは供給分のパッチ505がなくなる間近になると、アセンブリが患者にパッチを追加購入するようにメッセージを出すようにプログラムされてもよい。関連する実施形態では、アセンブリ550はインターネットおよび/または携帯電話などの移動通信装置と連携し、患者の薬局および/または医師に、以下の1つ以上を行うようにメッセージを送るように構成されてもよい:i)患者の特定の治療剤パッチ505の処方箋を更新する;ii)注文した供給分の治療剤パッチ505を、患者が自分の薬局で受け取れるように準備してもらう;および/またはiii)注文した治療剤パッチ505を患者の自宅に発送する。
ここで図8A〜図8Fを参照して、様々な波形800、即ち電流出力変化(経時での)および1種以上の治療剤51の送達または保持を促進するために用いることができるそれらの特性について記述する。これらの波形の実施形態は、単一のまたは2つ以上の能動電極20を有する本発明の実施形態に用いることができる。本明細書に記載の多くの実施形態は、所定の極性とゼロとの間を変化する波形800を提供し、その極性で電流(例えば電流310)は反発力により治療剤51を皮膚に導入する。他の実施形態では、波形800は正極性と負極性とが交互に変わり、このような波形は本明細書では波形801と称される。
正極性と負極性とが交互に変わる波形801を有する実施形態では、波形801は、使用時に各電極アセンブリ(例えば、アセンブリ20および30)に供給される電流が荷電平衡型AC電流となるように構成された荷電平衡波形802であってもよい。荷電平衡AC電流とは、所定の持続時間にわたり、各極性で皮膚に供給される電流の量が略均等であることを意味する。本明細書で使用する場合、略均等とは、1つ以上の波形の周期で2つの値が互いの80%以内、より好ましくは90%または99%以内であることを意味する。荷電平衡方式で交番するように波形を適合させることにより、皮膚に対する電気的毒性または他の損傷を低減する、または最小限に抑えることができる。他の実施形態では、電荷平衡になるように適合されている交流電流波形が用いられるが、幾らかの非対称性が存在し得る。
後述する波形800の実施形態は、最小値と最大値との間で変化する。図8bで記載するものなどの、波形800の幾つかの実施形態は、電荷値が交互に変わってもよく(即ち、逆極性を含んでもよく)、このような波形は本明細書では交流電荷波形801と称される。このような実施形態では、電流の供給は、波形801が前述の荷電平衡波形802となるように電荷平衡させることができる。
図8aは、一実施形態による、長時間のまたは長い薬物送達期間または持続時間840(これは、図5cに示す送達期間340に対応し得る)を含む波形800を示す。幾つかの実施形態では、皮膚は、所定の持続時間における電流の最大量(最大電流送達)(例えば、毎分80ミリアンペア)のみを取り扱うものと仮定されてもよい。所定のアンペア数に関して、最大電流送達を超過しないように交流電源(例えば、前述の電源100)の出力の持続時間を設定してもよい。送達持続時間840は、電流出力Iの全期間の幾らかの割合または比率(例えばn=2では50%)に設定されてもよい。例えば、幾つかの実施態様では、最大電流送達(I)は1分間に80ミリアンペアと仮定される。このような実施態様では、送達持続時間は4ミリアンペア出力に対して20秒に設定される。電源100の出力は、負極性に切り換わるのでなく、ゼロアンペア出力に変わってもよい(極性が切り換わるのでなく)。図8Aに示す波形800は矩形であるが、波形800の様々な実施形態は別の形状を有してもよく(例えば、正弦波形、台形)、電流送達は曲線下面積に対応する。図8Aにより示される例では、交流電源100は1つの電極(例えば、能動電極20)で送達持続時間840を開始し、送達持続時間は治療剤の電荷の極性と一致する極性を有する電流により設定される。電流はゼロ出力に変わってもよく、このとき薬物送達は実質的に停止する。従って、非送達持続時間830は、逆電流ではなく、ゼロ電流出力と合致する。他の実施形態では、非送達持続時間830は、下記の図8bの実施形態および上記の図5bの実施形態に記載するように生理活性物質51の電荷と反対の極性を有する電流(例えば、保持電流320の形態)の使用により達成される。
図8Bは、交流電力信号が対称矩形波804などの対称波803を出力する別の実施形態を示す。図8B(および本明細書に示す他の波形)は、電荷平衡交流電流を送達するための電荷平衡波形802の使用を示す。例えば、極性対称波形は荷電平衡と見なすことができる。用途に応じて、波形802のサイクルの周期Pは長くても(例えば20分)、または短くてもよい(1/60秒)。送達持続時間840は、波形802の周期Pの半分に相当してもよい。示した実施態様では、非送達持続時間830に逆電流を用いて、皮膚への薬剤送達を能動的に防止する。
図8Cは、送達持続時間840と非送達持続時間830とが異なる、非対称の矩形波806などの非対称の波805を交流電力信号が出力する本発明の別の実施形態を示す。より具体的には、非対称矩形波805は、比較的長い送達持続時間(t)と、それに続く短い(比較的短い)休止持続時間(t)とを含んでもよい。休止持続時間は、ゼロ電流、または図示するように、逆電流(I)の期間に相当してもよい。1つの用途では、休止持続時間は、前の持続時間の薬物送達から皮膚層が回復する(例えば、任意の熱、イオン濃度、または電流の供給によって生じる他の副生成物を散逸させる)ことを可能にする。代替形態または変形形態として、電流の印加から皮膚層が回復できるように、休止期間は皮膚層に電流が印加されない期間の後に続いてもよい。
図8Dは、交流電力信号が、ランプアップ期間808および/またはランプダウン期間809を含むように台形波形807を有する、別の実施形態を示す。図示するように、Iは、交流電源(例えば電源100)から発生する最大電流出力である。ランプアップ期間808は持続時間tにわたり、これは、使用者の体が電流の印加および/または治療剤51の送達に慣れることができることを含む理由から選択される。ランプアップ期間808は、ランプアップ持続時間が有効になり得る長さであってもよい。一実施形態では、任意選択的にランプダウン期間809を実施してもよい。
図8Eおよび図8Fは、高周波振動811を低周波数基本波形810に重畳させる複合波形813を含む、別の波形の変形形態を示す。基本波形810は数秒間または数分間持続する周期P810を有してもよく、それは、最大電流(例えば、4mA)からゼロ電流および/または逆電流にわたる、電極アセンブリへの出力電流に対応する。高周波振動は、その周期の実現値における電流値の小さい変化を反映する。高周波振動811の周期P811は、基本波形のものより1桁以上短くてもよい。例として、基本波形800は数秒〜数分の範囲の周期P810を有してもよく、その波形の高周波振動は数ミリ秒〜数秒の範囲の周期を有してもよい。高周波振動811の効果は、治療剤51が投与される際の皮膚層での容量電荷の効果を低減することである。また、皮膚を通る抵抗が最小の経路が見つかるように、治療剤が皮膚の中を移動するときに治療剤の動きに振動を生じさせることにより、高周波振動811を用いて角質層を含む皮膚を通る治療剤の輸送を促進することもできる。このような実施形態では、モデリング(例えば、薬物動態モデリング)および/または患者の年齢、皮膚タイプおよび皮膚部位を用いることにより、この効果が増強されるように高周波振動を調整してもよい。
基本波形810は、先行する実施形態に記載されたような考慮事項に関して選択されてもよい。例えば、図8Eでは、波形813はランプアップ期間808を含む。図8Fでは、波形800は、非送達持続時間830に切り換わる送達持続時間840を有する。図8Fの実施形態は、高周波振動811を送達持続時間840の間だけ存在するように発生させてもよいことを示す。
ニコチン適用
ここで、本発明のもう1つの実施形態(例えば、本明細書に記載の様々なパッチおよび電極アセンブリおよびシステム)を用いて送達することができるニコチン化合物、およびそれらの実施形態を用いた化合物の経皮送達方法に関して記述する。本発明の1つ以上の実施形態により送達され得るニコチンの形態としては、遊離塩基型のニコチン、その類似体および誘導体、ならびにニコチンの様々な塩およびそれらの塩の類似体および誘導体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ニコチン、およびその類似体および誘導体、ならびにニコチンの塩は、本明細書ではニコチン化合物と称されることもある。
ニコチン類似体
ニコチン類似体としては、当該技術分野で公知の、ニコチン作用を有する任意の物質(即ち、ニコチン受容体、(特に神経型のニコチン受容体)に結合するおよび/または作用する物質を挙げることができる。ニコチン類似体としては、ニコチンの鏡像異性体および異性体、置換ニコチン(Cl、Br、I、NO2、アリール、アルキル等)、ニコチンの酸化生成物、ニコチンの代謝産物、ニコチンに関連する化合物、例えば、ミオスミン、ノルニコチン、アナバシン等、ならびに類似の立体化学(立体配座)および/または生理活性を有する他の様々な化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。それらの製造方法を含むニコチン類似体についての更なる説明は、米国特許第4,590,278号明細書および同第5,138,062号明細書に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
ニコチン塩
本発明の様々な実施形態により送達することができる薬学的に許容される例示的なニコチン塩としては、以下のニコチン塩、即ち、酒石酸塩(例えば、ニコチン酒石酸塩およびニコチン二酒石酸塩)塩化物(例えば、ニコチン塩酸塩およびニコチン二塩酸塩)、硫酸塩、過塩素酸塩、アスコルビン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸、乳酸塩、アスパラギン酸塩、サリチル酸塩、トシル酸塩、塩化亜鉛塩、コハク酸塩、およびピルビン酸塩等;ニコチン塩水和物(例えば、ニコチン塩化亜鉛一水和物)等を挙げることができる。ニコチンと塩を形成することができるその他の有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、α−メチル酪酸、イソ吉草酸、β−メチル吉草酸、カプロン酸、2−フロ酸、フェニル酢酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、シュウ酸、マロン酸、およびグリコール酸、ならびに炭素数約20以下の炭素鎖を有する他の脂肪酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましいニコチン塩としては、塩酸塩、二塩酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、酒石酸水素塩、二酒石酸塩、リンゴ酸塩、サリチル酸塩および塩化亜鉛塩が挙げられる。本発明の様々な実施形態ではまた、ニコチンの代わりにニコチンの誘導体または類似体を用いた上記塩の1つ以上の送達も考えられる。薬学的に許容されるニコチン塩の更なる説明は米国特許第7,387,788に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に援用される。他の因子の中でも、その溶解性(例えば、比較的高いか、比較的低いか)、皮膚を介したその経皮イオントフォレシス能動輸送速度、および皮膚を介したその経皮受動拡散速度に基づいて特定のニコチン塩を選択することができる。ニコチン塩の溶解性は、測定することができる、および/またはMerck Manualもしくは類似の参考文献から確認することができる。溶解性はまた、1種以上の緩衝剤、抗酸化剤(例えば、クエン酸)または本明細書に記載の医薬品添加物を用いて調整してもよい。経皮能動拡散速度および経皮受動拡散速度は、これに添付されている実験セクションに記載の方法を用いて求めることができる。またこのような方法は、特定のニコチン塩またはニコチン類似体塩に関する駆動電流310および保持電流320の形成(establish)に使用することもできる。
水溶液中のニコチン塩の重量パーセント
パッチアセンブリ15cpが前述の1種以上のニコチン塩(またはニコチン類似体の塩)を含む本発明の様々な実施形態では、それらの塩を、パッチアセンブリ15cpのリザーバ21または他の部分に収容された水溶液または他の溶液54(例えば、水性アルコール溶液)に溶解することができる。水溶液54中に溶解したニコチン塩固形分は、約1〜50重量(wt)%の範囲とすることができる。特定の実施形態では、溶解したニコチン塩の含有率は、約10重量%、好ましくは10重量%超、好ましくは15重量%超、好ましくは約15重量%〜30重量%、より好ましくは20重量%超、より好ましくは20重量%〜30重量%である。具体的な重量%は、以下の因子、即ち、パッチアセンブリ15cpの組織接触面積、所定の送達期間中の所望のニコチン用量(例えば、0.5〜3mg)、所望のニコチン用量流束(例えば、mg/sec/cmパッチ表面積)、所望の血漿中濃度(例えば、所望の血漿中ニコチン濃度(例えば、約2〜20ng/(ml血漿、より好ましくは約2〜10ng/ml)、および所定のパッチアセンブリにより送達される用量の総数(例えば、10、20、40、50等)の1つ以上に基づいて調整することができる。これらの因子の1つ以上に基づいて、ならびに患者の体重、現在の紙巻きタバコの使用、患者が現在習慣的に使用しているニコチンレベルについての生理学的測定等の患者特性に合わせてニコチン塩の重量パーセントを調整するために、用量反応曲線を使用してもよい。
医薬品添加物の使用
様々な実施形態では、水溶液54はまた、1つ以上の機能を果たす1種以上の医薬品添加物も含んでもよい。このような医薬品添加物としては、例えば、水溶液中のニコチン塩または他のニコチン化合物による皮膚刺激が低減するように、および/またはイオントフォレシスの結果として起こる皮膚刺激が低減するように、溶液のpHを皮膚で見られる生理学的pH範囲に維持する緩衝剤を挙げることができる。洗浄していないヒトの皮膚の自然状態のpHは4.7であると報告されているため、望ましくは、緩衝剤は水溶液54のpHを4〜6の範囲、より好ましくは4.5〜5.5の範囲、最も好ましくは4.6〜4.8の範囲に維持するのに十分な緩衝能および溶液中での濃度および緩衝性を有する。好適な緩衝剤としては、有機および非有機緩衝剤を挙げることができる。例示的な無機緩衝剤としては、リン酸緩衝液、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、水酸化ナトリウム、塩酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例示的な有機緩衝剤としては、乳酸、酒石酸、メグルミン、モノエタノールアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、アミノメチルアミン、トリヒドロキシメチルアミノメタン、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。他の医薬品添加物としては、様々なニコチン化合物の皮膚透過性を改善するための皮膚透過促進剤、水溶液54の貯蔵寿命を改善するための抗酸化剤を挙げることができる。水溶液54中に使用され得る様々な皮膚透過促進剤および抗酸化剤ならびに他の医薬品添加物(例えば、様々なゲル化剤)またはパッチアセンブリ15cpの他の部分についての更なる説明は、米国特許第7,387,788号明細書に記載されている。
親水性ポリマーマトリックスの使用
幾つかの実施形態では、ハイドロゲルマトリックスなどの親水性ポリマーマトリックスに、水溶液または他の溶液54を含有させることができる。ハイドロゲルマトリックスは、リザーバ21、組織接触層24または本明細書に記載のアセンブリ14および15cpなどの電極/パッチアセンブリの他の部分に収容されてもよい。溶解したニコチン化合物の安定性が向上するように、ニコチン(または類似体もしくは誘導体)塩含有ハイドロゲルは、好適には、親水性ポリマー材料、例えば、極性のものを含む任意の数の材料から製造することができる。ハイドロゲルマトリックスに好適な極性ポリマーは、様々な合成ポリマー材料および天然ポリマー材料を含む。一実施形態では、ハイドロゲル製剤は、好適な親水性ポリマー、緩衝剤、保湿剤、増粘剤、水、および水溶性ニコチンまたは類似体もしくは誘導体塩を含む。好適な親水性ポリマーは親水性ポリマーマトリックスを含むことができ、これは、1つ以上の実施形態では、洗浄され完全に加水分解されたポリビニルアルコール(PVOH)などのポリビニルアルコールに対応してもよい。好適な緩衝剤としては、酸の形態と塩の形態の両方の、メタクリル酸とジビニルベンゼンとの共重合体であるイオン交換樹脂が挙げられる。このような緩衝剤の一例には、Polacrilin(Rohm&Haas,Philadelphia,Pa.から入手可能なメタクリル酸とジビニルベンゼンとの共重合体)とそのカリウム塩との混合物がある。酸の形態のポラクリリンとカリウム塩の形態のポラクリリンとの混合物は、ハイドロゲルのpHを約pH6に調整するポリマー緩衝剤として機能する。ハイドロゲル製剤中に保湿剤を使用すると、ハイドロゲルからの水分損失を抑制するのに有益である。好適な保湿剤の一例にはグアーガムがある。増粘剤も、ハイドロゲル製剤に有益である。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのポリビニルアルコール増粘剤は、熱ポリマー溶液を金型またはキャビティに分注するときの、そのレオロジーを調整するのに役立つ。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは冷却すると粘度が増加し、冷却されたポリマー溶液が金型またはキャビティを過充填する傾向を大幅に低減する。一実施形態では、ニコチン(または類似体もしくは誘導体)塩含有ハイドロゲル製剤は、約10〜15wt%のポリビニルアルコール、0.1〜0.4wt%の樹脂緩衝剤、および約1〜2wt%のニコチン(または類似体もしくは誘導体)塩を含む。残部は水、および保湿剤、増粘剤等の成分である。
ニコチン投与量
本発明の多くの実施形態は、単一の紙巻きタバコにより送達されるニコチンに近い用量のニコチン化合物を送達するように構成されている。大部分の紙巻きタバコは、吸入される煙の中にニコチンを約1〜3ミリグラム含有する。ある研究によれば、中程度の紙巻きタバコにより送達されるニコチンの平均量は、中程度の収率の紙巻きタバコでは約1.1mg(ミリグラム)である。Djordjevic MV et al.Doses of nicotine and lung carcinogens delivered to cigarette smokers.J Natl Cancer Inst.2000 Jan 19;92(2):106−11。1パフ当たり送達されるニコチンの平均用量は、0.08〜0.12mgの範囲であると報告された。従って、パッチアセンブリ15cpの様々な実施形態は、単一の送達期間中に、この範囲の用量のニコチンまたは他のニコチン化合物を送達するように構成することができるが、それより多いまたは少ない投与量も考えられる。さらに、送達期間中に送達される用量と送達サイクル中に送達される用量の数は、送達サイクル中にニコチン(またはニコチン類似体もしくは誘導体)0.7〜3mgを送達するように構成することができるが、特定の実施形態ではニコチン(またはニコチン類似体もしくは誘導体)0.8、0.9、1.01.1、1.2、1.4、2および2.5mgを送達するように構成することができる。本明細書に記述するように、単一の送達期間中に送達される用量と送達サイクル中に送達される総用量は両方とも、本明細書に記載の1つ以上の患者特性および他の因子に合わせて調整することができる。
様々な実施形態では、送達期間の間に患者に投与されるニコチン(例えば、または類似体もしくは誘導体)の好適な用量としては、例えば、約0.02〜約5ミリグラム、より好ましくは約0.05〜約2.5ミリグラム、より好ましくは約0.06〜約2ミリグラム、より好ましくは約0.06〜1ミリグラム(mg)、さらにより好ましくは0.07〜0.5mg、さらにより好ましくは0.08〜0.12mgを挙げることができる。送達期間中の特定の用量としては、0.08mg、0.09mg、0.10mg、0.11mgおよび0.12mgを挙げることができる。紙巻きタバコ禁煙用途では、送達期間中に送達されるより好ましい用量は、紙巻きタバコの1回のパフから送達される平均用量に相当するニコチン(またはニコチン類似体)約0.1ミリグラムである。このまたは他のニコチン用量は、患者の喫煙パターン(例えば、長く深い吸入(比較的高用量)か急速なパフ(比較的低用量)か、1日当たり喫煙する紙巻きタバコの数、例えば、10本か20本か)、喫煙する紙巻きタバコの種類(低ニコチンか、高ニコチンか)、患者の体重または患者の他の特性(例えば、年齢等)に合わせて調整してもよい。パイプもしくは葉巻の使用またはさらには電子タバコの使用などの他の形態の吸入タバコの使用についても同様の調整を行ってもよい。また、後述するように、禁煙計画における患者の進行度に基づいて送達期間中に送達される用量を再調整してもよい。
様々な実施形態では、24時間の間に約1〜80用量のニコチン(またはニコチン類似体)を送達してもよく;例えば、24時間の間に10、20、30、40、50、60、70用量のニコチンを送達することができる。調整は、本明細書に記載のバーストモード送達に合わせて行ってもよい。1つ以上の実施形態では、例えば、ニコチンまたはニコチン類似体の総送達用量を超えないように、1時間、6時間、12時間、または24時間などの所定時間内に送達される特定の数の用量を制限することができる。従って、様々な実施形態では、用量の数を制限するように、および/または用量間の間隔(例えば、非送達期間)を制御するように、システム5および/またはパッチアセンブリ15cpに様々なロックアウトをプログラムしてもよい。
ニコチン化合物のバーストモード送達
本発明の1つ以上の実施形態によれば、送達期間および/またはサイクル中に送達されるニコチン化合物の用量プロファイル(本明細書では「送達プロファイル」)は、紙巻きタバコの喫煙または他の形態のタバコの使用により患者に生じるニコチン送達プロファイル350aによく似るまたは他の方法で近くなるように構成することができる。送達期間および/またはサイクル中に送達されるニコチンは、紙巻きタバコ(例えば、紙巻きタバコの各パフからのプロファイル)または他の形態のタバコの喫煙から患者が得るものによく似ているおよび/またはより近いため、使用中、このような手法は、ニコチン/紙巻きタバコへの渇望を低減することができる。ここで図8g〜図8iを参照すると、このようなよく似た送達プロファイルを達成するために多くの実施形態では、特定のニコチン化合物に関する送達曲線またはプロファイル350は、図8gの実施形態に示すように、送達期間340中の一連のバースト352に対応する。まとめて、バースト352は、バーストパターンまたはバーストモード送達プロファイル351を含む。このような方式での送達は、本明細書では「バーストモード」送達と記載される。各バースト351の持続時間353、バースト間の間隔353、および各バーストのニコチン化合物の送達用量は、患者へのニコチンのパフ毎の送達を模擬するように、特定の患者に関するパフ持続時間355、パフ間隔356、パフニコチン用量に対応してもよい。紙巻きタバコ、葉巻、パイプまたは電子タバコに関してこれを行ってもよい。典型的には、図8gおよび図8iの実施形態に示すように、バースト351は矩形波形357を有してもよいが、それらはまた半波正弦波359などの曲線状の波形358を有してもよい。様々な実施形態では、バースト数は1〜30、2 20、および2〜15であってもよい。特定の実施形態では、バースト数は2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14および15であってもよい。好ましい実施形態では、バースト数は患者が行う典型的なパフ数に対応し、従って、約8〜12バーストの範囲であってもよい。後述するように、バーストの持続時間、バースト間の間隔、およびバースト数などの1つ以上のバーストパラメータは、本明細書に記載の「喫煙パラメータ」の1つ以上を用いて判定される特定の患者の喫煙パターンを反映するように調整されてもよい。他の実施形態では、特定の種類の吸入型または他の形態のタバコの使用中のニコチン送達によく似ているまたは他の方法でそれを模擬する他の送達プロファイルが考えられる。例えば、送達期間340中のニコチン化合物の定常状態送達にバーストプロファイル351を重ね合わせてもよい。様々な実施形態では、患者が紙巻きタバコを喫煙する時に、患者の血漿中ニコチンレベルの測定または他の関連する測定を行ってもよい。1つ以上の実施形態によれば、各パフ中に送達されるニコチン用量の精度の制御を向上させるために、患者が当該技術分野で公知の電子タバコを使用するときに測定を行ってもよい。次いで、その測定を使用して、患者が紙巻きタバコを喫煙するまたは別の形態のタバコを使用するときの所定の患者に関する実際の送達ニコチンプロファイル350aにプロファイル350をより近くすることができる。
ニコチン送達パラメータの調整
前述のように、送達期間中に送達されるニコチンの用量は、本明細書に記載の1つ以上の考慮事項に基づいて調整することができる。このパラメータの他に、本発明の様々な実施形態で調整することができる他のパラメータとしては、送達期間の持続時間、非送達期間の持続時間を挙げることができる。さらに、ニコチン化合物のパルス送達を用いる実施形態では、調整することができるその他のパラメータとしては、送達期間中に所定のパルスで送達されるニコチンの量、送達期間中のパルスの数が挙げられる。これらのパラメータの1つ以上は、本明細書では、「ニコチン送達パラメータ」または「送達パラメータ」と称される。様々な実施形態では、送達パラメータの調整は、医療提供者、薬剤師または患者が行うことができる。特定の実施形態では、送達パラメータは、患者が現在習慣的に使用しているニコチレベルおよび/または欲求向精神作用に相関するまたは他の方法でそれを示す患者の種々の生理学的測定を用いて行うことができる。このような測定としては、例えば、心臓、血圧、皮膚コンダクタンス/抵抗が挙げられる。これにより医療提供者が、紙巻きタバコまたは他の吸入ニコチン製品に関する患者の現在の使用および/または精神的欲求(psychoactive need)を反映するように送達用量または他の送達パラメータを微調整することが可能となる。この手法は、患者が最初に喫煙を止めて、本明細書に記載のパッチアセンブリの1つ以上の実施形態の使用に切り替えるときに患者が感じるニコチン離脱感を減少させる役割を果たす。使用中、この手法は、患者に即時のニコチン離脱が起こらないため、禁煙プログラムに対する患者のコンプライアンスを向上させる役割を果たす。代わりに、数日間、数週間、またはさらには数か月間にわたり、患者に送達されるニコチン用量を漸減することができる。
患者の喫煙習慣に合わせた送達パラメータの調整を使用する実施形態
本発明の様々な実施形態ではまた、患者の喫煙パターンおよび習慣に基づく、送達されるニコチンの用量または他の送達パラメータの調整も考えられる。ここで、それらのパターンについて簡単な説明をする。患者が紙巻きタバコから煙を吸入した後、煙の中のニコチンは肺の肺胞嚢から肺胞の周囲の血管に移行し、それらの血管内の血液のニコチン濃度が高くなる。次いで、ニコチンリッチな血液は数秒で肺から脳に移動し、そこで、一部には血液中のニコチン濃度に応じて、興奮剤と鎮静剤の2つの向精神作用を生じさせる役割を果たす。興奮作用を求める喫煙者は、血液中に低レベルのニコチンを生じさせる短く迅速なパフを行う。リラックスを望む喫煙者は、比較的高い血液中ニコチンレベルを生じさせる深いパフを行う。従って、所望の向精神作用に応じて、この結果、患者の喫煙パターンの1つ以上のパラメータ(本明細書では「喫煙パラメータ」)に変化が生じ得る。このようなパラメータとしては、例えば、各パフの持続時間、パフ容量、パフ速度、パフ間の間隔およびパフの総数を挙げることができる。パラメータの値は、典型的には、患者の測定および/または質問により求められる平均値であると考えられる。このようにして、本発明の実施形態により送達されるニコチン化合物の送達プロファイルは、患者の実際の紙巻きタバコ(または他の形態の吸入タバコ)の使用によるニコチン送達プロファイルにより近くするまたはよく似せることができる。使用中、送達期間/サイクル中に送達されるニコチンは、患者が紙巻きタバコまたは他の形態のタバコの喫煙から得るものによく似ている(例えば、より近い)ため、使用中、この手法はニコチン渇望を低減することができる。特定の実施形態では、患者が所望する特定の向精神作用を達成する喫煙パターンをモデル化するために、幾つかの喫煙パラメータを一緒にプールすることができる。例えば、興奮剤を求める喫煙パターンか、鎮静を求める喫煙パターンかのモデルでは、パフ持続時間、パフ容量およびパフ速度を一緒にプールすることができる。モデルは、一次、二次、または他の次数の多項式、三次スプライン等を含むことができる。喫煙パラメータはそれぞれ、特定の次数の式の係数を含んでもよく、それに応じて重み付けされてもよい。ここでも、このようにして、患者の所望の向精神作用が達成されるようにニコチンの送達用量を調整することにより、本発明の実施形態はニコチン渇望および他の離脱症状を低減する。これにより、さらに、禁煙プログラムに対するコンプライアンスも改善され、終了時に再発する可能性が低減する。
また、ニコチン化合物にパルス送達モードを用いる1つ以上の実施形態では、喫煙パターンパラメータの1つ以上を用いて、パルスの持続時間および数を患者の喫煙パターンに一致させるまたは他の方法で相関させることができる。例えば、1つ以上の実施形態によれば、パルス数を、測定または質問表により求められる患者によるパフ数に一致させるまたは他の方法で相関させることができる(例えば、1:2、2:1の定量等)。他の実施形態によれば、興奮作用を求めて喫煙する患者では比較的少量のニコチンを有するパルスを比較的多数使用することができ、鎮静作用を求めて喫煙する患者では比較的多量のニコチンを有するパルスを比較的少数使用することができる。
禁煙の進行度に合わせた送達パラメータの調整を使用する実施形態
また、患者をニコチン渇望から引き離して、その結果、個人の禁煙を助けるように、送達期間中に送達される用量、送達期間の持続時間または送達サイクル中に送達される用量(「用量送達パラメータ」)の1つ以上を経時的に低減してもよい(本明細書では「低減」)。低減は医師または他の医療提供者が行うことができ、以下の進行因子:i)現在、患者が毎日どれくらいの頻度でニコチン渇望を有するか、ii)禁煙プログラムの開始時および/または以前の調整期間からの渇望数の減少、iii)紙巻きタバコのうちどれくらい多くの紙巻きタバコ数を喫煙し続けるか;およびiv)禁煙プログラムの開始時および/または以前の調整期間からの喫煙する紙巻きタバコ数の減少;の1つ以上を含む様々な因子に基づいて行うことができる。これらの4つの進行因子の1つ以上を用いて、送達されるニコチンの低減を、禁煙プログラムにおける患者の個々の進行度に合わせて調整し、このようにして、より迅速かつより成功率の高い禁煙プログラムを促進するすることができる(例えば、その場合、プログラムの終了時だけでなく、その後長期間にわたり喫煙習慣を止める成功率が高い)。低減はまた、以下、即ち、i)患者に生じているニコチン離脱の程度、ii)患者が現在、生理学的に習慣的に使用しているニコチンレベル、およびiii)患者のニコチン依存の低下;の1つ以上に相関するまたは他の方法でそれを示す種々の生理学的測定に基づいて行うこともできる。このような測定としては、血圧、心拍数、および呼吸等の測定の1つ以上を挙げることができる。例えば、依存が低下すると、患者が禁煙プログラムを開始したばかりの時と比較して、数時間以内に一定の用量のニコチンを摂取していなくても、患者の安静時心拍数および血圧は低下すると予測することができる。反対に、患者が一定の用量のニコチンを摂取した後、これらのパラメータは、患者が禁煙プログラムを開始したばかりの時と比較して、上昇すると予測することができる。測定は、一定の用量のニコチン化合物の摂取前、摂取中、または摂取後に、パッチ15cpおよび/または電子タバコもしくは実際の紙巻きタバコを使用して行ってもよい。送達されるニコチンの低減は、生理学的測定を用いて、ニコチン依存の低下を含む禁煙プログラムに対する患者の生理学的反応に合わせて調整し、このようにして、より迅速かつより成功率の高いプログラムを促進することができる。どちらの手法でも、送達期間中に送達されるニコチンの用量などの用量送達パラメータを、例えば、1、5、10%等の所定量ずつ減少させることができ、その量は進行因子および/または生理学的測定の1つ以上に基づいて決定される。さらに別の手法では、送達期間中に送達されるニコチンの用量などの用量送達パラメータは、患者が禁煙プログラムを開始してからの時間に基づいて、所定量ずつ減少させることができる。例えば、送達期間中に送達されるニコチンの用量は、禁煙プログラムの開始から毎週約1〜10%、代替として2週間毎にまたはさらには毎月約5%〜20%ずつ減少させることができる。どのような手法であろうと、減少は、患者が著しい離脱感および/またはニコチン渇望感を感じず、従って、プログラムに対する患者コンプライアンスが改善され、再発の可能性が低減するように調整することができる。
検知装置/紙巻きタバコ模倣物を使用してニコチン投与量の送達を引き起こす/制御する実施形態
ここで図8j〜図8lを参照すると、送達される薬剤51がニコチンまたはニコチン類似体である送達システム(例えば、システム5、5’、5’’等)の特定の実施形態によれば、使用者が吸入検知装置200(本明細書では、検知装置200)から吸入することにより、用量の送達を引き起こすまたは他の方法で制御することができる。検知装置200は、紙巻きタバコまたは他の吸入型のタバコ(例えば、葉巻またはパイプ)での吸入に対応する、使用者による吸入を検知する少なくとも1つのセンサ220を備える。それはまた、本明細書にさらに記載されるように様々な吸入特性を検知するように構成されてもよい。
1つ以上の実施形態によれば、検知装置200は、紙巻きタバコまたは他の形態の吸入タバコ(吸入タバコ送達装置とも称される)、例えば、パイプもしくは葉巻の外観および感触によく似るように構成された装置210であってもよい。記述を容易にするために、本明細書では検知装置210のこのような実施形態を紙巻きタバコ模倣物210または模倣物210と称する。紙巻きタバコ模倣物210は、それからの吸入が、紙巻きタバコまたは他の吸入タバコ送達形態(例えば、葉巻またはパイプ)からの吸入を模擬するように構成されている。この手法を使用する1つ以上の実施形態によれば、経皮送達によるニコチンの用量の送達を紙巻きタバコ模倣物での吸入に略同期させてもよく、またはそれを、選択された時間、例えば、紙巻きタバコまたは他の吸入型のタバコからの吸入後にニコチンが使用者の血流に入るのにかかる時間に相関する時間(例えば、5〜60秒であるが、それより短いまたは長い時間も考えられる)遅延させてもよい。この時間は、所定の喫煙者母集団に関する既知の値から決定した後、1つ以上の生物測定/呼吸パラメータ、例えば、体重、年齢、1回換気量等に基づいて、所定の式にフィッティングさせるまたはカスタマイズすることができる。フィッティングは、例えば、最小二乗法、一次、二次、三次スプライン等を含むもう1つの数値的方法に基づいて行うことができる。前述の実施形態および関連実施形態で使用する場合、略同期させるとは、送達が、紙巻きタバコ模倣物での吸入の約5秒以内、より好ましくは約2秒以内、さらにより好ましくは約1秒以内に開始することを意味する。
1つ以上の実施形態によれば、紙巻きタバコ模倣物210は、吸入特性を検知するセンサ220;センサ220からの出力225に対応する信号235を無線送信する通信装置230;センサ220の1つ以上に電力を供給する電源240;模倣物210上の通信装置230または他の構成要素;口接触部250および吸入時に空気が通過する少なくとも1つの内腔260;を備える。通信装置230は、当該技術分野で公知のRFチップまたは関連するRF通信装置に対応してもよく、当該技術分野で公知の1つ以上のBLUETOOTHプロトコルを用いて信号235を送信するように構成されてもよい。典型的には、装置230は、起動装置91および/または制御装置93と通信するように構成されることになる。それはまた、アセンブリ550と連動した制御装置530および/または別の制御および/または通信装置と通信するように構成されてもよい。特定の実施形態によれば、通信装置230は、1つ以上の信号235を制御装置93および/または530に送信し、本明細書に記載の1つ以上の実施形態による1用量以上のニコチンの経皮送達を開始するように構成することができる。
1つ以上の実施形態では、センサ220は、1つ以上のシリコンベースの流量センサ(または他の固体流量センサ)などの、当該技術分野で公知の空気流量または速度センサに対応してもよい。特定の実施形態では、センサは、当該技術分野で公知の風速計をベースにする流量センサに対応してもよい。センサ220は、典型的には、使用者の息が通過する内腔260内に配置されることになる。特定の実施形態では、それは口接触部250の近傍に配置されてもよいが、他の位置も考えられる。また、様々な実施形態では、特定の吸入特性(例えば、パフ/吸入速度、持続時間、容量および種類(例えば、短時間急速型か、長時間緩速型か)などの測定が向上するように、複数のセンサ220は内腔260内の複数の位置(または模倣物210内もしくは模倣物210上の他の位置)に位置決めされてもよく、それらはパターン220p(例えば、内腔260の径軸に対して円形、または内腔の長手軸に対して線状、またはその両方)に配置されてもよい。放射状分布と線状分布との組み合わせを使用して内腔260内の速度プロファイルを求めることができ、それを使用して、例えば、i)使用者の息が層流であるか、乱流であるか;およびii)短い偶発的な吸入であるか、意図された吸入であるか;の1つ以上を区別することができる。また、センサ220は、使用者の吸入(本明細書ではパフと称される)の開始、パフ持続時間、パフ容量、およびパフの種類(短時間急速型か、比較的深い吸入の長時間緩速型か)の1つ以上を求めるのに使用されてもよい。総称して、これらは吸入特性と称される。(それらはまた、使用者の吸入に関する情報を提供するとも言われ、従って、吸入情報と記載されることもある)。当該技術分野で公知の他の吸入特性も考えられる。好ましい実施形態では、制御装置93および/または530がニコチン送達期間およびサイクルの開始を始めることができるように、センサ220は模倣物210でのパフまたは吸入の開始を判定するように構成される。これは、制御装置93、290、または530の1つ以上に入力されるセンサ220からの出力信号225を最終的に、これらの制御装置の1つ以上に存在するソフトウェア/制御モジュールSMに入力させることにより促進される。ソフトウェアモジュールSMは、出力信号225を使用して、後述するニコチン、ニコチン類似体または他の治療剤の送達サイクルを開始するための判定を行うために幾つかの手法を使用することができる。
一手法では、モジュールSMは、送達期間/サイクルを開始するための基準として閾値速度または内腔260を通る空気流速を検出するようにプログラムされる。他の手法では、モジュールSMは、一定時間にわたる総空気流量および/または一定時間にわたる最小限の流速もしくは速度の維持を検出するようにプログラムされる。これらの後者の2つの手法は、意図されたパフまたは吸入であるか、使用者が紙巻きタバコ模倣物での実際のパフであると意図していない偶発的なまたは不随意の吸気であるか、ならびに短く迅速な吸入であるか、長く比較的緩速な吸入であるかを区別するのに使用することができる。
使用者が実際に紙巻きタバコ模倣物210で吸入しようとしている場合を判定するための他の実施形態によれば、模倣物210は、使用者の口の唇が口接触部250に及ぼす圧力または力を検知するセンサ226を備えることができる。多くの喫煙者は、吸入するとき、唇を窄めるまたは唇を紙巻きタバコに押し付ける傾向があるため、センサ226を使用して、使用者が実際に紙巻きタバコ模倣物210で吸入しようとしている場合を判定する手段として口接触部250に及ぼす最小限の圧力または力(使用者、口唇または他の口腔組織からの)を求めることができる。特定の実施形態では、最小限の圧力または力は、使用者または使用者の母集団が紙巻きタバコからの吸入中に加えるものに相当してもよい。様々な実施形態では、検知される最小限の力は、0.01〜1lb.の範囲の力であってもよく、特定の実施形態では0.25、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8および0.9lb.の力であってもよい。次いで、使用者が紙巻きタバコ模倣物210から実際に吸入しようとしている場合をより正確におよび/またはより精密に判定するために、センサ226からの出力227の形態のこの情報を単独でまたは速度もしくは流量センサ220からの出力225と組み合わせて使用することができる。もう1つの実施形態では、この判定は、ソフトウェアモジュールSMの1つ以上のアルゴリズムを用いて行うことができる。例えば、一実施形態では、モジュールSMは、出力225および227の最小限の値の組み合わせを検索するようにプログラムすることができる。
幾つかの実施形態では、模倣物210はまた、吸入中の紙巻きタバコ(または他の吸入型のタバコ)の火が着いている先端を模擬するように、吸入中、点灯するまたは光を放つように構成された先端部270も備えてもよい。1つ以上の実施形態によれば、先端部270の点灯は、先端部270内または先端部270の周囲に位置決めされた1つ以上のLEDS(1つ以上の赤色LEDSなど)または他の発光装置275の使用により達成することができる。模倣物210の先端部270または他の部分は、使用者に対して煙の発生を模擬し、使用者が吸入感を味わえるように、水または他の蒸気発生手段280を備えることができる。多くの実施形態では、模倣物210はまた、模倣物210の1つ以上の電子部品、例えば、センサ220、通信装置230、発光手段275および蒸気発生手段280からの入力を制御するおよび/または受信する制御装置290も備える。制御装置290は、当該技術分野で公知の、マイクロプロセッサ、マイクロプロセッサまたは同様の装置に埋め込まれた実行可能なプログラム、ASIC、ステートマシンまたはアナログ制御装置の1つ以上に対応してもよい。他の実施形態によれば、制御装置290はまた、検知装置200から/に出力信号(例えば、信号235、225、227等)を無線で送受信する遠隔制御装置に対応してもよい。このような実施形態では、制御装置290は、検知装置200に存在するまたは他の方法でそれに連結している制御装置のための前述の装置のもう1つに対応してもよい。
代替の実施形態では、検知装置200は、使用者がセンサ220、通信装置230、電源240および制御装置290の1つ以上を含む電子機器モジュール200m(図8jに示す)を取り付ける既製の電子タバコに対応してもよい。幾つかの実施形態によれば、電子機器モジュール200mは、電子タバコの端部(口接触部または非口接触部)に取り付けることができ、電子タバコの内腔または他の開口部の内側に嵌合する部分と、電子タバコの外側に嵌合する別の部分とを備えるリング形インサートに対応してもよい。電子機器モジュールの形状および寸法は、その形状、周縁および他の寸法に一致してもよい。
他の精神疾患(Psychoactive Conditions)を治療するための実施形態
ニコチンの向精神作用のため、様々な実施形態では、本明細書に記載の方法および装置を、統合失調症、ADHD、頭痛、片頭痛などの精神疾患および/または神経疾患の治療に適応させてもよい。このような実施形態では、本明細書に定義した「送達パラメータ」、例えば、送達期間中に送達される用量、送達速度(例えば、皮膚を透過する薬物の流束)、および送達期間と非送達期間の持続時間の1つ以上を特定の精神疾患の治療に合わせて調整することができる。例えば、ADHDでは、比較的長い持続時間を使用して、長時間にわたり、例えば、朝から12時間、即ち、患者が学校にいる間、および放課後宿題をしている間、患者に治療剤を絶えず送達することができる。このような用途では、送達期間の波形は、患者の血漿中濃度を得る送達期間の開始時(例えば、午前中)の急上昇を含むことができる。
二相性経皮イオントフォレシス(iontophoreritic)送達システムの実施形態の使用を詳述する添付の例を参照して、本発明の様々な実施形態をさらに例証する。実施例の諸部分は、Biphasic Transdermal Iontophoretic Drug Delivery Platform(McLaughlin,G.W,et al Conf. Proc.IEEE Eng.Med.Biol.Soc.2011 Aug;2011:1225−8)と題される論文にも記載されており、この文献はあらゆる目的で参照により本明細書に援用される。この実施例は例証の目的で記載しており、本発明はそれに記載されている情報または詳細に限定されるものではないことを理解されたい。例えば、記載した例では塩化第一鉄の送達について説明しているが、本発明の様々な実施形態は、例えば、1種以上のニコチン塩などの様々なニコチン化合物、メタドンなどのオピオイド、制吐薬、(例えば、ジメンヒドリナート)、および他の治療剤を含む、この手法を用いた任意の数の化合物の送達に使用できることを理解されたい。
方法
システムの説明:治療剤の送達を試験したシステムの一実施形態は、後述する能動電極、受動電極、イオントフォレシスシステムおよびプログラマを備えた。
能動電極:これは、DuPelモデル#198809−001(Empi,Inc.,Clear Lake,SD、米国)電極を使用し、その緩衝剤を除去して、3Mガーゼ2枚と溶液4.0mlを充填したティーバッグに置き換えることにより作製した。溶液は、FeCl2(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO、米国)1.2gとポリエチレンオキシド(PEO,Mol wt.100k)300mgとをDI水4mlに溶解することにより調製した。能動電極面積は13.3cm2であった。
受動電極:これは、DuPelモデル#198809−001電極を使用し、その緩衝剤を除去して、3Mガーゼ2枚と、DI水4mlを添加したポリエチレンオキシド(PEO)300mgとを充填したティーバッグに置き換えて作製した。能動電極面積は13.3cmであった。
イオントフォレシスシステム:これは、MSP430F428(Texas Instruments,Dallas,Tx、米国)マイクロコントローラにより制御される特注のユニットを備えた。このマイクロコントローラは、Hブリッジ回路のスイッチ状態間での動作を可変電流源と連動して調整した。Hブリッジは、分解能約650mVステップおよび最大コンプライアンス電圧80Vのプログラマブル電圧レールを有した。可変電流源は、分解能約40μxA、上限5mAのプログラマブル電流目標値を有した。マイクロコントローラは、これらの値を5Hzの速度で更新すると共に、それらの値を測定し、データアーカイブの目的でタイムスタンプと共に記憶することが可能であった。2つのAA電池を使用してシステムに電力を供給した。これらの電池は、標準的治療プロファイルに基づき40時間以下の動作を提供することができた。図1は、このシステムの図を内部の略ブロック図と共に示す。
プログラマ:これは、USBケーブルを介してイオントフォレシスシステムと連携することができるパーソナルコンピュータを含んだ。装置をプログラムするために用いたアプリケーションコードはTCL/TKで書いた。このプログラムで、治療パルス持続時間および電流値と共に、禁止パルス持続時間および電流値を設定することができた。プログラムはまた、総治療持続時間を指定することも可能であった。さらに、このプログラマは、解析するために、ユニットに記憶されたデータを検索して取り出すこともできた。
実験構成:ブロックPTFEから10個のin−vitro試験チャンバを作製し、ハンクス緩衝塩溶液(HBSS)120mlを充填した。雄ヨークシャーブタ(35kg)から新しく切除した腹部皮膚を10片(100mm×175mm)に薄切した。ヨークシャーブタ皮膚はヒト皮膚の特性によく似ていることが判明したため、それを使用した。皮膚の真皮層の下の皮下脂肪を除去し、角質層、表皮、基底層および真皮層のみが残るようにした。次いで、皮膚を剃毛し、輸送を変化させる可能性がある染みまたは擦傷がないか調べた。各試験チャンバの上に皮膚片を置いた。皮膚の完全性を損なわないように特に注意を払った。皮膚を1・1/4インチクリップで試験チャンバに固定化した。次いで、能動電極と受動電極をブタ皮膚上に配置し、イオントフォレシスシステムに取り付けた。この過程で皮膚の凹凸は全て回避した。
イオントフォレシスシステムは、6時間の治療セッションを提供するように構成した。治療セッションの最初の1時間は、電流値−3mAの禁止モードのシステムからなった。治療セッションの2時間目は、電流値3mAの駆動モードであった。3時間目および4時間目は、システムは電流値−3mAの禁止モードであった。5時間目は、システムは電流値3mAの駆動モードであり、6時間目は、システムは電流値−3mAの禁止モードであった。
実験チャンバをホットプレート付きマグネチックスターラ上に置いてHBSS溶液を29℃〜34℃に維持し、これによりブタ皮膚の表面を28℃〜33℃に維持した。25ゲージ針を使用して、1mlの試料を15分毎にリザーバから抜き取った。同量のHBBS溶液を補充して、試験チャンバの液位を維持した。データ解析中、適切な補正係数を用いてこの流体交換を補償した。
治療終了時、炎症およびまたは染みがないか皮膚試料を目視検査した。次いで、試料の写真を撮影した。必要な希釈を行った後、標準的な比色分析を用いることにより鉄の濃度を定量した。この試料を、ヒドロキシルアミン、チオ尿素およびFerene(5,5’(3−(2−ピリジル)−1,2,4−トリアジン−5,6−ジイル)−ビス−2−フランスルホン酸、二ナトリウム塩)を含有する酸性緩衝試薬に添加した。緩衝試薬の酸性pHを用いて第二鉄を遊離させた後、それを、ヒドロキシルアミンにより第一鉄の形態に還元した。次いで、この第一鉄はFereneと反応して着色錯体を生成した。次いで、この第一鉄−Ferene錯体の吸収を、分光光度計(Multiscan EX;Thermo Electron Corporation,Vantaa、フィンランド)を使用して595nmで読み取った。この吸収スペクトルは、試料中の鉄濃度のものと比例関係があった。このアッセイ方法の定量下限は、50μg/dlである。
結果
15分の試料採取期間毎に10個の試料の平均を取り、平均累積密度データセットを得た。次いで、このデータセットを、求めようとするシステムの出力測定値y(t)として使用した。システムへの入力は、治療セッションの能動的部分の既知の積分x(t)であった。次いで、これらのデータセットを使用してシステム伝達関数、hest(t)を求めたが、これをブロック図の形式で図9に示す。
システムの入力信号と出力信号のフーリエ変換に基づいてシステムの伝達関数hest(t)を推定した。
Figure 2016531705
次いで、得られた伝達関数の逆フーリエ変換を行った。次いで、このデータセットをクロップし、システム伝達関数のメモリを10個の試料の時間または2.5時間に制限した。次いで、既知の入力データとこの伝達関数の畳み込み演算を行い、推定累積システム密度応答を得た。次いで、このデータを解析して、出力予測値が出力測定値とどれ位よく一致するかを判定した。この結果、R2値0.912が得られ、モデルとデータとの良好な相関が確認された。
次いで、測定した累積密度データの微分を行った。データの微分の正確な推定値を得るために、単一の試料ステップに移すデータの各4試料について一次最小二乗平均フィッティングを行った。次いで、このフィッティングの傾きを、データの微分の代表値として使用した。次いで、累積密度関数データのものと同じ方法を用いてこのデータを解析した。この結果、R値0.802が得られ、図10aおよび図10bに示すように予測モデルは推定パルス薬物送達モデルとよく相関したことが確認された。
測定結果は、治療サイクルの開始と生理食塩水中のFeClの検出との間に約45分のタイムラグがあることを示す。このタイムラグは、インビトロ試験では、皮膚層を全て横断して生理食塩水浴に到達するのに要する輸送時間によるものと予想される。インビボ試験では、このタイムラグは、基底層の真下に能動的な微小毛細血管系(microcapillary)があるためずっと小さくなり、物質が真皮層を通過する必要性が軽減すると予想される。
結論
本発明の様々な実施形態の前述の説明は、例証および説明の目的で記載されている。本発明は開示されているまさにその形態に限定されるものではない。当業者には、多くの変更形態、変形形態および改良形態が明らかになるであろう。例えば、イオントフォレシスパッチは、様々な疾患、様々な組織部位に合わせて、ならびに種々の小児用途に合わせて、サイズ、形状および治療剤の用量を変更することができる。さらに、パッチアセンブリ、方法および制御アルゴリズムも皮膚タイプ、治療剤用量、ならびに種々の小児用途に合わせて変更することができる。
一実施形態の要素、特性または作用を、他の実施形態からの1つ以上の要素、特性または作用と容易に組み合わせ直し、またはそれらに置き換えて、本発明の範囲に入る他の多くの実施形態を構成することができる。さらに、他の要素と組み合わされるものとして図示または記載されている要素が、様々な実施形態で独立した要素として存在してもよい。従って、本発明の範囲は記載した実施形態の詳細に限定されるものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。

Claims (35)

  1. 吸入型のタバコの使用による患者のニコチン渇望を低減する治療剤を経皮イオントフォレシス送達する方法において:
    皮膚接触層と、前記治療剤を含む溶液とを含む少なくとも1つの電極アセンブリを、前記患者の皮膚と電気的に連通するように位置決めするステップにおいて、前記治療剤が、外力を加えなくても前記皮膚に受動拡散するステップと;
    前記患者の口に入れた検知装置から吸入するステップにおいて、前記検知装置が吸入型のタバコによく似ており、吸入特性を検知し、前記吸入特性を前記電極アセンブリに信号で伝達するように構成されているステップと;
    i)前記治療剤を前記電極アセンブリから反発力により放出させる極性と大きさとを有する第1の電流と、ii)前記検知された吸入特性に基づいて前記吸入型のタバコの使用に関するニコチン送達プロファイルによく似るように構成された前記第1の期間中の治療剤送達プロファイルとを用いて、前記検知された吸入特性に応じて第1の期間中に前記少なくとも1つの電極アセンブリから前記皮膚の中に一定用量の治療剤を送達するステップと;
    前記治療剤を前記電極アセンブリ内に保持する極性と大きさとを有する第2の電流を用いて、第2の期間中、前記治療剤を前記少なくとも1つの電極アセンブリ内に保持し、前記第2の期間中の前記治療剤の前記皮膚への送達が最小限に抑えられるようにするステップにおいて、前記第1の期間が送達期間を構成し、前記第2の期間が非送達期間を構成し、それらが一緒に送達サイクルを構成するステップと;
    その後の治療剤の用量をその後の送達サイクルの間に送達するステップと;
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、前記吸入特性が、前記検知装置を通して吸入される前記患者の息の速度または流速であることを特徴とする方法。
  3. 請求項2に記載の方法において、前記吸入特性が最小限の速度または流速であることを特徴とする方法。
  4. 請求項1に記載の方法において、前記検知装置が速度センサまたは流量センサであることを特徴とする方法。
  5. 請求項1に記載の方法において、前記検知装置が速度センサまたは流量センサであることを特徴とする方法。
  6. 請求項1に記載の方法において、前記吸入装置が、患者の口腔組織が前記吸入装置に及ぼす圧力を検知し、前記検知された圧力を前記電極アセンブリに信号で伝達するセンサをさらに備え、前記検知された吸入特性および患者の口腔組織が前記吸入装置に及ぼす検知圧力に応じて前記第1の期間中に前記少なくとも1つの電極アセンブリから前記用量の治療剤が前記皮膚の中に送達されることを特徴とする方法。
  7. 請求項6に記載の方法において、前記口腔組織が前記患者の唇を含むことを特徴とする方法。
  8. 請求項6に記載の方法において、前記検知された圧力は、前記患者が紙巻きタバコから吸入するときに前記患者の唇から加えられる圧力に対応することを特徴とする方法。
  9. 請求項1に記載の方法において、前記電極アセンブリが、第1の電極と、前記第1の電極に電気的に結合し、前記皮膚接触層に流体的に連結した治療剤リザーバとを備えることを特徴とする方法。
  10. 請求項1に記載の方法において、前記電極アセンブリが第2の電極をさらに備えることを特徴とする方法。
  11. 請求項1に記載の方法において、前記吸入型のタバコが紙巻きタバコであり、前記治療剤がニコチン化合物を含むことを特徴とする方法。
  12. 請求項11に記載の方法において、前記非送達期間中に送達されるニコチン化合物の量が前記患者に向精神作用を実質的に生じさせないことを特徴とする方法。
  13. 請求項11に記載の方法において、複数の送達サイクルの間にニコチン化合物約1〜約3mgが送達されることを特徴とする方法。
  14. 請求項11に記載の方法において、ニコチン送達パラメータが前記患者の喫煙パターンのパラメータを用いて調整されることを特徴とする方法。
  15. 請求項14に記載の方法において、前記ニコチン送達パラメータが、前記送達期間中に送達されるニコチン化合物の用量、送達サイクル中に送達されるニコチン化合物の用量、送達期間の持続時間、非送達期間の持続時間、または送達サイクルの数の少なくとも1つを含むことを特徴とする方法。
  16. 請求項14に記載の方法において、前記喫煙パラメータが、パフ持続時間、パフ間の間隔、またはパフ数の少なくとも1つを含むことを特徴とする方法。
  17. 請求項16に記載の方法において、前記喫煙パラメータが前記検知装置を用いて求められることを特徴とする方法。
  18. 請求項1に記載の方法において、前記治療剤がニコチン化合物を含むことを特徴とする方法。
  19. 請求項18に記載の方法において、ニコチン化合物がニコチン塩を含むことを特徴とする方法。
  20. 請求項19に記載の方法において、ニコチン塩が、ニコチン酒石酸塩、ニコチンクエン酸塩およびニコチン塩酸塩からなる群から選択されることを特徴とする方法。
  21. 請求項19に記載の方法において、前記第2の電流の大きさが前記溶液中のニコチンの濃度に比例することを特徴とする方法。
  22. 請求項18に記載の方法において、ニコチン化合物がニコチン類似体またはニコチン類似体の塩を含むことを特徴とする方法。
  23. 請求項18に記載の方法において、前記送達期間中にニコチン約0.02〜約0.2mgが送達されることを特徴とする方法。
  24. 請求項23に記載の方法において、前記送達期間中にニコチン約0.08〜0.12mgが送達されることを特徴とする方法。
  25. 請求項1に記載の方法において、前記治療剤がニコチン化合物を含み、前記吸入型のタバコの使用が紙巻きタバコであり、前記送達プロファイルが少なくとも2つのバーストを有するバーストパターンを含むことを特徴とする方法。
  26. 請求項25に記載の方法において、各バーストが略矩形波形または半波正弦波形を有することを特徴とする方法。
  27. 請求項25に記載の方法において、各バーストの持続時間が前記検知装置を用いて検知された前記吸入特性に相関することを特徴とする方法。
  28. 請求項25に記載の方法において、前記吸入特性がパフ持続時間またはパフ数であることを特徴とする方法。
  29. 請求項1に記載の方法において、前記送達サイクルの間、前記第1の電流と第2の電流を電荷平衡にすることを特徴とする方法。
  30. 請求項1に記載の方法において、前記第2の電流の大きさが前記溶液中の治療剤の濃度に比例することを特徴とする方法。
  31. 請求項1に記載の方法において、選択された時間の間に送達される治療剤の用量の数が、最大数に限定されることを特徴とする方法。
  32. 吸入型のタバコの使用による患者のニコチン渇望を低減する治療剤の経皮イオントフォレシス送達方法において:
    皮膚接触層と、前記治療剤を含む溶液とを含む少なくとも1つの電極アセンブリを前記患者の皮膚と電気的に連通するように位置決めするステップにおいて、前記治療剤が外力を加えなくても前記皮膚の中に受動拡散するステップと;
    前記患者の口に入れた検知装置から吸入するステップにおいて、前記検知装置が吸入型のタバコによく似ており、i)吸入特性を検知し、前記吸入特性を前記電極アセンブリに信号で伝達し;ii)前記患者の口腔組織が前記検知装置に及ぼす圧力を検知し、前記圧力を前記電極アセンブリに信号で伝達する;ように構成されているステップと;
    i)前記治療剤を前記電極アセンブリから反発力により放出させる極性と大きさとを有する第1の電流と、ii)前記検知された吸入特性および前記患者の口腔組織が前記検知装置に及ぼす検知圧力に基づいて前記吸入型のタバコの使用に関するニコチン送達プロファイルによく似るように構成された前記第1の期間中の治療剤送達プロファイルとを用いて、前記検知された吸入特性に応じて第1の期間中に前記少なくとも1つの電極アセンブリから前記皮膚の中に一定用量の治療剤を送達するステップと;
    前記治療剤を前記電極アセンブリ内に保持する極性と大きさとを有する第2の電流を用いて第2の期間中に前記治療剤を前記少なくとも1つの電極アセンブリ内に保持し、前記第2の期間中の前記皮膚の中への前記治療剤の送達が最小限に抑えられるようにするステップにおいて、前記第1の期間が送達期間を構成し、前記第2の期間が非送達期間を構成し、それらが一緒に送達サイクル構成するステップと;
    その後の治療剤用量をその後の送達サイクルの間に送達するステップと;
    、を含むことを特徴とする方法。
  33. 請求項32に記載の方法において、前記口腔組織が前記患者の唇を含むことを特徴とする方法。
  34. 請求項32に記載の方法において、前記検知された圧力は、前記患者が紙巻きタバコから吸引するときに患者の唇から加えられる圧力に対応することを特徴とする方法。
  35. 請求項32に記載の方法において、前記吸入型のタバコが紙巻きタバコであり、前記治療剤がニコチン化合物を含むことを特徴とする方法。
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