JP2022188610A - 液晶配向膜用樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】平坦化膜にも使用可能な液晶配向膜用樹脂組成物を提供すること。また、本発明の組成物からなる、高い平坦化能力、液晶配向能力および高透過率を有する硬化膜を提供すること。該硬化膜を有する液晶表示素子や固体撮像素子などの電子部品を提供すること。【解決手段】主鎖にベンゼン環構造を有する2官能(メタ)アクリレートと、単官能重合性化合物を反応させて得られるアクリル共重合体を用いた液晶配向膜用樹脂組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、アクリル共重合体を含む液晶配向膜用樹脂組成物、および該組成物からなる配向能力、平坦化能力および高い透過率を具備した硬化膜と、その硬化膜を有する液晶表示素子や個体撮像素子などの電子部品に関する。
液晶表示装置には、視野角の拡大、画像色調の調整などのために、位相差膜が配置されている。このような位相差膜として、延伸ポリマーフィルムまたは重合性液晶組成物からなる塗布型の硬化膜が用いられている。重合性液晶組成物からなる塗布型の硬化膜は従来のポリマーフィルムと比べ、位相差膜の薄膜化、耐久性の向上により、液晶表示装置の薄型化や表示品位向上が可能となる。
重合性液晶を用いた位相差膜は、配向処理を施した配向膜を有する基板上に重合性液晶組成物溶液を塗布し、重合性液晶組成物を配向させた後、該重合性液晶組成物を重合させることで形成される(特許文献1)。配向処理の方法として、ラビング法および光配向法等が知られている。重合性液晶用の配向膜としては駆動液晶用の配向膜を用いることが可能である。本明細書における液晶配向膜には、駆動液晶用の配向膜および重合性液晶用の配向膜どちらも含む。
液晶表示素子のカラー化方法一つとして、カラーフィルターを用いる方法である。カラーフィルターはR(赤色)、G(緑色)、B(青色)等の画素やブラックマトリクスから構成されている。色毎に塗膜の厚さが違うため、膜表面に段差として現れる。表面段差が大きいと液晶表示素子の表示品位が低下してしまうため、これらの段差を無くすように1.0μm以上の膜厚で形成できる平坦化膜が設けられている。
液晶表示装置の普及に伴い、製造工程の短縮など製造コストの削減が求められ、1つの塗膜層に複数の機能を持たせる材料開発が必要とされている。上記の配向膜と平坦化膜の二層膜構造を単層膜にする場合、その単層膜に配向膜の機能および平坦化膜の両機能、すなわち、配向能力および平坦化能力を兼備することが必要である。さらに、平坦化膜組成物として、下地に浸食しない溶剤の使用や得られた硬化膜が高い透過率を有することが要求されている。
配向能力を持つ高分子としては、側鎖に環構造を有していないポリイミドやその前駆体のポリアミド酸、ポリメチルメタクリレートなどが知られている(特許文献2)。液晶配向膜用樹脂組成物の多くはポリイミドやその前駆体のポリアミド酸を含む組成物である。ポリイミドやその前駆体のポリアミド酸は有機溶剤中での溶解性が乏しいため、液晶配向膜用樹脂組成物の溶剤としては、カラーフィルターに対し浸食しやすい極性が高いN-メチル-2-ピロリドン(以下「NMP」と称する)が使われている。そのため、従来のポリイミドやその前駆体のポリアミド酸を用いた組成物は配向膜および平坦化膜を兼用する膜への適用が難しい。また、従来の配向膜は100nm程度の膜厚で使用され、1.0μm程度の膜厚にする場合、得られる硬化膜の透過率がかなり低いと予想できる。
本発明者はカラーフィルターに対する浸食性と得られる硬化膜の透明性を考慮し、NMP以外の溶剤に容易に溶解でき、かつ透過性が高いポリメチルメタクリレートに注目した。しかし、市販されているポリメチルメタクリレートを用いて製膜した場合、得られる硬化膜にラビング処理を行った後、膜にヒビが発生し、配向膜および平坦化膜として機能できないことが判明した。
特開2007-148098号公報 特開平1-304424号公報
本発明のアクリル共重合体を用いた、駆動液晶および重合性液晶に対する配向能力と下地に対する平坦化能力を有する液晶配向膜用樹脂組成物を提供すること。本発明の液晶配向膜用樹脂組成物からなる硬化膜を提供すること。該硬化膜を有する液晶表示素子や固体撮像素子などの電子部品を提供すること。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、主鎖にベンゼン環構造を有する2官能(メタ)アクリレートを含む原料からなるアクリル共重合体を含有する液晶配向膜用樹脂組成物を用いることで、配向膜および平坦化膜の両機能を兼備した硬化膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は以下の構成を含む。
[1]主鎖にベンゼン環構造を有する2官能(メタ)アクリレート(a1)、および単官能重合性化合物(a2)を含む原料から得られる共重合体であるアクリル共重合体(A)、および溶剤(B)を含む液晶配向膜用樹脂組成物。
[2]前記単官能重合性化合物(a2)が、架橋性官能基を有する単官能重合性化合物を含む、項1に記載の液晶配向膜用樹脂組成物。
[3]さらに、架橋剤、重合性二重結合を有する化合物、界面活性剤、密着性向上剤および酸化防止剤からなる群から選択された少なくとも1種の添加剤(C)を含む、項1または項2に記載の液晶配向膜用樹脂組成物。
[4]項1~項3のいずれか1項に記載の液晶配向膜用樹脂組成物を硬化させて得られる硬化膜。
[5]項4に記載の硬化膜を有する液晶表示素子。
本発明の液晶配向膜用樹脂組成物は、主鎖にベンゼン環構造を有する2官能(メタ)アクリレート、および単官能重合性化合物を含む原料からなるアクリル共重合体を含有するため、得られる硬化膜は液晶および重合性液晶に対し配向能力を有することや、下地に対し平坦化能力を有することから、配向膜および平坦化膜として兼用することができる。
本明細書において、(メタ)アクリレートとはアクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または両方を指す。
1.アクリル共重合体(A)
本発明のアクリル共重合体(A)は、主鎖にベンゼン環構造を有する2官能(メタ)アクリレート(a1)と、単官能重合性化合物(a2)との重合反応による得られるアクリル共重合体である。アクリル共重合体(A)は、好ましくは側鎖に架橋性官能基を有するアクリル共重合体である。架橋性官能基はエポキシ基またはカルボキシル基である。側鎖にこれらの架橋性官能基を有するアクリル共重合体は、原料にこれらの官能基を有する重合性二重結合を有する化合物を用いることで得ることができる。具体的には、後述する単官能重合性化合物として、これらの官能基を有する単官能重合性化合物を用いることで得ることができる。
1-1.主鎖にベンゼン環構造を有する2官能(メタ)アクリレート(a1)
本発明では、アクリル共重合体(A)を得るための原料として、主鎖にベンゼン環構造を有する2官能(メタ)アクリレート(a1)を用いる。主鎖にベンゼン環構造を有する2官能(メタ)アクリレートとは、2官能(メタ)アクリレートの2つの(メタ)アクリレート基に挟まれ、前記2つの(メタ)アクリレート基が反応してアクリル重合体となった際の主鎖になる箇所にベンゼン環構造を有する化合物である。
主鎖にベンゼン環構造を有する2官能(メタ)アクリレート(a1)の具体例は、以下のような化合物を挙げることができるが、本発明では特にこれに限定されるものではない。

Figure 2022188610000001

Figure 2022188610000002

Figure 2022188610000003

Figure 2022188610000004

Figure 2022188610000005

式(1)~(3)中、RおよびRはそれぞれ独立してHあるいはCHである。mおよびnはそれぞれ独立に1以上の整数であるとともに、m+nは平均値で2~30である。式(5)中、pは1あるいは2である。上記化合物を1つ用いてもよいし、2つ以上併用してもよい。
式(1)~(3)で表される主鎖にベンゼン環構造を有する2官能(メタ)アクリレート(a1)は、通常、m、nの値が異なる化合物の混合物で得られる。
1-2.単官能重合性化合物(a2)
主鎖にベンゼン環構造を有する2官能(メタ)アクリレート(a1)と共重合させる単官能重合性化合物(a2)としては、単官能(メタ)アクリレート、マレイミド、アクリルニトリル、マレイン酸無水物、スチレン化合物およびビニル化合物を挙げることができるが、本発明では特にこれに限定されるものではない。
単官能重合性化合物(a2)の具体例として、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、1,2-エポキシ-4-ビニル-1-シクロヘキサン、3-メチル-3-(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3-メチル-3-(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、3-エチル-3-(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、2-フェニル-3-(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、2-トリフロロメチル-3-(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、4-トリフロロメチル-2-(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、5-テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチル(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、コハク酸モノ[2-(メタ)アクリロイロキシエチル]、マレイン酸モノ[2-(メタ)アクリロイロキシエチル]、シクロヘキセン-3,4-ジカルボン酸モノ[2-(メタ)アクリロイロキシエチル]、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-(メタ)アクリロイルモルホリン、チオグリシジル(メタ)アクリレート、フェニルチオエチル(メタ)アクリレート、エトキシ化o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、γ-ブチロラクトン(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、およびフェノキシエチル(メタ)アクリレート、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-プロピルマレイミド、N-ブチルマレイミド、インデン、クロトン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、2-アクリロイロキシエチル-フタル酸、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル-フタル酸、ネオペンチルグリコール-アクリル酸-安息香酸エステル、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、およびノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレートを挙げることができる。上記化合物を1つ用いてもよいし、2つ以上併用してもよい。
これらの中でも得られた硬化膜に良好な配向能力よび平坦化能力を与える観点から、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、1,2-エポキシ-4-ビニル-1-シクロヘキサン、グリシジル(メタ)アクリレート、3-メチル-3-(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3-メチル-3-(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、3-エチル-3-(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、2-フェニル-3-(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、2-トリフロロメチル-3-(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、4-トリフロロメチル-2-(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、(メタ)アクリル酸、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、5-テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、γ-ブチロラクトン(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、インデン、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。
さらに側鎖に架橋性官能基を含むアクリル共重合体を得るため、架橋性官能基を有する単官能重合性化合物を使用することが好ましい。架橋性官能基としては、エポキシ基またはカルボキシル基が挙げられる。架橋性官能基を有する単官能重合性化合物としては、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、1,2-エポキシ-4-ビニル-1-シクロヘキサン、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
アクリル共重合体(A)の原料組成物において、主鎖にベンゼン環構造を有する2官能(メタ)アクリレート(a1)の割合は、原料組成物全量の0.1~50重量%が好ましい。得られるアクリル共重合体(A)の溶解性を考慮すると、主鎖にベンゼン環構造を有する2官能(メタ)アクリレート(a1)の割合が2~25重量%がより好ましく、2~10重量%がさらに好ましい。単官能重合性化合物(a2)の割合は、原料組成物全量の50~99.9重量%が好ましく、75~98重量%がより好ましく、90~98重量%がさらに好ましい。
1-3.アクリル共重合体(A)の重合反応に用いる溶剤
アクリル共重合体(A)を得るための重合反応に用いる溶剤(以降、「重合溶剤」と称することがある。)は、主鎖にベンゼン環構造を有する2官能(メタ)アクリレート(a1)、単官能重合性化合物(a2)および得られるアクリル共重合体(A)を溶解できる溶剤であることが好ましい。重合溶剤の具体例として、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、プロピレングリコール、アセトン、メチルイソブチルケトン、2-ブタノン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジオキサン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、N,N-ジメチルホルムアミド、および酢酸を挙げることができる。重合溶剤は、これらの1つであってもよいし、これらの2つ以上の混合物であってもよい。
アクリル共重合体(A)の合成には、溶剤が必要であり、アクリル共重合体(A)は、共重合体溶液として得られる。この溶剤をそのまま残して共重合体溶液のまま液晶配向膜用樹脂組成物の調製に用いてもよいし、運搬性等を考慮してこの溶剤を除去してアクリル共重合体固形物として液晶配向膜用樹脂組成物の調製に用いてもよい。
1-4.アクリル共重合体(A)の重合方法
本発明で用いられるアクリル共重合体(A)の重合方法は、溶液中でのラジカル重合であることが好ましい。通常のラジカル重合では、重合開始剤が使用されている。アクリル共重合体(A)を製造する際に用いる重合開始剤としては、熱によりラジカルを発生する化合物、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤や、過酸化ベンゾイル等の過酸化物系開始剤を使用することができる。
重合開始剤としては、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(V-70)(商品名;富士フイルム和光純薬工業(株))、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(V-65)(商品名;富士フイルム和光純薬工業(株))、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(V-60)(商品名;富士フイルム和光純薬工業(株))、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(V-59)(商品名;富士フイルム和光純薬工業(株))、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド](VF-096)(商品名;富士フイルム和光純薬工業(株))、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)(VAm-110)(商品名;富士フイルム和光純薬工業(株))、ジメチル2,2’-アゾビス(イソブチラート)(V-601)(商品名;富士フイルム和光純薬工業(株))、VPE-0201、VPE-0401、VPE-0601、VPS-1001(以上いずれも商品名;富士フイルム和光純薬工業(株))等を挙げることができる。
重合温度は使用する重合開始剤からラジカルが十分発生する温度であれば特に限定されないが、通常50℃~130℃の範囲であり、ゲル化を抑制する観点から110℃以下であることが好ましい。重合時間も特に限定されないが、通常1~24時間の範囲であり、作業性の観点から8時間以下であることが好ましい。また、当該重合は加圧、減圧または大気圧のいずれの圧力下でも行うことができる。
アクリル共重合体(A)の重量平均分子量は2,000~1,000,000であることが好ましく、ハンドリング性、製膜性の観点から5,000~100,000であることがより好ましい。
前記アクリル共重合体(A)の重量平均分子量は、GPC法(カラム温度:35℃、流速:1ml/分間)により求めたポリスチレン換算での値である。標準のポリスチレンには、アジレント・テクノロジー株式会社のポリスチレンキャリブレーションキットPL2010-0102の、重量平均分子量が645、2590、10290、37600、および285300であるポリスチレンを使用した。カラムにはPLgel MIXED-D(アジレント・テクノロジー株式会社)を用い、移動相としてTHFを使用した。また、本明細書に記載した市販のポリマーの重量平均分子量はカタログ掲載値である。
得られるアクリル共重合体(A)は、再沈殿法により未反応物を除去することが、液晶配向膜用樹脂組成物の硬化性の観点で好ましい。再沈殿による精製方法としては、得られた共重合体溶液の3~10倍容量の無極性溶剤を攪拌し、ここに共重合体溶液を滴下して共重合体を沈殿させる。上澄み除去後、重合溶剤に再溶解することで精製できる。
再沈殿法に使用する無極性溶剤としてはヘキサンまたはヘプタンが好ましい。
2.本発明の液晶配向膜用樹脂組成物
本発明の液晶配向膜用樹脂組成物は、アクリル共重合体(A)と、溶剤(B)を含む液晶配向膜用樹脂組成物である。
アクリル共重合体(アクリル共重合体固形物)の含有量は、液晶配向膜用樹脂組成物全量に対して、2~35重量%であることが好ましい。より好ましくは5~25重量%である。
2-1.溶剤(B)
液晶配向膜用樹脂組成物に添加される溶剤は、アクリル共重合体(A)等が溶解できる溶剤が好ましい。当該溶剤の具体例として、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、アセトン、2-ブタノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-オキシプロピオン酸メチル、3-ヒドロキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸プロピル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジオキサン、トルエン、キシレン、γ-ブチロラクトン、またはシクロペンタノン、シクロヘキサノン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、重量平均分子量1,000以下のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、および重量平均分子量1,000以下のポリプロピレングリコールを挙げることができる。溶剤は、これらの1つであってもよいし、これらの2つ以上の混合物であってもよい。
なお、アクリル共重合体(A)の合成で得られたアクリル共重合体溶液からアクリル共重合体固形物を取り出さずに、アクリル共重合体溶液の状態で液晶配向膜用樹脂組成物に用いる場合には、アクリル共重合体溶液に含まれる重合溶剤も溶剤(B)に含める。
溶剤の含有量は、液晶配向膜用樹脂組成物全量に対して、65~95重量%であることが好ましい。より好ましくは70~90重量%である。
2-2.添加剤(C)
本発明の液晶配向膜用樹脂組成物には、平坦化能力、耐傷性、塗布均一性、接着性などの膜物性を向上させるために各種の添加剤(C)を添加することができる。添加剤(C)には、架橋剤、重合性二重結合を有する化合物、界面活性剤、シランカップリング剤等の密着性向上剤、酸化防止剤が主に挙げられる。
2-2-1.架橋剤
架橋剤を添加することにより、液晶配向膜用樹脂組成物が硬化する過程で、架橋反応が起こり、ラビングに対する耐性がより高い硬化膜を得ることができ、ラビング工程において発生する膜の削れが抑制できる。また、架橋により、より高い耐熱性が期待できる。
架橋剤は、アクリル共重合体(A)の側鎖にある架橋性官能基であるエポキシ基またはカルボキシル基と反応する官能基を1分子中に2個以上有する化合物であれば特に限定されない。
エポキシ基と反応する官能基を1分子中に2個以上有する化合物として、酸無水物、カルボン酸含有ポリマー、ポリアミン、ポリフェノール、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物、触媒型架橋剤、およびスルホニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等の感熱性酸発生剤等があるが、硬化膜の着色を避けることおよび硬化膜の耐熱性の観点から、酸無水物またはイミダゾール系化合物が好ましい。具体例として、酸無水物である無水マレイン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロトリメリット酸無水物等の脂肪族ジカルボン酸無水物;無水フタル酸、トリメリット酸無水物等の芳香族多価カルボン酸無水物、スチレン-無水マレイン酸共重合体;カルボン酸含有ポリマーであるARUFON UC-3000、AR UFON UC-3090(いずれも商品名;東亞合成株式会社)、マープルーフ MA-0215Z、マープルーフ MA-0217Z、およびマープルーフ MA-0221Z(いずれも商品名;日油株式会社);イミダゾール系化合物である2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-ベンジル-2-メチルイミダゾールおよび1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールを挙げることができる。これら化合物は、単独で用いてもよく、2つ以上を混合して用いてもよい。
カルボキシル基と反応する官能基を1分子中に2個以上有する化合物として1分子当たり2個以上エポキシ基を有する化合物およびオキサゾリン化合物がある。具体例として、1分子当たり2個以上のエポキシ基を有する化合物であるビスフェノールA型エポキシ化合物であるjER 828、jER 1004、jER 1009(いずれも商品名;三菱ケミカル(株))、ビスフェノールF型エポキシ化合物であるjER 806、jER 4005P(いずれも商品名;三菱ケミカル(株))、グリシジルエーテル型エポキシ化合物であるTECHMORE VG3101L(商品名;(株)プリンテック)、EHPE3150(商品名;(株)ダイセル)、EPPN-501H、EPPN-502H(いずれも商品名;日本化薬(株))、jER 1032H60(商品名;三菱ケミカル(株))、グリシジルエステル型エポキシ化合物であるデナコール EX-721(商品名;ナガセケムテックス(株))、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジル(商品名;東京化成工業(株))、ビフェニル型エポキシ化合物であるjER YX4000、jER YX4000H、jER YL6121H(いずれも商品名;三菱ケミカル(株))、NC-3000、NC-3000-L、NC-3000-H、NC-3100(いずれも商品名;日本化薬(株))、フェノールノボラック型エポキシ化合物であるEPPN-201(商品名;日本化薬(株))、jER 152、jER 154(いずれも商品名;三菱ケミカル(株))、クレゾールノボラック型エポキシ化合物であるEOCN-102S、EOCN-103S、EOCN-104S、EOCN-1020(いずれも商品名;日本化薬(株))、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物であるjER 157S65、jER 157S70(いずれも商品名;三菱ケミカル(株))、環式脂肪族エポキシ化合物であるセロキサイド2021P、セロキサイド3000、エポリードGT401(いずれも商品名;(株)ダイセル)、シロキサン結合部位を有するエポキシ化合物である1,3-ビス[2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル]テトラメチルジシロキサン(商品名;ジェレストインコ-ポレイテッド)、TSL9906(商品名;モメンティブ・パフォーマンス・マーテリアルズ・ジャパン合同会社)、COATOSIL MP200(商品名;モメンティブ・パフォーマンス・マーテリアルズ・ジャパン合同会社)、コンポセラン SQ506(商品名;荒川化学(株))、ES-1023(商品名;信越化学工業(株))、グリシジルアミン型エポキシ化合物であるN,N,N’,N’-テトラグリシジル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、スミエポキシELM-434(商品名;住友化学(株))、スミエポキシELM-100(商品名;住友化学(株))、1分子当たり2個以上のオキサゾリン官能基を有する化合物である2,2’-(1,3-フェニレン)ビス-(2-オキサゾリン)を挙げることができる。これら化合物は、単独で用いてもよく、2つ以上を混合して用いてもよい。
架橋剤の添加量は、アクリル共重合体(A)100重量部に対して0.5~60重量部が好ましく、1~30重量部がより好ましい。
2-2-2.重合性二重結合を有する化合物
重合性二重結合を有する化合物を、アクリル共重合体(A)の重合に用いる分とは別に、重合させずにモノマーのまま添加してもよい。添加することにより、平坦化能力をより高めることが期待できる。重合性二重結合を有する化合物は、重合性二重結合を1分子当り2個以上有すれば、特に限定されない。
上記重合性二重結合を有する化合物において、重合性二重結合を1分子当り2個有する化合物の具体例として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、ビス[(メタ)アクリロキシネオペンチルグリコール]アジペート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン・エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、およびイソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジアクリレートを挙げることができる。
上記重合性二重結合を有する化合物において、重合性二重結合を1分子あたり3個以上有する化合物の具体例として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン・エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、およびアルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリアクリレート、およびカルボキシル基含有多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。
上記重合性二重結合を有する化合物は上記の化合物を単独で用いてもよく、2つ以上を混合して用いてもよい。
上記重合性二重結合を有する化合物としては、平坦化能力および耐傷性の観点から、エチレンオキシド変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、およびカルボキシル基含有多官能(メタ)アクリレートから選択することが好ましい。
上記重合性二重結合を有する化合物の含有量は、平坦化能力、耐熱性、液晶および重合性液晶に対する配向能力のバランスが良いとの観点から、本発明の液晶配向膜用樹脂組成物におけるアクリル共重合体(A)100重量部に対し、1~60重量部である。より配向能力を重視する場合には1~20重量部であることが好ましい。
2-2-3.界面活性剤
本発明の液晶配向膜用樹脂組成物には、塗布均一性を向上させるためにアニオン系、カチオン系、ノニオン系、フッ素系またはシリコン系のレベリング剤・界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤の具体例として、ポリフローNo.75、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95(いずれも商品名;共栄社化学(株))、Disperbyk-161、Disperbyk-162、Disperbyk-163、Disperbyk-164、Disperbyk-166、Disperbyk-170、Disperbyk-180、Disperbyk-181、Disperbyk-182、BYK-300、BYK-306、BYK-310、BYK-320、BYK-330、BYK-342、BYK-346、BYK-361N、BYK-3560、BYK-UV3500、BYK-UV3570(いずれも商品名;ビックケミー・ジャパン(株))、KP-341、KP-368、KP-96-50CS、KP-50-100CS(いずれも商品名;信越化学工業(株))、サーフロンS611(商品名;AGCセイミケミカル(株))、フタージェント222F、フタージェント208G、フタージェント251、フタージェント710FL、フタージェント710FM、フタージェント710FS、フタージェント601AD、フタージェント650A、FTX-218(いずれも商品名;(株)ネオス)、メガファックF-410、メガファックF-430、メガファックF-444、メガファックF-472SF、メガファックF-475、メガファックF-477、メガファックF-552、メガファックF-553、メガファックF-554、メガファックF-555、メガファックF-556、メガファックF-558、メガファックF-559、メガファックR-94、メガファックRS-75、メガファックRS-72-K、メガファックRS-76-NS、メガファックDS-21(いずれも商品名;DIC(株))、TEGO Twin 4000、TEGO Twin 4100、TEGO Flow 370、TEGO Flow 375、TEGO Glide 440、TEGO Glide 450、TEGO Rad 2200N(いずれも商品名;エボニックジャパン(株))、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、およびアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩を挙げることができる。これら化合物は、単独で用いてもよく、2つ以上を混合して用いてもよい。
これらの中、高い塗布均一性の観点から、BYK-306、BYK-342、BYK-346、BYK-361N、BYK-3560、KP-341、サーフロンS611、フタージェント710FL、フタージェント710FM、フタージェント710FS、フタージェント650A、メガファックF-477、メガファックF-556、メガファックRS-72-K、メガファックDS-21、TEGO Twin 4000、TEGO Flow 375、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルスルホン酸塩、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、およびフルオロアルキルアミノスルホン酸塩が好ましい。
本発明の液晶配向膜用樹脂組成物における界面活性剤の含有量は、液晶配向膜用樹脂組成物全量中0.005~1重量%であることが好ましい。
2-2-4.密着性向上剤
本発明の液晶配向膜用樹脂組成物は、形成される硬化膜と基板との密着性をさらに向上させる観点から、シラン系、アルミニウム系またはチタネート系のカップリング剤などの密着性向上剤をさらに含有してもよい。
密着性向上剤の具体例として、3-グリシジルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系カップリング剤、およびテトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤を挙げることができる。これら化合物は、単独で用いてもよく、2つ以上を混合して用いてもよい。
これらの中、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
密着性向上剤の含有量は、液晶配向膜用樹脂組成物全量中、0.01~10重量%であることが好ましい。
2-2-5.酸化防止剤
本発明の液晶配向膜用樹脂組成物は、透過率の向上、硬化膜が高温にさらされた場合の黄変を防止する観点から、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤などの酸化防止剤をさらに含有してよい。この中でも安定性の観点から、フェノール系酸化防止剤が好ましい。
フェノール系酸化防止剤の具体例として、tert‐ブチルヒドロキノン、ブチルヒドロキシトルエン、ANTAGE SP(商品名;川口化学工業(株))、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’-(ヘキサン-1,6-ジイル)ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]、エチレンビス(オキシエチレン)ビス-(3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート、1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]、オクチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロ肉桂酸、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、4,6-ビス(ドデシルチオメチル)-o-クレゾール、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、アクリル酸2-tert-ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルベンジル)フェニル、1,3,5-トリス[[4-(1,1-ジメチルエチル)-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルフェニル]メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、4-[[4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,2’-ジメチル-2,2’-(2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3,9-ジイル)ジプロパン-1,1’-ジイル=ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロパノアート]を挙げることができる。これら化合物は、単独で用いてもよく、2つ以上を混合して用いてもよい。
この中でも熱安定性の観点から、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]がより好ましい。溶解性の観点から、ブチルヒドロキシトルエン、オクチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシーヒドロ肉桂酸がより好ましい。
酸化防止剤の含有量は、アクリル共重合(A)100重量部に対して0.01~5.0重量部であることが好ましく、0.05~2.0重量部であることがより好ましい。
2-3.液晶配向膜用樹脂組成物の調製
本発明の液晶配向膜用樹脂組成物は、アクリル共重合(A)、溶剤(B)、さらに、必要に応じて架橋剤、重合性二重結合を有する化合物、界面活性剤、密着性向上剤、酸化防止剤、およびその他の添加剤等の添加剤(C)を選択して添加し、それらを均一に混合溶解することにより得ることができる。
2-5.液晶配向膜用樹脂組成物の保存
本発明の液晶配向膜用樹脂組成物は、-30℃~25℃の範囲で保存すると、組成物の経時安定性が良好となり好ましい。-20℃~10℃がより好ましい。
3.液晶配向膜用樹脂組成物から得られる硬化膜
上記のようにして調製された液晶配向膜用樹脂組成物を、スピンコート法、ロールコート法、ディッピング法、およびスリットコート法等従来から公知の塗布方法により基板表面に塗布し、塗膜を形成することができる。次いでこの塗膜はホットプレート、またはオーブン等で仮焼成を行った後、塗膜を硬化させるために本焼成を行うことにより硬化膜を得ることができる。仮焼成の前に、減圧により溶剤を一部除する工程を入れることも好ましい。次いで、ラビング法を用いて配向処理を行うことで、配向能力が付与される。ラビングは公知の方法で行うことができる。
仮焼成条件は各成分の種類および配合割合によって異なるが、通常60~100℃のホットプレート上あるいはオーブン中、1~15分間である。本焼成条件は、各成分の種類および配合割合によって異なるが、通常120~250℃のホットプレート上あるいはオーブン中、5~90分間である。
本発明の硬化膜は、配向処理により、液晶および重合性液晶に対する配向能力を有し、かつ下地に対する平坦化能力を兼備している。したがって、配向膜および平坦化膜の機能を兼備し、両者の塗膜層として兼用することができる。この塗膜層を用いて、液晶表示素子や固体撮像素子を製造することができる。
次に本発明を合成例、実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例中に記載している略号について、対応する化合物名、商品名等を以下に記載する。
<<アクリル共重合体用原料>>
<主鎖にベンゼン環構造を有する2官能(メタ)アクリレート(a1)>
M208:エチレンオキシド変性ビスフェノールFジアクリレート(アロニックスM-208)(商品名;東亞合成(株))
A-BPEF-2:9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンジアクリレート(商品名;新中村化学工業(株))
FA-321M:EO変性ビスフェノールAジメタクリレート(商品名;昭和電工マテリアルズ(株))
<主鎖にベンゼン環構造を有さない2官能(メタ)アクリレート>
HPP-A:ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールアクリル酸付加物(商品名;共栄社化学(株))
<単官能重合性化合物(a2)>
P2H-A:フェノキシジエチレングリコールアクリレート(商品名;共栄社化学(株))
BzMA:ベンジルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
CHMI:N-シクロヘキシルマレイミド
FA-513M:ジシクロペンタニルメタクリレート(商品名;昭和電工マテリアルズ(株))
GMA:グリシジルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
<<重合開始剤>>
V-601:ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(V-601)(商品名;富士フイルム和光純薬工業(株))
<<比較用アクリル重合体>>
PMMA:ポリメチルメタクリレート(東京化成(株)製)
<<添加剤>>
TMA:トリメリット酸無水物
CEL2021P:3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P)(商品名;(株)ダイセル)
F-477:メガファックF-477(商品名;DIC(株))
実施例における測定項目の略称を以下に示す。
Mw:重量平均分子量
Mn:数平均分子量
DOP:平坦化率
次に、実施例で使用した装置および分析条件を示す。
<スピンナー>
装置:ミカサ(株)製 MS-A150
<膜厚測定>
装置:KLA-Tencor Japan(株)製 触針式膜厚計P-16(商品名)
測定方法:3箇所を測定し、その平均値を膜厚とした。
<透過率測定>
装置:日本分光(株)製 紫外可視分光光度計V-670(商品名)
[アクリル共重合体の合成]
[合成例1]アクリル共重合体(A1)の合成
攪拌器付四つ口フラスコに、脱水精製したトルエン、M208、GMAを下記の重量で仕込み、さらに重合開始剤V-601を下記の重量で仕込み、乾燥窒素気流下95℃で2時間攪拌した。
トルエン 233.00g
M208 5.00g
GMA 95.00g
V-601 10.00g
反応後の溶液を25℃まで冷却し、アクリル共重合体(A1)の 30重量%溶液を得た。溶液の一部をサンプリングし、GPC分析により重量平均分子量を測定した。その結果、得られたアクリル共重合体(A1)の重量平均分子量は9,700であった。この溶液(以下SA1と記す)のままで、液晶配向膜用樹脂組成物の調製に用いた。
[合成例2]アクリル共重合体(A2)の合成
攪拌器付四つ口フラスコに、トルエン、A-BPEF-2、GMAを下記の重量で仕込み、さらに重合開始剤V-601を下記の重量で仕込み、乾燥窒素気流下95℃で2時間攪拌した。
トルエン 233.00g
A-BPEF-2 7.00g
GMA 93.00g
V-601 10.00g
反応後の溶液を25℃まで冷却し、アクリル共重合体(A2)の30重量%溶液を得た。溶液の一部をサンプリングし、GPC分析により重量平均分子量を測定した。その結果、得られたアクリル共重合体(A2)の重量平均分子量は17,200であった。この溶液(以下SA2と記す)のままで、液晶配向膜用樹脂組成物の調製に用いた。
[合成例3]アクリル共重合体(A3)の合成
攪拌器付四つ口フラスコに、トルエン、FA-321M、GMAを下記の重量で仕込み、さらに重合開始剤V-601を下記の重量で仕込み、乾燥窒素気流下95℃で2時間攪拌した。
トルエン 233.00g
FA-321M 10.00g
GMA 90.00g
V-601 10.00g
反応後の溶液を25℃まで冷却し、アクリル共重合体(A3)の30重量%溶液を得た。溶液の一部をサンプリングし、GPC分析により重量平均分子量を測定した。その結果、得られたアクリル共重合体(A3)の重量平均分子量は15,600であった。この溶液(以下SA3と記す)のままで、液晶配向膜用樹脂組成物の調製に用いた。
[合成例4]アクリル共重合体(A4)の合成
攪拌器付四つ口フラスコに、トルエン、M208、BzMA、GMAを下記の重量で仕込み、さらに重合開始剤V-601を下記の重量で仕込み、乾燥窒素気流下95℃で2時間攪拌した。
トルエン 233.00g
M208 7.00g
BzMA 39.00g
GMA 54.00g
V-601 5.00g
反応後の溶液を25℃まで冷却し、アクリル共重合体(A4)の30重量%溶液を得た。溶液の一部をサンプリングし、GPC分析により重量平均分子量を測定した。その結果、得られたアクリル共重合体(A4)の重量平均分子量は33,400であった。この溶液(以下SA4と記す)のままで、液晶配向膜用樹脂組成物の調製に用いた。
[合成例5]アクリル共重合体(A5)の合成
攪拌器付四つ口フラスコに、トルエン、M208、P2H-A、MMA、GMAを下記の重量で仕込み、さらに重合開始剤V-601を下記の重量で仕込み、乾燥窒素気流下95℃で2時間攪拌した。
トルエン 233.00g
M208 7.00g
P2H-A 53.00g
MMA 20.00g
GMA 20.00g
V-601 5.00g
反応後の溶液を25℃まで冷却し、アクリル共重合体(A5)の30重量%溶液を得た。溶液の一部をサンプリングし、GPC分析により重量平均分子量を測定した。その結果、得られたアクリル共重合体(A5)の重量平均分子量は60,500であった。この溶液(以下SA5と記す)のままで、液晶配向膜用樹脂組成物の調製に用いた。
[合成例6]アクリル共重合体(A6)の合成
攪拌器付四つ口フラスコに、トルエン、A-BPEF-2、BzMA、GMAを下記の重量で仕込み、さらに重合開始剤V-601を下記の重量で仕込み、乾燥窒素気流下95℃で2時間攪拌した。
トルエン 233.00g
A-BPEF-2 10.00g
BzMA 39.00g
GMA 51.00g
V-601 10.00g
反応後の溶液を25℃まで冷却し、アクリル共重合体(A6)の30重量%溶液を得た。溶液の一部をサンプリングし、GPC分析により重量平均分子量を測定した。その結果、得られたアクリル共重合体(A6)の重量平均分子量は80,000であった。この溶液(以下SA6と記す)のままで、液晶配向膜用樹脂組成物の調製に用いた。
[合成例7]アクリル共重合体(A7)の合成
攪拌器付四つ口フラスコに、トルエン、FA-321M、BzMA、GMAを下記の重量で仕込み、さらに重合開始剤V-601を下記の重量で仕込み、乾燥窒素気流下95℃で2時間攪拌した。
トルエン 233.00g
FA-321M 10.00g
BzMA 44.00g
GMA 46.00g
V-601 5.00g
反応後の溶液を25℃まで冷却し、アクリル共重合体(A7)の30重量%溶液を得た。溶液の一部をサンプリングし、GPC分析により重量平均分子量を測定した。その結果、得られたアクリル共重合体(A7)の重量平均分子量は60,600であった。この溶液(以下SA7と記す)のままで、液晶配向膜用樹脂組成物の調製に用いた。
[比較合成例1]アクリル共重合体(A8)の合成
攪拌器付四つ口フラスコに、トルエン、HPP-A、BzMA、GMAを下記の重量で仕込み、さらに重合開始剤V-601を下記の重量で仕込み、乾燥窒素気流下95℃で2時間攪拌した。
トルエン 233.00g
HPP-A 7.00g
BzMA 78.00g
GMA 15.00g
V-601 5.00g
反応後の溶液を25℃まで冷却し、アクリル共重合体(A8)の30重量%溶液を得た。溶液の一部をサンプリングし、GPC分析により重量平均分子量を測定した。その結果、得られたアクリル共重合体(A8)の重量平均分子量は19,100であった。この溶液(以下SA8と記す)のままで、液晶配向膜用樹脂組成物の調製に用いた。
[比較合成例2]アクリル共重合体(A9)の合成
攪拌器付四つ口フラスコに、トルエン、BzMA、MMAを下記の重量で仕込み、さらに重合開始剤V-601を下記の重量で仕込み、乾燥窒素気流下95℃で2時間攪拌した。
トルエン 233.00g
BzMA 44.00g
MMA 56.00g
V-601 2.00g
反応後の溶液を25℃まで冷却し、アクリル共重合体(A9)の30重量%溶液を得た。溶液の一部をサンプリングし、GPC分析により重量平均分子量を測定した。その結果、得られたアクリル共重合体(A9)の重量平均分子量は18,000であった。この溶液(以下SA9と記す)のままで、液晶配向膜用樹脂組成物の調製に用いた。
[比較合成例3]アクリル共重合体(A10)の合成
攪拌器付四つ口フラスコに、トルエン、CHMI、FA-513Mを下記の重量で仕込み、さらに重合開始剤V-601を下記の重量で仕込み、乾燥窒素気流下95℃で2時間攪拌した。
トルエン 233.00g
CHMI 35.00g
FA-513M 40.00g
MAA 25.00g
V-601 2.00g
反応後の溶液を25℃まで冷却し、アクリル共重合体(A10)の30重量%溶液を得た。溶液の一部をサンプリングし、GPC分析により重量平均分子量を測定した。その結果、得られたアクリル共重合体(A10)の重量平均分子量は21,200であった。この溶液(以下SA10と記す)のままで、液晶配向膜用樹脂組成物の調製に用いた。
[比較合成例4]アクリル共重合体(A11)の合成
攪拌器付四つ口フラスコに、トルエン、BzMA、MAAを下記の重量で仕込み、さらに重合開始剤V-601を下記の重量で仕込み、乾燥窒素気流下95℃で2時間攪拌した。
トルエン 233.00g
BzMA 67.00g
MAA 33.00g
V-601 2.00g
反応後の溶液を25℃まで冷却し、アクリル共重合体(A11)の30重量%溶液を得た。溶液の一部をサンプリングし、GPC分析により重量平均分子量を測定した。その結果、得られたアクリル共重合体(A11)の重量平均分子量は17,400であった。この溶液(以下SA11と記す)のままで、液晶配向膜用樹脂組成物の調製に用いた。
表1-1および表1-2に、それぞれの合成に用いた原料とその仕込み量、使用した反応溶剤、合成結果、合成できた場合には分子量等を記載した。
表1-1
Figure 2022188610000006

表1-2
Figure 2022188610000007
[液晶配向膜用樹脂組成物の調製]
[調製例1]
アクリル共重合体溶液(SA1)(5.0000g)、TMA(0.0750g)、F-477(0.0012g)、およびトルエン(2.7941g)を混合溶解した後、フッ素樹脂製のメンブレンフィルター(0.5μm)でろ過することにより組成物1を得た。
[調製例2]
アクリル共重合体溶液(SA1)をアクリル共重合体溶液(SA2)に変更した以外は調製例1と同様にして調製、ろ過を行い、組成物2を得た。
[調製例3]
アクリル共重合体溶液(SA1)をアクリル共重合体溶液(SA3)に変更した以外は調製例1と同様にして調製、ろ過を行い、組成物3を得た。
[調製例4]
アクリル共重合体溶液(SA1)をアクリル共重合体溶液(SA4)に変更した以外は調製例1と同様にして調製、ろ過を行い、組成物4を得た。
[調製例5]
アクリル共重合体溶液(SA1)をアクリル共重合体溶液(SA5)に変更した以外は調製例1と同様にして調製、ろ過を行い、組成物5を得た。
[調製例6]
アクリル共重合体溶液(SA1)をアクリル共重合体溶液(SA6)に変更した以外は調製例1と同様にして調製、ろ過を行い、組成物6を得た。
[調製例7]
アクリル共重合体溶液(SA1)をアクリル共重合体溶液(SA7)に変更した以外は調製例1と同様にして調製、ろ過を行い、組成物7を得た。
[比較調製例1]
アクリル共重合体溶液(SA8)(5.0000g)、TMA(0.0750g)、F-477(0.0012g)、およびトルエン(2.8047g)を混合溶解した後、フッ素樹脂製のメンブレンフィルター(0.5μm)でろ過することにより組成物8を得た。
[比較調製例2]
アクリル共重合体溶液(SA9)(5.0000g)、F-477(0.0011g)、およびトルエン(2.5045g)を混合溶解した後、フッ素樹脂製のメンブレンフィルター(0.5μm)でろ過することにより組成物9を得た。
[比較調製例3]
アクリル共重合体溶液(SA8)をアクリル共重合体溶液(SA10)に、TMAをCEL2021Pに変更した以外は比較調製例1と同様にして調製、ろ過を行い、組成物10を得た。
[比較調製例4]
アクリル共重合体溶液(SA8)をアクリル共重合体溶液(SA11)に、TMAをCEL2021Pに変更した以外は比較調製例1と同様にして調製、ろ過を行い、組成物11を得た。
[比較調製例5]
PMMA(1.0000g)、F-477(0.0030g)、およびトルエン(19.0572g)を混合溶解した後、フッ素樹脂製のメンブレンフィルター(0.5μm)でろ過することにより組成物12を得た。
表2-1および表2-2に、それぞれの組成物の調製に用いた原料とその仕込み量を記載した。

表2-1
Figure 2022188610000008

表2-2
Figure 2022188610000009
[実施例1]~[実施例7]、[比較例1]~[比較例5]
上記調製例で得られた組成物1~12それぞれについて、以下のようにして各種評価を行った。
<透過率測定>
液晶配向膜用樹脂組成物を、スピンコーターで、膜厚が約1.5μmになるように回転数を調整して、コーニング社製ガラス基板「EAGLE XG」(商品名、厚さ0.7mm)上に塗布した。次いで、組成物が塗布された基板を、ホットプレート上で、60℃で3分間乾燥後、230℃のオーブン内で30分間焼成することで、透過率測定用硬化膜を有する試験基板を作成し、透過率測定を行った。透過率は透過波長400nmでの値について評価した。透過率90%以上を〇、90%未満を×とした。結果は表3-1および表3-2に示した。
<平坦化能力評価>
予め最大段差を測定しておいたカラーフィルター基板(ガラス基板上にR、G、Bの3色のパターン状着色体を有する基板)上に、液晶配向膜用樹脂組成物を塗布した。塗布にはスピンコーターを用い、膜厚が約1.5μmになるように回転数を調整した。次いで、組成物が塗布された基板を、ホットプレート上で、60℃で3分間乾燥後、230℃のオーブン内で30分間焼成することで、平坦化能力評価用硬化膜を有する試験基板を作成した。得られた試験基板について、最大段差を測定した。ここで最大段差とは、基板の表面段差の最大値であり、基板上の最も膜厚が厚い箇所と最も膜厚が薄い箇所の膜厚差に相当する。
平坦化能力は平坦化率(DOP)で評価した。DOPは以下のように算出した。なお、硬化膜無しカラーフィルター基板は、最大段差が1.0μmのものを用いた。

DOP(%)=(t1-t2)/t2×100

t1(μm):硬化膜無しカラーフィルター基板の最大段差
t2(μm):硬化膜を有する試験基板の最大段差

平坦化率が100%に近いほど平坦化能力が優れていると言える。平坦化率60%未満を×、60%以上70%未満を△とし、70%以上を〇とした。結果は表3-1および表3-2に示した。
<配向能力評価用硬化膜の作製>
予め、評価に使用する重合性液晶組成物溶液を以下のように調製した。
パリオカラーLC242(商品名;BASFジャパン(株))を20.00g、IRGACURE907(商品名;BASFジャパン(株))を1.00g、BYK-361Nを0.020g、さらに溶剤としてトルエンを加えて溶剤が全体の85重量%になるように調製し、均一に混合溶解する。この組成物を重合性液晶組成物溶液(PLC-1)とする。
前述した透過率測定用硬化膜の作製方法に従って、もう一枚透過率測定用硬化膜を作製した。得られた透過率測定用硬化膜に対して、レーヨン製のラビング布YA-18-R(商品名;吉川化工(株))を装着したラビング装置を用いてラビング処理を施した。ラビング速度は60mm/sec、ローラー回転数は1,000rpmである。次に、重合性液晶組成物溶液(PLC-1)を該基板上にスピンコーターで塗布し、ホットプレート上で80℃にて1分間乾燥後、超高圧水銀灯を用いて300mJ/cm照射を行った。露光量はカットフィルターと偏光板は用いず、365nmの照度計を用いて測定した値である。さらに、230℃のオーブン内で30分間ポストベークすることで、配向能力評価用硬化膜を有する試験基板を作成し、配向能力の評価を行った。
得られた配向能力評価用硬化膜を有する試験基板を、直交(クロスニコル)状態の2枚の直線偏光板の間に偏光板に平行な向きで挟み、偏光板に平行な向きを保ちながら当該試験基板を回転させ、バックライトを下から照射して観察した。その結果を表3-1および3-2に〇と記載した。表中、配向能力評価用硬化膜を有する試験基板を回転させて明暗が見られる場合を配向能有りと判断し〇と記載し、明暗が見られない場合を重合性液晶化合物の配向能無しと判断し、×と記載した。結果は表3-1および表3-2に示した。
表3-1
Figure 2022188610000010

表3-2
Figure 2022188610000011
表3-1中の実施例1~7は、いずれも得られた硬化膜が重合性液晶に対する配向能力および下地に対する平坦化能力を示した。これと比較し、表3-2中の比較例1~4では、下地に対する平坦化能力を示したものの、重合性液晶に対し配向能力を示さなかった。また、比較例5の場合、1.5μmの膜厚の場合、得られた硬化膜上重合性液晶膜を作製した際に、膜面にヒビが発生したため、配向膜および平坦化膜としての機能がなくなり、さらに透過率とも著しく低下した結果となった。
本発明によれば、平坦化能力と配向能力を兼備した高透過率を有する硬化膜を提供することができる。

Claims (5)

  1. 主鎖にベンゼン環構造を有する2官能(メタ)アクリレート(a1)、および単官能重合性化合物(a2)を含む原料から得られる共重合体であるアクリル共重合体(A)、および溶剤(B)を含む液晶配向膜用樹脂組成物。
  2. 前記単官能重合性化合物(a2)が、架橋性官能基を有する単官能重合性化合物を含む、請求項1に記載の液晶配向膜用樹脂組成物。
  3. さらに、架橋剤、重合性二重結合を有する化合物、界面活性剤、密着性向上剤および酸化防止剤からなる群から選択された少なくとも1種の添加剤(C)を含む、請求項1または請求項2に記載の液晶配向膜用樹脂組成物。
  4. 請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の液晶配向膜用樹脂組成物を硬化させて得られる硬化膜。
  5. 請求項4に記載の硬化膜を有する液晶表示素子。
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