JP2022186608A - 清掃部材及び弾性部材 - Google Patents

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昌憲 横山
Yoshinori Yokoyama
健哉 寺田
Kenya Terada
雄彦 青山
Katsuhiko Aoyama
将太 瀬川
Shota Segawa
久雄 加藤
Hisao Kato
光弘 國枝
Mitsuhiro Kunieda
有洋 山本
Arihiro Yamamoto
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Abstract

【課題】高温環境での使用や、長時間に亘る使用により、昇温した場合にも払拭性能の低下を防止し得る清掃部材及び弾性部材。【解決手段】ポリウレタンを含む弾性部材を備えた清掃部材であって、該弾性部材からサンプリングした試料のtanδを温度-20℃~+60℃の範囲で測定したとき、tanδの最大値を示すピークのピーク温度が、15.0℃以下に存在し、tanδの最大値が、0.20以上0.55以下であり、温度55℃におけるtanδが、0.13以上であり、かつ、該試料を直接試料導入方式の質量分析計を用いて、昇温速度10℃/秒で1000℃まで加熱したときに得られる全てのイオンの検出量をM1とし、イソシアネート基を3個以上有する多官能イソシアネートに由来するm/z値の範囲に対応する抽出イオンサーモグラムのピークの積分強度をM2としたとき、M2/M1が0.001以上である。【選択図】図1

Description

本開示は、電子写真用クリーニングブレード、自動車等の車両用ワイパー、並びに窓ガラス及び壁等の払拭用ワイパーなどの清掃部材並びに該清掃部材に用いられる弾性部材に関する。
ガラスなどの平滑な面の汚れなどを除去する清掃部材として、弾性体を清掃に優れた形状に加工したものが用いられている。なかでも弾性性能と耐摩耗性に優れたポリウレタンが多く採用されている。このような清掃部材は電子写真装置などの電子機器、車両や飛行機や船舶などの窓、ビルや家のガラス窓、浴室の壁、太陽光パネルなどに使用されている。特許文献1は電子複写機のクリーニングブレード用ポリウレタンエラストマーを開示している。また、特許文献2は車両用ワイパーとして、特許文献3は窓の清掃部材として、ポリウレタンを用いた清掃部材を開示している。
特開2008-209736号公報 特開2004-051894号公報 特開2019-115471号公報
上記各文献に係る清掃部材は、高温環境での使用や長時間に亘る使用に伴って清掃部材の温度が上がるにつれて清掃部材としての払拭性能の低下が観察された。ここで特許文献1に係る発明は、広範囲の雰囲気温度下での粘弾性の変化が小さく、ガラス転移温点が-5℃以下である低温特性に優れる電子複写機のクリーニングブレード用ポリウレタンエラストマーの提供を目的としている。そして、かかる目的が、ポリオール成分、鎖延長剤、イソシアネート成分を含んで構成され、ポリオール成分が両末端に水酸基を有する2官能で分子中にエステル基を含むシリコーンオイルを含み、イソシアネート成分が芳香族イソシアネートを含み、ポリウレタンエラストマーに対してシリコーンオイルが5.0から50重量%であり、ポリウレタンエラストマーについて、ショアA硬度が70~90、粘弾性の10℃の値tanδ(10)が0.32以下、55℃の値tanδ(55)が0.02以上であり、tanδ(10)とtanδ(55)の差が0.30以内であるポリウレタンエラストマーによって上記課題が解決できるとされている。しかしながら、実施例で作製されているポリウレタンエラストマーは、tanδのピーク値と温度55℃でのtanδの値の乖離は大きかった。特に、温度55℃におけるtanδの値は、当該温度における払拭性能の安定化の観点からは小さすぎるものであった。
本開示の一態様は、高温環境での使用や、長時間に亘る使用により、昇温した場合にも払拭性能の低下を防止し得る清掃部材の提供に向けたものである。また、本開示の他の態様は、高温下でも損失係数tanδが低下し難い弾性部材の提供に向けたものである。
本開示の一態様によれば、ポリウレタンを含む弾性部材を備え、被清掃部材の表面に該弾性部材の少なくとも一部を当接させて、該被清掃部材の表面を清掃する清掃部材であって、該弾性部材から、該被清掃部材と当接する部分を含むようにサンプリングした試料の損失係数tanδを温度-20℃~+60℃の範囲で測定したとき、tanδの最大値を
示すピークのピーク温度が、15.0℃以下に存在し、tanδの最大値が、0.20以上0.55以下であり、温度55℃におけるtanδが、0.13以上であり、かつ、
該弾性部材から、該被清掃部材と当接する部分を含むようにサンプリングした試料をイオン化室内で加熱気化させ、該試料を構成する分子をイオン化する直接試料導入方式の質量分析計を用いて、昇温速度10℃/秒で1000℃まで加熱したときに得られる全てのイオンの検出量をM1とし、イソシアネート基を3個以上有する多官能イソシアネートに由来するm/z値の範囲に対応する抽出イオンサーモグラムのピークの積分強度をM2としたとき、M2/M1が0.001以上である清掃部材が提供される。
また、本開示の他の態様によれば、ポリウレタンを含む弾性部材であって、該弾性部材からサンプリングした試料の損失係数tanδを、温度-20℃~+60℃の範囲で測定したとき、tanδの最大値を示すピークのピーク温度が、15.0℃以下に存在し、該tanδの最大値が、0.20以上0.55以下であり、温度55℃におけるtanδが、0.13以上であり、かつ、該弾性部材からサンプリングした試料をイオン化室内で加熱気化させ、該試料を構成する分子をイオン化する直接試料導入方式の質量分析計を用いて、昇温速度10℃/秒で1000℃まで加熱したときに得られる全てのイオンの検出量をM1とし、イソシアネート基を3個以上有する多官能イソシアネートに由来するm/z値の範囲に対応する抽出イオンサーモグラムのピークの積分強度をM2としたとき、M2/M1が0.001以上である弾性部材が提供される。
本開示の一態様によれば、高温環境での使用や、長時間に亘る使用により、昇温した場合にも払拭性能の低下を防止し得る清掃部材を得ることができる。また、本開示の他の態様によれば、高温下でも損失係数tanδが低下し難い弾性部材を得ることができる。
電子写真用クリーニングブレードの概略斜視図 クリーニングブレードのエッジが被清掃部材に当接した状態を示す図 車両用ワイパー部材の概略断面図 車両用ワイパー部材の清掃過程での状態を示す図 清掃用ワイパーブレードの概略図 清掃用ワイパーブレードが被清掃部材を清掃する過程の説明図 追従性評価の試験機の概略図
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
本発明者らは、例えば、以下に述べる態様の弾性部材及び該弾性部材を用いた清掃部材は、被清掃部材への追従性に優れ、高温環境での使用や、長時間に亘る使用により、昇温した場合にも払拭性能の低下を防止し得ることを見出した。
<清掃部材の構成>
<損失係数(tanδ)のピーク温度>
弾性部材を備えた清掃部材において、該弾性部材から、被清掃部材との当接部を含むようにサンプリングした試料の損失係数(以降、「tanδ」ともいう)を温度-20℃~+60℃の範囲で測定したとき、tanδの最大値を示すピークのピークトップ温度(以降、「tanδピーク温度」ともいう)が、15.0℃以下である。tanδピーク温度は一般的にガラス転移温度と呼ばれる指標である。弾性体はtanδピーク温度を境に、
低温側では樹脂としての性質が強くなり、高温側では弾性体として振る舞う。tanδピーク温度が15.0℃以下であれば、清掃部材の実使用温度領域(例えば、0~55℃)において、弾性部材を弾性体として機能させることができる。
tanδピーク温度は好ましくは14.0℃以下であり、より好ましくは13.0℃以下である。下限は特に制限されないが、好ましくは-5.0℃以上であり、より好ましくは0.0℃以上であり、さらに好ましくは5.0℃以上である。tanδピーク温度は、ポリウレタン中のハードセグメントとソフトセグメントの比率によって調整し得る。具体的には、ハードセグメントに対するソフトセグメントの比率を高めることでtanピーク温度を低くする方向に制御できる。そのための具体的な方法としては、ポリウレタンの原料組成物中のイソシアネートに対するポリオールの比率を高めることが挙げられる。
<損失係数(tanδ)の最大値(ピーク値)>
tanδは、弾性部材における弾性成分に対する粘性成分の割合を表している。この値が小さいほど弾性成分の割合が大きいことを表し、弾性部材に加わった力に対する応答が早い。そのため、被清掃部材に対する良好な追従性を有する弾性部材とするためには、tanδの最大値(以降、「tanδピーク値」ともいう)を低くすることが有効である。具体的には、弾性部材のtanδピーク値を0.20以上0.55以下とすることで、当該弾性部材は被清掃部材に対する良好な追従性を有し得る。tanδピーク値は、特には、0.25以上0.50以下であることが好ましい。
<温度55℃における損失係数(tanδ)>
tanδをエネルギーの側面から見ると、貯蔵エネルギーに対する損失エネルギーを表す。tanδが高いと、入力された振動エネルギーを熱などの損失エネルギーに変換する割合が高いため、弾性部材は高い制振性を有し得る。
ポリウレタン製の弾性部材を備えた清掃部材は、長期に亘って被清掃部材と摺擦させた場合、摩擦熱によって弾性部材が例えば温度55℃程度にまで昇温することがある。弾性部材の温度が上昇するとtanδが小さくなり、被清掃部材への追従性は良化する一方で、制振性が低下する。そのため、ビビリが発生し異音を生じ、また、拭きムラや拭き残しが生じることがある。そこで、弾性部材の温度が55℃となった場合にも安定した払拭性能を発揮させるためには、温度55℃におけるtanδを0.13以上とすることが有効である。温度55℃におけるtanδは、特には、0.15以上が好ましい。また、上限は、前記したtanδピーク値未満であれば特に限定されないが、例えば、0.50以下、特には0.35以下が好ましい。
ここで、tanδピーク値を下げる方法の一つとしては、弾性部材の結晶橋構造を発達させることが考えられる。しかしながら、単純に弾性部材の結晶構造を発達させると、55℃の如き高温では、樹脂を構成する分子の運動性が高まるにつれて粘性項の値が小さくなる。その結果、tanδが小さくなり、弾性部材における制振性が低下し、ビビリが生じ易くなる。そこで、被清掃部材に対する高い追従性を有し、かつ、高温でもビビリの生じにくい清掃部材を得るためには、弾性部材のtanδピーク値を0.55以下としつつ、温度55℃でのtanδが小さすぎないポリウレタンが有効であると認識した。
そこで、本発明者らが検討した結果、ポリウレタンの原料として、2官能のジフェニルメタンジイソシアネートと3官能以上の多官能イソシアネート(例えば、ポリメリックMDI)とを所定の比率で用いると共に、当該多官能イソシアネートを高効率でポリオールと反応させることができる特定の触媒を用いることで、tanδのピーク温度を15.0℃以下、ピーク値を0.20以上0.55以下の範囲としつつ、温度55℃におけるtanδを0.13以上であるポリウレタンを得られることを見出した。上記したような材料
を用いることで、このような物性を備えたポリウレタンを得られる理由は以下のように推測される。
まず、多官能イソシアネートの各イソシアネート基を、特定の触媒を用いることで極めて効率的にポリオールと反応させることで、架橋密度の高いポリウレタンを形成することができる。このことにより、弾性項を大きくし得る。一方、ジフェニルメタンジイソシアネート由来のウレタン結合部分は平面性が高く、スタッキングし易い。その結果、ハードセグメント内に結晶構造が発達した部分(以降、「結晶性領域」ともいう)が形成される。結晶性領域では、外部から力が加わったときに結晶がずれることで外力を吸収し得るため、粘性項を大きくする方向に作用する。常温域では、粘性項及び弾性項共に大きな値を示すこととなるが、ジフェニルメタンジイソシアネートと多官能イソシアネートとの比率を調整することで、tanδピーク値を所定の範囲に制御することができる。
また、通常、高温域では、分子運動の活発化に伴い、結晶構造が緩み、またはほどけることで粘性項の値は小さくなると考えられる。しかしながら、本開示に係るポリウレタンにおいては、ジフェニルメタンジイソシアネートに由来する結晶性領域の結晶性に加えて、多官能イソシアネートに由来する3次元架橋構造が発達しているため、高温下でも当該結晶構造が崩れにくく、温度55℃の如き高温においても粘性項の値がある程度維持されていると考えられる。
そして、本開示の一態様に係る弾性部材は、被清掃部材との当接部からサンプリングした試料をイオン化室内で加熱気化させ、該試料を構成する分子をイオン化する直接試料導入方式の質量分析計を用いて、昇温速度10℃/秒で1000℃まで加熱したときに得られる全てのイオンの検出量をM1とし、イソシアネート基を3個以上有する多官能イソシアネートに由来するm/z値の範囲に対応する抽出イオンサーモグラムのピークの積分強度をM2としたとき、M2/M1が0.001以上である。
M2/M1が0.001以上であるポリウレタンは、3官能以上のイソシアネートに起因する高次架橋構造を有し得る。このような高次架橋構造を備えたポリウレタンは、tanδピーク温度が15.0℃以下であり、tanδピーク値が0.20~0.55であり
、かつ、温度55℃におけるtanδが0.13以上といった物性をより容易に達成し得る。M2/M1は、好ましくは0.002以上であり、より好ましくは0.004以上である。上限は特に制限されないが、M2/M1は、好ましくは0.035以下であり、より好ましくは0.020以下である。従って、M2/M1は、好ましくは、0.001以上、0.035以下、特に好ましくは、0.002以上、0.035以下、より好ましくは、0.004以上、0.020以下である。
また、本開示に係るポリウレタンにおいては、上記した直接試料導入方式の質量分析計を用いた分析方法から得られる、ジイソシアネートに由来するm/z値の範囲に対応する抽出イオンサーモグラムのピークの積分強度をM3としたときに、第1のテーパー面及び/又は第2のテーパー面におけるM3/M1が、0.025~0.130であることが好ましく、特には、0.038~0.108であることがより好ましい。M3/M1が上記範囲内にあることで、当該ポリウレタンは、一定量の結晶構造を有し得る。
このような結晶構造を備えたポリウレタンは、tanδピーク温度が15.0℃以下であ
り、tanδピーク値が0.20~0.55であり、かつ、温度55℃におけるtanδが0.13以上といった物性をより容易に達成し得る。
さらに、M2/M3を0.046以上、0.441以下とすることが好ましい。M2/M3は、該ポリウレタンのイソシアネート由来の構造における、ジイソシアネート由来の構造部分と、3官能以上の多官能イソシアネート由来の構造部分との割合を表すパラメー
タである。M2/M3を上記範囲内とすることで、tanδピーク温度が15.0℃以下
であり、tanδピーク値が0.20~0.55であり、かつ、温度55℃におけるtanδが0.13以上といった物性をより容易に達成し得る。
本開示の一態様に係るポリウレタンは、例えば、ジイソシアネート及び3官能以上の多官能イソシアネートを含むイソシアネート化合物、並びに、3官能以上の多官能アルコールを含むアルコールを含むポリウレタンの原料組成物の反応物であることができる。
上記ポリオールとしては、例えば以下のものが挙げられる。ポリエチレンアジペートポリオール、ポリブチレンアジペートポリオール、ポリヘキシレンアジペートポリオール、(ポリエチレン/ポリプロピレン)アジペートポリオール、(ポリエチレン/ポリブチレン)アジペートポリオール、(ポリエチレン/ポリネオペンチレン)アジペートポリオールなどのポリエステルポリオール;カプロラクトンを開環重合して得られるポリカプロラクトン系ポリオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルポリオール;ポリカーボネートジオールを挙げることができ、これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。上記ポリオールの中でも機械的特性に優れたポリウレタンエラストマーが得られることからアジペートを用いたポリエステルポリオールが好ましい。
特にポリブチレンアジペートポリオールや、ポリヘキシレンアジペートポリオールなど、炭素数が4以上のグリコールを用いたものがより好ましい。また、ポリブチレンアジペートポリオールとポリヘキシレンアジペートポリオールなど、グリコールの炭素数が異なるポリオールを併用することが好ましい。異なる種類のポリオールが存在することで、ソフトセグメントの結晶化が抑制されることで、ハードセグメント凝集を抑制することができる。
上記鎖延長剤としては、ポリウレタンエラストマー鎖を延長可能なグリコール、多価アルコールを使用することができる。グリコールとしては、例えば以下のものを挙げることができる。エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール(DPG)、1,4-ブタンジオール(1,4-BD)、1,6-ヘキサンジオール(1,6-HD)、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール(テレフタリルアルコール)、トリエチレングリコール。3価以上の多価アルコールとしては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトールを挙げることができる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ジイソシアネートとしては、例えば以下のものが挙げられる。4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート(1,5-NDI)、p-フェニレンジイソシアネート(PPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート。
中でも、二つのイソシアネート基が同等の反応性を有する4、4’-MDIが好ましい。
また、3官能以上の多官能イソシアネートとしては、トリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネート(TTI)、トリス(フェニルイソシアネート)チオホスフ
ェート(TPTI)及びポリメリックMDIからなる群から選択される少なくとも一が挙げられる。中でも、トリス(フェニルイソシアネート)チオホスフェート(TPTI)及びポリメリックMDIをより好適に用いることができる。
ここで、ポリメリックMDIは以下の化学式(1)及び化学式(1)’で示される。化学式(1)’におけるnは、1以上4以下であることが好ましい。化学式(1)は、化学式(1)’においてnが1の場合である。
Figure 2022186608000002
ここで、該ポリウレタンが、3官能以上の多官能イソシアネートとして、上記化学式(1)’で示されるポリメリックMDIを用いて製造されたポリウレタンである場合、前記した質量分析によって得られる抽出イオンサーモグラムにおいて、化学式(1)’で示される構造のn=1に由来するm/z値が380.5~381.5の範囲、n=2に由来するm/z値が511.5~512.5の範囲、n=3に由来するm/z値が642.5~643.5の範囲、及び、n=4に由来するm/z値が773.5~774.5の範囲に現れるピークの積分強度の合計をM2とすればよい。
また、3官能以上のイソシアネートとしてのTTIは、下記化学式(3)で示される構造を有する。そして、TTIを用いて合成されたポリウレタンは、上記の方法によって得られた抽出イオンサーモグラムにおいて、m/zが366.5~367.5の範囲に現れる、TTIの陽イオン化物に由来するピークの積分強度をM2とすればよい。
Figure 2022186608000003
さらに、3官能以上の多官能イソシアネートとしてのトリス(フェニルイソシアネート
)チオホスフェート(TPTI)は、化学式(4)で示す構造を有する。そして、TPTIを用いて合成されたポリウレタンは、前記した質量分析法によって得られる抽出イオンサーモグラムにおいて、m/zが464.5~465.5の範囲に現れる、TPTIの陽イオン化物に由来するピークの積分強度をM2とすればよい。
Figure 2022186608000004
また、ジイソシアネートとして、化学式(2)で示される4,4’-MDIを用いて合成されたポリウレタンは、前記した質量分析によって得られる抽出イオンサーモグラムにおいて、化学式(2)で示される構造に由来するm/z値が249.5~250.5の位置にピークトップを有する、4,4´-MDIに由来するピークの積分強度をM3とすればよい。
Figure 2022186608000005
上記触媒としては、一般的に用いられるポリウレタンエラストマー硬化用の触媒を使用することができる。中でも、3級アミノアルコールが好ましい。3級アミノアルコールとしては、例えば2-(ジメチルアミノ)エタノール、3-(ジメチルアミノ)プロパノール、2-(ジメチルアミノ)-1-メチルプロパノール、2-{2-(ジメチルアミノ)エトキシ}エタノール、2-{2-(ジエチルアミノ)エトキシ}エタノール、2-[{2-(ジメチルアミノ)エチル}メチルアミノ]エタノールが挙げられる。
中でも、3官能以上の多官能イソシアネートを用いた架橋反応を効率よく行うことができる感温性触媒である、2-[{2-(ジメチルアミノ)エチル}メチルアミノ]エタノール(商品名:TOYOCAT-RX5、東ソー株式会社製)や2-{2-(ジメチルアミノ)エトキシ}エタノール(商品名:TOYOCAT-RX3、東ソー株式会社製)が好ましい。このような感温性触媒は、前記した多官能イソシアネートをポリオールと極めて高効率で反応させることができ、ポリウレタン中に高次架橋構造をより良く形成することができる。
また、ポリウレタンの原料組成物中には、必要に応じて、顔料、可塑剤、防水剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を配合することができる。
<電子写真における清掃部材の構成>
本開示の一態様に係る清掃部材は、例えば、電子写真画像形成装置用のクリーニングブレードとして用いることができる。電子写真用クリーニングブレードが適用される被清掃部材としては、感光体などの像担持体、中間転写ベルトなどの無端状のベルト等が挙げられる。以下、被清掃部材として像担持体を例として、清掃部材の実施形態について詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
図1は、清掃部材1の概略斜視図である。清掃部材1は、本開示の一態様に係るポリウレタンを含む弾性部材2と、弾性部材2を支持する支持部材3とを具備する。支持部材3は、弾性部材2の長手方向にわたって弾性部材2を支持することが好ましい。
図2は、清掃部材1が被清掃部材6に接触している断面の状態を模式的に表した一例である。弾性部材2は、被清掃部材6に面する主面4と、該主面4とともに先端側エッジを形成する先端面5を有する。Rは被清掃部材の回転方向を示す。
電子写真画像形成装置は、その動作時には、機内温度が55℃近くまで上昇する。これは清掃部材と被清掃部材の当接部における発熱だけでなく、機内ヒーター等による影響もある。また、像担持体の如き被清掃部材との摺擦によって弾性部材は容易に55℃程度にまで昇温する。しかしながら、本開示に係る弾性部材を備えたクリーニングブレードによれば、弾性部材が55℃の如き高温になった場合においても安定したクリーニング性能を維持し得る。この点において、本開示の一態様に係る電子写真用のクリーニングブレードは、高品位な電子写真画像の安定的な形成に資するものである。
〔支持部材〕
支持部材は、図2に示すように電子写真画像形成装置内において、弾性部材2の先端が、被清掃部材としての電子写真感光ドラム6の表面に当接するように支持する部材3である。そのような機能を奏する限り、支持部材の構成は特に限定されるものではない。また、材質についても、当該機能を奏する限り特に限定されず、例えば以下の材料を挙げることができる。鋼板、ステンレス鋼板、亜鉛めっき鋼板、クロムフリー鋼板の如き金属材料、6-ナイロン、6,6-ナイロンの如き樹脂。
<弾性部材を備えるクリーニングブレードの製造方法>
本開示に係るクリーニングブレードの製造方法は、特に限定されず、公知の方法の中から適したものを選択すればよい。例えば、クリーニングブレード用金型の内面に離型剤を塗布し、支持部材を配置した後、上記ポリウレタン原料組成物を注入し、加熱して硬化させることにより、板状の弾性部材(ブレード部材)と支持部材とが一体化したクリーニングブレードを得ることができる。
ポリウレタンは、ジイソシアネート及び3官能以上の多官能イソシアネートを含むイソシアネート化合物、並びに、3官能以上の多官能アルコールを含むアルコールを含む組成物の反応物を含むことが好ましい。例えば、弾性部材の製造方法は、イソシアネート化合物及びポリオールを反応させてプレポリマーを得る工程、硬化剤としてポリオール及び3官能以上の多官能アルコールを含むアルコール並びに触媒を得られたプレポリマーに混合して、ポリウレタン原料組成物を得る工程、及び得られたポリウレタン原料組成物を硬化させて弾性部材を得る工程、を有する。
プレポリマーを得る工程において、NCO含有量が、好ましくは5~30質量%、より好ましくは8~15質量%程度になるように反応させることが好ましい。反応温度は、好ましくは50~120℃程度、より好ましくは70~90℃程度である。反応時間は、好ましくは30分~400分程度、より好ましくは120分~300分程度である。
ポリウレタン原料組成物を硬化させる際には、例えば100~180℃で、1~5分程
度硬化させることが好ましい。
ポリウレタン原料組成物における各材料の含有量は、上記tanδ及びM2/M1を満たすものであれば特に制限されない。例えば、ポリウレタン原料組成物中のジイソシアネートの含有割合は、好ましくは2~30質量%、より好ましくは10~25質量%である。ポリウレタン原料組成物中の3官能以上の多官能イソシアネートの含有割合は、好ましくは5~35質量%、より好ましくは10~20質量%である。ポリウレタン原料組成物中のポリオールの含有割合は、好ましくは30~80質量%、より好ましくは50~70質量%である。ポリウレタン原料組成物中の3官能以上の多官能アルコールの含有割合は、好ましくは1~10質量%、より好ましくは2~5質量%である。
離型剤としては、フッ素系離型剤、シリコーン系離型剤、界面活性剤など、公知の離型剤を用いることができるが、環境面、コスト面、性能面を考慮すると、シリコーン系離型剤が好ましい。シリコーン系離型剤としては、例えば、シリコーンオイル及びシリコーンレジンの混合物を溶媒で希釈したものが用いられる。ここで、シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル(ELEMENT14 PDMS シリーズ(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル社製))を用いることができる。また、シリコーンレジンとしては、例えば、「SR1000」、「SS4230」、「SS4267」(いずれも商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル社製)、「MQ803TF」(商品名、旭化成ワッカーシリコーン社製)を用いることができる。そして、上記したシリコーンオイルとシリコーンレジンの任意のグレードと、シリコーンオイルとを組み合わせて用いることができる。シリコーンレジンの不揮発分の比率は10~70質量%が好ましい。
上型と下型で構成されるクリーニングブレード用成形型を準備し、支持部材の片端部に接着剤を塗布し、金型のブレード部形成用のキャビティ内にこの部分を突出させた状態で配置する。この成形型内に、短手方向端面の開口部から弾性部材原料である液状のポリウレタン原料組成物を注入し、これを100℃~150℃で硬化反応させ、支持部材と弾性部材が一体化した成形品を得る。弾性部材を所定の形状に切断することでクリーニングブレードを製造することができる(以下製法Iと表す)。
上型と下型で構成されるクリーニングブレード用成形型を準備し、支持部材の片端部に接着剤を塗布し、金型のブレード部形成用のキャビティ内にこの部分を突出させた状態で2本向かい合わせて配置する。この成形型内に、長手方向端面の開口部から弾性部材原料である液状のポリウレタン原料組成物を注入し、これを100℃~150℃で硬化反応させ、支持部材2本が弾性部材と一体化した成形品を得る。注入時、2本の支持部材のうち、一方の支持部材を原料組成物が先行して流れるように成形型を0~25°傾ける。そして、この成形品の上記弾性部材部分の短手方向中央部を切断して2個に分離し、更に、支持部材の長手方向両端部に沿って弾性部材を切断除去することにより、2個のクリーニングブレードを製造することができる(以下製法IIと表す)
また、上記ポリウレタン原料組成物からポリウレタンエラストマーシートを別途成型し、これから短冊状にカットして弾性部材を調製し、接着剤を塗布または貼着した支持部材の上に弾性部材の接着部を重ね合わせ加熱加圧して接着する方法を取ることもできる。
<プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置>
上記クリーニングブレードは、電子写真画像形成装置に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジに組み込んで使用することができる。具体的には、例えば、被クリーニング部材としての像担持体と、像担持体の表面をクリーニング可能に配置されているクリーニングブレードとを具備しているプロセスカートリッジにおいて、クリーニングブレー
ドとして本態様に係るクリーニングブレードを用いることができる。かかるプロセスカートリッジは、高品位な電子写真の安定的な形成に資するものである。
また、本開示の一態様に係る電子写真画像形成装置は、感光体のような像担持体と、像担持体の表面をクリーニング可能に配置されたクリーニングブレードとを具備し、該クリーニングブレードが上記クリーニングブレードである。かかる電子写真画像形成装置は、高品位な電子写真画像を安定して形成し得るものである。
~車両用ワイパー部材~
本開示に係る清掃部材は、被清掃部材の表面を払拭する車両用ワイパーブレードとして使用することができる。すなわち、清掃部材は、車両のウインドシールドなどの被清掃部材におけるワイパー装置用の車両用ワイパー部材であることが好ましい。車両用ワイパーブレードは、自動車、電車、船舶、及び航空機などに対して、フロントガラスやリアガラスなどのガラス面に付着した水滴や汚れなどを払拭して操縦者の視界を確保するために用いられる。このとき車両用ワイパーブレードに用いられる清掃部材には、液体系の付着物や排気ガス中に含まれる微粒子やアスファルトなどの粉塵など多様化する清掃対象物を、曲率が大きい部分と小さい部分を有するガラス面から払拭するための、充分な追従性が求められる。また、付着力の強い清掃対象物をガラス面から払拭するにあたり、熱暑環境下での使用及び使用期間長期化に伴う清掃部材の高温化によって生じる、ビビリを抑制することが求められる。
該車両用ワイパー部材は、図3(a)に示すように、車両用ワイパー支持部11と、リップ部(先端部)13と、を具備する。図3(b)に示すように、リップ部13を揺動可能とするため該支持部11とリップ部13の間にネック12を介してもよい。例えば、車両用ワイパー部材の長手方向に直交する方向の断面において、ネック12は車両用ワイパー支持部11やリップ部13に対して幅が狭くなる態様とすることが挙げられる。
図4(a)に示すように車両用ワイパー部材のリップ部13は払拭方向に傾き被清掃部材の表面に対して、該リップ部の一部分を当接させる。特に、図4(b)に示すようにネック12を有する場合は、ネックを起点としてリップ部13は払拭方向に傾き被清掃部材の表面に対して、該リップ部の一部分を当接させる。
払拭時の被清掃部材に対するリップ部の傾きを適正に制御するために図3(c)に示すように該リップ部13は、車両用ワイパー部材の長手方向に直交する方向の断面が、該車両用ワイパー支持部11に近い側にショルダー部20を有してもよい。図3(d)に示すように、ショルダー部を該支持部11に近い側から該支持部11から離れる方向に向かう幅が漸減するテーパー形状14としてもよい。ショルダー部を有することで払拭時にリップ部が傾き、車両用ワイパー支持部とショルダー部が接触する。このことにより、払拭時の傾き及び被清掃部材に対するリップ部の角度を安定に制御することができる。
該車両用ワイパー部材は、長手方向に略一様な断面形状に形成されている。図4(a)及び図4(b)は、車両用ワイパー部材の清掃過程での状態を示す説明図である。
図4(a)では、車両用ワイパー部材のリップ部13は、被清掃部材50と当接する第1のリップ面15及び第1のリップ面15とは反対側の第2のリップ面16と、該第1のリップ面15及び該第2のリップ面16と共に、該リップ部13の該支持部11から最も離れた側に第1のエッジ18及び第2のエッジ19を構成する先端面17と、を有する(第1のエッジ18、第2のエッジ19及び先端面17については図3を参照)。
図4(b)では、車両用ワイパー部材のリップ部13は、第2のリップ面16及び第2
のリップ面16とは反対側の第1のリップ面15と、該第1のリップ面15及び該第2のリップ面16と共に、該リップ部13の該支持部11から最も離れた側に第1のエッジ18及び第2のエッジ19を構成する先端面17と、を有する(第1のエッジ18、第2のエッジ19及び先端面17については図3を参照)。
矢印Rは車両用ワイパー部材の清掃方向を示す。図4(a)の矢印Rの方向への清掃から図4(b)の矢印Rの方向への清掃に切り替わることで、被清掃部材と当接する面が、第1のリップ面15から第2のリップ面16に切り替わる。
車両用ワイパーブレードは、被清掃部材との接触部であるリップ部における弾性部材から、被清掃部材との当接部を含むように作製した損失係数tanδ測定用試料を用いて上述の方法で測定されるtanδの最大値を示すピークのピーク温度、及び該ピークの最大値が上述した関係を満たす。これにより、車両用ワイパーブレードの清掃時に、実使用温度領域における被清掃部材と当接する車両用ワイパーブレードの接触部の樹脂化を抑制し、長手方向にわたり均一な当接を維持することで、充分な追従性を発現できる。
さらに、車両用ワイパー部材が、少なくとも車両用ワイパー支持部とウインドシールドの表面と当接するリップ部を具備すると、長手方向にわたる当接に対する均一性が向上し、充分な制振性を発現することでビビリを抑制するため好ましい。
さらに、車両用ワイパー部材が、少なくとも車両用ワイパー支持部とウインドシールドの表面と当接するリップ部と、リップ部の車両用ワイパー支持部側にショルダー部を具備すると、長手方向にわたる当接に対する均一性がより向上し、充分な制振性を発現することでビビリを抑制するため好ましい。
さらに、車両用ワイパー部材が、少なくとも車両用ワイパー支持部と、該車両用ワイパー支持部にネックを介して揺動可能に連結されてなるリップ部を具備すると、長手にわたる当接に対する均一性がより向上し、充分な制振性を発現することでビビリを抑制するため好ましい。
また、該車両用ワイパーブレードは、被清掃部材との接触部であるリップ部における弾性部材を試料として用いた上記損失係数tanδが上記条件を満たす。これにより車両用ワイパーブレードの清掃時に、熱暑環境下での使用及び使用期間の長期化に伴い清掃部材が高温化しても、充分な制振性を発現することで、ビビリを抑制できる。
<車両用ワイパーブレードの製造方法>
車両用ワイパーブレードの製造方法は、特に限定されず、公知の方法の中から選択することができる。例えば、車両用ワイパーブレード用金型内に、ポリウレタンエラストマー原料組成物を注入し、加熱して硬化させることにより、テーパー部を有するリップ部を得ることができる。
テーパー部の先端部において、切断し形状を形成してもよい。このようにすると、第1のエッジ及び第2のエッジの平滑度を高く成形することができるため、好ましい。また、テーパー部が互いに向き合うよう当接して形成されたタンデム形状の一対の成型体を作製し、長手方向に切断することにより車両用ワイパーブレードを作製してもよい。また、ブレード支持部及びネックは、従来公知の材料、製造方法を用いて製造するとよい。
<車両用ワイパーアームも含めた全体としてプロセス>
本開示の車両用ワイパーブレードは、タンデム式、対向払拭式といった様々な形式のワイパー装置に使用することができる。
~清掃用ワイパーブレード(払拭用清掃部材)~
本開示に係る払拭用の清掃部材は、被清掃部材の表面に弾性部材を当接させて、被清掃部材の表面を清掃する。窓ガラスやタイル、壁、レンズ、ソーラーパネルに代表されるような面を清掃するための清掃用ワイパーブレードとして使用することができる。清掃用ワイパーブレードは被清掃面に対して押圧を強くしなくても、拭きムラを抑制する充分な追従性が求められる。また、付着力の強い清掃対象物を被清掃面から払拭するにあたり、押圧を強くすることに伴う該清掃部材の高温化による、ビビリを抑制することが求められる。
該清掃用ワイパーブレードは、図5(a)に示すように、被清掃面に押圧される弾性部材32を有し、被清掃部材の表面に該弾性部材の一部分を当接させて、該被清掃部材の表面を清掃する。
図5(a)は弾性部材32のみを具備するものであるが、図5(c)に示すように(清掃用ワイパーブレード長手方向に安定に押圧するために)、弾性部材の長手方向にわたって弾性部材を支持する弾性部材支持部33を具備することが好ましい。
図5(b)に示されるように、把持されるグリップ部31と、該グリップ部31に支持され、被清掃面に押圧される弾性部材32と、を具備していてもよい。図5(c)に示されるように、グリップ部31と弾性部材32の間に弾性部材32を支える弾性部材支持部33を具備していてもよい。
グリップ部31は、手に代表される清掃作業主体が把持又は保持することができる部分である。グリップ部31は、弾性部材32が延びる方向と交差する方向に延びる。なお、グリップ部31の形状については、清掃作業主体が把持又は保持することができれば、特に限定されない。グリップ部に清掃の補助になる治具を接続し用いてもよい。例えば、高所の清掃などのため、グリップ部を延長する治具などを挙げることができる。なお、グリップ部31の材質は、特に限定されるものではなく、樹脂からなっていても金属からなっていてもよい。
また、例えば、図5(d)に示すように弾性部材支持部とグリップ部が一体である支持グリップ部34を有してもよい。例えば、支持グリップ部34は、弾性部材32の一部を挟む形状であってもよい。図5(e)に示すように弾性部材32とグリップ部31が一体であってもよい。グリップ部31、弾性部材支持部33、弾性部材32はそれぞれ着脱可能であっても、一体化されていてもよい。
清掃用ワイパーブレードは、被清掃部材との接触領域における弾性部材32から、被清掃部材との当接部を含むように作製した損失係数tanδ測定用試料を用いて上述の方法で測定されるtanδの最大値を示すピークのピーク温度、及び該ピークの最大値が上述した関係を満たす。これにより清掃用ワイパーブレードは、押圧を強くしないで清掃を行う場合でも、被清掃面への該清掃部材の当接幅が狭くなる。弾性部材の損失係数が上記範囲であれば、この狭い当接幅に対して充分な追従性を発現することで、加えた力が当接部分に集中し、被清掃部材から付着物を単に拭き取るという現象ではなく、引きはがし逃すことなくかき取ることができる。
さらに、清掃用ワイパーブレードは弾性部材支持部33を具備すると、該清掃用ワイパーブレードを長手方向に対して安定して押圧することで追従性がより向上するため好ましい。さらに、清掃用ワイパーブレードは把持されるグリップ部31を具備すると、清掃用ワイパーブレードを長手方向に対して安定して押圧することで追従性がより向上するため
好ましい。
<清掃用ワイパーブレードの弾性部材の製造方法>
清掃用ワイパーブレードの弾性部材の製造方法は、特に限定されず、公知の方法の中から選択することができる。例えば、清掃用ワイパーブレードの弾性部用金型内に、ポリウレタンエラストマー原料組成物を注入し、加熱して硬化させることにより清掃用ワイパーブレードの弾性部材を得ることができる。
弾性部の先端部において、切断し形状を形成してもよい。このようにすると、先端側エッジの平滑度を高く成形することができるため、好ましい。また、弾性部の先端面が互いに向き合うよう当接して形成されたタンデム形状の一対の成型体を作製し、長手方向に切断することにより清掃用ワイパーブレードを作製してもよい。
<清掃用ワイパーブレードの使用方法>
清掃用ワイパーブレードの使用方法について説明する。清掃作業主体は、グリップ部31又は支持グリップ部34を保持し、弾性部材32を被清掃部材の表面に押しつけながら、弾性部材32が延びる方向と交差する方向に清掃用ワイパーブレードを動かして、汚れを除去する。図6に清掃時に、清掃用ワイパーブレードが被清掃部材35に接触し摺動させ清掃する過程の状態の説明図を示す。
清掃用ワイパーブレードを動かす方向は、弾性部材32が延びる方向と交差する方向であり、図6(a)に示す押す方向C及び図6(b)に示す引く方向Wに動かし使用することができる。例えばリップ面36と先端面38とで構成される先端側エッジを被清掃部材35に当接させて動かせばよい。また、液体の洗浄剤や水などによって前もって汚れを湿潤し、液体の洗浄剤や水などとともに除去してもよい。
<清掃用ワイパーブレードの形状>
清掃用ワイパーブレードにおいて、弾性部材32、弾性部材支持部33及びグリップ部31又は支持グリップ部34のそれぞれの形状及び取り付け方は、限定されない。また、弾性部材32に対する弾性部材支持部33の取り付け方、弾性部材支持部33に対するグリップ部31又は支持グリップ部34の取り付け方についても、限定されない。
以下に製造例、実施例及び比較例によって本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。実施例及び比較例において表示した以外の原材料は、試薬又は工業薬品を用いた。
<電子写真用清掃部材>
この実施例においては、図1に示す一体成型タイプのクリーニングブレードを製造して評価した。なお、実施例及び比較例中の「部」は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
<実施例1>
〔支持部材〕
厚さ1.6mmの亜鉛めっき鋼板を用意し、これを加工して、図2の符号3で示す、断面がL字形状の支持部材を得た。なお、この支持部材の弾性部材が接触する箇所に、ウレタン-金属の一層型接着剤(商品名;ケムロック219、ロード・コーポレーション社製)を塗布した。
〔弾性部材用原料の調製〕
下記表1に記載の材料を混合し、温度80℃で3時間反応させ、NCO含量が10.2質量%のプレポリマーを得た。
Figure 2022186608000006
また、下記表2の材料を混合して硬化剤を調製した。
Figure 2022186608000007
前述のプレポリマーに、上記硬化剤を添加し、混合して原料組成物を得た。
上記支持部材の接着剤塗布箇所を、クリーニングブレード用成形金型のキャビティ内に突出する様に配置した(製法I)。そして、前記原料組成物をキャビティ内に注入し、温度130℃で2分間硬化させた。その後に脱型して、ポリウレタンと支持部材との一体成型体を得た。
なお、キャビティ内には原料組成物の注入に先立って、離型剤Aを塗布しておいた。離型剤Aは下記表3に記載の材料の混合物である。
Figure 2022186608000008
得られた一体成型体のポリウレタンを、エッジの角度90度、ポリウレタンの短手方向、厚み方向および長手方向の距離をそれぞれ7.5mm、1.8mm、240mmとなるように切断して、本実施例に係るクリーニングブレード得た。そして、このクリーニングブレードを以下の評価に供した。
<損失係数tanδ(粘弾性)の測定方法>
日本産業規格(JIS) K 6394:2007(「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-動的性質の求め方-一般指針」に準拠して損失係数tanδ(粘弾性)を測定した。
測定条件を以下に記す。
装置:動的粘弾性測定装置(商品名:DMA EXPLEXOR 500N、ネッチ(
NETZSCH)社製;
静歪:2%;
動歪:0.5%;
測定温度:-20℃~60℃;
測定周波数:10Hz。
なお、損失係数tanδ測定用試料の作製は以下のように行った。
弾性部材における、被清掃部材との当接部の角を含むように試料を作製した。0.5mm、1.0mm、30mmの直方体上に切り出して作製した。
<M1、M2及びM3の測定>
サンプルを、ガスクロマトグラフ(GC)を通さずにイオン源に直接導入する直接試料導入法(DI法)を用いて分析してM1~M3を算出した。
装置としては、イオントラップ型GC/MS(商品名:POLARIS Q、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を使用し、直接導入プローブとしては、ダイレクト・エクスポージャー・プローブ(Direct Exposure Probe(DEP))を用いた。被清掃部材との当接部表面を下記方法にて測定した。なお、サンプリングでは、ポリウレタンなどの部材をバイオカッターで切り取った。具体的には、被清掃部材との当接部を含むように切り出した。当接部が複数個所存在する場合は、各々の箇所から切り出した。
被清掃部材との当接部表面よりサンプリングされた試料約0.1μgをプローブの先端に位置するフィラメントに固定し、イオン化チャンバーの中に直接挿入した。その後、一定の昇温速度(10℃/s)で室温から1000℃まで急速に加熱し、気化したガスを質量分析計により検出した。
全てのイオンの検出量M1は得られたトータルイオンカレントサーモグラムにおいて全ピークの積分強度を合計したものとし、3官能以上の多官能イソシアネートに由来するm/z値の範囲に対応する抽出イオンサーモグラムのピークの積分強度の合計をM2とした
ときに、該M1、該M2の値を用いて(M2/M1)を算出した。
ここで、本実施例に係るポリウレタンは、3官能以上のイソシアネートとしてポリメリックMDI(MR200)を用いて合成されたものである。かかるポリウレタンは、上記の方法によって得られた抽出イオンサーモグラムにおいては、上記化学式(1)’で示される構造のn=1を示すm/z値が380.5~381.5の範囲、n=2を示すm/z値が511.5~512.5の範囲、n=3を示すm/z値が642.5~643.5の範囲、及び、n=4を示すm/z値が773.5~774.5の各位置にピークトップを有する、ポリメリックMDIの陽イオン化物に由来するピークが検出された。そこで、本実施例においては、当該各ピークの積分強度の合計をM2とした。
また、後述する他の実施例において、3官能以上のイソシアネートとして使用したTTIは、下記化学式(3)で示される構造を有する。そして、TTIを用いて合成されたポリウレタンは、上記の方法によって得られた抽出イオンサーモグラムにおいて、m/zが366.5~367.5の位置にピークトップを有する、TTIの陽イオン化物に由来するピークが検出された。そこで、本実施例では当該ピークの積分強度をM2とした。
Figure 2022186608000009
同様に、後述する実施例において、3官能以上の多官能イソシアネートとして用いたトリス(フェニルイソシアネート)チオホスフェート(TPTI)は、化学式(4)で示す構造を有する。そして、TPTIを用いて合成されたポリウレタンは、上記の方法によって得られた抽出イオンサーモグラムにおいて、m/zが464.5~465.5の位置にピークトップを有する、TPTIの陽イオン化物に由来するピークが検出された。そこで、当該実施例においては、当該ピークの積分強度をM2とした。
Figure 2022186608000010
一方、ジイソシアネートである4,4’-MDIの場合、4,4’-MDIに由来する、上記化学式(2)で示される構造のm/zが249.5~250.5の範囲では、前記化学式(2)で示す構造が陽イオン化されて検出された。この構造に対応する抽出イオン
サーモグラムのピークの積分強度を(M3)とした。
<追従性の評価方法>
実施例1のクリーニングブレードをカラーレーザービームプリンター(商品名;HP LaserJet Enterprise Color M553dn、HP社製)のシアンカートリッジに、被クリーニング部材である感光ドラムのクリーニングブレードとして組み込んだ。また、該シアンカートリッジの現像機のトナーを、後述のトナー1に全量入れ替えた。
次いで、低温、低湿度環境(温度15℃、相対湿度10%)下で24時間放置した後、同環境下にて印刷可能枚数である1万2500枚の画像形成を行った(以下、「通常評価」と称す)。さらに、使用した現像機を、トナーを全量トナー1に入れ替えた新しいシアンカートリッジの現像機に付け替え、再度印刷可能枚数である1万2500枚の画像形成を行った(以下、「2倍評価」と称す)。
また、廃トナーは適時、カートリッジ背面に穴を開けて吸い出しながら、評価を行った。得られた画像について以下の評価基準により性能をランク付けした。
A:クリーニングブレード起因の画像不良(画像上スジ)が通常評価でも2倍評価でも発生しない。
B:クリーニングブレード起因の画像不良(画像上スジ)が通常評価では発生せず、2倍評価でごく軽微に発生(スジ長さが5mm以下)。
C:クリーニングブレード起因の画像不良(画像上スジ)が通常評価では発生しないが、2倍評価では発生(10mmを超える)。または通常評価でも発生する。
<ビビリの評価方法>
実施例1のクリーニングブレードをカラーレーザービームプリンター(商品名;HP LaserJet Enterprise Color M553dn、ヒューレット・パッカード社製)のシアンカートリッジに、被クリーニング部材である感光ドラムのクリーニングブレードとして組み込んだ。また、該シアンカートリッジの現像機のトナーを、後述のトナー1に全量入れ替えた。
次いで、高温、高湿度環境(温度30℃、相対湿度80%)下で24時間放置した後、同環境下にて印刷可能枚数である1万2500枚の画像形成を行った(以下、「通常評価」と称す)。さらに、使用した現像機を、トナーを全量トナー1に入れ替えた新しいシアンカートリッジの現像機に付け替え、再度印刷可能枚数である1万2500枚の画像形成を行った(以下、「2倍評価」と称す)。
同環境下において評価を行うと、レーザービームプリンター自身の動作熱やクリーニングブレード当接部における摩擦熱により、クリーニングブレードの弾性部材温度が上昇し、55℃に達する。そのため高温でのビビリ評価を行うことが可能となる。
また、廃トナーは適時、カートリッジ背面に穴を開けて吸い出しながら、評価を行った。得られた画像について以下の評価基準により性能をランク付けした。
A:クリーニングブレード起因の画像不良(画像上スジ)が通常評価でも2倍評価でも発生せず、異音も発生しない。
B:クリーニングブレード起因の画像不良(画像上スジ)が通常評価では発生せず、2倍評価でごく軽微に発生(スジ長さが5mm以下)。異音は発生しない。
C:クリーニングブレード起因の画像不良(画像上スジ)が通常評価では発生しないが、2倍評価では発生(10mmを超える)。または通常評価でも発生する。または異音が発生する。
<トナー1の製造方法>
なお、以下に於いて、「部」は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
(水系媒体1の調製工程)
撹拌機、温度計、還流管を具備した反応容器中にイオン交換水650.0部に、リン酸ナトリウム(ラサ工業社製・12水和物)14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、15000rpmにて攪拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。さらに、水系媒体に10質量%塩酸を投入し、pHを5.0に調整し、水系媒体1を得た。
(重合性単量体組成物の調製工程)
・スチレン :60.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 :6.5部
前記材料をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5.0時間分散させて、顔料分散液を調製した。前記顔料分散液に下記材料を加えた。
・スチレン :20.0部
・n-ブチルアクリレート :20.0部
・架橋剤(ジビニルベンゼン) :0.3部
・飽和ポリエステル樹脂 :5.0部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)とテレフタル酸との重縮合物(モル比10:12)、ガラス転移温度Tg=68℃、重量平均分子量Mw=10000、分子量分布Mw/Mn=5.12)
・フィッシャートロプシュワックス(融点78℃) :7.0部
これを65℃に保温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
(造粒工程)
水系媒体1の温度を70℃、T.K.ホモミクサーの回転数を15000rpmに保ちながら、水系媒体1中に重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤であるt-ブチルパーオキシピバレート10.0部を添加した。そのまま該撹拌装置にて15000rpmを維持しつつ10分間造粒した。
(重合・蒸留工程)
造粒工程の後、攪拌機をプロペラ撹拌羽根に換え150rpmで攪拌しながら70℃を保持して5.0時間重合を行い、85℃に昇温して2.0時間加熱することで重合反応を行った。
その後、反応容器の還流管を冷却管に付け替え、スラリーを100℃まで加熱することで、蒸留を6時間行い未反応の重合性単量体を留去し、トナー母粒子分散液を得た。
(有機ケイ素化合物の重合)
撹拌機、温度計を備えた反応容器に、イオン交換水60.0部を秤量し、10質量%の塩酸を用いてpHを4.0に調整した。これを撹拌しながら加熱し、温度を40℃にした。
その後、有機ケイ素化合物であるメチルトリエトキシシラン40.0部を添加して2時間以上撹拌して加水分解を行った。加水分解の終点は目視にて油水が分離せず1層になったことで確認を行い、冷却して有機ケイ素化合物の加水分解液を得た。
得られたトナー母粒子分散液の温度を55℃に冷却したのち、有機ケイ素化合物の加水分解液を25.0部添加して有機ケイ素化合物の重合を開始した。そのまま15分保持した後に、3.0質量%炭酸水素ナトリウム水溶液で、pHを5.5に調整した。55℃で撹拌を継続したまま、60分間保持したのち、3.0質量%炭酸水素ナトリウム水溶液を
用いてpHを9.5に調整し、更に240分間保持してトナー粒子分散液を得た。
(洗浄、乾燥工程)
重合工程終了後、トナー粒子分散液を冷却し、トナー粒子分散液に塩酸を加えpH=1.5以下に調整して1時間撹拌放置してから加圧ろ過器で固液分離し、トナーケーキを得た。これをイオン交換水でリスラリーして再び分散液とした後に、前述のろ過器で固液分離してトナーケーキを得た。
得られたトナーケーキを40℃の恒温槽にて72時間かけて乾燥・分級を行い、トナー1を得た。
<実施例2>
触媒としてRX3(商品名TOYOCAT-RX3、東ソー株式会社製)を1.32g使用し、RX5を使用しない以外は実施例1と同様に行った。
<実施例3>
硬化剤として、TMPを43.1g、PHA1000を244.3g、Polycat46を0.13g、RX5を1.01g混合して硬化剤を作製した。
金型は、前記ポリウレタンエラストマー組成物を注入する前に、離型剤Bを塗布したものを用いた。離型剤Bは、ELEMENT14 PDMS 1000-JC 3.04g(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、ELEMENT14 PDMS 10K-JC 3.71g(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、SR1000 8.25g(商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、EXXSOL DSP145/160 85gを混合したものを用いた。
製法IIの手法でブレードを製造した。成形型の傾斜角度は0°とした。クリーニングブレード用成形金型内に、前記ポリウレタンエラストマー組成物を注入し、130℃で2分間硬化させた後に脱型して、ポリウレタンと支持部材との一体成型体を得た。それ以外は実施例1と同様に行い、実施例2のクリーニングブレードを得た。実施例1と同様に物
性の測定及び評価を行った。
<実施例4~14,比較例1~2>
表4~表5に示した通りに各種材料種類、配合量、製法とした以外は実施例1又は3と同様にして、実施例4~14のクリーニングブレード及び比較例1~2のクリーニングブレードを得た。実施例1と同様に物性の測定及び評価を行った結果を表4~表5に示す。
次に、実施例及び比較例において、車両用ワイパーブレードを製造して評価した。
〔実施例15〕
<車両用ワイパーブレード用原料の調製>
実施例1と同様に行った。
<車両用ワイパーブレードの製造>
車両用ワイパーブレード用成形金型内に、調整した前記車両用ワイパーブレード用原料組成物を注入し、130℃で2分間硬化させた後に脱型して、ポリウレタンを得た。金型は、前記原料組成物を注入する前に、実施例1と同様に離型剤Aを塗布したものを用いた。
このポリウレタンのリップ部先端側を、適宜切断して、ワイパーブレードを得た。
リップ部先端の厚み方向および長手方向の距離をそれぞれ0.6mm、450mmとした。ネック部の厚み方向および短手方向の距離を0.7mm、0.5mmとし、ショルダー部の厚み方向の距離を3.0mmとした。得られたワイパーブレードは以下の方法によ
って評価した。
<粘弾性測定>
実施例1と同様に行った。
<M1、M2及びM3の算出>
実施例1と同様に行った。
<追従性の評価>
JIS D5710に記載されている払拭性能試験の試験装置を用い、車両用ワイパーブレードの追従性の評価を行った。この試験は、まず車両用ワイパーブレードを試験装置に取り付け、被清掃部材であるガラス面に油膜を模した状態としてシリコーンオイル(商品名:KF-96-50cs、信越化学工業社製)を払拭面全体に塗布する。次いで、該試験装置を低温、低湿度環境(温度15℃、相対湿度10%)下で24時間放置した後、下記条件で清掃を行った。
車両用ワイパーブレードを1往復させた後のガラス面上の拭き残り状態を清掃面の裏側より観察し、光沢ムラ、視界への影響を目視で確認した。結果を、車両用ワイパーブレードにより払拭される面の面積に対するシリコーンオイル膜が除去された部分の面積の割合(以下、シリコーンオイル膜除去面積率(%)と称す)として算出した。
算出した油膜除去面積率から下記基準により追従性能の評価を実施した。
〔払拭条件〕
車両用ワイパーブレードに加える荷重:10N/m
車両用ワイパーブレードの払拭往復速度:50回/分
〔評価基準〕
ランクA:シリコーンオイル膜除去面積率が95%以上
ランクB:シリコーンオイル膜除去面積率が90%以上95%未満
ランクC:シリコーンオイル膜除去面積率が85%未満90%未満
ランクD:シリコーンオイル膜除去面積率が85%未満
<ビビリの評価>
該試験機の放置環境を高温、高湿度環境(温度50℃、相対湿度70%)としたこと、そして評価基準を耳による異音の発生確認にしたこと以外は追従性の評価と同様の操作を行い、ビビリを評価した。放置環境を高温、高湿度環境にすることで、車両用ワイパーブレードの当接部を軟化させた。そして、ガラス面に対する接触面積を増加させることで摩擦力を増加させ、車両用ワイパーブレードの当接部温度を摩擦力による発熱により55℃まで昇温させた。
〔評価基準〕
ランクA:異音が発生しない
ランクB:異音がほとんど発生しない
ランクC:異音が発生する
〔実施例16~19、22~23〕
硬化剤用の材料とその配合量を表6に記載した通りとした以外は実施例15と同様にして車両用ワイパーブレードを作製し、評価した。
〔実施例20〕
ショルダー部を有する形状となるようなキャビティ形状の成形用型を用いた以外は実施例15と同様にして、ブレード支持部、リップ部、及びネック部を有する車両用ワイパーブレードを製造し、評価した。
〔実施例21〕
ネック部、ショルダー部を有する形状となるようなキャビティ形状の成形用型を用いた以外は実施例15と同様にして、ブレード支持部及びリップ部を有する車両用ワイパーブレードを製造し、評価した。
〔実施例24~30〕
プレポリマー用の各種材料の種類とその使用量、及び/または、硬化剤用の各種材料の種類とその使用量を表7に示す通りとした以外は実施例15と同様にして車両用ワイパーブレードを作製し、評価した。
〔比較例3~4〕
プレポリマー用の各種材料の種類とその使用量、及び/または、硬化剤用の各種材料の種類とその使用量を表7に示す通りとした以外は実施例15と同様にして車両用ワイパーブレードを作製し、評価した。
上記実施例16~30及び比較例3~4で得られた車両用ワイパーブレードは、実施例15と同様の方法で物性の測定及び評価を実施した。得られた結果は表6~表7に示す。
次に、実施例において、清掃用ワイパーブレードを製造して評価した。
〔実施例31〕
<清掃用ワイパーブレード用原料の調製>
実施例1と同様に行った。
<清掃用ワイパーブレードの製造>
清掃用ワイパーブレード弾性部用成形金型内に、調整した前記清掃用ワイパーブレード用原料を注入し、130℃で2分間硬化させた後に脱型して、ポリウレタン成型体を得た。金型は、前記ポリウレタンエラストマー組成物を注入する前に、実施例1と同様に離型剤Aを塗布したものを用いた。
得られたポリウレタン成型体の先端側を、適宜切断して先端面を作製し、清掃用ワイパーブレード弾性部を得た。清掃用ワイパーブレード弾性部の厚み方向、短手方向及び長手方向の距離をそれぞれ1.8mm、20mm、300mmとした。得られた清掃用ワイパーブレードは以下の方法によって評価した。
<粘弾性測定>
実施例1と同様に行った。
<M1、M2及びM3の算出>
実施例1と同様に行った。
<追従性の評価>
ガラス面上に清掃用ワイパーブレードの弾性部材を接触させ、引き戻し移動する往復行程で摺接することにより、ガラス面上の汚れの払拭状態を観察することで清掃用ワイパーブレードの追従性の評価を行った。図7に評価を行った試験機の概略図を示す。
この試験は、図7のようにワイパーブレードの弾性部材113を取り付け、被清掃部材であるガラス板114の表面全面に油膜を模した状態としてシリコーンオイル(商品名:KF-96-50cs、信越化学工業社製)を塗布する。次いで、該試験装置を低温、低湿度環境(温度15℃、相対湿度10%)下で24時間放置した後、下記条件で清掃を行った。
図7に示すように、ガラス板114に清掃用ワイパーブレードの弾性部材113を接触
させ、ガラス板114を電動ロボシリンダ(商品名:RCP4-SA5C、株式会社アイエイアイ社製)115により引くことで一定の条件でガラス面上の追従性を評価した。
図6に清掃用ワイパーブレードの弾性部材とガラス面とが接触している部分の拡大図を示す。図6に示すように、清掃用ワイパーブレードの弾性部材32がガラス面35に対して45度の角度となるように調整し、接触させた。ガラス面を動かす方向に対して、図6の矢印で示すWの方向とCの方向に向かうように清掃用ワイパーブレードの弾性部材32を取り付け、それぞれの追従性を評価した。
追従性を評価する際、弾性部材の長手方向の長さ1mあたりのガラス面への押し付ける力は7N/mに調整し、評価を行った。追従性の評価は、表面にシリコーンオイルを塗布したガラス面を摺動させ、ガラス面上の拭き残り状態を清掃面の裏側より観察し、光沢ムラ、視界への影響を目視で確認することで行った。
清掃用ワイパーブレードにより払拭される面の面積に対するシリコーンオイル膜が除去された部分の面積の割合(以下、シリコーンオイル膜除去面積率(%)と称す)を算出した。算出したシリコーンオイル膜除去面積率から下記基準により追従性能の評価を実施した。評価の結果を清掃用ワイパーブレードの追従性として表8に示す。
〔払拭条件〕
清掃用ワイパーブレード長:300mm
ガラス板移動速度:10mm/sec
〔評価基準〕
ランクA:油膜除去面積率が95%以上
ランクB:油膜除去面積率が90%以上95%未満
ランクC:油膜除去面積率が90%未満
<ビビリの評価>
該試験機の放置環境を高温、高湿度環境(温度50℃、相対湿度70%)としたこと、そして評価基準を耳による異音の発生確認にしたこと以外は追従性の評価と同様の操作を行い、ビビリを評価した。放置環境を高温、高湿度環境にすることで、清掃用ワイパーブレードの当接部を軟化させた。そして、ガラス面に対する接触面積を増加させることで摩擦力を増加させ、清掃用ワイパーブレードの当接部温度を55℃に昇温させた。
〔評価基準〕
ランクA:異音が発生しない
ランクB:異音がほとんど発生しない
ランクC:異音が発生する
〔実施例32~44〕
プレポリマー用の各種材料の種類とその使用量、及び/または、硬化剤用の各種材料の種類とその使用量を表8~表9に示す通りとした以外は実施例31と同様にして清掃用ワイパーブレードを作製し、評価した。
〔比較例5~6〕
プレポリマー用の各種材料の種類とその使用量、及び/または、硬化剤用の各種材料の種類とその使用量を表9に示す通りとした以外は実施例31と同様にして清掃用ワイパーブレードを作製し、評価した。
上記実施例32~44及び比較例5~6で得られた清掃用ワイパーブレードは、実施例31と同様の方法で評価した。得られた結果は表8~表9に示す。
〔参考例1~2〕
プレポリマー用の各種材料の種類とその使用量、及び/または、硬化剤用の各種材料の種類とその使用量を表10に示す通りとした以外は実施例1と同様にしてポリウレタン弾性体を作製し、各種物性を測定した。その結果を表10に示す。
Figure 2022186608000011
Figure 2022186608000012
Figure 2022186608000013
Figure 2022186608000014
Figure 2022186608000015

Figure 2022186608000016
Figure 2022186608000017
本開示は、以下の構成に関する。
(構成1)
ポリウレタンを含む弾性部材を備え、被清掃部材の表面に該弾性部材の少なくとも一部を当接させて、該被清掃部材の表面を清掃する清掃部材であって、
該弾性部材から、該被清掃部材と当接する部分を含むようにサンプリングした試料の損失係数tanδを温度-20℃~+60℃の範囲で測定したとき、
tanδの最大値を示すピークのピーク温度が、15.0℃以下に存在し、tanδの最大値が、0.20以上0.55以下であり、
温度55℃におけるtanδが、0.13以上であり、かつ、
該弾性部材から、該被清掃部材と当接する部分を含むようにサンプリングした試料をイオン化室内で加熱気化させ、該試料を構成する分子をイオン化する直接試料導入方式の質量分析計を用いて、昇温速度10℃/秒で1000℃まで加熱したときに得られる全てのイオンの検出量をM1とし、イソシアネート基を3個以上有する多官能イソシアネートに由来するm/z値の範囲に対応する抽出イオンサーモグラムのピークの積分強度をM2としたとき、
M2/M1が0.001以上であることを特徴とする清掃部材。
(構成2)
M2/M1が、0.001以上、0.035以下である、構成1に記載の清掃部材。
(構成3)
前記ポリウレタンが、
ジイソシアネート及びイソシアネート基を3個以上有する多官能イソシアネートを含むイソシアネート化合物、並びに、
3官能以上の多官能アルコールを含むアルコール
を含む組成物の反応物を含む、構成1又は2に記載の清掃部材。
(構成4)
前記試料をイオン化室内で加熱気化させ、該試料を構成する分子をイオン化する直接試料導入方式の質量分析計を用いて、昇温速度10℃/秒で1000℃まで加熱したときに得られる前記ジイソシアネートに由来するm/z値の範囲に対応する抽出イオンサーモグラムのピークの積分強度をM3としたとき、M3/M1が、0.025~0.130である、構成3に記載の清掃部材。
(構成5)
前記多官能イソシアネートが、ポリメリックMDI、トリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネート、及びトリス(フェニルイソシアネート)チオホスフェートからなる群から選択される少なくとも一である、構成1~4のいずれかに記載の清掃部材。
(構成6)
前記ジイソシアネートが、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネートからなる群から選択される少なくとも一つである、構成3又は4に記載の清掃部材。
(構成7)
前記清掃部材が、電子写真用クリーニングブレードである、構成1~6のいずれかに記載の清掃部材。
(構成8)
前記弾性部材を支持する支持部材をさらに具備する、構成7に記載の清掃部材。
(構成9)
前記清掃部材が、車両のウインドシールドのワイパー装置用の車両用ワイパー部材である、構成1~6のいずれかに記載の清掃部材。
(構成10)
前記車両用ワイパー部材が、少なくとも車両用ワイパー支持部と前記ウインドシールドの表面と当接するリップ部と、を具備する、構成9に記載の清掃部材。
(構成11)
前記車両用ワイパー部材が、少なくとも車両用ワイパー支持部と前記ウインドシールドの表面と当接するリップ部と、該リップ部の車両用ワイパー支持部側にショルダー部を具備する、構成9又は10に記載の清掃部材。
(構成12)
前記車両用ワイパー部材が、少なくとも車両用ワイパー支持部と、該車両用ワイパー支持部にネックを介して揺動可能に連結されてなるリップ部と、を具備することを特徴とする、構成9~11のいずれかに記載の清掃部材。
(構成13)
前記清掃部材が、被清掃部材の表面に前記弾性部材を当接させて、該被清掃部材の表面を清掃する払拭用の清掃部材である、構成1~6のいずれかに記載の清掃部材。
(構成14)
前記清掃部材が、前記被清掃部材の表面と当接する前記弾性部材と、前記弾性部材の長手方向にわたって前記弾性部材を支持する弾性部材支持部を有する、構成13に記載の清掃部材。
(構成15)
ポリウレタンを含む弾性部材であって、
該弾性部材からサンプリングした試料の損失係数tanδを、温度-20℃~+60℃の範囲で測定したとき、
tanδの最大値を示すピークのピーク温度が、15.0℃以下に存在し、該tanδの最大値が、0.20以上0.55以下であり、
温度55℃におけるtanδが、0.13以上であり、かつ、
該弾性部材からサンプリングした試料をイオン化室内で加熱気化させ、該試料を構成する分子をイオン化する直接試料導入方式の質量分析計を用いて、昇温速度10℃/秒で1000℃まで加熱したときに得られる全てのイオンの検出量をM1とし、イソシアネート基を3個以上有する多官能イソシアネートに由来するm/z値の範囲に対応する抽出イオンサーモグラムのピークの積分強度をM2としたとき、
M2/M1が0.001以上であることを特徴とする弾性部材。
(構成16)
M2/M1が、0.001以上、0.035以下である、構成15に記載の弾性部材。(構成17)
前記ポリウレタンが、
ジイソシアネート及びイソシアネート基を3個以上有する多官能イソシアネートを含むイソシアネート化合物、並びに、
3官能以上の多官能アルコールを含むアルコール
を含む組成物の反応物を含む、構成15又は16に記載の弾性部材。
(構成18)
前記試料をイオン化室内で加熱気化させ、該試料を構成する分子をイオン化する直接試料導入方式の質量分析計を用いて、昇温速度10℃/秒で1000℃まで加熱したときに得られる前記ジイソシアネートに由来するm/z値の範囲に対応する抽出イオンサーモグラムのピークの積分強度をM3としたとき、M3/M1が、0.025~0.130である、構成15~17のいずれかに記載の弾性部材。
1:清掃部材、2:弾性部材、3:支持部材、4:主面、5:主面とともに先端側エッジを形成する先端面、6:被清掃部材、R:被清掃部材の回転方向
11:車両用ワイパー支持部、12:ネック、13:リップ部(先端部)、15:第1のリップ面、16:第2のリップ面、17:先端面18:第1のエッジ、19:第2のエッジ、50:被清掃部材
31:グリップ部、32:弾性部材、33:弾性部材支持部、34:支持グリップ部、35:被清掃部材、36:リップ面、38:先端面
113:弾性部材、114:ガラス板、115:電動ロボシリンダ

Claims (18)

  1. ポリウレタンを含む弾性部材を備え、被清掃部材の表面に該弾性部材の少なくとも一部を当接させて、該被清掃部材の表面を清掃する清掃部材であって、
    該弾性部材から、該被清掃部材と当接する部分を含むようにサンプリングした試料の損失係数tanδを温度-20℃~+60℃の範囲で測定したとき、
    tanδの最大値を示すピークのピーク温度が、15.0℃以下に存在し、tanδの最大値が、0.20以上0.55以下であり、
    温度55℃におけるtanδが、0.13以上であり、かつ、
    該弾性部材から、該被清掃部材と当接する部分を含むようにサンプリングした試料をイオン化室内で加熱気化させ、該試料を構成する分子をイオン化する直接試料導入方式の質量分析計を用いて、昇温速度10℃/秒で1000℃まで加熱したときに得られる全てのイオンの検出量をM1とし、イソシアネート基を3個以上有する多官能イソシアネートに由来するm/z値の範囲に対応する抽出イオンサーモグラムのピークの積分強度をM2としたとき、
    M2/M1が0.001以上であることを特徴とする清掃部材。
  2. M2/M1が、0.001以上、0.035以下である請求項1に記載の清掃部材。
  3. 前記ポリウレタンが、
    ジイソシアネート及びイソシアネート基を3個以上有する多官能イソシアネートを含むイソシアネート化合物、並びに、
    3官能以上の多官能アルコールを含むアルコール
    を含む組成物の反応物を含む請求項1に記載の清掃部材。
  4. 前記試料をイオン化室内で加熱気化させ、該試料を構成する分子をイオン化する直接試料導入方式の質量分析計を用いて、昇温速度10℃/秒で1000℃まで加熱したときに得られる前記ジイソシアネートに由来するm/z値の範囲に対応する抽出イオンサーモグラムのピークの積分強度をM3としたとき、M3/M1が、0.025~0.130である請求項3に記載の清掃部材。
  5. 前記多官能イソシアネートが、ポリメリックMDI、トリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネート、及びトリス(フェニルイソシアネート)チオホスフェートからなる群から選択される少なくとも一である請求項3に記載の清掃部材。
  6. 前記ジイソシアネートが、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネートからなる群から選択される少なくとも一つである請求項3に記載の清掃部材。
  7. 前記清掃部材が、電子写真用クリーニングブレードである請求項1~6のいずれか一項に記載の清掃部材。
  8. 前記弾性部材を支持する支持部材をさらに具備する請求項7に記載の清掃部材。
  9. 前記清掃部材が、車両のウインドシールドのワイパー装置用の車両用ワイパー部材である請求項1~6のいずれか一項に記載の清掃部材。
  10. 前記車両用ワイパー部材が、少なくとも車両用ワイパー支持部と前記ウインドシールドの表面と当接するリップ部と、を具備する請求項9に記載の清掃部材。
  11. 前記車両用ワイパー部材が、少なくとも車両用ワイパー支持部と前記ウインドシールドの表面と当接するリップ部と、該リップ部の車両用ワイパー支持部側にショルダー部を具備する請求項9に記載の清掃部材。
  12. 前記車両用ワイパー部材が、少なくとも車両用ワイパー支持部と、該車両用ワイパー支持部にネックを介して揺動可能に連結されてなるリップ部と、を具備することを特徴とする請求項9に記載の清掃部材。
  13. 前記清掃部材が、被清掃部材の表面に前記弾性部材を当接させて、該被清掃部材の表面を清掃する払拭用の清掃部材である請求項1~6のいずれか一項に記載の清掃部材。
  14. 前記清掃部材が、前記被清掃部材の表面と当接する前記弾性部材と、前記弾性部材の長手方向にわたって前記弾性部材を支持する弾性部材支持部を有する請求項13に記載の清掃部材。
  15. ポリウレタンを含む弾性部材であって、
    該弾性部材からサンプリングした試料の損失係数tanδを、温度-20℃~+60℃の範囲で測定したとき、
    tanδの最大値を示すピークのピーク温度が、15.0℃以下に存在し、該tanδの最大値が、0.20以上0.55以下であり、
    温度55℃におけるtanδが、0.13以上であり、かつ、
    該弾性部材からサンプリングした試料をイオン化室内で加熱気化させ、該試料を構成する分子をイオン化する直接試料導入方式の質量分析計を用いて、昇温速度10℃/秒で1000℃まで加熱したときに得られる全てのイオンの検出量をM1とし、イソシアネート基を3個以上有する多官能イソシアネートに由来するm/z値の範囲に対応する抽出イオンサーモグラムのピークの積分強度をM2としたとき、
    M2/M1が0.001以上であることを特徴とする弾性部材。
  16. M2/M1が、0.001以上、0.035以下である請求項15に記載の弾性部材。
  17. 前記ポリウレタンが、
    ジイソシアネート及びイソシアネート基を3個以上有する多官能イソシアネートを含むイソシアネート化合物、並びに、
    3官能以上の多官能アルコールを含むアルコール
    を含む組成物の反応物を含む請求項15に記載の弾性部材。
  18. 前記試料をイオン化室内で加熱気化させ、該試料を構成する分子をイオン化する直接試料導入方式の質量分析計を用いて、昇温速度10℃/秒で1000℃まで加熱したときに得られる前記ジイソシアネートに由来するm/z値の範囲に対応する抽出イオンサーモグラムのピークの積分強度をM3としたとき、M3/M1が、0.025~0.130である請求項17に記載の弾性部材。
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