JP2022185930A - 回転子及び回転電機 - Google Patents

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幸広 吉成
Yukihiro Yoshinari
祐二 小林
Yuji Kobayashi
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Abstract

Figure 2022185930000001
【課題】必要な出力トルクを確保しつつ、トルクリップルを低減することが可能な回転電機の回転子及び回転電機を提供する。
【解決手段】回転子(150)は、磁石(154)と、磁石(154)を収納する収納空間(153)が形成された回転子コア(152)とを備える。回転子コア(152)の外周面(152a)と磁石(154)の外周側表面(155a)から等距離となる位置を中央位置(Lc)と定義し、回転子コア(152)の外周面(152a)と中央位置(Lc)の間の領域を第1領域(A1)と定義し、中央位置(Lc)と磁石(154)の間の領域を第2領域(A2)と定義したとき、回転子コア(152)は、第1領域(A1)又は第2領域(A2)の一方側にのみ、回転子コア(152)の中心軸に沿って貫通する貫通孔(157)を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、回転電機の回転子及び回転電機に関する。
固定子コアに固定子コイルが巻回された固定子と、回転子コアに複数の磁石が埋め込まれた回転子とを備えた回転電機が知られている。特許文献1には、磁石が収納されるスリットと、複数のフラックスバリアとが形成された回転子コアを備えた回転電機が開示されている。フラックスバリアは、回転子コアを軸方向に貫通する貫通孔であり、スリットと回転子コアの外周面との間に設けられている。
特開2013-126291号公報
特許文献1に記載の回転電機では、突極軸に沿って長手方向を有する複数のフラックスバリアが、突極軸と交差する方向に等ピッチに並列配置されている。このため、特許文献1に記載の回転電機では、広範囲に亘ってフラックスバリアが配置されているため、磁気飽和する範囲が広くなることに起因した出力トルクの低下を招いているおそれがある。
本発明は、出力トルクの低下を抑制して必要な出力トルクを確保しつつ、トルクリップルを低減することが可能な回転電機の回転子及び回転電機を提供することを目的とする。
本発明の一態様による回転子は、磁石と、前記磁石を収納する収納空間が形成された回転子コアと、を備えた回転子であって、前記回転子コアの外周面と前記磁石の外周側表面から等距離となる位置を中央位置と定義し、前記回転子コアの外周面と前記中央位置の間の領域を第1領域と定義し、前記中央位置と前記磁石の間の領域を第2領域と定義したとき、前記回転子コアは、前記第1領域又は前記第2領域の一方側にのみ、前記回転子コアの中心軸に沿って貫通する貫通孔を有する。
本発明によれば、出力トルクの低下を抑制して必要な出力トルクを確保しつつ、トルクリップルを低減することが可能な回転電機の回転子及び回転電機を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る回転電機の構成を示す平面断面模式図である。 図2は、本発明の実施形態に係る回転電機の回転子の一部を示す拡大平面模式図であり、磁石と貫通孔の位置関係について示す。 図3Aは、本実施形態に係る回転電機における磁力線を示す図である。 図3Bは、本実施形態の比較例に係る回転電機における磁力線を示す図である。 図4は、図3A及び図3Bに示す線40上での磁束密度を示す図である。 図5は、トルク波形図であり、本実施形態に係る回転電機のトルク波形を実線で示し、本実施形態の比較例に係る回転電機のトルク波形を破線で示す。 図6は、トルク波形の次数分析の結果を表す棒グラフであり、本実施形態に係る回転電機に対する結果を黒塗りのバーで示し、本実施形態の比較例に係る回転電機に対する結果を枠線が破線の白抜きのバーで示す。 図7は、本実施形態の変形例1-1に係る回転電機の回転子の一部を示す拡大平面模式図であり、磁石と貫通孔の位置関係について示す。 図8は、トルク波形図であり、本実施形態の変形例1-1に係る回転電機のトルク波形を太い実線で示し、本実施形態に係る回転電機のトルク波形を細い実線で示し、本実施形態の比較例に係る回転電機のトルク波形を細い破線で示す。 図9は、トルク波形の次数分析の結果を表す棒グラフであり、本実施形態の変形例1-1に係る回転電機に対する結果を枠線が実線の白抜きのバーで示し、本実施形態に係る回転電機に対する結果を黒塗りのバーで示し、本実施形態の比較例に係る回転電機に対する結果を枠線が破線の白抜きのバーで示す。 図10は、本実施形態の変形例1-2に係る回転電機の回転子の一部を示す拡大平面模式図であり、磁石と貫通孔の位置関係について示す。 図11は、トルク波形図であり、本実施形態の変形例1-2に係る回転電機のトルク波形を太い実線で示し、本実施形態に係る回転電機のトルク波形を細い実線で示し、本実施形態の比較例に係る回転電機のトルク波形を細い破線で示す。 図12は、トルク波形の次数分析の結果を表す棒グラフであり、本実施形態の変形例1-2に係る回転電機に対する結果を枠線が実線の白抜きのバーで示し、本実施形態に係る回転電機に対する結果を黒塗りのバーで示し、本実施形態の比較例に係る回転電機に対する結果を枠線が破線の白抜きのバーで示す。 図13は、本実施形態の変形例1-3に係る回転電機の回転子の一部を示す拡大平面模式図であり、磁石と貫通孔の位置関係について示す。 図14は、トルク波形図であり、本実施形態の変形例1-3に係る回転電機のトルク波形を太い実線で示し、本実施形態に係る回転電機のトルク波形を細い実線で示し、本実施形態の比較例に係る回転電機のトルク波形を細い破線で示す。 図15は、トルク波形の次数分析の結果を表す棒グラフであり、本実施形態の変形例1-3に係る回転電機に対する結果を枠線が実線の白抜きのバーで示し、本実施形態に係る回転電機に対する結果を黒塗りのバーで示し、本実施形態の比較例に係る回転電機に対する結果を枠線が破線の白抜きのバーで示す。 図16は、本実施形態の変形例2に係る回転電機の回転子の一部を示す拡大平面模式図であり、磁石と貫通孔の位置関係について示す。
図面を参照して、本発明の実施形態に係る回転電機及び回転電機の回転子について説明する。本実施形態に係る回転電機は、自動車の走行駆動用として使用するのが好適な回転電機である。本実施形態に係る回転電機は、エンジンと回転電機の双方によって駆動されるハイブリッド型の電気自動車、及び、回転電機のみによって走行する純粋な電気自動車のいずれにも適用することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る回転電機100の構成を示す平面断面模式図である。図1では、回転電機100を軸方向からみた断面、すなわち回転電機100の回転中心軸Oに直交する断面を示している。図1に示すように、回転電機100は、ハウジング(不図示)に固定される固定子130と、固定子130の内周側に隙間をあけて回転可能に設けられる回転子150と、を備える。
回転電機100は、複数の磁石154が回転子150に埋め込まれた永久磁石埋込型の三相同期モータである。回転電機100は、固定子コア132に巻回される固定子コイル138に三相交流電流が供給されることで、回転子150を回転させる電動機として作動する。
固定子130は、ハウジング(不図示)の内側に嵌合固定される。回転子150は、シャフト118に固定されている。シャフト118がハウジング(不図示)の軸受によって支承されることにより、回転子150が固定子130の内側で回転可能に保持される。
回転子150の回転中心軸Oは、円筒状の固定子130の中心軸、及び回転電機100の中心軸に一致する。なお、以下の説明において、「軸方向」、「周方向」、「径方向」とは、次のとおりである。「軸方向」とは、回転子150(回転子コア152)の回転中心軸Oに沿う方向である。「周方向」とは、回転子150の回転方向に沿う方向、すなわち軸方向に直交しかつ回転中心軸Oを中心とする円周方向である。「径方向」とは、回転中心軸O及び周方向に直交する方向、すなわち半径方向である。また、「内周側」は径方向内側(内径側)を指し、「外周側」はその逆方向、すなわち径方向外側(外径側)のことを指す。
固定子130は、円筒状の固定子コア132と、この固定子コア132に分布巻きで装着される固定子コイル138と、を備える。なお、本実施形態では、固定子コイル138の巻線方式は分布巻きであるが、巻線方式はこれに限定されず、集中巻きであってもよい。固定子コイル138は、後述する複数のスロット133のそれぞれに配置されるが、図1では、1つのスロット133に配置される固定子コイル138の断面を代表して示し、その他のスロット133に配置される固定子コイル138の図示は省略している。
固定子コア132の内周部には、固定子コア132の中心軸方向に平行な複数(本実施形態では48個)のスロット133が形成される。複数のスロット133は、固定子コア132の周方向に等間隔で形成される。
各スロット133には、固定子コイル138が収容される。スロット133間にはティース134が形成される。本実施形態では、複数(本実施形態では48個)のティース134が、環状のコアバック135から内径側に突出するように設けられている。ティース134は径方向の磁路を形成し、コアバック135は周方向の磁路を形成する。ティース134は、固定子コイル138によって発生した回転磁界を回転子150に導き、回転子150に回転トルクを発生させる。
固定子コア132は、例えば、円環形状の電磁鋼板または軟磁性金属板を複数枚積層することにより形成される。
回転子150は、円筒状の回転子コア152と、回転子コア152に固定される複数(本実施形態では16個)の磁石154と、を備える。回転子コア152は、例えば、円環形状の電磁鋼板または軟磁性金属板を複数枚積層することにより形成される。
図2は、回転電機100の回転子150の一部を示す拡大平面模式図であり、磁石154と貫通孔157の位置関係について示す。
図1及び図2に示すように、回転子コア152の外周部近傍には、直方体形状の磁石154を収納する収納空間としての磁石保持孔153が、周方向に間隔をあけて複数形成される。磁石154は、磁石保持孔153に挿入され、磁石保持孔153内で固定される。磁石保持孔153の周方向の幅は、磁石154の周方向の幅よりも大きい。磁石154の周方向一端と磁石保持孔153の周方向一側面との間には磁気的空隙156が形成される。磁気的空隙156には接着剤、樹脂等を埋め込んで、磁石154と一体に固めてもよい。
磁石154は、回転子150の磁極部160を形成する。本実施形態では、一対の磁石154によって1つの磁極部160が形成されている。本実施形態の回転電機100は、磁極部160の数(すなわち磁極数)が8、スロット133の数(すなわちスロット数)が48であるため、毎極スロット数は6(=スロット数/磁極数)であり、毎極毎相スロット数NSPPは2(=スロット数/磁極数/相数)である。
図2に示すように、一対の磁石154は、磁極部160の周方向の中心軸である磁極中心軸Ca(d軸)に対して対称に設けられる。本実施形態に係る磁石154は、直方体形状であって、6つの平坦な側面(表面)として一対の幅広面155a,155bと一対の側面155cと一対の端面155dとを有する。磁石154は、一対の幅広面155a,155bが磁極部160の磁極中心軸Ca(図2参照)に対して直交するように配置される。幅広面155a,155bは、磁石154の側面(表面)のうちで最も面積の大きい面である。以下、一対の幅広面155a,155bのうち、外周側に配置されるものを外周側表面155aと記し、内周側に配置されるものを内周側表面155bと記す。外周側表面155aは、磁石154を構成する6つの表面のうち、回転子コア152の外周面152aに最も近い表面である。
磁石154の磁化方向は径方向を向いており、磁極部160ごとに磁化方向の向きが反転している。つまり、ある磁極部160を形成するための磁石154の固定子130側の面がN極、シャフト118側の面がS極に磁化されていたとすると、隣の磁極部160を形成する磁石154の固定子130側の面はS極、シャフト118側の面はN極に磁化されている。本実施形態では、8組(16個)の磁石154が、周方向に等間隔で磁極毎に交互に磁化方向が変わるように磁化されて配置されている。磁石154は、ネオジウム系、サマリウム系の焼結磁石、フェライト磁石、ネオジウム系のボンド磁石などの永久磁石である。
回転子コア152の外周面152aと磁石154の外周側表面155aとの間には、回転子コア152を軸方向に貫通する貫通孔157が設けられている。本実施形態において、貫通孔157内に部材は設けられておらず、貫通孔157は空隙とされている。なお、貫通孔157内には樹脂等の非磁性体が充填されていてもよい。
貫通孔157の位置の説明に当たり、回転中心軸Oから外周面152aに延びる任意の直線上において、回転子コア152の外周面152aと磁石154の外周側表面155aから等距離となる位置を「中央位置」と定義する。磁石154の外周側で、かつ磁極中心軸Ca側の端部を「第1端部E1」と定義し、磁石154の外周側で、かつ磁極中心軸Caとは反対側の端部を「第2端部E2」と定義する。なお、第1端部E1は、外周側表面155aの周方向一端部であり、第2端部E2は外周側表面155aの周方向他端部である。中央位置は、周方向に沿って複数存在する。第1端部E1と第2端部E2の間における複数の中央位置を結んだ線を「中央線Lc」と定義する。回転子コア152の外周面152aと中央線Lcとの間の領域を「第1領域A1」と定義し、中央線Lcと磁石154の外周側表面155aとの間の領域を「第2領域A2」と定義する。
なお、磁石154の角部が面取りされている場合、第1端部E1は、外周側表面155aにおける軸方向端部の辺(すなわち端面155dの外周側の長辺)の延長線と、磁極中心軸Ca側の側面155cにおける軸方向端部の辺(すなわち端面155dの磁極中心軸Ca側の短辺)の延長線の交点の位置と定義することが好ましい。同様に、第2端部E2は、外周側表面155aにおける軸方向端部の辺(すなわち端面155dの外周側の長辺)の延長線と、磁極中心軸Ca側とは反対側の側面155cにおける軸方向端部の辺(すなわち端面155dの磁極中心軸Ca側とは反対側の短辺)の延長線の交点の位置と定義することが好ましい。
貫通孔157は、その全体が第1領域A1に収まるように形成されている。つまり、貫通孔157の径方向の最大長さLbは、その位置における第1領域A1の径方向の長さよりも短い。より具体的には、貫通孔157において径方向の長さが最大となる位置と、回転中心軸Oとを結ぶ直線Lm上において、貫通孔157の径方向の長さ(最大長さ)Lbは第1領域A1の径方向の長さよりも短い。このように、本実施形態において、貫通孔157は、第1領域A1にのみ設けられ、第2領域A2には、回転子コア152を軸方向に貫通する貫通孔が設けられていない。
本実施形態では、一対の磁石154のそれぞれに対応して1つずつ貫通孔157が設けられている。つまり、貫通孔157は、1つの磁極部160に対して2つ設けられている。1つの磁極部160を構成する一対の貫通孔157は、磁極中心軸Ca(d軸)に対して対称に形成されている。また、貫通孔157は、磁極中心軸Ca(d軸)から回転方向に電気角で90°ずれた磁界境界に位置する軸であるq軸よりも磁極中心軸Ca(d軸)に近い位置に形成されている。
貫通孔157の周方向の長さ(最大長さ)Laは、磁極部160を構成する一対の磁石154間の距離(最小距離)Dに比べて短い(La<D)。また、貫通孔157の径方向の長さ(最大長さ)Lbは、周方向の長さ(最大長さ)Laに比べて短い(Lb<La)。
貫通孔157は、磁石154の外周側表面155aの周方向の中央を通り、かつ、回転子コア152の径方向に沿う直線L0と重なる位置に設けられる。具体的には、貫通孔157は、回転中心軸Oと第1端部E1とを結ぶ直線L1と、回転中心軸Oと第2端部E2とを結ぶ直線L2とのなす角θを二等分する直線L0上に配置される。
貫通孔157は、第1領域A1において、回転子コア152の外周面152aよりも第2領域A2に近い位置に設けられる。
このように、第1領域A1に収まる程度の小さな貫通孔157を設けることにより、回転子コア152の外周面152aと磁石154の外周側表面155aとの間の一部分を磁気飽和させることができる。これにより、各回転位置でのトルクを減少させ、トルク波形の形を変化させることにより、トルクリップルを低減することができる。
貫通孔157を設けることにより、トルクリップルを低減できることについて、本実施形態の比較例と比較しつつ説明する。図3Aは、本実施形態に係る回転電機100における磁力線を示す図である。図3Bは、本実施形態の比較例に係る回転電機100Zにおける磁力線を示す図である。本実施形態の比較例に係る回転電機100Zでは、貫通孔157が設けられていない点が本実施形態に係る回転電機100と相違しており、その他の構成は本実施形態に係る回転電機100と同じである。
図3A及び図3Bに示す左上方向に向かう矢印Ar1,Ar2は、回転子150の回転方向に働く電磁力を示している。図3Aに示す円C1で囲まれた領域内には、磁束を遮るフラックスバリアとして機能する貫通孔157が形成されている。図3Bに示す円C2は、図3Aに示す円C1と同じ領域を示している。図3Aに示すように、貫通孔157の周囲の磁力線の間隔は、図3Bの円C2で囲まれた領域内の磁力線の間隔に比べて狭く、本実施形態では第1領域A1において部分的な磁気飽和が発生している。
図4は、図3A及び図3Bに示す線40上での磁束密度を示す図である。図4において、横軸は回転中心軸Oからの径方向の距離を表し、縦軸は磁束密度を表している。本実施形態に係る回転電機100の磁束密度は実線で示し、比較例に係る回転電機100Zの磁束密度は破線で示している。図3Aに示す線40は、貫通孔157から径方向に外周面152aまで延びる線である。図3Bに示す線40の位置及び長さは、図3Aに示す線40と同じである。
図4に示すように、本実施形態に係る回転電機100では、貫通孔157と回転子コア152の外周面152aの間において、比較例に比べて磁束密度が高くなっている。また、磁束密度の差は、貫通孔157に近いほど大きく、外周面152aに近いほど小さい。
図3A、図3B及び図4に示すように、本実施形態では、貫通孔157の周囲の磁束密度が部分的に磁気飽和している。これにより、本実施形態における回転方向に働く電磁力Ar1は、比較例における回転方向に働く電磁力Ar2に比べて小さくなる。このように、本実施形態では、貫通孔157を設けることにより、比較例に比べて各回転位置でのトルクを減少させ、トルク波形の形を変化させることができる。
図5は、トルク波形図であり、本実施形態に係る回転電機100のトルク波形を実線で示し、本実施形態の比較例に係る回転電機100Zのトルク波形を破線で示す。図5において、横軸は回転角を表し、縦軸はトルクを表している。図5に示すように、本実施形態に係る回転電機100(実線)では、比較例に係る回転電機100Z(破線)に比べて、最大出力トルクが低減し、かつ、トルクリップルが低減している。なお、上述したように、磁気飽和する範囲は貫通孔157の周囲に限定されるため、トルクの低減量は小さい。
図6は、トルク波形の次数分析の結果を表す棒グラフであり、本実施形態に係る回転電機100に対する結果を黒塗りのバーで示し、本実施形態の比較例に係る回転電機100Zに対する結果を枠線が破線の白抜きのバーで示す。図6において、横軸は時間次数を表し、縦軸はトルク振幅を表している。図6に示すように、本実施形態に係る回転電機100では、トルクリップルの6次成分及び12次成分が減少している。特に、本実施形態において、トルクリップルの12次成分は、比較例の結果の1/4以下となっており、トルクリップルの12次成分が大幅に減少している。
本実施形態によれば、トルクリップルの高調波振幅の時間12次を貫通孔157を設けない場合(比較例)に比べて減少させることができるので、回転電機100で発生する音、振動を低く抑えることができる。
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)回転電機100は、回転子150と、隙間を介して配置される固定子130とを備える。回転子150は、磁石154と、磁石154を収納する磁石保持孔(収納空間)153が形成された回転子コア152と、を備える。回転子コア152の外周面152aと磁石154の外周側表面155aから等距離となる位置を中央位置(中央線Lc)と定義し、回転子コア152の外周面152aと中央位置(中央線Lc)の間の領域を第1領域A1と定義し、中央位置(中央線Lc)と磁石154の間の領域を第2領域A2と定義したとき、回転子コア152は、第1領域A1にのみ、回転子コア152の中心軸(回転中心軸O)に沿って貫通する貫通孔157を有する。
この構成では、限られた領域(第1領域A1)に収まる程度の小さな貫通孔157が回転子コア152に形成され、部分的な磁気飽和を発生させることができる。これにより、出力トルクの低下を抑制して自動車の駆動に必要な出力トルクを確保しつつ、トルクリップルを低減することが可能な回転電機100の回転子150及び回転電機100を提供することができる。その結果、音、振動の発生が抑えられた高出力の回転電機100を提供することができる。
(2)貫通孔157は、磁石154の外周側表面155aの周方向の中央を通り、かつ、回転子コア152の径方向に沿う線と重なる位置に設けられる。このように、本実施形態に係る回転電機100では、貫通孔157が磁石154の周方向の中央部に対応した位置に配置されているため、貫通孔157が磁石154の周方向の端部に対応した位置に配置される場合に比べて、出力トルクの低下を抑制しつつ、トルクリップルを効果的に低減することができる。
(3)回転子150は、一対の磁石154によって構成される磁極部160を複数有し、貫通孔157は、一対の磁石154のそれぞれに対応して1つずつ設けられる。この構成により、周方向にバランスよく、部分的に磁気飽和させる位置が設定される(図1参照)。その結果、回転電機100の出力トルクの低下を抑制しつつ、トルクリップルを効果的に低減することができる。
(4)貫通孔157の周方向の長さLaは、一対の磁石154間の距離Dよりも短い。これにより、回転子コア152の周方向において、磁気飽和させる範囲を制限することができ、回転電機100の出力トルクの低下を抑制することができる。
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
<変形例1>
上記実施形態では、貫通孔157が、第1領域A1において、回転子コア152の外周面152aよりも第2領域A2に近い位置に設けられる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。以下、貫通孔157の位置を変更した本実施形態の変形例1-1~1-3に係る回転電機100A~100Cについて説明する。
<変形例1-1>
図7は、本実施形態の変形例1-1に係る回転電機100Aの回転子150Aの一部を示す拡大平面模式図であり、磁石154と貫通孔157Aの位置関係について示す。図7に示すように、変形例1-1に係る回転電機100Aでは、貫通孔157Aが、第1領域A1において、第2領域A2よりも回転子コア152の外周面152aに近い位置に設けられている。この構成では、上記実施形態に比べて、部分的な磁気飽和が増すため、各回転位置でのトルクがさらに減少する。このため、図8のトルク波形図に示されるように、本変形例1-1に係る回転電機100A(太い実線)では、上記実施形態に係る回転電機100Z(細い実線)に比べて、最大出力トルクが低減している。また、図9の次数分析結果に示されるように、本変形例1-1に係る回転電機100A(枠線が実線の白抜きのバー)では、上記実施形態に係る回転電機100(黒塗りのバー)に比べて、トルクリップルの12次成分をさらに低減することができる。
なお、トルクリップルの24次成分については、本変形例1-1に係る回転電機100Aに比べて、上記実施形態に係る回転電機100の方が低く抑えられている。つまり、上記実施形態では、トルクリップルの12次成分及び24次成分のいずれも小さい値とすることができるため、好適である。
<変形例1-2>
図10は、本実施形態の変形例1-2に係る回転電機100Bの回転子150Bの一部を示す拡大平面模式図であり、磁石154と貫通孔157Bの位置関係について示す。図10に示すように、変形例1-2に係る回転電機100Bでは、貫通孔157Bが、第2領域A2において、磁石154の外周側表面155aよりも第1領域A1に近い位置に設けられている。この構成では、上記実施形態に比べて、部分的な磁気飽和が緩和されるため、各回転位置でのトルクが増加する。このため、図11のトルク波形図に示されるように、本変形例1-2に係る回転電機100B(太い実線)では、上記実施形態に係る回転電機100(細い実線)に比べて、最大出力トルクを増加させることができる。また、図12の次数分析結果に示されるように、本変形例1-2に係る回転電機100B(枠線が実線の白抜きのバー)では、比較例に係る回転電機100Z(枠線が破線の白抜きのバー)に比べて、トルクリップルの12次成分を低減することができる。また、本変形例1-2に係る回転電機100Bでは、比較例に係る回転電機100Z及び上記実施形態に係る回転電機100(黒塗りのバー)に比べて、トルクリップルの24次成分を低減することができる。なお、トルクリップルの12次成分については、本変形例1-2に係る回転電機100Bに比べて、上記実施形態に係る回転電機100の方が低く抑えられている。
<変形例1-3>
図13は、本実施形態の変形例1-3に係る回転電機100Cの回転子150Cの一部を示す拡大平面模式図であり、磁石154と貫通孔157Cの位置関係について示す。図13に示すように、変形例1-3に係る回転電機100Cでは、貫通孔157Cが第2領域A2において、第1領域A1よりも磁石154の外周側表面155aに近い位置に設けられている。この構成では、上記実施形態に比べて、部分的な磁気飽和が緩和されるため、各回転位置でのトルクが増加する。このため、図14のトルク波形図に示されるように、本変形例1-3に係る回転電機100C(太い実線)では、上記実施形態に係る回転電機100(細い実線)に比べて、最大出力トルクを増加させることができる。また、図15の次数分析結果に示されるように、本変形例1-3に係る回転電機100C(枠線が実線の白抜きのバー)では、比較例に係る回転電機100Z(枠線が破線の白抜きのバー)に比べて、トルクリップルの12次成分を低減することができる。また、本変形例1-3に係る回転電機100Cでは、比較例に係る回転電機100Z及び上記実施形態に係る回転電機100(黒塗りのバー)に比べて、トルクリップルの24次成分を低減することができる。なお、トルクリップルの12次成分については、本変形例1-3に係る回転電機100Cに比べて、上記実施形態に係る回転電機100の方が低く抑えられている。
以上のとおり、上記実施形態、変形例1-1~1―3で説明したとおり、第1領域A1又は第2領域A2の一方側にのみ、貫通孔を設けることにより、出力トルクの低下を抑制して必要な出力トルクを確保しつつ、トルクリップルを低減することが可能な回転電機の回転子及び回転電機を提供することができる。なお、上述したように、貫通孔157が、第1領域A1において、回転子コア152の外周面152aよりも第2領域A2に近い位置に設けられた実施形態(図2、図5及び図6参照)では、トルクリップルの12次成分及び24次成分の双方が小さい値に抑えられているため、特に、好適である。
<変形例2>
上記実施形態では、貫通孔157が、1つの磁極部160を構成する一対の磁石154のそれぞれに対応して1つずつ設けられる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。貫通孔157は、1つの磁極部160に対して3つ以上設けられていてもよい。また、図16に示すように、一対の磁石154のそれぞれに対応して、複数の貫通孔が設けられていてもよい。図16は、本実施形態の変形例2に係る回転電機100Dの回転子150Dの一部を示す拡大平面模式図であり、磁石154と貫通孔157D1~157D5の位置関係について示す。図16に示す例では、一対の磁石154のうちの一方の磁石(例えば、図示左側の磁石)154と回転子コア152の外周面152aとの間に、5つの貫通孔157D1~157D5が設けられている。5つの貫通孔157D1,157D2,157D3,157D4,157D5は、磁極中心軸Ca側から周方向にこの順で設けられる。複数の貫通孔157D1~157D5は、周方向に略等間隔で配置される。このように、1つの磁石154と回転子コア152の外周面152aとの間に2つ以上の貫通孔157を設けてもよい。1つの磁石154に対して2つ以上の貫通孔157を設け、部分的に磁気飽和する位置を増やすことによりトルクリップルの低減を図ることができる。
<変形例3>
上記実施形態では、貫通孔157が、磁石154の外周側表面155aの周方向の中央を通り、かつ、回転子コア152の径方向に沿う線と重なる位置に設けられる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、1つの磁石154に対して、図16に示す貫通孔157D1~157D5のいずれか1つ、あるいは複数が回転子コア152に設けられていてもよい。少なくとも、貫通孔は、第1領域A1又は第2領域A2の一方側にのみ設けられていればよい。
<変形例4>
上記実施形態では、磁極中心軸Caに対して直交する方向に沿って一対の磁石154が配置されている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、1つの磁極部160を構成する一対の磁石154は、軸方向に直交する平面内において、外周側に向けて開く略V字状を呈するように、配置されていてもよい。
<変形例5>
上記実施形態では、一対の磁石154によって構成される磁極部160を複数有する回転子150に本発明が適用される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、1つの磁石154によって構成される磁極部160を複数有する回転子150に適用することができる。また、本発明は、3つ以上の磁石154によって構成される磁極部160を複数有する回転子150に適用することもできる。1つ以上の磁石154によって構成される磁極部160を複数有する回転子150において、貫通孔157が、1つの磁極部160に対して複数設けられることにより、部分的に磁気飽和させる位置を分散させ、出力トルクの低下を抑制しつつ、トルクリップルの低減を図ることができる。なお、貫通孔157の数は、上記実施形態で説明したように、1つの磁極部160に対して2つ設けることが好ましい。これにより、磁気飽和する位置を分散させつつ、磁気飽和する範囲を制限することができる。その結果、回転電機100の出力トルクの低下を抑制しつつ、トルクリップルを効果的に低減することができる。
<変形例6>
上記実施形態では、自動車の駆動用の回転電機を例に説明したが、本発明はこれに限定されない。エレベータ、鉄道車両等の種々の移動体の駆動力を発生させる回転電機に本発明を適用することができる。なお、回転電機は、移動体の駆動力を発生させるものに限定されることもない。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
100,100A,100B,100C,100D…回転電機、130…固定子、132…固定子コア、138…固定子コイル、150,150A,150B,150C,150D…回転子、152…回転子コア、152a…外周面、153…磁石保持孔(収納空間)、154…磁石、155a…外周側表面(幅広面)、155b…内周側表面(幅広面)、155c…側面、155d…端面、157,157A,157B,157C,157D1,157D2,157D3,157D4,157D5…貫通孔、160…磁極部、A1…第1領域、A2…第2領域、Ca…磁極中心軸、E1…第1端部、E2…第2端部、L0…直線(線)、L1…直線、L2…直線、Lc…中央線(中央位置)、O…回転中心軸

Claims (6)

  1. 磁石と、前記磁石を収納する収納空間が形成された回転子コアと、を備えた回転子であって、
    前記回転子コアの外周面と前記磁石の外周側表面から等距離となる位置を中央位置と定義し、
    前記回転子コアの外周面と前記中央位置の間の領域を第1領域と定義し、
    前記中央位置と前記磁石の間の領域を第2領域と定義したとき、
    前記回転子コアは、前記第1領域又は前記第2領域の一方側にのみ、前記回転子コアの中心軸に沿って貫通する貫通孔を有する
    回転子。
  2. 請求項1に記載の回転子において、
    1つ以上の前記磁石によって構成される磁極部を複数有し、
    前記貫通孔は、1つの前記磁極部に対して複数設けられる
    回転子。
  3. 請求項2に記載の回転子において、
    前記貫通孔は、前記磁石の外周側表面の周方向の中央を通り、かつ、前記回転子コアの径方向に沿う線と重なる位置に設けられる
    回転子。
  4. 請求項3に記載の回転子において、
    前記磁極部は、一対の前記磁石によって構成され、
    前記貫通孔は、前記一対の磁石のそれぞれに対応して1つずつ設けられる
    回転子。
  5. 請求項4に記載の回転子において、
    前記貫通孔は、前記第1領域において、前記回転子コアの外周面よりも前記第2領域に近い位置に設けられる
    回転子。
  6. 請求項1に記載の回転子と、
    前記回転子と隙間を介して配置される固定子と、を備えた
    回転電機。
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