JP2022185351A - ワイヤーハーネス - Google Patents

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肇 寺山
Hajime Terayama
勇次 波木井
Yuji Hakii
信吾 田中
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Abstract

【課題】ノイズの重畳を抑えやすいワイヤーハーネスを提供する。【解決手段】車体110の第1接地位置111に接続される第1アース線11と、車体110の第2接地位置112に接続される第2アース線12とを備えるワイヤーハーネス10であって、第1アース線11と第2アース線12とが並進して結束される並進区間dでは、第1アース線11から流出して車体110を介して第2アース線12に流入するノイズの伝送は、第1アース線11と第2アース線12とで同相である。【選択図】図1

Description

本発明は、ワイヤーハーネスに関する。
従来、電力の供給や通信信号の伝達のために車両に配策されるワイヤーハーネスがある。特許文献1は、電力線(電力用回路)を流れる電流に起因した信号線(信号用回路)へのノイズの影響を低減させるために、電力用と信号用との接地ルートを互いに異ならせるワイヤーハーネス(車両用回路体)に関する技術を開示している。具体的には、電力用の接地ルートとしてのアース線は、車体に直接接続される。一方、信号用の接地ルートとしてのアース線は、車体を介さずに、電源の負極に接続される。
特開2019-155961号公報
特許文献1に開示されているワイヤーハーネスでは、信号用の接地ルートは、車体を介さない、すなわち、すべてハーネスにより構成されるため、コスト面又は重量面で望ましくない。また、信号線の接続対象である電装品は、車体に接地されるので、結局、電源系と繋がる。つまり、電力用と信号用との各々の接地ルートの混線を避ける構成として、ノイズの伝送ルートを厳密に分離することは、実際上困難である。更に、アース線を電力用と信号用とで独立させたとしても、電力線、信号線及びアース線は、ワイヤーハーネス内で互いに近接しているので、ノイズの重畳が生じることもあり得る。
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、ノイズの重畳を抑えやすいワイヤーハーネスを提供することにある。
本発明の態様に係るワイヤーハーネスは、車体の第1接地位置に接続される第1アース線と、車体の第2接地位置に接続される第2アース線とを備えるワイヤーハーネスであって、第1アース線と第2アース線とが並進して結束される並進区間では、第1アース線から流出して車体を介して第2アース線に流入するノイズの伝送は、第1アース線と第2アース線とで同相である。
本発明によれば、ノイズの重畳を抑えやすいワイヤーハーネスを提供することができる。
第1実施形態に係るワイヤーハーネスの図である。 第1実施形態に係るワイヤーハーネスの第1検証モデルを示す図である。 ワイヤーハーネスの比較検証モデルを示す図である。 差動線路又は同相線路での磁界分布を説明するための図である。 図2及び図3の各検証モデルによるノイズ流量を示すグラフである。 第2実施形態に係るワイヤーハーネスの図である。 第2実施形態に係るワイヤーハーネスの第2検証モデルを示す図である。 図3及び図7の各検証モデルによるノイズ流量を示すグラフである。 並進区間及びアース線間隔ごとのノイズ低減率を示すグラフである。 第3実施形態に係るワイヤーハーネスの各アース線を示す図である。 第4実施形態に係るワイヤーハーネスの各アース線を示す図である。
以下、図面を用いて各実施形態に係るワイヤーハーネスについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るワイヤーハーネス10の斜視図である。図1では、電線類の配置や接続の関係を明らかにするために、ワイヤーハーネス10が概略的に描かれている。ワイヤーハーネス10は、一例として、不図示の車両内に配策され、複数の車載機器同士を電気的に接続して通信信号の伝達を行う部品である。以下、ワイヤーハーネス10が、車載されている3つの電子機器、すなわち、第1機器100a、第2機器100b及び第3機器100cに接続される場合を例として説明する。
ワイヤーハーネス10は、電線類として、第1アース線11と、第2アース線12と、第1信号線13と、信号GND線14と、第2信号線15とを備える。
第1アース線11及び第2アース線12は、電力用アース線である。第1アース線11は、第1機器100aの電源系を接地する。第1アース線11の一端は、第1機器100aに接続され、第1アース線11の他端は、第1端子24に接続される。第2アース線12は、第2機器100bの電源系を接地する。第2アース線12の一端は、第2機器100bに接続され、第2アース線12の他端は、第2端子25に接続される。第1端子24及び第2端子25は、例えば圧着端子である。
ワイヤーハーネス10の配策時には、第1端子24は、車体110に設けられている第1接地位置111に取り付けられる(図2参照)。つまり、第1アース線11は、第1端子24を介して第1接地位置111に接続される。同様に、ワイヤーハーネス10の配策時には、第2端子25は、車体110に設けられている第2接地位置112に取り付けられる(図2参照)。つまり、第2アース線12は、第2端子25を介して第2接地位置112に接続される。
第1信号線13は、例えばツイスト線で構成され、第1機器100aと第3機器100cとの間で通信信号を伝送する。信号GND線14は、第1信号線13に付随して第1機器100aと第3機器100cとに接続され、車載機器同士で回路動作の基準となる電位を合わせる。第2信号線15は、例えば単線で構成され、第2機器100bと第3機器100cとの間で通信信号を伝送する。
また、ワイヤーハーネス10は、第1コネクタ21と、第2コネクタ22と、第3コネクタ23とを備える。第1コネクタ21は、第1アース線11、第1信号線13及び信号GND線14のそれぞれの一端を接続した多芯コネクタである。第1コネクタ21は、ワイヤーハーネス10の配策時には、第1機器100aに接続される。第2コネクタ22は、第2アース線12及び第2信号線15のそれぞれの一端を接続した多芯コネクタである。第2コネクタ22は、ワイヤーハーネス10の配策時には、第2機器100bに接続される。第3コネクタ23は、第1信号線13、信号GND線14及び第2信号線15のそれぞれの一端を接続した多芯コネクタである。第3コネクタ23は、ワイヤーハーネス10の配策時には、第3機器100cに接続される。
更に、ワイヤーハーネス10は、電線類を結束する被覆体26を備える。被覆体26は、結束帯、チューブ又は粘着テープ等の少なくともいずれかで構成される。図1では、被覆体26が二点鎖線で概略的に描かれている。
ここで、第1アース線11及び第2アース線12に関して、本実施形態では、第1接地位置111と第2接地位置112とは、車体110上で互いに異なる(図2参照)。これらの接地位置に合わせて、第1端子24が取り付けられている第1アース線11の第1先端部11aと、第2端子25が取り付けられている第2アース線12の第2先端部12aとは、互いに異なる枝線として幹線ハーネスから分岐する。
また、本実施形態では、ワイヤーハーネス10には、幹線ハーネスの少なくとも一部として、第1アース線11と第2アース線12とが並進して結束される並進区間dが設定されている。そして、第1アース線11及び第2アース線12は、第1アース線11から流出して車体110を介して第2アース線12に流入するノイズの伝送が並進区間dで同相となるように、ワイヤーハーネス10内に配置される。一例として、第1アース線11は、並進区間dでは第1方向X1に沿って延伸するように配置される。第2アース線12は、並進区間dでは第1方向X1とは反対である第2方向X2に沿って延伸するように配置される。
次に、ワイヤーハーネス10の作用について、ワイヤーハーネス10と比較例としてのワイヤーハーネスとで、一方のアース線に対してノイズを模擬した電流信号(以下、「ノイズ信号」という)を印加した場合のノイズ信号の伝送を比較しつつ説明する。
図2は、ワイヤーハーネス10の検証モデル(以下、「第1検証モデル」という)を示す斜視図である。ここでは、一方のアース線である第1アース線11に対して第1機器100a側からノイズ信号Nを印加した場合を想定する。
第1検証モデルの条件として、第1アース線11及び第2アース線12の車両側への接続対象として車体110を想定する。車体110は、車両の一部を構成する導体としての金属製の矩形平板である。車体110は、第1端子24が取り付けられる第1接地位置111と、第2端子25が取り付けられる第2接地位置112とを含む。また、車体110は、第1アース線11又は第2アース線12から車体110に流れた電流の流入先としてのシンク120を含む。シンク120は、例えば、車両内に設置されている電源の負極に接続されている。
また、第1アース線11は、検証条件上、第1コネクタ21側から第1方向X1に沿って直線状に配置されるものとする。第1アース線11の長さ、すなわち、第1コネクタ21側の第1先端部11aから第1端子24までの平面上の長さは、2[m]である。第2アース線12は、検証条件上、第2コネクタ22側から第2方向X2に沿って直線状に配置される。第2アース線12の長さ、すなわち、第2コネクタ22側の第2先端部12aから第2端子25までの平面上の長さは、2[m]である。第1アース線11と第2アース線12とは、車体110上で互いに平行に延伸する。また、第1アース線11と第2アース線12とが互いにアース線間隔Dを維持しながら並進する並進区間dが設定されている。並進区間dの長さは、1[m]である。ここで、アース線間隔Dとは、第1アース線11の軸中心と第2アース線12の軸中心とを結んだ距離をいう(図4参照)。
第1検証モデルでは、第1アース線11の第1先端部11aから印加されたノイズ信号Nは、第1端子24を通じて、第1接地位置111から車体110に伝送される。この場合、車体110に伝送されたノイズ信号Nの以降の伝送ルートとしては、主に以下の2つが考えられる。なお、図2では、伝送ルートのうち、車体110を伝送する部分が破線の矢印で示されている。
第1の伝送ルートは、第1接地位置111から、第2アース線12が接続されている第2接地位置112に向かうルートである。以下、第1の伝送ルートで伝送されるノイズ信号を「第1分岐ノイズN11」という。第1分岐ノイズN11は、第2接地位置112から、第2端子25を通じて第2アース線12に進入し、第2コネクタ22側の第2先端部12aに向かう。つまり、第1検証モデルでは、ノイズ信号Nが印加されたとき、並進区間dでは、第1アース線11でのノイズ信号Nの流れ方向と、第2アース線12での第1分岐ノイズN11の流れ方向とは、それぞれ矢印で示すように同方向となる。第2の伝送ルートは、第1接地位置111からシンク120に向かうルートである。以下、第2の伝送ルートで伝送されるノイズ信号を「第2分岐ノイズN12」という。
図3は、比較例としてのワイヤーハーネスの検証モデル(以下、「比較検証モデル」という)を示す斜視図である。ここでは、一方のアース線である第1アース線211に対して仮想の電子機器側からノイズ信号Nを印加した場合を想定する。
比較検証モデルでは、車体110に関する条件は、第1検証モデルの条件と同一である。第1アース線211は、図2における第1アース線11の代替部材である。第2アース線212は、図2における第2アース線12の代替部材である。第1アース線211に接続されている第1端子224は、第1接地位置111に取り付けられる。第2アース線212に接続されている第2端子225は、第2接地位置112に取り付けられる。ただし、第1接地位置111及び第2接地位置112は、車体110上に設けられる接地位置の例であるので、図2と図3との各検証モデル間で厳密に一致する必要はない。
第1アース線211及び第2アース線212は、それぞれ、第1方向X1に沿って直線状に配置される。第1アース線211及び第2アース線212の長さは、それぞれ2[m]である。第1アース線211と第2アース線212とは、車体110上で互いに平行に延伸する。また、第1アース線211と第2アース線212とが互いにアース線間隔Dを維持しながら並進する並進区間dが設定されている。並進区間dの長さは、1[m]である。
比較検証モデルでは、第1アース線211の第1先端部211aから印加されたノイズ信号Nは、第1端子224を通じて、第1接地位置111から車体110に伝送される。この場合、車体110に伝送されたノイズ信号Nの以降の伝送ルートとしては、主に以下の2つが考えられる。なお、図3では、伝送ルートのうち、車体110を伝送する部分が破線の矢印で示されている。
第1の伝送ルートは、第1接地位置111から、第2アース線212が接続されている第2接地位置112に向かうルートである。以下、第1の伝送ルートで伝送されるノイズ信号を「第1分岐ノイズN21」という。第1分岐ノイズN11は、第2接地位置112から、第2端子225を通じて第2アース線212に進入し、第2先端部212aに向かう。つまり、比較検証モデルでは、ノイズ信号Nが印加されたとき、並進区間dでは、第1アース線211でのノイズ信号Nの流れ方向と、第2アース線212での第1分岐ノイズN21の流れ方向とは、それぞれ矢印で示すように逆方向となる。第2の伝送ルートは、第1接地位置111からシンク120に向かうルートである。以下、第2の伝送ルートで伝送されるノイズ信号を「第2分岐ノイズN22」という。
図4は、互いに並進する2つのアース線でのノイズ信号の流れ方向によって、アース線同士が差動線路又は同相線路となったときの磁界分布を説明するための図である。
図4(a)は、第1検証モデルに関して、互いに隣り合う第1アース線11と第2アース線12との2つの直線導体に生じ得る磁界分布を示す図である。図4(a)中、実線の矢印は、第1アース線11を流れるノイズ信号Nに起因した磁界の向きを示す。図4(a)中、破線の矢印は、第2アース線12を流れる第1分岐ノイズN11に起因した磁界の向きを示す。
第1検証モデルでは、ノイズ信号Nが印加されると、第1アース線11と第2アース線12とは、同相線路となる。同相線路では、図4(a)に示すように、アース線間に相当する内側では磁界が弱め合い、アース線間の外側では磁界が強め合う。したがって、同相線路では、第1アース線11と第2アース線12とが近接するほど、磁界が相殺される領域が小さくなるため、インダクタンスの低下も小さくなり、それぞれのアース線のインダクタンスが本来のものに近くなる。
図4(b)は、比較検証モデルに関して、互いに隣り合う第1アース線211と第2アース線212との2つの直線導体に生じ得る磁界分布を示す図である。図4(b)中、破線の矢印は、第1アース線211を流れるノイズ信号Nに起因した磁界の向きを示す。図4(b)中、実線の矢印は、第2アース線212を流れる第1分岐ノイズN21に起因した磁界の向きを示す。
比較検証モデルでは、ノイズ信号Nが印加されると、第1アース線211と第2アース線212とは、差動線路となる。差動線路では、図4(b)に示すように、アース線間に相当する内側では磁界が強め合い、アース線間の外側では磁界が弱め合う。したがって、差動線路では、第1アース線11と第2アース線12とが近接するほど、磁界が弱められる領域が増すため、交流の抵抗につながるアース線のインダクタンスが低下する。
ここで、導体長l(アルファベット「L」の小文字)[m]の2つの直線導体を平行間隔(アース線間隔D)[m]で配置して差動線路とした場合の単線(片線)のインダクタンスL[H]は、式(1)で表される。
Figure 2022185351000002
ただし、nは、差動線路を1つの往復線路とみなしたときのコイル巻き数(1回巻きコイル)を示す。ψ[Wb]は、磁束を示す。i[A]は、電流を示す。μ[H/m]は、空気の透磁率を示す。r[m]は、導体(アース線)の半径を示す。
式(1)より、インダクタンスLは、導体長lに比例して増減し、かつ、導体間の距離パラメータであるアース線間隔Dを含む「log(D-r)/r」で変化することがわかる。以下、アース線間隔Dをアース線半径rの倍数として一般化した検証結果について説明する。
図5は、図2及び図3の各検証モデルによる、アース線間隔D[m]ごとに、ノイズ信号の各伝送ルートでのノイズ流量[A]を表したグラフである。ただし、図5に示す検証結果を得るに際して、図2及び図3の各検証モデルでは、第1アース線11又は第1アース線211に印加される各々のノイズ信号Nは、1[A]、10[MHz]の電流であるものとする。
まず、図3に示す比較検証モデルでの検証結果について、図5では、第1分岐ノイズN21及び第2分岐ノイズN22が、それぞれ、ある程度のノイズ流量値を示している。つまり、比較検証モデルでは、第1アース線211を通じて第1接地位置111から流出したノイズ信号Nは、第1分岐ノイズN21と第2分岐ノイズN22とに分岐することがわかる。特に、第2接地位置112から第2アース線212に流入する第1分岐ノイズN21の流入量は、アース線間隔Dが狭くなるほど増加する。これは、差動線路では、アース線のインダクタンスが低減するので、第2分岐ノイズN22としてシンク120に流入するよりも第2アース線212に流入する方が、インピーダンスが低下するためである。結果として、比較検証モデルでは、ノイズ信号Nの50%以上が、第1分岐ノイズN21として第2アース線212に流入する。
一方、図2に示す第1検証モデルでの検証結果について、図5では、第1分岐ノイズN11のノイズ流量値は、おおよそゼロを示している。つまり、第1検証モデルでは、第1アース線11を通じて第1接地位置111から流出したノイズ信号Nは、アース線間隔Dの値を問わず、ほぼ、第2分岐ノイズN12としてシンク120に流入することがわかる。これは、同相線路では、第1アース線11と第2アース線12との間のインダクタンスがほぼ低減しないので、細線であるアース線のインダクタンスは、金属板である車体110のインダクタンスよりも大きくなるためである。
次に、ワイヤーハーネス10の効果について説明する。
本実施形態に係るワイヤーハーネス10は、車体110の第1接地位置111に接続される第1アース線11と、車体110の第2接地位置112に接続される第2アース線12とを備える。第1アース線11と第2アース線12とが並進して結束される並進区間dでは、第1アース線11から流出して車体110を介して第2アース線12に流入するノイズの伝送は、第1アース線11と第2アース線12とで同相である。
車体110を備えた車両内にワイヤーハーネス10が配策されて運用されているとき、接続対象としての電子機器を発源として、一方のアース線である第1アース線11にノイズが印加されることもあり得る。ここで、ワイヤーハーネス10では、第1アース線11にノイズが印加されたとき、ノイズが第2接地位置112を通じて第2アース線12に流入しようとすると、第1アース線11と第2アース線12とは、並進区間dにおいて同相線路となる。したがって、ワイヤーハーネス10によれば、上記説明した原理に従って、実際上、他方のアース線である第2アース線12へのノイズの流入が阻害されるため、ノイズの重畳を抑えることができる。
以上のように、本実施形態によれば、ノイズの重畳を抑えやすいワイヤーハーネス10を提供することができる。
なお、上記各図を用いた説明では、第1アース線11の接続対象である第1機器100a側から第1アース線11に対してノイズが印加される場合を例示した。しかし、更に上記各図で説明したワイヤーハーネス10を参照すると、上記例示に代えて、第2機器100b側から第2アース線12に対してノイズが印加されるものとしてもよい。この場合も、上記説明した原理を適用することができるので、ノイズの第1アース線11への流入が阻害され、結果として、ノイズの重畳を抑えることができる。
また、上記各図を用いた説明では、ワイヤーハーネス10が、第1アース線11と第2アース線12との2つのアース線を備える場合を例示した。しかし、ワイヤーハーネス10は、3つ以上のアース線を備えてもよい。ワイヤーハーネス10が3つ以上のアース線を備える場合、3つ以上のアース線の中から選択された2つのアース線に対して上記規定の第1アース線と第2アース線とを対応付けることで、ノイズの重畳を抑えるという効果を奏し得る。また、3つ以上のアース線の中から2つのアース線を選択するに際しては、磁界の強さ等に基づく原理を考慮すると、互いに最も近接したアース線同士を選択することが、上記の効果を得やすい点で望ましい。
また、本実施形態に係るワイヤーハーネス10では、第1アース線11は、並進区間dでは、第1方向X1に沿って延伸し、第2アース線12は、並進区間dでは、第1方向X1とは反対の第2方向X2に沿って延伸してもよい。
このワイヤーハーネス10によれば、第1アース線11と第2アース線12との延伸方向の設定だけで、ノイズの重畳を抑えることができるので、互いに独立した複数の接地ルートを複雑に設けたり、アース線同士を広く分離させたりする必要がない。また、ワイヤーハーネス10では、第1アース線11と第2アース線12との延伸方向の設定は、少なくとも並進区間dでのみ規定されるので、ワイヤーハーネス10全体にまで構造上の制約が及ばない。したがって、ワイヤーハーネス10によれば、簡易的な構造とする点や、製造コストの点で有利である。
なお、上記各図を用いた説明では、第1アース線11又は第2アース線12の延伸方向を第1方向X1又は第2方向X2で規定している。ここで、第1方向X1及び第2方向X2は、厳密な意味として、互いに平行となる直進方向に限定されるものではない。特に並進区間dにおいて、第1アース線11と第2アース線12とがおおよそ並進するように結束されるならば、第1方向X1又は第2方向X2の少なくとも一部に曲がりがあってもよいし、アース線間隔Dも必ずしも一定でなくてもよい。これらの第1方向X1及び第2方向X2に関する点は、以下の各実施形態においても同様である。
(第2実施形態)
第1実施形態に係るワイヤーハーネス10では、並進区間dに対して、第1アース線11と第2アース線12とが互いに反対方向から進入する、いわゆるカウンター配策が採用される。具体的には、第1アース線11は、並進区間dに対して第1方向X1に沿って進入する。一方、第2アース線12は、並進区間dに対して、第1方向X1とは反対である第2方向X2に沿って進入する。これに対して、実際の車両へのワイヤーハーネスの配策上、並進区間dに対して、第1アース線と第2アース線とが互いに同方向から進入する、いわゆるストレート配策を採用すべき場合もあり得る。そこで、第2実施形態では、第1アース線と第2アース線とがストレート配策となるべき場合に適用し得るワイヤーハーネスを例示する。
図6は、第2実施形態に係るワイヤーハーネス30の構成を示す斜視図である。図6では、ワイヤーハーネス30は、図1に示した第1実施形態に係るワイヤーハーネス10の描画に対応させて描かれている。以下、ワイヤーハーネス30が、車載されている3つの電子機器、すなわち、第1機器300a、第2機器300b及び第3機器300cに接続される場合を例として説明する。
ワイヤーハーネス30は、電線類として、第1アース線31と、第2アース線32と、第1信号線33と、信号GND線34と、第2信号線35とを備える。
第1アース線31及び第2アース線32は、電力用アース線である。第1アース線31は、第1機器300aの電源系を接地する。第1アース線31の一端は、第1機器300aに接続され、第1アース線31の他端は、第1端子44に接続される。第2アース線32は、第2機器300bの電源系を接地する。第2アース線32の一端は、第2機器300bに接続され、第2アース線32の他端は、第2端子45に接続される。第1端子44及び第2端子45は、例えば圧着端子である。
ワイヤーハーネス30の配策時には、第1端子44は、車体110に設けられている第1接地位置111に取り付けられる(図7参照)。つまり、第1アース線31は、第1端子44を介して第1接地位置111に接続される。同様に、ワイヤーハーネス30の配策時には、第2端子45は、車体110に設けられている第2接地位置112に取り付けられる(図7参照)。つまり、第2アース線32は、第2端子45を介して第2接地位置112に接続される。
第1信号線33は、例えばツイスト線で構成され、第1機器300aと第3機器300cとの間で通信信号を伝送する。信号GND線34は、第1信号線33に付随して第1機器300aと第3機器300cとに接続され、車載機器同士で回路動作の基準となる電位を合わせる。第2信号線35は、例えば単線で構成され、第1機器300aと第2機器300bとの間で通信信号を伝送する。なお、図6では、第1信号線33及び信号GND線34については、並進区間dを含む一部の範囲の描画が省略されている。
また、ワイヤーハーネス30は、第1コネクタ41と、第2コネクタ42と、第3コネクタ43とを備える。第1コネクタ41は、第1アース線31、第1信号線33、信号GND線34及び第2信号線35のそれぞれの一端を接続した多芯コネクタである。第1コネクタ41は、ワイヤーハーネス30の配策時には、第1機器300aに接続される。第2コネクタ42は、第2アース線32及び第2信号線35のそれぞれの一端を接続した多芯コネクタである。第2コネクタ42は、ワイヤーハーネス30の配策時には、第2機器300bに接続される。第3コネクタ43は、第1信号線33及び信号GND線34のそれぞれの一端を接続した多芯コネクタである。第3コネクタ43は、ワイヤーハーネス30の配策時には、第3機器300cに接続される。
更に、ワイヤーハーネス30は、第1実施形態における被覆体26と同様の被覆体46を備える。
ここで、第1アース線31及び第2アース線32に関して、第1実施形態と同様に、第1接地位置111と第2接地位置112とは、車体110上で互いに異なる(図7参照)。これらの接地位置に合わせて、第1端子44が取り付けられている第1アース線31の第1先端部31aと、第2端子45が取り付けられている第2アース線32の第2先端部32aとは、互いに異なる枝線として幹線ハーネスから分岐する。
また、第1実施形態と同様に、ワイヤーハーネス30には、幹線ハーネスの少なくとも一部として、第1アース線31と第2アース線32とが並進して結束される並進区間dが設定されている。ただし、本実施形態では、第1アース線31及び第2アース線32は、第1方向X1に沿って並進区間dに進入する。第1アース線31は、並進区間dでは、第1方向X1と第2方向X2とで延伸方向を変化させる折れ曲がり部を奇数個有する。第2アース線32は、並進区間dでは、第1方向X1と第2方向X2とで延伸方向を変化させる折れ曲がり部を偶数個有する。また、第2アース線32に設けられている折れ曲がり部の数は、第1アース線31に設けられている折れ曲がり部の数よりも多い。そして、第1アース線31から流出して車体110を介して第2アース線32に流入するノイズの伝送は、並進区間dでは、第1アース線31と第2アース線32とで互いに最も近接する延伸部同士で同相である。
次に、ワイヤーハーネス30の作用として、ワイヤーハーネス30と比較例としてのワイヤーハーネスとで、一方のアース線に対してノイズ信号を印加した場合のノイズ信号の伝送を比較しつつ説明する。
図7は、ワイヤーハーネス30の検証モデル(以下、「第2検証モデル」という)を示す斜視図である。ここでは、一方のアース線である第1アース線31に対して第1機器300a側からノイズ信号Nを印加した場合を想定する。
第2検証モデルでは、車体110に関する条件は、第1実施形態における第1検証モデルの条件と同一である。第1アース線31に接続されている第1端子44は、第1接地位置111に取り付けられる。第2アース線32に接続されている第2端子45は、第2接地位置112に取り付けられる。
まず、本実施形態でも、第1アース線31と第2アース線32とが互いに並進する並進区間dが設定されている。並進区間dの長さは、1[m]である。また、第1アース線31と第2アース線32とは、車体110上で互いに平行に延伸する。
第1アース線31は、検証条件上、第1コネクタ41側から第1方向X1に沿って直線状に配置されるものとする。ただし、第1アース線31は、第1方向X1に沿って並進区間dに進入した後、延伸方向を第1方向X1から第2方向X2へと変化させるように、折れ曲がり部31bで折れ曲がる。そして、第1アース線31は、並進区間dから第2方向X2に沿って第1端子44に向かう。
また、第1アース線31のうち、第1コネクタ41側の第1先端部31aから折れ曲がり部31bまでの長さは、2[m]である。第1アース線31のうち、折れ曲がり部31bから第1端子44までの平面上の長さは、1[m]である。そして、並進区間dは、おおよそ、折れ曲がり部31bと第1端子44との間に相当する。
第2アース線32は、検証条件上、第2コネクタ42側から第1方向X1に沿って直線状に配置されるものとする。ただし、第2アース線32は、第1方向X1に沿って並進区間dに進入した後、延伸方向を第1方向X1から第2方向X2へと変化させるように、第1折れ曲がり部32bで折れ曲がる。更に、第2アース線32は、延伸方向を第2方向X2から第1方向X1へと変化させるように、第2折れ曲がり部32cで折れ曲がる。そして、第2アース線32は、並進区間dから第1方向X1に沿って第2端子45に向かう。
また、第2アース線32のうち、第2コネクタ42側の第2先端部32aから第1折れ曲がり部32bまでの長さ、及び、第1折れ曲がり部32bから第2折れ曲がり部32cまでの長さは、それぞれ1[m]である。そして、第1アース線31のうち、第2折れ曲がり部32cから第2端子45までの平面上の長さは、2[m]である。そして、並進区間dは、おおよそ、第2先端部32aと第1折れ曲がり部32bとの間、又は、第1折れ曲がり部32bと第2折れ曲がり部32cとの間に相当する。
ここで、第1アース線31は、折れ曲がり部を1つ、すなわち奇数個有する。第2アース線32は、折れ曲がり部を2つ、すなわち偶数個有する。つまり、第2アース線32に設けられている折れ曲がり部の数は、第1アース線31に設けられている折れ曲がり部の数よりも多い。
また、第2検証モデルでは、並進区間dにおけるアース線間隔Dは、第1アース線31と第2アース線32とで互いに最も近接する延伸部同士の間隔とする。具体的には、図7に示すように、アース線間隔Dは、第1アース線31の第1延伸部31cと、第2アース線32の第2延伸部32dとの各々の軸中心を結んだ距離である。
第2検証モデルでは、第1アース線31の第1先端部31aから第1方向X1に沿って印加されたノイズ信号Nは、折れ曲がり部31bで流れ方向を第2方向X2に変化させた後、第1端子44を通じて、第1接地位置111から車体110に伝送される。この場合、車体110に伝送されたノイズ信号Nの以降の伝送ルートとしては、主に以下の2つが考えられる。なお、図7では、伝送ルートのうち、車体110を伝送する部分が破線の矢印で示されている。
第1の伝送ルートは、第1接地位置111から、第2アース線32が接続されている第2接地位置112に向かうルートである。以下、第1の伝送ルートで伝送されるノイズ信号を「第1分岐ノイズN31」という。第1分岐ノイズN31は、第2接地位置112から、第2端子45を通じて第2方向に沿って第2アース線32に進入し、第2折れ曲がり部32cで流れ方向を第1方向に変化させる。その後、第1分岐ノイズN31は、再度、第1折れ曲がり部32bで流れ方向を第2方向に変化させて、第2コネクタ42側の第2先端部32aに向かう。つまり、第2検証モデルでは、ノイズ信号Nが印加されたとき、並進区間dでは、第1延伸部31cでのノイズ信号Nの流れ方向と、第2延伸部32dでの第1分岐ノイズN31の流れ方向とは、それぞれ矢印で示すように同方向となる。第2の伝送ルートは、第1接地位置111からシンク120に向かうルートである。以下、第2の伝送ルートで伝送されるノイズ信号を「第2分岐ノイズN32」という。
図8は、図3及び図7の各検証モデルによる、アース線間隔D[m]ごとに、ノイズ信号の各伝送ルートでのノイズ流量[A]として表したグラフである。ただし、図8に示す検証結果を得るに際して、図7に示す第2検証モデルでは、第1アース線31に印加されるノイズ信号Nは、1[A]、10[MHz]の電流であるものとする。なお、図3に示した比較検証モデルについては、第1実施形態において例示した図5に示す検証結果と同一である。
第2検証モデルでの検証結果について、図5に示した第1検証モデルの場合のような著しい効果ではないものの、第2アース線32に流入する第1分岐ノイズN31の流量が、アース線間隔Dによっては40~60%程度にまで抑えられることがわかる。これは、第1アース線31及び第2アース線32の一部を折り曲げることで、第1アース線31の第1延伸部31cと、第2アース線32の第2延伸部32dとが、並進区間dにおいて同相線路を形成することができるためである。なお、もし第1アース線31のみを折り曲げて同相線路が形成されたとすると、第1アース線31においても、第1方向X1に沿った一方の延伸部と第2方向X2に沿った他方の延伸部とが近接するため、磁界形成の効果が低下することも考えられる。これに対して、本実施形態では、ノイズ信号Nが印加される第1アース線31だけでなく、第1分岐ノイズN31の流入が懸念される第2アース線32にも折れ曲がり部が設けられ、第1アース線31及び第2アース線32の双方がミアンダ形状となる。このような第1アース線31及び第2アース線32の形状又は配置によれば、並進区間dでの磁界が収縮し、アース線間での磁界のカップリング自体が低下する。また、第2アース線32に設けられている折れ曲がり部の数を、第1アース線31に設けられている折れ曲がり部の数よりも多くすることで、第2アース線32には、図7に示すように、第1アース線31よりも同相方向への流れが多く形成される。したがって、第2検証モデルによる第2アース線32への第1分岐ノイズN31の流入は、比較検証モデルの場合よりも抑えられるものと考えられる。
次に、ワイヤーハーネス30の効果について説明する。
本実施形態に係るワイヤーハーネス30では、第1アース線31及び第2アース線32は、第1方向X1に沿って並進区間dに進入する。第1アース線31は、並進区間dでは、第1方向X1と当該第1方向X1とは反対の第2方向X2とで延伸方向を変化させる折れ曲がり部を奇数個有する。第2アース線32は、並進区間dでは、第1方向X1と第2方向X2とで延伸方向を変化させる折れ曲がり部を偶数個有する。第2アース線32に設けられている折れ曲がり部の数は、第1アース線31に設けられている折れ曲がり部の数よりも多い。並進区間dでのノイズの伝送は、第1アース線31と第2アース線32とで互いに最も近接する延伸部同士で同相である。
ここで、第2検証モデルの例では、第1アース線31に設けられる奇数個の折れ曲がり部は、折れ曲がり部31bに相当し、第2アース線32に設けられる偶数個の折れ曲がり部は、第1折れ曲がり部32b及び第2折れ曲がり部32cに相当する。また、第1アース線31と第2アース線32とで互いに最も近接する延伸部としては、第2検証モデルの例では、第1アース線31の延伸部は、第1延伸部31cに相当し、第2アース線32の延伸部は、第2延伸部32dに相当する。
本実施形態では、第1アース線31に印加されたノイズが第2接地位置112を通じて第2アース線32に流入しようとすると、第1アース線31と第2アース線32とで互いに最も近接する延伸部同士は、並進区間dにおいて同相線路となる。したがって、ワイヤーハーネス30によれば、上記説明した原理に従って、第2アース線32に流入するノイズ流量が抑えられるので、ノイズの重畳を抑えやすくすることができる。
また、並進区間dに対して第1アース線11と第2アース線12とがカウンター配策となる第1実施形態に係るワイヤーハーネス10に対して、ワイヤーハーネス30では、第1アース線31と第2アース線32とがストレート配策となる。したがって、ワイヤーハーネス30によれば、各アース線がストレート配策となるべき場合にも適用し得るので、ワイヤーハーネス30内でのハーネス配策や、車体110に設定される第1接地位置111等の自由度を向上させることができる。
ここで、第2検証モデルでの検証結果として説明したとおり、ワイヤーハーネス30によれば、第2アース線32に流入するノイズ流量を比較的抑えることはできるが、ある程度の流入は避けられない。そこで、例えば、以下の図9に示すようなグラフを用いて、ワイヤーハーネス30の適用の有無を判断することもできる。
図9は、並進区間dの長さ[m]ごとのノイズ低減率[%]を示すグラフである。縦軸に設定されたノイズ低減率は、ワイヤーハーネス30のようなノイズ対策が施されていないストレート配策がなされたアース線へのノイズの流入量に対し、ノイズがどの程度低減したかを示す割合である。また、図9では、図8に示すグラフの横軸に合わせたアース線間隔Dごとのノイズ低減率が示されている。
図9に示すように、ワイヤーハーネス30では、並進区間dの長さが長くなるほど、また、アース線間隔Dが近接するほど、ノイズ低減率が向上するという傾向がある。この傾向を参照し、実際の車両内に配策されるワイヤーハーネスの長さが数メートルにも及び得ることや、近接して結束される状況に鑑み、ノイズ低減率が30%以上となる各種条件を満たす場合にワイヤーハーネス30を適用すると判断してもよい。
(第3実施形態)
第1実施形態に係るワイヤーハーネス10として例示された、カウンター配策となる第1アース線11及び第2アース線12は、それぞれ単線である。しかし、このような構成に代えて、第1アース線及び第2アース線が、それぞれ、互いに電流方向が同一となる複数のアース線を含む構成もあり得る。
図10は、第3実施形態に係るワイヤーハーネス50が備える第1アース線51と第2アース線52とを示す斜視図である。図10では、図2に示した第1検証モデルの描画に準じて、車体110には予め第1接地位置111及び第2接地位置112が設定されている。第1アース線51の一端に接続されている第1端子54は、第1接地位置111に取り付けられる。第2アース線52に接続されている第2端子55は、第2接地位置112に取り付けられる。
本実施形態では、第1アース線51と第2アース線52とは、第1実施形態における第1アース線11と第2アース線12との組み合わせに準じて、ワイヤーハーネス50内でカウンター配策されている。ワイヤーハーネス50でも、第1アース線51と第2アース線52とが互いに並進する並進区間dが設定されている。また、第1アース線51と第2アース線52とは、車体110上で互いに平行に延伸する。
また、第1アース線51及び第2アース線52は、それぞれ3つのアース線を含む。具体的には、第1アース線51は、第1導線51aと、第2導線51bと、第3導線51cとを含む。第1導線51a、第2導線51b及び第3導線51cは、少なくとも並進区間dでは、それぞれ、第1方向X1に沿って並進している。第1導線51a、第2導線51b及び第3導線51cの各々の一端は、集合して第1端子54に接続される。第2アース線52は、第1導線52aと、第2導線52bと、第3導線52cとを含む。第1導線52a、第2導線52b及び第3導線52cは、少なくとも並進区間dでは、それぞれ、第2方向X2に沿って並進している。第1導線52a、第2導線52b及び第3導線52cの各々の一端は、集合して第2端子55に接続される。
つまり、本実施形態に係るワイヤーハーネス50では、第1アース線51は、並進区間dでは、各々が第1方向X1に沿って並進する複数のアース線を含んでもよい。第2アース線52は、並進区間dでは、各々が第2方向X2に沿って並進する複数のアース線を含んでもよい。第1アース線51に含まれるアース線の数と、第2アース線52に含まれるアース線の数は、同一であってもよい。
この場合、第1導線51a、第2導線51b及び第3導線51cでの電流方向が同一であるので、これらの導線を結束した第1アース線51は、1つのアース体とみなされる。同様に、第1導線52a、第2導線52b及び第3導線52cでの電流方向が同一であるので、これらの導線を結束した第2アース線52も、1つのアース体とみなされる。そのため、ワイヤーハーネス50では、アース線の数が第1実施形態に係るワイヤーハーネス10におけるアース線の数よりも多い場合でも、上記の各種条件を満たすことで、第1アース線51全体と第2アース線52全体とは、並進区間dにおいて同相線路となる。したがって、ワイヤーハーネス50によれば、第1実施形態に係るワイヤーハーネス10と同様に、ノイズの重畳を抑えることができる。
(第4実施形態)
第2実施形態に係るワイヤーハーネス30として例示された、ストレート配策となる第1アース線31及び第2アース線32は、それぞれ、直線状の延伸部と折れ曲がり部との組み合わせで構成される。しかし、このような構成に代えて、第1アース線の一部を第2アース線の一部に巻き付けることで、第1アース線と第2アース線との間の電磁界的な結合度を増加させる構成もあり得る。
図11は、第4実施形態に係るワイヤーハーネス60が備える第1アース線61と第2アース線62とを示す斜視図である。図11では、図7に示した第2検証モデルの描画に準じて、車体110には予め第1接地位置111及び第2接地位置112が設定されている。第1アース線61の一端に接続されている第1端子64は、第1接地位置111に取り付けられる。第2アース線62に接続されている第2端子65は、第2接地位置112に取り付けられる。
本実施形態では、第1アース線61と第2アース線62とは、第2実施形態における第1アース線31と第2アース線32との組み合わせに準じて、ワイヤーハーネス60内でストレート配策されている。ワイヤーハーネス60でも、第1アース線61と第2アース線62とが互いに並進する並進区間dが設定されている。第1アース線61及び第2アース線62は、第1方向X1に沿って並進区間dに進入する。また、第1アース線61と第2アース線62とは、車体110上で、全体的に互いに平行に延伸する。
また、第1アース線61は、一の電子機器側に接続される第1先端部61aから第1方向X1に沿って直線状に配置される。ただし、第1アース線61は、第1方向X1に沿って並進区間dに進入した後、延伸方向を第1方向X1から第2方向X2へと変化させるように、折れ曲がり部61bで折れ曲がる。そして、第1アース線61は、折れ曲がり部61bから第2方向X2に沿って第1端子64に向かう。第1アース線61のうち、折れ曲がり部61bから第1端子64までの平面上の部分が延伸部61cである。また、延伸部61cは、第2アース線62の一部に巻き付けられる巻き付け部61dを有する。図11では、巻き付け部61dと第2アース線62との配置関係を明示するために、巻き付け部61dがコイル状に表現されている。第2アース線62は、他の電子機器側に接続される第2先端部62aから第1方向X1に沿って直線状に配置され、第2端子65に向かう。
つまり、本実施形態に係るワイヤーハーネス60では、第1アース線61及び第2アース線62は、第1方向X1に沿って並進区間dに進入してもよい。第1アース線61は、並進区間dでは、第1方向X1と当該第1方向X1とは反対の第2方向X2とで延伸方向を変化させる折れ曲がり部61bと、折れ曲がり部61bから第2方向X2に沿って延伸する延伸部61cとを有してもよい。延伸部61cは、第2アース線62の一部に巻き付けられる巻き付け部61dを有してもよい。第2アース線62は、巻き付け部61dの内側を貫通してもよい。並進区間dでのノイズの伝送は、第1アース線61の延伸部61cと第2アース線62とで同相であってもよい。
この場合、第1先端部61aからノイズが印加され、車体110を介して第2アース線62に進入したとすると、第1アース線61のうち第2アース線62に最も近接する延伸部61cと第2アース線62とでは、並進区間dにおいて同相線路となる。また、ワイヤーハーネス60では、第2アース線62が折れ曲がり部を有さなくても、第1アース線61の一部が第2アース線62に巻き付くことで、電磁界的に結合度を増加させることができる。したがって、ワイヤーハーネス60によれば、第2実施形態に係るワイヤーハーネス30と同様に、アース線同士がストレート配策である場合でも、ノイズの重畳を抑えることができる。特に、第2アース線62に対して第1アース線61の巻き付け部61dの巻き付け回数が多いほど、電磁界的な結合度がより増加し、ノイズの重畳を抑えるという効果がより得られやすい。
以上、各実施形態を説明したが、各実施形態はこれらに限定されるものではなく、各実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
10 ワイヤーハーネス
11 第1アース線
12 第2アース線
30 ワイヤーハーネス
31 第1アース線
31b 折れ曲がり部
31c 第1延伸部
32 第2アース線
32b 第1折れ曲がり部
32c 第2折れ曲がり部
32d 第2延伸部
50 ワイヤーハーネス
51 第1アース線
51a 第1導線
51b 第2導線
51c 第3導線
52 第2アース線
52a 第1導線
52b 第2導線
52c 第3導線
60 ワイヤーハーネス
61 第1アース線
61b 折れ曲がり部
61c 延伸部
61d 巻き付け部
62 第2アース線
110 車体
111 第1接地位置
112 第2接地位置
d 並進区間
N ノイズ信号
X1 第1方向
X2 第2方向

Claims (5)

  1. 車体の第1接地位置に接続される第1アース線と、前記車体の第2接地位置に接続される第2アース線とを備えるワイヤーハーネスであって、
    前記第1アース線と前記第2アース線とが並進して結束される並進区間では、前記第1アース線から流出して前記車体を介して前記第2アース線に流入するノイズの伝送は、前記第1アース線と前記第2アース線とで同相であるワイヤーハーネス。
  2. 前記第1アース線は、前記並進区間では、第1方向に沿って延伸し、
    前記第2アース線は、前記並進区間では、前記第1方向とは反対の第2方向に沿って延伸する、請求項1に記載のワイヤーハーネス。
  3. 前記第1アース線は、前記並進区間では、各々が前記第1方向に沿って並進する複数のアース線を含み、
    前記第2アース線は、前記並進区間では、各々が前記第2方向に沿って並進する複数のアース線を含み、
    前記第1アース線に含まれる前記アース線の数と、前記第2アース線に含まれる前記アース線の数は、同一である、請求項2に記載のワイヤーハーネス。
  4. 前記第1アース線及び前記第2アース線は、第1方向に沿って前記並進区間に進入し、
    前記第1アース線は、前記並進区間では、前記第1方向と当該第1方向とは反対の第2方向とで延伸方向を変化させる折れ曲がり部を奇数個有し、
    前記第2アース線は、前記並進区間では、前記第1方向と前記第2方向とで延伸方向を変化させる折れ曲がり部を偶数個有し、
    前記第2アース線に設けられている前記折れ曲がり部の数は、前記第1アース線に設けられている前記折れ曲がり部の数よりも多く、
    前記並進区間での前記ノイズの伝送は、前記第1アース線と前記第2アース線とで互いに最も近接する延伸部同士で同相である、請求項1に記載のワイヤーハーネス。
  5. 前記第1アース線及び前記第2アース線は、第1方向に沿って前記並進区間に進入し、
    前記第1アース線は、前記並進区間では、前記第1方向と当該第1方向とは反対の第2方向とで延伸方向を変化させる折れ曲がり部と、当該折れ曲がり部から前記第2方向に沿って延伸する延伸部とを有し、
    前記延伸部は、前記第2アース線の一部に巻き付けられる巻き付け部を有し、
    前記並進区間での前記ノイズの伝送は、前記第1アース線の前記延伸部と前記第2アース線とで同相である、請求項1に記載のワイヤーハーネス。
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